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特表2024-509714エネルギ及び水の使用量の削減を支援する方法、システム及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-05
(54)【発明の名称】エネルギ及び水の使用量の削減を支援する方法、システム及び装置
(51)【国際特許分類】
   F24H 4/02 20220101AFI20240227BHJP
   E03B 1/04 20060101ALI20240227BHJP
   E03C 1/044 20060101ALI20240227BHJP
   E03C 1/02 20060101ALI20240227BHJP
   F24H 1/18 20220101ALI20240227BHJP
   F24D 17/00 20220101ALI20240227BHJP
   F24H 7/04 20060101ALI20240227BHJP
   F24H 4/04 20060101ALI20240227BHJP
   F24H 15/219 20220101ALI20240227BHJP
   F24H 15/238 20220101ALI20240227BHJP
   F24H 15/281 20220101ALI20240227BHJP
   F24H 15/375 20220101ALI20240227BHJP
   F24H 15/414 20220101ALI20240227BHJP
【FI】
F24H4/02 C
E03B1/04
E03C1/044
E03C1/02
F24H1/18 G
F24D17/00 B
F24H7/04 B
F24H4/04
F24H15/219
F24H15/238
F24H15/281
F24H15/375
F24H15/414
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547674
(86)(22)【出願日】2022-02-07
(85)【翻訳文提出日】2023-09-19
(86)【国際出願番号】 IB2022051062
(87)【国際公開番号】W WO2022168033
(87)【国際公開日】2022-08-11
(31)【優先権主張番号】2101678.7
(32)【優先日】2021-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2109593.0
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2109594.8
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2109596.3
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2109597.1
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2109598.9
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2109599.7
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2109600.3
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2111087.9
(32)【優先日】2021-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】523293529
【氏名又は名称】オクトパス エナジー ヒーティング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】OCTOPUS ENERGY HEATING LIMITED
【住所又は居所原語表記】UK House, 164-182 Oxford Street, London, W1D 1NN, UNITED KINGDOM
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】コノヴァルチック, ピーター
【テーマコード(参考)】
2D060
3L073
3L122
【Fターム(参考)】
2D060AA01
2D060BA01
2D060BA03
2D060BA05
2D060BC02
2D060BC14
2D060BC16
3L073AA07
3L073AB02
3L122AA02
3L122AA23
3L122BA13
3L122BA14
(57)【要約】
加熱器具(301)を含む源から、加熱器具から離れた複数の水放出口(302、303)への加熱水の供給を制御する方法であって、第1の水放出口(302)から水の需要を検出し、第1の水放出口(302)に関連する可能性が高い需要を識別し、第1の水放出口に関連する第1の目標水温値に、水が供給される温度に対する目標水温を設定するステップと、第2の水放出口(303)からの水の需要を検出し、その需要が第2の水放出口に関連する可能性が高い需要を識別し、第2の水放出口に関連する第2の目標水温値に、水が供給される目標水温を再設定するステップと、を含み、需要は、検出された流動特性に基づいて放出口に関連付けられる。また、複数の制御可能な放出口を有する温水供給施設が提供され、この施設は、制御可能な流出温度を有する放出口を備えた温水源と、源と複数の制御可能な放出口との間の水流に関するデータを提供する流量測定デバイスと、流出温度を検出する温度センサと、流量データを放出口識別子にリンクし、複数の制御可能な放出口の各々をそれぞれの目標温度に関連付けるパラメータを記憶するメモリと、メモリ、流量測定デバイス、および第1の温度センサに操作可能に接続されたプロセッサと、を含み、このプロセッサは、複数の制御可能な放出口のうちの1つが開放された場合に、複数の制御可能な放出口のうちのいずれが開放されたかを、検出された流動特性に基づいて確定し、次いで、この確定に基づいて、制御可能な放出口のうちの確定された1つについて記憶されたパラメータに従って、源の流出温度を制御し、複数の制御可能な放出口のうちの別の放出口が開放された場合に、複数の制御可能な放出口のうちの別の放出口が開放されたかを確定し、次いで、この確定に基づいて、制御可能な放出口のうちの確定された別の放出口のために記憶されたパラメータに従って、源の流出温度を制御するように構成される。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱器具を含む源から、前記加熱器具から離れた複数の水放出口への加熱水の供給を制御する方法であって、
第1の水放出口からの水の需要を検出し、前記第1の水放出口に関連する可能性が高い需要を識別し、前記第1の水放出口に関連する第1の目標水温値に、水が供給される温度に対する目標水温を設定するステップと、
第2の水放出口からの水の需要を検出し、前記第2の水放出口に関連する可能性が高い需要を識別し、前記第2の水放出口に関連する第2の目標水温値に、水が供給される前記目標水温を再設定するステップと、
を含み、
前記需要は、検出された流動特性に基づいて放出口に関連付けられる、方法。
【請求項2】
前記加熱器具からの加熱水と、異なる温度の水との混合を制御して、前記第1の目標水温値または第2の目標水温値で水の供給を提供するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記加熱器具を制御して、加熱水が前記加熱器具から供給される温度を調節するステップをさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記流動特性は、最大流量および/または所定の流量への流動の変化率の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記需要の識別は、たとえば、前記放出口に関連する電気電気または占有信号、および/または放出口の場所に関連するセンサまたは変換器など、放出口に関連する追加情報を取得する工程を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
複数の放出口に関連する可能性が高い需要を検出し、前記目標水温を第3の目標水温値に設定するステップを更に含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
前記第3の目標水温値は、識別された可能性のある水放出口に関連付けられた最も低い目標水温値である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第3の目標水温値は、識別された可能性のある水放出口の目標水温値の中間の温度である、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記加熱器具は家庭用温水供給システムの一部であり、前記加熱器具は、潜熱の形でエネルギを貯蔵するための大量の相変化材料を含むエネルギ貯蔵設備と、前記温水システムとヒートポンプとの間に結合される熱交換器と、システムコントローラとを含み、
前記システムコントローラは、流量測定デバイスからの情報および前記エネルギ貯蔵設備の状態に関する情報を受信するように構成され、前記システムコントローラは、複数の制御可能な温水放出口のいずれかの開放を感知し、感知された温水流量および前記エネルギ貯蔵設備の状態に基づいて、前記ヒートポンプに始動信号を提供するか否かを確定するように構成される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記システムコントローラは、
前記ヒートポンプから状態情報を受信し、
前記ヒートポンプに始動信号を提供するかどうかを確定する際に、ヒートポンプの状態情報を使用するように構成される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
複数の制御可能な温水放出口を有する家庭用温水供給施設であって、前記施設は、
制御可能な流出温度を有する放出口を備えた温水源と、
前記温水源と前記複数の制御可能な温水放出口との間の水流に関するデータを提供する流量測定デバイスと、
前記流出温度を検出する第1の温度センサと、
流動データを放出口識別子にリンクし、前記複数の制御可能な温水放出口のそれぞれをそれぞれの目標温度に関連付けるパラメータを保存するメモリと、
前記メモリ、前記流量測定デバイス、および第1の温度センサに操作可能に接続されたプロセッサと、
を含み、
前記プロセッサは、
前記複数の制御可能な温水放出口のうちの1つが開放された場合に、前記複数の制御可能な温水放出口のうちの何れが開放されたかを、検出された流動特性に基づいて確定し、次いで、前記確定に基づいて、前記制御可能な温水放出口のうちの確定された1つについて記憶されたパラメータに従って、前記温水源の前記流出温度を制御し、
前記複数の制御可能な温水放出口のうちの別のものが開放された場合には、前記複数の制御可能な温水放出口のうちの別のものが開放されたかを確定し、前記確定に基づいて、前記制御可能な温水放出口のうちの確定された別のものについて記憶されたパラメータに従って、前記温水源の前記流出温度を制御するように構成される、温水供給施設。
【請求項12】
前記施設が、大量の相変化材料と、前記温水システムおよびヒートポンプの間に結合された熱交換器と、システムコントローラとを含むエネルギ貯蔵設備を含み、。
前記プロセッサが、
前記流量測定デバイスからの情報および前記エネルギ貯蔵設備の状態に関する情報を受信し、
複数の制御可能な温水放出口のいずれかの開口を感知し、感知された温水流量およびエネルギ貯蔵設備の状態に基づいて、前記ヒートポンプに始動信号を提供するかどうかを確定するように構成される、請求項11に記載の温水供給施設。
【請求項13】
前記プロセッサが、
前記ヒートポンプから状態情報を受信し、
前記ヒートポンプに始動信号を提供するかどうかを確定する際に、ヒートポンプの状態情報を使用するように構成される、請求項12に記載の温水供給施設。
【請求項14】
前記エネルギ貯蔵設備および前記温水源の前記放出口の間の前記流路内に瞬間湯沸器を更に備え、前記瞬間湯沸器は前記プロセッサによって制御される、請求項12又は13に記載の温水供給施設。
【請求項15】
前記プロセッサは、前記エネルギ貯蔵設備および前記ヒートポンプが十分な温水を提供することができない場合にのみ、前記瞬間湯沸器を作動させるように構成される、請求項14に記載の温水供給施設。
【請求項16】
前記プロセッサは、前記相変化材料および前記ヒートポンプの状態に関する情報に基づいて、前記瞬間湯沸器を制御するように構成される、請求項15に記載の温水供給施設。
【請求項17】
前記プロセッサは、前記瞬間湯沸器、前記ヒートポンプ、および前記相変化材料からのエネルギの使用を管理してエネルギ消費を低減する論理部を備える、請求項14~16のいずれか一項に記載の温水供給施設。
【請求項18】
前記プロセッサは、前記エネルギ貯蔵設備に、次いで、前記ヒートポンプに依存して十分な温水を供給するように構成される、請求項12~17のいずれか一項に記載の温水供給施設。
【請求項19】
瞬間湯沸器具と、前記器具から離れた複数の制御可能な水放出口と、前記器具からの加熱水を複数の制御可能な水放出口に給水するように配置された水供給ラインと、前記水供給ラインの特性または状態を感知するための少なくとも1つのセンサと、少なくとも1つのセンサに結合されたプロセッサとを含む、家庭用水供給施設であって、
前記プロセッサは、
前記制御可能な水放出口に給水する前記水供給ラインを監視するように前記少なくとも一つのセンサを使用し、
前記水放出口のうちの第1の水放出口からの水の需要を検出し、
検出された流動特性に基づいて、前記第1の水放出口に関連する可能性がある需要を識別し、前記第1の水放出口に関連する第1の目標水温に水が供給される温度の目標水温を設定し、
前記複数の水放出口のうちの第2の水放出口からの水の需要を検出し、
検出された流動特性に基づいて、前記第2の水放出口に関連する可能性がある需要を識別し、水が前記第2の放出口に関連する第2の目標水温に供給される温度に対する目標水温を設定するように構成される、家庭用水供給施設。
【請求項20】
前記一つ又は複数のセンサは、好ましくは、前記器具と前記かされた前記水供給ライン内の圧力を感知する圧力センサを含む、請求項19に記載の水供給施設。
【請求項21】
前記一つ又は複数のセンサは、好ましくは、前記器具と前記複数の制御可能な水放出口との間に置かれた前記水供給ライン内の流動を測定する流動センサを含む、請求項19に記載の水供給施設。
【請求項22】
前記湯沸かし器具は、加熱水を、供給される冷水と混合するためのバルブを含み、前記バルブはプロセッサによって制御される、請求項19~21のいずれか一項に記載の水供給施設。
【請求項23】
前記湯沸かし器具は、相変化材料を含むエネルギ貯蔵設備を含み、前記エネルギ貯蔵設備は、前記相変化材料の潜熱を利用してエネルギを貯蔵するように構成される、請求項19~22のいずれか一項に記載の水供給施設。
【請求項24】
前記湯沸かし器具は、前記プロセッサに結合された再生可能な熱源、好ましくはヒートポンプを含む、請求項19~23のいずれか一項に記載の水供給施設。
【請求項25】
前記再生可能な熱源は、前記エネルギ貯蔵設備にエネルギを供給するように配置される、請求項16に記載の水供給施設。
【請求項26】
前記湯沸かし器具は、前記プロセッサの制御下に瞬間湯沸器を含み、前記瞬間湯沸器は、ネットワーク化されたエネルギ供給部からエネルギを受け取るように構成されている、請求項19~25のいずれか一項に記載の水供給施設。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エネルギおよび水の使用量の低減を支援する、建物内温水供給システムを含む施設のための方法および装置に関する。
【0002】
【背景】
【0003】
世界的に飲料水が不足している。現在、水不足は世界中で普通に報告されており、そのような問題は「ホットな」国や大陸にのみ影響すると考えられるかもしれないが、もはやそうではない。欧州環境庁は、水不足や水ストレスは、欧州の1億人以上を含む世界中の何百万人もの人々に影響を及ぼす問題であると報告している。欧州の淡水利用(飲用およびその他の利用)の約88.2%は河川および地下水に由来し、残りは貯水池(10.3%)および湖沼(1.5%)に由来するため、これらの水源は過剰開発、汚染および気候変動によってもたらされる脅威に対して極めて脆弱である。
【0004】
そのため、国内の水使用量を削減することが急務となっている。ヨーロッパでは、平均して1人1日あたり144リットルの淡水が家庭用に供給されているが、この水の多くは、不注意と、蛇口、シャワー器具の不適切な選択によって「浪費されている」。
【0005】
(少なくともヨーロッパでは)冷暖房の約75%が依然として化石燃料から発生されているのに対して、再生可能エネルギから発生されているのはわずか22%であることを考えると、水消費を削減する必要性と並んで、国内のエネルギ消費を削減する必要性がある。
【0006】
