(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-05
(54)【発明の名称】改善された接着強度及びヒートシール性能を有する接着剤組成物
(51)【国際特許分類】
C09J 133/00 20060101AFI20240227BHJP
C09J 125/08 20060101ALI20240227BHJP
C08F 220/06 20060101ALI20240227BHJP
C08F 222/08 20060101ALI20240227BHJP
B32B 27/30 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
C09J133/00
C09J125/08
C08F220/06
C08F222/08
B32B27/30 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023549832
(86)(22)【出願日】2021-02-25
(85)【翻訳文提出日】2023-08-17
(86)【国際出願番号】 CN2021077824
(87)【国際公開番号】W WO2022178745
(87)【国際公開日】2022-09-01
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】シー、ルイ
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ウェイファン
(72)【発明者】
【氏名】シュエ、イン
【テーマコード(参考)】
4F100
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【Fターム(参考)】
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(57)【要約】
(A)アクリルエマルジョンポリマーと、(B)ビニル芳香族モノマー-無水マレイン酸コポリマーとを含む接着剤組成物が提供され、(B)ビニル芳香族モノマー-無水マレイン酸コポリマーが、接着剤組成物の全固形分重量に基づいて0.1重量%~6.5重量%の量で存在する。接着剤組成物は、接着強度及び/又はヒートシール性能に関して改善された性能を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着剤組成物であって、
(A)アクリルエマルジョンポリマーと、
(B)ビニル芳香族モノマー-無水マレイン酸コポリマーと、を含み、
(B)ビニル芳香族モノマー-無水マレイン酸コポリマーが、前記接着剤組成物の全固形分重量に基づいて0.1重量%~6.5重量%の量で存在する、接着剤組成物。
【請求項2】
前記アクリルエマルジョンポリマーが、(a)1つ以上のエチレン性不飽和イオン性モノマーの構造単位、及び(b)1つ以上のエチレン性不飽和非イオン性モノマーの構造単位を含む、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項3】
前記アクリルエマルジョンポリマーが、前記エマルジョンポリマーの重量に基づく重量基準で、
30重量%~50重量%のビニル芳香族モノマーの構造単位と、
50重量%~70重量%のC
1~C
20-アルキル(メタ)アクリレートの構造単位と、
0.1重量%~8重量%の(メタ)アクリル酸の構造単位と、を含む、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項4】
前記ビニル芳香族モノマー-無水マレイン酸コポリマーが、(a)1つ以上のビニル芳香族モノマーの構造単位及び(b)無水マレイン酸の構造単位を含む、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項5】
前記ビニル芳香族モノマー-無水マレイン酸コポリマー(B)が、前記接着剤組成物の全固形分重量に基づいて、0.5重量%以上かつ同時に6.0重量%以下の量で存在する、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項6】
前記接着剤組成物が、一成分水性接着剤組成物である、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項7】
記載された接着剤組成物を使用して積層体を形成する方法であって、
(a)請求項1~6のいずれか一項に記載の前記接着剤組成物を提供することと、
(b)接着剤組成物を基材の表面の第1の部分に塗布して、前記接着剤組成物の層を形成することと、
(d)前記接着剤組成物の前記層が前記第1の部分と前記第2の部分との間に挟まれるように、基材の表面の第2の部分を前記接着剤組成物の前記層と接触させることと、
(e)前記接着剤組成物を乾燥させるか、又はそれが乾燥するのを可能にすることと、を含む、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の積層体の製造方法を使用することによって調製された積層体。
【請求項9】
基材の表面の第1の部分と、請求項1~6のいずれか一項に記載の接着剤組成物の層と、同じ基材又は異なる基材の表面の第2の部分と、を含む、積層体であって、前記接着剤組成物の前記層は、前記第1の部分と前記第2の部分との間に挟まれ、かつ前記第1の部分及び前記第2の部分と接触している、積層体。
