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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-04
(54)【発明の名称】半導体製造設備及びその運用方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20240226BHJP
   H05H 1/24 20060101ALI20240226BHJP
   B01D 53/44 20060101ALI20240226BHJP
【FI】
H01L21/31 C
H05H1/24
B01D53/44 140
B01D53/44 ZAB
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555726
(86)(22)【出願日】2022-03-31
(85)【翻訳文提出日】2023-09-11
(86)【国際出願番号】 KR2022004605
(87)【国際公開番号】W WO2022215948
(87)【国際公開日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】10-2021-0044428
(32)【優先日】2021-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0010492
(32)【優先日】2022-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523346098
【氏名又は名称】ロット シーイーエス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LOT CES CO., LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】523346102
【氏名又は名称】ロット バキューム カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LOT VACUUM CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100202326
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 大佑
(72)【発明者】
【氏名】ベー ジンホ
(72)【発明者】
【氏名】リー ジョンタク
(72)【発明者】
【氏名】キム ミンジェ
【テーマコード(参考)】
2G084
4D002
5F045
【Fターム(参考)】
2G084AA05
2G084AA18
2G084BB06
2G084CC12
2G084CC13
2G084CC33
2G084DD03
2G084DD13
4D002AA40
4D002AC10
4D002BA05
4D002BA07
4D002CA20
4D002DA70
4D002EA01
4D002EA02
4D002HA05
5F045AA08
5F045AA15
5F045AC11
5F045AC12
5F045BB08
5F045EG01
5F045EG03
5F045EG05
5F045EG07
5F045EH11
5F045EH12
(57)【要約】
本発明によれば、非晶質炭素が蒸着されて非晶質炭素膜(ACL)が形成されるACL工程が行われる工程チャンバ;ACL工程が行われる過程で工程チャンバで発生した残留ガスを工程チャンバから排出させる真空ポンプ;工程チャンバと真空ポンプとを連通させるチャンバ排気管;プラズマを用いてプラズマ反応領域を形成するプラズマ反応器;及びプラズマ反応器に処理ガスを供給するガス供給器;を含み、残留ガスは、工程チャンバから排出されてチャンバ排気管に沿って流動して排ガスを形成し、処理ガスは、プラズマ反応領域でプラズマによって分解されて反応活性種を形成し、反応活性種は、チャンバ排気管内で排ガスと共に反応し、処理ガスは、酸素(O)または三フッ化窒素(NF)である半導体製造設備及びその運用方法が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非晶質炭素が蒸着されて非晶質炭素膜(ACL)が形成されるACL工程が行われる工程チャンバと、
前記ACL工程が行われる過程で前記工程チャンバで発生した残留ガスを前記工程チャンバから排出させる真空ポンプと、
前記工程チャンバと前記真空ポンプとを連通させるチャンバ排気管と、
プラズマを用いてプラズマ反応領域を形成するプラズマ反応器と、
前記プラズマ反応器に処理ガスを供給するガス供給器と、を含み、
前記残留ガスは、前記工程チャンバから排出されて前記チャンバ排気管に沿って流動して排ガスを形成し、
前記処理ガスは、前記プラズマ反応領域でプラズマによって分解されて反応活性種を形成し、
前記反応活性種は、前記チャンバ排気管に供給され、
前記処理ガスは、酸素(O)または三フッ化窒素(NF)である、半導体製造設備。
【請求項2】
前記処理ガスは、酸素であり、
前記反応活性種は、励起された酸素原子(O)を含む、請求項1に記載の半導体製造設備。
【請求項3】
前記励起された酸素原子(O)は、前記真空ポンプに流入されて前記真空ポンプに蒸着された水素化された非晶質炭素と反応して、前記水素化された非晶質炭素を酸化させる、請求項2に記載の半導体製造設備。
【請求項4】
前記ガス供給器は、前記蒸着された水素化された非晶質炭素の厚さ減少率が最大値を有るように、前記プラズマ反応器に供給する酸素ガスの流量を調節する、請求項3に記載の半導体製造設備。
【請求項5】
前記励起された酸素原子(O)は、前記プラズマ反応器と前記チャンバ排気管とを連通させる排出管を通じて前記チャンバ排気管に供給される、請求項2に記載の半導体製造設備。
【請求項6】
前記プラズマ反応器は、前記チャンバ排気管上に設けられ、
前記プラズマ反応器は、前記プラズマ反応領域で前記排ガスに含まれた水素化された非晶質炭素(a-C:H)を励起された炭素原子(C)と励起された水素原子(H)とに分解し、
