(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-04
(54)【発明の名称】風力発電設備
(51)【国際特許分類】
F03D 3/06 20060101AFI20240226BHJP
【FI】
F03D3/06 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553564
(86)(22)【出願日】2021-11-19
(85)【翻訳文提出日】2023-10-31
(86)【国際出願番号】 RU2021050385
(87)【国際公開番号】W WO2022186725
(87)【国際公開日】2022-09-09
(32)【優先日】2021-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】RU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519048942
【氏名又は名称】チャグリン デニス ヴァレンチノヴィッチ
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャグリン デニス ヴァレンチノヴィッチ
【テーマコード(参考)】
3H178
【Fターム(参考)】
3H178AA13
3H178AA40
3H178AA43
3H178BB35
3H178CC02
3H178CC16
3H178DD51X
(57)【要約】
この技術的解決手段は、風力発電産業に関し、風の動きの運動エネルギをブレードシステムの回転の機械的エネルギに変換するように設計されており、エネルギの電力への後続の変換を有する。風力発電設備は、放射状に配置された少なくとも3つの構造物間に固定されるように設計されている少なくとも1つの支持フレームと、発電機に機能的に接続されており自由回転可能なシャフトと、シャフトに取り付けられているブレードシステムとを備え、加えてシステムは、支持フレームが取り付けられている堅固に据え付けられた定置鉛直軸を含み、さらに、シャフトが、前記鉛直軸周りに回転可能に設置されている。ブレードシステムのうちの1つのブレードの表面積は、20~1000平方メートルである。好ましい実施形態では、鉛直軸は、中空であり、通信を通して引くように設計されている穴を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射状に配置された少なくとも3つの構造物間に設置されている少なくとも1つの支持フレームと、発電機に機能的に接続されており自由回転可能に設置されているシャフトと、前記シャフトに取り付けられているブレードシステムとを備える風力発電設備において、さらに、前記風力発電設備が、前記支持フレームが取り付けられている堅固に据え付けられた定置鉛直軸を含み、前記シャフトが、前記鉛直軸周りに回転可能に設置されていることを特徴とする風力発電設備。
【請求項2】
請求項1に記載の風力発電設備であって、前記ブレードシステムのうちの1つのブレードが、5~1000平方メートルの表面積を有することを特徴とする風力発電設備。
【請求項3】
請求項1に記載の風力発電設備であって、前記鉛直回転軸が中空であることを特徴とする風力発電設備。
【請求項4】
請求項1および3に記載の風力発電設備であって、前記鉛直回転軸が、中空であり、穴を含み、さらに、前記軸の内部の前記中空の空間および前記穴が、通信で充填されていることを特徴とする風力発電設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本解決手段は、風力発電産業に属し、風の運動エネルギをブレードシステムの回転の機械的エネルギに変換し、続いて機械的エネルギの電気エネルギへの変換をするように設計されている。
【背景技術】
【0002】
「風力発電設備」は、先行技術により既知の技術的解決手段である。風力発電設備は、筐体と、この筐体内に設置されており鉛直軸周りに自由回転可能な作動シャフトとを含む。ウインドホイールは、扁平な円錐形として形状を定められており、この円錐形の母線に沿って固定されているブレードを有する。筐体は、ブラケット台と基部とを含む。実用新案についてのロシア連邦特許第155147号、IPC F03D 3/06、F03D 11/00が、2015年9月20日に公開されている。
【0003】
既知の解決手段と特許請求される解決手段との共通の特徴は、以下に列挙されている:
- フレームの存在と、
- 発電機に機能的に接続されており自由回転可能なシャフトの存在と、
- シャフトに固定されているブレードシステムの存在と、
である。
【0004】
既知の解決手段と特許請求される解決手段との弁別的な特徴は、以下に列挙されている:
- フレームが、放射状に配置された3つの構造物間に固定可能に設計されていることと、
- 支持フレームが取り付けられている堅固に据え付けられた定置鉛直軸の存在と、
- シャフトが、前記鉛直軸周りに自由回転可能に設置されていることと、
である。
【0005】
