(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-01
(54)【発明の名称】エアロゾル形成液体から吸入可能なエアロゾルを発生させるためのエアロゾル発生配設
(51)【国際特許分類】
A24F 40/44 20200101AFI20240222BHJP
A24F 40/46 20200101ALI20240222BHJP
A24F 40/10 20200101ALI20240222BHJP
A24F 40/42 20200101ALI20240222BHJP
【FI】
A24F40/44
A24F40/46
A24F40/10
A24F40/42
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555740
(86)(22)【出願日】2022-03-10
(85)【翻訳文提出日】2023-09-12
(86)【国際出願番号】 EP2022056207
(87)【国際公開番号】W WO2022189578
(87)【国際公開日】2022-09-15
(32)【優先日】2021-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100228337
【氏名又は名称】大橋 綾
(72)【発明者】
【氏名】ゴンザレス フローレス アナ イザベル
(72)【発明者】
【氏名】オズスン オズギュル
(72)【発明者】
【氏名】トゥッリーニ エンリコ
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA05
4B162AA22
4B162AB14
4B162AB23
4B162AC17
4B162AC18
4B162AC22
4B162AC27
(57)【要約】
本発明は、エアロゾル形成液体からエアロゾルを発生させるためのエアロゾル発生配設に関する。エアロゾル発生配設は、エアロゾル形成液体を貯蔵するための液体貯蔵部と、液体貯蔵部から貯蔵部オリフィスを介して貯蔵部の外部にある液体コンベヤの蒸発セクションへと、エアロゾル形成液体を搬送するための毛細管液体コンベヤとを備え得る。エアロゾル発生配設は、蒸発セクションを通過して気流を通過させるための空気ダクトをさらに備える。液体貯蔵部は、毛細管液体コンベヤの毛細管浸潤に対抗するように構成された体積補償液体貯蔵部である。空気ダクトは、空気噴射発生部材、および空気噴射発生部材の下流に拡張ゾーンを含む排出部分を備える。空気噴射発生部材は、空気ダクトを通した気流中に空気噴射を発生して、蒸発セクションの近くにおいて静圧の降下を生じさせるように配設および構成される。本発明はさらに、こうしたエアロゾル発生配設を備える、エアロゾル発生物品、エアロゾル発生装置、およびエアロゾル発生システムに関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル形成液体からエアロゾルを発生させるためのエアロゾル発生配設であって、前記エアロゾル発生配設が、エアロゾル形成液体を貯蔵するための液体貯蔵部と、前記液体貯蔵部から貯蔵部オリフィスを介して前記貯蔵部の外部にある液体コンベヤの蒸発セクションへと、エアロゾル形成液体を搬送するための毛細管液体コンベヤと、前記蒸発セクションを通して気流を通過させるための空気ダクトと、を備え、前記液体貯蔵部が、前記毛細管液体コンベヤの毛細管浸潤に対抗するように構成された体積補償液体貯蔵部であり、前記空気ダクトが、空気噴射発生部材を含む排出部分、および前記空気噴射発生部材の下流の拡張ゾーンを含み、前記空気噴射発生部材が、前記空気ダクトを通る気流に空気噴射を発生させ、前記蒸発セクションの近くにおいて静圧の降下を生じさせるように配設および構成される、エアロゾル発生配設。
【請求項2】
前記体積補償液体貯蔵部が、エアロゾル形成液体を貯蔵するための可撓性バッグと、前記可撓性バッグを密封する低圧チャンバーと、を含み、前記可撓性バッグの内部が、前記毛細管液体コンベヤと流体連通している、請求項1に記載のエアロゾル発生配設。
【請求項3】
前記可撓性バッグの外部に作用する前記低圧チャンバー内の圧力が、周囲圧力、特に大気圧から、前記毛細管液体コンベヤの上流端における液体静圧および毛細管圧力の合計を引いた値より低い、請求項2に記載のエアロゾル発生配設。
【請求項4】
前記体積補償液体貯蔵部が、前記液体貯蔵部内のエアロゾル形成液体が、前記液体貯蔵部の内部に向かうメニスカスを形成することを可能にするサイズを有する少なくとも一つの通気穴を含む剛性壁チャンバーを備える、請求項1に記載のエアロゾル発生配設。
【請求項5】
前記通気穴の断面積が、前記貯蔵部オリフィスの最大断面積より小さい、請求項4に記載のエアロゾル発生配設。
【請求項6】
前記体積補償液体貯蔵部が、前記液体貯蔵部の外壁部材を形成する少なくとも一つの弾性ダイアフラムを含む、請求項1に記載のエアロゾル発生配設。
【請求項7】
前記弾性ダイアフラムを除いた、前記液体貯蔵部のいずれかの他の壁部材が、剛性壁部材である、請求項6に記載のエアロゾル発生配設。
【請求項8】
前記毛細管液体コンベヤが、少なくとも一つの毛細管チャネルを含み、メッシュが、前記毛細管チャネルの下流端にわたって、特に、前記毛細管チャネルの下流端で前記毛細管チャネルの内側断面にわたって配設され、前記メッシュが、前記蒸発セクションの少なくとも一部を形成する、請求項1~7のいずれか一つに記載のエアロゾル発生配設。
【請求項9】
前記毛細管チャネルが、前記エアロゾル発生配設の壁部材内に、または前記エアロゾル発生配設のいくつかの壁部材の間の毛細管ギャップによって形成される、請求項8に記載のエアロゾル発生配設。
【請求項10】
前記毛細管液体コンベヤが、間に毛細管ギャップを形成する二つの対向するプレートを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のエアロゾル発生配設。
【請求項11】
前記二つのプレートのうちの少なくとも一つ、好ましくは二つのプレートの各々が、前記蒸発セクションを形成する前記毛細管液体コンベヤの下流端部分に一つ以上の穿孔を含む、請求項10に記載のエアロゾル発生配設。
【請求項12】
前記毛細管液体コンベヤが、前記蒸発セクションを形成する下流ベル端を有する毛細管パイプを含み、好ましくは前記毛細管パイプの内側断面が、前記毛細管パイプを通る流体の流れの方向に沿って変化、特に増大し得る、請求項1~11のいずれか一項に記載のエアロゾル発生配設。
【請求項13】
前記下流ベル端が、前記毛細管パイプの残りの部分に対して角度付けられる、請求項12に記載のエアロゾル発生配設。
【請求項14】
前記毛細管液体コンベヤが、少なくとも前記蒸発セクションにおいて誘導加熱可能である、請求項1~13のいずれか一項に記載のエアロゾル発生配設。
【請求項15】
前記空気噴射発生部材が、前記毛細管液体コンベヤの出口または出口部分を接線方向に通過する空気噴射を発生させるように配設および構成される請求項1~14のいずれか一項に記載のエアロゾル発生配設。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、加熱に伴い揮発性化合物を放出する能力を有するエアロゾル形成液体から、吸入可能なエアロゾルを発生させるためのエアロゾル発生配設に関する。本発明はさらに、こうしたエアロゾル発生配設を備える、エアロゾル発生物品、エアロゾル発生装置、およびエアロゾル発生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
エアロゾル形成液体から吸入可能なエアロゾルを発生させるための配設は、従来技術から一般的に公知である。例えば、こうした配設は、エアロゾル形成液体を貯蔵するための貯蔵部と、貯蔵部から貯蔵部の外部にある液体コンベヤの蒸発セクションへと、液体を搬送するための毛細管液体コンベヤとを備え得る。液体は、蒸発セクションを加熱することによって気化され得る。気化された液体は、エアロゾルを形成するように蒸発セクションを通過して流れる空気に曝露され、エアロゾルはその後、例えばマウスピースを介して引き出され得る。典型的には、気流は、ユーザーの吸煙によって引き起こされる。
【0003】
貯蔵部から貯蔵部の外部にあるコンベヤの蒸発セクションへと、エアロゾル形成液体を引き出すために毛細管液体コンベヤを使用することは、毛細管現象の物理特性を支配するプロセスに固有の問題が付随する。特に、これは、望ましくない漏出問題、および蒸発セクションにおいて利用可能な液体の量の変動を引き起こす場合がある毛細管液体コンベヤの制御不能な浸潤に関する。後者は、次いで、蒸発セクションにおいて液体を加熱することによって発生されるエアロゾルの量に望ましくない変化をもたらす可能性がある。
【0004】
したがって、先行技術の解決策の利点を有しつつも、それらの制限を軽減する、液体貯蔵部と毛細管液体コンベヤとを備えるエアロゾル発生配設を有することが望ましい。特に、液体貯蔵部と、貯蔵部から毛細管液体コンベヤを通した蒸発セクションへの液体の流れの強化された制御を提供する、毛細管液体コンベヤとを備えるエアロゾル発生配設を有することが望ましい。
【発明の概要】
【0005】
本発明によれば、エアロゾル形成液体からエアロゾルを発生させるためのエアロゾル発生配設が提供されている。エアロゾル発生配設は、エアロゾル形成液体を貯蔵するための液体貯蔵部と、液体貯蔵部から貯蔵部オリフィスを介して貯蔵部の外部にある液体コンベヤの蒸発セクションへと、エアロゾル形成液体を搬送するための毛細管液体コンベヤとを備え得る。エアロゾル発生配設は、蒸発セクションを通過して気流を通過させるための空気ダクトをさらに備える。液体貯蔵部は、毛細管液体コンベヤの毛細管浸潤に対抗するように構成された体積補償液体貯蔵部である。空気ダクトは、空気噴射発生部材、および空気噴射発生部材の下流に拡張ゾーンを含む排出部分を備える。空気噴射発生部材は、空気ダクトを通した気流中に空気噴射を発生して、蒸発セクションの近くにおいて静圧の降下を生じさせるように配設および構成される。
【0006】
本発明によれば、毛細管液体コンベヤの浸潤に対抗する体積補償液体貯蔵部を使用することにより、制御不能な毛細管液体コンベヤの浸潤を防止することができることが見出された。このため、体積補償液体貯蔵部は、毛細管浸潤を抑制する、すなわち、そうでなければ漏出を引き起こし得る毛細管吸引および液体静圧に対抗する復元力を提供するように構成される。体積補償液体貯蔵部の詳細および具体的な例を、以下にさらに説明する。本発明では、制御不能な浸潤以外の液体輸送の代替的機構を提供するために、蒸発セクションの近くで適切な静圧降下を誘発し、体積補償液体貯蔵部の復元力を打ち消して、貯蔵部から毛細管液体コンベヤを介して蒸発セクションに液体を引き込むことを提案する。本発明によれば、圧力降下は、ベルノーリの原理を利用した空気噴射発生部材を含む空気ダクトの排出部分で発生する空気噴射によって引き起こされる。空気噴射発生部材の詳細および具体的な実施例を以下にさらに記載する。微視的な視点から見た、静圧降下の背後にある物理的機構は以下の通りである。空気噴射発生部材の下流の開放大気中に排出される空気噴射中の高速に移動する空気粒子が、ランダムに低速で浮遊する空気粒子と衝突する。衝突により、「静止」空気粒子がさらに押しやられて局所降圧がもたらされ、次いで、周囲からより多くの空気粒子が空気噴射中に引き出される。したがって、空気噴射により、圧力降下として感じられる部分的な真空が液体コンベヤ内部に残り、貯蔵部から毛細管液体コンベヤを通して蒸発セクションへと、液体を引き出す毛細管液体コンベヤに沿った圧力勾配が生じる。空気噴射によりさらに、蒸発セクションにおいて気化されたエアロゾル形成液体が気流中に引き出され、その後、エアロゾルを形成するように、空気噴射発生部材の下流の拡張ゾーン内の空気と混合される。
