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特表2024-5094453次元集積電気デバイス用のオフセットされた垂直相互接続及び圧縮ポスト
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-01
(54)【発明の名称】3次元集積電気デバイス用のオフセットされた垂直相互接続及び圧縮ポスト
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/07 20060101AFI20240222BHJP
【FI】
H01L25/08 Y
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023554791
(86)(22)【出願日】2022-03-07
(85)【翻訳文提出日】2023-09-07
(86)【国際出願番号】 US2022019082
(87)【国際公開番号】W WO2022192107
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】63/159,749
(32)【優先日】2021-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/686,692
(32)【優先日】2022-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503455363
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】クラーク,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】パティソン,ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】ファレル,スチュアート
(57)【要約】
基板(130)と、基板によって支持された誘電体層(120)であって、誘電体層のビアホール(123)内に配置された少なくとも1つの垂直ポスト(122)を有する誘電体層と、ポストから横方向にオフセットされた少なくとも1つの導電性垂直相互接続(126)とを含む電気デバイス。ポストは、ポストの下にある電気デバイスの領域に非引張状態を与えるように構成されている。ポストの熱膨張係数(CTE)は、ポストの熱膨張係数(CTE)以上のCTEを有する誘電体層など、誘電体層のCTEと組み合わせて非引張状態を提供するように構成され得る。誘電体層は、導電性垂直相互接続のCTEよりも小さいCTEを有し得、垂直相互接続によって与えられる引張力に対する緩衝を提供するように配置され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板によって支持された誘電体層であって、前記誘電体層が、少なくとも1つのビアホールと、前記少なくとも1つのビアホール内の垂直ポストとを有する、前記誘電体層と、
前記ポストから横方向にオフセットされた少なくとも1つの導電性垂直相互接続と、
を備える電気デバイスであって、
前記ポストが、前記ポストの下にある前記電気デバイスの領域に非引張状態を与えるように構成される、前記電気デバイス。
【請求項2】
前記誘電体層は前記ポストの熱膨張係数とは異なる熱膨張係数を有し、前記誘電体層は、前記ポストを少なくとも部分的に取り囲み、前記ポストと相互作用して、前記ポストの下にある前記領域に前記非引張状態を与えるように構成される、請求項1に記載の電気デバイス。
【請求項3】
前記誘電体層は、前記ポストの前記熱膨張係数以上の熱膨張係数を有する、請求項1または2に記載の電気デバイス。
【請求項4】
前記誘電体層は、前記垂直相互接続の熱膨張係数未満の熱膨張係数を有する、請求項1~3のいずれかに記載の電気デバイス。
【請求項5】
前記垂直相互接続は、前記誘電体層の上に重なり、前記ポストから垂直にオフセットされている、請求項1~4のいずれかに記載の電気デバイス。
【請求項6】
接合層をさらに備えており、前記垂直相互接続が前記接合層のビアホール内に配置され、前記接合層が前記誘電体層の少なくとも一部分の上に重なり、前記接合層が前記誘電体層の前記ビアホール内に配置されて前記ポストを形成する、請求項1~5のいずれかに記載の電気デバイス。
【請求項7】
前記誘電体層は、第1の誘電体層部分と、前記第1の誘電体層部分の上に少なくとも部分的に重なる第2の誘電体層部分とを含み、接合層が、前記第2の誘電体層部分の上に少なくとも部分的に重なり、前記第1の誘電体層部分は中立応力をもたらすように堆積され、前記第2の誘電体層部分は引張応力をもたらすように堆積され、前記接合層は圧縮応力をもたらすように堆積される、請求項1~6のいずれかに記載の電気デバイス。
【請求項8】
前記第1の誘電体層部分はAlNであり、前記第2の誘電体層部分はAlNであり、前記接合層はSiOである、請求項7に記載の電気デバイス。
【請求項9】
前記ポストの下にある前記電気デバイスの前記領域は、前記基板の少なくとも一部分を形成する脆性材料を含み、前記脆性材料は、1MPa・m1/2未満のKIC破壊靱性を有する、請求項1~8のいずれかに記載の電気デバイス。
【請求項10】
前記脆性材料は、テルル化カドミウム水銀を含む、請求項9に記載の電気デバイス。
【請求項11】
前記ポストと前記脆性材料との間に電気コンタクトパッドをさらに備える、請求項9または10に記載の電気デバイス。
【請求項12】
前記ポストの下にある電気コンタクトパッドと、前記電気コンタクトパッドから前記垂直相互接続まで延在して、前記電気コンタクトパッドと前記垂直相互接続との間に電気通信を提供する電気的接続部とをさらに備える、請求項1~11のいずれかに記載の電気デバイス。
【請求項13】
前記電気的接続部は、前記誘電体層の一部分の上に重なり、かつ前記誘電体層内の前記ビアホールの側壁の上に延在する導電層を含む、請求項12に記載の電気デバイス。
【請求項14】
前記電気デバイスが動作状態にあるとき、前記ポストは、前記ポストの下にある前記領域に中立状態または圧縮状態を与える、請求項1~13のいずれかに記載の電気デバイス。
【請求項15】
第2の電気デバイスに接合され電気的に統合された第1の電気デバイスを備える3次元集積電気デバイスであって、
接合層と、
前記接合層のそれぞれの部分の両側にある第1の誘電体層及び第2の誘電体層と、
前記第1の誘電体層及び前記第2の誘電体層のそれぞれの部分の第1のビアホール及び第2のビアホールであって、前記第1のビアホールと前記第2のビアホールとが互いに対向して配置され、前記接合層が、前記第1のビアホール内及び前記第2のビアホール内に配置されて、それぞれ前記3次元集積電気デバイスの第1のポスト部分及び第2のポスト部分を形成する、前記第1のビアホール及び前記第2のビアホールと、
前記接合層を通って延在する導電性垂直相互接続であって、前記垂直相互接続が、前記第1のポスト部分及び前記第2のポスト部分から横方向にオフセットされている、前記導電性垂直相互接続と、
前記第1のポスト部分の少なくとも一部分の下にあるコンタクトパッドと、
