(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-05
(54)【発明の名称】複合材料からの3次元物体の自動製造
(51)【国際特許分類】
B29C 64/118 20170101AFI20240227BHJP
B29C 64/393 20170101ALI20240227BHJP
B29C 64/314 20170101ALI20240227BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20240227BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20240227BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20240227BHJP
【FI】
B29C64/118
B29C64/393
B29C64/314
B33Y30/00
B33Y10/00
B33Y50/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023529996
(86)(22)【出願日】2021-11-10
(85)【翻訳文提出日】2023-05-17
(86)【国際出願番号】 IL2021051334
(87)【国際公開番号】W WO2022107122
(87)【国際公開日】2022-05-27
(32)【優先日】2020-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516240008
【氏名又は名称】マッシビット スリーディー プリンティング テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】ミラー、 ガーション
(72)【発明者】
【氏名】ヤクボフ、 イゴール
(72)【発明者】
【氏名】ウザン、 モーシェ
(72)【発明者】
【氏名】ジマーマン、 イレズ
(72)【発明者】
【氏名】ガーティ、 シャイ
(72)【発明者】
【氏名】ドヴィル、 ニール
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213AC02
4F213AD03
4F213AD16
4F213AD18
4F213AR07
4F213WA25
4F213WA92
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL15
4F213WL24
4F213WL27
4F213WL42
4F213WL62
4F213WL75
4F213WL85
4F213WL96
(57)【要約】
複合材料から3次元物体を製造する方法を説明する。方法は、マルチストランドフィラメントを含む複合材料を、マルチストランドフィラメントを囲むチキソトロピーマトリックス材料と共に押し出すように構成された押出ノズルの使用を含む。不連続な作業面の少なくとも一部を越えて空中に広がる3次元物体表面セグメントを押出成形し、同時に硬化エネルギー源を作動させて空中に広がる3次元物体表面セグメントを固定し、その強度を高める。空中に広がる3次元物体の押出成形された表面セグメントは十分に剛性があり、マンドレルを使用せずにその形状を維持する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合材料から3次元物体を製造する方法であって、
マルチストランドフィラメントを含む複合材料を、前記マルチストランドフィラメントを囲むチキソトロピーマトリックス材料と共に提供することと、
前記複合材料を押し出すように構成された少なくとも1つの押出ノズルを提供することと、
不連続な作業面の少なくとも一部を越えて空中に広がる3次元物体表面セグメントを押出成形することと、
硬化エネルギー源を作動させて、空中に広がる3次元物体表面セグメントを固定し、その強度を高めることと
を含み、
押出成形された空中に広がる3次元物体表面セグメントは十分に剛性があり、マンドレルを使用せずにその形状を維持する、方法。
【請求項2】
空中に広がる3次元物体表面セグメントは製造される3次元物体の表面輪郭と一致する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記3次元物体表面セグメントを押出成形するのと同時に、硬化エネルギー源を作動させて空中に広がる3次元物体表面セグメントの完全な硬化を促進する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記不連続な作業面を、空間内で所望の向きを受け入れるように構成されたパッドで終端している個別に調整可能な支柱によって形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記3次元物体セグメントの製造において複数の作業を行うために好適なピックアップエンドエフェクタツールを備えたロボットアームを使用する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記好適なピックアップエンドエフェクタツールが、ノズル、ペイントブラシ、研磨ツール、及びグリッドピックアップツールから成るツール群のうちの1つである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記3次元物体を層状に押出成形し、各層を異なる材料から押出成形される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記空中に広がる3次元物体表面セグメントを支持するリブを押出成形する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記3次元物体表面セグメントを支持するリブが360度周囲に広がり、前記リブは前記3次元物体の位置変更をサポートする、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
製造現場でマルチストランドコアを囲むチキソトロピーマトリックス材料を備えたマルチストランドフィラメントを製造する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
押出成形されたマルチストランドコアをチキソトロピー材料でコーティングする、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