【請求項10】
アクリルエマルジョンポリマーを含む接着剤組成物の前記接着強度及び/又はヒートシール性能を改善するためのビニル芳香族モノマー-無水マレイン酸コポリマーの使用。
【請求項11】
前記ビニル芳香族モノマー-無水マレイン酸コポリマーが、前記接着剤組成物の全固形分重量に基づいて0.1重量%~6重量%の量で存在する、請求項10に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、接着剤組成物に関する。より詳細には、本開示は、接着剤組成物、それを含む物品、及び物品を製造する方法に関する。接着剤組成物は、接着強度及び/又はヒートシール性能に関して改善された性能を提供する。
【背景技術】
【0002】
接着剤組成物は、多種多様な目的に有用である。例えば、接着剤組成物は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、金属、紙、又はセロファンなどの基材を一緒に結合して複合フィルム、すなわち、積層体を形成するために使用される。様々な積層最終用途における接着剤の使用が一般に知られている。例えば、接着剤は、包装産業において、特に食品包装のために使用されるフィルム/フィルム及びフィルム/ホイル積層体の製造に使用することができる。積層用途で使用される接着剤、すなわち「積層用接着剤」は、全般に、溶剤系、水系、及び無溶剤の3つのカテゴリーに分類することができる。
【0003】
多くの水系積層用接着剤が、フィルム/フィルム(ホイル)積層用に数年間開発されてきた。しかしながら、水系積層用接着剤は、より広い用途に対する性能上の欠点によっても制限される。先行技術における水性積層用接着剤は、ホイルベースの積層構造体に対して低い接着強度及び/又は乏しいヒートシール性能を示す傾向がある。したがって、接着強度及び/又はヒートシール性能に関して改善された性能を有する接着剤組成物を開発することが望ましい。
【発明の概要】
【0004】
一態様では、本開示は、
(A)アクリルエマルジョンポリマーと、
(B)ビニル芳香族モノマー-無水マレイン酸コポリマーと、を含み、
(B)ビニル芳香族モノマー-無水マレイン酸コポリマーが、接着剤組成物の全固形分重量に基づいて0.1重量%~6.5重量%の量で存在する、接着剤組成物を提供する。
【0005】
更なる態様では、本開示は、記載される接着剤組成物を使用した積層体の製造方法を提供し、
(a)上述の接着剤組成物を提供することと、
(b)接着剤組成物を基材の表面の第1の部分に塗布して、接着剤組成物の層を形成することと、
(d)接着剤組成物の層が第1の部分と第2の部分との間に挟まれるように、基材の表面の第2の部分を接着剤組成物の層と接触させることと、
(e)接着剤組成物を乾燥させるか、又はそれが乾燥するのを可能にすることと、を含む。
【0006】
更なる態様では、本開示は、本明細書に記載される積層体の製造方法を使用することによって調製される積層体を提供する。
【0007】
更なる態様では、本開示は、基材の表面の第1の部分と、本明細書に記載される接着剤組成物の層と、同じ基材又は異なる基材の表面の第2の部分と、を含む積層体であって、接着剤組成物の層は、第1の部分と第2の部分との間に挟まれ、かつ第1の部分と第2の部分に接触している、積層体を提供する。
【0008】
更なる態様において、本開示は、アクリルエマルジョンポリマーを含む接着剤組成物の接着強度及び/又はヒートシール性能を改善するためのビニル芳香族モノマー-無水マレイン酸コポリマーの使用を提供する。好ましくは、ビニル芳香族モノマー-無水マレイン酸コポリマーは、接着剤組成物の全固形分重量に基づいて、0.1重量%~6重量%の量で存在する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。また、本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、参照により組み込まれる。
【0010】
本明細書で開示するとき、「及び/又は」は、「及び、又は代替として」を意味する。全ての範囲は、特に指示がない限り、終点を含む。
【0011】
本明細書で開示される場合、本明細書で言及されるすべての百分率は、別段明記されない限り、重量により、℃の温度による。
【0012】
本明細書における「水性」組成物又は分散液は、粒子が水性媒体中に分散していることを意味する。本明細書において「水性媒体」とは、水、及び媒体の重量に基づく重量基準で、0~30%の、例えば、アルコール、グリコール、グリコールエーテル、グリコールエステル、又はそれらの混合物などの水混和性化合物を意味する。
【0013】
本明細書で使用される場合、「ガラス転移温度」又は「Tg」は、例えば、示差走査熱量測定(「DSC」)又はFox式を使用する計算を含む様々な技術によって測定することができる。本明細書で報告されるT
gの特定の値は、Fox式(T.G.Fox,Bull.Am.Physics Soc.,Volume 1,Issue No.3,page 123(1956))を使用して計算されたものである。例えば、モノマーM
1及びM
2のコポリマーのT
gを計算するために、
【数1】
が用いられ、式中、T
g(計算値)は、コポリマーについて計算されたガラス転移温度であり、w(M
1)は、コポリマー中のモノマーM
1の重量分率であり、w(M
