IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニーの特許一覧

特表2024-509602ホップ及び甘味料を含む口腔ケア組成物
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-04
(54)【発明の名称】ホップ及び甘味料を含む口腔ケア組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/9789 20170101AFI20240226BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20240226BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20240226BHJP
   A61K 8/60 20060101ALI20240226BHJP
【FI】
A61K8/9789
A61Q11/00
A61K8/49
A61K8/60
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555662
(86)(22)【出願日】2022-03-25
(85)【翻訳文提出日】2023-09-11
(86)【国際出願番号】 US2022071336
(87)【国際公開番号】W WO2022204716
(87)【国際公開日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】63/165,749
(32)【優先日】2021-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(74)【代理人】
【識別番号】100187159
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 英明
(72)【発明者】
【氏名】アリフ、アリ、ベーグ
(72)【発明者】
【氏名】タミー、ベイカー
(72)【発明者】
【氏名】ピエリグ、ジャン-マリー、ルポン
(72)【発明者】
【氏名】サミュエル、ジェームズ、セント、ジョン
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083AA112
4C083AB032
4C083AB171
4C083AB172
4C083AB211
4C083AB281
4C083AB291
4C083AB311
4C083AB312
4C083AB321
4C083AB322
4C083AB331
4C083AB332
4C083AB351
4C083AB471
4C083AC131
4C083AC132
4C083AC301
4C083AC302
4C083AC471
4C083AC581
4C083AC712
4C083AC861
4C083AC862
4C083AD272
4C083BB55
4C083CC41
4C083EE31
(57)【要約】
ホップと、第1の甘味料と、第2の甘味料とを含む口腔ケア組成物。ホップ、第1のピーク強度時間を有する第1の甘味料であって、第1のピーク強度時間がスクロースのピーク強度時間よりも早い第1の甘味料、及び/又は第2のピーク強度時間を有する第2の甘味料であって、第2のピーク強度時間がスクロースのピーク強度時間よりも遅い第2の甘味料を含む、口腔ケア組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔ケア組成物であって、
(a)ホップであって、好ましくは前記ホップがホップベータ酸を含み、又はより好ましくは前記ホップベータ酸が、ルプロン、コルプロン、アドルプロン、若しくはこれらの組み合わせを含む、ホップと;
(b)第1の甘味料であって、好ましくは前記第1の甘味料が速表出性(early displaying)甘味料を含み、又はより好ましくは前記第1の甘味料が早いピーク強度時間を有する甘味料を含み、前記ピーク強度時間がスクロースのピーク強度時間よりも早い、第1の甘味料と;
(c)第2の甘味料であって、好ましくは前記第2の甘味料が遅表出性(late displaying)甘味料を含み、又はより好ましくは前記第2の甘味料が遅いピーク強度時間を有する甘味料を含み、前記ピーク強度時間がスクロースのピーク強度時間よりも遅い、第2の甘味料と、
を含み、
好ましくは前記第1の甘味料及び/又は前記第2の甘味料が天然源に由来する、又はより好ましくは前記第1の甘味料及び/又は前記第2の甘味料が天然甘味料からなる、口腔ケア組成物。
【請求項2】
前記第1の甘味料が、アセスルファムカリウム、サッカリン、糖アルコールを含む、請求項1に記載の口腔ケア組成物。
【請求項3】
前記第2の甘味料が、ステビア、スクラロースを含む、請求項2又は3に記載の口腔ケア組成物。
【請求項4】
前記ホップが、ホップ抽出物、フムルス・ルプルス(Humulus lupulus)抽出物、合成的に誘導されたホップ化合物、これらの塩、これらのプロドラッグ、若しくはこれらの組み合わせを含み、好ましくは前記ホップが、ホップアルファ酸、ホップイソアルファ酸、ホップベータ酸、ホップ油、ホップフラボノイド、若しくはこれらの組み合わせを含み、又はより好ましくは前記ホップが、前記ホップの少なくとも約35重量%のホップベータ酸を含み、又は更により好ましくは前記ホップが、前記ホップの約1重量%未満のホップアルファ酸を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の口腔ケア組成物。
【請求項5】
前記口腔ケア組成物が、前記口腔ケア組成物の約0.01重量%~約10重量%のホップを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の口腔ケア組成物。
【請求項6】
前記口腔ケア組成物が、スズ、亜鉛、若しくはこれらの組み合わせを含み、好ましくは、前記スズが、フッ化第一スズ、塩化第一スズ、若しくはこれらの組み合わせを含み、及び/又は好ましくは、前記亜鉛が、フッ化亜鉛、乳酸亜鉛、酸化亜鉛、リン酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、ヘキサフルオロジルコン酸亜鉛、硫酸亜鉛、酒石酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、クエン酸亜鉛、リンゴ酸亜鉛、グリシン酸亜鉛、ピロリン酸亜鉛、メタリン酸亜鉛、シュウ酸亜鉛、炭酸亜鉛、若しくはこれらの組み合わせを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の口腔ケア組成物。
【請求項7】
前記口腔ケア組成物が、アミノ酸を含み、好ましくは、前記アミノ酸が、アルギニン、ヒスチジン、リシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、トレオニン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セレノシステイン、グリシン、プロリン、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、シトルリン、オルニチン、クレアチン、ジアミノブトン酸(diaminobutonic acid)、ジアミノプロピオン酸、これらの塩、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の口腔ケア組成物。
【請求項8】
前記口腔ケア組成物が、カルシウムを含み、好ましくは、前記カルシウムが、カルシウム塩、カルシウム研磨剤、又はこれらの組み合わせを含み、より好ましくは、前記カルシウム研磨剤が、炭酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の口腔ケア組成物。
【請求項9】
前記口腔ケア組成物が、シリカ研磨剤を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の口腔ケア組成物。
【請求項10】
前記口腔ケア組成物が、フッ化物を含まない、請求項1~9のいずれか一項に記載の口腔ケア組成物。
【請求項11】
前記口腔ケア組成物が、フッ化物を含み、好ましくは前記フッ化物が、フッ化第一スズ、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化アミン、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化亜鉛、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の口腔ケア組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホップ及び甘味料を含む口腔ケア組成物を対象とする。本発明はまた、ホップ、第1の甘味料、及び第2の甘味料を含む口腔ケア組成物を対象とする。本発明はまた、ホップを含むが、う蝕原性糖を含まない、本質的に含まない、及び/又は実質的に含まない口腔ケア組成物を対象とする。
【背景技術】
【0002】
抗菌及び/又は虫歯予防活性を提供するために、ホップ等の抗菌活性を有する天然化合物を口腔ケア組成物に組み込むことができる。ホップ等の天然抗菌剤は、活性化合物、油、フラボノイド、及び/又は他の香料化合物の混合物を含み得る。しかしながら、多くの天然抗菌剤は、抗菌効果を得るのに必要な量で使用した場合、強い、不快な、かつ/又は苦い味を有する場合がある。したがって、多くの天然抗菌剤は、高い抗菌活性を有するにもかかわらず、口腔ケア組成物での使用に適さない場合がある。
【0003】
多くの天然抗菌剤の不快な味に対する1つの解決策は、ホップ等の天然抗菌剤の味をマスキングするか又は隠すために甘味料を使用することであり得る。残念なことに、ホップは、速効性かつ持続性の苦味を有するので、う蝕の一因となり得るう蝕原性糖を使用せずに効果的に甘くすることが困難であり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、ホップの苦味を効果的にマスキングすることができる甘味料又は甘味料の組み合わせが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(a)ホップと、(b)第1の甘味料と、(c)第2の甘味料とを含む口腔ケア組成物が本明細書に開示される。
【0006】
(a)ホップと、(b)速表出性(early displaying)甘味料と、(c)遅表出性(late displaying)甘味料とを含む口腔ケア組成物が本明細書に開示される。
【0007】
