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特表2024-509441モジュール式の係合要素を備えたグラフト張力付与システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-01
(54)【発明の名称】モジュール式の係合要素を備えたグラフト張力付与システム
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/08 20060101AFI20240222BHJP
   A61B 17/06 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
A61F2/08
A61B17/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553535
(86)(22)【出願日】2022-02-24
(85)【翻訳文提出日】2023-10-25
(86)【国際出願番号】 US2022017724
(87)【国際公開番号】W WO2022187076
(87)【国際公開日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】63/157,407
(32)【優先日】2021-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519163027
【氏名又は名称】アキュイティブ テクノロジーズ,インコーポレイティッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゲイベル,ダグラス,ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】マッカーシー,マイケル,ピー.
(72)【発明者】
【氏名】フェッレイラ,ルイ,ジェイ.
【テーマコード(参考)】
4C097
4C160
【Fターム(参考)】
4C097AA21
4C097BB01
4C097BB04
4C160BB01
(57)【要約】
グラフト張力付与システム及び関連する係合アセンブリが提供される。係合アセンブリは、インプラント受入れ開口に隣接する又は対向する組織と係合するように構成される少なくとも一つの係合要素又は末端部を含む。係合要素は、組織の打撲/外傷/挫傷の可能性を低減しながら、グラフト張力付与システムと解剖学的対象領域との間の安定した相互作用を支援する。係合要素は、外科医が、特定の処置及び/又は患者の解剖学的特性に対して望まれる性質を与える係合要素を選択することができるように、グラフト張力付与デバイスに対して、例えば手術中に、交換可能に装着されてもよい。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科的処置で使用するための係合アセンブリであって、
a.曲線領域と、
b.前記曲線領域の遠位端に繋がる係合要素と、を備え、
前記係合要素は、実質的にドーム形状又は実質的に三脚形状であり、表面に押し当てられたときに弾性的に平坦化するように適合されている、係合アセンブリ。
【請求項2】
前記曲線領域に繋がるか又は前記曲線領域に隣接する装着機能部をさらに備え、前記装着機能部は、デバイスに対する着脱可能な取付けを容易にする、請求項1に記載の係合アセンブリ。
【請求項3】
前記デバイスがグラフト張力付与デバイスである、請求項2に記載の係合アセンブリ。
【請求項4】
前記係合要素が、中央ハブと、前記中央ハブから延びる複数のS字アームとを含む、請求項1に記載の係合アセンブリ。
【請求項5】
前記係合要素が、U字の中央ハブから延びる三つのS字アームを含む、請求項4に記載の係合アセンブリ。
【請求項6】
前記三つのS字アームのうち二つが、前記中央ハブから延びる脚部と、関連する脚部から延びるアーム部材とによって画定される、請求項4に記載の係合アセンブリ。
【請求項7】
第1のS字アームが、第1の脚部から延びる第1のアーム部材によって画定され、第2のS字アームが、第2の脚部から延びる第2のアーム部材によって画定され、第3のS字アームが、前記中央ハブの弓型領域から延びる第3のアーム部材によって画定される、請求項6に記載の係合アセンブリ。
【請求項8】
前記第1のS字アームと前記第2のS字アームが、互いの鏡像である、請求項7に記載の係合アセンブリ。
【請求項9】
前記第1のアーム部材が第1の終端部を画定し、前記第2のアーム部材が第2の終端部を画定し、前記第1の終端部と前記第2の終端部とが、互いに当接する離間した位置合わせになっている、請求項7に記載の係合アセンブリ。
【請求項10】
前記第1のS字アームが、前記第1のアーム部材と前記第1の脚部との間の第1のひじ領域を画定し、前記第2のS字アームが、前記第2のアーム部材と前記第2の脚部との間の第2のひじ領域を画定し、前記第3のS字アームが、前記第1のひじ領域又は前記第2のひじ領域と離間した関係にある第3の終端部を画定する、請求項9に記載の係合アセンブリ。
【請求項11】
前記第1のひじ領域、前記第2のひじ領域、及び前記第3のひじ領域が、湾曲した形状を画定する、請求項10に記載の係合アセンブリ。
【請求項12】
前記第1のひじ領域、前記第2のひじ領域、及び前記第3のひじ領域が、角張った形状を画定する、請求項10に記載の係合アセンブリ。
【請求項13】
前記係合要素が、前記S字アーム同士の間に三つの隙間を画定し、前記三つの隙間が、前記第1の終端部と前記第2の終端部との間の第1の隙間、前記第1のひじ領域と前記第3のひじ領域との間の第2の隙間、及び前記第3の終端部と前記第2のひじ領域との間の第3の隙間を含む、請求項10に記載の係合アセンブリ。
【請求項14】
前記第1の隙間、前記第2の隙間、及び前記第3の隙間は、寸法が互いに実質的に等しい、請求項13に記載の係合アセンブリ。
【請求項15】
前記複数のS字アームが、前記中央ハブに対して径方向外側に延びていると共に、前記中央ハブに対して遠位方向に延びている、請求項4に記載の係合アセンブリ。
【請求項16】
前記係合要素が、前記中央ハブに対する前記複数のS字アームの前記径方向及び遠位方向への延在に基づくドーム形状の構造体を画定する、請求項15に記載の係合アセンブリ。
【請求項17】
前記係合要素が、中央ハブと、前記中央ハブから延びる複数の湾曲した脚部とを含む、請求項1に記載の係合アセンブリ。
【請求項18】
前記係合要素が、中央ハブと、三脚構造体を共に画定する、前記中央ハブから延びる三つの脚部とを含む、請求項1に記載の係合アセンブリ。
【請求項19】
前記三つの脚部が、前記中央ハブに対して下方及び外側に延びている、請求項18に記載の係合アセンブリ。
