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特表2024-509748統合直接空気回収及び二酸化炭素の電気化学的還元
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-05
(54)【発明の名称】統合直接空気回収及び二酸化炭素の電気化学的還元
(51)【国際特許分類】
   C25B 3/26 20210101AFI20240227BHJP
   C25B 3/07 20210101ALI20240227BHJP
   C25B 9/00 20210101ALI20240227BHJP
   B01D 53/14 20060101ALI20240227BHJP
   B01D 53/02 20060101ALI20240227BHJP
   B01J 20/26 20060101ALI20240227BHJP
   B01J 20/20 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
C25B3/26
C25B3/07
C25B9/00 G
B01D53/14 200
B01D53/14 100
B01D53/02
B01J20/26 A
B01J20/20 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023549825
(86)(22)【出願日】2022-02-18
(85)【翻訳文提出日】2023-10-11
(86)【国際出願番号】 US2022017097
(87)【国際公開番号】W WO2022178323
(87)【国際公開日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】63/151,303
(32)【優先日】2021-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/317,686
(32)【優先日】2021-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/188,238
(32)【優先日】2021-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/217,207
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ANDROID
(71)【出願人】
【識別番号】521263294
【氏名又は名称】プロメテウス・フューエルズ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100203208
【弁理士】
【氏名又は名称】小笠原 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】マクギニス,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ヘルマン-ノウォシエルスキー,マレック
【テーマコード(参考)】
4D012
4D020
4G066
4K021
【Fターム(参考)】
4D012BA03
4D012CA03
4D012CG02
4D012CH04
4D020AA03
4D020BA16
4D020BA21
4D020BA23
4D020BB01
4D020BB03
4D020BC04
4D020DA01
4D020DB08
4G066AA04B
4G066AB13D
4G066AC14B
4G066BA03
4G066BA09
4G066BA22
4G066CA35
4G066DA03
4K021AC05
4K021BA02
4K021CA15
4K021DB56
4K021DC11
4K021DC15
(57)【要約】
本開示は、水系電気化学的CO還元プロセスで使用される大気からの反応物の統合直接空気回収のためのシステム及び方法を提供する。COの統合直接空気回収方法を用いて、COの電気化学的変換により燃料及び材料の費用効率の高い製造を達成することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
COの水系電気化学的還元のための二酸化炭素(CO)の統合直接空気回収方法であって、
(a)流入空気流(前記流入空気流はCOを含む。)を電解質溶液と接触させることで、前記流入空気流から前記電解質溶液中に前記COの少なくとも一部を捕捉すること;及び
(b)前記電解質溶液を使用して前記COの前記少なくとも一部を還元して、還元炭素生成物を生成すること
を含み、
(b)の際又は(b)に続いて、前記電解質溶液を再生させて、追加のCOを捕捉する方法。
【請求項2】
前記COの前記少なくとも一部の前記捕捉が、前記電解質溶液による吸収又は吸着を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記流入空気流が最大1000ppmのCO濃度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記流入空気流が最大500ppmのCO濃度を有する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記流入空気流が最大420ppmのCO濃度を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記流入空気流が水(HO)を含み、(a)に続いて、前記HOの少なくとも一部を前記電解質溶液によって吸収させる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記電解質溶液の温度又はそれの範囲を制御して、前記HOの捕捉を促進することをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
(b)における前記還元が、前記電解質溶液への独立の水素供給がない状態で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
(a)が、前記電解質溶液が第1の電解質リザーバからコンタクタに流れるようにすることを含み、前記流入空気流及び前記電解質溶液が前記コンタクタで接触する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記電解質溶液を第2の電解質リザーバに向かわせることをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の電解質リザーバが前記第2の電解質リザーバと異なる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の電解質リザーバが前記第2の電解質リザーバと同じである、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記コンタクタが、前記流入空気流からの前記COの前記少なくとも一部の吸着を促進するための吸着剤を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記吸着剤が水を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記吸着剤が、反応性化学吸着剤を含む固体基質を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記吸着剤がアミンで官能化されたポリスチレンビーズを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記吸着剤が活性化若しくはナノ構造炭素材料を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記活性化若しくはナノ構造炭素材料がカーボンナノチューブ(CNT)、バックミンスターフラーレン、及びグラフェンを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記コンタクタが、膜コンタクタ、ランダム若しくは構造化気液接触パッキング、フィルムフィル、スプラッシュパッキング、充填流下液膜装置、冷却塔、流動床、気体と接触している液体シャワー、及びナノ構造若しくは活性化炭素材料からなる群から選択される1以上の構成要素を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項20】
前記コンタクタがカーボンナノチューブ膜を含み、前記カーボンナノチューブ膜の複数のナノチューブが細孔として機能し、前記複数のナノチューブの複数の開口が吸着性官能基によって官能化されている、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記流入空気流及び前記電解質溶液の前記接触の(i)前又は(ii)後に、前記電解質溶液のpH又はそれの範囲を制御することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記制御が、前記電解質溶液のpH範囲を9~15に調節又は維持することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記制御が、前記電解質溶液のpH範囲を7~10に調節又は維持することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記流入空気流及び前記電解質溶液の前記接触に続いて前記電解質溶液のpH又はそれの範囲を制御することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記制御が、前記電解質溶液のpH範囲を7~10に調節又は維持することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
pH制御ユニットを用いて、前記流入空気流及び前記電解質溶液の前記接触の(i)前又は(ii)後に、前記電解質溶液のpH又はそれの範囲を調節することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記pH制御ユニットが、(i)第1の方向で前記pH制御ユニットを通って流される場合に前記電解質溶液のpHを上昇させ、前記第1の方向と異なる第2の方向で前記pH制御ユニットを通って流される場合に前記電解質溶液の前記pHを低下させるように構成された双極性膜積層体、(ii)酸素を発生させながら前記CO及び水素の前記少なくとも一部を還元することで、第1の方向で前記pH制御ユニットを通って流される場合に前記電解質溶液のpHを上昇させ、前記第1の方向と異なる第2の方向で前記pH制御ユニットを通って流される場合に前記電解質溶液の前記pHを低下させるように構成された電気化学的積層体を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記pH制御ユニットが酸及び塩基供給ユニットを含み、前記酸及び塩基供給ユニットが、(i)前記空気流及び前記電解質溶液の前記接触に続いて酸性溶液を前記電解質溶液に供給することで、前記電解質溶液のpH又はそれの範囲を低下させ、及び(ii)前記空気流及び前記電解質溶液の前記接触の前に塩基性溶液を前記電解質溶液に供給することで、前記電解質溶液のpH又はそれの範囲を上昇させるように構成されている、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
(a)の前に、第1の電解質溶液を、COを捕捉するのに十分なCO含有液体材料と接触させて前記電解質溶液を出力することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
(b)に続いて、前記電解質溶液を前記第1の電解質溶液と接触させる、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
COを捕捉するのに十分な前記液体材料が水酸化物水溶液、アミン溶液、及びイオン性液体からなる群から選択される1以上の構成要素を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記第1の電解質溶液 COを捕捉するのに十分な前記液体材料を、アニオン交換膜若しくはカチオン交換膜積層体又はその両方を含む双極性膜積層体と接触させ、前記双極性膜積層体又は前記カチオン交換膜積層体が、COを捕捉するのに十分な前記液体材料から前記第1の電解質溶液への炭素含有種の輸送を促進するように構成されている、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記電解質溶液を用いて前記二酸化炭素の前記少なくとも一部を還元することにより、前記還元炭素生成物が生成する、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
前記還元炭素生成物が燃料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項35】
-25‰Δ13Cより大きい同位体分布で炭素を有する炭化水素混合物を含む組成物。
【請求項36】
前記炭化水素混合物が-6‰~-9‰Δ13Cの同位体分布で炭素を有する、請求項35に記載の組成物。
【請求項37】
前記炭化水素混合物が検出可能な硫黄を全く有していない、請求項35に記載の組成物。
【請求項38】
前記炭化水素混合物が検出可能な芳香族化合物を全く有していない、請求項35に記載の組成物。
【請求項39】
前記炭化水素混合物が検出可能な金属化合物を全く有していない、請求項35に記載の組成物。
【請求項40】
COの水系電気化学的還元のための二酸化炭素(CO)の統合直接空気回収のためのシステムであって、
電解質溶液を収納するように構成された筐体;及び
(a)前記電解質溶液をCOを含む流入空気流と接触させて、前記流入空気流からの前記COの少なくとも一部を前記電解質溶液に捕捉し;及び
(b)前記電解質溶液を用いて前記COの前記少なくとも一部を還元して還元炭素生成物を発生させる
ように個々に又は共同してプログラムされた1以上のコンピュータプロセッサ
を含み、
(b)の際又は(b)に続いて、前記電解質溶液を再生させて、追加のCOを捕捉するようにする、システム。
【請求項41】
前記筐体が、前記COの前記少なくとも一部を還元するように構成された電気化学的積層体を含む、請求項40に記載のシステム。
【請求項42】
前記電気化学的積層体が膜を含む、請求項41に記載のシステム。
【請求項43】
前記膜が1以上の細孔を含む、請求項42に記載のシステム。
【請求項44】
前記膜が複数の細孔を含む、請求項42に記載のシステム。
【請求項45】
前記膜がカーボンナノチューブ膜である、請求項42に記載のシステム。
【請求項46】
前記カーボンナノチューブ膜の複数のナノチューブが細孔として機能し、前記複数のナノチューブの複数の開口が吸着性官能基によって官能化されている、請求項45に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本願は、2021年2月19日出願の米国暫定特許出願第63/151,303号、2021年5月13日出願の米国暫定特許出願第63/188,238号、2021年6月30日出願の米国暫定特許出願第63/217,207号、及び2021年5月11日出願の米国特許出願第17/317,686号(それぞれ、参照により全体が本明細書に組み込まれるものとする)の恩恵を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
大気中の一酸化炭素(CO)や二酸化炭素(CO)などの炭素含有化合物のレベルは上昇している。このような炭素含有化合物のレベル上昇は、地球の温度に悪影響を及ぼし、それが地球温暖化につながる可能性がある。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、水性電気化学的二酸化炭素(CO)還元プロセスで使用するために、大気から反応物質を統合的に直接空気回収するためのシステム及び方法を提供する。COの統合直接空気回収方法を用いて、COの電気化学的変換による燃料及び材料の費用効率の高い製造を達成することができる。
【0004】
非石油系資源から燃料及び他の化学用品を製造し、大気中のCOレベルを低下させる効率的な方法へのニーズが高まっていることがここでは認識されている。COの燃料及び材料(例えば、建築材料)への電気触媒還元が技術的に実現可能であることは長い間知られていたが、それは、一部には、最も有用な製品(液体輸送燃料及びポリマーモノマーなど)の触媒効率が低いために、そして大気からCOを回収し、還元炭素材料(例えば、エタノールなどの蒸留を必要とする水混和性製品)を分離し、そして還元製造物を最終製品にアップグレードするコストのために経済的には現実的でなかった。
【0005】
COの電気化学的還元(すなわち、化学結合の形で電気エネルギーの追加)によって生成され得る炭素種は、多くの(一酸化炭素など)炭化水素ガス、アルコール、アルデヒド、有機酸、及び程度は低いが長鎖の炭化水素がある。これらのうち、多くは輸送燃料やポリマーなどの有用な製品に転換される可能性が高い可能性がある。空気からCOを捕捉する方法には、低濃度で存在するが比較的高い化学反応性を有するCOを捕捉するために、空気と接触させたCOを捕捉するのに十分な材料の使用が含まれていた。COを捕捉するのに十分な材料は、吸着剤又は吸収材料であることができる。場合によっては、COを捕捉するのに十分な材料は、COを溶解するように構成された溶媒であってもよい。吸着剤には、反応性官能基を有する固体吸着剤などがあり得る。吸収剤には、水酸化物水溶液、非水性反応性液体などがあり得る。場合によっては、COを捕捉するのに十分な材料は電解質溶液であってもよい。場合によっては、電解質溶液は水性であっても非水性であってもよい。これまでの例では、純粋なCOガス流を生成することが目標であったが、これにはガスのエントロピーの高度な変化が伴っていた。COを重炭酸塩/炭酸塩溶液などの電解質に溶解する統合CO回収プロセスでは、純粋なガスに変換するよりもエントロピーの変化がはるかに少なくて済むと考えられる。これにより、大幅なエネルギーの節約が可能になる。さらに、電気化学的CO還元プロセスで使用される電解液にCOを捕捉することにより、資本設備とプロセスの複雑さを大幅に削減できる可能性がある。