指令2012/27/EUによれば、建物は欧州連合の最終エネルギ消費の40%、CO2排出量の36%を占めている。2016年のEU委員会の報告書「現在および将来(2020-2030)の暖房/冷房燃料の配備(化石燃料/自然エネルギ)のマッピングと分析」は、EUの家庭において、暖房と温水だけで最終エネルギ使用量(192.5Mtoe)の79%を占めると結論付けた。EU委員会はまた、「ユーロスタットの2019年の数値によると、冷暖房の約75%は依然として化石燃料から発生されているが、再生可能エネルギから発生されているのは僅か22%である。EUの気候・エネルギ目標を達成するためには、冷暖房部門はエネルギ消費を大幅に削減し、化石燃料の使用を削減しなければならない。(空気、地面または水からエネルギを引き出す)ヒートポンプは、この問題に対処する上で潜在的に重要な貢献者として特定されている。
【0007】
多くの国では、二酸化炭素排出量を削減する政策と圧力がある。たとえば、英国では、2020年に英国政府が「将来の住宅基準」に関する白書を発表し、2025年までに新築住宅からの炭素排出量を既存の水準に比べて75~80%削減することを提案した。さらに、2019年初頭には、2025年から新しい家庭へのガスボイラの設置を禁止することが発表された。出願時の英国では、建物の暖房に使用される全エネルギの78%がガスから、12%が電気からやって来ると報告されている。
【0008】
英国には2~3ベッドルーム以下の小規模なガス燃焼式セントラルヒーティングの土地建物が数多くあり、これらの土地建物のほとんどは複合ボイラと呼ばれるものを使用しており、このボイラは瞬間湯沸器として作用し、セントラルヒーティング(暖房)用のボイラとして作用する。複合ボイラは、小さなフォームファクタを組み合わせ、多かれ少なかれ「無制限の」温水(出力20~35kW)の即座の供給源を提供し、温水貯蔵部を必要としないので、人気がある。このようなボイラは、信頼できる製造業者から比較的安価に購入することができる。小さなフォームファクタおよび温水貯蔵タンクなしで行う能力は、一般に、台所に装着された小さなアパートまたは家-しばしば壁に装着されたものであってもそのようなボイラを収容することが可能であり、1人の1日の作業で新しいボイラを設置することが可能であることを意味する。そのため、安価に新しい複合式ガスボイラを設置することができる。新しいガスボイラがまもなく禁止されるので、ガス複合式ボイラの代わりに代替熱源を提供する必要がある。さらに、以前に適合された複合式ボイラは、最終的に幾つかの代替品と交換される必要がある。
【0009】
ヒートポンプは、化石燃料への依存を減らし、CO排出量を削減する必要性に対する潜在的な解決策として提案されてきたが、現在のところ、多くの技術的、商業的および実際的な理由から、小規模な家庭(および小規模な商業)構内でガス燃焼ボイラを置き換える問題には適していない。それらは通常非常に大きく、土地建物の外側に相当なユニットを必要とする。従って、それらは、典型的な複合式ボイラを有する土地建物に容易に後付けすることができない。典型的なガスボイラに同等の出力を提供することができるユニットは、現在高価であり、かなりの電気需要を必要とする可能性がある。ユニット自体のコストが同等のガス燃焼当量の倍数であるだけでなく、それらのサイズおよび複雑さは、施設が技術的に複雑であり、したがって高価であることを意味する。温水用の貯蔵タンクも必要であり、これは小規模な家庭でのヒートポンプの使用を妨げる更なる要因である。さらに技術的な問題として、ヒートポンプは需要に応じて熱の生成を開始するのにかなりの時間を必要とする傾向があり、自己チェックのためにはおそらく30秒、その後加熱するのに幾らかの時間を必要とするので、温水を求めることとその送付との間に1分以上の遅延が生じる。この理由から、ヒートポンプおよび/または太陽光を使用する試みられた再生可能な解決策は、典型的には、温水貯蔵タンクのための空間を有する(空間需要、熱損失およびレジオネラ菌のリスクを伴う)大きな土地建物に適用可能である。
【0010】
国内のエネルギ消費の重要な構成要素は、使用される温水の量と、国内の温水の過熱によるエネルギ浪費の両方の観点から、国内の温水の使用に由来する。温水の浪費はまた、もちろん、水の浪費というより一般的な問題への重要な寄与因子であり、人類が持続可能な未来を持つためには、これにも対処する必要がある。本開示の態様は、温水の使用を低減するのに役立ち、このようにしてエネルギおよび水の両方の使用の低減に寄与することができる方法および施設に関する。
【0011】
【概要】
【0012】
第1の態様によれば、加熱器具を含む源から加熱器具から離れた複数の水放出口への加熱水の供給を制御する方法であって、第1の水放出口からの水の需要を検出し、第1の水放出口に関連する可能性が高い需要を識別し、第1の水放出口に関連する第1の目標水温値に、水が供給される温度に対する目標水温を設定するステップと、第2の水放出口からの水の需要を検出し、第2の水放出口に関連する可能性が高い需要を識別し、第2の水放出口に関連する第2の目標水温値に、水が供給される前記目標水温を再設定するステップと、を含み、需要は、流動特性に基づいて放出口に関連付けられる。流動特性は、測定された圧力変化および/または測定された流動に基づいて検出することができる。
【0013】
この方法は、加熱器具からの加熱水と、異なる温度の水との混合を制御し、第1または第2の目標水温値での水の供給を提供するステップをさらに含むことができる。
【0014】
この方法は、加熱器具を制御して、加熱水が加熱器具から供給される温度を調節するステップを更に含んでもよい。
【0015】
流動特性は、最大流量および/または所定の流量への流動の変化率の少なくとも1つを含んでもよい。
【0016】
必要に応じて、要求を識別するステップは、たとえば、放出口に関連する電気要求または占有信号、および/または放出口の場所に関連するセンサまたは変換器など、放出口に関連する追加情報を取得する工程を含んでもよい。
【0017】
この方法は、2つ以上の放出口に関連する可能性がある需要を検出するステップ、目標水温を第3の目標水温値に設定するステップを更に含んでもよい。第3の目標水温値は、特定された可能性のある水放出口に関連する最も低い目標水温値であってもよい。第3の目標水温値は、特定された可能性のある水放出口の目標水温値の中間の温度であってもよい。
【0018】
加熱器具は家庭用温水供給システムの一部とすることができ、加熱器具は、潜熱の形でエネルギを貯蔵するための大量の相変化材料と、温水システムとヒートポンプとの間に結合される熱交換器と、システムコントローラとを含むエネルギ貯蔵設備を含むことができる。システムコントローラは、流動測定デバイスからの情報および前記エネルギ貯蔵設備の状態に関する情報を受信するように構成され、システムコントローラは、複数の制御可能な温水放出口のいずれかの開放を感知し、感知された温水流量およびエネルギ貯蔵設備の状態に基づいて、ヒートポンプに始動信号を提供するか否かを確定するように構成される。システムコントローラは、ヒートポンプから状態情報を受信し、ヒートポンプに始動信号を提供するかどうかを確定する際に、ヒートポンプの状態情報を使用するように構成することができる。
【0019】
第2の態様によれば、複数の制御可能な温水放出口を有する家庭用温水供給施設が提供され、この施設は、制御可能な流出温度を有する放出口を備えた温水源と、温水源と複数の制御可能な温水放出口との間の水流に関するデータを提供する流量測定デバイスと、流出温度を検出する第1の温度センサと、流動データを放出口識別子にリンクし、複数の制御可能な温水放出口のそれぞれを、それぞれの目標温度に関連付けるパラメータを保存するメモリと、メモリ、流動測定デバイス、および第1の温度センサに操作可能に接続されたプロセッサと、を含み、このプロセッサは、複数の制御可能な温水放出口のうちの1つが開放された場合に、複数の制御可能な温水放出口のうちの何れが開放されたかを、検出された流動特性に基づいて確定し、次いで、この確定に基づいて、制御可能な温水放出口のうちの確定された1つについて保存されたパラメータに従って、温水源の流出温度を制御し、複数の制御可能な温水放出口のうちの別のものが開放された場合には、複数の制御可能な温水放出口のうちの別のものが開放されたかを確定し、この確定に基づいて、制御可能な温水放出口のうちの確定された別のものについて保存されたパラメータに従って、温水源の流出温度を制御するように構成される。流動特性は、測定された圧力および/または測定された流動に基づいて検出されてもよい。
【0020】
温水供給施設は、大量の相変化材料と、温水システムおよびヒートポンプの間に結合された熱交換器とを含むエネルギ貯蔵設備と、システムコントローラとを含むことができ、プロセッサは、流動測定デバイスからの情報およびエネルギ貯蔵設備の状態に関する情報を受け取り、複数の制御可能な温水放出口のいずれかの開放を感知し、感知された温水流量およびエネルギ貯蔵設備の状態に基づいて、ヒートポンプに始動信号を提供するかどうかを確定するように構成されている。プロセッサは、ヒートポンプから状態情報を受信し、ヒートポンプに始動信号を提供するかどうかを確定する際に、ヒートポンプの状態情報を使用するように構成されている。
【0021】
温水供給施設はさらに、エネルギ貯蔵設備および温水源の放出口の間の流路内に瞬間湯沸器を更に備えてもよく、瞬間湯沸器はプロセッサによって制御される。プロセッサは、エネルギ貯蔵背設備およびヒートポンプが十分な温水を提供できない場合にのみ瞬間湯沸器を作動させるように構成することができる。プロセッサは、相変化材料およびヒートポンプの状態に関する情報に基づいて瞬間湯沸器を制御するように構成することができる。プロセッサは、瞬間湯沸器、ヒートポンプ、及びエネルギ消費を低減するための相変化材料からのエネルギの使用を管理する論理回路を備えることができる。プロセッサはまた、十分な温水を供給するために、エネルギ貯蔵設備、次いでヒートポンプに優先的に依存するように構成されてもよい。
【0022】
第3の態様によれば、家庭用水供給施設が提供され、家庭用水提供施設は、瞬間湯沸器具と、器具から離れた複数の制御可能な水放出口と、器具からの加熱水を複数の制御可能な水放出口に給水するように構成された水供給ラインと、水供給ラインの特性または状態を感知するための少なくとも1つのセンサと、少なくとも1つのセンサに結合されたプロセッサとを含む。このプロセッサは、少なくとも1つのセンサを使用して、制御可能な水放出口に給水する水供給ラインを監視し、第1の水放出口からの水需要を検出し、検出された流動特性に基づいて、第1の水放出口に関連する可能性がある需要を識別し、第1の水放出口に関連する第1の目標水温に、水が供給される温度の目標水温を設定し、複数の放出口のうちの第2の放出口からの水需要を検出し、検出された流動特性に基づいて、第2の水放出口に関連する可能性がある需要を識別し、第2の放出口に関連する第2の目標水温に、水が供給される温度に対する目標水温を設定するように構成されている。流動特性は、測定された圧力および/または測定された流動に基づいて検出されてもよい。一つまたは複数のセンサは、好ましくは器具および複数の制御可能な水放出口の間に置かれた、水供給ライン内の圧力を感知する圧力センサを含んでもよい。一つ又は複数のセンサは、好ましくは器具および複数の制御可能な水放出口の間に置かれた水供給ライン内の流動を測定するための流動センサを含むことができる。加熱器具は、供給された冷水と加熱水を混合するための弁を含み、弁はプロセッサによって制御される。加熱器具は、相変化材料を含むエネルギ貯蔵設備を含むことができ、エネルギ貯蔵設備は、相変化材料の潜熱を使用してエネルギを貯蔵するように構成される。加熱器具は、プロセッサに結合された再生可能な熱源、好ましくはヒートポンプを含むことができる。再生可能な熱源は、エネルギ貯蔵設備にエネルギを供給するように構成されてもよい。加熱器具は、プロセッサの制御下に瞬間湯沸器を含むことができ、瞬間湯沸器は、ネットワーク化されたエネルギ供給部からエネルギを受け取るように配置される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本開示のの図面を参照して、本開示の様々な態様の実施形態を実施例としてのみ説明する。
図1図1は、本開示の一態様による建物内水供給施設を示す概略図である。
図2図2は、複数の制御可能な温水放出口を有する温水供給施設を構成する方法を概略的に図示する。
図3図3は、本開示の一態様による、建物内温水供給システムを含む施設の可能な設備を示す概略図である。
図4図4は、図3にほぼ対応するが、本開示の一態様による加熱器具の可能な構成の、より詳細を示す概略図である。
図5図5は、相変化材料と、ヒートポンプエネルギ源に結合された熱交換器とを含むエネルギバンクを示す概略図であり、エネルギバンクは、相変化材料内に潜熱として貯蔵されたエネルギの量を示す測定データを提供する一つ又は複数のセンサを含む。
図6図6は、図5のようなエネルギバンクを含む施設によって実行される方法の高レベルのフローチャートである。
図7図7は、図5のようなエネルギバンクによって実行される別の方法のための高レベルのフローチャートである。
図8図8は、図5の方法のようなエネルギバンクによって実行される別の方法のフローチャートである。
図9図9は、図5の方法のようなエネルギバンクによって実行される別の方法のフローチャートである。
図10図10は、本開示の一態様に従ってエネルギバンクを組み込む、インターフェースユニットの構成要素の可能な設備を示す概略図である。
【詳細な説明】
【0024】
国内のエネルギ消費に対応するためには、温水の提供に使用されるエネルギを考慮することが重要であり、これは供給または貯蔵される水の温度だけでなく、使用される温水の体積も考慮することを意味する。淡水が豊富であると認識されている多くの国や地域では、これまで世帯が使用する水の量にほとんど注意が払われてこなかったことが、水供給システムの構成や水放出口の流量に大きく反映されていた。浴槽の蛇口は15リットル/分以上、台所の蛇口は12リットル/分以上、そして洗面器の蛇口でさえ10リットル/分以上流れることは珍しくなかった。シャワーの放出口は1分間に15リットル以上流れることがあり、その約2/3は通常、熱供給部から供給される。
【0025】
水不足が認識されるようになったことや、以前の公営の水供給者が民営化され、その結果、家庭用水計と水の体積に基づく課金が導入されたことで、態度は過去20年間で若干変化した。その結果、新しい建築住宅は、最大流速が歴史的な住宅の約半分から3分の2の蛇口とシャワー放出口を持つ傾向がある。それにもかかわらず、古い住居では依然として高流量の蛇口とシャワーがあることが一般的であるだけでなく、より現代的な放出口でさえ、手を洗ったり、入浴したり、シャワーをしたりするのに厳密に必要とされるよりも多くの水を使いやすくしている。15リットル/分の流量のシャワーを考えてみよう。
【0026】
12分間のシャワーは180リットルの水を使用し、そのうち約100から110リットルは熱供給部から供給される。温水供給温度は、多くの場合、10℃以下から50~60℃の範囲で加熱され、これは多くの場合、かなり低い温度から得られる。したがって、大量の水が使用されるだけでなく、その水を加熱するために大量のエネルギも使用されることが理解されるであろう。
【0027】
さらに、50~60℃という高温の温水供給はレジオネラ感染のリスクを低下させる利点があるが、この範囲の温度ではかなりの火傷のリスクがある。
【0028】
本開示の態様は、温水システムの放出口に供給される水の温度をシステムコントローラによって設定することができ、その結果、目標水供給温度を、温水システムの複数の放出口のそれぞれに対して設定することができるようにする方法および施設に関する。目標水供給温度は、温水源から温水が供給される温度である。さらに、本発明の方法および装置によれば、目標水供給温度が第2の放出口と異なる別の放出口から温水が供給されている間に第2の放出口が開放された場合、温水源から温水が供給される温度を調整することができる。本開示の態様はまた、温水供給システムをどのようにマッピングすることができるか、および複数の放出口のそれぞれに対して目標水供給温度をどのように設定することができるかを扱う。
【0029】