【請求項20】
前記係合要素が、中央ハブと、へら形状の組織係合領域を各々が画定する2対の脚部とを含む、請求項1に記載の係合アセンブリ。
【請求項21】
前記係合要素が、適切な弾性係数を持つ様々なポリマー又は金属、例えば、アセタール(ポリオキシメチレン)、ナイロン、ポリプロピレン、及び高分子量ポリエチレン(HMWPE)などのポリマー、並びにチタン及びニチノール(ニッケル/チタンの合金)などの金属、から選択される材料から作製される、請求項1から20のいずれかに記載の係合アセンブリ。
【請求項22】
a.細長いシャフトと、
b.前記細長いシャフトに対して可動に装着された、スライド可能な張力付与アセンブリと、
c.請求項1から21のいずれかに記載の係合アセンブリであって、前記細長いシャフトに対して装着される、又は前記細長いシャフトから延びる、係合アセンブリと、
を備えるグラフト張力付与システム。
【請求項23】
a.細長いシャフトと、
b.前記細長いシャフトに対して可動に装着された、スライド可能な張力付与アセンブリと、
c.前記スライド可能な張力付与アセンブリに対して装着された縫合糸保持構造体と、を備え、
前記縫合糸保持構造体は、前記スライド可能な張力付与アセンブリに対して回転又は旋回するように適合されている、グラフト張力付与システム。
【請求項24】
前記縫合糸保持構造体が、前記縫合糸保持構造体に対して固定されている縫合糸によって加えられる力に応答して回転又は旋回する、請求項23に記載のグラフト張力付与システム。
【請求項25】
a.細長いシャフトと、
b.前記細長いシャフトに対して可動に装着された、スライド可能な張力付与アセンブリと、
c.前記細長いシャフトに対して装着される、又は前記細長いシャフトから延びる、係合アセンブリと、を備え、
前記係合アセンブリは、開口領域と連通している中央チャネルの各側に第1及び第2の案内アームを含み、前記第1及び第2の案内アームは、前記開口領域から前記スライド可能な張力付与アセンブリに縫合糸を案内するように機能する、グラフト張力付与システム。
【請求項26】
前記第1及び第2の案内アームのうち少なくとも一方が、フック領域を画定する、請求項25に記載のグラフト張力付与システム。
【請求項27】
前記係合アセンブリが、前記中央チャネルの各側にある固定ねじにより、手術部位に対して着脱可能に固定されるように適合される、請求項25に記載のグラフト張力付与システム。
【請求項28】
a.細長いシャフトと、
b.前記細長いシャフトに対して可動に装着された、スライド可能な張力付与アセンブリと、を備え、
前記スライド可能な張力付与アセンブリは、前記スライド可能な張力付与アセンブリによってグラフト/インプラントに加えられている張力を測定するための手段を含む、グラフト張力付与システム。
【請求項29】
前記細長いシャフトに対して装着される、又は前記細長いシャフトから延びる、係合アセンブリをさらに備える、請求項28に記載のグラフト張力付与システム。
【請求項30】
前記係合アセンブリは、開口領域と連通している中央チャネルの各側に第1及び第2の案内アームを含み、前記第1及び第2の案内アームは、前記開口領域から前記スライド可能な張力付与アセンブリに縫合糸を案内するように機能する、請求項29に記載のグラフト張力付与システム。
【請求項31】
前記張力を測定するための手段は、前記スライド可能な張力付与アセンブリによってグラフト/インプラントに加えられている張力の量に関する定量化可能なフィードバックを提供する、請求項29に記載のグラフト張力付与システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年3月5日に出願され、第63/157,407号を割り当てられた、「Graft Tensioning System with Modular Engagement Element」という名称の米国仮出願に対する優先権の利益を主張する。前述の仮出願の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、インプラント受入れ開口に隣接する組織と係合するように構成される少なくとも一つの係合要素又は末端部を含む、グラフト張力付与システムに関する。開示される係合要素は、組織の打撲/外傷/挫傷の可能性を低減しながら、グラフト張力付与システムと解剖学的対象領域との間の安定した相互作用を支援する。開示される係合要素は、外科医が特定の処置及び/又は患者の解剖学的特性に対して望まれる性質を与える係合要素を選択することができるように、グラフト張力付与デバイスに対して、例えば手術中に、交換可能に装着されてもよい。
【背景技術】
【0003】
グラフト張力付与デバイスは当技術分野で知られており、そのようなデバイスは、各種の外科的処置、特に関節に関係する処置との関連において適用される。例えば、グラフト張力付与デバイスは、前十字靭帯(ACL)の修復で慣行的に使用され、そこでは、膝の関節を構成している二つの骨である大腿骨と脛骨を貫通して開けられた穴を通して、軟組織グラフトが両端に取り付けられる。ACL再構築におけるグラフト張力は、ACL再構築処置の良好な臨床結果の一要因である。例えば、以下を参照されたい。マーコルフ(Markolf)ら、「Biomechanical Consequences of Replacement of the Anterior Cruciate Ligament With a Patellar Ligament Allograft. Part Two: Forces in the Graft Compared with Forces in the Intact Ligament」、J. Bone Joint Surg. Am.、78:11、1728-34(1996年11月);トオヤマ(Tohyama)ら、「Significance of Graft Tension in Anterior Cruciate Ligament Reconstruction. Basic background and clinical outcome」、Knee Surg. Sports Traumatol. Arthroscopy、6 Suppl. 1、S30-7(1998);アンデルセン(Andersen)ら、「Review on Tension in the Natural and Reconstructed Anterior Cruciate Ligament」、Knee Surg. Sports Traumatol. Arthroscopy、2:4、192-202(1994)、ヤスダ(Yasuda)ら、「Effects of Initial Graft Tension on Clinical Outcome After Anterior Cruciate Ligament Reconstruction. Autogenous Doubled Hamstring Tendons Connected in Series of Polyester Tapes」、Am. J. Sports Med.、25:1、99-106(1997年1月);ハマー(Hamner)ら、「Hamstring Tendon Grafts for Reconstruction of the Anterior Cruciate Ligament: Biomechanical Evaluation of the Use of Multiple Strands and Tensioning Techniques」、J. Bone Joint Surg. Am.、81:4、549-57(1999年4月)
