(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-04
(54)【発明の名称】垂直共振器面発光レーザ、ヘッドジンバルアセンブリ、及び製造プロセス
(51)【国際特許分類】
H01S 5/183 20060101AFI20240226BHJP
H01S 5/042 20060101ALI20240226BHJP
H01S 5/02355 20210101ALI20240226BHJP
【FI】
H01S5/183
H01S5/042 612
H01S5/02355
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023554391
(86)(22)【出願日】2022-03-11
(85)【翻訳文提出日】2023-09-06
(86)【国際出願番号】 US2022019987
(87)【国際公開番号】W WO2022265703
(87)【国際公開日】2022-12-22
(32)【優先日】2021-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504056130
【氏名又は名称】ウェスタン デジタル テクノロジーズ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100207837
【氏名又は名称】小松原 寿美
(72)【発明者】
【氏名】松本 拓也
(72)【発明者】
【氏名】スタイプ、バリー シー.
【テーマコード(参考)】
5F173
【Fターム(参考)】
5F173AC00
5F173AC52
5F173AK21
5F173AK23
5F173AP71
5F173AR94
5F173AR99
5F173MA10
5F173MC23
5F173MC25
5F173MD53
5F173MD58
5F173MD63
(57)【要約】
本開示の実施形態は、概して、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)、VCSELをマウントするためのヘッドジンバルアセンブリ、そのような物品を組み込んだデバイス、及びVCSELを形成するためのプロセスに関する。一実施形態では、VCSELデバイスを形成するためのプロセスが提供される。本プロセスは、基板にトレンチを形成することと、トレンチ内に2つのレーザダイオード電極を形成することと、2つのレーザダイオード電極を形成した後、トレンチに沿って基板を切断してVCSELを形成することと、を含み、VCSELは、スライダ上にマウントするためのチップを備え、チップは、6つの面を有し、チップの第1の面は、スライダに面するためのものであり、チップの第2の面は、第1の面の反対側にあり、2つのレーザダイオード電極は、第3の面、第4の面、第5の面、又は第6の面のうちの1つ以上の上に任意の組み合わせで位置付けられている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)デバイスを形成するためのプロセスであって、
基板にトレンチを形成することと、
前記トレンチ内に2つのレーザダイオード電極を形成することと、
前記2つのレーザダイオード電極を形成した後、前記トレンチに沿って前記基板を切断してVCSELを形成することと、を含み、前記VCSELは、
スライダ上にマウントするためのチップを備え、前記チップは、6つの面を有し、
前記チップの第1の面は、前記スライダに面するためのものであり、
前記チップの第2の面は、前記第1の面の反対側にあり、
前記2つのレーザダイオード電極は、第3の面、第4の面、第5の面、又は第6の面のうちの1つ以上の上に任意の組み合わせで位置付けられている、プロセス。
【請求項2】
前記トレンチ内に前記2つのレーザダイオード電極を形成することが、
前記基板上に導電性材料を含むシード層を堆積させることと、
前記シード層上にフォトレジスト材料をパターニングすることと、
前記フォトレジスト材料を含まない前記シード層の少なくとも一部の上に金属含有材料を堆積させることと、を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記シード層が、スパッタリング、原子層堆積、イオンビーム堆積、若しくはこれらの組み合わせによって堆積されるか、
金属含有材料が、めっき、スパッタリング、真空蒸着、イオンビーム堆積、若しくはこれらの組み合わせによって堆積されるか、又は
その両方である、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記シード層が、イオンビーム堆積によって堆積される、請求項3に記載のプロセス。
【請求項5】
前記シード層が、銅、金、クロム、チタン、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、白金、又はこれらの組み合わせを含む、請求項2に記載のプロセス。
【請求項6】
前記基板に前記トレンチを形成することが、単一のトレンチを形成することを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
前記基板に前記トレンチを形成することが、第1のトレンチ及び第2のトレンチを形成することを含み、前記第1のトレンチは、前記第1のトレンチ内に前記2つのレーザダイオード電極のうちの第1のレーザダイオード電極を配置するためのものであり、前記第2のトレンチは、前記前記第2のトレンチ内に前記2つのレーザダイオード電極のうちの第2のレーザダイオード電極を配置するためのものである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
前記基板が、Ga、As、Al、In、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項9】
前記基板が、GaAs、AlAs、AlGaAs、InGaAs、InGaAsN、GaAsN、GaAsP、InP、及びInGaAsPからなる群から選択される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項10】
垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)デバイスを形成するためのプロセスであって、
基板内に1つ以上のトレンチをエッチングすることと、
前記1つ以上のトレンチ内に2つのレーザダイオード電極を形成することと、
前記2つのレーザダイオード電極を形成した後、前記1つ以上のトレンチに沿って前記基板を切断してVCSELを形成することと、を含み、前記VCSELは、
スライダ上にマウントするためのチップを備え、前記チップは、6つの面を有し、
前記チップの第1の面は、前記スライダに面するためのものであり、
前記チップの第2の面は、前記第1の面の反対側にあり、
前記2つのレーザダイオード電極は、第3の面、第4の面、第5の面、又は第6の面のうちの1つ以上の上に任意の組み合わせで位置付けられている、プロセス。
【請求項11】
前記基板内に前記1つ以上のトレンチをエッチングすることが、
前記1つ以上のトレンチのうちの第1のトレンチをエッチングすることと、
前記1つ以上のトレンチのうちの第2のトレンチをエッチングすることと、を含む、請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
前記2つのレーザダイオード電極のうちの第1のレーザダイオードの少なくとも一部が、前記第1のトレンチ内に位置付けられ、
前記2つのレーザダイオード電極のうちの第2のレーザダイオードの少なくとも一部が、前記第2のトレンチ内に位置付けられる、請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
前記第1のトレンチをエッチングすること、前記第2のトレンチをエッチングすること、又はその両方が、塩素含有材料を用いて反応性イオンエッチングを実施することを含む、請求項11に記載のプロセス。
【請求項14】
前記1つ以上のトレンチ内に前記2つのレーザダイオード電極を形成することが、
前記基板上に導電性材料を含むシード層を堆積させることと、
前記シード層の少なくとも一部の上に金属含有材料を堆積させることと、を含む、請求項10記載のプロセス。
【請求項15】
垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)デバイスを形成するためのプロセスであって、
基板において内部に形成された1つ以上のトレンチをエッチングすることと、
前記基板上に導電性材料を含むシード層を堆積させることと、
前記シード層上にフォトレジスト材料をパターニングすることと、
前記フォトレジスト材料を含まない前記シード層の少なくとも一部の上に金属含有材料を堆積させることと、
前記フォトレジスト材料及び前記シード層の一部を前記基板から除去することと、
前記フォトレジスト材料及び前記シード層の前記一部を除去した後に、前記基板の前記1つ以上のトレンチに沿って前記基板を切断してVCSELを形成することと、を含み、前記VCSELは、
スライダ上にマウントするためのチップであって、前記チップは、6つの面を有し、
前記チップの第1の面は、前記スライダに面するためのものであり、
前記チップの第2の面は、前記第1の面の反対側にある、チップと、
