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特表2024-509633グラファイトを剥離するための装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-04
(54)【発明の名称】グラファイトを剥離するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 32/19 20170101AFI20240226BHJP
【FI】
C01B32/19
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023559734
(86)(22)【出願日】2022-05-03
(85)【翻訳文提出日】2023-09-26
(86)【国際出願番号】 US2022027526
(87)【国際公開番号】W WO2022235710
(87)【国際公開日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】63/184,176
(32)【優先日】2021-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523367473
【氏名又は名称】ティーエムティーピー ラブズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ラスタイン, ティモシー
(72)【発明者】
【氏名】ケリー, マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ロビンズ, ショーン
【テーマコード(参考)】
4G146
【Fターム(参考)】
4G146AA01
4G146AB07
4G146BA02
4G146BC50
4G146DA07
(57)【要約】
グラファイト粒子を剥離するための装置および方法が説明される。グラファイト粒子と流体媒体との混合物が容器に移される。容器は撹拌器および冷却器を含む。冷却器は、流体媒体が氷粒子に少なくとも部分的に凝固するように混合物を冷却する。撹拌器は混合物を撹拌して、グラファイト粒子と氷粒子との間の接触を誘発する。グラファイト粒子と氷粒子との接触が、グラファイト粒子を剥離する。本開示は、一般に、グラファイトを剥離するための装置および方法に関し、特に、流体媒体を使用してグラファイト粒子を剥離してグラフェンを生成するための装置および方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラファイト粒子を剥離する方法であって、前記方法が、
容器内に混合物を移す工程であって、前記混合物がグラファイト粒子と氷粒子とを含み、前記容器が撹拌器を含む、容器内に混合物を移す工程と、
前記グラファイト粒子と前記氷粒子との間の接触を誘発し、前記グラファイト粒子を剥離するように、前記撹拌器により前記混合物を攪拌する工程と
を含む、方法。
【請求項2】
前記攪拌器が、ローターを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ローターが、第1のブレードを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ローターが、第2のブレードをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記撹拌器が、振動器を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
グラファイト粒子を剥離する方法であって、前記方法が、
容器内に混合物を移す工程であって、前記混合物がグラファイト粒子と流体媒体とを含み、前記容器が撹拌器と冷却器とを含む、容器内に混合物を移す工程と、
前記流体媒体が、氷粒子に少なくとも部分的に凝固するように、前記冷却器により前記混合物を冷却する工程と、
前記グラファイト粒子と前記氷粒子との間の接触を誘発し、前記グラファイト粒子を剥離するように、前記撹拌器により前記混合物を攪拌する工程と
を含む、方法。
【請求項7】
前記撹拌器が、ローターを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記撹拌器が、振動器を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記流体媒体が、第1の流体を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の流体が、水を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記流体媒体が、第2の流体をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の流体が、エチレングリコール、n-メチル-2-ピロリドン、イソプロピルアルコール、メチルアルコール、ブチルアルコール、またはエチルアルコールの少なくとも1つを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第2の流体が、空気、窒素、アルゴン、酸素、または二酸化炭素の少なくとも1つを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記流体媒体が、界面活性剤をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記界面活性剤が、せっけん、アルキルスルフェート、アルキルベンゼンスルホネート、リグノスルホネート、またはコール酸ナトリウムの少なくとも1つを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
グラファイト粒子を剥離する装置であって、前記装置が、
混合物を収容する容器を含み、
前記容器が、冷却器と撹拌器とを含み、
前記混合物が、グラファイト粒子と流体媒体とを含み、
前記冷却器が、前記流体媒体を氷粒子に少なくとも部分的に凝固させるように前記混合物を冷却するように構成され、
前記撹拌機が、前記グラファイト粒子と前記氷粒子との間の接触を誘発し、前記グラファイト粒子を剥離するように、前記混合物を攪拌するように構成される、装置。
【請求項17】
前記流体媒体が、第1の流体を含む、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記第1の流体が水を含む、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記冷却器が、空気、ヘリウム、窒素、ネオン、アルゴン、または二酸化炭素の少なくとも1つを含む、請求項16に記載の装置。
【請求項20】
前記冷却器が、塩化ナトリウム、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、メチルアルコール、ブチルアルコール、またはエチルアルコールの少なくとも1つを含む、請求項16に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)の下での、2021年5月4日出願された米国仮出願第63/184,176号の出願日の利益を主張し、その内容は、その全体において参照により本明細書に組み込まれる
【0002】
分野
本開示は、一般に、グラファイトを剥離するための装置および方法に関し、特に、流体媒体を使用してグラファイト粒子を剥離してグラフェンを生成するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
2004年に単離されて以来、グラフェンは非常に人気のある商品となっている。炭素原子の単層で構成されているこの材料は、高い引張強度、高い柔軟性、高い熱伝導率、および極めて高い電気伝導性を含む、顕著な特性を備えていることが理論化され、実証されている。この材料の用途は数多くあり、研究開発が年々進むにつれて増加している。
【0004】
しかし、グラフェンに対する需要は、それを生成するための既存の技術の能力をはるかに超えている。グラフェンを生成する第1の技術は、非公式には「スコッチテープ法」として公知であるが、グラファイトブロックの表面に一片のテープを配置し、それを剥がしてグラファイトの薄いシートを機械的に剥離するステップと、第1の一片のテープの上に第2の一片のテープを配置し、それを剥がしてグラファイトのより薄いシートを剥離するステップを含む;このプロセスは、単層グラフェンの剥離された薄片が最終的に一片のテープに貼り付けられるまで繰り返される。単層グラフェンは生成され得るが、この技術は、テープを取り除いてグラフェン薄片を単離するために、膨大な労力と時間を要し、また大量のテープと溶媒の消費を要する。このプロセスは単調で時間とコストがかかるだけでなく、廃棄物が生成するため環境に優しくない。