2)は、コポリマー中のモノマーM
2の重量分率であり、T
g(M
1)は、モノマーM
1のホモポリマーのガラス転移温度であり、T
g(M
2)は、モノマーM
2のホモポリマーのガラス転移温度であり、全ての温度は、Kである。ホモポリマーのガラス転移温度は、例えば、J.Brandrup及びE.H.Immergut、Interscience Publishersによって編集された「Polymer Handbook」に見出すことができる。
【0014】
指定されたモノマーの「重合単位」としても知られる「構造単位」は、重合後のモノマーの残部、すなわち、重合したモノマー又は重合した形態のモノマーを指す。例えば、メチルメタクリレートの構造単位は、
【化1】
(式中、点線は、構造単位のポリマー骨格への結合点を表す)に図示される通りである。
【0015】
接着剤組成物
本開示による接着剤組成物は、(A)アクリルエマルジョンポリマー;及び(B)ビニル芳香族モノマー-無水マレイン酸コポリマーを含み、ここで、(B)ビニル芳香族モノマー-無水マレイン酸コポリマーは、接着剤組成物の全固形重量に基づいて、0.1重量%~6.5重量%の量で存在する。
【0016】
接着剤組成物は、好ましくは水性である。
【0017】
より好ましくは、接着剤組成物は、一成分水性接着剤組成物である。
【0018】
アクリルエマルジョンポリマー
本発明のアクリルエマルジョンポリマーは、1つ以上のエチレン性不飽和イオン性モノマーの構造単位も含み得る。本明細書における「イオン性モノマー」という用語は、pH1~pH14のイオン性の電荷を有するモノマーを指す。好適なエチレン性不飽和イオン性モノマーの例としては、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、又はフマル酸などの酸含有モノマー;スチレンスルホン酸ナトリウム(SSS)、ビニルスルホン酸ナトリウム(SVS)、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸のナトリウム塩、2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸のアンモニウム塩;アリルエーテルスルホン酸のナトリウム塩;ホスホエチル(メタ)アクリレート、ホスホプロピル(メタ)アクリレート、ホスホブチル(メタ)アクリレート、これらの塩、及びこれらの混合物などのホスホアルキル(メタ)アクリレート;CH2=C(Rp1)-C(O)-O-(Rp2O)p-P(O)(OH)2[式中、Rp1=H又はCH3、Rp2=アルキル及びp=1~10]、例えばSolvayから全て入手できるSIPOMER PAM-100、SIPOMER PAM-200及びSIPOlMER PAM-300;ホスホエチレングリコール(メタ)アクリレート、ホスホジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ホスホトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ホスホプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ホスホジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ホスホトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、アリルエーテルホスフェート、ビニルホスホン酸などのホスホアルコキシ(メタ)アクリレート、それらの塩、又はそれらの混合物を含むα,β-エチレン性不飽和カルボン酸が挙げられる。好ましいエチレン性不飽和イオン性モノマーは、ホスホエチルメタクリレート(PEM)、アクリル酸(AA)、メタクリル酸(MAA)、又はこれらの混合物である。本発明のアクリルエマルジョンポリマーは、エマルジョンポリマーの重量に基づいて、0.1重量%以上、0.3重量%以上、0.5重量%以上、0.75重量%以上、又は更に1重量%以上、かつ同時に、8重量%以下、7重量%以下、6重量%以下、5重量%以下、4.5重量%以下、4重量%以下、3.8重量%以下、3.5重量%以下、又は更に3.3重量%以下のエチレン性不飽和イオン性モノマーの構造単位を含み得る。
【0019】
本発明のアクリルエマルジョンポリマーは、(b)モノエチレン性又は多エチレン性不飽和モノマーであり得る、1つ以上のエチレン性不飽和非イオン性モノマーの構造単位を含み得る。本明細書における「非イオン性モノマー」という用語は、pH1~pH14でイオン電荷を持たないモノマーを指す。好適なモノエチレン性不飽和非イオン性モノマーとしては、例えば、ビニル芳香族モノマー、C1~C20-アルキル(メタ)アクリレート、アクリロニトリル(AN)、(メタ)アクリルアミド、又はこれらの混合物を挙げることができる。C1~C20-アルキル(メタ)アクリレートは、1~20個の炭素原子を有するアルキルを含有する(メタ)アクリル酸のアルキルエステルを指す。C1~C20-アルキル(メタ)アクリレートとしては、C1~C3-アルキル(メタ)アクリレート、シクロアルキル(メタ)アクリレート、及びシクロアルキル(メタ)アクリレートとは異なるC4~C20-アルキル(メタ)アクリレートが挙げることができる。