第3の表面、第4の表面、第5の表面、又は第6の表面のうちの1つ以上の上に任意の組み合わせで位置付けられた2つのレーザダイオード電極であって、前記シード層及び前記金属含有材料から形成されている、2つのレーザダイオード電極と、を備える、プロセス。
【請求項16】
前記1つ以上のトレンチが異なる深さを有する、請求項15に記載のプロセス。
【請求項17】
前記シード層が、イオンビーム堆積によって堆積される、請求項15に記載のプロセス。
【請求項18】
前記シード層が、銅、金、クロム、チタン、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、白金、又はこれらの組み合わせを含む、請求項15に記載のプロセス。
【請求項19】
前記基板をダイシングする前、かつ前記フォトレジスト材料及び前記シード層の前記一部を除去した後に、前記基板、前記シード層、前記金属含有材料、又はこれらの組み合わせの上にレジストコーティングを堆積させることを更に含む、請求項15に記載のプロセス。
【請求項20】
前記シード層を堆積させる前に、前記基板の少なくとも一部の上に絶縁層が堆積される、請求項15に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年6月16日に出願された米国仮出願第63/211,288号及び2021年6月16日に出願された米国仮出願第63/211,302号の優先権を主張する、2022年2月2日に出願された米国出願第17/591,414号の優先権を主張するものであり、これらの各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本開示の実施形態は、概して、垂直共振器面発光レーザ、垂直共振器面発光レーザをマウントするためのヘッドジンバルアセンブリ、そのような物品を組み込むデバイス、及び垂直共振器面発光レーザを形成するためのプロセスに関するものである。
【背景技術】
【0003】
熱アシスト磁気記録(heat-assisted magnetic recording、HAMR)は、磁気記録媒体の記録密度を改善するためのエネルギーアシスト記録技術の一種である。HAMRでは、レーザ源は、近距離場トランスデューサ(near-field transducer、NFT)を励起して磁気記録媒体の書き込み位置で熱を生成するレーザ源などの熱を生成するために、書き込み要素の隣又は近くに位置する。HAMRにおいて熱を提供する1つの手法は、垂直共振器面発光レーザ(vertical cavity surface emitting laser、VCSEL)を使用して、レーザ光を、磁気記録ヘッドを通して磁気媒体に向けることを伴う。ここで、VCSELはスライダの上面にマウントされており、1つ以上のレーザビームがVCSELの底面から発光され、HAMRヘッド内の対応する数の導波管構造体に向けられる。導波管構造体は、マルチモード干渉(multimode interference、MMI)デバイスに供給され、次いで、MMIデバイスは、レーザを導波管に向けて近接場トランスデューサ(near field transducer、NFT)上に集束させる。
【0004】
従来のVCSELは、他のレーザ、例えば端面発光レーザダイオードに比べてコストが削減されており、モードホッピングを有していないが、従来のVCSELは、導波管とレーザとの間の結合を最大化するためのアクティブアライメントが可能となっていない。このアクティブアライメントの欠如は、VCSELのレーザダイオード電極がスライダの上面に接続されているか、又は対向していることに起因している。更に、VCSELのレーザダイオード電極はスライダに接続されるので、スライダの製造中に複雑な裏面パターニングプロセスが一般に使用される。
【0005】
新規かつ改良されたVCSEL、VCSELをマウントするためのヘッドジンバルアセンブリ(head gimbal assembly、HGA)、及びそのような物品を組み込んだデバイスが必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本開示の実施形態は、概して、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)、VCSELをマウントするためのヘッドジンバルアセンブリ、及びそのような物品を組み込んだデバイス、及びVCSELを形成するためのプロセスに関するものである。
【0007】
一実施形態では、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)デバイスを形成するプロセスが提供される。本プロセスは、基板にトレンチを形成することと、トレンチ内に2つのレーザダイオード電極を形成することとを含む。本プロセスは、2つのレーザダイオード電極を形成した後、トレンチに沿って基板を切断してVCSELを形成すること、を更に含み、VCSELは、スライダ上にマウントするためのチップを備え、チップは、6つの面を有し、チップの第1の面が、スライダに面しており、チップの第2の面は、第1の面の反対側にあり、2つのレーザダイオード電極は、第3の面、第4の面、第5の面、又は第6の面のうちの1つ以上の上に任意の組み合わせで位置付けられている。
【0008】
別の実施形態では、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)デバイスを形成するプロセスが提供される。本プロセスは、基板に1つ以上のトレンチをエッチングすることと、1つ以上のトレンチ内に2つのレーザダイオード電極を形成することとを含む。本プロセスは、2つのレーザダイオード電極を形成した後、1つ以上のトレンチに沿って基板を切断してVCSELを形成すること、を更に含み、VCSELは、スライダ上にマウントするためのチップを備え、チップは、6つの面を有し、チップの第1の面が、スライダに面しており、チップの第2の面は、第1の面の反対側にあり、2つのレーザダイオード電極は、第3の面、第4の面、第5の面、又は第6の面のうちの1つ以上の上に任意の組み合わせで位置付けられている。
【0009】
別の実施形態では、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)デバイスを形成するプロセスが提供される。本プロセスは、基板において内部に形成された1つ以上のトレンチをエッチングすることと、基板上に導電性材料を含むシード層を堆積させることと、シード層上にフォトレジスト材料をパターニングすることと、を含む。本プロセスは、フォトレジスト材料を含まないシード層の少なくとも一部の上に金属含有材料を堆積させることと、フォトレジスト材料及びシード層の一部を基板から除去することとを更に含む。本プロセスは、フォトレジスト材料及びシード層の一部を除去した後に、基板の1つ以上のトレンチに沿って基板を切断してVCSELを形成することを更に含み、VCSELは、スライダにマウントするためのチップであって、チップは、6つの面を有し、チップの第1の面は、スライダに面するためのものであり、チップの第2の面は、第1の面の反対側にある、チップと、第3の面、第4の面、第5の面、又は第6の面のうちの1つ以上の上に任意の組み合わせで位置付けられた2つのレーザダイオード電極であって、シード層及び金属含有材料から形成されている、2つのレーザダイオード電極と、を備える。
【0010】
一実施形態では、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)デバイスが提供される。VCSELデバイスは、スライダ上にマウントするためのチップと、2つのレーザダイオード電極とを含む。チップは6つの面を有し、チップの第1の面はスライダに面するためのものであり、チップの第2の面は第1の面の反対側にあり、2つのレーザダイオード電極は、チップの第3の面、第4の面、第5の面、又は第6の面のうちの1つ以上の上に任意の組み合わせで位置付けられている。
【0011】
別の実施形態では、磁気記録ヘッドアセンブリが提供される。磁気記録ヘッドアセンブリは、ヘッドアセンブリと、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)デバイスとを含む。VCSELデバイスは、スライダ上にマウントするためのチップと、2つのレーザダイオード電極とを含む。チップは6つの面を有し、チップの第1の面はスライダに面するためのものであり、チップの第2の面は第1の面の反対側にあり、2つのレーザダイオード電極は、チップの第3の面、第4の面、第5の面、又は第6の面のうちの1つ以上の上に任意の組み合わせで位置付けられている。
【0012】
別の実施形態では、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)デバイスが提供される。VCSELデバイスは、スライダ上にマウントするためのチップと、2つのレーザダイオード電極とを含む。チップは6つの面を有し、チップの第1の面はスライダに面するためのものであり、チップの第2の面は第1の面の反対側にあり、2つのレーザダイオード電極は、チップの第3の面、第4の面、第5の面、又は第6の面のうちの1つ以上の上に任意の組み合わせで位置付けられている。2つのレーザダイオード電極の各レーザダイオード電極は、チップ内に形成されたトレンチ内に個別に位置付けられている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本開示の上記の特徴を詳細に理解することができるように、簡潔に上で要約した本開示のより具体的な説明は、実施形態を参照することによってなされ得、それらのいくつかが添付の図面に例示されている。しかしながら、添付の図面は、本開示の典型的な実施形態のみを例示し、したがって、その範囲を限定するものと見なされるべきではなく、本開示が他の同等に有効な実施形態を認め得ることに留意すべきである。
