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特表2024-509564所望の外観を有する太陽光発電モジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-04
(54)【発明の名称】所望の外観を有する太陽光発電モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/042 20140101AFI20240226BHJP
【FI】
H01L31/04 500
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023554320
(86)(22)【出願日】2022-02-18
(85)【翻訳文提出日】2023-09-05
(86)【国際出願番号】 AU2022050120
(87)【国際公開番号】W WO2022187887
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】2021900691
(32)【優先日】2021-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523338901
【氏名又は名称】アルファ ソーラー テクノロジーズ ピーティーワイ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ALPHA SOLAR TECHNOLOGIES PTY LTD
【住所又は居所原語表記】1/93A Leach Highway, Kewdale, Western Australia 6105, Australia
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】アラメ,カマル
【テーマコード(参考)】
5F251
【Fターム(参考)】
5F251AA09
5F251DA03
5F251FA04
5F251FA06
5F251FA23
5F251HA15
5F251JA02
5F251JA03
5F251JA04
5F251JA30
(57)【要約】
本開示は、所望の外観を有する太陽光発電モジュールを提供する。モジュールは、黒いまたは暗い表面部分を有する少なくとも1つの太陽電池を備える。モジュールは、黒いまたは暗い表面部分の上に配置された材料層をさらに備える。材料層は、黒いまたは暗い表面部分よりも色または外観が明るい材料部分を有する。材料部分は、材料部分の組成物および/または厚さに応じた、可視光に対する透過率を有する。材料層は、材料部分の間の領域の光に対して少なくとも大部分が透過性有する。可視層が、材料層の上に配置され、画像、パターン、色のうちの少なくとも1つを含む。材料層の材料部分の厚さ、組成物、および/または横方向の被覆率は、太陽光発電モジュールの所望の外観の特徴の所望のコントラストおよび/または暗さ、明るさ、もしくは色に応じて選択される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所望の外観を有する太陽光発電モジュールであって、
黒いまたは暗い表面部分を有する少なくとも1つの太陽電池と、
前記少なくとも1つの太陽電池の前記黒いまたは暗い表面部分の上に配置される材料層であって、前記材料層は、前記少なくとも1つの太陽電池の前記黒いまたは暗い表面部分よりも色または外観が明るい材料部分を有し、前記材料部分は、前記材料部分の組成物および/または厚さに応じた、可視光に対する透過率を有し、前記材料層は、前記材料部分の間の領域の光に対して少なくとも大部分が透過性を有する、材料層と、
前記材料層の上に配置され、画像、パターン、または色のうちの少なくとも1つを含む可視層と、を備え、
前記材料層の前記材料部分の前記厚さ、組成物、および/または横方向の被覆率は、前記太陽光発電モジュールの前記所望の外観の特徴の所望のコントラストおよび/または暗さ、明るさ、もしくは色に応じて選択される、太陽光発電モジュール。
【請求項2】
前記材料層は、ドットの形態で提供される複数のアイランドを含む、請求項1に記載の太陽光発電モジュール。
【請求項3】
前記ドットは、前記太陽光発電モジュールの前記所望の外観の特徴の所望のコントラストおよび/または暗さもしくは明るさに応じた局所的な厚さを有する、請求項2に記載の太陽光発電モジュール。
【請求項4】
前記ドットの少なくともいくつかは、前記ドットの厚さに応じた、可視光に対する透過率を有するように十分に薄い、請求項2または3に記載の太陽光発電モジュール。
【請求項5】
前記ドットの少なくとも大部分は、0~5μmの範囲内の厚さを有し、肉眼ではほとんど見えない、請求項2~4のいずれか一項に記載の太陽光発電モジュール。
【請求項6】
前記ドットは、前記太陽光発電モジュールの前記所望の外観の特徴の所望のコントラストおよび/または暗さもしくは明るさに応じた組成物を有する、請求項2に記載の太陽光発電モジュール。
【請求項7】
前記ドットは、前記ドットの前記組成物に応じた透過率を有する、請求項6に記載の太陽光発電モジュール。
【請求項8】
前記ドットは、不透明インクおよび透明インクまたはワニスを備える、請求項6または7に記載の太陽光発電モジュール。
【請求項9】
前記ドットは、所望の局所的な透過率に応じて、0~20%、20~40%、40~60%、60~80%、または80~100%の透明インクまたはワニスを含み、残りが不透明インクである組成物を有することによって、前記ドットの透過率は、前記ドットの前記組成物に依存する、請求項8に記載の太陽光発電モジュール。
【請求項10】
前記ドットは、デジタル印刷プロセスを使用して形成される、請求項2~9のいずれか一項に記載の太陽光発電モジュール。