好適なアルキル(メタ)アクリレートの例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート(methcyclohexyl(meth)acrylate)、ジヒドロジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)シクロヘキシルアクリレートなどのシクロアルキル(メタ)アクリレート;ヒドロキシエチルメタクリレート及びヒドロキシプロピルメタクリレートなどのヒドロキシ官能性(メタ)アクリル酸アルキルエステル;グリシジル(メタ)アクリレート;又はその混合物を含む。ビニル芳香族モノマーとしては、スチレン、α-メチルスチレン、トランス-β-メチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、エチルスチレン、ブチルスチレン、及びp-メトキシスチレンなどの置換スチレン;o-、m-、及びp-メトキシスチレン;並びにp-トリフルオロメチルスチレン;又はその混合物を含み得る。好ましいモノエチレン性不飽和非イオン性モノマーとしては、メチルメタクリレート、スチレン、シクロヘキシルメタクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレート、又はこれらの混合物が挙げられる。好ましいモノエチレン性不飽和非イオン性モノマーとしては、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、スチレン、ブチルメタクリレート、ブチルアクリレート、又はこれらの混合物が挙げられる。エチレン性不飽和非イオン性モノマーの構造単位の含有量は、得られるエマルジョンポリマーが所望のハンセン溶解度パラメータを有するように調整することができる。例えば、エマルジョンポリマーは、エマルジョンポリマーの重量に基づいて、好ましくは35重量%以上、36重量%以上、又は更に37重量%以上、かつ同時に、45重量%以下、44重量%以下、又は更に43重量%以下の量のブチルアクリレートの構造単位と、30重量%以上、31重量%以上、32重量%以上、33重量%以上、又は更に34重量%以上、かつ同時に、50重量%以下、49重量%以下、48重量%以下、46重量%以下、又は更に45重量%以下の量のスチレンの構造単位とを含み得る。あるいは、エマルジョンポリマーは、エマルジョンポリマーの重量に基づいて、好ましくは30重量%以上、31重量%以上、又は更に32重量%以上、かつ同時に、40重量%以下、39重量%以下、又は更に38重量%以下の量の2-エチルヘキシルアクリレートの構造単位と、30重量%以上、31重量%以上、32重量%以上、33重量%以上、又は更に34重量%以上、かつ同時に、39.5重量%以下、39重量%以下、38重量%以下、又は更に37重量%以下の量のスチレンの構造単位を含み得る。エマルジョンポリマーは、エマルジョンポリマーの重量に基づいて、19重量%未満のアクリロニトリルの構造単位、例えば、15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、1重量%未満、又は更に0重量%のアクリロニトリルの構造単位を含み得る。本発明において有用な多エチレン性不飽和非イオン性モノマーとしては、ジ-、トリ-、テトラ-、又はそれ以上の多官能性エチレン性不飽和モノマーが挙げられる。好適な多エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、アリル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、又はこれらの混合物を挙げることができる。エマルジョンポリマーは、エマルジョンポリマーの重量に基づいて、0重量%~3.0重量%、0.05重量%~0.8重量%、又は0.1重量%~0.5重量%の多エチレン性不飽和非イオン性モノマーの構造単位を含み得る。
【0020】
アクリルエマルジョンポリマーは、エマルジョンポリマーの重量に基づいて、
30重量%~50重量%のビニル芳香族モノマーの構造単位と、
50重量%~70重量%のC1~C20-アルキル(メタ)アクリレートの構造単位と、
0.1重量%~8重量%の(メタ)アクリル酸の構造単位と、を含む。
【0021】
あるいは、アクリルエマルジョンポリマーは、エマルジョンポリマーの重量に基づいて、
30重量%~50重量%のスチレンの構造単位と、
50重量%~70重量%のブチルアクリレートの構造単位と、
0.1重量%~8重量%のアクリル酸の構造単位と、を含む。
【0022】
アクリルエマルジョンポリマー中の構造単位の総濃度は100%に等しい。上述のモノマーの種類及び濃度は、異なる用途に適したガラス転移温度(Tg)を有するエマルジョンポリマーを提供するように選択され得る。アクリルエマルジョンポリマーは、-20~60℃、-15~50℃、-10~30℃、又は-5~20℃の範囲のTgを有し得る。エマルジョンポリマーのTg値は、示差走査熱量測定(differential scanning calorimetry、DSC)を含む様々な手法によって測定するか、又はFox式を使用することによって計算することができる。
【0023】
