(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-04
(54)【発明の名称】パルス場アブレーション装置および方法
(51)【国際特許分類】
A61B 18/14 20060101AFI20240226BHJP
A61B 18/12 20060101ALI20240226BHJP
【FI】
A61B18/14
A61B18/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561758
(86)(22)【出願日】2022-04-06
(85)【翻訳文提出日】2023-11-21
(86)【国際出願番号】 IB2022000189
(87)【国際公開番号】W WO2022214870
(87)【国際公開日】2022-10-13
(32)【優先日】2021-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523379982
【氏名又は名称】ビーティーエル メディカル デベロップメント エー.エス.
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ネドヴェト ヴォイチェフ
(72)【発明者】
【氏名】ダセク イジー
(72)【発明者】
【氏名】ハヌリアク マルティン
(72)【発明者】
【氏名】ヒジャジ アハマド
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK16
4C160MM33
(57)【要約】
パルス場アブレーションのためのアブレーション装置および方法であり、装置は、拡張可能バスケットと、拡張可能バスケットに形成された一組の電極と、電気パルスを発生させるのに適したパルス発生器とを含むカテーテルを備え、パルス発生器は、一組の電極と電気的に接続している。拡張可能バスケットは、フィラメントの編組メッシュで形成され、フィラメントは非導電性材料で作られ、フィラメントの少なくとも一部は管腔を備え、フィラメントは電極および導電線をさらに含む。導電線は、少なくとも部分的にフィラメントの管腔内に通じ、電極に電気的に接続されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルス場アブレーションのためのアブレーション装置であって、
近位端、遠位端、およびそれらの間に延在する管腔を有する外側細長シャフトと、近位端および遠位端を有する内側細長シャフトとを含むカテーテル、
近位端、近位部分、遠位端、および遠位部分を有する拡張可能バスケットであって、前記拡張可能バスケットの前記近位端は、前記外側細長シャフトの前記遠位端に隣接して固定され、前記拡張可能バスケットの前記遠位端は、前記内側細長シャフトの前記遠位端に隣接して固定され、前記拡張可能バスケットは、折り畳まれた構成および少なくとも1つの拡張された構成を有する、拡張可能バスケット、
前記拡張可能バスケットに形成された一組の電極、
電気パルスを発生させるのに適した、前記一組の電極に電気的に接続されたパルス発生器、
を備え、
前記拡張可能バスケットは、複数のフィラメントを含む編組メッシュから形成され、前記フィラメントは非導電性材料から作られ、前記フィラメントの少なくとも一部は管腔を含み、前記フィラメントは電極および複数の導電線をさらに含み、前記導電線の少なくとも1つは、前記フィラメントの少なくとも1つの前記管腔の内側に少なくとも部分的に配置され、前記電極の少なくとも1つに電気的に接続される、装置。
【請求項2】
前記装置がパルス場アブレーション装置である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記カテーテルが、パルス場アブレーション用に構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記パルス場アブレーション装置が、前記患者の心臓で使用するように構成されている、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記パルス場アブレーション装置が肺静脈隔離用に構成されている、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記フィラメントが、熱可塑性エラストマーまたはポリマーの少なくとも1つから作製される、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記フィラメントの少なくとも1つが、前記フィラメントの前記管腔に配置された機械的支持体によって補強される、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記機械的支持体がストラットである、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記フィラメントの少なくとも1つが、前記フィラメントの構造が前記フィラメントの残りの部分よりも局所的に機械的に弱い少なくとも1つの場所を含む、請求項6に記載の装置。
【請求項10】
前記局所的により弱い場所がリビングヒンジを形成する、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記フィラメントのうちの2つ以上が、前記拡張可能バスケットの前記遠位または近位部分のうちの少なくとも1つで互いに併合され、少なくとも1つの併合構造を形成する、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記フィラメントの前記遠位または近位部分の前記少なくとも一方の前記併合構造が、前記フィラメントの全長の1%~30%を占める、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記併合構造の少なくとも一方が、前記併合構造が前記併合構造の残りの部分よりも局所的に機械的に弱い少なくとも1つの場所を含む、請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記局所的により弱い場所がリビングヒンジを形成する、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
パルス場アブレーション用のカテーテルであって、
近位端、遠位端、およびそれらの間に延在する管腔を有する外側細長シャフトと、近位端および遠位端を有する内側細長シャフト、
近位端、近位部分、および遠位端、ならびに遠位部分を有する拡張可能バスケットであって、前記拡張可能バスケットの前記近位端は、前記外側細長シャフトの前記遠位端に隣接して固定され、前記拡張可能バスケットの前記遠位端は、前記内側細長シャフトの前記遠位端に隣接して固定され、前記拡張可能バスケットは、折り畳まれた構成および少なくとも1つの拡張された構成を有する、拡張可能バスケット、
拡張可能バスケットに形成された一組の電極、
電気パルスを発生させるのに適したパルス発生器であって、前記パルス発生器が前記一組の電極に電気的に接続されている、パルス発生器、を備え、
前記拡張可能バスケットは、複数のフィラメントを含む編組メッシュから形成され、前記複数のフィラメントは非導電性材料から作られ、前記複数のフィラメントの各フィラメントの少なくとも一部は管腔を含み、前記複数のフィラメントは電極および複数の導電線をさらに含み、前記複数の導電線は、前記複数のフィラメントの前記管腔の内側に少なくとも部分的に配置され、前記電極に電気的に接続されている、カテーテル。
【請求項16】
前記カテーテルは、患者の心臓で使用するように構成される、請求項15に記載のカテーテル。
【請求項17】
前記カテーテルは、肺静脈隔離用に構成されている、請求項16に記載のカテーテル。
【請求項18】
前記カテーテルは、高周波電気パルスを送達するように構成されている、請求項15に記載のカテーテル。
【請求項19】
前記複数のフィラメントは、熱可塑性エラストマーまたはポリマーの少なくとも一方から作られる、請求項15に記載のカテーテル。
【請求項20】
前記複数のフィラメントのうちの少なくとも1つのフィラメントが、前記フィラメントの前記管腔内に配置された機械的支持体によって補強されている、請求項19に記載のカテーテル。
【請求項21】
前記機械的支持体がストラットである、請求項20に記載のカテーテル。
【請求項22】
前記複数のフィラメントのうち少なくとも1つのフィラメントは、前記フィラメントの構造が前記フィラメントの残部よりも局所的に機械的に弱い場所を少なくとも1つ含む、請求項19に記載のカテーテル。
【請求項23】
前記局所的により弱い場所がリビングヒンジを形成する、請求項22に記載のカテーテル。
【請求項24】
前記複数のフィラメントのうちの2つ以上のフィラメントが、前記拡張可能バスケットの前記遠位または近位部分のうちの少なくとも一方で互いに併合され、少なくとも1つの併合構造を形成する、請求項15に記載のカテーテル。
【請求項25】
前記拡張可能バスケットの前記遠位または近位部分の前記少なくとも一方の前記併合構造の少なくとも一方が、前記2つ以上のフィラメントの全長の1%~30%を占める、請求項24に記載のカテーテル。
【請求項26】
前記併合構造の少なくとも一方が、前記併合構造が前記併合構造の残りの部分よりも局所的に機械的に弱い少なくとも1つの場所を含む、請求項24に記載のカテーテル。
【請求項27】
前記局所的により弱い場所がリビングヒンジを形成する、請求項26に記載のカテーテル。
【請求項28】
アブレーションの方法であって、
近位端、遠位端、およびそれらの間に延在する管腔を有する外側細長シャフトと、近位端および遠位端を有する内側細長シャフトとを含む、カテーテル、近位端、近位部分、遠位端、および遠位部分を有する拡張可能バスケットであって、前記拡張可能バスケットの前記近位端は、前記外側細長シャフトの前記遠位端に隣接して固定され、前記拡張可能バスケットの前記遠位端は、前記内側細長シャフトの前記遠位端に隣接して固定され、前記拡張可能バスケットは、折り畳まれた構成および少なくとも1つの拡張された構成を有する、拡張可能バスケット、前記拡張可能バスケットに形成された一組の電極、電気パルスを発生させるのに適したパルス発生器であって、前記パルス発生器は、前記一組の電極に電気的に接続されている、パルス発生器を備え、前記拡張可能バスケットは複数のフィラメントを含む編組メッシュから形成され、前記フィラメントは非導電性材料から作られ、前記複数のフィラメントの前記各フィラメントの少なくとも一部は管腔を含み、前記複数のフィラメントは電極および複数の導電線をさらに含み、前記導電線は、前記複数のフィラメントの前記管腔の内側に少なくとも部分的に配置され、前記電極に電気的に接続されている、パルス場アブレーション装置を設けるステップと、
治療部位に隣接して前記カテーテルのバスケットアセンブリを送達するステップと、
前記拡張可能バスケットを折り畳まれた構成から少なくとも1つの拡張した構成に展開するステップと、
拡張された拡張可能バスケットの前記バスケットアセンブリを、前記治療部位の標的組織に隣接して配置するステップと、
前記治療部位の前記標的組織をアブレーションするステップと、
を含む、方法。
【請求項29】
前記治療部位が心臓の左心房にある、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記治療部位が肺静脈口を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記治療部位の前記標的組織の前記アブレーションが、パルス電磁界によって引き起こされるパルス場アブレーションの方法を使用する、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記バスケットアセンブリに配置された前記一組の電極の少なくとも一部を前記治療部位に隣接させる、請求項28に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、2021年4月7日に出願された米国仮特許出願第63/171,832号、2021年7月6日に出願された第63/218,563号、2021年9月29日に出願された第63/249,965号の優先権を主張する。それらすべては、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、アブレーション装置および方法に関し、具体的には、アブレーションの主な原理の1つが細胞膜の不可逆的エレクトロポレーションであり得るパルス電場による標的組織のパルス場アブレーションの装置および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
心房細動は、最も一般的な持続性心不整脈であり、60歳以上の人口の10%が罹患している。薬理学的治療に加えて、疾患の症状を改善し、死亡率を低下させるための確立された治療は、いわゆるカテーテルアブレーションである。
【0004】
カテーテルアブレーションは、通常、大腿静脈、内頸静脈、または鎖骨下静脈のいずれかでの心臓アブレーションの場合、1つまたは複数の可撓性カテーテルを患者の血管内に皮下前進させることを含む。次いで、カテーテルを心臓の内部または表面の標的治療部位に向かって前進させる。
【0005】
心不整脈のアブレーション治療の主な手段は、不整脈誘発性基質を破壊することによって直接除去すること、または線状もしくは円形の隔離によって非生理学的活動電位の広がりを防ぐことである。これらのアプローチはいずれも、基本的に心筋の活動電位が広がらない病変の形成を必要とする。エネルギーを加えることによって、心筋の小さな部分が局所的に破壊され、数週間以内に自然の生理学的プロセスによって非心筋結合組織に変換される。
【0006】
先行技術から知られている一般的なアブレーション方法は、高温または低温のいずれかによる組織の熱での破壊に基づく。そのような方法は、例えば、高周波場(RF)またはレーザーによって標的組織を加熱すること、または凍結切除によって組織を凍結することを含む。これらの方法は標的組織の壊死を引き起こし、これは手順にリスクを加える可能性がある。
