(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-01
(54)【発明の名称】回収可能なナノ複合材料の調製方法および応用
(51)【国際特許分類】
C01B 32/168 20170101AFI20240222BHJP
D01F 9/12 20060101ALI20240222BHJP
H01B 13/00 20060101ALI20240222BHJP
H01B 1/22 20060101ALI20240222BHJP
H01B 1/24 20060101ALI20240222BHJP
C01B 32/194 20170101ALI20240222BHJP
C08J 5/18 20060101ALI20240222BHJP
B29C 70/06 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
C01B32/168
D01F9/12
H01B13/00 Z
H01B1/22 B
H01B1/24 B
C01B32/194
C08J5/18 CER
C08J5/18 CEZ
B29C70/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023552375
(86)(22)【出願日】2021-12-01
(85)【翻訳文提出日】2023-08-29
(86)【国際出願番号】 CN2021134693
(87)【国際公開番号】W WO2023029257
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】202111010476.X
(32)【優先日】2021-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516082763
【氏名又は名称】中国科学院蘇州納米技術与納米▲ファン▼生研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】呂 衛幇
(72)【発明者】
【氏名】曲 抒旋
(72)【発明者】
【氏名】席 佳▲チー▼
【テーマコード(参考)】
4F071
4F205
4G146
4L037
5G301
【Fターム(参考)】
4F071AA37
4F071AA39
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4F205AA36
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5G301DA03
5G301DA19
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5G301DA32
5G301DA33
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5G301DA57
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5G301DA60
5G301DD06
5G301DD08
5G301DD10
5G301DE01
5G301DE02
(57)【要約】
本出願は、回収可能なナノ複合材料、その調製方法および応用を開示する。前記調製方法は、導電性材料、または、導電性材料と絶縁材料の組み合わせからなる強化材を提供するステップと、強化材と基材を直接混合するか、または、まず前記強化材を成形処理して強化材からなるフィルム、繊維または三次元ネットワーク構造を形成し、基材と複合化して回収可能なナノ複合材料を得るステップと、を含む。本出願は、強化材の回収方法をさらに提供する。本出願が提供する回収可能なナノ複合材料は、高強度、高靭性、および導電性、電磁波遮蔽などの性能を有し、さらに、本出願は簡単な処理により強化材を回収することができ、この方法は、強化材の構造を損傷せず、回収後強化材は依然として高い機械的性能を保ち、リサイクルした複合材料性能は元の複合材料と同等である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性材料、または、導電性材料と絶縁材料の組み合わせからなる強化材を提供するステップと、前記導電性材料はカーボンナノチューブ、グラフェン、カーボンナノファイバー、銀ナノワイヤのいずれか1つまたは2つ以上の組み合わせであり、導電性材料は連続ネットワーク構造を形成可能であり、
前記強化材と基材を複合化して回収可能なナノ複合材料を得るステップと、を含む、
ことを特徴とする回収可能なナノ複合材料の調製方法。
【請求項2】
強化材と基材を直接混合するか、または、まず強化材を成形処理してから基材と複合化するステップを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の調製方法。
【請求項3】
前記絶縁材料は窒化ホウ素および/またはアルミナからなる、
ことを特徴とする請求項1に記載の調製方法。
【請求項4】
具体的に、
まず強化材を有機溶媒に分散させて強化材を含む溶液を形成すること、
次に基材を前記強化材を含む溶液に加えた後硬化および成形して前記回収可能なナノ複合材料を得ること、
または、強化材を直接粉砕または攪拌のいずれかによって基材を含む溶液に分散させた後硬化および成形して前記回収可能なナノ複合材料を得ることを含み、
好ましくは、前記有機溶媒は基材を溶解可能な溶媒であり、好ましくはアセトン、DMF、NMPのいずれか1つまたは2つ以上の組み合わせからなり、
好ましくは、前記強化材を含む溶液中の強化材の濃度は0.1wt%~5wt%であり、
好ましくは、前記強化材と基材の質量比は0.001:1~4:1であり、
好ましくは、前記調製方法は、揮発性溶媒、塗布、モールド法のいずれかによって硬化および成形することを含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の調製方法。
