(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-04
(54)【発明の名称】高ナノ細孔容積水素化処理触媒及び方法
(51)【国際特許分類】
B01J 23/44 20060101AFI20240226BHJP
C10G 45/10 20060101ALI20240226BHJP
【FI】
B01J23/44 Z
C10G45/10 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555187
(86)(22)【出願日】2022-03-10
(85)【翻訳文提出日】2023-10-30
(86)【国際出願番号】 US2022019707
(87)【国際公開番号】W WO2022192513
(87)【国際公開日】2022-09-15
(32)【優先日】2021-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503148834
【氏名又は名称】シェブロン ユー.エス.エー. インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャン、イーファ
(72)【発明者】
【氏名】レイ、グワン - ダオ
【テーマコード(参考)】
4G169
4H129
【Fターム(参考)】
4G169AA04
4G169BA01B
4G169BA03B
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4H129CA07
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4H129NA15
(57)【要約】
基油製品を製造するための、改善した水素化処理触媒及び方法であって、触媒は、高ナノ細孔容積非晶質シリカアルミナ(ASA)及びアルミナを含む、ベース押出物を含む。触媒及び方法は、一般に、高ナノ細孔容積ASA/アルミナ系触媒を使用し、触媒を炭化水素供給原料と接触させることによって、水素化処理脱ろう基油製品を製造することに関する。触媒ベース押出物は、有利には、11~20nmの細孔径範囲で、0.2~0.9cc/gの細孔容積を有する非晶質シリカアルミナと、11~20nmの細孔径範囲で、0.01~1.0cc/gの細孔容積を有するアルミナを、2~50nmの細孔径範囲で、0.12~1.80cc/gの全細孔容積を有する、非晶質シリカアルミナとアルミナから形成されたベース押出物と共に含む。触媒は、周期表の第6族~第10族、及び第14族から選択される、少なくとも1つの修飾剤元素を更に含む。この触媒及び方法は、改善した芳香族飽和度を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低減した芳香族含有量を有する基油を含む脱ろう製品を製造するのに有用な、水素化処理触媒であって、
非晶質シリカアルミナ(ASA)及びアルミナを含むベース押出物であって、
前記非晶質シリカアルミナが、11~20nmの細孔径範囲で、0.2~0.9cc/gの細孔容積を有し、
前記アルミナが、11~20nmの細孔径範囲で、0.01~1.0cc/gの細孔容積を有し、及び
前記ベース押出物が、2~50nmの細孔径範囲で、0.12~1.80cc/gの全細孔容積を有する、前記ベース押出物と、ならびに
周期表の第6族~第10族、及び第14族から選択される、少なくとも1つの修飾剤とを含む、前記水素化処理触媒。
【請求項2】
前記修飾剤が、周期表の第8族~第10族の金属を含む、請求項1に記載の触媒。
【請求項3】
前記修飾剤が、Pt、Pd、またはそれらの組み合わせを含む、第10族の金属である、請求項2に記載の触媒。
【請求項4】
前記非晶質シリカアルミナが、6~11nmの細孔径範囲で、0.1~1.2cc/gの細孔容積、または6~11nmの細孔径範囲で、0.2~1.0cc/gの細孔容積、または6~11nmの細孔径範囲で、0.3~0.9cc/gの細孔容積を有する、請求項1に記載の触媒。
【請求項5】
前記非晶質シリカアルミナが、11~20nmの細孔径範囲で、0.25~0.8cc/gの細孔容積、または11~20nmの細孔径範囲で、0.3~0.7cc/gの細孔容積を有する、請求項1に記載の触媒。
【請求項6】
前記非晶質シリカアルミナが、20~50nmの細孔径範囲で、0.05~0.7cc/gの細孔容積、または20~50nmの細孔径範囲で、0.1~0.6cc/gの細孔容積、または20~50nmの細孔径範囲で、0.15~0.5cc/gの細孔容積を有する、請求項1に記載の触媒。
【請求項7】
前記非晶質シリカアルミナが、2~50nmの細孔径範囲で、0.3~2.0cc/gの全細孔容積、または2~50nmの細孔径範囲で、0.4~2.1cc/gの全細孔容積、または2~50nmの細孔径範囲で、0.5~2.0cc/gの全細孔容積を有する、請求項1に記載の触媒。
【請求項8】
前記アルミナが、6~11nmの細孔径範囲で、0.05~1.0cc/gの細孔容積、または6~11nmの細孔径範囲で、0.06~0.8cc/gの細孔容積、または6~11nmの細孔径範囲で、0.07~0.6cc/gの細孔容積を有する、請求項1に記載の触媒。
【請求項9】
前記アルミナが、11~20nmの細孔径範囲で、0.2~1.0cc/gの細孔容積、または11~20nmの細孔径範囲で、0.2~0.9cc/gの細孔容積、または11~20nmの細孔径範囲で、0.3~0.85cc/gの細孔容積、または11~20nmの細孔径範囲で、0.4~0.7cc/gの細孔容積を有する、請求項1に記載の触媒
【請求項10】
前記アルミナが、11~20nmの細孔径範囲で、約0.2cc/g未満の細孔容積、または11~20nmの細孔径範囲で、約0.1cc/g未満の細孔容積、または11~20nmの細孔径範囲で、約0.05cc/g未満の細孔容積を有する、請求項1に記載の触媒。
【請求項11】
前記アルミナが、20~50nmの細孔径範囲で、0.05~1.0cc/gの細孔容積、または20~50nmの細孔径範囲で、0.07~0.8cc/gの細孔容積、または20~50nmの細孔径範囲で、0.09~0.6cc/gの細孔容積を有する、請求項1に記載の触媒。
【請求項12】
前記アルミナが、2~50nmの細孔径範囲で、0.3~2.0cc/gの全細孔容積、または2~50nmの細孔径範囲で、0.5~1.75cc/gの全細孔容積、または2~50nmの細孔径範囲で、0.7~1.5cc/gの全細孔容積を有する、請求項1に記載の触媒。
【請求項13】
前記ベース押出物が、6~11nmの細孔径範囲で、0.2~1.2cc/gの細孔容積、または6~11nmの細孔径範囲で、0.3~1.1cc/gの細孔容積、または6~11nmの細孔径範囲で、0.4~1.0cc/gの細孔容積を有する、請求項1に記載の触媒。
【請求項14】
前記ベース押出物が、11~20nmの細孔径範囲で、0.01~0.4cc/gの細孔容積、または11~20nmの細孔径範囲で、0.02~0.35cc/gの細孔容積、または11~20nmの細孔径範囲で、0.03~0.30cc/gの細孔容積を有する、請求項1に記載の触媒。
【請求項15】
前記ベース押出物が、20~50nmの細孔径範囲で、約0.03cc/g未満、または約0.02cc/g未満、または約0.01cc/g未満の細孔容積を有する、請求項1に記載の触媒。
【請求項16】
前記ベース押出物が、2~50nmの細孔径範囲で、0.4~1.65cc/gの全細孔容積、または2~50nmの細孔径範囲で、0.5~1.50cc/gの全細孔容積を有する、請求項1に記載の触媒。
【請求項17】
前記修飾剤の含有量が、0.01~5.0重量%、または0.01~2.0重量%、または0.1~2.0重量%(全触媒重量基準)である、請求項1に記載の触媒。
【請求項18】
