(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-04
(54)【発明の名称】マルチステーションスキャンにおけるクリティカルステーションの自動検出
(51)【国際特許分類】
A61B 5/055 20060101AFI20240226BHJP
【FI】
A61B5/055 370
A61B5/055 390
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555285
(86)(22)【出願日】2022-03-09
(85)【翻訳文提出日】2023-09-08
(86)【国際出願番号】 EP2022055962
(87)【国際公開番号】W WO2022194624
(87)【国際公開日】2022-09-22
(32)【優先日】2021-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(74)【代理人】
【識別番号】100145654
【氏名又は名称】矢ヶ部 喜行
(72)【発明者】
【氏名】カッシャー ウルリッヒ ウォルフガング
(72)【発明者】
【氏名】コーケン ペーター
【テーマコード(参考)】
4C096
【Fターム(参考)】
4C096AC04
4C096AD23
4C096FC09
(57)【要約】
本発明は、マルチステーションスキャンに関する。ステーションの選択を改善するために、マルチステーションスキャンにおいてクリティカルステーションを検出するための装置が提供される。装置は、入力ユニット、処理ユニット、及び出力ユニットを有する。入力ユニットは、磁気共鳴イメージングシステムを用いた診断スキャンの開始前に、テーブル上に横たわっている患者から取得された画像データを受信するように構成される。処理ユニットは、患者の画像データを分析して患者の肺の空間ロケーションを識別し、患者の肺の空間ロケーションを計画されたマルチステーションスキャンとアラインして、患者の呼吸運動の影響を受ける可能性のあるクリティカルステーションを識別し、識別されたクリティカルステーションに息止めを割り当てるように構成される。出力ユニットは、識別されたクリティカルステーションを提供するように構成される。従って、クリティカルなステーションの選択は、オペレータの介入なしに、自動的かつ一貫性をもって実行されることができる。呼吸運動の影響を受ける可能性のあるステーションを手動で識別し選択するという面倒で時間のかかるステップを回避することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチステーションスキャンにおけるクリティカルステーションを検出する装置であって、
入力ユニットと、
処理ユニットと、
出力ユニットと、を有し、
前記入力ユニットは、磁気共鳴イメージングシステムを用いた診断スキャンの開始前に、テーブル上に横たわっている患者から取得される画像データを受信するように構成され、前記画像データは、光学カメラによって取得された光学画像を有し、
前記処理ユニットは、前記患者の前記受信された画像データを分析して前記患者の肺の空間ロケーションを識別し、前記患者の肺の空間ロケーションを計画されたマルチステーションスキャンとアラインして前記患者の呼吸運動の影響を受ける可能性のあるクリティカルステーションを識別し、前記識別されたクリティカルステーションに息止めを割り当てるように構成され、
前記出力ユニットは、前記識別されたクリティカルステーションを提供するように構成される、装置。
【請求項2】
前記画像データは、ボア内光学カメラによってキャプチャされた光学画像を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記処理ユニットは、ランドマーク検出に基づいて前記光学画像から胸郭を位置特定することによって、前記患者の前記肺の前記空間ロケーションを識別するように構成される、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記処理ユニットは、前記患者の呼吸運動の影響を受ける可能性のある前記患者の身体の一部をカバーするように、前記肺の前記識別された空間ロケーションの周囲に安全マージンを適用するように構成される、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
磁気共鳴イメージング(MRI)システムであって、
ボア及び患者を支持するテーブルを有するMRIスキャナと、
前記MRIスキャナによる診断スキャンの開始前に、前記テーブル上に横たわっている前記患者の光学画像をキャプチャする光学カメラと、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の装置と、