【0004】
特許文献は、有益な張力付与デバイス/システムを開発する取り組みも反映している。例えば、米国特許第4,712,542号、米国特許第5,037,426号、米国特許第Re 34,762号、米国特許第5,713,897号、米国特許第5,507,750号、及び米国特許第5,562,668号を参照されたい。
【0005】
靭帯及び腱の修復処置は、膝に関係する処置の範囲を越える。例えば、靭帯及び腱の修復処置は、他の解剖学的領域、例えば足及び踵、肩及び回旋腱板、ひじ、並びに手首及び手、に関して日常的に行われる。膝に関係する処置、例えばACLの修復では、グラフト張力付与デバイスを患者の解剖学的領域に対して安定させることがしばしば望まれる。そのような安定化機能は、修復処置のために靭帯/腱導入部位への効率的なアクセスを可能にしながら、靭帯/腱導入部位を取り囲む軟組織への打撲/外傷を最小にして達成されるのが理想的である。他の解剖学的領域の組織係合要件が実際的に対処されていないため、グラフト張力付与デバイスは、一般に、膝以外の解剖学的領域には利用可能でない、及び/又は用いられない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
今日に至る取り組みにも拘らず、靭帯/腱導入部位を取り囲む軟組織への打撲/外傷の可能性を最小に抑えながら、効果的な安定化を提供する、靭帯/腱の修復で使用するためのデバイス及びシステムに対する必要性が依然としてある。さらに、靭帯/腱処置における臨床的柔軟性を促進し、それにより、外科医/施術者が、臨床的変動要因及び/又は外科医/施術者の嗜好に基づいて望まれる安定化要素を容易に/確実に選択することが可能なデバイス/システムに対する必要性が依然としてある。これら及びその他の必要性は、本明細書に開示されるデバイス、システム、及び関連する方法によって満たされる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、グラフト張力付与処置との関連で使用するための安定化デバイス、システム、及び方法を提供し、安定化機能は、処置及び/又は外科医の好ましい技術に応じてインプラント受入れ開口に隣接する又は対向する骨又は組織と係合するように構成される、少なくとも一つの係合要素又は末端部によって実現される。開示される係合要素は、組織の打撲/外傷/挫傷の可能性を低減しながら、グラフト張力付与システムと解剖学的対象領域との間の安定した相互作用を支援する。
【0008】
開示される係合要素は、外科医/施術者が、特定の処置及び患者の解剖学的特性に対して望まれる性質を与える係合要素を選択することができるように、グラフト張力付与デバイスに対して、例えば手術中に、交換可能に装着されてもよい。開示される係合要素は、グラフト張力付与デバイスからの取付け/取外しを容易にする取付け機構を含んでよい。グラフト張力付与デバイスは、一つ以上の補助機能、例えば、張力付与ゲージ、並びに/又はインプラントとの相互作用及びインプラントの張力付与のための案内チャネル、を含んでよい。
【0009】
開示されるグラフト張力付与デバイスの例示的な臨床実装では、デバイスは、インプラントが挿入される側と反対の側に外科医によって配置されてよく、又は代替として、インプラントが挿入されるのと同じ側に置かれてもよい。よって、そのような臨床実装では、開示されるグラフト張力付与デバイスは、患者の反対側において解剖学的チャネルに挿入されたインプラント、例えばグラフト、と相互作用し、インプラント/グラフト(及び/又はインプラント/グラフトに繋がる縫合糸)をデバイスの中に引っ張り/引き込んで、インプラント部位に固定される前にインプラント/グラフトに所望レベルの張力を加えるのに有効である。
【0010】
本開示のさらなる実施形態では、開示されるグラフト張力付与デバイスは、他の種類の臨床処置、例えばACL置換処置、に特に適する係合アセンブリに対して固定されてもよい。係合アセンブリは、インプラント領域からグラフト張力付与デバイスに繋がる縫合糸保持構造体への、制御された縫合糸の通しを容易にする、離間した案内アームを画定してもよい。縫合糸保持構造体は、グラフト張力付与デバイスに対して回転可能に装着されてよく、それにより、縫合糸保持構造体が、グラフト張力付与デバイスの中央軸のいずれかの側で縫合糸によって/縫合糸に及ぼされる力に応答して回転/旋回することを可能にする。このようにして、縫合糸に加えられる/縫合糸が受ける力が、有利にバランスを取られ得る。
【0011】
開示される係合要素との関連で使用されることが可能な、開示される係合要素及びグラフト張力付与システムに関連するさらなる特徴及び機能は、特に添付図面と併せて読まれるとき、以下の説明から明らかになるであろう。
【0012】
当業者が開示される係合要素及び関連するグラフト張力付与システムを作製し、使用するのを助けるために、以下の添付図面が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示による例示的な係合アセンブリの側面図。
図2図1の係合アセンブリの斜視図。
図3図1及び図2の係合アセンブリと共に使用するための例示的なグラフト張力付与デバイスの斜視図。
図4図3のグラフト張力付与デバイスに対して着脱可能に装着された、図1及び図2の係合アセンブリの斜視図。
図4A図4のグラフト張力付与デバイス/係合アセンブリの部分的に断面の側面図。
図5図4のグラフト張力付与デバイス/係合アセンブリの遠位部分の側面図。
図6図1及び図2の係合アセンブリの底面図。
図7図3のグラフト張力付与デバイスに対して着脱可能に装着された、図1及び図2の係合アセンブリのさらなる図。
図8】本開示による代替の係合アセンブリの側面図。