前記第1の誘電体層の少なくとも一部分の上に重なって、前記コンタクトパッドを前記垂直相互接続の第1の端部に電気的に接続する導体層と、
を備える、前記3次元集積電気デバイス。
【請求項16】
前記第1の誘電体層及び前記第2の誘電体層がそれぞれ、前記第1のポスト部分及び前記第2のポスト部分の熱膨張係数以上の熱膨張係数を有し、
前記垂直相互接続が、前記第1の誘電体層及び前記第2の誘電体層よりも大きく、かつ前記接合層よりも大きい熱膨張係数を有し、
少なくとも前記第1のポスト部分が、前記コンタクトパッドの下にある領域に非引張状態を与えるように構成され、
少なくとも前記第1の誘電体層が、前記垂直相互接続の前記第1の端部の下にあって、前記垂直相互接続の前記第1の端部の下に与えられる引張応力に対する緩衝を提供する、請求項15に記載の3次元集積電気デバイス。
【請求項17】
前記誘電体層は、第1の誘電体層部分と、前記第1の誘電体層部分の上に少なくとも部分的に重なる第2の誘電体層部分とを含み、前記接合層は、前記第2の誘電体層部分の上に少なくとも部分的に重なり、
前記第1の誘電体層部分は中立応力をもたらすように堆積され、前記第2の誘電体層部分は引張応力をもたらすように堆積され、前記接合層は圧縮応力をもたらすように堆積される、請求項15または請求項16に記載の3次元集積電気デバイス。
【請求項18】
前記第1の誘電体層部分はAlNであり、前記第2の誘電体層部分はAlNであり、前記接合層はSiOであり、前記ポストはSiOであり、前記垂直相互接続は銅であり、前記第1のポスト部分の下にある前記電気デバイスの領域はテルル化カドミウム水銀を含む、請求項15または請求項15~17のいずれかに記載の3次元集積電気デバイス。
【請求項19】
前記第1の電気デバイスは光検出器であり、前記第2の電気デバイスは読み出し集積回路である、請求項15または請求項15~18のいずれかに記載の3次元集積電気デバイス。
【請求項20】
電気デバイスの製造方法であって、
基板を提供することと、
前記基板の少なくとも一部分の上に重なる誘電体層を形成することと、
前記誘電体層にビアホールを形成することと、
前記ビアホール内にポストを形成することと、
前記ポストから横方向にオフセットされた導電性垂直相互接続を形成することと
を含み、
前記ポストが、前記ポストの下にある前記電気デバイスの領域に非引張状態を与えるように構成される、前記製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2022年3月4日に提出された米国出願第17/686,692号に対する優先権を主張するものであり、同出願は、2021年3月11日に提出された米国仮出願第63/159,749号の利益を主張するものであり、これら米国出願の全体を参照により本明細書に援用する。
【0002】
技術分野
本開示は、一般に、電気相互接続構造を有する電気デバイスに関し、より詳細には、特に、低温で動作する平面赤外線(IR)検出器などの3次元集積電気デバイス用の、圧縮ポストからオフセットされた垂直相互接続を有する電気デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
半導体集積回路(IC)またはその他の半導体デバイスなどの電気デバイスは、通常、シリコンウエハなどの基板に作り込まれ、及び/または基板上に作製され、結果としてIC領域をもたらし、その大きさと密度とは一般にICの複雑さが増すにつれて増加する。最近のIC製造における1つの傾向は、ICを共に垂直に積層すること、及び垂直に相互接続することによって、ICの数及び/または異なる種類のICを増加させることである。一般に、垂直に積層された各ICは、異なるサイズとなり、異なるサイズのウエハから作られ、異なる機能を持ち、異なる材料で作られているなどの可能性がある。
【0004】
ICを垂直に積み重ねて統合するアプローチを実現するための従来の方法には、直接接合またはハイブリッド接合のプロセスによるものがある。一般に、所望の数の個別のICを垂直に積層させた後、積層した電気デバイスアセンブリには、対向するICの構造(複数可)間に拡散を引き起こすための温度処理が施され、その結果、積層IC全体にわたる電気接続を備えた3次元集積電気デバイス構造が得られる。
【発明の概要】
【0005】
上記のタイプの垂直集積電気デバイスの中には、標準周囲温度(すなわち、IUPAC規格による25℃)からかけ離れた温度レジームで動作することを目的としているものがある。例えば、一部の赤外線検出器のタイプは、約-200℃の温度で動作する場合がある。これにより、デバイス内の異なる構造間の熱膨張係数(CTE)の不一致のため、電気デバイス内の相互接続構造間の電気通信が遮断されることがわかっている。さらに、電気デバイスによっては、そのアーキテクチャに脆性材料、例えば破壊靱性の低い材料が組み込まれている場合があり、その場合、脆性材料に加わる引張力によって損傷が生じ、及び/または材料の適切な動作が妨げられるようになる。
【0006】
本開示による態様は、電気デバイス、特にウエハボンディング技法によって形成される3次元集積デバイスの製造中または動作中の熱膨張及び熱収縮による引張歪みが原因となって生じる損傷及び/または電気的遮断を軽減または排除する垂直相互接続設計を提供する。
【0007】
一態様によれば、電気デバイスは、導電性垂直相互接続構造をビアポストから横方向にオフセットさせることによって、ポストの下にある領域を、緊張状態ではなく、中立状態または圧縮状態などの非引張状態にする設計を提供する。
【0008】
ポストは、製造中または動作中の膨張または収縮に際して、ポストが、ポスト下の下層領域に引張力を与えないように、ビアホールを形成しかつポストを少なくとも部分的に取り囲むバッファ層と協働するように構成され得る。
【0009】
このような設計を可能にするために、バッファ層は、製造から動作までデバイスが経験する温度範囲全体にわたって、ポストの熱膨張係数(CTE)以上の熱膨張係数(CTE)を有することができる。
【0010】
バッファ層はまた、横方向にオフセットされた垂直相互接続によって与えられる引張力に対する緩衝ともなり得る。
【0011】
ポストの下にある領域は、電気コンタクトパッドを含んでもよく、コンタクトパッドと横方向にオフセットされた垂直相互接続との間の電気接続を可能にするために、導電性接続層が、垂直相互接続とポストの下にあるコンタクトパッドとの間に横方向に延在してもよい。
【0012】
特定の用途では、3次元集積電気デバイスは、読み出し集積回路(ROIC)に接合された光検出器を含むことができる。光検出器は、例えばテルル化カドミウム水銀(Hg1-xCdTe)(「MCT」とも呼ばれる)が光導電性材料として使用されるIRセンサであってもよい。MCTは、比較的少量の引張歪みを受けたときに、損傷(例えば、欠陥、亀裂伝播、及び/または界面破壊)及び/または電気的遮断(例えば、圧電応答)を受けやすい脆性材料の一例である。例えば、MCTのKIC破壊靱性は、マイクロインデンテーション試験により、約0.20MPa・m1/2であり得る。
【0013】