【0007】
近年、アブレーションのために電場を使用する方法および装置が利用されている。これらの方法の目的は、高温または低温による破壊の代わりに細胞膜の不可逆的なエレクトロポレーションを誘導することによって組織破壊を引き起こし、主に熱損傷に基づくアブレーション手順の欠点およびリスクを低減することであるが、解決する必要がある欠点が依然として存在する。
【0008】
そのような装置の一般的な設計は、1つまたは複数の電極を有する遠位先端部を有するカテーテルであり得る。カテーテルは、例えば、先端部に1つの活性電極を有することができる。無関係な電極を、例えば患者の皮膚に配置することができる。そのような装置を用いた標的治療部位のアブレーションは、1点ずつ行わなければならず、これは、手順の期間および複雑さを増大させる。
【0009】
従来の装置の別の例は、単一のカテーテル本体の遠位先端部に一列に配置された電極を有するカテーテルである。そのようなカテーテルの遠位先端部は、標的治療部位の近くに送達され、標的治療部位の近くで特定の形状に展開(屈曲)される。このような形状では、治療のために2つ以上の電極を使用することができ、遠位先端部での移動はあまり必要とされないが、カテーテルを正しい形状に展開し、そのようなカテーテルを用いて適切に位置決めし、さらに操作することは、非常に困難であり得る。同様に、無関係な電極を患者の皮膚に配置することもでき、またはアブレーションは、カテーテルの遠位端に配置された特定の電極間で、双極様式で実行することができる。
【0010】
電極を有する単一のストラットを含むカテーテル端子バスケットを有する装置も、従来技術から知られている。そのような装置は、標的部位に対するより容易な展開および位置決めを保証することができる。通常、カテーテル端子には、より多くの電極が配置されているため、アブレーションは、やはり、例えば患者の皮膚に配置された無関係な電極を備える単極、またはカテーテル端子の特定の電極間の双極のいずれかであり得る。この解決策の1つの欠点は、限られたストラットであり、これは、限られた数の電極が空間に特定の円形のパターンを作り出すことを意味する。この欠点は、バスケットの安定した形状を保つことができるように特定のストラットの機械的安定性が必要であることに起因する。これは、十分に剛性であることを意味し、ストラットは特定の寸法を維持する必要がある。使用されるストラットの数は、そのとき、カテーテルのサイズによって制限される。この解決策の別の欠点は、そのような構造が展開構成におけるストラットの相互距離を完全には保証できないことであり、これは電極間の距離も保証できないことを意味する。これは、適切なアブレーションを確実にするために、装置を複数回再配置する必要がある場合があることを意味し、これは手順の期間を延長する。
【0011】
アブレーションの質および安全性を高める必要がある一方で、患者のリスクおよび治療期間を減らす必要がある。したがって、複雑さが低減され、方法および装置自体の質および信頼性が向上した、患者にとってより優しくより安全な、改善されたアブレーションの装置および方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0012】
本明細書では、アブレーションシステムの装置および方法、特に、上述の問題に対処して解決することができ、患者にとってより優しく安全であり、時間および技術的複雑性が低減され、システム、方法および装置自体の質、有効性および信頼性が向上した、説明による電場によるパルス場アブレーションのための、アブレーション方法および装置が開示されている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本開示の例示的な態様は、添付の図面に例として示されており、同様の参照番号は同じまたは同様の要素を示している。
【0014】
【
図1】例示的なアブレーションシステムのブロック図である。
【0015】
【
図2】カテーテルを備えた例示的なパルス場アブレーション装置の概要である。
【0016】
【
図3A】シャフトアセンブリを有する例示的なカテーテルを示す。
【0017】
【
図3B】シャフトアセンブリの断面を例示的に表したものである。
【0018】
【
図4】拡張構成のバスケットアセンブリを有するカテーテルの遠位先端部を例示的に表したものである。
【0019】
【
図5】折り畳まれた構成のバスケットアセンブリを有するカテーテルの例示的な遠位先端部を示す。
【0020】
【0021】
【
図6B】フィラメントを有する例示的な拡張可能バスケットの詳細図である。
【0022】
【
図6C】フィラメントおよび導電線を有する例示的な拡張可能バスケットの詳細図である。
【0023】
【
図7A】カテーテルの例示的な遠位先端部の正面図である。
【0024】
【
図7B】カテーテルの例示的な遠位先端部の側面図である。
【0025】
【
図8】細長い電極を有する例示的な編組メッシュを示す。
【0026】
【
図9】フィラメントおよびフィラメントの管腔の内側の導電線を有する例示的な編組メッシュを示す。
【0027】
【
図10】治療部位に隣接するバスケットアセンブリの位置の例示的な概略図である。
【0028】
【
図11】電極の例示的な動作モードの概略図である。
【0029】
【
図12】電極の別の例示的な動作モードの概略図である。
【0030】
【
図13A】カテーテルの遠位先端部の電極の空間パターンの例である。
【0031】
【
図13B】カテーテルの遠位先端部の電極の空間パターンの別の例である。
【0032】
【
図14】ハイブリッド動作モードに既に切り替えられている電極の可能なレイアウトの図である。
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【
図16】例示的なパルス場アブレーションプロトコルの一部を示す。
【0037】
【
図17a】0Vとは異なる電圧によるパルス間休止の例を示す。
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
【
図20】それらの交点で互いに接合されたフィラメントの例を示す。
【0042】
【
図21】併合構造およびリビングヒンジを有するバスケットアセンブリの遠位部の図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1は、標的組織のパルス場アブレーションのためのアブレーションシステム(100)を示す。本明細書に記載のアブレーションシステム(100)は、パルス場アブレーション装置(101)を含む。アブレーションシステム(100)は、本明細書に記載のパルス場アブレーションの方法を実行している最中に実行または支持するのに適した他の部分または装置を含んでもよく、またはそれらに接続され得る。他の部分または装置は、例えば、制御ユニット(111)、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)ユニット(113)、電気制御回路(115)、心電図(ECG)トリガ回路(117)、ECG記録装置(129)、ECG電極(125)、ペーシング装置(131)、カテーテル信号相互接続回路(119)および/または電気生理学(EP)表示装置(133)であってもよく、EP記録システムを含んでもよい。EP表示装置は、アブレーションシステム(100)に接続された1つ以上の他の装置からのデータを表示および/または記録してもよい。さらに、アブレーションシステム(100)は、マッピング装置(135)、例えば三次元(3D)マッピング装置または実位置測定(RPM)装置、および/または無関係な電極(127)を含むことができる。マッピング装置(135)は、例えばカテーテルによって測定された空間内の場所のEGM(心内電位図)を記録し、心臓の表面のマップを作成する。これはまた、カテーテルの位置および向きを示し得る。カテーテルの実際の位置を測定するための他の可能な方法は、カテーテル内のセンサを介して(例えば、磁気に基づく位置測定)、または例えばカテーテルの電極でのインピーダンス測定、または高周波もしくはそれらの組み合わせに基づく測定を使用することができる。有利には、いくつかの例では、位置測定に使用されるカテーテルは、アブレーションに使用されるのと同じカテーテルである。
【0044】
パルス場アブレーション装置(101)は、短い高電圧電気パルスを発生させるためのパルス発生器(103)と、一組の電極(109)を用いてパルス電場により標的組織のパルス場アブレーションを実行するのに適したカテーテル遠位先端部(107)を有する、患者の体腔に挿入するのに適したカテーテル(105)とを含む。カテーテル(105)は、パルス発生器(103)と電気的に接続されている。
【0045】
パルス場アブレーション装置(101)は、本明細書に記載のパルス場アブレーションの方法を実行している最中に実行または支持するのに適した他の部分または装置を含んでもよく、またはそれらに接続され得る。他の部分または装置は、例えば、遠隔制御ユニット(111)、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)ユニット(113)、電気制御回路(115)、ECGトリガ回路(117)を含む心電図(ECG)装置、ECG記録装置(129)、ECG電極(125)、ペーシング装置(131)、カテーテル信号相互接続回路(119)および/または電気生理学(EP)表示装置(133)であってもよく、EP記録システムを含んでもよい。EP表示装置は、アブレーションシステム(100)に接続された他の装置からのデータを表示および/または記録し得る。さらに、アブレーションシステム(100)は、マッピング装置(135)、例えば三次元(3D)マッピング装置または実位置測定(RPM)装置および/または無関係な電極(127)を含むことができる。例えば、パルス場アブレーション装置(101)は、例えば心臓組織の治療のために、例えば心臓組織のパルス場アブレーションのために、例えば心筋組織のパルス場アブレーションのために、例えば肺静脈隔離のために、患者の心臓の内部または表面で使用するように構成することができる。本明細書に開示される装置および方法は、他の場所、例えば体内のすべての管状の組織、器官、または血管、または例えば腫瘍の部位で、使用され得る。
【0046】
図2に示すカテーテル(105)は、シャフトアセンブリ(201)と、カテーテル(105)の遠位部分に隣接して配置されたカテーテル遠位先端部(107)とを含む。シャフトアセンブリ(201)は、カテーテル(105)の長手方向中心軸(203)を画定する。カテーテル(105)は、ハンドルアセンブリ(123)および接続アセンブリ(121)をさらに含むことができる。カテーテル(105)は、操縦可能または操縦不可能であり得、例えばイントロデューサシース(図示せず)を介して、ガイドワイヤ(図示せず)の助けを借りて、または借りずに、その位置に導入することができる。
【0047】
カテーテル(105)の接続アセンブリ(121)は、カテーテル(105)をアブレーションシステム(100)の他の部分と相互接続するのに役立ち得る。接続アセンブリ(121)は、単一の接続部分またはより空間的に分離された接続部分を含むことができる。接続アセンブリ(121)は、カテーテル(105)の近位部分に配置されてもよく、および/または例えばハンドルアセンブリ(123)の一部であってもよい。接続アセンブリ(121)部分は、例えば、1つまたは複数の電気接続、機械的接続、流体接続、および/またはガイドワイヤ用の入力を含むことができる。
【0048】
ハンドルアセンブリ(123)は、カテーテルシャフトアセンブリ(201)に取り付けられてもよく、例えば、カテーテル(105)の操縦および操作のため、ならびに/またはカテーテル(105)の移動および撓みの正確な制御のために機能し得る。操縦機能を可能にするために、別個の管腔を通して供給されるカテーテル(105)の遠位区画に隣接して取り付けられ、ハンドルアセンブリ(123)内側のノブまたは操縦機構(図示せず)に接続され得る操縦用ワイヤ(図示せず)に接続されたノブ(図示せず)があってもよい。ハンドルアセンブリ(123)は、接続アセンブリ(121)または接続アセンブリ(121)の1つまたは複数の接続部分、ならびに他の部分、例えば、互いに対する内側細長シャフト(301)および/または外側細長シャフト(303)の押し/引きによって遠位先端バスケットアセンブリ(401、
図4参照)および/または拡張可能バスケット(409)を展開/格納するグリップ(図示せず)および/または展開機構(図示せず)を、さらに含むことができる。展開機構は、例えば、内側細長シャフト(301)を外側細長シャフト(303)に対して長手方向に作動させるためのアクチュエータを含むことができる。
【0049】
図3Aは、シャフトアセンブリ(201)を有するカテーテル(105)を示す。シャフトアセンブリは、外側細長シャフト(303)および/または内側細長シャフト(301)を備えてもよい。
図3Bに示す断面A-Aにおける例示的なシャフトアセンブリ(201)の断面は、2つの同心管を含むことができ、外側の管が外側細長シャフト(303)であり、内側の管が内側細長シャフト(301)である。シャフトは、長手方向中心軸(203)に沿って長手方向に互いに対して並進することができる。この並進は、例えば、拡張可能バスケット(409)を折り畳まれた構成から完全に拡張された構成に展開/後退させ、元に戻すことを可能にし得る。
【0050】
外側細長シャフトは、近位部分、遠位部分、および近位端と遠位端との間に延在する本体を含むことができる。外側細長シャフトは、その近位部分に隣接するハンドルアセンブリ、およびその遠位部分に隣接するカテーテル遠位先端部に結合され得る。
【0051】
