(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-05
(54)【発明の名称】2ビット磁気抵抗ランダム・アクセス・メモリ・デバイス・アーキテクチャ
(51)【国際特許分類】
H10B 61/00 20230101AFI20240227BHJP
H10N 50/20 20230101ALI20240227BHJP
H10N 50/80 20230101ALI20240227BHJP
G11C 11/16 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
H10B61/00
H10N50/20
H10N50/80 Z
G11C11/16 100
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023542734
(86)(22)【出願日】2022-01-18
(85)【翻訳文提出日】2023-07-13
(86)【国際出願番号】 EP2022051028
(87)【国際公開番号】W WO2022167215
(87)【国際公開日】2022-08-11
(32)【優先日】2021-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】ダッタ、アシム
(72)【発明者】
【氏名】エバート、エリック、レイモンド
【テーマコード(参考)】
4M119
5F092
【Fターム(参考)】
4M119AA07
4M119AA11
4M119BB01
4M119DD32
4M119DD37
4M119DD46
4M119DD54
4M119EE23
4M119EE27
4M119EE33
4M119FF05
4M119FF13
4M119GG08
4M119HH01
4M119HH04
4M119JJ16
4M119KK14
5F092AA12
5F092AB08
5F092AC12
5F092BC04
(57)【要約】
磁気抵抗ランダム・アクセス・メモリ(MRAM)デバイスが、第1のビット線に選択的に接続される第1のセルと、第2のビット線に選択的に接続される第2のセルとを含む。MRAMデバイスは、第1のセルに接続され、第2のセルに接続された共用トランジスタをさらに含む。MRAMデバイスは、第1のセレクタ・デバイスと第2のセレクタ・デバイスとをさらに含む。第1のセレクタ・デバイスは、第1のセレクタ・デバイスに印加された電圧が閾値アクティブ化電圧より大きい場合に第1のセルを通って共用トランジスタに電流を流すように構成される。第2のセレクタ・デバイスは、第2のセレクタ・デバイスに印加された電圧が閾値アクティブ化電圧より大きい場合に第2のセルを通って共用トランジスタに電流を流すように構成される。MRAMセルは、共用トランジスタのゲートに接続されたワード線をさらに含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気抵抗ランダム・アクセス・メモリ(MRAM)デバイスであって、
第1のビット線に接続された第1のセルと、
第2のビット線に接続された第2のセルと、
前記第1のセルに接続され、前記第2のセルに接続された共用トランジスタと、
前記第1のセルに対応する第1のセレクタ・デバイスであって、前記第1のセレクタ・デバイスに印加された電圧が閾値アクティブ化電圧より大きい場合に前記第1のセルを通って前記共用トランジスタまで電流を流すように構成されている、前記第1のセレクタ・デバイスと、
前記第2のセルに対応する第2のセレクタ・デバイスであって、前記第2のセレクタ・デバイスに印加された電圧が前記閾値アクティブ化電圧より大きい場合に前記第2のセルを通って前記共用トランジスタまで電流を流すように構成されている、前記第2のセレクタ・デバイスと
を含む、MRAMデバイス。
【請求項2】
前記共用トランジスタがソース線に接続されている、請求項1に記載のMRAMデバイス。
【請求項3】
前記第1のセルが前記共用トランジスタを介して前記ソース線に接続され、
前記第2のセルが前記共用トランジスタを介して前記ソース線に接続されている、
請求項2に記載のMRAMデバイス。
【請求項4】
前記第1のセルと前記第2のセルのそれぞれが、対応する上部電極と、対応する下部電極との間に配置された対応する磁気トンネル接合(MTJ)を含み、
各MTJが参照層と、トンネル障壁層と、自由層とを含み、
前記第1のセレクタ・デバイスと前記第2のセレクタ・デバイスとの少なくとも一方が、前記参照層と、前記対応するセルの前記下部電極との間に配置されている、
請求項1に記載のMRAMデバイス。
【請求項5】
前記第1のセルと前記第2のセルのそれぞれが、対応する上部電極と、対応する下部電極との間に配置された対応するMTJを含み、
各MTJが参照層と、トンネル障壁層と、自由層とを含み、
前記第1のセレクタ・デバイスと前記第2のセレクタ・デバイスとのうちの少なくとも一方が、前記自由層と、前記対応するセルの前記上部電極との間に配置されている、
請求項1に記載のMRAMデバイス。
【請求項6】
前記第1のセルと前記第2のセルのそれぞれが、対応する上部電極と、対応する下部電極との間に配置された対応するMTJを含み、
両方の下部電極が共用ランディング・パッドに接続され、
前記第1のセレクタ・デバイスと前記第2のセレクタ・デバイスとのうちの少なくとも一方が、前記対応する下部電極と前記共用ランディング・パッドとの間に配置されている、
請求項1に記載のMRAMデバイス。
【請求項7】
前記閾値アクティブ化電圧が、前記第1のセルと前記第2のセルとのうちの一方によって記憶されている値を判定するために使用される読み出し電流の読み出し電圧より小さい、請求項1に記載のMRAMデバイス。
【請求項8】
前記読み出し電圧が前記閾値アクティブ化電圧の3倍より小さい、請求項7に記載のMRAMデバイス。
【請求項9】
前記閾値アクティブ化電圧が、前記第1のセルと前記第2のセルとのうちの一方に値を記憶するために使用される書き込み電流の書き込み電圧より小さい、請求項1に記載のMRAMデバイス。
【請求項10】
前記書き込み電圧が前記閾値アクティブ化電圧の3倍より小さい、請求項9に記載のMRAMデバイス。
【請求項11】
前記第1のセレクタ・デバイスと前記第2のセレクタ・デバイスとのうちの少なくとも一方がセレクタ・ダイオードであり、
前記セレクタ・ダイオードが、順方向アクティブ化閾値電圧と少なくとも同じ大きさの電圧によって順方向にアクティブにされ、
前記セレクタ・ダイオードが、逆方向アクティブ化閾値電圧と少なくとも同じ大きさの電圧によって逆方向にアクティブにされ、
前記逆方向アクティブ化閾値電圧が前記順方向アクティブ化閾値電圧より大きく、
前記順方向アクティブ化電圧が、前記第1のセルと前記第2のセルとのうちの一方によって記憶されている値を判定するために使用される読み出し電流の読み出し電圧より小さい、請求項1に記載のMRAMデバイス。
【請求項12】
前記読み出し電圧が前記逆方向アクティブ化閾値電圧と、前記順方向アクティブ化閾値電圧の2倍との和より小さい、請求項11に記載のMRAMデバイス。
【請求項13】
前記第1のセレクタ・デバイスと前記第2のセレクタ・デバイスとのうちの少なくとも一方がセレクタ・ダイオードであり、
前記セレクタ・ダイオードが、順方向アクティブ化閾値電圧と少なくとも同じ大きさの電圧によって順方向にアクティブにされ、
前記セレクタ・ダイオードが、逆方向アクティブ化閾値電圧と少なくとも同じ大きさの電圧によって逆方向にアクティブにされ、
前記逆方向アクティブ化閾値電圧が前記順方向アクティブ化閾値電圧より大きく、
前記順方向アクティブ化閾値電圧が、前記第1のセルと前記第2のセルとのうちの一方に値を記憶するために使用される書き込み電流の書き込み電圧より小さい、請求項1に記載のMRAMデバイス。
【請求項14】
前記書き込み電圧が、前記逆方向アクティブ化閾値電圧と、前記順方向アクティブ化閾値電圧の2倍との和より小さい、請求項13に記載のMRAMデバイス。
【請求項15】
2ビットMRAMデバイスを形成する方法であって、
共通ランディング・パッド上に第1の下部電極と第2の下部電極とを形成することと、
前記第1の下部電極に接続された第1のセルを形成することであって、第1のセレクタ・デバイスが第1の上部電極と前記共通ランディング・パッドとの間に配置されるように前記第1の上部電極と前記第1のセレクタ・デバイスとを形成することを含む、前記第1のセルを形成することと、
前記第2の下部電極に接続された第2のセルを形成することであって、第2のセレクタ・デバイスが第2の上部電極と前記共通ランディング・パッドとの間に配置されるように前記第2の上部電極と前記第2のセレクタ・デバイスとを形成することを含む、前記第2のセルを形成することと
を含む、方法。
【請求項16】
前記第1のセレクタ・デバイスと前記第2のセレクタ・デバイスとを形成することが、エッチ処理を使用してセレクタ・デバイス材料をパターン形成することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記セレクタ・デバイス材料が、SiOx、TiOx、AlOx、WOx、TiNOx、HfOx、TaOxおよびNbOxからなるグループから選択された少なくとも1つを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の上部電極を第1のトランジスタに接続する第1の金属線を形成することと、
前記第2の上部電極を第2のトランジスタに接続する第2の金属線を形成することと
をさらに含み、前記第1の金属線が前記第2の金属線から分離している、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の金属線を形成することと前記第2の金属線とを形成することとが、ダマシン処理を行うことを含む、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気、電子およびコンピュータの分野に関する。詳細には、本発明は、3つのトランジスタを有する2ビット磁気抵抗ランダム・アクセス・メモリ(MRAM)セルおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
MRAMは、コンピュータおよびその他の電子デバイスにおいてデータを記憶するために使用される不揮発性メモリの一種である。データを(たとえばキャパシタを使用して)電荷または電流として記憶する従来型のリード・アクセス・メモリ(たとえばダイナミック・リード・アクセス・メモリ(DRAM))とは異なり、MRAMは、磁気記憶素子を使用してデータを磁区として記憶する。磁気記憶素子は、各強磁性プレートが磁化を保持することができる、絶縁層によって分離された2つの強磁性プレートから形成される。2つのプレートのうちの一方は特定の極性に設定された永久磁石であり、他方のプレートの磁化は記憶内容を記憶するための外部磁界の磁化と一致するように変化することができる。この構成は、磁気トンネル接合と呼ばれ、MRAMセルの構造の一例である。このような「セル」のアレイからメモリ・デバイスが構築される。
【発明の概要】
【0003】
本発明の実施形態は、磁気抵抗ランダム・アクセス・メモリ(MRAM)デバイスを含む。MRAMデバイスは、第1のビット線に選択的に接続される第1のセルと、第2のビット線に選択的に接続される第2のセルとを含む。MRAMデバイスは、第1のセルに接続され、第2のセルに接続された、共用トランジスタをさらに含む。MRAMデバイスは、第1のセレクタ・デバイスと第2のセレクタ・デバイスとをさらに含む。第1のセレクタ・デバイスは、第1のセルに対応し、第1のセレクタ・デバイスに印加された電圧が閾値アクティブ化電圧より大きい場合に第1のセルを通って共用トランジスタまで電流を流すように構成されている。第2のセレクタ・デバイスは、第2のセルに対応し、第2のセレクタ・デバイスに印加された電圧が閾値アクティブ化電圧より大きい場合に第2のセルを通って共用トランジスタまで電流を流すように構成されている。MRAMデバイスは、共用トランジスタのゲートに接続されたワード線をさらに含む。
【0004】
本発明のさらなる実施形態は、2ビットMRAMデバイスを形成する方法を含む。方法は、共通ランディング・パッド上に第1の下部電極と第2の下部電極とを形成することを含む。方法は、第1の下部電極に接続された第1のセルを形成することをさらに含み、第1のセルを形成することは、第1のセレクタ・デバイスが第1の上部電極と共通ランディング・パッドとの間に配置されるように、第1の上部電極と第1のセレクタ・デバイスとを形成することを含む。方法は、第2の下部電極に接続された第2のセルを形成することをさらに含み、第2のセルを形成することは、第2のセレクタ・デバイスが第2の上部電極と共通ランディング・パッドとの間に配置されるように、第2の上部電極と第2のセレクタ・デバイスとを形成することを含む。
【0005】
