(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-04
(54)【発明の名称】医用イメージングのための患者準備
(51)【国際特許分類】
A61B 5/055 20060101AFI20240226BHJP
【FI】
A61B5/055 380
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555284
(86)(22)【出願日】2022-03-09
(85)【翻訳文提出日】2023-09-08
(86)【国際出願番号】 EP2022055958
(87)【国際公開番号】W WO2022194622
(87)【国際公開日】2022-09-22
(32)【優先日】2021-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(74)【代理人】
【識別番号】100145654
【氏名又は名称】矢ヶ部 喜行
(72)【発明者】
【氏名】ソメル カルステン
(72)【発明者】
【氏名】クルーフェル サッシャ
(72)【発明者】
【氏名】コーケン ペーター
(72)【発明者】
【氏名】セネファス ユリエン トマス
【テーマコード(参考)】
4C096
【Fターム(参考)】
4C096AA18
4C096AB38
4C096AB39
4C096AC01
4C096AC05
4C096AC07
4C096AC08
4C096AD14
4C096DC22
4C096DC27
4C096DC33
4C096DC40
4C096EB08
4C096FC09
(57)【要約】
医用イメージングにおいて被検体を準備するためのコンピュータ実現方法であって、前記被検体の少なくとも一部を含む関心領域の一連の画像を取得するステップであって、前記一連の画像は、少なくとも第1の画像及び少なくとも後続の第2の画像を含む、ステップ(S10)と、前記一連の画像から少なくとも1つのランドマークの位置を決定するステップであって、前記少なくとも1つのランドマークは、標的解剖学的構造に解剖学的に関連する、ステップ(S20)と、前記少なくとも1つのランドマークの位置に割り当てられる信頼性レベルを決定するステップと(S30)、前記少なくとも1つのランドマークの位置及び前記信頼性レベルに基づいて、前記標的解剖学的構造の位置を決定するステップ(S40)と、前記医用イメージングにおいて前記被検体を準備するために前記標的解剖学的構造の位置を提供するステップ(S50)と、を有する方法が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用イメージングにおいて被検体を準備するためのコンピュータ実現方法であって、
前記被検体の少なくとも一部を含む関心領域の一連の画像を取得するステップであって、前記一連の画像は、少なくとも第1の画像と、少なくとも後続の第2の画像とを含む、ステップと、
前記一連の画像から少なくとも1つのランドマークの位置を決定するステップであって、前記少なくとも1つのランドマークは、標的解剖学的構造に解剖学的に関連する、ステップと、
前記少なくとも1つのランドマークの位置に割り当てられる信頼性レベルを決定するステップと、
前記一連の画像における少なくとも1つのランドマークの位置と、前記一連の画像にわたる信頼度レベルとに基づいて、前記標的解剖学的構造の位置を決定するステップと、
前記医用イメージングにおいて前記被検体を準備するために前記標的解剖学的構造の前記位置を提供するステップと、
を有するコンピュータ実現方法。
【請求項2】
前記第2の画像内の前記少なくとも1つのランドマークの前記信頼性レベルが所定の閾値未満である場合、前記標的解剖学的構造の前記位置は、前記第1の画像内の前記少なくとも1つのランドマークから決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記標的解剖学的構造の前記位置を決定する前記ステップは、前記第1の画像と前記第2の画像との間の前記少なくとも1つのランドマークの前記位置のシフトを決定することを更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の画像内の前記少なくとも1つのランドマークの前記信頼性レベルが前記所定の閾値を上回る場合、前記標的解剖学的構造の前記位置は、前記第1の画像と前記第2の画像との間の前記少なくとも1つのランドマークの前記位置のシフトから、又は前記第2の画像内の前記少なくとも1つのランドマークから、決定される、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記決定された信頼性レベルに基づいて、前記少なくとも1つのランドマークの前記位置のシフトに対する重み付け係数が決定され、前記重み付け係数が、前記標的解剖学的構造の前記位置を決定するために使用される、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つのランドマークが、前記一連の画像における前記ランドマークの存在に応じて選択される、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記標的解剖学的構造が障害物によって隠される、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記標的解剖学的構造の前記位置は、複数のランドマークから導出される、