(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-04
(54)【発明の名称】空冷式工業蒸気凝縮器用の積層パネル熱交換器
(51)【国際特許分類】
F28B 1/06 20060101AFI20240226BHJP
F28F 1/02 20060101ALI20240226BHJP
F28D 1/053 20060101ALI20240226BHJP
【FI】
F28B1/06
F28F1/02 A
F28D1/053 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553437
(86)(22)【出願日】2022-03-02
(85)【翻訳文提出日】2023-10-25
(86)【国際出願番号】 US2022018560
(87)【国際公開番号】W WO2022187389
(87)【国際公開日】2022-09-09
(32)【優先日】2021-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518276368
【氏名又は名称】エバプコ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Evapco, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【氏名又は名称】徳山 英浩
(74)【代理人】
【識別番号】100100479
【氏名又は名称】竹内 三喜夫
(72)【発明者】
【氏名】フーバー,マーク
(72)【発明者】
【氏名】リベール,ジャン-ピエール
【テーマコード(参考)】
3L103
【Fターム(参考)】
3L103AA05
3L103DD32
(57)【要約】
2つの凝縮チューブセットを有する空冷式蒸気凝縮器のための積層パネルチューブバンドルであって、一方のセットが他方のセットの上方に配置され、第1(下側)チューブセットは、底端部において複合蒸気配給/凝縮液回収マニホールドと直接に流体連通しており、そして、L字状の延長部材を介して非凝縮物回収マニホールドと間接的に流体連通しており、第2(上部)チューブセットは、上部において非凝縮物回収マニホールドと直接に流体連通しており、そして、L字状の延長部材を介して複合蒸気配給/凝縮液回収マニホールドと間接的に流体連通している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換チューブバンドルであって、
互いに平行な単一の列に配置された第1平坦フィン付きチューブセットと、
前記第1平坦フィン付きチューブセットの上方に、互いに平行な単一の列に配置された第2平坦フィン付きチューブセットと、
第1導管垂直セグメントおよび第1導管水平セグメントを有する第1導管であって、前記第1導管垂直セグメントおよび前記第1導管水平セグメントは、互いに流体連通しており、前記第1導管垂直セグメントの底部が、底部マニホールドと流体連通しており、前記第1導管水平セグメントの上部が、前記第2平坦フィン付きチューブセットの複数の底部と流体連通している、第1導管と、
第2導管水平セグメントおよび第2導管垂直セグメントを有する第2導管であって、前記第2導管水平セグメントおよび前記第2導管垂直セグメントは、互いに流体連通しており、前記第2導管水平セグメントの底部が、前記第1平坦フィン付きチューブセットの複数の上部と流体連通しており、前記第2導管垂直セグメントの上部が、上部マニホールドと流体連通している、第2導管とを備え、
前記第2平坦フィン付きチューブセットは、前記第1導管水平セグメントおよび前記第2導管水平セグメントによって分離されており、前記第1導管水平セグメントは、前記第2導管水平セグメントの上方に位置している、熱交換チューブバンドル。
【請求項2】