【請求項11】
前記太陽光発電モジュールの外側から視覚化される際の前記画像の特徴が黒くまたは暗く見える場合でも、前記可視層は、背景色を使用せずに前記可視層内に形成された印刷画像を含む、請求項2~10のいずれか一項に記載の太陽光発電モジュール。
【請求項12】
前記画像は、シアン、マゼンタ、およびイエローの色のみを使用して印刷される、請求項11に記載の太陽光発電モジュール。
【請求項13】
前記材料層の前記ドットの直径および前記ドット間の距離は、前記太陽光発電モジュールの前記所望の外観の特徴の所望のコントラストおよび/または暗さもしくは明るさに応じて選択される前記材料層の被覆率を決定する、請求項2~12のいずれか一項に記載の太陽光発電モジュール。
【請求項14】
前記ドットは、50μm~200μmの直径を有し、隣接するドット間のギャップは、30μmなどの、20~40μm、40~60μm、60~80μm、および80~100μmの広がりを有する、請求項2~13のいずれか一項に記載の太陽光発電モジュール。
【請求項15】
前記材料層の前記ドットの前記厚さおよび/または組成物、ならびに前記可視層の前記画像の特性は、前記可視層および前記材料層の少なくとも大部分またはすべての領域が、可視光に対する、ゼロよりも大きい透過率を有するように、選択される、請求項2~14のいずれか一項に記載の太陽光発電モジュール。
【請求項16】
前記ドットの前記厚さは、前記ドットが前記ドットを通過する可視光の90%超を遮断する最小の厚さの70%以下、50%以下、30%以下、20%以下、さらには10%以下まで減少する、請求項2~15のいずれか一項に記載の太陽光発電モジュール。
【請求項17】
前記ドットの組成物は、前記ドットを形成するための透明インクの割合を30%以上、50%以上、70%以上、80%以上、またはさらには90%以上に増加させることによって変化する、請求項2~15のいずれか一項に記載の太陽光発電モジュール。
【請求項18】
前記少なくとも1つの太陽電池は、テルル化カドミウム(CdTe)系の太陽電池である、請求項2~17のいずれか一項に記載の太陽光発電モジュール。
【請求項19】
前記可視層は、前記少なくとも1つの太陽電池の第1の主面の上に配置される第1の可視層であり、前記太陽光発電モジュールは、色、画像、およびパターンのうちの少なくとも1つを含む第2の可視層をさらに備え、前記第2の可視層は、前記第1の可視層および前記第2の可視層が前記少なくとも1つの太陽電池の反対側で見えるように、前記第1の主面の反対側にある、前記少なくとも1つの太陽電池の第2の主面の上に配置される、請求項1~18のいずれか一項に記載の太陽光発電モジュール。
【請求項20】
クリアワニスの層または透明インクの層が前記材料層の上に配置されて、前記ドットの高さの差を実質的に均等にし、かつ隣接するドット間のギャップを実質的に埋める、請求項2から18のいずれか一項に記載の太陽光発電モジュール。
【請求項21】
所望の外観を有する太陽光発電モジュールを形成する方法であって、
黒いまたは暗い表面部分を有する少なくとも1つの太陽電池を提供するステップと、
前記少なくとも1つの太陽電池の前記黒いまたは暗い表面部分の上に材料層を形成するステップであって、前記材料層は、前記少なくとも1つの太陽電池の前記黒いまたは暗い表面部分よりも色または外観が明るい材料部分を有し、前記材料部分は、前記材料部分の厚さおよび/または組成物に応じた、可視光に対する透過率を有し、前記材料層は、前記材料部分の間の領域の光に対して少なくとも大部分が透過性を有する、材料層を形成するステップと、
画像、パターン、または色のうちの少なくとも1つを含む可視層を形成するステップと、を含み、
前記材料層は、前記少なくとも1つの太陽電池の前記黒いまたは暗い表面部分と前記可視層との間に配置され、前記材料層を形成することは、前記太陽光発電モジュールの前記所望の外観の特徴の所望のコントラストおよび/または暗さ、明るさ、もしくは色に応じて、前記材料層の前記材料部分の厚さ、組成物、および/または横方向の被覆率を選択することを含む、方法。
【請求項22】
前記材料層を形成するステップおよび/または前記可視層を形成するステップは、デジタルUV印刷またはデジタルセラミック印刷などのデジタル印刷を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記材料層の前記材料部分は、ドットである、請求項21または22に記載の方法。
【請求項24】
前記ドットは、0~10μmまたは0~5μmの範囲の厚さを有する、請求項21~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記ドットは、50μm~200μmの直径を有し、隣接するドット間のギャップは、30μmなどの、20~40μm、40~60μm、60~80μm、および80~100μmの広がりを有する、請求項21~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記材料層を形成することは、前記材料層内の前記ドットの所望の厚さの変化を選択することを含む、請求項21~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記材料層を形成することは、印刷手順のシーケンスを含み、選択されたドットは、前の手順で印刷されたドットの上に印刷され、その結果、厚さが増加し、各印刷シーケンスについてドットが印刷される場所を選択することをさらに含む、請求項21~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
