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特表2024-509688診断フォトニックバイオセンサの方法、装置、及びシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-05
(54)【発明の名称】診断フォトニックバイオセンサの方法、装置、及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/05 20060101AFI20240227BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20240227BHJP
   G01N 21/64 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
G01N21/05
G01N37/00 101
G01N21/64 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023546158
(86)(22)【出願日】2022-01-27
(85)【翻訳文提出日】2023-09-14
(86)【国際出願番号】 US2022014026
(87)【国際公開番号】W WO2022164982
(87)【国際公開日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】63/143,452
(32)【優先日】2021-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PYTHON
(71)【出願人】
【識別番号】518267573
【氏名又は名称】オルト-クリニカル ダイアグノスティックス インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】508251977
【氏名又は名称】ザ リサーチ ファンデーション フォー ザ ステート ユニバーシティ オブ ニューヨーク
(71)【出願人】
【識別番号】507245021
【氏名又は名称】ユニバーシティー オブ ロチェスター
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】ヤクボビッチ、レイモンド エフ
(72)【発明者】
【氏名】ウォーレン、ハロルド
(72)【発明者】
【氏名】ミラー、ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】スタイナー、ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】コグネティ、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】キャディ、ナサニエル
(72)【発明者】
【氏名】アベディン、ミンハツ
(72)【発明者】
【氏名】トクラノバ、ナタリア
【テーマコード(参考)】
2G043
2G057
【Fターム(参考)】
2G043AA04
2G043BA16
2G043CA04
2G043DA02
2G043DA05
2G043EA01
2G043EA06
2G057AA04
2G057AA05
2G057AC01
2G057BA05
2G057BD02
2G057BD04
2G057CA01
2G057CB01
2G057CB03
2G057DB03
2G057JA02
(57)【要約】
フォトニックバイオセンサのための装置、方法、及びシステムが開示される。フォトニックバイオセンサは、ウィッキングゾーン及びサンプル検出ゾーンと流体連通しているサンプル添加ゾーンを有する、基板を含む。基板は、光源に光学的に結合するように構成された、光入力ポートと、光検出器に光学的に結合するように構成された、光出力ポートと、も含む。フォトニックバイオセンサは、基板に接続された、フォトニック集積回路(「PIC」)も含む。PICは、光入力ポートと位置合わせされた、第1のグレーティングカプラと、光出力ポートと位置合わせされた、第2のグレーティングカプラと、第1のグレーティングカプラと第2のグレーティングカプラとの間の、少なくとも1つの導波路と、少なくとも1つの導波路の内部に配置された、少なくとも1つの検出素子と、を含む。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板であって、
ウィッキングゾーン及びサンプル検出ゾーンと流体連通しているサンプル添加ゾーンであって、前記サンプル検出ゾーンは、前記サンプル添加ゾーンと前記ウィッキングゾーンとの間に位置している、サンプル添加ゾーンと、
前記サンプル検出ゾーンの内部に、又は、前記サンプル検出ゾーンに隣接して、配置された光入力ポートであって、前記光入力ポートは、光源に光学的に結合するように構成されている、光入力ポートと、
前記サンプル検出ゾーンの内部に、又は、前記サンプル検出ゾーンに隣接して、配置された光出力ポートであって、前記光出力ポートは、光検出器に光学的に結合するように構成されている、光出力ポートと、
を含む、基板と、
前記基板の上に直接配置されたフォトニック集積回路であって、
前記光入力ポートと位置合わせされた第1のグレーティングカプラと、
前記光出力ポートと位置合わせされた第2のグレーティングカプラと、
前記第1のグレーティングカプラと前記第2のグレーティングカプラとの間に位置している少なくとも1つの導波路と、
前記少なくとも1つの導波路の内部に配置された、少なくとも1つの検出素子と、
を含む、フォトニック集積回路と、
を備える、
フォトニックバイオセンサ装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの検出素子は、少なくとも1つの捕捉分子を含む、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの検出素子は、リング共振器、二重リング共振器、円筒形共振器、球形共振器、スパイラル導波路、フォトニック結晶、マッハツェンダー干渉計(「MZI」)、又は、それらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、
請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの導波路は、窒化シリコン導波路を含む、
請求項1から3の何れか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記フォトニック集積回路は、四角柱又は直方体の形状を有する、
請求項1から4の何れか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記第1のグレーティングカプラは、前記フォトニック集積回路の面の第1の側の上に配置されており、前記第2のグレーティングカプラは、前記フォトニック集積回路の同じ面の、反対の第2の側の上に配置されており、前記少なくとも1つの検出素子は、前記第1の側と前記第2の側との間に位置している、
請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記フォトニック集積回路は、2~20ミリメートル(「mm」)の間の長さ、0.25~10mmの間の幅、及び0.1~5mmの間の高さを有する、
請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記基板は、前記検出ゾーン及び前記サンプル添加ゾーンと流体連通している、増強剤ゾーン又は結合体ゾーンをさらに含み、前記増強剤ゾーン又は前記結合体ゾーンは、前記流体サンプルと結合するための、少なくとも1つの試薬を含む、
請求項1から7の何れか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記光入力ポートは、前記基板を貫通する第1のトンネルを含み、前記光出力ポートは、前記基板を貫通する第2のトンネルを含む、
請求項1から8の何れか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記第1のトンネルは、前記サンプル検出ゾーン内において、流体経路の第1の側に位置しており、前記第2のトンネルは、前記サンプル検出ゾーン内において、前記流体経路の、反対の第2の側に位置している、
請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記基板は、カセット、スライド、又はテストカードのうちの少なくとも1つをさらに含む、
請求項1から10の何れか一項に記載の装置。
【請求項12】
実験室分析装置、又は、ポイントオブケア(「PoC」)分析装置のうちの少なくとも1つの読み取りヘッドの内部に含まれている、光源及び受光素子をさらに備える、
請求項1から11の何れか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記サンプル添加ゾーン、前記検出ゾーン、及び前記ウィッキングゾーンを流体的に結合する流体経路をさらに備え、前記流体経路は、前記基板の前記表面に対して実質的に垂直であり、前記流体サンプルの横方向の毛細管流が実現されるような、高さ、直径、及び相互間隔を有するマイクロピラー又は突起を含む、
請求項1から12の何れか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記高さは、1~1000μmの間であり、前記直径は、10~100μmの間であり、前記マイクロピラー間の前記相互間隔は、5~100μmの間である、
請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記検出ゾーンは、前記流体サンプルの内部の1つ以上の被分析物の、蛍光検出又は比色検出のうちの少なくとも1つを提供するように構成されている、
請求項1から14の何れか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記フォトニック集積回路は、UV硬化接着剤、物理的積層、又はテープ/接着剤貼り付けのうちの少なくとも1つを使用して、前記基板に接続されている、
請求項1から15の何れか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記光入力ポートは、第1の光入力ポートであり、前記光出力ポートは、第1の光出力ポートであり、前記フォトニック集積回路は、第1のフォトニック集積回路であり、
前記基板は、
前記サンプル検出ゾーンの別の位置に位置しており、前記光源に光学的に結合するように構成された第2の光入力ポートと、
前記サンプル検出ゾーンの他の位置に位置しており、前記光検出器に光学的に結合するように構成された第2の光出力ポートと、