前記熱交換チューブバンドルは、第1ステージ凝縮器であり、
前記底部マニホールドは、複合蒸気配給/凝縮液回収マニホールドであり、
前記上部マニホールドは、凝縮器間マニホールドである、請求項1に記載の熱交換チューブバンドル。
【請求項3】
前記熱交換チューブは、第2ステージ凝縮器であり、
前記底部マニホールドは、複合蒸気配給/非凝縮性ガス回収マニホールドであり、
前記上部マニホールドは、凝縮器間マニホールドである、請求項1に記載の熱交換チューブバンドル。
【請求項4】
複数の熱交換パネルを備えた空冷式蒸気凝縮器であって、各前記熱交換パネルは、請求項1~3のいずれかに記載の1つ以上の熱交換チューブバンドルを含む、空冷式蒸気凝縮器。
【請求項5】
A字状フレームに配置された前記熱交換パネルのペアを含む、請求項4に記載の空冷式蒸気凝縮器。
【請求項6】
V字形状に配置された前記熱交換パネルのペアを含む、請求項4に記載の空冷式蒸気凝縮器。
【請求項7】
工業用蒸気製造施設に接続された大規模野外設置型空冷式工業用蒸気凝縮器であって、
単一または複数の凝縮器ストリートを備え、
各凝縮器ストリートは、凝縮器モジュールの列を含み、
各凝縮器モジュールは、熱交換器セクション内に支持された複数の熱交換器パネルを経由して空気を引き込む単一のファンまたは複数のファンを有するプレナムセクションを備え、
そして、各熱交換器パネルは、長手軸およびその長手軸に対して垂直な横軸を有し、
各熱交換器パネルは、少なくとも1つの請求項1に記載の熱交換チューブバンドルを含む、大規模野外設置型空冷式工業用蒸気凝縮器。
【請求項8】
前記複合蒸気配給/凝縮液回収マニホールドは、単一の蒸気入口を有する、請求項7に記載の大規模野外設置型空冷式工業用蒸気凝縮器。
【請求項9】
各前記凝縮器モジュールストリートは、前記熱交換器セクションの下方に蒸気分配マニホールドを備え、前記熱交換器パネルの中間点で前記熱交換器パネルの長手軸に対して垂直な軸に沿って配置され、複数の熱交換器パネルの下方で前記凝縮器モジュールストリートの長さに渡って延びており、
前記蒸気分配マニホールドは、各前記単一の蒸気入口に接続するように構成された複数の接続部を備える、請求項7に記載の大規模野外設置型空冷式工業用蒸気凝縮器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大規模野外設置型空冷式工業用蒸気凝縮器(ACC)に関する。
【背景技術】
【0002】
典型的な大規模な野外設置型空冷式工業用凝縮器は、大型ファンの上方にAフレーム配置で配置された熱交換バンドルで構成され、ファンごとに1つのAフレームを備える。各チューブバンドルは、通常、35~45個の垂直に配向した平坦化フィン付きチューブを含み、各チューブは、長さ約11メートル、高さ200mmであり、半円形状の前縁と後縁を備え、外幅は18~22mmである。各Aフレームは、通常、片側当り5~7本のチューブバンドルを含む。
【0003】
上述した典型的なA字状フレームACCはまた、第1ステージまたは「1次」凝縮器バンドル(時々、コンデンセイタ(Kondensator)またはコンデンサ(Kondensor)のKバンドルと称される)および第2ステージまたは「2次」凝縮器(時々、デフレグメータ(Dephlegmator)のDバンドルと称される)の両方を含む。熱交換器バンドルの約80%~90%は、第1ステージまたは1次凝縮器である。従来のA字状フレームACCの第1ステージにおいて、蒸気は、1次凝縮器バンドルの上部に入り、凝縮液と一部の蒸気は、並流(co-current)凝縮ステージにおいて底部から出る。この第1ステージの構成は熱効率が良いが、非凝縮性ガスを除去する手段は提供していない。非凝縮性ガスを第1ステージのバンドルを通して掃引するために、熱交換器バンドルの10%~20%が第2ステージまたは2次凝縮器として構成され、典型的には1次凝縮器の間に点在しており、これは、下側凝縮液マニホールドから蒸気を引き出す。