(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-05
(54)【発明の名称】効率的な多帯域送信機
(51)【国際特許分類】
H04B 1/04 20060101AFI20240227BHJP
H03K 3/354 20060101ALI20240227BHJP
H03K 3/03 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
H04B1/04 Z
H03K3/354 B
H03K3/03
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023546083
(86)(22)【出願日】2022-02-08
(85)【翻訳文提出日】2023-07-28
(86)【国際出願番号】 EP2022052942
(87)【国際公開番号】W WO2022189083
(87)【国際公開日】2022-09-15
(32)【優先日】2021-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(74)【復代理人】
【識別番号】100118599
【氏名又は名称】村上 博司
(74)【復代理人】
【識別番号】100160738
【氏名又は名称】加藤 由加里
(72)【発明者】
【氏名】チャクラボルティ,スディプト
(72)【発明者】
【氏名】ジョシ,ラジブ
【テーマコード(参考)】
5J300
5K060
【Fターム(参考)】
5J300AA22
5J300LL01
5K060CC04
5K060DD01
5K060HH21
5K060HH34
5K060JJ21
5K060JJ23
5K060LL16
(57)【要約】
送信機、センサシステム、及び送信の方法は、レイテンシと消費電力とを低減する為に及びリングオシレータから信号を受信する為に該リングオシレータに接続された周波数調整器を備えている。該周波数調整器は、該信号を、選択された送信周波数帯域に調整する為の複数の論理回路を備えている。帯域スイッチは、該周波数調整器内の論理回路を選択して、該選択された1つの送信周波数帯域を複数の出力周波数帯域から決定する為に、該リングオシレータ及び該周波数調整器に接続されている。第1の無線フロントエンドは、該選択された1つの送信周波数帯域で該信号を送信する為に、該周波数調整器に接続されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信機であって、
レイテンシと消費電力とを低減する為に及びリングオシレータから信号を受信する為に該リングオシレータに接続された周波数調整器、ここで、前記周波数調整器は、前記信号を、選択された1つの送信周波数帯域に調整する為の複数の論理回路を備えている;
前記周波数調整器内の論理回路を選択して、前記選択された1つの送信周波数帯域を複数の出力周波数帯域から決定する為に、前記リングオシレータ及び前記周波数調整器に接続された帯域スイッチ;並びに、
前記選択された1つの送信周波数帯域で前記信号を送信する為に、前記周波数調整器に接続された第1の無線フロントエンド
を備えている、前記送信機。
【請求項2】
前記リングオシレータが、該リングオシレータの長さに沿った複数の異なるポイントにおける複数の異なる位相出力を含み、該位相出力の各々がチューニング可能な信号の異なる夫々の位相を提供し、ここで、前記周波数調整器は、前記信号を調整する為に前記複数の位相を使用する、請求項1に記載の送信機。
【請求項3】
前記リングオシレータが複数の遅延素子を備えており、前記複数の遅延素子の各々は、チューニングの為に遅延時間を調整する為の夫々の制御可能な静電容量を有する、請求項1に記載の送信機。
【請求項4】
前記論理回路が、前記複数の出力周波数帯域からの第2の周波数帯域及び第3の周波数帯域に夫々の出力を有する周波数乗算器及び周波数分割器を備えている、請求項1に記載の送信機。
【請求項5】
前記周波数分割器が、前記リングオシレータから複数の異なる位相入力を受け取るXOR回路である、請求項4に記載の送信機。
【請求項6】
前記周波数調整器が、前記複数の出力周波数帯域の全てにおける信号を前記第1の無線フロントエンドの夫々のドライバに出力し、ここで、前記帯域スイッチは、前記複数の出力周波数帯域のうちの前記選択された1つに従って前記ドライバのうちの1つに選択的に電力を供給する、請求項1に記載の送信機。
【請求項7】
前記複数の出力周波数帯域のうちの異なる1つで送信するように構成された少なくとも1つの追加の無線フロントエンドを更に備えている、請求項1に記載の送信機。
【請求項8】
前記送信機が、デジタル論理を用いたデジタル的に合成された送信機である、請求項1に記載の送信機。
【請求項9】
センサシステムであって、
測定データを生成するセンサ;
リングオシレータベースの送信機、ここで、該リングオシレータベースの送信機が、
レイテンシと消費電力とを低減する為に及びリングオシレータから信号を受信する為に該リングオシレータに接続された周波数調整器、ここで、前記周波数調整器は、前記信号を、選択された1つの送信周波数帯域に調整する為の複数の論理回路を備えている;
前記周波数調整器内の論理回路を選択して、前記選択された1つの送信周波数帯域を複数の出力周波数帯域から決定する為に、前記リングオシレータ及び前記周波数調整器に接続された帯域スイッチ;並びに、
前記測定データを前記信号へと変調する為に及び前記選択された1つの送信周波数帯域で前記信号を送信する為に、前記周波数調整器に接続された第1の無線フロントエンド
を備えている;及び、
送信された変調された信号を受信するアンテナ
を備えている、前記センサシステム。
【請求項10】
前記リングオシレータが、該リングオシレータの長さに沿った複数の異なるポイントにおける複数の異なる位相出力を含み、該位相出力の各々がチューニング可能な信号の異なる夫々の位相を提供し、ここで、前記周波数調整器は、前記信号を調整する為に前記複数の位相を使用する、請求項9に記載のセンサシステム。
【請求項11】
前記リングオシレータが複数の遅延素子を備えており、前記複数の遅延素子の各々は、チューニングの為に遅延時間を調整する為の夫々の制御可能な静電容量を有する、請求項9に記載のセンサシステム。
【請求項12】
