(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-05
(54)【発明の名称】エアロゾル生成物品、そのためのエアロゾル生成デバイス及びそれらのエアロゾル生成システム
(51)【国際特許分類】
A24F 40/20 20200101AFI20240227BHJP
A24F 40/40 20200101ALI20240227BHJP
A24F 40/465 20200101ALI20240227BHJP
【FI】
A24F40/20
A24F40/40
A24F40/465
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550127
(86)(22)【出願日】2022-01-28
(85)【翻訳文提出日】2023-08-18
(86)【国際出願番号】 EP2022052113
(87)【国際公開番号】W WO2022194435
(87)【国際公開日】2022-09-22
(32)【優先日】2021-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100210398
【氏名又は名称】横尾 太郎
(72)【発明者】
【氏名】ライト,アレック
(72)【発明者】
【氏名】ローガン,アンドリュー・ロバート・ジョン
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB12
4B162AB22
4B162AC01
4B162AC12
4B162AC41
(57)【要約】
本発明は、エアロゾル生成デバイス(30)のためのエアロゾル生成物品(10)であって、エアロゾル生成デバイス(30)のキャビティ(38)に最初に挿入される遠位端と、遠位端の下流の口側端とを有し、及びエアロゾル生成基材(16)と、ラッパー(22)と、遠位端における空気入口(24)及び口側端における空気出口(26)と、自己封止型空気流バリア(28)とを含み、自己封止型空気流バリア(28)は、方向付け手段(28a)を含む、エアロゾル生成物品(10)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル生成デバイス(30)のためのエアロゾル生成物品(10)であって、前記エアロゾル生成デバイス(30)のキャビティ(38)に最初に挿入される遠位端と、前記遠位端の下流の口側端とを有し、 エアロゾル生成基材(16)と、
前記エアロゾル生成基材(16)を取り囲み、且つ前記遠位端と前記口側端との間に延びてロッドを形成するラッパー(22)と、
前記遠位端における空気入口(24)及び前記口側端における空気出口(26)と、
前記遠位端に構成され、前記エアロゾル生成物品(10)が前記エアロゾル生成デバイス(30)内に挿入されていないとき、前記空気入口(24)と前記空気出口(26)との間の空気流を防ぎ、前記エアロゾル生成デバイス(30)への前記エアロゾル生成物品(10)の少なくとも前記遠位端の挿入時、前記空気入口(24)から前記空気出口(26)への空気流を可能にするために破壊可能である、自己封止型空気流バリア(28)と
を含み、
前記自己封止型空気流バリア(28)は、前記エアロゾル生成物品(10)が前記キャビティ(38)に挿入されるとき、前記エアロゾル生成デバイス(30)の前記キャビティ(38)に対する前記エアロゾル生成物品(10)の向きを示し且つ/又は案内するように構成された方向付け手段(28a)を含む、
エアロゾル生成物品(10)。
【請求項2】
円筒の形状を有する、
請求項1に記載のエアロゾル生成物品(10)。
【請求項3】
前記エアロゾル生成物品(10)が前記エアロゾル生成デバイス(30)の前記キャビティ(38)に部分的に挿入されるとき、前記エアロゾル生成物品(10)が前記エアロゾル生成物品(10)の長手方向中心軸の周りで回転され得るように構成される、
請求項2に記載のエアロゾル生成物品(10)。
【請求項4】
少なくとも1つのヒータ(17)、好ましくは誘導加熱可能サセプタを含み、
前記ヒータ(17)は、前記方向付け手段(28a)に対して前記エアロゾル生成物品(10)の所定の位置に位置する、
請求項1~3のいずれか一項に記載のエアロゾル生成物品(10)。
【請求項5】
前記ヒータ(17)は、ブレード形状のサセプタである、
請求項1~4のいずれか一項に記載のエアロゾル生成物品(10)。
【請求項6】
前記自己封止型空気流バリア(28)は、前記エアロゾル生成物品(10)の前記遠位端の巻かれた中空(51)部に嵌合するように構成されたロッド部を含み、