前記励起された炭素原子(C)は、前記励起された酸素原子(O)と反応して前記真空ポンプに流入される前に二酸化炭素ガス(CO)または一酸化炭素ガス(CO)に酸化され、
前記励起された水素原子(H)は、前記励起された酸素原子(O)と反応して前記真空ポンプに流入される前に水蒸気(HO)に酸化される、請求項2に記載の半導体製造設備。
【請求項7】
前記処理ガスは、三フッ化窒素であり、
前記反応活性種は、励起されたフッ素原子(F)及びフッ素(F)を含む、請求項1に記載の半導体製造設備。
【請求項8】
前記フッ素(F)は、前記真空ポンプに流入されて前記真空ポンプに蒸着された炭化水素(C)と反応して四フッ化炭素(CF)とフッ酸(HF)とを生成する、請
求項7に記載の半導体製造設備。
【請求項9】
前記励起されたフッ素原子(F)及びフッ素(F)は、前記プラズマ反応器と前記チャンバ排気管とを連通させる排出管を通じて前記チャンバ排気管に供給される、請求項7に記載の半導体製造設備。
【請求項10】
前記プラズマ反応器は、前記チャンバ排気管上に設けられ、
前記プラズマ反応器は、前記プラズマ反応領域で前記三フッ化窒素と前記排ガスに含まれた炭化水素(C)とをプラズマ反応させて、四フッ化炭素(CF)、フッ酸(HF)、アンモニア(NH)及びシアン化水素(HCN)を生成する、請求項7に記載の半導体製造設備。
【請求項11】
前記反応活性種は、前記プラズマ反応器と前記チャンバ排気管とを連通させる排出管を通じて前記チャンバ排気管に供給される、請求項1に記載の半導体製造設備。
【請求項12】
前記プラズマ反応器は、前記チャンバ排気管上に設けられる、請求項1に記載の半導体製造設備。
【請求項13】
非晶質炭素が蒸着されて非晶質炭素膜(ACL)が形成されるACL工程が行われる工程チャンバと、前記ACL工程が行われる過程で前記工程チャンバで発生した残留ガスを前記工程チャンバから排出させる真空ポンプと、前記工程チャンバと前記真空ポンプとを連通させるチャンバ排気管と、プラズマを用いてプラズマ反応領域を形成するプラズマ反応器と、前記プラズマ反応器に処理ガスを供給するガス供給器と、を含む半導体製造設備の運用方法であって、
前記真空ポンプに蒸着された蒸着物を除去する蒸着物除去段階を含み、
前記蒸着物除去段階で、前記ガス供給器によって前記プラズマ反応器に供給された前記処理酸素が、前記プラズマ反応領域で分解されて反応活性種を生成し、前記蒸着物が前記反応活性種と反応して除去され、
前記処理ガスは、酸素(O)または三フッ化窒素(NF)である、半導体製造設備の運用方法。
【請求項14】
前記処理ガスは、酸素であり、前記反応活性種は、励起された酸素原子(O)を含み、
前記蒸着物除去段階で、励起された酸素原子(O)は、前記真空ポンプに流入されて前記真空ポンプに蒸着された水素化された非晶質炭素と反応して、前記水素化された非晶質炭素を酸化させる、請求項13に記載の半導体製造設備の運用方法。
【請求項15】
前記処理ガスは、三フッ化窒素(NF)であり、前記反応活性種は、励起されたフッ素原子(F)及びフッ素(F)を含み、
前記蒸着物除去段階で、励起されたフッ素(F)は、前記真空ポンプに流入されて前記真空ポンプに蒸着された炭化水素(C)と反応して四フッ化炭素(CF)とフッ酸(HF)とを生成する、請求項13に記載の半導体製造設備の運用方法。
【請求項16】
非晶質炭素が蒸着されて非晶質炭素膜(ACL)が形成されるACL工程が行われる工程チャンバと、真空ポンプと、前記工程チャンバと前記真空ポンプとを連通させるチャンバ排気管と、プラズマを用いてプラズマ反応領域を形成するプラズマ反応器と、前記プラズマ反応器に処理ガスを供給するガス供給器と、を含む半導体製造設備の運用方法であって、
真空ポンプを稼動して、前記工程チャンバの残留ガスを排ガスとして排出させる排気段階と、
前記排気段階によって前記排ガスが前記チャンバ排気管に沿って流動する過程で前記排ガスを処理するガス処理段階と、を含み、
前記ガス処理段階で、前記プラズマ反応領域で前記処理ガスと前記排ガスとのプラズマ反応が行われる、半導体製造設備の運用方法。
【請求項17】
前記処理ガスは、酸素であり、前記反応活性種は、励起された酸素原子(O)を含み、
前記ガス処理段階で、前記排ガスに含まれた水素化された非晶質炭素(a-C:H)が分解されて励起された炭素原子(C)と励起された水素原子(H)とを生成し、
前記励起された炭素原子(C)は、前記励起された酸素原子(O)と反応して前記真空ポンプに流入される前に二酸化炭素ガス(CO)または一酸化炭素ガス(CO)に酸化され、
前記励起された水素原子(H)は、前記励起された酸素原子(O)と反応して前記真空ポンプに流入される前に水蒸気(HO)に酸化される、請求項16に記載の半導体製造設備の運用方法。
【請求項18】
前記処理ガスは、三フッ化窒素(NF)であり、
前記ガス処理段階で、前記プラズマ反応領域で前記三フッ化窒素と前記排ガスに含まれた炭化水素(C)とが反応して四フッ化炭素(CF)、フッ酸(HF)、アンモニア(NH)及びシアン化水素(HCN)が生成される、請求項16に記載の半導体製造設備の運用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排ガス処理技術に係り、より詳細には、半導体製造工程で発生する排ガスをプラズマを用いて処理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子は、工程チャンバでウェーハ上にフォトリソグラフィー、エッチング、拡散及び金属蒸着などの工程が多様な工程ガスを用いて繰り返して行われることで製造されている。半導体工程が完了した後には、工程チャンバに残留ガスが存在するが、工程チャンバ内の残留ガスは、有毒成分などの有害成分を含んでいるために、真空ポンプによって排出されてスクラバーのような排ガス処理装置によって浄化される。
【0003】