図9図8の代替の係合アセンブリの等角図。
図10】本開示によるさらなる代替の係合アセンブリの側面図。
図11】本開示による追加的な代替の係合アセンブリの等角図。
図12図11の追加的な代替の係合アセンブリの側面図。
図13】患者の足に対して動作向きにある、本開示のグラフト張力付与デバイス/係合アセンブリの側面図。
図14】本開示によるさらなる代替のグラフト張力付与デバイス/係合アセンブリの等角図。
図15】本開示による別の代替のグラフト張力付与デバイス/係合アセンブリの等角図。
図16A】互いに対しておよそ90°回転している、図14のさらなる代替のグラフト張力付与デバイス/係合アセンブリの側面図。
図16B】互いに対しておよそ90°回転している、図14のさらなる代替のグラフト張力付与デバイス/係合アセンブリの側面図。
図17A】互いに対しておよそ90°回転している、図15の代替のグラフト張力付与デバイス/係合アセンブリの側面図。
図17B】互いに対しておよそ90°回転している、図15の代替のグラフト張力付与デバイス/係合アセンブリの側面図。
図18図14のさらなる代替のグラフト張力付与デバイス/係合アセンブリの上面図。
図19】グラフト張力付与デバイス/係合アセンブリと縫合糸との相互動作を示す、膝のモデルに関連する図15の代替のグラフト張力付与デバイス/係合アセンブリの試作版の像。
図20】グラフト張力付与デバイス/係合アセンブリと縫合糸との相互動作を示す、膝のモデルに関連する図15の代替のグラフト張力付与デバイス/係合アセンブリの試作版の像。
図21】グラフト張力付与デバイス/係合アセンブリと縫合糸との相互動作を示す、膝のモデルに関連する図15の代替のグラフト張力付与デバイス/係合アセンブリの試作版の像。
図22】グラフト張力付与デバイス/係合アセンブリと縫合糸との相互動作を示す、膝のモデルに関連する図15の代替のグラフト張力付与デバイス/係合アセンブリの試作版の像。
図23】グラフト張力付与デバイス/係合アセンブリと縫合糸との相互動作を示す、膝のモデルに関連する図15の代替のグラフト張力付与デバイス/係合アセンブリの試作版の像。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示は、グラフト張力付与処置との関連で使用するための安定化デバイス、システム、及び方法を提供する。開示される安定化デバイス、システム及び方法は、一般に、グラフト張力付与デバイスに対して装着されるように構成される少なくとも一つの係合要素又は末端部を含む。本開示の例示的実施形態では、係合要素は、グラフト張力付与デバイスに対して着脱可能に装着される係合アセンブリに繋がる。しかし、本開示は、係合要素/係合アセンブリとグラフト張力付与デバイスとの間の相互作用が着脱可能である実装によって、又はそのような実装に制限されない。そうではなく、本開示は、係合要素/係合アセンブリがグラフト張力付与デバイスと一体に、すなわち単体アセンブリとして、形成される実装を明示的に包含する。
【0015】
開示される係合要素は、組織の打撲/外傷/挫傷の可能性を低減しながら、グラフト張力付与システムと解剖学的対象領域との間の安定した相互作用を支援する。グラフト張力付与デバイスは、一つ以上の補助機能、例えば、張力付与ゲージ、機器/インプラントを通すための案内チャネル等、を含んでよい。
【0016】
最初に図1~2を参照すると、例示的な係合アセンブリ10が概略的に描かれている。係合アセンブリ10は、装着領域12と、装着領域12から延びる中間の曲線領域14と、曲線領域14の遠位端に繋がる係合要素16と、を画定する。装着領域12は、一般に、近位方向を向いた装着機能部18を画定し、この装着機能部18は、それと係合する、遠位方向を向いた装着機能部(図3参照)と協働するように適合される。図2の例示的実施形態では、装着機能部18は、協働する張力付与デバイス(例えば図3の張力付与デバイス50を参照)に繋がって対応する鍵型延長部(例えば図3の鍵型延長部60を参照)と相互作用するように構成された、鍵型開口部の形態を取っている。本開示は、開示される装着機能部の形状及び/又は雄/雌装着機構によって、又はそれに制限されない。例えば、鍵型開口部及び関連する鍵型延長部は、異なる協働形状(例えば、長円形状、楕円形状、多角形形状等)で作製されてもよい。
【0017】
さらに図1図2及び図6を参照すると、係合アセンブリ10は、装着領域12から延び、近位端に(又はその近くに)ラッチングフック22を画定する、たわむことが可能なラッチアーム20を含む。ラッチアーム20は、係合アセンブリ10の装着領域12に対して外側にたわんで、張力付与デバイスに繋がる鍵型延長部(又は他の装着機能部)を装着機能部18に導入することを可能にし、次いで内側にたわむように適合され、それにより、ラッチングフック22が、張力付与デバイスに繋がる関連ラッチング機能部に係合する(例えば図5を参照)。例示的実施形態では、ラッチアーム20は、張力付与デバイスからの係合アセンブリ10の取外しを容易にするために、すなわち張力付与デバイスからの係合アセンブリ10の取外しを可能にするために、装着領域12に対するラッチアーム20の外側へのたわみを容易にする解放突起24をさらに画定してもよい。
【0018】
曲線領域14は、係合アセンブリ10の装着領域12に対して角度が付いている。図1及び図2の例示的実施形態では、曲線領域14は、装着領域12から係合要素16への弓型の遷移を画定する。しかし、本開示は、係合アセンブリ10を参照して説明される固定された曲線によって又はそれに制限されない。例えば、装着領域12から係合要素16への遷移は、装着領域12と係合要素との間の異なる角度向きを可能にし得る機械継手の形態を取ってもよい。よって、機械継手の場合、装着領域12及び係合要素16は、例えば1度の刻みで、一連の事前設定された角度向きで角度調節されてよく、又は二つの事前設定された向きに限定されてもよい(例えば、実質的に直線状の向きと、角度の付いた向き)。装着領域12の長手軸(それに対して装着されると張力付与デバイスの長手軸と概して軸方向に整列する)と、係合要素16の係合面に対して直角の軸との最終角度は、概して約15°~35°の間であるが、述べられる範囲の外側にある代替の角度向きが、本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく実施されてもよい。装着領域(及び張力付与デバイス)と係合要素の角度向きは、一般に、当業者には明らかであるように、張力付与デバイスの軸に沿った所望の解剖学的場所への機器/インプラントの進入線、及び/又は視線を提供するように選択される。
【0019】
