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特表2024-509742相挙動を有するタンパク質を含む融合タンパク質
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-05
(54)【発明の名称】相挙動を有するタンパク質を含む融合タンパク質
(51)【国際特許分類】
   C07K 19/00 20060101AFI20240227BHJP
   C07K 1/14 20060101ALI20240227BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20240227BHJP
   C07K 1/02 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
C07K19/00 ZNA
C07K1/14
C12N15/12
C07K1/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023549080
(86)(22)【出願日】2022-02-18
(85)【翻訳文提出日】2023-10-11
(86)【国際出願番号】 US2022070727
(87)【国際公開番号】W WO2022178537
(87)【国際公開日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】63/151,524
(32)【優先日】2021-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】591163214
【氏名又は名称】ドナルドソン カンパニー,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルギンブール, ケリー エム.
(72)【発明者】
【氏名】デュリッキー, マイケル
【テーマコード(参考)】
4H045
【Fターム(参考)】
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045BA50
4H045CA40
4H045FA70
4H045FA72
4H045FA74
4H045GA45
(57)【要約】
第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドを含む融合タンパク質が本明細書で提供され、この第2のポリペプチドは、相挙動を有する。第1のポリペプチドは、治療上、美容上、及び/又は産業上重要なポリペプチドなど、望ましい生物学的活性を有するポリペプチドであり得る。第1のポリペプチドの相挙動を有するポリペプチドへの融合は、その精製を促進し、発現中、保存中、又はタンパク質のアンフォールディングする、分解する、又はミスフォールディングすることが知られている様々な条件への曝露後に第1のポリペプチドを安定化させるのにも役立ち得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のポリペプチドを安定化させる方法であって、前記第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドを含む融合タンパク質を発現させるステップを含み、前記第2のポリペプチドが、相挙動を有するポリペプチドであり、前記融合タンパク質が、前記第1のポリペプチドを不安定化させることになる1つ又は複数の条件に曝露されても、前記第1のポリペプチドがその活性を実質的に保持する、方法。
【請求項2】
第1のポリペプチドをアンフォールディングする、分解する、及び/又はミスフォールディングする1つ又は複数の条件への曝露後、前記第1のポリペプチドの活性の喪失を実質的に防止する方法であって、前記第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドを含む融合タンパク質を発現させるステップを含み、前記第2のポリペプチドが、相挙動を有するポリペプチドである、方法。
【請求項3】
第1のポリペプチドのアンフォールディング、分解、及び/又はミスフォールディングを実質的に防止する方法であって、前記第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドを含む融合タンパク質を発現させるステップを含み、前記第2のポリペプチドが、相挙動を有するポリペプチドであり、前記融合タンパク質が、アンフォールディング、分解、及び/又はミスフォールディングを引き起こすことになる1つ又は複数の条件に曝露される、方法。
【請求項4】
第1のポリペプチドの収量を向上させる方法であって:
(i)前記第1のポリペプチド及び相挙動を有する第2のポリペプチドを含む融合タンパク質を発現させるステップ;並びに
(ii)前記第1のポリペプチドを前記第2のポリペプチドから分離するステップを含み、
前記第1のポリペプチドの収量が、融合タンパク質として発現されない場合の前記第1のポリペプチドの収量と比較して、前記融合タンパク質として発現される場合に向上する、方法。
【請求項5】
前記融合タンパク質を前記条件から除外するステップ、及び前記第1のポリペプチドを前記第2のポリペプチドから切断するステップを含み、前記第1のポリペプチドが、前記条件に曝露されていない対照の第1のポリペプチドと比較してその活性を保持する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のポリペプチドをアンフォールディングする、分解する、ミスフォールディングする、又は不安定化させる前記1つ又は複数の条件が:酸化剤への曝露、凍結乾燥、非生理的pHへの曝露、カオトロピック剤への曝露、少なくとも50℃の温度への曝露、有機溶媒への曝露、尿素への曝露、洗剤への曝露、オートクレーブへの曝露、凍結融解サイクル、熱ショック、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1、2、又は5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のポリペプチドをアンフォールディングする、分解する、ミスフォールディングする、又は不安定化させる前記1つ又は複数の条件が:非生理的pHへの曝露を含む、請求項1、2、5、又は6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
非生理的pHへの曝露が、酸への曝露である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記酸が、塩酸グアニジンである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
非生理的pHへの曝露が、塩基への曝露である、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記塩基が、水酸化ナトリウム又は尿素である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のポリペプチドをアンフォールディングする、分解する、ミスフォールディングする、又は不安定化させることが知られている前記1つ又は複数の条件が、塩酸グアニジンへの曝露、尿素への曝露、凍結乾燥、凍結融解サイクル、オートクレーブ処理、水酸化ナトリウムへの曝露、又は少なくとも90℃の温度への曝露である、請求項6に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のポリペプチドをアンフォールディングする、分解する、ミスフォールディングする、又は不安定化させることが知られている前記1つ又は複数の条件が、0.1M NaOHへの曝露である、請求項1、2、5、又は6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記第1のポリペプチドをアンフォールディングする、分解する、ミスフォールディングする、又は不安定化させることが知られている前記1つ又は複数の条件が、0.1M NaOHへの30分間の曝露である、請求項1、2、5、6、又は13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のポリペプチドをアンフォールディングする、分解する、又は不安定化させることが知られている前記1つ又は複数の条件が、6M塩酸グアニジンへの曝露である、請求項1、2、5、又は6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記第1のポリペプチドをアンフォールディングする、分解する、ミスフォールディングする、又は不安定化させることが知られている前記1つ又は複数の条件が、6M塩酸グアニジンへの30分間の曝露である、請求項1、2、5、6、又は15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記第1のポリペプチドをアンフォールディングする、分解する、ミスフォールディングする、又は不安定化させることが知られている前記1つ又は複数の条件が、少なくとも95℃に加熱することである、請求項1、2、5、又は6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記条件が、熱ショックであり、前記熱ショックが:
前記第1のポリペプチドを含む前記融合タンパク質を95℃に30分間加熱すること;
前記融合タンパク質を含む容器を氷上に置くこと;次いで
前記融合タンパク質を室温に戻すことを含む、請求項1、2、5、又は6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記第1のポリペプチドを含む前記融合タンパク質が、前記1つ又は複数の条件に約15分間、約30分間、約45分間、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、約12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、約22時間、約23時間、又は約24時間曝露される、請求項1、2、又は5~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記1つ又は複数の条件への曝露が、少なくとも約30分間行われる、請求項1、2、又は5~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記1つ又は複数の条件への曝露が、約30分間~約12時間、約30分間~約11時間、約30分間~約10時間、約30分間~約9時間、約30分間~約8時間、約30分間~約7時間、約30間分~約6時間、約30分間~約5時間、約30分間~約4時間、約30分間~約3時間、約30分間~約2時間、又は約30分間~約1時間行われる、請求項1、2、6~10、13、15、又は17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記第1のポリペプチドの前記活性が、前記第1のポリペプチドの結合パートナーに対するその親和性である、請求項1、2、又は5~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記第1のポリペプチドが酵素であり、前記活性がkcatである、請求項1、2、又は5~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記第1のポリペプチドの前記活性が、前記条件の1つ又は複数への曝露後、対照と比較して35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、3%未満、2%未満、又は1%未満喪失し、前記対照が、前記第1のポリペプチドをアンフォールディングする、分解する、又は不安定化させることが知られている条件に曝露されていない、請求項1、2、又は5~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記第1のポリペプチドが、前記条件の1つ又は複数への曝露後、対照と比較してその活性の65%~100%を保持する、請求項1、2、又は5~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記第1のポリペプチドが、前記条件の1つ又は複数への曝露後、対照と比較してその活性の少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%を保持する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記第1のポリペプチドの前記活性が、前記条件の1つ又は複数への曝露後、対照と比較して20%未満又は25%未満喪失し、前記対照が、前記第1のポリペプチドをアンフォールディングする、分解する、又は不安定化させることが知られている条件に曝露されていない、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記第1のポリペプチドが、前記条件の1つ又は複数への曝露後、対照と比較してその活性の少なくとも80%を保持する、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記第1のポリペプチドが、4℃で約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約11週間、約12週間、約1ヶ月間、約2ヶ月間、約3ヶ月間、約4ヶ月間、約5ヶ月間、約6ヶ月間、約7ヶ月間、約8ヶ月間、約9ヶ月間、約10ヶ月間、約11ヶ月間、又は約12ヶ月間、その活性を保持する、請求項1、2、又は5~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記第1のポリペプチドが、-20℃で約6ヶ月間、約9ヶ月間、約1年間、約2年間、約3年間、約4年間、約5年間、約6年間、約7年間、約8年間、約9年間、又は約10年間、その活性を保持する、請求項1、2、又は5~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記第1のポリペプチドの前記収量が、宿主細胞懸濁液1リットル当たり15mg超、1リットル当たり30mg超、1リットル当たり50mg超、1リットル当たり75mg超、1リットル当たり100mg超、1リットル当たり200mg超、又は1リットル当たり300mg超である、請求項4に記載の方法。
【請求項32】
前記融合タンパク質における前記第1のポリペプチドの前記収量が、融合タンパク質として発現されない場合の第1のポリペプチドの収量よりも少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約100%、少なくとも約125%、少なくとも約150%、少なくとも約175%、少なくとも約200%、少なくとも約225%、少なくとも約250%、少なくとも約275%、少なくとも約300%、少なくとも約325%、少なくとも約350%、少なくとも約375%、少なくとも約400%、少なくとも約425%、少なくとも約450%、少なくとも約475%、少なくとも約500%、少なくとも約525%、少なくとも約550%、少なくとも約575%、少なくとも約600%、少なくとも約625%、少なくとも約650%、少なくとも約675%、少なくとも約700%、少なくとも約725%、少なくとも約750%、少なくとも約775%、少なくとも約800%、少なくとも約825%、少なくとも約850%、少なくとも約875%、少なくとも約900%、少なくとも約925%、少なくとも約950%、少なくとも約975%、少なくとも約1,000%、少なくとも約1,100%、少なくとも約1,125%、少なくとも約1,150%、少なくとも約1,175%、少なくとも約1,200%、少なくとも約1,225%、少なくとも約1,250%、少なくとも約1,275%、少なくとも約1,300%、少なくとも約1,325%、少なくとも約1,350%、少なくとも約1,375%、少なくとも約1,400%、少なくとも約1,425%、少なくとも約1,450%、少なくとも約1,475%、少なくとも約1,500%、少なくとも約1,525%、少なくとも約1,550%、少なくとも約1,575%、少なくとも約1,600%、少なくとも約1,625%、少なくとも約1,650%、少なくとも約1,675%、少なくとも約1,700%、少なくとも約1,725%、少なくとも約1,750%、少なくとも約1,775%、少なくとも約1,800%、少なくとも約1,825%、少なくとも約1,850%、少なくとも約1,875%、少なくとも約1,900%、少なくとも約1,925%、少なくとも約1,950%、少なくとも約1,975%、又は少なくとも約2,000%高い、請求項4に記載の方法。
【請求項33】
前記第1のポリペプチドの前記収量が、1リットル当たり75mg超である、請求項4に記載の方法。
【請求項34】
前記第1のポリペプチドの前記収量が、融合タンパク質として発現されない第1のポリペプチドの収量よりも約300%高い、請求項4に記載の方法。
【請求項35】
前記融合タンパク質が、哺乳動物細胞、細菌細胞、真菌細胞、酵母細胞、及び植物細胞から選択される宿主細胞において発現される、請求項1~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記第1のポリペプチドが:
(i)酵素又はその触媒断片;
(ii)抗体又はその抗原結合断片;
(iii)シグナル伝達分子又はその断片;
(iv)構造タンパク質又はその断片;
(v)ホルモン又はその断片若しくは誘導体;
(vi)核酸結合タンパク質又はその断片若しくは誘導体;
(vii)治療薬又はその断片;
(viii)担体タンパク質又はその断片;
(ix)サイトカイン又はその断片:或いは
(x)毒素又はその断片である、請求項1~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記第1のポリペプチドが、哺乳動物ポリペプチドである、請求項1~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記第1のポリペプチドが、ウイルスポリペプチドである、請求項1~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記第1のポリペプチドが、細菌ポリペプチドである、請求項1~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記第1のポリペプチドが、毒素である、請求項1~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記第1のポリペプチドが、抗原性ポリペプチドである、請求項1~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記第1のポリペプチドが、タンパク質の合成又は修飾に関与する1つ又は複数のステップを実行できる酵素である、請求項1~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記第1のポリペプチドが、DNAの合成又は修飾に関与する1つ又は複数のステップを実行できる酵素である、請求項1~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記第1のポリペプチドが、RNAの合成又は修飾に関与する1つ又は複数のステップを実行できる酵素である、請求項1~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記第1のポリペプチドが、分化クラスター4(CD4)、ブドウ球菌(Staphylococcus)プロテインAのZドメイン(SpA Zドメイン)、低密度リポタンパク質受容体(LDLR)、アルブミン結合ポリペプチド(ABD)、コクサッキーウイルス及びアデノウイルス受容体(CAR)、フィブロネクチンIII型(FN3)、ポリ(A)結合タンパク質(PABP)、Z-DNA結合タンパク質1(ZBP1)、又はそれらの断片若しくは誘導体から選択される、請求項1~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記第1のポリペプチドが、SARS-CoV-2からら単離されるか又はそれに由来するポリペプチドである、請求項1~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記第1のポリペプチドが、SARS-CoV-2スパイクタンパク質又はその断片若しくは誘導体である、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
相挙動を有する前記第1のポリペプチドが、エラスチン様ポリペプチド(ELP)又はレジリン様ポリペプチド(RLP)である、請求項1~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
相挙動を有する前記ポリペプチドが、配列(Val-Pro-Gly-Xaa-Gly)(配列番号10)を有するペンタペプチド反復又はランダム化されてスクランブルされたその類似体を含み、式中、Xaaが、プロリンを除く任意のアミノ酸であり得、nは、終点を含む1~360の整数である、請求項1~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
相挙動を有する前記ポリペプチドが:
a.(GRGDSPY)(配列番号1)
b.(GRGDSPH)(配列番号2)
c.(GRGDSPV)(配列番号:3)
d.(GRGDSPYG)(配列番号4)
e.(RPLGYDS)(配列番号:5)
f.(RPAGYDS)(配列番号6)
g.(GRGDSYP)(配列番号7)
h.(GRGDSPYQ)(配列番号8)
i.(GRGNSPYG)(配列番号9)
j.(GVGVP)(配列番号11);
k.(GVGVPGLGVPGVGVPGLGVPGVGVP)(配列番号12);
l.(GVGVPGVGVPGAGVPGVGVPGVGVP)(配列番号13);
m.(GVGVPGWGVPGVGVPGWGVPGVGVP)(配列番号14);
n.(GVGVPGVGVPGVGVPGVGVPGVGVPGVGVPGEGVPGFGVPGVGVP)(配列番号15);
o.(GVGVPGVGVPGVGVPGVGVPGVGVPGVGVPGKGVPGFGVPGVGVP)(配列番号16);及び
p.(GAGVPGVGVPGAGVPGVGVPGAGVP)(配列番号17)から選択されたアミノ酸配列又はランダム化されてスクランブルされたその類似体を含み、
式中:
nは、終点を含む20~360の範囲の整数であり;且つ
mは、終点を含む4~25の範囲の整数である、請求項1~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
相挙動を有する前記ポリペプチドが:
(GVGVP)(配列番号143);
(ZZPXXXXGZ)(配列番号148);
(ZZPXGZ)(配列番号149);
(ZZPXXGZ)(配列番号150);又は
(ZZPXXXGZ)(配列番号151)から選択されるアミノ酸配列を含み、
式中、mは、終点を含む10~160の整数であり、
Xは、存在する場合は、プロリンとグリシンを除く任意のアミノ酸であり、且つ
Zは、存在する場合は、任意のアミノ酸である、請求項1~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
相挙動を有する前記ポリペプチドが:
(a)(GVGVPGVGVPGAGVPGVGVPGVGVP)(配列番号144);又は
(b)(GVGVPGVGVPGLGVPGVGVPGVGVP)(配列番号146)から選択されるアミノ酸配列を含み;
式中、mは、終点を含む2~32の整数である、請求項1~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
相挙動を有する前記ポリペプチドが:
(a)(GVGVPGVGVPGAGVPGVGVPGVGVP)(配列番号144)(式中、mは、8又は16である);
(b)(GVGVPGAGVP)(配列番号145)(式中、mは、終点を含む5~80の整数である);又は
(c)(GXGVP)(配列番号147)から選択されるアミノ酸配列を含み、
式中、mは、終点を含む10~160の整数であり、且つ
各反復のXは、グリシン、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、リジン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、及びセリンからなる群から独立して選択される、請求項1~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
相挙動を有する前記ポリペプチドが、配列番号88のアミノ酸又は(GVGVPGLGVPGVGVPGLGVPGVGVP)(配列番号12)(式中、mは、16である)の配列を含む、請求項1~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記融合タンパク質が、前記第1のポリペプチドと前記第2のポリペプチドとを連結するリンカーを含む、請求項1~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記リンカーが、切断可能である、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記リンカーが、プロテアーゼ切断部位を含む、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
前記リンカーが、自己切断ペプチドである、請求項55に記載の方法。
【請求項59】
前記リンカーが:
(i)(GS)(配列番号141)、
(ii)(SG)(配列番号142)、
(iv)(GGGGS)(配列番号19)、及び
(v)(G)(配列番号48)からなる群から選択され;
式中、xは、1~6の範囲の整数であり、且つ
nは、1~30の範囲の整数である、請求項55に記載の方法。
【請求項60】
前記リンカーが、GKSSGSGSESKS(配列番号157)、GSTSGSGKSSEGKG(配列番号158)、GSTSGSGKSSEGSGSTKG(配列番号159)、GSTSGSGKPGSGEGSTKG(配列番号160)、EGKSSGSGSESKEF(配列番号161)、SRSSG(配列番号162)、及びSGSSC(配列番号163)から選択される、請求項55に記載の方法。
【請求項61】
前記融合タンパク質が、N末端からC末端にかけて、前記第1のポリペプチド及び前記第2のポリペプチドを含む、請求項1~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記融合タンパク質が、N末端からC末端にかけて、前記第2のポリペプチド及び前記第1のポリペプチドを含む、請求項1~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記タンパク質が、N末端からC末端にかけて、前記第1のポリペプチド、前記リンカー、及び前記第2のポリペプチドを含む、請求項55~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記タンパク質が、N末端からC末端にかけて、前記第2のポリペプチド、前記リンカー、及び前記第1のポリペプチドを含む、請求項55~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記第1のポリペプチドが、核酸結合タンパク質(NBP)を含む、請求項1~44又は48~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記NBPが、DNAに結合する、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記NBPが、RNAに結合する、請求項65に記載の方法。
【請求項68】
前記DNAが、一本鎖である、請求項66に記載の方法。
【請求項69】
前記DNAが、二本鎖である、請求項66に記載の方法。
【請求項70】
前記RNAが、一本鎖である、請求項65に記載の方法。
【請求項71】
前記RNAが、二本鎖である、請求項65に記載の方法。
【請求項72】
前記RNAが、メッセンジャーRNA(mRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、マイクロRNA、リボソームRNA(rRNA)、核内低分子RNA(snRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、又はヘテロ核RNA(hnRNA)である、請求項64に記載の方法。
【請求項73】
前記NBPが、mRNAキャップ又はポリA尾部に結合する、請求項65、67、70、又は72に記載の方法。
【請求項74】
前記NBPが、T7 RNAポリメラーゼ、RNアーゼ阻害剤、2’-O-メチルトランスフェラーゼ、無機ピロホスファターゼ、ポリ(A)ポリメラーゼ、DNアーゼI、仔ウシ腸ホスファターゼ、南極ホスファターゼ、ワクシニアウイルスmRNAキャッピング酵素のD1サブユニット、グアニン-7-メチルトランスフェラーゼ(ワクシニアウイルスmRNAキャッピング酵素のD1サブユニットに存在)、グアニリルトランスフェラーゼ(ワクシニアウイルスmRNAキャッピング酵素のD1サブユニットに存在)、RNAトリホスファターゼ(ワクシニアウイルスmRNAキャッピング酵素のD1サブユニットに存在)、及びワクシニアウイルスmRNAキャッピング酵素のD12サブユニット、ステムループ結合タンパク質、ヘテロ核リボ核タンパク質(hnRNP)、GroEL、Edc3、DHX9、Xrn1、Dcp1、Dcp2、LAF-1、MEG-1、MEG-3、ASF/SF2スプライシング因子、セリン/アルギニンリッチスプライシング因子4(SRp75)、セリン及びアルギニンリッチスプライシング因子1(SRSF1)、L3リボソームタンパク質、L4リボソームタンパク質、L13リボソームタンパク質、L20リボソームタンパク質、L22リボソームタンパク質、L24リボソームタンパク質、L24eリボソームタンパク質、S12リボソームタンパク質、S14リボソームタンパク質、及び真核生物開始因子4E結合タンパク質1(4EBP1)、Tat、Rev、RSG-1.2ペプチド、ポリ(A)結合タンパク質(PABP)、真核生物翻訳開始因子4E(eIF4E)、真核生物翻訳開始因子3サブユニットD(eIF3D)、ヘテロ核リボ核タンパク質(hnRNP)、RNA特異的アデノシンデアミナーゼ1(ADAR1)、RNA特異的アデノシンデアミナーゼ2(ADAR2)、枯草菌(Bacillus subtilis)由来のCspB(Bscscp)、Yボックスタンパク質1コールドショックドメイン(YB1-CSD)、Fox-1タンパク質(FOX1)、ポリ(A)結合タンパク質(PABP)、Staufenタンパク質、TIS11d、ジンクフィンガータンパク質(ZNF)、Z-DNA結合タンパク質1(ZBP1)、レチノイン酸誘導性遺伝子-I(RIG-I)様タンパク質、トール様受容体7(TLR7)、トール様受容体8(TLR3)、トール様受容体8(TLR8)、レチノイン酸誘導性遺伝子I(RIG-I)、黒色腫分化関連タンパク質5(MDA5)、テトラトリコペプチド反復1を有するインターフェロン誘導性タンパク質(IFIT1)、プロテインキナーゼR(PKR)、オリゴアデニル酸シンターゼ様(OASL)タンパク質(例えば、OAS1、OAS2、OAS3、又はOASL)、リボヌクレアーゼE(RNASE E)、ガンマインターフェロン誘導性タンパク質Ifi-16(IF116)、又は環状GMP-AMPシンターゼ(cGAS)である、請求項65に記載の方法。
【請求項75】
前記NBPが、短鎖モチーフ(SLiM)、RG[G]反復、RGG反復、RS/RGリッチドメイン、K/R塩基性パッチ、分子認識機能、低複雑性配列、RNA認識モチーフ、二本鎖RNA結合ドメイン、K相同ドメイン、ジンクフィンガードメイン(例、CCHH ZFドメイン、CCCC(Ran-BP2)ドメイン、CCCH ZFドメイン)、RGGドメイン、Pumilloファミリードメイン、ペンタトリコペプチドドメイン、コールドショックドメイン、ヘリカーゼドメイン、Laモチーフ、Piwi-Argonaute-Zwille(PAZ)ドメイン、PIWI(P-element induced wimpy testis)、プソイドウリジンシンターゼ及びPUA(archaeosine transglycosylate)、Pumillo様反復(PUM)、リボソームS1様(S1)、Sm及びLike-Sm(Sm/Lsm)反復、チウリジンシンターゼ及びRNAメチラーゼ及びプソイドウリジンシンターゼ(THUMP)、又はYT521-B相同性を有するドメインのうちの1つ又は複数を含む、請求項65に記載の方法。
【請求項76】
核酸基質上で酵素プロセスを実施する方法であって:
(i)第1の酵素及び相挙動を有する第1のポリペプチドを含む第1の融合タンパク質を用意するステップ;並びに
(ii)前記第1の酵素が前記基質に接触するのを可能にする第1の環境因子を適用するステップを含む、方法。
【請求項77】
(iii)第2の酵素及び相挙動を有する第2のポリペプチドを含む第2の融合タンパク質を用意するステップ;
(iv)前記第2の酵素が前記基質に接触するのを可能にする第2の環境因子を適用するステップを含む、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
(iii)前記第1の酵素を前記基質から分離する第3の環境因子を適用するステップをさらに含む、請求項76に記載の方法。
【請求項79】
(v)前記第1の酵素を前記基質から分離する第3の環境因子を適用するステップ;
(vi)前記第2の酵素を前記基質から分離する第4の環境因子を適用するステップのうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項77に記載の方法。
【請求項80】
前記第1の環境因子、前記第2の環境因子、前記第3の環境因子、及び前記第4の環境因子が:
a.温度、pH、塩濃度、又は圧力のうちの1つ又は複数の変化;
b.1つ又は複数の界面活性剤、補因子、ビタミン、分子密集剤、酵素、変性剤の添加;又は
c.電磁波の印加から独立して選択される、請求項76~79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
前記第1の酵素、前記第2の酵素、又は両方が、核酸結合タンパク質(NBP)を含む、請求項76~80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
前記第1の酵素が、DNAに結合するNBPを含む、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記第1の酵素が、RNAに結合するNBPを含む、請求項81に記載の方法。
【請求項84】
前記第2の酵素が、DNAに結合するNBPを含む、請求項81~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
前記第2の酵素が、RNAに結合するNBPを含む、請求項81~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
前記第1の酵素が、DNAの合成又は修飾に関与する1つ又は複数のステップを実行することができる、請求項81又は82に記載の方法。
【請求項87】
前記第2の酵素が、DNAの合成又は修飾に関与する1つ又は複数のステップを実行することができる、請求項81、82、又は86のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
前記第1の酵素が、RNAの合成又は修飾に関与する1つ又は複数のステップを実行することができる、請求項81又は83に記載の方法。
【請求項89】
前記第2の酵素が、RNAの合成又は修飾に関与する1つ又は複数のステップを実行することができる、請求項81、83、又は88のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
前記DNAが、一本鎖である、請求項81、82、84、86、又は87のいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
前記DNAが、二本鎖である、請求項81、82、84、86、又は87のいずれか一項に記載の方法。
【請求項92】
前記RNAが、一本鎖である、請求項81、83、85、88、又は89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項93】
前記RNAが、二本鎖である、請求項81、83、85、88、又は89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項94】
前記RNAが、メッセンジャーRNA(mRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、マイクロRNA、リボソームRNA(rRNA)、核内低分子RNA(snRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、又はヘテロ核RNA(hnRNA)である、請求項81、83、85、88、89、92、又は93のいずれか一項に記載の方法。
【請求項95】
前記NBPが、mRNAキャップ又はポリA尾部に結合する、請求項81に記載の方法。
【請求項96】
前記NBPが、T7 RNAポリメラーゼ、RNアーゼ阻害剤、2’-O-メチルトランスフェラーゼ、無機ピロホスファターゼ、ポリ(A)ポリメラーゼ、DNアーゼI、仔ウシ腸ホスファターゼ、南極ホスファターゼ、ワクシニアウイルスmRNAキャッピング酵素のD1サブユニット、グアニン-7-メチルトランスフェラーゼ(ワクシニアウイルスmRNAキャッピング酵素のD1サブユニットに存在)、グアニリルトランスフェラーゼ(ワクシニアウイルスmRNAキャッピング酵素のD1サブユニットに存在)、RNAトリホスファターゼ(ワクシニアウイルスmRNAキャッピング酵素のD1サブユニットに存在)、及びワクシニアウイルスmRNAキャッピング酵素のD12サブユニット、ステムループ結合タンパク質、ヘテロ核リボ核タンパク質(hnRNP)、GroEL、Edc3、DHX9、Xrn1、Dcp1、Dcp2、LAF-1、MEG-1、MEG-3、ASF/SF2スプライシング因子、セリン/アルギニンリッチスプライシング因子4(SRp75)、セリン及びアルギニンリッチスプライシング因子1(SRSF1)、L3リボソームタンパク質、L4リボソームタンパク質、L13リボソームタンパク質、L20リボソームタンパク質、L22リボソームタンパク質、L24リボソームタンパク質、L24eリボソームタンパク質、S12リボソームタンパク質、S14リボソームタンパク質、及び真核生物開始因子4E結合タンパク質1(4EBP1)、Tat、Rev、RSG-1.2ペプチド、ポリ(A)結合タンパク質(PABP)、真核生物翻訳開始因子4E(eIF4E)、真核生物翻訳開始因子3サブユニットD(eIF3D)、ヘテロ核リボ核タンパク質(hnRNP)、RNA特異的アデノシンデアミナーゼ1(ADAR1)、RNA特異的アデノシンデアミナーゼ2(ADAR2)、枯草菌(Bacillus subtilis)由来のCspB(Bscscp)、Yボックスタンパク質1コールドショックドメイン(YB1-CSD)、Fox-1タンパク質(FOX1)、ポリ(A)結合タンパク質(PABP)、Staufenタンパク質、TIS11d、ジンクフィンガータンパク質(ZNF)、Z-DNA結合タンパク質1(ZBP1)、レチノイン酸誘導性遺伝子-I(RIG-I)様タンパク質、トール様受容体7(TLR7)、トール様受容体8(TLR3)、トール様受容体8(TLR8)、レチノイン酸誘導性遺伝子I(RIG-I)、黒色腫分化関連タンパク質5(MDA5)、テトラトリコペプチド反復1を有するインターフェロン誘導性タンパク質(IFIT1)、プロテインキナーゼR(PKR)、オリゴアデニル酸シンターゼ様(OASL)タンパク質(例えば、OAS1、OAS2、OAS3、又はOASL)、リボヌクレアーゼE(RNASE E)、ガンマインターフェロン誘導性タンパク質Ifi-16(IF116)、又は環状GMP-AMPシンターゼ(cGAS)である、請求項81~95のいずれか一項に記載の方法。
【請求項97】
前記NBPが、短鎖モチーフ(SLiM)、RG[G]反復、RGG反復、RS/RGリッチドメイン、K/R塩基性パッチ、分子認識機能、低複雑性配列、RNA認識モチーフ、二本鎖RNA結合ドメイン、K相同ドメイン、ジンクフィンガードメイン(例、CCHH ZFドメイン、CCCC(Ran-BP2)ドメイン、CCCH ZFドメイン)、RGGドメイン、Pumilloファミリードメイン、ペンタトリコペプチドドメイン、コールドショックドメイン、ヘリカーゼドメイン、Laモチーフ、Piwi-Argonaute-Zwille(PAZ)ドメイン、PIWI(P-element induced wimpy testis)、プソイドウリジンシンターゼ及びPUA(archaeosine transglycosylate)、Pumillo様反復(PUM)、リボソームS1様(S1)、Sm及びLike-Sm(Sm/Lsm)反復、チウリジンシンターゼ及びRNAメチラーゼ及びプソイドウリジンシンターゼ(THUMP)、又はYT521-B相同性を有するドメインのうちの1つ又は複数を含む、請求項81に記載の方法。
【請求項98】
相挙動を有する前記第1のポリペプチドと相挙動を有する前記第2のポリペプチドが同じ配列を含む、請求項81~97のいずれか一項に記載の方法。
【請求項99】
相挙動を有する前記第1のポリペプチドと相挙動を有する前記第2のポリペプチドが異なる配列を含む、請求項81~97のいずれか一項に記載の方法。
【請求項100】
相挙動を有する前記第1のポリペプチドが、エラスチン様ポリペプチド(ELP)であり、相挙動を有する前記第2のポリペプチドが、レジリン様ポリペプチド(RLP)である、請求項81~99のいずれか一項に記載の方法。
【請求項101】
相挙動を有する前記第1のポリペプチドが、レジリン様ポリペプチド(RLP)であり、相挙動を有する前記第2のポリペプチドが、エラスチン様ポリペプチド(ELP)である、請求項81~99のいずれか一項に記載の方法。
【請求項102】
相挙動を有する前記第1及び/又は前記第2のポリペプチドが、配列(Val-Pro-Gly-Xaa-Gly)(配列番号10)を有するペンタペプチド反復又はランダム化されてスクランブルされたその類似体を独立して含み、式中、Xaaが、プロリンを除く任意のアミノ酸であり得、nは、終点を含む1~360の整数である、請求項81~101のいずれか一項に記載の方法。
【請求項103】
相挙動を有する前記第1及び/又は前記第2のポリペプチドが:
a.(GRGDSPY)(配列番号1)
b.(GRGDSPH)(配列番号2)
c.(GRGDSPV)(配列番号:3)
d.(GRGDSPYG)(配列番号4)
e.(RPLGYDS)(配列番号:5)
f.(RPAGYDS)(配列番号6)
g.(GRGDSYP)(配列番号7)
h.(GRGDSPYQ)(配列番号8)
i.(GRGNSPYG)(配列番号9)
j.(GVGVP)(配列番号11);
k.(GVGVPGLGVPGVGVPGLGVPGVGVP)(配列番号12);
l.(GVGVPGVGVPGAGVPGVGVPGVGVP)(配列番号13);
m.(GVGVPGWGVPGVGVPGWGVPGVGVP)(配列番号14);
n.(GVGVPGVGVPGVGVPGVGVPGVGVPGVGVPGEGVPGFGVPGVGVP)(配列番号15);
o.(GVGVPGVGVPGVGVPGVGVPGVGVPGVGVPGKGVPGFGVPGVGVP)(配列番号16);及び
p.(GAGVPGVGVPGAGVPGVGVPGAGVP)(配列番号17)から独立して選択されるアミノ酸配列又はランダム化されてスクランブルされたその類似体を含み、
式中:
nは、終点を含む20~360の範囲の整数であり;且つ
mは、終点を含む4~25の範囲の整数である、請求項81~101のいずれか一項に記載の方法。
【請求項104】
相挙動を有する前記第1及び/又は前記第2のポリペプチドが:
(GVGVP)(配列番号143);
(ZZPXXXXGZ)(配列番号148);
(ZZPXGZ)(配列番号149);
(ZZPXXGZ)(配列番号150);又は
(ZZPXXXGZ)(配列番号151)から独立して選択されるアミノ酸配列を含み、
式中、mは、終点を含む10~160の整数であり、
Xは、存在する場合は、プロリン又はグリシンを除く任意のアミノ酸であり、且つ
Zは、存在する場合は、任意のアミノ酸である、請求項81~101のいずれか一項に記載の方法。
【請求項105】
相挙動を有する前記第1及び/又は前記第2のポリペプチドが:
(a)(GVGVPGVGVPGAGVPGVGVPGVGVP)(配列番号144);又は
(b)(GVGVPGVGVPGLGVPGVGVPGVGVP)(配列番号146)から独立して選択されるアミノ酸配列を含み、
式中、mは、終点を含む2~32の整数である、請求項81~101のいずれか一項に記載の方法。
【請求項106】
相挙動を有する前記第1及び/又は前記第2のポリペプチドが:
(a)(GVGVPGVGVPGAGVPGVGVPGVGVP)(配列番号144)(式中、mは、8又は16である);
(b)(GVGVPGAGVP)(配列番号145)(式中、mは、終点を含む5~80の整数である);又は
(c)(GXGVP)(配列番号147)から独立して選択されるアミノ酸配列を含み、
式中、mは、終点を含む10~160の整数であり、且つ
各反復のXは、グリシン、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、リジン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、及びセリンからなる群から独立して選択される、請求項81~101のいずれか一項に記載の方法。
【請求項107】
相挙動を有する前記第1及び/又は前記第2のポリペプチドが、配列番号88のアミノ酸又は(GVGVPGLGVPGVGVPGLGVPGVGVP)(配列番号12)(式中、mは、16である)の配列を含む、請求項81~101のいずれか一項に記載の方法。
【請求項108】
前記第1の融合タンパク質が、前記第1のポリペプチドと前記第2のポリペプチドとを連結するリンカーを含む、請求項81~107のいずれか一項に記載の方法。
【請求項109】
前記第2融合タンパク質が、前記第1ポリペプチドと前記第2ポリペプチドとを連結するリンカーを含む、請求項82~108のいずれか一項に記載の方法。
【請求項110】
前記リンカーが、切断可能である、請求項108又は109に記載の方法。
【請求項111】
前記リンカーが、プロテアーゼ切断部位を含む、請求項108又は109に記載の方法。
【請求項112】
前記リンカーが、自己切断ペプチドである、請求項108又は109に記載の方法。
【請求項113】
前記リンカーが:
(i)(GS)(配列番号141)、
(ii)(SG)(配列番号142)、
(iv)(GGGGS)(配列番号19)、及び
(v)(G)(配列番号48)からなる群から独立して選択され、
式中、xは、1~6の範囲の整数であり、且つ
nは、1~30の範囲の整数である、請求項108又は109に記載の方法。
【請求項114】
前記リンカーが、GKSSGSGSESKS(配列番号157)、GSTSGSGKSSEGKG(配列番号158)、GSTSGSGKSSEGSGSTKG(配列番号159)、GSTSGSGKPGSGEGSTKG(配列番号160)、EGKSSGSGSESKEF(配列番号161)、SRSSG(配列番号162)、及びSGSSC(配列番号163)から選択される、請求項108又は109に記載の方法。
【請求項115】
前記第1の融合タンパク質及び/又は前記第2の融合タンパク質が、N末端からC末端にかけて、前記第1のポリペプチド及び前記第2のポリペプチドを含む、請求項81~114のいずれか一項に記載の方法。
【請求項116】
前記第1の融合タンパク質及び/又は前記第2の融合タンパク質が、N末端からC末端にかけて、前記第2のポリペプチド及び前記第1のポリペプチドを含む、請求項81~114のいずれか一項に記載の方法。
【請求項117】
前記第1の融合タンパク質及び/又は前記第2の融合タンパク質が、N末端からC末端にかけて、前記第1のポリペプチド、前記リンカー、及び前記第2のポリペプチドを含む、請求項108~114のいずれか一項に記載の方法。
【請求項118】
前記第1の融合タンパク質及び/又は前記第2の融合タンパク質が、N末端からC末端にかけて、前記第2のポリペプチド、前記リンカー、及び前記第1のポリペプチドを含む、請求項108~114のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2021年2月19日に出願された米国仮特許出願第63/151,524号の優先権を主張し、その全体があらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
電子的に提出されるテキストファイルの説明