前記論理回路が、第2の周波数帯域及び第3の周波数帯域に夫々の出力を有する周波数乗算器及び周波数分割器を備えている、請求項9に記載のセンサシステム。
【請求項13】
前記周波数分割器が、前記リングオシレータから複数の異なる位相入力を受け取るXOR回路である、請求項12に記載のセンサシステム。
【請求項14】
前記周波数調整器が、前記複数の出力周波数帯域の全てにおける信号を前記第1の無線フロントエンドの夫々のドライバに出力し、ここで、前記帯域スイッチは、前記複数の出力周波数帯域のうちの前記選択された1つに従って前記ドライバのうちの1つに選択的に電力を供給する、請求項9に記載のセンサシステム。
【請求項15】
前記複数の出力周波数帯域のうちの異なる1つで送信するように構成された少なくとも1つの追加の無線フロントエンドを更に備えている、請求項9に記載のセンサシステム。
【請求項16】
前記帯域スイッチが、前記複数の出力周波数帯域のうちの異なる帯域における信号を、異なる夫々の無線フロントエンドに出力する、請求項15に記載のセンサシステム。
【請求項17】
信号を送信する方法であって、
リングオシレータ出力を基本周波数にチューニングして、レイテンシ及び消費電力を低減すること;
周波数調整器を用いて、前記リングオシレータ出力を、選択された1つの送信帯域に切り替えること;
前記リングオシレータの複数の位相出力を用いて、前記選択された1つの送信帯域上の第2の周波数にリングオシレータ出力を調整すること;並びに、
前記選択された1つの送信帯域で、調整された信号を送信すること
を含む、前記方法。
【請求項18】
前記リングオシレータが複数のインバータベースの遅延素子を備えており、各遅延素子が制御可能な静電容量を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記リングオシレータ出力をチューニングすることが、前記リングオシレータの振動周波数を調整する為に、前記インバータベースの遅延素子の各々の制御可能な静電容量を制御することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記調整された信号を送信する前に、データ信号を前記調整されたリングオシレータ出力へと変調することを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行されるときに、請求項17~20のいずれか1項に記載の方法を実行するように適合されたプログラムコード手段を含むコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に、送信機アーキテクチャに関し、より特には、効率的な多帯域送信機(multi-band transmitter)に関する。
【背景技術】
【0002】
低電力センサーアレイが、様々な用途、例えば、モノのインターネット(IoT:internet of things)デバイス、埋め込み可能なデバイス、ウェアラブルデバイス、エネルギーハーベスティングシステム(energy harvesting system)、地震センサ、構造物の健康監視システム、及びマルチチャネル(multi-channel)/マルチモード(multi-mode)デバイスを包含する上記の様々な用途、の為に益々使われている。そのような送信機は、特定のアプリケーションの要求に従って、様々な異なる周波数帯域で送信する必要がありうる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
送信機は、レイテンシと消費電力とを低減する為に及びリングオシレータ(ring oscillator)から信号を受信する為に該リングオシレータに接続された周波数調整器を備えている。該周波数調整器は、該信号を、選択された1つの送信周波数帯域に調整する為の複数の論理回路を備えている。帯域スイッチが、該周波数調整器内の論理回路を選択して、該選択された1つの送信周波数帯域を複数の出力周波数帯域から決定する為に、該リングオシレータ及び該周波数調整器に接続されている。第1の無線フロントエンドが、該選択された1つの送信周波数帯域で該信号を送信する為に、該周波数調整器に接続されている。
【0004】
センサシステムは、測定データを生成するセンサ、リングオシレータベースの送信機、及び送信された変調された信号を受信するアンテナを備えている。該リングオシレータベースの送信機は、周波数調整器、帯域スイッチ、及び第1の無線フロントエンドを備えている。該周波数調整器は、レイテンシと消費電力とを低減する為に及びリングオシレータから信号を受信する為に該リングオシレータに接続されている。該周波数調整器は、該信号を、選択された1つの送信周波数帯域に調整する為の複数の論理回路を備えている。該帯域スイッチは、該周波数調整器内の論理回路を選択して、該選択された1つの送信周波数帯域を複数の出力周波数帯域の1組から決定する為に、該リングオシレータ及び該周波数調整器に接続されている。該第1の無線フロントエンドは、該測定データを該信号へと変調する為に及び該選択された1つの送信周波数帯域で該信号を送信する為に、該周波数調整器に接続されている。
【0005】
信号を送信する方法は、リングオシレータ出力を基本周波数にチューニングして、レイテンシ及び消費電力を低減することを含む。該リングオシレータ出力は、周波数調整器を用いて、選択された1つの送信帯域に切り替えられる。該リングオシレータ出力は、該リングオシレータの複数の位相出力を用いて、該選択された1つの送信帯域上の第2の周波数に調整される。該調整された信号は、該選択された送信帯域で送信される。
【0006】
該方法は、コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行されるときに、該コンピュータプログラムによって実行されることができる。
【0007】
これらの及び他の特徴及び利点は、添付の図面と関連して読まれる、例示的な実施態様の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0008】