ACL(Amorphous Carbon Layer、非晶質炭素膜)工程は、半導体製造工程で非晶質炭素(Amorphous Carbon)が蒸着されて非晶質炭素膜(ACL)が形成される工程である。ACL工程が行われた後、工程チャンバで発生した残留ガスは、真空ポンプによって工程チャンバから排出されて排ガスを形成する。ACL工程の排ガスは、水素化された非晶質炭素(a-C:H)(hydrogenated Amorphous Carbon)及び炭化水素(C)を含む。ACL工程の排ガスに含まれた水素化された非晶質炭素(a-C:H)及び炭化水素(C)は、真空ポンプに蒸着されて、真空ポンプの性能を低下させ、真空ポンプのMTBFを短縮させる原因となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、ACL工程設備で真空ポンプに蒸着されて膜を形成する水素化された非晶質炭素(a-C:H)及び炭化水素(C)を除去する半導体製造設備及びその運用方法を提供することである。
【0005】
本発明の他の目的は、ACL工程で工程チャンバから排出される水素化された非晶質炭素(a-C:H)及び炭化水素(C)が真空ポンプへの流入を防止する半導体製造設備及びその運用方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記本発明の目的を果たすために、本発明の一側面によれば、非晶質炭素が蒸着されて非晶質炭素膜(ACL)が形成されるACL工程が行われる工程チャンバ;前記ACL工程が行われる過程で前記工程チャンバで発生した残留ガスを前記工程チャンバから排出させる真空ポンプ;前記工程チャンバと前記真空ポンプとを連通させるチャンバ排気管;プラズマを用いてプラズマ反応領域を形成するプラズマ反応器;及び前記プラズマ反応器に処理ガスを供給するガス供給器;を含み、前記残留ガスは、前記工程チャンバから排出されて前記チャンバ排気管に沿って流動して排ガスを形成し、前記処理ガスは、前記プラズマ反応領域でプラズマによって分解されて反応活性種を形成し、前記反応活性種は、前記チャンバ排気管に供給され、前記処理ガスは、酸素(O)または三フッ化窒素(NF)である半導体製造設備及びその運用方法が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、前述した本発明の目的をいずれも果たしうる。具体的に、プラズマ反応器に供給された酸素ガスがプラズマ反応器のプラズマ領域で分解されて加熱された反応性酸素が生成され、該生成された反応性酸素は、真空ポンプに流入されて真空ポンプに蒸
着された水素化された非晶質炭素と反応することにより、真空ポンプに蒸着された水素化された非晶質炭素が除去される。
【0008】
また、プラズマ反応器のプラズマ反応領域で水素化された非晶質炭素(a-C:H)がプラズマ反応によって追加供給される酸素ガスと反応して、二酸化炭素ガス、一酸化炭素ガス及び水蒸気を生成するので、真空ポンプに流入されるガスに水素化された非晶質炭素(a-C:H)が含まれることが防止される。
【0009】
そして、真空ポンプに蒸着された炭化水素(C)は、三フッ化窒素(NF)をプラズマで分解して生成されたフッ素(F)と反応して除去されることにより、真空ポンプの性能低下を防止することができる。
【0010】
また、排ガスに含まれた炭化水素(C)は、プラズマ反応領域で三フッ化窒素(NF)と共にプラズマ反応で分解されることにより、真空ポンプの性能低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態による半導体製造設備の概略的な構成を示すブロック図である。
図2図1に示された半導体製造設備のプラズマ装置でプラズマ反応器についての縦断面図である。
図3図2に示されたマグネチックコアを示す斜視図である。
図4図1に示された半導体製造設備のプラズマ装置に使われる点火システムの構成を概略的に示す図面である。
図5】本発明の一実施形態による半導体製造設備の運用方法を概略的に説明するフローチャートである。
図6図5に示された半導体製造設備の運用方法による結果を示すグラフであって、プラズマ装置の作動状態による水素化された非晶質炭素の処理状態を示す。
図7図5に示された半導体製造設備の運用方法による結果を示すグラフであって、プラズマの有/無による水素化された非晶質炭素の処理状態を示す。
図8図5に示された半導体製造設備の運用方法による結果として真空ポンプで水素化された非晶質炭素膜が減少した状態を確認することができる比較写真である。
図9図5に示された半導体製造設備の運用方法で酸素供給流量と水素化された非晶質炭素の減少量との関係を示すグラフである。
図10】本発明の他の実施形態による半導体製造設備の運用方法を概略的に説明するフローチャートである。
図11図10に示された半導体製造設備の運用方法によってプラズマ反応器で水素化された非晶質炭素(a-C:H)が処理される状態を概略的に説明する図面である。
図12】本発明の他の実施形態による半導体製造設備の概略的な構成を示すブロック図である。
図13図12に示された半導体製造設備のプラズマ装置でプラズマ反応器についての縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態の構成及び作用を詳細に説明する。
【0013】
図1には、本発明の一実施形態による半導体製造設備の概略的な構成がブロック図として示されている。図1を参照すれば、本発明の一実施形態による半導体製造設備100は、半導体素子を製造するための半導体製造工程が行われる半導体製造装備101と、半導体製造装備101からガスを排出させる排気装備103と、排気装備103によって半導
体製造装備101から排出されるガスを処理する排ガス処理装備106と、プラズマを用いて水素化された非晶質炭素(a-C:H)及び炭化水素(C)を処理するプラズマ装置108と、を含む。
【0014】
半導体製造装備101は、多様な工程ガスを利用した半導体製造工程が進行する工程チャンバ102を備える。工程チャンバ102は、半導体製造設備技術分野で半導体製造のために通常使われるあらゆる形態の工程チャンバを含む。工程チャンバ102で発生した残留ガスは、排気装備103によって外部に排出される過程で排ガス処理装備106によって浄化される。本実施形態において、工程チャンバ102では、通常のACL(非晶質炭素膜)工程が行われると説明する。通常、ACL工程は、半導体工程で非晶質炭素が蒸着されて非晶質炭素膜(ACL)が形成される工程を意味する。ACL工程が行われた後、工程チャンバ102では、水素化された非晶質炭素(a-C:H)及び炭化水素(C)を含む残留ガスが発生する。ACL工程が行われた後、工程チャンバ102から発生した水素化された非晶質炭素(a-C:H)及び炭化水素(C)を含む残留ガスは、排気装備103によって工程チャンバ102から排出される。