図1は、複数の制御可能な水放出口(後でより詳細に説明される様々な蛇口およびシャワー)と、制御可能な流出温度を有する少なくとも1つの放出口107を有する温水供給部105と、水供給部105と複数の制御可能な水放出口との間の水流路内に、流出温度を検出するための少なくとも1つの第1の温度センサ109と、少なくとも1つの流動測定デバイス110と、少なくとも1つの流動調節器115とを有する、建物内(この場合は住宅内)の温水供給施設100を概略的に示す。プロセッサ140は、少なくとも1つの流動測定デバイス110および少なくとも1つの流動調節器115に操作可能に接続される。図示された水供給施設は、マスターバスルーム121、第1のエンスィートシャワールーム122、第2のエンスィートシャワールーム123、クロークルーム124、およびキッチン125を有する住居を表している。マスターバスルームと第1のエンスィートシャワールームは住居の一階にあり、クロークルーム、第2のエンスィートシャワールーム及び台所は住居の別の階にあることができる。このような状況において、図示のように、様々な放出口に水を供給するために、2つの別個の循環路130および131を有することが好都合である。2つの循環路130および131は、温水供給部からの単一の放出口107から供給されるように示されているが、単一の温度センサ109と共に、2つの循環路130および131はそれぞれ、異なる放出口107から給水されてもよく、2つの放出口107の温度は別々に調節可能であり、各放出口107はそれ自身の関連する温度センサ109を有することが理解されるであろう。放出口107における水の温度は、冷水を固定または可変の温度源からの温水と混合することによって調整されてもよいし、電気加熱素子またはガス燃焼ヒータのような熱源に投入されるエネルギを制御することによって調整されてもよい。典型的には、複数の温水循環路が温水105の供給部と温水供給施設の放出口との間に設けられている場合であっても、各循環路は、典型的には、例えば22mmまたは28mmの外径パイプのような共通のパイプまたは導管を介して供給される複数の温水放出口を含む。本発明の実施形態は、好ましくは、一つ又は複数の流動特性を監視して、検出された流動の原因となる放出口を識別(決定)する。
【0030】
後に、一般にヒートポンプと組み合わせて、潜熱としてエネルギを貯蔵するPCMエネルギ貯蔵設備を含む温水システムについて説明するが、このようなシステムでは、一般に、冷水供給からの冷水を異なる割合で混合することによって、温水供給温度を調整することができる。時には、そのようなシステムは、システムのプロセッサによって制御される、PCMエネルギ貯蔵設備の下流の瞬間的な熱源(例えば、電気加熱素子)を含むことができ、そのような施設では、温水供給温度の制御は、瞬間湯沸器に供給されるエネルギの量を制御することを含み、同様に、冷水供給からの冷水を異なる割合で混合することによっても可能である。
【0031】
マスターバスルーム121は、シャワー放出口135、バス蛇口または給水栓136、およびシンク用蛇口137を含むものとして示されている。また、エンスィートシャワールーム122および123は、シャワー放出口135と、シンク用蛇口137とを含む。逆に、クロークルームは、W.C.(図示せず)と蛇口138を備えた手皿とを含む。最後に、キッチンには蛇口139のあるシンクがある。
【0032】
プロセッサまたはシステムコントローラ140は、関連するメモリ141とともに、少なくとも1つの流量測定デバイス110および少なくとも1つの流動調節器115に結合される。2つの循環路130および131の各々は、それぞれの流動測定デバイス110および流動調節器115を備えていることが理解されるであろう。プロセッサはまた、任意選択的に、循環路130および131の各々に対して1つずつ、一つ又は複数の温度センサ143に接続される。このプロセッサは、先に説明したように、エネルギバンクに関連付けることができる。
【0033】
プロセッサはまた、Wi-Fi、Bluetoothなどを介した双方向通信のために、少なくとも1つのRF送信機および少なくとも1つのRF受信機を含むRF送受信機142に結合されてもよく、好ましくは、サーバまたは中央局145への接続のためのインターネット144にも結合されてもよく、選択的にセルラ無線ネットワーク(LTE、UMTS、4G、5Gなど)にも結合されてもよい。RF送受信機142および/またはインターネットへの接続によって、プロセッサ140は、例えばスマートフォンまたはタブレットであってもよいモバイルデバイス150と通信して、建物内水供給施設を構成する際(および任意選択的にマッピングする際)に施設エンジニアが使用することができる。モバイルデバイス150は、本発明の実施形態に従って構成(および任意選択的にマッピング)方法を容易にするために、特にエンジニアによって取られたアクションをシステムコントローラ140/サーバ145のクロックに同期させるために、システムコントローラ140内および潜在的にサーバ145内の対応するソフトウェアと協働する特定のアプリケーションなどのソフトウェアを含む。メモリ141は、プロセッサが、たとえば、新しい施設を試運転する処理中に、建物内水供給施設プロセッサを構成する(および任意選択的にマッピングする)方法を実行することを可能にするコードを含む。
【0034】
試運転処理中、温水供給施設100を構成するために、エンジニアは、特定の温水放出口、例えば特定の蛇口またはシャワー放出口の直下に温度センサをセットアップし、特定の瞬間に放出口を完全に開くように要求されてもよい。システムプロセッサは、流動、流出温度と供給温度との差、時間遅延、好ましくは外気温(外部温度センサから供給されたデータ)を測定するように構成される。これにより、アルゴリズム(例えば、MLA)が、分配システムを通る熱損失、放出口(蛇口またはシャワー放出口)と温水源との間の距離を計算し、最後に、流出温度を107で正確に調整して、関連する制御可能な放出口(例えば、蛇口)で正しい水温を達成することが可能になる。たとえば、家庭に子供がいる場合、たとえば台所のシンク以外のすべての放出口に対する最高温水温度は40℃または41℃に制限することができ、一方、家庭に幼児がいる場合、最高温度は37℃に制限することができる。子供がいない場合でも、キッチンのシンク以外のすべての放出口の最高温度は43℃に設定でき、シャワーの放出口の最高温度は41℃に設定できる場合もある。
【0035】
システムはまた、温水の流動を幾つかのクラスの水放出口(例えば、洗面台およびシンク、および場合によってはシャワー)に制限するように設定されてもよく、異なる最大流量が放出口のクラスごとに設定されてもよく、さらに/または、最大特定流量が特定の放出口に設定されてもよく、たとえば、子供が使用するバスルームおよびクロークルームに設定されるより低い流量が設定されてもよい。最高温度および流量の決定は、システム供給者が定める規則に基づいてもよい。後に、ヒートポンプとPCMベースのエネルギ貯蔵設備を使用する温水供給システムについて検討するが、このようなシステムは温度と流量の制御の負荷(imposition)から大きな恩恵を受ける。なぜなら、適度な大きさの1~3ベッドルームの住居の暖房の必要性に応じた大きさのヒートポンプは、一般に、大量の温水貯蔵タンクを用意しなければ、家庭の瞬間的な温水需要を満たす暖房能力を持たないからである。温水の流動と温度を管理することによって、他の手段で対応できるエネルギ不足の大きさを最小にしつつ、温水貯蔵を提供する必要性を排除することが可能である。施設がPCMエネルギ貯蔵設備およびヒートポンプを含む場合、システム供給者は、典型的には、放出口のタイプおよび家庭の構成内容に基づいて、温度および流量の適切な値でプロセッサを事前プログラムする。
【0036】
放出口のタイプおよび家庭の構成内容に基づいて、温度および任意選択的に流量のデータベースを、インターネットを介してシステムコントローラに利用可能にし、随時更新することもできる。システムコントローラのためのユーザインターフェースは、占有者および/またはサービスエンジニアが、世帯構成の変化に従って種々の設定を調整するための手段を提供することができ、たとえば、使用者がより低い最大温度および/または流量を設定することを可能にするために、幼児、子供または高齢者または虚弱な人とのゲストの到着を追加する。
【0037】
図2は、複数の制御可能な温水放出口(たとえば、複数の蛇口および一つ又は複数のシャワー放出口)を有する温水供給施設を構成する、そのような方法を概略的に図示する。施設におけるエネルギ使用の効率を改善するために、システムのプロセッサは、各放出口の下に順番に設置される携帯式温度センサ800と共に使用される(ただし、明らかに複数のセンサが使用されてもよく、各放出口に同じセンサが使用されるのではない)。
【0038】
設置者は、例えば、スマートフォン、たとえば、他の幾つかの無線送受信ユニット(WTRU)上にアプリケーションを有することができ、そのアプリケーションは、設置者に、関連する蛇口を開かせ、好ましくはそれをできるだけ早く最大の開口まで開かせるように指示する命令をプロセッサから受け取ることができる。
【0039】
従って、図2の時間に対する流動のプロットに示されるように、初期の遅れ(時間T0-T1)が存在し、これは、設置者の反応時間に起因して、(一度に1つの放出口のみが開放されるので)放出口を通る流動および温水システムを通る流動が、T1において0から最大値(最大値は、温水システムの各放出口に対して異なる可能性があり、一意である)に至る前に生じる。あるいは、設置者は、合意/識別された蛇口が現在開かれていることをプロセッサに通知するために、WTRU、または、より典型的には、WTRU上のアプリケーションを使用することができる。
【0040】
いずれの場合にも、プロセッサはまた、制御可能な流出温度を有する放出口を備えた温水源105の放出口107における温度センサ109から情報を受信する。携帯型温度センサ800はまた、時間および温度情報を遠隔プロセッサ140に通信するための(好ましくは、プロセッサのシステム時間に同期される)内部クロックおよびRF(例えば、Wi-Fi、Bluetooth、またはIMS)能力を含むことが好ましい。図2の時間に対する温度プロットは、携帯型センサ800によって感知された温度が最初に低いままであり、次いで、時間T1の後のある時間である時間T2において安定した最大値に達するように上昇する様子を示す。また、携帯型センサ800によって感知された最大検出温度(時間T1からT3まで)は、制御可能な流出温度を有する温水源の放出口107における温度よりもΔTだけ低いことが分かる。
【0041】
温度センサ800は、それが収集するデータ(時間対温度)が、事象の後にのみ、すなわち、有線ダウンロード処理によって、またはNFCを使用して、システムプロセッサ140に提供されるように構成されてもよいが、これは、一般に、既に説明したように、直接RF通信を提供するよりも満足できるものではない。
【0042】
上述したように、温水供給システムの複数の放出口のそれぞれに対して流量と温度の両方を調節する可能性について説明したが、システムは目標水供給温度を設定するだけで流量を制限しないように構成されてもよいことが理解されよう。ここでは、複数の放出口に対して目標水供給温度が設定されているが、流量が必ずしもシステムによって調整されていない構成について説明する。特に、図3を参照して説明されるこのシステムは、本発明の一態様による方法を図示するために使用されるが、この方法は、第1の水放出口からの水の需要を検出し、第1の水放出口に関連する可能性がある需要を識別し、第1の放出口に関連する第1の目標水温値、水が供給される温度に対する目標水温を設定するステップと、第2の水放出口からの水の需要を検出して、第2の水出口に関連する可能性がある需要を識別し、水が供給される目標水温を、第2の放出口に関連する第2の目標水温値にリセットするステップと、を含む。
【0043】
図3は、本開示の一態様による施設を簡略化した形式で概略的に図示する。施設は、瞬間湯沸器具301と、器具301から離れた少なくとも2つの制御可能な水放出口302および303とを含む。2つの放出口302および303は、周囲350および351によって示されるように、異なる部屋にあってもよく、瞬間湯沸器具301は、さらに別の部屋に置かれてもよい。
【0044】
瞬間湯沸器具301は、図4を参照して後でより詳細に説明される。しかし、本発明の第1の態様による方法の背後にある原理の説明を容易にするために、器具は単に温水の供給源とみなされる。
【0045】
主冷水供給部であってもよい水供給部307は、加熱器具301に結合される。加熱器具301から出てくる加熱水は、配管360および制御可能な放出口302および303によって例示される温水供給施設に到達するために通過するサーモスタット混合弁309に通過する(実際には、図1に示すように、複数の部屋に、浴槽用蛇口、シャワー用蛇口、手皿用蛇口および台所用蛇口を含む複数の制御可能な水放出口が通常存在するが、これらは説明を容易にするためにここでは省略する)。混合弁309はまた、供給部307から冷水の供給を受けるが、瞬間湯沸器具301のコントローラまたはプロセッサ311に結合され、これらによって電子的に制御される。
【0046】
プロセッサ311はまた、加熱器具301から混合弁309への流路内の第1の温度センサ312に結合され、混合弁309の放出口の別の315に結合され、別の315は、水供給部307からの水の温度を感知するために設けられてもよい。また、プロセッサ311には、流動変換器または圧力センサ314および流動コントローラ(弁)316が結合されており、両方とも、加熱器具301から混合弁309までの流路内にある。プロセッサ311に結合された更なる流量センサまたは圧力センサ317は、たとえば、放出口302および303のそれぞれに近接して、放出口(例えば、蛇口)302および303への給温水部に設けられてもよい。
【0047】
また、図3には、ラベル351によって示される室内の光を操作するための光制御またはスイッチ362が示されている。プロセッサ311は、示されるように無線で、または有線データフィードを使用して、スイッチ362の状態に関する情報を供給されるように構成され、いずれの場合も、CANバス構成を使用することができる。このようにして、プロセッサ311は、放出口が開放されたときに放出口の場所を決定するのに使用することができる追加の情報を提供され、したがって、水の需要が起こる特定の放出口をプロセッサが識別するのに役立つ。図3は1つのそのようなスイッチ362のみを示しているが、一つ又は複数の温水放出口を有する各部屋は、一つ又は複数のそのようなスイッチを有してもよく、各スイッチに関して、プロセッサ311は、好ましくは、活動/状態情報を提供される。たとえば、バスルームには、バスルーム上の一つ又は複数のライト、シャワーエンクロージャの他のライト、およびオーバーシンクミラーの他のライトがあり、それぞれ異なるスイッチで制御されている場合がある。このような設備からのスイッチ状態情報は、放出口が開放されたときに、それが様々な放出口のうちのどれであるかを決定する際に、そしてもちろん、異なる部屋の類似の放出口を区別する際に、プロセッサを補助することができる。スイッチだけでなく、移動センサまたは近接センサ(例えば、PIRセンサ、他の光学センサまたは容量センサ)のような他の存在検出器、または(たとえば、光が自動的に起動される施設における)ドア起動センサを使用して、出力決定の精度を向上させるためのデータをプロセッサに提供することができる。
【0048】
プロセッサ311と種々のセンサおよびアクチュエータとの間の接続は、有線であってもよく、または(たとえば、ISM無線帯域内の割り当てられた周波数を使用する)送受信機310を使用する無線であってもよく、またはその両方であってもよく、またCANバス構成を使用してもよい。
【0049】
別個の品目として示されているが、冷水を器具301によって加熱水と混合するようにプロセッサによって制御される弁309は、代替的に、器具301と内部的または外部的に統合されて、(機器は、好ましくは、一般に別個の存在物である更新可能な熱源を使用するが)大部分が独立した機器を形成し、広い熱範囲にわたって温度制御された加熱水を提供することができる。
【0050】
本発明の一態様による温水供給施設について説明したので、ここでは、温水供給施設を制御する方法、特に加熱水の供給を制御する方法について説明する。これは、基本的には、第1の水放出口302からの水の需要を施設のプロセッサ311によって検出するステップと、その需要が第1の水放出口302に関連している可能性があるものとして識別するステップと、目標水温を第1の放出口302に関連した第1の目標水温に設定するステップと、を含む。これは、プロセッサ311が弁309の設定を調整するステップ、および/または、加熱器具の設定を調整してその出力温度を変更するステップを含むことができる。次いで、この方法は、第2の水放出口303からの水の需要を検出するステップ、この需要が第2の水放出口303に関連する可能性があるものとして識別するステップ、目標水温を、第2の放出口303に関連する第1の目標水温よりも高いまたは低い第2の目標水温に設定するステップを含む。ここでも、これは、プロセッサ311が弁309の設定を調整するステップ、および/または、加熱器具の設定を調整してその出力温度を変化させて、第2の目標水温の水が弁309から供給されるようにするステップを含んでもよい。目標供給温度が設定される温水供給システムにおける要点は、利便性および効率のために選択されてもよく、適切な温度センサが関連する場所に設置されてもよいことが理解されよう。図3に図示する設備において、弁309の下流側に設けられた温度センサ315は、プロセッサが弁309の設定に加えられた変更の結果を迅速にフィードバックすることを可能にするので、目標供給温度を設定するのに便利な場所である。
【0051】
流量が一つ又は複数の放出口に対して調整されるようにシステムが設定されている場合、この方法は、たとえば、水の需要が関連する可能性がある放出口として識別された放出口に対して保存された設定に従って流量調節器によって、流量を制御するステップも含み得る。
【0052】
次に、図4を参照して、図1および図3に図示されるような本発明の態様と共に使用するのに適した加熱器具の例示的構成を説明する。
【0053】
