(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-05
(54)【発明の名称】幾何学的体積制御角膜屈折治療コンタクトレンズ
(51)【国際特許分類】
A61F 9/013 20060101AFI20240227BHJP
G02C 7/04 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
A61F9/013 110
G02C7/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550169
(86)(22)【出願日】2021-03-03
(85)【翻訳文提出日】2023-08-17
(86)【国際出願番号】 CN2021078909
(87)【国際公開番号】W WO2022183409
(87)【国際公開日】2022-09-09
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523313986
【氏名又は名称】シェンヤン・カンゲンデ・メディカル・サイエンス・アンド・テクノロジー・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジェローム・エー・レガートン
(72)【発明者】
【氏名】ジドン・リュウ
(72)【発明者】
【氏名】ガオジ・リュウ
【テーマコード(参考)】
2H006
【Fターム(参考)】
2H006BC00
(57)【要約】
患者の眼の近視を治療するためのコンタクトレンズは、前面と、半経線を有する後面とを備え、その半経線は、治療前角膜に接触する中心圧縮領域と、中心圧縮領域の周辺の体積制御領域と、体積制御領域の周辺にあり治療前角膜に接触する二次圧縮領域と、二次圧縮領域の周辺の周辺リリーフ領域と、周辺リリーフ領域の周辺にあり治療前角膜に接触するランディング領域と、ランディング領域の周辺の縁端と、を定める。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の眼の治療前角膜を再整形するためのコンタクトレンズであって、
前面と、半経線(semi‐meridian)を有する後面と、を有し、
前記半経線が、
前記治療前角膜と接触する中心圧縮領域と、
前記中心圧縮領域の周辺の体積制御領域と、
前記体積制御領域の周辺にあり、前記治療前角膜と接触する二次圧縮領域と、
前記二次圧縮領域の周辺の周辺リリーフ領域と、
前記周辺リリーフ領域の周辺にあり、前記治療前角膜と接触するランディング領域と、
前記ランディング領域の周辺の縁端と、を定める、コンタクトレンズ。
【請求項2】
前記中心圧縮領域の半径が球面状である、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項3】
前記中心圧縮領域の半径が非球面状である、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項4】
前記中心圧縮領域の直径が3.0mm~7.0mmである、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項5】
前記体積制御領域が、スプラインと、多項式と、円錐曲線及び非曲線部の組み合わせとのうちの一つによって接続される四つ以上の幾何学的制御点によって定められ、
第二幾何学的制御点が第一幾何学的制御点の周辺にあり、
第三幾何学的制御点が前記第二幾何学的制御点の周辺にあり、
第四幾何学的制御点が前記治療前角膜に接触し、前記第四幾何学的制御点が前記第三幾何学的制御点の周辺にある、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項6】
前記体積制御領域の第一幾何学的制御点が、5μm~80μmの範囲内で前記治療前角膜からz軸方向に離れて配置される、請求項5に記載のコンタクトレンズ。
【請求項7】
前記体積制御領域の第二幾何学的制御点が、前記体積制御領域内の前記後面と前記治療前角膜との間に所定の面積を定めるように前記治療前角膜からz軸方向に離れて配置される、請求項5に記載のコンタクトレンズ。
【請求項8】
前記体積制御領域の第三幾何学的制御点が、(i)前記第三幾何学的制御点と前記第四幾何学的制御点とを繋ぐラインと(ii)前記第四幾何学的制御点を通る水平ラインとの間に所定の角度を定めるように配置される、請求項5に記載のコンタクトレンズ。
【請求項9】
前記第四幾何学的制御点の半弦半径方向距離(semi‐chord radial distance)が2.6mm~5.2mmの範囲内である、請求項5に記載のコンタクトレンズ。
【請求項10】
前記二次圧縮領域が、0.2mm~0.8mmの範囲内の幅を有する、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項11】
前記二次圧縮領域が、前記二次圧縮領域内に一つ以上の制御点を有する形状によって定められ、該形状が、スプラインと、多項式と、凸状円錐曲線とのうちの一つによって定められる、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項12】
前記周辺リリーフ領域が、中心屈折異常を低減するため1ジオプタ当たり6μm以上で前記治療前角膜からz軸方向に離れて配置された一つ以上の制御点によって定められる、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項13】
前記周辺リリーフ領域が、0.4mm~1.2mmの幅を有する、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項14】
前記ランディング領域が、前記ランディング領域内に一つ以上の制御点を有する形状によって定められ、該形状が、スプラインと、多項式と、円錐曲線と、角度が付けられた曲線部と、角度が付けられた非曲線部とのうちの一つによって定められる、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項15】
前記後面の縁端が、前記ランディング領域の最も半径方向周辺側で始まり、前記前面の最も周辺側に繋がり、
前記後面の縁端が、楕円、円錐曲線、又はスプラインによって定められる、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項16】
前記体積制御領域と前記二次圧縮領域が単一のスプラインによって定められる、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項17】
患者の眼用に製造されるコンタクトレンズを決めるための方法であって、
前記患者の眼の角膜トポグラフィに従って、前記コンタクトレンズの中心圧縮領域のベース曲面半径、前記コンタクトレンズの中心圧縮領域の周辺の半経線半径方向距離(semi‐meridian radial distance)、前記中心圧縮領域に隣接する体積制御領域の面積、及び、前記体積制御領域の周辺に隣接する二次圧縮領域であって前記眼の治療前角膜に接触する二次圧縮領域の半弦半径方向距離(semi‐chord radial distance)を選択することと、
前記中心圧縮領域の幅、前記体積制御領域の面積、前記二次圧縮領域の半経線半径方向距離、及び前記二次圧縮領域の頂点の内向き角度を少なくとも定める複数の制御点の位置を決定することと、
前記複数の制御点に従って、前記コンタクトレンズの後面の半経線(semi‐meridian)を決めることと、を備える方法。
【請求項18】
前記コンタクトレンズの幾何中心と対応の前記治療前角膜の幾何中心に前記複数の制御点のうち第一制御点を配置することを更に備える請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記眼の自覚屈折と角膜曲率測定とに従って前記ベース曲面半径を決定することと、
前記中心圧縮領域の周辺端として前記複数の制御点のうち第二制御点の半弦半径方向距離を選択することと、
前記複数の制御点のうち第一制御点が下方の前記治療前角膜に接触している際の選択された前記複数の制御点のうちの第二制御点の半弦半径方向距離における前記ベース曲面半径の矢状方向深さ(sagittal depth)における前記複数の制御点のうち第二制御点の矢状方向深さを設定することと、を更に備える請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記体積制御領域の第一区と、前記体積制御領域の第一区の周辺にある前記体積制御領域の第二区とを分けるように前記複数の制御点のうち第三制御点の半弦半径方向距離を選択することと、
平均治療前角膜に配置された際の所定のジオプタ治療目標半径を有するレンズの距離に等しい距離に前記複数の制御点のうち第三制御点の矢状方向深さを設定することと、を更に備える請求項19に記載の方法。
【請求項21】