【0005】
「スコッチテープ法」の導入以来、数年間で追加の技術が開発されており、それは「ボトムアップ」および「トップダウン」方法論の広いカテゴリーに分類される。化学気相成長などのボトムアップ技術は、遊離炭素原子から直接ナノスケールでグラフェンを組み立てる。ボトムアップ技術は、設定可能なサイズのグラフェンのシートを生成できるが、一度に1枚のグラフェンのシートのみ生成するという事実により制限がある。「スコッチテープ法」などのトップダウン技術は、天然に存在するグラファイトが、弱いファンデルワールス力によって一緒に保持されている、グラフェンの積み重ねられた層をすでに含むという事実に依存しており、これらの層を剥離してグラフェンを単離しようとする。ファンデルワールス力は、原子、分子および表面間の引力および反発力、ならびに他の分子間力を含む。
【0006】
しかしながら、従来の剥離技術も、それらの効率およびそれらの最終製品の品質によって制限される。前述したように、「スコッチテープ法」は労力および材料の多大な支出を必要とし、グラフェンの大規模な工業生成には不利である。化学的剥離および液相せん断混合などの他の技術は、工業生成には実行可能かもしれないが、酸化によって損なわれるか、生成速度が遅くなる制限を受け、生成コストが上昇する、最終製品を生成する。
【0007】
グラフェンを高速および高品質で生成し得る高エネルギー技術は、レーザー誘起グラフェン(「LIG」)およびフラッシュジュール加熱(「FJH」)を含む。これらの技術により、ゴムまたは有機廃棄物などの炭素を含む非グラファイト基材の使用が可能になり、前述の技術よりもより高速でグラフェンを生成し得る。ただし、これらの技術は、高エネルギーシステムの本質安全上のリスクとコストによって制限される。
【0008】
したがって、安全で工業レベルまで拡張可能なグラフェンを生成する新規技術に対する高い需要が存在する。さらに、グラフェンの現在の価格は、材料の多くの有用な特徴を活用した新規製品の導入に対する制限要因であるため、安価なグラフェンを生成する新規技術に対する需要が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
概要
以下、そのような態様の基本的な理解を提供するために、本開示の種々の態様の簡略化した概要を示す。本概要は、本開示の広範な要点ではない。本開示の重要または決定的な要素を特定するものではなく、開示の特定な実施形態のいかなる範囲、および請求項のいかなる範囲を画定するものでもない。その唯一の目的は、後述するより詳細な説明の前置きとして、簡略化した形式で本開示のいくつかの概念を示すことである。
【0010】
本開示の一態様では、グラフェンを生成するために、グラファイトを剥離するための装置および方法が提供される。混合物が容器内に移される。混合物が、グラファイト粒子と流体媒体とを含む。容器が、撹拌器を含む。グラファイト粒子と氷粒子との間の接触を生じさせて、グラファイト粒子を剥離するように、混合物が、撹拌器により攪拌される。
【0011】
一実施形態では、混合物が、容器内に移される。混合物が、グラファイト粒子と流体媒体とを含む。容器が、撹拌器と冷却器とを含む。混合物が、冷却器によって冷却され、その結果、流体媒体が、氷粒子に少なくとも部分的に凝固する。グラファイト粒子と氷粒子との間の接触を誘発してグラファイト粒子を剥離するように、混合物が、撹拌器により攪拌される。
【0012】
一実施形態では、グラファイト粒子を剥離する装置は、混合物を収容する容器を含む。容器が、冷却器と撹拌器とを含む。混合物が、グラファイト粒子と流体媒体とを含む。冷却器は、流体媒体を氷粒子に少なくとも部分的に凝固するように混合物を冷却するように構成される。グラファイト粒子と氷粒子との間の接触を誘発して、グラファイト粒子を剥離するように、撹拌器は、混合物を攪拌するように構成される。
【0013】
本開示は、限定としてではなく、例として添付の図面に示される:
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本開示の一実施形態による、グラファイト粒子と流体媒体との間の一連の接触を分子スケールで例示的に示す。
【0015】
図2図2は、本開示の一実施形態による、グラファイトを剥離するための装置を例示的に示す。
【0016】
図3図3は、本開示の一実施形態による、グラファイトを剥離するための装置を例示的に示す。
【0017】
図4図4は、本開示の一実施形態による、グラファイトを剥離するための装置を例示的に示す。そして
【0018】
図5図5は、本開示の一実施形態による、グラファイトを剥離するための方法を例示的に示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
詳細な説明
本主題を詳細に説明する前に、本開示は、説明される特定の実施形態に限定されず、変更される可能性があることを理解されたい。本開示の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ制限されるため、本明細書で使用される用語は特定の実施形態のみを説明するものであり、限定することを意図したものではないことも理解するべきである。本開示は、異なる形態で異なる実施形態が可能であるが、本開示が本発明の原理の例示としてみなされるべきであり、開示の広範な態様を例示する実施形態に限定することを意図したものではないことを理解した上で、本開示の好ましい実施形態を図面に示し、本明細書で詳細に説明する。本明細書で提供される任意の実施形態に関して説明される、すべての特徴、要素、構成要素、機能、およびステップは、特に明記されていない限り、任意の他の実施形態のものと自由に組み合わせ可能および置換可能であることが意図されている。したがって、例示されたものは例のみを目的として記載されており、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではないことを理解すべきである。
【0020】
本明細書で使用される場合、「流体」は、連続的、無定形の物質を意味し、その分子が互いに自由に通過し、容器の形をとる性質を有する。流体は、液体およびガスの両方を含む。流体は、例えば圧力または重力にさらされるという所定の条件下で流れ得る。
【0021】
本明細書で使用される場合、「粒子」は、固体材料の小さな粒を意味し、その組成(例えば原子、分子またはイオン)が、高度に整列された微視構造におい配置されており、全方向に延伸する結晶格子を形成する。粒子は、例えば、空孔、転位、不純物、および格子間添加物などの結晶学的な欠陥を有し得る。
【0022】
本明細書で使用される場合、「剥離する」は、層状材料の粒子を分離する行為を意味する。層状材料は、剥離される前に、任意の層数を含み得る。剥離において、粒子は、第1の新粒子と第2の新粒子とに分離され、第1の新粒子および第2の新粒子とに剥離分離される前に前記層数を有する。剥離の行為は、第1の新粒子および/または第2の新粒子上で継続し、更なる新粒子を生成し得る。
【0023】
本明細書で使用される場合、「グラフェン」は、単一層(「単層」)の炭素原子を意味し、六角形結合パターンに配置されている。本明細書で使用される場合、「多層グラフェン」は、互いに積み重ねられ、ファンデルワールス力により一緒に保持されている、2から10層のグラフェンからなる構造を意味する。本明細書で使用される場合、「ナノグラファイト」は、互いに積み重ねられ、ファンデルワールス力により一緒に保持されている、10から1000層のグラフェンからなる構造を意味する。本明細書で使用される場合、「グラファイト」は、互いに積み重ねられ、ファンデルワールス力により一緒に保持されている、1000層より多くのグラフェンからなる構造を意味する。ただし、これらの用語のいくつかは、交換可能に使用され得、グラフェンの特定の層(複数可)を生成するある方法は、本開示の思想および範囲を逸脱することなく、グラフェンの他の層(複数可)の生成にも使用可能である。
【0024】
上述したように、グラフェンは、魅力的な特性を有する非常に人気のある材料である。例えば、グラフェン薄片は、他の材料への添加剤として、それらの弯曲強度または圧縮強度を向上させるために使用され得る。さらに、その導電性は、スーパーキャパシタにおける使用のためにおよび、いくつかの応用において銅の代替として研究されている。予備的な研究によれば、グラフェンが、著しく低いエネルギー消費速度で、脱塩システムにおいてフィルターとして使用可能であることも示唆されている。