【0007】
体積補償液体貯蔵部および空気噴射発生部材は共に、一方では、制御不能な浸潤を抑制し、それ故に、特に使用されていないときのシステムの漏出防止を提供する、バランスのとれたシステムを形成する。他方では、このシステムは、使用時に空気ダクトを通して通過する気流にベルヌーイの定理を利用することによって、毛細管液体コンベヤを通した液体流量に対する強化された制御を可能にする。毛細管液体コンベヤを通した液体流量を制御することは次いで、好ましくは加熱プロセスの温度を制御することと組み合わせられて、エアロゾル発生速度に対する強化された制御を可能にする。
【0008】
好ましくは、気流駆動による圧力降下、およびそれ故に毛細管液体コンベヤを通した液体の流れは、ユーザー吸入によってトリガされる/トリガ可能である。このため、エアロゾル発生配設は、空気ダクトを通して通過する気流がユーザー吸入によって、すなわち、排出部分の下流にあるマウスピースなどの空気ダクトの出口でユーザーが吸煙を行うことによって誘発されるように構成されている。そうすることで、ユーザーの吸煙により出口において低圧が誘発され、次いで、排出部分の上流にある空気ダクトの入口において空気が空気ダクトに入る。特に、ユーザー吸入の強度を変化させることによって、貯蔵部から毛細管液体コンベヤ通した蒸発セクションへの液体流量がユーザーによって具体的に制御され得る。逆に、ユーザーが吸煙していない時、つまり空気が空気ダクトを流れていない場合、蒸発セクションの近くの圧力低下はない。この状況では、体積補償液体貯蔵部によって提供される復元力が、毛細管現象より優位となり、そのため毛細管浸潤を防止する。
【0009】
一般に、毛細管浸潤に対抗するために使用される復元力は、種々の方法で実現され得る。例えば、体積補償液体貯蔵部は、エアロゾル形成液体を貯蔵するための可撓性バッグと、可撓性バッグを密封する低圧チャンバーとを含み、可撓性バッグの内部は、毛細管液体コンベヤと流体連通している。すなわち、ヒトの身体の各肺を包囲する胸膜嚢の胸膜のように、可撓性バッグは、周囲のチャンバー内に封止され、可撓性バッグと周囲のチャンバーとの間の封止された空間内の内圧は、周囲圧力、特に大気圧より低い。したがって、低圧により、可撓性バッグの内部と流体連通する液体コンベヤの毛細管吸引に対抗する。したがって、本明細書で使用される「低圧」という用語は、周囲圧力、特に大気圧を下回る圧力を指す。
【0010】
特に、可撓性バッグの外部に作用する低圧チャンバー内の圧力は、周囲圧力、特に大気圧から、貯蔵部オリフィスの上流端における(または、毛細管液体コンベヤが液体コンベヤを通した流体の流れの方向に沿って変化する毛細管断面を有する場合、毛細管液体コンベヤの上流端における(以下参照))液体静圧と毛細管圧力の合計を引いた値より低いことが好ましい。有利なことに、これによりエアロゾル発生配設が使用されていないときに貯蔵部から液体が漏出することが防止される。液体静圧および毛細管圧力の合計より大きな圧力降下が、上述するように蒸発セクションの近くに外部から加えられる場合、低圧チャンバー内の圧力は下流圧力を克服する。結果として、毛細管液体コンベヤに沿って下流方向に圧力勾配が発生し、これにより、可撓性バッグから毛細管液体コンベヤを通して蒸発セクションへと、液体が引き出される。外圧降下が消失するのに伴い、毛細管液体コンベヤ内部に残る液体は、最終的にシステムが均衡状態に達するまで、周囲圧力、特に大気圧によって可撓性バッグ内に押し戻される。液体抽出により、貯蔵部から抽出され、最終的に蒸発セクションにおいて蒸発する液体の体積と等しい体積だけ可撓性バッグが崩壊する。
【0011】
可撓性バッグは、プラスチック、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレンビニルアセテートから作製されることが好ましい。本明細書で使用される「可撓性バッグ」という用語は、その壁が変形に耐えることができないバッグを指す。すなわち、可撓性バッグの壁は非剛性である。可撓性バッグは、エアロゾル形成液体をその中に貯蔵するように構成されるため、可撓性バッグは流体不透過性である、すなわち、可撓性バッグの壁は流体不透過性である。
【0012】
対照的に、低圧チャンバーは、剛性壁を含むことが好ましい。すなわち、低圧チャンバーは、好ましくは剛性壁チャンバーである。このため、低圧チャンバーは、内部に低圧を維持し、内部から、ならびに外部からの両方からの変形に抵抗することができる。可撓性バッグと同様に、低圧チャンバーの壁は、流体不透過性である。例えば、低圧チャンバーの壁は、プラスチック、特に、シリコン、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、またはPET(ポリエチレンテレフタレート)で作製されてもよい。
【0013】
別の実施例によれば、体積補償液体貯蔵部は、少なくとも一つの通気穴を含む剛性壁チャンバーを含み得る。通気穴は、液体貯蔵部内のエアロゾル形成液体が液体貯蔵部の内部に向かうメニスカスを形成することを可能にするサイズを有し得る。すなわち、通気穴は、毛細管範囲内のサイズを有することが好ましい。このため、空気と液体の界面に形成されるメニスカスは、液体が毛細管液体コンベヤを通るように促す表面張力に抵抗することができる。この概念は、完全に閉じられた剛性貯蔵部は、最大の体積変化に対する抵抗を提供し、毛細管浸潤に最も対抗することができるという考えに基づく。対照的に、大気に対して開放された貯蔵部は、最小の体積変化に対する抵抗を有し、それ故に毛細管浸潤をほとんど防止することができない。その中間において、貯蔵部が、そのサイズが毛細管範囲内に制限された開口部を含む場合、体積変化に対する抵抗は、開口部のサイズに反比例してスケールする。したがって、通気穴の壁に対する液体張力は、貯蔵部オリフィスにおける液体張力がバランスするまで、膨らんだ膜の形状のように変形するメニスカスを生成する。この機構は、幾何学的パラメータのみに依存する。したがって、貯蔵部オリフィスおよび通気穴の幾何学的形状の適切な選択により、貯蔵部オリフィスおよび通気穴内部に液体が保持されることが確保され、それによって漏出を防止することができる。
【0014】
例えば、通気穴は、0.05ミリメートル~3ミリメートル、特に0.05ミリメートル~1.5ミリメートル、好ましくは0.05ミリメートル~1ミリメートル、または0.1ミリメートル~0.7ミリメートル、または0.2ミリメートル~0.6ミリメートル、または0.3ミリメートル~0.6ミリメートル、例えば0.5ミリメートルの範囲のサイズを有し得る。
【0015】
好ましくは、通気穴の断面積は、貯蔵部オリフィスの最大断面積より小さい。有利なことに、これにより滑らかな液体の流れが可能になる。
【0016】
液体によって通気穴に形成されるメニスカスの弾性特性のみに依存する代わりに、穴は、圧力荷重下で変形し得る弾性ダイアフラムによって覆われてもよい。これにより、毛細管浸潤を抑制する復元力の元である弾性を導入することによってメニスカスを硬化することが可能になる。また、弾性ダイアフラムを使用することにより、通気穴のサイズを毛細管範囲を超えて増大させることが可能になり得る。すなわち、弾性ダイアフラムは、液体貯蔵部の壁部材を形成し得る。したがって、さらに別の実施例によれば、体積補償液体貯蔵部は、液体貯蔵部の壁部材を形成する少なくとも一つの弾性ダイアフラムを含み得る。弾性ダイアフラムによって形成される液体貯蔵部の壁部材は、その内部において液体貯蔵部の内部に、および特にその外部において大気圧に曝露される液体貯蔵部の外壁部材であることが好ましい。好ましくは、弾性ダイアフラムを除いた、液体貯蔵部の任意の他の壁部材は、剛性壁部材である。
【0017】
弾性ダイアフラムは、1MPa(メガパスカル)~100MPa(メガパスカル)、特に2MPa(メガパスカル)~50MPa(メガパスカル)、好ましくは2MPa(メガパスカル)~20MPa(メガパスカル)の範囲内のヤング率(引張り弾性率)を有し得る。
【0018】
例えば、弾性ダイアフラム形成は、ゴム、ラテックス、シリコン、クロロプレン、ポリイソプレン、ニトリル、またはエチレンプロピレンで作製され得る。
【0019】
上述のように、体積補償液体貯蔵部は、毛細管液体コンベヤが流体連通している貯蔵部オリフィスを含む。本明細書で使用される「貯蔵部オリフィス」という用語は、本質的に液体貯蔵部の出口開口部を意味する。貯蔵部オリフィス、特に貯蔵部オリフィスのサイズは、エアロゾル形成液体が貯蔵部オリフィスの内部にメニスカスを形成し得るように構成され得る。特に、貯蔵部オリフィス、特に貯蔵部オリフィスのサイズは、メニスカスの位置が、貯蔵部オリフィス内部で軸方向に自由に移動し得るように構成されてもよい。ここで、「軸方向」という用語は、貯蔵部オリフィスを通した流体の流れの方向を指す。貯蔵部オリフィスは、通気穴における表面張力に対抗するために、貯蔵部オリフィスを通した流体の流れの方向に沿って変化する断面を有してもよい。特に、液体貯蔵部の内部と蒸発セクションとの間の変化する断面により、静的バランスが均衡から乱れた際に、メニスカスが、貯蔵部オリフィス内部の新たな位置を自由に選択することが可能になる。同時に、液体貯蔵部の内部と蒸発セクションとの間の変化する断面により、メニスカスが貯蔵部オリフィスのいずれかの端に達する前に採用することができる広範囲の連続的なサイズ範囲を提供することによって、液体が加熱ゾーンに湛水すること、または気泡が液体貯蔵部に入るリスクを最小化することが可能になる。とりわけ、液体貯蔵部の内部と蒸発セクションとの間の変化する断面により、装置を様々な配向で維持および使用することが可能になる。これは、装置の配向の変更による液体静圧の変化が、液体メニスカスが、断面が変化する貯蔵部オリフィス内部でその位置を変化させることによって対抗されるからである。特に、通気穴の断面積は、貯蔵部オリフィスの最大断面積より小さいことが好ましい。好ましくは、貯蔵部オリフィスの断面は、上流方向に、すなわち液体貯蔵部の内部に向かって先細りしている。したがって、貯蔵部オリフィスの最小断面積は、貯蔵部オリフィスの上流側に位置し、貯蔵部オリフィスの最大断面積は、貯蔵部オリフィスの下流側に位置する。変化する断面を有する貯蔵部オリフィスを有することに加えて、またはその代わりに、毛細管液体コンベヤは、液体コンベヤを通した流体の流れの方向に沿って変化する毛細管断面を有してもよい。特に、毛細管液体コンベヤの毛細菅断面は、加熱セクションに向かう液体コンベヤを通した流体の流れの下流方向に沿って増大してもよい。
【0020】
液体貯蔵部、または剛性壁チャンバーまたは低圧チャンバーの壁(壁部材)などの液体貯蔵部の少なくとも一部は、シリコンまたはPP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、またはPET(ポリエチレンテレフタレート)を含んでもよく、またはそれらで作製されてもよい。液体貯蔵部、または液体貯蔵部の少なくとも一部は、良好な熱安定性を提供するために、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)などの耐熱性材料を含むか、またはそれで作製することも可能である。誘導加熱が、毛細管液体コンベヤの蒸発セクションを加熱するために使用される場合(以下を参照)、特に、少なくとも蒸発セクションが誘導加熱可能である場合、液体貯蔵部の任意の部分は、好ましくは、誘導加熱不能な材料、すなわち、非導電性かつ非磁性(非強磁性または非強磁性)材料で作製される。
【0021】