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つのランドマークの前記位置を決定する前記ステップ、前記標的解剖学的構造の前記位置を決定することが、画像解析アルゴリズムに基づく、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記標的解剖学的構造の前記決定された位置に基づいて、撮像ユニットを制御するための制御信号が導出される、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記標的解剖学的構造の前記位置に基づいて、医用イメージングにおいて前記被検体を準備するためのガイダンスデータが導出され、前記ガイダンスデータは、画像ユニットに対する前記被検体の標的アライメントを含む、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記標的解剖学的構造の前記位置を決定する前記ステップが、前記被検体の1又は複数の関節の1又は複数の自由度に基づく、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
医用イメージングにおいて被検体を準備するための装置であって、
前記被検体の少なくとも一部を含む関心領域の一連の画像を取得する取得ユニットであって、前記一連の画像は、少なくとも第1の画像及び後続の第2の画像を含む、取得ユニットと、
前記一連の画像から少なくとも1つのランドマークの位置を決定する第1の決定ユニットであって、前記少なくとも1つのランドマークは、標的解剖学的構造に解剖学的に関連する、第1の決定ユニットと、
前記少なくとも1つのランドマークの位置に割り当てられる信頼性レベルを決定する第2の決定ユニットと、
前記一連の画像における前記少なくとも1つのランドマークの前記位置と、前記一連の画像にわたる前記信頼性レベルとに基づいて、標的解剖学的構造の位置を決定する第3の決定ユニットと、
医用イメージングにおいて前記被検体を準備するために前記標的解剖学的構造の前記位置を提供する提供ユニットと、
を有する装置。
【請求項14】
請求項13に記載の装置と、
撮像ユニットと、
撮像制御部と、を有する撮像システム。
【請求項15】
プロセッサによって実行される場合に、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の方法を実行するように、及び/又は請求項13に記載の装置を制御するように、及び/又は請求項14に記載の撮像システムを制御するように構成される、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用イメージングに関し、特に、医用イメージングにおいて被検体を準備するためのコンピュータ実現方法、医用イメージングにおいて被検体を準備するための装置、撮像システム、及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
医用イメージングは、現代医学における重要な技術である。医用イメージングワークフローは、磁気共鳴イメージング(MRI)システムなどの撮像ユニットを動作させるために、訓練された人員を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
医用イメージングにおける被検体及び/又は撮像ユニットの準備は、時間がかかり、また医用画像の品質にとって重要である。従って、人員は、多数の異なる作業に挑戦することになる。そのような作業は、例えば、被検体と医用撮像ユニットとのアライメント、被検体に隣接する医用撮像装置のポジショニング、撮像ユニットの適合、及び/又はワークフローの文書化などを含む。各ステップは、人員及び時間の注意を必要とする。更に、各ステップは、潜在的なエラーにつながる可能性がある。
【0004】
米国特許出願公開第2018/0070904A1号公報は、患者の撮像データ上に追跡データをオーバーレイし、それらを一緒に表示する動き追跡システムを開示している。追跡データは、データから患者の動きを推定することによって生成される
【0005】
米国特許出願公開第2018/116518A1号公報は、飛行時間(time-of-flight)カメラを使用して患者支持体上の患者の奥行きマップを使用することによって、MRIプロシージャのための準備データを提供することを開示している。
【0006】
従って、医用イメージングにおいて患者を準備する方法、特に医用イメージングにおいて患者を準備するための改善された方法の必要性が存在し得る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、独立請求項の主題によって解決され、更なる実施形態が、従属請求項に組み込まれる。
【0008】
第1の態様によれば、提供される医用イメージングにおいて被検体を準備するためのコンピュータ実現方法であって、前記被検体の少なくとも一部を含む関心領域の一連の画像を取得するステップであって、前記一連の画像は、少なくとも第1の画像と少なくとも後続の第2の画像とを有する、ステップと、前記一連の画像から少なくとも1つのランドマークの位置を決定するステップであって、前記少なくとも1つのランドマークは、標的解剖学的構造(標的アナトミー、target anatomy)に解剖学的に関連する、ステップと、前記少なくとも1つのランドマークの前記位置に割り当てられる信頼性レベルを決定するステップと、前記少なくとも1つのランドマークの前記位置と前記信頼性レベルとに基づいて、前記標的解剖学的構造の前記位置を決定するステップと、前記医用イメージングにおいて前記被検体を準備するために、前記標的解剖学的構造の前記位置を提供するステップと、を有するコンピュータ実現方法が提供される。