【請求項5】
具体的に、
まず前記強化材を成形処理して強化材からなるフィルム、繊維または三次元多孔質ネットワーク構造を形成すること、
次に基材と複合すること、を含み、
好ましくは、前記調製方法は、少なくとも化学気相成長法、アレイ紡糸法、湿式紡糸法、溶融紡糸法、真空濾過法、塗布法、テンプレーティング法、ゾルゲル法、凍結乾燥法のいずれかによって前記強化材を成形処理することを含み、
好ましくは、前記フィルムの厚さは5~500μmであり、前記繊維の直径は5~500μmである、
ことを特徴とする請求項2に記載の調製方法。
【請求項6】
少なくとも真空注入法、塗布法、ホットプレス法のいずれかによって基材と強化材を複合化して回収可能なナノ複合材料を得ることを含む、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の調製方法。
【請求項7】
前記基材はポリマーからなり、好ましくはエポキシ樹脂、ビスマレイミド、ポリイミド、シアネート、ビニル樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリウレタンのいずれか1つまたは2つ以上の組み合わせからなる、
ことを特徴とする請求項1に記載の調製方法。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の方法によって調製された回収可能なナノ複合材料であって、基材、および前記基材に均一に分散された強化材からなり、強化材の含有量は0.1~80wt%である、
ことを特徴とする回収可能なナノ複合材料。
【請求項9】
空気雰囲気で、請求項8に記載の回収可能なナノ複合材料を空気中200~400℃で1~6時間高温処理した後、保護雰囲気で600~2000℃で1~10時間継続して処理して、回収された強化材を得ること、
または、請求項8に記載の回収可能なナノ複合材料と基材を溶解可能な溶媒に均一に混合し、2~24時間加熱還流し、濾過し、得られた強化材を収集して乾燥し、その後保護雰囲気で600~2000℃で1~10時間継続して処理して回収された強化材を得ること、
または、請求項8に記載の回収可能なナノ複合材料の少なくとも一部の領域において電極接続点として2点を選択し、電極を接続し、前記電極の両端に電圧を印可し、前記回収可能なナノ複合材料を電気加熱し、自力加熱によって基材を除去し、前記電気加熱の電力密度は500~20000W/m
2であることを含む、
ことを特徴とする強化材の回収方法。
【請求項10】
前記基材を溶解可能な溶媒は、アセトン、DMF、NMPのいずれか1つまたは2つ以上の組み合わせからなる、
ことを特徴とする請求項9に記載の回収方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年8月31日に出願された出願番号202111010476.X、発明名称「回収可能なナノ複合材料、その調製方法および応用」の中国特許出願に基づく優先権を主張する。
【0002】
(技術分野)
本出願は、ナノ複合材料の技術分野に属するナノ複合材料に関し、特に、回収可能なナノ複合材料、その調製方法およびその応用に関する。
【背景技術】
【0003】
複合材料は、航空宇宙、海洋、自動車、スポーツ用品などの用途に広く使用され、CFRPsの多くの利点にもかかわらず、その使用の増加は、炭素繊維布の廃棄物の増加を伴っている。一般的な廃棄物の発生源としては、期限切れのプリプレグ、製造用カットオフバルブ、試験材料、製造ツール、使用済み材料などが挙げられる。複合材料の回収は、(i)複合材料の組成(繊維、基材、フィラー)、(ii)架橋熱硬化性樹脂の性質(再成形不可)、(iii)他の材料との組み合わせ(金属固定材、ハニカム構造、ハイブリッド複合材料など)により、本質的に困難である。現在、炭素繊維複合材料の多くは埋め立て処分されているが、例えば、(1)環境負荷、(2)製造コストが高く、材料利用率が低く回収できない、などの多くの欠点がある。現在、複合材料を回収するために、高温処理、破砕、化学的方法など、さまざまな方法が開発されている。これらの方法はいずれも、炭素繊維にダメージを与えたり、長さを短くしたり、表面欠陥を発生させたりするため、炭素繊維の回収価値を低下させる。
【0004】
以上のように、既存のプロセスは、主に炭素繊維またはガラス繊維複合材料の繊維の回収に適用されており、回収プロセスにおいて、繊維の剪断、繊維の損傷、繊維の本来の特性の低下などの問題が発生し、結果として回収された繊維は高い機械特性を必要としない材料にのみ再利用され、材料回収の意義が低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本出願の主な目的は、先行技術における欠点を克服するための回収可能なナノ複合材料およびその調製方法、応用を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記発明の目的を達成するために、本出願は以下の技術的解決策を提供する。
本出願の実施例は、回収可能なナノ複合材料の調製方法を提供し、この方法は、
導電性材料、または、導電性材料と絶縁材料の組み合わせからなる強化材を提供するステップ、前記導電性材料はカーボンナノチューブ、グラフェン、カーボンナノファイバー、銀ナノワイヤのいずれか1つまたは2つ以上の組み合わせからなり、導電性材料は連続ネットワーク構造を形成可能であり、
前記強化材と基材を複合化して回収可能なナノ複合材料を得るステップを含む。
【0007】
いくつかの実施例では、前記調製方法は、強化材と基材を直接混合するか、または、まず強化材を成形処理してから基材と複合化することを含む。
【0008】
