(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-01
(54)【発明の名称】冷凍ピザ用ドウの製造方法
(51)【国際特許分類】
A21D 13/41 20170101AFI20240222BHJP
A21D 15/02 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
A21D13/41
A21D15/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023554884
(86)(22)【出願日】2022-03-08
(85)【翻訳文提出日】2023-09-07
(86)【国際出願番号】 KR2022003285
(87)【国際公開番号】W WO2022191592
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】10-2021-0030430
(32)【優先日】2021-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508139664
【氏名又は名称】シージェイ チェイルジェダン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】CJ CHEILJEDANG CORPORATION
【住所又は居所原語表記】CJ Cheiljedang Center,330,Dongho-ro,Jung-gu,Seoul,Republic Of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ゼ・キョン・チェ
(72)【発明者】
【氏名】ヘ・ウォン・シン
(72)【発明者】
【氏名】ウ・ニ・キム
(72)【発明者】
【氏名】サン・グン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・ミン・ハ
(72)【発明者】
【氏名】ヒ・ス・パク
(72)【発明者】
【氏名】ミン・ヒョク・キム
(72)【発明者】
【氏名】キ・ムン・カン
【テーマコード(参考)】
4B032
【Fターム(参考)】
4B032DB32
4B032DE06
4B032DG02
4B032DK03
4B032DK12
4B032DK18
4B032DK54
4B032DP13
4B032DP25
4B032DP30
4B032DP33
4B032DP40
4B032DP60
4B032DP73
(57)【要約】
第1ドウを熟成させて第2ドウを製造し、第1ドウと第2ドウを混合する段階;前記混合ドウをレスティング(resting)する段階;前記レスティングされたドウをプルーフィング(proofing)する段階;及び前記プルーフィングされたドウを冷凍する段階;を含む冷凍ピザ用ドウの製造方法、この製造方法により製造された冷凍ピザ用ドウ及びこれを含む冷凍ピザに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ドウを熟成させて第2ドウを製造し、第1ドウと第2ドウを混合する段階;
前記混合ドウをレスティング(resting)する段階;
前記レスティングされたドウをプルーフィング(proofing)する段階;及び
前記プルーフィングされたドウを冷凍する段階;を含む、冷凍ピザ用ドウの製造方法。
【請求項2】
前記熟成は、0℃から3℃で16時間から23時間の間行うものである、請求項1に記載の冷凍ピザ用ドウの製造方法。
【請求項3】
前記第1ドウと第2ドウは、9:1から3:2の重量比で混合するものである、請求項1に記載の冷凍ピザ用ドウの製造方法。
【請求項4】
前記レスティングは、25±5℃の室温で30分から120分間行うものである、請求項1に記載の冷凍ピザ用ドウの製造方法。
【請求項5】
前記プルーフィングは、30±10℃の温度で20分から50分間行うものである、請求項1に記載の冷凍ピザ用ドウの製造方法。
【請求項6】
前記プルーフィングは、厚さが0.7~1.0cmであるドウの場合10%から50%の湿度で行い、厚さが1.2~1.7cmであるドウの場合50%から80%の湿度で行うものである、請求項5に記載の冷凍ピザ用ドウの製造方法。
【請求項7】
前記冷凍する段階以前にドウを熱処理する段階をさらに含むものである、請求項1に記載の冷凍ピザ用ドウの製造方法。
【請求項8】
前記熱処理は、300℃から350℃の温度で2分から3分間行うものである、請求項7に記載の冷凍ピザ用ドウの製造方法。
【請求項9】
小麦粉、塩類及び酵母を含む冷凍ピザ用ドウであって、厚さが1.2から1.7cmである冷凍ピザ用ドウを冷凍庫から取り出した後、3分以内に700Wマイクロウエーブ波を1分30秒間照射して調理する場合、硬度(Hardness)が50gから300gである、冷凍ピザ用ドウ。
【請求項10】
TA(Texture Analyser)で測定時、前記冷凍ピザ用ドウのガム性(Gumminess)は40から200であり、咀嚼性(Chewiness)は30から150である、請求項9に記載の冷凍ピザ用ドウ。
【請求項11】
前記冷凍ピザ用ドウは、第1ドウと第1ドウを熟成させた第2ドウとを9:1から3:2の重量比で含むものである、請求項9に記載の冷凍ピザ用ドウ。
【請求項12】
前記第2ドウは、第1ドウを0℃から3℃で16時間から23時間の間熟成させたものである、請求項11に記載の冷凍ピザ用ドウ。
【請求項13】
前記冷凍ピザ用ドウは、請求項1に記載の製造方法で製造される、請求項9に記載の冷凍ピザ用ドウ。
【請求項14】
