(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-04
(54)【発明の名称】二酸化炭素を生成物に変換することの改善のための柔軟な発酵プラットフォーム
(51)【国際特許分類】
C12P 1/04 20060101AFI20240226BHJP
C12N 1/20 20060101ALI20240226BHJP
C12N 1/22 20060101ALN20240226BHJP
【FI】
C12P1/04
C12N1/20 D
C12N1/22
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560605
(86)(22)【出願日】2022-04-08
(85)【翻訳文提出日】2023-09-29
(86)【国際出願番号】 US2022071641
(87)【国際公開番号】W WO2022217284
(87)【国際公開日】2022-10-13
(32)【優先日】2021-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518403425
【氏名又は名称】ランザテク,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100153693
【氏名又は名称】岩田 耕一
(72)【発明者】
【氏名】コンラド,ロバート ジョン
(72)【発明者】
【氏名】シンプソン,ショーン デニス
(72)【発明者】
【氏名】マーティン,マイケル エマーソン
(72)【発明者】
【氏名】ブロムリー,ジェイソン カール
(72)【発明者】
【氏名】ヤングス,ダレン アール
(72)【発明者】
【氏名】ロジン,リチャード ラッセル
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
【Fターム(参考)】
4B064AB01
4B064AC01
4B064AC31
4B064AD01
4B064AD85
4B064AF01
4B064CA02
4B064CB17
4B064CC03
4B064CD30
4B064CE01
4B064CE08
4B064DA16
4B065AA23X
4B065AC14
4B065BB01
4B065BC07
4B065BD14
4B065BD24
4B065CA02
4B065CA55
(57)【要約】
ガス流から少なくとも1つのガス発酵生成物を生産するための統合プロセス及びシステムが開発されている。本開示は、様々な異なるフロースキームを介したバイオリアクターのテールガスの再循環と、逆水性ガスシフトユニットなどのCO2からCOへの変換システムの使用との両方を通して、改善された炭素利用を提供する。バイオリアクターテールガスの再循環及びCO2からCOへの変換プロセスの使用は、発酵生成物の生産強化のための、ガス発酵バイオリアクターへの供給の好ましいH2:COモル比を提供する。バイパスの実施形態は、コストを最小化するために、逆水性ガスシフトユニットの最適なサイズ設定を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス流からの少なくとも1つの発酵生成物の生産のための統合プロセスであって、前記プロセスが、
a)水素を含む第一のガス流と、CO
2を含む第二のガス流と、を得ることと、
b)第一のガス流の少なくとも一部分及び第二のガス流の少なくとも一部分を、CO濃縮出口流を生成する条件下で動作する、CO
2からCOへの変換システムに通すことと、
c)前記CO濃縮出口流を、1つ以上のC1固定細菌の培養物を有し、発酵させて少なくとも1つの発酵生成物の流れ及びバイオリアクターテールガス流を生成する、バイオリアクターに通すことと、
d)前記バイオリアクターテールガス流を圧縮して、圧縮バイオリアクターテールガス流を生成することと、
e)前記圧縮バイオリアクターテールガス流の少なくとも第一の部分を、任意の順序で、
i)ガス脱硫及び/又は酸性ガス除去ユニット、又は
ii)ガス成分除去ユニット、又は
ii)前記ガス脱硫及び/又は酸性ガス除去ユニット及び前記ガス成分除去ユニットの両方に通して、
圧縮された処理済みバイオリアクターテールガス流を生成することと、
f)前記圧縮された処理済みバイオリアクターテールガス流を再循環させて、
i)前記第一のガス流、前記第二のガス流、又はそれらの組み合わせと組み合わせることと、又は
ii)前記CO
2からCOへの変換システムに渡す、又は
iii)前記CO濃縮出口流と組み合わせる、又は
iv)その任意の組み合わせ、及び
g)任意選択で、前記圧縮バイオリアクターテールガス流の第二の部分を再循環させて、前記CO濃縮出口流又は前記バイオリアクターと組み合わせることと、を含む、プロセス。
【請求項2】
前記第一のガス流の少なくとも第二の部分、前記第二のガス流の少なくとも第二の部分、又はそれらの組み合わせを、前記CO濃縮出口流と組み合わせることをさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記第一のガス流の少なくとも第二の部分、前記第二のガス流の少なくとも第二の部分、又はそれらの組み合わせを、前記バイオリアクターに通すことをさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記第一のガス流、前記第二のガス流、又はそれらの組み合わせの任意の部分を圧縮することをさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
制御弁を使用して、前記圧縮テールガス流の前記第一の部分と、前記圧縮テールガス流の前記第二の部分との相対量を制御することをさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
前記テールガス流の少なくとも一部分を、逆水性ガスシフトユニット、熱触媒変換ユニット、部分燃焼ユニット、プラズマ変換ユニット、ガス化ユニット、又は改質ユニットから選択されるテールガスのCO
2からCOへの変換システムに通して、CO濃縮溶出物の流れを生成し、前記第二のCO濃縮溶出物の流れを前記バイオリアクターに再循環させることをさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
前記CO濃縮出口流が、約5:1:1、約4.5:1:1、約4.33:1:1、又は約3:1:1、約2:1:1、約1:1:1、又は約1:3:1のH2:CO:CO
2モル比を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
前記CO
2からCOへの変換システムが、逆水性ガスシフトユニット、熱触媒変換ユニット、部分燃焼ユニット、改質ユニット、又はプラズマ変換ユニットのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項9】
請求項1に記載のプロセスであって、
a)前記少なくとも1つの発酵生成物が、エタノール、酢酸塩、ブタノール、酪酸塩、2,3-ブタンジオール、乳酸塩、ブテン、ブタジエン、メチルエチルケトン、エチレン、アセトン、イソプロパノール、脂質、3-ヒドロキシプロピオナート、イソプレン、脂肪酸、2-ブタノール、1,2-プロパンジオール、ヘキサノール、オクタノール、又は1-プロパノールから選択されるか、又は
b)前記水素を含む第一のガス流が、水電解槽、炭化水素改質源、水素精製源、固体バイオマスガス化源、固体廃棄物ガス化源、石炭ガス化源、炭化水素ガス化源、メタン熱分解源、精製所テールガス生産源、プラズマ改質反応器、部分酸化反応器、又はそれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、水素生産源によって生産されるか、又は
c)前記CO
2を含む第二のガス流が、糖系のエタノール生産源、第一世代のトウモロコシエタノール生産源、第二世代のトウモロコシエタノール生産源、サトウキビエタノール生産源、蔗糖エタノール生産源、サトウダイコンエタノール生産源、モラセスエタノール生産源、小麦エタノール生産源、穀物系エタノール生産源、デンプン系エタノール生産源、セルロース系エタノール生産源と、セメント生産源、メタノール合成源、オレフィン生産源、鋼生産源、合金鉄生産源、精製所テールガス生産源、二次燃焼ガス生産源、バイオガス生産源、埋め立て生産源、酸化エチレン生産源、メタノール生産源、アンモニア生産源、採掘されたCO
2生産源、天然ガス処理生産源、ガス化源、有機廃棄物ガス化源、直接空気回収、又はそれらの任意の組み合わせ、のうちの少なくとも1つを含むガス生産源によって生産されるか、又は
d)それらの任意の組み合わせである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項10】
少なくとも1つのC1固定細菌が、Clostridium autoethanogenum、Clostridium ljungdahlii、又はClostridium ragsdaleiから選択される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項11】
ガス流からの少なくとも1つの発酵生成物の生産のための統合プロセスであって、前記プロセスが、
a)水素を含む第一のガス流と、CO
2を含む第二のガス流と、を得ることと、
b)任意選択で、第一の圧縮機内において、前記第一のガス流の少なくとも一部分、前記第二のガス流の少なくとも一部分、又はそれらの任意の組み合わせを圧縮して、圧縮された第一のガス流、圧縮された第二のガス流、及び/又は圧縮された第一のガス流と第二のガス流の組み合わせを生成することと、
c)
i)前記第一のガス流もしくは前記圧縮された第一のガス流の少なくとも一部分、又は両方、ならびに前記第二のガス流もしくは前記圧縮された第二のガス流の少なくとも一部分、又は両方を、又は
ii)前記圧縮された第一のガス流と第二のガス流の組み合わせを、
ガス成分除去ユニット、ガス脱硫/酸性ガス除去ユニット、又はその両方を含むガス処理ゾーン内で処理して、処理済み流れを生成することと、
d)前記処理済み流れの少なくとも第一の部分内でCO
2を変換して、CO濃縮出口流を生成する条件下で動作するCO
2からCOへの変換システム内でCOを形成することと、
e)CO濃縮出口流を、1つ以上のC1固定細菌の培養物を有し、発酵させて少なくとも1つの発酵生成物の流れ及びバイオリアクターテールガス流を生成する、バイオリアクターに通すことと、
f)前記テールガス流を、前記第一の圧縮機、前記ガス処理ゾーン、前記CO
2からCOへの変換システム、前記第一のガス流、前記第二のガス流、又は前記第一のガス流と前記第二のガス流の前記組み合わせに再循環させることと、を含む、プロセス。
【請求項12】
前記CO濃縮出口流と組み合わせて、
a)前記処理済み流れ、又は
b)前記第一のガス流、又は
c)前記第二のガス流、又は
d)前記第一のガス流と前記第二のガス流との前記組み合わせ、又は
e)前記圧縮された第一のガス流、又は
f)前記圧縮された第二のガス流、又は
g)前記圧縮された第一のガス流と第二のガス流の組み合わせ、又は
h)それらの任意の組み合わせである、請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
前記テールガス流の少なくとも一部分を、逆水性ガスシフトユニット、熱触媒変換ユニット、部分燃焼ユニット、プラズマ変換ユニット、ガス化ユニット、又は改質ユニットから選択されるテールガスのCO
2からCOへの変換システムに通して、CO濃縮溶出物の流れを生成し、前記第二のCO濃縮溶出物の流れを前記バイオリアクターに再循環させることをさらに含む、請求項11に記載のプロセス。
【請求項14】
前記CO濃縮出口流が、水素及びCO2をさらに含み、約5:1:1、約4.5:1:1、約4.33:1:1、又は約3:1:1、約2:1:1、約1:1:1、又は約1:3:1のH2:CO:CO2モル比を含む、請求項11に記載のプロセス。
【請求項15】
前記CO
2からCOへの変換システムが、逆水性ガスシフトユニット、熱触媒変換ユニット、部分燃焼ユニット、改質ユニット、又はプラズマ変換ユニットのうちの少なくとも1つを含む、請求項11に記載のプロセス。
【請求項16】
前記ガス処理ゾーンが、脱酸素化ユニット、触媒水素化ユニット、吸着ユニット、熱酸化装置、又はそれらの任意の組み合わせをさらに含む、請求項11に記載のプロセス。
【請求項17】
前記少なくとも1つの発酵生成物が、エタノール、酢酸塩、ブタノール、酪酸塩、2,3-ブタンジオール、乳酸塩、ブテン、ブタジエン、メチルエチルケトン、エチレン、アセトン、イソプロパノール、脂質、3-ヒドロキシプロピオナート、イソプレン、脂肪酸、2-ブタノール、1,2-プロパンジオール、ヘキサノール、オクタノール、又は1-プロパノールから選択される、請求項11に記載のプロセス。
【請求項18】
請求項11に記載のプロセスであって、
a)前記水素を含む第一のガス流が、水電解槽、炭化水素改質源、水素精製源、固体バイオマスガス化源、固体廃棄物ガス化源、石炭ガス化源、炭化水素ガス化源、メタン熱分解源、精製所テールガス生産源、プラズマ改質反応器、部分酸化反応器、又はそれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、水素生産源によって生産されるか、又は
b)前記CO
2を含む第二のガス流が、糖系のエタノール生産源、第一世代のトウモロコシエタノール生産源、第二世代のトウモロコシエタノール生産源、サトウキビエタノール生産源、蔗糖エタノール生産源、サトウダイコンエタノール生産源、モラセスエタノール生産源、小麦エタノール生産源、穀物系エタノール生産源、デンプン系エタノール生産源、セルロース系エタノール生産源と、セメント生産源、メタノール合成源、オレフィン生産源、鋼生産源、合金鉄生産源、精製所テールガス生産源、二次燃焼ガス生産源、バイオガス生産源、埋め立て生産源、酸化エチレン生産源、メタノール生産源、アンモニア生産源、採掘されたCO
2生産源、天然ガス処理生産源、ガス化源、有機廃棄物ガス化源、直接空気回収、又はそれらの任意の組み合わせ、のうちの少なくとも1つを含むガス生産源によって生産されるか、又は
c)前記C1固定細菌のうちの少なくとも1つが、Clostridium autoethanogenum、Clostridium ljungdahlii、又はClostridium ragsdaleiから選択されるか、又は
それらの任意の組み合わせである、請求項11に記載のプロセス。
【請求項19】
前記CO濃縮出口流が水素を含み、前記プロセスが、前記CO濃縮出口流から水素を分離し、前記分離された水素を再循環させて、前記テールガス流又は前記圧縮機と組み合わせることをさらに含む、請求項11に記載のプロセス。
【請求項20】
前記水素の分離後に、前記CO濃縮出口流の残りの部分を圧縮することをさらに含む、請求項19に記載のプロセス。
【請求項21】
前記テールガス流がメタンを含み、前記プロセスが、前記テールガス流の一部分をメタン変換ユニットに通し、メタン変換ユニット溶出物を生成し、前記メタン変換ユニット溶出物を前記テールガス流と組み合わせることをさらに含む、請求項11に記載のプロセス。
【請求項22】