また、速表出性甘味料及び遅表出性甘味料を含む少なくとも2種の甘味料を使用することによってホップの苦味をマスキングする方法も本明細書に開示される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、ホップからの全体的な長期にわたって持続する苦い印象をマスキングするように設計された、ホップ、第1の甘味料、及び第2の甘味料を含む口腔ケア組成物を対象とする。口腔ケア組成物は、特徴的な香料を用いて製剤化される。典型的には、口腔ケア組成物は、各々が組成物の全体的な味に寄与する別個の香料化合物の集合体を含む。香料は、ユーザが口腔ケア組成物内の口腔ケア活性物質から恩恵を受けることができるように、口腔ケア組成物の使用を促す。しかしながら、組成物の味が快味でない限り、ユーザは組成物を使用せず、組成物の使用から恩恵を得ることもない。したがって、口腔ケア組成物に心地よい香りをつけようとする試みは、些細なことでも偶発的なことでもない。多くの天然の植物由来の抗菌剤は特徴的な香りを有するので、口腔ケア香味に対する従来のアプローチは十分でない。場合によっては、天然及び/又は植物由来の抗菌剤と一般的な香料化合物との組み合わせから不快な味の組成物が生じる可能性がある。
【0009】
単独では良い味がする2つのものが、一緒にしたときには時に非常に悪い味になるのはなぜか?雑食動物として、ヒトは、歴史的に、食物に起因する疾患を回避しながら栄養要求を満たす食物を特定して収集するという困難な課題に直面しており、この課題を支援するために味覚/嗅覚を洗練させてきた。色、質感、温度、及び音等の多くの要因が口腔感覚において重要な役割を果たすが、快味は、匂い(嗅覚受容体に結合することができる分子による)、味(味蕾を刺激する分子による)、及び爽快さ又は辛味(三叉神経感覚)を含む感覚の群を表す香料によって主に決定される。これらの化学的プロファイル(香料)間の複雑な相互作用は、補完的及び不適合な香料の同定を予想外に困難にする。
【0010】
5つの味のうち、塩味、甘味、及び旨味は食欲を増進する(ヒトを必須栄養素に向かわせる)のに対して、苦味及び酸味は嫌悪される(ヒトに対して潜在的に有害な物質を警告する)。嫌悪味を食欲増進味と混合すると、相反する情報が脳に送られ、この種の混乱は、感覚が回避しようとしているものである。混合シグナルは、ヒトが悪くなった食物を拒絶する理由である。甘酸っぱい中華料理等、混乱を楽しむ場合もあるが、一般に、潜在的にココアとピクルス、ホットドッグにピーナッツバター、又は更には牛乳に醤油等の相反する味は、否定的な反応を引き起こし得る。
【0011】
不快な香りを克服するための1つの戦略は、甘味料の添加等、感覚を圧倒することであり得る。医薬として使用される活性剤は、高用量では有毒である場合があり、それ自体が苦味を有し得る。したがって、多くの活性剤の苦味は、糖でカモフラージュすることによって、より快味にすることができる。しかしながら、糖の添加は虫歯の発生の一因となるため、歯科用組成物では好ましくない場合がある。
【0012】
更に、それは単に香料化合物自体の問題というだけではなく、香料化合物の濃度の問題でもある。例えば、乳製品を酸敗させるというアイデアについて検討する。乳製品の酸敗は、脂肪酸の酪酸への酸化によって引き起こされ、酪酸は独特の匂いを生成する。低レベルでは、酪酸は快味であり、高く評価され得る(例えば、パルメザンチーズ)。しかしながら、高レベルでは、酪酸は、ヒトの嘔吐物等の極めて不快な味になる場合がある。したがって、快味と不快味とは紙一重である。
【0013】
残念なことに、研究者らは、快味/不快味の組み合わせについての単純なルールを特定しようと試み、失敗している。その代わり、このプロセスは発見に最も適している。理論に束縛されるものではないが、ホップの苦味酸と即効性及び遅効性の両方の甘味料とを組み合わせると、その表出(display)が単一の甘味料の表出プロファイルと時間的に一致しないので、マスキングされずに残る苦味の一部の代わりに、口腔ケア組成物の使用中にホップの苦味がより完全にマスキングされることに少なくとも部分的に起因して、独特の快味体験をもたらすと考えられる。この場合、即効性甘味料は、スクロースの前に甘味の時間的ピーク認知を有し、一方、遅効性甘味料は、スクロースの後に甘味の時間的ピーク認知を有する。甘味強度は、甘味料の様々な異なる効力を考慮するために標準化されることが更に重要である。
【0014】
不快味は、即効性又は遅効性の甘味料のいずれか単独と組み合わせて観察されてきた。したがって、本発明は、ホップの速効性かつ持続性の苦味体験に一致するように、即効性及び遅効性の甘味料の組み合わせと共にホップを含む口腔ケア組成物を対象とする。
【0015】
定義
本明細書で使用される用語をより明確に定義するために、以下の定義が提供される。別途記載のない限り、以下の定義は、本開示に適用可能である。ある用語が本開示で使用されているが本明細書で具体的に定義されていない場合、その定義が、本明細書に適用される任意の他の開示又は定義と矛盾しない限り、又はその定義が適用される任意の請求項を不明確に若しくは不可能にしない限り、IUPAC Compendium of Chemical Terminology,2nd Ed(1997)からの定義を適用することができる。
【0016】
用語「口腔ケア組成物」は、本明細書で使用する場合、通常の使用過程において、特定の治療剤を全身投与する目的で意図的に嚥下されるものではなく、むしろ、歯の表面又は口腔組織と接触させるのに十分な時間にわたって口腔内に保持される製品を含む。口腔ケア組成物の例としては、歯磨剤、練り歯磨き、歯用ゲル、歯肉縁下用ゲル、マウスリンス、ムース、泡、マウススプレー、トローチ剤、チュアブル錠、チューインガム、歯用ホワイトニングストリップ、フロス及びフロスコーティング、口臭清涼用溶解性ストリップ、又は義歯用ケア若しくは付着性製品が挙げられる。口腔ケア組成物はまた、口腔表面に直接塗布又は装着するためにストリップ又はフィルム上に組み込まれてもよい。
【0017】
本明細書で有用な「有効物質及び他の成分」は、美容的及び/若しくは治療的効果、又はそれらが要求される作用形態若しくは機能により、本明細書において分類又は記載されてよい。しかしながら、本明細書において有用な活性物質及び他の成分は、場合によっては、2つ以上の美容的及び/又は治療的効果をもたらす、あるいは2つ以上の作用形態で機能又は作用してもよいと理解すべきである。したがって、本明細書における分類は便宜上実施されるものであり、成分を、列挙される具体的に規定した機能(複数可)又は作用に制限しようとするものではない。
【0018】
用語「口腔的に許容し得る担体」とは、局所口腔投与に好適な1種以上の相溶性のある固体若しくは液体賦形剤、又は希釈剤を含む。用語「相溶性」は、本明細書で使用する場合、組成物の構成成分が、組成物の安定性及び/又は有効性を実質的に低下させるような方式で相互作用することなく、混合されることができることを意味する。
【0019】
本明細書で使用する場合、用語「~を実質的に含まない」は、組成物中に、かかる組成物の総重量の0.05%以下、好ましくは0.01%以下、より好ましくは0.001%以下の指示物質が存在することを指す。
【0020】
本明細書で使用する場合、用語「~を本質的に含まない」は、指示物質が組成物に意図的に添加されたものでないこと、又は好ましくは分析によって検出可能な濃度では存在しないことを意味する。これは、指示物質が、意図的に添加されたその他の物質のうちの1つの不純物としてのみ存在する、組成物を包含することを意味する。
【0021】
組成物及び方法は、本明細書において、様々な構成要素又は工程を「含む」という観点で記載されているが、組成物及び方法はまた、別途記載のない限り、様々な構成要素又は工程「から本質的になる」又は「からなる」こともできる。
【0022】
本明細書で使用する場合、単語「又は」は、2つ以上の要素の接続詞として使用されるとき、要素を個々に、及び組み合わせで含むことを意味し、例えば、X又はYは、X又はY又はこれら両方を意味する。
【0023】
本明細書で使用する場合、冠詞「a」及び「an」は、特許請求される又は記載される材料、例えば、「口腔ケア組成物」又は「漂白剤」の1つ以上を意味するものと理解される。
【0024】
特に明記しない限り、本明細書で言及される測定は全て約23℃(すなわち、室温)で行われる。
【0025】
一般に、元素の族は、Chemical and Engineering News,63(5),27,1985に掲載されている元素周期表のバージョンで示される番号付けスキームを使用して示される。いくつかの例では、族に割り当てられた共通の名称を使用して、元素の族を示すことができ、例えば、第1族元素のアルカリ金属、第2族元素のアルカリ土類金属などが挙げられる。
【0026】
いくつかの種類の範囲が本発明に開示される。任意の種類の範囲が開示又は特許請求される場合、範囲の端点並びにその中に包含される任意の部分範囲及び任意の部分範囲の組み合わせを含む、そのような範囲が合理的に包含し得る可能な各数を個々に開示又は特許請求することを意図している。
【0027】
用語「約」は、量、サイズ、配合、パラメータ、並びにその他の数量及び特性が正確ではなく、正確である必要はないが、所望に応じて、許容誤差、変換係数、四捨五入、測定誤差など、並びに当業者に既知のその他の要因を反映して、近似的及び/又はより大きいか若しくはより小さい場合があることを意味する。一般に、量、サイズ、配合、パラメータ、又は他の数量若しくは特性は、そのようであると明示的に記載されているか否かに関わらず、「約」又は「近似的」である。「約」という用語はまた、特定の初期混合物から生じる組成物の異なる平衡状態に起因して異なる量も包含する。「約」という用語によって修飾されているか否かに関わらず、特許請求の範囲は、その量に対する均等物を含む。「約」という用語は、報告された数値の10%以内、好ましくは報告された数値の5%以内を意味し得る。
【0028】
口腔ケア組成物は、固体、液体、粉末、ペースト、又はこれらの組み合わせなどの任意の適切な形態であり得る。口腔ケア組成物は、歯磨剤、歯用ゲル、歯肉縁下用ゲル、マウスリンス、ムース、泡、マウススプレー、トローチ剤、チュアブル錠、チューインガム、歯用ホワイトニングストリップ、フロス及びフロスコーティング、口臭予防用溶解ストリップ、又は義歯用ケア若しくは付着性製品であり得る。歯磨剤組成物の構成成分は、フィルム、ストリップ、泡、又は繊維ベースの歯磨剤組成物に組み込まれることができる。口腔ケア組成物は、例えば、後述のように、ホップ抽出物、スズイオン源、カルシウムイオン源、水、フッ化物源、亜鉛イオン源、1つ以上のポリホスフェート、保湿剤、界面活性剤、他の成分など、及びこれらの任意の組み合わせなどであるがこれらに限定されない、様々な活性及び不活性成分を含み得る。
【0029】
セクション見出しは、編成及び便宜上の目的のためだけに以下に提供される。セクション見出しは、化合物が1つより多いセクション内に存在し得ないことを示唆するものではない。実際、化合物は、1つより多いセクションに含まれる場合がある。例えば、いくつかのカテゴリ及び/又はセクションに適合することができる多くの他の化合物の中でも、塩化第一スズは、スズイオン源及びバイオフィルム変性剤の両方であり得、フッ化第一スズは、スズイオン源及びフッ化物イオン源の両方であり得、グリシンは、アミノ酸、緩衝剤、及び/又はバイオフィルム変性剤であり得る。