前記検出されたクリティカルステーションに対して呼吸指示を提供する患者指示装置と、
を有するMRIシステム。
【請求項6】
前記光学カメラは、ボア内光学カメラを有する、請求項5に記載のMRIシステム。
【請求項7】
実際の解剖学的構造に応じてステーションごとにスキャンパラメータのセットを適応させるように、及び/又はそれぞれ異なるステーションに対して異なるセットの較正パラメータを適用するように構成されるコントローラを更に有する、請求項5又は6に記載のMRIシステム。
【請求項8】
マルチステーションスキャンにおけるクリティカルステーションを検出する方法であって、
a)磁気共鳴イメージングシステムによる診断スキャンの開始前にテーブル上に横たわっている患者から取得された画像データを受信するステップであって、前記画像データは、光学カメラによって取得された光学画像を含む、ステップと、
b)前記患者の画像データを分析して前記患者の肺の空間ロケーションを識別するステップと、
c)前記患者の肺の空間ロケーションを計画されたマルチステーションスキャンとアラインして前記患者の呼吸運動の影響を受ける可能性のあるクリティカルステーションを識別し、前記識別されたクリティカルステーションに息止めを割り当てるステップと、
d)前記識別されたクリティカルステーションを提供するステップと、
を有する方法。
【請求項9】
前記ステップb)が、前記患者の呼吸運動の影響を受ける可能性がある患者身体の一部をカバーするように、前記肺の識別された空間ロケーションの周りに安全マージンを適用することを更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記識別されたクリティカルステーションに関する呼吸指示を提供するステップを更に有する、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
実際の解剖学的構造に応じてステーションごとにスキャンパラメータのセットを適応させるステップ、及び/又は
それぞれ異なるステーションに異なるセットの較正パラメータを適用するステップ、を更に有する、請求項8乃至10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の装置又は請求項5乃至7のいずれか1項に記載のシステムを制御するためのコンピュータプログラムであって、プロセッサによって実行される場合に、請求項8乃至11のいずれか1項に記載の方法を実行するように構成される、コンピュータプログラム。
【請求項13】
請求項12に記載のコンピュータプログラムを有するコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチステーションスキャンに関し、特に、マルチステーションスキャンにおけるクリティカルステーションを検出する装置、磁気共鳴イメージングシステム、マルチステーションスキャンにおけるクリティカルステーションを検出する方法、コンピュータプログラム、及びコンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
全身画像の場合、一般的なアプローチは、マルチステーションスキャンであり、長手方向の身体の異なる部分が、連続して測定され、スキャン後につなぎ合わせられる。呼吸運動の影響を受ける可能性のあるステーションは、息止めのためにマークされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
呼吸運動の影響を受ける可能性のあるステーションの選択は、目視検査に基づいて、今日、技術者によって手動で行われている。これは、退屈で時間のかかるプロシージャであり、病院の制限される患者スループットに寄与する。
【0004】
ステーションの選択を改善する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は、独立請求項の主題によって解決され、他の実施形態は、従属請求項に組み込まれる。本発明の以下に説明する態様は、マルチステーションスキャンにおけるクリティカルステーションを検出する装置、MRIシステム、マルチステーションスキャンにおけるクリティカルステーションを検出する方法、コンピュータプログラム、及びコンピュータ可読媒体にも適用されることに留意されたい。
【0006】