複合材料から3次元物体を製造する方法であって、
マルチストランドフィラメントを、前記マルチストランドフィラメントを囲むチキソトロピーマトリックス材料と共に提供することと、
複合材料を押し出すように構成された押出ノズルを提供することと、
不連続な作業面を提供し、前記不連続な作業面の少なくとも一部を越えて空中に広がる少なくとも1つの3次元物体表面セグメントを押出成形することと、
硬化エネルギー源を作動させて空中に広がる3次元物体作業面の完全な硬化を促進することと、
を含み、空中に広がる押し出された複合材料によって形成される3次元物体表面セグメントは十分に剛性があり、空中に浮いたままである、方法。
【請求項13】
前記空中に広がる3次元物体表面セグメントは、空間内でその方向を連続的に変える、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記3次元物体の製造はマンドレルの使用を必要としない、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記3次元物体の強度は、押し出された層の間に金属又はポリマーのグリッドを挿入することによって強化される、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
ロボットアームを使用して調整可能な支持の受容面上に金属又はポリマーのグリッドをピックアップして広げる、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
金属又はポリマーのグリッドが、前記3次元物体の複合材料の堆積のための基板として機能する、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
複合材料から3次元物体を製造する方法であって、
マルチストランドフィラメントを含む複合材料を、前記マルチストランドフィラメントを囲むチキソトロピーマトリックス材料と共に提供することと、
前記複合材料を押し出すように構成された押し出し部材を提供することと、
受容面で終端している複数の個別の支柱を備える作業面を提供し、個別の作業面の少なくとも一部を越えて空中に広がる少なくとも1つの3次元物体表面セグメントを押出成形することと
を含み、前記個別の支柱を終端させる前記受容面は、前記空中に広がる3次元物体表面セグメントの向きに一致する空間内の向きを受け入れるように構成される、方法。
【請求項18】
硬化エネルギー源を作動させて、空中に人がる3次元物体表面セグメントの完全な硬化を促進する、請求項18に記載の方法。
【請求項19】
空中に広がる3次元物体表面セグメントは十分に剛性があり、マンドレルを使用せずに空中に浮いたままである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
方法は、3次元物体を成形するための型の製造を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
複合材料から3次元物体を製造する方法であって、
マルチストランドフィラメントを、前記マルチストランドフィラメントを囲むチキソトロピーマトリックス材料と共に提供することと、
複合材料を押し出すように構成された押出ノズルを提供することと、
不連続な作業面を提供し、前記不連続な作業面にわたってグリッドを分散させることと、
グリッドで覆われた不連続な作業面の少なくとも一部を越えて空中に広がる少なくとも1つの3次元物体表面セグメントを押出成形することと、
硬化エネルギー源を作動し、空中に広がる3次元物体作業面の完全な硬化を促進することと
を含み、空中に広がる押し出された複合材料によって形成される3次元物体表面セグメントは十分に剛性があり、空中に浮いたままである、方法。
【請求項22】
強化マルチストランドフィラメントの製造方法であって、
マルチストランドコア材料を提供することと、
前記マルチストランド繊維材料をマトリックス材料堆積装置に通すことと、
前記マトリックス堆積装置を作動して前記マルチストランド繊維材料をマトリックス材料で覆うことと
を含み、前記マトリックス材料はチキソトロピー材料である、方法。
【請求項23】
前記チキソトロピー材料は前記マルチストランドフィラメントの即時硬化をサポートする、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記マルチストランドフィラメントを平坦なストリップの形状に押し出す、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記平坦なストリップの面に異なる材料の複数のコーティングを施す、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記ストリップのそれぞれの面に異なる組成を有する材料を塗布することによって前記平坦なストリップに異なる品質を提供する、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
マルチストランドフィラメントプリプレグの強度を高める方法であって、
マルチストランドプリプレグフィラメント材料を提供することと、
前記マルチストランドプリプレグフィラメント材料をマトリックス材料堆積装置に通すことと、
前記マトリックス堆積装置を作動して前記をチキソトロピー材料の層で覆うことと
を含み、前記チキソトロピー材料の層は前記マルチストランドフィラメントの即時硬化をサポートする、方法。
【請求項28】
マルチストランドフィラメントを追加のコーティングで覆い、前記マルチストランドフィラメントの強度を高める、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
マルチストランドフィラメントを追加のコーティングで覆い、前記マルチストランドフィラメントの表面を改善する、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
複合材料から3次元物体を製造するための装置であって、
複数の個別に調整可能な支柱によって形成された調整可能な支持プラットフォームと、
製造される3次元物体の複合材料を押し出すように構成された少なくとも1つの材料押出ノズルと、
複数のエンドエフェクタツールを操作するように構成された少なくとも1つのロボットアームと
を含み、少なくとも1つのロボットアームは、少なくとも1つの押出ノズルを押出成形された3次元物体の表面セグメントの表面に対して垂直に維持する、装置。
