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特表2024-509507ヒトパピローマウイルス関連癌の管理のための組成物及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-04
(54)【発明の名称】ヒトパピローマウイルス関連癌の管理のための組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/352 20060101AFI20240226BHJP
   A61K 33/243 20190101ALI20240226BHJP
   A61K 31/704 20060101ALI20240226BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240226BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240226BHJP
【FI】
A61K31/352
A61K33/243
A61K31/704
A61K39/395 N
A61P35/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023549859
(86)(22)【出願日】2022-02-17
(85)【翻訳文提出日】2023-10-16
(86)【国際出願番号】 US2022070714
(87)【国際公開番号】W WO2022178527
(87)【国際公開日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】63/200,156
(32)【優先日】2021-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519222933
【氏名又は名称】ロマ リンダ ユニヴァーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】デュルクセン-ヒューズ ペネロペ ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】チツィケ レノックス
【テーマコード(参考)】
4C085
4C086
【Fターム(参考)】
4C085AA14
4C085BB01
4C085CC23
4C085EE01
4C085GG02
4C086CA01
4C086EA10
4C086HA12
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZB26
(57)【要約】
ここに提供されるのは、ヒトパピローマウイルス関連癌の管理のための組成物及び方法である。被験者においてヒトパピローマウイルス関連癌を治療するためのこのような方法の1つは、治療上有効量のガンボギン酸若しくは30-ヒドロキシガンボギン酸又はその薬学的に許容される誘導体を、被験者に投与することを含む。これらの方法は、また、放射線又は化学療法剤のうちの1つ以上を投与することを含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者においてヒトパピローマウイルス関連癌を治療する方法であって、治療上有効量のガンボギン酸又はその薬学的に許容される誘導体を、被験者に投与することを含む、方法。
【請求項2】
前記ヒトパピローマウイルス関連癌が、子宮頸癌、中咽頭癌、肛門癌、陰茎癌、膣癌、又は外陰癌のうちの1つである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ヒトパピローマウイルス関連癌が、頭頸部扁平上皮癌である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
治療上有効量のアポトーシス活性化学療法剤を、被験者に投与することをさらに含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
治療上有効量のシスプラチン、セツキシマブ、及びドキソルビシンのうち1つ以上を、被験者に投与することをさらに含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記治療上有効量のガンボギン酸又はその薬学的に許容される誘導体の投与の前に、治療上有効量の放射線を、被験者に投与することをさらに含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記治療上有効量のガンボギン酸又はその薬学的に許容される誘導体の投与の後に、治療上有効量の放射線を、被験者に投与することをさらに含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
治療上有効量のアポトーシス活性化学療法剤を、被験者に投与することをさらに含む、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
治療上有効量のシスプラチン、セツキシマブ、及びドキソルビシンのうちの1つ以上を、被験者に投与することをさらに含む、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項10】
被験者においてヒトパピローマウイルス関連癌を治療する方法であって、治療上有効量の30-ヒドロキシガンボギン酸又はその薬学的に許容される誘導体を、被験者に投与することを含む、方法。
【請求項11】
前記ヒトパピローマウイルス関連癌が、子宮頸癌、中咽頭癌、肛門癌、陰茎癌、膣癌、又は外陰癌のうちの1つである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ヒトパピローマウイルス関連癌が、頭頸部扁平上皮癌である、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
治療上有効量のアポトーシス活性化学療法剤を、被験者に投与することをさらに含む、請求項10~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
治療上有効量のシスプラチン、セツキシマブ、及びドキソルビシンのうち1つ以上を、被験者に投与することをさらに含む、請求項10~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記治療上有効量の30-ヒドロキシガンボギン酸又はその薬学的に許容される誘導体の投与の前に、治療上有効量の放射線を、被験者に投与することをさらに含む、請求項10~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記治療上有効量の30-ヒドロキシガンボギン酸又はその薬学的に許容される誘導体の投与の後に、治療上有効量の放射線を、被験者に投与することをさらに含む、請求項10~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
治療上有効量のアポトーシス活性化学療法剤を、被験者に投与することをさらに含む、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
治療上有効量のシスプラチン、セツキシマブ、及びドキソルビシンのうちの1つ以上を、被験者に投与することをさらに含む、請求項15又は16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2021年2月17日に出願された米国仮特許出願第63/200,156号の利益及び優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(政府の支援)
本発明は、米国国立衛生研究所の国立一般医科学研究所から授与された助成金番号P20GM113117、及び米国国立衛生研究所の国立神経疾患・脳卒中研究所から授与された助成金番号R21NS73059に基づく政府の支援を受けて行われた。政府は本発明について一定の権利を有する。
【0003】
本開示は、ヒトパピローマウイルス(HPV)関連癌の管理ための組成物及び方法に関する。
【背景技術】
【0004】
高リスクHPVは、特に子宮頸部、中咽頭、肛門、陰茎、膣、及び外陰においてをいくつかのタイプの癌を引き起こす。HPV関連癌は、子宮頸癌、中咽頭癌、肛門癌、陰茎癌、膣癌、及び外陰癌を含む。HPVは、これらの臓器の内面を覆う扁平上皮細胞に感染し、従って扁平上皮癌を引き起こす。
【0005】
頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)は、上気道に発生する異質な腫瘍であり、及び発生率では世界で6番目に多い癌である。HNSCC-HPV--HNSCC及びHPV+-HNSCC-の2つの主要なサブタイプは、それらの特徴が、異なり及び分岐している。歴史的にアルコール及びタバコなどの化学発癌物質が原因であるHPV--HNSCCは、過去30年間で減少傾向にある。並行して、HPVによって引き起こされるHPV+-HNSCCは、同期間で、劇的に増加した(225%以上)。特に西洋諸国における、性習慣の変化により、HPVによる口腔粘膜のコロニー形成、それに伴う関連する悪性腫瘍が増加している。HPVワクチンの出現は、今後の数十年の間にこの数値が上昇するのを防ぐ可能性を有する。しかしながら、ワクチンが利用可能になっても、HPV+-HNSCCの負担は、ワクチンの接種は限られているため、将来も懸念される。前記ワクチンは、既に感染している患者には効果がない。既にHNSCCが発生している患者については、現在の治療ガイドラインは、HPVの状態にかかわりなく、手術、放射線療法及び化学療法を含む併用療法を推奨している。この方法は、既知の異なる腫瘍の生物学及び治療に対する反応を考慮すると最適ではない。そのHPV-カウンターパートと比較して、HPV+-HNSCCは、より良い予後を示し、並びに若年及びそれ以外は健康な患者でより蔓延している。重要なことは、そのような標準的な治療法の使用は、衰弱を伴う生涯にわたる罹患率と関連しているということである。総合すれば、HPV+サブグループは、過剰治療を受ける可能性があり、並びにこれらの長期間及び有害な副作用から患者を救う選択的治療が必要であるというのが、一般的な見解である。
【0006】