【0030】
フムルス・ルプルス(Humulus lupulus)
本発明の口腔ケア組成物は、ホップを含む。ホップは、式I及び/又は式IVからの少なくとも1つのホップ化合物を含み得る。式I及び/又は式IVの化合物は、フムルス・ルプルス、すなわちホップからの抽出物、フムルス・ルプルス自体、合成的に誘導される化合物、及び/又はこれらの塩、プロドラッグ、若しくは他の類似体などの任意の好適な源によって提供され得る。ホップ抽出物は、1つ以上のホップアルファ酸、1つ以上のホップイソ-アルファ酸、1つ以上のホップベータ酸、1つ以上のホップ油、1つ以上のフラボノイド、1つ以上の溶媒、及び/又は水を含み得る。好適なホップアルファ酸(一般的に式Iに示される)は、フムロン(式II)、アドフムロン、コフムロン、ポストフムロン、プレフムロン、及び/又はこれらの混合物を含み得る。好適なホップイソ-アルファ酸は、シス-イソフムロン及び/又はトランス-イソフムロンを含み得る。フムロンのシス-イソフムロン及びトランス-イソフムロンへの異性化は、式IIIによって表すことができる。
【0031】
【化1】
【0032】
好適なホップベータ酸は、ルプロン、アドルプロン、コルプロン、及び/又はこれらの混合物を含み得る。好適なホップベータ酸は、式IV、式V、式VI、及び/又は式VIIに記載の化合物を含み得る。
【0033】
【化2】
【0034】
ホップアルファ酸は、多少の抗菌活性を示すことができるが、ホップアルファ酸は苦味も有する。ホップアルファ酸によって提供される苦さは、ビールには適している場合があるが、口腔ケア組成物における使用には適していない。対照的に、ホップベータ酸は、より高い抗菌及び/又は抗う蝕活性に関連し得るが、苦味を有さない。したがって、アルファ酸に対するベータ酸の比率が自然界に通常みられるよりも高いホップ抽出物は、抗菌及び/又は抗う蝕剤として使用するための口腔ケア組成物において使用するのに好適であり得る。
【0035】
天然ホップ源は、ホップの品種に応じてホップ源の約2重量%~約12重量%のホップベータ酸を含み得る。ビールの醸造などの他の状況で使用されるホップ抽出物は、抽出物の約15重量%~約35重量%のホップベータ酸を含み得る。本明細書において望ましいホップ抽出物は、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、約35%~約95%、約40%~約90%、又は約45%~約99%のホップベータ酸を含み得る。ホップベータ酸は、酸性形態であってもよく(すなわち、ヒドロキシ官能基(複数可)に水素原子(複数可)が結合している)、又は塩形態であってもよい。
【0036】
好適なホップ抽出物は、参照によりその全体が本明細書に援用される米国特許第7,910,140号に詳細に記載されている。所望のホップベータ酸は、水素化されていなくても、天然には存在しない化学反応によって部分的に水素化されていても、又は天然には存在しない化学反応によって水素化されていてもよい。ホップベータ酸は、水素化ホップベータ酸及び/又はホップ酸を本質的に含んでいなくてもよく、又は実質的に含んでいなくてもよい。天然には存在しない化学反応は、フムルス・ルプルスではみられない化学化合物を用いて行われた化学反応であり、例えば、野生においては通常フムルス・ルプルスが経験しない高熱及び/又は金属触媒を用いて行われる化学水素化反応である。
【0037】
天然ホップ源は、ホップ源の約2重量%~約12重量%のホップアルファ酸を含み得る。ビールの醸造などの他の状況で使用されるホップ抽出物は、抽出物の約15重量%~約35重量%のホップアルファ酸を含み得る。本明細書において望ましいホップ抽出物は、抽出物の約10重量%未満、約5重量%未満、約1重量%未満、又は約0.5重量%未満のホップアルファ酸を含み得る。
【0038】
ホップ油は、ミルセン、フムレン、カリオフィレン、及び/又はこれらの混合物などのテルペン炭化水素を含み得る。本明細書において望ましいホップ抽出物は、抽出物の5重量%未満、2.5重量%未満、又は2重量%未満の1つ以上のホップ油を含み得る。
【0039】
ホップ抽出物中に存在するフラボノイドは、キサントフモール、8-プレニルナリンゲニン、イソキサントフモール、及び/又はこれらの混合物を含み得る。ホップ抽出物は、1つ以上のフラボノイドを実質的に含んでいなくてもよく、本質的に含んでいなくてもよく、含んでいなくてもよく、又は250ppm未満、150ppm未満、及び/若しくは100ppm未満有していてもよい。
【0040】
米国特許第5,370,863号に記載されているように、ホップ酸は、既に口腔ケア組成物に添加されている。しかしながら、米国特許第5,370,863号によって教示されている口腔ケア組成物は、口腔ケア組成物の最大0.01重量%しか含まなかった。理論に束縛されることを望むものではないが、米国特許第5,370,863号は、ホップアルファ酸の苦さが原因で、少量のホップ酸しか組み込むことができなかった。低濃度のホップアルファ酸を有するホップ抽出物は、この懸念を有さないであろう。
【0041】
ホップ化合物は、モクレン属(Magnolia)の種などの別の植物からの抽出物と組み合わされてもよく、別の植物からの抽出物を含んでいなくてもよい。ホップ化合物は、トリクロサンと組み合わされてもよく、トリクロサンを含んでいなくてもよい。
【0042】
口腔ケア組成物は、本明細書に記載されるように、約0.01%~約10%、0.01%超~約10%、約0.05%~約10%、約0.1%~約10%、約0.2%~約10%、約0.2%~約10%、約0.2%~約5%、約0.25%~約2%、約0.05%~約2%、又は0.25%超~約2%のホップ、例えばホップベータ酸を含み得る。ホップ、例えばホップベータ酸は、好適なホップ抽出物、ホップ植物自体、又は合成的に誘導される化合物によって提供され得る。ホップ、例えばホップベータ酸は、中性、酸性の化合物、及び/又はナトリウム、カリウム、アンモニア、若しくは任意の他の好適な対イオンなどの好適な対イオンとの塩として提供され得る。
【0043】
ホップは、抽出物の少なくとも35重量%のホップベータ酸及びホップ抽出物の1重量%未満のホップアルファ酸を含む、フムルス・ルプルスからの抽出物などのホップ抽出物によって提供され得る。口腔ケア組成物は、本明細書に記載されるように、0.01%~約10%、0.01%超~約10%、約0.05%~約10%、約0.1%~約10%、約0.2%~約10%、約0.2%~約10%、約0.2%~約5%、約0.25%~約2%、約0.05%~約2%、又は0.25%超~約2%のホップ抽出物を含み得る。
【0044】
甘味剤
口腔ケア組成物は、甘味料を含む。甘味料は、上記のように、ホップの苦味をマスキングすることができる。ホップは特に長く持続する苦味を有する場合があるので、本発明は、組み合わされて長く持続する苦味を十分にマスキングすることができる1つより多い、又は少なくとも2つの甘味料を有する口腔ケア組成物を対象とする。
【0045】
う蝕原性糖を使用せずにホップをマスキングするのに十分に長い持続時間及び十分に高い強度を有する甘味料を見出すことは困難であり得る。したがって、本発明は、非う蝕原性でありながらホップの苦味を集合的にマスキングすることができる甘味料の混合物を対象とする。
【0046】
口腔ケア組成物は、第1の甘味料を含み得る。第1の甘味料は、速表出性つまり早く表出する甘味料であってよい。第1の甘味料は、スクロースのピーク強度時間よりも早いピーク強度時間を有し得る。第1の甘味料の好適な例としては、アセスルファムカリウム、サッカリン、キシリトール、エリスリトール、及び/若しくはソルビトール等の糖アルコール、並びに/又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0047】
口腔ケア組成物は、第2の甘味料を含み得る。第2の甘味料は、遅表出性甘味料であり得る。第2の甘味料は、スクロースのピーク強度時間よりも遅いピーク強度時間を有し得る。第1の甘味料の好適な例としては、アスパルテーム、スクラロース、ステビオシド、ネオテーム、ラカンカ、及び/又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0048】
口腔ケア組成物は、口腔ケア組成物の約0.01重量%~約20重量%、約0.1重量%~約10重量%、又は約0.001重量%~約15重量%の甘味料、第1の甘味料、及び/又は第2の甘味料を含み得る。
【0049】
フッ化物イオン源
口腔ケア組成物は、フッ化物イオン源などからのフッ化物を含み得る。フッ化物イオン源は、フッ化第一スズ、フッ化ナトリウム、フッ化チタン、フッ化カルシウム、カルシウムホスフェートシリケートフルオリド、フッ化カリウム、フッ化アミン、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化亜鉛、及び/又はこれらの混合物などの1つ以上のフッ化物含有化合物を含み得る。
【0050】
フッ化物イオン源及びスズイオン源は、スズイオン及びフッ化物イオンを生成することができる、例えば、フッ化第一スズなどの同じ化合物であり得る。加えて、フッ化物イオン源及びスズイオン源は、スズイオン源が塩化第一スズであり、フッ化物イオン源がモノフルオロリン酸ナトリウム又はフッ化ナトリウムである場合など、別個の化合物であり得る。
【0051】
フッ化物イオン源及び亜鉛イオン源は、亜鉛イオン及びフッ化物イオンを生成することができる、例えば、フッ化亜鉛などの同じ化合物であり得る。加えて、フッ化物イオン源及び亜鉛イオン源は、亜鉛イオン源がリン酸亜鉛であり、フッ化物イオン源がフッ化第一スズである場合など、別個の化合物であり得る。
【0052】
フッ化物イオン源は、フッ化第一スズを本質的に含まなくてもよい、又は含まなくてもよい。したがって、口腔ケア組成物は、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化アミン、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化亜鉛、及び/又はこれらの混合物を含み得る。
【0053】
口腔ケア組成物は、約50ppm~約5000ppm、好ましくは約500ppm~約3000ppmの遊離フッ化物イオンを提供することができるフッ化物イオン源を含み得る。所望の量のフッ化物イオンを送達するために、フッ化物イオン源は、口腔ケア組成物中に、口腔ケア組成物の約0.0025重量%~約5重量%、約0.01重量%~約10重量%、約0.2重量%~約1重量%、約0.5重量%~約1.5重量%、又は約0.3重量%~約0.6重量%の量で存在し得る。あるいは、口腔ケア組成物は、フッ化物イオン源を0.1%未満、0.01%未満含んでいてもよく、本質的に含んでいなくてもよく、実質的に含んでいなくてもよく、又は含んでいなくてもよい。
【0054】
スズイオン源
