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▶ ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニーの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-04
(54)【発明の名称】ホップを含む可食経口組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/19 20060101AFI20240226BHJP
   A61K 8/9789 20170101ALI20240226BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20240226BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20240226BHJP
【FI】
A61K8/19
A61K8/9789
A61K8/34
A61Q11/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555659
(86)(22)【出願日】2022-03-25
(85)【翻訳文提出日】2023-09-11
(86)【国際出願番号】 US2022071335
(87)【国際公開番号】W WO2022204715
(87)【国際公開日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】63/165,748
(32)【優先日】2021-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(74)【代理人】
【識別番号】100187159
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 英明
(72)【発明者】
【氏名】サミュエル、ジェームズ、セント、ジョン
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083AA112
4C083AA122
4C083AB211
4C083AB212
4C083AB291
4C083AB292
4C083AB321
4C083AB322
4C083AB332
4C083AB471
4C083AB472
4C083AC131
4C083AC132
4C083AC212
4C083AC302
4C083AC422
4C083AC581
4C083AC582
4C083AC811
4C083AD202
4C083AD212
4C083AD411
4C083AD412
4C083AD572
4C083AD621
4C083AD631
4C083AD641
4C083AD651
4C083AD652
4C083AD661
4C083CC41
4C083DD12
4C083DD15
4C083DD21
4C083DD22
4C083DD23
4C083EE31
4C083EE32
(57)【要約】
ホップ及びカルシウムを含む可食経口組成物。ホップ及びスズを含む可食経口組成物。フッ化物を含まない可食経口組成物。グミ組成物、チュアブル組成物、パンチュー組成物、タブレット組成物、溶解性タブレット組成物、溶解性フィルム、リーブオン組成物、ロリポップ組成物、ロゼンジ組成物、不織繊維組成物、可溶性フォーム組成物、液体組成物、ペースト組成物、チューインガム組成物、又はそれらの組み合わせである可食経口組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可食経口組成物であって、
(a)ホップであって、好ましくは、前記可食経口組成物に前記組成物の約0.01重量%~約10重量%で含まれる、ホップと、
(b)カルシウム、スズ、及び/又は糖アルコールと、
を含む、可食経口組成物。
【請求項2】
前記ホップが、ホップ抽出物、フムルス・ルプルス(Humulus lupulus)抽出物、合成的に誘導されたホップ化合物、それらの塩、それらのプロドラッグ、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の可食経口組成物。
【請求項3】
前記ホップが、ホップアルファ酸、ホップイソアルファ酸、ホップベータ酸、ホップ油、ホップフラボノイド、又はそれらの組み合わせを含む、請求項2又は3に記載の可食経口組成物。
【請求項4】
前記ホップベータ酸が、ルプロン、アドルプロン、コルプロン、又はそれらの組み合わせを含み、好ましくは、前記ホップが、前記ホップの少なくとも約35重量%のホップベータ酸を含み、より好ましくは、前記ホップが、前記ホップの約1重量%未満のホップアルファ酸を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の可食経口組成物。
【請求項5】
前記カルシウムが、カルシウム塩、カルシウム研磨剤、又はそれらの組み合わせを含み、前記カルシウム研磨剤が、炭酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム、若しくはそれらの組み合わせを含む、かつ/又は前記カルシウム塩が、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、若しくはそれらの組み合わせを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の可食経口組成物。
【請求項6】
前記可食経口組成物が、ビタミンを含み、好ましくは、前記ビタミンが、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、又はそれらの組み合わせを含み、より好ましくは、前記ビタミンAが、レチノイド化合物を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の可食経口組成物。
【請求項7】
前記可食経口組成物が、アミノ酸を含み、好ましくは、前記アミノ酸が、アルギニン、ヒスチジン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、スレオニン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セレノシステイン、グリシン、プロリン、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、シトルリン、オルニチン、クレアチン、ジアミノブトン(diaminobutonic)酸、ジアミノプロピオン酸、それらの塩、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の可食経口組成物。
【請求項8】
前記アミノ酸が、ペプチド、ポリペプチド、又はそれらの組み合わせを含み、好ましくは、前記ペプチドが、2個のアミノ酸~10個のアミノ酸を含み、より好ましくは、前記ペプチドが、ジペプチド、トリペプチド、テトラペプチド、ペンタペプチド、又はそれらの組み合わせを含み、更により好ましくは、前記ペンタペプチドが、Pal-KTTKSを含む、請求項7に記載の可食経口組成物。
【請求項9】
前記スズが、フッ化第一スズ、塩化第一スズ、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の可食経口組成物。
【請求項10】
前記可食経口組成物が、フッ化物を含み、好ましくは、前記フッ化物が、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化第一スズ、フッ化アミン、又はそれらの組み合わせを含み、より好ましくは、前記可食経口組成物が、約1ppmまで、約0.7ppmまで、又は約0.7ppm未満、の濃度のフッ化物イオンを提供する、請求項1~9のいずれか一項に記載の可食経口組成物。
【請求項11】
前記糖アルコールが、キシリトール、エリスリトール、ソルビトール、マリトール、イソマルト、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の可食経口組成物。
【請求項12】
スクロースを含まない、請求項1~11のいずれか一項に記載の可食経口組成物。
【請求項13】
前記可食経口組成物が、グミ組成物、チュアブル組成物、パンチュー(pan-chew)組成物、タブレット組成物、溶解性タブレット組成物、溶解性フィルム、リーブオン組成物、ロリポップ組成物、ロゼンジ組成物、不織繊維組成物、可溶性フォーム組成物、液体組成物、ペースト組成物、チューインガム組成物、又はそれらの組み合わせである、請求項1~12のいずれか一項に記載の可食経口組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホップを含む可食組成物を対象とする。本発明はまた、ホップを含む可食経口組成物を対象とする。本発明はまた、ホップ抽出物、ホップアルファ酸、及び/又はホップベータ酸を含むホップを含む可食経口組成物を対象とする。
【背景技術】
【0002】
多くの管轄権において、虫歯予防薬として承認されている唯一の活性剤は、フッ化第一スズ、フッ化ナトリウム、フッ化アミン、及び/又はモノフルオロリン酸ナトリウム等のフッ化物を含む化合物である。これらの化合物の多くは、経口組成物に含まれる。フッ化物を含む経口組成物は、多くの管轄権において、虫歯予防又は抗う蝕薬であると主張することができる。
【0003】
米国食品医薬品局によれば、フッ化物サプリメントは、より低濃度のフッ化物イオン(0.7ppmまで)を有するので、嚥下されることが意図される。フッ化物サプリメントは、フッ素添加水、及びフッ素添加水にアクセスできない個人のみを対象とする特殊な低濃度リンスを含む。
【0004】
治療用量のフッ化物等の抗う蝕薬を含む組成物は、嚥下されることが意図されていない。したがって、チュー、ロリポップ、ミント、及びグミ等の可食組成物は、抗う蝕の利益を提供するとは認められない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、治療レベル以下及び/又は治療レベルの抗う蝕活性を提供することが臨床的に示されているが、意図的に嚥下され得る1つ以上の活性成分が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(a)ホップと、(b)カルシウムとを含む可食経口組成物が本明細書に開示される。
【0007】
(a)ホップと、(b)スズとを含む可食経口組成物もまた、本明細書に開示される。
【0008】
(a)ホップと、(b)糖アルコールとを含む可食経口組成物もまた、本明細書に開示される。
【0009】
(a)ホップベータ酸と、(b)カルシウムとを含む可食経口組成物が本明細書に開示される。
【0010】
(a)ホップベータ酸と、(b)スズとを含む可食経口組成物もまた、本明細書に開示される。
【0011】
(a)ホップベータ酸と、(b)糖アルコールとを含む可食経口組成物もまた、本明細書に開示される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、虫歯、う蝕、歯肉炎、及び/又はそれらの組み合わせを治療するためのホップを含む可食組成物を対象とする。開示されるホップを含む組成物は、う蝕の治療、低減、又は予防に使用することができる。
【0013】
う蝕又は虫歯は、細菌によって作られた酸による歯の分解である。虫歯は、細菌が、エナメル質、象牙質、及び/又はセメント質などの歯の硬組織を溶解するによって産生される酸によって引き起こされる。細菌が歯の表面上の食物残渣又は発酵性糖質を分解するときに、細菌によって酸が産生される。
【0014】
フッ化物は、細菌によって産生される酸である「プラーク酸」による歯の表面の溶解を減少させる機能を有する。歯のエナメル質はヒドロキシアパタイト(Ca(PO(OH))でできている。ヒドロキシアパタイトは、pH5.5未満でエナメル質から溶解することができる(脱灰)。ヒドロキシアパタイトがフッ化物イオンの存在下で脱灰されると、フルオロアパタイト(Ca(PO(F))が歯のエナメル質の表面に再石灰化する可能性がある。要するに、このプロセスは、ヒドロキシル(OH)イオンをフッ化物(F)イオンで置換することである。フルオロアパタイトは、酸性条件下でもヒドロキシアパタイトよりも本質的に溶解しにくい。したがって、フッ化物は抗う蝕薬として作用し、歯の表面をプラーク酸に対してより耐性にし、より溶解しにくくする。
【0015】
理論に束縛されることを望むものではないが、開示される経口組成物は、フッ化物イオン療法とは異なる作用機序を有すると考えられる。フッ化物の単一症状治療(すなわち、プラーク酸の結果を治療すること)とは対照的に、開示される組成物は、共同で抗う蝕効果をもたらす効果の組み合わせを通して虫歯予防活性を有すると考えられる。理論に束縛されるものではないが、開示される経口組成物は、以下の成果のうちの1つ以上を提供することによって虫歯予防効果を有すると考えられる:(1)プラーク酸の産生を抑制すること、及び/又は(2)唾液流を増加させ、残留食物残渣を口から洗い流すのを支援すること。
【0016】
プラーク酸の産生の抑制は、プラーク酸の供給源(すなわち、細菌自体)を死滅させるために1つ以上の抗菌剤を提供すること、及び/又は抗菌剤を破壊してバイオフィルムマトリックス内に埋め込むために1つ以上のバイオフィルム変性剤を提供することによって達成することができる。
【0017】
唾液流を増加させ、残留食物残渣を口から洗い流すのを支援することは、可食組成物をある期間にわたって吸う、噛む、及び/又は咀嚼する行為によって達成することができる。
【0018】
これら機序のそれぞれは、単独では、治療用量のフッ化物と等価な虫歯予防の利益を提供するのに十分ではない場合があるが、これらの機序を組み合わせると、虫歯予防の利益を提供することができる。したがって、本発明は、フッ化物を含まず、それでもなお虫歯予防及び/又は抗う蝕の利益を提供することができる組成物及び組成物の使用方法を対象とする。開示される組成物の更なる利点は、開示される組成物が、治療用量のフッ化物とは異なり日常的に消費できることである。フッ化物を含む口腔ケア組成物は、フッ化物を含む口腔ケア組成物を嚥下しないようにユーザに指示する説明書を含む。開示される組成物は、必要に応じて自由に嚥下してもよく、それでもなお、虫歯予防、抗う蝕、及び/又は歯肉炎予防の利益を提供する。
【0019】
定義
本明細書で使用される用語をより明確に定義するために、以下の定義が提供される。別途記載のない限り、以下の定義は、本開示に適用可能である。ある用語が本開示で使用されているが本明細書で具体的に定義されていない場合、その定義が、本明細書に適用される任意の他の開示又は定義と矛盾しない限り、又はその定義が適用される任意の請求項を不明確に又は不可能にしない限り、IUPAC Compendium of Chemical Terminology,2nd Ed(1997)からの定義を適用することができる。
【0020】
用語「口腔ケア組成物」は、本明細書で使用する場合、通常の使用過程において、特定の治療剤を全身投与する目的で意図的に嚥下されるものではなく、むしろ、歯の表面又は口腔組織と接触させるのに十分な時間にわたって口腔内に保持される製品を包含する。口腔ケア組成物の例としては、歯磨剤、練り歯磨き、歯用ゲル、歯肉縁下用ゲル、マウスリンス、ムース、フォーム、マウススプレー、ロゼンジ、チュアブル錠、チューインガム、歯用ホワイトニングストリップ、フロス及びフロスコーティング、口臭清涼用溶解性ストリップ、又は義歯用ケア若しくは接着剤製品が挙げられる。口腔ケア組成物はまた、口腔表面に直接塗布又は装着するためにストリップ又はフィルム上に組み込まれてもよい。
【0021】