請求項9から13の何れか1項に記載の冷凍ピザ用ドウを含む、冷凍ピザ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、冷凍ピザ用ドウの製造方法及び前記方法で製造された冷凍ピザ用ドウに関する。
【背景技術】
【0002】
ピザは、小麦粉で作ったパンの上に肉類や野菜及びチーズなどをのせて調理した食品であって、ピザの原料は、大きく、ドウ、ソース、トッピング物の3種類に分けることができる。一方、冷凍食品に対する消費が増える傾向により、ピザの場合も冷凍ピザを製造して販売しており、市販されている冷凍ピザは、ピザドウをオーブンで焼いてからトッピング材料をピザドウにのせた後に冷凍させたパーベイク冷凍ピザが大部分である。
【0003】
冷凍ピザは、電子レンジ又は家庭用オーブンなどを用いて再加熱をした後に摂取するが、冷凍ピザは、ピザドウをオーブンで一度焼いているので、消費者が解凍後に調理しながらピザドウに再び熱を加えると硬化が発生するようになり、ピザドウが硬くて食感が良くない問題がある。
【0004】
よって、簡単に食べることができる冷凍ピザとして、ピザ専門店で食べるピザと食感の面で差がない冷凍ピザ用ドウを生産することができる技術の開発が持続的に要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2019-0089275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本出願は、生地内部の気孔の個数と大きさを均一に増加させて生地の伸張性を高め、強度は減少させることにより、再加熱しても食感に優れた冷凍ピザ用ドウの製造方法の提供を図る。
【0007】
また、本出願は、前記冷凍ピザ用ドウと前記冷凍ピザ用ドウを含む冷凍ピザの提供を図る。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本出願は、第1ドウを熟成させて第2ドウを製造し、第1ドウと第2ドウを混合する段階;前記混合ドウをレスティング(resting)する段階;前記レスティングされたドウをプルーフィング(proofing)する段階;及び前記プルーフィングされたドウを冷凍する段階;を含む冷凍ピザ用ドウの製造方法を提供する。
【0009】
また、本出願は、小麦粉、塩類及び酵母を含む冷凍ピザ用ドウであって、厚さが1.2から1.7cmである冷凍ピザ用ドウを冷凍庫から取り出した後、3分以内に700Wマイクロウエーブ波を1分30秒間照射して調理する場合の硬度(Hardness)が50gから150gである冷凍ピザ用ドウを提供する。
【0010】
先ず、本明細書で用いられた用語を説明する。
【0011】
本出願において称する「ドウ(dough)」は、一般的に小麦粉などの粉末を少量の水及び/又はその他の液体と混合して作った厚い(thick)生地を意味し、通常、ピザ、パンなどのベーカリー製品を作る際に用いる。また、本出願において称する「ピザ用ドウ」は、前記ドウをピザの形状に成形したものを意味する。
【0012】
本出願において称する「ドウ」は、生地を薄く広げてベーカリー製品の形状に切断(cutting)したドウをオーブンなどで調理して焼成させた後、急速冷凍したものを意味する。
【0013】
本出願において称する「シン(Thin)ドウ」は、ドウの厚さが0.7~1.0cmであるドウを意味し、ミディアム(medium)ドウは、ドウの厚さが1.2~1.7cmであるドウを意味する。
【0014】
本出願において称する「クラスト(crust)」は、パン、菓子などのベーカリー製品が焼成された後に硬くなった表面を意味し、ベーカリー製品がピザである場合、ピザの底又はソースやトッピングが塗布されていない枠の部分、すなわち、ピザの全体のパン部分を意味する。
【0015】
以下、本出願の内容をより詳細に説明する。
【0016】
本出願は、冷凍ピザ用ドウを製造する方法を提供する。
【0017】
本出願の前記方法は、第1ドウを熟成させて第2ドウを製造する段階を含む。
【0018】
前記第1ドウは、本生地(ドウ)を意味し、前記第2ドウは、第1ドウ又は第1ドウの一部分を一定時間の間低温で熟成させた低温熟成ドウを意味する。前記第1ドウの一部分は、第1ドウの10から50重量%に該当する部分であってよい。例えば、前記第2ドウは、第1ドウをピザの形状に成形するために薄くのばしてから切断して残ったドウを低温熟成させて製造することができる。
【0019】
また、前記第2ドウは、第1ドウをレスティングした後に低温で熟成させたドウであってよい。例えば、前記第2ドウは、第1ドウをレスティングした後、その10から50重量%を引き離して低温で熟成させたドウであってよい。
【0020】
前記熟成は、第1ドウを0℃から3℃で16時間から23時間、17時間から23時間、又は18時間から23時間の間熟成させたものであってよい。
【0021】
前記範囲の温度及び/又は時間で熟成させる場合、グルテンネットワークが緩んでいきながら均一な形態の気孔が多数個形成され、これによりドウを焼成させる段階でクラストの厚さが増加し、形成されたガスポケット(gas-pocket)内部に熱伝達率を高めてピザクラストの組織が粘って(sticky)しまうことを防止することができる。
【0022】
前記第2ドウは、第1ドウと同一の組成を有することができる。前記第1ドウ及び/又は第2ドウは、小麦粉、塩類及び酵母を含むことができる。また、糖類、油脂類及び水よりなる群から選択される1以上をさらに含むことができる。
【0023】