本明細書と共に電子的に提出されるテキストファイルの内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる:配列表のコンピュータ可読形式のコピー(ファイル名:ISOL_006_00US_SeqList_ST25.txt、記録日:2021年2月19日、ファイルサイズ:1メガバイト)。
【0003】
本開示は、一般に、生物製剤の精製のための組成物及び方法に関する。より具体的には、本開示は、アデノ随伴ウイルス結合ポリペプチドを含む精製マトリックス及びそれを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
医学及び他の分野における生物製剤の使用は急速に増加している。生物製剤は、多くの場合、所与の標的に対して高い親和性及び特異性を有し、さらに毒性及び生分解性が低いことが特徴である。しかしながら、その製造及び精製は、非常に困難であり得る。治療用酵素、抗体、遺伝子送達ベクター、シグナル伝達分子、ホルモン、及びその他のタンパク質を含む生物製剤は、典型的には、細菌宿主細胞、酵母宿主細胞、又は哺乳動物宿主細胞での組換えによって製造される。許容される純度基準(例えば、FDA又は他の規制機関によって設定された基準)を満たすために、多数の下流精製ステップが必要である。宿主細胞のタンパク質、核酸、エンドトキシン、及びウイルスは、多くの場合、生物学的製剤から除去しなければならない主な汚染物質である。
【0005】
加えて、生物製剤が活性を維持するには、その構造を維持しなければならない。塩、温度、凍結乾燥、酸化条件、pH、光、撹拌、保存中の生物製剤の向き、凍結融解、生物製剤の凝集傾向を含むいくつかの因子が、生物製剤の活性の喪失を引き起こし得る。
【0006】
当技術分野では、生物製剤の製造、精製、及び安定化のための改良された組成物及び方法が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドを含む融合タンパク質が本明細書で提供され、この第2のポリペプチドは、相挙動を有する。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、(i)酵素又はその誘導体若しくは触媒断片;(ii)抗体又はその誘導体若しくは抗原結合断片;(iii)シグナル伝達分子又はその断片若しくは誘導体;(iv)構造タンパク質又はその断片若しくは誘導体;又は(v)ホルモン又はその断片若しくは誘導体を含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、基質上で多段階酵素プロセスを実施する方法が本明細書で提供され、この方法は、(i)第1の酵素及び第1の相挙動を有するポリペプチドを含む第1の融合タンパク質を用意するステップ;(ii)第2の酵素及び第2の相挙動を有するポリペプチドを含む第2の融合タンパク質を用意するステップ;(iii)第1の酵素が基質と接触し、基質を単離し、且つ/又は基質を濃縮することを可能にする第1の環境因子を適用するステップ;並びに(iv)第2の酵素が基質と接触し、基質を単離し、且つ/又は基質を濃縮することを可能にする第2の環境因子を適用するステップを含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、基質と接触させる、基質を単離する、及び/又は基質を精製する方法が本明細書で提供され、この方法は、(i)第1の酵素及び第1の相挙動を有するポリペプチドを含む第1の融合タンパク質を用意するステップ;(ii)第2の酵素及び第2の相挙動を有するポリペプチドを含む第2の融合タンパク質を用意するステップ;(iii)第1の酵素が基質と接触し、基質を単離し、且つ/又は基質を濃縮することを可能にする第1の環境因子を適用するステップ;並びに(iv)第2の酵素が基質と接触し、基質を単離し、且つ/又は基質を濃縮することを可能にする第2の環境因子を適用するステップを含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドを精製する方法が本明細書で提供され、この方法は、(i)第1のポリペプチド及び相挙動を有する第2のポリペプチドを含む融合タンパク質を用意するステップ;(ii)第1の環境因子を融合タンパク質に適用するステップ;(iii)サイズ及び/又は密度に基づいて融合タンパク質凝集体を少なくとも1つの汚染物質から分離するステップ;並びに(iv)第2の環境因子を適用して融合タンパク質を脱凝集させるステップを含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、基質上で多段階酵素プロセスを実施する方法が本明細書で提供され、この方法は、(i)第1の酵素及び第1の相挙動を有するポリペプチドを含む第1の融合タンパク質を用意するステップ;(ii)第2の酵素及び第2の相挙動を有するポリペプチドを含む第2の融合タンパク質を用意するステップ;(iii)第1の酵素が基質と接触することを可能にする第1の環境因子を適用するステップ;並びに(iv)第2の酵素が基質と接触することを可能にする第2の環境因子を適用するステップを含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドの収量を改善する方法が本明細書で提供され、この方法は、(i)第1のポリペプチド及び相挙動を有する第2のポリペプチドを含む融合タンパク質を発現させるステップ;並びに(ii)第1のポリペプチドを第2のポリペプチドから分離するステップであって、第1のポリペプチドの収量が、融合タンパク質として発現された場合、融合タンパク質として発現されない場合の第1のポリペプチドの収量と比較して向上する、ステップを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドをアンフォールディングする、分解する、及び/又はミスフォールディングすることが知られている1つ又は複数の条件に曝露した後の第1のポリペプチドの活性の喪失を実質的に防止する方法が本明細書で提供され、この方法は、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドを含む融合タンパク質を発現させるステップを含み、第2のポリペプチドは、相挙動を有するポリペプチドである。
【0014】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドのアンフォールディング、分解、及び/又はミスフォールディングを実質的に防止する方法が本明細書で提供され、この方法は、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドを含む融合タンパク質を発現させるステップを含み、第2のポリペプチドは、相挙動を有するポリペプチドである。
【0015】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドを安定化させる方法が本明細書で提供され、この方法は、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドを含む融合タンパク質を発現させるステップを含み、第2のポリペプチドは、相挙動を有するポリペプチドであり、融合タンパク質は、第1のポリペプチドを不安定化させる1つ又は複数の条件に曝露された場合、第1のポリペプチドは、その活性を実質的に保持する。
【0016】
実施形態では、この方法は、融合タンパク質を条件から除外するステップ、及び第1のポリペプチドを第2のポリペプチドから切断するステップを含み、第1のポリペプチドは、条件に曝露されていない対照の第1のポリペプチドと比較してその活性を保持する。
【0017】
実施形態では、第1のポリペプチドをアンフォールディングする、分解する、ミスフォールディングする、又は不安定化させる1つ又は複数の条件は:酸化剤への曝露、凍結乾燥、非生理的pHへの曝露、カオトロピック剤への曝露、少なくとも50℃の温度への曝露、有機溶媒への曝露、尿素への曝露、洗剤への曝露、オートクレーブへの曝露、凍結融解サイクル、熱ショック、又はそれらの組み合わせを含む。
【0018】
実施形態では、第1のポリペプチドをアンフォールディングする、分解する、ミスフォールディングする、又は不安定化させる1つ又は複数の条件は、非生理的pHへの曝露を含む。実施形態では、非生理的pHへの曝露は、酸への曝露である。実施形態では、酸は、塩酸グアニジンである。実施形態では、非生理的pHへの曝露は、塩基への曝露である。実施形態では、塩基は、水酸化ナトリウム又は尿素である。
【0019】
実施形態では、第1のポリペプチドをアンフォールディングする、分解する、ミスフォールディングする、又は不安定化させることが知られている1つ又は複数の条件は、塩酸グアニジンへの曝露、尿素への曝露、凍結乾燥、凍結融解サイクル、オートクレーブ処理、水酸化ナトリウムへの曝露、又は少なくとも90℃の温度への曝露である。実施形態では、第1のポリペプチドをアンフォールディングする、分解する、ミスフォールディングする、又は不安定化させることが知られている1つ又は複数の条件は、0.1M NaOHへの曝露である。実施形態では、第1のポリペプチドをアンフォールディングする、分解する、ミスフォールディングする、又は不安定化させることが知られている1つ又は複数の条件は、0.1M NaOHへの30分間の曝露である。実施形態では、第1のポリペプチドをアンフォールディングする、分解する、ミスフォールディングする、又は不安定化させることが知られている1つ又は複数の条件は、6M塩酸グアニジンへの曝露である。実施形態では、第1のポリペプチドをアンフォールディング、分解、又は不安定化させることが知られている1つ又は複数の条件は、6M塩酸グアニジンへの30分間の曝露である。実施形態では、第1のポリペプチドをアンフォールディングする、分解する、ミスフォールディングする、又は不安定化させることが知られている1つ又は複数の条件は、少なくとも95℃に加熱することである。実施形態では、条件は、熱ショックであり、熱ショックは:第1のポリペプチドを含む融合タンパク質を95℃で30分間加熱するステップ;融合タンパク質を含む容器を氷上に置くステップ、その後融合タンパク質を室温に戻すステップを含む。
【0020】
実施形態では、第1のポリペプチドを含む融合タンパク質が、1つ又は複数の条件に約15分間、約30分間、約45分間、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間。約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、約12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、約22時間、約23時間、又は約24時間曝露される。実施形態では、1つ又は複数の条件への曝露は、少なくとも約30分間行われる。実施形態では、1つ又は複数の条件への曝露は、約30分~約12時間、約30分~約11時間、約30分~約10時間、約30分~約9時間、約30分~約8時間、約30分~約7時間、約30分~約6時間、約30分~約5時間、約30分~約4時間、約30分~約3時間、約30分~約2時間、又は約30分~約1時間行われる。
【0021】
実施形態では、第1のポリペプチドの活性は、第1のポリペプチドの結合パートナーに対するその親和性である。実施形態では、第1のポリペプチドは酵素であり、その活性はkcatである。
【0022】
実施形態では、第1のポリペプチドは、1つ又は複数の条件への曝露後、対照と比較して、その活性の35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、3%未満、2%未満、又は1%未満が喪失し、対照は、第1のポリペプチドをアンフォールディング、分解、又は不安定化させることが知られている条件に曝露されていない。実施形態では、第1のポリペプチドは、1つ又は複数の条件への曝露後、対照と比較して、その活性の65%~100%を保持する。実施形態では、第1のポリペプチドは、1つ又は複数の条件への曝露後、対照と比較して、その活性の少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%を保持する。実施形態では、第1のポリペプチドは、1つ又は複数の条件に曝露した後、対照と比較して、その活性の20%未満又は25%未満が喪失し、対照は、第1のポリペプチドのアンフォールディングする、分解する、又は不安定化させることが知られている条件に曝露されていない。実施形態では、第1のポリペプチドは、1つ又は複数の条件への曝露後、対照と比較して、その活性の少なくとも80%を保持する。実施形態では、第1のポリペプチドは、4℃で約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約11週間、約12週間、約1ヶ月間、約2ヶ月間、約3ヶ月間、約4ヶ月間、約5ヶ月間、約6ヶ月間、約7ヶ月間、約8ヶ月間、約9ヶ月間、約10ヶ月間、約11ヶ月間、又は約12ヶ月間その活性を保持する。実施形態では、第1のポリペプチドは、-20℃で約6ヶ月間、約9ヶ月間、約1年間、約2年間、約3年間、約4年間、約5年間、約6年間、約7年間、約8年間、約9年間、又は約10年間その活性を保持する。
【0023】
実施形態では、第1のポリペプチドの収量は、宿主細胞懸濁液1リットル当たり15mg超、1リットル当たり30mg超、1リットル当たり50mg超、1リットル当たり75mg超、1リットル当たり100mg超、1リットル当たり200mg超、又は1リットル当たり300mg超である。実施形態では、融合タンパク質における第1のポリペプチドの収量は、融合タンパク質として発現されない場合の第1のポリペプチドの収量よりも少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約100%、少なくとも約125%、少なくとも約150%、少なくとも約175%、少なくとも約200%、少なくとも約225%、少なくとも約250%、少なくとも約275%、少なくとも約300%、少なくとも約325%、少なくとも約350%、少なくとも約375%、少なくとも約400%、少なくとも約425%、少なくとも約450%、少なくとも約475%、少なくとも約500%、少なくとも約525%、少なくとも約550%、少なくとも約575%、少なくとも約600%、少なくとも約625%、少なくとも約650%、少なくとも約675%、少なくとも約700%、少なくとも約725%、少なくとも約750%、少なくとも約775%、少なくとも約800%、少なくとも約825%、少なくとも約850%、少なくとも約875%、少なくとも約900%、少なくとも約925%、少なくとも約950%、少なくとも約975%、少なくとも約1,000%、少なくとも約1,100%、少なくとも約1,125%、少なくとも約1,150%、少なくとも約1,175%、少なくとも約1,200%、少なくとも約1,225%、少なくとも約1,250%、少なくとも約1,275%、少なくとも約1,300%、少なくとも約1,325%、少なくとも約1,350%、少なくとも約1,375%、少なくとも約1,400%、少なくとも約1,425%、少なくとも約1,450%、少なくとも約1,475%、少なくとも約1,500%、少なくとも約1,525%、少なくとも約1,550%、少なくとも約1,575%、少なくとも約1,600%、少なくとも約1,625%、少なくとも約1,650%、少なくとも約1,675%、少なくとも約1,700%、少なくとも約1,725%、少なくとも約1,750%、少なくとも約1,775%、少なくとも約1,800%、少なくとも約1,825%、少なくとも約1,850%、少なくとも約1,875%、少なくとも約1,900%、少なくとも約1,925%、少なくとも約1,950%、少なくとも約1,975%、又は少なくとも約2,000%高い。実施形態では、第1のポリペプチドの収量は、1リットル当たり75mg超である。実施形態では、第1のポリペプチドの収量は、融合タンパク質として発現されない第1のポリペプチドの収量より約300%高い。
【0024】
実施形態では、核酸基質上で酵素プロセスを実施する方法が本明細書で提供され、この方法は:(i)第1の酵素及び相挙動を有する第1のポリペプチドを含む第1の融合タンパク質を用意するステップ;並びに(ii)第1の酵素が基質に接触するのを可能にする第1の環境因子を適用するステップを含む。いくつかの実施形態では、この方法は:(iii)第2の酵素及び相挙動を有する第2のポリペプチドを含む第2の融合タンパク質を用意するステップ;(iv)第2の酵素が基質に接触するのを可能にする第2の環境因子を適用するステップを含む。実施形態では、この方法は:(v)第3の環境因子を適用して第1の酵素を基質から分離するステップ;並びに(vi)第4の環境因子を適用して、第2の酵素を基質から分離するステップを含む。実施形態では、第1の酵素、第2の酵素、又は両方は、核酸結合タンパク質(NBP)を含む。
【0025】
これら及び他の実施形態は、以下の詳細な説明、実施例、及び特許請求の範囲でさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、凍結乾燥、0.1M水酸化ナトリウム(NaOH)、6M塩酸グアニジン(GuHCl)への曝露、さらには95℃の加熱を含む、タンパク質をアンフォールディングする、分解する、又はミスフォールディングすることが知られている様々な条件で処理した後の融合タンパク質の活性パーセントを示すグラフである。
図2図2は、凍結乾燥及びPBS中での再懸濁(未処理)後、又は凍結乾燥、オートクレーブ処理、及びPBS中での再懸濁(オートクレーブ処理済み)後の融合タンパク質の活性パーセントを示す。
図3図3は、0.1M水酸化ナトリウムに曝露し、95℃に加熱し、そして低pH(即ち、pH4)で95℃に加熱した後の融合タンパク質の喪失パーセントを示す。処理後、各曝露群の融合タンパク質を中和及び/又は冷却し、遠心分離して凝集体を除去し、市販のELISAを使用して総タンパク質をアッセイした。各群で、出発タンパク質材料の2%未満が喪失した。データは、平均値及び標準誤差(n=3)を表す。
図4A】、
図4B】、
図4C図4A図4Cは、AAV受容体(AAVR)のPKD2ドメイン及び相挙動を有するポリペプチドを含む融合タンパク質が、相挙動を有するポリペプチドの非存在下でのAAVRのPKD2ドメインの発現よりも優れた発現を有することを示す。図4Aは、1リットル当たりの、PKD2及び精製されたPKD2を含む融合タンパク質の濃度を示す。図4Bは、1リットル当たりの、PKD2及び精製されたPKD2を含む融合タンパク質の量を示す。図4Cは、ゲル上のPKD2及びPKD2を含む融合タンパク質の発現を示す。
図5図5は、LDL受容体(LDLR)のCR3ドメイン及び相挙動を有するポリペプチドを含む融合タンパク質が、ポリペプチドを分解する、凝集させる、又は不活性化することが知られている条件(例えば、95℃、0.1M NaOHインキュベーション、又は6M GuHClインキュベーション)に曝露された後に、レンチウイルスを捕捉するその能力を保持することを示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
定義
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a(1つの)」、「an(1つの)」、及び「the(その)」は、文脈上明らかに別段の指示がない限り、複数の指示対象を含む。従って、例えば、「タンパク質」への言及は、1つのタンパク質又はそのようなタンパク質の混合物を指し、「方法」への言及は、当業者に公知の同等のステップ及び/又は方法への言及などを含む。
【0028】
本明細書で使用される場合、数値の前にある「約」又は「およそ」という用語は、値に10%の範囲をプラス又はマイナスした値を示す。例えば、「約100」は、90と110を含む。
【0029】
また、本明細書で使用される場合、「及び/又は」は、関連する列挙された項目の1つ又は複数のあらゆる可能な組み合わせ、及び代替(「又は」)で解釈される場合の組み合わせの欠如を指し、包含する。
【0030】
文脈が別段の指示をしない限り、本明細書に記載の様々な特徴は任意の組み合わせで使用できることが明確に意図されている。
【0031】
さらに、本開示は、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の任意の特徴又は特徴の組み合わせが除外又は省略され得ることも企図する。さらに説明すると、例えば、特定のアミノ酸がA、G、I、L、及び/又はVから選択できることが明細書で示されている場合、この文言はまた、アミノ酸がこれらのアミノ酸(複数可)の任意のサブセット、例えば、A、G、I、又はL;A、G、I、又はV;A又はG;Lのみなどの任意のサブセットから、そのような各部分組み合わせが本明細書に明示的に記載されているかのように選択できることを示す。さらに、そのような文言は、指定のアミノ酸の1つ又は複数を除外できることも示す。例えば、特定の実施形態では、アミノ酸は、あたかもそのような考えられる除外がそれぞれ、本明細書に明示的に記載されているかのように、AでもGでもIでもない;Aではない;GでもVでもない;などである。
【0032】
「アデノ随伴ウイルス」(AAV)は、小型の複製欠損パルボウイルスである。本明細書で使用される場合、AAVは、以下の血清型のいずれか1つの野生型又は変異型AAVを指し得る:AAV1、AAV2、AAV3(3A型及び3B型を含む)、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAVrh32.33、AAVrh8、AAVrh10、AAVrh74、AAVhu.68、トリAAV、ウシAAV、イヌAAV、ウマAAV、ヒツジAAV、ヘビAAV、フトアゴヒゲトカゲAAV、AAV2i8、AAV2g9、AAV-LK03、AAV7m8、AAVAnc80、AAVPHP.B、及び現在知られているか又は今後発見されるその他のAAV。いくつかの実施形態では、AAVは、一本鎖ゲノム又は二本鎖ゲノム(例えば、自己相補的AAV)を有し得る。
【0033】
「AAV粒子」は、典型的には、カプシド、及びタンパク質カプシドによってカプシド化された核酸(例えば、導入遺伝子を含む核酸)を含む。「カプシド」は、T=1正二十面体対称性で会合及び配置された個々の「カプシドタンパク質サブユニット」又は「カプシドタンパク質」(例えば、約60個のカプシドタンパク質サブユニット)を含む、球形に近いタンパク質シェルである。従って、本明細書に記載のAAVベクターのカプシドは、複数のカプシドタンパク質を含む。AAV粒子がカプシドタンパク質を含むと記載される場合、AAV粒子は、カプシドを含み、そのカプシドが、1つ又は複数のAAVカプシドタンパク質を含むことを理解されよう。AAV粒子が結合ドメインに結合すると記載される場合、結合ドメインが、カプシド内の1つ又は複数のカプシドタンパク質に結合し得ることを理解されたい。「空のAAV粒子」又は「空のカプシド」という用語は、発現カセット又は導入遺伝子を含むベクターゲノム又は核酸を一切含まないAAV粒子又はカプシドを指す。
【0034】
本明細書で使用される場合、本明細書では「AAV組成物」と互換的に使用される「AAVサンプル」という用語は、AAV粒子を含む組成物を指す。いくつかの実施形態では、「AAVサンプル」は、1つ又は複数の血清型のAAVを含む組成物を指す。例えば、「AAV8サンプル」は、AAV8粒子を含む組成物を指す。
【0035】
「ウイルス粒子」は、典型的には、タンパク質シェル(例えば、カプシド又はエンベロープ)及びその中に含まれる核酸(例えば、導入遺伝子を含む核酸)を含む。
【0036】
本明細書で使用される場合、ポリペプチドを指す「断片」という用語には、ポリペプチドの切断型が含まれる。この断片は、完全長タンパク質又はポリペプチドと実質的に同じ活性を有する。例えば、核酸結合タンパク質の断片は、核酸に対するその結合親和性を実質的に保持する核酸結合タンパク質の切断型を指す。さらなる例として、断片は、全長タンパク質のアミノ酸の約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約97%、又は約99%を含み得る。本明細書で使用される場合、結合親和性などの活性に関する「実質的に」という用語は、完全長タンパク質又はポリペプチドの少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の活性(例えば、結合親和性)である切断型を意味する。
【0037】
本明細書で使用される場合、「汚染物質」及び「不純物」という用語は互換的に使用される。汚染物質は、精製された組成物において望ましくない任意の物質を指し得る。いくつかの実施形態では、汚染物質は、精製されることが望ましい生物製剤以外の任意の物質である。汚染物質の非限定的な例としては、限定されるものではないが、溶媒、タンパク質、ペプチド、炭水化物、核酸、ウイルス、細胞(例えば、細菌、酵母、又は哺乳動物細胞)、炭水化物、脂質、又はリポ多糖が挙げられる。いくつかの実施形態では、汚染物質は、エンドトキシン又はマイコトキシンである。
【0038】
本明細書で使用される場合、「ペプチド」、「ポリペプチド」、及び「タンパク質」という用語は、互換的に使用され、ペプチド結合によって共有結合したアミノ酸残基からなる化合物を指す。タンパク質は、少なくとも2つのアミノ酸を含む必要があり、タンパク質の配列を構成できるアミノ酸の最大数に制限はない。「ペプチド」という用語は、例えば、天然ペプチド、組換えペプチド、合成ペプチド、又はそれらの組み合わせを含む短鎖アミノ酸を指し得る。タンパク質及びペプチドには、例えば、特に、生物学的に活性な断片、実質的に相同なポリペプチド、オリゴペプチド、ホモ二量体、ヘテロ二量体、ポリペプチドの変異体、修飾ポリペプチド、誘導体、類似体、及び融合タンパク質などが含まれ得る。
【0039】
「ポリヌクレオチド」は、ヌクレオチド塩基の配列であり、RNA、DNA、又はDNA-RNAハイブリッド配列(天然に存在するヌクレオチド及び天然に存在しないヌクレオチドの両方を含む)であり得る。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、一本鎖又は二本鎖のDNA配列である。
【0040】
本明細書で使用される場合、ウイルス粒子を「単離する」又は「精製する」(又は文法的に等価物)とは、ウイルス粒子が、ウイルス粒子を含む出発物質(例えば、細胞溶解物)中の他の成分の少なくとも一部から少なくとも部分的に分離されていることを意味する。代表的な実施形態では、「単離された」又は「精製された」ウイルス粒子は、出発物質と比較して、少なくとも約10倍、約100倍、約1,000倍、約10,000倍、又はそれ以上濃縮されている。
【0041】
本明細書で使用される場合、「アミノ酸」という用語は、任意の天然に存在するアミノ酸、その修飾型、及び合成アミノ酸を包含する。天然左旋性(L-)アミノ酸を表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
或いは、アミノ酸は、修飾されたアミノ酸残基(非限定的な例を表2に示す)であり得、且つ/又は翻訳後修飾(例えば、アセチル化、アミド化、ホルミル化、ヒドロキシル化、メチル化、リン酸化、又は硫酸化)によって修飾されたアミノ酸であり得る。
【0044】
【表2】
【0045】
【表3】
【0046】
さらに、天然に存在しないアミノ酸は、「非天然」アミノ酸であり得る。
【0047】
本明細書で使用される場合、「環境因子」という用語は、タンパク質ベースの精製マトリックスを含む組成物に適用された場合に、その組成物の1つ又は複数の特性を変化させるあらゆる因子である。環境因子の非限定的な例としては、温度、pH、塩濃度、精製マトリックスの濃度、生物製剤の濃度、若しくは圧力のうちの1つ又は複数の変化;界面活性剤、補因子、ビタミン、分子密集剤、変性剤、還元剤、若しくは酸化剤の1つ又は複数の添加;又は電磁波の印加が挙げられる。
【0048】
本明細書で使用される場合、「相挙動を有するポリペプチド」という用語は、相転移を受け得る任意のポリペプチドを指す。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、環境因子の適用により相転移を受ける。相挙動を有するポリペプチドの例としては、エラスチン様ポリペプチド(ELP)及びレジリン様ポリペプチド(RLP)が挙げられる。
【0049】
本明細書で使用する場合、「融合タンパク質」という用語は、自然界では融合していることが見出されない2つ(又はそれ以上)の異なるポリペプチドをコードする2つの異種ヌクレオチド配列又はその断片が正しい翻訳リーディングフレームで互いに融合した場合に産生されるポリペプチドを指す。
【0050】
「抗体」という用語は、Ig分子の可変領域に位置する少なくとも1つのエピトープ認識部位を介して、炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、又はポリペプチドなどの特定の標的に結合できる免疫グロブリン(Ig)分子を指す。本明細書で使用される場合、この用語は、完全なポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体及びその抗原結合断片を包含する。例えば、天然の免疫グロブリン分子は、2つの重鎖ポリペプチド及び2つの軽鎖ポリペプチドから構成される。重鎖ポリペプチドのそれぞれは、重鎖ポリペプチドと軽鎖ポリペプチドの間の鎖間ジスルフィド結合によって軽鎖ポリペプチドと会合して、2つのヘテロ二量体タンパク質又はポリペプチド(即ち、2つの異種ポリペプチド鎖からなるタンパク質)を形成する。次に、2つのヘテロ二量体タンパク質は、重鎖ポリペプチド間の追加の鎖間ジスルフィド結合によって会合してIg分子を形成する。「抗体」という用語には、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)も含まれる。
【0051】
本明細書で使用される場合、「抗原結合断片」という用語は、目的の抗原の少なくとも1つのエピトープに結合する免疫グロブリン重鎖及び/又は軽鎖の少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)を含むポリペプチド断片を指す。これに関して、本明細書に記載の抗体の抗原結合断片は、標的分子に特異的に結合する抗体の可変重鎖(VH)配列及び可変軽鎖(VL)配列の1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、又は6つすべてのCDRを含み得る。抗原結合断片には、完全長抗体の一部、一般にその抗原結合領域又は可変領域、例えばFab、F(ab’)2、Fab’、Fv断片、ミニボディ、ダイアボディ、単一ドメイン抗体(dAb)、一本鎖可変断片(scFv)、抗体断片から形成された多重特異性抗体、及び必要な特異性の抗原結合部位又は断片を含む免疫グロブリン分子のその他の修飾された構成を含むタンパク質が含まれる。
【0052】
本明細書で使用される場合、「相補性決定領域」又は「CDR」という用語は、免疫グロブリン(抗体)分子を指す。可変ドメインごとに3つのCDR:軽鎖の可変ドメインにおけるCDR1、CDR2、及びCDR3、並びに重鎖の可変ドメインにおけるCDR1、CDR2、及びCDR3が存在する。
【0053】
「F(ab’)2」という用語は、酵素ペプシンによるタンパク質分解的切断によって生成されるIgGのタンパク質断片を指す。各F(ab’)2断片は、ヒンジ領域内のジスルフィド結合によって結合された2つのF(ab’)断片を含むため、二価の抗原結合断片である。「Fab’」という用語は、F(ab’)2に由来する断片を指し、Fcの小さな部分を含み得る。各Fab’断片は、一価の抗原結合断片である。
【0054】
「F(ab)」という用語は、酵素パパインによるIgG分子のタンパク質分解的切断から生じる2つのタンパク質断片を指す。各F(ab)は、VH鎖とVL鎖の共有結合ヘテロ二量体を含み、完全な抗原結合部位を含む。各F(ab)は、一価の抗原結合断片である。
【0055】
「Fv断片」は、天然抗体分子の抗原認識及び結合能力の多くを保持するが、Fab内に含まれるCH1及びCLドメインを欠く抗原結合部位を含む非共有結合性VH::VLヘテロ二量体を指す。Inbar et al.(1972)Proc.Nat.Acad.Sci.USA 69:2659-2662;Hochman et al.(1976)Biochem 15:2706-2710;and Ehrlich et al.(1980)Biochem 19:4091-4096。
【0056】
結合親和性(Ka)は、1/M又はM-1の単位で表される特定の相互作用の平衡会合を指す。或いは、親和性は、Mの単位での特定の結合相互作用の平衡解離定数(Kd)として定義することができる。親和性は、従来の技術を使用して容易に決定することができる(例えば、Scatchard et al.(1949)Ann.N.Y.Acad.Sci.51:660;及び米国特許第5,283,173号明細書、同第5,468,614号明細書、又は同等物を参照)。
【0057】
融合タンパク質
いくつかの実施形態では、本開示は、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドを含む融合タンパク質を提供し、第2のポリペプチドは相挙動を有する。実施形態では、第1のポリペプチドは酵素である。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、治療上、美容上、又は産業上の目的を有する任意のポリペプチドである。また、本明細書では、第1のポリペプチドを安定化させる、精製する、及び作製する方法も提供される。
【0058】
第1のポリペプチド
いくつかの実施形態では、本開示は、第1のポリペプチドを含む融合タンパク質を提供する。第1のポリペプチドは、例えば、治療上、美容上、又は産業上の目的を有する任意のポリペプチドであり得る。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、(i)酵素又はその触媒断片;(ii)抗体又はその抗原結合断片;(iii)シグナル伝達分子又はその断片;(iv)構造タンパク質又はその断片:(v)ホルモン、(vi)核酸結合タンパク質(NBP)又はその断片;(vii)治療薬又はその断片;(viii)担体タンパク質又はその断片;(ix)サイトカイン又はその断片;或いは(x)毒素又はその断片である。
【0059】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、担体タンパク質である。実施形態では、担体タンパク質は:ヒト転写因子TAF12(TAF12)、ケトステロイドイソメラーゼ(KSI)、マルトース結合タンパク質(MBP)、β-ガラクトシダーゼ(β-Ga1)、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)、チオレドキシン(Trx)、キチン結合ドメイン(CBD)、BMP-2突然変異体(BMPM)、SUMO、CAT、TrpE、ブドウ球菌プロテインA、レンサ球菌タンパク質、デンプン結合タンパク質、エンドグルカナーゼAのセルロース結合ドメイン、エキソグルカナーゼCexのセルロース結合ドメイン、ビオチン結合ドメイン、recA、F1ag、ポリ(His)、ポリ(Arg)、ポリ(Asp)、ポリ(G1n)、ポリ(Phe)、ポリ(Cys)、緑色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、黄色蛍光タンパク質、シアン蛍光タンパク質、ビオチン、抗ビオチン、ストレプトアビジン、抗体エピトープ、アルブミン、ウシ血清アルブミン、キーホールリンペットヘモシアニン、並びに変異体及びその断片から選択される。実施形態では、担体タンパク質は、アルブミンである。実施形態では、担体タンパク質は、ウシ血清アルブミンである。
【0060】
実施形態では、第1のポリペプチドは治療薬である。治療薬の非限定的な例としては、抗体、サイトカイン、レピルジン、セツキシマブ、ドルナーゼアルファ、デニロイキンジフチトクス、エタネルセプト、ビバリルジン、ロイプロリド、アルテプラーゼ、インターフェロンアルファ-n1、ダルベポエチンアルファ、レテプラーゼ、エポエチンアルファ、サケカルシトニン、インターフェロンアルファ-n3、ペグフィルグラスチム、サルグラモスチム、セクレチン、ペグインターフェロンアルファ-2b、アスパラギナーゼ、チロトロピンアルファ、抗血友病因子、アナキンラ、グラミシジンD、静脈内免疫グロブリン、アニストレプラーゼ、インスリン(レギュラー)、テネクテプラーゼ、メノトロピン、インターフェロンガンマ-1b、インターフェロンアルファ-2a(組換え)、凝固因子Vila、オプレルベキン、パリフェルミン、グルカゴン(組換え)、アルデスロイキン、B型ボツリヌス毒素、オマリズマブ、ルトロピンアルファ、インスリンリスプロ、インスリングラルギン、コラゲナーゼ、ラスブリカーゼ、アダリムマブ、イミグルセラーゼ、アブシキシマブ、α-1-プロテイナーゼ阻害剤、ペガスパルガーゼ、インターフェロンベータ-1a、ウシペグアデマーゼ、ヒト血清アルブミン、エプチフィバチド、ヨウ素化血清アルブミン、インフリキシマブ、フォリトロピンベータ、バソプレシン、インターフェロンベータ-1b、ヒアルロニダーゼ、リツキシマブ、バシリキシマブ、ムロモナブ、ジゴキシン免疫Fab(ヒツジ)、イブリツモマブ、ダプトマイシン、トシツモマブ、ペグビソマント、A型ボツリヌス毒素、パンクレリパーゼ、ストレプトキナーゼ、アレムツズマブ、アルグルセラーゼ、カプロマブ、ラロニダーゼ、ウロフォリトロピン、エファリズマブ、血清アルブミン、コリオゴナドトロピンアルファ、抗胸腺細胞グロブリン、フィルグラスチム、凝固第IX因子、ベカプレルミン、アガルシダーゼベータ、インターフェロンアルファ-2b、オキシトシン、エンフビルチド、パリビズマブ、ダクリズマブ、ベバシズマブ、アルシツモマブ、エクリズマブ、パニツムマブ、ラニビズマブ、イドゥルスルファーゼ、アルグルコシダーゼアルファ、エキセナチド、メカセルミン、プラムリンチド、ガルスルファーゼ、アバタセプト、コシントロピン、コルチコトロピン、インスリンアスパルト、インスリンデテミル、インスリングルリジン、ペガプタニブ、ネシリチド、チマルファシン、デフィブロチド、天然アルファインターフェロン/マルチフェロン、グラチラマー酢酸塩、プレオタクト(preotact)、テイコプラニン、カナキヌマブ、イピリムマブ、スロデキシド、トシリズマブ、テリパラチド、ペルツズマブ、リロナセプト、デノスマブ、リラグルチド、ゴリムマブ、ベラタセプト、ブセレリン、ベラグルセラーゼアルファ、テサモレリン、ブレンツキシマブベドチン、タリグルセラーゼアルファ、ベリムマブ、アフリベルセプト、アスパラギナーゼエルウィニアクリサンセミ(Erwinia chrysanthemi)、オクリプラスミン、グルカルピダーゼ、テドゥグルチド、ラキシバクマブ、セルトリズマブペゴル、インスリンイソファン(insulin isophane)、エポエチンゼータ、オビヌツズマブ、フィブリノリジン別名プラスミン、フォリトロピンアルファ、ロミプロスチム、ルシナクタント、ナタリズマブ、アリスキレン、ブタクサ花粉抽出物、セクキヌマブ、ソマトトロピン(組換え)、ドロトレコギンアルファ、アレファセプト、OspAリポプロテイン、ウロキナーゼ、アバレリックス、セルモレリン、アプロチニン、ゲムツズマブオゾガマイシン、サツモマブペンデチド、アルビグルチド、アンチトロンビンアルファ、アンチトロンビンIII(ヒト)、アスフォターゼアルファ(asfotase alfa)、アテゾリズマブ、自家培養軟骨細胞、ベラクタント、ブリナツモマブ、C1エステラーゼ阻害剤(ヒト)、凝固因子XIIIAサブユニット(組換え)、コネスタットアルファ、ダラツムマブ、デシルジン、デュラグルチド、エロスルファーゼアルファ、エボロクマブ、フィブリノゲン濃縮物(ヒト)、フィルグラスチム-sndz、胃内因子、B型肝炎免疫グロブリン、ヒトカルシトニン、ヒトクロストリジウム破傷風(Clostridium tetani)トキソイド免疫グロブリン、ヒト狂犬病ウイルス免疫グロブリン、ヒトRho(D)免疫グロブリン、ヒトRho(D)免疫グロブリン、ヒアルロニダーゼ(ヒト、組換え体)、イダルシズマブ、免疫グロブリン(ヒト))、ベドリズマブ、ウステキヌマブ、ツロクトコグアルファ、ツベルクリン精製タンパク質誘導体、シモクトコグアルファ、シルツキシマブ、セベリパーゼアルファ、サクロシダーゼ、ラムシルマブ、プロトロンビン複合体濃縮物、ポラクタントアルファ、ペムブロリズマブ、ペグインターフェロンベータ-1a、オファツムマブ、オビルトキサキシマブ(obiltoxaximab)、ニボルマブ、ネシツムマブ、メトレレプチン、メトキシポリエチレングリコール-エポエチンベータ、メポリズマブ、イセキズマブ、インスリンデグルデク、インスリン(ブタ)、インスリン(ウシ)、サイログロブリン、炭疽菌免疫グロブリン(ヒト)、抗阻害剤凝固複合体、ブロダルマブ、C1エステラーゼ阻害剤(組換え)、絨毛性ゴナドトロピン(ヒト)、絨毛性ゴナドトロピン(組換え)、凝固因子X(ヒト)、ジヌツキシマブ、エフモロクトコグアルファ、第IX因子複合体(ヒト)、A型肝炎ワクチン、ヒト水痘帯状疱疹免疫グロブリン、イブリツモマブチウキセタン、レノグラスチム、ペグロティカーゼ、硫酸プロタミン、プロテインS(ヒト)、シプロイセルT、ソマトロピン(組換え)、スソクトコグアルファ、及びトロンボモデュリンアルファが挙げられる。
【0061】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)、上皮成長因子(EGF)、インスリン様成長因子(IGF1)、ソニックヘッジホッグ(SHH)、骨形成タンパク質2(BMP2)、グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)、又はノギンなどの成長因子である。
【0062】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドはサイトカインである。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、インターロイキン-1(IL-1)、インターロイキン-2(IL-2)、インターロイキン-3(IL-3)、インターロイキン-4(IL-4)、インターロイキン-5(IL-5)、インターロイキン-6(IL-6)、インターロイキン-7(IL-7)、インターロイキン-8(IL-8)、インターロイキン-9(IL-9)、インターロイキン-10(IL-10)、インターロイキン-11(IL-11)、インターロイキン-12(IL-12)、インターロイキン-13(IL-13)、インターロイキン-14(IL-14)、インターロイキン-15(IL-15)、インターロイキン-16(IL-16)、インターロイキン-17(IL-17)、インターロイキン-18(IL-18)、インターロイキン-19(IL-19)、インターロイキン20(IL-20)、インターロイキン21(IL-21)、インターロイキン22(IL-22)、インターロイキン23(IL-23)、インターロイキン24(IL-24)、インターロイキン25(IL-25)、インターロイキン26(IL-26)、インターロイキン27(IL-27)、インターロイキン-28(IL-28)、インターロイキン-29(IL-29)、インターロイキン-30(IL-30)、インターロイキン-31(IL-31)、インターロイキン-32(IL-32)、インターロイキン-33(IL-33)、インターロイキン-34(IL-34)、インターロイキン-35(IL-35)、インターロイキン-36(IL-36)、インターロイキン-37(IL-37)、インターロイキン-38(IL-38)、インターロイキン-39(IL-39)、又はインターロイキン-40(IL-40)などのインターロイキンである。いくつかの実施形態では、サイトカインは、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)、インターフェロンガンマ(IFN-g)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、又はトランスフォーミング成長因子ベータ(TGV-B)である。
【0063】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、受容体又は受容体断片である。例えば、第1のポリペプチドは、細胞表面受容体又はその細胞外部分(例えば、細胞外ドメイン)であり得る。いくつかの実施形態では、受容体は、イオンチャネル関連受容体、酵素結合受容体、又はGタンパク質共役受容体である。いくつかの実施形態では、受容体は、受容体チロシンキナーゼ、チロシンキナーゼ関連受容体、受容体様チロシンホスファターゼ、受容体セリン-スレオニンキナーゼ、受容体グアニリルシクラーゼ、又はヒスチジンキナーゼ関連受容体であり得る。
【0064】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、酵素又はその誘導体若しくは触媒断片である。本明細書で使用される場合、「酵素」という用語には、それ自体は変化することなく他の物質の化学変化を触媒できるタンパク質又はその誘導体若しくは断片が含まれる。酵素の非限定的な例としては、オキシドレダクターゼ、トランスフェラーゼ、ヒドロラーゼ、リアーゼ、イソメラーゼ、リガーゼ、ヘミセルラーゼ、ペルオキシダーゼ、プロテアーゼ、グルコ-アミラーゼ、アミラーゼ、アルカリ/酸ホスファターゼ、イソメラーゼ、オキシダーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、ケラタナーゼ、レダクターゼ、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、β-グルコシダーゼ、ラマリナーゼ(lamarinase)、キナーゼ、オキシドレクチュアーゼ(oxidorectuases)、リガーゼ、リゾチーム、ペントサナーゼ、マラナーゼ(malanase)、グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、デヒドロゲナーゼ、デカルボキシラーゼ、キナーゼ、フィターゼ、ラッカーゼ、及びそれらの誘導体が挙げられる。
【0065】
いくつかの実施形態では、酵素又はその誘導体若しくは触媒断片は、細菌又は真菌から単離されるか又はそれに由来する。いくつかの実施形態では、酵素又はその誘導体若しくは触媒断片は、哺乳動物から単離されるか又はそれに由来する。
【0066】
いくつかの実施形態では、酵素又はその誘導体若しくは触媒断片は、天然に存在する酵素である。いくつかの実施形態では、酵素又はその誘導体若しくは触媒断片は、天然に存在する酵素と比較して、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、又はそれ以上のアミノ酸突然変異を有する。いくつかの実施形態では、酵素又はその誘導体若しくは触媒断片は、天然に存在する酵素に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、又は少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0067】
別段の指示がない限り、配列同一性は、blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgiで入手可能なNational Center for Biotechnology Information(NCBI)’s Basic Local Alignment Search Tool(BLAST(登録商標))を使用して決定される。いくつかの実施形態では、配列同一性は、比較される配列の全長にわたって計算される。いくつかの実施形態では、配列同一性は、各比較配列の20のアミノ酸、50のアミノ酸、75のアミノ酸、100のアミノ酸、250のアミノ酸、500のアミノ酸、750のアミノ酸、又は1000のアミノ酸の断片にわたって計算される。
