(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-01
(54)【発明の名称】間接蒸発冷却空調装置
(51)【国際特許分類】
F24F 1/0007 20190101AFI20240222BHJP
F24F 5/00 20060101ALI20240222BHJP
F28D 5/00 20060101ALI20240222BHJP
F28C 3/08 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
F24F1/0007 331
F24F5/00 Z
F28D5/00
F28C3/08 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553492
(86)(22)【出願日】2022-03-03
(85)【翻訳文提出日】2023-10-30
(86)【国際出願番号】 EP2022055490
(87)【国際公開番号】W WO2022184871
(87)【国際公開日】2022-09-09
(32)【優先日】2021-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523333700
【氏名又は名称】チェリ エナジー
【氏名又は名称原語表記】CAELI ENERGIE
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】リップス ステファーヌ
【テーマコード(参考)】
3L050
3L054
3L103
【Fターム(参考)】
3L050BB02
3L054BE10
3L103BB29
3L103CC18
3L103CC22
(57)【要約】
冷却された空気を室内に吹き込むことを目的とする間接蒸発冷却空調装置であって、当該装置は、- 冷却されるべき空気を集めることを目的とする吸気口と、-スタックを形成し、湿潤面と反対側の乾燥面を有し、その湿潤面は水で濡れたままにされるように構成され、湿潤面からの水の蒸発の影響で冷却されるように意図されている複数のプレートと、- 換気システムと、を備え、- 2つの隣接するプレートは、チャネルを形成するように横断軸に沿って互いに離間し、チャネルは、乾燥チャネルが2つの隣接するプレートの2つの乾燥面で区切られる、または湿潤チャネルが2つの隣接するプレートの2つの湿潤面で区切られる、のうちのいずれかであり、各湿潤チャネルは、縦軸および横断軸に垂直な横軸に沿って分布する複数の湿潤出口を含み、および/または各乾燥チャネルは、縦軸および横断軸に垂直な横軸に沿って分布する複数の空気入口を含む。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却された空気を室内に吹き込むことを目的とする間接蒸発冷却空調装置(1)であって、
当該装置は、
- 冷却されるべき空気を集めることを目的とする吸気口(1
in)と、
- スタックを形成し、湿潤面(10
w)と反対側の乾燥面(10
d)を有し、前記湿潤面は水で濡らされるように構成され、前記湿潤面からの水の蒸発の影響下で冷却されることを目的とする複数のプレート(10)と、
- 換気システムと、を備え、
- チャネルを形成するように、2つの隣接するプレートは、横断軸(Z)に沿って、互いに離間しており、
前記チャネルは、乾燥チャネル(20
d)が、2つの隣接するプレートの2つの乾燥面(10
d)で区切られている、または、湿潤チャネル(20
w)が、2つの隣接するプレートの2つの湿潤面(10
w)で区切られている、のいずれかであり、
- 前記プレートは、乾燥チャネルと湿潤チャネルを交互に形成するように配置され、各乾燥チャネルは湿潤チャネルに隣接し、2つの隣接するチャネルは、それぞれ1つの乾燥チャネルと1つの湿潤チャネルであり、流体接合部(21)によって接続され、
- 各乾燥チャネル(20
d)は、縦軸(X)に沿って、吸気口(1
in)に接続された空気入口(20
d,
in)と冷却出口(20
d,
out)との間に延びており、前記冷却出口は、前記乾燥チャネルに沿って流れた後に冷却された空気を排出するためのものであり、
- 乾燥チャネルと湿潤チャネルを接続する各流体接合部(21)は、乾燥チャネルの冷却出口(20
d,
out)、または、前記空気入口(20
d,
in)と前記乾燥チャネルの冷却出口との間に配置され、
- 各湿潤チャネル(20
w)は、前記縦軸に沿って、前記流体接合部(21)と湿潤出口(20
w,out)との間に延びており、前記湿潤出口は、前記湿潤チャネルに沿って流れた後に加湿された空気を排出するためのものであり、
- 各湿潤チャネルは、前記縦軸(X)および前記横断軸(Z)に垂直な横軸(Y)に沿って配置された複数の湿潤出口(20
w,out、11)を含み、
- および/または、各乾燥チャネルは、前記縦軸(X)および前記横断軸(Z)に垂直な横軸(Y)に沿って配置された複数の空気入口(20
d,in、12)を含む、
間接蒸発冷却空調装置(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の間接蒸発冷却空調装置(1)であって、
- 各湿潤チャネルは、前記縦軸(X)および前記横断軸(Z)に垂直な前記横軸(Y)に沿って分布するいくつかの湿潤出口(20
w,out,11)を含み、
- 各プレートは、湿潤チャネルに開口し、湿潤チャネルの湿潤出口を形成するいくつかの第1のスロット(11)を含み、異なるプレートの第1のスロットは、排出軸(Z)の周りに延びており、前記排出軸は各プレート(10)と交差しており、
- 2つの第1のスロットは、1つの同じ湿潤チャネル(20
w)を区切る2つのプレートのそれぞれに形成され、該湿潤チャネルに開口し、
- 2つの第1のスロットは、1つの同じ乾燥チャネル(20
w)を区切る2つのプレートのそれぞれに形成され、前記乾燥チャネル内の空気の通路を遮断するように、前記乾燥チャネルを横切る流体密封の通路(15)によって互いに接続され、
- 湿潤チャネル(10
w)に沿って流れた空気は、2つの第1のスロットの間にそれぞれ形成された流体密通路(15)を通り、乾燥チャネル(20
d)を横切って、連続的に排出される、間接蒸発冷却空調装置(1)。
【請求項3】
請求項2に記載の間接蒸発冷却空調装置(1)であって、
前記乾燥チャネルを横切る少なくとも1つの流体密封の通路(15)は、前記乾燥チャネルを区切るプレート(10)に形成された2つの第1スロット(11)の間に延びる少なくとも1つのシールから形成される、間接蒸発冷却空調装置(1)。
【請求項4】
請求項2または3のいずれか1項に記載の間接蒸発冷却空調装置(1)であって、
前記乾燥チャネルを区切る2つのプレートは、それぞれの第1スロット(11)で互いに収束し、前記乾燥チャネルを横切る流体密封の通路は、前記第1のスロットの周りの2つのプレート間の接触によって形成される、間接蒸発冷却空調装置(1)。
【請求項5】
請求項2から4のいずれか1項に記載の間接蒸発冷却空調装置(1)であって、
各プレートは、横軸(Y)に沿って配置された複数の第1のスロットを含む、間接蒸発冷却空調装置(1)。
【請求項6】
請求項5に記載の間接蒸発冷却空調装置(1)であって、
- 各乾燥チャネルは、空気入口(20
d,in、12)と流体接合部(21)との間で、熱長 (l
th)に沿って延びており、
-同じプレート上に形成された2つの隣接する第1のスロット間の前記横軸(Y)に沿った距離が、前記熱長の50%未満、または前記熱長の40%未満、または前記熱長の30%未満である、間接蒸発冷却空調装置(1)。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の間接蒸発冷却空調装置(1)であって、