外側細長シャフト(303)の本体は、例えば近位端と遠位端との間でその全長に沿って延びる、1つまたは複数の管腔(309、311)を含むことができる。管腔は、例えば、リードワイヤまたは流体、例えば灌注流体に適合させることができる。管腔の1つまたは複数は、内側細長シャフトの1つまたは複数を受け入れるように構成され得る。外側細長シャフトの本体は、例えば、近位区画(305)および中央区画(307)によってさらに画定することができる。本体の中央区画は、近位区画と比較して可撓性ジャケットを備えて設計され得て、外側細長シャフトの屈曲を可能にし、可撓性を高めることができるようになる。近位区画は、例えば、外側細長シャフトの本体のトルクおよび剛性を高めるために、より剛性の高い材料ジャケットを含む。ジャケットの構築に適した材料には、ナイロン、TPU、HDPEまたはPEBAが含まれるが、これらに限定されない。
【0052】
外側細長シャフトの本体は、導電線を含むことができる。導電線は、外側細長シャフトの中央管腔(309)を通ってもよく、または外側細長シャフトは、いくつかの他の管腔(311)を含んでもよく、したがって、ワイヤのうちの1つまたは複数は、他の管腔(311)のうちの1つまたは複数を通ってもよい。例えば、他の管腔の数は、カテーテル遠位先端部の編組メッシュのフィラメントの数と一致してもよく、例えば、カテーテル遠位先端部の構築に20フィラメントが使用される場合、20個の他の管腔が使用され得る。
【0053】
導電線は、バスケットアセンブリから、例えばハンドルアセンブリに隣接する接続アセンブリまで延在してもよい。
【0054】
いくつかの態様では、内側細長シャフトは、外側細長シャフトに対して長手方向中心軸に沿って摺動するように構成され得る。したがって、管腔の1つまたは複数は、例えば低摩擦ライナ、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ライナを含むことができる。
【0055】
剛性およびトルクは、外側細長シャフトが有するべき重要な特徴であり、したがって外側細長シャフトは、PTFEライナの横方向上方/周囲に、例えば本体の内層の周りに巻き付けられた金属または剛性ポリマーワイヤの編組を含むことができ、いくつかの態様では本体の外側ジャケット内に埋め込まれ、またはポリイミド、ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)または任意の他の適切な材料を含むがこれらに限定されない剛性ポリマーを含むことができる。
【0056】
外側細長シャフトの外層は、継ぎ目のない滑らかで柔らかい表面を設けるように積層ポリマーを含んでもよい。先に述べたように、中央区画および近位区画の最外層は、異なるポリマーから形成されてもよく、例えば、ナイロン材料を近位区画に使用することができ、一方、例えばナイロンと比較してより柔軟なPEBAを、中央区画の最外層に使用することができることに留意されたい。しかし、両方の区画が同じ最内層を有してもよい。外側細長シャフトは、その長さに沿って実質的に一定の外径を有することができる。
【0057】
外側細長シャフトの外径(OD)寸法は、例えば、カテーテルサイズの標準化のために一般的に使用されているフレンチカテーテルスケールに適合し得る。このスケールの直径は、1mm=3FRであるフレンチ(FR)で定義されている。スケールは、通常、3FRカテーテルから34FRカテーテルまでである。例えば、外側細長シャフトの直径は、5FRと20FRの間、または7FR~16FR、または9FR~15FRであってもよい。外側細長シャフトの中心管腔の直径は、約0.1mm~5mm、または1mm~4mm、または2mm~3.5mm、または2.5mm~3mmであり得る。
【0058】
内側細長シャフトは、近位端、遠位端、および近位端と遠位端との間に延在する本体を含むことができる。内側細長シャフトの本体は、例えば内側細長シャフトの近位端と遠位端との間の全長に沿って延びる1つ以上の管腔(313)を含んでもよく、または管腔を有しなくてもよい。内側細長シャフトの1つ以上の管腔(313)は、例えば、標準的なガイドワイヤ(図示せず)を収容するように、および/または流体、例えば灌注流体を導くように設計され得る。1つ以上の管腔(313)の直径は、0.1mm~3mm、または0.5mm~1.5mm、または0.9mm~1mm、または0.94mm~0.99mmであり得る。内側細長シャフトの1つまたは複数は、外側細長シャフトのうちの1つまたは複数の管腔(309、311)に配置するのに適し得る。内側細長シャフトの寸法は、外側細長シャフトの指定された管腔の直径に一致するように選択することができるが、それでもなお2つの構造は、それらの滑らかな相対的な移動を可能にする必要がある。すなわち、内側細長シャフト(301)の外形の寸法は、0.1mm~4.9mm、または0.5mm~3.5mm、または1mm~3mm、または1.28mm~2.8mmとすることができる。
【0059】
内側細長シャフトは、ガイドワイヤをその管腔内に収容するのに適し得るので、内側管腔の低摩擦ライナ、例えばPTFEライナを、使用することができる。
【0060】
上述したように、内側細長シャフトは、バスケットアセンブリ/拡張可能バスケットを展開するために外側細長シャフトに対して並進することができ、したがって、例えば編組ソケットがPTFEライナの長さに沿って織られて、内側細長シャフトの本体を形成する。別の態様は、その可撓性およびトルクを改善するために、内側細長シャフトの本体に、編組の代わりに切断ハイポチューブを含むことができる。
【0061】
編組またはハイポチューブを有する層の側方上方で、ポリマージャケットを溶融/積層して、チューブの柔軟性を高め、継ぎ目のない表面を設けることができる。様々なポリマーをジャケットに使用することができ、例示的な材料は、NYLON、ポリエーテルブロックアミド(PEBA)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)またはポリイミドであってもよい。
【0062】
図4に示す例のカテーテルの遠位先端部(107)は、バスケットアセンブリ(401)をさらに含む。バスケットアセンブリ(401)は、バスケットアセンブリ近位部分(403)と、バスケットアセンブリ遠位部分(405)と、近位部分と遠位部分との間に延在するバスケットアセンブリ本体(407)とを備えることができる。バスケットアセンブリ本体は、バスケットアセンブリ本体の約1/3を占める、近位方向および遠位方向において(その拡張構成のうちの1つにおいて)最大の直径を有する部分においてバスケットアセンブリと交差する平面(425)の周りに広がる中央本体部分(419)を含むことができる。バスケットアセンブリ本体は、中央本体部分(419)から遠位に延びる遠位本体部分(421)と、中央本体部分(419)から近位に延びる近位本体部分(423)とをさらに含むことができ、これらの各々は、バスケットアセンブリ本体(407)の約1/3を占める。
【0063】
バスケットアセンブリ(401)は、拡張可能バスケット(409)を備える。バスケットアセンブリ近位部分(403)は、外側細長シャフト(303)の遠位端に隣接する拡張可能バスケット(409)の近位部分のアタッチメントを含むことができる。バスケットアセンブリ(401)の遠位部分は、端子アセンブリ(411)を形成する内側細長シャフト(301)のうちの1つまたは複数の遠位端に隣接する拡張可能バスケット(409)の遠位部分のアタッチメントを含むことができる。
【0064】
端子アセンブリ(411)は、バスケットアセンブリ遠位部分(405)から遠位方向に突出する構造、例えばキャップまたは同様の形成部なしで、または少なくとも低減された構造で、有利に設計することができる。これは、アブレーションの方法の少なくとも一部を比較的平坦な治療部位で行う必要がある状況で、特に有利である。
【0065】
端子アセンブリの例示的な解決策は、オーバーモールド構造であり得る。フィラメントは、オーバーモールドプロセスによって互いにおよび/または内側細長シャフトの遠位端に固定され、オーバーモールドされた端子アセンブリを形成することができる。オーバーモールドと同様の別の固定手順(および/または端子アセンブリ作製手順)は、例えば傾斜であってもよく、この場合、フィラメントは少なくとも部分的に溶融され、予め整形された金型内に押し込まれ、したがって互いにおよび/または内側細長シャフトに接続される。積層は、端子アセンブリを形成するためにフィラメントをそれらの遠位端に固定する別の例示的なプロセスである。端子アセンブリは、フィラメントの遠位端のスエージ加工またはクリンプ加工によって作製することもできる。フィラメントは、端子アセンブリ領域で一緒にされ、例えば何らかの種類の金属リングによって一緒にスエージ加工またはクリンプ加工され得る。
【0066】
別の例では、端子アセンブリは、
図18に示すようなヒンジ付き機械構造として作製され得る。例えば、1つ以上のフィラメントは、例えば横方向の狭い部分(1803)と、側方の狭い部分(1803)よりも広い遠位部分(1805)とを含む関節要素(1801)に固定された端子アセンブリの領域にあるその遠位端にあってもよい。側方の狭い部分(1803)は、例えば、正方形、長方形、円形、楕円形、または他の適切な断面を有するピンの形態であってもよい。遠位部分(1805)は、例えば、楕円形もしくは円形の形態を有してもよく、または別の例では、ボールもしくは球体の形態を有してもよい。遠位部分(1805)の他の可能な形状は、円筒形、円錐形、立方体、またはブロックであり得る。これは、例えば、関節要素(1801)全体がシート状材料(金属シート、高分子シート)の一片から作製される場合、または作製されない場合(例えば、関節要素が鋳造または鍛造される場合)、側方の狭い部分(1803)と同じ寸法のうちの一方を有することができる。関節要素(1801)は、例えば、金属(例えば、ニチノール)または他の材料、例えばポリマーまたは熱可塑性物質で作られてもよい。多関節要素へのフィラメントの固定は、例えば溶接、接着またはクリンプ加工によって行うことができる。接続部の領域(1807)は、例えば、起こり得る組織損傷を防止し、アセンブリを封止するために、少なくとも部分的に積層され得る。次いで、関節要素は、中央弾丸構造体(1809)内に固定される。これは、例えば、関節要素(1801)の近位部(1803)の収容に適した切断窓(1811)を有する中空構造であってもよい。関節要素の遠位部(1805)は、この場合、中空構造の内側の空洞(1813)に配置される。関節要素の遠位部(1805)は、いくつかの例では、窓(1811)の寸法よりも大きい寸法(断面または幅)を有してもよい。これにより、窓(1811)を通る関節要素(1801)の遠位部(1805)の滑りが防止され、したがって関節要素が保持され、それらと共に、接続部領域(1807)および中央弾丸構造体(1809)に取り付けられたフィラメントの遠位部が保持される。中央弾丸構造体(1809)は、互いに接続されたいくつかの部分を(例えば、溶接、接着、またはスナップ、ねじ切り、ねじ、ボルト...などの他の機械的手段によって)含むことができる。これはまた、異なる外形、例えば円筒形、球形または楕円形を有してもよい。空洞(1813)の形状は、外形に対応していてもよいし、異なっていてもよい。中央弾丸構造体は、内側細長シャフトの遠位端を中央弾丸構造体に固定するための固定部(1815)を含むことができる。固定部(1815)は、例えば、中央弾丸構造体に接続された中空管の形状を有することができる。固定部は、内側細長シャフトの遠位部の収容および/または接続に適しており、流体、例えば内側細長シャフトの管腔から出てくる灌注流体の流れおよび/または方向転換を可能にすることができる。固定部は、空洞(1813)と干渉してもよく、または機械的および/または流体的に接続され得る。これは、例えば
図19に示されるような開口(1901)によって、灌注流体の少なくとも一部を中央弾丸構造体の空洞内に導くように適合され得る。
【0067】
上述のようなかようなヒンジ機械構造体は、端子アセンブリの領域におけるフィラメントの(カテーテルの長手方向中心軸に関する)より容易な半径方向の移動を可能にすることができ、これは、拡張可能バスケットを用いた操作中、特に折り畳まれた構成と1つまたは複数の拡張された構成との間の移行(展開/後退)で有利であり得る。
【0068】
金属部品が端子アセンブリの設計に使用される場合、それらは、例えば、アブレーションまたは感知もしくはマッピングまたはそれらの組み合わせのための電極として使用され得る。
【0069】
拡張可能バスケットは、例えば接着、溶接、積層によって、または機械的手段によって、内側細長シャフトおよび/または外側細長シャフトに取り付けられてもよい。
【0070】
拡張可能バスケット(409)は、例えば、
図5に示す折り畳まれた構成と、1つまたは複数の拡張された構成との間の移行(展開/後退)のために構成される。移行(展開/後退)は、編組メッシュ(413)および/またはフィラメント(415)のプレテンションの形状によって、および/またはカテーテル(105)の長手方向中心軸(203)に沿った外側細長シャフト(303)に対する内側細長シャフト(301)の直線変位によって、またはそれらの組み合わせによって引き起こされ得る。拡張可能バスケット(409)の展開/収縮の別の可能性は、追加の支持構造、例えば内側コイルまたはバルーン(図示せず)の張力によるものであり得る。
【0071】
拡張可能バスケットは、メッシュに編まれたフィラメントを含む。折り畳まれた構成では、拡張可能バスケットの断面は、外側細長シャフトの断面に等しいかまたは寸法について近いものであり得るが、一態様では、拡張可能バスケットの断面は、外側細長シャフトの断面より小さくてもよく、外側細長シャフトの寸法に依存し得る。拡張構成では、拡張可能バスケットの断面は、外側細長シャフトの断面よりも著しく大きくてもよい。完全に拡張した拡張可能バスケットは、例えば、20mm~40mm、または22mm~38mm、または25mm~35mmの最大の断面の直径を有することができる。完全に拡張された拡張可能バスケットのそのような寸法は、例えば、心臓の腔部に配置するのに適し得る。より大きな体腔の場合、例えば、拡張可能バスケットは、より大きな寸法、例えば、30mm~150mm、または40mm~120mm、または50mm~100mmを有することができる。他の状況では、より小さい寸法を有する完全に拡張された拡張可能バスケットが、より小さい体腔に適し得る。そのようなより小さい拡張可能バスケットは、完全に拡張した状態で、例えば3mm~25mm、または5mm~15mm、または7mm~10mmの寸法を有することができる。