前記自己封止型空気流バリア(28)の前記ロッド部は、前記ロッド部の周囲の周りで前記ラッパー(22)に固定され、
前記方向付け手段(28a)は、前記巻かれた中空(51)部から突出する、
請求項1~5のいずれか一項に記載のエアロゾル生成物品(10)。
【請求項7】
前記方向付け手段(28a)は、多面体、好ましくは立方体、不規則な円筒形又は多角形の角柱の形状を有する、
請求項1~6のいずれか一項に記載のエアロゾル生成物品(10)。
【請求項8】
前記自己封止型空気流バリア(28)は、エラストマー材料、好ましくはシリコーンゴムを含み、
好ましくは、前記自己封止型空気流バリア(28)は、破壊されることを意図された領域内において、予め脆弱化されたエリアを含み、
前記予め脆弱化されたエリアは、好ましくは、前記エアロゾル生成物品(10)の長手方向に対して垂直な平面内に位置する円、線又は十字の形状を有する、
請求項1~7のいずれか一項に記載のエアロゾル生成物品(10)。
【請求項9】
エアロゾル生成物品(10)、好ましくは請求項1~8のいずれか一項に記載のエアロゾル生成物品(10)を使用するためのエアロゾル生成デバイス(30)であって、
開口端と底端とを有し、且つエアロゾル生成物品(10)を受け入れるように構成されたキャビティ(38)であって、
前記キャビティ(38)の前記底端における貫入部であって、前記エアロゾル生成物品(10)の自己封止型空気流バリア(28)を破壊するように構成された貫入部と、
前記エアロゾル生成物品(10)の方向付け手段(28a)に対応するように構成された対応方向付け手段(28a)であって、前記エアロゾル生成物品(10)が前記キャビティ(38)に挿入されるとき、前記キャビティ(38)に対する前記エアロゾル生成物品(10)の向きを示し且つ/又は案内するように構成される対応方向付け手段(28a)と
を有する、キャビティ(38)
を含む、エアロゾル生成デバイス(30)。
【請求項10】
前記対応方向付け手段(28a)は、前記キャビティ(38)の前記底端に位置する、
請求項9に記載のエアロゾル生成デバイス(30)。
【請求項11】
前記エアロゾル生成物品(10)の前記基材(16)を加熱するためのエネルギーを提供するように構成された励磁器、好ましくは電磁場発生器、より好ましくは平坦な誘導コイルを含む、
請求項9または10に記載のエアロゾル生成デバイス(30)。
【請求項12】
前記励磁器は、前記エアロゾル生成デバイス(30)内で前記対応方向付け手段(28a)と別々に配置される、
請求項11に記載のエアロゾル生成デバイス(30)。
【請求項13】
前記対応方向付け手段(28a)は、中空である、
請求項9~12のいずれか一項に記載のエアロゾル生成デバイス(30)。
【請求項14】
前記対応方向付け手段(28a)は、前記物品(10)の挿入方向において、多くとも10mm、好ましくは多くとも7mm、より好ましくは多くとも5mm、更により好ましくは多くとも3mm、最も好ましくは多くとも約1mm及び少なくとも0.1mm、好ましくは少なくとも0.3mm、より好ましくは少なくとも0.5mm、最も好ましくは少なくとも約0.7mmの長さを有する、
請求項9~13のいずれか一項に記載のエアロゾル生成デバイス(30)。
【請求項15】
請求項1~8のいずれか一項に記載のエアロゾル生成物品(10)と、
請求項9~14のいずれか一項に記載のエアロゾル生成デバイス(30)と
を含む、エアロゾル生成システム。
【請求項16】
前記エアロゾル生成物品(10)は、前記エアロゾル生成デバイス(30)の前記キャビティ(38)に関して第1の向き及び第2の向きを含み、
前記エアロゾル生成物品(10)は、前記第1の向きが前記エアロゾル生成デバイス(30)の所定の位置に面するように前記エアロゾル生成物品(10)が配置される場合、より効果的に消費される、
請求項15に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項17】
前記エアロゾル生成物品(10)の前記方向付け手段(28a)は、前記エアロゾル生成デバイス(30)の前記対応方向付け手段(28a)の形状に対応する形状を有し、
前記方向付け手段(28a)は、前記エアロゾル生成デバイス(30)への前記エアロゾル生成物品(10)の挿入中、前記対応方向付け手段(28a)に嵌合され得る、