- 各プレートは、第2のスロット(12)を有し、前記プレートの第2のスロットは吸気軸(Z)の周りに延び、前記吸気軸は各プレートと交差しており、
-前記第2のスロットは、1つの同じ乾燥チャネル(20
d)を区切る2つのプレートのそれぞれに形成され、前記乾燥チャネルに開口しており、
-前記第2のスロットは、1つの同じ前記湿潤チャネルを区切る2つのプレートのそれぞれに形成されており、前記湿潤チャネル内の空気の通路を遮断するように、前記湿潤チャネルを横切る流体密封の通路 (16) によって互いに接続されており、
-第2のスロット(12)は、乾燥チャネル(20
d)に開口し、前記乾燥チャネルへの空気入口を形成し、
- 空気は、2つの第2のスロットの間にそれぞれ形成された前記流体密封の通路を通って、複数の湿潤チャネルを横切って、各乾燥チャネルに連続的に入ることができる、間接蒸発冷却空調装置(1)。
【請求項8】
請求項7に記載の間接蒸発冷却空調装置(1)であって、
湿潤チャネルを横切る少なくとも1つの流体密封の通路(16)は、前記湿潤チャネルを区切るプレートに形成された2つの第2のスロットの間に延びる少なくとも1つのシールから形成される、間接蒸発冷却空調装置(1)。
【請求項9】
請求項7または8のいずれか1項に記載の間接蒸発冷却空調装置(1)であって、
湿潤チャネルを区切る2つのプレートは、それぞれの第2のスロットで互いに向かって収束し、前記湿潤チャネルを横切る流体密封の通路は、前記第2のスロットの周りの2つのプレート間の接触によって形成される、間接蒸発冷却空調装置(1)。
【請求項10】
請求項7から9のいずれか1項に記載の間接蒸発冷却空調装置(1)であって、
各プレートは、前記横軸(Y)に沿って分布するいくつかの第2のスロット(12)を含む、間接蒸発冷却空調装置(1)。
【請求項11】
請求項10に記載の間接蒸発冷却空調装置(1)であって、
- 各乾燥チャネルは、前記空気入口(20
d,in, 12)と流体接合部(21)との間で、熱長 (l
th)に沿って延びており、
- 横軸(Y)に沿った、同じプレート上に形成された2つの隣接する第2のスロット間の距離が、前記熱長の50%未満、または前記熱長の40%未満、または前記熱長の30%未満である、間接蒸発冷却空調装置(1)。
【請求項12】
請求項7から11のいずれか1項に記載の間接蒸発冷却空調装置(1)であって、
前記装置は、室内に存在する空気を入れるための補助吸気口(1
aux)を含み、
- 各プレートは、第3のスロット(13)を含み、前記プレートの第3のスロットは、補助軸(Z)の周りに延びており、前記補助軸は、各プレートと交差しており、
- 2つの第3のスロットは、1つの同じ乾燥チャネルを区切る2つのプレートのそれぞれに形成され、前記乾燥チャネルに開口しており、
- 前記第3のスロットは、1つの同一の湿潤チャネル(20
w)を区切る2つのプレートの各々にそれぞれ形成され、前記湿潤チャネル内の空気の通路を遮断するように、前記湿潤チャネルを横切る流体密封の通路(17)によって互いに接続されており、
- 少なくとも1つの第3のスロットが前記補助吸気口に接続されており、
- プレートの各第3のスロットは、乾燥チャネルにおいて、前記プレートに形成された第2のスロット(12)と前記流体接合部(21)との間に開口し、
- 冷却されるべき室内からの補助空気は、連続的に、2つの第3のスロット間にそれぞれ形成された流体密封の通路(17)を通り、各湿潤チャネルを横切って、前記第3のスロットから各乾燥チャネルに入ることができ、第3のスロットは、各乾燥チャネルを区切り、前記乾燥チャネルへ入る補助空気入口を形成する、間接蒸発冷却空調装置(1)。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1項に記載の間接蒸発冷却空調装置(1)であって、
- 各プレートは、前記縦軸(X)に沿って、2つの縦方向の端部の間に延び、
- 各プレートは、2つの縦方向の端部の間に等距離に位置する中央部を有し、
- スタックは、前記横断軸に平行で、複数のプレートの前記中央部を通る中央面に関して対称である間接蒸発冷却空調装置(1)。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1項に記載の間接蒸発冷却空調装置(1)であって、
- 各プレート(10)は、縦軸(X)に沿って、2つの縦方向の端部の間に延び、
- 少なくとも1つの乾燥チャネル(20
d)は、空気入口(20
d,
in)から2つの縦方向の端部に向かって延び、前記空気入口は縦方向の端部の間に位置し、
- 前記乾燥チャネルは、前記空気入口と各長手方向の端部との間、または各長手方向の端部に、湿潤チャネル(20
w)を有する流体接合部(21)を含み、
- 前記湿潤チャネル(20
w)は、各流体接合部と湿潤出口との間に延び、前記湿潤出口は前記流体接合部(21)の間に位置する、間接蒸発冷却空調装置(1)。
【請求項15】
請求項14に記載の間接蒸発冷却空調装置(1)であって、
前記各乾燥チャネルにおいて、前記空気入口は、各長手方向の端部から等距離の各プレートの中央部に開口する、間接蒸発冷却空調装置(1)。
【請求項16】
請求項1から13のいずれか1項に記載の間接蒸発冷却空調装置(1)であって、
- 各プレート(10)は、縦軸(Z)に沿って、2つの縦方向の端部の間に延び、
- 少なくとも1つの乾燥チャネル(20
d)は、2つの空気入口(20
d,in)と冷却出口(20
d,out)の間に延び、前記冷却出口は、前記乾燥チャネルの空気入口の間に位置し、
- 流体接合部(21)は、前記乾燥チャネルと前記乾燥チャネルに隣接する湿潤チャネル(20
w)との間で、前記空気入口と前記冷却出口(20
d,
out)との間、または前記冷却出口に配置され、
- 少なくとも1つの湿潤チャネル(20
w)が流体接合部と2つの湿潤出口との間に延び、前記流体接合部(21)は前記2つの湿潤出口(20
w,
out)の間に配置される、間接蒸発冷却空調装置(1)。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか1項に記載の間接蒸発冷却空調装置(1)であって、
各プレートがポリマーを含む材料から作られる、間接蒸発冷却空調装置(1)。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか1項に記載の間接蒸発冷却空調装置(1)であって、
各プレートの厚さが2 mm未満または1 mm未満である、間接蒸発冷却空調装置(1)。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか1項に記載の間接蒸発冷却空調装置(1)であって、
- 前記装置は、前記横軸に沿って、2つの横方向の端部の間に延び、幅 (L) を形成し、
- 各乾燥チャネルは、前記空気入口と前記流体接合部の間を熱長 (l
th) に沿って延び、
- 前記幅は、前記熱長の少なくとも1.5倍である、間接蒸発冷却空調装置(1)。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか1項に記載の間接蒸発冷却空調装置(1)であって、
- 前記装置は、横断軸に沿って、2つの横方向の端部の間に延び、高さ(h)を形成し、
- 各乾燥チャネルは、前記空気入口と前記流体接合部の間に、熱長 (l
th) に沿って延び、
- 前記高さは、前記熱長の少なくとも1.5倍である、間接蒸発冷却空調装置(1)。