本発明において有用なアクリルエマルジョンポリマーは、上述のモノマーのフリーラジカル重合、好ましくはエマルジョン重合によって調製され得る。アクリルコポリマーを調製するために使用されるモノマーの総重量濃度は100%に等しい。モノマーは、ニートで添加してもよく、又は水中のエマルジョンとして添加してもよく、又はアクリルコポリマーを調製する反応期間にわたって、1回以上に分けて若しくは連続的に、線型的に若しくは非線型的に添加してもよい。重合プロセスに好適な温度は、100℃未満、30~95℃の範囲、又は50~90℃の範囲であり得る。
【0024】
エマルジョンポリマーを調製するプロセスでは、フリーラジカル開始剤を使用することができる。重合プロセスは、熱的に開始されるか、又はレドックスにより開始されるエマルジョン重合であってもよい。好適なフリーラジカル開始剤の例としては、過酸化水素、t-ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、過硫酸アンモニウム及び/又は過硫酸アルカリ金属、過ホウ酸ナトリウム、過リン酸、及びこれらの塩;過マンガン酸カリウム、及びペルオキシ二硫酸のアンモニウム塩又はアルカリ金属塩が挙げられる。フリーラジカル開始剤は、典型的には、エマルジョンポリマーを調製するために使用されるモノマーの総重量に基づいて、0.01重量%~3.0重量%の濃度で使用され得る。適切な還元剤と結合した上記の開始剤を含むレドックス系を重合プロセスで使用することができる。好適な還元剤の例としては、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、アスコルビン酸、イソアスコルビン酸、イオウ含有酸のアルカリ金属塩及びアンモニウム塩(亜硫酸塩、重亜硫酸塩、チオ硫酸塩、ヒドロ亜硫酸塩、硫化物、水素硫化物又は亜ジチオン酸塩、ホルマジンスルフィン酸(formadinesulfinic acid)、重亜硫酸アセトン塩、グリコール酸、ヒドロキシメタンスルホン酸、グリオキシル酸水和物、乳酸、グリセリン酸、リンゴ酸、酒石酸など)、及び前述の酸の塩が挙げられる。鉄、銅、マンガン、銀、白金、バナジウム、ニッケル、クロム、パラジウム、又はコバルトの金属塩を使用してレドックス反応を触媒してもよい。金属用のキレート剤を任意選択で使用することができる。
【0025】
エマルジョンポリマーを調製するプロセスにおいて、連鎖移動剤を使用することができる。好適な連鎖移動剤の例としては、3-メルカプトプロピオン酸、メチルメルカプトプロピオネート、ブチルメルカプトプロピオネート、n-ドデシルメルカプタン、ベンゼンチオール、アゼライン酸アルキルメルカプタン、又はこれらの混合物が挙げられる。連鎖移動剤は、エマルジョンポリマーの分子量を制御するのに有効な量で使用することができる。連鎖移動剤は、エマルジョンポリマーを調製するために使用されるモノマーの総重量に基づいて、0重量%~3重量%、0.01重量%~1重量%、又は0.1重量%~0.3重量%の量で存在し得る。
【0026】
エマルジョンポリマーを調製するプロセスにおいて、界面活性剤を使用することができる。界面活性剤は、モノマー又はその組み合わせの重合前、重合中若しくは重合後に添加してよい。好適な追加の界面活性剤の例としては、アルキル、アリール、又はアルキルアリールのスルフェート、スルホネート、又はホスフェートのアルカリ金属又はアンモニウム塩;アルキルスルホン酸;スルホコハク酸塩;脂肪酸;重合性界面活性剤;エトキシ化アルコール又はフェノール;及びそれらの混合物が挙げられる。追加の界面活性剤は、水性ポリマー分散液の性能を損なうことのない量、例えば、エマルジョンポリマーの乾燥重量に基づいて、0重量%~1.5重量%、0.1重量%~1重量%、0.2重量%~0.8重量%、又は0.3重量%~0.6重量%で使用されるべきである。
【0027】
得られた水性エマルジョンポリマー分散液のpH値は、中和によって、少なくとも5、例えば6~10又は6.5~9に制御することができる。中和は、多段ポリマー粒子のイオン性基又は潜在的イオン性基の部分的又は完全な中和をもたらし得る1つ以上の塩基を添加することによって行うことができる。好適な塩基の例としては、アンモニア;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、炭酸ナトリウムなどのアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属化合物;トリエチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、モノイソプロピルアミン、モノブチルアミン、ヘキシルアミン、エタノールアミン、ジエチルアミン、ジメチルアミン、ジ-n-プロピルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、ジメトキシエチルアミン、2-エトキシエチルアミン、3-エトキシプロピルアミン、ジメチルエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、モルホリン、エチレンジアミン、2-ジエチルアミノエチルアミン、2,3-ジアミノプロパン、1,2-プロピレンジアミン、ネオペンタンジアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,9-ジオキサドデカン-1,12-ジアミン、ポリエチレンイミン、若しくはポリビニルアミンなどの一級、二級、及び三級アミン;水酸化アルミニウム、又はその混合物を含む。
【0028】
