(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-04
(54)【発明の名称】往復式圧縮機における取り外し可能な固定ガイド付き圧縮機弁組立体
(51)【国際特許分類】
F04B 39/10 20060101AFI20240226BHJP
F04B 39/14 20060101ALI20240226BHJP
F16K 27/02 20060101ALI20240226BHJP
F16K 15/02 20060101ALI20240226BHJP
【FI】
F04B39/10 E
F04B39/14
F16K27/02
F16K15/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558321
(86)(22)【出願日】2022-03-04
(85)【翻訳文提出日】2023-09-25
(86)【国際出願番号】 US2022018846
(87)【国際公開番号】W WO2022220949
(87)【国際公開日】2022-10-20
(32)【優先日】2021-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】599078705
【氏名又は名称】シーメンス エナジー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】弁理士法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】サンフォード,ジョエル ティー.
(72)【発明者】
【氏名】フレイジーニ,エドワード
【テーマコード(参考)】
3H003
3H051
3H058
【Fターム(参考)】
3H003AA02
3H003AC01
3H003CC03
3H003CC07
3H003CE01
3H051AA01
3H051BB02
3H051BB03
3H051BB05
3H051CC11
3H058AA05
3H058BB14
3H058BB22
3H058BB29
3H058CA13
3H058CC02
3H058EE04
3H058EE13
(57)【要約】
圧縮機弁組立体が開示される。弁組立体は、円筒形カップ部と、止め板にガイドを着脱自在に取り付けることができる軸受内で軸方向に延びる円筒状の軸部と、を有するガイドを含む。開示された弁組立体は、比較的高い圧力で作動可能で、曲げ応力の影響をほとんど受けず、増大された流路面積を実現する一方で、ユーザーフレンドリーな保守性をもたらす。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機弁組立体の吸入口側に配置される台座であって、吸入流開口部を備える台座と、
前記圧縮機弁組立体の吐出口側に配置される止め板であって、前記台座に対して当接関係にある止め板と、
前記止め板に着脱可能に取り付けられるガイドであって、円筒形カップ部と、前記止め板内の円筒壁によって画成される軸受け内において軸方向に延びる円筒形軸部と、を有し、前記円筒形カップ部の基部外周が、前記止め板の底部に対して離間して配置される、ガイドと、
前記止め板内に配置され、前記円筒形軸部の周りに配置される一群の吐出流開口部であって、当該一群の吐出流開口部の各断面の区分には前記円筒形カップ部が被っており、前記円筒壁の外面に外接する点まで延びている、一群の吐出流開口部と、
を備える、圧縮機弁組立体。
【請求項2】
前記ガイドは、前記円筒形カップの前記基部外周と前記円筒形軸部との間に配置される円錐形遷移部をさらに備える、
請求項1に記載の圧縮機弁組立体。
【請求項3】
前記円錐形遷移部は、前記ガイドの長手方向軸に対するテーパ角を画定する、
請求項2に記載の圧縮機弁組立体。
【請求項4】
前記テーパ角は、25度から65度の範囲である、
請求項3に記載の圧縮機弁組立体。
【請求項5】
前記テーパ角は、30度から60度の範囲である、
請求項4に記載の圧縮機弁組立体。
【請求項6】
前記テーパ角は、35度から55度の範囲である、
請求項5に記載の圧縮機弁組立体。
【請求項7】
