(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-04
(54)【発明の名称】創傷治療システムのための蒸発流体管理キャニスタ
(51)【国際特許分類】
A61M 1/00 20060101AFI20240226BHJP
【FI】
A61M1/00 101
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555228
(86)(22)【出願日】2022-02-21
(85)【翻訳文提出日】2023-09-08
(86)【国際出願番号】 IB2022051521
(87)【国際公開番号】W WO2022195377
(87)【国際公開日】2022-09-22
(32)【優先日】2021-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520500336
【氏名又は名称】ケーシーアイ マニュファクチャリング アンリミテッド カンパニー
【氏名又は名称原語表記】KCI Manufacturing Unlimited Company
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】エドワーズ,トーマス アラン
(72)【発明者】
【氏名】プラット,ベンジャミン エイ.
(72)【発明者】
【氏名】ノーラン,ドミニク
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077CC02
4C077CC07
4C077DD12
4C077DD24
4C077EE04
4C077KK25
(57)【要約】
創傷治療システムと共に使用するためのキャニスタは、創傷滲出液を受け入れて収容するように構成された第1の区画及び第2の区画と、空気流経路とを含む。空気流経路は、第1の区画と第2の区画との間に位置決めされた平面領域と、平面領域に対して鈍角で平面領域の第1の端部から延びる入口と、平面領域の第2の端部にある出口とを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
創傷治療システムと共に使用するためのキャニスタであって、
創傷滲出液を受け入れて収容するように構成された第1の区画及び第2の区画と、
空気流経路であって、
前記第1の区画と前記第2の区画との間に位置決めされた平面領域と、
前記平面領域に対して鈍角で前記平面領域の第1の端部から延びている入口と、
前記平面領域の第2の端部にある出口と、を備える空気流経路と、
を備える、キャニスタ。
【請求項2】
前記第1の区画は、
水分子が前記第1の区画から前記空気流経路へ通過することを可能にし、
汚染物質が前記第1の区画から前記空気流経路へ通過することを防止する
ように構成された第1のフィルタによって前記空気流経路から分離される、請求項1に記載のキャニスタ。
【請求項3】
前記第1のフィルタが、ポリエーテルウレタンフィルムを含む、請求項2に記載のキャニスタ。
【請求項4】
前記第1の区画及び前記第2の区画を画定し、熱可塑性ポリウレタン樹脂で形成された剛性構造体を備える、請求項3に記載のキャニスタ。
【請求項5】
前記剛性構造体は、前記ポリウレタンフィルムに超音波溶接される、請求項4に記載のキャニスタ。
【請求項6】
前記第1のフィルタは、高水蒸気透過度を有するフィルムを含む、請求項2に記載のキャニスタ。
【請求項7】
前記高水蒸気透過度が、2000~5000g/m
2/日の範囲内である、請求項6に記載のキャニスタ。
【請求項8】
前記入口が円筒形である、請求項1に記載のキャニスタ。
【請求項9】
前記入口は、ファンの断面形状に一致するように形成されている、請求項1に記載のキャニスタ。
【請求項10】
前記入口は、前記空気流経路内の乱流及び背圧を低減するために、前記平面領域に近接して広がる、請求項1に記載のキャニスタ。
【請求項11】
前記入口から前記平面領域への滑らかな移行を提供する湾曲壁を更に備える、請求項1に記載のキャニスタ。
【請求項12】
前記鈍角は、130°~150°の範囲内である、請求項1に記載のキャニスタ。
【請求項13】
前記入口は、それを通る空気流の回転を提供するように構成されたスクリュータイプの形態を有する、請求項1に記載のキャニスタ。
【請求項14】
治療システムであって、
創傷部位を覆って封止されるように構成されたドレッシングと、
前記ドレッシングにおいて陰圧を引き込み、創傷滲出液が前記ドレッシングから外に出るように構成された陰圧源と、
前記ドレッシングと流体連通して配置されるように構成されたキャニスタであって、
前記ドレッシングからの前記創傷滲出液を受け入れて保持するように構成された第1の区画及び第2の区画と、
空気流経路であって、
前記第1の区画と前記第2の区画との間に位置決めされた平面領域と、
前記平面領域に対して鈍角で前記平面領域の第1の端部から延びる入口と、
前記平面領域の第2の端部にある出口と、を備える空気流経路と、
を備える、キャニスタと、
前記入口と位置合わせされ、前記第1の構成要素及び第2の構成要素から出る前記創傷滲出液からの湿分の輸送を促進するために、空気を前記空気流経路に強制的に通すように構成されたエアムーバと、
を含む、治療システム。
【請求項15】
前記エアムーバが軸流ファンである、請求項14に記載の治療システム。
【請求項16】
前記エアムーバがブロワである、請求項14に記載の治療システム。
【請求項17】
前記エアムーバが遠心ファンである、請求項14に記載の治療システム。
【請求項18】