【
図1】本開示の少なくとも1つの実施形態による、HAMR磁気書込みヘッドを含む例示的な磁気媒体ドライブの概略図である。
【
図2】本開示の少なくとも1つの実施形態による、磁気ディスクに面する例示的なHAMR書込みヘッドの断面側面図の特定の実施形態の概略図である。
【
図3A】本開示の少なくとも1つの実施形態による、レーザダイオード電極のないVCSELの表面を示す。
【
図3B】本開示の少なくとも1つの実施形態による、レーザダイオード電極を有し、それに結合された例示的なVCSELの側面図を示す。
【
図3C】本開示の少なくとも1つの実施形態による、レーザダイオード電極が底面まで延在する、例示的なVCSELの底面図を示す。
【
図4A】本開示の少なくとも1つの実施形態による、例示的なVCSELがマウントされた例示的スライダの断面図(ダウントラック方向)の概略図である。
【
図4B】本開示の少なくとも1つの実施形態による、
図4Aに示す例示的なVCSELの断面図(クロストラック方向)である。
【
図5】本開示の少なくとも1つの実施形態による、例示的な熱アシスト磁気記録ヘッドジンバルアセンブリの一部の斜視図である。
【
図6A】本開示の少なくとも1つの実施形態による、例示的VCSELがマウントされた例示的なスライダの斜視図の概略図である。
【
図6B】本開示の少なくとも1つの実施形態による、
図6Aに示す例示的なVCSELの底面図である。
【
図6C】本開示の少なくとも1つの実施形態による、例示的なVCSELの斜視図であり、レーザダイオード電極が、VCSELの幅よりも小さい幅を有する単一のトレンチ内に配置されている。
【
図6D】本開示の少なくとも1つの実施形態による、例示的なVCSELの斜視図であり、レーザダイオード電極は、VCSELの幅と実質的に同じサイズの幅を有する単一のトレンチ内に配置されている。
【
図7A】本開示の少なくとも1つの実施形態による、例示的なVCSELの斜視図である。
【
図7B】本開示の少なくとも1つの実施形態による、
図7Aに示す例示的なVCSELの底面図である。
【
図8A】本開示の少なくとも1つの実施形態による、例示的VCSELがマウントされた例示的なスライダの斜視図の概略図である。
【
図8B】本開示の少なくとも1つの実施形態による、例示的なVCSELの斜視図である。
【
図8C】本開示の少なくとも1つの実施形態による、
図8Bに示す例示的なVCSELの底面図である。
【
図9】本開示の少なくとも1つの実施形態による、VCSELの側面上に電極を形成するための例示的なプロセスの選択された動作を示すプロセスフロー図である。
【
図10】本開示の少なくとも1つの実施形態による、VCSELの側面上に電極を形成するための例示的なプロセスの選択された動作を示すフローチャート図である。
【
図11】本開示の少なくとも1つの実施形態による、VCSELの側面上に電極を形成するための例示的なプロセスの選択された動作を示すプロセスフロー図である。
【
図12】本開示の少なくとも1つの実施形態による、VCSELの側面上に電極を形成するための例示的なプロセスの選択された動作を示すプロセスフロー図である。
【
図13】本開示の少なくとも1つの実施形態による、VCSELの側面上に電極を形成するための例示的なプロセスの選択された動作を示すプロセスフロー図である。
【
図14】本開示の少なくとも1つの実施形態による、VCSELの側面上に電極を形成するための例示的なプロセスの選択された動作を示すプロセスフロー図である。
【
図15】本開示の少なくとも1つの実施形態による、VCSELの側面上に電極を形成するための例示的なプロセスの選択された動作を示すプロセスフロー図である。
【
図16】本開示の少なくとも1つの実施形態による、VCSELの側面上に電極を形成するための例示的なプロセスの選択された動作を示すプロセスフロー図である。
【
図17】本開示の少なくとも1つの実施形態による、VCSELの側面上に電極を形成するための例示的なプロセスの選択された動作を示すプロセスフロー図である。
【
図18A】本開示の少なくとも1つの実施形態による、処理中に形成される側壁の可変角度を示すウェハの一部の図である。
【
図18B】本開示の少なくとも1つの実施形態による、処理後に形成されたVCSELにおける
図18Aからの傾斜側壁の位置を示す図である。
【
図19】本開示の少なくとも1つの実施形態による、トレンチ1925がVCSELの異なる側にエッチングされる場合のプロセス変形例1900を示す図である。
【0014】
理解を容易にするために、図面に共通する同一の要素を示すために、可能な限り、同一の参照番号を使用している。一実施形態で開示される要素は、特に断ることなく、他の実施形態に有益に利用され得ることが企図される。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示の実施形態は、概して、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)、VCSELをマウントするためのヘッドジンバルアセンブリ、及びそのような物品を組み込んだデバイス、例えば磁気媒体ドライブに関するものである。本明細書で記載されるVCSELを製造するためのプロセスも記載される。
【0016】
本発明者らは、従来のVCSELとは異なり、例えば、VCSELのレーザダイオード電極を、スライダに接続された表面とは異なるVCSEL表面上に配置することによってアクティブアライメントを可能にする、新規で改良されたVCSELを見出した。簡潔に説明すると、いくつかの実施形態において、本明細書で記載されるVCSELは、スライダ上にマウントするための多面チップを含む。チップの第1の面は、スライダに面するためのものであり、チップの第2の面は、第1の面の反対側にあり、側面には、2つのレーザダイオード電極が位置付けら得る又は結合され得る。レーザダイオード電極がVCSELの側面に結合されるか、又は位置付けられるので、VCSEL及びVCSELを組み込んだデバイスの使用中にアクティブアライメントを実現することができる。加えて、本明細書で記載されるVCSELは、VCSELを組み込むスライダ及びHGAのために、より単純な製造プロセスを可能にし、それによってコストを低減する。
【0017】
図1は、HAMR磁気書き込みヘッドを含む磁気媒体ドライブの特定の実施形態の概略図である。そのような磁気媒体ドライブは、単一のドライブ/デバイスであり得るか、又は複数のドライブ/デバイスを含み得る。説明を容易にするために、一実施形態による単一のディスクドライブ100が示されている。ディスクドライブ100は、スピンドル114上に支持され、かつドライブモータ118によって回転可能な少なくとも1つの回転可能な磁気記録媒体112(しばしば磁気ディスク112と称される)を含む。各磁気ディスク112上の磁気記録は、磁気ディスク112上の同心データトラック(図示せず)の環状パターンなどの、データトラックの任意の好適なパターンの形態である。
【0018】
少なくとも1つのスライダ113は、磁気ディスク112の近くに位置付けられる。各スライダ113は、1つ以上の読み取りヘッド及びHAMR書き込みヘッドなどの1つ以上の書き込みヘッドを含むヘッドアセンブリ121(例えば、読み取り/記録ヘッドアセンブリ)を支持する。動作において、磁気ディスク112が回転すると、スライダ113は、ヘッド組立品121が、所望のデータが書き込まれる磁気ディスク112の異なるトラックにアクセスすることができるように、ディスク表面122の上方で半径方向において中及び外に移動する。各スライダ113は、サスペンション115によってアクチュエータアーム119に取り付けられる。サスペンション115は、スライダ113をディスク表面122に向かって付勢するわずかなばね力を提供する。各アクチュエータアーム119は、アクチュエータ127に取り付けられている。
図1に示されるようなアクチュエータ127は、ボイスコイルモータ(voice coil motor、VCM)であり得る。VCMは、固定磁場内で移動可能なコイルを含み、コイル移動の方向及び速度は、制御ユニット129によって供給されるモータ電流信号によって制御される。
【0019】
ディスクドライブ100の動作中、磁気ディスク112の回転は、スライダ113とディスク表面122との間に空気軸受を生成し、これがスライダ113に上向きの力又は揚力を作用させる。したがって、空気軸受は、サスペンション115のわずかなばね力と相殺し、通常の動作中、スライダ113をディスク表面122から、小さい、実質的に一定の間隔だけ離して、ディスク表面122のわずかに上方で支持する。
【0020】
ディスクドライブ100の各種構成要素は、アクセス制御信号及び内部クロック信号などの、制御ユニット129によって生成された制御信号によって動作制御される。典型的には、制御ユニット129は、論理制御回路、記憶手段、及びマイクロプロセッサを含む。制御ユニット129は、ライン123のドライブモータ制御信号及びライン128のヘッド位置及びシーク制御信号など、様々なシステム動作を制御するための制御信号を生成する。ライン128上の制御信号は、スライダ113を磁気ディスク112上の所望のデータトラックに最適に移動させ、位置付けるための所望の電流プロファイルを提供する。書き込み及び読み取り信号は、記録チャネル125によってヘッドアセンブリ121に、及びヘッドアセンブリ121から通信される。