ROICを含むMCTウエハを含むウエハ間の電気接続の結合には、一般に、誘電体絶縁層を通り抜ける堅牢な導電性相互接続構造が必要であり、そのため個々の電気デバイスの厚さは全体で約4μmになり得る。しかし、このような3次元集積検出器の相互接続を形成するために使用される従来の方法は、周囲室温未満に冷却されたときに、特にデバイスの非常に低い動作温度である76K(-197℃)に冷却されたときに、不安定になり、または機能しなくなることがわかっている。これは、従来の設計におけるCTEの不一致によるものと考えられ、その設計では、従来の金属相互接続ポストは周囲の誘電体層よりも収縮して、コンタクトパッドとMCT層とに高い引張応力を与える。
【0014】
本開示の一態様によれば、製造及び動作に際して良好な電気構造を可能にするために、製造及び動作の際の温度を含む温度範囲、例えば、約70K~433Kにわたって脆弱なMCT材料にかかる引張歪みを最小限に抑えるように電気相互接続を構築することが望ましい。
【0015】
より具体的には、一態様によれば、本明細書では、脆弱なMCT半導体コンタクトとそのコンタクト金属界面との間に引張歪みを引き起こすことなく、誘電体及び接合酸化物の層を介したROICとMCTベースの検出器との間の良好な電気的接触を保証する電気デバイスを提供することによって、従来の設計に伴う少なくとも前述の問題を克服する相互接続及び対応するポスト構造が説明される。他のII-VI族材料もまた非常に脆弱なので、このような設計をそれらの材料に拡張することができる。
【0016】
一態様によれば、電気デバイスが、基板と、基板によって支持された誘電体層であって、誘電体層が、少なくとも1つのビアホールと、少なくとも1つのビアホール内の垂直ポストとを有する、誘電体層と、ポストから横方向にオフセットされた少なくとも1つの導電性垂直相互接続と、を備える電気デバイスであって、ポストが、ポストの下にある電気デバイスの領域に非引張状態を与えるように構成される。
【0017】
この概要のいずれかの段落(複数可)の実施形態によれば、誘電体層はポストの熱膨張係数とは異なる熱膨張係数を有し、誘電体層は、ポストを少なくとも部分的に取り囲み、ポストと相互作用して、ポストの下にある領域に非引張状態を与えるように構成される。
【0018】
この概要のいずれかの段落(複数可)の実施形態によれば、誘電体層は、ポストの熱膨張係数以上の熱膨張係数を有する。
【0019】
この概要のいずれかの段落(複数可)の実施形態によれば、誘電体層は、垂直相互接続の熱膨張係数以下の熱膨張係数を有する。
【0020】
この概要のいずれかの段落(複数可)の実施形態によれば、垂直相互接続は、誘電体層の上に重なり、ポストから垂直にオフセットされている。
【0021】
この概要のいずれかの段落(複数可)の実施形態によれば、接合層をさらに含み、垂直相互接続が接合層のビアホール内に配置され、接合層が誘電体層の少なくとも一部分の上に重なり、接合層が誘電体層のビアホール内に配置されてポストを形成する。
【0022】
この概要のいずれかの段落(複数可)の実施形態によれば、誘電体層は、第1の誘電体層部分と、第1の誘電体層部分の上に少なくとも部分的に重なる第2の誘電体層部分とを含み、接合層が、第2の誘電体層部分の上に少なくとも部分的に重なり、第1の誘電体層部分は中立応力をもたらすように堆積され、第2の誘電体層部分は引張応力をもたらすように堆積され、接合層は圧縮応力をもたらすように堆積される。
【0023】
この概要のいずれかの段落(複数可)の実施形態によれば、第1の誘電体層部分はAlNであり、第2の誘電体層部分はAlNであり、接合層はSiOである。
【0024】
この概要のいずれかの段落(複数可)の実施形態によれば、ポストの下にある電気デバイスの領域は、基板の少なくとも一部分を形成する脆性材料を含み、この脆性材料は、1MPa・m1/2未満のKIC破壊靱性を有する。
【0025】
この概要のいずれかの段落(複数可)の実施形態によれば、脆性材料は、テルル化カドミウム水銀を含む。
【0026】
この概要のいずれかの段落(複数可)の実施形態によれば、ポストと脆性材料との間に電気コンタクトパッドをさらに含む。
【0027】
この概要のいずれかの段落(複数可)の実施形態によれば、ポストの下にある電気コンタクトパッドと、電気コンタクトパッドから垂直相互接続まで延在して、それらの間に電気通信を提供する電気的接続部とをさらに含む。
【0028】
この概要のいずれかの段落(複数可)の実施形態によれば、電気的接続部は、誘電体層の一部分の上に重なり、かつ誘電体層内のビアホールの側壁を上に延在する導電層を含む。
【0029】
この要約のいずれかの段落(複数可)の実施形態によれば、電気デバイスが動作状態にあるとき、ポストは、ポストの下にある領域に中立状態または圧縮状態を与える。
【0030】
一態様によれば、3次元集積電気デバイスが、第2の電気デバイスに接合され電気的に統合された第1の電気デバイスを備える3次元集積電気デバイスであって、接合層と、接合層のそれぞれの部分の両側にある第1の誘電体層及び第2の誘電体層と、第1の誘電体層及び第2の誘電体層のそれぞれの部分の第1のビアホール及び第2のビアホールであって、第1のビアホールと第2のビアホールとが互いに対向して配置され、接合層が、第1のビアホール内及び第2のビアホール内に配置されて、それぞれ3次元集積電気デバイスの第1のポスト部分及び第2のポスト部分を形成する、第1のビアホール及び第2のビアホールと、接合層を通って延在する導電性垂直相互接続であって、垂直相互接続が、第1のポスト部分及び第2のポスト部分から横方向にオフセットされている、導電性垂直相互接続と、第1のポスト部分の少なくとも一部分の下にあるコンタクトパッドと、第1の誘電体層の少なくとも一部分の上に重なって、コンタクトパッドを垂直相互接続の第1の端部に電気的に接続する導体層と、を備える。
【0031】
この概要のいずれかの段落(複数可)の実施形態によれば、第1の誘電体層及び第2の誘電体層がそれぞれ、第1のポスト部分及び第2のポスト部分の熱膨張係数以上の熱膨張係数を有し、垂直相互接続が、第1の誘電体層及び第2の誘電体層よりも大きく、かつ接合層よりも大きい熱膨張係数を有し、少なくとも第1のポスト部分が、コンタクトパッドの下にある領域に非引張状態を与えるように構成され、少なくとも第1の誘電体層が、垂直相互接続の第1の端部の下にあって、垂直相互接続の第1の端部の下に与えられる引張応力に対する緩衝を提供する。
【0032】
この概要のいずれかの段落(複数可)の実施形態によれば、誘電体層は、第1の誘電体層部分と、第1の誘電体層部分の上に少なくとも部分的に重なる第2の誘電体層部分とを含み、接合層は、第2の誘電体層部分の上に少なくとも部分的に重なり、第1の誘電体層部分は中立応力をもたらすように堆積され、第2の誘電体層部分は引張応力をもたらすように堆積され、接合層は圧縮応力をもたらすように堆積される。
【0033】
この概要のいずれかの段落(複数可)の実施形態によれば、第1の誘電体層部分はAlNであり、第2の誘電体層部分はAlNであり、接合層はSiOであり、ポストはSiOであり、垂直相互接続は銅であり、第1のポスト部分の下にある電気デバイスの領域はテルル化カドミウム水銀を含む。
【0034】