前記触媒が、修飾剤として、Pt、Pd、またはPtとPdの組み合わせを、0.01~1.0重量%、または0.1~0.8重量%Ptの量で含む、請求項1に記載の触媒。
【請求項19】
前記触媒が、アルミナ、シリカ、セリア、チタニア、酸化タングステン、ジルコニア、またはそれらの組み合わせから選択される、マトリックス材料を更に含む、請求項1に記載の触媒。
【請求項20】
前記触媒が、0.01~5.0重量%の修飾剤、0~99重量%のマトリックス材料、及び0.1~99重量%のベース押出物を含む、請求項19に記載の触媒。
【請求項21】
増大した芳香族飽和転化率を有する水素化処理基油製品を製造するための方法であって、水素化処理条件下で、炭化水素原料を請求項1に記載の水素化処理触媒と接触させて、基油製品を製造することを含む、前記方法。
【請求項22】
炭化水素原料が、軽油、真空軽油、ロングレジデュー、真空残渣、大気圧留出物、重質燃料、油、ろう及びパラフィン、使用済み油、脱アスファルト残渣もしくは原油、熱もしくは触媒転化工程から得られるチャージ(charge)、シェールオイル、サイクルオイル、動物及び植物由来の脂肪、油及びろう、石油及びスラックワックス、またはそれらの組み合わせを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
非晶質シリカアルミナ成分が、11~20nmの細孔径範囲で、0.2~0.9cc/g、または0.25~0.8cc/g、または0.3~0.7cc/gの細孔容積を有さないことのみが異なる、比較水素化処理触媒を使用する同一の方法と比較して、前記水素化処理触媒を使用することで、芳香族飽和転化率が増大した、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記芳香族飽和転化率の増大が、少なくとも、約0.5重量%、または1.0重量%、または1.5重量%、または2.0重量%である、請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
高ナノ細孔容積非晶質シリカアルミナ及びアルミナを含む、ベース押出物を含む触媒を使用した、炭化水素供給原料から基油を製造するための、水素化処理触媒及び方法。
【背景技術】
【0002】
炭化水素供給原料から基油を製造するための、水素異性化触媒脱ろう工程は、水素の存在下で、脱ろう触媒系を含有する反応器に原料を導入することを含む。反応器内で、原料は、水素異性化脱ろう条件下で水素異性化触媒と接触し、異性化流をもたらす。水素異性化は、芳香族、ならびに残留窒素及び硫黄を除去し、ノルマルパラフィンを異性化して、低温流れ特性を改善する。異性化流は、任意の芳香族及びオレフィンを低減または除去し、基油製品の色、及び/または他の特性を改善するために、水素化処理触媒、及び/または水素化仕上げ触媒と接触させることによって、更に処理してもよい。水素化処理触媒、及び/または水素化仕上げ触媒は、担体材料及び貴金属、典型的には、パラジウム、またはパラジウムと組み合わせた白金を含んでもよい。
【0003】
直鎖パラフィンの脱ろうには、水素異性化、分岐の再分配、及び二次水素異性化を含む、さまざまな水素化変換反応が含まれる。連続した水素異性化反応は、分岐の再分配を伴う分岐度の増加をもたらす。分岐の増加は、一般に、連鎖分解の可能性を高め、燃料収率を増加させ、基油/潤滑油の収率を低下させる。したがって、水素異性化遷移種の形成を含むこのような反応を最小限に抑えることで、基油/潤滑油の収率を高めることができる。
【0004】
典型的な水素異性化触媒脱ろう工程で一般に直面する課題には、とりわけ、1つ以上の製品の、曇り点、流動点、粘度、及び/または粘度指数の制限などの、適切な製品仕様を満たす製品(複数可)を提供すると同時に、良好な製品収率も維持することが含まれる。更に、例えば水素化処理/水素化仕上げ中に、芳香族を飽和させて芳香族含有量を低減することにより、例えば色や酸化安定性などの製品品質を更に向上させるための、更なる改質を使用することもできる。しかし、上流の水素化処理及び水素化分解工程からの、残留有機硫黄、窒素、及び芳香族化合物の存在は、下流の工程及び最終基油製品の品質に、重大な影響を与える可能性がある。
【0005】
したがって、良好な基油/潤滑油収率を提供しつつ、例えば、製品の芳香族含有量の低減など、改善された最終製品特性をも提供するには、基油/潤滑油製造用のより堅牢な触媒が必要である。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、ろう含有炭化水素供給原料を、一般に、低減した芳香族含有量を有する基油または潤滑油を含む、高品位な製品に変換するための、水素化処理触媒及び方法に関する。このような方法は、高ナノ細孔容積(HNPV)非晶質シリカアルミナ(ASA)と高ナノ細孔容積(HNPV)アルミナの混合物、または高ナノ細孔容積(HNPV)非晶質シリカアルミナ(ASA)と非高ナノ細孔容積(非HNPV)アルミナの混合物から形成されたベース押出物を含む、触媒系を使用する。HNPV ASAとHNPVアルミナのベース押出物、またはHNPV ASAと非HNPVアルミナのベース押出物から形成された触媒は、他の触媒を使用して製造された基油製品と比較して、基油/潤滑油製品の芳香族含有量が低減した基油製品を有利に提供することが見出された。
【0007】
一態様において、本発明は、適切な炭化水素供給流の水素化処理を通じて、基油、特に1つ以上の製品グレードの基油製品を含む脱ろう製品を製造するのに有用な、水素化処理触媒及び方法に関する。必ずしもこれに限定されるものではないが、本発明の一目的は、良好な製品収率を提供すると同時に、低減された芳香族含有量を有する、基油製品を提供することである。
【0008】
触媒は、一般に、非晶質シリカアルミナ(ASA)とアルミナを含む、ベース押出物を含む。非晶質シリカアルミナは、定義された細孔径範囲内の細孔容積に基づく、高ナノ細孔容積(HNPV)担体材料である。非晶質シリカアルミナは、11~20nmの細孔径範囲で、0.2~0.9cc/gの細孔容積を有することを特徴とする。アルミナは、HNPVアルミナであってもよく、もしくは非HNPVアルミナであってもよく、またはそれらの組み合わせであってもよい。HNPVアルミナは、11~20nmの細孔径範囲で、0.2~1.0cc/gの細孔容積を有することを特徴とする。非HNPVアルミナは、一般に、11~20nmの細孔径範囲で、約0.2cc/g未満の細孔容積を有するアルミナである。一般に、適切なHNPV及び非HNPVアルミナは、11~20nmの細孔径範囲で、0.01~1.0cc/gの細孔容積を有する。HNPV ASAとHNPVアルミナを含むベース押出物は、2~50nmの細孔径範囲で、0.12~1.80cc/gの全細孔容積を有する。触媒は、周期表の第6族~第10族、及び第14族から選択される、少なくとも1つの修飾剤を更に含む。
【0009】
水素化処理工程における触媒の使用は、一般に、水素化処理条件下で、炭化水素原料を水素化処理触媒と接触させて、生成物または生成物流を生成することを含む。水素化処理触媒は、HNPV非晶質シリカアルミナ(ASA)、ならびにHNPVアルミナ及び/または非HNPVアルミナを含む、ベース押出物を含む。ASAは、11~20nmの細孔径範囲で、0.2~0.9cc/gの細孔容積を有し、HNPVアルミナは、11~20nmの細孔径範囲で、0.2~1.0cc/gの細孔容積を有し、一方で、非HNPVアルミナは、11~20nmの細孔径範囲で、約0.2cc/g未満の細孔容積を有する。ベース押出物は、2~50nmの細孔径範囲で、0.12~1.80cc/gの全細孔容積を有する。触媒は、周期表の第6族~第10族、及び第14族から選択される、少なくとも1つの修飾剤を含む。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書には、1つ以上の態様の例示的な実施形態が提供されているが、開示されている方法は、いずれかの数の技法を用いて実施してよい。本開示は、本明細書に例示及び記載されているいずれの例示的な設計及び実施形態も含め、本明細書に例示されている例示的なまたは具体的な実施形態、図面及び技法に限定されず、均等物の全範囲と共に、添付の特許請求の範囲内で改変してよい。