図1の磁気媒体ドライブの特定の実施形態は、複数の媒体、又はディスク、複数のアクチュエータ、及び/又は複数のスライダを更に含み得る。
【0021】
図2は、磁気ディスク112に面するHAMR書き込みヘッド230の断面側面図の特定の実施形態の概略図である。HAMR書き込みヘッド230は、
図1に記載された読み取り/記録ヘッドアセンブリ121、又は他の磁気媒体ドライブに使用される記録ヘッドの一部に対応し得る。HAMR書き込みヘッド230は、磁気ディスク112に面する空気軸受表面(air bearing surface、ABS)又は気体軸受表面(gas bearing surface、GBS)などの媒体に面する表面(media facing surface、MFS)を含む。
図2に示されるように、磁気ディスク112及びHAMR書き込みヘッド230は、矢印282によって示される方向に相対的に移動する(方向を変える必要がある)。
【0022】
HAMR書き込みヘッド230は、前方シールド234と後方シールド238との間に配置された主極236を含む。主極236は、MFSにおける主極先端237を含むことができる。主極先端237は、前方テーパ及び/又は後方テーパを含むか又は含まなくてもよい。主極236の周りのコイル260は、主極先端237を励起して、磁気ディスク112の磁気媒体に影響を与えるための書き込み磁場を生成する。磁気ディスク112は回転可能であってもよい。いくつかの実施形態では、コイル260は、螺旋構造体又は1つ以上のセットのパンケーキ構造体である。前方シールド234及び/又は後方シールド238は、主極236の戻り極として作用することができる。磁気ディスク112は、HAMR書き込みヘッド230に隣接して、又はその下に位置付けられる。コイル260内の電流によって生成される磁場は、磁気ディスク112内のビットの磁化方向を制御するために使用される。
【0023】
HAMR書き込みヘッド230は、主極先端237が磁気書き込みフィールドを記憶媒体に適用する場所に近接して磁気ディスク112を加熱するための構造体を含む。導波管242は、主極236と前方シールド234との間に位置付けられている。導波管242は、コア層と、コア層を取り囲むクラッド層とを含み得る。導波管242は、例えば、紫外線、赤外線、又は可視光であり得る電磁放出の光源278から光を伝導する。光源278は、例えば、レーザダイオード、又は導波管242に向かって光ビームを向けるための他の好適なレーザ光源であってもよい。光源278を導波管242に結合する様々で好適な技術が使用され得る。例えば、光源278は、光ビームを導波管242に向けるために、光ファイバ及び外部光学系との組み合わせで機能し得る。代替的に、光源278は、導波管242上にマウントされ得、光ビームは、外部光学構成を必要とせずに導波管242に直接結合され得る。光ビームが導波管242に結合されると、光は、矢印282によって示されるように、媒体がHAMR書き込みヘッド230に対して移動するにつれて、導波管242を通って伝播し、媒体の一部を加熱する。
【0024】
HAMR書き込みヘッド230は、導波管242の端部近くに熱を集中させるための近距離トランスデューサ(NFT)284を含む。NFT284は、MFSの近く又はMFSにある導波管242の中又は導波管242に隣接して位置付けられる。導波管242からの光は、NFT284によって吸収され、表面プラズモンを励起する。表面プラズモンは、NFT284の外側に沿ってMFSに向かって移動し、電荷をNFT284の先端に集中させ、次に、電荷は、磁気ディスクに容量結合し、ジュール熱によって磁気ディスク112の正確な領域を加熱する。HAMR書き込みヘッドのNFT284の設計としては、ディスク部分と、ディスクとMFSとの間に延びるペグと、を備えるロリポップ設計が考えられる。NFT284は、主極236に近接して配置され得る。NFT284は、比較的熱的に隔離され、共振中にレーザ電力のかなりの部分を吸収することができる。
【0025】
以下に説明するVCSEL及びHGAの様々な実施形態は、上述した磁気媒体ドライブ及びHAMR書込みヘッドとともに使用することができる。
【0026】
VCSEL及びHGAの例
本開示の実施形態は、VCSEL及びVCSELを組み込んだHGAにも関するものである。VCSELは、HAMRにおける光源として使用するために、端面発光レーザダイオード(edge emitting laser diode、EELD)と比較して、多くの重要な利点を有する。現在使用されているEELDは、レーザの端面発光ファセット面をスライダの上部に直接接合することが困難であるため、典型的にはサブマウントにマウントされる。次に、このサブマウントをスライダに接合する。これに対して、従来のVCSELは、スライダの上面上の対応する電極と一致する接合電極を面発光面上に有する。これらの電極は、レーザアシストはんだリフローによって一緒に接合され得、レーザに通電するための電気的接続部としても機能することができる。サブマウントが不要なため、光源コストを大幅に低減することができる。
【0027】
従来のVCSELは、他のレーザ、例えば端面発光レーザ(EELD)と比較してコストが低減され、モードホッピングを有さないが、従来のVCSELは、アクティブアライメントが可能ではない。これは、VCSELのレーザダイオード電極がスライダの上面に接続されているか、又は対向していることに起因している。本明細書に記載される実施形態は、最先端のVCSELとは異なり、アクティブアライメントを可能にする。
【0028】
図3Aは、いくつかの実施形態によるVCSEL300チップの表面を示す。VCSEL300は矩形プリズム形態を有するように示されているが、立方体などの他の適切な形態又は形状も企図される。VCSEL300は、スライダに直接又は間接的に結合することができる第1の面a(例えば、底面)と、第1の面aとは反対側の第2の面b(例えば、上面)とを有する。他の面、すなわち、第3の面c、第4の面d、第5の面e、及び第6の面fのうちの1つ以上は、任意の組み合わせで、その上に1つ以上のレーザダイオード電極(図示せず)を位置付け又は結合するために利用される。第3の面c、第4の面d、第5の面e及び第6の面fは、VCSEL300の側面である。VCSELの1つ以上の側面上に位置付けられた、又はそれに結合されたレーザダイオード電極の数は、1つ又は2つのレーザダイオード電極など、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、又は6つのレーザダイオード電極など、任意の適切な数とすることができる。
【0029】
いくつかの実施形態では、2つのレーザダイオード電極は、同じ側面上に位置付けられるか、又は同じ側面に結合される。例えば、2つのレーザダイオード電極は、第3の面c上に位置付けられるか、若しくはそれに結合されることが可能であり、2つのレーザダイオード電極が、第4の面d上に位置付けられるか、若しくはそれに結合されることが可能であり、2つのレーザダイオード電極が、第5の面e上に位置付けられるか、若しくはそれに結合されることが可能であり、又は、2つのレーザダイオード電極は、第6の面f上に位置付けられるか、若しくはそれに結合されることが可能である。
【0030】
いくつかの実施形態では、1つのレーザダイオード電極は、VCSELの1つの表面上に位置付けられるか、又は結合され、別のレーザダイオード電極は、任意の組み合わせで、VCSELの異なる表面上に位置付けられるか、又は結合される。例えば、非限定的な例として、一方のレーザダイオード電極は、第3の面c上に位置付けられ若しくは結合されることが可能であり、他方のレーザダイオード電極は、第4の面d上に位置付けられ若しくは結合されることが可能であり、又は、一方のレーザダイオード電極が、第3の面c上に位置付けられ若しくは結合され、他方のレーザダイオード電極は、第5の面e上に位置付けられ若しくは結合される。レーザダイオード電極をVCSEL300に結合するための他の向きも企図される。
【0031】
本明細書に記載のVCSELは、様々な寸法を有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、VCSELの底面(例えば、第1の面a)及び上面(例えば、第2の面b)は、約75μm~約150μmの高さ及び/又は約100μm~約250μmの長さを有する。VCSELの側面は、同じ又は同様の寸法を有することができる。底面(例えば、第1の面a)及び上面(例えば、第2の面b)の幅は、約100μm~約250μm、例えば約150μm~約200μmであってもよく、及び/又は底面(例えば、第1の面a)及び上面(例えば、第2の面b)の長さは、約100μm~約250μm、例えば約150μm~約200μmであってもよい。VCSELの寸法はこれより小さくても大きくてもよいと企図される。様々な表面の寸法は、同じであっても異なっていてもよい。
【0032】
図3B及び
図3Cは、それぞれ、いくつかの実施形態によるVCSEL300の側面図及び底面図の概略図である。VCSEL300は、上述したように、側面に1つ以上のレーザダイオード電極を有する。