本発明の第1の態様によれば、マルチステーションスキャンにおけるクリティカルステーションを検出する装置が提供される。装置は、入力ユニット、処理ユニット及び出力ユニットを有する。入力ユニットは、磁気共鳴イメージングシステムを用いた診断スキャンの開始前に、テーブル上に横たわっている患者から取得される画像データを受信するように構成される。処理ユニットは、患者の受信された画像データを分析して患者の肺の空間ロケーションを識別し、患者の肺の空間ロケーションを計画されたマルチステーションスキャンとアラインして患者の呼吸運動の影響を受ける可能性のあるクリティカルステーションを識別し、識別されたクリティカルステーションに息止めを割り当てるように構成される。画像データは、光学カメラによってキャプチャされた光学画像を含む。出力ユニットは、識別されたクリティカルステーションを提供するように構成される。
【0007】
言い換えれば、例えばテーブルをボア内に移動させる直前に患者から取得された、又はボア内の患者から取得された光学画像を自動的に分析して、呼吸運動(典型的には、肺の中及び肺の周囲)の影響を受けるリスクを有する領域が検出されるようにすることが提案される。これらの領域は、スキャンのそれぞれ異なるステーションと比較され、影響を受ける可能性のあるステーションが識別され、息止めを割り当てられる。光学カメラは、可視光及び/又は近赤外光を使用して患者を撮影することができる。いくつかの例では、光学カメラは、患者の2次元光学画像をキャプチャする標準カメラでありうる。いくつかの他の例では、光学カメラは、患者の奥行き画像をキャプチャする測距カメラであり得る。
【0008】
従って、クリティカルステーションの選択は、オペレータの介入なしに、自動的かつ一貫性をもって実行されることができる。呼吸運動の影響を受ける可能性のあるステーションを手動で識別し選択するという面倒で時間のかかるステップが回避されることができる。
【0009】
これは、以下に、特に
図2に示される例に関して説明される。
【0010】
本発明の一実施形態によれば、画像データは、ボア内の光学カメラによってキャプチャされた光学画像を含む。
【0011】
ボア内光学センサの一例は、Philips VitalEyeである。ボア内光学カメラは、左上のプラスチックケースの内部に配置され、被検体の上半身に焦点を合わせることができる。
【0012】
本発明の一実施形態によれば、処理ユニットは、ランドマーク検出に基づいて光学画像から胸郭を位置特定(locate)することによって、患者の肺の空間ロケーションを識別するように構成される。
【0013】
肺の空間ロケーションは、身体表面近似パラメトリック身体モデル、骨格検出方法、又は注釈付き平均3D身体モデルとの3Dレジストレーションを使用して識別されることができる。これは、以下、特に
図2に示される例に関して説明される。
【0014】
本発明の一実施形態によれば、処理ユニットは、患者の呼吸運動の影響を受ける可能性のある患者身体の一部をカバーするように、肺の識別された空間ロケーションの周りに安全マージンを適用するように構成される。
【0015】
呼吸運動によって影響を及ぼされるリスクがある領域は、典型的には肺の中及び周囲にある。いくつかの場合において、安全マージンは、腹部などの身体の他の部分をカバーすることができ、かかる部分も、呼吸運動によって影響を及ぼされる。
【0016】
本発明の第2の態様によれば、磁気共鳴イメージング(MRI)システムであって、ボア及び患者を支持するためのテーブルを有するMRIスキャナと、MRIスキャナによる診断スキャンの開始前に、テーブル上に横たわっている患者の光学画像をキャプチャするように構成される光学カメラと、第1の態様又はマルチステーションスキャンにおけるクリティカルステーションを検出するための任意の関連する例による装置と、検出されたクリティカルステーションに対して呼吸指示を提供するように構成される患者指示装置と、を有するMRIシステムが提供される。
【0017】
いくつかの例では、患者指示装置は、自動化された音声で患者に吸気、呼気、及び息止めを促すために使用されるスピーカでありうる。
【0018】
いくつかの例では、患者指示装置は、患者に吸気、呼気、及び息止めを促す視覚的指示を提供するボア内のディスプレイでありうる。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、光学カメラは、ボア内の光学カメラを有する。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、MRIシステムは、実際の解剖学的構造に応じてステーションごとにスキャンパラメータのセットを適応させるように、及び/又はそれぞれ異なるステーションについて異なるセットの較正パラメータを適用するように構成されたコントローラを更に有する。
【0021】