【0068】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、抗体又はその誘導体若しくは抗原結合断片である。いくつかの実施形態では、抗体は、リツキシマブ、トラスツズマブ、レチファンリマブ、アミバンタマブ、ウブリツキシマブ、アニフロルマブ、ロンカスツキシマブテシリン、バルスチリマブ、ビメキズマブ、トラロキヌマブ、エビナクマブ、スチムリマブ、アデュカヌマブ、テプリズマブ、ドスターリマブ、タネズマブ、イノリモマブ、オポルツズマブモナトックス、ナルソプリマブ、アンスビマブ、マルゲツキシマブ、ナキシタマブ、アトルチビマブ、マフティビマブ、及びオデシビマブ-ebgn、ベランタマブマフォドチン、タファシタマブ、サトラリズマブ、イネビリズマブ、サシツズマブゴビテカン、テプロツムマブ、イサツキシマブ、エプチネズマブ、[fam]-トラスツズマブデルクステカン、エンフォルツマブベドチン、クリザンリズマブ、ブロルシズマブ、ポラツズマブベドチン、リサンキズマブ、ロモソズマブ、カプラシズマブ、ラブリズマブ、エマパルマブ、セミプリマブ、フレマネズマブ、モキセツモマブパスドトックス、ガルカネズマブ、ラナデルマブ、モガムイズマブ(mogamuizumab)、エレヌマブ、チルドラキズマブ、イバリズマブ、ブロスマブ、デュルバルマブ、エミシズマブ、ベンラリズマブ、オクレリズマブ、グセルクマブ、イノツズマブ、オゾガマイシン、サリルマブ、デュピルマブ、アベルマブ、ブロダルマブ、アテゾリズマブ、ベズロトクスマブ、オララツマブ、レスリズマブ、オビルトキサキシマブ、イケキズマブ、ダラツムマブ、エロツズマブ、ネシツムマブ、イダルシズマブ、アリロクマブ、メポリズマブ、エボロクマブ、ジヌツキシマブ、セクキヌマブ、ニボルマブ、ブリナツモマブ、ペムブロリズマブ、ラムシルマブ、ベドリズマブ、シルツキシマブ、オビヌツズマブ、アド-トラスツズマブエムタンシン、ラキシバクマブ、ペルツズマブ、ブレンツキシマブベドチン、ベリムマブ、イピリムマブ、デノスマブ、トシリズマブ、オファツムマブ、カナキヌマブ、ゴリムマブ、ウステキヌマブ、セルトリズマブペゴル、カツマキソマブ、エクリズマブ、ラニビズマブ、パニツムマブ、ナタリズマブ、ベバシズマブ、セツキシマブ、エファリズマブ、オマリズマブ、トシツモマブ-i131、イブリツモマブチウキセタン、アダリムマブ、アレムツズマブ、ゲムツズマブ、オゾガマイシン、トラスツズマブ、インフリキシマブ、パリビズマブ、バシリキシマブ、ダクリズマブ、又は前述の抗体若しくはその抗原結合断片のいずれか1つと少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、又は少なくとも99%の同一性を有するこれらの誘導体若しくは抗原結合断片である。いくつかの実施形態では、抗体又はその誘導体若しくは抗原結合断片は、前述の抗体又はその抗原結合断片のいずれか1つと比較して、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、又はそれ以上のアミノ酸突然変異を有する。
【0069】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、シグナル伝達分子又はその断片若しくは誘導体である。「シグナル伝達分子」という用語は、細胞内での規定された一連の生化学反応を伴うプロセスを細胞が受けるようにするタンパク質を指す。シグナル伝達分子の非限定的な例としては、受容体チロシンキナーゼ(例えば、Gタンパク質共役受容体)、核ホルモン受容体、細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)、ワクシニアウイルス(VHR)H1関連タンパク質、ホスファターゼのマイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MKP)ファミリーのメンバー、インターロイキン、サイトカイン、転写活性化因子、又は転写因子が挙げられる。いくつかの実施形態では、シグナル伝達分子又はその断片若しくは誘導体は、天然に存在するシグナル伝達分子である。いくつかの実施形態では、シグナル伝達分子又はその断片若しくは誘導体は、天然に存在するシグナル伝達分子又はその断片若しくは誘導体と比較して、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、又はそれ以上のアミノ酸突然変異を有する。いくつかの実施形態では、シグナル伝達分子又はその断片若しくは誘導体は、天然に存在するシグナル伝達分子又はその断片又は誘導体に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、又は少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0070】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、構造タンパク質又はその断片若しくは誘導体である。「構造タンパク質」という用語は、生物学的構造支持体として機能し得る非触媒タンパク質のクラスを指す。タンパク質は、それ自体で、他のタンパク質と組み合わせて生物学的構造支持体として、又は他の材料のマトリックス又は支持体として機能し得る。構造タンパク質の非限定的な例としては、クモの糸、ポリン(例えば、外膜ポリンF前駆体)、ケラチン、コラーゲン、アクチン、アクチニン、アグリカン、ビグリカン、カドヘリン、クラスリン、デコリン、エラスチン、フィブリノゲン、フィブリン、ヘパリン、ラミニン、ムチン、ミエリン関連糖タンパク質、ミエリン塩基性タンパク質、ミオシン、スペクトリン、トロポミオシン、トロポニン、チューブリン、ビメンチン、ビトロネクチン、及びレコグニンが挙げられる。いくつかの実施形態では、前述の構造タンパク質又はその断片若しくは誘導体は、天然に存在する構造タンパク質又はその断片若しくは誘導体と比較して、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、又はそれ以上のアミノ酸変突然変異を有する。いくつかの実施形態では、構造タンパク質又はその断片若しくは誘導体は、天然に存在する構造タンパク質又はその断片若しくは誘導体に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、又は少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0071】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、ホルモン又はその断片若しくは誘導体である。「ホルモン」という用語は、生物の一部の細胞、腺、又は器官によって放出され、生物の他の部分の細胞に影響を与えるメッセージを送る化学物質を指す。ホルモンの非限定的な例としては、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン、成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)、ドーパミン、ソマトスタチン、バソプレシン、成長ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、メラノサイト刺激ホルモン(MSH)、黄体形成ホルモン(LH)、プロラクチン、オキシトシン、チモポエチン、IGF、THPO、アンドロゲン、糖質コルチコイド、アルドステロン、アドレナリン、ノルアドレナリン、エストロゲン、プロゲステロン、プロラクチン、リラキシン、メラトニン、カルシトニン、PTH、ガストリン、グレリン、ヒスタミン、神経ペプチドY、インスリン、グルカゴン、カルシトリオール、レニン、エリスロポエチン、インヒビン、及びカルシトニンが挙げられる。いくつかの実施形態では、ホルモンは成長因子である。
【0072】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、哺乳動物ポリペプチドである。哺乳動物ポリペプチドは、ヒトポリペプチド、ヤギポリペプチド、ウサギポリペプチド、マウスポリペプチド、ラットポリペプチド、霊長類ポリペプチド、又はヒヒポリペプチドであり得る。
【0073】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、ウイルスポリペプチドである。ウイルスポリペプチドの非限定的な例としては、gagタンパク質、DNAポリメラーゼ、プロテアーゼ、カプシドタンパク質、エンベロープポリペプチド、融合ポリペプチド、及びスパイクタンパク質が挙げられる。いくつかの実施形態では、ウイルスポリペプチドは、カプシドタンパク質である。いくつかの実施形態では、ウイルスポリペプチドは、エンベロープタンパク質である。いくつかの実施形態では、ウイルスポリペプチドは、スパイクタンパク質である。いくつかの実施形態では、カプシドタンパク質は、AAVカプシドタンパク質である。いくつかの実施形態では、ウイルスポリペプチドは、T7ポリメラーゼなどのバクテリオファージポリペプチドである。
【0074】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、細菌ポリペプチド又はその誘導体若しくは断片である。「細菌ポリペプチド」という用語は、細菌又は他の微生物によって自然に産生されるポリペプチド又はタンパク質を指す。いくつかの実施形態では、細菌ポリペプチドは、ボツリヌス毒素、ジフテリア毒素、炭疽菌毒素、緑膿菌(pseudomonas)外毒素A、又は志賀毒素である。いくつかの実施形態では、細菌ポリペプチドは、ブドウ球菌(Staphylococcus)プロテインA(SPA)又はプロテインLである。
【0075】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは毒素である。毒素の非限定的な例としては、易熱性毒素(LT)、耐熱性毒素(ST)、ベロ毒素、志賀様毒素(Stxs)、細胞毒素、エンドトキシン(例えば、リポ多糖(LPS))、腸管凝集性ST毒素(EAST)、シゲラ(Shigella)エンテロトキシン1(ShET1)、シゲラ(Shigella)エンテロトキシン2(ShET2)、神経毒、細胞致死性膨張性毒素(Cdt)、AvrA毒素、細胞傷害性壊死因子、マウス毒素、細胞致死性膨張性毒素、AvrA毒素、毒素複合体、細胞毒素壊死因子、Yst毒素、耐熱性毒素、志賀様毒素II、ロイコトキシン、エンテロトキシン、耐熱様エンテロトキシン、細胞外毒素複合体、溶血素、膜孔形成毒素、α溶血素、耐熱様毒素、細胞外毒素複合体(ETC)、アルファ毒素、ベータ毒素、神経毒、C2毒素、破傷風神経毒素、イプシロン毒素、テタノスパスミン、レシチナーゼ、コレラ毒素、コレラ菌副毒素(accessory cholera enterotoxin)、RTX毒素、C3毒素、イオタ毒素、シータ毒素、δ溶血素、δ溶血素、γ溶血素、パントン-バレンタインロイコシジン、ブドウ球菌エンテロトキシン、毒素性ショック症候群毒素-1、Zot毒素(zona occludens toxin)、胆汁毒素、コレラ毒素(CTx)、副コレラエンテロトキシン(Ace)、RTX毒素、閉塞帯毒素(Zot)、Cholix毒素、β-溶血素/細胞溶解素、CAMP因子、ストレプトリジンO、ストレプトリジンS、ニューモリシン、外毒素、空胞化致死毒素A(VacA)、細胞溶解性毒素、外毒素A、外毒素S、外毒素T、外毒素U、外毒素Y、ホスホリパーゼC、Cry毒素、炭疽菌毒素、細胞致死性膨張毒素A、細胞致死性膨張毒素B、細胞致死性膨張毒素C、コレラ様エンテロトキシン、アデニル酸シクラーゼ毒素、百日咳毒素、気管細胞毒素、皮膚壊死性毒素、ジフテリア毒素、バクテロイデス・フラジリス(Bacteroides fragilis)毒素、及びリステリオリシンOが挙げられる。いくつかの実施形態では、毒素は、ボツリヌス毒素、ジフテリア毒素、炭疽菌毒素、シュードモナス外毒素A、又は志賀毒素である。
【0076】
いくつかの実施形態では、毒素は、細菌、例えば、エルシニア(Yersinia)属、サルモネラ属(Salmonella)、シゲラ属(Shigella)、エシェリヒア属(Escherichia)、エンテロバクター属(Enterobacter)、クレブシエラ属(Klebsiella)、セラチア属(Serratia)、プロテウス属(Proteus)、シトロバクター属(Citrobacter)、クロストリジウム属(Clostridium)、ビブリオ属(Vibrio)、スタヒロコッカス属(Staphylococcus)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)、ヘリコバクター属(Helicobacter)、シュードモナス属(Pseudomonas)、パスツレラ属(Pasteurella)、バチルス属(Bacillus)、カンピロバクター属(Campylobacter)、エロモナス属(Aeromonas)、ナイセリア属(Neiserria)、ボルデテラ属(Bordetella)、ヘモフィルス属(Haemophilus)、クラミジア属(Chlamydia)、コリネバクテリウム属(Corynebacteria)、バクテロイデス属(Bacteroides)、コリネバクテリウム属(Corynebacteria)、及びリステリア属(Listeria)のいずれか1つから選択される細菌から単離される。
【0077】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、抗原性ポリペプチドである。「抗原性ポリペプチド」という用語は、生物において免疫応答を誘発する任意のポリペプチドを指す。いくつかの実施形態では、抗原性ポリペプチドは、抗原性ポリペプチドに対する体液性及び/又は細胞性免疫応答の発生を引き起こす。いくつかの実施形態では、抗原性ポリペプチドは、ワクチンの成分である。いくつかの実施形態では、抗原性ポリペプチドは、血液凝集素、スパイクタンパク質、ノイラミニダーゼ、B型肝炎表面抗原(HBsAg)、融合タンパク質、又はカプシドタンパク質である。いくつかの実施形態では、抗原性ポリペプチドは、SARS-CoV由来のスパイクタンパク質又はSARS-CoV-2由来のスパイクタンパク質である。
【0078】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、タンパク質合成に関与する1つ又は複数のステップを実行できる酵素である。タンパク質合成に関与する酵素の非限定的な例としては、以下の遺伝子のいずれか1つによってコードされるタンパク質などのリボソームタンパク質が挙げられる:RPSA、RPS3、RPS3A、RPS4X、RPS4Y、RPS5、RPS6、RPS7、RPS8、RPS9、RPS10、RPS11、RPS12、RPS13、RPS14、RPS15、RPS 15A、RPS16、RPS17、RPS18、RPS19、RPS20、RPS21、RPS23、RPS24、RPS25、RPS26、RPS27、RPS27A、RPS28、RPS29、RPS30、RPL3 RPSl4、RPL5、RPL6、RPL7、RPL7A、RPL8、RPL9、RPL10、RPL10A、RPL12、RPL13A、RPL14、RPL15、RPL17、RPL18、RPL18A、RPL19、RPL21、RPL22、RPL23、RPL23A、RPL24、RPL26、RPL27A、RPL30、RPL31、RPL32、RPL34、RPL25、RPL26、RPL36A、RPL37、RPL39、RPL50、RPP0、RPP1、RPP1。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、シャペロンタンパク質などのタンパク質のフォールディングに関与する。シャペロンタンパク質の非限定的な例としては、Hsp70(cpn60、GroEL)、Hsp60(DNAK、BiP)、Hsp25、HSP90(Clp)、カルネキシン、カルレティキュリン、PDI、PPI、α溶菌プロテアーゼ(alpha-lytic protease)、又はサブチリシンなどの熱ショックタンパク質が挙げられる。
【0079】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、タンパク質修飾に関与する1つ又は複数のステップを実行できる酵素である。例えば、第1のポリペプチドは、キナーゼ、ホスファターゼ、メチラーゼ、グリコシルトランスフェラーゼ、脂質を付加又は除去する酵素、キャッピング酵素、又はテーリング酵素(tailing enzyme)であり得る。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、リン酸化、グリコシル化、S-ニトロシル化、メチル化、n-アセチル化、パルミトイル化、n-ミリストイル化、プレニル化、SUMO化、又はユビキチン化に関与する酵素などの翻訳後修飾に関与する。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、リン酸化、メチル化、脂質化、キャッピング、又はテーリングに関与する。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、キナーゼ又はホスホリラーゼである。いくつかの実施形態では、酵素は、AMAN1、MGAT/GNT1、AMAN II、MGAT2/GNT II、MGAT3/GNT III、MGAT4A/GNT IV、MGAT5/GNT V、FUT8、B4GALT1、ST3GAL3、ST3GAL1、FUT11、XYLT、POMT1、POMT2、GALNT1、POFUT1、XYLT1、HPAT1、HPAT3、GALT2、SERGT1、又はRRA1である。
【0080】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、DNA又はRNAの合成に関与する1つ又は複数のステップを実行できる酵素である。例えば、第1のポリペプチドは、DNAポリメラーゼ又はRNAポリメラーゼなどのポリメラーゼであり得る。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、ヘリカーゼであり得る。
【0081】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、DNA又はRNA修飾に関与する1つ又は複数のステップを実行できる酵素である。例えば、第1のポリペプチドは、Cas9又はCas12などのCas酵素であり得る。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、Znフィンガーヌクレアーゼであり得る。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、TALENであり得る。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、メガヌクレアーゼであり得る。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、デアミナーゼであり得る。
【0082】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、核酸結合タンパク質(NBP)である。いくつかの実施形態では、核酸結合タンパク質は、RNA結合タンパク質(RBP)である。いくつかの実施形態では、核酸結合タンパク質は、DNA結合タンパク質(DBP)である。RBPはRNAに結合するが、DBPはDNAに結合する。実施形態では、NBPは、DNA、マイクロRNA、キャップ付きRNA、DNA、二本鎖RNA、転移RNA、リボソームRNA、核内低分子RNA、調節RNA、リボザイム、転移RNA、又はメッセンジャーRNAに結合する。
【0083】
実施形態では、NBPは、ポリAテール、二本鎖RNA、AUリッチエレメント(ARE)、核酸の正に帯電した天然変性領域(IDR)、又はmRNAキャップに結合する。
【0084】
実施形態では、RBPは、AUリッチエレメントに結合する。AUリッチエレメントは、本明細書では「ARE」と呼ばれる。AREは、mRNAの5’又は3’非翻訳領域にあるアデニレート-ウリジレートリッチエレメントを指す。AREは、コア配列AUUUA(配列番号X)を含む。AREは、RNA安定性の決定因子であり、多くの場合、癌原遺伝子、核転写因子、サイトカインのmRNAで発生する。AREに結合するタンパク質は、ARE結合タンパク質(ARE-BP)と呼ばれる。実施形態では、ARE-BPは、mRNAを安定化させる。ARE-BPの非限定的な例としては、ヒト抗原R(huR、「ELAV」とも呼ばれる)、トリステトラポリン(tristetrapolin)(TTP)、AUリッチエレメントRNA結合タンパク質(AUF)、及び脆弱X精神遅滞症候群関連タンパク質1(fragile X mental retardation syndrome -related protein 1)(FXR1)が挙げられる。以下の論文は、ARE-BPについて説明しており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる:Otsuka et al.Front.Genet.,02 May 2019;Brennan and Steitz.Cell Mol Life Sci.2001 Feb;58(2):266-77;Carballo et al.1998.Science,281,1001-1005;Mazan-Mamczarz et al.Oncogene volume 27,pages 6151-6163(2008);Vasudevan and Steitz.Cell.2007 Mar 23;128(6):1105-18;Curr Cancer Drug Targets.2019;19(5):382-399;J Biol Chem.2017 Apr 28;292(17):6869-6881.doi:10.1074/jbc.M116.772947.Epub 2017 Mar 16;Wiley Interdiscip Rev RNA.Jul-Aug 2014;5(4):549-64.doi:10.1002/wrna.1230;及びElife.2017 Aug 2;6:e26129.doi:10.7554/eLife.26129;Mazan-Mamczarz et al.2008.Nucleic Acids Research,37,204-214。実施形態では、NBPはAREに結合する。実施形態では、AREに結合するNBPには、huR、TTP、AUF、又はFXR1の結合要素が組み込まれる。
【0085】
実施形態では、NBPは、二本鎖RNAに結合する。実施形態では、NBPは、dsRNA結合タンパク質(dsRBD)又はその断片を含む。dsRBDは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる以下の参考文献に記載されている:Banerjee et al.RNA Biol.2014 Oct;11(10):1226-1232。
【0086】
実施形態では、NBPは、キャップ付きmRNAに結合する。実施形態では、キャップ付きmRNAに結合するNBPは、真核生物翻訳開始因子4E(eIF4E)、真核生物翻訳開始因子3サブユニットD(eIF3D)、又はそれらの組み合わせを含む。
【0087】
実施形態では、NBPは、DNA又はRNAの溝に結合する。DNA又はRNAの溝に結合する核酸結合タンパク質の非限定的な例としては、ヒト免疫不全ウイルス-1(HIV-1)の転写のトランス活性化因子(Tat)タンパク質、HIV-1のREVタンパク質、及びRSG-1.2ペプチドが挙げられる。RSG-1.2ペプチドは、HIV-1ゲノムのenv遺伝子内に存在するRev応答エレメントに結合する合成ペプチドである。RSG-1.2ペプチドは、以下の論文に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる:Kumar et al. PLoS One.2011;6(8):e23300。
【0088】
実施形態では、NBPは、mRNAに結合する。実施形態では、mRNAに結合するNBPは、リボソームタンパク質である。実施形態では、リボソームタンパク質は、70Sリボソーム又は80Sリボソームである。実施形態では、リボソームタンパク質は、80Sリボソームの40S又は60Sサブユニットに由来する。実施形態では、リボソームタンパク質は、70Sリボソームの30S又は50Sサブユニットに由来する。実施形態では、リボソームタンパク質は、L3リボソームタンパク質、L4リボソームタンパク質、L13リボソームタンパク質、L20リボソームタンパク質、L22リボソームタンパク質、L24リボソームタンパク質、L24eリボソームタンパク質、S12リボソームタンパク質、S14リボソームタンパク質、及び真核生物開始因子4E結合タンパク質1(4EBP1)からなる群から選択される。
【0089】
実施形態では、mRNAに結合するNBPは、スプライセオソームの一部である。実施形態では、スプライセオソームの一部であるNBPは、スプライシング因子である。実施形態では、スプライシング因子は、ASF/SF2スプライシング因子、セリン/アルギニンリッチスプライシング因子4(SRp75)、並びにセリン及びアルギニンリッチスプライシング因子1(SRSF1)から選択される。
【0090】
実施形態では、mRNAに結合するNBPは、P顆粒に局在するタンパク質である。実施形態では、P顆粒に局在するタンパク質は、LAF-1、MEG-1、及びMEG-3からなる群から選択される。LAF-1、MEG-1、及びMEG-3は、以下の参考文献に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる:Leacock et al.Genetics,Volume 178,Issue 1,1 January 2008,Pages 295-306;Wu et al.Mol Biol Cell.2019 Feb 1;30(3):333-345;Elbaum-Garfinkle et al.Proc Natl Acad Sci USA.2015 Jun 9;112(23):7189-94。
【0091】
実施形態では、mRNAに結合するNBPは、mRNAの5’キャップを除去するか又はその除去を促進するタンパク質であり、本明細書では「デキャッピングタンパク質(decapping protein)」と呼ばれる。実施形態では、mRNAの5’キャップを除去するか又はその除去を促進するタンパク質は、Dcp1、Dcp2、又はそれらの組み合わせである。Dcp1及びDcp2は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる以下の参考文献に記載されている:Valkov et al.Nature Structural & Molecular Biology volume 23,pages 574-579(2016)。
【0092】
実施形態では、mRNAに結合するNBPは、プロセシングボディ(pボディ)の構成要素である。実施形態では、pボディの構成要素は、Edc3、DHX9、又はXrn1である。pボディの成分は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる以下の参考文献に記載されている:Luo et al.Biochemistry 2018,57,17,2424-2431。
【0093】
実施形態では、mRNAに結合するNBPは、ステムループ結合タンパク質(SLBP)である。SLBPは、複製依存性ヒストンmRNAのヒストン3’非翻訳領域(UTR)ステムループ構造に結合する。実施形態では、mRNAに結合するNBPは、ヘテロ核リボ核タンパク質(hnRNP)である。hnRNPは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる以下の参考文献に記載されている:Geuens et al.Hum Genet.2016;135:851-867。
【0094】
実施形態では、mRNAに結合するNBPはGroELである。
【0095】
実施形態では、NBPは、インビトロ転写に関与するタンパク質である。インビトロ転写に関与するNBPの非限定的な例としては、T7 RNAポリメラーゼ、RNアーゼ阻害剤、2’-O-メチルトランスフェラーゼ、無機ピロホスファターゼ、ポリ(A)ポリメラーゼ、DNアーゼI、仔ウシ腸ホスファターゼ、南極ホスファターゼ(Antarctic phosphatase)、ワクシニアウイルスmRNAキャッピング酵素のD1サブユニット、グアニン-7-メチルトランスフェラーゼ(ワクシニアウイルスmRNAキャッピング酵素のD1サブユニットに存在)、グアニリルトランスフェラーゼ(ワクシニアウイルスmRNAキャッピング酵素のD1サブユニットに存在)、RNAトリホスファターゼ(ワクシニアウイルスmRNAキャッピング酵素のD1サブユニットに存在)、及びワクシニアウイルスmRNAキャッピング酵素のD12サブユニットが挙げられる。以下の参考文献は、前述のタンパク質を記載しており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる:Dickson et al.Prog Nucleic Acid Res Mol Biol.2005;80:349-374;Shuman et al.J Biol Chem.1980 Dec 10;255(23):11588-11598;Luo et al.J Virol.1995 Jun;69(6):3852-3856;Kobori et al.PNAS November 1,1984 81(21)6691-6695。
【0096】
実施形態では、NBPは、ポリ(A)結合タンパク質(PABP)、真核生物翻訳開始因子4E(eIF4E)、真核生物翻訳開始因子3サブユニットD(eIF3D)、ヘテロ核リボ核タンパク質(hnRNP)、RNA特異的アデノシンデアミナーゼ1(ADAR1)、RNA特異的アデノシンデアミナーゼ2(ADAR2)、枯草菌(Bacillus subtilis)由来のCspB(Bscscp)、Yボックスタンパク質1コールドショックドメイン(YB1-CSD)、Fox-1タンパク質(FOX1)、ポリ(A)結合タンパク質(PABP)、Staufenタンパク質、TIS11d、ジンクフィンガータンパク質(ZNF)、Z-DNA結合タンパク質1(ZBP1)、レチノイン酸誘導性遺伝子-I(RIG-I)様タンパク質、トール様受容体7(TLR7)、トール様受容体8(TLR3)、トール様受容体8(TLR8)、レチノイン酸誘導性遺伝子I(RIG-I)、黒色腫分化関連タンパク質5(MDA5)、テトラトリコペプチド反復1を有するインターフェロン誘導性タンパク質(IFIT1)、プロテインキナーゼR(PKR)、2’-5’-オリゴアデニレートシンテターゼ、オリゴアデニレートシンターゼ様(OASL)タンパク質(例えば、OAS1、OAS2、OAS3、又はOASL)、リボヌクレアーゼE(RNASE E)、ガンマインターフェロン誘導性タンパク質Ifi-16(IF116)、及び環状GMP-AMPシンターゼ(cGAS)からなる群から選択される。以下の参考文献は、選択された前述のタンパク質を記載しており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる:Kuroyanagi.Cell Mol Life Sci.2009;66(24):3895-3907;Baou et al.J Biomed Biotechnol.2009;2009:634520;and Brisse and Ly.Front.Immunol.,17 July 2019;10:1586;Rehwinkel et al.Nature Reviews Immunology volume 20,pages537-551(2020);and Brisse et al.Front Immunol.2019;10:1586;Luo et al.Cell.2011 Oct 14;147(2):409-422。
【0097】
実施形態では、NBPは、1つ又は複数のRNA結合ドメイン(RBD)及び1つ又は複数の天然変性領域(IDR)を含む。実施形態では、IDRは、RG[G]反復、RS/RGリッチドメイン、K/Rパッチ、分子認識機能、低複雑性配列(low complexity sequence)、ペンタトリコペプチドドメイン、又はそれらの組み合わせを含む。
【0098】
実施形態では、NBPは、以下のドメインのうちの1つ又は複数を含む:短鎖モチーフ(SLiM:short linear motif)、RG反復、RGG反復、RS/RGリッチドメイン、K/R塩基性パッチ、分子認識機能、低複雑性配列、RNA認識モチーフ、二本鎖RNA結合ドメイン、K相同ドメイン、ジンクフィンガードメイン(例えば、CCHH ZFドメイン、CCCC(Ran-BP2)ドメイン、CCCH ZFドメイン)、RGGドメイン、Pumilloファミリードメイン、ペンタトリコペプチドドメイン、コールドショックドメイン、ヘリカーゼドメイン、Laモチーフ、Piwi-Argonaute-Zwille(PAZ)ドメイン、PIWI(P-element induced wimpy testis)、プソイドウリジンシンターゼ及びPUA(archaeosine transglycosylate)、Pumillo様反復(PUM)、リボソームS1様(S1)、Sm及びLike-Sm(Sm/Lsm)反復、チウリジンシンターゼ及びRNAメチラーゼ及びプソイドウリジンシンターゼ(THUMP)、及びYT521-B相同性を有するドメイン。以下の参考文献は、これらのドメインの多くを記載しており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる:Balcerak et al.Open Biol.2019 Jun;9(6)190096;Jarvelin et al.Cell Commun Signal,2016:14,9;Corley et al.Mol.Cell.2020 Apr 2;78(1):9-29;De Franco et al.Sci Rep:2019:9,2484;Shotwell et al.2020.Wiley Interdiscip Rev RNA,11,e1573;Simon et al.2019.Molecular Cell,75,66-75.e5;Varadi et al,2015,PLoS One,10,e0139731;Zeke et al,2020,WIREs RNA,n/a,e1714。
【0099】
実施形態では、NBPは、短鎖モチーフ(SLiM)を含む。SLiMは、主にタンパク質ドメインの外側に位置する最大10個のアミノ酸残基モチーフで構成される。SLiMは、低い親和性でRNAに非特異的に結合する。SLiMは、多くの場合、タンパク質全体で複数回繰り返される。
【0100】
実施形態では、NBPは、RS/RGリッチドメインを含む。RS/RGリッチドメインは、アルギニン-セリン反復(RS)、アルギニン-グリシン反復(RG)、又はそれらの組み合わせを含む。RS/RGリッチドメインは、RNAとの特異的又は非特異的相互作用を媒介する。RS/RGリッチドメインを含むタンパク質の例としては、SRタンパク質及びSR様タンパク質様セリン/アルギニンリッチスプライシング因子1(SRSF1)及びRNAヘリカーゼDDX23が挙げられる。
【0101】
実施形態では、NBPは、RG[G]反復を含む。RG[G]反復は、広範な縮重結合(degenerate binding)を有することが知られている。RG[G]反復は、10個のアミノ酸残基によって分離された、少なくとも3つのRG/RGG反復(例えば、3~500)からなるアルギニン及びグリシンリッチモチーフである。RG/RGGモチーフは、異なるアミノ酸のスペーサーが散在する様々な長さのRGG及び/又はRG反復を含む。実施形態では、NBPは、di-RGGモチーフを含む。di-RGGモチーフは、0~4個のアミノ酸によって分離された2つの反復RGG配列を含む。実施形態では、NBPは、di-RGモチーフを含む。di-RGモチーフは、0~4個のアミノ酸によって分離された2つの反復RG配列を含む。実施形態では、NBPは、tri-RGGモチーフを含む。tri-RGGモチーフは、0~4個のアミノ酸によって分離された3つの反復RGG配列を含む。実施形態では、NBPは、tri-RGモチーフを含む。tri-RGモチーフは、0~4個のアミノ酸によって分離された3つの反復RG配列を含む。これらのモチーフは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる以下の論文に記載されている:Thandapani et al.(2013).Molecular Cell,50,613-623。
【0102】
実施形態では、NBPのアミノ酸配列は、1つ又は複数のRG、RGG、RGGR、又はRGGGR、又はそれらの組み合わせを含む。実施形態では、RG、RGG、RGGR、RGGGR、又はそれらの組み合わせを含むNBPは、アルギニン部分を介してDNA及びRNAとの水素結合及び塩基スタッキングを媒介する。実施形態では、RG、RGG、RGGR、RGGGR、又はそれらの組み合わせを含むNBPは、DNA G四重鎖に結合する。RGG、RGGR、又はRGGGRの反復を含む例示的なタンパク質は、RNA結合タンパク質FUSである。実施形態では、NBPはFUSを含む。実施形態では、NBP配列は、RGG、RGGR、RGGGR、又はそれらの組み合わせの連続した反復を含む。RGG、RGGR、又はRGGGR反復の組み合わせを含む例示的なNBPは、配列RGGRGGRGGRRGGRRGGRRGGGRRGGを含み得る。実施形態では、NBPは、その配列全体に散在する1つ又は複数のRGG、RGGR、又はRGGGRを含み得る。実施形態では、NBPは、1~100のRG、RGG、RGGR、又はRGGGR配列を含む。RGG、RGGR、及びRGGGRは、配列全体に(1つ又は複数のアミノ酸で分離されて)散在してもよいし、又は連続してもよい。実施形態では、NBPは、約1つ、約2つ、約3つ、約4つ、約5つ、約6つ、約7つ、約8つ、約9つ、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、約50、約51、約52、約53、約54、約55、約56、約57、約58、約59、約60、約61、約62、約63、約64、約65、約66、約67、約68、約69、約70、約71、約72、約73、約74、約75、約76、約77、約78、約79、約80、約81、約82、約83、約84、約85、約86、約87、約88、約89、約90、約91、約92、約93、約94、約95、約96、約97、約98、約99、又は約100のRG、RGG、RGGR、又はRGGGR反復を含む。RG、RGG、RGGR、及びRGGGR反復は連続してもよいし、又は配列全体に散在してもよい。以下の論文は、例示的なRGG配列を記載しており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる:Simon et al.Molecular Cell(2019),75,66-75.e5。
【0103】
実施形態では、NBPは、RGドメインを含む。RGドメインは、約2~約500のRG(アルギニン-グリシン)反復を含む。実施形態では、NBPは、RGGドメインを含む。RGGドメインは、約2~約500のRGG(アルギニン-グリシン-グリシン)反復を含む。実施形態では、NBPは、RGGRドメインを含む。RGGRドメインは、約2~約500のRGGR(アルギニン-グリシン-グリシン-アルギニン)反復を含む。実施形態では、NBPは、RGGGRドメインを含む。RGGGRドメインは、約2~約500のRGG(アルギニン-グリシン-グリシン-グリシン-アルギニン)反復を含む。実施形態では、NBPは、RG混合ドメインを含む。RG混合ドメインは、2~500のRG、RGG、RGGR、及び/又はRGGGRの同時反復を含む。例えば、RG混合ドメインは、RGG、続いてRG、続いてRGGR、続いてRG、続いてRGGGRを含み得る。
【0104】
実施形態では、NBPは、K/R塩基性パッチを含む。K/R塩基性パッチは、4~8個の連続したリジン、アルギニン、又はそれらの組み合わせを含む。K/R塩基性パッチは、RNAに結合する強い正の露出した界面を形成する。K/R塩基性パッチは、多くの場合、同じタンパク質上の複数のクラスターに含まれる。
【0105】
実施形態では、NBPは、分子認識機能(MoRF)を含む。実施形態では、MoRFは、最大25アミノ酸長、50以上のアミノ酸長、又は25~50アミノ酸長である。MoRFは、リガンド結合時に動的に不規則から規則的に移行する。
【0106】
実施形態では、NBPは、低複雑性(LC)配列を含む。実施形態では、LC配列は、最大100のアミノ酸を含み、同じアミノ酸又はいくつかのアミノ酸の多数の反復から構成される。LC配列は、アミロイド様繊維に重合し、ヒドロゲル様状態への可逆的な相転移を受け得る。LC配列を含むタンパク質の例としては、FUS及びhnRNPA2が挙げられる。
【0107】
実施形態では、NBPは、RNA認識モチーフ(RRM)を含む。RRMは、RNAに結合する。典型的には、結合は、配列特異的である。実施形態では、RRMは、約75~約125アミノ酸長、例えば、約75、約80、約85、約90、約95、約100、約105、約110、約115、約120、又は約125アミノ酸長を有する。実施形態では、RRMは、約85のアミノ酸を含む。RRMは、典型的には、逆平行βシートに対して2つのαヘリックスを形成するβαββαβトポロジーを取り、中央のβ鎖とβ鎖に保存されたRNA結合RNP1及びRNP2モチーフを収容する。
【0108】
実施形態では、NBPは、二本鎖RNA結合ドメイン(dsRBD)を含む。実施形態では、dsRBDは、約55~約80のアミノ酸又は約65~約70のアミノ酸を含む。実施形態では、dsRBDは、68のアミノ酸を含む。dsRBDは、典型的には、αβββα構造を取る。実施形態では、dsRBDは、タンデム反復として、又は他のRNA結合ドメインとの組み合わせで存在する。dsRBDには、B型とA型の2つのサブクラスが存在する。A型は、dsRNAに対してB型よりも良好に結合する。dsRBDは、典型的には、配列特異的ではなく形状依存的に結合する。しかしながら、ADAR2は、配列特異的結合を示すdsRBDのまれな例である。
【0109】
実施形態では、NBPは、K相同ドメインを含む。実施形態では、K相同ドメインは、60~80のアミノ酸を含む。実施形態では、K相同ドメインは、70のアミノ酸を含む。K相同ドメインには、I型又は逆II型の2つの型が存在する。I型K相同ドメインは、βααββ’α’トポロジーを取る。逆II型K相同ドメインは、α’β’βααβトポロジーを取る。K相同ドメインは、結合に芳香族アミノ酸を使用せず、代わりに水素結合を使用する。K相同ドメインを含むNBPは、その厳密な配列特異性により設計が困難である。
【0110】
実施形態では、NBPは、1つ又は複数のジンクフィンガー(ZF)ドメインを含む。実施形態では、NBPは、1~100のZFドメイン、例えば、約1つ、約2つ、約3つ、約4つ、約5つ、約6つ、約7つ、約8つ、約9つ、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、約50、約51、約52、約53、約54、約55、約56、約57、約58、約59、約60、約61、約62、約63、約64、約65、約66、約67、約68、約69、約70、約71、約72、約73、約74、約75、約76、約77、約78、約79、約80、約81、約82、約83、約84、約85、約86、約87、約88、約89、約90、約91、約92、約93、約94、約95、約96、約97、約98、約99、又は約100のZFドメインを含む。実施形態では、ジンクフィンガードメインは、以下のサブタイプのうちの1つから選択される:CCHC(ジンクナックル(zinc knuckle))、CCCH、CCCC(RanBP2)、及びCCHH。C及びHは、亜鉛原子に配位する、散在したシステイン残基及びヒスチジン残基を指す。実施形態では、ジンクフィンガードメインは、約20~約40のアミノ酸、例えば、約20、約22、約24、約26、約28、約30、約32、約34、約36、約38、又は約40のアミノ酸を含む。CCHH ZFドメインは、2つの保存されたシステイン残基及び2つの保存されたヒスチジン残基を含む。CCHH ZFドメインは、構造特異的エレメント及び配列特異的エレメントの両方を認識する。現在までに、CCHH ZFドメインのエンジニアリングされたバージョンは存在しない。CCHH ZFドメインは、一本鎖及び二本鎖の両方のDNA及びRNAに結合する。CCCC ZFは、結合に特定のRNA立体構造を必要としない可能性がある。典型的には、CCCC ZFは、短い3つのヌクレオチド反復を認識する。CCCC ZFのエンジニアリングされたバージョンは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる以下の文献に記載されている:De Franco et al.Sci Rep:2019:9,2484。
【0111】
実施形態では、NBPは、ペンタトリコペプチド反復(PPR)を含む。PPRは、20~50のアミノ酸、例えば、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、又は約50のアミノ酸を含む。実施形態では、PPRは、約35のアミノ酸を含む。実施形態では、NBPは、NBP配列内で約2~30回反復しているPPRを含む。実施形態では、NBPは、NBP配列内で約10~30回反復しているPPRを含む。実施形態では、PPRは、NBP内で約2回、約3回、約4回、約5回、約6回、約7回、約8回、約9回、約10回、約11回、約12回、約13回、約14回、約15回、約16回、約17回、約18回、約19回、約20回、約21回、約22回、約23回、約24回、約25回、約26回、約27回、約28回、約29回、又は約30回反復し得る。実施形態では、PPRは、少なくとも10回反復している。PPR反復は、連続していてもよいし、又は1つ又は複数のアミノ酸によって分離されていてもよい。PPR反復は、2つの逆平行のαヘリックスを形成する。実施形態では、PPRを含むNBPは、ソレノイド構造を形成する。実施形態では、PPRを含むNBPは、一本鎖RNA、一本鎖DNA、又はmRNAに結合する。実施形態では、PPRを含むNBPは、mRNAの5’キャップに結合する。実施形態では、PPRを含むNBPは、mRNAの3’ポリA尾部に結合する。
【0112】
実施形態では、NBPは、Pumilio相同ドメイン(Pumilio様反復とも呼ばれ、「PUF」と略される)を含む。PUFドメインは、凹面のRNA結合表面を形成する保存された36のアミノ酸配列の8つのαヘリックス反復を含む。実施形態では、NBPは、PUFドメインの1~8つのαヘリックス反復、例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、又は8つのαヘリックス反復を含む。実施形態では、PUFを含むNBPは、ポリA尾部に結合する。実施形態では、PUFを含むNBPは、mRNAに結合する。以下の論文は、PUFドメインについて記載しており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる:Zhao et al.Nucleic Acids Res.2018 May 18;46(9):4771-4782。実施形態では、PUFドメインを含むNBPは、mRNAの3’非翻訳領域に結合する。
【0113】
実施形態では、NBPは、コールドショックドメイン(CSD)を含む。CSDは、オリゴ糖/オリゴヌクレオチド結合フォールドとして知られるβバレル構造を形成する5本の逆平行β鎖を含む。CSDは、一本鎖RNA及び一本鎖DNAに結合する。実施形態では、CSDは、60~80のアミノ酸、例えば、約60、約61、約62、約63、約64、約65、約66、約67、約68、約69、約70、約71、約72、約73、約74、約75、約76、約77、約78、約79、又は約80のアミノ酸から構成される。実施形態では、CSDは、約70のアミノ酸を含む。実施形態では、CSDは、細菌CSDである。実施形態では、細菌CSDは、ssDNAをssRNAよりも最大10倍好む。
【0114】
実施形態では、NBPは、ヘリカーゼドメインを含む。ヘリカーゼは、SF1、SF2、SF3、SF4、SF5、及びSF6を含む6つのスーパーファミリー(SF)を含む。実施形態では、ヘリカーゼドメインは、SF1又はSF2スーパーファミリー由来の真核生物のRNA及びDNAヘリカーゼである。SF1及びSF2スーパーファミリー内のファミリーの非限定的な例としては、Upf1様ファミリー、DEAD-ボックスファミリー、DEAHファミリー、RIG-I様ファミリー、Ski2様ファミリー、及びNS3ファミリーが挙げられる。実施形態では、ヘリカーゼドメインは、SF3、SF4、SF5、又はSF6スーパーファミリー由来の細菌又はウイルスのヘリカーゼである。ATPがヘリカーゼに結合すると、RNAに対するヘリカーゼドメインのより高い親和性を促進する。ATP加水分解は、ヘリカーゼの基質の巻き戻し及び/又は1つのヌクレオチドの移動を引き起こす立体構造変化を促進する。
【0115】
実施形態では、NBPは、Laモチーフを含む。Laモチーフは、修飾された「翼状ヘリックス」フォールディングに対して小さな逆平行のβシートを形成する5つのαヘリックス及び3つのβ鎖からなる。実施形態では、Laモチーフは、ポリメラーゼIII転写低分子RNA上の3’末端UUU-OHエレメントに結合する。Laモチーフは、80~100のアミノ酸、例えば、約80、約81、約82、約83、約84、約85、約86、約87、約88、約89、約90、約91、約92、約93、約94、約95、約96、約97、約98、約99、又は約100のアミノ酸を含む。実施形態では、Laモチーフは、約90のアミノ酸を含む。
【0116】
実施形態では、NBPは、Piwi-Argonautre-Zwille(PAZ)ドメインを含む。実施形態では、PAZドメインは、低分子干渉mRNA及び/又はマイクロRNAガイドのmRNA標的への結合を促進する。実施形態では、PAZドメインは、Dicerタンパク質又はArgonauteタンパク質に由来する。PAZドメインは、上部に2つのαヘリックスがあり、反対側にはβヘアピン及び短いαヘリックスを含む特殊な付属物が隣接する6本鎖βバレルを示す。
【0117】