酸素源からの酸素を含む流れを生成し、前記酸素を含む流れを前記メタン変換ユニットに通すことをさらに含む、請求項21に記載のプロセス。
【請求項23】
前記水素源からの水素を含む第二のガス流を前記バイオリアクターに通すか、又は前記CO濃縮出口流と組み合わせることと、前記CO
2源からのCO
2を含む第二のガス流を前記バイオリアクターに通すか、又はCO濃縮出口流と組み合わせることと、又はそれらの任意の組み合わせを組み合わせることと、をさらに含む、請求項11に記載のプロセス。
【請求項24】
前記水素源からの前記水素を含む第二のガス流を前記CO濃縮出口流と組み合わせること、又は前記CO
2源からの前記CO
2を含む第二のガス流を前記CO濃縮出口流と組み合わせること、又は両方が、混合器内での混合を利用する、請求項23に記載のプロセス。
【請求項25】
前記バイオリアクターに入る前記CO濃縮出口流に対する前記水素源からの前記水素を含む第二のガス流の比率が、約0:1~約4:1である請求項23に記載のプロセス。
【請求項26】
前記CO
2からCOへの変換システムが、バーナーを有する燃焼ヒーターを備え、前記テールガス流が少なくとも前記燃焼ヒーターの前記バーナーに再循環される、請求項11に記載のプロセス。
【請求項27】
前記CO
2からCOへの変換システムが、蒸気を生成する蒸気発生器、又は水流を生成するウォーターノックアウトユニット、又はその両方を含む、請求項11に記載のプロセス。
【請求項28】
CO濃縮出口流の一部分を、接種器反応器、バッファタンク、又はその両方に通すことをさらに含む、請求項11に記載のプロセス。
【請求項29】
ガス流からの少なくとも1つの発酵生成物の生産のための統合プロセスであって、前記プロセスが、
a)水素を含む第一のガス流と、CO
2を含む第二のガス流と、を得ることと、
b)前記第二のガス流の少なくとも一部分、及び任意選択で前記第一のガス流の少なくとも一部分を、CO濃縮出口流を生成する条件下で動作する、CO2からCOへの変換システムに通すことと、
c)前記水素を含む第一のガス流の少なくとも一部分及び前記CO濃縮出口流を、1つ以上のC1固定細菌の培養物を有し、発酵させて少なくとも1つの発酵生成物の流れ及びバイオリアクターテールガス流を生成する、バイオリアクターに通すことと、
d)前記バイオリアクターテールガス流を圧縮して、圧縮バイオリアクターテールガス流を生成することと、
e)前記圧縮バイオリアクターテールガス流の少なくとも第一の部分を、任意の順序で、
i)ガス脱硫及び/又は酸性ガス除去ユニット、又は
ii)ガス成分除去ユニット、又は
iii)前記ガス脱硫及び/又は酸性ガス除去ユニット及び前記ガス成分除去ユニットの両方に通して、
圧縮された処理済みバイオリアクターテールガス流を生成することと、
f)前記圧縮された処理済みバイオリアクターテールガス流を再循環させて、
i)前記第一のガス流、前記第二のガス流、又はそれらの組み合わせと組み合わせる、又は
ii)CO
2からCOへの変換システムに渡す、又は
iii)前記CO濃縮出口流と組み合わせる、又は
iv)その任意の組み合わせ、及び
g)任意選択で、前記圧縮バイオリアクターテールガス流の第二の部分を再循環させて、前記CO濃縮出口流又は前記バイオリアクターと組み合わせることと、を含む、プロセス。
【請求項30】
水素を含む第一のガス流の少なくとも別の部分を、前記CO
2からCOへの変換システムに通すことをさらに含む、請求項29に記載のプロセス。
【請求項31】
前記第一のガス流、前記第二のガス流、又はそれらの組み合わせの任意の部分を圧縮することをさらに含む、請求項29に記載のプロセス。
【請求項32】
制御弁を使用して、前記圧縮テールガス流の前記第一の部分と、前記圧縮テールガス流の前記第二の部分との相対量を制御することをさらに含む、請求項29に記載のプロセス。
【請求項33】
前記テールガス流の少なくとも一部分を、逆水性ガスシフトユニット、熱触媒変換ユニット、部分燃焼ユニット、プラズマ変換ユニット、ガス化ユニット、又は改質ユニットから選択されるテールガスのCO
2からCOへの変換システムに通して、CO濃縮溶出物の流れを生成し、前記第二のCO濃縮溶出物の流れを前記バイオリアクターに再循環させることをさらに含む、請求項29に記載のプロセス。
【請求項34】
前記CO濃縮出口流が、約5:1:1、約4.5:1:1、約4.33:1:1、又は約3:1:1、約2:1:1、約1:1:1、又は約1:3:1のH2:CO:CO
2モル比を含む、請求項29に記載のプロセス。
【請求項35】
前記CO
2からCOへの変換システムが、逆水性ガスシフトユニット、熱触媒変換ユニット、部分燃焼ユニット、改質ユニット、又はプラズマ変換ユニットのうちの少なくとも1つを含む、請求項29に記載のプロセス。
【請求項36】
請求項29に記載のプロセスであって、
a)前記少なくとも1つの発酵生成物が、エタノール、酢酸塩、ブタノール、酪酸塩、2,3-ブタンジオール、乳酸塩、ブテン、ブタジエン、メチルエチルケトン、エチレン、アセトン、イソプロパノール、脂質、3-ヒドロキシプロピオナート、イソプレン、脂肪酸、2-ブタノール、1,2-プロパンジオール、ヘキサノール、オクタノール、又は1-プロパノールから選択されるか、又は
b)前記水素を含む第一のガス流が、水電解槽、炭化水素改質源、水素精製源、固体バイオマスガス化源、固体廃棄物ガス化源、石炭ガス化源、炭化水素ガス化源、メタン熱分解源、精製所テールガス生産源、プラズマ改質反応器、部分酸化反応器、又はそれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、水素生産源によって生産されるか、又は
c)前記CO
2を含む第二のガス流が、糖系のエタノール生産源、第一世代のトウモロコシエタノール生産源、第二世代のトウモロコシエタノール生産源、サトウキビエタノール生産源、蔗糖エタノール生産源、サトウダイコンエタノール生産源、モラセスエタノール生産源、小麦エタノール生産源、穀物系エタノール生産源、デンプン系エタノール生産源、セルロース系エタノール生産源と、セメント生産源、メタノール合成源、オレフィン生産源、鋼生産源、合金鉄生産源、精製所テールガス生産源、二次燃焼ガス生産源、バイオガス生産源、埋め立て生産源、酸化エチレン生産源、メタノール生産源、アンモニア生産源、採掘されたCO
2生産源、天然ガス処理生産源、ガス化源、有機廃棄物ガス化源、直接空気回収、又はそれらの任意の組み合わせ、のうちの少なくとも1つを含むガス生産源によって生産されるか、又は
d)少なくとも1つのC1固定細菌が、Clostridium autoethanogenum、Clostridium ljungdahlii、又はClostridium ragsdaleiから選択されるか、又は
e)それらの任意の組み合わせである、請求項29に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年4月9日に出願された米国仮特許出願第63/173,243号、2021年4月9日に出願された第63/173,247号、2021年4月9日に出願された第63/173,255号、2021年4月9日に出願された第63/173,262号、及び2021年11月23日に出願された第63/282,546号の利益を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、生成物へのCO2の変換を改善するための柔軟な発酵プラットフォームを提供するプロセス及びシステムに関する。特に、本開示は、ガス発酵プラットフォームのために、改善された生成物選択性の利益が得られる、統合プロセス及びシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
二酸化炭素(CO2)は人間の活動による世界の温室効果ガス排出の約76%を占め、メタン(16%)、亜酸化窒素(6%)、及びフッ素化ガス(2%)が残りを占めている(米国環境保護庁(United States Environmental Protection Agency))。工業及び林業の施業も大気中にCO2を放出するが、CO2の大部分は化石燃料を燃焼させてエネルギーを生成することに由来する。温室効果ガス排出、特にCO2の削減は、地球温暖化の進行並びにそれに伴う気候及び天候の変化を止めるのに重要である。
【0004】
フィッシャー・トロプシュプロセスなどの触媒プロセスを使用して、二酸化炭素(CO2)、一酸化炭素(CO)、及び/又は水素(H2)を含有するガスを様々な燃料及び化学物質に変換することができることが長い間認識されている。しかしながら、最近、ガス発酵がそのようなガスの生物学的固定のための代替プラットフォームとして浮上している。具体的には、C1固定微生物は、産業廃棄物ガス又は合成ガス若しくはその混合物などのCO2、CO、及び/又はH2を含有するガスをエタノール及び2,3-ブタンジオールなどの生成物に変換することが実証されてきた。そのような生成物の効率的な生成は、例えば、緩徐な微生物増殖、制限されたガス吸収、毒素に対する感受性、又は炭素基質の望ましくない副生成物への転用によって制限され得る。
【0005】
一般的に、基質及び/又はC1炭素源は、燃焼機関の排気ガス、工業プロセス(セメント生産)からのCO2副生成物ガス、アンモニア生産、合成ガス清浄化からの副生成物ガス、エチレン生産、酸化エチレン生産、メタノール合成)、発酵プロセスからのオフガス(例えば、糖からエタノールへの変換)、バイオガス、埋立地ガス、直接空気回収、採掘されたCO2(化石CO2)、又は電気分解など、工業プロセスの副生成物として、又は別の源から取得された廃ガスから誘導され得る、炭素の部分的又は単独の供給源として機能する。基質及び/又はC1炭素源は、熱分解、焙焼、改質、又はガス化によって生成される合成ガスであってもよい。言い換えれば、廃棄物中の炭素は、熱分解、焙焼、改質、又はガス化によって再循環されて、基質及び/又はC1炭素源として使用される合成ガスを生成されてもよい。基質及び/又はC1炭素源は、メタンを含むガスであってもよく、ある特定の実施形態では、基質及び/又はC1炭素源は、非廃ガスであってもよい。
【0006】
工業プロセスから得られた廃ガス、又は合成ガス源から生成される合成ガスは、ガス発酵システムでの使用に適した処理又は分解を必要とする場合がある。工業用ガス及び/又は合成ガス中の高いCO2含有量は、発酵のエタノール選択性の利益に悪影響を及ぼし、結果的に酢酸塩及び2,3-ブタンジオールなどの望ましくない共生成物のより高い生産をもたらすことが示されている。
【0007】
したがって、バイオリアクターに導入する前に、工業用ガス、合成ガス、又はそれらの混合物のCO2含有量の低減に対処できる、柔軟な発酵プラットフォームの必要性が依然としてある。さらに、一部の実施形態では、H2:CO比を変化させ、制御するために、バイオリアクターに導入する前に、合成ガス又は工業用ガスに存在する一部のCO2をCOに変換する必要性が存在する。例えば、H2:CO比を低下させることは、微生物の成長を改善し、成長の速度を増加させることがあり、エタノールなどの発酵生成物に対して、より大きな選択性を提供しうる。
【発明の概要】
【0008】
本開示は、ガス流からの少なくとも1つの発酵生成物の生産のための統合プロセスが関与し、プロセスは、a)水素を含む第一のガス流と、CO2を含む第二のガス流と、を得ることと、b)第一のガス流の少なくとも一部分及び第二のガス流の少なくとも一部分を、CO濃縮出口流を生成する条件下で動作する、CO2からCOへの変換システムに通すことと、c)CO濃縮出口流を、1つ以上のC1固定細菌の培養物を有し、発酵させて少なくとも1つの発酵生成物の流れ及びバイオリアクターテールガス流を生成する、バイオリアクターに通すことと、d)バイオリアクターテールガス流を圧縮して、圧縮バイオリアクターテールガス流を生成することと、e)圧縮バイオリアクターテールガス流の少なくとも第一の部分を、任意の順序で、ガス脱硫及び/又は酸性ガス除去ユニットに、又はガス成分除去ユニットに、又はガス脱硫及び/又は酸性ガス除去ユニットとガス成分除去ユニットの両方に通して、圧縮された処理済みバイオリアクターテールガス流を生成することと、f)圧縮された処理済みバイオリアクターテールガス流を再循環させて、第一のガス流、第二のガス流、又はそれらの組み合わせと組み合わせる、又はCO2からCOへの変換システムに通す、又はCO濃縮出口流と組み合わせる、又はそれらの任意の組み合わせ、と、g)任意選択で、圧縮バイオリアクターテールガス流の第二の部分を再循環させて、CO濃縮出口流と組み合わせるか、又はバイオリアクターに通すことと、を含む。本プロセスは、第一のガス流の少なくとも第二の部分、第二のガス流の少なくとも第二の部分、又はそれらの組み合わせを、CO濃縮出口流と組み合わせることをさらに含みうる。本プロセスは、第一のガス流の少なくとも第二の部分、第二のガス流の少なくとも第二の部分、又はそれらの組み合わせを、バイオリアクターに通すことをさらに含みうる。プロセスは、第一のガス流、第二のガス流、又はそれらの組み合わせの任意の部分を圧縮することをさらに含みうる。プロセスは、制御弁を使用して、圧縮テールガス流の第一の部分と、圧縮テールガス流の第二の部分との相対量を制御することをさらに含んでもよい。本プロセスは、テールガス流の少なくとも一部分を、逆水性ガスシフトユニット、熱触媒変換ユニット、部分燃焼ユニット、プラズマ変換ユニット、ガス化ユニット、又は改質ユニットから選択されるテールガスのCO2からCOへの変換システムに通して、CO濃縮溶出物の流れを生成し、第二のCO濃縮溶出物の流れをバイオリアクターに再循環させることをさらに含みうる。CO濃縮出口流は、約5:1:1、約4.5:1:1、約4.33:1:1、約3:1:1、約2:1:1、約1:1:1又は約1:3:1のH2:CO:CO2モル比を含んでもよい。CO2からCOへの変換システムは、逆水性ガスシフトユニット、熱触媒変換ユニット、部分燃焼ユニット、改質ユニット、又はプラズマ変換ユニットのうちの少なくとも1つを含み得る。少なくとも1つの発酵生成物は、エタノール、酢酸塩、ブタノール、酪酸塩、2,3-ブタンジオール、乳酸塩、ブテン、ブタジエン、メチルエチルケトン、エチレン、アセトン、イソプロパノール、脂質、3-ヒドロキシプロピオナート、イソプレン、脂肪酸、2-ブタノール、1,2-プロパンジオール、ヘキサノール、オクタノール、又は1-プロパノールから選択されてもよい。水素を含む第一のガス流は、水電解槽、炭化水素改質源、水素精製源、固体バイオマスガス化源、固体廃棄物ガス化源、石炭ガス化源、炭化水素ガス化源、メタン熱分解源、精製所テールガス生産源、プラズマ改質反応器、部分酸化反応器、又はそれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つを含む水素生産源によって生産され得る。CO2を含む第二のガス流は、糖系のエタノール生産源、第一世代のトウモロコシエタノール生産源、第二世代のトウモロコシエタノール生産源、サトウキビエタノール生産源、蔗糖エタノール生産源、サトウダイコンエタノール生産源、モラセスエタノール生産源、小麦エタノール生産源、穀物系エタノール生産源、デンプン系エタノール生産源、セルロース系エタノール生産源と、セメント生産源、メタノール合成源、オレフィン生産源、鋼生産源、合金鉄生産源、精製所テールガス生産源、二次燃焼ガス生産源、バイオガス生産源、埋め立て生産源、酸化エチレン生産源、メタノール生産源、アンモニア生産源、採掘されたCO2生産源、天然ガス処理生産源、ガス化源、有機廃棄物ガス化源、直接空気回収、又はそれらの任意の組み合わせ、のうちの少なくとも1つを含むガス生産源によって生産されてもよい。少なくとも1つのC1固定細菌は、Clostridium autoethanogenum、Clostridium ljungdahlii、又はClostridium ragsdaleiから選択されうる。