【0006】
1態様では、本明細書に記載されるのは、COの水系電気化学的還元のための二酸化炭素(CO)の統合直接空気回収方法であって、(a)流入空気流(前記流入空気流はCOを含む。)を電解質溶液と接触させることで、前記流入空気流から前記電解質溶液中に前記COの少なくとも一部を捕捉すること;及び(b)前記電解質溶液を使用して前記COの少なくとも一部を還元して、還元炭素生成物を生成することを含む方法である。
【0007】
一部の実施形態において、前記COの少なくとも一部の捕捉は、前記電解質溶液による吸収又は吸着を含む。
【0008】
一部の実施形態において、前記流入空気流は、最大1000ppmのCO濃度を有する。一部の実施形態において、前記流入空気流は、最大500ppmのCO濃度を有する。一部の実施形態において、前記流入空気流は、最大420ppmのCO濃度を有する。
【0009】
一部の実施形態において、前記流入空気流は水(HO)を含み、(a)に続いて、前記HOの少なくとも一部が前記電解質溶液によって吸収される。一部の実施形態において、前記方法はさらに、前記電解質溶液の温度又はそれの範囲を制御して、前記HOの捕捉を促進することを含む。
【0010】
一部の実施形態において、前記(b)における還元は、前記電解質溶液への独立の水素供給の非存在下である。
【0011】
一部の実施形態において、(a)は、前記電解質溶液を第1の電解質リザーバからコンタクタに流れさせることを含み、前記流入空気流及び前記電解質溶液を前記コンタクタで接触させる。一部の実施形態において、前記方法はさらに、前記電解質溶液を第2の電解質リザーバに向かわせることを含む。一部の実施形態において、前記第1の電解質リザーバは、前記第2の電解質リザーバとは異なる。一部の実施形態において、前記第1の電解質リザーバは、前記第2の電解質リザーバと同一である。
【0012】
一部の実施形態において、前記コンタクタは、COを捕捉して前記流入空気流からの前記COの少なくとも一部の吸着を促進するのに十分な材料を含む。一部の実施形態において、COを捕捉するのに十分な前記材料は水を含む。一部の実施形態において、COを捕捉するのに十分な前記材料は、反応性化学吸着剤を含む固体基質を含む。一部の実施形態において、COを捕捉するのに十分な前記材料は、アミン類で官能化されたポリスチレンビーズを含む。実施形態において、COを捕捉するのに十分な前記材料は、活性化若しくはナノ構造炭素材料を含む。実施形態において、前記活性化若しくはナノ構造炭素材料は、カーボンナノチューブ(CNT)、バックミンスターフラーレン、及びグラフェンを含む。
【0013】
一部の実施形態において、前記コンタクタは、膜コンタクタ、ランダム若しくは構造化気液接触パッキング、フィルムフィル、スプラッシュパッキング、充填流下液膜装置、冷却塔、流動床、気体と接触している液体シャワー、及びナノ構造若しくは活性化炭素材料からなる群から選択される1以上の構成要素を含む。一部の実施形態において、前記コンタクタは、カーボンナノチューブ膜を含み、前記カーボンナノチューブ膜の複数のナノチューブが細孔として機能し、前記複数のナノチューブの複数の開口部が吸着性官能基によって官能化されている。
【0014】
一部の実施形態において、前記方法はさらに、前記流入空気流及び前記電解質溶液の前記接触の(i)前又は(ii)後に、前記電解質溶液のpH又はそれの範囲を制御することを含む。一部の実施形態において、前記制御は、前記電解質溶液のpH範囲を9~15に調節又は維持することを含む。一部の実施形態において、前記制御は、前記電解質溶液のpH範囲を7~10に調節又は維持することを含む。
【0015】
一部の実施形態において、前記方法はさらに、前記流入空気流及び前記電解質溶液の前記接触後に前記電解質溶液のpH又はそれの範囲を制御することを含む。一部の実施形態において、前記制御は、前記電解質溶液のpH範囲を7~10に調節又は維持することを含む。
【0016】
一部の実施形態において、前記方法はさらに、pH制御ユニットを用いて、前記流入空気流及び前記電解質溶液の前記接触の(i)前又は(ii)後に前記電解質溶液のpH又はそれの範囲を調節することを含む。一部の実施形態において、前記pH制御ユニットは、(i)第1の方向でpH制御ユニットを通過して流れた時に前記電解質溶液のpHを上昇させ、前記第1の方向と異なる第2の方向で前記pH制御ユニットを通過して流れた時に前記電解質溶液のpHを低下させるように構成された双極性膜積層体、(ii)酸素を発生させながら前記CO及び水素の少なくとも一部を還元させることで、第1の方向で前記pH制御ユニットを通過して流れた場合に前記電解質溶液のpHを上昇させ、前記第1の方向と異なる第2の方向で前記pH制御ユニットを通過して流れた場合に前記電解質溶液のpHを低下させるように構成されている電気化学的積層体を含む。一部の実施形態において、前記pH制御ユニットは酸及び塩基供給ユニットを含み、前記酸及び塩基供給ユニットは、(i)前記空気流及び前記電解質溶液の前記接触に続いて前記電解質溶液に酸性溶液を供給することで、前記電解質溶液のpH又はそれの範囲を低下させ、及び(ii)前記空気流及び前記電解質溶液の前記接触の前に前記電解質溶液に塩基性溶液を供給することで、前記電解質溶液のpH又はそれの範囲を上昇させるように構成されている。
【0017】
一部の実施形態において、前記方法はさらに、(a)の前に、第1の電解質溶液を、COを捕捉するのに十分なCO含有液体材料と接触させて、前記電解質溶液を出力することを含む。一部の実施形態において、(b)に続いて、前記電解質溶液を前記第1の電解質溶液と接触させる。一部の実施形態において、COを捕捉するのに十分な前記液体材料は、水酸化物水溶液、アミン溶液、及びイオン性液体からなる群から選択される1以上の構成要素を含む。一部の実施形態において、前記第1の電解質溶液、COを捕捉するのに十分な前記液体材料を、アニオン交換膜若しくはカチオン交換膜積層体又はその両方を含む双極性膜積層体で接触させ、前記双極性膜積層体又は前記カチオン交換膜積層体は、COを捕捉するのに十分な前記液体材料から前記第1の電解質溶液への炭素含有化学種の輸送を促進するよう構成されている。
【0018】
一部の実施形態において、前記電解質溶液を用いる前記二酸化炭素の少なくとも一部を還元することで、還元炭素生成物を生成する。
【0019】
一部の実施形態において、前記還元炭素生成物は、燃料を含む。
【0020】
別の態様において、本明細書に記載されているものは、-25‰Δ13Cより高い同位体分布で炭素を含む炭化水素混合物を含む組成物である。
【0021】
一部の実施形態において、前記炭化水素混合物は、-6‰~-9‰Δ13Cの同位体分布で炭素を有する。一部の実施形態において、前記炭化水素混合物は、検出可能な硫黄を含まない。一部の実施形態において、前記炭化水素混合物は、検出可能な芳香族化合物を全く含まない。一部の実施形態において、前記炭化水素混合物は、検出可能な金属化合物を全く含まない。
【0022】
1態様において、本明細書に記載されるものは、電解質溶液、アノード及びカソードを含む電気化学的還元システムを含む筐体を提供すること;流入空気流を前記筐体に向かわせることで前記流入空気流を前記筐体中の前記電解質溶液と接触させることにより[前記流入空気流はCOを含む。]、前記流入空気流からの前記COを前記電解質溶液中に捕捉して、第1の重炭酸イオンを発生させること;及び前記カソードと前記アノード間で電圧を印加しながら、前記第1の重炭酸イオンを還元して炭素生成物を発生させることを含む、COの水系電気化学的還元のための二酸化炭素(CO)の統合直接空気回収方法であって、前記電気化学的還元システムを用いて前記電解質溶液のpHを調節して、前記COの前記電解質溶液への捕捉を促進する、又はCO還元を促進し、(c)における前記炭素生成物の生成により、(1)水酸化物イオンを生じさせ、前記水酸化物イオンが第2の重炭酸イオンを炭酸イオンに変え、及び(2)炭酸イオン又は重炭酸イオンを再生して(i)追加のCOを還元するための至適pH、又は(ii)追加のCOを還元するための炭酸イオン又は重炭酸イオンの至適濃度を維持する方法である。
【0023】
一部の実施形態において、前記COの捕捉は、電解質溶液による吸収を含む。一部の実施形態において、前記流入空気流は、最大500百万分率(ppm)のCO濃度を有する。一部の実施形態において、前記流入空気流はHOを含み、(b)後に、前記HOの少なくとも一部が電解質溶液によって吸収される。一部の実施形態において、前記方法はさらに、前記電解質溶液の温度又はその範囲を制御して、前記HOの捕捉を促進することを含む。一部の実施形態において、(c)における前記還元は、前記電解質溶液への独立の水素供給のない状態で行われる。
【0024】
一部の実施形態において、前記筐体はコンタクタを含み、(b)において、前記流入空気流及び前記電解質溶液を前記コンタクタで接触させる。一部の実施形態において、前記方法はさらに、前記電解質溶液を電解質リザーバに向けさせることを含む。一部の実施形態において、前記コンタクタは、前記流入空気流からの前記COの前記電解質溶液への捕捉を促進するための吸着剤を含む。一部の実施形態において、前記吸着剤は、アミン類で官能化されたポリスチレンビーズ、カーボンナノチューブ(CNT)、バックミンスターフラーレン、及びグラフェンからなる群から選択される反応性化学吸着剤を含む固体基質を含む。一部の実施形態において、前記コンタクタは、膜コンタクタ、ランダム若しくは構造化気液接触パッキング、フィルムフィル、スプラッシュパッキング、充填流下液膜装置、冷却塔、流動床、気体と接触している液体シャワー、及びナノ構造若しくは活性化炭素材料からなる群から選択される1以上の構成要素を含む。一部の実施形態において、前記膜コンタクタはカーボンナノチューブ膜を含み、前記カーボンナノチューブ膜の複数のナノチューブが細孔として機能し、前記複数のナノチューブの複数の開口が吸着性官能基によって官能化される。
【0025】
一部の実施形態において、前記pH制御ユニットは、前記電解質溶液のpH範囲を9~15又は7~10に調節又は維持する。一部の実施形態において、前記pH制御ユニットは、(i)双極性膜積層体、(ii)酸素を発生させながらCO及び水素を還元して、第1の方向で前記pH制御ユニットを通過して流れる時に前記電解質溶液のpHを上昇させ、前記第1の方向と異なる第2の方向で前記pH制御ユニットを通過して流れる時に前記電解質溶液のpHを低下させるように構成された電気化学的積層体、又は(iii)酸及び塩基供給ユニットを含み、前記酸及び塩基供給ユニットは、(1)前記空気流及び前記電解質溶液の前記接触後に前記電解質溶液に酸性溶液を供給して、前記電解質溶液のpH又はそれの範囲を低下させ、及び(2)前記空気流及び前記電解質溶液の前記接触前に前記電解質溶液に塩基性溶液を供給して、前記電解質溶液のpH又はそれの範囲を上昇させるように構成されている。
【0026】
一部の実施形態において、前記方法はさらに、水酸化物水溶液、アミン溶液及びイオン性液体からなる群から選択される1以上の構成要素を含む溶液と第1の電解質溶液を接触させて前記電解質溶液を出力させることを含む。一部の実施形態において、(c)の後に、前記電解質溶液を前記第1の電解質溶液と接触させる。一部の実施形態において、前記第1の電解質溶液及び前記溶液を双極性膜積層体で接触させる。一部の実施形態において、前記電気化学的還元システムは膜を含む。一部の実施形態において、前記膜は、複数の細孔を含む。一部の実施形態において、前記膜は、触媒を含む。一部の実施形態において、pH制御ユニットは、前記筐体から分離されている。一部の実施形態において、前記筐体はコンパートメントを含む。
【0027】
本開示のさらなる態様及び利点は、本開示の例示的な実施形態のみが示され説明される以下の詳細な説明から当業者には容易に明らかになるであろう。理解されるように、本開示は、他の異なる実施形態が可能であり、そのいくつかの詳細は、いずれも本開示から逸脱しない限りにおいて、各種の明白な点で変更可能である。したがって、図面及び説明は、本質的に例示的であり、限定的ではないとみなされるべきである。
【0028】
参照による組み込み
本明細書中で言及されるすべての刊行物、特許及び特許出願は、個々の刊行物、特許又は特許出願が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されているのと同程度に参照により本明細書に組み込まれる。参照によって組み込まれた刊行物及び特許又は特許出願が本明細書に含まれる開示内容と矛盾する限りにおいては、明細書の方が、あらゆるそのような矛盾する内容に優先する及び/又は優越するものである。
【0029】
本発明の新規な特徴は、添付の特許請求の範囲に詳細に記載されている。本発明の特徴及び利点の良好な理解は、本発明の原理を利用した例示的な実施形態を説明している以下の詳細な説明、及び添付の図面(同じく本明細書中の「図」及び「FIG.」)を参照することによって得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】実施形態による、COの捕捉方法の模式図である。
図2】実施形態による、pH制御方法を含むCOの捕捉方法の追加の模式図である。
図3】実施形態による、pH制御方法を含むCOの捕捉方法の追加の模式図である。
図4】実施形態による、一つの投入流のpHを上昇させ、別の投入流のpHを低下させる、pH制御方法を含む、COの捕捉方法の追加の模式図である。
図5】実施形態による、二つのpH制御方法並びに酸流及び塩基流を生み出す別個の方法を含む、COの捕捉方法の追加の模式図である。
図6】実施形態による、COを捕捉するのに十分な材料を含むコンタクタを含む、COの捕捉方法の追加の模式図である。
図7】実施形態による、pH制御装置及び二つのコンタクタを含む、COの捕捉方法の追加の模式図である。
図8】二つのコンタクタを含む、COの捕捉方法の追加の模式図である。それらコンタクタのうちの一つにおいて、COを捕捉するのに十分な液体材料を、実施形態にしたがって、CO含有液体と接触させる。
図9】実施形態による、チューブが不活性材料基質を通る細孔として作用する、カーボンナノチューブ膜の表面を示す図である。
図10】実施形態による、中空ファイバーカーボンナノチューブ膜を示す図である。
図11】実施形態による、所望の官能基によって官能化されたカーボンナノチューブ細孔を示す図である。
図12】実施形態による、本発明に利用されるコンピュータシステムの模式図である。
図13A】カソードを有する第1のコンパートメント及びアノードを有する第2のコンパートメントを含む電気化学的還元システムの分離ユニットの1例を示す図である。図13Aは、アノードとカソードが電源によって電気的に結合されている、分離ユニットの模式図である。
図13B】カソードを有する第1のコンパートメント及びアノードを有する第2のコンパートメントを含む電気化学的還元システムの分離ユニットの1例を示す図である。図13Bは、アノードとカソードが膜によって分離されている分離ユニットの模式図である。
図13C】カソードを有する第1のコンパートメント及びアノードを有する第2のコンパートメントを含む電気化学的還元システムの分離ユニットの1例を示す図である。図13Cは、抽出装置を含む分離ユニットの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本明細書では本発明の様々な実施形態を示し説明してきたが、そのような実施形態は例としてのみ提供されていることが当業者には明らかであろう。当業者であれば、本発明から逸脱しない限りにおいて、多数の変形形態、変更及び置換を想起することができる。理解すべき点として、本明細書に記載される本発明の実施形態の様々な代替物を使用することができる。
【0032】
「少なくとも」、「を超える」又は「~以上」という用語が一連の2以上の数値のうちの最初の数値の前にある場合は常に、その用語「少なくとも」、「を超える」又は「以上」は、その一連の数値のうちの各数値に適用される。例えば、1、2又は3以上は、1以上、2以上又は3以上に等しい。
【0033】
「~以下(no more than)」、「~未満(less than)」又は「~以下(less than or equal to)」という用語が一連の2以上の数値のうちの最初の数値の前にある場合は常に、用語「~以下(no more than)」、「~未満(less than)」又は「~以下(less than or equal to)」は、その一連の数値のうちの各数値に適用される。例えば、3、2又は1以下は、3以下、2以下又は1以下に等しい。
【0034】
本明細書で使用される「C1+」及び「C1+化合物」という用語は、一般に、1以上の炭素原子、例えば、一つの炭素原子(C1)、二つの炭素原子(C2)などを含む化合物を指す。C1+化合物には、アルカン(例えば、メタン、CH)、アルケン(例えば、エチレン、C)、アルキン、及び2以上の炭素原子を含む芳香族などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0035】