【請求項21】
請求項1から20のいずれか1項に記載の間接蒸発冷却空調装置(1)であって、
各湿潤面(10
w)は、流体または毛管接続によって給水部に接続される、間接蒸発冷却空調装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の技術分野は、間接蒸発冷却による空気冷却装置である。
【背景技術】
【0002】
露点間接断熱クーラーとも呼ばれる、間接蒸発冷却を用いる空気クーラーは、数十年前から知られている。
【0003】
このようなクーラーの動作原理を
図1に示す。これは蒸発器-交換器の使用に基づいており、流入空気 (
図1の実線の矢印F1) は加湿なしで露点まで冷却される。冷却は、冷却プレートと呼ばれるプレートP1に接触する空気の循環によって生成され、水の蒸発によって冷却される。冷却プレートには、冷却される空気が流れる乾燥面と、水に濡れた湿潤面があり、水は
図1の円で表される。
図1では、チェーンラインの矢印は、冷却された空気または冷却中の空気を表している。
【0004】
冷却された空気の一部は、冷却プレートの乾燥面に接触して排出され、部屋を冷却する (矢印F2)。冷却された空気の別の一部は、冷却プレートの湿潤面に接触して流れるように、冷却器に再注入される (矢印F3)。このようにして再注入された空気は暖まり、冷却プレートの湿潤面に存在する水を蒸発させる。これにより、冷却プレートの温度が低下する。こうして暖められた水分を含んだ空気は、部屋の外に排出される。
【0005】
最も普及している空調機器と比較して、このようなクーラーが提供する顕著な利点は、冷媒がないことである。これらの機器は、水だけを供給する必要がある。これは、冷媒の圧縮に基づいている従来の空調装置よりも環境負荷が高いことを意味する。冷媒が環境に悪影響を及ぼす可能性があることが知られている。
間接蒸発冷却装置の例は、EP3191782またはEP3262365に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】EP3191782
【特許文献2】EP3262365
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
発明者らは、有効性とコンパクト性の間に良い妥協点を提供し最適化された間接蒸発冷却装置を提案している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の主題は、冷却された空気を室内に吹き込むことを意図した間接蒸発冷却空調装置であり、前記装置は、
- 冷却されるべき空気を集めることを意図した吸気口と、
-スタックを形成し、各プレートは湿潤面と反対側の乾燥面を持ち、各プレートの湿潤面は水で濡らされるように構成され、各プレートは湿潤面からの水の蒸発の影響下で冷却されることを意図している複数のプレートと、
- 換気システムと、を備え、
前記装置は、次のように構成され、
- 2つの隣接するプレートが、チャネルを形成するように横断軸に沿って互いに離間し、
チャネルは、
乾燥チャネルが2つの隣接するプレートの2つの乾燥面で区切られている、
または、湿潤チャネルが2つの隣接するプレートの2つの湿潤面で区切られてる、のいずれかであり、
- プレートには、乾燥チャネルと湿潤チャネルとが交互に形成されるように配置され、各乾燥チャネルは湿潤チャネルに隣接し、2つの隣接するチャネルは、それぞれ1つの乾燥チャネルと1つの湿潤チャネルであり、流体接合部によって接続され、
- 各乾燥チャネルは、縦軸に沿って、吸気口に接続された空気入口と冷却出口の間に延びており、冷却出口は、乾燥チャネルに沿って流れた後に冷却された空気を排出するためのものであり、
- 乾燥チャネルと湿潤チャネルを接続する各流体接合部は、乾燥チャネルの冷却出口または乾燥チャネルの空気入口と冷却出口の間に位置し、
- 各湿潤チャネルは、縦軸に沿って、流体接合部と湿潤出口の間を延びており、湿潤出口は、湿潤チャネルに沿って流れた後に加湿された空気を排出するためのものであり、
前記装置は、次のように特徴づけられ、
- 各湿潤チャネルは、縦軸および横断軸に垂直な横軸に沿って分布するいくつかの湿潤出口を備え、
- および/または各乾燥チャネルは、縦軸および横断軸に垂直な横軸に沿って分布するいくつかの空気入口を備える。
【0009】
横軸に沿って分布するとは、必ずしも横軸に沿って整列されることなく、横軸に対して空間的に分布することを意味する。1つの可能性によれば、いくつかの湿潤出口および/またはいくつかの空気入口は、横軸に沿って整列される。
【0010】
一実施形態によれば、各プレートは、第1のスロットを含み、プレートの第1のスロットは、排出軸の周りに延び、排出軸は各プレートと交差している。
【0011】
1つの可能な構成によれば、
- 2つの第1のスロットは、1つの同一の湿潤チャネルを区切る2つのプレートのそれぞれに形成され、このチャネルに開口しており、
-1つの同一の乾燥チャネルを区切る2つのプレートのそれぞれに形成された、前記第1のスロットは、乾燥チャネル内の空気の通路を遮断するように、前記乾燥チャネルを横切る流体密封な通路によって互いに接続されており、
- その結果、湿潤チャネルに沿って流れた空気は、2つの第1のスロットの間にそれぞれ形成された流体密封な通路を通って連続的に排出され、複数の乾燥チャネルを横切って、第1のスロットが湿潤チャネルに開口し、前記湿潤チャネルの湿潤出口を形成する。
【0012】
乾燥チャネルを横切る少なくとも1つの流体密封な通路は、前記乾燥チャネルを区切るプレートに形成された2つの第1のスロットの間に延びる少なくとも1つのシールから形成されてもよい。
【0013】
1つの可能性によれば、乾燥チャネルを区切る2つのプレートは、それぞれの第1のスロットで互いに向かって収束し、乾燥チャネルを横切る流体密封な通路は、第1のスロットの周りの2つのプレート間の接触によって形成される。
【0014】
有利には、各プレートは、横軸に沿って分布し、横軸に沿って整列する可能性のあるいくつかの第1のスロットを含む。
【0015】
好ましくは、
- 少なくとも1つの乾燥チャネルまたは各乾燥チャネルは、空気入口と流体接合部の間を熱長に沿って延び、
- 横軸に沿って、1つの同一プレート上に形成された2つの隣接する第1のスロット間の距離は、熱長の50%未満、または熱長の40%未満、または熱長の30%未満である。
【0016】
熱長とは、縦軸に平行な空気入口と流体接合部間の距離を意味する。
【0017】
一実施形態によれば、
- 各プレートは第2のスロットを含み、プレートの第2のスロットは、吸気軸の周りに延び、吸気軸は各プレートと交差しており、
-第2のスロットは、1つの同じ乾燥チャネルを区切る2つのプレートのそれぞれに形成され、このチャネルに開いており、
- 1つの同じ湿潤チャネルを区切る2つのプレートのそれぞれに形成された第2のスロットは、湿潤チャネル内の空気の通路を遮断するように、前記湿潤チャネルを横切る流体密封の通路によって互いに接続されており、
- 乾燥チャネルに開口する第2のスロットは、乾燥チャネルへの空気入口を形成しており、
- 空気は、様々な湿潤チャネルを横切って、2つの第2のスロットの間にそれぞれ形成された流体密封の通路を通って、各乾燥チャネルに連続的に入ることができる。
【0018】
一実施形態によれば、湿潤チャネルを横切る少なくとも1つの流体密封の通路は、前記湿潤チャネルを区切るプレートに形成された2つの第2のスロットの間に延びる少なくとも1つのシールから形成される。
【0019】