所望の中周辺追加位置に従った前記二次圧縮領域の頂点の半弦半径方向距離に等しくなるように前記複数の制御点のうち第四制御点の半弦半径方向距離を選択することを更に備える請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記体積制御領域の第二区の周辺側のスクイズ角度を選択することと、
前記複数の制御点のうち第四制御点と共に前記スクイズ角度を定めるように前記複数の制御点のうち第五制御点を配置することと、を更に備える請求項21に記載の方法。
【請求項23】
所望の中周辺追加屈折力に従って選択された前記体積制御領域の面積に従って前記複数の制御点のうち第六制御点の位置を決定することを更に備える請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記治療前角膜の角膜直径に従って前記コンタクトレンズの全直径を決定することと、
前記コンタクトレンズの全直径に従って前記複数の制御点のうち第七制御点の位置を決定することと、を更に備える請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記眼の角膜トポグラフィと、ランディング領域の所望の半径方向幅に従った前記複数の制御点のうち第七制御点からの所望の半径方向距離とに従って、前記治療前角膜に接触するランディング領域の内側を定める前記複数の制御点のうち第八制御点を決定することを更に備える請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記複数の制御点のうち第九制御点の直径を選択することと、
前記二次圧縮領域と前記ランディング領域との間の周辺リリーフ領域の面積を選択することと、
選択された前記周辺リリーフ領域の面積に従って、又はジオプタ単位の目標治療に従って、前記複数の制御点のうち第九制御点の矢状方向深さを決定することと、を更に備える請求項25に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は概してコンタクトレンズに係り、特に一部実施形態は視力障害を治療するように眼の角膜を再整形するためのコンタクトレンズと非外科的方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ハードコンタクトレンズは60年以上前に商用化された。初期のフィッティングコンセプトは、気体透過性ではないレンズ内での涙の交換のための所要のレンズの移動を促進するように二重曲面設計や三重曲線設計に急速に発展していった。瞬きによるレンズの移動は、新しい涙層が下瞼の涙メニスカスから下方のレンズに移動するようにするのに必須であった。初期20年間の商用化において用いられていた単純な旋盤は、鋭い接合部を生じさせないように組み合わせられた複数の同心曲面を実現可能にしていた。
【0003】
レンズの中心半径は中心角膜曲率との関係において選択されていた。ベース曲面の半径は、設計思想に基づいて中心角膜曲率以上又は以下となり得るものであった。第一同心領域(二次曲面)の半径は必ずベース曲面の半径よりも大きく、より内側の領域に対して周辺にある連続した各領域の半径も、そのちょうど内側の領域のものよりも大きくなっていた。レンズは、歴史的には三つ以上の領域を有していた。中心光学領域の外側の全ての領域の半径は、原則として、その下方の角膜半径よりも大きかった。これが、レンズの移動と涙の交換を促進するための要件であった。
【0004】
こうした設計のレンズは、瞬きと側方への眼の動きによる1.0mm~1.5mm程度の移動を実証していた。その移動は慣れを要するものであった。縁(エッジ)の設計も、快適性の実現と、眼球結膜や眼瞼結膜に繋がる外傷を防止するために非常に重要であった。
【0005】
気体透過性材料の登場によって、非気体透過性レンズで必要な高レベルの移動と半径方向と軸方向における縁の隆起(リフト)の必要性が低下した。それでも、従来の設計コンセプトが新規材料と共に引き続き用いられた。時が経つにつれて、レンズはあまりクリアランス(隙間)を有さないように設計されるようになっていった。元々の設計では、二次曲面の半径をベース曲面の半径よりも1.4mm程度大きくすることが一般的であったが、気体透過性設計では、ベース曲面の半径よりも0.8mm大きくなるような傾向となっていった。中心角膜半径からのベース曲面の半径の平均差も小さくなる傾向となっていった。
【0006】
過去10年間において、平均全直径も大きくなる傾向となっている。結果として、最近の気体透過性レンズはより大きくて、角膜とより密に整列する。ポリメチルメタクリレート(PMMA)製の初期の非気体透過性レンズは、100μm程度の軸方向の縁の隆起を有するように設計されていたが、最近のレンズは、50μm程度の小さな軸方向の縁の隆起を有し得る。また、初期のPMMAレンズの1.0~1.5mmの移動と比較して、最近の気体透過性レンズは、0.25mm以下程度の移動を実証している。
【0007】
それでも、現状の設計コンセプトと教示は、複数の同心領域特徴部とその各々の変調を用い続けている。レンズ設計プログラムでは、各領域の幅と局所的半径を参照する。教育カリキュラムでは、半径部を「より平坦」又は「より急峻」にしてまた「より狭く」又は「より広く」することに関して変調を教えている。レンズの実際のクリアランス(隙間)を測定するために一般的に利用可能な正確な計測法が存在せず、フィッティングの決定がフルオレセインナトリウムの観測を用いるものであるので、フィッティングの評価は、測定に基づいた科学的なものというよりはむしろ熟練の技である。
【0008】
また、市場動向は、コンタクトレンズのフィッティングの時間効率的な管理を求めている。椅子に座っている時間を短くしなければならず、一回で成功する確率は、生産性と、最適な流通にとって重要な尺度である。レンズフィッティングのコンセプトは、単純でなければならず、また、成功するのにあまり訓練を要さないものでなければならない。
【0009】
夜間角膜再整形用の気体透過性のハードコンタクトレンズ設計が、主に合理的フィッティングシステムを用いることで進展していて、そのシステムでは、所定の領域のパラメータを変調して、頂点レンズ半径と頂点角膜半径との関係と、中周辺(midperipheral)のレンズの矢状方向深さと中周辺の角膜の矢状方向深さとの関係と、周辺角膜に対するレンズの周辺部の整列とを制御する。当業者には知られているように、角膜が回転対称性ではないのに、全ての商用化されたレンズ設計は回転対称性である。回転対称性のレンズを非回転対称性の角膜上に配置することの結果は、レンズの非中心化(decentration)である。ランダムな治療精度も望ましくない結果である。
【0010】
顕著に不規則な高度(elevation)差を有する非回転対称の眼を回転対称なレンズとフィッティングさせるための多大な試みが継続的になされてきた。一部の例では、円環状の周辺設計や二重高度設計を用いて、直交方向の角膜の高度差に対処している。非直交高度制御に対する要求もあり、これは、個々の半経線(semi‐meridian)高度制御点を用いてレンズを設計することによって達成される。レンズの各半経線は、レンズの幾何中心からの距離によって定められる各制御点において所定の高度を有するように設計され得る。レンズの後方の幾何中心からの各点の高度や矢状方向深さは、同じ箇所における下方の眼のトポグラフィと、所望の矢状方向深さの関係性を記述する設計理念アルゴリズムによって決定される。こうした高度差は、レンズが眼に適用された際における下方の角膜の不規則な高度に対応するものである。
【0011】
残念ながら、同心曲面を用いる標準設計パラダイムでは、角膜頂点付近において角膜と接触する非中心レンズとなり、二次リバース曲面下において涙液の量がランダムになり、レンズ周辺の整列領域において角膜に対するレンズの接触が変動するものとなる。第二世代の夜間角膜再整形レンズの結果としては、高次収差の誘発や、一貫した近視制御に必要な中周辺屈折力を正確且つ一貫して生じさせることができないことが挙げられる。第二世代の設計で角膜の非対称性に対処する試みがなされてきたが、同軸同心状の曲率半径の使用は、本質的には自己限定性である。フィッティングにおける精度と一貫性には疑念がある。
【0012】
同じ問題が、レンズの第二領域に三次多項式を取り入れている第三世代の設計にもある。第三世代設計での製造では、半経線によって三次多項式を変化させて、非回転対称性の硬度を生じさせるという設計は商用化されておらず、規制当局の承認には、個別の半経線高度制御の使用は含まれていない。更に、第三世代の設計は、レンズの中周辺における治療前角膜とレンズとの間の体積の制御、レンズの二次圧縮領域についての内向き角度の制御、中周辺の角膜接触領域を角膜中に圧縮するための二次クリアランス領域を有することについて教示していない。
【0013】
フィッティングを行う者の技能レベルが高くなければならず、第三世代のレンズ設計が特定の半経線矢状方向深さに対処するものであっても最適なフィッティングを見つけ出すために徹底的なフィッティングセットやレンズの再発注が必要とされるという問題が残っている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