【請求項31】
前記材料押出ノズルは、マルチストランドフィラメントを囲むチキソトロピーマトリックス材料を有するマルチストランドフィラメントを含む前記複合材料を押し出すように構成される、請求項30に記載の装置。
【請求項32】
前記個別に調整可能な支柱は、空間内で所望の向きを受け入れるように構成された物体受容面で終端している、請求項30に記載の装置。
【請求項33】
物体受容面がそれぞれの調整可能な支柱を終端させ、前記物体受容面は、前記調整可能な支柱の対称軸(Z軸)に関して任意の方向に340度回転する、請求項32に記載の装置。
【請求項34】
前記複合材料押出ノズルを保持する前記ロボットアームは、空中に広がる3次元物体表面要素の輪郭に従うように構成される、請求項30に記載の装置。
【請求項35】
少なくとも1つのロボットアームが、交換可能な複数のエンドエフェクタツールを操作するように構成される、請求項30に記載の装置。
【請求項36】
制御コンピュータが、前記空中に広がる3次元物体表面セグメントの輪郭をCADシステムから受信する、請求項34に記載の装置。
【請求項37】
少なくとも1つのロボットアームが前記材料押出ノズルを移動させ、前記押出ノズルを前記押出成形された3次元物体の表面セグメントに対して垂直に維持する、請求項30に記載の装置。
【請求項38】
制御コンピュータが、前記押出ノズルの角度を前記押出成形された3次元物体の表面セグメントに対して垂直に保つように前記押出ノズルの角度を動的に変更する、請求項30に記載の装置。
【請求項39】
前記押出ノズルの断面が、円形断面、長方形断面、及び六角形断面から成る断面群のうちの1つである、請求項30に記載の装置。
【請求項40】
前記押出ノズルは追加のコーティングでマルチストランドフィラメントを覆い、前記追加のコーティングは前記マルチストランドフィラメントの強度を高める、請求項30に記載の装置。
【請求項41】
少なくとも1つのロボットアームが、製造される3次元物体のすべての点に到達するように構成される、請求項30に記載の装置。
【請求項42】
3次元物体の製造はマンドレル又は型の使用を必要としない、請求項30に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本方法及び装置は、複合材料からの物体の製造、特に3次元物体の自動製造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複合材料は、少なくとも2つの個別の成分を含む材料である。通常、複合材料には、ガラス繊維、ケブラー(登録商標)、炭素繊維などの繊維強化材と樹脂が含まれる。樹脂は、エポキシ、ポリエステル樹脂、又はビニルエステルであり得る。2つの成分を混合して加工する際に、2つの成分は機械的及び化学的に結合して積層部品を形成する。複合材料の複合的な物理的強度及び性質は、個々の材料成分の性質のいずれかを超えている。樹脂は顔料又は染料を含み、複合材料に所望の色を提供することができ、塗装プロセスの必要性を低減する。最も頻繁に使用される炭素及びガラス繊維で強化された複合材料は多くの場合、漠然と「複合材」と呼ばれる。
複合材は、3次元物体、特に大型3次元物体の主要な製造材料(構築材料)である。
【0003】
積層体の層を重ね、液状樹脂と組み合わせて硬化する、労働集約的なウェットレイアッププロセスは、現在でも主要な大型3次元物体の製造プロセスである。通常、大きくてかさばる3次元複合体は、2つ以上のパーツとして対応する数の型を使用して製造される。3次元物体を形成するパーツを合わせ、真空を加え、マットを接着する樹脂を注入する。樹脂が硬化したら、2つ以上のパーツをつなぎ合わせて3次元物体を形成する。注入技術は樹脂の導入及び硬化プロセスを簡略化するが、レイアップは依然として手間のかかるプロセスである。
【0004】
ほとんどすべての3次元物体、特に大型3次元物体は、さらなる製造ステップを受ける。3次元物体の外面は、研磨、塗装、ワニスでコーティングすることができる。すべてのプロセスが依然として手作業であり、時間とコストがかかる。
【0005】
複合材料はいくつかの理由で普及している。複合材料は軽量かつ高強度である。複合材料はほぼすべての環境に対して優れた耐性を有する。どの複合材料メーカーも、メーカーが好適な型又はマンドレルを持っているか、製造することができれば、ほぼすべての複合体を製造することができる。上記の複合材料から作られる3次元物体の製造ステップは、製造プロセスを遅らせ、製造される3次元物体のコストを増加させ、複合材料を無駄にする。
【0006】
複合材料の軽量、環境安定性、及び強度の利点にもかかわらず、労働集約的で時間のかかる製造方法の高コストが、複合材料の発展及び使用を妨げている。
【0007】
定義
複合材料シートの積層は、材料にさらなる強度を与えるために、1枚の複合材料シートを取り、それを別の複合材料シートに積層するプロセスである。
【0008】
アラミド繊維は、「芳香族」と「ポリアミド」という言葉を組み合わせたものである。アラミド繊維は、少なくとも85%が2つの芳香環に直接結合したアミド結合(-CO-NH-)である繊維の総称である。
【0009】
複雑な形状の3次元物体とは、凸面又は凹面であり得る曲面、平面、及び物体の本体の外側に張り出し得る表面、又は中空物体の場合は3次元物体内部の中空空間又は空洞に突き出し得る表面を含む3次元の物理的物体を意味する。表面は傾斜し、様々な角度に配向され、様々な厚さ又はサイズを有することができる。
【0010】
プリプレグは、エポキシ又は熱可塑性樹脂などの熱硬化性ポリマーマトリックス材料が既に存在する「予め含浸された」複合繊維又はストランドである。熱硬化性マトリックスは、安全な取り扱いを可能にするために部分的に硬化されている。このBステージ材料は、完全な硬化を防ぐために特定の保管条件を必要とする。
【0011】
端面準備は、製造された複合体セグメントの端部が次の複合体セグメントとの接続のために準備されるプロセスである。端面準備には、端径の縮小又は拡大、フランジング、面取りが含まれる。
【0012】
フィラメントは繊維性材料の最小単位である。フィラメントは延伸及び紡糸の際に形成され、複合材用の繊維ストランドに集められる基本単位である。
【0013】
フィラメントワインディングは、連続的な補強材(フィラメント、ワイヤー、糸、テープなど)の複合構造を製造するプロセスである。予めマトリックス材料を含浸させるかワインディング中に含浸させると、フィラメントは、回転しかつ取り外し可能な型又はマンドレルの上に、特定の応力条件を満たすために所定の方法で配置される。
