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特表2024-509596複合熱管理シート、製作の方法、及びそれを使用する物品
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-04
(54)【発明の名称】複合熱管理シート、製作の方法、及びそれを使用する物品
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/204 20210101AFI20240226BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20240226BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20240226BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20240226BHJP
   H01M 10/653 20140101ALI20240226BHJP
   H01M 10/643 20140101ALI20240226BHJP
   C09K 21/02 20060101ALI20240226BHJP
【FI】
H01M50/204 401H
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/647
H01M10/653
H01M10/643
H01M50/204 401F
C09K21/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555371
(86)(22)【出願日】2022-03-08
(85)【翻訳文提出日】2023-11-07
(86)【国際出願番号】 US2022019286
(87)【国際公開番号】W WO2022192213
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】63/158,675
(32)【優先日】2021-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521138305
【氏名又は名称】ロジャーズ・コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マックス・クリスティ
(72)【発明者】
【氏名】ケネス・エー・マズィク
【テーマコード(参考)】
4H028
5H031
5H040
【Fターム(参考)】
4H028AA05
4H028AA06
4H028AA10
4H028AA12
4H028AB04
4H028BA03
5H031AA09
5H031CC02
5H031EE03
5H031EE04
5H031KK02
5H031KK08
5H040AA28
5H040AA37
5H040AS01
5H040AS07
5H040AT01
5H040AT02
5H040AT04
5H040AY05
5H040AY10
5H040CC34
5H040JJ03
5H040LL04
5H040LL06
(57)【要約】
バッテリー用複合熱管理シートは、シリコーン発泡体層;及びシリコーン発泡体層内に配置された反応性充填剤組成物を含み、反応性充填剤組成物は、熱への初期曝露により分解して水を生成する第1の充填剤;及び第1の充填剤とは異なる第2の充填剤を含み、ここで、第2の充填剤は、第1の充填剤の分解生成物により熱障壁層を形成するか、水を吸収するか、又はその両方である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリー用複合熱管理シートであって、
シリコーン発泡体層と、
前記シリコーン発泡体層内に配置された反応性充填剤組成物とを含み、前記反応性充填剤組成物は、
熱への初期曝露により分解して水を生成する第1の充填剤と、
前記第1の充填剤とは異なる第2の充填剤とを含み、前記第2の充填剤は、前記第1の充填剤の分解生成物により熱障壁層を形成するか、前記水を吸収するか、又はその両方である、バッテリー用複合熱管理シート。
【請求項2】
前記熱障壁層がホウケイ酸ガラス層、好ましくは曲面を有するホウケイ酸ガラス層を含む、請求項1に記載の複合熱管理シート。
【請求項3】
前記ホウケイ酸ガラスが前記シリコーン発泡体層の分解に由来するケイ素を含む、請求項2に記載の複合熱管理シート。
【請求項4】
前記第1の充填剤及び前記第2の充填剤がアルミニウム三水和物、硝酸アンモニウム、ホウ砂、含水ケイ酸ナトリウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム水酸化物五水和物、リン酸三マグネシウム八水和物、ホウ酸亜鉛、超吸収性ポリマー又は水ガラスのうちの少なくとも2種である、請求項1から3のいずれか一項に記載の複合熱管理シート。
【請求項5】
前記第1の充填剤がアルミニウム三水和物、含水ケイ酸ナトリウム、炭酸マグネシウム水酸化物五水和物、リン酸三マグネシウム八水和物、超吸収性ポリマー、水ガラス又はそれらの組み合わせを含む、請求項4に記載の複合熱管理シート。
【請求項6】
前記第2の充填剤が硝酸アンモニウム、ホウ砂、含水ケイ酸ナトリウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム水酸化物五水和物、リン酸三マグネシウム八水和物、ホウ酸亜鉛、超吸収性ポリマー又はそれらの組み合わせを含む、請求項4又は5に記載の複合熱管理シート。
【請求項7】
前記反応性充填剤組成物がアルミニウム三水和物及びホウ酸亜鉛を含む、請求項4に記載の複合熱管理シート。
【請求項8】
前記反応性充填剤組成物がホウ砂及び含水ケイ酸ナトリウムを含む、請求項4に記載の複合熱管理シート。
【請求項9】
前記反応性充填剤組成物がアルミニウム三水和物、ホウ酸亜鉛及び含水ケイ酸ナトリウムを含む、請求項4に記載の複合熱管理シート。
【請求項10】
前記反応性充填剤組成物がホウ砂及びホウ酸亜鉛を含む、請求項4に記載の複合熱管理シート。
【請求項11】
前記反応性充填剤組成物がホウ砂、ホウ酸亜鉛及びアルミニウム三水和物を含む、請求項4に記載の複合熱管理シート。
【請求項12】
前記反応性充填剤組成物が超吸収性ポリマー、水ガラス又はその両方を更に含む、請求項4から11のいずれか一項に記載の複合熱管理シート。
【請求項13】
前記反応性充填剤組成物が
アルミニウム三水和物、含水ケイ酸ナトリウム、炭酸マグネシウム水酸化物五水和物、リン酸三マグネシウム八水和物又はそれらの組み合わせ;及び
超吸収性ポリマー、好ましくはポリ(アクリル酸ナトリウム)を含む、請求項12に記載の複合熱管理シート。
【請求項14】
1~30ミリメートル、1~20ミリメートル、1~15ミリメートル、1~10ミリメートル、1~8ミリメートル、1.5~8ミリメートル、1.5~6ミリメートル、又は2.5~6ミリメートルの厚さを有する、請求項1から13のいずれか一項に記載の複合熱管理シート。
【請求項15】
5~65ポンド/立方フィート(80~1,041キログラム/立方メートル)、若しくは6~20ポンド/立方フィート(96~320キログラム/立方メートル)、若しくは8~15ポンド/立方フィート(128~240キログラム/立方メートル)の密度;
ASTM D3574-17に従ってそれぞれ25%のたわみで求めて0.2~125ポンド毎平方インチ(1~862キロパスカル)、若しくは0.25~20ポンド毎平方インチ(1.7~138キロパスカル)若しくは0.5~10ポンド毎平方インチ(3.4~68.90.5キロパスカル)の圧縮力たわみ;
ASTM D 3574-95試験Dに従って70℃で求めて0~15%、若しくは0~10%、若しくは0~5%の圧縮永久歪;又は
それらの組み合わせを有する、請求項1から14のいずれか一項に記載の複合熱管理シート。
【請求項16】
電気化学セル、好ましくはリチウムイオン電気化学セルの表面に配置された、請求項1から15のいずれか一項に記載の複合熱管理シートを含む、バッテリー用アセンブリ。
【請求項17】
前記電気化学セルがプリズムセル、パウチセル又は円筒状セルを含む、請求項16に記載のバッテリー用アセンブリ。
【請求項18】
前記アセンブリが少なくとも2つの電気化学セルを含む、請求項16又は17に記載のバッテリー用アセンブリ。
【請求項19】
請求項16から18のいずれか一項に記載のバッテリー用アセンブリ;及び
前記バッテリー用アセンブリを少なくとも部分的に包むハウジングを含む、バッテリー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年3月9日に出願された米国特許出願第63/158,675号の利益を主張し、これはその全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本出願は、バッテリーに使用するための、特にリチウムイオンバッテリーにおいて熱暴走を遅延させる又は防止するのに使用するための複合熱管理シートを対象とする。本出願は、更に複合熱管理シート、バッテリーコンポーネント及び複合熱管理シートを含むバッテリーの製作の方法を対象とする。
【0003】
リチウムイオンバッテリー等の電気化学エネルギー貯蔵装置に対する需要は、電気自動車及び送電網エネルギー貯蔵システム等の用途、並びに、電動バイク、無停電バッテリーシステム、及び鉛酸蓄電池の代替品等の他のマルチセルバッテリー用途の成長により絶えず増加している。それらの使用が増加することにより、熱管理の方法が所望される。送電網貯蔵及び電気自動車等の大規模方式の用途としては、直列及び並列アレイに接続した多数の電気化学セルがしばしば使用されるが、これは熱暴走を引き起こす恐れがある。セルが熱暴走モードになると、セルによって生成された熱が隣接セルの熱暴走伝播反応を誘発し得て、バッテリー全体を発火させ得るカスケード効果を引き起こす可能性がある。