をさらに含む、
請求項1から16の何れか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記他の位置において前記基板に接続された第2のフォトニック集積回路をさらに備え、
前記第2のフォトニック集積回路は、
前記第2の光入力ポートと位置合わせされた第1のグレーティングカプラと、
前記第2の光出力ポートと位置合わせされた第2のグレーティングカプラと、
前記第1のグレーティングカプラと前記第2のグレーティングカプラとの間の、少なくとも1つの導波路と、
前記少なくとも1つの導波路に沿って設けられており、前記流体サンプルが存在する場合、前記流体サンプルに、前記流体経路内において、前記他の位置において接触するように配置された、少なくとも1つの検出素子と、
を含む、
請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記第1のフォトニック集積回路の前記少なくとも1つの検出素子は、第1の被分析物の前記検出のために構成されており、前記第2のフォトニック集積回路の前記少なくとも1つの検出素子は、第2の被分析物の前記検出のために構成されている、
請求項18に記載の装置。
【請求項20】
基板であって、
ウィッキングゾーン及びサンプル検出ゾーンと流体連通しているサンプル添加ゾーンであって、前記サンプル検出ゾーンは、前記サンプル添加ゾーンと前記ウィッキングゾーンとの間にある、サンプル添加ゾーンと、
前記サンプル検出ゾーンの内部に配置された光入力ポートであって、前記光入力ポートは、光源に光学的に結合するように構成されている、光入力ポートと、
前記サンプル検出ゾーンの内部に配置された光出力ポートであって、前記光出力ポートは、光検出器に光学的に結合するように構成されている、光出力ポートと、
前記基板の上に直接配置されたフォトニック集積回路と、
を備え、
前記フォトニック集積回路は、
前記光入力ポートと位置合わせされた第1のグレーティングカプラと、
前記光出力ポートと位置合わせされた第2のグレーティングカプラと、
前記第1のグレーティングカプラと前記第2のグレーティングカプラとの間の少なくとも1つの導波路と、
前記少なくとも1つの導波路の内部に配置された少なくとも1つの検出素子と、
を備える、
基板。
【請求項21】
前記少なくとも1つの検出素子は、流体サンプルが存在する場合、前記流体サンプルに、前記サンプル検出ゾーン内において接触するように配置されている、
請求項20に記載の基板。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
サンプル内の光の屈折率変化を測定するためにフォトニックバイオセンサを使用することはよく知られている。検出されたサンプルの屈折光の変化により、被分析物を検出することができる。いくつかの既知のバイオセンサの光学構造は、被分析物の、光学表面、及び/又は、試薬への結合の結果として、屈折率変化を引き起こし、これが、光共振周波数に検出可能な変化を生じさせる。これらの既知のバイオセンサは、所望の被分析物の、高感度でラベルフリーな検出を提供する。
【0002】
一般的に、バイオセンサの検出素子は、相補型金属酸化膜半導体(「CMOS」)製造プロセスなどの、従来のシリコンベースのナノスケール製造プロセスを使用して、シリコン基板上に作成される。シリコンベースの製造プロセスを使用することにより、優れた光学的及び生化学的特性を有する、集積フォトニクスのためのバイオセンサ検出素子が作成される。例えば、シリコンベースの製造プロセスにより、高精度な、及び/又は、複雑な、検出素子の光学構造を、シリコン又は窒化シリコンで製造することが可能になる。光学構造は、例えば、リング共振器、スパイラル導波路、グレーティングカプラ、及びマッハツェンダー干渉計(「MZI」)を含む。これらの構造は、一般的に、材料の不純物又は構造的欠陥によって結果が影響されないことを確実にするために、ほぼ欠陥のない光路を必要とする。
【0003】
シリコンベースのプロセスは、基板上に高精度なバイオセンサ検出素子を提供するものの、既知のバイオセンサは、一般的に、高コストな、流体相互接続及び光相互接続を有する。例えば、入力光学系と出力光学系との光ファイバ結合が、一般的に、検出素子の光路とインタフェースするために必要とされる。さらに、多くのバイオセンサは、サンプルを検出素子に接触させるための、複雑な能動的流体送達機構を有する。多くの場合、流体サンプルは、サンプル量とバイオセンサを通過する流量とを制御する外部ポンプを使用して、検出素子へ、引き込まれるか、又は、押し出される。この光相互接続及び流体相互接続の複雑さが、機器のコストとバイオセンサ自体のコストとを増加させる。増加したコストは、いくつかの医療用途にとっては許容可能であり得るものの、一般的に、ポイントオブケア(「PoC」)及びメインフレーム実験室の診断用途は、コストに敏感であり、特に、一回使用のバイオセンサスライド、カートリッジ、又はカセットなどの、使い捨て製品については、コストに敏感である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
診断フォトニックバイオセンサの方法、装置、及びシステムが、本明細書に開示されている。例示的な方法、装置、及びシステムは、マイクロ流体スライド、テストカード、又はカセットを含むフォトニックバイオセンサを提供する。フォトニックバイオセンサは、スライド、テストカード、又はカセットの上に設けられた流体経路に接続されている検出素子を有する、少なくとも1つのフォトニック集積回路(「PIC」)も含む。例示的なスライド、テストカード、又はカセットは、サンプルを受け入れるための領域も含み、当該領域において、流体経路が、ウィッキング又は毛管作用(又は他の受動的マイクロ流体輸送構造)を使用し、サンプルを受動的に引き込んで検出素子に接触させる。さらに、スライド、テストカード、又はカセットは、実験室分析装置、PoC装置、又は他の被分析物分析デバイスの光源及び光検出器と光学的に結合するための光ポートを含む。
【0005】
使用中、例示的な実施形態では、サンプルが、スライド、又はカセットの、受け入れ領域表面に適用される。流体経路は、適用されたサンプルを検出ゾーン及びウィッキングゾーンに流動させる受動的マイクロ流体輸送を含む。検出ゾーンは、機能化された(functionalized)検出素子を有するシリコンベースのPICを含む。いくつかの実施形態において、PICの検出素子は、1つ以上の種類の捕捉分子により機能化されている。光が、機器の光源によって、PIC及び検出素子を通って光を誘導するスライド又はカセットの入力光ポートに照射される。スライド又はカセットの出力光ポートが、検出素子を通過した後の光を受ける。機能化された検出素子と流体サンプルとの間の接触が、光の屈折率変化を生じさせ、この光の屈折率変化は、機器の光検出器又はフォトセンサによって検出される。光の屈折率変化の度合いは、1つ以上の被分析物の存在、及び/又は、1つ以上の被分析物の濃度を示す。
【0006】
受動的流体サンプルコンポーネント及び非接触光インタフェースの使用は、能動的流体サンプル制御及び光インタフェースを有する既知のバイオセンサと比較して、バイオセンサスライド又はカセットのコストを大幅に削減する。さらに、シリコンベースのPICの使用は、従来のシリコンファウンドリ製造の利用可能な生産規模を使用しつつ、高精度なイムノアッセイ診断を提供する。さらに、統合PIC(複数可)を有する、開示されたバイオセンサスライド又はカセットは、コスト、サイズ、及び無駄をさらに削減するためのアッセイ(例えば、パネル検査)の多重化を可能にする。
【0007】
本明細書の開示に鑑み、且つ、本開示をいかなる形でも限定することなく、別段の記載がない限り、本明細書に列挙された任意の他の態様と組み合わせられ得る本開示の第1の態様において、フォトニックバイオセンサ装置は、サンプル添加ゾーン、ウィッキングゾーン、及び、サンプル添加ゾーンとウィッキングゾーンとの間に位置している検出ゾーンを有する基板を含む。基板は、サンプル添加ゾーン、検出ゾーン、及びウィッキングゾーンを流体的に結合する(例えば、流体連通している)流体経路と、サンプル検出ゾーンの区域に位置しており、光源に光学的に結合するように構成された光入力ポートと、サンプル検出ゾーンの前記区域に位置しており、光検出器に光学的に結合するように構成された光出力ポートと、も含む。フォトニックバイオセンサ装置は、サンプル検出ゾーンの前記区域において基板に接続されたフォトニック集積回路も含む。フォトニック集積回路は、光入力ポートと位置合わせされた第1のグレーティングカプラと、光出力ポートと位置合わせされた第2のグレーティングカプラと、第1のグレーティングカプラと第2のグレーティングカプラとの間の、少なくとも1つの導波路と、少なくとも1つの導波管に沿って設けられており、流体サンプルに、流体経路内において、サンプル検出ゾーンの前記区域において接触するように配置された、少なくとも1つの検出素子と、を含む。
【0008】
別段の記載がない限り、本明細書に列挙された任意の他の態様と組み合わせて使用され得る本開示の第2の態様によれば、少なくとも1つの検出素子は、リング共振器、二重リング共振器、円筒形共振器、球形共振器、スパイラル導波路、フォトニック結晶、又はマッハツェンダー干渉計(「MZI」)のうちの少なくとも1つを含む。
【0009】
別段の記載がない限り、本明細書に列挙された任意の他の態様と組み合わせて使用され得る本開示の第3の態様によれば、少なくとも1つの導波路は、窒化シリコン導波路を含む。
【0010】
別段の記載がない限り、本明細書に列挙された任意の他の態様と組み合わせて使用され得る本開示の第4の態様によれば、フォトニック集積回路は、四角柱又は直方体の形状を有する。
【0011】
別段の記載がない限り、本明細書に列挙された任意の他の態様と組み合わせて使用され得る本開示の第5の態様によれば、第1のグレーティングカプラは、フォトニック集積回路の面の第1の側に設けられており、第2のグレーティングカプラは、フォトニック集積回路の同じ面の、反対の第2の側に設けられており、少なくとも1つの検出素子は、第1の側と第2の側との間に位置している。
【0012】
別段の記載がない限り、本明細書に列挙された任意の他の態様と組み合わせて使用され得る本開示の第6の態様によれば、フォトニック集積回路は、2~20ミリメートル(「mm」)の間の長さ、0.25~10mmの間の幅、及び0.1~5mmの間の高さを有する。
【0013】
別段の記載がない限り、本明細書に列挙された任意の他の態様と組み合わせて使用され得る本開示の第7の態様によれば、基板は、増強剤ゾーン又は結合体ゾーンを、検出ゾーンとサンプル添加ゾーンとの間に、流体経路に沿って含み、増強剤ゾーン又は結合体ゾーンは、流体サンプルと結合するための、少なくとも1つの試薬を含む。
