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特表2024-509749確実に器具を案内するための協調的な医療ロボット
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-05
(54)【発明の名称】確実に器具を案内するための協調的な医療ロボット
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/32 20160101AFI20240227BHJP
   A61B 34/20 20160101ALI20240227BHJP
【FI】
A61B34/32
A61B34/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023549828
(86)(22)【出願日】2022-03-14
(85)【翻訳文提出日】2023-09-21
(86)【国際出願番号】 FR2022050456
(87)【国際公開番号】W WO2022195210
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】2102647
(32)【優先日】2021-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520148884
【氏名又は名称】クアンタム サージカル
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】アオアクリア,モハメド ファエド
(72)【発明者】
【氏名】ブロンデル,リュシアン
(72)【発明者】
【氏名】ナホム,ベルタン
(72)【発明者】
【氏名】バダノ,フェルナンド
【テーマコード(参考)】
4C130
【Fターム(参考)】
4C130AA04
4C130AA24
4C130AA32
4C130AB06
4C130AD02
4C130AD09
4C130AD11
4C130CA11
(57)【要約】
本発明は、患者(20)の関連する解剖学的部分への医療的介入の最中に、施術者を支援するための医療ロボット(10)に関する。医療ロボットは、一方の端部に、医療器具(15)を案内することを意図したツールガイド(14)を備えるロボットアーム(13)を含む。医療ロボット(10)はまた、ロボットアーム(13)の動きを制御するように構成された制御装置(12)を含む。ツールガイド(14)は力センサーに結合される。医療ロボット(10)が「協調手動制御」モードで使用されるとき、制御装置(12)は、力センサーを使用して、施術者によってツールガイド(14)にもたらされる力を決定し、且つ決定された力に用いられる利得係数に基づいて、ツールガイドの動きの速度を計算するように構成される。好都合なことに、利得係数の値は、可変であり、且つ決定された力に基づいて計算される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者(20)の解剖学的構造の関連部分での医療処置の最中に、施術者を支援するための医療ロボット(10)であって、前記医療ロボット(10)は、遠位端部に、医療器具(15)を案内するように設計されているツールガイド(14)を含むロボットアーム(13)、並びに前記ロボットアーム(13)の変位を制御するように構成されている制御装置(12)を含み、前記ツールガイド(14)は力センサー(16)に結合されており、及び、前記医療ロボット(10)が「協調手動制御」モードで使用されるとき、前記制御装置(12)は:
- 前記力センサー(16)を用いて、前記施術者によって前記ツールガイド(14)にもたらされる力を決定し;
- そのように決定された前記力に用いられる利得係数に従って、前記ツールガイド(14)の変位の速度を計算し;
- そのように計算された前記速度に従って、前記ロボットアーム(13)の前記変位を制御する
ように構成される、医療ロボットにおいて、
前記利得係数の値は可変であり、且つ前記施術者によって前記ツールガイドにもたらされる前記力に従って計算されることを特徴とする、医療ロボット(10)。
【請求項2】
前記利得係数は、前記制御装置(12)によって実施される「比例、積分、微分」補正器の比例パラメータに対応する、請求項1に記載の医療ロボット(10)。
【請求項3】
前記制御装置(12)はまた、少なくとも1つの方向において前記ツールガイド(14)の前記変位を防止するように構成される、請求項1又は2に記載の医療ロボット(10)。
【請求項4】
前記制御装置(12)はまた、前記ツールガイド(14)の前記変位を、前記ツールガイド(14)の主軸(145)に対応する単一方向に制限するように構成される、請求項1~3のいずれか1項に記載の医療ロボット(10)。
【請求項5】
前記利得係数の前記値は:
【数1】
(式中、G(f)は、前記利得係数であり;Kは、定数であり;|f|は、前記力センサー(16)を用いて前記制御装置(12)によって決定される、前記施術者によって前記ツールガイド(14)にもたらされる前記力であり、Fmin及びFmaxは、前記施術者によってもたらされる前記力の最小値及び最大値にそれぞれ対応する)
によって定義される、請求項1~4のいずれか1項に記載の医療ロボット。
【請求項6】
前記制御装置(12)は、前記ツールガイド(14)の現在の位置と前記ツールガイドが到達する必要がある標的位置との間の距離に同様に従って、前記ツールガイド(14)の前記変位の速度を計算するように構成される、請求項1~5のいずれか1項に記載の医療ロボット(10)。
【請求項7】
前記ロボットアーム(13)は、少なくとも6自由度を備える関節アームである、請求項1~6のいずれか1項に記載の医療ロボット(10)。
【請求項8】
前記医療ロボット(10)が「医療器具挿入」モードで使用されているとき、前記制御装置(12)は、前記ツールガイド(14)のいずれの変位も防止するように構成され、及び、前記力センサー(16)を用いて、前記制御装置(12)は、前記医療器具(15)にもたらされる力を決定するように構成され、前記ツールガイド(14)は、前記制御装置(12)からのコマンドで、前記医療器具(15)を自動的に解放する手段を含み、及び前記制御装置(12)は、前記医療器具(15)にもたらされる前記力が予め決められた閾値よりも大きいとき、又は前記医療器具(15)にもたらされる前記力の変化が、所与の期間にわたって、予め決められた閾値よりも大きいとき、前記医療器具(15)を解放するように前記ツールガイド(14)にコマンドを出すように構成される、請求項1~7のいずれか1項に記載の医療ロボット(10)。
【請求項9】
前記ツールガイド(14)は、ナビゲーションシステム(30)によって検出され得る少なくとも1つのマーカ(147)を含み、及び前記制御装置(12)は:
- 前記ナビゲーションシステム(30)の基準における前記ツールガイド(14)の位置に関する第1の情報を前記ナビゲーションシステム(30)から受信し;
- 前記ナビゲーションシステム(30)の前記基準における、前記ツールガイド(14)が到達する必要がある標的位置に関する第2の情報を前記ナビゲーションシステム(30)から受信し;
- 前記第2の情報によって、前記医療ロボット(10)の基準における前記標的位置を決定し;
- 「自動制御」モードにおいて、前記施術者の介入なく、前記ロボットアーム(13)を変位させて、前記ツールガイド(14)を前記標的位置に到達させる
ように構成される、請求項1~8のいずれか1項に記載の医療ロボット(10)。
【請求項10】