場合によっては、C1+化合物には、アルデヒド、ケトン、エステル及びカルボン酸が含まれる。C1+化合物の例には、メタン、エタン、エチレン、アセチレン、プロパン、プロペン、ブタン、ブチレンなどがあるが、これらに限定されるものではない。C1+化合物は、本明細書で使用される場合に還元炭素生成物又は還元された炭素材料とも称され得る。
【0036】
本明細書で使用される「ユニット」という用語は、一般に、プロセスにおける基本操作であるユニット操作を指す。ユニット操作は、例えば、分離、結晶化、蒸発、濾過、重合、異性化、変換及び他の反応などの物理的変化又は化学的変換を含み得る。所与のプロセスでは、(1以上の)出発材料又は(1以上の)原料から所望の(1以上の)生成物を得るために、1以上のユニット操作が要求され得る。
【0037】
本明細書で使用される「炭素含有材料」という用語は、一般に、少なくとも一つの炭素原子を含む任意の材料を指す。ある例では、炭素含有材料は、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO)、又はCOとCOとの混合物である。炭素含有材料は、CO及び/又はCOから誘導される材料、例えば、重炭酸塩又は重炭酸イオンであることができる。
【0038】
本明細書で使用される「pH制御ユニット」という用語は、一般に、1以上の投入流のpHを調節するのに使用されるユニット操作を指す。一部の例において、pH制御ユニットは双極性膜積層体である。一部の実施形態において、pH制御ユニットは、COを還元する電気化学的積層体である。一部の実施形態においてpH制御ユニットは、酸若しくは塩基供給ユニットである。
【0039】
本明細書で提供されるものは、空気からCOを直接捕捉するシステム、装置及び方法、並びにそれらの処理である。本発明は、電解質にCOを溶解させる統合CO捕捉プロセスを含むことができる。COを含む流入空気流を抜き出して電気化学的還元システムに入れることができ、そのシステムにより、COを炭化水素に変換する。
【0040】
本発明は、前記流入空気流を電解質溶液と接触させて(前記流入空気流はCOを含む)、前記COの少なくとも一部を前記流入空気流から前記電解質溶液に捕捉すること、及び前記電解質溶液を用いて前記COの前記少なくとも一部を還元することで、還元炭素生成物を生成させる、例えば燃料を生成させることを含むことができる。一部の場合において、前記電解質溶液は、還元炭素生成物の生成後に再生させることができる。一部の実施形態において、再生電解質は、システム内でリサイクルして、追加のCO捕捉を促進することができる。記載のシステムは、CO由来還元炭素生成物の炭化水素燃料その他の有用な化学生成物への変換を可能とする1以上の追加の化学変換プロセスを含むことができる。
【0041】
前記方法は、前記流入空気流を電解質溶液と接触させて(前記流入空気流はCOを含む)、前記COの少なくとも一部を前記流入空気流から前記電解質溶液に捕捉すること、及び前記電解質溶液を用いて前記COの前記少なくとも一部を還元して、燃料その他の有用な化学生成物などの還元炭素生成物を生成することを含むことができる。
【0042】
前記流入空気流は、屋外環境又は室内環境からの空気などの大気を含むことができる。前記流入空気流は、環境大気を含むことができる。前記流入空気流は、比較的低いCOレベルを含むことができる。例えば、前記流入空気流中の前記CO濃度は、最大約2000百万分率(ppm)、1800ppm、1600ppm、1400ppm、1200ppm、1000ppm、800ppm、600ppm、400ppm以下であることができる。前記流入空気流中のCO濃度は、屋外大気空気中のCOの環境濃度以下であることができる(例えば、410ppm)。或いは、前記流入空気流は、非大気空気を含むことができる。前記非大気空気は、最大約2000ppm、1800ppm、1600ppm、1400ppm、1200ppm、1000ppm、800ppm、600ppm、400ppm以下であるCO濃度を含むことができる。或いは、前記流入空気流は、約2000ppm超のCO濃度を有することができる。一部の実施形態において、流入空気流は、当該システムのコンパートメント(例えば、第1のコンパートメント又はチャンバ)中に向けることができる。一部の実施形態において、前記流入空気流は、電解質溶液と接触していることができる。
【0043】
本開示は、電気化学的還元システムを介してCOを他の化学物質に変換する化学変換システムを提供する。前記電気化学的還元システムは、大気COからのCOの捕捉を介して重炭酸イオンを生成させることができる。場合により、CO還元システムは、それ以上精製する必要なく、COを含む供給流を利用することができる。場合により、CO還元システムは、供給流のCO組成を豊富化する追加の分離プロセスを必要とすることなく、COを含む供給流を用いることができる。電気化学的還元システムへの供給流は、モル基準で約0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.1%、0.2%、0.5%、1%、5%、10%、20%、50%、90%、95%以上のCOを含むことができる。電気化学的還システムへの供給流は、モル基準で少なくとも約0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.1%、0.2%、0.5%、1%、5%、10%、20%、50%、90%、95%以上のCOを含むことができる。電気化学的還元システムへの供給流は、モル基準で約95%、90%、50%、20%、10%、5%、1%、0.5%、0.2%、0.1%、0.09%、0.08%、0.07%、0.06%、0.05%、0.04%、0.03%、0.02%、又は0.01%以下のCOを含むことができる。
【0044】
電気化学的還元システムは、電気化学的還元のための利用可能な表面積基準で特定の速度で還元炭素生成物(例えば、炭化水素)を製造することができる。電気化学的還元システムは、約10kg/平方メートル/時(kg/m/時)、20kg/m/時、30kg/m/時、40kg/m/時、50kg/m/時、60kg/m/時、70kg/m/時、80kg/m/時、90kg/m/時、100kg/m/時、150kg/m/時、又は約200kg/m/時の速度で還元炭素生成物を製造することができる。電気化学的還元システムは、少なくとも約10kg/m/時、20kg/m/時、30kg/m/時、40kg/m/時、50kg/m/時、60kg/m/時、70kg/m/時、80kg/m/時、90kg/m/時、100kg/m/時、150kg/m/時、又は約200kg/m/時以上の速度で還元炭素生成物を製造することができる。電気化学的還元システムは、約200kg/m/時、150kg/m/時、100kg/m/時、90kg/m/時、80kg/m/時、70kg/m/時、60kg/m/時、50kg/m/時、40kg/m/時、30kg/m/時、20kg/m/時、又は10kg/m/時以下の速度で還元炭素生成物を製造することができる。
【0045】
電気化学的還元システムは、COを1以上の化学種に変換するための選択性を有し得る。場合によっては、選択性とは、供給流から捕捉され、生成物種に変換される、反応器、システム又はユニットに入る炭素原子の割合として定義され得る。例えば、50%の選択性とは、進入するCO分子の50%が反応器、システム又はユニット内で還元炭素種に変換されたことを示し得る。場合によっては、選択性とは、特定のクラス、重量範囲、炭素数範囲又は他の特性の範囲内の化学種に変換される、反応器、システム又はユニットに入る炭素原子の割合として定義され得る。例えば、50%C1-C4の選択性とは、入るCO分子の50%がC1からC4還元炭素生成物に変換されたことを示し得る。選択性は、1回通過選択性であり得る。1回通過選択性とは、反応器、システム又はユニットを1回通過して捕捉され、還元炭素生成物に変換される、反応器、システム又はユニットに入る炭素原子の割合として定義され得る。選択性は、リサイクル選択性であり得る。リサイクル選択性とは、反応器、システム又はユニットを2回以上通過して炭化水素生成物に変換される、反応器、システム又はユニットに入る炭素原子のパーセントとして定義され得る。
【0046】
電気化学的還元システムは、約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、又は約99%の選択性を有し得る。電気化学的還元システムは、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、又は約99%以上の選択性を有し得る。電気化学的還元システムは、99%以下、95%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、又は10%以下の選択性を有し得る。
【0047】
COを他の化学物質に変換するための電気化学的還元システムは、COの還元に必要であり得る様々な構成要素を備え得る。構成要素は、カソード、アノード、コンタクタ、抽出器、ポンプ、気液分離器及びイオン交換膜を含み得る。場合によっては、装置の好ましい実施形態に応じて、いくつかの構成要素が化学的還元システムに含まれるか、化学的還元システムから除外され得る。場合によっては、化学的還元システムは、COの電気化学的還元の全プロセスを行う単一のスタンドアロン又は完全に統合されたシステムであり得る。他の場合には、電気化学的還元システムは、COの電気化学的還元において必要なプロセスを集合的に行う、少なくとも2以上の動作可能に連結されたユニッ操作を含み得る。
【0048】
電気化学的還元システムは、筐体を備え得る。筐体は、構成要素(例えば、膜)の固定、流体の物理的封じ込め、単一ユニット内の異なる流体の分離、温度又は圧力の保持、及び/又は絶縁の提供など(これらに限定されるものではない)の様々な機能を電気化学的還元システムに提供することができる。筐体は、金属、セラミック、耐火物、断熱材、プラスチック及びガラスを含む任意の好適な材料を含むことができる。筐体は、電気化学的還元システムの一つのユニット(例えば、カソード)を含むことができる。筐体は、電気化学的還元システムの2以上のユニット(例えば、カソード及びアノード)を含むことができる。完全な電気化学的還元システムが、単一の筐体内に収容されてもよい。
【0049】
筐体は、1以上の壁を含むことができる。筐体は、1以上のコンパートメントを含むことができる。筐体は、円形、三角形、正方形、長方形、五角形、六角形若しくは部分的な形状、又はそれらの形状の組合せである断面を有することができる。筐体は、単一部品であるか、複数の部品(例えば、一緒に溶接された部品)から形成されてもよい。筐体は、その内部にコーティングを含むことができる。そのようなコーティングは、腐食、又は表面との酸化/還元反応など、筐体の内部の表面との反応を防止することができる。
【0050】
電気化学的還元システムは、1以上のコンパートメント又はチャンバを含むことができる。コンパートメント又はチャンバとは、物質移動が起こる、電気化学的還元システム内の閉鎖された体積として定義され得る。例えば、電気化学的還元システムは、C1+生成物が製造される第1のコンパートメント(又はチャンバ)と、C1+生成物が抽出されるか、分離されるか、その他の形で第1のコンパートメントから移送される第2のコンパートメント又はチャンバとを含むことができる。一部の実施形態において、第1のコンパートメント又はチャンバ及び第2のコンパートメント又はチャンバは電解質を含むことができる。一部の実施形態において、1以上のコンパートメント又はチャンバがアノード、カソード、膜、又はこれらの組み合わせを含むことができる。一部の実施形態において、第2のコンパートメント又はチャンバは、アノード、カソード、又はコレラの組み合わせを含む。
【0051】
電気化学的還元システムは、図1図2図3図4図5図7、及び図8に記載のコンタクタを含むことができ、さらに1以上のコンパートメント又はチャンバを含むことができる。コンパートメント又はチャンバは、物質移動が起こる電気化学的還元システム内の密閉された体積と定義することができる。例えば、電気化学的還元システムは、C1+生成物が製造されるコンパートメント又はチャンバと、C1+生成物が抽出されるか、分離されるか、その他の形で第1のコンパートメントから移送される別のコンパートメント又はチャンバとを含むことができる。
【0052】
図13A~13Cは、本発明の範囲に包含されるコンパートメント又はチャンバの構成の各種例を示している。一部の実施形態において、チャンバ又はコンパートメントはさらに、追加のチャンバ又はコンパートメントを含むことができる。図13Aは、第1のコンパートメント又はチャンバ100がカソード140を含み、第2のコンパートメント又はチャンバ200がアノード160を含み、前記アノード140及びカソード160が電源130によって電気的に接続されている電気化学的還元システム1000の模式図を描いたものである。第1のコンパートメント又はチャンバ100は、C1+生成物の第1のコンパートメント又はチャンバ100から第2のコンパートメント又はチャンバ200への移動を制御するミクロ構造若しくはナノ構造膜150によって第2のコンパートメント又はチャンバ200から分離されている。図13Bは、カソードユニット240及びアノードユニット220を含む電気化学的還元システム1000の模式図を描いたものである。カソードユニット240は、電源130によってアノードユニット220におけるアノード160に電気的に接続されているカソード140を含む第1のコンパートメント又はチャンバ100を含む。第1のコンパートメント又はチャンバ100は、C1+生成物の第1のコンパートメント100からカソードユニット240内の第2のコンパートメント又はチャンバ200への移動を制御するミクロ構造又はナノ構造膜150によって第2のコンパートメント又はチャンバ200から分離されている。図13Cは、カソードユニット240、アノードユニット220、及び抽出装置230を含む電気化学的還元システム1000の模式図を示している。カソードユニットは、カソード140及び第1のコンパートメント100を含む。カソード140は、電源130によって、アノードユニット220中のアノード160に電気的に接続されている。C1+生成物は、カソードユニット240の第1のコンパートメント又はチャンバで製造され、流れC1+により、第2のコンパートメント又はチャンバ200を含む抽出装置に送られる。C1+生成物は、ミクロ構造膜又はナノ構造膜150を通過することで流れC1+から第2のコンパートメント又はチャンバ200に移動される。一部の実施形態において、電気化学的還元システムは、コンタクタを含むチャンバ内にpH制御ユニットを含むことができる。一部の実施形態において、電気化学的還元システムは、コンタクタを含むチャンバに対して外部のpH制御ユニットを含むことができる。
【0053】
電気化学的還元システムは、COを他の化学種に還元するために必要な成分を集合的に提供するカソード、アノード及び電解質溶液を含むことができる。電解質溶液は、COの電気化学的還元のために最適なイオン強度及びpHを有するように構成される塩水溶液を含むことができる。電解質溶液は、重炭酸イオンを含む塩水溶液を含むことができる。場合によっては、電解質溶液は、重炭酸ナトリウム又は重炭酸カリウムの水溶液を含むことができる。場合によっては、重炭酸イオンは、1以上の触媒の存在下で解離して、還元反応のためのCO分子を生成することができる。電解質溶液へのCOの溶解は、重炭酸イオンの最適濃度を再生又は維持することができる。電解質溶液は、炭酸イオンを含む水系化学種を含むことができる。電解質溶液は、ギ酸イオンを含む水系化学種を含むことができる。重炭酸化合物の還元炭素生成物への電気化学的変換により、水酸化物イオンを製造することができ、それにより残りの重炭酸イオンの一部を炭酸イオンにシフトさせることができる。COの吸収により、炭酸イオンをシフトさせて重炭酸イオンに戻すことができる。ギ酸塩又は酢酸塩などの還元有機塩をさらに還元して、所望の還元炭素生成物とすることができる。場合により、還元炭素生成物の発生後に電解質溶液を再生させることができる。一部の実施形態において、再生電解質をシステム内でリサイクルさせて、COの追加補足を促進することができる。
【0054】
アノードは、ニッケル、スズ又は金などの元素金属を含むことができる。アノードは、選択されたアノード材料のワイヤメッシュ、金属発泡体又は他の透過性構造を備え得る。アノード材料は、カソードとの接触を防止するアニオン交換膜材料又は別の物理的分離器と動作可能に接触していてもよい。
【0055】
カソードは、任意の適切な材料を含むことができる。場合によっては、カソードは、銅ナノ粒子及び/又はNドープカーボンナノ材料を含むことができる。場合によっては、カソードは、ミクロ構造又はナノ構造膜材料を含むことができる。場合によっては、カソードは、CO若しくはCOの電気化学的還元、又は他の化学反応のための1つ以上の触媒を含むことができる。カソード材料は、カソードとの接触を防止するアニオン交換膜材料又は別の物理的分離器と動作可能に接触していてもよい。場合によっては、抵抗を低減するために、カソードとアノードとの間の距離を最小限に抑えてもよい。場合によっては、電極間の電解質の強制対流が、電気抵抗をさらに低減し得、及び/又は電極間の距離をさらに増大させ得る。場合によっては、電極は、異なる筐体、チャンバ又はコンパートメントにあり得る。場合によっては、アノードとカソードとは、それらの間でイオン選択性膜を用いて最小の距離を有してもよい。場合によっては、イオン選択性膜を使用しなくてもよい。
【0056】