本発明の第3の態様によれば、マルチステーションスキャンにおいてクリティカルステーションを検出する方法であって、a)磁気共鳴イメージングシステムを用いた診断スキャンの開始前に、テーブル上に横たわっている患者から取得された画像データを受信するステップであって、前記画像データは、光学カメラによってキャプチャされた光学画像を含む、ステップと、b)患者の画像データを分析して患者の肺の空間ロケーションを識別するステップと、c)患者の肺の空間ロケーションを計画されたマルチステーションスキャンとアラインして、患者の呼吸運動の影響を受ける可能性のあるクリティカルステーションを識別し、識別されたクリティカルステーションに息止めを割り当てるステップと、d)識別されたクリティカルステーションを提供するステップと、を有する方法が提供される。
【0022】
本発明の一実施形態によれば、ステップb)は更に、患者の呼吸運動の影響を受ける患者身体の一部をカバーするように、肺の識別された空間ロケーションの周りに安全マージンを適用することを更に含む。
【0023】
本発明の一実施形態によれば、本方法は、検出されたクリティカルステーションに関する呼吸指示を提供することを更に含む。
【0024】
本発明の一実施形態によれば、本方法は、実際の解剖学的構造に応じてステーションごとにスキャンパラメータのセットを適応させるステップ、及び/又はそれぞれ異なるステーションに異なるセットの較正パラメータを適用するステップを更に含む。
【0025】
本発明の別の態様によれば、プロセッサによって実行される場合に、第3の態様又は任意の関連する態様の例による方法を実行するように構成される、第1の態様及び任意の関連する例による装置を制御するためのコンピュータプログラムが提供される。
【0026】
本発明の他の態様によれば、コンピュータプログラムを有するコンピュータ可読媒体が提供される。
【0027】
本発明のこれら及び他の態様は、以下に記載される実施形態から明らかになり、それを参照して説明される。
【0028】
以下、添付の図面を参照して、例示的な発明の例示的な実施形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図3】マルチステーションスキャンを実行するためのワークフローの例を示す図。
【
図4】マルチステーションスキャンにおけるクリティカルステーションを検出する方法のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、磁気共鳴イメージング(MRI)システム100の一例を概略的かつ例示的に示す。MRIシステムは、MRIスキャナ110と、マルチステーションスキャンにおいてクリティカルステーションを検出する装置10と、患者指示装置120とを有する。
【0031】
通常、MRスキャナ110は、磁石ボア112と一般に呼ばれる領域に、偏光磁場を生成する。MRスキャナ110によって生成される画像は、パルス発生器によって実行される適切な核磁気共鳴(NMR)撮像パルスシーケンスを選択することによって規定される。撮像されるべきスライス又は3次元領域の位置及び向きもまた、実施されるプロシージャ中に医師が見たいと思う特定の患者の解剖学的構造によって規定され、決定される。
【0032】
MRIスキャナ110は、患者内のプロトンから核磁気共鳴(以下、「NMR」という)信号を測定し、プロトンの密度分布、緩和時間分布等の画像をピックアップする。全身イメージング(全身MRI)では、患者をのせたテーブル114を繰り返し移動させる。患者の全身のMRI画像がキャプチャされ、スクリーニング検査が実行される。マルチステーションイメージングでは、全身画像を取得するためにテーブル114が段階的に移動される。患者は、複数のステーション(撮像エリア)に分割され、患者は、テーブルの動きに合わせて撮像される。例えば、被検体の末梢血管系の3ステーションCEMRA(Contrast enhanced Magnetic Resonance Angiography、コントラスト強調磁気共鳴血管造影)スタディでは、これらのステーションは一般に、腎動脈起始部のレベル、大腿動脈を撮影するための大腿部のレベル、膝窩動脈とその三叉路を撮影するための下腿部のレベルに配置される。各ステーションで完全な画像が取得されるが、テーブル114がステーションからステーションに移動されるとき、データ取得は実行されない。
【0033】
MRIスキャナ110の全体的な動作は、コンソール130からオペレータにより制御されることができる。コンソール130はモニタ140に結合されることができ、モニタ140上で、取得されたMRI画像又はイメージャ設定が閲覧され又はレビューされることができる。医療ラボ技術者などのオペレータは、コンソール130を介して、特定の患者の解剖学的構造を「ポインティングする(pointing)」ことによって実行される画像取得を制御することができ、この「ポインティングする」ことは、追跡コイルによって検知される。その結果、MRI画像が取得され、合成され、モニタ140上に生成され、モニタ140は、医師に全身画像を表示する。