請求項15または16に記載のエアロゾル生成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エアロゾル生成物品、エアロゾル生成物品のためのエアロゾル生成デバイス及びエアロゾル生成物品とエアロゾル生成デバイスとの組み合わせであるエアロゾル生成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、(エアロゾル生成デバイス又は蒸気生成デバイスとしても知られる)リスク低減デバイス又はリスク修正デバイスの人気及び使用は、従来のタバコ製品の使用に代わるものとして急速に成長している。エアロゾル生成物質を加熱又は加温して、使用者が吸入するためのエアロゾルを生成する様々なデバイス、物品及びシステムが入手可能である。
【0003】
一般に入手可能なリスク低減又はリスク修正デバイスは、基材加熱式エアロゾル生成デバイス又はいわゆる非燃焼加熱式デバイスである。このタイプのデバイスは、エアロゾル生成基材を典型的には150℃~300℃の範囲の温度に加熱することにより、エアロゾル又は蒸気を生成する。エアロゾル生成基材を燃焼させるか又は燃やすことなく、エアロゾル生成基材をこの範囲内の温度に加熱すると、蒸気が発生し、蒸気は、典型的には、冷却されて凝縮し、デバイスの使用者が吸入するためのエアロゾルが形成される。
【0004】
現在利用可能なエアロゾル生成デバイスは、抵抗加熱及び誘導加熱を含むいくつかの異なる手法の1つを用いて、エアロゾル生成基材に熱を提供することができる。エアロゾル生成基材を加熱するためにいずれの手法が用いられようと、エアロゾル生成デバイスとともに用いるように構成されたエアロゾル生成物品の形態のエアロゾル生成基材を提供することが便利であり得る。エアロゾル生成物品は、当技術分野で周知であり、典型的には、エアロゾル生成物品の遠位端に配置されたエアロゾル生成基材と、近位(口側)端に配置されたフィルタとを含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
使用者が意図せずに、エアロゾル発生物品に従来の手法で炎又は他の点火源を用いて点火しようとする場合があると考えられる。したがって、炎又は他の点火源を用いた点火の可能性を低下させた、エアロゾル生成デバイスとともに使用するためのエアロゾル生成物品を提供する必要があると同時に、より少ない電力量でよりよい性能を有するように基材の加熱効率を最大化する必要もある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題の一部又は全部を解決するエアロゾル生成物品及び物品とエアロゾル生成デバイスとを含むシステムを提供する。
【0007】
本発明の第1の実施形態は、エアロゾル生成デバイスのためのエアロゾル生成物品であって、エアロゾル生成デバイスのキャビティに最初に挿入される遠位端と、遠位端の下流の口側端とを有し、及び
エアロゾル生成基材と、
エアロゾル生成基材を取り囲み、且つ遠位端と口側端との間に延びてロッドを形成するラッパーと、
遠位端における空気入口及び口側端における空気出口と、
遠位端に構成された自己封止型空気流バリアであって、エアロゾル生成物品がエアロゾル生成デバイス内に挿入されていないとき、空気入口と空気出口との間の空気流を防ぎ、エアロゾル生成デバイスへのエアロゾル生成物品の少なくとも遠位端の挿入時、空気入口から空気出口への空気流を可能にするために破壊可能である自己封止型空気流バリアと
を含み、自己封止型空気流バリアは、エアロゾル生成物品がキャビティに挿入されるとき、エアロゾル生成デバイスのキャビティに対するエアロゾル生成物品の向きを示し且つ/又は案内するように構成された方向付け手段を含む、エアロゾル生成物品に関する。
【0008】
自己封止型空気流バリアの配置により、使用者が適切な手法でのみエアロゾル生成物品を喫煙できるようにする。具体的には、自己封止型空気流バリアの存在により、自己封止型空気流バリアを穿刺することなく空気流がエアロゾル生成物品を流れることを防ぐため、使用者は、物品を物品自体のみで点火して消費することができず、エアロゾル生成デバイスと一緒に点火して消費することができる。同時に、自己封止型空気流バリアは、その方向付け手段とともに、エアロゾル生成物品をエアロゾル生成デバイス内に所望の方法で適切に配置できるようにする。使用者は、エアロゾル生成物品を自らの触覚のみで容易に正確に方向付けることもできる。
【0009】
第2の実施形態によれば、第1の実施形態において、エアロゾル生成物品は、円筒の形状を有する。
【0010】
第3の実施形態によれば、先行する実施形態のいずれか1つにおいて、エアロゾル生成物品は、エアロゾル生成物品がエアロゾル生成デバイスのキャビティに部分的に挿入されるとき、エアロゾル生成物品がエアロゾル生成物品の長手方向中心軸の周りで回転され得るように構成される。