【0072】
いくつかの態様では、編組メッシュ(413)に編組されたフィラメント(415)が拡張可能バスケット(409)の遠位部分に隣接して切断されるのではなく、むしろフィラメント(415)は、遠位部分で屈曲され、内側細長シャフトの遠位部分に隣接して取り付けられて、端子アセンブリを形成することができる。次いで、屈曲フィラメントは、拡張可能バスケット(409)または外側細長シャフトに向けて戻されてもよく、そこでそれらを終了させることができる。
図6Aは、その遠位部分(603)に屈曲フィラメントを有する拡張可能バスケット(409)をより詳細に示す。
【0073】
編組されたメッシュから作られた拡張可能バスケットは、比較的薄いフィラメントを使用しながらも拡張可能バスケットがより高い機械的安定性を有するという点で、編組されていないストラットを有する従来技術の解決策を超える利点を有する。構造内のフィラメントが多いことはまた、より多くの電極を使用することを可能にし得る。フィラメントに配置された電極はまた、より最適に分布させることができ、これは、例えば、それらを互いに近づけて配置することができ、または拡張可能バスケットに望ましいパターンを作製することができることを意味する。編組メッシュで作られた拡張可能バスケットの別の利点は構造体のより高い機械的安定性であり、電極間の安定した予測可能な距離を保証することができる。
【0074】
編組メッシュは熱処理されてもよく、フィラメントの変形およびそのような変形の固定を確実にすることができる。そのような変形したフィラメントは、そのとき、バスケットアセンブリ(拡張可能バスケット)の拡張および崩壊の間に、フィラメントの交点(フィラメントが互いに交差する点)が、フィラメントの長さに関して比較的安定したままであることを保証する。これは、フィラメントの交差点が、バスケットアセンブリ(拡張可能バスケット)の折り畳まれた状態および全拡張状態において、比較的同じであるフィラメントの長い距離にとどまることを意味する。変化しているのは、交差点を形成する特定のフィラメントの相互の角度(例えば、約2度から178度まで、またはその逆)である。交差点の何らかの種類の小さな長手方向の動きは、このプロセスによって完全には回避され得ないが、編組メッシュの寸法および/または機械的安定性を損なわない限界にある。次いで、この特徴は、例えば、フィラメントの交差点に電極を配置することを可能にし得、および/または電極の安定した予測可能な所望の相互の位置および/またはそれらの相互の距離を確実にすることができる。
【0075】
編組メッシュから作られた拡張可能バスケットのさらなる構造的安定性は、例えば、特定のフィラメント(編組メッシュに含まれる)を一緒に接合することによって、達成することができる。フィラメントは、例えば、相互の交差点で互いに接合され得る。例示的な解決策は、
図20に見ることができる。接合部(2001)は、固定されていてもよく(接合点におけるフィラメントのいずれの相互運動をも許容しない)、または相互作用していてもよい(接合点におけるフィラメントの何らかの種類の相互運動が可能である)。接合は、例えば、接着、溶接、積層、接着、結束(例えば、何らかの種類の紐で)または溶融によって達成され得る。別の選択肢は、例えばリング構造またはクリンプ加工によってフィラメントを一緒に結束することであり得る。リング構造が導電性材料(例えば、金属)から作製される場合、それは電極としても機能することができる。クリンプ加工についても同様である。金属コネクタは、電極としても機能し得る。
【0076】
編組メッシュ内の特定のメッシュは、均一なサイズを有する必要はなく、反対に、特定のメッシュのサイズは異なり得る。サイズは、例えば、拡張可能バスケットの遠位部分および近位部分(最小であってもよい)から、最大であってもよい拡張可能バスケットの中間部分に向かう方向に、増加し得る。言い換えれば、バスケットアセンブリの中央本体部分のメッシュの寸法は、バスケットアセンブリの近位および遠位本体部分のメッシュの寸法よりも大きくてもよい。寸法は、例えば、線形または指数関数的に増加し得る。近位本体部分および遠位本体部分のメッシュの周囲は、例えば1mm~40mmの間であってもよく、一方で中央本体部分のメッシュの周囲は、例えば5mm~80mmの間であってもよい。拡張可能バスケットの完全な編組メッシュを形成するメッシュの列数は、4から40の間であってもよい。
【0077】
編組メッシュ、したがって拡張可能バスケットを形成する2つ以上のフィラメントは、
図21に概略的に示すように、それらの近位端および/または遠位端で一緒に併合または接合されて、拡張可能バスケットの近位部分および/または遠位部分に併合構造(2101)を形成することができる。そのような解決策は、拡張可能バスケットの近位部分および/または遠位部分におけるフィラメントの数を減らすことができる。外側細長シャフトの遠位端に隣接する拡張可能バスケットの近位部分、および/または端子アセンブリを含むことができるバスケットアセンブリの遠位部分のアタッチメントを含むことができるバスケットアセンブリ近位部分のような関連構造に入るフィラメントの数を減らすことは、それらの構造、したがってバスケットアセンブリ全体の複雑さを低減し、および/または機械的安定性を高めることができる。フィラメント数が減少した構造の部材の数が減少するため、アブレーション手順のリスクを低減するのに役立つことさえある。フィラメントの長さに関して、フィラメントの近位または遠位部の併合構造は、拡張可能バスケットに含まれるフィラメントの全長の1%~30%、または3%~20%、または5%~15%を占めることができる。前述のように、フィラメントは、フィラメントの遠位端もしくは近位端、またはその両方で併合され得る。フィラメントが両端で併合する場合、その併合している長さは両端で同じであってもよいし、それらは異なっていてもよい。折り畳まれた構成の拡張可能バスケットの長さに対して、バスケットの近位端または遠位端のいずれかのフィラメントの併合部分は、折り畳まれたバスケットの長さの1%~35%または4%~25%または6%~20%を占めることができる。フィラメントは、例えば、接着、溶接、積層、接着、結束または溶融によって併合され得る。別の選択肢は、例えば、ある種の管状構造体によって、またはクリンプ加工によってフィラメントを一緒に接合することであり得る。管状構造体は、例えば、金属もしくはポリマーで作られたチューブ、または管腔を有する熱可塑性チューブであってもよい。この場合、フィラメントの端部は、チューブの管腔に通され、そこに固定され(例えば、接着、溶接、積層、接着、結束、溶融またはスエージ加工によって)、したがって互いに接合される。別の選択肢は、金属またはポリマーまたは熱可塑性樹脂で作られたマルチルーメンチューブの使用であり得、接合される各フィラメントの各端部は、マルチルーメンチューブの別個の(それ自体の)管腔に通され、そこに固定され(例えば、接着、溶接、積層、接着、結束、溶融またはスエージ加工によって)、したがって一体に接合される。
【0078】
編組メッシュのフィラメントの直径は、0.2mm~1mm、または0.4mm~0.8mm、または0.5mm~0.7mmであってもよい。拡張可能バスケットを形成する編組メッシュに編組されたフィラメントの数は、5~150または10~60または15~50または16~32まで変化し得る。
【0079】
フィラメントは、電気絶縁性の非導電性材料、例えばナイロン、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリエチレン(PE)、PEBA、PEEK、ポリイミド(PI)、ポリプロピレン(PP)、PTFE、ポリウレタン(PU)、ポリエチレンテレフタレート(PET)または例えばシリコンのようなポリマーまたは熱可塑性エラストマーから作られてもよい。材料は、例えばガラス繊維によってさらに強化され得る。フィラメントの断面は円形であってもよく、あるいは、例えば、楕円形、円形、半円形、長方形、正方形、平坦、または星形であるがこれらに限定されない他の断面形状が可能である。フィラメント(415)は、例えば、
図6Bに見られるように、管腔(601)を有する少なくとも部分的に中空の構造を有する管から形成され得る。フィラメント(415)の一部または全部は、その全長に沿って中空であってもよく、または例えば、管腔(601)は、1つまたは複数のフィラメント(415)の長さの一部にのみ存在してもよい。別の態様は、管腔(601)を含むフィラメント(415)の第1のサブセットと、管腔を有しないフィラメント(415)の別のサブセットとを含む編組メッシュ(413)を含んでもよく、またはフィラメントのすべてが管腔を有しなくてもよい。
【0080】
フィラメントの機械的安定性を高めるためのさらなる選択肢がある。多層壁の使用は、それらのうちの1つであり得る。フィラメントの壁は、例えば、2つ以上の材料層を含むことができる。異なる特性の材料を使用することができ、組み合わせて、より機械的に安定した壁、したがってより機械的に安定したフィラメントをもたらすことができる。そのような組み合わせは、例えばナイロン、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリエチレン(PE)、PEBA、PEEK、ポリイミド(PI)、ポリプロピレン(PP)、PTFE、ポリウレタン(PU)、ポリエチレンテレフタレート(PET)または例えばシリコンからのポリマーまたは熱可塑性樹脂の群からの異なる材料からそれぞれ作製された層を使用することができる。別の可能な選択肢は、同じ種類の材料からの層の使用であり得るが、各層について異なる特性を有する材料の異なるサブグループであり得る。特定の層に使用される材料は、例えばガラス繊維によってさらに強化され得る。
【0081】
別の態様では、フィラメントは、例えば、機械的支持体をフィラメントの管腔に挿入することによって、さらに機械的に補強され得る。そのような機械的支持体は、例えば、フィラメント管腔に配置されたストラットの形態であってもよい。ストラットは、フィラメント全長の内部に、またはフィラメントがその全長に管腔を有しない場合にはフィラメントの管腔の全長の内部に配置され得る。別の可能な選択肢は、ストラットを管腔の全長の一部のみに配置し、したがってフィラメントの一部をストラットで補強し、別の部分をストラット補強なしで残すことである。ストラットは、例えば、ニチノールで作られてもよく、例えば、電気絶縁層、例えば、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)またはPTFEで作られてもよい。ストラットに適した他の可能な材料は、例えばナイロン、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリエチレン(PE)、PEBA、PEEK、ポリイミド(PI)、ポリプロピレン(PP)、PTFE、ポリウレタン(PU)、ポリエチレンテレフタレート(PET)または例えばシリコンからのポリマーまたは熱可塑性樹脂であってもよい。
【0082】
フィラメントのさらなる補強に適したさらに別の選択肢は、接着剤または溶融ポリマーまたは熱可塑性材料によってフィラメントの管腔の少なくとも一部を充填することである。
【0083】
次いで、編組メッシュは、メッシュに含まれるフィラメントのすべてが強化され得るか、またはメッシュに含まれるフィラメントの一部のみが強化材を含み、フィラメントの別の部分は強化材を含まなくてもよいように構成され得る。
【0084】
編組メッシュを形成するフィラメントの少なくとも1つは、フィラメントの構造がフィラメントの残りの部分よりも局所的に機械的に弱い少なくとも1つの場所を含むことができる。そのような場所は、
図21に概略的に示す、いわゆるリビングヒンジ(2103)を形成することができる。リビングヒンジは、編組メッシュに含まれ、したがって拡張可能バスケットに含まれるフィラメントがより容易に曲がり、フィラメントの屈曲部がそのようなリビングヒンジのないフィラメントと比較してより小さい半径(または直接的なキンク)を形成する、多かれ少なかれ正確な場所を画定するのに有用であり得る。これは、展開位置の少なくとも1つにおいて展開された拡張可能バスケットのより予測可能な形状を定義するのにさらに役立ち得る。フィラメントにそのようなリビングヒンジを確立することは、フィラメントの一部の薄肉化または切断を含むことができる。薄肉化は、例えば、フィラメントの特定の場所の圧搾または熱成形によって行うことができる。薄肉化は、フィラメントの全周にわたって、または部分的にのみ行われてもよい。このように形成されたヒンジは、フィラメントが他の方向と比較して曲がりやすい特定の方向を画定し得るので、部分的に非対称に薄くすることが有利であり得る。拡張可能バスケットの一例では、フィラメントに形成されたリビングヒンジは、フィラメント、したがって編組メッシュを、例えばカテーテルの長手方向中心軸から半径方向に容易に曲げることを可能にすることができる。例えば、バスケットアセンブリ本体の遠位本体部分(421)または端子アセンブリの領域においてフィラメントにより小さい半径またはねじれを作り出すリビングヒンジは、バスケットの遠位部(遠位本体部分の領域)の少なくとも一部がバスケットの近位部(近位本体部分の領域)と比較してより大きい角度(細長い軸から半径方向)を形成することができるように、(その拡張構成のうちの1つにおいて)最大直径を有する部分においてバスケットアセンブリと交差する平面から遠位に位置する領域における拡張可能バスケット(バスケットアセンブリ本体)の整形に役立つことができる。極端な場合には、バスケットの遠位部(遠位本体部分の領域)は、90°以上(細長い軸から半径方向に)の角度を形成して、電極を含む拡張可能バスケットの少なくとも一部が長手方向にカテーテルの最遠位部になり、いずれかの他の部分(例えば、端子アセンブリ)がより遠位に突出することなく拡張状態を達成することができる。そのような構成は、例えば、比較的平坦な治療部位のアブレーションにおいて有利であり得る。