上述の解決手段の欠点は、提案されている筐体設計では、シャフトおよびウインドホイールの装着の選択肢が、大きな表面積のブレードを有するブレードシステムを利用するために十分な剛性および安定性を提供することができないため、風力発電設備の出力が低いことである。
【0006】
「風力発電設備」という技術的解決手段は、先行技術により既知であり、提案される解決手段の最も近い類似物として選択された。発明についてのロシア連邦特許第2673280号、IPC F03D 3/00、F03D 9/34が、2018年11月23日に公開されている。
【0007】
既知の解決手段と特許請求される解決手段との共通の特徴は、以下に列挙されている:
- 放射状に配置された3つの構造物間に固定可能に設計されているフレームの存在と、
- 発電機に機能的に接続されており自由回転可能なシャフトの存在と、
- シャフトに固定されているブレードの存在と、
である。
【0008】
既知の解決手段と特許請求される解決手段との弁別的な特徴は、以下に列挙されている:
- 支持フレームが取り付けられている堅固に据え付けられた定置鉛直軸の存在と、
- シャフトが、前記鉛直軸周りに自由回転可能に設置されていることと、
である。
【0009】
既知の解決手段では、大きな表面積のブレードに必要な剛性および安定性を提供するために、巨大なフレームを構築することが必要になる。風力エネルギの見込みが最も効率的になり、かつ非常に小さな変動を有するほぼ一定の作動に近づく建造物の高さを実現するためには、高さが数十、さらには数百メートルである構造物の建設が必要になるため、風力発電設備構造物の材料消費が増加する場合がある。これらの条件では、そのようなフレームは、風の流れによってかかる荷重に耐えるために、十分な剛性および安定性を有さなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】ロシア連邦実用新案第155147号明細書
【特許文献2】ロシア連邦特許第2673280号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許請求される解決手段の目的は、既知の解決手段の弱点を克服し、高い効率および信頼性を有する風力発電設備を作り出すことである。
【0012】
特許請求される解決手段の利点は、風力発電設備の剛性および安定性の改善であるものとする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
風力発電設備が、放射状に配置された少なくとも3つの構造物間に装着可能に設計されている少なくとも1つの支持フレームと、発電機に機能的に接続されており自由回転可能に設置されているシャフトと、シャフトに取り付けられているブレードシステムとを備え、さらに、風力発電設備が、支持フレームが取り付けられている堅固に据え付けられた定置鉛直軸を追加的に含み、シャフトが、前記鉛直軸周りに回転可能に設置されているので、特許請求される利点が実現される。ブレードシステムのうちの1つのブレードの表面積は、5~1000平方メートルの範囲から選択される。ブレードシステムのブレードは、例えば帆の形状など、様々な形状で製造されることができる。鉛直回転軸は、中空であり、通信を行うための穴を含むことが好ましい。
【0014】
放射状に配置された少なくとも3つの構造物間に支持フレームを配置し、堅固に据え付けられた定置鉛直軸に支持フレームを固定すること、および前記鉛直軸周りに自由回転可能にシャフトを配置することによって、構造物全体の剛性、安定性、および信頼性の改善が実現され、そのため、例えば表面積が5から1000平方メートルまでであるブレードなど、より大きなパラメータを有するブレードシステムの実施が可能になる。これにより、風力発電設備にかかる振動性の荷重が減り、それと同時に風力発電設備の効率および出力が増加する。
【0015】
さらに、放射状に配置された少なくとも3つの流線形の構造物間に支持フレームを配置することによって、風力発電設備の効率がさらに増加する。その理由は、たとえ風の流れが恒久的な働きをまだ有さないような高さにブレードシステムが位置付けられているとしても、放射状に配置された少なくとも3つの構造物により形成される空気の回廊が、いずれの風の方向でも、ブレードシステムに衝突する、より強い風の流れをもたらすからである。
【0016】
定置軸周りに自由回転可能に設置されている風力発電設備のシャフトは、先行技術により既知の任意の手段によって発電機と構造的に接続されていて、ブレードシステムのブレード上での風の運動エネルギの働きによって生じる回転を、電気エネルギに変換するために、発電機の要素の機械的回転エネルギへと伝達する。発電機は、回転するシャフトと直接接続されていてもよく、または既知の回転伝達機構を利用して分離されていてもよい。シャフトは、定置軸に直接固定されていてもよく、むしろ、任意の既知の手段、例えばベアリングの手段などによってフレームに取り付けられてよい。
【0017】