装置と方法の実施形態は以下の特徴のうち一つ以上を含み得る。一部実施形態のコンタクトレンズの後面は、後面の第一半径方向位置と、後面の第二半径方向位置と、治療される角膜表面の同じ半径方向位置とによって定められるコンタクトレンズ表面と下方の角膜表面との間の空間の少なくとも一つの半経線(semi‐meridian)上の領域(面積)を幾何学的に制御するように決定された形状を有する。一部実施形態のコンタクトレンズの後面は、治療される下方の角膜表面とレンズの中周辺(mid‐peripheral)部分の接触点から予め決定される所定の内向き角度を有し、コンタクトレンズの後面と下方の角膜表面との間の空間の幾何学的に制御された領域の周辺側を形成する。
【0015】
概して、本開示の一態様が特徴とする患者の眼の治療前角膜を再整形するためのコンタクトレンズは、前面と、半経線(semi‐meridian)を有する後面とを備え、その半経線は、治療膜角膜に接触する中心圧縮領域と、中心圧縮領域の周辺の体積制御領域と、体積制御領域の周辺にあり治療前角膜に接触する二次圧縮領域と、二次圧縮領域の周辺の周辺リリーフ領域と、周辺リリーフ領域の周辺にあり治療膜角膜に接触するランディング領域と、ランディング領域の周辺の縁端と、を定める。
【0016】
コンタクトレンズの実施形態は、以下の特徴のうち一つ以上を含み得る。一部実施形態では、中心圧縮領域の半径は球面状である。一部実施形態では、中心圧縮領域の半径は非球面状である。一部実施形態では、中心圧縮領域の直径は3.0mm~7.0mmである。一部実施形態では、体積制御領域は、スプラインと、多項式と、円錐曲線及び非曲線部の組み合わせとのうちの一つによって接続される四つ以上の幾何学的制御点によって定められ、第二幾何学的制御点が第一幾何学的制御点の周辺にあり、第三幾何学的制御点が第二幾何学的制御点の周辺にあり、第四幾何学的制御点が治療前角膜に接触し、第四幾何学的制御点が第三幾何学的制御点の周辺にある。一部実施形態では、体積制御領域の第一幾何学的制御点は、5μm~80μmの範囲内で治療前角膜からz軸方向に離れて配置される。一部実施形態では、体積制御領域の第二幾何学的制御点は、体積制御領域内の前記後面と治療前角膜との間に所定の面積を定めるように治療前角膜からz軸方向に離れて配置される。一部実施形態では、体積制御領域の第三幾何学的制御点は、(i)第三幾何学的制御点と第四幾何学的制御点とを繋ぐラインと(ii)第四幾何学的制御点を通る水平ラインとの間に所定の角度を定めるように配置される。一部実施形態では、第四幾何学的制御点の半弦半径方向距離(semi‐chord radial distance)は、2.6mm~5.2mmの範囲内である。一部実施形態では、二次圧縮領域は、0.2mm~0.8mmの範囲内の幅を有する。一部実施形態では、二次圧縮領域は、二次圧縮領域内に一つ以上の制御点を有する形状によって定められ、該形状は、スプラインと、多項式と、凸状円錐曲線とのうちの一つによって定められる。一部実施形態では、周辺リリーフ領域は、中心屈折異常を低減するため1ジオプタ当たり6μm以上で治療前角膜からz軸方向に離れて配置された一つ以上の制御点によって定められる。一部実施形態では、周辺リリーフ領域は0.4mm~1.2mmの幅を有する。一部実施形態では、周辺ランディング領域は、周辺ランディング領域内に一つ以上の制御点を有する形状によって定められ、該形状が、スプラインと、多項式と、円錐曲線と、角度が付けられた曲線部と、角度が付けられた非曲線部とのうちの一つによって定められる。一部実施形態では、前記後面の縁端は、周辺ランディング領域の最も半径方向周辺側で始まり、前記前面の最も周辺側に繋がり、前記後面の縁端が、楕円、円錐曲線、又はスプラインによって定められる。一部実施形態では、体積制御領域と二次圧縮領域が単一のスプラインによって定められる。
【0017】
概して、本開示の一態様が特徴とする患者の眼用に製造されるコンタクトレンズを決めるための方法は、患者の眼の角膜トポグラフィに従って、コンタクトレンズの中心圧縮領域のベース曲面半径、コンタクトレンズの中心圧縮領域の周辺の半経線半径方向距離(semi‐meridian radial distance)、中心圧縮領域に隣接する体積制御領域の面積、及び、体積制御領域の周辺に隣接する二次圧縮領域であって眼の治療前角膜に接触する二次圧縮領域の半弦半径方向距離(semi‐chord radial distance)を選択することと、複数の制御点の位置を決定して、中心圧縮領域の幅、領域表面と治療される角膜表面との間に所定の面積を生じさせる体積制御領域の形状、二次圧縮領域の半経線半径方向距離、二次圧縮領域の頂点が成す内向き角度を少なくとも定める複数の制御点の位置を決定することと、それら複数の制御点に従って、コンタクトレンズの後面の半経線を定めることと、を備える。
【0018】
本方法の実施形態は以下の特徴のうち一つ以上を含み得る。一部実施形態は、コンタクトレンズの幾何中心と対応の治療前角膜の幾何中心に複数の制御点のうち第一制御点を配置することを備える。一部実施形態は、眼の自覚屈折と角膜曲率測定又はトポグラフィ測定とに従ってベース曲面半径を決定することと、中心圧縮領域の周辺端として複数の制御点のうち第二制御点の半弦半径方向距離を選択することと、複数の制御点のうち第一制御点が下方の治療前角膜に接触している際の選択された複数の制御点のうち第二制御点の半弦半径方向距離における選択されたベース曲面半径の矢状方向深さ(sagittal depth)での複数の制御点のうち第二制御点の矢状方向深さを設定することと、を備える。一部実施形態は、体積制御領域の第一区と、体積制御領域の第一区の周辺にある体積制御領域の第二区とを分けるように複数の制御点のうち第三制御点の半弦半径方向距離を選択することと、平均治療前角膜に配置された際の所定のジオプタ治療目標半径を有するレンズの距離に等しい距離に複数の制御点のうち第三制御点の矢状方向深さを設定することと、を備える。一部実施形態は、所望の中周辺追加位置に従った二次圧縮領域の頂点の半弦半径方向距離に等しくなるように複数の制御点のうち第四制御点の半弦半径方向距離を選択することを備える。一部実施形態は、体積制御領域の第二区の周辺側のスクイズ角度を選択することと、複数の制御点のうち第四制御点と共にスクイズ角度を定めるように複数の制御点のうち第五制御点を配置することと、を備える。一部実施形態は、所望の中周辺追加屈折力に従って選択された体積制御領域の面積に従って複数の制御点のうち第六制御点の位置を決定することを備える。一部実施形態は、治療前角膜の角膜直径に従ってコンタクトレンズの全直径を決定することと、コンタクトレンズの全直径に従って複数の制御点のうち第七制御点の位置を決定することと、を備える。一部実施形態は、眼の角膜トポグラフィと、ランディング領域の所望の半径方向幅に従った複数の制御点のうち第七制御点からの所望の半径方向距離とに従って、治療前角膜に接触するランディング領域の内側を定める複数の制御点のうち第八制御点を決定することを備える。一部実施形態は、複数の制御点のうち第九制御点の直径を選択することと、二次圧縮領域とランディング領域との間の周辺リリーフ領域の面積を選択することと、選択された周辺リリーフ領域の面積に従って、又はジオプタ単位の目標治療に従って、複数の制御点のうち第九制御点の矢状方向深さを決定することと、を備える。
【0019】
以下添付図面を参照して、本開示を一つ以上の多様な実施形態に関して詳細に説明する。図面は例示のためだけに与えられているものであり、単に典型的、例示的な実施形態を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本開示の技術の一部実施形態に係るコンタクトレンズの後面の平面図である。
【
図2】本開示の技術の一部実施形態に係る例示的なコンタクトレンズの後面を定める半経線を示す。
【
図3】本開示の技術の一部実施形態に係る角膜再整形用のコンタクトレンズを製造するための概略的プロセスを示すフローチャートである。
【
図4A】本開示の技術の一部実施形態に係る角膜再整形用のコンタクトレンズを決めるための概略的プロセスを示すフローチャートである。
【
図4B】本開示の技術の一部実施形態に係る角膜再整形用のコンタクトレンズを決めるための概略的プロセスを示すフローチャートである。
【
図5】本開示の実施形態が実施され得る例示的なコンピュータシステムのブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図面は包括的なものではなく、開示されている形態そのものに本開示を限定するものではない。
【0022】
