(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-01
(54)【発明の名称】光安定性試験のための試験チャンバ
(51)【国際特許分類】
G01N 17/00 20060101AFI20240222BHJP
【FI】
G01N17/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553569
(86)(22)【出願日】2022-03-04
(85)【翻訳文提出日】2023-09-04
(86)【国際出願番号】 EP2022055613
(87)【国際公開番号】W WO2022184913
(87)【国際公開日】2022-09-09
(32)【優先日】2021-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391003864
【氏名又は名称】ロンザ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LONZA LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】レーア・ソレ
(72)【発明者】
【氏名】アハメド・ベシアー
(72)【発明者】
【氏名】マクシミリアン・ウォスニフスキー
(72)【発明者】
【氏名】マルティン・フォクト
【テーマコード(参考)】
2G050
【Fターム(参考)】
2G050AA02
2G050BA05
2G050BA09
2G050CA02
2G050EA03
2G050EA05
2G050EC01
(57)【要約】
本開示は、光安定性試験チャンバにおける使用のための紫外線フィルタ、特に、光曝露試験中に空気換気及び試料レベルでの所望の温度の維持を可能にするように設計されたフィルタを提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光安定性試験チャンバ(200)であって、
a.頂面(206)、底面(302)、及び2つの対向する側壁(308、310)を有する、内部チャンバと、
b.前記頂面(206)上に位置する光源(202)と、
c.前記底面(302)の上方に位置決めされる試料プラットフォーム(204)と、
d.フィルタ(100)であって、
i.前記光安定性チャンバ(200)の水平断面に広がるように構成された第1の平面構造(102)と、
ii.前記第1の平面構造(102)の第1の縁部(150)から離間され、前記第1の平面構造(102)の下面から延在する第1のバッフル(104)と、
iii.前記第1の平面構造(102)の第2の縁部(152)から離間され、前記第1の平面構造(102)の前記下面から延在する第2のバッフル(106)であって、
前記第1の縁部(150)及び前記第2の縁部(152)は、前記第1の平面構造(102)の対向する縁部である、第2のバッフル(106)と、
iv.前記第1の縁部(150)と前記第1のバッフル(104)との間に位置する前記第1の平面構造(102)における第1の貫通開口部(108)と、
v.前記第2の縁部(152)と前記第2のバッフル(106)との間に位置する前記第1の平面構造(102)における第2の貫通開口部(110)と、を備え、
前記フィルタ(100)は、前記光安定性チャンバ(200)内に懸架するように構成され、前記第1の平面構造(102)は、紫外線の透過率を少なくとも30%に制限するポリマーを含み、
e.前記フィルタ(100)は、前記試料プラットフォーム(204)の上方少なくとも6cmに、かつ前記光源(202)の下方に位置決めされ、前記フィルタ(100)は、前記2つの対向する側壁(308、310)上の内部ねじ(314)によって支持される、フィルタ(100)と、
f.第1の側壁(308)における空気入口ベント(304)と、
g.第2の側壁(310)における空気出口ベント(306)と、を備え、
前記フィルタ(100)の前記第1のバッフル(104)は、空気流を、前記空気入口ベント(304)から、
前記第1の貫通開口部(108)を通り、前記第1の平面構造(102)を横切り、かつ前記第2の貫通開口部(110)を通り、
また、前記フィルタ(100)の下方で試料領域内に、及び前記空気出口ベント(306)の外に方向付けるように構成されている、光安定性試験チャンバ(200)。
【請求項2】
前記フィルタ(100)は、前記対向する側壁(308、310)に固定的に取り付けられていない、請求項1に記載の光安定性試験チャンバ。
【請求項3】
前記第1のバッフル(104)及び前記第2のバッフル(106)は、前記フィルタ(100)の上方及び下方に前記空気流を分配するのを助ける、請求項1に記載の光安定性試験チャンバ。
【請求項4】
前記光源(202)は、紫外線及び可視光を放出する、請求項1に記載の光安定性試験チャンバ。
【請求項5】
前記試料プラットフォーム(204)は、金属ラック又は金属プレートである、請求項1に記載の光安定性試験チャンバ。
【請求項6】
前記フィルタ(100)は、前記試料プラットフォーム(204)に到達することから、前記光源からの紫外線の透過率を少なくとも50%に制限する、請求項1に記載の光安定性試験チャンバ。
【請求項7】
照射強度センサ(312)を更に備える、請求項1に記載の光安定性試験チャンバ。
【請求項8】
前記フィルタ(100)は、前記光源の下方20cmに位置決めされる、請求項1に記載の光安定性試験チャンバ。
【請求項9】
