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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-05
(54)【発明の名称】放射線治療アプリケータ
(51)【国際特許分類】
   A61M 36/12 20060101AFI20240227BHJP
   A61N 5/10 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
A61M36/12
A61N5/10 U
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550207
(86)(22)【出願日】2022-03-09
(85)【翻訳文提出日】2023-08-21
(86)【国際出願番号】 IB2022052084
(87)【国際公開番号】W WO2022189987
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】63/159,499
(32)【優先日】2021-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519371231
【氏名又は名称】アルファ タウ メディカル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100162824
【弁理士】
【氏名又は名称】石崎 亮
(72)【発明者】
【氏名】マーゲン オーファー
(72)【発明者】
【氏名】ゼルナー オル
(72)【発明者】
【氏名】マコフスキー スラヤ
(72)【発明者】
【氏名】ケルソン イツァーク
【テーマコード(参考)】
4C082
【Fターム(参考)】
4C082AC05
4C082AE05
(57)【要約】
細長い針(104)を通して患者の腫瘍に放射線治療シードを送達するためのアプリケータ。細長い針は、針ハンドル(204)と、患者に挿入するための所定の長さを有する針管とを有する。アプリケータは、細長い針を通過するように設計され、1つ以上の放射線治療シード(110)を受け入れる内部チャンネルを構成する細長いアプリケータ管(106)と、針ハンドル(204)に取り付けられるように構成されたアプリケータハンドル(210)と、細長いアプリケータ管内のスタイレット(108)と、を有する。細長いアプリケータ管は、細長い針よりも長い。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長い針を通して患者の腫瘍に放射線治療シードを送達するためのアプリケータであって、前記細長い針は、針ハンドルと、前記患者に挿入するための所定の長さを有する針管とを有し、
前記アプリケータは、
前記細長い針を通過するように設計された細長いアプリケータ管であって、1つ以上の放射線治療シードを受け入れる内部チャンネルを構成する前記細長いアプリケータ管と、
前記針ハンドルに取り付けられるように構成されたアプリケータハンドルと、
前記細長いアプリケータ管内のスタイレットと、
を有し、
前記細長いアプリケータ管は、前記細長い針よりも長い、アプリケータ。
【請求項2】
前記細長いアプリケータ管は、患者への挿入には適さない可撓性を有するが、前記細長い針が前記患者内にあるときに、前記細長い針の内部チャンネルを通過することができる、請求項1に記載のアプリケータ。
【請求項3】
前記細長いアプリケータ管は、前記アプリケータハンドルが前記針ハンドルに取り付けられたときに前記細長いアプリケータ管の遠位端が前記細長い針の遠位端に近接するような長さを有する、請求項1に記載のアプリケータ。
【請求項4】
前記細長いアプリケータ管は、少なくとも20センチメートルの長さを有する、請求項1に記載のアプリケータ。
【請求項5】
前記スタイレットが前記細長いアプリケータ管の遠位端からシードを押し出すように、前記スタイレットハンドルに対する前記アプリケータハンドルの移動を可能にする方法にて、前記アプリケータハンドル及び前記スタイレットのハンドルを掴むように構成されたシード分配ユニットを更に有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のアプリケータ。
【請求項6】
前記シード分配ユニットは、
前記スタイレットハンドルを掴むように構成されたケーシングと、
前記アプリケータハンドルと結合し、前記ケーシングに対してスライドするように構成されたスライド可能なホルダと、
を有する、請求項5に記載のアプリケータ。
【請求項7】
前記シード分配ユニットは、使用者によって前記細長いアプリケータ管の軸に沿って移動されたときに、前記アプリケータハンドルを前記スタイレットハンドルに対して移動させるガイドハンドルを有する、請求項6に記載のアプリケータ。
【請求項8】
前記シード分配ユニットは、1ストロークにおける前記細長いアプリケータ管の前記軸に沿った前記ガイドハンドルの移動を、単一の前記シードの長さに制限するように構成されている、請求項7に記載のアプリケータ。