この配置では、蒸気および非凝縮性ガスは、2次凝縮器の底部に引き込まれるときに、第1ステージ凝縮器を通って進行する。ガスの混合物が2次凝縮器を上に進行すると、蒸気の残りは凝縮し、凝縮液が底部に排出されるとともに、非凝縮性ガスを上部で濃縮する。この従来の2次凝縮器プロセスは、一般に逆流(counter-current)凝縮ステージと称される。2次凝縮器の上部は、システムから非凝縮性ガスを除去する真空マニホールドに取り付けられる。
【0004】
標準的な先行技術のACC配置の変形例が、例えば、米国特許出願公開第2005/0204611号および米国特許出願第2015/0330709号に開示されている。これらの出願は、同じフィン付きチューブを示すが、大幅に短縮化されており、一連の小さなA字状フレーム(典型的にはファンごとに5~6個のA字状フレーム)に配置される。この論理の一部は、蒸気側の圧力降下を減少させることであり、これは、夏の条件では全体的な能力に小さい影響を有するが、冬の条件ではより大きな影響を及ぼす。この論理のもう1つは、工場で上部蒸気マニホールドダクトをバンドルの各々に溶接して、一緒に出荷することであり、これにより高価な現場溶接の労力を節約している。蒸気マニホールドが工場で取り付けられ、チューブバンドルとともに出荷されるこの配置の正味の効果は、出荷コンテナにマニホールドを収容するためのチューブ長さの短縮である。
【0005】
先行技術のACC配置に対する追加の変形例が、例えば、米国特許出願公開第2017/0363357号および米国特許出願第2017/0363358号に開示されている。これらの出願は、10mm以下の断面高さを有するACCでの使用のための新しいチューブ構造を開示する。米国特許出願公開第2017/0363357号はまた、1次凝縮器バンドルがバンドルの長手軸に沿って水平に配置され、2次バンドルが横軸に対して平行に配置される熱交換器バンドルを有する新しいACC配置を開示する。米国特許出願公開第2017/0363358号は、全てのチューブバンドルが2次バンドルであるACC配置を開示する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、空冷式工業用蒸気凝縮器に特に適した、新規かつ自明ではない「積層パネル」熱交換チューブバンドルに関する。熱交換チューブバンドルは、互いに平行な単一の列に配置された第1平坦フィン付きチューブセットと、第1チューブセットの上方に、互いに平行な単一の列に配置された第2平坦フィン付きチューブセットと、第1導管垂直セグメントおよび第1導管水平セグメントを有する第1導管であって、前記第1導管垂直セグメントおよび前記第1導管水平セグメントは、互いに流体連通しており、前記第1導管垂直セグメントの底部が、底部マニホールド(例えば、複合蒸気配給/凝縮液回収マニホールド、または複合凝縮液/非凝縮性ガス回収マニホールド)と流体連通しており、第1導管水平セグメントの上部が、第2平坦フィン付きチューブセットの複数の底部と流体連通している、第1導管とを有する。
本発明はさらに、第2導管水平セグメントおよび第2導管垂直セグメントを有する第2導管であって、第2導管水平セグメントの底部が、第1平坦フィン付きチューブセットの複数の上部と流体連通しており、第2導管垂直セグメントの上部が、上部マニホールド(例えば、凝縮器間マニホールド)と流体連通している、第2導管を有する。
さらに、第2平坦フィン付きチューブセットは、第1導管水平セグメントおよび第2導管水平セグメントによって第1平坦フィン付きチューブセットから分離しており、第1導管水平セグメントは、第2導管水平セグメントの上方に設置される。
【0007】