一実施形態によれば、湿潤チャネルを区切る2つのプレートは、それぞれの第2のスロットで互いに向かって収束し、湿潤チャネルを横切る流体密封の通路は、第2のスロットの周りの2つのプレート間の接触によって形成される。
【0020】
有利には、各プレートは、横軸に沿って配置され、横軸に沿って整列される可能性のあるいくつかの第2のスロットを含む。
【0021】
好ましくは、
- 少なくとも1つの乾燥チャネルまたは各乾燥チャネルは、空気入口と流体接合部の間を熱長に沿って延び、
- 横軸に沿って、1つの同じプレート上に形成された2つの隣接する第2のスロット間の距離は、熱長の50%未満、または熱長の40%未満、または熱長の30%未満である。
【0022】
一実施形態によれば、装置は、室内に存在する空気を入れることを意図した補助吸気口を含み、装置は、次のようなものである。
- 各プレートは、第3のスロットを含み、プレートの第3のスロットは、補助軸の周りに延び、補助軸は、各プレートと交差し、
- 2つの第3のスロットは、1つの同じ乾燥チャネルを区切る2つのプレートのそれぞれに形成され、このチャネルに開口し、
- 1つの同じ湿潤チャネルを区切る2つのプレートのそれぞれに形成された第3のスロットは、湿潤チャネル内の空気の通路を遮断するように、前記湿潤チャネルを横切る流体密封の通路によって互いに接続され、
- 少なくとも1つの第3のスロットは、補助吸気口に接続され、
- プレートの各第3のスロットは、乾燥チャネルにおいて、そのプレートに形成された第2のスロットと流体接合部との間に開口し、
- 冷却されるべき部屋から入ってくる補助空気は、第3のスロットから各乾燥チャネルに入り、続いて、2つの第3のスロット間にそれぞれ形成された流体密封な通路を通り抜け、各湿潤チャネルを横切り、第3のスロットは、各乾燥チャネルを区切り、乾燥チャネルへの補助空気入口を形成する。
【0023】
1つの有利な実施形態によれば、
- 各プレートは、縦軸に沿って、2つの縦方向の端部の間に延び、
- 各プレートは、2つの縦方向の端部の間に等距離に位置する中央部を有し、
- スタックは、横断軸に平行で、いくつかのプレートの中央部を通る中央面に関して対称である。
【0024】
一実施形態によれば:
- 各プレートは、縦軸に沿って、2つの縦方向の端部の間に延び、
- 少なくとも1つの乾燥チャネルは、空気入口から2つの長手方向の端部に向かって延びており、空気入口は長手方向の端部の間に位置しており、
- 乾燥チャネルは、空気入口と各長手方向の端部との間、または各長手方向の端部に、湿潤チャネルとの流体接合部を含む;
- 湿潤チャネルは、各流体接合部と湿潤出口との間に延び、湿潤出口は流体接合部の間に位置する。
【0025】
この実施形態によれば、各乾式流路において、空気入口は、各長手方向の端部から等距離または実質的に等距離の各プレートの中央部に開口する。
【0026】
一実施形態によれば:
- 各プレートは、縦軸に沿って、2つの縦方向の端部の間に延び、
- 少なくとも1つの乾燥チャネルが2つの空気入口と冷却出口の間に延びており、冷却出口が乾燥チャネルの空気入口の間に位置しており、
- 乾燥チャネルと乾燥チャネルに隣接する湿潤チャネルとの間で、空気入口と冷却出口の間に流体接合部が配置されており、
- 少なくとも1つの湿潤チャネルが流体接合部と2つの湿潤チャネルの間に延びており、流体接合部は2つの湿潤チャネルの間に位置している。
【0027】
湿潤チャネルは、乾燥チャネルを区切るプレートの中央部に位置してもよい。
【0028】
各プレートは、ポリマーを含む材料から作られる。ポリマーを含む材料は、乾燥面から伸びることができる。
【0029】
好ましくは、各プレートの厚さは2 mm未満または1 mm未満である。
【0030】
一実施形態によれば、
- 装置は、横軸に沿って、2つの横方向の端部の間に延び、幅を形成し、
- 各乾燥チャネルは、空気入口と流体接合部の間に、熱長に沿って延び、
- その幅は、熱長の少なくとも1.5倍大きい。
【0031】
一実施形態によれば、
- 装置は、横断軸に沿って、2つの横方向の端部の間に延び、高さを形成し、
- 各乾燥チャネルは、空気入口と流体接合部との間を熱長に沿って延び、
- 高さは、熱長の少なくとも1.5倍である。
【0032】
各湿潤面は、流体または毛管接続によって給水部に接続されている。
【図面の簡単な説明】
【0033】
本発明は、以下に列挙される図を参照して、説明の残りの部分で提示される実施形態の例の説明を読むことによって、よりよく理解されるであろう。
【0034】
【0035】
【
図2A】本発明の第1の実施形態の3次元概略図を示す。
【0036】
【
図2B】第1の実施形態によるスタックの断面図であり、
図2Cおよび
図2Eに示される断面A-Aの平面上の図である。
【0037】
【
図2C】第1の実施形態によるスタックの乾燥面の図である。
【0038】
【
図2D】
図2Cおよび
図2Eに示される断面B-Bの平面上の、第1の実施形態によるスタックの断面図である。
【0039】
【
図2E】第1の実施形態によるスタックの湿潤面の図である。
【0040】
【
図3A】本発明の第2の実施形態の3次元概略図を示す。
【
図3B】本発明の第2の実施形態の3次元概略図を示す。
【0041】
【
図3C】第2の実施形態によるスタックの断面図であり、
図3Dおよび
図3Fに示される断面A-Aの平面上の図である。
【0042】
【
図3D】第2の実施形態によるスタックの湿潤面の図である。
【0043】
【
図3E】第2の実施形態によるスタックの断面図であり、
図3Dおよび
図3Fに示されるセクションB-Bの平面上の図である。
【0044】
【
図3F】第2の実施形態によるスタックの乾燥面の図である。
【0045】
【
図4A】第3の実施形態によるスタックの断面図であり、
図4Bおよび
図4Dに示されるセクションA-Aの平面上の図である。
【0046】
【
図4B】第3の実施形態によるスタックの乾燥面の図である。
【0047】
【
図4C】第3の実施形態によるスタックの断面図であり、
図4Bおよび
図4Dに示されるセクションB-Bの平面上の図である。
【0048】
【
図4D】第3の実施形態に係るスタックの湿潤面を示す図である。
【0049】
【
図5A】2つの開口部の間の流路を横切って流体密封な壁を得る1つの可能な方法を示す。
【
図5B】2つの開口部の間の流路を横切って流体密封な壁を得る1つの可能な方法を示す。
【0050】
【
図5C】2つの開口部の間の流路を横切って流体密封な壁を得るもう1つの可能な方法を示す。
【
図5D】2つの開口部の間の流路を横切って流体密封な壁を得るもう1つの可能な方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図2A~
図2Eは、本発明の第1の実施形態に係る装置の一例を示す図である。実施形態にかかわらず、装置1は、プレート10のスタックを含む。スタックは、数十または数百のプレート、例えば、30と1000との間の数のプレート1を含むことができる。プレート10は、互いに平行に、横断軸Zに垂直に配置され、各プレート10は、平面P
XYに平行に延びる。各プレートは、縦軸Xに平行に、長さlにわたって延び、横軸Yに平行に、幅Lにわたって延びている。スタックは、横断軸Zに平行に、高さhにわたって延びている。高さhはプレートの数に依存する。
【0052】
長さlは、5 cmから1 mの間、好ましくは10 cmから30 cmの間で構成することができる。
長さlは、好ましくは、
- 例えば、幅Lの少なくとも1.5倍未満、または幅Lの少なくとも2倍未満または少なくとも3倍未満であり、