図3図4及び図4Aに示されるように、例示的な張力付与デバイス50は、細長いシャフト52と、シャフト52に対して形成又は装着された止め部54と、シャフト52に対して形成又は装着された近位ハンドル56とを含む。細長いシャフト52は、止め部54の遠位方向に延びる鍵型延長部60を画定する。鍵型延長部60は、係合アセンブリ10の装着領域12に画定された鍵型開口部18と係合するように適合される。先に述べたように、装着アセンブリの形状及び/又は全体的設計は、張力付与デバイス50及び係合アセンブリ10のこの例示的な形状/設計に制限されない。そうではなく、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な形状及び取付け機構が用いられてもよい。
【0020】
スライド可能な張力付与アセンブリ58が、細長いシャフト52に対して装着される。外科医/施術者が張力付与アセンブリ58を近位ハンドル56に対して近位方向にスライド/並進させることができるように、把持延長部62が、張力付与アセンブリ58の近位端に(又はその隣に)形成される。ロック機構が、一般に張力付与アセンブリ58に対して動作可能であり、シャフト52に対する所望の位置に張力付与アセンブリ58を取外し可能に固定するために使用されてもよい。図3図4及び図4Aの例示的実施形態では、ロック機構は、ばね69によって付勢され張力付与アセンブリ58に対して上方に延びるボタン64を含む。ばね69の付勢に対抗してボタン64を押すことにより、張力付与アセンブリ58によって画定される内側ラック63に繋がる歯から爪61が外れ、それにより、張力付与アセンブリ58を、シャフト52に対する軸方向の移動のために解放する。ボタン64を解放すると、ばね69の付勢がボタンをその外側静止位置に戻し、爪61を内側ラック63の歯と再度係合させ、それにより、シャフト52に対する張力付与アセンブリ58の位置を着脱可能に固定する。
【0021】
図3図4及び図4Aの例示的実施形態では、インプラント/グラフトに繋がる縫合糸と係合するための把持機構65が設けられ、これは、中央ピン68に対して回転可能なばね内蔵レバーアーム66を含む。延長部表面70は、レバーアーム66と相互作用しながらユーザによって係合されてもよい。レバーアーム66は、張力付与アセンブリ58の内部で縫合糸通過領域を通じて通される縫合糸にもたれかかる内部カム機構を含むか又はそれと相互作用する。溝72は、レバーアーム66とそれに繋がる機構が張力付与アセンブリ58に対して軸方向に移動することを可能にする。レバーアーム/カム機構を付勢するばね(例えば、コイルばね)は、カム機構を付勢して縫合糸通過領域内の縫合糸と固定係合させる。ばね付勢の向きに基づいて、レバーアーム66を手動で回転させることなく、縫合糸を近位方向に引っ張ることが可能である。しかし、縫合糸通過領域を通る遠位方向への移動のために縫合糸を解放するためには、ばね付勢に対抗してレバーアーム66を手動で回転させ、それにより、カム機構による縫合糸の係合を解放し、縫合糸が縫合糸通過領域を通って自由に移動できるようにすることが一般に必要である。よって、カム機構のばね付勢に基づいて、縫合糸は、カム機構を手動で解放することなく近位方向に引かれ得るが、縫合糸が遠位方向に移動するためには、カム機構の手動による解放が必要である(レバーアーム66の回転により)。縫合糸と係合するカム機構の表面は、有利には、カム機構と縫合糸と間の向上した係合を提供するために粗面にされてもよい。
【0022】
張力付与ゲージ67が、張力付与アセンブリ58に繋がる。張力付与ゲージ67は、シャフト52に対する張力付与アセンブリ58の近位方向への動きに対抗して付勢される内部ばね(図示されていない)を含む。外科医/施術者が(把持延長部62との相互作用を通じて)張力付与アセンブリ58を近位方向に引くと、内部ばねが荷重される。ばねが荷重される度合いは、張力付与アセンブリ58の面における標識と相関する(例えば、0、20N、40N、60N)。側部溝72を通して表示71を見ることができ、これにより、外科医/施術者は、靭帯/腱/グラフトが、開示されるアセンブリによって張力が付与されている度合いを測ることができる。相補的な表示/側部溝の組み合わせが、一般に、張力付与アセンブリの反対側に設けられる(図3では見えない)。図3に概略的に描かれた例示的な向きでは、表示71は「0」の標識と合わせされており、それにより、インプラント/グラフトに張力がかかっていないことを示している。インプラント/グラフトに張力がかけられると、表示71は、側部溝73内で位置が変更され、ユーザが加えられている張力のレベルを推定することを可能にする。前述の機構は、本開示によるスライド可能な張力付与アセンブリによってグラフト/インプラントに加えられている張力を測定するための例示的な手段を構成する。
【0023】
図4図5及び図7を参照すると、係合アセンブリ10が、張力付与デバイス50に対して着脱可能に固定された状態で示されている。よって、鍵型延長部60は、係合アセンブリ10の鍵型開口部18の中に位置付けられており、ラッチアーム20のラッチングフック22は、止め部54内に形成されたラッチング段部76と係合している。図4図5及び図7の例示的実施形態では、装着領域12の近位面が止め部54に当接し、それにより、係合アセンブリ10と張力付与デバイス50との間の相互作用にさらなる安定性を与える。本開示は、装着領域12が張力付与デバイスに繋がる構造体(例えば止め部54)に当接する実施形態によって、又はそのような実施形態に制限されない。組み立てられたとき、シャフト52の長手軸は、係合アセンブリ10の係合アセンブリ10の装着領域12によって画定される長手軸と実質的に整列する。しかし、曲線領域14は、シャフト52及び装着領域12の長手軸に対して角度が付いている。その結果、係合要素16によって画定される係合面は、シャフト52及び/又は装着領域12の長手軸に対して直角ではなく、代わりに、曲線領域14と係合アセンブリ10の係合要素16との間の接続領域内で曲線領域14の軸に対して実質的に直角になる。
【0024】