ハウジングを備え、前記エアムーバ及び前記陰圧源が前記ハウジング内に設置され、かつ、前記キャニスタが前記ハウジングに選択的かつ取り外し可能に結合されるように構成されている、請求項14に記載の治療システム。
【請求項19】
前記ハウジング内に設置され、前記エアムーバ及び前記陰圧源に電力を供給するように構成されたバッテリを更に備える、請求項18に記載の治療システム。
【請求項20】
パルシングパターンで動作するように前記エアムーバを制御するように構成されたコントローラを更に備える、請求項14に記載の治療システム。
【請求項21】
前記ドレッシングを前記キャニスタに接続する管を更に備える、請求項14に記載の治療システム。
【請求項22】
前記第1の区画及び前記第2の区画は、
水分子が前記第1の区画及び前記第2の区画から前記空気流経路へ通過することを可能にし、
汚染物質が前記第1の区画及び前記第2の区画から前記空気流経路へ通過することを防止する
ように構成されたフィルム材料によって前記空気流経路から分離される、請求項14に記載の治療システム。
【請求項23】
創傷治療デバイス用のキャニスタを製造する方法であって、
ポリウレタン樹脂で形成された第1の剛性構造体及び第2の剛性構造体を提供することと、
ポリエーテルウレタンフィルムから形成された第1のフィルタ及び第2のフィルタを提供することと、
前記第1の剛性構造体を前記第1のフィルタに超音波溶接することと、
前記第2の剛性構造体を前記第2のフィルタに超音波溶接することと、
前記第1のフィルタと前記第2のフィルタとの間に平面の空気流経路が画定されるように、前記第1の剛性構造体を前記第2の剛性構造体に超音波溶接することと、
を含む方法。
【請求項24】
第1の区画が第1の壁、前記第1の剛性構造体、及び前記第1のフィルタによって画定されるように、前記第1の壁を前記第1の剛性構造体に結合することを更に含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
第2の区画が第2の壁、前記第2の剛性構造体、及び前記第2のフィルタによって画定されるように、前記第2の壁を前記第2の剛性構造体に結合することを更に含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記平面の空気流経路から前記第2の剛性構造体を横切って延びる入口を画定するように、前記第2の剛性構造体を構成することを更に含む、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記第1のフィルタ及び前記第2のフィルタが、水分子が前記第1のフィルタ及び前記第2のフィルタを横切って通過することを可能にするように構成されるように、前記第1のフィルタ及び前記第2のフィルタを形成することを含む、請求項23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその全ての内容が本明細書に組み込まれている、2021年3月17日に出願された米国特許仮出願第63/162,146号に対する優先権の利益を主張する。
【0002】
本開示は、概して、陰圧創傷治療(NPWT)システムに関する。より詳細には、本開示は、NPWTシステムのキャニスタにおける能動的又は強制的な蒸発に関する。
【発明の概要】
【0003】
本開示の一実装形態は、創傷治療システムと共に使用するためのキャニスタである。キャニスタは、創傷滲出液を受け入れて収容するように構成された第1の区画及び第2の区画と、空気流経路とを含む。空気流経路は、第1の区画と第2の区画との間に位置決めされた平面領域と、平面領域に対して鈍角で平面領域の第1の端部から延びる入口と、平面領域の第2の端部にある出口とを含む。
【0004】
いくつかの実施形態では、第1の区画は、水分子が第1の区画から空気流経路へ通過することを可能にし、汚染物質が第1の区画から空気流経路へ通過することを防止するように構成された第1のフィルタによって、空気流経路から分離される。第1のフィルタは、ポリウレタンフィルムを含んでもよい。キャニスタは、第1の区画及び第2の区画を画定し、熱可塑性ポリウレタン樹脂で形成された剛性構造体を含んでもよい。この剛性構造体は、ポリウレタンフィルムに超音波溶接される、請求項4に記載のキャニスタ。
【0005】
いくつかの実施形態では、第1のフィルタは、高水蒸気透過度を有するフィルムを含む。例えば、高水蒸気透過は、2000~5000g/m2/日の範囲内であってもよい。
【0006】
いくつかの実施形態では、入口は円筒形である。入口は、ファンの断面形状に一致するように形成されてもよい。入口は、空気流経路内の乱流及び背圧を低減するために、平面領域に近接して広がっていてもよい。
【0007】
いくつかの実施形態では、キャニスタは、入口から平面領域への滑らかな移行を提供する湾曲壁を含む。いくつかの実施形態では、鈍角は130°~150°の範囲内である。いくつかの実施形態では、入口は、それを通る空気流の回転を提供するように構成されたスクリュータイプの形態を有する。
【0008】