【0015】
排気装備103は、ACL工程が行われた後、工程チャンバ102から発生した水素化された非晶質炭素(a-C:H)及び炭化水素(C)を含む残留ガスを排出させる。排気装備103は、真空ポンプ104と、工程チャンバ102と真空ポンプ104とを連結し、工程チャンバ102から排出される残留ガスが排ガスとして流動するチャンバ排気管105aと、真空ポンプ104から下流側に延びて排ガスが流動するポンプ排気管105bと、を備える。
【0016】
真空ポンプ104は、工程チャンバ102の残留ガスを排出するために、工程チャンバ102と真空ポンプ104とを連結するチャンバ排気管105aを通じて工程チャンバ102側に陰圧を形成する。真空ポンプ104は、半導体製造設備技術分野で通常使われる真空ポンプの構成を含むので、これについての詳細な説明は省略する。真空ポンプ104にチャンバ排気管105aを通じて排ガスに含まれた水素化された非晶質炭素(a-C:H)及び炭化水素(C)が流入され、真空ポンプ104内に水素化された非晶質炭素(a-C:H)及び炭化水素(C)が蒸着されて膜を形成する。真空ポンプ104内に蒸着されて膜を形成する水素化された非晶質炭素(a-C:H)及び炭化水素(C)は、真空ポンプ104の性能を低下させ、真空ポンプ104のMTBFを短縮させる。真空ポンプ104に蒸着された水素化された非晶質炭素(a-C:H)及び炭化水素(C)は、プラズマ装置108の作用によって除去される。
【0017】
チャンバ排気管105aは、工程チャンバ102と真空ポンプ104との間で工程チャンバ102の排気口と真空ポンプ104の吸入口とを連結する。真空ポンプ104によって形成される陰圧によって工程チャンバ102の残留ガスがチャンバ排気管105aを通じて排出されて排ガスを形成する。
【0018】
ポンプ排気管105bは、真空ポンプ104から下流側に延びる。ポンプ排気管105bは、真空ポンプ104の吐出口と連結されて真空ポンプ104から排出される排ガスが流動する。
【0019】
排ガス処理装備106は、工程チャンバ102の排ガスに含まれた有害成分を処理して浄化する。排ガス処理装備106は、排ガスを処理するスクラバー107を備える。スクラバー107は、ポンプ排気管105bの下流側の先端に連結されて真空ポンプ104から排出される排ガスに含まれた有害成分を処理する。スクラバー107は、半導体製造設備技術分野で排ガスを処理するために通常使われるあらゆる形態のスクラバーを含む。
【0020】
プラズマ装置108は、真空ポンプ103に蒸着された水素化された非晶質炭素(a-C:H)及び炭化水素(C)を処理する。プラズマ装置108は、水素化された非晶質炭素の除去のためにプラズマを用いて酸素(O)から反応活性種(reactive species)である励起された酸素原子(O)を生成する。また、プラズマ装置108は、炭化水素(C)の除去のためにプラズマを用いて三フッ化窒素(NF)から反応活性種である励起されたフッ素原子(F)及びフッ素(F)を生成する。プラズマ装置108は、チャンバ排気管105a上に設けられるプラズマ反応器110と、プラズマ反応器110に電力を供給する電源180と、プラズマ反応器110に酸素ガスまたは三フッ化窒素(NF)を供給するガス供給器185と、を備える。
【0021】
プラズマ反応器110は、チャンバ排気管105a上に設けられてガス供給器185から供給される酸素ガスまたは三フッ化窒素をプラズマを用いて分解する。プラズマ反応器110で酸素(O)は、プラズマによって励起された酸素原子(O)に分解される。また、プラズマ反応器110で三フッ化窒素(NF)は、プラズマによって励起されたフッ素原子(F)、励起された窒素原子(N)、フッ素(F)、窒素(N)及び電子(e)を含む成分に分解される。プラズマ反応器110で酸素(O)が分解されて生成された励起された酸素原子(O)は、真空ポンプ104に流入されて真空ポンプ104に蒸着された水素化された非晶質炭素と反応する。プラズマ反応器110で三フッ化窒素(NF)が分解されて生成されたフッ素(F)は、真空ポンプ104に流入されて真空ポンプ104に蒸着された炭化水素(C)と反応する。本実施形態では、プラズマ反応器110が誘導結合プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)を用いる誘導結合プラズマ反応器であると説明する。本実施形態では、プラズマ反応器110が誘導結合プラズマを用いると説明するが、本発明は、これに制限されるものではない。本発明において、プラズマ反応器は、プラズマ反応を発生させるあらゆる方式のプラズマ反応器(例えば、容量結合プラズマ(CCP:Capacitively Coupled Plasma)を用いるプラズマ反応器)を含み、これも、本発明の範囲に属するものである。
【0022】
図2には、プラズマ反応器110の概略的な構成が縦断面図として示されている。図2を参照すれば、プラズマ反応器110は、反応チャンバ120と、反応チャンバ120を取り囲むように配されるマグネチックコア130と、プラズマ点火のための点火器140と、マグネチックコア130に巻線され、電源180から電力を供給される第1コイル(図示せず)と、マグネチックコア130に巻線され、点火器140に電力を供給する第2コイル(図示せず)と、を備える。
【0023】
反応チャンバ120は、トロイダル(toroidal)状のチャンバであって、ガス流入部121と、ガス流入部121と離隔して位置するガス排出部123と、ガス流入部121とガス排出部123とを連結し、プラズマ反応が起こるプラズマ反応部125と、を備える。工程チャンバ(図1の102)から排出されるガスは、チャンバ排気管(図1の105a)を通じて反応チャンバ120を経て真空ポンプ104に流入される。
【0024】