【0014】
別段の記載がない限り、本明細書に列挙された任意の他の態様と組み合わせて使用され得る本開示の第8の態様によれば、光入力ポートは、基板を貫通する第1のトンネルを含み、光出力ポートは、基板を貫通する第2のトンネルを含む。
【0015】
別段の記載がない限り、本明細書に列挙された任意の他の態様と組み合わせて使用され得る本開示の第9の態様によれば、第1のトンネルは、サンプル検出ゾーン内において、流体経路の第1の側に位置しており、第2のトンネルは、サンプル検出ゾーン内において、流体経路の、反対の第2の側に位置している。
【0016】
別段の記載がない限り、本明細書に列挙された任意の他の態様と組み合わせて使用され得る本開示の第10の態様によれば、基板は、カセット、スライド、又はテストカードのうちの少なくとも1つを含む。
【0017】
別段の記載がない限り、本明細書に列挙された任意の他の態様と組み合わせて使用され得る本開示の第11の態様によれば、光源及び受光素子は、実験室分析装置又はポイントオブケア(「PoC」)分析装置のうちの少なくとも1つの読み取りヘッドの内部に含まれている。
【0018】
別段の記載がない限り、本明細書に列挙された任意の他の態様と組み合わせて使用され得る本開示の第12の態様によれば、流体経路の少なくとも一部は、基板の表面に対して実質的に垂直であり、流体サンプルの横方向の毛細管流が実現されるような、高さ、直径、及び相互間隔を有するマイクロピラー又は突起を含む。
【0019】
別段の記載がない限り、本明細書に列挙された任意の他の態様と組み合わせて使用され得る本開示の第13の態様によれば、前記高さは、1~1000μmの間であり、前記直径は、10~100μmの間であり、前記相互間隔は、5~100μmの間である。
【0020】
別段の記載がない限り、本明細書に列挙された任意の他の態様と組み合わせて使用され得る本開示の第14の態様によれば、検出ゾーンは、流体サンプルの内部の1つ以上の被分析物の、蛍光検出又は比色検出のうちの少なくとも1つを提供するように構成されている。
【0021】
別段の記載がない限り、本明細書に列挙された任意の他の態様と組み合わせて使用され得る本開示の第15の態様によれば、フォトニック集積回路は、UV硬化接着剤、物理的積層、又はテープ/接着剤貼り付けのうちの少なくとも1つを使用して、基板に接続されている。
【0022】
別段の記載がない限り、本明細書に列挙された任意の他の態様と組み合わせて使用され得る本開示の第16の態様によれば、光入力ポートは、第1の光入力ポートであり、光出力ポートは、第1の光出力ポートであり、前記区域は、第1の区域であり、フォトニック集積回路は、第1のフォトニック集積回路であり、基板は、サンプル検出ゾーンの第2の区域に位置しており、光源に光学的に結合するように構成された第2の光入力ポートと、サンプル検出ゾーンの第2の区域に位置しており、光検出器に光学的に結合するように構成された第2の光出力ポートと、をさらに含む。
【0023】
別段の記載がない限り、本明細書に列挙された任意の他の態様と組み合わせて使用され得る本開示の第17の態様によれば、装置は、第2の区域において基板に接続された第2のフォトニック集積回路をさらに備え、第2のフォトニック集積回路は、第2の光入力ポートと位置合わせされた第1のグレーティングカプラと、第2の光出力ポートと位置合わせされた第2のグレーティングカプラと、第1のグレーティングカプラと第2のグレーティングカプラとの間の、少なくとも1つの導波路と、少なくとも1つの導波路に沿って設けられており、流体サンプルに、流体経路内において、第2の区域において接触するように配置された、少なくとも1つの検出素子と、を含む。
【0024】
別段の記載がない限り、本明細書に列挙された任意の他の態様と組み合わせて使用され得る本開示の第18の態様によれば、第1のフォトニック集積回路の少なくとも1つの検出素子は、第1の被分析物の検出のために構成されており、第2のフォトニック集積回路の少なくとも1つの検出素子は、第2の被分析物の検出のために構成されている。
【0025】
本開示の第19の態様では、図1図16のうちの任意の1つ以上に関連して開示された、任意の構造、機能、及び代替案が、図1図16のうちの任意の他の1つ以上に関連して開示された、任意の他の構造、機能、及び代替案と組み合わされ得る。
【0026】
本開示及び上記の態様に鑑みて、従って、受動的流動コンポーネント及び非接触光結合を有するフォトニックバイオセンサを提供することが、本開示の利点である。
【0027】
PoC用途及びメインフレーム実験室用途のための、比較的安価なフォトニックバイオセンサを提供することは、本開示の別の利点である。
【0028】
単一のカセット、テストカード、又はスライドの上で多重アッセイを提供するフォトニックバイオセンサを提供することは、本開示のさらなる利点である。
【0029】
単一のカセット、テストカード、又は、スライドの上で、蛍光検出又は比色検出を行うフォトニックセンサを提供することは、本開示のさらなる利点である。
【0030】
追加の特徴及び利点は、以下の発明を実施するための形態及び図面に記載されており、発明を実施するための形態及び図面から明らかになるであろう。本明細書に記載された、特徴及び利点は、全てを網羅するものではなく、特に、多くの追加の特徴及び利点が、図面及び説明を考慮すると、当業者には明らかとなるであろう。また、いかなる特定の実施形態も、本明細書に列挙された利点の全てを有する必要はなく、個々の有利な実施形態を個別に請求することも明確に企図されている。さらに、本明細書で使用されている言葉は、主に読みやすさ及び教育の目的のために選択されたものであり、本発明の主題の範囲を制限するために選択されたものではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1A図1Aは、本開示の例示的な実施形態に係る、基板(スライド、テストカード、又はカセット)及びPICを含むフォトニックバイオセンサの図である。
図1B図1Bは、本開示の例示的な実施形態に係る、基板(スライド、テストカード、又はカセット)及びPICを含む別のフォトニックバイオセンサの図である。
図2A図2Aは、本開示の例示的な実施形態に係る、光入力ポート及び光出力ポートを含む、サンプル検出ゾーンの区域における図1A又は図1Bの基板の断面図を示す。
図2B図2Bは、本開示の例示的な実施形態に係る、光入力ポート及び光出力ポートを含む、サンプル検出ゾーンの区域における図1A又は図1Bの基板の断面図を示す。
図3A図3Aは、本開示の例示的な実施形態に係る、図1A及び図1Bのフォトニックバイオセンサの例示的なPICの図である。
図3B図3Bは、本開示の例示的な実施形態に係る、図1A及び図1Bのフォトニックバイオセンサの例示的なPICの図である。
図4A図4Aは、本開示の例示的な実施形態に係る、図3A及び図3BのPICの代替実施形態の図を示す。
図4B図4Bは、本開示の例示的な実施形態に係る、図3A及び図3BのPICの代替実施形態の図を示す。
図5図5は、本開示の例示的な実施形態に係る、基板及びPICの代替実施形態の図である。
図6A図6Aは、本開示の例示的な実施形態に係る、図1A又は図1Bのフォトニックバイオセンサを製造するための手順の図である。
図6B図6Bは、本開示の例示的な実施形態に係る、射出成形を使用して、図1A又は図1Bの基板を形成するための例示的なプロセスを示す図である。
図7図7は、本開示の例示的な実施形態に係る、図1A及び図1Bのフォトニックバイオセンサと共に使用され得る実験室機器の図を示す。
図8図8は、本開示の例示的な実施形態に係る、図1A及び図1Bのフォトニックバイオセンサと共に使用され得る実験室機器の図を示す。
図9A図9Aは、本開示の例示的な実施形態に係る、図1A及び図1Bのフォトニックバイオセンサと共に使用され得る実験室機器の図を示す。
図9B図9Bは、本開示の例示的な実施形態に係る、図1A及び図1Bのフォトニックバイオセンサと共に使用され得る実験室機器の図を示す。
図10図10は、本開示の例示的な実施形態に係る、図1A及び図1BのフォトニックバイオセンサのPICの例示的な応答曲線の図である。
図11図11は、本開示の例示的な実施形態に係る、実験室機器が比較的迅速にPICに光学的に結合することを可能にする、図1A又は図1Bのフォトニックバイオセンサの特徴を示す実施形態の図である。
図12図12は、本開示の例示的な実施形態に係る、図1A及び図1Bのバイオセンサの流体流路の、例示的なマイクロピラーレイアウトの図である。
図13図13は、本開示の例示的な実施形態に係る、図1から図12のフォトニックバイオセンサを使用して、患者サンプル中のSARS-CoV-2抗体を測定するために実行された分析を示す図である。
図14図14は、本開示の例示的な実施形態に係る、図1から図12のフォトニックバイオセンサを使用して、患者サンプル中のSARS-CoV-2抗体を測定するために実行された分析を示す図である。
図15図15は、本開示の例示的な実施形態に係る、図1から図12のフォトニックバイオセンサを使用して、患者サンプル中のSARS-CoV-2抗体を測定するために実行された分析を示す図である。
図16図16は、本開示の例示的な実施形態に係る、図1から図12のフォトニックバイオセンサを使用して、患者サンプル中のSARS-CoV-2抗体を測定するために実行された分析を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本明細書では、高性能なイムノアッセイ診断を提供する低コストなフォトニックバイオセンサのための装置、システム、及び方法が開示される。本明細書に開示された例示的なバイオセンサは、シリコンベースのフォトニック集積回路(「PIC」)を、非接触光結合及び受動的流動機構を提供する基板と共に使用する。1つ以上のPICが基板の上に配置されており、これにより、流体サンプル中の1つ以上の被分析物の検出が可能になる。複数のアッセイが、多重アッセイのために、基板の上に配置され得る。追加的に、又は代替的に、基板は、また、蛍光検出、及び/又は、比色検出を、PICによって提供される屈折光検出と共に提供し、さらなる被分析物の特性評価能力を提供し得る。
【0033】
従来の不均一イムノアッセイ診断の現時点の最新技術は、固相又は磁性粒子フォーマットの何れか一方における免疫蛍光検出又は化学発光検出などの技術に基づいている。試薬のコストは長年にわたって削減されてきたものの、(複数のプロセスステップ、正確なサンプル及び試薬の添加、長い/可変的な、アッセイ固有のインキュベーション時間、厳密なインキュベーション温度の許容誤差、複数の/複雑な、洗浄プロトコル、及び特殊なシグナル生成試薬の使用を含む)複雑な自動検査手順の管理は、非常に高価な実験室機器の開発につながった。さらに、この複雑さは、より高いサービス料金、及び、(人件費、消耗品費、廃棄費、及び/又は、電力使用費についての)高い運転コストにつながる。