透明インクの層またはワニスの層を、前記透明インクまたは前記ワニスが隣接するドット間のギャップを埋め、かつ異なる厚さを有するドットから生じる高さの差を実質的に均等にするような方法で、塗布することを含む、請求項21~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記材料層を形成することは、前記材料層内の前記ドットの組成物および/または前記ドットの組成物の変化を選択することを含む、請求項21~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記ドットは、前記ドットの前記組成物に応じた透過率を有する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記ドットは、可視光に対して透過性を有するインクと可視光に対して非透過性であるインクとの組成物を使用して形成される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
可視光に対して透過性を有するインクまたはワニスと可視光に対して非透過性であるインクとの比率を選択することを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
透明インクの層またはワニスの層を、前記透明インクまたは前記ワニスが隣接するドット間のギャップを埋めるような方法で、塗布することをさらに含む、請求項29~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記材料層を形成するステップは、光に対して透過性を有するパネルの表面上に直接的または間接的に前記可視層を形成することを含む、請求項21~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記可視層上に前記材料層を直接的または間接的に形成することを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
形成された前記材料層の上に太陽電池構造を形成することをさらに含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
形成された前記太陽電池構造の上にガラス板を配置することをさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
太陽電池構造を提供することと、前記太陽電池構造の表面上に前記材料層を直接的または間接的に形成することと、を含む、請求項21~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
形成された前記材料層上に前記可視層を直接的または間接的に形成することを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
形成された前記可視層の上にガラス板を配置することを含む、請求項39に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、所望の外観を有する太陽光発電モジュールに関し、特に、これに限定されるものではないが、画像または可視的特徴を含む可視層を有する太陽光発電モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電モジュールは、入射太陽光を電気に変換し、典型的には、建物の屋根スペース、建物の側壁、またはその他のさまざまな場所(交通標識などに電力を供給するための交通島など)に設置される。太陽光発電モジュールは、一般に、保護透明パネルの下方に通常配置される太陽電池の活性表面が黒いまたは暗い外観を有するため、黒くまたは暗く見える表面部分を有する。
【0003】
太陽光発電モジュールの視覚的外観を改善するために、そのような太陽光発電モジュール上に画像または構造を印刷することが以前に提案されてきた。しかしながら、そのような印刷または構造は太陽光の透過率を低下させる。発電するために太陽電池が受け取れる太陽光が少なくなると、太陽光発電モジュールの電気出力も低下する。
【0004】
本開示は、技術的進歩をもたらす。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、第1の態様において、所望の外観を有する太陽光発電モジュールであって、
黒いまたは暗い表面部分を有する少なくとも1つの太陽電池と、
少なくとも1つの太陽電池の黒いまたは暗い表面部分の上に配置される材料層であって、材料層は、少なくとも1つの太陽電池の黒いまたは暗い表面部分よりも色または外観が明るい材料部分を有し、材料部分は、材料部分の組成物および/または厚さに応じた、可視光に対する透過率を有し、材料層は、材料部分の間の領域の光に対して少なくとも大部分が透過性を有する、材料層と、
材料層の上に配置され、画像、パターン、または色のうちの少なくとも1つを含む可視層と、を備え、
材料層の材料部分の厚さ、組成物、および/または横方向の被覆率は、太陽光発電モジュールの所望の外観の特徴の所望のコントラストおよび/または暗さ、明るさ、もしくは色に応じて選択される、モジュールを提供する。
【0006】
少なくとも1つの太陽電池は、従来の太陽光発電モジュールなどの太陽光発電モジュールの形態で提供されてもよい。
【0007】
材料層は、任意の適切な形状またはサイズで提供され得る複数のアイランドを備えてもよく、特定の一実施形態では、材料部分は、規則的または不規則な形状を有する印刷ドットなどのドットである。ドットは、肉眼では見えないほど十分に小さいものであってもよい。アレイを形成し得るドットは、少なくとも1つの太陽電池の黒いまたは暗い表面部分の黒いまたは暗い外観よりも明るい任意の適切な色を有してもよいが、特定の一実施形態では、ドットが十分に厚く、かつ可視光に対して少なくともほとんど透過しないように適切な組成物を有する場合、ドットは、白い外観を有する。ドットは、デジタル印刷などの印刷プロセスによって形成されてもよい。