【0009】
本開示は、ガス流からの少なくとも1つの発酵生成物の生産のための統合プロセスをさらに含み、プロセスは、a)水素を含む第一のガス流と、CO2を含む第二のガス流とを得ることと、b)任意選択で、第一の圧縮機内において、第一のガス流の少なくとも一部分、第二のガス流の少なくとも一部分、又はそれらの任意の組み合わせを圧縮して、圧縮された第一のガス流、圧縮された第二のガス流、及び/又は圧縮された第一のガス流と第二のガス流の組み合わせを生成することと、c)第一のガス流の少なくとも一部分、又は圧縮された第一のガス流、又は両方を、第二のガス流の少なくとも一部分、又は圧縮された第二のガス流、又は両方を、又は圧縮された第一のガス流と第二のガス流の組み合わせを、ガス成分除去ユニット、ガス脱硫/酸性ガス除去ユニット、又は両方を含むガス処理ゾーン内で処理して、処理済み流れを生成することと、d)処理済み流れの少なくとも第一の部分内でCO2を変換して、CO濃縮出口流を生成する条件下で動作するCO2からCOへの変換システム内でCOを形成することと、e)CO濃縮出口流を、1つ以上のC1固定細菌の培養物を有し、発酵させて少なくとも1つの発酵生成物の流れ及びバイオリアクターテールガス流を生成する、バイオリアクターに通すことと、f)テールガス流を、第一の圧縮機、ガス処理ゾーンと、CO2からCOへの変換システム、第一のガス流、第二のガス流、又は第一のガス流と第二のガス流の組み合わせに再循環することと、を含む。本プロセスは、CO濃縮出口流を、処理済み流れ、もしくは第一のガス流、もしくは第二のガス流、もしくは第一のガス流と第二のガス流の組み合わせ、もしくは圧縮された第一のガス流、もしくは圧縮された第二のガス流、もしくは圧縮された第一のガス流と第二のガス流の組み合わせの少なくとも一部分、又はそれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも一部分と組み合わせることをさらに含みうる。本プロセスは、テールガス流の少なくとも一部分を、逆水性ガスシフトユニット、熱触媒変換ユニット、部分燃焼ユニット、プラズマ変換ユニット、ガス化ユニット、又は改質ユニットから選択されるテールガスのCO2からCOへの変換システムに通して、CO濃縮溶出物の流れを生成し、第二のCO濃縮溶出物の流れをバイオリアクターに再循環させることをさらに含みうる。CO濃縮出口流は、水素及びCO2をさらに含み、約5:1:1、約4.5:1:1、約4.33:1:1、又は約3:1:1、約2:1:1、約1:1:1、又は約1:3:1のH2:CO:CO2モル比を含み得る。CO2からCOへの変換システムは、逆水性ガスシフトユニット、熱触媒変換ユニット、部分燃焼ユニット、改質ユニット、又はプラズマ変換ユニットのうちの少なくとも1つを含みうる。ガス処理ゾーンは、脱酸素化ユニット、触媒水素化ユニット、吸着ユニット、熱酸化装置、又はそれらの任意の組み合わせをさらに含みうる。少なくとも1つの発酵生成物は、エタノール、酢酸塩、ブタノール、酪酸塩、2,3-ブタンジオール、乳酸塩、ブテン、ブタジエン、メチルエチルケトン、エチレン、アセトン、イソプロパノール、脂質、3-ヒドロキシプロピオナート、イソプレン、脂肪酸、2-ブタノール、1,2-プロパンジオール、ヘキサノール、オクタノール、又は1-プロパノールから選択されうる。水素を含む第一のガス流は、水電解槽、炭化水素改質源、水素精製源、固体バイオマスガス化源、固体廃棄物ガス化源、石炭ガス化源、炭化水素ガス化源、メタン熱分解源、精製所テールガス生産源、プラズマ改質反応器、部分酸化反応器、又はそれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つを含む水素生産源によって生産され得る。CO2を含む第二のガス流は、糖系のエタノール生産源、第一世代のトウモロコシエタノール生産源、第二世代のトウモロコシエタノール生産源、サトウキビエタノール生産源、蔗糖エタノール生産源、サトウダイコンエタノール生産源、モラセスエタノール生産源、小麦エタノール生産源、穀物系エタノール生産源、デンプン系エタノール生産源、セルロース系エタノール生産源と、セメント生産源、メタノール合成源、オレフィン生産源、鋼生産源、合金鉄生産源、精製所テールガス生産源、二次燃焼ガス生産源、バイオガス生産源、埋め立て生産源、酸化エチレン生産源、メタノール生産源、アンモニア生産源、採掘されたCO2生産源、天然ガス処理生産源、ガス化源、有機廃棄物ガス化源、直接空気回収、又はそれらの任意の組み合わせ、のうちの少なくとも1つを含むガス生産源によって生産されてもよい。C1固定細菌のうちの少なくとも1つは、Clostridium autoethanogenum、Clostridium ljungdahlii、又はClostridium ragsdaleiから選択されうる。CO濃縮出口流は、水素を含んでもよく、プロセスはさらに、水素をCO濃縮出口流から分離し、分離された水素を再循環させてテールガス流又は圧縮機と組み合わせることを含む。プロセスは、水素の分離後に、CO濃縮出口流の残った部分を圧縮することをさらに含みうる。テールガス流は、メタンを含んでもよく、このプロセスは、テールガス流の一部分をメタン変換ユニットに通し、メタン変換ユニット溶出物を生成し、メタン変換ユニット溶出物をテールガス流と組み合わせることをさらに含む。本プロセスは、酸素源からの酸素を含む流れを生成し、酸素を含む流れをメタン変換ユニットに通すことをさらに含みうる。プロセスは、水素源からの水素を含む第二のガス流をバイオリアクターに通すか、又はCO濃縮出口流と組み合わせて、CO2源からのCO2を含む第二のガス流をバイオリアクターに通すか、又はCO濃縮出口流と組み合わせるか、又はそれらの任意の組み合わせをさらに含んでもよい。水素源からの水素を含みうる第二のガス流をCO濃縮出口流と組み合わせること、又はCO2源からのCO2を含む第二のガス流をCO濃縮出口流と組み合わせること、又は両方は、混合器内での混合を利用してもよい。第二のガス流の比率は、バイオリアクターに入るCO濃縮出口流に対する水素源からの水素を含んでもよく、約0:1~約4:1である。CO2からCOへの変換システムは、バーナーを有する燃焼ヒーターを備えてもよく、テールガス流は少なくとも燃焼ヒーターのバーナーに再循環される。CO2からCOへの変換システムは、蒸気を生成する蒸気発生器、又は水流を生成するウォーターノックアウトユニット、又はその両方を含んでもよい。プロセスは、CO濃縮出口流の一部分を、接種器反応器、バッファタンク、又はその両方に通すことをさらに含んでもよい。
【0010】
本開示は、ガス流からの少なくとも1つの発酵生成物の製造のための統合プロセスを対象とし、プロセスは、a)水素を含む第一のガス流と、CO2を含む第二のガス流とを得ることと、b)第二のガス流の少なくとも一部分及び任意選択で第一のガス流の少なくとも一部分を、CO濃縮出口流を生成する条件下で動作する、CO2からCOへの変換システムに通すことと、c)水素及びCO濃縮出口流を含む第一のガス流の少なくとも一部分を、1つ以上のC1固定細菌の培養物を有し、発酵させて少なくとも1つの発酵生成物の流れ及びバイオリアクターテールガス流を生成する、バイオリアクターに通すことと、d)バイオリアクターテールガス流を圧縮して、圧縮バイオリアクターテールガス流を生成することと、e)圧縮バイオリアクターテールガス流の少なくとも第一の部分を、任意の順序で、ガス脱硫及び/又は酸性ガス除去ユニットに、又はガス成分除去ユニットに、又はガス脱硫及び/又は酸性ガス除去ユニットとガス成分除去ユニットの両方に通して、圧縮された処理済みバイオリアクターテールガス流を生成することと、f)圧縮された処理済みバイオリアクターテールガス流を再循環させて、第一のガス流、第二のガス流、又はその組み合わせと組み合わせる、又はCO2からCOへの変換システムに通す、又はCO濃縮出口流と組み合わせる、又はそれら任意の組み合わせ、をすることと、g)任意選択で、圧縮バイオリアクターテールガス流の第二の部分を再循環させて、CO濃縮出口流と組み合わせるか、又はバイオリアクターに通すことと、を含む。プロセスは、水素を含む第一のガス流の少なくとも別の部分を、CO2からCOへの変換システムに通すことをさらに含んでもよい。プロセスは、第一のガス流、第二のガス流、又はそれらの組み合わせの任意の部分を圧縮することをさらに含みうる。プロセスは、制御弁を使用して、圧縮テールガス流の第一の部分と、圧縮テールガス流の第二の部分との相対量を制御することをさらに含んでもよい。本プロセスは、テールガス流の少なくとも一部分を、逆水性ガスシフトユニット、熱触媒変換ユニット、部分燃焼ユニット、プラズマ変換ユニット、ガス化ユニット、又は改質ユニットから選択されるテールガスのCO2からCOへの変換システムに通して、CO濃縮溶出物の流れを生成し、第二のCO濃縮溶出物の流れをバイオリアクターに再循環させることをさらに含みうる。CO濃縮出口流は、約5:1:1、約4.5:1:1、約4.33:1:1、約3:1:1、約2:1:1、約1:1:1又は約1:3:1のH2:CO:CO2モル比を含んでもよい。CO2からCOへの変換システムは、逆水性ガスシフトユニット、熱触媒変換ユニット、部分燃焼ユニット、改質ユニット、又はプラズマ変換ユニットのうちの少なくとも1つを含み得る。少なくとも1つの発酵生成物は、エタノール、酢酸塩、ブタノール、酪酸塩、2,3-ブタンジオール、乳酸塩、ブテン、ブタジエン、メチルエチルケトン、エチレン、アセトン、イソプロパノール、脂質、3-ヒドロキシプロピオナート、イソプレン、脂肪酸、2-ブタノール、1,2-プロパンジオール、ヘキサノール、オクタノール、又は1-プロパノールから選択されてもよい。水素を含む第一のガス流は、水電解槽、炭化水素改質源、水素精製源、固体バイオマスガス化源、固体廃棄物ガス化源、石炭ガス化源、炭化水素ガス化源、メタン熱分解源、精製所テールガス生産源、プラズマ改質反応器、部分酸化反応器、又はそれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つを含む水素生産源によって生産される。CO2を含みうる第二のガス流は、糖系のエタノール生産源、第一世代のトウモロコシエタノール生産源、第二世代のトウモロコシエタノール生産源、サトウキビエタノール生産源、蔗糖エタノール生産源、サトウダイコンエタノール生産源、モラセスエタノール生産源、小麦エタノール生産源、穀物系エタノール生産源、デンプン系エタノール生産源、セルロース系エタノール生産源と、セメント生産源、メタノール合成源、オレフィン生産源、鋼生産源、合金鉄生産源、精製所テールガス生産源、二次燃焼ガス生産源、バイオガス生産源、埋め立て生産源、酸化エチレン生産源、メタノール生産源、アンモニア生産源、採掘されたCO2生産源、天然ガス処理生産源、ガス化源、有機廃棄物ガス化源、直接空気回収、又はそれらの任意の組み合わせ、のうちの少なくとも1つを含むガス生産源によって生産されてもよい。C1固定細菌のうちの少なくとも1つは、Clostridium autoethanogenum、Clostridium ljungdahlii、又はClostridium ragsdaleiから選択されうる。
【0011】
本開示は、ガス流からの少なくとも1つの発酵生成物の生産のための統合プロセスが関与し、プロセスは、水素を含む第一のガス流と、CO2を含む第二のガス流と、を得ることと、第一のガス流の少なくとも一部分及び第二のガス流の少なくとも一部分を、CO濃縮出口流を生成する条件下で動作する、CO2からCOへの変換システムに通すことと、CO濃縮出口流を、1つ以上のC1固定細菌の培養物を有するバイオリアクター内で発酵させて、少なくとも1つの発酵生成物の流れ及びバイオリアクターテールガス流を生成することと、バイオリアクターテールガス流を圧縮して、圧縮バイオリアクターテールガス流を生成することと、圧縮バイオリアクターテールガス流の少なくとも第一の部分を、任意の順序で、ガス脱硫及び/又は酸性ガス除去ユニットに、又はガス成分除去ユニットに、又はガス脱硫及び/又は酸性ガス除去ユニットとガス成分除去ユニットの両方に通して、圧縮された処理済みバイオリアクターテールガス流を生成することと、圧縮された処理済みバイオリアクターテールガス流を再循環させて、第一のガス流、第二のガス流、又はその組み合わせと組み合わせる、又はCO2からCOへの変換システムに通す、又はCO濃縮出口流と組み合わせる、又はそれらの任意の組み合わせと、任意選択で、圧縮バイオリアクターテールガス流の第二の部分を再循環させて、CO濃縮出口流又はバイオリアクターと組み合わせることと、を含む。第一のガス流の少なくとも第二の部分、第二のガス流の少なくとも第二の部分、又はそれらの組み合わせは、CO濃縮出口流と組み合わされてもよい。第一のガス流、第二のガス流、又はそれらの組み合わせのうちの任意の部分は、圧縮されてもよい。圧縮テールガス流の第一の部分と、圧縮テールガス流の第二の部分との相対量は、制御弁を使用して制御されてもよい。テールガス流の少なくとも一部分は、逆水性ガスシフトユニット、熱触媒変換ユニット、部分燃焼ユニット、プラズマ変換ユニット、ガス化ユニット、又は改質ユニットから選択されるテールガスのCO2からCOへの変換システムに渡されて、CO濃縮溶出物の流れを生成してもよく、第二のCO濃縮溶出物の流れはバイオリアクターに再循環されてもよい。CO濃縮出口流は、約5:1:1、約4.5:1:1、約4.33:1:1、約3:1:1、約2:1:1、約1:1:1又は約1:3:1のH2:CO:CO2モル比を含んでもよい。CO2からCOへの変換システムは、逆水性ガスシフトユニット、熱触媒変換ユニット、部分燃焼ユニット、改質ユニット、又はプラズマ変換ユニットのうちの少なくとも1つを含み得る。少なくとも1つの発酵生成物は、エタノール、酢酸塩、ブタノール、酪酸塩、2,3-ブタンジオール、乳酸塩、ブテン、ブタジエン、メチルエチルケトン、エチレン、アセトン、イソプロパノール、脂質、3-ヒドロキシプロピオナート、イソプレン、脂肪酸、2-ブタノール、1,2-プロパンジオール、ヘキサノール、オクタノール、又は1-プロパノールから選択されてもよい。水素を含む第一のガス流は、水電解槽、炭化水素改質源、水素精製源、固体バイオマスガス化源、固体廃棄物ガス化源、石炭ガス化源、炭化水素ガス化源、メタン熱分解源、精製所テールガス生産源、プラズマ改質反応器、部分酸化反応器、又はそれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つを含む水素生産源によって生産されうる。CO2を含む第二のガス流は、糖系のエタノール生産源、第一世代のトウモロコシエタノール生産源、第二世代のトウモロコシエタノール生産源、サトウキビエタノール生産源、蔗糖エタノール生産源、サトウダイコンエタノール生産源、モラセスエタノール生産源、小麦エタノール生産源、穀物系エタノール生産源、デンプン系エタノール生産源、セルロース系エタノール生産源と、セメント生産源、メタノール合成源、オレフィン生産源、鋼生産源、合金鉄生産源、精製所テールガス生産源、二次燃焼ガス生産源、バイオガス生産源、埋め立て生産源、酸化エチレン生産源、メタノール生産源、アンモニア生産源、採掘されたCO2生産源、天然ガス処理生産源、ガス化源、有機廃棄物ガス化源、直接空気回収、又はそれらの任意の組み合わせ、のうちの少なくとも1つを含むガス生産源によって生産されてもよい。C1固定細菌のうちの少なくとも1つは、Clostridium autoethanogenum、Clostridium ljungdahlii、又はClostridium ragsdaleiから選択されうる。