以下の記載は、添付の図面を参照しながら、好ましい実施態様の詳細を提供するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の実施態様に従う、リングオシレータを使用して、基本周波数を生成し、次に、それが1組の複数の異なる送信帯域のうちの1つに調整されるところの伝送システムのブロック図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施態様に従う、デジタル合成可能な送信機の為の基本周波数を生成する為に使用されることができるリングオシレータの概略図である。
【
図3】
図3は、本発明の1つの実施態様に従う、該基本周波数を、選択された1つの送信周波数に調整する周波数調整器のブロック図である。
【
図4】
図4は、本発明の1つの実施態様に従う、リングオシレータを使用して、基本周波数を生成し、次に、それが1組の複数の異なる送信帯域のうちの1つに調整されるところの伝送システムのブロック図である。
【
図5】
図5は、本発明の1つの実施態様に従う、複数の異なる周波数で動作する複数の異なるドライバの1組からの入力を受け入れ、そして、それらをアンテナにマッチングさせるところのマッチングネットワークの概略図である。
【
図6】
図6は、本発明の1つの実施態様に従う、リングオシレータを使用して信号を送信して基本周波数を生成し、次に、該基本周波数を1組の複数の異なる送信帯域のうちの1つに調整する方法のブロック/フロー図である。
【
図7】
図7は、本発明の1つの実施態様に従う、リングオシレータベースの送信機を使用して、1組の複数の異なる送信帯域のいずれかでセンサデータを送信するところの低電力センサシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
送信機は、単一の、低電力ベースのオシレータを備えていてもよく、該オシレータは、複数の異なる帯域にわたる送信の為にチューニングされ及び変調されうる基本周波数信号を生成しうる。例えば、約900MHzで動作するリングオシレータは、基本周波数信号を生成することができ、これが乗算又は分割され、そして、適切にチューニングするときに、様々な産業、科学、及び医療(ISM:industrial,scientific,and medical)無線帯域及び他の有用な無線周波数で送信する為に使用されることができる。そのようなアーキテクチャは、異種ハードウェアを持つ多くの異なる環境において展開されることが可能であることに加えて、低消費電力及び高速ウェイクアップタイム(fast wake-up time)で、高い帯域幅(high bandwidth)及びデータレート(data rate)を提供することができる。
【0011】
ここで
図1を参照すると、例示的な送信機システム100が示されている。リングオシレータ102は、オシレータ及びそのコンポーネントの物理的特性に基づく周波数を有する基本周波数信号を生成する。該基本周波数信号は、送信機アレイ106に渡される前に、例えば、該基本周波数信号の周波数を乗算又は除算することによって、周波数調整器104で調整される。各送信機アレイ106は、異なる夫々の周波数帯域で1以上のアンテナ108を使用して信号を送信するように構成されている。これらのコンポーネントの各々は、以下でより詳細に記載される。
【0012】
複数の異なる送信機アレイ106(無線フロントエンドとしてまた知られている)が示されているが、以下でより詳細に記載されているように、各々の送信機アレイ106がアンテナ108の夫々の1組を有し、他の実施態様は、複数のドライバを有する単一の無線フロントエンドを備えていてもよく、各々のドライバは、異なる夫々の周波数を処理し、及び複数入力マッチングネットワークを使用して単一のアンテナシステムに給電することが理解されるべきである。
【0013】
ここで
図2を参照すると、例示的なリングオシレータ102が示されている。リングオシレータ102は、最終インバータ202の出力が最初のインバータ202の入力にフィードバックするように、フィードバックを有する一連のインバータ202として形成されうる。最終インバータ202がその入力信号を反転させるときに、第1のインバータ202への入力信号を反転させるように、奇数個のインバータ202が使用されうる。結果として、リングオシレータ102の出力信号204が周期的に反転し、ここで、該周期はリングオシレータ102内のインバータ202の数及びそのようなインバータ202の各々に関連付けられた信号伝搬遅延(signal propagation delay)に依存する。このことは、リングオシレータの為の1つの企図されたアーキテクチャに過ぎない。リングオシレータ102は、複数の出力204を有していてもよく、各出力は、異なる位相を提供する為に該リングオシレータの異なるポイントにある。
【0014】
インバータ202は、例えば、相補型金属酸化膜半導体(CMOS:complementary metal-oxide semiconductor)インバータとして実装されうる。そのような構造は、直列に接続されたpチャネル金属酸化物半導体(PMOS:p-channel metal-oxide semiconductor)トランジスタとnチャネル金属酸化物半導体(NMOS:n-channel metal-oxide semiconductor)トランジスタとから形成されうる。夫々のトランジスタは、閾値電圧に達するときにオンになり、それによってその遅延ステージの出力を変化させる。電荷がこの時点まで蓄積される為にはある程度のわずかな時間が必要であり、反転遅延を構成する。従って、各インバータ202は、リングオシレータ102の総周期に寄与する。該遅延は、各インバータステージ202の遅延に影響を与えることによって、例えば、バイアス電圧値を変更することによって又は静電容量を変更することによって、調整されうる。従って、全範囲の異なる周波数が、各インバータの遅延に従って、リングオシレータ102によって発生させることができる。CMOSベースのインバータが特に企図されているが、この構造の代わりに、任意の適切な遅延素子が使用されうることが理解されるべきである。
【0015】
電圧206が発振を開始する為に印加されてもよく、該発振は電圧が維持される限り継続する。加えて、インバータ202の信号伝播遅延を変化させる入力電圧を変化させることによって、周波数がチューニングされうる。増加された入力電圧は、該信号伝播遅延を減少させてもよく、それによって出力信号204の該周波数を増加させる。この電圧は約0.5Vであり得、低電圧電源、例えば、太陽電池、コイン電池及びエネルギーハーベスタ、から該オシレータを動作させることを可能にする。そのような低電力動作を使用すると、リングオシレータベースのトランジスタは、限られた電力しか利用できない場合及び枯渇した電源を手動で交換するのが不便である場合があるところの組み込みセンサシステムにおいて有用でありうる。