前記小麦粉は、小麦を砕いて作った粉を意味し、麦粉と混用して用いられてよい。前記小麦粉は、例えば、強力粉又は中力粉を主成分として用いることができ、小麦粉の含量は、全体冷凍ピザ用ドウ100重量部を基準として50から80重量部が含まれてよい。
【0024】
前記塩類は、食品に用いられるものであって、通常の塩類でさえあれば、制限なく用いることができ、例えば、塩、塩分を含む調味料、にがり(塩化マグネシウム)、硫酸カルシウム、硫酸カリウム又はこれらの混合物であってよい。前記塩類の含量は、小麦粉100重量部を基準として0.1から2重量部で含まれてよい。
【0025】
前記酵母は、イースト(yeast)とも称し、イースト発酵食品の製造に一般的に用いられるものであれば、制限なく用いられてよく、例えば、生イースト、インスタントドライ酵母、又は乾燥イーストであってよい。前記イーストは、小麦粉100重量部を基準として1から3重量部で含まれてよい。
【0026】
前記糖類は、製菓分野で用いられるものであれば、その種類が制限されず、例えば、砂糖、オリゴ糖、水飴、蜂蜜、果糖、乳糖、デキストリン、マルトース、オリゴ糖、トレハロース、ステビオシド、アスパルテーム、ソルビトール、キシリトール、マンニトール及びイノシトールよりなる群から選択された1つ以上で構成されてよい。前記糖類の含量は、嗜好によって適切に調節可能であり、冷凍ピザ用ドウ100重量部に対して1から10重量部、3から10重量部又は5から10重量部で含まれてよい。
【0027】
前記油脂類は、製菓分野で用いられるものであれば、その種類が制限されず、例えば、大豆油、ブドウ種子油、ヒマワリ油、オリーブ油、コーン油、菜種油、月見草油、ヤシ油、トウガラシ種子油、パーム油から選択される液状油脂であってもよく、バター、マーガリン、ショートニングから選択される固体油脂であってもよい。前記油脂類の含量は、冷凍ピザ用ドウ100重量部に対して1から10重量部、3から8重量部、3から7重量部又は2から5重量部で含まれてよい。
【0028】
本出願の冷凍ピザ用ドウを製造する方法は、前記第1ドウと第2ドウを混合する段階を含む。
【0029】
前記第1ドウに第2ドウを混合することにより、生地の抵抗度と伸張度が高くなって安定的な内部構造を形成することができる。
【0030】
前記第1ドウと第2ドウは、9:1から3:2の重量比、9:1から2:1の重量比、9:1から3:1の重量比、9:1から4:1の重量比、9:1から6:1の重量比、6:1から3:2の重量比、4:1から3:2の重量比、3:1から3:2の重量比、2:1から3:2の重量比で混合することができる。第1ドウと第2ドウを前記範囲の重量比で混合する場合、サイズの大きい気孔が均一に形成され、クラストの硬度、ガム性及び咀嚼性が低くなって柔らかい食感を示すことができる。
【0031】
本出願の冷凍ピザ用ドウを製造する方法は、前記第1ドウと第2ドウが混合されたドウをレスティング(resting)する段階を含む。
【0032】
前記レスティング(休止)段階は、ドウを室温で一定時間の間放置して生地内のグルテン結合と水分の平衡を合わせる段階を意味する。この過程で安定化されたグルテンの間にイーストが作用して炭酸ガスを作り出し、生地が膨らむようになる。
【0033】
前記レスティングは、室温で30分から120分、30分から90分、30分から70分、30分から60分、40分から120分、40分から90分、40分から70分、40分から60分、50分から120分、50分から90分、50分から70分又は50分から60分間行うものであってよい。前記範囲の時間でレスティングする場合、生地の軟化度と伸張性が高くなり、ドウを焼成させた後にクラストの硬度が減少し得る。前記室温は、1℃から35℃、5℃から35℃、10℃から35℃、15℃から35℃、20℃から35℃、25℃から35℃、5℃から30℃、10℃から30℃、15℃から30℃、20℃から30℃、25℃から30℃、5℃から25℃、10℃から25℃、15℃から25℃、20℃から25℃、5℃から20℃、10℃から20℃又は15℃から20℃であってよく、具体的に、25±5℃であってよい。
【0034】
本出願の冷凍ピザ用ドウを製造する方法は、前記レスティングされたドウをプルーフィング(proofing)する段階を含む。
【0035】
前記プルーフィング段階は、発酵段階とも称し、温度及び湿度を調節してイーストの活性を最大に上げる過程を意味する。イーストが活性化されると、二酸化炭素が生成されて生地の混合過程で生成された気孔に二酸化炭素が満たされ、飽和状態に至るようになると二酸化炭素が外に出るようになるとともにドウが膨れ上がるようになる。
【0036】
前記プルーフィングは、30±10℃の温度、30±5℃の温度、又は30±2℃の温度で20分から50分、25分から45分、又は30分から40分間行われてよい。前記範囲の時間の間プルーフィングする場合、生地の軟化度と伸張性が高くなり、ドウを焼成させた後にクラストの硬度が減少し得る。
【0037】
前記プルーフィングは、厚さが0.7~1.0cmであるシン(thin)ドウである場合、50%以下の湿度で行うことができ、具体的に、10%から50%の湿度、20%から50%の湿度、30%から50%の湿度、40%から50%の湿度、10%から40%の湿度、20%から40%の湿度又は30%から40%の湿度でプルーフィングすることができる。
【0038】
厚さが0.7~1.0cmであるシン(thin)ドウを前記範囲の湿度でプルーフィングして製造する場合、小さくて均一な形態の気孔を有したドウを製造することができるので、冷凍後の調理時に薄いがコシが強い食感を付与することができる。
【0039】