本開示の技術の実施形態は、夜間角膜再整形用の角膜屈折治療(CRT,corneal refractive therapy)コンタクトレンズと、幾何学的体積制御法を用いてCRTコンタクトレンズを決めるための方法を提供する。この手法は、スプライン関数又は他の幾何学形状を用いて、レンズの中心からレンズの縁までの特定された半弦(semi‐chord)半径方向距離と、基準面からの矢状方向深さとによって定められるレンズの後面の所定の制御点又はノットにおけるコンタクトレンズの表面輪郭を決定する。一部実施形態は、各眼の角膜トポグラフィを用いて、各制御点における半経線矢状方向深さを決定して、経験的発注と、夜間角膜再整形用の眼の観測的フィッティングを可能にするアルゴリズムを適用する。本開示の実施形態は、前から存在している近視を矯正するための中心角膜半径変化を保証し、レンズのベース曲面半径の経験的選択によって所望の中周辺追加屈折力と中周辺追加位置を生じさせ、また、レンズの中心からレンズの縁までのレンズ表面上の複数の所定の制御点における各半経線上のレンズの表面高度を経験的に選択する。
【0023】
図1は、本開示の技術の一部実施形態に係るコンタクトレンズの後面の平面図である。
図1を参照すると、コンタクトレンズの後面は、中心圧縮領域(CCZ,central compression zone)、体積制御領域(volume control zone)の第一区(VCZR1)、体積制御領域の第二区(VCZR2)、二次圧縮領域(SCZ,secondary compression zone)、周辺リリーフ領域(PRZ,peripheral relief zone)、ランディング領域(LZ,landing zone)を含む複数の環状領域を含む。以下、各領域を詳細に説明する。
【0024】
図2は、本開示の技術の一部実施形態に係る例示的なコンタクトレンズの後面を定める半経線(semi‐meridian、半子午線)を示す。
図2では、コンタクトレンズ(Contact Lens)の半経線が、複数の曲線と制御点CPを有する連続的な実線として示されている。また、
図2には、治療前角膜(Pretreatment Cornea)が破線で示されている。コンタクトレンズと治療前角膜は、ミリメートル単位の目盛りが付けられたグリッドにプロットされているが、
図2は縮尺通りのものではない。図示されている制御点CPの特定の値は、単に例として表されているものであって、コンタクトレンズの他の半経線、他のコンタクトレンズの半経線は制御点CPの異なる値を有し得ることを理解されたい。眼が回転対称性であれば、一本の半経線の制御点のみを用いてコンタクトレンズを製造することができるものである。しかしながら、眼は回転対称性ではないので、異なる表面高度寸法を有する複数の半経線の制御点を用いることで、一つのコンタクトレンズを製造することができる。
【0025】
図2を参照すると、治療前角膜の中心と、コンタクトレンズの中心がグリッドの原点に位置している。
図2では、治療前角膜の前面と、コンタクトレンズの前面(図示せず)がグリッドの底部に向けて下向きになっている。コンタクトレンズの設計と製造分野の当業者によって実践されているように、コンタクトレンズの前面は、中心領域の後面の半径と共に所定のレンズ屈折力を生じさせるために中心光学領域の所定の半径を有し得る。前面の光学領域は、球面状、非球面状、単一半径、又は、多焦点屈折力を生じさせるように設計された多重半径のものであり得る。前面の周辺部は、後面から一定厚さを生じさせるように設計されるか、又は、対応の各後面制御点から異なる厚さを有するように設計され得る。本コンタクトレンズは、コンタクトレンズの各領域に関する九つの制御点CP1~CP2を含む。しかしながら、他の実施形態では、異なる数の制御点が用いられ得る。
【0026】
中心圧縮領域(CCZ)は、その中心において治療前角膜と接触し、半経線の中心の制御点CP1から制御点CP2まで広がっていて、本例では、CP2は、略2.5mmの半弦半径方向距離に位置する。
【0027】
中心圧縮領域の周辺には体積制御領域があり、制御点CP4まで広がっていて、本例では、CP4は、略4mmの半弦半径方向距離に位置する。本例では、体積制御領域は二つの区域を含む。体積制御領域の第一区(VCZR1)は制御点CP3まで広がっていて、本例では、CP3は、略3mmの半弦半径方向距離に位置する。体積制御領域の第一区の周辺には体積制御領域の第二区(VCZR2)があり、制御点CP6とCP5を含み、制御点CP4まで広がっている。本例では、制御点CP6、CP5は、それぞれ略3.4mm、略3.8mmの半弦半径方向距離に位置する。
【0028】
体積制御領域の第二区の周辺には二次圧縮領域(SCZ)があり、ここでも、コンタクトレンズが治療前角膜に接触する。二次圧縮領域の周辺には周辺リリーフ領域(PRZ)があり、制御点CP9を含み、制御点CP8まで広がっていて、本例では、CP8は、略5mmの半弦半径方向距離に位置する。本例では、制御点CP9は、略4.5mmの半弦半径方向距離に位置する。
【0029】
周辺リリーフ領域の周辺にはランディング領域(LZ)があり、ここでも、コンタクトレンズが治療前角膜に接触する。ランディング領域は、制御点CP7まで広がっていて、本例では、CP7は、略5.4mmの半弦半径方向距離に位置する。ランディング領域の周囲端は、コンタクトレンズの縁端(ET,edge terminus)を示す。
【0030】
球面又は非球面のベース曲面は、中心圧縮領域に用いられ得る。体積制御領域、二次圧縮領域、周辺リリーフ領域、及びランディング領域は、各半経線に沿った所定の制御点において所望の矢状方向深さ差が得られるように周方向に変化させたスプライン関数又は他の幾何学的形状を用いて構成され得る。高度差は、治療される角膜の各半経線上の各制御点において治療前角膜のトポグラフィ測定によって得られ得る。レンズ後面上の点と治療前角膜表面上の各点との間の高度差は、レンズ表面から角膜表面までの軸方向距離、又はレンズ表面から角膜表面までの半径方向距離を利用し得る。軸方向距離がレンズ軸に平行なラインを成す一方で、半径方向距離は、レンズの表面から各眼の角膜表面の回転中心に向かう方向に沿っている。好ましい実施形態では、レンズ表面から治療前角膜表面までの軸方向距離は、レンズ後面上の制御点と角膜表面上の各点との高度差を計算するのに用いられる。レンズの縁は、平坦で丸い、平坦で丸くない、又は非平坦で丸いレンズを生じさせるように調整され得る。
【0031】
本開示のコンタクトレンズは、中心化(centration)の改善、治療された目の屈折性近視の低減の最適化、所定の治療後の中周辺角膜の追加の屈折力と位置を実証している。体積制御領域は、二次圧縮領域によって形成される半弦半径方向距離の位置と角度と共に、中周辺の追加の屈折力と位置を生じさせる力を発生させる。周辺リリーフ領域は、二次圧縮領域が角膜上皮に当たり、体積制御領域に向けて内側に角膜上皮を再分布することを可能にする。均一に整列したランディング領域が、中心の圧縮と、二次圧縮領域内の圧縮を生じさせる圧縮力を与える。ランディング領域の高度の非回転対称性が二本以上の半経線上の治療前角膜の高度差と整合していることが、最適な圧縮力、レンズの安定性、レンズの中心化の改善を与える。縁端がランディング領域に追加される。コンタクトレンズ後面の形状は、接合で誘起される外傷を防止するように連続的でシームレスである。一実施形態では、三次スプラインを、対応の制御点に制御して配置されたノットと共に用いて、体積制御領域の各半経線下に所定の面積で、二次圧縮領域から内向きの所定の角度において平滑で連続的でシームレスな表面を生じさせることができる。
【0032】
コンタクトレンズは、各領域がその領域に対して中心側の領域の終わりにおいて局所勾配で始まるのでシームレスである。体積制御領域のスプラインのノットは、中心圧縮領域の外側のレンズの半経線の後面に沿った所定の制御点においてレンズの相対的な矢状方向深さを制御し、スプラインの制御が表面の形状を与える。スプラインの最も中心側は、光学領域接合部の弦における高度と局所勾配によって定められ、最も周辺側は、各半経線上の次の周辺制御点における所望の高度によって定められる。体積制御領域の最も周辺側の局所勾配は、二次圧縮領域の最深点に頂点を有する所定のスクイズ角度によって定められる。二次圧縮領域の最も周辺側は、周辺リリーフ領域の最も中心側の局所勾配によって定められ、周辺リリーフ領域の最も周辺側は、ランディング領域の最も中心側によって定められる。縁端は、ランディング領域の最も周辺側の高度で始まる。
【0033】
一部応用では、レンズは、各眼用の専用設計となり得る。他の応用では、フィッティングセットが設けられ、そこからレンズが選択され得る。例示的なフィッティングセット又はフィッティングキットは、一種類の全直径(OAD,overall diameter、例えば、10.5mm~11.5mmの範囲内)、最大五種類のベース曲面半径増分(BCRI,base curve radii increment)、各BCRIについて単一の光学領域直径と一つの体積制御領域幅、各体積制御領域幅について最大五種類の体積制御領域面積、三種類の二次圧縮領域深さ、一つの周辺リリーフ領域、一つのランディング領域を有し得る。このフィッティングセットは75種類のレンズを有し得る(1OAD×5BCRI×5VCZ面積×3SCZ深さ)。自覚屈折、中心角膜曲率測定、標準的な臨床試験によって収集される角膜トポグラフィの入力によって第一のフィッティングセットレンズを提案するようなルックアップテーブルやコンピュータアプリケーションを生成することができる。