【0034】
装置10は、デスクトップ及びラップトップコンピュータ、スマートフォン、タブレットなどを含む任意のコンピューティング装置であってよく、マルチステーションスキャンにおけるクリティカルステーションを検出するように構成される。
図1の例では、装置10のコンポーネントは、1つの単一ユニットに統合されて図示されている。しかしながら、代替例では、いくつか又はすべてのコンポーネントが、分散型アーキテクチャにおいて別個のモジュールとして構成され、適切な通信ネットワークにおいて接続されることもできる。装置10及びそのコンポーネントは、専用FPGAとして、又はハードワイヤードスタンドアロンチップとして、構成されることもできる。いくつかの例では、装置10又はそのコンポーネントのいくつかは、ソフトウェアルーチンとして動作するコンソール130内に常駐することができる。
【0035】
装置10は、入力ユニット12と、処理ユニット14と、出力ユニット16とを有する。各ユニットは、特定用途向け集積回路(ASIC)、電子回路、1つ又は複数のソフトウェア又はファームウェアプログラムを実行するプロセッサ(共有、専用、又はグループ)及び/又はメモリ(共有、専用、又はグループ)、組合せ論理回路、及び/又は説明した機能を提供する他の適切なコンポーネントを含むことができ、又はその一部でありうる。
【0036】
入力ユニット12は、MRIスキャナ110による診断スキャンの開始前に、テーブル上に横たわっている患者から取得された画像データを受信するように構成される。入力ユニット12は、イーサネット(登録商標)インターフェース、USB(登録商標)インターフェース、WiFi(登録商標)もしくはBluetooth(登録商標)などのワイヤレスインターフェース、又は入力周辺機器と処理ユニット14との間のデータ転送を可能にする任意の同等のデータ転送インターフェースとして実装されることができる。診断スキャンの開始前にテーブル上に横たわっている患者から取得された画像データは、ステーション計画のための入力として機能する。画像データ、例えば、MRスキャナで取得されたサーベイスキャン、又はカメラからの光学画像等を含む。
【0037】
図1の例では、装置10は、MRIスキャナ110により取得されたサーベイスキャンを受信するように構成される。MRサーベイスキャンにより取得される画像は、最初に取得される3平面、低解像度、大視野のローカライザの組であり、CTの場合の「スカウトビュー」に相当する。MRサーベイスキャンは、組織や液体中のプロトンの共鳴高周波信号、いわゆるプロトンMRI又は1H-MRIに基づいて、肺の形態などの低分解能画像を提供する。マルチステーションでのサーベイは、マルチステーション全身スキャンでもあり、ほとんどの場合、直交する2つのスライスで行われる。画像はつなぎ合わされて、プランニングに使用される。
【0038】
別の例では、
図2に示されるように、装置10は、光学カメラ150でキャプチャされた画像データを受信するように構成されることができる。光学カメラ150は、カメラベースのセンサであってもよいが、例えば、光検出及び測距(LIDAR)、無線検出及び測距(RADAR)を使用する3次元非接触動きスキャナを使用することも想定される。光学カメラ150は、可視光及び/又は近赤外光を使用して患者を撮影することができる。光学カメラ150は、患者テーブルをボア内に移動させる前に患者を撮影するために、患者の上方の任意の場所に設置されることができる。例えば、光学カメラ150は、検査室の天井、検査室の壁に取り付けられてもよい。このようにして、テーブルをボア内に移動させる直前に患者から撮影された光学画像を自動的に分析することが可能である。例えば、光学カメラ150は、MRIスキャナに搭載されることができる。光学カメラは、MRシステムに対して較正されることができ、その結果、カラー画像又は奥行き画像に対して実行されるあらゆるプロセスが、真の次元を有するMRシステムに伝えられることができる。一例では、光学カメラは、Philips VitalEyeなどのボア内カメラでありうる。カメラは、左上のプラスチックケース内に配置されることができ、被検体の上半身に焦点を合わせることができる。このようにして、磁気共鳴イメージングシステムによる診断スキャンの開始前に、ボア内に配置された患者から取得された光学画像を自動的に分析することが可能である。
【0039】
図1に戻ると、受信された画像データはその後、患者の肺の空間ロケーションを識別するために、処理ユニット14によって自動的に分析される。