【0016】
該周波数はまた、チューニングコンデンサのアレイを制御することによってチューニングされてもよく、ここで、該アレイ内の各コンデンサは、夫々のインバータ202に関連付けられている。チューニングコンデンサは、夫々のインバータ202が充電されるところの速度を制御し、従って、信号がリングオシレータ102を通じて伝播するところの速度を制御する。
【0017】
これらのチューニングコンデンサは、高容量モードと低容量モードとの間で切り替えることができる静電容量を有していてもよく、インバータ202の全てがそれらの夫々のチューニングコンデンサを高静電容量モードにする状態と、インバータ202の全てがそれらの夫々のチューニングコンデンサを低静電容量モードにする状態との間で周波数チューニングの範囲を提供する。それによって、該チューニングコンデンサの動作は、夫々のインバータ202の反転遅延を高静電容量値と低静電容量値との間で変化させる。次に、結果として生じるリングオシレータ102の周波数は、下記の式で決定されうる:
【数1】
ここで、t
hはインバータ遅延の高静電容量であり、t
lは、該インバータ遅延の低静電容量であり、及びnは、高静電容量構成におけるインバータ202の割合である。3以上の静電容量状態を有するコンデンサがまた企図されており、リングオシレータ周波数に対するそれらの寄与はそれに応じて調整されうることが理解されるべきである。
【0018】
リングオシレータ102は、クロック周波数の1クロック周期内で安定しうる。例えば、リングオシレータが2GHzで動作する場合に、それは約500ps以内に安定するであろう。このことは、L/Cオシレータのレゾナータンク(resonator tank)の品質係数に依存して基本周期の倍数である時間を要しうるL/Cオシレータと対照的である。例えば、品質係数が10の場合に、L/Cオシレータは5nsの時間を要しうる。リングオシレータのウェイクアップ時間が短くなることにより、非常に低いレイテンシで送受信機能を実行することが可能になる。結果として、送信の為にそのようなオシレータを使用するセンサシステムは、必要でないときにオシレータをオフにし、レイテンシを損なうこと無しに省電力化を提供しうる。加えて、オシレータが安定するまでにはるかに短い時間で動作する必要がある為に、該リングオシレータはL/Cオシレータよりも起動時のエネルギー浪費が有意に少なくなりうる。
【0019】
複数の出力204を含むことによって、リングオシレータ102から複数の位相が抽出されうる。異なる出力は、振動信号(oscillating signal)をその波長における異なるポイントおいてサンプリングするであろう。任意の数のそのような出力204が使用され、任意の数の遅延セルを確立しうる。例えば、N個の遅延セルを用いることにより、180/N度離れた2つの位相が得られうる。従って、2つの遅延セル(2つの出力204)を用いることにより、該位相は、90度離れて、すなわち、該リングオシレータ102の長さのほぼ1/4の距離に配置されうる。場合によっては、異なる出力204が、異なる位相粒度を実現する為に使用されてもよい。等間隔に配置された出力204の偶数を有する任意の構成は、90度離れた出力を有し、それは同相(in-phase)信号及び直交(quadrature)信号の生成の為に使用されうる。
【0020】
リングオシレータ102の長さは、使用される帯域の極限周波数(extreme frequencies)の幾何平均である出力信号204の基本周波数を生成するように選択されうる。例えば、下記のISM帯域で送信する送信機100を考えてみる:170MHz、315MHz、433MHz、900MHz、2400MHz、及び5200MHz。最低周波数は170MHzであり、及び最高周波数は5200MHzであり、幾何平均値(940MHz)は900MHzに近い値となる。このように、該出力信号の該基本周波数が900MHzに設定されてもよく、それがそのまま900MHz動作に利用されてもよく、より高い周波数帯域又はより低い周波数帯域で動作するように調整されてもよい。これらの周波数帯域が特に企図されているが、任意の適切な周波数帯域、例えば、5200MHzよりも周波数が高いもの及び170MHzよりも周波数が低いものを包含する上記の任意の適切な周波数帯域、が代わりに使用されうることが理解されるべきである。加えて、互いにほぼ整数倍である帯域が特に企図されているが、適切な変更が周波数調整ブロック104になされる場合には、このパターンに適合しない帯域が使用されうることが理解されるべきである。
【0021】
ここで
図3を参照すると、周波数調整ブロック104の追加の詳細が示されている。リングオシレータ102からの出力信号204は、帯域スイッチ301によって処理され、どの1つの帯域又は複数の帯域が送信の為に使用されるかを選択するように制御される。この例において、該リングオシレータからの信号204は、900MHzの基本周波数に設定されうる。周波数調整ブロック104は、単一の入力を取り、そして、5つの異なる帯域に対応する5つの異なる出力のうちの1つを生成する。該デバイスの通信ニーズに従って、より多くの帯域又はより少ない帯域が代わりに使用されうることが理解されるべきである。
【0022】