【0009】
被検体という用語は、この場合、広く理解されるべきであり、任意のヒト及び任意の動物を含む。医用イメージングという用語は、この場合、広く理解されるべきであり、例えば検査のために更に使用される医用画像に関して関心領域をイメージングするように構成される任意の撮像プロセスを含む。医用イメージングは、CTイメージング、MRI、X線イメージングを含むことができる。医用イメージングは、特に、この場合MRIを含むことができる。一連の画像は、この場合、複数の単一画像(single images)を意味する。単一画像は、特定の時間間隔で取得されることができる。特定の時間間隔は、フレームレートに関係する。フレームレートとは、この場合、1秒間に得られる画像の数を意味する。この場合、フレームレートは、1、10、24、30、35、又は60とすることができる。画像は、取得された画像が関心領域を含むように、被検体及び/又は医用イメージング装置の上方に配置されたカメラによって取得されることができる。カメラはまた、関心領域の側面図が得られるように、例えば被検体に隣接するなど、種々異なる配置とすることもできる。カメラは、好ましくは、デジタル光写真カメラ又はデジタル光ビデオカメラでありうる。画像は、1つ又は複数のカメラから取得されることができる。関心領域という用語は、この場合、広く理解されるべきであり、胴体、背中、四肢、関節などの被検体の表面上、又は内臓器官などの被検体の内部の被検体の部分を含む。例えば、関心領域は、表面から見える膝蓋骨でありうる。別の例では、関心領域は肝臓でありえ、肝臓は、被検体の内側にある肝臓でありえ、従って、デジタル光カメラ又はデジタル光ビデオカメラの視野から不可視である。関心領域は、例えば、医用カバー、イメージング装置(MRIコイルなど)、医療補助者、被検体自身(所望の膝蓋骨の上の脚)、臓器(肝臓など)の上のヒト組織によって、妨げられ又は隠されることがある。位置(position)という用語は、この場合、MRI又はCTなどの撮像ユニット及び/又は撮像システム内のx、y、z位置を示す、画像内のx、y、z位置を意味する。この位置は、この場合、画像内の関心領域のコンテント又は拡張情報を更に意味し得る。例えば、位置は、肝臓のボリューム次元に関連し得る。画像内のボリューム次元は、MRI、CT、又はX線システムなどの撮像ユニット又は撮像システムの座標系におけるボリューム次元及び/又は位置に関連し得る。ランドマークという用語は、この場合、広く理解されるべきであり、被検体自体によって提供される基準点を意味する。好ましくは、ランドマークは、被検体の身体部分、例えば、骨、頭部、鼻、又は裂部(rip)など、被検体自体の物理的マーカであってもよい。物理的マーカは、画像内で検出される程度に十分に簡明でありうる。言い換えれば、物理的マーカは、画像内で視認できる場合は容易に検出されることができる。解剖学的に接続されたという用語は、この場合、ランドマークの移動又はシフトが標的解剖学的構造の位置に直接的又は間接的に影響を及ぼすことを意味する。例えば、膝蓋骨の位置が変化する場合、対応する下腿骨の位置も、それらの解剖学的接続のために変化する。言い換えれば、標的解剖学的構造及びランドマークは、運動学的連鎖を示す。例えば、標的解剖学的構造としての肝臓などの臓器の位置は、この例ではランドマークでありうる隣接する裂部の位置に依存する。標的解剖学的構造という用語は、この場合、位置が決定されなければならない所望の解剖学的構造を意味する。標的解剖学的構造の例は、骨、関節、器官、組織領域、血管であるが、被検体の以前の治療において検出された腫瘍又は不規則な部分であってもよい。信頼性レベルという用語は、この場合、ランドマークの位置の確実性の尺度を意味する。言い換えれば、信頼性レベルは、位置の信頼性に関連する。信頼性レベルは、0~1の範囲内でありえ、0は、低い信頼性に関連し、1は、高い信頼性に関連する。信頼性レベルは、少なくとも1つの画像内の位置の予測のエントロピー又は分散に基づいて推定されることができる。医用イメージングにおける医用被検体の準備という用語は、本例において広く理解されるべきであり、テーブル上への被検体のポジショニング、スキャン位置の決定、被検体上又は被検体における撮像装置の配置、決定された位置に基づく撮像ユニット又は撮像システムの制御の調整、又は安全ガイドラインのコンプライアンスの保証など、医用撮像プロセスに関連する任意の作業を含む。標的解剖学的構造の位置の情報は、撮像システム又は撮像ユニットの制御部に送信されることができる。標的解剖学的構造の位置の情報は、医療補助者をガイドするために画面上に表示されることができる。
【0010】