電気化学的還元システムは、CO又はCOを還元して還元生成物とするために至適電圧動作するように構成することができる。電気化学的還元システムは、システム電圧を最適値に調整するように積層体構成又は直接配置で配列されていることができる。電気化学的還元システムは、約0.1ボルト(V)、0.2V、0.3V、0.4V、0.5V、0.75V、1.0V、2.0V、3.0V、4.0V、5.0V、10V、15V、又は約20Vの動作電圧を有することができる。電気化学的還元システムは、少なくとも約0.1ボルト(V)、0.2V、0.3V、0.4V、0.5V、0.75V、1.0V、2.0V、3.0V、4.0V、5.0V、10V、15V、又は約20V以上の動作電圧を有することができる。電気化学的還元システムは、約20V、15V、10V、5.0V、4.0V、3.0V、2.0V、1.0V、0.75V、0.5V、0.4V、0.3V、0.2V、又は約0.1V以下の動作電圧を有することができる。
【0057】
電気化学的還元システムは、至適なカソード電流密度を有することができる。場合により、カソード電流密度は、カソードでのCO又はCO還元の速度を決定し得る。カソードは、全体的電気化学的効率によって特徴付けることができる。全体的電気化学的効率は、化学エネルギーに変換される電気エネルギーのパーセントと定義することができる。カソードは、約10ミリアンペア/平方センチメートル(mA/cm)、50mA/cm、100mA/cm、150mA/cm、200mA/cm、250mA/cm、300mA/cm、350mA/cm、400mA/cm、450mA/cm、500mA/cm、600mA/cm、700mA/cm、800mA/cm、900mA/cm、又は約1000mA/cmのカソード電流密度を有することができる。カソードは、少なくとも約10mA/cm、50mA/cm、100mA/cm、150mA/cm、200mA/cm、250mA/cm、300mA/cm、350mA/cm、400mA/cm、450mA/cm、500mA/cm、600mA/cm、700mA/cm、800mA/cm、900mA/cm、又は約1000mA/cm以上のカソード電流密度を有することができる。カソードは、約1000mA/cm、900mA/cm、800mA/cm、700mA/cm、600mA/cm、500mA/cm、450mA/cm、400mA/cm、350mA/cm、300mA/cm、250mA/cm、200mA/cm、150mA/cm、100mA/cm、50mA/cm、10mA/cm以下のカソード電流密度を有することができる。
【0058】
電気化学的還元システムにおけるカソードは、総合電気化学的効率を有することができる。カソードは、約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%以上の総合電気化学的効率を有することができる。カソードは、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%以上の総合電気化学的効率を有することができる。カソードは、約95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%以下の総合電気化学的効率を有することができる。
【0059】
電解質溶液は、特定のイオン強度又はモル濃度を有する溶液を含むことができる。電解質は、約0.01モル/リットル(M)、0.05M、0.1M、0.2M、0.3M、0.4M、0.5M、0.6M、0.7M、0.8M、0.9M、1.0M、1.1M、1.2M、1.3M、1.4M、1.5M、2.0M、2.5M、又は約3.0Mのイオン強度を有することができる。電解質溶液は、少なくとも約0.01M、0.05M、0.1M、0.2M、0.3M、0.4M、0.5M、0.6M、0.7M、0.8M、0.9M、1.0M、1.1M、1.2M、1.3M、1.4M、1.5M、2.0M、2.5M、又は少なくとも約3.0M以上のイオン強度を有することができる。電解質溶液は、約3.0M、2.5M2.0M、1.5M、1.4M、1.3M、1.2M、1.1M、1.0M、0.9M、0.8M、0.7M、0.6M、0.5M、0.4M、0.3M、0.2M、0.1M、0.05M以下、又は約0.01M以下のイオン強度を有することができる。電解質溶液中の塩は、約0.01モル/リットル(M)、0.05M、0.1M、0.2M、0.3M、0.4M、0.5M、0.6M、0.7M、0.8M、0.9M、1.0M、1.1M、1.2M、1.3M、1.4M、1.5M、2.0M、2.5M、又は約3.0Mのモル濃度を有することができる。電解質溶液中の塩は、少なくとも約0.01M、0.05M、0.1M、0.2M、0.3M、0.4M、0.5M、0.6M、0.7M、0.8M、0.9M、1.0M、1.1M、1.2M、1.3M、1.4M、1.5M、2.0M、2.5M、又は少なくとも約3.0M以上のモル濃度を有することができる。電解質溶液中の塩は、約3.0M、2.5M2.0M、1.5M、1.4M、1.3M、1.2M、1.1M、1.0M、0.9M、0.8M、0.7M、0.6M、0.5M、0.4M、0.3M、0.2M、0.1M、0.05M以下、又は約0.01M以下のモル濃度を有することができる。電解質溶液中の塩は、約0.01M~約0.1M、約0.01M~約0.2M、約0.01M~約0.5M、約0.01M~約1.0M、約0.01M~約3.0M、約0.1M~約0.2M、約0.1M~約0.5M、約0.1M~約1.0M、約0.1M~約3.0M、約0.2M~約0.5M、約0.2M~約1.0M、約0.2M~約3.0M、約0.25M~約0.5M、約0.25M~約1M、約0.25M~約3M、約0.5M~約1.0M、約0.5M~約3.0M、又は約1.0M~約3.0Mの範囲のモル濃度を有することができる。
【0060】
電解質溶液は、COの電気化学的還元のための至適pHを有することができる。電解質は、約0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、又は約14のpHを有することができる。電解質は、少なくとも約0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14以上のpHを有することができる。電解質溶液は、約14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0以下のpHを有することができる。電解質溶液は、約0~約2、約0~約3、約0~約4、約0~約5、約0~約7、約0~約10、約0~約14、約2~約3、約2~約4、約2~約5、約2~約7、約2~約10、約2~約14、約3~約4、約3~約5、約3~約7、約3~約10、約3~約14、約4~約5、約4~約7、約4~約10、約4~約14、約5~約7、約5~約10、約5~約14、約7~約10、約7~約14、又は約10~約14の範囲のpHを有することができる。
【0061】
電気化学的還元システムにおける電解質溶液は、非水系電解質溶液であることができる。場合により、電解質溶液は水系電解質溶液であることができる。場合により、電解質溶液は、溶解した塩を含むイオン性液体を含むことができる。イオン性液体には、ミダゾリウム(midazolium)系フッ素化アニオンイオン性液体、酢酸、フルオロ酢酸ミダゾリウム(midazolium)類、ピロリジニウム系イオン性液体、又はこれらのいずれかの組み合わせなどがあり得るが、これらに限定されるものではない。水系電解質溶液は、水又は水に溶解させた電解質であることができる。場合により、電解質は水系塩溶液を含むことができる。
【0062】
本明細書では、流入空気流から捕捉されたCOの電気化学的還元を介して発生させる各種の化学製品及び反応混合物が記載されている。電気化学的還元は、化学結合の形態での電気エネルギー付与を含む。電気化学的還元は、一酸化炭素、炭化水素ガス、アルカン類、アルケン類、アルコール類、アルデヒド類、有機酸類、及び多様な鎖長の他の有機分子から選択される1以上の構成要素からなる炭素化学種を製造することができる。記載の電気化学的還元システムの生成物はさらに処理して、輸送燃料及びポリマーなどの有用な製品とすることができる。
【0063】
本明細書では、ガス源に由来するCOの電気化学的還元を介して生産される様々な化学製品及び反応混合物が記載される。ガス源は、大気であることができる。ガス源は、いずれかのCO含有ガス流であることができる。化学製品は、化学処理システムから排出される何らかのプロセス流、又はそれ以上の反応プロセスを経ない何らかのプロセス流を含むことができる。反応混合物には、化学反応器、反応器システムの範囲内、又は化学反応器若しくは反応器システム間のプロセス流中の何らかのプロセス混合物、試薬又は化合物などがあり得る。本発明の化学製品及び反応混合物は、構成炭素原子のうちの1以上がCOに由来する有機分子を含むことができる。場合によっては、化学製品又は反応混合物は、COに由来する炭素原子のみを含むことができる。他の場合には、化学製品は、COに由来する炭素原子と、他の供給源(例えば、生物燃料)に由来する炭素原子とを含むことができる。場合によっては、本発明の化学製品は、大気に由来するCOの炭素同位体特性と一致する独特な炭素同位体特性を有し得る。場合によっては、本発明の化学製品及び反応混合物は、化石燃料の燃焼など、非大気源に由来するCOの炭素同位体特性と一致する独特な炭素同位体特性を有し得る。化学製品又は反応混合物の炭素同位体特性は、14C:12C又は13C:12Cの同位体比によって測定され得る。場合によっては、化学製品又は反応混合物の同位体特性は、炭素の自然同位体比と測定同位体比との間のパーミル差として測定され得る。14C、Δ14Cでは、炭素の自然同位体比と測定同位体比との間のパーミル差は、以下のように計算することができる。
【数1】
【0064】
13C、Δ13Cでは、炭素の自然同位体比と測定同位体比との間のパーミル差は、以下のように計算することができる。
【数2】
【0065】
化学製品又は反応混合物は、約-100千分率(‰)、-10‰、0‰、5‰、10‰、20‰、30‰、40‰、45‰、50‰又は約100‰のΔ14Cを有することができる。化学製品又は反応混合物は、少なくとも約-100‰、-10‰、0‰、5‰、10‰、20‰、30‰、40‰、45‰、50‰又は少なくとも約100‰以上のΔ14Cを有することができる。化学製品又は反応混合物は、最大約-100‰、-10‰、0‰、5‰、10‰、20‰、30‰、40‰、45‰、50‰又は最大約100‰以下のΔ14Cを有することができる。化学製品又は反応混合物は、約-40‰、-35‰、-30‰、-28‰、-26‰、-24‰、-22‰、-20‰、-15‰、-10‰、-8‰、又は約-5‰のΔ13Cを有することができる。化学製品又は反応混合物は、少なくとも約-40‰、-35‰、-30‰、-28‰、-26‰、-24‰、-22‰、-20‰、-15‰、-10‰、-8‰、又は少なくとも約-5‰以上のΔ13Cを有することができる。化学製品又は反応混合物は、最大約-40‰、-35‰、-30‰、-28‰、-26‰、-24‰、-22‰、-20‰、-15‰、-10‰、-8‰、又は最大約-5‰又は以下Δ13Cを有することができる。本明細書においては、-25‰より大きいΔ13Cを有する組成を含む生成物又は反応混合物が提供される。1例において、Δ13Cは、COが捕捉される環境温度の値に相当し得る(例えば、-8‰)。そのようなΔ13Cは、例えば化石系燃料又は生物(例えば、植物系)燃料由来の製品の同位体特性とは異なり得る。植物系燃料では、13Cレベルは、大気のレベルより低く、Δ13Cは-25‰であり得る。別の例において、化石燃料(例えば、石油、石炭などから)では、Δ13Cは、植物系燃料よりさらに低い可能性があり、すなわち-25‰未満である。或いは、又はさらに、本明細書に記載の生成物又は反応混合物は、検出可能な硫黄、金属及び/又は芳香族を有していない組成を含むことができる。検出可能なレベルとは、1例において、最大で1重量%、0.1重量%、0.01重量%、0.001重量%、0.0001重量%、0.00001重量%以下の桁数の組成を指し得る。本開示の生成物又は反応混合物は、C1+生成物を含む炭化水素混合物を含むことができる。
【0066】
本発明の化学製品又は反応混合物は、気体状、液体又は固体の物質を含むことができる。本発明の化学製品及び反応混合物は、1以上の有機化合物を含むことができる。化学製品及び反応混合物は、水に混和性又は非混和性であり得る。化学製品及び反応混合物は、極性又は非極性であり得る。化学製品及び反応混合物は、酸性、塩基性又は中性であり得る。有機化合物には、アルカン、アルケン、アルキン、シクロアルカン、シクロアルケン、シクロアルキン、置換アルカン、置換アルケン、置換アルキン、アルコール、エステル、カルボン酸、エーテル、アミン、アミド、芳香族、ヘテロ芳香族、硫化物、スルホン、スルフェート、チオール、アルデヒド、ケトン、アミド及びハロゲン化化合物が含まれ得る。化学製品及び反応混合物は、分岐又は直鎖状化合物を含むことができる。化学製品及び反応混合物は、酸素、メタン、エタン、エチレン、プロパン、ブタン、ヘキサン、オクタン、デカン、一酸化炭素、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、オクタノール及びホルメートを含むことができる。化学製品及び反応混合物は、有機金属化合物を含むことができる。本開示の化学製品及び反応混合物は、燃料、溶媒、添加物、ポリマー、食品添加物、栄養補助食品、医薬品、肥料、農薬、コーティング、潤滑剤及び建築材料など、消費者使用又は工業用途を目的とした化合物を含むことができる。本開示の化学製品及び反応混合物は、その後の処理によって生成される生成物の前駆体、成分、置換基又は基質を含むことができる。
【0067】
本開示の有機化合物は、1以上の炭素原子を含むことができる。場合によっては、有機化合物は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、又は約70の炭素原子を含むことができる。場合によっては、有機化合物は、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、又は約70以上の炭素原子を含むことができる。場合によっては、有機化合物は、約70以下、65、60、55、50、45、40、35、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2又はそれ以下の炭素原子を含むことができる。本開示の有機化合物は、CO又はCOに由来する1以上の炭素原子を含むことができる。場合によっては、有機化合物は、CO又はCOに由来する、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、又は約70の炭素原子を含むことができる。場合によっては、有機化合物は、CO又はCOに由来する、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、又は約70以上の炭素原子を含むことができる。場合によっては、有機化合物は、CO又はCOに由来する、約70以下、65、60、55、50、45、40、35、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2又はそれ以下の炭素原子を含むことができる。
【0068】
本開示の化学製品又は反応混合物は、複数の化学種を含むことができる。化学製品又は反応混合物は、約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95又は約100の検出可能な化学化合物の混合物であり得る。化学製品又は反応混合物は、少なくとも約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95又は約100以上の検出可能な化学化合物の混合物であり得る。化学製品又は反応混合物は、約100以下、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、又は約3以下若しくはそれ以下の検出可能な化学化合物の混合物であり得る。
【0069】
本開示の化学製品又は反応混合物は、化学製品又は反応混合物全体の特定の重量パーセント又はモルパーセントで特定の化合物を含むことができる。例えば、特定の化学製品は、少なくとも約50重量%のエタノールを含むことができる。別の例では、特定の化学製品は、約1重量%以下の水を含むことができる。場合によっては、重量又はモル基準で、化学製品又は反応混合物の少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上が、特定の化学化合物であり得る。場合によっては、重量又はモル基準で、化学製品又は反応混合物の約99%以下、98%、97%、96%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、又は約10%以下若しくはそれ以下が、特定の化学化合物である。
【0070】