【0040】
図1の例では、これは、例えば、MRサーベイスキャンから取得された画像上で肺をセグメント化することによって行われることができる。
【0041】
図2の例では、受信された光学画像において患者の肺の空間ロケーションを識別するために、さまざまな異なるアプローチが想定される。
【0042】
一例では、SCAPEモデルなどの体表面近似パラメトリック身体モデルが使用されることができる。例えば、D. Anguelov et al (2005), "SCAPE: shape completion and animation of people", ACM Trans. Graph., 24(3), 408-416を参照されたい。そのようなモデルは、人体の形状及び姿勢の正確でスケーラブルな表現を提供する。これは、検知された画像データから導出されたシルエットとの表面マッチングのために使用されることができる。これは、患者の身体を正確に記述することができ、患者の肺などの解剖学的関心領域の位置を特定するために使用されることができる。
【0043】
別の例では、骨格検出方法が、患者の身体を検出及び追跡するために使用される。身体は、骨格の関節位置の組として記述される。骨格関節の座標は、患者の胸部領域及び肺の空間ロケーションを特定するための開始点である。患者の四肢によって形成される細長い構造は、関節がどこに位置するかについての手がかりを得るために、胴体の画像フットプリントに追従することができる。
【0044】
更に別の例では、注釈付きの平均的な3D身体モデルとの3Dレジストレーションが利用されることもできる。この目的のために、セグメント化され注釈付けされた器官を有する一般化された汎用3D身体モデル(例えば、CTデータセット)を利用して、肺などの患者の関連する解剖学的構造の位置を近似することが可能である。一般化された3D身体モデルは、患者の3D検知された形状にフィッティングされ、スケーリングされる。フィッティング及びスケーリングは、3Dレジストレーション技術を介して実行されることができる。次いで、一般化され、スケーリングされた3Dモデルの解剖学的情報は、その後、関心のある解剖学的構造を識別するために使用されることができる。
【0045】
次いで、上述のアプローチの各々を使用して識別された肺の空間位置が、処理ユニット14によって計画されたマルチステーションスキャンとアラインされることにより、患者の呼吸運動の影響を受ける可能性のあるクリティカルステーションが識別される。クリティカルステーションは、識別された肺/胸部と少なくとも部分的に重複するステーションを有することができる。任意には、呼吸運動の影響を時々受ける/いくらかしか受けない身体の部分(例えば腹部)もカバーするように、肺/胸郭の周囲に安全マージンが適用されることもできる。
【0046】
図3A~Dは、ワークフローの一例を概略的に示す。
図3Aは、光学カメラから取得されることができる計画画像を示す。計画画像は、モニタ140上に表示されることができる。
【0047】
図3Bは、マルチステーションMRスキャンのためのステーションの計画を示す。いくつかの例では、これらのステーションは、ユーザから供給される入力に基づいて手動で定義されることができる。いくつかの例では、ステーションは、計画画像上で検出された解剖学的ランドマークに基づいて自動的に定義されることができる。
【0048】
図3Cは、肺領域の識別及び対応するステーションへの息止めの割り当てを示す。これらの識別されたクリティカルステーションは、
図3Cにおいて2重線で示されているが、着色された線又は任意の他のラベルを使用することも想定される。これらのクリティカルステーションを識別するために、装置10は、上述のアプローチのうちの少なくとも1つに従って肺の空間ロケーションを識別し、次いで、肺の識別された空間ロケーションを計画されたマルチステーションスキャンとアラインするように構成される。
図3Cに示されるように、識別されたクリティカルステーションは、肺/胸郭をカバーするステーションを含む。安全マージンは、呼吸運動によって影響を及ぼされる可能性のある患者の腹部もカバーするように、肺/胸郭の周りに適用されることができる。
【0049】
図3Dは、マルチステーションスキャンの例を示す。マルチステーションスキャンは、通常どおり実行され、それぞれ異なるステーションからの画像の組み合わせも、通常どおり実行される。
図1及び
図2に示されるスピーカなどの患者指示装置120が、自動化された音声によって患者に吸気、呼気及び息止めを促すために使用されることができる。別の実施例(図示せず)では、患者指示装置120は、患者に吸気、呼気及び息止めを促すための視覚的な呼吸指示を提供する、ボア内ディスプレイでありうる。