本発明で有用なエマルジョンポリマーは、50ナノメートル(nm)~500nm、80nm~200nm、又は90nm~150nmの粒径を有し得る。本明細書の粒径は、Z平均サイズを指し、Brookhaven BI-90 Plus Particle Size Analyzerによって測定することができる。
【0029】
ビニル芳香族モノマー-無水マレイン酸コポリマー
本開示のビニル芳香族モノマー-無水マレイン酸コポリマーは、(a)1つ以上のビニル芳香族モノマーの構造単位を含んでもよい。ビニル芳香族モノマーとしては、スチレン、α-メチルスチレン、トランス-β-メチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、エチルスチレン、ブチルスチレン、及びp-メトキシスチレンなどの置換スチレン;o-、m-、及びp-メトキシスチレン;並びにp-トリフルオロメチルスチレン;又はその混合物を含み得る。本発明のビニル芳香族モノマー-無水マレイン酸コポリマーは、ビニル芳香族モノマー-無水マレイン酸コポリマーの重量に基づいて、20重量%以上、30重量%以上、又は更に40重量%以上、及び同時に、99重量%以下、90重量%以下、80重量%以下、70重量%以下、又は更に60重量%以下のビニル芳香族モノマーの構造単位を含み得る。
【0030】
本開示のビニル芳香族モノマー-無水マレイン酸コポリマーは、(b)無水マレイン酸の構造単位を含んでもよい。本発明のビニル芳香族モノマー-無水マレイン酸コポリマーは、ビニル芳香族モノマー-無水マレイン酸コポリマーの重量に基づいて、5重量%以上、10重量%以上、20重量%以上、30重量%以上、又は更に40重量%以上、及び同時に、80重量%以下、70重量%以下、又は更に60重量%以下の無水マレイン酸の構造単位を含んでもよい。
【0031】
本開示のビニル芳香族モノマー-無水マレイン酸コポリマーは、アミン(例えば、アンモニア又はジメチルプロピレンジアミン)によってイミド化され得る。コポリマーのイミド化度は、50~100%であり得る。これらのイミド化ビニル芳香族モノマー-無水マレイン酸コポリマーはまた、Cray Valley社からSMA X10000i、SMA X2000i、SMA X3000i、SMA X4000i及びSMA 3000Hの名称で市販されている。
【0032】
本発明の好ましいビニル芳香族モノマー-無水マレイン酸コポリマーは、スチレンと無水マレイン酸とのコポリマー(SMA)である。好ましくは、スチレン対無水マレイン酸の比は1/1~6/1、好ましくは2/1~4/1である。
【0033】
ビニル芳香族モノマー-無水マレイン酸コポリマーの数分子量は、500~20,000、好ましくは2,000~5,000である。
【0034】
ビニル芳香族モノマー-無水マレイン酸コポリマーは、任意の既知の方法によって、例えば、US 3,444,151 Aに記載されている方法に従って調製することができる。
【0035】
ビニル芳香族モノマー-無水マレイン酸コポリマー(B)は、接着剤組成物の全固形分重量に基づいて、0.1重量%以上、0.5重量%以上、0.8重量%以上、1.0重量%以上、1.2重量%以上、1.5重量%以上、及び同時に6.5重量%以下、6.0重量%以下、又は5.5重量%以下、5.0重量%以下、4.5重量%以下の量で存在する。
【0036】
任意選択成分
本開示による接着剤組成物は、任意選択で、イソシアネート架橋剤、レオロジー調整剤、消泡剤、シラン、及び他の添加剤からなる群から選択される1つ以上の成分を含んでもよい。
【0037】
イソシアネート架橋剤
本開示による接着剤組成物は、イソシアネート架橋剤を任意選択で含み得る。イソシアネート架橋剤としては、イソシアネートモノマー、ポリイソシアネート、イソシアネートアダクト及びこれらの混合物、又はカルボジイミド等が挙げられる。
【0038】
本開示の接着剤組成物において、イソシアネート架橋剤(複数可)は、接着剤組成物の全固形分重量に基づいて、0.1重量%~20重量%、好ましくは1重量%~15重量%、より好ましくは1重量%~8重量%、更により好ましくは3重量%~7重量%の量で存在し得る。
【0039】
レオロジー調整剤
本開示による接着剤組成物は、レオロジー調整剤を更に含み得る。レオロジー調整剤は、非イオン性ウレタンポリマー、セルロース、セルロースエーテル、ポリエチレングリコール、デンプンエーテル、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ガム、小麦粉、及びそれらの混合物を含み得るが、これらに限定されない。レオロジー調整剤は、好ましくは、セルロースエーテルなどの非会合性増粘剤から選択された。
【0040】
レオロジー調整剤は、接着剤組成物の全固形分重量に基づいて、一般に0.1重量%~5.0重量%、0.2重量%~3重量%、又は0.5重量%~2.0重量%、又は0.4重量%~1.0重量%の量で存在し得る。
【0041】
消泡剤
本開示による接着剤組成物は、1つ以上の消泡剤を更に含み得る。本明細書における「消泡剤」は、泡の形成を減少させ、かつ妨げる化学添加剤を指す。消泡剤は、シリコーン系消泡剤、鉱油系消泡剤、エチレンオキシド/プロピレンオキシド系消泡剤、又はそれらの混合物であり得る。好適な市販の消泡剤には、例えば、両方ともTEGOから入手可能なTEGO Airex902W及びTEGO Foamex1488ポリエーテルシロキサンコポリマーエマルジョン、BYKから入手可能なBYK-024シリコーン変形剤、NOPCOから入手可能なNOPCO NXZ変形剤、又はそれらの混合物が含まれる。消泡剤は、接着剤組成物の全固形分重量で、一般に0.01重量%~2重量%、0.02重量%~1.5重量%、又は0.04重量%~0.5重量%、又は0.04重量%~0.1重量%の量で存在し得る。