【0034】
従来の不均一イムノアッセイ診断とは対照的に、本明細書に開示された、例示的なフォトニックバイオセンサは、分析装置で行われるプロセスステップの多くを除去する、乾式の解決手段(dry solution)を提供する。サンプルと試薬の混合及びサンプル分析などの、分析装置内で行われる多くのステップは、代わりに、バイオセンサ自体に組み込まれるように設計されている。本明細書に開示された例示的なフォトニックバイオセンサは、また、人件費及び運転費を削減し、これにより、比較的高いスループットを提供しつつ、サイズ及び複雑さが大幅に削減された機器を提供する。
【0035】
ラベルフリーフォトニクスを利用してイムノアッセイを測定する能力は、必要な試薬の量(従来のイムノアッセイについては数百マイクロリットルであるのに対し、数百ピコリットル)を大幅に削減する。さらに、開示されたフォトニックバイオセンサは、反応プロセスの複雑さを削減し(機器ハードウェアの削減)、ターンアラウンド/分析時間の短縮(5~10分)を提供する。さらに、本明細書に開示されているように、例示的なバイオセンサは、戦略的検査パネルの多重化を提供する。
【0036】
(フォトニックバイオセンサの実施形態)
図1Aは、本開示の例示的な実施形態に係るフォトニックバイオセンサ100の図である。例示的なバイオセンサ100は、テストカード、スライド、又はカセットを含み得る基板102を含む。基板102は、ガラス、プラスチック、複合材料、環状オレフィンコポリマー、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート(「PMMA」)、ナイロン、ポリカーボネート、又は、それらの組み合わせから構成され得る。さらに、基板102は、ホットエンボス加工、マイクロ成形、又は、任意の他の成形若しくは印刷方法によって製造され得る。
【0037】
例示的な基板は、サンプル添加ゾーン106、ウィッキングゾーン108、及び検出ゾーン110を含む。ゾーン106~110は、流体経路112を介して互いに流体的に結合されている(例えば、流体連通している)。サンプル添加ゾーン106は、液体サンプルを受け入れるための計量ポートを含む。例示的なウィッキングゾーン108は、流動制御、及び/又は、廃棄物収集のための領域を提供する。ウィッキングゾーン108が、流体経路112の終点を提供するのに対し、サンプル添加ゾーン106は、始点を提供する。いくつかの実施形態において、ウィッキングゾーン108は、ウィッキングゾーン108内の蓄積された流体サンプルの物理的保護を提供するテープ支持体114によって覆われ得る。ウィッキングゾーン108に通じる入口部116は、流体サンプルをウィッキングゾーン108の内部に引き込み、液体サンプルが検出ゾーン110を通って逆流することを防ぐように構成され得る。
【0038】
例示的な基板102は、いくつかの実施形態において、光増強剤ゾーン118(例えば、結合体ゾーン)を含み得る。光増強剤ゾーン118は、サンプル添加ゾーン106より下流に位置している。いくつかの実施形態において、光増強剤ゾーン118は、サンプル添加ゾーン106に隣接して位置している。さらに、光増強剤ゾーン118は、検出ゾーン110及びウィッキングゾーン108より上流に位置している。光増強剤ゾーン118は、流体サンプルと結合するための、1つ以上の試薬を含む。いくつかの実施形態において、流体サンプルは、流体サンプルが光増強剤ゾーン118を通って流れるときに、蛍光標識結合体を溶解する。
【0039】
例示的な検出ゾーン110は、結合した特定の抗原/結合体複合体を捕捉するように構成された、1つ以上の検査ゾーンを含む。異なる検査ゾーンは、サンプル被分析物又は異なる被分析物の検出を提供し得る。各検査ゾーンにおける、結合した抗原/結合体複合体の濃度又は存在は、蛍光検出又は比色検出を使用して測定される。場合によっては、光増強剤ゾーン118内の結合体が完全に溶解された後、流体サンプルが、洗浄剤として機能し、結合していない物質を除去してウィッキングゾーン108へ送る。流体サンプルによる完全な洗浄の後、検出ゾーン110の検査ゾーンは、蛍光光度計、又は他の光学分析装置によって読み取られ得る。いくつかの実施形態では、検出ゾーン110が必要ではない場合があることを理解されたい。これらの実施形態では、検出ゾーン110は、流体流路112によって置き換えられる。
【0040】
いくつかの実施形態では、流体経路112、サンプル添加ゾーン106、光増強剤ゾーン118、検出ゾーン110、及び/又は、ウィッキングゾーン108のうちの少なくとも一部が、複数の突起又はマイクロピラーを含み得る。例示的な突起又はマイクロピラーは、基板102の表面に対して実質的に垂直であり、流体サンプルの横方向の毛細管流が実現されるような、高さ、直径、及び相互間隔を有する。いくつかの実施形態において、突起又はマイクロピラーは、1~1000マイクロメートル(「μm」)の間の高さ、10~100μmの間の直径、及び、5~100μmの間の、好ましくは10~25μmの間の、相互間隔を有する。場合によっては、突起又はマイクロピラーの基部は、頂部と比較してより大きな直径を有し得る。これらの場合において、突起又はマイクロピラーの直径は、基部から頂部に向かって先細りになり得る。
【0041】
図1Aに示された、例示的な基板102は、米国特許第10,073,091号、米国特許第9,689,870号、米国特許第9,389,228号、米国特許第9,285,361号、米国特許第8,895,293号、米国特許第8,821,812号、米国特許第8,409,523号、及び米国特許第8,025,854号にさらに説明されており、これらは、参照により本明細書に組み込まれ、依拠される。
【0042】
図1Bは、本開示の例示的な実施形態に係る、別のフォトニックバイオセンサ100の図である。フォトニックバイオセンサ100は、図1Aの基板102と同様の基板102を含む。フォトニックバイオセンサ100は、サンプル添加ゾーン106、ウィッキングゾーン108、検出ゾーン110、流体経路112、及び光増強剤ゾーン118も含む。フォトニックバイオセンサ100は、光増強剤ゾーン118と検出ゾーン110との間に、流体経路112に沿って位置している洗浄ゾーン130をさらに含む。洗浄ゾーン130は、試薬、及び/又は、界面活性剤を受け入れ、結合していない物質の除去を改善するための補助洗浄を提供するように構成されている。いくつかの実施形態では、流体が、洗浄ゾーン130に添加され、上流及び下流に流動し、サンプルがサンプル添加ゾーン106に添加される前に、流体経路112をプリウェットし得る。洗浄ゾーン130は、サンプルの洗浄も提供し得る。
【0043】
図示された例、図1Bは、PIC104が、検出ゾーン110の1つ以上の検出器部132と共に使用され得ることを示している。検出器部132は、比色/デジタル検出、及び/又は、蛍光検出のために構成され得る。サンプル添加ゾーン106は、PIC104及び検出器部132による分析のために、血清/血漿、全血、又は、他の流体を受け入れるように構成されている。光増強剤ゾーン118は、結合体捕捉、及び/又は、マスエンハンサー捕捉(mass enhancer capture)を含む、1つ以上の捕捉オプションを提供し得る。さらに、ウィッキングゾーン108は、流体制御、及び/又は、検査検出の終了などの、1つ以上の特徴を含み得る。いくつかの実施形態において、ウィッキングゾーン108は、流体の流動を促進するための多孔質材料を含み得る。
【0044】
図1Aに関連して上述したように、流体経路112は、マイクロピラーを使用して流体の流動を提供し得る。マイクロピラーは、サンプル添加ゾーン106、ウィッキングゾーン108、検出ゾーン110、光増強剤ゾーン118、洗浄ゾーン130、及び/又は、これらのゾーンの間の、流体経路112に沿った空間に配置され得る。他の実施形態では、毛細管流が、マイクロピラーを使用することなく実現され得る。例えば、流体経路112、及び/又は、ゾーン106、108、110、118、及び/又は、130に沿った毛細管流は、テクスチャリング/表面パターニングを使用して実現され得る。代替的に、毛細管流は、多孔質媒体(例えば、「ポリ紙(paper in poly)」、繊維材料、又は、糸/繊維構造体の束)を使用して実現され得る。他の実施形態では、毛細管流が、薄膜コーティング、及び/又は、様々なコーティングされた拡散層及びチャネルビーズを使用して提供され得る。流体経路112、及び/又は、ゾーン106、108、110、118、及び/又は、130に湿潤性/親水性の表面を提供するコーティングは、酸素プラズマ処理、中性原子ビーム衝撃、ガスクラスターイオンビーム衝撃、表面シラン化などを含む。
【0045】
図1A及び図1Bの例示的な基板102は、実験室分析装置又はPoC分析装置の読み取りヘッドとの非接触光結合のための光ポートも含む。図2A及び図2Bは、本開示の例示的な実施形態に係る、光入力ポート202及び光出力ポート204を含む、サンプル検出ゾーン110の区域200における基板102の断面図を示す。入力ポート202は、光源に光学的に結合するように構成されており、出力ポート204は、光検出器に光学的に結合するように構成されている。非接触光学的位置合わせを提供するために、基板102は、光源が光入力ポート202と直接位置合わせされるように、分析装置機器内に配置されている。同様に、分析装置機器内における基板102の配置により、出力ポート204が、光学検出器と位置合わせされる。この非接触結合は、PIC104との複雑な光結合を不要にする。さらに、いくつかの実施形態において、PIC104は、検出ゾーン110より上流に、又は他の配置で、検出ゾーン110に隣接して位置し得る。
【0046】
光入力ポート202は、基板102を貫通する第1のトンネルを含み、光出力ポート202は、基板102を貫通する、別個の第2のトンネルを含む。トンネルは、円筒形であるものとして示されているが、トンネルは、四角形、三角形などの、他の輪郭を有し得る。図示された実施形態において、入力ポート202は、流体経路112の一方の側にあるものとして示されているのに対し、出力ポート204は、流体経路112の反対の側にあるものとして示されている。他の実施形態において、ポート202及び204は、流体経路112の同じ側にあり得る。
【0047】