本開示の化学製品又は反応混合物は、特定の範囲の分子量又は炭素数以内の化合物を含むことができる。場合によっては、化学製品又は反応混合物の少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上が、特定の分子量範囲又は炭素数範囲内の化合物を含むことができる。場合によっては、化学製品又は反応混合物の約99%以下、98%、97%、96%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、又は約10%以下若しくはそれ以下が、特定の分子量範囲又は炭素数範囲内の化合物を含むことができる。化学製品又は反応混合物は、約15g/mol~約30g/mol、約15g/mol~約60g/mol、約15g/mol~約100g/mol、約15g/mol~約200g/mol、約15g/mol~約400g/mol、約15g/mol~約600g/mol、約15g/mol~約1000g/mol、約30g/mol~約60g/mol、約30g/mol~約100g/mol、約30g/mol~約200g/mol、約30g/mol~約400g/mol、約30g/mol~約600g/mol、約30g/mol~約1000g/mol、約60g/mol~約100g/mol、約60g/mol~約200g/mol、約60g/mol~約400g/mol、約60g/mol~約600g/mol、約60g/mol~約1000g/mol、約100g/mol~約200g/mol、約100g/mol~約400g/mol、約100g/mol~約600g/mol、約100g/mol~約1000g/mol、約200g/mol~約400g/mol、約200g/mol~約600g/mol、約200g/mol~約1000g/mol、約400g/mol~約600g/mol、約30g/mol~約1000g/mol、約30g/mol~約100g/mol、約30g/mol~約200g/mol、約30g/mol~約400g/mol、約30g/mol~約600g/mol、約400g/mol~約1000g/mol、又は約600g/mol~約1000g/molの分子量範囲内の化合物を含むことができる。化学製品又は反応混合物は、約C1~約C2、約C1~約C3、約C1~約C4、約C1~約C5、約C1~約C6、約C1~約C8、約C1~約C10、約C1~約C20、約C1~約C30、約C1~約C40、約C2~約C3、約C2~約C4、約C2~約C5、約C2~約C6、約C2~約C8、約C2~約C10、約C2~約C20、約C2~約C30、約C2~約C40、約C3~約C4、約C3~約C5、約C3~約C6、約C3~約C8、約C3~約C10、約C3~約C20、約C3~約C30、約C3~約C40、約C4~約C5、約C4~約C6、約C4~約C8、約C4~約C10、約C4~約C20、約C4~約C30、約C4~約C40、約C5~約C6、約C5~約C8、約C5~約C10、約C5~約C20、約C5~約C30、約C5~約C40、約C6~約C8、約C6~約C10、約C6~約C20、約C6~約C30、約C6~約C40、約C8~約C10、約C8~約C20、約C8~約C30、約C8~約C40、約C10~約C20、約C10~約C30、約C10~約C40、約C20~約C30、約C20~約C40、又は約C30~約C40の炭素数範囲内の化合物を含むことができる。
【0071】
本開示の化学製品又は反応混合物は、1つ以上の不純物を含むことができる。不純物は、反応物の流れ、反応器の汚染物質、生成された有機化合物の分解生成物、触媒化合物、又は本明細書に記載の電気化学的還元システム若しくは他の化学変換システム内の副反応に由来し得る。化学製品又は反応混合物は、ホルメート又は高分子量アルコールなどの1以上の有機不純物を含むことができる。化学製品又は反応混合物は、カーボン又は非カーボンナノ材料不純物を含むことができる。化学製品又は反応混合物は、触媒の分解、又は処理装置の浸出及び腐食などの発生源に由来する1以上の無機不純物を含むことができる。無機不純物には、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウム、ケイ素、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、インジウム、スズ、アンチモン、タンタル、タングステン、オスミウム、白金、金、水銀及び鉛が含まれ得る。無機不純物は、酸化状態又は還元酸化状態で存在し得る。無機不純物は、有機金属錯体の形で存在し得る。化学製品又は反応混合物中の不純物は、ガス若しくは液体クロマトグラフィー、質量分析、IR若しくはUV-Vis分光法、ラマン分光法、X線光電子分光法、X線回折又は他の方法などの任意の一般的な分析技術によって検出可能であり得る。1以上の不純物は、少なくとも約1ppb、5ppb、10ppb、50ppb、100ppb、250ppb、500ppb、750ppb、1ppm、5ppm、10ppm、50ppm、100ppm又はそれ以上の量で検出可能であり得る。1つ以上の不純物は、約100ppm以下、50ppm、10ppm、5ppm、1ppm、750ppb、500ppb、250ppb、100ppb、50ppb、10ppb、5ppb、又は約1ppb以下若しくはそれ以下の量で検出可能であり得る。
【0072】
化学製品は、特定のレベルの純度を有し得る。場合によっては、化学製品は、特定のグレード又は基準を達成するのに十分な純度を有し得る。化学製品は、ACSグレード、試薬グレード、USPグレード、NFグレード、実験室グレード、精製グレード又は技術グレードであり得る。化学製品は、共沸組成を超える純度、例えば、>95%エタノールを有し得る。本発明の気体状化学製品は、約N1.0、N2.0、N3.0、N4.0、N5.0、N6.0又はそれ以上の純度等級を有し得る。化学製品は、規定された国際規格、例えば、メタノール純度の場合、ASTM D-1152/97規格に従って純度レベルを達成し得る。
【0073】
場合によっては、電気化学的還元システムから得られた化学製品又は反応混合物は、検出可能な量の特定の不純物を有しないことがある。場合によっては、化学製品又は反応混合物は、検出可能な量の生体分子又はその誘導体を有しないことがある。化学製品又は反応混合物は、検出可能な量の脂質、糖、タンパク質、核酸、アミノ酸、胞子、細菌、ウィルス、原生動物、真菌、動物細胞若しくは植物細胞、又はそれらの任意の成分を含有しないことがある。
【0074】
電気化学的還元システムは、COを捕捉し、COを還元炭素生成物に変換することができる。1例において、システムは、COを含む空気流に導入され得る。一部の例において、COを含む流入空気流は、電解質溶液と相互作用することができる。一部の実施形態において、COを含む流入空気流と電解質溶液との相互作用はコンタクタ内で起こる。場合により、COを含む流入空気流と電解質溶液との相互作用により、電解質中にCOが捕捉され得る。一部の例では、COの捕捉は、電解質へのCOの吸着、又は電解質へのCOの吸収として起こり得る。一部の例では、COの捕捉は、COと電解質との間の物理的相互作用(例えば、静電相互作用、吸着、吸収)として起こり得る。一部の例では、COの捕捉は、COと電解質との間の化学相互作用として起こり得る。一部の例では、捕捉されたCO分子は重炭酸イオンの形態であることができる。例えば、COを含む空気流は、以下の反応図式に示すように、水と相互作用して炭酸を生成し、それが水中でさらに解離して重炭酸イオン及びヒドロニウムイオン(例えば、H、H、又はプロトン)になり得る。
【化1】
【0075】
このような例では、重炭酸イオン及びヒドロニウムイオンの生成により、電解質溶液のpHが低下(例えば、酸性度が上昇)し得る。一部の実施形態において、COは、電解質溶液中に捕捉されながら、別個のチャンバ又はコンパートメントに輸送され得る。一部の実施形態において、COは、この別個のチャンバ内で還元される。一部の例では、捕捉されたCO分子(例えば、重炭酸イオン)は、電圧の存在下で直接還元されて、還元炭素生成物を生成し得る。場合により、捕捉されたCOは、還元炭素生成物に還元される前に、捕捉CO材料からの放出(例えば、脱着)を必要としないことがある。例えば、捕捉されたCOは重炭酸イオンであることができ、その重炭酸イオンは、重炭酸イオンからのCOの脱着を必要とする追加の段階を必要とせずに、還元炭素生成物に直接還元され得る。1例では、重炭酸塩の形態で捕捉されたCOは、以下の反応図式に従って、電圧の存在下でエタノールに還元され得る。
【化2】
【0076】
還元炭素生成物は、アルコール、アルデヒド、アルケン、アルカン、酸、又はそれらの組み合わせを含み得る。アルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、tertブタノール、ペンタノール、イソペンタノール、ヘキサノール、イソヘキサノール、又はいずれか他の直鎖若しくは分枝アルコールを含むことができる。アルデヒドは、メタナール、エタナール、プロパナール、イソプロパナール、ブタナール、イソブタナール、又はいずれか他の直鎖若しくは分岐アルデヒドを含むことができる。アルケン又はアルケンは、直鎖又は分枝のアルケン又はアルカンであることができる。一部の実施形態において、アルケン又はアルカンは、長さが少なくとも1炭素、2炭素、3炭素、4炭素、5炭素、6炭素、7炭素、又はそれ以上であるアルキル鎖を含む。一部の実施形態において、還元炭素生成物はさらに、電圧及び/又は電解質の存在下でさらに還元されて、追加の還元炭素生成物(例えば、アルコール又はアルデヒド)を形成することができる。例えば、アルコール又はアルデヒドは、電圧の存在下で還元されて、より長鎖の還元炭素生成物を生成することができる。一部の実施形態において、COのエタノール及び水酸化物イオンへの変換は、次の化学反応に従って行われ、ここでCO及びHCO は溶液内で平衡状態にある。
【化3】
【0077】
一部の例では、水酸化物イオンの生成により、溶液のpHが上昇する(例えば、酸性度が低下するか、又は塩基性度が上昇する)。一部の実施形態において、捕捉されたCO溶液に電圧を印加すると、捕捉されたCO溶液の少なくとも約40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、又は100%が還元炭素生成物に変換され得る。
【0078】
一部の例では、還元炭素生成物は、還元炭素生成物、捕捉されたCO、電解質、二酸化炭素、水酸化物イオン、又はヒドロニウムイオンを含む混合物から分離され得る。一部の例では、還元炭素生成物は、膜を通過させることによって混合物から分離される。一部の例では、膜の第1の側から膜の第2の側に通過させることによって混合物から還元炭素生成物を分離することで、膜の第1の側で溶液のpHが相対的に上昇する(例えば、水酸化物イオンの相対濃度が上昇する)。
【0079】
一部の例では、電解質溶液は、さらなる捕捉及び還元サイクル用に再生することができる。例えば、捕捉されたCOの還元の副生成物として生成される水酸化物イオンは、重炭酸イオン(例えば、還元炭素生成物に変換されなかった重炭酸イオン)と相互作用して、以下の反応図式に従って炭酸イオン及び水を生成することができる。
【化4】
【0080】
一部の実施形態において、重炭酸イオンと水酸化物イオンの相互作用によって生成される水が、空気流から追加のCOを捕捉することができる。したがって、電解質溶液(例えば、水)がCOを捕捉する能力が再生され得る。一部の例では、COの還元によって生成された水酸化物イオンは、膜積層体のアニオン交換層を通って拡散し、アノードに向かって移動することができる。このような例では、アノードに接触する電解質溶液のpHが上昇する可能性がある。一部の実施形態において、電解質溶液のpH上昇により、COのさらなる捕捉が促進される。一部の例では、再生電解質溶液は、空気流から追加のCOを捕捉するためにリサイクル及び再利用することができる。
【0081】
流入空気流は電解質溶液と接触することができる。この接触はコンタクタによって促進することができる。電気化学的還元システムは、1以上のコンタクタユニットを含むことができる。コンタクタは、供給流から1以上の化学種を選択的に分離する任意のユニット操作又は分離ユニットを含むことができる。場合により、コンタクタはガス吸着カラムを含むことができる。他の例では、コンタクタは、溶液の表面積を増加させるためのパッキングと、液体界面でのガスの通過を増加させるためのファンとを含むことができる。他の例では、コンタクタは膜からなるか膜を含んでもよい。このようなコンタクタは、設計上の特徴を冷却塔と共有することができる。一部の実施形態において、システムのコンパートメント又はチャンバはコンタクタを含むことができる。一部の例では、システムの第1のコンパートメント又はチャンバはコンタクタを含むことができる。
【0082】
電気化学的還元システムは、1つ以上のイオン交換膜を有し得る。イオン交換膜は、カチオン交換膜、アニオン交換膜又は双極性膜を有し得る。イオン交換膜は、カソード、アノード、又はカソード及びアノードの両方と動作可能に接触していてもよい。場合により、電気化学的還元システムは、イオン交換膜を有していなくてもよい。場合により、イオン交換膜は、アノードとカソードとの間の距離を最小限に抑えるように構成され得る。イオン交換膜は、約1ミクロメートル(μm)、5μm、10μm、25μm、50μm、100μm、125μm、150μm、200μm、250μm、300μm、400μm、500μm、750μm、1mm、又は1mm超の厚さを有し得る。イオン交換膜は、少なくとも約1μm、5μm、10μm、25μm、50μm、100μm、125μm、150μm、200μm、250μm、300μm、400μm、500μm、750μm、1ミリメートル(mm)、又はそれ以上の厚さを有し得る。イオン交換膜は、約1mm以下、750μm、500μm、400μm、300μm、250μm、200μm、150μm、125μm、100μm、50μm、25μm、10μm、5μm、1μm、又はそれ以下の厚さを有し得る。
【0083】
双極性膜は、双極性膜積層体であってもよい。双極膜積層体は、陽イオン交換層(例えば、膜)及び陰イオン交換層(例えば、層)を含んでもよい。場合により、双極膜積層体は、カチオン交換層とアニオン交換層との間に機械的補強材をさらに含んでもよい。双極膜積層体は、カチオン交換層がカソードに向かって配置され、アニオン交換層がアノードに向かって配置されるように構成され得る。場合により、電解質の解離又は再生を促進するために、指向性電圧を印加することができる。場合により、逆電圧バイアスを印加することができ、電圧が印加された状態で双極性膜を通過するときに電解質がカチオンとアニオンに解離することがあり得る。例えば、電圧が印加された状態で膜を通過すると、水は水酸化物イオンとヒドロニウムイオンに解離することがある。このような例では、ヒドロニウムイオンはカチオン交換層を通って拡散してカソードに向かって移動し、水酸化物イオンはアニオン交換層を通って拡散してアノードに向かって移動することができる。場合により、順方向電圧バイアスを印加することができ、水酸化物イオン及びヒドロニウムイオンがカチオン交換層及びアニオン交換層を通って二つの層の界面に向かって拡散し、水を生成し得る。場合により、生成された水は、カチオン交換層、アニオン交換層、又はそれらの組み合わせから拡散し得る。
【0084】
一部の実施形態において、膜積層体は双極膜積層体であってもよい。一部の例では、双極性膜は、アニオン交換層とカチオン交換層との間の界面又はその近傍で水を水酸化物イオンとヒドロニウムイオンに解離させることができ、水酸化物イオンはアニオン交換層に向かって及びアニオン交換層を通って移動し、ヒドロニウムイオンはカチオン交換層に向かって及びカチオン交換層を通って移動する。一部の実施形態において、膜積層体はアニオン交換層セパレータを含んでもよい。このような実施形態では、水酸化物イオンは、アニオン交換層に向かって、アニオン交換層を通って移動し、アノードに向かって移動することができる。一部の実施形態において、膜積層体はカチオン交換層セパレータを含むことができる。このような例では、ヒドロニウムイオンがコンパートメントのアノード側からカソード側に移動し得る。
【0085】
コンタクタは、カチオン交換膜積層体を含んでもよい。コンタクタは、炭素含有種の電解質への輸送を選択的に可能にする双極膜を含むことができる。コンタクタは、電解質流のpHを調節するために使用することもできる。
【0086】
場合により、コンタクタは抽出装置を含んでもよい。他の例では、抽出装置は膜分離器を含んでもよい。場合により、抽出装置は、ミクロ構造膜又はナノ構造膜を含んでもよい。場合により、コンタクタは、供給流から1以上の化学種を抽出することができる。場合により、コンタクタは、供給流からCOを抽出することができる。場合により、コンタクタは供給流からCO又はCOを分離し、CO又はCOを電解質溶液に溶解させることができる。場合により、供給流は空気であってもよい。場合により、供給流は使用前に濾過されてもよい。このような濾過は、場合により、粒子状材料及び/又は揮発性有機材料及び/又はさまざまな種類の望ましくない材料を除去することができる。ガスコンタクタにおけるCO又はCOの取り込みは、電気化学的還元システム内で生成される水酸化物イオンの存在によって促進され得る。コンタクタは、膜コンタクタ、フィルムフィル若しくはスプラッシュパッキングなどのランダム若しくは構造化気液接触パッキング、冷却塔などの充填流下膜装置、流動床、気体と接触した液体のシャワーなどであってもよい。一部の実施形態において、コンタクタは、図9に示されるカーボンナノチューブ膜などのナノ構造炭素材料からなることができる。一部の実施形態において、コンタクタ903は、図9に示されるカーボンナノチューブ膜901であることができ、図10で示されているように細孔として機能するナノチューブ1002を有することができ、図11に示すように、アミンなどの吸着性官能基1104で官能化されたナノチューブ1102の開口を有することができる。
【0087】
本開示は、ミクロ構造膜又はナノ構造膜を含む反応器及び分離システムを提供することができる。ミクロ構造膜又はナノ構造膜は、複数の化学種を含む混合物からの1以上の化学種の選択的分離を行うのに利用され得る。ミクロ構造膜又はナノ構造膜は、生成物流を物理的に分離し、電気化学システムの電気カソード又はアノードの構成要素を含む化学処理システムにおいて追加の用途を提供することもできる。
【0088】