前記フィルタ(100)は、前記試料プラットフォーム(204)の上方約9cm~約12cmに位置決めされる、光安定性試験チャンバ又は請求項1。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の光安定性試験チャンバにおける使用のためのフィルタであって、
a.前記光安定性チャンバ(200)の水平断面に広がるように構成された第1の平面構造(102)と、
b.前記第1の平面構造(102)の第1の縁部(150)から離間され、前記第1の平面構造(102)の下面から延在する第1のバッフル(104)と、
c.前記第1の平面構造(102)の第2の縁部(152)から離間され、前記第1の平面構造(120)の前記下面から延在する第2のバッフル(106)であって、
前記第1の縁部(150)及び前記第2の縁部(152)は、前記第1の平面構造(102)の対向する縁部(150、152)である、第2のバッフル(106)と、
d.前記第1の縁部(150)と前記第1のバッフル(104)との間に位置する前記第1の平面構造(102)における第1の貫通開口部(108)と、
e.前記第2の縁部(152)と前記第2のバッフル(106)との間に位置する前記第1の平面構造(102)における第2の貫通開口部(110)と、を備え、
前記フィルタは、前記光安定性チャンバ(200)内に懸架するように構成され、前記第1の平面構造(102)は、紫外線の透過率を少なくとも30%に制限するポリマーを含む、フィルタ。
【請求項11】
前記第1の縁部(150)及び前記第2の縁部(152)は、平行である、請求項10に記載のフィルタ。
【請求項12】
前記ポリマーは、紫外線の透過率を少なくとも50%に制限する、請求項10に記載のフィルタ。
【請求項13】
前記第1のバッフル(104)は、前記第2のバッフル(106)の下方に延在する、請求項10に記載のフィルタ。
【請求項14】
前記第1の縁部(150)は、前記第1の平面構造(102)の下方に延在する支持レッジ(316)を更に備える、請求項10に記載のフィルタ。
【請求項15】
前記第1の平面構造(102)は、約30cm~約50cmの長さ、及び約25cm~約40cmの幅を有する、請求項10に記載のフィルタ。
【請求項16】
化合物を紫外線及び可視光に曝露する方法であって、
a.請求項1に記載の光安定性試験チャンバ(200)の試料プラットフォーム(204)上に前記化合物を位置決めすることと、
b.単一の光源からの紫外線及び可視光に前記化合物を曝露することと、を含み、
前記紫外線及び可視光は、請求項10に記載のフィルタ(100)を通過し、前記紫外線は、前記化合物に到達する前に濾過される、方法。
【請求項17】
前記フィルタの上方の温度は、約5℃~約40℃に維持される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記化合物は、少なくとも約200W*h/m
2の紫外線に曝露される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記化合物は、少なくとも約120万Lux*hの可視光に曝露される、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記化合物は、少なくとも約120万Lux*hの可視光に曝露されるが、約500W*h/m
2を上回らない紫外線に曝露される、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光安定性試験チャンバにおける使用のための透過紫外線の量を制限するフィルタを提供する。本フィルタは、薬剤製品の安定性試験中に可視光及び紫外線のより一貫した適用を可能にする。
【背景技術】
【0002】
US2008/169428(A1)は、UV照射源及び筐体が配列されるチャンバを備えるデバイスを開示しており、筐体は、標本を取り付けるための底壁と、底壁に面するUV照射フィルタと、底壁とUV照射フィルタとを相互接続する複数の側壁と、を備える。
【0003】
生物学的材料及び薬学的薬剤の取り扱い、輸送、管理、及び保管中、光、温度、湿度などの物理的及び環境的条件は、材料の組成に劣化作用を及ぼす可能性がある。したがって、これらの事象中、薬剤の安全性及び有効性を確保するために、薬剤製品の光安定性試験を実行する必要がある。
【0004】
光安定性試験の要件は、Stability Testing of New Drug Substances and Products Q1Bガイドラインに関するICH Harmonized Tripartiteガイドラインによって判定される。ICHガイドラインは、新たな薬学的薬剤物質及び薬剤製品の光安定性試験研究のための指示を提供し、これらの新たな薬剤のグローバル市場への参入のために義務的である。
【0005】
現在の最小ICH要件は、光安定性試験中に紫外線(UV)範囲においてほぼ3倍の過剰曝露をもたらす。このUV光の過剰曝露は、薬剤の組成において著しい劣化を引き起こす可能性があり、UV範囲における不必要な過剰曝露を低減する光安定性試験方法の必要性を生じる。光曝露が市販されている薬剤物質及び薬剤製品における許容不能な変化につながらないようにするために、紫外線の過剰曝露を防止する方法又は構造が、必要とされる。
【発明の概要】