【0011】
第4の実施形態によれば、先行する実施形態のいずれか1つにおいて、エアロゾル生成物品は、少なくとも1つのヒータ、好ましくは誘導加熱可能サセプタを含み、ヒータは、方向付け手段に対してエアロゾル生成物品の所定の位置に位置する。
【0012】
ヒータとエアロゾル生成物品の基材との間の密接により、エアロゾル生成物品をより効率的に加熱することができる。
【0013】
第5の実施形態によれば、先行する実施形態のいずれか1つにおいて、ヒータは、ブレード形状のサセプタである。
【0014】
第6の実施形態によれば、先行する実施形態のいずれか1つにおいて、自己封止型空気流バリアは、エアロゾル生成物品の遠位端の巻かれた中空部に嵌合するように構成されたロッド部を含み、それにより、自己封止型空気流バリアのロッド部は、ロッド部の周囲の周りでラッパーに固定され、及び方向付け手段は、巻かれた中空部から突出する。
【0015】
この配置により、自己封止型空気流バリアは、エアロゾル生成物品内により強固に固定することができる。
【0016】
第7の実施形態によれば、先行する実施形態のいずれか1つにおいて、方向付け手段は、物品をデバイスのキャビティ内に所望の向きで配置することを可能にする断面を有する円柱の形状を有する。
【0017】
第8の実施形態によれば、先行する実施形態のいずれか1つにおいて、方向付け手段は、多面体、好ましくは立方体、不規則な円筒形又は多角形の角柱の形状を有する。
【0018】
第9の実施形態によれば、先行する実施形態のいずれか1つにおいて、自己封止型空気流バリアは、エラストマー材料、好ましくはシリコーンゴムを含む。
【0019】
この配置により、自己封止型空気流バリアは、エアロゾル生成物品がエアロゾル生成デバイスから取り出された後、その空気絶縁機能を回復及び取り戻すことができる。
【0020】
第10の実施形態によれば、先行する実施形態のいずれか1つにおいて、自己封止型空気流バリアは、破壊されることを意図された領域内において、予め脆弱化されたエリアを含み、予め脆弱化されたエリアは、好ましくは、エアロゾル生成物品の長手方向に対して垂直な平面内に位置する円、線又は十字の形状を有する。
【0021】
この配置により、自己封止型空気流バリアが容易に貫入され得る。
【0022】
第11の実施形態は、エアロゾル生成物品、好ましくは先行する実施形態のいずれか1つに記載のエアロゾル生成物品を使用するためのエアロゾル生成デバイスであって、
開口端と底端とを有し、且つエアロゾル生成物品を受け入れるように構成されたキャビティであって、
キャビティの底端における貫入部であって、エアロゾル生成物品の自己封止型空気流バリアを破壊するように構成された貫入部と、
エアロゾル生成物品の方向付け手段に対応するように構成された対応方向付け手段であって、エアロゾル生成物品がキャビティに挿入されるとき、キャビティに対するエアロゾル生成物品の向きを示し且つ/又は案内するように構成される対応方向付け手段と
を含むキャビティ
を含むエアロゾル生成デバイスに関する。
【0023】
第12の実施形態によれば、先行する実施形態において、対応方向付け手段は、キャビティの底端に位置する。好ましくは、対応方向付け手段は、物品の挿入方向において、多くとも10mm、好ましくは多くとも7mm、より好ましくは多くとも5mm、更により好ましくは多くとも3mm、最も好ましくは多くとも約1mm及び少なくとも0.1mm、好ましくは少なくとも0.3mm、より好ましくは少なくとも0.5mm、最も好ましくは少なくとも約0.7mmの長さを有する。
【0024】
第13の実施形態によれば、先行する実施形態のいずれか1つにおいて、デバイスは、エアロゾル生成物品の基材を加熱するためのエネルギーを提供するように構成された励磁器、好ましくは電磁場発生器、より好ましくは平坦な誘導コイルを含む。更により好ましくは、励磁器は、エアロゾル生成デバイス内で対応方向付け手段と別々に配置される。この配置により、励磁器が物品に貫入しないため、物品をより均一且つより完全に加熱することができ、物品により多くの蒸気を充填することができる。
【0025】
第14の実施形態によれば、先行する実施形態のいずれか1つにおいて、対応方向付け手段は、中空である。
【0026】
第15の実施形態は、第1~第10の実施形態のいずれか1つに記載のエアロゾル生成物品と、第11~第14の実施形態のいずれか1つに記載のエアロゾル生成デバイスとを含むエアロゾル生成システムに関する。
【0027】