用語「可食経口組成物」は、本明細書で使用する場合、通常の使用過程において、特定の治療剤を全身投与する目的で意図的に嚥下することができ、歯の表面又は口腔組織と接触させるのに十分な時間にわたって口腔内で保持される製品を包含する。可食経口組成物の例としては、歯磨剤、練り歯磨き、歯磨きゲル、歯肉下ゲル、マウスリンス、ムース、フォーム、マウススプレー、ロゼンジ、チュアブル錠、チューインガム、歯ホワイトニングストリップ、フロス及びフロスコーティング、口臭清涼化溶解性ストリップ、義歯ケア又は接着製品、グミ組成物、チュアブル組成物、パンチュー(pan-chew)組成物、タブレット組成物、溶解タブレット組成物、溶解フィルム、リーブオン組成物、ロリポップ組成物、ロゼンジ組成物、不織繊維組成物、可溶性フォーム組成物、液体組成物、ペースト組成物、チューインガム組成物、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0022】
本明細書で有用な「有効物質及び他の成分」は、美容的及び/若しくは治療的効果、又はそれらが要求される作用形態若しくは機能により、本明細書において分類又は記載されてよい。しかしながら、本明細書において有用な有効物質及び他の成分は、場合によっては、2つ以上の美容的及び/又は治療的効果をもたらす、あるいは2つ以上の作用形態で機能又は作用してもよいと理解すべきである。したがって、本明細書における分類は便宜上実施されるものであり、成分を、列挙される具体的に述べられた機能(複数可)又は作用に制限しようとするものではない。
【0023】
用語「経口的に許容し得る担体」とは、局所口腔投与に好適な1種以上の相溶性のある固体若しくは液体賦形剤、又は希釈剤を含む。用語「相溶性」は、本明細書で使用する場合、組成物の構成成分が、組成物の安定性及び/又は有効性を実質的に低下させるような方式で相互作用することなく、混合されることができることを意味する。
【0024】
本明細書で使用する場合、用語「実質的に含まない」は、組成物中に、かかる組成物の総重量の0.05%以下、好ましくは0.01%以下、より好ましくは0.001%以下の指示物質が存在することを指す。
【0025】
本明細書で使用する場合、用語「本質的に含まない」は、指示物質が組成物に意図的に添加されたものでないこと、又は好ましくは分析によって検出可能な濃度では存在しないことを意味する。これは、指示物質が、意図的に添加されたその他の物質のうちの1つの不純物としてのみ存在する、組成物を包含することを意味する。
【0026】
組成物及び方法は、本明細書において、様々な構成要素又は工程を「含む」という観点で記載されているが、組成物及び方法はまた、別途記載のない限り、様々な構成要素又は工程「から本質的になる」又は「からなる」こともできる。
【0027】
本明細書で使用する場合、単語「又は」は、2つ以上の要素の接続詞として使用される場合に、要素を個々に、及び組み合わせで含むことを意味し、例えば、X又はYは、X若しくはY又はこれら両方を意味する。
【0028】
本明細書で使用する場合、冠詞「a」及び「an」は、特許請求される又は記載される材料、例えば、「可食経口組成物」又は「漂白剤」のうちの1つ以上を意味すると理解される。
【0029】
特に明記しない限り、本明細書で言及される測定は全て約23℃(すなわち、室温)で行われる。
【0030】
一般に、元素の族は、Chemical and Engineering News,63(5),27,1985に掲載されている元素周期表のバージョンで示される番号付けスキームを使用して示される。いくつかの例では、族に割り当てられた共通の名称を使用して、元素の族を示すことができ、例えば、第1族元素のアルカリ金属、第2族元素のアルカリ土類金属などが挙げられる。
【0031】
いくつかの種類の範囲が本発明に開示される。任意の種類の範囲が開示又は特許請求される場合、範囲の端点並びにその中に包含される任意の部分範囲及び任意の部分範囲の組み合わせを含む、そのような範囲が合理的に包含し得る可能な各数を個々に開示又は特許請求することを意図している。
【0032】
用語「約」は、量、サイズ、配合、パラメータ、並びにその他の数量及び特性が正確ではなく、正確である必要はないが、所望に応じて、許容誤差、変換係数、四捨五入、測定誤差など、並びに当業者に既知のその他の要因を反映して、近似的及び/又はより大きいか若しくはより小さい場合があることを意味する。一般に、量、サイズ、配合、パラメータ、又は他の数量若しくは特性は、そのようであると明示的に記載されているか否かに関わらず、「約」又は「近似的」である。「約」という用語はまた、特定の初期混合物から生じる組成物の異なる平衡状態に起因して異なる量も包含する。「約」という用語によって修飾されているか否かに関わらず、特許請求の範囲は、その量に対する均等物を含む。「約」という用語は、報告された数値の10%以内、好ましくは報告された数値の5%以内を意味し得る。
【0033】
可食経口組成物は、固体、液体、粉末、ペースト、又はそれらの組み合わせ等の任意の好適な形態であり得る。可食経口組成物は、歯磨剤、歯磨きゲル、歯肉下ゲル、マウスリンス、ムース、フォーム、マウススプレー、ロゼンジ、チュアブル錠、チューインガム、歯ホワイトニングストリップ、フロス及びフロスコーティング、口臭清涼化溶解性ストリップ、義歯ケア又は接着製品、グミ組成物、チュアブル組成物、パンチュー組成物、溶解タブレット組成物、溶解フィルム、リーブオン組成物、ロリポップ組成物、ロゼンジ組成物、不織繊維組成物、可溶性フォーム組成物、液体組成物、ペースト組成物、チューインガム組成物、又はそれらの組み合わせであり得る。
【0034】
歯磨剤組成物の構成成分は、フィルム、ストリップ、フォーム、又は繊維ベースの歯磨剤組成物に組み込まれることができる。可食経口組成物は、例えば、後述のように、ホップ、スズイオン源、カルシウムイオン源、水、フッ化物イオン源、亜鉛イオン源、1つ以上のポリホスフェート、保湿剤、界面活性剤、他の成分等、及びそれらの任意の組み合わせ等であるがこれらに限定されない、様々な活性及び不活性成分を含み得る。
【0035】
セクション見出しは、編成及び便宜上の目的のためだけに以下に提供される。セクション見出しは、化合物が2つ以上のセクション内に存在し得ないことを示唆するものではない。実際、化合物は、2つ以上のセクションに含まれる場合がある。例えば、いくつかのカテゴリ及び/又はセクションに適合することができる多くの他の化合物の中でも、塩化第一スズは、スズイオン源及びバイオフィルム変性剤の両方であることができ、フッ化第一スズは、スズイオン源及びフッ化物イオン源の両方であることができ、グリシンは、アミノ酸、緩衝剤、及び/又はバイオフィルム変性剤であることができる。
【0036】
フムルス・ルプルス(Humulus lupulus)
本発明の可食経口組成物は、ホップを含む。可食経口組成物は、式I及び/又は式IVからの少なくとも1つのホップ化合物を含み得る。式I及び/又は式IVの化合物は、フムルス・ルプルス、すなわちホップからの抽出物、フムルス・ルプルス自体、合成的に誘導される化合物、及び/又はそれらの塩、プロドラッグ、若しくは他の類似体などの任意の好適な源によって提供され得る。ホップ抽出物は、1つ以上のホップアルファ酸、1つ以上のホップイソ-アルファ酸、1つ以上のホップベータ酸、1つ以上のホップ油、1つ以上のフラボノイド、1つ以上の溶媒、及び/又は水を含み得る。好適なホップアルファ酸(一般的に式Iに示される)は、フムロン(式II)、アドフムロン、コフムロン、ポストフムロン、プレフムロン、及び/又はこれらの混合物を含み得る。好適なホップイソ-アルファ酸は、シス-イソフムロン及び/又はトランス-イソフムロンを含み得る。フムロンのシス-イソフムロン及びトランス-イソフムロンへの異性化は、式IIIによって表すことができる。
【0037】
【化1】
【0038】
好適なホップベータ酸は、ルプロン、アドルプロン、コルプロン、及び/又はこれらの混合物を含み得る。好適なホップベータ酸は、式IV、式V、式VI、及び/又は式VIIに記載の化合物を含み得る。
【0039】
【化2】
【0040】
【化3】
【0041】
ホップアルファ酸は、多少の抗菌活性を示すことができるが、ホップアルファ酸は苦味も有する。ホップアルファ酸によってもたらされる苦味は、ビールには適している場合があるが、可食経口組成物において使用するには適していない。対照的に、ホップベータ酸は、より高い抗菌及び/又は抗う蝕活性に関連し得るが、苦味を有さない。したがって、自然界で通常みられるよりもベータ酸の比率がアルファ酸に対して高いホップ抽出物は、抗菌及び/又は抗う蝕剤として使用するための可食経口組成物において使用するのに好適であり得る。
【0042】
天然ホップ源は、ホップの品種に応じてホップ源の約2重量%~約12重量%のホップベータ酸を含み得る。ビールの醸造などの他の状況で使用されるホップ抽出物は、抽出物の約15重量%~約35重量%のホップベータ酸を含み得る。本明細書において望ましいホップ抽出物は、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、約35%~約95%、約40%~約90%、又は約45%~約99%のホップベータ酸を含み得る。ホップベータ酸は、酸性形態であってもよく(すなわち、ヒドロキシ官能基(複数可)に水素原子(複数可)が結合している)、又は塩形態であってもよい。
【0043】
好適なホップ抽出物は、参照によりその全体が本明細書に援用される米国特許第7,910,140号に詳細に記載されている。所望のホップベータ酸は、水素化されていなくても、天然には存在しない化学反応によって部分的に水素化されていても、又は天然には存在しない化学反応によって水素化されていてもよい。ホップベータ酸は、水素化ホップベータ酸及び/又はホップ酸を本質的に含んでいなくてもよく、又は実質的に含んでいなくてもよい。天然には存在しない化学反応は、フムルス・ルプルスではみられない化学化合物を用いて行われた化学反応であり、例えば、野生においては通常フムルス・ルプルスが経験しない高熱及び/又は金属触媒を用いて行われる化学水素化反応である。
【0044】
天然ホップ源は、ホップ源の約2重量%~約12重量%のホップアルファ酸を含み得る。ビールの醸造などの他の状況で使用されるホップ抽出物は、抽出物の約15重量%~約35重量%のホップアルファ酸を含み得る。本明細書において望ましいホップ抽出物は、抽出物の約10重量%未満、約5重量%未満、約1重量%未満、又は約0.5重量%未満のホップアルファ酸を含み得る。
【0045】
ホップ油は、ミルセン、フムレン、カリオフィレン、及び/又はこれらの混合物などのテルペン炭化水素を含み得る。本明細書において望ましいホップ抽出物は、抽出物の5重量%未満、2.5重量%未満、又は2重量%未満の1つ以上のホップ油を含み得る。
【0046】
ホップ抽出物中に存在するフラボノイドは、キサントフモール、8-プレニルナリンゲニン、イソキサントフモール、及び/又はこれらの混合物を含み得る。ホップ抽出物は、1つ以上のフラボノイドを実質的に含んでいなくてもよく、本質的に含んでいなくてもよく、含んでいなくてもよく、又は250ppm未満、150ppm未満、及び/若しくは100ppm未満有していてもよい。
【0047】
米国特許第5,370,863号に記載されているように、ホップ酸は既に可食経口組成物に添加されている。しかしながら、米国特許第5,370,863号によって教示されている可食経口組成物は、可食経口組成物の0.01重量%までしか含んでいなかった。理論に束縛されることを望むものではないが、米国特許第5,370,863号は、ホップアルファ酸の苦さが原因で、少量のホップ酸しか組み込むことができなかった。低濃度のホップアルファ酸を有するホップ抽出物は、この懸念を有さないであろう。
【0048】
ホップ化合物は、モクレン属(Magnolia)の種などの別の植物からの抽出物と組み合わされてもよく、抽出物を含んでいなくてもよい。ホップ化合物は、トリクロサンと組み合わされてもよく、トリクロサンを含んでいなくてもよい。
【0049】
可食経口組成物は、本明細書に記載されるように、約0.01%~約10%、0.01%超~約10%、約0.05%~約10%、約0.1%~約10%、約0.2%~約10%、約0.2%~約10%、約0.2%~約5%、約0.25%~約2%、約0.05%~約2%、又は0.25%超~約2%のホップベータ酸を含み得る。ホップベータ酸は、好適なホップ抽出物、ホップ植物自体、又は合成的に誘導される化合物によって提供され得る。ホップベータ酸は、中性、酸性の化合物、及び/又はナトリウム、カリウム、アンモニア、又は任意の他の好適な対イオンなどの好適な対イオンとの塩として提供され得る。
【0050】
ホップベータ酸は、抽出物の少なくとも35重量%のホップベータ酸及びホップ抽出物の1重量%未満のホップアルファ酸を含む、ホップからの抽出物などのホップ抽出物によって提供され得る。可食経口組成物は、本明細書に記載されるように、0.01%~約10%、0.01%超~約10%、約0.05%~約10%、約0.1%~約10%、約0.2%~約10%、約0.2%~約10%、約0.2%~約5%、約0.25%~約2%、約0.05%~約2%、又は0.25%超~約2%のホップ抽出物を含み得る。
【0051】
フッ化物イオン源
可食経口組成物は、フッ化物イオン源等からのフッ化物を含み得る。フッ化物イオン源は、フッ化第一スズ、フッ化ナトリウム、フッ化チタン、フッ化カルシウム、カルシウムホスフェートシリケートフルオリド、フッ化カリウム、フッ化アミン、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化亜鉛、及び/又はこれらの混合物などの1つ以上のフッ化物含有化合物を含み得る。
【0052】
フッ化物イオン源及びスズイオン源は、スズイオン及びフッ化物イオンを生成することができる、例えば、フッ化第一スズなどの同じ化合物であり得る。加えて、フッ化物イオン源及びスズイオン源は、スズイオン源が塩化第一スズであり、フッ化物イオン源がモノフルオロリン酸ナトリウム又はフッ化ナトリウムである場合など、別個の化合物であり得る。
【0053】
フッ化物イオン源及び亜鉛イオン源は、亜鉛イオン及びフッ化物イオンを生成することができる、例えば、フッ化亜鉛などの同じ化合物であり得る。加えて、フッ化物イオン源及び亜鉛イオン源は、亜鉛イオン源がリン酸亜鉛であり、フッ化物イオン源がフッ化第一スズである場合など、別個の化合物であり得る。
【0054】
フッ化物イオン源は、フッ化第一スズを本質的に含まなくてもよい、又は含まなくてもよい。したがって、可食経口組成物は、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化アミン、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化亜鉛、及び/又はそれらの混合物を含み得る。
【0055】
可食経口組成物は、約50ppm~約5000ppm、好ましくは約500ppm~約3000ppmの遊離フッ化物イオンを提供することができるフッ化物イオン源を含み得る。所望の量のフッ化物イオンを送達するために、フッ化物イオン源は、可食経口組成物中に、可食経口組成物の約0.0025重量%~約5重量%、約0.01重量%~約10重量%、約0.2重量%~約1重量%、約0.5重量%~約1.5重量%、又は約0.3重量%~約0.6重量%の量で存在し得る。あるいは、可食経口組成物は、フッ化物イオン源を0.1%未満、0.01%未満含んでいてもよく、本質的に含んでいなくてもよく、実質的に含んでいなくてもよく、又は含んでいなくてもよい。
【0056】
ポリオール
可食経口組成物は、ポリオールを含み得る。ポリオールは、2つ以上のヒドロキシル官能基を有する有機化合物である。ポリオールは、糖アルコール、単糖類、二糖類、多糖類、又は非還元糖であり得る。ポリオールは、う蝕原性糖分子を含んでいなくてもよく、本質的に含んでいなくてもよく、又は実質的に含んでいなくてもよい。
【0057】
ポリオールは、非還元糖を含み得る。非還元糖は、アルデヒド官能基を含有する任意の化合物を生成しない糖類の部類である。非還元糖は水中で安定であり、弱い酸化剤と反応して糖アルコールを生成しない。好適な非還元糖の例としては、スクロース、トレハロース、ラフィノース、スタキオース、ベルバスコース、又はそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0058】