【0042】
シラン
いくつかの用途では、高粘度(例えば、>20,000cP)及び高固形分(例えば、>70%)を有する接着剤組成物が必要とされる。これらの場合、十分なポットライフを提供するために、NCO架橋剤の負荷が制限され、シランがNCO架橋剤を補う添加剤として使用され、したがって、十分なポットライフ及び接着性能の両方を提供する。本開示によるシランは、エポキシ官能性シランであってもよい。
【0043】
本発明において有用なエポキシ官能性シラン化合物は、典型的には、エポキシ基を有する飽和アルコキシル化シランである。エポキシ官能性シラン化合物は、少なくとも1つの加水分解性シラン基を有し得る。好ましいエポキシ官能性シラン化合物は、一般式(I)を有し、
【化2】
式中、各R
3は、1~6個の炭素原子を有するアルキル基を表し;各OR
3基は、独立して、例えば、メトキシ、エトキシ、又はこれらの組み合わせを含む、1~6個の炭素原子を有するアルコキシ基を表し;R
4は、分子量200以下の2価の有機基を表し、好ましくは、R
4は、C
1-C
10、C
1-C
5、又はC
1-C
3アルキレン基であり;R
5は、水素原子、又は1~20個の炭素原子を有するアルキル、アリール、若しくはアラルキル基を表し、qは、1、2、又は3である。好適なエポキシ官能性シラン化合物の例としては、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、又はそれらの混合物が挙げられる。市販のエポキシ官能性シラン化合物には、Momentive Performance Materials Inc.からのSilquest A-187ガンマ-グリシドキシプロピルトリメトキシシランが含まれ得る。
【0044】
本開示において有用なエポキシ官能性シランは、接着組成物の全固体のゼロ以上、0.05重量%以上、0.1重量%以上、0.15重量%以上、0.2重量%以上、0.25重量%以上、0.3重量%以上、又は更には0.35重量%以上、及び同時に、5重量%以下、4重量%以下、3重量%以下、2.5重量%以下、2重量%以下、1.5重量%以下、1.2重量%以下、1重量%以下、0.8重量%以下、又は更には0.5重量%以下の合計量で存在し得る。
【0045】
他の添加剤
上述の成分に加えて、本発明の接着剤組成物は、以下の添加剤:分散剤、緩衝剤、中和剤、湿潤剤、防カビ剤、殺生物剤、着色剤、流動剤、酸化防止剤、可塑剤、均染剤、チキソトロピー剤、接着促進剤、及び粉砕展色剤(grind vehicles)のうちのいずれか1つ又はそれらの組み合わせを更に含み得る。存在する場合、これらの添加剤は、接着剤組成物の全固形分重量に基づいて、0重量%~5重量%、又は0.1重量%~3重量%、又は0.5重量%~1.5重量%の合計量で存在し得る。
【0046】
本発明の接着剤組成物は、アクリルエマルジョンポリマーをビニル芳香族モノマー-無水マレイン酸コポリマー及び上記の他の任意成分と混合することを含む、接着剤分野で公知の技術を用いて調製することができる。接着剤組成物中の構成成分は、本発明の接着剤組成物を提供するために任意の順序で混合され得る。また、上記の任意成分のいずれも、接着剤組成物を形成するために、混合中又は混合前に組成物に添加され得る。
【0047】
本開示はまた、本明細書に記載される接着剤組成物を使用することによる積層体の製造方法であって、
(a)上述の接着剤組成物を提供することと、
(b)接着剤組成物を基材の表面の第1の部分に塗布して、接着剤組成物の層を形成することと、
(c)接着剤組成物の層が第1の部分と第2の部分との間に挟まれるように、基材の表面の第2の部分を接着剤組成物の層と接触させることと、
(d)接着剤組成物を乾燥させるか、又はそれが乾燥するのを可能にすることと、を含む。
【0048】
いくつかの実施形態では、本方法は、接着剤組成物の層を形成するために、基材(例えば、フィルム)の表面の第1の部分上に接着剤組成物を適用することを含み得る。本明細書で使用するとき、「基材の表面の第1の部分」は、表面の一部又は全体を指し得る。いくつかの実施形態では、表面の第1の部分は、表面の一部又は表面全体であり得る。いくつかの実施形態では、接着剤組成物の被覆重量は、0.5~5.0g/m2、0.5~4.0g/m2、0.5~3.0g/m2、0.5~2.0g/m2、0.5~1.0g/m2、0.8~4.0g/m2、0.8~3.0g/m2、1.0~3.0g/m2、1.5~3.0g/m2、又は1.5~2.0g/m2であり得る。いくつかの実施形態では、基材は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、金属、紙、セロファン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される材料で作製され得る。いくつかの実施形態では、基材は、フィルムの形態であり得る。
【0049】