第16の実施形態によれば、先行する実施形態において、エアロゾル生成物品は、エアロゾル生成デバイスのキャビティに関して第1の向き及び第2の向きを含み、エアロゾル生成物品は、第1の向きがエアロゾル生成デバイスの所定の位置に面するようにエアロゾル生成物品が配置される場合、より効果的に消費される。
【0028】
第17の実施形態によれば、第15又は第16の実施形態のいずれか1つにおいて、エアロゾル生成物品の方向付け手段は、エアロゾル生成デバイスの対応方向付け手段の形状に対応する形状を有し、それにより、方向付け手段は、エアロゾル生成デバイスへのエアロゾル生成物品の挿入中、対応方向付け手段に嵌合され得る。
【0029】
第18の実施形態によれば、第15~第17の実施形態のいずれか1つにおいて、エアロゾル生成物品が、方向付け手段によって示されるか又は案内される向きでエアロゾル生成デバイスに挿入された後、ヒータが、デバイス内に含まれる励磁器に対して近接位置にあり、それと整列し、且つ/又は平行であるように、ヒータは、方向付け手段に対してエアロゾル生成物品の所定の位置にある。
【0030】
この配置により、所望の向きにおいて、エアロゾル生成デバイス内のエアロゾル生成物品の加熱効率を改善することができる。
【0031】
ここで、添付の図面を参照して、あくまで例として好ましい実施形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1a】本発明による、第1の角度から見たエアロゾル生成物品の第1の実施形態の概略断面図である。
【
図1b】本発明による、第1の角度に垂直な第2の角度から見たエアロゾル生成物品の第1の実施形態の概略断面図である。
【
図2】電動エアロゾル生成デバイス及び
図1に示されるエアロゾル生成物品を含む、本発明の一実施形態によるエアロゾル生成システムの概略断面図である。
【
図3a】本発明によるエアロゾル生成デバイスに含まれるサセプタとともに、エアロゾル生成物品の第1の実施形態の部分説明図である。
【
図3b】本発明によるエアロゾル生成デバイスに含まれるサセプタとともに、エアロゾル生成物品の第2の実施形態の部分説明図である。
【
図3c】本発明によるエアロゾル生成デバイスに含まれるサセプタとともに、エアロゾル生成物品の第3の実施形態の部分説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1(a)及び
図1(b)を参照すると、第1の側面(角度)及び第2の側面(角度)から見たエアロゾル生成物品10の一例が図示されている。エアロゾル生成物品10は、細長く実質的に円筒状であり、いわゆる「スティック」タイプのものである。エアロゾル生成物品10は、遠位(又は上流)端Iと、口側(又は下流)端Mとを有する。エアロゾル生成物品は、エアロゾル生成デバイス30内に挿入され、消費されるように構成される。
【0034】
エアロゾル生成物品10は、下流方向又は挿入と反対の方向において、換言すれば遠位端Iから口側端Mまで順次且つ同軸(換言すれば図に破線として示される長手方向中心軸、すなわち円筒状のエアロゾル生成物品10の円形断面の中心に画定され、内部の本体自体の重量中心を通る長手方向軸に沿って構成される)に整列して配置された以下の要素:自己封止型空気流バリア28、誘導加熱可能サセプタ17、任意選択的な蒸気冷却要素18及び例えばセルロースアセテート繊維を含む任意選択的なフィルタ20とともにエアロゾル生成基材16を含む。これらの要素は、全てラッパー22の内側に組み立てられてロッドを形成し、ラッパー22は、要素を所定の位置に保持してエアロゾル生成物品10を形成する。
【0035】
ラッパー22は、実質的に非導電性且つ非透磁性であり、典型的には、紙製ラッパー、例えば、シガレットの巻紙を含む。
【0036】
エアロゾル生成基材16は、固体又は半固体の材料(すなわち非液体材料)を含み、植物由来材料、特にタバコを含み得る。エアロゾル生成基材16は、典型的には、タバコプラグを含む。エアロゾル生成基材16は、加熱されたときに蒸気又はエアロゾルの生成を容易にするための、グリセリン又はプロピレングリコールなどのエアロゾル形成剤を含み得る。
【0037】
誘導加熱可能サセプタ17は、エアロゾル生成基材16に近接して、接触して又はこの実施形態ではエアロゾル生成基材16内に含まれて配置される。ヒータとして機能する誘導加熱可能サセプタ17は、キャビティ38の側壁と同一範囲を占めるブレード形状のサセプタを含み得る。
【0038】
図1(a)は、第1の側面(角度)からのエアロゾル生成物品10の断面図を示し、