【0025】
しかし、グラフェンを生成する既存の方法は、生成の速度が遅いこと、労力および/または材料の高く高価な要求などの要因によって制限されてきた。生産性と拡張性の課題をうまく克服している既存の方法は、別の課題を抱えている。グラフェンの最も魅力的な特性は、炭素原子の六角形パターンの繰り返しの結果であるため、欠陥の存在はその実用性を妨げる可能性があり得る。例えば、炭素原子の構造が酸化によって損なわれると、グラフェンの利点が減少する。酸化グラフェンは還元されて還元型酸化グラフェンを形成する可能性があるが、最終製品は欠陥を含み、これによりその効果も低下する。さらに、供給業者が単層グラフェンを生成すると宣伝しているいくつかの方法は、実際には多層グラフェン、さらにはナノグラファイトを生成しており、これらは共通してグラフェンの有益な効果の一部のみを有する。例えば、追加の層の存在により、グラフェンの強度と導電性が低下する。
【0026】
本開示は、グラファイトを剥離してグラフェンを生成するための方法および装置を導入することによって、既存の解決策が直面する課題に対処する。これは、拡張性が高く、労力および材料のコストが低く、高品質の最終製品を生成することができ、安全性リスクが最小限である。
【0027】
本明細書に記載されるように、結晶構造の接着特性を利用してグラファイトの層(複数可)を掴み、機械的に剥離して、1つまたは複数のグラフェン層を生成することができる。例えば、結晶構造として氷を使用することができる。水の氷は、成熟した規制とリスクデータを備えた十分に研究された物質である。氷が形成される温度および圧力は、最小限のエネルギー消費および人員と環境への最小限のリスクで達成可能である。この解決策に必要な労力、材料、および設備は安価であり、費用対効果の高い価格帯で販売するための大量の工業生成に容易に拡張できる。
【0028】
以下の説明および図面では、同様の要素は同様の参照番号で識別される。「例えば(e.g.)」、「など(etc.)」、「または(or)」および「等(the like)」の使用は、特に断りのない限り、制限のない非排他的な代替手段を示す。「有する(having)」、「含有する(comprising)」、「含んでいる(including)」または「含む(includes)」の使用は、特に断りのない限り、「含んでいるがこれらに限定されない」または「含むがこれらに限定されない」を意味する。
【0029】
「および/または」で列挙された複数のエンティティは、同様に解釈されるべきであり、すなわち、そのように結合されたエンティティの「1つまたは複数」であると解釈されるべきである。「および/または」節によって具体的に識別されるエンティティ以外の他のエンティティが、具体的に識別されるエンティティに関連するか無関係であるかに関係なく、必要に応じて存在する場合がある。したがって、非限定的な例として、「Aおよび/またはB」への言及は、「含む」などの制限のない言語と組み合わせて使用される場合、一実施形態では、Aのみ(必要に応じてB以外のエンティティを含んでいる);別の実施形態では、Bのみ(必要に応じてA以外のエンティティを含んでいる);さらに別の実施形態では、AとBの両方(必要に応じて他のエンティティを含んでいる)を指すことができる。これらのエンティティは、要素、行為、構造、ステップ、操作、値等を指す場合がある。
【0030】
上記で参照したシステムの様々な態様は、限定としてではなく例として本明細書で詳細に説明される。
【0031】
図1は、グラファイト粒子102と流体媒体104との間の一連の接触100を分子スケールで例示的に示す。図1は、以下に詳細に説明するグラファイト粒子を剥離するための4つの一連のステップ(ステップA~D)を示す。一連の接触100は、結晶構造層106、結晶構造108、および剥離されたグラファイト粒子110を含む。簡略化の目的のために、図1は、個々の原子が円で示され、原子間の結合が線で示された二次元側面図を示す。簡略かつ簡潔にするために、図1は、互いに隣り合って積み重ねられ、ファンデルワールス力によって一緒に保持された、グラフェンの5つの垂直層を有する多層グラフェンを含むグラファイト粒子102を示す。上述したように、各グラフェン層は、六角形結合パターンに配置された炭素原子を含む。以下に説明するプロセスは、グラファイト粒子102の層数に関係なく、同様に反応すると予想されることに留意すべきである。したがって、示されているより多いまたは少ない層が使用されてもよい。さらに、簡略化および簡潔にするために、図1では1つのグラファイト粒子102が示されているが、追加のグラファイト粒子が流体媒体104と相互作用していてもよい。
【0032】
ステップAでは、グラファイト粒子102が流体媒体104中に固体粒子として懸濁される。図1に示されるように、流体媒体104は、複数の構成要素(例えば、原子、イオン、または分子)を含むことができる。一実施形態では、流体媒体104は、水を含む溶液であってよい。別の実施形態では、流体媒体104は、酢酸、クエン酸、ギ酸、ボレート、またはリン酸二水素カリウムなどの緩衝剤によって緩衝された水を含む水溶液であってよい。第3の実施形態では、流体媒体104は、シリカ、方解石、またはダイヤモンドダストなどの研磨材を含んでよい。流体媒体104は、流体媒体104の特性を変えるために、界面活性剤(例えば、石鹸、アルキルスルフェート、アルキルベンゼンスルホネート、リグノスルホネート、n-メチル-2-ピロリドン、コール酸ナトリウムなど)を含んでよい。流体媒体104はまた、流体媒体104の凍結温度を下げるために、凝固点降下剤(例えば、エチレングリコール、メチルアルコール、プロピルアルコールまたはその誘導体、エチルアルコール、砂糖など)を含んでもよい。他の実施形態では、流体媒体104は、他の流体、他の流体溶液、または他の状態(複数可)に存在する他の溶液であってよい。
【0033】
ステップAの後、図1のステップBでは、冷却プレート(図示せず)などのサーマルシンクを使用して、流体媒体104を凍結温度またはより低く冷却する。本明細書で使用される場合、「凍結温度」は、材料が熱力学的相を液体から固体に変化し始め得る温度を指す。熱力学的相を液体から固体に変化させるプロセスは、「凝固」とも呼ばれる。結晶構造に凝固する液体は、「核形成」と呼ばれるプロセスで他の固体上に優先的に凝固することがあり得る。結晶構造が凝固し始め得る固体は、「核形成サイト」と呼ばれる。本開示では、流体媒体104が凝固するにつれて、2つまたは2つより多くの流体媒体104の分子が繰り返しパターンで互いに結合して、結晶構造層106を形成する。
【0034】
一実施形態では、凍結温度は、1気圧下で約0℃である純水の凍結温度である。凍結温度またはより低い冷却に応答して、流体媒体104は、結晶構造層106に凝固し始める。流体媒体104は、核形成サイトで結晶構造層106に凝固し得る。グラファイト粒子102は、結晶構造層106の核形成サイトとして機能し得る。一実施形態では、流体媒体104は、結晶構造層106が、流体媒体104が凍結するよう、グラファイト粒子102の外層に付着するように、選択され得る。
【0035】
ステップBの後、図1のステップCでは、サーマルシンク(図示せず)は、流体媒体104を凍結温度未満に冷却し続けて、潜熱を取り除いて、流体媒体104をさらに凍結させる。継続的な冷却に応答して、流体媒体104は凝固し続け、そして結晶構造層106は成長して結晶構造108を形成する。一実施形態では、結晶構造108は、流体媒体104が完全に凝固するまで、またはサーマルシンク(図示せず)は流体媒体104の冷却を停止するまで、成長し続け得る(例えば、より大きくなり、流体媒体104の分子が他の分子と結合し続ける)。サーマルシンク(図示せず)は、ユーザからのコマンドに応答して、自動化されたコマンドに応答して、または力の損失時に、流体媒体104の冷却を停止することができる。
【0036】
ステップCの後のステップDでは、撹拌を生じさせる装置(すなわち撹拌機)(図示せず)がグラファイト粒子102、結晶構造108、および流体媒体104を撹拌し続ける。本明細書で使用される場合、「撹拌」は、物質の運動エネルギーを高めることを指す。例えば、回転ブレードまたは振動源を使用して、運動エネルギーを導入して物質を撹拌することができる。一実施形態では、結晶構造108の継続的な成長により、結晶構造108と流体媒体104との間の流体内の動きに対する抵抗によって引き起こされる力(「流体抵抗」とも呼ばれる)が増加する可能性がある。流体抵抗が増加するにつれて、力は、結晶構造108からグラファイト粒子102に伝達される。最終的に、グラファイト粒子102に伝達される張力は、ファンデルワールス力によって作成されるグラファイトの層を一緒に保持する力(「層間結合強度」とも呼ばれる)を超える可能性がある。その結果、層間結合強度が克服され、結晶構造108がグラファイト粒子102から機械的に分離される可能性がある。