【0006】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるのは、光安定性試験チャンバにおける使用のためのフィルタであって、フィルタは、光安定性チャンバの水平断面に広がるように構成された第1の平面構造と、第1の平面構造の第1の縁部から離間され、第1の平面構造の下面から延在する第1のバッフルと、第1の平面構造の第2の縁部から離間され、第1の平面構造の下面から延在する第2のバッフルであって、第1の縁部及び第2の縁部は、第1の平面構造の対向する縁部である、第2のバッフルと、第1の縁部と第1のバッフルとの間に位置する第1の平面構造における第1の貫通開口部と、第2の縁部と第2のバッフルとの間に位置する第1の平面構造における第2の貫通開口部と、を備え、フィルタは、光安定性チャンバ内に懸架するように構成され、第1の平面構造は、紫外線の透過率を少なくとも30%に制限するポリマーを含む、フィルタである。
【0007】
追加の実施形態では、本明細書に提供されるのは、光安定性試験チャンバであって、頂面、底面、及び2つの対向する側壁を有する、内部チャンバと、頂面上に位置する光源と、底面の上方に位置決めされる試料プラットフォームと、本明細書に記載されるフィルタであって、試料プラットフォームの上方少なくとも6cmに、かつ光源の下方に位置決めされ、フィルタは、2つの対向する側壁上の内部ねじによって支持される、フィルタと、第1の側壁における空気入口ベントと、第2の側壁における空気出口ベントと、を備え、フィルタの第1のバッフルは、空気流を、空気入口ベントから、第1の貫通開口部を通り、第1の平面構造を横切り、かつ第2の貫通開口部を通り、また、フィルタの下方で試料領域内に、及び空気出口ベントの外に、方向付けるように構成されている、光安定性試験チャンバである。
【0008】
本開示はまた、化合物を紫外線及び可視光に曝露する方法であって、本発明の光安定性試験チャンバの試料プラットフォーム上に化合物を位置決めすることと、単一の光源からの紫外線及び可視光に化合物を曝露することと、を含み、紫外線及び可視光は、本明細書に記載されるフィルタを通過し、紫外線は、化合物に到達する前に濾過される、方法を対象とする。追加の試料はまた、フィルタの下方とフィルタの上方の試料を同時に比較するために、フィルタ自体に配置され得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本明細書に記載される、光安定性チャンバにおける使用のためのフィルタを示す。
【
図2】本明細書に記載される、光安定性試験チャンバの概要を示す。
【
図3-1】
図3A~
図3Cは、本明細書に記載される、光安定性試験チャンバの内部図を示す。
【
図4】光安定性チャンバ設計の試料及びフィルタレベルでの温度を示す。1)フィルタなし、2)設計II:平坦なアクリルアミドの紫外線フィルタ、及び3)設計III:光安定性チャンバの中に温度制御のために貫通開口部及びバッフルが加えられる。
【
図5】光安定性試験チャンバにおける試料の光曝露試験の実験セットアップを示す。試料バイアルS及び被覆バイアル(暗対照(DC))は、試料ラック上に配置される。外部温度及び紫外線曝露は、試料レベルで配置されるメータETUMによって各々測定される。外部温度プローブは、
図5には示されていない。
【
図6A】UV-vis(紫外-可視)分光法によって測定された、モデル分子の濃度に対する光曝露の影響を示す。
図6Aは、最も過酷なUV曝露条件(UV光について3倍ICH最小要件、又は1200Wh/m
2UV曝露及び可視光曝露における360万ルクス時間)後の、アルブミン及びmAb IVについて不溶性凝集体における含有量の損失を示す。
【
図6B】UV-vis(紫外-可視)分光法によって測定された、モデル分子の濃度に対する光曝露の影響を示す。
図6Bは、追加されるUVフィルタ(可視光、無視できるUV光の360万ルクス時間の曝露)を有する光安定性チャンバにおいて試験される全ての分子について、タンパク質含有量の損失が観察されないことを示す。
【
図7A】サイズ排除-高性能液体クロマトグラフィー(SE-HPLC)によって測定されたモデル分子に対する光曝露の影響を表示する。
図7Aは、UV光についての3倍ICH最小要件(1200Wh/m
2のUV照射及び可視光曝露の360万ルクス時間)までのUV及び可視光条件に曝露されるときに、選択される分子についての主ピークにおける損失を示し、試料純度の低下を示す。
【
図7B】サイズ排除-高性能液体クロマトグラフィー(SE-HPLC)によって測定されたモデル分子に対する光曝露の影響を表示する。
図7Bは、SE-HPLCによって測定されたモデル分子の試料純度に対する可視光曝露(可視光の360万ルクス時間曝露、UVフィルタの存在による無視できるUV光)の影響を示す。純度における関連する変化は、可視光曝露のみでは観察されない。
【
図8A】異なる実験パラメータに対するUVフィルタの影響を表示する。
図8Aは、試料レベルでの測定された照射レベルに対するUVフィルタの影響を示す。フィルタを使用するときに、UV照射において98%を上回る減少が観察された。
【
図8B】異なる実験パラメータに対するUVフィルタの影響を表示する。
図8Bは、試料プラットフォーム上の試料のレベルで測定された温度に対するUVフィルタの大きな影響を示す。示されるように、フィルタの有無にかかわらず、チャンバにおいて測定された温度に差はなかった。
【発明を実施するための形態】
【0010】