エアロゾル発生配設は、単回使用または複数回使用のために構成され得る。後者の場合、液体貯蔵部は、エアロゾル形成液体で再充填可能な再充填可能液体貯蔵部であってもよい。別の構成では、液体コンベヤおよび空気ダクトは、例えば、エアロゾル発生装置の永久的な部分として、複数回使用のために構成されてもよく、液体貯蔵部は、例えば、液体コンベヤおよび空気ダクトがその一部であるエアロゾル発生装置と共に使用するために構成されるカートリッジとして、単回使用のために構成されてもよい。任意の構成において、エアロゾル発生配設は、液体貯蔵部内に含有されるエアロゾル形成液体をさらに含んでもよい。
【0022】
毛細管液体コンベヤの主要な機能は、液体貯蔵部から液体貯蔵部の外部の領域へと、エアロゾル形成液体を搬送することである。それに加えて、毛細管液体コンベヤは、エアロゾル形成液体を直接加熱するための熱源として使用され得る。このため、毛細管液体コンベヤは、少なくとも蒸発セクションで誘導加熱可能であってもよい。好ましくは、毛細管液体コンベヤは、蒸発セクションのみで誘導加熱可能である。したがって、貯蔵部チャンバー内のエアロゾル形成液体の沸騰が防止され得る。有利なことに、この二重機能は、搬送および加熱のための別個の手段を有することなく、毛細管液体コンベヤの材料を節約し、かつコンパクトな設計を可能にする。加えて、熱源、すなわち、液体コンベヤとそれに接着されたエアロゾル形成液体との間には直接的な熱接触がある。別個のヒーターが液体コンベヤと接触する場合とは異なり、液体コンベヤと少量の液体との間の直接的な接触は、有利なことに、フラッシュ加熱、すなわち、蒸発の迅速な開始を可能にする。この点で、液体コンベヤは、液体搬送サセプタ配設とみなされ得る。
【0023】
誘導加熱可能となるように、毛細管液体コンベヤは、少なくとも蒸発セクションにおいて、または蒸発セクションのみにおいて、サセプタ材料を含んでもよく、またはサセプタ材料で作製されてもよい。また、毛細管液体コンベヤ全体がサセプタ材料を含むか、サセプタ材料で作製されることも可能である。すなわち、毛細管液体コンベヤ全体が誘導加熱可能であってもよい。
【0024】
本明細書で使用される「誘導加熱可能」という用語は、交番磁場に供されたときに電磁エネルギーを熱へと変換する能力を有するサセプタ材料を含む液体コンベヤを指す。同様に、「サセプタ材料」という用語は、交番磁場に供されたときに電磁エネルギーを熱に変換する能力を有する材料を指す。これは、サセプタ材料の電気的特性および磁性に応じてサセプタ材料内で誘発されたヒステリシス損失または渦電流のうちの少なくとも一つの結果であってもよい。ヒステリシス損失は、交流電磁場の影響下で切り替えられる材料内の磁区に起因して、強磁性またはフェリ磁性のサセプタ材料内で生じる。渦電流は、導電性サセプタ材料内で誘発される。導電性の強磁性またはフェリ磁性サセプタ材料の場合、渦電流とヒステリシス損失の両方によって熱が発生する。
【0025】
毛細管液体コンベヤが誘導加熱可能である場合、エアロゾル発生配設は、少なくとも蒸発セクションの位置において交番磁場を発生させるように構成および配設された誘導源をさらに備え得る。好ましくは、誘導源は、実質的に蒸発セクションの位置においてのみ交番磁場を発生し、毛細管液体コンベヤの他のセクションではほとんど、または交番磁場を発生しないように構成および配設される。例えば、誘導源は、実質的に蒸発セクションの周りのみに配設された誘導コイルを含み得る。したがって、誘導コイルをAC電流で駆動するとき、誘導コイルは、大部分が蒸発セクションを貫通し、それ故に毛細管液体コンベヤが蒸発セクションのみで局所的に加熱される、交番磁場を発生する。対照的に、局所加熱に起因して、毛細管液体コンベヤの他のセクションは加熱されない(サセプタ材料をまったく含まない場合)が、気化温度を下回る温度のままである。したがって、液体貯蔵部内のエアロゾル形成液体の沸騰が防止され得る。
【0026】
上述のように、誘導源は、少なくとも一つの誘導コイルを含み得る。少なくとも一つの誘導コイルは、らせん状コイルまたは平坦な平面状コイル、具体的にはパンケーキコイルまたは湾曲した平面状コイルであってもよい。誘導源は、交流(AC)発生器をさらに含んでもよい。AC発生器は、電池などの電源によって電力供給されてもよい。AC発生器は、少なくとも一つの誘導コイルに動作可能に連結される。具体的には、少なくとも一つの誘導コイルは、AC発生器の一体部分であってもよい。AC発生器は、交番磁場を発生させるために少なくとも一つの誘導コイルを通過する高周波振動電流を発生するように構成されている。AC電流は、システムの起動後、少なくとも一つの誘導コイルに連続的に供給されてもよく、または断続的に(例えば毎回の吸煙ごとに)供給されてもよい。好ましくは、誘導源はLCネットワークを含むDC/ACコンバータを含み、LCネットワークは、コンデンサとインダクタの直列接続を含むことが好ましい。DC/ACコンバータは、DC電源に接続され得る。誘導源は高周波磁場を発生するように構成されていることが好ましい。本明細書において言及される通り、高周波磁場は、500kHz(キロヘルツ)~30MHz(メガヘルツ)、特に5MHz(メガヘルツ)~15MHz(メガヘルツ)、好ましくは5MHz(メガヘルツ)~10MHz(メガヘルツ)の範囲内であってもよい。
【0027】
以下にさらに記載するように、誘導源は、特に、エアロゾル発生配設全体が(独立型)エアロゾル発生装置の一部である場合、エアロゾル発生配設の一部であってもよい。別の方法として、エアロゾル発生配設(またはエアロゾル発生配設の構成要素の少なくとも大部分)は、エアロゾル発生装置と共に使用されるように構成されたエアロゾル発生物品の一部であってもよい。エアロゾル発生装置およびエアロゾル発生物品は共に、エアロゾル発生システムを形成する。この構成では、誘導源は、好ましくは、エアロゾル発生装置の一部であるが、エアロゾル発生物品の一部ではない。それにもかかわらず、誘導源は、エアロゾル発生配設の他の構成要素から分離されているが、エアロゾル発生配設の一部であると考えられ得る。すなわち、エアロゾル発生配設の一部、特に空気ダクト、液体貯蔵部、および毛細管液体コンベヤは、エアロゾル発生物品の一部である一方で、エアロゾル発生配設の別の一部、特に誘導源は、エアロゾル発生装置の一部である。別の方法として、誘導源がエアロゾル発生配設の一部でない場合が考えられ得る。
【0028】
液体コンベヤが誘導加熱可能である場合、第一のサセプタ材料および第二のサセプタ材料を含んでもよい(少なくとも蒸発セクションに、蒸発セクションのみに、または液体コンベヤ全体に)第一のサセプタ材料は、熱損失、およびそれ故に加熱効率について最適化され得、第二のサセプタ材料は温度マーカーとして使用され得る。このため、第二のサセプタ材料は、フェリ磁性材料または強磁性材料のうちの一つを含むことが好ましい。特に、第二のサセプタ材料は、所定の加熱温度に対応するキュリー温度を有するように選ばれ得る。そのキュリー温度にて、第二のサセプタ材料の磁性は強磁性またはフェリ磁性から常磁性に変化し、その電気抵抗の一時的な変化が伴う。それゆえに、誘導源によって吸収された電流の対応する変化を監視することによって、第二のサセプタ材料がそのキュリー温度に達した時に、およびそれゆえに、所定の加熱温度に達した時に、その変化を検知することができる。第二のサセプタ材料は、摂氏500度より低いキュリー温度を有することが好ましい。特に、第二のサセプタ材料は、摂氏350度を下回る、好ましくは摂氏300度を下回る、より好ましくは摂氏250度を下回る、さらにより好ましくは摂氏200度を下回るキュリー温度を有してもよい。例えば、第二のサセプタ材料は、摂氏約220度のキュリー温度を有してもよい。キュリー温度は、エアロゾル内に有害な成分が発生するのを防止するために、気化されるエアロゾル形成液体の沸点を下回るように選ばれることが好ましい。
【0029】
誘導加熱を介して蒸発セクション自体を加熱する代わりに、エアロゾル発生配設が、蒸発セクションと熱的に接触または熱的に近接した発熱体を含むことも可能である。発熱体は、抵抗発熱体、または誘導発熱体であってもよい。例えば、抵抗発熱体は、蒸発セクションの周りに配設された加熱コイルなどのワイヤヒーターであってもよい。誘導発熱体は、蒸発セクション、または誘導源によって発生される交番磁場において誘導加熱可能な、蒸発セクションの周りに配設されたサセプタコイルに隣接した、サセプタプレートなどのサセプタ要素であってもよい。誘導加熱可能な液体コンベヤに関してさらに上述したように、蒸発セクションと熱的に接触または熱的に近接する発熱体は、エアロゾル発生配設の他の構成要素と共に(独立型)エアロゾル発生装置の一部であってもよい。同様に、発熱体は、エアロゾル発生物品と共に使用するためのエアロゾル発生装置の一部であってもよく、エアロゾル発生配設の他の構成要素の少なくとも一部、または他の構成要素のすべて、特に空気ダクト、液体貯蔵部、および毛細管液体コンベヤは、エアロゾル発生物品の一部である。
【0030】
概して、毛細管液体コンベヤは、液体貯蔵部から蒸発セクションへと、エアロゾル形成液体を搬送するのに適した形状および構成を有し得る。蒸発セクションは、毛細管液体コンベヤの下流端であるか、または下流端に位置することが好ましい。特に、毛細管液体コンベヤは、芯要素を含んでもよい。ウィック要素の構成は、十分な空隙率を有するストランド状ワイヤ、ストランド状の材料のロープ、メッシュ、メッシュ管、いくつかの同心メッシュ管、布、材料のシート、または発泡体(または他の多孔質固体)、微細金属メッシュのロール、または金属箔、繊維もしくはメッシュの何らかの他の配設、または本明細書に記載されるウィッキング作用を実行するように適切にサイズ設定および構成された任意の他の形状であってもよい。
【0031】
一例として、毛細管液体コンベヤは、複数のフィラメントを含むフィラメント束を含み得る。フィラメント束は、非ストランド状フィラメント束であることが好ましい。非ストランド状フィラメント束では、フィラメント束のフィラメントは、互いに交差することなく、好ましくはフィラメント束の全長の延長部に沿って、互いに隣接して延びる。同様に、フィラメント束は、フィラメント束のフィラメントがストランド化されているストランド状部分を含み得る。ストランド状部分は、フィラメント束の機械的安定性を強化し得る。フィラメントは本質的に毛細管現象を提供するため、液体を搬送するためにフィラメントを使用することは特に有利である。さらに、フィラメント束では、束ねられたときに複数のフィラメント間に形成される狭い空間に起因して、毛細管現象が強化される。特に、これは、フィラメント間の狭い空間が平行な配設に沿って変化しないため、それに沿って毛細管現象が一定であるフィラメントの平行な配設に当てはまる。例えば、フィラメント束は、複数のフィラメントが互いに平行に配設され得る、その長さ延長部の少なくとも一部分に沿った平行束部分を含み得る。平行束部分は、フィラメント束の一方の端部分に、またはフィラメント束の両端部分間に配設されてもよい。代替的に、平行束部分は、フィラメント束の長さ寸法全体に沿って延びてもよい。フィラメント束は、好ましくは蒸発セクションに対応するか、またはその一部である、フィラメント束の少なくとも下流端部分に扇状に広がった部分をさらに含み得る。扇状に広がった部分では、フィラメントは互いから分岐する。こうした扇状に広がった部分は、気化エアロゾル形成液体の空気経路への曝露を容易にし、それゆえエアロゾルの形成を容易にするのに有益であると証明され得る。フィラメント束は、二つの扇状に広がった部分、フィラメント束の各端部に一つずつを含み得ることが可能である。
【0032】