HNSCC患者の治療は、放射線及びシスプラチンなどの細胞傷害性治療に主に基づいており、並びに他の癌の傾向のように腫瘍生物学に基づく薬剤はあまり用いられない。しかしながら、放射線治療は、シスプラチンの細胞毒性によって悪化する重度な長期影響を伴う。この問題は、一般に治療効果が高く及び予後も良好なHPV関連HNSCC患者では、より顕著である。従って、患者の生活の質を損なうことなく、腫瘍学的転帰(oncology outcome)を維持する、より安全で攻撃性の低いレジメン、又はシスプラチンの代替が必要とされている。さらに、最近の臨床試験は、大多数のHPV関連患者が、セツキシマブによる治療に耐性(原発性及び/又は後天性)を有することが明らかになっており、有効性の点からセツキシマブがシスプラチンに劣ることが観察される一因となり得る。従って、このセツキシマブ耐性を克服する必要もある。
【発明の概要】
【0007】
出願人は、HPV関連癌の管理に対する満たされていなく及び緊急の必要性を認識している。本明細書に開示されるのは、当該技術の欠点に対処する化合物及び方法であり、並びに任意の数の追加の又は別の利点を提供することができ、HPV状態に基づくHPV関連癌の管理のための組成物及び方法を含み得る。
【0008】
被験者においてHPV関連癌を治療する方法の一実施態様は、治療上有効量のガンボギン酸若しくは30-ヒドロキシガンボギン酸又はその薬学的に許容される誘導体を被験者に投与するステップを含む。前記被験者は、子宮頸癌、中咽頭癌、肛門癌、陰茎癌、膣癌、又は外陰癌を持ち得る。一実施態様において、前記被験者は、頭頸部扁平上皮癌を持ち得る。前記方法は、治療上有効量のガンボギン酸又はその薬学的に許容される誘導体の投与の前に、前記被験者に治療上有効量の放射線を与えることをさらに含み得る。前記方法は、治療上有効量のガンボギン酸又はその薬学的に許容される誘導体の投与後に、治療上有効量の放射線を被験者に与えることをさらに含み得る。前記方法は、被験者に治療上有効量のアポトーシス活性化学療法剤を投与することをさらに含み得る。前記方法は、被験者に治療上有効量のシスプラチン、セツキシマブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、アファチニブ、ダコミチニブ、オシメルチニブ、ロシレチニブ、オルムチニブ(omultinib)、およびドキソルビシンのうちの1つ以上を投与することをさらに含み得る。特定の実施態様において、治療計画は、放射線(光子又は陽子のいずれか)も含み得る。
【0009】
被験者の頭頸部扁平上皮癌を治療する方法の一実施態様は、治療上有効量のガンボギン酸若しくは30-ヒドロキシガンボギン酸又はその薬学的に許容される誘導体、加えてアポトーシスを活性化するための少なくとも1種の化学療法剤の治療上有効量を、被験者に投与するステップを含む。特定の実施態様において、前記治療計画は、放射線(光子又は陽子のいずれか)も含み得る。被験者において頭頸部扁平上皮癌を治療する方法の一実施態様は、治療上有効量のガンボギン酸若しくは30-ヒドロキシガンボギン酸又はその薬学的に許容される誘導体、加えて、治療上有効量のシスプラチン、セツキシマブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、アファチニブ、ダコミチニブ、オシメルチニブ、ロシレチニブ、オルムチニブ(omultinib)、およびドキソルビシンのうちの1つ以上を、被験者に投与するステップを含む。特定の実施態様において、前記治療計画は、放射線(光子又は陽子のいずれか)も含み得る。
【0010】
本特許又は出願ファイルには、少なくとも1つのカラーで作成された図面が含まれている。カラー図面を含む本特許又は特許出願公開公報の写しは、請求及び必要な手数料の支払いにより、国内官庁から提供される。
実施態様は、添付図面と併せて以下の詳細な説明により容易に理解される。この説明を容易にするために、同様の参照数字は、方法における同様の構造要素又は手順を示す。実施態様は、例として図示されており、及び添付図面に限定する目的ではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、特定の実施態様についての高含量のスクリーニング戦略の図表示である。スクリーニングファネルスキームは、ヒット化合物のトリアージの各工程で実行されるスクリーニング活動及びヒットの選択に使用されるそれぞれの決定基準を示す。1次スクリーニングに続いて、2次スクリーニング及びPAINSデータベースを用いるケモインフォマティクスフィルタリングが行われた。その後、構造及び活性の関係を、分析した後、細胞研究のために1つの候補を、選択した。
図2A-C】図2A~2Cは、アッセイ最適化のための3つの変数:Z因子、シグナル対バックグラウンド比(S/B)、及び変数係数(VC%)のグラフ表示である。図2Aは、Z因子のグラフ表示である。スコアを、各プレートについて決定し、並びに中央値及び平均スコアは、共に0.6以上であることが分かり、高含量スクリーニングに適したアッセイであることを示した。図2Bは、各プレートについてのシグナル対バックグラウンド比のグラフ表示である。図2Cは、前記化合物の活性の散布図である(緑の実線より上の化合物をさらに分析した)ヒットは、平均値から3標準偏差に対する阻害パーセントの計算されたカットオフ値を用いて選択した。
図3A-L】図3A~3Kは、選択された11個の化合物の選択性プロファイル及び指数のグラフ表示である。6xHis-GST及びCaspase8-Caspase8のカウンタースクリーニングの両方を通過した11個の化合物についての結合活性グラフを、表示する。前記グラフは、Caspase8-E6及び6xHis-GST結合に対する各化合物の活性、並びにこれら2種類の基質に対する活性から算出したSI値(IC50/IC50)を示す。図3Aは、化合物#2についてのそのようなグラフであり、図3Bは、化合物#4についてのそのようなグラフであり、図3Cは、化合物#6についてのそのようなグラフであり、図3Dは、化合物#9についてのそのようなグラフであり、図3Eは、化合物#11についてのそのようなグラフであり、図3Fは、化合物#15についてのそのようなグラフであり、図3Gは、化合物#24についてのそのようなグラフであり、図3Hは、化合物#29についてのそのようなグラフであり、図3Iは、化合物#30についてのそのようなグラフであり、図3Jは、化合物#32についてのそのようなグラフであり、及び図3Kは、化合物#38についてのそのようなグラフである。図3Lは、Caspase8の二量化とこれらの化合物との相互作用のグラフ表示である。
図4A-B】図4A~4Bは、Caspase8及びp53のそれぞれとの結合アッセイにおけるミリセチンと比較したガンボギン酸の活性のグラフ表示である。図4Aは、以前にCaspase8及びE6APと結合するE6に対する活性を実証した、ミリセチンとガンボギン酸との直接比較のグラフ表示である。図4Bは、以前にE6APに結合するE6に対する活性を実証した、ミリセチンとガンボギン酸との直接比較のグラフ表示である。AlphaScreenTMによって測定されたガンボギン酸の阻害活性は、ミリセチンの阻害活性よりも優れている。
図5図5は、構造活性相関分解析後のガンボギン酸の類縁体を示す画像である。環A、B、C、Dは、ガンボギン酸の中心骨格を構成する。類縁体#1は30-ヒドロキシガンボギン酸(GA-OH)であり、類縁体#2はモレリン酸であり、類縁体#3はガンボゲン酸(gambogenic acid)であり、類縁体#4はガンボギン酸アミドであり、類縁体#5はネオガンボギン酸(neo-gambogic acid)であり、類縁体#6はガンボギン(gambogin)であり、類縁体#7はイソモレリノールであり、及び類縁体#8はイソガンボギン酸アセチルである。
図6A-B】図6A~6Bは、in vitro(AlphaScreen)及びin vivo(HPV+細胞株アッセイ)におけるガンボギン酸の類縁体の活性プロファイルのグラフ表示である。図6Aは、E6-Caspase8基質を用いたin vitroにおけるE6ヒット類縁体活性のグラフ表示である。#3、5、及び6を除き、ほとんどの類縁体は、親化合物に近い活性を示す。図6Bは、in vivo(細胞)状況におけるE6ヒット類縁体活性のグラフ表示であり、#3、5、及び6は、低活性も示し、#8は、このグループに加わった驚きである。#1は、HPV+細胞株での活性という点では、依然として最も有望なリードである。
図7A-C】図7A~7Cは、GA-OHを介する成長阻害に対するHPV+細胞株及びHPV-細胞株の感度のグラフ表示である。図7Aは、GA-OHによるHNSCC HPV+細胞株及びHPV-細胞株の細胞増殖阻害のグラフ表示である。図7Bは、GA-OHによる子宮頸癌HPV+及びHPV-細胞株の細胞増殖阻害のグラフ表示である。HPV+細胞株は、図7AのHPV+曲線(SCC47、90、104、152)並びに図7BのSiHa及びCaSkiの左方シフトによって示されるような、HPV-細胞株よりも高い感度を示す。図7Cは、HPV+細胞株対HPV-細胞株の生存率のクローン形成能におけるGA-OHの効果をグラフ表示したものである。GA-OHは、HPV+細胞に対してより高い細胞毒性を示した。(+及び閉じた形は、HPV+細胞株を表し、並びに-と開いた形は、HPV-細胞株を表す。)
図8A-B】図8Aは、Caspase8の発現及びダウンストリーム標的の活性化を分析したブロットの写真画像である。SCC19、SCC90及びSCC104を、播種し、並びにビヒクル、0.5μM及び1μMのGA-OHで24時間処置した。p53の活性化を、p53の発現及び活性化についてブロッティングすることにより検査した。Caspase8活性及びアポトーシスを、Caspase8の発現及びダウンストリーム標的の活性化についてブロッティングすることにより検査した。図8Bは、種々のHPV+及びHPV-細胞株におけるガンボギン酸のCaspase3/7活性のグラフ表現である。これらの細胞株を、96ウェルプレートに播種し、及び0.75μMのGA-OHで処置した。Caspase3/7活性を、24時間後に測定した。HPV+細胞株は、高レベルのCaspase3/7活性を示した。
図9A-E】図9A~Eは、ビヒクル、又は0.5μM若しくは1μMのGA-OHで処置した場合の、SCC19、SCC90、及びSCC104細胞株における、それぞれのcleaved PARP、p53、p21、cleaved Caspase 3、及びcleaved Caspase 8の相対的発現のグラフ表示であり、ローディングコントロールとしてB-アクチンを用いる上記の各ターゲットが示される。