高品質かつ妥協のない薬剤製品の製造及び流通は、光曝露が製品の完全性に及ぼす大きな影響を効果的に測定する光安定性試験手順を必要とする。最小曝露について現行のICH Q1Bガイドラインは、120万ルクス時間(可視範囲400~800nm)を上回り、かつ200W*時間/m2(UV範囲320~400nm)を上回ることを必要とする。これらの光安定性試験要件は、両方の波長範囲について単一の光源を利用するときに、可視領域における最小曝露要件についてICH Q1Bガイドラインに従うとき、紫外線への過剰曝露が200%を超えることになるため、特に困難であった。UV光への過剰曝露の条件では、タンパク質は、紫外線を吸収し、エネルギーは、タンパク質構造の潜在的な分解につながる光化学経路に沿って渡され、薬剤製品の安全性及び有効性が損なわれることにつながる。
【0011】
現時点で、単一の光源は、UV範囲における過剰曝露を引き起こすことなく、規制要件によって要求される同時UV曝露レベルと可視曝露レベルの組み合わせを提供するものではない。この制限のために、ICHガイドラインのオプション2は、しばしば使用され、2つの別々の実験セットアップが実行される必要があり、各々が異なる光源を持ち、1つはUV光のみを放出し、もう1つは可視光のみを放出する。このセットアップは、必要とされる潜在的な代表的材料、時間、及びリソースの制限のために、あまり理想的ではない。したがって、ICH Q1B要件を満たす、UV光及び可視光への同時曝露を可能にする光安定性試験方法及び装置について大きな必要性がある。
【0012】
試験チャンバ内に抗UVフィルタを追加することは、チャンバの温度に関する潜在的な問題、並びにフィルタ材料の潜在的な老化、及び可視範囲における透過率の減少を提起する。UV光源によって発生する熱の増加によって引き起こされる温度の上昇のために、光安定性機器は、通常、特定の範囲において温度を制御するための空冷システムを備えている。本開示は、制御される温度環境における光ストレステストの規制要件を可能にするために、光安定性試験チャンバ内の可視光の通過を可能にしながら、UV光を濾過するフィルタ及び方法を提供する。
【0013】
実施形態では、本明細書に提供されるのは、光安定性チャンバにおける使用のためのフィルタである。
図1は、光安定性チャンバの水平断面に広がるように構成された第1の平面構造102を含む例示的なフィルタ100を示す。
図2は、フィルタが水平断面(すなわち、チャンバの幅)にどのように広がるのかを例証する、光安定性チャンバ200内のフィルタ100の配置を示す。
図3Aは、フィルタ100がチャンバの内部の断面に広がっている状態の、光安定性チャンバ200の内部内の追加の図を示す。
【0014】
図1に示されるように、実施形態では、フィルタ100は、第1の平面構造102の第1の縁部から離間され、第1の平面構造102の下面から延在する第1のバッフル104を含む。本明細書で使用される場合、「バッフル」は、第1の平面構造102の下方に延在する、フィルタ100と同じ材料の好適な固体構造を指す。バッフルは、フィルタ100、特に第1の平面構造102と同じ材料から形成することができ(すなわち、成形プロセスにおいて)、又は接着剤、粘着剤、溶接、ねじ、様々な舌機構及び溝機構などを介して、平面構造102に構造的に取り付けることができる。
図3Aは、光安定性チャンバ200の内部内の第1のバッフル104の別の図を提供する。本明細書で使用される場合、「平面構造」は、実質的に平坦な、矩形の、又は正方形形状の(他の形状も使用することができるが)、好適には約1mm~約5cm、より好適には約10mm~約1cm、又は約10mm~約0.5cm程度の厚さを有するフィルタ要素を指す。
【0015】
図1に示されるように、実施形態では、フィルタ100は、第1の平面構造102の第2の縁部から離間され、第1の平面構造102の下面から延在する第2のバッフル106を含み、第1の縁部(150)及び第2の縁部(152)は、平行であり、第1の平面構造の対向する縁部である。第2のバッフル106はまた、
図3Aにおいて、光安定性チャンバ200の内部内で見ることができる。
【0016】
図1に示されるように、実施形態では、フィルタ100は、第1の縁部と第1のバッフル104との間に位置する第1の平面構造102における第1の貫通開口部108を含む。本明細書で使用される場合、「貫通開口部」は、第1の平面構造102を完全に貫通して切り取られる穴を指す。貫通開口部は、第1の縁部と第1のバッフル104との間の異なる形状、長さ、及び幅の穴を含む第1の平面構造102において、単一の穴若しくは複数の穴として、又は連続的若しくは破れたスリットとして切り取ることができる。第1の貫通開口部108の追加の図は、光安定性チャンバ200の内部の
図3Aに示されている。
【0017】
図1に示されるように、実施形態では、フィルタ100は、第2の縁部と第2のバッフル106との間に位置する第1の平面構造102における第2の貫通開口部110を含む。第2の貫通開口部110は、
図3Aにおいて光安定性チャンバの内部内に示される。
【0018】
図3Aに示されるように、実施形態では、フィルタ100の第1の縁部は、第1の平面構造102の下方に延在する支持レッジ316を更に備える。本明細書で使用される場合、「支持レッジ」は、フィルタ100の第1の縁部での第1の平面構造102の下面からの固体延長を指す。支持レッジは、フィルタ100と同じ材料から形成することができ、又は接着剤、粘着剤、溶接、ねじ、様々な舌機構、及び溝機構などを介して、平面構造102に構造的に取り付けることができる。
【0019】