図2A及び図2Bは、PIC104の拡大図も示す。図2Aは、基板102に接続する前のPIC104の図を示す。図2Bは、基板102上に配置された後のPIC104の図を示す。例示的なPIC104は、光入力ポート202と位置合わせされた第1のグレーティングカプラ206を含む。PIC104は、光出力ポート204と位置合わせされた第2のグレーティングカプラ208も含む。グレーティングカプラ206及び208は、光ポート202及び204それぞれの円形輪郭に適合する形状を有する。
【0048】
グレーティングカプラ206及び208は、光を特定の方向に回折する周期的エッチング構造を含む。図示された例において、グレーティングカプラ206は、光入力ポート202を通る垂直方向からの光を、PIC104を通る水平方向に回折する。さらに、グレーティングカプラ208は、PIC104からの、水平方向からの光を、光出力ポート204を通る垂直方向に回折する。他の実施形態において、グレーティングカプラは、ポート202及び204とPIC104との間で光を誘導するミラー又は反射コーティングによって置き換えられ得る。
【0049】
例示的なPIC104は、第1のグレーティングカプラ206と第2のグレーティングカプラ208との間の、少なくとも1つの導波路210も含む。さらに、PIC104は、少なくとも1つの導波路210に沿って設けられた、少なくとも1つの検出素子212を含む。検出素子212は、流体サンプルに流体経路112内において接触するように配置されている。検出素子212、及び/又は、PIC104は、概して、流体経路112に沿った流体の通過を妨げないことを理解されたい。代わりに、小さな空間が、流体経路112の底面と検出素子212との間に設けられ、流体サンプルが通過することを可能にする。いくつかの実施形態において、小さな隙間は、10μmと5000μmとの間である。
【0050】
また、図2Aに示すように、基板102は、PIC104の対応する側面を受け入れるための凹部220及び222を、ポート202及び204の周囲に含み得る。凹部220及び222は、PIC104が基板102に確実に接続されることを可能にする。いくつかの実施形態では、紫外線(「UV」)硬化接着剤、物理的積層、又はテープ/接着剤貼り付けのうちの少なくとも1つが、PIC104を、基板102に、凹部220及び222において固定するために使用される。
【0051】
図3A及び図3Bは、本開示の例示的な実施形態に係る例示的なPIC104の図である。図3Aは、導波路210に沿って位置している、2つの検出素子212a及び212bを有するPIC104を示す。例示的な導波路210は、第1のグレーティングカプラ206及び第2のグレーティングカプラ208に光学的に結合されている。検出素子212a及び212bは、リング共振器を含む。他の実施形態において、検出素子212a及び212bは、二重リング共振器、円筒形共振器、球形共振器、スパイラル導波路、又はマッハツェンダー干渉計(「MZI」)を含み得る。さらに、導波路210は、窒化シリコン導波路を含み得る。
【0052】
図示するように、図3AのPIC104は、四角柱又は直方体の形状を有する。さらに、PIC104は、2~20mmの間(例えば、4mm)の長さ、0.25~10mmの間(例えば、1mm)の幅、及び0.25~5mmの間の高さを有する。図3Bは、PIC104のアレイが、多重用途のために基板102に接続され得ることを示している。図示するように、1つ、2つ、又は3つの検出素子212a、212b、及び212cが含まれ得る。さらに、図3Bに示すように、検出素子を有さないPIC300がアレイに含まれ得る。PIC300は、光の較正、及び/又は、調整のための基準として使用され得る。図3Bの4つのPICは、4つがそれぞれ、サンプル流体と接触するように流体経路112を横切って配置され得る。基板102は、4つのPIC104の全てのために、1つの光入力ポート202と、1つの光出力ポート204と、を含み得る。代替的に、基板102は、4つのPIC104のそれぞれのために、別個の光入力ポート202と、別個の光出力ポート204と、を含み得る。
【0053】
図4A及び図4Bは、本開示の例示的な実施形態に係る、PIC104の代替実施形態の図を示す。図4AのPIC104は、2つの平行な導波路210a及び210bを含む。各導波路210は、グレーティングカプラ206a、206b、208a、及び208bを介して、基板102の入力ポート202及び出力ポート204のそれぞれに光学的に結合されている。さらに、各導波路210a及び210bは、検出素子212a、212b、212c、及び212dのそれぞれを含む。図4Bは、実施形態を示し、当該実施形態では、PIC104が、4つの平行な導波路を含み、各導波路は、独自の入力/出力ポート及び検出素子を有する。PIC上の導波路及び検出素子の配置及び構成には事実上制限がないことを理解されたい。
【0054】
図5は、本開示の例示的な実施形態に係る、基板102及びPIC104の代替実施形態の図である。異なる実施形態に示すように、PIC104は、基板102の任意の流体経路構成を横切って配置され得る。これは、2つの異なるサンプル(又は、サンプル並びに試薬)が、別個の経路に、別個に添加される構成を含む(例I)。これは、斜めの流体経路上に設けられたPIC104も含む(例II)。これは、流体経路それぞれのための別個のPIC104をさらに含む(例III)。図示するように、例IV~VIIIに示すように本明細書に開示された例示的なPIC104が使用され得る基板上の流体経路の異なる配置の数には、事実上制限がない。さらに、例VIIは、入力ポート202及び出力ポート204が、光源及び検出器と光学的に結合するために、基板102から延び得ることを示している。
【0055】
図6Aは、本開示の例示的な実施形態に係る、図1A又は図1Bのフォトニックバイオセンサ100を製造するための手順600の図である。手順600は、図6Aに図示するフロー図を参照して説明されるものの、手順600に関連するステップを実行する、多くの他の方法が使用され得ることを理解されたい。例えば、多くのブロックの順序が変更され得、特定のブロックが他のブロックと組み合わされ得、説明されたブロックの多くが任意であり得る。一実施形態において、ブロックの数は、基板上に配置されるPICの数、及び/又は、タイプに基づいて変更され得る。
【0056】
例示的な手順600は、基板102が製造されたとき(ブロック602)に始まる。基板102は、ホットエンボス加工、マイクロ成形、射出成形、又は任意の他の成形若しくは印刷方法によって製造され得る。次に、ゾーン及び流体経路が、基板上に作成される(ブロック604)。ゾーンは、サンプル添加ゾーン、光増強剤ゾーン、ウィッキングゾーン、検出ゾーン、洗浄ゾーンなどを含み得る。検査ゾーンが、検出ゾーンの内部に含まれ得る。さらに、試薬又は結合体が、光増強剤ゾーンに添加され得る。いくつかの実施形態では、基板102が形成されるときに、ゾーン及び流体経路を画定する凹部が形成される。他の例では、凹部がエッチングされる。続いて、ゾーン及び流体経路を通る毛細管流を提供するためのマイクロピラー又は突起を含む層が付加される。さらに、カバーが、ウィッキングゾーン上に配置され得る。
【0057】
例示的な手順600は、続いて、PICへの接続のための光ポート及び凹部を、穿孔するか、又は他の方法により形成する(ブロック606)。場合によっては、基板102が、例えば射出成形によって形成されたときに、ポート及び凹部が形成される。代替的に、ポートは、ドリル又は他の同様の構造を使用して穿孔され得る。さらに、場合によっては、ポートの、形成されたトンネルの壁は、反射コーティング又は非反射コーティングによりコーティングされ得る。
【0058】
図6Bは、本開示の例示的な実施形態に係る、射出成形を使用して基板102を形成するための例示的なプロセス650を示す図である。プロセス650の第1のステップ(ステップA)では、シリコンテンプレート652が形成される。シリコンテンプレート652は、所望の構造を成長/エッチングするためのシリコンベースの微細加工技術を使用して形成され得る。テンプレート652は、他の方法では形成することが困難なテンプレートマイクロピラー654の寸法を画定する。
【0059】
プロセス650は、ステップBに続き、当該ステップBでは、ニッケル、銅、金、又は別の金属が電気メッキされ、型656が形成される。場合によっては、型656は、金属スパッタリングによって形成され得る。次に、シリコンテンプレート652が、取り外されるか、或いはエッチングされ、型656が残される。
【0060】
プロセス650の次のステップ(ステップC)では、1つ以上のピン構造658が、型656に一体化されるか、又は他の方法により型656に接続される。ピン構造658は、基板102のポート202及び204を形成するために配置される。ピン構造658は、図11に関連して後述される、位置合わせ貫通孔を形成するためにも配置され得る。
【0061】
例示的なプロセス650は、ステップDに続き、当該ステップDでは、ポリマーが型656内に射出成形される。硬化後、射出成形されたポリマーが型656から取り外され、基板102を形成する。図示するように、流体流路112内のマイクロピラー660が、型656の凹部の隙間内に形成される。このような構成は、マイクロピラー660がマイクロメートルスケールで形成されることを可能にする。さらに、ピン構造658が、基板102内にポート202及び204を形成し、それにより、ポートを形成するために基板に穴を開ける必要がなくなる。
【0062】
図6Aに戻り、基板102が作成されると共に、PIC104が製造される(ブロック608)。PIC104は、シリコンベースのマイクロスケール又はナノスケール製造プロセスを使用して製造され、取り付けの前に機能化される。続いて、PIC104が、製造ダイから分離され、基板102上に取り付けられ得る(ブロック610)。続いて、PIC104を取り付けるために使用された接着剤が硬化され、確実な接続が形成される(ブロック612)。PIC104の取り付けは、UV硬化接着剤、物理的積層、及び/又は、マイクロ流体基板102へのテープ貼り付けによって実現され得る。その後、例示的な手順600が終了し、フォトニックバイオセンサ100が、液体サンプル内の1つ以上の被分析物を検出するために使用され得る。
【0063】
純粋なマイクロ流体からのコアフォトニックPICの分離が、各製造プロセスの最適化を可能にする(そしてコスト効率を改善する)ことを理解されたい。完成したフォトニックバイオセンサ100は、乾式スライドであり、当該乾式スライドは、基板102のマイクロ流体力学を、サンプル輸送のために使用し、機能化されたPIC104を、単一又は多重の検査及びアッセイ濃縮のために使用する。PICによって提供されるアッセイの結果は、チューニング可能なレーザ、及び/又は、固体受光素子を使用して測定される。場合によっては、PICにおける共振波長の変化を判別するために、広域スペクトル光源、及び/又は、スペクトル分析装置が使用され得る。