本発明の口腔ケア組成物は、スズイオン源などからのスズを含み得る。スズイオン源は、口腔ケア組成物中にスズイオンを提供することができる、かつ/又は歯磨剤組成物が口腔に適用されるときに、口腔にスズイオンを供給することができる任意の好適な化合物であり得る。スズイオン源は、フッ化第一スズ、塩化第一スズ、臭化第一スズ、ヨウ化第一スズ、酸化第一スズ、シュウ酸第一スズ、硫酸第一スズ、硫化第一スズ、フッ化第二スズ、塩化第二スズ、臭化第二スズ、ヨウ化第二スズ、硫化第二スズ、及び/又はこれらの混合物などの1つ以上のスズ含有化合物を含み得る。スズイオン源は、フッ化第一スズ、塩化第一スズ、及び/又はこれらの混合物を含み得る。スズイオン源はまた、塩化第一スズなどのフッ化物フリーのスズイオン源であってもよい。
【0055】
口腔ケア組成物は、口腔ケア組成物の約0.0025重量%~約5重量%、約0.01重量%~約10重量%、約0.2重量%~約1重量%、約0.5重量%~約1.5重量%、又は約0.3重量%~約0.6重量%のスズイオン源を含み得る。
【0056】
Caイオン源
本発明の口腔ケア組成物は、カルシウムイオン源などからのカルシウムを含み得る。カルシウムイオン源は、口腔ケア組成物中にカルシウムイオンを提供することができる、かつ/又は口腔ケア組成物が口腔に適用されたときに、口腔にカルシウムイオンを送達することができる任意の好適な化合物又は分子であり得る。カルシウムイオン源は、カルシウム塩、カルシウム研磨剤、及び/又はこれらの組み合わせを含み得る。場合によっては、カルシウム塩がカルシウム研磨剤とみなされることもあり、又はカルシウム研磨剤はまた、カルシウム塩とみなされることもある。
【0057】
カルシウムイオン源は、カルシウム研磨剤を含み得る。カルシウム研磨剤は、口腔ケア組成物中にカルシウムイオンを提供することができる、かつ/又は、口腔ケア組成物が口腔に適用されるときに、口腔にカルシウムイオンを供給することができる、任意の好適な研磨剤化合物であり得る。カルシウム研磨剤は、炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム(precipitated calcium carbonate、PCC)、粉砕炭酸カルシウム(ground calcium carbonate、GCC)、チョーク、リン酸二カルシウム、ピロリン酸カルシウム、及び/又はこれらの混合物などの1つ以上のカルシウム研磨剤化合物を含み得る。
【0058】
カルシウムイオン源は、カルシウム塩、又は口腔ケア組成物中にカルシウムイオンを提供することができる、かつ/若しくは研磨剤として作用することができない口腔ケア組成物が口腔に適用されたときに、口腔にカルシウムイオンを送達することができる化合物を含み得る。カルシウム塩は、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、リン酸カルシウム、乳酸カルシウム、シュウ酸カルシウム、酸化カルシウム、グルコン酸カルシウム、クエン酸カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ素酸カルシウム、ヨウ化カルシウム、ヒドロキシアパタイト、フルオロアパタイト、硫酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、及び/又はこれらの組み合わせなどの1つ以上のカルシウム化合物を含み得る。
【0059】
口腔ケア組成物は、約5重量%~約70重量%、約10重量%~約50重量%、約10重量%~約60重量%、約20重量%~約50重量%、約25重量%~約40重量%、又は約1重量%~約50重量%のカルシウムイオン源を含み得る。
【0060】
緩衝剤
口腔ケア組成物は、緩衝剤を含み得る。緩衝剤は、口腔内の選択された部位で特定のpHを維持することができる弱酸又は塩基であり得る。例えば、緩衝剤は、歯の表面におけるpHを維持して、細菌によって生成されるプラーク酸の影響を軽減することができる。緩衝剤は、口腔ケア組成物中にも存在するイオンの共役酸を含み得る。例えば、カルシウムイオン源が炭酸カルシウムを含む場合、緩衝剤は、重炭酸アニオン(-HCO )を含み得る。緩衝剤は、クエン酸及びクエン酸ナトリウムなどの共役酸/塩基対を含み得る。
【0061】
好適な緩衝系は、リン酸塩、クエン酸塩、炭酸塩/重炭酸塩、トリス緩衝液、イミダゾール、尿素、ホウ酸塩、及び/又はこれらの組み合わせを含み得る。好適な緩衝剤としては、重炭酸ナトリウムなどの重炭酸塩、グリシン、オルトホスフェート、アルギニン、尿素、及び/又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0062】
口腔ケア組成物は、約1%~約30%、約5%~約25%、又は約10%~約20%の1つ以上の緩衝剤を含み得る。
【0063】
バイオフィルム変性剤
口腔ケア組成物は、1つ以上のバイオフィルム変性剤を含み得る。バイオフィルム変性剤は、ポリオール、アンモニア生成化合物、及び/又はグルコシルトランスフェラーゼ阻害剤を含み得る。
【0064】
ポリオールは、2つ以上のヒドロキシル官能基を有する有機化合物である。ポリオールは、口腔ケア組成物が使用前に保存されている間、スズイオンに弱く会合、相互作用、又は結合することができる任意の好適な化合物であり得る。ポリオールは糖アルコールであってよく、これは式(CHOH)を有する糖化合物の水素化を通して得ることができるポリオールの部類である。ポリオールは、グリセリン、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、ブチレングリコール、ラクチトール、及び/又はこれらの組み合わせであり得る。口腔ケア組成物は、口腔ケア組成物の0.01重量%~約70重量%、約5重量%~約70重量%、約5重量%~約50重量%、約10重量%~約60重量%、約10重量%~約25重量%、又は約20重量%~約80重量%のポリオールを含み得る。
【0065】
アンモニア生成化合物は、口腔への送達時にアンモニアを生成することができる任意の好適な化合物であり得る。好適なアンモニア生成化合物としては、アルギニン、尿素、及び/又はこれらの組み合わせが挙げられる。口腔ケア組成物は、約0.01%~約10%、約1%~約5%、又は約1%~約25%の1つ以上のアンモニア生成化合物を含み得る。
【0066】
グルコシルトランスフェラーゼ阻害剤は、グルコシルトランスフェラーゼを阻害することができる任意の好適な化合物であり得る。グルコシルトランスフェラーゼは、天然のグリコシド結合を確立することができる酵素である。特に、これらの酵素は、う蝕に関連する細菌のために、多糖又はオリゴ糖部分を単糖に分解する。したがって、このプロセスを阻害することができる任意の化合物は、う蝕を予防するのに役立ち得る。好適なグルコシルトランスフェラーゼ阻害剤としては、オレイン酸、エピカテキン、タンニン、タンニン酸、モエノマイシン、カスポファンギン、エタンブトール、ルフェヌロン、及び/又はこれらの組み合わせが挙げられる。口腔ケア組成物は、約0.001%~約5%、約0.01%~約2%、又は約1%の1つ以上のグリコシルトランスフェラーゼ阻害剤を含み得る。
【0067】
金属イオン源
口腔ケア組成物は、1つ以上の金属イオンを含む金属イオン源などからの金属を含み得る。金属イオン源は、本明細書に記載されているように、スズイオン源及び/又は亜鉛イオン源を含んでもよい、又はそれに加えられてもよい。好適な金属イオン源としては、Sn、Zn、Cu、Mn、Mg、Sr、Ti、Fe、Mo、B、Ba、Ce、Al、In及び/又はこれらの混合物などであるがこれらに限定されない金属イオンを有する化合物が挙げられる。微量金属源は、好適な金属並びに任意の付随するリガンド及び/又はアニオンを含む任意の化合物であり得る。
【0068】
金属イオン源と対をなすことができる好適なリガンド及び/又はアニオンとしては、酢酸、硫酸アンモニウム、安息香酸、臭化物、ホウ酸、炭酸、塩化物、クエン酸、グルコン酸、グリセロリン酸、水酸化物、ヨウ化物、酸化物、プロピオン酸、D-乳酸、DL-乳酸、オルトリン酸、ピロリン酸、硫酸、硝酸、酒石酸、及び/又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0069】
口腔ケア組成物は、約0.01重量%~約10重量%、約1重量%~約5重量%、又は約0.5重量%~約15重量%の金属イオン源を含み得る。
【0070】
抗菌剤
口腔ケア組成物は、1つ以上の抗菌剤を含み得る。好適な抗菌剤は、口腔内で抗菌活性を提供する任意の分子を含む。好適な抗菌剤としては、ホップ酸、スズイオン源、ベンジルアルコール、安息香酸ナトリウム、酢酸メンチルグリシル、乳酸メンチル、L-メントール、o-ネオメントール、クロロフィリン銅錯体、フェノール、オキシキノリン、及び/又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0071】
口腔ケア組成物は、約0.01%~約10%、約1%~約5%、又は約0.5%~約15%の抗菌剤を含み得る。
【0072】
生体活性物質
口腔ケア組成物はまた、歯の再石灰化に好適な生体活性物質も含むことができる。好適な生体活性物質としては、生体活性ガラス、Novamin(商標)、Recaldent(商標)、ヒドロキシアパタイト、1つ以上のアミノ酸、例えば、アルギニン、シトルリン、グリシン、リシン、若しくはヒスチジンなど、又はこれらの組み合わせが挙げられる。アルギニンを含む組成物の好適な例は、参照によりそれらの全体が本明細書に援用される米国特許第4,154,813号及び同第5,762,911号にみられる。他の好適な生体活性物質としては、任意のリン酸カルシウム化合物が挙げられる。他の好適な生体活性物質としては、カルシウム源及びホスフェート源を含む化合物が挙げられる。
【0073】
アミノ酸は、アミン官能基、カルボキシル官能基、及び各アミノ酸に特異的な側鎖を含有する有機化合物である。好適なアミノ酸としては、例えば、正又は負の側鎖を有するアミノ酸、酸性又は塩基性の側鎖を有するアミノ酸、極性非荷電側鎖を有するアミノ酸、疎水性側鎖を有するアミノ酸、及び/又はこれらの組み合わせが挙げられる。好適なアミノ酸としては、例えば、アルギニン、ヒスチジン、リシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、トレオニン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セレノシステイン、グリシン、プロリン、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、シトルリン、オルニチン、クレアチン、ジアミノブトン酸(diaminobutonic acid)、ジアミノプロピオン酸、これらの塩、及び/又はこれらの組み合わせも挙げられる。
【0074】