実施形態では、NBPは、PIWI(P-element induced wimpy testis)ドメインを含む。実施形態では、PIWIドメインは、低分子干渉mRNA及び/又はマイクロRNAガイドのmRNA標的への結合を促進する。実施形態では、PIWIドメインは、Argonauteタンパク質上に見られる。PIWIドメインの三次構造は、両面にαヘリックスが隣接した5本鎖βシートからなるRNアーゼH様フォールディングを形成する。
【0118】
実施形態では、NBPは、PAZドメイン及びPIWIドメインを含む。
【0119】
実施形態では、NBPは、プソイドウリジンシンターゼ及びPUA(archaeosine transglycosylase)ドメインを含む。PUAドメインは、67~94アミノ酸長の範囲であり、2つのαヘリックスで包まれた擬似バレルを形成するβαββββαβ構造を備える。実施形態では、PUAを含むNBPは、二本鎖RNAに結合する。
【0120】
実施形態では、NBPは、S1 RNA結合ドメインを含む。実施形態では、S1 RNA結合ドメインを含むNBPは、一本鎖RNA、二本鎖RNA、又はmRNAと相互作用する。実施形態では、S1 RNA結合ドメインは、約60~約80のアミノ酸、例えば、約60、約61、約62、約63、約64、約65、約66、約67、約68、約69、約70、約71、約72、約73、約74、約75、約76、約77、約78、約79、又は約80のアミノ酸を含む。実施形態では、S1 RNA結合ドメインは、約70のアミノ酸を含む。
【0121】
実施形態では、NBPは、Sm RNA結合モチーフを含む。Sm RNA結合モチーフは、真核生物及び古細菌のSm及びLike-sm(Lsm)タンパク質、並びに原核生物のHfqタンパク質に見られる。Smモチーフは、湾曲した逆平行βシートを形成するαβββββトポロジーを有する約70の残基からなる。Sm含有タンパク質は、2つのSmモチーフの鎖βと鎖βとの間の相互作用を介して容易に多量体化する。実施形態では、NBPは、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、又は10のSmモチーフを含む。実施形態では、NBPは、2つのSmモチーフを含む。実施形態では、Sm結合モチーフは、水素結合及び塩基スタッキング相互作用を介してRNAに結合する。
【0122】
実施形態では、NBPは、チオウリジンシンターゼ及びRNAメチラーゼ及びプソイドウリジンシンターゼ(THUMP)ドメインを含む。THUMPドメインは、多くのtRNA修飾酵素に見られる。THUMPドメインは、RNA修飾ドメインの近傍に見られ、場合によっては、N末端フェレドキシン様ドメインの近傍に見られる。THUMPドメインは、βシートに隣接する平行なαヘリックスを形成するααβαββトポロジーを示す。実施形態では、THUMPドメインを含むNBPは、tRNAに結合する。
【0123】
実施形態では、NBPは、YT521-B相同ドメインを含む。実施形態では、YT521-B相同ドメインは、100~150のアミノ酸、例えば、約100、約101、約102、約103、約104、約105、約106、約107、約108、約109、約110、約111、約112、約113、約114、約115、約116、約117、約118、約119、約120、約121、約122、約123、約124、約125、約126、約127、約128、約129、約130、約131、約132、約133、約134、約135、約136、約137、約138、約139、約140、約141、約142、約143、約144、約145、約146、約147、約148、約149、又は約150のアミノ酸を含む。実施形態では、YT521-B相同ドメインを含むNBPは、メチル化アデノシンに結合する。
【0124】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、分化クラスター4(CD4)、ブドウ球菌(Staphylococcus)プロテインAのZドメイン(SpA Zドメイン)、低密度リポタンパク質受容体(LDLR)、アルブミン結合ポリペプチド(ABD)、コクサッキーウイルス及びアデノウイルス受容体(CAR)、フィブロネクチンIII型(FN3)、ポリ(A)結合タンパク質(PABP)、Z-DNA結合タンパク質1(ZBP1)、又はそれらの断片若しくは誘導体から選択される。
【0125】
いくつかの実施形態では、融合タンパク質の第1のポリペプチドは、分化クラスター4(CD4)又はその断片若しくは誘導体を含む。CD4は、レンチウイルス粒子、レトロウイルス粒子、及びヒト免疫不全ウイルスの糖タンパク質120(gp120)に結合する。
【0126】
CD4(例えば、Uniprotアクセッション番号P01730を参照)は、Tヘルパー細胞、単球、マクロファージ、及び樹状細胞などの免疫細胞の表面に見られる糖タンパク質である。ヒト由来のCD4のアミノ酸配列は、
【化1】
である。
【0127】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、配列番号78のアミノ酸配列を有し、且つアミノ酸112、113、116、及び117のグリシン、アラニン、リジン、アルギニン、ヒスチジンへの少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、又は少なくとも4つの突然変異を有するCD4を含む。
【0128】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、CD4の細胞外ドメインを含む。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、配列番号79のアミノ酸配列を有するCD4の細胞外ドメインを含む。
【0129】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、配列番号80のアミノ酸配列を有するCD4の細胞外ドメインの断片を含む。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、配列番号81のアミノ酸配列を有するCD4のドメイン1を含む。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、アミノ酸88、89、92、及び93のグリシン、アラニン、リジン、アルギニン、又はヒスチジンへの少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、又は少なくとも4つの突然変異を有するCD4の細胞外ドメイン又はその断片若しくは誘導体(配列番号79~81)を含む。
【0130】
いくつかの実施形態では、CD4又はその断片若しくは誘導体を含む第1のポリペプチドは、配列番号78~81のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CD4又はその断片若しくは誘導体を含む第1のポリペプチドは、配列番号78~81のいずれか1つのアミノ酸配列を含み、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、又はそれ以上のアミノ酸突然変異を有する。いくつかの実施形態では、CD4又はその断片を含む第1のポリペプチドは、配列番号78~81のいずれか1つに対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、又は少なくとも99%の同一性を有する配列を含む。
【0131】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、プロテインA又はその誘導体若しくは断片を含む。プロテインA(例えば、Uniprotアクセッション番号Q70AB8を参照)は、ほとんどの免疫グロブリンのFc領域に結合する。いくつかの実施形態では、プロテインAは、ブドウ球菌(Staphylococcal)プロテインAである。プロテインAのアミノ酸配列は、
【化2】
である。
【0132】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、A117Gの変異を有する配列番号136のアミノ酸配列を有するプロテインAを含む。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、配列番号137のアミノ酸配列を有する、プロテインAのBドメイン又はその断片若しくは誘導体を含む。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、A2Gのアミノ酸突然変異を有する配列番号137のアミノ酸配列を有する、プロテインAのBドメイン又はその断片若しくは誘導体を含む。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、配列番号138のアミノ酸配列を有する、プロテインAのCドメイン又はその断片若しくは誘導体を含む。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、配列番号180のアミノ酸配列を有する、プロテインAのZドメイン又はその断片若しくは誘導体を含む。
【0133】
いくつかの実施形態では、プロテインG又はその断片若しくは誘導体を含む第1のポリペプチドは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、又はそれ以上のアミノ酸突然変異を有する配列番号136~138のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、アルブミン結合ポリペプチド又はその断片若しくは誘導体を含む第1のポリペプチドは、配列番号136~138のいずれか1つに対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、又は少なくとも99%の同一性を有する配列を含む。
【0134】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、プロテインG又はその誘導体若しくは断片を含む。プロテインG(例えば、Uniprotアクセッション番号P19909を参照)は、ほとんどの免疫グロブリンのFc領域に結合する。プロテインGのアミノ酸配列は:
【化3】
である。
【0135】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、配列番号155のアミノ酸配列を有するプロテインGのGドメイン又はその断片若しくは誘導体を含む。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、配列番号156のアミノ酸配列を有するプロテインGの断片を含む。
【0136】
いくつかの実施形態では、プロテインG又はその断片若しくは誘導体を含む第1のポリペプチドは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、又はそれ以上のアミノ酸突然変異を有する配列番号154~156のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、アルブミン結合ポリペプチド又はその断片若しくは誘導体を含む第1のポリペプチドは、配列番号154~156のいずれか1つに対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、又は少なくとも99%の同一性を有する配列を含む。
【0137】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、カッパ軽鎖に結合する。いくつかの実施形態では、カッパ軽鎖は、抗体又はそのモノクローナル抗体の抗原結合部分の一部である。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、プロテインLを含む。プロテインLは、カッパ軽鎖との相互作用を介して抗体又はその抗体結合断片に結合する。プロテインLのアミノ酸配列は:
【化4】
である。
【0138】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、配列番号140のアミノ酸配列を有するプロテインLの断片を含む。
【0139】
いくつかの実施形態では、プロテインL又はその断片若しくは誘導体を含む第1のポリペプチドは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、又はそれ以上のアミノ酸突然変異を有する配列番号139~140のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、アルブミン結合ポリペプチド又はその断片若しくは誘導体を含む第1のポリペプチドは、配列番号139又は140に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、又は少なくとも99%の同一性を有する配列を含む。
【0140】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される精製マトリックスの第1のポリペプチドは、LDLR又はその断片若しくは誘導体を含む。低密度リポタンパク質受容体LDLR(例えば、Uniprotアクセッション番号P01130を参照)は、コレステロールリッチ低密度リポタンパク質のエンドサイトーシスを媒介する細胞表面受容体である。ヒト由来のLDLRのアミノ酸配列は、
【化5】
である。
【0141】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、配列番号127のアミノ酸配列を有するLDLRの細胞外ドメインを含む。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、配列番号130のアミノ酸配列を有するLDLRの細胞外ドメインの断片を含む。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、配列番号128のアミノ酸配列を有するLDLRのCR2ドメインを含む。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、配列番号129のアミノ酸配列を有するLDLRのCR3ドメインを含む。
【0142】
いくつかの実施形態では、LDLR又はその断片若しくは誘導体を含む第1のポリペプチドは、配列番号126~129のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、LDLR又はその断片若しくは誘導体を含む第1のポリペプチドは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、又はそれ以上のアミノ酸突然変異を有する配列番号126~129のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、LDLR又はその断片を含む第1のポリペプチドは、配列番号126~129のいずれか1つに対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、又は少なくとも99%の同一性を有する配列を含む。
【0143】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、アルブミン又はその誘導体若しくは融合体に結合する。いくつかの実施形態では、アルブミンは、ヒト血清アルブミン(HSA)、ウシ血清アルブミン(BSA)、又はオボアルブミンである。いくつかの実施形態では、アルブミンに結合する第1のポリペプチドは、アルブミン結合ポリペプチド(ABP)又はその断片若しくは誘導体を含む。いくつかの実施形態では、アルブミン結合ポリペプチドは、配列番号135のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、アルブミン結合ポリペプチド又はその断片若しくは誘導体を含む第1のポリペプチドは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、又はそれ以上のアミノ酸突然変異を有する配列番号135のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、アルブミン結合ポリペプチド又はその断片若しくは誘導体を含む第1のポリペプチドは、配列番号135に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、又は少なくとも99%の同一性を有する配列を含む。
【0144】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、コクサッキーウイルス及びアデノウイルス受容体(CAR)又はその断片若しくは誘導体である。コクサッキーウイルス及びアデノウイルス受容体(例えば、Uniprotアクセッション番号P78310を参照)は、心臓、脳上皮、及び内皮細胞上で発現され、アデノウイルスカプシドの線維タンパク質に結合する。ヒト由来のコクサッキーウイルス及びアデノウイルス受容体のアミノ酸配列は:
【化6】
である。
【0145】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される精製マトリックスの第1のポリペプチドは、コクサッキーウイルス及びアデノウイルス受容体又はその断片若しくは誘導体を含む。
【0146】
いくつかの実施形態では、コクサッキーウイルス及びアデノウイルス受容体又はその断片を含む第1のポリペプチドは、配列番号117~125、24、及び25のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、コクサッキーウイルス及びアデノウイルス受容体又はその断片を含む第1のポリペプチドは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、又はそれ以上のアミノ酸突然変異を有する配列番号117~125、24、及び25のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、コクサッキーウイルス及びアデノウイルス受容体又はその断片を含む第1のポリペプチドは、配列番号117~125、24、及び25のいずれか1つに対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、又は少なくとも99%の同一性を有する配列を含む。
【0147】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、コクサッキーウイルス及びアデノウイルス受容体の細胞外ドメイン又はその断片を含む。いくつかの実施形態では、コクサッキーウイルス及びアデノウイルス受容体の細胞外ドメインを含む第1のポリペプチドは、配列番号118又は119のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、コクサッキーウイルス及びアデノウイルス受容体又はその断片のドメイン1を含む。いくつかの実施形態では、コクサッキーウイルス及びアデノウイルス受容体のドメイン1を含む第1のポリペプチドは、配列番号120のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、コクサッキーウイルス及びアデノウイルス受容体のドメイン2又はその断片を含む。いくつかの実施形態では、コクサッキーウイルス及びアデノウイルス受容体のドメイン2を含む第1のポリペプチドは、配列番号121のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、コクサッキーウイルス及びアデノウイルス受容体のアイソフォーム3又はその断片を含む。いくつかの実施形態では、コクサッキーウイルス及びアデノウイルス受容体のアイソフォーム3を含む第1のポリペプチドは、配列番号122のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、コクサッキーウイルス及びアデノウイルス受容体のアイソフォーム4又はその断片を含む。いくつかの実施形態では、コクサッキーウイルス及びアデノウイルス受容体のアイソフォーム4を含む第1のポリペプチドは、配列番号123のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、コクサッキーウイルス及びアデノウイルス受容体のアイソフォーム5又はその断片を含む。いくつかの実施形態では、コクサッキーウイルス及びアデノウイルス受容体のアイソフォーム5を含む第1のポリペプチドは、配列番号124のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、コクサッキーウイルス及びアデノウイルス受容体のアイソフォーム7又はその断片を含む。いくつかの実施形態では、コクサッキーウイルス及びアデノウイルス受容体のアイソフォーム7を含む第1のポリペプチドは、配列番号125のアミノ酸配列を有する。
【0148】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、M(RAIVFRVQWLRRYFVNGSRSGGG)のアミノ酸配列を含み、式中、nは、1~8の整数であり(配列番号24)、例えば、nは、1、2、3、4、5、6、7、又は8である。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、(RAIVFRVQWLRRYFVNGSRSGGG)のアミノ酸配列を含み、式中、nは、1~8の整数であり(配列番号25)、例えば、nは、1、2、3、4、5、6、7、又は8である。
【0149】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、mRNA分解活性化因子タンパク質(mRNA decay activator protein)ZFP36L2(Tis11d)又はその断片若しくは誘導体を含む。Tis11d G(例えば、Uniprotアクセッション番号P47974を参照)は、アデノシン及びウリジンリッチエレメント(ARE)に結合する。Tis11dのアミノ酸配列は:
【化7】
である。前述の配列又は本明細書に記載の他の配列における括弧で囲まれたメチオニン(M)は、開始メチオニンである。開始剤メチオニンの存在は任意である。
【0150】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、配列番号170のアミノ酸配列を有するTis11d断片を含む。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、配列番号171のアミノ酸配列を有するTis11dのRNA結合ドメインを含む。
【0151】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、E195D、E195H、E195G、E195A、E195R、及びE195Kから選択される少なくとも1つの突然変異を有する配列番号169のアミノ酸配列を有するTis11dを含む。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、E46D、E46H、E46G、E46A、E46R、及びE46Kの少なくとも1つから選択される突然変異を有する配列番号170のアミノ酸配列を有するTis11d断片を含む。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、E27D、E27H、E27G、E27A、E27R、及びE27Kから選択される少なくとも1つの突然変異を有する配列番号171のアミノ酸配列を有するTis11dのRNA結合ドメインを含む。
【0152】
いくつかの実施形態では、Tis11d又はその断片若しくは誘導体を含む第1のポリペプチドは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、又はそれ以上のアミノ酸突然変異を有する配列番号169~171のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、Tis11d又はその断片若しくは誘導体を含む第1のポリペプチドは、配列番号169~171のいずれか1つに対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、又は少なくとも99%の同一性を有する配列を含む。
【0153】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、真核生物翻訳開始因子4E(eIF4E)又はその断片若しくは誘導体を含む。eIF4E(例えば、Uniprotアクセッション番号P06730を参照)は、mRNAキャップに結合する。eIF4Eのアミノ酸配列は:
【化8】
である。
【0154】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、配列番号173のアミノ酸配列を有するeIF4E断片を含む。
【0155】
いくつかの実施形態では、eIF4E又はその断片若しくは誘導体を含む第1のポリペプチドは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、又はそれ以上のアミノ酸突然変異を有する配列番号172又は173のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、eIF4E又はその断片若しくは誘導体を含む第1のポリペプチドは、配列番号172又は173のいずれか1つに対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、又は少なくとも99%の同一性を有する配列を含む。
【0156】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、ポリ(A)結合タンパク質(PABP)又はその断片若しくは誘導体を含む。PABP(例えば、Uniprotアクセッション番号P11940を参照)は、mRNAのポリ(A)尾部に結合する。PABPのアミノ酸配列は:
【化9】
である。
【0157】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、配列番号175のアミノ酸配列を有するPABP断片を含む。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、配列番号176のアミノ酸配列を有するPABPのRNA認識モチーフ(RRM)1ドメインを含む。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、配列番号177のアミノ酸配列を有するPABPのRRM2ドメインを含む。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、配列番号178のアミノ酸配列を有するPABPのRRM3ドメインを含む。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、配列番号179のアミノ酸配列を有するPABPのRRM4ドメインを含む。
【0158】
いくつかの実施形態では、PABP又はその断片若しくは誘導体を含む第1のポリペプチドは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、又はそれ以上のアミノ酸突然変異を有する配列番号174~179のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、PABP又はその断片若しくは誘導体を含む第1のポリペプチドは、配列番号174~179のいずれか1つに対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、又は少なくとも99%の同一性を有する配列を含む。
【0159】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、Z-DNA結合タンパク質1(ZBP1)又はその断片若しくは誘導体を含む。ZBP1(例えば、Uniprotアクセッション番号Q9H171を参照)は、二本鎖DNAに結合する。ZBP1のアミノ酸配列は:
【化10】
である。
【0160】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、配列番号182のアミノ酸配列を有するZBP1のZ結合ドメイン1を含む。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、配列番号183のアミノ酸配列を有するZBP1のZ結合ドメイン2を含む。
【0161】
いくつかの実施形態では、ZBP1又はその断片若しくは誘導体を含む第1のポリペプチドは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、又はそれ以上のアミノ酸突然変異を有する配列番号181~183のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ZBP1又はその断片若しくは誘導体を含む第1のポリペプチドは、配列番号181~183のいずれか1つに対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、又は少なくとも99%の同一性を有する配列を含む。
【0162】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、PUM-HDドメイン含有タンパク質(PUM-HD)又はその断片若しくは誘導体を含む。PUM-HD(例えば、Uniprotアクセッション番号B2BXX4を参照)は、mRNAに結合する。PUM-HDのアミノ酸配列は:
【化11】
である。
【0163】
いくつかの実施形態では、PUM-HD又はその断片若しくは誘導体を含む第1のポリペプチドは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、又はそれ以上のアミノ酸突然変異を有する配列番号184のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、PUM-HD又はその断片若しくは誘導体を含む第1のポリペプチドは、配列番号184に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、又は少なくとも99%の同一性を有する配列を含む。
【0164】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、フィブロネクチン(FN)である。いくつかの実施形態では、フィブロネクチンは、フィブロネクチンIII型(FN3)反復である。FN3反復は、フィブロネクチンのサブドメインの中で最大であり、且つ最も一般的である。FN3反復に相同なドメインは、他の細胞外マトリックス分子、細胞表面受容体、酵素、及び筋肉タンパク質を含む様々な動物タンパク質ファミリーで見つかっている。FN3ドメインは、4本の鎖を含む1つのベータシート及び3本の鎖を含むもう1つのシートを備える、保存されたベータサンドイッチフォールド(beta sandwich fold)を有する。例示的なフィブロネクチンのアミノ酸配列(例えば、UniProtアクセッション番号P02751を参照)は:
【化12】
【化13】
である。
【0165】
いくつかの実施形態では、フィブロネクチン又はその断片若しくは誘導体を含む第1のポリペプチドは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、又はそれ以上のアミノ酸突然変異を有する配列番号26のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、フィブロネクチン又はその断片若しくは誘導体を含む第1のポリペプチドは、配列番号26に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、又は少なくとも99%の同一性を有する配列を含む。
【0166】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、アデノ随伴ウイルス受容体(AAVR)又はその断片若しくは誘導体である。KIAA0319Lとも呼ばれるAAVR(例えば、Uniprotアクセッション番号Q8IZA0を参照)は、AAV1、AAV2、AAV3B、AAV5、AAV6、AAV8、及びAAV9を含む複数のAAV血清型のカプシドに結合する150kDaの糖タンパク質である。以下の参考文献は、AAVRについて記載しており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる:Zhang et al.Nat Microbiol.2019 Apr;4(4):675-682;Pillay et al.Nature.2016 Feb 4;530(7588):108-12;Zhang et al.Nat Commun.2019 Aug 21;10(1):3760;Summerford et al.Mol Ther.2016 Apr;24(4):663-6。
【0167】
AAVRの細胞外ドメインは、8つのシステイン(MANEC)を有するN末端のモチーフ、及び多発性嚢胞腎(PKD)ドメインとして知られる5つの免疫グロブリンドメインを含む。AAV粒子は、PKDドメインに結合して形質導入を促進する。従って、いくつかの実施形態では、AAVR断片又はその誘導体は、1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つのPKDドメイン又はその断片若しくは誘導体を含む。いくつかの実施形態では、AAVRは、ヒトAAVR(配列番号35)、マウスAAVR(配列番号36)、又はオランウータンAAVR(配列番号42)、又はそれらの断片若しくは誘導体である。いくつかの実施形態では、AAVRは、配列番号35、36、又は42のいずれか1つに対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、又は少なくとも99%の同一性を有する配列を含む。別段の指示がない限り、配列同一性は、blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgiで入手可能な全米バイオテクノロジー情報センター(NCBI)のBLAST(登録商標)(Basic Local Alignment Search Tool)を使用して決定される。いくつかの実施形態では、配列同一性は、比較される配列の全長にわたって計算される。いくつかの実施形態では、配列同一性は、比較される各配列の20アミノ酸断片、50アミノ酸断片、75アミノ酸断片、100アミノ酸断片、250アミノ酸断片、500アミノ酸断片、750アミノ酸断片、又は1000アミノ酸断片にわたって計算される。
【0168】
いくつかの実施形態では、AAVR断片又はその誘導体は、AAVRの細胞外ドメイン又はその断片又は誘導体を含む。いくつかの実施形態では、AAVRは、配列番号33又は配列番号34のアミノ酸配列、又はそれらと少なくとも約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、AAV結合ポリペプチドは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、又はそれ以上のアミノ酸突然変異を有する配列番号33又は配列番号34の配列を含む。
【0169】
いくつかの実施形態では、AAVR又はその断片若しくは誘導体は、1つ又は複数のPKD、例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、又はそれ以上のPKDを含む。いくつかの実施形態では、PKDは、表3に列挙されるPKDからそれぞれ個別に選択される。例えば、いくつかの実施形態では、PKDは、配列番号28~32、37~41、及び43~47からそれぞれ個別に選択される。いくつかの実施形態では、AAVR又はその断片若しくは誘導体は、複数のPKDを含み、PKDは、リンカーによって互いに接続されている。リンカーの非限定的な例は、本開示全体にわたって記載される。いくつかの実施形態では、AAVR又はその断片若しくは誘導体は、複数のPKDドメインを含み、各PKDドメインは、同じ又は実質的に同じ配列を有する。いくつかの実施形態では、AAVR又はその断片若しくは誘導体は、複数のPKDドメインを含み、各PKDは、異なる配列を有する。
【0170】
【表4】
【0171】
いくつかの実施形態では、AAVR又はその断片若しくは誘導体は、多発性嚢胞腎1(PKD1)ドメイン、多発性嚢胞腎2(PKD2)ドメイン、多発性嚢胞腎3(PKD3)ドメイン、多発性嚢胞腎4(PKD4)ドメイン、多発性嚢胞腎5(PKD5)ドメイン、又はそれらの組み合わせを含む。
【0172】
いくつかの実施形態では、AAVR又はその断片若しくは誘導体は、PKD1及びPKD2ドメインを含む。いくつかの実施形態では、AAVR又はその断片若しくは誘導体は、配列番号92のアミノ酸配列を有するPKD1及びPKD2ドメインを含む。いくつかの実施形態では、AAVR又はその断片若しくは誘導体は、PKD1及びPKD3ドメインを含む。いくつかの実施形態では、AAVR又はその断片若しくは誘導体は、PKD1及びPKD4ドメインを含む。いくつかの実施形態では、AAVR又はその断片若しくは誘導体は、PKD1及びPKD5ドメインを含む。いくつかの実施形態では、AAVR又はその断片若しくは誘導体は、PKD2及びPKD3ドメインを含む。いくつかの実施形態では、AAVR又はその断片若しくは誘導体は、PKD2及びPKD4ドメインを含む。いくつかの実施形態では、AAVR又はその断片若しくは誘導体は、PKD2及びPKD5ドメインを含む。いくつかの実施形態では、AAVR又はその断片若しくは誘導体は、PKD3及びPKD4ドメインを含む。いくつかの実施形態では、AAVR又はその断片若しくは誘導体は、PKD3及びPKD5ドメインを含む。いくつかの実施形態では、AAVR又はその断片若しくは誘導体は、PKD4及びPKD5ドメインを含む。いくつかの実施形態では、AAVR又はその断片若しくは誘導体は、3つのPKDドメインを含み、各PKDドメインは、PKD1~5のいずれか1つから独立して選択される。いくつかの実施形態では、AAVR又はその断片若しくは誘導体は、4つのPKDドメインを含み、各PKDドメインは、PKD1~5のいずれか1つから独立して選択される。いくつかの実施形態では、AAVR又はその断片若しくは誘導体は、5つのPKDドメインを含み、各PKDドメインは、PKD1~5のいずれか1つから独立して選択される。いくつかの実施形態では、AAVR又はその断片若しくは誘導体は、6つ以上のPKDドメインを含み、各PKDドメインは、PKD1~5のいずれか1つから独立して選択される。
【0173】
前の段落の実施形態のいずれにおいても、PKDドメインのそれぞれは、野生型又は突然変異型PKDドメインから独立して選択され得る。いくつかの実施形態では、各PKDは、野生型PKDに対して少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は少なくとも100%の配列同一性を有し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるAAVR又はその断片若しくは誘導体は、野生型PKDに対して、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、又は少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、AAVR又はその断片若しくは誘導体は、1つ又は複数のPKDを使用してAAVに結合する。
【0174】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のAAVR又はその断片若しくは誘導体は、野生型AAVR又はそのPKDと比較して、少なくとも約1つ、少なくとも約2つ、少なくとも約3つ、少なくとも約4つ、少なくとも約5つ、少なくとも約6つ、少なくとも約7つ、少なくとも約8つ、少なくとも約9つ、少なくとも約10、少なくとも約11、少なくとも約12、少なくとも約13、少なくとも約14、少なくとも約15、少なくとも約16、少なくとも約17、少なくとも約18、少なくとも約19、少なくとも約20、少なくとも約21、少なくとも約22、少なくとも約23、少なくとも約24、少なくとも約25のアミノ酸突然変異を含む。いくつかの実施形態では、AAVR又はその断片若しくは誘導体は、野生型AAVR又はそのPKDと比較して、最大約25以上のアミノ酸突然変異を含む。例えば、AAV結合ポリペプチドは、野生型AAVRと比較して、約25~35、約35~45、約45~55,約55~65、又は約65~75のアミノ酸突然変異を含み得る。
【0175】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のAAVR又はその断片若しくは誘導体は、野生型AAVR又はそのPKDと比較して、少なくとも約1つ、少なくとも約2つ、少なくとも約3つ、少なくとも約4つ、少なくとも約5つ、少なくとも約6つ、少なくとも約7つ、少なくとも約8つ、少なくとも約9つ、少なくとも約10、少なくとも約11、少なくとも約12、少なくとも約13、少なくとも約14、少なくとも約15、少なくとも約16、少なくとも約17、少なくとも約18、少なくとも約19、少なくとも約20、少なくとも約21、少なくとも約22、少なくとも約23、少なくとも約24、少なくとも約25のアミノ酸突然変異を含み、各突然変異は、天然アミノ酸残基のヒスチジンへの変化を含む。
【0176】
いくつかの実施形態では、AAVR又はその断片若しくは誘導体は、配列番号29の配列を含む。いくつかの実施形態では、AAVR又はその断片若しくは誘導体は、配列番号29の配列を含み、少なくとも1つのアミノ酸(即ち、非ヒスチジンアミノ酸)がヒスチジンに突然変異している。
【0177】
いくつかの実施形態では、AAVR又はその断片若しくは誘導体は、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、又は少なくとも5つの突然変異を有する配列番号35を含む。いくつかの実施形態では、各突然変異は、V440H、S431H、Q432H、T434H、Y442H、I462H、D435H、D436H、K438H、及びI439Hからなる群から個別に選択される。
【0178】
いくつかの実施形態では、AAVR又はその断片若しくは誘導体は、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、又は少なくとも5つの突然変異を有する配列番号35のアミノ酸411~499を含み、各突然変異は、V440H、S431H、Q432H、T434H、Y442H、I462H、D435H、D436H、K438H、及びI439Hからなる群から個別に選択される。
【0179】
いくつかの実施形態では、配列番号35のアミノ酸配列を有するAAVR又はその断片若しくは誘導体は、表4の突然変異の組み合わせのうちの1つ又は複数を有する。表4の各行は、突然変異の組み合わせを表す。
【0180】
【表5】
【0181】
【表6】
【0182】
【表7】
【0183】
【表8】
【0184】
【表9】
【0185】
【表10】
【0186】
【表11】
【0187】
【表12】
【0188】
【表13】
【0189】
【表14】
【0190】
【表15】
【0191】
【表16】
【0192】
【表17】
【0193】
【表18】
【0194】
【表19】
【0195】
【表20】
【0196】
【表21】
【0197】
【表22】
【0198】
【表23】
【0199】
【表24】
【0200】
【表25】
【0201】
【表26】
【0202】
【表27】
【0203】
【表28】
【0204】
【表29】
【0205】
【表30】
【0206】
【表31】
【0207】
いくつかの実施形態では、AAVR又はその断片若しくは誘導体は、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、又は少なくとも5つの突然変異を有する配列番号29を含み、各突然変異は、S23H、Q24H、T26H、D29H、K30H、I31H、V32H、Y34H、及びI54Hからなる群から個別に選択される。いくつかの実施形態では、AAVR又はその断片若しくは誘導体は、V32H及びV34H突然変異を有する配列番号29を含む。いくつかの実施形態では、AAVR又はその断片若しくは誘導体は、S23H及びQ24H突然変異を有する配列番号29を含む。いくつかの実施形態では、AAVR又はその断片若しくは誘導体は、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、又は少なくとも5つの突然変異を有する配列番号29を含み、各突然変異は、S23H、Q24H、T26H、D29H、K30H、I31H、V32H、Y34H、及びI54Hからなる群から個別に選択される。いくつかの実施形態では、AAVR又はその断片若しくは誘導体は、配列番号76~86のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
【0208】
いくつかの実施形態では、AAVR又はその断片若しくは誘導体は、配列番号29、N末端におけるGNRPP(配列番号89)のアミノ酸配列を有する追加の5つのアミノ酸、及びC末端におけるVDYPG(配列番号90)のアミノ酸配列を有する追加の5つのアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、AAVR又はその断片若しくは誘導体は、配列番号52のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、AAVR又はその断片若しくは誘導体は、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、又は少なくとも5つの突然変異(各突然変異は、S23H、Q24H、T26H、D29H、K30H、I31H、V32H、Y34H、及びI54Hからなる群から個別に選択される)を有する配列番号29、及びN末端におけるGNRPPのアミノ酸配列(配列番号89)を有する追加の5つのアミノ酸、及びC末端にVDYPG(配列番号90)のアミノ酸配列を有する追加の5つのアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、AAVR又はその断片若しくは誘導体は、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、又は少なくとも5つの突然変異を有する配列番号52を含み、各突然変異は、S23H、Q24H、T26H、D29H、K30H、I31H、V32H、Y34H、及びI54Hからなる群から個別に選択される。
【0209】
いくつかの実施形態では、AAVR又はその断片若しくは誘導体は、配列番号93~116のいずれか1つの核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、AAVR又はその断片若しくは誘導体は、V32H及びV34H突然変異を有する配列番号29、N末端におけるGNRPP(配列番号89)のアミノ酸配列を有する追加の5つのアミノ酸、及びC末端におけるVDYPG(配列番号90)のアミノ酸配列を有する追加の5つのアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、AAVR又はその断片若しくは誘導体は、S23H及びQ24H突然変異を有する配列番号29、及びN末端におけるGNRPP(配列番号89)のアミノ酸配列を有する追加の5つのアミノ酸、及びC末端におけるVDYPG(配列番号90)のアミノ酸配列を有する追加の5つのアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、AAVR又はその断片若しくは誘導体は、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、又は少なくとも5つの突然変異(各突然変異は、S23H、Q24H、T26H、D29H、K30H、I31H、V32H、Y34H、及びI54Hからなる群から個別に選択される)を有する配列番号29、及びGNRPP(配列番号89)のアミノ酸配列を有するN末端の追加の5つのアミノ酸、及びVDYPG(配列番号90)のアミノ酸配列を有するC末端の追加の5つのアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、AAVR又はその断片若しくは誘導体は、配列番号53~63のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
【0210】