前記プルーフィングは、厚さが1.2~1.7cmであるミディアム(medium)冷凍ドウの場合、50%から80%の湿度、55%から75%の湿度、60%から75%の湿度、65%から75%の湿度、又は65%から70%の湿度で行うことができる。
【0040】
厚さが1.2~1.7cmであるミディアム(medium)ドウを前記範囲の湿度でプルーフィングする場合、ドウを焼成した後にサイズの大きい気孔が生成されてドウの硬度が低くなるので、普通の厚さを有するが冷凍後の調理時に柔らかい食感のドウを食べることができる。
【0041】
本出願の冷凍ピザ用ドウを製造する方法は、前記プルーフィングされたドウを冷凍する段階を含む。
【0042】
前記冷凍は、30℃以下の温度で20分以上の時間の間行ってよく、例えば、-20から-40℃の温度で10から30分間行うことができる。
【0043】
前記温度及び/又は時間範囲で冷凍する場合、氷結晶の大きさが小さいため、組織感を優秀に維持することができ、解凍中の栄養成分の損失を抑制することができる。
【0044】
本出願の冷凍ピザ用ドウを製造する方法は、前記冷凍する段階以前にドウを熱処理する段階を選択的に含むことができる。
【0045】
前記熱処理する段階は、プルーフィングされたドウをオーブンで高温加熱して生地の表面を熱処理する工程であって、短い時間の間生地の温度を高めて生地が急激に膨らむようにするものである。
【0046】
前記熱処理は、300℃から350℃の温度で2分から3分間加熱するのが、クラストの食感の側面で好ましい。
【0047】
本出願の他の一側面は、冷凍ピザ用ドウを提供する。
【0048】
前記冷凍ピザ用ドウは、小麦粉、塩類及び酵母を含むピザ用ドウであって、厚さが1.2から1.7cmである冷凍ピザ用ドウを冷凍庫から取り出した後、3分以内に700Wマイクロウエーブ波を1分30秒間照射して調理する場合、硬度(Hardness)が50gから300gであってよい。
【0049】
前記硬度は、噛むときの硬さを示すものであって、ピザクラストのエッジ部分をカッティングして測定することができ、前記ピザクラストのエッジ部分は、ピザドウの周囲から内部方向に所定の距離以内の部分を意味し、前記所定の距離は、3.0cm、2cm、又は1cmであってよい。
【0050】
具体的な実施例において、前記硬度の測定は、前記厚さが1.2から1.7cmであるミディアム(medium)冷凍ピザ用ドウを冷凍庫から取り出した後、3分以内に700Wマイクロウエーブ波を1分30秒間照射して調理し、調理直後5分以内にピザクラストのエッジ部分をカッティングして測定した。
【0051】
前記マイクロウエーブ波の照射は、マイクロウエーブオーブンなどを用いることであってよい。
【0052】
前記冷凍庫から取り出した後、3分以内に700Wマイクロウエーブ波を1分30秒間照射された冷凍ピザ用ドウの硬度(Hardness)は、50g、60g、70g、80g、90g、100g、110g及び120gのうちから選択される1つの下限と、300g、290g、280g、270g、260g、250g、240g、230g、220g、210g、200g、190g、180g、170g、160g及び150gのうちから選択される1つの上限とよりなる群から選択される範囲であり、例えば、50gから300g、50gから250g、50gから200g、50gから150g、50gから100gであってよい。冷凍ピザ用ドウの硬度が前記範囲の場合、再調理された冷凍ピザのクラストの断面に粘りがなく、柔らかい食感を示すことができるので、ピザ専門店で直ぐに調理したピザと同等水準以上に優れた食感を具現することができる。また、既存の冷凍ピザに比べ、調理した際に柔らかい食感を具現することができる。
【0053】
本出願において「ガム性(Gumminess)」は、半固体食品を飲み込むことができる程度に噛むのに必要な力を意味し、「咀嚼性(Chewiness)」は、固体食品を飲み込むことができる状態まで噛むのに必要な力を意味する。
【0054】
前記冷凍庫から取り出した後、3分以内に700Wマイクロウエーブ波を1分30秒間照射されたドウのガム性(Gumminess)は、40、50、60、70、80、90、100、110及び120のうちから選択される1つの下限と、200、190、180、170、160、150、140、130、120、110、100、90、80、70のうちから選択される1つの上限とよりなる群から選択される範囲であり、例えば、40から200、40から150、40から100、40から70、50から100であってよい。冷凍ピザ用ドウのガム性が前記範囲である場合、べたつき(粘り)が低くなって優れた食感を具現することができる。
【0055】
前記冷凍庫から取り出した後、3分以内に700Wマイクロウエーブ波を1分30秒間照射された冷凍ピザ用ドウの咀嚼性(Chewiness)は、30、40、50、60、70、80、90、100、110及び120のうちから選択される1つの下限と、150、140、130、120、110、100、90、80、70、60のうちから選択される1つの上限とよりなる群から選択される範囲であり、例えば、30から150、30から100、30から80、30から70、40から60であってよい。冷凍ピザ用ドウの咀嚼性が前記範囲である場合、噛むときに力が比較的に入らないようになって優れた食感を具現することができる。
【0056】
前記冷凍ピザ用ドウは、第1ドウと、第1ドウを熟成させた第2ドウとを9:1から3:2の重量比、9:1から2:1の重量比、9:1から3:1の重量比、9:1から4:1の重量比、9:1から6:1の重量比、6:1から3:2の重量比、4:1から3:2の重量比、3:1から3:2の重量比、2:1から3:2の重量比で含むことができる。第1ドウと第2ドウを前記範囲の重量比で含む場合、サイズの大きい気孔が均一に形成され、クラストの硬度、ガム性及び咀嚼性が低くなって柔らかい食感を示すことができる。