言い換えれば、医用イメージングにおいて被検体を準備するための開示されたコンピュータ実現方法は、医用イメージングおいて、準備フェーズに被検体の標的解剖学的構造の位置を正確かつ迅速に決定することが医療補助者にとって困難であるという知見に基づく。正確な位置の知識は、医用撮像ユニット又は医用撮像システムを適合させるために重要である。更に、標的解剖学的構造の正確な位置の知識は、被検体上に又は被検体のところに撮像装置を配置するなど、被検体を準備するために重要である。しかしながら、肝臓などの標的解剖学的構造はカメラに対して隠されていることがあり、従って、例えば肝臓のような標的解剖学的構造の位置は直接的に決定されず、代わって、肝臓の位置は、標的解剖学的構造に解剖学的に関連する隣接するランドマークから間接的に決定される。例えば、3つのランドマーク、すなわち、頭部、裂部及び腰部が、それらのそれぞれの位置を決定するために追跡され、それらの位置情報に基づいて、肝臓の位置が決定される。3つのランドマークの位置特定に関して、いくつかの信頼性の問題が生じることがある。例えば、医療補助者は、カメラと被検体の腰部との間の視界を遮ることがある。そのような信頼性の問題を検出することは、ランドマークの信頼性レベルを決定するために重要である。画像内の隠れたランドマークの決定される信頼性レベルは、低くなりうる。この信頼性の問題を解決するために、このランドマークに対する高い信頼性レベルを有する以前の画像が使用される。従って、カメラの視界に障害物がある場合でも、高い精度、高い信頼性で標的解剖学的構造の位置を導出することが可能である。これは、医療補助者が標的解剖学的構造の位置を決定する作業を手動で実行する必要がないので、医療撮像プロセスの生産性を増加させる。更にこれは、標的解剖学的構造の位置が開示された方法によって正確に計算されるので、医用イメージングの品質を高める。位置の決定は、広く理解されるべきであり、この場合、位置特定、特に、ランドマーク及び/又は標的解剖学的構造の位置特定を意味する。
【0011】
一実施形態によれば、標的解剖学的構造の位置は、第2の画像内の少なくとも1つのランドマークの信頼性レベルが所定の閾値を下回る場合、第1の画像内の少なくとも1つのランドマークから決定される。所定の閾値は、0.85、好ましくは0.9、特に好ましくは0.95とすることができる。言い換えれば、最新の利用可能な画像である現在の画像が、少なくとも1つのランドマークの位置についての不十分な信頼性レベルのみを提供する場合、方法は、標的解剖学的構造の位置を決定するために、現在の画像内のランドマークの位置を使用しない。代わりに、この方法は、以前の画像のランドマークの位置を使用する。本方法が一連の画像を考慮するとき、少なくとも1つのランドマークについての低い信頼性レベルを有するいくつかの連続する画像の場合、前記少なくとも1つのランドマークについての高い信頼性レベルを有する最後の画像が、標的解剖学的構造の位置を決定するために使用されることは明らかである。言い換えれば、第1の画像及び第2の画像は、必ずしも直接連続して取得される必要はなく、第1の画像及び第2の画像の間にいくつかの画像が存在してもよい。これは、被検体が少なくとも部分的に遮られる場合に、ランドマークが本方法によって補正され、標的解剖学的構造の位置の適切な決定につながるため、有利でありうる。
【0012】
一実施形態によれば、標的解剖学的構造の位置を決定することは、第1の画像と第2の画像との間の少なくとも1つのランドマークの位置のシフトを決定することを更に含むことができる。シフトという用語は、この場合、第1の画像と第2の画像との間の少なくとも1つのランドマークの位置の変化を意味する。少なくとも1つのランドマークの位置のシフトは、第2の画像内の閾値付近の信頼性レベルを有する決定されたランドマークの検査可能性として機能することができる。更に、シフトは、第1の画像におけるランドマークの位置から、第2の画像におけるランドマークの位置の曖昧さの可能性が排除されることができるので、標的解剖学的構造の位置のより正確な決定をもたらし得る。シフトは、第1及び第2の画像における両方の位置の平均値又は平均値を計算することによって更に決定されることができる。これは、異常値を平滑化することができるので、画像取得プロセス中に生じる誤差を低減するために有利でありうる。2つ以上のランドマーク、例えば、5つのランドマークのシフトは、さらなるランドマーク、例えば、第6のランドマークのオクルージョンの場合に、さらなるランドマークの位置のシフトを決定するために使用され得、決定は、5つのランドマークのシフトの平均に基づく。これは、標的解剖学的構造の位置の位置特定精度を高めるために有利でありうる。
【0013】
一実施形態によれば、標的解剖学的構造の位置は、第2の画像内の少なくとも1つのランドマークの信頼性レベルが所定の閾値を上回る場合、第1の画像と第2の画像との間の少なくとも1つのランドマークの位置のシフトから、又は第2の画像内の少なくとも1つのランドマークから決定されることができる。言い換えれば、第2の画像内の少なくとも1つのランドマークの決定された信頼性レベルに基づいて、標的解剖学的構造の位置を決定するための2つの可能性が利用可能である。第1の可能性では、少なくとも1つのランドマークの位置は、第1の画像と第2の画像との間の少なくとも1つのランドマークの位置のシフトに基づいて決定され、これは、第1の画像から第2の画像へ標的解剖学的構造の位置を補正/適応させるのに有利でありうる。第2の可能性は、第2の画像内の決定されたランドマークに基づいて解剖学的構造を決定することである。これは、ただ1つの画像が必要とされるので、計算効率の点で有利でありうる。方法は、標的解剖学的構造の位置について標的解剖学的構造の信頼性レベルを決定することを更に含むことができる。所定の閾値を上回る信頼性レベルの場合にランドマークの位置を決定するための上述の可能性はまた、標的解剖学的構造の位置の信頼性レベルを考慮することができる。両方の可能性が実行可能であり、その結果、最も高い信頼性レベルを有する標的解剖学的構造の位置が選択されることができる。これは、標的解剖学的構造の位置の位置特定の精度を高めるために有利でありうる。
【0014】