図3Bに示される非限定的な例では、VCSEL300は、側面e上に位置付けられ、又は側面eに結合された2つのレーザダイオード電極305、306を有する。
【0033】
図3Cに示すように、複数のレーザ開口部308a~308nは、VCSEL300の底面a上に配置されている。複数のレーザ開口部の代わりに単一のレーザ開口部を利用することができると企図される。レーザ開口部308a~308nの数は、スライダのスポットサイズ変換器の数と一致する。各レーザ開口部308a~308nは、隣接するレーザ開口部308a~308nから約1μm~約20μm、例えば約2μm~約10μmの距離312だけ離隔され得る。距離312はこれより長くても短くてもよいと企図される。レーザ開口部308a~308nは、中心線の周りに位置合わせすることができ、複数のレーザ開口部308a~308nの各々は、対応する入力レーザに位置合わせすることができる。レーザ開口部308a~308nは、キャビティ(図示せず)の対応するレーザ開口部と位置合わせされ得る。
図3Cに示すように、2つのレーザダイオード電極305、306は、VCSEL300の側面eから底面aまで延在する。
【0034】
レーザ開口部308a~308nの各々は、独立して、約1.5μm~約8μmの直径を有することができ、2μm~10μmのピッチとすることも可能であるが、より大きい又はより小さい直径及びピッチが企図される。レーザ開口部308a~308nの中心は、側部から約35μm~約50μmの距離322だけ離隔され得るが、距離322はこれより大きいか小さいことが企図される。レーザ開口部308a~308nの中心は、レーザダイオード電極305、306から約75μm~約90μmの距離324だけ離隔され得るが、距離324はこれより大きいか小さいことが企図される。
【0035】
図4A及び
図4Bは、いくつかの実施形態による、VCSEL410チップがマウントされたスライダ404の断面図(それぞれ、ダウントラック方向及びクロストラック方向)の概略
図400である。
図4A及び
図4Bに示される概略図は、HGAの一部であり得る。明確にするために、
図4Bでは、特定の特徴には符号が付されていない。レーザダイオード電極405は、VCSEL410の側面に結合され、又はその上に位置付けられる。1つのレーザダイオード電極405のみが側面410eに結合されて示されているが、別のレーザダイオード電極(例えば、
図6Aに示されるレーザダイオード電極406)が、VCSEL410の同じ側面410eに結合されている。レーザダイオード電極405、406は、
図6A及び
図6Bに示すように、VCSEL410の側面410eからVCSEL410の底面410aまで延在している。
【0036】
図4Aを参照すると、VCSEL410は、パッド401、パッド402、及びはんだ材料403を介してスライダ404にマウントされている。パッド401及びパッド402は、それぞれ独立して、金属含有層であり得る。スライダ404は、例えばAlTiC基板などの基板と、例えばアルミナ含有層などの層424とを含む。パッド401はVCSEL410の下面410aに結合され、パッド402はスライダ404の上面404aに結合される。パッド401、パッド402、及びはんだ材料403は、はんだ付けの後にまとめて接続部を形成することができる。はんだ材料403に加えて、又はその代わりに、導電性接着剤を使用することができる。
【0037】
VCSEL410は、1つ以上のキャビティ415a~nを含み、1つ以上のレーザビームは、これらのキャビティを通ってVCSEL410から出射して、層424内に位置付けられた単一の出力導波管416に入射する。約1~約16個、約3~約12個などの任意の適切な数のキャビティを使用することができる。キャビティの数はこれより多くても少なくてもよいと企図される。VCSEL410によって発光される1つ以上のレーザビームの各々は、同じ周波数で動作することができ、位相コヒーレントであってもよい。VCSEL410によって発光される1つ以上のレーザビームの各レーザは、約0.5mW~約20mWであり、例えば約1mW~約10mW、例えば約2mW~約8mW、例えば約4mW~約6mWの電力レベルを有することができる。電力レベルはこれより高くても低くてもよいと企図される。図示されていないが、マルチモード干渉(MMI)デバイスを使用し、スライダ404内に配置することができる。使用時には、MMIデバイスは、キャビティ415a~414nから供給されたレーザ光を結合し、単一の出力導波管416を通して単一のレーザを発光する。単一の出力導波管416は、MMIデバイスによって受け入れられた複数の入力レーザの組み合わされたパワーを含むレーザ光をMMIデバイスから発光することができる。単一出力モードは、光パワーを集中させてNFTに結合するために利用され得る。
【0038】
スライダパッド425は、スライダ404の層424の表面に結合されている。スライダパッド425は、第1のポリイミド層430、電極409、第2のポリイミド層432、及びフレクシャ419を含む多層構造体に結合されている。スライダパッド425の多層構造体への結合は、材料をはんだ付けすることによって実現され得る。はんだ材料407に加えて、又はその代わりに、導電性接着剤を使用することができる。
【0039】
スライダ404を支持するサスペンション(その一部が示されている)は、スライダ404のパッド402と同じ面、例えば上面404aに配置されている。サスペンションは、フレクシャ419とロードビーム417とを含む。ロードビームは、サスペンションの本体である。フレクシャ419はスライダ404を保持しており、フレクシャ419はロードビーム417に取り付けられている。動作中、ロードビーム417は、ディンプル418を有するディスクに向かってスライダ404を押すことができる。フレクシャ419とスライダ404との間には、ワイヤを含むポリイミド層420が配置されている。ワイヤを含むポリイミド層420は、スライダ内の構成要素(磁気ヘッド、間隔制御用ヒータなど)に電流又は電圧を印加するため、又はセンサ(リーダ、接触センサ、熱センサ)からプリアンプに信号を送信するためのものである。
【0040】
図5は、熱アシスト磁気記録ヘッドジンバルアセンブリ500の一部の斜視図である。ヘッドジンバルアセンブリ500は、
図4A及び
図4Bに示されるVCSEL構造体を含むが、ヘッドジンバルアセンブリは、本明細書に記載されて示される他のVCSEL構造体とともに使用され得ることが企図される。ヘッドジンバルアセンブリ500は、上述したフレクシャ419及びロードビーム417を含むサスペンション501を含む。ワイヤを含むポリイミド層420は、フレクシャ419とスライダ404との間に位置付けられている。スライダ404にマウントされたVCSEL410は、ポリイミド層420に隣接して位置付けられている。フレクシャ419は、電極503、505を含む。
図5に示される構成において、VCSELは、レーザダイオード電極405及びレーザダイオード電極406がそれぞれ電極503a及び503bに結合され得るように、スライダ上に位置付けられている。電極503a、503bは、レーザダイオード電極に電流を印加する役割を果たす。電極505は、スライダパッドに結合され、スライダ内の構成要素(例えば、磁気ヘッド、間隔制御用ヒータなど)に電流又は電圧を印加するため、又はセンサ(リーダ、接触センサ、熱センサ)からプリアンプに信号を送信する役割を果たす。
図4Bに示される電極440は電極503aに対応し、
図4Aの電極409は電極505に対応する。
【0041】
図6A及び
図6Bは、それぞれ、
図4A及び
図4Bに示されたVCSEL410チップの斜視図及び底面図の概略図である。
図6C及び
図6Dは、VCSEL410チップの非限定的な変形例を示す。
図6A~
図6Dに示す方向においては、レーザダイオード電極405、406は、VCSEL410の側面410e上に位置付けられているか又はそれに結合されている。レーザダイオード電極405、406は、VCSEL410の側面410eからVCSEL410の底面410aまで延在している。VCSEL410の底面410a上に配置されたパッド401は、VCSEL410をスライダ、例えばスライダ404に結合するために利用される。
【0042】
VCSEL410、610及び620の変形例に関して、電極が配置されるトレンチの数及び幅は、可変であり得る。
図6Aに示すVCSEL410では、レーザダイオード電極405の一部が配置されている第1のトレンチ601は、レーザダイオード電極406が配置されている第2のトレンチ602から分離されている。
【0043】
図6Cに示されるVCSEL610を参照すると、レーザダイオード電極405、406は、VCSEL610の幅よりも小さい幅を有する単一のトレンチ612内に配置されている。同様に、
図6Dに示されるVCSEL620に関して、レーザダイオード電極405、406は、VCSEL620の幅と同じサイズ又は実質的に同じサイズの幅を有する単一のトレンチ622内に配置されている。VCSEL410と同様に、VCSEL610及び620は、パッド401を介してスライダ(例えばスライダ404)上に位置付けることができる。更に、VCSEL610及び620のレーザダイオード電極405及び406は、VCSEL410と同様に、HGAの電極503a、503bに結合することができる。
【0044】
図7A及び
図7Bは、それぞれ、VCSEL710チップの斜視図及び底面図の概略図である。サスペンション上のパッド401、キャビティ415a~n、及び電極503a、503bなどの