【0012】
本開示はまた、ガス流からの少なくとも1つの発酵生成物の製造のための統合プロセスを含み、プロセスは、水素を含む第一のガス流と、CO2を含む第二のガス流と、を得ることと、任意選択で、第一の圧縮機内において、第一のガス流の少なくとも一部分、第二のガス流の少なくとも一部分、又はそれらの任意の組み合わせを圧縮して、圧縮された第一のガス流、圧縮された第二のガス流、及び/又は圧縮された第一のガス流と第二のガス流の組み合わせ、を生成することと、i)第一のガス流の少なくとも一部分、又は圧縮された第一のガス流、又は両方を、第二のガス流の少なくとも一部分、又は圧縮された第二のガス流、又は両方を、又はii)圧縮された第一のガス流と第二のガス流の組み合わせを、ガス成分除去ユニット、ガス脱硫/酸性ガス除去ユニット、又は両方を含むガス処理ゾーン内で処理して、処理済み流れを生成することと、処理済み流れの少なくとも第一の部分内でCO2を変換して、CO濃縮出口流を生成する条件下で動作するCO2からCOへの変換システム内でCOを形成することと、CO濃縮出口流を、1つ以上のC1固定細菌の培養物を有するバイオリアクター内で発酵させて、少なくとも1つの発酵生成物の流れ及びバイオリアクターテールガス流を生成することと、テールガス流を、第一の圧縮機、第一のガス流、第二のガス流、又は第一のガス流と第二のガス流の組み合わせ、に再循環することと、を含む。CO濃縮出口流は、処理済み流れ、もしくは第一のガス流、もしくは第二のガス流、もしくは第一のガス流と第二のガス流の組み合わせ、もしくは圧縮された第一のガス流、もしくは圧縮された第二のガス流、もしくは圧縮された第一のガス流と第二のガス流の組み合わせの少なくとも一部分、又はそれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも一部分と組み合わせうる。テールガス流の少なくとも一部分は、逆水性ガスシフトユニット、熱触媒変換ユニット、部分燃焼ユニット、プラズマ変換ユニット、ガス化ユニット、又は改質ユニットから選択されるテールガスのCO2からCOへの変換システムに渡されて、CO濃縮溶出物の流れを生成してもよく、第二のCO濃縮溶出物の流れはバイオリアクターに再循環されてもよい。CO濃縮出口流は、水素及びCO2をさらに含んでもよく、約5:1:1、約4.5:1:1、約4.33:1:1、又は約3:1:1、約2:1:1、約1:1:1、又は約1:3:1のH2:CO:CO2モル比を含んでもよい。CO2からCOへの変換システムは、逆水性ガスシフトユニット、熱触媒変換ユニット、部分燃焼ユニット、改質ユニット、又はプラズマ変換ユニットのうちの少なくとも1つを含み得る。ガス処理ゾーンは、脱酸素化ユニット、触媒水素化ユニット、吸着ユニット、熱酸化装置、又はそれらの任意の組み合わせをさらに含みうる。少なくとも1つの発酵生成物は、エタノール、酢酸塩、ブタノール、酪酸塩、2,3-ブタンジオール、乳酸塩、ブテン、ブタジエン、メチルエチルケトン、エチレン、アセトン、イソプロパノール、脂質、3-ヒドロキシプロピオナート、イソプレン、脂肪酸、2-ブタノール、1,2-プロパンジオール、ヘキサノール、オクタノール、又は1-プロパノールから選択されうる。水素を含む第一のガス流は、上述の水素生産源によって生成されてもよく、CO2を含む第二のガス流は、上述のガス生産源によって生成されてもよい。C1固定細菌のうちの少なくとも1つは、Clostridium autoethanogenum、Clostridium ljungdahlii、又はClostridium ragsdaleiから選択されうる。CO濃縮出口流は、水素を含んでもよく、プロセスはさらに、水素をCO濃縮出口流から分離し、分離された水素を再循環させてテールガス流又は圧縮機と組み合わせることをさらに含んでもよい。CO濃縮出口流の残りの部分は、水素の分離後に圧縮されてもよい。テールガス流は、メタンを含んでもよく、このプロセスは、テールガス流の一部分をメタン変換ユニットに通し、メタン変換ユニット溶出物を生成し、メタン変換ユニット溶出物をテールガス流と組み合わせることをさらに含む。酸素を含む流れは、酸素源から生成され、メタン変換ユニットに渡されてもよい。水素を含む第二のガス流は、水素源からバイオリアクターに通されてもよく、CO2源からのCO2を含む第二のガス流は、バイオリアクターに通されてもよく、又はその両方であってもよい。水素源からの水素を含む第二のガス流は、バイオリアクターに渡されるか、又はCO濃縮出口流と組み合わされてもよく、CO2源からのCO2を含む第二のガス流は、バイオリアクターに渡されるか、又はCO濃縮出口流と組み合わされてもよく、又はそれらの任意の組み合わせが行われてもよい。水素源からの水素を含む第二のガス流をCO濃縮出口流と組み合わせること、又はCO2源からのCO2を含む第二のガス流をCO濃縮出口流と組み合わせること、又は両方は、混合器内での混合によって達成されてもよい。バイオリアクターに入るCO濃縮出口流に対する水素源からの水素を含む第二のガス流の比率は、約0:1~約4:1であってもよい。CO2からCOへの変換システムは、バーナーを有する燃焼ヒーターを備えてもよく、テールガス流の少なくとも一部分は少なくとも燃焼ヒーターのバーナーに再循環される。CO2からCOへの変換システムは、蒸気を生成する蒸気発生器、又は水流を生成するウォーターノックアウトユニット、又はその両方を含んでもよい。CO濃縮出口流の一部分は、接種器反応器、バッファタンク、又はその両方に通してもよく、通すことは、介在するユニットなく、接種器反応器、バッファタンク、又はその両方に、直接通してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、バイオリアクターからのテールガスの少なくとも一部分が、ガス成分除去ユニットを通り、圧縮され、次いでバイオリアクター、CO
2からCOへの変換システム、又はその両方に再循環される、実施形態のフロースキームを示す。
【
図2】
図2は、バイオリアクターからのテールガスの少なくとも一部がバイオリアクターに再循環されるフロースキームを示す。
【
図3】
図3は、バイオリアクターからのテールガスの少なくとも一部分が圧縮され、ガス脱硫/酸性ガス除去ユニットを通過し、その後CO
2からCOへの変換システムに再循環される、実施形態のフロースキームを示す。
【
図4】
図4は、バイオリアクターからのテールガスの少なくとも一部分が圧縮され、任意選択のコントローラに渡されてテールガス流を分割し、任意選択で一部分をバイオリアクターに再循環させ、その間、テールガスの残りの部分をガス処理ゾーンに通過させる、実施形態のフロースキームを示す。ガス処理ゾーンの溶出物は、CO
2からCOへの変換システム、又はCO
2からCOへの変換システムの上流に再循環される。
【
図5】
図5は、CO
2からCOへの変換システムの上流に追加の圧縮機を有する、
図4のものと類似した実施形態のフロースキームを示す。
【
図6】
図6は、テールガス流の少なくとも一部分が、ガス処理ゾーン及びCO
2からCOへの変換システムの上流にある圧縮機に再循環される、実施形態のフロースキームを示す。圧縮機は、水素を含む第一のガス流と、CO
2を含む第二のガス流との組み合わせで作動する。
【
図7】
図7は、圧縮機が、CO
2を含む第二のガス流に対してのみ動作し、水素を含む第一のガス流に対しては動作しないことを除いて、
図6のものと類似した実施形態のフロースキームを示す。水素を含む第一のガス流は、ガス処理ゾーンの入力流れ、溶出物、又は両方に加えられる。
【
図8】
図8は、圧縮機が、CO
2を含む第二のガス流の一部分のみで動作し、水素を含む第一のガス流では動作しないフロースキームを示す。CO
2を含む第二のガス流の残りの部分は圧縮されず、水素を含む第一のガス流と組み合わされてもよい。
【
図9】
図9は、CO
2からCOへの変換システムのCO濃縮出口流からの水素を含む流れを分離することを加えた、
図7に示すものと類似した実施形態のフロースキームを示す。水素を含む分離された流れは、テールガス再循環と組み合わされてもよい。
【
図10】
図10は、水素を含む流れがCO濃縮出口流から分離された後、CO濃縮出口流の残りの部分に対して動作する第二の圧縮機を加えた、
図9のものと類似した実施形態のフロースキームを示す。
【
図11】
図11は、バイオリアクターテールガスの少なくとも一部分をメタン変換ユニットに通し、メタン変換ユニットの溶出物を通して、バイオリアクターテールガスと組み合わせて戻すことを加えた、
図6のものと類似した実施形態のフロースキームを示す。酸素源は、酸素を含む流れをメタン変換ユニットに随意に提供してもよい。水素源からの水素を含む第二の流れは、任意選択的に、バイオリアクターに直接渡されてもよい。CO
2源からのCO
2を含む第二の流れは、任意選択的に、バイオリアクターに直接渡されてもよい。
図1~11はさらに、CO
2からCOへの変換システムへの入力流れの少なくとも一部分が、CO2からCOへの変換システムを通過する代わりに、CO
2からCOへの変換システムの周りをバイパスされる、任意選択の実施形態を描写する。図はさらに、テールガス流の少なくとも一部分が、第二のCO
2からCOへの変換システムを通され、結果として生じる溶出物がバイオリアクターに渡される、任意選択の実施形態を示す。図はさらに、H
2を含む第一のガス流の少なくとも一部分が、CO
2からCOへの変換システムを通過する代わりに、CO2からCOへの変換システムの周りをバイパスされる、任意選択の実施形態を示す。
【
図12】
図12は、CO
2からCOへの変換システムが、rWGSシステムであるように選択される時について、より詳細を有する実施形態のフロースキームを示す。
【
図13】
図13は、任意選択的に水素の一部分がCO
2からCOへの変換システムをバイパスし、任意選択的に水素の一部分が第二の水素源から取得される実施形態のフロースキームを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ガス発酵プロセスでは、工業プロセス又は合成ガスプロセスなどのCO2を生成するガス生産プロセスとCO2からCOへの変換プロセス、特に逆水性ガスシフトプロセスの統合は、実質的な利益をもたらす。この統合により、発酵プロセスに一定量のCOが必要な場合でも、供給原料としてCO2を使用することができる。CO2からCOへの変換を統合することで、供給原料のCO2を発酵に適した量でCOに変換したり、再循環させたりできるようになる。
【0015】
特定の実施形態において、工業プロセスは、鋼材製造などの鉄金属製品製造、非鉄製品製造、石油精製、電力生産、カーボンブラック生産、紙・パルプ製造、アンモニア生産、メタノール生産、コークス製造、石油化学生産、炭水化物発酵、セメント製造、好気性消化、嫌気性消化、触媒プロセス、天然ガスの抽出、セルロース発酵、オイル抽出、地質学的貯留層の工業加工、天然ガス、石炭及び石油などの化石資源の処理、埋め立て事業、又はそれらの任意の組み合わせから選択される。工業プロセス内の特定の処理工程の例としては、触媒再生、流動接触分解、及び触媒再生が挙げられる。空気分離及び直接空気回収は、他の適切な工業プロセスである。鋼材及び合金鉄製造における例には、高炉ガス、塩基性酸素転炉ガス、コークス炉ガス、鉄炉トップガスの直接還元、及び精錬鉄からの残留ガスが含まれる。他の一般的な例には、天然ガス、石油、又は石炭の燃焼ボイラー又はヒーターなどの、燃焼ボイラー及び燃焼ヒーターからの燃焼排ガス、及びガスタービンの排気が含まれる。これらの実施形態では、基質及び/又はC1炭素源は、任意の公知の方法を使用して、それが大気中に放出される前に工業プロセスから捕捉されてもよい。
【0016】
基質及び/又はC1炭素源は、シンガスとして知られる合成ガスであってもよく、これは、改質、部分酸化、プラズマ、又はガス化プロセスから取得されてもよい。ガス化プロセスの例としては、石炭のガス化、精製所残基のガス化、石油コークスのガス化、バイオマスのガス化、リグノセルロース物質のガス化、廃木材のガス化、黒液のガス化、公共固形廃棄物のガス化、公共液状廃棄物のガス化、産業固形廃棄物のガス化、産業液体廃棄物のガス化、廃棄物燃料のガス化、下水のガス化、下水汚泥のガス化、廃水処理からの汚泥のガス化、埋立地ガスのガス化、バイオガスのガス化、例えば、バイオガスが添加されて別の材料のガス化を増強する場合など、を含む。改質プロセスの例としては、蒸気メタン改質、蒸気ナフサ改質、天然ガスの改質、バイオガスの改質、埋立地ガスの改質、コークス炉ガスの改質、熱分解オフガスの改質、エチレン生産オフガス改質、ナフサ改質、及び乾式メタン改質が挙げられる。部分酸化プロセスの例としては、熱及び触媒部分酸化プロセス、天然ガスの触媒部分酸化、炭化水素の部分酸化、バイオガスの部分酸化、埋立地ガスの部分酸化、又は熱分解オフガスの部分酸化が挙げられる。公共固形廃棄物の例としては、タイヤ、プラスチック、廃棄物燃料のほか、靴、アパレル、布地などに含まれる繊維などがある。公共固形廃棄物は、単に埋立地タイプの廃棄物である場合もあり、分類されてもよく、又は分類されていなくてもよい。バイオマスの例としては、リグノセルロース物質及び微生物バイオマスが挙げられうる。リグノセルロース物質は、農業廃棄物及び森林廃棄物を含み得る。
【0017】
本明細書で再循環について論じるとき、ユニットに流れを再循環させる又は通すという記載は、ユニットへの流れの直接的な独立した導入、又はユニット別の入力と流れの組み合わせを含むことを意味する。
【0018】
CO2を生成するガス生産プロセスは、工業プロセス又は合成ガスプロセスであり、典型的に、体積によるCO2の有効な比を有する工業用ガス又は合成ガスを発生する。さらに、工業用ガス又は合成ガスは、いくらかの量のCO及び/又はCH4を含んでもよい。CO2を生成するガス生産プロセスは、所望の最終生成物として、又は1つ以上の所望の最終生成物の製造における副生成物として、ガスを含有するCO2を生成する任意の工業プロセス又は合成ガスプロセスを含むことが意図される。例示的なCO2を生成するガス生産プロセスは、糖系のエタノール生産源、第一世代のトウモロコシエタノール生産源、第二世代のトウモロコシエタノール生産源、サトウキビエタノール生産源、蔗糖エタノール生産源、サトウダイコンエタノール生産源、モラセスエタノール生産源、小麦エタノール生産源、穀物系エタノール生産源、デンプン系エタノール生産源、セルロース系エタノール生産源と、セメント生産源、メタノール合成源、オレフィン生産源、鋼生産源、合金鉄生産源、精製所テールガス生産源、二次燃焼ガス生産源、バイオガス生産源、埋め立て生産源、酸化エチレン生産源、メタノール生産源、アンモニア生産源、採掘されたCO2生産源、天然ガス処理生産源、ガス化源、有機廃棄物ガス化源、直接空気回収、又はそれらの任意の組み合わせからのエタノール生産を含む供給源を有する。鋼及び合金鉄の生産源におけるいくつかの例には、高炉ガス、塩基性酸素転炉ガス、コークス炉ガス、鉄炉トップガスの直接還元、電気アーク炉オフガス、及び精錬鉄からの残留ガスが含まれる。他の一般的な例には、天然ガス、石油、又は石炭の燃焼ボイラー又はヒーターなどの、燃焼ボイラー及び燃焼ヒーターからの燃焼排ガス、及びガスタービンの排気が含まれる。