一実施形態では、決定された信頼性レベルに基づいて、少なくとも1つのランドマークの位置のシフトに対する重み付け係数が決定されることができ、前記重み付け係数は、標的解剖学的構造の位置を決定するために使用される。ランドマークの位置のシフトを決定することは、不確実性につながり得る。従って、この不確実性を重み付け係数によって考慮することは有用である。1つの可能性は、対応する画像内の少なくとも1つのランドマークの位置の信頼性レベルを使用することである(例えば、第1の画像から第2の画像へのシフトによって第2の画像から)。これは、標的解剖学的構造の位置を決定する精度を高める点で有利でありうる。
【0015】
一実施形態では、少なくとも1つのランドマークは、一連の画像内のランドマークの存在に応じて選択されることができる。存在という用語は、この場合、ランドマークが、例えば関心領域の上方に実装されたカメラに対して可視であることを意味する。存在は、障害物、例えば、医療補助者によって損なわれることがある。標的解剖学的構造の位置は、1~n個のランドマークの量xによって記述されることができ、nは有限数である。本方法は、標的解剖学的構造の位置を決定するために、単に視認可能なランドマークの量xから、準備段階の初めに標的解剖学的構造を選択することができる。ランドマークの選択は、準備段階中に数回実行されることができる。
【0016】
一実施形態では、標的解剖学的構造は、障害物によって隠されることがある。障害物という用語は、この場合、広く理解されるべきであり、標的解剖学的構造を隠すように構成される任意の構成要素を含む。この用語は、被検体自体の一部、医療補助者、医療機器などを含みうる。一実施形態では、少なくとも1つのランドマークが、障害物によって隠されることがある。
【0017】
一実施形態では、標的解剖学的構造の位置は、複数のランドマーク、すなわち、2又はそれより多くのランドマークから決定されることができる。これは、1つ又は複数のランドマークが障害物によって隠され、1つ又は複数の他のランドマークがカメラにといって依然として可視である場合に有利でありうる。これは、より多くのランドマークが、標的解剖学的構造の位置のより正確な決定をもたらし得るので、更に有利でありうる。いくつかのランドマークの場合、各ランドマークについても、標的解剖学的構造を決定するために考慮されることができる対応する信頼性レベルが決定されることができることに留意されたい。更に、シフト、重み付け係数を含む上述の可能性は、複数のランドマークの場合にも適用されることができる。
【0018】
一実施形態では、少なくとも1つのランドマークの位置を決定し、標的解剖学的構造の位置を決定することは、画像解析アルゴリズムに基づくことができる。解析アルゴリズムは、例えば、セグメンテーションアルゴリズム、人工ニューラルネットワーク、深層畳み込みニューラルネットワーク、画像取得モデル、及び/又は信頼性レベルを決定するためのモデルを有することができる。一実施形態では、解析アルゴリズムは、一連の画像が取得されるプロセスを記述する画像取得モデルを使用することができる。画像取得モデルは、撮像プロセスにおいて生じる不規則性(例えば、アライメント誤差、回転誤差)を記述することができる。結果として、画像取得モデルは、1つの入力画像(例えば、一連の画像の第1の画像)から、不規則性を示すいくつかの出力画像を生成することができる。いくつかの出力画像に基づいて、深層畳み込みニューロンネットワークは、いくつかの出力画像の各出力画像内のランドマークを決定することができる。次いで、入力画像といくつかの出力画像との間のエントロピーを計算することによって、不確実性を決定することができる。本明細書に記載された実施形態に使用されることができる画像解析アルゴリズムの記述は、文献Guotai Wang, Wenqi Li, Michael Aertsen, Jan Deprest, Sebastian Ourselin, Tom Vercauteren, "Aleatoric uncertainty estimation with test-time augmentation for medical image segmentation with convolutional neural networks" Neurocomputing, 2019, https://doi.org/10.1016/j.neucom.2019.01.103に記載されている。この文献の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0019】
一実施形態では、標的解剖学的構造の決定された位置に基づいて、撮像ユニットを制御するための制御信号が導出されることができる。標的解剖学的構造の位置は、MRIなどの撮像ユニットの制御情報の一部でありうる。これは、医療補助者が計算又は関連する作業を行う必要がないので、ワークフロー効率の点で有利でありうる。本方法は、医療補助者のワークフローの一部を更に自動化することができる。
【0020】
一実施形態では、標的解剖学的構造の位置に基づいて、医用イメージングにおいて被検体を準備するためのガイダンスデータが導出されることができ、前記ガイダンスデータは、撮像ユニットに対する被検体の標的アライメントを含む。ガイダンスデータという用語は、この場合、撮像のために被検体及び/又は医用撮像ユニットを準備するために医療補助者をガイドするように構成される任意のデータを意味する。ガイダンスデータは、被検体にアラインされなければならない医療機器(例えば、コイル)の標的アライメントの視覚的表現を含むことができる。