図7A及び
図7Bの様々な要素は、
図4A及び
図4Bに関連して上述した要素と同一又は同様であってもよい。
図7A及び
図7Bに示される方向において、レーザダイオード電極705、706は、それぞれ、VCSEL710の側面710e及び710dの2つの異なる表面に位置付けられているか、又は結合されている。レーザダイオード電極705、706は、それぞれの側面からVCSEL710の底面710aまで延在している。
【0045】
図7Bを参照すると、レーザダイオード電極705は、HGA(例えば、ヘッドジンバルアセンブリ500)のサスペンションの電極503aに結合され、レーザダイオード電極706は、サスペンションの電極503bに結合されている。VCSEL710の底面710aに配置されたパッド401は、VCSEL710をスライダに結合するために利用される。VCSEL710は、
図4A及び
図4Bに示すスライダ404などのスライダ上に位置付けることができるが、スライダに対するレーザダイオード電極705、706の向きは異なっている。VCSEL710チップの特性、特徴、及び用途(例えば、HGAアセンブリ、磁気媒体ドライブなど)は、上述したVCSEL410チップの特性、特徴、及び用途と同一又は類似であってもよい。
【0046】
図8Aは、いくつかの実施形態による、VCSEL810チップがマウントされたスライダ804の側面図の概略
図800である。概略
図800は、HGAの一部とすることができる。
図8B及び
図8Cは、それぞれ、
図8Aに示すVCSEL810の斜視図及び底面図である。
図8A~
図8Cは、レーザダイオード電極がVCSEL810の前面810f上に位置するVCSELの特別な場合である。これらの実施形態では、サスペンションは、
図8Aに示されるような二重層電極を含むことができるが、VCSEL410、VCSEL610、VCSEL620、及びVCSEL710は、サスペンション上に単一層の電極を含む。
【0047】
図8Aを参照すると、VCSEL810は、パッド801、パッド802、及びはんだ材料803を介してスライダ804にマウントされている。パッド801及びパッド802は、それぞれ独立して、金属含有層であり得る。スライダ804は、例えばAlTiC基板などの基板と、例えばアルミナ含有層などの層824とを含む。パッド801はVCSEL810の下面810aに結合され、パッド802はスライダ804の上面804aに結合される。パッド801、パッド802、及びはんだ材料803は、はんだ付けの後にまとめて接続部を形成することができる。はんだ材料803に加えて、又はその代わりに、導電性接着剤を使用することができる。
【0048】
レーザダイオード電極805は、VCSEL810の前面(例えば、前面810f)に結合されるか、又はその上に位置付けられる。1つのレーザダイオード電極805のみが前面810fに結合されて示されているが、別のレーザダイオード電極(例えば、
図8Bに示されるレーザダイオード電極806)が、VCSEL810の同じ前面810fに結合されている。レーザダイオード電極805、806は、
図8B及び
図8Cに示されるように、VCSEL810の前面810fからVCSEL810の底面810aまで延在している。
【0049】
VCSEL810は、1つ以上のキャビティ815a~nを含み、1つ以上のレーザビームは、これらのキャビティを通ってVCSEL810から出射して、層824内に位置付けられた単一の出力導波管816に入射する。約1~約16個、約3~約12個などの任意の適切な数のキャビティを使用することができる。キャビティの数はこれより多くても少なくてもよいと企図される。VCSEL810によって発光される1つ以上のレーザビームの各々は、同じ周波数で動作することができ、位相コヒーレントであることができる。VCSEL810によって発光される1つ以上のレーザビームの各レーザは、約0.5mW~約20mWであり、例えば約1mW~約10mW、例えば約2mW~約8mW、例えば約4mW~約6mWの電力レベルを有することができる。電力レベルはこれより高くても低くてもよいと企図される。図示されていないが、マルチモード干渉(MMI)デバイスを使用し、スライダ804内に配置することができる。使用時には、MMIデバイスは、キャビティ815a~814nから供給されたレーザ光を結合し、単一の出力導波管816を通して単一のレーザを発光する。単一の出力導波管816は、MMIデバイスによって受け入れられた複数の入力レーザの組み合わされたパワーを含むレーザ光をMMIデバイスから発光することができる。単一出力モードは、光パワーを集中させてNFTに結合するために利用され得る。
【0050】
図8Aを参照すると、スライダパッド825は、スライダ804の層824の表面に結合されている。スライダパッド825及びレーザダイオード電極805は、下部電極809aと、下部電極809aの上に配置されたポリイミド層811と、ポリイミド層811の上に配置された上部電極809bとを含む多層構造体に結合されている。スライダパッド825及びレーザダイオード電極805の多層構造体への結合は、それぞれ材料807a及び807bをはんだ付けすることによって実現することができる。はんだ材料807a、807bに加えて、又はその代わりに、導電性接着剤を使用することができる。レーザダイオード電極806もまた、レーザダイオード電極805と同じ又は同様の方法で多層構造体に結合されている。
【0051】
スライダ804を支持するサスペンション(その一部が示されている)は、スライダ804のパッド802と同じ面、例えば上面804aに配置されている。サスペンションの一部を
図8Aに示す。サスペンションは、フレクシャ819とロードビーム817とを含む。ロードビームは、サスペンションの本体である。フレクシャ819はスライダ804を保持しており、フレクシャ819はロードビーム817に取り付けられている。動作中、ロードビーム817は、ディンプル818を有するディスクに向かってスライダ804を押すことができる。フレクシャ819とスライダ804との間には、ワイヤを含むポリイミド層820が配置されている。ワイヤ層は、スライダ内の構成要素(磁気ヘッド、間隔制御用ヒータなど)に電流又は電圧を印加するため、又はセンサ(リーダ、接触センサ、熱センサ)からプリアンプに信号を送信するためのものである。VCSEL810の底面図(
図8C)には、サスペンション上の電極821a、821bが示されている。
図8Cにおいて、電極821a、821bは上部電極809bに対応している。
図8Cはまた、VCSEL810の移動方向、例えば、クロストラック方向及びダウントラック方向を示す。
【0052】
図4Aとの違いの1つは、レーザダイオード電極805、806が、
図4Aに示したものと同じ様式で多層構造体に結合されていないことである。VCSEL810は、
図5に示したものと同様の適切な様式でHGA上に位置付けられ得る。VCSEL810チップの特性、特徴、及び用途(例えば、HGAアセンブリ、磁気媒体ドライブなど)は、上述したVCSEL410チップの特性、特徴、及び用途と同一又は類似であってもよい。
【0053】
本明細書に記載されるVCSELは、例えば、その使用中に導波管とレーザとの間の結合を最大化するためのアクティブアライメントを可能にする。本明細書で記載されるVCSELは、EELDの出力ビームよりも大きく、より円形である出力ビームを有し、これは、位置合わせ公差及びスライダスポットサイズ変換器への結合効率を高める。更に、本明細書で記載されるVCSELは、EELDがモードホップに悩まされるのに対し、例えば、1つの縦モードとDBRミラー選択性を有する非常に短いキャビティ長により、モードホップのない動作を有する。モードホッピングは、記録プロセス中にレーザパワーの小さな(典型的には1~2%)変化が突然発生する原因となり得る。VCSELは製造中にバーンインを必要とせず、これは更にコストを下げる。VCSELキャビティ長はEELDよりも短く、また、レーザがスライダの上部にマウントされているので、全体の高さが低くなることにより、ディスク間の間隔を小さくすることができ、多くのディスクを使用することが実現可能となり、HDD容量を大きくすることができる。
【0054】
はんだ付けのための金属パッド(例えば、パッド401)の周りのトレンチ又は突出部を利用することができる。VCSELとスライダ(例えば、スライダ404)との間はんだは、はんだ付けプロセス中に膨張し、VCSELのレーザダイオード電極に接触する可能性がある。いくつかの実施形態では、はんだ(例えば、はんだ付け材料403)がVCSELのレーザダイオード電極に接触するのを防止する(又は少なくとも軽減する)ために、はんだ付け用のパッドの周りにトレンチ又は突出部を形成することができる。トレンチの深さは、例えば約10μmとすることができるが、これより大きくても小さくてもよい。突出部の高さは、金属層の厚さにはんだの厚さを加えたものと等しくすることができるが、これより大きくても小さくてもよい。いくつかの実施形態では、絶縁層がトレンチ又は突出部領域の上又はその付近に堆積されてもよい。
【0055】
いくつかの実施形態では、パッドが電気的に絶縁又は接地されている場合、レーザダイオード電極のうちの少なくとも1つが、マウントするためのパッドと組み合わされ得る。例えば、レーザダイオード電極とマウント用パッドとの間隔は、略0とすることができる。
【0056】
例示的な製造プロセス