1組の周波数調整器が示されており、該1組の周波数調整器は、信号204の基本周波数を、1組の複数の異なる帯域のいずれかから選択される送信帯域に変換する。例えば、900MHzの入力を用いて、5による分周の周波数分割器(divide by five frequency divider)302は、180MHzにおける信号303を生成し、それは、170MHz帯域の範囲へとチューニングされることができる。3による分周の周波数分割器(divide by three frequency divider)304は、300MHzにおける信号305を生成し、それは315MHz帯域の範囲へとチューニングされることができる。バッファ306は、リングオシレータ102からの信号204と同じ、900MHzにおける出力信号307を提供する為に使用されることができる。3による乗算の周波数乗算器(multiply by three frequency multiplier)308は、2700MHzにおける信号309を生成し、それは、2400MHz帯域の範囲へとチューニングされることができる。5による乗算の周波数乗算器(multiply by five frequency multiplier)310は、5400MHzにおける信号311を生成し、それは5200MHzの範囲へとチューニングされることができる。他の周波数、例えば433MHzの出力、は、同様の回路を使用して到達されることができる。例えば、433MHzの出力は、出力信号204の周波数を2で割ることによって生成されることができ、それは450MHzを生成し、それは433MHzの範囲にチューニングされることができる。
【0023】
例えば、5による分周の周波数分割器302及び3による分周の周波数分割器304は、周波数分割器及び容量性デジタル・アナログ変換器位相マルチプレクサ(capacitive digital to analog converter phase multiplexer)で実装されてもよく、それは、該基本周波数を任意の適切な分数に分割することができる。このことは、リングオシレータ102からの複数の位相を使用し、該容量性デジタル・アナログ変換器(capacitive digital to analog converter)を用いて正弦波信号を生成することによって実行されることができる。
【0024】
周波数逓倍の為に、直交する位相を有する信号は、入力信号の周波数の倍数で出力信号を提供する為にマージされうる。そのような直交する位相は、リングオシレータ102の異なる出力204から生成されうる。より高い周波数の出力については、共振における受動素子を用いてフィルタリングが実行されることができる。従って、該周波数乗算器は、例えば、別個の論理回路として実装されうる。例えば、位相シフトされた入力を有するXOR回路が使用されうる。1つの例として、XOR3回路は、入力信号が異なる量の位相シフトでXOR3回路の3つの入力に適用される場合に、入力の周波数を3の係数で乗算することができる。
【0025】
ここで
図4を参照すると、例示的な送信機システム400が示されている。別個の送信機アレイに供給するのでなく、この場合には、周波数調整104は、複数のドライバ404を有する送信機アレイ402に出力しうる。各ドライバ404は、周波数調整ブロック104から異なる夫々の周波数入力を受け取りうる。次に、複数のドライバ404は、夫々の送信信号を出力しうる。複数のドライバ404の各々は、例えば、シングルエンドドライバ(single-ended driver)又は差動ドライバ(differential driver)として個別に構成されうる。マッチングネットワーク406は、夫々の入力周波数で送信を提供する動作ドライバ404と、アンテナ408又はアンテナアレイとの間のインピーダンスを整合させる。
【0026】
動作の間、複数のドライバ404のいずれかが所定の時間において有効にされてもよく、残りはオフにされる。アンテナ408は、基本周波数のチューニング範囲をカバーする、密接に間隔を置かれた周波数帯域をサポートする広帯域アンテナでありうる。使用する帯域の上記例に従うと、アンテナ408は、868~915MHzの例示的な周波数範囲にわたって1:1.5未満の定在波比(SWR:standing wave ratio)を有しうる。マッチングネットワーク406は、夫々の入力周波数のいずれかにおいて共振を提供する。従って、オンチップドライバ(on-chip drivers)は、必要に応じて、シングルエンド又は差動として構成されることができる。
【0027】
ここで
図5を参照すると、マッチングネットワーク406の追加的な詳細が示されている。マッチングネットワーク406は、異なるドライバ404の全てからの入力を受け入れるように構成されており、複数のドライバ404とマッチングネットワーク406との間の接続数は、夫々のドライバ404がシングルエンド構成であるか又は差動構成であるかを反映する。簡略化の為にドライバ404のサブセットのみが
図5において示されているが、任意の数のドライバ404がそのようなマッチングネットワーク406に接続されうることが理解されるべきである。
【0028】
異なる夫々の周波数で動作する1組のドライバ404は、異なる段階でマッチングネットワーク406に入力を提供し、ここで、インダクタ502及びコンデンサ504は、アンテナ408にマッチングする単一の出力インピーダンス506へのインピーダンスマッチングを提供する為に選択される値を有する。図示されているように、第1及び第3のドライバ404は差動出力を提供するように構成されており、一方、第2のドライバ404はシングルエンド出力を提供するように構成されている。インダクタ502は、約1nH~約5nHの例示的なインダクタンスを有していてもよく、及びコンデンサ504は、約1pF~約3pFの例示的な静電容量を有していてもよい。これらの値は、アンテナ408の実効インピーダンスを、選択されたドライバ404の出力周波数との共振の為に適切であるように調整する為に選択される。
【0029】
ここで
図6を参照すると、信号を送信する為の方法が示されている。ブロック602は、複数の利用可能な帯域と、該複数の利用可能な帯域の各々の為の夫々の周波数範囲との間で、動作周波数を決定する。この選択は、多数の要因、例えば、環境において利用可能なデバイスの動作周波数、規制上の考慮事項、ノイズレベル等を包含する上記の多数の要因のうちのいずれか、に従って行われうる。
【0030】
次に、ブロック604は、リングオシレータ102をチューニングして、ベース帯域上の対応する周波数を生成する。例えば、周波数が170MHz帯域において選択される場合、ブロック604は、周波数調整器104によって調整されたときに動作周波数を生成するところの周波数にローカルのリングオシレータ102をチューニングする。上述されているように、このことは、リングオシレータ102の各遅延ステージにおける静電容量を調整することによって実行されうる。
【0031】