本発明のさらなる実施形態は、2ビットMRAMデバイスをプログラムする方法を含む。方法は、2ビットMRAMデバイスに第1のビットをプログラムする書き込みコマンドを受け取ることを含む。2ビットMRAMデバイスは、第1の磁気トンネル接合(MTJ)と第1の電極とを含む第1のセルと、第2のMTJと第2の電極とを含む第2のセルと、第1のセルと第1のビット線とに接続された第1のトランジスタと、第2のセルと第2のビット線とに接続された第2のトランジスタと、第1のセルと第2のセルとをソース線に接続する共用トランジスタと、共用トランジスタと第1の電極との間に配置された第1のセレクタ・デバイスと、共用トランジスタと第2の電極との間に配置された第2のセレクタ・デバイスとを含む。方法は、第1のビットが特定のMTJに記憶されることになっていると判定することをさらに含み、特定のMTJは第1のMTJと第2のMTJとのうちの一方である。方法は、特定のMTJに電流を流すために、共用トランジスタと、第1のトランジスタと第2のトランジスタとのうちの一方とを選択的にアクティブにすることをさらに含み、共用トランジスタと、第1のトランジスタと第2のトランジスタのうちの一方とを選択的にアクティブにすることは、その特定のMTJが第1のMTJである場合には第1のセレクタ・デバイスに、その特定のMTJが第2のMTJである場合には第2のセレクタ・デバイスに、電流を流す。
【0006】
本発明のさらなる実施形態は、2ビットMRAMデバイスに記憶された値を判定する方法を含む。方法は、2ビットMRAMデバイスの第1のビットに記憶された値を判定する読み出しコマンドを受け取ることを含む。2ビットMRAMデバイスは、第1のMTJと第1の電極とを含む第1のセルと、第2のMTJと第2の電極とを含む第2のセルと、第1のセルと第1のビット線とに接続された第1のトランジスタと、第2のセルと第2のビット線とに接続された第2のトランジスタと、第1のセルと第2のセルとをソース線に接続する共用トランジスタと、共用トランジスタと第1の電極との間に配置された第1のセレクタ・デバイスと、共用トランジスタと第2の電極との間に配置された第2のセレクタ・デバイスとを含む。方法は、記憶された値を判定する第1のビットが特定のMTJにあると判定することをさらに含み、特定のMTJは第1のMTJと第2のMTJとのうちの一方である。方法は、特定のMTJに電流を流すために、共用トランジスタと、第1のトランジスタと第2のトランジスタとのうちの一方とを選択的にアクティブにすることをさらに含み、共用トランジスタと、第1のトランジスタと第2のトランジスタとのうちの一方とを選択的にアクティブにすることは、特定のMTJが第1のMTJである場合に第1のセレクタ・デバイスに、特定のMTJが第2のMTJである場合に第2のセレクタ・デバイスに、電流を流す。
【0007】
本発明のさらなる実施形態は、2ビットMRAMデバイスを形成する方法を含む。方法は、第1のシングル・ビットMRAMセルを第1のビット線とソース線とに接続することを含み、第1のビット線は第1のトランジスタによって選択的に操作され、第1のシングル・ビットMRAMセルは第2のトランジスタを介してソース線に接続され、第1のシングル・ビットRAMセルは第1のセレクタ・スイッチ・デバイスを介して第2のトランジスタに接続される。方法は、第2のシングル・ビットMRAMセルを第2のビット線とソース線とに接続することをさらに含み、第2のビット線が第3のトランジスタによって選択的に操作され、第2のシングル・ビットMRAMセルが第2のトランジスタを介してソース線に接続され、第2のシングル・ビットMRAMセルが第2のセレクタ・スイッチ・デバイスを介して第2のトランジスタに接続される。第1のシングル・ビットMRAMセルと第2のシングル・ビットMRAMセルのそれぞれは、書き込み閾値電圧と少なくとも同じ大きさの電圧を有する電流を流すことによってプログラム可能である。第1のセレクタ・スイッチ・デバイスと第2のセレクタ・スイッチ・デバイスのそれぞれは、アクティブ化閾値電圧と少なくとも同じ大きさの電圧によってアクティブにされると、それぞれのMRAMセルを共用トランジスタに接続するように構成される。書き込み閾値電圧はアクティブ化閾値電圧より大きく、書き込み閾値電圧はアクティブ化閾値電圧の3倍より小さい。
【0008】
上記の概要は、本発明の各例示の実施形態またはあらゆる実装形態を説明することを意図していない。
【0009】
本開示に含まれる図面は、本明細書に組み込まれ、その一部をなす。図面は本発明の実施形態を図示し、本説明とともに、本発明の原理を説明する役割を果たす。図面は典型的な実施形態の例示に過ぎず、本発明を限定しない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態による、2ビット磁気抵抗ランダム・アクセス・メモリ(MRAM)セルの例示の構成を示す概略図である。
【
図2】本発明の実施形態による、
図1に示すものなどの2ビットMRAMセルの一部の断面図を示す概略図である。
【
図3】本発明の実施形態による、セルの一次経路を示す、
図1に示された2ビットMRAMセルの例示の構成を示す概略図である。
【
図4】本発明の実施形態による、セルの二次経路を示す、
図1に示された2ビットMRAMセルの例示の構成を示す概略図である。
【
図5】本発明の実施形態による、2ビットMRAMセルの第1のビットをプログラムする例示の方法のフローチャートである。
【
図6】本発明の実施形態による、2ビットMRAMセルの別の例示の構成を示す概略図である。
【
図7】本発明の実施形態による、セルの一次経路を示す、
図6に示された2ビットMRAMセルの例示の構成を示す概略図である。
【
図8】本発明の実施形態による、セルの二次経路を示す、
図6に示された2ビットMRAMセルの例示の構成を示す概略図である。
【
図9】本発明の実施形態による、2ビットMRAMセルの上面図を示す概略図である。
【
図10】本発明の実施形態による、2ビットMRAMセルを形成する例示の方法のフローチャートである。
【
図11A】本発明の実施形態による、
図10に示す方法の一部の実行後の2ビットMRAMセルの概略側断面図である。
【
図11B】本発明の実施形態による、
図11Aに示す2ビットMRAMセルの概略上面図である。
【
図12A】本発明の実施形態による、方法の一部の実行後の
図11Aに示す2ビットMRAMセルの概略側断面図である。
【
図12B】本発明の実施形態による、方法の一部の実行後の
図12Aに示す2ビットMRAMセルの概略側断面図である。
【
図12C】本発明の実施形態による、方法の一部の実行後の
図12Bに示す2ビットMRAMセルの概略側断面図である。
【
図12D】本発明の実施形態による、方法の一部の実行後の
図12Cに示す2ビットMRAMセルの概略側断面図である。
【
図12E】本発明の実施形態による、方法の一部の実行後の
図12Dに示す2ビットMRAMセルの概略側断面図である。
【
図12F】本発明の実施形態による、方法の一部の実行後の
図12Eに示す2ビットMRAMセルの概略側断面図である。
【
図12G】本発明の実施形態による、方法の一部の実行後の
図12Fに示す2ビットMRAMセルの概略側断面図である。
【
図12H】本発明の実施形態による、方法の一部の実行後の
図12Gに示す2ビットMRAMセルの概略側断面図である。
【
図12I】本発明の実施形態による、方法の一部の実行後の
図12Hに示す2ビットMRAMセルの概略側断面図である。
【
図12J】本発明の実施形態による、方法の一部の実行後の
図12Iに示す2ビットMRAMセルの概略側断面図である。
【
図13】本発明の実施形態による、本明細書に記載の方法、手段、およびモジュール、ならびに任意の関連機能のうちの1つまたは複数の実装において使用可能な、例示のコンピュータ・システムを示す高レベル・ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の態様は、一般には、電気、電子およびコンピュータの分野に関し、詳細には、3つのトランジスタを有する2ビット磁気抵抗ランダム・アクセス・メモリ(MRAM)セルおよびその製造方法に関する。本発明は、必ずしもそのような用途には限定されないが、本発明の様々な態様は、この文脈を使用した様々な例の説明からわかるであろう。
【0012】
本明細書では本発明の様々な実施形態について関連する図面を参照しながら説明する。本発明の範囲から逸脱することなく代替的実施形態を考案することができる。以下の説明および図面では、要素間の様々な接続および位置関係(たとえば、上、下、隣接など)が記載されていることに留意されたい。これらの接続または位置関係あるいはその両方は、特に明記されていない限り、直接的または間接的とすることができ、本発明はこの点に関して限定的であることが意図されていない。したがって、実体の結合は、直接結合または間接結合を指す場合があり、実体間の位置関係は、直接的位置関係または間接的位置関係であり得る。間接的位置関係の一例として、本説明で層「B」の上に層「A」を形成すると言う場合、層「A」と層「B」の関連特性および機能が介在層によって実質的に変更されない限り、層「A」と層「B」との間に1つまたは複数の介在層(たとえば層「C」)がある状況を含む。
【0013】
特許請求の範囲および本明細書の解釈のために以下の定義および略語を使用するものとする。本明細書で使用する「備える(comprises)」、「備えている(comprising)、「含む(includes)」、「含んでいる(including)」、「有する(has)」、「有している(having)」、「含有する(contains)」、または「含有している(containing)」という用語またはこれらのあらゆるその他の変形は、非排他的包含を含むものと意図されている。たとえば、列挙されている要素を含む組成物、混合物、プロセス、方法、物、または装置は、必ずしもそれらの要素のみには限定されず、明示的に列挙されていないかあるいはそのような組成物、混合物、プロセス、方法、物または装置に固有の他の要素を含み得る。
【0014】
以下の説明において、「上部」、「下部」、「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「最上部」、「最下部」という用語およびこれらの派生語は、記載されている構造および方法に対して、図面における向きの通りの関係にあるものする。「重なっている」、「~上に(atop)」、「~の上に(on top)」、「~の上に位置する」または「~上に位置する」という用語は、第1の構造などの第1の要素が、第2の構造などの第2の要素の上に存在することを意味し、その際、第1の要素と第2の要素との間に境界面構造などの介在要素が存在し得る。「直接接触」という用語は、第1の構造などの第1の要素と、第2の構造などの第2の要素とが、それら2つの要素の境界面にいかなる中間の導電層、絶縁層または半導体層もなしに接続されることを意味する。たとえば「第2の要素に対して選択的な第1の要素」などの、「~に対して選択的な」という用語は、第1の要素がエッチング可能であり、第2の要素がエッチ・ストップとして機能することができることを意味することに留意されたい。
【0015】
簡潔にするために、半導体デバイスおよび集積回路(IC)製造に関連する従来の技術については、本明細書で詳細に記載する場合もしない場合もある。また、本明細書に記載の様々な作業およびプロセス工程は、本明細書で詳細に記載していない追加の工程または機能を有する、より包括的な手順またはプロセスに組み込み可能である。具体的には、半導体デバイスおよび半導体ベースのICの製造における様々な工程がよく知られており、したがって、簡潔にするために、本明細書では、多くの従来の工程については、周知のプロセスの詳細を示さずに簡単に言及するにとどめるかまたは完全に省略する。
【0016】
一般に、ICにパッケージ化されるマイクロチップを形成するために使用される様々なプロセスは、4つの大まかなカテゴリ、すなわち、膜堆積と、除去/エッチングと、半導体ドーピングと、パターン形成/リソグラフィとに分類される。
【0017】
堆積は、ウエハ上に材料を成長、コーティング、またはその他の方法で移す任意のプロセスである。利用可能な技術としては、物理気相堆積(PVD)、化学気相堆積(CVD)、電気化学堆積(ECD)、分子線エピタキシ(MBE)、および、より最近では、とりわけ原子層堆積(ALD)がある。もう一つの堆積技術は、他の技術であれば従来のCVDに付随するより高温を要することになる、ウエハ表面における反応を誘起するためにプラズマ内のエネルギーを使用するプロセスである、プラズマ励起化学気相堆積(PECVD)である。PECVD堆積時のエネルギー・イオン衝撃は、膜の電気特性および力学特性も向上させることができる。
【0018】