【0021】
一実施形態では、標的解剖学的構造の位置の決定は、被検体の1又は複数の関節の1又は複数の自由度に基づく。被検体は、互いに独立して完全には自由に動くことができない関節、骨、組織、器官などを含みうる。本方法は、被検体の部分の運動の制約を含むシネマティックモデルを使用することができる。特に、この方法は、関節の自由度を考慮することができる。例えば、膝関節は、180°の範囲でしか動くことができず、そうでなければ、膝関節は骨折する。その結果、非現実的な結果(例えば、230°の膝関節角度)が排除されるため、標的解剖学的構造の位置を決定する精度を高めることができる。
【0022】
本開示のさらなる態様は、医用イメージングにおいて被検体を準備する装置であって、被検体の少なくとも一部を含む関心領域の一連の画像を取得するように構成される取得ユニットであって、一連の画像が少なくとも第1の画像及び後続の第2の画像を含む、取得ユニットと、前記一連の画像から少なくとも1つのランドマークの位置を決定するように構成される第1の決定ユニットであって、少なくとも1つのランドマークが標的解剖学的構造に解剖学的に関連する、第1の決定ユニットと、少なくとも1つのランドマークの位置に割り当てられる信頼性レベルを決定するように構成される第2の決定ユニットと、少なくとも1つのランドマークの位置及び信頼性レベルに基づいて、標的解剖学的構造の位置を決定するように構成される第3の決定ユニットと、医用イメージングにおいて被検体を準備するために標的解剖学的構造の位置を提供するように構成される提供ユニットと、を有する、装置に関する。
【0023】
取得ユニット及び/又は決定ユニット及び/又は提供ユニットは、別個の異なるハードウェアユニットに分散されてもよく、又は単一のハードウェアに組み合わされてもよい。第1の決定ユニット及び第2の決定ユニット及び第3の決定ユニットは、1つのハードウェアユニットであってもよい。更に、取得ユニット及び/又は決定ユニット及び/又は提供ユニットは、仮想ユニット(すなわち、ソフトウェアユニット)であってもよい。
【0024】
任意には、装置は、第1の態様による方法を実行するように構成されることができる。
【0025】
本開示の他の態様は、上述の装置と、撮像ユニットと、撮像制御ユニットとを有する撮像システムに関する。撮像ユニットは、CT、MRI、及びX線撮像ユニットでありうる。
【0026】
本開示の他の態様は、プロセッサによって実行される場合に、上述の方法を実行するように、及び/又は上述の装置を制御するように、及び/又は上述のシステムを制御するように構成される、コンピュータプログラム素子に関する。
【0027】
コンピュータプログラム素子は、本実施形態の一部でありうるコンピューティングユニットに記憶されることができる。このコンピューティングユニットは、上述の方法のステップを実行するように又はその実行を引き起こすように構成されることができる。コンピューティングユニットは更に、上記装置の各コンポーネントを作動させるように構成さえることができる。コンピューティングユニットは、自動的に作動するように、及び/又はユーザの命令を実行するように、構成されることができる。コンピュータプログラムは、データプロセッサの作業メモリにロードされることができる。従って、データプロセッサは、前述の実施形態のうちの1つによる方法を実行するように装備されることができる。本発明のこの例示的な実施形態は、最初から本発明を使用するコンピュータプログラムと、更新によって既存のプログラムを本発明を使用するプログラムに変えるコンピュータプログラムとの両方を包含する。更に、コンピュータプログラム素子は、上述の方法の例示的な実施形態のプロシージャを果たすために必要なすべてのステップを提供することができるものでもよい。本発明の他の例示的な実施形態によれば、CD-ROM、USBスティックなどのコンピュータ可読媒体が提示され、コンピュータ可読媒体は、その上に記憶されるコンピュータプログラム素子を有し、そのコンピュータプログラム素子は、前のセクションによって説明される。コンピュータプログラムは、他のハードウェアと一緒に又はその一部として供給される光記憶媒体又はソリッドステート媒体などの適切な媒体上に記憶され及び/又は配布されてもよいが、インターネット又は他の有線もしくは無線電気通信システムなどを介して、他の形態で配布されてもよい。しかしながら、コンピュータプログラムは、ワールドワイドウェブのようなネットワーク上で提示されてもよく、そのようなネットワークからデータプロセッサの作業メモリにダウンロードされることができる。本発明の更なる例示的な実施形態によれば、コンピュータプログラム素子をダウンロードのために利用可能にする媒体が提供され、このコンピュータプログラム素子は、本発明の前述の実施形態のうちの1つによる方法を実行するように構成される。
【0028】
上記の実施形態は、関与する態様にかかわらず、互いに組み合わされることができることに留意されたい。従って、方法は、他の態様の装置及び/又はシステムの構造的特徴と組み合わされてもよく、同様に、装置及びシステムは、互いの特徴と組み合わされてもよく、方法に関して上述した特徴と組み合わされてもよい。
【0029】
本発明のこれら及び他の態様は、以下に記載される実施形態から明らかになり、それらを参照して説明される。
【0030】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本開示の第1の実施形態による一連の画像の例示的な画像を示す図。
【