次にブロック606は、帯域スイッチ301を操作して、ローカルのオシレータの1以上の出力を、動作周波数を包含する帯域に対応する夫々の変更ブロックに接続する。場合によっては、この帯域スイッチ301は、該ローカルのオシレータを該夫々の変更ブロックに選択的に接続するスイッチを備えていてもよい。場合によっては、帯域スイッチ301は、該動作周波数に対応する夫々の送信機アレイ106又は夫々のドライバ404への電力を制御しうる。
【0032】
ブロック608は、任意の適切な変調スキームを使用して、変更された信号(modified signal)を任意の適切なデータ信号で変調する。例えば、直交振幅変調(QAM:quadrature amplitude modulation)は、該信号の同相(in-phase)及び直交(quadrature)バージョンの振幅を変更することによって、データを該信号にエンコードする為に使用されうる。多くの変調スキームが存在すること並びに設計の優先順位及びチャネル特性に従って適切な任意の変調スキームが選択されうることが理解されるべきである。別の例において、位相シフトキーイング(phase-shift keying)が例えば、位相ロックされたループ(phase-locked loop)の位相を調整することによって、使用されうる。変調は、周波数が調整された後に、任意の適切な段階において実施されうる。
【0033】
次に、ブロック610は、該変調された信号(modulation signal)を送信する。この送信は、特定のターゲットに向けられた信号を提供する為に、例えばフェーズドアレイ構成(phased array configuration)内の1以上のアンテナを使用して実行されうる。従って、ブロック610は、互いに対して位相シフトされた複数の出力信号を異なる夫々のアンテナに提供することによって、特定のビームステアリング方向に従って1以上のアンテナを構成しうる。
【0034】
場合によっては、送信機と受信機との全体がデジタル論理で合成されることができる。このことは、スケーリングされたCMOSノードにおいて無線を設計する為に及び市場投入までの時間を短縮するソリューションの為に特に有用である。デジタル技術において提供される標準的な論理セルを使用して無線機全体が設計されることができ、そして、低電力を目指すことができる。
【0035】
本発明は、統合の在りうる任意の技術的詳細レベルでの、システム、方法若しくはコンピュータプログラム製品又はそれらの組み合わせでありうる。該コンピュータプログラム製品は、プロセッサに本発明の観点を実行させる為のコンピュータ可読プログラム命令を有する1以上のコンピュータ可読記憶媒体を包含しうる。
【0036】
該コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行デバイスによって使用する為の命令を保持且つ記憶することができる有形のデバイスであることができる。該コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、電子ストレージデバイス、磁気ストレージデバイス、光ストレージデバイス、電磁ストレージデバイス、半導体ストレージデバイス、又はこれらの任意の適切な組み合わせでありうるが、これらに限定されない。該コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例の非網羅的なリストは、下記を包含する:ポータブルのコンピュータディスケット(登録商標)、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM:random access memory)、読み取り専用メモリ(ROM:read only memory)、消去可能なプログラム可能な読み取り専用メモリ(EPROM(erasable programmable read-only memory)又はフラッシュメモリ)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM:static random access memory)、ポータブル・コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM:compact disc read-only memory)、デジタル多用途ディスク(DVD:digital versatile disk)、メモリスティック、フロッピーディスク、機械的に符号化されたデバイス、例えば、パンチカード若しくは命令が記録されている溝内の隆起構造又はこれらの任意の適切な組み合わせ。本明細書において使用される場合、該コンピュータ可読記憶媒体は、一時的な信号それ自体、例えば、電波又は他の自由に伝播する電磁波、導波管若しくは他の伝送媒体を伝播する電磁波(例えば、光ファイバケーブルを通過する光パルス)、又は電線を介して送信される電気信号、であると解釈されるべきでない。
【0037】
本明細書において記載されたコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ可読記憶媒体から夫々のコンピューティングデバイス/処理デバイスに、又はネットワーク、例えば、インターネット、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク若しくはワイヤレスネットワーク又はそれらの組み合わせ、を介して外部コンピュータ又は外部記憶デバイスにダウンロードされることができる。該ネットワークは、銅線伝送ケーブル、光伝送ファイバ、無線伝送、ルータ、ファイアウォール、スイッチ、ゲートウェイコンピュータ若しくはエッジサーバ又はこれらの組み合わせで構成されうる。各コンピューティングデバイス/処理デバイスにおけるネットワークアダプタカード又はネットワークインタフェースは、ネットワークからコンピュータ可読プログラム命令を受信し、そして、該コンピュータ可読プログラム命令を、個々のコンピューティングデバイス/処理デバイス内にコンピュータ可読記憶媒体中に記憶する為に伝送する。
【0038】