【0037】
一実施形態では、流体媒体104は、結晶構造108の接着強度がグラファイト粒子102の層間結合強度よりも大きくなるように選択される。その結果、結晶構造108が付着しているグラファイト粒子102の外層は、結晶構造108とともにグラファイト粒子102から剥離することができる。この剥離に続いて、剥離されたグラファイト粒子110がグラファイト粒子102から分離される。
【0038】
一実施形態では、剥離されたグラファイト粒子110の新たに露出した外層は、結晶構造層106および結晶構造108の継続的な発達のために粒子が凝固し始める核形成サイトとして機能することができる。したがって、図1のA~Dまでのステップを剥離されたグラファイト粒子110に対して繰り返して、グラファイトをさらに剥離してもよい。ステップA~Dの繰り返し(すなわち、ステップA~Dを実行し、これらのステップを何度も繰り返す)を通じて、上述の一連の接触100は、グラファイトをナノグラファイト、多層グラフェン、そして最終的にはグラフェンに還元することができる。一実施形態では、ステップA~Dの繰り返しの2時間以内にグラファイトは多層グラフェンに剥離される。他の実施形態では、任意の他の時間枠内でグラファイトはグラフェンに剥離されてもよい。追加の詳細は、上述の技術が拡張性および費用効果の高い方法で達成され得るいくつかの実施形態に関して、以下に提供される。
【0039】
図2は、グラファイトを剥離するための装置200を例示的に示す。グラファイトを剥離するための装置200は、容器202、撹拌器216、およびサーマルシンク218を含む。容器202は、流体媒体226および少なくともグラファイト粒子228を含むか、またはそうでなければ収容する。撹拌器216は、モーター212、入力シャフト210、ギアボックス208および出力シャフト206を含む。サーマルシンク218は、冷却剤入口220、冷却剤出口222、および冷却器224を含む。モーター212は、支持アーム204およびモーター電気入力214を含む。冷却器224は冷却器電気入力230を含む。
【0040】
容器202は、装置200の設計者によって決定された任意の体積の流体媒体を保持するように作成またはそうでなければ製造され得る。一実施形態では、容器202は、以下の材料の1つもしくは複数、または組み合わせから構築される:金属、プラスチックまたはポリマー、あるいはガラス。容器202は、グラスファイバー、綿、または望ましくない熱伝達を低減するためのエアロゲル極低温断熱であるCryogel(登録商標)などの断熱材を使用して断熱することができる。
【0041】
グラファイト粒子228および流体媒体226を容器202に移して混合物を形成することができる。混合物は、任意の比率のグラファイト粒子228と流体媒体226を含んでもよい。流体媒体226の体積は、容器202が収容可能な任意の体積であってもよく、容器202のサイズは様々でよい。流体媒体226は、任意の流体、非流体、またはそれらの組み合わせであってよい。流体媒体226は、凍結温度未満に冷却されると、少なくとも部分的に凝固して結晶構造になり得る。一実施形態では、流体媒体226は、ASTM D1193-91に記載されている少なくとも米国材料試験協会(ASTM)タイプIVの最低純度基準を満たす脱イオン水である。別の実施形態では、流体媒体226は、水と、塩化物、フッ化物、または1つもしくは複数のミネラルなどの少なくとも1つの溶質とを含む溶液である。本明細書で使用する場合、「溶質」は、溶媒に溶解した溶液中の微量構成要素を指す。第3の実施形態では、流体媒体226は別の液体である。さらに他の実施形態では、流体媒体226は、非流体、または流体媒体と非流体媒体との組み合わせであってもよい。
【0042】
グラファイト粒子228は、流体媒体226の添加前、添加と同時に、または添加後に容器202に添加されてもよい。一実施形態では、グラファイト粒子228は、容器202に導入される前に冷却されてもよい。別の実施形態では、グラファイト粒子228の温度を25℃などの周囲温度または別の温度と等しくすることができる。グラファイト粒子228は、平均的な薄片サイズを有する粉末形態(例えば、粉末固体形態)であってもよい。一実施形態では、グラファイト粒子228は、5マイクロメートルから100マイクロメートルの間の平均薄片サイズを有する。別の実施形態では、グラファイト粒子228は、100マイクロメートルを超える平均薄片サイズを有する。第3の実施形態では、グラファイト粒子228は、容器202に収容可能な任意のサイズの不均一な複数のグラファイト粒子である。
【0043】
撹拌器216は、容器202に少なくとも一時的に取り付け可能、恒久的に取り付け可能、または取り外し可能に取り付け可能であり得る。一実施形態では、撹拌器216は、撹拌を増加させるために流体媒体226と接触し、グラファイト粒子228と少なくとも時々接触する、1つまたは複数のローターを含む。ローターは、シャフトが回転するとブレードが流体媒体226の中を移動するように、シャフトから外側に延びる1つまたは複数のブレードを含むことができる。1つまたは複数のブレードの動きが流体媒体226の運動エネルギーを増加し、撹拌を引き起こす可能性がある。回転によって、撹拌器216は、流体媒体226内の撹拌を開始し、グラファイト粒子228が流体媒体226に対して移動するように、グラファイト粒子228と時折接触することができる。
【0044】
本明細書で使用される場合、「円回転」は、円の円周に沿った1つもしくは複数のオブジェクトの周期的な動き、または円形経路に沿った回転を指す。円回転は、均一(例えば、一定回転角速度および一定速度)である場合もあれば、回転速度または速度が変化して不均一である場合もある。一実施形態では、円回転は、モーター212の動きによって生成される。モーター212は、ガソリン、液化石油ガス(LPG)(すなわち、プロパン)、またはディーゼル燃料などの化学燃料によって駆動され得るか、またはそうでなければこれらによって動力を供給され得る。あるいは、モーター212は、有線電源および/またはバッテリーに接続され得るモーター電気入力214によって、駆動される電気モーターであってもよい。一実施形態では、モーター212は交流(「A/C」)モーターである。モーター212は、支持アーム204によって、構造的に支持され得る。支持アーム204は、モーター212を支持できる任意の種類の材料で構成され得る。支持アーム204は、金属、プラスチック、ゴム、厚紙、またはそれらの組合せで構成され得る。
【0045】
入力シャフト210は、一端でモーター212に少なくとも一時的に結合されるか、恒久的に結合されるか、または取り外し可能に結合され得る。入力シャフト210は、モーター212に溶接されるか、一時的もしくは恒久的に接合部を介して接合されるか、またはそうでなければ接続されることができる。入力シャフト210は、モーター212を側方に支持できる任意の種類の材料で構成することができる。入力シャフト210は、金属、プラスチック、ゴム 厚紙、またはそれらの組み合わせで構成され得る。一実施形態では、入力シャフト210の反対側の端部は、ギアボックス208に少なくとも一時的に結合されるか、恒久的に結合されるか、または取り外し可能に結合される。入力シャフト210は、ギアボックス208に、溶接されるか、一時的もしくは恒久的に接合部を介して接合されるか、またはそうでなければ接続され得る。ギアボックス208は、2つまたはそれより多くのギア(図示せず)を含むことができる。ギアボックス208内の各ギア(図示せず)は、特定の歯数を有することができる。ギアの回転は、1つまたは複数の他のギアと連動することができ、その結果、1つのギアの回転が歯を介して力を伝達し、1つまたは複数の他のギアの回転を生み出す。あるギアと別のギアの歯数の比を「ギア比」として公知である。ギアボックス208内のすべての連動ギアの総ギア比は、ギアボックス208の「ギア比」と呼ばれる。ギアボックス208は、入力シャフト210の回転を第2の回転に機械的に変換するように操作し、その結果、第2の回転の速度は、ギア比に応じて入力シャフト210の回転速度とは異なる。一実施形態では、ギアボックス208は、入力シャフト210の回転を第2の回転に機械的に変換することができ、第2の回転の方向が角度に応じて入力シャフト210の回転の方向と異なる。ギアボックス208は、出力シャフト206に少なくとも一時的に結合されるか、恒久的に結合されるか、または取り外し可能に結合されることができる。出力シャフト206は、ギアボックス208に、溶接されるか、一時的もしくは恒久的に接合部を介して接合されるか、またはそうでなければ接続されることができる。