【0057】
前記第2ドウは、第1ドウを0℃から3℃で16時間から23時間、17時間から23時間、18時間から23時間、16時間から22時間、17時間から22時間、又は18時間から22時間の間熟成させたものであってよい。前記範囲の温度及び/又は時間で熟成させる場合、グルテンネットワークが緩んでいきながら均一な形態の気孔が多数個形成され、これによりドウを焼成させる段階でクラストの厚さが増加し、形成されたガスポケット(gas-pocket)内部に熱伝達率を高めてピザクラストの組織が粘って(sticky)しまうことを防止することができる。
【0058】
前記冷凍ピザ用ドウは、前述した冷凍ピザ用ドウの製造方法により製造されたものであってよい。
【0059】
前記小麦粉、塩類、酵母、レスティング、プルーフィング、冷凍、熱処理については、前述した内容が同一に適用されてよい。
【0060】
本出願のまた他の一側面は、前述した冷凍ピザ用ドウを含む冷凍ピザを提供する。前記冷凍ピザは、冷凍ピザ用ドウの他にトッピング物をさらに含むことができる。
【0061】
前記トッピング物は、制限なく用いられてよく、例えば、チーズ、ペパロニ、牛肉、ベーコン、ハム、タマネギ、ピーマン、オリーブ、キノコ、パイナップルなどであってよい。前記冷凍ピザは、冷凍ピザ用ドウを含み、前記冷凍ピザ用ドウの硬度(Hardness)は50gから300gであり、ガム性は40から200であり、咀嚼性は30から150であってよい。
【0062】
前記冷凍ピザ用ドウ、小麦粉、塩類、酵母、硬度、ガム性、咀嚼性及びマイクロウエーブ波に対しては、前述した内容が同一に適用されてよい。
【0063】
前記冷凍ピザは、別途の解凍なしで電子レンジ又は家庭用オーブンなどを用いて、冷凍庫から取り出した後に再加熱しても、クラストの食感が柔らかく、消費者が配達ピザや既存の冷凍ピザより食感に優れたピザを迅速に調理して食べることができるという利点がある。
【発明の効果】
【0064】
本出願による冷凍ピザ用ドウの製造方法によると、生地の伸張性を高めて強度は減少させ、生地内部の気孔の個数と大きさを均一に増加させることにより、冷凍保管後に別途の解凍なしで再加熱(再調理)しても、柔らかい食感を有する冷凍ピザ用ドウを提供することができる。
【0065】
本発明の冷凍ピザ用ドウ及び冷凍ピザは、既存の冷凍ピザ用ドウ又は冷凍ピザに比べて硬度、ガム性及び咀嚼性が低いため、クラストの断面に粘りがなく、噛むときに力が多くかからずに柔らかい食感を示すので、ピザ専門店で直ぐに調理したピザと同等水準以上に食感に優れている。
【0066】
本出願の効果は、前記で言及した効果に制限されず、言及されていないまた他の効果は、下記の記載から当業者に明確に理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【
図1】第1ドウと第2ドウの混合工程及びプルーフィング(proofing)工程の有無による、ピザの体積(volume)及び気孔の個数を確認した写真である。
【
図2】レスティング工程及びプルーフィング工程の有無及び工程の時間による生地の強度(棒グラフ)及び軟化度(線グラフ)を示した図である:R0P0は、レスティング工程とプルーフィング条件を全て未実施の生地;R0P30は、レスティング工程は実施せずプルーフィングを30分実施した生地;R60P0は、レスティングを60分実施してプルーフィングは未実施の生地;R60P30は、レスティングを60分及びプルーフィングを30分実施した生地。
【
図3】レスティング工程及びプルーフィング工程の有無及び工程の時間による生地の引張抗力(棒グラフ)、伸張度(青色線グラフ)及び生地の内部エネルギー(黄色線グラフ)を示した図である:R0P0は、レスティング工程とプルーフィング条件を全て未実施の生地;R0P30は、レスティング工程は実施せずプルーフィングを30分実施した生地;R60P0は、レスティングを60分実施してプルーフィングは未実施の生地;R60P30は、レスティングを60分及びプルーフィングを30分実施した生地。
【
図4】レスティング工程及びプルーフィング工程の有無によるマイクロウエーブ波調理後のピザクラストの咀嚼性(chewiness)、ガム性(Gumminess)及び硬度(hardness)を示した図である。
【
図5】プルーフィング工程の有無及び湿度条件による、マイクロウエーブ波調理後のピザクラストの断面特性と気孔特性を確認した写真である。
【
図6】第1ドウと第2ドウの混合の比率による、マイクロウエーブ波調理後のピザクラストの断面特性と気孔特性を確認した写真である。
【
図7】第1ドウと第2ドウの混合の比率による、マイクロウエーブ波調理後のピザクラストの咀嚼性(chewiness)、ガム性(Gumminess)及び硬度(hardness)を示した図である。
【
図8】本出願の製造方法で製造した冷凍ピザと市販冷凍ピザのマイクロウエーブ波調理後のピザクラストの咀嚼性(chewiness)、ガム性(Gumminess)及び硬度(hardness)を比較した図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0068】
以下、本出願を実施例及び実験例により詳細に説明する。但し、下記実施例及び実験例は、本出願を具体的に例示するためのものに過ぎず、本出願の内容が下記実施例及び実験例により限定されるものではない。
【0069】