ガス流入部121は、直線の延長軸線(X)を中心に延びる短い管状であって、ガス流入部121の先端部は、開放されてガスが流入される流入口122を形成する。流入口122は、チャンバ排気管(図1の105a)を通じて工程チャンバ(図1の102)の排気口と連通される。ガス流入部121には、ガス供給器185から供給されるガスが噴射されるガス噴射口121aが形成される。
【0025】
ガス排出部123は、延長軸線(X)上にガス流入部121と同軸に離隔して位置する短い管状であって、ガス排出部123の後端部は、開放されてガスが排出される排出口124を形成する。排出口124は、チャンバ排気管(図1の105a)を通じて真空ポン
プ(図1の104)の吸入口と連通される。
【0026】
プラズマ反応部125は、離隔したガス流入部121とガス排出部123とを連結し、内部にガスに対する熱反応及びプラズマ反応が起こるプラズマ反応領域(A)を形成する。プラズマ反応部125は、延長軸線(X)を挟んで両側にそれぞれ離隔して位置する第1連結管部126と第2連結管部127とを備える。第1連結管部126及び第2連結管部127は、延長軸線(X)と平行に延び、ガス流入部121及びガス排出部123と連通される。それにより、プラズマ反応部125には、波線で示したような環状の放電ループ(R)に沿ってプラズマが発生する。ガス噴射口121aを通じて流入されたガスが、プラズマ反応領域(A)でプラズマによって分解される。ガス噴射口121aに酸素ガスが流入される場合、プラズマ反応領域(A)でプラズマによる酸素ガスの分解反応は、下記の反応式1と反応式2と同じである。
【反応式1】
【0027】
+hv→O+O
【0028】
:励起された酸素原子
【反応式2】
【0029】
+e→O+O
【0030】
プラズマ反応領域(A)でプラズマによって生成された励起された酸素原子(O)は、加熱されて水素化された非晶質炭素との反応性を向上させる。励起された酸素原子(O)の生成率と温度とを高めるために、プラズマ反応器110に印加される電力は高いほど有利である。
【0031】
本実施形態において、反応チャンバ120は、第1チャンバ部材120aと第2チャンバ部材120bとが結合されて構成されると説明する。第1チャンバ部材120aは、ガス流入部121の全体と、ガス流入部121と連結される第1連結管部126の一部及び第2連結管部127の一部と、を含む。第2チャンバ部材120bは、ガス排出部123の全体と、ガス排出部123と連結される第1連結管部126の一部及び第2連結管部127の一部と、を含む。
【0032】
マグネチックコア130は、反応チャンバ120を取り囲むように配される。本実施形態において、マグネチックコア130は、誘導結合プラズマ発生装置で一般的に使われるフェライトコア(Ferrite Core)であると説明する。図3には、マグネチックコア130が斜視図として示されている。図2図3とを参照すれば、マグネチックコア130は、反応チャンバ120のプラズマ反応部125を外部で取り囲む環状のフック131と、フック131の内部領域を横切る連結部135と、を備える。
【0033】
フック131は、長方形の環状であって、延長軸線(X)と直角に配されて反応チャンバ120のプラズマ反応部125を外部で取り囲む。長方形のフック131は、対向する2つの長辺部132a、132bと、対向する2つの短辺部133a、133bと、を備える。
【0034】
連結部135は、フック131の対向する2つの長辺部132a、132bの間を連結するように直線に延びる。連結部135の両端は、2つの長辺部132a、132bのそれぞれの中心と繋がる。連結部135は、反応チャンバ120の第1連結管部126と第2連結管部127との間に形成された隙間128を通過するように配される。連結部135によってフック131の内部領域は、第1貫通口136と第2貫通口137とに分離さ
れ、第1貫通口136を反応チャンバ120の第1連結管部126が通り、第2貫通口137を反応チャンバ120の第2連結管部127が通る。それにより、マグネチックコア130は、反応チャンバ120の第1連結管部126と第2連結管部127とをそれぞれ外部で取り囲む形態になる。
【0035】
点火器(igniter)140は、電源180から高電圧の電力を供給されてプラズマを点火する。本実施形態において、点火器140は、反応チャンバ120のプラズマ反応部125でガス流入部121に隣接して位置すると説明するが、本発明は、これに制限されるものではない。
【0036】
図4には、マグネチックコア130に巻線された第1コイルと第2コイルとが示されている。図4を参照すれば、第1コイル150は、マグネチックコア130の第1長辺部132aに巻線され、電源180に連結される。第1コイル150は、電源180を通じて無線周波数の交流電源を印加されてマグネチックコア130に誘導磁束を形成する。マグネチックコア130に形成された誘導磁束によって誘導電場が生成され、該生成された誘導電場によってプラズマが形成されるものである。本実施形態では、第1コイル150は、マグネチックコア130に2回巻線されることを説明するが、本発明は、これに制限されるものではない。
【0037】
第2コイル160は、マグネチックコア130の第2長辺部132bに第1コイル150と分離されて巻線され、点火器140とスイッチ回路(リレー)190とを通じて連結される。第2コイル160には、誘導起電力が発生して点火器140に電力を供給する。すなわち、第1コイル150、第2コイル160及びマグネチックコア130は、変圧器の役割を行うことにより、第2コイル160に点火器140の作動のための高電圧が形成されて出力される。そのために、第2コイル160は、マグネチックコア130に第1コイル150の巻線数よりもさらに大きな巻線数で巻線されるが、本実施形態では、6回巻線されると説明する。
【0038】
電源180は、誘導結合プラズマの発生のために、無線周波数の交流電力を第1コイル150に印加する。本実施形態において、第1コイル150、第2コイル160及びマグネチックコア130は、変圧器として機能する。すなわち、第1コイル150、第2コイル160及びマグネチックコア130は、変圧器で1次コイル、2次コイル及び鉄心の役割を果たす。第2コイル160の巻線数を第1コイル150の巻線数よりも大きくすることにより、点火器140に昇圧された高電圧の電力を印加させうる。