前記第2の情報は、前記ナビゲーションシステム(30)の前記基準における、前記患者(20)で前記解剖学的構造の前記関連部分の近くに位置決めされるように設計される患者基準(22)の位置に対応し、前記患者基準(22)は、前記ナビゲーションシステム(30)によって検出され得る少なくとも1つのマーカ(23)、及び少なくとも1つの放射線不透過性マーカ(24)を含み、並びに前記制御装置(12)は、前記患者基準(22)の前記位置から及び医療的介入を行うために前記医療器具(15)が辿る必要がある軌道から前記ツールガイド(14)の前記標的位置を決定するように構成され、前記軌道は、前記患者の前記解剖学的構造の前記関連部分及び前記患者基準(22)の前記少なくとも1つの放射線不透過性マーカ(24)が見え得る介入前医用画像(40)を用いて、前記患者基準(22)の前記位置に対して規定される、請求項9に記載の医療ロボット(10)。
【請求項11】
前記制御装置(12)は:
- 前記患者基準(22)の前記位置に対する前記ツールガイド(14)の第1の瞬間における位置を前記基準位置として記憶し;
- 前記ツールガイド(14)の第2の瞬間における位置と前記基準位置との差が、予め決められた閾値を下回るかどうかを決定する
ように構成される、請求項10に記載の医療ロボット(10)。
【請求項12】
前記ツールガイド(14)は、前記制御装置(12)の前記コマンドで、前記医療器具(15)を自動的に解放する手段を含み、及び前記制御装置(12)が前記ナビゲーションシステム(30)から前記患者基準(22)の予期しない変位を示す情報を受信すると、前記制御装置(12)は、前記医療器具(15)を解放するように前記ツールガイド(14)にコマンドを出すように構成される、請求項10又は11に記載の医療ロボット(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、医療又は外科的処置の最中に施術者を支援するためのロボット機器の分野に属する。より詳細には、本発明は、低侵襲又は経皮的な医療処置の最中に、医療器具を案内及び解放するためのツールガイドを備えるロボットアームを含む医療ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術
低侵襲又は経皮的な手段で行われる医療処置は、施術者による1つ又は複数の医療器具(例えば針、プローブ、カテーテルなど)の患者の体内への、標的の解剖学的領域(例えば肝臓、肺、腎臓、又は骨内の腫瘍)に到達するための所与の深さまでの挿入を必要とし得る。
【0003】
医療器具の挿入の動きが完全に施術者によって行われると、処置の結果は、施術者の力量にかなり依存する。動きの精度は、遠隔制御される医療ロボットの支援のおかげで、向上され得る。この場合も、処置の成功は、依然として、施術者の力量に部分的に依存し、及び患者の医用画像を連続的に取得する必要があり、これは、患者を大量の放射線にさらすことを伴う。
【0004】
挿入の動きの精度さらに向上させ、且つ患者への放射線量を制限するために、自動制御されるロボットアームを使用することが可能である。ロボットアームは、医療器具を案内するためのツールガイドを備え得る。施術者は、例えば介入前医用画像上で、患者の解剖学的構造の関連部分の標的領域に到達するために医療器具が辿る必要のある軌道を示し、及びロボットアームは、適所に自動的に変位されて、ツールガイドが、計画された軌道に従って医療器具を案内することを可能にする。
【0005】
施術者が、ツールガイドを患者の解剖学的構造の関連部分の方へ持って行くために、又は医療器具の(任意選択的に部分的な)挿入後にツールガイドを解放するために、ロボットアームを手動で変位させることができるようにすることが好都合である。施術者によってロボットアームが手動で変位されるとき、及びツールガイドが患者の解剖学的構造の関連部分から比較的離れているとき、ロボットアームの動きは、滑らかで反応がよい必要がある。他方で、ツールガイドが患者の解剖学的構造の関連部分の比較的近くにあるとき、ロボットアームの動きは、医療器具の挿入の位置に、正確に、及び医療器具又はツールガイドによって患者を傷つけるリスクなく、到達するために、精度をもって且つ低速で制御される必要がある。また、施術者が震えることに起因するロボットアームのガタガタする動きを回避することが必要である。
【0006】
このために、震えが存在するか又は否かを決定するために、加速度計によって、施術者によってもたらされる力についての調査を頻繁に行うことが構想され得る。しかしながら、このタイプの解決法は、実施するのが比較的複雑であり、及び医療ロボットに追加的なセンサー(加速度計)を組み込む必要がある。
【0007】
例えば、患者の体内へ医療器具を挿入している最中、ロボットアームが医療器具を案内しているときに、患者が予期しない動きを行う場合でも、処置の最中に医療器具によって患者が傷つけられることができないことを保証する措置を取ることも必要である。医療器具は、一般的に、患者が無呼吸である間に挿入される。それゆえ、医療器具がツールガイドから解放される前に呼吸運動が再開する場合に、医療器具によって患者が傷つけられることができないことを保証することも必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
発明の概要
本発明の目的は、特に上述したものなどの従来技術の不都合な点のうちのいくつか又は全てをなくすことである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このために、第1の態様によれば、本発明は、患者の解剖学的構造の関連部分での医療処置の最中に、施術者を支援するための医療ロボットを提案する。医療ロボットは、医療器具を案内するように設計されるツールガイドを遠位端部に含むロボットアームを含む。医療ロボットはまた、ロボットアームの変位を制御するように構成される制御装置を含む。ツールガイドは力センサーに結合される。医療ロボットが「協調手動制御」モードにおいて使用されるとき、制御装置は、力センサーによって、施術者によってツールガイドにもたらされる力を決定し、且つそのように決定された力に用いられる利得係数に従って、ツールガイドの変位の速度を計算するように構成される。好都合なことに、前記利得係数の値は可変であり、及び施術者によってツールガイドにもたらされる力に従って計算される。制御装置は、そのように計算された速度に従って、ロボットアームの変位を制御するように構成される。
【0010】
それゆえ、施術者は、ロボットアームの端部に固定されているツールガイドに手で力をもたらすことによってロボットアームを変位させる。力センサーは、制御装置が、施術者によってもたらされる力に従ってロボットアームの変位の速度を制御することを可能にする。実際、ツールガイドの変位の速度は、施術者によってツールガイドにもたらされる力に利得係数を用いることによって計算される。施術者によってツールガイドにもたらされる力は、例えば、フィルタリング、ノイズ低減、ツールガイドの重量の補償、ツールガイドの基準点への位置移動(transposition)などを含み得る一連の動作による、力センサーによって測定される力及びモーメントに基づいて、制御装置によって決定される。施術者によってツールガイドにもたらされる力が大きいほど、制御装置によって計算されるツールガイドの変位の速度は速くなる。それゆえ、ツールガイドが患者から比較的離れており、及び施術者がツールガイドにかなりの力をもたらすとき、ロボットアームは、迅速に、滑らかに、及び反応よく変位される。他方で、ツールガイドが患者の体に近いために、施術者がツールガイドにわずかな力をもたらすとき、ロボットアームは、低速で変位されて、精度及び安全性を保証するようにする。
【0011】
さらに、以下に説明するように、利得係数が、施術者によってツールガイドにもたらされる力に従って変化することによって、施術者による震えによって発生する、ロボットアームの変位においてガタガタすることを回避することを可能にする(震えは、高周波数で変化する低振幅の力に対応する)。