図2】一連の画像にわたる信頼度レベルの図を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、本開示の第1の実施形態による一連の画像の例示的な画像を示す。4つの画像1、2、3、及び4はすべて、同じシーン、すなわち、患者の右膝の医用撮像のための被検体の準備を時間的に異なる段階で示す。画像は、シーンの上方に実装されたデジタル光カメラ(例えば
図4を参照して、取得ユニット41と呼ばれる)から取得される。具体的には、画像1は、患者支持体5上に乗ったばかりの患者7を示す。患者支持体5は、磁気共鳴撮像ユニット6の一部である。患者支持体5は、MRIユニット6のボア7の外側で患者を準備するために使用される。患者7が準備されると、患者支持体5は、横たわっている患者と共にMRIユニット6のボア内に移動する。その後、医用MRI画像を取得するための医用イメージングプロセスが開始される。画像1に見られるように、患者7の全ての部分がカメラに見えるわけではなく、例えば、患者の左足8は、患者の左膝9によって隠される。画像2は、準備のさらなる段階を示す。患者10は、すでに患者支持体上に横たわっている。画像2には、患者10に配置されるコイル12を保持する医療補助者11が現れる。画像2に見られるように、この準備段階において患者10の部分を隠すものは何もない。患者10と上記の実装されたカメラとの間に障害物はない。従って、右足首13、右腰部15、及び標的解剖学的構造14、すなわち膝14などの潜在的なランドマークに対するカメラの視野は空いている。右足首13及び右腰部15のようなランドマークは、標的解剖学的構造15である右膝15に解剖学的に接続されている。従って、ランドマークの任意の動きは、標的解剖学的構造の位置に影響を及ぼす。例えば、右足の足首13が左に横方向に移動する場合、右膝15も左に横方向に移動しなければならない。画像3において、医療補助者は、患者の右膝へのコイルの配置をほぼ完了している。結果として、右膝はコイルによって隠され、その結果、右膝に対するカメラの空いている視野は存在しない。右腰部ははっきりと見えるが、右足首もコイルのケーブル17によってわずかに隠されている。画像4では、患者を支持する患者支持体は、MRIのボア16内に自動的に移動する。従って、ランドマーク及び標的解剖学的構造もまた、カメラにとってそれ以上目可視ではない。
【0033】
図2は、一連の画像に対する信頼性レベルの図を示す。
図2は
図1に対応し、
図1は4つの画像に関連し、
図2は300の画像に関連し、
図1の4つの画像は
図2の300の画像の一部である。信頼性レベルは、図の縦軸21上にプロットされる。信頼性レベルは、決定された位置の信頼性を表す。信頼性レベルは、この例では、0から1までの値を含み、0.81のような10進値が可能である。信頼性レベルの決定方法は
図3に説明される。
図2の横軸22には、各画像の番号が示されている。各画像について、右膝、又は右足の足首、又は右腰部の信頼度レベルが、図中の点としてそれぞれプロットされる。括弧内の数字1~4を有する垂直方向の破線23、24、25、及び26は、
図1の画像1~4に関する図中のそれぞれの点を指す。見て分かるように、最初の50の画像における信頼性レベルは、画像のランドマーク又は標的解剖学的構造がないため、およそ0の値を有する。50~100の画像レンジでは、信頼度レベルは約0.9まで上昇する。これは、患者が患者支持体上にのる準備の第1の段階から、患者が患者支持体上に横たわる第2の段階までの、ランドマーク及び標的解剖学的構造の可視性の増加に起因する。120~150の画像レンジでは、医療補助者がコイルを患者の右膝上に配置するので、右膝及び右足首の信頼性レベルが低下する。コイル、対応するケーブル、及び医療補助者は、右足首及び右膝を隠し、その結果、それぞれの信頼性レベルが低下する。右腰部は、プロセスの間、いかなる障害物によっても隠されないので、カメラは、右腰部上に自由視野を有する。右腰部の自由視野は、約0.9の高い信頼性レベルをもたらす。患者上へのコイルの位置付けを終えたのち、右足の足首及び右膝の信頼性レベルは、150~200の画像レンジにおいてわずかに上昇するが、右腰部が有するような0.9からの以前の高い信頼性レベルには達しない。これは、コイル及び対応するケーブルの障害物に起因する。200~300の画像レンジでは、患者が患者支持体と共にボア内に移動するので、ランドマーク及び標的解剖学的構造の両方の信頼性レベルは低下し、従って、カメラにとって可視ではない。この例から分かるように、関心領域の位置の信頼性レベルは、準備中、右膝に関して低下し、1つのランドマーク、すなわち右足の足首の信頼性レベルが低下する。しかしながら、右腰部という第2のランドマークは、可視のままであり、そのため、右腰部の信頼性レベルは、患者がボア内に移動するまで高い値を有する。
【0034】
図3は、本開示の第1の態様による方法の概略図である。コンピュータ実現方法は、医用イメージングにおいて被検体を準備するために使用される。被検体は、この場合患者である。患者の右膝は、MRIプロセスのために準備されなければならない。右膝は、この場合、関心領域である。この方法は、以下のステップを有する。
【0035】