ポリオールは、糖アルコールを含み得る。糖アルコールは、式(CHOH)(好ましくは、式中n=3~15である)を有する、糖化合物の水素化によって得ることができるポリオールの部類である。
【0059】
糖アルコールは、グリセリン、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、ラクチトール、ガラクチトール、イソマルト、マルチトール、マルトトリイトール、マルトテトライトール、ポリグリシトール、又はそれらの組み合わせであってよい。好ましくは、安定化ポリオールは、キシリトール、ソルビトール、ガラクチトール、イソマルト、及び/又はそれらの混合物であり得る。
【0060】
可食経口組成物は、口腔ケア組成物の約0.01重量%~約70重量%、約5重量%~約70重量%、約5重量%~約50重量%、又は約10重量%~約60重量%、又は約20重量%~約80重量%のポリオールを含み得る。
【0061】
糖アルコールは、甘味に寄与し得るが、非う蝕原性であり得る。更に、キシリトール等の一部の糖アルコールは、う蝕にいくらかの利益を提供することが示されている。
【0062】
スズイオン源
本発明の可食経口組成物は、スズイオン源等からのスズを含み得る。スズイオン源は、可食経口組成物中にスズイオンを提供することができる、及び/又は歯磨剤組成物が口腔に適用されたときに口腔にスズイオンを送達することができる任意の好適な化合物であってよい。スズイオン源は、フッ化第一スズ、塩化第一スズ、臭化第一スズ、ヨウ化第一スズ、酸化第一スズ、シュウ酸第一スズ、硫酸第一スズ、硫化第一スズ、フッ化第二スズ、塩化第二スズ、臭化第二スズ、ヨウ化第二スズ、硫化第二スズ、及び/又はこれらの混合物などの1つ以上のスズ含有化合物を含み得る。スズイオン源は、フッ化第一スズ、塩化第一スズ、及び/又はこれらの混合物を含み得る。スズイオン源はまた、塩化第一スズなどのフッ化物を含まないスズイオン源であってもよい。
【0063】
可食経口組成物は、可食経口組成物の約0.0025重量%~約5重量%、約0.01重量%~約10重量%、約0.2重量%~約1重量%、約0.5重量%~約1.5重量%、又は約0.3重量%~約0.6重量%のスズイオン源を含み得る。
【0064】
Caイオン源
本発明の可食経口組成物は、カルシウムイオン源等からのカルシウムを含み得る。カルシウムイオン源は、可食経口組成物中にカルシウムイオンを提供することができる、及び/又は可食経口組成物が口腔に適用されたときに口腔にカルシウムイオンを送達することができる任意の好適な化合物又は分子であってよい。カルシウムイオン源は、カルシウム塩、カルシウム研磨剤、及び/又はこれらの組み合わせを含み得る。場合によっては、カルシウム塩をカルシウム研磨剤とみなすこともあり、又はカルシウム研磨剤をカルシウム塩とみなすこともある。
【0065】
カルシウムイオン源は、カルシウム研磨剤を含み得る。カルシウム研磨剤は、可食経口組成物中にカルシウムイオンを提供することができる、及び/又は可食経口組成物が口腔に適用されたときに口腔にカルシウムイオンを送達することができる任意の好適な研磨剤化合物であってよい。カルシウム研磨剤は、炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム(precipitated calcium carbonate、PCC)、粉砕炭酸カルシウム(ground calcium carbonate、GCC)、チョーク、リン酸二カルシウム、ピロリン酸カルシウム、及び/又はこれらの混合物などの1つ以上のカルシウム研磨剤化合物を含み得る。
【0066】
カルシウムイオン源は、カルシウム塩、又は可食経口組成物中にカルシウムイオンを提供することができる、及び/若しくは研磨剤として作用することができない可食経口組成物が口腔に適用されたときに口腔にカルシウムイオンを送達することができる化合物を含み得る。カルシウム塩は、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、リン酸カルシウム、乳酸カルシウム、シュウ酸カルシウム、酸化カルシウム、グルコン酸カルシウム、クエン酸カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ素酸カルシウム、ヨウ化カルシウム、ヒドロキシアパタイト、フルオロアパタイト、硫酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、及び/又はこれらの組み合わせなどの1つ以上のカルシウム化合物を含み得る。
【0067】
可食経口組成物は、約5重量%~約70重量%、約10重量%~約50重量%、約10重量%~約60重量%、約20重量%~約50重量%、約25重量%~約40重量%、又は約1重量%~約50重量%のカルシウムイオン源を含み得る。
【0068】
緩衝剤
可食経口組成物は、緩衝剤を含み得る。緩衝剤は、口腔内の選択された部位で特定のpHを維持することができる弱酸又は塩基であり得る。例えば、緩衝剤は、細菌によって生成されるプラーク酸の影響を軽減するために、歯の表面におけるpHを維持することができる。緩衝剤は、可食経口組成物中にも存在するイオンの共役酸を含み得る。例えば、カルシウムイオン源が炭酸カルシウムを含む場合、緩衝剤は、重炭酸アニオン(-HCO )を含み得る。緩衝剤は、クエン酸及びクエン酸ナトリウムなどの共役酸/塩基対を含み得る。
【0069】
好適な緩衝系は、リン酸塩、クエン酸塩、炭酸塩/重炭酸塩、トリス緩衝液、イミダゾール、尿素、ホウ酸塩、及び/又はこれらの組み合わせを含み得る。好適な緩衝剤としては、重炭酸ナトリウムなどの重炭酸塩、グリシン、オルトホスフェート、アルギニン、尿素、及び/又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0070】
可食経口組成物は、約1%~約30%、約5%~約25%、又は約10%~約20%の1つ以上の緩衝剤を含み得る。
【0071】
バイオフィルム変性剤
可食経口組成物は、1つ以上のバイオフィルム変性剤を含み得る。バイオフィルム変性剤は、ポリオール、アンモニア生成化合物、及び/又はグルコシルトランスフェラーゼ阻害剤を含み得る。
【0072】
ポリオールは、2つ以上のヒドロキシル官能基を有する有機化合物である。ポリオールは糖アルコールであってよく、糖アルコールは、式(CHOH)を有する糖化合物の水素化を通して得ることができるポリオールの部類である。ポリオールは、グリセリン、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、ブチレングリコール、ラクチトール、及び/又はこれらの組み合わせであり得る。可食経口組成物は、可食経口組成物の0.01重量%~約70重量%、約5重量%~約70重量%、約5重量%~約50重量%、約10重量%~約60重量%、約10重量%~約25重量%、又は約20重量%~約80重量%のポリオールを含み得る。
【0073】
アンモニア生成化合物は、口腔への送達時にアンモニアを生成することができる任意の好適な化合物であってよい。好適なアンモニア生成化合物としては、アルギニン、尿素、及び/又はこれらの組み合わせが挙げられる。可食経口組成物は、約0.01%~約10%、約1%~約5%、又は約1%~約25%の1つ以上のアンモニア生成化合物を含み得る。
【0074】
グルコシルトランスフェラーゼ阻害剤は、グルコシルトランスフェラーゼを阻害することができる任意の好適な化合物であってよい。グルコシルトランスフェラーゼは、天然のグリコシド結合を確立することができる酵素である。特に、これらの酵素は、う蝕に関連する細菌のために、多糖又はオリゴ糖部分を単糖に分解する。したがって、このプロセスを阻害することができる任意の化合物は、う蝕を予防するのに役立ち得る。好適なグルコシルトランスフェラーゼ阻害剤としては、オレイン酸、エピカテキン、タンニン、タンニン酸、モエノマイシン、カスポファンギン、エタンブトール、ルフェヌロン、及び/又はこれらの組み合わせが挙げられる。可食経口組成物は、約0.001%~約5%、約0.01%~約2%、又は約1%の1つ以上のグリコシルトランスフェラーゼ阻害剤を含み得る。
【0075】
金属イオン源
可食経口組成物は、1つ以上の金属イオンを含む金属イオン源等からの金属を含み得る。金属イオン源は、本明細書に記載されているように、スズイオン源及び/又は亜鉛イオン源を含んでもよい、又はそれに加えられてもよい。好適な金属イオン源としては、Sn、Zn、Cu、Mn、Mg、Sr、Ti、Fe、Mo、B、Ba、Ce、Al、In及び/又はこれらの混合物などであるがこれらに限定されない金属イオンを有する化合物が挙げられる。微量金属源は、好適な金属並びに任意の付随するリガンド及び/又はアニオンを含む任意の化合物であってよい。
【0076】
金属イオン源と対をなすことができる好適なリガンド及び/又はアニオンとしては、酢酸、硫酸アンモニウム、安息香酸、臭化物、ホウ酸、炭酸、塩化物、クエン酸、グルコン酸、グリセロリン酸、水酸化物、ヨウ化物、酸化物、プロピオン酸、D-乳酸、DL-乳酸、オルトリン酸、ピロリン酸、硫酸、硝酸、酒石酸、及び/又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0077】
可食経口組成物は、約0.01重量%~約10重量%、約1重量%~約5重量%、又は約0.5重量%~約15重量%の金属イオン源を含み得る。
【0078】
抗菌剤
可食経口組成物は、1つ以上の抗菌剤を含み得る。好適な抗菌剤は、口腔内で抗菌活性を提供する任意の分子を含む。好適な抗菌剤としては、ホップ酸、スズイオン源、ベンジルアルコール、安息香酸ナトリウム、酢酸メンチルグリシル、乳酸メンチル、L-メントール、o-ネオメントール、クロロフィリン銅錯体、フェノール、オキシキノリン、及び/又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0079】
可食経口組成物は、約0.01%~約10%、約1%~約5%、又は約0.5%~約15%の抗菌剤を含み得る。
【0080】
生体活性物質
可食経口組成物はまた、歯の再石灰化に好適な生体活性物質も含み得る。好適な生体活性物質としては、生体活性ガラス、Novamin(商標)、Recaldent(商標)、ヒドロキシアパタイト、1つ以上のアミノ酸、例えば、アルギニン、シトルリン、グリシン、リジン、若しくはヒスチジンなど、又はこれらの組み合わせが挙げられる。アルギニンを含む組成物の好適な例は、参照によりそれらの全体が本明細書に援用される米国特許第4,154,813号及び同第5,762,911号にみられる。他の好適な生体活性物質としては、任意のリン酸カルシウム化合物が挙げられる。他の好適な生体活性物質としては、カルシウム源及びホスフェート源を含む化合物が挙げられる。
【0081】
アミノ酸は、アミン官能基、カルボキシル官能基、及び各アミノ酸に特異的な側鎖を含有する有機化合物である。好適なアミノ酸としては、例えば、正又は負の側鎖を有するアミノ酸、酸性又は塩基性の側鎖を有するアミノ酸、極性非荷電側鎖を有するアミノ酸、疎水性側鎖を有するアミノ酸、及び/又はこれらの組み合わせが挙げられる。好適なアミノ酸としては、例えば、アルギニン、ヒスチジン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、スレオニン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セレノシステイン、グリシン、プロリン、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、シトルリン、オルニチン、クレアチン、ジアミノブトン(diaminobutonic)酸、ジアミノプロピオン酸、これらの塩、及び/又はこれらの組み合わせも挙げられる。
【0082】
生体活性ガラスは、ヒドロキシアパタイトと同様の割合で存在し得るカルシウム及び/又はホスフェートを含んでいる。これらのガラスは、組織に結合でき、生体適合性である。生体活性ガラスとしては、ホスホペプチド、カルシウム源、ホスフェート源、シリカ源、ナトリウム源、及び/又はこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0083】
可食経口組成物は、可食経口組成物の約0.01重量%~約20重量%、約0.1重量%~約10重量%、又は約1重量%~約10重量%の生体活性物質を含み得る。
【0084】
研磨剤
可食経口組成物は、本明細書に記載のカルシウム研磨剤、並びに/又は非カルシウム研磨剤、例えば、ベントナイト、シリカゲル(単独で、かつ任意の構造のもの)、沈降シリカ、非晶質沈降シリカ(同様に単独で、かつ任意の構造のもの)、水和シリカ、パーライト、二酸化チタン、ピロリン酸カルシウム、リン酸二カルシウム二水和物、アルミナ、水和アルミナ、焼成アルミナ、ケイ酸アルミニウム、不溶性メタリン酸ナトリウム、不溶性メタリン酸カリウム、不溶性炭酸マグネシウム、ケイ酸ジルコニウム、粒子状熱硬化性樹脂、及び他の好適な研磨材料を含み得る。このような材料を可食経口組成物に導入して、標的歯磨剤製剤の研磨特性を調整することができる。可食経口組成物は、可食経口組成物の約5重量%~約70重量%、約10重量%~約50重量%、約10重量%~約60重量%、約20重量%~約50重量%、約25重量%~約40重量%、又は約1重量%~約50重量%の非カルシウム研磨剤を含み得る。
【0085】
あるいは、可食経口組成物は、シリカ、アルミナ、又は任意の他の非カルシウム研磨剤を実質的に含んでいなくてもよく、本質的に含んでいなくてもよく、又は含んでいなくてもよい。可食経口組成物は、約5%未満、約1%未満、約0.5%未満、約0.1%未満、又は0%の非カルシウム研磨剤、例えば、シリカ及び/又はアルミナを含み得る。
【0086】

本発明の可食経口組成物は、無水、低含水製剤、又は高含水製剤であり得る。合計で、可食経口組成物は、組成物の0重量%~約99重量%、約5重量%~約75重量%、約20重量%以上、約30重量%以上、又は約50重量%以上の水を含み得る。好ましくは、水は、USP水である。
【0087】
高含水可食経口組成物及び/又は練り歯磨き製剤では、可食経口組成物は、組成物の約45重量%~約75重量%の水を含む。高含水可食経口組成物及び/又は練り歯磨き製剤は、組成物の約45重量%~約65重量%、約45重量%~約55重量%、又は約46重量%~約54重量%の水を含み得る。水は、高含水製剤に添加されてもよく、かつ/又は他の成分を含めることによって組成物に組み込まれてもよい。
【0088】
低含水可食経口組成物及び/又は練り歯磨き製剤では、可食経口組成物は、組成物の約5重量%~約45重量%の水を含む。低含水可食経口組成物は、組成物の約5重量%~約35重量%、約10重量%~約25重量%、又は約20重量%~約25重量%の水を含み得る。水は、低含水製剤に添加されてもよく、及び/又は他の成分を含めることによって組成物に組み込まれてもよい。
【0089】
無水可食経口組成物及び/又は練り歯磨き製剤では、可食経口組成物は、組成物の約10重量%未満の水を含む。無水組成物は、組成物の約5重量%未満、約1重量%未満、又は0重量%の水を含む。水は、無水製剤に添加されてもよく、及び/又は他の成分を含めることによって組成物に組み込まれてもよい。
【0090】
マウスリンス製剤は、約75%~約99%、約75%~約95%、又は約80%~約95%の水を含む。
【0091】
組成物はまた、アルコール、保湿剤、ポリマー、界面活性剤、及び許容性改善剤、例えば着香剤、甘味剤、着色剤及び/又は冷感剤などの、他の口腔的に許容し得る担体材料を含み得る。
【0092】
pH
開示される組成物のpHは、約4~約10、約7~約10、7超~約10、8超~約10、7超、7.5超、8超、9超、又は約8.5~約10であり得る。
【0093】
亜鉛イオン源