本発明の動作を実行する為のコンピュータ可読プログラム命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA:instruction-set-architecture)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、集積回路の為の構成データ、又は、1以上のプログラミング言語、例えばオブジェクト指向プログラミング言語、例えば、Smalltalk、C++等、慣用的な手続き型プログラミング言語(例えば、「C」プログラミング言語又は同様のプログラミング言語)、の任意の組み合わせで書かれているソースコード又はオブジェクトコードのいずれか、でありうる。該コンピュータ可読プログラム命令は、ユーザのコンピュータ上で全体的に、ユーザのコンピュータ上で部分的に、ユーザのコンピュータ上でスタンドアロン・ソフトウェア・パッケージとして部分的に、ユーザのコンピュータ上で部分的に且つリモート・コンピュータ上で部分的に、又はリモート・コンピュータ若しくはサーバ上で全体的に、実行されうる。後者のシナリオにおいて、該リモート・コンピュータは、任意の種類のネットワーク、例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN:local area network)若しくはワイドエリアネットワーク(WAN:wide area network)、を介してユーザのコンピュータに接続されうるか、又は該接続は(例えば、インターネットサービスプロバイダを使用したインターネットを通じて)外部コンピュータに対して行われうる。幾つかの実施態様において、電子回路、例えば、プログラム可能な論理回路、フィールドプログラム可能なゲートアレイ(FPGA:field-programmable gate arrays)又はプログラム可能なロジックアレイ(PLA:programmable logic arrays)、は、本発明の観点を実行する為に、コンピュータ可読プログラム命令の状態情報を利用することによって、電子回路をパーソナライズすることによって、コンピュータ可読プログラム命令を実行しうる。
【0039】
本発明の観点は、本発明の実施態様に従う、方法、装置(システム)及びコンピュータプログラム製品若しくはコンピュータプログラムのフローチャート図若しくはブロック図又はそれらの組み合わせを参照して本明細書において記載されている。該フローチャート図若しくは該ブロック図又はそれらの組み合わせの各ブロック、並びに該フローチャート図若しくは該ブロック図又はそれらの組み合わせにおける複数のブロックの組み合わせは、コンピュータ可読プログラム命令によって実装されることができることが理解されるであろう。
【0040】
これらのコンピュータ可読プログラム命令は、該コンピュータ又は他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサを介して実行する命令が該フローチャート図若しくはブロック図又はそれらの組み合わせの1以上のブロックにおいて特定された機能/動作を実装する為の手段を作成するように、コンピュータのプロセッサ又は他のプログラム可能なデータ処理装置に提供されて、マシンを作り出しうる。記憶された命令を有するコンピュータ可読記憶媒体が該フローチャート図若しくはブロック図又はそれらの組み合わせの1以上のブロックにおいて特定される機能/動作の観点を実装する命令を含む製造品を含むように、これらのコンピュータ可読プログラム命令はまた、コンピュータプログラム可能なデータ処理装置若しくは他のデバイス又はこれらの組み合わせに特定の様式で機能するように指示することができるコンピュータ可読記憶媒体中に記憶されうる。
【0041】
該コンピュータ可読プログラム命令はまた、コンピュータ上、他のプログラム可能なデータ処理装置上又は他のデバイス上で実行される命令が、該フローチャート図若しくはブロック図又はそれらの組み合わせの1以上のブロックにおいて特定される機能/動作を実装するように、上記のコンピュータ上、他のプログラム可能なデータ処理装置上又は他のデバイス上にロードされて、コンピュータ、他のプログラム可能な装置又は他のデバイス上で一連の操作工程を実行させて、コンピュータに実装されたプロセスを生成しうる。
【0042】
本明細書において、本発明の「1つの実施態様」(one embodiment)又は「1つの実施態様」(an embodiment)、並びにそれらの他の変形例への言及は、実施態様に関連して説明されている特定の特徴、構造、特性等が、本発明の少なくとも1つの実施態様に含まれることを意味する。従って、本明細書を通じて様々な場所に表れる表現「1つの実施態様において」(in one embodiment)又は「1つの実施態様において」(in an embodiment)並びに他の変形は、必ずしも全てが同じ実施態様を云うわけではない。
【0043】
「/」、「及び/又は」、「のうちの少なくとも1つ」のいずれかの使用、例えば、「A/B」、「A及び/又はB」、「A及びBのうちの少なくとも1つ」の場合、第1のリストされた選択肢(A)のみの選択、又は第2のリストされた選択肢(B)のみの選択、又は両方の選択肢(A及びB)の選択を包含することが意図されていることが理解されるべきである。更なる例として、「A、B及び/又はC」及び「A、B及びCのうちの少なくとも1つ」の場合、そのような表現は、第1のリストされた選択肢(A)のみの選択、又は第2のリストされた選択肢(B)のみの選択、又は第3のリストされた選択肢(C)のみの選択、又は第1及び第2の選択肢(A及びB)のみの選択、第1及び第3の選択肢(A及びC)のみの選択、第2及び第3の選択肢(B及びC)のみの選択、又は3つの選択肢すべて(A及びB及びC)の選択を包含することが意図されている。これは、本技術及び関連技術における当業者が容易に理解できるように、記載された項目数だけ拡張されうる。
【0044】
図面中のフローチャート図及びブロック図は、本発明の様々な実施態様に従う、システム、方法及びコンピュータプログラム製品若しくはコンピュータプログラムの在りうる実装の、アーキテクチャ、機能及び動作を示す。これに関連して、該フローチャート図又はブロック図における各ブロックは、命令のモジュール、セグメント、又はその一部を表し得、それは、特定された1以上の論理機能を実装する為の1以上の実行可能命令を含む。幾つかの代替の実装において、該ブロックにおいて示されている機能は、図面中に示されている順序とは異なって生じうる。例えば、連続して示されている2つのブロックは、実際には、関与する機能に依存して、同時に、実質的に同時に、部分的又は全体的に時間的に重複する様式で実行される1つの工程として達成されうるか、又は該ブロックは、逆の順序で実行されうる。該ブロック図若しくはフローチャート図又はこれらの組み合わせの各ブロック、並びに該ブロック図若しくはフローチャート図又はこれらの組み合わせの複数のブロックの組み合わせは、特定された機能又は動作を実行する特別な目的のハードウェアベースのシステムによって実装することができ、又は特別な目的のハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせを実行することができることに留意されたい。