【請求項9】
前記シード分配ユニットは、前記単一のシードの長さの移動後に、前記細長いアプリケータ管の前記軸に沿った前記ガイドハンドルの更なる移動を可能にするために、前記ガイドハンドルの横方向の移動を必要とするように構成されている、請求項8に記載のアプリケータ。
【請求項10】
前記シード分配ユニットは、前記スタイレットの前記ハンドルが所定位置に保持されている間、前記アプリケータハンドルを後退させるように構成されている、請求項5に記載のアプリケータ。
【請求項11】
前記細長いアプリケータ管は、少なくとも50センチメートルの長さを有する、請求項10に記載のアプリケータ。
【請求項12】
シード分配ユニットであって、
遠位端において複数の放射線治療シードを含む細長いアプリケータのハンドルを掴むように構成されたアプリケータハンドルホルダと、
前記細長いアプリケータ内のスタイレットのハンドルを掴むように構成されたスタイレットハンドル把握具と、
前記スタイレットが前記細長いアプリケータの前記遠位端からシードを押し出すように、前記スタイレットハンドル把握具に対する前記アプリケータハンドルホルダの移動を可能にするように構成されたケーシングと、
を有し、
前記ケーシングは、前記スタイレットハンドル把握具に対する前記アプリケータハンドルホルダの連続した動きを、単一のシードの長さに制限するように構成され、その結果、それ以上の動きが、人間の使用者による調整動作の後にのみ許可されるようになっている、シード分配ユニット。
【請求項13】
前記アプリケータハンドルホルダは、前記アプリケータハンドルホルダを前記スタイレットハンドル把持具に対して第1の方向に移動させるために前記使用者によって使用されるガイドハンドルを有し、前記ケーシングは、前記単一のシードの長さを超えて前記第1の方向に移動するために、前記第1の方向とは異なる第2の方向での移動を要求する、請求項12に記載のシード分配ユニット。
【請求項14】
前記第2の方向は、前記第1の方向に対して垂直である、請求項13に記載のシード分配ユニット。
【請求項15】
前記アプリケータハンドルホルダは、ラチェット解除ボタンが押されない限り、前記アプリケータハンドルホルダが前記シードの長さ移動した後に前記アプリケータハンドルホルダの後方移動を防止するラチェットを有する、請求項12に記載のシード分配ユニット。
【請求項16】
前記ケーシングは、前記スタイレットハンドル把握具に対する前記アプリケータハンドルホルダの連続した動きを前記単一のシードの長さに制限する、1つ以上のボールプランジャを有する、請求項12~15のいずれか一項に記載のシード分配ユニット。
【請求項17】
放射線治療シードを腫瘍に送達するためのシステムであって、
細長いチャンネルを構成する内視鏡と、
前記内視鏡の前記細長いチャンネルを通過する細長い針と、
前記細長い針を通過し、1つ以上の放射線治療シードを受け入れる内部チャンネルを構成する細長いアプリケータと、
前記細長いアプリケータ内のスタイレットと、
を有する、システム。
【請求項18】
一端に前記針のハンドルを受け入れ、他端に前記スタイレットのハンドルを受け入れるように構成されたシード分配ユニットを有する、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記シード分配ユニットは、前記針ハンドルを保持するように構成された針ハンドルホルダと、前記スタイレットの前記ハンドルを受け入れる近位コンパートメントと、を含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記シード分配ユニットは、前記アプリケータから単一のシードを分配するのに十分な固定長さだけ、前記針ハンドルホルダを前記近位コンパートメントに向けて押すように構成されている、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
放射線治療シードを患者の内臓に送達する方法であって、
前記患者の外部から前記内臓まで延びるのに十分な長さの細長いアプリケータを提供するステップであって、前記細長いアプリケータが、その遠位端に1つ以上の放射線治療シードを含むと共に、その近位端から前記1つ以上の放射線治療シードまで前記細長いアプリケータを通って延びるスタイレットを含む、前記提供するステップと、
前記細長いアプリケータを細長い針に挿入するステップと、
前記細長い針によって前記内臓に穴を開けるステップと、
前記細長い針及び前記細長いアプリケータを前記スタイレットに対して後退させることによって、前記シードの少なくとも1つを前記患者内に分配するステップと、
を有する、方法。
【請求項22】