【0085】
前段落で説明したような少なくとも1つのリビングヒンジは、編組メッシュの少なくとも一部に含まれてもよく、フィラメントは(併合構造で)一緒に併合される。この場合、リビングヒンジは、併合構造上の場所であり、併合構造の残りの部分よりも局所的に機械的に弱く、例えば併合後に併合構造を薄くするか切断することによって作製され得る。特に併合構造がポリマー管を含み、フィラメントが管の管腔または多管腔管の複数の管腔に併合される場合、併合構造にリビングヒンジを確立する別の選択肢は、フィラメントを挿入する前にポリマー管を予め薄くするかまたは予め切断することである。チューブのそのような事前薄肉化は、例えば圧搾、熱成形、または成形、例えば射出成形によって行うことができる。
【0086】
リビングヒンジは、バスケットアセンブリ本体の遠位本体部分、中央本体部分、および/または近位本体部分の領域に形成することができる。それらは、例えば、それらが近位本体部分の領域にある場合、折り畳まれたバスケットの長さの0%~20%または0%~15%または0%~10%の近位領域に配置され得る。それらは、遠位本体部分の領域にある場合、折り畳まれたバスケットの長さの0%~20%または0%~15%または0%~10%の遠位領域に配置され得る。それらは、端子アセンブリの一部であってもよい。ヒンジが中央本体部分に配置される場合、ヒンジは、バスケットアセンブリと交差する平面上で、この平面からまたは折り畳まれたバスケットの中心から遠位に、最大直径または-20%~+20%または-10%~+10%または-5%~+5%の部分に配置され得る。
【0087】
拡張可能バスケットは、1つまたは複数の電極または一組の電極を含むことができる。電極は、組織をアブレーションするための電場を発生させること、または電気信号もしくは他の信号、例えば組織マッピング、ECGモニタリング、インピーダンス測定および/または組織との接触の検出のための信号を取得または送信することのうちの少なくとも1つのために構成することができる。電極の別の機能は、X線のマーカとしての役割を果たし得る。電極は、拡張可能バスケットの特定のフィラメントに結合され得る。電極は、フィラメントのそれぞれに、またはフィラメントの一部のみに配置することができる。電極を含む各フィラメントは、1つまたは複数の電極、例えば1から15、または1から10、または1から6、または1から3個の電極を含むことができる。電極は、1つのタイプまたは異なるタイプであってもよい。拡張可能バスケット上に配置された電極の総数は、1から200、または5から100、または10から50、または15から40、または20から35であってもよい。拡張可能バスケットの完全に拡張した構成における電極間の空間距離は、0.1mm~15mm、または0.5mm~10mm、または1mm~6mm、または2mm~4mmであり得る。
【0088】
例では、電極は、フィラメントが互いに交差する領域(フィラメント交差点)に配置され得る。そのような位置は、拡張可能バスケットの異なる構成中に電極間のより安定した距離を維持する能力のために有利であり得、そのような構成はまた、特に拡張可能バスケットが完全に拡張された構成にない場合に、電極間の望ましくない接触を有利に防止することができる。
【0089】
各フィラメントはまた、1つのタイプまたは異なるタイプの電極を含んでもよく、または異なるフィラメントは異なるタイプの電極を収容することができる。異なる種類の電極は、異なる機能を有する電極、例えばアブレーション電極、測定電極など、または例えば異なる形状、サイズ、設計、材料などを有する物理的に異なる電極、または異なる機能性および物理的特性を有する種類の電極の組み合わせとして理解され得る。例えば、フィラメントに配置されたリング状電極を有する構成では、全電極は同じ直径を有してもよく、長さが異なっていてもよく、そのため、例えば2つ以上のそのような電極の群が存在してもよく、各グループは異なる長さを有する。各群の電極の数は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。極端な例では、拡張可能バスケットの各電極は異なる長さを有してもよい。リング状電極を有する構成では、そのような電極は、0.2mm~3mm、または0.4mm~2mm、または0.5mm~1mmの直径を有することができ、0.1mm~10mm、または0.2mm~8mm、または0.3mm~6mm、または0.4mm~4mmの長さを有することができる。
【0090】
一例では、例えば0.3mm~3mmの長さを有する5個~20個のより短い電極の第1の群と、例えば0.6mm~4mmの長さを有する、より長くてもよい5個~30個の電極の第2の群とが存在してもよい。有利には、第1の群からの電極は、少なくとも1つのタイプの測定、例えば、心内ECG(EGM)の測定、またはアブレーションのために使用されてもよく、第2の群からの電極は、アブレーションのために、独立して、または第1の群からの電極と組み合わせて使用され得る。
【0091】
電極は、バスケットアセンブリの本体に配置することができる。例えば、電極は、中央または遠位本体部分に配置されてもよく、場合によっては、電極は、近位本体部分にさえ配置され得る。他の電極は、外側細長シャフト、内側細長シャフト、カテーテル遠位先端部または端子アセンブリの表面または内部に配置され得る。電極が細長いシャフト、遠位先端部または端子アセンブリ上に配置され、リング状電極が使用される構成では、それらは0.2mm~10mm、または0.5mm~8mm、または1mm~6mm、または2mm~5mmの直径を有することができ、0.1mm~20mm、または0.2mm~15mm、または0.3mm~12mm、または0.4mm~10mmの長さを有することができる。
【0092】
拡張可能バスケットの電極のレイアウトは、拡張可能バスケットが拡張位置にある間、連続的な、例えば円形のアブレーション領域を保証することができ、パターンを作製することができる。
【0093】
例えば、拡張可能バスケットの電極のレイアウトは、拡張可能バスケットが完全に折り畳まれた位置と完全に拡張された位置との間の様々な拡張位置に保持されている間であっても、連続的な円形アブレーション領域を確実にすることができ、パターンも作製することができる。
【0094】
追加の電極、例えば、外側細長シャフト、内側細長シャフト、カテーテル遠位先端部または端子アセンブリの表面または内部に配置されたものは、パターンの一部であってもよく、または他の電極とは独立して操作され得る。例えば、カテーテルの遠位先端部または端子アセンブリの領域の電極は、点状アブレーションに使用することができる。遠位先端部または端子アセンブリの領域に特別な専用電極があってもよく、または例えば端子アセンブリの金属部品が電極として機能してもよく、またはそれらの組み合わせが可能であってもよい。
【0095】
電極(109)によって生成されるパターン(701)は、例えば、少なくとも
図7Aに見られるように拡張可能バスケット(409)がその拡張構成のうちの1つにあるとき、長手方向中心軸(203)の周りの空間の円形パターンであってもよい。電極(109)によって生成される他の二次元または三次元パターンも可能である。パターン(701)は、長手方向中心軸(203)の周りに中心付けられてもよいし、中心付けられなくてもよい。パターン(701)は、円形、楕円形、正方形、長方形、多角形、平面などを含むがこれらに限定されない異なる形状を有してもよく、または拡張可能バスケットの電極(109)の配置は不規則であってもよい。例えば、1つの平面に1つのパターン(701)が存在してもよく、1つの平面により多いパターン(701)が存在してもよく、異なる平面により多いパターン(701)が存在してもよい。
【0096】
電極によって生成されたパターンは、
図7Bに示すように、バスケットアセンブリ本体、特に遠位本体部分、中央本体部分または近位本体部分に配置することができる。パターンは、これらの部分のうちの2つ以上に延在してもよい。例えば、バスケットアセンブリから遠位に配置された平坦な治療部位の治療のために、電極のパターンは、バスケットアセンブリの遠位部分に有利に配置され得る。特に、パターンは、バスケットアセンブリの、(拡張構成のうちの1つにおいて)最大直径を有する部分においてバスケットアセンブリと交差する平面(425)の中心において中心軸(203)に対して0°から90°の角度(703)をなす領域によって囲まれたバスケットアセンブリの部分に配置され得る。いくつかの構成では、パターンは、バスケットアセンブリ本体の遠位部分に部分的に配置され、バスケットアセンブリ本体の中央部分に部分的に配置され得る。いくつかの構成では、パターンは、平面(425)の中心において中心軸(203)に対して0°から120°の角度(705)をなす領域によって囲まれたバスケットアセンブリのセクションに配置され得る。このようなパターンの配置は、血管の開口、例えば肺静脈口の治療に特に有利であり得る。治療部位が管状形状を有する状況では、パターンは、バスケットアセンブリの中間部分、特に平面(425)の中心において中心軸(203)に対して45°~135°の角度(707)をなす領域によって境界付けられたバスケットアセンブリの部分に配置され得る。平坦な治療部位がバスケットアセンブリ、例えば隔壁から近位に配置される場合、電極のパターンは、バスケットアセンブリの近位本体部分に、または部分的に近位本体部分に、および部分的に中央本体部分に、特に平面(425)の中心において中心軸(203)に対して90°~180°の角度(709)をなす領域によって境界付けられたバスケットアセンブリの部分に配置され得る。任意選択で、電極をバスケットアセンブリのすべての部分に配置することができ、したがって、すべての部分にパターンを作製し、特定の治療を実行するために必要または最適なパターンのみを選択して治療を実行することができる。
【0097】
特定のパターンは、拡張可能バスケットに配置されたすべての電極によって、または電極の一部のみによって作製され得る。パターンは、拡張可能バスケットの完全に折り畳まれた位置と完全に拡張された位置との間の様々な拡張された位置に、異なる数の電極を有することができる。パターン内の隣接する電極は、例えば0.1mm~15mm、または0.5mm~10mm、または1mm~6mmまたは2mm~4mmの互いの間の距離を有することができる。
【0098】
電極は、例えば、導電線によってパルス発生器に電気的に接続される。電極は、パルス場アブレーション装置の他のユニットまたは部分、ならびに例えばマッピング装置、EP表示装置、ペーシング装置、ECG記録装置、カテーテル信号相互接続回路、ECGトリガ回路、電気制御回路、GUIユニットまたは遠隔制御ユニットに電気的または通信可能に接続され得る。前述のリング状電極とは別に、電極は、多くの異なる形状、例えば、フィラメントの周りに通された管、コイル状金属シート、正方形および/または長方形、またはフィラメントに取り付けられた導電性材料の他の形状のいずれかを有することができる。電極(109)の他の可能な形態は、
図8に示すように、編組メッシュ(413)のフィラメント(415)の交点で接触しないように、フィラメント(415)の一部の表面に沿って引き出された細長い連続電極であってもよい。電極(109)は、任意の手段、例えば、機械的取り付け、スエギング、クリンプ加工、接着、積層、堆積および/またははんだ付けによって、拡張可能バスケットの特定のフィラメント(415)に取り付けられてもよい。電極は、任意の導電性材料、例えば、銅、金、鋼、チタン、白金、白金-イリジウムなどから作製され得る。導電性材料から作られた少なくとも1つのフィラメントがある場合、それは電極としても機能することができる。導電性フィラメント全体が絶縁されていない場合、フィラメント全体が電極として機能してもよく、フィラメントが例えば部分的に電気的に絶縁されている場合、裸の絶縁されていない部分が電極として機能してもよい。
【0099】
導電線は、電極とパルス発生器との間の電気的接続を提供することができる。導電線は、バスケットアセンブリ(401)の構造の一部であってもよい。例えば、導電線(417)は、
図6Cまたは
図9に示すように、フィラメント(415)の管腔(601)に少なくとも部分的に配置され得る。電極の各々に結合された1つまたは複数の導電線(417)が存在することができ、あるいは1つまたは複数の電極を単一の引き出しワイヤに結合することができる。導電線(417)は、シャフトアセンブリの壁の一方、例えば外側細長シャフトの壁に組み込むことができる。導電線はまた、外側細長シャフトの中央管腔に配置することができ、または導電線の配置に適した外側細長シャフトに別個の管腔が存在することができる。導電線は、電極に隣接して終端されてもよく、または電極を越えてフィラメントの長さに沿って空間的にさらに延びてもよい。導電線は、例えば、バスケットアセンブリのフィラメントの全長に沿って配置され得る。任意選択的に、導電線(417)のいくつかは、電極に隣接して終端することができ、他のものは、電極を越えてフィラメントに沿って空間的にさらに導くことができ、またはバスケットアセンブリのフィラメントの全長に沿って配置することができる。
【0100】
導電線がフィラメントの全長に沿って配置される場合、フィラメントが切断されるのではなく、拡張可能バスケットの遠位端で屈曲されて拡張可能バスケットに戻される拡張可能バスケットの設計解決策が特に有利である。特定の導電線は、電極とパルス発生器との間で電気パルスを搬送するように構成されているため、切断されたフィラメントと内側の導電線との絶縁は、端子アセンブリにおいて極めて困難である。一方、内部に導線を有する屈曲フィラメントを備える例では、端子アセンブリの絶縁を容易に保証することができる。
【0101】