実施形態では、第1の平面構造102は、好適には、約20cm~約50cmの長さ、及び約25cm~約50cmの幅を有し、紫外線の透過率を少なくとも30%に制限するポリマーを含む。追加の実施形態では、第1の平面構造102の長さは、約25cm~約40cm、又は約30cmであることができ、幅は、約35cm~約45cm、又は約30cmであることができる。追加の実施形態では、第1の平面構造102の長さは、約30cm~約45cm、又は約35cmであることができ、幅は、約40cm~約50cm、又は約35cmであることができる。追加の実施形態では、第1の平面構造102の長さは、約35cm~約50cm、又は約40cmであることができ、幅は、約45cm~約55cm、又は約40cmであることができる。追加の実施形態では、第1の平面構造102の長さは、約40cm~約55cm、又は約45cmであることができ、幅は、約50cm~約60cm、又は約45cmであることができる。追加の実施形態では、第1の平面構造102の長さは、約45cm~約60cm、又は約50cmであることができ、幅は、約55cm~約65cm、又は約50cmであることができる。追加の実施形態では、第1の平面構造102の長さは、約50cm~約65cm、又は約55cmであることができ、幅は、約60cm~約70cm、又は約65cmであることができる。追加の実施形態では、第1の平面構造102の長さは、約55cm~約70cm、又は約60cmであることができ、幅は、約65cm~約75cm又は約70cmであることができる。追加の実施形態では、第1の平面構造102の長さは、約60cm~約75cm、又は約65cmであることができ、幅は、約70cm~約80cm、又は約75cmであることができる。追加の実施形態では、第1の平面構造102の長さは、約65cm~約80cm、又は約70cmであることができ、幅は、約75cm~約85cm、又は約70cmであることができる。追加の実施形態では、第1の平面構造102の長さは、約70cm~約85cm、又は約75cmであることができ、幅は、約80cm~約90cm、又は約85cmであることができる。追加の実施形態では、第1の平面構造102の長さは、約75cm~約90cm、又は約80cmであることができ、幅は、約85cm~約95cm、又は約90cmであることができる。
【0020】
実施形態では、本明細書に提供される、第1の平面構造102は、本明細書に提供される寸法を含む、配置されるように構成されている光安定性チャンバの内部に適切に広がる幅及び長さの寸法を有する。
【0021】
実施形態では、本明細書に提供されるのは、ポリマーが紫外線の透過率を少なくとも50%に制限する、フィルタ100である。更なる実施形態では、フィルタ100のポリマーは、紫外線の透過率を少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は紫外線の透過率を約50%~約95%、約60%~約95%、約70%~約95%、若しくは約80%~約95%に制限する。紫外線の透過率を所望のパーセント(%)に制限することは、UV透過率(例えば、W*時間/m2)の測定値がそのパーセント量だけ減少することを示す。
【0022】
所望のUV光濾過を提供するフィルタ100における使用のための例示的な材料は、様々なガラス及びポリマーを含み、好適にはアクリルアミドを含む。フィルタ100において使用することができる追加の材料は、酢酸塩と、様々なアクリルと、を含む。その中に分散されたUVフィルタリング材料を含むガラス材料も使用することができる。
【0023】
更なる実施形態では、本明細書に提供されるのは、薬剤製品のUV及び可視光試験における使用のための光安定性チャンバである。
図2は、頂面206、底面302、並びに第1のチャンバ側壁308及び第2のチャンバ側壁310(
図3を参照)を有する内側チャンバを有する例示的な光安定性チャンバ200を示す。本明細書で使用される場合、「頂面」は、光安定性試験チャンバ200の水平最上部セクションに広がっている固体構造を指す。本明細書で使用される場合、「底面」は、光安定性試験チャンバ200の水平基部に広がっている固体構造を指す。本明細書で使用される場合、「チャンバ側壁」は、光安定性チャンバ200の頂面と底面との間(すなわち、チャンバの高さ)に垂直に広がる筐体を指す。
【0024】
図2に示されるように、実施形態では、光安定性チャンバ200は、頂面206に位置する光源202を含む。本明細書で使用される場合、「光源」は、頂面206から光安定性チャンバ200の内部にUV光及び可視光の両方を放出する機器を指す。
【0025】
図2に示されるように、実施形態では、光安定性チャンバ200は、底面の上方に位置決めされる試料プラットフォーム204を含む。本明細書で使用される場合、「試料プラットフォーム」は、試料が試験のために配置することができる光安定性チャンバ200の底面の上方に上昇される追加の表面を指す。試料プラットフォームは、固体表面、金属ラック、又はグリッドであることができる。
【0026】
図3Aに示されるように、実施形態では、フィルタ100は、光安定性チャンバ200内の内部ねじ314上に懸架されるように構成されている。本明細書で使用される場合、「内部ねじ」は、第1のチャンバ側壁308若しくは第2のチャンバ側壁310内に挿入されるか、又はその上にある締結具を指す。内部ねじ314は、穴あけ、接着剤、及び他の粘着剤によって、チャンバ側壁内に、又は側方に取り付けることができる。光安定性チャンバ200内の他の支持体はまた、チャンバの寸法に広がるフィルタ100を支持するために使用することができる。