生体活性ガラスは、ヒドロキシアパタイトと同様の割合で存在し得るカルシウム及び/又はホスフェートを含んでいる。これらのガラスは、組織に結合でき、生体適合性である。生体活性ガラスとしては、ホスホペプチド、カルシウム源、ホスフェート源、シリカ源、ナトリウム源、及び/又はこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0075】
口腔ケア組成物は、口腔ケア組成物の約0.01重量%~約20重量%、約0.1重量%~約10重量%、又は約1重量%~約10重量%の生体活性物質を含んでもよい。
【0076】
研磨剤
口腔ケア組成物は、本明細書に記載されるように、カルシウム研磨剤、及び/又は非カルシウム研磨剤、例えば、ベントナイト、シリカゲル(それ自体、及び任意の構造のもの)、沈降シリカ、非晶質沈降シリカ(それ自体、及び更に任意の構造のもの)、水和シリカ、パーライト、二酸化チタン、ピロリン酸カルシウム、リン酸二カルシウム二水和物、アルミナ、水和アルミナ、焼成アルミナ、ケイ酸アルミニウム、不溶性メタリン酸ナトリウム、不溶性メタリン酸カリウム、不溶性炭酸マグネシウム、ケイ酸ジルコニウム、粒子状熱硬化性樹脂、及び他の好適な研磨材料を含み得る。このような材料を口腔ケア組成物に導入して、標的歯磨剤製剤の研磨特性を調整することができる。口腔ケア組成物は、口腔ケア組成物の約5重量%~約70重量%、約10重量%~約50重量%、約10重量%~約60重量%、約20重量%~約50重量%、約25重量%~約40重量%、又は約1重量%~約50重量%の非カルシウム研磨剤を含み得る。
【0077】
あるいは、口腔ケア組成物は、シリカ、アルミナ、又は任意の他の非カルシウム研磨剤を実質的に含まない、本質的に含まない、又は含まない場合がある。口腔ケア組成物は、約5%未満、約1%未満、約0.5%未満、約0.1%未満、又は0%の非カルシウム研磨剤、例えば、シリカ及び/又はアルミナを含み得る。
【0078】

本発明の口腔ケア組成物は、無水、低含水製剤、又は高含水製剤であり得る。合計で、口腔ケア組成物は、組成物の0重量%~約99重量%、約5重量%~約75重量%、約20重量%以上、約30重量%以上、又は約50重量%以上の水を含み得る。好ましくは、水は、USP水である。
【0079】
高含水口腔ケア組成物及び/又は練り歯磨き製剤では、口腔ケア組成物は、組成物の約45重量%~約75重量%の水を含む。高含水口腔ケア組成物及び/又は練り歯磨き製剤は、組成物の約45重量%~約65重量%、約45重量%~約55重量%、又は約46重量%~約54重量%の水を含み得る。水は、高含水製剤に添加されてもよく、及び/又は他の成分を含めることによって組成物に組み込まれてもよい。
【0080】
低含水口腔ケア組成物及び/又は練り歯磨き製剤では、口腔ケア組成物は、組成物の約5重量%~約45重量%の水を含む。低含水口腔ケア組成物は、組成物の約5重量%~約35重量%、約10重量%~約25重量%、又は約20重量%~約25重量%の水を含み得る。水は、低含水製剤に添加されてもよく、及び/又は他の成分を含めることによって組成物に組み込まれてもよい。
【0081】
無水口腔ケア組成物及び/又は練り歯磨き製剤では、口腔ケア組成物は、組成物の約10重量%未満の水を含む。無水組成物は、組成物の約5重量%未満、約1重量%未満、又は0重量%の水を含む。水は、無水製剤に添加されてもよく、及び/又は他の成分を含めることによって組成物に組み込まれてもよい。
【0082】
マウスリンス製剤は、約75%~約99%、約75%~約95%、又は約80%~約95%の水を含む。
【0083】
組成物はまた、アルコール、保湿剤、ポリマー、界面活性剤、及び許容性改善剤、例えば着香剤、甘味剤、着色剤及び/又は冷感剤などの、他の口腔的に許容し得る担体材料を含み得る。
【0084】
pH
開示される組成物のpHは、約4~約10、約7~約10、7超~約10、8超~約10、7超、7.5超、8超、9超、又は約8.5~約10であり得る。
【0085】
亜鉛イオン源
口腔ケア組成物は、亜鉛イオン源などからの亜鉛を含み得る。亜鉛イオン源は、フッ化亜鉛、乳酸亜鉛、酸化亜鉛、リン酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、ヘキサフルオロジルコン酸亜鉛、硫酸亜鉛、酒石酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、クエン酸亜鉛、リンゴ酸亜鉛、亜鉛グリシネート、ピロリン酸亜鉛、メタリン酸亜鉛、シュウ酸亜鉛、及び/又は炭酸亜鉛などの1つ以上の亜鉛含有化合物を含み得る。亜鉛イオン源は、リン酸亜鉛、酸化亜鉛、及び/又はクエン酸亜鉛などのフッ化物フリーの亜鉛イオン源であり得る。
【0086】
亜鉛イオン源は、全口腔ケア組成物中に、歯磨剤組成物の約0.01重量%~約10重量%、約0.2重量%~約1重量%、約0.5重量%~約1.5重量%、又は約0.3重量%~約0.6重量%の量で存在し得る。
【0087】
ポリホスフェート
口腔ケア組成物は、ポリホスフェート源などからのポリホスフェートを含み得る。ポリホスフェート源は、1つ以上のポリホスフェート分子を含み得る。ポリホスフェートは、オルトホスフェートの脱水及び縮合によって様々な鎖長の直鎖及び環状ポリホスフェートをもたらすことにより得られる物質の部類である。したがって、ポリホスフェート分子は、一般に、以下に記載されるように、ポリホスフェート分子の平均数(n)で同定される。ポリホスフェートは一般に、主に直鎖構造に配置された2つ以上のホスフェート分子からなると理解されているが、いくつかの環状誘導体が存在する場合もある。
【0088】
好ましいポリホスフェートは、有効濃度での表面吸着により十分な非結合のホスフェート官能基を生成し、これがアニオン性表面電荷並びに表面の親水性特徴を強化するように、平均して2つ以上のホスフェート基を有するものである。本発明において好ましいものは、式:XO(XPOX(式中、Xは、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、又は任意の他のアルカリ金属カチオンであり、nは、平均約2~約21である)を有する直鎖状ポリホスフェートである。カルシウムなどのアルカリ土類金属カチオンは、フッ化物イオン及びアルカリ土類金属カチオンを含む水溶液から不溶性フッ化物塩を形成する傾向があるため、好ましくない。したがって、本明細書に開示される口腔ケア組成物は、ピロリン酸カルシウムを含んでいなくてもよく、本質的に含んでいなくてもよく、又は実質的に含んでいなくてもよい。
【0089】
好適なポリホスフェート分子のいくつかの例としては、例えば、ピロホスフェート(n=2)、トリポリホスフェート(n=3)、テトラポリホスフェート(n=4)、ソーダフォスポリホスフェート(n=6)、ヘキサフォスポリホスフェート(n=13)、ベネフォスポリホスフェート(n=14)、Glass Hとしても知られるヘキサメタホスフェート(n=21)を挙げることができる。ポリホスフェートとしては、FMC Corporation、ICL Performance Products、及び/又はAstarisによって製造されるポリホスフェート化合物を挙げることができる。
【0090】
口腔ケア組成物は、口腔ケア組成物の約0.01重量%~約15重量%、約0.1重量%~約10重量%、約0.5重量%~約5重量%、約1~約20重量%、又は約10重量%以下のポリホスフェート源を含み得る。
【0091】
保湿剤
口腔ケア組成物は、1つ以上の保湿剤を含んでいてもよく、低濃度の保湿剤を含んでいてもよく、保湿剤を本質的に含んでいなくてもよく、実質的に含んでいなくてもよく、又は含んでいなくてもよい。保湿剤は、口腔ケア組成物又は歯磨剤に粘性(body)又は「口当たり(mouth texture)」を加えるだけでなく、歯磨剤が乾燥するのを防止する役割を果たす。好適な保湿剤としては、ポリエチレングリコール(様々な異なる分子量で)、プロピレングリコール、グリセリン(グリセロール)、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、ブチレングリコール、ラクチトール、加水分解水添デンプン、及び/又はこれらの混合物が挙げられる。口腔ケア組成物は、それぞれ口腔ケア組成物の0~約70重量%、約5重量%~約50重量%、約10重量%~約60重量%、又は約20重量%~約80重量%の濃度で1つ以上の保湿剤を含み得る。
【0092】
界面活性剤
口腔ケア組成物は、1つ以上の界面活性剤を含み得る。界面活性剤は、組成物をより美容的に許容可能にするために使用することができる。界面活性剤は、好ましくは、組成物に洗浄性及び起泡性を付与する洗浄性材料である。好適な界面活性剤は、安全かつ有効な量のアニオン性、カチオン性、非イオン性、双性イオン性、両性、及びベタイン界面活性剤である。
【0093】
好適なアニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルラジカル中に8~20個の炭素原子を有するアルキルサルフェートの水溶性塩、及び8~20個の炭素原子を有する脂肪酸のスルホン化モノグリセリドの水溶性塩が挙げられる。ラウリル硫酸ナトリウム(sodium lauryl sulfate、SLS)及びココナツモノグリセリドスルホン酸ナトリウムは、この種類のアニオン性界面活性剤の例である。他の好適なアニオン性界面活性剤としては、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、タウレート、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、ラウロイルイセチオン酸ナトリウム、ラウレスカルボン酸ナトリウム、及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのサルコシネートが挙げられる。アニオン性界面活性剤の組み合わせも使用することができる。
【0094】
別の好適な部類のアニオン性界面活性剤は、アルキルホスフェートである。界面活性有機リン酸剤は、エナメル質表面に対して強い親和性を有し、かつペリクルタンパク質を脱着して、エナメル表面に付着したまま留まる十分な表面結合性を有し得る。有機リン酸化合物の好適な例としては、以下の一般構造(式中、Z、Z、又はZは同一であっても異なっていてもよく、少なくとも1つが有機部分である)によって表されるモノ-、ジ-又はトリエステルが挙げられる。Z、Z、又はZは、任意選択で1個以上のリン酸基により置換される、直鎖状若しくは分枝状の、1~22個の炭素原子のアルキル又はアルケニル基、アルコキシル化アルキル若しくはアルケニル、(ポリ)サッカライド、ポリオール又はポリエーテル基から選択され得る。
【0095】
【化3】
いくつかの他の剤としては、以下の構造:
【0096】
【化4】