【0004】
バッテリー中の熱暴走を低減する試みが検討されてきたが、その多くは欠点を有する。例えば、難燃性添加剤を添加すること、又は本質的に不燃性の電解質を使用することによって電解質を改質することが検討されてきたが、これらの手法は、バッテリーの電気化学的性能に悪影響を与える可能性がある。熱管理のため又はカスケード的熱暴走を防止するための他の手法は、セル間又はセル群間の絶縁材量を増やして、熱事象発生時の熱移動量を低減させることを含む。しかしながら、これらの手法は、達成可能なエネルギー密度の上限を制限する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
熱管理が改善され又は熱暴走のリスクが低減されたバッテリーに対する需要の増加に伴い、それに応じて、周囲のセルへの熱、エネルギー又はその両方の広がりを防止する又は遅延させるバッテリーに使用するための方法及びコンポーネントに対するニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
態様において、バッテリー用複合熱管理シートは、シリコーン発泡体層;及びシリコーン発泡体層内に配置された反応性充填剤組成物を含み、反応性充填剤組成物は、熱への初期曝露により分解して水を生成する第1の充填剤;及び第1の充填剤とは異なる第2の充填剤を含み、ここで、第2の充填剤は、第1の充填剤の分解生成物により熱障壁層を形成するか、水を吸収するか、又はその両方である。
【0007】
バッテリー用アセンブリは、電気化学セルの表面に配置された上記の複合熱管理シートを含む。
【0008】
上記のアセンブリを含むバッテリーもまた開示される。
【0009】
上記及び他の特徴は、以下の図、詳細な記載、実施例及び請求項によって例示される。
【0010】
下記は図面の簡単な説明であり、本明細書において開示される例示の実施形態を説明する目的で提示されるが、それを限定する目的ではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】複合熱管理シートの態様を示す模式的断面図である。
図2】2つのセル間に位置する複合熱管理シートの態様を示す模式図である。
図3】2つの電気化学セル間に位置する複合熱管理シートの態様を示す模式図である。
図4】セルアレイに位置する複合熱管理シートの態様を示す模式図である。
図5】複合熱管理シートを含むバッテリー用アセンブリの態様を示す模式図である。
図6】ホットプレート試験用設備の模式図である。
図7】ホットプレート試験用設備のホットプレートと最上層との間に位置する変形した障壁層を示す図である。
図8】ホウ砂及びホウ酸亜鉛を含む反応性充填剤組成物から形成されたホウケイ酸塩熱障壁層を示す写真である。
図9】比較例1及び実施例1~6のシミュレートした熱暴走試験の結果を示す温度(℃)対時間(分(min))のグラフである。
図10A】釘刺し試験の第1の設備の分解組立模式図である。
図10B図10Aに示された分解組立図ではない模式図である。
図11】比較例3及び実施例7の釘刺し試験の結果を示す温度(℃)対時間(min)のグラフである。
図12】異なる厚さの比較例2及び3並びに実施例7の釘刺し試験の結果を示すボルト(V)対時間(min)のグラフである。
図13】比較例3の放熱率(HRR)(ワット/グラム(W/g))対温度(℃)のグラフである。
図14】実施例7のHRR(W/g)対温度(℃)のグラフである。
図15】実施例8のHRR(W/g)対温度(℃)のグラフである。
図16A】釘刺し試験の第2の設備の分解組立模式図である。
図16B図16Aに示された分解組立図ではない模式図である。
図17】比較例3の釘刺し試験の結果を示す温度(℃)対時間(秒(s))のグラフである。
図18】実施例7の釘刺し試験の結果を示す温度(℃)対時間(s)のグラフである。
図19】釘刺し試験後の実施例7の写真である。
図20】実施例8の釘刺し試験の結果を示す温度(℃)対時間(s)のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
バッテリーにおける熱管理、例えば、バッテリー、殊に多数の電気化学セルを含むバッテリーにおいて熱暴走を防止することは難問であるが、それは、熱暴走を経験するセルに隣接したセルが、その設計された作動温度を超える原因となるのに十分なエネルギーをその事象から吸収することができ、隣接セルもまた熱暴走に突入する引き金を引くからである。熱暴走事象を開始するこの伝播によって、セルがカスケード的に一連の熱暴走に突入するという連鎖反応を引き起こし、セルが隣接セルを発火させる可能性がある。非常に薄いシート、例えば30ミリメートル(mm)以下、又は20mm以下、又は15mm以下、又は10mm以下、又は8mm以下、又は6mm以下の総厚さを有するシートにおいて効果的な熱管理性を達成することは特に困難であった。薄いシートは、物品サイズ及び質量を低減し、材料を節約するためにますます所望される。
【0013】
本発明者らは、シリコーン発泡体及び反応性充填剤組成物を含む複合熱管理シートをそのようなカスケード的熱暴走事象の強度を抑制する又は低減するのに使用することができることを見出した。反応性充填剤組成物は、熱源に曝露されると充填剤組成物がまず水を生成及び吸収するように配合され、隣接セルへの熱伝達を和らげることができる。態様において、水はトラップするか又は脱着することができ、水の再利用をもたらす。別の態様において、熱への曝露が続くと、可撓性シリコーン層及び反応性充填剤組成物は隣接セルへの熱伝達を更に和らげることのできる熱障壁層を形成することができる。
【0014】
予想外にも、反応性充填剤組成物を使用することが、非常に薄い、すなわち30mm以下、又は20mm以下、又は15mm以下、又は10mm以下、又は8mm以下、又は6mm以下の良好な断熱性を有する複合熱管理シートの製作に殊に有用であることが分かった。複合熱管理シートは、追加の有利な性質、例えば良好な穴あけ耐性を有することができる。複合熱管理シートは多数の加熱及び冷却サイクルにかけられ、なお、良好な断熱性を提供することができる。複合熱管理シートは、電気化学セル及びバッテリーに圧力管理を更に提供することができる。複合熱管理シートは、熱暴走を防止するためにバッテリーにおいて様々な部位に使用することができる。複合熱管理シートは、更にバッテリーの耐炎性を改善することができる。
【0015】
上記のように、複合熱管理シートは、可撓性多孔層、及び特定の性質を有する少なくとも2種の充填剤を含む。複合熱管理シート10が、第1の外側表面14及び反対の第2の外側表面16を有する可撓性シリコーン発泡体層12を含む態様を図1に示す。平坦なものとして示されているが、外側表面の1つ若しくは両方又はすべての輪郭は、電気化学セルの表面とぴったり合わせることができる。
【0016】
可撓性シリコーン発泡体層12は、複数の開口部、すなわち細孔18を更に含む。細孔は、可撓性発泡体材料の内部表面20によって画定される。細孔は相互連結するか又は離散的であってもよい。相互連結細孔と離散的細孔の組み合わせが存在することができる。細孔は、全体としてシート内に含むことができ、又は、細孔の少なくとも一部はシートの表面に開くことができ、周辺環境との連絡を可能にし得る。態様において、細孔の少なくとも一部は相互連結し、細孔の少なくとも一部は開き、第1の外側表面14から反対の第2の外側表面16への、空気、水、水蒸気等の通過を可能にし、これは、本明細書において「連続気泡型発泡体」と称される。別の態様において、発泡体は「独立気泡型発泡体」であってよく、ここで、細孔は相互連結してもしなくてもよく、実質的にシートの表面に開いていないか、又は完全に閉じており、それによりシートは1つの外側表面から他の外側表面に空気、水、水蒸気等を実質的に通過させない。態様において、発泡体は実質的に独立気泡型発泡体であるか、又は完全に独立気泡型発泡体である。
【0017】
更に図1を参照して、充填剤組成物は、可撓性シリコーン発泡体層12内に分布した2種以上の異なる充填剤22、24を含む。充填剤は、基本的に一様に、又は傾斜して、例えば第1の外側表面14から第2の外側表面16の方向に増加して分布することができる。本明細書において使用される場合、語句「内に配置された」は、反応性充填剤組成物が図1に示すようにシリコーン発泡体層のマトリックス内に分布することを意味することができる。更に、本明細書において使用される場合、語句「内に配置された」は、反応性充填剤組成物がシリコーン発泡体層の細孔18内に位置できること、例えば可撓性発泡体材料の内部表面20をコーティングするか、又は微粒子形態で細孔内に位置することを意味することができる。シリコーン発泡体層中の細孔の数の一部が反応性充填剤組成物を含むことができ、又は細孔の基本的にすべて若しくはすべてが反応性充填剤組成物を含むことができる。反応性充填剤組成物を含む各細孔は、独立して、部分的に充填されていても、基本的に完全に充填されていても、完全に充填されていてもよい。
【0018】
シリコーン発泡体は、リチウムイオンバッテリー等のバッテリーの通常の作動条件に対して不活性であり、反応性充填剤組成物の担体としての役割を果たし、以下に詳細に記載されるような熱障壁層の形成のためのケイ素源を提供するように選択される。様々なシリコーン発泡体が当該分野で知られており、使用され得る。態様において、シリコーン発泡体はポリ(ジアルキルシロキサン)、例えばポリ(ジメチルシロキサン)を含む。
【0019】