前記円筒壁の内面は、前記円筒形軸部のねじ山接合面とのねじ接続部を提供するように構成されたねじ山を有する、
請求項1に記載の圧縮機弁組立体。
【請求項8】
前記ガイドの前記円筒形カップ部内に配置される封止部材およびばねをさらに備え、
前記ガイドの前記円筒形カップ部の内面は、前記円筒形カップ部の内面に沿う前記封止部材の移動を案内するように構成され、それにより、前記封止部材の封止頭部は、前記圧縮機弁組立体の動作中に、前記ばねが圧縮されていないときは、前記吸入流開口部を閉鎖するように移動し、前記ばねが圧縮されるときは、前記吸入流開口部から離れるように移動する、
請求項1に記載の圧縮機弁組立体。
【請求項9】
前記一群の吐出流開口部の各断面のそれぞれの区分は、各吐出流開口部によって形成される半径(r
2 )を有する円と、前記円筒形カップの前記基部外周によって形成される半径(r
1 )を有する円と、の部分的な交差によって画定される吐出流領域を有し、
前記二つの円は、互いから距離(d)の点にそれぞれの中心点を有し、
各吐出流開口部の半径(r
2 )は、前記円筒形カップの前記基部外周の半径(r
1 )に対して小さい、
請求項1に記載の圧縮機弁組立体。
【請求項10】
前記一群の吐出流開口部は、前記ガイドの長手方向軸を中心とする正方形に配置される4つの吐出流開口部によって形成される、
請求項1に記載の圧縮機弁組立体。
【請求項11】
前記部分的な交差の面積は、次式:
【数1】
によって定義される、
請求項9に記載の圧縮機弁組立体。
【請求項12】
止め板に着脱可能に取り付けられるガイドであって、円筒形カップ部と、前記止め板内の円筒壁によって画成される軸受け内において軸方向に延びる円筒形軸部と、を有し、前記円筒形カップ部の基部外周が、前記止め板の底部に対して離間して配置される、ガイドと、
前記止め板内に配置され、前記円筒形軸部の周りに配置される一群の吐出流開口部であって、当該一群の吐出流開口部の各断面の区分には前記円筒形カップ部が被っており、前記円筒壁の外面に外接する点まで延びている、一群の吐出流開口部と、
を備え、
前記一群の吐出流開口部の各断面のそれぞれの区分は、各吐出流開口部によって形成される半径(r
2 )を有する円と、前記円筒形カップの前記基部外周によって形成される半径(r
1 )を有する円と、の部分的な交差によって画定される吐出流領域を備え、
前記二つの円は、互いから距離(d)の点にそれぞれの中心点を有し、
各吐出流開口部の半径(r
2 )は、前記円筒形カップの前記基部外周の半径(r
1 )に対して小さい、
圧縮機弁組立体。
【請求項13】
前記部分的な交差の面積は、次式:
【数2】
によって定義される、
請求項12に記載の圧縮機弁組立体。
【請求項14】
前記ガイドは、前記円筒形カップの前記基部外周と前記円筒形軸部との間に配置される円錐形遷移部をさらに備える、
請求項12に記載の圧縮機弁組立体。
【請求項15】
前記円錐形遷移部は、前記ガイドの長手方向軸に対するテーパ角を画定し、
前記テーパ角は、25度から65度の範囲である、
請求項14に記載の圧縮機弁組立体。
【請求項16】
前記テーパ角は、30度から60度の範囲である、
請求項15に記載の圧縮機弁組立体。
【請求項17】
前記テーパ角は、35度から55度の範囲である、
請求項16に記載の圧縮機弁組立体。
【請求項18】
前記円筒壁の内面は、前記円筒形軸部のねじ山接合面とのねじ接続部を提供するように構成されたねじ山を有する、
請求項12に記載の圧縮機弁組立体。
【請求項19】
前記ガイドの前記円筒形カップ部内に配置される封止部材およびばねをさらに備え、
前記ガイドの前記円筒形カップ部の内面は、前記円筒形カップ部の内面に沿う前記封止部材の移動を案内するように構成され、それにより、前記封止部材の封止頭部は、前記圧縮機弁組立体の動作中に、前記ばねが圧縮されていないときは、前記吸入流開口部を閉鎖するように移動し、前記ばねが圧縮されるときは、前記吸入流開口部から離れるように移動する、
請求項12に記載の圧縮機弁組立体。
【請求項20】
前記一群の吐出流開口部は、前記ガイドの長手方向軸を中心とする正方形に配置される4つの吐出流開口部によって形成される、