図4は、瞬間湯沸器具の設備に関する主な相違点である図3と密接に対応している。同一の参照番号は、相違が言及されていない限り、同一の部分を示す。図4は、本開示の第1の態様による施設400を概略的に図示する。施設400は、瞬間湯沸器具301と、器具301から離れた、たとえば、瞬間湯沸器具301が配置されている部屋以外の部屋350内の少なくとも1つの制御可能な水放出口302とを含む。
【0054】
瞬時湯沸かし器具301は、エネルギを潜熱として貯蔵するための相変化材料を好ましくは含むエネルギ貯蔵部304と、空気または接地ソースヒートポンプのようなヒートポンプであってもよいが、代替的に太陽熱加熱設備であってもよい再生可能熱源305とを含む。エネルギ貯蔵部304は、典型的には、再生可能熱源305からのエネルギがエネルギ貯蔵部304内の材料に伝達されることができるように、再生可能熱源に結合された熱交換器を含む。したがって、熱伝達液は、再生可能熱源305によって加熱され、エネルギ貯蔵部304内の熱交換器循環路を通って循環され、再加熱のために再生可能熱源305に戻されてもよい。器具301は、瞬間湯沸器306も含む。
【0055】
主冷水供給部であってもよい水供給部307は、エネルギ貯蔵部304に結合され、エネルギ貯蔵部201は、エネルギ貯蔵材料からエネルギを抽出するために熱交換器の別の循環路を通過する。また、図に示すように、水供給部307は、瞬間湯沸器306に結合されていることが好ましく、これにより、エネルギ貯蔵部304を通過する必要なく温水を生成することができる。エネルギ貯蔵部から出てくる加熱水は、308で瞬間湯沸器306まで通過し、次いで、配管310および制御可能な放出口302によって例示される温水供給施設に向かって、サーモスタット混合弁309を通過する(実際には、典型的には、複数の制御可能な水放出口があり、これには、バスの蛇口、シャワーの蛇口、手皿の蛇口、および台所の蛇口が含まれるが、これらは説明を容易にするためにここでは省略する)。混合弁309はまた、供給部307から冷水の供給を受けるが、瞬間湯沸器具301のコントローラまたはプロセッサ311に結合され、これらによって電子的に制御される。
【0056】
図は、供給部307から再生可能熱源305に向けられ、再生可能熱源から瞬間湯沸器106への給水を破線で示しているが、この設備は任意的である。一般に、熱源305がヒートポンプである場合、ヒートポンプからのエネルギは、エネルギ貯蔵部304にのみ供給されてもよく、エネルギ源305から直接瞬間加熱器306までの給温水はない。
【0057】
プロセッサ311はまた、水加熱器306から混合弁309への流路内の第1の温度センサ312と、混合弁309の放出口の別の313と、水供給部307からの水の温度を感知する別の315とに結合されている。また、プロセッサ311には、流量または圧力センサ314および流動コントローラ(弁)316が結合されており、これらは両方とも、瞬間湯沸器306から混合弁309までの流路内にある。プロセッサ311に結合された更なる流動センサまたは圧力センサ317が、たとえば、放出口302に近接して、放出口(例えば、蛇口)302への給温水部に提供されてもよい。また、プロセッサ311によって制御される別の流動コントローラ(弁)318が、エネルギ貯蔵部への給冷水部に提供されてもよい。
【0058】
また、プロセッサにエネルギ貯蔵部の状態に関する情報、特にプロセッサがエネルギ貯蔵部のエネルギ貯蔵状態を確定できるようにする情報を提供する感知設備319も示されている。感知設備319はまた、エネルギ貯蔵媒体の温度を測定して、プロセッサ311が顕熱として貯蔵されるエネルギ量を確定できるようにすることができる。種々の適切な感知設備は、本出願において後述される。プロセッサ311と種々のセンサおよびアクチュエータとの間の接続は、たとえば、CAMBUS設備を用いて有線であってもよいし、(例えばISM無線帯域内の割り当てられた周波数を用いて)送受信機310を用いた無線であってもよいし、あるいはその両方であってもよい。
【0059】
再生可能熱源は、空気源ヒートポンプのようなヒートポンプであることが好ましく、したがって、概して、大部分または全体が、温水供給システムが設置される建物の外側に置かれる。典型的には、ヒートポンプは熱交換器を含み、この熱交換器を通して流体がヒートポンプと器具301との間を流れ、熱が流体によってヒートポンプ内に取り込まれ、エネルギ貯蔵部304と交換され、冷却された流体はヒートポンプ内の熱交換器に戻り、より多くのエネルギを抽出する。
【0060】
別個の項目として示されているが、冷水を器具301によって加熱された水と混合するようにプロセッサによって制御される弁309は、代替的に、内部または外部のいずれかで、器具301と一体化されて、広い熱範囲にわたって温度制御された加熱水を提供することができる(再生可能熱源305は、器具301の一部として示されているが、一般的には別個の実在物であることが理解される)。
【0061】
次に、PCMエネルギ貯蔵設備(すなわち、PCMエネルギバンク)およびヒートポンプを含む温水供給施設について説明する。温水供給システムを構成する方法および温水供給施設から送付される水の温度を制御する方法についての前述の説明は、適用を容易にするために意図的に単純にされたが、これらの方法は、PCMエネルギ貯蔵設備およびヒートポンプを含む設備に等しく適用されることを理解されたい。
【0062】
ヒートポンプの適用性に対する多くの制約の1つは、少なくとも、複合ボイラ(combi boilers)のような瞬間的なガスおよび電気湯沸かし器と比較した場合、暖房のための熱源としてのそれらの強さと比較して、温水に対する需要を満たす能力が比較的限られていることである。先に述べたように、英国の典型的に適度な大きさの住居に対して、暖房需要は一般に6kWと低いが、一方、ガス複合ボイラは、適度な1つ又は2つのベッドのアパートであっても、瞬間的な湯沸かしのために典型的に20kW~30kWを提供することができる。6kWの暖房需要は、ヨーロッパでは空気熱源ヒートポンプでさえも容易に達成可能であるが、20~30kWを供給できるユニットは容認できないほど大きく高価である。ヒートポンプは、家庭用温水供給への適用に関して更なる制限を受け、それは、開始信号を受信するヒートポンプと、ヒートポンプによって実際に供給される温水との間の長い遅れである。一般に、この遅れは1分を優に超え、時には2分以上もかかることもある。一見したところ、大したことではないように思えるが、手洗いのようなもの-家庭での温水の最も一般的な使用の1つでは、ホットタップが流す平均時間は30秒から1分の間であることに気づくと、ヒートポンプには克服すべき大きな障害があることが明らかになる。通常、この問題は温水を貯蔵タンクに貯蔵してオンデマンドで利用できるようにすることによって対処される。しかし、この解決策は、現在ガス複合ボイラを利用している英国の1層、2層、3層の住宅のように、外部の温水貯蔵タンクなしでほぼ普遍的に設置されている小規模な住宅には魅力がない。
【0063】
ヒートポンプの需要、特に国内の熱需要への適用性を改善する可能性のある技術の1つは、熱エネルギ貯蔵であるが、温水貯蔵とは異なる。
【0064】
熱エネルギ貯蔵のこのような代替形態は、相変化材料(PCM)の使用である。名前が示すように、相変化材料は、熱誘起相変化を示す材料である。その相転移温度までPCMを加熱すると、エネルギは顕熱ではなく潜熱として貯蔵される。多くの異なるPCMが知られており、任意の特定の用途のための選択は、(PCMの毒性、反応性、可燃性、安定性など、および、これらがPCMの封じ込めに必要な材料などに課す制約を考慮して)、とりわけ、必要とされる操作温度、コスト制約、健康および安全制限によって決定される。PCMの適切な選択により、ヒートポンプからのエネルギが(家庭用)温水システムのための水の瞬間的な加熱に利用可能であるように、熱エネルギ貯蔵設備を設計することができ、それによって、嵩張る温水タンクを必要とすることなく、ヒートポンプの使用に固有のスロースタート問題に対処するのに役立つ。
【0065】
ここでは、PCMの使用に基づいて、特にヒートポンプを使用して温水供給部内の水を加熱する施設での使用に適したエネルギ貯蔵設備を紹介し、説明する。このようなエネルギ貯蔵設備は、エンクロージャを含む熱交換器を含み、エンクロージャ内に以下のものを含むことができる。
【0066】
ヒートポンプのようなエネルギ源に接続するための入力側循環路、温水供給施設のようなエネルギシンクに接続するための出力側循環路、エネルギを貯蔵するための相変化材料。入力側循環路は、熱源(ここではヒートポンプ)によって加熱された液体を受け取り、その液体が熱交換器内の材料よりも熱い場合には、エネルギがその液体から熱交換器内の材料に伝達される。同様に、液体が熱交換器内の材料よりも冷たい場合には、熱交換器内の材料からのエネルギが出力側循環路の液体に伝達される。もちろん、出力側循環路を通る流動がなければ、熱交換器から外部に伝達されるエネルギの量は制限され、入力エネルギの大部分は熱交換器内に残る。この場合、熱交換器は、入力エネルギが大部分PCMに伝達されるように、相変化材料、たとえば、パラフィンワックスまたは塩-水和物を含む(適切な材料の実施例については後述する)。相変化材料およびヒートポンプ操作温度の適切な選択により、ヒートポンプからのエネルギを使用して、PCMによって表されるエネルギ「バンク」を「チャージ」ことが可能になる。任意選択的に、ヒートポンプからのエネルギ供給は、熱交換器内に一つ又は複数の電気加熱要素を含むことによって補足されてもよく、加熱要素は、システムのプロセッサによって制御され、たとえば、低コスト料金が電力供給に適用される場合、またはたとえば、風力、水力または太陽光発電などの局所的または家庭内の電力生産が、温水に対する予想される又は予想される将来の必要性がある場合に「安価な」エネルギを提供することができる場合に使用される。
【0067】
相変化材料を使用するシステムを設計するときに適応させなければならない相変化材料の1つの特性は、相間の移行時に生じる体積変化、たとえば、液体と固体との間の相変化における膨張、および固体と液体との間の相変化における収縮である。通常、体積変化は10%のオーダーである。この体積変化は、相変化材料を収容するために使用されるエンクロージャを慎重に設計することによって対処しなければならない欠点と考えられるが、体積変化を積極的に使用することもできる。PCMエンクロージャ内の圧力の測定値を提供するために一つ又は複数のセンサを含むことによって、プロセッサが相変化材料の状態を確定することができるデータをプロセッサに提供することが可能である。たとえば、プロセッサは、相変化材料のエネルギ貯蔵値を確定することができる。
【0068】
相変化材料のエネルギ貯蔵量を確定する手段としてのエンクロージャ内の圧力の測定に加えて、またはその代替として、位相の変化に基づいてPCMに生じる光学特性または音響特性の変化を使用することが可能である。これらの代替的なアプローチの実施例については後述するが、最初に、PCMのエネルギ貯蔵状態に関する情報を収集する手段として圧力感知の使用を検討する。
【0069】
図5は、熱交換器を含むエネルギバンク10を概略的に示し、エネルギバンクは、エンクロージャ12を含む。エンクロージャ12内には、エネルギ源に接続するための熱交換器の入力側循環路14(ここではヒートポンプ16として示す)、エネルギシンクに接続するための熱交換器の出力側循環路18(ここでは給冷水部20に接続され、一つ又は複数の放出口22を含む温水供給システムとして示す)がある。エンクロージャ12内には、エネルギを貯蔵するための相変化材料がある。また、エネルギバンク10は、PCMの状態を示す測定値を提供するために、一つ又は複数の状態センサ24を含む。たとえば、一つ又は複数の状態センサ24は、エンクロージャ内の圧力を測定する圧力センサであってもよい。エンクロージャはまた、相変化材料(PCM)内の温度を測定するための一つ又は複数の温度センサ26を含むことが好ましい。好ましいように、複数の温度センサがPCM内に提供されている場合には、これらの温度センサは、好ましくは、熱交換器の入力循環路および出力循環路の構造体から離間され、PCM内で適切に離間されて、PCMの状態の良好な「画像」を得る。
【0070】
エネルギバンク10は、プロセッサ30を含む関連システムコントローラ28を有する。コントローラは、エネルギバンク10に一体化されてもよいが、より典型的には、別個に装着される。また、コントローラ28は、ユーザインターフェースモジュール31を、一体化されたユニットまたは別個のユニットとして、あるいはコントローラ28を含む本体に着脱可能に装着可能なユニットとして備えてもよい。ユーザインターフェースモジュール31は、典型的には、例えばタッチセンシティブディスプレイの形態の表示パネルおよびキーパッドを含む。ユーザインターフェースモジュール31は、コントローラ28から分離または分離可能である場合、コントローラ28のプロセッサ30およびユーザインターフェースモジュールが互いに通信することを可能にする無線通信能力を含むことが好ましい。ユーザインターフェースモジュール31は、システム状態情報、メッセージ、アドバイスおよび警告を使用者に表示するために使用されるとともに、開始および停止命令、温度設定、システムオーバーライド等のようなユーザ入力およびユーザコマンドを受信するために使用される。
【0071】
状態センサはプロセッサ30に結合され、温度センサ26が存在する場合にはこれも結合される。プロセッサ30はまた、有線接続を介して、または関連する送受信機34および36を使用して無線で、または有線接続および無線接続の両方を介して、ヒートポンプ16内のプロセッサ/コントローラ32に結合される。このようにして、システムコントローラ28は、開始命令および停止命令などの命令をヒートポンプ16のコントローラ32に送ることができる。同様に、プロセッサ30は、ヒートポンプ16のコントローラ32から状態更新、温度情報などの情報を受信することもできる。
【0072】
温水供給施設はまた、温水供給システム内の流動を測定する一つ又は複数の流動センサ38を含む。図示されるように、このような流動センサは、システムへの給冷水部20上に、および/または、熱交換器の出力側循環路18の出力部間に提供されてもよい。任意選択的に、一つ又は複数の圧力センサを温水供給システムに含めてもよく、また、圧力センサは、熱交換器/エネルギバンクの上流および/または熱交換器/エネルギバンクの下流に、たとえば、一つ又は複数の流動センサ38のうちの一つ又は複数と並んで提供することができる。または各流動センサ、または各温度センサ、およびまたは各圧力センサは、たとえば、一つ又は複数の無線送信機または送受信機40を使用して、有線接続または無線接続のいずれかまたは両方で、システムコントローラ28のプロセッサ30に結合される。様々なセンサ24、26および38の性質に応じて、システムコントローラ28のプロセッサ30によって問い合わせ可能であってもよい。
【0073】
電気的に制御されたサーモスタット混合弁160は、エネルギバンクの放出口と温水供給システムの一つ又は複数の放出口との間に結合されることが好ましく、その放出口に温度センサ162を含む。追加の瞬間湯沸器170、たとえば、コントローラ28によって制御される(誘導式または抵抗式)電気ヒーターが、エネルギバンクの放出口と混合弁160との間の水流経路内に位置されることが好ましい。瞬間湯沸器170によって出力される水の温度を測定し、その測定値をコントローラ28に提供するために、さらなる温度センサを設けてもよい。サーモスタット混合弁160はまた、冷水供給部180にも結合され、コントローラ28によって制御可能であり、温水と冷水を混合して所望の供給温度を達成する。
【0074】
任意選択的に、図示されるように、エネルギバンク10は、エンクロージャ12内に、システムコントローラ28のプロセッサ30によって制御され、時にはエネルギバンクを再チャージするためにヒートポンプ16の代替として使用可能な電気加熱要素42を含むことができる。
【0075】
図5は、単に概略図であり、ヒートポンプと温水供給施設との接続のみを示す。世界の多くの地域では、温水だけでなく暖房も必要であることが認識されるであろう。したがって、典型的には、ヒートポンプ16もまた、暖房を提供するために使用される。ヒートポンプが、暖房を提供すると共に、温水加熱用のエネルギバンクと協働する例示的な構成は、本出願において後述される。説明を容易にするために、たとえば、図1に図示するように、本発明の一態様によるエネルギバンクの操作方法の以下の説明は、関連するヒートポンプが暖房を提供するか否かに拘わらず、エネルギバンク施設に等しく適用される。
【0076】
次に、図6を参照して、本発明の一態様による施設を制御する方法を説明する。図6は、本発明の第3または第4の態様の任意の変形例に従って、施設に関連するプロセッサによって実行される様々な作用を図示する簡略化されたフローチャートである。
【0077】
この方法は、ステップ120において、一つ又は複数の状態センサ24からの情報に基づいて、相変化材料の潜熱として貯蔵されたエネルギ量の確定を発生させるステップから始まる。
【0078】