反応性充填剤組成物は、特定の性質を有する少なくとも2種の異なる充填剤を含む。以下の議論から理解されるように、充填剤組成物に関連して使用される場合、用語「反応性」は、化学反応、例えば存在する化学結合の破壊又は新たな化学結合の形成と、水素結合の破壊及び形成等の物理過程との両方を含む。反応性充填剤組成物における少なくとも2種の充填剤のそれぞれのタイプ及び量は、熱への曝露により水を生成するようにまず選択される。本明細書において使用される場合、「水を生成する」は、例えば水和物からの水の放出、又は例えば化学反応過程による水の形成について言うことができる。更に、生成された水は、液体又は水蒸気の形態であることができる。本明細書において使用される場合、「水」はしたがって、液体水、水蒸気又はそれらの組み合わせを含む。本明細書において使用される場合、「熱」は、バッテリーの通常の作動温度を上回る熱を意味し、火炎又は火炎との接触により生成された熱を含む。そのような温度は、100℃以上、又は200℃以上、又は300℃以上、又は500℃以上であることができる。理論によって束縛されることはないが、反応性充填剤組成物からの水の生成により、熱を吸収し、熱を再分配し又は水を蒸発させることによって熱障壁性を提供することができると考えられる。
【0020】
少なくとも2種の充填剤のそれぞれのタイプ及び量は、熱への曝露、水の吸収、又はその両方によりその場所で熱障壁層を形成するように更に選択することができる。本明細書において使用される場合、「熱障壁層」は、複合熱管理シートとは物理的に異なるか、化学的に異なるか、又は物理的及び化学的の両方において異なり、熱、火炎、又はその両方に対する伝導性又は対流性の熱障壁を提供することのできる層である。「熱障壁層」は、その用語が当該分野で使用され得るチャー層、又は水膨潤ポリマーを含める。本発明者らは、熱障壁層のその場所での形成がなければ、セル壁を含む可撓性多孔層を通る熱風及び水蒸気の運搬が隣接セルへの迅速な熱伝達を生み出し得ることを見出した。理論によって束縛されることはないが、熱障壁層のその場所での形成により、複合熱管理シートの機能しないセル側で生成された熱風及び水は、機能しないセル表面に束縛されるか、又は複合熱管理シート内部にあるか、又はその両方であると考えられる。このことにより、熱障壁層の圧力発生、及び隣接セルへの対流熱伝達、伝導性熱伝達、又はその両方を防止することによって隣接セルを保護することができる。
【0021】
少なくとも2種の充填剤は、好ましくは微粒子形態であり、その製作の間のシリコーン発泡体への容易な組み込みを可能にする。上記のように、微粒子形態の反応性充填剤組成物は、シリコーン発泡体層のシリコーンマトリックス内、シリコーン発泡体層の細孔内、又はその両方に位置することができる。シリコーン発泡体層中の細孔の数の一部が微粒子反応性充填剤組成物を含むことができ、又は細孔の基本的にすべて若しくはすべてが微粒子反応性充填剤組成物を含むことができる。微粒子反応性充填剤組成物を含む各細孔は、独立して、部分的に充填されていても、基本的に完全に充填されていても、完全に充填されていてもよい。反応性充填剤組成物の粒子が細孔の直径に比較して大きいか、又は細孔が複数のより小さな粒子で基本的に若しくは完全に充填される態様においては、細孔内の粒子の動きが限定され得る。この態様において、微粒子反応性充填剤組成物は層の製作中に細孔中に位置することができ(例えば、シリコーン発泡体層を形成するのに使用される組成物に微粒子反応性充填剤組成物を含むことによって)、又は、微粒子反応性充填剤組成物は、適切な液体担体、真空又は他の公知の方法を使用して、シリコーン発泡体層の製作の後に細孔へ含浸させることができる。
【0022】
異なるタイプ、形態又は配置を含む異なる反応性充填剤組成物の組み合わせを使用することができる。例えば、シリコーン発泡体層の細孔内の微粒子形態の反応性充填剤組成物を、シリコーン発泡体層内に分布した微粒子反応性充填剤組成物と組み合わせて使用することができる。
【0023】
反応性粒子又は粒子は、不規則的又は規則的、例えばほぼ球状、球状又は板状の任意の形状であってもよい。重要な特徴において、大半の、基本的にすべての、又はすべての粒子は、層に平滑な表面を与えるためにそれらが位置する層又は細孔の厚さ未満の最大寸法を有する。したがって、使用される特定の直径は、粒子の位置に依存する。二、三、又はより高次の分布モードの粒子を使用することができる。例えば、充填剤粒子がシリコーン発泡体層のマトリックス内、及びシリコーン発泡体層の細孔内に存在する場合、二峰性分布の粒子が存在することができる。
【0024】
少なくとも2種の充填剤は互いに異なり、アルミニウム三水和物、硝酸アンモニウム、ホウ砂、含水ケイ酸ナトリウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム水酸化物五水和物、リン酸三マグネシウム八水和物、ホウ酸亜鉛、超吸収性ポリマー又は水ガラスのうちの少なくとも2種である。
【0025】
熱への曝露により水を生成できる充填剤は、アルミニウム三水和物(アルミニウムトリヒドロキシド又はATHとしても知られる)、ホウ砂(四ホウ酸ナトリウム五水和物)、含水ケイ酸ナトリウム、炭酸マグネシウム水酸化物五水和物、リン酸三マグネシウム八水和物等の様々な水和無機充填剤;超吸収性ポリマー;及び水ガラスを含む。上記の組み合わせを使用することができる。水和無機充填剤及び水ガラスは異なる化学式で表すことができ、上記は様々な式を含めることが理解される。通常の作動温度での相変化を防止するため、より低い温度(例えば、100℃未満、又は200℃未満)で水を放出する相変化材料として使用されることが知られている特定の水和無機充填剤は使用されない。
【0026】
熱障壁層の形成に関与することができるか、水を吸収することができるか、又はその両方である充填剤は、様々なナトリウム、ケイ素及びホウ素を含有する無機充填剤を含む。単一の充填剤が、水の生成及び熱障壁層の形成への関与の両方を行うことができる。このタイプの例示の充填剤は、ATH、硝酸アンモニウム、ホウ砂、含水ケイ酸ナトリウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム水酸化物五水和物、リン酸三マグネシウム八水和物、ホウ酸亜鉛、超吸収性ポリマー又はそれらの組み合わせを含むことができる。
【0027】
第1の態様において、反応性充填剤組成物はATH及びホウ酸亜鉛を含む。この組み合わせは、熱源への曝露により水を生成する。水は、シリコーン発泡体を膨張させて反対圧力を与えることができる。理論によって束縛されることはないが、水の生成が熱を吸収して熱暴走を防止することができる。液体水の水蒸気への変換により、更に熱を吸収することができる。ATH及びホウ酸亜鉛の熱容量が、熱吸収に更に貢献することができる。熱源への曝露により多孔性熱障壁層を形成することができる。
【0028】
第2の態様において、第1の充填剤及び第2の充填剤は、熱への曝露により水の生成及びその場所でのホウケイ酸ガラス熱層の生成の両方を行うように選択される。この態様において、第1の充填剤及び第2の充填剤は、ホウ砂及び含水ケイ酸ナトリウムの組み合わせを含むことができる。ホウ砂及び含水ケイ酸ナトリウムは水を生成することができ、ナトリウム及びホウ素を供給してホウケイ酸ガラスを形成することができる。可撓性シリコーン層の分解がケイ素を提供してホウケイ酸ガラスを形成することができる。また、この態様において、ATH、ホウ酸亜鉛及び含水ケイ酸ナトリウムの組み合わせを使用することができる。理論によって束縛されることはないが、熱源への曝露の間、複合熱管理シートはシリコーン及びホウ砂の熱容量;水生成及びホウ砂からの任意の蒸発の熱;並びにホウケイ酸ガラスの吸熱形成のために、熱を吸収すると考えられる。熱源への曝露により熱障壁層が形成及び膨張することができる。
【0029】
有利には、反応性充填剤組成物においてホウ砂及びホウ酸亜鉛の組み合わせを使用することができる。驚くべきことに、ホウ砂及びホウ酸亜鉛が使用される場合、ホウケイ酸ガラス熱障壁層は膨張及び変形の両方が行われて可撓性であるが硬い層を形成することが分かった。変形は、隣接する膨張するバッテリーセルに対する垂直抗力としての役割を果たすことができ、熱暴走に入った膨張するセルにより引き起こされる損傷を低減又は抑制することができる。理論によって束縛されることはないが、膨張の圧力による垂直抗力の発生及びチャー層の形状が対流熱伝達及び伝導性熱伝達を更に防止することができると考えられる。
【0030】
これらの態様において、反応性充填剤組成物の成分及び濃度は、段階的な水の放出を提供するように選択することができ、それにより連続的な熱の軽減を提供する。例えば、ホウ砂及びホウ酸亜鉛の組み合わせを含む充填剤組成物のホットプレート試験の間、ホットプレートからの熱は可撓性発泡体に拡散し、まず140℃でホウ砂から、次いで340℃でホウ酸亜鉛から水蒸気を生成することが分かった。やはり理論によって束縛されることはないが、ホウ砂からの水の初期放出が熱障壁層の生成を開始及び維持し、最終的なホウケイ酸ガラス熱障壁層の厚さ及びそれによる発揮される圧力に影響を及ぼすと考えられる。この過程はまた、シリコーン、ホウ酸亜鉛及びホウ砂の熱容量;水生成及びホウ酸亜鉛とホウ砂との両方からの任意の蒸発の熱;並びにホウケイ酸ガラスの吸熱形成のために、熱を吸収する。更に、複合層の変形は熱伝達に対する耐性を提供する。
【0031】
段階的な水の放出の別の例において、ホウ砂及びアルミニウム三水和物を含む反応性充填剤組成物は、まず140℃でホウ砂から、次いで220℃でATHの分解物から水蒸気を生成することができる。
【0032】
段階的な水の放出を提供することのできる別の反応性充填剤組成物は、ホウ砂、ATH及びホウ酸亜鉛を含むことができる。この組み合わせは、140℃でホウ砂から、220℃でATHから、340℃でホウ酸亜鉛から水を生成する3段階の水生成システムを提供することができる。
【0033】
第3の態様において、反応性充填剤組成物は、トラップ又は放出(再利用)することのできる水を吸収するように更に配合される。この態様において、水の吸収は、対流熱運搬を遅延、低減又は防止するための追加のメカニズムを提供する。水の吸収は、複合熱伝導層の膨張に更に貢献することができ、追加の圧力軽減を提供する。この態様において、反応性充填剤組成物は、熱への曝露により水を生成する充填剤及び生成した水を吸収することのできる充填剤を含む。水は永久に吸収(すなわちトラップ)することができるか、又は放出可能に吸収(脱着)することができ、水の再利用を可能にする。