前記細長いアプリケータを前記細長い針に挿入するステップは、前記細長い針が前記患者の外部から前記内臓まで延びている間に実行される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記細長いアプリケータを前記細長い針に挿入するステップは、前記細長い針が完全に前記患者の外部にある間に実行される、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記針を内視鏡を通して前記内臓の近傍に導くステップを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記シードの前記少なくとも1つを分配する前に、前記針のハンドルを前記アプリケータのハンドルに接続するステップを含む、請求項21~24のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願への相互参照〕
本出願は、2021年3月11日に出願された米国仮特許出願63/159,499の利益を主張するものであり、参照により本出願に組み込まれる。
【0002】
本発明は、概略的には放射線治療に関するものであり、特に、内臓に位置する腫瘍に放射線治療源を埋め込む方法に関する。
【背景技術】
【0003】
アルファ粒子放射体は、悪性腫瘍を含む特定の種類の腫瘍に対する放射線治療法の強力な手段である。治療の成功には、アルファ粒子放射体を組み込んだシード(seeds)を適切に送達することが重要である。患者の組織などを放射性物質や他の不健康な物質に早期に曝すことなく、送達によりシードを腫瘍内に正確に配置すべきである。
【0004】
アルファ線治療源の1つのタイプは、治療目的には長すぎず短すぎない半減期を有する、ラジウム223又はラジウム224原子が装填された拡散アルファ線放射治療(DaRT:diffusing alpha-emitter radiation therapy)源である。
【0005】
Kelsonの米国特許第8,834,837号は、DaRT治療の方法を記載している。
【0006】
「小線源(近接照射)治療装置及び関連する治療方法」と題されたPCT公開WO2015/136192号は、内視鏡のチャンネル内に挿入された針を介した放射性物質の容器の送達を記載している。
【0007】
Wangの米国特許第4,532,935号は、外側カテーテル、外側カテーテルの内側において内側カテーテルに取り付けられた針、及び、針内を通過するスタイレットを含む気管支鏡針を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第8,834,837号公報
【特許文献2】WO2015/136192号公報
【特許文献3】米国特許第4,532,935号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態によれば、細長い針を通して患者の腫瘍に放射線治療シードを送達するためのアプリケータがここに提供され、細長い針は、針ハンドルと、患者に挿入するための所定の長さを有する針管とを有し、
アプリケータは、
細長い針を通過するように設計された細長いアプリケータ管であって、1つ以上の放射線治療シードを受け入れる内部チャンネルを構成する細長いアプリケータ管と、
針ハンドルに取り付けられるように構成されたアプリケータハンドルと、
細長いアプリケータ管内のスタイレットと、
を有し、
細長いアプリケータ管は、細長い針よりも長い。
【0010】
任意選択で、細長いアプリケータ管は、患者への挿入には適さない可撓性を有するが、細長い針が患者内にあるときに、細長い針の内部チャンネルを通過することができる。任意選択で、細長いアプリケータ管は、アプリケータハンドルが針ハンドルに取り付けられたときに細長いアプリケータ管の遠位端が細長い針の遠位端に近接するような長さを有する。任意選択で、細長いアプリケータ管は、少なくとも20センチメートルの長さを有する。任意選択で、アプリケータは、スタイレットが細長いアプリケータ管の遠位端からシードを押し出すように、スタイレットハンドルに対するアプリケータハンドルの移動を可能にする方法にて、アプリケータハンドル及びスタイレットのハンドルを掴むように構成されたシード分配ユニット(seed dispensing unit)を更に有する。任意選択で、シード分配ユニットは、スタイレットハンドルを掴むように構成されたケーシングと、アプリケータハンドルと結合し、ケーシングに対してスライドするように構成されたスライド可能なホルダと、を有する。
【0011】
任意選択で、シード分配ユニットは、使用者によって細長いアプリケータ管の軸に沿って移動されたときに、アプリケータハンドルをスタイレットハンドルに対して移動させるガイドハンドルを有する。任意選択で、シード分配ユニットは、1ストロークにおける細長いアプリケータ管の軸に沿ったガイドハンドルの移動を、単一のシードの長さに制限するように構成されている。任意選択で、シード分配ユニットは、単一のシードの長さの移動後に、細長いアプリケータ管の軸に沿ったガイドハンドルの更なる移動を可能にするために、ガイドハンドルの横方向の移動を必要とするように構成されている。任意選択で、シード分配ユニットは、スタイレットのハンドルが所定位置に保持されている間、アプリケータハンドルを後退させるように構成されている。任意選択で、細長いアプリケータ管は、少なくとも50センチメートルの長さを有する。
【0012】