いくつかの実施例では、前記調製方法は具体的に、まず前記強化材を成形処理して強化材からなるフィルム、繊維または三次元ネットワーク構造を形成し、その後基材と複合化することを含む。
【0009】
本出願の実施例は、前記方法によって調製された回収可能なナノ複合材料をさらに提供し、基材、および前記基材に均一に分散された強化材からなり、前記回収可能なナノ複合材料中の強化材の含有量は0.1~80wt%である。
【0010】
本出願の実施例は、強化材の回収方法をさらに提供し、この方法は、
空気雰囲気で、前記回収可能なナノ複合材料を空気中200~400℃で1~6時間高温処理した後、保護雰囲気で600~2000℃で1~10時間継続して処理して、回収された強化材を得ること、
または、前記回収可能なナノ複合材料と基材を溶解可能な溶媒に均一に混合し、2~24時間加熱還流し、濾過し、得られた強化材を収集して乾燥し、その後保護雰囲気で600~2000℃で1~10時間継続して処理して回収された強化材を得ること、
または、前記回収可能なナノ複合材料の少なくとも一部の領域において電極接続点として2点を選択し、電極を接続し、前記電極の両端に電圧を印可し、前記回収可能なナノ複合材料を電気加熱し、自力加熱によって基材を除去し、前記電気加熱の電力密度は500~20000W/m2であることを含む。
【発明の効果】
【0011】
先行技術と比較すると、本出願は少なくとも以下の有益な効果を有する。
1)本出願が提供する回収可能なナノ複合材料は、カーボンナノチューブ、グラフェン、カーボンナノファイバー、銀ナノワイヤなどを複合材料の強化材とし使用し、ポリマーを基材として使用し、ナノ材料の構造特性により、この新規なナノ複合材料は、高強度、高靭性、および導電性、電磁波遮蔽などの性能を有し、
2)本出願が提供する回収プロセスは、新規なナノ複合材料中の強化材回収に使用され、簡単な処理で強化材を回収でき、この方法は強化材の構造を損傷せず、回収後の強化材は依然として高い性能を保ち、リサイクルした複合材料は元の複合材料の性能と同等であり、
3)本出願で回収したナノ材料は他の形態で再び複合材料を調製することができ、例えば粉末グラフェンと樹脂を混合して複合材料を調製し、グラフェンを回収した後、グラフェンをフィルムに調製してから複合材料を調製することにより、より優れた機械的性能を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本出願の技術的解決策をより明確に説明するために、以下、実施例または先行技術の説明において使用される必要のある図面を簡単に説明するが、明らかに、以下で説明される添付図面は本発明のいくつかの実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的な労働をすることなく、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
【0013】
【
図1】本出願の例示的な実施形態における2つの点状電極の接続方法を示す模式図である。
【
図2】本出願の例示的な実施形態における2つの帯状電極の接続方法を示す模式図である。
【
図3a】本出願の例示的な実施形態における2つの異形電極の接続方法を示す模式図である。
【
図3b】本出願の例示的な実施形態における2つの異形電極の接続方法を示す模式図である。
【
図3c】本出願の例示的な実施形態における2つの異形電極の接続方法を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
先行技術における欠点を鑑み、本出願の発明者らは、長年の研究と広範な実践を経て、本出願の技術的解決策を見つけ、簡単な処理でカーボンナノチューブを回収でき、回収後のカーボンナノチューブ複合材料は依然として高い機械的性能を保つ、回収可能なのカーボンナノチューブ複合材料を提供することである。以下、この技術的解決策、その実施過程および原理などをさらに説明する。
【0015】
カーボンナノチューブ複合材料は、カーボンナノチューブを強化材として、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂を基材として使用する新世代の複合材料である。カーボンナノチューブの優れた機械的特性により、カーボンナノチューブ複合材料も良好な機械的性能を有する。さらに、カーボンナノチューブの特殊な構造により、高い導電性、低い密度、電気化学的活性などの機能特性を与えるため、構造・機能一体化複合材料の開発にとってかなりの利点がある。
【0016】
本出願の実施例の一態様が提供する回収可能なナノ複合材料の調製方法は、
連続ネットワーク構造を形成可能である導電性材料、または、導電性材料と絶縁材料の組み合わせからなる強化材を提供すること、
前記強化材と基材を複合化して回収可能なナノ複合材料を得ることを含む。
【0017】
さらに、前記導電性材料は、カーボンナノチューブ、グラフェン、カーボンナノファイバー、銀ナノワイヤなどのいずれか1つまたは2つ以上の組み合わせからなるが、これらに限定されない。
【0018】
さらに、前記絶縁材料は、窒化ホウ素、アルミナなどからなるが、これらに限定されなく、他の機能性材料であってもよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、前記調製方法は、強化材と基材を直接混合するか、または、まず強化材を成形処理してから基材と複合化することを含む。
言い換えれば、前記複合方法は、(1)強化材と基材を直接混合する、(2)まず強化材を調製し成形して、例えばフィルム、繊維または三次元ネットワーク構造を形成してから基材と複合化することを含む。
【0020】
具体的に、いくつかのより好ましい実施形態では、前記調製方法中の第1複合方法は具体的に、
まず強化材を有機溶媒に分散させて強化材を含む溶液を形成すること、
次に基材を前記強化材を含む溶液に加えた後硬化および成形して前記回収可能なナノ複合材料を得ることを含む。