【0027】
実施形態では、光安定性チャンバ200は、試料プラットフォーム204の上方少なくとも6cm、光源202の下方20cmに位置決めされるフィルタ100を含み、フィルタ100は、第1のチャンバ側壁308及び第2のチャンバ側壁310上の内部ねじ314によって支持される。追加の空間関係はまた、例えば、光源の下方約15cm~30cmの距離を維持しながら、試料プラットフォームの上方3cm~20cm、又は試料プラットフォームの上方5cm~10cmにフィルタを置くために使用することができる。
【0028】
図3Aに示されるように、実施形態では、光安定性チャンバ200は、第1の側壁チャンバ308における空気入口ベント304を含む。本明細書で使用される場合、「空気入口ベント」は、空気又は気体が光安定性チャンバ200内に通過する、第1の側壁チャンバ308における開口部を指す。空気入口304を詳しく見ると、空気流の方向(in)を含む、空気入口304を通る光安定性チャンバ200の通気を示す
図3Bに見ることができる。空気入口は、光安定性チャンバの温度を所望の範囲に維持するために空気を提供するために使用され、試料上の様々な条件を試験するために所望に応じて温度を上昇又は下降させることを可能にする。
【0029】
図3Aに示されるように、実施形態では、光安定性チャンバ200は、第2の側壁310における空気出口ベント306を含む。本明細書で使用される場合、「空気出口ベント」は、光安定性チャンバ200内で循環する空気又は気体液体がチャンバから外に通過する、第2の側壁チャンバ310における開口部を指す。空気出口306の追加の図は、空気流が光安定性チャンバ200から排出される
図3Cに示されている。
【0030】
図3Aに示されるように、実施形態では、光安定性チャンバ200は、照射強度センサ312を含む。本明細書で使用される場合、「照射強度センサ」は、単位面積当たりの表面によって受信される放射束(放射力)を測定する機器を指す。
【0031】
図3B及び
図3Cに示されるように、実施形態では、フィルタ100の第1のバッフル104は、空気流を、空気入口ベント304から、第1の貫通開口部108を通り、第1の平面構造102を横切り、また、フィルタ100の下方で試料領域内に、次いで、第2の貫通開口部110又は試料領域を通り、空気出口ベント306の外に方向付けるように構成されている。この空気循環は、試料及びチャンバの温度を所望の値又は範囲に維持するために重要であると決定されており、また、そのように所望される場合、フィルタ100の上方の試料の試験を可能にする。
【0032】
フィルタ100はまた、
図3A~
図3Cに示される位置から垂直軸を中心に180°回転された位置において光安定性試験チャンバに挿入することができる。その場合、第1の縁部、第1の貫通開口部、及び第1のバッフルは、それぞれ、第2の縁部、第2の貫通開口部、及び第2のバッフルとして機能し、その逆もまた同様である。
【0033】
追加の実施形態では、本明細書に提供されるのは、化合物を、少なくとも約200W*h/m
2の紫外線及び少なくとも約120万Lux*hの可視光に曝露する方法であって、光安定性試験チャンバ200の試料プラットフォーム204上に化合物を位置決めすることと、単一光源202からの紫外線及び可視光に化合物を曝露することと、を含み、紫外線及び可視光は、フィルタ100を通過し、紫外線は、化合物に到達する前にフィルタ100を通して濾過される方法である。
図5は、試料が試料プラットフォーム204上に配置され、光曝露に対する感受性を試験する、光安定性チャンバ200の内部におけるこの方法の実験セットアップを描写する。
【0034】
本明細書に記載される方法の実施形態では、化合物は、少なくとも約120万Lux*hの可視光に曝露されるが、約500W*h/m2を上回らない紫外線に曝露される。好適には、本方法は、化合物が、少なくとも約120万Lux*hの可視光に曝露されるが、約400W*h/m2を上回らない紫外線、より好適には約350W*h/m2を上回らない紫外線、約300W*h/m2を上回らない紫外線、約250W*h/m2を上回らない紫外線、又は約200W*h/m2を上回らない紫外線に曝露される結果をもたらす。フィルタ100の上方の温度は、約30℃~約40℃に維持され、試料の温度は、約20℃~約40℃に維持される。
【実施例】
【0035】
光安定性チャンバの設計及び試験
本明細書に記載されるように、提供される方法は、光安定性試験チャンバにおけるUV光曝露及び温度の制御を可能にする。UV光の過剰曝露を制限するフィルタの追加は、UVと可視光が組み合わされる1つのランプが利用され、UVと可視光が光安定性試験チャンバ内で分離される、ICH Q1B試験のオプション1を可能にする。
図2は、UVと可視光の両方を放出する1つのランプ源202を備えたこの実験セットアップを描写する。
【0036】
光安定性チャンバにおける空気循環を維持するために、本明細書に記載されるフィルタは、
図3A~
図3Cに例証されるように、光チャンバ全体で空気換気が可能であるように、フィルタの側面での通過(すなわち、穴又はスリット)を採用する。試料は、試料プラットフォーム上に好適に固定され、横配向における配置を可能にする(
図5を参照)。必要な場合、試料はまた、試験のためにフィルタの上に配置することができる。フィルタは、対向する側壁に固定して取り付ける必要がなく、光安定性チャンバ内の既存のねじにフィルタを平易に配置することによってチャンバから簡単に挿入又は取り外すことができるように設計されている(