【0034】
フィッティングセットを用いず角膜トポグラフィが無い場合の好ましい経験的方法は、自覚屈折と標準的角膜曲率測定を用いてベース曲面半径を予測し、ジオプタ単位での治療量と平均生体データを用いて体積制御領域の第一区と第二区を予測し、治療量と平均生体データを用いて二次圧縮領域深さ、標準的周辺リリーフ領域高さを予測し、平均生体データを用いてランディング領域の中心部分の局所勾配と矢状方向深さを予測することによって製造される第一の観測用レンズを経験的に設計することである。臨床データから経験的に設計されるこの第一レンズは、第二レンズを発注するための観測用のレンズとして機能し得る。経験的に設計される第一観測用レンズは、非対称性を示す平均生体データに基づいた非回転対称性を含むと予測される。
【0035】
図3は、本開示の技術の一部実施形態に係る角膜再整形用のコンタクトレンズを製造するための概略的なプロセス300を示すフローチャートである。プロセス300の各要素は一つの並びで示されている。しかしながら、プロセスの一つ以上の要素を異なる順序や並列で実行したり、完全に省略したりする等し得る。更に、プロセス300は、示されている要素に加えて他の要素を含み得る。
【0036】
図3を参照すると、プロセス300は、302において、眼の臨床試験を行うことを含み得る。臨床試験は、裸眼視力、屈折、両眼視力、周辺屈折、眼の健康状態、角膜曲率測定、角膜直径、角膜トポグラフィ、瞼位置、アパーチャサイズ、瞳孔測定等の決定を含み得る。
【0037】
プロセス300は、304において、定数を選択してレンズパラメータを計算することを含み得る。レンズパラメータは、ベース曲面半径、光学領域直径、全直径、中周辺追加屈折力、中周辺追加屈折力の中心の半弦半径方向距離、レンズ屈折力等を含み得る。
【0038】
プロセス300は、306において、コンタクトレンズの後面の制御点について直径と矢状方向深さを計算することを含み得る。その計算は、平均生体データ、測定された角膜トポグラフィ、これらの組み合わせ等に基づいたものとなり得る。その計算については以下で詳述する。計算に続いて、前面について制御点を計算し得て、例えば、一つ以上の後面制御点から一つ以上の前面制御点までの厚さの規則や定数を用い得て、所要の前面の中心曲率半径(一つ又は複数の曲率半径)を組み込んで、多重焦点光学系の場合等の所望のレンズ屈折力(一つ又は複数の屈折力)を生じさせ得る。
【0039】
プロセス300は、308において、切断ファイルを生成してコンタクトレンズを製造することを含み得る。例えば、
図1に示されるようなコンタクトレンズの後面の半経線を制御点を用いて計算し得る。半経線の面は、スプライン、幾何学的セグメント、これらの組み合わせ等を用いて生成可能である。標準的な長期装用硬質気体透過性材料等から一般的な品質管理製造基準でコンタクトレンズを製造することができる。例えば、研磨フリーのコンピュータ数値制御旋盤を用いてコンタクトレンズを切断し得る。切断に続いて、コンタクトレンズの後面の輪郭検査を行い、仕上がった後面が意図した形状に一致しているかどうかを決定し得る。
【0040】
プロセス300は、310において、コンタクトレンズの適用と評価を含み得る。これは、患者の眼上でのコンタクトレンズの画像を撮影することを含み得る。画像を分析して、レンズと眼の関係を評価して、レンズ中心化度(centration)を測定し得る。その評価は、過屈折を決定すること、視力を測定すること等を含み得る。プロセス300は、312において、コンタクトレンズを処方して、一つ以上のフォローアップ評価を行うことで終了し得る。
【0041】
図4Aと
図4Bは、本開示の技術の一部実施形態に係る角膜再整形用のコンタクトレンズを決めるための概略的なプロセス400のフローチャートである。プロセス400の各要素は一つの並びで示されている。しかしながら、プロセスの一つ以上の要素を異なる順序や並列で実行したり、完全に省略したりする等し得る。更に、プロセス400は、示されている要素に加えて他の要素を含み得る。
【0042】
図4Aを参照すると、プロセス400は、402において、治療前角膜の幾何中心と一致するようにレンズの幾何中心に制御点CP1を配置すること含み得る。プロセス400は、404において、治療される眼の自覚屈折と角膜曲率測定に従ってベース曲面半径を決定し、中心圧縮領域CCZの周辺端として制御点CP2の直径を選択し、制御点CP2の選択された直径において選択されたベース曲面半径の矢状方向深さにおける制御点CP2の矢状方向深さを設定することを含み得る。
【0043】
プロセス400は、406において、体積制御領域の第一区と、体積制御領域の第一区の周辺の体積制御領域の第二区を分けるように制御点CP3の直径を選択し、治療前角膜の頂点半径から所定のジオプタ距離における制御点CP3の矢状方向深さを設定することを含み得る。一実施形態では、角膜からのCP3の矢状方向深さ差は一定であり、目標の治療量とは独立して無関係である。この実施形態では、全ての治療レンズは、目標の治療の差や、中心角膜半径と治療レンズのベース曲面の半径との間の差にかかわらず、CP3における下方の角膜から同じ矢状方向深さ差を有する。体積制御領域の第二区は、異なる中周辺高度差を有する眼に対処して、各半経線下の領域を等しくして、その領域下で生じる角膜屈折力の増加の位置を制御して、レンズの中心化を改善する。各半経線下の領域が周方向に等しいことは、体積制御領域の非円環状のベース曲面と周方向高度差が、治療前角膜の浅い半経線上で重いベアリングを有することを防止し、また、角膜の深半経線に向かうz軸傾斜や非中心化(decentration)を防止することによって、円環状や二重の高度フィッティングの必要性を排除する。
【0044】
プロセス400は、408において、中周辺追加屈折力の所望の位置に応じた二次圧縮領域についての制御点CP4の直径又は半弦半径方向距離を選択することを含み得る。制御点CP4における二次圧縮領域SCZの矢状方向深さは、制御点CP4(領域の頂点)における下方の治療前角膜の矢状方向高さの関数である。後面は、周辺リリーフ領域PRZの高さを決める次の制御点CP9に進む。一実施形態では、下方の治療前角膜からの制御点CP9の高さは、ジオプタ単位での中心治療量によって決められる。例えば、下方の角膜からの制御点CP9の高さは、1ジオプタの治療当たり6μmに等しくなり得る。次いで、周辺リリーフ領域は制御点CP8に向けて下がる。制御点CP8の高度は、ランディング領域LZの始まりの半弦半径方向距離における治療膜角膜の測定高度に対応している。制御点CP8の半弦半径方向距離は、制御点CP7の半弦半径方向距離と、制御点CP8と制御点CP7との間の所望の最小幅によって定められる。一実施形態では、制御点CP7の半弦半径方向距離は、測定された水平方向角膜直径によって定められる。例えば、レンズ直径は、測定された角膜直径の90%となるように選択され得て、制御点CP7の半弦半径方向距離が角膜直径の45%となるように決められる。制御点CP8から制御点CP7までの所望の半弦幅の範囲は0.8mm~1.6mmである。制御点CP7における縁端ETは、ランディング領域LZの最も周辺側におけるレンズの矢状方向深さに統合される。制御点CP7の矢状方向深さは、制御点CP7の所望の半弦半径方向距離における下方の角膜からの所定の縁隆起と既知の眼輪郭の関数として選択される。
【0045】
二次圧縮領域SCZ用のスプラインは、体積制御領域スプラインの最後の制御点CP5の局所勾配で始まり、体積制御領域中へと内側に向かう組織の移動を最適化する下方の治療前角膜上の二次圧縮領域SCZの入射角(本願においてスクイズ角度(SA,squeeze angle)と称される)を生じさせるように計算され得る。プロセス400は、410において、体積制御領域の第二区の周辺側のスクイズ角度を選択し、制御点CP4と共にスクイズ角度を定めるように制御点CP5を配置することを含み得る。その角度は、制御点CP4を通るレンズ軸に垂直なラインから測定され、又は、制御点CP4における下方の角膜の局所勾配から測定され得る。例えば、制御点CP4における治療前角膜の局所勾配は28度と測定され、治療前角膜とレンズ後面との間の所望の角度は5度となり得る。従って、制御点CP4の頂点から内向きの制御点CP5と制御点CP4を通る水平ラインによって生じる所定の角度は水平ラインから33度として報告され得る。
【0046】
次に