図1(b)は、第1の角度に垂直な、換言すれば、第1の態様から垂直に見た角度である第2の側面(角度)からのエアロゾル生成物品10の断面図を示す。
【0039】
誘導加熱可能サセプタ17は、中央位置に配置され、物品10の長手方向中心軸と同一範囲を占める(中心線を好ましくは共有する)。
図1(b)に示されるように、第2の角度から見ると、エアロゾル生成物品10及びサセプタ17は、長手方向中心軸に関して対称であるように構成される。
【0040】
エアロゾル生成物品10は、遠位端Iにある空気入口24と、口側端Mにある空気出口26とを有する。自己封止型空気流バリア28は、エアロゾル生成物品10の遠位端Iに配置される。自己封止型空気流バリア28は、弾性壁であり得、セプタム自己封止材料、典型的には、シリコーンゴムなどのエラストマー材料若しくはコルク又はガスクロマトグラフィ用バイアル及び医療用途で見られることの多い同じ性質を持つ他の材料を含む。自己封止型空気流バリア28の一部は、その周囲でラッパー22に固定され、その別の部分28aは、上流位置において、自己封止型空気流バリア28の残りの部分に対してラッパー22から突出する。換言すれば、部分28aは、物品10の遠位端Iから突出する。自己封止型空気流バリア28は、エアロゾル生成基材16を通る空気入口24から空気出口26への空気流を防ぎ、これによりエアロゾル生成基材16の点火及び/又は持続的な燃焼の傾向を低減する。
【0041】
誘導加熱可能サセプタ17の配置及び位置に関して、他の部分28aは、物品10をエアロゾル生成デバイス30に好ましくは1つの又は本実施形態では2つの異なる向きでのみ挿入することができる効果を有する外形、好ましくは角柱又は円柱の形状を有するように構成される。
図1(a)及び
図1(b)に示すように、突出する方向付け要素28aは、第1の側面に長さ29a、第2の側面に幅29bを有する直方体形状を有する。長さ29aは、幅29bよりも長い。他の実施形態では、物品10は、デバイス30内に2つより多い向きで配置することができる。この配置により、使用者は、物品10をエアロゾル生成デバイス30のキャビティ38内でその長手方向中心軸に沿って回転させることにより、自らの触覚によってエアロゾル生成物品10を容易に正しく方向付けることができる。
【0042】
挿入中に破壊される自己封止型空気流バリア28の穿刺面は、突出する方向付け要素28a又は自己封止型空気流バリア28の残りの部分に配置される。自己封止型空気流バリア28の穿刺面は、後述する穿刺要素52による穿刺又は穿孔を容易にするために、好ましくは局所的に低減された厚さを有する。例えば、壁は、穿刺又は穿孔されることになる領域内に予め脆弱化されたエリアを含むことができる。予め脆弱化されたエリアは、小さい円として形成することができるか、又は横断方向に線形若しくは十字形であり得る。自己封止型空気流バリア28は、シリコーン又はコルクなどの耐燃性材料で作製することができる。可能な態様において、自己封止型空気流バリア28は、予め切り込みを入れられたか又は予め刻み目を付けられた弾性壁であり、緩和状態で閉じられ、挿入要素52によって強制的に開口される。自己封止型空気流バリア28が1つ以上のスリットを有する場合、自己封止型空気流バリア28は、吸い込むには抵抗が高すぎるため、エアロゾル生成物品10の口側端Mにおける使用者の吸引によって開口することができない。
【0043】
蒸気冷却要素18は、典型的には、紙製ラッパー22の厚みを超える厚みを有する中空紙管18aを含む。加熱された蒸気が蒸気冷却要素18を通して下流方向にエアロゾル生成基材16から口側端Mに向けて流れるとき、蒸気は、冷却及び凝縮して、使用者による吸入に適した特性を有するエアロゾルを形成する。蒸気冷却要素18(例えば、中空紙管18a)は、
図1(a)及び
図1(b)に示すように、第1の端部においてエアロゾル生成基材16に接触し得るが、他の実施形態ではエアロゾル生成基材16から間隔を空けて配置され得る。
【0044】
ここで、
図2を参照すると、エアロゾル生成システム1が概略的に示されている。エアロゾル生成システム1は、電動エアロゾル生成デバイス30及び上記のエアロゾル生成物品10を含む。
【0045】
エアロゾル生成デバイス30は、第1の(又は近位)端32と第2の(又は遠位)端34とを有し、デバイスハウジング36を含む。エアロゾル生成デバイス30は、実質的に円筒状の断面を有するキャビティ(すなわち加熱チャンバ)38と、電源40、例えば1つ以上のバッテリーと、コントローラ42とを更に含み、これらは、全てデバイスハウジング36内に配置される。エアロゾル生成デバイス30は、ハンドヘルド携帯型の細長いデバイスであり、これは、使用者が補助なしに片手でデバイスを保持及び支持し得ることを意味する。