導電線に使用される材料は、任意の導電性材料、例えば銅、ステンレス鋼、鋼、ニチノール、アルミニウム、金、白金、銀などであってもよい。導線は、絶縁されていてもよいし、絶縁されていなくてもよい。ワイヤは、任意の適切な材料、例えばポリイミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル(PVC)、ゴム、ゴム様ポリマー、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、シリコーン、ガラス繊維、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの異なるフルオロポリマーを使用して絶縁され得る。ワイヤは、単一の導体または導体群で作られてもよいが、導体群で作られたワイヤは、「ケーブル」と呼ばれることがある。ワイヤが絶縁されている場合、ワイヤ絶縁体の最小絶縁破壊電圧は、少なくとも100V、または500V、または1000V、または4000V、または10000Vであるべきである。絶縁体を有するワイヤの直径は、例えばフィラメントなどの装置の他の構造の寸法、および故障のリスクなしに保持することができなければならない最小電圧によって制限され得る。絶縁の有無にかかわらず、ワイヤの典型的な直径は、0.05mmから0.7mmの間、または0.07mmから0.5mmの間、または0.1mmから0.3mmの間、または0.11mmから0.2mmの間、または0.12mmから0.18mmの間であり得る。
【0102】
中空フィラメント内の1つまたは複数の導電線で説明したような電気絶縁材料から編組メッシュを構築することは、パルス電場によるパルス場アブレーションの原理に基づくアブレーションシステムに特に有利であり得る。さらに説明するように、パルス場アブレーション方法は、電極の周りに発生する電場を必要とする。場を発生させるために、電気パルスは、電極とパルス発生器との間の特定の導電線によって搬送されなければならない。フィラメントが非導電性であり、本明細書に記載のように導電線がフィラメントの内側に保持される場合、導電線によって搬送される数kV、例えば1kV~10kVの電圧レベルでも、特定の導電線の電気絶縁を確保することができる。しかしながら、導電性材料(例えば、ニチノール、銅、ステンレス鋼、鋼、アルミニウム、金、白金または銀)から作られた少なくとも1つ以上のフィラメントを有する編組メッシュの選択肢も可能であり得る。そのような導電性フィラメントは、絶縁されていてもいなくてもよく、または部分的にのみであってもよい。それらは、おそらく電流を導く可能性があるだけでなく、(絶縁されていないかまたは部分的にのみ絶縁されている場合)電極として、および/または編組メッシュ、したがって拡張可能バスケットのさらなる機械的支持体として作用することができる。
【0103】
ポリマーまたは熱可塑性エラストマーフィラメントで作られた編組メッシュの別の利点は、例えば金属編組メッシュと比較して製造が容易であることである。編組メッシュは、例えば、三次元マンドレル装置を用いて作製することができる。メッシュを形成する特定のフィラメントは、マンドレル上に所望のパターンで配置することができる。フィラメントは、導電線を既に含んでいてもよい。次いで、構造全体を、例えばフィラメントの材料の融点付近で加熱することができ、その後、構造を急速に冷却することができる。熱可塑性エラストマーまたはポリマーで作られたフィラメントは、一般に、ほとんどの金属よりも融点に達するためにより低い温度を必要とするため、製造プロセスはより速く、より効率的であり得、要求するエネルギー入力がより少なくなり得る。そのような製造プロセスの別の利点は、ワイヤの電気的特性が損なわれる可能性がある程度まで、導線を極端な温度に加熱する必要がないことである。この状況は、例えば、編組メッシュが金属ワイヤで作られ、メッシュワイヤが導電線としても機能する場合に起こり得る。
【0104】
導電線が挿入された編組メッシュは、外側細長シャフトおよび内側細長シャフトに取り付けられて、拡張可能バスケットおよびバスケットアセンブリの一部を形成することができる。電極は、編組メッシュを細長いシャフトに取り付ける前または後に、編組メッシュの特定のフィラメントに取り付けることができる。パルス発生器は、カテーテル電極のための電気信号の発生をもたらす部分である。パルス発生器は、例えば、起動中の振幅、電気パルスの形状および/またはパルス数の設定を可能にすることができる。パルス発生器は、同様に、電力を測定するために電気波形を診断することもできる。パルス発生器は、ECG装置またはアブレーションシステムもしくは装置の別の部分との同期動作を可能にすることができる。
【0105】
さらに、記載されたパルス場アブレーション装置を用いたアブレーションの方法が開示される。
【0106】
一方法は、血管を介して患者の治療部位、例えば心腔に隣接してカテーテル(105)を配置するステップを含む。カテーテル(105)は、患者の血管内に経皮的に挿入され得る。
【0107】
他の支持構造および/または装置を使用して、カテーテルの遠位先端部をその所望の位置にナビゲートするのを助けることができる。そのような装置の例には、ガイドワイヤまたはシースが含まれる。カテーテル遠位先端部は、例えばシースを介して、折り畳まれた状態で治療部位の近位に送達され得る。折り畳まれた状態では、カテーテル遠位先端部におけるバスケットアセンブリの直径は、カテーテルの外側細長シャフトの直径よりも小さいか、またはほぼ同等であってもよい。そのような構成は、治療部位の近位にあるカテーテル遠位先端部の容易なアクセスを可能にする。
【0108】
治療部位は、例えば体内、例えば心臓の内部または表面、例えば心臓腔部の内部、特に例えば心臓の左心房の内部に位置してもよい。治療部位は、例えば、肺静脈口を含み得る。治療部位の他の位置は、例えば、体内のすべての管状組織、器官または血管、または例えば腫瘍部位であり得る。
【0109】
カテーテル遠位先端部が治療部位に送達されると、カテーテルのバスケットアセンブリは、折り畳まれたまたは半折り畳まれた構成から拡張された構成の1つに展開される。この展開は、編組メッシュまたはそのフィラメントのプレテンションの形状によって、またはカテーテルの長手方向中心軸に沿った外側細長シャフトに対する内側細長シャフトの線形変位によって、追加の支持構造、例えば内側コイルまたはバルーン(図示せず)の張力によって、またはそれらの組み合わせによって引き起こされ得る。
【0110】
次いで、カテーテル遠位先端部(107)は、例えばバスケットアセンブリ(401)の少なくとも一部など、治療部位(1001)の標的組織に隣接して配置されてもよく、および/または拡張可能バスケット(409)の一部は、治療部位(1001)と接触する。この位置では、バスケットアセンブリ(401)に配置された一組の電極(109)の少なくとも一部は、治療部位(1001)の組織と接触してもよい。例示的な位置の概略図を
図10に見ることができる。端子アセンブリ(411)は、遠位に突出する構造のない平坦な設計によって、電極と治療部位との接触を改善することができる。バスケットアセンブリ(401)、特にバスケットアセンブリ遠位部分(405)に遠位に突出する構成がない場合、治療部位が比較的平坦な状況であっても、電極を治療部位と接触させることがより容易である。
【0111】
治療部位に隣接してカテーテル遠位先端部を配置した後、カテーテルを用いてまたは用いずに任意の測定ステップを実行することができる。例えば、治療部位またはその周囲の組織の種類または質の診断、カテーテル遠位先端部の空間的位置、特に例えば治療部位に対するカテーテル遠位先端部の空間的位置、カテーテル遠位先端部および/または特定の電極と治療部位の標的組織との接触を目的として、または電極に隣接する組織の電気生理学的プロセスを理解する目的で、様々な種類の測定を行うことができる。例えば、電極は、標的組織との接触の測定にも使用することができ、拡張可能バスケット、例えば編組メッシュのフィラメントに配置することができる。測定電極は、アブレーション電極とは異なる電極であってもよいし、アブレーション電極を測定に使用してもよい。別個の測定電極を、1つのカテーテル遠位先端部に測定機能を有するアブレーション電極と組み合わせることも、可能である。測定ステップを実行するために、別個の測定装置、例えば別個の測定カテーテル(図示せず)、ECGトリガ回路を含むECG装置、ECG記録装置、ECG電極、心内ECG(EGM)、心内エコー装置、食道温度測定装置、蛍光透視装置、RTG装置、MR装置などを使用することができる。測定ステップは、1回実行されてもよく、アブレーション手順中に数回繰り返され得る。
【0112】
治療部位(1001)の標的組織のアブレーションは、例えば、適切なパラメータのパルス電場によって引き起こされるパルス場アブレーションの原理を使用する。本明細書では「電場」または「パルス電場」という用語が言及されているが、本明細書で企図される電場は、磁気成分をさらに含んでもよい。
【0113】
バスケットアセンブリの展開、測定、およびアブレーションの手順は、いくつかの段階で実行することができる。例えば、拡張可能バスケットは、完全に折り畳まれた構成で治療部位に隣接して送達され得る。送達後、第1の拡張構成に展開することができる。例えば、編組メッシュおよび/またはフィラメントのプレテンション形状は、この第1の移行を引き起こすことができる。この構成では、例えば、バスケットアセンブリによるさらなる操作、ならびに測定および/またはアブレーションを行うことができる。さらなる再位置決め、測定および/またはアブレーションは、この位置で任意の順序で実行することもできる。
【0114】
次いで、バスケットアセンブリを第2の拡張構成に展開することができる。第2の拡張構成は、例えば、カテーテルの長手方向中心軸に沿った外側細長シャフトに対する内側細長シャフトの直線変位によって達成することができる。この構成では、例えば、バスケットアセンブリのさらなる操作、ならびに測定および/またはアブレーションを行うことができる。さらなる再位置決め、測定および/またはアブレーションはこの位置で任意の順序で実行することもできる。
【0115】
バスケットアセンブリは、例えば、いくつかの異なる拡張位置に展開することができ、その間にさらなる再配置、測定、および/またはアブレーションを行うことができる。
【0116】
肺静脈隔離アブレーションの場合、一組の電極は、肺静脈口の周りに円形の形状を作り出すことができる。アブレーション後、アブレーションされた組織の形状は、肺静脈口の周りに円形形状を有してもよい。バスケットアセンブリを再配置することによって、または異なる電極間を切り替えることによって、アブレーションされた組織のいくつかのそのような形状を作り出すことができる。
【0117】
パルス電場(PEF)は、例えば、電気パルス、例えば高周波電気パルスによって発生させる。電気パルスは、パルス発生器によって発生させることができ、カテーテルの遠位先端部に配置することができ、パルス発生器と電気的に接触することができる電極によって、標的組織に送達することができる。電気パルスは、単相(単一極性)パルスから対称および/または非対称二相パルスに及ぶ多種多様な電気パルスによって発生させることができる。パルスは、組織コンディショニングのための余分なプリパルスまたは余分な測定パルスと組み合わせてもよい。パルスは単一のパルスであってもよく、またはパルスのパラメータが変化しても一定のままであってもよい列内で繰り返され得る。パルスの列も同様にシーケンスで実行することができる。パルスの最大振幅は、標的組織、電極のサイズおよび/または電極の距離に依存して、例えば標的組織体積に1センチメートル当たり0.1kV~10kVまたは0.4kV~5kVまたは0.5kV~2kVの最大電場強度を有する電場を発生させることができる。パルスの持続時間は、ナノ秒範囲からミリ秒範囲、例えば2ns~10ms、または10ns~5ms、または10μs~1msであり得る。パルスの形状は、例えば、正方形、指数放電に類似した曲線、長方形、のこぎり、三角形、または正弦波形であってもよい。
【0118】
パルスは単相性または二相性であり得る。二相パルスは対称または非対称であり得る。パルスは、1倍から10万倍まで繰り返すことができる。高周波パルスの周波数は、0.1Hzから10Hzまで変化し得る。単相パルスの振幅(Um)は、100Vから10kVまで変化することができ、二相パルスのピークツーピーク振幅は、200Vから20kVまで変化することができる。
【0119】
図16は、パルス場アブレーション(PFA)プロトコルの可能な部分の一例として、またPFAプロトコルに関する用語および表現の明確化として役立ち得る。PFAプロトコルは、一連の電気パルス(1601)および休止(1603、1607、1615)を含む。電気パルス(1601)は、列(TR)およびバースト(B)のような特定の階層を有する単位でさらに編成することができる。
【0120】
電気パルス(1601)は、例えば、形状、特定の電圧での振幅(Um)、および持続時間(t1)でのパルス長によって定義することができる。パルス振幅(Um)は、単相パルスの場合、負または正のいずれかであり得る(パルスは負電圧または正電圧を有し得る)。電気パルス(1601)は、持続時間(t2)および電圧(Up)によって定義されるパルス間休止(1603)によって互いに分離され得る。パルス間休止(1603)中の電圧は0Vに低下してもよく、正または負の電圧の値(Up)を有してもよい。パルス間休止の絶対電圧値(Up)は、隣接する電気パルス(1601)の絶対電圧(振幅(Um))よりも小さく、特に隣接する電気パルスの振幅(Um)の50%までである。電気パルスが正の振幅(Um)を有する状況では、パルス間休止(1603)の電圧値(Up)は0Vと電気パルス(1601)の振幅(Um)との間で正のままであり、電気パルス(1601)が負の振幅(Um)を有する状況では、パルス間休止(1603)の電圧値(Up)は0Vと電気パルス振幅(Um)との間で負のままである。0Vとは異なる電圧を有するパルス間休止(1603)の例を
図17aに示す。二相パルスは、時間、振幅またはエネルギーの少なくとも1つにおいて対称または非対称であってもよい。
【0121】
二相性電気パルスの例を