【0011】
特に明記しない限り、以下の用語、専門用語、及び定義が本開示に適用される。用語が本開示で使用されているが、本明細書で特に定義されていない場合、定義が本明細書で適用される他の開示または定義と矛盾しないことを条件として、the IUPAC Compendium of Chemical Terminology, 2nd ed (1997)の定義が適用され、またはその定義が適用されるあらゆる主張を不定もしくは無効にする。参照により本明細書に援用されるいずれかの文献によって提供されているいずれかの定義または用法が、本明細書によって提供されている定義または用法と矛盾する限りにおいては、本明細書に提供されている定義または用法が適用されると理解されたい。
【0012】
「API比重」は、水に対する、石油原料または製品の比重を指し、ASTM D4052-11によって決定される。
【0013】
「粘度指数」(VI)は、潤滑剤の温度依存性を表し、ASTM D2270-10(E2011)によって決定される。
【0014】
「減圧軽油」(VGO)は、原油減圧蒸留の副産物であり、基油に改質するために、水素化処理ユニットまたは芳香族抽出に送られうる。VGOは、一般に、0.101MPaで、343℃(649°F)と593℃(1100°F)の間の沸点範囲分布を有する炭化水素を含む。
【0015】
「処理」、「処理された」、「改質する」、「改質している」、及び「改質された」は、油性供給原料と併せて使用する際には、水素化処理を施されているもしくは水素化処理を施した原料、または得られた材料もしくは粗生成物であって、その原料の分子量が低下しているか、その原料の沸点範囲が低下しているか、アスファルテンの濃度が低下しているか、炭化水素遊離基の濃度が低下しているか、及び/または硫黄、窒素、酸素、ハロゲン化物、及び金属のような不純物の量が低下している原料を記載するものである。
【0016】
「水素化処理(hydroprocessing)」は、望ましくない不純物を除去し、及び/または原料を所望の生成物に変換する目的で、炭素質供給原料を、より高い温度及び圧力で、水素及び触媒と接触させる工程を指す。水素化処理工程の例としては、水素化分解、水素化処理、触媒脱ろう、及び水素化仕上げが挙げられる。
【0017】
「水素化分解」は、水素化及び脱水素に炭化水素の分解/断片化が伴う工程、例えば、より重質な炭化水素をより軽質な炭化水素に変換する工程、または芳香族及び/またはシクロパラフィン(ナフテン)を非環状分岐パラフィンに変換する工程を指す。
【0018】
水素化処理(hydrotreating)」は、硫黄及び/または窒素含有炭化水素原料を、通常は水素化分解と組み合わせて、硫黄及び/または窒素含有量が低減された炭化水素生成物に変換し、副生成物として、硫化水素及び/またはアンモニアを(それぞれ)生成する工程を指す。水素の存在下で行われるこのような工程またはステップには、炭化水素供給原料の成分(例えば、不純物)の水素化脱硫、水素化脱窒、水素化脱メタル化、及び/または水素化脱芳香族化、及び/または供給原料中の不飽和化合物の水素化が含まれる。水素化処理の種類及び反応条件に応じて、水素化処理工程の生成物には、例えば、粘度、粘度指数、飽和物含有率、低温特性、揮発性、及び脱分極の改善が見られることがある。「保護層」及び「保護床」という用語は、本明細書では、水素化処理触媒または水素化処理触媒層を、同義及び交換可能に指すために使用され得る。保護層は、炭化水素脱ろう用触媒システムの成分であってもよく、少なくとも1つの水素異性化触媒の上流に配置されてもよい。
【0019】
「触媒脱ろう」または水素異性化は、水素の存在下で触媒と接触させることによって、ノルマルパラフィンをより分岐した対応物に異性化する工程を指す。
【0020】
「水素化仕上げ」は、微量の芳香族、オレフィン、発色体、及び溶剤を除去することによって、水素化仕上げ製品の酸化安定性、UV安定性、及び外観を改善することを意図した工程を指す。UV安定性は、UV光と酸素に暴露された際の、試験対象となる炭化水素の安定性を指す。不安定性は、通常、Hocもしくは曇りとして見られる目に見える沈殿物が形成される場合、または紫外線や空気に暴露されると暗色が発現する場合に示される。水素化仕上げについての一般的な説明は、米国特許第3,852,207号、及び同第4,673,487号において確認することができる。
【0021】
「水素(Hydrogen)」または「水素(hydrogen)」という用語は、水素自体、及び/または水素源となる化合物もしくは複数の化合物を指す。
【0022】
「BET表面積」は、その沸点におけるN2の吸着によって決定される。BET表面積は、P/P0=0.050、0.088、0.125、0.163、及び0.200の5点法によって計算する。まず、試料を400℃で6時間、乾燥N2流の存在下で前処理し、例えば水または有機物などの、あらゆる吸着揮発性物質を除去する。
【0023】
「カットポイント」は、所定の分離度に達する、真沸点(TBP)曲線上の温度を指す。
【0024】
「流動点」とは、制御された条件下で、油が流れ始める温度を指す。流動点は、例えば、ASTM D5950によって決定され得る。
【0025】
「曇り点」とは、油が特定の条件下で冷却される際に、潤滑油基油試料が曇りを生じ始める温度を指す。潤滑油基油の曇り点は、その流動点と相補的である。曇り点は、例えばASTM D5773によって決定され得る。
【0026】
「ナノ細孔径」及び「ナノ細孔容積」は、その沸点におけるN2の吸着によって決定され、E.P. Barrett, L.G. Joyner and P.P. Halenda, "The determination of pore volume and area distributions in porous substances. I. Computations from nitrogen isotherms." J. Am. Chem. Soc. 73, 373-380, 1951.に記載のBJH法により、N2等温線から計算される。まず、試料を400℃で6時間、乾燥N2流の存在下で前処理し、例えば水または有機物などの、あらゆる吸着揮発性物質を除去する。それぞれd10、d50、及びd90と呼ばれる、全ナノ細孔容積の10%、50%、及び90%での細孔径も、そのようなN2吸着測定から決定し得る。
【0027】
「TBP」とは、炭化水素質原料または生成物の沸点を指し、ASTM D2887ー13による模擬蒸留(SimDist)によって決定される。
【0028】
「炭化水素質」、「炭化水素」、及び類似の用語は、炭素原子及び水素原子のみを含有する化合物を指す。その炭化水素に特定の基が存在する場合には、他の識別語を使用して、その特定の基の存在を示すことができる(例えば、ハロゲン化炭化水素とは、ハロゲン原子が1つ以上、その炭化水素中の同数の水素原子と置き換わって存在することを示している)。
【0029】