- および/または高さhの少なくとも1.5倍未満、または高さhの少なくとも2倍未満または少なくとも3倍未満である。
【0053】
2つの隣接するプレート10は、軸Zに平行に、好ましくは2 cm未満、または1 cm未満または0.5 cm未満の距離だけ互いに離間する。2つの隣接するプレート間の間隔は、有利には、0.5 mmと2 mmの間で構成することができる。2つの隣接するプレート間の間隔は、
図2Aおよび
図2Bおよび2Dで強調されている。
【0054】
図の例では、各プレートは平坦である。可能な代替形態によれば、プレートは波形を有してもよく、または他のタイプの構造:リブ、フィンを有してもよい。
【0055】
装置1は、冷却された空気を室内に吹き込むことを意図している。冷却される空気は、図示しない換気システムによって吸気口1
inから装置内に引き込まれる。換気システムは、1つ以上のファンを含む。構成に応じて、冷却される空気は、部屋の外部および/または部屋の内部から来る。この最初の例では、空気は、
図2Aおよび2Cに示すように、実線矢印の形で縦軸Xに平行に入れられる。
【0056】
横断軸Zに沿って装置を区切る最初および最後のプレートを除き、各プレート10は、湿潤面10wおよび乾燥面10dを含む。同じプレートのそれぞれの乾燥面および湿潤面は、プレートの厚さによって互いに離れているという意味で、反対の面である。軸Zに沿った各プレートの厚さは、機械的強度の制約を十分に考慮して、できるだけ小さくする。厚さは、プレートが形成される材料に依存する。厚さは一般に1 cm未満であり、有利には5 mm未満または2 mm未満または1 mm未満である。厚さは、10μmと1 mmの間、または10μmと500μmの間で構成されてもよい。本発明は、各プレート10を通る軸Zに沿った熱の伝導を利用する。
【0057】
水で濡らすことを意図した湿潤面10wは、可能な限り均一である。水は、直接または間接的にプレートに適用することができ、プレートは、湿潤面で水浸親水性材料を有する。これは、例えば、水道からの毛管作用によって水をポンプで送り込むことを可能にする材料であり得る。親水性材料は、例えば、セルロースまたは親水性ポリマーを含むことができる。湿潤面の濡れは、湿潤面の長さに沿って形成され、給水部からの毛管作用によって水をポンプで送り込むことを可能にする流体チャネルによっても行われる。以下の説明では、用語プレートは、プレート内に形成され、またはプレート上に配置され得るあらゆる毛管構造を含む。
【0058】
スタックは、2つの連続するプレートの湿潤面 (またはそれぞれ乾燥面) が互いに対向するようなものである。互いに対向し、隣接する2つのプレートに属する2つの湿潤面10wは、湿潤チャネル20wを区切る。互いに対向し、隣接する2つのプレートに属する2つの乾燥面は、乾燥チャネル20dを区切る。乾燥チャネルまたは湿潤チャネルは、不図示の、XZ平面に延びる2つの横方向の直立部によって区切られる。横方向の直立部は、横軸Yに沿って、各プレートの幅だけ間隔が置かれる。
【0059】
したがって、スタックは、乾燥チャネル20dと湿潤チャネル20wの交互から形成される。各乾燥チャネルは、縦軸Xに沿って、空気入口20d,inと冷却出口20d,outとの間に延びている。冷却出口20d,outは、冷却された空気を室内に吹き込むように構成された冷却空気排出部に接続されることを意図してもよい。
【0060】
図2Cおよび
図2Eは、それぞれ同じプレート10の乾燥面10
dおよび湿潤面10
wを示す。
図2Bおよび
図2Dは、
図2Cおよび
図2Eに示す断面A-AおよびB-Bの線に沿って通過する平面XZにおけるスタックを通る断面を示す。
【0061】
図2Aおよび
図2Eでは、説明に追加された他の図と同様に、実線、チェーンラインおよび破線の矢印は、それぞれ、冷却される空気、冷却される過程の空気、および暖められて加湿される空気を示す。
【0062】
各乾燥チャネル20dは、流体接合部21によって隣接する湿潤チャネル20wに接続されている。各湿潤チャネル20wは、縦軸Xに沿って、流体接合部21と湿潤出口20w,outとの間を延びる。流体接合部21は、空気入口20d,inと冷却出口20d,outとの間、または冷却出口20d,outに位置する。流体接合部21は、有利には、空気入口20d,inよりも冷却出口20d,outに近い。したがって、空気が乾燥チャネルに沿って流れる方向を考慮する場合、流体接合部21は、乾燥チャネル20d、冷却出口20d,outの上流または冷却出口に位置する。装置1は、換気システムの影響下で、乾燥チャネル20dに沿って流れる空気の一部が、流体接合部21を介して、乾燥チャネルに隣接する湿潤チャネル20wに入るようになっている。流体接合部21は、湿潤チャネルと乾燥チャネルとを分離するプレートに作られた単純な開口によって形成されてもよい。図示された例では、流体接合部21は、プレートの一方の長手方向の端部を形成する長手方向の端部 (すなわち、軸Xに垂直な端部) に形成される。したがって、冷却空気の一部は、冷却出口20d,outで、乾燥チャネル20dに隣接する少なくとも1つの湿潤チャネル20wに引き出される。湿潤チャネル20wを流れる空気の流量は、装置の換気システムによって調整される。これは、各乾燥チャネルにおける流れが層流であることが好ましく、空気の速度は、例えば、0.5 m.s-1から3 m.s-1の間であるという事実によって促進される。
【0063】
換気システムに結合された流体接合部21は、空気流の50から75%が冷却出口20d,outに向かって流れ、一方、空気流の25%から50%が流体接合部を通って湿潤チャネル20wに向かって流れるようにすることができる。各湿潤チャネル20wを通る空気の流れは、それに隣接する乾燥チャネルの空気の流れとは反対方向であることに留意されたい。このようにして、装置は向流動作のために構成される。
【0064】
好ましくは、空気流の方向において、乾燥チャネル20d内の空気入口20d,inと流体接合部21との間の距離は、5 cmから1 mの間、好ましくは10 cmから30 cmの間で構成される。同様に、空気流の方向において、湿潤チャネル20w内の流体接合部21と湿空気出口20w,outとの間の距離は、5 cmから1 mの間、好ましくは10 cmから30 cmの間で構成される。
【0065】
各プレート10は、横断軸Zに平行な排出軸の周りに延びる第1のスロット11を含み、第1のスロット11は、好ましくは各プレートの同一の長手方向の縁部近くに配置される。長手方向の縁部 (または端部) とは、長手方向の軸Xに沿ったプレート10の縁の一部を意味し、長手方向の軸Xに垂直なプレートの縁部から好ましくは5 cm未満の距離にある近さを意味し、第1のスロット11は、冷却出口20
d,outよりも空気入口20
d,inに近接している。
図2Aから
図2Eに示された例では、各第1のスロット11は、湿潤チャネル20
wの湿潤出口20
w,outを形成することができる。
【0066】
2つの第1のスロット11は、同じ湿潤チャネル20
wを区切る2つの隣接するプレート10の各々にそれぞれ形成され、このチャネルに開口する。従って、湿潤チャネル20
wは、少なくとも1つの第1のスロット11と流体連通している。同じ乾燥チャネル20
dを区画する2つの隣接するプレートの各々に形成され、排出軸に沿って整列された2つの第1スロット11は、乾燥チャネルを横切って延び、通路を形成する流体密封な壁15によって互いに接続される。流体密封な壁は、排出軸の周りに管状である。
図2Aから