【0012】
例えば、利得係数は、施術者によってツールガイドにもたらされる力が最小値Fminと最大値Fmaxとの間で変化するときに、この力によって線形的に変化する。
【0013】
特定の実施形態では、本発明はまた、以下の特性のうちの1つ以上を、個別に取られて又は技術的に可能な全ての組み合わせに従って、含み得る。
【0014】
特定の実施形態では、利得係数は、制御装置によって実施される比例・積分・微分補正器の比例パラメータに対応する。
【0015】
制御ループを用いて、制御装置は、施術者によってもたらされる力を相殺することを意図する、ツールガイドの変位の速度を計算する。このために、PID補正器が使用され得る。PIDは、比例、積分、微分の頭字語である。業界で一般に使用されているのは、閉ループ制御システムである。実際、本発明は、施術者によってもたらされる低振幅の力によって発生した動きは、震えを含むであろうという仮説に基づいている。それゆえ、提案される解決法は、震えを検出するために、頻繁な分析を必要としない。この仮説を採用することによって、問題を単純化し且つPID補正器を使用することが可能になる。
【0016】
特定の実施形態では、制御装置はまた、少なくとも1つの方向においてツールガイドの変位を防止するように構成される。
【0017】
用語「方向」は、ツールガイドが組み込まれる三次元基準系(x,y,z)における、ツールガイドの自由度に対応する。この方向は、特に、軸x、y若しくはzのそれぞれに沿った移動、又はこれらの軸のそれぞれの周りでの回転とし得る。
【0018】
このタイプの配置構成は、例えば、患者の体内へ医療器具を部分的に又は全体的に挿入した後に及びツールガイドから医療器具を解放した後に、ロボットアームが解放されるときにツールガイドが医療器具と衝突するのを防止するために、ロボットアームの変位を制御することを可能にする。
【0019】
特定の実施形態では、制御装置はまた、ツールガイドの変位を、例えばツールガイドの主軸に対応する単一方向に制限するように構成される。
【0020】
このタイプの配置構成は、例えば、ロボットアームを、医療器具が挿入された位置に対応する位置に持って行くために、ロボットアームの変位を制御することを可能にする。
【0021】
特定の実施形態では、利得係数の値は:
[数1]
【数1】
(式中、G(f)は、利得係数であり;Kは、定数であり;|f|は、施術者によってツールガイドにもたらされる、力センサーを用いて制御装置によって決定される力であり;Fmin及びFmaxは、施術者によってもたらされる力の最小値及び最大値にそれぞれ対応する)
であるように定義される。|f|、Fmin及びFmaxは、力の基準(ニュートンで測定される力の強さ)に対応する。以下、説明では、別段の指示がない限り、施術者又は医療器具によってもたらされる「力」に言及するとき、これは、幾分不正確に、「力の強さ」を意味する。例として、Fminは2Nに等しく、及びFmaxは60Nに等しい。
【0022】
特定の実施形態では、制御装置は、ツールガイドの現在の位置とツールガイドが到達する必要がある標的位置との間の距離に従って、ツールガイドの変位の速度を計算するように構成される。
【0023】
特に、このタイプの配置構成は、ツールガイドがその標的位置に接近するときに、ツールガイドのアプローチの速度をさらに制限することを可能にして、医療器具が患者の解剖学的構造の関連部分に近いときの精度及び安全性を高める。
【0024】
特定の実施形態では、ロボットアームは、少なくとも6自由度を有する関節アームである。
【0025】
ロボットアームにおいて少なくとも6自由度を使用することは、ツールガイドが空間内の任意の位置に到達できるようにすることを保証することを可能にする。さらに、医療器具が軸対称性を持っている場合(例えば医療器具が針である場合)、医療器具の対称軸の周りで回転を行う必要がないため、5自由度で十分である。この追加的な自由度は、冗長性のある状況にすること、及び所与の位置に対してロボットアームが無限の取り得る形態を有することを可能にする。これは、施術者が、例えば処置室につきものの制約(医療スタッフが利用可能な空間、障害物の存在、いずれかのナビゲーションシステムによるツールガイドの視認性など)に従ってロボットアームの最適な形態を選択できるため、ある程度の柔軟性をもたらす。
【0026】
特定の実施形態では、医療ロボットが「医療器具挿入」モードで使用されているとき、制御装置は、ツールガイドのいずれの変位も防止し、及び、力センサーを用いて、医療器具にもたらされる力を決定するように構成される。ツールガイドは、制御装置からのコマンドで、医療器具を自動的に解放するための手段を含む。制御装置は、医療器具にもたらされる力が、予め決められた閾値よりも大きいとき、又は医療器具にもたらされる力の変化が、所与の期間にわたって、予め決められた閾値よりも大きいとき、医療器具を解放するようにツールガイドにコマンドを出すように構成される。
【0027】
このタイプの配置構成は、医療器具の挿入フェーズ中(すなわち、医療器具が、患者の体内へのその挿入を案内するためにツールガイドに保持されているとき)、例えば患者が、患者が無呼吸であるべき間に呼吸運動する結果、医療器具に予期しない力をもたらす場合に、医療器具をすぐに解放することを可能にする。
【0028】
特定の実施形態では、ツールガイドは、ナビゲーションシステムによって検出され得る少なくとも1つのマーカを含み、及び制御装置は:
- 前記ナビゲーションシステムから、ナビゲーションシステムの基準におけるツールガイドの位置に関する第1の情報を受信し;
- 前記ナビゲーションシステムから、ナビゲーションシステムの基準における、ツールガイドが到達する必要がある標的位置に関する第2の情報を受信し;
- 第2の情報を用いて、医療ロボットの基準における標的位置を決定し;
- 「自動制御」モードにおいて、施術者の介入なく、ロボットアームを変位させて、ツールガイドが標的位置に到達するようにする
ように構成される。
【0029】
このタイプの配置構成は、ロボットアームを自動的に及び正確に変位させて、ツールガイドを、外科的処置を行うために医療器具が患者の体内へ挿入され得る標的位置へ持って行くことを可能にする。
【0030】
特に、ツールガイドの標的位置は、介入前医用画像で計画された、医療器具が辿る必要がある軌道に従って決定され得る。このために、特定の実施形態では、第2の情報は、ナビゲーションシステムの基準における、患者の解剖学的構造の関連部分の近くに位置決めされることが意図される患者基準の位置に対応する。患者基準は、ナビゲーションシステムによって検出され得る少なくとも1つのマーカ、及び少なくとも1つの放射線不透過性マーカを含む。軌道は、患者の解剖学的構造の関連部分及び患者基準の放射線不透過性マーカが見え得る介入前医用画像を用いて、患者基準の位置に対して規定される。制御装置は、患者基準の位置から及び計画された軌道から、ツールガイドの標的位置を決定するように構成される。
【0031】
特定の実施形態では、制御装置は:
- 基準位置として、患者基準の位置に対するツールガイドの第1の瞬間における位置を記憶し;
- ツールガイドの第2の瞬間における位置と基準位置との差が、予め決められた閾値を下回るかどうかを決定する
ように構成される。
【0032】
このタイプの配置構成は、例えば、医療器具を部分的に挿入した後、医療器具が好適に挿入されたかどうかを検証するために医用画像を取得できるようにするために、ロボットアームが解放される必要があり、その後、ロボットアームは、例えば医療器具の挿入を終わらせるために、医療器具が挿入された初期位置に運ばれる必要がある状況において、特に好都合である。
【0033】