別の例として、毛細管液体コンベヤは、少なくとも一つの毛細管チャネルを含んでもよい。メッシュは、毛細管チャネルの下流端にわたって、特に、毛細管チャネルの下流端における毛細管チャネルの内側断面にわたって配設されてもよい。メッシュは、蒸発セクションの少なくとも一部を形成し得る。好ましくは、メッシュの間隔のサイズは、エアロゾル形成液体がメッシュの隙間にメニスカスを形成することができるように選択される。隙間の幅は、75マイクロメートル~250マイクロメートルであることが好ましい。メッシュは、複数のフィラメントを含んでもよく、各フィラメントは、8マイクロメートル~100マイクロメートル、好ましくは8マイクロメートル~50マイクロメートル、より好ましくは8マイクロメートル~39マイクロメートルの直径を有する。
【0033】
メッシュ、特にメッシュを形成するフィラメントは、少なくとも一つのサセプタ材料を含んでもよく、または少なくとも一つのサセプタ材料で作製されてもよい。有利なことに、これにより、毛細管チャネルの下流端においてエアロゾル形成液体を誘導加熱するためのサセプタとしてメッシュを使用することが可能になる。
【0034】
別の方法として、毛細管チャネルの下流端は、開放端であってもよい(その下流端における毛細管チャネルの内側断面に配設されるものはない)。この状況では、毛細管チャネルは、少なくとも下流端部分において誘導加熱可能であることが好ましい。すなわち、毛細管チャネルは、少なくとも下流端部分においてサセプタ材料を含むか、またはサセプタ材料で作製されてもよい。
【0035】
毛細管チャネルは、エアロゾル発生配設の壁部材内に、またはエアロゾル発生配設のいくつかの壁部材の間の毛細管ギャップによって形成されてもよい。例えば、毛細管チャネルは、空気ダクトの一部を形成する内壁部材とエアロゾル発生配設の外側ハウジングを形成する外壁部材との間の毛細管ギャップによって形成され得る。
【0036】
また、毛細管液体コンベヤが少なくとも一つの毛細管を含むことも可能である。毛細管チャネルと同様に、メッシュは、毛細管の下流端に、特に、毛細管の下流端における毛細管の内側断面にわたって配設されてもよい。別の方法として、毛細管の下流端は、開放端であってもよい(その下流端における毛細管の内側断面に配設されるものはない)。この状況では、毛細管は、少なくとも下流端部分において誘導加熱可能であることが好ましい。すなわち、毛細管は、少なくとも下流端部分においてサセプタ材料を含むか、サセプタ材料で作製されてもよい。
【0037】
毛細管チャネルまたは毛細管の内側断面は、毛細管チャネルまたは毛細管それぞれを通した流体の流れの方向に沿って一定であってもよい。例えば、毛細管チャネルまたは毛細管の内側断面は、円形、楕円形、長円形、長方形、または四角形のうちの一つであってもよい。毛細管チャネルまたは毛細管の内側断面の等価直径は、0.1ミリメートル~3ミリメートル、特に0.1ミリメートル~1.5ミリメートル、好ましくは0.1ミリメートル~1ミリメートルの範囲内であってもよい。本明細書で使用される「等価直径」という用語は、毛細管チャネルまたは毛細管の断面積と同じ面積を有する円形領域の直径を指す。
【0038】
さらに別の実施例として、毛細管液体コンベヤは、間に毛細管ギャップを形成する二つの対向するプレートを含み得る。二つの対向するプレートに対して垂直な方向における二つの対向するプレート間の毛細管ギャップの幅は、100マイクロメートル~500マイクロメートルの範囲内であってもよい。毛細管ギャップの幅は、毛細管ギャップを通した流体の流れの方向に沿って一定であることが好ましい。すなわち、二つの対向するプレートは、互いに平行であることが好ましい。
【0039】
ギャップホルダーが、二つの対向するプレート間のギャップを覆う毛細管液体コンベヤの下流端に配設されてもよい。有利なことに、ギャップホルダーは、二つのプレートを互いから分離して維持し、かつ二つのプレートの下流端においてギャップを閉じるように機能する。
【0040】
二つのプレートのうちの少なくとも一つ、好ましくは二つのプレートの各々は、毛細管液体コンベヤの下流端部分に一つ以上の穿孔(貫通穴)を含んでもよく、下流端部分は蒸発セクションを形成する。
【0041】
二つのプレートのうちの少なくとも一つ、好ましくは二つのプレートの各々は、毛細管液体コンベヤの少なくとも下流端部分においてサセプタ材料を含むか、サセプタ材料で作製され得る。このため、毛細管液体コンベヤは、エアロゾル形成液体の搬送および加熱という二つの機能を実施する能力を有する。
【0042】
二つのプレートのうちの少なくとも一つ、好ましくは二つのプレートの各々は、毛細管液体コンベヤの下流端部分において第一の材料、および毛細管液体コンベヤの上流端部分において第二の材料から作製されてもよく、またはこれらを含んでもよく、第一および第二の材料は互いに異なる。有利なことに、これにより、毛細管液体コンベヤの下流端部分を誘導加熱可能に、および毛細管液体コンベヤの上流端部分を誘導加熱不能にすることが可能になり得る。
【0043】
二つのプレートのうちの少なくとも一つ、好ましくは二つのプレートの各々はは、二部品プレートであってもよい。特に、二部品プレートは、一つ以上の穿孔を含む毛細管液体コンベヤの下流端部分における第一のプレート要素と、穿孔されていない毛細管液体コンベヤの上流端における第二のプレート要素とを含み得る。例えば、第一のプレート要素はメッシュプレートであってもよく、第二のプレート要素は閉じた表面を有するプレートであってもよい。第一のプレート要素の材料は、第二のプレート要素の材料とは異なることが好ましい。第一のプレート要素の材料は、誘導加熱可能である、すなわち、サセプタ材料であってもよく、第二のプレート要素の材料は、誘導加熱不能である、すなわち、非導電性かつ非磁性であってもよい。
【0044】
ダブルプレート液体コンベヤは、特に誘導加熱に関して有利である。これは、誘導源に最も合致するプレートの厚さが、流体の流れの方向における液体コンベヤの寸法とは独立して選択され得るためである。この独立した選択により、蒸発セクションに対する熱伝達の速度と液体流量との間の最適なバランスを見出すことが可能になる。さらに、毛細管ギャップを小さくすることを可能にすることにより、小さなギャップはサセプタプレート間に閉じ込められた液体基体の急速な蒸発(フラッシュ加熱)を可能にするため、液体の加熱効率を(プレートの厚さと相互依存して)強化することが可能になる。また、プレートの平坦な幾何学的形状により、蒸発セクションを通過する気流を接線方向にすることが促進される。有利なことに、これにより、蒸発セクションにおける静圧降下の効果、およびそれ故に、液体貯蔵部から蒸発セクションへと液体を引き出す毛細管液体コンベヤに沿った圧力勾配が強化される。
【0045】
さらに別の実施例として、毛細管液体コンベヤは、蒸発セクションを形成する、開放端の下流ベル端を有する毛細管パイプを含み得る。毛細管パイプの内側断面は、毛細管パイプを通した流体の流れの方向に沿って変化、特に増大し得る。有利なことに、これにより、貯蔵部オリフィスの断面を別個に変化させる必要がなくなる。例えば、毛細管パイプの内側断面は、0.1ミリメートル~5ミリメートル、特に0.1ミリメートル~3ミリメートル、好ましくは0.1ミリメートル~1.5ミリメートルの範囲内で変化し得る。
【0046】
下流ベル端は、毛細管パイプの残りの部分に対して角度付けられてもよい。例えば、下流ベル端は、毛細管パイプの残りの部分に対して、少なくとも45度、特に少なくとも60度、好ましくは90度角度付けられてもよい。有利なことに、これにより、下流ベル端の出口(使用時にエアロゾル形成液体が蒸発する)を、使用時に下流ベル端における蒸発セクションを通過して流れる空気に対して整列させることが可能になり得る。特に、空気噴射発生部材は、下流ベル端の出口を接線方向に通過する空気噴射を発生させるように配設および構成され得る。好ましくは、下流ベル端を有する毛細管パイプは、アルプホルン様の形状を有する。
【0047】
毛細管パイプは、少なくとも下流ベル端において誘導加熱可能であることが好ましい。すなわち、少なくとも下流ベル端において、毛細管パイプは、サセプタ材料を含むか、またはサセプタ材料で作製され得る。誘導加熱可能なベル形状の蒸発セクションを有することにより、有利なことに、蒸発セクションの加熱効率を向上させることが可能になる。毛細管パイプの残りのセクションもまた、誘導加熱可能であってもよい。あるいは、毛細管パイプの残りのセクションは、誘導加熱不能であってもよい。したがって、毛細管液体コンベヤの加熱能力は、その液体搬送能力とは分離されている。
【0048】
概して、空気ダクトは、任意の構造的手段によって形成されてもよく、毛細管液体コンベヤの蒸発セクションを通過して、および好ましくはさらにユーザーの口内へと流れる空気を有するのに適切な任意の形状を有してもよい。したがって、毛細管液体コンベヤの蒸発セクションは、空気ダクトの気流に曝露される。特に、毛細管液体の蒸発セクションは、空気ダクト内に配置されてもよい。これにより、蒸発セクションにおいて気化されたエアロゾル形成液体を気流中に引き出すことが可能になり、その後、エアロゾルを形成するように、空気噴射発生部材の下流にある拡張ゾーン内の空気と混合される。
【0049】
空気ダクトは、排出部分の上流に入口を含み得る。空気ダクトはさらに、排出部分の下流に出口を含んでもよい。空気ダクトの出口は、吸煙を行うためにユーザーの口に取り込まれ得るマウスピースの一部であることが好ましい。そうすることで、ユーザーの吸煙により出口において低圧が誘発され、次いで、排出部分の上流にある空気ダクトの入口において空気が空気ダクトに入る。
【0050】
空気噴射発生部材は、(使用時に)毛細管液体コンベヤの出口または出口部分を接線方向に通過する空気噴射を発生させるように配設および構成されることが好ましい。有利なことに、これにより、蒸発セクションにおける静圧降下の効果、およびそれ故に、液体貯蔵部から蒸発セクションへと液体を引き出す毛細管液体コンベヤに沿った圧力勾配が強化される。
【0051】
空気噴射発生部材は、少なくとも一つの噴射ノズルを含んでもよい。噴射ノズルは、空気ダクトを通した主要な気流経路内に配設されてもよい。同様に、噴射ノズルは、蒸発セクションまたはその上流の位置の周りにおいて主要な気流経路に入る追加的な気流経路を提供し得る。ノズルは、ノズルを通した流体の流れの方向に沿って変化する断面積を有するパイプまたは管であってもよい。ノズル内では、流体の速度は、その圧力エネルギーを消費して増大するため、そこから発せられる流体の流れの流量、速度、方向、質量、形状、および/または圧力を制御するのに使用することができる。
【0052】
空気噴射発生部材は、空気ダクト内に少なくとも一つの空気経路狭窄を含み得る。本明細書で使用される「空気経路狭窄」という用語は、空気ダクトを通した空気経路の断面の狭窄を指す。この点で、(上述の)空気ダクトを通した気流経路内に配設された噴射ノズルもまた、空気経路狭窄とみなされ得る。
【0053】
一例として、空気噴射発生部材は、空気経路狭窄を形成する開口プレートを含んでもよい。開口プレートは、空気ダクトの気流経路内に配設されてもよい。開口プレートは、少なくとも一つの開口を有するプレートであってもよく、開口の断面は、開口の下流および上流、特に開口の下流および上流に近接した空気ダクトを通した空気経路の断面より小さい。
【0054】
別の例として、空気ダクトは、空気ダクト内の空気経路狭窄が蒸発セクションの位置において形成されるように、毛細管液体コンベヤの長さ軸に対するその距離が、蒸発セクションの上流および下流、特に蒸発セクションの下流および上流に近接した空気ダクトにおけるその他の位置におけるより蒸発セクションの位置において小さい、ガイド壁を含んでもよい。
【0055】