【0008】
ドットは、太陽光発電モジュールの所望の外観の特徴の所望のコントラストおよび/または暗さもしくは明るさに応じた局所的な厚さを有してもよい。ドットの厚さは、材料層内で変化してもよい。本発明の特定の一実施形態では、ドットの少なくともいくつかは、ドットの厚さに応じた、可視光に対する透過率を有するように十分に薄い。例えば、ドットは、所望の局所的な透過率に応じて、0~10μmまたは0~5μmの範囲の厚さを有してもよい。ドットが数mmを超える厚さ、例えば5μmを超える厚さを有する場合、ドットは、入射可視光の少なくとも大部分を局所的に遮断する。しかしながら、ドットの厚さが0μmと5μmとの間である場合、ドットは、少なくとも1つの太陽電池の黒いまたは暗い表面部分の上に配置されるため、(厚さがほぼ0μmの場合)灰色の外観を、あるいは黒いまたは暗い外観さえ有する。ドットは、デジタル印刷プロセスを使用して形成されてもよい。材料層内のドットの所望の厚さの変化は、印刷手順のシーケンスを使用して実現されてもよい。後続の印刷手順では、選択したドットが前の手順で印刷されたドットの上に印刷され得、その結果、厚さが増加する。各ドットの総(累積)印刷厚さは、印刷手順のシーケンスにおける各印刷手順で印刷される、選択したドットに依存する。
【0009】
代替的または追加的に、ドットは、太陽光発電モジュールの所望の外観の特徴の所望のコントラストおよび/または暗さもしくは明るさに応じた組成物を有してもよい。この場合、ドットは、ドットの組成物に応じた透過率を有してもよい。例えば、ドットは、白インクなどの不透明インクと透明インクを含んでもよい。ドットは、所望の局所的な透過率に応じて、0~20%、20~40%、40~60%、60~80%、または80~100%の透明インクを含み、残りが不透明インクである組成物を有することによって、ドットの透過率をドットの組成物に依存するようにしてもよい。ドットの厚さは0~5μm、またはそれ以上であってもよい。ドットの組成物を変えることによって、ドットが少なくとも1つの太陽電池の黒いまたは暗い表面部分の上に配置される際に、ドットの黒色度(または暗度)を制御することができる。
【0010】
本発明は、黒いまたは暗い特徴が所望のコントラストで見えるように、材料層内で選択された厚さまたは組成物の変化を有するドットを提供することが可能であるため、材料層上の可視層内に画像を形成するときに、必ずしも黒いまたは暗い特徴を印刷する必要がないという利点を提供する。特定の一実施形態では、太陽光発電モジュールの外から視覚化される際の画像の特徴が黒くまたは暗く見える場合でも、可視層は、背景色を使用せずに可視層内に形成された印刷画像を含む。例えば、その画像は、シアン、マゼンタ、イエローの色のみを使用して印刷されてもよい。
【0011】
印刷時の黒色は、可視光の透過率、ひいては太陽光発電モジュールの変換効率に最も悪い影響を及ぼす。本発明の一実施形態では、画像を形成するための黒色の使用が回避されるので、本発明は、実施形態によれば、太陽光発電モジュールの変換効率が向上するという利点を提供する。
【0012】
また、材料層は、太陽光発電モジュールの所望の外観の特徴の所望のコントラストおよび/または暗さもしくは明るさに応じて被覆率(ドットの直径およびドット間の距離など)を提供してもよい。ドット間の領域は可視光に対して少なくとも大部分が透過性を有するため、少なくとも1つの太陽電池の黒いまたは暗い部分の上に配置されるドット間の領域は、黒くまたは暗く見える。したがって、ドットの直径および/または隣接するドット間のギャップの広がりを変えることによって、暗度に影響を与えることが可能である。ドット間の領域は黒いまたは暗い外観であるため、ドットが小さく、ドット間のギャップが大きいほど、外観は暗くなる。
【0013】
一実施形態では、ドットは、100μm程度などの50μm~200μmの直径を有し、隣接するドット間のギャップは、30μmなどの、20~40μm、40~60μm、60~80μm、および80~100μmの広がりを有する。
【0014】
特定の一実施形態では、材料層のドットの厚さおよび組成物、ならびに可視層の画像の特性は、可視層および材料層の少なくとも大部分またはすべての領域が、可視光に対する、ゼロよりも大きい透過率を有するように、選択される。上述したように、一実施形態では、ドットが十分に厚く、かつ適切な組成物を有する場合、ドットは、白い外観を有する。しかしながら、ドットが白く見えるような厚さと組成物を有する場合、ドットは、光透過のかなりの部分を遮断する。本発明者は、画像のより明るい色の領域であってもドットの透過率が増加すれば、画像内の良好で許容可能なコントラストをすでに実現できることがわかった。例えば、これは、ドットの厚さを、ドットがドットを通過する可視光の90%超を遮断する最小の厚さの70%以下、50%以下、30%以下、20%以下、さらには10%以下まで減少させることによって実現され得る。代替的に、ドットを形成するための、透明インクなどの透明成分の割合を30%以上、50%以上、70%以上、80%以上、またはさらには90%以上に増加させることによって、ドットの組成物を変化させてもよい。本発明者は、ドットが最高のコントラストを有する最高品質の画像をもたらす透過率の85%まで透過率を増加させても、依然として十分なコントラストが見えることがわかった。透過率が増加すると、太陽光発電モジュールの変換効率がさらに向上する。
【0015】