特定の実施形態では、ツールガイドは、制御装置のコマンドで、医療器具を自動的に解放する手段を含む。制御装置は、患者基準の予期しない変位を示す情報をナビゲーションシステムから制御装置が受信するとき、医療器具を解放するように、ツールガイドにコマンドを出すように構成される。
【0034】
それゆえ、患者の体内へ医療器具を挿入している最中に、患者が予期しない動きを行うときに、医療器具によって、患者を傷つけることを回避することが可能である。
【0035】
図面の提示
本発明は、非限定的な例として提供され、及び図1~9を参照して提示される以下の記載を読むことによって、よりよく理解される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】患者の解剖学的構造の関連部分での医療処置の最中に施術者を支援するための、本発明による医療ロボットの概略図である。
図2】医療ロボットのロボットアームの概略図である。
図3】ロボットアームの端部に固定されるように設計されるツールガイドの概略図である。
図4】ツールガイドの端部で医療器具を保持するための機器を示す、ツールガイドの図である。
図5】ツールガイドでの医療器具の位置決め、並びにナビゲーションシステムによって検出され得るマーカを示す、ツールガイドの図である。
図6】患者で解剖学的構造の関連部分の近くに位置決めされるように設計される患者基準の概略図である。
図7】本発明による医療ロボットとナビゲーション機器との協働の図である。
図8】特に、速度が、もたらされる力に用いられる定数の利得係数に従って定義される場合に、施術者によってツールガイドにもたらされる力に従ってツールガイドが受ける速度及び加速度を表すグラフからなる。
図9】もたらされる力に従って利得係数が変化する状態で、速度が、もたらされる力に用いられる可変の利得係数に従って定義される場合に、図8に表すものと同様のグラフからなる。
【発明を実施するための形態】
【0037】
これらの図面では、図面毎に同一の参照符号は同一又は類似の要素を指す。明確にするために、示されている要素は、そのように述べている場合を除いて、必ずしも同じ縮尺ではない。
【0038】
発明の実施形態の詳細な説明
図1は、本発明による医療ロボット10を概略的に示す。医療ロボット10は、処置台21に位置決めされた患者20の解剖学的構造の関連部分での医療処置の最中に、施術者を支援するために使用され得る。
【0039】
非限定的な例としては、低侵襲又は経皮的な手段によって行われる医療処置で使用される場合である。このタイプの処置は、一般的に、施術者による、患者の体内への、解剖学的構造の関連部分にある標的の解剖学的領域(例えば肝臓、肺、腎臓などにある腫瘍)に到達するために所与の深さまでの1つ以上の医療器具(例えば針、プローブ、カテーテルなど)の挿入を必要とする。
【0040】
医療ロボット10はベース11を含む。考えられる例では、医療ロボット10のベース11は電動車輪を備え、これにより、医療ロボット10が、移動及び/又は回転の動きによって異なる方向に変位されることを可能にする。
【0041】
医療ロボット10はまた関節ロボットアーム13を含み、その一方の端部はベース11に接続される。ロボットアーム13の他方の端部には、例えば、針、プローブ、カテーテル、電極などのような医療器具15を案内するように設計されるガイドツール14が固定される。それゆえ、医療ロボット10は、医療処置の最中に、施術者が、医療器具15を位置決め、保持、又は案内するのを助けるために使用され得る。それゆえ、医療ロボット10は、施術者の第3の手の一翼を担う。
【0042】
図2に示す考えられる例では、ロボットアーム13は、6個のスイベル関節131~136を含み、6自由度をもたらし、三次元空間の任意の位置へ医療器具15を位置決めする及び/又は変位させるのを可能にする。好都合なことに、ロボットアーム13の関節131~135は、位置合わせされておらず、互いにオフセットされており、それにより、ロボットアーム13の取り得る形態をより多数に可能にする。各関節は、リアルタイムでその角度位置を決定することを可能にする少なくとも1つのエンコーダを含む。それゆえ、ロボットアーム13の形態は、関節131~136によって取られる一連のパラメータの値(例えば、各関節に関する回転の角度の値)に対応する。スイベル関節136は、ツールガイド14の主軸の周りでの回転に対応する。しかしながら、必ずしも、医療器具の対称軸の周りで回転を行うわけではないことに留意されるべきである(実際、医療器具を案内及び解放するためには5自由度で十分である)。この追加的な自由度によって、冗長性のある状況を可能にし、及びツールガイド14の所与の位置に対し、ロボットアーム13の無限の取り得る形態を有すること可能にする。この冗長性のある状況は、患者の位置又は処置室の形態に関連する制約に適応するために、特に好都合である。
【0043】
図3に示すように、ツールガイド14は、フランジ17を用いてロボットアーム13に固定される。ツールガイドは、図3において破線で表されている主軸145を含む。ツールガイド14は、ツールガイド14にもたらされる力を制御装置12が決定できるようにするために、力センサー16に結合される。この力は、特に、施術者がロボットアーム13を手動で変位させるときに、施術者によってもたらされ得る。この力はまた、患者の体によって(例えば、医療器具を挿入している最中の患者の偶然の動きの結果として)医療器具15を介してツールガイド14にもたらされる力に対応し得る。
【0044】
力センサーは、力センサー16が受ける、力とモーメントの結果に対応する総合力(施術者によってもたらされる力だけでなく、ツールガイド14の重量、医療器具15の重量なども含む)を測定することを可能にすることに留意されるべきである。制御装置は、力センサー16が受ける力とモーメントの結果に従って、施術者によってツールガイド14にもたらされる力を決定するように構成される。このために、例えば、総合力から、ツールガイド14の重量に対応する力(この力は、器具がツールガイド14によって保持されている場合は医療器具15の重量に対応する)、測定点とツールガイドの重心との間の差に起因するトルク、及び/又は測定ノイズに関連付けられる何らかの補正を引くことが必要である。力センサー16によって行われた測定にフィルタリングを実施することも構想され得る。
【0045】
図4及び図5に示すように、ツールガイド14は、ねじ143を用いてフランジ17に固定されるように設計されるベース142、並びに互いに対して可動である2つの部分を含む保持システム146を備える、本体141を含む。保持システム146は、ベース142に対向するツールガイド14の本体141の端部において、医療器具15を保持するように設計される。保持システム146の2つの可動部分は、駆動システム、例えば歯車、カム、逆ねじ(inverted threads)を備えるねじ、及び/又は線形アクチュエータによって駆動され得、医療器具15をブロック又は解放し得る。線形アクチュエータは、可逆的とし得るか(そのため、ツールガイド14の保持システム146は、手動で若しくは制御装置12からのコマンドで、自動的に開放され得る)、又は不可逆的とし得る(ツールガイド14の保持システム146は、制御装置からのコマンドで、自動的にのみ開放され得る)。ツールガイド14は、例えば異なる直径の医療器具を案内することを可能にされる。例えば、このタイプのガイドは、医療器具を案内することを可能にし、その直径は、11~21ゲージである。ゲージは、針、プローブ又はカテーテルなどの医療器具の外径を規定するために一般に使用される測定単位である(11ゲージは、外径2.946mmに対応する;21ゲージは、外径0.812mmに対応する)。
【0046】