この概要のいずれかの段落(複数可)の実施形態によれば、第1の電気デバイスは光検出器であり、第2の電気デバイスは読み出し集積回路である。
【0035】
一態様によれば、電気デバイスの製造方法が、基板を提供することと、基板の少なくとも一部分の上に重なる誘電体層を形成することと、誘電体層にビアホールを形成することと、ビアホール内にポストを形成することと、ポストから横方向にオフセットされた導電性垂直相互接続を形成することとを含み、ポストが、ポストの下にある電気デバイスの領域に非引張状態を与えるように構成される。
【0036】
以下の記述及び添付の図面一式は、本発明の特定の例示的な実施形態を説明するものである。しかしながら、これらの実施形態は、本発明の原理を使用することができる様々な方法のうちのほんの数例を示すものである。本発明の態様による他の目的、利点、及び新規な特徴は、図面と併せて考慮すると、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0037】
添付の図面は、必ずしも縮尺通りではないが、本開示による様々な態様を示す。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】3次元集積化用に準備された第1の従来の電気デバイス及び第2の従来の電気デバイスの概略図である。
図2】標準周囲温度における図1の第1の従来の電気デバイスと第2の従来の電気デバイスとの初期接触状態の概略図である。
図3図1の第1の従来の電気デバイスと第2の従来の電気デバイスとの高温接合及び3次元集積化の状態の概略図である。
図4】高温接合後に標準周囲温度以下に冷却されたときの図3の従来の3次元集積デバイスの概略図である。
図5A】一実施形態による例示的な電気デバイスを形成する例示的なプロセスステップを示す概略断面図である。
図5B】一実施形態による例示的な電気デバイスを形成する例示的なプロセスステップを示す概略断面図である。
図5C】一実施形態による例示的な電気デバイスを形成する例示的なプロセスステップを示す概略断面図である。
図5D】一実施形態による例示的な電気デバイスを形成する例示的なプロセスステップを示す概略断面図である。
図5E】一実施形態による例示的な電気デバイスを形成する例示的なプロセスステップを示す概略断面図である。
図5F】一実施形態による例示的な電気デバイスを形成する例示的なプロセスステップを示す概略断面図である。
図5G】一実施形態による例示的な電気デバイスを形成する例示的なプロセスステップを示す概略断面図である。
図5H】一実施形態による例示的な電気デバイスを形成する例示的なプロセスステップを示す概略断面図である。
図5I】一実施形態による例示的な電気デバイスを形成する例示的なプロセスステップを示す概略断面図である。
図5J】一実施形態による例示的な電気デバイスを形成する例示的なプロセスステップを示す概略断面図である。
図5K】一実施形態による例示的な電気デバイスを形成する例示的なプロセスステップを示す概略断面図である。
図5L】一実施形態による例示的な電気デバイスを形成する例示的なプロセスステップを示す概略断面図である。
図5M】一実施形態による例示的な電気デバイスを形成する例示的なプロセスステップを示す概略断面図である。
図5N】一実施形態による例示的な電気デバイスを形成する例示的なプロセスステップを示す概略断面図である。
図5O】一実施形態による例示的な電気デバイスを形成する例示的なプロセスステップを示す概略断面図である。
図5P】一実施形態による例示的な電気デバイスを形成する例示的なプロセスステップを示す概略断面図である。
図5Q】一実施形態による例示的な電気デバイスを形成する例示的なプロセスステップを示す概略断面図である。
図5R】一実施形態による例示的な電気デバイスを形成する例示的なプロセスステップを示す概略断面図である。
図6図7に示す3次元集積デバイスをもたらすための3次元集積化に備えて別の電気デバイスと位置合わせされている図5Rの電気デバイスを示す概略断面図である。
図7】本開示の一実施形態による例示的な3次元集積デバイスの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本開示による原理及び態様は、集積回路(IC)デバイスなどの電気デバイス、より具体的には、特定用途向け集積回路(ASIC)、焦点面アレイ及びインテリジェントイメージセンサ、メモリチップ、モノリシックマイクロ波集積回路(MMIC)、赤外線電気デバイス(例えば、赤外線検出器)、アンテナ回路、ストリップライン、配電網などを含む垂直集積半導体集積回路(IC)デバイスに特に適用され、以下では主にこのような状況において説明する。しかしながら、本開示による原理及び態様は、力のバランスをとり、それによってそのようなデバイスにおける曲げ変形の量を制御するために窒化アルミニウム引張層を設けることが望ましい、他の電気デバイスまたは電気回路一般に適用可能であることが理解される。このような電気デバイスの非限定的な例としては、受動無線周波数(RF)回路(例えば、フィルタまたはアンテナアレイ)などの非半導体デバイス、またはダイオード、光電池、トランジスタ、センサ、及びこれらに類するものなどの他の半導体デバイスが挙げられ得る。例示的な電気デバイスを形成する例示的な方法はまた、能動型電気デバイス及び受動型電気デバイスの両方を垂直集積化することに適用可能であり得る。
【0040】
図1図4を参照すると、読み出し集積回路(ROIC)12及び光検出器14を含む従来の3次元集積デバイス10の概略図が示されている。図では、ROIC12は、基板20によって支持される接合層18を通って延びるビアホール内に金属垂直相互接続16を含む。また、図示されているように、従来の光検出器14は、対応する金属垂直相互接続22を含み、この垂直相互接続22は、基板26によって支持される接合層24を通って延びるビアホール中に広がる。光検出器14の基板26は、センサの光導電性材料としてテルル化カドミウム水銀(Hg1-xCdTe)(「MCT」とも呼ばれる)を含むことができる。MCT材料と金属相互接続22との間に電気接続をもたらすために、MCT層(この図では参照番号26によっても参照される)の上に金属コンタクトパッド27が重なる。
【0041】
図1に示すように、ROIC12の相互接続16及び光検出器14の相互接続22それぞれは、各デバイス12、14の処理の際の化学機械研磨(CMP)によって、それぞれ凹面の外形28、30を有することができる。図2は、接合層18、24のそれぞれの界面で互いに接触して接合されている光検出器14とROIC12とを示す。図示のように、凹面の外形28、30のため、それぞれの相互接続16、22の界面間にギャップ32が存在する。
【0042】
図3は、電気デバイスアセンブリの高温でのアニール状態を示す。図示されるように、高温アニール中、金属相互接続16、22は周囲の接合層18、24よりも膨張し、それらの間のギャップ32を閉じて圧縮接触し、そこでは相互接続16、22がそれらの界面にわたって拡散を受けて、一体化された接合層36を通って延びる単一の一体化した導電性ポスト34に融合する。
【0043】