本開示の別の実装形態は、治療システムである。治療システムは、創傷部位を覆って封止されるように構成されたドレッシングと、ドレッシングにおいて陰圧を引き込み、創傷滲出液がドレッシングから出るように構成された陰圧源と、ドレッシングと流体連通して配置されるように構成されたキャニスタとを含む。キャニスタは、ドレッシングからの創傷滲出液を受け入れて保持するように構成された第1の区画及び第2の区画と、空気流経路とを含む。空気流経路は、第1の区画と第2の区画との間に位置決めされた平面領域と、平面領域に対して鈍角で平面領域の第1の端部から延びる入口と、平面領域の第2の端部にある出口とを含む。治療システムはまた、入口と位置合わせされ、第1の構成要素及び第2の構成要素から出る創傷滲出液からの湿分の輸送を促進するために、空気を空気流経路に強制的に通すように構成されたエアムーバを含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、エアムーバは、軸流ファン、ブロワ、又は遠心ファンである。いくつかの実施形態では、治療システムはハウジングを更に含み、エアムーバ及び陰圧源は、ハウジング内に設置される。キャニスタは、ハウジングに選択的かつ取り外し可能に結合されるように構成されている。治療システムは、ハウジング内に設置されたバッテリを含んでもよい。キャニスタは、ハウジングに選択的かつ取り外し可能に結合されるように構成されている。
【0010】
いくつかの実施形態では、治療システムはまた、パルシングパターンで動作するようにエアムーバを制御するように構成されたコントローラを含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、治療システムはまた、ドレッシングをキャニスタに接続する管を含む。第1の区画及び第2の区画は、水分子が第1の区画及び第2の区画から空気流経路へ通過することを可能にし、汚染物質が第1の区画及び第2の区画から空気流経路へ通過することを防止するように構成されたフィルム材料によって、空気流経路から分離されてもよい。
【0012】
本開示の別の実装形態は、創傷治療デバイスのためのキャニスタを製造する方法である。この方法は、ポリウレタン樹脂で形成された第1の剛性構造体及び第2の剛性構造体を提供することと、ポリエーテルウレタンフィルムで形成された第1及び第2のフィルタを提供することと、第1の剛性構造体を第1のフィルタに超音波溶接することと、第2の剛性構造体を第2のフィルタに超音波溶接することと、第1のフィルタと第2のフィルタとの間に平面の空気流経路が画定されるように、第1の剛性構造体を第2の剛性構造体に超音波溶接することとを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、本方法は、第1の区画が第1の壁、第1の剛性構造体、及び第1のフィルタによって画定されるように、第1の壁を第1の剛性構造体に結合することを含む。本方法はまた、第2の区画が第2の壁、第2の剛性構造体、及び第2のフィルタによって画定されるように、第2の壁を第2の剛性構造体に結合することを含んでもよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、本方法は、平面の空気流経路から第2の剛性構造体を横切って延びる入口を画定するように、第2の剛性構造体を構成することを含む。本方法はまた、第1のフィルタ及び第2のフィルタが、水分子が第1のフィルタ及び第2のフィルタを横切って通過することを可能にするように構成されるように、第1のフィルタ及び第2のフィルタを形成することを含んでもよい。
【0015】
概要は、例示のみであり、なんら限定することは意図されていないことが、当業者には理解されよう。特許請求の範囲によってのみ定義されている、本明細書に記載の装置及び/又はプロセスの他の態様、発明の特徴、及び利点は、本明細書に記載されており添付の図面と併せて理解される詳細な説明において明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、例示的な実施形態による、創傷治療システムの図である。
【
図2】
図2は、例示的な実施形態による、
図1の創傷治療システムの一部分の斜視分解図である。
【
図3】
図3は、例示的な実施形態による、創傷治療システムのキャニスタの分解図である。
【
図4】
図4は、例示的な実施形態による、創傷治療システムの一部分の切欠側面図である。
【
図5】
図5は、例示的な実施形態による、創傷治療システムの切欠斜視図である。
【
図6】
図6は、例示的な実施形態による、創傷治療システムのキャニスタを通る空気流経路を示す図である。
【
図7】
図7は、例示的な実施形態による、創傷治療システムのキャニスタの空気流経路を通る空気流のグラフ表示の組み合わせである。
【
図8】
図8は、例示的な実施形態による、創傷治療システムの別のキャニスタの空気流経路を通る空気流のグラフ表示の組み合わせである。
【
図9】
図9は、例示的な実施形態による、創傷治療システムの更に別のキャニスタの空気流経路を通る空気流のグラフ表示の組み合わせである。
【
図10】
図10は、例示的な実験及び例示的な実施形態による、
図7~
図9に対応するキャニスタにおける蒸発を比較した結果のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ここで
図1を参照すると、例示的な実施形態による創傷治療システム100が示されている。創傷治療システム100は、創傷において陰圧を引き込み、キャニスタにおいて創傷から流体又は創傷滲出液を収集し、キャニスタから大気への流体の蒸発を促進するよう構成されている。創傷治療システム100は、2011年4月12日に出願された米国特許第8,821,458号、2011年4月12日に出願された米国特許第8,604,265号、2012年4月9日に出願された米国特許第9,023,002号、又は2012年11月12日に出願された米国特許第9,433,711号のシステムの特徴のいずれかと同様であるか、又はそれらを組み込むことができ、これらの開示全体は、参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0018】