いくつかの実施形態では、AAVR又はその断片若しくは誘導体は、配列番号29のアミノ酸配列に加えて、N末端におけるGNRPP(配列番号89)のアミノ酸配列を有する追加の5つのアミノ酸、及びC末端におけるVDYP(配列番号91)のアミノ酸配列を有する追加の4つのアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、AAVR又はその断片若しくは誘導体は、配列番号64のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、AAVR又はその断片若しくは誘導体は、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、又は少なくとも5つの突然変異(各突然変異は、S23H、Q24H、T26H、D29H、K30H、I31H、V32H、Y34H、及びI54Hからなる群から個別に選択される)を有する配列番号29、及びN末端におけるGNRPP(配列番号89)のアミノ酸配列を有する追加の5つのアミノ酸、及びC末端におけるVDYP(配列番号91)のアミノ酸配列を有する追加の4つのアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、AAVR又はその断片若しくは誘導体は、配列番号29に加えて、V32H及びV34H突然変異、及びN末端におけるGNRPP(配列番号89)のアミノ酸配列を有する追加の5つのアミノ酸、及びC末端におけるVDYP(配列番号91)のアミノ酸配列を有する追加の4つのアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、AAVR又はその断片若しくは誘導体は、S23H及びQ24H突然変異を有する配列番号29、及びN末端におけるGNRPP(配列番号89)のアミノ酸配列を有する追加の5つのアミノ酸、及びC末端におけるVDYP(配列番号91)のアミノ酸配列を有する追加の4つのアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、AAVR又はその断片若しくは誘導体は、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、又は少なくとも5つの突然変異(各突然変異は、S23H、Q24H、T26H、D29H、K30H、I31H、V32H、Y34H、及びI54Hからなる群から個別に選択される)を有する配列番号29のアミノ酸配列、及びN末端におけるGNRPP(配列番号89)のアミノ酸配列を有する追加の5つのアミノ酸、及びC末端におけるVDYP(配列番号91)のアミノ酸配列を有する追加の4つのアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、AAVR又はその断片若しくは誘導体は、配列番号65~75のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
【0211】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のAAVR又はその断片若しくは誘導体は、1つ又は複数のMANECモチーフ(例えば、配列番号49~51を参照)を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のAAVR又はその断片若しくは誘導体は、1つ又は複数の組換えMANECモチーフを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のAAVR又はその断片若しくは誘導体は、野生型MANECモチーフに対して少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95、又は少なくとも約95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、AAVR又はその断片若しくは誘導体は、配列番号49~51のいずれか1つに対して少なくとも約80%、少なくとも約90%、又は少なくとも約95%の同一性を有するMANECモチーフを含む。いくつかの実施形態では、AAVR又はその断片若しくは誘導体は、1つ又は複数のMANECモチーフを介してAAV粒子に結合する。
【0212】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のAAVR又はその断片若しくは誘導体は、N末端メチオニンを含む。いくつかの実施形態では、N末端メチオニンは、本明細書に記載のAAVR又はその断片若しくは誘導体の翻訳を開始する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のAAVR又はその断片若しくは誘導体は、N末端メチオニンを欠いている。
【0213】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のAAVR又はその断片若しくは誘導体は、以下の血清型のAAV粒子に結合する:AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAVrh8、AAVrh10、及び/又はAAVrh74。いくつかの実施形態では、AAVR又はその断片若しくは誘導体は、以下の血清型のうちの1つ又は複数のAAV粒子に結合する:AAV1、AAV2、AAV3B、AAV5、AAV6、AAV8、及びAAV9。いくつかの実施形態では、AAVR又はその断片若しくは誘導体は、AAV1粒子に結合する。いくつかの実施形態では、AAVR又はその断片若しくは誘導体は、AAV2粒子に結合する。いくつかの実施形態では、AAVR又はその断片若しくは誘導体は、AAV3B粒子に結合する。いくつかの実施形態では、AAVR又はその断片若しくは誘導体は、AAV5粒子に結合する。いくつかの実施形態では、AAVR又はその断片若しくは誘導体は、AAV6粒子に結合する。いくつかの実施形態では、AAVR又はその断片若しくは誘導体は、AAV8粒子に結合する。いくつかの実施形態では、AAVR又はその断片若しくは誘導体は、AAV9粒子に結合する。
【0214】
いくつかの実施形態では、AAVRは、ヒトAAVRである。いくつかの実施形態では、AAVRは、霊長類AAVRである。いくつかの実施形態では、AAVRは、野生型AAVRである。いくつかの実施形態では、AAVRは、突然変異AAVRである。
【0215】
いくつかの実施形態では、AAVRは、糖タンパク質である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のAAVR又はその断片若しくは誘導体は、1つ又は複数のグリコシル化部位を含む。いくつかの実施形態では、AAVR又はその断片若しくは誘導体は、O結合型グリコシル化部位を含む。いくつかの実施形態では、AAVR又はその断片若しくは誘導体は、N結合型グリコシル化部位を含む。いくつかの実施形態では、AAVR又はその断片若しくは誘導体は、1つ又は複数のアスパラギン残基及び/又はグルタミン残基でグリコシル化される。
【0216】
いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、約1~約100のAAVR又はその断片若しくは誘導体を含む。いくつかの実施形態では、融合タンパク質内のAAVR又はその断片若しくは誘導体の数は、約1つ、約5つ、約10、約20、約30、約40、約50、約55、約60、約65、約70、約75、約80、約85、約90、約95、又は約100である。いくつかの実施形態では、相挙動を有する単一の第2のポリペプチドは、複数のAAVR又はその断片若しくは誘導体、例えば約1~100のAAVR又はその断片若しくは誘導体に結合され得る。
【0217】
いくつかの実施形態では、AAVR又はその断片若しくは誘導体は、配列番号28~34、37~41、43~47、及び52~86のいずれか1つの配列を含む。相挙動を有する単一のポリペプチドが複数のAAVR又はその断片若しくは誘導体に結合されるいくつかの実施形態では、各AAVR又はその断片若しくは誘導体は、配列番号28~34、37~41、43~47、及び52~86から独立して選択され得る。
【0218】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、SARS-CoV-2から単離されるか又はそれに由来するポリペプチドである。いくつかの実施形態では、SARS-CoV-2から単離されるか又はそれに由来するポリペプチドは、スパイクタンパク質、膜タンパク質、エンベロープタンパク質、又はヌクレオカプシドタンパク質である。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、SARS-CoV-2スパイクタンパク質又はその断片若しくは誘導体である。SARS-CoV-2スパイクタンパク質(例えば、Uniprotアクセッション番号P0DTC2を参照)は、ヒトアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)を介して、宿主の細胞膜へのビリオンの融合を媒介する。SARS-CoV-2 Sタンパク質の例示的な配列は:
【化14】
である。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、配列番号27のアミノ酸配列又は配列番号27と約95%、約96%、約97%、約98%、若しくは約99%同一のアミノ酸配列を有するSARS-CoV-2 Sタンパク質である。
【0219】
第2のポリペプチド
いくつかの実施形態では、本開示は、相挙動を有するポリペプチドを含む融合タンパク質を提供する。
【0220】
いくつかの実施形態では、相挙動を有するポリペプチドは、レジリン様ポリペプチド(RLP)である。レジリン様ポリペプチドは、望ましい弾性、圧縮弾性率、引張弾性率、せん断弾性率、破断までの伸長、最大引張強さ、硬度、反発、及び圧縮永久歪みを含む機械的特性を有する弾性ポリペプチドである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のレジリン様ポリペプチドは、1つ又は複数の反復を含むポリマーである。いくつかの実施形態では、ポリマー反復は、配列番号1~9のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を有し得る。
【0221】
いくつかの実施形態では、レジリン様ポリペプチドは、2種類以上の反復、例えば、配列番号1の反復及び配列番号3の反復を含む。
【0222】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のレジリン様ポリペプチドは、所与のRLP内で最大500回現れる反復を含む。いくつかの実施形態では、反復は、約1回、約2回、約3回、約4回、約5回、約6回、約7回、約8回、約9回、約10回、約20回、約30回、約40回、約50回、約60回、約70回、約80回、約90回、約100回、約110回、約120回、約130回、約140回、約150回、約160回、約170回、約180回、約190回、約200回、約210回、約220回、約230回、約240回、約250回、約260回、約270回、約280回、約290回、約300回、約310回、約320回、約330回、約340回、約350回、約360回、約370回、約380回、約390回、約400回、約450回、又は約500回現れる。
【0223】
いくつかの実施形態では、RLPは、1つ又は複数の部分反復を含む。いくつかの実施形態では、部分反復の長さは、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、又は10のアミノ酸である。いくつかの実施形態では、RLPは、反復の一部ではない、RLPのN末端又はC末端に1つ又は複数の追加のアミノ酸を含む。
【0224】
いくつかの実施形態では、1つ又は複数のRLP反復は、スクランブルされている、即ち、それらは異なるアミノ酸配列を含むが、同じアミノ酸組成を保持している。例えば、反復は、配列番号8とは異なるアミノ酸配列を有し得るが、同じアミノ酸組成を保持し得る。
【0225】
いくつかの実施形態では、相挙動を有するポリペプチドは、エラスチン様ポリペプチドである。エラスチン様ポリペプチド(ELP)は、トロポエラスチンに由来する生体高分子である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のエラスチン様ポリペプチドは、配列(Val-Pro-Gly-Xaa-Gly)(配列番号10)を有するペンタペプチド反復を含むポリマーであり、式中のXaaは、本明細書で定義される。
【0226】
いくつかの実施形態では、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、又は500(それらの間のすべての値及び範囲を含む)である。
【0227】
いくつかの実施形態では、ペンタペプチド反復は、スクランブルされており、例えば、異なるアミノ酸配列を含むが、同じアミノ酸組成を維持している。例えば、ELPは、配列番号10とは異なるアミノ酸配列を含み得るが、同じアミノ酸組成を維持する、例えば、配列の40%がグリシンであり、配列の20%がXaa(例えば、プロリンを除く任意のアミノ酸)であり、配列の20%がプロリンであり、配列の20%がバリンである。
【0228】
いくつかの実施形態では、ELPは、1つ又は複数の部分反復を含む。いくつかの実施形態では、部分反復の長さは、1つ、2つ、3つ、又は4つのアミノ酸である。いくつかの実施形態では、ELPは、ELPのN末端又はC末端に、反復の一部ではない1つ又は複数の追加のアミノ酸を含む。
【0229】
いくつかの実施形態では、ELP又はRLPは、30~約150のアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、ELP又はRLPは、約50~約100のアミノ酸を含む。実施形態では、ELP又はRLPは、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、約50、約51、約52、約53、約54、約55、約56、約57、約58、約59、約60、約61、約62、約63、約64、約65、約66、約67、約68、約69、約70、約71、約72、約73、約74、約75、約76、約77、約78、約79、約80、約81、約82、約83、約84、約85、約86、約87、約88、約89、約90、約91、約92、約93、約94、約95、約96、約97、約98、約99、約100、約101、約102、約103、約104、約105、約106、約107、約108、約109、約110、約111、約112、約113、約114、約115、約116、約117、約118、約119、約120、約121、約122、約123、約124、約125、約126、約127、約128、約129、約130、約131、約132、約133、約134、約135、約136、約137、約138、約139、約140、約141、約142、約143、約144、約145、約146、約147、約148、約149、又は約150のアミノ酸を含む。実施形態では、ELP又はRLPは、少なくとも約30、少なくとも約31、少なくとも約32、少なくとも約33、少なくとも約34、少なくとも約35、少なくとも約36、少なくとも約37、少なくとも約38、少なくとも約39、少なくとも約40、少なくとも約41、少なくとも約42、少なくとも約43、少なくとも約44、少なくとも約45、少なくとも約46、少なくとも約47、少なくとも約48、少なくとも約49、少なくとも約50、少なくとも約51、少なくとも約52、少なくとも約53、少なくとも約54、少なくとも約55、少なくとも約56、少なくとも約57、少なくとも約58、少なくとも約59、少なくとも約60、少なくとも約61、少なくとも約62、少なくとも約63、少なくとも約64、少なくとも約65、少なくとも約66、少なくとも約67、少なくとも約68、少なくとも約69、少なくとも約70、少なくとも約71、少なくとも約72、少なくとも約73、少なくとも約74、少なくとも約75、少なくとも約76、少なくとも約77、少なくとも約78、少なくとも約79、少なくとも約80、少なくとも約81、少なくとも約82、少なくとも約83、少なくとも約84、少なくとも約85、少なくとも約86、少なくとも約87、少なくとも約88、少なくとも約89、少なくとも約90、少なくとも約91、少なくとも約92、少なくとも約93、少なくとも約94、少なくとも約95、少なくとも約96、少なくとも約97、少なくとも約98、少なくとも約99、少なくとも約100、少なくとも約101、少なくとも約102、少なくとも約103、少なくとも約104、少なくとも約105、少なくとも約106、少なくとも約107、少なくとも約108、少なくとも約109、少なくとも約110、少なくとも約111、少なくとも約112、少なくとも約113、少なくとも約114、少なくとも約115、少なくとも約116、少なくとも約117、少なくとも約118、少なくとも約119、少なくとも約120、少なくとも約121、少なくとも約122、少なくとも約123、少なくとも約124、少なくとも約125、少なくとも約126、少なくとも約127、少なくとも約128、少なくとも約129、少なくとも約130、少なくとも約131、少なくとも約132、少なくとも約133、少なくとも約134、少なくとも約135、少なくとも約136、少なくとも約137、少なくとも約138、少なくとも約139、少なくとも約140、少なくとも約141、少なくとも約142、少なくとも約143、少なくとも約144、少なくとも約145、少なくとも約146、少なくとも約147、少なくとも約148、少なくとも約149、又は少なくとも約150のアミノ酸を含む。実施形態では、相挙動を有するポリペプチドは、本明細書に記載のELP又はRLPの任意の30~150のアミノ酸の断片又は任意の50~100のアミノ酸の断片を含み得る。
【0230】
ELP及びRLPは、環境因子に応答して相転移する。ELP及びRLPは、1つ又は複数のポリペプチド(1つ又は複数のAAV結合ポリペプチドなど)と結合した場合、又は1つ又は複数の他のポリペプチド(1つ又は複数のAAV結合ポリペプチドなど)との融合タンパク質として発現した場合、相転移する能力を保持する。ELP及びRLPのようなポリマーは、曇点温度(T)とも呼ばれる転移温度(T)を示す。いくつかの実施形態では、ELP及びRLPは、Tで可溶相から不溶相への可逆的に相転移する。加熱又は塩濃度の増加により可溶相から不溶相に転移するELPは、下限臨界溶液温度(LCST)と呼ばれるTを有する。冷却又は塩濃度の低下により可溶相から不溶相に転移するRLPは、下限臨界溶液温度(UCST)と呼ばれるTを有する。いくつかの実施形態では、相転移は、ELP及び/又はRLPの二次構造の変化によって生じる。例えば、ELPの相転移は、ランダムコイル(T未満)からII型βターンへの二次構造の変化によって生じる。いくつかの実施形態では、二次構造の変化は、円偏光二色性分光偏光分析(circular dichroism spectropolarimetry)、小角X線散乱、紫外可視分光光度法、静的光散乱、動的光散乱、核磁気共鳴分光法、固体核磁気共鳴分光法、赤外分光法、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)、小角中性子散乱、顕微鏡法、及び低温電子顕微鏡法から選択される方法によって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、ELPの相転移は、二次構造の変化に起因しない。
【0231】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のRLP及びELPは、約0℃~約100℃の転移温度を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のRLP及び/又はELPは、約10℃~約50℃の転移温度を有する。いくつかの実施形態では、転移温度は、約0℃、約1℃、約2℃、約3℃、約4℃、約5℃、約6℃、約7℃、約8℃、約9℃、約10℃、約11℃、約12℃、約13℃、約14℃、約15℃、約16℃、約17℃、約18℃、約19℃、約20℃、約21℃、約22℃、約23℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃、約30℃、約31℃、約32℃、約33℃、約34℃、約35℃、約36℃、約37℃、約38℃、約39℃、約40℃、約41℃、約42℃、約43℃、約44℃、約45℃、約46℃、約47℃、約48℃、約49℃、約50℃、約51℃、約52℃、約53℃、約54℃、約55℃、約56℃、約57℃、約58℃、約59℃、約60℃、約61℃、約62℃、約63℃、約64℃、約65℃、約66℃、約67℃、約68℃、約69℃、約70℃、約71℃、約72℃、約73℃、約74℃、約75℃、約76℃、約77℃、約78℃、約79℃、約80℃、約81℃、約82℃、約83℃、約84℃、約85℃、約86℃、約87℃、約88℃、約89℃、約90℃、約91℃、約92℃、約93℃、約94℃、約95℃、約96℃、約97℃、約98℃、約99℃又は約100℃である。いくつかの実施形態では、転移温度は、少なくとも約0℃、少なくとも約1℃、少なくとも約2℃、少なくとも約3℃、少なくとも約4℃、少なくとも約5℃、少なくとも約6℃、少なくとも約7℃、少なくとも約8℃、少なくとも約9℃、少なくとも約10℃、少なくとも約11℃、少なくとも約12℃、少なくとも約13℃、少なくとも約14℃、少なくとも約15℃、少なくとも約16℃、少なくとも約17℃、少なくとも約18℃、少なくとも約19℃、少なくとも約20℃、少なくとも約21℃、少なくとも約22℃、少なくとも約23℃、少なくとも約24℃、少なくとも約25℃、少なくとも約26℃、少なくとも約27℃、少なくとも約28℃、少なくとも約29℃、少なくとも約30℃、少なくとも約31℃、少なくとも約32℃、少なくとも約33℃、少なくとも約34℃、少なくとも約35℃、少なくとも約36℃、少なくとも約37℃、少なくとも約38℃、少なくとも約39℃、少なくとも約40℃、少なくとも約41℃、少なくとも約42℃、少なくとも約43℃、少なくとも約44℃、少なくとも約45℃、少なくとも約46℃、少なくとも約47℃、少なくとも約48℃、少なくとも約49℃、少なくとも約50℃、少なくとも約51℃、少なくとも約52℃、少なくとも約53℃、少なくとも約54℃、少なくとも約55℃、少なくとも約56℃、少なくとも約57℃、少なくとも約58℃、少なくとも約59℃、少なくとも約60℃、少なくとも約61℃、少なくとも約62℃、少なくとも約63℃、少なくとも約64℃、少なくとも約65℃、少なくとも約66℃、少なくとも約67℃、少なくとも約68℃、少なくとも約69℃、少なくとも約70℃、少なくとも約71℃、少なくとも約72℃、少なくとも約73℃、少なくとも約74℃、少なくとも約75℃、少なくとも約76℃、少なくとも約77℃、少なくとも約78℃、少なくとも約79℃、少なくとも約80℃、少なくとも約81℃、少なくとも約82℃、少なくとも約83℃、少なくとも約84℃、少なくとも約85℃、少なくとも約86℃、少なくとも約87℃、少なくとも約88℃、少なくとも約89℃、少なくとも約90℃、少なくとも約91℃、少なくとも約92℃、少なくとも約93℃、少なくとも約94℃、少なくとも約95℃、少なくとも約96℃、少なくとも約97℃、少なくとも約98℃、少なくとも約99℃、又は少なくとも約100℃である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のRLPは、約10℃~約100℃の転移温度を有する。
【0232】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のRLP及びELPのTは、RLP及びELPの一次構造(例えば、アミノ酸配列)を操作することによって調節されるいくつかの実施形態では、ELP又はRLPの疎水性が調節される。いくつかの実施形態では、ELPの疎水性は、ゲスト残基(guest residue)Xaaの性質を変更することによって修飾される。いくつかの実施形態では、ELP又はRLPの疎水性が増加し、その結果、Tが低下する。いくつかの実施形態では、ELP又はRLPの疎水性が低下し、その結果、Tが上昇する。いくつかの実施形態では、ELP又はRLPの極性が調節される。いくつかの実施形態では、ELPの極性は、ゲスト残基Xaaの性質を変更することによって調節される。いくつかの実施形態では、ELP又はRLPの極性が増加し、その結果、Tが上昇する。いくつかの実施形態では、ELP又はRLPの極性が低下し、その結果、Tが低下する。
【0233】
いくつかの実施形態では、ELPペンタペプチド反復数(n)を調節して、Tを変更する。いくつかの実施形態では、ペンタペプチド反復(Val-Pro-Gly-Xaa-Gly)(配列番号10)のnは、終点を含む1~500までの整数である。いくつかの実施形態では、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、又は500(それらの間のすべての値及び範囲を含む)である。
【0234】
いくつかの実施形態では、Xaaは、「ゲスト残基」、即ち、ELPの相挙動を排除しない任意のアミノ酸である。いくつかの実施形態では、Xaaは、プロリンを除く任意のアミノ酸である。いくつかの実施形態では、Xaaは、各反復のために独立して選択される。例えば、所与のELPは、ゲスト残基であるアラニン、グリシン、及びバリンを8:7:1の比率で含み得る。いくつかの実施形態では、Xaaは、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プラリン(praline)、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、及びバリンからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、Xaaは、表2、並びに/又は2,4-ジアミノ酪酸、α-アミノイソ酪酸、アロイソロイシン、4-アミノ酪酸、2-アミノ酪酸(Abu)、ε-Ahx、6-アミノヘキサン酸、2-アミノイソ酪酸(Aib)、3-アミノプロピオン酸、オルニチン、ノルロイシン、ノルバリン、ヒドロキシプロリン、サルコシン、シトルリン、ホモシトルリン、システイン酸、t-ブチルグリシン、t-ブチルアラニン、フェニルグリシン、シクロヘキシルアラニン、β-アラニン、フルオロアミノ酸、デザイナーアミノ酸、例えば、β-メチルアミノ酸、Cα-メチルアミノ酸、Na-メチルアミノ酸、及びアミノ酸類似体全般からなる群から選択される非古典的アミノ酸である。いくつかの実施形態では、Xaaは、天然アミノ酸又は非古典的アミノ酸のD異性体である。
【0235】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のRLP及びELPのTは、RLP及び/又はELPを含む組成物に1つ又は複数の環境因子を導入することによって調節されるいくつかの実施形態では、ELP及び/又はRLPのTは、溶媒のイオン強度を調整することによって調節される。いくつかの実施形態では、溶媒のイオン強度は、塩を添加することによって調整される。いくつかの実施形態では、ELP及び/又はRLPは、コスモトロープ(kosmotrope)として分類されるアニオンを含む溶媒中でより低いTを有する。コスモトロープであるアニオンは高度に水和されており、ELP及び/又はRLPのウォーターシールドに影響を与える。いくつかの実施形態では、ELP及び/又はRLPのTは、カオトロープであるアニオンの添加によって調整することができる。低濃度では、カオトロープの添加により、ELP及び/又はRLPのTが上昇する。高濃度では、カオトロープの添加により、ELP及び/又はRLPのTが低下する。いくつかの実施形態では、ELP及び/又はRLPのTは、水素結合を破壊する1つ又は複数の試薬を導入することによって調整することができる。水素結合を破壊する試薬の非限定的な例としては、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)及び尿素が挙げられる。いくつかの実施形態では、水素結合の形成を促進する試薬を利用してTが調節される。いくつかの実施形態では、疎水性相互作用を促進する試薬を利用してTが調節される。トリフルオロエタノールは、疎水性相互作用と水素結合の形成の両方を促進し、Tの低下を引き起こす試薬である。
【0236】
いくつかの実施形態では、ELP及び/又はRLPの濃度を調整して、Tを調節することができる。いくつかの実施形態では、ELP及び/又はRLP濃度が高いと、Tが低下する。いくつかの実施形態では、ELP及び/又はRLP濃度が低いと、Tが上昇する。
【0237】
加えて、pH、光、及びイオン濃度の調節を利用しても、Tを調節することができる。
【0238】
いくつかの実施形態では、荷電アミノ酸(例えば、ヒスチジン、リジン、アルギニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、オルニチン、又は他の非天然荷電アミノ酸)の数(例えば、付加又は除去)及び性質(例えば、正又は負に帯電)の調節により、pH調節によるTの調整が可能になる。
【0239】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のELP及び/又はRLPは、ブロックコポリマーである。ブロックコポリマーは、2つ以上の配列ドメイン又はブロックを含み、2つ以上のブロックは、異なる特性を有する。調整できる特性の非限定的な例としては、親水性、疎水性、極性、及び二次構造が挙げられる。いくつかの実施形態では、ブロックコポリマーは、両親媒性物質であり、例えば、少なくとも1つの疎水性ブロックと少なくとも1つの親水性ブロックを含む。
【0240】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のELP及び/又はRLPは、様々な形態に形成される。形態の非限定的な例としては、球状凝集体、ミセル、小胞、フィブリル、ナノフィブリル、ナノチューブ、及びヒドロゲルが含まれる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のRLP及び/又はELPは、環境因子の添加後に様々な形態を形成する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のRLP及び/又はELPは、環境因子の添加後に、ある形態から別の形態に変化する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のRLP及び/又はELPは、AAV粒子の添加後に、ある形態から別の形態に変化する。
【0241】
いくつかの実施形態では、環境因子の追加により、RLP及び/又はELPが相転移する。いくつかの実施形態では、RLP及び/又はELPの相転移において、RLP及び/又はELPは、ある形態から別の形態に変換される。
【0242】
いくつかの実施形態では、RLP及び/又はELPの相転移により、高密度の液滴を形成する。
【0243】
いくつかの実施形態では、相挙動を有するポリペプチドは:
(a)(GRGDSPY)(配列番号1)
(b)(GRGDSPH)(配列番号2)
(c)(GRGDSPV)(配列番号3)
(d)(GRGDSPYG)(配列番号4)
(e)(RPLGYDS)(配列番号5)
(f)(RPAGYDS)(配列番号6)
(g)(GRGDSYP)(配列番号7)
(h)(GRGDSPYQ)(配列番号8)
(i)(GRGNSPYG)(配列番号9)
(j)(GVGVP)(配列番号11);
(k)(GVGVPGLGVPGVGVPGLGVPGVGVP)(配列番号12);
(l)(GVGVPGVGVPGAGVPGVGVPGVGVP)(配列番号13);
(m)(GVGVPGWGVPGVGVPGWGVPGVGVP)(配列番号14);
(n)(GVGVPGVGVPGVGVPGVGVPGVGVPGVGVPGEGVPGFGVPGVGVP)(配列番号15);
(o)(GVGVPGVGVPGVGVPGVGVPGVGVPGVGVPGKGVPGFGVPGVGVP)(配列番号16);及び
(p)(GAGVPGVGVPGAGVPGVGVPGAGVP)(配列番号17)からなる群から選択されるアミノ酸配列又はランダム化されてスクランブルされたその類似体を含み;
式中;
nは、終点を含む1~500の整数であり;且つ
mは、終点を含む4~25の整数である。
【0244】
いくつかの実施形態では、相挙動を有するポリペプチドは、(GVGVPGLGVPGVGVPGLGVPGVGVP)(配列番号12)であり、式中、mは16である。いくつかの実施形態では、相挙動を有するポリペプチドは、(GVGVPGLGVPGVGVPGLGVPGVGVP)(配列番号12)のアミノ酸配列を含み、式中、mは16であり、且つN末端又はC末端に最大10個のさらなるアミノ酸が存在する。いくつかの実施形態では、相挙動を有するポリペプチドは、(GVGVPGLGVPGVGVPGLGVPGVGVP)(配列番号12)のアミノ酸配列を含み、式中、mは16であり、且つ追加のC末端グリシンが存在する。いくつかの実施形態では、相挙動を有するポリペプチドは、(GVGVPGLGVPGVGVPGLGVPGVGVP)(配列番号12)のアミノ酸配列を含み、式中、mは16であり、且つ追加のN末端メチオニンが存在する。いくつかの実施形態では、相挙動を有するポリペプチドは、(GVGVPGLGVPGVGVPGLGVPGVGVP)(配列番号12)のアミノ酸配列を含み、式中、mは16であり、且つ追加のC末端グリシン及び追加のN末端メチオニンが存在する。
【0245】
いくつかの実施形態では、相挙動を有するポリペプチドは、配列番号88のアミノ酸配列を有する。
【0246】
いくつかの実施形態では、相挙動を有するポリペプチドは、(GVGVPGVGVPGAGVPGVGVPGVGVP)(配列番号144)又は(GVGVPGVGVPGLGVPGVGVPGVGVP)(配列番号146)のアミノ酸配列を含み、式中、mは、終点を含む2~32の整数である。いくつかの実施形態では、相挙動を有するポリペプチドは、(GVGVPGVGVPGAGVPGVGVPGVGVP)(配列番号144)のアミノ酸配列を含み、式中、mは、8又は16である。いくつかの実施形態では、相挙動を有するポリペプチドは、(GVGVPGAGVP)(配列番号145)のアミノ酸配列を含み、式中、mは、終点を含む5~80までの整数である。いくつかの実施形態では、相挙動を有するポリペプチドは、(GXGVP)(配列番号147)のアミノ酸配列を含み、式中、mは、終点を含む10~160の整数であり、各反復のXは、グリシン、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、リジン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、及びセリンからなる群から独立して選択される。
【0247】
いくつかの実施形態では、相挙動を有するポリペプチドは、
(a)(GVGVP)(配列番号143);
(b)(ZZPXXXXGZ)(配列番号148);
(c)(ZZPXGZ)(配列番号149);
(d)(ZZPXXGZ)(配列番号150);又は
(e)(ZZPXXXGZ)(配列番号151)から選択されるアミノ酸配列を含み、
式中、mは、終点を含む10~160までの整数であり、Xは、存在する場合はプロリンとグリシンを除く任意のアミノ酸であり、Zは、存在する場合は任意のアミノ酸である。
【0248】
いくつかの実施形態では、相挙動を有するポリペプチドは、(GVGVP)(配列番号143)のアミノ酸配列を含み、式中、mは、20、40、又は80である。いくつかの実施形態では、相挙動を有するポリペプチドは、(GRGDXPZX)(配列番号152)又は(XZPXDGRG)(配列番号153)のアミノ酸配列を含み、式中、Xは、グルタミン又はセリンであり、Zは、チロシン又はバリンであり、且つmは、終点を含む10~160の整数である。
【0249】
いくつかの実施形態では、相挙動を有するポリペプチドは、反復配列の第1のセット及び反復配列の第2のセットを含む。反復配列の第1のセット及び反復配列の第2のセットはそれぞれ、1回以上反復される配列を個別に含み得る。いくつかの実施形態では、反復配列の第1のセット及び/又は反復配列の第2のセットは、配列番号1~17及び143~153のいずれか1つを含む反復配列を含む。いくつかの実施形態では、相挙動を有するポリペプチドは、反復配列の第1のセット及び反復配列の第2のセットを含み、反復配列の第1のセットは、(GRGDXPZX)40(配列番号185)のアミノ酸配列を含み、反復配列の第2セットは、アミノ酸配列(GVGVP)80(配列番号186)を含み、式中、Xはグルタミンであり、Zはチロシンである。いくつかの実施形態では、反復配列の第1のセットは、配列番号187の配列を含む。いくつかの実施形態では、相挙動を有するポリペプチドは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、又は少なくとも10の異なる反復配列のセットを含む。いくつかの実施形態では、相挙動を有するポリペプチド内の反復配列の各セットは、約5~約400回、例えば、約5回、約10回、約15回、約20回、約25回、約30回、約35回、約40回、約45回、約50回、約55回、約60回、約65回、約70回、約75回、約80回、約85回、約90回、約95回、約100回、約105回、約110回、約115回、約120回、約125回、約130回、約135回、約140回、約145回、約150回、約155回、約160回、約165回、約170回、約175回、約180回、約185回、約190回、約195回、約200回、約205回、約210回、約215回、約220回、約225回、約230回、約235回、約240回、約245回、約250回、約255回、約260回、約265回、約270回、約275回、約280回、約285回、約290回、約295回、約300回、約305回、約310回、約315回、約320回、約325回、約330回、約335回、約340回、約345回、約350回、約355回、約360回、約365回、約370回、約375回、約380回、約385回、約390回、約395回、又は約400回反復する配列を含む。
【0250】
いくつかの実施形態では、配列番号1~17、88、及び143~153のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含む相挙動を有するポリペプチドは、最大10の追加のN末端及び/又はC末端アミノ酸も含む。いくつかの実施形態では、配列番号1~17、88、及び143~153のいずれか1つのアミノ酸配列を含む相挙動を有するポリペプチドは、追加のN末端メチオニンも含む。いくつかの実施形態では、配列番号1~17、88、及び143~153のいずれか1つのアミノ酸配列を含む相挙動を有するポリペプチドは、追加のC末端グリシンも含む。
【0251】
いくつかの実施形態では、相挙動を有するポリペプチドは、ELP及び/又はRLPと同じアミノ酸組成を有するが、反復は含まない。いくつかの実施形態では、相挙動を有するポリペプチドは、ELP及び/又はRLPと約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、又は約100%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、相挙動を有するポリペプチドは、ELP及び/又はRLPと約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、又は約100%同一であるアミノ酸組成を有する。いくつかの実施形態では、相挙動を有するポリペプチドは、ELP及び/又はRLPと約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、又は約100%同一である疎水性アミノ酸組成を有する。
【0252】
いくつかの実施形態では、相挙動を有するポリペプチドは、非反復非構造化ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、非反復非構造化ポリペプチドは、少なくとも50のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、非反復非構造化ポリペプチドは、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、又は少なくとも100のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、非反復非構造化ポリペプチドの配列は、少なくとも約10%(例えば、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、又は少なくとも80%)がプロリンであり、少なくとも20%(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%)がグリシンである。いくつかの実施形態では、非反復非構造化ポリペプチドは、バリン、アラニン、ロイシン、リジン、スレオニン、イソロイシン、チロシン、セリン、及びフェニルアラニンからなる群から選択されるアミノ酸を少なくとも約40%含む配列を有する。
【0253】
いくつかの実施形態では、相挙動を有するポリペプチドは、3つの連続する同一アミノ酸を含まない配列を含み、任意の5~10のアミノ酸サブ配列は、相挙動を有するポリペプチド中に複数回出現せず、相挙動を有するポリペプチドは、プロリンで始まりプロリンで終わるサブ配列を含み、サブ配列は、少なくとも1つのグリシンをさらに含む。
【0254】
本明細書に記載のELP及び/又はRLPは、融合タンパク質、例えば、第2のポリペプチドの成分として発現され、第2のポリペプチドは、相挙動を有する。いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、第1のポリペプチドを含む。第1のポリペプチドの例は、この例を通じて提供される。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、(i)酵素又はその誘導体若しくは触媒断片;(ii)抗体又はその誘導体若しくは抗原結合断片;(iii)シグナル伝達分子又はその断片若しくは誘導体;(iv)構造タンパク質又はその断片若しくは誘導体;又は(v)ホルモン又はその断片若しくは誘導体である。
【0255】
いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、細菌細胞又は哺乳動物細胞で発現される。
【0256】
いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、大腸菌(Escherichia coli)で発現される。いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、昆虫細胞で発現される。いくつかの実施形態では、非反復非構造化ポリペプチドの配列は、少なくとも約10%(例えば、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%)がプロリンであり、少なくとも20%(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、又は少なくとも50%)がグリシンであり、少なくとも40%(例えば、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、又は少なくとも70%)がバリン、アラニン、ロイシン、リジン、スレオニン、イソロイシン、チロシン、セリン、及びフェニルアラニンからなる群から選択されるアミノ酸である。
【0257】
いくつかの実施形態では、相挙動を有するポリペプチドは、3つの連続する同一のアミノ酸を含まない。いくつかの実施形態では、相挙動を有するポリペプチドは、相挙動を有するポリペプチドのアミノ酸配列中に一回のみ出現するサブ配列(例えば、相挙動を有するポリペプチドの断片)を含む。いくつかの実施形態では、相挙動を有するポリペプチドは、プロリンで始まりプロリンで終わるサブ配列を含む。いくつかの実施形態では、相挙動を有するポリペプチドは、少なくとも1つのグリシンを含むサブ配列を含む。
【0258】
いくつかの実施形態では、相挙動を有するポリペプチドは、シグナルペプチドを含む。いくつかの実施形態では、相挙動を有するポリペプチドは、N末端メチオニンを含む。いくつかの実施形態では、相挙動を有するポリペプチドは、N末端メチオニンを欠いている。本明細書で使用される場合、「(M)」は、任意選択のN末端メチオニンを指す。
【0259】
リンカー
いくつかの実施形態では、リンカーは、融合タンパク質の第1のポリペプチドと第2のポリペプチドを分離する。いくつかの実施形態では、融合タンパク質の機能を妨げない任意のリンカーを利用することができる。いくつかの実施形態では、リンカーは、柔軟性であり得る。いくつかの実施形態では、リンカーは、剛性であり得る。
【0260】
いくつかの実施形態では、リンカーは、相挙動を有するポリペプチドの相挙動を維持する。いくつかの実施形態では、リンカーは、相挙動を有するポリペプチドのTを維持する。いくつかの実施形態では、リンカーは、第1のポリペプチドの構造を保存する。いくつかの実施形態では、リンカーは、1~50のアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、約1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50のアミノ酸を含む。
【0261】
いくつかの実施形態では、リンカーの剛性は、リンカーのアミノ酸配列にプロリンを含めることによって向上する。
【0262】
いくつかの実施形態では、リンカーの柔軟性は、スレオニン、セリン、及びグリシンを含む小さな極性アミノ酸を含めることによって向上する。
【0263】
いくつかの実施形態では、リンカーは、限定されるものではないが、αヘリックス、β鎖、及びランダムコイルを含む、様々な二次構造を取り得る。いくつかの実施形態では、リンカーは、αヘリックス構造を取り、(EAAAK)(配列番号18)のアミノ酸反復を含み、nは、1~20の反復数である。
【0264】
いくつかの実施形態では、リンカーは、(GS)(配列番号19)から構成され、式中、nは、1~30の反復数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30)であり得る。実施形態では、リンカーは、(SGGG)n(配列番号20)の反復を有し、式中、nは、1~50の整数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20)である。実施形態では、リンカーは、(GGGS)(配列番号21)の反復を有し、nは、1~20(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20)の整数である。いくつかの実施形態では、リンカーは、(GS)(配列番号141)の反復を有し、式中、xは、1~6(例えば、1、2、3、4、5、又は6)の整数であり、nは、1~30(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30)の整数である。いくつかの実施形態では、リンカーは、(SG)(配列番号142)の反復を有し、xは、1~6の(例えば、1、2、3、4、5、又は6)整数であり、nは、1~30(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30)の整数である。
【0265】
いくつかの実施形態では、リンカーは、KESGSVSSEQLAQFRSLD(配列番号22)のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、リンカーは、EGKSSGSGSESKST(配列番号23)のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、リンカーは、グリシンのみを含む。
【0266】
いくつかの実施形態では、リンカーは切断可能である。例えば、リンカーは、プロテアーゼによって切断され得る。いくつかの実施形態では、ペプチドリンカーは、プロテアーゼ切断部位を含む。いくつかの実施形態では、プロテアーゼ切断部位は、フューリン切断部位である。
【0267】
いくつかの態様では、リンカーは、ポリ-(Gly)リンカーであり、式中、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30である(配列番号48)。他の実施形態では、リンカーは、ジペプチド、トリペプチド、及びクアドリペプチド(quadripeptide)からなる群から選択される。実施形態では、リンカーは、アラニン-セリン(AS)、ロイシン-グルタミン酸(LE)、及びセリン-アルギニン(SR)からなる群から選択されるジペプチドである。
【0268】
いくつかの実施形態では、リンカーは、GKSSGSGSESKS(配列番号157)、GSTSGSGKSSEGKG(配列番号158)、GSTSGSGKSSEGSGSTKG(配列番号159)、GSTSGSGKPGSGEGSTKG(配列番号160)、EGKSSGSGSESKEF(配列番号161)、SRSSG(配列番号162)、及びSGSSC(配列番号163)から選択される。
【0269】