本発明によれば、少なくとも1つの本発明の積層パネルチューブバンドルを含む熱交換パネルを備える空冷式蒸気凝縮器がさらに提供される。
【0008】
本発明によれば、A字状フレームに配置された前記熱交換パネルのペアを含む空冷式蒸気凝縮器がさらに提供される。
【0009】
本発明によれば、V字形状に配置された前記熱交換パネルのペアを含む空冷式蒸気凝縮器がさらに提供される。
【0010】
本発明によれば、工業用蒸気製造施設に接続された大規模野外設置型空冷式工業用蒸気凝縮器がさらに提供され、これは、単一または複数の凝縮器ストリートを備え、各凝縮器ストリートは、凝縮器モジュールの列を含み、各凝縮器モジュールは、熱交換器セクション内に支持された複数の熱交換器パネルを経由して空気を引き込む単一のファンまたは複数のファンを有するプレナムセクションを備え、そして、各熱交換器パネルは、長手軸およびその長手軸に対して垂直な横軸を有し、各熱交換器パネルは、少なくとも1つの第1ステージまたは第2ステージ積層パネル熱交換チューブバンドルを含む。
【0011】
本発明の更なる実施形態によれば、複合蒸気配給/凝縮液回収マニホールドは、単一の蒸気入口を有してもよい。
【0012】
本発明のさらに他の実施形態によれば、各前記凝縮器モジュールストリートは、熱交換器セクションの下方に蒸気分配マニホールドを有し、前記熱交換器パネルの長手軸に対して垂直な軸に沿って配置され、複数の熱交換器パネルの下方で前記凝縮器モジュールストリートの長さに渡って延びており、蒸気分配マニホールドは、各前記熱交換器パネルに接続するように構成された複数の接続部を備える。
【図面の簡単な説明】
【0013】
前述の要旨、そして好ましい発明の下記詳細な説明は、添付図面と併せて読むとよりよく理解されよう。本発明を説明する目的で、現時点で好ましい実施形態を図面に示す。しかしながら、本発明は、図示した正確な構成および手段に限定されないことを理解すべきである。
【0014】
【
図1A】本発明の第1ステージまたは1次チューブバンドルの実施形態による積層パネルチューブバンドルの正面概略図である。
【
図1B】本発明の第2ステージまたは2次チューブバンドルの実施形態による積層パネルチューブバンドルの正面概略図である。
【
図2A】本発明の一実施形態による積層パネル1次凝縮器チューブバンドルの斜視図である。
【
図2B】本発明の一実施形態による積層パネル2次凝縮器チューブバンドルの斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態による、中央に位置する積層パネル第2ステージ凝縮器チューブバンドルセットの両側に位置する2つの積層パネル第1ステージ凝縮器チューブバンドルセットを有する空冷式凝縮器熱交換パネルの正面概略図である。
【
図4】本発明の一実施形態による大規模野外設置型空冷式工業用蒸気凝縮器の熱交換部分の斜視図であり、積層パネルチューブバンドルを含む熱交換パネルペアがA字状フレームで配置され、上部において共通の凝縮器間マニホールドを備える。
【
図5】本発明の一実施形態による大規模野外設置型空冷式工業用蒸気凝縮器の熱交換部分の斜視図であり、積層パネルチューブバンドルを含む熱交換パネルペアがA字状フレームで配置され、ペアの各熱交換パネルは、上部において専用の凝縮器間マニホールドを有し、底部において専用の蒸気配給/凝縮液回収マニホールドを有する。
【
図6】本発明の一実施形態による大規模野外設置型空冷式工業用蒸気凝縮器の熱交換部分の斜視図であり、積層パネルチューブバンドルを含む熱交換パネルペアがV字形状に配置され、これらの底部において共通の蒸気配給/凝縮液回収マニホールドを備え、これらの上部において凝縮器間マニホールドを備える。
【
図7】本発明の一実施形態による大規模野外設置型空冷式工業用蒸気凝縮器の熱交換部分の斜視図であり、積層パネルチューブバンドルを含む熱交換パネルペアがV字形状に配置され、これらの上部において専用の凝縮器間マニホールドを備え、これらの底部において専用の蒸気配給/凝縮液回収マニホールドを備える。