特許請求される解決手段のよりよい理解を確実にするためには、放射状に配置された複数の構造物は、周りをシャフトが回転している定置鉛直軸に対して放射状に配置された構造物であり、これらの構造物の位置は、すべての構造物が回転の軸から同じ距離および互いに同じ距離で配置されている単一の実施形態に制限されないことに留意されたい。複数の構造物は、例えば設置された地域の卓越風をよりよく捉えるために、シャフト回転軸から互いに異なる距離で、また互いに異なる角距離で配置されてよい。
【0018】
建築物の最適な高さは5から800mであるべきであり、さらに第1のブレードシステムは5~15mの高さに配置されるべきであることが、計算および数学モデルにより証明された。ブレードシステムは、互いに重なってシャフトに位置付けられ得る。そのような配置の場合、ブレードのパラメータおよび個数は、任意の所与の高さの建築物について別個に計算されるものである。例えば、小さな高さでは、より弱い風をよりよく捉えるために、より大きなブレードが利用され得、高さが上がるにつれて、ブレードの表面積は縮小されていく。
【0019】
ブレードシステムが鉛直軸の周りを回転している実施形態では、そのような構成のブレードシステムが、風の方向の変化とは無関係に、風の運動エネルギを均等によく捉えることになるので、風力発電設備の効率が増加し、そのため信頼性も増加する。定置軸に固定されている支持フレームは、風の流れからのより少ない荷重を受けることになり、全体としての構造物は、より高い剛性および安定性を有することになる。
【0020】
追加的に、風力発電設備は、空気の流れをブレードへと向け直すことができるフェアリングを搭載し得、そうして、風力発電設備の効率を上げる。フェアリングは、フレームに固定されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、図面に示す例示的な一実施形態を参照して、以下で説明される。
【0023】
図1および
図2では、以下の凡例:1 支持フレーム、2 シャフト、3 ブレードシステム、4 フェアリング、5 定置鉛直軸、が諸位置に付与される。
【0024】
特許請求される解決手段は、以下のように使用されるものである。
3つの構造物は、任意の既知の手段によって建設されるものであり、これらの構造物は、特定の場合には、風の流れが周りを円滑に流れることができるような形状に建設された3つの高層建築物であり得る。構造物は、構造物間に風力発電設備用のいくらかの空間が形成されるように、互いに同じ距離でおよび異なる距離でのどちらでも配置されることができる。構造物間には、例えば鉄筋コンクリートで製造された鉛直軸が建設され堅固に設置されるものである。軸(5)は中空で、軸(5)内に収容されて軸を発電機や他の機器に接続するための電気ケーブルなどの通信または伝達手段を取り出すための複数の穴を含んでよい。次いで、支持フレーム(1)は、事前に計算された高さで、構造物の骨組みおよび軸(5)に固定して取り付けられるべきである。例えば、80階建ての建築物の場合、底部のブレードシステムは、8メートルの高さに設置される。その後、シャフト(2)は、シャフトの質量が、軸(5)に、またはフレーム(1)に、または軸(5)とフレーム(1)との両方に同時に支持されるように、定置軸(5)の周りを回転可能に設置されるべきである。次いで、シャフトは、発電機に機能的に接続されるべきである。その後、ブレードシステム(3)は、シャフト(2)に配置される。ブレードの数量およびパラメータは、その地域に特有の風の特性、エネルギ必要量、構造物の高さなどに従って計算される。3つの構造物によって形成される空気の回廊により、空気の流れは、いずれの風の方向および流れでも強化され、これらの流れは、流線形の要素に接触すると、ブレードシステム(3)が位置付けられている中央部分に向けられるので、ブレードシステム(3)は、風の運動エネルギを吸収し、動きをシャフト(2)に、そして発電機へと伝達し、ここで、回転エネルギが電気エネルギに変換される。数学的計算によれば、7~8つのブレードシステムが互いに積み重なって、80階建ての建築物間にあるフレームに固定されたシャフトに位置付けられているこの風力発電設備は、3つの80階建ての建築物のエネルギ需要をまかなって、各ブレードシステムが少なくとも7.5MW発電することができる。発電機には、蓄電池が追加的に接続され得る。本風力発電設備は、入ってくる空気の流れをブレードへと向け直すことができるフェアリング(4)を追加的に搭載し得る。
【産業上の利用可能性】
【0025】
特許請求される解決手段は、風力の運動エネルギをブレードシステムの回転の機械的エネルギに変換するための手段であって、電気エネルギへの後続の変換を有する手段を提供し、再生可能エネルギ源を用いて消費者への安定したエネルギ供給を提供する任意の技術分野で使用されることができる。これらのエネルギ源は、環境に対して生じさせるストレスが最小限であるため、環境に優しく、人々に対して安全である。
【0026】
提示の図面および構造物の説明は、可能性のある設計の選択肢を限定せず、いずれの手段によっても特許請求される技法の範囲を制限しない。特許請求の範囲内での代替の設計が可能である。
【国際調査報告】