図10図10は、3つのHPV+細胞株(SCC090、SCC104、SiHa)及び2つのHPV-細胞株(SCC19、SCC84)を、ガンボギン酸で処置した場合に、MTT(3-[4,5-ジメチルチアゾール-2-イル]-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド)で測定した細胞生存率のグラフ表示である。
図11A-H】図11A~11Dは、光子放射線を受けた後にビヒクル単独又はシスプラチン(CCDP)のいずれかで処置した場合に、HPV-細胞株(SCC19及びSCC29)及びHPV+細胞株(SCC47及びSCC104)の放射線応答をMTTアッセイにより測定したグラフ表示である。10%の生存についての線量増感比(DER10)を、以下:
【数1】
のように計算した。DER10>1は、その化合物が細胞癌を放射線増感することを示す。図11E~11Hは、光子線放射を受けた後にビヒクル単独又はセツキシマブで処置した場合の、HPV-細胞株及びHPV+細胞株の放射線応答をMTTアッセイにより測定したグラフ表示である。
図12A-D】図12A~12Dは、光子放射線を受けた後にビヒクル単独又はGA-OHで処置した場合に、HPV-細胞株(SCC19及びSCC29)及びHPV+細胞株(SCC47及びSCC104)の放射線応答をMTTアッセイにより測定したグラフ表示である。
図13A-C】図13A~13Cは、光子放射線を受けた後にビヒクル単独、シスプラチン、セツキシマブ、又はGA-OHで処置した場合に、HPV+細胞株(SCC152)の放射線応答をMTTアッセイにより測定したグラフ表示である。
図14A-E】図14A~14Eは、HPV-細胞株(SCC19及びSCC29)及びHPV+細胞株(SCC47、SCC104、及びSCC152)が、光子放射線を受けた後、シスプラチン、セツキシマブ、又はGA-OHで処置した場合に、DER10により測定されたHNSCC細胞株における感度の程度のフラフ表示である。
図15A-B】図15A~15Bは、照射後に、対照又はGA-OHによる処置後、24時間後にフローサイトメトリーアッセイで測定した、SCC47及びSCC19細胞株の細胞周期分析のグラフ表示である。
図16A-B】図16A~16Bは、照射後に、対照又はGA-OHによる処置後、24時間後にフローサイトメトリーアッセイで測定した、SCC47及びSCC19株における、G2-M停止細胞の割合のグラフ表示である。
図17A-B】図17A~17Bは、SCC47及びSCC19に放射線を照射し、その後、対照又はGA-OHで処置した場合の、G2-M停止の動態を、24時間後のフローサイトメトリーアッセイで測定したグラフ表示である。
図18A-B】図18A~18Bは、フローサイトメトリーアッセイで測定された、24時間後にGA-OHを併用又は併用しない照射後の、SCC47及びSCC19のアポトーシス分析のグラフ表示である。
【0012】
本開示の多数の他の態様、特徴及び利点は、式及び表と共に理解される以下の詳細な説明から明らかになり得る。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(詳細な説明)
以下の説明では、多数の具体的な詳細を、様々な実施態様の完全な理解を提供するために記載する。他の例では、周知のプロセス及び方法は、本明細書に記載される実施態様を不必要に分かりにくくしないように、特に詳細に説明されないことがある。さらに、本明細書の実施態様の図示は、本明細書で説明される実施態様を分かりにくくしないために、特定の特徴又は詳細を省略し得る。
【0014】
以下の詳細な説明において、本明細書の一部を構成する添付の式及び表を参照する。他の実施態様を、利用することができ、及び論理的な変更を、本開示の範囲から逸脱することなく加え得る。従って、以下の詳細な説明は、限定的な意味でとらえられるものではない。
【0015】
本明細書において開示されるのは、被験者におけるHPV関連癌の管理のための組成物及び方法である。HPV関連癌を治療する方法の一実施態様は、治療上有効量のガンボギン酸若しくは30-ヒドロキシガンボギン酸又はその薬学的に許容される誘導体を被験者に投与するステップを含む。前記被験者は、子宮頸癌、中咽頭癌、肛門癌、陰茎癌、膣癌、又は外陰癌を有し得る。前記方法は、治療上有効量のガンボギン酸又はその薬学的に許容される誘導体の投与の前に、治療上有効量の放射線を、被験者に投与することをさらに含み得る。前記方法は、治療上有効量のガンボギン酸又はその薬学的に許容される誘導体の投与後に、治療上有効量の放射線を、被験者に投与することをさらに含み得る。前記方法は、被験者に治療上有効量のアポトーシス活性化学療法剤を投与することをさらに含み得る。そのような化学療法剤は、アポトーシスシグナル伝達経路を誘導又は開始し、及び細胞死又は増殖減少をもたらす。前記方法は、被験者にシスプラチン、セツキシマブ、シスプラチン、ゲフィチニブ、エルロチニブ、アファチニブ、ダコミチニブ、オシメルチニブ、ロシレチニブ、オルムチニブ、およびドキソルビシンのうち1つ以上の治療上有効量を投与することをさらに含み得る。特定の実施態様において、前記治療計画は、放射線(光子又は陽子のいずれか)もさらに含み得る。
【0016】
本明細書に開示されるのは、頭頸部扁平上皮癌の管理のための組成物及び方法である。前記被験者の頭頸部扁平上皮癌を治療する方法の一実施態様は、当該被験者に治療上有効量のガンボギン酸又はその薬学的に許容される誘導体を投与するステップを含む。この例の前記頭頸部扁平上皮癌は、ヒトパピローマウイルスの存在に対して陽性である。被験者の頭頸部扁平上皮癌を治療する方法の一実施態様は、当該被験者に治療上有効量の30-ヒドロキシガンボギン酸又はその薬学的に許容される誘導体を投与するステップを含む。この例の前記頭頸部扁平上皮癌は、ヒトパピローマウイルスの存在に対して陽性である。特定の実施態様において、治療計画は、放射線(光子又は陽子のいずれか)も含み得る。被験者の頭頸部扁平上皮癌を治療する方法の一実施態様は、治療上有効量のガンボギン酸若しくは30-ヒドロキシガンボギン酸又はその薬学的に許容される誘導体、加えてアポトーシスを活性化するために構成される少なくとも1つの化学療法剤の治療上有効量を、被験者に投与するステップを含む。特定の実施態様において、前記治療計画は、放射線(光子又は陽子のいずれか)も含み得る。
【0017】
被験者において扁平上皮癌を治療する方法の一実施態様は、治療上有効量の30-ヒドロキシガンボギン酸若しくはガンボギン酸又はその薬学的に許容される誘導体、加えて、治療上有効量のシスプラチン、セツキシマブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、アファチニブ、ダコミチニブ、オシメルチニブ、ロシレチニブ、オルムチニブ(omultinib)、又はドキソルビシンのうちの1つ以上を被験者に投与するステップを含む。特定の実施態様において、前記治療計画は、放射線(光子又は陽子のいずれか)も含み得る。
【0018】
本明細書で使用される場合、“薬学的に許容される誘導体(pharmaceutically acceptable derivative)”という用語は、被験者への投与により、活性成分を提供することができる(直接的又は間接的に)、本明細書に記載される化合物の任意の薬学的に許容される塩、プロドラッグ、代謝物、エステル、エーテル、水和物、多形体、溶媒和物、錯体、及び付加物を指し、かつ、これらを含む。例えば、ガンボギン酸の“薬学的に許容される誘導体”という用語は、被験者への投与により、ガンボギン酸を提供することができる(直接的又は間接的に)、ガンボギン酸の全ての誘導体(例えば、塩、プロドラッグ、代謝物、エステル、エーテル、水和物、多形体、溶媒和物、錯体、及び付加物など)を含む。いくつかの実施態様において、ガンボギン酸又は30-ヒドロキシガンボギン酸の官能基を、効力の改善、副作用の減少、又は吸収の増加など、特定の生物学的効果を変化させるために修飾する。
【0019】
本明細書で使用される場合、“薬学的に許容される塩(pharmaceutically acceptable salt)”は、ガンボギン酸又は30-ヒドロキシガンボギン酸の生物学的有効性及び特性を保持する塩を指す。並びに別段の指示がない限り、薬学的に許容される塩は、酸性基又は塩基性基の塩が含まれ、本明細書で開示される式の化合物中に存在し得る。本開示は、例として、上記の薬学的に許容される塩、それらの誘導体、それらの類縁体、それらの互変異性体、それらの立体異性体、それらの多形体、及びそれらを含む医薬組成物を調製するための特定のプロセスも提供する。
【0020】
特定の実施態様は、ガンボギン酸又は30-ヒドロキシガンボギン酸、それらの誘導体、それらの類縁体、それらの互変異性体、それらの立体異性体、それらの多形体、及びそれらを含む薬学的に許容される組成物によって形成される薬学的に許容される塩に関連する。そのような塩を形成するために使用される典型的な無機酸は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸、次亜リン酸などが含まれる。脂肪族モノカルボン酸及びジカルボン酸、フェニル置換アルカン酸、ヒドロキシアルカン酸及びヒドロキシアルカンジオン酸(hydroxyalkandioic acids)、芳香族酸、脂肪族スルホン酸及び芳香族スルホン酸などの、有機酸から誘導される塩も、使用し得る。従って、そのような薬学的に許容される塩は、酢酸塩、フェニル酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、アクリル酸塩、アスコルビン酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、o-アセトキシ安息香酸塩、ナフタレン-2-安息香酸塩、臭化物、イソ酪酸塩、フェニル酪酸塩、β-ヒドロキシ酪酸塩、塩化物、ケイ皮酸塩、クエン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グリコール酸塩、ヘプタン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、ヒドロキシマレイン酸塩、マロン酸塩、メシル酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、フタル酸塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、プロピオン酸塩、フェニルプロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、ピロ硫酸塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、スルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-ブロモフェニルスルホネート、クロロベンゼンスルホネート、エタンスルホネート、2-ヒドロキシエタンスルホネート、メタンスルホネート、ナフタレン-1-スルホネート、ナフタレン-2-スルホネート、p-トルエンスルホネート、キシレンスルホネート、酒石酸塩(tartarate)などを含む。