【
図8】積層パネル凝縮器バンドルを含む熱交換器パネルを有する、本発明の一実施形態による大規模野外設置型空冷式工業用蒸気凝縮器の熱交換部分の平面図であり、蒸気配給/凝縮液回収マニホールドがACCモジュールの各列の中央の下を通過する。
【
図9】積層パネル凝縮器バンドルを含む熱交換器パネルを有する、本発明の一実施形態による大規模野外設置型空冷式工業用蒸気凝縮器の熱交換部分の側面図であり、熱交換器パネルの下方に設置され、タービン蒸気ダクトに接続された蒸気分配マニホールドを備える。
【0015】
添付図面中の構成は、下記の参照番号が付与される。
1 下側チューブセット
2 熱交換器パネル
3 底部チューブシート
5 上側チューブセット
6 複合蒸気配給/凝縮液回収マニホールド(底部ボンネット)
7 複合蒸気配給/凝縮液回収マニホールド延長部
8 積層パネル1次凝縮器チューブバンドル
9 複合蒸気配給/凝縮液回収マニホールド延長部の垂直脚部
11 複合蒸気配給/凝縮液回収マニホールド延長部の横脚部
12 凝縮器間マニホールド(上部ボンネット)
13 上部チューブシート
15 凝縮器間マニホールド延長部
16 ライザー
17 凝縮器間マニホールド延長部の横脚部
18 蒸気入口/凝縮液出口
19 凝縮器間マニホールド延長部の垂直脚部
27 ACCセル/モジュール
28 蒸気分配マニホールド
33 複合凝縮液/非凝縮性ガス回収マニホールド
37 複合凝縮液/非凝縮性ガス回収マニホールド延長部
38 積層パネル2次凝縮器チューブバンドル
39 複合凝縮液/非凝縮性ガス回収マニホールド延長部の垂直脚部
41 複合凝縮液/非凝縮性ガス回収マニホールド延長部の横脚部
【発明を実施するための形態】
【0016】
ここに提示する本発明は、発電所などのための大規模な野外設置型空冷式工業用蒸気凝縮器での使用のための新しく改良されたチューブバンドル設計であり、先行技術のACCに対して著しい改良および利点を提供する。
【0017】
図1Aと
図2Aに示す本発明の一実施形態によれば、第1ステージ凝縮器チューブとして機能する逆流(counterflow)凝縮チューブの上側セットおよび下側セットを有する積層パネルチューブバンドル8が提示されている。下側チューブセット1は、底部チューブシート3に接続され、複合蒸気配給/凝縮液回収マニホールド、または、底部チューブシート3の下側の真下に設置された「底部ボンネット」6から直接に蒸気を受け取る。下側チューブセット1内で生じる凝縮液は、下側チューブセットを経由して下向きに排出され、複合蒸気配給/凝縮液回収マニホールド6に集まる。
【0018】
上側チューブセット5は、複合蒸気配給/凝縮液回収マニホールド6の延長部7から蒸気を受け取り、凝縮液を延長部7に配給する。複合蒸気配給/凝縮液回収マニホールド延長部7は、上下逆さま「L」字の全体形状とすることができ、垂直脚部9が下側チューブセット1に隣接して設置され、その底部においてチューブシート3を経由して複合蒸気配給/凝縮液回収マニホールド延長部7に流体接続される。複合蒸気配給/凝縮液回収マニホールド延長部7の横脚部11が、上側チューブセットと下側チューブセットの間に延びており、上側チューブセットを支持する。蒸気は、複合蒸気配給/凝縮液回収マニホールド延長部7の垂直脚部9を上昇し、横脚部11に入って上側チューブセット5の中に入る。凝縮液は、反対方向に進行し、上側チューブセット5を通って下降し、複合蒸気配給/凝縮液回収マニホールド延長部7の横脚部11に入り、垂直脚部9に入り、最後に複合蒸気配給/凝縮液回収マニホールド6の中に入る。複合蒸気配給/凝縮液回収マニホールド延長部7の横脚部11の底部表面は、垂直脚部9に向けて凝縮液の排出を支援するために傾斜してもよい。