可食経口組成物は、亜鉛イオン源等からの亜鉛を含み得る。亜鉛イオン源は、フッ化亜鉛、乳酸亜鉛、酸化亜鉛、リン酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、ヘキサフルオロジルコン酸亜鉛、硫酸亜鉛、酒石酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、クエン酸亜鉛、リンゴ酸亜鉛、亜鉛グリシネート、ピロリン酸亜鉛、メタリン酸亜鉛、シュウ酸亜鉛、及び/又は炭酸亜鉛などの1つ以上の亜鉛含有化合物を含み得る。亜鉛イオン源は、リン酸亜鉛、酸化亜鉛、及び/又はクエン酸亜鉛などのフッ化物を含まない亜鉛イオン源であり得る。
【0094】
亜鉛イオン源は、全可食経口組成物中に、歯磨剤組成物の約0.01重量%~約10重量%、約0.2重量%~約1重量%、約0.5重量%~約1.5重量%、又は約0.3重量%~約0.6重量%の量で存在し得る。
【0095】
ポリホスフェート
可食経口組成物は、ポリホスフェート源等からのポリホスフェートを含み得る。ポリホスフェート源は、1つ以上のポリホスフェート分子を含み得る。ポリホスフェートは、オルトホスフェートの脱水及び縮合によって様々な鎖長の直鎖及び環状ポリホスフェートをもたらすことにより、得られる物質の部類である。したがって、ポリホスフェート分子は、一般に、以下に記載されるように、ポリホスフェート分子の平均数(n)で同定される。ポリホスフェートは一般に、主に直鎖構造に配置された2つ以上のホスフェート分子からなると理解されているが、いくつかの環状誘導体が存在する場合もある。
【0096】
好ましいポリホスフェートは、有効濃度での表面吸着により十分な非結合のホスフェート官能基を生成し、これがアニオン性表面電荷並びに表面の親水性特徴を強化するように、平均して2つ以上のホスフェート基を有するものである。本発明において好ましいものは、式:XO(XPOX(式中、Xは、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、又は任意の他のアルカリ金属カチオンであり、nは、平均約2~約21である)を有する直鎖状ポリホスフェートである。カルシウムなどのアルカリ土類金属カチオンは、フッ化物イオン及びアルカリ土類金属カチオンを含む水溶液から不溶性フッ化物塩を形成する傾向があるため、好ましくない。したがって、本明細書に開示される可食経口組成物は、ピロリン酸カルシウムを含んでいなくてもよく、本質的に含んでいなくてもよく、又は実質的に含んでいなくてもよい。
【0097】
好適なポリホスフェート分子のいくつかの例としては、例えば、ピロホスフェート(n=2)、トリポリホスフェート(n=3)、テトラポリホスフェート(n=4)、ソーダフォスポリホスフェート(n=6)、ヘキサフォスポリホスフェート(n=13)、ベネフォスポリホスフェート(n=14)、Glass Hとしても知られるヘキサメタホスフェート(n=21)を挙げることができる。ポリホスフェートとしては、FMC Corporation、ICL Performance Products、及び/又はAstarisによって製造されるポリホスフェート化合物を挙げることができる。
【0098】
可食経口組成物は、可食経口組成物の約0.01重量%~約15重量%、約0.1重量%~約10重量%、約0.5重量%~約5重量%、約1~約20重量%、又は約10重量%以下のポリホスフェート源を含み得る。
【0099】
保湿剤
可食経口組成物は、1つ以上の保湿剤を含んでいてもよく、低濃度の保湿剤を含んでいてもよく、保湿剤を本質的に含んでいなくてもよく、実質的に含んでいなくてもよく、又は含んでいなくてもよい。保湿剤は、可食経口組成物又は歯磨剤にこし(body)又は「口当たり(mouth texture)」を加えるだけでなく、歯磨剤が乾燥するのを防ぐ役割を果たす。好適な保湿剤としては、ポリエチレングリコール(様々な異なる分子量で)、プロピレングリコール、グリセリン(グリセロール)、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、ブチレングリコール、ラクチトール、加水分解水添デンプン、及び/又はこれらの混合物が挙げられる。可食経口組成物は、可食経口組成物のそれぞれ0~約70重量%、約5重量%~約50重量%、約10重量%~約60重量%、又は約20重量%~約80重量%の濃度で1つ以上の保湿剤を含み得る。
【0100】
界面活性剤
可食経口組成物は、1つ以上の界面活性剤を含み得る。界面活性剤は、組成物をより美容的に許容可能にするために使用することができる。界面活性剤は、好ましくは、組成物に洗浄性及び起泡性を付与する洗浄性材料である。好適な界面活性剤は、安全かつ有効な量のアニオン性、カチオン性、非イオン性、双性イオン性、両性、及びベタイン界面活性剤である。
【0101】
好適なアニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルラジカル中に8~20個の炭素原子を有するアルキルサルフェートの水溶性塩、及び8~20個の炭素原子を有する脂肪酸のスルホン化モノグリセリドの水溶性塩が挙げられる。ラウリル硫酸ナトリウム(sodium lauryl sulfate、SLS)及びココナツモノグリセリドスルホン酸ナトリウムは、この種類のアニオン性界面活性剤の例である。他の好適なアニオン性界面活性剤としては、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、タウレート、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、ラウロイルイセチオン酸ナトリウム、ラウレスカルボン酸ナトリウム、及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのサルコシネートが挙げられる。アニオン性界面活性剤の組み合わせも使用することができる。
【0102】
別の好適な部類のアニオン性界面活性剤は、アルキルホスフェートである。界面活性有機リン酸剤は、エナメル質表面に対して強い親和性を有し、かつペリクルタンパク質を脱着して、エナメル表面に付着したまま留まる十分な表面結合性を有し得る。有機リン酸化合物の好適な例としては、以下の一般構造(式中、Z、Z、又はZは同一であっても異なっていてもよく、少なくとも1つが有機部分である)によって表されるモノ-、ジ-又はトリエステルが挙げられる。Z、Z、又はZは、任意に1個以上のリン酸基により置換される、直鎖状若しくは分枝状の、1~22個の炭素原子のアルキル又はアルケニル基;アルコキシル化アルキル若しくはアルケニル、(ポリ)サッカライド、ポリオール又はポリエーテル基から選択され得る。
【0103】
【化4】
いくつかの他の剤としては、以下の構造:
【0104】
【化5】
によって表されるアルキル又はアルケニルリン酸エステル(式中、Rは、任意選択で1個以上のリン酸基により置換される、直鎖状若しくは分枝状の、6~22個の炭素原子のアルキル又はアルケニル基を表し、n及びmは、独立してかつ別個に、2~4であり、a及びbは、独立してかつ別個に、0~20であり、Z及びZは、同一であっても又は異なってもよく、それぞれ、水素、アルカリ金属、アンモニウム、アルカノールアミンなどのプロトン化したアルキルアミン若しくはプロトン化した官能性アルキルアミン、又はR-(OCH2)(OCH)-基を表す)が挙げられる。好適な剤の例としては、アルキル及びアルキル(ポリ)アルコキシホスフェート、例えば、ラウリルホスフェート;PPGSセテアレス-10ホスフェート;ラウレス-1ホスフェート;ラウレス-3ホスフェート;ラウレス-9ホスフェート;トリラウレス-4ホスフェート;C12~18 PEG9リン酸塩:及びジラウレス-10リン酸ナトリウムが挙げられる。アルキルホスフェートは、ポリマーであり得る。ポリマーアルキルホスフェートの例としては、高分子部分としての反復アルコキシ基、具体的には、3つ以上のエトキシ、プロポキシイソプロポキシ、又はブトキシ基を含有するものが挙げられる。
【0105】
他の好適なアニオン性界面活性剤は、サルコシネート、イセチオネート、及びタウレート、特にそれらのアルカリ金属又はアンモニウム塩である。例としては、ラウロイルサルコシネート、ミリストイルサルコシネート、パルミトイルサルコシネート、ステアロイルサルコシネート、オレオイルサルコシネート、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0106】
他の好適なアニオン性界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸ナトリウム若しくはカリウム、アシルイセチオネート、アシルメチルイセチオネート、アルキルエーテルカルボキシレート、アシルアラニネート、アシルグルタム、アシルグリシネート、アシルサルコシネート、メチルアシルタウリン酸ナトリウム、ラウレススルホコハク酸ナトリウム、アルファオレフィンスルホネート、アルキルベンズスルホネート、ラウロイル乳酸ナトリウム、ラウリルグルコシドヒドロキシプロピルスルホン酸ナトリウム、及び/又は組み合わせが挙げられる。
【0107】
本明細書において有用な双極性又は両性界面活性剤としては脂肪族四級アンモニウム、ホスホニウム、及びスルホニウム化合物の誘導体が挙げられ、脂肪族ラジカルが直鎖又は分枝鎖であってよく、脂肪族置換基のうちの1つが8~18個の炭素原子を含有し、1つが例えばカルボキシ、スルホン酸、硫酸、リン酸、又はホスホン酸などのアニオン性水可溶化基を含有する。好適なベタイン界面活性剤は、米国特許第5,180,577号に開示されている。典型的なアルキルジメチルベタインとしては、デシルベタイン、すなわち2-(N-デシル-N,N-ジメチルアンモニオ)アセテート、ココベタイン、すなわち2-(N-ココ-N,N-ジメチルアンモニオ)アセテート、ミリスチルベタイン、パルミチルベタイン、ラウリルベタイン、セチルベタイン、セチルベタイン、ステアリルベタインなどが挙げられる。アミドベタインは、ココアミドエチルベタイン、ココアミドプロピルベタイン(cocoamidopropyl betaine、CADB)、及びラウラミドプロピルベタインによって例示され得る。他の好適な両性界面活性剤としては、ベタイン、スルタイン、ラウリルアンホ酢酸ナトリウム、アルキルアンホジアセテート、及び/又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0108】
本発明において有用なカチオン性界面活性剤としては、例えば、8~18個の炭素原子を含有する1本の長いアルキル鎖を有する四級アンモニウム化合物の誘導体、例えば、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム;塩化セチルピリジニウム;臭化セチルトリメチルアンモニウム;フッ化セチルピリジニウム、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0109】
本発明の組成物中で使用できる非イオン性界面活性剤としては、例えば、アルキレンオキシド基(性質上は親水性)と、性質上は脂肪族又はアルキル芳香族であってもよい有機疎水性化合物との縮合によって生成される化合物が挙げられる。好適な非イオン性界面活性剤の例としては、ポロキサマーであるPluronics(登録商標)、アルキルフェノールのポリエチレンオキシド縮合物、エチレンオキシドとプロピレンオキシド及びエチレンジアミンの反応生成物との縮合から誘導される生成物、脂肪族アルコールのエチレンオキシド縮合物、長鎖三級アミンオキシド、長鎖三級ホスフィンオキシド、長鎖ジアルキルスルホキシド、並びにこのような材料の組み合わせを挙げることができる。他の好適な非イオン性界面活性剤としては、アルキルグルカミド、アルキルグルコシド、及び/又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0110】
1つ以上の界面活性剤はまた、1つ以上の天然及び/又は天然由来の界面活性剤を含んでいてもよい。天然界面活性剤としては、天然物由来の界面活性剤、及び/又は最低限の加工がされた、若しくは未加工の界面活性剤を挙げることができる。天然界面活性剤としては、水素添加、非水素添加、又は部分水素添加植物油、野菜油、チャボトケイソウ油、キャンデリラろう、ココ-カプリレート、カプレート、ジカプリリルエーテル、ラウリルアルコール、ミリスチルミリステート、ジカプリリルエーテル、カプリル酸、カプリルエステル、オクチルデカノエート、オクチルオクタノエート、ウンデカン、トリデカン、デシルオレエート、オレイン酸デシルエステル、セチルパルミテート、ステアリン酸、パルミチン酸、グリセリルステアレート、水素添加、非水素添加、又は部分水素添加植物グリセリド、ポリグリセリル-2ジポリヒドロキシステアレート、セテアリルアルコール、スクロースポリステアレート、グリセリン、オクタドデカノール、水素添加、部分水素添加、又は非水素添加植物タンパク質、水素添加、部分水素添加、又は非水素添加小麦タンパク質加水分解物、ポリグリセリル-3ジイソステアレート、グリセリルオレエート、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ナトリウムセテアリルサルフェート、セテアリルアルコール、グリセリルラウレート、カプリントリグリセリド、ココ-グリセリド、レシチン(lectithin)、ジカプリリルエーテル、キサンタンガム、ナトリウムココ-サルフェート、アンモニウムラウリルサルフェート、ナトリウムココイルサルフェート、ナトリウムココイルグルタメート、ポリアルキルグルコシド、例えば、デシルグルコシド、セテアリルグルコシド、セチルステアリルポリグルコシド、ココ-グルコシド、及びラウリルグルコシド、並びに/又はこれらの組み合わせを挙げることができる。天然界面活性剤としては、例えば、CegeSoft(登録商標)、Cetiol(登録商標)、Cutina(登録商標)、Dehymuls(登録商標)、Emulgade(登録商標)、Emulgin(登録商標)、Eutanol(登録商標)、Gluadin(登録商標)、Lameform(登録商標)、LameSoft(登録商標)、Lanette(登録商標)、Monomuls(登録商標)、Myritol(登録商標)、Plantacare(登録商標)、Plantaquat(登録商標)、Platasil(登録商標)、Rheocare(登録商標)、Sulfopon(登録商標)、Texapon(登録商標)、及び/又はこれらの組み合わせなどのBASFから販売される天然成分のうち任意のものを挙げることができる。
【0111】
界面活性剤の他の具体例としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルイセチオン酸ナトリウム、ラウロイルメチルイセチオン酸ナトリウム、ココイルグルタミン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウロイルサルコシン酸、ミリストイルサルコシン酸、パルミトイルサルコシン酸、ステアロイルサルコシン酸及びオレオイルサルコシン酸のアルカリ金属塩又はアンモニウム塩、モノステアリン酸、イソステアリン酸及びラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、N-ラウロイルサルコシン、N-ラウロイル、N-ミリストイル、又はN-パルミトイルサルコシンのナトリウム、カリウム及びエタノールアミン塩、アルキルフェノールのポリエチレンオキシド縮合物、ココアミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、パルミチルベタイン、ココイルグルタミン酸ナトリウムなどが挙げられる。望ましい追加の界面活性剤としては、グルタミン酸の脂肪酸塩、アルキルグルコシド、タウリン酸の塩、ベタイン、カプリレート、及び/又はこれらの混合物が挙げられる。可食経口組成物はまた、サルフェートを含まなくてもよい。
【0112】
可食経口組成物は、それぞれ可食経口組成物の約0.01重量%~約15重量%、約0.3重量%~約10重量%、又は約0.3重量%~約2.5重量%の濃度の1つ以上の界面活性剤を含み得る。