更に、本発明の実施形態によれば、シード分配ユニットが提供され、このシード分配ユニットは、
遠位端において複数の放射線治療シードを含む細長いアプリケータのハンドルを掴むように構成されたアプリケータハンドルホルダと、
細長いアプリケータ内のスタイレットのハンドルを掴むように構成されたスタイレットハンドル把握具と、
スタイレットが細長いアプリケータの遠位端からシードを押し出すように、スタイレットハンドル把握具に対するアプリケータハンドルホルダの移動を可能にするように構成されたケーシングと、
を有し、
ケーシングは、スタイレットハンドル把握具に対するアプリケータハンドルホルダの連続した動きを、単一のシードの長さに制限するように構成され、その結果、それ以上の動きが、人間の使用者による調整動作の後にのみ許可されるようになっている。
【0013】
任意選択で、アプリケータハンドルホルダは、アプリケータハンドルホルダをスタイレットハンドル把持具に対して第1の方向に移動させるために使用者によって使用されるガイドハンドルを有し、ケーシングは、単一のシードの長さを超えて第1の方向に移動するために、第1の方向とは異なる第2の方向での移動を要求する。任意選択で、第2の方向は、第1の方向に対して垂直である。任意選択で、アプリケータハンドルホルダは、ラチェット解除ボタンが押されない限り、アプリケータハンドルホルダがシードの長さ移動した後にアプリケータハンドルホルダの後方移動を防止するラチェットを有する。任意選択で、ケーシングは、スタイレットハンドル把握具に対するアプリケータハンドルホルダの連続した動きを単一のシードの長さに制限する、1つ以上のボールプランジャを有する。
【0014】
更に、本発明の実施形態によれば、放射線治療シードを腫瘍に送達するためのシステムが提供され、このシステムは、細長いチャンネルを構成する内視鏡と、内視鏡の細長いチャンネルを通過する細長い針と、細長い針を通過し、1つ以上の放射線治療シードを受け入れる内部チャンネルを構成する細長いアプリケータと、細長いアプリケータ内のスタイレットと、を有する。
【0015】
任意選択で、システムは、一端に針のハンドルを受け入れ、他端にスタイレットのハンドルを受け入れるように構成されたシード分配ユニットを有する。任意選択で、シード分配ユニットは、針ハンドルを保持するように構成された針ハンドルホルダと、スタイレットのハンドルを受け入れる近位コンパートメントと、を含む。任意選択で、シード分配ユニットは、アプリケータから単一のシードを分配するのに十分な固定長さだけ、針ハンドルホルダを近位コンパートメントに向けて押すように構成されている。
【0016】
更に、本発明の実施形態によれば、放射線治療シードを患者の内臓に送達する方法が提供され、この方法は、
患者の外部から内臓まで延びるのに十分な長さの細長いアプリケータを提供するステップであって、細長いアプリケータが、その遠位端に1つ以上の放射線治療シードを含むと共に、その近位端から1つ以上の放射線治療シードまで細長いアプリケータを通って延びるスタイレットを含む、提供するステップと、
細長いアプリケータを細長い針に挿入するステップと、
細長い針によって内臓に穴を開けるステップと、
細長い針及び細長いアプリケータをスタイレットに対して後退させることによって、シードの少なくとも1つを患者内に分配するステップと、
を有する。
【0017】
任意選択で、細長いアプリケータを細長い針に挿入するステップは、細長い針が患者の外部から内臓まで延びている間に実行される。任意選択で、細長いアプリケータを細長い針に挿入するステップは、細長い針が完全に患者の外部にある間に実行される。任意選択で、方法は、針を内視鏡を通して内臓の近傍に導くステップを含む。任意選択で、方法は、シードの少なくとも1つを分配する前に、針のハンドルをアプリケータのハンドルに接続するステップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態による、放射線治療シードを送達するためのシステムの部分断面図である。
図2】本発明の実施形態による、シード分配ユニット内の針の近位端の概略図である。
図3】本発明の実施形態による、針ハンドルのない図2のシード分配ユニットの概略図である。
図4】本発明の実施形態による、針ハンドルを保持するクレードル針ホルダの概略図である。
図5】本発明の実施形態による、針ホルダを移動するために使用されるガイドを備えたクレードル針ホルダを上下逆にした概略図である。
図6】本発明の実施形態による、ガイドハンドルに加えて、シード分配ユニットのケーシングの裏側の概略図である。
図7】本発明の実施形態による、スライドフレーム及び対応するガイドの概略図である。
図8A】本発明の実施形態によるラチェット機構の概略図である。
図8B】本発明の実施形態によるラチェット機構の概略図である。
図9】本発明の実施形態による、患者の腫瘍に放射線治療シードを埋め込むときに実行される動作のフローチャートである。
図10A】本発明の実施形態によるアプリケータキットの概略図である。
図10B】本発明の実施形態による、第1の固定要素が取り外された、図10Aのアプリケータキットの近位端の概略図である。