請求項12に記載の圧縮機弁組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示される実施形態は、概して、圧縮機弁に関し、より詳細には、往復式圧縮機用の圧縮機弁組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
往復式圧縮機は、容積形の圧縮機である。往復式圧縮機において圧縮されるべき流体は、吸吸入口を介してチャンバに入り、吐出口を介してチャンバから出る。圧縮は、ピストンヘッドの往復運動によって流体が圧縮される、周期的なプロセスである。チャンバの周囲には、複数の圧縮機弁組立体が配置されることがある。圧縮機弁組立体は、ピストンヘッドの往復運動に応じて圧縮機弁組立体を横切るように加わる圧力差によって、閉鎖状態と開放状態との間でスイッチングされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明者らは、圧縮機弁組立体の所定の構造設計が、弁組立体の動作のいくつかの態様に影響を及ぼすこと、延いては、圧縮機の全体的な動作に影響を及ぼし得ること、を認識している。例えば、弁組立体の外形は、例えば、封止部材の有効性、圧力低下、および運転コストを含む、弁組立体を通る流体の流動力学に影響を及ぼす可能性がある。流体流の計算では、例えば、弁組立体内の接続部品および/または部品によって生じる抵抗を、無次元係数Kを用いることによって示すことができ、ここでは、K値が高いほど流体流に対する抵抗が大きいことを示すことができるが、K値が高いことは一般に、弁組立体において望ましい特性ではない。加えて、弁組立体の設計は、その信頼性、保守頻度、複雑性、製造コスト、設置の難しさおよび/または利便性に影響を及ぼし得る。
【0004】
例えば、流路面積を増加させる(例えば、比較的低いK値をもたらす)ために、マッシュルーム形の弁頭部を含むような既知の特定の弁組立体の設計が使用されている。しかしながら、マッシュルーム型の弁頭部は曲げ応力の影響を受けやすく、これにより、このような弁組立体の設計が広範に適用される可能性が低減されている。これに比べて、砲弾形の弁頭部は、比較的高い圧力で作動することができ、曲げ応力の影響を受けにくいため、弁組立体の信頼性が向上する。しかし、砲弾形の弁頭部は、弁組立体の流路面積を減少させる傾向がある(例えば、相対的に高いK値をもたらす)。砲弾形の弁頭部とマッシュルーム形の弁頭部の両方の特定の態様を有するハイブリッドの弁頭部設計(例えば、俗にハンマーヘッド形と呼ばれる)は、前述の問題を解決する折衷案を提供しようとするものであるが、いくぶん流路面積が減少するなど、特定の態様においてはやや不十分な場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
少なくとも前述の考察に鑑み、本発明者らは、いわゆる砲弾形の弁頭部の設計の利点を費用効果的にかつ確実に全て取り入れ、流路面積を効果的に増大させる圧縮機弁組立体を開示する。さらに、開示される圧縮機弁組立体は、ガイドを止め板に着脱可能に取り付けることを効果的に可能にする。したがって、開示される設計は、砲弾形の弁頭部の全利点を備え、流路面積の増大を実現する一方で、個々のガイドの取り扱いが容易な利便性に資するものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、圧縮機弁組立体の構造に着脱可能に取り付けることができる一実施形態に係るガイドを含む、開示される圧縮機弁組立体の概略断面図である。
【
図2】
図2は、
図4の線2-2によって画定される切断面に沿う断面図を含む、開示される圧縮機弁組立体の断片的な等角図である。
【
図3】
図3は、
図4の線3-3によって画定される切断面に沿う断面図を含む、開示される圧縮機弁組立体の断片的な等角図である。
【
図4】
図4は、止め板全体に配置可能な、開示された圧縮機弁組立体の上面図である。
【
図5】
図5は、ガイドの特定部分の構造的詳細を図示する、一実施形態に係るガイドの等角図である。
【