【0113】
増粘剤
可食経口組成物は、1つ以上の増粘剤を含み得る。増粘剤は、可食経口組成物において、歯磨剤及び/又は練り歯磨きを相分離に対して安定化させるゼラチン構造を提供するのに有用であり得る。好適な増粘剤としては、多糖類、ポリマー、及び/又はシリカ増粘剤が挙げられる。
【0114】
増粘剤は、1つ以上の多糖類を含み得る。多糖類のいくつかの非限定例としては、デンプン;デンプンのグリセライト;ガム、例えば、カラヤガム(ステルクリアガム)、トラガカントガム、アラビアガム、ガティガム、アカシアガム、キサンタンガム、グアーガム、及びセルロースガム;ケイ酸アルミニウムマグネシウム(Veegum);カラギーナン;アルギン酸ナトリウム;寒天;ペクチン;ゼラチン;セルロース化合物、例えばセルロース、微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルカルボキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、及び硫酸化セルロース;天然及び合成粘土、例えば、ヘクトライト粘土;並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0115】
本明細書において使用するのに好適な他の多糖類としては、カラギーナン、ジェランガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、カルボマー、ポロキサマー、変性セルロース、及びこれらの混合物が挙げられる。カラギーナンは、海藻由来の多糖類である。その海藻源によって区別され得る、及び/又は硫酸化の程度及び位置によって区別され得る複数種類のカラギーナンが存在する。増粘剤としては、κ-カラギーナン、変性κ-カラギーナン、ι-カラギーナン、変性ι-カラギーナン、λ-カラギーナン、及びこれらの混合物を挙げることができる。本明細書での使用に好適なカラギーナンとしては、FMC Companyからシリーズ名「Viscarin」で市販されているものが挙げられ、限定するものではないが、Viscarin TP 329、Viscarin TP 388、及びViscarin TP 389が挙げられる。
【0116】
増粘剤は、1つ以上のポリマーを含み得る。ポリマーは、可食経口組成物の様々な重量パーセントの及び様々な範囲の平均分子範囲の、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリル酸、少なくとも1つのアクリル酸モノマーから誘導されたポリマー、無水マレイン酸とメチルビニルエーテルとのコポリマー、架橋ポリアクリル酸ポリマーであり得る。あるいは、可食経口組成物は、無水マレイン酸とメチルビニルエーテルとのコポリマーを含んでいなくてもよく、本質的に含んでいなくてもよく、又は実質的に含んでいなくてもよい。
【0117】
増粘剤は、1つ以上の無機増粘剤を含み得る。好適な無機増粘剤のいくつかの非限定的な例としては、コロイド状ケイ酸アルミニウムマグネシウム、シリカ増粘剤が挙げられる。有用なシリカ増粘剤としては、例えば、非限定的な例として、ZEODENT(登録商標)165シリカなどの非晶質沈降シリカが挙げられる。他の非限定的なシリカ増粘剤としては、全てEvonik Corporationから入手可能なZEODENT(登録商標)153、163、及び167、並びにZEOFREE(登録商標)177及び265シリカ製品、並びにAEROSIL(登録商標)ヒュームドシリカが挙げられる。
【0118】
可食経口組成物は、0.01%~約15%、0.1%~約10%、約0.2%~約5%、又は約0.5%~約2%の1つ以上の増粘剤を含み得る。
【0119】
プレニル化フラボノイド
本発明の可食経口組成物は、プレニル化フラボノイドを含み得る。フラボノイドは、広範囲の果物、野菜、穀物、樹皮、根、茎、花、茶、及びワインにみられる天然物質の群である。フラボノイドは、抗酸化、抗炎症、抗変異原性、抗癌、及び抗菌の効果などの健康に対する様々な有益な効果を有し得る。プレニル化フラボノイドは、細胞膜への結合を促進するために既に同定されている、少なくとも1つのプレニル官能基(式VIIIに示されるような3-メチルブタ-2-エン-1-イル)を含むフラボノイドである。したがって、理論に束縛されることを望むものではないが、フラボノイドへのプレニル基の付加、すなわちプレニル化は、親分子の親油性を高め、プレニル化分子の細菌細胞膜への浸透を改善することによって、元のフラボノイドの活性を増加させることができると考えられる。親油性を高めて細胞膜への浸透を増加させることは、プレニル化フラボノイドが高LogP値(高親油性)では不溶性に向かう傾向があるため、両刃の剣であり得る。LogPは、抗菌有効性の重要な指標であり得る。
【0120】
したがって、プレニル化フラボノイドという用語は、1つ以上のプレニル官能基を有する天然にみられるフラボノイド、合成的に付加されたプレニル官能基を有するフラボノイド、及び/又は合成的に付加された追加のプレニル官能基を有するプレニル化フラボノイドを含み得る。
【0121】
【化6】
【0122】
プレニル化分子の構造-活性関係(例えば、構造-MIC関係)を改善する親分子の他の好適な官能基は、親フラボノイドの芳香環のうちの1つ以上に置換された窒素若しくは酸素、アルキルアミノ鎖、又はアルキル鎖を含有する追加の複素環を含む。
【0123】
フラボノイドは、少なくとも2つのフェニル環及び少なくとも1つの複素環式環を有する15炭素骨格を有し得る。いくつかの好適なフラボノイド骨格は、式IX(フラボン骨格)、式X(イソフラバン骨格)、及び/又は式XI(ネオフラボノイド骨格)に示され得る。
【0124】
【化7】
【0125】
フラボノイドの他の好適な下位群としては、アントシアニジン、アントキサンチン、フラバノン、フラバノノール、フラバン、イソフラボノイド、カルコン、及び/又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0126】
プレニル化フラボノイドは、合成有機化学の当業者に知られている様々な合成プロセスを通して、1つ以上のプレニル官能基を付加するために合成的に改変された、天然に単離されたプレニル化フラボノイド又は天然に単離されたフラボノイドを含み得る。
【0127】
他の好適なプレニル化フラボノイドとしては、ババカルコン、ババチン、ババチニン、コリリフォールA、エピメジンA、エピメジンA1、エピメジンB、エピメジンC、イカリイン、イカリシドI、イカリシドII、イカリチン、イソババカルコン、イソキサントフモール、ネオババイソフラボン、6-プレニルナリンゲニン、8-プレニルナリンゲニン、ソフォラフラバノンG、(-)-ソフォラノン、キサントフモール、ケルセチン、マセリグナン、クラリジン、クラリノン、クワノンG、クワノンC、パンデュラチンA、6-ゲラニルナリンゲニン、アウストラロンA、6,8-ジプレニルエリオジクチオール、ドルスマニンC、ドルスマニンF、8-プレニルケンフェロール、7-O-メチルテオン、ルテオン、6-プレニルゲニステイン、イソウィテオン、ルピウィテオン、及び/又はこれらの組み合わせを挙げることができる。他の好適なプレニル化フラボノイドとしては、カンフラビンA、カンフラビンB、及び/又はカンフラビンCなどのカンフラビンが挙げられる。
【0128】
好ましくは、プレニル化フラボノイドは、グラム陽性菌である黄色ブドウ球菌(S. aureus)については、約25ppm未満のMICを有する可能性が高い。好適なプレニル化フラボノイドとしては、ババチン、ババチニン、コリリフォールA、イカリチン、イソキサントフモール、ネオババイソフラボン、6-プレニルナリンゲニン、8-プレニルナリンゲニン、ソフォラフラバノンG、(-)-ソフォラノン、クラリノン、クワノンC、パンデュラチンA、及び/又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0129】
好ましくは、プレニル化フラボノイドは、グラム陰性菌である大腸菌(E. coli)については、約25ppm未満のMICを有する可能性が高い。好適なプレニル化フラボノイドとしては、ババチニン、イソキサントフモール、8-プレニルナリンゲニン、ソフォラフラバノンG、クラリノン、パンデュラチンA、及び/又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0130】
約1000種のプレニル化フラボノイドが植物から同定されている。これまでに報告されているプレニル化フラボノイドの数によれば、プレニル化フラボノンが最も一般的なサブクラスであり、プレニル化フラバノールが最も稀なサブクラスである。天然のプレニル化フラボノイドは、多様な構造的特徴を有することが検出されているにもかかわらず、植物において狭い分布を有し、これらは、ほぼ全ての植物に存在するので親フラボノイドとは異なる。プレニル化フラボノイドのほとんどは、アサ科(Cannabaceae)、オトギリソウ科(Guttiferae)、マメ科(Leguminosae)、クワ科(Moraceae)、ミカン科(Rutaceae)、及びセリ科(Umbelliferae)を含む科にみられる。マメ科及びクワ科は、果物及び野菜として消費されるので、最も頻繁に調査されている科であり、多くの新規のプレニル化フラボノイドが探索されている。アサ科のフムルス・ルプルスは、ビールの健康効果において重要な役割を果たす8-プレニルナリンゲニン及びキサントフモールを含む。
【0131】
プレニル化フラボノイドは、ホップ抽出物を通して組み込まれてもよく、別々に添加される抽出物に組み込まれてもよく、又は本明細書に開示される可食経口組成物の別個の成分として添加されてもよい。
【0132】
ビタミン
可食経口組成物は、1つ以上のビタミンを含み得る。本明細書で使用する場合、「ビタミン」は、ビタミンの全ての天然及び/若しくは合成類縁体、ビタマー、ビタミンの生物学的活性を呈する化合物及び/若しくは誘導体、これらの化合物の異性体、これらの化合物の立体異性体、これらの化合物の塩、又はそれらの組み合わせを含む。
【0133】
歯肉の健康のために好適なビタミンは、レチノイド化合物等のビタミンA、ビタミンB1(チアミン)、ビタミンB2(リボフラビン)、ビタミンB3(ナイアシン)、ビタミンB5(パントテン酸)、ビタミンB6、ビタミンB7(ビオチン)、ビタミンB9(葉酸及び/又は葉酸塩)、ビタミンB12(シアノコバラミン)を含むビタミンB、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、及び/又はそれらの組み合わせを含み得る。ビタミンはまた、コリン、カルニチン、又はそれらの組み合わせなどの他のビタミン様化合物を含み得る。
【0134】
口腔ケア組成物は、組成物の約0.0001重量%~約10重量%、約0.01重量%~約5重量%、又は約0.01重量%~約2重量%のビタミンを含み得る。
【0135】
レチノイド化合物
本発明の組成物は、1つ以上のレチノイド化合物を含み得る。本明細書で使用される場合、「レチノイド化合物」は、ビタミンA又は皮膚内でビタミンAの生物学的活性を有するレチノール様化合物の全ての天然及び/又は合成類縁体、並びにこれらの化合物の幾何異性体及び立体異性体を含む。レチノイド化合物は、例えば、レチノール、レチニルエステル(例えば、レチニルパルミテート、レチニルアセテート、レチニルプロピオネートを含むレチノールのC-Cアルキルエステル)、レチナール、及び/又はレチノイン酸(全てトランスのレチノイン酸及び/又は13-シス-レチノイン酸を含む)であり得る。いくつかの実施形態では、レチノイン酸以外のレチノイドが使用される。これらの化合物は、当該技術分野で入手可能であり、いくつかの供給元、例えば、Sigma Chemical Company(St.Louis,Mo.)及びBoerhinger Mannheim(Indianapolis,Ind.)から市販されている。他の好適なレチノイドは、トコフェリル-レチノエート、シス-又はトランス-レチノイン酸のトコフェロールエステル、アダパレン(6-3-(1-アダマンチル)-4-メトキシフェニル-2-ナフトエ酸)、及びタザロテン(エチル6-2-(4,4-ジメチルチオクロマン-6-イル)-エチニルニコチネート)である。望ましいレチノイドとしては、レチノール、レチノイン酸、パルミチン酸レチニル、酢酸レチニル、プロピオン酸レチニル、レチナール、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0136】
レチノイド化合物は、実質的に純物質として、又は天然(例えば、植物)源からの好適な物理的及び/又は化学的単離により得られた抽出物として含まれてよい。レチノイド化合物は、実質的に純粋であり得るか、又は本質的に純粋であり得る。本発明の組成物は、口腔ケア組成物が、口腔に適用されてから、ケラチン性組織及び誤飲の状態を調節又は改善するために安全かつ有効であるように、安全かつ有効な量のレチノイド化合物を含有し得る。
【0137】
レチノイド化合物は、レチノール、レチニルエステル、レチナール、レチノイン酸、トコフェリル-レチノエート、シス-又はトランス-レチノイン酸のトコフェロールエステル、イソトレチノイン、アリトレチノイン、エトレチナート、アシトレチン、アダパレン、ベキサロテン、タザロテン、又はそれらの組み合わせを含み得る。レチノイド化合物は、口腔内での使用により、医薬品グレード、USP、又は同様のグレードであり得る。レチノイド化合物及び/又はレチノールは、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、又は少なくとも約99.9%の純度を有し得る。口腔ケア組成物は、組成物の約0.0001重量%~約10重量%、約0.01重量%~約5重量%、又は約0.01重量%~約2重量%のレチノイド化合物を含み得る。
【0138】
レチノイド化合物は、シス-及び/又はトランス-アルケン官能基を含むレチノールを含み得る。レチノールは、少なくとも約80%、少なくとも約90%、及び/又は少なくとも約95%のトランス-アルケン官能基を含み得る。
【0139】
レチノイド化合物はまた、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及び/又は非イオン性界面活性剤などの界面活性剤を含み得、これは、歯肉バリア透過性を改善し得る。好適な界面活性剤としては、ポリソルベートが挙げられ得る。
【0140】
アミノ酸
可食経口組成物は、アミノ酸を含み得る。アミノ酸は、本明細書に記載されるように、1つ以上のアミノ酸、ペプチド、及び/又はポリペプチドを含み得る。予想外に、レチノイド化合物とアミノ酸との組み合わせは、ユーザの歯肉健康を改善し得ることが見出された。
【0141】
アミノ酸は、式XIIにあるように、アミン官能基、カルボキシル官能基、及びそれぞれのアミノ酸に特異的な側鎖(式XIIではR)を含有する有機化合物である。好適なアミノ酸としては、例えば、正又は負の側鎖を有するアミノ酸、酸性又は塩基性の側鎖を有するアミノ酸、極性非荷電側鎖を有するアミノ酸、疎水性側鎖を有するアミノ酸、及び/又はこれらの組み合わせが挙げられる。好適なアミノ酸としては、例えば、アルギニン、ヒスチジン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、スレオニン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セレノシステイン、グリシン、プロリン、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、シトルリン、オルニチン、クレアチン、ジアミノブトン(diaminobutonic)酸、ジアミノプロピオン酸、これらの塩、及び/又はこれらの組み合わせも挙げられる。
【0142】
好適なアミノ酸としては、天然起源の又は合成的に誘導される、式XIIに記載の化合物が挙げられる。アミノ酸は、R基及び環境に基づいて、双性イオン性であるか、中性であるか、正に帯電するか、又は負に帯電し得る。アミノ酸の電荷は、当業者に周知であろう。