【0034】
この態様において、水を生成する充填剤は、ホウ砂、ATH、水酸化マグネシウム五水和物(MDH)又はそれらの組み合わせを含むことができる。
【0035】
生成した水を吸収することのできる充填剤は、超吸収性ポリマー(SAP)を含む。いくつかの条件下でSAPは水を吸収及びトラップし、ここで、トラップされた水はSAPの分解によってのみ放出される。他の条件下でSAPはSAPの分解なしで水を吸収及び放出することができる。アクリロニトリルホモポリマー又はコポリマーがグラフトしたデンプンの加水分解生成物、例えば加水分解デンプン-ポリアクリロニトリル);アクリル酸、アクリルアミド、ポリビニルアルコール(PVA)又はそれらの組み合わせがグラフトしたデンプン、例えばデンプン-g-ポリ(2-プロペンアミド-co-2-プロペン酸ナトリウム塩);加水分解デンプン-ポリアクリロニトリルエチレン-無水マレイン酸コポリマー;架橋カルボキシメチルセルロース;アクリレートホモポリマー及びそのコポリマー、例えばポリ(アクリル酸ナトリウム)及びポリ(アクリレート-co-アクリルアミド)、特にポリ(アクリル酸ナトリウム-co-アクリルアミド);加水分解アクリロニトリルホモポリマー;2-プロペン酸のホモポリマー及びコポリマー、例えばポリ(2-プロペン酸ナトリウム塩)及びポリ(2-プロペンアミド-co-2-プロペン酸ナトリウム塩)又はポリ(2-プロペンアミド-co-2-プロペン酸カリウム塩);架橋改質ポリアクリルアミド;ポリビニルアルコールコポリマー、架橋ポリエチレンオキサイド;等の超吸収性ポリマーが当該分野で知られている。2種以上の異なるSAPの組み合わせを使用することができる。
【0036】
SAPは、好ましくは、ポリ(アクリレート)塩等の電解質、例えばポリ(アクリル酸ナトリウム)である。SAPは15:1~1000:1の膨潤比を有することができる。より高い比が好ましい。水を吸収する際、SAPは水をトラップして膨張する。膨張は、隣接する膨張するバッテリーセルに対する垂直抗力としての役割を果たすことができ、熱暴走に入った膨張するセルにより引き起こされる損傷を低減又は抑制することができる。
【0037】
SAPは、場合によって、水中で水により(噴霧、浸漬又は他の方法により)水和することができる。例えば、SAPはシリコーン発泡体に組み込まれる前に水和することができ、又はSAPを有する複合熱管理層は室温で24時間水に漬けることができる。
【0038】
理論によって束縛されることはないが、この態様において、上記のように(場合によって様々な温度で)温度が上昇するにつれて水が充填剤からまず生成されると考えられる。水はSAPにより吸収される。態様において、SAPにより吸収された水はトラップされ、放出されない。別の態様において、SAPにより吸収された水は熱を吸収し、次いで放出され、電気化学セルを含むシステムに存在するか、又は複合熱管理シートの別の位置で他の脱水SAPにより吸収される。最終的に、連続した可撓性の熱障壁層としてホウケイ酸ガラスを形成することができる。
【0039】
水を吸収するのに使用することのできる別の充填剤は、水ガラスである。当該分野で知られているように、水ガラスは水溶性であり、酸化ナトリウム(NaO)及び二酸化ケイ素(シリカ、SiO)を含む。いくつかの条件下で水ガラスは水を吸収してそれをトラップするか、又は水を吸収してそれを放出することができる。
【0040】
更に別の態様において、反応性充填剤組成物は、可撓性シリコーン層の分解なしにその場所で水ガラスを生成するように配合することができる。この態様において、充填剤はホウ砂及び含水ケイ酸ナトリウムを含むことができる。アルミニウム三水和物、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム水酸化物五水和物若しくは硝酸アンモニウム等、又はそれらの組み合わせ等の他の成分が存在することができる。理論によって束縛されることはないが、熱はシリコーン発泡体に拡散され、使用される水生成充填剤の組み合わせに依存して様々な温度で水を生成すると考えられる。水生成充填剤の分解に由来する残留イオンは、ルイス酸又はルイス塩基を形成し、含水ケイ酸ナトリウムと反応して水ガラスを形成することができる。水は放出して再利用することができる。代替として、加熱のため水が蒸発することから、水ガラス溶液は凝固して、シリコーン発泡体の内側又は外側の熱伝達障壁層としての役割を果たすことのできるガラス状固形物を提供することができる。
【0041】
複合熱管理シートは、当該分野で知られている方法によりシリコーン発泡体形成組成物から製作することができる。反応性充填剤組成物は、反応性充填剤組成物が発泡及び硬化される前にシリコーン発泡体形成組成物に組み込むことができる。例えば、末端不飽和、例えばビニル基を有するポリシロキサン及び末端ヒドリド基を有するポリシロキサンを含むシリコーン発泡体形成組成物の発泡反応及び硬化により、適切なシリコーン発泡体を製造することができる。シリコーン発泡体の形成のためのポリシロキサンは、25℃で100~1,000,000ポアズの粘度を有することができる。シリコーン発泡体の形成のためのポリシロキサンは、ヒドリド、メチル、エチル、プロピル、ビニル、フェニル及びトリフルオロプロピル等の鎖置換基、並びに末端ヒドリド及びビニル基に加えてヒドロキシル、アルコキシ、アシルオキシ、アリル、オキシム、アミノキシ、イソプロペンオキシ、エポキシ、メルカプト基又は他の公知の反応性末端基を有することができる。また、所望の発泡体を生成するために、異なる官能性又は反応性基を含む数種のポリシロキサンベースポリマーを有することも可能である。シリコーン発泡体はまた、組み合わせた粘度が反応性充填剤組成物の即時の組み込み及び即時の製作を可能にする限り、異なる分子量(例えば二峰性又は三峰性の分子量分布)を有する数種のポリシロキサンの使用により製造することができる。
【0042】
シリコーン発泡体形成組成物は、触媒、例えば貴金属、好ましくは白金を含む触媒を更に含むことができる。触媒は、シリカゲル、アルミナ又はカーボンブラック等の不活性担体上に堆積することができる。様々な白金触媒阻害剤がまた、シリコーン発泡体の多孔性及び密度を制御するため発泡反応及び硬化反応の反応速度論を制御するために存在することができる。そのような阻害剤の例は、ポリメチルビニルシロキサン環状化合物及びアセチレンアルコールを含む。これらの阻害剤は、発泡体を破壊するような方法で発泡及び硬化を妨げるべきではない。化学的発泡剤が存在することができる。
【0043】
シリコーン発泡体の製造において、シリコーン発泡体形成組成物の反応性成分は二液型で配合することができ、1つのパート(「パートA」)は末端不飽和を有するポリシロキサン及び反応性充填剤組成物、並びに使用される場合は触媒、阻害剤及び化学的発泡剤を含み;他のパート(「パートB」)はヒドリド基を有するポリシロキサンを含む。パートを測定して混合し、例えば金型又は連続したコーティングラインに流延することができる。次いで、金型中又は連続したコーティングライン上のいずれかで発泡及び硬化が起こる。別の製造方法において、シリコーン発泡体形成組成物の反応性成分は、反応性充填剤組成物及び化学的発泡剤、物理的発泡剤又は使用される場合は他の添加剤と一緒に押出し機に投入することができる。次いで、触媒を測定して押出し機に投入し、発泡反応及び硬化反応を開始させることができる。水等の化学的発泡剤と併用した液体二酸化炭素又は超臨界二酸化炭素等の物理的発泡剤の使用は、はるかに低い密度を有する発泡体を生じさせることができる。
【0044】
場合によって、複合熱管理シートは、水中に24時間等の期間、複合熱管理シートへ水を吸い込むように浸漬することができる。液体水の大きい熱容量は、複合熱管理シートの一方の表面から複合熱管理シートの他方の表面への伝熱を著しく遅延させることに寄与することができる。
【0045】
上記のように、反応性充填剤組成物における各充填剤の量は、所望の程度の水生成及び熱障壁形成を提供するように調整される。シリコーン発泡体形成組成物のパートAは、パートAの総質量に対して10~80質量パーセント(wt%)、又は20~70wt%、又は30~60wt%の反応性充填剤組成物を含むことができ、パートAの組成の残りはパートAの他の成分である。
【0046】
反応性充填剤組成物がATH及びホウ酸亜鉛を含む場合、パートAは、それぞれパートAの総質量に対して5~40wt%、又は10~40wt%、又は20~40wt%のATH及び5~40wt%、又は10~40wt%、又は20~40wt%のホウ酸亜鉛を含むことができ、パートAの組成の残りはパートAの他の成分である。
【0047】
反応性充填剤組成物がホウ砂及び含水ケイ酸ナトリウムを含む場合、パートAは、それぞれパートAの総質量に対して5~50wt%、又は10~40wt%、又は20~40wt%のホウ砂及び5~30wt%、又は10~30wt%の含水ケイ酸ナトリウムを含むことができ、パートAの組成の残りはパートAの他の成分である。
【0048】
反応性充填剤組成物がATH、含水ケイ酸ナトリウム及びホウ酸亜鉛を含む場合、パートAは、それぞれパートAの総質量に対して5~30wt%、又は10~20wt%のATH、5~30wt%、又は10~30wt%の含水ケイ酸ナトリウム及び5~40wt%、又は10~30wt%、又は10~30wt%、又は20~30wt%のホウ酸亜鉛を含むことができ、パートAの組成の残りはパートAの他の成分である。
【0049】
反応性充填剤組成物がホウ砂及びホウ酸亜鉛を含む場合、それぞれパートAの総質量に対してホウ砂は5~45wt%、又は10~40wt%、好ましくは15~35wt%、最も好ましくは20~30wt%の量で存在することができ、ホウ酸亜鉛は5~40wt%、又は10~40wt%、好ましくは15~35wt%、最も好ましくは20~30wt%の量で存在することができ、パートAの組成の残りはパートAの他の成分である。