「周期表」という用語は、the IUPAC Periodic Table of the Elements dated Jun. 22, 2007の版を指し、周期表の族番号表示は、Chem. Eng. News, 63(5), 26-27 (1985)に記載されている通りである。「第2族」は、IUPAC第2族元素、例えば、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、及びそれらの元素、化合物、またはイオン形態のいずれかの組み合わせを指す。「第6族」は、IUPAC第6族元素、例えば、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、及びタングステン(W)を指す。「第7族」は、IUPAC第7族元素、例えば、マンガン(Mn)、レニウム(Re)、及びそれらの元素、化合物、またはイオン形態のいずれかの組み合わせを指す。「第8族」は、IUPAC第8族元素、例えば、鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、及びそれらの元素、化合物、またはイオン形態のいずれかの組み合わせを指す。「第9族」は、IUPAC第9族元素、例えば、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、及びそれらの元素、化合物、またはイオン形態のいずれかの組み合わせを指す。「第10族」は、IUPAC第10族元素、例えば、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、及びそれらの元素、化合物、またはイオン形態のいずれかの組み合わせを指す。「第14族」は、IUPAC第14族元素、例えば、ゲルマニウム(Ge)、錫(Sn)、鉛(Pb)、及びそれらの元素、化合物、またはイオン形態のいずれかの組み合わせを指す。
【0030】
「担体」という用語は、特に、「触媒担体」という用語で使用する場合には、典型的には、高い表面積を有する固体である従来の材料であり、触媒材料を担持する材料を指す。担体材料は不活性であっても触媒反応に関与していてもよく、多孔質であっても非多孔質であってもよい。典型的な触媒担体には、さまざまな種類のカーボン、アルミナ、シリカ及びシリカ-アルミナ、例えば、非晶質シリカアルミネート、ゼオライト、アルミナ-ボリア、シリカ-アルミナ-マグネシア、シリカ-アルミナ-チタニア、ならびにそこに他のゼオライトや他の複合酸化物を添加することによって得られる材料が含まれる。
【0031】
「モレキュラーシーブ」とは、フレームワーク構造内に均一な分子寸法の細孔を有しており、モレキュラーシーブの種類に応じて、ある特定の分子のみが、そのモレキュラーシーブの細孔構造に到達できる一方で、その他の分子が、例えば分子のサイズ、及び/または反応性により排除されるようになっている物質を指す。「モレキュラーシーブ」及び「ゼオライト」という用語は同義であり、(a)中間体、及び(b)最終または標的モレキュラーシーブ、ならびに(1)直接合成、または(2)結晶化後処理(二次修飾)によって製造される、モレキュラーシーブを含む。二次合成技術では、ヘテロ原子格子置換またはその他の技術により、中間材料から標的材料を合成することができる。例えば、アルミノケイ酸塩は、中間体ホウケイ酸塩から、AlからBへの結晶化後ヘテロ原子格子置換により合成することができる。このような技術は公知であり、例えば、米国特許第6,790,433号に記載されている。ゼオライト、結晶性アルミノリン酸塩、及び結晶性シリコアルミノリン酸塩は、モレキュラーシーブの代表例である。
【0032】
本開示では、組成物、及び方法または工程が、各種の成分またはステップを「含む」という観点で説明されている場合が多いが、その組成物及び方法は、別段の記載のない限り、その各種の成分もしくは工程「から本質的になっても」よいし、またはその各種の成分もしくは工程「からなっても」よい。
【0033】
「a」、「an」、及び「the」という用語は、複数の選択肢、例えば少なくとも1つを含むことを意図している。例えば、「遷移金属」または「アルカリ金属」の開示は、別段の指定がない限り、遷移金属またはアルカリ金属の1つ、または2つ以上の混合物もしくは組み合わせを包含することを意味する。
【0034】
本明細書における詳細な説明及び特許請求の範囲内のいずれの数値も、示されている値が「約」または「およそ」によって修飾されており、当業者であれば予測するであろう、実験での誤差及び変動が考慮されている。
【0035】
一態様では、本発明は、芳香族含有量が低減された基油/潤滑油を含む脱ろう製品を製造するのに有用な水素化処理触媒であり、触媒は、高ナノ細孔細孔容積(HNPV)非晶質シリカアルミナ(ASA)と高ナノ細孔細孔容積(HNPV)アルミナから形成されたベース押出物を含み、ASAは、11~20nmの細孔径範囲で、0.2~0.9cc/gの細孔容積を有し、HNPVアルミナは、11~20nmの細孔径範囲で、0.2~1.0cc/gの細孔容積を有する。ベース押出物は、2~50nmの細孔径範囲で、0.12~1.80cc/gの全細孔容積を有する。触媒は、周期表の第6族~第10族、及び第14族から選択される、少なくとも1つの修飾剤を含む。
【0036】
一態様では、本発明は、芳香族含有量が低減された基油/潤滑油を含む脱ろう製品を製造するのに有用な水素化処理触媒であり、触媒は、高ナノ細孔細孔容積(HNPV)非晶質シリカアルミナ(ASA)と非高ナノ細孔容積(非HNPV)アルミナから形成されたベース押出物を含み、ASAは、11~20nmの細孔径範囲で、0.2~0.9cc/gの細孔容積を有し、アルミナは、11~20nmの細孔径範囲で、約0.2cc/g未満の細孔容積を有するベース押出物は、2~50nmの細孔径範囲で、0.12~1.80cc/gの全細孔容積を有する。触媒は、周期表の第6族~第10族、及び第14族から選択される、少なくとも1つの修飾剤を含む。
【0037】
更なる態様では、本発明は、芳香族含有量が低減された基油を含む脱ろう製品を製造するのに有用な水素化処理工程に関し、工程は、水素化処理条件下で炭化水素原料を水素化処理触媒と接触させて、生成物または生成物流を生成することを含み、水素化処理触媒は、アルミナから形成されたベース押出物を含み、ASAは、11~20nmの細孔径範囲で、0.2~0.9cc/gの細孔容積を有し、アルミナは、11~20nmの細孔径範囲で、0.2~1.0cc/gの細孔容積を有する。ベース押出物は、2~50nmの細孔径範囲で、0.12~1.80cc/gの全細孔容積を有する。触媒は、周期表の第6族~第10族、及び第14族から選択される、少なくとも1つの修飾剤を含む。
【0038】
水素化処理触媒及び方法で使用される非晶質シリカアルミナ(ASA)は、一般に「高ナノ細孔容積」非晶質シリカアルミナと呼ばれ、本明細書では「HNPV」非晶質シリカアルミナ、または「HNPV」ASAと略される。HNPV ASAは、平均細孔径の範囲内のその細孔容積に従って、簡便に特徴付けられ得る。本明細書で「NPV」と略される、「ナノ細孔容積」という用語は、ASAの細孔容積範囲及びそれらの範囲内の値、例えば、6~11nmの細孔径範囲で、例えば、11~20nmの細孔径範囲で、及び20~50nmの細孔径範囲で、NPV細孔容積を定義する、簡便な標識を提供する。一般に、ASAは、11~20nmの細孔径範囲で、0.2~0.9cc/gの細孔容積、または、より特定的には、11~20nmの細孔径範囲で、0.25~0.8cc/gの細孔容積、または11~20nmの細孔径範囲で、0.3~0.7cc/gの細孔容積を有する。独立して、または前述の11~20nmの範囲に加え、ASAは、6~11nmの細孔径範囲で、0.1~1.2cc/gの細孔容積、または6~11nmの細孔径範囲で、0.2~1.0cc/gの細孔容積、または6~11nmの細孔径範囲で、0.3~0.9cc/gの細孔容積を有してもよい。独立して、または前述の6~11nm及び11~20nmの範囲に加え、ASAは、20~50nmの細孔径範囲で、0.05~0.7cc/gの細孔容積、または20~50nmの細孔径範囲で、0.1~0.6cc/gの細孔容積、または20~50nmの細孔径範囲で、0.15~0.5cc/gの細孔容積を有してもよい。
【0039】