いくつかの実施形態では、リンカーは、自己切断ペプチドである。いくつかの実施形態では、自己切断ペプチドは、2Aペプチドである。2Aペプチドは、細胞内のタンパク質の翻訳中にリボソームスキッピングを誘導する18~22のアミノ酸長のペプチドのクラスである。いくつかの実施形態では、2Aペプチドは、EGRGSLLTCGDVEENPGP(配列番号164)のアミノ酸配列を有するT2Aペプチド、ATNFSLLKQAGDVEENPGP(配列番号165)のアミノ酸配列を有するP2Aペプチド、QCTNYALLKLAGDVESNPGP(配列番号166)のアミノ配列を有するE2Aペプチド、又はVKQTLNFDLLKLAGDVESNPGP(配列番号167)のアミノ酸配列を有するF2Aペプチドである。いくつかの実施形態では、2Aペプチドは、配列番号164~167のいずれか1つに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%の同一性を有する。いくつかの実施形態では、2Aペプチドは、N末端にGSG(配列番号168)をさらに含む。
【0270】
いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、N末端からC末端にかけて、第1のポリペプチド、リンカー、及び相挙動を有する第2のポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、N末端からC末端にかけて、相挙動を有する第2のポリペプチド、リンカー、及び第1のポリペプチドを含む。
【0271】
融合タンパク質の第1のポリペプチドを安定化させる方法、その収量を改善する方法、並びにその活性の喪失、アンフォールディング、分解、及び/又はミスフォールディングを防止する方法
本発明者らは、第1のポリペプチド及び相挙動を有する第2のポリペプチドを含む融合タンパク質としての第1のポリペプチドの発現が、予想外にも、第1のポリペプチドの産生、精製、及び/又は保存中に第1のポリペプチドを安定化させるのに役立ち得ることを見出した。第1のポリペプチドに関して本明細書で使用される場合、「安定化させる」又は「安定化させること」という用語は、第1のポリペプチド及び相挙動を有する第2のポリペプチドを含む融合タンパク質として発現して、複数の第1のポリペプチドを含むサンプルの分解又は凝集を低減する能力、第1のポリペプチドが他のタンパク質又はそれ自体に結合するのを防止する能力、産生細胞による第1のポリペプチドの合成を促進する能力、第1のポリペプチドのアンフォールディングを防止する能力、及び第1のポリペプチドのミスフォールディングを防止する能力を指す。
【0272】
従って、いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドを安定化させる方法が本明細書で提供され、この方法は、第1のポリペプチドを、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドを含む融合タンパク質として発現させるステップを含み、第2のポリペプチドは、相挙動を有するポリペプチドである。実施形態では、第1のポリペプチドは、融合タンパク質が第1のポリペプチドを不安定化させることになる1つ又は複数の条件への曝露後も、その活性を実質的に保持する。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドのアンフォールディング、分解、及び/又はミスフォールディングを実質的に防止する方法が本明細書で提供され、この方法は、第1のポリペプチドと相挙動を有する第2のポリペプチドの融合タンパク質として第1のポリペプチドを発現させるステップを含み、融合タンパク質は、アンフォールディング、分解、及び/又はミスフォールディングを引き起こすことになる1つ又は複数の条件に曝露される。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドをアンフォールディングする、分解する、及び/又はミスフォールディングすることが知られている1つ又は複数の条件に曝露した後の第1のポリペプチドの活性の喪失を実質的に防止する方法が本明細書で提供され、この方法は、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドを含む融合タンパク質を発現させるステップを含み、第2のポリペプチドは、相挙動を有するポリペプチドである。実施形態では、前述の方法のいずれも、第1のポリペプチドを不安定化させることが知られている条件、又は第1のポリペプチドをアンフォールド、分解、及び/又はミスフォールディングすることが知られている条件から融合タンパク質を除外するステップを含み、第1のポリペプチドは、対照の第1のポリペプチドと比較してその活性を保持する。「対照の第1のポリペプチド」は、相挙動を有するポリペプチドに融合しておらず、活性の喪失、ミスフォールディング、アンフォールディング、又は分解を引き起こす条件に曝露されていない第1のポリペプチドを指す。
【0273】
「活性」という用語は、その結合パートナーに対する第1のポリペプチドの結合親和性を指し得る。例えば、第1のポリペプチドがAAVRのPKD2である場合、結合パートナーは、AAVウイルス粒子のカプシドであり得る。第1のポリペプチドがプロテインAである場合、結合パートナーは、免疫グロブリンのFc領域であり得る。酵素に言及する場合、「活性」という用語は、本明細書では「ターンオーバー数」とも呼ばれるkcatを指し得る。kcatは、式Vmax/Eを使用して計算され、式中、Vmaxは、すべての酵素触媒部位が基質で飽和したときの最大反応速度であり、Eは、全酵素濃度又は全酵素触媒部位の濃度である。「kcat」及び「Vmax」のような酵素速度論パラメータを決定するために、複数の技術、例えば、表面プラズモン共鳴、Forster共鳴エネルギー移動(FRET)、等温滴定熱量測定、比色分析、又は蛍光分析技術を利用することができる。
【0274】
第1のポリペプチドを不安定化させる、アンフォールディングする、分解する、又はミスフォールディングすることが知られている条件には、以下のうちの1つ又は複数の導入が含まれる:塩、塩基(例えば、ブレンステッド・ローリー塩基又はルイス塩基)への曝露、酸(例えば、ブレンステッド・ローリー酸又はルイス酸)への曝露、少なくとも50℃の温度への曝露、凍結乾燥、凍結融解サイクル、オートクレーブ、酸化剤、還元剤、カオトロピック剤、界面活性剤、有機溶媒、尿素、塩酸グアニジン。いくつかの実施形態では、オートクレーブ処理、熱ショック、pHの変化、光への曝露、撹拌、混合、温度変化(例えば、凍結融解)、非理想的な配向での第1のポリペプチドの保存、又は第1のポリペプチドの凝集傾向が、第1のポリペプチドのアンフォールディング、分解、又はミスフォールディングが引き起こす。実施形態では、本明細書に記載のいずれの環境因子も、第1のポリペプチドを不安定化させる、アンフォールディングする、分解する、又はミスフォールディングする条件であり得る。
【0275】
実施形態では、第1のポリペプチドをアンフォールディングする、分解する、ミスフォールディングする、又は不安定化させることが知られている条件は、塩酸グアニジンへの曝露、凍結乾燥、凍結融解サイクル、水酸化ナトリウムへの曝露、オートクレーブ処理、少なくとも50℃の温度への曝露、又はそれらの組み合わせである。
【0276】
実施形態では、融合タンパク質は、第1のポリペプチドをアンフォールディングする、分解する、ミスフォールディングする、又は不安定化させることが知られている1つ又は複数の条件に約5分間~約1日間曝露される。実施形態では、第1のポリペプチドは、第1のポリペプチドをアンフォールディングする、分解する、ミスフォールディングする、又は不安定化させることが知られている1つ又は複数の条件に、約10分間~約30分間、約15分間~約30分間、約15分間~1時間、約30分間~約12時間、約30分間~約11時間、約30分間~約10時間、約30分間~約9時間、約30分間~約8時間、約30分間~約7時間、約30分間~約6時間、約30分間~約5時間、約30分間~約4時間、約30分間~約3時間、約30分間~約2時間、約30分間~約1時間、又は約45分~1時間曝露される。実施形態では、第1のポリペプチドは、約1分間、約2分間、約3分間、約4分間、約5分間、約6分間、約7分間、約8分間、約9分間、約10分間、約11分間、約12分間、約13分間、約14分間、約15分間、約16分間、約17分間、約18分間、約19分間、約20分間、約21分間、約22分間、約23分間、約24分間、約25分間、約26分間、約27分間、約28分間、約29分間、約30分間、約31分間、約32分間、約33分間、約34分間、約35分間、約36分間、約37分間、約38分間、約39分間、約40分間、約41分間、約42分間、約43分間、約44分間、約45分間、約46分間、約47分間、約48分間、約49分間、約50分間、約51分間、約52分間、約53分間、約54分間、約55分間、約56分間、約57分間、約58分間、約59分間、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、約12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、約22時間、約23時間、又は約24時間(それらの間のすべての部分範囲及び値を含む)条件に曝露される。実施形態では、第1のポリペプチドは、少なくとも約1分間、少なくとも約2分間、少なくとも約3分間、少なくとも約4分間、少なくとも約5分間、少なくとも約6分間、少なくとも約7分間、少なくとも約8分間、少なくとも約9分間、少なくとも約10分間、少なくとも約11分間、少なくとも約12分間、少なくとも約13分間、少なくとも約14分間、少なくとも約15分間、少なくとも約16分間、少なくとも約17分間、少なくとも約18分間、少なくとも約19分間、少なくとも約20分間、少なくとも約21分間、少なくとも約22分間、少なくとも約23分間、少なくとも約24分間、少なくとも約25分間、少なくとも約26分間、少なくとも約27分間、少なくとも約28分間、少なくとも約29分間、少なくとも約30分間、少なくとも約31分間、少なくとも約32分間、少なくとも約33分間、少なくとも約34分間、少なくとも約35分間、少なくとも約36分間、少なくとも約37分間、少なくとも約38分間、少なくとも約39分間、少なくとも約40分間、少なくとも約41分間、少なくとも約42分間、少なくとも約43分間、少なくとも約44分間、少なくとも約45分間、少なくとも約46分間、少なくとも約47分間、少なくとも約48分間、少なくとも約49分間、少なくとも約50分間、少なくとも約51分間、少なくとも約52分間、少なくとも約53分間、少なくとも約54分間、少なくとも約55分間、少なくとも約56分間、少なくとも約57分間、少なくとも約58分間、少なくとも約59分間、少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約3時間、少なくとも約4時間、少なくとも約5時間、少なくとも約6時間、少なくとも約7時間、少なくとも約8時間、少なくとも約9時間、少なくとも約10時間、少なくとも約11時間、少なくとも約12時間、少なくとも約13時間、少なくとも約14時間、少なくとも約15時間、少なくとも約16時間、少なくとも約17時間、少なくとも約18時間、少なくとも約19時間、少なくとも約20時間、少なくとも約21時間、少なくとも約22時間、少なくとも約23時間、又は少なくとも約24時間条件に曝露される。実施形態では、第1のポリペプチドは、第1のポリペプチドをアンフォールディングする、分解する、ミスフォールディングする、又は不安定化させることが知られている1つ又は複数の条件に約30分間曝露される。実施形態では、第1のポリペプチドは、第1のポリペプチドをアンフォールディングする、分解する、ミスフォールディングする、又は不安定化させることが知られている1つ又は複数の条件に少なくとも約30分間曝露される。実施形態では、第1のポリペプチドは、第1のポリペプチドをアンフォールディングする、分解する、ミスフォールディングする、又は不安定化させることが知られている1つ又は複数の条件に約10分間~約30分間曝露される。
【0277】
実施形態では、融合タンパク質は、約50℃~約99℃の範囲の温度、例えば、約50℃、約55℃、約60℃、約65℃、約70℃、約75℃、約80℃、約85℃、約90℃、約91℃、約92℃、約93℃、約94℃、約95℃、約96℃、約97℃、約98℃、又は約99℃(それらの間のすべての部分範囲及び値を含む)に曝露される。実施形態では、融合タンパク質は、少なくとも約50℃、少なくとも約55℃、少なくとも約60℃、少なくとも約65℃、少なくとも約70℃、少なくとも約75℃、少なくとも約80℃、少なくとも約85℃、少なくとも約90℃、少なくとも約91℃、少なくとも約92℃、少なくとも約93℃、少なくとも約94℃、少なくとも約95℃、少なくとも約96℃、少なくとも約97℃、少なくとも約98℃、又は少なくとも約99℃に曝露される。
【0278】
実施形態では、第1のポリペプチドを不安定化させる、アンフォールディングする、分解する、又はミスフォールディングすることが知られている条件は、塩酸グアニジンへの曝露である。実施形態では、第1のポリペプチドは、1M~約10M塩酸グアニジンに曝露される。実施形態では、第1のポリペプチドは、約1M、約1.1M、約1.2M、約1.3M、約1.4M、約1.5M、約1.6M、約1.7M、約1.8M、約1.9M、約2M、約2.1M、約2.2M、約2.3M、約2.4M、約2.5M、約2.6M、約2.7M、約2.8M、約2.9M、約3M、約3.1M、約3.2M、約3.3M、約3.4M、約3.5M、約3.6M、約3.7M、約3.8M、約3.9M、約4M、約4.1M、約4.2M、約4.3M、約4.4M、約4.5M、約4.6M、約4.7M、約4.8M、約4.9M、約5M、約5.1M、約5.2M、約5.3M、約5.4M、約5.5M、約5.6M、約5.7M、約5.8M、約5.9M、約6M、約6.1M、約6.2M、約6.3M、約6.4M、約6.5M、約6.6M、約6.7M、約6.8M、約6.9M、約7M、約7.1M、約7.2M、約7.3M、約7.4M、約7.5M、約7.6M、約7.7M、約7.8M、約7.9M、約8M、約8.1M、約8.2M、約8.3M、約8.4M、約8.5M、約8.6M、約8.7M、約8.8M、約8.9M、約9M、約9.1M、約9.2M、約9.3M、約9.4M、約9.5M、約9.6M、約9.7M、約9.8M、約9.9M、又は約10M(それらの間のすべての部分範囲及び値を含む)塩酸グアニジンに曝露される。実施形態では、第1のポリペプチドは、少なくとも約1M、少なくとも約1.1M、少なくとも約1.2M、少なくとも約1.3M、少なくとも約1.4M、少なくとも約1.5M、少なくとも約1.6M、少なくとも約1.7M、少なくとも約1.8M、少なくとも約1.9M、少なくとも約2M、少なくとも約2.1M、少なくとも約2.2M、少なくとも約2.3M、少なくとも約2.4M、少なくとも約2.5M、少なくとも約2.6M、少なくとも約2.7M、少なくとも約2.8M、少なくとも約2.9M、少なくとも約3M、少なくとも約3.1M、少なくとも約3.2M、少なくとも約3.3M、少なくとも約3.4M、少なくとも約3.5M、少なくとも約3.6M、少なくとも約3.7M、少なくとも約3.8M、少なくとも約3.9M、少なくとも約4M、少なくとも約4.1M、少なくとも約4.2M、少なくとも約4.3M、少なくとも約4.4M、少なくとも約4.5M、少なくとも約4.6M、少なくとも約4.7M、少なくとも約4.8M、少なくとも約4.9M、少なくとも約5M、少なくとも約5.1M、少なくとも約5.2M、少なくとも約5.3M、少なくとも約5.4M、少なくとも約5.5M、少なくとも約5.6M、少なくとも約5.7M、少なくとも約5.8M、少なくとも約5.9M、少なくとも約6M、少なくとも約6.1M、少なくとも約6.2M、少なくとも約6.3M、少なくとも約6.4M、少なくとも約6.5M、少なくとも約6.6M、少なくとも約6.7M、少なくとも約6.8M、少なくとも約6.9M、少なくとも約7M、少なくとも約7.1M、少なくとも約7.2M、少なくとも約7.3M、少なくとも約7.4M、少なくとも約7.5M、少なくとも約7.6M、少なくとも約7.7M、少なくとも約7.8M、少なくとも約7.9M、少なくとも約8M、少なくとも約8.1M、少なくとも約8.2M、少なくとも約8.3M、少なくとも約8.4M、少なくとも約8.5M、少なくとも約8.6M、少なくとも約8.7M、少なくとも約8.8M、少なくとも約8.9M、少なくとも約9M、少なくとも約9.1M、少なくとも約9.2M、少なくとも約9.3M、少なくとも約9.4M、少なくとも約9.5M、少なくとも約9.6M、少なくとも約9.7M、少なくとも約9.8M、少なくとも約9.9M、又は少なくとも約10M塩酸グアニジンに曝露される。実施形態では、第1のポリペプチドを不安定化させる、アンフォールディングする、分解する、又はミスフォールディングすることが知られている条件は、6M塩酸グアニジンへの曝露である。実施形態では、第1のポリペプチドを不安定化させる、アンフォールディングする、分解する、又はミスフォールディングすることが知られている条件は、6M塩酸グアニジンへの30分間の曝露である。実施形態では、第1のポリペプチドを不安定化させる、アンフォールディングする、分解する、又はミスフォールディングすることが知られている条件は、6M塩酸グアニジンへの少なくとも30分間の曝露である。実施形態では、第1のポリペプチドを不安定化させる、アンフォールディングする、分解する、又はミスフォールディングすることが知られている条件は、6M塩酸グアニジンへの10~30分間の曝露である。
【0279】
実施形態では、第1のポリペプチドを不安定化させる、アンフォールディングする、分解する、又はミスフォールディングすることが知られている条件は、水酸化ナトリウムへの曝露である。実施形態では、第1のポリペプチドは、0.001M~約10M水酸化ナトリウムに曝露される。実施形態では、第1のポリペプチドは、約0.001M、約0.01M、約0.02M、約0.03M、約0.04M、約0.05M、約0.06M、約0.07M、約0.08M、約0.09M、約0.1M、約0.2M、約0.3M、約0.4M、約0.5M、約0.6M、約0.7M、約0.8M、約0.9M、約1M、約1.1M、約1.2M、約1.3M、約1.4M、約1.5M、約1.6M、約1.7M、約1.8M、約1.9M、約2M、約2.1M、約2.2M、約2.3M、約2.4M、約2.5M、約2.6M、約2.7M、約2.8M、約2.9M、約3M、約3.1M、約3.2M、約3.3M、約3.4M、約3.5M、約3.6M、約3.7M、約3.8M、約3.9M、約4M、約4.1M、約4.2M、約4.3M、約4.4M、約4.5M、約4.6M、約4.7M、約4.8M、約4.9M、約5M、約5.1M、約5.2M、約5.3M、約5.4M、約5.5M、約5.6M、約5.7M、約5.8M、約5.9M、約6M、約6.1M、約6.2M、約6.3M、約6.4M、約6.5M、約6.6M、約6.7M、約6.8M、約6.9M、約7M、約7.1M、約7.2M、約7.3M、約7.4M、約7.5M、約7.6M、約7.7M、約7.8M、約7.9M、約8M、約8.1M、約8.2M、約8.3M、約8.4M、約8.5M、約8.6M、約8.7M、約8.8M、約8.9M、約9M、約9.1M、約9.2M、約9.3M、約9.4M、約9.5M、約9.6M、約9.7M、約9.8M、約9.9M、又は約10M(それらの間のすべての部分範囲及び値を含む)水酸化ナトリウムに曝露される。実施形態では、第1のポリペプチドは、少なくとも約0.001M、少なくとも約0.01M、少なくとも約0.02M、少なくとも約0.03M、少なくとも約0.04M、少なくとも約0.05M、少なくとも約0.06M、少なくとも約0.07M、少なくとも約0.08M、少なくとも約0.09M、少なくとも約0.1M、少なくとも約0.2M、少なくとも約0.3M、少なくとも約0.4M、少なくとも約0.5M、少なくとも約0.6M、少なくとも約0.7M、少なくとも約0.8M、少なくとも約0.9M、少なくとも約1M、少なくとも約1.1M、少なくとも約1.2M、少なくとも約1.3M、少なくとも約1.4M、少なくとも約1.5M、少なくとも約1.6M、少なくとも約1.7M、少なくとも約1.8M、少なくとも約1.9M、少なくとも約2M、少なくとも約2.1M、少なくとも約2.2M、少なくとも約2.3M、少なくとも約2.4M、少なくとも約2.5M、少なくとも約2.6M、少なくとも約2.7M、少なくとも約2.8M、少なくとも約2.9M、少なくとも約3M、少なくとも約3.1M、少なくとも約3.2M、少なくとも約3.3M、少なくとも約3.4M、少なくとも約3.5M、少なくとも約3.6M、少なくとも約3.7M、少なくとも約3.8M、少なくとも約3.9M、少なくとも約4M、少なくとも約4.1M、少なくとも約4.2M、少なくとも約4.3M、少なくとも約4.4M、少なくとも約4.5M、少なくとも約4.6M、少なくとも約4.7M、少なくとも約4.8M、少なくとも約4.9M、少なくとも約5M、少なくとも約5.1M、少なくとも約5.2M、少なくとも約5.3M、少なくとも約5.4M、少なくとも約5.5M、少なくとも約5.6M、少なくとも約5.7M、少なくとも約5.8M、少なくとも約5.9M、少なくとも約6M、少なくとも約6.1M、少なくとも約6.2M、少なくとも約6.3M、少なくとも約6.4M、少なくとも約6.5M、少なくとも約6.6M、少なくとも約6.7M、少なくとも約6.8M、少なくとも約6.9M、少なくとも約7M、少なくとも約7.1M、少なくとも約7.2M、少なくとも約7.3M、少なくとも約7.4M、少なくとも約7.5M、少なくとも約7.6M、少なくとも約7.7M、少なくとも約7.8M、少なくとも約7.9M、少なくとも約8M、少なくとも約8.1M、少なくとも約8.2M、少なくとも約8.3M、少なくとも約8.4M、少なくとも約8.5M、少なくとも約8.6M、少なくとも約8.7M、少なくとも約8.8M、少なくとも約8.9M、少なくとも約9M、少なくとも約9.1M、少なくとも約9.2M、少なくとも約9.3M、少なくとも約9.4M、少なくとも約9.5M、少なくとも約9.6M、少なくとも約9.7M、少なくとも約9.8M、少なくとも約9.9M、又は少なくとも約10M水酸化ナトリウムに曝露される。実施形態では、第1のポリペプチドを不安定化させる、アンフォールディングする、分解する、又はミスフォールディングすることが知られている条件は、0.1M水酸化ナトリウムへの曝露である。実施形態では、第1のポリペプチドを不安定化させる、アンフォールディングする、分解する、又はミスフォールディングすることが知られている条件は、0.1M水酸化ナトリウムへの約30分間の曝露である。実施形態では、第1のポリペプチドを不安定化させる、アンフォールディングする、分解する、又はミスフォールディングすることが知られている条件は、0.1M水酸化ナトリウムへの少なくとも約30分間の曝露である。実施形態では、第1のポリペプチドを不安定化させる、アンフォールディングする、分解する、又はミスフォールディングすることが知られている条件は、0.1M水酸化ナトリウムへの10~30分間の曝露である。
【0280】
実施形態では、第1のポリペプチドを不安定化させる、アンフォールディングする、分解する、又はミスフォールディングすることが知られている条件は、凍結融解サイクルである。実施形態では、凍結融解サイクルは、第1のポリペプチドを含む溶液を凍結し、次いで溶液を氷点以上の温度にすることを含む。実施形態では、第1のポリペプチドは、複数回の凍結融解サイクルに供される。実施形態では、第1のポリペプチドは、2~10回、2~20回、2~30回、2~40回、又は2~50回の凍結融解サイクルに供される。実施形態では、第1のポリペプチドは、約1回、約2回、約3回、約4回、約5回、約6回、約7回、約8回、約9回、約10回、約11回、約12回、約13回、約14回、約15回、約16回、約17回、約18回、約19回、約20回、約21回、約22回、約23回、約24回、約25回、約26回、約27回、約28回、約29回、約30回、約31回、約32回、約33回、約34回、約35回、約36回、約37回、約38回、約39回、約40回、約41回、約42回、約43回、約44回、約45回、約46回、約47回、約48回、約49回、約50回、約51回、約52回、約53回、約54回、約55回、約56回、約57回、約58回、約59回、約60回、約61回、約62回、約63回、約64回、約65回、約66回、約67回、約68回、約69回、約70回、約71回、約72回、約73回、約74回、約75回、約76回、約77回、約78回、約79回、約80回、約81回、約82回、約83回、約84回、約85回、約86回、約87回、約88回、約89回、約90回、約91回、約92回、約93回、約94回、約95回、約96回、約97回、約98回、約99回、又は約100回の凍結融解サイクルに供され得る。実施形態では、第1のポリペプチドは、少なくとも約1回、少なくとも約2回、少なくとも約3回、少なくとも約4回、少なくとも約5回、少なくとも約6回、少なくとも約7回、少なくとも約8回、少なくとも約9回、少なくとも約10回、少なくとも約11回、少なくとも約12回、少なくとも約13回、少なくとも約14回、少なくとも約15回、少なくとも約16回、少なくとも約17回、少なくとも約18回、少なくとも約19回、少なくとも約20回、少なくとも約21回、少なくとも約22回、少なくとも約23回、少なくとも約24回、少なくとも約25回、少なくとも約26回、少なくとも約27回、少なくとも約28回、少なくとも約29回、少なくとも約30回、少なくとも約31回、少なくとも約32回、少なくとも約33回、少なくとも約34回、少なくとも約35回、少なくとも約36回、少なくとも約37回、少なくとも約38回、少なくとも約39回、少なくとも約40回、少なくとも約41回、少なくとも約42回、少なくとも約43回、少なくとも約44回、少なくとも約45回、少なくとも約46回、少なくとも約47回、少なくとも約48回、少なくとも約49回、少なくとも約50回、少なくとも約51回、少なくとも約52回、少なくとも約53回、少なくとも約54回、少なくとも約55回、少なくとも約56回、少なくとも約57回、少なくとも約58回、少なくとも約59回、少なくとも約60回、少なくとも約61回、少なくとも約62回、少なくとも約63回、少なくとも約64回、少なくとも約65回、少なくとも約66回、少なくとも約67回、少なくとも約68回、少なくとも約69回、少なくとも約70回、少なくとも約71回、少なくとも約72回、少なくとも約73回、少なくとも約74回、少なくとも約75回、少なくとも約76回、少なくとも約77回、少なくとも約78回、少なくとも約79回、少なくとも約80回、少なくとも約81回、少なくとも約82回、少なくとも約83回、少なくとも約84回、少なくとも約85回、少なくとも約86回、少なくとも約87回、少なくとも約88回、少なくとも約89回、少なくとも約90回、少なくとも約91回、少なくとも約92回、少なくとも約93回、少なくとも約94回、少なくとも約95回、少なくとも約96回、少なくとも約97回、少なくとも約98回、少なくとも約99回、又は少なくとも約100回の凍結融解サイクルに供され得る。
【0281】
実施形態では、第1のポリペプチドを不安定化させる、アンフォールディングする、分解する、又はミスフォールディングすることが知られている条件は、熱ショックである。実施形態では、第1のポリペプチドは、この第1のポリペプチドを少なくとも90℃、少なくとも91℃、少なくとも92℃、少なくとも93℃、少なくとも94℃、又は少なくとも95℃に約10分間、約11分間、約12分間、約13分間、約14分間、約15分間、約16分間、約17分間、約18分間、約19分間、約20分間、約21分間、約22分間、約23分間、約24分間、約25分間、約26分間、約27分間、約28分間、約29分間、約30分間、又はそれ以上の期間加熱すること;第1のポリペプチドを含む容器を氷上に置き、次いで、融合タンパク質を室温に戻すことによって熱ショックが与えられる。実施形態では、第1のポリペプチドは、この第1のポリペプチドを少なくとも90℃、少なくとも91℃、少なくとも92℃、少なくとも93℃、少なくとも94℃、又は少なくとも95℃に少なくとも約10分間、少なくとも約11分間、少なくとも約12分間、少なくとも約13分間、少なくとも約14分間、少なくとも約15分間、少なくとも約16分間、少なくとも約17分間、少なくとも約18分間、少なくとも約19分間、少なくとも約20分間、少なくとも約21分間、少なくとも約22分間、少なくとも約23分間、少なくとも約24分間、少なくとも約25分間、少なくとも約26分間、少なくとも約27分間、少なくとも約28分間、少なくとも約29分間、少なくとも約30分間、又はそれ以加熱すること;第1のポリペプチドを含む容器を氷上に置き、次いで、融合タンパク質を室温に戻すことによって熱ショックが与えられる。
【0282】
実施形態では、少なくとも90℃、少なくとも91℃、少なくとも92℃、少なくとも93℃、少なくとも94℃、又は少なくとも95℃に加熱することが、第1のポリペプチドを不安定化させる、アンフォールディングする、分解する、又はミスフォールディングすることが知られている。実施形態では、第1のポリペプチドを不安定化させる、アンフォールディングする、分解する、又はミスフォールディングすることが知られている1つ又は複数の条件は、少なくとも90℃に加熱することである。実施形態では、第1のポリペプチドを不安定化させる、アンフォールディングする、分解する、又はミスフォールディングすることが知られている1つ又は複数の条件は、少なくとも95℃に加熱することである。実施形態では、第1のポリペプチドを不安定化させる、アンフォールディングする、分解する、又はミスフォールディングすることが知られている1つ又は複数の条件は、少なくとも90℃で少なくとも30分間加熱することである。実施形態では、第1のポリペプチドを不安定化させる、アンフォールディングする、分解する、又はミスフォールディングすることが知られている1つ又は複数の条件は、少なくとも95℃に少なくとも30分間加熱することである。実施形態では、第1のポリペプチドを不安定化させる、アンフォールディングする、分解する、又はミスフォールディングすることが知られている1つ又は複数の条件は、少なくとも95℃に10~30分間加熱することである。
【0283】
実施形態では、第1のポリペプチドを不安定化させる、アンフォールディングする、分解する、又はミスフォールディングすることが知られている条件は、非生理的pHへの曝露である。非生理的pHという用語は、7.2~約7.4ではないpHを指す。実施形態では、非生理的pHは、酸性pHである。実施形態では、第1のポリペプチドを不安定化させる、アンフォールディングする、分解する、又はミスフォールディングすることが知られている条件は、酸性pHへの曝露である。実施形態では、第1のポリペプチドを不安定化させる、アンフォールディングする、分解する、又はミスフォールディングすることが知られている条件は、約0.5~約7、約0.5~約6、約0.5~約5、約0.5~約4、約0.5~約3、約0.5~約2、又は約0.5~約1の酸性pHへの曝露である。実施形態では、酸性pHは、約1、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、約1.9、約2、約2.1、約2.2、約2.3、約2.4、約2.5、約2.6、約2.7、約2.8、約2.9、約3、約3.1、約3.2、約3.3、約3.4、約3.5、約3.6、約3.7、約3.8、約3.9、約4、約4.1、約4.2、約4.3、約4.4、約4.5、約4.6、約4.7、約4.8、約4.9、約5、約5.1、約5.2、約5.3、約5.4、約5.5、約5.6、約5.7、約5.8、約5.9、約6、約6.1、約6.2、約6.3、約6.4、約6.5、約6.6、約6.7、約6.8、約6.9、約7、又は約7.1(それらの間のすべての部分範囲及び範囲を含む)である。実施形態では、第1のポリペプチドを不安定化させる、アンフォールディングする、分解する、又はミスフォールディングすることが知られている条件は、約4のpHへの曝露である。実施形態では、第1のポリペプチドを不安定化させる、アンフォールディングする、分解する、又はミスフォールディングすることが知られている条件は、約4のpHへの約10~30分間の曝露である。実施形態では、第1のポリペプチドを不安定化させる、アンフォールディングする、分解する、又はミスフォールディングすることが知られている条件は、約4のpHへの約30分間の曝露である。
【0284】
実施形態では、第1のポリペプチドを不安定化させる、アンフォールディングする、分解する、又はミスフォールディングすることが知られている条件は、約4のpH及び少なくとも95℃の温度への少なくとも30分間の曝露である。実施形態で、第1のポリペプチドを不安定化させる、アンフォールディングする、分解する、又はミスフォールディングすることが知られている条件は、約4のpH及び少なくとも95℃の温度への10~30分間の曝露である。
【0285】
実施形態では、非生理的pHは、塩基性pHである。実施形態では、塩基性pHは、約7.5~約14、約7.5~約13、約7.5~約12、約7.5~約11、約7.5~約10、約7.5~約9、又は約7.5~約8.5である。実施形態では、塩基性pHは、約8、約8.1、約8.2、約8.3、約8.4、約8.5、約8.6、約8.7、約8.8、約8.9、約9、約9.1、約9.2、約9.3、約9.4、約9.5、約9.6、約9.7、約9.8、約9.9、約10、約10.1、約10.2、約10.3、約10.4、約10.5、約10.6、約10.7、約10.8、約10.9、約11、約11.1、約11.2、約11.3、約11.4、約11.5、約11.6、約11.7、約11.8、約11.9、約12、約12.1、約12.2、約12.3、約12.4、約12.5、約12.6、約12.7、約12.8、約12.9、約13、約13.1、約13.2、約13.3、約13.4、約13.5、約13.6、約13.7、約13.8、約13.9、又は約14(それらの間のすべての部分範囲及び範囲を含む)である。
【0286】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドの活性は、1つ又は複数の条件への曝露後、対照ポリペプチドと比較して約35%未満、約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約3%未満、約2%未満、又は1%未満喪失する。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドの活性は、1つ又は複数の条件への曝露後、対照ポリペプチドと比較して約25%未満喪失する。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドの活性は、1つ又は複数の条件への曝露後、対照ポリペプチドと比較して約20%未満喪失する。
【0287】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチド及び相挙動を有する第2のポリペプチドを含む融合タンパク質として発現される第1のポリペプチドは、1つ又は複数の条件への曝露後、対照ポリペプチドと比較してその活性の約50%~約100%、約55%~約100%、約60%~約100%、約65%~約100%、約70%~約100%、約75%~約100%、約80%~約100%、約85%~約100%、約90%~約100%、又は約95%~約100%を保持する。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、1つ又は複数の条件への曝露後、対照と比較してその活性の少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%を保持する。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、1つ又は複数の条件への曝露後、対照と比較してその活性の少なくとも80%を保持する。第1のポリペプチドの活性は、機能アッセイ、酵素結合免疫吸着アッセイ、又はフローサイトメトリーを使用して測定することができる。
【0288】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、約-20℃~約35℃(例えば、約-20℃、約-19℃、約-18℃、約-17℃、約-16℃、約-15℃、約-14℃、約-13℃、約-12℃、約-11℃、約-10℃、約-9℃、約-8℃、約-7℃、約-6℃、約-5℃、約-4℃、約-3℃、約-2℃、約-1℃、約0℃、約1℃、約2℃、約3℃、約4℃、約5℃、約6℃、約7℃、約8℃、約9℃、約10℃、約11℃、約12℃、約13℃、約14℃、約15℃、約16℃、約17℃、約18℃、約19℃、約20℃、約21℃、約22℃、約23℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃、約30℃、約31℃、約32℃、約33℃、約34℃、約35℃(それらの間の任意の値及び部分範囲を含む)の温度への約1週間~約10年間(例えば、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約11週間、約12週間、約1ヶ月間、約2ヶ月間、約3ヶ月間、約4ヶ月間、約5ヶ月間、約6ヶ月間、約7ヶ月間、約8ヶ月間、約9ヶ月間、約10ヶ月間、約11ヶ月間、約12ヶ月間、約1年間、約2年間、約3年間、約4年間、約5年間、約6年間、約7年間、約8年間、約9年間、又は約10年間(その間のすべての部分範囲及び値を含む))の曝露後、その活性を保持する。実施形態では、第1のポリペプチドは、約1週間~10週間(例えば、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約5週間、少なくとも約6週間、少なくとも約7週間、少なくとも約8週間、少なくとも約9週間、少なくとも約10週間、少なくとも約11週間、少なくとも約12週間、少なくとも約1ヶ月間、少なくとも約2ヶ月間、少なくとも約3ヶ月間、少なくとも約4ヶ月間、少なくとも約5ヶ月間、少なくとも約6ヶ月間、少なくとも約7ヶ月間、少なくとも約8ヶ月間、少なくとも約9ヶ月間、少なくとも約10ヶ月間、少なくとも約11ヶ月間、少なくとも約12ヶ月間、少なくとも約1年間、少なくとも約2年間、少なくとも約3年間、少なくとも約4年間、少なくとも約5年間、少なくとも約6年間、少なくとも約7年間、少なくとも約8年間、少なくとも約9年間、又は少なくとも約10年間(それらの間の任意の値又は部分範囲を含む)、-20℃~約35℃(例えば、約-20℃、約-19℃、約-18℃、約-17℃、約-16℃、約-15℃、約-14℃、約-13℃、約-12℃、約-11℃、約-10℃、約-9℃、約-8℃、約-7℃、約-6℃、約-5℃、約-4℃、約-3℃、約-2℃、約-1℃、約0℃、約1℃、約2℃、約3℃、約4℃、約5℃、約6℃、約7℃、約8℃、約9℃、約10℃、約11℃、約12℃、約13℃、約14℃、約15℃、約16℃、約17℃、約18℃、約19℃、約20℃、約21℃、約22℃、約23℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃、約30℃、約31℃、約32℃、約33℃、約34℃、約35℃(それらの間のすべての部分範囲及び値を含む)の温度への曝露後、その活性を保持する。
【0289】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、約4℃に約1週間~約10年間の曝露後、その活性を保持する。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、約4℃で約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約11週間、約12週間、約1ヶ月間、約2ヶ月間、約3ヶ月間、約4ヶ月間、約5ヶ月間、約6ヶ月間、約7ヶ月間、約8ヶ月間、約9ヶ月間、約10ヶ月間、約11ヶ月間、約12ヶ月間、約1年間、約2年間、約3年間、約4年間、約5年間、約6年間、約7年間、約8年間、約9年間、約10年間、又はそれ以上の期間(それらの間のすべての部分範囲及び値を含む)その活性を保持する。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、少なくとも約4℃で少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約5週間、少なくとも約6週間、少なくとも約7週間、少なくとも約8週間、少なくとも約9週間、少なくとも約10週間、少なくとも約11週間、少なくとも約12週間、少なくとも約1月、少なくとも約2月間、少なくとも約3月間、少なくとも約4月間、少なくとも約5月間、少なくとも約6月間、少なくとも約7月間、少なくとも約8月間、少なくとも約9月間、少なくとも約10月間、少なくとも約11月間、少なくとも約12月間、少なくとも約1年間、少なくとも約2年間、少なくとも約3年間、少なくとも約4年間、少なくとも約5年間、少なくとも約6年間、少なくとも約7年間、少なくとも約8年間、少なくとも約9年間、少なくとも約10年間、又はそれ以上の期間(それらの間のすべての部分範囲及び値を含む)その活性を保持する。
【0290】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、-20℃に約6ヶ月~約10年間の曝露後、その活性を保持する。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、約4℃で約6ヶ月間、約7ヶ月間、約8ヶ月間、約9ヶ月間、約10ヶ月間、約11ヶ月間、約12ヶ月間、約1年間、約2年間、約3年間、約4年間、約5年間、約6年間、約7年間、約8年間、約9年間、約10年間、又はそれ以上の期間(それらの間のすべての部分範囲及び値を含む)その活性を保持する。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、少なくとも約4℃で少なくとも約6ヶ月間、少なくとも約7ヶ月間、少なくとも約8ヶ月間、少なくとも約9ヶ月間、少なくとも約10ヶ月間、少なくとも約11ヶ月間、少なくとも約12ヶ月間、少なくとも約1年間、少なくとも約2年間、少なくとも約3年間、少なくとも約4年間、少なくとも約5年間、少なくとも約6年間、少なくとも約7年間、少なくとも約8年間、少なくとも約9年間、少なくとも約10年間、又はそれ以上の期間(それらの間のすべての部分範囲及び値を含む)その活性を保持する。
【0291】
いくつかの実施形態では、以下の技術のうちの1つ又は複数を使用して、本開示の方法が第1のポリペプチドを安定化させる能力を評価する:サイズ排除クロマトグラフィー、イオン交換及び逆相高速液体クロマトグラフィー、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動法、キャピラリー電気泳動法、力価アッセイ、動的光散乱、分光法、顕微鏡法、並びに外観、pH、及び粒径の物理化学的測定。
【0292】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチド及び相挙動を有する第2のポリペプチドを含む融合タンパク質としての第1のポリペプチドの発現は、保存(例えば冷凍)中に第1のポリペプチドを分解から保護する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、特に複数回の凍結融解サイクル中に第1のポリペプチドを分解から保護する。第1のポリペプチドの凝集は、顕微鏡法によって、及び/又はX線散乱、レーザー回折、分析用超遠心分離、動的光散乱、ナノ粒子追跡分析、共鳴質量測定、サイズ排除クロマトグラフィー、ゲル浸透クロマトグラフィー、光遮蔽法、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される技術によって視覚的に観察することができる。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、第1のポリペプチド及び相挙動を有する第2のポリペプチドを含む融合タンパク質として、約-80℃~約40℃、例えば、約-80℃、約-75℃、約-70℃、約-65℃、約-60℃、約-55℃、約-50℃、約-45℃、約-40℃、約-35℃、約-30℃、約-25℃、約-20℃、約-15℃、約-10℃、約-5℃、約0℃、約4℃、約5℃、約10℃、約15℃、約20℃、約25℃、約30℃、約35℃、又は約40℃の温度で凍結及び保存することができる。
【0293】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドが、第1のポリペプチド及び相挙動を有する第2のポリペプチドを含む融合タンパク質として保存される場合、第1のポリペプチドの貯蔵寿命は、相挙動を有する第2のポリペプチドを含む融合タンパク質として発現されない第1のポリペプチドと比較して、少なくとも約10%長い。例えば、いくつかの実施形態では、貯蔵寿命は、同じ温度で保存される相挙動を有する第2のポリペプチドを含む融合タンパク質として発現されない第1のポリペプチドの貯蔵寿命よりも少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約150%、少なくとも約200%、少なくとも約250%、少なくとも約300%、少なくとも約350%、少なくとも約400%、少なくとも約450%、又は少なくとも約500%長い。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドが、第1のポリペプチド及び相挙動を有する第2のポリペプチドを含む融合タンパク質として保存される場合、第1のポリペプチドの貯蔵寿命は、相挙動を有する第2のポリペプチドを含む融合タンパク質として発現されない第1のポリペプチドと比較して少なくとも1ヶ月長い。例えば、いくつかの実施形態では、この貯蔵寿命は、同じ温度で保存される相挙動を有する第2のポリペプチドを含む融合タンパク質として発現されない第1のポリペプチドの貯蔵寿命よりも少なくとも約1ヶ月間、少なくとも約2ヶ月間、少なくとも約3ヶ月間、少なくとも約4ヶ月間、少なくとも約5ヶ月間、少なくとも約6ヶ月間、少なくとも約7ヶ月間、少なくとも約8ヶ月間、少なくとも約9ヶ月間、少なくとも約10ヶ月間、少なくとも約11ヶ月間、又は少なくとも約12ヶ月間長い。
【0294】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチド及び相挙動を有する第2のポリペプチドを含む融合ポリペプチドは、約-80℃で保存される。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチド及び相挙動を有する第2のポリペプチドを含む融合ポリペプチドは、約-20℃で保存される。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチド及び相挙動を有する第2のポリペプチドを含む融合ポリペプチドは、約4℃で保存される。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチド及び相挙動を有する第2のポリペプチドを含む融合ポリペプチドは、約37℃で保存される。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチド及び相挙動を有する第2のポリペプチドを含む融合ポリペプチドが、約-80℃、約-20℃、約4℃、又は約37℃で保存される場合、第1のポリペプチドの貯蔵寿命は、第1のポリペプチドが融合タンパク質として発現されず、同じ条件下で保存された場合よりも少なくとも約10%長い。例えば、第1のポリペプチドの貯蔵寿命は、同じ温度での、第1のポリペプチド及び相挙動を有する第2のポリペプチドを含む融合タンパク質として発現されない第1のポリペプチドの貯蔵寿命よりも少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約150%、少なくとも約200%、少なくとも約250%、少なくとも約300%、少なくとも約350%、少なくとも約400%、少なくとも約450%、又は少なくとも約500%長いであろう。本明細書で使用される場合、貯蔵寿命の延長は、第1のポリペプチドが保存されてその機能を依然として保持する時間の増加を指し得る。例えば、その機能を保持するプログラム細胞死タンパク質1(PD1)に結合するモノクローナル抗体を含む第1のポリペプチドは、PD1に対して同じ親和性を保持する。
【0295】
第1のポリペプチドの産生を改善する方法
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドの収量を改善する方法が本明細書で提供され、この方法は:(i)第1のポリペプチド及び相挙動を有する第2のポリペプチドを含む融合タンパク質を発現させるステップ;並びに(ii)第1のポリペプチドを第2のポリペプチドから分離するステップであって、融合タンパク質として発現される場合の第1のポリペプチドの収量が、第1のポリペプチドが融合タンパク質として発現されない場合の第1のポリペプチドの収量と比較して改善される、ステップを含む。
【0296】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、プロテアーゼ切断によって第2のポリペプチドから分離される。いくつかの実施形態では、プロテアーゼはフューリンである。