【0050】
SAPが反応性充填剤組成物に存在する場合、パートAは、それぞれパートAの総質量に対して1~60wt%、又は5~35wt%、又は10~35wt.%の量のSAPを含むことができ、パートAの組成の残りは1種以上の異なる充填剤及びパートAの他の成分である。
【0051】
複合熱管理シートは、当該分野で知られている他の添加剤、例えば加工助剤、抗酸化剤、オゾン劣化防止剤、紫外線(UV)安定剤又は熱安定剤、染料、顔料、難燃剤(例えば有機リン含有化合物)、難燃相乗剤(例えば酸化アンチモン)又はそれらの組み合わせを含むことができる。断熱充填剤が断熱性、熱吸収性又は熱たわみ性を向上させるために存在することができる。例示の断熱充填剤は、シリカ、タルク、炭酸カルシウム、粘土、雲母、バーミキュライト等のセラミック、又はそれらの組み合わせを含む。別の態様において、窒化ホウ素、窒化アルミニウム等又はそれらの組み合わせ等の熱伝導性充填剤が、熱伝導性を向上させるために存在することができる。強化用微粒子充填剤が存在することができる。強化用微粒子材料の例示は、リグニン、カーボンブラック、タルク、雲母、シリカ、石英、金属酸化物、ガラス微小球体(例えばセノスフィア、ガラス微小球体、例えばホウケイ酸塩微小球体又はそれらの組み合わせ)、多面体オリゴマーシルセスキオキサン、置換多面体オリゴマーシルセスキオキサン又はそれらの組み合わせを含む。これらの添加剤は強化用充填剤組成物と同時に添加することができる。
【0052】
シリコーン発泡体形成組成物は、強化用繊維の存在下で発泡及び硬化して繊維強化材を提供することができる。強化用繊維は、ポリエステル、酸化ポリアクリロニトリル、炭素、シリカ、ポリアラミド、ポリカルボナート、ポリオレフィン、レーヨン、ナイロン、ガラス繊維(例えばEガラス、Sガラス、Dガラス、Lガラス、石英繊維又はそれらの組み合わせ)、高密度ポリオレフィン、セラミック、アクリル樹脂、フルオロポリマー、ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミド等、又はそれらの組み合わせを含むことができる。強化用繊維は、織布又は不織布のマット又はテープ等の任意の形態であることができる。マット又はテープは、例えば0.005~10mm、又は0.05~8mm、又は0.25~6mm、又は0.5~10mm、又は0.25~10mm、又は0.5~10mm、又は1~10、又は1mm~6mmの厚さを有することができる。強化用微粒子材料及び強化用繊維の組み合わせを使用することができる。
【0053】
複合熱管理シートは、0.5~30mm、又は0.5~20mm、又は0.5~15mm、又は0.5~10mm、又は0.5~8mm、又は1~6mm、又は1~5mm、又は1~4.5mm、又は1~4mm、又は1~3.5mm、又は1~3mm、又は1~2.5mmの厚さを有することができる。開示された複合熱管理シートは、難燃シートについての競合する技術と比較してより薄い厚さで同等の又は改善された耐熱性を提供することができる。いくつかの点において、例えば熱障壁層が形成される場合、複合熱管理層の厚さは、好ましくは1.5~30mm、又は1.5~20mm、又は1.5~15mm、又は1.5~10mm、又は1.5~8mm、又は1.5~6mm、又は1.5~5mm、又は1.5~4.5mm、又は1.5~4mm、又は1.5~3.5mm、又は1.5~3mm、又は1.5~2.5mmである。より厚い複合熱管理シートは、より大きな圧力発生、変形及びホウケイ酸ガラス生成、並びにそれによる改善された熱遅延を提供することができる。この態様において、複合熱管理層の厚さは、好ましくは1.5~30mm、又は1.5~20mm、又は1.5~15mm、又は1.5~10mm、又は1.5~8mm、又は1.5~6mm、又は2~30mm、又は2~20mm、又は2~15mm、又は2~10mm、又は2~8mm、又は2~6mm、又は3~0mm、又は3~8mm、又は3~6mmである。
【0054】
態様において、複合熱管理シートは、5~65ポンド/立方フィート(lb/ft)(1,041キログラム/立方メートル(kg/m))、又は5~55lb/ft(881kg/m)、又は10~25lb/ft(400kg/m)の密度を有することができる。態様において、発泡体は、5~30lb/ft(80~481kg/m)の密度を有する。複合熱管理シートは、発泡体の全体積に対して、5~99%、好ましくは30%と等しいか又はそれを超える空隙体積含有率を有することができる。
【0055】
複合熱管理シートは可撓性であり、バッテリーの寿命における圧縮たわみの多くのサイクルにわたってその弾性挙動、すなわち発泡体の圧縮力たわみ及び圧縮永久歪に反映される性質を維持することができる。良好な圧縮永久歪耐性を有する発泡体はクッション性を提供し、長期間の負荷がかかった場合にそれらの元々の形状又は厚さを維持する。態様において、複合熱管理シートは、ASTM D3574-17に従ってそれぞれ25%のたわみで求めて0.2~125ポンド毎平方インチ(psi)(1~862キロパスカル(kPa))、若しくは0.25~20psi(1.7~138kPa)若しくは0.5~10psi(3.4~68.90.5kPa)の圧縮力たわみを有する。複合熱管理シートは、ASTM D 3574-95試験Dに従って70℃で求めて0~15%、若しくは0~10%、若しくは0~5%の圧縮永久歪;又は5~65lb/ft(80~1,041kg/m)、若しくは6~20lb/ft(96~320kg/m)、若しくは8~15lb/ft(128~240kg/m)の密度を有することができる。
【0056】
態様において、複合熱管理シートは単層として使用される。しかしながら、多数の単層を積み重ねて単層として使用することができる。複合熱管理シートと組み合わせて他の層を使用することができ、例えば、難燃剤層、非多孔性エラストマー障壁層、接着剤層等又はそれらの組み合わせがある。しかしながら、複合熱管理シートの1つの利点は、単独で使用される単一のシートが1~30mm、又は1~20mm、又は1~15mm、又は1~10mm、又は1~8mm、又は1~6mmまで薄い厚さでも他の層なしで効果的であり得ることである。
【0057】
使用される場合、難燃剤層は、例えばベーマイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の難燃性無機材料、膨張性材料又はそれらの組み合わせを含むことができる。膨張性材料は、酸供給源、発泡剤及び炭素源を含むことができる。各成分は、別個の層中に、又は混合物、好ましくは緻密な混合物として存在することができる。例えば、膨張性材料は、酸供給源、発泡剤及び炭素源を含むことができる。例えば、温度が、例えば200~280℃の値に到達すると、酸性種(例えばポリホスファート酸の)は、炭素源(例えばペンタエリトリトール)と反応してチャーを形成することができる。温度が例えば280~350℃に上昇すると、次に発泡剤が分解してチャーを膨潤させるガス状の生成物を与えることができる。
【0058】
酸供給源は、例えば、有機又は無機リン化合物、有機又は無機硫酸塩(例えば硫酸アンモニウム)、又はそれらの組み合わせを含むことができる。有機又は無機リン化合物は、オルガノホスファート又はオルガノホスホナート(例えばトリス(2,3-ジブロモプロピル)ホスファート、トリス(2-クロロエチル)ホスファート、トリス(2,3-ジクロロプロピル)ホスファート、トリス(l-クロロ-3-ブロモイソプロピル)ホスファート、ビス(1-クロロ-3-ブロモイソプロピル)-1-クロロ-3-ブロモイソプロピルホスホナート、ポリアミノトリアジンホスファート、メラミンホスファート、リン酸トリフェニル又はグアニル尿素ホスファート);有機亜リン酸エステル(例えば亜リン酸トリメチル、又は亜リン酸トリフェニル);ホスファゼン(例えばヘキサフェノキシシクロトリホスファゼン);リン含有無機化合物(例えばリン酸、亜リン酸、ホスファイト、尿素ホスファート、リン酸アンモニウム(例えばリン酸一水素アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム又はポリリン酸アンモニウム));又はそれらの組み合わせを含むことができる。
【0059】
発泡剤は、120℃と等しいか又はそれを超える温度で、例えば120~200℃、又は130~200℃で分解する(例えばアンモニア又は二酸化炭素等のより小さな化合物へ)試剤を含むことができる。発泡剤は、ジシアンジアミド、アゾジカルボンアミド、メラミン、グアニジン、グリシン、尿素(例えば尿素ホルムアルデヒド樹脂又はメチロール化グアニル尿素ホスファート)、ハロゲン化有機材料(例えば塩素化パラフィン)、又はそれらの組み合わせを含むことができる。
【0060】
膨張性材料は、炭素源を含むことができる。シリコーン発泡体層は炭素源として機能することができる。炭素源は、デキストリン(フェノール-ホルムアルデヒド樹脂)、ペンタエリトリトール(例えばそれらのダイマー又はトリマー)、粘土、ポリマー(例えばポリアミド6、アミノ-ポリ(イミダゾリン-アミド)又はポリウレタン)、又はそれらの組み合わせを含むことができる。アミノ-ポリ(イミダゾリン-アミド)は、アミド連結基とイミダゾリン基の繰り返しを含むことができる。
【0061】
膨張性材料は、場合によって、結合剤を更に含むことができる。結合剤は、エポキシ、ポリスルフィド、ポリシロキサン、ポリシラーリレン又はそれらの組み合わせを含むことができる。結合剤は、膨張性材料の総質量に対して50wt%と等しいか若しくはそれ未満、又は5~50wt%、又は35~45wt%の量で膨張性材料中に存在することができる。結合剤は、膨張性材料の総質量に対して5~95wt%又は40~60wt%の量で膨張性材料中に存在することができる。
【0062】