【0046】
代替の実施形態形態(図示せず)では、モーター212は、入力シャフトを有さずに、出力シャフト206に直接、少なくとも一時的に結合、恒久的に結合、または取り外し可能に結合することができる。このような実施形態では、モーター212の回転速度は、出力シャフト206の回転速度と同じまたは実質的に同じ(例えば、+/-5%以内)であり、モーター212の回転方向は、出力シャフト206の回転方向と同じまたは実質的に同じ(例えば、+/-5%以内)である。
【0047】
一実施形態では、出力シャフト206の回転速度は、撹拌器216によって生成される撹拌の程度に寄与し得る。一実施形態では、1つまたは複数のローターが出力シャフト206に結合され、追加の撹拌が提供される。ローターは、シャフトから外側に延びる1つまたは複数のブレードを含むことができ、その結果、シャフトが回転すると、ブレードが流体媒体226の中を移動する。1つまたは複数のブレードの動きは、流体媒体226の運動エネルギーを増大させて、撹拌を引き起こすことができる。撹拌機216によって生成される撹拌の程度は、冷却に応じて流体媒体226内に結晶構造が形成されるときに、上述の図1部に示すように、撹拌がグラファイト粒子228の内部結合強度を克服するのに十分な結晶構造に加えられる剪断力を生成するようなものであってよい。
【0048】
一実施形態では、流体媒体226は、流体媒体226の凍結温度未満に冷却されることに応答して、流体媒体226が少なくとも部分的に、結晶構造に凝固し、グラファイト228の外層に付着するように構成される。サーマルシンク218は、流体媒体226およびグラファイト粒子228を流体媒体226の凍結温度未満に冷却することができる。
【0049】
サーマルシンク218の一部は、容器202の底部に取り付けられ得る。容器202は、熱をサーマルシンク218に伝達し得る。熱は、伝導、対流、放射、またはそれらの組み合わせのいずれかを介してサーマルシンクに伝達され得る。容器202の底部に取り付けられたサーマルシンク218の部分は、液体冷却剤が通路全体に流れることを可能にする通路(図示せず)を収容してよい。一実施形態では、液体冷却剤は、塩化ナトリウム、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、メチルアルコール、ブチルアルコール、エチルアルコール、液体窒素、もしくは別の液体または液体の組み合わせのうちの1つである。
【0050】
サーマルシンク218は、容器202の底部に取り付けられたサーマルシンク218の部分に一端で少なくとも一時的に結合されるか、恒久的に結合されるか、または取り外し可能に結合される、冷却剤入口220および冷却剤出口222を含むことができる。一実施形態では、冷却剤入口220および冷却剤出口222は、液体冷却剤の流れを可能にするパイプを含む。パイプは、金属、プラスチック、ゴム、厚紙、またはそれらの組み合わせで構築され得る。冷却剤入口220および冷却剤出口222は、冷却剤入口220もしくは冷却剤出口222へのまたは冷却剤入口220もしくは冷却剤出口222からの熱伝達を低減するために、ガラスファイバー、綿、またはエアロゲル極低温断熱であるCryogel(登録商標)などの断熱材を使用して断熱されてもよい。
【0051】
冷却剤入口220および冷却剤出口222は、他端で冷却器224に少なくとも一時的に結合されるか、恒久的に結合されるか、または取り外し可能に結合されることができる。冷却器224は、金属、プラスチック、ゴム、厚紙、またはそれらの組み合わせで構成される。一実施形態では、冷却器224は、装置200から離れた冷却剤出口222内の液体冷却剤を冷却し、より低い温度で冷却剤入口220に液体冷却剤を戻すことができる。冷却器224は、液体窒素のような極低温流体を収容するタンクであってもよい。代替の実施形態では、冷却器224は、冷却器電気入力230を有する、流体を冷却するための電気装置である。冷却器224は、液体冷却剤を一定(同じ)速度で冷却することができる。一実施形態では、冷却器224は、代わりに液体冷却剤を可変速度で冷却してもよい。
【0052】
液体冷却剤を冷却することによって、サーマルシンク218は、流体媒体226およびグラファイト粒子228を流体媒体226の凍結温度未満に冷却することができる。したがって、冷却と撹拌の組み合わせによって、装置200は、流体媒体226内での結晶構造の形成と剥離、およびグラファイト粒子228の剥離をもたらす。しかしながら、本明細書で説明するように、他の装置を使用して、拡張可能かつコスト効率の高い方法で同様のまたは同じ効果を達成することもできる。
【0053】
図3は、グラファイトを剥離するための装置300を例示的に示す。装置300の構成要素は、装置200の構成要素と同様または同じであってもよく、したがって、装置200の構成要素の説明は、装置300の構成要素にも適用される。グラファイトを剥離するための装置300は、容器302、撹拌機304およびサーマルシンク308を含む。容器302は、流体媒体312およびグラファイト粒子310を含む。撹拌器304は、撹拌器電気入力306を含む。
【0054】
容器302は、装置300の設計者によって決定される任意の体積の流体媒体312を保持するように作成またはそうでなければ製造され得る。一実施形態では、容器302は、金属、プラスチックもしくはポリマー、またはガラスのうちの1つもしくは複数から構築される。容器302は、望ましくない熱伝達を低減するために断熱されてもよい。
【0055】
グラファイト粒子310および流体媒体312を容器302に移して混合物を形成することができる。流体媒体312の体積は、容器302に収容可能な任意の体積とすることができ、容器302は様々なサイズであり得る。流体媒体312は、凍結温度未満に冷却されると流体媒体312が少なくとも部分的に結晶構造(図示せず)に凝固する任意の流体であってもよい。一実施形態では、流体媒体312は、最低純度基準を満たす脱イオン水である。別の実施形態では、流体媒体312は、水および少なくとも1つの溶質を含有する溶液である。本明細書で使用する場合、「溶質」は、溶媒に溶解した溶液中の微量構成要素を指す。第3の実施形態では、流体媒体312は別の液体である。
【0056】
グラファイト粒子310は、流体媒体312の添加の前または後に容器302に添加されてもよい。グラファイト粒子310は、容器302に導入される前に冷却されてもよい。グラファイト粒子310は、平均的な薄片サイズを有する粉末状であってもよい。一実施形態では、グラファイト粒子310は、5マイクロメートルから100マイクロメートルの間の平均薄片サイズを有する。別の実施形態では、グラファイト粒子310は、100マイクロメートルを超える平均薄片サイズを有する。第3の実施形態では、グラファイト粒子310は、容器302に収容可能な任意のサイズの不均一な複数のグラファイト粒子である。
【0057】
撹拌器304は、容器302に少なくとも一時的に取り付けられるか、取り外し可能に取り付けられるか、または恒久的に取り付けられる。一実施形態では、撹拌器304は、容器302の外面と接触する1つまたは複数の振動器(305)を含む。振動を通じて、撹拌器304は、グラファイト粒子310が流体媒体312に対して移動するように、流体媒体312中での撹拌を開始することができる。
【0058】
撹拌器304の振動の周波数および振幅は、撹拌器304によって生成される撹拌の程度に寄与する。一実施形態では、撹拌器304は、40kHzを超える振動周波数を生成することができる。撹拌器304によって生成される撹拌の程度は、冷却に応じて流体媒体312内に結晶構造が形成されるとき、撹拌が上述の図1に示すようにグラファイト粒子310の内部結合強度を克服するのに十分であるように構成され得る。
【0059】
一実施形態では、流体媒体312は、凍結温度未満に冷却されることに応答して、流体媒体312が少なくとも部分的に結晶構造に凝固し、グラファイト粒子310の外層に付着するように構成される。本明細書で使用される場合、「凍結温度」は、材料が熱力学的相を液体から固体に変化し始める温度を指す。熱力学的相を液体から固体に変化させるプロセスは、「凝固」とも呼ばれる。結晶構造に凝固する液体は、「核形成」と呼ばれるプロセスで他の固体上に優先的に凝固され得る。結晶構造が凝固し始め得る固体は、「核形成サイト」と呼ばれる。本開示では、流体媒体312が凝固するにつれて、2つまたはより多くの流体媒体312の分子が繰り返しパターンで互いに結合して、結晶構造層(図示せず)を形成する。サーマルシンク308は、流体媒体312およびグラファイト粒子310を凍結温度未満まで冷却することができる。一実施形態では、凍結温度は、1気圧下で約0℃である純水の温度である。