図2Eに示される例では、排出軸は、軸Zに平行な軸である。「排出軸」という用語は、各乾燥チャネル20
dを横切って形成された流体密封な通路15が、各湿潤チャネル20
wから流れる湿空気を排出することを意図しているという事実に対応する。
図2Aには、乾燥チャネル20
dを横切る流体密封な通路を形成する2つの管状流体密封の通路15が示されている。
【0067】
乾燥チャネル20
dを横切って通る各管状流体密封の通路15は、
図5Aから
図5Dに関連して後述するように、シールによって、またはプレート内に形成された局所突起によって得ることができる。
【0068】
したがって、各湿潤チャネル20wの下流に流れる空気は、湿潤チャネルに開口する第1のスロット11を通って排出され、次に、排出軸Zに沿って、各湿潤チャネル20wと各乾燥チャネル20dとの間を、装置1out,
wの湿潤出口まで交互に流れる。2Bを参照。
【0069】
本発明の注目すべき態様は、第1のスロット11が、横軸Yに対して平行な、または実質的に平行な軸に沿って配置されていることである。実質的に平行とは、例えば±20°の角度許容範囲内で平行であることを意味する。図示の例では、第1のスロット11は、横軸Yに対して均一に平行に配置されている。
【0070】
各第1のスロットは、数cm2の断面積、例えば0.5 cm2から30 cm2の間、好ましくは1 cm2から15 cm2の間を有する。後述する第2のスロット及び第3のスロットについても同様である。各スロットは、縦軸Xに沿った細長い形状、例えば長方形、長方形又は菱形を採用することができる。
【0071】
次に、従来技術で述べた原理に従って、装置1の動作について説明する。冷却されるべき空気は、吸気口1inを介して装置に入る。この空気は、隣接するプレートの乾燥面10dの間に形成された乾燥チャネル20dに沿って縦軸Xに沿って流れ、プレート10は蒸発によって冷却されるため、空気は縦軸X方向に徐々に流れながら向流によって冷却され、空気が冷却されると、断熱冷却の原理に従って空気の絶対湿度は一定であるが、相対湿度は上昇する。装置は、各乾燥チャネル20dの冷却出口20d,outにおける空気の温度が露点温度のオーダーであるか、露点温度を実質的に上回って数度以内になるように、その寸法が定められてもよい。
【0072】
各乾燥チャネル20dにおいて、冷却された空気の一部が流体接合部21で引き出され、乾燥チャネルに隣接する湿潤チャネル20wに再流入する。湿潤チャネル20wは、水で濡れた少なくとも1つの湿潤プレート10wによって区切られる。湿潤チャネルに流入した空気は、流体接合部21と湿潤チャネル20wの湿潤出口20w,outとの間で縦軸に沿って流動する。その空気が湿潤チャネルに沿って流動すると、その空気は、濡れた湿潤面、又は、湿潤チャネルを画定する2つの湿潤面の水と接触して加湿される。湿潤チャネル20wに沿って空気が通過した結果、その水が蒸発し、プレート10は冷却させる。このように装置は、蒸発器交換器を形成しする。すなわち、プレートの湿潤面の水が蒸発することにより、プレートの乾燥面が冷却され、そして、これによって、向流を通じて、隣接する乾燥チャネルを循環する空気が冷却される。
【0073】
吸気温度が30℃から40℃の間で構成され、これが温帯気候の一般的なシナリオに対応する場合、冷却出口の空気温度は20℃未満であると推定される。
【0074】
向流動作の他に、装置1のもう1つの重要な側面は、横軸Yに沿った幅Lと縦軸Xに沿った長さlの比、または幅Lと横断軸Zに沿った高さhの比であるアスペクト比に依存しており、熱効率の理由から、横断軸Zに沿った各チャネルの厚さは小さく、好ましくは2 mm未満または1 mm未満であることが好ましい。その結果、乾燥または湿潤チャネルに沿った空気の流れは、圧力ヘッドの著しい低下を受ける。十分に大きな交換表面積を維持しつつ、換気システムの合理的な電力を得ることができるように、装置1の形状は、湿潤チャネル20wを循環する空気と隣接する乾燥チャネル20dを循環する空気との間の熱交換が生じ、熱長lthと呼ばれる長さよりも幅Lが大きくなるように最適化されている。熱長lthは、縦軸Xに沿った第1のスロット11と流体接合部21との間の距離に相当する。第1の近似では、熱長は乾燥チャネルの長さに相当すると考えることができる。熱長は、lth≦2/3L又はlth≦1/2Lであることが好ましい。長さよりも幅の広い装置1は、短い長さにわたって平行な向流の空気流を生成することを可能にする。
【0075】
さらにまたは代替として、装置は長さよりも高さがあることが望ましい。熱長は、lth≦2/3h又はlth≦1/2hであることが望ましい。長さよりも高さのある装置1は、短い熱長にわたって向流の空気流を「平行にする」ことを可能にする。
【0076】
より一般的には、熱長lthは幅Lおよび/または高さhよりも小さいことが好ましい。熱長lthは、有利には5 cmと1 mの間で構成され、好ましくは10 cmと30 cmの間で構成される。
【0077】
第1スロット11が横軸Yに沿って配置されているという事実は、各湿潤チャネル20w内の空気が、湿潤チャネルに隣接する乾燥チャネル20d内の空気の流れに平行に流れることを可能にする。これにより、向流構成での装置の動作を最大化することが可能となり、装置1の熱効率が向上する。横軸Yに沿った2つの隣接する第1スロット11間の距離は、熱長lthの50%未満、または40%未満、または30%未満であることが好ましい。
【0078】
図3Aから3Fは、第2の実施形態を示す。第1の実施形態では、冷却される空気は、縦軸Xに平行な各乾燥チャネルに流入し、第2の実施形態では、横断軸Zに平行な流れで各乾燥チャネルに流入する。
【0079】
第2の実施形態では、各プレートは第2のスロットを有する。2つの第2のスロット12は、同じ乾燥チャネル20
dを区切る2つの隣接するプレート10の各々にそれぞれ形成され、このチャネルに開口する。従って、乾燥チャネル20
wは、少なくとも1つの第2のスロット12と流体連通している。2つの第2のスロット12は、吸気軸に沿って整列され、同じ湿潤チャネル20
wを区切る2つの隣接したプレートの各々に形成され、湿潤チャネルを横切って流れる流体密封の壁16によって互いに接続され、流体密封の通路を形成する。用語 「吸気軸」 は、各流体密封の通路16を循環する空気が乾燥チャネル20
dに入るように意図されているという事実に対応する。流体密封の通路16は、吸気軸の周りに管状である。
図3Aから
図3Fに示される例では、吸気軸は軸Zに平行な軸である。
図3Aおよび
図3Bには、それぞれ乾燥チャネル20
dおよび2つの湿潤チャネル20
wを横切る流体密封の通路を形成する流体密封の通路15および16が示されている。
図3Aにおいて、左側の点線は、2つの流体密封の通路15および16を示すために使用されている。
【0080】
図3Aおよび3Bは、横断軸Zに沿ってスタックを区切るトッププレートを示す。トッププレートは、湿潤チャネルから来る加湿空気がそのトップを介して抽出されるため、第1スロット11のみを含む。スタックは、トッププレートの反対側にあり、スタックを区切るボトムプレートを含む。ボトムプレートは、空気が底から入るので、冷却されるべき空気を入れるための第2のスロットのみを含むことができる。他の構成では、冷却されるべき空気はトッププレートを通して入り、湿潤チャネルから来る空気はトッププレートを通して排出される。その場合、トッププレートは第1のスロットと第2のスロットを含む。その場合、ボトムプレートは固体であってもよい。1つの可能性によると、冷却されるべき空気は、トッププレートとボトムプレートの両方を通って受け入れられる。それは、スタックを通して冷却されるべき空気の経路を減らすことを可能にする。1つの可能性によると、湿潤チャネルから来る湿空気は、トッププレートとボトムプレートの両方を通って排出される。それは、スタックを通して湿空気の経路を減らすことを可能にする。トッププレートとボトムプレートという用語は、横断軸Zの方向にスタックの端部を形成するプレートを指す。