図4Bを参照すると、プロセス400は、412において、所望の周周辺追加屈折力に応じた体積制御領域の面積を選択し、体積制御領域の所望の面積を生じさせるように制御点CP6の位置を決定することを含み得る。体積制御領域の面積は、レンズを治療前角膜上に置いた際に3.00ジオプタの目標治療での第二世代又は第三世代の角膜再整形レンズの後面の面積に近似するものとして推定され得る。第二世代又は第三世代のCRTレンズは、原則として、目標治療よりも略1.00ジオプタ大きい半径でフィッティングされる。従って、体積制御領域の半経線の目標又は所望の面積は、平均光学領域直径、平均リバース曲面又はリターン領域幅、平均リバース曲面半径又はリターン領域深さを有する平均角膜上で4.00D大きな曲率半径のレンズの面積に応じて推定され得る。単一の半弦半径方向距離での目標又は所望の全面積は、レンズの中心(制御点CP1)から制御点CP4まで、制御点CP2から制御点CP4までの全体積制御領域、又は、制御点CP3から制御点CP4までの第二制御領域の第二区のみを含み得る。例えば、5.0mmの光学領域直径、1.5mmのリバース曲面幅、4.00ジオプタ(治療前角膜の半径よりも略0.8mm長い)のベース曲面半径を有する第三世代又は第四世代のCRTレンズ用の制御点CP2から制御点CP4までの面積は、1.58×10
4μm
2、つまり0.0158mm
2と推定される。半経線中の所望の面積は、制御点CP2、CP3、CP4の半弦半径方向距離に応じて異なる。制御点CP4は、中周辺追加屈折力の中点の半弦半径方向距離を定める。中周辺追加屈折力がレンズのより中心側に望まれるほど、制御点CP4の半弦半径方向距離は短くなる。制御点CP4の半弦半径方向距離が短くなるほど、制御点CP2と制御点CP3が一定に保たれている際の各体積制御領域の面積は小さくなる。一実施形態では、制御点CP2の半弦半径方向距離が1.5mm以上に保たれ、制御点CP3は2.2mm以上に保たれる。制御点CP4の半経線半径方向距離が減少すると、治療後中周辺追加屈折力の中点の半経線半径方向距離が減少する。制御点CP4の所与の半弦半径方向距離について、体積制御領域の面積が大きくなるほど、中周辺追加屈折力が高くなる。明らかなように、制御点CP4の半経線半径方向距離の変調は、中周辺追加屈折力の半径方向位置を制御し、体積制御領域内のレンズ後面と治療前角膜との間の面積が中周辺追加屈折力を変調する。制御点CP6の半経線半径方向距離は、中周辺追加屈折力の形態を変調する。
【0047】
プロセス400は、414において、治療前角膜の角膜直径に従ってコンタクトレンズの全直径を決定し、コンタクトレンズの全直径に従って制御点CP7の位置を決定する。
【0048】
プロセス400は、416において、眼の角膜トポグラフィと制御点CP7の位置に応じて治療前角膜に接触するようにランディング領域LZを定める制御点CP8を決定することを含み得る。二次圧縮領域SCZとランディング領域LZの周方向高度特徴が、周方向に均一な縁隆起をもたらし、中心化の改善と快適性の改善を促進する。半経線矢状方向深さ制御設計は、光学領域の外側のレンズの一つ以上の領域の一つ以上の半経線において異なるスプラインを用い得る。矢状方向深さ差の量は、多数の通常の眼用の公称値付近で所定のものとなるか、又は、角膜トポグラフィからの高度データによって経験的に決められ得る。
【0049】
プロセス400は、418において、制御点CP9の直径を選択し、二次圧縮領域とランディング領域との間の周辺リリーフ領域の面積を選択し、選択された周辺リリーフ領域の面積に応じて制御点CP9の矢状方向深さを決定することを含み得る。代替実施形態では、制御点CP9の矢状方向深さは、各眼の治療目標の関数として決められる。当業者に知られているように、角膜頂点は、治療で得られる1ジオプタ当たり略6μm後退する。制御点CP9は、下方の角膜から1ジオプタ当たり6μmの距離に配置され得る。例えば、3.00Dの治療が目標である場合、制御点CP1、CP4、CP8が角膜表面に接触して配置される際に、制御点CP9は、下方の角膜表面から18μmの距離に配置され得る。より大きなクリアランス(隙間)が許容可能である一方、より小さなクリアランス(隙間)は、治療の妨げとなり得るか、角膜を圧縮するために制御点CP4からCP7までの全レンズ表面を要し得ることが理解される。
【0050】
以下の表1は、本発明の一実施形態の方法に従って、半経線半径方向距離における制御点での半経線角膜高度が与えられ、後面矢状方向深さが決定される一例を示す。
【0051】
【0052】
プロセス400は、420において、制御点CP1~CP9に応じてコンタクトレンズの後面の半経線の半弦半径方向距離と矢状方向深さを定めることを含み得る。一つ以上の半経線を定めることに続いて、例えば、上述のようにコンタクトレンズを製造し得る。制御点の半経線半径方向距離と対応の深さは、全レンズ表面にわたって所要のx点、y点、z点を完成させるコンピュータプログラムプロダクトの入力となる。
【0053】
本開示の技術は、角膜ハードレンズの角膜再整形部分だけではなくて、角膜よりも大きな直径を有するレンズの角膜再整形部分、例えば、強膜コンタクトレンズ、ハイブリッドコンタクトレンズ、ソフトコンタクトレンズにも適用可能である。角膜よりも大きな直径を有するレンズの実施形態の場合には、縁端は制御点CP7において前面に繋がらない。むしろ、周辺ランディング領域の端は、少なくとも一つの半経線において角膜の直径を超えて伸びる後面上の次の周辺領域に繋がる。
【0054】
図5は、本開示の実施形態を実施可能な例示的なコンピュータシステム500のブロック図を示す。コンピュータシステム500は、情報通信用のバス502又は他の通信手段、情報処理用にバス502に接続された一つ以上のハードウェアプロセッサ504を含む。ハードウェアプロセッサ504は、例えば、一つ以上の汎用マイクロプロセッサであり得る。
【0055】
また、コンピュータシステム500は、プロセッサ504によって実行される命令や情報を記憶するためにバス502に接続されたメインメモリ506(ランダムアクセスメモリ(RAM)、キャッシュ、及び/又は他のダイナミックストレージ装置等)も含む。また、メインメモリ506は、プロセッサ504によって実行される命令の実行中に一時的な変数又は他の中間情報を記憶するためにも用いられ得る。このようなプロセッサ504がアクセス可能なようにストレージ媒体に記憶される命令は、コンピュータシステム500を、その命令で特定されるオペレーションを実行するようにカスタマイズされた専用機にする。
【0056】
コンピュータシステム500は、プロセッサ504用の静的情報や命令を記憶するためにバス502に接続されたリードオンリメモリ(ROM)508や他の静的ストレージ装置を更に含む。ストレージ装置510(磁気ディスク、光学ディスク、USBサムドライブ(フラッシュドライブ)等)が設けられ、情報と命令を記憶するためにバス502に接続される。
【0057】
コンピュータシステム500は、コンピュータユーザに情報を表示するためにディスプレイ512(液晶ディスプレイ(LCD)やタッチスクリーン等)にバス502を介して接続され得る。入力装置514(英数字や他のキーボード等)が、プロセッサ504に情報と命令選択を伝えるためにバス502に接続される。他の種類のユーザ入力装置は、プロセッサ504に対する指示情報と命令選択を伝え、ディスプレイ512上のカーソル移動を制御するためのカーソルコントロール516(マウス、トラックボール、カーソル指示キーボード等)である。一部実施形態では、カーソルコントロールと同じ指示情報と命令選択は、カーソル無しでタッチスクリーン上のタッチの受信を介して行われ得る。
【0058】
コンピュータシステム500は、計算装置によって実行される実行可能ソフトウェアコードとしてマスストレージ装置に記憶され得るGUIを実行するユーザインタフェースモジュールを含み得る。こうしたモジュールや他のモジュールとして、例えば、コンポーネント、例えば、ソフトウェアコンポーネント、オブジェクト指向ソフトウェアコンポーネント、クラスコンポーネント、タスクコンポーネント、プロセス、ファンクション、アトリビュート、プロシジャ、サブルーチン、プログラムコードのセグメント、ドライバ、ファームウェア、マイクロコード、回路、データ、データベース、データ構造、テーブル、アレイ、変数等が挙げられる。
【0059】
一般的に本願で用いられる「コンポーネント」、「エンジン」、「システム」、「データベース」、「データストア」等の用語は、ハードウェアやファームウェアで実装されるロジックや、プログラミング言語(例えば、Java、C、C++等)によって書かれるソフトウェア命令(入口点と出口点を有し得る)の集合のことを称し得る。ソフトウェアコンポーネントはコンパイルされて実行可能プログラムにリンクされ、ダイナミックリンクライブラリにインストールされ、又は、インタープリタ方式プログラミング言語(例えば、BASIC、Perl、Phthon等)で書かれ得る。ソフトウェアコンポーネントは、他のコンポーネントやそれ自体から呼び出し可能であり、及び/又は、検出されたイベントやインタラプトに応答して呼び出され得る。計算装置で実行されるように構成されたソフトウェアコンポーネントは、コンピュータ可読媒体(CD、DVD、フラッシュドライブ、磁気ディスク、他の有形媒体)上に与えられるか、デジタルダウンロード(実行前のインストール、解凍、復号を要する圧縮又はインストール可能フォーマットで元々記憶され得る)として与えられ得る。このようなソフトウェアコードは、計算装置によって実行されるように実行用計算装置のメモリ装置に部分的に又は完全に記憶され得る。ソフトウェア命令は、EPROM等でファームウェアに実装され得る。また、ハードウェアコンポーネントは、ゲートやフリップフロップ等の接続された複数の論理ユニットで構成され得て、及び/又は、プログラマブルゲートアレイやプロセッサ等のプログラマブルユニットで構成され得る点を理解されたい。