同様に、空気ダクトは、空気ダクト内の空気経路狭窄が、蒸発セクションの位置におけるガイド壁と毛細管液体コンベヤとの間の距離最小部によって形成される、ガイド壁を含んでもよい。
【0056】
蒸発セクションの位置におけるガイド壁と毛細管液体コンベヤとの間の距離最小部は、蒸発セクションにおける毛細管液体コンベヤの横方向の拡幅部、特に扇状部によって形成され得る。例えば、毛細管液体コンベヤの横方向の拡幅部または扇状部は、その詳細について上でさらに言及された毛細管パイプのベル端部分によって形成され得る。同様に、毛細管液体コンベヤの横方向の拡幅部または扇状部は、フィラメント束様の液体コンベヤの扇状に広がった部分によって形成され得、その詳細についても上でさらに言及されている。
【0057】
蒸発セクションの位置におけるガイド壁と毛細管液体コンベヤとの間の距離最小部はまた、蒸発セクションの位置におけるガイド壁の横方向のくぼみによって形成されてもよく、ガイド壁の横方向のくぼみは、毛細管液体コンベヤの方に向いている。
【0058】
さらに別の例として、空気ダクトは、スリーブ長さ軸に沿って変化する断面を有するガイドスリーブを含んでもよく、蒸発セクションは、空気噴射発生部材を形成するように、断面の最小部においてガイドスリーブ内に位置する。特に、ガイドスリーブは、最小部の上流に漏斗部分を含み得る。漏斗部分では、ガイドスリーブの断面は、空気ダクトを通した気流の下流方向に見られるように、最小部に向かって先細り、特に、凸状に先細りしている。ガイドスリーブは、最小部の下流に膨らみ部分をさらに含み得る。膨らみ部分では、ガイドスリーブの断面は、空気ダクトを通した気流の下流方向に見られるように、まず最大部へと拡張、特に凹状に拡張し、その後、先細り、特に凹状に先細りしている。膨らみ部分は、拡張ゾーンを形成することが好ましい。
【0059】
さらに、エアロゾル発生配設は、マウスピースを備え得る。本明細書で使用される「マウスピース」という用語は、物品からエアロゾルを直接吸入するために、ユーザーの口の中に定置される要素を指す。マウスピースは、空気ダクトの一部であってもよい。マウスピースはフィルターを含むことが好ましい。フィルターは、エアロゾルの望ましくない構成成分を濾別するために使用されてもよい。フィルターはまた、追加材料(例えばエアロゾルに添加される風味材料)も含んでもよい。
【0060】
本発明によれば、エアロゾル発生装置と共に使用するためのエアロゾル発生物品が提供されており、エアロゾル発生物品は、本発明による、および本明細書に記載のエアロゾル発生配設を備える。
【0061】
エアロゾル発生物品は、単回使用のためのエアロゾル発生物品、または複数回使用のためのエアロゾル発生物品であってもよい。第一の場合、エアロゾル発生物品は、消耗品、特に単回使用後に廃棄される消耗品であってもよい。第二の場合、エアロゾル発生物品は再充填可能であってもよい。すなわち、液体貯蔵部は、エアロゾル形成液体で再充填可能であってもよい。任意の構成において、エアロゾル発生物品は、液体貯蔵部内に含有されたエアロゾル形成液体をさらに含んでもよい。
【0062】
本明細書で使用される「エアロゾル形成液体」という用語は、エアロゾル形成液体の加熱に伴いエアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する液体に関する。エアロゾル形成液体は、加熱されることが意図される。エアロゾル形成液体は、固体のエアロゾル形成材料または構成要素と、液体のエアロゾル形成材料または構成要素との両方を含んでもよい。エアロゾル形成液体は、加熱に伴い液体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有するたばこ含有材料を含んでもよい。代替的に、または追加的に、エアロゾル形成液体は非たばこ材料を含んでもよい。エアロゾル形成液体は、エアロゾル形成体をさらに含んでもよい。適切なエアロゾル形成体の例はグリセリンおよびプロピレングリコールである。エアロゾル形成液体はまた、他の添加物および成分(ニコチンまたは風味剤など)も含んでもよい。特に、エアロゾル形成液体は水、溶媒、エタノール、植物抽出物、および天然の風味または人工の風味を含んでもよい。エアロゾル形成液体は、水性エアロゾル形成液体、または油性エアロゾル形成液体であってもよい。
【0063】
さらに、エアロゾル発生物品は、マウスピースを備え得る。本明細書で使用される「マウスピース」という用語は、物品からエアロゾルを直接吸入するために、ユーザーの口の中に定置される物品の一部分を指す。マウスピースはフィルターを含むことが好ましい。フィルターは、エアロゾルの望ましくない構成成分を濾別するために使用されてもよい。フィルターはまた、追加材料(例えばエアロゾルに添加される風味材料)も含んでもよい。
【0064】
物品は単純な設計を有してもよい。物品は、液体に対して不透過性の材料を含む剛性ハウジングであることが好ましいハウジングを有し得る。本明細書で使用される「剛直なハウジング」とは、自立型のハウジングを意味する。ハウジングは、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、またはPET(ポリエチレンテレフタレート)のうちの一つを含んでもよく、またはそれらで作製されてもよい。PP、PE、およびPETは、特にコスト効果が高く、成形が容易である。
【0065】
本発明によるエアロゾル発生物品のさらなる特徴および利点は、本発明によるエアロゾル発生配設に関してすでに上述されており、等しく適用される。
【0066】
本発明によれば、本発明による、および本明細書に記載のエアロゾル発生物品、ならびにエアロゾル発生物品と共に使用するために構成されたエアロゾル発生装置を備えるエアロゾル発生システムが提供されている。
【0067】
エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品を受容するように構成されてもよい。特に、エアロゾル発生装置は、その中にエアロゾル発生物品を受容するための受容空洞を備え得る。同様に、エアロゾル発生装置は、例えば、ねじ接合部、スナップ接合部、またはバヨネット接合部によって、エアロゾル発生物品に連結されるように構成されてもよい。
【0068】
既に上述したように、こうしたシステムでは、エアロゾル発生配設またはエアロゾル発生配設の構成要素の少なくとも大部分は、エアロゾル発生物品の一部であってもよい。これは、特に、空気ダクト、液体貯蔵部、および毛細管液体コンベヤについても同様である。すなわち、空気ダクト、液体貯蔵部、および毛細管液体コンベヤは、好ましくはエアロゾル発生物品の一部である。別の構成では、液体コンベヤおよび空気ダクトは、エアロゾル発生装置の一部であってもよく、液体貯蔵部は、液体コンベヤおよび空気ダクトがその一部であるエアロゾル発生装置と共に使用するために構成されたエアロゾル発生物品の一部であってもよい。それにも関わらず、液体コンベヤおよび空気ダクトは、液体貯蔵部などのエアロゾル発生配設の他の構成要素とは別個であるが、エアロゾル発生配設の一部であると考えられ得る。すなわち、エアロゾル発生配設の一部は、エアロゾル発生物品の一部、例えば、液体貯蔵部であってもよく、空気ダクト、毛細管液体コンベヤ、および存在する場合、誘導源などのエアロゾル発生配設の他の部分は、エアロゾル発生装置の一部であってもよい。蒸発セクションが誘導加熱可能である場合、エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置に挿入または結合されるときに蒸発セクションの位置において交番磁場を発生するように構成および配設された誘導源を含むことが好ましいエアロゾル発生装置である。それにもかかわらず、誘導源は、エアロゾル発生配設の他の構成要素から分離されているが、エアロゾル発生配設の一部であると考えられ得る。すなわち、エアロゾル発生配設の一部は、エアロゾル発生物品の一部、例えば、空気ダクト、毛細管液体コンベヤ、および好ましくは液体貯蔵部であり、エアロゾル発生配設の別の一部、特に誘導源は、エアロゾル発生装置の一部である。別の方法として、誘導源がエアロゾル発生配設の一部でない場合が考えられ得る。誘導源の詳細は、本発明のエアロゾル発生配設に関して既に記載されており、したがって同様に適用される。
【0069】
また、さらに上述したように、液体コンベヤとは別個の発熱体は、蒸発セクションを加熱するためにも使用され得る。発熱体は、蒸発セクションと熱的に接触または熱的に近接しているか、熱的に接触または熱的に近接されてもよい。発熱体は、抵抗発熱体、または誘導発熱体であってもよい。特に抵抗発熱体の場合、発熱体は、エアロゾル発生装置の一部であってもよい。
【0070】
エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生システムの動作を制御するための、特に加熱動作を制御するためのコントローラをさらに備え得る。さらに、エアロゾル発生装置は、毛細管液体コンベヤの蒸発セクションを加熱するのに使用される電力を提供する電源を備え得る。電源はリン酸鉄リチウム電池などの電池であることが好ましい。電源は、一回以上のユーザー体験のために十分なエネルギーの貯蔵を可能にする容量を有する場合がある。
【0071】
本発明によるエアロゾル発生システムのさらなる特徴および利点は、本発明のエアロゾル発生配設およびエアロゾル発生物品に関してすでに上述されていて、かつ等しく当てはまる。
【0072】
本発明によれば、エアロゾル形成液体からエアロゾルを発生させるためのエアロゾル発生装置も提供されており、装置は、本発明による、および本明細書に記載のエアロゾル発生配設を備える。特に、エアロゾル発生装置は、独立型エアロゾル発生装置、すなわち、エアロゾル発生物品(消耗品)と共に使用するために構成されていないエアロゾル発生装置である。好ましくは、この構成では、液体貯蔵部は再充填可能である。
【0073】
本発明による(独立型)エアロゾル発生装置のさらなる特徴および利点は、本発明のエアロゾル発生配設に関してすでに上述されており、等しく適用される。本発明によるエアロゾル発生システムのエアロゾル発生装置に関して上述した特徴および利点はまた、(独立型)エアロゾル発生装置にも適用される。
【0074】
本発明は特許請求の範囲に定義されている。しかしながら、以下に非限定的な実施例の非網羅的なリストを提供している。これらの実施例の特徴のうちのいずれか一つ以上は、本明細書に記載の別の実施例、実施形態、または態様のうちのいずれか一つ以上の特徴と組み合わされてもよい。
【実施例】
【0075】
実施例1:
エアロゾル形成液体からエアロゾルを発生させるためのエアロゾル発生配設であって、エアロゾル発生配設が、エアロゾル形成液体を貯蔵するための液体貯蔵部と、液体貯蔵部から貯蔵部オリフィスを介して貯蔵部の外部にある液体コンベヤの蒸発セクションへと、エアロゾル形成液体を搬送するための毛細管液体コンベヤと、蒸発セクションを通して気流を通過させるための空気ダクトと、を備え、液体貯蔵部が、毛細管液体コンベヤの毛細管浸潤に対抗するように構成された体積補償液体貯蔵部であり、空気ダクトが、空気噴射発生部材を含む排出部分、および空気噴射発生部材の下流の拡張ゾーンを含み、空気噴射発生部材が、空気ダクトを通る気流に空気噴射を発生させ、蒸発セクションの近くにおいて静圧の降下を生じさせるように配設および構成される、エアロゾル発生配設。
実施例2:
体積補償液体貯蔵部が、エアロゾル形成液体を貯蔵するための可撓性バッグと、可撓性バッグを密封する低圧チャンバーとを含み、可撓性バッグの内部が、毛細管液体コンベヤと流体連通している、実施例1によるエアロゾル発生配設。
実施例3:
可撓性バッグが、プラスチック、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレンビニルアセテートから作製される、実施例2によるエアロゾル発生配設。
実施例4:
可撓性バッグの外部に作用する低圧チャンバー内の圧力が、周囲圧力、特に大気圧から、貯蔵部オリフィスの上流端における(または、毛細管液体コンベヤが液体コンベヤを通した流体の流れの方向に沿って変化する毛細管断面を有する場合、毛細管液体コンベヤの上流端における)液体静圧と毛細管圧力の合計を引いた値より低い、実施例2または3のいずれか一つによるエアロゾル発生配設。
実施例5:
低圧チャンバーが剛性壁を含む、実施例2~4のいずれか一つによるエアロゾル発生配設。
実施例6:
体積補償液体貯蔵部が、液体貯蔵部内のエアロゾル形成液体が、液体貯蔵部の内部に向かうメニスカスを形成することを可能にするサイズを有する少なくとも一つの通気穴を含む剛性壁チャンバーを含む、実施例1によるエアロゾル発生配設。
通気穴の断面積が、貯蔵部オリフィスの最大断面積より小さい、実施例6によるエアロゾル発生配設。
実施例7:
通気穴の断面積が、貯蔵部オリフィスの最大断面積より小さい、実施例6または7によるエアロゾル発生配設。
実施例8:
体積補償液体貯蔵部が、液体貯蔵部の外壁部材を形成する少なくとも一つの弾性ダイアフラムを含む、実施例1によるエアロゾル発生配設。
実施例9:
弾性ダイアフラムを除いた、液体貯蔵部の任意の他の壁部材が、剛性壁部材である、実施例9によるエアロゾル発生配設。
実施例10:
弾性ダイアフラムが、1MPa~100MPa、特に2MPa~50MPa、好ましくは2MPa~20MPaの範囲内のヤング率を有する、実施例9または10のいずれか一つによるエアロゾル発生配設。
実施例11:
貯蔵部オリフィスの断面が、液体貯蔵部の内部に向かって先細りである、実施例1~10のいずれか一つによるエアロゾル発生配設。
実施例12:
毛細管液体コンベヤが、少なくとも一つの毛細管チャネルを含む、実施例1~11のいずれか一つによるエアロゾル発生配設。
実施例13:
メッシュが、毛細管チャネルの下流端にわたって、特に、毛細管チャネルの下流端における毛細管チャネルの内側断面にわたって配設され、メッシュが、蒸発セクションの少なくとも一部を形成する、実施例13によるエアロゾル発生配設。
実施例14:
メッシュが、少なくとも一つのサセプタ材料を含むか、少なくとも一つのサセプタ材料で作製される、実施例14によるエアロゾル発生配設。
実施例15:
毛細管チャネルが、エアロゾル発生配設の壁部材内に、またはエアロゾル発生配設のいくつかの壁部材の間の毛細管ギャップによって形成される、実施例13~15のいずれか一つによるエアロゾル発生配設。
実施例16:
毛細管液体コンベヤが、少なくとも一つの毛細管を含む、実施例1~15のいずれか一つによるエアロゾル発生配設。
実施例17:
毛細管チャネルまたは毛細管の内側断面が、毛細管チャネルまたは毛細管それぞれを通した流体の流れの方向に沿って変化、特に増大するか、または一定である、実施例13~17のいずれか一つによるエアロゾル発生配設。
実施例18:
毛細管チャネルまたは毛細管の内側断面が、円形、楕円形、長円形、長方形、または四角形のうちの一つである、実施例13~18のいずれか一つによるエアロゾル発生配設。
実施例19:
毛細管液体コンベヤが、間に毛細管ギャップを形成する二つの対向するプレートを含む、実施例1~18のいずれか一つによるエアロゾル発生配設。
実施例20:
二つの対向するプレートが、互いに平行である、実施例20によるエアロゾル発生配設。
実施例21:
二つの対向するプレートに対して直角をなす方向における二つの対向するプレート間の毛細管ギャップの幅が、100マイクロメートル~500マイクロメートルの範囲内である、実施例20または21のいずれか一つによるエアロゾル発生配設。
実施例22:
二つのプレートのうちの少なくとも一つ、好ましくは二つのプレートの各々が、蒸発セクションを形成する毛細管液体コンベヤの下流端部分に一つ以上の穿孔を含む、実施例20~22のいずれか一つによるエアロゾル発生配設。
実施例23:
二つのプレートうちの少なくとも一つ、好ましくは二つのプレートの各々が、毛細管液体コンベヤの少なくとも下流端部分においてサセプタ材料を含むか、サセプタ材料で作製される、実施例20~23のいずれか一つによるエアロゾル発生配設。
実施例24:
ギャップホルダーが、二つの対向するプレート間のギャップを覆う毛細管液体コンベヤの下流端に配設される、実施例20~24のいずれか一つによるエアロゾル発生配設。
実施例25:
二つのプレートのうちの少なくとも一つ、好ましくは少なくとも二つのプレートの各々が、毛細管液体コンベヤの下流端部分において第一の材料、および毛細管液体コンベヤの上流端部分において第二の材料を含むか、またはこれらからなる、実施例20~25のいずれか一つによるエアロゾル発生配設。
実施例26:
毛細管液体コンベヤが、蒸発セクションを形成する下流ベル端を有する毛細管パイプを含み、好ましくは毛細管パイプの内側断面が、毛細管パイプを通した流体の流れの方向に沿って一定であるか、または変化、特に増大し得る、実施例1~25のいずれか一つによるエアロゾル発生配設。
実施例27:
下流ベル端が、毛細管パイプの残りの部分に対して角度付けられる、実施例27によるエアロゾル発生配設。
実施例28:
下流ベル端が、毛細管パイプの残りの部分に対して、少なくとも45度特に少なくとも60度、好ましくは90度角度付けられる、実施例28によるエアロゾル発生配設。
実施例29:
下流ベル端を備えた毛細管パイプが、アルプホルン様の形状を有する、実施例27~29のいずれか一つによるエアロゾル発生配設。
実施例30:
空気噴射発生部材が、使用時に下流ベル端の出口を接線方向に通過する空気噴射を発生させるように配設および構成される、実施例27~30のいずれか一つによるエアロゾル発生配設。
実施例31:
蒸発セクションが、毛細管液体コンベヤの下流端部分であるか、位置している、実施例1~30のいずれか一つによるエアロゾル発生配設。
実施例32:
毛細管液体コンベヤが、少なくとも蒸発セクションにおいて誘導加熱可能である、実施例1~31のいずれか一つによるエアロゾル発生配設。
実施例33:
毛細管液体コンベヤが、少なくとも蒸発セクション内においてサセプタ材料を含むか、またはサセプタ材料で作製される、実施例1~32のいずれか一つによるエアロゾル発生配設。
実施例34:
蒸発セクションの位置において交番磁場を発生させるように構成および配設された誘導源をさらに備える、実施例30または31のいずれか一つによるエアロゾル発生配設。
実施例35:
蒸発セクションと熱的に接触または熱的に近接した発熱体を備える、実施例1~34のいずれか一つによるエアロゾル発生配設。
実施例36:
発熱体は、抵抗発熱体、または誘導発熱体である、実施例36によるエアロゾル発生配設。
実施例37:
空気噴射発生部材が、毛細管液体コンベヤの出口または出口部分を接線方向に通過する空気噴射を発生させるように配設および構成される、実施例1~36のいずれか一つによるエアロゾル発生配設。
実施例38:
空気噴射発生部材が、少なくとも一つの噴射ノズルを含む、実施例1~37のいずれか一つによるエアロゾル発生配設。
実施例39:
空気噴射発生部材が、空気ダクト内に少なくとも一つの空気経路狭窄を含む、実施例1~38のいずれか一つによるエアロゾル発生配設。
実施例40:
空気噴射発生部材が、空気経路狭窄を形成する開口プレートを含む、実施例40によるエアロゾル発生配設。
実施例41:
空気ダクトが、空気ダクト内の空気経路狭窄が蒸発セクションの位置において形成されるように、毛細管液体コンベヤの長さ軸に対するその距離が、蒸発セクションの上流および下流、特に蒸発セクションの下流および上流に近接した空気ダクトにおけるその他の位置におけるより蒸発セクションの位置において小さい、ガイド壁を含む、実施例40によるエアロゾル発生配設。
実施例42:
空気ダクトが、ガイド壁を含み、空気ダクト内の空気経路狭窄が、蒸発セクションの位置におけるガイド壁と毛細管液体コンベヤとの間の距離最小部によって形成される、ガイド壁を含む、実施例40によるエアロゾル発生配設。
実施例43:
距離最小部が、横方向の拡幅部、特に、蒸発セクションにおける毛細管液体コンベヤの扇状部によって形成される、実施例43によるエアロゾル発生配設。
実施例44:
距離最小部が、蒸発セクションの位置におけるガイド壁の横方向のくぼみによって形成される、実施例43または44のいずれか一つによるエアロゾル発生配設。
実施例45:
空気ダクトが、スリーブ長さ軸に沿って変化する断面を有するガイドスリーブを含み、蒸発セクションが、空気噴射発生部材を形成するように、断面の最小部においてガイドスリーブ内に位置する、実施例1~44のいずれか一つによるエアロゾル発生配設。
実施例46:
ガイドスリーブが、最小部の上流に漏斗部分を含む、実施例46によるエアロゾル発生配設。
実施例47:
漏斗部分では、ガイドスリーブの断面が、空気ダクトを通した気流の下流方向に見られるように、最小部に向かって先細り、特に、凸状に先細りしている、実施例47によるエアロゾル発生配設。
実施例48:
ガイドスリーブが、最小部の下流に膨らみ部分を含む、実施例46~48のいずれか一つによるエアロゾル発生配設。
実施例49:
膨らみ部分では、ガイドスリーブの断面は、空気ダクトを通した気流の下流方向に見られるように、最大部へと拡張、特に凹状に拡張し、その後、先細り、特に凹状に先細りしている、実施例49によるエアロゾル発生配設。
実施例50:
エアロゾル発生装置と共に使用するためのエアロゾル発生物品であって、エアロゾル発生物品が、実施例1~49のいずれか一つによるエアロゾル発生配設を含む、エアロゾル発生物品。
実施例51:
実施例51によるエアロゾル発生物品と、エアロゾル発生物品と共に使用されるように構成されたエアロゾル発生装置とを備える、エアロゾル発生システム。
実施例52:
エアロゾル形成液体からエアロゾルを発生させるためのエアロゾル発生装置であって、装置が、実施例1~50のいずれかによるエアロゾル発生配設を備える、エアロゾル発生装置。
【図面の簡単な説明】
【0076】
ここで、図を参照しながら実施例を更に説明する。
【0077】
【
図1】
図1~2は、本発明の第一の例示的な実施形態によるエアロゾル発生配設を示す。
【
図3】
図3~4は、
図1~2によるエアロゾル発生配設で使用される液体コンベヤの詳細を示す。
【
図5】
図5は、
図1~2によるエアロゾル発生配設で代替的に使用することができる液体コンベヤの別の実施形態を示す。
【
図6】
図6は、本発明の第二の例示的な実施形態によるエアロゾル発生配設を示す。
【
図7】
図7~8は、本発明の第三の例示的な実施形態によるエアロゾル発生配設を示す。
【
図9】
図9~16は、
図1~8に示す空気ダクトおよび毛細管液体コンベヤの代替である、空気ダクトおよび毛細管液体コンベヤの様々な実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0078】
図1および
図2は、本発明の第一の例示的な実施形態による、エアロゾル形成液体11から吸入可能なエアロゾルを発生させるためのエアロゾル発生配設1を概略的に示す。エアロゾル発生配設1は、エアロゾル形成液体11を貯蔵するための液体貯蔵部10と、液体貯蔵部10から貯蔵部オリフィス18を介して貯蔵部10の外部にある液体コンベヤ20の蒸発セクション21へと、エアロゾル形成液体11を搬送するための毛細管液体コンベヤ20とを備える。エアロゾル形成液体11は、蒸発セクション21を加熱することによって気化され得る。気化された液体は、液体コンベヤ20を包囲するボトル形状のガイドスリーブ47によって形成される空気ダクト40を通して蒸発セクションを通過して流れる空気に曝露される。気化された液体は、エアロゾルを形成するように空気と混合され、エアロゾルはその後、例えば空気ダクト40のマウスピース49を介して引き出され得る。エアロゾル発生配設1は、空気ダクト40を通した気流が、ユーザーの吸煙によって、すなわち、空気ダクト40を通した空気経路の下流端でユーザーが吸煙を行うことによって引き起こされるように構成される。空気ダクトを通した空気経路は、