【0064】
(検査の実施形態)
上述したように、PIC及び基板102を有するフォトニックバイオセンサ100は、1つ以上の被分析物について検査するように構成されている。フォトニックバイオセンサ100を使用する検査プロセスは、流体サンプルをサンプル添加ゾーン上に分注するステップと、サンプルをインキュベートするステップと、読み取り動作を実行するステップと、を含む。安定性コーティングを除去するための事前洗浄などの、多くの追加の特徴が、性能を向上させるために利用され得る。サンプル完成後に結合していない物質を除去するために、追加の事後洗浄が使用され得る。
【0065】
本明細書に開示された例示的なフォトニックバイオセンサ100は、乾式スライド処理に適合している。共通の機器機能が、ドライケミストリーとフォトニックバイオセンサ100との両方のために利用され得る。図7から図9Bは、本開示の例示的な実施形態に係る、図1A又は図1Bのフォトニックバイオセンサ100と共に使用され得る実験室機器700の図を示す。図7は、フォトニックバイオセンサ100が、円形トラック702内に、他のフォトニックバイオセンサ100と共に配置され得ることを示している。円形トラック702(又はラック)は、新しいフォトニックバイオセンサ100を供給在庫から受け取り、新しいフォトニックバイオセンサ100を回転させ、洗浄緩衝液、及び/又は、患者の流体サンプルを、1つ以上のピペットから受け入れるように構成されている。円形トラック702は、フォトニックバイオセンサ100上での患者サンプルのインキュベーションを提供し、フォトニックバイオセンサ100が、インキュベーション後に読み取り位置に移動されることを可能にし得る。読み取り後、円形トラック702は、使用済みのフォトニックバイオセンサ100を廃棄するための経路選択を提供する。
【0066】
図8及び図9Aに示すように、流体サンプルは、基板102に適用され、インキュベートされる。インキュベーションが完了すると、バイオセンサ100が、インキュベータからフォトニック読み取り装置800内に移動される。読み取り装置800は、光源に接続された入力ファイバと、光検出器に接続された出力ファイバと、を含み得る。入力ファイバは、基板102の光入力ポート202と位置合わせされているのに対し、出力ファイバは、基板の光出力ポート204と位置合わせされている。読み取り位置に配置されると、PIC104は、正確に配置され、走査される。完了すると、バイオセンサ100は、搬送され、廃棄される。
【0067】
図9Bは、本開示の例示的な実施形態に係る、可能な光学的構成を示す図である。第1の実施形態では、固定具902aが、入力コネクタ904a及び出力コネクタ906aを有する光ハブ903を含む。コネクタ904a及び906aのそれぞれは、PIC104aとの光結合のための単一の光ファイバを含み、当該単一の光ファイバは、単一の導波路210を有する。図2A及び図2Bに関連して上述したように、入力コネクタ904aは、基板102の入力ポート202に光学的に結合されており、出力コネクタ906aは、基板102の出力ポート204に光学的に結合されている。
【0068】
第2の実施形態では、固定具902bが、入力コネクタ904aを有する光ハブ903を含む。光ハブ903は、少なくとも4本の光ファイバを有する出力コネクタ906bも含む。場合によっては、出力コネクタ906bは、7本の光ファイバを含むものの、これらのファイバのうちの4本のみが使用される。この第2の実施形態では、PIC104bが、グレーティングカプラ206から分岐する4つの導波路を有する。各導波路は、2つの検出素子を含む。さらに、4つの導波路のそれぞれは、(1から4の番号が付された)別個のグレーティングカプラで終端しており、当該グレーティングカプラは、それぞれ、(同じく1から4の番号が付された)出力コネクタ906bの4本の光ファイバに、基板102の出力ポート204を介して、光学的に結合されている。この構成は、4つの導波路のそれぞれからの光が、別個の分析のために固定具902b内で独立して受信されることを可能にする。一例では、4つの導波路の使用が、流体サンプルの多重分析を提供する。
【0069】
第3の実施形態では、固定具902cが、4本の出力光ファイバと1本の入力光ファイバとを有する複合入力/出力コネクタ908を含む。この実施形態では、入力光ファイバは、PIC104c上の検出素子に光を提供するためにコネクタ908の中心に位置している。他の実施形態において、入力光ファイバは、PIC104cのグレーティングカプラ206/208の位置に基づいて、7本の光ファイバのうちの何れか一本に位置し得る。
【0070】
PIC104cは、コネクタ908の入力光ファイバと位置合わせされたグレーティングカプラ206を含む。グレーティングカプラ206は、U字形状を有する4つの導波路に分岐する単一の導波路に光学的に接続されている。(1から4の番号が付された)出力グレーティングカプラは、(同じく1から4の番号が付された)対応する出力光ファイバと位置合わせされている。U字形導波路の使用は、光が受信される側と同じ側において光がPIC104cから出射することを可能にする。このPIC104cの構成は、単一の複合入力/出力コネクタ908が使用されることを可能にする。基板102は、複合コネクタ908との光結合のために単一のポート202又は204を含み得る。この第3の実施形態は、基板102に1つのポート202/204しか形成されず、患者の流体サンプルの検査中にコネクタ908を介した1つの光結合しか必要とされないため、第1及び第2の実施形態に比べて、より効率的である。
【0071】
図10は、本開示の例示的な実施形態に係る、図1のフォトニックバイオセンサ100のPIC104の例示的な応答曲線の図である。応答曲線は、PIC104が特定のバイオマーカの濃度を正確に検出していることを示している。例示的なバイオセンサ100は、メインフレーム実験室分析装置及びPOCデバイスに適合している。開示されたバイオセンサ100は、多重検査パネルに理想的に適している。
【0072】
検出方法の組み合わせが、PIC104を有する単一の基板102上に提供され得ることに留意されたい。例えば、PIC104によって提供されるフォトニック検出は、基板の検出ゾーンにおける蛍光検出及び比色検出と組み合わせられ、それによって、あらゆる検査機能を、単一のバイオセンサにおいて提供し得る。いくつかの実施形態において、フォトニック検出の結果は、蛍光検出及び比色検出からの結果を参照して、検証又は解釈され得る。一貫性のない結果は、決定的でない検査と解釈され得、追加のバイオセンサ100を使用する、さらなる分析を必要とし得る。
【0073】
(位置合わせの実施形態)
図7から図9に関連して上述したように、実験室機器700は、バイオセンサ100に光学的に結合するフォトニック読み取り装置800を含む。図11は、本開示の例示的な実施形態に係る、フォトニック読み取り装置800が比較的迅速にPIC104に光学的に結合することを可能にするバイオセンサ100の特徴を示す実施形態の図である。図示された例では、位置合わせチャネル1102及び1104が、基板102内に形成されている。位置合わせチャネル1102及び1104は、貫通孔又は開口を含み得、ポート202及び204のそれぞれに隣接して位置している。
【0074】
一例において、フォトニック読み取り装置800は、位置合わせピンを含む。バイオセンサ100が、実験室機器700内の指定された位置に移動された後、フォトニック読み取り装置800、及び/又は、基板102が、位置合わせピンが位置合わせチャネル1102及び1104を通るように移動される。これにより、比較的速い位置合わせが提供される。いくつかの実施形態では、大まかな位置合わせの後、フォトニック読み取り装置800、及び/又は、基板102が、光源及び光検出器が、それぞれ、光入力ポート202及び光出力ポート204と光学的に位置合わせされることを確実にするために、位置合わせを微調整され得る。
【0075】
図1A図1B図2A図2B、及び図11は、1つの入力ポート202と1つの出力ポート204とを示しているものの、他の実施形態において、基板102は、2つ以上の入力ポート、及び/又は、2つ以上の出力ポートを有し得ることに留意されたい。複数のポートの使用は、いくつかの実施形態において、多重化のためのPIC104内における複数のチャネルの使用を可能にする。例えば、基板102は、単一の入力ポート202と複数の出力ポート204とを有し得る。この例において、PIC104は、出力ポート204の数に対応する複数のチャネルを有する。入力ポート202を介して受信された光は、別個のチャネルに沿って分割され、異なるタイプの光学的分析を提供する。追加的に、又は代替的に、基板102は、複数の入力ポート202及び複数の出力ポート204(及び/又は、複数対の位置合わせチャネル)を含み、流路112に沿った異なる位置に配置された複数のPIC104を収容し得る。
【0076】
図11は、バイオセンサ100の、おおよその寸法も示しており、当該バイオセンサ100は、約22mmの長さ、及び、約15mmの幅を有している。この例において、サンプル添加ゾーン106は、5.7mmの幅、及び、21.2mmの長さを有している。流路は、1.16mmの幅を有しており、ウィッキングゾーン108は、7.6mmの直径を有している。バイオセンサ100は、設計及び最終用途に基づいて、代替的な寸法を有し得ることを理解されたい。
【0077】
いくつかの実施形態において、位置合わせチャネル1102及び1104とポート202及び204とは省略され得る。これらの代替実施形態では、光結合が、PIC104の導波路210に直接提供される。一例において、光源に接続された入力ファイバが、PIC104の一方の側と位置合わせされ、導波路210と直接光学的に結合するように構成される。出力ファイバは、PIC104の反対の側に配置され、光を受信する。
【0078】
(マイクロピラーの実施形態)
図12は、本開示の例示的な実施形態に係る、図1A及び図1Bのバイオセンサ100の基板102の流体流路112のための例示的なマイクロピラーレイアウトの図である。マイクロピラー1202(例えば、図6Bのマイクロピラー660)は、PIC104の機能化された検出素子212と位置合わせされる、流体流路112に沿った位置を含む、流体流路112の内部に配置されている。マイクロピラー1202は、50μmの直径を有する円柱を含み得る。図示するように、マイクロピラー1202は、100μmの間隔を隔ててマイクロピラー1202が配置されるように、六角形のアレイに配置されている。マイクロピラー1202の間隔及びサイズは、流体流路112に沿った毛細管流を提供する。
【0079】