【0060】
コンピュータシステム500は、カスタマイズされた配線ロジック、一つ以上のASICやFPGA、ファームウェア、及び/又はプログラムロジックを、コンピュータシステム500が専用機となるようにして又はコンピュータシステムをプログラムすることと組み合わせて用いて、本開示の方法を実行し得る。一実施形態によると、本開示の方法は、メインメモリ506に含まれる一つ以上の命令の一つ以上のシーケンスを実行するプロセッサ504に応答してコンピュータシステム500によって行われる。このような命令は、ストレージ装置510等の他のストレージ媒体からメインメモリ506に読み出され得る。メインメモリ506に含まれる命令のシーケンスが実行されると、プロセッサ504が、本開示のプロセスステップを実行する。代替実施形態では、ソフトウェア命令の代わりに又はこれと組み合わせて配線回路を用い得る。
【0061】
本願で用いられる「非一時的媒体」等の用語は、機器を特定のやり方で動作させるデータ及び/又は命令を記憶する媒体のことを称する。このような非一時的媒体は、不揮発性媒体及び/又は揮発性媒体を含み得る。不揮発性媒体としては、例えば、ストレージ装置510等の光学ディスクや磁気ディスクが挙げられる。揮発性媒体としてはメインメモリ506等のダイナミックメモリが挙げられる。非一時的媒体の一般的な形態としては、例えば、フロッピディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、ソリッドステートドライブ、磁気テープ、他の磁気データストレージ媒体、CD‐ROM,他の光学データストレージ媒体、孔のパターンを有する物理的媒体、RAM、PROM、EPROM、FLASH‐EPROM、NVRAM、他のメモリチップやカートリッジ、これらのネットワーク型バージョンのもの等が挙げられる。
【0062】
非一時的媒体は、伝送媒体とは区別されるが、伝送媒体と併用して用いられ得る。伝送媒体は、非一時的媒体同士の間で情報を伝えることに関与する。例えば、伝送媒体としては、同軸ケーブル、銅線、光ファイバ、バス502を含むワイヤ等が挙げられる。また、伝送媒体は、音響波や光波、例えば電波や赤外線のデータ通信中に発生するもの等の形態ともなり得る。
【0063】
また、コンピュータシステム500は、バス502に接続されたネットワーク(通信)インタフェース518を含む。ネットワークインタフェース518は、一つ以上のネットワークリンクを一つ以上のローカルネットワークに接続する双方向データ通信を与える。例えば、通信インタフェース518は、ISDN(サービス統合デジタル網)カード、ケーブルモデム、人工衛星モデム、又は、対応する種類の電話線に対する通信接続を与えるモデムであり得る。他の例では、ネットワークインタフェース518は、LAN(ローカルエリアネットワーク)カードであり、互換性のあるLAN(又は、WANで通信するWANコンポーネント)に対するデータ通信接続を与える。無線リンクも実施可能である。このような実施形態では、ネットワークインタフェース518は、多様な種類の情報を表すデジタルデータストリームを運ぶ電気信号、電磁信号、又は光学信号を送受信する。
【0064】
ネットワークリンクは、典型的には、一つ以上のネットワークを介した他のデータ装置へのデータ通信を与える。例えば、ネットワークリンクは、ローカルネットワークを介して、ホストコンピュータ、又はISP(インターネットサービスプロバイダ)が運用しているデータ機器に対する接続を与え得る。そして、今度は、ISPが、ワールドワイドパケットデータ通信ネットワーク(現在では一般的に「インターネット」と称される)を介してデータ通信サービスを提供する。ローカルネットワークとインターネットはどちらも、デジタルデータストリームを運ぶ電気信号、電磁信号又は光信号を用いる。多様なネットワークを介する信号と、通信インタフェース518を介するネットワークリンク上の信号は、コンピュータシステム500に対してデジタルデータを運ぶものであり、伝送媒体の例示的な形態である。
【0065】
コンピュータシステム500は、メッセージを送信して、ネットワーク、ネットワークリンク、及び通信インタフェース518を介してプログラムコードを含むデータを受信し得る。インターネットの例では、サーバが、インターネット、ISP、ローカルネットワーク、及び通信インタフェース518を介して要求されたアプリケーションプログラム用のコードを送信し得る。
【0066】
受信したコードは、受信されるやプロセッサ504によって実行され、及び/又は、後で実行するためにストレージ装置510又は他の不揮発性ストレージに記憶され得る。
【0067】
上述のプロセス、方法及びアルゴリズムの各々は、コンピュータハードウェアを含む一つ以上のコンピュータシステム又はコンピュータプロセッサによって実行されるコードコンポーネントにおいて完全に又は部分的に自動的に行われ得る。また、一つ以上のコンピュータシステム又はコンピュータプロセッサは、「クラウドコンピューティング」環境において又はSaaS(サービス・アズ・ア・ソフトウェア)として関連のオペレーションの実行をサポートするように動作し得る。プロセスとアルゴリズムは、特定用途向け回路で部分的に又は完全に実行され得る。上述の多様な特徴とプロセスは、互いに独立して用いることもできるし、多様な方法で組み合わせて用いることもできる。多様な組み合わせとサブコンビネーションが本開示の範囲内に入るものであり、特定の方法やプロセスブロックが一部実施形態では省略され得る。本開示の方法とプロセスは、特定の順序に限定されるものではなく、関連のブロックや条件は、適切である他の順序で実行可能であり、並列に実行可能であり、又は他の方法で実行可能である。本開示の例示的な実施形態に対してブロックや条件を追加したり除去したりし得る。特定の動作やプロセスの実行は、一つの機器の内部だけに存在しているのではなくて複数の機器にわたって配備されている複数のコンピュータシステムやコンピュータプロセッサに分散され得る。
【0068】
本願で用いられる回路は、あらゆる形態のハードウェアを用いて、又はハードウェアとソフトウェアの組み合わせを用いて、実施され得る。例えば、一つ以上のプロセッサ、コントローラ、ASIC、PLA、PAL、CPLD、FPGA、ロジックコンポーネント、ソフトウェアルーチン、又は他のメカニズムが、回路を設けるために実装され得る。その実装では、本開示の多様な回路が個別回路として実装され得て、又は、本開示の機能と特徴が一つ以上の回路の一部又は全部で共有され得る。機能に関する多様な特徴と要素が個々の回路として個別に記載されて特許請求され得るが、これらの特徴と機能は、一つ以上の共通回路で共有され得るものであり、このような特徴や機能を実施するための個別の回路が要されることを必須としたり示唆するものではない。回路がソフトウェアを用いて全体として又は部分的に実施される場合、そのようなソフトウェアは、コンピュータシステム500等に関して記載されている機能を実行することができる計算システムや処理システムで動作するように実装され得る。
【0069】
本願において用いられる「又は」との用語は、包括的にも排他的にも解釈され得る。更に、単数形での記載は複数形を排除するものではない。「することができる」、「することが可能」、「し得る」、「してもよい」等の条件付きの記載は、特に断らない限り、又は用いられる文脈内で理解されるものではない限り、一般的には、特定の実施形態が特定の特徴、要素及び/又はステップを含む一方で、他の実施形態がそれらを含まないことを伝えるものである。
【0070】
本願で用いられる用語や表現は、特に断らない限り、限定的なものではなく、オープンエンド型のものとして解釈されるものである。「従来の」、「伝統的な」、「通常の」、「標準的な」、「既知の」等の表現は、記載事項を所与の期間や、所与の時点で利用可能な事項に限定するものではなくて、従来、伝統的、通常、又は標準的な技術が、現時点又は将来において利用可能な又は知られ得ることを含むものである。「一つ以上」、「少なくとも」、「限定されない」等の範囲を広げる記載の存在は、このような範囲を広げる記載が存在しない場合に範囲を狭くすることが意図されたり要求されたりすることを意味するものではない。
【手続補正書】
【提出日】2023-09-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の眼の治療前角膜を再整形するためのコンタクトレンズであって、