電気化学変換システムは、分離のための1以上のユニット操作を含むことができる。分離ユニット操作には、蒸留塔、反応蒸留塔、ガス吸収塔、ストリッピング塔、例えば、触媒充填塔、フラッシュタンク、加湿器、浸出ユニット、液液抽出ユニット、乾燥機、吸着システム、イオン交換塔、膜分離ユニット、濾過ユニット、沈殿ユニット及び結晶化ユニットを用いる追加の触媒作用操作などがあり得る。化学変換システムは、熱伝達のための1以上のユニット操作を含むことができる。熱伝達ユニット操作には、マントルヒータ、カートリッジヒータ、テープヒータ、パッドヒータ、抵抗ヒータ、放射ヒータ、ファンヒータ、シェルアンドチューブ熱交換器、プレート型熱交換器、拡張表面熱交換器、かき取り表面熱交換器、凝縮器、気化器及び蒸発器が含まれ得る。化学変換システムは、流体移動のための1以上のユニット操作を含むことができる。流体移動装置は、配管、細管、金具、弁、ポンプ、ファン、ブロワ、コンプレッサ、攪拌機、アジテータ及びブレンダを含むことができる。ポンプ装置は、大気圧を超える圧力で操作されるか、真空を引き付けるために使用され得る。化学変換システムは、電気化学的還元反応器とは別に、1以上の化学反応ユニットを備え得る。化学反応ユニットは、プラグ流反応器、連続撹拌槽反応器、充填床塔、流動床反応器及びバッチ反応器を含むことができる。化学反応器は、脱水素、水素化、クラッキング、脱水、脱炭酸、カルボキシル化、アミノ化、脱アミノ化、アルキル化、脱アルキル化、酸化、還元、重合及び脱重合を含む様々な品質向上及び変換に利用され得る。
【0089】
1以上のミクロ構造膜又はナノ構造膜を含む電気化学変換システムは、1以上のユニット操作に関連するエネルギー消費を低減又は排除することができる。例えば、1以上のミクロ構造膜又はナノ構造膜を含むガス分離器は、空気からCO又はCOを分離するための蒸留塔又は別個の吸着システムの必要性を排除することができる。場合により、ミクロ構造膜又はナノ構造膜を含むユニット操作の利用により、電気化学的還元システムから1以上のポンプ、圧縮機、熱交換器、分離器、又は反応器を除外することができる。1以上のミクロ構造膜又はナノ構造膜の利用により、処理段階又は処理構成要素のエネルギー消費を少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%以上削減することができる。
【0090】
ミクロ構造膜又はナノ構造膜は、1つ以上のミクロスケール又はナノスケールの材料の特徴(例えば、ミクロスケール又はナノスケールの構造などの正の特徴、及び/又はミクロスケール及びナノスケールの細孔又はミクロスケール及びナノスケールの凹部などの負の特徴を含む)を含むことができる。場合によっては、膜は、カーボンナノチューブ、カーボンナノスフェア、カーボンナノオニオン、グラフェン様材料、又は熱分解された多孔質カーボン材料を含み得る(図9及び図10を参照)。膜は、非炭素材料から合成されたミクロ構造材料又はナノ構造材料を含むことができる。膜は、窒素、硫黄及びホウ素などの他の元素がドープされたカーボンナノ材料を含むことができる。ミクロ構造材料又はナノ構造材料は、膜を構築するために、1以上の他の基材又は材料に埋め込まれるか、固定されるか、そうでなければ結合され得る。基材又は材料に埋め込まれたミクロ構造材料又はナノ構造材料は、構造化膜内に細孔を作り出し得る。細孔は、特定の化学種の選択的な通過を可能にし得る。膜内の他の基材又は材料は、剛性、強度及び/又は電気伝導率を含む材料特性のために選択され得る。ミクロ構造膜又はナノ構造膜内の他の基材又は材料には、ポリマー、例えば、ポリスルホン、金属及びセラミックなどがあり得る。ミクロスケール又はナノスケールの特徴は、少なくとも約0.4ナノメートル(nm)、0.6nm、0.8nm、1nm、1.2nm、1.4nm、1.6nm、1.8nm、2.0nm、2.5nm、3.0nm、3.5nm、4.0nm、4.5nm、5.0nm、5.5nm、6.0nm、6.5nm、7.0nm、7.5nm、8.0nm、8.5nm、9.0nm.9.5nm.10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、200nm、300nm、400nm、500nm、600nm、700nm、800nm、900nm、1ミクロメートル、10ミクロメートル、100ミクロメートル又はそれ以上の最大寸法を有し得る。場合によっては、最大寸法は、最大約100ミクロメートル、10ミクロメートル、1ミクロメートル、900nm、800nm、700nm.600nm、500nm、400nm、300nm、200nm、100nm、90nm、80nm、70nm、60nm、50nm、40nm、30nm、20nm、10nm、9.5nm、9.0nm、8.5nm、8nm、7.5nm、7.0nm、6.5nm、6.0nm、5.5nm、5.0nm、4.5nm、4.0nm、3.5nm、3.0nm、2.5nm、2.0nm、1.8nm、1.6nm、1.4nm、1.2nm、1.0nm、0.8nm、0.6nm、又は0.4nm以下であり得る。
【0091】
ミクロ構造膜又はナノ構造膜は、その用途に応じて特定の形状及び/又は構造を備え得る。場合によっては、膜は、例えば、中空繊維膜形式を有する円筒形構造(図9及び図10を参照)を有するか、実質的に平坦なシート構造を有し得る。膜は、一定の体積又は空隙空間を部分的又は完全に囲んでもよい。閉鎖空間又は空隙空間に向かって配置された膜の表面積は、膜の管腔側と定義することができる。場合によっては、膜を横切る物質移動は、化学ポテンシャル、圧力差、及び/又は膜の管腔側と非管腔側との間の温度差によって促進され得る。膜は、記載のシステムの他の部分に膜を固定するフレーム又は金具などの追加の構造をさらに有することができる。
【0092】
ミクロ構造膜又はナノ構造膜は、膜内に細孔を作り出すように埋め込まれたミクロ又はナノ材料によって構成され得る。ミクロ又はナノ材料は、それが作り出し得る特徴的な細孔径に基づいて選択され得る。理論に拘束されることを望むものではないが、細孔とは、液体又は気体分子が流れるか拡散し得る、固体材料内の空隙空間又は体積として定義され得る。ミクロ又はナノ材料は、化学種が材料内の空隙空間を通過することを可能にするのに十分な直径、(平均)細孔径又は層間隔などの特徴的な長さスケールを有し得る。場合によっては、特徴的な長さは、少なくとも約0.4ナノメートル(nm)、0.6nm、0.8nm、1nm、1.2nm、1.4nm、1.6nm、1.8nm、2.0nm、2.5nm、3.0nm、4.0nm、5.0nm又はそれ以上であり得る。場合によっては、特徴的な長さは、約5.0nm以下、4.0nm、3.0nm、2.5nm、2.0nm、1.8nm、1.6nm、1.4nm、1.2nm、1.0nm、0.8nm、0.6nm、又は約0.4nm以下であり得る。細孔は、長さよりも大きい直径を有し得る。細孔は、直径よりも大きい長さを有し得る。細孔は、約1:10、1:5、1:2、1:1、2:1、5:1、10:1、100:1、又は約1000:1の縦横比を有し得る。細孔は、少なくとも約1:10、1:5、1:2、1:1、2:1、5:1、10:1、100:1、又は約1000:1の縦横比を有し得る。細孔は、約1000:1以下、100:1、10:1、5:1、2:1、1:1、1:2、1:5、又は約1:10以下の縦横比を有し得る。細孔は、カーボンナノチューブなどの実質的に真っ直ぐな経路、又は水平グラフェン様材料の層間の空間を備え得る。細孔は、メソポーラス又はナノポーラスカーボンなどの一部の材料では、傾いた、斜行した、又は曲がりくねった経路を有し得る。
【0093】
膜は、特徴付けられた多孔質構造を有する材料を含むことができる。材料は、ナノ細孔、メソ細孔及びミクロ細孔を含むことができる。場合によっては、ナノ細孔は、約2nm以下の平均直径を有すると特徴付けることができる。場合によっては、メソ細孔は、約2nm~約20nmの平均細孔径を有すると特徴付けることができる。場合によっては、ミクロ細孔は、約20nm以上の平均細孔径を有すると特徴付けることができる。膜は、ある範囲の細孔径にわたる細孔径を有する構造(例えば、ナノ細孔及びメソ細孔)を含むことができる。膜は、細孔径の特定の分類内からの細孔径を有する構造(例えば、メソ細孔のみ)を含むことができる。膜は、少なくとも約0.5nm、1nm、5nm、10nm、15nm、20nm、30nm、40nm、50nm、100nm、250nm、500nm、1ミクロン(μm)、又は少なくとも約5μm以上の平均直径を有する細孔(例えば、ミクロ細孔又はナノ細孔)を含むことができる。膜は、約5μm以下、1μm、500nm、250nm、100nm、50nm、40nm、30nm、20nm、15nm、10nm、5nm、1nm、0.5nm又はそれ以下の平均直径を有する細孔を含むことができる。
【0094】
ミクロ構造材料又はナノ構造材料を含む膜は、膜を横切る1以上の化学種の物質輸送を可能にし得る。ミクロ構造材料又はナノ構造材料を含む膜は、特定の種に対して選択的であり得る。場合によっては、ミクロ構造材料又はナノ構造材料を含む膜は、気体流からCOを選択的に移動させ得る。場合によっては、ミクロ構造材料又はナノ構造材料を含む膜は、気体混合物から気体状のエチレン又はエタノールを選択的に移動させ得る。場合によっては、ミクロ構造材料又はナノ構造材料を含む膜は、水性液体混合物から炭化水素を選択的に移動させ得る。ミクロ構造材料又はナノ構造材料を含む膜は、拡散又は対流物質輸送によって特定の化学種を移動させ得る。場合によっては、物質移動は、外力又は場の印加によって増強され得る。特定の場合には、物質移動は、磁場又は電場の印加によって促進又は増強され得る。他の場合には、物質移動は、圧力勾配(例えば、膜の片側に対して真空を引き付ける)によって促進され得る。場合によっては、膜の選択性は、印加された場又は力を逆転させることによって逆転させることができる。他の場合には、膜は一方向又は不変の物質移動選択性を有し得る。電気化学的還元プロセスが実行されるため、電圧バイアスが存在する場合があり得る。電圧バイアスを使用して、膜の選択性を変更することができ、例えば、アルコール選択性から水選択性へ変えることができる。電場が存在する場合には磁場も存在する可能性があり、その磁場を用いて、イオンの濃度に影響を与えることができる。磁場は、触媒表面での反応物又は中間体の利用可能性を有利に高めるように影響を受け得る。
【0095】
ミクロ構造膜又はナノ構造膜は、最適な、又は好ましい動作温度及び動作圧力を有し得る。場合によっては、ミクロ構造膜又はナノ構造膜を備えるシステムは、周囲圧力又は周囲温度で操作され得る。場合によっては、ミクロ構造膜又はナノ構造膜を備えるシステムは、高圧で、又は真空若しくは減圧下で操作され得る。圧力勾配を利用して、膜システムを横切る物質移動を促進してもよい。ミクロ構造膜又はナノ構造膜は、約-30℃、-20℃、-10℃、0℃、5℃、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、40℃、50℃、60℃、70℃、又は約80℃の動作温度を有するシステムで利用され得る。ミクロ構造膜又はナノ構造膜は、少なくとも約-30℃、-20℃、-10℃、0℃、5℃、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、40℃、50℃、60℃、70℃、又は約80℃以上の動作温度を有するシステムで利用され得る。ミクロ構造膜又はナノ構造膜は、約80℃以下、75℃、70℃、65℃、60℃、55℃、50℃、45℃、40℃、35℃、30℃、25℃、20℃、15℃、10℃、5℃、0℃、-5℃、-10℃、-20℃、又は約-30℃以下の動作温度を有するシステムで利用され得る。
【0096】
ミクロ構造膜又はナノ構造膜は、約0バール、1バール、2バール、3バール、4バール、5バール、6バール、7バール、8バール、9バール、10バール、15バール、20バール、30バール、40バール、50バール又はそれ以上の動作圧力を有するシステムで利用され得る。ミクロ構造膜又はナノ構造膜は、少なくとも約1バール、2バール、3バール、4バール、5バール、6バール、7バール、8バール、9バール、10バール、15バール、20バール、30バール、40バール、50バール又はそれ以上の動作圧力を有するシステムで利用され得る。ミクロ構造膜又はナノ構造膜は、約50バール以下、40バール、30バール、20バール、15バール、10バール、9バール、8バール、7バール、6バール、5バール、4バール、3バール、2バール、1バール又はそれ以下の動作圧力を有するシステムで利用され得る。
【0097】
ミクロ構造膜又はナノ構造膜は、膜を横切るCOの特定の流動を可能にすることができ得る。COの流動は、膜を横切る圧力勾配によって促進され得る。場合によっては、圧力勾配は、周囲圧力よりも高い圧力でCOを含む気体流によって促進され得る。他の場合には、圧力勾配は、膜の片側、例えば、管腔側に対して真空を引き付けることによって存在し得る。ミクロ構造膜又はナノ構造膜は、気体約0.1キログラム/膜1m/時間(kg/m/時)、0.5kg/m/時、1kg/m/時、2kg/m/時、3kg/m/時、4kg/m/時、5kg/m/時、6kg/m/時、7kg/m/時、8kg/m/時、9kg/m/時、又は約10kg/m/時のCO流動を可能にし得る。ミクロ構造膜又はナノ構造膜は、少なくとも約0.1kg/m/時、0.5kg/m/時、1kg/m/時、2kg/m/時、3kg/m/時、4kg/m/時、5kg/m/時、6kg/m/時、7kg/m/時、8kg/m/時、9kg/m/時、又は少なくとも約10kg/m/時のCO流動を可能にし得る。ミクロ構造膜又はナノ構造膜は、約10kg/m/時以下、9kg/m/時、8kg/m/時、7kg/m/時、6kg/m/時、5kg/m/時、4kg/m/時、3kg/m/時、2kg/m/時、1kg/m/時、0.5kg/m/時、又は約0.1kg/m/時以下のCO流動を可能にし得る。
【0098】
ミクロ構造膜又はナノ構造膜は、膜を横切る炭化水素の特定の流動を可能にすることができ得る。炭化水素の流動は、膜を横切る圧力勾配によって促進され得る。場合によっては、圧力勾配は、周囲圧力よりも高い圧力で炭化水素を含む気体又は液体流によって促進され得る。他の場合には、圧力勾配は、膜の片側、例えば、管腔側に対して真空を引き付けることによって存在し得る。ミクロ構造膜又はナノ構造膜は、炭化水素約0.1キログラム/膜1m/時間(kg/m/時)、0.5kg/m/時、1kg/m/時、2kg/m/時、3kg/m/時、4kg/m/時、5kg/m/時、6kg/m/時、7kg/m/時、8kg/m/時、9kg/m/時、又は約10kg/m/時の炭化水素流動を可能にし得る。ミクロ構造膜又はナノ構造膜は、少なくとも約0.1キログラムkg/m/時、0.5kg/m/時、1kg/m/時、2kg/m/時、3kg/m/時、4kg/m/時、5kg/m/時、6kg/m/時、7kg/m/時、8kg/m/時、9kg/m/時、又は少なくとも約10kg/m/時の炭化水素流動を可能にし得る。ミクロ構造膜又はナノ構造膜は、約10kg/m/時以下、9kg/m/時、8kg/m/時、7kg/m/時、6kg/m/時、5kg/m/時、4kg/m/時、3kg/m/時、2kg/m/時、1kg/m/時、0.5kg/m/時、又は約0.1kg/m/時以下の炭化水素流動を可能にし得る。
【0099】
1以上の化学種に対する選択性が向上した膜は、変換システムの化学変換率又は相平衡を向上させる可能性がある。理論に拘束されることを望むものではないが、膜のミクロ構造化又はナノ構造化構成要素の空隙又は細孔空間内の1以上の化学種の選択的濃縮が、空隙又は細孔空間内の1以上の化学種の体積濃度を増加させる可能性がある。場合によっては、特定の化学反応の速度論的速度の向上又は相平衡の変化が、膜のいずれかの側のバルク相濃度によって予測され得るよりも高い体積濃度を膜内で有する1以上の化学種によって促進され得る。特定の場合には、膜を介した1以上の化学種の選択的物質移動は、膜の表面に隣接する境界層で1以上の化学種の濃度を増加させ得る。1以上の化学種の境界層濃度の増加は、膜の表面に堆積された触媒に対する1以上の化学種の利用可能性を増加させる可能性がある。別の場合には、標的化学種に対するアフィニティを有してCOを捕捉するのに十分な材料は膜表面又は細孔入口の一部であることができ、その表面での標的化学種、例えばアミンの濃度を高めることで、選択的輸送を促進することができる。別の場合には、膜内のミクロ構造材料又はナノ構造材料の空隙又は細孔空間内に触媒が堆積され、バルク流による触媒への1以上の化学種の増加した物質移動の直接移動を可能にし得る。
【0100】
1以上の化学種に対する膜の物質移動選択性は、そのような膜を備える化学変換システム内で1以上の化学反応の反応速度の測定可能な向上を引き起こし得る。場合によっては、1以上の化学反応の反応速度は、少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、75%、100%、150%、200%、500%、又は約1000%以上増加し得る。場合によっては、1以上の化学反応の反応速度は、触媒活性の電場増強などの他の相乗効果のために、測定された反応物濃度の使用によって予測され得るよりも高い可能性がある。場合によっては、1以上の化学種に対する膜の物質移動選択性は、そのような膜を有する化学変換システム内で1以上の化学的に望ましくない反応(例えば、副反応、分解反応)の反応速度の測定可能な低下を引き起こす可能性がある。場合によっては、1以上の望ましくない化学反応の反応速度は、少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、75%、100%、150%、200%、500%、又は約1000%以上低下し得る。
【0101】