【0045】
本明細書において使用される場合に、語「ハードウェアプロセッササブシステム」又は「ハードウェアプロセッサ」は、1以上の特定のタスクを実行する為に協働する、プロセッサ、メモリ、ソフトウェア又はそれらの組み合わせを云うことができる。有用な実施態様において、ハードウェアプロセッササブシステムは、1以上のデータ処理要素(例えば、論理回路、処理回路、命令実行デバイス等)を備えていることができる。1以上のデータ処理要素は、中央処理装置、グラフィックス処理装置、若しくは別個のプロセッサ或いは演算要素ベースのコントローラ(例えば、論理ゲート等)、又はそれらの組み合わせを包含することができる。ハードウェアプロセッササブシステムは、1以上のオンボードメモリ(例えば、キャッシュ、専用メモリアレイ、読み取り専用メモリ等)を備えていることができる。幾つかの実施態様において、ハードウェアプロセッササブシステムは、オンボード若しくはオフボードであることができる又はハードウェアプロセッササブシステムによる使用の為に専用であることができるところの1以上のメモリ(例えば、ROM、RAM、基本入出力システム(BIOS:basic input/output system)等)を包含することができる。
【0046】
幾つかの実施態様において、該ハードウェアプロセッササブシステムは、1以上のソフトウェア要素を備えており且つ実行することができる。該1以上のソフトウェア要素は、指定された結果を達成する為に、オペレーティングシステム若しくは1以上のアプリケーション若しくは特定のコード又はそれらの組み合わせを備えていることができる。
【0047】
他の実施態様において、該ハードウェアプロセッササブシステムは、指定された結果を達成する為に、1以上の電子処理機能を実行するところの専用の特殊な回路を備えていることができる。そのような回路は、1以上の特定用途向け集積回路(ASIC:application-specific integrated circuit)、FPGA若しくはPLA又はそれらの組み合わせを備えていることができる。
【0048】
ハードウェアプロセッササブシステムのこれらの及び他の変形がまた、本発明の複数の実施態様に従って企図される。
【0049】
ここで
図7を参照すると、例示的な低電力センサシステム700が示されている。システム700は、ハードウェアプロセッサ702及びメモリ704を備えている。センサ706は1以上のセンサコンポーネントを備えていてもよく、各センサコンポーネントは、1以上の現象の測定を提供する。例えば、センサ706は、電磁照射を検出することができる電磁センサ、例えば、赤外線センサ又は光センサ、であってもよい。センサの他の例は、圧力センサ、音センサ、振動センサ、温度センサ、湿度センサ、化学センサ等を包含する。センサ706は、図示されているようにオンボードであってもよく、又は任意の適切な通信インタフェース及びプロトコルによってシステム700と通信してもよい。
【0050】
電力源708は、リングオシレータベースの多帯域送信機710に電力を提供する。電力源708は、任意の適切な電源、例えば、電池、太陽電池、振動発電機、圧電発電機、任意の適切なオンボード若しくはオフボード発電機、又は外部電源、でありうる。電力源708は相対的に小さいサイズを有していてもよく、システム700を費用対効果の高い且つスペース効率の高い様式で実施することを可能にすることが特に企図されている。
【0051】
送信機710は、リングオシレータ102を使用して、L/Cタンクオシレータ(L/C tank oscillator)よりもより効率的な様式で基本周波数信号を提供する。送信機710は、該信号を、該基本周波数から任意の適切な送信帯域に調整する。送信機710は、該調整された信号へとデータを変調してもよく、例えば、センサ706からの測定値を含むように該信号を変調する。
【0052】
送信機710は、該変調された信号をアンテナ712に提供する。アンテナ712は、任意の適切なアンテナ構成、例えば、単一の広帯域アンテナ又はフェーズドアンテナアレイ(phased antenna array)、を使用しうる。場合によっては、アンテナ712は、送信機710によって使用されうる各帯域について異なるアンテナ構成を備えていてもよい。場合によっては、アンテナ712は、単一の帯域の為のアンテナ構成を備えていてもよく、その場合に、送信機710は、アンテナ712送信周波数で共振させる為のマッチングネットワーク406を備えていてもよい。
【0053】
場合によっては、アンテナ712は、複数のアンテナ素子を有するフェーズドアレイ(phased array)を備えていてもよい。そのような場合、該複数のアンテナ素子の各々は、同じ信号を送信しうるが、異なる量だけ位相シフトされうる。該送信された信号は、或る場所において建設的に、或る場所において破壊的に、互いに干渉し、潜在的に非常に集中した送信パターンを提供する。それ故に、送信機710は、アンテナ712の夫々のアンテナ素子につながる各送信経路上に位相シフタを備えていてもよく、これらの位相シフタの位相値は、特定のビームパターンに従って調整されてもよい。
【0054】
効率的な多帯域送信機の好ましい実施態様(それは例示であって限定することが意図されていない)を説明したが、変更及び変形は、上記の教示に照らして当業者によって行われることができることに留意されたい。それ故に、添付の特許請求の範囲によって概説されている本発明の範囲内にある、開示された特定の実施態様において変更がなされうることが理解されるべきである。このように、特許法によって要求される詳細及び特殊性をもって本発明の観点を説明したが、特許証によって保護されることを主張し且つ望むものは、添付の特許請求の範囲に記載されている。
【国際調査報告】