【0143】
【化8】
【0144】
好適なアミノ酸としては、1つ以上の塩基性アミノ酸、1つ以上の酸性アミノ酸、1つ以上の中性アミノ酸、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0145】
可食経口組成物は、口腔ケア組成物の約0.01重量%~約20重量%、約0.1重量%~約10重量%、約0.5重量%~約6重量%、又は約1重量%~約10重量%のアミノ酸を含み得る。
【0146】
本明細書で使用するとき、用語「中性アミノ酸」には、アラニン、アスパラギン、システイン、グルタミン、グリシン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリンなどの天然由来の中性アミノ酸だけではなく、pH5.0~7.0の範囲の等電点を有する生物学的に許容可能なアミノ酸が挙げられる。生物学的に好ましい許容可能な中性アミノ酸は、分子中に単一のアミノ基及びカルボキシル基を有するか、又は、物理化学的特性は類似若しくは実質的に類似しているが変更された側鎖を有する官能性誘導体などの、これらの官能性誘導体を有する。更なる実施形態では、アミノ酸は、最低限部分的に水溶性であり、25℃で1g/1000mLの水溶液において7未満のpHを提供する。
【0147】
したがって、本発明での使用に好適な中性アミノ酸としては、アラニン、アミノ酪酸、アスパラギン、システイン、シスチン、グルタミン、グリシン、ヒドロキシプロリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、タウリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、これらの塩、又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、本発明の組成物において使用される中性アミノ酸としては、アスパラギン、グルタミン、グリシン、これらの塩、又はこれらの混合物を挙げることができる。中性アミノ酸は、25℃の水溶液中で、5.0、又は5.1、又は5.2、又は5.3、又は5.4、又は5.5、又は5.6、又は5.7、又は5.8、又は5.9、又は6.0、又は6.1、又は6.2、又は6.3、又は6.4、又は6.5、又は6.6、又は6.7、又は6.8、又は6.9、又は7.0の等電点を有し得る。好ましくは、中性アミノ酸は、プロリン、グルタミン、又はグリシンから選択され、より好ましくはその遊離形態(すなわち、非錯体型)である。中性アミノ酸がその塩形態である場合、好適な塩としては、提供される量及び濃度において生理学的に許容可能であると考えられる、当該技術分野において医薬的に許容される塩であることが既知である塩が挙げられる。好ましくは、中性アミノ酸は、組成物の約0.0001重量%~約10重量%、好ましくは約0.05重量%~約5重量%、好ましくは約0.1重量%~約3重量%、好ましくは約0.5重量%~約3重量%、好ましくは約1重量%~約3重量%の量で存在する。一態様では、中性アミノ酸はグルタミン(又はその塩)である。別の一態様では、中性アミノ酸はプロリン(又はその塩)である。更に別の態様では、中性アミノ酸はグリシン(又はその塩)である。
【0148】
可食経口組成物は、口腔ケア組成物の約0.0001重量%~約20重量%、約0.1重量%~約10重量%、約0.5重量%~約6重量%、又は約1重量%~約10重量%の中性アミノ酸を含み得る。
【0149】
ペプチド
可食経口組成物はまた、ペプチドを含み得る。ペプチドは、鎖内で一緒に結合したいくつかのアミノ酸残基からなる直鎖有機ポリマーであり、タンパク質分子の一部(又は全体)を形成する。ペプチドは、2個のアミノ酸~10個のアミノ酸、2個のアミノ酸~5個のアミノ酸、又は4個のアミノ酸~6個のアミノ酸を含み得る。
【0150】
限定するものではないが、ジ-、トリ-、テトラ-、及びペンタペプチド並びにそれらの誘導体を含むペプチドは、摂取にも安全かつ有効であることを含む、安全かつ有効な量で本発明の組成物に含まれ得る。本明細書で使用される場合、「ペプチド」は、天然起源のペプチド及び合成ペプチドの両方を指す。また、本明細書で有用であるのは、ペプチドを含有する天然起源の組成物及び市販の組成物である。
【0151】
本明細書で使用するのに好適なジペプチドとしては、例えば、カルノシン(β-ala-his)が挙げられる。本明細書で使用するのに好適なトリペプチドとしては、例えば、gly-his-lys、arg-lys-arg、及び/又はhis-gly-glyが挙げられる。好適なトリペプチド誘導体としては、Biopeptide CLTM(Sederma,Franceから市販されている100ppmのパルミトイル-gly his-lys)として購入され得るパルミトイル-gly-his-lys;ペプチドCK(arg-lys-arg);ペプチドCK(ac-arg-lys-arg-NH);Sigma(St.Louis,Mo.)からIaminとして市販されているhis-gly-glyの銅誘導体が挙げられる。本明細書で使用するのに好適なテトラペプチドとしては、例えば、ペプチドE、arg-ser-arg-lysが挙げられる。
【0152】
本明細書で使用するのに好適なペンタペプチドとしては、lys-thr-thr-lys-serが挙げられる。好ましい市販のペンタペプチド誘導体組成物は、100ppmのパルミトイル-lys-thr-thr-lys-serを含有するMatrixyl(商標)(SedermaFranceから市販されている)である。
【0153】
ペプチドは、パルミトイル-lys-thr-thr lys-ser、パルミトイル-gly-his-lys、β-ala-his、それらの誘導体、及び/又はそれらの組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、ペプチドは、パルミトイル-lys-thr-thr-lys-ser、パルミトイル-gly-his-lys、それらの誘導体、又はそれらの組み合わせを含む。他の実施形態では、ペプチドは、パルミトイル-lys-thr-thr-lys-ser(pal-KTTKS)及び/又はそれらの誘導体を含む。他の好適なペプチドとしては、gly-his-ly(GHK)、gly-glu-lys-gly(GEKG)、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0154】
可食経口組成物は、組成物の約0.0001重量%~約10重量%、約0.01重量%~約5重量%、約0.001重量%~約5重量%、約0.01重量%~約2重量%、又は約0.0001重量%~約1重量%のペプチドを含み得る。
【0155】
他の成分
可食経口組成物は、以下に記載されるように、着香剤、甘味料、着色剤、防腐剤、緩衝剤、又は可食経口組成物での使用に好適な他の成分等の様々な他の成分を含み得る。
【0156】
着香剤もまた、可食経口組成物に添加してもよい。好適な着香剤としては、冬緑油、ペパーミント油、スペアミント油、クローブバッド油、メントール、アネトール、サリチル酸メチル、ユーカリプトール、カッシア、酢酸1-メンチル、セージ、オイゲノール、パセリ油、オキサノン、α-イリソン、マジョラム、レモン、オレンジ、プロペニルグエトール、桂皮、バニリン、エチルバニリン、ヘリオトロピン、4-cis-ヘプテナール、ジアセチル、メチル-パラ-tert-ブチルフェニル酢酸メチル、及びこれらの混合物が挙げられる。清涼剤も着香系の一部であってもよい。本組成物に好ましい清涼剤は、N-エチル-p-メンタン-3-カルボキシアミド(商業的に「WS-3」として知られている)のようなパラメンタンカルボキシアミド剤、又はN-(エトキシカルボニルメチル)-3-p-メンタンカルボキシアミド(商業的に「WS-5」として知られている)、及びこれらの混合物である。着香系は、一般に、可食経口組成物の約0.001重量%~約5重量%の濃度で組成物において用いられる。これらの着香剤は、一般に、アルデヒド、ケトン、エステル、フェノール、酸、並びに脂肪族アルコール、芳香族アルコール、及び他のアルコールの混合物を含む。
【0157】
製品に快味を付与するために、可食経口組成物に甘味料を添加してもよい。好適な甘味料としては、サッカリン(サッカリンナトリウム、サッカリンカリウム又はサッカリンカルシウムとして)、チクロ(ナトリウム塩、カリウム塩又はカルシウム塩として)、アセスルファムK、タウマチン、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、アンモニア化グリチルリチン、デキストロース、レブロース、スクロース、マンノース、スクラロース、ステビア、及びグルコースが挙げられる。
【0158】
製品の審美的外観を改善するために、着色剤を添加してもよい。好適な着色剤としては、限定するものではないが、FDAなどの適切な規制機関によって承認された着色剤、及び欧州食品医薬品指令に列挙されている着色剤が挙げられ、TiOなどの顔料、並びにFD&C及びD&C染料などの色素を含む。
【0159】
細菌の増殖を防ぐために、可食経口組成物に防腐剤もまた添加してもよい。メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸、及び安息香酸ナトリウムなどの、口腔用組成物中での使用が承認された適切な防腐剤を、安全かつ有効な量で添加することができる。
【0160】
二酸化チタンもまた本発明の組成物に加えられてもよい。二酸化チタンは、組成物に不透明度を加える白色粉末である。二酸化チタンは、一般に、可食経口組成物の約0.25重量%~約5重量%を構成する。
【0161】
減感剤、治癒剤、他のう蝕予防剤、キレート剤/金属イオン封鎖剤、タンパク質、他の歯垢防止/歯石防止剤、乳白剤、抗生物質、抗酵素、酵素、pH調整剤、酸化剤、酸化防止剤等の他の成分を、可食経口組成物で使用することもできる。
【0162】
形態
可食経口組成物は、多くの形態で提供することができる。好適な形態としては、グミ組成物、チュアブル組成物、パンチュー組成物、タブレット組成物、溶解性タブレット組成物、溶解性フィルム、リーブオン組成物、ロリポップ組成物、ロゼンジ組成物、不織繊維組成物、可溶性フォーム組成物、液体組成物、ペースト組成物、チューインガム組成物、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0163】
可食経口組成物は、その全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2017/0360865号に記載されているようなグミ組成物及び/又はソフトチュアブル組成物であってもよい。
【0164】
可食経口組成物は、リーブオン組成物であってもよい。好適なリーブオン組成物としては、その全体が本明細書に組み込まれる米国特許第10,849,729号に記載されているようなワセリン等の疎水性相中のホップの分散体、その全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2018/0133119号に記載されているようなエマルション、その全体が本明細書に組み込まれる米国特許第10,780,032号に記載されているようなジャミング逆エマルション、及び親水性リーブオン組成物が挙げられる。
【0165】
リーブオン組成物は歯に適用され、2分間超、好ましくは10分間超、より好ましくは30分間超、より好ましくは60分間以上そのまま置かれ得る。好ましくは、リーブオン組成物は、口腔衛生レジメンの最後の工程として歯に適用される。例えば、本発明のリーブオン組成物は、歯をブラッシングした後、任意選択でマウスリンス及び/又はフロスを用いた後に適用される。
【0166】
一態様では、本発明は、ゲル形態である可食経口組成物を対象とする。容易な適用、薄層形成、並びに歯肉溝/歯肉ポケット内及び歯肉の歯肉線縁に沿った均一な広がりを可能にする、本発明で使用するためのゲルを有することが望ましい。口腔ケア組成物は、本明細書に記載のレオロジー試験法によって測定した際、約20Pa・s~約500Pa・sの粘着稠度係数Kを有する。好ましくは、口腔ケア組成物は、約20Pa・s~約500Pa・s、好ましくは約30Pa・s~約400Pa・s、より好ましくは約40Pa・s~約300Pa・s、更により好ましくは50Pa・s~250Pa・sの粘着稠度係数Kを有する。この最適な粘度プロファイル範囲により、ユーザは展延性のより良好な感覚的経験が得られる。製品の粘性が高すぎる場合、ユーザが歯肉組織へ製品を均一に塗り広げることが困難になる場合がある。製品の粘度が低すぎる場合、流れやすく、指又はアプリケータによって適切な領域に保持することは困難である。あるいは、可食経口組成物は、マウストレイ/ガードの使用中に保持された状態で適用され得る。
【0167】
一態様では、本発明の可食経口組成物は、望ましい粘膜付着特性を有する。粘膜付着とは、一方が少なくとも粘膜である2つの表面の間における、表面エネルギーの結果的な低下を伴う界面力による一定期間の付着相互作用と定義できる。口腔ケア用途のための粘膜付着ポリマーとは、理想的には、(1)親水性及び親油性の活性成分を容易に保持し、かつそれらの放出を妨げず、(2)活性成分の浸透及び吸収を促進し、(3)生物学的基質に可能な限り迅速に付着し、かつある期間保持され、(4)安全であり、(5)費用効率が高く、(6)ユーザが許容可能な用途を提供するべきである。
【0168】
本発明の可食経口組成物は、本明細書に記載の粘膜付着試験方法によって測定したときに0.3FI%以上の範囲の粘膜付着指数を有する。好ましくは、口腔ケア組成物は、約0.5FI%以上、より好ましくは約1.0FI%以上の粘膜付着指数を有する。
【0169】
可食経口組成物は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第10,932,996号に記載されているような可溶性繊維組成物及び/又は可溶性フォーム組成物であり得る。
【0170】
使用方法
本発明の可食組成物は、う蝕、虫歯、歯肉炎、及び/又はそれらの組み合わせの治療、低減、及び/又は予防に使用することができる。
【0171】
方法に有用な可食経口組成物は、ホップ抽出物及び/又はフムルス・ルプルス抽出物から提供されるホップ等の、上記のホップを含む。本明細書に記載されるように、ホップベータ酸は、虫歯予防剤として有用であり得る。したがって、任意の可食組成物にホップを添加すると、可食口腔組成物が標的とする歯との十分な接触時間を有することができる限り、虫歯予防保護を提供することができる。
【0172】
可食経口組成物は、チューブ、ボトル、及び/又はタブ等の一次包装を含み得る。一次包装は、カートン、シュリンクラップ等の二次包装内に配置してよい。一次包装及び/又は二次包装上に、口腔ケア組成物の使用説明書を印刷してもよい。方法の範囲は、口腔ケア組成物の製造業者、流通業者、及び/又は生産者によって提供される説明書を含むことが意図される。
【0173】
各可食経口組成物の使用方法は、形態に基づいて異なり得る。例えば、ソフトチュアブルは、う蝕、虫歯、歯肉炎、及び/又はそれらの組み合わせの治療、低減、及び/又は予防のために、飲食の後、又は1日のうちの実質的に任意の他の時間にユーザによって噛まれ得る。
【0174】
可食経口組成物がロリポップである場合、う蝕、虫歯、歯肉炎、及び/又はそれらの組み合わせの治療、低減、及び/又は予防のために、飲食の後、又は1日のうちの実質的に任意の他の時間にユーザの口腔内に配置され得る。
【0175】
可食経口組成物がガムである場合、ガムは、う蝕、虫歯、歯肉炎、及び/又はそれらの組み合わせの治療、低減、及び/又は予防のために、飲食の後、又は1日のうちの実質的に任意の他の時間にユーザによって噛まれ得る。
【0176】
可食経口組成物のそれぞれは、ユーザが適用を完了した後に嚥下されてもよいが、可食経口組成物は、口腔健康利益のために嚥下される必要はない。
【0177】
ソフトチュアブル組成物の作製方法