【0297】
いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、哺乳動物細胞、細菌細胞、真菌細胞、酵母細胞、及び植物細胞から選択される宿主細胞内で発現される。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、大腸菌(E.coli)である。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、CHO細胞である。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、HEK293細胞である。
【0298】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドの産生中に第1のポリペプチドの収量を増加させる方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、相挙動を有する第2のポリペプチドを含む融合タンパク質として産生される第1のポリペプチドの収量は、融合タンパク質として発現されない(即ち、相挙動を有する第2のポリペプチドに融合されていない)第1のポリペプチドの収量よりも多い。実施形態では、相挙動を有する第2のポリペプチドを含む融合タンパク質として発現される場合の第1のポリペプチドの収量は、約1mg/リットル~約1,000mg/リットルである。実施形態では、相挙動を有する第2のポリペプチドを含む融合タンパク質として発現される場合の第1のポリペプチドの収量は、宿主細胞懸濁液1リットル当たり約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg、約10mg、約11mg、約12mg、約13mg、約14mg、約15mg、約16mg、約17mg、約18mg、約19mg、約20mg、約21mg、約22mg、約23mg、約24mg、約25mg、約26mg、約27mg、約28mg、約29mg、約30mg、約31mg、約32mg、約33mg、約34mg、約35mg、約36mg、約37mg、約38mg、約39mg、約40mg、約41mg、約42mg、約43mg、約44mg、約45mg、約46mg、約47mg、約48mg、約49mg、約50mg、約51mg、約52mg、約53mg、約54mg、約55mg、約56mg、約57mg、約58mg、約59mg、約60mg、約61mg、約62mg、約63mg、約64mg、約65mg、約66mg、約67mg、約68mg、約69mg、約70mg、約71mg、約72mg、約73mg、約74mg、約75mg、約76mg、約77mg、約78mg、約79mg、約80mg、約81mg、約82mg、約83mg、約84mg、約85mg、約86mg、約87mg、約88mg、約89mg、約90mg、約91mg、約92mg、約93mg、約94mg、約95mg、約96mg、約97mg、約98mg、約99mg、約100mg、約110mg、約120mg、約130mg、約140mg、約150mg、約160mg、約170mg、約180mg、約190mg、約200mg、約210mg、約220mg、約230mg、約240mg、約250mg、約260mg、約270mg、約280mg、約290mg、約300mg、約310mg、約320mg、約330mg、約340mg、約350mg、約360mg、約370mg、約380mg、約390mg、約400mg、約410mg、約420mg、約430mg、約440mg、約450mg、約460mg、約470mg、約480mg、約490mg、約500mg、約510mg、約520mg、約530mg、約540mg、約550mg、約560mg、約570mg、約580mg、約590mg、約600mg、約610mg、約620mg、約630mg、約640mg、約650mg、約660mg、約670mg、約680mg、約690mg、約700mg、約710mg、約720mg、約730mg、約740mg、約750mg、約760mg、約770mg、約780mg、約790mg、約800mg、約810mg、約820mg、約830mg、約840mg、約850mg、約860mg、約870mg、約880mg、約890mg、約900mg、約910mg、約920mg、約930mg、約940mg、約950mg、約960mg、約970mg、約980mg、約990mg、又は約1,000mgである。実施形態では、相挙動を有する第2のポリペプチドを含む融合タンパク質として発現される場合の第1のポリペプチドの収量は、宿主細胞懸濁液1リットル当たり少なくとも約1mg、少なくとも約2mg、少なくとも約3mg、少なくとも約4mg、少なくとも約5mg、少なくとも約6mg、少なくとも約7mg、少なくとも約8mg、少なくとも約9mg、少なくとも約10mg、少なくとも約11mg、少なくとも約12mg、少なくとも約13mg、少なくとも約14mg、少なくとも約15mg、少なくとも約16mg、少なくとも約17mg、少なくとも約18mg、少なくとも約19mg、少なくとも約20mg、少なくとも約21mg、少なくとも約22mg、少なくとも約23mg、少なくとも約24mg、少なくとも約25mg、少なくとも約26mg、少なくとも約27mg、少なくとも約28mg、少なくとも約29mg、少なくとも約30mg、少なくとも約31mg、少なくとも約32mg、少なくとも約33mg、少なくとも約34mg、少なくとも約35mg、少なくとも約36mg、少なくとも約37mg、少なくとも約38mg、少なくとも約39mg、少なくとも約40mg、少なくとも約41mg、少なくとも約42mg、少なくとも約43mg、少なくとも約44mg、少なくとも約45mg、少なくとも約46mg、少なくとも約47mg、少なくとも約48mg、少なくとも約49mg、少なくとも約50mg、少なくとも約51mg、少なくとも約52mg、少なくとも約53mg、少なくとも約54mg、少なくとも約55mg、少なくとも約56mg、少なくとも約57mg、少なくとも約58mg、少なくとも約59mg、少なくとも約60mg、少なくとも約61mg、少なくとも約62mg、少なくとも約63mg、少なくとも約64mg、少なくとも約65mg、少なくとも約66mg、少なくとも約67mg、少なくとも約68mg、少なくとも約69mg、少なくとも約70mg、少なくとも約71mg、少なくとも約72mg、少なくとも約73mg、少なくとも約74mg、少なくとも約75mg、少なくとも約76mg、少なくとも約77mg、少なくとも約78mg、少なくとも約79mg、少なくとも約80mg、少なくとも約81mg、少なくとも約82mg、少なくとも約83mg、少なくとも約84mg、少なくとも約85mg、少なくとも約86mg、少なくとも約87mg、少なくとも約88mg、少なくとも約89mg、少なくとも約90mg、少なくとも約91mg、少なくとも約92mg、少なくとも約93mg、少なくとも約94mg、少なくとも約95mg、少なくとも約96mg、少なくとも約97mg、少なくとも約98mg、少なくとも約99mg、少なくとも約100mg、少なくとも約110mg、少なくとも約120mg、少なくとも約130mg、少なくとも約140mg、少なくとも約150mg、少なくとも約160mg、少なくとも約170mg、少なくとも約180mg、少なくとも約190mg、少なくとも約200mg、少なくとも約210mg、少なくとも約220mg、少なくとも約230mg、少なくとも約240mg、少なくとも約250mg、少なくとも約260mg、少なくとも約270mg、少なくとも約280mg、少なくとも約290mg、少なくとも約300mg、少なくとも約310mg、少なくとも約320mg、少なくとも約330mg、少なくとも約340mg、少なくとも約350mg、少なくとも約360mg、少なくとも約370mg、少なくとも約380mg、少なくとも約390mg、少なくとも約400mg、少なくとも約410mg、少なくとも約420mg、少なくとも約430mg、少なくとも約440mg、少なくとも約450mg、少なくとも約460mg、少なくとも約470mg、少なくとも約480mg、少なくとも約490mg、少なくとも約500mg、少なくとも約510mg、少なくとも約520mg、少なくとも約530mg、少なくとも約540mg、少なくとも約550mg、少なくとも約560mg、少なくとも約570mg、少なくとも約580mg、少なくとも約590mg、少なくとも約600mg、少なくとも約610mg、少なくとも約620mg、少なくとも約630mg、少なくとも約640mg、少なくとも約650mg、少なくとも約660mg、少なくとも約670mg、少なくとも約680mg、少なくとも約690mg、少なくとも約700mg、少なくとも約710mg、少なくとも約720mg、少なくとも約730mg、少なくとも約740mg、少なくとも約750mg、少なくとも約760mg、少なくとも約770mg、少なくとも約780mg、少なくとも約790mg、少なくとも約800mg、少なくとも約810mg、少なくとも約820mg、少なくとも約830mg、少なくとも約840mg、少なくとも約850mg、少なくとも約860mg、少なくとも約870mg、少なくとも約880mg、少なくとも約890mg、少なくとも約900mg、少なくとも約910mg、少なくとも約920mg、少なくとも約930mg、少なくとも約940mg、少なくとも約950mg、少なくとも約960mg、少なくとも約970mg、少なくとも約980mg、少なくとも約990mg、又は少なくとも約1,000mgである。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドの収量は、宿主細胞懸濁液1リットル当たり15mg超、1リットル当たり30mg超、1リットル当たり50mg超、1リットル当たり100mg超、1リットル当たり200mg超、又は1リットル当たり200mg超である。実施形態では、第1のポリペプチドの収量は、宿主細胞懸濁液1リットル当たり75mg超である。細胞懸濁液は、細胞培養物と互換的に呼ばれ得る。
【0299】
いくつかの実施形態では、相挙動を有する第2のポリペプチドを含む融合タンパク質として産生される第1のポリペプチドの収量は、融合タンパク質として発現されない(即ち、相挙動を有する第2のポリペプチドに融合されずに発現される)第1のポリペプチドの収量の少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、又はそれ以上である。実施形態では、相挙動を有する第2のポリペプチドを含む融合タンパク質として産生される第1のポリペプチドの収量は、融合タンパク質として発現されない第1のポリペプチドの収量よりも約3倍多い。
【0300】
いくつかの実施形態では、相挙動を有する第2のポリペプチドを含む融合タンパク質として産生される第1のポリペプチドの収量は、融合タンパク質として発現されない場合の第1のポリペプチドの収量よりも少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約100%、少なくとも約125%、少なくとも約150%、少なくとも約175%、少なくとも約200%、少なくとも約225%、少なくとも約250%、少なくとも約275%、少なくとも約300%、少なくとも約325%、少なくとも約350%、少なくとも約375%、少なくとも約400%、少なくとも約425%、少なくとも約450%、少なくとも約475%、少なくとも約500%、少なくとも約525%、少なくとも約550%、少なくとも約575%、少なくとも約600%、少なくとも約625%、少なくとも約650%、少なくとも約675%、少なくとも約700%、少なくとも約725%、少なくとも約750%、少なくとも約775%、少なくとも約800%、少なくとも約825%、少なくとも約850%、少なくとも約875%、少なくとも約900%、少なくとも約925%、少なくとも約950%、少なくとも約975%、少なくとも約1,000%、少なくとも約1,100%、少なくとも約1,125%、少なくとも約1,150%、少なくとも約1,175%、少なくとも約1,200%、少なくとも約1,225%、少なくとも約1,250%、少なくとも約1,275%、少なくとも約1,300%、少なくとも約1,325%、少なくとも約1,350%、少なくとも約1,375%、少なくとも約1,400%、少なくとも約1,425%、少なくとも約1,450%、少なくとも約1,475%、少なくとも約1,500%、少なくとも約1,525%、少なくとも約1,550%、少なくとも約1,575%、少なくとも約1,600%、少なくとも約1,625%、少なくとも約1,650%、少なくとも約1,675%、少なくとも約1,700%、少なくとも約1,725%、少なくとも約1,750%、少なくとも約1,775%、少なくとも約1,800%、少なくとも約1,825%、少なくとも約1,850%、少なくとも約1,875%、少なくとも約1,900%、少なくとも約1,925%、少なくとも約1,950%、少なくとも約1,975%、又は少なくとも約2,000%(それらの間のすべての範囲及び値を含む)多い。実施形態では、第1のポリペプチドの収量は、融合タンパク質として発現されない第1のポリペプチドの収量より約300%高い。
【0301】
融合タンパク質の第1のポリペプチドを精製する方法
本明細書では、第1のポリペプチドを精製する方法も提供され、この方法は、(i)第1のポリペプチド及び相挙動を有する第2のポリペプチドを含む融合タンパク質を用意するステップ;(ii)第1の環境因子を適用して、融合タンパク質を可逆的に凝集させるステップ;(iii)融合タンパク質凝集体を少なくとも1つの汚染物質から分離するステップ;並びに(iv)第2の環境因子を適用して、融合タンパク質を脱凝集させるステップを含む。いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、本明細書に記載の任意の融合タンパク質である。
【0302】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの汚染物質は、溶媒、タンパク質、ペプチド、炭水化物、核酸、ウイルス、細胞(例えば、細菌、酵母、又は哺乳動物細胞)、炭水化物、脂質、又はリポ多糖である。いくつかの実施形態では、汚染物質は、エンドトキシン又はマイコトキシンである。
【0303】
理論に束縛されるものではないが、第1の環境因子の適用は、相挙動を有するポリペプチド間の分子間相互作用を介した融合タンパク質の凝集を引き起こし、融合タンパク質凝集体が生じる。いくつかの実施形態では、環境因子は、環境因子の導入前の融合タンパク質のサイズよりも大きい融合タンパク質凝集体の形成を引き起こす。本明細書で使用される場合、「サイズの増加」という語句は、融合タンパク質の直径の増加又は融合タンパク質の質量の増加を指し得る。いくつかの実施形態では、サイズの増加は、融合タンパク質のモル質量の増加である。いくつかの実施形態では、サイズの増加は、融合タンパク質の流体力学的半径の増加である。
【0304】
いくつかの実施形態では、サイズの増加は、相挙動を有するポリペプチド間の非共有結合相互作用によって安定化される。いくつかの実施形態では、非共有結合相互作用は、双極子間力、ファンデルワールス力、ロンドン分散力、水素結合、疎水性相互作用、及び/又は静電相互作用である。
【0305】
いくつかの実施形態では、融合タンパク質凝集体のサイズは、環境因子の導入前の融合タンパク質のサイズよりも少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約45倍、少なくとも約50倍、少なくとも約55倍、少なくとも約60倍、少なくとも約65倍、少なくとも約70倍、少なくとも約75倍、少なくとも約80倍、少なくとも約85倍、少なくとも約90倍、少なくとも約95倍、少なくとも約100倍大きい。いくつかの実施形態では、融合タンパク質凝集体のサイズは、環境因子の導入前の融合タンパク質のサイズより少なくとも2倍大きい。いくつかの実施形態では、融合タンパク質凝集体のサイズは、環境因子の導入前の融合タンパク質のサイズより少なくとも5倍大きい。いくつかの実施形態では、融合タンパク質凝集体のサイズは、環境因子の導入前の融合タンパク質のサイズより少なくとも10倍大きい。いくつかの実施形態では、融合タンパク質凝集体のサイズは、環境因子の導入前の融合タンパク質のサイズより少なくとも25倍大きい。
【0306】
いくつかの実施形態では、融合タンパク質と比較した融合タンパク質凝集体のサイズの増加は、肉眼で視覚的に観察することができる。例えば、サイズの増加により、複合体を含む組成物の色、透明度、粘度が変化する可能性があり、且つ/又は複合体の溶解度が変化する(例えば、溶液から沈殿する)可能性があり、そのような変化は、特別な機器を一切使用しなくても人間が観察可能である。
【0307】
いくつかの実施形態では、当業者は、当技術分野で公知の方法に従って、融合タンパク質凝集体のサイズの増加を測定することができる。いくつかの実施形態では、サイズの増加は、X線散乱、小角X線散乱、広角X線散乱、動的光散乱、分析用超遠心分離、サイズ排除クロマトグラフィー、及び光子相関分光法からなる群から選択される技術を利用して測定することができる。
【0308】
いくつかの実施形態では、環境因子は、本明細書に記載の環境因子である。例えば、いくつかの実施形態では、環境因子は、(a)温度、pH、塩濃度、又は圧力のうちの1つ又は複数の変化;(b)1つ又は複数の界面活性剤、補因子、ビタミン、分子密集剤、酵素、変性剤の添加;又は(c)電磁波の印加である。
【0309】
いくつかの実施形態では、融合タンパク質凝集体は、その洗浄によって1つ又は複数の不純物から分離される。いくつかの実施形態では、融合タンパク質凝集体の洗浄は、融合タンパク質の凝集を妨げない。いくつかの実施形態では、融合タンパク質凝集体は、緩衝液で洗浄される。緩衝液の非限定的な例としては、酢酸ナトリウム、生理食塩水、グリシン-HCL、カコジル酸緩衝液、トリス-HCl、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、クエン酸塩、リン酸緩衝液、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]プロパンスルホン酸(TAPS)、及びトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(Tris)が挙げられる。いくつかの実施形態では、緩衝液は、アルギニン、ヒスチジン、尿素、プルロン酸、及びトリトン-X-100のうちの1つ又は複数を含む。いくつかの実施形態では、AAV-精製マトリックス複合体は、溶媒で洗浄される。溶媒の非限定的な例としては、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、水、エタノール、トルエン、酢酸メチル、及び酢酸エチルが挙げられる。
【0310】
いくつかの実施形態では、融合タンパク質凝集体は、サイズに基づいて少なくとも1つの不純物から分離される。いくつかの実施形態では、融合タンパク質凝集体は、直径に基づいて少なくとも1つの不純物から分離される。いくつかの実施形態では、融合タンパク質凝集体は、半径に基づいて少なくとも1つの不純物から分離される。いくつかの実施形態では、融合タンパク質凝集体は、質量に基づいて少なくとも1つの不純物から分離される。いくつかの実施形態では、融合タンパク質凝集体は、モル質量に基づいて少なくとも1つの不純物から分離される。いくつかの実施形態では、AAV精製マトリックスは、遠心分離、接線流ろ過、分析用超遠心分離、膜クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、全量ろ過、音波分離、遠心分離、向流遠心分離、及び高速タンパク質液体クロマトグラフィーからなる群から選択される技術を使用することによって、サイズに基づいて少なくとも1つの不純物から分離される融合タンパク質凝集体である。
【0311】
いくつかの実施形態では、分離は、音波分離を使用して達成される。いくつかの実施形態では、音波は、約1Hz~2,000kHzの周波数を有する。いくつかの実施形態では、音波は、約1Hz、約5Hz、約10Hz、約20Hz、約30Hz、約40Hz、約50Hz、約60Hz、約70Hz、約80Hz、約90Hz、約100Hz、約200Hz、約300Hz、約400Hz、約500Hz、約600Hz、約700Hz、約800Hz、約900Hz、約1kHz、約100kHz、約200kHz、約300kHz、約400kHz、約500kHz、約600kHz、約700kHz、約800kHz、約900kHz、約1,000kHz、約1,100kHz、約1,200kHz、約1,300kHz、約1,400kHz、約1,500kHz、約1,600kHz、約1,700kHz、約1,800kHz、約1,900kHz、又は約2,000kHzの周波数を有する。
【0312】
いくつかの実施形態では、融合タンパク質凝集体は、遠心分離を使用して、サイズに基づいて少なくとも1つの不純物から分離する。いくつかの実施形態では、約100相対遠心力(RCF)~約16,000RCF、例えば、約500~約16,000RCF、約1,000RCF~16,000RCFが適用されて、融合タンパク質凝集体が少なくとも1つの不純物から分離される。いくつかの実施形態では、少なくとも500の相対遠心力(RCF)、例えば、少なくとも約500RCF、少なくとも約600RCF、少なくとも約700RCF、少なくとも約800RCF、少なくとも約900RCF、少なくとも約1,000RCF、少なくとも約2,000RCF、少なくとも約3,000RCF、少なくとも約3,500RCF、少なくとも約4,000RCF、少なくとも約5,000RCF、少なくとも約6,000RCF、少なくとも約7,000RCF、少なくとも約8,000RCF、少なくとも約9,000RCF、少なくとも約10,000RCF、少なくとも約11,000RCF、少なくとも約12,000RCF、少なくとも約13,000RCF、少なくとも約14,000RCF、少なくとも約15,000RCF、少なくとも約16,000RCF、少なくとも約17,000RCF、少なくとも約18,000RCF、少なくとも約19,000RCF、又は少なくとも約20,000RCFが適用されて、融合タンパク質凝集体が少なくとも1つの不純物から分離れる。
【0313】
いくつかの実施形態では、融合タンパク質凝集体は、TFFを使用することによって、サイズに基づいて少なくとも1つの不純物から分離される。いくつかの実施形態では、TFFを使用して、融合タンパク質凝集体をサイズに基づいて少なくとも1つの不純物から分離することができ、このプロセスは、本明細書では「ダイアフィルトレーション」とも呼ばれる。ダイアフィルトレーションは、洗浄ステップ及び溶出ステップの両方を含む。洗浄により、融合タンパク質凝集体を含む組成物に含まれる不純物が除去される。溶出により、精製された第1のポリペプチドが第2のポリペプチドから分離される。いくつかの実施形態では、融合タンパク質凝集体は、TFFを使用して濃縮される。いくつかの実施形態では、TFFを使用して、組成物内の融合タンパク質凝集体の濃度を増加させることができ、このプロセスは、本明細書では「濃縮」とも呼ばれる。
【0314】
接線流ろ過は、分子を分離及び/又は濃縮するために精密ろ過膜及び限外ろ過膜の両方を使用する。精密ろ過膜は、典型的には、0.1μm~10μmの孔径を有する。限外ろ過膜は、典型的には、精密ろ過膜よりも孔径が小さく、0.001μm~0.1μmの孔径を有する。いくつかの実施形態では、約0.001μm~約10μmの孔径を有する膜が、本開示の方法で利用される。いくつかの実施形態では、膜は、約0.001μm、約0.01μm、約0.05μm、約0.1μm、約0.2μm、約0.3μm、約0.4μm、約0.5μm、約0.6μm、約0.7μm、約0.8μm、約0.9μm、約1.0μm、約2μm、約3μm、約4μm、約5μm、約6μm、約7μm、約8μm、約9μm、又は約10μm(それらの間のすべての値及び範囲を含む)の孔径を有する。いくつかの実施形態では、膜は、約0.1μmの孔径を有する。いくつかの実施形態では、膜は、約0.2μmの孔径を有する。
【0315】
いくつかの実施形態では、膜は、親水化ポリ(フッ化ビニリデン)(PVDF)、ポリエーテルスルホン(PES)、リン酸セルロース、ジエチルアミノエチルセルロース、ポリスルホン、再生セルロース、ナイロン、硝酸セルロース、酢酸セルロース、PEG化PES、及びスルホン化PESから形成される。
【0316】
TFFでは、膜は、流体混合物の流れに対して接線方向に配置され、流体混合物が膜の第1の側を接線方向に流れるようにする。同時に、流体媒体が、膜の第2の表面と接触して配置される。膜貫通圧力は、流体を膜に押し込んで透過性分子を運ぶ力である。
【0317】
いくつかの実施形態では、サイズに基づく1つ又は複数の汚染物質又は不純物からの融合タンパク質凝集体の分離は、約0.1バール~約3バールの膜貫通圧でTFFを使用して行われる。いくつかの実施形態では、膜間圧力は、約0.1バール、約0.2バール、約0.3バール、約0.4バール、約0.5バール、約0.6バール、約0.7バール、約0.8バール、約0.9バール、約1.0バール、約1.1バール、約1.2バール、約1.3バール、約1.4バール、約1.5バール、約1.6バール、約1.7バール、約1.8バール、約1.9バール、約2.0バール、約2.1バール、約2.2バール、約2.3バール、約2.4バール、約2.5バール、約2.6バール、約2.7バール、約2.8バール、約2.9バール、又は約3.0バール(それらの間のすべての値及び範囲を含む)である。いくつかの実施形態では、膜間圧力は、約1.5バールである。
【0318】
いくつかの実施形態では、クロスフロー流量を調製して、本明細書の融合タンパク質凝集体の1つ又は複数の汚染物質からの分離を改善する。クロスフロー流量は、供給チャネルを通って膜を通過する溶液の流量である。これは、濾液の流れを制限できる分子を一掃する力を提供する。いくつかの実施形態では、クロスフロー流量は、約500L/m2/h~約2,000L/m2/hである。いくつかの実施形態では、クロスフロー流量は、約500L/m2/h、約600L/m2/h、約700L/m2/h、約800L/m2/h、約900L/m2/h、約1,000L/m2/h、約1,100L/m2/h、約1,200L/m2/h、約1,300L/m2/h、約1,400L/m2/h、約1,500L/m2/h、約1,600L/m2/h、約1,700L/m2/h、約1,800L/m2/h、約1,900L/m2/h、又は約2,000L/m2/h(それらの間のすべての値及び範囲を含む)である。いくつかの実施形態では、クロスフロー流量は、約960L/m2/hである。いくつかの実施形態では、TFF分離は、汚染物質を通過させながら融合タンパク質凝集体を保持する膜を使用することによって行われる。
【0319】
いくつかの実施形態では、融合タンパク質凝集体の少なくとも1つの汚染物質からの分離後、第1のポリペプチドが第2のポリペプチドから分離される。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、アミド結合を切断する酵素を導入してこの第1のポリペプチドを第2のポリペプチドから分離することによって第2のポリペプチドから分離される。いくつかの実施形態では、酵素は、プロテアーゼである。
【0320】
いくつかの実施形態では、融合タンパク質凝集体の分離が少なくとも1つの汚染物質から分離された後、環境因子を適用して、融合タンパク質凝集体を脱凝集させる。融合タンパク質凝集体を脱凝集させるために適用される環境因子は、本明細書に記載の任意の環境因子であり得る。
【0321】
いくつかの実施形態では、融合タンパク質凝集体が少なくとも1つの不純物から分離された後、第1のポリペプチドは、第1のポリペプチド及び相挙動を有する第2のポリペプチドを含む融合タンパク質として溶出される。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、第1のポリペプチドと相挙動を有する第2のポリペプチドを含む脱凝集された融合タンパク質として溶出される。
【0322】
いくつかの実施形態では、環境因子は、第1のポリペプチドを含む組成物のpHを変更することを含む。いくつかの実施形態では、pHは、約0.1単位、約0.2単位、約0.3単位、約0.4単位、約0.5単位、約0.6単位、約0.7単位、約0.8単位、約0.9単位、約1.0単位、約1.1単位、約1.2単位、約1.3単位、約1.4単位、約1.5単位、約1.6単位、約1.7単位、約1.8単位、約1.9単位、約2.0単位、約2.1単位、約2.2単位、約2.3単位、約2.4単位、約2.5単位、約2.6単位、約2.7単位、約2.8単位、約2.9単位、約3.0単位、約3.1単位、約3.2単位、約3.3単位、約3.4単位、約3.5単位、約3.6単位、約3.7単位、約3.8単位、約3.9単位、約4.0単位、約4.1単位、約4.2単位、約4.3単位、約4.4単位、約4.5単位、約4.6単位、約4.7単位、約4.8単位、約4.9単位、約5.0単位、約5.1単位、約5.2単位、約5.3単位、約5.4単位、約5.5単位、約5.6単位、約5.7単位、約5.8単位、約5.9単位、又は約6.0単位上げられる。いくつかの実施形態では、pHは、約0.1単位、約0.2単位、約0.3単位、約0.4単位、約0.5単位、約0.6単位、約0.7単位、約0.8単位、約0.9単位、約1.0単位、約1.1単位、約1.2単位、約1.3単位、約1.4単位、約1.5単位、約1.6単位、約1.7単位、約1.8単位、約1.9単位、約2.0単位、約2.1単位、約2.2単位、約2.3単位、約2.4単位、約2.5単位、約2.6単位、約2.7単位、約2.8単位、約2.9単位、約3.0単位、約3.1単位、約3.2単位、約3.3単位、約3.4単位、約3.5単位、約3.6単位、約3.7単位、約3.8単位、約3.9単位、約4.0単位、約4.1単位、約4.2単位、約4.3単位、約4.4単位、約4.5単位、約4.6単位、約4.7単位、約4.8単位、約4.9単位、約5.0単位、約5.1単位、約5.2単位、約5.3単位、約5.4単位、約5.5単位、約5.6単位、約5.7単位、約5.8単位、約5.9単位、又は約6.0単位下げられる。いくつかの実施形態では、精製された融合タンパク質は、約2のpHで凝集する。いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、約3のpHで精製される。
【0323】
いくつかの実施形態では、環境因子は、融合タンパク質を含む組成物の温度を変更することを含む。いくつかの実施形態では、温度は、0.5℃、約1℃、約2℃、約3℃、約4℃、約5℃、約6℃、約7℃、約8℃、約9℃、約10℃、約11℃、約12℃、約13℃、約14℃、約15℃、約16℃、約17℃、約18℃、約19℃、約20℃、約21℃、約22℃、約23℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃、約30℃、約31℃、約32℃、約33℃、約34℃、約35℃、約36℃、約37℃、約38℃、約39℃、又は約40℃上げられる。いくつかの実施形態では、温度は、約0.5℃、約1℃、約2℃、約3℃、約4℃、約5℃、約6℃、約7℃、約8℃、約9℃、約10℃、約11℃、約12℃、約13℃、約14℃、約15℃、約16℃、約17℃、約18℃、約19℃、約20℃、約21℃、約22℃、約23℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃、約30℃、約31℃、約32℃、約33℃、約34℃、約35℃、約36℃、約37℃、約38℃、約39℃、又は約40℃下げられる。
【0324】
いくつかの実施形態では、環境因子は、融合タンパク質を含む組成物のイオン強度を変更することを含む。いくつかの実施形態では、イオン強度の変更は、塩の濃度を高めることによってもたらされる。いくつかの実施形態では、イオン強度の変更は、塩の濃度を減少させることによってもたらされる。塩の非限定的な例としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、グリシン、アルギニン、硫酸銅、ヨウ化ナトリウム、硫酸アンモニウム、及び硫酸ナトリウムが挙げられる。いくつかの実施形態では、融合タンパク質を含む組成物、汚染物質、及び/又は分子の塩の濃度を変更するために透析が使用される。
【0325】
いくつかの実施形態では、環境因子は、融合タンパク質を含む組成物への還元剤の添加を含む。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の還元剤は、ジチオスレイトール(DTT)、2-メルカプトエタノール(BME)、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)、ヒドラジン、水素化ホウ素、アミンボラン、低級アルキル置換アミンボラン、トリエタノールアミン、及びN,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン(TEMED)からなる群から選択される。
【0326】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の第1のポリペプチドを含む融合タンパク質を精製する方法は、約30分~約24時間で完了する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、約30分~約24時間で完了する。いくつかの実施形態では、この方法は、約30分、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、10時間、約11時間、約12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、約22時間、約23時間、又は約24時間で完了する。いくつかの実施形態では、本明細書の融合タンパク質及び/又は第1のポリペプチドを精製する方法は、約2時間~約10時間で完了する。
【0327】
いくつかの実施形態では、融合タンパク質の精製後、第1のポリペプチドが、第2のポリペプチドから分離される。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、アミド結合を切断する酵素を導入してこの第1のポリペプチドを第2のポリペプチドから分離することによって、第2のポリペプチドから分離される。いくつかの実施形態では、酵素はプロテアーゼである。
【0328】
いくつかの実施形態では、融合タンパク質及び/又は第1のポリペプチドの精製収率は、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%である。
【0329】
いくつかの実施形態では、融合タンパク質及び/又は第1のポリペプチドは、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の純度まで精製される。
【0330】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、1日当たり少なくとも0.1kg、少なくとも約0.2kg、少なくとも約0.3kg、少なくとも約0.4kg、少なくとも約0.5kg、少なくとも約0.6kg、少なくとも約0.7kg、少なくとも約0.8kg、少なくとも約0.9kg、少なくとも約1kg、少なくとも約2kg、少なくとも約3kg、少なくとも約4kg、少なくとも約5kg、少なくとも約6kg、少なくとも約7kg、少なくとも約8kg、少なくとも約9kg、少なくとも約10kg、又はそれ以上(それらの間のすべての値及び範囲を含む)の融合タンパク質及び/又は第1のポリペプチドの精製を可能にする。
【0331】
核酸基質上で酵素プロセスを実施する方法
融合タンパク質を使用して、制御された方法で、核酸基質上で酵素プロセスを実施することができる。いくつかの実施形態では、融合タンパク質の第1のタンパク質は、酵素又はその触媒断片若しくは誘導体である。例えば、このプロセスは、二相組成物で実施することができる。このような組成物では、基質は、第1の相に存在し得、融合タンパク質は、第2の相に存在し得る。必要に応じて、融合タンパク質を第1の相に入れ、それによって基質と接触するようにする環境因子を適用することができる。いくつかの実施形態では、融合タンパク質を第1の相から出るようにし、融合タンパク質がもはや基質と接触できないようにする第2の環境因子を適用することができる。このプロセスを使用して、制御された方法で、基質上で多段階酵素プロセスを実施することができる。例えば、基質が第1の相に存在し、複数の融合タンパク質が第2の相に存在し得る二相組成物を提供することができる。複数の融合タンパク質は、異なる相挙動を含む融合タンパク質を含む。必要に応じて、1つ又は複数の融合タンパク質を基質に接触させ、且つ/又は基質から分離する第1の環境因子を適用することができる。加えて、1つ又は複数の追加の融合タンパク質を基質に接触させ、且つ/又は基質から分離する第2の環境因子を適用することができる。このようなプロセスは、RNAのインビトロ転写などの目的の生物製剤の合成に役立ち得る。
【0332】
実施形態では、核酸基質は、DNA又はRNAである。実施形態では、DNA又はRNAは、一本鎖である。実施形態では、DNA又はRNAは、二本鎖である。実施形態では、核酸は、RNAであり、RNAは、メッセンジャーRNA(mRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、マイクロRNA、又はリボソームRNA(rRNA)から選択される。実施形態では、mRNAは低分子RNAである。低分子RNAは、約18~約30のヌクレオチド、例えば、約18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30のヌクレオチドを含む。
【0333】
実施形態では、酵素は、本明細書に記載のNBPのいずれか1つである。実施形態では、NBPは、T7 RNAポリメラーゼ、RNアーゼ阻害剤、2’-O-メチルトランスフェラーゼ、無機ピロホスファターゼ、ポリ(A)ポリメラーゼ、DNアーゼI、仔ウシ腸ホスファターゼ、南極ホスファターゼ、ワクシニアウイルスmRNAキャッピング酵素のD1サブユニット、グアニン-7-メチルトランスフェラーゼ(ワクシニアウイルスmRNAキャッピング酵素のD1サブユニットに存在)、グアニリルトランスフェラーゼ(ワクシニアウイルスmRNAキャッピング酵素のD1サブユニットに存在)、RNAトリホスファターゼ(ワクシニアウイルスmRNAキャッピング酵素のD1サブユニットに存在)、ワクシニアウイルスmRNAキャッピング酵素のD12サブユニット、ステムループ結合タンパク質、ヘテロ核リボ核タンパク質(hnRNP)、GroEL、Edc3、DHX9、Xrn1、Dcp1、Dcp2、LAF-1、MEG-1、MEG-3、ASF/SF2スプライシング因子、セリン/アルギニンリッチスプライシング因子4(SRp75)、セリン及びアルギニンリッチスプライシング因子1(SRSF1)、L3リボソームタンパク質、L4リボソームタンパク質、L13リボソームタンパク質、L20リボソームタンパク質、L22リボソームタンパク質、L24リボソームタンパク質、L24eリボソームタンパク質、S12リボソームタンパク質、S14リボソームタンパク質、及び真核生物開始因子4E結合タンパク質1(4EBP1)、Tat、Rev、RSG-1.2ペプチド、ポリ(A)結合タンパク質(PABP)、真核生物翻訳開始因子4E(eIF4E)、真核生物翻訳開始因子3サブユニットD(eIF3D)、ヘテロ核リボ核タンパク質(hnRNP)、RNA特異的アデノシンデアミナーゼ1(ADAR1)、RNA特異的アデノシンデアミナーゼ2(ADAR2)、枯草菌(Bacillus subtilis)由来のCspB(Bscscp)、Yボックスタンパク質1コールドショックドメイン(YB1-CSD)、Fox-1タンパク質(FOX1)、ポリ(A)結合タンパク質(PABP)、Staufenタンパク質、TIS11d、ジンクフィンガータンパク質(ZNF)、Z-DNA結合タンパク質1(ZBP1)、レチノイン酸誘導性遺伝子-I(RIG-I)様タンパク質、トール様受容体7(TLR7)、トール様受容体8(TLR3)、トール様受容体8(TLR8)、レチノイン酸誘導性遺伝子I(RIG-I)、黒色腫分化関連タンパク質5(MDA5)、テトラトリコペプチド反復1を有するインターフェロン誘導性タンパク質(IFIT1)、プロテインキナーゼR(PKR)、オリゴアデニル酸シンターゼ様(OASL)タンパク質(例えば、OAS1、OAS2、OAS3、又はOASL)、リボヌクレアーゼE(RNASE E)、ガンマインターフェロン誘導性タンパク質Ifi-16(IF116)、環状GMP-AMPシンターゼ(cGAS)、又はそれらの触媒断片から選択される。
【0334】
実施形態では、NBPは、短鎖モチーフ(SLiM)、RG[G]反復、RGG反復、RS/RGリッチドメイン、K/R塩基性パッチ、分子認識機能、低複雑性配列、RNA認識モチーフ、二本鎖RNA結合ドメイン、K相同ドメイン、ジンクフィンガードメイン(例、CCHH ZFドメイン、CCCC(Ran-BP2)ドメイン、CCCH ZFドメイン)、RGGドメイン、Pumilloファミリードメイン、ペンタトリコペプチドドメイン、コールドショックドメイン、ヘリカーゼドメイン、Laモチーフ、Piwi-Argonaute-Zwille(PAZ)ドメイン、PIWI(P-element induced wimpy testis)、プソイドウリジンシンターゼ及びPUA(archaeosine transglycosylate)、Pumillo様反復(PUM)、リボソームS1様(S1)、Sm及びLike-Sm(Sm/Lsm)反復、チウリジンシンターゼ及びRNAメチラーゼ及びプソイドウリジンシンターゼ(THUMP)、又はYT521-B相同性を有するドメインのうちの1つ又は複数を含む。
【0335】
実施形態では、相挙動を有するポリペプチドは、本明細書に記載の相挙動を有する任意のポリペプチドである。
【0336】
いくつかの実施形態では、基質上で酵素プロセスを実施する方法は、(i)第1の酵素及び第1の相挙動を有するポリペプチドを含む第1の融合タンパク質を用意するステップ;並びに(ii)第1の酵素が基質と接触することを可能にする第1の環境因子を適用するステップを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、第1の酵素を基質から分離する追加の環境因子をさらに含む。
【0337】
いくつかの実施形態では、基質上で多段階酵素プロセスを実施する方法は、(i)第1の酵素及び第1の相挙動を有するポリペプチドを含む第1の融合タンパク質を用意するステップ;(ii)第2の酵素及び第2の相挙動を有するポリペプチドを含む第2の融合タンパク質を用意するステップ;(iii)第1の酵素が基質と接触することを可能にする第1の環境因子を適用するステップ;並びに(iv)第2の酵素が基質と接触することを可能にする第2の環境因子を適用するステップを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、(v)第3の環境因子を適用して、第1の酵素を基質から分離するステップをさらに含む。いくつかの実施形態では、この方法は、(vi)第4の環境因子を適用して、第2の酵素を基質から分離するステップをさらに含む。
【0338】
いくつかの実施形態では、この方法は、追加の融合タンパク質、例えば、第3の融合タンパク質、第4の融合タンパク質、及び第5の融合タンパク質などを用意するステップをさらに含む。追加の各融合タンパク質は、追加の酵素及び相挙動を有するポリペプチドを含む。例えば、第3の融合タンパク質は、第3の酵素及び第3の相挙動を有するポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、複数の融合タンパク質が提供され、各融合タンパク質は、異なる酵素を含むが、融合タンパク質のうちの少なくとも2つは、同じ相挙動を有するポリペプチドを含む。
【0339】
いくつかの実施形態では、基質上で多段階酵素プロセスを実施する方法が本明細書で提供され、この方法は:(i)第1の酵素及び第1の相挙動を有するポリペプチドを含む第1の融合タンパク質を用意するステップ;(ii)第2の酵素及び第2の相挙動を有するポリペプチドを含む第2の融合タンパク質を用意するステップ;(iii)第1の酵素が基質と接触し、基質を単離し、且つ/又は基質を濃縮することを可能にする第1の環境因子を適用するステップ;並びに(iv)第2の酵素が基質と接触し、基質を単離し、且つ/又は基質を濃縮することを可能にする第2の環境因子を適用するステップを含む。いくつかの実施形態では、基質と接触させ、基質を単離し、且つ/又は基質を精製する方法が本明細書で提供され、この方法は、(i)第1の酵素及び第1の相挙動を有するポリペプチドを含む第1の融合タンパク質を用意するステップ;(ii)第2の酵素及び第2の相挙動を有するポリペプチドを含む第2の融合タンパク質を用意するステップ;(iii)第1の酵素が基質と接触し、基質を単離し、且つ/又は基質を濃縮することを可能にする第1の環境因子を適用するステップ;並びに(iv)第2の酵素が基質と接触し、基質を単離し、且つ/又は基質を濃縮することを可能にする第2の環境因子を適用するステップを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、融合タンパク質及び基質を含む濃縮された液滴の形成を可能にする。例えば、いくつかの実施形態では、(i)酵素ポリアデニル酸ポリメラーゼ及び相挙動を有するポリペプチドを含む融合タンパク質、(ii)mRNA基質、並びに(iii)ポリ(アデニル酸)ヌクレオチドを含む組成物への塩の添加により、濃縮された液滴が形成される。いくつかの実施形態では、ポリアデニル酸ポリメラーゼは、濃縮された液滴中のmRNA基質にポリ(アデニル酸)ヌクレオチドを付加する。
【0340】
いくつかの実施形態では、この方法は、酵素及び相挙動を有するポリペプチドを含む融合タンパク質を基質と共にインキュベートするステップを含む。いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、約10分間~約24時間、例えば、約10分間、約15分間、約20分間、約25分間、約30分間、約35分間、約40分間、約45分間、約50分間、約55分間、又は約60分間、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、約12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、約22時間、約23時間、又は約24時間(それらの間のすべての範囲を含む)基質と共にインキュベートされる。いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、約1時間~約4時間基質と共にインキュベートされる。いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、約10分~約1時間基質と共にインキュベートされる。
【0341】
いくつかの実施形態では、インキュベーションは、約10℃~約80℃の温度、例えば、約10℃、15℃、16℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、約40℃、約45℃、約50℃、約55℃、約60℃、約65℃、約70℃、約75℃、又は約80℃で行われる。
【0342】
いくつかの実施形態では、環境因子の導入により、相挙動を有するポリペプチドを含む融合タンパク質の酵素の基質へのアクセスが可能になる。例えば、環境因子の導入により、融合タンパク質が可溶化され、酵素と基質との間の反応を起こすことができる。いくつかの実施形態では、環境因子の導入により、酵素の基質へのアクセスが妨げられる。例えば、環境因子の導入により、融合タンパク質を沈殿させることができる。
【0343】
いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、基質から分離される。いくつかの実施形態では、分離は、サイズ及び/又は密度に基づいて、例えば、分子量又は直径に基づいて行われる。いくつかの実施形態では、サイズに基づいて分子を分離するための本明細書に記載の技術のいずれかを適用して、融合タンパク質を基質から分離することができる。いくつかの実施形態では、連続遠心分離、接線流ろ過、又は遠心分離を使用して、サイズに基づいて融合タンパク質を基質から分離する。
【0344】
いくつかの実施形態では、多段階酵素プロセスは、インビトロ転写であり、基質は、DNAである。いくつかの実施形態では、DNAは、直鎖状DNA又は環状DNAである。いくつかの実施形態では、第1の融合タンパク質の第1の酵素は、RNAポリメラーゼを含む。いくつかの実施形態では、RNAポリメラーゼは、T7、T3、又はSP6 RNAポリメラーゼである。いくつかの実施形態では、第1の融合タンパク質は、DNA基質を含む組成物に添加される。いくつかの実施形態では、組成物はまた、リボヌクレオチド三リン酸及び/又は緩衝液(例えば、ジチオスレイトール及びマグネシウムを含む緩衝液)を含む。いくつかの実施形態では、環境因子が添加され、第1の酵素(例えば、RNAポリメラーゼ)のDNA基質へのアクセスが可能になる。いくつかの実施形態では、融合タンパク質及びDNA基質は、約10分間~約24時間インキュベートされる。いくつかの実施形態では、RNAポリメラーゼとDNA基質とのインキュベーションにより、RNAが産生される。いくつかの実施形態では、第1の融合タンパク質は、環境因子の適用によって基質から分離される。いくつかの実施形態では、サイズに基づいて分子を分離するための本明細書に記載の任意の方法を使用して、RNAを第1の融合タンパク質から分離する。