図1に示すように、医療ロボット10は、ロボットアーム13の変位を制御するように構成される制御装置12を含む。制御装置12は、例えば1つ以上のプロセッサー122及びメモリ121(磁気ハードディスク、電子メモリ、光ディスクなど)を含み、そこに、ロボットアーム13を位置決めするための方法の異なるステップを実施するために実行される1組のプログラムコード命令の形でコンピュータプログラム製品が記憶されている。
【0047】
図7に示すように、ナビゲーションシステム30が、医療ロボット10の制御装置12にツールガイド14の現在の位置及びツールガイドが到達する必要がある標的位置に関する情報を提供するために、使用され得る。提供される現在の位置及び標的位置は、例えば、初めにナビゲーションシステム30の基準において規定され、その後、制御装置12によって、医療ロボット10の基準における位置に変換される。そのため、制御装置は、標的位置に到達するように、ロボットアーム13を自動的に変位させるように構成され得る(いわゆる「自動制御」モードにおいて、施術者による介入なしに)。ナビゲーションシステム30及び医療ロボット10の制御装置12は、(有線又は無線)通信手段によってデータを交換し得る。
【0048】
本出願では、用語「位置」は、一般的に三次元座標系である所与の基準における対象の位置と向きの組み合わせに対応する。用語「ポーズ」は、空間内での対象の位置と向きのこの組み合わせを表すために、アングロサクソン語の文献で使用される。
【0049】
考えられる例では、ナビゲーションシステム30は光学ナビゲーションシステムである。ナビゲーションシステム30は、例えば、赤外線照射野又は可視光照射野で動作する立体カメラの2つのセンサーに対応する、少なくとも2つの光学センサー31を含む。
【0050】
図4及び図5に示すように、ツールガイド14は、光学マーカ147を受け入れるように設計されるスタッド144を含む。好都合なことに、ツールガイド14は、ナビゲーションシステム30の基準系の3つの空間次元でツールガイド14の位置が決定され得るように、少なくとも3つの光学マーカ147を含む。ツールガイドの光学マーカ147の互いに対するそれぞれの位置は、ナビゲーション機器30及び/又は制御装置12によって直観的に(a priori)分かる。好都合なことに、各光学マーカ147の幾何学的形態も直観的に分かり得る。図5に示す例では、光学マーカ147は球形を有する。
【0051】
少なくとも3つの光学マーカ147を使用することによって、平面、それゆえ、平面に対して垂直である軸z並びに平面上に軸x及びyを備え、基準が直交となるようにする、正規直交三次元基準(direct orthonormal three-dimensional reference)を規定することを可能にする。それゆえ、これは、ツールガイド14を表す光学マーカ147から形成された基準の位置及び向きを決定することを可能にする。3つの軸x、y及びzは、6自由度、すなわち軸x、y又はzのそれぞれに沿った移動、及びこれらの軸のそれぞれの周りでの回転を規定することを可能にする。
【0052】
光学マーカ147は、パッシブ又はアクティブとし得る。パッシブ光学マーカは、例えば、ナビゲーションシステム30などの別の要素が発する光放射を反射する。パッシブ光学マーカは、例えば、赤外線立体カメラによって検出され得る反射球(例えば、Northern Digital Inc.社によって生産されている、Polaris(登録商標)ナビゲーションシステムにおいて使用されているものである)、又は立体カメラによって見える白黒パターン(例えば、ClaroNav社によるMicronTracker(登録商標)ナビゲーションシステムにおいて使用されているものである)に対応し得る。アクティブ光学マーカは、それら自体が光放射、例えば赤外線放射を発し、それがナビゲーションシステム30によって検出され得る。
【0053】
図7に示すように、ツールガイド14上に存在するマーカ147のアセンブリは、ロボット基準18に対応する。
【0054】
しかしながら、三次元において特徴のある幾何学的形態を備える単一の光学マーカが、球状の光学マーカ147のアセンブリの代わりに使用され得ることに留意されるべきである。
【0055】
患者基準22が、患者20の、解剖学的構造の関連部分の近くに位置決めされる。図6は、患者基準22を概略的に示す。患者基準22は、少なくとも3つの光学マーカ23を含み、患者基準22の位置が、ナビゲーションシステム30の基準系の3つの空間次元で決定され得るようにする。患者基準22の光学マーカ23の互いに対するそれぞれの位置は、ナビゲーションシステム30及び/又は制御装置12によって直観的に分かる。好都合なことに、各光学マーカ23の幾何学的形態も、直観的に分かり得る。図6に示す例では、患者基準22は、球形の3つの光学マーカ23を含む。球形は、光放射の反射を最適にすることを可能にする。ツールガイド14のアクティブ又はパッシブ型の光学マーカ147に対して以前に与えられた説明は、患者基準22の光学マーカ23にも当てはまる。この場合も、三次元において特徴のある幾何学的形態を備える単一の光学マーカが、3つの球状の光学マーカ23の代わりに使用されることが構想され得る。
【0056】
以下の説明では、何ら限定ではない例として、ナビゲーションシステム30の光学センサー31及び異なる光学マーカ147、23が、赤外線タイプの光放射で動作するように設計されることが考えられる。光学マーカ147、23がパッシブマーカであることも考えられる。光学センサー31は、赤外線放射を発するように構成される。この赤外線放射は、異なる光学マーカ147、23によって、光学センサー31の方へ向かって反射される。光学センサー31は、この反射された赤外線放射を受けるように構成される。そのため、ナビゲーションシステム30は、光学センサー31と光学マーカ147、23との間を行って戻ってくるまでの距離を完了するのに赤外線が費やした時間を測定することによって、前記光学マーカ147、23と前記光学センサー31との間の距離を決定し得る。各光学マーカ147、23と各光学センサー31との間の距離が分かることによって、並びにツールガイド14及び患者基準22での光学マーカ147、23の互いに対する配置構成が直観的に分かることによって、ナビゲーションシステム30の基準系においてツールガイド14及び患者基準22の位置を決定することが可能である。
【0057】
ツールガイド14が到達する必要がある標的位置は、特に患者基準22の位置から規定され得る。このために、図6に示すように、患者基準22はまた、放射線不透過性マーカ24を含み、これらマーカは、医学的な画像化装置(medical imagery device)によって(例えば断面デンシトメトリー(tomodensitometry)によって、磁気共鳴によって、超音波によって、断層撮影法によって、位置の放射によってなど)取得された医用画像で見える。放射線不透過性マーカ24の互いに対するそれぞれの位置は、ナビゲーション機器30及び/又は制御装置12によって直観的に分かる。好都合なことに、放射線不透過性マーカ24の幾何学的形態も直観的に分かり得る。好ましくは、患者基準22は、少なくとも3つの放射線不透過性マーカ24を含む。放射線不透過性マーカ24は、例えば、セラミックボールとし得る。しかしながら、三次元において特徴のある幾何学的形態を備える単一の放射線不透過性マーカが3つの球状の放射線不透過性マーカ24の代わりに使用され得ることに留意すべきである。
【0058】