他の実施形態において、マイクロピラー1202は、四角形の形状を有する。これらの他の実施形態において、マイクロピラーは、隣接するマイクロピラー間に50μmから150μmの間隔を有するように、複数の列に配置され得る。さらに、各隣接する列は、他の列からオフセットされ得る。オフセットは、1つの列の1つのマイクロピラーが、隣接する列の複数のマイクロピラー間の隙間と位置合わせされるように、隣接する列の隙間に対応し得る。
【0080】
(SARS-CoV-2抗体の測定の実施形態)
上述した例示的なバイオセンサ100は、多くの異なる用途において、生物学的、及び/又は、化学的被分析物を識別するために使用され得る。一例において、バイオセンサ100は、SARS-CoV-2抗体を測定、及び/又は、検出するように構成されている。この例では、PIC104をウェハから取り外し、メタノールと塩酸の1:1混合物中で30分間洗浄することによって、PIC104が準備される。続いて、PIC104は、ナノピュア水(Nanopure water)中で各回30秒間ずつ3回すすがれ、窒素によって乾燥された。PIC104は、1%の(3-トリエトキシシリル)プロピルコハク酸無水物(Gelest(登録商標)、モリスビル、ペンシルベニア州)を含む無水トルエン中に40分間浸漬され、その後、純粋な無水トルエン中で5分間すすがれた。PIC104は、次に、窒素により乾燥され、110℃で30分間インキュベートされた。
【0081】
検出素子212(例えば、リング共振器)の表面が機能化された後、sciFLEXARRAYER SX圧電マイクロアレイ装置(Scienion AG、ベルリン、ドイツ)を使用して抗体を検出素子212上に直接スポットすることによって、抗体が表面に共有結合された。対照リング共振器は、650μg/mLの抗フルオレセイン抗体によりスポットされ、検査リング共振器は、400μL/mLのSARS-CoV-2受容体結合ドメイン(「RBD」)ペプチド(Sino Biologicals、ウェイン、ペンシルベニア州)によりスポットされた。両方のリングは、約3nLの抗体/抗原溶液を受けた。PIC104は、湿度75%に30分間維持され、その後、等量の安定剤溶液(StabilCoat Immunoassay Stabilizer、Surmodics IVD Inc.、エデン・プレイリー、ミネソタ州)が適用された。安定剤が検出素子212のリング上にスポットされてから30分後、PIC104が、アレイ装置から取り出され、使用されるまで真空デシケータ内に保管された。
【0082】
バイオセンサ100の基板102(例えば、流体カード)が、形成され、まず、流体流路112の親水性を高めるために、酸素プラズマにより1分間処理された(Plasmod Plasma System、Nordson Plasma Systems、コンコード、カリフォルニア州)。厚さ57μmの両面接着テープ(467MP、3M(登録商標)、セントポール、ミネソタ州)が、基板102をPIC104とインタフェース接続するために、パターン化された。接着剤が、流体流路112のマイクロピラーチャネル全体を覆いながらも、小さな窓が残され、当該窓は、光ファイバ信号がフォトニックグレーティングにアクセスするための窓であり、且つ、リング共振器センサが、チャネルを通るサンプルの流れにアクセスするための窓である。さらに、大きな入口孔が、サンプル添加ゾーン106へのサンプルの添加のためのピペットによるアクセスを可能にした。パターン化された粘着テープが、カスタム位置合わせデバイスを使用して基板102に付加され、一片の濾紙(Q1、Whatman(登録商標)、リトル・チャルフォント、英国)が、流体流路112のチャネルが満たされると連続的な流れを促進するために、マイクロピラー出口チャネルと接着剤との間に配置された。接着剤が基板102に塗布されると、PIC104が、チャネル及び光アクセスポート202並びに204に位置合わせされる。
【0083】
バイオセンサ100は、光源に位置合わせされ、当該光源は、光が、基板102の下から、フォトニックグレーティングカプラに結合されたり、フォトニックグレーティングカプラから結合されたりすることを可能にしたカスタム垂直結合コンポーネント(Syntec Optics(登録商標)、ロチェスター、ニューヨーク州)からなっている。バイオセンサ100が、マイクロメートル制御のステージ上に配置され、赤外線カメラ及びパワーメータを使用して、ステージを介して結合されるパワーが最大になるまで位置合わせが行われた。結合をさらに改善するために偏光制御装置が使用され、バックグラウンド信号を最小化するためにスペクトル範囲が選択され、当該スペクトル範囲は、概して1552~1558ナノメートル(「nm」)であった。
【0084】
バイオセンサ100が位置合わせされた後、概して約1550nmで、6nmスペクトル記録が連続的に取得され、各スペクトル測定は、約6秒かかった。全てのスペクトルは、自動的に分析のために保存された。位置合わせ後にスペクトルが取得されると、サンプルが、さまざまな量で連続して添加された。まず、アッセイ洗浄緩衝液(「AWB」)中で1:5に希釈された、20μLのプールされた正常ヒト血清(「PNHS」、Innovative Research(登録商標)、ノバイ、ミシガン州)が添加された。このステップは、3つの目的を果たした:第1に、安定剤を洗い流し、抗原機能化リングを露出させること、第2に、検出素子212の各リング共振器からのピークが、患者のサンプルのバルク屈折率と同様のバルク屈折率になるように環境を平衡化することを可能にすること、第3に、非特異的結合部位をブロックすること。入口の上のサンプルのボーラスが減少し、但し完全に乾いてはいない状態になると、測定対照となる血清サンプルが添加された。PNHSの場合と同様に、サンプルは、AWB中で1:5に希釈された。次に、あらゆる結合されていない物質を洗い流し、次のサンプルのバルク屈折率を一致させるために、5μLのAWBが添加された。最後に、サンプルの添加から見られるシフトが、検出素子212のリング共振器への抗RBD抗体の結合に起因していたことを確認するために、10μLのヤギ抗hIgG抗体(Jackson Immunoresearch(登録商標)、ウェスト・グローブ、ペンシルバニア州)が10μg/mLで添加された。
【0085】
妥当性及び正確性を判定するために、バイオセンサ100によるSARS-CoV-2抗体の分析の結果が分析された。データは、SARS-CoV-2 RBDに対して生成されたモノクローナル抗体について、10μg/mLの抗体濃度の場合に約200ピコメートル(「pm」)の合計共振シフトが実現されたことを示していた。データは、1μg/mLの場合に約50pmの合計共振シフトも示していた。続いて、例示的なバイオセンサ100は、未知の抗体濃度の回復期血清サンプルを使用し、同様の方法で試験された。血清サンプルは、活動性疾患から少なくとも14日経過した回復期のCovid-19患者から採取され、ロチェスター大学医療センターの健康ドナープロトコル(Healty Donor protocol)により取得された。サンプルは、受け取り時に、処理され、-80℃で保存され、アッセイを実行する前に、解凍され、希釈された。
【0086】
非特異的結合を測定するためには抗FITC(anti-FITC)対照共振器リングの使用が重要であり、これは、全てのサンプルが、これらのリング内で、無視できない共振シフトを生成するからであることを理解されたい。対照リングは、分析が行われている間のあらゆる温度変化も考慮する。但し、RBDリングにおいて測定された応答は、全ての回復期サンプルで、はるかに高かった。
【0087】
図13は、グラフ1300を示し、当該グラフ1300は、バイオセンサ100によって測定された、高力価の抗SARS-CoV-2抗体を含む回復期のCOVID-19患者サンプルのサンプルスペクトルを表す。(左のピーク1302によって表された)抗FITCリングは、10分の間に約200pmシフトした。これに対し、(右のピーク1304によって表された)SARS-CoV-2 RBD機能化リングは、この時間内に700pm以上シフトした。図13に示すように、各リング共振器は、対応する共振波長を有し、当該共振波長において、伝送されたパワーに谷がある。抗RBD抗体を含むサンプルの添加により、右のピーク1304は、抗体がリングに結合するにつれてシフトするのに対し、抗FITCリング1302は、血清タンパク質との非特異的相互作用により、はるかに小さくしかシフトしない。換言すれば、検出器素子212のSARS-CoV-2 RBD機能化リングは、SARS-CoV-2抗体を正確に識別した。
【0088】
グラフ1300中のデータは、抗FITCリングとRBDリングとの両方における経時的なシフトを示すプロットを作成するために、Pythonスクリプトを使用して分析された。続いて、FITC対照シフトが差し引かれ、相対シフト結合曲線が作成された。図14は、Covid陽性サンプルとCovid陰性サンプルとの両方の結合曲線を表すグラフ1400、1410、1420、及び1430を示す。ここで、データは、時間に対するRBDリングの相対的なシフトとして表示されている。
【0089】
グラフ1400及び1410は、時間の経過に伴う対照リング及び検査リングの共振波長シフトを示す。グラフ1400は、回復期の患者の血清サンプルに対応し、グラフ1410は、陰性対照に対応する。グラフ1420及び1430は、同じそれぞれのサンプルに対応する、抗FITCが差し引かれた応答曲線に対応している。陽性サンプルにおける応答は、グラフ1400及び1420において明らかであり、グラフ1410及び1430における陰性サンプルは、結合をほとんど示していない。
【0090】
異なるサンプルの応答を比較するために、アッセイごとに、1分後のシフトと5分後のシフトとが記録された。これらの時点の選択は、多少恣意的であるものの、これらは、アッセイの初期応答(傾き)と、予測される最大シフトと、の両方を理解するために有効であることが分かった。図14のグラフ1400から1430に示すように、5分時点の後、信号は、両方のリングにおいて蓄積し続ける。本明細書に開示された例示的なフォトニックバイオセンサ100は、わずか1分のアッセイ時間で、陽性サンプルを陰性サンプルから確実に区別することが観察された。
【0091】
陽性サンプル及び陰性サンプルについての1分と5分とにおける相対シフトの比較が、図15において示されている。図15のグラフ1500に示すように、2つのグループ間の識別に関して、1分測定と5分測定とについて、それぞれ、0.0115のp値と、0.0234のp値と、が取得された。偽陽性がなかったため、これらは、77.8%の感度と、100%の特異度と、をもたらす。5分測定の場合、9つの陽性サンプルの平均相対シフトが283pmであったのに対し、5つの陰性サンプルの平均相対シフトは29pmであった。1つの陽性サンプルのシフトだけが、陰性サンプルのうちの何れのシフトよりも小さく、そのサンプルの抗RBD抗体濃度(1.9μg/mL)は、比較的低かったものの、回復期サンプルの中では最低ではなかった。全体として、本明細書に開示されたフォトニックバイオセンサ100は、わずか1分間のアッセイ時間において、陽性サンプルと陰性サンプルとの間の良好な、p値が0.0115である、識別を提供する。