膨張性材料は、膨張性材料の難燃性を更に改善するために、場合によって相乗的な化合物を含むことができる。相乗的な化合物は、ホウ素化合物(例えばホウ酸亜鉛、リン酸ホウ素又は酸化ホウ素)、ケイ素化合物、アルミノケイ酸塩、金属酸化物(例えば酸化マグネシウム、酸化鉄又は酸化アルミニウム水和物(ベーマイト))、金属塩(例えば有機スルホン酸のアルカリ金属塩若しくはアルカリ土類金属塩又は炭酸アルカリ土類金属塩)、又はそれらの組み合わせを含むことができる。好ましい相乗的な組み合わせは、前述のものの少なくとも1つを含むリン含有化合物を含む。
【0063】
難燃剤層は、チャー形成剤、好ましくはリグニン、ベーマイト、粘土ナノ複合材、膨張可能なグラファイト、ペンタエリトリトール、セルロース、ナノシリカ、ポリリン酸アンモニウム、リグノスルホナート、メラミン、シアヌラート、ホウ酸亜鉛、ハント石、水苦土石又はそれらの組み合わせを更に含むことができる。理論によって束縛されることはないが、膨張性材料と同じように、チャー形成剤は、チャーを形成し、次にチャーを膨潤させることを含む、2つのエネルギー吸収メカニズムを使用して、火炎の広がりを低減することができると考えられる。
【0064】
難燃剤層は、ポリマー結合剤、例えば、シリコーン、ポリウレタン、エチレン-酢酸ビニル、エチレン-アクリル酸メチル、エチレン-アクリル酸ブチル又はそれらの組み合わせを更に含むことができる。難燃剤層は、0.1~2mm、0.5~1.5mm、又は0.8~1.1mmの厚さを有することができる。
【0065】
使用される場合、非多孔性エラストマー障壁層は、25℃及び1気圧でそれぞれ測定して、20g-mm/m・日未満、又は10g-mm/m・日未満、又は5g-mm/m・日未満の水の透過係数;又はASTM 412に従って21℃で測定して0.5~15メガパスカルの100%伸びでの引張応力;又はそれらの組み合わせを有するエラストマーを含む。非多孔性エラストマー障壁層は、0.25~1mm又は0.4~0.8mmの厚さを有することができる。
【0066】
非多孔性エラストマー障壁層は、水又は水蒸気透過を防止するために疎水性であるエラストマー材料を含むことができる。例えば、エラストマー障壁層は、それが好ましい疎水性(水又は水蒸気透過の欠如)を有することを条件として、熱可塑性エラストマー(TPE)を含むことができる。TPEのクラスは、スチレンブロックコポリマー(TPS又はTPE-s)、(TPO又はTPE-o)、熱可塑性加硫物(TPV又はTPE-v)、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性コポリエステル(TPC又はTPE-E)、熱可塑性ポリアミド(TPA又はTPE-A)他を含む。
【0067】
使用することのできるエラストマー材料の特定の例としては、アクリルゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、コポリエステル、エピクロロヒドリンゴム、エチレン-アクリルゴム、エチレン-ブチルアクリルゴム、エチレン-プロピレンゴム等のエチレン-ジエンゴム(EPR)、エチレン-プロピレン-ジエンモノマーゴム(EPDM)、エチレン-酢酸ビニル、フッ素ゴム、パーフルオロエラストマー、ポリアミド、ポリブタジエン、ポリクロロプレン、ポリオレフィンゴム、ポリイソプレン、ポリスルフィドゴム、天然ゴム、ニトリルゴム、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)、シリコーンゴム、フッ素化シリコーンゴム、スチレン-ブタジエン、スチレン-イソプレン、ビニルゴム又はそれらの組み合わせを含む。態様において、非多孔性エラストマー障壁層は、エチレン-プロピレン-ジエンモノマーゴム、ポリクロロプレン又はそれらの組み合わせを含む。
【0068】
接着剤層は、複合熱管理シートを別の複合熱管理シート、別のタイプの層又はセルアレイ若しくはバッテリーのコンポーネントに接着させるために存在することができる。当業界で公知の種々様々の接着剤を、複合熱管理シートに使用することができる。接着剤は、バッテリーの適用の容易さ及び作動条件下での安定性のために選択することができる。各接着剤層は、同じであっても異なっていてもよく、同じ厚さであっても異なった厚さであってもよい。適切な接着剤は、フェノール樹脂、エポキシ接着剤、ポリエステル接着剤、ポリフッ化ビニル接着剤、アクリル若しくはメタクリル接着剤、又はシリコーン接着剤、好ましくはアクリル接着剤若しくはシリコーン接着剤を含む。態様において、接着剤はシリコーン接着剤である。溶媒流延される、ホットメルトの二液型接着剤を使用することができる。接着剤層のそれぞれは、独立して0.00025~0.010インチ(0.006~0.25mm)、又は0.0005~0.003インチ(0.01~0.08mm)の厚さを有することができる。
【0069】
複合熱管理シートが接着剤層を含む場合、複合熱管理シートは離型層を更に含むことができる。「離型層」は、場合によって離型ライナーを含む1つ又は複数の追加の層に担持された離型コーティングを含む任意の単一層又は複合層を意味する。離型層のそれぞれの厚さは、5~150マイクロメートル(μm)、10~125μm、20~100μm、40~85μm又は50~75μmであってもよい。
【0070】
複合熱管理シートは、電気化学セルに配置されてバッテリー用セルアセンブリを提供する。セルはリチウムイオン電池、特にプリズムセル、円筒状セル又はパウチセルであってもよい。図2は、セルアセンブリ1002における複合熱管理シートの位置の態様を図示し、図3は、セルアセンブリ1003における複合熱管理シートの位置の別の態様を図示する。図2及び図3は、複合熱管理シート10が第1のセル103と第2のセル104との間に位置できることを図示する。図2は、複合熱管理シート10がセル103及び104の高さ及び幅とほぼ同じサイズであり得ることを図示する。図3は、複合熱管理シート10がそれぞれのセル103及び104より小さくなり得ることを図示する。また、図3に示すように、複合熱管理シート10が電気化学セル103及び104の端を過ぎて伸びることも可能である。電気化学セルの端を過ぎて伸びる複合熱管理シートは、セルの別の表面の少なくとも別の部分又はすべてを包み込むか又は覆うことができる。
【0071】
図4は、マルチセルアセンブリ1004が2つのセル103及び104より多くを含むことができ、複合熱管理シート10がそれぞれのセル103及び104の間に位置することを図示する。セルはリチウムイオン電池、特にパウチセルであってもよい。図4は、バッテリー用アセンブリ1004が2つのセル(例えば103及び104)より多くを含むことができ、複合熱管理シート10がそれぞれのセル103及び104並びにそれぞれの他のセルの間に位置することを図示する。態様において、2~10の複合熱管理シートがバッテリー用アセンブリ1004の製作の間にセル上又はセルアレイ中に位置することができる。例えば、2~10の複合熱管理シートが内部に、例えば電極に面して、又は外部に、バッテリーの外側に面して位置することができる。2~10の耐火性複合熱管理シートがセル若しくはパウチセルのパウチ又はその両方に位置するか又は接着することができる。当然ながら、セル及びセルアレイの数に依存して、10より多くの1以上の複合熱管理シートが存在することができる。図4は、バッテリーの外側に面するようにバッテリー用アセンブリ1004の外側に配置された複合熱管理シート10aを更に図示する。
【0072】
態様において、複合熱管理シートの露出した外縁の少なくとも一部は、複合熱管理シートの本体から熱を引き離す材料88を含むことができる。複合熱管理シートの露出した端に適用する例示の材料は、窒化ホウ素又は窒化アルミニウム等のセラミック、アルミニウム等の金属、高熱容量ワックス、相変化材料等、又はそれらの組み合わせを含む。
【0073】
セルアセンブリはバッテリーにおいて使用される。バッテリーは、1つ以上の電気化学セル又はセルアレイを少なくとも部分的に包むハウジングを含む。ハウジングは、任意のタイプ、例えばポリマー又はパウチセルのパウチであることができる。複合熱管理シートは、バッテリーの任意の構造においてセル又はセルアレイに配置又は直接配置することができる。複合熱管理シートは、バッテリーの個々のセル又はセルアレイの間に配置することができる。複合熱管理シートは、バッテリー、その一部又はバッテリーのセル若しくはセルアレイの選択された一組において、セル又はセルアレイの側の例えば上部、中間、下に、隣接して、又はそれらを組み合わせて配置することができる。複合熱管理シートは、パウチセル、圧力管理パッド、冷却板又は他の内部バッテリーコンポーネントのうちの複数に配置又は接着することができる。バッテリーのアセンブリ圧力は、積み重なったコンポーネントを所定の位置に保つことができる。
【0074】
例えば、図5に示すように、バッテリー2001は、ハウジング800の内部の複数のセルアレイ700において複数のセルを含むことができる。複合熱管理シート10は、2つのセルアレイ700間に配置することができる。更に、図12に示すように、複合熱管理シート10は、セルアレイの複数のセルに沿って、ハウジング800の側面とセルアレイ700の側面との間に配置することができる。また、図12に示すように、断熱性複合熱管理シート10は、ハウジング800の末端と1つ以上のセルアレイ700の末端との間に配置することができる。
【0075】
2つ以上の複合熱管理シート又は他の層が使用される場合、シート及び層は当該分野で知られている方法により組み立てることができる。シート及び層は、セル又はバッテリーの他のコンポーネント(例えばバッテリーケースの壁)の表面に集成することができる。態様において、シート及び層は別々に集成され、次に、セル、バッテリーコンポーネント又はその両方に設置又は接着される。シート又は層のそれぞれは、別々に製作することができ、次いで、所望の順序に積層(設置、又は例えば、1つ又は複数の接着剤層を使用して接着)することができる。代替として、1つ又は複数の個々の層は、例えば、コーティング、流延、又は熱及び圧力を使用してラミネートすることにより、別の個々の層に製作することができる。態様において、例えば、難燃剤層又は接着剤層を複合熱管理シート上に直接流延することができる。直接コーティング又は流延は、厚さを減少させて、接着剤層の削除により難燃性を改善することができる。