図2に一点鎖線で示される。空気ダクト40の下流端は、マウスピース49の出口48によって形成される。したがって、ユーザーが吸煙を行うと、出口48において低圧が誘発され、これにより次いで空気が、空気ダクト40を通した空気経路の上流端を形成する入口46を介して空気ダクト40に入る。
【0079】
図1および
図2に示す実施形態では、毛細管液体コンベヤ20は、間に毛細管ギャップ23を形成する二つの対向するプレート22を含む。このダブルプレート液体コンベヤ20の詳細を
図3および
図4に示す。二つの対向するプレート22に対して垂直な方向における二つの対向するプレート22間の毛細管ギャップ23の幅は、毛細管範囲内、例えば、100マイクロメートル~500マイクロメートルの範囲内である。特に、毛細管ギャップ23の幅は、毛細管ギャップを通した流体の流れの方向に沿って一定である。すなわち、二つの対向するプレート22は、互いに平行であることが好ましい。ギャップホルダー25は、液体コンベヤ20の下流端に配設され、二つのプレート22を互いから分離し、かつ液体コンベヤ20の下流端においてギャップ23を閉じるように機能する。二つのプレート22の各々は、蒸発セクション21を形成する毛細管液体コンベヤ22の下流端部分に複数の穿孔24(貫通穴)を含む。穿孔24は、エアロゾル形成液体が各穿孔の開口部にメニスカスを形成することができるように、毛細管範囲内の直径を有する。二つのプレート22は、サセプタ材料、例えば、ステンレス鋼で作製され、それ故にプレート22を誘導加熱することが可能である。このため、ダブルプレート液体コンベヤ20は、エアロゾル形成液体の搬送および加熱という二つの機能を実施する能力を有する。液体コンベヤを加熱するために、
図1および
図2に示すように、交番磁場を発生させるために、誘導コイル61を含む誘導源60が空気ダクト40の周りに配設されてもよい。誘導コイル61は、蒸発セクション21においてのみ液体コンベヤ20を局所的に貫通する交番磁場を発生させるように、蒸発セクション21の位置の周りに配設される。結果として、液体コンベヤ20は、蒸発セクション21においてのみ局所的に加熱される。磁場強度は、蒸発セクション21が、液体コンベヤ20を通して穿孔24へと搬送されるエアロゾル形成液体を気化するのに十分な温度まで加熱されるように選択され得る。気化した液体は、穿孔24を通して漏れ、蒸発ゾーン21を通過して通過する気流内に入り得る。局所加熱に起因して、液体コンベヤ20の残りのセクションは、気化温度を下回る温度のままであり得る。したがって、使用時、液体コンベヤ20は、エアロゾル形成液体の気化温度を下回る温度(液体コンベヤ20の上流端部分における)から、気化温度を上回る温度(液体コンベヤ20の下流端部分における)への温度上昇を示す、その長さ方向に沿った温度プロファイルを含む。有利なことに、残りのセクションが気化温度を下回る温度のままであることにより、蒸発セクション21の上流の液体コンベヤ20内、および液体貯蔵部10内のエアロゾル形成液体の沸騰が防止される。毛細管ギャップ23および穿孔24の寸法は小さいため、蒸発セクション21内には少量の液体が存在するのみである。有利なことに、これによりフラッシュ加熱、すなわち蒸発の迅速な開始が可能になる。
【0080】
図5は、ダブルプレート液体コンベヤの代替的な実施形態を示す。プレートの各々は、液体コンベヤ20の下流端部分における第一のプレート要素27と、液体コンベヤの上流端部分における第二のプレート要素28とを含む二部品プレートである。第二のプレート要素28は、閉じた表面を有する穿孔されていないプレートであり、第一のプレート要素27は、蒸発セクション21を形成するメッシュプレートである。メッシュプレート27の材料は、サセプタ材料である、すなわち、誘導加熱可能である。対照的に、第二のプレート要素28の材料は、好ましくは非導電性かつ非磁性であり、それ故に誘導加熱不能である。有利なことに、この二部品構成は、液体コンベヤ20の加熱部分の範囲を蒸発セクション21に局所的に定めるのに役立つ。
【0081】
上述のように、毛細管液体コンベヤを使用することは、毛細管現象の物理特性を支配するプロセスに固有の問題が付随する。特に、これは、毛細管液体コンベヤの制御不能な浸潤に関し、これは次いで、望ましくない漏出の問題、および蒸発セクションにおいて利用可能な液体の量の変化を引き起こし得る。液体コンベヤ20を通した液体流量のより良好な制御を有するために、本発明によるエアロゾル発生配設1は、蒸発セクションの近くにおいて吸入誘発による静圧の圧力降下を発生させるように構成されている。この圧力降下により、貯蔵部10から毛細管液体コンベヤ20を通して蒸発セクション21へと、液体が引き出される。圧力降下は、空気噴射発生部材42、および空気噴射発生部材41の下流に拡張ゾーン43を含む空気ダクト40の排出部分41内に発生する空気噴射によって誘発される。
図1および
図2に示す実施形態では、空気噴射発生部材42は、ダブルプレート液体コンベヤ20の各側に開口44を有する空気ダクトの気流経路内に配設された開口プレート43を含む。各開口44の断面は、それぞれの開口44の下流および上流の空気ダクト40を通した空気経路の断面より小さい。したがって、各開口44は、空気ダクト40内に空気経路狭窄を形成する。開口44を通過する間、空気は、質量保存の結果として加速し、それ故に、ダブルプレート液体コンベヤ20の各側における開口44の下流に空気噴射が生じ、これにより、蒸発セクション21の近くにおいて静圧の降下が誘発される。微視的な視点から見た、静圧降下の背後にある物理的機構は以下の通りである。開口44の下流の開放大気中に排出される空気噴射中の高速に移動する空気粒子が、ランダムに低速で浮遊する空気粒子と衝突する。衝突により、「静止」空気粒子がさらに押しやられて局所降圧がもたらされ、次いで、周囲からより多くの空気粒子が空気噴射中に引き出される。したがって、空気噴射により、圧力降下として感じられる部分的な真空が液体コンベヤ20内部に残り、貯蔵部10から毛細管ギャップ23を通して蒸発セクションへ21と、液体を引き出す毛細管液体コンベヤ20に沿った圧力勾配が生じる。空気噴射によりさらに、蒸発セクション21において気化されたエアロゾル形成液体11が気流中に引き出され、その後、エアロゾルを形成するように、空気噴射発生部材の下流の拡張ゾーン43内の空気と混合される。上述したように、気流駆動による圧力降下、およびそれ故に毛細管液体コンベヤ20を通した流体の流れは、気流が空気ダクト40を通る、ユーザー吸入によってトリガされる。特に、貯蔵部10から毛細管液体コンベヤ40通した蒸発セクション21への液体流量は、ユーザー吸入の強度を変化させることによってユーザーによって具体的に制御され得る。毛細管液体コンベヤ20の制御不能な浸潤を防止するために、特に、エアロゾル発生配設1が使用されていない場合、液体貯蔵部10は、毛細管浸潤を阻止する復元力を提供するように構成された、すなわち、そうでなければ液体コンベヤ20を通した漏出を生じる場合がある毛細管吸引および液体静圧に対抗するように構成された、いわゆる体積補償貯蔵部である。体積補償液体貯蔵部10および空気噴射発生部材42は共に、一方では、制御不能な浸潤を抑制して漏出防止を提供し、他方では、毛細管液体コンベヤ20を通した液体流量に対する強化された制御を可能にする、バランスのとれたシステムを形成する。
図1および
図2に示す実施形態において、体積補償液体貯蔵部10は、エアロゾル形成液体11を貯蔵するための可撓性バッグ12と、可撓性バッグ12を密封する低圧チャンバー13とを含む貯蔵部によって実現される。可撓性バッグの内部は、貯蔵部オリフィス18を介して毛細管液体コンベヤ20と流体連通し、可撓性バッグ12の外部は、可撓性バッグ12と周囲のチャンバーとの間の封止された空間内部の圧力に曝露される。
図1に示すように、低圧チャンバー13内の圧力は、周囲圧力、および大気圧から、貯蔵部オリフィス18の上流端における液体静圧と毛細管圧力の合計を引いた値より低くなるように選択される。有利なことに、これは、システムが使用されておらず、蒸発セクションの近くにおいて圧力降下が存在しないときに、液体コンベヤ20の毛細管吸引に対抗し、それ故に可撓性バッグ12から液体11が漏出することを防止するのに役立つ。逆もまた同様であり、
図2に示すように、蒸発セクション21の近くにおいて、液体静圧および毛細管圧力の合計より大きな圧力降下を引き起こすユーザー吸入中に、空気が空気噴射発生部材41を通して流れる際、低圧チャンバー13内の圧力は、下流圧力を克服する。結果として、毛細管液体コンベヤ20に沿って下流方向に圧力勾配が発生し、これにより、可撓性バッグ12から毛細管液体コンベヤ20を通して蒸発セクション21へと、液体11が引き出される。ユーザー吸入の終了後に外圧降下が消失するのに伴い、毛細管液体コンベヤ20内部に残る液体11は、最終的にシステムが図示される均衡状態に達するまで、周囲圧力、特に大気圧によって可撓性バッグ12内に押し戻される。液体抽出により、可撓性バッグ12は、貯蔵部10から抽出された液体の体積と等しい体積だけ崩壊する。可撓性バッグ12は、流体不透過性プラスチックから作製されることが好ましい。対照的に、低圧チャンバーは、剛性壁を含むことが好ましい。すなわち、低圧チャンバーは、好ましくは剛性壁チャンバーである。このため、低圧チャンバーは、内部に低圧を維持し、内部から、ならびに外部からの変形に抵抗することができる。例えば、低圧チャンバーの壁は、プラスチック、特に、シリコン、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、またはPET(ポリエチレンテレフタレート)で作製されてもよい。
【0082】
図6は、本発明の第二の例示的な実施形態によるエアロゾル発生配設101を概略的に示す。
図6に示す配設101は、
図1および
図2に示す配設1と類似している。したがって、同一または類似の特徴は、同じ参照符号で示されているが、100だけ増分されている。
図1および
図2に示す配設1とは対照的に、
図6に示すエアロゾル発生配設101は、通気穴115を含む剛性壁チャンバー113である体積補償液体貯蔵部110を備える。通気穴115は、液体貯蔵部110内のエアロゾル形成液体111が液体貯蔵部110の内部に向かうメニスカス116を形成することを可能にする毛細管範囲内のサイズを有する。メニスカス116は、液体が毛細管液体コンベヤ120を通るように促す表面張力に対する抵抗を提供する。メニスカス116は、貯蔵部オリフィス118における液体張力が均衡するまで、膨らんだ膜の形状のように大きく変形する。体積変化に対する抵抗は、開口部のサイズに反比例してスケールする。通気穴115の断面積は、貯蔵部オリフィス118の最大断面積より小さいことが好ましい。例えば、通気穴115は、0.05ミリメートル~3ミリメートル、特に0.05ミリメートル~1.5ミリメートル、好ましくは0.05ミリメートル~1ミリメートルの範囲内のサイズを有してもよい。
【0083】
液体によって通気穴に形成されるメニスカスの弾性特性のみに依存する代わりに、穴は、圧力荷重下で変形し得る弾性ダイアフラムによって覆われてもよい。また、弾性ダイアフラムを使用することにより、通気穴のサイズを毛細管範囲を超えて増大させることが可能になり得る。これは、本発明の第三の例示的な実施形態によるエアロゾル発生配設201を概略的に示す