図6及び図7を参照して、係合要素10の構造的設計及び形状がより詳細に説明される。係合要素10は、U字の中央ハブ82から延びる三つの「S字」アーム80a、80b、80cを含む。係合要素10の曲線領域14は、係合要素16の中央ハブ82に接合されている。アーム80aは、ハブ82の第1の脚部82aから延び、アーム80bは、ハブ82の第2の脚部82bから延びている。アーム80cは、ハブ82の弓型領域から延びている。S字アーム80a及び80bは互いの鏡像であり、アーム80cは、他のアームの一つ、この場合はアーム80b、と同じ向きにされている。アーム80a、80bの終端部84a、84bは、互いに当接する離間した位置合わせになっている。アーム80cの終端部84cは、アーム80bのU字ひじ領域86bと離間した関係にある。U字ひじ領域86a、86cは、互いに離間した関係にある。よって、係合要素10の全体的設計は、S字アームの間に三つの隙間、すなわち、アーム80a、80bの終端部84a、84b間の隙間88、アーム80a、80cのひじ86a、86c間の隙間90、及びアーム80cの終端部84cとアーム80bのひじ86bとの間の隙間92、を形成する。隙間88、90、及び92の大きさは等しい必要はないが、そのような隙間は一般に、互いにおよそ/実質的に等しい(例えば、約0.25インチ)。
【0025】
図1図4及び図5で最も明らかであるように、S字アーム80a、80b、80cは、ハブ82に対して径方向外側に延びていると共に、ハブ82に対して遠位方向に延びている。よって、各S字アーム80が、実質的に水平にハブ82から離れる方へ延びるのに従い、それはハブ82に対して遠位方向にも延びている。その結果、側部から見た時(図5に示されるように)、係合要素10は、ハブ82がアーム80a、80b、80cの終端部84a、84b、84cに対して持ち上がった、ドーム形状の構造体を画定している。係合要素16のドーム型形状は、係合要素16が表面と接触させられる時に有利な力吸収機能を提供し、これは、関与する力に応じて、係合要素16が平坦化して(全体が又は部分的に)、そうでなければ表面に与えられる力を吸収することができるためである。係合要素16を作製するのに使用される材料に基づいて、ドーム型形状は概して弾性であり、係合要素16が解剖学的表面と接触させられ、下向きの力が加えられたとき、ドーム型形状は平坦化する。逆に、係合要素16が解剖学的部位から取り除かれる、及び/又は下向きの力が取り除かれると、係合要素16のドーム型形状が再度確立され、すなわち、係合要素16は、その元の形状に(又はその非常に近くに)弾性的に戻る。
【0026】
力を吸収する際の係合要素16の柔軟性は、上記のように、解剖学的対象領域を取り囲む組織の打撲/外傷/挫傷の可能性を最小にする。要求される柔軟性及び弾性を実現する際、係合要素16は、一般に、適切な弾性係数を持つ様々なポリマー又は金属、例えば、アセタール(ポリオキシメチレン)、ナイロン、ポリプロピレン、及び高分子量ポリエチレン(HMWPE)などのポリマー、並びにチタン及びニチノール(ニッケル/チタンの合金)などの金属、から選択される材料から作製される。例えば金属が用いられる例示的実装では、組織との係合に伴う外傷の影響を最小にするために、シリコン又はより柔らかい/低剛性の性質を持つ他の材料のオーバーモールドが企図されてもよい。アーム80a、80b、80cの断面は、一般に、1/32~1/4インチの範囲である。アーム自体の断面は、様々な形態、例えば円形、長円、楕円、矩形等、を取ってもよい。図4及び図6から明らかなように、終端部84a、84b、84cは、アームの残り80a、80b、80cに対して拡大され、それにより、それらの領域内に組織と係合するためのより大きい表面積を提供してもよいが、そのような形状性は、開示される係合アセンブリ16の利益を実現するために必須という訳ではない。
【0027】
使用時、開示される係合アセンブリ16は、鍵型延長部60を鍵型開口部18に入れ、ラッチングフック22を止め部54内のラッチング段部76と係合させることにより、張力付与デバイス50に対して着脱可能に固定される。係合要素16は、図13に示されるように、所望の手術部位に隣接する組織/解剖学的表面「S」に接して配置される。置換靭帯/腱/グラフトの端部は、手術部位から、縫合糸を使用して矢印「A」の方向に引かれ、次いで縫合糸が張力付与デバイス50に対して固定され、すなわち、縫合糸を縫合糸通過領域に通し、縫合糸を、縫合糸通過領域内で、例えば上記で図3を参照して説明したように把持機構65と係合させることにより、固定される。重要な点として、縫合糸は、外科医に知られている様々なパターンでインプラント/グラフト/腱/靭帯の端部に通されてよく、縫合糸の自由端は、その後、インプラント/グラフト/腱/靭帯を臨床的に望ましい場所に位置付けるために使用される。縫合糸の自由端は、上記で説明したように、張力付与デバイスの中に引き込まれる。本開示の装置/システムは、張力固定デバイスがトンネルチャネルのいずれかの側(すなわち、張力付与デバイスの側又は張力付与デバイスの反対側)で、準備された解剖学的構造体を通して挿入されることを可能にする処置で使用されてもよい。
【0028】
外科医/施術者は、(把持延長部62との相互作用を通じて)張力付与アセンブリ58をシャフト52に対して近位方向にスライドすることにより、靭帯/腱/グラフトに張力を付与する。所望の張力(張力付与ゲージ66によって測定される)が達成されたら、張力付与アセンブリ58がシャフト52に対してロックされ、それにより靭帯/腱/グラフトにかかる所望の張力を維持してもよい。重要な点として、張力の印加は、係合要素16が組織に押し付けられる際に、必ず、対象部位に隣接する組織に力を付与する。開示される係合要素16の有利な設計/形状は、そのような力をアーム80a、80b、80cの表面にわたって分散し、ドーム型形状の平坦化を通じてその力の一部を吸収する。このようにして、有利なことに、起こり得るそのような組織の打撲/外傷/挫傷が低減される。
【0029】
図8及び図9に移ると、代替の係合アセンブリ110が描かれている。係合アセンブリ10と同様に、係合アセンブリ110は、装着領域112、曲線領域114、及び係合要素116を含む。しかし、係合要素116の設計/形状は、係合要素16の設計/形状と異なる。係合アセンブリ110は、張力付与アセンブリ、例えば張力付与アセンブリ50に、係合アセンブリ10と同じように着脱可能に装着されるように適合される。よって、係合アセンブリ110は、ラッチングフック122及び解放突起124を画定するラッチアーム120を含む。装着機能部、例えば鍵型開口部(図示されていない)、が装着領域に形成されて、張力付与アセンブリに繋がって協働する装着構造体と協働する。
【0030】