[式中、Rは、任意選択で1個以上のリン酸基により置換される、直鎖状若しくは分枝状の、6~22個の炭素原子のアルキル又はアルケニル基を表し、n及びmは、独立してかつ別個に、2~4であり、a及びbは、独立してかつ別個に、0~20であり、Z及びZは、同一であっても又は異なってもよく、それぞれ、水素、アルカリ金属、アンモニウム、アルカノールアミンなどのプロトン化したアルキルアミン若しくはプロトン化した官能性アルキルアミン、又はR-(OCH2)(OCH)-基を表す]によって表されるアルキル又はアルケニルリン酸エステルが挙げられる。好適な剤の例としては、アルキル及びアルキル(ポリ)アルコキシホスフェート、例えば、ラウリルホスフェート;PPGSセテアレス-10ホスフェート;ラウレス-1ホスフェート;ラウレス-3ホスフェート;ラウレス-9ホスフェート;トリラウレス-4ホスフェート;C12~18 PEG9リン酸塩:及びジラウレス-10リン酸ナトリウムが挙げられる。アルキルホスフェートは、ポリマーであり得る。ポリマーアルキルホスフェートの例としては、高分子部分としての反復アルコキシ基、具体的には、3つ以上のエトキシ、プロポキシイソプロポキシ、又はブトキシ基を含有するものが挙げられる。
【0097】
他の好適なアニオン性界面活性剤は、サルコシネート、イセチオネート、及びタウレート、特にこれらのアルカリ金属又はアンモニウム塩である。例としては、ラウロイルサルコシネート、ミリストイルサルコシネート、パルミトイルサルコシネート、ステアロイルサルコシネート、オレオイルサルコシネート、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0098】
他の好適なアニオン性界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸ナトリウム若しくはカリウム、アシルイセチオネート、アシルメチルイセチオネート、アルキルエーテルカルボキシレート、アシルアラニネート、アシルグルタム、アシルグリシネート、アシルサルコシネート、メチルアシルタウリン酸ナトリウム、ラウレススルホコハク酸ナトリウム、アルファオレフィンスルホネート、アルキルベンズスルホネート、ラウロイル乳酸ナトリウム、ラウリルグルコシドヒドロキシプロピルスルホン酸ナトリウム、及び/又は組み合わせが挙げられる。
【0099】
本明細書において有用な双極性又は両性界面活性剤としては、脂肪族ラジカルが直鎖又は分枝鎖であってよく、脂肪族置換基のうちの1つが8~18個の炭素原子を含有し、1つが例えばカルボキシ、スルホン酸、硫酸、リン酸、又はホスホン酸などのアニオン性水可溶化基を含有する、脂肪族四級アンモニウム、ホスホニウム、及びスルホニウム化合物の誘導体が挙げられる。好適なベタイン界面活性剤は、米国特許第5,180,577号に開示されている。典型的なアルキルジメチルベタインとしては、デシルベタイン、すなわち2-(N-デシル-N,N-ジメチルアンモニオ)アセテート、ココベタイン、すなわち2-(N-ココ-N,N-ジメチルアンモニオ)アセテート、ミリスチルベタイン、パルミチルベタイン、ラウリルベタイン、セチルベタイン、セチルベタイン、ステアリルベタインなどが挙げられる。アミドベタインは、ココアミドエチルベタイン、ココアミドプロピルベタイン(cocoamidopropyl betaine、CADB)、及びラウラミドプロピルベタインによって例示され得る。他の好適な両性界面活性剤としては、ベタイン、スルタイン、ラウリルアンホ酢酸ナトリウム、アルキルアンホジアセテート、及び/又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0100】
本発明において有用なカチオン性界面活性剤としては、例えば、8~18個の炭素原子を含有する1本の長いアルキル鎖を有する四級アンモニウム化合物の誘導体、例えば、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム;塩化セチルピリジニウム;臭化セチルトリメチルアンモニウム;フッ化セチルピリジニウム、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0101】
本発明の組成物中で使用できる非イオン性界面活性剤としては、例えば、アルキレンオキシド基(性質上は親水性)と、性質上は脂肪族又はアルキル芳香族であってもよい有機疎水性化合物との縮合によって生成される化合物が挙げられる。好適な非イオン性界面活性剤の例としては、ポロキサマーであるPluronics(登録商標)、アルキルフェノールのポリエチレンオキシド縮合物、エチレンオキシドとプロピレンオキシド及びエチレンジアミンの反応生成物との縮合から誘導される生成物、脂肪族アルコールのエチレンオキシド縮合物、長鎖三級アミンオキシド、長鎖三級ホスフィンオキシド、長鎖ジアルキルスルホキシド、並びにこのような材料の組み合わせを挙げることができる。他の好適な非イオン性界面活性剤としては、アルキルグルカミド、アルキルグルコシド、及び/又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0102】
1つ以上の界面活性剤はまた、1つ以上の天然及び/又は天然由来の界面活性剤を含んでいてもよい。天然界面活性剤としては、天然物由来の界面活性剤、及び/又は最低限の加工がされた、若しくは未加工の界面活性剤を挙げることができる。天然界面活性剤としては、水素添加、非水素添加、又は部分水素添加植物油、野菜油、チャボトケイソウ油、キャンデリラろう、ココ-カプリレート、カプレート、ジカプリリルエーテル、ラウリルアルコール、ミリスチルミリステート、ジカプリリルエーテル、カプリル酸、カプリルエステル、オクチルデカノエート、オクチルオクタノエート、ウンデカン、トリデカン、デシルオレエート、オレイン酸デシルエステル、セチルパルミテート、ステアリン酸、パルミチン酸、グリセリルステアレート、水素添加、非水素添加、又は部分水素添加植物グリセリド、ポリグリセリル-2ジポリヒドロキシステアレート、セテアリルアルコール、スクロースポリステアレート、グリセリン、オクタドデカノール、水素添加、部分水素添加、又は非水素添加植物タンパク質、水素添加、部分水素添加、又は非水素添加小麦タンパク質加水分解物、ポリグリセリル-3ジイソステアレート、グリセリルオレエート、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ナトリウムセテアリルサルフェート、セテアリルアルコール、グリセリルラウレート、カプリントリグリセリド、ココ-グリセリド、レシチン(lectithin)、ジカプリリルエーテル、キサンタンガム、ナトリウムココ-サルフェート、アンモニウムラウリルサルフェート、ナトリウムココイルサルフェート、ナトリウムココイルグルタメート、ポリアルキルグルコシド、例えば、デシルグルコシド、セテアリルグルコシド、セチルステアリルポリグルコシド、ココ-グルコシド、及びラウリルグルコシド、並びに/又はこれらの組み合わせを挙げることができる。天然界面活性剤としては、例えば、CegeSoft(登録商標)、Cetiol(登録商標)、Cutina(登録商標)、Dehymuls(登録商標)、Emulgade(登録商標)、Emulgin(登録商標)、Eutanol(登録商標)、Gluadin(登録商標)、Lameform(登録商標)、LameSoft(登録商標)、Lanette(登録商標)、Monomuls(登録商標)、Myritol(登録商標)、Plantacare(登録商標)、Plantaquat(登録商標)、Platasil(登録商標)、Rheocare(登録商標)、Sulfopon(登録商標)、Texapon(登録商標)、及び/又はこれらの組み合わせなどのBASFから販売される天然成分のうち任意のものを挙げることができる。
【0103】
界面活性剤の他の具体例としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルイセチオン酸ナトリウム、ラウロイルメチルイセチオン酸ナトリウム、ココイルグルタミン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウロイルサルコシン酸、ミリストイルサルコシン酸、パルミトイルサルコシン酸、ステアロイルサルコシン酸及びオレオイルサルコシン酸のアルカリ金属塩又はアンモニウム塩、モノステアリン酸、イソステアリン酸及びラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、N-ラウロイルサルコシン、N-ラウロイル、N-ミリストイル、又はN-パルミトイルサルコシンのナトリウム、カリウム及びエタノールアミン塩、アルキルフェノールのポリエチレンオキシド縮合物、ココアミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、パルミチルベタイン、ココイルグルタミン酸ナトリウムなどが挙げられる。望ましい追加の界面活性剤としては、グルタミン酸の脂肪酸塩、アルキルグルコシド、タウリン酸の塩、ベタイン、カプリレート、及び/又はこれらの混合物が挙げられる。口腔ケア組成物はまた、サルフェートフリーであってもよい。
【0104】
口腔ケア組成物は、1つ以上の界面活性剤をそれぞれ口腔ケア組成物の約0.01重量%~約15重量%、約0.3重量%~約10重量%、又は約0.3重量%~約2.5重量%の濃度で含み得る。
【0105】
増粘剤
口腔ケア組成物は、1つ以上の増粘剤を含み得る。増粘剤は、口腔ケア組成物において、歯磨剤及び/又は練り歯磨きを相分離に対して安定化させるゼラチン構造を提供するのに有用であり得る。好適な増粘剤としては、多糖類、ポリマー、及び/又はシリカ増粘剤が挙げられる。
【0106】
増粘剤は、1つ以上の多糖類を含み得る。多糖類のいくつかの非限定例としては、デンプン;デンプンのグリセライト;ガム、例えば、カラヤガム(ステルクリアガム)、トラガカントガム、アラビアガム、ガティガム、アカシアガム、キサンタンガム、グアーガム、及びセルロースガム;ケイ酸アルミニウムマグネシウム(Veegum);カラギーナン;アルギン酸ナトリウム;寒天;ペクチン;ゼラチン、セルロース化合物、例えばセルロース、微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルカルボキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、及び硫酸化セルロース;天然及び合成粘土、例えば、ヘクトライト粘土;並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0107】
本明細書において使用するのに好適な他の多糖類としては、カラギーナン、ジェランガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、カルボマー、ポロキサマー、変性セルロース、及びこれらの混合物が挙げられる。カラギーナンは、海藻由来の多糖類である。その海藻源によって区別され得る、及び/又は硫酸化の程度及び位置によって区別され得る複数種類のカラギーナンが存在する。増粘剤としては、κ-カラギーナン、変性κ-カラギーナン、ι-カラギーナン、変性ι-カラギーナン、λ-カラギーナン、及びこれらの混合物を挙げることができる。本明細書での使用に好適なカラギーナンとしては、FMC Companyからシリーズ名「Viscarin」で市販されているものが挙げられ、限定するものではないが、Viscarin TP 329、Viscarin TP 388、及びViscarin TP 389が挙げられる。