【0021】
さらに、前記調製方法中の第1直接混合方法は、
強化材を直接3本ロール粉砕または攪拌などのいずれかによって基材を含む溶液に分散させ、その後硬化および成形して前記回収可能なナノ複合材料を得ることをさらに含む。
【0022】
さらに、前記基材を含む溶液は、基材と有機溶媒からなる。
【0023】
さらに、前記有機溶媒は、基材を溶解可能な溶媒であり、好ましくはアセトン、DMF、NMPなどのいずれか1つまたは2つ以上の組み合わせからなるが、これらに限定されない。
【0024】
さらに、前記強化材を含む溶液中の強化材の濃度は0.1wt%~5wt%である。
【0025】
さらに、前記強化材と基材の質量比は0.001:1~4:1である。
【0026】
さらに、前記調製方法は、揮発性溶媒、塗布、モールド法のいずれかによって硬化および成形することを含む。
【0027】
具体的に、いくつかのより好ましい実施形態では、前記調製方法中の第2複合方法は具体的に、
まず前記強化材を成形処理して、例えば強化材からなるフィルム、繊維または三次元多孔質ネットワーク構造を形成すること、
次に基材と複合化することを含む。
【0028】
さらに、構成されたフィルムの厚さは5~500μmであり、前記繊維の直径は5~500μmである。
【0029】
さらに、前記調製方法は、少なくとも化学気相成長法、アレイ紡糸法、真空濾過法、塗布法、テンプレーティング法、ゾルゲル法、凍結乾燥法などのいずれかによって前記強化材を成形処理することを含む。本出願は、まず強化材を調製し成形し、自力加熱による回収の際に強化材の構造および回収品質を確保し、従来のプロセスにおける分散、濾過などのプロセスに起因する強化材の損失を回避することができる。
【0030】
さらに、前記調製方法は、少なくとも真空注入法、塗布法、ホットプレス法のいずれかによって基材と強化材を複合化して回収可能なナノ複合材料を得ることを含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、前記基材はポリマーからなり、樹脂ベースの複合材料に一般的に使用される樹脂からなり、好ましくは、エポキシ樹脂、ビスマレイミド、ポリイミド、シアネート、ビニル樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリウレタンなどのいずれか1つまたは2つ以上の組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0032】
いくつかの実施形態では、前記調製方法は、強化材と基材を複合化する前に、まず前記強化材を前処理し、さらに、前記前処理は、空気雰囲気で前記強化材を200~450℃に加熱した後希塩酸溶液に入れ、2~6時間還流攪拌し、および、不活性保護雰囲気で600~2000℃で得られた強化材を1~10時間高温処理することを含む。
【0033】
ここで、前記前処理の作用は、強化材を精製、不純物除去し、高品質のカーボンナノチューブまたはグラフェンを得ることに役立つ。より高い性能を有する複合材料を得る一方で、回収後の強化材との性能比較が容易である。
【0034】
具体的に、いくつかのより好ましい実施形態では、前記前処理は具体的に以下のステップを含み:まず強化材を空気で200~450℃に加熱し、次に強化材を希塩酸溶液に入れ、2~6時間還流攪拌した後、希塩酸を除去し、強化材を脱イオン水で洗浄し、最後に、強化材を不活性ガス保護下で600~2000℃で1~10時間高温処理する。
【0035】
本出願の実施例のもう1つの態様は、前記方法によって調製され、括基材、および前記基材に均一に分散された強化材からなる回収可能なナノ複合材料を提供することである。
【0036】
さらに、前記回収可能なナノ複合材料中の強化材の含有量は0.1~80wt%である。
【0037】
本出願が提供する新規なナノ複合材料は、カーボンナノチューブまたはグラフェンを複合材料の強化材として使用し、ポリマーを基材として使用する。カーボンナノチューブまたはグラフェンの構造特性により、このような新規なナノ複合材料は、高強度、高靭性、および導電性、電磁波遮蔽などの性能を有する。
【0038】
本出願の実施例のもう1つの態様は強化材の回収方法をさらに提供し、この方法は、
空気雰囲気で前記回収可能なナノ複合材料を200~400℃で1~6時間高温処理し、その後保護雰囲気で600~2000℃で1~10時間継続して処理し、回収された強化材を得ること、
または、前記回収可能なナノ複合材料と基材を溶解可能な溶媒に均一に混合し、2~24時間加熱還流し、濾過し、得られた強化材を収集して乾燥し、その後保護雰囲気で600~2000℃で1~10時間継続して処理し、回収された強化材を得ること、
または、前記回収可能なナノ複合材料の少なくとも一部の領域において電極接続点として2点を選択し、電極を接続すること、
前記電極の両端に電圧を印可し、前記回収可能なナノ複合材料を電気加熱し、自力加熱により基材を除去することを含み、ここで、前記電気加熱の電力密度は500~20000W/m2である。
【0039】
言い換えれば、前記強化材の回収方法は、(1)高温処理法、(2)溶媒溶解法、(3)電気加熱を含む。具体的に、高温処理法は、ナノ複合材料を高温炉に入れ、空気で200~400℃で1~6時間高温処理し、次に保護雰囲気で600~2000℃で1~10時間処理して、回収された強化材を得ることを含む。具体的に、溶媒溶解法は、ナノ複合材料を基材を溶解可能な溶液に入れ、攪拌し、2~24時間加熱還流し、次に濾過法、遠心分離法で強化材を回収し、強化材を乾燥した後、保護雰囲気で600~2000℃で1~10時間処理し、回収された強化材を得ることを含む。
【0040】