除去/エッチングは、ウエハから材料を除去する任意のプロセスである。例としては、エッチング・プロセス(ウェットまたはドライ)、化学機械平坦化(CMP)などがある。除去プロセスの一例はイオン・ビーム・エッチング(IBE)である。一般に、IBE(またはミリング)とは、物理不活性ガス手段または化学反応ガス手段あるいはその両方により基板材料を除去するために遠隔の広いビーム・イオン/プラズマ源を利用するドライ・プラズマ・エッチング方法を指す。他のドライ・プラズマ・エッチング技術と同様、IBEは、エッチ速度、異方性、選択性、均一性、アスペクト比、および基板損傷の抑制などの利点を有する。ドライ除去プロセスのもう一つの例は、反応性イオン・エッチング(RIE)である。一般に、RIEは化学反応性プラズマを使用してウエハ上に堆積された材料を除去する。RIEでは、プラズマが電磁界によって低圧(真空)下で生成される。RIEプラズマからの高エネルギー・イオンがウエハ表面に衝撃を与え、ウエハ表面と反応して材料を除去する。
【0019】
半導体ドーピングは、たとえば、一般には、拡散またはイオン注入あるいはその両方によってトランジスタのソースおよびドレインをドープすることによる電気特性の改変である。これらのドーピング・プロセスの後に、炉アニールまたは高速熱アニール(「RTA」)が行われる。アニールは、注入されたドーパントを活性化する役割を果たす。導体(たとえばポリシリコン、アルミニウム、銅など)と絶縁体(たとえば様々な形態の二酸化シリコン、シリコン窒化物など)の両方の膜を使用して、トランジスタとその構成要素を接続および分離する。半導体基板の様々な領域の選択的ドーピングによって、電圧の印加により基板の導電率を変化させることができる。これらの様々な構成要素からなる構造を形成することによって、数百万個のトランジスタを作製し、互いに配線して最新のマイクロエレクトロニクス・デバイスの複雑な回路を形成する。
【0020】
半導体リソグラフィは、後でパターンを基板に転写するための、半導体基板上での3次元レリーフ・イメージまたはパターンの形成である。半導体リソグラフィでは、フォトレジストと呼ばれる感光性ポリマーによってパターンが形成される。トランジスタを構成する複雑な構造と、回路の数百万個のトランジスタを接続する多くの配線とを作製するために、リソグラフィ工程とエッチ・パターン転写工程とが複数回繰り返される。ウエハ上にプリントされる各パターンは、その前に形成されたパターンと位置合わせされ、導体、絶縁体および選択的ドープ領域が徐々に構築されて最終的なデバイスを形成する。
【0021】
次に、本発明の態様に、より具体的に関連する技術の概説に移ると、一般に、シングル・ビットMRAMセルとは、磁気記憶素子を使用して値(たとえば1ビットの情報)を記憶することができるあらゆる材料または材料の組合せを指す。メモリ・セルには、抵抗変化型ランダム・アクセス・メモリ(ReRAMまたはRRAM)セルまたはメモリスタあるいはその両方に値が記憶される方式と同様にして、バイナリ(「1」または「0」)またはアナログ(たとえば0.65)とすることができるMRAMセル値がセルの電気抵抗の関数として記憶される。言い換えると、MRAMセル内のプレートの磁化の相対的方向が、MRAMセルの電気抵抗に作用する。この電気抵抗は、MRAMセルに電流を通すことによって測定することができ、測定された電気抵抗は値に変換することができる。
【0022】
現在のシングル・ビットMRAMデバイス・アーキテクチャの重大な欠点は、書き込み操作を行うために各MRAMセルに1つのトランジスタを使用することである。トランジスタとMRAMセルとのこの1対1比は、意図されたMRAMセルと、共通トランジスタを共用する意図されないMRAMセルとの干渉を防止するために重要である。この1対1比の欠点は、トランジスタの必要数によってMRAMデバイスのビット密度が限定されることである。また、トランジスタは、書き込み操作のための必要駆動電流に対応するように大きくなければならず、ビット密度、したがってスケーリングをさらに限定する。
【0023】
MRAMデバイスの低ビット密度を高くするためのいくつかの試みは、垂直方向に重ねられたマルチビット・セルを使用することによるマルチビットMRAMセルの作製に焦点を合わせてきた。しかし、このような解決策は、読み出し操作および書き込み操作のための1対1のトランジスタ対MRAMセル比の必要性に対処することができない。
【0024】
本発明の実施形態は、書き込み操作を行うために2つのシングル・ビットMRAMセルに1つの共用トランジスタを使用する2ビットMRAMセル・アーキテクチャを使用することによって、現在の解決策の上記およびその他の欠点を克服することができる。言い換えると、本明細書で開示される2ビットMRAMセル・アーキテクチャは、2つのシングル・ビットMRAMセルを互いに連結するアーキテクチャである。したがって、本明細書で開示される2ビットMRAMセルは2ビットMRAMデバイスと称することもでき、2ビットMRAMデバイスは、共通のトランジスタを共用する2つの別々のシングル・ビットMRAMセルを含む。このアーキテクチャは、読み出し操作または書き込み操作時に共用トランジスタに接続された他方のMRAMセルへの意図しないアクセスを防止するセレクタ・デバイス、たとえばセレクタ・スイッチまたはセレクタ・ダイオードを組み込むことによって可能とされる。以下で詳述するこのアーキテクチャは、MRAMセルの各対の読み出し操作および書き込み操作に必要なトランジスタの数を半分に減らす。シリコン・ウエハを加工するコストは比較的固定されているため、より小さいセルを使用し、したがって1つのウエハ上により多くのビットを詰め込むことで、メモリのビット当たりコストが削減される。したがって、トランジスタの数を半分にすることで、トランジスタの密度を減少させ、それによってより多数のMRAMセルの組み込みを可能にすることができ、またはより大きなトランジスタの開発を可能にすることができ、それによってより高い駆動電流を供給することができる。
【0025】
本発明の少なくとも一部の実施形態によると、各2ビットMRAMセルは1対のシングル・ビットMRAMセルを含む。各シングル・ビットMRAMセルは、上部電極と下部電極と磁気トンネル接合(MTJ)とを含む。本発明の少なくとも一部の実施形態によると、各MTJは、上部電極と接触する自由層と、下部電極と接触する参照層と、自由層と参照層との間に接触して配置されたトンネル障壁とを含む。言い換えると、各MTJスタックにおいて、参照層はトンネル障壁によって自由層から分離されている。
【0026】
各シングル・ビットMRAMセルの自由層は、「書き込み」電流を通すことによって独立してプログラムすることができる。したがって、2ビットMRAMセルに関連付けられたトランジスタとセレクタ・デバイスとを選択的にアクティブにすることによって、シングル・ビットMRAMセルの一方のみに電流を流すことができ、それによって自由層のそれぞれの磁性配向を独立して設定することができる。これにより、2ビットMRAMセルに各ビットを個別に書き込むことが可能になる。
【0027】
各シングル・ビットMRAMセルの状態は、シングル・ビットMRAMセルのMTJスタックに「読み出し」電流を通し、対応するMTJスタックの関連付けられた抵抗状態を測定することによって判定される。2ビットMRAMセルに関連付けられたトランジスタとセレクタ・デバイスとを選択的にアクティブにすることによって、シングル・ビットMRAMセルの一方のみのMTJスタックに電流を流すことができ、それによってシングル・ビットMRAMセルのそれぞれの磁性配向を独立して読み出すことができる。これにより、2ビットMRAMセルの各ビットの値を個別に読み出すことが可能になる。
【0028】
2ビットMRAMセル・アーキテクチャにおけるセレクタ・デバイスの組み込みは、2つのシングル・ビットMRAMセルが共通トランジスタを共用することを可能にし、他方のビットとの意図しない干渉を防止した状態で各ビットの書き込みおよび読み出しを独立して行うことを可能にする。この結果、2ビットMRAMセルの大幅な省スペースとなる。2つのシングル・ビットMRAMセルが共通トランジスタを共用することができ、選択的デバイスの選択的動作が各シングル・ビットMRAMセル上で読み出し操作および書き込み操作を独立して行うことを可能にするため、各2ビットMRAMセルの読み出し操作および書き込み操作に必要なトランジスタの数が半分になる。
【0029】
本発明のさらなる実施形態は、このような2ビットMRAMセルを形成する方法を含む。少なくとも一部の実施形態では、そのような方法は、1対のシングル・ビットMRAMセルの各シングル・ビットMRAMセルのための下部電極接触部を形成することを含み、下部電極接触部は共通ランディング・パッド上で互いに離隔される。このような下部電極接触部は、たとえば、サブトラクティブ・プロセスまたはダマシン・プロセスを行うことによって形成可能である。
【0030】
少なくとも一部の実施形態では、このような方法は、たとえばイオン・ビーム・エッチング(IBE)または反応性イオン・エッチング(RIE)プロセスを使用してMRAMデバイスとともにセレクタ・スイッチまたはセレクタ・ダイオードなどのセレクタ・デバイスの材料をパターン形成することをさらに含む。このようなセレクタ・デバイスの材料は、たとえば、SiOx、TiOx、AlOx、WOx、TiNOx、HfOx、TaOx、NbOx、または類似の特性を有する材料とすることができる。具体的には、このようなセレクタ・デバイスの材料は、特定の閾値電圧を上回る電圧が印加されない場合に絶縁体として機能し、そのような電圧が印加された場合、材料は導体として機能する。さらに、このようなセレクタ・デバイスの材料は、上記の変換プロセスが可逆的に起こるような材料である。具体的には、材料は印加電圧が除去されると再び絶縁体として機能する。
【0031】
少なくとも一部の実施形態では、このような方法は、1対のシングル・ビットMRAMセルの各シングル・ビットMRAMセルの上部電極接触部を接続する金属線を形成することをさらに含む。このような実施形態では、金属線は、たとえばダマシン・プロセスを行うことによって形成可能である。
【0032】
上記の利点は例示の利点であり、限定的であるものと解釈されるべきではないことを理解されたい。本発明の実施形態は、本発明の範囲内で、上記の利点の全部または一部を含むことができ、あるいはいずれの利点も含まなくてもよい。
【0033】
次に図面を参照すると、
図1は本発明の実施形態による、2ビットMRAMセル100の例示の構成のブロック図を示す。MRAMセル100は、第1のシングル・ビットMRAMセル104と第2のシングル・ビットMRAMセル108とを含む。第1および第2のシングル・ビットMRAMセル104、108のそれぞれが単一の記憶ビットを提供する。これらの単一ビットが合わさって2ビットMRAMセル100の1対のビットを構成する。
【0034】
2ビットMRAMセル100は、MRAMセルのより大きなアレイの一部として利用することができる。たとえば、
図1に、MRAMセル100と構造と機能とが実質的に同じであって、MRAMセル100に接続された第2の2ビットMRAMセル102を示す。したがって、第2の2ビットMRAMセル102は、第1および第2のシングル・ビットMRAMセル104、108とそれぞれ実質的に同じ方式で機能するように配置され、構成された、第3のシングル・ビットMRAMセル106と第4のシングル・ビットMRAMセル110とを含む。
【0035】
アレイのMRAMセルは、MRAMセルに記憶されているビットの情報のプログラムと読み出しを可能にするために、第1のワード線112および第2のワード線116などのワード線と、第1のビット線120および第2のビット線124などのビット線とによって接続されている。
図1に示す省略記号は、アレイには、例示のために図示されているものの先にさらなるワード線とビット線とによって接続された、さらなるMRAMセルが続き得ることを示している。図のように、第1のMRAMセル100と第2のMRAMセル102は、第1のビット線120と第2のビット線124とによって接続されている。
【0036】
MRAMセル100は、第1のビット線120によって第1のシングル・ビットMRAMセル104に接続され、関連付けられている第1のトランジスタ128と、第2のビット線124によって第2のシングル・ビットMRAMセル108に接続され、関連付けられている第2のトランジスタ132と、第1および第2のビット線120、124と第1のワード線112によって両方のシングル・ビットMRAMセル104、108に接続され、関連付けられている第3のトランジスタ136とをさらに含む。
【0037】
図の実施形態では、第1のトランジスタ128と第2のトランジスタ132は、複数の入力信号間から選択し、選択された入力を対応するトランジスタを操作することによって単一の出力線に転送する、マルチプレクサ134に含まれる。代替的実施形態では、第1および第2のトランジスタはマルチプレクサの一部でなくてもよく、それでも後述する方式と実質的に同じ方式で機能する。同様に、図の実施形態では、第1のワード線112と第2のワード線116は、行アドレス・デコーダ118によって選択的に操作される。代替的実施形態では、第1および第2のワード線は、行アドレス・デコーダによって選択的に操作されなくてもよく、それでも後述の方式と実質的に同じ方式で機能する。
図1に示す省略記号は、マルチプレクサ134と行アドレス・デコーダ118とが、例示のために示されているものの先に、それぞれさらなるビット線とワード線との接続を有し得ることを示している。