それゆえ、患者基準22を備える患者の介入前医用画像40から医療処置を計画することが可能である。この介入前医用画像40は、制御装置12のメモリ121に記憶される。それゆえ、介入前医用画像40から、医療処置を実施するために医療器具15を案内するために、ツールガイド14が選ぶ必要がある標的位置を規定することが可能である。計画は、介入前画像40での、患者20の皮膚の入口点と患者20の解剖学的構造の関連部分内にある標的点(例えば腫瘍)との間で、医療器具15(例えば針)が辿る必要がある軌道41の決定を含む。図7の基準42は、患者基準22の放射線不透過性マーカ24のアセンブリを表し、それらマーカは、介入前画像40で見え得る(それゆえ、これは、介入前画像40での患者基準22の像を表す)。それゆえ、軌道41を辿ることを可能にするツールガイド14の標的位置は、患者基準22の位置に対して規定され得る。
【0059】
軌道の決定はまた、処置の数日前に取得された術前画像(その画像は、患者が患者基準を備えていない状態で取得される)で実施され得ることに留意されるべきである。そのため、術前画像は、軌道に対する患者基準22の相対的な位置を得るために、患者基準が見え得る介入前画像40で再設定され得る。
【0060】
該当する例では、ナビゲーションシステム30は、医療ロボット10の制御装置12に、ナビゲーションシステム30の基準におけるツールガイド14の現在の位置を提供するように構成される。しかしながら、医療ロボット10の制御装置12は、医療ロボット10の基準系におけるツールガイド14の現在の位置が分かる(関節131~136のエンコーダを介して)。それゆえ、制御装置12は、ナビゲーション機器30の基準系における位置から医療ロボット10の基準系における位置を規定するために実行するための変換を決定し得る。ナビゲーションシステム30はまた、医療ロボットの制御装置12に、ナビゲーションシステム30の基準における患者基準22の位置を提供するように構成される。それゆえ、制御装置10は、医療ロボット10の基準系における患者基準22の位置を規定し得る。しかしながら、介入前画像40のおかげで、医療ロボット10の制御装置12は、患者基準22の位置に対する、ツールガイド14が到達する必要がある標的位置の位置が分かる。それゆえ、制御装置12は、ナビゲーションシステム30によって提供された情報から、ツールガイド14が到達する必要がある標的位置を決定し得る。それゆえ、制御装置12は、標的位置に到達するようにロボットアーム13を自動的に変位させるように構成され得る(いわゆる「自動制御」モードにおいて、施術者の介入なく)。
【0061】
ロボットアーム13の変位は、例えば、医療ロボット10のユーザインタフェースでの制御モードの選択、及び制御ペダル19によって選択されるモードの起動次第である。
【0062】
いわゆる「協調手動制御」モードは、施術者自身がロボットアーム13を手動で変位させ得るが、ロボットアーム13の変位の制御は、制御装置12によるモードに対応する(ロボットアーム13の変位の速度及び/又は取り得る方向を制限するために)。
【0063】
いわゆる「自動制御」モードは、ロボットアーム13が制御装置12によって完全に制御されるモードに対応する。それゆえ、ロボットアーム13は、施術者が介入せずに、自動的に変位される。
【0064】
複数の「協調手動制御」モードが存在する。
【0065】
いわゆる「アプローチ協調手動制御」モードは、例えば、施術者がロボットアーム13を変位させて、患者の解剖学的構造の関連部分に比較的近いアプローチ位置101の方へガイドツール14を持って行き、且つロボットアーム13が、ナビゲーションシステム30の視野に入るようにするモードに対応する。このモードでは、施術者によってロボットアーム13にもたらされる力に従ってロボットアーム13の変位の速度を制御することが好都合である。このモードでは、ロボットアーム13の変位は、一般的に、全ての方向に許される。
【0066】
そのため、ロボットアームは、アプローチ位置101から挿入位置102へ自動的に変位され得る(「自動制御」モードにおいて)。挿入位置102は、医療器具15が、計画された軌道を辿ることができるようにするために、ツールガイド14が位置決めされる必要がある標的位置に対応する。
【0067】
いわゆる「解放協調手動制御」モードは、例えば、患者20の体内への医療器具15の部分的な挿入後に、医療器具15がツールガイド14の保持機器146から解放され得、及びロボットアーム13が施術者によって挿入位置102から解放位置103の方へ向かって手動で解放され得るモードに対応する。このタイプの配置構成は、医療器具15の部分的な挿入後に対照医用画像(control medical image)を生み出すために(例えば、医療器具が辿った軌道が、計画された軌道に対応していることを確認するために)、患者20を動かすことを可能にする。このモードでは、少なくとも1つの方向においてツールガイド14の変位を防止するようにロボットアーム13を制御するように制御装置12を構成すること、又はツールガイド14の主軸145に対応する単一方向に従ってツールガイド14の変位を制限する(解放方向は、ツールガイド14の主軸145を、保持機器146からベース142へ向かって行く方向に辿る)ことが好都合とし得る。特定の実施形態によれば、「解放協調手動制御」モードが起動されると、制御装置12は、患者基準22の位置に対するツールガイド14の現在の位置を基準位置として記憶するように構成される。それゆえ、基準位置は、「解放協調手動制御」モードが起動される第1の瞬間tのツールガイド14の位置である。
【0068】
いわゆる「リターン協調手動制御」モードは、例えば、対照画像を生じた後、「解放協調手動制御」モードが選択されたときに記録された基準位置をツールガイド14が取り戻すように、ロボットアーム13が施術者によって手動で変位されるモードに対応する。この基準位置は、挿入位置102(ツールガイド14が到達する必要がある標的位置)に対応する。それゆえ、「リターン協調手動制御」モードは、医療器具15の挿入を終わらせるために、ツールガイド14を解放位置103から挿入位置102へ持って行くために使用される。その変位では、ツールガイド14は、挿入位置103の範囲を越えないことが重要である(換言すると、ツールガイド14は、挿入を終わらせるための正しい位置に運ばれないことがあるため、部分的に挿入された医療器具とツールガイド14との間に衝突もある)。ツールガイド14の主軸145に沿った方向にツールガイド14の変位を制限するようにロボットアーム13を制御することが好都合とし得る(リターン方向は、ツールガイド14の主軸145を、ベース142から保持機器146の方へ向かって行く方向に辿る)。さらに、ツールガイド14の現在の位置とツールガイド14が到達する必要がある標的位置(記録された基準位置に対応する)との間の距離に従ってツールガイド14の変位の速度を制御するように制御装置12を構成することが好都合とし得る。それゆえ、第2の瞬間tでは、制御装置12は、第2の瞬間tにおけるツールガイドの位置と基準位置(第1の瞬間tにおけるツールガイド14の位置)との間の差を計算するように構成される。ツールガイド14の変位の速度は、計算された距離が短いほど(すなわち、ツールガイド14がその標的位置に近いほど)、標的位置に到達するときのゼロ速度に到達するまで、変位の速度が低くなるように、制御される。制御装置12は、ツールガイド14が到達する位置と基準位置との間の差が、予め決められた閾値を下回るかどうかを決定するように構成される。この場合には、標的位置に到達したと考えられる。ツールガイド14の位置は、患者基準22位置の位置に対して規定されることが留意されるべきである。標的位置に到達したら、施術者は、医療器具15の挿入を終わらせ得る。予め決められた閾値は、例えば1mm、又は0.1mm、又はさらには0.03mmに等しい。
【0069】
「協調手動制御」モードが起動されると、施術者は、ツールガイド14に手で力をもたらすことによってロボットアーム13を変位させる。しかしながら、ロボットアーム13の変位は、力制御(ツールガイド14の変位の速度の制御)及び位置制御(ツールガイド14の変位の方向の制御)をもたらす制御装置12によって、制御される。