図11A】本発明の実施形態によるシード分配ユニットの概略上面図である。
図11B】針ハンドル及びシースハンドルが内部に取り付けられた、図11Aのシード分配ユニットの概略側面図である。
図12A】本発明の実施形態による、スタイレットキャリアが内部に取り付けられた、図11Aのシード分配ユニットの側面図である。
図12B】本発明の実施形態による、スタイレットキャリアが内部に取り付けられた、図11Aのシード分配ユニットの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の幾つかの実施形態の一側面は、それぞれが別々に操作可能であり、1つが他の中にある3本の管内において、患者の内臓への放射線治療シードの送達に関する。放射線治療シードを3本の管内に送達することで、送達の可撓性が向上する。幾つかの実施形態では、外側の管は内視鏡であり、中間の管は細長い針であり、内側の管はシードを運ぶアプリケータである。内視鏡に加えて細長い針を使用することで、頑丈さや視認性といった内視鏡の特性を利用して腫瘍近傍に到達させることができる一方、細長い針の更なる可撓性及び小さな直径を利用して腫瘍自体に到達させることができる。シードを運ぶために細長い針とは別の細長いアプリケータを使用することにより、細長い針が患者内にある間に、細長い針の内部チャンネル内にシードを通過させることなく、細長い針の内壁にシードを擦り付けるような方法にて、細長い針の遠位端にシードを送達することができる。放射線治療シードの幾つかは活発な放射性粒子を外面に有するため、シードを細長い針の内部チャンネルに通すと、シードが細長い針の内壁と擦れることにより、シードの活動のかなりの部分が失われる可能性がある。細長いアプリケータを別途挿入することで、細長い針に元々装着されていたシードを超えて、追加のシードを腫瘍に送達することができる。更に、細長いアプリケータを使用することで、細長い針の遠位端を、その中のシードなしで、腫瘍に送達することができ、必要に応じて細長い針の更なる可撓性を可能にする。
【0020】
本発明の幾つかの実施形態の一側面は、一方が他方に収まる、ほぼ同じ長さの2本の細長い管を含む、患者の内臓にシードを送達するためのシステムに関する。任意選択で、細長い管のそれぞれは、ハンドルを有し、このハンドルは、互いに結合されるように構成され、それにより、当該ハンドルが結合されたときに細長い管の遠位端が互いに近接するようになっている。幾つかの実施形態では、内管は、1つ以上の放射線治療シードと、シードをアプリケータの遠位端から押し出すために使用されるスタイレットとを運ぶ。
【0021】
図1は、本発明の実施形態による、1つ以上の放射線治療シード110を送達するためのシステム100の部分断面図である。システム100は、患者に挿入するのに適した内視鏡102を有する。生検を採取するために当技術分野で使用されるような鋭いエッジ114(図1に概略的に示す)を有する細長い針104が、内視鏡102のチャンネルを通して挿入される。細長い針104は、外側シース118を任意に備えており、この中において細長い針104は、鋭いエッジ114が全体的にシース118内にある送達状態と、図1に示すように鋭いエッジ114がシース外にある作動状態と、の間でスライドすることができる。
【0022】
アプリケータ106(その中においてシード100を運ぶ)は、針104を通過する。アプリケータ106内のスタイレット108は、シード110を患者内に押し込むために使用される。図に示すように、アプリケータ106は、5つのシード110を運んでおり、それぞれ全体的に0.5~2センチメートルの長さを有する。なお、アプリケータ106は、5個未満又は3個未満のシード110を運んでもよいし、若しくは、5個よりも多い又は10個よりも多いシード110を運んでもよい。
【0023】
針104は、内視鏡102のチャンネル内に示されているが、場合によっては、針104は、内視鏡の遠位端を越えて延び、内視鏡102において狭すぎる領域やアクセスできない領域に入ることがある。したがって、全体的に、細長い針104の少なくとも遠位部分は、患者内で独立して操作可能な十分な剛性を有している一方で、曲がりくねった狭い身体チャンネルを透して操作するのに十分な可撓性を有している。幾つかの実施形態では、細長い針104は、1.7ミリメートル未満、1.2ミリメートル未満、又は1ミリメートル未満、例えば0.8ミリメートルの外径を有すると共に、1.25ミリメートル未満、1ミリメートル未満、0.8ミリメートル未満、又は0.6ミリメートル未満、例えば0.45ミリメートルの内径を有する。その代わりに又はそれに加えて、細長い針104は、例えば1ミリメートルより大きい、1.2ミリメートルより大きい、又は1.5ミリメートルより大きいなど、比較的大きな外径を有する。
【0024】