創傷治療システム100は、ドレッシング102と、管106を介してドレッシング102に接続されるように構成されたキャニスタ(コンテナ、タンク、容器など)104と、キャニスタ104に結合されるように構成された治療デバイス110とを含む。治療デバイス110は、ポンプ112、ファン114、コントローラ116、及び電源118を含むものとして示されている。
【0019】
ドレッシング102は、患者の解剖学的構造に対して、例えば、患者の創傷を覆って封止されるように構成され、患者の解剖学的構造とドレッシング102との間に実質的に気密な封止を作り出す。ドレッシング102は、封止を提供する気密外部ドレープ層と、外部層と患者との間のマニホールド層(例えば、連続気泡発泡体)とを含み、マニホールド層は、空気圧を患者(例えば、創傷)に伝達し、流体(例えば、創傷滲出液)が創傷から流出することを可能にするように構成されている。ドレッシングは、様々な実施形態において、KClによるPREVENA(商標)ドレッシング及び/又はKClによるV.A.C.(登録商標)GRANUFOAM(商標)ドレッシングと同じ、又は同様であってもよい。
【0020】
管106は、ドレッシング102をキャニスタ104及び治療デバイス110に接続するように構成されている。管106は、複数のルーメンを含むことができる。管106は、治療デバイス110が動作されるとき、ドレッシングから外へ、及びキャニスタ104への空気流及び創傷滲出液の流動を提供するように構成されている。
【0021】
治療デバイス110は、陰圧源(ポンプ112として示されている)、ファン114、コントローラ116、及び電源118を含むものとして示されている。ポンプ112は、空気、創傷滲出液、及び/又は他の流体若しくは汚染物質を、管106を通してドレッシング102からキャニスタ104に向かって引く圧力差を作り出すようにポンプ112を動作させるように、(例えば、キャニスタ104を介して)管106と流体連通することができる。ドレッシング102から空気が除去されると、ドレッシング102並びにドレッシング102によって覆われた創傷又は他の解剖学的特徴において(気圧に対して)陰圧が確立される。創傷治療システム100は、それによって、陰圧を創傷に印加することによって、創傷治癒を促進することができる。
【0022】
創傷滲出液(例えば、血液、組織、排泄物、他の汚染物質)は、陰圧及びポンプ112によって生じる圧力差によって、創傷から排出され得る。特に、ポンプ112の動作により、管106を通して、創傷滲出液をキャニスタ104に引き込むことができる。創傷滲出液は、その中に様々な粒子、汚染物質などを有する水を含む流体を含むことができる。創傷及びドレッシング102から創傷滲出液を除去することで、例えば、創傷周囲領域の浸軟のリスクを低減することによって、創傷治癒を促進することができ、ドレッシング102が患者に固定され得る持続時間を延長することができる。
【0023】
キャニスタ104は、管102を介してドレッシング102から引き出された創傷滲出液を受け入れて保持するように構成されている。本明細書の実施形態では、キャニスタ104は、以下に詳細に説明されるように、キャニスタ104から周囲環境(例えば、大気)への水分子の蒸発も提供しながら、創傷滲出液を保持するように構成されている。
【0024】
図1では、キャニスタ104は、管102を介して受け入れた創傷滲出液を保持するように構成された、第1の区画(チャンバ)120及び第2の区画(チャンバ)122を含むものとして示されている。第1の区画120及び第2の区画122は、空気流経路124によって少なくとも部分的に分離される。
図1に示すように、空気流経路124は、入口126から出口128まで延びている。キャニスタ104が治療デバイス110に結合されると、入口126はファン114と位置合わせされる。
【0025】
空気流経路124は、第1のチャンバ120の第1の壁130及び第2のチャンバ122の第2の壁132によって少なくとも部分的に画定される。以下に詳細に説明するように、第1の壁130及び第2の壁132は、水分子を通過させて空気流経路124内へと蒸発させることを可能にする一方で、キャニスタ104によって保持された汚染物質(例えば、粒子、破片、細胞物質、病原体、油、他の非水要素)が、第1の壁130及び第2の壁132を通過することを防止する膜(フィルム、フィルタなど)として形成される。それによって、空気流経路124は、空気が空気流経路124を通って流れるときに、空気流経路124内へと蒸発する水分子を受け取るように構成されている。
【0026】
ファン114は、空気流経路124と位置合わせすることができ、ファンを動作させて空気を空気流経路124に強制的に通す(例えば、押す、吹き付けるなど)ことができる。
図1に示される実施形態では、ファン114は、周囲空気から空気を引き、入口126を介して空気流経路124内へと空気を押し込むように構成されていて、それによって、ファンに近接する入口126から、第1の壁130及び第2の壁132の反対側の端部にある出口128に空気を強制的に流す。他の実施形態では、ファン114は、空気流経路124を通して反対方向に空気を引く。ファン114は、電気モータによって駆動される軸流ファンであってもよい。他の実施形態では、他のタイプのエアムーバ(例えば、ブロワ、遠心ファン)が使用される。
【0027】
空気流経路124を通して、かつ第1の壁130及び第2の壁132に沿って空気を吹き付けることによって、ファン114は、第1のチャンバ120及び第2のチャンバ122から空気流経路124内へと蒸発する水の量を、能動的に高める。蒸発量は、空気流経路124を通る空気流の速度によって、並びに空気流の他の特性(例えば、乱流、圧力)によって影響され得る。これらの要因は、ファン114のエネルギー消費及び効率にも影響を及ぼす。したがって、以下で詳細に説明するように、ファン114のエネルギー消費も低減しつつ、キャニスタ104からの水の蒸発速度を高めるように、空気流経路を設計することができる。