【0060】
サーマルシンク308は、流体媒体312を凍結温度未満まで冷却するのに十分に低い瞬間温度を有する物質であってもよい。一実施形態では、流体媒体312およびグラファイト粒子310が容器302に導入された後、サーマルシンク308が流体媒体312に添加される。サーマルシンク308は固体物質または液体物質であり得る。一実施形態では、サーマルシンク308は、ドライアイスとしても公知である、凝固した二酸化炭素の塊である。別の実施形態では、サーマルシンク308は、液体窒素、液体酸素、または液体ヘリウムなどの極低温液体の塊である。
【0061】
単純な熱伝達によって、サーマルシンク308は、流体媒体312およびグラファイト粒子310を凍結温度未満まで冷却することができる。したがって、冷却と撹拌の組み合わせによって、装置300は、流体媒体312内での結晶構造の形成と開裂、およびグラファイト粒子310の剥離をもたらす。しかしながら、以下に説明するように、さらに他の装置を使用して、拡張可能かつコスト効率の高い方法で同じ効果を達成することもできる。
【0062】
図4は、グラファイトを剥離するための装置400を例示的に示す。装置400の構成要素は、装置200および装置300の構成要素と同様または同じであってもよく、装置200および装置300の構成要素の説明は、装置400の構成要素にも適用される。グラファイトを剥離するための装置400は、容器422は、撹拌器402、サーマルシンク406、およびグラファイトブロック408を含む。容器422は、流体媒体418およびグラファイト粒子420を含む。撹拌器402は、撹拌器電気入力404を含む。サーマルシンク406は、冷却剤入口410、冷却剤出口412、および冷却器414を含む。冷却器414は、冷却器電気入力416を含む。
【0063】
容器422は、装置400のコアを形成する。容器422は、装置400の設計者によって決定される任意の体積の流体媒体418を保持するように作成またはそうでなければ製造され得る。一実施形態では、容器422は、金属、プラスチックもしくはポリマー、またはガラスのうちの1つもしくは複数で構成される。容器422は、ガラスファイバー、綿、または容器422からの熱伝達を低減するためのエアロゲル極低温断熱材であるCryogel(登録商標)などの断熱材を使用して断熱されてもよい。
【0064】
グラファイト粒子420および流体媒体418を容器422に移して混合物を形成することができる。流体媒体418の体積は、容器422に収容可能な任意の体積であり得る。流体媒体418は、凍結温度未満に冷却されると少なくとも部分的に結晶構造(図示せず)に凝固する任意の流体であり得る。一実施形態では、流体媒体418は、最低純度基準を満たす脱イオン水である。別の実施形態では、流体媒体418は、水および少なくとも1つの溶質を含有する溶液である。本明細書で使用する場合、「溶質」は、溶媒に溶解した溶液中の微量構成要素を指す。第3の実施形態では、流体媒体418は別の液体である。
【0065】
グラファイト粒子420は、流体媒体418の添加前または添加後に容器422に添加することができる。グラファイト粒子420は、容器422に導入する前に冷却することができる。グラファイト粒子420は、平均的な薄片サイズを有する粉末状であってもよい。一実施形態では、グラファイト粒子420は、5マイクロメートルから100マイクロメートルの間の平均薄片サイズを有する。別の実施形態では、グラファイト粒子420は、100マイクロメートルを超える平均薄片サイズを有する。第3の実施形態では、グラファイト粒子420は、容器422に収容可能な任意のサイズの不均一な複数のグラファイト粒子である。
【0066】
撹拌器402は、サーマルシンク406に少なくとも一時的に取り付けられるか、取り外し可能に取り付けられるか、または恒久的に取り付けられる。一実施形態では、撹拌器402は、サーマルシンク406の上部と接触する1つまたは複数の振動ユニットを含む。振動を通して、撹拌器402は、グラファイト粒子420が流体媒体418に対して移動するように、流体媒体418中での撹拌を開始することができる。
【0067】
撹拌器402の振動の周波数および振幅は、撹拌器402によって生成される撹拌の程度に寄与する。一実施形態では、撹拌器402は、40kHzを超える振動周波数を生成することができる。撹拌機402によって生成される撹拌の程度は、冷却に応じて流体媒体418内に結晶構造が形成されるときに、撹拌がグラファイト粒子420の内部結合強度を克服するのに十分であるような程度であってよい。
【0068】
一実施形態では、流体媒体418は、凍結温度未満に冷却されることに応答して、流体媒体418は、少なくとも部分的に氷粒子などの結晶構造に凝固し、グラファイト粒子420の外層に付着する可能性がある。サーマルシンク406は、流体媒体418およびグラファイト粒子420を凍結温度未満まで冷却することができる。
【0069】
サーマルシンク406の一部は、撹拌器402の底部に取り付けられてもよい。撹拌器402は、熱をサーマルシンク406に伝導してもよい。撹拌器402の底部に取り付けられたサーマルシンク406の部分は、液体冷却剤の流れを可能にする通路(図示せず)を収容してもよい。一実施形態では、液体冷却剤は、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、メチルアルコール、ブチルアルコール、液体窒素、または別の液体のうちの1つである。
【0070】
サーマルシンク406は、撹拌器402の底部に取り付けられたサーマルシンク406の部分に一端で少なくとも一時的に結合される、取り外し可能に結合される、または恒久的に結合される、冷却剤入口410および冷却剤出口412を含むことができる。一実施形態では、冷却剤入口410および冷却剤出口412は、液体冷却剤の流れを可能にするパイプである。冷却剤入口410および冷却剤出口412は、望ましくない熱伝達を低減するために断熱されてもよい。
【0071】
冷却剤入口410および冷却剤出口412は、他端で冷却器414に少なくとも一時的に結合されるか、取り外し可能に結合されるか、または恒久的に結合され得る。一実施形態では、冷却器414は、装置400から離れた冷却剤出口412内の液体冷却剤を冷却し、より低い温度で冷却剤入口410に液体冷却剤を戻すことができる。一実施形態では、冷却器414は、-20℃未満の温度で冷却液入口410に液体冷却剤を戻すことができる。冷却器414は、液体窒素、液体水素、液体酸素、または液体ヘリウムなどの極低温物質を収容するタンクであってもよい。あるいは、冷却器414は、ドライアイスとしても公知である、凝固二酸化炭素を収容するホッパーであってもよい。他の実施形態では、冷却器414は、液体冷却剤を冷却できる他の任意の機構であってもよい。一実施形態では、冷却器414は、冷却器電気入力416を有する、流体を冷却するための電気装置である。冷却器414は、液体冷却剤を一定の速度で冷却することができる。一実施形態では、冷却器414は、代わりに液体冷却剤を可変速度で冷却することができる。
【0072】
一実施形態では、冷却剤出口412は通気口(図示せず)に向けることができる。本実施形態では、冷却器414は冷却ガスを冷却剤入口410に供給する。冷却ガスは複数の気泡として流体媒体418を通過し、伝導によって流体媒体418を冷却することができる。一実施形態では、複数の気泡は、上述したように、結晶構造の形成のための核生成サイトとして機能することができる。冷却ガスは、空気、ヘリウム、窒素、ネオン、アルゴン、または二酸化炭素のうちの少なくとも1つを含み得る。冷却剤出口412はまた、少なくとも部分的にガス回収システム(図示せず)に向けられてもよい。
【0073】
グラファイトブロック408は、サーマルシンク406の底部に少なくとも一時的に取り付けられ、取り外し可能に取り付けられ、または恒久的に取り付けられ得る。一実施形態では、グラファイトブロック408は、流体媒体418の表面と少なくとも部分的に流体接触して保持される。グラファイトは熱伝導体であるため、グラファイトブロック408は、流体媒体418からサーマルシンク406に熱を伝達する働きをすることができる。流体媒体418が凍結温度未満まで冷えると、グラファイトブロック408の表面に氷粒子などの結晶構造が形成されることがある。撹拌機402によって生成される撹拌は、結晶構造がグラファイトブロック408から機械的に分離されるように、グラファイトブロック408内の層間結合強度を克服するのに十分であり得る。したがって、グラファイトブロック408は、グラファイト粒子420の少なくとも部分的な供給源であり得る。