【0014】
エンドエフェクタは通常、ロボットアームの端に取り付けられたツールであり、所望の機能を行うツールである。機能は、材料堆積、スプレーペイント、完成した3次元物体の研磨であり得る。
【0015】
本開示で使用される「ロボットアーム」という用語には、ロボットアーム、ガントリー、キャリッジを備えたレール/ガイド、及び荷物を持ち上げて運ぶことができる他の同等物が含まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
複合材料から3次元物体を製造する方法を説明する。一実施例では、方法は、マルチストランドフィラメントを囲むチキソトロピーマトリックス材料と共にマルチストランドフィラメントを含む複合材料を押し出すように構成された押出ノズルの使用を含む。不連続な作業面の少なくとも一部を越えて空中に広がる3次元物体表面セグメントを押出成形し、同時に硬化エネルギー源を作動させて空中に広がる3次元物体表面セグメントを固定し、その強度を高める。空中に広がる3次元物体の押出成形された表面セグメントは十分に剛性があり、マンドレルを使用せずにその形状を維持する。
【0017】
空間内で所望の向きを受け入れるように構成された受容面で終端している個別に調整可能な支柱によって形成される不連続な作業面が、製造された3次元物体を支持する。1つ以上のロボットアームが、好適なピックアップエンドエフェクタツールを移動及び操作して3次元物体の製造における複数の作業を行う。
【0018】
一実施例では、3次元物体は層状に製造され、3次元物体の各層は異なる材料から押出成形される。いくつかの実施例では、空中に広がる3次元物体の表面セグメントを支持する1つ以上のリブを、表面セグメントの押出成形と同時に押出成形することができる。
【0019】
いくつかの実施例では、調整可能な支持プラットフォームにわたって分散された金属又はポリマーグリッドが、3次元物体の複合材料の堆積のための基板として機能する。
【0020】
複合材料から3次元物体を製造する方法には、マルチストランドフィラメントを囲むチキソトロピーマトリックス材料を備えた強化マルチストランドフィラメントの製造が含まれる。マルチストランドフィラメントは、平坦なストリップの形状にすることができる。平坦なストリップの面に異なる複数のコーティングを堆積させることができる。
【0021】
複合材料から3次元物体を製造するための装置も開示される。装置は、個別に調整可能な複数の支柱によって形成される調整可能な支持プラットフォームと、複数のエンドエフェクタツールを操作するように構成された少なくとも1つのロボットアームとを含む。エンドエフェクタツールは、製造プロセスで必要になり得る、材料押出ノズル、グリッド拡散装置、ペイントブラシ、研磨ツールなどであり得る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
装置及び方法を理解し、実際にどのように実施できるかを理解するために、添付の図面を参照して、非限定的な実施例のみによって実施例を説明する。図中、同一符号は同一又は類似の部分を意味する。
【0023】
【
図1】複合材料から3次元物体を製造するための本装置の一実施例の側面図である。
【0024】
【0025】
【
図3】
図1の装置の熱硬化装置を示す一実施例である。
【0026】
【
図4A】複合マルチストランドフィラメントの現場での製造の一実施例である。
【0027】
【
図4B】複合平坦マルチストランドフィラメントの現場での製造の別の実施例である。
【0028】
【
図4C】複合平坦マルチストランドフィラメントの現場での製造のさらなる実施例である。
【0029】
【
図4D】複合平坦マルチストランドフィラメントの現場での製造のさらなる実施例である。
【0030】
【
図4E】ストリップの同じ側が異なる厚さの層でコーティングされた複合平坦マルチストランドの平坦ストリップの現場での製造の一実施例である。
【0031】
【
図5】本装置の追加ユニットの制御及び動作を示すブロック図である。
【0032】
【
図6】複合材料から凸面及び凹面セグメントを含む3次元物体を製造する方法の一実施例である。
【0033】
【
図7A】複合材料から凸面及び凹面セグメントを含む3次元物体を製造する方法の別の実施例である。
【0034】
【
図7B】複合材料からの凸面及び凹面セグメントを含む3次元物体を製造する方法のさらなる実施例である。
【0035】
【
図8A】支持格子を使用した3次元物体の製造方法を示す。
【0036】
【
図8B】支持格子を使用した3次元物体の製造方法の追加図である。
【0037】
【
図9】3次元物体の2番目の面を印刷するために回転させた
図6の3次元物体の図である。
【0038】
【
図10】部分的に作成された3次元物体の表面のフィラメントワインディングを示す一実施例である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
複合材料の重量、環境安定性、強度の利点にもかかわらず、高コストのツール及び労働集約的で時間のかかる製造方法が、複合材料の発展及び使用を妨げている。労働集約的な作業を大幅に削減し、マンドレル又は型の必要性を軽減し、製造される物体の品質を維持する低コストの製造プロセスが利用可能になれば、業界は急速に進歩するだろう。
【0040】
本明細書は、複合材料からほぼあらゆる3次元物体を製造するための自動化された方法及び装置を開示する。自動化された製造方法は、彫刻、展示物、風力ローターブレードの製造、翼、ボートの製造に適用される。提案された方法は、製造コストを削減し、より高度な3次元物体プロファイル精度を提供する。
【0041】
本明細書はまた、マルチストランドコアを囲むチキソトロピーマトリックス材料を有するマルチストランドフィラメントの製造を開示する。チキソトロピー材料による押出成形マルチストランドコアのコーティングは、結合されたマルチストランド材料のほぼ瞬時の硬化をサポートし、硬化プロセスを簡素化する。
【0042】
本明細書はさらに、物体設置場所での3次元物体の製造に適用可能な大型3次元物体の製造のための方法及び装置を開示する。
【0043】
装置