【0021】
本発明の実施態様は、ガンボギン酸若しくは30-ヒドロキシガンボギン酸、又は薬学的に許容される誘導体、及び薬学的に許容される担体若しくは賦形剤を含む医薬組成物を含む。賦形剤、希釈剤、充填剤、結合剤、及び担体などの薬学的に許容される成分は、不活性であるか、又はガンボギン酸又は30-ヒドロキシガンボギン酸の送達及び分布に積極的に寄与し得る。本明細書の実施態様で使用される前記製剤は、微結晶セルロース、ラクトース一水和物、ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム及びステアリン酸マグネシウムなどの賦形剤、好ましくは、少なくとも約50質量%、例えば、約50質量%~約95質量%の範囲であり、例えば約50質量%~約90質量%の範囲を含み、及びより好ましくは約55質量%~約85質量%の範囲であり、例えば約60質量%~約85質量%の範囲であり、又は約65質量%~約80質量%の範囲であり、約60質量%、約65質量%、約70質量%、約75質量%、若しくは約80質量%を含む。
【0022】
本明細書で使用される場合、“治療上有効量(therapeutically effective amount)”は、活性成分(例えば、ガンボギン酸、30-ヒドロキシガンボギン酸、シスプラチン、セツキシマブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、アファチニブ、ダコミチニブ、オシメルチニブ、ロシレチニブ、オルムチニブ、又はドキソルビシン)又はその薬学的に許容される塩の量であり、それが投与される症状の除去、改善、緩和、又は救済を提供し、並びにそのようなものとして“治療上有効な量”は、それが適用される文脈に依存する。治療上有効な量のガンボギン酸及び30-ヒドロキシガンボギン酸の化合物を、1回又は複数回の投与で投与することができる。本明細書で使用される場合、“管理(management)”、“管理する(managing)”、“管理する(manage)”、“治療(treatment)”、“治療する(treating)”及び“治療する(treat)”という用語は、傷害、疾患、若しくは状態の治療若しくは改善における成功の指標を指し、軽減;回復;症状の減少、又は障害、疾患若しくは状態が被験者にとってより耐えられるようになること;変性若しくは衰弱の速度が遅くなること;変性の最終点がより衰弱しにくくなること;及び/又は被験者の身体的若しくは精神的な健康が改善されることなどの客観的な若しくは主観的なパラメータを含む。
【0023】
標的療法のような革新的でより安全な治療戦略は、増加するHPV+-HNSCCの流行に安全に戦うために必要である。HPVの癌タンパク質、特にE6は、標的HPV+-HNSCC治療のための独特な及び潜在的に治療的に有利な戦略的アプローチを示している。E6は、ケラチノサイトの細胞形質転換及び不死化における原因物質であり、並びにその連続的発現は、腫瘍の進行を維持するために必要である。E6は、また、アポトーシス刺激に対する反応に影響を与えることにより、HPV+腫瘍細胞の生存を調節する。これは、主にp53及びCaspase8などのタンパク質との抑制性のタンパク質間相互作用を介して起こる。E6は、Caspase8などの外因性アポトーシス経路のタンパク質と直接結合する。E6は、p53及びBakなどの内因性アポトーシス経路のタンパク質と物理的に結合し、及びその結果、それらのプロテアソーム分解を促進する。さらに、そのようなE6を介したCaspase8の阻害は、アポトーシスを誘導する癌治療によるHPV+細胞の細胞死の誘導を鈍らせる。HNSCCにおけるp53及びCaspase8の欠損は、化学療法及び放射線に対するHPV+-HNSCCの感度の減衰と相関している。これと一致して、CRISPER、TALEN遺伝子ノックアウト、RNAi、及びE6mRNAを間接的にノックダウンする他の薬剤などの遺伝子学的ツールは、E6のタンパク質量を消耗せることが、増殖抑制効果をもたらし、並びに化学療法剤及び放射線に対するHPV+細胞の応答を増強することを実証している。従って、E6は、アポトーシスを妨げることにより作用し、及びHPV+腫瘍における生存因子としてその重要な役割から、魅力的な治療標的となる。
【0024】
本明細書で提供されるのは、E6とCaspase8との結合を阻害する低分子阻害剤である。AlphaScreen technologyTM(Perkin Elmer、マサチューセッツ州ウォルサム)を、予備的なスクリーニング戦略として用いた。この技術は、2つのビーズ状タンパク質の特定の相互作用をかき乱すヒット化合物を同定するための近接ベースのプラットフォームである。このアプローチを使用して、5000を超える低分子のライブラリーは、E6とCaspase8との結合に拮抗する化合物について調査された。約96のヒットが同定され、並びにそれらの活性及び特異性を確認するために、多くの相補的かつ直交的なテストを通してさらに特徴づけられた。GA-OHが、最も有望なE6の阻害剤として浮上し、及び細胞ベースの研究の追跡において、選択的な増殖抑制及び細胞死の増加が示された。これらの結果は、HPV+-HNSCCについての新規治療法の開発のための戦略を示唆するものである。
【0025】
1次スクリーニング及びヒットの同定
3つの構造的に多様なライブラリー(Prestwickライブラリー、Microsource Spectrumライブラリー及びカンザス大学の組織内コレクション;表1を参照)を、以前に最適化されたAlphaScreenTMプロトコルを用いて、全長HPV E6とヒトCaspase8との結合を阻害する化合物の能力についてスクリーニングした。
表1-1次スクリーニングの後、初期ヒットとして選択された96個の化合物のE6-Caspase8結合に対するIC50(μM)値。カウンタースクリーニングに選択された69のヒットは、灰色で強調されている。
【0026】
【表1】
【0027】
図1は、特定の実施態様についての高含量スクリーニング戦略の図表示である。スクリーニングファネルスキームは、ヒット化合物トリアージの各所与のステップで実行されるスクリーニング活性及びヒット選択に使用されるそれぞれの決定基準を示す。1次スクリーニングに続いて、2次スクリーニング及びPAINSデータベースを用いたケモインフォマティクスフィルタリングが行われた。その後、構造及び活性の関係を、1つの候補を細胞試験用に選択する前に、解析した。スクリーニングされた各化合物について、阻害パーセントを、計算した。それらの阻害パーセントに対する全化合物のヒストグラムプロットは、正規分布を示した。
【0028】
アッセイ最適化のための3つの変数-Z因子(統計的効果の大きさの尺度)、シグナル対バックグラウンド比、及び変数係数を、アッセイの品質及び性能について評価した。スクリーニングデータから得られた統計的パラメータは、良好な統計的妥当性、及び高含量スクリーニングについてのアッセイの適切な安定性を示した。図2A~2Cは、Z因子、シグナル対バックグラウンド比(S/B)、及び変動係数(CV%)のグラフ表示である。図2Aは、各プレートについて決定したZ因子のグラフ表示であり、並びに中央値及び平均値は、どちらも0.6を超えることが分かり、高含量スクリーニングについてのアッセイの適合性を示す。図2Bは、各プレートのシグナル対バックグラウンド比のグラフ表示である。図2Cは、化合物(緑の実線より上の化合物)の散布図である。ヒットを、阻害パーセントの3SDルールの計算されたカットオフ値を用いて、選択した。Z因子>0.5は、アッセイが優れている及び高含量スクリーニングに適している閾値と考えられる。5kライブラリーのスクリーニングに使用した16個の384ウェルプレートについて計算された前記Z因子の平均値と中央値は、それぞれ、0.72及び0.67であった。これらのZ因子スコアは、ハイスループットスクリーニングに適していることを示している。同様に、前記アッセイは、36の平均S/B比という高い感度も示した(図2B)。プレート間のばらつきも、16プレート全てで低く、9.6%の平均CVであり、及び許容限度の<20%を大きく下回った。これらの品質管理パラメータが、許容範囲内にあり、及び全体的に頑健性があることが示唆されたので、焦点を、ヒット化合物の可能性を同定することに当てた。各化合物のサンプル平均からの標準偏差を、Caspase8とE6との結合の阻害パーセントに対してプロットした。μ+3SDルールを、正規化した阻害パーセントデータに適用し、及びサンプル平均より3Z-スコアが高い化合物を、選択した(図2C)。このヒット選択カットオフで、96個の化合物を、約1.9%の初期ヒット率で、予備ヒットとして選択した。次に、これら96個の化合物を、用量反応解析に供し、競合挙動並びに濃度及びE6の結合の阻害活性の関係を、評価した。初期ヒットのうち、69個は、明確なシグモイド挙動及び10μM以下のIC50値によって示されるような強い用量反応を示し(表1)、及び従って、後述するような2次スクリーニングを、選択した。
【0029】
カウンタースクリーニング及びヒット確認