図3A~
図3Cを参照)。加えて、フィルタは、最大の試料試験及びフィルタへの試料の均一な曝露を可能にするのに十分な大きさであるように設計されている。
図3A~
図3Cは、試料及びフィルタの配置の実験セットアップ、並びに試験チャンバ内の空気流を描写する。
【0037】
本明細書に記載されるフィルタの有効性を試験するために、試料は、フィルタのない光安定性試験チャンバ、平坦なアクリルアミドUVフィルタを備えた光安定性試験チャンバ(設計II)、及び光チャンバ内の温度制御のために加えられた空気貫通開口部及びバッフルを有する光安定性試験チャンバ(設計III)において、UVに曝露された。3つの異なる実験セットアップにおける光分解及び温度による変化が比較された。
図4は、3つの異なる光安定性試験実験セットアップにおける試料レベル及びフィルタレベルの温度を示す。例証されるように、設計III(貫通開口部及びバッフルを有するフィルタ)は、フィルタの上方及び下方の両方とも、約20~40℃の温度に維持された。
【0038】
以下の表1は、チャンバ内での光曝露中にUVフィルタを追加した場合に、UV及び可視光対可視光のみの大きな影響を試験するために使用される方法の実験セットアップを強調する。試料は、
図5に示されるように、UVフィルタの有無にかかわらず、以下の設定で曝露された。フィルタの下方のUV照射は、チャンバ温度25+5℃で、1W/m
2を下回ると測定された。ランプの照射は、機器に300~800nmで設定され、650W/m
2(30W/m
2のUV照射を含む)の4つのサンプリング点が使用された(T0~T3)。
【表1】
【0039】
試料は、ICH Q1Bに従って、光曝露後に生じ得る変化について検査された。これらの試験方法は、試料の光分解による関連する変化を示すことができる。
【0040】
図6A~
図6Bは、1)アルブミン、2)インスリン、3)mAb I、4)mAb III、5)mAb IV、及び6)mAb II(mAbは、例示的なモノクローナル抗体を示す)に対して、UVフィルタなし(
図6A)及びUVフィルタを加えた(
図6B)光安定性試験チャンバにおける光曝露試験後に実行されるUV可視分光分析の結果を示す。
図6Aは、UVフィルタなしで、光への最も過酷な曝露条件(3倍ICH)が、試験される試料に形成される不溶性凝集体におけるアルブミン及びmAb IVについての含有量の損失をもたらすことを示す。
図6Bは、UVフィルタが加えられた最も過酷な光条件(3倍ICH)への試料曝露が、試験される分子のいずれにおいてもタンパク質含有量の損失をもたらさなかったことを示す。これらの結果は、試験される薬剤製品の含有量に対するUV光の過剰曝露の大きな影響を示す。これらの結果はまた、ICH Q1Bガイドラインに従うときに、試料のUV光への曝露を制限し、したがって、試験される薬剤試料の分解を防止することにおけるUVフィルタの効率についての支持を提供する。
【0041】
図7A~
図7Bは、1)アルブミン、2)インスリン、3)mAb I、4)mAb III、5)mAb IV、及び6)mAb II分子に対して、UVフィルタなし(
図7A)及びUVフィルタを加えた(
図7B)光安定性試験チャンバにおける光曝露試験後に実行されるサイズ排除クロマトグラフィー(SE-HPLC)実験の結果を示す。
図7Aは、試験される分子の主ピーク(パーセント面積)の損失によって証明されるように、UVフィルタなしで光(3倍ICH)に曝露した後、アルブミン、インスリン、mAb I、mAb III、及びmAb IVの試料純度が低下することを示す。この分子が、以前の実験によって確認されるように、様々な応力に対して非常に安定であるため、この光曝露条件では、mAb IIについて観察される純度における変化はない。
図7Bは、光安定性試験チャンバにおけるUVフィルタの追加で、T0(光曝露なし)と最も過酷な光条件(3倍ICH)への曝露との間で、アルブミン、インスリン、mAb I、mAb III、及びmAb IVの主ピーク(面積パーセント)に有意な減少がなかったことを示す。これらの結果は、試験される薬剤製品の純度に対するUV光の過剰曝露の大きな影響を示す。これらの結果はまた、光曝露の光安定性試験中に薬剤試料の品質を保持することにおけるUVフィルタの有用性についての支持を提供する。
【0042】
図8A~
図8Bは、8A)試料レベルでのUV照射、及び8B)試料レベルでの温度に対する光安定性試験チャンバにおけるUVフィルタの追加の影響を示す。
図8Aは、光安定性試験チャンバにおいてUVフィルタが存在しない場合、試料レベルでのUV照射が40時間の光曝露を通して30~35W/m
2の範囲であったことを示す。チャンバにおけるUVフィルタの利用が試料レベルで観察されるUV照射のレベルにおける98%の低下がもたらし、光曝露の40時間にわたって、1W/m2を下回って検出された。UVフィルタの有無にかかわらず、試料レベルでの温度は、
図8Bに示されるように、UVフィルタの追加による影響を受けなかった。また、フィルタの有無にかかわらず、試料レベルでの温度間に有意差はなかった。これらの結果は、光安定性試験チャンバにおけるUVフィルタ設計を使用することが、試料に曝露されるUV照射を低減し、試料レベルで約5℃~約40℃の適切な温度を維持することを示している。
【0043】