【0070】
力制御は、アドミッタンスによる制御法則によって管理される。ツールガイド14の変位の速度は、制御装置12によって制御される。ツールガイド14の変位の速度は、施術者によってツールガイド14にもたらされる力に従って計算され、前記力は、力センサー16を用いて制御装置によって決定される。
【0071】
より具体的には、そのように決定された力は、制御ループの入力データに対応する。この制御ループの出力データは、ツールガイド14の変位のデカルト速度である。制御ループは、例えば、125Hzの周波数で動作される(この場合、ツールガイド14の変位の速度の値は、8ms毎に更新される)。
【0072】
制御装置12は、ツールガイド14の変位の速度を計算し、施術者によってツールガイドにもたらされる力を相殺することを可能にする。換言すると、現時点で(制御ループの各反復において)決定されるこの力の値と、必要とされる力の値(ゼロの力)との間の差(エラーとしても知られる)は、決定される力と等しい。制御ループのアルゴリズムは変位の速度を規定するように設計され、これは、エラーをゼロにする傾向がある。このエラーを補正するために、PID補正器が使用され得る(PIDは、「比例、積分、微分(proportional、integral、Derivative)」の頭字語である。業界で一般に使用されているのは閉ループ制御システムである)。エラー(すなわち、決定される力と必要とされる力との差)は、PID補正器の入力データであり、PID補正器は、出力として速度を提供して、ゼロの傾向があるエラーを得ることを可能にする。
【0073】
以下、単純にするために、PID補正器の「比例」部分のみを考慮する。換言すると、「積分」部分及び「微分」部分がゼロであったかのようにする。
【0074】
ツールガイド14の変位の速度は、決定される力に利得係数を用いることによって、計算される:
[数2]
|v|=G×|f|
(式中、Gは、利得係数であり、|f|は、制御装置によって決定される力(施術者によってツールガイド14にもたらされる力)であり、及び|v|は、ツールガイド14の変位の速度である)
利得係数Gは、PID補正器の「比例」部分の利得係数に対応する。
【0075】
換言すると、施術者によってツールガイド14にもたらされる力が大きいほど、制御装置12によって計算されるツールガイド14の変位の速度は速くなる。それゆえ、ツールガイド14が患者から比較的離れており、及び施術者がツールガイド14にかなりの力をもたらすとき、ロボットアーム13は、急速に、滑らかに、及び反応よく変位される。他方で、ツールガイド14が患者の解剖学的構造の関連部分に近いために、施術者がツールガイド14に低振幅の力をもたらす場合、ロボットアーム13は低速で変位されて、精度及び安全性を保証する。
【0076】
しかしながら、ツールガイド14が患者の解剖学的構造の関連部分に比較的近いとき、ツールガイド14の動きは、医療器具の挿入位置102に正確に到達するために、精度をもって及び低速で制御される必要がある。それゆえ、施術者による震えに起因するロボットアーム13のガタガタする動きを回避することが必要である。このために、利得係数の値は、施術者によってツールガイドにもたらされる力に従って変化するように規定される。例えば、利得係数は、この力が最小値Fminと最大値Fmaxとの間で変化するとき、この力と共に線形的に変化する。利得係数G(f)の値は、以下の通り定義され得る:
[数1]
【数2】
(式中、Kは、定数であり、|f|は、制御装置によって決定される力(施術者によってツールガイド14にもたらされる力)であり、並びにFmin及びFmaxは、施術者によってもたらされ得る力の最小値及び最大値にそれぞれ対応する)
ゲインは、|f|がFmaxよりも大きい場合、定義されない:|f|がFmaxよりも大きいとき、速度は、最高速度Vmaxに設定された上限を有する。|f|がFminよりも小さい場合、ゲインはゼロである:力|f|がFminよりも小さい場合、速度はゼロである。
【0077】
施術者によってツールガイドにもたらされる力に従って利得係数が変化することは、施術者による震えによって発生する、ロボットアーム13の変位においてガタガタすることを回避することを可能にする(震えは、高周波数によって変化する低振幅の力に対応する)。施術者によってツールガイドにもたらされる力に従う利得係数の可変性は、ツールガイド14が患者の解剖学的構造の関連部分に近いときに、ツールガイド14の変位において、精度及び安全性を保証することを可能にする。さらに、利得係数のこのタイプの定義は、施術者によってツールガイドにもたらされる力がFminとFmaxとの間で変化するときに、ツールガイド14の変位の速度の連続性を可能にする。
【0078】
式の数2を参照して説明したものの代替例として、ツールガイド14の変位の速度はまた、以下の形で計算され得る:
[数3]
|v|=G×(|f|-Fmin
【0079】
図8及び図9は、これについてより詳細に説明している。図8は、制御装置によって決定される、施術者によってツールガイドにもたらされる力が、FminとFmaxとの間で変化するときに、利得係数Gが定数である場合に対応する。図9は、決定される力に従って利得係数が変化する場合に対応する(Gは、式の数1におけるように定義される)。図8及び図9のそれぞれは、4つのグラフを含む。図8及び図9の部分a)のグラフは、決定される力(|f|)に従うツールガイド14の変位の速度(|v|)を表す。図8及び図9の部分b)のグラフは、決定される力(|f|)に従ってツールガイド14が経験する加速度(|a|)を表す。図8及び図9の部分c)のグラフは、高周波数で変化する低振幅の力(震えによるゆっくりとした動き)で、施術者がツールガイド14を変位させるときの、時間(t)ベースで決定される力(|f|)を表す。図8及び図9の部分(d)のグラフは、決定される力が、部分c)のグラフで示すように変化する(震えによるゆっくりとした動き)ときの、ツールガイド14が時間(t)ベースで経験する加速度(|a|)を表す。
【0080】
図8に対応するシナリオでは、決定される力がFminとFmaxとの間で変化するときに、利得係数Gは一定である。決定される力がFminよりも小さいとき、利得係数Gはゼロである。ツールガイド14の変位の速度は、決定される力がFmaxよりも大きいとき、最高速度Vmaxに設定された上限を有する。図8の部分a)に示すように、|f|がFminとFmaxとの間で変化するとき、|v|は、ゼロとVmaxとの間で線形的に変化する。|f|がFminよりも小さいとき、|v|はゼロである。図8の部分a)に示すように、そのため、|f|がFminとFmaxとの間で変化するとき、ツールガイド14が経験する加速度|a|は、一定値Aを取る。|f|がFminよりも小さいか又はFmaxよりも大きいとき、ツールガイド14が経験する加速度|a|はゼロである。それゆえ、図8の部分d)には、|f|がFminの周りで振動すると(図8の部分c)に示すように、震えのある施術者によってもたらされる低振幅の力)、ツールガイド14が経験する加速度|a|は、決定される力|f|がFminを上回るたびに、突然値ゼロから値Aになることが示されている。反対に、ツールガイド14が経験する加速度|a|は、決定される力|f|がFminを下回るたびに、突然値Aから値ゼロになる。このタイプの状況は、ツールガイド14のガタガタする動きにつながり得る。
【0081】