【0019】
図1は、本開示の一実施形態による、ガス流からの少なくとも1つの発酵生成物の生産のための柔軟な生産プラットフォーム及びプロセスを有する統合システムを描写する。本プロセスは、水素を含む第一のガス流と、CO
2を含む第二のガス流とを受けることと、流れをCO
2からCOへの変換システムに通すことと、を含む。
図1では、CO
2からCOへの変換システム125は、逆水性ガスシフトユニットとして示されている。水素生産源110は、水素を含む第一のガス流120を生成する。一実施形態では、水素生産源110は、水電解槽である。水流500は、水素生産源110に導入され、例えば、4.78kwh/Nm
3の電源(図示せず)から電力を受け、次の化学量論的反応に従って水を水素及び酸素に変換してもよい。
【0020】
H2O+電気 → 2H2+O2+熱
【0021】
水電解技術は公知であり、例示的なプロセスには、アルカリ水電解、プロトン交換膜(PEM)電気分解、及び固体酸化物電気分解が含まれる。好適な電解槽には、アルカリ性電解槽、PEM電解槽、及び固体酸化物電解槽が含まれる。水電解の副生成物として生成される酸素を含む酸素濃縮流115は、様々な目的のために用いられてもよい。例えば、特に、ガス生産源220が、酸素吹き付けガス化器を含む合成ガス生産プロセスであるように選択される場合、酸素濃縮流115の少なくとも一部分が、ガス生産源220に導入されてもよい。酸素濃縮流115のこうした使用は、外部供給源から酸素を得る必要性及び関連費用を低減する。本明細書で使用される場合、濃縮という用語は、プロセスステップの前と比較して、プロセスステップ後に、より高い濃度を有することを記述することを意味する。
【0022】
特定の実施形態では、水素生産源110は、炭化水素改質、水素精製、固体バイオマスガス化、固形廃棄物ガス化、石炭ガス化、炭化水素ガス化、メタン熱分解、精製所テールガス生産プロセス、プラズマ改質反応器、部分酸化反応器、又はそれらの任意の組み合わせから選択されうる。
【0023】
ガス生産源220は、直接空気回収、CO2生成工業プロセス、合成ガスプロセス、又はそれらの任意の組み合わせから、CO2を含む第二のガス流140を生成する。水素を含む第一のガス流120とCO2を含む第二のガス流140は、個別に又は組み合わせて、CO2からCOへの変換システム125に渡されて、CO濃縮出口流130を生成する。水素を含む第一のガス流120とCO2を含む第二のガス流140との組み合わせのガス組成は、一実施形態では約3:1、別の実施形態では約2.5:1、さらに別の実施形態では約3.5:1のH2:CO2モル比を含み、H2:COモル比は、約5:1より大きくてもよい。CO2からCOへの変換システム125は、逆水性ガスシフトユニット、熱触媒変換ユニット、部分燃焼ユニット、改質ユニット、又はプラズマ変換ユニットから選択される、少なくとも1つのユニットであってもよい。
【0024】
特定の実施形態では、CO2からCOへの変換システム125は、逆水性ガスシフトユニットである。逆水性ガスシフト(rWGS)技術は知られており、二酸化炭素及び水素から一酸化炭素を生産するために使用され、水が副生成物である。rWGSプロセスの温度は、シフトが起こる主な要因である。逆水性ガスシフトユニットは、単一段階の反応システム又は2つ以上の反応段階を含み得る。異なる段階は、異なる温度で行われてもよく、異なる触媒を使用してもよい。
【0025】
別の実施形態では、CO2からCOへの変換システム125は、熱触媒変換を伴い、これは、COを生成するために反応の駆動力として熱エネルギーを使用することによって、触媒上のCO2及び他の反応物の安定的な原子結合及び分子結合を破壊することを伴う。CO2分子は熱力学的及び化学的に安定しているため、CO2が単一の反応物として使用される場合、大量のエネルギーが必要となる。したがって、熱力学的プロセスを容易にするために、水素などの他の物質が共反応物として使用されることが多い。金属及び金属酸化物、ならびにナノサイズの触媒金属-有機フレームワークなどのプロセスについては、多くの触媒が知られている。様々な炭素材料が、触媒の担体として用いられてきた。
【0026】
別の実施形態では、CO2からCOへの変換システム125は、部分燃焼を伴い、酸素は、部分酸化のための酸化剤要件の少なくとも一部分を供給し、反応物である二酸化炭素と水は、実質的に一酸化炭素と水素に変換される。
【0027】
さらに別の実施形態では、CO2からCOへの変換システム125は、プラズマと触媒との組み合わせであるプラズマ変換を伴い、これはプラズマ触媒とも呼ばれる。プラズマは、電子、様々なタイプのイオン、ラジカル、励起原子、及び分子、ならびに中性の基底状態の分子からなるイオン化ガスである。CO2からCOへの変換において最も一般的な3つのプラズマタイプには、誘電体バリア放電(DBD)、マイクロ波(MW)プラズマ、及びグライディングアーク(GA)プラズマが含まれる。CO2からCOへの変換のためにプラズマ変換を選択する利点には、(i)プロセス多用途性が高く、純粋なCO2の分割や、水素源(CH4、H2又はH2Oなど)の存在下でのCO2変換など異なる種類の反応を実行可能にすること、(ii)投資コスト及び運用コストが低いこと、(iii)希土類金属が必要ないこと、(iv)プラズマ反応器がプラントの出力と直線的にスケールアップされる、便利なモジュール式設定であること、(v)さまざまな種類の再生可能エネルギーと容易に組み合わせることができること、が挙げられる。
【0028】
図は、CO2からCOへの変換システム125が、少なくとも1つのrWGSユニットを含むように選択される場合に記載される。rWGS反応は、CO2の可逆的水素化でCO及びH2Oを生成する。その化学的安定性のために、CO2は比較的非反応性の分子であり、したがって、より反応性のCOに変換する反応は、エネルギー集約的である。
【0029】
CO2+H2 ⇔ CO+H2O ΔH°298k=+41 kJ mol-1(標準条件時)
【0030】
rWGS反応は吸熱性であるため、高めの温度によって熱力学的に好ましい。典型的には、約500℃の温度は、かなりの量のCOを生成することが望ましい。より高い温度を用いる実施形態では、鉄系触媒は、その熱安定性及び高い酸素移動性のために、より高い温度に対して最も功を奏する活性金属の1つとしてしばしばみなされる。より低い温度を用いる実施形態では、銅は、反応中間体のその強化された吸着によって、功を奏するとしばしば見なされる。一部の他の実施形態では、rWGS触媒選択は、Fe/Al2O3、Fe-Cu/Al2O3、Fe-Cs/Al2O3、Fe-Cu-Cs/Al2O3、又はそれらの組み合わせを含む。
【0031】
CO2からCOへの変換システム125は、例えば、rWGS技術を利用して、CO濃縮出口流130を生成する。一部の実施形態では、CO濃縮出口流130のH2:COモル比は、約3:1より大きくてもよい。生成物としてのエタノールの化学量論及びCO2:COのモル比が1:1であることに基づくと、CO濃縮出口流130のH2:CO:CO2モル比は約5:1:1でありうる。
【0032】
一部の実例では、rWGS反応は、CO濃縮出口流130のH2:COモル比が、例えば、約3:1などの所定の比以下となるようなレベルで動作する。このようなCOレベルは、ガス発酵に必要なCOレベルを超えてもよい。CO2からCOへの変換システム125よりも高いCO変換は、最適とはいえない性能をもたらし得る。したがって、CO2からCOへの変換システム125のサイズは、必要以上に大きく設計される。このような大きなシステムは高価である。したがって、こうした大きなシステムを避けるために、水素を含む第一のガス流の少なくとも一部分は、バイパス520に向けられ、CO2からCOへの変換システム125には渡されない。バイパス流520は、CO濃縮出口流130と組み合わされる。したがって、発酵のために送達されるライン130のH2:CO比は、最適サイズのCO2からCOへの変換システム125で所定の比よりも大きくなるように調整されてもよい。同様に、CO2を含む第二のガス流140の一部分は、第二のバイパス流525を使用して、バイパスCO2からCOへの変換システム125へ迂回させてもよい。このようにして、CO2からCOへの変換システム125の能力を過剰設計することなく、COの量を制御することができる。
【0033】
エタノールが意図される発酵生成物ではない場合、上述した化学量論は異なるものになるであろう。例えば、2,3-ブタンジオール(2,3-BDO)が意図される発酵生成物である場合、CO濃縮出口流130のH2:CO:CO2モル比は、2,3-BDOの化学量論に基づいて約4.5:1:1であり、CO2:COモル比は1:1である。
【0034】
9H2+2CO+2CO2→C4H10O2+4H2O
【0035】
アセトンが意図される発酵生成物である場合、CO濃縮出口流130のH2:CO:CO2モル比は、アセトンの化学量論に基づき、CO2:COモル比1:1で約4.33:1:1でありうる。
【0036】
6.5H2+1.5CO+1.5CO2→C3H6O+3.5H2O
【0037】
酢酸塩が意図される発酵生成物である場合、CO濃縮出口流130のH2:CO:CO2モル比は、酢酸塩の化学量論に基づき、CO2:COモル比1:1で約3:1:1でありうる。
【0038】
3H2+1CO+1CO2→C2H4O2+1H2O
【0039】
ソプロピルアルコールが意図される発酵生成物である場合、CO濃縮出口流130のH2:CO:CO2モル比は、ソプロピルアルコールの化学量論に基づき、CO2:COモル比1:1で約5:1:1でありうる。
【0040】
H2+1.5CO+1.5CO2→C3H8O+3.5H2O
【0041】
CO濃縮出口流130は、1つ以上のC1固定細菌の培養物を含有するバイオリアクター142に渡される。バイオリアクター142は、1つ以上の容器及び/又は塔もしくは配管配置からなる発酵システムであってもよい。バイオリアクターの例は、連続撹拌槽反応器(CSTR)、固定化細胞反応器(ICR)、トリクルベッド反応器(TBR)、気泡塔、ガスリフト発酵槽、静的ミキサ、循環ループ反応器、中空糸膜バイオリアクター(HFM BR)などの膜反応器、又は気液接触に適した他のデバイスを含む。バイオリアクター142は、並列又は直列のいずれかで、複数のリアクター又は段階を含み得る。バイオリアクター142は、発酵生成物の大部分が生産される生産反応器であってもよい。
【0042】
バイオリアクター142は、C1炭素源から1つ以上の生成物を生産する能力を有する1つ以上のC1固定微生物の培養物を含む。「C1」は、一炭素分子、例えばCO又はCO2を指す。「C1炭素源」とは、微生物のための部分的又は唯一の炭素源として機能する一炭素分子を指す。例えば、C1炭素源は、CO、CO2、又はCH2O2のうちの1つ以上を含みうる。一部の実施形態では、C1炭素源は、CO及びCO2の一方又は両方を含みうる。典型的に、C1固定微生物はC1固定細菌である。一実施形態では、微生物は、表1で特定されるC1固定微生物に由来する。微生物は、機能的特性に基づいて分類されてもよい。例えば、微生物は、C1固定微生物、嫌気性生物、アセトゲン、エタノロゲン、及び/又はカルボキシド栄養生物に由来しうる。表1は、微生物の代表的なリストを提供し、微生物の機能特性を特定する。
【0043】
【0044】
「嫌気性生物」は、増殖のために酸素を必要としない微生物である。嫌気性生物は、酸素が特定の閾値を超えて存在する場合、負の反応を示し得るか、又は死滅し得る。典型的には、微生物は、嫌気性生物である。好ましい実施形態では、微生物は、表1で特定される嫌気性生物に由来する。
【0045】
「アセトゲン」は、嫌気呼吸の生成物として酢酸塩もしくは酢酸を生成する、又は生成することが可能である微生物である。典型的には、アセトゲンは、エネルギー節約のため、ならびにアセチル-CoA及びアセテートなどのアセチル-CoA誘導生成物の合成のためのそれらの主要機構として、ウッド・ユングダール経路を使用する、偏性嫌気性細菌である(Ragsdale,Biochim Biophys Acta,1784: 1873-1898, 2008)。アセトゲンは、アセチル-CoA経路を、(1)CO2からのアセチル-CoAの還元合成のための機構、(2)末端電子受容、エネルギー節約プロセス、(3)細胞炭素の合成におけるCO2の固定、すなわち同化のための機構として使用する(Drake, Acetogenic Prokaryotes, In: The Prokaryotes, 3rd edition, p. 354, New York, N.Y., 2006)。すべての自然発生アセトゲンは、C1固定、嫌気性、独立栄養性、及び非メタン資化性である。一実施形態では、バイオリアクター142内の微生物は、アセトゲンである。他の実施形態では、微生物は、表1で特定されるアセトゲンに由来する。
【0046】
微生物はClostridium属に属する種であってもよい。一実施形態では、本開示の微生物は、Clostridium autoethanogenum種、Clostridium ljungdahlii種、及びClostridium ragsdalei種を含むClostridiaのクラスターに由来する。これらの種は、Abrini,Arch Microbiol,161: 345-351,1994(Clostridium autoethanogenum)、Tanner,Int J System Bacteriol,43: 232-236, 1993(Clostridium ljungdahlii)、及びHuhnke, WO 2008/028055 (Clostridium ragsdalei)によって初めて報告され、特徴付けられた。本開示の微生物は、Clostridium autoethanogenum、Clostridium ljungdahlii、又はClostridium ragsdaleiの分離株又は変異体にも由来し得る。Clostridium autoethanogenumの分離株及び変異体としては、JA1-1(DSM10061)(Abrini,Arch Microbiol,161: 345-351, 1994)、LBS1560(DSM19630)(WO 2009/064200)、及びLZ1561(DSM23693)が挙げられる。Clostridium ljungdahliiの分離株及び変異体としては、ATCC 49587(Tanner,Int J Syst Bacteriol,43: 232-236, 1993)、PETCT(DSM13528、ATCC 55383)、ERI-2(ATCC 55380)(米国特許第5,593,886号)、C-01(ATCC 55988)(米国特許第6,368,819号)、0-52(ATCC 55989)(米国特許第6,368,819号)、及びOTA-1 (Tirado-Acevedo, Production of bioethanol from synthesis gas using Clostridium ljungdahlii, PhD thesis, North Carolina State University, 2010)が挙げられる。Clostridium ragsdaleiの分離株及び変異体としては、PI 1(ATCC BAA-622, ATCC PTA-7826)(WO 2008/028055)が挙げられる。