[製造例1]
従来の冷凍ピザ用ドウ及び冷凍ピザの製造方法
【0070】
基本的な従来の冷凍ピザ用ドウ及び冷凍ピザを製造するために下記のように製造した。
【0071】
先ず、小麦粉、穀類加工品、砂糖、精製塩、ブドウ糖、油脂、酵母及び精製水をこね機に入れ、26℃で低速2分及び高速3分間練った(第1ドウ)。その後、生地を15分間休止(resting)させた後250gずつ分割した。その後、分割された生地をピザの形状となるように押し伸ばした後(sheeting)、1/4の大きさにカッティングした。カッティングされたドウを25℃の発酵室に生地を入れて30分間プルーフィング(proofing)した。プルーフィングまで終えたドウに1次トッピングしてオーブンで焼いた後、2次トッピングした。2次トッピングが完了すると、生地を-35℃の急速冷凍庫に30分間入れて冷凍させ、冷凍ピザ用ドウ及び冷凍ピザを製造した。
【0072】
[実施例1]
第1ドウと第2ドウの混合工程がピザクラストに及ぼす影響の確認
【0073】
<1-1>.第2ドウの混合によるピザクラストの厚さ変化の確認
既存のドウ(第1ドウ)に第2ドウを混合することがピザクラストの厚さ及び気孔の形成に及ぼす影響を確認するために、前記製造例1の生地である第1ドウに第2ドウを混合したこと以外は、製造例1と同一の方法で冷凍ピザ用ドウを製造した後、電子レンジで調理してクラストの体積(volume)及び厚さを比較した。
【0074】
具体的に、製造例1でカッティング後に残った残余第1ドウを0~3℃の低温熟成室で16~24時間の間熟成させた第2ドウを全体生地の25~30重量%となるように混合した。
【0075】
その結果、
図1に示すように、第1ドウだけ用いた場合と比較し、第1ドウを第2ドウに混合したときにピザの体積(volume)が増加して厚さが増加することを確認した。
【0076】
<1-2>.第2ドウの低温熟成時間によるピザクラストの物性の確認
第2ドウの低温熟成時間がピザクラストの硬度に及ぼす影響を確認するために、低温熟成を0、1、18、24時間の間進行したこと以外は、実施例1-1と同一の方法で冷凍ピザを製造した後、TPA(TEXTURE PROFILE ANALYSIS)分析を実施した。
【0077】
先ず、冷凍ピザを10インチ基準で1/4カッティングし、冷凍状態で保管してから取り出した後、3分以内に電子レンジに移動させて700W基準で1分30秒間調理して、クラストエッジ部分の温度と高さを確認した。2分間室温に置いた後、温度を再び測定し、クラストが押されないようにパンナイフを用いて横、縦10mmにカッティングしサンプリングした。TEXTURE ANALYZER(TA XT-plus)は、TPAモードに設定した後、PRE-TEST SPEED 1.00MM/S、TEST SPEED 0.8MM/S、POST-TEST SPEED 0.8MM/S、STRAIN 70%、DISTANCE 5MM、TIME 3SECにセッティングした後、probeはP-25(mm)を用いた。TEXTURE ANALYZERを用いて準備したサンプルの物性を測定した。
【0078】
その結果、表1に示すように、第2ドウの低温熟成時間によるテクスチャ分析の結果、熟成時間が経過するほど硬度(Hardness)値が低くなる傾向が確認された。熟成0、1h、18h、24hの経過後、硬度値がそれぞれ6322g、762g、215g、4gと顕著に減ることが確認された。但し、24hの場合、過発酵によって生地の密度が下がり、製造工場で大量生産時に生地を一定の厚さに広げるシーティング(sheeting)作業性が不良なので、16hから23h程度に第2ドウを低温熟成して混合させたときに、冷凍ピザの調理後の硬度値と工程作業性がいずれも優れて示されることを確認した。
【0079】
【0080】
<1-3>.第2ドウの混合による生地の安定性の確認
第2ドウの混合が生地の粘弾性に及ぼす影響を確認するために、低温熟成を16から23時間の間進行したこと以外は、実施例1-1と同一の方法で生地を製造した後、生地の粘弾性を測定した。
【0081】
具体的に、第1ドウと第2ドウの混合ドウを150Gに分割し、分割された生地を丸めた後、機械に入れて押し広げた。長く押し広げられた生地にレスティング工程を適用した後、枠に挟んでサンプリングした。生地内のガスが抜けないように注意して機器を作動した。生地が切れるまで測定した。
【0082】
その結果、表2に示すように、第2ドウ30重量%の添加有無によるExtensograph分析の結果、第2ドウが混合されていないドウは、レスティング後に生地の抵抗度(BU)が低くなり、伸張度では差がなかった。一方、第2ドウ30%を適用したときは、レスティング後の生地の抵抗度及び伸張度が高くなることが確認された。熟成された第2ドウを混合することにより、ドウ内の安定的な構造を形成するものと思われる。
【0083】
【0084】
[実施例2]
レスティング(Resting)及びプルーフィング(Proofing)工程がピザクラストに及ぼす影響の確認
【0085】
レスティング工程及び/又はプルーフィング工程がクラストに及ぼす影響を確認するために、実施例1-1と同一に製造し、但し、レスティング工程とプルーフィング条件を全て実施しないか(R0P0)、レスティング工程は実施せずプルーフィングを30分実施するか(R0P30)、レスティングを60分実施してプルーフィングは実施しないか(R60P0)、レスティングを60分及びプルーフィングを30分実施して(R60P30)製造した生地の特性を下記のように確認した。前記レスティング工程は、混合ドウを15~30℃で30~120分間レスティング(resting)して行い、プルーフィング工程は、25~45℃で湿度20~40%条件で発酵室で35±5分間プルーフィング(proofing)して行った。