本発明はまた、ホップを含有するソフトチュアブル組成物の製造プロセスに関する。
【0178】
一例では、ソフトチュアブル組成物を調製する方法であって、ソフトチュアブル組成物がグミである方法は、
a.結合剤を第1の混合容器に添加する工程と;
b.結合剤を前処理する工程と;
c.湿潤剤成分及び水を第2の混合容器に添加し、約65℃~約72℃の温度に加熱しながら混合する工程と;
d.ポリオールを第2の混合容器に添加してシロップ予備混合物を形成し、加熱しながら混合して調理済みシロップ予備混合物を形成する工程と;
e.前処理された結合剤を第2の容器に添加し、加熱しながら混合してベースシロップ混合物を形成する工程と;
f.加工助剤をベースシロップ混合物に添加し、加熱しながら混合する工程と;
g.ホップ混合物をベースシロップ混合物に添加し、混合して最終混合物を形成する工程と;
h.任意選択で、所望の固形分を達成するのに十分な温度まで最終混合物を加熱する工程と;
i.成形によって最終混合物からソフトチュアブル組成物に形成する工程と;
j.ソフトチュアブル組成物を冷却し、任意選択で硬化させる工程と;
k.任意選択で、ソフトチュアブル組成物を後加工する工程とを含み得る。
【0179】
シロップ予備混合物は、約93℃~約177℃の温度に加熱してよい。シロップ予備混合物は、約113℃の温度に加熱してよい。
【0180】
前処理工程は、製剤において使用される結合剤に応じて変化し得る。ゼラチン結合剤の場合、前処理は、約2:1~約3:1の比で水をゼラチンに添加し、ゼラチンが完全に水和するまで室温で混合することによってゼラチンを水和させることを含み得る。デンプン結合剤の場合、前処理は、デンプンに水を添加し、デンプン結合剤の色が不透明な白色から透明な灰色に変化するまで混合しながら約77℃の温度に加熱することによってデンプンをゼラチン化させることを含み得る。ペクチン結合剤の場合、前処理は、スクロースをペクチンと混合して、ペクチン-スクロース混合物を作製することを含み得る。
【0181】
着色剤、着香剤、加工助剤、塩、食品グレードの酸、サプリメント成分、活性成分、及びそれらの組み合わせ等の追加の成分を、調理済みシロップ予備混合物に添加してもよい。調理済みシロップ予備混合物に追加成分を添加する1つの利点は、これらの成分が温度感受性であり得る点である。追加成分は、ベースシロップ混合物に添加してもよい。あるいは、加工助剤を添加した後に追加成分をベースシロップ混合物に添加してもよい。あるいは、最終混合物に追加成分を添加してもよい。最終混合物に追加成分を添加することの1つの利点は、それが水和を遅延させるのに役立ち得るかつ/又は加工性を支援し得る点である。
【0182】
加工助剤は、ベースシロップ混合物に添加する前に、まず別の混合容器中でその融点よりも高い温度に加熱してよい。加工助剤はショートニングであってよく、約47℃を超える温度に加熱され得る。あるいは、ベースシロップ混合物に添加する前に加工助剤を別個に溶融させてもよい。
【0183】
ホップ混合物は、ホップを含み得る。あるいは、ホップ混合物は、ホップ及び追加の成分を含み得る。ホップ混合物は、加工助剤と混合する前に、ホップを追加成分と混合することによって調製することができる。ホップ混合物は、ホップ、クエン酸、着香剤、及び着色剤を合わせることによって形成することができる。あるいは、ホップ混合物は、ベースシロップ混合物に添加する前に、加工助剤と混合してもよい。ベースシロップ混合物に添加する前に、ホップ混合物に塩を添加してもよい。
【0184】
粘度の著しい増加を防ぐために、成形の直前にホップ混合物をベースシロップ混合物に添加してもよい。ホップの温度を約95℃まで上昇させると、粘度が著しく低下することが見出された。しかしながら、この温度上昇によってホップ粒子の水和速度もまた増加し得、その結果、15分間後に再び粘度が増加する。最終混合物は、ホップを添加してから約15分間以内に、型内で加工するか又は押し出してよい。ベースシロップ混合物に添加する前に、ホップ混合物にクエン酸及び/又は塩を添加することは、シロップの粘度を低下させるのに役立ち得、成形及び/又は押出のための時間を約20分間、あるいは約30分間、あるいは約60分間、あるいは約90分間に延長させることができる。
【0185】
最終混合物は、約5分間~約60分間、あるいは約10分間~約50分間、あるいは約15分間~約40分間、あるいは約20分間~約30分間混合してよい。最終混合物を混合する1つの利点は、最終混合物の粘度を低下させることができる、かつ/又は成形及び/若しくは押出のための時間を延長させることができる点である。最終混合物がゲル化し始めた後、混合又はポンピング等の物理的剪断を使用して、ゲル構造を破壊し、粘度を低下させることができる。
【0186】
凝集材料を用いてホップを凝集させてもよい。本明細書において有用な凝集材料は公知であり、Barberaに付与された米国特許第5,340,580号、並びにいずれもColliopoulosらに付与された米国特許第4,548,806号及び同第4,459,280号に詳細に記載されており、これらの開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。これらの凝集材料は、水分散性加水分解デンプンオリゴ糖、単糖類、二糖類、ポリグルコース、ポリマルトース、及びそれらの混合物からなる群から選択される。凝集材料は、スクロース、塩、酸、マルトデキストリン、及びそれらの組み合わせを含み得る。ソフトチュアブル組成物は、ホップ上に約0.5%~約20%、あるいは約1%~約10%、あるいは約1%~約5%の凝集材料コーティングを含み得る。
【0187】
ベースシロップ混合物に添加する前にホップを凝集させてもよい。凝集プロセスは、(a)ホップ含有ブレンド、好ましくは乾燥ブレンドを、1つ以上の凝集材料を含む溶液混合物でコーティングして凝集させる工程と、(b)凝集したホップを乾燥させる工程と、(c)任意選択で、工程(a)及び(b)を繰り返す工程とを含み得る。工程(c)は任意選択であるが、少なくとも約0.5%の酸をホップ上の凝集材料コーティング全体に均一に分散させるのに1回のコーティング及び乾燥の工程で十分な場合、それ以外では少なくともこのレベルの酸を均一に分散させるのに少なくとも必要な回数工程(a)及び(b)を繰り返す必要がある。
【0188】
凝集技術は、先に参照した米国特許に記載されている。一例では、例えば、参照により本明細書に組み込まれるColliopoulosらの米国特許第4,459,280号及び同第4,548,806号に詳細に記載されているような、ホップの凝集をもたらす技術を使用してホップに多層コーティングを適用する。別の例では、コーティングプロセスが使用されている間約5%~約20%の水がホップに適用されるように、ワンパス装置において単一コーティングとして凝集材料(特にマルトデキストリン)を適用する。
【0189】
ホップの多層コーティングは、例えば、流動床凝集装置を使用することによって達成される。このような流動床凝集装置の例は、Fluid Air,Inc.のModel 0300 Granulator-Dryer(Fluid Air,Inc.(Aurora,Illinois)によって販売)である。ホップの単層コーティングは、好ましくは、円筒壁と様々なピッチで取り付けられたブレードを有する回転シャフトとによって形成される高度に乱流の環状ゾーンを通して乾燥ブレンドホップ含有材料を滴下することによって動作する装置を利用することによって達成される。凝集材料含有溶液をこのゾーンに噴霧して、乾燥ホップ含有ブレンドと接触させる。得られたコーティングホップを流動床乾燥機に滴下し、そこで、添加された溶媒を除去する。この装置の例は、6平方フィート床振動流動床乾燥機(Witte Corporation,Inc.(Washington,N.J.)によって販売)を備えるBepex Turboflex型番TFX-4(Bepex Corporation(Minneapolis,Minnesota)によって販売)である。
【0190】
ホップを約70%スクロースとブレンドし、次いで、40%クエン酸溶液を噴霧し、続いて流動床乾燥させてよい。
【0191】
ホップをベースシロップ混合物に添加する前に凝集させることの1つの利点は、このことがホップの水和を遅らせるのに役立ち得、粘度を低下させるのにも役立ち得る点である。別の利点は、ソフトチュアブル組成物の口当たりを改善するのに役立ち得る点である。凝集ホップを使用すると、口内でのホップの溶解速度を増加させ、それによって口の乾燥を減少させることができ、口内でのホップのゲル化を減少させることができると考えられる。
【0192】
あるいは、ホップを凝集させなくてもよい。保湿剤、ポリオール、及び水を第2の混合容器内で合わせ、約113℃の温度に加熱して、調理済みシロップ予備混合物を形成し得る。次いで、前処理された結合剤を調理済みシロップ予備混合物に添加して、ベースシロップ混合物を形成し得る。
【0193】
成形又は押出によって最終混合物からソフトチュアブル組成物を形成することができる。最終混合物を、Mogulプロセスを介してデンプン型に又は非吸収性型に注いで、ソフトチュアブル組成物を作製することができる。非吸収性型の非限定的な例としては、ポリマー、ガラス、金属、プラスチック、ポリテトラフルオロエチレン、及び水分を吸収しない任意の他の材料を挙げることができる。
【0194】
最終混合物をデンプン型に注ぎ、硬化させてもよい。デンプン型は、金属板を使用してデンプンの表面上に印刷することによって作製される任意の形状であってよい。最終混合物をシート型に注入して、ソフトチュアブル組成物のシートを作製することができる。シートを個々の小片に切断し、デンプン型に入れて硬化させてよい。個々の切断片をデンプンと共に混転ドラムに入れ、固形分含量を約70~約80%に増加させるのに必要な時間、連続的に混合してよい。一例では、包装する前に約1日~約5日間、ソフトチュアブル組成物を硬化させてよい。包装する前に約4日間、別の例では約2日間、別の例では約1日間、ソフトチュアブル組成物を硬化させてよい。目標固形分含量の最終混合物を型に充填することによって、硬化時間を短縮することができる。ソフトチュアブル組成物は室温で硬化させてもよく、あるいはソフトチュアブル組成物は約22℃~約60℃で硬化させてもよい。ソフトチュアブル組成物は、約15%~約25%RHの硬化室で硬化させてよい。
【0195】
あるいは、最終混合物を非吸収性型に注ぎ、冷却してもよい。非吸収性型を使用する場合、水分の有意な変化が起こらないので、最終混合物の固形分濃度が所望の最終製品固形分レベルに近くなり得る。非吸収性型は、ソフトチュアブル組成物の形状を提供することができ、あるいはソフトチュアブル組成物を非吸収性型から取り出した後に所望の形状に切断してもよい。ソフトチュアブル組成物を冷蔵庫に入れ、約20℃~約40℃の温度に冷却してよい。
【0196】
任意選択で、硬化時間を減少させ、接着性等のテクスチャを制御し、味を改善し、安定性を改善し、加工性を改善し、及び/又はホップの投入を容易にするために、ソフトチュアブル組成物を後加工してもよい。後加工としては、切断、乾燥、ソフトチュアブル組成物片の個別ラッピング、型から取り出した後ソフトチュアブル組成物に糖又はデンプンをまぶすこと、型から取り出した後のソフトチュアブル組成物のコーティング、所望の接着性が得られるまでソフトチュアブル組成物を型内に放置すること、エンロービング(enrobing)、共押出、及びこれらの組み合わせを挙げることができる。ソフトチュアブル組成物を後加工する1つの利点は、ソフトチュアブル組成物の個々の小片が包装中に互いに粘着するのを防ぐことができ、取り扱い中のべたつき感を少なくすることができる点である。後加工の別の利点は、粘度を低下させ、成形及び/又は押出のための時間を増加させることができ、それによって加工性を改善できる点である。
【0197】
一例では、低含水ソフトチュアブル組成物を調製する方法は、
a.保湿剤成分を第1の混合容器に添加する工程と;
b.第1の混合容器を約65℃~約71℃の温度に加熱しながら混合する工程と;
c.ポリオールを第1の混合容器に添加して、保湿剤-シロッププレミックスを形成し、加熱しながら混合して、調理済み保湿剤-シロップ混合物を形成する工程と;
d.第3の混合容器中で加工助剤とホップ混合物とを混合して、ホップ-加工助剤混合物を形成する工程と;
e.ホップ-加工助剤混合物を調理済み湿潤剤-シロップ混合物に添加し、加熱しながら混合して最終ドウを形成する工程と;
f.押出ダイ又はワイヤ切断を用いて、最終ドウからソフトチュアブル組成物を形成する工程と;
g.任意選択で、ソフトチュアブル組成物を後加工する工程とを含み得る。
【0198】
調理済み湿潤剤-シロップ混合物にホップ混合物を添加して最終ドウを形成し、押し出して、所望の形状及びサイズのソフトチュアブル組成物を形成することができる。あるいは、最終ドウをトレイに広げ、小片に切断してもよい。包装する前に、ソフトチュアブル組成物を約20℃~約40℃の温度に冷却してよい。
【0199】
ソフトチュアブル組成物用の製剤は、油及び乳化剤等の高レベルの可塑剤を使用して固形分を蒸発させるために沸点を超える温度に加熱する必要なく、特定の最終固形分含量を達成するように設計され得ることが理解されるべきである。あるいは、ソフトチュアブル組成物用の製剤は、所望の固形分含量を達成するために加工中に沸騰させることを必要とするように設計することもできる。
【0200】
ソフトチュアブル組成物は、任意の好適な便利で摂取可能な形態に成形してよい。組成物の形態の非限定的な例としては、ソフトチュー、ハードチュー、ソフトゲル、半固体タフィー様チュー、グミ、及びこれらの組み合わせが挙げられる。ソフトチュアブル組成物は、ソフトチューの単一片又はグミの単一片の形態であり得る。ソフトチュアブル組成物は、ユーザが切ったり折ったりして個々の小片を提供することができる、バー等の分割可能な形態であってもよい。ソフトチュアブル組成物の一片は、約500~約7000mm、あるいは約1000~約5000mm、あるいは約1500~約4000mmであり得る。ソフトチュアブル組成物の一片は、約100,000mmの体積を有していてもよく、それをより小さな小片に破壊してよい。ソフトチュアブル組成物は、この範囲内の体積を提供する限り、任意の形状及びサイズに成形してよい。形状の非限定的な例としては、円形、正方形、矩形、星形、ハート形、動物形状、及びそれらの組み合わせを挙げることができる。
【0201】
ソフトチュアブル組成物は、任意の好適な包装に包装してよい。ソフトチュアブル組成物は、食品グレードの包装で個別に包んでよい。ソフトチュアブル組成物を個別に包み、単回用量に十分な、あるいは1日用量に十分な小片と一緒に包装してもよい。食品グレードの包装の非限定的な例としては、一軸延伸ポリプロピレン、ポリ裏張りホイルラッパー、ホイル、及びそれらの組み合わせを挙げることができる。あるいは、ソフトチュアブル組成物は包まれていなくてもよい。
【0202】
ソフトチュアブル組成物は、二次包装に入れてもよく、その非限定的な例としては、ガラス瓶;プラスチック瓶;ホイルで裏張りされたバッグ、ホイルで裏張りされた容器、カートン、又はスリーブ;及びそれらの組み合わせが挙げられる。ソフトチュアブル組成物は、容易に持ち運び可能であり、財布、ポケット、又はブリーフケースに入れて持ち運ぶことができるように、単回用量として包装してもよい。包装は、子供にとって安全であり得る。包装は透明であってもよく、あるいは包装は不透明であってもよい。包装は乾燥剤を含んでいてもよい。ソフトチュアブル組成物は光感受性であり得るので、二次包装は紫外線(UV)阻害剤を含有し得る。あるいは、二次包装はUV阻害剤を含有しない。ソフトチュアブル組成物は水及び/又は酸素感受性であり得るので、二次包装は水及び/又は酸素バリアを含有し得る。あるいは、二次包装は、水及び/又は酸素バリアを含まない。
【実施例
【0203】
本発明は、以下の実施例によって更に例示され、これは、いかなる方法であっても本発明の範囲に制限を課すものとして解釈されるべきではない。本明細書の説明を読んだ後に、本発明の趣旨又は添付の特許請求の範囲の範疇から逸脱することなく、それらの様々な他の態様、修正、及び均等物が、当業者に想到され得る。