図6】
図6は、開示された圧縮機弁組立体によって効果的に実現することができる、吐出流領域の増加を概念化するのに有用なグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下の詳細な説明では、上記のような実施形態の完全な理解を提供するために、様々な具体的な細部について記載する。しかしながら、当業者は、開示された実施形態がこれらの具体的な細部なしに実施され得ること、本発明の態様が開示された実施形態に限定されないこと、および、本発明の態様が様々な代替の実施形態で実施され得ること、を理解することができる。他の例では、当業者によってよく理解されるであろう、方法、手順、および構成要素は、必要以上で負担のかかる説明を避けるために詳細には説明されない。
【0008】
さらに、種々の動作は、本発明の実施形態を理解するのに有用な方法で実行される複数の個別のステップとして記載することができる。しかしながら、説明の順序は、別段の指示がない限り、これらの動作が提示される順番に実行される必要があることを意味するものとして解釈すべきではなく、また、順序に依存するものではない。さらに、「一実施形態において」という文言が繰り返し使用されても、必ずしも同一の実施形態を指すものとは限らない。
【0009】
開示される実施形態は、所与の用途の必要に応じて、当業者によって適切に組み合わされ得るため、開示される実施形態が相互に排他的な実施形態として解釈される必要はないことに留意されたい。
【0010】
図1は、開示される圧縮機弁組立体10の断面図であり、圧縮機弁組立体10は圧縮機弁組立体10の吸入口側14に配置される台座12を含む。台座12は、複数の流入口16を含む。一例によると、
図1は、そのような流入口16を2つだけ示し、典型的な台座12は、そのような流入口16を所与の用途に対して所望され得る任意の数だけ有する。
【0011】
図1はさらに、圧縮機弁組立体10の吐出口側20に配置される止め板18を図示している。止め板18は、台座12に対して当接関係にある。止め板18は、それぞれ止め板18に着脱可能に取り付けることができる複数のガイド22を含む。一例として、
図1は、そのようなガイド22を2つだけ示す。
【0012】
各ガイド22は、円筒形カップ部24と、止め板18内の円筒壁30によって画定される軸受28内で軸方向に延在する円筒形軸部26と、を有する。非限定的な一実施形態では、円筒形カップ部の基部の外周25は、止め板18の底部に対して離間されている。非限定的な一実施形態では、ガイド22は、円筒形カップ24の基部外周25と、円筒形軸部26と、の間に配置される円錐形遷移部27をさらに含む。非限定的な一実施形態において、円筒壁30の内面31は、円筒形軸部26のねじ付き嵌合面29(
図5)とのねじ接続を提供するように構成されるねじ山を有する。ガイド22の前述の構造部分の少なくともいくつかは、
図5に示される、ガイド22だけを取り出した等角図において、より良く理解することができる。
【0013】
一実施形態では、円錐形遷移部27は、テーパ角δ(
図5)を画定し、このテーパ角δは例えばガイドの長手方向の軸50に平行な線に対して規定され得る。非限定的な一実施形態では、テーパ角度は、25度から65度の範囲を有することができる。別の非限定的な実施形態では、テーパ角度は、30度から60度の範囲を有することができる。さらに別の非限定的な実施形態では、テーパ角は、35度から55度の範囲を有することができる。開示される実施形態が円錐形遷移部27を含む必要はないことを、理解することができる。
【0014】
図1に戻ると、非限定的な一実施形態において、円筒形カップ部24内には、封止部材32と、ばね34と、が配置される。円筒形カップ部24の内面36は、封止部材32が円筒形カップ部24の内面36に沿って移動するのを案内するように構成されており、圧縮機弁組立体の作動中、ばね34が圧縮されていないときには封止部材32の封止頭部33が流入口16を閉じるように移動し、ばね34が圧縮されると、封止部材32の封止頭部33が流入口16から離れるように移動する。この後者の状態は、作動流体の流れが圧縮機弁組立体10の吸入口側14から圧縮機弁組立体10の吐出口側20へと通過することを可能にし、これは矢印線38によって概略的に表されている。