【0038】
第2のMRAMセル102は、第1のビット線120によって第3のシングル・ビットMRAMセル106に接続され、関連付けられている同じ第1のトランジスタ128と、第2のビット線124によって第4のシングル・ビットMRAMセル110に接続され、関連付けられている同じ第2のトランジスタ132とを含むものと見なされる。しかし、第3のトランジスタの代わりに、第2のMRAMセル102は、第1および第2のビット線120、124と第2のワード線116とによって両方のシングル・ビットMRAMセル106、110に接続され、関連付けられた第4のトランジスタ138を含む。
【0039】
それぞれビット線120、124に接続され、アレイ内の複数の2ビットMRAMセルによって共用される第1および第2のトランジスタ128、132は、メモリ・ストレージ・デバイスの「論理領域」において位置し、または操作され、あるいはその両方であるものと言うことができる。論理領域において位置し、または操作され、あるいはその両方であるトランジスタは、読み出し電流および書き込み電流がアレイ内の特定の位置まで流れることができるように、アレイの様々なビット線とワード線のオンとオフを切り換えるために使用される。それに対して、第3のトランジスタ136、第4のトランジスタ138、およびアレイの他の2ビットMRAMセル内の同様のトランジスタは、メモリ・ストレージ・デバイスの「記憶領域」において位置し、または操作され、あるいはその両方であると言うことができる。記憶領域において位置し、または操作され、あるいはその両方であるトランジスタは、対応するMRAMセルに対して読み出し操作および書き込み操作を行うために、読み出し電流および書き込み電流がアレイ内の特定の個別の対応するMRAMセルを流れることができるように、特定の個別のMRAMセルのオンとオフを切り換えるために使用される。
【0040】
MRAMセル100は、第1のシングル・ビットMRAMセル104に接続され、関連付けられている第1のセレクタ・デバイス140と、第2のシングル・ビットMRAMセル108に接続され、関連付けられている第2のセレクタ・デバイス144とをさらに含む。より具体的には、第1のシングル・ビットMRAMセル104は、第1のセレクタ・デバイス140を介して第3のトランジスタ136に接続される。同様に、第2のシングル・ビットMRAMセル108は、第2のセレクタ・デバイス144を介して第3のトランジスタ136に接続される。
【0041】
なお、本発明の代替的実施形態では、第1のセレクタ・デバイス140は、第1のシングル・ビットMRAMセル104が必ずしも第1のセレクタ・デバイス140を介して第3のトランジスタ136に接続されないが、第1のセレクタ・デバイス140と第1のシングル・ビットMRAMセル104の両方が第1のビット線120と第3のトランジスタ136との間に直列に接続されるように、第1のシングル・ビットMRAMセル104の反対側に配置されることが可能であることに留意されたい。同様に、本発明の代替的実施形態では、第2のセレクタ・デバイス144は、第2のシングル・ビットMRAMセル108が必ずしも第2のセレクタ・デバイス144を介して第3のトランジスタ136に接続されないが、第2のセレクタ・デバイス144と第2のシングル・ビットMRAMセル108の両方が第2のビット線124と第3のトランジスタ136との間に直列に接続されるように、第2のシングル・ビットMRAMセル108の反対側に配置されることが可能である。
【0042】
同様に、第2のMRAMセル102は、第3のシングル・ビットRAMセル106が第3のセレクタ・デバイス142を介して第4のトランジスタ138に接続され、第4のシングル・ビットMRAMセル110が第4のセレクタ・デバイス146を介して第4のトランジスタ138に接続されるように配置された、第3のセレクタ・デバイス142と第4のセレクタ・デバイス146とを含む。
【0043】
図1に示す実施形態では、セレクタ・デバイス140、142、144および146のそれぞれはセレクタ・スイッチである。セレクタ・スイッチのそれぞれが、スイッチに電圧を印加することによって閉じるように構成される。具体的には、セレクタ・スイッチをアクティブにする(セレクタ・スイッチを「閉じる」または「オンにする」とも言う)ために、スイッチにかかる電圧は特定のスイッチ閾値Vsと少なくともと同じ大きさでなければならない。本発明の少なくとも一部の実施形態によると、セレクタ・スイッチのすべてが同じスイッチ閾値Vsを有する。しかし、以下でさらに詳述するように、代替的実施形態では、セレクタ・スイッチを互いに異なるスイッチ閾値を有するように構成することが可能である。
【0044】
トランジスタ128、132、134および136のそれぞれは、電気的に制御されるスイッチとして使用される半導体デバイスである。したがって、トランジスタ128、132、134、136のそれぞれは、そのトランジスタを流れる電流の流れのオンとオフとを切り換えるために使用される。各トランジスタは、そのトランジスタのゲートに電圧が印加されたときにのみ電流を通す。言い換えると、トランジスタのゲートに電圧が印加されないときは、スイッチはオフであり、トランジスタに電流が流れない。それに対して、トランジスタに電圧が印加されると、スイッチはオンになり、トランジスタに電流が通される。代替的実施形態では、トランジスタは当業者に知られている異なる方式で動作するか、または異なる種類のトランジスタが使用されることが可能であってもよい。
【0045】
以下でさらに詳述するように、セレクタ・デバイス140、142、144、146の組み込みと、スイッチ閾値電圧と、特定の配置とが、第1のシングル・ビットMRAMセル104に関する操作を第2のシングル・ビットMRAMセル108に関する操作とは分離した状態で、第1と第2のシングル・ビットMRAMセル104、108が共通の第3のトランジスタ136を共用することができるようにする。
【0046】
次に
図2を参照すると、側面から見た第1のMRAMセル100の概略図が、各シングル・ビットMRAMセルのアーキテクチャをより詳細に示している。具体的には、各シングル・ビットMRAMセル104、108が、それぞれのビット線120、124に最も近く配置された上部電極204と、第3のトランジスタ136に最も近く配置された下部電極208とを含む。各シングル・ビットMRAMセル104、108は、上部電極204と下部電極208との間に配置されたMTJ212をさらに含む。各MTJ212は、上部電極204に最も近く配置された自由層216と、下部電極208に最も近く配置された参照層220と、自由層216と参照層220との間に配置されたトンネル障壁層224とを含む。
【0047】
上述のように、シングル・ビットMRAMセルをプログラムするには、そのセルに書き込み電流が流され、それによってそのセルにおける自由層に変更を加える。したがって、2ビットMRAMセル100の文脈では、2つのビットのうちの第1のビットをプログラムするために、第1のトランジスタ128をオンにすることによって第1のシングル・ビットMRAMセル104が選択され、それによって、第1のシングル・ビットMRAMセル104が接続されている第1のビット線120がアクティブになる。さらに、第1のワード線112に電圧を印加することによって、第3のトランジスタ136がオンにされ、それによって、
図3に示すように第1のシングル・ビットMRAMセル104を通ってソース線148に電流を流すことができる。
図1に示す実施形態では、ソース線148が接地として示されている。しかし、代替的実施形態では、ソース線148は、接地、中性線、または回路を完結する別の共通線とすることができる。本発明の少なくとも一部の実施形態によると、ソース線148は、ビット値を判定するためにセンス増幅器回路に信号を供給する。
【0048】
重要なのは、第1のシングル・ビットMRAMセル104がプログラムされている間、第2のトランジスタ132はオフにされることである。これにより、電流が第2のビット線124と第2のシングル・ビットMRAMセル108に通されるのが防止され、それによって、第1のシングル・ビットMRAMセル104がプログラムされている間に第2のシングル・ビットMRAMセル108の自由層216に変更が加えられることになる。さらに、以下でさらに詳述するように、セレクタ・デバイス144がセレクタ・デバイス142、146と連動して、(たとえば、第2のトランジスタなどの回路における漏れおよび寄生容量などの作用に起因して)第2のトランジスタ132がオフであっても起こり得るとともに
図4に関して後述するようにアレイを通る代替的経路により、電流が第2のシングル・ビットMRAMセル108の自由層216に流れるのを防止する。
【0049】
したがって、2ビットMRAMセル100の第1のビットをプログラムするための書き込み操作の実行時、第1のシングル・ビットMRAMセル104のビットがプログラムされることになる場合、第1のトランジスタ128がオンにされ、第2のトランジスタ132がオフにされ、第3のトランジスタ136がオンにされる。それに対して、以下でさらに詳述するように、第2のシングル・ビットMRAMセル108がプログラムされることになる場合、第1のトランジスタ128がオフにされ、第2のトランジスタ132がオンにされ、第3のトランジス136がオンにされる。
【0050】
第1のシングル・ビットMRAMセル104のビットをプログラムする例を続けると、第1のシングル・ビットMRAMセル104における自由層216に変更を加えるためには、書き込み電圧が特定の書き込み閾値Vwを上回る必要がある。したがって、第1のビット線120を通され、第1のシングル・ビットMRAMセル104を通る書き込み電流は、書き込み閾値Vwと少なくとも同じ大きさの電圧を有する。本明細書に記載の実施形態では、書き込み閾値Vwは第1のセレクタ・スイッチ140のスイッチ閾値Vsより大きい。
【0051】
図3に示すように、第1のシングル・ビットMRAMセル104をプログラムする操作時、例示のために矢印304で示されている経路に沿って書き込み電流が流れる。書き込み電流は、第1のシングル・ビットMRAMセル104の自由層216に変更を加えるのに十分な書き込み閾値Vwと少なくとも同じ大きさの電圧によって駆動される。上述のように、書き込み閾値Vwは第1のセレクタ・スイッチ140のスイッチ閾値Vsよりも大きいため、書き込み電流は第1のセレクタ・スイッチ140を閉じる(オンにする)のにも十分である。したがって、第1のトランジスタ128と、第1のセレクタ・スイッチ140と、第3のトランジスタ136とがすべてオンにされるため、書き込み電流が経路304に沿ってソース線148まで流れ、第1のシングル・ビットMRAMセル104を通るときに第1のシングル・ビットMRAMセル104をプログラムする。
【0052】
第2のトランジスタ132がオフであるため、経路304は、2ビットMRAMセル100を通ってソース線148まで流れる書き込み電流の優先経路(「一次経路」とも呼ぶ)である。それに対して、
図4に、2ビットMRAMセル100を通ってソース線148まで流れる書き込み電流の代替的経路(「二次経路」とも呼ぶ)を例示のために矢印404で示す。
【0053】
図4に示すように、2ビットMRAMセル100を通ってソース線148まで流れる書き込み電流の二次経路404は、第1のビット線120と、第3のシングル・ビットMRAMセル106と、第3のセレクタ・スイッチ142と、第4のセレクタ・スイッチ146と、第4のシングル・ビットMRAMセル110と、第2のビット線124と、第2のシングル・ビットMRAMセル108と、第2のセレクタ・スイッチ144と、第3のトランジスタ136とを含む。したがって、二次経路404は、第1のシングル・ビットMRAMセル104をプログラムすることが意図された書き込み電流が第2のシングル・ビットMRAMセル108に意図せずに影響を与える可能性があることを示している。この二次経路404を通り、2ビットMRAMセルの意図しないシングル・ビットMRAMセルに意図せずに影響を与える電流を、「スニーク電流」または「漏れ電流」と呼ぶことがある。
【0054】
第1のシングル・ビットMRAMセル104をプログラムすることが意図された書き込み操作時にスニーク電流が第2のシングル・ビットMRAMセル108を通るのを防ぐために、二次経路404が遮断される必要がある。二次経路404を遮断するために、セレクタ・スイッチ140、142、144、146のそれぞれが、スイッチ閾値Vsが書き込み閾値Vwより小さくなり、3つのスイッチ閾値Vsの和が書き込み閾値Vwより大きくなるように構成される。言い換えると、セレクタ・スイッチ140、142、144、146はVs<Vw<3Vsとなるように構成される。
【0055】