【0108】
増粘剤は、1つ以上のポリマーを含み得る。ポリマーは、口腔ケア組成物の様々な重量パーセントの、及び様々な範囲の平均分子範囲の、ポリエチレングリコール(polyethylene glycol、PEG)、ポリビニルピロリドン(polyvinylpyrrolidone、PVP)、ポリアクリル酸、少なくとも1つのアクリル酸モノマーから誘導されたポリマー、無水マレイン酸とメチルビニルエーテルとのコポリマー、架橋ポリアクリル酸ポリマーであり得る。あるいは、口腔ケア組成物は、無水マレイン酸とメチルビニルエーテルとのコポリマーを含んでいなくてもよく、本質的に含んでいなくてもよく、又は実質的に含んでいなくてもよい。
【0109】
増粘剤は、1つ以上の無機増粘剤を含み得る。好適な無機増粘剤のいくつかの非限定的な例としては、コロイド状ケイ酸アルミニウムマグネシウム、シリカ増粘剤が挙げられる。有用なシリカ増粘剤としては、例えば、非限定的な例として、ZEODENT(登録商標)165シリカなどの非晶質沈降シリカが挙げられる。他の非限定的なシリカ増粘剤としては、全てEvonik Corporationから入手可能なZEODENT(登録商標)153、163、及び167、並びにZEOFREE(登録商標)177及び265シリカ製品、並びにAEROSIL(登録商標)ヒュームドシリカが挙げられる。
【0110】
口腔ケア組成物は、0.01%~約15%、0.1%~約10%、約0.2%~約5%、又は約0.5%~約2%の1つ以上の増粘剤を含むことができる。
【0111】
プレニル化フラボノイド
口腔ケア組成物は、プレニル化フラボノイドを含み得る。フラボノイドは、広範囲の果物、野菜、穀物、樹皮、根、茎、花、茶、及びワインにみられる天然物質の群である。フラボノイドは、抗酸化、抗炎症、抗変異原性、抗癌、及び抗菌の効果などの健康に対する様々な有益な効果を有し得る。プレニル化フラボノイドは、細胞膜への結合を促進するために既に同定されている、少なくとも1つのプレニル官能基(式VIIIに示されるような3-メチルブタ-2-エン-1-イル)を含むフラボノイドである。したがって、理論に束縛されることを望むものではないが、フラボノイドへのプレニル基の付加、すなわちプレニル化は、親分子の親油性を高め、プレニル化分子の細菌細胞膜への浸透を改善することによって、元のフラボノイドの活性を増加させることができると考えられる。親油性を高めて細胞膜への浸透を増加させることは、プレニル化フラボノイドが高LogP値(高親油性)では不溶性に向かう傾向があるため、両刃の剣であり得る。LogPは、抗菌有効性の重要な指標であり得る。
【0112】
したがって、プレニル化フラボノイドという用語は、1つ以上のプレニル官能基を有する天然にみられるフラボノイド、合成的に付加されたプレニル官能基を有するフラボノイド、及び/又は合成的に付加された追加のプレニル官能基を有するプレニル化フラボノイドを含み得る。
【0113】
【化5】
【0114】
プレニル化分子の構造-活性関係(例えば、構造-MIC関係)を改善する親分子の他の好適な官能基は、親フラボノイドの芳香環のうちの1つ以上に置換された窒素若しくは酸素、アルキルアミノ鎖、又はアルキル鎖を含有する追加の複素環を含む。
【0115】
フラボノイドは、少なくとも2つのフェニル環及び少なくとも1つの複素環式環を有する15炭素骨格を有し得る。いくつかの好適なフラボノイド骨格は、式IX(フラボン骨格)、式X(イソフラバン骨格)、及び/又は式XI(ネオフラボノイド骨格)に示され得る。
【0116】
【化6】
【0117】
フラボノイドの他の好適な下位群としては、アントシアニジン、アントキサンチン、フラバノン、フラバノノール、フラバン、イソフラボノイド、カルコン、及び/又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0118】
プレニル化フラボノイドは、天然に単離されたプレニル化フラボノイド又は天然に単離されたフラボノイドを含むことができ、これらは合成的に改変され、合成有機化学の当業者に知られている様々な合成プロセスを通して、1つ以上のプレニル官能基を付加する。
【0119】
他の好適なプレニル化フラボノイドとしては、ババカルコン、ババチン、ババチニン、コリリフォールA、エピメジンA、エピメジンA1、エピメジンB、エピメジンC、イカリイン、イカリシドI、イカリシドII、イカリチン、イソババカルコン、イソキサントフモール、ネオババイソフラボン、6-プレニルナリンゲニン、8-プレニルナリンゲニン、ソフォラフラバノンG、(-)-ソフォラノン、キサントフモール、ケルセチン、マセリグナン、クラリジン、クラリノン、クワノンG、クワノンC、パンデュラチンA、6-ゲラニルナリンゲニン、アウストラロンA、6,8-ジプレニルエリオジクチオール、ドルスマニンC、ドルスマニンF、8-プレニルケンフェロール、7-O-メチルテオン、ルテオン、6-プレニルゲニステイン、イソウィテオン、ルピウィテオン、及び/又はこれらの組み合わせを挙げることができる。他の好適なプレニル化フラボノイドとしては、カンフラビンA、カンフラビンB、及び/又はカンフラビンCなどのカンナフラビンが挙げられる。
【0120】
好ましくは、プレニル化フラボノイドは、グラム陽性菌である黄色ブドウ球菌(S.aureus)については、約25ppm未満のMICを有する可能性が高い。好適なプレニル化フラボノイドとしては、ババチン、ババチニン、コリリフォールA、イカリチン、イソキサントフモール、ネオババイソフラボン、6-プレニルナリンゲニン、8-プレニルナリンゲニン、ソフォラフラバノンG、(-)-ソフォラノン、クラリノン、クワノンC、パンデュラチンA、及び/又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0121】
好ましくは、プレニル化フラボノイドは、グラム陰性菌である大腸菌(E.coli)については、約25ppm未満のMICを有する可能性が高い。好適なプレニル化フラボノイドとしては、ババチニン、イソキサントフモール、8-プレニルナリンゲニン、ソフォラフラバノンG、クラリノン、パンデュラチンA、及び/又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0122】
約1000種のプレニル化フラボノイドが植物から同定されている。これまでに報告されているプレニル化フラボノイドの数によれば、プレニル化フラボノンが最も一般的なサブクラスであり、プレニル化フラバノールが最も稀なサブクラスである。天然のプレニル化フラボノイドは、多様な構造的特徴を有することが検出されているにもかかわらず、植物において狭い分布を有し、これらは、ほぼ全ての植物に存在するので親フラボノイドとは異なる。プレニル化フラボノイドのほとんどは、アサ科(Cannabaceae)、オトギリソウ科(Guttiferae)、マメ科(Leguminosae)、クワ科(Moraceae)、ミカン科(Rutaceae)、及びセリ科(Umbelliferae)を含む科にみられる。マメ科及びクワ科は、果物及び野菜として消費されるので、最も頻繁に調査されている科であり、多くの新規のプレニル化フラボノイドが探索されている。アサ科のフムルス・ルプルスは、ビールの健康効果において重要な役割を果たすことができる8-プレニルナリンゲニン及びキサントフモールを含む。
【0123】
プレニル化フラボノイドは、ホップ抽出物を通して組み込まれてもよく、別々に添加される抽出物に組み込まれてもよく、又は本明細書に開示される口腔ケア組成物の別個の成分として添加されてもよい。
【0124】
好適なプレニル化フラボノイドは、特定のオクタノール-水分配係数を有し得る。オクタノール-水分配係数は、化合物の親油性を予測するために使用することができる。理論に束縛されるものではないが、本明細書に記載の範囲内の化合物は、微生物の細胞膜を構成する主に疎水性のリン脂質二重層に侵入する及び/又はそれを破壊することができると考えられる。したがって、オクタノール-水分配係数は、プレニル化フラボノイドの抗菌効果と相関し得る。好適なプレニル化フラボノイドは、少なくとも約2、少なくとも約4、約2~約10、約4~約10、約4~約7、又は約4~約7のlog Pを有し得る。
【0125】
口腔ケア組成物は、少なくとも約0.001%、約0.001%~約5%、約0.01%~約2%、約0.0001%~約2%、又は少なくとも約0.05%のプレニル化フラボノイドを含み得る。
【0126】
アミノ酸
口腔ケア組成物は、アミノ酸を含み得る。アミノ酸は、本明細書に記載されるように、1つ以上のアミノ酸、ペプチド、及び/又はポリペプチドを含み得る。予想外に、レチノイド化合物とアミノ酸との組み合わせは、ユーザの歯肉健康を改善し得ることが見出された。
【0127】
アミノ酸は、式XIIにあるように、アミン官能基、カルボキシル官能基、及びそれぞれのアミノ酸に特異的な側鎖(式XIIではR)を含有する有機化合物である。好適なアミノ酸としては、例えば、正又は負の側鎖を有するアミノ酸、酸性又は塩基性の側鎖を有するアミノ酸、極性非荷電側鎖を有するアミノ酸、疎水性側鎖を有するアミノ酸、及び/又はこれらの組み合わせが挙げられる。好適なアミノ酸としては、例えば、アルギニン、ヒスチジン、リシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、トレオニン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セレノシステイン、グリシン、プロリン、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、シトルリン、オルニチン、クレアチン、ジアミノブトン酸(diaminobutonic acid)、ジアミノプロピオン酸、これらの塩、及び/又はこれらの組み合わせも挙げられる。
【0128】
好適なアミノ酸としては、天然起源の又は合成的に誘導される、式XIIに記載の化合物が挙げられる。アミノ酸は、R基及び環境に基づいて、双性イオン性であるか、中性であるか、正に帯電するか、又は負に帯電し得る。アミノ酸の電荷は、当業者に周知であろう。
【0129】
【化7】
【0130】
好適なアミノ酸としては、1つ以上の塩基性アミノ酸、1つ以上の酸性アミノ酸、1つ以上の中性アミノ酸、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0131】
口腔ケア組成物は、口腔ケア組成物の約0.01重量%~約20重量%、約0.1重量%~約10重量%、約0.5重量%~約6重量%、又は約1重量%~約10重量%のアミノ酸を含み得る。