図1は、複合材料から3次元物体を製造するための装置の一実施例の側面図である。装置100は、製造された3次元物体、例えば、支持プラットフォーム上に置かれた3次元物体108を支持するように構成された調整可能な支持プラットフォーム104を含む。3次元物体は複雑な物体であり、平面セグメントと曲面セグメントとを含む。曲面セグメントは、凸面又は凹面で構成され得る。長尺の3次元物体、例えば、風力ローターブレード、又はカヌーの本体を製造しなければならない場合、その寸法は調整可能な支持プラットフォーム104の妥当な寸法を超える可能性がある。個別に調整可能な複数の支柱116が、調整可能な支持プラットフォーム104を形成する。装置100のセクション112もまた、延長され又は突き出させた3次元物体108の調整可能な支持プラットフォーム104のセグメントの上の張り出しを支持するように配置された、いくつかの独立した調整可能な3次元物体支柱116を含む。調整可能な支柱116は、Z軸に沿って移動するように構成され、長尺物体108の調整可能な支持プラットフォーム104のセグメントの上の張り出しを受け入れる受容面120を含む。調整可能な支柱116の受容面120には、回転する球体124が配置され、物体108の位置変更を容易にすることができる。受容面120は、対称軸204(Z軸)に関してあらゆる方向にほぼ340度(
図2)の範囲で回転させることができ、調整可能な支柱116のあらゆる受容面120が、調整可能な支持プラットフォーム上のすべての場所であらゆる湾曲した3次元物体を支持できるようにする。いくつかの実施例では、受容面120を備えた調整可能な支柱116は、特定の3次元物体の製造要件を満たすように位置を変えることができる。
【0044】
調整可能な支柱116の配置の頻度は、装置100によって異なる可能性がある。調整可能な支柱116の回転する球体124が挿入された受容面120間の距離は、3次元物体108の表面の最小限のたるみをサポートするように選択される(
図1)。いくつかの実施例では、回転する円柱が回転する球体124に取って代わる。モーターが回転する円柱に接続され、円柱を操作し、製造された3次元物体の回転などの位置変更を支援することができる。
【0045】
装置100はガイド140を含むことができる。少なくとも1つのロボットアーム144がガイド140に取り付けられ、又はガイド140と共に移動することができる。通常、ガイドは3次元物体の最長寸法に沿ってロボットアームの動きをサポートする。1つ以上のロボットアーム144が、異なる作業を行うように構成され得る。例えば、複合材料押出ノズル148、塗料吹き付けヘッド、3次元物体研磨装置、その他必要なものを有する。ロボットアーム144は、複合材料押出ノズル148及びロボットアーム144に接続された他のエンドエフェクタ(ツール)を3方向又は3軸(X、Y、及びZ)に動かす。ロボットアーム144は、3軸のそれぞれの周りのエンドエフェクタの回転をサポートする。
【0046】
いくつかの実施例では、装置100は、調整可能な支持プラットフォーム104及び112の下側から動作する少なくとも1つのロボットアームを有する複数のロボットアームを含むことができる。調整可能な支柱116を特定の場所に位置変更することで、調整可能な支持プラットフォーム104及び112に下からアクセスするロボットアームの動作を容易にすることができる。
【0047】
材料の押し出しの過程で、調整可能な支持プラットフォーム104は、製造された3次元物体を支持する。調整可能な支持プラットフォーム104の幅は、3次元物体の少なくとも1つの寸法を設定する。この場合、調整可能な支持プラットフォーム104の幅は、1メートルから4メートルの幅とすることができる。調整可能な支柱の数は、製造される3次元物体の長さを調整するために使用できる。
【0048】
1つ以上の硬化放射線源162が、押し出されたフィラメント166の硬化を促進することができる。装置100(
図1)のいくつかの実施例は、押し出された材料を硬化するための複数の手段を含むことができる。硬化源の一実施例は、押出ノズルの近くに配置された複数の紫外線放射源162であり得る。さらなる実施例では、硬化放射線源は、3次元物体の押し出されたばかりの要素に放射線を向けるように配置することができる。
【0049】
レーザービーム又はレーザービームの使用に基づく他の光学的位置合わせ器具170を、調整可能な支柱116の受容面120の位置合わせ及び較正に使用することができる。この特徴は、オフサイト(現場)の3次元物体製造設備の一般的な位置合わせ及び較正を容易にする。
【0050】
熱は、押し出された材料の一部を硬化し得る。装置100は、いくつかのIR(赤外線)源304(
図3)又は、3次元物体の押し出されたばかりの要素を加熱するように配置された単純なヒーターさえも含むことができる。IR源304は、製造される3次元物体に沿ってロボットアームによって移動されるブリッジ型ホルダ308に配置することができる。代わりに、IR源304を製造される3次元物体と共にIR源を運ぶガントリーに配置することもできる。
【0051】
押出成形
図4Aは、米国特許出願公開第2014/0328964号、国際出願公開第2019/245363号、及び欧州特許第3231592号に開示されているものと同様のモードで製造された強化マルチストランドフィラメントを押し出すように構成された押出ノズル404の一実施例である。一実施例では、強化マルチストランドフィラメント406は、3次元物体の製造と共に製造現場で製造される。代わりに、事前に製造され、第三者から購入されたマルチストランドフィラメント(プリプレグ)が用いられ得る。一実施例では、強化フィラメント406は、マルチストランドコア408と、マルチストランドコアを囲むマトリックス材料412と、強化フィラメント406の急速凝固をサポートする追加のコーティング416とを含む。追加のコーティング416はまた、マルチストランド強化フィラメント406の表面を滑らかにする。強化フィラメントのコア408は、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、又はケブラーストランドから成る材料群のうちの1つであり得る。フィラメントマトリックス412は、二成分エポキシ、速硬化エポキシ、ポリエステル樹脂、又はビニルエステルから成る材料群のうちの1つなどのポリマーであり得る。エポキシ成分は、押し出し前に混合チャンバ424で混合され、マルチストランドコア又はフィラメントと共に押し出される。
【0052】
さらなる実施例では、プリプレグ材料であり得る強化フィラメント406は、マトリックス材料を囲む追加のコーティング層416を含む。例えば、追加のコーティング材料は、強化フィラメント406の急速凝固をサポートするカチオン硬化エポキシ又はチキソトロピー材料であり得る。