ここで、カーボンナノチューブ、グラフェン、カーボンナノファイバー、銀ナノワイヤなどの導電性材料は優れた導電性能を有し、その電熱効果を利用して複合材料を帯電させて200~400℃の高温を得、基材の除去を実現し、最後に保護雰囲気で、自身を600~2000℃に昇温させて回収された強化材を得る。
【0041】
言い換えれば、前記高温回収処理法は具体的に以下のステップを含み:カーボンナノチューブ、グラフェン、カーボンナノファイバー、銀ナノワイヤなどの導電性材料中の1つまたは複数を混合してフィルム、繊維または三次元ネットワーク構造を調製し、この構造は均一かつ連続的な導電経路を有する。樹脂を真空注入法、塗布法、ホットプレス法などによって強化材と複合化して複合材料を得る。回収するとき、複合材料の端部に電極接続点として2点を選択する。導電性銀接着剤、溶接などで電極を接続し、電極の両端に電圧を印可し、複合材料を電気加熱し、自力加熱によって樹脂を除去し、強化材を回収し、電気加熱の電力密度は500~20000W/m2であり、自力加熱は不活性保護雰囲気または空気で行われてもよい。回収された強化材の重量保持率が高く、強化材の機械的性能保持率が高く、強化材の再利用が容易となる。
【0042】
さらに、前記電極は以下のような方法で接続され:
(1)2つの点状電極の接続方法は
図1に示すように、銀、銅、金、ニッケルおよびその合金線により接続され、接続点の大きさは0.1cm
2~1cm
2であり、
(2)2つの帯状電極の接続方法は
図2に示すように、銀、銅、金、ニッケルおよびその合金シートにより接続され、電極シートの幅は1mm~30mmであり、
(3)2つの異形電極の接続方法は
図3a~
図3cに示すように、電極形状は櫛型、歯型、L字形などである。
【0043】
以上のように、本出願が提供する前記回収プロセスは、新規なナノ複合材料中の強化材の回収に使用され、簡単な処理でカーボンナノチューブを回収でき、この方法は強化材の構造を損傷せず、リサイクルした複合材料は元の複合材料と同等の性能を有し、回収後のカーボンナノチューブ複合材料は依然として高い機械的性能を保つ。
【0044】
また、本出願の回収後のナノ材料は他の形態で複合材料を再調製し、例えば粉末グラフェンと樹脂を混合して複合材料を調製し、グラフェンを回収した後、グラフェンをフィルムに調製してから複合材料を調製することにより、より優れた機械的性能を得ることができる。
【0045】
本出願の目的、技術的解決策および利点をより明らかにするために、以下、いくつかの具体的な実施例と併せて本出願の技術的解決策をより詳細に説明するが、明らかに、説明される実施例は本出願の一部の実施例に過ぎず、すべての実施例ではない。本出願の実施例に基づいて、当業者は創造的な労働をすることなく得られた他の実施例は、すべて本出願の保護範囲に含まれる。以下の実施例において具体的な条件が示されない試験方法、実施例中の試験方法はいずれも従来の条件に従って実施される。さらに、以下で説明される本出願の各実施形態に関わる技術的特徴は、それらの間に矛盾が生じない限り、互いに組み合わせることができる。
【0046】
実施例1
浮遊触媒化学気相成長法によりカーボンナノチューブフィルムを調製し、まずCNTフィルムを空気で400℃に加熱し、次にCNTフィルムを希塩酸溶液に入れ、4時間還流攪拌した後、希塩酸を除去し、CNTフィルムを脱イオン水で洗浄し、最後にCNTフィルムをアルゴンガスの保護下で2000℃で2時間高温処理する。
【0047】
前処理後のCNTフィルムを真空注入法によりエポキシ樹脂と複合化して、CNT/エポキシ樹脂複合材料を得、CNTとエポキシ樹脂の質量比は2:1である。
【0048】
CNTフィルム回収:歯型電極とCNTフィルムを接続し、両電極間に1~20V電圧を印可し、CNTフィルムを得、CNTフィルムをアルゴンガスで600℃で2時間処理して、回収されたCNTフィルムを得る。
【0049】
回収されたCNTフィルムを真空注入法によりエポキシ樹脂と複合化して、回収CNT/エポキシ樹脂複合材料を得、CNTとエポキシ樹脂の質量比は2:1である。元のCNTフィルムの引張強度は60MPaであり、回収後CNTフィルムの引張強度は58MPaであり、CNT/エポキシ樹脂複合材料の引張強度は123MPaであり、回収CNT/エポキシ樹脂複合材料の引張強度は120MPaである。
【0050】
実施例2
まずカーボンナノチューブを水に分散させ、カーボンナノチューブ分散液を形成し、湿式紡糸法によりカーボンナノチューブ繊維を調製する。得られたカーボンナノチューブ繊維をアルゴンガスの保護下で1000℃で1時間高温処理する。
【0051】
高温処理後のCNT繊維を含浸法によりポリエーテルエーテルケトンと複合化して、CNT/ポリエーテルエーテルケトン樹脂複合材料を得、CNTとポリエーテルエーテルケトン樹脂の質量比は1:1である。
【0052】
CNT繊維回収:CNT/ポリエーテルエーテルケトン樹脂複合材料を高温炉に入れ、空気で200~400℃で1~6時間高温処理し、アルゴンガスで1000℃で1時間処理して、回収されたCNT繊維を得る。
【0053】
回収されたCNT繊維を含浸法によりポリエーテルエーテルケトン樹脂と複合化して回収CNT/ポリエーテルエーテルケトン樹脂複合材料を得、CNTとポリエーテルエーテルケトン樹脂の質量比は1:1である。元のCNT繊維の引張強度は500MPaであり、回収後CNT繊維の引張強度は430MPaであり、元のCNT/ポリエーテルエーテルケトン樹脂複合材料の引張強度は300MPaであり、回収CNT/ポリエーテルエーテルケトン樹脂複合材料の引張強度は320MPaである。
【0054】
実施例3
まず、カーボンナノチューブを水に分散させてカーボンナノチューブ分散液を形成し、カーボンナノチューブ三次元ネットワーク構造を形成する。このカーボンナノチューブ三次元ネットワーク構造は10×10×10cmであり、内部は多孔質構造であり、得られたカーボンナノチューブ三次元ネットワークを窒素ガスの保護下で600℃で2時間高温処理する。