本開示はまた、本明細書に記載される1つ以上のVCSELの一部を形成するための製造プロセスに関するものである。
図9は、VCSELの側面上に電極を形成するための例示的なプロセス1000(
図10)中の基板上の選択された動作を示すプロセスフロー図である。
【0057】
プロセスは、基板900aを選択することから始まる。基板は、適切な基板材料901で形成することができる。基板材料901に適した材料は、Ga、As、Al、In、それらの合金、及びこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。基板材料901に適した材料の例示的であるが非限定的な例は、GaAs、AlAs、AlGaAs、InGaAs、InGaAsN、GaAsN、GaAsP、InP、InGaAsPを含む。
【0058】
次に、動作1010において、基板材料901を適切な方法によってエッチングしてトレンチ905を形成する。ウェハ900bを形成するためのこのエッチングプロセスは、単一ステップエッチング処理又は複数ステップエッチング処理(例えば、2ステップエッチング処理、3ステップエッチング処理、又はより多くのステップ)であり得る。マルチエッチング処理の各ステップでエッチングされる領域は異なっていてもよい。エッチングは、ドライエッチプラズマ、ウェットエッチャントの利用、イオンミリング、反応性イオンエッチング、反応性イオンビームエッチング、又はこれらの組み合わせによって行うことができる。動作1010のエッチングプロセスは、深さnのn個のトレンチを形成するために実行され得る。例えば、第1の深さを有する第1のトレンチを形成することができ、第2の深さを有する第2のトレンチを形成することができ、第3の深さを有する第3のトレンチを形成することができ、以下同様である。トレンチの深さは同じであっても異なっていてもよい。動作1010の非限定的な例として、エッチングプロセスは、塩素含有材料(例えば、HCl及び/又はCl2)などの適切なエッチャント材料を利用する反応性イオンエッチングによって実現することができるが、任意の数のガス又はその混合物を使用することができる。非反応性ガス、例えばアルゴンなどのキャリアガスは、動作1010のエッチングプロセス中に利用することができる。
【0059】
次いで、動作1020において、銅(Cu)、クロム(Cr)、チタン、ニッケル(Ni)、貴金属(例えば、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、及び/又は金(Au))、又はこれらの組み合わせなどの適切な導電性材料を含むシード層910を堆積させて、ウェハ900cを形成することができる。他の金属も想到される。いくつかの実施形態において、シード層910は、単一の層又は複数の層として堆積され得る。ここで、例えば、シード層910の複数の層の各層ごとに異なる金属を用いることができる。追加的又は代替的に、シード層910の単一層又は複数の層は、2つ以上のそのような金属の合金を含むことができる。シード層910は、トレンチ905内、トレンチ905の1つ以上の側壁上、及び/又はトレンチ905の上方に延在する基板の表面上に堆積される。動作1020で形成されたシード層は、VCSEL用の電極とすることができる。シード層は、典型的には、金属電極がめっき以外の方法で堆積される場合、下地層と呼ばれる。
【0060】
動作1020の堆積は、スパッタリング、原子層堆積(atomic layer deposition、ALD)、及び/又はイオンビーム堆積(ion beam deposition、IBD)などの適切な技法によって実行することができる。シード層910を堆積させるための他の適切な金属堆積技術、例えば、電子ビーム蒸着及び/又は抵抗蒸着を、スパッタリング、ALD、及び/又はIBDに加えて、又はそれらの代替として利用することができる。IBDを使用して、堆積の方向性を制御することができ、その例は、後述する
図13~16の様々な例示的なプロセススキームに示される(それぞれの図の矢印1307、1407、1507、及び1607によって示される)。一般に、IBDは、トレンチ全体にわたって材料の層を形成しないことが望ましい場合に使用することができる。IBDは様々なプロセススキームで示されているが、本明細書に記載されているような追加の又は代替の堆積技術を利用することができる。電極堆積のために、傾斜堆積を使用することもできる。
【0061】
いくつかの実施形態では、シード層910を堆積させる前に、トレンチ905、トレンチ905の1つ以上の側壁、及び/又はトレンチ905の上方に延在する基板の表面など、ウェハ900bの少なくとも一部の上に絶縁層(例えば、SiO2及び/又はAl2O3)を堆積させることができる。次に、必要に応じて、この絶縁層の少なくとも一部の上にシード層910を堆積させることができる。絶縁層は、例えば、レーザダイオード電極の絶縁を可能にすることができる。
【0062】
フォトレジスト材料915は、次いで、動作1030において、シード層910の少なくとも一部の上の適切なフォトリソグラフィプロセスによって、ウェハ900c上にパターニングされ得る。フォトレジスト材料915は、スプレーコーティング、スピンコーティング、又は他の適切な方法を使用して形成することができる。フォトレジスト材料がその上に配置されたウェハ900dは、以下で説明する後続の動作において金属含有層のめっきを制御するために利用される。いくつかの実施形態では、フォトレジスト材料915の厚さは、フォトレジスト材料915が後続の動作(例えば、めっき後の動作)で除去されるように選択することができ、約3μm~約15μm、例えば約4μm~約12μmなどの厚さの範囲とすることができる。フォトレジスト材料915はこれより厚さがあってもなくてもよいものが企図される。必要に応じて、例えば、O2及び/又は水を水酸化アンモニウム(NH4OH)と組み合わせて使用するプラズマ洗浄を実行して、シード層910の望ましくない部分に残った一部又は全部のフォトレジストを除去することができる。
【0063】
フォトレジスト材料915によって画定される開口領域が形成されると、次に、操作1040において、ウェハ900dの少なくとも一部の上に適切な方法によって金属板920が堆積されて、ウェハ900eが形成される。例えば、金属板920は、トレンチ905の上のシード層910の表面だけでなく、トレンチ内のシード層の部分、又はその側壁などのシード層910の少なくとも一部にめっきすることができる。金属板920は非金属を含むことができる。動作1040に有用な金属の例示的であるが非限定的な例としては、シード層について上述した金属、例えばAu、Cu、Pd、Pt、又はこれらの組み合わせが挙げられるが、他の金属も企図される。金属板920の厚さは変えることができる。いくつかの実施形態では、金属板920の厚さは、約1μm~約15μm、例えば約2μm~約10μm、例えば約3μm~約5μmである。金属板920の厚さはこれより大きくても小さくてもよいものが企図される。
【0064】
金属板920は、めっきによって堆積させることができるが、スパッタリング、真空蒸着、及び/又はイオンビーム堆積(IBD)などの他の堆積方法を使用することもできる。スパッタリング、真空蒸着、及び/又はIBDが使用される場合、必要に応じて、動作1020(シード層910の形成)を省略することができる。上述したように、金属板920の堆積の方向性は、IBDを用いて制御することができる。例えば、
図13~
図16に示すように、IBDの方向性は、シード層堆積に関して示した方向(それぞれの図の矢印1307、1407、1507、及び1607によって示す)と同じ又は類似の方向とすることができる。
【0065】
次いで、フォトレジスト材料915の少なくとも一部及び/又はシード層910の少なくとも一部は、動作1050において、ミリングなどの適切な方法によってウェハ900eから除去される。ウェハ900fによって示されるように、動作1050中に除去されるシード層910の部分は、フォトレジスト材料915の下に以前に配置されていたものを含み得る。
【0066】
動作1050のミリングプロセスは、溶媒、プラズマ洗浄、又はそれらの組み合わせを利用して行うことができる。ここで形成されたウェハ900fは、基板材料901の露出面、金属板920の露出面、及び/又はシード層910の露出面など、様々な露出面を含む。必要に応じて、動作1050は、フォトレジスト材料915の少なくとも一部がシード層910の少なくとも一部の前に除去される複数の動作で実行することができる。いくつかの実施形態において、金属板920の一部は、シード層910の除去中又は除去後に、例えばミリングによって除去することができる。金属板920の厚さはシード層910よりも厚いので、金属板920領域の外側のシード層910は除去されるが、金属板920は残る。
【0067】
代替的に、いくつかの実施形態では、VCSELを形成するための例示的なプロセス1000がシード層910をミリングしなくてもよいように、金属板920をめっきする前にフォトリソグラフィを使用してシード層910をパターニングすることができる。
【0068】