【0019】
上側チューブセット5からの非凝縮物および非凝縮蒸気は、上部チューブシート13を経由して、上側チューブセットの上部に沿って配置された凝縮器間マニホールド12の中に引き込まれる。
【0020】
非凝縮物および非凝縮蒸気を下側チューブセット1から凝縮器間マニホールド12に引き込むために、凝縮器間マニホールド12の延長部15が設けられる。凝縮器間マニホールド延長部15は、「L」字の全体形状とすることができ、下側チューブセット1の上部の上方に直接に位置する横脚部17と、上側チューブセット5に隣接して位置する垂直脚部とを有する。凝縮器間マニホールド延長部15の横脚部17は、下側チューブセット1の上部と、複合蒸気配給/凝縮液回収マニホールド延長部7の横脚部11との間に位置する。凝縮器間マニホールド延長部15の横脚部17の上側表面は、複合蒸気配給/凝縮液回収マニホールド延長部7の横脚部11の傾斜した底部表面と一致する傾斜面を有してもよい。凝縮器間マニホールド延長部15は、下側チューブセット1から非凝縮物および非凝縮蒸気を回収し、それを凝縮器間マニホールド12に配給する。
【0021】
本発明の他の実施形態によれば、本発明の僅かに変更された積層パネルチューブバンドルは、第2ステージ凝縮器として機能してもよい。この実施形態によれば、
図1Bと
図2Bに示すように、積層パネルチューブバンドル38が示されており、凝縮器間マニホールド12を介して1次凝縮器バンドルから非凝縮蒸気および非凝縮物を受け取る上側および下側並流凝縮チューブセットを有する。下側チューブセット1は、凝縮器間マニホールド12の「L」字状の延長部15を介して凝縮器間マニホールド12から非凝縮蒸気および非凝縮物を受け取る。凝縮器間マニホールド延長部15は、垂直脚部19を有し、これは、上側チューブセットに隣接し、その上端部においてチューブシート13を介して凝縮器間マニホールド12に流体接続される。凝縮器間マニホールド延長部15の垂直脚部19の下端部は、凝縮器間マニホールド延長部15の横脚部17に接続され、横脚部17の底部表面は、下側チューブセット1の上部に対して開放している。
【0022】
下側チューブセット1の底部は、底部チューブシート3を介して底部複合凝縮液/非凝縮性ガス回収マニホールド33と接続される。こうして下側チューブセット1は、非凝縮蒸気を凝縮させ、非凝縮性ガスを蓄積し、システムから除去のために、これらを複合凝縮液/非凝縮性ガス回収マニホールド33に直接に配給する。
【0023】
上側チューブセット5の底部は、複合凝縮液/非凝縮性ガス回収マニホールド33の延長部37に接続される。複合凝縮液/非凝縮性ガス回収マニホールド延長部37は、上下逆さま「L」字の全体形状とすることができ、垂直脚部39が下側チューブセット1に隣接して設置され、その底部において複合凝縮液/非凝縮性ガス回収マニホールド33に流体接続される。複合凝縮液/非凝縮性ガス回収マニホールド延長部37の横脚部41が、上側チューブセットと下側チューブセットの間に延びており、上側チューブセット35を支持する。上側チューブセット5からの凝縮液と非凝縮性ガスは、複合凝縮液/非凝縮性ガス回収マニホールド延長部37の横脚部41を経由して進行し、複合凝縮液/非凝縮性ガス回収マニホールド延長部37の垂直脚部39を下降して、複合凝縮液/非凝縮性ガス回収マニホールド33の中に入る。複合凝縮液/非凝縮性ガス回収マニホールド延長部37の垂直脚部41は、凝縮器間マニホールド15の横脚部11と上側チューブセット5の底部に位置する。複合凝縮液/非凝縮性ガス回収マニホールド延長部37の横脚部41の底部表面は、垂直脚部39に向けて凝縮液の排出を支援するために傾斜してもよい。
【0024】
一実施形態によれば、本発明に係る複数の積層パネル第1ステージチューブバンドル8および1つ以上の積層パネル第2ステージチューブバンドル38を使用して、例えば、