【0081】
一般に、横断軸に沿ってスタックを区切るトッププレートまたはボトムプレートは、冷却される空気を入れるための、または湿空気を排出するための構成に応じて、第1のスロット11および/または第2のスロット12を含んでもよいし、含まなくてもよい。
【0082】
各流体密封の通路15、16は、
図5Aから
図5Dに関連して後述するように、シールによって、またはプレート内に形成された局所突起によって得ることができる。
【0083】
図3Dおよび
図3Fはそれぞれ、同一のプレート10の湿潤面10
wおよび乾燥面10
dを示す。
図3Cおよび
図3Eは、
図3Dおよび
図3Fに示す断面A-AおよびB-Bの線に沿って通過する平面XZにおけるスタックを通る断面を示す。各湿潤チャネル20
wにおいて、湿空気は、流体密封の通路16の周りを流れる。同様に、各乾燥チャネルにおいて、冷却されるべき空気は、各流体密封の通路15の周りを流れる。
【0084】
本実施形態では、冷却されるべき空気が乾燥チャネル20dの上流のプレート間を吸気軸に沿って流れ、その吸気軸は、軸Zに平行である。湿潤チャネル20wの下流のプレート間を流れる湿空気も同様に排出される。
【0085】
第1の実施形態に関連して説明したように、各プレート10内の第1スロット11が横軸Yに沿って配置されているのと同様に、第2スロット12は横軸Yに沿って配置されているのが有利である。第2スロット12が横軸Yに沿って配置されていることにより、各乾燥チャネル20d内の空気は、縦軸Xに平行に、または略平行に流れ、乾燥チャネルに隣接する湿潤チャネル20w内の空気の流れに平行に流れる。これにより、前述したように、向流構成において装置の動作を最大化することが可能となる。これにより、装置の熱効率が向上する。横軸Yに沿った2つの隣接する第2のスロット間の距離は、熱長lthの50%未満、または40%または30%未満であることが好ましい。
【0086】
図3Aから
図3Fに記載された実施形態によれば、第1および第2のスロットは、各プレートの中央部において横軸Yに平行に分布する。中央部という用語は、プレートの2つの長手方向の縁部 (または端部) から等距離、または実質的に等距離に位置する部分を指す。実質的に等距離とは、±10%または±20%の許容範囲内の等距離を意味する。縦方向の縁部とは、縦軸Xに沿って間隔を空けた所定のプレートの縁部の一部を意味する。
【0087】
横軸Yに沿って、第1および第2のスロットが整列し、互いに交互に配置される。第1および第2のスロットを横軸Yに平行に整列させると、前述の熱長を最適化することができる。したがって、熱長lthは、縦軸Xに沿った各第1のスロット11 (または各第2のスロット12) と流体接合部21との間の距離に対応する。
【0088】
各プレート10の中央部に第1および第2のスロットを配置することにより、スタックは、横断軸Zおよび横軸Yに平行な中央面に関して対称な構成となり、各プレートの中央部を通過する。中央面は、各スロットの中心を通過し、装置の対称面を形成する。換気システムは、各第2のスロット12から出てくる冷却されるべき空気が、各乾燥チャネル20dに沿って、それぞれの対向する2つの長手方向の端部に向かって流れるように構成される。第2のスロット12と各長手方向の端部との間で、流体接合部21は、冷却された空気の一部を、乾燥チャネルに隣接する湿潤チャネル20wに入れることを可能にする。したがって、各乾燥チャネルは、中央面の両側に1つずつ配置され、好ましくは他方に対して対称的に配置された2つの流体接合部21を含む。湿潤チャネル20wに流入した空気は、各流体接合部21から中央面に向かって流れる。
【0089】
第2の実施形態の対称配置により、装置の小型化と効率化の観点から装置の性能を最適化することができる。これにより、熱長lthを制限することができ、圧力ヘッドの低下を抑えると同時に、熱交換表面積を大きくすることができる。
【0090】
第2の実施形態では、左右対称に配置することにより、「超並列」 と呼ばれる構成を得ることができる。第1の実施形態に関連して述べたように、流れの並列配置は、左右対称の構成では、Y軸に沿って、Z軸に沿って、さらにX軸に沿って 「トリプル並列」となる。X軸に沿って、乾燥チャネルからの冷気が縦軸Xに平行な2つの反対方向に吹き込まれる。
【0091】
図3Dにおいて、第1のスロット11の断面は、第2のスロット12の断面よりも小さいことが分かる。第2のスロットの結合断面に対する第1のスロットの結合断面の比率は、乾燥チャネルに流入する空気の流量と、各乾燥チャネルの下流の湿潤チャネルに流入する空気の流量との間の比率に従って調整することができる。
【0092】
本実施形態によれば、各乾燥チャネルの上流で冷却されるべき空気と、各湿潤チャネルの下流である湿空気は、1つの同じ軸 (この場合は横断軸) に平行に流れ、これは有利である。これは、例えば、後述するように、様々な装置の相互接続を簡素化する。
【0093】
「第2のスロット」 という用語は、必ずしも第1のスロットが存在することを意味しない。したがって、各プレート10が第1のスロット11なしで第2のスロット12を有する第1の実施形態の変形を構成することも可能である。湿空気は縦軸に沿って各湿潤チャネルから出て、乾燥空気は第2のスロット12を介して各乾燥したチャネルに運ばれる。
【0094】
変形例では、冷却された空気はプレートの中心から抽出され、一方、吸気または排出軸はプレートの端部に形成される。
この変形例では、
- 各プレートは、各長手方向の端部の近くに配置された第1のスロット11及び第2のスロット12を有し、
- 各乾燥チャネル20dと各湿潤チャネル20wとの間の流体接合部21は、乾燥チャネルの2つの第2のスロットの間、好ましくは中央部又は実質的に中央部に配置され、
- 冷却されるべき空気は、各乾燥チャネル20dにおいて、第2のスロット12から各プレート10の中央部に向かって、流体接合部21まで流れ、
- その空気は、各湿潤チャネル20wにおいて、流体接合部21から各プレート10の一方の長手方向の端部に向かって、第1スロット11まで流れ、
- 各乾燥チャネルから来る冷却空気は、各プレートに形成された開口部および各湿潤チャネルを横切って形成された流体密封の通路を通って中央部に集められる。冷却空気は横断軸Zに平行に集められる。
【0095】
このような変形例では、各乾燥チャネルは2つの空気入口と冷却出口20d,outの間に延び、冷却出口は乾燥チャネルの空気入口の間の中央部に位置する。各流体接合部21は、乾燥チャネルと乾燥チャネルに隣接する湿潤チャネル20wとの間、空気入口と乾燥チャネルの冷却出口との間に配置される。各湿潤チャネルは、中央部の流体接合部21と2つの湿潤出口との間に延び、流体接合部21は2つの湿潤出口の間に配置される。
【0096】
このような変形により、装置は、横断軸に平行で中央部を通る中央面に関して対称に配置される。
【0097】
図4A~
図4Dは、第2の実施形態に関連して説明される特徴を含む第3の実施形態を示す。前の実施形態とは異なり、各プレートは、冷却されるべき空気が各乾燥チャネル10
dに入ることを可能にすることを意図した少なくとも1つの第3のスロット13を含む。この第3の実施形態は、吸気口1