【0046】
キャビティ38は、遠位端Iから口側端Mまで別々に対応する近位(開口)端44及び遠位(底)端46を有する。キャビティは、近位端44に開口部48、遠位端46に中空部51を含む。キャビティ38の底面にある中空部は、突出した方向付け要素28aの外形に対応する凹形状を有するように構成され、エアロゾル生成物品の向きを示し及び/又は案内し、方向付け手段28aに対する対応方向付け手段として機能する。換言すれば、突出した方向付け要素28aが中空部51内に嵌合すると、物品10は、デバイス30のキャビティ38内に所望及び所定の向きで配置される。図示の実施形態では、物品は、突出した方向付け要素28aが中空部51に完全に収容される場合に消費することができる。
【0047】
キャビティ38は、実質的に円筒状の側壁50、すなわち実質的に円形の断面を有する側壁50を含む。エアロゾル生成物品10は、遠位端Iを、開口部48を通してキャビティ38内に挿入方向に沿って挿入することによりキャビティ38内に配置される。キャビティ38内に最大限に収容するために、突出した方向付け要素28aを中空部51に最大限に挿入するために、物品10を長手方向中心軸の周りで回転させて、物品10の向きを調整し得る。中空部51及び突出した方向付け要素28aは、中空部51が突出した方向付け要素28aに適切に嵌合し、それのみを収容することができるような寸法にされる。キャビティ38及びエアロゾル生成物品10は、物品10がデバイス30のキャビティ38内に最大限に収容されるとき、口側端M、特にフィルタ20が、第1の(近位)端44においてキャビティ38から突出して、使用者の唇による係合を可能にするような寸法にされる。
【0048】
エアロゾル生成デバイス30は、挿入要素(貫入部)52、図示の例では、キャビティ38の遠位端46に配置され、遠位端46から近位端44に向かってキャビティ38内に突出する中空穿刺要素52を含む。中空穿刺要素52は、円錐台状外面54を有し、一方向弁、例えばダックビル弁を含み得る。エアロゾル生成物品10が、
図2に示すようにキャビティ38に完全に挿入されたとき、中空穿刺要素52は、自己封止型空気流バリア28を穿刺し、空気がエアロゾル生成物品10を通して空気入口24から空気出口26に流れることを可能にする。
【0049】
本実施形態において、挿入要素52及び自己封止型空気流バリア28の弾性壁は、方向付け要素28aが中空部51に完全に挿入されたとき、換言すれば、物品10がデバイス30のキャビティ38内に最大限に収容されたときにのみ、挿入要素52が自己封止型空気流バリア28の弾性壁を穿刺することができ、使用者が物品10を消費し始めることができるような寸法にされる。換言すれば、挿入要素52は、自己封止型空気流バリア28の弾性壁の厚みと実質的に同一の又は好ましくはそれよりもわずかに大きい、中空部51の底面(端部)から挿入要素52の上端部まで、すなわち挿入と反対の方向の寸法(高さ)を有して構成される。換言すれば、対応方向付け手段28aは、物品10の挿入方向において、多くとも10mm、好ましくは多くとも7mm、より好ましくは多くとも5mm、更により好ましくは多くとも3mm、最も好ましくは多くとも約1mm及び少なくとも0.1mm、好ましくは少なくとも0.3mm、より好ましくは少なくとも0.5mm、最も好ましくは少なくとも約0.7mmの長さを有する。この配置により、使用者は、物品10が所定の向きに配置されるときにのみ物品10を消費することができる。
【0050】
エアロゾル生成物品10がキャビティ38から取り除かれると、自己封止型空気流バリア28は、その元の形状を回復し、それにより中空穿刺要素52によって空気流バリア28内に作成された小さい開口部を封止する。したがって、自己封止型空気流バリア28は、エアロゾル生成物品10の空気入口24から空気出口26への空気流を再度防ぎ、エアロゾル生成基材16の点火及び/又は持続的な燃焼の傾向を低減する。
【0051】
エアロゾル生成デバイス60は、電磁場を発生させるために、エアロゾル生成物品内のサセプタに対応して、励磁器として機能する磁場発生器62、好ましくは誘導加熱コイルを含む。磁場発生器62は、図示の実施形態では、平坦な誘導加熱コイル64を含む。平坦な誘導加熱コイル64は、キャビティ38の近位の所定の位置に配置される。誘導コイル64は、電源40及びコントローラ42により励磁させることができる。コントローラ42は、電子部品の中でもとりわけ、電源40からの直流を誘導コイル64のための交流高周波電流に変換するよう構成されたインバータを含む。励磁器は、図に示すように、エアロゾル生成デバイス(30)内で対応方向付け手段(28a)と別々に配置されることが好ましい。