前面と、半経線(semi‐meridian)を有する後面と、を有し、
前記半経線が、
前記治療前角膜と接触する中心圧縮領域と、
前記中心圧縮領域の周辺の体積制御領域と、
前記体積制御領域の周辺にあり、前記治療前角膜と接触する二次圧縮領域と、
前記二次圧縮領域の周辺の周辺リリーフ領域と、
前記周辺リリーフ領域の周辺にあり、前記治療前角膜と接触するランディング領域と、
前記ランディング領域の周辺の縁端と、を定める、コンタクトレンズ。
【請求項2】
前記中心圧縮領域の半径が球面状である、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項3】
前記中心圧縮領域の半径が非球面状である、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項4】
前記中心圧縮領域の直径が3.0mm~7.0mmである、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項5】
前記体積制御領域が、スプラインと、多項式と、円錐曲線及び非曲線部の組み合わせとのうちの一つによって接続される四つ以上の幾何学的制御点によって定められ、
第二幾何学的制御点が第一幾何学的制御点の周辺にあり、
第三幾何学的制御点が前記第二幾何学的制御点の周辺にあり、
第四幾何学的制御点が前記治療前角膜に接触し、前記第四幾何学的制御点が前記第三幾何学的制御点の周辺にある、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項6】
前記体積制御領域の第一幾何学的制御点が、5μm~80μmの範囲内で前記治療前角膜からz軸方向に離れて配置される、請求項5に記載のコンタクトレンズ。
【請求項7】
前記体積制御領域の第二幾何学的制御点が、前記体積制御領域内の前記後面と前記治療前角膜との間に所定の面積を定めるように前記治療前角膜からz軸方向に離れて配置される、請求項5に記載のコンタクトレンズ。
【請求項8】
前記体積制御領域の第三幾何学的制御点が、(i)前記第三幾何学的制御点と前記第四幾何学的制御点とを繋ぐラインと(ii)前記第四幾何学的制御点を通る水平ラインとの間に所定の角度を定めるように配置される、請求項5に記載のコンタクトレンズ。
【請求項9】
前記第四幾何学的制御点の半弦半径方向距離(semi‐chord radial distance)が2.6mm~5.2mmの範囲内である、請求項5に記載のコンタクトレンズ。
【請求項10】
前記二次圧縮領域が、0.2mm~0.8mmの範囲内の幅を有する、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項11】
前記二次圧縮領域が、前記二次圧縮領域内に一つ以上の制御点を有する形状によって定められ、該形状が、スプラインと、多項式と、凸状円錐曲線とのうちの一つによって定められる、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項12】
前記周辺リリーフ領域が、中心屈折異常を低減するため1ジオプタ当たり6μm以上で前記治療前角膜からz軸方向に離れて配置された一つ以上の制御点によって定められる、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項13】
前記周辺リリーフ領域が、0.4mm~1.2mmの幅を有する、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項14】
前記ランディング領域が、前記ランディング領域内に一つ以上の制御点を有する形状によって定められ、該形状が、スプラインと、多項式と、円錐曲線と、角度が付けられた曲線部と、角度が付けられた非曲線部とのうちの一つによって定められる、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項15】
前記後面の縁端が、前記ランディング領域の最も半径方向周辺側で始まり、前記前面の最も周辺側に繋がり、
前記後面の縁端が、楕円、円錐曲線、又はスプラインによって定められる、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項16】
前記体積制御領域と前記二次圧縮領域が単一のスプラインによって定められる、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項17】
患者の眼用に製造されるコンタクトレンズを決めるための方法であって、
前記患者の眼の角膜トポグラフィに従って、前記コンタクトレンズの中心圧縮領域のベース曲面半径、前記コンタクトレンズの中心圧縮領域の周辺の半経線半径方向距離(semi‐meridian radial distance)、前記中心圧縮領域に隣接する体積制御領域の面積、及び、前記体積制御領域の周辺に隣接する二次圧縮領域であって前記眼の治療前角膜に接触する二次圧縮領域の半弦半径方向距離(semi‐chord radial distance)を選択することと、
前記中心圧縮領域の幅、前記体積制御領域の面積、前記二次圧縮領域の半経線半径方向距離、及び前記二次圧縮領域の頂点の内向き角度を少なくとも定める複数の制御点の位置を決定することと、
前記複数の制御点に従って、前記コンタクトレンズの後面の半経線(semi‐meridian)を決めることと、を備える方法。
【請求項18】
前記コンタクトレンズの幾何中心と対応の前記治療前角膜の幾何中心に前記複数の制御点のうち第一制御点を配置することを更に備える請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記眼の自覚屈折と角膜曲率測定とに従って前記ベース曲面半径を決定することと、
前記中心圧縮領域の周辺端として前記複数の制御点のうち第二制御点の半弦半径方向距離を選択することと、
前記複数の制御点のうち第一制御点が下方の前記治療前角膜に接触している際の選択された前記複数の制御点のうちの第二制御点の半弦半径方向距離における前記ベース曲面半径の矢状方向深さ(sagittal depth)における前記複数の制御点のうち第二制御点の矢状方向深さを設定することと、を更に備える請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記体積制御領域の第一区と、前記体積制御領域の第一区の周辺にある前記体積制御領域の第二区とを分けるように前記複数の制御点のうち第三制御点の半弦半径方向距離を選択することと、
平均治療前角膜に配置された際の所定のジオプタ治療目標半径を有するレンズの距離に等しい距離に前記複数の制御点のうち第三制御点の矢状方向深さを設定することと、を更に備える請求項19に記載の方法。
【請求項21】
所望の中周辺追加位置に従った前記二次圧縮領域の頂点の半弦半径方向距離に等しくなるように前記複数の制御点のうち第四制御点の半弦半径方向距離を選択することを更に備える請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記体積制御領域の第二区の周辺側のスクイズ角度を選択することと、
前記複数の制御点のうち第四制御点と共に前記スクイズ角度を定めるように前記複数の制御点のうち第五制御点を配置することと、を更に備える請求項21に記載の方法。
【請求項23】
所望の中周辺追加屈折力に従って選択された前記体積制御領域の面積に従って前記複数の制御点のうち第六制御点の位置を決定することを更に備える請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記治療前角膜の角膜直径に従って前記コンタクトレンズの全直径を決定することと、
前記コンタクトレンズの全直径に従って前記複数の制御点のうち第七制御点の位置を決定することと、を更に備える請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記眼の角膜トポグラフィと、ランディング領域の所望の半径方向幅に従った前記複数の制御点のうち第七制御点からの所望の半径方向距離とに従って、前記治療前角膜に接触するランディング領域の内側を定める前記複数の制御点のうち第八制御点を決定することを更に備える請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記複数の制御点のうち第九制御点の直径を選択することと、
前記二次圧縮領域と前記ランディング領域との間の周辺リリーフ領域の面積を選択することと、
選択された前記周辺リリーフ領域の面積に従って、又はジオプタ単位の目標治療に従って、前記複数の制御点のうち第九制御点の矢状方向深さを決定することと、を更に備える請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記二次圧縮領域の頂点が、角膜に接触するz軸方向位置を有する、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【国際調査報告】