図3、
図4、
図5、
図6、
図7に示すように、空冷式凝縮器のための熱交換器パネル2を形成できる。複数の積層パネル第1ステージチューブバンドル8の大部分が、その底部において底部チューブシート3に接続できる。複合蒸気配給/凝縮液回収マニホールドまたは「底部ボンネット」6は、チューブシート3の底部に接続してもよい。底部ボンネット6は、熱交換器パネル2の長さに渡って延びている。底部ボンネット6は、チューブシート3を介して下側チューブセット1と流体連通しており、チューブシート3および延長部7を介して上側チューブセット5と流体連通している。1つ以上の積層パネル第2ステージチューブバンドル38は、1つ以上の積層パネル第1ステージチューブバンドル8に隣接して配置してもよく、その上端部において、非凝縮蒸気および非凝縮性ガスを積層パネル第2ステージチューブバンドル38に配給するように構成された凝縮器間マニホールド12によって流体接続される。積層パネル第2ステージチューブバンドル38は、その底部において、複合凝縮液/非凝縮性ガス回収マニホールド33を有し、これは続いて真空マニホールドに取り付けられ、これは、非凝縮性ガスをシステムから除去する。
【0025】
複合蒸気配給/凝縮液回収マニホールド6は、断面が長方形、円形または楕円形でもよく、好ましい非限定的な実施形態によれば、その長さの中心点において単一の蒸気入口/凝縮液出口18を取り付けることができ、これは、熱交換器パネル2のための全ての蒸気を蒸気分配マニホールド28から受け取り、チューブバンドルから収集された凝縮液の出口として機能する。
【0026】
動作の際、蒸気が、蒸気分配マニホールド28から蒸気入口/凝縮液出口18に供給される。蒸気入口/凝縮液出口18から、蒸気は、複合蒸気配給/凝縮液回収マニホールド6を経由して1次凝縮器8の中に広がる。蒸気は、下側チューブの底部に入って、延長部7の垂直セグメント9および水平セグメント11を通って1次凝縮器8の上側チューブ5の中に入る。上側チューブおよび下側チューブで形成された凝縮液は、逆方向に進行して、複合蒸気配給/凝縮液回収マニホールド6、蒸気入口/凝縮液出口18および蒸気配給マニホールド2の中に戻る。非凝縮蒸気および非凝縮性ガスは、積層パネル第1ステージ熱交換バンドル8から上部ボンネット12の中に流入し、上部ボンネット12から積層パネル2次/第2ステージ熱交換バンドル38に引き離される。非凝縮蒸気および非凝縮性ガスは、上側チューブセット5を経由して、そして延長部15の垂直セグメント19および水平セグメント17を経由して下側チューブセット1に下降する。下側チューブセット1からの凝縮液および非凝縮性ガスは、複合凝縮液/非凝縮性ガス回収マニホールド33の中に入る。上側チューブセットからの凝縮液および非凝縮性ガスは、延長部37の水平セグメント41および垂直セグメント39を経由して複合凝縮液/非凝縮性ガス回収マニホールド33の中に入る。非凝縮性ガスは、続いて真空マニホールド(不図示)を介してシステムから除去される。複合凝縮液/非凝縮性ガス回収マニホールド33内の凝縮液は、複合蒸気配給/凝縮液回収マニホールド6の中に流入し、そこで1次凝縮器チューブバンドル内で形成される凝縮液と合流する。
【0027】
いくつかの実施形態によれば、熱交換器パネル2のための蒸気入口/凝縮液出口18および全ての熱交換器パネルのための蒸気入口/凝縮液出口18は、同じACCセル/モジュール27内で大型シリンダーまたは蒸気分配マニホールド28に接続してもよく、これは、熱交換器パネル2の下方に設置してもよく、その中間点において熱交換器パネル2の長手軸に対して垂直に延びていてもよい。他の実施形態によれば、蒸気入口/凝縮液出口18は、垂直ライザー(riser)16に接続してもよく、これは、続いて地表面またはその近くに設置され、またはある中間高さ(例えば、