一実施形態では、ドットは、0μm~5μmの範囲の厚さを有する。ドットは、例えば、UVフラットベッドインクジェットまたはセラミックデジタル印刷を使用して形成されてもよい。
【0016】
少なくとも1つの太陽電池は、任意の適切なタイプのものであってよいが、特定の一実施形態では、テルル化カドミウム(CdTe)系の太陽電池である。
【0017】
可視層は、少なくとも1つの太陽電池の第1の主面上に配置される第1の可視層であってもよい。また、太陽光発電モジュールは、色、画像、およびパターンのうちの少なくとも1つを含む第2の可視層を備え得る。第1の可視層および第2の可視層が少なくとも1つの太陽電池の反対側で見えるように、第1の主面の反対側にある、少なくとも1つの太陽電池の第2の主面の上に、第2の可視層が配置されてもよい。
【0018】
透明インクの層またはワニスの層が材料層の上に配置されて、ドットの高さの差を実質的に均等にし、かつ隣接するドット間のギャップを実質的に埋めてもよい。
【0019】
本発明は、第2の態様において、所望の外観を有する太陽光発電モジュールを形成する方法であって、
黒いまたは暗い表面部分を有する少なくとも1つの太陽電池を提供するステップと、
少なくとも1つの太陽電池の黒いまたは暗い表面部分の上に材料層を形成するステップであって、材料層は、少なくとも1つの太陽電池の黒いまたは暗い表面部分よりも色または外観が明るい材料部分を有し、材料部分は、材料部分の厚さおよび/または組成物に応じた、可視光に対する透過率を有し、材料層は、材料部分の間の領域の光に対して少なくとも大部分が透過性を有する、材料層を形成するステップと、
画像、パターン、または色のうちの少なくとも1つを含む可視層を形成するステップと、を含み、
材料層は、少なくとも1つの太陽電池の黒いまたは暗い表面部分と可視層との間に配置され、材料層を形成することは、太陽光発電モジュールの所望の外観の特徴の所望のコントラストおよび/または暗さ、明るさ、もしくは色に応じて、材料層の材料部分の厚さ、組成物、および/または横方向の被覆率を選択することを含む、方法を提供する。
【0020】
材料層を形成するステップおよび/または可視層を形成するステップは、デジタルUV印刷またはデジタルセラミック印刷などのデジタル印刷を含んでもよい。
【0021】
少なくとも1つの太陽電池は、従来の太陽光発電モジュールなどの太陽光発電モジュールの形態で提供されてもよい。
【0022】
材料層の材料部分は、ドットであってもよい。一実施形態では、ドットは、100μm程度などの50μm~200μmの直径を有し、隣接するドット間のギャップは、30μmなどの、20~40μm、40~60μm、60~80μm、および80~100μmの広がりを有する。ドットは、0~10μmまたは0~5μmの範囲の厚さを有してもよい。
【0023】
材料層を形成することは、材料層内のドットの所望の厚さの変化を選択することを含んでもよい。また、材料層を形成することは、印刷手順のシーケンスを含んでもよく、選択したドットが前の手順で印刷されたドットの上に印刷され得、その結果、厚さが増加する。本方法は、各印刷シーケンスについてドットが印刷される場所を選択することをさらに含んでもよい。各ドットの総(累積)印刷厚さは、印刷手順のシーケンスにおける各印刷手順で印刷される、選択したドットに依存する。さらに、本方法は、透明インクまたはワニスが隣接するドット間のギャップを埋め、かつ異なる厚さを有するドットから生じる高さの差を実質的に均等にするような方法で、透明インクの層またはワニスの層を塗布することを含んでもよい。
【0024】
代替的または追加的に、材料層を形成することは、材料層内のドットの組成物および/またはドットの組成物の変化を選択することを含んでもよい。この場合、ドットは、ドットの組成物に応じた透過率を有してもよい。ドットは、可視光に対して透過性を有するインクと可視光に対して非透過性であるインクとの組成物を使用して形成されてもよい。組成物を選択することは、可視光に対して透過性を有するインクまたはワニスと可視光に対して非透過性であるインクとの比率を選択することを含んでもよい。本方法は、透明インクまたはクリアワニスが、隣接するドット間のギャップを埋めるような方法で、透明インクの層またはワニスの層を塗布することをさらに含んでもよい。
【0025】
特定の一実施形態では、可視層は、ガラスパネルなどの透明パネルの表面上に形成されてもよく、材料層を形成するステップは、可視層上に材料層を直接的または間接的に形成することを含んでもよい。この実施形態の変形例では、透明導電性酸化インジウムスズ(ITO)などの透明接着層が、ガラスパネル上に配置されてもよく、可視層は、接着層上に形成されてもよく、材料層は、可視層上に形成されてもよい。
【0026】
また、本方法は、形成された材料層の上に太陽電池構造を形成することを含んでもよい。本方法は、形成された太陽電池構造の上にガラス板を配置することをさらに含んでもよい。
【0027】
代替実施形態では、本方法は、太陽電池構造を提供することと、太陽電池構造の表面上に材料層を直接的または間接的に形成することとを含む。本方法は、形成された材料層上に可視層を直接的または間接的に形成することと、形成された可視層上にガラス板を配置することとをさらに含んでもよい。
【0028】
本発明は、本発明の特定の実施形態に関する以下の説明からより完全に理解されるであろう。以下、添付の図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の一実施形態による、所望の外観を有する太陽光発電モジュールの概略断面図である。
図2】本発明の一実施形態による、所望の外観を有する太陽光発電モジュールの概略断面図である。
図3】印刷されたドットの概略上面図である。
図4】正規化された厚さの関数としての正規化された透過出力を示すグラフである。