【0053】
本開示では、強化マルチストランドフィラメント406はさらに、別のコーティングシステム428を通過する。コーティングシステム428は、元のマルチストランドフィラメント402をチキソトロピー材料416の層でコーティングする。チキソトロピー材料は、強化及びコーティングされたフィラメント406のほぼ瞬時の硬化をサポートする。チキソトロピー材料は、本出願の譲受人から入手可能な独自のフォトポリマー材料であるDimengel(登録商標)などであり得る。矢印430は、マルチストランドフィラメントの進行方向を示す。
【0054】
さらなる実施例では、マルチストランドフィラメントは平坦なストリップ434として製造される(
図4B)。ストリップ434は、プリプレグとして事前に製造し、2つのローラー436及び438を通して供給することができた。平坦なストリップの利点は、異なるコーティング/材料によってストリップのそれぞれの面442~444を容易にコーティングすることができ、コーティングされた層のそれぞれが、平坦なストリップ434-1を形成する、異なる厚さであり得ることである。例えば、面442は速硬化又は二成分エポキシによってコーティングすることができ、面444はチキソトロピー材料によってコーティングすることができる。ストリップ434-1は、マルチストランドコアとコーティングシステム440を提供することによって、3次元物体製造現場で製造することができる。
【0055】
速硬化エポキシは、円柱形のストリップ又は平坦なストリップの形の強化フィラメントの急速凝固をサポートするカチオン硬化エポキシであり得る。チキソトロピー材料は、本出願の譲受人から市販されている材料であり得る。
【0056】
既に説明したように、強化フィラメント434のコアは、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、又はケブラーストランドから成る材料群のうちの1つであり得る。
【0057】
図4Cは、各ブラシ446-448が同一又は異なる材料で平坦なストリップ434の両側をコーティングすることができる、ブラシコーティングシステムを示す。
図4Dは、材料スプレーノズル450が平坦なストリップの両側に異なる材料452又は454を吹き付ける、スプレーコーティングシステムを示す。
図4E-1は、異なる厚さの層460及び462を形成する異なる方法でコーティングされた平坦なストリップの実施例である。
図4E-2は、1つ以上のインクジェットノズルが平坦なストリップ434の同じ側に異なる材料472-1、472-2、及び472-3を堆積する実施例を示す。堆積された材料は、同じ厚さ又は異なる厚さであり得る。
【0058】
押出ノズル404(
図4A)は、チキソトロピー材料によって強化及びコーティングされたマルチストランドフィラメント406、434-1などを押し出し、3次元物体108(
図1)の平面セグメント及び曲面セグメントを形成する。同じ譲受人及び発明者の米国特許第10,639,846号は、押出ノズルのそれぞれが他の押出ノズルから独立して動作するマルチノズル押出装置を開示している。この装置は、3次元物体108などの異なるセグメントの同時印刷をサポートする。ノズル断面の他のサイズ及び形状、例えば、六角形、正方形、楕円形、長方形を、特定の3次元物体の要件に応じて使用することができる。押出ノズル404(
図4A)の直径は、典型的には2.0~2.5mmである。長方形又は楕円形のノズルは、幅1.0~2.5mm、長さ5.0~10.0mmであり得るが、他の大きなサイズ又は小さなサイズも可能である。ノズルは交換可能であり、装置100(
図1)が様々な構造表面を有する部品を製造することを可能にする。
【0059】
マルチストランドフィラメント406及び他の強化フィラメントが押し出され又はコーティングされる供給速度も、コーティングの厚さを調整することができる。一実施例では、複数の押出ヘッドの使用が想定されている。複数のフィーダーが、複数のストランドを押し出して複数の押出ヘッドに供給するように動作することができる。装置100は、複数のフィーダーを交互に入れ替え、異なるマルチストランドフィラメントを3次元物体の異なるセグメントに適用することができる。
【0060】
装置の追加ユニット
図5は、装置100の追加ユニット、それらの制御、及び動作のブロック図である。装置100は、装置100の動作を制御する制御コンピュータ152を含む(
図1)。制御コンピュータ152は、CADシステムから製造される3次元物体、例えば3次元物体108の輪郭(プロファイル)及び長さを受信する。コンピュータ152は、3次元物体108の輪郭曲率(プロファイル)及び長さに適合するように調整可能な支柱116(
図1)の受容面120の角度及び高さを調整する。制御コンピュータ152は、1つ以上のロボットアーム144の移動、材料トラフノズル148の押出速度、硬化エネルギーレベル、及び他の3次元物体製造パラメータを制御する。
【0061】
制御コンピュータ152は、必要に応じて、3次元物体研磨装置504、塗料吹き付け装置508、ワニス堆積装置512などのロボットアームを制御する。ロボットアーム144又は同様のものは、ロボットアームに接続された押出ノズル148及び他のエンドエフェクタ(ツール)を3方向又は3軸(X、Y、及びZ)に動かし、エンドエフェクタの回転をサポートする。
【0062】
制御コンピュータ152は、複数のロボットアーム144を同時に、例えば、異なるノズルを通して異なる材料の移動及び押し出しを制御するように構成された、いくつかのロボットアーム、3次元物体と他の異なる表面セグメントの同時ペイントを制御するように構成することができる。
【0063】
ロボットアーム
ロボットアームは、モーターによって作動されるジョイントによって動かされる一連のリンクである。通常、エンドエフェクタが一連のリンクの端に取り付けられる。エンドエフェクタは、所望の機能を果たすツールである。ロボットアームは、エンドエフェクタをある場所から別の場所へと移動させる。本明細書は、押し出された材料を堆積し、塗料を吹き付け、完成した3次元物体を研磨するのに適したいくつかのエンドエフェクタツールの使用を開示している。ロボットアームは、交換可能な複数のエンドエフェクタツールを操作するように構成されている。いくつかのロボットアームは、同時にいくつかのエンドエフェクタツールを操作することができる。
【0064】