【0015】
これに限定されないが、封止頭部33は、流線形状を有することができる。すなわち、封止頭部33は、砲弾形の弁頭部を伴うものとして上述した封止頭部の範疇に属し、したがって、封止頭部33は、砲弾形の弁頭部に関連する上述した全ての利点を提供する。このような利点の非限定的な例は、比較的高い圧力での運転能力と、曲げ応力の影響を受け難いこと、を含む。
【0016】
非限定的な一実施形態において、止め板18には、一群の吐出流開口部40が設けられている。一群の吐出流開口部40は、円筒形軸部26の近傍に配置される。一例として、
図1は、
図1に示される円筒形軸部26の各々について、このような2つの吐出流開口部40を示している。非限定的な一実施形態において、一群の吐出流開口部40のそれぞれの断面のある区分(segment)(複数可)には、円筒形カップ24が被っており、非限定的な一実施形態において、区分(複数可)は、円筒壁30の外表面に外接する点まで延びている。
【0017】
非限定的な一実施形態において、吐出流開口部40の群のそれぞれの断面の区分(複数可)はそれぞれ、各吐出流開口部40によって形成される半径(r
2)の円(例えば、
図6の円C
2 )と、円筒形カップ24の基部外周25によって形成される半径(r
1)の円(例えば、
図6の円C
1 )と、が部分的に交差することによって画定される吐出流領域(outlet flow area)を有する。(さらに理解を容易にするために、半径(r
1)および(r
2)は
図3にも表示されている。)これらの円は、互いからの距離(d)の位置にそれぞれの中心点を有する(例えば、
図3および
図6において、この距離dが表示されている)。各吐出流開口部40の半径(r
2)は、円筒形カップの基部外周の半径(r
1)に対して相対的に小さいことが理解される。円筒形カップ24の吐出流開口部40および基部外周25は異なった平面上にあるので(例えば、互いに軸方向に離間している)、円C
1 は、円C
2 への投影を表していることがさらに理解され得る。このことは、円C
1 を破線で図示することによって概略的に表されている。
【0018】
図2は、
図4の線2-2によって画定される切断面に沿った断面図を含む、開示された圧縮機弁組立体10の断片的な等角図であり、
図3に示される等角図とともに、これらの図は、上述した圧縮機弁組立体10の少なくとも構造的な詳細をより良く視覚的に理解することを可能にするはずである。
【0019】
図4において理解され得るように、非限定的な一実施形態において、吐出流開口部の群は~任意の所与のガイド22の円筒形軸部のまわりで~、ガイド22の長手方向の軸を中心として正方形に配列された、4つの吐出流開口部(40
1~40
4)によって形成され得る。開示される実施形態の態様は、任意の所与のガイド22の円筒形軸部の周りにある4つの吐出流開口部から一群が構成されることにも、正方形に配置されることにも、限定されないことが理解されるであろう。止め板18を貫通する吐出流開口部は、隣り合う各ガイド22のそれぞれの長手方向の軸(例えばそれぞれの中心線)により近い位置に、相対的に配置できることが理解されるであろう。これにより、弁組立体の直径が所定のサイズの場合、ガイドおよび関連する弁部材の設置量が増加し、対応する流路口の使用量を、増加させることができる。非限定的な一例では、これに限定されるものではないが、その結果、弁流路面積は、従来の同様なサイズの弁と比較して、約33%増加される。
【0020】
上述のように、
図6は、それぞれ半径r
1 およびr
2 の2つの交差する円C
1 およびC
2 を示し、ここで、これらの円の中心間の距離はdである。半径(r
2)の円2は、各吐出流開口部を示し、半径(r
1)の円1は、円筒形カップの基部外周を示す。円の交差面積(A
int)は、以下のように定義されることが示される。
【0021】
【0022】
面積(Aint)は、開示された圧縮機弁組立体によって効果的に実現される、吐出流領域の増加分を表す。