図17bに示す。二相パルスは、両方の位相(例示的なパルスA、D)の同じ持続時間(t10、t12)を有する正位相(1701)および負位相(1703)の同じ振幅(電圧)を有することができ、または正位相の振幅および/または持続時間(t10)と負位相の振幅および/または持続時間(t12)とが異なり得る(例示的なパルスB、C)。結果として生じるパルスは、そのとき、パルスの正相および負相で同じエネルギーを有することができ、またはパルスの正相および負相のエネルギーは異なり得る。両位相で同じエネルギーを有する二相パルスは、対称二相パルスと呼ばれることがある。対称二相パルスは、(パルスの両方の位相の持続時間および振幅が同一である場合には)平衡化されてもよく、または(振幅および/または持続時間が各位相で異なる場合には)不平衡化され得る。非対称二相パルスは、異なるエネルギーを有する位相を有する。例示的な二相パルスA、B、Cは、パルスの特定の位相間(位相間休止)に休止がなく、例示的なパルスDは、位相間休止(1705)を有する二相パルスである。パルスの位相間休止の持続時間は、0μs~50μs、または0μs~10μs、または0μs~5μsであり得る。
【0122】
パルス間休止の有無にかかわらず、連続する一組のまたは一連のパルスは、列(TR)と呼ばれることがある。特定の列(TR)は、例えば、持続時間(t4)またはパルス数によって特徴付けられてもよく、持続時間(t5)を有する列間休止(1607)によって互いに分離されてもよく、または列間休止(1607)は、個々の単一パルスを有する列を分離してもよい。一組または一連の列(TR)および列間休止(1607)はバースト(B)と呼ぶことができ、例えば、持続時間(t6)、列(TR)の数、パルスの数、またはバースト間休止(1615)(特定のバースト(B)間の持続時間(t7)を有する)によって特徴付けることができる。
【0123】
既に上述したように、電極における電圧の値(Up)は、特にパルス間休止(1603)中にパルス間で0Vに減少しなくてもよいが、電気分解または温度上昇によって気泡を発生させるリスクが存在しないかまたは非常に小さい、例えば隣接する電気パルスの振幅(Um)の50%までのレベルのままであり得る。これは、極性分子の望ましくない弛緩も減少させる可能性があり、PFAプロトコルの少なくともいくつかの部分の長さを短くする可能性があり、したがってPEF療法の有効性を増加させる可能性がある。
【0124】
数百ボルトから数千ボルトの振幅(Um)を有するパルスが印加されると、たとえ心房に印加されたとしても、心室筋の脱分極および心臓における望ましくない心室のリズムを引き起こす一定のリスクがある。脱分極は、電場によって、または心房もしくは心室またはその両方の中もしくは近くに配置された別の装置、例えばカテーテルにおける二次エネルギー誘導によって直接引き起こされ得る。アクティブシーケンス(個々のパルス、列、および/またはバースト)のタイミングを、後述する一時停止で設定することには、オーバードライブと呼ばれる効果がある。オーバードライブ効果は、外部ペースメーカーを使用することによって望ましくない心調律のリスクを抑制するために、アブレーションカテーテル法で一般的に使用される。提案のPFAプロトコルの利点は、治療(アブレーション)電気パルスが心筋脱分極を引き起こす場合、心臓に対するペース刺激パルスとしても作用し得るため、ペーシング装置のパルスをPFAプロトコルの治療パルスと同期させるために追加のペーシング装置(例えば、外部ペースメーカー)を使用する必要がないことである。これは、この場合、毎分の心室収縮数を制御し、表面ECGから個々の心室収縮を検出し、その後、それに応じてアブレーション用のパルスをトリガするために、ペーシング装置を使用する必要がないことを意味する。
【0125】
バースト(B)の1サイクル(1609)の持続時間(t8)、および201ms~800msの間であるバースト間のバースト間休止(1615)は、患者の実際の心拍数よりも安全に速くパルスを送達する必要性(オーバードライブ効果)と、心拍数を安全なレベルに維持する必要性(おおむね、220回/分から年齢を引いた値であると述べられる)との間の範囲によって与えられる。サイクル持続時間は、例えば正弦関数または三角関数に従って、PFAプロトコル内の規定範囲(201ms~800ms)で固定または可変であり得る。個々のバースト(B)は、1ms~200ms、または30ms~180ms、または60ms~160msの持続時間(t6)を有することができ、これは、印加されたパルスのバースト(B)によって心腔を収縮させる安全な時間であり、心室を損傷または望ましくない律動から保護する。バースト(B)持続時間(t6)もまた、例えば正弦関数または三角関数に従って、PFAプロトコル内の記載された範囲(1ms~200ms)で固定または可変であり得る。
【0126】
このPFAプロトコルは、例えば、望ましくない心室律動を引き起こすリスクを低減し、および/またはPEF適用効率を最大化するなど、アブレーションの結果に他のプラスの効果をもたらし得る。
【0127】
しかしながら、エレクトロポレーションは、PEFの適用後の心筋細胞の死の主なトリガとして記載されているが、実際の細胞死は、代わりに、例えば心筋細胞、ミトコンドリアまたは核の膜の電気的破壊によって;心筋の個々の細胞/心筋細胞(または細胞群)を引き離すことによって(例えば、直接電場、または超収縮による機械的損傷によって、インターカレートされたディスクを損傷することによって、または損傷することによって);筋線維の筋線維腫または筋原線維への損傷によって;過剰収縮に起因する心筋細胞におけるATPの枯渇および不十分な産生によって;心筋細胞の細胞間接合部を緩めることによって;筋細胞の筋溶解によって;電場の影響下で直接心筋細胞をしわにすることによって、または過収縮による機械的損傷によって;(筋小胞体またはイオンポンプまたはカルシウムチャネルまたはカルシウム結合タンパク質の非生理学的機能によるかどうかにかかわらず)カルシウムサイクルへの不可逆的な損傷によって;心筋のカルシウム過負荷による-ミトコンドリア膨潤(心筋細胞筋膜の過剰収縮もしくは損傷またはカルシウムチャネルの非生理学的機能の結果として);または活性酸素種(ROS)の形成およびそれに続くPEFによる膜リン脂質の酸化によるもので引き起こされ得る。
【0128】
電場は、カテーテル遠位先端部に配置された1つまたは複数の電極と、例えば患者の皮膚に離れて配置された1つの無関係な電極との間に発生し得る。無関係な電極は、いくつかの態様では、アクティブな遠位先端部電極の表面の合計よりも著しく大きい表面を有してもよい。この作用様式は、通常、単極と呼ばれる。電場を発生させるための別の選択肢は、双極モードである。このモードでは、異なる極性を有する2つ以上の、通常は近接して配置されたまたは隣接する遠位先端部電極の間に電場が生じる。この場合、第1の極性を有する活性電極の表面の合計は、第2の極性を有する活性電極の表面の合計と同様である。
【0129】
いくつかの態様では、遠位アセンブリに配置された電極(109)は、前の2つのタイプのハイブリッドモードで動作することができる。このような形態の例を
図11に示す。このモードでは、遠位先端部(107)に配置された電極(109)のみがアブレーションに使用されている。第1の単一の電極、または第1の極性(P1)を有するモードで動作する電極の群と、第1の電極または電極の群の動作モードとは異なる極性(P2、反対の極性であってもよい)を有するモードで動作する第2の単一の電極または電極の群とが存在する。第1の電極または電極の第1の群の表面または表面の合計は、第2の電極または電極の群の表面または表面の合計よりも著しく小さい。例えば、高インピーダンス(HI)の状態で第3のモードで動作する電極の第3の群が存在してもよく、第3の群の電極のインピーダンスは、例えば500Ωよりも高い。第3モードで動作する電極は、第1モードで動作する電極または電極の群に隣接していてもよい。
【0130】
このハイブリッドモードにおける電極の動作の1つの利点は、発生した電場がバイポーラモードと比較してより均一な電流密度を有することである。ハイブリッド動作モードの別の利点は、このモードで発生させた電場が、いくつかの態様では、双極モードと比較して標的組織のより深くに到達することができることである。心臓腔部のアブレーションの場合、アブレーションされた標的組織の深さ(一例では、標的組織は心筋組織を含み得る)は、最大5mmであり得る。
【0131】
第1の極性(P1)を有するモードで動作する電極の群(2つ以上の電極)を有する電極(109)のハイブリッド動作モードの変形例を、
図12に示す。この動作モードの機能原理は、一方の電極(109)が第1の極性(P1)を有するモードで動作する変形例と同様である。例えば、第1の極性(P1)を有するモードで動作する電極の表面の合計は、異なる極性(P2)を有するモードで動作する電極の表面の合計よりも著しく小さい。
【0132】
第1の極性(P1)を有するモードで動作する電極の群(2つ以上の電極)の例は、例えば電極のサイズを小さくすることが有利な状況では、第1の極性(P1)を有するモードで動作する単一の電極の例よりも有利であり得る。電極のサイズを小さくすることは、電極の数を増やすことが必要または望ましい場合に、有利または必要であり得る。例えば、治療部位のより正確なマッピング、または治療部位の標的組織のより正確なおよび/またはより均一なアブレーションが望まれる場合、より多数の電極が望ましい。治療部位は人間の解剖学的構造の一部であり得るため、パルス場アブレーション装置、特にカテーテル遠位先端部を有するカテーテルの全体的なサイズは、人間の解剖学的構造に従って制限されなければならない。したがって、アブレーション装置にさらに多くの電極が必要な場合、特定の数の電極について、電極のサイズは、パルス場アブレーション装置の重要な部分、例えばカテーテルおよび/またはその遠位先端部、および/またはそのバスケットアセンブリの制限された寸法に適合できるように制限されなければならない。電極のサイズがより小さいことの別の利点は、そのような構成がアブレーションの深さを増加させるのに役立ち得ることである。
【0133】
より小さいサイズの電極は、他の利点を有することができ、例えば、同じ電極がアブレーションに使用され、測定に使用される例では、同じ電極が高電圧パルスを送達し、測定値を記録するように構成されなければならないことを意味する。例えば、ECG信号の測定では、より小さい電極が有利であり得る。
【0134】
しかしながら、より小さい電極に関連するいくつかの課題がまたある。パルス場アブレーションを含む例では、電場は、例えば電気パルス、例えばパルス発生器によって発生させた高周波電気パルスによって発生させる。治療部位の標的領域全体の効果的なアブレーションのために、標的組織体積について、センチメートルあたり数百ボルトから数キロボルトの最大の電場の振幅を有する電場を発生させることが重要であり得る。より小さい電極を使用することは、電極のより小さい表面積を意味する。電極の表面積がより小さい場合、電極に誘起される電圧は、標的組織において所望の電場密度を達成するために、表面積がより大きいより大きな電極と比較して、より高くなければならない。そのような構成の悪影響には、より高い密度の電場、より高い強度の電場、および/または電極の縁部での起こり得る火花が含まれ得る。しかしながら、第1の極性を有するモードで動作する1つの電極の代わりに、第1の極性を有するモードで動作する選択された電極の群(2つ以上の電極)を使用することにより、これらの問題の一部または全部に対処し、克服することができる。第1の極性を有するモードで動作する良好に選択された電極の第1の群と、異なる極性を有するモードで動作する電極の第2の群と、場合によっては高インピーダンスの状態で第3のモードで動作する電極の第3の群とについて、電極の第1の群および/または電極の第2の群は、仮想電極として機能することができる。すなわち、第1の群の電極は、1つの仮想電極として一緒に作用することができ、および/または第2の群の電極は、別の仮想電極として作用することができる。このような構成により、電極付近の電場の強度および/または密度を低減することができる。この構成の他のプラスの効果は、スパークのリスクの低減およびアブレーションの深さの増加、または治療部位でのアブレーションされた組織の深さの増加であり得る。
【0135】
第1の群の電極の表面積の拡大、および結果として生じる仮想電極の作製は、電極に誘起される必要がある電圧の減少、および/または主に電極の縁部でのスパークの除去を引き起こす可能性がある。しかしながら、電極の第1および第2の群における電極の比例していない表面積の概念は保存することができ、これは、第1の電極または電極の第1の群の表面積または表面積の合計が、第2の電極または電極の群の表面積または表面積の合計よりも著しく小さいことを意味する。電極の第2の群の電極の表面積の合計に対する第1の群の電極の表面積または電極の表面積の合計の比は、2:3から1:100、または3:5から1:80、または3:5から1:70、または1:2から1:50、または1:2から1:40、または1:2から1:30、または1:2から1:20、または1:3から1:15、または1:3から1:10、または1:4から1:8であり得る。
【0136】
第1の極性を有するモードで動作する電極の第1の群に電極を追加すると、電極付近の電場の強度が大幅に低下する可能性がある。例えば、第1の極性を有するモードで動作する電極の第1の群において1つの電極の代わりに4つの電極を使用すると、電極表面における電場の強度は4分の1減少するが、3つの電極が使用される例では、電場の強度は2分の1減少する。この強度の低下は、第1の極性を有するモードで動作するただ1つの電極を有する解決策と比較して、電極のより低い電圧の使用を可能にし得る。これに加えて、またはこれに代えて、低下は、1cm2当たり一定の電圧で電場の面積を増加させることによって、アブレーションされた標的組織の深さを増加させることができる。電場の面積におけるcm2当たりの電圧の値は、例えば、50V/cm2~3000V/cm2、または100V/cm2~1500V/cm2、または250V/cm2~1000V/cm2であってもよい。
【0137】