図4は、図3に示す高温アニール後の標準周囲温度以下への冷却の効果を示す。図4に示すように、一体化金属相互接続構造34は、その周囲の一体化接合層36よりも大きく収縮し、その結果、引張応力(矢印Tで示す)が生じる。この引張応力は、温度がデバイスの非常に低い動作温度(これは約76K(-197℃)であり得る)にまで冷却されると大幅に増加する。金属相互接続構造(複数可)34と周囲の絶縁接合層(複数可)36との間のCTEの不一致により、3次元集積デバイス10が、周囲室温にまで冷却されたとき、より具体的には、デバイスの動作温度(例えば、76K)にまで冷却されたとき、その性能が低下し、または故障する可能性があることがわかっている。さらに具体的に言うと、この引張応力の影響により、半導体接触面に歪みが生じる。電気デバイス10の性能は、特にMCTなどの脆性材料に引張歪みが加わった場合、引張歪みによって悪影響を受ける可能性がある。例えば、MCT材料に加えられる引張歪みは、圧電応答を誘発することによって性能に影響を与える可能性がある。代替的または追加的に、引張歪みは、欠陥、亀裂の伝播、及び/または金属コンタクトパッド27との界面破壊の形でMCT材料に損傷を引き起こす可能性がある。これらの引張歪みの影響は、相互接続材料と周囲の絶縁体(例えば、接合層)とのCTEの差が大きくなると、より顕著になり得る。
【0044】
従来の設計の比較例として、銅で作られた相互接続構造34は、150℃で溶融して単一の一体化された垂直相互接続構造(同様に34)を形成する。接合層36間の接合が分離していない場合、これが考慮すべき開始体積及び長さである。部品が150℃から冷却されると、接合層36はCu相互接続構造34よりも収縮しにくくなり、そのため相互接続は高い引張応力を受ける。Cu相互接続34上の引張応力が降伏強度に達すると、塑性変形が始まる。Cuの塑性変形を開始させるのに必要な引張応力は、周囲室温(25℃)では約300MPaであり、76Kでは約322MPaである。温度の関数としてのCu相互接続34の相対収縮の値は、そのCTEと長さとに基づいて計算することができる。例えば、60KでのCuは、約-316Å/μmだけ収縮する。厚さ4μmのCu相互接続34は、423Kから76Kに至るまでの温度範囲にわたって約-2100Å/μmだけ収縮し、これは、同じ温度範囲にわたる周囲の接合層36よりも約4.5%以上大きい収縮であり得る。Cu相互接続34が接合層36の側壁から剥離して塑性的に伸長できる場合、76Kでの残留引張応力(降伏強度)は約330MPaである。相互接続の下のMCT領域に与えられるこのレベルの引張応力は、MCTの破壊靱性(約0.20MPa・m1/2IC)を超えることになる。
【0045】
従来の設計(複数可)の1つ以上の欠陥を改善する例示的な電気デバイスが本明細書で説明される。具体的には、一態様は、基板と、基板によって支持された誘電体層であって、誘電体層のビアホール内に配置された(低CTE誘電体からなる)少なくとも1つの垂直ポストを有する、誘電体層と、ポストから横方向にオフセットされた少なくとも1つの導電性垂直相互接続と、を備える電気デバイスであって、誘電体ポストが、ポストの下にある電気デバイスの領域に非引張状態を与えるように構成される、電気デバイスを提供する。一態様によれば、誘電体層は、誘電体ポストのCTE以上のCTEを提供して、それによってポストの下にある領域に非引張状態(例えば、中立力または圧縮力)を与える。誘電体層は、導電性垂直相互接続構造のCTEよりも小さいCTEを有し得、垂直相互接続構造によって与えられる引張力に対する緩衝を提供するように配置され得る。一態様はまた、上記に従ってそのようなデバイス(複数可)を製造する方法(複数可)も提供する。
【0046】
まず図7を参照すると、本開示の一実施形態による例示的な3次元集積電気デバイス110が示されている。図7に示される例示的な状態は、約76Kなどのデバイスの低温動作状態であり得る。図示するように、例示的な3次元集積デバイス110は、例示的な第2の電気デバイス212に接合され電気的に統合された例示的な第1の電気デバイス112を含む。第1の電気デバイスと第2の電気デバイスとの間の境界線は破線116で示されている。ただし、接合及び3次元集積化(後述)の後、2つの電気デバイス112、212は単一の3次元集積電気デバイス110を形成することが理解される。
【0047】
第1の電気デバイス112は、基板118と、基板118によって支持された電気絶縁性の誘電体層120と、誘電体層120のビアホール123内に配置された少なくとも1つの垂直ポスト122と、接合層124と、ポスト122から横方向にオフセットされ、接合層124を通って延びる少なくとも1つの導電性相互接続126とを含む。例示的な実施形態では、第1の電気デバイス112は、光検出器(112とも呼ばれる)の形態の半導体デバイスである。図示の実施形態では、光検出器112は、IR検出器である。第1の電気デバイス112は、光検出器アレイの1つのピクセルに相当することができる。図示の実施形態における第2の電気デバイス212は読み出し集積回路(ROIC)であり、これは以下でさらに詳細に説明するように、光検出器112と同じまたは類似の構造のいくつかを含み得る。
【0048】
図示の実施形態では、誘電体層120、ポスト122、相互接続126及び接合層124を支持する基板118は、光導電体材料層128を含み、これは、少なくとも部分的に下部基板層130の上に重なり、下部基板層130によって支持され得る。例示的な実施形態では、光導電体材料128はテルル化カドミウム水銀(Hg1-xCdTe)(「MCT」とも呼ばれる)であり、これは下部基板層130の上に重なる光導電層(128とも)を形成する。下部基板層130は、例えばシリコン基板など、他の層を支持するように構成された任意の適切な基板であってもよい。光検出器112において、入射IR光子は、下部基板層130を通過し、MCT光導電層128と相互作用して光電流を生成することができる。光電効果を提供するために、光導電層128は、光導電性材料128とは逆にドープされたインプラント132を含み得る。例えば、MCT光導電性材料128はn型半導体であってもよく、インプラント132はヒ素などのp型インプラントであってもよい。
【0049】
誘電体層120の下の層は、本明細書では一般に単に基板118と総称されるが、電気デバイスのタイプ及び製造方法に応じて追加の層を含む場合がある。例えば、MCT光導電層128と下部基板層130との間に、1つ以上のバッファ層を設けることができ、このバッファ層は、カドミウム及びテルルを含むことができ、上方のMCT光導電層128のエピタキシャル成長を改善することができる。さらに、光導電層128の上に1つ以上のパッシベーション層134を形成することができ、このパッシベーション層134は、カドミウム及びテルルを含むことができ、MCT光導電層128と、隣接する誘電体層120との間の界面結合を改善することができる。
【0050】