HNPV ASAはまた、細孔径範囲における全細孔容積に関して、特徴付けられ得る。例えば、前述のNPV細孔容積に加え、または個別にかつ独立して、HNPV ASAは、2~50nmの細孔径範囲で、0.3~2.2cc/gの全細孔容積、または2~50nmの細孔径範囲で、0.4~2.1cc/gの全細孔容積、または2~50nmの細孔径範囲で、0.5~2.0cc/gの全細孔容積を有してもよい。
【0040】
適切なHNPV ASA及び非HNPV ASAは、市販されており、例えば、米国特許第10,183,282号を含む特許文献で既知である。ASAのそのようなファミリーの1つには、例えば、SasolのSIRAL(登録商標)ASAが挙げられる(表1)。
【表1】
【0041】
比較すると、非HNPV非晶質シリカアルミナは、一般に、より小さな細孔径範囲でより大きな細孔容積含有量に偏った、細孔サイズ分布を有する。例えば、そのような非HNPV ASAは、典型的には、11~20nmの細孔径範囲で、約0.2cc/g未満もしくは約0.18cc/g未満の細孔容積、及び/または20~50nmの細孔径範囲で、約0.1cc/g未満もしくは約0.08cc/g未満の細孔容積を有してもよい。
【0042】
水素化処理触媒及び方法で使用されるアルミナは、本明細書で「HNPV」アルミナと略される、一般に「高ナノ細孔容積」アルミナと呼ばれるアルミナ、及び/または従来の非HNPVアルミナであってもよい。HNPVアルミナは、平均細孔径の範囲内のその細孔容積に従って、簡便に特徴付けられ得る。本明細書で「NPV」と略される、「ナノ細孔容積」という用語は、アルミナの細孔容積範囲及びそれらの範囲内の値、例えば、6~11nmの細孔径範囲で、11~20nmの細孔径範囲で、及び20~50nmの細孔径範囲で、NPV細孔容積を定義する、簡便な標識を提供する。一般に、アルミナは、11~20nmの細孔径範囲で、0.2~1.0cc/gの細孔容積、または、より特定的には、11~20nmの細孔径範囲で、0.3~0.85cc/gの細孔容積、または11~20nmの細孔径範囲で、0.4~0.7cc/gの細孔容積を有する。独立して、または前述の11~20nmの範囲に加え、アルミナは、6~11nmの細孔径範囲で、0.05~1.0cc/gの細孔容積、または6~11nmの細孔径範囲で、0.06~0.8cc/gの細孔容積、または6~11nmの細孔径範囲で、0.07~0.6cc/gの細孔容積を有してもよい。独立して、または前述の6~11nm及び11~20nmの範囲に加え、アルミナは、20~50nmの細孔径範囲で、0.05~1.0cc/gの細孔容積、または20~50nmの細孔径範囲で、0.07~0.8cc/gの細孔容積、または20~50nmの細孔径範囲で、0.09~0.6cc/gの細孔容積を有してもよい。
【0043】
HNPVアルミナはまた、細孔径範囲における全細孔容積に関して、特徴付けられ得る。例えば、前述のNPV細孔容積に加え、または個別にかつ独立して、HNPVアルミナは、2~50nmの細孔径範囲で、0.3~2.0cc/gの全細孔容積、または2~50nmの細孔径範囲で、0.5~1.75cc/gの全細孔容積、または2~50nmの細孔径範囲で、0.7~1.5cc/gの全細孔容積を有してもよい。
【0044】
適切な非HNPVアルミナは、一般に、より小さな細孔径範囲でより大きな細孔容積含有量に偏った、細孔サイズ分布を有する。例えば、そのような非HNPVアルミナは、典型的には、11~20nmの細孔径範囲で、約0.2cc/g未満もしくは約0.18cc/g未満の細孔容積、及び/または20~50nmの細孔径範囲で、約0.05cc/g未満もしくは約0.03cc/g未満の細孔容積を有してもよい。
【0045】
適切なHNPV及び非HNPVアルミナは、市販されており、例えば、US 10,183,282を含む特許文献で既知である。アルミナのそのようなファミリーの1つには、例えば、SasolのCATAPAL(登録商標)アルミナが挙げられる(表2)。SasolのPURAL(登録商標)アルミナも適している可能性がある。
【表2】
【0046】
HNPV ASA及びHNPVアルミナから形成されるベース押出物を含む触媒は、一般に、周期表(IUPAC)の、第6族~第10族、及び第14族から選択される、少なくとも1つの修飾剤を含む。適切な第6族の修飾剤は、第6族元素、例えば、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、及びタングステン(W)、ならびにそれらの元素、化合物、またはイオン形態のいずれかの組み合わせを含む。適切な第7族の修飾剤は、第7族元素、例えば、マンガン(Mn)、レニウム(Re)、及びそれらの元素、化合物、またはイオン形態のいずれかの組み合わせを含む。適切な第8族の修飾剤は、第8族元素、例えば、鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、及びそれらの元素、化合物、またはイオン形態のいずれかの組み合わせを含む。適切な第9族の修飾剤は、第9族元素、例えば、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、及びそれらの元素、化合物、またはイオン形態のいずれかの組み合わせを含む。適切な第10族の修飾剤は、第10族元素、例えば、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、及びそれらの元素、化合物、またはイオン形態のいずれかの組み合わせを含む。適切な第14族の修飾剤は、第14族元素、例えば、ゲルマニウム(Ge)、錫(Sn)、鉛(Pd)、及びそれらの元素、化合物、またはイオン形態のいずれかの組み合わせを含む。更に、第2族元素、例えば、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、及びそれらの元素、化合物、またはイオン形態のいずれかの組み合わせのいずれかを含む、任意の第2族の修飾剤が存在してもよい。
【0047】
修飾剤は、有利には、1つ以上の第10族の金属を含む。第10族の金属は、例えば白金、パラジウム、またはそれらの組み合わせであってもよい。白金は、いくつかの態様において、別の第6族~第10族、及び第14族の金属と共に、好適な第10族の金属である。これらに限定されるものではないが、第6族~第10族、及び第14族の金属は、Pt、Pd、Ni、Re、Ru、Ir、Sn、またはそれらの組み合わせから、更に絞り込んで選択され得る。触媒中の第一の金属としてのPtと組み合わせて、触媒中の任意の第二の金属もまた、第二の第6族~第10族、及び第14族の金属から、更に絞り込んで選択され得、Pd、Ni、Re、Ru、Ir、Sn、またはそれらの組み合わせから選択される。より具体的な例として、触媒は、第10族の金属として、0.01~5.0重量%、または0.01~2.0重量%、または0.1~2.0重量%、より特定的には、0.01~1.0重量%、または0.3~0.8重量%の量でPtを含んでもよい。第6族~第10族、及び第14族の金属として、Pd、Ni、Re、Ru、Ir、Sn、またはそれらの組み合わせから選択される、任意の第二の金属は、0.01~5.0重量%、または0.01~2.0重量%、または0.1~2.0重量%、より特定的には、0.01~1.0重量%、及び0.01~1.5重量%の量で存在してもよい。
【0048】
触媒中の金属含有量は、有用な範囲にわたって変動しもよく、例えば、触媒中の修飾金属の全含有量は、0.01~5.0重量%、または0.01~2.0重量%、または0.1~2.0重量%(全触媒重量基準)であってもよい。いくつかの例において、触媒は、修飾金属の1つとしての0.1~2.0重量%のPtと第6族~第10族、及び第14族から選択される0.01~1.5重量%の第二の金属、または0.3~1.0重量%のPtと0.03~1.0重量%の第二の金属、または0.3~1.0重量%のPtと0.03~0.8重量%の第二の金属を含む。いくつかの場合において、第6族~第10族、及び第14族から選択される任意の第二の金属に対する、第10族の第一の金属の比は、5:1~1:5、または3:1~1:3、または1:1~1:2、または5:1~2:1、または5:1~3:1、または1:1~1:3、または1:1~1:4の範囲であってもよい。