カテーテル遠位先端部の特定の電極は、アブレーション中に1つ以上のモードに切り替えることができる。それらは、1回のアブレーションサイクル中または数回のアブレーションサイクル中に切り替えることができる。電極は、1つのアブレーションサイクル中または数回のアブレーションサイクル中に、モードの1つ以上に数回切り替えられてもよい。いくつかの態様では、第1の極性を有するモードで同時に動作する2つ以上の電極の群と、高インピーダンスの状態で動作する電極の有無にかかわらず、異なる極性で動作する電極の群とを有することさえ可能である。
【0138】
遠位先端部の電極のレイアウトまたは空間パターンは、電極のハイブリッド動作モードを考慮して、および/または仮想電極を作製する目的で作製することができる。アブレーション中に電極を1つ以上のモードに切り替えることができるので、結果として得られる仮想電極は異なる空間形状を有することができ、これは、仮想電極の周囲および間に発生した電場が、異なる構造の磁場および/または異なる密度および強度の電場を有する異なる形状を有することができることを意味する。遠位先端部、具体的には拡張可能バスケットの電極の空間パターンの例は、
図13Aおよび
図13Bに見ることができる。
図13Aは、電極(109)を第1の極性ならびに異なる極性および/または高インピーダンスの状態で異なる動作モードに切り替えることによって仮想電極の作製に適した電極(109)の空間パターンを有するバスケットアセンブリ(401)の正面図を示す。
【0139】
図13Bは、電極(109)を異なるモードに切り替えることによって、仮想電極の作製に適した電極の空間パターンを有するバスケットアセンブリ(401)の正面図を再び示すが、今回、電極は、フィラメント(415)が互いに交差する領域(フィラメント交差点)に配置される。
【0140】
すでにハイブリッド動作モードに切り替えられている電極の可能なレイアウトの一例が、やはりバスケットアセンブリ(401)の正面図である
図14に見られる。電極(109)の第1の群は第1の極性(P1)を有するモードで動作しており、共に第1の仮想電極(1401)を形成する。電極(109)の別の群は、異なる極性(P2)を有するモードで動作しており、共に第2の仮想電極(1403)を作製する。この構成では、パルス発生器(103)から電極(109)に電気パルスが送達されると、仮想電極(1401、1403)の間および周囲に電場が発生する。電極(109)のいくつかは、第3のモードで、例えば高インピーダンス(HI)の状態で動作していてもよい。
【0141】
高インピーダンス(500Ωより高い)状態の電極は、電極の第1の群および電極の第2の群からの電極の間および周囲、ならびに/または仮想電極の間または周囲に発生した電場を整形するのに役立ち得る。一例では、第1の極性を有するモードで動作する電極に空間的に隣接する電極に高インピーダンスの状態を割り当てることは、高インピーダンスの状態の電極なしの動作モードと比較して、アブレーションを引き起こすことができる電場の一部が治療部位の標的組織のより深くに到達するように、電場の形状にプラスの効果をもたらし得る。この現象は、アブレーション手順の質および均一性にプラスの効果をもたらし得る。高インピーダンス状態の電極は、電極の第1の群と電極の第2の群との間に空間的に配置され得る。
【0142】
電極(109)の例示的なパターンは、
図15Aに、より詳細に表示される。電極(109)は、拡張可能バスケットの拡張構成のうちの1つで編組メッシュのフィラメント(415)に繰り返しの十字または正方形または長方形のパターンを作製する。(例えば、4つの隣接する電極の交差部(1501)で拡張可能バスケットに接触している)接平面に垂直なこの図から、パターンは二次元のように見えるが、実際には、三次元である、なぜなら、電極(109)が編組メッシュのフィラメント(415)に固定されているか、またはその一部であり、拡張可能バスケットを形成し、したがってパターンが拡張可能バスケットの曲率に適合するためである。電極のこのパターンは、第1の極性(P1)を有するモードで動作する電極の群を使用する実施形態において有利である。この例では、第1の極性(P1)を有するモードで動作し、したがって第1の仮想電極(1401)を作製する4つの隣接する電極の群は、
図15Aに示すような十字形、または
図15Bに示すような正方形または長方形のいずれかを有する。利点は、両方の形状によって生成された両方の仮想電極(1401)が、第2の仮想電極と組み合わせて、場合によっては高インピーダンスの状態の電極に促されて、標的組織のアブレーションに適した特定の質(電位の形状、大きさ、密度、勾配)を有する電場を発生させることができる、という点である。
【0143】
図15Cは、フィラメント(415)が互いに交差する領域(フィラメント交点)に電極(109)が配置された電極パターンの例を示す。第1の極性(P1)を有するモードで動作する例示的な電極の群もここに示されている。
【0144】
電極パターンの正確な形状は、拡張可能バスケットの形状に部分的に依存する。これはまた、仮想電極を形成する電極の群のパターンおよび形状が、拡張可能バスケットの折り畳まれた構成および/または異なる拡張した構成において異なり得ることを意味する。拡張可能バスケットのほとんどの拡張構成では、上述のように電極によって形成された長方形および正方形は傾斜し、菱形または長斜方形により近い形状を形成する。同じことが、十字形を形成し、電極を通過する2つの仮想線間の角度にも当てはまり、これは、拡張された構成のほとんどにおいて直角ではない。
【0145】
人体で高電圧パルスを使用する場合、安全上の理由で、例えば心室リズムを回避するために、パルスの送達を心周期と同期させることが必要な場合がある。パルス場アブレーション装置は、この同期手段によるパルス送達のトリガを含むそのような同期のための手段を組み込むか、または使用することができる。同期手段は、例えばECG装置であってもよい。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルス電場による組織のパルス場アブレーションのためのアブレーション装置であって、
一組の電極を含む、患者の心臓に挿入するように構成されたカテーテルと、
電気パルスを発生するように構成されたパルス発生器であって、前記パルス発生器は、前記一組の電極に電気的に結合される、パルス発生器と、
を備え、
前記一組の電極は、前記患者の前記心臓内部の組織のアブレーションを引き起こす前記電気パルスからパルス電場を与えるように構成され、
前記一組の電極は、第1の極性のモードで動作するように構成された第1の電極、前記第1の極性とは異なる第2の極性のモードで動作するように構成された第2の電極、および高インピーダンスの状態のモードで動作するように構成された第3の電極を含み、
前記一組の電極は、アブレーションの間に前記モードのうちの少なくとも2つの間で切り替えられるように構成される少なくとも1つの電極を含む、アブレーション装置。
【請求項2】
前記第3の電極は、500Ωより高いインピーダンスの状態のモードで動作するように構成されている、請求項1に記載のアブレーション装置。
【請求項3】
前記第1の電極の表面積と前記第2の電極の表面積との比が、2:3から1:100の範囲である、請求項1に記載のアブレーション装置。
【請求項4】
前記一組の電極は、前記第1の極性とは異なる前記第2極性の前記モードで動作するように構成された少なくとも2つの第2の電極を備える、請求項1に記載のアブレーション装置。
【請求項5】
前記一組の電極が、前記高インピーダンスの状態の前記モードで動作するように構成された少なくとも2つの第3の電極を含む、請求項4に記載のアブレーション装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの第1の電極の表面積または前記表面積の合計と、前記少なくとも2つの第2の電極の表面積の合計との比が、2:3から1:100の範囲にある、請求項4に記載のアブレーション装置。
【請求項7】
前記第3の電極は、空間的に、前記第1の電極に隣接する、請求項1に記載のアブレーション装置。
【請求項8】
パルス電場による組織のパルス場アブレーションのためのカテーテルであって、
前記カテーテルが、患者の心臓に挿入するように構成され、
一組の電極を備え、
前記一組の電極は、前記患者の前記心臓内部の組織のアブレーションを引き起こすパルス電場を与えるように構成され、
前記一組の電極は、第1の極性のモードで動作するように構成された第1の電極、前記第1の極性とは異なる第2の極性のモードで動作するように構成された第2の電極、および高インピーダンスの状態のモードで動作するように構成された第3の電極を含み、
前記一組の電極は、アブレーションの間に前記モードのうちの少なくとも2つの間で切り替えられるように構成される少なくとも1つの電極を含む、カテーテル。
【請求項9】
前記第3の電極は、500Ωより高いインピーダンスの状態のモードで動作するように構成されている、請求項8に記載のカテーテル。
【請求項10】
前記第1の電極の表面積と前記第2の電極の表面積との比が、2:3から1:100の範囲である、請求項8に記載のカテーテル。
【請求項11】
前記一組の電極は、前記第1の極性とは異なる前記第2極性の前記モードで動作するように構成された少なくとも2つの第2の電極を備える、請求項8に記載のカテーテル。
【請求項12】
前記一組の電極が、前記高インピーダンスの状態の前記モードで動作するように構成された少なくとも2つの第3の電極を含む、請求項11に記載のカテーテル。
【請求項13】
前記少なくとも1つの第1の電極の表面積または前記表面積の合計と、前記少なくとも2つの第2の電極の表面積の合計との比が、2:3から1:100の範囲にある、請求項11に記載のカテーテル。
【請求項14】
前記第3の電極は、空間的に、前記第1の電極に隣接する、請求項8に記載のカテーテル。
【請求項15】
パルス電場による組織のパルス場アブレーションのためのカテーテルであって、
前記カテーテルが、患者の心臓に挿入するように構成され、
前記カテーテルが、パルス発生器に結合可能な一組の電極を備え、前記パルス発生器は、電気パルスを発生するように構成され、
前記一組の電極は、前記患者の前記心臓内部の組織のアブレーションを引き起こす前記電気パルスからパルス電場を与えるように構成され、
前記一組の電極は、第1の極性のモードで動作するように構成された第1の電極、前記第1の極性とは異なる第2の極性のモードで動作するように構成された第2の電極、および高インピーダンスの状態のモードで動作するように構成された第3の電極を含み、
前記一組の電極は、アブレーションの間に前記モードのうちの少なくとも2つの間で切り替えられるように構成される少なくとも1つの電極を含む、カテーテル。
【請求項16】
前記第3の電極は、500Ωより高いインピーダンスの状態のモードで動作するように構成されている、請求項15に記載のカテーテル。
【請求項17】
前記第1の電極の表面積と前記第2の電極の表面積との比が、2:3から1:100の範囲である、請求項15に記載のカテーテル。
【請求項18】
前記一組の電極は、前記第1の極性とは異なる前記第2極性の前記モードで動作するように構成された少なくとも2つの第2の電極を備える、請求項15に記載のカテーテル。
【請求項19】
前記一組の電極は、前記高インピーダンスの状態の前記モードで動作するように構成された少なくとも2つの第3の電極を備え、前記少なくとも1つの第1の電極の表面積または前記表面積の合計と、前記少なくとも2つの第2の電極の表面積の合計との比が、2:3から1:100の範囲にある、請求項18に記載のカテーテル。
【請求項20】
前記第3の電極は、空間的に、前記第1の電極に隣接する、請求項15に記載のカテーテル。
【請求項21】
前記カテーテルが、折り畳まれた構成から少なくとも1つの拡張された構成へ操作されるように構成される、請求項15に記載のカテーテル。
【請求項22】
前記カテーテルが拡張可能バスケットを備え、前記一組の電極が前記バスケットに配置されている、請求項15に記載のカテーテル。
【請求項23】
前記拡張可能バスケットが非導電性材料を含む複数のフィラメントを備え、
前記一組の電極が前記複数のフィラメントに配置される、請求項22に記載のカテーテル。
【請求項24】
パルス電場による組織のパルス場アブレーションのためのアブレーション装置であって、
電気パルスを発生するように構成されたパルス発生器であって、前記パルス発生器は、前記電気パルスからパルス電場を与えるように構成される一組の電極に電気的に結合されるように構成され、前記パルス電場は、患者の心臓内部の組織のアブレーションを引き起こすように構成される、パルス発生器を備え、
前記装置は、前記一組の電極からの第1の電極を第1の極性のモードに、前記一組の電極からの第2の電極を前記第1の極性とは異なる第2の極性のモードに、また前記一組の電極からの第3の電極を高インピーダンスの状態のモードに切り替えるように構成され、
前記装置は、前記一組の電極からの少なくとも1つの電極を、アブレーションの間に前記モードのうちの少なくとも2つの間で切り替えるように構成される、アブレーション装置。
【請求項25】
高インピーダンスの状態の前記モードでのインピーダンスは500Ωより高い、請求項24に記載のアブレーション装置。
【請求項26】
前記第1の電極の表面積と前記第2の電極の表面積との比が、2:3から1:100の範囲である、請求項24に記載のアブレーション装置。
【請求項27】
前記装置が、前記一組の電極からの少なくとも2つの第2の電極を、前記第1の極性と異なる前記第2の極性の前記モードへ切り替えるように構成される、請求項24に記載のアブレーション装置。
【請求項28】
前記装置が、前記一組の電極からの少なくとも2つの第3の電極を、高インピーダンスの状態のモードへ切り替えるように構成される、請求項27に記載のアブレーション装置。
【請求項29】
前記少なくとも1つの第1の電極の表面積または前記表面積の合計と、前記少なくとも2つの第2の電極の表面積の合計との比が、2:3から1:100の範囲にある、請求項27に記載のアブレーション装置。
【請求項30】
前記第3の電極は、空間的に、前記第1の電極に隣接する、請求項24に記載のアブレーション装置。
【国際調査報告】