【0074】
液体冷却剤を冷却することによって、サーマルシンク406は、グラファイトブロック408、流体媒体418、およびグラファイト粒子420を凍結温度未満まで冷却することができる。したがって、冷却と撹拌の組み合わせによって、装置400は、流体媒体418中での結晶構造の形成と開裂、およびグラファイト粒子420の剥離をもたらす。したがって、上述したように、いくつかのアプローチを使用して、拡張可能かつコスト効率の高い方法で同じ効果が達成される。
【0075】
グラファイトを剥離するために使用されるステップは、図5に関して以下に本明細書に説明される。
【0076】
図5は、グラファイトを剥離するための方法500を例示的に示すフロー図である。一実施形態では、方法500は、本出願で説明されるグラファイトを剥離するための装置のいずれかを使用して実行され得る。例えば、図2、3、および4にそれぞれ示される装置200、装置300、および/または装置400は、方法500のステップを実行することができる。さらに、方法500は、グラファイトを剥離するために別の装置(複数可)によって実行されてもよい。
【0077】
説明を簡単にするために、本開示の方法は一連の行為として図示および説明される。しかしながら、本開示による行為は、本明細書に提示および説明されていない他の行為と様々な順序で、ならびに/または同時に行うことができる。さらに、開示された主題による方法を実施形態するために、図示されたすべての行為が必要なわけではない。さらに、当業者は、方法が状態図またはイベントを介して一連の相互関係のある状態として表すこともできることを理解および認識するであろう。
【0078】
図5を参照すると、方法500はブロック502で始まり、ここでグラファイト粒子および流体媒体が容器に移される。例えば、グラファイト粒子(228、310、および/または420)および流体媒体(226、312、および/または418)が容器(202、302、および/または422)に移される。容器(202、302、および/または422)は、比率に従って任意の量のグラファイト粒子(228、310、および/または420)および流体媒体(226、312、および/または418)を受け取り、貯蔵することができる。グラファイト粒子(228、310、および/または420)および流体媒体(226、312、および/または418)は、移送システムもしくは手動配送または別のプロセスによって容器(202、302、および/または422)に導入され得る。
【0079】
ブロック504では、グラファイト粒子が流体媒体に対して移動するように、グラファイト粒子および流体媒体が撹拌機によって撹拌される。例えば、撹拌機(216、304、および/または402)は、グラファイト粒子(228、310、および/または420)が、流体媒体(226、312、および/または418)に対して移動するように、グラファイト粒子(228、310、および/または420)および流体媒体(226、312、および/または418)を撹拌する。撹拌機(216、304、および/または402)は、グラファイト粒子(228、310、および/または420)を流体媒体(226、312、および/または418)に対して撹拌速度で移動させることができる。一実施形態では、撹拌速度は、操作サイクル全体にわたって一定である(例えば、+/-5%以内)。別の実施形態では、操作サイクル中に2つまたは2つより多くの撹拌速度または方向を使用することができる。
【0080】
ブロック506では、冷却器は、流体媒体が氷粒子に少なくとも部分的に凝固するように、グラファイト粒子および流体媒体を冷却する。例えば、サーマルシンク(218、308、および/または406)は、グラファイト粒子(228、310、および/または420)および流体媒体(226、312、および/または418)を凍結温度未満の温度まで冷却する。一実施形態では、流体媒体(226、312、および/または418)は、流体媒体(226、312、および/または418)の凍結温度未満に冷却されることに応答して、流体媒体(226、312、および/または418)が少なくとも部分的に凝固して、氷粒子などの結晶構造(108)になるように構成される。さらなる実施形態では、流体媒体(226、312、および/または418)が氷粒子などの結晶構造(108)に凝固するにつれて、流体媒体はグラファイト粒子の外層に付着することができる。一実施形態では、結晶構造(108)は、外部供給源から容器(202、302、および/または422)内に移される。
【0081】
ブロック508では、撹拌機は、グラファイト粒子、氷粒子、および流体媒体を撹拌して、グラファイト粒子と氷粒子との間の接触を誘発し、グラファイト粒子を剥離する。例えば、撹拌機(216、304、および/または402)は、グラファイト粒子(228、310、および/または420)、結晶構造(108)、および流体媒体(226、312、および/または418)を一緒に撹拌して、グラファイト粒子(228、310、および/または420)と結晶構造(108)との間の接触を誘発し、グラファイト粒子を剥離する。一実施形態では、サーマルシンク(218、308、および/または406)は、ブロック508中にグラファイト粒子(228、310、および/または420)および流体媒体(226、312、および/または418)を冷却し続け、その結果、結晶構造(108)のサイズは、例えば直径5マイクロメートルから10マイクロメートルまで成長し続ける。撹拌中の流体抵抗の増加に応じて、力がグラファイト粒子(228、310、および/または420)に伝達され、ファンデルワールス力によって引き起こされるグラファイト粒子の層間結合強度が克服される。
【0082】
グラファイト粒子(228、310、および/または420)の層間結合強度が克服されると、結晶構造(108)は、機械的な力によってグラファイト粒子(228、310、および/または420)から機械的に分離され得る。結晶構造(108)およびグラファイト粒子(228、310、および/または420)に対する機械的力は、流体摩擦、撹拌機との動的接触、別の結晶構造(108)との動的接触、または別のグラファイト粒子(228、310、および/または420)との動的接触のいずれかを含めることができる。一実施形態では、流体媒体(226、312、および/または418)は、結晶構造の接着強度が、ファンデルワールス力によって引き起こされるグラファイトの層間結合強度よりも大きくなるように構成される。結果として、グラファイト粒子(228、310、および/または420)からの結晶構造の機械的分離は、グラファイト粒子(228、310、および/または420)を開裂し、グラファイト粒子(228、310、および/または420)の外層の少なくとも1つが結晶構造に付着したままになることが予想される。したがって、グラファイト粒子(228、310、および/または420)の少なくとも1つの外層は、結晶構造とともに剥離され得る。
【0083】
一実施形態では、ブロック504からブロック508で説明されたステップは、グラファイトを剥離するための装置の操作サイクルの少なくとも一部の間、何度も繰り返される。したがって、剥離によって露出したグラファイト粒子(228、310、および/または420)の外層は、さらなる結晶構造の接着および剥離を受ける可能性がある。一実施形態では、グラファイト粒子(228、310、および/または420)は、ナノグラファイト、多層グラフェン、および最終的にはグラフェンに還元され得る。一実施形態では、グラファイト粒子(228、310、および/または420)は、2時間以内に多層グラフェンに還元される。
【0084】
さらに別の実施形態では、グラファイト粒子を剥離するために、以下のステップが実行される。混合物が容器に移される。混合物は、グラファイト粒子および氷粒子を含む。容器は撹拌機を含む。混合物は、撹拌機によって撹拌され、グラファイト粒子と氷粒子との間の接触を誘発し、グラファイト粒子を剥離する。
【0085】
さらに別の実施形態では、グラファイト粒子を剥離するために、以下のステップが実行される。混合物が容器に移される。混合物は、グラファイト粒子および流体媒体を含む。容器は撹拌機および冷却器を含む。混合物は、流体媒体が氷粒子に少なくとも部分的に凝固するように冷却器によって冷却される。混合物は、撹拌機によって撹拌され、グラファイト粒子と氷粒子との間の接触を誘発し、グラファイト粒子を剥離する。