【0028】
ファン114は、電源118から電力を引き出すように構成されている。電源118は、治療デバイス110に搭載されて(例えば、ポンプ112及びファン114も保持するハウジング125の中に)含まれるバッテリ、例えば、充電式バッテリであってもよい。したがって、ファン114のエネルギー消費を低減することで、治療デバイス110のバッテリ寿命(すなわち、治療デバイス110が、再充電されずに動作することができる時間量)を有利に増やすことができる。他の実施形態では、電源118は、電源コードを介して電気コンセントから電力を引き出すように構成された回路として、治療デバイス110内に設けられている。電源118はまた、
図1の例においてポンプ112に電力を供給するように構成されている。
【0029】
図1の例では、コントローラ116は、ファン114及びポンプ112を制御するように構成されている。コントローラ116は、ポンプ112を制御して、ドレッシング102において陰圧を確立及び維持することができる。コントローラ116は、蒸発を促進するために、空気を空気流経路124に強制的に通すようにファン114を動作するよう制御することができる。コントローラは、ファン114のエネルギー消費と、キャニスタ104からの流体の蒸発との間の最適なバランスを見出そうとする動作パターンを、ファン114に提供することができる。例えば、コントローラは、ファン114の電力消費を低減するために、オン状態とオフ状態との間でファン114を循環させてもよい。別の例として、コントローラは、(全速力での一定動作と比較して)電力消費を低減し、蒸発速度を高めるのに役立ち得る空気流の変動を作り出すために、(例えば、ファンに供給された電圧を変動させることによって)ファン114のファン速度を変動させ得る。
【0030】
図1は、それによって、創傷治療システム100が、創傷に陰圧治療を提供し、キャニスタ104内に創傷滲出液を収集し、キャニスタ104内の創傷滲出液からの水の蒸発を能動的に促進させるために、ドレッシング102において陰圧を確立し、維持するように構成されていることを示す。キャニスタ104からの水のこの蒸発に起因して、キャニスタ104は、蒸発が促進されない実施形態よりも著しく長い間、その最大容量未満に保たれている。蒸発速度を改善する特徴により、キャニスタ104を空にするか又は交換する必要なく、創傷治療システム100が使用され得る時間が増える。場合によっては、創傷治療システム100は、創傷治療システム100を使用して創傷を治療するための典型的な持続時間中に、キャニスタ104の容量に達することを防止するために、十分な蒸発量を提供するように構成されている。キャニスタ104からの水の、促進された、エネルギー効率の良い蒸発を提供する様々な特徴、及びキャニスタ104の製造を容易にする特徴は、
図2~
図10を参照して以下に詳細に説明される。
【0031】
ここで
図2を参照すると、例示的な実施形態による、キャニスタ104及び治療デバイス110の分解斜視図が示されている。特に、治療デバイス110内のファン114の位置を見ることができるように、治療デバイス110は分解図で示されている。
図2に示すように、ファン114は、共に結合して治療デバイス110のハウジングを形成する第1のシェル202と第2のシェル204との間に配置される。
【0032】
ファン114は、キャニスタ104の空気流経路の入口126と位置合わせするように位置決めされる。図示の例では、ファン114は、キャニスタ104の長手方向軸に対して垂直に配向された軸を有する軸流ファンであり、それによって、ファンの表面は、入口126を覆う治療デバイス110のハウジングの第2のシェル204の壁に対して平行であり、それと嵌合することができる。したがって、ファン114は、長手方向軸に対して垂直な方向に空気を吹き付けるように配置される。
【0033】
図2はまた、空気流経路124の出口128が、入口126に対して長手方向に入口126から離間していることを示す。その結果、空気流経路124は、ファン114の軸から少なくとも部分的にずれた方向に延びる。したがって、ファン114からキャニスタ104を通る空気流は、入口126と出口128との間で少なくとも1回方向を変える。この方向の変化により、ファンのエネルギー消費及び空気流経路1204への蒸発速度に影響を及ぼし得る背圧、乱流、空気流速度などを作り出すことができる。したがって、ファン114と出口128との間の空気流経路の改良された設計は、以下で詳細に説明するように、促進された蒸発及びより効率的なファン動作のための利点を提供することができる。
【0034】
図2はまた、治療デバイス110が、治療デバイス110のハウジングの第1のシェル202の外部表面上に位置決めされたユーザ入力パネル200を含むことができることを示す。ユーザ入力パネル200は、ユーザが治療デバイス110の動作を変更する要求を入力することを可能にする、1つ以上のボタンを含むことができる。例えば、ユーザ入力パネル200は、ファン114及び/又はポンプ112をオン又はオフにするユーザ要求を示す信号をコントローラ116に提供するように構成することができる。いくつかの実施形態では、ユーザ入力パネル200により、ユーザが、ファン114の動作モード、例えば、電力レベル、ファン速度、複数の選択可能な制御ルーチンからの制御ルーチン、最大蒸発モード、エネルギー効率モードなどを選択することを可能にする。そのような実施形態では、コントローラ116は、ファン114を制御して、ファン114のユーザが要求した動作を提供するように構成されている。