図5】測定された光の透過率を印刷された色の関数として示す。
図6】本発明の一実施形態による、印刷ドットの概略断面図である。
図7】本発明の一実施形態による、所望の外観を有する太陽光発電モジュールの概略断面図である。
図8】本発明の一実施形態による、所望の外観を有する太陽光発電モジュールの概略断面図である。
図9】本発明の一実施形態による、所望の外観を有する太陽光発電モジュールを形成する方法を示すフローチャートである。
図10図9を参照して示した方法の実施形態を示す。
図11図9を参照して示した方法の実施形態を示す。
図12図9を参照して示した方法の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
まず図1を参照して、一実施形態による所望の外観を有する太陽光発電モジュール100を説明する。太陽光発電モジュール100は、ガラスパネル102を備え、その上に透明導電性酸化インジウムスズ(ITO)などの透明接着層103、可視層104、および材料層106が配置される。可視層104は、画像、色、またはパターンを含む。材料層106は、選択された厚さ(典型的には0~5μm程度)および典型的には10~200μmの直径を有する複数のドットを含む。ドットは、白く(十分な厚みがある場合)、典型的にはドットが肉眼では見えないほど十分に小さい。
【0031】
この実施形態では、可視層104は、材料層106のドットの上に印刷された画像を含む。画像の解像度は、材料層のドットの密度と分布によって決まる。解像度は、1インチ当たり50~5000ドットの範囲であり得る。材料層106および可視層104については、以下でさらに詳細に説明する。太陽光発電モジュール100は、太陽電池構造を形成する複数の層108をさらに備え、(i)酸化インジウムスズ(ITO)などの透明電極層、(b)硫化カドミウム(CdS)などのn型半導体層、(iii)テルル化カドミウム(CdTe)などのp型半導体層、および(iv)アルミニウムなどの反射電極を備えてもよい。この実施形態では、層108は、従来の太陽電池構造を形成するが、これはよく知られており、本明細書ではさらに詳細に説明しない。ポリビニルブチラール(PVB)の層が太陽電池層108の上に配置され、これは得られた構造をガラスパネル112に接着するために使用される。
【0032】
代替実施形態では、可視層104および材料層106は、PVBシート(図示せず)を使用して従来の太陽光発電モジュールの前面ガラスパネル上に印刷される。この実施形態については、図6を参照して以下でさらに詳細に説明する。
【0033】
太陽電池および太陽光発電モジュールは、黒いまたは暗い外観(活性表面)を有する。上述したように、材料層16のドットは、十分に厚い場合には白色であるが、ドットの厚さが5μmから0μmに減少すると、太陽電池の黒いまたは暗い領域の上に配置されるため、より暗い色(灰色から黒色の範囲)に見える。
【0034】
代替的または追加的に、ドットは、ドットの組成物に応じた透過率を有する。この場合、ドットは、可視光に対して透過性を有するインク(800℃までの耐熱性を有する耐熱クリアラッカーMoTip、またはAl2O3またはSiO2などの金属酸化物粒子の個別または組成物をアニーリングして作られた透明なガラスセラミックインクなど)と、可視光に対して非透過性であるインクとの組成物を使用して形成される。可視光に対して透過性を有するインクと可視光に対して非透過性であるインクとの比率は、所望の黒色度または暗度を実現するために選択される。
【0035】
また、ドットの厚さおよび組成物だけでなく、ドットの直径も、太陽光発電モジュールの所望の外観の特徴のコントラストおよび/または暗さもしくは明るさに影響を与える。ドット間の領域は、可視光に対して透過性を有し、その結果、黒くまたは暗く見える(従来の太陽光発電モジュールの色)。したがって、可視層104は、黒いまたは暗い特徴が見えるように、材料層内で選択された厚さおよび直径の変化を有するドットを提供することが可能であるため、材料層上の可視層内に画像を形成するときに、必ずしも黒いまたは暗い特徴を含まない。
【0036】
この実施形態では、太陽光発電モジュール100の外から見た際の画像の特徴が黒くまたは暗く見える場合でも、可視層104は、背景色を使用せずに可視層104内に形成された印刷画像を含む。画像は、シアン、マゼンタ、イエローのみを使用して印刷される。印刷に黒インクが使用されないため、可視層を通る可視光の透過率に対する悪影響を軽減でき、その結果、太陽光発電モジュールの変換効率に対する悪影響を軽減できる。材料層106および可視層104のドットは両方とも、デジタルUV印刷またはデジタルセラミック印刷などのデジタル印刷プロセスを使用して形成されてもよい。
【0037】
また、本発明者は、画像のより明るい色の領域であっても、ドットの適切な組成物を選択することによってドットの厚さが減少すれば、またはドットの透過率が増加すれば、画像内の良好で許容可能なコントラストをすでに実現できることがわかった。この実施形態では、ドットの透過率は、ドットがドットを通る透過を遮断するのに比べて85%増加する。これは、ドットの厚さを、ドットがドットを通る透過を遮断する最小の厚さの15%まで減少させることによって実現することができる。代替的には、ドットの適切な組成物を選択することによって、ドットの透過率が85%増加する(それに応じて透明インク成分の量が増加する)。透過率の増加により、太陽光発電モジュールの変換効率が向上する。記載された実施形態の変形例では、ドットが他の任意の適切な厚さまたは組成物を有してもよいことが当業者には理解されよう。
【0038】