【0092】
上述した結果は、患者サンプル中の総抗体(総Ig)を表す。抗体クラスを識別するためには、第2のステップを組み込む必要があり、当該第2のステップでは、二次抗体(IgG、IgM、又はIgA)が、バイオセンサ100のPIC104の4上に流される。以下に述べるように、バイオセンサ100は、IgG特有の信号を検出する当該バイオセンサ100の能力を判定するために試験された。バイオセンサ100は、抗IgG二次標識抗体を使用する第2のステップを含む実験を行うことによって試験された。患者由来の抗体への二次抗体の結合が、センサ近傍で質量を増加させるにつれて、これにより、検出素子212のリングに関して追加の共振シフトが生じる。前述したように、バイオセンサ100は、アッセイ洗浄緩衝液により洗浄され、続いて、AWB中の10μg/mLの抗IgGが添加された。AWBマトリックスは、標識以外のタンパク質を含まないため、結果として生じる結合曲線は、図16の代表的な曲線1600に示すように、終点シフトをもたらす。図示するように、シフトは、概して100から150pmの間であった。このデータは、フォトニックバイオセンサ100が、患者の感染状態についての理解を深めるための抗体アイソタイプ評価アッセイを実行するためにも使用され得ることを実証している。
【0093】
特に注目すべきは、これらのアッセイがバイオセンサ100によって実行され得る速さである。本明細書に記載されたバイオセンサ100により、患者の抗体状態、及び、ひいては理想的には免疫状態が、数分以内に取得され得、これに比べて、SARS-Cov-2について利用可能な市販の抗体検査の場合、数時間又は数日かかる。陽性と陰性との識別が、5分で0.0234のp値で、わずか1分以内で0.0115のp値で、実現される。但し、これは、全血ではなく処理された血清を使用しており、全血サンプルを利用するバイオセンサ100の能力を理解するためには追加の試験が必要である。
【0094】
(結論)
本明細書に記載された現時点において好ましい実施形態に対する様々な変更及び修正が当業者には明らかであることを理解されたい。このような変更及び修正は、本発明の主題の精神及び範囲から逸脱することなく、且つ、その意図された利点を損なうことなく行われ得る。従って、このような変更及び修正は、添付された特許請求の範囲に含まれることが意図されている。
【0095】
(付記)
(付記1)
基板であって、
ウィッキングゾーン及びサンプル検出ゾーンと流体連通しているサンプル添加ゾーンであって、前記サンプル検出ゾーンは、前記サンプル添加ゾーンと前記ウィッキングゾーンとの間に位置している、サンプル添加ゾーンと、
前記サンプル検出ゾーンの内部に、又は、前記サンプル検出ゾーンに隣接して、配置された光入力ポートであって、前記光入力ポートは、光源に光学的に結合するように構成されている、光入力ポートと、
前記サンプル検出ゾーンの内部に、又は、前記サンプル検出ゾーンに隣接して、配置された光出力ポートであって、前記光出力ポートは、光検出器に光学的に結合するように構成されている、光出力ポートと、
を含む、基板と、
前記基板の上に直接配置されたフォトニック集積回路であって、
前記光入力ポートと位置合わせされた第1のグレーティングカプラと、
前記光出力ポートと位置合わせされた第2のグレーティングカプラと、
前記第1のグレーティングカプラと前記第2のグレーティングカプラとの間に位置している少なくとも1つの導波路と、
前記少なくとも1つの導波路の内部に配置された、少なくとも1つの検出素子と、
を含む、フォトニック集積回路と、
を備える、
フォトニックバイオセンサ装置。
【0096】
(付記2)
前記少なくとも1つの検出素子は、少なくとも1つの捕捉分子を含む、
付記1に記載の装置。
【0097】
(付記3)
前記少なくとも1つの検出素子は、リング共振器、二重リング共振器、円筒形共振器、球形共振器、スパイラル導波路、フォトニック結晶、マッハツェンダー干渉計(「MZI」)、又は、それらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、
付記1に記載の装置。
【0098】
(付記4)
前記少なくとも1つの導波路は、窒化シリコン導波路を含む、
付記1から3の何れか一つに記載の装置。
【0099】
(付記5)
前記フォトニック集積回路は、四角柱又は直方体の形状を有する、
付記1から4の何れか一つに記載の装置。
【0100】
(付記6)
前記第1のグレーティングカプラは、前記フォトニック集積回路の面の第1の側の上に配置されており、前記第2のグレーティングカプラは、前記フォトニック集積回路の同じ面の、反対の第2の側の上に配置されており、前記少なくとも1つの検出素子は、前記第1の側と前記第2の側との間に位置している、
付記5に記載の装置。
【0101】
(付記7)
前記フォトニック集積回路は、2~20ミリメートル(「mm」)の間の長さ、0.25~10mmの間の幅、及び0.1~5mmの間の高さを有する、
付記6に記載の装置。
【0102】
(付記8)
前記基板は、前記検出ゾーン及び前記サンプル添加ゾーンと流体連通している、増強剤ゾーン又は結合体ゾーンをさらに含み、前記増強剤ゾーン又は前記結合体ゾーンは、前記流体サンプルと結合するための、少なくとも1つの試薬を含む、
付記1から7の何れか一つに記載の装置。
【0103】
(付記9)
前記光入力ポートは、前記基板を貫通する第1のトンネルを含み、前記光出力ポートは、前記基板を貫通する第2のトンネルを含む、
付記1から8の何れか一つに記載の装置。
【0104】
(付記10)
前記第1のトンネルは、前記サンプル検出ゾーン内において、流体経路の第1の側に位置しており、前記第2のトンネルは、前記サンプル検出ゾーン内において、前記流体経路の、反対の第2の側に位置している、
付記9に記載の装置。
【0105】
(付記11)
前記基板は、カセット、スライド、又はテストカードのうちの少なくとも1つをさらに含む、
付記1から10の何れか一つに記載の装置。
【0106】
(付記12)
実験室分析装置、又は、ポイントオブケア(「PoC」)分析装置のうちの少なくとも1つの読み取りヘッドの内部に含まれている、光源及び受光素子をさらに備える、
付記1から11の何れか一つに記載の装置。
【0107】
(付記13)
前記サンプル添加ゾーン、前記検出ゾーン、及び前記ウィッキングゾーンを流体的に結合する流体経路をさらに備え、前記流体経路は、前記基板の前記表面に対して実質的に垂直であり、前記流体サンプルの横方向の毛細管流が実現されるような、高さ、直径、及び相互間隔を有するマイクロピラー又は突起を含む、
付記1から12の何れか一つに記載の装置。
【0108】
(付記14)
前記高さは、1~1000μmの間であり、前記直径は、10~100μmの間であり、前記マイクロピラー間の前記相互間隔は、5~100μmの間である、
付記13に記載の装置。
【0109】
(付記15)
前記検出ゾーンは、前記流体サンプルの内部の1つ以上の被分析物の、蛍光検出又は比色検出のうちの少なくとも1つを提供するように構成されている、
付記1から14の何れか一つに記載の装置。
【0110】
(付記16)
前記フォトニック集積回路は、UV硬化接着剤、物理的積層、又はテープ/接着剤貼り付けのうちの少なくとも1つを使用して、前記基板に接続されている、
付記1から15の何れか一つに記載の装置。
【0111】
(付記17)
前記光入力ポートは、第1の光入力ポートであり、前記光出力ポートは、第1の光出力ポートであり、前記フォトニック集積回路は、第1のフォトニック集積回路であり、
前記基板は、
前記サンプル検出ゾーンの別の位置に位置しており、前記光源に光学的に結合するように構成された第2の光入力ポートと、
前記サンプル検出ゾーンの他の位置に位置しており、前記光検出器に光学的に結合するように構成された第2の光出力ポートと、
をさらに含む、
付記1から16の何れか一つに記載の装置。
【0112】
(付記18)
前記他の位置において前記基板に接続された第2のフォトニック集積回路をさらに備え、
前記第2のフォトニック集積回路は、
前記第2の光入力ポートと位置合わせされた第1のグレーティングカプラと、
前記第2の光出力ポートと位置合わせされた第2のグレーティングカプラと、
前記第1のグレーティングカプラと前記第2のグレーティングカプラとの間の、少なくとも1つの導波路と、
前記少なくとも1つの導波路に沿って設けられており、前記流体サンプルが存在する場合、前記流体サンプルに、前記流体経路内において、前記他の位置において接触するように配置された、少なくとも1つの検出素子と、
を含む、
付記17に記載の装置。
【0113】
(付記19)
前記第1のフォトニック集積回路の前記少なくとも1つの検出素子は、第1の被分析物の前記検出のために構成されており、前記第2のフォトニック集積回路の前記少なくとも1つの検出素子は、第2の被分析物の前記検出のために構成されている、
付記18に記載の装置。
【0114】
(付記20)
基板であって、
ウィッキングゾーン及びサンプル検出ゾーンと流体連通しているサンプル添加ゾーンであって、前記サンプル検出ゾーンは、前記サンプル添加ゾーンと前記ウィッキングゾーンとの間にある、サンプル添加ゾーンと、
前記サンプル検出ゾーンの内部に配置された光入力ポートであって、前記光入力ポートは、光源に光学的に結合するように構成されている、光入力ポートと、
前記サンプル検出ゾーンの内部に配置された光出力ポートであって、前記光出力ポートは、光検出器に光学的に結合するように構成されている、光出力ポートと、
前記基板の上に直接配置されたフォトニック集積回路と、
を備え、
前記フォトニック集積回路は、
前記光入力ポートと位置合わせされた第1のグレーティングカプラと、
前記光出力ポートと位置合わせされた第2のグレーティングカプラと、
前記第1のグレーティングカプラと前記第2のグレーティングカプラとの間の少なくとも1つの導波路と、
前記少なくとも1つの導波路の内部に配置された少なくとも1つの検出素子と、
を備える、
基板。
【0115】
(付記21)
前記少なくとも1つの検出素子は、流体サンプルが存在する場合、前記流体サンプルに、前記サンプル検出ゾーン内において接触するように配置されている、
付記20に記載の基板。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【国際調査報告】