ミクロ構造材料又はナノ構造材料を含む膜は、1以上の触媒材料をさらに含むことができる。触媒材料は、ミクロ構造材料又はナノ構造材料の表面に対して付着、結合、堆積又は機能化され得る。場合によっては、触媒は膜の表面に配置されてもよい。触媒は、触媒化学反応が起こり得る場所を制御するために、膜の特定の領域内に、又はミクロ構造化若しくはナノ構造化材料の特定の領域上に局在化され得る。触媒は、膜の細孔又は細孔様構造内に配置されてもよい。触媒によって触媒される化学反応は、膜の特定の領域上で、又は膜の細孔若しくは細孔様空間内で起こり得る。触媒は、金属原子、金属錯体又は金属粒子を含むことができる。触媒は、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウム、ケイ素、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、インジウム、スズ、アンチモン、タンタル、タングステン、オスミウム、白金、金、水銀又は鉛などの金属を含むことができる。場合によっては、ドープされたカーボンナノ材料が触媒を含むことができる。特定の場合には、Nドープカーボンナノチューブが触媒を含むことができる。別の場合には、白金、ニッケル、又は銅のナノ粒子が電着されたカーボンナノチューブが触媒を含み得る(図11を参照)。膜は、複数の触媒を含むことができる。場合によっては、1以上の触媒が膜の1以上の領域又は表面に堆積されてもよく、1以上の異なる触媒が膜の1以上の異なる領域又は表面に堆積されてもよい。膜は、物質移動が膜を横切って特定の方向に起こる際に1以上の化学反応を触媒することができ、物質移動が膜を横切って異なる方向に起こる際に1以上の異なる化学反応を触媒することができる。
【0102】
ミクロ構造化又はナノ構造化触媒膜を利用する電気化学的還元プロセスは、触媒被毒を最小限に抑えるための方法又は構成要素を利用してもよい。触媒を含むミクロ構造膜又はナノ構造膜は、触媒被毒と、他の望ましくない種の堆積との影響を軽減するために、刷新又は再生され得る。場合によっては、触媒再生のために、電気化学的還元システムから膜が取り除かれてもよい。他の場合には、酸を用いて膜を洗い流して触媒粒子を溶解させるか除去し、その後、膜表面又はナノ粒子表面に新しい触媒粒子を堆積させてもよい。
【0103】
ミクロ構造材料又はナノ構造材料を含む膜は、向上した電気的特性を有し得る。一部の態様では、膜は、ミクロ構造材料又はナノ構造材料の電気的特性のために、導電性であり得る。場合によっては、膜は半導体であり得る(例えば、特定のキラリティーのカーボンナノチューブ)。膜は、電気化学的システム内で電極として機能するように構成されてもよい。膜は、それに結合された1以上の触媒に電流を伝達することを可能にし得る。電流は、特定の触媒化学反応に対する触媒の反応性を向上させる可能性がある。場合によっては、ミクロ構造膜又はナノ構造膜を横切る特定の化学種の選択的物質移動により、膜電極で達成される電流密度が増加する可能性がある。
【0104】
ミクロ構造材料又はナノ構造材料を含む膜は、様々な目的に利用され得る。場合によっては、膜は、第1の気体混合物から第2の気体混合物への化学種の物質移動を可能にし得る。場合によっては、膜は、気相から液相への化学種の物質移動を可能にし得る。場合によっては、膜は、第1の液体混合物から第2の液体混合物への化学種の物質移動を可能にし得る。場合によっては、膜は、化学反応が起こり得る触媒部位への化学種の物質移動を可能にし得る。場合によっては、膜を利用して、化学的分離及び触媒作用をともに行うことができる。場合によっては、電場又は他の場若しくは力の方向性のある印加によって、膜が分離と触媒作用との間で循環されてもよい。他の場合には、膜は、触媒と化学的分離とを同時に行うことができる。
【0105】
場合により、熱交換器及び冷却又は加熱システムを使用して、各種のリザーバ、積層体その他のユニット要素内で所望の温度を維持することができる。場合により、化学的還元が起こるコンタクタユニットは、ミクロ構造膜又はナノ構造膜を含むことができる。ミクロ構造膜又はナノ構造膜は、1以上の触媒を含んでもよい。他の場合には、触媒作用プロセスは、同じ筐体内にアノード及びカソードを含む従来の電気化学的「積層体」を含むことができる。場合によっては、イオン交換膜が使用されてもよい。場合によっては、各種の触媒膜が使用可能であるか、別法として、他の還元方法によってCOの所望の還元を達成してもよい。酸素その他の酸化種もまた、そのようなプロセスによって生成され、大気中に放出されるか、有益な用途に使用され得る。
【0106】
電解質溶液を使用して、空気から捕捉されたCOを捕捉するためのシステム及び方法の例を提供する。
【0107】
COを電解質に溶解させることになる統合CO捕捉プロセスの各種実施形態が考えられる。場合により、図1に描いたように、電気化学的CO還元プロセスで使用するための電解質溶液を含む電解質流102が、リザーバ101からコンタクタ103に流れることができ、そこでCO含有ガスと接触する。そのCO含有ガスは、大気からの空気であってもよい。場合により、電解質流102のpHを制御して、COがCO含有ガスから電解質溶液中に捕捉されるようにすることができる。場合により、電解質流102の温度を制御して、COがCO含有ガスから電解質溶液中に吸収されるようにすることができる。コンタクタ103を出た後、電解質流110は第2の電解質リザーバ108に向かわせることができる。場合により、CO含有ガスは、やはり電解質流によって吸収される可能性のある水も含む。電解質流102又はコンタクタ103のいずれか他の構成要素の温度を制御して、特に水の捕捉を促進させることができる。水は、COの炭化水素への変換における反応物質であり得ることから、空気及び/又は別の供給源からのCOによる捕捉など、異なる供給源から水が反応に供給され得る。吸収流体の温度をCO含有ガス源(例えば、空気)の露点よりも低くすると、空気からの凝縮により水が同時に捕捉される可能性がある。
【0108】
別の例では、図2に示すように、電気化学的CO還元プロセスで使用するための電解質溶液を含む電解質流202を、電解質リザーバ201からpH制御ユニット204に向けることができる。電解質流202のpHを調節して、COの捕捉を容易にすることができる。pH制御ユニット204は、電解質流202のpHを10~15の間に上昇させることができる。例えば、流れ211は、pH制御ユニット204を通過した後、約10、11、12、13、14、又は15のpHを有し得る。場合により、電解質流211はコンタクタ203に入ることができ、そこでCO含有流体と接触する。場合により、CO含有流体は大気である。コンタクタ203内でのCOの捕捉により、電解質のpHが7~9の間に低下する可能性がある。例えば、コントラクター(contractor)203内でのCOの捕捉後、流れ210は約7、8、又は9のpHを有する可能性がある。コンタクタ203を出た後、電解質流210を、第2の電解質リザーバ208に続いて入れることができる。場合により、CO含有ガスは、やはり吸収される可能性のある水をも含む。場合により、電解質流又はコンタクタ203のいずれか他の構成要素の温度を制御することで、特に水の捕捉を促進することができる。一部の実施形態において、COは、pH制御ユニット内で還元される。一部の実施形態において、pH制御ユニットは、コンタクタとは別の筐体内にある。一部の実施形態において、pH制御ユニット及びコンタクタは同じ筐体内にある。一部の実施形態において、筐体は複数のコンパートメント又はチャンバを有する。一部の実施形態において、pH制御ユニットは、コンタクタを含むコンパートメント又はチャンバーとは別のコンパートメント又はチャンバー内にある。一部の実施形態において、pH制御ユニットはコンタクタと同じチャンバ内にある。一部の実施形態において、pH制御ユニットは膜内に含まれる。
【0109】
別の例では、図3に示されるように、電気化学的CO還元プロセスに使用される電解質溶液を含む電解質流302を、電解質リザーバ301からpH制御ユニット304に導くことができる。電解質流302のpHを調節して、COの捕捉を容易にすることができる。pH制御ユニット304は、電解質流のpHを10~15に調節することができる。例えば、流れ311は、pH制御ユニット304を通過した後、約10、11、12、13、14、又は15のpHを有し得る。場合により、電解質ストリーム311はコンタクタ303に入ることができ、そこでCO含有流体と接触する。場合により、CO含有流体は大気である。コンタクタ303を出た後、電解質流312は、第2のpH制御ユニット307に続いて入ることができる。電解質流312のpHを調節して、COの還元を促進することができる。第2のpH制御ユニット307は、電解質流のpHを7~10に調節することができる。例えば、流れ310は、コントラクター(contractor)307内でCOを捕捉した後、約7、8、9、又は10のpHを有し得る。電解質流310は、第2の電解質リザーバ308に続いてもよい。場合により、CO含有ガスは、やはり吸収される可能性のある水をも含む。場合により、電解質流又はコンタクタ303のいずれか他の構成要素の温度を制御することで、特に水の捕捉を促進することができる。一部の実施形態において、COは、pH制御ユニット内で還元される。一部の実施形態において、電解質流310はまた、還元炭素生成物を含み得る。一部の実施形態において、還元炭素生成物は電解質流310から分離される。一部の実施形態において、電解質流310は、電気化学的還元システムで再利用され得る。一部の実施形態において、pH制御ユニットは、コンタクタとは別の筐体内にある。一部の実施形態において、pH制御ユニット及びコンタクタは同じ筐体内にある。一部の実施形態において、筐体は複数のコンパートメント又はチャンバを有する。一部の実施形態において、pH制御ユニットは、コンタクタを含むコンパートメント又はチャンバーとは別のコンパートメント又はチャンバー内にある。一部の実施形態において、pH制御ユニットはコンタクタと同じチャンバ内にある。一部の実施形態において、pH制御ユニットは膜内に含まれる。
【0110】
別の例では、図4に示されるように、電気化学的CO還元プロセスに使用される電解質溶液を含む電解質流402は、電解質リザーバ401からpH制御ユニット406に導かれ得る。pH制御ユニット406は電解質流402のpHを調節して、COの捕捉を促進することができる。pH制御ユニット406は、電解質流のpHを10~15に調節することができる。例えば、流れ411は、pH制御ユニット406を通過した後、約10、11、12、13、14、又は15のpHを有し得る。場合により、電解質流411はコンタクタ403に入り、そこでCO含有流体と接触することができる。場合により、CO含有流体は大気である。コンタクタ403を出た後、電解質流412は、pH制御ユニット406に再び入ることができる。pH制御ユニット406は電解質流412のpHを調節して、COの還元を促進することができる。pH制御ユニット406は、電解質流のpHを7~10に調節することができる。流れ410は、pH制御ユニット406を通過した後、約7、8、9、又は10のpHを有し得る。電解質流410は、第2の電解質リザーバ408に続いて入ってもよい。場合により、CO含有ガスは、やはり吸収される可能性のある水をも含む。場合により、電解質流又はコンタクタ403のいずれか他の構成要素の温度を制御して、特に水の捕捉を促進することができる。pH制御ユニット406は、一方の投入流402のpHを上昇させ、他方の投入流412のpHを低下させることができる双極性膜積層体又は電気化学的積層体であることができる。例えば、流れ402のpHは流れ411のpHより低くてもよく、流れ412のpHは流れ410のpHより高くてもよい。pH制御ユニット406は、COを還元できる電気化学的積層体であることができる。COは、電解質流412中に捕捉され、重炭酸イオン又は炭酸イオンの形態であってもよい。電気化学的積層体406内で起こり得る還元反応は、水酸化物イオンを生成することができる。水酸化物イオンは膜積層体のアニオン交換層を通って拡散し、アノードに向かって移動し得る。アノードは、投入電解質流402と接触していてもよい。水酸化物イオンを流れ402に添加してもよい。水酸化物イオンの添加により、流れ402のpHを上昇させ、そして流れ412のpHを低下させることができる。一部の実施形態において、電解質流410はまた、還元炭素生成物も含み得る。一部の実施形態において、還元炭素生成物は電解質流410から分離される。一部の実施形態において、電解質流410は、電気化学的還元システムで再利用され得る。この電気化学的積層体406は、CO還元のために最適化されるのではなく、むしろpH調節のために最適化され得る。一部の実施形態において、COは、pH制御ユニット内で還元される。一部の実施形態において、pH制御ユニットは、コンタクタとは別の筐体内にある。一部の実施形態において、pH制御ユニット及びコンタクタは同じ筐体内にある。一部の実施形態において、筐体は複数のコンパートメント又はチャンバを有する。一部の実施形態において、pH制御ユニットは、コンタクタを含むコンパートメント又はチャンバーとは別のコンパートメント又はチャンバー内にある。一部の実施形態において、pH制御ユニットはコンタクタと同じチャンバ内にある。一部の実施形態において、pH制御ユニットは膜内に含まれる。
【0111】
別の例では、図5に示されるように、電気化学的CO還元プロセスに使用される電解質溶液を含む電解質流502は、電解質リザーバ501からpH制御ユニット504に向かわせることができる。電解質流502のpHを調節して、COの捕捉を容易にすることができる。場合により、pH制御ユニット504を通過した後、電解質流511はコンタクタ503に入ることができ、そこでCO含有流体と接触する。場合により、CO含有流体は大気である。コンタクタ503を出た後、電解質流512は、第2のpH制御ユニット507に続いて入ることができる。一部の実施形態において、COは、pH制御ユニット507で還元される。一部の実施形態において、電解質流510は、還元炭素生成物を含んでいることもできる。一部の実施形態において、還元炭素生成物は電解質流510から分離される。一部の実施形態において、電解質流510は、電気化学的還元システムにおいて再利用され得る。電解質流512のpHを調節して、COの還元を促進することができる。pH制御ユニット507を通過した後、電解質流510は、第2の電解質リザーバ508に続いて入ることができる。酸流及び塩基流509を生成する別の方法を使用して、それぞれpH制御ユニット507及び504においてpHを調節するのに使用される酸513及び塩基514を生成することができる。場合により、CO含有ガスは、やはり吸収され得る水をも含む。場合により、電解質流又はコンタクタ503のいずれか他の構成要素の温度を制御することで、特に水の捕捉を促進することができる。一部の実施形態において、COは、pH制御ユニット内で還元される。一部の実施形態において、pH制御ユニットは、コンタクタとは別の筐体内にある。一部の実施形態において、pH制御ユニット及びコンタクタは同じ筐体内にある。一部の実施形態において、筐体は複数のコンパートメント又はチャンバを有する。一部の実施形態において、pH制御ユニットは、コンタクタを含むコンパートメント又はチャンバとは別のコンパートメント又はチャンバ内にある。一部の実施形態において、pH制御ユニットはコンタクタと同じチャンバ内にある。一部の実施形態において、pH制御ユニットは膜内に含まれる。
【0112】
別の例では、図6に描いたように、電気化学的CO還元プロセスで使用される電解質溶液を含む電解質流602は、リザーバ601からコンタクタ605に流れることができ、そこでCO含有ガスと接触する。CO含有ガスは大気であってもよい。場合により、電解質流602のpHを制御して、COがCO含有ガスから電解質溶液中に捕捉されるようにすることができる。場合により、電解質流602の温度を制御して、COがCO含有ガスから電解質溶液中に捕捉されるようにすることができる。コンタクタ605には、CO含有ガスからのCOの捕捉を促進する材料を含ませることができる。一部の実施形態において、その材料は固体吸着剤である。場合により、その材料は反応性化学吸着剤の固体基材である。このような材料の一例は、アミンで官能化されたポリスチレンビーズである。別の例は、カーボンナノチューブ、バックミンスターフラーレン又はグラフェンなどの活性化若しくはナノ構造炭素材料である。コンタクタ605を出た後、電解質流610は第2の電解液リザーバ608に進むことができる。場合により、CO含有ガスは、やはり吸収され得る水をも含む。電解質流602又はコンタクタ605のいずれか他の構成要素の温度を制御して、特に水の捕捉を促進することができる。
【0113】