次に、ステップ130において、プロセッサは、その確定に少なくとも部分的に基づいて、ヒートポンプに開始信号を提供するかどうかを決定する。PCMの状態に加えてプロセッサが考慮に入れることができる様々な要因が、本明細書において後に紹介され、検討される。
【0079】
図7は、本発明の第3または第4の態様の任意の変形例に従って、施設に関連するプロセッサによって実行される様々な作用を図示する、別の簡略化されたフローチャートである。
【0080】
この方法はステップ300で始まり、プロセッサは温水供給システムの放出口の開放を示す信号を受信する。この信号は、たとえば、温水供給システム内の流動センサ38から、または温水システムへの給冷水部内の流動センサ38から出てもよい。ステップ302において、プロセッサは、たとえば、開放された放出口の識別またはタイプに基づいて、または瞬時流量に基づいて、温水供給システムからの温水の為の需要を推定する。プロセッサは、推定された需要を第1の閾値需要レベルと比較する。推定需要が第1の閾値需要レベルを超える場合、プロセッサは、ステップ304においてヒートポンプ開始メッセージを発生させる。推定需要が第1の閾値需要レベルを下回る場合、プロセッサは、推定需要と第1の閾値需要レベルよりも低い第2の閾値需要レベルとを比較する。推定需要が第2の閾値需要レベルを下回る場合、プロセッサは、ステップ306において、ヒートポンプ開始メッセージを発生させないことを確定する。
【0081】
推定需要が第1および第2の閾値需要レベルの間である場合、プロセッサは、エネルギバンクのエネルギ貯蔵レベルを考慮に入れる。これには、プロセッサがエネルギバンクのエネルギ貯蔵レベルを新たに確立することが含まれてもよく、またはプロセッサがエネルギバンクのエネルギ貯蔵レベルに関する最近発生された情報を使用してもよい。
【0082】
エネルギバンクに対するエネルギ貯蔵レベルの確定が第1のエネルギ貯蔵レベル閾値より大きい場合、プロセッサは、ステップ304において、ヒートポンプ開始メッセージを発生させないことを確定する。逆に、エネルギバンクに対するエネルギ貯蔵レベルの確定が第1のエネルギ貯蔵レベル閾値よりも小さい場合、プロセッサは、ステップ304においてヒートポンプ開始メッセージの発生を確定する。
【0083】
次に、図8を参照して、本発明の一態様による施設を制御する方法を説明する。図8は、図5に図示されるようなエネルギバンクに関連するプロセッサによって実行される様々な作用を図示する簡略化されたフローチャートである。この方法は、プロセッサ30が温水供給システム内の水の流動を検出したときにステップ200で始まる。検出は、好ましくは、図5の流動センサ38のような流動センサからのデータに基づいているが、代替的に、温水供給システム内の圧力センサからのデータに基づいてもよい。関連センサは、測定データをプロセッサ30に供給するように連続的に構成されてもよいし、測定データの変化を報告するようにのみ構成されてもよいし、またはプロセッサが関連センサを連続的または周期的に(たとえば、少なくとも1秒に1回)読み出してもよい。
【0084】
ステップ202において、プロセッサ30は、センサからのデータによって示される流量が、たとえば、特定の閾値の上または下で、高流量または低流量を示すかどうかを確定する。プロセッサは、流量を高、中、又は低として分類するために複数の閾値を使用することができ、または、カテゴリーは、非常に高い、高、中、低を含むことができる。また、流動が非常に少ない、または最小でないというカテゴリーもある。プロセッサ30はまた、温水供給システムの各放出口22または各放出口タイプの流量および流量シグネチャに関する(例えば、データベース、モデル、またはMLAの形式で)情報を(例えば、本特許出願において後述されるような技術を使用して)提供されてもよく、プロセッサは、検出された流量を、放出口22の特定の1つまたは特定のタイプ(例えば、シャワー放出口、バス放出口、キッチンシンク放出口、洗面器放出口、手皿放出出口)に関連するものとして特徴付ける。
【0085】
確定が、温水の需要が低いことを示す場合(203)、プロセッサは、ステップ204において、少なくとも状態センサ24からの情報に基づいて、パワーバンク10の状態を考慮する。プロセッサ30は、この段階で状態センサ24(例えば、圧力センサ)に問い合わせてもよいし、最近更新されたエネルギバンクの状態をチェックしてもよく、いずれの場合も、エネルギバンクが高エネルギ状態205(エネルギバンクの潜在的な潜熱容量の大部分が使用可能である状態)にあるか、または低エネルギ状態206(エネルギバンクの潜在的な潜熱容量の小部分が使用可能である状態)にあるかを確定する。プロセッサはまた、温度センサ26からの情報を考慮してもよく、たとえば、エネルギバンク10に貯蔵された顕熱エネルギを考慮してもよい。プロセッサ30が高エネルギ状態であることが確定した場合、プロセッサはヒートポンプに開始命令を送信しないことを確定し、プロセスはステップ207で終了する。プロセッサ30が低エネルギ状態であることが確定した場合、プロセッサは、206において、ヒートポンプに開始命令を送信すること(ステップ222)を確定してもよい。
【0086】
この確定が温水の需要が高いことを示す場合(208)、プロセッサは、ステップ209において、少なくとも状態センサ24からの情報に基づいて、パワーバンク10の状態を考慮してもよい。プロセッサ30は、この段階で状態センサ24に問い合わせてもよいし、最近更新されたエネルギバンクの状態をチェックしてもよいが、いずれの場合も、エネルギバンクが高エネルギ状態210にあるか(エネルギバンクの潜在的な潜熱容量の大部分が使用可能である状態)、または低エネルギ状態212にあるか(エネルギバンクの潜在的な潜熱容量の小部分が使用可能である状態)を確定する。
【0087】
プロセッサはまた、温度センサ26からの情報を考慮してもよく、たとえば、エネルギバンク10に貯蔵された顕熱エネルギを考慮してもよい。プロセッサ30が高エネルギ状態210を確定する場合、プロセッサは、ステップ214において、予測された温水需要を任意選択で確定する。しかし、プロセッサは、単に流量の大きさに基づいて、温水需要を予測することなく(斜線の矢印211で示すように)、ステップ222でヒートポンプを開始する命令を出すように構成されてもよい。
【0088】
ステップ214において、プロセッサ30は、確定された識別(すなわち、特定の放出口)または水放出口のタイプを考慮に入れて、温水需要を予測することができる。たとえば、放出口がキッチンシンクの放出口として識別される場合、蛇口が30秒から1分を超えて流されることはない。これに対して、もし放出口がバス用蛇口であれば、蛇口は数分間開放したままであり、おそらく120~150リットルの温水を必要とする。
【0089】
第1の状況において、プロセッサ30は、216において、ヒートポンプに開始信号を送信しないことを確定するが、代わりに、プロセスを終了するか、またはより好ましくは、ステップ218において流量を監視し続けて、流動が続く時間を見る。流動が予測時間内に停止した場合、プロセスはステップ220で終了するが、水の流動が予測よりも長く続く場合、プロセッサは219で移動してステップ209に戻る。第2の状況においては、プロセッサ30は、221において、ヒートポンプに開始信号を送ること(ステップ222)を確定するが(矢印211は、単に瞬間流量または放出口(または出口タイプ)の識別に基づいてヒートポンプを開始する決定を示す)、これは温水供給システムから著しい体積の温水が回収されることに関連している。
【0090】
ステップ222で(206または221での確定のいずれかから)ヒートポンプを開始した後、プロセッサ30は、ステップ224で継続して、パワーバンクの状態を(定期的または連続的に)監視し、状態がチャージのある閾値レベルに到達ときに(225)、プロセッサは信号226を送信してヒートポンプの電源を切断する(ステップ226)。
【0091】
図9は、図5のプロセッサ30など、エネルギバンクに関連付けられたプロセッサによって実行される様々な作用を図示する別の簡略化されたフローチャートである。図8を参照して説明した方法とは異なり、図9の方法は、温水の呼び出しの検出に依存せず、すなわち、温水システムの放出口の開放に依存しない。一般に、図9は、施設を制御する方法を示しており、この方法は、相変化材料内に潜熱として貯蔵されるエネルギ量の確定を発生させるステップを含む、この確定に基づいて、ヒートポンプに開始信号を提供するか否かを決定する。しかし、後述するように、任意選択であるが好ましいステップは、相変化材料に潜熱として貯蔵されるエネルギ量の確定を発生させるステップと、その確定に基づいて、ヒートポンプに開始信号を提供するか否かを決定するステップとの間で行うことができる。
【0092】
この方法は、ステップ500において、プロセッサ30がエネルギバンク10の相変化材料に貯蔵されたエネルギ量を潜熱として推定することから始まる。熱量はkJoulesでは絶対量であってもよいが、現在利用可能な潜在的な潜熱容量の割合の尺度であってもよい。言い換えれば、プロセッサは、より高いエネルギ状態を有する相にまだある相変化材料の割合を効果的に確定することができる。したがって、たとえば、相変化材料がパラフィンワックスであり、液体から固体への相変化を伴う場合、液相は融解の潜熱を取り入れた高エネルギ相であり、固相は低エネルギ相であり、融解の潜熱は固化によって失われている。
【0093】
潜熱として貯蔵されたエネルギの量が十分であるとプロセッサが確定した場合(502)、すなわち所定の閾値を超えた場合、この方法はステップ504に進み、そこでプロセスは停止し、プロセッサは次の検査(ステップ500)を待つ。
【0094】
潜熱として貯蔵されたエネルギの量が十分でない(506)、すなわち、ある所定の閾値以下であるとプロセッサが確定した場合、この方法はステップ508に進む。ステップ508において、プロセッサは、来る期間内(例えば、次の30分、1時間、2時間、3時間、または4時間以内)に有意な温水需要の可能性を確定する。考慮される期間は、エネルギバンクの熱容量、決定されるエネルギ不足の大きさ、およびこれらの状況下でエネルギバンクを再チャージするためのヒートポンプの容量の要因である。考慮される需要期間は、ヒートポンプがその期間内にエネルギバンクを十分に再チャージすることを可能にするのに十分な大きさであるべきであり、その結果、エネルギバンクは、予測された又は予想される需要に対処することができるように、最適にチャージされる(おそらく完全にチャージされる)。逆に、ヒートポンプは、エネルギバンクが放射線、伝導、または対流を通じてかなりの量のエネルギを失うほど、予想/予測されるエネルギ需要の前にエネルギバンクを再チャージするために使用されるべきではない。
【0095】
プロセッサは、データベース、モデル、カレンダーまたはスケジュールに依存することができ、これらのいずれかおよび全ては、学習された行動および行動パターン、およびスケジュールされたイベント(スケジュールされた不就業または他の場所にスケジュールされたイベントなど)を含むことができる。プロセッサはまた、たとえば、インターネットを介して、または無線伝送において、および/または外部温度計において提供された(プッシュされた、または受信された)局所的な気象レポートにアクセスすることができる。
【0096】
プロセッサが、期間内に有意な温水需要の可能性が低いと判断した場合(510)、この方法はステップ504に進み、そこでプロセスは停止し、プロセッサは次の検査500を待つ。
【0097】
プロセッサが、期間内に有意な温水需要の高い可能性があると判断した場合(512)、方法はステップ514に進み、そこでヒートポンプの電源が投入され、たとえば、プロセッサ30は、ヒートポンプ16に命令を送信して、ヒートポンプのプロセッサ32がヒートポンプ始動手順を開始し、その後、ヒートポンプが熱交換器の入力側に熱を供給し始め、それによってエネルギを相変化材料に入れる。次に、プロセッサは、ステップ516において、十分なエネルギが相変化材料の潜熱としてエネルギバンクに貯蔵されているかどうかを繰り返し確定する。プロセッサが、十分なエネルギがエネルギバンクに相変化材料の潜熱として貯蔵されていると確定した場合(518)、この方法はステップ520に移動し、たとえば、プロセッサ30が適切な命令を送信することによって、ヒートポンプの電源が切断される。この方法は、プロセッサに不十分なエネルギが貯蔵されていると確定する限り(522)継続する。
【0098】
図5を再び参照すると、エンクロージャ内の圧力を測定するために一つ又は複数の状態センサ24を提供する代わりに又はそれに加えて、PCMの透明度、吸収、屈折、屈折率などの光学特性を測定するために、他のタイプのセンサを提供することができるが、これは、これらの様々なものがPCMの相転移に伴って変化するからである。さらに、これらの特性の様々なものは、位相の変化に伴って変化する波長依存性を示すことがある。
【0099】
従って、エネルギバンクは、光を相変化材料に発射させるための一つ又は複数の光源をさらに備えてもよく、一つ又は複数の状態センサ24は、光が相変化材料を通過した後に光源から発射された光を検出するための光検出設備を備えてもよい。相変化材料の相間の変化は、相変化材料の光学特性の可逆的な変化を生じさせ、従って、PCMの光学特性の観察は、PCMの状態に関する情報を収集するために使用可能である。好ましくは、PCMの光学特性はPCMの幾つかの領域で、好ましくは材料内の異なる方向で観察される。たとえば、光源およびセンサは、光源からの光が一つ又は複数の位置でPCMを長さ方向に通過するように配置されてもよく、他の光源およびセンサは、光源からの光が一つ又は複数の位置でPCMを幅方向に通過し、一つ又は複数の方向(幅および/または厚さ方向)に通過するように配置されてもよい。
【0100】
光源は、異なる色の光を生成するように制御可能であってもよく、光感知設備は、異なる色の少なくとも一部を検出するように構成されてもよい。任意の用途に対して選択された特定のPCMに基づいて適切な光の色を選択することによって、PCMの位相が変化した程度をより正確に決定することが可能である。
【0101】
好ましくは、光源は、複数の別々に活性化可能なデバイスを備える。
【0102】
光感知設備を、光感知設備から受け取った情報に基づいて相変化材料に貯蔵されたエネルギ量を推定するように構成されたプロセッサに結合することは、PCM内に潜熱として貯蔵されたエネルギ量を確定する手段を提供し、この情報は、ヒートポンプを制御する際に使用することができる。特に、このような情報は、PCMエネルギバンクをチャージする際のヒートポンプのより効率的かつ適切な使用を可能にすることができる。
【0103】
さらなるオプションとして、相変化材料内に潜熱として貯蔵されたエネルギの量を示す測定データを提供するための一つ又は複数の状態センサ24は、音を相変化材料内に発射するように構成された音響源と、音が相変化材料を通過した後に音響源から発射された音を検出するための音響感知設備とを含むことができる。相変化材料の相間の変化は、相変化材料の吸音特性の可逆的な変化を生じさせ、従って、PCMの音響特性の観測は、PCMの状態に関する情報を収集するために使用可能である。音響源は、超音波を生み出すように構成されてもよい。
【0104】
図1を参照して説明した試運転プロセスの間、エンジニアはまた、プロセッサ/システムコントローラ140によって、すべての温水出口(例えば、蛇口、シャワー、浴槽、台所など)を定義するように、または換言すれば、システムをマッピングするように要求されてもよい。このプロセスにおいて、システムコントローラは、技術者に対して、各放出口(蛇口、シャワー放出口など)を順に完全に開放し、次の放出口を開放する前に各放出口を閉鎖するように要求し、関連する流動測定デバイス110によって、結果として生じる水の流動を監視する。この処理中、関連する流動測定デバイス110は水流を測定し、プロセッサはこれらのデータを受け取り、その結果をデータベースに追加する。この情報に基づいて、システムは、任意の放出口が開放されたときに、関連する流動制御デバイス115を制御することによって、各単一蛇口に最も効率的な流動を提供することができる。
【0105】
本開示の第1の態様による建物内水供給施設をマッピングする方法を、図1を参照して以下に説明する。
【0106】
この方法は、複数の制御可能な水放出口のうちの第1の放出口を開放し、少なくとも第1の流動特性が確定されるまで、少なくとも1つの流動測定デバイス110からの信号をプロセッサ140で処理するステップ、次いで、複数の制御可能な水放出口のうちの第1の放出口を閉鎖するステップを含む。複数の制御可能な水放出口のうちの第1の放出口の開放は、好ましくは、プロセッサまたはシステムコントローラ140によって指示され、関連するエンジニアによって運ばれるモバイルデバイス150にメッセージを送る。たとえば、命令は、Wi-Fiによって送られ、マスターバスルーム121内の熱いバスタプ136を開放するようにエンジニアに伝えることができる。エンジニアは、モバイルデバイス150を携帯し、次にマスターバスルームに行き、熱いバスタイプ136を完全に開放する。モバイルデバイスは、エンジニアに対して、蛇口を正確に開放するタイミングを知らせるためのプロンプト、好ましくは可聴音及びカウントダウンを提供することができる。あるいは、モバイルデバイス上のアプリケーションは、蛇口136が開放された瞬間に、エンジニアからの入力(例えば、ボタンの押下または解除)を受け付けるように構成されてもよい。いずれの場合も、アプリケーションは、プロンプトまたは瞬間の現地時間を捕捉し、次いで、この現地時間を、関連する制御可能な放出口の識別情報と共に、システムコントローラ140またはサーバ145に送ることができる。このようにして、モバイルデバイス150に到達するプロンプトの遅延、またはコントローラ140またはサーバ145に到達する命令のタイミングの遅延を考慮することができる(モバイルデバイス150およびシステムコントローラ140は、マッピングプロセスの前または後に、幾つかのハンドシェーク手順を経ることが好ましく、その結果、2つのデバイスのクロック間のウィズ(wither)オフセットを排除することができ、またはそれらを考慮することもできる)。