【0035】
ここで
図3を参照すると、例示的な実施形態によるキャニスタ104の分解図が示されている。キャニスタ104は、第1の剛性支持部品300と第2の剛性支持部品302との間に位置決めされた、第1の壁(第1の膜)130及び第2の壁(第2の膜)132を含むものとして示されている。キャニスタ104はまた、第1の剛性支持部品300及び第2の剛性支持部品302が第1の外側シェル304と第2の外側シェル306との間に配置されるように、第2の外側シェル306の反対側に位置決めされた第1の外側シェル304を含むものとして示されている。第1の外側シェル304、第1の剛性支持部品300、及び第1の膜130は、キャニスタ104の第1のチャンバ120を画定するように組み合わされ、第2の外側シェル306、第2の剛性支持部品302、及び第2の膜132は、キャニスタ104の第2のチャンバ122を形成するように組み合わされる。
【0036】
第1の剛性支持部品300は、第1の膜130を支持するために、実質的に剛性の支持構造を提供するように構成されている。第1の膜130は、比較的薄い可撓性材料から作製され得る。
図3に示されるように、第1の剛性支持部品300は、第1の膜130の表面積の高い割合を第1のチャンバ120の内部に露出させつつ、第1の膜130に構造的支持を提供するために、第1の膜130に結合されるように構成された、隣接する開いた六角形のハニカム型構造を含む。第1の剛性支持部品300はまた、キャニスタ104の内部構造を提供し、第1の剛性支持部品300及び第1の膜130をキャニスタ104の他の要素に接合するために、他の表面、縁などを含む。
【0037】
第2の剛性支持部品302は、第2の膜132を支持するために、実質的に剛性の支持構造を提供するように構成されている。第2の膜132は、比較的薄い可撓性材料から作製され得る。
図3に示されるように、第2の剛性支持部品302は、第2の膜132の表面積の高い割合を第2のチャンバ122の内部に露出させつつ、第2の膜132に構造的支持を提供するために、第2の膜132に結合されるように構成された、隣接する開いた六角形のハニカム型構造を含む。第2の剛性支持部品302はまた、キャニスタ104の内部構造を提供し、第2の剛性支持部品302及び第1の膜130をキャニスタ104の他の要素に接合するために、他の表面、縁などを含む。
【0038】
第1の外側シェル304は、キャニスタ104の露出された外面を画定するように構成され、第2の外側シェル306は、治療デバイス110のハウジング125に対して嵌合するキャニスタ104の外面を画定するように構成されている。第2の外側シェル306は、ファン114との位置合わせのために設けられる入口126を含む。第2の剛性支持部品302は、空気流経路124の実質的に円筒形の部分308を含む。円筒形部分308は、第2の外側シェル306の入口126から、第1の膜130と第2の膜132との間の空間まで、第2の剛性支持部品302を横切って(通って)延びる。
図6に詳細に示されるように、第1の膜130と第2の膜132との間の空間は、空気流経路124の実質的に平面の部分600を画定する。
【0039】
いくつかの実施形態では、第1の外側シェル304、第1の剛性支持部品300、第1の膜130、第2の膜132、第2の剛性支持部品302、及び第2の外側シェル306は、共に超音波溶接されて、キャニスタ104を形成する。特に、
図1に示される例では、第1の膜130は、第1の剛性支持部品300に直接超音波溶接され、第1の剛性支持部品300は、第1の外側シェル304及び第2の剛性支持部品302に直接超音波溶接される。第2の膜132は、第2の剛性支持部品302に直接超音波溶接される。第2の剛性支持部品302は、第2の外側シェル306に直接超音波溶接される。
【0040】
キャニスタ104の要素の構成要素の超音波溶接を容易にするために、互換性のある材料が選択される。例えば、第1の膜130及び第2の膜132は、ポリエーテルウレタンフィルムから作製されてもよく、構造構成要素(第1の外側シェル304、第1の剛性支持部品300、第2の剛性支持部品302、及び第2の外側シェル306)は、熱可塑性ポリウレタン樹脂、例えばポリエステル系熱可塑性ポリウレタンから作製される。熱可塑性ポリウレタン樹脂は、実質的に剛性の構造を備え、ポリエーテルウレタンフィルムは、以下に記載される蒸発及び湿分輸送特性を備える。材料は、材料同士の超音波溶接が効率的、かつ確実に達成され得るように互換性がある。
【0041】
ポリエーテルウレタンフィルムで形成された第1の膜130及び第2の膜132は、高水(湿分)蒸気透過度(MVTR)、例えば、直立カップ試験(Upright Cup Test)において38℃及び90%相対湿度で測定した場合に、約2000g/m2/日~約5000g/m2/日の範囲内のMVTR(例えば、約4500g/m2/日)を有する。ポリエーテルウレタンフィルムは、約15μm~約100μm、例えば約20μm~約30μmの厚さを有してもよい。
【0042】
ここで
図4~
図5を参照すると、例示的な実施形態によるキャニスタ104及び治療デバイス110の切欠図が示されている。
図4~
図5に示すように、創傷滲出液はキャニスタ104内に保持され、ファン114は、キャニスタ104内に貯蔵された創傷滲出液の体積を減少させるために、空気をキャニスタ104に強制的に通し、創傷滲出液からの水分子の蒸発を能動的に促進するように動作されている。
【0043】