「フィルム」は、0.5mm以下の厚さを有する材料の層を指し得る。いくつかの実施形態では、フィルムは、1つの寸法が0.5mm以下であり、他の2つの寸法が両方とも1cm以上である構造体であり得る。いくつかの実施形態では、ポリマーフィルムは、ポリマー又はポリマーの混合物から作製されるフィルムである。いくつかの実施形態では、フィルムに適用される接着剤組成物の層の厚さは1~5μmである。好適なフィルムとしては、紙、織布及び不織布、金属ホイル、ポリマー、及び金属被覆ポリマーが挙げられる。フィルムは、任意選択的に、その上に画像がインクで印刷される表面を有する。インクは接着剤組成物と接触してもよい。いくつかの実施形態では、フィルムは、ポリマーフィルム及び金属被覆ポリマーフィルムであり、より好ましくはポリマーフィルムである。ポリマーフィルムは、PE又はPETフィルムであってよい。
【0050】
いくつかの実施形態では、本方法は、接着剤組成物の層が第1の部分と第2の部分との間に挟まれて積層体を形成するように、基材(例えば、フィルム)の表面の第2の部分を接着剤組成物の層と接触させることを含み得る。本明細書で使用するとき、「基材の表面の第2の部分」は、表面の一部又は全体を指し得る。一般に、第2の部分は、上述のように第1の部分とは異なる。いくつかの実施形態では、第1の部分及び第2の部分は、同じか又は異なる表面上の部分であり得る。いくつかの実施形態では、第1の部分及び第2の部分は、同じか又は異なる基材の同じか又は異なる表面の部分であり得る。いくつかの実施形態では、表面の第1の部分は、表面の一部又は表面全体であり得る。いくつかの実施形態では、表面の第2の部分は、表面の一部又は表面全体であり得る。
【0051】
いくつかの実施形態では、本方法は、接着剤組成物を乾燥させることか又は接着剤組成物が乾燥するのを可能にすることを含め得る。いくつかの実施形態では、積層体は、例えば加熱されていてもされていなくてもよいニップローラに通すことによって、加圧することができる。いくつかの実施形態では、積層体を加熱して(例えば、30℃~90℃、例えば、30℃~60℃の温度で)乾燥プロセスを加速させ得る。
【0052】
更なる態様では、本開示は、上述の硬化積層体の製造方法を使用することによって調製される積層体を提供する。
【0053】
更なる態様では、本開示は、基材の表面の第1の部分と、本明細書に記載される接着剤組成物の層と、同じ基材又は異なる基材の表面の第2の部分と、を含む積層体であって、接着剤組成物の層は、第1の部分と第2の部分との間に挟まれ、かつ第1の部分と第2の部分に接触している、積層体を提供する。
【実施例】
【0054】
次に、本発明のいくつかの実施形態を以下の実施例において説明し、全ての部及び百分率は、別段明記されない限り、重量による。しかしながら、本開示の範囲は、当然ながら、これらの実施例に示される配合に限定されない。むしろ、実施例は単に本開示の発明に関する。
【0055】
1.原料
実施例で使用された原料の情報を以下の表1に示す:
【表1】
【0056】
2.調製手順:
表2に列記した配合に従ってサンプルを調製した。ROBOND(商標)L-80D及びSMA-3000Hを秤量し、ガラス反応器中で注意深く混合し、次いでこれを25℃の水浴中に入れた。回転子をオンにし、回転速度を50RMに制御し、プロセス全体を監視した。0.5時間後、生成物を100mLのHDPEボトルに入れた。
【表2】
注:SMA-3000H(%)は、接着剤組成物の全固形分重量に対するSMA-3000Hの乾燥重量で測定した。
【0057】
3.被覆及び積層プロセス:
被覆及び積層プロセスは、SDC Labo-Combi 400機で行われた。積層速度は、全積層プロセスの間、100m/分で維持した。被覆重量は1.8~2.0g/m2であった。次いで、積層フィルムを室温(23~25℃)又はオーブン内で硬化させた後、試験した。
【0058】
4.試験方法:
T型剥離(90°)接着強度(手で補助したT型剥離)
乾燥後、Instron 5943機における250mm/分のクロスヘッド速度でのT型剥離試験のために、積層したフィルムを15mm幅のストリップに切断した。3つのストリップを試験して、平均値を取得した。試験中、ストリップの尾部をわずかに指で引っ張り、尾部が剥離方向に対して90°のままであることを確かめた。
【0059】
ヒートシール強度:
積層体を、Brugger Companyから入手可能なHSG-C Heat-Sealing Machine中、140℃のシール温度及び300Nの圧力で1秒間ヒートシールし、次いで、冷却し、ヒートシール強度試験のために、Instron Corporationから入手可能な5940 Series Single Column Table Top Systemを使用して、250mm/分のクロスヘッド速度下で15mm幅のストリップに切断した。各サンプルの3つのストリップを試験し、平均値を計算した。結果をN/15mm単位とした。
【0060】
5.性能評価結果
結合強度(BS)及びヒートシール強度(HS)特性を表3に要約した。結果は、SMA-3000Hの使用が、PET/PE及びホイル/PEの結合強度及びヒートシール強度を改善することを示した。しかしながら、SMA-3000Hの含有量が乾燥重量で5.08%に増加すると、PET/PE及びホイル/PEの結合強度は減少し始めた。SMA-3000Hの含有量を更に6.67%まで増加させると、結合強度は元のROBOND(商標)L-80Dの性能よりも更に低くなった。
【表3】
【国際調査報告】