同じ譲受人の米国特許第8,974,213号、第9,162,391号、及び第9,527,243号は、押し出された層の間に金属又はポリマーのネット又はグリッドを挿入することによって3次元物体を強化する方法を開示している。別の実施例では、好適なピックアップエンドエフェクタツールを備えたロボットアーム144又は同様のものを配置して、金属又はポリマーのグリッド(ネット)804(
図8)をピックアップし、調整可能な支持体116の受容面120の上に広げることができる。適切に選択されたメッシュを備えたこのようなグリッドは、押し出された材料を蒸着するのに便利な基板を提供する。
【0065】
ロボットアームは、コンピュータ152に所望のフィードバックを提供し、ロボットアームの動きを調整する、内蔵の圧力センサ、ビジョンセンサなどを有することができる。
【0066】
本開示では、1つ以上のロボットアームがレール140に取り付けられ、レールのロボットアームの移動をサポートする。少なくとも1つの衝突検出センサが、起こり得る衝突に関してロボットアームの移動を制御するコンピュータを提供するように動作する。
【0067】
ロボットアーム144は、調整可能な支持プラットフォームの表面と調整可能な支持セクション112のすべてのポイントに到達し、押出成形された3次元物体の表面セグメントに対してノズル148を常に垂直に維持するように構成される。ロボットアーム144に取り付けられたノズル148は、X軸、Y軸、Z軸のそれぞれの周りを少なくとも180度回転することができる。ノズル148を保持するロボットアームの使用は、一度のセットアップでアーク/リブ全体(
図7A)の押し出しをサポートする。
【0068】
複合材料の3次元物体の製造の過程で、ロボットアーム144は、押出ノズル148を縦方向ガイド140の至る所に縦方向ガイド140に沿って移動させ、3次元物体の調整可能なプラットフォーム104及び112(
図6)及び調整可能な支持面に対して異なる角度で強化フィラメント(
図6と7)を堆積させる。強化フィラメントは、螺旋状のパターンで3次元物体に当てられる。螺旋の角度は、連続的な層を作るのに必要な数の螺旋を堆積させるように調整することができる。
【0069】
速硬化エポキシのマトリックスを使用した強化フィラメントの少なくとも1つの層を3次元物体に螺旋パターンで取り付けて連続的な表面を形成することができる。二成分エポキシのマトリックスを備えたマルチストランドフィラメントが、3次元物体の後続の層を形成することができる。このような3次元物体構造は、3次元物体に追加の強度を提供する。最良の結果の強度を得るための層間での材料の他の変更及び置換は、開示範囲内にある。
【0070】
実施例
図6は、複合材料から作られた3次元物体600を押出成形する方法の一実施例である。3次元物体600は、凸面セグメント604及び凹面セグメント608を含む。3次元物体600のすべての表面セグメントは同じレベルで終端し、調整可能な支持プラットフォーム104/112上に3次元物体600の平面又は平坦な表面602を形成する。CADシステムが、制御コンピュータ152に3次元物体600に関する情報を提供する。制御コンピュータ152は、支柱116のすべての受容面120を水平にし、調整可能な支持プラットフォームの平面を形成するように動作する。
【0071】
装置100(
図1)は、複合材料を押し出し、凸面セグメント604と凹面セグメント608のアークを形成する。凸面セグメント604と凹面セグメント608のアークは、調整可能な支持プラットフォーム104/112に接続される。別の実施例では、平面602を形成する複合材料のストリップが、強い閉じた輪郭を形成することができる。押し出された材料、例えば、チキソトロピー材料は、ノズル404を出た直後に硬化し、平面602、凸面604、及び凹面608を形成する材料のストリップは、それらの重量で変形しないほど十分に硬くなる。押し出された複合材料によって形成された、空中に広がる3次元物体の表面セグメント604及び608は十分に硬く、空中に浮いたままである。3次元物体の表面セグメント604及び608の製造にはマンドレルは使用されなかった。
【0072】
別の実施例では、装置100は材料のストリップを押し出して平面602の輪郭を形成する。装置100(
図1)は、平面602の輪郭に接続された凸面セグメント604及び凹面セグメント608のアークを押し出し続ける。
【0073】
平面602のセグメントを形成する材料のストリップは、3次元物体600の輪郭を強化する一種の中間サポートであり、すべてのパスで印刷されるとは限らない。
【0074】
ロボットアーム144は、押出ノズル404を3方向又は3軸(X、Y、及びZ)に動かし、3軸のそれぞれの周りの押出ノズル404の回転をサポートする。移動の過程で、ノズル404は、強化及びコーティングされたフィラメント406を押し出し、少なくとも3次元物体600のセグメントを形成する。ノズル148は、ノズル404と同様の移動を行うように構成される。
【0075】
1つの押出ノズルが動作すると、3次元物体600のセグメントが順次押出成形される。同じ譲受人及び発明者の米国特許第10,639,846号は、押出ノズルのそれぞれが他の押出ノズルから独立して動作するマルチノズル押出装置を開示している。このような装置は、3次元物体600の異なるセグメントの同時印刷をサポートする。本製造方法によれば、3次元物体600の製造はマンドレル又は型を必要としない。
【0076】
装置100は、層の集合体としての3次元物体600の製造をサポートすることができる。層は異なる材料の層であり得る。例えば、層の1つは速硬化エポキシを用いて製造し、別の層は二成分エポキシを用いて製造することができる。単一の押出ヘッドを備えた装置100は、異なる層を順次押出成形する。複数の押出ヘッドを備えた装置は、異なる材料による層を同時に押出成形することができる。
【0077】
同じ譲受人の米国特許第10,328,635号は、3次元物体の製造のための方法及び装置を開示している。複数の同一の3次元物体の場合、装置600は適切な材料を使用して型を製造するように構成することができる。型は、同一の3次元物体の製造(成形)に使用することができる。開示された方法は、同一の3次元物体の製造時間を節約し、それらの製造コストを削減する。
【0078】
図7Aは、複合材料による凸面セグメント及び凹面セグメントを含む3次元物体の製造方法の別の実施例である。高さが50mmを超え、不連続又は個別に調整可能なプラットフォーム表面104/112にまたがる長尺の3次元物体の表面セグメントの強度は、内部支持壁又はリブ704を追加することによって強化することができる。内部支持リブ704は、3次元物体600の凸セグメント604及び凹セグメント608と同時に印刷することができる。内部支持壁又はリブ(