【0039】
ガス供給器185は、処理ガスである酸素ガスまたは三フッ化窒素を貯蔵し、該貯蔵された酸素ガスまたは三フッ化窒素をガス供給管188を通じてプラズマ反応器110に供給する。本実施形態では、ガス供給管188がプラズマ反応器110で反応チャンバ120のガス流入部121に形成されたガス噴射口121aと連結されると説明する。示したように、ガス供給器185によって供給されてプラズマ反応器150に流入される酸素ガスは、プラズマ反応器110のプラズマ反応領域(A)でプラズマによって加熱された励起された酸素原子(O)に分解される。図示されていないが、ガス供給器185によって供給されてプラズマ反応器150に流入される三フッ化窒素は、プラズマ反応器110のプラズマ反応領域(A)でプラズマによってフッ素原子(F)、励起された窒素原子(N)、フッ素(F)、窒素(N)及び電子(e)に分解される。
【0040】
本発明は、工程チャンバの排ガス処理用プラズマ装置の運用方法を提供する。図5には、本発明の一実施形態による半導体製造設備の運用方法を概略的に説明するフローチャートが示されている。図5に示された本発明の一実施形態による半導体製造設備の運用方法は、図1に示された半導体製造設備100の運用方法であって、真空ポンプ(図1の10
4)に蒸着された水素化された非晶質炭素及び炭化水素の一部または全体を除去するためである。図5と共に図1図2とを参照すれば、本発明の一実施形態による半導体製造設備の運用方法は、工程チャンバ102で非晶質炭素膜(ACL)の蒸着工程が行われるACL工程段階(ステップS100)と、工程チャンバ102で行われたACL工程が中断される工程中断段階(ステップS110)と、工程中断段階(ステップS110)が行われて工程チャンバ102でACL工程が中断された状態で真空ポンプ104に蒸着された水素化された非晶質炭素または炭化水素を除去する蒸着物除去段階(ステップS120)と、を含む。
【0041】
ACL工程段階(ステップS100)では、工程チャンバ102で非晶質炭素膜(ACL)の蒸着工程が行われる。非晶質炭素膜(ACL)の蒸着工程は、半導体製造工程で通常使われるACL工程の構成を含むので、これについての詳細な説明は省略する。ACL工程段階(ステップS100)が行われながら工程チャンバ102で発生した残留ガスは、真空ポンプ104の作動によってチャンバ排気管105aとポンプ排気管105bとを通じて工程チャンバ102から排出されて排ガスを形成する。ACL工程の排ガスは、水素化された非晶質炭素(a-C:H)及び炭化水素(C)を含む。ACL工程に含まれた水素化された非晶質炭素及び炭化水素は、真空ポンプ104に蒸着される。
【0042】
工程中断段階(ステップS110)では、工程チャンバ102で行われたACL工程及びACL工程によって発生した残留ガスの排出が中断される。工程中断段階(ステップS110)は、工程チャンバ102の洗浄のために中断されることを含みうる。工程中断段階(ステップS110)が行われて工程チャンバ102で行われたACL工程及びACL工程によって発生した残留ガスの排出が中断された状態で蒸着物除去段階(ステップS120)が行われる。
【0043】
蒸着物除去段階(ステップS120)では、工程チャンバ102で行われたACL工程及びACL工程によって発生した残留ガスの排出が中断された状態で真空ポンプ104に蒸着された水素化された非晶質炭素及び炭化水素が除去される。蒸着物除去段階(ステップS120)は、プラズマ反応器110が稼動される状態でガス供給器185によってプラズマ反応器110に酸素ガスまたは三フッ化窒素が供給されることで行われる。
【0044】
プラズマ反応器110に酸素ガスが供給される場合に、稼動中であるプラズマ反応器110に供給された酸素ガス(O)は、プラズマ反応領域(A)でプラズマによって分解されて、前記の反応式1のように、加熱された励起された酸素原子(O)が生成される。プラズマ反応器110から生成された加熱された励起された酸素原子(O)は、真空ポンプ104に流入される。真空ポンプ104に蒸着された水素化された非晶質炭素は、真空ポンプ104に流入された加熱された励起された酸素原子(O*)と反応して酸化される。水素化された非晶質炭素は、酸化されて二酸化炭素ガス(CO)と水蒸気(HO)とを生成し、除去される。
【0045】
図6ないし図8は、図5に示された半導体製造設備の運用方法による真空ポンプ104に蒸着された水素化された非晶質炭素の除去効果を示すテスト結果に係わるものである。
【0046】
図6のグラフは、プラズマ装置108の作動状態(On、Off)による真空ポンプ104での二酸化炭素(CO)の濃度を示す。図6のグラフにおいて、横軸は、時間(分)であり、縦軸は、二酸化炭素の濃度(ppm)である。図6のグラフによれば、プラズマ反応器110が作動する状態で二酸化炭素の濃度が高いと測定される。二酸化炭素の発生は、水素化された非晶質炭素の酸化による除去を意味する。図6のグラフから真空ポンプ104に蒸着された水素化された非晶質炭素の除去が確認され、真空ポンプ104に流入される励起された酸素原子の温度が高いほど水素化された非晶質炭素の除去効果が高く
なることが確認される。
【0047】
図7のグラフは、プラズマ反応器110の作動状態(On、Off)による真空ポンプ104での二酸化炭素(CO)の濃度を示す。図7のグラフにおいて、横軸は、時間(分)であり、縦軸は、二酸化炭素の濃度(ppm)である。図7のグラフによれば、プラズマなしに酸素のみ供給する場合、真空ポンプ104に蒸着された水素化された非晶質炭素の除去効果がほとんどなく、プラズマによって生成された加熱された励起された酸素原子(O)が供給される場合に、真空ポンプ104に蒸着された水素化された非晶質炭素の除去効果が表われることが確認される。
【0048】