第3、第4および第2のセレクタ・スイッチ142、146、144が二次経路404に沿って直列に接続されているため、これらのセレクタ・スイッチのスイッチ閾値は累積する。したがって、二次経路404を通る書き込み電流の通過が可能であるように回路を完結させるには、書き込み電流の電圧は第3、第4および第2のセレクタ・スイッチ142、146、144のスイッチ閾値を合計した値よりも大きい必要がある。セレクタ・スイッチ140、142、144、146をVw<3Vsとなるように構成することによって、書き込み電流は第3、第4および第2のセレクタ・スイッチ142、144、146をアクティブにするには不十分となり、したがって二次経路404は遮断され、第2のシングル・ビットMRAMセル108をスニーク電流が意図せずに流れるのが防止される。
【0056】
したがって、セレクタ・スイッチの組み込みと配置は、書き込み電流が、第1のシングル・ビットMRAMセル104の自由層216に変更を加えるのに十分であり、第1のセレクタ・スイッチ140を閉じるのに十分であり、3つの直列になった第3、第4および第2のセレクタ・スイッチ142、146、144をすべて閉じるには不十分な電圧を有するように、2ビットMRAMセル100を構成することによって、第2のシングル・ビットMRAMセル108をスニーク電流が通るのを防止することを可能にする。
【0057】
一例として、書き込み閾値Vwが500ミリボルトである場合、これは、セレクタ・スイッチ140、142、144、146のすべてを、約200ミリボルトのスイッチ閾値Vsを有するように構成することによって実現可能である。この例は、200<500<600であるため、Vs<Vw<3Vsという条件を満たす。このような例では、約500ミリボルトの書き込み電流が、第1のシングル・ビットMRAMセル104の自由層216に変更を加えるのに十分であり、第1のセレクタ・スイッチ140を閉じるのに十分であるが、3つの第3、第4および第2のセレクタ・スイッチ142、146、144をすべて閉じるには不十分である。
【0058】
上記の例示の説明では、第1のシングル・ビットMRAMセル104は、プログラムされることになるMRAMセル100の2つのビットのうちの第1のビットである。当然ながら、代わりに、第2のシングル・ビットMRAMセル108が、プログラムされることになるMRAMセルの2つのビットのうちの第1のビットであってもよい。同様に、第1のトランジスタ128をオフにし、第2のトランジスタ132をオンにし、第3のトランジスタ136をオンにすることによって、MRAMセル100の第2のシングル・ビットMRAMセル108を同じ方式でプログラムすることも可能である。第1のトランジスタ128がオフにされ、第2および第3のトランジスタ132、136がオンにされると、書き込み電流の一次経路が、第2のビット線124を通り、第2のシングル・ビットMRAMセル108を通り、第2のセレクタ・スイッチ144を通り、第3のトランジスタ136を通り、ソース線148に至る。書き込み電流の二次経路は、第2のビット線124を通り、第4のシングル・ビットMRAMセル110を通り、第4のセレクタ・スイッチ146を通り、第3のセレクタ・スイッチ142を通り、第3のシングル・ビットMRAMセル106を通り、第1のビット線120を通り、第1のシングル・ビットMRAMセル104を通り、第1のセレクタ・スイッチ140を通り、第3のトランジスタ136を通り、ソース線148に至る。
【0059】
したがって、上述の方式と実質的に同じ方式で、書き込み閾値に対するスイッチ閾値がVs<Vw<3Vsという条件を満たすようにMRAMセル100を構成することによって、第2のシングル・ビットMRAMセル108をプログラムすることが意図された書き込み電流が、二次経路を通って迂回すること、および第1のシングル・ビットMRAMセル104を意図せずに変更することを防ぐことができる。
【0060】
上述のように、2ビットMRAMセルの状態を判定するために、各シングル・ビットMRAMセルのMTJスタックに読み出し電流が流される。したがって、2ビットMRAMセル100の文脈において、上述の書き込みプロセスと実質的に類似した方式で各ビットの値が個別に読み出される。
【0061】
ビットの値に干渉せずにビットの値を読み出すために、読み出し電流は書き込み電流の電圧よりも小さい電圧を有する。したがって、自由層に変更を加えずに自由層の値を判定するようにMTJに読み出し電流を通すことができる。より具体的には、MTJによって記憶されている値を読み出すためには、読み出し電圧は特定の読み出し閾値Vrを上回る必要があり、ビットの値との干渉を防ぐためには、読み出し電圧は書き込み閾値Vwより小さい必要がある。したがって、読み出し閾値Vrは書き込み閾値Vwより小さい。言い換えると、Vr<Vwである。
【0062】
また、上述の書き込み操作と同様に、読み出し電流は、読み出し閾値Vrと少なくとも同じ大きさの電圧であって、スイッチ閾値Vsの3倍より小さい電圧を有する必要がある。言い換えると、Vs<Vr<3Vsである。したがって、Vs<Vr<Vw<3Vsである。上記の電圧の例を続けると、書き込み閾値Vwが約500ミリボルトであり、スイッチ閾値Vsが約200ミリボルトである場合、読み出し閾値Vrは、たとえば約300ミリボルトとすることができる。この例は、200<300<500<600であるため、Vs<Vr<Vw<3Vsという条件を満たす。
【0063】
2つのビットのうちの第1のビットを読み出す操作時、第1のトランジスタ128がオンにされ、第2のトランジスタ132がオフにされ、第3のトランジスタ136がオンにされる。したがって、たとえば約300ミリボルトの電圧を有する読み出し電流は、第1のシングル・ビットMRAMセル104の値を読み出すように(
図3に示す)一次経路304を通って流れる。さらに、合計スイッチ閾値がたとえば約600ミリボルトになるように、それぞれがたとえば200ミリボルトの個別のスイッチ閾値を有する第3、第4および第2のセレクタ・スイッチ142、146、144は、漏れ電流が(
図4に示す)二次経路404を通って流れ、第2のシングル・ビットMRAMセル108を通るのを防ぐ。
【0064】
第1のトランジスタ128をオフにし、第2のトランジスタ132をオンにし、第3のトランジスタ136をオンにすることによって、MRAMセル100の第2のシングル・ビットMRAMセル108によって記憶されている値を読み出すことが同様に可能であることを理解されたい。第1のトランジスタ128がオフにされ、第2および第3のトランジスタ132、136がオンにされると、読み出し電流の一次経路が第2のビット線124を通り、第2のシングル・ビットMRAMセル108を通り、第2のセレクタ・スイッチ144を通り、第3のトランジスタ136を通り、ソース線148に至る。読み出し電流の二次経路は、第2のビット線124を通り、第4のシングル・ビットMRAMセル110を通り、第4のセレクタ・スイッチ146を通り、第3のセレクタ・スイッチ142を通り、第3のシングル・ビットMRAMセル106を通り、第1のビット線120を通り、第1のシングル・ビットMRAMセル104を通り、第1のセレクタ・スイッチ140を通り、第3のトランジスタ136を通り、ソース線148に至る。
【0065】
したがって、上述した方式と実質的に同じ方式で、Vs<Vr<3Vsとなるように読み出し閾値に対するスイッチ閾値を設定することによって、第2のシングル・ビットMRAMセル108によって記憶されている値を判定することを意図した読み出し電流が、二次経路を通って迂回すること、および第1のシングル・ビットMRAMセル104を意図せずに読み出すことを防ぐことが可能である。シングル・ビットMRAMセル104、108の個別プログラミングに関して上述したように、シングル・ビットMRAMセル104、108によって記憶されている値をいずれの順序でも読み出すことが可能である。
【0066】
セレクタ・スイッチが読み出し電流および書き込み電流を上述のように方向付けるには、第1および第2のセレクタ・スイッチ140、144のそれぞれが、一次経路と二次経路とが互いに再合流する接合部と、対応するシングル・ビットMRAMセルの上部電極204との間に配置される必要がある。
【0067】
たとえば、
図2に示す実施形態では、第1のセレクタ・スイッチ140が、下部電極208と、一次経路と二次経路とが互いに再合流する共用下部接触部228との間に配置されるように、第1のセレクタ・スイッチ140が第1のシングル・ビットMRAMセル104の下部電極208に直接接続されている。本発明の代替的実施形態によると、第1のセレクタ・スイッチ140は、それぞれのビット線120と、一次経路と二次経路とが互いに再合流する共用下部接触部228との間の別の位置に配置可能である。たとえば、本発明の代替的実施形態によると、第1のセレクタ・スイッチ140は上部電極204とMTJ212との間に配置可能である。本発明の別の実施形態によると、第1のセレクタ・スイッチ140は、下部電極208または上部電極204の2つの層の間に配置可能である。
【0068】
図5に、2ビットMRAMセル100を操作する方法500のフローチャートを示す。2ビットMRAMセルは、
図1に示す2ビットMRAMセル100、102などの2ビットMRAMセルのアレイを含む、メモリ・システム(本明細書ではメモリ・ストレージ・デバイスとも呼ぶ)によって、またはその一部として操作される。方法500は、ハードウェア、ファームウェア、プロセッサ上で実行されるソフトウェア、またはこれらの任意の組合せによって実行可能である。たとえば、方法500は(たとえばプロセッサにおける)メモリ・コントローラによって実行されてもよい。
【0069】
操作504で、システムは第1のビットをプログラムするための書き込みコマンドまたは第1のビットに記憶されている値を判定するための読み出しコマンドを受け取る。操作508で、システムは、第1のビットが特定のMTJに記憶されることになっているか、または記憶されていると判定する。説明例として、システムは、第1のビットが2ビットMRAMセル100の第1のシングル・ビットMRAMセル104の(
図2に示す)MTJ212に記憶されることになっているかまたは記憶されていると判定する。
【0070】
操作512で、システムは、その特定のMTJに電流を流すためにトランジスタを選択的にアクティブにする。説明例として、システムは、2ビットMRAMセル100の第1のシングル・ビットMRAMセル104のMTJ212に書き込み電流または読み出し電流を流すために(
図1に示す)第1のトランジスタ128と第3のトランジスタとを選択的にアクティブにする。
【0071】
2ビットMRAMセルにおけるトランジスタおよびセレクタ・スイッチの配置と、シングル・ビットMRAMセルおよびセレクタ・スイッチの相対電圧および閾値電圧とに起因して、特定のMTJに電流を流すとその特定のMTJに対応するセレクタ・デバイスにも電流が流れる。この説明例によると、第1のシングル・ビットMRAMセル104のMTJ212に電流を流すと、第1のセレクタ・スイッチ140に電流が流れる。上述のように、この流れは、第1のシングル・ビットMRAMセル104の読み出し電圧および書き込み電圧が第1のセレクタ・スイッチ140の閾値電圧より大きいために生じる。したがって、特定のMTJに電流を流すことは、対応するセレクタ・デバイスに電流を流すことを含む。
【0072】
上述の説明例では、方法500が第1のシングル・ビットMRAMセル104をプログラムするため、または読み出すために使用される場合の方法について説明している。言い換えると、同じ方法500が、読み出し操作または書き込み操作を行うために使用される。また、同じ方法500は、操作508において特定のMTJが2ビットMRAMセル100の第2のシングル・ビットMRAMセル108のMTJ212であると判定された場合に、第1のシングル・ビットMRAMセル104または第2のシングル・ビットMRAMセル108をプログラムまたは読み出しするために使用されることを理解されたい。これは、単に第1のトランジスタと第2のトランジスタのどちらがアクティブにされるかを変更するだけで行われる。
【0073】
上述のように、
図1、
図3および
図4に示すMRAMセル100、102の実施形態では、セレクタ・デバイス140、142、144、146はセレクタ・スイッチである。しかし、代替的実施形態では、セレクタ・デバイス140、142、144、146はセレクタ・ダイオードとすることができる。さらなる代替的実施形態では、セレクタ・デバイスの一部がセレクタ・スイッチであり、一部がセレクタ・ダイオードであってもよい。
【0074】
図6に、セレクタ・デバイス140、142、144、146がセレクタ・ダイオードである本発明の一実施形態を示す。各セレクタ・ダイオードは、「順」方向と一般に呼ばれる一方向に第一に電流を伝導するように構成される。したがって、セレクタ・スイッチを含むMRAMセル100、102の実施形態は、「対称」セレクタ・デバイスを有すると言うこともでき、一方、セレクタ・ダイオードを含むMRAMセル100、102の実施形態は「非対称」セレクタ・デバイスを有すると言うこともできる。
【0075】