【0049】
触媒は、アルミナ、シリカ、セリア、チタニア、酸化タングステン、ジルコニア、またはそれらの組み合わせから選択される、追加のマトリックス材料を更に含んでもよい。より具体的な場合において、第一の触媒は、0.01~5.0重量%の修飾金属、1~99重量%のマトリックス材料、及び0.1~99重量%のHNPV ASA/HNPVアルミナベース押出物を含む。触媒はまた、より狭義で記載されてもよく、例えば、触媒は、0.01~5.0重量%の修飾剤、15~85重量%のマトリックス材料、及び15~85重量%のHNPV ASA/HNPVアルミナまたはHNPV ASA/非HNPVアルミナベース押出物を含み得る。2つ以上のマトリックス材料が使用されてもよく、例えば、マトリックス材料は、約15~65重量%の第一のマトリックス材料、及び約15~65重量%の第二のマトリックス材料を含み得る。そのような場合、第一の及び第二のマトリックス材料は、一般に、材料の種類、または細孔容積及び細孔分布特性などの、1つ以上の特徴が異なる。1つ以上のマトリックス材料が使用される場合、第一の、第二の(及び任意の他の)マトリックス材料は、同じ種類のマトリックス材料であってもよく、例えば、マトリックス材料は1種以上のアルミナを含んでもよい。
【0050】
触媒ベース押出物はまた、全細孔容積及び特定の平均細孔径範囲内の細孔容積の両方において、細孔容積によって適切に特徴付けられる。HNPV ASA及びアルミナと同様に、ベース押出物は、6~11nmの細孔径範囲、11~20nmの細孔径範囲、及び20~50nmの細孔径範囲での細孔容積に従って特徴付けられ得る。一般に、ベース押出物は、2~50nmの細孔径範囲で、0.12~1.80cc/gの全細孔容積、または、より特定的には、2~50nmの細孔径範囲で、0.40~1.65cc/gの全細孔容積、または2~50nmの細孔径範囲で、0.5~1.50cc/gの全細孔容積を有する。
【0051】
独立して、または前述の2~50nm範囲の全細孔容積に加え、ベース押出物は、6~11nmの細孔径範囲で、0.2~1.2cc/gの細孔容積、または6~11nmの細孔径範囲で、0.3~1.1cc/gの細孔容積、または6~11nmの細孔径範囲で、0.4~1.0cc/gの細孔容積を有してもよい。独立して、または前述の6~11nmの細孔容積及び2~50nmの全細孔容積範囲に加え、ベース押出物は、11~20nmの細孔径範囲で、0.01~0.40cc/gの細孔容積、または11~20nmの細孔径範囲で、0.02~0.35cc/gの細孔容積、または11~20nmの細孔径範囲で、0.03~0.30cc/gの細孔容積を有してもよい。独立して、または前述の6~11nm及び11~20nmの細孔容積範囲、ならびに2~50nmの全細孔容積範囲に加え、ベース押出物は、20~50nmの細孔径範囲で、約0.03cc/g未満の細孔容積、または20~50nmの細孔径範囲で、約0.02cc/g未満の細孔容積、または20~50nmの細孔径範囲で、約0.01cc/g未満の細孔容積を有してもよい。
【0052】
ベース押出物は、任意の適切な方法に従って製造し得る。例えば、ベース押出物は、複数の成分を一緒に混合し、十分に混合されたHNPV ASA/NPVアルミナ、またはHNPV ASA/非HNPVアルミナベース材料を押出して、ベース押出物を形成することによって、簡便に製造し得る。次に、押出物を乾燥及び焼成して、続いてベース押出物に任意の修飾剤を充填する。適切な含浸技術を使用して、修飾剤をベース押出物上に分散させることができる。しかしながら、ベース押出物を製造する方法は、特定の工程条件または技術に従って特に限定されることを、意図するものではない。
【0053】
炭化水素原料は、一般に、さまざまな基油原料から選択されてもよく、有利には、軽油、真空軽油、ロングレジデュー、真空残渣、大気圧留出物、重質燃料、油、ろう及びパラフィン、使用済み油、脱アスファルト残渣もしくは原油、熱もしくは触媒転化工程から得られるチャージ(charge)、シェールオイル、サイクルオイル、動物及び植物由来の脂肪、油及びろう、石油及びスラックワックス、またはそれらの組み合わせを含む。炭化水素原料は、また、400~1300°F、または500~1100°F、また600~1050°Fの蒸留範囲の原料炭化水素留分を含んでもよく、及び/または炭化水素原料は、約3~30cSt、または約3.5~15cStの範囲のKV100(100℃での動粘度)を有する。
【0054】
炭化水素原料は、本発明の水素化処理工程に供される前に、初期水素化処理ステップを受けてもよい。これらに限定されるものではなく、または必要ではないが、このような初期水素化処理ステップには、炭化水素供給原料の成分(例えば、不純物)の、水素化脱硫、水素化脱窒、水素化脱メタル化、及び/または水素化脱芳香族化が含まれてもよい。炭化水素原料に初期水素化処理を施して、例えば粘度特性などの、炭化水素原料の特定の特性を改善することも可能である。いくつかの場合において、水素化処理工程は、真空軽油(VGO)などの、軽質または重質中性基油原料の水素異性化工程と組み合わせて(例えば、その後に)、有利に使用することができる。次いで、このような初期水素化処理に続いて、炭化水素原料とHNPV ASA/アルミナベース押出物から形成された触媒とを接触させることによって、水素化処理工程を実施することができる。
【0055】
いくつかの場合において、方法は、HNPV ASA/HNPVアルミナまたはHNPV ASA/非HNPVアルミナ触媒が、Pt修飾金属またはPtと別の修飾剤との組み合わせを含む場合、炭化水素原料として、真空軽油(VGO)などの、軽質または重質中性基油原料に有利に用いられ得る。
【0056】
生成物(複数可)または生成物流は、1つ以上の基油製品の製造、例えば、約2~30cStの範囲のKV100を有する、複数のグレードの製造に使用され得る。そのような基油製品は、いくつかの場合において、約-5℃以下、または-12℃以下、または-14℃以下の流動点を有し得る。
【0057】
工程及びシステムはまた、追加の工程ステップまたはシステム構成要素と組み合わせることができ、例えば、炭化水素原料を、HNPV ASA/HNPVアルミナまたはHNPV ASA/非HNPVアルミナ水素化処理触媒と接触させる前に、供給原料を、水素化処理触媒と共に他の水素化処理条件に更に供してもよい。追加の任意の層状触媒も使用することができ、例えば、水素化処理触媒は、約0.1~1重量%のPt、及び約0.2~1.5重量%のPdを含有する、耐火性無機酸化物材料を含む、保護層触媒を含む。
【0058】