【0086】
<2-1>.生地の軟化度の確認
先ず、生地の軟化度をFarinograph測定を介して確認した。
【0087】
具体的に、Farinograph測定のために、水分含量14%を基準に300Gのドウを準備し、ビュレットに30℃の蒸留水を入れた後、エアーポケットを除去してオーバーフローさせて高さを合わせた。準備した試料を投入してFARINOGRAPH機器にあるスタートボタン(緑色)を押して1分間プレミックスを進行した。プログラムでスタートをクリックした後、グラフ下段に青い点が表示されると蒸留水を投入した。LIDの孔にスクレーパーを入れて試料を1ヶ所に集めた。蓋を閉じて20分間テストした。500BUに合わせることができるように加水量を調節して2~3回繰り返した。
【0088】
その結果、表3及び
図2に示すように、レスティング工程は、生地の強度を下げて軟化度を高めるという効果が確認された。プルーフィング工程の有無によるFarinograph測定の結果、プルーフィングもまた生地の強度を下げる役割を担うが、レスティングを60分程度実施することが、生地を柔らかくするのに大きい影響を及ぼすことを確認した。
【0089】
【0090】
<2-2>.生地の強度及び伸張性の確認
生地の強度と伸張性を、Extensograph測定を介して確認した。Extensograph測定は、前記実施例1-3に記載された方法と同一の方法で測定した。
【0091】
その結果、表4及び
図3に示すように、レスティング工程が生地の強度を下げて伸張性を高めることを確認した。また、プルーフィング工程も生地の強度を下げて伸張性を高めるものと確認された。
【0092】
【0093】
<2-3>.ピザクラストの組織感の確認
レスティング工程及び/又はプルーフィング工程がクラストに及ぼす影響を確認するために、ピザを製造した後、クラストの組織感をTexture analyzerを用いて確認した。
【0094】
具体的に、レスティング工程とプルーフィング工程の包含の有無を除き、実施例1-1と同一の方法で冷凍ドウとピザを製造した後、組織感の分析を行った。
【0095】
その結果、
図4に示すように、レスティング工程とプルーフィング工程を適用することが、電子レンジ調理後のクラストの硬度を約66%減少させることを確認した。
【0096】
[実施例3]
プルーフィング工程で湿度がクラストに及ぼす影響の確認
【0097】
プルーフィング工程で湿度条件がクラストに及ぼす影響を確認するために、実施例1-1と同一に第2ドウを混合して製造し、但し、レスティング時間は60分としプルーフィング条件を変更して実験した。実験群として、プルーフィングを実施しないか、30%、70%の湿度条件でプルーフィングを実施して厚さ1.2~1.5cmの冷凍ピザ用ドウを有した冷凍ピザを製造した後、ピザクラストの断面特性と気孔特性を確認した。
【0098】
気孔特性を確認するために、冷凍されたピザのクラストエッジ部分を0.1~0.2mmの大きさにスライスして準備した。また、光学顕微鏡(Axiovert 40 C、Carl Zeiss社製)の100Xレンズを用いて気孔特性を確認した。
【0099】
その結果、
図5に示すように、プルーフィングを未実施の実験群においては、気孔が生成されないか非常に小さな大きさで生成され、プルーフィングを30%の湿度で実施したとき、未実施群よりは大きい0.1から0.5mmの気孔(円又は半円の最大直径)が均一な形態で確認されてコシが強い食感を示した。よって、プルーフィング30%の湿度条件で製造したドウは、薄いドウ(Thinクラスト)に適用できるものと判断した。
【0100】
一方、70%の湿度条件でプルーフィング時は、30%の湿度条件と比較したとき、サイズがより大きい気孔が(円又は半円の最大直径が1から1.5mm)生成されてクラスト食感がさらに柔らかくなることを確認した。よって、プルーフィングを70%の湿度条件で製造したドウは、一般的な厚さのドウ(Mediumクラスト)に適用できるものと判断した。
【0101】
[実施例4]
改善した冷凍ピザ用ドウ及び冷凍ピザの製造方法
【0102】
<4-1>.シン(Thin)ドウ冷凍ピザの製造方法
実施例1から3の結果を総合して、シン(Thin)ドウを下記のように製造した。
【0103】
小麦粉、穀類加工品、砂糖、精製塩、ブドウ糖、油脂、酵母及び精製水をこね機に入れ、26℃で低速2分及び高速3分間練って第1ドウを製造した。その後、第1ドウと同一の組成のドウを0~3℃の低温熟成室で16~23時間の間熟成させた第2ドウを第1ドウに10~40%添加して混合ドウを製造した。その後、混合ドウを160~200gに分割し、前記分割された生地は、ピザの形状になるように押し伸ばした後(sheeting)、1/4の大きさにカッティングした。前記カッティングされた混合ドウを15~30℃で30~120分間休止(resting)させた。その後、25~45℃で湿度20~40%の条件で、発酵室で35±5分間プルーフィング(proofing)した。プルーフィングまで終えたドウをオーブンで焼いた後、-35℃の冷凍庫に30分間入れて冷凍させ、0.7~1.0cmの厚さを有したシン(Thin)ドウを製造した。また、前記プルーフィングまで終えたドウに1次トッピングしてオーブンで焼いた後、2次トッピングした。2次トッピングが完了すると、生地を-35℃の冷凍庫に30分間入れて冷凍させ、0.7~1.0cmの厚さを有したシン(Thin)冷凍ピザを製造した。
【0104】