【0086】
一実施形態では、撹拌器はローターを含む。一実施形態では、ローターは、第1のブレードおよび第2のブレードを含む。
【0087】
一実施形態では、撹拌器は振動器を含む。
【0088】
一実施形態では、流体媒体は第1の流体を含み、第1の流体は水を含む。流体媒体は、第2の流体をさらに含む。第2の流体は、エチレングリコール、n-メチル-2-ピロリドン、イソプロピルアルコール、メチルアルコール、ブチルアルコール、またはエチルアルコールのうちの少なくとも1つを含む。別の実施形態では、第2の流体は、空気、窒素、アルゴン、酸素、または二酸化炭素のうちの少なくとも1つを含む。
【0089】
一実施形態では、流体媒体は界面活性剤をさらに含む。界面活性剤は、せっけん、アルキルスルフェート、アルキルベンゼンスルホネート、リグノスルホネート、またはコール酸ナトリウムのうちの少なくとも1つを含む。
【0090】
実施形態は、様々な修正および代替形態が可能であるが、その特定の例が図面に示されており、本明細書で詳細に説明される。しかしながら、これらの実施形態は、開示された特定の形態に限定されるものではなく、逆に、これらの実施形態は、本開示の精神に含まれるすべての修正、等価物、および代替物を網羅するものであることを理解されたい。さらに、実施形態の任意の特徴、機能、ステップ、または要素は、特許請求の範囲に記載または追加することができ、また、その範囲外の特徴、機能、ステップ、または要素によって特許請求の範囲の発明の範囲を定義する否定的な限定も同様に行うことができる。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-09-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラファイト粒子を剥離する方法であって、前記方法が、
容器内に混合物を移す工程であって、前記混合物がグラファイト粒子と流体媒体とを含み、前記容器が撹拌器と冷却器とを含む、容器内に混合物を移す工程と、
前記流体媒体が、氷粒子に少なくとも部分的に凝固するように、前記冷却器により前記混合物を冷却する工程と、
前記グラファイト粒子と前記氷粒子との間の接触を誘発し、前記グラファイト粒子を剥離するように、前記撹拌器により前記混合物を攪拌する工程と
を含む、方法。
【請求項2】
前記撹拌器が、ローターを含む、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記撹拌器が、振動器を含む、請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記流体媒体が、第1の流体を含む、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の流体が、水を含む、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記流体媒体が、第2の流体をさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の流体が、エチレングリコール、n-メチル-2-ピロリドン、イソプロピルアルコール、メチルアルコール、ブチルアルコール、またはエチルアルコールの少なくとも1つを含む、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の流体が、空気、窒素、アルゴン、酸素、または二酸化炭素の少なくとも1つを含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記流体媒体が、界面活性剤をさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記界面活性剤が、せっけん、アルキルスルフェート、アルキルベンゼンスルホネート、リグノスルホネート、またはコール酸ナトリウムの少なくとも1つを含む、請求項に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0090
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0090】
実施形態は、様々な修正および代替形態が可能であるが、その特定の例が図面に示されており、本明細書で詳細に説明される。しかしながら、これらの実施形態は、開示された特定の形態に限定されるものではなく、逆に、これらの実施形態は、本開示の精神に含まれるすべての修正、等価物、および代替物を網羅するものであることを理解されたい。さらに、実施形態の任意の特徴、機能、ステップ、または要素は、特許請求の範囲に記載または追加することができ、また、その範囲外の特徴、機能、ステップ、または要素によって特許請求の範囲の発明の範囲を定義する否定的な限定も同様に行うことができる。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
グラファイト粒子を剥離する方法であって、前記方法が、
容器内に混合物を移す工程であって、前記混合物がグラファイト粒子と氷粒子とを含み、前記容器が撹拌器を含む、容器内に混合物を移す工程と、
前記グラファイト粒子と前記氷粒子との間の接触を誘発し、前記グラファイト粒子を剥離するように、前記撹拌器により前記混合物を攪拌する工程と
を含む、方法。
(項目2)
前記攪拌器が、ローターを含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記ローターが、第1のブレードを含む、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記ローターが、第2のブレードをさらに含む、項目3に記載の方法。
(項目5)
前記撹拌器が、振動器を含む、項目1に記載の方法。
(項目6)
グラファイト粒子を剥離する方法であって、前記方法が、
容器内に混合物を移す工程であって、前記混合物がグラファイト粒子と流体媒体とを含み、前記容器が撹拌器と冷却器とを含む、容器内に混合物を移す工程と、
前記流体媒体が、氷粒子に少なくとも部分的に凝固するように、前記冷却器により前記混合物を冷却する工程と、
前記グラファイト粒子と前記氷粒子との間の接触を誘発し、前記グラファイト粒子を剥離するように、前記撹拌器により前記混合物を攪拌する工程と
を含む、方法。
(項目7)
前記撹拌器が、ローターを含む、項目6に記載の方法。
(項目8)
前記撹拌器が、振動器を含む、項目6に記載の方法。
(項目9)
前記流体媒体が、第1の流体を含む、項目6に記載の方法。
(項目10)
前記第1の流体が、水を含む、項目9に記載の方法。
(項目11)
前記流体媒体が、第2の流体をさらに含む、項目9に記載の方法。
(項目12)
前記第2の流体が、エチレングリコール、n-メチル-2-ピロリドン、イソプロピルアルコール、メチルアルコール、ブチルアルコール、またはエチルアルコールの少なくとも1つを含む、項目11に記載の方法。
(項目13)
前記第2の流体が、空気、窒素、アルゴン、酸素、または二酸化炭素の少なくとも1つを含む、項目11に記載の方法。
(項目14)
前記流体媒体が、界面活性剤をさらに含む、項目9に記載の方法。
(項目15)
前記界面活性剤が、せっけん、アルキルスルフェート、アルキルベンゼンスルホネート、リグノスルホネート、またはコール酸ナトリウムの少なくとも1つを含む、項目14に記載の方法。
(項目16)
グラファイト粒子を剥離する装置であって、前記装置が、
混合物を収容する容器を含み、
前記容器が、冷却器と撹拌器とを含み、
前記混合物が、グラファイト粒子と流体媒体とを含み、
前記冷却器が、前記流体媒体を氷粒子に少なくとも部分的に凝固させるように前記混合物を冷却するように構成され、
前記撹拌機が、前記グラファイト粒子と前記氷粒子との間の接触を誘発し、前記グラファイト粒子を剥離するように、前記混合物を攪拌するように構成される、装置。
(項目17)
前記流体媒体が、第1の流体を含む、項目16に記載の装置。
(項目18)
前記第1の流体が水を含む、項目17に記載の装置。
(項目19)
前記冷却器が、空気、ヘリウム、窒素、ネオン、アルゴン、または二酸化炭素の少なくとも1つを含む、項目16に記載の装置。
(項目20)
前記冷却器が、塩化ナトリウム、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、メチルアルコール、ブチルアルコール、またはエチルアルコールの少なくとも1つを含む、項目16に記載の装置。
【国際調査報告】