UV光、可視光及び温度要件を満たすことに加えて、本発明は、長続きする。本発明は、アクリル材料で作られており、したがって、経時的に材料及び光学特性が変化することなく、緩やかな分解速度を有する。また、この材料は、耐熱性があり、様々な形状に容易に切り取られ、様々な機器におけるセットアップに適応可能になる。可視光及びより長い波長範囲における透過率は、このフィルタの使用と変わらない。
【0044】
追加の例示的な実施形態
実施形態1は、光安定性試験チャンバにおける使用のためのフィルタであって、フィルタは、光安定性チャンバの水平断面に広がるように構成された第1の平面構造と、第1の平面構造の第1の縁部から離間され、第1の平面構造の下面から延在する第1のバッフルと、第1の平面構造の第2の縁部から離間され、第1の平面構造の下面から延在する第2のバッフルであって、第1の縁部及び第2の縁部は、第1の平面構造の対向する縁部である、第2のバッフルと、第1の縁部と第1のバッフルとの間に位置する第1の平面構造における第1の貫通開口部と、第2の縁部と第2のバッフルとの間に位置する第1の平面構造における第2の貫通開口部と、を備え、フィルタは、光安定性チャンバ内に懸架するように構成され、第1の平面構造は、紫外線の透過率を少なくとも30%に制限するポリマーを含む、実施形態7に従った光安定性チャンバにおける使用のための、フィルタである。
【0045】
実施形態2は、第1の縁部及び第2の縁部が、平行である、実施形態1のフィルタを含む。
【0046】
実施形態3は、ポリマーが、紫外線の透過率を少なくとも50%に制限する、実施形態1のフィルタを含む。
【0047】
実施形態4は、第1のバッフルが、第2のバッフルの下方に延在する、実施形態1のフィルタを含む。
【0048】
実施形態5は、第1の縁部が、第1の平面構造の下方に延在する支持レッジを更に備える、実施形態1のフィルタを含む。
【0049】
実施形態6は、第1の平面構造が、約30cm~約50cmの長さ、及び約25cm~約40cmの幅を有する、実施形態1のフィルタを含む。
【0050】
実施形態7は、光安定性試験チャンバであって、頂面、底面、及び2つの対向する側壁を有する、内部チャンバと、頂面上に位置する光源と、底面の上方に位置決めされる試料プラットフォームであって、実施形態1のフィルタであって、試料プラットフォームの上方少なくとも6cmに、かつ光源の下方に位置決めされ、フィルタは、2つの対向する側壁上の内部ねじによって支持される、フィルタと、第1の側壁における空気入口ベントと、第2の側壁における空気出口ベントと、を備え、フィルタの第1のバッフルは、空気流を、空気入口ベントから、第1の貫通開口部を通り、第1の平面構造を横切り、かつ第2の貫通開口部を通り、また、フィルタの下方で試料領域内に、及び空気出口ベントの外に方向付けるように構成されている、光安定性試験チャンバである。
【0051】
実施形態8は、フィルタが、対向する側壁に固定的に取り付けられていない、実施形態7の光安定性チャンバを含む。
【0052】
実施形態9は、第1のバッフル及び第2のバッフルが、フィルタの上方及び下方に空気流を分配するのを助ける、実施形態7の光安定性チャンバを含む。
【0053】
実施形態10は、光源が、紫外線及び可視光を放出する、実施形態7の光安定性チャンバを含む。
【0054】
実施形態11は、試料プラットフォームが、金属ラック又は金属プレートである、実施形態7の光安定性チャンバを含む。
【0055】
実施形態12は、フィルタが、試料プラットフォームに到達することから、光源からの紫外線の透過率を少なくとも50%に制限する、実施形態7の光安定性チャンバを含む。
【0056】
実施形態13は、照射強度センサを更に備える、実施形態7の光安定性チャンバを含む。
【0057】
実施形態14は、フィルタが、光源の下方20cmに位置決めされる、実施形態7の光安定性チャンバを含む。
【0058】
実施形態15は、フィルタが、試料プラットフォームの上方約9cm~約12cmに位置決めされる、実施形態7の光安定性チャンバを含む。
【0059】
実施形態16は、化合物を紫外線及び可視光に曝露する方法であって、実施形態7に従った光安定性試験チャンバの試料プラットフォーム上に化合物を位置決めすることと、単一の光源からの紫外線及び可視光に化合物を曝露することと、を含み、紫外線及び可視光は、実施形態1のフィルタを通過し、紫外線は、化合物に到達する前に濾過される、方法である。
【0060】
実施形態17は、フィルタの上方の温度が、約5℃~約40℃に維持される、実施形態16の方法を含む。
【0061】
実施形態18は、化合物が、少なくとも約200W*h/m2の紫外線に曝露される、実施形態16の方法を含む。
【0062】
実施形態19は、化合物が、少なくとも約120万Lux*hの可視光に曝露される、実施形態16の方法を含む。
【0063】
実施形態20は、化合物が、少なくとも約120万Lux*hの可視光に曝露されるが、約500W*h/m2を上回らない紫外線に曝露される、実施形態16の方法を含む。
【0064】
参照番号リスト
100 フィルタ
102 第1の平面構造
104 第1のバッフル
106 第2のバッフル
108 第1の貫通開口部
110 第2の貫通開口部
150 第1の縁部
152 第2の縁部
200 光安定性チャンバ
202 光源
204 試料プラットフォーム
206 頂面
302 底面
304 空気入口ベント
306 空気出口ベント
308 第1のチャンバ側壁
310 第2のチャンバ側壁
312 照射強度センサ
314 内部ねじ
316 支持レッジ
ETUM 外部温度及びUVメータ
DC 暗対照
S 試料
【国際調査報告】