MCT光導電層128とポスト122との間には、MCT光導電層128で生成された電気を相互接続126に伝達するための電気コンタクトパッド136がある。一般に、電気コンタクトパッド136は、光電効果によりpn接合で生成された電子を伝達するために、MCT光導電層128内のインプラント132の上に配置される。コンタクトパッド136は、導電性金属を含む任意の適切な導電性材料で形成することができる。例示的な実施形態では、コンタクトパッド136は、金属層(例えば、金)と、剛性を高め、及び/または相互拡散を防止するために、金属層の上に重なるバリア層(例えば、TiN)とを含み得る。
【0051】
垂直相互接続126はポスト122及びコンタクトパッド136から横方向にオフセットされているので(理由は以下でさらに詳細に説明する)、コンタクトパッド136を垂直相互接続126と電気的に結合するために、電気的接続部138が設けられている。図示の実施形態では、例えば、電気的接続部138は、誘電体層120の一部分の上に重なる水平部分138aと、誘電体層120内のビアホール123の側壁を上に延びる垂直部分138bとを有する導電層として形成される。電気的接続部138は、任意の適切な方法で電気デバイス上に形成され得る任意の適切な導電性材料で作製され得る。例えば、電気的接続部138は、コンタクトパッド136と同じ材料(複数可)を含んでもよく、コンタクトパッド136と同時に形成されてもよい。
【0052】
垂直相互接続126は、第2の電子デバイス212(例えば、図示の実施形態におけるROIC)の対向する相互接続226に電気を伝導する導電性材料で作られる。図示の実施形態では、相互接続126は銅(Cu)で作られているが、ニッケルやインジウムなどの他の適切な材料を使用することもできる。例示的な実施形態では、相互接続126は、好ましくは、例えば温度感受性MCTなど、デバイス内の材料の完全性を破壊することになる高い処理温度を必要としない材料で作製され得る。図示のように、相互接続126は、接合層124内のビアホール127内に形成され、これは任意の適切な方法で達成することができる。例えば、銅で作られた相互接続は、約16.65x10-6/KのCTEを有するようになる。
【0053】
例示的な実施形態では、接合層124は、平坦な表面を有するコンフォーマル誘電体フィルムである。接合層124は、第2の電気デバイス212の対向する接合層224との接合を提供する。この接合には、接合層124、224間のファンデルワールス力による周囲室温結合が含まれ、これは高温での共有結合的融着(covalent fusion bonding)によってさらに促進され得る。接合層124は、酸化物、より具体的には酸化ケイ素(SiO)、例えば二酸化ケイ素(例えば、溶融シリカまたはSiO)などの非金属材料であってもよい。接合層124は、物理蒸着、反応性物理蒸着、化学蒸着、プラズマ強化化学蒸着、スパッタリング、またはスピンオンガラスプロセスを含む蒸着プロセスなどの任意の適切な技法によって形成され得る。限定ではなく一例として、SiOで作られる接合層124は、約1.5×10-6/KのCTEを有することになる。
【0054】
垂直相互接続126(例えば、銅)とその周囲の接合層124(例えば、SiO)との間のCTE不一致のため、製造時の冷却中(例えば、約150℃~約25℃)または動作中(例えば、約25℃~約-200℃)に、垂直相互接続構造124の両端に引張応力が発生する。これらの引張応力は300MPaを超える可能性があり、そのため電気デバイス112の脆性材料に悪影響を与える可能性がある。例えば、光導電層128のMCT材料は脆性材料であり、約0.20MPa・m1/2ICという低い破壊靱性を有する。ただし、MCTのような一部の脆性材料は、引張強度よりも圧縮強度の方が高い場合がある。したがって、高温または低温での製造中または動作中の脆性材料への悪影響を軽減するために、脆性材料(例えば、MCT)を含む例示的な第1の電気デバイス112は、垂直相互接続126を界面コンタクトパッド136から横方向にオフセットさせ、コンタクトパッド136の下のMCT材料128の下層領域に非引張状態(例えば、中立または圧縮)を与える構成で、コンタクトパッド136の上に誘電体ポスト122を配置する。
【0055】
例示的な実施形態では、ポスト122の下にある光導電層128の領域に非引張状態を与えるために、ポスト122を取り囲んで拘束する誘電体層120のCTEが、ポスト122のCTEにほぼ等しいかまたはそれよりも大きくなるように構成される。これは事実上、冷却及び収縮中に相互接続126と接合層124との相互作用に伴って起こることの逆であり、したがって引張応力の代わりに中立応力または圧縮応力を与えることが可能である。
【0056】
誘電体層120は、所望の非引張状態を達成するために、ポスト122との所望の相互作用を提供する、任意の適切な方法で、任意の適切な材料または材料の組み合わせを用いて、形成され得る。さらに、誘電体層120を、垂直相互接続126の下層のバッファ層として設けて、それによって、垂直相互接続126によって与えられる引張力を、下にあるMCT光導電層128へのこれらの力の伝達を低減または排除するために、吸収することができる。ポスト122及び/または相互接続126に対する誘電体層120のCTE及び厚さは、一般に、光導電層128または基板118内の脆性材料(例えば、MCT)に及ぼされる所望の力を達成するように選択され得ることが理解される。
【0057】
例示的な実施形態において、絶縁層120は、上部誘電体層部分140と下部誘電体層部分142とを含む多層構造である。図示のように、ポスト122用のビアホール123は、ポスト122のそれぞれの部分が上部誘電体層部分140と下部誘電体層部分142とのそれぞれによって囲まれるように、両方の層140、142を通って延在する。このように、それぞれの誘電体層部分140、142の組み合わされたCTEが、上述の非引張応力状態を提供するようにポスト122のCTEに対して調整された誘電体層120の全体的なCTEを構成する。非限定的な例として、図示の実施形態における誘電体層部分140及び142は両方とも、約5×10-6/KのCTEを有する窒化アルミニウム(AlN)で作られているが、それらは異なる方法で堆積されていて追加の機能を提供する(以下でさらに詳しく説明する)。代替的または追加的に、酸化アルミニウム(Al)の層は、AlN層(複数可)の上または下に、またはそれ自体を誘電体層120として使用することができる。酸化アルミニウム層は、約8×10-6/KのCTEを有し得る。
【0058】
例示的な実施形態では、誘電体層120の異なる層部分140、142は、相互接続126によって与えられる引張応力に対して強化された緩衝効果を提供するように適合され得る。例えば、堆積パラメータに応じて、下部誘電体層142(例えば、AlN)は、固有の中立応力を有するように堆積され得、上部誘電体層140(例えば、同様にAlN)は、固有の低引張応力を有するように堆積され得る。したがって、これらの層の組み合わせは、相互接続構造126によって生成される高引張応力(例えば、300MPa以上)に対する緩衝の改善を促進し、それによって、下層領域(例えば、光導電層128)に与えられる引張応力を低減または排除することができる。
【0059】