本工程及び触媒系によってもたらされる利点の中には、11~20nmの細孔径範囲で、0.2~0.9cc/g(または、より特定的な場合において、0.25~0.8cc/g、または0.3~0.7cc/g)の細孔容積を有するHNPV ASA成分を含まない、非HNPV ASAとHNPVアルミナから形成されたベース押出物(以下、「非HNPV ASA/HNPVアルミナ」ベース押出物及び触媒と呼ぶ)、または非HNPV ASAと非HNPVアルミナから形成されたベース押出物(以下、「非HNPV ASA/非HNPVアルミナ」ベース押出物及び触媒と呼ぶ)を含む、同様の触媒を使用した同一の工程と比較して、HNPV ASAとHNPVアルミナまたはHNPV ASA/非HNPVアルミナベース押出物(本明細書では、「HNPV ASA/HNPVアルミナ」、及び「HNPV ASA/非HNPVアルミナ」ベース押出物及び触媒と呼ぶ)を含む、本発明の触媒系を使用する、基油製品特性の改善(例えば、芳香族含有量の低減)がある。更に、いくつかの場合において、本発明のHNPV ASA/HNPVアルミナまたはHNPV/非HNPVアルミナ触媒を使用した場合、同一の工程において、同様の類似の非HNPV ASA/HNPVアルミナまたは非HNPV ASA/非HNPVアルミナ触媒を使用した場合と比較して、基油生成物の芳香族含有量は、少なくとも約0.5重量%、または1.0重量%、または1.5重量%、または2.0重量%、顕著に減少する。基油生成物の芳香族含有量は、芳香族の飽和転化率の増大の観点から特徴付けることもでき、本発明のHNPV ASA/HNPVアルミナまたはHNPV ASA/非HNPVアルミナ触媒を使用した場合、同一の工程において、同様の類似の非HNPV ASA/HNPVアルミナまたは非HNPV ASA/非HNPVアルミナ触媒を使用した場合と比較して、基油生成物の芳香族の飽和転化率は、少なくとも約0.5重量%、または1.0重量%、または1.5重量%、または2.0重量%、顕著に増加する。
【0059】
実際には、水素化脱ろうは、主に、基油からろうを除去することによって、基油の流動点を低下させるため、及び/または基油の曇り点を低下させるために、使用される。通常、脱ろうでは、ろうを処理するために触媒工程が使用され、粘度指数を高め、芳香族及びヘテロ原子の含有量を低減し、ならびに脱ろう原料中の低沸点成分の量を低減させるために、一般には、脱ろうの前に脱ろう原料が改質される。一部の脱ろう触媒は、ろう状分子を分解してより低分子量の分子にすることによって、ろうの変換反応を達成する。他の脱ろう工程では、工程への炭化水素原料に含まれるろうを、ろう異性化によって変換し、非異性化分子対応物よりも低い流動点を有する、異性化分子を生成し得る。本明細書で使用する場合、異性化は、触媒水素化異性化条件下でろう分子の異性化に水素を使用する、水素異性化工程を包含する。
【0060】
適切な水素化脱ろう、及び/または水素化処理条件は、一般に、使用される原料、使用される触媒、所望の収率、及び基油の所望の特性に依存する。一般的な条件には、500°F~775°F(260℃~413℃)の温度、15psig~3000psig(0.10MPa~20.68MPaゲージ)の圧力、0.25時間-1~20時間-1のLHSV、及び2000SCF/bbl~30,000SCF/bbl(356~5340m3H2/m3供給原料)の水素-供給原料比が含まれる。一般に、水素は、生成物から分離され、異性化ゾーンへ再循環される。一般に、本発明の脱ろう工程は、水素の存在下で行われる。典型的には、炭化水素に対する水素の比率は、炭化水素1バレル当たり、約2000~約10,000標準立方フィートH2の範囲内であり、通常、炭化水素1バレル当たり、約2500~約5000標準立方フィートH2の範囲内である。上記の反応条件は、第一の及び第二の触媒の水素異性化条件だけでなく、水素化処理ゾーンの水素化処理条件にも適用することができる。適切な脱ろう条件及び工程は、例えば、米国特許第5,135,638号、同第5,282,958号、及び同第7,282,134号に記載されている。
【0061】
適切な触媒システムは、一般に、更なる水素化仕上げステップの前に、原料がHNPV ASA/HNPVアルミナ、及び/またはHNPV ASA/非HNPVアルミナ触媒と接触するように配置された、HNPV ASA/HNPVアルミナ、及び/またはHNPV ASA/非HNPVアルミナ触媒を含む、触媒を含む。HNPV ASA/HNPVアルミナ、及び/またはHNPV ASA/非HNPVアルミナ触媒は、単独で、他の触媒と組み合わせて、及び/または層状触媒システムで使用され得る。追加の処理ステップ及び触媒が含まれてもよく、例えば、上述のように、水素化処理触媒(複数可)/ステップ、保護層、及び/または水素化仕上げ触媒(複数可)/ステップが含まれてもよい。
【実施例】
【0062】
以下の実施例で使用したHNPV非晶質シリカアルミナ及びHNPVアルミナは、前述の記載に従って、市販のシリカアルミナ及びアルミナとして提供された。比較用の市販の非HNPVアルミナも、比較触媒として使用した。本実施例で使用されるこれらの材料の特性を、表3に示す。
【表3】
【0063】
実施例1-水素化処理触媒Aの調製
比較用の水素化処理触媒Aを次のように調製した:85%の従来型(非HNPV)非晶質シリカアルミナを、従来型(非HVPV)アルミナ(Catapal(登録商標))と複合し、混合物を押出成形し、乾燥及び焼成した。乾燥及び焼成した押出物に、白金及びパラジウムを含有する溶液を含侵させた。全体の貴金属充填量は、0.54重量%であった。
【0064】
実施例2-水素化処理触媒Bの調製
水素化処理触媒Bを、触媒Aについて記載したように調製し、80重量%のHNPV ASA、及び20重量%のHNPVアルミナを含有する混合物を得た。乾燥及び焼成した押出物に、白金及びパラジウムを含浸させ、全体の貴金属充填量を、0.54重量%とした。乾燥後、触媒を750°Fで焼成した。
【0065】
実施例3-水素化処理触媒Cの調製
水素化処理触媒Cを、触媒Bについて記載したように調製し、HNPV ASA、及び20重量%のHNPVアルミナを含有する混合物を得た。乾燥及び焼成した押出物に、白金及びパラジウムを含浸させ、全体の貴金属充填量を、0.54重量%とした。乾燥後、触媒を842°Fで焼成した。触媒A及びBの触媒特性を表4に列挙する。触媒Cは、触媒Bと同一の押出物を使用し、触媒Bと同一の細孔特性を有する。
【表4】
【0066】
実施例4-触媒A、B、及びCの水素化処理性能
触媒A、B、及びCを使用して、表5に示す特性を有する、脱ろう重質中性供給原料を水素化処理した。
【表5】
【0067】
水素化処理反応は、ダウンフロー反応器を備えたマイクロユニットで実行した。運転を、全圧2100psig下で実施した。原料の導入前に、標準的な還元手順によって触媒を活性化した。原料を、1.2の液空間速度(LHSV)で反応器に通した。油に対する水素の比率は、約3000scfbであった。水素化処理反応温度は、350~550°Fの範囲に調節した。各触媒A、B、及びCの芳香族転化率の結果を、表6に示す。
【表6】
【0068】
非HNPV ASA/非HNPVアルミナベース押出物成分を有する触媒Aと比較して、HNPV ASA/HNPVアルミナベース押出物成分を有する触媒Bは、触媒Aと比較して、芳香族飽和転化率が、触媒Bでは約2.2%、触媒Cでは約1.6%それぞれ増加したことを実証した。
【0069】
本出願は、以下の番号付き段落P1からP24に記載される、主題の特許請求の範囲の全範囲を対象とするものとして、理解されるべきである。
P1.低減した芳香族含有量を有する基油を含む脱ろう製品を製造するのに有用な、水素化処理触媒であって、
非晶質シリカアルミナ(ASA)及びアルミナを含むベース押出物であって、
前記非晶質シリカアルミナが、11~20nmの細孔径範囲で、0.2~0.9cc/gの細孔容積を有し、
前記アルミナが、11~20nmの細孔径範囲で、0.01~1.0cc/gの細孔容積を有し、及び
前記ベース押出物が、2~50nmの細孔径範囲で、0.12~1.80cc/gの全細孔容積を有する、前記ベース押出物と、ならびに
周期表の第6族~第10族、及び第14族から選択される、少なくとも1つの修飾剤とを含む、前記水素化処理触媒。
P2.前記修飾剤が、周期表の第8族~第10族の金属を含む、段落P1に記載の触媒。
P3.前記修飾剤が、Pt、Pd、またはそれらの組み合わせを含む、第10族の金属である、段落P2に記載の触媒。
P4.前記非晶質シリカアルミナが、6~11nmの細孔径範囲で、0.1~1.2cc/gの細孔容積、または6~11nmの細孔径範囲で、0.2~1.0cc/gの細孔容積、または6~11nmの細孔径範囲で、0.3~0.9cc/gの細孔容積を有する、段落P1~P3のいずれかに記載の触媒。