【0047】
本開示の微生物は、1つ以上の生成物を生成するように培養され得る。例えば、Clostridium autoethanogenumは、エタノール(WO 2007/117157)、酢酸塩(WO 2007/117157)、ブタノール(WO 2008/115080及びWO 2012/053905)、酪酸塩(WO 2008/115080)、2,3-ブタンジオール(WO 2009/151342)、乳酸塩(WO 2011/112103)、ブテン(WO 2012/024522)、ブタジエン(WO 2012/024522)、メチルエチルケトン(2-ブタノン)(WO 2012/024522及びWO 2013/185123)、エチレン(WO 2012/026833)、アセトン(WO 2012/115527)、イソプロパノール(WO 2012/115527)、脂質(WO 2013/036147)、3-ヒドロキシプロピオナート(3-HP)(WO 2013/180581)、イソプレン(WO 2013/180584)、脂肪酸(WO 2013/191567)、2-ブタノール(WO 2013/185123)、1,2-プロパンジオール(WO 2014/0369152)、及び1-プロパノール(WO 2014/0369152)を生成しうるか、又は生成するように操作されうる。1つ以上の標的生成物に加えて、本開示の微生物はまた、エタノール、酢酸塩、及び/又は2,3-ブタンジオールも生成し得る。ある特定の実施形態では、微生物バイオマス自体が生成物とみなされ得る。
【0048】
培養物は概して、微生物の増殖を可能にするのに十分な栄養素、ビタミン、及び/又は無機物を含む水性培地中で維持される。水性培地は、最小嫌気性微生物増殖培地などの嫌気性微生物培地であってもよい。好適な培地は、当該技術分野において既知である。
【0049】
培養物及び/又は発酵は、望ましくは、標的生成物の生成に適切な条件下で実施されてもよい。典型的には、培養物/発酵は、嫌気性条件下で実施される。考慮すべき反応条件は、圧力(又は分圧)、温度、ガス流速、液体流速、培地pH、培地酸化還元電位、撹拌速度(連続撹拌槽反応器を使用する場合)、接種レベル、液相中のガスが制限的にならないことを確実にするための最大ガス基質濃度、及び生成物阻害を回避するための最大生成物濃度を含む。具体的には、基質の導入速度は、生成物がガス制限条件下での培養によって消費され得るため、液相中のガスの濃度が制限的にならないことを確実にするように制御されてもよい。
【0050】
上昇した圧力でバイオリアクターを操作することは、気相から液相へのガス物質移動の増加した速度を可能にする。したがって、概して、大気圧よりも高い圧力で培養/発酵を実施することが好ましい。また、所与のガス変換速度は、部分的に基質保持時間の関数であるため、変換速度は、必要とするバイオリアクターの体積を規定する。加圧システムの使用は、必要とするバイオリアクターの体積、及び結果として、培養物/発酵設備の資本コストを大幅に減少させることができる。したがって、バイオリアクター中の液体体積を投入ガス流量で除算したものとして定義される保持時間が、バイオリアクターが大気圧よりも上昇した圧力に維持されるときに低減されうることを意味する。最適反応条件は、使用される特定の微生物に部分的に依存する。しかしながら、一般的には、大気圧より高い圧力で発酵を行うことが好ましい。
【0051】
標的生成物は、例えば、分別蒸留、蒸発、浸透蒸発、ガスストリッピング、相分離、例えば、液-液抽出を含む抽出分離を含む、当該技術分野で既知の任意の方法又は方法の組み合わせを使用して、発酵ブロスを分離してもよい。ある特定の実施形態では、標的生成物は、まず微生物細胞をブロスから分離してから、標的生成物を水性残余物から分離して、ブロスの一部分をバイオリアクターから連続的に取り出すことによって、発酵ブロスから回収される。アルコール及び/又はアセトンは、例えば、蒸留によって回収され得る。酸は、例えば、活性炭上での吸着によって回収され得る。分離された微生物バイオマスは、バイオリアクターに再循環されてもよい。標的生成物が除去された後に残された溶液も、バイオリアクターに再循環されてもよい。追加の栄養素を、再循環された溶液に添加して、培地がバイオリアクターに戻される前に、培地が補充されてもよい。
【0052】
CO濃縮出口流130は、バイオリアクター142に導入され、発酵されて、上述の生成物のいずれかを含みうるテールガス流160及び発酵生成物の流れ150を生成する。テールガスという用語は、すべての反応器及び処理が行われた後に、通常、工業プロセスから大気中に放出されるガス及び蒸気を指す。テールガス流160は、CO2からCOへの変換システム125への導入のために、CO2を含む第二のガス流140と最終的に再循環されて組み合わせられる。テールガス流160は、発酵中に、例えば、反応によって生成されるいくらかのCO2を含んでもよい。
【0053】
6CO+3H2O→C2H5OH+4CO2(ΔG°=-224.90kJ/molエタノール)
【0054】
バイオリアクター142からCO2からCOへの変換システム125のテールガス流160内に存在するCO2を再循環すると、プロセス全体の二酸化炭素の回収効率が上がる。COが枯渇したテールガス流160は、約5mol%未満のCOを含んでもよい。一部の実施形態では、テールガス流160のH2:CO2モル比は、約3:1以下である。
【0055】
テールガス流160は、さらなる処理の前に最も良く除去される様々な成分を含み得る。これらの例では、テールガス流160は、1つ以上の成分を除去し、脱硫された、及び/又は酸性ガス処理済みテールガス流340を生成し、これがCO2を含む第二のガス流140と組み合わせられてもよい。テールガス流160から除去され得る1つ以上の成分は、硫黄含有化合物(硫化水素(H2S)、二硫化炭素、及び又は二酸化硫黄を含むが限定されない)、芳香族化合物、アルキン、アルケン、アルカン、オレフィン、窒素化合物、リン含有化合物、粒子状物質、固体、酸素、酸素化物、ハロゲン化化合物、ケイ素含有化合物、カルボニル、金属、アルコール、エステル、ケトン、過酸化物、アルデヒド、エーテル、タール、メタンチオール、アンモニア、ジエチルアミン、トリエチルアミン、酢酸、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール及び高級アルコール、ナフタレン、又はそれらの組み合わせを含みうる。これらの構成要素は、加水分解モジュール、酸性ガス除去モジュール、脱酸素化モジュール、触媒水素化モジュール、微粒子除去モジュール、塩化物除去モジュール、タール除去モジュール、及び/又はシアン化水素除去モジュール、及びそれらの組み合わせなど、当技術分野で周知の従来型の除去モジュールによって除去されうる。特定の例では、テールガス流から除去される少なくとも1つの成分は、発酵プロセスによって生成、導入、及び又は濃縮され得る硫化水素などの硫黄含有化合物を含む。硫化水素は、rWGS技術及び触媒を使用したCO2からCOへのシステム125における触媒阻害剤であってもよい。
【0056】
テールガス流160は、ガス成分除去ユニット170を通される。ガス成分除去ユニット170は、硫黄含有化合物又は酸性ガス成分以外の成分を除去する。一部の実施形態では、除去される成分は水である。水性ガスシフト反応は水を生成するため、水性ガスシフト反応器に供給される水の量を制限することが有利である。水を除去すると、プロセス全体での水バランスが改善される。一部の実施形態では、除去される成分は炭化水素である。ガス成分除去ユニット170は、硫黄含有化合物以外の複数の成分を除去するために、複数のサブモジュールを含んでもよい。一部の実施形態では、液体スクラバーは、他の可溶性成分及び高級アルコールを含むエタノールを除去するために使用される。これらの実施形態では、ガス成分除去ユニット170は、テールガス流160に含まれる発酵生成物を捕捉及び回収するために動作してもよい。揮発性有機化合物はまた、ガス成分除去ユニット170内で除去されてもよい。ガス成分除去ユニット170で除去されうる他の成分としては、例えば、一窒素種、例えば、シアン化水素(HCN)、アンモニア(NH3)、窒素酸化物(NOx)のほか、アセチレン(C2H2)、エチレン(C2H4)、エタン(C2H6)、BTEX(ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン)、及び又は酸素(O2)などの他の既知の酵素阻害ガスが挙げられる。
【0057】
結果として生じる処理済みテールガス流185は、第一の圧縮機190に渡され、圧縮された処理されたガス流200が生成され、これがガス脱硫/酸性ガス除去ユニット180に渡される。一部の実施形態では、圧縮機190は、バイオリアクター142とガス成分除去ユニット170との間のガス成分除去ユニット170の上流に位置付けられて、ガス成分除去ユニット170に通過する前にテールガス流160を圧縮してもよい。概して、圧縮機190は、約3Barg~約10Bargの圧力で動作する。圧縮された処理済みテールガス流200は、ガス脱硫/酸性ガス除去ユニット180に通過されて、脱硫及び又は酸性ガス処理済みテールガス流340を生成する。ガス脱硫/酸性ガス除去ユニット180。硫黄含有化合物及び/又は酸性ガスは、rWGS触媒の活性を抑制することによって、rWGS技術を使用して、CO2からCOへの変換システム125内で阻害剤として作用するため、除去される。多くの商業用脱硫技術は、COSの形態の硫黄を効率的に除去することはできないが、硫化水素の形態の硫黄をよりうまく処理することができる。一実施形態では、ガス脱硫/酸性ガス除去ユニット180は、次の反応に従って加水分解することによって、硫化カルボニルCOSなどの化合物を硫化水素H2Sに変換するように動作する。
【0058】
COS+H2O⇔H2S+CO2
【0059】
加水分解は、金属酸化物触媒又はアルミナ触媒によって達成されて、COSをH2Sに変換することができる。一部の実施形態では、2つ以上の脱硫操作、例えば、鉄スポンジに続いて金属酸化物触媒が用いられてもよい。特定の他の実施形態では、ガス脱硫/酸性ガス除去ユニット180は、酸化亜鉛(ZnO)触媒を用いて硫化水素を除去してもよい。他の実施形態では、圧力スイング吸着(PSA)を利用して、高圧下で容器内に含有される固定床の適切な吸着剤を通して吸着によって酸性ガスを除去する。さらに他の実施形態では、苛性洗浄は、ガス脱硫に使用される。苛性洗浄は、圧縮された処理済みテールガス流200を、NaOHなどの苛性溶液に通して、硫黄含有化合物を除去することを含みうる。苛性洗浄による硫化水素の除去は、以下のように表されうる。
【0060】
H2S(g)+NaOH(aq)→NaHS(aq)+H2O
NaHS(aq)+NaOH(aq)→Na2S(aq)+H2O
【0061】
ガス脱硫/酸性ガス除去ユニット180から出る、脱硫及び/又は酸性ガス処理済みテールガス流340は、CO2を含む第二のガス流140と組み合わされて、CO2からCOへの変換システム125に再循環されてもよい。あるいは、脱硫及び/又は酸性ガス処理済みテールガス流340が、CO2を含む第二のガス流140と組み合わされるように通過される代わりに、代替的な脱硫及び/又は酸性ガス処理済みテールガス流345が、水素を含む第一のガス流120と組み合わされる。
【0062】
圧縮された処理済みテールガス流200の一部分は、CO濃縮出口流130と組み合わされて、ガス脱硫/酸性ガス除去ユニット180に渡される代わりに、バイオリアクター142に渡されうる。そのような再循環は、微生物が硫黄を消費してアミノ酸、例えばメチオニン及びシステインを産生するため、微生物の成長に利益をもたらす。結果として、バイオリアクター142への硫黄投与要件は、圧縮された処理済みテールガス流200の一部分として硫黄の再循環によって低減される。
【0063】
ガス生産源220がバイオガスの生産を含む任意選択の実施形態では、CO2を含む第二のガス流140の一部分は、任意選択のバイオガス改質装置230に渡される。バイオガスとは、肥料、下水汚泥、公共固形廃棄物、生分解性廃棄物、又はその他の任意の生分解性原料などの有機物の嫌気性消化によって生成されるガスを意味する。バイオガスは、主にメタン及び二酸化炭素からなる。一般的に、バイオガス改質装置では、CO2とメタンの蒸気改質を組み合わせて、合成ガス流を生成する。
【0064】
CH4+CO2⇔2CO+2H2 ΔH°=247kJ/mol
CH4+H2O⇔CO+3H2 ΔH°=206kJ/mol
【0065】
図1に関して、バイオガス改質装置230で生産されたCO及びH
2を含むバイオガス改質装置溶出物の流れ240は、CO濃縮出口流130と組み合わされ、多くの発酵プロセスについてH
2:CO比を改善するために動作してもよい。
【0066】
一実施形態では、少なくとも一部分のテールガス流160は、逆水性ガスシフトユニット、熱触媒変換ユニット、部分燃焼ユニット、プラズマ変換ユニット、ガス化ユニット、又は改質ユニットであってもよい、任意選択の第二のCO2からCOへの変換システム510を通過する。テールガス流160は、COが少ないが、残留H2及びCO2を有し得る。テールガス流160の少なくとも一部分を、任意選択の第二のCO2からCOへの変換システム510に通過させ、第二のCO2からCOへの変換システム溶出物512をバイオリアクター142に再循環させることによって、バイオリアクター142内のH2:CO比を低下させうる。バイオリアクター142におけるH2:CO比のこうした低下は、生成物の選択性に利益をもたらし、微生物成長の増加又は迅速化をもたらしうる。第二のCO2からCOへの変換システム溶出物512は、独立してバイオリアクター142(図示せず)に渡される代わりに、流れ130と組み合わされるために再循環されてもよいことが注目される。
【0067】