図8の写真は、プラズマ装置108によって真空ポンプ104で蒸着された水素化された非晶質炭素の除去効果を示す。図8の左側写真は、プラズマ装置108が作動していない場合に、真空ポンプ104で蒸着物の厚さを位置によって表示したものであり、図8の右側写真は、プラズマ装置108が作動する場合に、真空ポンプ104で蒸着物の厚さを位置によって表示したものである。図8によれば、左側の写真資料で蒸着物の厚さは、平均67.6μmであり、右側の写真資料で蒸着物の厚さは、平均45.7μmであって、プラズマ装置108の作用によって副産物の蒸着厚さが、約32%減少したことが確認される。
【0049】
図9の試験データグラフは、7kWの電力が印加されて作動するプラズマ反応器110に供給される酸素流量と真空ポンプ104で蒸着された水素化された非晶質炭素の除去効率との関係を示す。図9において、横軸は、プラズマ反応器110に供給される酸素流量(slm)であり、左側縦軸は、プラズマ反応器110に供給される酸素の酸化反応参加比率(%)であり、右側縦軸は、真空ポンプ104で蒸着された水素化された非晶質炭素膜の厚さ減少量(μm)である。図9を参照すれば、プラズマ反応器110に供給される酸素流量が15slmである時、真空ポンプ104で蒸着された水素化された非晶質炭素の除去効率が最も優れているということが確認される。これは、プラズマ反応器110に供給される酸素流量が0slmから15slmまで増加するにつれて生成される励起された酸素原子(O)の量も共に比例して増加するが、プラズマ反応器110に供給される酸素流量が15slm以上範囲では、プラズマ反応器110のプラズマの限界によって生成される励起された酸素原子(O)の量がそれ以上増加しないということを意味する。したがって、プラズマ反応器110の作動電力によって最高の励起された酸素原子(O*)生成率を示す酸素流量でプラズマ反応器110に酸素を供給して不要な酸素の消費を防止することにより、効率性を高めうる。また、真空ポンプ104に蒸着された水素化された非晶質炭素の酸化反応程度は、真空ポンプ104内部の温度に上限値内で比例して増加する。それにより、プラズマ反応器110から生成される励起された酸素原子(O)の温度を増加させるために、プラズマ反応器110に高い電力を印加することが有利である。
【0050】
本実施形態において、真空ポンプ104に蒸着されて形成された水素化された非晶質炭素膜質の厚さ減少率は、下記のような比例関係式を満足する。
【比例式】
【0051】
炭素膜質の厚さ減少率∝酸素流量(slm)×反応時間(min.)×温度(K)
【0052】
図示されていないが、プラズマ反応器110に三フッ化窒素(NF)が供給される場合に、稼動中であるプラズマ反応器110に供給された三フッ化窒素は、プラズマ反応領域(A)でプラズマによって励起されたフッ素原子(F)、励起された窒素原子(N)、フッ素(F)、窒素(N)及び電子(e)を含む成分に分解される。プラズマ反応器110で三フッ化窒素の分解によって生成されたフッ素(F)は、真空ポンプ10
4に流入される。真空ポンプ104に流入されたフッ素(F)は、真空ポンプ104に蒸着された炭化水素(C)と反応して、四フッ化炭素(CF)とフッ酸(HF)とを生成することにより、炭化水素(C)が除去される。
【0053】
図10には、本発明の他の実施形態による半導体製造設備の運用方法を概略的に説明するフローチャートが示されている。図10に示された本発明の他の実施形態による半導体製造設備の運用方法も、図1に示された半導体製造設備100の運用方法である。図10と共に図1を参照すれば、本発明の他の実施形態による半導体製造設備の運用方法は、工程チャンバ102で非晶質炭素膜(ACL)の蒸着工程が行われるACL工程段階(ステップS200)と、ACL工程段階(ステップS200)で発生した工程チャンバ102内の残留ガスを排気装備103を稼動して工程チャンバ102から排出させて排ガスを形成する排気段階(ステップS210)と、排気段階(ステップS210)によって形成される排ガスに含まれた水素化された非晶質炭素(a-C:H)と炭化水素(C)とが処理されるガス処理段階(ステップS220)と、を含む。
【0054】
ACL工程段階(ステップS200)では、工程チャンバ102で非晶質炭素膜(ACL)の蒸着工程が行われる。非晶質炭素膜(ACL)の蒸着工程は、半導体製造工程で通常使われるACL工程の構成を含むので、これについての詳細な説明は省略する。ACL工程段階(ステップS200)が行われながら工程チャンバ102で発生した残留ガスは、真空ポンプ104の作動によってチャンバ排気管105aとポンプ排気管105bとを通じて工程チャンバ102から排出されて排ガスを形成する。ACL工程の排ガスは、水素化された非晶質炭素(a-C:H)及び炭化水素(C)を含む。
【0055】
排気段階(ステップS210)では、ACL工程段階(ステップS200)の完了後、排気装備103の真空ポンプ104が稼動されてACL工程段階(ステップS200)で発生した工程チャンバ102内の残留ガスが工程チャンバ102から排出される。工程チャンバ102から排出される残留ガスは、チャンバ排気管105a及びポンプ排気管105bに沿って流動しながら排ガスを形成し、スクラバー107に流入される。排気段階(ステップS210)が行われる間にガス処理段階(ステップS220)が共に行われる。
【0056】
ガス処理段階(ステップS220)では、排ガスに含まれた水素化された非晶質炭素(a-C:H)または炭化水素(C)が真空ポンプ104に流入される前に除去されるように処理される。ガス処理段階(ステップS220)でプラズマ反応器110が稼動され、ガス供給器185によってプラズマ反応器110に酸素ガスまたは三フッ化窒素が供給される。
【0057】
ガス処理段階(ステップS220)で排ガスに含まれた水素化された非晶質炭素(a-C:H)が処理される過程は、図11に示したようである。図11を参照すれば、水素化された非晶質炭素(a-C:H)と酸素ガス(O)とがプラズマ反応器110に形成されたプラズマ反応領域(A)に流入される。プラズマ反応領域(A)に流入される水素化された非晶質炭素(a-C:H)は、工程チャンバ(図1の102)から排出されるガスに含まれたものであり、プラズマ反応領域(A)に流入される酸素ガス(O)は、ガス供給器(図1の185)から供給されるものである。
【0058】