【0023】
上式の巧妙な導出に関心のある読者のために、以下のURLに掲載された、Diego Assencioによる「The intersection Area of Two Circles(二つの円の交差面積)」と題された記事を参照されたい。
https://diego.assencio.com/?index=8d6ca3d82151bad815f78addf9b5c1c6
【0024】
動作において、開示された実施形態は、いわゆる砲弾形の弁頭部設計の全利点を、費用効果的かつ確実に取り入れ、圧縮機弁組立体の流路面積を効果的に増大させる圧縮機弁組立体を実現する。さらに、開示された実施形態は、個々に止め板に着脱可能に取り付けることができるガイドを効果的に可能にし、したがって、開示された設計は、砲弾形の弁頭部の全利点を備えた増大された流路面積を実現しながら、個々のガイドのユーザーフレンドリーな保守性をもたらす。
【0025】
本開示の実施形態を例示的な形態で開示してきたが、以下の特許請求の範囲に記載されるように、本発明およびその均等物の範囲から逸脱することなく、そこに多くの変更、追加、および削除を行うことができることは、当業者には明白であろう。
【符号の説明】
【0026】
10…圧縮機弁組立体、12…台座、14…吸入口側、16…流入口、18…止め板、20…吐出口側、22…ガイド、24…円筒形カップ部、25…基部外周、26…円筒形軸部、27…円錐形遷移部、28…軸受、29…ねじ付き嵌合面、30…円筒壁、31…内面、32…封止部材、33…封止頭部、34…ばね、36…内面、38…矢印線、40…吐出流開口部、50…軸
【手続補正書】
【提出日】2023-09-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機弁組立体の吸入口側に配置される台座であって、吸入流開口部を備える台座と、
前記圧縮機弁組立体の吐出口側に配置される止め板であって、前記台座に対して当接関係にある止め板と、
前記止め板に着脱可能に取り付けられるガイドであって、円筒形カップ部と、前記止め板内の円筒壁によって画成される軸受け内において軸方向に延びる円筒形軸部と、を有し、前記円筒形カップ部の基部外周が、前記止め板の底部に対して離間して配置される、ガイドと、
前記止め板内に配置され、前記円筒形軸部の周りに配置される一群の吐出流開口部であって、当該一群の吐出流開口部の各断面の区分には前記円筒形カップ部が被っており、前記円筒壁の外面に外接する点まで延びている、一群の吐出流開口部と、
を備え、
前記ガイドは、前記円筒形カップ
部の前記基部外周と前記円筒形軸部との間に配置される円錐形遷移部をさらに備える
、圧縮機弁組立体。
【請求項2】
前記円錐形遷移部は、前記ガイドの長手方向軸に対するテーパ角を画定する、
請求項
1に記載の圧縮機弁組立体。
【請求項3】
前記テーパ角は、25度から65度の範囲である、
請求項
2に記載の圧縮機弁組立体。
【請求項4】
前記テーパ角は、30度から60度の範囲である、
請求項
3に記載の圧縮機弁組立体。
【請求項5】
前記テーパ角は、35度から55度の範囲である、
請求項
4に記載の圧縮機弁組立体。
【請求項6】
前記円筒壁の内面は、前記円筒形軸部のねじ山接合面とのねじ接続部を提供するように構成されたねじ山を有する、
請求項1に記載の圧縮機弁組立体。
【請求項7】
前記ガイドの前記円筒形カップ部内に配置される封止部材およびばねをさらに備え、
前記ガイドの前記円筒形カップ部の内面は、前記円筒形カップ部の内面に沿う前記封止部材の移動を案内するように構成され、それにより、前記封止部材の封止頭部は、前記圧縮機弁組立体の動作中に、前記ばねが圧縮されていないときは、前記吸入流開口部を閉鎖するように移動し、前記ばねが圧縮されるときは、前記吸入流開口部から離れるように移動する、
請求項1に記載の圧縮機弁組立体。
【請求項8】
圧縮機弁組立体の吸入口側に配置される台座であって、吸入流開口部を備える台座と、
前記圧縮機弁組立体の吐出口側に配置される止め板であって、前記台座に対して当接関係にある止め板と、