図2は、本発明の一実施形態によるさらなる太陽光発電モジュールを示す。図示の太陽光発電モジュール150は、図1を参照して示された太陽光発電モジュール100に関連しており、同様の構成要素には同様の参照符号が与えられている。太陽光発電モジュール150は、透明インクの層または耐熱クリアワニス(またはラッカー)の層152を備え、これは、例えば、アセトン、プロパン、ブタン、イソブタン、酢酸2-メトキシ-1-メチルエチル、酢酸n-ブチル、ブタン-1-オールおよびキシレンなどの化学物質の組み合わせで構成され得る。透明インクまたは耐熱クリアワニスは、隣接するドット間のギャップを埋め、ドット間の高さの差を均等にし、太陽電池構造108が形成される平面を形成する。
【0039】
ここで図3~6を参照して、材料層106および可視層104のドットをさらに詳細に説明する。この実施形態では、ドット200は、円筒形状を有し、アレイを形成する。ドットは、デジタルインクジェットプリンタを使用したデジタル印刷プロセスを使用して形成される。ドットは、色が白(十分に厚い場合)であり、太陽光発電モジュールの所望の外観の特徴の所望のコントラストおよび/または暗さもしくは明るさに応じて選択される厚さを有する。図3は、材料層106のドットを小規模に選んだものを示しており、これらのドットは、選択された小さな領域内で偶然同じ直径を有する。図示の例では、ドットは100μmの直径を有し、ドット間のギャップは30μmである。
【0040】
図4は、ドットの正規化された厚さの関数としての可視光の正規化された透過率のグラフである。見てわかるように、透過率は、ドットの厚さとともに指数関数的に減少し、厚さ4μmで2%に達し、厚さが5μmを超えるとほぼゼロになる。
【0041】
図5は、ガラス上の印刷されたマゼンタ、シアン、イエロー、および白の色(厚さ約5μm)またはガラス上の白いドット(厚さ約5μm)の測定された透過率を示す。白いドットは、可視光に対する57.58%の透過率を有する。ガラス上の印刷された色は、90%の平均透過率を有し、白いドット上の印刷された色は、48.5%の平均透過率を有する。白いドットが図3に示すようなサイズと分布を有し、ドット間の領域内にも色が印刷されていると仮定すると(その結果、ドット間の平均透過率は90%である)、図2に示すドット分布の合計平均透過率は、約70.5%である。
【0042】
図6は、本発明の一実施形態による太陽光発電モジュールの一部の断面図である。図6は、ドット500の形態の材料層の一部と、ドット500上の印刷された色の形態の可視層の一部を示す。図示のドット500は、太陽光発電モジュールの所望の外観によって決定される範囲の直径、厚さ、および組成物を有する。上で論じたように、ドット500を有する材料層は、従来の太陽光発電モジュールの暗いまたは黒い領域の上に配置され、その結果、その(可視光に対するドットの透過率を決定する)直径、厚さ、および組成物は、可視層内で見えるように特徴(画像など)の暗さ、明るさ、およびコントラストを決定する。
【0043】
ここで図7を参照すると、本発明の一実施形態による太陽光発電モジュール600が示されている。太陽光発電モジュール600は、従来の太陽光発電モジュール604の透明な外側パネル上に、任意選択的には薄い接着層606上に直接的に形成された材料層602を備える。代替的には、材料層602は、可視光に対して大部分が透明である薄い層603上に配置されてもよい。可視層610は、材料層608の上に形成される。可視層610および材料層608は、図1~5を参照して上述した可視層104および材料層106に類似している。上述したように、材料層602の白いドットの厚さ、組成物、および被覆率は、太陽光発電モジュール600の所望の視覚的外観を実現するように選択される。次に、ガラスパネル612が、PVB層614を使用して、得られた構造に接着される。
【0044】
当業者であれば、従来の太陽光発電モジュールは当技術分野でよく知られており、通常、ガラスまたはポリマー材料などの適切な透明材料から形成された外側パネルを有することを理解するであろう。この実施形態では、太陽光発電モジュール604は、CdTe系の太陽電池を備える。
【0045】
ここで図8を参照すると、本発明の一実施形態による太陽光発電モジュール600が示されている。太陽光発電モジュール700は、図6を参照して上で示した太陽光発電モジュール600に関連しており、同様の構成要素には同様の参照符号が与えられている。太陽光発電モジュール700は、従来の太陽電池702(この例ではCdTe系)と、太陽光発電モジュール700の背面から見える画像の色またはパターンも含むさらなる可視層704とを含む。この実施形態では、可視層704は、薄い白い層706上に配置され、次いで、保護層707およびPVB層78を介して太陽電池702に結合される。可視層704は、接着層714を介して外側ガラスパネル712にも結合される。
【0046】
ここで図9を参照して、本発明の特定の実施形態による所望の外観を有する太陽光発電モジュールを形成する方法を説明する。方法800は、黒いまたは暗い表面部分を有する太陽電池または太陽光発電モジュールを提供するステップ802を含む。この実施形態では、ステップ802は、複数のCdTe系の太陽電池を有する従来の太陽光発電モジュールを提供することを含む。
【0047】
方法800は、太陽電池の黒いまたは暗い表面部分の上に材料層を形成するステップ804をさらに含む。材料層は、太陽電池の黒いまたは暗い表面部分よりも色または外観が明るい材料部分を有し、材料部分の厚さに応じた、可視光に対する透過率を有する。材料層は、より明るい色または外観の材料部分の間の光に対して大部分が透過性を有する。
【0048】