【0107】
エンジニアは次に、アプリケーション上のリストまたはメニューから放出口識別子を選択するか、または明確な識別子を入力して各放出口を順番に開放することによって、構内を迂回して作業することができる。あるいは、システムコントローラは、全ての蛇口等(一般に「制御可能な放出口」)のリストを既に与えられており、別のメッセージをモバイルデバイス150に送ることによって、エンジニアに関連する放出口に行くように促すことができる。アプリケーションは、エンジニアがシステムコントローラ140/サーバ145にメッセージを送るためのオプションを含むことが好ましく、それは、エンジニアが所定の位置にいて、次の制御可能な放出口を開放するための命令を受信する準備ができているからである。次いで、全ての放出口およびそれらの流動特性、すなわち流動が検出される前の遅れ、流動の上昇率、最大流速、および任意の他の識別可能な特性が捕捉され、データベースに保存されるまで、プロセスが他の各温水出口について繰り返される。次いで、プロセッサ140は、データベースに保存された特性を使用することによって、検出された流動特性とそれぞれの流動特性との類似性に基づいて、複数の制御可能な水放出口のうちの特定の1つの開放を識別することができる。
【0108】
プロセッサはまた、放出口のタイプ(バス蛇口、キッチン蛇口、洗面器蛇口、クロークルーム蛇口)およびその位置(例えば、メインバスルーム、トイレ、子供部屋、エンスィート(en-suite)、クロークルーム、キッチン)に基づいて、好ましい流量および任意選択的に流量持続時間に関する幾つかの規則を提供され、これらの規則を、検出された流動特性から認識された放出口識別子と共に使用して、目標流量を確定する。次いで、目標流量は、関連する流動コントローラ115を制御することによってシステムコントローラ140によって課され、好ましくは対応する流動測定デバイス110によって監視される。このようにして、関連する放出口の識別に基づいて少なくとも1つの流動調節器を制御することによって、プロセッサ140は、識別された制御可能な水放出口への水の供給を制御することができる。
【0109】
それぞれの流動特性のそれぞれは、それぞれの安定した流量を含むことができる。次いで、この方法は、プロセッサ140を構成して、少なくとも1つの流動調節器115を制御し、それぞれの安定した流量に基づいて、複数の制御可能な水放出口のそれぞれに対して流量の少なくとも10%の削減を課すことを更に含むことができる。任意選択的に、この方法はさらに、プロセッサ140を構成して、少なくとも1つの流動調節器115を制御して、それぞれの安定流量に基づいて、それぞれの安定流量が7リットル/分より大きい複数の制御可能な水放出口のいずれかに対して、流量の少なくとも10%の削減を課すことを含むことができる。これは、バスルーム、エンスイート、および特にクロークルームの洗面器に役に立つ蛇口に特に適用され、ここで蛇口はしばしば手洗いのための水を提供するために主に使用され、非常に控えめな流量で効果的に達成することができる。
【0110】
温水供給施設をマッピングする上述の技術を使用して、ニューラルネットワークまたは機械学習アルゴリズム(MLA)のようなデータベースまたはトレーニング論理を配置することができ、これは、前述のようにエネルギバンクに関連するプロセッサによって使用されてもよく、その結果、プロセッサは、検出された流動の挙動から特定の放出口または放出口のタイプを識別し、したがって温水供給部からの温水に対する需要をより容易に推定することができる。これにより、ヒートポンプの制御およびエネルギバンクの使用の効率を改善することができる。
【0111】
エネルギバンクおよび温水供給施設におけるエネルギバンクの施設および操作について説明したので、次に、エネルギバンクおよびヒートポンプを温水供給システムおよび空間加熱設備の両方に一体化する方法を考慮する。
【0112】
図10は、本開示の一態様によるインターフェースユニット10の構成要素の可能な設備を概略的に示す。インターフェースユニットは、(この図には示されていない)ヒートポンプと建物内温水システムとの間をインターフェースする。インターフェースユニットは、ヒートポンプに接続するための(14として非常に簡略化された形態で示される)入力側循環路と、(この図には示されない)建物内温水システムに接続するための(16として非常に簡略化された形態で示される)出力側循環路が内部にある(別個に番号付けされていない)エンクロージャを備えた熱交換器12とを含む。熱交換器12はまた、エネルギを貯蔵するための蓄熱媒体を含むが、これは図には示されていない。次に図10を参照して説明する実施例において、蓄熱媒体は相変化材料である。インターフェースユニットは、先に説明したエネルギバンクに対応することが認識される。特許請求の範囲を含む本明細書全体を通して、エネルギバンク、熱記憶媒体、エネルギ記憶媒体および相変化材料への言及は、文脈が明らかに他のことを要求しない限り、互換性があると考えられるべきである。
【0113】
典型的には、熱交換器内の相変化材料は、(融解の潜熱によって貯蔵されるエネルギの量に関して)2~5mJulesのエネルギ貯蔵容量を有するが、より多くのエネルギ貯蔵が可能であり、有用である。もちろん、より少ないエネルギ貯蔵も可能であるが、一般的には、インターフェースユニット10の相変化材料におけるエネルギ貯蔵の可能性を最大化することを望む(物理的寸法、重量、コストおよび安全に基づく実際的な制約に従う)。本明細書の後の方で、適切な相変化材料およびそれらの特性について、また寸法等について、さらに説明する。
【0114】
入力側循環路14は、ノード20から順番に、ヒートポンプから給水部に接続される結合部24を有するパイプ22から給水れるパイプまたは導管18に接続されている。ノード20はまた、ヒートポンプからの流体をパイプ26に給水し、パイプ26は結合部28で終端し、結合部28は、たとえば、床下暖房または放熱器のネットワークまたはその両方に配管するために、家またはアパートの暖房ネットワークに接続するように意図されている。したがって、インターフェースユニット10が完全に設置されて操作可能になると、(家またはアパートの外側に置かれている)ヒートポンプによって加熱された流体は、結合部24を通り、パイプ22に沿ってノード20へと進み、そこから、3ポート弁32の設定に応じて、流体の流動はパイプ18に沿って熱交換器の入力側循環路14へ、またはパイプ26に沿って結合部28を通って構内の加熱インフラストラクチャへと流れる。
【0115】
ヒートポンプからの加熱流体は、熱交換器の入力側循環路14を通り、パイプ30に沿って熱交換器12から流出する。使用時において、ある状況下では、ヒートポンプからの加熱流体によって運ばれる熱は、そのエネルギの一部を熱交換器内の相変化材料に、一部を出力側循環路16内の水に与える。他の状況において、後述するように、熱交換器の入力側循環路14を流れる流体は、実際に相変化材料から熱を獲得する。
【0116】
パイプ30は、入力側循環路14から出る流体を電動3ポート弁32に給水し、次に、弁の状態に応じて、パイプ34に沿ってポンプ36に送り出す。ポンプ36は、流動を結合部38を介して外部ヒートポンプに押し込む役割を果たす。
【0117】
電動化された3ポート弁32はまた、パイプ40から流体を受け取り、パイプ40は、結合部42を介して、家またはアパートの加熱インフラストラクチャ(例えば、放熱器)から戻る流体を受け取る。
【0118】
電動3ポート弁32とポンプ36との間には、3組の変換器、即ち、温度変換器44、流量変換器46および圧力変換器48が提供されている。加えて、ヒートポンプの出力から流体を取り込む温度変換器49がパイプ22内に提供されている。これらの変換器は、インターフェースユニット10内の他の全ての変換器と同様に、典型的にはインターフェースユニットの一部として提供されるが、別個のモジュールとして提供することができる図示しないプロセッサに操作可能に接続されるか、またはプロセッサによってアドレス指定可能である。
【0119】
図10には図示されていないが、追加の電気加熱素子を、結合器24の間の流路内に提供してもよく、結合器24は、ヒートポンプの出力から流体を受け取る。この追加の電気加熱素子は、誘導加熱素子または抵抗加熱素子であってもよく、ヒートポンプの潜在的な故障を補償する手段としてだけでなく、(たとえば、現在のエネルギコストおよび加熱および/または温水について予測されるエネルギに基づいて)蓄熱ユニットにエネルギを追加する際の可能な使用のためにも提供される。追加の電気加熱素子はまた、もちろん、システムのプロセッサによって制御可能である。
【0120】
また、パイプ34には膨張容器50が結合されており、膨張容器50には弁52が接続されており、弁52によって充填ループを加熱循環路内の流体に接続することができる。また、インターフェースユニットの加熱循環路の一部として、圧力リリーフ弁54、ノード20と入力側循環路14との中間、およびオプションとして(粒子状汚染物質を捕捉するための)ストレーナ56中間結合部42および3ポート弁32が示されている。
【0121】
熱交換器12はまた、少なくとも1つの温度変換器58を含む幾つかの変換器を備えているが、図示されているように、より多く(例えば、4つ以上まで)設けることが好ましく、圧力変換器60も備えている。図示の実施例において、熱交換器は、温度変化を確定することができるように(したがって、そのバルク全体にわたる相変化材料の状態についての知識を得ることができるように)相変化材料内に均一に分布された4つの温度変換器を含む。このような設備は、熱交換器の設計を最適化する手段として、追加の熱伝達設備を最適化することを含めて、設計/実施段階において特に有益である。しかし、複数のセンサを有することは、プロセッサおよびプロセッサ(単にインターフェースユニット、および/またはインターフェースユニットを含むシステムのプロセッサのいずれか)によって使用される機械学習アルゴリズムに有用な情報を提供することができるので、このような構成は、展開されたシステムにおいても引き続き有益である。
【0122】
次に、インターフェースユニット10の給冷水部および温水循環路の設備について説明する。結合部62は、水道本管からの給冷水部に接続するために設けられている。典型的には、水道本管からの水がインターフェースユニット10に到達する前に、水は、アンチサイフォン逆止め弁を通過し、その圧力を減少させることができる。結合部62から、冷水はパイプに沿って熱交換器12の出力側循環路16に流れる。インタフェースユニット内の多数のセンサを監視しているプロセッサを提供することを考えると、同じプロセッサにもう1つのタスクをオプションとして与えることができる。これは、主水供給部から冷水が送付される圧力を監視するためである。この目的のために、結合部62の上流、特に構内の任意の減圧設備の上流で、さらなる圧力センサを冷水供給ラインに導入することができる。次いで、プロセッサは、供給された水圧を連続的にまたは定期的に監視することができ、さらには、水道本管が法定最低圧力未満の圧力で水を供給する場合には、水供給会社に補償を求めるよう所有者/ユーザに促すことさえできる。
【0123】
出力側循環路16から、熱交換器を通過することによって加熱された水が、パイプ66に沿って電気加熱ユニット68に送られる。先に述べたプロセッサの制御下にある電気加熱ユニット68は、抵抗または誘導加熱設備を備え、その熱出力は、プロセッサからの命令に従って変調することができる。
【0124】
プロセッサは、相変化材料およびヒートポンプの状態に関する情報に基づいて、電気ヒーターを制御するように構成される。
【0125】
典型的には、電気加熱ユニット68は10kW以下の電力定格を有するが、状況によっては、より強力なヒータ、例えば12kWを設けることもできる。
【0126】
電気ヒーター68から、温水がパイプ70に沿って結合部74へと通過し、結合部74には、家庭またはアパートの蛇口およびシャワーなどの制御可能な放出口を含む温水循環路が接続される。
【0127】
温度変換器76が、電気ヒータ68の後に、例えば電気ヒータ68の放出口に提供されて、温水システムの放出口における水温に関する情報を提供する。圧力リリーフ弁77も温水供給部内に提供されており、これは電気ヒータ68と放出口温度変換器76との間に置かれるように示されているが、図10に示される多くの構成要素の場合に実際にそうであるように、その正確な位置は重要ではない。
【0128】
また、温水供給ラインのどこかには、圧力変換器79および/または流量変換器81があり、これらのいずれもプロセッサが温水の合図(call)を検出するために、すなわち、蛇口またはシャワーなどの制御可能な放出口の開放を検出するために使用することができる。流動変換器は、例えば、音波流検出または磁気流検出に基づく可動部品がないものであることが好ましい。次いで、プロセッサは、これらの変換器の一方または両方からの情報を、その保存された論理と共に使用して、ヒートポンプに信号を送って始動するかどうかを確定することができる。
【0129】
プロセッサは、ヒートポンプを要求して、空間加熱の需要に基づいて(例えば、プロセッサまたは外部コントローラのいずれかに保存されたプログラムに基づいて)、および/または、一つ又は複数のサーモスタットからの信号に基づいて(例えば、部屋統計、外部統計、床下加熱統計)、または温水の要求に基づいて始動することができることが理解されよう。ヒートポンプの制御は、単純なオン/オフコマンドの形態であってもよいが、変調(例えば、ModBus使用)の形態であってもよい。
【0130】
インターフェースユニットの加熱循環路の場合と同様に、給冷水パイプ64に沿って三つ組の変換器、即ち、温度変換器78、流動変換器80および圧力変換器82が設けられている熱交換器12の出力側循環路16の放出口と電気ヒータ68との中間のパイプ66内には、別の温度変換器84も提供されている。これらの変換器は全て前述のプロセッサに操作可能に接続されているか、またはアドレス可能である。
【0131】
また、冷水供給ライン64上には、磁気または電気式水調整器86、(すべての電動弁と同様に、前述のプロセッサによって制御されてもよい)電動および変調可能弁88、逆止め弁90、および膨張容器92が示されている。変調可能弁88は、冷水の流動を調節して、(たとえば、温度変換器76によって測定される)温水の所望の温度を維持するように制御することができる。
【0132】
弁94および96もまた、冷水および加熱水をそれぞれ貯蔵するための外部貯蔵タンクに接続するために提供される。最後に、二重逆止め弁98は、低温給水パイプ64を別の弁100に接続し、この弁100は、加熱循環路をより多くの水または水と腐食防止剤との混合物でチャージするために、先に述べた弁52に接続する充填ループと共に使用することができる。
【0133】
図10は交差する様々なパイプを示しているが、これらの交差がノード20のようなノードとして示されていない限り、交差して示されている2つのパイプは互いに連通しないことに留意されたい。
【0134】
図10には示されていないが、熱交換器12は、熱を蓄熱媒体に入れるように構成された一つ又は複数の追加的な電気加熱要素を含んでもよい。これは直感的ではないように見えるかもしれないが、以下に説明するように、経済的に意味があるときに、電気エネルギを使用して蓄熱媒体を予備チャージすることを可能にする。
【0135】
電力1単位当たりのコストが時間帯によって変動するような料金を課し、需要の増減を考慮に入れ、需要と供給能力のバランスを改善するために顧客の行動を形成することは、エネルギ供給会社の長年の慣行である。歴史的には、関税計画は発電と消費の両方の技術を反映して、かなり粗いものであった。しかし、太陽光発電(例えば、太陽電池、パネル、農場からの)や風力発電など、電力の再生可能エネルギ源の国々の発電ファブリックへの導入の増加は、エネルギのよりダイナミックな価格設定の開発に拍車をかけている。このアプローチは、このような天候依存型発電に固有の変動性を反映している。当初、このような動的な価格設定は大部分が大規模な使用者に限定されていたが、国内の消費者に対してますます動的な価格設定が提供されるようになっている。
【0136】