係合要素16に繋がる三つのS字アームと異なり、係合アセンブリ116は、三脚構造体を共に画定する三つの脚部180a、180b、180cを含む。三つの脚部180a、180b、180cは、曲線領域114に対して接合される中央ハブ領域182から、下方及び外側に延びる。各脚部は、ハブ領域182からある距離をおいて各脚部によって当接表面196a、196b、196cが形成されるように、湾曲した形状を画定する。脚部180a、180b、180cは、下向きの力が張力付与デバイスから加えられる(すなわち、靭帯/腱/グラフトに張力が付与される)と、脚部が平坦化し、それによりそのような力を吸収し、下にある組織に分散させるのに十分に柔軟/弾性である。このようにして、係合要素は、組織の打撲/外傷/挫傷の可能性を低減する。力が取り除かれると、脚部180a、180b、180cは、有利なことに、その当初の三脚の向きに(又はその近くに)戻る。係合要素116は、一般に、適切な弾性係数を持つ様々なポリマー又は金属、例えば、アセタール(ポリオキシメチレン)、ナイロン、ポリプロピレン、及び高分子量ポリエチレン(HMWPE)などのポリマー、並びにチタン及びニチノール(ニッケル/チタンの合金)などの金属、から選択される材料から作製される。例えば金属が用いられる例示的実装では、組織との係合に伴う外傷の影響を最小にするために、シリコン又はより柔らかい/低剛性の性質を持つ他の材料のオーバーモールドが企図されてもよい。アーム180a、180b、180cの断面は、一般に、1/32~1/4インチの範囲である。アーム自体の断面は、様々な形態、例えば円形、長円、楕円、矩形等、を取ってもよい。
【0031】
図10に移ると、本開示によるさらなる例示的係合アセンブリ210が描かれている。係合アセンブリ210は、装着領域212、曲線領域214、係合要素216、及びラッチアーム220を含む。係合要素216は、アーム280a、280b、280c(図示されていない)の径方向外向き部分が湾曲しているのではなく、四角になっていること以外は、係合アセンブリ10を参照して説明された係合要素16と同様の設計/形状である。よって、第1/第2/第3のひじ領域は、湾曲した形状を備えても、角張った形状を備えてもよい。すべての他の点において、係合アセンブリ210は係合アセンブリ10と同じである。
【0032】
図11及び図12を参照すると、本開示によるさらなる例示的係合アセンブリ310が描かれている。係合アセンブリ310は、装着領域312、曲線領域314、係合要素316、及びラッチアーム320を含む。係合要素316は、三つの三脚部180a、180b、180cが、へら形状の組織当接領域を画定する2対の脚部380a、380b、及び380c、380dに置き換えられていること以外は、係合アセンブリ110を参照して説明された係合要素116と同様の設計/形状である。重要な点として、脚部380a、380bの長さは、脚部380c、380dの長さよりも大きい。脚部の対同士の関係は、所望の結果を達成する際に変動/調節されてよく、例えば、へらの幅が変動されてよく、へらの厚みが変動されてよく、へら領域の間隔が変動されてもよい等である。2対の脚部380a、380b、及び380c、380dの導入を除き、係合アセンブリ310は、すべての他の点において係合アセンブリ110と同じである。
【0033】
図14図16A図16B、及び図18に移ると、代替のインプラント処置、例えばACL置換処置、で使用するための代替のグラフト張力付与デバイス/係合アセンブリが概略的に描かれている。グラフト張力付与デバイス400は、係合アセンブリ410に対して着脱可能に取り付けられる。係合機構420は、例えば図1及び図2を参照して上記で説明されたような構造体及び機能を含む。グラフト張力付与デバイス400は、細長いシャフト452、近位ハンドル456、及びスライド可能な張力付与アセンブリ458を含む。ロック機構が設けられ、これは、図4及び図4Aを参照して上記で説明したように、張力付与アセンブリ458に繋がる内部ラックとの係合から爪を外すように動作する、ばねで付勢されるボタン464を含む。
【0034】
グラフト張力付与デバイス400は、スライド可能な張力付与アセンブリ458に対して装着される直立した縫合糸保持構造体470を含む。縫合糸保持構造体470は、中央支持体476の両側に離間した縫合糸チャネル472、474の対を含む。縫合糸チャネル472、474は、内側側壁及び外側側壁を境界とする中央領域472a、474aを画定する。中央領域472a、474aは、一般に、その周りへの縫合糸の巻き付けを容易にする円形の縫合糸係合表面を画定する。縫合糸チャネル472、474は、中央支持体476に対して角度向きが付けられてよく、それにより、縫合糸チャネル472、474の上部領域が、縫合糸チャネル472、474の下部領域と比べて中央支持体476からさらに離される。角度向きは、角度のない向きに対して5°~10°程度であってもよい。
【0035】
縫合糸保持構造体470は、一般に、中央支持体476の軸に対して回転可能である。このように、縫合糸チャネル472及び縫合糸チャネル474は、縫合糸チャネル472、474に巻き付けられた縫合糸によってそれぞれ及ぼされる力のバランスを取る、患者に対する位置を取ってもよい。保持構造体470の回転可能な又は旋回運動は一般に、保持構造体470と張力付与アセンブリ458との間に、回転可能な装着機構(図示されていない)、例えば、玉軸受機構、回転可能な連結機構等、を設けることによって可能にされる。回転可能な装着機構は、保持構造体の回転を所望の角度範囲内、例えば、シャフト452に直角の軸に対して30°未満、上記の直角の軸に対して15°未満などに制限する、一つ以上の止め部を含んでよい。
【0036】
上で述べたように、係合アセンブリ410は、グラフト張力付与デバイス400に対して着脱可能に装着される。係合アセンブリ410は、中央チャネル領域415の両側に第1及び第2の組織係合表面412、414を含む。重要な点として、中央チャネル領域415は、臨床使用時にインプラント領域が配置され得る自由空間を組織係合表面412、414の間に画定する。組織係合表面412、414の各々は、係合アセンブリ410を所望の解剖学的場所に対して着脱可能に固定するための固定要素416a、416b、418a、418b、例えばねじ、を受けるための複数の離間した孔を含む。対向する案内アーム422、424は、係合アセンブリ410によって画定され、縫合糸をインプラント領域から縫合糸保持構造体470へと離間した/制御された方式で渡すために使用されてもよい。
【0037】
係合アセンブリ410は、中央チャネル領域415について弓型の遷移を画定する曲線領域426を含む。前に説明された曲線領域と同様に、曲線領域426は一般に、グラフト張力付与デバイス400の軸とインプラント領域によって画定される平面との間に、約15°~35°の合計角度向きを画定するが、述べられる範囲の外側にある代替の角度向きが、本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく実施されてもよい。
【0038】