inが部屋の外から吸い込まれる空気で構成される場合に関連する。装置は、冷却されるべき部屋の中から吸い込まれる空気を受け入れることを意図した補助吸気口1
auxを含むことができる。装置は、補助空気が、吸気口1
inから入ってくる空気の下流の各乾燥チャネルに受け入れられ、その吸気口が主吸気口を形成するように構成される。室内の温度は室外の温度ほど高くないと想定されるので、室外の空気と室内の空気の混合は、室外の空気を部分的に冷却した後に行うのがよい。外気は室内の空気と同程度の温度であると考えられる。このような混合を装置内で行うことにより、室内の空気と室外から取り込んだ空気の混合を乾燥チャネルの上流で行う構成と比較して、エネルギー効率と熱効率を高めることができる。
【0098】
様々な乾燥チャネルに空気を入れることができるようにするために、2つの第3のスロット13は、同じ乾燥チャネルを区切る隣接する2つのプレートのそれぞれに形成され、その乾燥チャネルに開口する。したがって、乾燥チャネル20
dは、少なくとも1つの第3のスロット13と流体連通している。2つの第3のスロット13は、補助吸気軸に沿って整列され、同じ湿潤チャネル20
wを区画する2つの隣接するプレートのそれぞれに形成され、湿潤チャネルを横切って流れる流体密封の壁17によって互いに接続され、流体密封の通路を形成する。流体密封の通路17は、補助吸気軸の周りに管状である。
図4A~
図4Dに示す例では、補助吸気軸は軸Zに平行な軸であり、
図4Aにおいて補助空気は点線で示されている。
【0099】
「補助吸気軸」という用語は、補助空気が、補助吸気軸に沿って流れ、湿潤チャネルを横切って延びる1つ以上の流体密封の壁を通ることで、乾燥チャネルに入るという事実に対応する。
【0100】
先に説明した流路15および16と同様に、各管状の流体密封の流路17は、
図5Aから
図5Dに関連して後述するように、シールによって、またはプレート内に形成された局所突起によって得ることができる。
【0101】
各第3スロット13は、第2スロット12と流体接合部21との間で開口するように、各プレート上に配置される。第3のスロット13は、流体接合部21よりも第2のスロット12 (主吸気口を形成する) に近い位置に配置されることが好ましい。熱長lthが第2のスロット12と流体接合部21との間の縦軸に沿った距離を示す場合、同一のプレートの第1のスロット13と第2のスロット12との間の距離は、熱長lthの10%から50%の間で、有利には熱長lthの15%から30%の間で構成することができる。
【0102】
図4Bおよび
図4Dは、それぞれ同一のプレート10の乾燥面10
dおよび湿潤面10
wを示す。
図4Aおよび
図4Cは、
図4Bおよび
図4Dに示す断面A-AおよびB-Bの線に沿って通過する平面XZにおけるスタックを通る断面を示す。
【0103】
補助吸気口を利用することにより、冷却される室内の圧力バランスを調整することができる。これにより、特に吸気口1inを形成する空気が外部から引き込まれる場合に、装置によって吹き込まれる冷却空気の影響を受けて室内の過圧力を回避することができる。補助供給により、室内から空気を引き込むことにより、過圧力を低減することができる。これにより、冷却する部屋に設置されている集中換気タイプの設備の運転を妨げるのを回避することができる。また、冷却する部屋が過圧になると、装置によって冷却された空気の一部を部屋の外に排出しなければならず、これは最適ではない。
【0104】
どのような実施形態であっても、各乾燥チャネルから来る冷却空気は、有利には、室内に吹き込まれる前に、各冷却出口20d,outから空気マニホールドによって集められる。
【0105】
図4Aから
図4Dに関連して対称的な構成で説明したが、補助吸気口は、非対称的な実施形態、例えば第1の実施形態と組み合わせることができる。
【0106】
図5Aから
図5Dは、2つの連続するプレート上に互いに対向して形成されたスロット間の流体密封の壁の作成を示す。これらは、例えば、上述の第1のスロット11、第2のスロット12および第3のスロット13であり得る。第1の可能性によれば、相互に対向する各スロットはシールで囲まれている。互いに対向して配置された2つのスロットのそれぞれに関連する2つのシールの圧縮は、流体密封の管状壁を形成する。この可能性を
図5Aおよび
図5Bに示す。変形例では、1つのシールで2つの対向するスロットを接続できる。
【0107】
シールへの依存を回避または制限するもう1つの可能性は、2つのプレート間の接触が2つのスロット間の流体密封の通路を作成するように、スロットの領域でプレート10を局所的に変形させることである。この可能性は、
図5Cおよび
図5Dに示されている。プレートは、例えば、各スロットの周りで互いに接触するまで、互いに収束するように形成されてもよい。このタイプの形状は、材料が金属であるか非金属であるかにかかわらず得ることができる。材料が非金属である場合、例えばポリマー型の場合、プレートは所望の形状を達成するために熱成形または成形され得る。
【0108】
プレートを形成するために、例えばアルミニウムまたは銅のような様々な金属材料が考えられる。しかし、装置の重量と製造コストを制限するために、プレートはポリマーで形成することができる。ポリマーは一般に、特定の金属の熱伝導特性ほど良くない熱伝導特性を有する。しかしながら、装置1は本質的に、熱伝導がプレート10の厚さを介して行われると仮定し、この厚さは好ましくは2 mm未満または1 mm未満である。この小さな厚さは、湿潤面10wと乾燥面10dの間の小さな厚さが低い熱伝導率を補償するので、ポリマーベースのプレートに頼ることを可能にする。また、ポリマーの低い熱伝導率は、縦軸Xに沿って熱の伝導を制限するので、冷却される空気の熱が乾燥チャネルに入り、縦軸に沿ってプレートを介して熱伝導によって広がる結果として、プレートの過熱を回避することができるという利点もある。したがって、ポリマーは乾燥面から伸びることができる。ポリマーは、湿潤面まで伸びることもあれば、湿潤面の湿潤を促進する毛細管構造または材料で覆われていることもある。
【0109】
ポリマー材料に依存することで、装置の質量を大幅に削減することも可能になる。また、
図5C及び
図5Dに関連して説明されるように、熱成形によってプレートを形成することができる。
【0110】
一実施形態によれば、乾燥面は、フィンを有し、フィンは突起を形成し、乾燥面と冷却される空気との間の交換のための表面積を増加させることができる。同じことが、湿潤面にも当てはまる。
【0111】
どのような実施形態であっても、装置はモジュールとして配置することができ、各モジュールは決定された数のプレートを含む。冷却される空気と加湿された空気が横断軸Zに沿って流れるという事実は、同一のモジュール間の相互接続に好ましい。モジュールを連結すると、装置の電力を調整できる。中間マニホールドは、乾燥チャネルの上流で冷却される空気を集め、湿潤チャネルの下流で湿空気を集め、2つのモジュールの間に配置することができる。モジュラーレイアウトは、冷却される空気、湿潤チャネルから来る湿空気、およびそこにある補助空気が横断軸Zに平行に流れるような構成において容易である。
【0112】
実施形態が何であれ、各湿潤面への水の供給は、流体または毛管接続によって各湿潤面に接続された固定リザーバを使用することによって達成され得る。水は、ポンプまたは重力流によって各湿潤面に到達し得る。
【0113】
実施形態にかかわらず、添付の図に示されていないスペーサは、2つの隣接するプレート間の間隔を可能な限り一定に保つために取り付けられてもよい。
【国際調査報告】