【0076】
以下の実施例が本開示を例証するために提供される。実施例は単なる例証であり、本明細書において述べられる材料、条件又はプロセスパラメーターに対する開示に従って製造されるデバイスを限定するようには意図されない。
【実施例
【0077】
実施例ではTable 1(表1)に列挙された材料を使用した。
【0078】
【表1】
【0079】
試料の調製
発泡剤としてベンジルアルコールを使用し、Table 2(表2)に示すパートA及びパートBを有する二液型配合物を調製することにより、実施例1~6の試料を作製した。充填剤はパートAに含ませた。次いで、パートA及びパートBを混合し、2つの離型層の間に流延した。流延混合物の発泡及び硬化後に所望の厚さが得られるように流延量を調整した。発泡及び硬化は70℃で10分間行った。実施例1~6の複合熱管理シートは12時間94℃で硬化し、適切なサイズに切断した。次いで、複合熱管理シートを以下に記載されるように試験した。
【0080】
熱試験
熱暴走シミュレーションにおいて各試料の熱的性能を決定した。図6は、熱試験に用いた設備5000を図示する。複合熱管理シート10を、550℃に設定したホットプレート960に直接配置した。比較例1ではパイロジェル表面をホットプレートに設置した。複合熱管理シート10の上面に12.7mmの雲母板セル類似物970を設置した。雲母板セル類似物970に空けた孔に熱電対センサー980を挿入して複合熱管理シート10の上面に熱電対センサー980を配置した。
【0081】
(比較例1)
充填されていないポリウレタン発泡体層及びパイロジェル熱障壁層を含む比較例を試験した。2つの層は多目的に用いられるシリコーン接着剤を用いて接着した。
【0082】
(実施例1~6)
Table 2(表2)に示す成分を用いて実施例1~6を調製した。量はそれぞれの側の質量部として示され、ここで、ビニル末端シリコーン及び反応性充填剤組成物は合わせて100質量部である。パートBはシリコーンヒドリドのみを含んでいた。パートA及びパートBをA:B=20:1(20部のパートA及び1部のパートB)の質量比で混合した。
【0083】
熱障壁層がその場所で形成されたか、及び試験の際に熱障壁層の分解が起こったかにかかわらず、Table 2(表2)はまた、試験前の各硬化試料の厚さを示す。
【0084】
【表2】
【0085】
図7に示すように、ホウ砂及びホウ酸亜鉛の組み合わせを含む反応性充填剤(実施例1及び2)は、変形した(曲がった)表面を有する熱障壁層11をもたらした。曲面は、試験設備のセル類似物970がシートへの下方への力を発揮するにもかかわらず形成される。この力はバッテリーパッドにより発揮することのできる力と類似する。セル類似物970により発揮される下方への力があってもシートの変形が起こり、形成された熱障壁層がセル類似物970を持ち上げることから、熱障壁層は膨張するセルにおいて効率的に押し戻し、エアポケットを生み出すことにより対流熱伝達を遅延させる。接触点の表面積も減少させ、それにより伝導性熱伝達も遅延させる。
【0086】
図8は、実施例1及び2のホウ砂及びホウ酸亜鉛を含む反応性充填剤組成物から形成された熱障壁層の別の図を示す。熱障壁層は連続的で可撓性である。このことは、例えば炭と同様に非連続的で非弾性の(もろい)ものであり得る従来技術の組成物により形成された障壁層とは明らかに対照的である。
【0087】
図9は、経時的に測定した各試料について熱電対により検出された温度上昇を示す。有利なことに、すべての試料が熱障壁性を実証した。ホウ砂及びホウ酸亜鉛の組み合わせを含む反応性充填剤組成物(実施例1及び2)は、実施例3~6よりも良好な熱的性能をもたらした。
【0088】
実施例1及び2は同じ組成を有したが、実施例1のより厚いシートが、実施例2のより薄いシートよりも反対の表面に良好な熱保護をもたらした。10分後、実施例1の測定温度は比較例1及び実施例2~6のものより低かった。電気自動車のバッテリー用途では、技術的実現可能性は150℃に達する時間により決定することができ、これは望ましくは可能な限り長く、例えば少なくとも10分である。20分の長期の曝露にわたっても、実施例1の複合熱管理シートの反対表面は140℃に過ぎず、150℃に達しなかった。
【0089】
理論によって束縛されることはないが、実施例1により得られた優れた結果は、協同で作用する異なるメカニズムによるものと考えられる。まず、ホウ砂及びホウ酸亜鉛の熱容量のために熱が吸収されると考えられる。熱はホウ砂からの水の放出により更に吸収される。水蒸気の生成は、熱源から離れて可撓性多孔層を通る増大した熱対流をもたらし得る。しかしながら、熱源への曝露が増大することで、水蒸気及び高温ガスによる熱対流を防止する熱障壁層が形成され、それにより改善された高温耐熱性が得られる。熱障壁層の形成は、熱伝導を更に低減又は抑制することができる。変形した障壁が形成されることを示す実施例1及び2の場合、熱伝導は付加的に低減することができる。
【0090】
釘刺し試験
釘刺し試験を行った。図10A及び図10Bはそれぞれ、釘刺し試験の第1の設備7000の分解組立模式図及び分解組立図ではない模式図であり、アルミニウムの末端板910、920(185mmx90mmx15.2mmの寸法を有する)、ポリテトラフルオロエチレン絶縁フィルム930、940(185mmx90mmx1mmの寸法を有する)、パウチセル201、202及び試験試料950(例えば、複合熱管理シート)を含む。セル201、202の特徴をTable 3(表3)に示す。熱暴走を開始するため、セル201に10mm/sの圧入速度で挿入された8mm針で穴を開けた。セル201、202は電気的に絶縁されていた。多数の熱電対が温度プロファイルを測定した。位置V1は、釘を刺した(例えば機能しない)セル201と試験試料950との間であり、位置V2は、試験試料950と隣接セル202との間であった。電圧もまた測定した。
【0091】
【表3】
【0092】
(比較例2)
発泡体層を含まない比較例を試験した。
【0093】
(比較例3)
充填されていないポリウレタン発泡体層を含む比較例を試験した。
【0094】
(実施例7及び8)
Table 4(表4)に示す成分を用いて実施例7及び8を調製した。パートA及びパートBをA:B=20:1(20部のパートA及び1部のパートB)の質量比で混合した。
【0095】
【表4】
【0096】
比較例2及び実施例7の釘刺し試験の結果をTable 5(表5)及びTable 6(表6)、並びに図11及び図12に示す。図11は、比較例3及び実施例7の釘刺し試験の結果を示す温度(℃)対時間(min)のグラフである。図11に示すように、実施例7は試験において熱暴走を止めることができた。図12は、異なる厚さの比較例2及び3並びに実施例7の釘刺し試験の結果を示すボルト(V)対時間(min)のグラフである。図12の結果は、比較例12について18秒の遅延、比較例2について31秒の遅延、2mm厚さの実施例7について102秒の遅延、及び3mm厚さの実施例7について熱暴走がなかったことを含む。
【0097】
【表5】
【0098】
【表6】
【0099】
UL94 500W(125mm)垂直燃焼試験
20(20)の各材料タイプをUL94セクション6.2条件に従って70±2℃、168±2時間の条件に置いた。すべての試料を準備してUL94セクション9.5により試験した。Table 7(表7)に垂直燃焼材料分類要件を示し、Table 8(表8)に試験結果を示す。
【0100】
【表7】
【0101】
【表8】
【0102】
比較例3の微小熱量測定の結果を図13及びTable 9(表9)に示し、実施例7の微小熱量測定の結果を図14及びTable 10(表10)に示し、実施例8の微小熱量測定の結果を図15及びTable 11(表11)に示す。図13図14及び図15は異なるX及びY軸スケールを有する。
【0103】
【表9】
【0104】
【表10】
【0105】
【表11】
【0106】
図16A及び図16Bはそれぞれ、釘刺し試験の第2の設備8000の分解組立模式図及び分解組立図ではない模式図であり、アルミニウムの末端板911、921、ポリテトラフルオロエチレン絶縁フィルム931、941、12Ahパウチセル203、204、205及び試験試料951、952(例えば、複合熱管理シート)を含む。熱暴走を開始するためにセル204に針で穴を開けた。セル203、204、205は電気的に絶縁されていた。多数の熱電対が図16Aに示すようなV3、V4、V5、TC1、TC2、TC8の位置で温度プロファイルを測定した。
【0107】
比較例3の釘刺し試験の結果をTable 10(表12)及び図17に示し、実施例7の釘刺し試験の結果をTable 11(表13)並びに図18及び図19に示し、実施例8の釘刺し試験の結果をTable 12(表14)及び図20に示す。図17図18及び図20のそれぞれは温度(℃)対時間(秒(s))のグラフである。図19は釘刺し試験後の実施例7の写真であり、示されるように可撓性を保持したままであることが望ましい。
【0108】
【表12】
【0109】
【表13】
【0110】
【表14】
【0111】
以下に、本開示の非限定的な態様を述べる。
【0112】
態様1:シリコーン発泡体層;及びシリコーン発泡体層内に配置された反応性充填剤組成物を含み、反応性充填剤組成物は、熱への初期曝露により分解して水を生成する第1の充填剤;及び第1の充填剤とは異なる第2の充填剤を含み、ここで、第2の充填剤は、第1の充填剤の分解生成物により熱障壁層を形成するか、水を吸収するか、又はその両方である、バッテリー用複合熱管理シート。