図4は、キャニスタ104がほぼ満杯である時点、すなわち、キャニスタ104内の創傷滲出液の量がキャニスタ104のほぼ最大容量である時点を示す。ファン114は、空気を空気流経路124に強制的に通し、キャニスタ104内に保持された創傷滲出液から空気流経路124内への水分子の蒸発を促進するように動作されている。水分子は、第1の膜130及び第2の膜132を横切って透過し、水蒸気として出口128から吹き出される。時間が経つにつれて、キャニスタ104内に貯蔵された水の量は著しく減少する。
【0044】
図5は、キャニスタから周囲環境へのかなりの量の水の蒸発を提供するのに十分な持続時間にわたって、ファン114が動作された後の時点を示す。
図4と比較して、
図5の創傷滲出液のレベルは、はるかに低い(例えば、キャニスタ104の最大容量に近くない)。本明細書の教示によって提供された蒸発を促進することで、場合によっては、
図5に示されるように、創傷滲出液の量を低レベルまで低下させ、かつ/又は低レベルに維持することができる。種々の用途及び状況(異なる創傷、創傷滲出液の異なる組成、異なる周囲条件など)において、蒸発量及びキャニスタ104内の創傷滲出液体積の蓄積率又は減少率は、変動するであろう。
【0045】
ここで
図6を参照すると、例示的な実施形態による、
図2~
図5の例における空気流経路124の図が示されている。
図6は、上記の説明と一致するキャニスタ104の切欠図を含む。
図6はまた、キャニスタ104の描写から分離された空気流経路124の斜視図を含む。キャニスタ104の物理的構造に基づいて、空気流経路は、平面部分600と、平面部分600から延びる円筒形部分308とを備える。平面部分600は、第1の膜130と第2の膜132との間の空間として画定される。円筒形部分308は、平面部分600から入口126まで延びている。したがって、入口126に近接するファン114は、空気が平面部分600に到達するまで、円筒形部分308に沿って空気を直接吹き付けることができ、次いで、空気は、平面部分に沿って出口128に方向転換される。
【0046】
図6の例では、空気流経路124の円筒形部分308は、平面部分600に対して垂直である。円筒形部分308と平面部分600との間の交差部における空気流の方向の変化は、背圧及び乱流を作り出すことがあり、これは、以下の
図7を参照して説明するように、空気流を制限することがある。円筒形部分308と平面部分600との間の空気の流れを改善するために(例えば、背圧を低減するために、乱流を低減するために、ファンエネルギー消費の単位当たりの空気流を増加させるために)、空気流経路124は、以下の
図8及び
図9に示すように修正することができる。以下で説明するように、様々な実施形態では、円筒形部分308と平面部分600との間に湾曲面を設けて、平面部分600に近接して円筒形部分308を広げることと、円筒形部分308の壁と平面部分600との間の鋭角を除去すること又は低減することによって、それらの間の移行を滑らかにする。これにより、(以下で説明する
図8に示すように)円筒形部分308が平面部分600に対して依然として、ほぼ直角である状態で提供されてもよい。他の実施形態では、平面部分600と円筒形部分308との間に(90°~180°の範囲内の)鈍角が形成されるように、円筒形部分308を平面部分600に対して回転させ、それによって、(以下で説明する
図9に示すように)円筒形部分308と平面部分600との間の交差部で生じる空気流の方向の変化を低減する。
【0047】
ここで
図7~
図9を参照すると、空気流経路124の異なる実施形態についての例示的な空気流実験、又はシミュレーションの実験結果のグラフ図が示されている。
図7は、
図6の例示と一致する実施形態における空気流経路124を示し、
図8は、円筒形部分308と平面部分600との間の滑らかな移行を提供するように追加された湾曲面を有する空気流経路124を示し、
図9は、円筒形部分308と平面部分600との間の鈍角を開くように回転された円筒形部分308を示す。
図7~
図9は、空気流経路124及びそれを通る空気流の挙動が実質的に対称であるという理解の下で、簡略化のために空気流経路124の半分を示す。
図7~
図9に示される例示的な実験結果は、これらの実施形態間の比較を可能にする。示されるデータは、例示目的のみのために提供され、治療システム100の種々の実施形態及び種々のファン速度などに対して変動し得る。
【0048】
図7は、表700、空気流経路124内の空気圧の圧力
図702、空気流経路124を通る空気流の速度を示す空気流速度
図704、空気流経路124の側面図から空気流経路124内の乱流を示す乱流側面
図706、及び斜視図から空気流経路124内の乱流を示す乱流斜視
図708を示す。
【0049】
表700は、
図7に示す空気流経路124の実施形態についての入口圧力、平均表面速度、平均出口速度、及び出口体積流量を示す。圧力
図702は、平面部分600と円筒形部分308との間の交差部における空気流の制限に起因して、ファン114の動作によって円筒形部分308内に高圧が生成されることを示す。平面部分600内の圧力は、円筒形部分308内よりも実質的に低い。円筒形部分308内の圧力が高いと、ファン114の電力負荷が大きくなる可能性がある。空気流速度
図704は、同様の理由で、比較的低い空気流速度が円筒形部分308に提供され、不規則な空気流速度が平面部分600を通して提供されることを示す。乱流側面
図706及び乱流斜視
図708は、空気流経路124内の乱流の量を示す。特に、高い空気速度に対応する大量の乱流が、平面部分600に示されている。
【0050】
図8は、円筒形部分308と平面部分600との間に設けられた湾曲面850によって提供される、円筒形部分308と平面部分600との間の滑らかな移行を示す。