第1のステップS10では、被検体の少なくとも一部を含む関心領域の一連の画像が取得され、前記一連の画像は、少なくとも第1の画像と、少なくとも後続の第2の画像とを有する。画像は、患者支持体の上方に実装されるデジタル光カメラによって取得され、撮像プロセスのために、前記患者支持体上には患者が配置され準備される。ステップS20において、一連の画像から少なくとも1つのランドマークの位置が取得され、前記少なくとも1つのランドマークは、標的解剖学的構造に解剖学的に関連する。前記位置は、画像解析アルゴリズム、特に深層ニューラルネットワークに基づくアルゴリズムによって取得される。前記アルゴリズムは、画像が取得されるプロセスをシミュレートする画像取得モデルを更に含む。画像取得モデルは、撮像プロセスにおいて生じる不規則性(例えば、アライメント誤差、回転誤差)を記述する。その結果、画像取得モデルは、1つの取得された入力画像(例えば、一連の画像の第1の画像)から、不規則性を示すいくつかの出力画像を生成する。いくつかの出力画像に基づいて、深層畳み込みニューロンネットワークは、いくつかの出力画像の各出力画像においてランドマークの位置を決定する。次いで、いくつかの出力画像のランドマークの位置の平均が、画像内のランドマークの位置として機能する。ステップS30において、少なくとも1つのランドマークの位置に割り当てられる信頼性レベルが取得される。信頼性レベルは、入力画像といくつかの出力画像との間のエントロピーを計算することによって決定される。代替例として、信頼性レベルは、いくつかの出力画像におけるランドマークの位置の偏差を計算することによって決定される。本明細書に記載されているステップS10~S30に使用されることができる画像解析アルゴリズムの記述は、Guotai Wang, Wenqi Li, Michael Aertsen, Jan Deprest, Sebastian Ourselin, Tom Vercauteren, "Aleatoric uncertainty estimation with test-time augmentation for medical image segmentation with convolutional neural networks", Neurocomputing, 2019, https://doi.org/10.1016/j.neucom.2019.01.103に記載されている。この文献の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0036】
ステップS40において、少なくとも1つのランドマークの位置に基づいて、標的解剖学的構造の位置が決定され、信頼性レベルが決定される。例えば、
図2の画像3では、足首の位置及び信頼性レベル、並びに右腰部の位置及び信頼性レベルが、右膝の位置を決定するために使用される。足首の信頼性レベルが、値0.85である所定の閾値を下回るので、この画像における足首の位置は、右膝の位置を決定するために使用されない。代わりに、
図2の画像2内の足首の位置が使用され、
図2の画像3における右腰部の位置の信頼性レベルは、所定の閾値を上回るので、
図2の画像3における右腰部の位置が使用される。言い換えれば、ランドマークの信頼性レベルが全て所定の閾値を上回らない場合、2以上の画像が右膝の位置を決定するために使用される。
図2の画像2では、位置の全ての信頼性レベルが所定の閾値を上回るので、右膝の位置を決定するために1つの画像のみが使用される。代替的に、他の以前の画像が、右膝の位置を決定するために使用されることができる。これは、信頼性を高めるために有用でありうる。更に、この場合、右膝の位置もニューラルネットワークを用いて取得され、そのため、信頼性レベルが上述のように決定されることに留意されたい。他の例又はアプリケーションでは、標的解剖学的構造は、肝臓のような器官など、可視ではない。肝臓の位置は、ランドマークによって決定されなければならず、他のやり方では決定され得ない。ステップS50において、医用イメージングにおいて被検体を準備するための標的解剖学的構造の位置が提供される。標的解剖学的構造の位置の情報は、撮像システム又は撮像ユニットの制御部に送信されることができる。標的解剖学的構造の位置の情報は、医療補助者をガイドするために画面上に表示されることができる。
【0037】
図4は、本開示の一実施形態による装置の概略図である。医用イメージングにおいて被検体を準備するための装置40は、被検体の少なくとも一部を含む一連の画像を取得するように構成される取得ユニット41であって、一連の画像は、少なくとも第1の画像と、後続の第2の画像とを含む、取得ユニットと、一連の画像から少なくとも1つのランドマークの位置を決定するように構成される第1の決定ユニット42であって、少なくとも1つのランドマークは標的解剖学的構造に解剖学的に関連する、決定ユニット42と、少なくとも1つのランドマークの位置に割り当てられる信頼性レベルを決定するように構成される第2の決定ユニット43と、少なくとも1つのランドマークの位置と信頼性レベルとに基づいて、標的解剖学的構造の位置を決定するように構成される第3の決定ユニット44と、医用イメージングにおいて被検体を準備するために標的解剖学的構造の位置を提供するように構成されるユニット45と、を有する。
【符号の説明】
【0038】
1,2,3,4 画像
5 患者支持体
6 撮像ユニット
7,10 患者
8 左足
9 左膝
11 医療補助者
12 コイル
13 右足の足首、ランドマーク
14 右膝、標的解剖学的構造
15 右腰部、ランドマーク
16 ボア
17 ケーブル
20 図
21 縦軸
22 横軸
23,24,25,26 垂直方向の破線
40 装置
41 取得ユニット
42 第1の決定ユニット
43 第2の決定ユニット
44 第2の決定ユニット
45 提供ユニット
【国際調査報告】