AlphaScreenTM法では、アッセイされる2つのタンパク質の結合ではなく、シグナル発生及びビーズ捕捉の側面を妨害するアーチファクトが、最初にヒットとして同定されることがあり得る。カウンタースクリーニングは、そのような非特定的及び無差別な(promiscuous)相互作用を持つ化合物を除去する必要がある。そうするために、2つの異なるカウンタースクリーニングを、採用した。1つ目は、GST-6xHis融合ペプチドを、用いた。このペプチドは、それぞれE6及びCaspase8のアフィニティハンドル(affinity handles)を含み、ヌルコントロール反応を表していた。特異性を評価するために、1次スクリーニング(E6-Caspase8)も、並行して行った。ヌル反応及び1次反応から、選択指数(SI)を計算し、及びGST-His6に対してE6-Caspase8を優先的に阻害する化合物を、選択し;残りは無差別として検討から除外された。初期のヒット化合物のうち34個は、SI>10を示し;すなわち、初期ヒットの約50%は、対照基質に対してE6-Caspase8結合を阻害する選択性が少なくとも10倍高かった。反対に、約半数の化合物を、フリークエントヒッターとして同定され、及び従って、非選択的であった。これらの残りのヒットから、18個の化合物を、市販及び選択指数の強さ、並びにE6-Caspase結合の最大阻害パーセントが、50%以上であるかどうかに基づいて、選択した。次いで、これらの化合物を、2次カウンタースクリーニングに供した。このカウンタースクリーニングは、GST-E6-His6-Caspase8結合ではなく、GST-Caspase8-His6-Caspase8結合を阻害する化合物の能力を評価し、及びその目的は、E6ではなくCaspase8に優先的に結合し、宿主細胞のアポトーシスを阻害する可能性がある化合物にフラグを付けることであった。このスクリーニングにおいて好ましい化合物の選択基準は、Caspase8-Caspase8結合の阻害パーセントが20%未満に設定された。この基準を使用して、18化合物のうち11化合物が、“真の(ture)”1次ヒットとなり、確認されたヒット率は0.22%であった。11化合物の選択性プロファイル及び指数を、図3に示す。E6-Caspase8結合に対するこれらの化合物の前記IC50値も、表2に示す。
【0030】
【表2】
【0031】
図3A~3Kは、選択された11個の化合物の選択性プロファイル及び指数のグラフ表示である。6xHis-GST及びCaspase8-Caspase8のカウンタースクリーニングの両方を通過した11個の化合物の結合活性グラフが示されている。前記グラフは、Caspase8-E6及び6xHis-GST結合に対する各化合物の活性を示し、並びにこれら2種類の基質に対する活性から算出したSI値(IC50/IC50)を示す。
【0032】
結合プロファイルは、これらの化合物が、アッセイ自体に対してほとんど干渉を示さないことを示している。図3Lは、Caspase8の二量化とこれらの化合物の相互作用のグラフ表示である。さらに、これらの化合物は、図3Lに示されるように、Caspase8の二量化ともほとんど相互作用を示さない。これらの結果は、それらが、E6及びCaspase8との間の相互作用の特異的阻害剤であることを示している。
【0033】
ケモインフォマティクス解析
残りの11個のヒット化合物について、SAR及び細胞ベース機能性研究などのダウンストリーム解析に優先順位をつけるために、より定性的なケモインフォマティックアプローチを、実施した。我々の目的は、PAINS(パンアッセイ干渉化合物(Pan-assay interference compounds))パターンの存在を調べることにより、生化学的アッセイにおける未知の無差別性のない化合物に優先順位をつけることであった。フリークエントヒッター化合物の部分構造を認識する4つのPAINS検出オンラインツールを用いて、任意のフラグづけられた化合物を、除去し、及び4つのすべての実行でPAINSフリーとして現れたそれらの化合物のみが、選択された。この解析は、残りの化合物の検査によって補完され、計算上見逃された可能性のある不良な官能基(BFGs)又は問題のある部分構造にフラグを付けた。文献所見との比較により、さらに、E6に対する新規活性を持つ化合物だけを残すことができた。これらのステップの後、ガンボギン酸(化合物#24)が、さらなる研究の最有力候補として残った。次いで、その活性は、基質としてGST-E6及びHis6-E6APを用いたAlphaScreeningTMの追加試験を実施することにより、交差検証された。Caspase8及びE6APの両方がE6に結合するのを阻害する既知のE6阻害剤であるミリセチンは、このアッセイで陽性対照として含まれた。E6-Caspase8結合に対するこれら2つの阻害剤の活性を、直接比較するために、並行して評価した。ミリセチンと比較して、ガンボギン酸は、少なくとも2倍低い阻害濃度(E6-Caspase8に対するIC50が、1.9μM対4.6μM、及びE6-E6APに対するIC50が1.7μM対5.6μM)を持ち、両方の基質への結合に対してミリセチンよりも優れた効力を示した。図4A~4Bは、Caspase8及びp53それぞれとの結合アッセイにおいて、ミリセチンと比較したガンボギン酸の活性のグラフ表示である。図4Aは、Caspase8へのE6の結合に対する活性に関する、ガンボギン酸とミリセチンとの直接比較のグラフ表示である。図4Bは、E6APへのE6の結合に対する活性に関する、ガンボギン酸とミリセチンの直接比較のグラフ表示である。AlphaScreenTMで測定したガンボギン酸の阻害活性は、ミリセチンのよりも優れている。これらの所見は、細胞におけるCaspase8及びp53の機能を助ける可能性を示唆している。
【0034】
SAR解析
この情報に導かれ、ガンボギン酸の8個の類縁体を市販業者から購入し、限定的な構造活性相関(SAR)解析を実施した(図5及び図6)。図5は、構造活性相関解析後のガンボギン酸の類縁体を示す画像である。環A、B、C、Dは、ガンボギン酸の中心骨格を構成している。類縁体#1は、30-ヒドロキシガンボギン酸(GA-OH)であり、類縁体#2はモレリン酸であり、類縁体#3はガンボゲン酸(gambogenic acid)であり、類縁体#4はガンボギン酸アミドであり、類縁体#5はネオガンボギン酸(neo-gambogic acid)であり、類縁体#6はガンボギン(gambogin)であり、類縁体#7はイソモレリノールであり、及び類縁体#8はイソガンボギン酸アセチルである。
【0035】
これらの構造類縁体のAlphaScreeningTM解析を、E6-Caspase8結合を阻害するそれらの能力について実施した。一般的に、類縁体間の阻害活性は、それらの構造的類似のため、類似していた(図5及び図6)。図6A~6Bは、in vitro(AlphaScreen)及びin vivo(HPV+細胞株アッセイ)におけるガンボギン酸の類縁体の活性プロファイルのグラフ表示である。図6Aは、E6-Caspase8基質を用いたin vitroにおけるE6ヒット類縁体のグラフ表示である。類縁体#3、5、及び6を除き、ほとんどの類縁体は、親化合物に近い活性を示す。図6Bは、in vivo(細胞)状況におけるE6ヒットの類縁体活性のグラフ表示であり、#3、5、及び6も、低活性を示し;#8は、このグループに加わった驚きである。#1は、HPV+細胞株での活性という点では、依然として最も有望なリードである。そうは言っても、これらの類縁体のうち3つ(#3、5、及び6)の活性は、前記親化合物から顕著に逸脱していた(3ログ以下の活性)。類縁体#3及び5は、ガンボギン酸の中心骨格から環Aに修飾が加えられていた。類縁体#3は、開環したA環を持ち、一方で類縁体#5は、酸化されたC3/4オレフィン及びC4にヒドロキシ基を有した。類縁体#6の修飾は、中心の環系から離れており、C29のカルボン酸を欠き、代わりに酸化されていないメチル基を有していた。類縁体#2(C2のイソプレニル基の除去)、類縁体#4(C29のカルボン酸を第1級アミドに置換)、類縁体#7(C2のイソプレニル基の除去及びC29のカルボン酸のアルコールへの還元)、及び類縁体#8(C8のフェノールのアセチル化及びC2のエピマー化)に代表される前記構造変化は、GAに対する類縁体の活性に著しい影響を与えなかった。注目すべきは、類縁体#1の30-ヒドロキシガンボギン酸が、任意の他の類縁体又は親化合物よりも効果的にE6のCaspase8への結合を阻害した。C30に水素結合性ヒドロキシ基を持つ、類縁体1の結合の増加及びC29のカルボン酸を除去した、類縁体#6の活性の消失は、E6に対するこれらの化合物の活性にC22の酸化されたイソプレニル基の重要性を示している。C29アミド類縁体#4の活性が影響を受けなかったことも、重要である。
【0036】
次に、前記類縁体を、SCC104である、HPV+HNSCC細胞株を用いて、前述したようにMTTアッセイで機能的活性について評価し、in vitroのAlphaScreenTM解析において、同様の所見が観察されるかどうかを決定した。1つを除いて、前記パターンは、AlphaScreenTMのデータと同様であったが、細胞ベースのスクリーニングでは、違いが比較的顕著であった(図6B)。類縁体#3、5、及び6は、それぞれ親化合物に対して、3番、4番、及び1番に高いIC50sを示した。AlphaScreenTMの結果でみられる傾向と著しく異なる唯一の化合物は、類縁体#8であり、in vitroで高い活性を示したが、この細胞ベースのアッセイでは活性が減少した。AlphaScreenTM解析の場合のように、類縁体#1(30-ヒドロキシガンボギン酸)は、前記親化合物を含む全ての類縁体の中で最も高い効力を示した。これらの所見に基づき、30-ヒドロキシガンボギン酸(GA-OH)は、より広範な機能性研究の候補として選択された。
【0037】
HPV+細胞株における細胞増殖及び細胞生存を選択的に阻害するGA-OH
SCC104細胞株を用いたSAR研究により、類縁体の活性を証明されたが、さらなる研究を、効力だけでなく選択性も評価するために実施した。その目標に向けたステップとして、GA-OHの有効性を、MTT細胞の生存率解析を用いて、HPV+及びHPV-のHNSCC細胞株の両方を含むパネルで評価した。4つのHPV+細胞株(SCC47、SCC090、SCC104、SCC152)及び4つのHPV-細胞株(SCC19、SCC29、SCC49、SCC84)を、使用した。GA-OHは、HPVの有無にかかわらず、細胞株に対して用量依存的に作用した。しかしながら、本明細書で試験したHPV+細胞株は、HPV-細胞株よりも高い感度を示した(図7A)。図7A~7Cは、GA-OHを介した増殖阻害に対するHPV+細胞株及びHPV-細胞株の感度のグラフ表現である。図7Aは、GA-OHによるHNSCCのHPV+細胞株及びHPV-細胞株の細胞増殖阻害のグラフ表現である(+及び閉じた形は、HPV+細胞株を表し、並びに-と開いた形は、HPV-細胞株を表す)。HPV+細胞株及びHPV-細胞株の間におけるこれらの活性の差は、GA-OHが、E6とCaspase8及びE6APなどのアポトーシス促進分子との相互作用を阻害する証拠を示したAlphaScreenTMの結果と一致していた。これらの結果をさらに検証するために、GA-OHの前記活性を、子宮頸癌(CC)細胞株のパネルでも試験した。HPVは、CC発癌の原因物質として確立されているので、これらの細胞は、良好な対照であった。2つのHPV+細胞株、SiHa及びCaSkiを、陽性対照として選択し、並びにSaos-2細胞株を、HPV陰性対照として用いた。細胞株のHPVの状態によって区別される選択性において同様のパターンを、観察した(図7B)。図7Bは、GA-OHによる子宮頸癌HPV+細胞株及びHPV-細胞株の細胞増殖阻害のグラフ表示である。HPV+細胞株は、HPV-細胞株よりも高い感度を示すことが、HPV+曲線の左方シフトによって示されている(図7AのSCC47、SCC90、SCC104、SCC152並びに図7BのSiHa及びCaSki)。