図15図17A及び図17Bに移ると、代替のインプラント処置、例えばACL置換処置、で使用するためのさらなる代替のグラフト張力付与デバイス/係合アセンブリが概略的に描かれている。グラフト張力付与デバイス500は、係合アセンブリ510に対して着脱可能に固定される。係合アセンブリ510は、例えば図1及び図2を参照して上記で説明されたような構造体及び機能を含む。グラフト張力付与デバイス500は、細長いシャフト552、近位ハンドル556、及びスライド可能な張力付与アセンブリ558を含む。ロック機構が設けられ、これは、図4及び図4Aを参照して上記で説明したように、張力付与アセンブリ558に繋がる内部ラックとの係合から爪を外すように動作する、ばねで付勢されるボタン564を含む。
【0039】
グラフト張力付与デバイス500は、スライド可能な張力付与アセンブリ558に対して装着される、直立した縫合糸保持構造体570(上記の縫合糸保持構造体470に対応する)を含む。縫合糸保持構造体570は、中央支持体576の両側に離間した縫合糸チャネル572、574の対を含む。縫合糸チャネル572、574は、内側側壁572b、574b及び外側側壁572c、574cを境界とする中央領域572a、574aを画定する。中央領域572a、574aは、一般に、その周りへの縫合糸の巻き付けを容易にする円形の縫合糸係合表面を画定する。縫合糸チャネル572、574は、中央支持体576に対して角度向きが付けられてよく、それにより、縫合糸チャネル572、574の上部領域が、縫合糸チャネル572、574の下部領域と比べて中央支持体576からさらに離される。角度向きは、角度のない向きに対して5°~10°程度であってもよい。
【0040】
縫合糸保持構造体570は、一般に、中央支持体576の軸に対して回転可能である。このようにして、縫合糸チャネル572及び縫合糸チャネル574は、縫合糸チャネル572、574に巻き付けられた縫合糸によってそれぞれ及ぼされる力のバランスを取る、患者に対する位置を取ってもよい。保持構造体570の回転可能な又は旋回運動は一般に、保持構造体570と張力付与アセンブリ558との間に、回転可能な装着機構(図示されていない)、例えば、玉軸受機構、回転可能な連結機構等、を設けることによって可能にされる。回転可能な装着機構は、保持構造体の回転を所望の角度範囲、例えばシャフト552に直角な軸に対して30°未満、上記の直角の軸に対して15°未満などに制限する一つ以上の止め部を含んでよい。
【0041】
上記で述べたように、係合アセンブリ510は、グラフト張力付与デバイス500に対して着脱可能に装着される。係合アセンブリ510は、中央チャネル領域515の両側に第1及び第2の組織係合表面512、514を含む。中央チャネル領域515は、臨床使用時にインプラント領域が配置され得る自由空間を組織係合表面512、514の間に画定する。組織係合表面512、514の各々は、係合アセンブリ510を所望の解剖学的場所に対して着脱可能に固定するための固定要素516a、516b、518a、518b、例えばねじ、を受けるための複数の離間した孔を含む。係合アセンブリ510は、中央チャネル領域515の第1の側にある第1の案内アーム522、及び中央チャネル領域515の反対側にある第2の案内アーム524を含む。第2の案内アーム524は、そこを通る縫合糸を制御された形で係合させるためのフック領域525を画定する。よって、第1及び第2の案内アーム522、524は、縫合糸をインプラント領域から縫合糸保持構造体470へと離間した/制御された方式で渡すために使用されてもよい。
【0042】
図19に示されるように、縫合糸S1及びS2は、保持構造体570及び係合アセンブリ510と係合して、バランスの取れた張力をシステムに加える。
【0043】
係合アセンブリ510は、中央チャネル領域515について弓型の遷移を画定する曲線領域526を含む。前に説明された曲線領域と同様に、曲線領域526は、一般に、グラフト張力付与デバイス500の軸とインプラント領域によって画定される平面との間に、約15°~35°の合計角度向きを画定するが、述べられる範囲の外側にある代替の角度向きが、本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく実施されてもよい。
【0044】
図19~23は、膝「K」に対して装着されたグラフト張力付与デバイス500及び係合アセンブリ510の様々な図を示す(図は膝の部分の「モデル」を使用している)。係合アセンブリ510は、四つのねじで膝に対して着脱可能に固定される。係合アセンブリ510の中央チャネル領域は、インプラント領域に開口している。インプラント(S1及びS2)に対して固定されている縫合糸は、第1及び第2の案内アーム(案内アームの一方によって画定されるフック領域を含む)により、スライド可能な張力付与アセンブリに対して回転可能に装着されている縫合糸保持構造体に対して近位方向に案内される。図23で最もよく見えるように、縫合糸保持構造体は、その各側に固定されている縫合糸に加えられる力のバランスを取るように、自在に回転/旋回することができる。このようにして、インプラントが手術部位に対して位置付けられるとき、バランスの取れた力がインプラントに加えられ得る。
【0045】
重要な点として、本明細書に開示される様々な係合アセンブリは、交換可能に使用されてもよい。実際、外科医/施術者は、必要な場合、任意の時に、例えば外科的処置中に、開示される係合アセンブリの一つを、開示される係合アセンブリの別のものの代わりに使用してもよい。よって、特定の処置の解剖学的性質が係合アセンブリ10の設計/形状により適する場合、外科医/施術者は、以前に選択された係合アセンブリ、例えば係合アセンブリ110又は係合アセンブリ210又は係合アセンブリ310、を容易に取り外し/取り除き、代わりに係合アセンブリ10を使用することができる。加えて、足の中のインプラントに特に適する係合アセンブリが、膝の中のインプラントに特に適する係合アセンブリに置換され、それにより、開示されるデバイス及びシステムの柔軟性及びモジュール性をさらに高めてもよい。開示される係合アセンブリのモジュール式の代用性は、開示されるデバイス、システム及び方法の有効性をこのように大きく高める。
【0046】
本開示は例示的実施形態を参照して説明されたが、本開示はそのような例示的実施形態によって又はそれに制限されない。そうではなく、本開示のデバイス、システム、及び方法は、本発明の趣旨又は範囲から逸脱することなく様々な改良、変更、及び強化を受けることが可能である。
図1
図2
図3
図4
図4A
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16A
図16B
図17A
図17B
図18
図19
図20
図21
図22
図23
【国際調査報告】