図4~
図9参照)に設置された蒸気分配マニホールド28に接続してもよい。
【0028】
図4によって表される実施形態を参照すると、積層パネルの1次チューブバンドル8および2次チューブバンドル38で構成されるチューブバンドルペア2は、A字状フレーム構成に配置できる。チューブバンドル2内のチューブの長手軸は、チューブバンドルの横軸に対して平行に整列しており、各積層パネルチューブバンドルは、垂直からおおよそ25度~35度、好ましくは30度配向している。複合蒸気配給/凝縮液回収マニホールド6は、チューブバンドルの各々の底部に取り付けられる。単一の凝縮器間マニホールド12が、両方のバンドル2の上部に取り付けられ、積層パネル1次チューブバンドル8の上部に進行する非凝縮蒸気および非凝縮性ガスを回収する。積層パネル2次チューブバンドル38は、凝縮器間マニホールドから非凝縮蒸気および非凝縮性ガスを受け取り、蒸気を凝縮させ、凝縮液/非凝縮性ガスを複合凝縮液/非凝縮性ガス回収マニホールド33に配給する。蒸気は、ライザー16を介して、蒸気分配マニホールド28から複合蒸気配給/凝縮液回収マニホールド6の中間点に供給される。複合蒸気配給/凝縮液回収マニホールド6内で集まる凝縮水は、凝縮液回収チューブでACCから搬出される。
【0029】
図5は、ペア内の各チューブバンドル2がその上部において専用の凝縮器間マニホールド12に取り付けられる点を除いて、
図4のA字状フレーム実施形態に極めて類似した実施形態を示す。
【0030】
図6と
図7によって表される実施形態を参照すると、積層パネルの1次チューブバンドル8および2次チューブバンドル38で構成されるチューブバンドルペア2は、V字状フレーム構成に配置してもよい。
図6と
図7に示すように、蒸気分配マニホールド28は、チューブバンドルの中間点の下方でチューブバンドル2の長手軸に対して垂直に延びてもよく、ライザー16によって複合蒸気配給/凝縮液回収マニホールドの中間点に接続してもよい。代替の実施形態によれば、蒸気分配マニホールド28は、複合蒸気配給/凝縮液回収マニホールドの下方に直接に支持されてもよく、これによりライザー16の必要性を取り除いてもよい。
【0031】
本発明の積層パネルチューブバンドルは、任意の寸法のチューブを用いてACCの構成とともに使用できる。
図3~
図5は、1次凝縮器バンドル8のセットが側面に位置する中央配置2次凝縮器バンドル38を示しているが、種々の代替構成によれば、1つ以上の2次凝縮器バンドル38は、熱交換器パネル2の一方または両方の端部に配置されてもよく(
図6と
図7を参照)、あるいは、熱交換器パネル2に沿って1次凝縮器バンドル8のより大きいセットの間に点在してもよいことが想定される。さらに、本発明の積層パネルの1次および/または2次凝縮器バンドルは、従来の(または他の非従来の)1次および/または2次凝縮器バンドルと組み合せてACC熱交換パネルにおいて使用できることがさらに想定される。
【0032】
本発明の積層チューブ構成は、米国公開特許出願第2020/0333078号に開示された先進大規模野外設置型空冷式工業用蒸気凝縮器において使用でき、その開示内容はその全体がここに組み込まれ、そこに開示されているチューブバンドル(熱交換パネル)の代わりに、またはそれと組合せて使用できる。
【0033】
ここに開示される全ての実施形態は、他の全ての開示され互換性のある実施形態とともに使用されることが想定される。
【0034】
本発明の概念から逸脱することなく、上述した好ましい実施形態を変更できることは当業者に理解されよう。従って、本発明は、開示された特定の実施形態に限定されないが、本開示で概説され、本明細書の観点で読み取られる下記の請求項の最も広範な合理的な解釈に従って定義される本発明の精神および範囲内の変更をカバーすることを意図していることは理解されよう。
【国際調査報告】