ポスト122は、ポスト122の下にある領域(例えば、コンタクトパッド136を介して光導電層128)の非引張状態を達成するために、周囲(例えば、誘電体層120)との所望の相互作用を提供するように、任意の適切な材料または材料の組み合わせで任意の適切な構成に作製することができる。前述のとおり、非引張状態は、中立状態または圧縮応力状態であり得る。例示的な実施形態では、ポスト122は、その下の圧縮力を促進するために、材料内に固有の圧縮応力を伴って形成される。例えば、ポスト122は、圧縮性SiO材料で形成され得る。図示の実施形態に示されているように、誘電体層120の上に重なる接合層124は、ビアホール123内に延在してポスト122をも形成することができる。なぜなら、圧縮性SiO層が結合材料として適しており、またAlN誘電体層のCTE(約5×10-6/K)よりも低いCTE(約1.5×10-6/K)を有するからである。結果として、例示的な3次元集積デバイス110が低温(例えば、60K~90K)で使用される場合、例えば、AlN誘電体層120とSiOポスト122との間のCTEの差により、MCT光導電層128は引張応力状態ではなく、わずかに圧縮応力状態に置かれることになる。ポスト122のSiO材料の固有圧縮応力は、堆積パラメータに基づいて修正することができ、下にあるMCT光導電層128の圧縮状態をさらに促進することもできる。さらに、図示の実施形態から明らかなように、接合層124及びポスト122に同じ材料を使用すると、接合層124及びポスト122を同じ堆積ステップで形成できるため、製造が容易になる。
【0060】
さらに図7を参照すると、第2の電気デバイス212は、図示の実施形態ではROICであり、基板218と、基板218によって支持された誘電体層220及び接合層224と、誘電体層220及び接合層224を通ってビアホール内に延在する少なくとも1つの導電性相互接続222とを含む、第1の電気デバイス112と同じまたは類似の特徴のいくつかを有し得る。基板218は、ROIC回路と、結合された相互接続構造を介して光検出器112から電子を受け取るためのコンタクトパッド236またはトレース層とを含むことができる。接合層224は、第1の電気デバイス112に接合するためのSiOなどの接合層124と同じものである。相互接続226は、単一の一体化された垂直相互接続構造150を形成する際の適合性のために、相互接続126と同じであってもよい。
【0061】
図示の実施形態に示すように、第2の電気デバイス212は、ポスト222からオフセットされたその相互接続226をも含む。図示の実施形態におけるポスト222は、接合層材料(例えば、SiO)で形成され、誘電体層220は、AlN、またはポスト222のCTE以上のCTEを提供する他の適切な材料で形成される。したがって、ポスト222はまた、その基板218に圧縮力を引き起こす。ポスト222はポスト122に向かい合っているので、これは、第1の電気デバイス112の基板118に与えられる圧縮力に寄与し得る。上記のことは、CTEがそうするように設計されている場合、ポスト222ではなくポスト122のみで達成できることが理解される。
【0062】
第1の電気デバイス112と第2の電気デバイス212との3次元集積化は、従来の3次元集積技法などによって、任意の適切な方法で達成することができる。例えば、各電気デバイス112、212の準備後、室温(約25℃)で接合層124、224を互いに整列させて接続することができ、それによって初期のファンデルワールス結合を形成することができる。約150℃の高温アニールを実行して、接合層124、224の共有結合的融着を促進することができる。高温アニールでは、それぞれの相互接続126、226が互いに接続し融着して、単一の一体化相互接続構造150を形成する。したがって、このハイブリッド接合プロセスでは、個別に積層された電気デバイス112、212を互いに接合し、電気的に統合して、例示的な3次元集積デバイス110を形成する。
【0063】
図5A図5Rを参照すると、図7に示す3次元集積デバイス110の例示的な状態を達成するための例示的な電気デバイス112を製造する例示的な方法が示される。
【0064】
図5Aは、下部基板層130(例えばシリコン)、光導電層128(例えばMCT)、及びパッシベーション層134(例えばCdTe)を含む基板118が提供される初期状態を示す(厚さは縮尺通りではないことに留意されたい)。図示の状態では、MCT層はエピタキシャル成長されており、CdTe層はin-situで堆積されている。図5Bは、空孔充填アニール(波線)及びパッシベーション層134上の基準マーカ160のエッチングを実行するプロセスを示す。
【0065】
図5Cは、パッシベーション層134上の下部誘電体層142(例えば、AlN)の堆積を示す。次に、フォトレジスト層162が誘電体層142上に堆積される。図5Dは、フォトレジスト層162内に現像されたPE窓164を示す。基準PE窓166もまた、フォトレジスト層162内に現像される。
【0066】
図5Eは、下部誘電体層142(例えば、AlN)をドライエッチングして、ビアホール123を下部誘電体層142まで延長することを示す。図5Fは、ビアホール123をよりいっそう延長するために、パッシベーション層134(例えば、CdTe)をドライエッチングすることを示す。図示のように、基準マーカ166も続く。
【0067】
図5Gは、光導電体層128へのインプラント132(例えばヒ素)の注入を示す。図5Hは、フォトレジスト層162を剥離することを示す。
【0068】
図5Iは、インプラント132(例えばヒ素)を活性化するプロセスを示す。図5Jは、電気コンタクトパッド136及び電気的接続部層138(再配線層)の堆積を示す。その後、再配線層がパターニングされる。
【0069】
図5Kは、ビアホール123を充填し、ポスト122の一部分を形成する、造形されたPVD酸化物(例えば、SiOx)の堆積を示す。この層は、パターン化された再配線層138の間の部分にも盛られ、ポスト122の一部を形成する。図5Lは、化学機械研磨と、造形されたPVD酸化物層の上部の除去とを示す。
【0070】
図5Mは、PVD接合酸化物(接合層124)(例えば、SiOx)の堆積を示す。図5Nは、フォトレジスト層168の堆積を示す。図5Oは、フォトレジスト層に窓170を形成することによってオフセットビアパターンを現像することを示す。図5Pは、接合層124をドライエッチングしてビアホール127を形成することを示す。
【0071】
図5Qは、フォトレジスト層168の除去と、相互接続126(例えば、インジウムまたは銅)の電気メッキとを示す。図5Rは、化学機械研磨して、表層を除去し、接合層124を露出させることを示す。図5Rは、3次元集積化の準備ができた電気デバイス112を示す。
【0072】
図6は、上記のように、3次元集積化のための第1の電気デバイス112(例えば、光検出器)と第2の電気デバイス212(例えば、ROIC)との位置合わせを示す。
【0073】
例示的な電気デバイス112及び/または3次元集積電気デバイス110の例示的な形態について上で述べたが、本明細書で説明する原理及び態様に従って代替構成を使用することもできる。例えば、脆性材料として主にMCTについて言及されているが、他の脆性材料が電気デバイスの他の領域で使用されてもよく、その場合、本明細書に記載の通りにデバイスの構造を調整することによって所望の力を提供することが望ましい場合があることが理解される。一般に、脆性材料とは、KIC破壊靱性が1MPa・m1/2未満の材料のことである。