図7および
図8に示される。
図1および
図2に示す配設1のその類似性のために、ここでも同一または類似の特徴は、同じ参照符号で記されているが、200だけ増分されている。
図1および
図2に示す配設1とは対照的に、
図7および
図8に示すエアロゾル発生配設201は、液体貯蔵部210の壁部材を形成する弾性ダイアフラム216を有する体積補償液体貯蔵部210を備える。液体貯蔵部210の他のすべての壁部材217は、剛性壁部材である。弾性ダイアフラム216は、その内部において液体貯蔵部の内部に対して、およびその外部において周囲圧力、特に大気圧に対して曝露される薄いゴム膜で作製される。
図6のメニスカス116と同様に、弾性ダイアフラム216は、液体が毛細管液体コンベヤ220を通るように促す表面張力に対する抵抗を提供する。特に、
図7に示すように、システムが使用されておらず、蒸発セクション221の近くにおいて圧力降下が存在しない場合、弾性ダイアフラム216によって提供される抵抗は、液体211が貯蔵部210から漏出することを防止する。ユーザーが吸煙を行い、それ故に蒸発セクション221の近くにおいて圧力降下が誘発される場合、弾性ダイアフラム216は、
図8に示すように、圧力降下がバランスするまで変形する。弾性ダイアフラム216によって提供される抵抗は、そのヤング率に依存する。例えば、弾性ダイアフラムは、1MPa(メガパスカル)~100MPa(メガパスカル)、特に2MPa(メガパスカル)~50MPa(メガパスカル)、好ましくは2MPa(メガパスカル)~20MPa(メガパスカル)の範囲内のヤング率(引張り弾性率)を有し得る。
【0084】
図1、2、6、7および8に示す液体貯蔵部10、110、210の各々は、それぞれの毛細管液体コンベヤ20、120、220が流体連通する、貯蔵部オリフィス18、118、218を含む。貯蔵部オリフィス18、118、218は、貯蔵部オリフィスを通る流体の流れの方向に沿って変化する断面を有してもよい。これは、例えば、装置の配向の変化に起因する液体静圧の変化に対抗するのに役立ち得る。好ましくは、貯蔵部オリフィスの断面は、上流方向に、すなわち液体貯蔵部の内部に向かって先細りしている。
【0085】
図9~16は、
図1~8に示す空気ダクトおよび毛細管液体コンベヤの代替である、空気ダクトおよび毛細管液体コンベヤの様々な実施形態を示す。したがって、同一または類似の特徴は、同じ参照符号で示されているが、100の倍数だけ増分されている。
【0086】
図9では、毛細管液体コンベヤ320は、
図1~2に示すエアロゾル発生配設のダブルプレート液体コンベヤ20と同一である。
図1~2に示す配設1とは対照的に、
図9に示す空気ダクト340は、スリーブ長さ軸に沿って、特に液体コンベヤ320を包囲する部分において変化する断面を有するガイドスリーブ347を含む。蒸発セクション321は、ガイドスリーブ347の断面の最小部346においてガイドスリーブ347内に位置する。したがって、ガイドスリーブ347と蒸発セクションとの間の空気経路の断面が狭窄し、それによって空気噴射発生部材342が形成される。すなわち、空気噴射発生部材342は、蒸発セクション321の位置におけるガイドスリーブ347の壁と毛細管液体コンベヤ320との間の距離最小部によって実現される。言い換えれば、空気噴射発生部材342は、蒸発セクション321の位置における空気ダクト340のガイド壁の横方向のくぼみによって実現され、ガイド壁の横方向のくぼみは、毛細管液体コンベヤ320の方に向いている。本実施形態では、ガイドスリーブ347は、最小部346の上流に漏斗部分348を含む。漏斗部分348では、ガイドスリーブ347の断面は、空気ダクト340を通した気流の下流方向に見られるように、最小部346に向かって凸状に先細りしている。ガイドスリーブ347は、最小部346の下流に膨らみ部分349をさらに含む。膨らみ部分349では、空気ダクト340を通した気流の下流方向に見られるように、ガイドスリーブ347の断面は、まず凹状に拡張し、その後、凹状に先細りしている。膨らみ部分349は、排出部分の拡張ゾーン343を形成する。ガイドスリーブ347、特に漏斗部分348は、液体コンベヤ320の蒸発セクション321の穿孔を接線方向に通過して通過する空気噴射を発生させるように形成および配設される。
【0087】
図10では、空気ダクト440は、
図9に示す空気ダクト340と同一である。
図9とは対照的に、
図10に示すエアロゾル発生配設は、二つの毛細管パイプ422によって実現される液体コンベヤ420を備える。各毛細管パイプ422は、蒸発セクション421を形成する、開放端である下流ベル端427を有する。毛細管パイプ422の内側断面は、毛細管パイプ422を通した流体の流れの方向に沿って増大する。有利なことに、断面を増大させることにより、貯蔵部オリフィスの断面を別個に変化させる必要がなくなる。下流ベル端427は、下流ベル端427の出口(使用中にエアロゾル形成液体が蒸発する)が、蒸発セクション421を通過して流れる空気噴射発生部材442によって発生される空気噴射に対して接線方向となるように、それぞれの毛細管パイプ422の残りの部分に対して90度角度付けられる。角度付けられた下流ベル端427に起因して、毛細管パイプ422は、アルプホルン様の形状を有する。ダブルプレート液体コンベヤと同様に、毛細管パイプ422は、好ましくは、少なくともそれぞれの下流ベル端427において誘導加熱可能である。
【0088】
図11では、液体コンベヤ520は、
図10に示すアルプホルン様の液体コンベヤ420と同一である。
図10とは対照的に、
図11に示すエアロゾル発生配設は、蒸発セクション521を包囲する部分内に一定の断面を有する空気ダクト540を備える。空気ダクトのガイド壁の横方向のくぼみの代わりに、
図11による配設の空気噴射発生部材542は、アルプホルン様の液体コンベヤ520の各々に対して空気噴射を発生させるように構成された二つの噴射ノズル545を含む。各空気噴射は、蒸発セクション521の近くにおいて圧力降下を発生させるように、蒸発セクション521の周りの好ましい位置において空気ダクト540を通した主要な気流経路に入る追加的な気流経路である。二つの噴射ノズル545は、それぞれの空気噴射が関連するアルプホルン様の毛細管パイプ522の下流ベル端527の出口に対して本質的に接線方向となるように構成および配設される。
【0089】
図12では、空気ダクト640は、
図9および
図10に示す空気ダクト340、440と同一である。
図9および
図10とは対照的に、
図12に示すエアロゾル発生配設は、互いに平行に配設される複数のフィラメント623を含む、非ストランド状のフィラメント束622によって実現される液体コンベヤ620を備える。フィラメント623またはフィラメント623の少なくとも一部は、サセプ材料で作製され、それ故に、液体コンベヤ620を誘導源によって誘導加熱することが可能であってもよい。誘導源は、実質的に蒸発セクション621の位置においてのみ交番磁場を発生させるように構成および配設されることが好ましい。有利なことに、これは、フィラメント束622が蒸発セクション621のみで局所的に加熱されることをもたらす。
【0090】
図12と同様に、
図13に示すエアロゾル発生配設は、フィラメント束722によって実現される液体コンベヤ720を備える。
図12とは対照的に、フィラメント束722は、フィラメント束722の下流端部分に、フィラメント723が互いから分岐する扇状に広がった部分725を含む。扇状に広がった部分725は、蒸発セクション721に対応することが好ましい。扇状に広がった部分725内。扇状に広がった部分725は、空気経路の中への気化したエアロゾル形成液体の曝露を容易にするのに、それ故にエアロゾルの形成を容易にするのに有益であると証明され得る。さらに、扇状に広がった部分725に起因して、空気ダクト740のスリーブ様のガイド壁747とフィラメント束722の下流端部分との間に、距離最小部746が存在する。距離最小部746は、フィラメント束722の下流端部分、すなわち、蒸発セクション721において所望の圧力降下を引き起こす空気噴射発生部材742を実現する、空気経路狭窄を形成する。
【0091】
図14および
図15は、中央空気ダクト840、ならびに毛細管チャネル823を含む空気ダクト840の外部に毛細管液体コンベヤ820を有する、エアロゾル発生配設のさらなる実施形態を示す。両方の実施形態において、それぞれの中央空気ダクト840は、
図1および
図2に示す開口プレートと類似した、空気噴射発生部材842を形成する開口プレート843を含む。
図14および
図15にさらに見られるように、毛細管チャネル823は、中央空気ダクト840の一部を形成する内壁部材847と、例えば、エアロゾル発生配設の外側ハウジングを形成する外壁部材822との間の毛細管ギャップによって形成される。
図14による実施形態は、二つの毛細管チャネル823を中央空気ダクト840の各側面に一つ備え、
図15による実施形態は、単一の横方向の毛細管チャネル823のみを備える。サセプタ材料で作製されたメッシュ827は、誘導加熱可能な蒸発セクション821を形成するように、各毛細管チャネル823の下流端にわたって配設される。メッシュ827の隙間のサイズは、エアロゾル形成液体がその中にメニスカスを形成することができるように選択される。例えば、隙間の幅は、75マイクロメートル~250マイクロメートルである。使用時、メッシュ827で気化されたエアロゾル形成液体は、開口プレート843の下流の気流中に引き出され、エアロゾルを形成するように、拡張ゾーン843内の空気と混合される。
【0092】
図16は、
図15に示すエアロゾル発生配設と類似したエアロゾル発生配設のさらに別の実施形態を示す。したがって、同一または類似の特徴は、同じ参照符号で示されているが、100だけ増分されている。
図15に示す配設とは対照的に、
図16に示す配設は、開口プレートを備えず、空気ダクト940を通した空気経路の空気経路狭窄を形成するブロック要素946を備える。空気経路狭窄は、蒸発セクション921を通過して流れる空気噴射を発生し、それ故に蒸発セクション921の近くにおいて静圧の降下を引き起こし、毛細管液体コンベヤ920の毛細管チャネル823を通して蒸発セクション921へとエアロゾル形成液体を引き出す、空気噴射発生部材942を構成する。
【0093】
本明細書および添付の特許請求の範囲の目的において、別途示されていない限り、量(amounts)、量(quantities)、割合などを表すすべての数字は、すべての場合において用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。また、すべての範囲は、開示された最大点および最小点を含み、かつその中の任意の中間範囲を含み、これらは本明細書に具体的に列挙されている場合もあり、列挙されていない場合もある。したがって、この文脈では、数AはA±Aの5パーセントとして理解される。この文脈内において、数Aは、数Aが修飾する特性の測定値に対する一般的な標準誤差内にある数値を含むと考えられてもよい。数Aは、添付の特許請求の範囲で使用されるような一部の事例において、それによってAが逸脱する量が特許請求する本発明の基本的かつ新規の特性に実質的に影響を与えないという条件で、上記に列挙される割合だけ逸脱してもよい。また、すべての範囲は、開示された最大点および最小点を含み、かつその中の任意の中間範囲を含み、これらは本明細書に具体的に列挙されている場合もあり、列挙されていない場合もある。
【国際調査報告】