【0038】
GA-OH処置後の細胞の生存に対する長期的な影響を評価するために、コロニー形成アッセイ(CFA)を、実施した。SCC19(HPV-)及びSCC104(HPV+)の2つの細胞株を、この研究に用いた。前記細胞を、GA-OHで24時間処置し、次にコロニー形成の評価のために播種した。この研究から得られた細胞生存率データは、HPV+細胞株及びHPV-細胞株の細胞生存率におけるGA-OHの影響を反映していた。HPV+細胞株のコロニーの数は、SCC19細胞株と比較して、試験したGA-OHの全ての用量においても、顕著に及び用量依存的に減少した。一方、SCC19のコロニーの数は、高濃度のGA-OHを除き、それらの対照と比較して顕著な減少を示さなかった(図7C)。図7Cは、HPV+細胞株対HPV-細胞株の生存率のコロニー形成能におけるGA-OHの効果のグラフ表示である。GA-OHは、HPV+細胞に対してより高い細胞毒性を示した。これは、GA-OH処置は、HPV-細胞と比較して、HPV+細胞の生存率及びその後の生存について長期にわたって影響を及ぼすことを示す。
【0039】
p53レベルを安定化させ、及びHPV+細胞株にアポトーシスを誘導するGA-OH
上述の細胞生存率の研究、並びにGA-OHが、E6とCaspase8及びp53-リクルーターであるE6APの両方との結合を阻害することを示すAlphaScreenTMデータに基づくと、p53の活性化及び関連するアポトーシス作用は、細胞生存率の低下に寄与し得る。p53及びその標的遺伝子産物であるp21のレベルを、免疫ブロット法を用いて評価した。GA-OHでの処置は、HPV+SCC90及びSCC104細胞株の両方でp53の増加をもたらしたが、HPV-対照物(SCC19)では増加しなかった(図8A)。図8Aは、Caspase8の発現及びダウンストリーム標的の活性化を解析したブロットの写真画像である。SCC19、SCC90及びSCC104を、播種し、並びにビヒクル、0.5μM及び1μMのGA-OHで24時間処置した。p53の活性化は、p53の発現及び活性化についてブロッティングすることにより試験した。Caspase8の活性化及びアポトーシスを、Caspase8の発現及びダウンストリーム標的の活性化についてブロッティングすることにより試験した。これらの観察を、p53の標的であるp21のレベルの誘導によって裏付けた。前記データは、ビヒクル対照と比較して、p21レベルの強固な誘導を示した。HPV+細胞株のp53の基礎レベルは、HPV-細胞株と比較してより低い。
【0040】
E6の別の標的であるCaspase8及びアポトーシスカスケードにおけるそのダウンストリーム標的の活性化におけるGA-OH処置の効果を、評価した。ウェスタンブロット解析は、GA-OH処置が用量依存的にCaspase8の切断を引き起こすことを示す。HPV-細胞株においてGA-OHにさらされるCaspase8レベルが顕著に増加する。しかしながら、Caspase8自体の切断は見られない(図8A)。アポトーシスのダウンストリームエフェクターを見ると、同様の傾向を示す。Caspase8で観察されるように、Caspase3を、用量依存的に切断する。PARPも切断されるが、その切断はわずかである。B-アクチンをローディングコントロールとして用いた、上記の標的の相対発現の定量化。図9A~Eは、SCC19、SCC90及びSCC104細胞株のそれぞれを、ビヒクル、又は0.5μM若しくは1μMのGAOHで処置した場合、cleaved PARP、p53、p21、cleaved Caspase3、及びcleaved Caspase8の相対的発現のグラフ表示であり、B-アクチンをローディングコントロールとして用いた上記の各標的が示されている。
【0041】
次いで、これらの所見を、アポトーシス誘導の代用であるCaspase3/7活性Gloアッセイを実施することにより確認した。3つのHPV+細胞株(SCC090、SCC104、SiHa)及び2つのHPV-細胞株(SCC19、SCC84)を、Caspase3及び7の活性化、及び次いで、アポトーシス活性を評価した。HPV+細胞株で、対照と比較して顕著なアポトーシス誘導を、観察した(図8B)。図8Bは、種々のHPV+細胞株及びHPV-細胞株におけるガンボギン酸のCaspase3/7活性のグラフ表示である。これらの細胞株を、96のウェルプレートに播種し、及び0.75μMのGA-OHを処置した。Caspase3/7活性を、24時間後に測定した。HPV+細胞株は、高レベルのCaspase3/7活性を示した。細胞生存率も、この結果を裏付けるために並行して、評価した。より高いアポトーシス誘導を有する細胞は、一般的に、MTTによって測定された細胞生存率においてもより高い減少を示した。図10は、3つのHPV+細胞株(SCC090、SCC104、SiHa)及び2つのHPV-細胞株(SCC19、SCC84)を、ガンボギン酸で処置した場合、MTTによって測定された細胞生存率のグラフ表示である。これらの結果は、Caspase8及びCaspase3に関係するウェスタンブロッティング解析と一致しており、並びにGA-OHが、E6とCaspase8との結合を阻害するということを示すAlphaScreenTMデータとも一致する。また、イムノブロット法で見られたように、アポトーシス活性は、HPV-細胞株のCaspase Glo実験では、ほとんど観察されなかった。総合すると、これらの結果は、HPV+細胞株対HPV-細胞株において、GA-OHによる細胞生存率の抑制がより高いことを示した。
【0042】
本開示の実施態様は、治療開発の可能性がより高いHPV癌タンパク質E6の新たな及び新規な阻害剤を含む。全ての化合物を、AlphaScreenTMプロトコルを用いてスクリーニングした。分野の標準的な慣行と一致する多くのフィルターステップ及びゲートを、組み込み、ヒット同定プロセスを適切で厳密なものにした。初期ヒットの選択は、当分野における多くの研究が信頼してきた基準、例えば、サンプル平均限界を超える統計的に重要な3つのZ-スコアに基づく。さらに、この基準を満たすヒットが、E6結合の少なくとも~50%阻害を示さない場合でも、除外した。次いで、前記1次ヒットは、さらにろ過するために、2次アッセイを受けた。カウンタースクリーニングにおいて、少なくとも10の選択指数を持つヒットを、選択し;この最小閾値は、一般的に、特異性を示す化合物を選択するための厳密な出発点とみなされる。
【0043】
前記GA-OHの有効性は、細胞ベースのアッセイを通じて、生物学的な事情でさらに実証された。前記結果は、GA-OHがHPV依存的に細胞増殖を抑制し、及び細胞を死滅さることを示しており、これは、細胞増殖及びアポトーシス誘導の阻害におけるE6の役割と一致する。さらに、p53を含む、アポトーシスのメディエーターの活性化も、特にHPV+細胞モデルにおいて観察された。
【0044】
ガンボギン酸は、HPV-細胞株に対して活性を示したが、HPV+細胞株は、より顕著に感度が高かった。重要なことは、GA-OHは、ガンボギン酸と比較して、HPV+細胞対HPV-細胞についてより強力及び選択的であったことであり、それは、親化合物よりも高い特異性を有することを示している。GA-OHは、溶解性を改善し、及び追加されたヒドロキシ基は、分子とE6との水素結合のための別のハンドルを提供することにより全体的な活性に寄与しているようである。さらに、追加の極性基は、低分子とE6との間で観察された水素結合ネットワークを強化する。安全性プロファイルの点に関しては、追加のヒドロキシ基が、GAと比較してGA-OHの忍容性を低下させることは、まったくありそうにない。GAは、動物研究において比較的忍容性があることが見出されており、及び臓器に対する毒性は、高濃度のみ観察された。
【0045】
HPV関連HNSCC、特に中咽頭癌の患者に対する最大及び現在まだ満たされていない臨床的ニーズの1つは、治療後の安全性である。患者の大部分は、局所進行性のHNSCCであり、及び標準的な治療は、アジュバント療法又は化学放射線療法と外科処置とからなる。本来より進行性の高いHPV非関連HNSCCのために設計された、これらの標準的な治療は、集中的であり、及び重度な長期にわたる治療関連の後遺症を引き起こす。しかしながら、HPV状態は、全ての治療法に奏効率(response rate)が高いだけでなく、より良好な局所領域の制御及び生存にも関連することが明らかになっている。従って、化学放射線療法の現在の治療計画は、同様の生存転帰、並びにより良好な機能的な転帰及び生活の質を達成するために、非強化され得る可能性がある。これは、一般的に、放射線線量及び放射線量を減らすか、又は標準的な放射線増感剤であるシスプラチンを置き換えることによって達成し得る。現在、シスプラチンを置き換える試みは、セツキシマブ(抗-EGFRモノクローナル抗体)を用いて行われているが、これは、通常シスプラチンの毒性にあまり耐性のない患者のためである。不運にも、デ・エスカレーション臨床試験の初期結果は、セツキシマブが、放射線と組み合わせた場合、シスプラチンに劣ることを示しており、及びその結果、最終的な治療には推奨されない。セツキシマブ以外に、HNSCCの治療に使用する臨床的に承認されている標的療法を、デ・エスカレーション目的で試験できるものはない。これは、放射線増感剤として作用し、及びデ・エスカレーションレジメンに安全に組み入れることができる新規で選択的な薬剤の必要性が高いことを示している。この目的のために、私たちは、新たに発見したE6特異的阻害剤を放射線と組み合わせて試験した。E6の阻害は、アポトーシスのブレーキを解除し、及び原則的には、アポトーシス誘導の増大を通じて、放射線誘発細胞死を相乗的に増加する。予備的な知見は、GA-OHが、HPV+細胞では、光子放射の効果を改善するが、HPV-細胞では改善しない。具体的には、表4にまとめたように、使用した2つのHPV+細胞株について以下の併用係数(combination indices)が得られ、及びこれらの指数は、Bliss独立性モデルによる相乗効果を示している。HPV-細胞株について、相乗効果は、放射線をGA-OHと併用しても観察されなかった(表4参照)。GA-OHは、HPV+細胞において、セツキシマブ及びシスプラチンと相加的又は相乗的に作用する。HPV-陰性細胞では、相互作用は拮抗的であった。これらの相互作用の結果を、以下の表にまとめた。特定の実施態様において、前記GA及びGA-OHの相加的又は相乗的な相互作用は、ゲフィチニブ、エルロチニブ、アファチニブ、ダコミチニブ、オシメルチニブ、ロシレチニブ、及びオルムチニブなどの他のEGFR標的薬剤にも及ぶ。