【0345】
いくつかの実施形態では、第1の融合タンパク質の第1の酵素との反応後に産生されるRNAは、さらなる酵素反応の基質として使用される。例えば、いくつかの実施形態では、第2の酵素mRNA Cap2’-O-メチルトランスフェラーゼ及び相挙動を有するポリペプチドを含む第2の融合タンパク質がRNAに添加される。この反応により、5’末端にメチル基を含むRNAが産生される。いくつかの実施形態では、第2の融合タンパク質及びRNA基質は、約10分間~約24時間インキュベートされる。いくつかの実施形態では、第2の融合タンパク質は、環境因子の適用によって基質から分離される。いくつかの実施形態では、サイズに基づいて分子を分離するための本明細書に記載の任意の方法を使用して、キャップ付きmRNAを第2の融合タンパク質から分離する。
【0346】
いくつかの実施形態では、第2の酵素ポリアデニル酸ポリメラーゼを含む第2の融合タンパク質がRNA基質に添加される。いくつかの実施形態では、RNA基質を含む組成物は、ポリ(アデニル酸)ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、RNAを含む組成物は、ポリアデニル酸ポリメラーゼを含む。ポリアデニル酸ポリメラーゼは、ポリ(A)尾部のRNAへの付加を触媒する。いくつかの実施形態では、第2の融合タンパク質及びRNA基質は、約10分間~約24時間インキュベートされる。いくつかの実施形態では、第2の融合タンパク質は、環境因子の適用によって基質から分離される。いくつかの実施形態では、サイズに基づいて分子を分離するための本明細書に記載の任意の方法を使用して、ポリ(A)尾部を含むRNAを第2の融合タンパク質から分離する。
【0347】
いくつかの実施形態では、第2の酵素PABPを含む第2の融合タンパク質がRNA基質に添加される。いくつかの実施形態では、RNA基質を含む組成物は、ポリ(アデニル酸)ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、RNAを含む組成物は、ポリアデニル酸ポリメラーゼを含む。PABPは、ポリ(A)尾部のRNAへの付加を助ける。いくつかの実施形態では、第2の融合タンパク質及びRNA基質は、約10分間~約24時間インキュベートされる。いくつかの実施形態では、第2の融合タンパク質は、環境因子の適用によって基質から分離される。いくつかの実施形態では、サイズに基づいて分子を分離するための本明細書に記載の任意の方法を使用して、ポリ(A)尾部を含むRNAを第2の融合タンパク質から分離する。
【0348】
環境因子
いくつかの実施形態では、本開示の方法は、本明細書の融合タンパク質を含む組成物に対する1つ又は複数の環境因子を提供する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の環境因子を適用して、融合タンパク質を可逆的に凝集させる。環境因子の適用は、融合タンパク質を含む組成物に変化を引き起こす。いくつかの実施形態では、環境因子を使用して、融合タンパク質を可逆的に凝集させる。いくつかの実施形態では、環境因子を使用して、融合タンパク質を可逆的に脱凝集させる。いくつかの実施形態では、環境因子を使用して、融合タンパク質を含む組成物中の1つ又は複数の不純物から融合タンパク質を分離する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の環境因子は、融合タンパク質凝集体のサイズを増加させる。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の環境因子は、融合タンパク質の第1のポリペプチドがその構造、機能、及び活性を保持することを可能にする。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の環境因子は、融合タンパク質の第1のポリペプチドがその天然の構造、機能、及び活性を増強することを可能にする。
【0349】
いくつかの実施形態では、本開示の方法は、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、又は少なくとも10の環境因子を少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、又は少なくとも10の融合タンパク質を含む組成物に適用するステップを含む。
【0350】
いくつかの実施形態では、環境因子は、温度の変化である。いくつかの実施形態では、温度は、約0.5℃、約1℃、約2℃、約3℃、約4℃、約5℃、約6℃、約7℃、約8℃、約9℃、約10℃、約11℃、約12℃、約13℃、約14℃、約15℃、約16℃、約17℃、約18℃、約19℃、約20℃、約21℃、約22℃、約23℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃、約30℃、約31℃、約32℃、約33℃、約34℃、約35℃、約36℃、約37℃、約38℃、約39℃、又は約40℃上げられる。いくつかの実施形態では、温度は、約0.5℃、約1℃、約2℃、約3℃、約4℃、約5℃、約6℃、約7℃、約8℃、約9℃、約10℃、約11℃、約12℃、約13℃、約14℃、約15℃、約16℃、約17℃、約18℃、約19℃、約20℃、約21℃、約22℃、約23℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃、約30℃、約31℃、約32℃、約33℃、約34℃、約35℃、約36℃、約37℃、約38℃、約39℃、又は約40℃下げられる。
【0351】
いくつかの実施形態では、環境因子は、pHの変化である。いくつかの実施形態では、pHは、約0.1単位、約0.2単位、約0.3単位、約0.4単位、約0.5単位、約0.6単位、約0.7単位、約0.8単位、約0.9単位、約1.0単位、約1.1単位、約1.2単位、約1.3単位、約1.4単位、約1.5単位、約1.6単位、約1.7単位、約1.8単位、約1.9単位、約2.0単位、約2.1単位、約2.2単位、約2.3単位、約2.4単位、約2.5単位、約2.6単位、約2.7単位、約2.8単位、約2.9単位、約3.0単位、約3.1単位、約3.2単位、約3.3単位、約3.4単位、約3.5単位、約3.6単位、約3.7単位、約3.8単位、約3.9単位、約4.0単位、約4.1単位、約4.2単位、約4.3単位、約4.4単位、約4.5単位、約4.6単位、約4.7単位、約4.8単位、約4.9単位、約5.0単位、約5.1単位、約5.2単位、約5.3単位、約5.4単位、約5.5単位、約5.6単位、約5.7単位、約5.8単位、約5.9単位、又は約6.0単位上げられる。
【0352】
いくつかの実施形態では、pHは、約0.1単位、約0.2単位、約0.3単位、約0.4単位、約0.5単位、約0.6単位、約0.7単位、約0.8単位、約0.9単位、約1.0単位、約1.1単位、約1.2単位、約1.3単位、約1.4単位、約1.5単位、約1.6単位、約1.7単位、約1.8単位、約1.9単位、約2.0単位、約2.1単位、約2.2単位、約2.3単位、約2.4単位、約2.5単位、約2.6単位、約2.7単位、約2.8単位、約2.9単位、約3.0単位、約3.1単位、約3.2単位、約3.3単位、約3.4単位、約3.5単位、約3.6単位、約3.7単位、約3.8単位、約3.9単位、約4.0単位、約4.1単位、約4.2単位、約4.3単位、約4.4単位、約4.5単位、約4.6単位、約4.7単位、約4.8単位、約4.9単位、約5.0単位、約5.1単位、約5.2単位、約5.3単位、約5.4単位、約5.5単位、約5.6単位、約5.7単位、約5.8単位、約5.9単位、又は約6.0単位下げられる。
【0353】
いくつかの実施形態では、環境因子は、イオン強度の変化である。いくつかの実施形態では、イオン強度の変化は、塩の濃度を増加させることによってもたらされる。いくつかの実施形態では、イオン強度の変化は、塩の濃度を低下させることによってもたらされる。塩の非限定的な例としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化アンモニウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、硫酸銅、ヨウ化ナトリウム、及び硫酸ナトリウムが挙げられる。いくつかの実施形態では、塩は、約0.1M~約5M、例えば、約0.1M、約0.2M、約0.3M、約0.4M、約0.5M、約0.6M、約0.7M、約0.8M、約0.9M、約1M、約1.1M、約1.2M、約1.3M、約1.4M、約1.5M、約1.6M、約1.7M、約1.8M、約1.9M、約2M、約2.1M、約2.2M、約2.3M、約2.4M、約2.5M、約2.6M、約2.7M、約2.8M、約2.9M、約3M、約3.1M、約3.2M、約3.3M、約3.4M、約3.5M、約3.6M、約3.7M、約3.8M、約3.9M、約4M、約4.1M、約4.2M、約4.3M、約4.4M、約4.5M、約4.6M、約4.7M、約4.8M、約4.9M、又は約5Mの濃度を有する。いくつかの実施形態では、塩は、0.6Mの濃度を有する。いくつかの実施形態では、透析を使用して、タンパク質ベースの精製マトリックス及び生物製剤を含む組成物、汚染物質、並びに/又は分子の塩の濃度を変更する。
【0354】
いくつかの実施形態では、環境因子は、補因子の添加である。補因子の非限定的な例としては、カルシウム、マグネシウム、コバルト、銅、亜鉛、鉄、マンガン、セレン、モリブデン、カリウム、補酵素A(CoA)、ヌクレオシド三リン酸、及びビタミン(例えば、ビタミンA、B、C、D、又はF)が挙げられる。いくつかの実施形態では、補因子は、カルシウムである。いくつかの実施形態では、ヌクレオシド三リン酸は、アデノシン三リン酸、ウリジン三リン酸、グアノシン三リン酸、シチジン三リン酸、又はチミジン三リン酸である。いくつかの実施形態では、ビタミンは、脂溶性である。いくつかの実施形態では、ビタミンは、水溶性である。ビタミンの非限定的な例としては、ビタミンA、ビタミンB1(チアミン)、ビタミンB2(リボフラビン)、ビタミンB3(ナイアシン又はナイアシンアミド)、ビタミンB5(パントテン酸)、ビタミンB6(ピリドキシン、ピリドキサール、又はピリドキサミン、又は塩酸ピリドキシン)、ビタミンB7(ビオチン)、ビタミンB9(葉酸)、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、K1、及びK2、葉酸、並びにビオチンが挙げられる。
【0355】
いくつかの実施形態では、環境因子は、タンパク質ベースの精製マトリックスの濃度の変化である。いくつかの実施形態では、環境因子は、生物製剤、汚染物質、及び/又は分子の濃度の変化である。
【0356】
いくつかの実施形態では、環境因子は、タンパク質ベースの精製マトリックス及び生物製剤を含む組成物、汚染物質、及び/又は分子の圧力の変化である。いくつかの実施形態では、圧力の変化は、組成物の体積を増加又は減少させることによってもたらされ得る。
【0357】
いくつかの実施形態では、環境因子は、1つ又は複数の界面活性剤の添加である。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の界面活性剤は、遊離脂肪酸塩、石鹸、脂肪酸スルホン酸塩、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、エトキシル化化合物、例えば、エトキシル化プロピレングリコール、レシチン、ポリグルコン酸塩、第四級アンモニウム塩、リグニンスルホン酸塩、3-((3-コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ)-1-プロパンスルホネート(CHAPS)、スクロース及びグルコースを含む糖類、Triton X-100、並びにNP-40である。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、アニオン性、非イオン性、又は両性である。
【0358】
いくつかの実施形態では、環境因子は、1つ又は複数の分子密集剤の添加である。分子密集剤の非限定的な例としては、ポリエチレングリコール、デキストラン、及びフィコールが挙げられる。PEGSは、PEG400、PEG1450、PEG3000、PEG8000、及びPEG10000を含み得る。
【0359】
いくつかの実施形態では、環境因子は、1つ又は複数の酸化剤の添加である。酸化剤の非限定的な例としては、過酸化水素、親水性又は疎水性活性化過酸化水素、事前形成された過酸(preformed peracid)、一過硫酸塩、又は次亜塩素酸塩が挙げられる。
【0360】
いくつかの実施形態では、環境因子は、1つ又は複数の還元剤の添加である。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の還元剤は、ジチオスレイトール(DTT)、2-メルカプトエタノール(BME)、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)、ヒドラジン、水素化ホウ素、アミンボラン、低級アルキル置換アミンボラン、トリエタノールアミン、及びN,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン(TEMED)からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、環境因子は、1つ又は複数の変性剤の添加である。変性剤の非限定的な例としては、尿素、塩酸グアニジン、グアニジン、サリチル酸ナトリウム、ジメチルスルホキシド、及びプロピレングリコールが挙げられる。
【0361】
いくつかの実施形態では、環境因子は、1つ又は複数の酵素の添加である。酵素の非限定的な例としては、プロテアーゼ、キナーゼ、ホスファターゼ、シンテターゼ、トランスフェラーゼ、ヌクレアーゼ、例えば、制限エンドヌクレアーゼ、リアーゼ、イソメラーゼ、デヒドロゲナーゼ、デカルボキシラーゼ、及びリパーゼが挙げられる。
【0362】
いくつかの実施形態では、環境因子は、電磁波の印加である。いくつかの実施形態では、環境因子は、光の適用である。いくつかの実施形態では、電磁波は、約0.0001nm~約100mの波長を有する。いくつかの実施形態では、電磁波は、ガンマ線、X線、紫外線、可視光線、赤外線、及び電波からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、電磁波は、ガンマ線である。いくつかの実施形態では、ガンマ線は、約0.0001nm~約0.01nm、例えば、0.0001nm、0.0005nm、0.001nm、0.002nm、0.003nm、0.004nm、0.005nm、0.006nm、0.007nm、0.008nm、0.009nm、及び0.01nmの波長を有する。いくつかの実施形態では、X線は、約0.01nm~約10nm、例えば、約0.01nm、0.02nm、0.03nm、0.04nm、0.05nm、0.06nm、0.07nm、0.08nm、0.09nm、0.10nm、0.2nm、0.3nm、0.4nm、0.5nm、0.6nm、0.7nm、0.8nm、0.9nm、1nm、2nm、3nm、4nm、5nm、6nm、7nm、8nm、9nm、又は約10nmの波長を有する。いくつかの実施形態では、紫外線は、約10nm~約400nm、例えば、約10nm、約20nm、約30nm、約40nm、約50nm、約60nm、約70nm、約80nm、約90nm、約100nm、約150nm、約200nm、約250nm、約280nm、約300nm、約350nm、又は約400nmの波長を有する。いくつかの実施形態では、可視波は、約400nm~約800nm、例えば、約400nm、約450nm、約500nm、約550nm、約600nm、約650nm、約700nm、約750nm、又は約800nmの波長を有する。いくつかの実施形態では、赤外線は、約800nm~約0.1cm、例えば、約800nm、約1μm、約2μm、約3μm、約4μm、約5μm、約6μm、約7μm、約8μm、約9μm、約10μm、約20μm、約30μm、約40μm、約50μm、約60μm、約70μm、約80μm、約90μm、約100μm、約200μm、約300μm、約400μm、約500μm、約600μm、約700μm、約800μm、約900μm、又は約0.1cmの波長を有する。いくつかの実施形態では、電波は、約0.1cm~100m、例えば、約0.1cm、約1cm、約10cm、約100cm、約1,000cm、約2,000cm、約3,000cm、約4,000cm、約5,000cm、約6,000cm、約7,000cm、約8,000cm、約9,000cm、又は約100mの波長を有する。
【0363】
本開示で引用されるすべての特許、特許出願、参考文献、及び雑誌記事は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【実施例
【0364】
実施例1.AAV受容体の結合ドメイン及び相挙動を有する第2のポリペプチドを含む融合タンパク質の発現
AAV受容体(AAVR)の細胞外ドメインをコードする核酸を、相挙動を有するポリペプチド((GVGVPGLGVPGVGVPGLGVPGVGVP)16(配列番号87))をコードする核酸に融合して、pET24プラスミドにクローニングした。このプラスミドをBL21大腸菌(E.coli)細胞に形質転換し、この細胞を、融合タンパク質の発現を可能にする条件下で維持した。
【0365】
融合タンパク質を精製し、アリコートしてPBS中で製剤化するか(対照として)、又はタンパク質の機能に影響を与えることが知られている以下の条件に供した:(1)凍結乾燥及びPBS中での再懸濁、(2)0.1M NaOH中での30分間のインキュベーション、それに続く中和、及びPBSへの緩衝液交換、(3)6M塩酸グアニジン(GuHCl)での30分間のインキュベーション、それに続くPBSへ緩衝液交換、(4)95℃のPBSでの30分間のインキュベーション、それに続く氷上での冷却、及び室温に戻すこと。次いで、各サンプルの活性(即ち、AAVRがその標的に結合する能力)を、AAV8捕捉についてのアッセイによって測定した。簡単に述べると、活性を、捕捉したAAV8のパーセンテージとして定義し、Progen AAV8 total capsid ELLISAを使用して定量化した。
【0366】
結果を図1に示す。すべての処理条件において、融合タンパク質の活性は、未処理対照の80%以内に維持された。
【0367】
実施例2:ブドウ球菌プロテインAのZドメイン及び相挙動を有する第2のポリペプチドを含む融合タンパク質の発現
抗体に結合することが知られているブドウ球菌プロテインA由来のZドメインをコードする核酸(配列番号180)を、相挙動を有するポリペプチド((GVGVPGLGVPGVGVPGLGVPGVGVP)16(配列番号87))をコードする核酸に融合して、pET24プラスミドにクローニングした。このプラスミドを、BL21大腸菌(E.coli)細胞に形質転換し、この細胞を、融合タンパク質の発現を可能にする条件下で維持した。次いで、融合タンパク質を精製し、凍結乾燥させた。
【0368】
融合タンパク質を、重力サイクルでオートクレーブ処理し、PBSに再懸濁した。次に、プロテインAの活性を試験した。具体的には、抗体捕捉についてのアッセイを使用して活性を測定した。結果を図2に示す。相挙動を有するポリペプチドへの融合が、オートクレーブ処理していない対照と比較して、オートクレーブ処理/PBSでの再懸濁後にプロテインAが少なくとも85%の活性を保持するのに役立った。
【0369】
タンパク質はまた、相挙動を有するポリペプチドへの融合により、0.1M NaOHでの処理、PBS中での95℃への加熱、又はpH4の酸性緩衝液中での加熱後に、可溶性の折り畳みプロテインAの喪失を防止できるかどうかを決定するために試験した。所与の処理条件では、サンプルを、10~30分間インキュベートし、次いで中和又は冷却し、遠心分離して凝集したタンパク質をすべて除去した。処理によるタンパク質の喪失率を測定するために、プロテインA ELISAアッセイを使用して総タンパク質を測定し、未処理の対照と比較した。図3に示すように、これらの条件への曝露では、喪失は2%未満であった。
【0370】
実施例3.AAV受容体の結合ドメイン及び相挙動を有する第2のポリペプチドを含む融合タンパク質の発現
AAV受容体のPKD2をコードする核酸(Cys-His-PKD2)を、相挙動を有するポリペプチド(ELP)をコードする核酸に融合して、pET24プラスミドにクローニングした。対照として、AAV受容体のPKD2をコードする核酸をpET24プラスミドにクローニングした。AAV受容体のPKD2の核酸配列及びタンパク質配列、並びに相挙動を有するポリペプチドは、以下の表5に含まれる。
【0371】
【表32】
【0372】
【表33】
【0373】
【表34】
【0374】
【表35】
【0375】
5mLのBL21大腸菌(E.coli)細胞の一晩培養物を増殖させて、単独で、又はELPとの融合体として、Hisタグ付きPKD2タンパク質を発現させた。250μLのこの培養物を使用して、50mLの培養物に播種し、9時間後に0.5mM IPTGで誘導した。24時間のインキュベーション後、各培養物からの細胞を遠心分離し、10mLのPBS緩衝液に再懸濁し、超音波処理した。溶解物を遠心分離によって清澄化した。1.5mLの清澄化した各溶解物を、HisLinkタンパク質精製キット(Promega)及び200μLの溶出画分を使用して精製した。溶出した物質は、280nmの吸光度を測定することによって定量した。次いで、ベールの法則を使用して、大腸菌(E.coli)細胞培養物1リットル当たりの精製されたタンパク質及び融合タンパク質のグラム数とモル数を計算した。純度及び正確な分子量も、SDS-PAGE及びクーマシィー染色を使用して定性的に評価した。
【0376】
PKD2を含む融合タンパク質の発現を、相挙動を有するポリペプチドの非存在下でのPKD2の発現と比較した。
【0377】
図4Aは、1リットル当たりの精製されたPKD2及びPKD2を含む融合タンパク質の濃度を示す。図4Bは、1リットル当たりの精製されたPKD2及びPKD2を含む融合タンパク質の量を示す。図4Cは、ゲル上のPKD2及びPKD2を含む融合タンパク質の発現を示す。これらの結果は、相挙動を有するポリペプチドにPKD2ドメインが融合されている場合、相挙動を有するポリペプチドなしでPKD2が発現される場合と比較して10倍多い可溶性タンパク質(融合タンパク質)の質量及び3倍超多いPKD2(第1のポリペプチド)を抽出できることを示している。
【0378】
実施例4.AAV受容体の結合ドメイン及び相挙動を有する第2のポリペプチドを含む融合タンパク質の発現
LDL受容体(LDLR)のCR3ドメインをコードする核酸を、相挙動を有するポリペプチドをコードする核酸に融合して、pET24プラスミドにクローニングした。このプラスミドを、BL21大腸菌(E.coli)細胞に形質転換し、この細胞を、融合タンパク質の発現を可能にする条件下で維持した。この融合タンパク質は、この実施例ではIsoTag-LVと呼ばれる。IsoTag-LVのアミノ酸配列を以下の表6に示す。
【0379】
【表36】
【0380】
IsoTag-LVの安定性を、ポリペプチドを分解する、凝集させる、又は不活性化することが知られている極端な条件に曝露した融合タンパク質に対する融合タンパク質対照のレンチウイルス(LV)捕捉活性を測定することによって評価した。
【0381】
20μM IsoTag-LVを、6Mグアニジン-HCL(6M GuHCl)又は0.1M NaOH(0.1M NaOH)中で30分間インキュベートし、続いて30kDa Amiconスピンフィルターにおいて500μLのPBSで6回洗浄した。20μM IsoTag-LVを95℃で30分間インキュベートし、続いて氷上で30分間インキュベートした。
【0382】
説明したインキュベーションから得た10μM IsoTag及び未処理のIsoTag(対照IsoTag-LV)を500μLのレンチウイルスに添加し、氷上で5分間インキュベートし、次いで37℃で5分間インキュベートしてから、10,000rpmで5分間遠心して、レンチウイルス標的を捕捉してペレット化した。採取した上清(未捕捉のLV標的を表す)をp24アッセイ(VPK-107,Cell Biolabs)を使用して分析し、レンチウイルス力価の代替測定値としてLVエンベロープp24タンパク質を測定した。捕捉活性なしの対照として、IsoTagを添加していないレンチウイルスも二重に測定した(対照(IsoTag-LVなし))。吸光度値を、GraphPad Prism V9を使用してプロットした。エラーバーは、平均値の標準誤差を表す。対照融合タンパク質のLV捕捉活性には、95℃に加熱して処理し、0.1M NaOH又は6M GuHClでインキュベーションした融合体と比較して統計学的に有意差は存在しない。これは、LDLRのCR3ドメインを、相挙動を有するポリペプチドとの融合タンパク質として発現させると、LDLRのCR3ドメインが分解から保護されることを示している。結果を図5に示す。
【0383】
実施例5:第1のポリペプチド及び相挙動を有する第2のポリペプチドを含む追加の融合タンパク質の大腸菌(E.coli)における推定収量
生物学的機能を有する様々なタンパク質(本明細書では標的タンパク質と呼ぶ)をコードする核酸を、相挙動を有するポリペプチド((GVGVPGLGVPGVGVPGLGVPGVGVP)16(配列番号87)をコードする核酸配列に融合して、大腸菌(E.coli)BL21細胞において組換え融合タンパク質として発現させた。より具体的には、融合タンパク質をコードする核酸をpET24プラスミドにクローニングし、これを大腸菌(E.coli)細胞にトランスフェクトした。細胞を入れた振盪フラスコにイソプロピルβ-d-1-チオガラクトピラノシド(IPTG)を添加することにより、融合タンパク質の発現を誘導した。融合タンパク質は、相分離を使用して精製すると、収量が少なくとも10mg/Lであることが示された。表7は、融合に使用する標的タンパク質のリストを示す。各精製タンパク質の収量は1リットル当たり少なくとも15mgであり得、一部の収量は、1リットル当たり300mgにも達すると推定される。
【0384】
【表37】
【0385】
実施例6:核酸の修飾での融合タンパク質の使用
この実施例は、本明細書の融合タンパク質がDNA及びRNAの修飾を促進する能力を評価する。核酸結合タンパク質(NBP)及び相挙動を有するポリペプチドを含む融合タンパク質を、可溶型又は相分離型のいずれかのNBPが産物を生成するか又は親和性結合複合体を生成するのに十分な時間、核酸基質(例えば、DNA又はRNA)と共にインキュベートする。続いて、環境因子(例えば、0.6M NaCl)を溶液に添加して、融合タンパク質を相分離する。この相分離は、核酸標的の酵素反応、濃度、及び/又は純度を高めるのに役立つ。融合タンパク質は、接線流ろ過、深層ろ過、又は遠心分離によって産物から分離する。産物を追加の融合タンパク質と共にインキュベートし、最初の融合タンパク質についての記載と同じ手順を行って、核酸に追加の修飾を行う。前述の各ステップでは、追加の試薬(例えば、補因子、リボヌクレオチド三リン酸、デオキシヌクレオシド三リン酸、塩など)を添加して、融合タンパク質の機能を促進することができる。
【0386】
任意の時点で、サンプルを遠心分離又はろ過して、融合タンパク質及びそれに結合したあらゆる親和性物質を可溶相の成分から分離することができる。任意の時点で、第2の環境因子(例えば、低pH、補因子、塩)を添加して、産物又は基質と、可溶性状態又は相分離状態にあるNBP融合タンパク質との結合を破壊することができる。
【0387】
DNAをmRNAに転写するための例示的なプロセスを以下に記載する。NBP T7 RNAポリメラーゼ及び相挙動を有するポリペプチドをコードする核酸(例えば、GVGVPGLGVPGVGVPGLGVPGVGVP)16(配列番号87))を、大腸菌(E.coli)BL21細胞において組換え融合タンパク質として発現させ、精製する。精製された融合タンパク質を、DNA基質及びrNTPを含む組成物と共に、融合タンパク質が可溶性となる条件で、37℃で約1時間インキュベートしてRNAを形成する。塩(0.6M NaCl)を添加して、RNA産物に結合している融合タンパク質を組成物から分離する。RNA産物を、連続遠心分離によって融合タンパク質から分離する。
【0388】
後続の反応を実施して、ポリ(A)尾部をRNA産物の3’末端に付加し、メチル基をRNA産物の5’末端に付加する。ポリ(A)尾部は、PABP及び相挙動を有するポリペプチドを含む融合タンパク質を介して付加される。メチル基は、mRNA Cap2’-O-メチルトランスフェラーゼ及び相挙動を有するポリペプチドを含む融合タンパク質を介してRNA産物の5’末端に付加される。最終産物は、5’メチル基及び3’ポリ(A)尾部を含むmRNAである。
【0389】
DNA及びRNAに対する追加の修飾を、本明細書に記載のNBPのいずれかを使用して同様の方法で実施することができる。例えば、NBPは、以下のタンパク質のいずれかであり得る:T7 RNAポリメラーゼ、RNアーゼ阻害剤、2’-O-メチルトランスフェラーゼ、無機ピロホスファターゼ、ポリ(A)ポリメラーゼ、DNアーゼI、仔ウシ腸ホスファターゼ、南極ホスファターゼ、ワクシニアウイルスmRNAキャッピング酵素のD1サブユニット、グアニン-7-メチルトランスフェラーゼ(ワクシニアウイルスmRNAキャッピング酵素のD1サブユニットに存在)、グアニリルトランスフェラーゼ(ワクシニアウイルスmRNAキャッピング酵素のD1サブユニットに存在)、RNAトリホスファターゼ(ワクシニアウイルスmRNAキャッピング酵素のD1サブユニットに存在)、及びワクシニアウイルスmRNAキャッピング酵素のD12サブユニット、ステムループ結合タンパク質、ヘテロ核リボ核タンパク質(hnRNP)、GroEL、Edc3、DHX9、Xrn1、Dcp1、Dcp2、LAF-1、MEG-1、MEG-3、ASF/SF2スプライシング因子、セリン/アルギニンリッチスプライシング因子4(SRp75)、セリン及びアルギニンリッチスプライシング因子1(SRSF1)、L3リボソームタンパク質、L4リボソームタンパク質、L13リボソームタンパク質、L20リボソームタンパク質、L22リボソームタンパク質、L24リボソームタンパク質、L24eリボソームタンパク質、S12リボソームタンパク質、S14リボソームタンパク質、及び真核生物開始因子4E結合タンパク質1(4EBP1)、Tat、Rev、RSG-1.2ペプチド、ポリ(A)結合タンパク質(PABP)、真核生物翻訳開始因子4E(eIF4E)、真核生物翻訳開始因子3サブユニットD(eIF3D)、ヘテロ核リボ核タンパク質(hnRNP)、RNA特異的アデノシンデアミナーゼ1(ADAR1)、RNA特異的アデノシンデアミナーゼ2(ADAR2)、枯草菌(Bacillus subtilis)由来のCspB(Bscscp)、Yボックスタンパク質1コールドショックドメイン(YB1-CSD)、Fox-1タンパク質(FOX1)、ポリ(A)結合タンパク質(PABP)、Staufenタンパク質、TIS11d、ジンクフィンガータンパク質(ZNF)、Z-DNA結合タンパク質1(ZBP1)、レチノイン酸誘導性遺伝子-I(RIG-I)様タンパク質、トール様受容体7(TLR7)、トール様受容体8(TLR3)、トール様受容体8(TLR8)、レチノイン酸誘導性遺伝子I(RIG-I)、黒色腫分化関連タンパク質5(MDA5)、テトラトリコペプチド反復1を有するインターフェロン誘導性タンパク質(IFIT1)、プロテインキナーゼR(PKR)、オリゴアデニル酸シンターゼ様(OASL)タンパク質(例えば、OAS1、OAS2、OAS3、又はOASL)、リボヌクレアーゼE(RNASE E)、ガンマインターフェロン誘導性タンパク質Ifi-16(IF116)、環状GMP-AMPシンターゼ(cGAS)、又はそれらの触媒断片。
【0390】
本開示の付番された実施形態
添付の特許請求の範囲にかかわらず、本開示は、以下の付号された実施形態を記載する:
1.第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドを含む融合タンパク質であって、第2のポリペプチドが相挙動を有する、融合タンパク質。
2.第1のポリペプチドが:
(i)酵素又はその誘導体若しくは触媒断片;
(ii)抗体又はその誘導体若しくは抗原結合断片;
(iii)シグナル伝達分子又はその断片若しくは誘導体;
(iv)構造タンパク質又はその断片若しくは誘導体;或いは
(v)ホルモン又はその断片若しくは誘導体である、実施形態1の融合タンパク質。
3.第1のポリペプチドが、哺乳動物ポリペプチドである、実施形態1の融合タンパク質。
4.第1のポリペプチドが、ウイルスポリペプチドである、実施形態1の融合タンパク質。
5.第1のポリペプチドが、細菌ポリペプチドである、実施形態1の融合タンパク質。
6.第1のポリペプチドが、毒素である、実施形態1の融合タンパク質。
7.第1のポリペプチドが、抗原性ポリペプチドである、実施形態1の融合タンパク質。
8.第1のポリペプチドが、タンパク質の合成又は修飾に関与する1つ又は複数のステップを実行できる酵素である、実施形態1の融合タンパク質。
9.第1のポリペプチドが、DNAの合成又は修飾に関与する1つ又は複数のステップを実行できる酵素である、実施形態1の融合タンパク質。
10.第1のポリペプチドが、RNAの合成又は修飾に関与する1つ又は複数のステップを実行できる酵素である、実施形態1の融合タンパク質。
11.第1のポリペプチドが、分化クラスター4(CD4)、ブドウ球菌(Staphylococcus)プロテインAのZドメイン(SpA Zドメイン)、低密度リポタンパク質受容体(LDLR)、アルブミン結合ポリペプチド(ABD)、コクサッキーウイルス及びアデノウイルス受容体(CAR)、フィブロネクチンIII型(FN3)、ポリ(A)結合タンパク質(PABP)、Z-DNA結合タンパク質1(ZBP1)、又はそれらの断片若しくは誘導体から選択される、実施形態1の融合タンパク質。
12.第1のポリペプチドが、SARS-CoV-2から単離されるか又はそれに由来するポリペプチドである、実施形態1の融合タンパク質。
13.第1のポリペプチドが、SARS-CoV-2スパイクタンパク質又はその断片若しくは誘導体である、実施形態12の融合タンパク質。
14.相挙動を有する第1のポリペプチドが、エラスチン様ポリペプチド(ELP)又はレジリン様ポリペプチド(RLP)である、実施形態1~13の融合タンパク質。
15.相挙動を有するポリペプチドが、配列(Val-Pro-Gly-Xaa-Gly)(配列番号10)を有するペンタペプチド反復又はランダム化されてスクランブルされたその類似体を含み、式中、Xaaは、プロリンを除く任意のアミノ酸であり得、nは、終点を含む1~360の整数である、実施形態1~13のいずれか1つの融合タンパク質。
16.相挙動を有するポリペプチドが:
a.(GRGDSPY)(配列番号1)
b.(GRGDSPH)(配列番号2)
c.(GRGDSPV)(配列番号:3)
d.(GRGDSPYG)(配列番号4)
e.(RPLGYDS)(配列番号:5)
f.(RPAGYDS)(配列番号6)
g.(GRGDSYP)(配列番号7)
h.(GRGDSPYQ)(配列番号8)
i.(GRGNSPYG)(配列番号9)
j.(GVGVP)(配列番号11);
k.(GVGVPGLGVPGVGVPGLGVPGVGVP)(配列番号12);
l.(GVGVPGVGVPGAGVPGVGVPGVGVP)(配列番号13);
m.(GVGVPGWGVPGVGVPGWGVPGVGVP)(配列番号14);
n.(GVGVPGVGVPGVGVPGVGVPGVGVPGVGVPGEGVPGFGVPGVGVP)(配列番号15);
o.(GVGVPGVGVPGVGVPGVGVPGVGVPGVGVPGKGVPGFGVPGVGVP)(配列番号16);及び
p.(GAGVPGVGVPGAGVPGVGVPGAGVP)(配列番号17)から選択されるアミノ酸又はランダム化されてスクランブルされたその類似体を含み、
式中:
nは、終点を含む20~360の範囲の整数であり;且つ
mは、終点を含む4~25の範囲の整数である、実施形態1~13のいずれか1つの融合タンパク質。
17.相挙動を有するポリペプチドが:
(GVGVP)(配列番号143);
(ZZPXXXXGZ)(配列番号148);
(ZZPXGZ)(配列番号149);
(ZZPXXGZ)(配列番号150);又は
(ZZPXXXGZ)(配列番号151)から選択されるアミノ酸配列を含み、
式中、mは、終点を含む10~160の整数であり、
Xは、存在する場合は、プロリンとグリシンを除く任意のアミノ酸であり、且つ
Zは、存在する場合は、任意のアミノ酸である、実施形態1~13のいずれか1つの融合タンパク質。
18.相挙動を有するポリペプチドが:
(a)(GVGVPGVGVPGAGVPGVGVPGVGVP)(配列番号144);又は
(b)(GVGVPGVGVPGLGVPGVGVPGVGVP)(配列番号146)から選択されるアミノ酸配列を含み;
式中、mは、終点を含む2~32の整数である、実施形態1~13のいずれか1つの融合タンパク質。
19.相挙動を有するポリペプチドが:
(a)(GVGVPGVGVPGAGVPGVGVPGVGVP)(配列番号144)(式中、mは、8又は16である);
(b)(GVGVPGAGVP)(配列番号145)(式中、mは、終点を含む5~80の整数である);又は
(c)(GXGVP)(配列番号147)から選択されるアミノ酸配列を含み、
式中、mは、終点を含む10~160の整数であり、且つ
各反復のXは、グリシン、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、リジン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、及びセリンからなる群から独立して選択される、実施形態1~13のいずれか1つの融合タンパク質。
20.相挙動を有するポリペプチドが、配列番号88のアミノ酸又は(GVGVPGLGVPGVGVPGLGVPGVGVP)(配列番号12)(式中、mは、16である)の配列を含む、実施形態1の融合タンパク質。
21.第1のポリペプチドと第2のポリペプチドとを連結するリンカーを含む、実施形態1~20のいずれか1つの融合タンパク質。
22.リンカーが、切断可能である、実施形態21の融合タンパク質。
23.リンカーが、プロテアーゼ切断部位を含む、実施形態21の融合タンパク質。
24.リンカーが、自己切断ペプチドである、実施形態21の融合タンパク質。
25.リンカーが:
(i)(GS)(配列番号141)、
(ii)(SG)(配列番号142)、
(iv)(GGGGS)(配列番号19)、及び
(v)(G)(配列番号48)からなる群から選択され;
式中、xは、1~6の範囲の整数であり、且つ
nは、1~30の範囲の整数である、実施形態21の融合タンパク質。
26.リンカーが、GKSSGSGSESKS(配列番号157)、GSTSGSGKSSEGKG(配列番号158)、GSTSGSGKSSEGSGSTKG(配列番号159)、GSTSGSGKPGSGEGSTKG(配列番号160)、EGKSSGSGSESKEF(配列番号161)、SRSSG(配列番号162)、及びSGSSC(配列番号163)から選択される、実施形態21の融合タンパク質。
27.N末端からC末端にかけて、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドを含む、実施形態1~26のいずれか1つの融合タンパク質。
28.N末端からC末端にかけて、第2のポリペプチド及び第1のポリペプチドを含む、実施形態1~26のいずれか1つの融合タンパク質。
29.N末端からC末端にかけて、第1のポリペプチド、リンカー、及び第2のポリペプチドを含む、実施形態21~26のいずれか1つの融合タンパク質。
30.N末端からC末端にかけて、第2のポリペプチド、リンカー、及び第1のポリペプチドを含む、実施形態21~26のいずれか1つの融合タンパク質。
31.第1のポリペプチドを安定化させる方法であって、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドを含む融合タンパク質を発現させるステップを含み、第2のポリペプチドが、相挙動を有するポリペプチドである、方法。
32.融合タンパク質が、実施形態1~30のいずれか1つの融合タンパク質である、実施形態31の方法。
33.第1のポリペプチドのアンフォールディング、分解、及び/又はミスフォールディングを実質的に防止する方法であって、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドを含む融合タンパク質を発現させるステップを含み、第2のポリペプチドが、相挙動を有するポリペプチドである、方法。
34.融合タンパク質が、実施形態1~30のいずれか1つの融合タンパク質である、実施形態33の方法。
35.第1のポリペプチドをアンフォールディングする、分解する、及び/又はミスフォールディングすることが知られている1つ又は複数の条件への曝露後の第1のポリペプチドの活性の喪失を実質的に防止する方法であって、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドを含む融合タンパク質を発現させるステップを含み、第2のポリペプチドが、相挙動を有するポリペプチドである、方法。
36.融合タンパク質が、実施形態1~30のいずれか1つの融合タンパク質である、実施形態35の方法。
37.第1のポリペプチドの活性が、条件の1つ又は複数への曝露後、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、3%未満、2%未満、又は1%未満喪失する、実施形態35又は36の方法。
38.第1のポリペプチドを作製する方法であって:
(i)第1のポリペプチド及び相挙動を有する第2のポリペプチドを含む融合タンパク質を発現させるステップ;並びに
(ii)第1のポリペプチドを第2のポリペプチドから分離するステップを含む、方法。
39.融合タンパク質が、哺乳動物細胞、細菌細胞、真菌細胞、酵母細胞、及び植物細胞から選択される宿主細胞において発現される、実施形態38の方法。
40.第1のポリペプチドの収量が、宿主細胞懸濁液1リットル当たり15mg超、1リットル当たり30mg超、1リットル当たり50mg超、1リットル当たり100mg超、1リットル当たり200mg超、又は1リットル当たり200mg超である、実施形態39の方法。
41.第1のポリペプチドを精製する方法であって、
(i)第1のポリペプチド及び相挙動を有する第2のポリペプチドを含む融合タンパク質を用意するステップ;
(ii)第1の環境因子を融合タンパク質に適用するステップ;
(iii)サイズ及び/又は密度に基づいて融合タンパク質凝集体を少なくとも1つの汚染物質から分離するステップ;
(iv)第2の環境因子を適用して、融合タンパク質を脱凝集させるステップを含む、方法。
42.融合タンパク質が、実施形態1~30のいずれか1つの融合タンパク質である、実施形態41の方法。
43.第1の環境因子及び第2の環境が:
a.温度、pH、塩濃度、若しくは圧力のうちの1つ又は複数の変化;
b.1つ又は複数の界面活性剤、補因子、ビタミン、分子密集剤、酵素、変性剤の添加;又は
c.電磁波若しくは音波の適用を含む、実施形態41又は42の方法。
44.融合タンパク質凝集体を少なくとも1つの汚染物質から分離するステップが、サイズに基づいた分離を含む、実施形態41~43のいずれか1つの方法。
45.サイズに基づいた分離が、接線流ろ過、分析用超遠心分離、膜クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、全量ろ過、深層ろ過、音波分離、遠心分離、向流遠心分離、及び高速タンパク質液体クロマトグラフィーからなる群から選択される技術を使用して達成される、実施形態44の方法。
46.(v)第1のポリペプチドを第2のポリペプチドから分離するステップを含む、実施形態41~45のいずれか1つの方法。
47.第1の環境因子と第2の環境因子が同じである、実施形態41~46のいずれか1つの方法。
48.第1の環境因子及び第2の環境因子が同時に適用される、実施形態41~46のいずれか1つの方法。
49.基質上で多段階酵素プロセスを実施する方法であって:
(i)第1の酵素及び第1の相挙動を有するポリペプチドを含む第1の融合タンパク質を用意するステップ;
(ii)第2の酵素及び第2の相挙動を有するポリペプチドを含む第2の融合タンパク質を用意するステップ;
(iii)第1の酵素が基質と接触することを可能にする第1の環境因子を適用するステップ;並びに
(iv)第2の酵素が基質と接触することを可能にする第2の環境因子を適用するステップを含む、方法。
50.第1の融合タンパク質及び第2の融合タンパク質の少なくとも1つが、実施形態1~30のいずれか1つの融合タンパク質である、実施形態49の方法。
51.(v)第3の環境因子を適用して、第1の酵素を基質から分離するステップ;
(vi)第4の環境因子を適用して、第2の酵素を基質から分離するステップのうちの少なくとも1つをさらに含む、実施形態49又は50の方法。
52.第1の環境因子及び第2の環境因子がそれぞれ:
a.温度、pH、塩濃度、又は圧力のうちの1つ以上の変化;
b.1つ又は複数の界面活性剤、補因子、ビタミン、分子密集剤、酵素、変性剤の添加;又は
c.電磁波の印加を含む、実施形態49~51のいずれか1つの方法。
52.基質上で多段階酵素プロセスを実施する方法であって:
(i)第1の酵素及び第1の相挙動を有するポリペプチドを含む第1の融合タンパク質を用意するステップ;
(ii)第2の酵素及び第2の相挙動を有するポリペプチドを含む第2の融合タンパク質を用意するステップ;
(iii)第1の酵素が基質と接触し、基質を単離し、且つ/又は基質を濃縮することを可能にする第1の環境因子を適用するステップ;並びに
(iv)第2の酵素が基質と接触し、基質を単離し、且つ/又は基質を濃縮することを可能にする第2の環境因子を適用するステップを含む、方法。
53.第1の融合タンパク質及び第2の融合タンパク質のうちの少なくとも1つが、実施形態1~30のいずれか1つの融合タンパク質である、実施形態52の方法。
54.(v)第3の環境因子を適用して、第1の酵素を基質から分離するステップ;
(vi)第4の環境因子を適用して、第2の酵素を基質から分離するステップのうちの少なくとも1つをさらに含む、実施形態52又は53の方法。
55.第1の環境因子及び第2の環境因子がそれぞれ:
a.温度、pH、塩濃度、又は圧力のうちの1つ以上の変化;
b.1つ又は複数の界面活性剤、補因子、ビタミン、分子密集剤、酵素、変性剤の添加;又は
c.電磁波の印加を含む、実施形態52~54のいずれか1つの方法。
56.基質に接触させ、基質を単離し、且つ/又は基質を精製する方法であって:
(i)第1の酵素及び第1の相挙動を有するポリペプチドを含む第1の融合タンパク質を用意するステップ;
(ii)第2の酵素及び第2の相挙動を有するポリペプチドを含む第2の融合タンパク質を用意するステップ;
(iii)第1の酵素が基質と接触し、基質を単離し、且つ/又は基質を濃縮することを可能にする第1の環境因子を適用するステップ;並びに
(iv)第2の酵素が基質と接触し、基質を単離し、且つ/又は基質を濃縮することを可能にする第2の環境因子を適用するステップを含む、方法。
57.第1融合タンパク質及び第2融合タンパク質の少なくとも1つが、実施形態1~30のいずれか1つの融合タンパク質である、実施形態56の方法。
58.(v)第1の酵素を基質から分離する第3の環境因子を適用するステップ;
(vi)第2の酵素を基質から分離する第4の環境因子を適用するステップのうちの少なくとも1つをさらに含む、実施形態56又は57の方法。
59.第1の環境因子及び第2の環境因子がそれぞれ:
a.温度、pH、塩濃度、又は圧力のうちの1つ以上の変化;
b.1つ又は複数の界面活性剤、補因子、ビタミン、分子密集剤、酵素、変性剤の添加;又は
c.電磁波の印加を含む、実施形態56~59のいずれか1つの方法。
【0391】
参照による組み込み
本明細書で引用されるすべての参考文献、記事、刊行物、特許、特許公報、及び特許出願は、あらゆる目的のためにその全体が参照により組み込まれる。しかしながら、本明細書で引用される参考文献、記事、刊行物、特許、特許公報、及び特許出願への言及は、有効な先行技術、又は世界のどの国でも通用する共通の一般知識の一部を構成するという承認又は何らかの形の示唆ではなく、そのように解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
【配列表】
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【国際調査報告】