図7)は、3次元物体の輪郭に正確に従う。いくつかの実施例では、リブ又は壁704は、完全な3次元物体の断面を示すように、すなわち360度周囲に広がるように製造することができる。360度周囲に広がるリブは、3次元物体の位置変更、例えば、3次元物体の回転をサポートすることができる。
【0079】
内部支持壁(
図7B)は、1組の柱710又は他の形状であり得る。ケーブル又はチューブの導入をサポートする開口部を、支持壁に作成するか又は柱710の間に入れることができる。内部支持壁と柱の配置の位置及び頻度は、製造された3次元物体の完全性を維持するために選択することができる。
【0080】
別の実施例では、3次元物体に平坦な表面がない場合、装置100は、ロボットアーム812又は別のロボットアームを使用して調整可能な支柱116の関連する受容面120の上に金属又はポリマーのグリッド(ネット)804を広げることによって、3次元物体の製造を開始することができる。制御コンピュータ152(
図1)は、CADシステムから3次元物体のデータを受信し、製造される3次元物体の曲率及び長さに適合するように支持部材116のすべての受容面120を配置するべく動作する。ネット又はグリッド804の使用は、あらゆる3次元物体形状の押し出しをサポートする。
図8Bは、ロボットアーム812によるグリッド基板804の広がりを示す。
【0081】
ロボットアームは、押出ノズル404を3方向又は3軸(X、Y、及びZ)に移動させ、3軸のそれぞれの周りの押出ノズル404の回転をサポートする。移動の過程で、ノズル404は強化及びコーティングされたフィラメント406を押し出し、3次元物体の少なくとも一部を形成する。製造された3次元物体は、凸面セグメント又は凹面セグメントを含むことができる。
【0082】
図6及び
図7に示した両方の実施例において、製造される3次元物体は、3次元物体の強度及び機能的要素を強化するいくつかの内部構造を含むことができる。ハニカムのような制御された多孔構造を有する複合材料は、3次元物体の強度を高めることが知られている。例えば、押出成形された制御された多孔構造は、セル壁のピッチ及び高さを可変にすることができる。例えば、風力ローターブレードの場合、スパー部分は、ブレードの長さに沿ってピッチを変化させるハニカム構造を有することができる。
【0083】
複合材料で作られた3次元物体の製造が完了すると、3次元物体600(
図9)は位置を変えることができ、例えば、3次元物体の面の一方を中心に180度回転させることができる。3次元物体の回転は、支柱116の適切な調整とロボットアームの使用によって実現することができる。物体600のアーク604と608の反対側に向けられた追加の凸又は凹セグメント900を製造することができる。
【0084】
3次元物体の製造が完了すると、ほぼ完成した3次元物体のアセンブリを研磨する必要がある。サンドペーパーを備えたパッドを保持する1つ以上のロボットアームを作動させて、風力ローターブレード1000の外面を研磨することができる。同様の方法で、ロボットアームを使用して塗料吹き付け装置を操作し、風力ローターブレードの表面を塗装してワニスで覆うことができる。
【0085】
装置100(
図1)は、従来のエアフォイルプロファイルの断面を有する3次元物体の製造に適している。エアフォイルは、飛行機の翼、風力タービンのブレードのプロファイルであり、他の3次元物体は凸面と凹面とを含む。エアフォイル及びカヌーは、比較的長尺の物体である。本製造方法は、物体をいくつかのセクションに切断し、各セクションを別々に製造し、それらを1つの長尺の3次元物体へと接続することによって、このような長尺の3次元物体を製造することを提案している。適切な端面準備に続いて、グリッド、フィラメントワインディング、及びより強い材料の押し出しを使用することによって、接続領域の強度を高めることができる。
【0086】
同じ譲受人の米国特許第8,974,213号、第9,162,391号、及び第9,527,243号は、押し出された層の間に金属又はポリマーのネット又はグリッドを挿入することによって3次元物体を強化する方法を開示している。これらの特許に記載された方法によって印刷された3次元物体は、平坦な表面又は均一な曲率を有する表面の上にグリッドを広げる。物体600は、正の曲率604及び負の曲率608を有するセグメント604を有する。一実施例では、グリッドは、製造される3次元物体セグメントに従ってセグメント化することができる。別の実施例では、異なるフィラメントワインディングを異なる3次元物体セグメントに適用できる。
【0087】
一実施例では、3次元物体を単一の固体として製造することができる。別の実施例では、3次元物体の大きなセグメント、例えば半分(
図6)が製造される。他の表面セグメントを製造するために、3次元物体600を再配置して、例えば回転させて他の表面セグメント900(
図9)の製造を容易にすることができる。受容面120(
図6)の角度の変更は、3次元物体の第2の面を印刷するために回転される3次元物体600の回転をサポートする。受容面120の位置の変更、ローラーの操作、ロボットハンドの使用などは、3次元物体の位置変更のプロセスを支援することができる。
【0088】
図10は、部分的に作成された3次元物体の表面のフィラメントワインディングを示す実施例である。フィラメントワインディングは、部分的に製造された3次元物体1000を強化し、その上に3次元物体材料の追加の層を堆積できる便利な基板を提供する。3次元物体は、ローラーの操作、ロボットアームの使用、及び同様のプロセスを含むさまざまな手段によって、フィラメントワインディングのために位置を変えることができる。
【0089】
3次元物体の製造が完了すると、ほぼ完成した3次元物体のアセンブリを研磨する必要がある。サンドペーパーを備えたパッドを保持する1つ以上のロボットアームを作動させて、3次元物体、例えば、風力ローターブレードの外面を研磨することができる。同様の方法で、ロボットアームを使用して塗料吹き付け装置を操作し、風力ローターブレードの表面を塗装してワニスで覆うことができる。
【0090】
本明細書は添付の図面及び実施例を参照しているが、本明細書の技術的主旨及び範囲から逸脱することなく様々な変更及び修正を加えることができることが当業者には理解されるであろう。
【国際調査報告】