図9に対応するシナリオでは、利得係数Gは、決定される力|f|がFminとFmaxとの間で変化するときに、|f|と一緒に線形的に変化する。決定される力がFminよりも小さいとき、利得係数Gはゼロである。ツールガイド14の変位の速度は、決定される力がFmaxよりも大きいとき、最高速度Vmaxに設定された上限を有する。図9の部分a)に示すように、|f|がFminとFmaxとの間で変化するとき、|v|は、ゼロとVmaxとの間で指数関数的に変化する。|f|がFminを下回るとき、|v|はゼロである。図9の部分a)に示すように、|f|がFminとFmaxとの間で変化するとき、ツールガイド14が経験する加速度|a|は、最小値Aminと最大値Amaxとの間で線形的に変化する。|f|がFminを下回るか又はFmaxを上回るとき、ツールガイド14が経験する加速度|a|はゼロである。それゆえ、図9の部分d)から、|f|がFminの周りで振動するとき(図9の部分c)に示すように、震えのある施術者によってもたらされる低振幅の力)、ツールガイド14が経験する加速度|a|は、決定される力|f|がFminを上回るたびに、値ゼロから値Aminになり、|a|は、|f|がFminを上回ると、|f|と一緒に連続的に及び線形的に変化し、且つ|a|は、決定される力|f|がFminを下回るたびに、値Aminから値ゼロになることが分かる。しかしながら、値Aminは、値Aよりも著しく小さい。図9の部分d)に表されている、ツールガイド14が経験する加速度|a|の変化は、図8の部分d)に表されている変化よりも、明らかにわずかである。それゆえ、決定される力に従って利得係数Gの値を変化させることは、施術者による震えによって発生する、ロボットアーム13の変位においてガタガタすることを回避することを可能にする。
【0082】
式[数1]によって提案された利得係数Gの定義は、非限定的な例にすぎないことに留意されるべきである。決定される力に従って変化させるが、利得係数Gを異なって定義することが構想され得ることが認識されるであろう。利得係数Gの特定の定義の選択は、本発明の変形例にすぎない。
【0083】
位置制御では、PID補正器の出力で計算される速度に、選択マトリックスを乗じる。この選択マトリックスは、ゼロに等しい乗算係数(multiplicative coefficient)を禁止方向に、及び1に等しい乗算係数を許可方向に用いることによって、制御される必要がある位置方向を選択することを可能にする。選択マトリックスを用いた後に得られる速度は、ツールガイド14の変位の速度に対応する。
【0084】
既に述べたように、「協調手動制御」モードでは、特に解放位置103においてツールガイド14を解放するために(「解放協調手動制御」モード)、又はツールガイド14を解放位置103から挿入位置102へ持って行くために(「リターン協調手動制御」モード)、少なくとも1つの方向におけるツールガイド14の変位を防止するか、又はツールガイド14の主軸145に対応する単一方向に従ってツールガイド14の変位を制限するように、ロボットアーム13を制御するように制御装置12を構成することが好都合とし得る。
【0085】
また、「リターン協調手動制御」モードに関して既に述べたように、ツールガイド14の現在の位置とツールガイド14が到達する必要がある標的位置との間の距離に従ってツールガイド14の変位の速度を制御するように制御装置12を構成することが好都合とし得る。ツールガイド14の変位の速度は、特に、この距離が短いほど(すなわち、ツールガイド14がその標的位置に近いほど)、標的位置に到達するときにゼロ速度に到達するまで、変位の速度がゆっくりとなるように、制御され得る。
【0086】
「アプローチ協調手動制御」モードでは、位置制御はない:ツールガイド14の変位は、いずれの方向にも制約されない。このモードでは、力制御のみが用いられる。
【0087】
医療ロボット10の制御装置12はまた、例えば医療器具15がまだツールガイドから解放されていないときに患者20が予期しない動きを行うときに、医療器具15による傷害のリスクがある状況を検出するように構成され得る。実際、このタイプの状況は、医療器具による患者の傷害につながり得る(例えば、医療器具による、解剖学的構造の関連部分又は患者の体の別の部分の健康な組織への損傷)。それゆえ、このタイプの状況が検出されるときに、患者が傷つけられるのを防止するための措置が取られ得る。
【0088】
特定の実施形態では、医療ロボット10のツールガイド14は、医療器具15を瞬間的に解放することを可能にするアクチュエータを含む。アクチュエータは、保持機器146の2つの可動部分が離れるように動き、それゆえ医療器具15を解放するために、医療ロボットの制御装置12によって制御される。制御装置12は、傷害のリスクがある特定の状況が検出されると、医療器具15を解放するようにツールガイド14にコマンドを出すように構成される。
【0089】
第1の例によれば、制御装置12が、患者基準22の予期しない変位(患者20による予期しない動きを表す患者基準22の位置の変化)を示す、ナビゲーションシステム30から得られた情報を受信すると、傷害のリスクがある特定の状況が検出される。
【0090】
第2の例によれば、「医療器具挿入」モードは、ユーザインタフェースによって選択され、且つ制御ペダル19によって起動され得る。このモードでは、制御装置12は、ツールガイド14のいずれの変位も防止するように構成され、及び制御装置12は、力センサーを用いて、医療器具15にもたらされる力を決定するように構成される。傷害のリスクがある特定の状況は、例えば、医療器具にもたらされる力が予め決められた閾値を上回るとき、検出される(患者20による予期しない動きが、医療器具15を介して力センサー16へ力をもたらすという結果を伴う)。別の例によれば、医療器具にもたらされる力の変化が、所与の期間にわたって、予め決められた閾値を上回るとき、傷害のリスクがある特定の状況が検出される。
【0091】
医療器具15の自動解放に、解放方向(ツールガイド14の主軸145に沿って、医療ロボットのベース11の方へ向かう方向)におけるロボットアーム13の自動解放が付随して起こり得る。
【0092】
上述の記載は、本発明が、その異なる特性及びそれらの利点によって、述べた目標を達成することをはっきりと説明している。
【0093】
特に、施術者によってもたらされる力に従って変化する利得係数に基づいて、ツールガイド14の変位の速度を定義することは、施術者が低振幅の力をもたらすことによってツールガイド14を手動で変位させるときに、ロボットアーム13の制御された正確でスムーズな変位を可能にする。ロボットアーム13の変位は、施術者が高振幅の力をツールガイド14へもたらすときには、滑らかで反応よいままであり続ける。
【0094】
ロボットアーム13の力制御及び位置制御は、医療器具15の(任意選択的に部分的な)挿入後に、ツールガイド14を安全に解放することを可能にする。必要であれば、本発明はまた、ツールガイド14を挿入位置へ安全に且つ正確に持って行くことを可能にする。
【0095】
最後に、医療器具15の自動緊急解放は、医療処置の最中に患者が予期しない動きを行うときに、患者を傷つけることを回避することを可能にする。
【0096】
本発明は、光学ナビゲーションシステムを使用して説明されたことに留意されるべきである。しかしながら、変形例によれば、光学ナビゲーションシステムの代わりに電磁ナビゲーションシステムを使用することを妨げるものはない。この場合、そのため、ナビゲーションシステムによって検出され得る、異なる「マーカ」(患者基準22に存在するマーカ、ツールガイド14に存在するマーカ)は、電磁センサーに対応し、それらの位置は、発生した電磁場にあるナビゲーションシステムによって決定され得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8a)】
図8b)】
図8c)】
図8d)】
図9a)】
図9b)】
図9c)】
図9d)】
【国際調査報告】