別の例では、図7に描いたように、電気化学的CO還元プロセスで使用するための電解質溶液を含む電解質流702は、電解質リザーバ701からpH制御ユニット706に向けることができる。電解質流702のpHを調節して、COの捕捉を容易にすることができる。pH制御ユニット706は、電解質流のpHを10~15に調節することができる。流れ711は、pH制御ユニット706を通過した後、約10、11、12、13、14、又は15のpHを有し得る。場合により、pH調節された電解質流711は、コンタクタ703に入ることができ、COを捕捉するのに十分な液体材料と接触させることができる。液体材料は、水酸化物水溶液、アミン溶液、イオン性液体、又はCOを捕捉するのに十分な他の液体材料であってもよい。希薄CO捕捉液体715は、コンタクタ703を出て、コンタクタ705に導かれることができ、そこでCO含有流体と接触することができる。CO含有流体は大気であることができる。CO豊富捕捉液体716は、コンタクタ705を出て、コンタクタ703に向かわせることができ、そこで電解質流711と接触することができる。CO富化電解質流712は、コンタクタ703を出て、pH制御ユニット706に向かわせることができる。電解質流712のpHを最適化して、COの還元を促進させることができる。pH制御ユニット706は、電解質流のpHを7~10に調節することができる。例えば、流れ710は、pH制御ユニット706を通過した後、約7、8、9、又は10のpHを有し得る。pH調節された電解質流710は、第2の電解質リザーバ708に続いて入ることができる。一部の実施形態において、電解質流710はまた、還元炭素生成物を含むことができる。一部の実施形態において、還元炭素生成物は電解質流710から分離される。一部の実施形態において、電解質流710は電気化学的還元システムで再利用され得る。場合により、CO含有ガスは、やはり吸収され得る水をも含む。場合により、電解質流又はコンタクタ703のいずれか他の構成要素の温度を制御することで、特に水の捕捉を促進することができる。pH制御ユニット706は、一方の投入流702のpHを上昇させ、他方の投入流712のpHを低下させることができる双極性膜積層体又は電気化学的積層体であることができる。例えば、流れ702のpHは流れ711のpHより低くてもよく、流れ712のpHは流れ710のpHより高くてもよい。pH制御ユニット706は、COを還元できる電気化学的積層体であってもよい。COは、電解質溶液中に捕捉され、重炭酸イオン又は炭酸イオンの形態であってもよい。706における還元反応により、水酸化物イオンが生成され得る。水酸化物イオンは、電気化学的積層体のアニオン交換層を通って拡散し、アノードに向かって移動して、流れ702のpHを上昇させ、流れ712のpHを低下させることができる。この電気化学的積層体706は、CO還元のために最適化されるのではなく、むしろpH調整のために最適化され得る。一部の実施形態において、COは、pH制御ユニット内で還元される。一部の実施形態において、pH制御ユニットは、コンタクタとは別の筐体内にある。一部の実施形態において、pH制御ユニット及びコンタクタは同じ筐体内にある。一部の実施形態において、筐体は複数のコンパートメント又はチャンバを有する。一部の実施形態において、pH制御ユニットは、コンタクタを含むコンパートメント又はチャンバとは別のコンパートメント又はチャンバ内にある。一部の実施形態において、pH制御ユニットはコンタクタと同じチャンバ内にある。一部の実施形態において、pH制御ユニットは膜内に含まれる。
【0114】
別の例では、図8で描いたように、電気化学的CO還元プロセスで使用するための電解質溶液を含む電解質流802は、電解質リザーバ801からコンタクタ805に導かれ、そこでCOを捕捉するのに十分な液体材料と接触することができる。液体材料は、水酸化物水溶液、アミン溶液、イオン性液体、又は他の液体材料であってもよい。希薄CO捕捉液体811は、コンタクタ805を出て、コンタクタ803に導かれ、そこでCO含有流体と接触することができる。CO含有流体は大気であってもよい。CO豊富捕捉液体812は、コンタクタ803を出て、コンタクタ805に導かれ、そこで電解質流802と接触することができる。CO豊富電解質流810は、コンタクタ805を出て、第2の電解質リザーバ808に続いて入ることができる。場合により、CO含有ガスは、やはり吸収され得る水をも含む。場合により、電解質流又はコンタクタ805のいずれか他の構成要素の温度を制御することで、特に水の捕捉を促進することができる。コンタクタ805は、アニオン交換膜、カチオン交換膜、又は双極性膜積層体を含む双極性膜積層体であってもよい。コンタクタ805はまた、CO豊富捕捉液体812から電解質流802への炭素含有種の輸送を選択的に可能にし得る膜を有してもよい。コンタクタ805はまた、投入流802及び812のpHを調節することもできる。
【0115】
一部の実施形態において、コンタクタ、pH制御ユニット、及びアノード及びカソードを含む電気化学的還元システムは、同じ筐体内にあってもよい。一部の実施形態において、コンタクタは、pH制御ユニット及びアノード及びカソードを含む電気化学的還元システムとは別の筐体内にあってもよい。一部の実施形態において、pH制御ユニットと、アノード及びカソードを含む電気化学的還元システムとが、同じ筐体内にあってもよい。一部の実施形態において、コンタクタ、pH制御ユニット、及びアノード及びカソードを含む電気化学的還元システムは、別個の筐体内に収容されてもよい。一部の実施形態において、アノード及びカソードを有する電気化学的還元システムは、アノード、カソード、電源、膜、又はそれらの組み合わせを収容する追加のチャンバ又はコンパートメントをさらに含むことができる。
【0116】
コンピュータシステム
本開示は、本開示の方法を実装するようにプログラムされたコンピュータシステムを提供する。図12は、化学的還元システム、又は化学的還元システム内のプロセスを制御する(例えば、電解質流のpHを制御及び平衡化する)ようにプログラムされているか、そうでなければ構成されているコンピュータ制御システム1201を示す。コンピュータ制御システム1201は、例えば、還元炭素生成物を生成する方法、又は潜在的に危険な動作条件を監視する方法など、本開示の方法の様々な態様を調整することができる。コンピュータ制御システム1201は、ユーザの電子装置、又は電子装置に対して遠隔に配置されたコンピュータシステム上に実装することができる。電子装置は、携帯型電子装置であることができる。
【0117】
コンピュータシステム1201は、中央処理装置(CPU、本明細書では「プロセッサ」及び「コンピュータプロセッサ」)1205を含み、中央処理装置はシングルコア若しくはマルチコアプロセッサ、又は並列処理のための複数のプロセッサであり得る。コンピュータシステム1201はまた、メモリ又はメモリ位置1210(例えば、ランダムアクセスメモリ、読み取り専用メモリ、フラッシュメモリ)、電子記憶ユニット1215(例えば、ハードディスク)、1以上の他のシステムとの通信のための通信インターフェース1220(例えば、ネットワークアダプタ)、及び周辺装置1225、例えば、キャッシュ、他のメモリ、データ記憶及び/又は電子ディスプレイアダプタを含む。メモリ1210、記憶ユニット1215、インターフェース1220及び周辺装置1225は、マザーボードなどの通信バス(実線)を介してCPU1205と通信する。記憶ユニット1215は、データを記憶するためのデータ記憶ユニット(又はデータリポジトリ)であり得る。コンピュータシステム1201は、通信インターフェース1220の助けを借りて、コンピュータネットワーク(「ネットワーク」)1230に動作可能に結合され得る。ネットワーク1230は、インターネット、インターネット及び/又はエクストラネット、又はインターネットと通信するイントラネット及び/又はエクストラネットであり得る。場合によっては、ネットワーク1230は電気通信及び/又はデータネットワークである。ネットワーク1230は、クラウドコンピューティングなどの分散コンピューティングを可能にすることができる1以上のコンピュータサーバを含むことができる。場合によっては、ネットワーク1230は、コンピュータシステム1201の助けを借りて、ピアツーピアネットワークを実装することができ、これにより、コンピュータシステム1201に結合された装置がクライアント又はサーバとして動作することが可能になり得る。
【0118】
CPU1205は、一連の機械可読命令を実行することができ、機械可読命令はプログラム又はソフトウェアで具体化することができる。命令は、メモリ1210などのメモリ位置に記憶されてもよい。命令は、CPU1205に導かれることができ、命令は、その後、本開示の方法を実装するようにCPU1205をプログラム又は構成し得る。CPU1205によって実行される動作の例には、フェッチ、デコード、実行及びライトバックが挙げられ得る。
【0119】
CPU1205は、集積回路などの回路の一部であり得る。システム1201の1以上の他の構成要素が回路に含まれ得る。場合によっては、回路は特定用途向け集積回路(ASIC)である。
【0120】
記憶ユニット1215は、ドライバ、ライブラリ及び保存されたプログラムなどのファイルを記憶することができる。記憶ユニット1215は、ユーザデータ、例えば、ユーザ嗜好及びユーザプログラムを記憶することができる。場合によっては、コンピュータシステム1201は、イントラネット又はインターネットを介してコンピュータシステム1201と通信するリモートサーバ上に位置するなど、コンピュータシステム1201の外部にある1以上の追加のデータ記憶ユニットを含むことができる。
【0121】
コンピュータシステム1201は、ネットワーク1230を介して1以上のリモートコンピュータシステムと通信することができる。例えば、コンピュータシステム1201は、ユーザ(例えば、電解質流のpH及び温度をモニタリングするユーザ)のリモートコンピュータシステムと通信することができる。リモートコンピュータシステムの例には、パーソナルコンピュータ(例えば、ポータブルPC)、スレート若しくはタブレットPC(例えば、Apple(登録商標)iPad(登録商標)、Samsung(登録商標)Galaxy Tab)、電話、スマートフォン(例えば、Apple(登録商標)iPhone(登録商標)、Android対応装置、Blackberry(登録商標))又は携帯情報端末が挙げられる。ユーザは、ネットワーク1230を介してコンピュータシステム1201にアクセスすることができる。
【0122】
本明細書に記載の方法は、例えば、メモリ1210又は電子記憶ユニット1215など、コンピュータシステム1201の電子記憶位置に記憶された機械(例えば、コンピュータプロセッサ)実行可能コードによって実装することができる。機械実行可能コード又は機械可読コードは、ソフトウェアの形態で提供され得る。使用中、プロセッサ1205によってコードを実行することができる。場合によっては、コードは、プロセッサ1205による容易なアクセスのために、記憶ユニット1215から検索され、メモリ1210に記憶され得る。いくつかの状況では、電子記憶ユニット1215を除外することができ、機械実行可能命令がメモリ1210に記憶される。
【0123】
コードは、コードを実行するように構成されたプロセッサを有する機械を用いて使用するために事前コンパイル及び構成することができるか、実行時にコンパイルすることができる。コードは、事前コンパイル又はアズコンパイル(as-compiled)の様式でコードを実行可能にするように選択され得るプログラミング言語で供給されてもよい。
【0124】
コンピュータシステム1201など、本明細書で提供されるシステム及び方法の態様は、プログラミングで具体化することができる。この技術の様々な態様は、代表的には、機械(又はプロセッサ)実行可能コード及び/又はあるタイプの機械可読媒体に搭載又は具体化される関連データの形態で、「製品」又は「製造品」と考えられ得る。機械実行可能コードは、メモリ(例えば、読み取り専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、フラッシュメモリ)又はハードディスクなどの電子記憶ユニットに記憶することができる。「記憶」タイプの媒体には、コンピュータ、プロセッサなど、又はその関連モジュールの有形メモリのいずれか又は全部、例えば、ソフトウェアプログラミングに対して任意の時点で非一時的記憶を提供し得る様々な半導体メモリ、テープドライブ、ディスクドライブなどが含まれ得る。ソフトウェアの全部又は一部は、時に、インターネット又は他の様々な電気通信ネットワークを介して通信されてもよい。そのような通信は、例えば、あるコンピュータ又はプロセッサから別のコンピュータ又はプロセッサ、例えば管理サーバ又はホストコンピュータからアプリケーションサーバのコンピュータプラットフォームへのソフトウェアのローディングを可能にし得る。したがって、ソフトウェア要素を搭載し得る別のタイプの媒体には、ローカル装置間の物理的インターフェースにわたって、有線及び光固定電話ネットワークを通じて、並びに様々なエアリンクを介して使用されるような光波、電波及び電磁波が含まれる。例えば、有線リンク又は無線リンク、光学式リンクなど、そのような波を運ぶ物理的要素もまた、ソフトウェアを搭載した媒体と考えられ得る。本明細書で使用される場合、非一時的な有形の「記憶」媒体に限定されない限り、コンピュータ又は機械「可読媒体」などの用語は、実行のためにプロセッサに命令を提供することに関与する任意の媒体を指す。
【0125】
したがって、コンピュータ実行可能コードなどの機械可読媒体は、有形の記憶媒体、搬送波媒体又は物理的伝送媒体など(これらに限定されるものではない)の多くの形態を取り得る。不揮発性記憶媒体には、例えば、図面に示されるデータベースなどを実装するために使用され得るような、任意の(1以上の)コンピュータなどの記憶装置のいずれかなどの光学又は磁気ディスクが含まれる。揮発性記憶媒体には、そのようなコンピュータプラットフォームのメインメモリなどの動的メモリが含まれる。有形伝送媒体には、同軸ケーブル、すなわち、コンピュータシステム内のバスを構成する配線を含む銅線及び光ファイバが含まれる。搬送波伝送媒体は、無線周波数(RF)及び赤外(IR)データ通信中に生成されるものなど、電気信号若しくは電磁信号、又は音波若しくは光波の形態を取り得る。したがって、一般的な形態のコンピュータ可読媒体には、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、他の任意の磁気媒体、CD-ROM、DVD若しくはDVD-ROM、他の任意の光学媒体、パンチカード紙テープ、穴のパターンを有する他の任意の物理記憶媒体、RAM、ROM、PROM及びEPROM、FLASH-EPROM、他の任意のメモリチップ若しくはカートリッジ、データ若しくは命令を運ぶ搬送波、そのような搬送波を運ぶケーブル若しくはリンク、又はコンピュータがそこからプログラミングコード及び/又はデータを読み取り得る他の任意の媒体が含まれる。これらの形態のコンピュータ可読媒体の多くは、実行のためにプロセッサに1以上の命令の1以上のシーケンスを運ぶことに関与し得る。
【0126】
コンピュータシステム1201は、例えば、電解質流のpH及び/又は温度を提供するためのユーザインターフェース(UI)1240を含む電子ディスプレイ1235を含むか、それと通信することができる。UIの例には、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)、及びWebベースのユーザインターフェースなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0127】
本開示の方法及びシステムは、1以上のアルゴリズムによって実装することができる。アルゴリズムは、中央処理装置1205による実行時にソフトウェアによって実装することができる。アルゴリズムは、例えば、コンタクタを通る、COを含む気体流の流量を調整して、電解質溶液のpH又はバイカーボネート濃度を最適化することができる。別の例として、アルゴリズムは、特定の化学種に対する膜の選択性を制御するために、ミクロ構造膜又はナノ構造膜に印加される電場を調整することができる。
【実施例
【0128】
COのエタノールへの変換
1例において、COは流入空気流から捕捉され、エタノールに還元される。この例では、COを含む流入空気流が電気化学的還元システムのコンタクタ内に導かれる。電解質溶液をコンタクタに向かわせることもできる。電解質溶液は水を含んでもよい。空気流を水と接触させると、COは水と反応して、炭酸を介して重炭酸イオン及びヒドロニウムイオンを形成することができる。この時点で、COは重炭酸イオンとして水分子に捕捉され得る。重炭酸イオンを含む水流は、膜と電源を備えたコンパートメントに導かれる。重炭酸イオンは、電圧が印加されると(例えば、還元)、変換されてエタノールイオンと水酸化物イオンを形成する。場合により、還元炭素生成物であるエタノールは、特に未反応の重炭酸イオンや水酸化物イオンから分離するために膜を通過することができる。還元炭素生成物が膜を通過すると、膜の元の側の溶液のpHが上昇し得る。pHの上昇により、未反応の重炭酸イオンの炭酸イオンと水への変換が促進され得る。さらに、pHが上昇した溶液は、流入空気流から水へのCOの捕捉をさらに促進することができる。したがって、水及び/又は水酸化物イオンの生成を通じて電解質が再生され、その電解質を用いて、二酸化炭素の捕捉及び還元のサイクルを1回以上繰り返すことができる。
【0129】
本開示の方法及びシステムは、例えば米国特許第10,590,548号及びWO/2020/131837に開示されているものなどの他の方法及びシステムと組み合わせるか、又はそれらによって改変することができ、これらのそれぞれは参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0130】
本発明の好ましい実施形態を本明細書に示し、説明してきたが、そのような実施形態が例としてのみ提供されていることは当業者には明らかであろう。本発明が本明細書内で提供される特定の例によって限定されることは意図されない。上記明細書を参照して本発明を説明してきたが、本明細書での実施形態の説明及び例示は、限定の意味で解釈されることを意図していない。ここで、本発明から逸脱することなく、多数の変形例、変更及び置換が当業者に思い浮かぶであろう。さらに、本発明のすべての態様は、様々な条件及び変数に依存する本明細書に記載の特定の図、構成又は相対比率に限定されないことは理解されよう。理解すべき点として、本明細書に記載される本発明の実施形態に対する様々な代替物が、本発明を実施する際に使用され得る。したがって、本発明が、任意のそのような代替物、修正、変形例又は均等物も包含することが企図される。添付の特許請求の範囲が本発明の範囲を規定し、これらの特許請求の範囲内の方法及び構造並びにそれらの均等物が特許請求の範囲によって包含されることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図13C
【国際調査報告】