価格設定のダイナミズムの程度は国によって異なり、また、特定の国内の異なる生産者の間でも異なる。極端な例を挙げると、「動的な」価格設定は、1日の異なる時間帯に異なる関税を提供することに過ぎず、そのような関税は、変動のない週、月、または季節に適用される可能性がある。しかし、動的な価格体系の中には、供給者が1日以内の通知で価格を変更できるようにするものもあり、たとえば、顧客に対しては、今日、明日の30分間の価格を提示することができる。幾つかの国では6分という短い時間枠が提供されており、おそらく、エネルギ消費機器に「インテリジェンス」を含めることによって、来るべき関税を消費者に通知するためのリードタイムをさらに短縮することができる。
【0137】
短期および中期の気象予測を用いて、太陽光および風力発電設備によって生産される可能性のあるエネルギの量と、冷暖房に対する電力需要の可能性のある規模の両方を予測することが可能であるため、需要の極端な時期を予測することが可能になる。かなりの自然エネルギ発電容量を持つ発電会社の中には、電力に対してマイナスの充電を提供することさえ知られている--文字通り、余分な電力を使用するために顧客に支払う。より多くの場合、電力は通常の割合のわずかな割合で提示される。
【0138】
本開示によるシステムの熱交換器のようなエネルギ貯蔵ユニットに電気ヒータを組み込むことによって、消費者が低コスト供給の期間を利用し、エネルギ価格が高いときに電力への依存を低減することが可能になる。これは個々の消費者に利益をもたらすだけでなく、化石燃料な需要が化石燃料の燃焼によって満たされなければならないときに需要を減らすことができるので、より一般的にも有益である。
【0139】
インターフェースユニットのプロセッサは、インターネットなどのデータネットワークへの有線または無線接続(またはその両方)を有し、プロセッサがエネルギ供給者から動的価格情報を受信できるようにする。プロセッサはまた、ヒートポンプに命令を送るとともにヒートポンプから情報(例えば、状態情報および温度情報)を受信するために、ヒートポンプへのデータリンク接続(例えば、ModBus)を有することが好ましい。プロセッサは、それが家庭の行動を学習することを可能にする論理を有し、この動的な価格情報と共に、プロセッサは、加熱システムを予備充電するために安価な電気を使用するかどうか、またいつ使用するかを決定することができる。これは、熱交換器内側の電気要素を使用してエネルギ貯蔵媒体を加熱することによって行うことができるが、代替的には、ヒートポンプを通常よりも高い温度、例えば40~48℃ではなく60℃に駆動することによって行うこともできる。ヒートポンプの効率は高温で操作すると低下するが、これはプロセッサが安価な電力を使用する最適なタイミングと方法を決定する際に考慮することができる。
【0140】
システムプロセッサは、インターネットおよび/またはプロバイダのイントラネットなどのデータネットワークに接続可能であるため、ローカルシステムプロセッサは、外部コンピューティングパワーの恩恵を受けることができる。従って、たとえば、インターフェースユニットの製造業者は、たとえば、予測される;占有;活動;関税(短期/長期);天気予報(これは、一般に利用可能な天気予報よりも好ましい場合がある。なぜなら、それらは、ローカルプロセッサによって容易に使用するために前処理することができ、また、それらはまた、インターフェースユニットが設置される特性の状況、位置、露出に対して非常に特別に調整することができるからである);偽陽性および/または偽陰性の識別の計算のために計算能力が提供されるクラウド存在(またはイントラネット)を有する可能性がある。
【0141】
温水供給システムからの過熱水による火傷の危険から使用者を保護するために、火傷保護機能を提供することが賢明である。これは、熱交換器の出力循環路交換器の出力循環路から出るときに温水に混合するための電気的に制御可能な(変調可能な)弁を提供する形態をとることができる(追加の弁は、先に述べた既存の弁94および96のノードの間に装着することができる)。
【0142】
図10は、インターフェースユニットの「作動部」と考えられるものを概略的に示しているが、これらの「作動部」の容器は示していない。本開示によるインターフェースユニットの重要な用途は、ヒートポンプが、以前にガス燃焼複合ボイラを備えていた(またはそうでなければそのようなボイラが設置されていたかもしれない)住居の暖房および温水要求に対する実際的な寄与物として使用されることを可能にする手段としてのものであり、従来の複合ボイラの場合と同様に、美観および安全性の両方のために容器を提供することがしばしば便利であることが理解されるであろう。さらに、任意のそのような容器は、複合ボイラの直接交換を可能にするフォームファクタ内に適合するように寸法決めされることが好ましく、複合ボイラは、典型的には壁に装着され、しばしばキッチンキャビネットと共存するキッチンにある。高さ、幅および深さを有する一般的に長方形の立方形の形状に基づいて(もちろん、美学、人間工学または安全のために、湾曲した表面を容器の任意のまたは全ての表面に使用してもよい)、適切なサイズ(高さ650mmから800mm;幅350mmから550mm;深さ260mmから420mm)をおおよその範囲で見つけることができ、たとえば、高さ800mm、幅500mm、深さ400mmであるが、より大きく、特に高いユニットが、それらを収容することができる用途で使用するために提供されてもよい。
【0143】
ガス複合ボイラに関する開示によるインターフェースユニットの1つの顕著な区別は、後者の容器は一般にスチールのような不燃性材料で作られなければならないが、高温燃焼室の存在により、インターフェースユニットの内部温度は一般に100℃よりもかなり低く、典型的には70℃よりも低く、しばしば60℃よりも低い。したがって、インターフェースユニット用の容器を製作する際に、木材、竹、さらには紙のような可燃性材料を使用することが実用的になる。
【0144】
燃焼がないことはまた、一般的にはガス複合ボイラの設置に適しているとは考えられないであろう場所にインターフェースユニットを設置する可能性を開き、そしてもちろん、ガス複合ボイラとは異なり、開示によるインターフェースユニットは、排気ガスのための煙道を必要としない。したがって、たとえば、キッチンワークトップの下に設置するためのインタフェースユニットを構成することが可能となり、また、アンダーカウンタコーナーに代表される悪名高いデッドスポットを利用することも可能となる。このような場所に設置するために、インターフェースユニットは、好ましくはキッチンキャビネットの製造業者との共同作業を通じて、実際に補助食器棚に統合することができる。しかし、展開のための最大の柔軟性は、ある形態のキャビネットの背後に効果的に位置されるインターフェースユニットを有することによって維持され、キャビネットは、インターフェースユニットへのアクセスを可能にするように構成される。インターフェースユニットは、循環ポンプ36が入力側循環路の流路から分離される前に、循環ポンプ36が熱交換器12から滑り出して離れることができるように構成されることが好ましい。
【0145】
また、適合されたキッチンでしばしば無駄にされる他の空間、すなわちカウンター下の食器棚の下の空間を利用することも考慮することができる。高さが150mmを超え、深さが約600mmで、幅が300、400、500、600mm以上の空間があることがよくある(ただし、キャビネットを支える脚には余裕を持たせる必要がある)。特に新しい施設の場合、または複合ボイラがキッチン改装と共に交換される場合、これらの空間を少なくともインターフェースユニットの熱交換器を収容するために使用するか、または所与のインターフェースユニットに対して2つ以上の熱交換器ユニットを使用することが理にかなっている。
【0146】
特に、壁付けのために設計されたインターフェースユニットに対しては、インターフェースユニットの用途がどのようなものであっても潜在的に有益であるが、複数のモジュールとしてインターフェースユニットを設計することがしばしば望ましい。このような設計では、相変化材料の存在によって熱交換器だけで25kg以上の重量が生じる可能性があるため、熱交換器をモジュールの1つとして有することが好都合である。健康および安全の理由から、また1人での設置を容易にするために、インターフェースユニットが、重量が約25kgを超えないモジュールのセットとして送付されることを保証することが望ましい。
【0147】
このような重量制約は、モジュールの1つを、インターフェースユニットを構造体に装着するためのシャーシとすることによってサポートすることができる。たとえば、インターフェースユニットを既存のガス複合ボイラの代わりに壁に装着する場合、他のモジュールを支持するシャーシを最初に壁に固定することができれば便利である。好ましくは、シャーシは、交換される複合ボイラを支持するために使用される既存の固定点の位置と協働するように設計される。これは、一般的なガス複合ボイラの間隔および位置に従って予め形成された固定孔を有する「ユニバーサル」シャーシを提供することによって、潜在的に可能である。あるいは、それぞれが特定の製造業者のボイラの位置/サイズ/間隔に適合するように穴の位置/サイズ/間隔を有する一定範囲のシャーシを生成することは、費用効果的である。次に、正しいシャーシを指定して、該当する製造業者のボイラを交換するだけである。このアプローチには複数の利点がある。固定ボルトを取るためにプラグに更に穴を開ける必要性を回避し、これは、印をつけ、穴を開け、きれいにするために必要な時間を排除するだけでなく、設置が行われる住居の構造をさらに弱める必要性を回避する。これは、「スターターホーム」および他の低コストの住居でしばしば使用される低コストの建設技術および材料を考慮すると、重要な考慮事項となり得る。
【0148】
好ましくは、熱交換器モジュールおよびシャーシモジュールは互いに結合するように構成される。このようにして、分離可能な固定具の必要性を回避することが可能であり、これもまた、設置時間を節約する。
【0149】
好ましくは、追加のモジュールは、熱交換器12の出力側循環路16を建物内温水システムに結合するために、第1の相互接続、例えば62および74を含む。好ましくは、追加モジュールはまた、熱交換器12の入力側循環路14をヒートポンプに結合するための第2の相互接続部、例えば38および24を含む。好ましくは、追加モジュールはまた、インターフェースユニットを使用される構内の熱循環路に結合するために、第3の相互接続、例えば42および28を含む。熱交換器自体が壁に直接接続されているシャーシに熱交換器を装着することによって、最初にシャーシに接続部を装着するのではなく、熱交換器の重量が壁により近く維持され、インターフェースユニットを壁に固定する壁固定具に対する片持ち梁の負荷効果を低減することが理解されるであろう。
【0150】
相変化材料
【0151】
相変化材料の1つの適切なクラスは、家庭用温水供給部の為に、更に、ヒートポンプと組み合わせて使用する為に、関心のある温度で固液相変化を有するパラフィンワックスである。特に興味深いのは、40~60℃の範囲の温度で溶融するパラフィンワックスであり、この範囲内では、特定の用途に適合するように異なる温度で溶融するワックスを見出すことができる。典型的な潜熱容量は約180kJ/kg~230kJ/kgであり、比熱はおそらく液相では2.27Jg-1-1、固相では2.1Jg-1-1である。融解の潜熱を利用して、かなりの量のエネルギを貯蔵できることがわかる。相変化液体をその融点以上に加熱することによって、より多くのエネルギを貯蔵することもできる。たとえば、電力コストが比較的低く、温水がまもなく必要になると予測できる場合(電力コストが高くなる可能性が高い、または高くなることが分かっている場合)、通常よりも高い温度でヒートポンプを作動させて熱エネルギ貯蔵部を「過熱」させることは理にかなっている。
【0152】
ワックスの適切な選択は、n-トリコサンC23又はパラフィンC20-C33のような約48℃の融点を有するものであってよい。(ヒートポンプによって供給される液体と熱交換器内の相変化材料との間の)熱交換器全体にわたる標準的な3Kの温度差を適用すると、約51℃のヒートポンプ液体温度が得られる。同様に、出力側では、3Kの温度低下を許容して、一般的な家庭用温水には満足できる45℃の水温に到達するが、これは、台所の蛇口には十分な高温であるが、シャワー/バスルームの蛇口には少し高い可能性がある。しかし、明らかに冷水を流動に追加して水温を下げることができる。もちろん、家庭がより低い温水温度を受け入れるように訓練されている場合、またはそれらが何らかの他の理由で受け入れられる場合には、潜在的に、より低い融点を有する相変化材料が考慮されてもよいが、一般に、45~50の範囲の相転移温度が良好な選択である可能性が高い。明らかに、このような温度で水を貯蔵することによるレジオネラ菌の危険性を考慮に入れたいと思うであろう。
【0153】
ヒートポンプ(たとえば、接地ソースまたは空気ソースヒートポンプ)は、最高60℃の操作温度を有するが(冷媒としてプロパンを使用することによって、最高72℃の操作温度が可能であるが)、それらの効率は、45~50℃の範囲の温度で動く場合にはるかに高くなる傾向がある。したがって、48℃の相転移温度からの我々の51℃は満足できる可能性が高い。
【0154】
ヒートポンプの温度性能についても考慮する必要がある。一般に、最大T(ヒートポンプによって加熱される流体の入力温度と出力温度との間の差)は、好ましくは5~7℃の範囲に維持されるが、10℃ほど高くすることもできる。
【0155】
パラフィンワックスは、エネルギ貯蔵媒体として使用するのに好ましい材料であるが、それらだけが適切な材料ではない。また、塩水和物は潜熱蓄熱システムにも適している。この文脈における塩水和物は無機塩と水の混合物であり、相変化にはそれらの水の全てまたは大部分の喪失が含まれる。相転移において、水和物結晶は無水(またはそれ以下の水)塩と水に分けられる。塩水和物の利点は、パラフィンワックスよりもはるかに高い熱伝導率(2~5倍)を有し、相転移に伴う体積変化がはるかに小さいことである。本出願に適した塩水和物は、Na. 5HOであり、これは約48~49℃の融点および200/220kJ/kgの潜熱を有する。
【0156】
単にエネルギ貯蔵に関しては、40~50℃の範囲を有意に超える相転移温度を有するPCMを使用することも考慮される。たとえば、パラフィンワックス、広範囲の融点を有するワックスが入手可能である:
融点が約40℃であるn-ヘニコサンC24
融点が約44.5℃であるn-ドコサンC21
融点が約52℃であるn-テトラコサンC23
融点が約54℃であるn-ペンタコサンC25
融点が約56.5℃であるn-ヘキサコサンC26
融点が約59℃であるn-ヘプタコサンC27
融点が約64.5℃であるn-オクタコサンC28
融点が約65℃であるn-ノナコサンC29
融点が約66℃であるn-(triacosane)トリアコサンC30
融点が約67℃であるn-ヘントリアコサン(hentriacosane)C31
融点が約69℃であるn-ドトリアコサン(dotriacosane)C32
融点が約71℃であるn-トリアトリアコサン(triatriacosane)C33
融点が58~60℃のパラフィンC22-C45
融点が66~~68℃であるパラフィンC21-C50
融点が6971℃程度のRT70HC。
【0157】
あるいは、融点が約58℃であり、潜熱が226/265kJ/kgであるCHCOONa.3HO-のような塩水和物を使用してもよい。
【0158】
これまでのところ、熱エネルギ貯蔵部は、それぞれが一つ又は複数のコイルまたはループの形態の入力循環路および出力循環路を有する熱交換器内に単一質量の相変化材料を有するものとして主に説明されてきた。しかし、(好ましくは家庭用温水システムに温水を提供するために使用される)出力循環路が熱を抽出する熱伝達液によって囲まれた複数の密封体、たとえば金属(例えば銅または銅合金)シリンダ(または他の細長い形態)内に相変化材料を封入することは、熱伝達速度の点で有益である。
【0159】
このような構成において、熱伝達液体は、熱交換器内に密閉されてもよいし、より好ましくは、熱伝達液体は、エネルギ貯蔵部を通って流れてもよく、また、エネルギ貯蔵部の入力熱伝達コイルを使用することなく、グリーンエネルギ源(例えば、ヒートポンプ)から熱を伝達する熱伝達液体であってもよい。このようにして、入力循環路は、単純に1つ(またはより一般的には複数)の注入口および一つ又は複数の放出口によって提供されてもよく、その結果、熱伝達液体は、コイルまたは他の通常の導管によって閉じ込められることなく、熱交換器を自由に通過し、熱伝達液体は、封入されたPCMに熱を伝達するか、または封入されたPCMから熱を伝達し、次いで、出力循環路に(したがって、放出循環路内の水に)熱を伝達する。このようにして、入力循環路は、熱伝達液のための一つ又は複数の注入口および一つ又は複数の放出口、ならびに封入されたPCMを通りエネルギ貯蔵部を通る自由形式経路によって規定される。
【0160】
好ましくは、PCMは、一つ又は複数の間隔を置いて配置された複数の細長い閉じた端部のパイプ(例えば、互い違いに配置されたパイプ列であって、各列は複数の間隔を置いて配置されたパイプを含むもの)内に封入され、熱伝達流体は、注入口から放出口への経路上で、または入力コイルが使用される場合には熱エネルギ貯蔵部内に提供された一つ又は複数の羽根車によって向けられるように、パイプ上を横断方向に(またはパイプまたは他の封入エンクロージャの長さに対して横断方向に)流れるように配置されるのが好ましい。