前記止め板に着脱可能に取り付けられるガイドであって、円筒形カップ部と、前記止め板内の円筒壁によって画成される軸受け内において軸方向に延びる円筒形軸部と、を有し、前記円筒形カップ部の基部外周が、前記止め板の底部に対して離間して配置される、ガイドと、
前記止め板内に配置され、前記円筒形軸部の周りに配置される一群の吐出流開口部であって、当該一群の吐出流開口部の各断面の区分には前記円筒形カップ部が被っており、前記円筒壁の外面に外接する点まで延びている、一群の吐出流開口部と、
を備え、
前記一群の吐出流開口部の各断面のそれぞれの区分は、各吐出流開口部によって形成される半径(r
2 )を有する円と、前記円筒形カップ
部の前記基部外周によって形成される半径(r
1 )を有する円と、の部分的な交差によって画定される吐出流領域を有し、
前記二つの円は、互いから距離(d)の点にそれぞれの中心点を有し、
各吐出流開口部の半径(r
2 )は、前記円筒形カップ
部の前記基部外周の半径(r
1 )に対して小さい
、
圧縮機弁組立体。
【請求項9】
前記一群の吐出流開口部は、前記ガイドの長手方向軸を中心とする正方形に配置される4つの吐出流開口部によって形成される、
請求項1に記載の圧縮機弁組立体。
【請求項10】
前記部分的な交差の面積は、次式:
【数1】
によって定義される、
請求項
8に記載の圧縮機弁組立体。
【請求項11】
止め板に着脱可能に取り付けられるガイドであって、円筒形カップ部と、前記止め板内の円筒壁によって画成される軸受け内において軸方向に延びる円筒形軸部と、を有し、前記円筒形カップ部の基部外周が、前記止め板の底部に対して離間して配置される、ガイドと、
前記止め板内に配置され、前記円筒形軸部の周りに配置される一群の吐出流開口部であって、当該一群の吐出流開口部の各断面の区分には前記円筒形カップ部が被っており、前記円筒壁の外面に外接する点まで延びている、一群の吐出流開口部と、
を備え、
前記一群の吐出流開口部の各断面のそれぞれの区分は、各吐出流開口部によって形成される半径(r
2 )を有する円と、前記円筒形カップ
部の前記基部外周によって形成される半径(r
1 )を有する円と、の部分的な交差によって画定される吐出流領域を備え、
前記二つの円は、互いから距離(d)の点にそれぞれの中心点を有し、
各吐出流開口部の半径(r
2 )は、前記円筒形カップ
部の前記基部外周の半径(r
1 )に対して小さい、
圧縮機弁組立体。
【請求項12】
前記部分的な交差の面積は、次式:
【数2】
によって定義される、
請求項
11に記載の圧縮機弁組立体。
【請求項13】
前記ガイドは、前記円筒形カップ
部の前記基部外周と前記円筒形軸部との間に配置される円錐形遷移部をさらに備える、
請求項
11に記載の圧縮機弁組立体。
【請求項14】
前記円錐形遷移部は、前記ガイドの長手方向軸に対するテーパ角を画定し、
前記テーパ角は、25度から65度の範囲である、
請求項
13に記載の圧縮機弁組立体。
【請求項15】
前記テーパ角は、30度から60度の範囲である、
請求項
14に記載の圧縮機弁組立体。
【請求項16】
前記テーパ角は、35度から55度の範囲である、
請求項
15に記載の圧縮機弁組立体。
【請求項17】
前記円筒壁の内面は、前記円筒形軸部のねじ山接合面とのねじ接続部を提供するように構成されたねじ山を有する、
請求項
11に記載の圧縮機弁組立体。
【請求項18】
前記ガイドの前記円筒形カップ部内に配置される封止部材およびばねをさらに備え、
前記ガイドの前記円筒形カップ部の内面は、前記円筒形カップ部の内面に沿う前記封止部材の移動を案内するように構成され、それにより、前記封止部材の封止頭部は、前記圧縮機弁組立体の動作中に、前記ばねが圧縮されていないときは、前記吸入流開口部を閉鎖するように移動し、前記ばねが圧縮されるときは、前記吸入流開口部から離れるように移動する、
請求項
11に記載の圧縮機弁組立体。
【請求項19】
前記一群の吐出流開口部は、前記ガイドの長手方向軸を中心とする正方形に配置される4つの吐出流開口部によって形成される、
請求項
11に記載の圧縮機弁組立体。
【国際調査報告】