一実施形態では、水素生産源110から生成される水素430を含む任意選択の追加的な流れは、バイオリアクター142又はCO濃縮出口流130に渡され、したがってCO2からCOへの変換システム125をバイパスする。水素430を含む追加的な流れは、介在する処理ユニットなしで通過されてもよい。H2の存在下でのCOの微生物発酵は、アルコールなどの生成物への実質的に完全な炭素移動をもたらす可能性があるが、十分なH2が存在しない場合、利用可能なCOの一部分のみが生成物に変換され、一方で別の部分は、次の式でCO2に変換される:6CO+3H2O→C2H5OH+4CO2。したがって、十分な水素をバイオリアクター142に提供することは、一部の実施形態では有益であり得る。CO2からCOへの変換システム125に通過させることなく、バイオリアクター142又はCO濃縮出口流130に通過される水素430を含む追加的な流れのバイパスを採用することにより、全体的なプロセス実行の異なる時点で、ユニットに向けられる水素の量の制御が可能となる。例えば、起動中、任意の接種器を含むバイオリアクターで必要とされる水素が少ない可能性があり、それによって、立ち上げ時にCOを豊富に含む供給から利益が得られる。しかしながら、実行の終わりに向かって、バイオリアクターではより少ないCOが必要とされる場合があり、より大きな相対量のH2が用いられてもよい。これは、ターンダウン、又は接種段階で(主要バイオリアクターは接種バイオリアクターよりも受けるCOが少ない)、又はバッファタンクを用いるときに、特に有益であり得る。バイパスにより、制御は、供給物のH2:CO比をCO2からCOへの変換システム125へ、バイオリアクター142へ、又はその両方へ変化させることができる。バイパスにより、H2:C(水素:炭素)を、CO2からCOへの変換システム125、バイオリアクター142、又はその両方に対して変化させるように制御することもできる。
【0068】
CO2からCOへの変換システム125の使用及びバイオリアクター142からCO2からCOへの変換システム125からのCO2の再循環を通して、バイオリアクター142にCOを豊富に含む環境を提供することは、COの比率が高いガス環境で改善された生成物に対する生成物の選択性に有益であり得る。そのような一例は、エタノールの生産である。もう1つの利点は、Wood-Ljungdahl経路を有する特定の微生物の微生物増殖が増加する場合があることである。なぜなら、これらの微生物がより高い濃度のCOを消費する場合、Wood-Ljungdahl経路の生物学的水性ガスシフトが改善されるからである。
【0069】
図2は、本開示の別の実施形態による、ガス流からの少なくとも1つの発酵生成物の生産のための統合システムを示す。水素生産源110は、水素を含む第一のガス流120を生成する。直接空気回収又はCO
2を生成する工業プロセスでありうる、ガス生産源220は、CO
2を含む第二のガス流140を生成する。水素を含む第一のガス流120とCO
2を含む第二のガス流140とが組み合わされて、複合供給流れ250が形成され、CO
2からCOへの変換システム125に渡される。複合供給流れ250内のガス組成は、一実施形態では約3:1、別の実施形態では約2.5:1、さらに別の実施形態では約3.5:1、及びさらになお別の実施形態では約5:1よりも多いH
2:CO
2モル比を含む。
【0070】
一実施形態では、CO
2からCOへの変換システム125は、rWGS技術を採用する。CO
2からCOへの変換システム125では、CO
2を反応させてCO濃縮出口流130を生成する。流れ中の成分のモル比は、
図1で論じるとおりである。
図2に示すように、一実施形態では、供給流れ250の少なくとも一部分は、バイパス流520でCO
2からCOへの変換システム125の周りに任意選択的に迂回される。バイパス流520は、CO濃縮出口流130と組み合わされる。バイパス流520の利点は、
図1に記載される通りである。CO濃縮出口流130は、1つ以上のC1固定微生物の培養物を有するバイオリアクター142に渡される。培養物は、発酵されて、1つ以上の発酵生成物150及びテールガス流160を生成する。COが枯渇したテールガス流160は、約5mol%未満のCOを含んでもよい。一部の実施形態では、テールガス流160のH
2:CO
2モル比は、約3:1以下である。
【0071】
テールガス流160は、圧縮テールガス流202を生成するために第一の圧縮機190に渡される。圧縮テールガス流202は、CO濃縮出口流130と組み合わせるために再循環される。任意選択で、テールガス流160の小さな第一のパージ流204又は圧縮テールガス流202の小さな第二のパージ流206を除去して、窒素、メタン、アルゴン、ヘリウム、又は他の不活性成分の蓄積を制御してもよい。
【0072】
図1でのように、一実施形態では、少なくとも一部分のテールガス流160は、任意選択の第二のCO
2からCOへの変換システム510を通過し、第二のCO
2からCOへの変換システム溶出物512は、バイオリアクター142又はCO濃縮出口流に再循環される。また
図1でのように、第二のCO
2からCOへの変換システム溶出物512は、独立してバイオリアクター142(図示せず)に渡される代わりに、流れ130と組み合わされるために再循環されてもよい。
【0073】
図3は、圧縮テールガス流202がガス脱硫/酸性ガス除去ユニット180に渡され、結果として生じる脱硫及び又は酸性ガス処理済みテールガス流340がCO
2からCOへの変換システム125に渡されることを除いて、
図2に類似した別の実施形態を示す。CO濃縮出口流130内及びテールガス流160内の複合供給流れ250中のガス組成は、
図1及び2に記載されるとおりである。任意選択のバイパス関連の実施形態は、
図2に記載されるとおりである。
【0074】
図4は、
図2及び3と類似した別の実施形態を示す。テールガス流160は、第一の圧縮機190に渡され、結果として生じる圧縮テールガス流202は、任意選択の制御弁550に渡される。任意選択の制御弁550は、ガス処理ゾーン182に向けられる、又はCO濃縮出口流130と組み合わせられる、圧縮テールガス流202の相対的部分を制御するために使用される。ガス処理ゾーン182は、ガス成分除去ユニット170及びガス脱硫/酸性ガス除去ユニット180を含むものとして示されている。しかしながら、両方のユニットがすべての実施形態で必要とされるとは限らず、ガス処理ゾーン182は、ガス成分除去ユニット170又はガス脱硫/酸性ガス除去ユニット180のうちの1つのみを含んでもよい。さらに、ガス処理ゾーン182のユニットは、任意の順序であってもよい。ガス処理ゾーン182から生成された処理済みテールガス流185は、複合供給流れ250に追加され、CO
2からCOへの変換システム125へ渡される。任意選択の制御弁550は、その時点での発酵の相に基づいて異なる割合で圧縮テールガス流202を分割するように調整されてもよい。例えば、スタートアップ発酵段階中、バイオリアクター142内でのCO需要の増加は、制御弁550を調整して、より多くの圧縮テールガス流202を流し、ガス処理ゾーン182よりも、CO濃縮出口流130と組み合わせることによって達成されてもよい。一方で、バイオリアクター142での発酵が安定相に移行すると、バイオリアクター142のCO需要の減少が、制御弁550を調整して、圧縮テールガス流202の流量を減らし、ガス処理ゾーン182よりも、CO濃縮出口流130と組み合わせることによって達成されうる。他の例では、発酵中のH
2利用が低い場合、例えば、70%未満など、制御弁550は、より多くの圧縮テールガス流202を流して、ガス処理ゾーン182よりもCO濃縮出口流130と組み合わせるように調整されてもよい。図示するように、制御弁550は、発酵中のCO及び/又はH
2要件に基づいて、バイオリアクター142に提供されるH
2:CO比の動的制御を達成するために使用される。
【0075】
ガス組成は、
図2及び
図3に関連して説明され、任意選択のバイパス実施形態は、
図2に記載されるとおりである。
【0076】
図5は、第二の圧縮機192の追加を伴う
図4と類似している。複合供給流れ250は、第二の圧縮機192に渡されて、圧縮された複合供給流れ260を生成する。複合供給流れ260のガス組成は、上述のとおりである。圧縮された複合供給流れ260は、処理済みテールガス流185と組み合わされ、CO
2からCOへの変換システム125に渡されて、CO濃縮出口流130を生成する。CO濃縮出口流120及びテールガス流160のガス組成は、上記に記載のとおりである。任意選択の制御弁550及びバイパスの実施形態は、上述のとおりである。
【0077】
図6は、複合供給流れ250及びテールガス流160の両方が第一の圧縮機190に渡される実施形態を示す。第一の圧縮機192は、ガス処理ゾーン182に渡される圧縮された流れ270を提供する。ガス処理ゾーンは、上述のとおりである。当然のことながら、一部のガス処理モジュールは、実際のガス組成に基づいて、ガス処理ゾーン182に追加又は削除されてもよい。例えば、一部の実施形態では、圧縮された流れ270は、発酵において微生物阻害剤として作用し得るアセチレン(C
2H
2)を含んでもよい。アセチレンを除去するために、触媒水素化モジュールをガス処理ゾーン182に含めることができる。触媒的水素化は、ニッケル、パラジウム、プラチナを含むものなど、水素化触媒の存在下で水素を添加することを含む。水素化触媒の選択は、システムの特定のガス組成及び動作条件に依存する。特定の実施形態では、アルミナ担持パラジウム(Pd/Al
2O
3)が触媒として使用される。こうした触媒の例は、BASF(商標)R0~20/47である。他の実施形態では、圧縮された流れ270のガス組成は、発酵を阻害しうるベンゼン、エチルベンゼン、トルエン、及びキシレン(BETX)を含み得る。したがって、BETX除去モジュールはガス処理ゾーン182に追加されてもよい。例示的なBETX除去モジュールは、1つ以上の活性炭床を使用して、BETX成分の吸着を伴いうる。別の例示的なBTEX除去モジュールは、ベントガス焼却を含み、これは、熱酸化プロセスであり、ここで、BTEX成分は、約650℃を超える温度で燃焼される。処理済み流れ290は、CO
2からCOへの変換システム125に渡される。様々な流れのガス組成が上に示されている。バイパスの実施形態は、上述のとおりである。
【0078】
図7は
図6と類似しているが、水素を含む第一のガス流120は、水素源110によってすでに加圧されていてもよく、そのため第一の圧縮機190に渡される必要はない。水素を含む第一のガス流120は、第一の圧縮機190を通されることなく、ガス処理ゾーン182の前、後、又は前と後の両方で、CO
2を含む第二のガス流140と組み合わされてもよい。CO
2からCOへの変換システム125に導入する前のガス流290内のガス組成は、一実施形態では約3:1、別の実施形態では約2.5:1、さらに別の実施形態では約3.5:1、さらに別の実施形態では約5:1超のH
2:CO
2モル比を含む。CO濃縮出口流130及びテールガス流160のガス組成は、上述のとおりである。
【0079】
図7はまた、水素源110によって提供される圧力にかかわらず、水素を含む第一のガス流120は任意選択的であり、CO
2からCOへの変換システム125を通過しない水素生産源110から生成される水素430を含む流れを採用する代わりには、採用することができない実施形態を示す。水素430を含む追加の流れは、バイオリアクター142に渡されてもよく、又はCO濃縮出口流130と組み合わされてもよい。必要に応じて、水素生産源110から生成される水素430を含む流れは、目標圧力に圧縮されうる。CO
2の供給をH
2の供給から分離させることにより、プロセス実施全体の異なる時点で、バイオリアクター142に向けられる水素の量の制御を増加させることができる。例えば、起動中、任意の接種器を含むバイオリアクターで必要とされる水素が少ない可能性があり、それによって、立ち上げ時にCOを豊富に含む供給から利益が得られる。しかしながら、実施の終わりに向かって、バイオリアクターではより少ないCOが必要とされる場合があり、より大きな相対量のH
2が用いられてもよい。これは、ターンダウン、又は接種段階で(主要バイオリアクターは接種バイオリアクターよりも受けるCOが少ない)、又はバッファタンクを用いるときに、特に有益であり得る。バイパスにより、制御は、CO
2からCOへの変換システム125へ、バイオリアクター142へ、又はその両方への供給のH
2:CO比を変化させることができる。バイオリアクターの1つの標的H
2:CO:CO
2比は、1:3:1でありうる。
【0080】
図8では、CO
2を含む第二のガス流140の一部が、第一の圧縮機190に渡され、CO
2を含む第二のガス流140の別の部分が、水素を含む第一のガス流120と組み合わされ、ガス処理ゾーン182に渡され、それによって第一の圧縮機190をバイパスする。一部のガス生産源220は、CO
2を含む第二のガス流140の成分として酸素を提供しうる。しかしながら、一部の微生物については、酸素は微生物阻害剤であってもよく、CO
2を含む第二のガス流140中の酸素含有量は、許容可能なレベルに低減される必要がある場合がある。これらの状況では、ガス処理ゾーン182は、脱酸素化モジュールをさらに含みうる。脱酸素化モジュールは、酸素がCO
2又は水のいずれかに還元される触媒プロセスを採用してもよい。特定の実施形態では、脱酸素化モジュールで使用される触媒は、銅を含む。こうした触媒の例は、BASF PURISTAR(商標)R 3.15又はBASF CU 0226Sである。脱酸素化プロセスは発熱性であり、生成された熱は、rWGS技術を含むCO
2からCOへの変換システム125における吸熱反応の前にガスを予熱するなど、全体的なプロセス内で使用されうる。様々な流れのガス組成は、上述のとおりである。バイパス実施形態は、上記のとおりである。
【0081】
図9は、CO
2からCOへの変換システム125へのCO濃縮出口流130が、バイオリアクター142に渡される前に水素分離ユニット330が通される実施形態を示す。水素分離ユニット330は、膜分離技術又は圧力スイング吸着技術を伴いうる。CO濃縮出口流130から水素を分離すると、水素分離ユニット溶出物350のH
2:CO比のCOの量が増大し、これがバイオリアクター142に渡される。水素分離ユニット330で生成された分離済み水素流344は、第一の圧縮機190に別個に再循環されるか(図示せず)、又はテールガス流160と組み合わされて、第一の圧縮機190にも再循環される。
図9は、水素を含む第一のガス流120がすでに十分な圧力にあり、それゆえ、第一の圧縮機190をバイパスして、ガス処理ゾーン182の前に圧縮された流れ270と結合する実施形態を示す。水素を含む第一のガス流120がまだ加圧されていない場合、水素を含む第一のガス流120の少なくとも一部分が第一の圧縮機190を通過しうる。CO
2からCOへの変換システム125に導入する前の処理済み流れ290のガス組成は、一実施形態では約3:1、別の実施形態では約2.5:1、さらに別の実施形態では約3.5:1、さらに別の実施形態では約5:1超のH
2:CO
2モル比を含む。CO濃縮出口流130中のH
2:COガス組成は、上述のとおりである。一実施形態では、水素分離ゾーン溶出物350中のガス組成は、約1:1超であるが約5:1を超えないH
2:COモル比、及び約5:1:1のH
2:CO:CO
2モル比を含み、ここでエタノールは上述の生成物であり、さらには他の生成物について上述したとおりである。テールガス流160のガス組成は、上述のとおりである。バイパス実施形態は、概して上述のとおりである。
【0082】
図10は、水素分離ユニット溶出物圧縮機370を追加した
図9と類似している。水素分離ユニット330が圧力スイング吸着を用いた場合、水素分離ユニット溶出物350は、バイオリアクター142に必要な圧力を下回ることが多い。水素分離ユニット溶出物圧縮機370は、バイオリアクター142への導入に必要な圧力を達成するために、水素分離ユニット溶出物のさらなる圧縮をもたらした。CO
2からCOへの変換システム125に導入する前の、及びCO濃縮出口流130における処理済み流れ290内のガス組成は、上述のとおりである。水素溶出物ゾーンの溶出物圧縮機370に導入する前の水素分離ユニット溶出物のガス組成は、約1:1超であるが約5:1を超えないH