細長い針104に適合するために、アプリケータ106は、細長い針104の内径以下の外径を有する。アプリケータ106の内径は、0.37ミリメートルなどの任意で0.3ミリメートルより大きい直径を有するシード110を保持するのに十分な大きさである。アプリケータ106の壁は、任意で、0.2ミリメートル未満、0.15ミリメートル未満、又は0.1ミリメートル未満の厚さを有する。アプリケータ106は、針104の内部チャンネルを通過するように意図されているため、幾つかの実施形態では、アプリケータ106は、非常に柔らかく、それ自体が患者内を通過するのには適していない。更に、アプリケータ106は、任意で高い可撓性を備えており、その結果、針104内に配置されると、針104とアプリケータ106との組み合わされた可撓性により、それらが患者内で操作可能となっている。その代わりに又はそれに加えて、複雑な操作を行う必要がある場合は、アプリケータ106は、針104から取り外され、針が適切に位置決めされたら戻される。幾つかの実施形態では、アプリケータ106は、編組された又は編組されていない複合ポリイミド管を有する。また、アプリケータ106は、その遠位端にシード110を補充するために針104から取り外されてもよく、シードを補充した後に針104に再挿入される。アプリケータ106の細長い管は、取り外しと再挿入を可能にするために十分硬く構成されている。
【0025】
幾つかの実施形態では、アプリケータ106の長さは、細長い針104の長さと同じであり(例えば20ミリメートル以下又は10ミリメートル以下の差)、それにより、アプリケータ106を針104の内部チャンネルに挿入し且つそれらのハンドルを接続すると、アプリケータ106の遠位端が針104の遠位端と一致する(10ミリメートル以内又は5ミリメートル以内)。幾つかの実施形態では、アプリケータ106は、針104のハンドルの長さだけ(5ミリメートル以内)、針104よりも長い。
【0026】
他の実施形態では、細長い針104のハンドルが接続されているときに、アプリケータ106が、少なくとも2センチメートル、少なくとも5センチメートル、又は少なくとも8センチメートルだけ、針104の端部を超えて延びるような程度、アプリケータ106は細長い針104よりも長くなっている。任意選択で、アプリケータ106の遠位端は、鋭利な針を使用して腫瘍を貫通することができるニチノールのような硬い材料を有する。アプリケータ106自体を腫瘍に挿入することには、入口穴の直径が小さくなるという利点がある。幾つかの実施形態では、アプリケータ106の遠位端は、針ではアクセスしにくい特定の位置及び/又は方向に到達するように、特定の角度にて予め成形されている。
【0027】
針104及びアプリケータ106の細長い管は、少なくとも20センチメートル、少なくとも50センチメートル、少なくとも80センチメートル、少なくとも100センチメートル、少なくとも120センチメートル、又は少なくとも150センチメートルの長さを有する。スタイレット108は、全体的にアプリケータ106よりもわずかに長いので、アプリケータの遠位端から全てのシード110を押し出すことができる。
【0028】
図2は、本発明の実施形態による、シード分配ユニット200内の針104の近位端の概略図である。シード分配ユニット200は、シード110を分配するために、人間の使用者が針104及びアプリケータ106をスタイレット108に対して制御可能に移動できるように設計されている。以下で詳しく説明するように、シード分配ユニット200は、ケーシング201を含み、このケーシング201は、針ハンドル204を、一端にあるシースハンドル218と他端にあるスタイレットハンドル228と共に受け入れ、使用者がハンドルを互いに対して制御可能に押すことができるようになっている。シード分配ユニット200は、幾つかの実施形態において、シードを放出するために、針104及びアプリケータ106をスタイレット108に対して単一シードの長さだけ容易に後退させるように設計されている。幾つかの実施形態において、針ハンドル204をシード分配ユニット200に装着する前に、アプリケータ106の近位ハンドル210は、例えばスイベル・ルアーロック(swivel Luer lock)212によって、針ハンドル204に接続される。
【0029】
幾つかの実施形態では、一端において、シード分配ユニット200は、針ハンドル204を保持するように設計された、スライド可能な針ホルダ252のリップ202を含み、他端において、シード分配ユニット200は、スタイレット108の近位ハンドル228を受け入れるように設計されたコンパートメント218を含む。
【0030】
シード分配ユニット200は、任意で、針ハンドル204、アプリケータハンドル210及びスタイレットハンドル228を、アプリケータハンドル210とスタイレットハンドル228との間の幾つか(例えば、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、あるいは少なくとも5つ)のシード110の長さの空き領域と共に受け入れるのに十分な長さであり、それにより、針ハンドル204がアプリケータハンドル210と共に後退してシードを放出してもよい。
【0031】