P5.前記非晶質シリカアルミナが、11~20nmの細孔径範囲で、0.25~0.8cc/gの細孔容積、または11~20nmの細孔径範囲で、0.3~0.7cc/gの細孔容積を有する、段落P1~P4のいずれかに記載の触媒。
P6.前記非晶質シリカアルミナが、20~50nmの細孔径範囲で、0.05~0.7cc/gの細孔容積、または20~50nmの細孔径範囲で、0.1~0.6cc/gの細孔容積、または20~50nmの細孔径範囲で、0.15~0.5cc/gの細孔容積を有する、段落P1~P5のいずれかに記載の触媒。
P7.前記非晶質シリカアルミナが、2~50nmの細孔径範囲で、0.3~2.2cc/gの全細孔容積、または2~50nmの細孔径範囲で、0.4~2.1cc/gの全細孔容積、または2~50nmの細孔径範囲で、0.5~2.0cc/gの全細孔容積を有する、段落P1~P6のいずれかに記載の触媒。
P8.前記アルミナが、6~11nmの細孔径範囲で、0.05~1.0cc/gの細孔容積、または6~11nmの細孔径範囲で、0.06~0.8cc/gの細孔容積、または6~11nmの細孔径範囲で、0.07~0.6cc/gの細孔容積を有する、段落P1~P7のいずれかに記載の触媒。
P9.前記アルミナが、11~20nmの細孔径範囲で、0.2~1.0cc/gの細孔容積、または11~20nmの細孔径範囲で、0.2~0.9cc/gの細孔容積、または11~20nmの細孔径範囲で、0.3~0.85cc/gの細孔容積、または11~20nmの細孔径範囲で、0.4~0.7cc/gの細孔容積を有する、段落P1~P8のいずれかに記載の触媒。
P10.前記アルミナが、11~20nmの細孔径範囲で、約0.2cc/g未満の細孔容積、または11~20nmの細孔径範囲で、約0.1cc/g未満の細孔容積、または11~20nmの細孔径範囲で、約0.05cc/g未満の細孔容積を有する、段落P1~P8のいずれかに記載の触媒。
P11.前記アルミナが、20~50nmの細孔径範囲で、0.05~1.0cc/gの細孔容積、または20~50nmの細孔径範囲で、0.07~0.8cc/gの細孔容積、または20~50nmの細孔径範囲で、0.09~0.6cc/gの細孔容積を有する、段落P1~P10のいずれかに記載の触媒。
P12.前記アルミナが、2~50nmの細孔径範囲で、0.3~2.0cc/gの全細孔容積、または2~50nmの細孔径範囲で、0.5~1.75cc/gの全細孔容積、または2~50nmの細孔径範囲で、0.7~1.5cc/gの全細孔容積を有する、段落P1~P11のいずれかに記載の触媒。
P13.前記ベース押出物が、6~11nmの細孔径範囲で、0.2~1.2cc/gの細孔容積、または6~11nmの細孔径範囲で、0.3~1.1cc/gの細孔容積、または6~11nmの細孔径範囲で、0.4~1.0cc/gの細孔容積を有する、段落P1~P12のいずれかに記載の触媒。
P14.前記ベース押出物が、11~20nmの細孔径範囲で、0.01~0.4cc/gの細孔容積、または11~20nmの細孔径範囲で、0.02~0.35cc/gの細孔容積、または11~20nmの細孔径範囲で、0.03~0.30cc/gの細孔容積を有する、段落P1~P13のいずれかに記載の触媒。
P15.前記ベース押出物が、20~50nmの細孔径範囲で、約0.03cc/g未満、または約0.02cc/g未満、または約0.01cc/g未満の細孔容積を有する、段落P1~P14のいずれかに記載の触媒。
P16.前記ベース押出物が、2~50nmの細孔径範囲で、0.4~1.65cc/gの全細孔容積、または2~50nmの細孔径範囲で、0.5~1.50cc/gの全細孔容積を有する、段落P1~P15のいずれかに記載の触媒。
P17.前記修飾剤の含有量が、0.01~5.0重量%、または0.01~2.0重量%、または0.1~2.0重量%(全触媒重量基準)である、段落P1~P16のいずれかに記載の触媒。
P18.前記触媒が、修飾剤として、Pt、Pd、またはPtとPdの組み合わせを、0.01~1.0重量%、または0.1~0.8重量%Ptの量で含む、段落P1~P17のいずれかに記載の触媒。
P19.前記触媒が、アルミナ、シリカ、セリア、チタニア、酸化タングステン、ジルコニア、またはそれらの組み合わせから選択される、マトリックス材料を更に含む、段落P1~P18のいずれかに記載の触媒。
P20.前記触媒が、0.01~5.0重量%の修飾剤、0~99重量%のマトリックス材料、及び0.1~99重量%のベース押出物を含む、段落P19に記載の触媒。
P21.増大した芳香族飽和転化率を有する水素化処理基油製品を製造するための方法であって、水素化処理条件下で、炭化水素原料を段落P1~P20のいずれかに記載の水素化処理触媒と接触させて、基油製品を製造することを含む、前記方法。
P22.前記炭化水素原料が、軽油、真空軽油、ロングレジデュー、真空残渣、大気圧留出物、重質燃料、油、ろう及びパラフィン、使用済み油、脱アスファルト残渣もしくは原油、熱もしくは触媒転化工程から得られるチャージ(charge)、シェールオイル、サイクルオイル、動物及び植物由来の脂肪、油及びろう、石油及びスラックワックス、またはそれらの組み合わせを含む、段落P21に記載の方法。
P23.非晶質シリカアルミナ成分が、11~20nmの細孔径範囲で、0.2~0.9cc/g、または0.25~0.8cc/g、または0.3~0.7cc/gの細孔容積を有さないことのみが異なる、比較水素化処理触媒を使用する同一の方法と比較して、段落P1~P20のいずれかに記載の水素化処理触媒を使用することで、芳香族飽和転化率が増大した、段落P21~P22のいずれかに記載の方法。
P24.前記芳香族飽和転化率の増大が、少なくとも、約0.5重量%、または1.0重量%、または1.5重量%、または2.0重量%である、段落P21~P23のいずれかに記載の方法。
【0070】
本開示は、本出願に記載される特定の実施形態に関して限定されるものではなく、これらの実施形態はさまざまな態様の例示として意図されている。明らかなように、その精神及び範囲から逸脱することなく、多くの修正及び変形を行うことができる。本明細書に列挙したものに加えて、本開示の範囲内で、機能的に同等の方法及びシステムは、前述の代表的な説明から明らかになるであろう。そのような修正及び改変は、添付の特許請求の範囲内に含まれるものとする。本開示は、添付の代表的な特許請求の範囲の用語によってのみ、また、そのような代表的な特許請求の範囲が権利を有する均等物の全範囲によってのみ限定されるものとする。本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定するようには意図されていないことも理解されたい。
【0071】
前述の説明は、関連する実施形態と共に、例示のみを目的として提示されたものである。これは網羅的なものではなく、開示された正確な形式に本発明を限定するものではない。当業者は、上記の説明から、上記の教示に照らして修正及び変形が可能であること、または開示された実施形態を実践することによって修正及び変更が可能であることを、理解することができる。例えば、場合によっては、説明したステップを、説明したのと同一の順序で、または同一の程度の分離で実行する必要はない。同様に、同一または類似の目的を達成するために、必要に応じて、さまざまなステップを省略、繰り返し、または組み合わせてもよい。したがって、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、均等物の全範囲を考慮して添付の特許請求の範囲によって定義される。
【0072】
米国特許の実施慣行の目的上、及び認められる場合には、その他の特許庁においては、本発明の上記の説明で引用したいずれの特許及び刊行物も、それらに含まれるいずれかの情報が、上記の開示内容と整合し及び/または上記の開示内容を補う限りにおいては、参照により、本明細書に援用される。
【国際調査報告】