【0161】
任意選択的に、出力循環路は、エネルギ貯蔵部の最上部に配置され、封入されたPCMの上方に位置するように構成されてもよく、その容器は、水平に配置され、入力ループまたはコイルの上方に(対流がエネルギ貯蔵部を通って上方へのエネルギ伝達を支持するように)配列されてもよく、または封入されたPCMに対して入熱伝達液体の注入口方向を有し、任意選択的に上の出力循環路に向かって配置されてもよい。一つ又は複数の羽根車が使用される場合、好ましくは、エネルギ貯蔵器のエンクロージャの完全性が損なわれないように、または各羽根車は、外部に取り付けられたモータに磁気的に結合される。
【0162】
任意選択的に、PCMは、20~67mm、例えば22mm、28mm、35mm、42mm、54mm、または67mmの範囲の公称外径を有する、典型的には円形横断面の細長い管内に封入することができ、典型的には、これらの管は、配管用に適した銅で形成される。好ましくは、パイプは22mmから54mm、例えば28mmから42mmの外径である。
【0163】
熱伝達液は、好ましくは水または流動添加剤、腐食防止剤、不凍液、殺生物剤の一つ又は複数と混合された水などの水ベースの液体であり、たとえば、適切に水で希釈されたセンティネルX100またはFernox F1(両方ともRTM)などの中央加熱システムで使用するように設計されたタイプの抑制剤を含むことができる。
【0164】
したがって、本出願の明細書および特許請求の範囲を通して、入力循環路という表現は、文脈が明らかに他のものを要求しない限り、上記のように、入力循環路の入力からその出力への液体流の経路が規則的な導管によって規定されず、むしろエネルギ貯蔵部のエンクロージャ内で実質的に自由に流れる液体を含む設備を含むと解釈されるべきである。
【0165】
PCMは、円形またはほぼ円形の横断面を有する複数の細長いシリンダ内に封入することができ、これらのシリンダは、好ましくは一つ又は複数の列に間隔を置いて配置される。好ましくは、隣接する列のシリンダは、熱伝達液からの熱伝達を促進するために互いにオフセットされている。任意選択的に、複数の入力ノズルの形態とすることができる一つ又は複数の入力ポートによって、伝熱液体が封入体の周りの空間に導入され、入力マニホルドによって給水される封入体に向かって及び上に入力熱伝達液体を導く入力設備が提供される。それらの出力におけるノズルのボアは、一般的に横断面が円形であってもよく、または、より効果的に封入されたPCMに熱を伝達する液体の噴射または流れを生成するために細長いものであってもよい。マニホールドは、流量を増加させ、圧力損失を低減する目的で、単一端部から給水されてもよいし、対向端部から給水されてもよい。
【0166】
グリーンエネルギ源のポンプ(例えば、ヒートポンプまたは太陽熱温水システム)、または別のシステムポンプの作用の結果として、熱伝達液体をエネルギ貯蔵部12にポンプで送ることができ、または熱エネルギ貯蔵部はそれ自身のポンプを含むことができる。入力循環路の一つ又は複数の放出口でエネルギ貯蔵部から出た後、熱伝達液体は、直接エネルギ源(例えば、ヒートポンプ)に戻ることができ、または一つ又は複数の弁を使用して、最初に加熱施設(例えば、床下加熱、放熱器、または他の形態の暖房)に移動してからグリーンエネルギ源に戻るように、切り換え可能であってもよい。
【0167】
封入体は、出力循環路のコイルが封入体の上方および覆って位置するように水平に配列されてもよい。これは、多くの可能な配置および配向のうちの1つにすぎないことが理解されるであろう。同様の構成は、垂直に配置された封入体に対しても同様に良好に配置することができる。
【0168】
代替的に、PCM封入を使用するエネルギ貯蔵部は、前述したもののような円筒形の細長い封入体を再び使用することができるが、この場合、たとえば、コイル形態のような導管形態の入力循環路を使用する。封入体は、それらの長軸が垂直に配列され、入力コイル14および出力コイル18がエネルギ貯蔵部12のいずれかの側に配列されるように配置されてもよい。しかし、この設備もまた、底部の入力循環路および最上部の出力循環路、ならびに長軸が水平に配列された封入体などの別の配向で使用することができる。好ましくは、一つ又は複数の羽根車がエネルギ貯蔵部12内に配置されて、エネルギ伝達液体を入力コイル14の周囲から封入体に向かって推進する。その羽根車または各羽根車は、好ましくは、磁気駆動システムを介して、外部に装着された駆動ユニット(たとえば、電気モータ)に結合され、その結果、エネルギ貯蔵部12のエンクロージャは、駆動シャフトを受け入れるために穿孔される必要がなく、それによって、そのようなシャフトがエンクロージャに入る場合の漏れの危険性を低減する。
【0169】
PCMが封入されているという事実により、エネルギ貯蔵のために2つ以上の相変化材料を使用するエネルギ貯蔵部を構成することが容易に可能となり、特に、異なる転移(例えば、溶融)温度を有するPCMを組み合わせることができ、それによってエネルギ貯蔵部の操作温度を拡大することができるエネルギ貯蔵ユニットを創設することが可能となる。
【0170】
前述したタイプの実施形態において、エネルギ貯蔵部12は、エネルギを潜熱として貯蔵するための一つ又は複数の相変化材料を熱伝達液(例えば、水または水/抑制剤溶液)と組み合わせて含むことが理解されるであろう。
【0171】
相変化材料の相変化によって引き起こされる圧力の増加に応答して体積を減少させ、相変化材料の逆の相変化によって引き起こされる圧力の減少に応答して再び膨張させるように構成された複数の弾性体は、封入体内に相変化材料を備えることが好ましい(これらはまた、本明細書の他の箇所に記載されているように、「バルク」PCMを使用するエネルギバンクにおいて使用されてもよい)。
【0172】
さらに別の態様によれば、本開示は、複数の制御可能な温水放出口を有する温水供給施設を構成する方法を提供し、この施設は、制御可能な流出温度を有する放出口を有する温水源と、温水源の放出口と複数の制御可能な温水放出口との間の温水流路に、流量測定デバイスおよび少なくとも1つの流動調節器と、前記流出温度を検出する第1の温度センサと、前記流量測定デバイス、前記第1の温度センサ、および前記少なくとも1つの流動調節器に操作可能に接続されるプロセッサと、を含み、この方法は、第1の制御可能な温水放出口の流出路に出口温度センサを設置するステップと、制御可能な第1の温水放出口からの水が放出口温度センサに衝突するように、制御可能な第1の温水放出口を開放するステップと、放出口温度センサを用いて、制御可能な第1の温水放出口からの水の温度の時間変動を監視することによってデータを発生させるステップと、プロセッサにデータを供給するステップと、プロセッサを使用して、制御可能な第1の温水放出口の開放時間に関するタイミング情報、データ、および第1の温度センサからの情報を処理するステップであって、温水源の流出温度を制御するための第1のパラメータを確定し、任意で少なくとも1つの流動調節器を制御して、プロセッサがその後に制御可能な第1の温水放出口の操作を検出したときに使用する、ステップと、を含む。
【0173】
この方法はさらに、放出口温度センサを制御可能な第2の温水放出口の流出路に設置することによって、複数の制御可能な第2の温水放出口の対応するデータを生成するステップと、制御可能な第2の温水放出口からの水が放出口温度センサ上に落下するように、制御可能な第2の温水放出口を開放するステップと、放出口温度センサを用いて、制御可能な温水放出口の第2の放出口からの水の温度の時間に対する変動を監視することによって、第2のデータを発生させるステップと、第2のデータをプロセッサに供給するステップと、プロセッサを使用して、制御可能な第2の温水放出口の開放時間に関するタイミング情報、第2のデータ、および第1の温度センサからの情報を処理するステップであって、プロセッサがその後に制御可能な第2の温水放出口の操作を検出したときに使用する温水源の流出温度を制御する第2のパラメータを決定する、ステップと、を含む。
【0174】
本出願は、多くの側面がより広い適用可能性を有する場合であっても、一般に共通の一連の問題に基づいて、多くの自明に相互に関連する側面および実施形態を含む。特に、論理および制御方法は、必ずしも開示されたハードウェアで操作することに限定されず、より広く適用されてもよいが、全てが、様々なハードウェア態様のハードウェアおよびその好ましい変形例を用いて作業するのに特に適している。特定の態様が他の特徴の特定の例に関連し、特定の態様において記載または主張される好ましい特徴が他に適用可能であることは、当業者には理解されるであろう。開示は、相互運用性の全ての点において明示的な言及がなされるならば、管理不可能に長くなるであろうが、当業者は、任意の態様の好ましい特徴が、他に明示的に記載されていない限り、または文脈から明らかに不適切でない限り、任意の他のものに適用されてもよいことを理解することが期待され、かつこれによって理解するよう明示的に指示される。繰り返しを避けるために、多くの態様および概念は、方法形式またはハードウェア形式でのみ記述されてもよいが、対応する装置またはコンピュータプログラムまたはロジックは、装置の検討の場合には、方法の場合に開示されたように又はハードウェアを操作させる方法の場合に開示されたように解釈されるべきである。上記によって意味されるものの実施例として、流体ベースの(典型的には空気源)ヒートポンプと相変化材料との組み合わせ、ならびに電気補助加熱素子およびプロセッサによる制御(ユニット内または遠隔またはその両方)に関連するハードウェアおよびソフトウェアの両方の多くの特徴がある。これは好ましい用途であるが、大部分の方法およびハードウェアは、より一般的には、他のヒートポンプ(熱電および接地ソース)および他の再生可能エネルギ源(例えば、ソーラーアレイ用のポンプ)ならびに代替補助加熱(ガスボイラなどの燃焼ヒータのより好ましくない設備、又はより効率の低い高温低COPヒートポンプを含む)および代替蓄熱(多温度蓄熱アレイを含む)に適用可能である。さらに、構成要素のいずれかに特定の設備を与える態様、またはそれらの相互作用は、システムの代替要素に焦点を当てた態様を用いて自由に使用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2024-01-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱器具を含む源から、前記加熱器具から離れた複数の水放出口への加熱水の供給を制御する方法であって、前記方法はプロセッサにより実行され、前記方法は、
第1の水放出口からの水の需要を検出し、前記第1の水放出口に関連する可能性が高い需要を識別し、前記第1の水放出口に関連する第1の目標水温値に、水が供給される温度に対する目標水温を設定するステップと、
第2の水放出口からの水の需要を検出し、前記第2の水放出口に関連する可能性が高い需要を識別し、前記第2の水放出口に関連する第2の目標水温値に、水が供給される前記目標水温を再設定するステップと、
を含み、
前記第1の放出口および第2の放出口のそれぞれに関連付けられた需要の識別は、それぞれの流動特性に基づき、
前記プロセッサを使用して前記加熱器具からの加熱水と、異なる温度の水との混合を制御し、前記第1の目標水温値または第2の目標水温値で水の供給を提供し、
前記需要の識別は、前記放出口に関連付けられた追加情報を取得する工程を含み、前記追加情報は、前記放出口の場所に関連する電気需要または占有信号から導かれる、方法。
【請求項2】
前記加熱器具を制御して、加熱水が前記加熱器具から供給される温度を調節するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記流動特性は、最大流量および/または所定の流量への流動の変化率の少なくとも1つを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
複数の放出口に関連する可能性が高い需要を検出し、前記目標水温を第3の目標水温値に設定するステップを更に含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第3の目標水温値は、識別された可能性のある水放出口に関連付けられた最も低い目標水温値である、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記第3の目標水温値は、識別された可能性のある水放出口の目標水温値の中間の温度である、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記加熱器具は家庭用温水供給システムの一部であり、前記加熱器具は、潜熱の形でエネルギを貯蔵するための大量の相変化材料を含むエネルギ貯蔵設備と、前記温水システムとヒートポンプとの間に結合される熱交換器と、システムコントローラとを含み、
前記システムコントローラは、流量測定デバイスからの情報および前記エネルギ貯蔵設備の状態に関する情報を受信するように構成され、前記システムコントローラは、複数の制御可能な温水放出口のいずれかの開放を感知し、感知された温水流量および前記エネルギ貯蔵設備の状態に基づいて、前記ヒートポンプに始動信号を提供するか否かを確定するように構成される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記システムコントローラは、
前記ヒートポンプから状態情報を受信し、
前記ヒートポンプに始動信号を提供するかどうかを確定する際に、ヒートポンプの状態情報を使用するように構成される、請求項に記載の方法。
【請求項9】
複数の制御可能な温水放出口を有する家庭用温水供給施設であって、前記施設は、
制御可能な流出温度を有する放出口を備えた温水源と、
前記温水源と前記複数の制御可能な温水放出口との間の水流に関するデータを提供する流量測定デバイスと、
前記流出温度を検出する第1の温度センサと、
流動データを放出口識別子にリンクし、前記複数の制御可能な温水放出口のそれぞれをそれぞれの目標温度に関連付けるパラメータを保存するメモリと、
前記メモリ、前記流量測定デバイス、および第1の温度センサに操作可能に接続されたプロセッサと、
を含み、
前記プロセッサは、
前記複数の制御可能な温水放出口のうちの1つが開放された場合に、前記複数の制御可能な温水放出口のうちの何れが開放されたかを、それぞれの流動特性に基づいて確定し、次いで、前記確定に基づいて、前記制御可能な温水放出口のうちの確定された1つについて記憶されたパラメータに従って、第1の目標温度に対して前記温水源の前記流出温度を制御し、
前記複数の制御可能な温水放出口のうちの別のものが開放された場合には、
前記複数の制御可能な温水放出口のうちの別のものが開放されたかを、それぞれの流動特性に基づいて確定し、前記確定に基づいて、前記制御可能な温水放出口のうちの確定された別のものについて記憶されたパラメータに従って、前記温水源の前記流出温度を第2の目標温度に対して制御するように構成され
前記プロセッサは、加熱器具からの加熱水と、異なる温度の水との混合を制御して、前記第1の目標水温または第2の目標水温で水の供給を提供することにより、前記温水源の前記流出温度を制御するように構成され、
前記プロセッサは、追加情報を取得することにより前記需要を識別するように更に構成され、前記追加情報は、前記放出口の場所に関連する電気需要または占有信号から導かれる、温水供給施設。
【請求項10】
前記施設が、大量の相変化材料と、前記温水システムおよびヒートポンプの間に結合された熱交換器と、システムコントローラとを含むエネルギ貯蔵設備を含み、
前記プロセッサが、
前記流量測定デバイスからの情報および前記エネルギ貯蔵設備の状態に関する情報を受信し、
複数の制御可能な温水放出口のいずれかの開口を感知し、感知された温水流量およびエネルギ貯蔵設備の状態に基づいて、前記ヒートポンプに始動信号を提供するかどうかを確定するように構成される、請求項に記載の温水供給施設。
【請求項11】
前記プロセッサが、
前記ヒートポンプから状態情報を受信し、
前記ヒートポンプに始動信号を提供するかどうかを確定する際に、ヒートポンプの状態情報を使用するように構成される、請求項10に記載の温水供給施設。
【請求項12】
前記エネルギ貯蔵設備および前記温水源の前記放出口の間の前記流路内に瞬間湯沸器を更に備え、前記瞬間湯沸器は前記プロセッサによって制御される、請求項10又は11に記載の温水供給施設。
【請求項13】
前記プロセッサは、前記エネルギ貯蔵設備および前記ヒートポンプが十分な温水を提供することができない場合にのみ、前記瞬間湯沸器を作動させるように構成される、請求項12に記載の温水供給施設。
【請求項14】
前記プロセッサは、前記相変化材料および前記ヒートポンプの状態に関する情報に基づいて、前記瞬間湯沸器を制御するように構成される、請求項13に記載の温水供給施設。
【請求項15】
前記プロセッサは、前記瞬間湯沸器、前記ヒートポンプ、および前記相変化材料からのエネルギの使用を管理してエネルギ消費を低減する論理部を備える、請求項12~14のいずれか一項に記載の温水供給施設。
【請求項16】
前記プロセッサは、前記エネルギ貯蔵設備に、次いで、前記ヒートポンプに依存して十分な温水を供給するように構成される、請求項10~15のいずれか一項に記載の温水供給施設。
【国際調査報告】