次いで、任意選択の動作1060を実行して、ウェハ900fの1つ以上の露出部分上にレジストコーティング925を堆積させてウェハ900gを形成することができる。レジストコーティング925は、スプレーコーティング、スピンコーティング、及び/又は他の適切な方法を使用して形成することができる。レジストコーティング925に使用されるフォトレジストタイプの例示的であるが非限定的な例は、UVネガレジスト、g/i線ポジレジスト、KrFポジレジスト、及び/又はArFポジレジストを含むことができる。ウェハ900gによって示されるように、堆積は、金属板920の少なくとも一部、シード層910の少なくとも一部、基板材料901の少なくとも一部、又はこれらの組み合わせの上にレジストコーティング925を形成する。レジストコーティング925は、例えば、後続のダイシング動作中に、金属板920、シード層910、基板材料901、又はこれらの組み合わせを保護する役割を果たす。
【0069】
次いで、動作1070において、ウェハ900gは、ダイシング、スライス、劈開、又は他の方法で1つ以上の個別チップ900hに切断される。ここで、及びいくつかの実施形態では、ウェハは、トレンチ905に沿って、ブレード、鋸、スクライブ、レーザダイシング、ステルスダイシング、及び/又は適切な方法を使用する他の適切な装置を用いて、個別のダイに切断される。
【0070】
1つ以上の個々のチップ900hがレジストコーティング925(例えば、任意の動作1060中に形成される)を含む場合、レジストコーティング925は、ウェハ900iを形成するためのダイシング動作後に除去することができる。レジストコーティング925の除去は、例えば、ウェハをレジスト除去溶液に浸漬すること、ウェハをO2アッシャに入れること、及び/又は他の適切な方法によって行うことができる。
【0071】
他の動作は、例示的なプロセス1000の1つ以上の動作の前及び/又は後にウェハを洗浄することを含むことができる。洗浄は、洗浄液への浸漬、超音波洗浄、UV/O3洗浄、ブラシ洗浄、研磨、及び/又はCO2洗浄などの適切な方法によって行うことができる。
【0072】
VCSELの1つ以上の側面上にレーザダイオード電極を形成するための他の例示的であるが非限定的な例示的なプロセスフロー図を
図11~
図17に示す。
図11~
図17のプロセスは、概して、
図10に示されるフローチャートに従う。しかしながら、(例えば、ウェハ900gのレジストコーティング925を形成するために)動作1060の任意の堆積プロセスの後に形成されるウェハは、
図11~
図17には示されていない。
【0073】
図11~
図17に示される一般的なプロセススキームは、以下の動作;シード層を堆積させる;フォトレジスト層をパターニングする;金属をめっきする;フォトレジスト層及び/又はシード層の少なくとも一部を除去し、ウェハをダイシング/切断することを含む。これらの動作の実施形態及び実装については、本出願明細書の他の箇所に記載されている。
【0074】
表Iは、いくつかの実施形態による処理中に形成された様々なウェハ及び特徴についての、
図11~
図17に対応する数値リストを示す。上述したように、シード層堆積(動作1020)の方向性は、IBDを用いて制御することができる。それぞれの
図13~
図16の矢印1307、1407、1507、及び1607は、VCSEL処理中に利用される場合のIBDの方向性を示す。IBDは様々なプロセススキームで示されているが、本明細書に記載されるものなどのシード層の堆積のために、追加又は代替の堆積技術を利用することができる。
【0075】
【0076】
図11に示すように、金属板1120(例えば、電極)は、レーザダイオード電極(例えば、
図6Bのレーザダイオード電極405及び/又はレーザダイオード電極406;
図7Bのレーザダイオード電極705及び/又はレーザダイオード電極706;又は
図8Cのレーザダイオード電極805及び/又はレーザダイオード電極806)から絶縁されている。いくつかの実施形態では、金属板1120は、レーザダイオード電極まで延在され得るか、又は追加の構造体を通してレーザダイオード電極に接続され得る。
【0077】
プロセス例のいくつかに示すように、複数のトレンチを形成して、例えば、レーザダイオード電極の底縁部及び/又は側縁部の位置を制御することができる。例えば、
図15に示すように、浅いトレンチ1505a及び深いトレンチ1505bを形成するために、2段階エッチングを行うことができる。別の例では、
図16に示すように、3段階エッチングを行って、浅いトレンチ1605a、第1の深いトレンチ1605b、及び第2の深いトレンチ1605cを形成することができる。多段階エッチングは、適切な方法によって行うことができる。プロセスフロー図に示される基板/ウェハの形状は、正方形又は略正方形であるが、他の形状も企図される。同様に、トレンチ及び層の様々な形状が企図される。
【0078】
図18A及び
図18Bは、概して、本開示の少なくとも1つの実施形態による処理のための変形例を図示する。具体的には、
図18Aは、処理中の傾斜側壁の可変角度を示すウェハ1800の一部を示す図である。明確にするために、トレンチ1805、シード層1810、及びフォトレジスト材料1815のみが示されている。側壁角度(θ)は、例えば、エッチング、フォトレジストパターニング、及び他のプロセス操作をより簡単にするように選択することができる。例えば、θが0である場合、フォトレジストへの側壁の露光は困難である。θに非0値を選択した場合、側壁はフォトリソグラフィ及び/又は他のプロセス動作により適したものになる。一例として、θは、約5°~約10°など、約1°~約10°であり得るが、θの値は、これより大きくても小さくてもよいものが企図される。
図18Bは、処理後に形成されたVCSEL1850内の傾斜側壁の位置を示す。傾斜側壁は、本明細書に記載の1つ以上のプロセスフロー図とともに利用することができる。
【0079】
図19は、本開示の少なくとも1つの実施形態による、トレンチ1925がVCSELの異なる側にエッチングされる場合のプロセス変形例1900を示す図である。ここで、VCSELの反対側(レーザダイオード電極1908のない側1920)は、VCSEL処理中にトレンチ1925を形成するためにエッチングされ得る。この追加のエッチングは、例えば、トレンチの幅を大きくして、基板のダイシングをより簡単にするために行うことができる(ダイシングソーの幅は、数字1910及び1915で示されている)。代替的又は付加的に、追加のエッチングを実行して、堆積されるフォトレジスト材料の厚さを低減することができ、それによって、フォトレジスト材料のよりコンフォーマルなコーティングを可能にする。更に、追加のエッチングは、フォトリソグラフィプロセス中のフォトレジスト材料への側壁のより簡単な露光を可能にすることができる。
図19に示されるプロセス変形例は、本明細書に記載されている1つ以上のプロセスフロー図とともに利用することができる。
【0080】
本明細書において、VCSEL、VCSELをマウントするためのHGA、及び磁気媒体ドライブなどのそのような物品を組み込んだデバイスが提供される。VCSELを製造するためのプロセスも提供される。本明細書で記載される実施形態は、従来のVCSELとは異なり、例えば、その使用中に導波管とレーザとの間の結合を最大化するためのアクティブアライメントを可能にする。
【0081】
前述では、本開示の実施形態を参照する。しかしながら、本開示は、具体的に説明される実施形態に限定されないことを理解されたい。その代わりに、以下の特徴及び要素の任意の組み合わせが、異なる実施形態に関連するか否かに関わらず、本開示を実施及び実践すると企図される。更に、本開示の実施形態は、他の可能な解決策に勝る、及び/又は先行技術に勝る利点を達成し得るが、特定の利点が所与の実施形態によって達成されるか否かは、本開示を限定するものではない。したがって、以下の態様、特徴、実施形態、及び利点は、単なる例示に過ぎず、請求項に明示的に記載されている場合を除いて、添付の特許請求の範囲の要素又は限定と見なされない。同様に、「本開示」への言及は、本明細書に開示される任意の発明の主題の一般化として解釈されるものではなく、請求項に明示的に記載されている場合を除いて、添付の特許請求の範囲の要素又は限定であると見なされるべきではない。
【0082】
本開示の目的では、特に明記しない限り、本明細書の詳細な説明及び特許請求の範囲内の全ての数値は、示された値の「約」又は「およそ」によって修飾され、当業者によって予想される実験誤差及び変動を考慮する。簡潔にするために、ある特定の範囲のみが本明細書に明示的に開示されている。しかしながら、任意の下限からの範囲は、明示的に列挙されていない範囲を列挙するために任意の上限と組み合わされてもよく、同様に、任意の下限からの範囲は、明示的に列挙されていない範囲を列挙するために任意の他の下限と組み合わされてもよく、同じ方法で、任意の上限からの範囲が、明示的に列挙されていない範囲を列挙するために任意の他の上限と組み合わされてもよい。加えて、範囲内では、明示的に列挙されていなくても、その終点間の全ての点又は個々の値が含まれる。したがって、全ての点又は個々の値は、明示的に列挙されていない範囲を列挙するために、任意の他の点又は個々の値又は任意の他の下限又は上限と組み合わされた独自の下限又は上限として機能し得る。
【0083】
本明細書で使用されるとき、不定冠詞「a」又は「an」は、別段の指定がない限り、又は文脈に別途明確に示されていない限り、「少なくとも1つの」を意味するものとする。
【0084】
上記は本開示の実施形態を目的とするが、本開示の他の及び更なる実施形態が、その基本的範囲から逸脱することなく考案され得、その範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。
【国際調査報告】