【0132】
本明細書で使用するとき、用語「中性アミノ酸」には、アラニン、アスパラギン、システイン、グルタミン、グリシン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリンなどの天然由来の中性アミノ酸だけではなく、pH5.0~7.0の範囲の等電点を有する生物学的に許容可能なアミノ酸が挙げられる。生物学的に好ましい許容可能な中性アミノ酸は、分子中に単一のアミノ基及びカルボキシル基を有するか、又は、物理化学的特性は類似若しくは実質的に類似しているが変更された側鎖を有する官能性誘導体などの、これらの官能性誘導体を有する。更なる実施形態では、アミノ酸は、少なくとも部分的に水溶性であり、25℃で1g/1000mLの水溶液中で7未満のpHを提供する。
【0133】
したがって、本発明での使用に好適な中性アミノ酸としては、アラニン、アミノ酪酸、アスパラギン、システイン、シスチン、グルタミン、グリシン、ヒドロキシプロリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、タウリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、これらの塩、又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、本発明の組成物において使用される中性アミノ酸としては、アスパラギン、グルタミン、グリシン、これらの塩、又はこれらの混合物を挙げることができる。中性アミノ酸は、25℃の水溶液中で、5.0、又は5.1、又は5.2、又は5.3、又は5.4、又は5.5、又は5.6、又は5.7、又は5.8、又は5.9、又は6.0、又は6.1、又は6.2、又は6.3、又は6.4、又は6.5、又は6.6、又は6.7、又は6.8、又は6.9、又は7.0の等電点を有し得る。好ましくは、中性アミノ酸は、プロリン、グルタミン、又はグリシンから選択され、より好ましくはその遊離形態(すなわち、非錯体型)である。中性アミノ酸がその塩形態である場合、好適な塩としては、提供される量及び濃度において生理学的に許容可能であると考えられる、当該技術分野において医薬的に許容される塩であることが既知である塩が挙げられる。好ましくは、中性アミノ酸は、組成物の約0.0001重量%~約10重量%、好ましくは約0.05重量%~約5重量%、好ましくは約0.1重量%~約3重量%、好ましくは約0.5重量%~約3重量%、好ましくは約1重量%~約3重量%の量で存在する。一態様では、中性アミノ酸はグルタミン(又はその塩)である。別の態様では、中性アミノ酸はプロリン(又はその塩)である。更に別の態様では、中性アミノ酸はグリシン(又はその塩)である。
【0134】
口腔ケア組成物は、口腔ケア組成物の約0.0001重量%~約20重量%、約0.1重量%~約10重量%、約0.5重量%~約6重量%、又は約1重量%~約10重量%の中性アミノ酸を含み得る。
【0135】
他の成分
口腔ケア組成物は、以下に記載されるように、着香剤、甘味料、着色剤、防腐剤、緩衝剤、又は口腔ケア組成物での使用に好適な他の成分などの様々な他の成分を含み得る。
【0136】
着香剤を口腔ケア組成物に添加してもよい。好適な着香剤としては、冬緑油、ペパーミント油、スペアミント油、クローブバッド油、メントール、アネトール、サリチル酸メチル、ユーカリプトール、カッシア、酢酸1-メンチル、セージ、オイゲノール、パセリ油、オキサノン、α-イリソン、マジョラム、レモン、オレンジ、プロペニルグエトール、桂皮、バニリン、エチルバニリン、ヘリオトロピン、4-cis-ヘプテナール、ジアセチル、メチル-パラ-tert-ブチルフェニル酢酸メチル、及びこれらの混合物が挙げられる。清涼剤も風味剤系の一部であってもよい。本組成物に好ましい清涼剤は、N-エチル-p-メンタン-3-カルボキシアミド(商業的に「WS-3」として知られている)のようなパラメンタンカルボキシアミド剤、又はN-(エトキシカルボニルメチル)-3-p-メンタンカルボキシアミド(商業的に「WS-5」として知られている)、及びこれらの混合物である。風味剤系は、一般に組成物中で、口腔ケア組成物の約0.001重量%~約5重量%の濃度で用いられる。これらの着香剤は、一般に、アルデヒド、ケトン、エステル、フェノール、酸、並びに脂肪族アルコール、芳香族アルコール、及び他のアルコールの混合物を含む。
【0137】
製品に快い味を付与するために、甘味料を口腔ケア組成物に添加してもよい。好適な甘味料としては、サッカリン(サッカリンナトリウム、サッカリンカリウム又はサッカリンカルシウムとして)、チクロ(ナトリウム塩、カリウム塩又はカルシウム塩として)、アセスルファムK、タウマチン、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、アンモニア化グリチルリチン、デキストロース、レブロース、スクロース、マンノース、スクラロース、ステビア、及びグルコースが挙げられる。
【0138】
製品の審美的外観を改善するために、着色剤を添加してもよい。好適な着色剤としては、限定するものではないが、FDAなどの適切な規制機関によって承認された着色剤、及び欧州食品医薬品指令に列挙されている着色剤が挙げられ、TiOなどの顔料、並びにFD&C及びD&C染料などの色素を含む。
【0139】
細菌増殖を防止するために、防腐剤もまた、口腔ケア組成物に添加されてもよい。メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸、及び安息香酸ナトリウムなどの、口腔用組成物中での使用が承認された適切な防腐剤を、安全かつ有効な量で添加することができる。
【0140】
二酸化チタンもまた本発明の組成物に加えられてもよい。二酸化チタンは、組成物に不透明度を加える白色粉末である。二酸化チタンは、一般に、口腔ケア組成物の約0.25重量%~約5重量%を構成する。
【0141】
減感剤、治癒剤、他のう蝕予防剤、キレート剤/金属イオン封鎖剤、ビタミン、アミノ酸、タンパク質、他の抗歯垢/抗歯石剤、乳白剤、抗生物質、抗酵素類、酵素類、pH調整剤、酸化剤、酸化防止剤などの他の成分を、口腔ケア組成物中で使用することができる。
【実施例
【0142】
本発明は、以下の実施例によって更に例示され、これらはいかなる方法であっても本発明の範囲に制限を課すものとして解釈されるべきではない。本明細書の説明を読んだ後に、本発明の趣旨又は添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、それらの様々な他の態様、修正、及び均等物が、当業者に想到され得る。
【0143】
実験方法
専門フレーバリスト使用データ
1つ以上の保湿剤、水、甘味料(複数可)、金属イオン源、グルコン酸ナトリウム、及び/又は香料(複数可)を組み合わせて液体混合物を作製することによって、表1の口腔ケア組成物を調製した。液体混合物を、25℃で2分間ホモジナイズした。次に、水酸化ナトリウム(50%溶液)を液体混合物に添加し、液体混合物を25℃で2分間ホモジナイズした。研磨剤の一部とキサンタンガム、カラギーナンガム、Gantrez、及び/又はヒドロキシエチルセルロース等の任意の増粘剤とを組み合わせることによって、別個の粉末混合物を調製した。次いで、粉末混合物を液体混合物と合わせた。次に、ラウリル硫酸ナトリウム等の界面活性剤を混合物に添加した。内容物を、25℃で2分間ホモジナイズした。次いで、ホップ抽出物を、適切な場合、混合物と合わせ、25℃で2分間ホモジナイズした。最後に、残りの成分を混合物と合わせ、25℃で2分間ホモジナイズした。
【0144】
【表1】
【0145】
表1に列挙された甘味料を、スクロースに対するそれらのピーク甘味強度認知に関して、早いか遅いかのいずれかに分類した。「早い」に分類された甘味料は、スクロースで体験されるものよりも早くピーク甘味強度を示す。「遅い」に分類された甘味料は、スクロースで体験されるものよりも遅くピーク甘味強度を示す。ピーク甘味強度の比較は、同じ絶対ピーク甘味を体験するための各成分の量が異なることを説明するために、効力正規化比較を使用して行われる。
【0146】
【表2】
【0147】
【表3】
【0148】
表2A及び表2Bの組成物を、専門フレーバリストによって、ブラッシング中及びブラッシング後の甘味及び苦味について評価した。専門フレーバリストは、実施例1~4は、個々の即効性又は遅効性の甘味料の時間的甘味表出がホップと一致しなかったため、苦味プロファイルを十分にマスキングしなかったと判定した。専門フレーバリストは、実施例5の天然甘味料、実施例6の人工甘味料、及び実施例7~8の混合天然/人工甘味料を、それぞれ甘味料及びホップの甘味及び苦味プロファイルに時間的に一致するようにブレンドすることができたと判定した。
【0149】
表3は、Hopsteiner(登録商標)によって提供されたホップベータ酸抽出物を記載する。ホップベータ酸は抽出物として提供されるので、特定の成分の量に若干のばらつきがある場合がある。しかしながら、抽出物は、抽出物のおよそ45重量%のホップベータ酸及び抽出物のおよそ約0.4重量%のホップアルファ酸を含む。これは、典型的にはホップベータ酸よりも多くのホップアルファ酸を有する以前のホップ抽出物とは劇的に異なる。ホップベータ酸抽出物中に他の微量成分が存在していてもよい。
【0150】
【表4】
【0151】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示されない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0152】
相互参照される又は関連するあらゆる特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本明細書に引用される全ての文書は、除外又は限定することが明言されない限りにおいて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いずれの文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求されるいずれの発明に対する先行技術であるともみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献又は複数の参考文献と組み合わせたときに、そのようないずれの発明も教示、示唆又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語のいずれの意味又は定義も、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0153】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にある全てのそのような変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図される。
【国際調査報告】