【0074】
一般に、本明細書では、基板と、基板によって支持された誘電体層であって、誘電体層のビアホール内に配置された少なくとも1つの垂直ポストを有する誘電体層と、ポストから横方向にオフセットされた少なくとも1つの導電性垂直相互接続とを含む例示的な電気デバイスについて説明してきた。ポストは、ポストの下にある電気デバイスの領域に非引張状態を与えるように構成されている。ポストの熱膨張係数(CTE)は、ポストの熱膨張係数(CTE)以上のCTEを有する誘電体層など、誘電体層のCTEと組み合わせて非引張状態を提供するように構成され得る。誘電体層は、導電性垂直相互接続のCTEよりも小さいCTEを有し得、垂直相互接続によって与えられる引張力に対する緩衝を提供するように配置され得る。
【0075】
本開示の一般的な態様によれば、応力緩衝材及び誘電体圧縮ポストを備える横方向にオフセットされたビアを含む電気デバイスが提供される。
【0076】
一態様によれば、例示的な電気デバイスは、組み合わせて、冷却中に、MCTコンタクトに中立状態または圧縮を提供する少なくとも2つの部分を備えている。第1の部分は、MCTコンタクトパッドから横方向に離れて配置され、フィルムライン(パターン化された横方向導体)によってそれに接続されたオフセットされた導電性ビアである。第2の部分は、低CTE誘電体から製造された誘電体圧縮ポストであり、MCTコンタクトパッドの真上に配置される。冷却中、MCTコンタクトパッドへの軸方向の圧縮を維持するように、圧縮ポストは周囲の接合層よりも収縮しにくく、一方、収縮する導電性ビアからの引張歪みは距離によって隔離され、誘電体層によって緩衝される。
【0077】
一態様によれば、MCTコンタクトパッド上のSiO充填ポストは、それを囲むAlN/SiOスタックよりも低いCTEを有し、接合構造が76Kなどの動作温度まで冷える際に、MCTコンタクトパッドへの圧力(圧縮)を維持する。
【0078】
一態様によれば、オフセットされた導電性相互接続は、下にあるMCT基板を引張歪みから緩衝するAlNバッファ層に固定される。
【0079】
本明細書及び特許請求の範囲に開示されている全ての範囲及び比率の限界は、任意の方法で組み合わせることができることが理解される。本明細書で使用される「約」という用語は、記載値の±10%までの変動、例えば、記載値の±10%、±9%、±8%、±7%、±6%、±5%、±4%、±3%、±2%、±1%、±0.01%、±0.0%の変動によって定義される範囲内にある任意の値、及びそのような記載値に介在する値を指す。
【0080】
本明細書では、「本質的に~からなる」など、組成物または材料に関連して使用される「本質的に~の」という用語は、組成物または材料の基本的な機能に影響を及ぼさない微量の構成成分及び/または不純物が含まれてもよいことを意味すると理解される。
【0081】
特に明記しない限り、「a」、「an」、及び/または「the」への言及には、1つ以上が含まれる場合があり、単数形の項目への言及には、複数形の項目も含まれる場合があることを理解されたい。「及び/または」という語句は、そのように結合された要素の「いずれかまたは両方」、すなわち、ある場合には結合的に存在し、他の場合には分離的に存在する要素を意味すると理解されるべきである。「及び/または」節によって具体的に特定される要素以外の他の要素が、明確に反対の指示がない限り、具体的に特定された要素と関連するか否かにかかわらず、任意に存在してもよい。したがって、非限定的な例として、「含む(comprising)」などの非制限型言語と併せて使用される場合、「A及び/またはB」への言及は、一実施形態ではB抜きでA(任意選択でB以外の要素を含む)を、別の実施形態ではA抜きでB(任意選択でA以外の要素を含む)を、さらに別の実施形態ではA及びBの両方(任意選択で他の要素を含む)を、などと指すことができる。
【0082】
「または」という言葉は、上で定義した「及び/または」と同じ意味を有すると理解されるべきである。例えば、リスト内の項目を分離するとき、「または」または「及び/または」は包括的であると解釈されるべきであり、すなわち、要素の数またはリストのうちの、少なくとも1つを含むが、2つ以上もまた含み、場合によっては追加の非リスト項目を含む。「~のうちの1つのみ(only one of)」または「まさに~のうちの1つ(exactly one of)」などの、明確に反対の指示をする用語のみが、いくつかの要素または要素のリストのうち、厳密に1つの要素を含むことを指すことができる。一般に、本明細書で使用される用語「または(or)」は、「いずれか(either)」、「~のうちの1つ(one of)」、「~のうちの1つのみ(only one of)」または「まさに~のうちの1つ(exactly one of)」などの排他的な用語が先行する場合、排他的な選択肢(すなわち、「一方または他方であるが両方ではない」)を示すものとしてのみ解釈されるものとする。
【0083】
「備える(comprising)」、「含む(including)」、「運ぶ(carrying)」、「有する(having)」、「含有する(containing)」、「含む(involving)」、「保有する(holding)」、「~で作られている(madeof)/(madewith)」などの移行部の語句は、特に明記しない限り、非制限的、すなわち、含むが限定されないことを意味するものと理解される。
【0084】
本発明を特定の1つの実施形態または複数の実施形態に関して図示し説明してきたが、本明細書及び添付図面を読んで理解すれば、同等の変更及び修正が当業者に思い浮かぶことは明らかである。特に、上記の要素(コンポーネント、アセンブリ、デバイス、組成物など)によって実行される様々な機能に関して、そのような要素を説明するために使用される用語(「手段」への言及を含む)は、特に指示しない限り、本明細書に例示した本発明の例示的な1つの実施形態または複数の実施形態において機能を実行する開示された構造と構造的に同等でなくても、説明した要素の特定の機能を実行する(すなわち、機能的に等価な)任意の要素に対応することが意図される。加えて、本発明の特定の特徴は、いくつかの例示的実施形態のうちの1つ以上に関してのみ上記で説明され得たが、そのような特徴は、任意のまたは特定の用途に対して望ましいまたは有利なように、他の実施形態のうちの1つ以上の他の特徴と組み合わせることができる。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図5H
図5I
図5J
図5K
図5L
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図5O
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図5R
図6
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【国際調査報告】