【0046】
表4A GA-OHと異なる標準治療薬との組み合わせ。
GA-OHとセツキシマブ又はシスプラチンとの場合、等しい効能の組み合わせスケジュールを使用して、個々の阻害剤ごとに細胞生存率20%低下させる効能(IC20)で阻害剤を混合した。放射線については、GA-OHとの組み合わせによる放射線量2Gyでの相乗効果を示し、全ての併用療法における併用係数を示した。観察された相乗作用/相加作用/拮抗作用の程度を以下のキーで示す。CIは、併用係数を表す。
【0047】
【表3】
【0048】
細胞が放射線に感作するGA-OH
CCDP、セツキシマブ、及びGA-OHは、HNSCC細胞株を光子放射に感作する能力について評価された。細胞を、投与量(0~4Gy)を使用する放射線で処置し、及びCDDP、セツキシマブ、又はGA-OHの1つで処置した(表5は、種々の阻害剤の濃度を提供する)。
【0049】
【表4】
【0050】
コロニーを、14~21日後にカウントし、及びビヒクル対照に対して正規化し、並びに生存率分析を実施した。図11A~11Dは、HPV-細胞株(SCC19及びSCC29)及びHPV+細胞株(SCC47及びSCC104)に光子放射後に、ビヒクル単独又はシスプラチン(CCDP)のいずれかで処置した場合の放射線応答(radio-response)をMTTアッセイで測定したグラフ表示である。CCDP及び放射線の組み合わせは、HPVの状態に関係なく、全ての細胞株で感作を示す。シスプラチンは、最大の感作性を示す。図11E~12Hは、HPV-細胞株(SCC19及びSCC29)及びHPV+細胞株(SCC47及びSCC104)に光子放射後に、ビヒクル単独又はセツキシマブのいずれかで処置した場合の放射線応答をMTTアッセイで測定したグラフ表示である。セツキシマブは、また、HPVの状態と無関係に感作を示す。それは最も感作性が低いことを示す。図12A~12Dは、HPV-細胞株(SCC19及びSCC29)及びHPV+細胞株(SCC47及びSCC104)に光子放射後に、ビヒクル単独又はGA-OHのいずれかで処置した場合の放射線応答をMTTアッセイで測定したグラフ表示である。GA-OHは、HPV+細胞株で最も感作性を示す。
【0051】
CCDP、セツキシマブ及びGA-OHによる放射線に対する追加のHPV+細胞株の感作を評価した。図13A~13Cは、HPV+細胞株(SCC152)に光子放射した後に、ビヒクル単独、シスプラチン、セツキシマブ、又はGA-OHのいずれかで処置した場合の放射線応答を、MTTアッセイで測定したグラフ表示である。GA-OHは、このHPV+細胞株の光子放射に対する感作性も増強した。図14A~14Eは、HPV-細胞株(SCC19及びSCC29)及びHPV+細胞株(SCC47、SCC104、及びSCC152)が、光子放射を受けた後に、シスプラチン、セツキシマブ、又はGA-OHで処置した場合の、DER10で測定したHNSCC細胞株における感作の程度を示すグラフ表示である。一般的にCDDPは、HPV+細胞株及びHPV-細胞株の両方で最大の感作を示し、並びにセツキシマブは、最小の感作を示す。GA-OHは、HPV+細胞株で感作を示す。その感作の大きさは、CDDPより小さいが、セツキシマブよりも大きい。
【0052】
放射線に対するHPV+細胞株の細胞周期応答に影響を及ぼすGA-OH
細胞を、放射線(4G)で処置した後に、GA-OHで処置し、24時間後にヨウ化プロピジウム(PI)フローサイトメトリーアッセイを用いて、細胞周期解析を実施した。図15A~15Bは、放射線照射した後に、対照又はGA-OHで処置し場合、24時間後にフローサイトメトリーアッセイで測定したSCC47及びSCC19細胞株の細胞周期解析のグラフ表示である。両方の細胞株において、G2-Mは、細胞周期の最も影響を受けたステージであり、及びG2-Mで停止した細胞が増加している。前記HPV+細胞株-SCC47は、HPV-細胞株-SCC19と比較して、24時間後にG2-M期に停止している細胞の割合がより高い。図16A~16Bは、SCC47及びSCC19株において、放射線照射後に、対照又はGA-OHで処置した場合、24時間後にフローサイトメトリーアッセイで測定した、G2-Mで停止した細胞の割合のグラフ表示である。SCC47は、SCC19と比較して、停止した細胞の割合が高い。HPV-株ではなくHPV+株では、放射線プロトコルへのGA-OHの追加は、放射線単独と比較して、24時間後の停止が増加した。
【0053】
SCC47及びSCC19を、GA-OHを併用又は併用せずに照射した場合の、G2-Mの動態は、停止する。細胞を、放射線(4Gy)で処置し、次いでGA-OHで処置した後に、細胞周期解析を、Annexin Vフローサイトメトリーアッセイを用いて、24時間後に実施した。図17A~17Bは、SCC47及びSCC19を、放射線照射した後に、対照又はGA-OHで処置した場合、G2-M停止の動態を、24時間後のフローサイトメトリーアッセイで測定したグラフ表示である。細胞は、短期間で同程度、停止するが、長期間では、SCC19細胞はより早くG2-M期を脱する。HPV-株ではなくHPV+株では、放射線プロトコルにGA-OHを加えると、G2-M期からの脱出が放射線単独と比較して、24時間遅れる。SCC47及びSCC19のアポトーシス解析を、放射線照射し、次いで対照又はGA-OHで処置し、24時間後にフローサイトメトリーアッセイで測定した。図18A~18Bは、フローサイトメトリーアッセイで測定した、SCC47及びSCC19の24時間後のGA-OHの有無による放射線照射後のアポトーシス解析のグラフ表示である。放射線単独では、アポトーシスの誘導は最小である。GA-OHは、単独でかなりのアポトーシスを誘導する。GA-OHと放射線との組み合わせは、HPV-細胞株-SCC19と比較して、HPV+細胞株-SCC47では、より多くのアポトーシスを誘導し、及びより高い割合で誘導する。
【0054】
(物質及び方法)
タンパク質の精製及び調製
E6及びCaspase8を有するプラスミド(pGEX-E6及びpTriEx-Caspase8)を、以前に構築した。大腸菌でのGST-E6、GST-Caspase8及びHis6-Caspase8の発現及びその後の精製を、以前に記載されたように実施した。GST-E6、GST-Caspase8及びHis6-Caspase8のタンパク質を、それぞれGSTタンパク質緩衝液(PBS pH8.0、5%グリセロール、2mM DTT)及びHisタンパク質緩衝液(20mM HEPES pH7.4、150mM NaCl、2mM KCl、5%グリセロール、2mM DTT)に希釈した。タンパク質の濃度を、Coomassie Plus-The Better Bradford Assay Reagent(Thermo Scientific、米国マサチューセッツ州ウォルサム)を用いて決定した。単離したタンパク質の純度を、ドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミド電気泳動(SDS-PAGE)分離及びクマシー染色で評価した。
【0055】
化合物ライブラリーの収集
スクリーニングに使用したラブラリーは、3つのサブライブラリーを含み、約5040個の低分子化合物が含まれた。Prestwick Chemical Libraryは、1200個の低分子を含む。このライブラリーの化合物の90%は、過去に販売された又は現在販売されている医薬品であり、一方で10%は、生理活性アルカノイド又は関連物質であるため、このライブラリーの多くの化合物は、薬らしい(drug-likeness)性質(ヒトにおける生物学的利用能及び安全性)を有する。Microsource Spectrum Collectionは、幅広い生物活性及び構造の多様性を有する、2000個の低分子化合物からなった。一部の前記化合物は、既知の薬物であったが、その他は、薬理学的プロファイルがまだ十分に解明されていない天然物及び非薬物の酵素阻害剤であった。残りは、カンザス大学化学コア並びに化学方法論及びライブラリー方法論センターが独自に合成した合成化合物であった。
【0056】
1次ライブラリースクリーニング及び初期ヒットの選択
合計では、化合物の収集は、構造的に多様な3つの化合物のライブラリーから、5040個の低分子を含んだ(詳細については表3を参照)。前記化合物を、DMSOで実用的な濃度に希釈し、及び反復を行わずに10μMの単一点の最終濃度でスクリーニングした。簡単に説明すると、75nLの各化合物を、移し及びEchoディスペンサーを使用して目的の384-ウェルプレートのウェルに4μLのブロッキング溶液を加えた。800nMのGST-E6の4μL及びHis6-Caspase8の4μLを、加え並びに室温で60分間、プレインキュベートした。その後、8μLのドナー及びアクセプターのビーズ混合物(20μg/mlの最終濃度)を、加えた。前記プレートを、密封し及び室温で4時間、インキュベートした後、当該プレートを、EnvisionTM Multi-Labelプレートリーダー(Perkin Elmer社)を使用して、読み取った。各化合物の阻害パーセントを、計算し、及び上記サンプルの平均値(μ+3SD)より高い3標準偏差である前記阻害パーセントの値を、選択閾値(seleciton threshold)として使用した。これらの化合物の10点の段階希釈を、用量依存性の再確認のために行った。用量反応阻害曲線を、作図し及びIC50を、4パラメータ非線形回帰分析を用いるGraphPad Prismを用いて計算した。
【0057】
【表5】
【0058】
カウンタースクリーニングアッセイ及びヒット確認
1次カウンタースクリーニングアッセイは、GST-E6-His6-Caspase8の代わりにGST-His6融合ペプチドをE6結合パートナーとして用いることをベースとした。1次スクリーニングのヒット候補化合物を、6点の段階希釈を使用して調製した。Echoディスペンサーを用いて、化合物を、4μLのブロッキングバッファーを含むプレートに移した。次いで、5nMのGST-His6ペプチドの8μLを、加えた。前記混合物を、室温で60分間、プレインキュベートした。グルタチオンドナー及びニッケルキレートアクセプタービーズ(最終濃度20μg/mL)を、加え及び室温でさらに60分間インキュベートした。GST-E6-His6-Caspase8を用いる化合物の用量依存性を、1次スクリーニングと同様のプロトコルを用いて並行して実施した。その後、シグナルを、EnvisionTMプレートリーダーを用いて読み取った。GraphPad Prismを用いるIC50計算の後に、選択は、選択指数(SI)及びE6-Caspase8結合の最大阻害≧50%に基づいた。