より具体的には、ダイオードは順方向で低い抵抗を有し、「逆」方向と一般に呼ばれる反対方向で高い抵抗を有する。MRAMセル100、102におけるセレクタ・ダイオードのそれぞれは、電圧閾値が、ダイオードに対して順方向に流れる電流と、ダイオードに対して逆方向に流れる電流とについて独立して選択可能であるように構成される。したがって、セレクタ・スイッチの代わりにセレクタ・ダイオードを使用することにより、セレクタ・ダイオードのそれぞれの電圧閾値をより厳密に選択して電流を制御するという点で2ビットMRAMセル100、102をより細かく調整することができるようになる。
【0076】
本発明の一部の実施形態によると、各セレクタ・ダイオードは、他のセレクタ・ダイオードのものと同じ順方向および逆方向閾値電圧を有することが可能である。本発明の一部の実施形態によると、セレクタ・ダイオードは、他のセレクタ・ダイオードのものとは異なる順方向および逆方向閾値電圧を有することが可能である。本発明の一部の実施形態によると、セレクタ・ダイオードは逆方向閾値電圧と同じ順方向閾値電圧を有することが可能である。本発明の一部の実施形態によると、セレクタ・ダイオードは、逆方向閾値電圧とは異なる順方向閾値電圧を有することが可能である。
【0077】
図6に示すように、2ビットMRAMセル600、602の配置は、セレクタ・スイッチ140、142、144、146がセレクタ・ダイオード640、642、644、646に置き換えられている点を除き、上記で図示し、説明した2ビットMRAMセル100、102のものと同じである。
図6に示す実施形態では、セレクタ・ダイオード640、642、644、646のそれぞれが、ダイオードの順方向がそれぞれの共用トランジスタ136、138の方を向くように配置されている。一部の代替的実施形態では、2ビットMRAMセルの2つのシングル・ビットMRAMセルが共通トランジスタを共用することを可能にするように、セレクタ・ダイオードの機能が保持される限り、セレクタ・ダイオードのうちの少なくとも一部を、順方向がそれぞれの共用トランジスタから離れる方向を向くように配置することが可能であってもよい。
【0078】
図7に示すように、操作時、第1のシングル・ビットMRAMセル104上で読み出し操作または書き込み操作を行うことが意図された読み出し電流または書き込み電流の一次経路704は、ビット線120を通り、第1のシングル・ビットMRAMセル104を通り、第1のセレクタ・ダイオード640を順方向に通り、第3のトランジスタ136を通り、ソース線148に至る。
【0079】
図8に示すように、操作時、第1のシングル・ビットMRAMセル上で読み出し操作または書き込み操作を行うことが意図された読み出し電流または書き込み電流は、ビット線120を通り、第3のシングル・ビットMRAMセル106を通り、第3のセレクタ・ダイオード642を順方向に通り、第4のセレクタ・ダイオード646を逆方向に通り、第4のシングル・ビットMRAMセル110を通り、第2のビット線124を通り、第2のシングル・ビットMRAMセル108を通り、第2のセレクタ・ダイオード644を順方向に通り、第3のトランジスタ136を通り、ソース線148に至る。
【0080】
したがって、読み出し電流または書き込み電流が意図された一次経路704を流れることができるようにするとともに、読み出し電流または書き込み電流が意図しない二次経路804を通って流れるのを防ぐために、相対閾値電圧を以下のように選択することができる。セレクタ・ダイオードのそれぞれの順方向閾値電圧Vdfは、読み出し電流および書き込み電流が一次経路704における第1のセレクタ・ダイオード640を通ることができるように、読み出し電流の電圧(Vr)および書き込み電流の電圧(Vw)より小さい。第3のセレクタ・ダイオード642の順方向閾値電圧Vdfと、第4のセレクタ・ダイオード646の逆方向閾値電圧Vdrと、第4のセレクタ・ダイオード644の順方向閾値電圧Vdfとの和は、読み出し電流および書き込み電流のそれぞれよりも大きい。言い換えると、Vdf<Vr<Vw<(2Vdf+Vdr)である。
【0081】
一説明例では、順方向においてセレクタ・ダイオードのそれぞれをアクティブにするための順方向閾値電圧Vdfは約200ミリボルトとすることができ、逆方向においてセレクタ・ダイオードのそれぞれをアクティブにするための逆方向閾値電圧Vdrは約400ミリボルトとすることができ、読み出し電流の電圧Vrは約300ミリボルトとすることができ、書き込み電流の電圧Vwは約500ミリボルトとすることができる。この例は、200<300<500<800であるため、Vdf<Vr<Vw<(2Vdf+Vdr)の条件を満たす。代替的実施形態では、Vdf<Vr<Vw<(2Vdf+Vdr)の条件が満たされている限り、コンポーネントは異なる電圧を有することが可能である。少なくとも1つの代替的実施形態では、逆方向閾値電圧Vdrは、読み出し電圧または書き込み電圧が逆方向の向きとされた単一のダイオードを通ることができないように、順方向閾値電圧Vdfよりも有意に大きくすることができる。
【0082】
図9に、2ビットMRAMセル100、102(代わりに600、602であってもよい)と、アレイ内の2つのさらなる2ビットRAMセル900、902の上面図を示す。上述のようにして、第1のシングル・ビットMRAMセル104と第2のシングル・ビットMRAMセル108とが共通下部接触部228を共用する。第1のシングル・ビットMRAMセル104と第2のシングル・ビットMRAMセル108は、
図9では下部接触部228によって覆い隠されているために見えない第3のトランジスタをさらに共用する。さらに、第1のシングル・ビットMRAMセル104と第3のシングル・ビットMRAMセル106の両方が第1のビット線120に接続され、第2のシングル・ビットMRAMセル108と第4のシングル・ビットMRAMセル110の両方が第2のビット線124に接続されている。さらなる2ビットRAMセル900、902は、実質的に同じ方式で配置および接続され、機能する。たとえば、2ビットMRAMセル900、902のそれぞれの第1および第2のシングル・ビットMRAMセルが下部接触部を共用し、第1および第3のシングル・ビットMRAMセルが第1のビット線920に接続され、第2および第4のシングル・ビットMRAMセルが第2のビット線924に接続されている。この配置は、たとえば
図10に示す方法1000によって形成可能である。
【0083】
図10に、メモリ・ストレージ・デバイスにおいて使用可能な、上述の配置を形成するための例示の方法1000を示す。方法1000は操作1004で開始し、共用ランディング・パッドとも呼ぶ共用下部接触部が形成される。
図2に示すMRAMセル100の文脈では、共用ランディング・パッドは共用下部接触部228と類似している。具体的には、共用ランディング・パッドは、導電性材料、たとえばルテニウムなどの金属で形成される。
【0084】
図11Aに、操作1004の実行後のメモリ・ストレージ・デバイス1100の部分側断面図の概略図を示す。図のように、本発明の少なくとも一部の実施形態では、共用ランディング・パッド1128は、メモリ・ストレージ・デバイス1100の論理領域1108における金属線1104と同時に、同じプロセスの一部として、または同じ材料で、あるいはその組合せにより形成可能である。また、本発明の少なくとも一部の実施形態では、記憶領域1112の共用ランディング・パッド1128と論理領域1108の金属線1104とは、酸化物層1132上に形成される。また、共用ランディング・パッド1128は、酸化物層1132内に形成され、それ以外により酸化層1132によって分離された、接触部1124と直接接触して形成される。
図2に示すMRAMセル100の文脈では、この接触部1124は、共用下部接触部228を第3のトランジスタ136に接続する接触部と類似している。
【0085】
さらに、
図11Aに、共用ランディング・パッド1128を金属線1104からと、アレイ内の他のMRAMセルの共用ランディング・パッドから分離するために使用することができる層間誘電体(ILD)1136を示す。本発明の少なくとも一部の実施形態では、ILDはたとえば超低誘電率(ULK)材料で形成可能である。
【0086】
さらに、
図11Aに、金属線1104と共用ランディング・パッド1128の一部の上に選択的に形成されたマスク1140を示す。以下でさらに詳述するように、マスク1140は、製造プロセスにおける後続の操作を容易にする。
【0087】
図11Bに、
図11Aに示すメモリ・ストレージ・デバイス1100の記憶領域1112の部分上面図の概略図を示す。例示のために、記憶領域1112は、
図11Aに示す方式で方法1000の操作1004によって形成された4つの2ビットMRAMセル1144を含む。
【0088】
図12A、
図12Bおよび
図12Cに、共用下部接触部1128を形成するさらなる製造プロセスの実行後のメモリ・ストレージ・デバイス1100を示す。言い換えると、さらなる製造プロセス(その結果が
図12A、
図12Bおよび
図12Cに示されている)は、方法1000の操作1004の実行中に実行されると見なすことができる。
図12A~
図12Cに示す製造操作は、当業者に知られている製造プロセス(たとえばILD充填、CMP)を使用して行うことができる。具体的には、
図12Aは、マスク1140を使用した金属線1104と共用ランディング・パッド1128のエッチングによる上部ビアの形成と、その次のILD充填プロセスおよびその後のCMPプロセスの実行の結果を示す。ILD充填プロセスは、既存のILD1136と同じ材料または異なる材料を使用して行うことができる。
図12Bに、ILD凹部1148と、共用ランディング・パッド1128と自己位置合わせするマイクロスタッド1152とを形成した結果を示す。
図12Cに、キャップ誘電体充填プロセスと後続のCMPプロセスとを行った結果を示す。キャップ誘電体充填プロセスは、たとえばSiCN(H)などの流動性誘電材料1156を使用して行うことができる。
【0089】
図10に戻ると、方法1000は操作1008に進み、共用下部接触部1128上に第1および第2のシングル・ビットMRAMセルが形成される。MRAMセルは、当技術分野で知られている製造プロセス(たとえば堆積プロセス)を使用して形成されてもよい。本発明の少なくとも一部の実施形態では、操作1008は、リソパターン形成またはマスキング・プロセスあるいはその両方によってMRAMセルの層を堆積させることを含み得る。より詳細には、
図12Dで示すように、操作1008の実行は、MRAMセルのセレクタ・デバイス、下部電極、MTJおよび上部電極を形成する材料の層の順次形成を含み得る。言い換えると、本発明の少なくとも一部の実施形態では、操作1008におけるMRAMセルの形成は、それらのMRAMセルに対応するセレクタ・デバイスの形成を含む。このような実施形態では、セレクタ・デバイスの形成は、たとえばエッチ・プロセスを行うことによるセレクタ・デバイス材料のパターン形成を含み得る。また、このような実施形態では、セレクタ・デバイス材料は、たとえば、SiOx、TiOx、AlOx、WOx、TiNOx、HfOx、TaOx、およびNbOxのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0090】
図12Dに示す実施形態では、セレクタ・デバイスを形成する材料の層が参照番号1158で示されており、下部電極を形成する材料の層が参照番号1160で示されており、MTJを形成する材料の層が参照番号1162で示されており、上部電極を形成する材料の層が参照番号1164で示されている。
【0091】
図12Dに、操作1008の実行が、上部電極の上の酸化物層1166と、OPL層1168、とSiARC層1170との形成を含み得ることをさらに示す。本発明の少なくとも一部の実施形態では、上部電極と下部電極のそれぞれは、たとえば、W、WN、Ta、TaN、Ti、TiN、Ru、Mo、Cr、V、Pd、PtまたはAlで形成可能である。
【0092】
図12Dに示す実施形態では、セレクタ・デバイスを形成する材料の層1158が、共用下部接触部1128と、MRAMセルの下部電極を形成する材料の層1160との間に形成される。この配置は、本発明の例示の一実施形態を示している。代替的に、セレクタ・デバイスが共用下部接触部1128と下部電極を形成する材料の層1160との間以外の場所に配置される本発明の実施形態では、セレクタ・デバイスを形成する材料の層1158は
図12Dで示すものとは異なる順序で形成され、配置される。
【0093】
図10に戻ると、操作1012において、メモリ・ストレージ・デバイスの記憶領域内のアレイにおけるMRAMセルを接続し、記憶領域をメモリ・ストレージ・デバイスの論理領域に接続する、金属線が形成される。金属線は、たとえば、第1の上部電極を第1のトランジスタに接続する第1の金属線と、第2の上部電極を第2のトランジスタに接続する第2の金属線とを含み得る。より詳細には、第1の金属線は、第1のMRAMセル(第1のシングル・ビットMRAMセル104など)を、メモリ・ストレージ・デバイス1100の論理領域1108に位置する第1のトランジスタ(第1のトランジスタ128など)に接続する第1のビット線(第1のビット線120など)とすることができる。同様に、第2の金属線は、第2のMRAMセル(第2のシングル・ビットMRAMセル108など)をメモリ・ストレージ・デバイス1100の論理領域1108に位置する第2のトランジスタ(第2のトランジスタ132など)に接続する第2のビット線(第2のビット線124など)とすることができる。