【0055】
高温処理後のカーボンナノチューブ三次元ネットワークを含浸法によりビニル樹脂と複合化して、CNT/ビニル樹脂複合材料を得、CNTとビニル樹脂の質量比は0.001:1である。
【0056】
カーボンナノチューブ回収:CNT/ビニル樹脂複合材料をアセトンに入れ、24時間加熱・還流・攪拌し、含浸・遠心分離してCNTを得る。次にアルゴンガスで2000℃で2時間処理して回収されたCNT粉末を得る。
【0057】
回収されたCNT粉末を再び分散させて三次元ネットワーク構造を形成し、含浸法によりビニル樹脂と複合化して回収CNT/ビニル樹脂の複合材料を得、CNTとビニル樹脂の質量比は0.001:1である。元のCNT/ビニル樹脂複合材料の導電率は10S/mであり、回収CNT/ビニル樹脂複合材料の導電率は8S/mである。
【0058】
実施例4
まず、グラフェンを空気で450℃に加熱し、グラフェンを窒素ガスの保護下で1500℃で2時間高温処理する。
【0059】
前処理後のグラフェンを超音波によりDMFに分散させ、ポリウレタン樹脂をグラフェン-DMF溶液に溶解させ、溶媒蒸発法によりフィルム状のグラフェン-PU複合材料を調製し、グラフェンとPUの質量比は1:1である。
【0060】
グラフェン回収:グラフェン-PU複合材料をDMFの溶液に入れ、攪拌し、2~24時間加熱還流し、次に濾過法によりグラフェンを回収し、グラフェンを乾燥した後窒素ガスで2000℃で2時間処理して、回収されたグラフェンを得る。
【0061】
回収後のグラフェンを超音波によりDMFに分散させ、PU樹脂をグラフェン-DMF溶液に溶解させ、溶媒蒸発法によりフィルム状グラフェン-PU複合材料を調製し、グラフェンとPUの質量比は1:1である。万能試験機で元のグラフェン、回収後のグラフェンとPUの複合材料の引張強度を試験し、元のグラフェン-PU複合材料の引張強度は200MPaであり、回収後グラフェン-PU複合材料の引張強度は220MPaである。
【0062】
実施例5
まず、グラフェンを空気で200℃に加熱し、グラフェンを窒素ガスの保護下で600℃で10時間高温処理する。
【0063】
前処理後のグラフェンを超音波によりNMPに分散させ、ポリウレタン樹脂をグラフェン-NMP溶液に溶解させ、溶媒蒸発法によりフィルム状グラフェン-ポリウレタン複合材料を調製し、グラフェンとポリウレタンの質量比は4:1である。
【0064】
グラフェン回収:グラフェン-PU複合材料をNMPの溶液に入れ、攪拌し、2~24時間加熱還流し、濾過法によりグラフェンを回収し、グラフェンを乾燥した後、窒素ガスで2000℃で10時間処理して、回収されたグラフェンを得る。
【0065】
回収後のグラフェンを超音波によりNMPに分散させ、PU樹脂をグラフェン-DMF溶液に溶解させ、溶媒蒸発法によりフィルム状グラフェン-PU複合材料を調製し、グラフェンとPUの質量比は4:1である。万能試験機で元のグラフェン、回収後グラフェンとPUの複合材料の引張強度を試験し、元のグラフェン-PU複合材料の引張強度は600MPaであり、回収後グラフェン-PU複合材料の引張強度は650MPaである。
【0066】
実施例6
まず、カーボンナノチューブを空気で450℃に加熱し、カーボンナノチューブを希塩酸溶液に入れ、2時間還流攪拌した後、希塩酸を除去し、カーボンナノチューブを脱イオン水で洗浄し、最後にカーボンナノチューブを窒素ガスの保護下で1500℃で2時間高温処理する。
【0067】
前処理後のカーボンナノチューブを3本ロールで粉砕してエポキシ樹脂に分散させ、カーボンナノチューブ/エポキシ樹脂を金型に流し込んで成形し、ブロック状のカーボンナノチューブ/エポキシ樹脂複合材料を調製し、カーボンナノチューブとエポキシ樹脂の質量比は0.1:1である。
【0068】
カーボンナノチューブ回収:カーボンナノチューブ/エポキシ樹脂複合材料をアセトン溶液に入れ、攪拌し、2~24時間加熱還流し、次に濾過法によりカーボンナノチューブを回収し、カーボンナノチューブを乾燥した後、窒素ガスで1500℃で2時間処理して、回収されたカーボンナノチューブを得る。
【0069】
回収後のカーボンナノチューブを3本ロールで粉砕してエポキシ樹脂に分散させ、カーボンナノチューブ/エポキシ樹脂を金型に流し込んで成形し、ブロック状のカーボンナノチューブ/エポキシ樹脂複合材料を調製し、カーボンナノチューブとエポキシ樹脂の質量比は0.1:1である。
【0070】
万能試験機で元のカーボンナノチューブ、回収後カーボンナノチューブとエポキシ樹脂の複合材料の引張強度を試験し、元のカーボンナノチューブ/エポキシ樹脂複合材料の引張強度は180MPaであり、回収後カーボンナノチューブ/エポキシ樹脂複合材料の引張強度は165MPaである。
【0071】
実施例7
カーボンナノチューブと窒化ホウ素ナノシートを均一に混合して塗布法により成膜し、カーボンナノチューブと窒化ホウ素ナノシートの質量比は6:4である。フィルムをビスマレイミド樹脂に含浸して硬化させて複合材料を形成する。
【0072】
強化材回収:複合材料を窒素ガス雰囲気下に置き、複合材料の最大長さの端部に櫛型電極を設け、500~20000W/m2の電力密度で電気加熱し、複合材料中の樹脂を除去して強化材を得る。
【0073】
強化材を再び成膜し、ビスマレイミド樹脂と複合化して回収後複合材料を得る。4線法で回収後複合材料の導電率を、76S/mと測定し、元の複合材料の導電率と同等である。
【0074】
実施例8
カーボンナノファイバーとシアネート樹脂を混合し、カーボンナノファイバー/シアネート樹脂を金型に流し込んで成形し、ブロック状のカーボンナノファイバー/シアネート樹脂複合材料を調製し、カーボンナノファイバーとシアネート樹脂の質量比は1:1である。
【0075】