【0050】
任意には、MRIシステム100は、実際の解剖学的構造に応じてステーション毎のスキャンパラメータのセットを適応させるように、及び/又はそれぞれ異なるステーションについて異なるセットの較正パラメータを適用するように構成されたコントローラを更に有することができる。
図1及び
図2に示す例では、コントローラは、ソフトウェアルーチンとして動作するコンソール130に常駐している。いくつかの他の例では、コントローラ及びそのコンポーネントは、専用FPGAとして、又はハードワイヤードスタンドアロンチップとして構成されることができる。
【0051】
例えば、コントローラの一例としてのコンソール130は、実際の解剖学的構造に応じて、ステーションごとに様々なスキャンパラメータを自動的に適応させるように構成されてもよい。例えば、空間分解能、視野、平均の数などは、実際の解剖学的構造に基づいて、ステーションごとに適応されることができる。例えば、あらかじめ訓練されたディープラーニングネットワークを適用して、実際の解剖学的構造及び患者データ(例えば、年齢、性別、ボディマスインデックスなど)からスキャンパラメータを導出することができる。例えば、入力層と出力層との間に複数の層を有するディープニューラルネットワークが適用されることができる。あらかじめ訓練されたディープラーニングネットワークは、同じ患者及び/又は他の患者からのあらかじめ記録された患者データ、解剖学的構造及び関連するスキャンパラメータを含む訓練データセットに基づいて訓練されたものである。
【0052】
コンソール130はまた、それぞれ異なるステーションについて異なるセットの較正パラメータを自動的に適用するように構成されることができる。例えば、ステーションからステーションへ移動する間に身体コイルの負荷が変化し、印加されるB1が、繰り返しの準備測定なしに調整されることができる。
【0053】
図4を参照すると、マルチステーションスキャンにおいてクリティカルステーションを検出するための方法200のフローチャートが示されている。
【0054】
ステップ210、すなわちステップa)において、磁気共鳴イメージングシステムによる診断スキャンの開始前にテーブル上に横たわっている患者から取得された画像データが受信される。ステーション計画のための入力として機能する画像データが取得される。これは、例えば患者テーブルをボア内に移動させる前に、患者の上方のどこかに設置されたカメラからの光学画像を含む。このステップは、「計画段階」と呼ばれることもある。
【0055】
ステップ220、すなわちステップb)において、患者の肺の空間ロケーションを識別するために、患者の画像データが分析される。言い換えると、ステップa)で取得された計画画像は、患者の肺の空間ロケーションを識別するために自動的に分析される。これは、例えば、上述の体表面近似パラメトリック身体モデル、骨格検出方法、又は注釈付き平均3D身体モデルとの3Dレジストレーションを用いて、例えば、光学画像から胸郭を位置特定することによって実行されることができる。このステップは、「分析段階」と呼ばれてもよい。
【0056】
ステップ230において、すなわちステップc)において、患者の肺の空間ロケーションは計画されたマルチステーションスキャンとアラインされることにより、患者の呼吸運動の影響を受ける可能性のあるクリティカルステーションが識別される。次いで、識別されたクリティカルステーションに息止めが割り当てられる。
【0057】
このステップでは、マルチステーションスキャンは、オペレータによって手動で計画されることができ、又は解剖学的ランドマークの検出に基づいて自動的に計画されることもできる。ステップb)で識別された肺の位置は、計画されたマルチステーションスキャンと自動的にアラインされ、すなわち、呼吸によって動く身体部分を含む全てのステーションが、対応するソフトウェアによってラベル付けされる。これらのラベル付けされたステーションは、自動的に息止めとして設定され、これらのステーションについて、患者は、例えば自動音声によって息を吸い、息を吐き、息を止めるように促される。任意には、呼吸運動によって時々/多少影響を受けるだけの身体の部分もカバーするように、肺/胸郭の周囲に安全マージンが適用されることもできる。このステップは、「割り当て段階(assigning phase)」と呼ぶことができる。
【0058】
ステップ240、すなわちステップd)において、識別されたクリティカルステーションは、マルチステーションスキャンを実行するために、例えば、
図1及び
図2のコンソール130に出力される。このステップは、「出力段階」と呼ぶことができる。
【0059】