【0094】
MRAMセルを接続する金属線を形成する製造プロセスは当技術分野で知られている。本発明の少なくとも一部の実施形態では、操作1012は、RIEまたはIBEを使用して上部電極またはハードマスク・エッチ処理を行うこと(その結果を
図12Eで示す)と、IBE処理を行うこと(その結果を
図12Fで示す)と、誘電体カプセル化処理を行うこと(その結果を
図12Gで示す)と、カプセル化エッチ・バック処理を行うこと(その結果を
図12Hで示す)と、ILD堆積処理を行うこと(その結果を
図12Iで示す)と、上部電極接触部1176を形成すること(その結果を
図12Jで示す)とを含み得る。
【0095】
本発明の少なくとも1つの実施形態では、誘電体カプセル化処理は、たとえばSiN、SiCN(H)または別の類似の材料などの誘電材料1172を使用して行うことができる。このような材料は、MRAMセルを周囲の酸素、湿気、および後続のプロセス・ステップからのその他の化学物質から保護する良好な気密封止を与えるその能力に基づいて選択される。本発明の少なくとも1つの実施形態では、ILD堆積処理はILD1136の材料と同じ材料1174を使用して行うことができる。代替的実施形態では、異なる材料を使用することができる。本発明の少なくとも1つの実施形態では、上部電極接触部1176は、デュアル・ダマシン処理を行うことによって形成可能である。
【0096】
上記で列挙した処理は、操作1012において金属線を形成するために使用可能な製造プロセスの一例を示している。本発明の代替的実施形態では、
図12A~
図12Jに示されている、上記で列挙した処理の結果は、他の知られている処理の実行によって実現することが可能である。
【0097】
次に
図13を参照すると、本発明の実施形態による、(たとえばコンピュータの1つまたは複数のプロセッサ回路またはコンピュータ・プロセッサを使用して)本明細書に記載の方法、手段、およびモジュール、ならびに任意の関連機能のうちの1つまたは複数の実装において使用可能な、例示のコンピュータ・システム1301の高レベル・ブロック図が示されている。一部の実施形態では、コンピュータ・システム1301の主要コンポーネントは、1つまたは複数のCPU1302、メモリ・サブシステム1304、端末インターフェース1312、ストレージ・インターフェース1316、I/O(入力/出力)デバイス・インターフェース1314、およびネットワーク・インターフェース1318を含んでもよく、これらのすべてがメモリ・バス1303、I/Oバス1308、およびI/Oバス・インターフェース・ユニット1310を介したコンポーネント間通信のために、直接または間接的に、通信可能に結合可能である。
【0098】
コンピュータ・システム1301は、本明細書においてCPU1302と総称する、1つまたは複数の汎用プログラマブル中央処理装置(CPU)1302A、1302B、1302C、および1302Dを含んでもよい。一部の実施形態では、コンピュータ・システム1301は、比較的大型のシステムに典型的な複数プロセッサを含んでもよい。しかし、他の実施形態では、コンピュータ・システム1301は代替的に単一CPUシステムであってもよい。各CPU1302は、メモリ・サブシステム1304に記憶された命令を実行してもよく、1つまたは複数のレベルのオンボード・キャッシュを含んでもよい。
【0099】
システム・メモリ1304は、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)1322またはキャッシュ・メモリ1324などの揮発性メモリの形態のコンピュータ・システム可読媒体を含んでもよい。コンピュータ・システム1301は、他の取り外し型/非取り外し型の揮発性/不揮発性コンピュータ・システム記憶媒体をさらに含んでもよい。例示に過ぎないが、「ハード・ドライブ」などの非取り外し型の不揮発性磁気媒体からの読み出しとそれへの書き込みのためにストレージ・システム1326を設けることができる。図示されていないが、取り外し型の不揮発性磁気ディスク(たとえば「フロッピー(R)・ディスク」)からの読み出しとそれへの書き込みのための磁気ディスク・ドライブ、あるいはCD-ROM、DVD-ROMまたはその他の光媒体などの取り外し型の不揮発性光ディスクからの読み出しまたはそれへの書き込みのための光ディスク・ドライブを設けることができる。さらに、メモリ1304は、フラッシュ・メモリ、たとえばフラッシュ・メモリ・スティック・ドライブまたはフラッシュ・ドライブを含むことができる。1つまたは複数のデータ・メディア・インターフェースによってメモリ・バス1303にメモリ・デバイスを接続することができる。メモリ1304は、様々な実施形態の機能を実施するように構成された1組(少なくとも1つ)のプログラム・モジュールを有する少なくとも1つのプログラム製品を含み得る。
【0100】
それぞれが少なくとも1組のプログラム・モジュール1330を有する、1つまたは複数のプログラム/ユーティリティ1328がメモリ1304に記憶されてもよい。プログラム/ユーティリティ1328は、ハイパーバイザ(仮想マシン・モニタとも呼ぶ)と、1つまたは複数のオペレーティング・システムと、1つまたは複数のアプリケーション・プログラムと、その他のプログラム・モジュールと、プログラム・データとを含み得る。オペレーティング・システム、1つまたは複数のアプリケーション・プログラム、その他のプログラム・モジュール、およびプログラム・データまたはこれらの何らかの組合せのそれぞれは、ネットワーキング環境の実装形態を含み得る。プログラム・モジュール1330は、様々な実施形態の機能または方法を全般的に実行する。
【0101】
図13にはメモリ・バス1303が、CPU1302と、メモリ・サブシステム1304と、I/Oバス・インターフェース1310との間の直接通信経路を提供する単一のバス構造として示されているが、メモリ・バス1303は、一部の実施形態では、階層型、スター型またはウェブ型構成におけるポイント・ツー・ポイント・リンク、複数の階層バス、並列および冗長経路、または任意のその他の適切な種類の構成など、様々な形態のうちのいずれかで配置可能な、複数の異なるバスまたは通信経路を含み得る。また、I/Oバス・インターフェース1310とI/Oバス1308とが単一のそれぞれのユニットとして示されているが、コンピュータ・システム1301は、一部の実施形態では、複数のI/Oバス・インターフェース・ユニット1310、複数のI/Oバス1308、またはその両方を含んでもよい。また、I/Oバス1308を様々なI/Oデバイスに通じる様々な通信経路から分離する複数のI/Oインターフェース・ユニットが示されているが、他の実施形態では、I/Oデバイスの一部または全部が1つまたは複数のシステムI/Oバスに直接接続されてもよい。
【0102】
一部の実施形態では、コンピュータ・システム1301は、マルチ・ユーザ・メインフレーム・コンピュータ・システム、シングル・ユーザ・システム、あるいは、直接ユーザ・インターフェースをほとんど、またはまったく持たないが、他のコンピュータ・システム(クライアント)から要求を受信する、サーバ・コンピュータまたは類似のデバイスであってもよい。また、一部の実施形態では、コンピュータ・システム1301は、デスクトップ・コンピュータ、ポータブル・コンピュータ、ラップトップまたはノートブック・コンピュータ、タブレット・コンピュータ、ポケット・コンピュータ、電話、スマートフォン、ネットワーク・スイッチもしくはルータ、または任意のその他の適切な種類の電子デバイスとして実装されてもよい。
【0103】
図13は例示のコンピュータ・システム1301の代表的な主要コンポーネントを示すことが意図されていることに留意されたい。しかし、一部の実施形態では、個別コンポーネントは
図13に表されているものよりも複雑度がより高いかまたはより低くてもよく、
図13に示すもの以外のコンポーネントまたは
図13に示すものに追加されたコンポーネントが存在してもよく、そのようなコンポーネントの数、種類および構成は異なり得る。また、モジュールは一実施形態により例示として列挙され、説明されており、特定のモジュールの必要性または他の可能なモジュール(または特定のモジュールに適用される機能/目的)の排除を示すことは意図していない。
【0104】
本発明は、統合の任意の可能な技術的詳細度のシステム、方法またはコンピュータ・プログラム製品あるいはこれらの組合せとすることができる。コンピュータ・プログラム製品は、プロセッサに本発明の態様を実施させるコンピュータ可読プログラム命令を有するコンピュータ可読記憶媒体(または複数の媒体)を含み得る。
【0105】
コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行デバイスによって使用される命令を保持し、記憶することができる有形デバイスとすることができる。コンピュータ可読記憶媒体は、たとえば、電子ストレージ・デバイス、磁気ストレージ・デバイス、光学式ストレージ・デバイス、電磁ストレージ・デバイス、半導体ストレージ・デバイス、またはこれらの任意の適切な組合せであってよいが、これらには限定されない。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例の非網羅的なリストには以下のものも含まれる。すなわち、ポータブル・コンピュータ・ディスケット、ハード・ディスク、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EPROMまたはフラッシュ・メモリ)、スタティック・ランダム・アクセス・メモリ(SRAM)、ポータブル・コンパクト・ディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)、メモリ・スティック、フロッピー(R)・ディスク、パンチカードまたは命令が記録された溝内の隆起構造などの機械的に符号化されたデバイス、およびこれらの任意の適切な組合せが含まれる。本明細書で使用されるコンピュータ可読記憶媒体とは、電波またはその他の自由に伝播する電磁波、導波路またはその他の伝送媒体を伝播する電磁波(たとえば光ファイバ・ケーブルを通る光パルス)、または配線を介して伝送される電気信号などの、一過性の信号自体であると解釈されるべきではない。
【0106】
本明細書に記載のコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ可読記憶媒体からそれぞれのコンピューティング/処理デバイスに、または、ネットワーク、たとえばインターネット、ローカル・エリア・ネットワーク、ワイド・エリア・ネットワーク、または無線ネットワークあるいはこれらの組合せを介して外部コンピュータまたは外部ストレージ・デバイスにダウンロードすることができる。ネットワークは、銅伝送ケーブル、光伝送ファイバ、無線伝送、ルータ、ファイアウォール、スイッチ、ゲートウェイ・コンピュータ、またはエッジ・サーバあるいはこれらの組合せを含み得る。各コンピューティング/処理デバイスにおけるネットワーク・アダプタ・カードまたはネットワーク・インターフェースが、ネットワークからコンピュータ可読プログラム命令を受信し、それらのコンピュータ可読プログラム命令を、それぞれのコンピューティング/処理デバイス内のコンピュータ可読記憶媒体への記憶のために転送する。
【0107】
本発明の動作を実施するためのコンピュータ可読プログラム命令は、アセンブラ命令、インストラクション・セット・アーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、集積回路のための構成データ、または、Smalltalk、C++などのオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語、または同様のプログラム言語などの手続き型プログラミング言語を含む、1つまたは複数のプログラミング言語の任意の組合せで書かれたソース・コードまたはオブジェクト・コードであってもよい。コンピュータ可読プログラム命令は、スタンドアロン・ソフトウェア・パッケージとして全体がユーザのコンピュータ上で、または一部がユーザのコンピュータ上で、あるいは一部がユーザのコンピュータ上で、一部がリモート・コンピュータ上で、あるいは全体がリモート・コンピュータまたはサーバ上で実行されてもよい。後者の場合、リモート・コンピュータは、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)またはワイド・エリア・ネットワーク(WAN)を含む、任意の種類のネットワークを介してユーザのコンピュータに接続することができ、あるいは接続は(たとえば、インターネット・サービス・プロバイダを使用してインターネットを介して)外部コンピュータに対して行ってもよい。一部の実施形態では、本発明の態様を実行するために、たとえばプログラマブル・ロジック回路、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、またはプログラマブル・ロジック・アレイ(PLA)を含む電子回路が、コンピュータ可読プログラム命令の状態情報を利用して電子回路をパーソナライズすることにより、コンピュータ可読プログラム命令を実行することができる。