カーボンナノファイバー回収:カーボンナノファイバー/シアネート樹脂複合材料の両辺に帯状電極を設け、電気加熱してシアネート樹脂を除去し、最終的に回収されたカーボンナノファイバーを得る。
【0076】
回収後のカーボンナノファイバーを再びシアネート樹脂と混合して金型に流し込んで成形し、ブロック状のカーボンナノファイバー/シアネート樹脂複合材料を調製し、カーボンナノファイバーとシアネート樹脂の質量比は1:1である。
【0077】
万能試験機で元のカーボンナノファイバー、回収後カーボンナノファイバーとシアネート樹脂の複合材料の引張強度を試験し、元のカーボンナノファイバー/シアネート樹脂の引張強度は520MPaであり、回収後カーボンナノファイバー/シアネート樹脂複合材料の引張強度は550MPaである。
【0078】
実施例9
銀ナノワイヤとアルミナナノシートを均一に混合し、凍結乾燥法により三次元ネットワーク構造を形成し、銀ナノワイヤとアルミナナノシートの質量比は7:3である。三次元ネットワーク構造において2点を選択して電極を設け、導電経路を形成し、その後真空注入法によりビニル樹脂と三次元ネットワーク構造を複合化し、硬化させて複合材料を得る。
【0079】
強化材回収:複合材料を窒素ガス雰囲気下で予備電極を介して500~20000W/m2の電力密度で複合材料を電気加熱し、複合材料中の樹脂を除去して強化材を得る。
【0080】
再度強化材を三次元ネットワーク構造とし、ビニル樹脂と複合化して回収後複合材料を得る。4線法で回収後複合材料の導電率を285S/mと測定し、元の複合材料の導電率と同等である。
【0081】
比較例1
この比較例では、従来の炭素繊維複合材料は溶媒を使用して樹脂を溶解したり、または高温で焼き切るため、炭素繊維が短くなり、繊維長が短くなることで二次使用時の複合材料の機械的性能、電気性能および他の機能特性が低下する。
【0082】
以上の実施例から分かるように、本出願が提供する回収可能なナノ複合材料は、高強度、高靭性、および導電性、電磁波遮蔽などの性能を有し、さらに、本出願は、簡単な処理で強化材を回収でき、この方法は強化材の構造を損傷せず、リサイクルした複合材料は、元の複合材料と同等の性能を有し、回収後の強化材は依然として高い機械的性能を保つ。
【0083】
さらに、本出願の発明者らは、前記実施例を参照して本明細書に記載の他の原料、プロセス操作、プロセス条件についても試験し、いずれも理想的な結果を得た。
【0084】
なお、以上は本出願の実施例に過ぎず、本出願の特許範囲はこれに限定されなく、本出願の明細書の内容に基づいて得られた等価構造または等価プロセス変換、または他の関連技術分野における直接または間接的な適用は、すべて本出願の特許請求の範囲に含まれることを理解されたい。
【0085】
(付記)
(付記1)
導電性材料、または、導電性材料と絶縁材料の組み合わせからなる強化材を提供するステップと、前記導電性材料はカーボンナノチューブ、グラフェン、カーボンナノファイバー、銀ナノワイヤのいずれか1つまたは2つ以上の組み合わせであり、導電性材料は連続ネットワーク構造を形成可能であり、
前記強化材と基材を複合化して回収可能なナノ複合材料を得るステップと、を含む、
ことを特徴とする回収可能なナノ複合材料の調製方法。
【0086】
(付記2)
強化材と基材を直接混合するか、または、まず強化材を成形処理してから基材と複合化するステップを含む、
ことを特徴とする付記1に記載の調製方法。
【0087】
(付記3)
前記絶縁材料は窒化ホウ素および/またはアルミナからなる、
ことを特徴とする付記1に記載の調製方法。
【0088】
(付記4)
具体的に、
まず強化材を有機溶媒に分散させて強化材を含む溶液を形成すること、
次に基材を前記強化材を含む溶液に加えた後硬化および成形して前記回収可能なナノ複合材料を得ること、
または、強化材を直接粉砕または攪拌のいずれかによって基材を含む溶液に分散させた後硬化および成形して前記回収可能なナノ複合材料を得ることを含み、
好ましくは、前記有機溶媒は基材を溶解可能な溶媒であり、好ましくはアセトン、DMF、NMPのいずれか1つまたは2つ以上の組み合わせからなり、
好ましくは、前記強化材を含む溶液中の強化材の濃度は0.1wt%~5wt%であり、
好ましくは、前記強化材と基材の質量比は0.001:1~4:1であり、
好ましくは、前記調製方法は、揮発性溶媒、塗布、モールド法のいずれかによって硬化および成形することを含む、
ことを特徴とする付記2に記載の調製方法。
【0089】
(付記5)
具体的に、
まず前記強化材を成形処理して強化材からなるフィルム、繊維または三次元多孔質ネットワーク構造を形成すること、
次に基材と複合すること、を含み、
好ましくは、前記調製方法は、少なくとも化学気相成長法、アレイ紡糸法、湿式紡糸法、溶融紡糸法、真空濾過法、塗布法、テンプレーティング法、ゾルゲル法、凍結乾燥法のいずれかによって前記強化材を成形処理することを含み、
好ましくは、前記フィルムの厚さは5~500μmであり、前記繊維の直径は5~500μmである、
ことを特徴とする付記2に記載の調製方法。
【0090】
(付記6)
少なくとも真空注入法、塗布法、ホットプレス法のいずれかによって基材と強化材を複合化して回収可能なナノ複合材料を得ることを含む、
ことを特徴とする付記1または2に記載の調製方法。
【0091】
(付記7)
前記基材はポリマーからなり、好ましくはエポキシ樹脂、ビスマレイミド、ポリイミド、シアネート、ビニル樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリウレタンのいずれか1つまたは2つ以上の組み合わせからなる、
ことを特徴とする付記1に記載の調製方法。
【0092】
(付記8)
付記1~7のいずれか1つに記載の方法によって調製された回収可能なナノ複合材料であって、基材、および前記基材に均一に分散された強化材からなり、強化材の含有量は0.1~80wt%である、