図8は、表800、空気流経路124内の空気圧の圧力
図802、空気流経路124を通る空気流の速度を示す空気流速度
図804、空気流経路124の側面図から空気流経路124内の乱流を示す乱流側面
図806、及び斜視図から空気流経路124内の乱流を示す乱流斜視
図808を示す。
【0051】
圧力
図802は、
図7の圧力
図702に示される圧力に対して、
図8の実施形態では、比較的均一で比較的低い圧力が空気流経路124全体にわたって提供されることを示す。これにより、ファン114の電力消費をより低くすることができる。円筒形部分308内の圧力は、平面部分600内の圧力よりもわずかに高くてもよいが、著しく高くなくてよい。空気流速度
図804は、平面部分600にわたる比較的一貫していて、かつ比較的低い空気流速度と共に、湾曲面850における増加した速度を示す。表800に示されるように、
図8の実施形態の平均出口速度は、
図7の実施形態の平均出口速度よりも実質的に低い。乱流
図806、乱流
図808は、湾曲面850で始まり、空気が平面部分600に沿って流れるにつれて減少する乱流を示す。
【0052】
図9は、平面部分600に対して鈍角(
図9においてθとして示される)で配向された円筒形部分308を示す。鈍角θは、90°~180°の任意の角度とすることができ、好ましくは、約130°~約150°の範囲(例えば、約135°)としてよい。
図9は、表900、空気流経路124内の空気圧の圧力
図902、空気流経路124を通る空気流の速度を示す空気流速度
図904、空気流経路124の側面図から空気流経路124内の乱流を示す乱流側面
図906、及び斜視図から空気流経路124内の乱流を示す乱流斜視
図908を示す。
【0053】
平面部分600に対する円筒形部分308の角度に起因して、圧力
図902は、円筒形部分308内の空気圧が
図7の実施形態と比較して比較的低いことを示し、空気流速度
図904によって示されるような円筒形部分308と平面部分600との交差部における速度の増加は、
図7及び
図8の実施形態よりも低い。乱流
図906、乱流
図908は、
図8の例と同様の乱流が、
図9の例の平面部分600に生成されることを示す。この乱流は、蒸発を促進するように、第1の膜130及び第2の膜132の表面を崩壊させるのに役立ち得る。
図9の例の表900に示されている平均出口速度及び平均表面速度は、
図8の表800の例に示されているものよりもわずかに低い。
【0054】
ここで
図10を参照すると、例示的な実験による
図7~
図9の例示的実施形態によって提供されたキャニスタ104からの蒸発量を比較する表1000が示されている。
図10に示すように、
図8の例(すなわち、円筒形部分308と平面部分600との交差部に湾曲面850が設けられるキャニスタ104の実施形態)は、
図7の例よりも多くの蒸発をもたらし、一方で、
図9の例(すなわち、円筒形部分308が平面部分600に対して鈍角である実施形態)は、
図9の例よりも多くの蒸発をもたらす。
図10の実験は、
図9の例がファン114の電力消費に対して最も効率的な蒸発を提供するように、3つの実施形態にわたって固定値として、ファン速度及び/又は電力消費を用いて行われ得る。
図10は、本明細書の実施形態のいずれも、キャニスタ104からの水の蒸発を能動的に促進して、キャニスタ104の寿命を延ばすことができることを示す。
【0055】
本明細書で使用するとき、用語「およそ」、「約」、「実質的に」、及び同様の用語は、本開示の主題が属する技術分野の当業者によって一般的かつ受け入れられた使用と調和する広義の意味を有することが意図されている。これらの用語は、これらの特徴の範囲を提供されている正確な数値範囲に内限定することなく、記載及び特許請求されているある特徴の説明を可能にすることが意図されていることが、本開示を概観する当業者には理解されよう。したがって、これらの用語は、記載及び特許請求されている主題の非実質的又は重要でない修正又は変更が、添付の特許請求の範囲に記載されている本開示の範囲内であると考えられることを示すものとして解釈されるべきである。
【0056】
様々な実施形態を記載するために本明細書で使用するとき、用語「例示的な」及びその変形は、このような実施形態が可能な実施形態の可能な例、表現、又は例示であることを示すことが意図されている(このような用語は、このような実施形態が必ずしも特別な又は最高の例であることを含意することは意図されていない)ことに留意されたい。
【0057】
本明細書で使用するとき、用語「結合された」は、2つの部材を互いに直接的又は間接的に連結することを意味する。このような連結は、静止(例えば、恒久的である又は固定されている)であってもよく、又は移動可能(例えば、取り外し可能又は解放可能)であってもよい。このような連結は、2つの部材が互いに直接的に結合されていること、2つの部材が別個の介在する部材及び互いに結合された任意の追加の中間部材を使用して互いに結合されていること、又は2つの部材が2つの部材のうちの1つと単一の集合型本体として一体的に形成された介在する部材を使用して互いに結合されていることで、達成されてもよい。そのような部材は、機械的に、電気的に、及び/又は流動的に結合され得る。
【0058】
本明細書における要素の位置への言及(例えば、「頂部」、「底部」、「上」、「下」など)は、単に、図中の様々な要素の向きを記載するために使用される。様々な要素の向きは、他の例示的な実施形態にしたがって異なってもよく、このような変形例は、本開示に包含されていることが意図されていることに留意されたい。
【国際調査報告】