さらに、方法800は、材料層の上に可視層を形成するステップ806を含む。この実施形態では、可視層は、画像を含むが、代替的にパターンまたは色を含んでもよい。材料層を形成することは、太陽光発電モジュールの所望の外観の特徴の所望のコントラストおよび/または暗さ、明るさ、もしくは色に応じて、材料層の材料部分の厚さおよび/または横方向の被覆率を選択することを含む。
【0049】
ここで、方法800の実施形態について、図10を参照してより具体的に説明する。最初に、ガラス板が提供される(ステップ1002)。この例では、ガラス板は、3mmの厚さを有する。次いで、ガラス板上に、画像を含む可視層を形成する(ステップ1004)。可視層は、図6を参照して論じた可視層610に類似している。次いで、可視層の上に、材料層を形成する(ステップ1006)。材料層は、デジタルUV印刷またはデジタルセラミック印刷などのデジタル印刷プロセスを使用して形成される。材料層は、所望の透過率を実現するために変化した厚さを有するドットを含む。これは、デジタル印刷手順のシーケンスを使用して実現される。シーケンスの各後続の印刷手順では、選択したドットが、前の手順で印刷されたドットの上に印刷され得る。すべてのドットが各シーケンスで印刷されるわけではなく、その結果、各ドットの累積した厚さが各シーケンスで印刷される、選択したドットに依存する場合、厚さの変化を実現することができる。次いで、ステップ1008で、耐熱透明インクの層またはワニス(またはラッカー)の層を塗布して、ドット間のギャップを埋め、隣接するドット間の高さの差を均等にする。透明インクまたはワニスは、例えば、アセトン、プロパン、ブタン、イソブタン、酢酸2-メトキシ-1-メチルエチル、酢酸n-ブチル、ブタン-1-オールおよびキシレンなどの化学物質の組み合わせで構成され得る。その後、材料層上に、従来の薄膜太陽電池構造を直接的または間接的に形成し、次いでPVBの層を使用して、ガラス板(厚さ3mm)を得られた構造に取り付ける(ステップ1010)。当業者であれば、そのような従来の薄膜太陽電池構造の形成はよく知られており、本明細書ではさらに詳細に説明しないことを理解するであろう。
【0050】
ここで図11を参照して、方法800の別の実施形態について説明する。最初に、厚さ3mmのガラス板が提供される(ステップ1102)。次いで、ガラス板上に、画像を含む可視層を形成する(ステップ1104)。可視層は、図6を参照して論じた可視層610に類似している。次いで、可視層の上に、材料層を形成する(ステップ1106)。この実施形態では、デジタル印刷プロセスを使用して、ドットの組成物が変更される。この場合、可視光に対して透過性を有するインクまたはワニスと可視光に対して非透過性であるインクとの組成物を使用して、ドットを形成する。ドットを形成することは、可視光に対して透過性を有するインクまたはワニスと可視光に対して非透過性であるインクとの比率を選択することをさらに含む。次いで、ステップ1008で、耐熱性透明インクの層またはワニス(またはラッカー)の層を塗布して、ドット間のギャップを埋め、隣接するドット間の高さの差を均等にする。透明インクまたはワニス(またはラッカー)は、例えば、アセトン、プロパン、ブタン、イソブタン、酢酸2-メトキシ-1-メチルエチル、酢酸n-ブチル、ブタン-1-オールおよびキシレンなどの化学物質の組み合わせで構成され得る。図10を参照して示した実施形態と同様に、材料層上に、従来の薄膜太陽電池構造を直接的に形成する(ステップ1010)。次いで、PVBシートを使用して、形成された構造に、追加のガラスパネル(この例では厚さ3mm)を接着する。
【0051】
ここで図12を参照して、方法800のさらなる実施形態について説明する。この実施形態では、本方法は、太陽電池がガラス板の間に挟まれた従来の太陽電池モジュールを提供する最初のステップ1202を含む(この実施形態では、各ガラス板の厚さは3mmである)。ステップ1204は、ガラス板のうちの1つに接着層を形成することを含む。ステップ1206は、接着層上に材料層を形成することを含む。材料層は、デジタル印刷プロセスを使用して形成され、所望の透過率を実現するために変化した厚さを有するドットを含む。図10を参照して上述したように、これは、デジタル印刷手順のシーケンスを使用して実現される。シーケンスの各後続の印刷手順では、選択したドットが、前の手順で印刷されたドットの上に印刷され得る。説明した実施形態の変形例では、ドットは、図11を参照して上述したように、所望の外観をもたらすように選択された組成物を有してもよい。次いで、ステップ1208で、材料層上に、画像を含む可視層を形成する。ドットの高さの差が均等にならないなら非平面となる可視層は、図6を参照して論じた可視層610に類似している。ステップ1210では、PVBの層を使用して、得られた構造に、ガラス板(厚さ3mm)を接着する。
【0052】
ここで、図1および図2を参照して、方法800の変形例について説明する。最初に、上述のようにデジタル印刷プロセスを使用して、ガラスパネル102の接着層103上に、可視層104を形成する。次いで、上述の方法で画像層102上に、材料層106を印刷する。次いで、任意選択で、透明インクの層または耐熱クリアワニスの層152(図2に示す)を形成して、隣接するドット間のギャップを埋め、ドット間の高さの差を均等にし、平面を形成する。その後、材料層106(図1)上に直接的に、または透明インクの層または耐熱クリアワニスの層(152)上に、従来の薄膜太陽電池構造108を形成する。当業者であれば、そのような従来の太陽電池構造の形成はよく知られており、本明細書ではさらに詳細に説明しないことを理解するであろう。ガラスパネル112は、PVBシート110を使用して、形成された構造に接着される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】