ことを特徴とする回収可能なナノ複合材料。
【0093】
(付記9)
空気雰囲気で、付記8に記載の回収可能なナノ複合材料を空気中200~400℃で1~6時間高温処理した後、保護雰囲気で600~2000℃で1~10時間継続して処理して、回収された強化材を得ること、
または、付記8に記載の回収可能なナノ複合材料と基材を溶解可能な溶媒に均一に混合し、2~24時間加熱還流し、濾過し、得られた強化材を収集して乾燥し、その後保護雰囲気で600~2000℃で1~10時間継続して処理して回収された強化材を得ること、
または、付記8に記載の回収可能なナノ複合材料の少なくとも一部の領域において電極接続点として2点を選択し、電極を接続し、前記電極の両端に電圧を印可し、前記回収可能なナノ複合材料を電気加熱し、自力加熱によって基材を除去し、前記電気加熱の電力密度は500~20000W/m2であることを含む、
ことを特徴とする強化材の回収方法。
【0094】
(付記10)
前記基材を溶解可能な溶媒は、アセトン、DMF、NMPのいずれか1つまたは2つ以上の組み合わせからなる、
ことを特徴とする付記9に記載の回収方法。
【手続補正書】
【提出日】2023-09-01
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回収可能なナノ複合材料の調製方法であって、
導電性材料と絶縁材料の組み合わせからなる強化材を提供
して前処理するステップ
であって、前記導電性材料はカーボンナノチューブ、グラフェン、カーボンナノファイバー、銀ナノワイヤのいずれか1つまたは2つ以上の組み合わせ
から選択され、導電性材料は連続ネットワーク構造を形成可能であり、
前記絶縁材料は窒化ホウ素および/またはアルミナから選択され、前記前処理は、空気雰囲気で前記強化材を200~450℃に加熱した後希塩酸溶液に入れ、2~6時間還流攪拌し、および、不活性保護雰囲気で600~2000℃で得られた強化材を1~10時間高温処理することを含む、ステップと、
まず強化材を有機溶媒に分散させて強化材を含む溶液を形成するステップであって、前記強化材を含む溶液中の強化材の濃度は0.1wt%~5wt%である、ステップと、
次に基材を前記強化材を含む溶液に加えた後硬化および成形して前記回収可能なナノ複合材料を得るステップと、
または、強化材を直接粉砕または攪拌のいずれかによって基材を含む溶液に分散させた後硬化および成形して前記回収可能なナノ複合材料を得るステップと、
または、まず前記強化材を成形処理して強化材からなるフィルム、繊維または三次元多孔質ネットワーク構造を形成し、前記フィルムの厚さは5~500μmであり、前記繊維の直径は5~500μmであり、基材と複合化して回収可能なナノ複合材料を得、前記強化材と基材の質量比は0.001:1~4:1であるステップと、を含み、
前記回収可能なナノ複合材料は、基材、および前記基材に均一に分散された強化材からなり、強化材の含有量は0.1~80wt%である、
ことを特徴とする回収可能なナノ複合材料の調製方法。
【請求項2】
強化材と基材を直接混合するか、または、まず強化材を成形処理してから基材と複合化するステップを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の調製方法。
【請求項3】
前記有機溶媒は基材を溶解可能な溶媒であり
、アセトン、DMF、NMPのいずれか1つまたは2つ以上の組み合わせから
選択される、
ことを特徴とする請求項
1に記載の調製方法。
【請求項4】
前記調製方法は、揮発性溶媒、塗布、モールド法のいずれかによって硬化および成形することを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の調製方法。
【請求項5】
前記調製方法は
、化学気相成長法、アレイ紡糸法、湿式紡糸法、溶融紡糸法、真空濾過法、塗布法、テンプレーティング法、ゾルゲル法、凍結乾燥法のいずれかによって前記強化材を成形処理することを含
む、
ことを特徴とする請求項
1に記載の調製方法。
【請求項6】
真空注入法、塗布法、ホットプレス法のいずれかによって基材と強化材を複合化して回収可能なナノ複合材料を得ることを含む、
ことを特徴とする請求項
1に記載の調製方法。
【請求項7】
前記基材はポリマーからなり
、エポキシ樹脂、ビスマレイミド、ポリイミド、シアネート、ビニル樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリウレタンのいずれか1つまたは2つ以上の組み合わせから
選択される、
ことを特徴とする請求項1に記載の調製方法。
【請求項8】
空気雰囲気で、請求項
1~7のいずれか1項に記載の
調製方法によって調製された回収可能なナノ複合材料を空気中200~400℃で1~6時間高温処理した後、保護雰囲気で600~2000℃で1~10時間継続して処理して、回収された強化材を得ること、
または、請求項
1~7のいずれか1項に記載の調製方法によって調製された回収可能なナノ複合材料と基材を溶解可能な溶媒に均一に混合し、2~24時間加熱還流し、濾過し、得られた強化材を収集して乾燥し、その後保護雰囲気で600~2000℃で1~10時間継続して処理して回収された強化材を得ること、
または、請求項
1~7のいずれか1項に記載の調製方法によって調製された回収可能なナノ複合材料の少なくとも一部の領域において電極接続点として2点を選択し、電極を接続し、前記電極の両端に電圧を印可し、前記回収可能なナノ複合材料を電気加熱し、自力加熱によって基材を除去し、前記電気加熱の電力密度は500~20000W/m
2であることを含む、
ことを特徴とする強化材の回収方法。
【請求項9】
前記基材を溶解可能な溶媒は、アセトン、DMF、NMPのいずれか1つまたは2つ以上の組み合わせから
選択される、
ことを特徴とする請求項
8に記載の回収方法。
【国際調査報告】