<4-2>.ミディアム(Medium)ドウ冷凍ピザの製造方法
実施例1から3の結果を総合し、ミディアム(Medium)ドウを下記のように製造した。前記実施例4-1と同一の方法で、厚いドウを製造するために混合ドウを220~260gに分割し、プルーフィングの湿度条件を55~85%にのみ調整し、1.2~1.7cmの厚さを有したミディアム(Medium)ドウ及び冷凍ピザを製造した。
【0105】
[実施例5]
第2ドウの混合の比率がピザクラストに及ぼす影響の確認
【0106】
<5-1>.第2ドウの混合の比率によるピザクラストの物性の確認
第2ドウの混合の比率がピザクラストに及ぼす影響を確認するために、前記実施例4-2と同一にミディアムドウ冷凍ピザを製造し、但し、第2ドウを0%、15%、30%、45%で混合して冷凍ピザを製造した後、電子レンジで調理してピザクラストの物性を確認した。
【0107】
(1)気孔特性の確認
第2ドウの混合の比率によってそれぞれ製造した冷凍ピザを、前記実施例3と同一の方法で気孔特性を確認した。
【0108】
その結果、
図6に示すように、第2ドウの混合の比率によるピザクラストの気孔特性の確認の結果、第2ドウを混合していない実験群(0%)では、気孔が現れないか非常に小さいサイズで存在することを確認した。よって、気孔の形成がよくなされていないドウでは、調理後のピザドウの断面が粘って好ましくない食感を示した。一方、第2ドウを15%適用した実験群には気孔サイズが顕著に増加し、円又は半円の最大直径が0.2~0.7mmである気孔が形成されることを確認した。また、30%適用した実験群では、サイズが大きい気孔(円又は半円の最大直径が0.6から1.2mm)が均一に形成されることを確認した。均一な気孔は、オーブンを通過するときピザの厚さが均一に維持されてオブニングされる効果がある。一方、第2ドウを45%適用した実験群では、気孔のサイズは大きくなるが、不均一に現れることを確認した。
【0109】
(2)クラスト組織感の差の確認
第2ドウの混合の比率によってそれぞれ製造した冷凍ピザのクラスト組織感を確認するために、TPA(TEXTURE PROFILE ANALYSIS)分析を実施した。TPA分析の分析条件は、前記実施例1-2と同一に実施した。
【0110】
その結果、
図7に示すように、第2ドウを添加しなかったとき(第2ドウ0%)は硬度値が非常に高い反面、第2ドウを15%添加する場合(第2ドウ15%)は顕著に硬度値が低くなり冷凍後に再調理したにもかかわらず柔らかい食感が具現されることを確認した。第2ドウ30%添加時(第2ドウ30%)には、15%と類似の硬度値を示し、45%添加時(第2ドウ45%)には、硬度値がさらに低くなって柔らかくなることを確認した。
【0111】
(3)生地安定性の確認
第2ドウの混合の比率によってそれぞれ製造した生地の安定性を確認するために、前記実施例1-3と同一の方法で生地の粘弾性を測定した。
【0112】
その結果、下の表5に示すように、第2ドウの添加量が増加するほど抵抗力(Resistance)が増加し、伸張性(Extensibility)は、30%添加群で最も高く示されることを確認した。また、弾力係数を比較したとき、45%添加群では弾力係数が高くなって工程上のシーティング(sheeting)作業時に作業性が多少低下することを確認した。
【0113】
【0114】
前記結果を総合したとき、第2ドウを10から40%程度第1ドウに混合したときに、ドウ製造時の工程作業性も円滑で、製造される冷凍ピザクラストを再調理したときに断面に粘りがなく、柔らかい食感が示されるものと判断した。
【0115】
[実施例6]
既存の配達ピザ及び冷凍ピザとの組織感の比較
【0116】
実施例4-2の方法で製造したミディアムドウ冷凍ピザの電子レンジ調理後の組織感/食感を、既存の配達ピザ及び既存の冷凍ピザと比較するために、以下のように実験した。本出願のミディアムドウ冷凍ピザの組織感の場合、前記実施例1-2と同一の方法で確認した。
【0117】
<6-1>.既存の配達ピザとの比較
既存の配達ピザとの比較のために、ターゲットを既存の配達ピザである「パパジョーンズオリジナルドウ」ピザとし、以下の2種の場合をサンプリングした:(1)これを冷凍後に前記実施例1-2と同一の方法でTPA分析を実施するか(P社-M.W調理)、(2)冷凍していない状態でクラストが押されないようにパンナイフを用いて横、縦10mmにカッティングしてサンプリングし、前記(1)と同一のTPA条件で分析した(P社)。
【0118】
その結果、
図8に示すように、本出願のミディアムドウ冷凍ピザの電子レンジ調理後のピザクラストの硬度が公知のピザより減少し、冷凍後に再調理したにもかかわらず柔らかい食感を維持することを確認した。
【0119】
具体的に、ミディアムクラストのテクスチャ値(Hardness、g)を比較したとき、ターゲットピザ(パパジョンーズ)を冷却後にM.W調理した(1)番サンプルの場合であったとき、硬度が非常に高く確認された。一方、本出願のミディアムドウ冷凍ピザの場合、硬度がこれより顕著に低くなって柔らかさが増大したことを確認し、冷凍されていないピザである(3)番サンプルと比較したときも硬度がさらに低いことを確認した。
【0120】
<6-2>.既存の冷凍ピザとの比較
既存の販売されている他の冷凍ピザとの比較のために、S社、A社、B社の冷凍ピザを対象として前記実施例1-2と同一の方法でTPA分析を実施した。
【0121】
その結果、表6に示すように、本出願のミディアムドウ冷凍ピザの場合、既存の冷凍ピザと比較して柔らかい食感を有することを確認した。
【0122】
【国際調査報告】