プラズマ反応領域(A)に流入された水素化された非晶質炭素(a-C:H)は、プラズマ反応領域(A)でプラズマ反応によって励起された(exited)炭素原子(C)と励起された水素原子(H)とに分解される。プラズマ反応領域(A)に流入された酸素ガス(O)は、励起された酸素原子(O)に分解される。
【0059】
プラズマ反応領域(A)でプラズマ反応によって発生した励起された炭素原子(C
、励起された水素原子(H)及び励起された酸素原子(O)の間には、置換(酸化)反応が起こって二酸化炭素ガス(CO)、一酸化炭素ガス(CO)及び水蒸気(HO)が生成される。
【0060】
すなわち、プラズマ反応器150のプラズマ反応領域(A)で水素化された非晶質炭素(a-C:H)は、プラズマ反応によって追加供給される酸素ガス(O)と反応して、二酸化炭素ガス(CO)、一酸化炭素ガス(CO)及び水蒸気(HO)を生成する。それにより、プラズマ反応器110から排出されて真空ポンプ104に流入されるガスに真空ポンプ104の故障原因である水素化された非晶質炭素(a-C:H)が含まれることが防止される。
【0061】
ガス処理段階(ステップS220)で排ガスに含まれた炭化水素(C)が処理される。この場合、図示されていないが、炭化水素(C)と三フッ化窒素(NF)とがプラズマ反応器110に形成されたプラズマ反応領域(A)に流入される。プラズマ反応領域(A)に流入される炭化水素(C)は、ACL工程の排ガスに含まれたものであり、プラズマ反応領域(A)に流入される三フッ化窒素(NF)は、ガス供給器(図1の185)から供給されるものである。プラズマ反応領域(A)で炭化水素(C)と三フッ化窒素(NF)とがプラズマ反応によって原子単位で分解後、結合して四フッ化炭素(CF)、フッ酸(HF)、アンモニア(NH)、シアン化水素(HCN)を含む成分に分解されて、炭化水素(C)が処理される。
【0062】
図12には、本発明の他の実施形態による半導体製造設備の概略的な構成がブロック図として示されている。図12を参照すれば、半導体製造設備200は、半導体製造装備101と、半導体製造装備101からガスを排出させる排気装備103と、排気装備103によって半導体製造装備101から排出されるガスを処理する排ガス処理装備106と、プラズマを用いて水素化された非晶質炭素(a-C:H)及び炭化水素(C)を処理するプラズマ装置208と、を含む。半導体製造設備200は、プラズマ装置208を除いた残りの構成が図1に示された半導体製造設備100とおよそ同一なので、ここでは、プラズマ装置208についてのみ説明する。
【0063】
プラズマ装置208は、プラズマ反応器210と、プラズマ反応器210に電力を供給する電源180と、プラズマ反応器210にガスを供給するガス供給器185と、を備える。プラズマ装置208は、プラズマ反応器210を除いた残りの構成が図1に示されたプラズマ装置108とおよそ同一なので、ここでは、プラズマ反応器210についてのみ説明する。
【0064】
図13には、プラズマ反応器210の概略的な構成が縦断面図として示されている。図13を参照すれば、プラズマ反応器210は、反応チャンバ220と、反応チャンバ220を取り囲むように配されるマグネチックコア130と、プラズマ点火のための点火器140と、マグネチックコア130に巻線され、電源180から電力を供給されるコイル(図示せず)と、を備える。プラズマ反応器210は、反応チャンバ220の構成を除いた残りの構成が図2に示された反応チャンバ120とおよそ同一なので、ここでは、反応チャンバ220についてのみ説明する。
【0065】
反応チャンバ220は、トロイダル状のチャンバであって、ガス流入部121と、ガス流入部121と離隔して位置するガス排出部123と、ガス流入部121とガス排出部123とを連結し、プラズマ反応が起こるプラズマ反応部125と、を備える。反応チャンバ120は、ガス供給器185から供給されるガスをプラズマを用いて分解して反応活性種を生成する。反応チャンバ220の全体的構成は、図2に示された反応チャンバ120とおよそ同じ構成を有する。但し、ガス流入部121の流入口122は、流入管186を
通じてガス供給器185と連通され、ガス排出部123の排出口124は、排出管187を通じてチャンバ排気管(図12の105a)と連通され、別途のガス噴射口(図2の121a)を備えないという点で図2に示された反応チャンバ120と差がある。
【0066】
プラズマ反応領域(A)で形成されるプラズマによって流入口122を通じて流入されるガスは、分解されて反応活性種を生成する。示したように、流入口122を通じて三フッ化窒素(NF)が流入される場合に、三フッ化窒素(NF)は、プラズマ反応領域(A)で分解されて反応活性種である励起されたフッ素原子(F)とフッ素(F)とを生成する。具体的に、プラズマ反応領域(A)で三フッ化窒素(NF)は、窒素(N)、フッ素(F)、励起された窒素原子(N)、励起されたフッ素原子(F)及び電子(e)を含む成分に分解される。図示されていないが、流入口122を通じて酸素(O)が流入される場合に、酸素(O)は、プラズマ反応領域(A)で分解されて反応活性種である励起された酸素原子(O)を生成する。プラズマ反応領域(A)から生成された反応活性種は、排出管187を通じてチャンバ排気管(図12の105a)に供給される。
【0067】
図示されていないが、図12に示された半導体製造設備200にも、図5に示したような半導体製造設備の運用方法が同様に適用可能である。すなわち、ACL工程を中断した状態でプラズマ反応器210から生成された励起された酸素原子(O)が真空ポンプ106に供給されて真空ポンプ106に蒸着された水素化された非晶質炭素が除去されるか、プラズマ反応器210から生成されたフッ素(F)が真空ポンプ106に供給されて真空ポンプ106に蒸着された炭化水素(C)が除去される。
【0068】
以上、実施形態を通じて本発明を説明したが、本発明は、これに制限されるものではない。前記実施形態は、本発明の趣旨及び範囲を外れず、修正または変更され、当業者は、このような修正と変更も本発明に属するものであるということが分かる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【国際調査報告】