任意には、方法200は、例えば自動化された音声又は視覚的な指示を使用して、検出されたクリティカルステーションについて吸気、呼気、及び/又は息止めを患者に指示するステップを更に含むことができる。
【0060】
任意には、方法200は、実際の解剖学的構造に依存して、ステーションごとにスキャンパラメータのセット(例えば、空間分解能、視野、平均の数)を適応させるステップ、及び/又はそれぞれ異なるステーションについて較正パラメータの異なるセットを適用するステップ、を更に有することができる。
【0061】
本発明の別の例示的な実施形態において、適切なシステム上で、前述の実施形態のうちの1つによる方法の方法ステップを実行するように適応されることを特徴とするコンピュータプログラム又はコンピュータプログラム素子が提供される。
【0062】
従って、コンピュータプログラム素子は、本発明の実施形態の一部でありうるコンピュータユニットに記憶されることができる。このコンピューティングユニットは、上述の方法のステップを実行する又はその実行を引き起こすように構成されることができる。更に、それは、上述の装置のコンポーネントを動作させるように構成されることができる。コンピューティングユニットは、自動的に動作するように、及び/又はユーザの命令を実行するように、構成されることができる。コンピュータプログラムは、データプロセッサの作業メモリにロードされることができる。従って、データプロセッサは、本発明の方法を実行するように装備されることができる。
【0063】
本発明のこの例示的な実施形態は、最初から本発明を使用するコンピュータプログラムと、最新の手段によって現存するプログラムを本発明を使用するプログラムに変えるコンピュータプログラムとの両方を包含する。
【0064】
更に、コンピュータプログラム素子は、上述の方法の例示的な実施形態のプロシージャを実行するために必要なすべてのステップを提供することができる。
【0065】
本発明の更なる例示的な実施形態によれば、CD-ROMなどのコンピュータ可読媒体が提示され、コンピュータ可読媒体はその上に記憶されたコンピュータプログラム素子を有し、そのコンピュータプログラム素子は、前述のセクションによって説明される。
【0066】
コンピュータプログラムは、他のハードウェアと一緒に又はその一部として供給される光記憶媒体又はソリッドステート媒体などの適切な媒体上に記憶され及び/又は配布されることができるが、他の形態で、又はインターネット又は他の有線もしくは無線電気通信システムなどを介して配布されることもできる。
【0067】
しかしながら、コンピュータプログラムは、ワールドワイドウェブのようなネットワークを通じて提示されることもでき、そのようなネットワークからデータプロセッサの作業メモリにダウンロードされることもできる。本発明の更なる例示的な実施形態によれば、コンピュータプログラム素子をダウンロードのために利用可能にするための媒体が提供され、このコンピュータプログラム素子は、本発明の前述の実施形態のうちの1つによる方法を実行するように構成される。
【0068】
本発明の実施形態は、それぞれ異なる主題を参照して説明されていることに留意されたい。特に、いくつかの実施形態は、方法タイプの請求項を参照して説明され、他の実施形態は、装置タイプの請求項を参照して説明される。しかしながら、当業者は上記及び下記の説明から、別段の説明がない限り、1つのタイプの主題に属する特徴の任意の組み合わせに加えて、異なる主題に関する特徴間の任意の組み合わせも、本出願で開示されることを理解するであろう。しかしながら、全ての特徴を組み合わせて、特徴の単純な合計よりも高い相乗効果を提供することができる。
【0069】
本発明は、図面及び前述の説明において詳しく図示され説明されてきたが、そのような図示及び説明は、例示的又は説明的であり、限定的ではないと考えられるべきである。本発明は、開示された実施形態に限定されない。開示された実施形態に対する他の変形は、図面、開示及び従属請求項の検討から、請求項に記載の発明を実施する際に当業者によって理解され達成されることができる。
【0070】
請求項において、単語「有する、含む(comprising)」は、他の構成要素又はステップを排除せず、不定冠詞「a」又は「an」は複数性を排除しない。単一のプロセッサ又は他のユニットは、特許請求の範囲に記載されたいくつかの項目の機能を果たすことができる。特定の手段が相互に異なる従属請求項において言及されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示すものではない。請求項におけるいかなる参照符号も、その範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【国際調査報告】