2:COモル比を含み、ガス流365のH
2:CO:CO
2モル比は、上述のように生成物としてのエタノールについては約5:1:1であってもよく、さらにはその他の生成物について上述したとおりである。テールガス流160内のガス組成は、上述のとおりである。バイパス実施形態は、上述のとおりである。
【0083】
図11は、CO
2からCOへの変換システム125からのCO濃縮出口流130が、水素源110からの、又はrWGS技術を含むCO
2からCOへの変換システム125の副生成物としての、メタンをさらに含むことを除いて、
図6に類似している。時間経過に伴い、これらの源のいずれか又は両方からのメタンは、バイオリアクターテールガス流160に蓄積しうる。バイオリアクターテールガス流160のメタン濃度が、例えば、10mol%超、及びおそらく50mol%超の閾値限界まで増加すると、テールガス流160の少なくとも一部分が、テールガスパージ390としてメタン変換ユニット400へと渡される。任意選択の酸素源410は、任意選択の酸素を含む流れ420をメタン変換ユニット400に提供しうる。一部の実施形態では、メタン変換ユニット400の酸素源410は、水電解槽であってもよく、それによって酸素は副生成物である。メタン変換ユニット400は、反応CH
4+2O
2→CO
2+2H
2Oによるメタンの酸化によって少なくともCO
2を生成し、少なくともCO
2を含み、CO及びH
2をさらに備えるメタン変換溶出物の流れ421を生成し、これはテールガス流160と組み合わせられ、第一の圧縮機190に渡されてもよい。メタン変換ユニット400は、メタン改質ユニット、メタン蒸気改質ユニット、部分酸化ユニット、オートサーマル改質ユニット、酸化ユニット、燃焼ユニット、バイオガス改質ユニット、又はガス化ユニットであってもよい。メタン変換ユニット400が関与する場合、以下の式で表されるメタンの蒸気改質を伴う:
【0084】
CH4+H2O(蒸気)→CO+3H2(吸熱性)
【0085】
酸素を含む流れ420はまた、ヒーターのバーナーで燃焼されて蒸気を生成するか、又はメタン変換ユニットを加熱してもよい。メタン変換ユニットは、酸素又は二酸化炭素をメタンとの反応物として使用して合成ガスを形成する、オートサーマル改質(ATR)を伴いうる。反応は、メタンが部分酸化される単一の反応器で発生してもよい。反応は、以下の式で記述することができる。
【0086】
CH4+O2+CO2→3H2+3CO+H2O(CO2使用)
CH4+O2+2H2O→10H2+4CO(蒸気を使用)
【0087】
処理済み流れ290及びCO濃縮出口流130のガス組成は、上述のとおりである。テールガス流160又はテールガスパージ390のガス組成は、典型的には、約5mol%未満のCOを含む。一部の実施形態では、テールガス流160又はテールガスパージ390のH2:CO2モル比は、約3:1以下であり、蓄積されたメタンは、約5mol%よりも大きい。バイパス実施形態は、前述のとおりである。
【0088】
1つの実施形態では、上述のように、水素生産源110から生成される水素430を含む任意選択の追加的な流れは、バイオリアクター142に直接渡される。H2の存在下でのCOの微生物発酵は、アルコールなどの生成物への実質的に完全な炭素移動をもたらす可能性があるが、十分なH2が存在しない場合、利用可能なCOの一部分のみが生成物に変換され、一方で別の部分は、次の式でCO2に変換される:6CO+3H2O→C2H5OH+4CO2。したがって、十分な水素をバイオリアクター142に提供することは、一部の実施形態では有益でありうる。別の実施形態では、ガス生産源220から生成されるCO2 440を含む任意選択の追加的な流れは、バイオリアクター142に直接渡される。こうした配置は、バイオリアクター142のCO2枯渇ゾーンでのCO2分圧の維持にとって有益でありうる。
【0089】
図12は、CO
2からCOへの変換システム125がrWGSシステムであるように選択され、rWGSシステムの追加の装置が特に図示される実施形態を対象とする。水素生産源110及び第一のガス流120、ならびにガス生産源220及びCO
2を含む第二のガス流、ならびに複合供給流れ250については、すべて上述のとおりである。ガス処理ゾーン182及び処理済み流れ290に加えて、バイオリアクター142、発酵生成物の流れ150及びテールガス流160については、上述のとおりである。
【0090】
処理済み流れ290は、予熱器560に導入され、そこで、rWGS反応器溶出物588との間接的熱交換を介して加熱され、予熱済み流れ562を提供する。予熱済み流れ562は、さらに加熱して電気的に加熱された流れ566を生成するために電気ヒーター564に渡され、その後、さらに加熱された燃焼ヒーター568内で加熱されて完全に加熱された流れ570を生成する。利用可能なエネルギーを最大限に活用して、rWGS反応器の目標温度に到達するために、異なる加熱モードが採用される。冷却する必要のある流れの熱は、加熱する必要のある流れに移され、廃棄物の可燃性成分はバーナーで燃焼され、高温を必要とする熱流れを生成する。
【0091】
完全に加熱された流れ570は、単一段階又は多段階反応器システムでありうるrWGS反応器571に導入される。rWGS反応器571では、完全に加熱された流れ570中に存在するCO2の少なくとも一部分がCOに変換される。したがって、rWGS反応器の溶出物588は、完全に加熱された流れ570と比較して、COが濃縮される。rWGS反応器溶出物は、rWGS反応器571の温度であるため、別の流れを加熱するために使用されうる利用可能な熱を含み、したがって、処理済み流れ290と間接的に熱交換するために予熱器560に渡される。次いで、熱交換されたrWGS反応器溶出物563は、予熱器560から熱回収/蒸気発生器572に渡され、利用可能な熱をさらに回収する。冷却水流574は、熱回収/蒸気発生器572に渡され、熱交換されたrWGS反応器溶出物563から利用可能な熱の交換を受け取り、蒸気流れ576を生成する。これは、プロセス全体又は別のプロセスにおいて他の場所で使用されうる。結果として生じる熱が枯渇した流れ578は、水ノックアウトユニット580に渡されて、水584及び水が枯渇した流れ582を含む流れを生成する。水584を含む蒸気は、プロセス又は水を必要とする別のプロセスの任意の部分に向けられてもよい。水が枯渇した流れ582は、空気冷却器586に渡されて、CO濃縮出口流130を提供する。
【0092】
CO濃縮出口流130は、部分に分割されてもよく、第一の部分は任意選択の混合器590に渡されてもよく、又は任意選択の混合器590が存在しない場合、第一の部分はバイオリアクター142に渡されてもよい。CO濃縮出口流130の任意選択の第二の部分は、バッファタンク(図示せず)などの別のユニット、又はバイオリアクター142の一部であっても一部でなくてもよい接種器反応器に渡されてもよい。CO濃縮出口流130の貯蔵量を有することは、CO2を含むガス流の供給が低下する期間について有利である。バイオリアクターと比較して、接種器反応器の水素要件が低い場合、CO濃縮出口流130に何らかの追加の水素を添加する前に、CO濃縮出口流130の第二の部分を接種器に渡すことが有利であり得る。CO濃縮出口流130の任意選択の第三の部分は、燃焼ヒーター568に再循環されて、燃焼ヒーター568のバーナー内で燃焼され、熱を提供することができる。この実施形態は、バイオリアクター142がCO濃縮出口流130内でのCOの消費のためにまだ流れの上にない起動時に特に有利である。
【0093】
一部の実施形態では、混合器590に渡される水素生産源110からの水素430を含む追加の流れを提供することによって、バイオリアクター142に提供される水素の量を調整し、制御することが有利である。混合器590では、CO濃縮出口流130は、水素を含む追加の流れ430と混合されて、バイオリアクター供給流れ592を生成する。水素源からCO濃縮出口流130に対する、水素を含む追加の流れ430の比率は、約0:1~約4:1である。バイオリアクター供給流れが、バイオリアクター142に提供され、発酵生成物の流れ150が、バイオリアクターテールガス流160と同様に生成される。バイオリアクターテールガス流160は、部分に分割され、プロセス内の異なる場所に再循環されてもよい。バイオリアクターのテールガスをどこに配線するかは、多くの場合、プロセスの現在の動作状態に依存する。例えば、バイオリアクター142が、実質的なCO2を生成するモードで操作される場合、バイオリアクターテールガス160は、CO2からCOへの変換のために、少なくとも一部分が、ガス処理ゾーン182又はCOからCO2への変換システム125に再循環されてもよい。任意の時点で、バイオリアクターテールガス160の一部分は、燃焼及び熱の発生のために、燃焼ヒーター568のバーナーに供給されてもよい。燃焼のためにバイオリアクターテールガス160の少なくとも一部分をこのように使用することは、バイオリアクターテールガス160がメタンを含有する実施形態で特に有利である。廃水処理システムからのバイオガスは、バイオリアクターテールガス160と組み合わされて、燃焼ヒーター568の燃焼及び熱に使用されうることが想定される。さらに、廃水処理システムからのバイオガスは、再循環されるか、又はバイオリアクターに直接再循環され得ることが想定される。
【0094】
図13は、別個の水素流がCOからCO
2への変換システムを通過しないが、COからCO
2への変換システムの下流で混合されて、バイオリアクターへの供給流れを形成する実施形態を対象とする。別個の水素流602は、別個の第二の水素源600(図示)から取得されてもよく、又は水素源110から取得されてもよい。水素を含む別個の水素流602は、任意選択の水素流ガス処理ゾーン603に渡されて、水素を含む処理済み水素流604を生成してもよい。水素流ガス処理ゾーン603は、ガス成分除去ユニット及び又はガス脱硫/酸性ガス除去ユニットを含み得る。両方のユニットがすべての実施形態で必要とされるとは限らず、水素ガス処理ゾーン603は、ガス成分除去ユニット又はガス脱硫/酸性ガス除去ユニットのうちの1つのみを含んでもよい。さらに、水素流ガス処理ゾーン603内のユニットは、任意の順序であってもよい。水素流ガス処理ゾーン603から生成される処理済み水素ガス流604は、混合器590を通過し、処理済みCO濃縮出口流186と混合されて、バイオリアクター供給流れ592を生成する。
【0095】
水素生産源110、水素を含む第一のガス流120、ガス生産源220、CO2を含む第二のガス流140、及び複合供給流れ250はすべて上述のとおりである。ガス処理ゾーン182及び処理済み流れ290、ならびにCOからCO2への変換システム125、CO濃縮出口流130、混合器590、混合流れ592、バイオリアクター142、発酵生成物の流れ150及びテールガス流160は、上記に記載されているが、異なる比率のH2及びCO2を有する可能性がある。第二のガス処理ゾーン183及び第三のガス処理ゾーン187は、ガス処理ゾーン182について記載するとおりである。
【0096】
水素生産源110からの水素を含む第一のガス流120、及びガス生産源220からのCO2を含む第二のガス流140を参照すると、流れ中の水素とCO2の異なる比は、プロセス全体の動作の異なる点で有用である。例えば、水素を含む第一のガス流120中のH2の、CO2を含む第二のガス流140中のCO2に対するモル比(H2:CO2)は、一実施形態では約1:1、別の実施形態では約2:1、さらに別の実施形態では約3:1としうる。H2:CO2モル比が1:1の実施形態では、水素を含む第一のガス流120は、別個の第二の水素源600から得られた別個の水素流602の2倍の体積を有してもよい。H2:CO2モル比が2:1の実施形態では、水素を含む第一のガス流120は、別個の第二の水素源600から得られた別個の水素流602の半分の体積を有してもよい。H2:CO2モル比が3:1の実施形態では、水素を含む第一のガス流120は、必要なすべての水素を提供し、別個の第二の水素源600から得られた別個の水素流602は、使用されない。効果的には、異なる量の水素が、水素流602/処理済み水素ガス流604の使用を通して、COからCO2への変換システム125をバイパスしてもよい。一実施形態では、水素を含む第一のガス流120中の水素に加えて、別個の水素流602における水素の総和は、H2:CO2のモル比3:1をもたらすのに十分な水素を提供し、CO2は、CO2を含む第二のガス流140内で測定される。
【0097】
テールガス流160は、バイオリアクター142に再循環されてもよく、又はCOからCO2への変換システム125に再循環されてもよい。任意選択で、テールガス流160は、第三のガス処理ゾーン187を通過して、処理済みテールガス流185を生成し、これがその後、COからCO2への変換システム125に通過してもよい。第二のガス処理ゾーン183は、CO濃縮出口流130の一部分を任意選択に分離してもよく、これは流れ181としてCOからCO2への変換システム125に再循環することができる。
【0098】
本明細書に列挙される公表文献、特許出願、及び特許を含むすべての参考文献は、各参考文献が、あたかも参照により組み込まれることが個々にかつ具体的に示されるかのように、参照により本明細書に組み込まれる。本明細書で引用した参考文献は、その先行技術が任意の国の努力傾注分野において共通の一般知識の一部をなすという認識ではない。
【0099】
本明細書の値の範囲の記述は、本明細書に別段の指示がない限り、範囲内に入る各個々の値を個々に言及する省略法としての役割を果たすことを単に意図し、各個々の値は、あたかも本明細書に個々に列挙されたかのように、本明細書中に組み込まれる。例えば、別段の指示がない限り、任意の濃度範囲、パーセント範囲、比率範囲、整数範囲、サイズ範囲、又は厚さ範囲は、列挙された範囲内の任意の整数の値、及び適切な場合、その分数(整数の10分の1、及び100分の1など)を含むと理解されるべきである。別段の指示がない限り、比はモル比であり、パーセンテージは重量ベースである。
【0100】
本明細書に記載されるすべての方法は、本明細書に別段の指示がない限り、又は文脈と別段明らかに相反することがない限り、任意の好適な順序で実施され得る。本明細書に提供されるありとあらゆる例、又は「など」のような例示的な言葉の使用は、本開示をより良く解明することを単に意図し、別段の主張がない限り、本開示の範囲を制限しない。本明細書におけるいかなる言葉も、本開示の実践に不可欠な任意の請求されていない要素を示すものと解釈されるべきではない。
【0101】
本開示の好ましい実施形態が本明細書に記載される。これらの実施形態の変形は、当業者にとって前述の説明を読めば明らかとなりうるものであり、そのような変形の採用は、本開示は本明細書に具体的に記述されるもの以外の方法で実施されうるため、範囲内であることが意図される。したがって、本開示は、適用法によって許可されたとおり、特許請求の範囲に記載される主題のすべての修正物及び同等物を含む。更に、そのすべての考えられる変形における上記の要素の任意の組み合わせは、本明細書に別段の指示がない限り、又は文脈と別段明らかに相反することがない限り、本開示によって包含される。
【国際調査報告】