出願人は、針104及び/又はアプリケータ106の後退によるシード110の放出が、スタイレット108によってシードを前方に押し出すよりも利点があることを見出した。後退による放出を使用して、腫瘍への進入は、針104及び/又はアプリケータ106の遠位端によって行われるが、これは、例えばシード110よりも鋭利な端部を有することにより、操作に適している場合がある。また、シードの正確な位置は、シードの放出前に決定されてもよく、必要に応じて、アプリケータ106の遠位端は、シードが放出される前に再配置されてもよい。
【0032】
なお、幾つかの実施形態では、後退を用いる代わりに、針及び/又はアプリケータ106から腫瘍内にシード110を押し出すために、スタイレット108が前方に押される。
【0033】
また、図2は、図8を参照して後述するように、シード分配ユニット200に対する針ホルダ252(図3)の位置のリセットを可能にするラチェット解除ボタン220を示している。
【0034】
図3は、本発明の実施形態による、針ハンドル204のないシード分配ユニット200の概略図である。シード分配ユニット200は、任意で、針ハンドル204(図2)を把持するためのリップ202を有する、本明細書ではクレードルとも呼ばれる針ホルダ252を含む。針ホルダ252は、任意で、ケーシング201に対してスライドするように設計されている。任意選択で、針ホルダ252は、ケーシング201の後壁に位置するスライドフレーム260上をケーシング内においてスライドする。スライドフレーム260の機能については、図7を参照して後述する。
【0035】
本発明の実施形態による、ケーシング201なしで針ハンドル204を保持するクレードル針ホルダ252の概略図である図4も参照する。幾つかの実施形態では、クレードル針ホルダ252は、特定のサイズと形状の針ハンドル204を保持するように設計されている。他の実施形態では、クレードル針ホルダ252は、例えば、クレードル針ホルダ252が、近位端ではなく、遠位端のみに、壁254を長軸上に有することで、複数の異なる長さの針ハンドルを受け入れることができる。その代わりに又はそれに加えて、クレードル針ホルダ252は、例えば、リップ202の弾性、及び/又は、クレードル針ホルダ252に取り付けられたままのリップ202間の距離の調整可能性により、複数の異なる幅及び/又は形状の針ハンドルを受け入れることができる。その代わりに又はそれに加えて、ケーシング201は、クレードル針ホルダ252を交換可能に受け入れ、規格外の針ハンドル204が使用された場合には、針ハンドルには、規格外の針ハンドル204を適切に把持する交換用クレードル針ホルダ252が供給される。
【0036】
図5は、本発明の実施形態による、針ホルダを移動するために使用されるガイド256を備えたクレードル針ホルダ252を上下逆にした概略図である。ガイド256は、ケーシング201の背面外側に位置するガイドハンドル266と、針ホルダ252に接続されたガイドベース262を有する。T字形ロッド258は、任意で、以下で詳しく説明するように、ガイドハンドル266をガイドベース262に接続する一方で、ロッドの制限された回転を可能にするような態様にて、ガイドハンドル266とガイドベース262の両方に回転可能に接続される。
【0037】
図6は、本発明の実施形態による、ガイドハンドル266に加えて、ケーシング201の裏側の概略図である。
【0038】
ガイドハンドル266は、シード110を放出するように(図1)、例えば医師のような操作者によって移動されることができる。幾つかの実施形態では、ケーシング201は、その裏側にスロット238を有し、ロッド258(図5)のスライドを可能にする。
【0039】
図7は、本発明の実施形態によるスライドフレーム260及びガイド256の概略図である。スライドフレーム260は、中央スロット272を有し、この中央スロット272は、ケーシング201(図6)のスロット238に対応すると共に、ガイド256がケーシングに沿ってスライドできるようにし、それにより、針ホルダ252を後方に移動させて、細長い針104の遠位端からシードを放出する。
【0040】
幾つかの実施例では、スライドフレーム260は、更に、中央スロット272の両側に、サイドスロット274(274A、274B、274C、274Dと表示)を構成する。各サイドスロット274は、任意で、1つのシードの長さを有する。サイドスロット274は、T字形ロッド258の幅程度のわずかな重なりをもって、中央スロット272の長さに沿って交互に分布している。図示のように、サイドスロット274は、スライドフレーム260に部分的にしか形成されていない。他の実施形態では、サイドスロット274は、スライドフレーム260の厚さ全体にわたって形成されている。サイドスロット274が1つのシードの長さを有する代わりに、1つ以上のスロット、場合によっては全てのスロットが、複数のシードの長さ、例えば2つのシードの長さを有する。1つの実施形態では、第1サイドスロット274Aは、2つのシードを放出するために2倍の長さを有し、残りのスロットは、1つのシードを放出するように設計されている。更に代替的に、スロット274の一部又は全部は、シード110の長さよりも短い長さを有しており、シード針ホルダ252を解放するために、複数(例えば2つ又は3つ)のスロットの長さ、後退される。