【0113】
態様2:熱障壁層がホウケイ酸ガラス層、好ましくは曲面を有するホウケイ酸ガラス層を含む、態様1に記載の複合熱管理シート。
【0114】
態様3:ホウケイ酸ガラスがシリコーン発泡体層の分解に由来するケイ素を含む、態様2に記載の複合熱管理シート。
【0115】
態様4:第1の充填剤及び第2の充填剤がアルミニウム三水和物、硝酸アンモニウム、ホウ砂、含水ケイ酸ナトリウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム水酸化物五水和物、リン酸三マグネシウム八水和物、ホウ酸亜鉛、超吸収性ポリマー又は水ガラスのうちの少なくとも2種である、態様1から3のいずれか一項に記載の複合熱管理シート。
【0116】
態様5:第1の充填剤がアルミニウム三水和物、含水ケイ酸ナトリウム、炭酸マグネシウム水酸化物五水和物、リン酸三マグネシウム八水和物、超吸収性ポリマー、水ガラス又はそれらの組み合わせを含む、態様4に記載の複合熱管理シート。
【0117】
態様6:第2の充填剤が硝酸アンモニウム、ホウ砂、含水ケイ酸ナトリウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム水酸化物五水和物、リン酸三マグネシウム八水和物、ホウ酸亜鉛、超吸収性ポリマー又はそれらの組み合わせを含む、態様4又は5に記載の複合熱管理シート。
【0118】
態様7:反応性充填剤組成物がアルミニウム三水和物及びホウ酸亜鉛を含む、態様4に記載の複合熱管理シート。
【0119】
態様8:反応性充填剤組成物がホウ砂及び含水ケイ酸ナトリウムを含む、態様4に記載の複合熱管理シート。
【0120】
態様9:反応性充填剤組成物がアルミニウム三水和物、ホウ酸亜鉛及び含水ケイ酸ナトリウムを含む、態様4に記載の複合熱管理シート。
【0121】
態様10:反応性充填剤組成物がホウ砂及びホウ酸亜鉛を含む、態様4に記載の複合熱管理シート。
【0122】
態様11:反応性充填剤組成物がホウ砂、ホウ酸亜鉛及びアルミニウム三水和物を含む、態様4に記載の複合熱管理シート。
【0123】
態様12:反応性充填剤組成物が超吸収性ポリマー、水ガラス又はその両方を更に含む、態様4から11のいずれか一項に記載の複合熱管理シート。
【0124】
態様13:反応性充填剤組成物がアルミニウム三水和物、含水ケイ酸ナトリウム、炭酸マグネシウム水酸化物五水和物、リン酸三マグネシウム八水和物又はそれらの組み合わせ;及び超吸収性ポリマー、好ましくはポリ(アクリル酸ナトリウム)を含む、態様12に記載の複合熱管理シート。
【0125】
態様14:1~30ミリメートル、1~20ミリメートル、1~15ミリメートル、1~10ミリメートル、1~8ミリメートル、1.5~8ミリメートル、1.5~6ミリメートル、又は2.5~6ミリメートルの厚さを有する、態様1から13のいずれか一項に記載の複合熱管理シート。
【0126】
態様15:5~65ポンド/立方フィート(80~1,041キログラム/立方メートル)、若しくは6~20ポンド/立方フィート(96~320キログラム/立方メートル)、若しくは8~15ポンド/立方フィート(128~240キログラム/立方メートル)の密度;ASTM D3574-17に従ってそれぞれ25%のたわみで求めて0.2~125ポンド毎平方インチ(1~862キロパスカル)、若しくは0.25~20ポンド毎平方インチ(1.7~138キロパスカル)若しくは0.5~10ポンド毎平方インチ(3.4~68.90.5キロパスカル)の圧縮力たわみ;ASTM D 3574-95試験Dに従って70℃で求めて0~15%、若しくは0~10%、若しくは0~5%の圧縮永久歪;又はそれらの組み合わせを有する、態様1から14のいずれか一項に記載の複合熱管理シート。
【0127】
態様16:電気化学セル、好ましくはリチウムイオン電気化学セルの表面に配置された、態様1から15のいずれか一項に記載の複合熱管理シートを含む、バッテリー用アセンブリ。
【0128】
態様17:電気化学セルがプリズムセル、パウチセル又は円筒状セルを含む、態様16に記載のバッテリー用アセンブリ。
【0129】
態様18:アセンブリが少なくとも2つの電気化学セルを含む、態様16又は17に記載のバッテリー用アセンブリ。
【0130】
態様19:態様16から18のいずれか一項に記載のバッテリー用アセンブリ;及びバッテリー用アセンブリを少なくとも部分的に包むハウジングを含む、バッテリー。
【0131】
組成物、方法及び物品は、代替として本明細書において開示される任意の好適な材料、ステップ又は部品を含み、それからなり、又は基本的にそれからなることができる。組成物、方法及び物品は更に、又は代替として、組成物、方法及び物品の機能又は目的の達成に他の方法では必要でない任意の材料(又は種)、ステップ又は部品が欠如するように又は実質上含まないように、配合することができる。
【0132】
用語「a」及び「an」は、量の限定を表すのではなく、言及する項目の少なくとも1つの存在を表す。用語「又は」は、文脈が明瞭に別様に指定しない限り、「及び/又は」を意味する。本明細書の全体にわたる「態様」、「別の態様」等に対する言及は、態様に関連して記載される特定の要素(例えば、特色、構造、ステップ又は特性)が、本明細書において記載の少なくとも1つの態様に含まれ、他の態様中に存在してもしなくてもよいことを意味する。更に、記載の要素が様々な態様中の任意の適切な方式で組み合わせられてもよいことは理解されるべきである。
【0133】
層、膜、領域又は基材等の要素が別の要素「に接して」あると称する場合、それは、他の要素に直接にあってもよく、又は、介在要素もまた存在してもよい。対照的に、要素が別の要素「に直接」あると称する場合、介在要素は存在しない。
【0134】
本明細書において反対に指定しない限り、試験標準はすべて、本出願の出願日、優先権を主張する場合には、試験標準が世に出る最初の優先出願の出願日の時点で最新の有効な標準である。
【0135】
同一の部品又は性質を対象とする全範囲の終点は、終点を包括し、独立して結合可能であり、中間点及び範囲をすべて含む。例えば「25wt%まで又は5~20wt%」の範囲は、「5~25wt%」、例えば10~23wt%等の範囲の終点及びすべての中間値を包括する。用語「第1」、「第2」等、「第一級」、「第二級」等は、本明細書において使用される場合、任意の順序、量又は重要性を示さず、むしろ、要素を互いに区別するのに使用される。「それらの組み合わせ」という用語はオープンエンドであり、リストが各要素を個々に包括し、そのうえ、リストの2つ以上の要素の組み合わせ、及びリストの少なくとも1つの要素の、指名されない類似要素との組み合わせを包括することを意味する。また、「組み合わせ」という用語は、ブレンド、混合物、合金、反応生成物等を包含する。
【0136】
他に定義しない限り、本明細書において使用される科学技術用語は、本開示が属する技術分野の当業者に共通して理解されるのと同一の意味を有する。
【0137】
すべての引用特許、特許出願及び他の参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。しかしながら、本出願中の用語が組み込まれている参考文献中の用語と相容れない又は矛盾する場合、本出願からの用語が、組み込まれている参考文献からの矛盾する用語に対して優先する。
【0138】
図面において、層及び領域の幅及び厚さは、明細書の明確性及び説明の便宜のために誇張され得る。図面における同様の参照番号は、同様の要素を示す。
【0139】
例示的な実施形態は、理想化された実施形態の模式図である断面図を参照して本明細書で説明される。そのため、例えば、製作技法及び/又は公差の結果として、図示の形状からの変動が予想されるはずである。したがって、本明細書に記載された実施形態は、本明細書に図示されたような領域の特定の形状に限定されると解釈されるべきではなく、例えば製造に起因する形状の逸脱を含むものである。例えば、平坦と図示又は説明された領域は、典型的には、粗い及び/又は非線形の特徴を有することができる。更に、図示されている鋭角は、丸みを帯びることもできる。したがって、図に示された領域は、本質的に模式的であり、それらの形状は、領域の正確な形状を例示することを意図したものではなく、本請求項の範囲を限定することを意図したものではない。
【0140】
特定の態様が記載されたが、現在は予知されないか又は予知できない代替法、修正、変形、改善、及び実質的等価物が、出願人又は当業者に生じることがある。したがって、出願され、それらが修正されてもよい添付の特許請求の範囲は、そのような代替法、修正、変形、改善及び実質的等価物をすべて包含するように意図される。
【符号の説明】
【0141】
10 複合熱管理シート
10a 複合熱管理シート
11 熱障壁層
12 可撓性シリコーン発泡体層
14 第1の外側表面
16 第2の外側表面
18 細孔
20 内部表面
22 充填剤
24 充填剤
88 材料
103 第1のセル
104 第2のセル
201 パウチセル
202 パウチセル
203 パウチセル
204 パウチセル
205 パウチセル
910 アルミニウムの末端板
911 アルミニウムの末端板
920 アルミニウムの末端板
921 アルミニウムの末端板
930 絶縁フィルム
931 絶縁フィルム
940 絶縁フィルム
941 絶縁フィルム
950 試験試料
951 試験試料
952 試験試料
960 ホットプレート
970 雲母板セル類似物
980 熱電対センサー
1002 アセンブリ
1003 アセンブリ
1004 アセンブリ
2001 バッテリー
5000 設備
7000 第1の設備
8000 第2の設備
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
図15
図16A
図16B
図17
図18
図19
図20
【国際調査報告】