【0052】
当業者には理解されるように、エアロゾル生成システム2の使用中に誘導コイル64が励磁されると、交流の時間変動電磁場が生成される。この電磁場は、誘導加熱可能サセプタと結合し、サセプタ内に渦電流及び/又は磁気ヒステリシス損失を発生させ、サセプタを発熱させる。熱は、次いで、例えば伝導、放射及び対流によって誘導加熱可能サセプタからエアロゾル生成基材16に伝達され、エアロゾル生成基材16を燃焼させることなく加熱し、それにより蒸気を生成する。エアロゾル生成デバイス60を通り、したがってエアロゾル生成物品10を通る空気流は、
図2のエアロゾル生成システム1に関して上で説明したものと同じである。
【0053】
エアロゾル生成デバイス30の動作中、電気エネルギーは、電源40及びコントローラ42によってヒータ62、好ましくは誘導加熱コイル64に供給される。電力は、ヒータ62からエアロゾル生成基材16、好ましくはエアロゾル生成物品10のエアロゾル生成基材16のサセプタ17に、例えば伝導、放射及び対流によって伝達され、好ましくはサセプタ17により、エアロゾル生成基材16を燃焼させることなく加熱させ、それにより蒸気を生成する。他の例示的な実施形態では、より良好な加熱性能を有するために、デバイス1のヒータに整列及び/又は実質的に接近した位置に物品を案内することができるように、デバイス1が方向付け手段を含み得るように、抵抗ヒータなど、加熱コイル及びサセプタに限定されない任意の他のタイプのヒータをデバイス1内に配置し得る。使用者がエアロゾル生成物品10の口側端Mで吸い込む(すなわち吸う)と、デバイスハウジング36内の空気流路56を通してエアロゾル生成物品10内に空気が引き込まれる。空気は、中空穿刺要素52及びエアロゾル生成物品10の空気入口24を通して流れる。空気は、その後、エアロゾル生成基材16を通して流れ、したがって、エアロゾル生成基材16を加熱することによって生成された蒸気は、気流に同伴され、エアロゾル生成物品10の口側端Mにある空気出口28に向かって運ばれる。蒸気は、蒸気冷却要素18を通して流れる際に冷却され、凝縮して、エアロゾルを形成する。エアロゾルは、次いで、フィルタ20を通過し、使用者によって吸入される。
【0054】
より良好な(最大)加熱効率を有するために、ブレード形状のサセプタ17は、平坦な誘導加熱コイル64に平行に、すなわちそれと適切に整列させて配置されるべきである。
図2に示されるように、物品10がキャビティ38内に最大限に収容されるとき、第2の側面(角度)は、平坦な誘導加熱コイル64に面する。本実施形態では、方向付け要素28aは、対称な直方体であり、サセプタ17及びコイル64は、平坦であるため、物品10は、第2の向きと第2の向きとは反対の向きとの2つの向きでキャビティ38内に配置され得る。両方の向きにおいて、平坦な誘導加熱コイル64に面するとき、物品10の基材を第1の向きなどの任意の他の向きに比べてより効果的に加熱することができる。この配置により、使用者は、物品を半周期のみ回転させる必要があるため、使用者は、物品10を所望の向きにより容易に回転させることができる。
【0055】
図3(a)、
図3(b)及び
図3(c)は、エアロゾル生成物品10がエアロゾル生成デバイス30のキャビティ38内に最大限に収容されるときの、基材、ブレード形状のサセプタ17及び自己封止型空気流バリア28を有するエアロゾル生成物品10の遠位端I並びにエアロゾル生成デバイス30の平坦な誘導加熱コイル64を示す部分説明図である。上記のように、平坦なブレード形状のサセプタ17を平坦な誘導加熱コイル64に平行に配置するために、方向付け要素28aは、物品10をデバイス30のキャビティ38内に2つの向きでのみ挿入することを可能にする断面を有する円柱の形状を有するように構成される。より具体的には、方向付け要素28aは、多面体、好ましくは立方体、不規則な円筒形又は多角形の角柱の形状を有する。他の実施形態では、
図3(c)に示すように、サセプタ17及びコイル64は、湾曲ブレード形状などの他の形状を有することができる。これらの場合において、方向付け要素28aは、この実施形態では、サセプタ17を誘導加熱コイル64の方に近接させて配置し、それと正確に整列させることができるように、物品をキャビティ38内に1つの向きでのみ収容することができるように、三角形の断面を有する柱の形状を有するべきである。
【国際調査報告】