【0204】
実験方法
酸産生及び酸阻害[%]
インビトロプラーク糖分解モデル(iPGRM)を用いて、酸産生及び酸阻害を求めた。この技術の目的は、歯肉の健康に悪影響を及ぼす毒素を産生するためにプラーク微生物が利用する代謝経路に化合物が影響を及ぼすかどうかを判定するための簡便かつ迅速な方法を提供することである。また、歯に悪影響を及ぼすプラーク酸を産生するためにプラーク微生物が利用する代謝経路に化合物が影響を及ぼすかどうかを判定することも有用である。
【0205】
インビトロプラーク糖分解モデル(iPGRM)は、ヒト唾液からプラークを成長させ、様々な剤で処理して、処理の抗糖分解活性を判定する技術である。細菌が酵素の助けを借りて糖をエネルギーに変換するとき、酸が形成される。これらの酸は歯のエナメル質を脱灰し、損傷する。この技術の目的は、プラーク微生物が酸若しくは毒素の産生のために利用する代謝経路に対して治療化合物が阻害効果を有するかどうか、及び/又は治療化合物が微生物の成長を阻害するかどうかを判定するための簡便かつ迅速な方法を提供することである。ここでの研究の目的のために、試験治療組成物がSnを含有する場合、Snプラセボを試験しなければならない。更に、抗菌組成物は、抗菌組成物のみのiPGRM値を求めるために、そのプラセボに関して試験しなければならない。これは、抗菌組成物に加えてバッファ、例えば、重炭酸塩、オルトリン酸塩、炭酸カルシウムが組成物中に存在する場合に重要であり得る。
【0206】
往復運動でガラスロッドを培地に出し入れすることによって、37℃で2日間にわたって、新鮮なプールされたヒト唾液及びトリプチカーゼソイブロス(TSB)からガラスロッド上でプラークバイオフィルムを成長させた。水中の歯磨剤スラリー(1:5)又は水中の希釈処理剤(1:5)で2分間処理した。4gの可食組成物を20gの超純水と合わせ、3日間のバイオフィルムの処理の前に一晩撹拌することによって、iPGRM試験のために表1の可食組成物を調製した。4gの可食組成物を16gの超純水と合わせ、一晩撹拌し、次いで、3日間のバイオフィルムの処理の朝に、水中ホップベータ酸抽出物の0.5%溶液4gを添加することによって、ホップを含む表1の可食組成物を調製した。3日間のバイオフィルムの処理の朝に、1.11gのホップベータ酸抽出物を98.89gの超純水と合わせることによって、超純水中0.5%ホップベータ酸抽出物を作製した。一晩で完全には溶解しなかった全ての処理は、均一性を確保するために高せん断ミキサーを使用して短時間ホモジナイズした。処理の前に、各溶解/ホモジナイズされたサンプルのpHを得て、処理の直前にpH7に調整した。
【0207】
処理後、pH指示薬が色の変化を示すまで(~6時間)、バイオフィルムをTSB及びスクロースと共にインキュベートした。次いで、培地溶液のpHを測定して、陰性対照に対する糖分解阻害の量を求めた。
【0208】
1日目に、240、320、400、及び600グリットの炭化ケイ素紙を連続して使用して、旋盤上で非テーパ状の端部からおよそ25mmだけ新しいガラスロッド(5mm×90mm)を研磨する。最初の研磨の後、各試験の前にロッドを600グリットの紙で研磨しなければならない。研磨後、試験の準備が整うまでロッドを保管した。処理のラックを満たすために十分なロッドを研磨しなければならない。ラックは、各組成物を4回複製した12個の組成物を処理することができ、ラックは48本のロッドを有する。
【0209】
2日目に、5~10人のパネルから試験中毎日パラフィン刺激によって唾液を収集し、必要になるまで4℃で終日冷蔵した。唾液を慎重にプールし(ワックス/粘液に注がない)、使用前に十分に混合する。ロッドを保管から取り出し、脱イオン水ですすいで研磨残渣があればそれを除去し、70%エタノール/水溶液中で消毒し、滅菌表面上で乾燥させた。続いて、成長培地を含有する培地バイアル中に連続的にロッドを浸漬するために使用されるホルダーの吊りラックにロッドを装填した。ロッドの高さを調整し、各ロッドをゴム製oリングを使用して適所に固定した。午後の早い時間に、7mLの成長培地(3%スクロースを含む3%TSBの溶液160gをプールしたヒト唾液240gと混合した。このTSB/スクロース溶液は、プールしたヒト唾液と合わせる前にオートクレーブによって滅菌しなければならない)を培地バイアルに入れる。培地バイアルを、インキュベーションオーブン内のラックに吊り下げられたロッドの下に配置した。浸漬モーターが培地バイアル中にロッドを浸漬し、ロッドが培地バイアルの壁に接触することなく1分当たり1回の浸漬頻度でロッドの1.5cmを成長培地中に沈めることができるように、インキュベーターを予め改造しておいた。この方法でロッドを一晩浸漬した。
【0210】
3日目に、強化成長培地を調製した(3%TSB及び10%スクロースの溶液500gを、プールしたヒト唾液33gと混合した。このTSB/スクロース溶液は、プールしたヒト唾液と合わせる前にオートクレーブによって滅菌しなければならない)。この強化成長培地を新たなセットの培地バイアル(バイアル当たり7mL)にピペットで移し、1日目からの一晩成長培地と交換した。インキュベーションオーブン中において37℃で5時間、この強化成長培地中にロッドを終日浸漬した。1日の終わりに、新たな一晩成長培地を調製し(3%TSB溶液40gをプールしたヒト唾液360g及びスクロース0.5gと混合した)、新たな培地バイアルセットにピペットで移し、強化成長培地と交換した。ロッドを1日目と同様に一晩浸漬した。
【0211】
4日目に、0.15gのTSB、25gのスクロース、及び500mLの脱イオン水を合わせることによって糖分解培地を調製し、水中0.03%のTSB及び0.5%のスクロースの溶液を得た。この溶液を混合し、次いで、オートクレーブ中で滅菌した。次いで、0.1M HClを用いてpHを6.5に調整し、新たな培地バイアル(7mL)にピペットで移した。pHブランクとして、バイアルを必要な数よりも2つ余分にロッドのラックに充填した。陰性対照(Crest Cavity Protectionスラリー)を含有する4本のチューブのそれぞれに、2滴のクロロフェノールレッド溶液を添加した。陽性対照(1%クロルヘキシジン液)を含有する2本のチューブに、ブロモクレゾールパープル溶液3滴を添加した。処理が完了するまでラックをよけておく。12mLの脱イオン水を含有するバイアルを調製して、処理剤を洗い流した。ホモジナイズした処理剤及び水の処理剤スラリー/溶液(7mL)を含有するバイアルを調製した。ロッドを処理バイアル中に2分間浸漬し、第1のセットのリンスバイアル中に10回浸漬してすすぎ、第2のセットのリンスバイアル中に10回浸漬してすすぎ、第3のセットのリンスバイアル中に10回浸漬してすすぎ、インキュベーターのラックに戻した。バイオフィルム全体を処理し、すすいだ。全ての処理が完了したら、ロッド上のバイオフィルムを、2時間の浸漬なしでインキュベーションオーブン内の糖分解培地中に完全に沈めた。2時間後、浸漬装置を作動させた。合計インキュベーション時間は3~7時間であった。陰性対照の糖分解培地中のpH値が4.8~5.6、より理想的には4.9~5.2であり、陽性対照の糖分解培地中のpH値が陰性対照よりも高くなったとき、インキュベーションを終了する。陽性対照中の指示色素が黄色に変化した場合、すなわち、pHが5.2未満に低下した場合、インキュベーションが長すぎたので、試験を繰り返す必要がある。
【0212】
4日目のインキュベーション終了後、ロッドを糖分解培地から取り出し、オーブン中で乾燥させた。糖分解培地をインキュベーションオーブンから取り出し、室温に戻し、各バイアル及びブランクバイアルにおいてpHを測定して、処理後の培地の平均pH変化を求めた。ブランクバイアルに対するpHの変化を求める。ブランクの最終pHが6.6未満である場合、試験を繰り返す必要がある。陽性対照と陰性対照との間の差がスチューデントt検定において有意でない場合、検定を繰り返す必要がある。ブランクに対する陰性対照のpHの変化が1未満である場合、試験を繰り返す必要がある。
【0213】
全てのバイアルのpH値を測定した後、ブランクの平均pHからそのpHを差し引くことによって、バイアル当たりのΔpHを求めた。糖分解阻害効力を以下の式から求める。処理当たり4つの複製バイアルからの結果を平均することによって、処理の平均ΔpHを求めた。
【0214】
【数1】
陽性対照(1%クロールヘキシジン溶液)の効力が陰性対照(Crest Cavity Protection,Procter & Gamble(Cincinnati,OH))に対して約65%~約85%ではない場合、試験を繰り返した。
【0215】
【表1】
【0216】
【表2】
【0217】
表1A及び表1Bに各可食組成物中の成分を列挙し、次いで、それらの抗菌効力について試験した。更に、表1A及び表1Bは、抗菌及び抗う蝕効力を高めるために組成物に添加されたホップベータ酸抽出物の具体的な量を示す。列挙された成分は、可食組成物中の成分として典型的なものであり、当業者であれば認識するであろう。表1A及び表1Bに示される実施例1、3、5、7、及び9は、ホップベータ酸抽出物を含有していなかった。表1A及び表1Bに示す実施例2、4、6、8、及び10は、ホップベータ酸抽出物を含有していた。ホップベータ酸は、フムルス・ルプルスからの抽出物としてHopsteiner(登録商標)によって供給された。Hopsteiner(登録商標)抽出物は、抽出物のおよそ45重量%のホップベータ酸及び抽出物の1重量%未満のホップアルファ酸であった。
【0218】
【表3】
【0219】
表2は、Hopsteiner(登録商標)によって提供されたホップベータ酸抽出物を記載する。ホップベータ酸は抽出物として提供されるので、特定の成分の量に若干のばらつきがある場合がある。しかしながら、抽出物は、抽出物のおよそ45重量%のホップベータ酸及び抽出物のおよそ約0.4重量%のホップアルファ酸を含む。これは、典型的にはホップベータ酸よりも多くのホップアルファ酸を有する以前のホップ抽出物とは劇的に異なる。ホップベータ酸抽出物中に他の微量成分が存在していてもよい。
【0220】
【表4】
【0221】
表3は、本明細書に記載のiPGRM試験を使用した3日間バイオフィルムにおける酸産生の変化を示す。フッ化ナトリウムを含有する市販のCrest(登録商標)練り歯磨きで処理した後、酸産生物の平均は1.50であり、平均阻害率は0.0%であるが、これは無視できる程度の抗菌効力の基準条件であるためである。3日間バイオフィルムを、フッ化第一スズを含有するCrest(登録商標)練り歯磨きで処理すると、酸産生が減少し、66.9%の正味平均酸阻害が得られた(Crest(登録商標)ガムケア)。第一スズイオンは抗菌剤として作用することが知られており、バイオフィルムにおいて酸を産生する細菌の数を減少させることができるので、これは予想された結果であった。実施されたCrest(登録商標)ガムケアは、2つの第一スズイオン源(すなわち、SnF及びSnCl)を有する。
【0222】
表3はまた、ホップを含まない市販の可食組成物が全て、参照Crest(登録商標)Cavity Protection練り歯磨きよりも性能が悪いことを示し、これは、バイオフィルムが、無視できる程度の抗菌対照よりも多くの酸を産生したことを意味する。ホップベータ酸抽出物を市販の可食組成物に添加することによって、全ての組成物の抗菌効力が増加したことは予想外であった。興味深いことに、ホップベータ酸抽出物は、市販の可食組成物が発酵性糖質である糖及びグルコースシロップを含有していたとしても、Vitafusionカルシウムチューのプラーク酸形成を抑制することができた。これらの化合物は微生物の栄養源であり、したがって、可食組成物中に食物源も含まれていた場合、ホップベータ酸抽出物が組成物中の抗菌剤として有効であることは更に予想外であった。
【0223】
ホップベータ酸抽出物及びホップ全抽出物を、重炭酸アルギニンを含むBasic Bite Chewに添加した。Basic Bite Chewにホップベータ酸抽出物を添加すると、酸阻害が-20.5%から62.3%に改善した。ホップが添加された他の処方では、ホップの平均効果は、更に80%の酸阻害であった。しかし、ホップを含むBasic Bite Chew処方では、追加の効果はほぼ83%であり、酸阻害が3%増加した。Basic Bite Chew処方は、塩基性アミノ酸であるアルギニンを有する。アルギニンを消費することができるアルギニン分解細菌ではあるが、糖源の存在下及び低pH、すなわち、ここで使用されるiPGRMの条件下で糖を消費し、酸を産生することを好むことがよく知られている。したがって、細菌がアルギニンを有効に利用してアンモニアを生成し、酸形成バイオフィルムを中和するためには、バイオフィルムのpHが予めかなり高いレベルで維持されていることが必要である。これは、糖が存在し、pHが低いバイオフィルムにおけるアルギニンの有効性を妨げる傾向がある。表3に示されるように、ホップは、糖の存在下でpHが低下するのを防ぐことによって、アルギニン分解細菌経路を活性化する。これは、予期せぬことに、相乗効果を生じさせ、いずれかの成分が単独で達成し得るよりも効果的に安定化されたバイオフィルムpHが得られた。
【0224】
したがって、ホップベータ酸は、シャーシに関係なく既存の可食組成物を改善することができる極めて有効な抗菌剤である。ホップベータ酸は、発酵性糖質、非発酵性糖アルコール、天然甘味料(例えば、ステビア)、及び/又は人工甘味料(例えば、スクラロース)を含む可食組成物における抗菌活性を改善することができる。ホップベータ酸は、炭酸カルシウム又はリン酸三カルシウム等のカルシウムを含む可食組成物における抗菌活性を改善することができる。ホップベータ酸は、アルギニン等のアミノ酸を含む可食組成物中の抗菌活性を改善することができる。ホップベータ酸は、7、7超、又は7未満のpHを有する可食組成物において抗菌活性を改善することができる。
【0225】
したがって、ホップベータ酸抽出物、1つ以上のホップベータ酸の直接添加、又は任意の他の好適なホップベータ酸の供給源のいずれかを通じてホップベータ酸を添加すると、ホップを含まない組成物に対して、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも70%、又は少なくとも80%の平均酸阻害を有する可食組成物が本明細書に記載される。
【0226】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示されない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0227】
相互参照される又は関連するあらゆる特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本明細書に引用される全ての文書は、除外又は限定することが明言されない限りにおいて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いずれの文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求されるいずれの発明に対する先行技術であるともみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献又は複数の参考文献と組み合わせたときに、そのようないずれの発明も教示、示唆又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語のいずれの意味又は定義も、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0228】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にある全てのそのような変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図される。
【国際調査報告】