【0108】
本発明の態様について、本明細書では本発明の実施形態による方法、装置(システム)、およびコンピュータ・プログラム製品のフローチャート図またはブロック図あるいはその両方を参照しながら説明している。フローチャート図またはブロック図あるいはその両方の各ブロックおよび、フローチャート図またはブロック図あるいはその両方におけるブロックの組合せは、コンピュータ可読プログラム命令によって実装可能であることを理解されたい。
【0109】
これらのコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータまたはその他のプログラマブル・データ処理装置のプロセッサにより実行される命令が、フローチャートまたはブロック図あるいはその両方の1つまたは複数のブロックで指定されている機能/動作を実装する手段を生成するようなマシンを生成するように、コンピュータまたはその他のプログラマブル・データ処理装置のプロセッサに供給することができる。これらのコンピュータ可読プログラム命令はまた、命令が記憶されたコンピュータ可読記憶媒体が、フローチャートまたはブロック図あるいはその両方の1つまたは複数のブロックで指定されている機能/動作の態様を実装する命令を含む製造品を含むように、コンピュータ、プログラマブル・データ処理装置、またはその他のデバイスあるいはこれらの組合せに対して特定の方式で機能するように指示することができるコンピュータ可読記憶媒体に記憶されてもよい。
【0110】
コンピュータ可読プログラム命令はまた、コンピュータ、その他のプログラマブル装置またはその他のデバイス上で実行される命令がフローチャートまたはブロック図あるいはその両方の1つまたは複数のブロックで指定されている機能/動作を実装するように、コンピュータ、その他のプログラマブル装置、またはその他のデバイス上で一連の動作ステップが実行されてコンピュータ実装プロセスを実現するようにするために、コンピュータ、その他のプログラマブル・データ処理装置、またはその他のデバイスにロードされてもよい。
【0111】
図面中のフローチャートおよびブロック図は、本発明の様々な実施形態によるシステム、方法およびコンピュータ・プログラム製品の可能な実装形態のアーキテクチャ、機能および動作を示す。これに関連して、フローチャートまたはブロック図の各ブロックは、指定されている論理機能を実装するための1つまたは複数の実行可能命令を含む、命令のモジュール、セグメント、または部分を表す場合がある。一部の代替的実装形態では、ブロックに記載されている機能は、図に記載されている順序とは異なる順序で行われてもよい。たとえば、連続して示されている2つのブロックは、関与する機能に応じて、実際には1つのステップとして行われてもよく、並行して実行されてもよく、部分的にまたは全体が時間的に重なりあって実質的に並行して実行されてもよく、またはそれらのブロックは場合によっては逆の順序で実行されてもよい。また、ブロック図またはフローチャート図あるいはその両方の各ブロック、およびブロック図またはフローチャート図あるいはその両方のブロックの組合せは、指定されている機能または動作を実行するかまたは専用ハードウェアとコンピュータ命令との組合せを実施する専用ハードウェア・ベースのシステムによって実装可能であることにも留意されたい。
【0112】
本明細書で使用されている用語は、特定の実施形態について説明することのみを目的としており、様々な実施形態を限定することは意図されていない。本明細書で使用されている単数形の「a」、「an」および「the」は、文脈が明確に他の解釈を示していない限り、複数形も含むことが意図されている。また、「includes(含む)」または「including(含んでいる)」あるいはその両方の用語は、本明細書で使用されている場合、記載されている特徴、整数、ステップ、操作、要素またはコンポーネントあるいはこれらの組合せの存在を指定しているが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、コンポーネントまたはこれらのグループあるいはこれらの組合せの存在または追加を排除しないことも理解されたい。様々な実施形態のうちの例示の実施形態の上記の詳細な説明では、その一部をなし、様々な実施形態を実施可能な特定の例示の実施形態が例示として示されている添付図面(図中では同様の番号が同様の要素を表す)を参照した。これらの実施形態については、当業者がそれらの実施形態を実施することができるようにするのに十分に詳細に説明したが、他の実施形態が使用されてもよく、様々な実施形態の範囲から逸脱することなく論理的、機械的、電気的およびその他の変更を加えることができる。上記の説明では、様々な実施形態を十分に理解することができるように多くの特定の詳細が記載された。しかし、様々な実施形態はこれらの特定の詳細がなくても実施可能である。他の場合、実施形態が不明瞭にならないように、よく知られている回路、構造および技術については詳細には示していない。
【0113】
本明細書で使用されている「いくつかの(a number of)」がものに関して使用されている場合、1つまたは複数のものを意味する。たとえば、「いくつかの異なる種類のネットワーク」は、1つまたは複数の異なる種類のネットワークである。
【0114】
異なる参照番号が、共通の番号の後に異なる文字(たとえば、100a、100b、100c)または句読記号とその後に異なる番号(たとえば、100-1、100-2または100.1、100.2)を含む場合、文字または後続の番号がない参照文字のみの使用(たとえば、100)は、要素のグループ全体、任意のグループのサブセット、またはグループの一例を指す場合がある。
【0115】
また、「~のうちの少なくとも1つ」という語句は、列挙されているものとともに使用されている場合は、列挙されているもののうちの1つまたは複数の異なる組合せを使用することができ、列挙されているそれぞれのもののうちの1つのみが必要であり得ることを意味する。言い換えると、「~のうちの少なくとも1つ」は、列挙からの任意の組合せのものおよび任意の数のものが使用され得るが、列挙されているもののすべてが必要なわけではないことを意味する。このものは、特定の物、事物またはカテゴリとすることができる。
【0116】
たとえば、これには限定されないが、「ものA、ものB、またはものCのうちの少なくとも1つ」は、ものA、またはものAとものB、またはものBを含み得る。この例には、ものAとものBとものC、またはものBとものCも含まれる。当然ながら、これらのものの任意の組合せも存在し得る。ある説明例では、「~のうちの少なくとも1つ」は、たとえば、これらには限定されないが、ものAを2つ、ものBを1つ、およびものCを10、ものBを4つとものCを7つ、またはその他の適切な組合せであり得る。
【0117】
上記では、様々な実施形態について言及している。しかし、本発明は具体的に記載されている実施形態には限定されないことを理解されたい。むしろ、記載されている特徴および要素のいずれの組合せも、異なる実施形態に関係しているか否かを問わず、本発明を実装し実施するために企図されている。当業者には、記載の実施形態の範囲から逸脱することなく多くの修正形態、変更形態および変形形態がわかるであろう。また、本発明の実施形態は他の考えられる解決策または従来技術に優る利点を実現し得るが、ある実施形態によって特定の利点が実現されるか否かは本発明を限定しない。したがって、記載されている態様、特徴、実施形態および利点は例示に過ぎず、請求項に明記されている場合を除き、添付の特許請求の範囲の要素または限定とはみなされない。また、以下の特許請求の範囲は、すべてのそのような変更形態および修正形態を、本発明の範囲に含まれる対象として含むものと解釈されることが意図されている。
【0118】
本発明の一実施形態では、2ビットMRAMデバイスをプログラムする方法が提供され、方法は、第1のMTJと第1の電極とを含む第1のセルと、第2のMTJと第2の電極とを含む第2のセルと、第1のセルと第1のビット線とに接続された第1のトランジスタと、第2のセルと第2のビット線とに接続された第2のトランジスタと、第1のセルと第2のセルとをソース線に接続する共用トランジスタと、共用トランジスタと第1の電極との間に配置された第1のセレクタ・デバイスと、共用トランジスタと第2の電極との間に配置された第2のセレクタ・デバイスとを含む2ビットMRAMデバイスにおける第1のビットをプログラムする書き込みコマンドを受け取ることと、第1のビットが、第1のMTJと第2のMTJとのうちの一方である特定のMTJに記憶されることになっていると判定することと、その特定のMTJに電流を流れさせるために、共用トランジスタと第1のトランジスタと第2のトランジスタとのうちの一方とを選択的にアクティブにすることとを含み、共用トランジスタと第1のトランジスタと第2のトランジスタとのうちの一方とを選択的にアクティブにすることは、その特定のMTJが第1のMTJである場合には第1のセレクタ・デバイスに、その特定のMTJが第2のMTJである場合には第2のセレクタ・デバイスに電流を流す。特定のMTJは第1のMTJであってもよく、方法は共用トランジスタと第1のトランジスタと第2のトランジスタとのうちの一方とを選択的にアクティブにすることを含んでもよく、第1のMTJに電流を流すように共用トランジスタと第1のトランジスタとをアクティブにすることを含み、第2のトランジスタはアクティブにされない。電流は第2のセレクタ・デバイスに流れなくてもよい。特定のMTJは第2のMTJであってもよく、方法は共用トランジスタと第1のトランジスタと第2のトランジスタとのうちの一方とを選択的にアクティブにすることを含んでもよく、第2のMTJに電流を流すように共用トランジスタと第2のトランジスタとをアクティブにすることを含み、第1のトランジスタはアクティブにされない。
【0119】
本発明の好ましい実施形態では、2ビットMRAMデバイスに記憶されている値を判定する方法が提供され、方法は、第1のMTJと第1の電極とを含む第1のセルと、第2のMTJと第2の電極とを含む第2のセルと、第1のセルと第1のビット線とに接続された第1のトランジスタと、第2のセルと第2のビット線とに接続された第2のトランジスタと、第1のセルと第2のセルとをソース線に接続する共用トランジスタと、共用トランジスタと第1の電極との間に配置された第1のセレクタ・デバイスと、共用トランジスタと第2の電極との間に配置された第2のセレクタ・デバイスとを含む2ビットMRAMデバイスにおける第1のビットに記憶されている値を判定する読み出しコマンドを受け取ることと、記憶されている値を判定する第1のビットが特定のMTJにあると判定することであって、特定のMTJが第1のMTJと第2のMTJとのうちの一方である、判定することと、特定のMTJに電流を流すために共用トランジスタと第1のトランジスタと第2のトランジスタとのうちの一方とを選択的にアクティブにすることであって、共用トランジスタと第1のトランジスタと第2のトランジスタとのうちの一方とを選択的にアクティブにすることは、特定のMTJが第1のMTJである場合には第1のセレクタ・デバイスに、特定のMTJが第2のMTJである場合には第2のセレクタ・デバイスに電流を流す、選択的にアクティブにすることとを含む。
【0120】
本発明の好ましい実施形態では、2ビットMRAMデバイスを形成する方法が提供され、方法は、第1のビット線が第1のトランジスタによって選択的に操作され、第1のシングル・ビットMRAMセルが第2のトランジスタを介してソース線に接続され、第1のシングル・ビットMRAMセルが第1のセレクタ・スイッチ・デバイスを介して第2のトランジスタに接続される、第1のシングル・ビットMRAMセルを第1のビット線とソース線とに接続することと、第2のビット線が第3のトランジスタによって選択的に操作され、第2のシングル・ビットMRAMセルが第2のトランジスタを介してソース線に接続され、第2のシングル・ビットMRAMセルが第2のセレクタ・スイッチ・デバイスを介して第2のトランジスタに接続される、第2のシングル・ビットMRAMセルを第2のビット線とソース線とに接続することとを含み、第1のシングル・ビットMRAMセルと第2のシングル・ビットMRAMセルのそれぞれが、書き込み閾値電圧と少なくとも同じ大きさの電圧を有する電流を通すことによってプログラム可能であり、第1のセレクタ・スイッチ・デバイスと第2のセレクタ・スイッチ・デバイスのそれぞれが、アクティブ化閾値電圧と少なくとも同じ大きさの電圧によってアクティブにされるとそれぞれのMRAMセルを第2のトランジスタに接続するように構成され、書き込み閾値電圧はアクティブ化閾値電圧より大きく、書き込み閾値電圧はアクティブ化閾値電圧の3倍より小さい。
【国際調査報告】