【0059】
2次カウンタースクリーニングは、GST-Caspase8及びHis6-Caspase8に基づく。GST-6xHisカウンタースクリーニングからのヒットを、10μMの単一濃度で、3回試験した。簡単に説明すると、5μLの化合物を、5μLのブロッキングバッファーを含むプレートウェルに手動で加えた。400nMのGST-Caspase8の5μL及び400nMのHis-Caspase8の5μLを、加え及び室温で1時間プレインキュベートした。グルタチオンドナー及びニッケルキレートアクセプタービーズ(最終濃度20μg/mL)を、加え、及びシグナルを定量化する前に室温でさらに60分間インキュベートした。この実験を、異なる日に2回繰り返した。結果を上記のように処理し、及び阻害パーセントは、ビヒクル対照に対して計算された。Caspase8の二量化の阻害パーセントが20%未満の化合物を、さらに検討するために選択した。
【0060】
ケモインフォマティクスのフィルタリング及び交差検証
2つのカウンタースクリーニングを通過した化合物は、問題のある部分構造を有する化合物を認識及び排除するための追加フィルターとして、ケモインフォマティクス解析を受けた。これらの部分構造は、多くの無関係な生化学的アッセイにおいて、非特異的な方法で結合を分裂させ得る官能基を含む。具体的には、ヒット化合物の名前及びSMILESから、以下のデータベースを、パンアッセイ干渉(PAINS)パターンを持つヒット化合物:Zinc15、SwissADME、FAFdrugs4及びPAINS-Removerを見つけるために検索した。次いで、これらのオンラインツールでフィルタリングした後に、PAINSパターンを持たないとしてコンセンサスリストに入った化合物を、選択した。その後、前記選択された化合物を、関連するが異なる1次スクリーニングアッセイで交差検証した。具体的に、1次スクリーニングで使用するCaspase8を、E6APに置き換え、及び阻害活性を、E6APとE6との結合(E6-E6AP)に対して、上記のAlphaScreenTMプロトコルと同様の手順を用いて評価した。
【0061】
構造活性相関(SARs)
SciFinder及びZinc15データベースを用いて、いくつかのガンボギン酸構造の類縁体を、同定及び選択した。8個の類縁体は、以下の:ガンボギン酸アミド(Enzo Life Sciences)、ガンボゲン酸(Selleckchem)、モレリン酸(Aobious)、30-ヒドロキシガンボゲン酸(Quality Phytochemicals, LLC)、アセチルガンボギン酸(Microsource)、並びにガンボギン、ネオガンボギン酸、及びイソモレリノール(MolPort Natural Products)のように入手した。追加のガンボギン酸は、Tocrisから購入した。類縁体とE6-Caspase8との相互作用を、1次スクリーニングと同様のプロトコルを用いるAlphaScreenTM技術を用いて試験し、及び親化合物と比較した。細胞生存率への影響も、MTTアッセイ(下記参照)によってHPV+細胞株及びHPV-細胞株で同様に行い、並びに有効性を、GraphPad IC50カーブフィッティングを用いて決定した。
【0062】
細胞培養
Saos-2、SiHa及びCaSki細胞を、America Type Culture Collection(米国バージニア州マナサス)から入手した。SiHa及びCaSkiを、イーグル最小必須培地(Invitrogen、米国カリフォルニア州カールスバッド)中で上記のように培養した。HNSCC細胞株を、いくつかの供給源から入手し:UM-SCC47-TC-Clone3(#47CL3)、UPCI-SCC90-UP-Clone 35(#90)、及びSCC84は、Sanford Research(米国サウスダコタ州)のJohn Lee博士から贈られた。UMSCC19(#19)、UMSCC29(#29)、UMSCC49(#49)及びUMSCC104(#104)を、ミシガン大学(米国ミシガン州)のThomas Carey博士から贈られた。UPC1-SCC152は、ATCCから購入した。HNSCC細胞を、10%のFBSを補完したダルベッコ改変イーグル培地(Mediatech、米国バージニア州マナサス)で培養した。Saos-2細胞を、McCoy5a培地で培養し、及びHCT116細胞を、10%FBSを補完したRPMI培地で培養した。
【0063】
MTT細胞生存率アッセイ
全ての実際に使用する濃度は、使用前に所望の濃度にPBSで希釈した。細胞生存率におけるガンボギン酸及び/又はその誘導体の効果を試験するために、全ての細胞株を、96ウェルプレートの1ウェル当たり2×104で播種し、及び一晩接着させた。様々な濃度の前記類縁体を、添加し及び前記細胞を37℃で24時間インキュベートした。次いで、生存率を、前述のようにMTTアッセイを用いて測定した。全ての実験は、少なくとも3回繰り返した(3回の生物学的複製、異なる日に実施した)。データは、代表的な実験から得られたものである。細胞の生存率及び有効性を、ビヒクル対照に対する阻害パーセントから評価し、及びIC50の線量曲線は、GraphPad Prismを用いて作成した。
【0064】
Caspase活性アッセイ
細胞を、100μL培地中で、1ウェル当たり2×104細胞で白壁の96ウェルプレートに播種し、並びに一晩インキュベートした。次いで、GA-OH(0.75μM)及びビヒクルを追加し、及び37℃で24時間インキュベートした。Caspase3/7活性を、Caspase3/7Glo Kit(Promega、米国ウィスコンシン州フィッチバーグ)を用いて、製造者の指示に従って測定した。簡単に説明すると、室温で平衡化したCaspase-Glo試薬を、各ウェルに加えた(Promega)。前記プレートを、オービタルシェーカーに置いて混合し、及び室温で30秒間インキュベートした後に、室温でインキュベートした。2時間のインキュベート後に、発光を、プレート読み取りの蛍光光度計(Flx800、Bio-Tek Instrument社、米国バーモント州ウィヌースキー)を用いて測定した。バックグラウンド活性(ブランク反応)を、全ての実験ウェルから差し引いた。その後、GAで処置したウェルにおけるCaspase3/7の活性パーセントは、ビヒクル処置されたウェルに対して表した。
【0065】
ウェスタンブロッティング
接着細胞を、氷冷のPBSで洗浄した。プロテアーゼ阻害剤カクテルを含む細胞溶解バッファーを、添加し、及び細胞を、氷上でチューブに削り取った。前記細胞を、氷上で10分間インキュベートした。細胞溶解物を、SDS-PAGEで分離し、及び電気泳動でPVDF膜に移った。ブロッキング後、Caspase8、p53、cleaved PARP、cleaved Caspase3、p21、及びβ-アクチン(細胞シグナル伝達)に対する抗体を、1:5000の希釈で適用した。その後、抗マウス及び抗ウサギ2次抗体を、用いた(LI-COR Biosciences、米国ネブラスカ州リンカーン)。シグナルを、Odyssey Infrared Imagingシステム(LI-COR Biosciences)を用いて測定し、及びImagge Jを用いて定量した。
【0066】
コロニー形成アッセイ
サブコンフルエントな単層細胞を、異なる用量のGA-OHで24時間、処置した。細胞を、細胞株に応じて、DMEM又はMEM中の6ウェルプレートに500~1000細胞密度で再プレートする前に、トリプシン処理及び再懸濁した。次いで、細胞を、固定及び染色する前に、前記細胞株に応じて10~20日間増殖した。メタノール/酢酸の混合溶液を、固定に用いた後、0.5%のクリスタルバイオレットで染色した。プレートは、UVイメージャーを使用して撮像し、及び50個を超えるコロニーをimage Jを用いてカウントした。生存率を、コロニーの数を、対応するプレーティング効率の積として播種された細胞の数で割ることによって決定された。生存率曲線は、GraphPad Prismを用いて、プロットした。
【0067】
データ解析
結合曲線及び用量反応曲線は、GraphPadソフトウェア(GraphPad Software社、カリフォルニア州ラホヤ)を用いてフィルターした。
Z因子を、式[29]:
を用いて上記のようにプレート内対照から計算し、STDEVは、標準偏差であり、並びに対照は、0%の阻害(最大シグナル)であり、及びバックグラウンドは100%の阻害である(最小シグナル)。
シグナル対バックグラウンド比(S/B ratio)を、以下:
のように決定した。
化合物の活性パーセント(%)及び結合阻害パーセント(%)は、
ここで、μはサンプル平均、SDは標準偏差である、式を用いてAlpha Screenシグナルから算出した
【0068】
特定の実施態様において、本明細書に記載された化合物を、さらなる有効性又は標的送達のために開発し得る。本明細書に開示された前記組成物及び前記方法の種々の態様のさらなる改変又は別の実施態様は、本明細書の観点から当業者には明らかであろう。従って、本明細書は、例示的なものとしてのみ解釈され、及び当業者に実施態様の行うための一般的な方法を教示するためのものである。要素及び物質を、本明細書に図示及び記載されたものと置換することができ、部品及び工程を、反対に又は省略することができ、並びに実施態様の特定の特徴を、すべて、実施態様のこの説明の利益を得た後に当業者に明らかになるように、独立して利用し得る。以下の特許請求の範囲に記載された実施態様の要旨及び範囲から逸脱することなく、ここに記載された要素に変更を加え得る。
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図3I
図3J
図3K
図3L
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図10
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
図11F
図11G
図11H
図12A
図12B
図12C
図12D
図13A
図13B
図13C
図14A
図14B
図14C
図14D
図14E
図15A
図15B
図16A
図16B
図17A
図17B
図18A
図18B
【国際調査報告】