【0041】
ガイド256は、T字形ロッド258のT字形ヘッドが中央スロット272に嵌らずに、T字形ヘッドの端部の1つがサイドスロット274の1つに入っていなければならないように、設計されている。したがって、スライドフレーム260に沿ってスライドするためには、T字形ロッド258の端部が、スライド可能なサイドスロット274内に位置する必要がある。最初に、T字形ロッド258の端部がサイドスロット274Aに配置される。この位置では、ガイド256は、単一のシード110の長さをスライドすることができるためるため、シードを放出することができる。その後、ガイドハンドル266は、任意で、T字形ロッド258の端部がサイドスロット274Bに入るように、スライド方向と直交する方向に押される。この状態で、ガイド256は、別のシード110の長さをスライドすることができる。そして、ガイドハンドル266は、T字形ロッド258の端部が側部スロット274Cに入るように、その前押されたのとは反対方向にて、スライド方向と直交する方向に押される。この工程は、アプリケータ106内から任意の数のシード110を放出するように続ければよい。
【0042】
なお、上記の実施形態は、針ホルダ252のスライドを制限する特定の機構について説明しているが、図10A~12Bを参照して後述するように、ボールプランジャのような、シード110の長さの段階にてスライドする他の適当な機構を使用してもよい。
【0043】
図8Aは、本発明の実施形態による、ケーシング201内のラチェット機構280の概略図である。
【0044】
図8Bは、本発明の実施形態による、ラチェット機構280と針ホルダ252との相互作用の概略図である。
【0045】
任意選択で、ラチェット機構280は、クレードル針ホルダ252の移動を制限する。任意選択で、針ホルダ252は、その長さに沿って穴282を構成し、ラチェット機構280は、穴282に嵌合するように構成された膨出ヘッド285を有する部材284を含む。幾つかの実施形態では、膨出ヘッド285が穴282の上にあるときに、膨出ヘッド285が穴に嵌って針ホルダ252の移動を防止又は制限するように、バネが膨出ヘッド285をクレードル針ホルダ252の背面に対して付勢する。膨出ヘッド285を解除するためには、使用者はラチェット解除ボタン220を押せばよい。針ホルダ252がシードの長さだけ一旦移動されると、使用者がボタン220を押さなければ針ホルダ252が後方に移動できないように、穴282は、任意で、サイドスロット274の端部に対応する箇所に形成される。別のシードを放出するために、更なる移動を許容し且つ現在のサイドスロット274による後方への移動を防止する方法にて、使用者がガイド256を横に移動させる。そして、使用者は、ボタン220を押して、膨出ヘッド285を、それが配置されていた穴282から取り外して、更に移動できるようにする。
【0046】
幾つかの実施形態では、穴282への膨出ヘッド285の嵌合が前方及び後方の両方への移動を防止し、ボタン220を押すことによってのみ移動が可能になる。その代わりに、穴282への膨出ヘッド285の嵌合が後方への移動を防止するが、例えば、前方への移動に伴って膨出ヘッド285の退出を可能にする前方傾斜を有する穴282によって、前方への移動が許容される。
【0047】
図9は、本発明の実施形態による、患者の腫瘍に放射線治療シード110を埋め込むためにシステム100を使用して実行される動作のフローチャートである。
【0048】
図9の方法は、任意で、内視鏡102を患者に挿入することから始まる(302)。幾つかの実施形態では、腫瘍の位置を特定し、気管支鏡102の遠位端を腫瘍に向けるために、放射状超音波も患者に挿入される(304)。その代わりに又はそれに加えて、内視鏡102を腫瘍に向けるために、蛍光透視法などの、他の任意の方法が使用されてもよい(306)。
【0049】
幾つかの実施形態では、針104は、アプリケータ106が針104に挿入される前に、内視鏡102に挿入される。これらの実施形態では、針104は、内視鏡102の近位端に挿入され、内視鏡を通ってその遠位端まで導かれる(310)。任意選択で、針104は、シード分配ユニット200から内視鏡102の近位端に挿入される。針104の位置が確認された後(312)、アプリケータ106は、患者の外で針の近位端に挿入され、針104の先端に導かれる。そして、針は、組織を穿刺し(330)、アプリケータ106は、シード分配ユニット200を操作する使用者の制御下で、シードを腫瘍に挿入する。
【0050】
他の実施形態では、針104は、アプリケータ106が予め装着された状態で患者に挿入される(324)。針104は、アプリケータ106が既にその中にある状態で、シード分配ユニット200に取り付けられ(328)、針とアプリケータは一緒に、内視鏡102を通して腫瘍に導かれる(320)。腫瘍に対する針104の位置が確認され(322)、次いで、針が組織を穿刺し(330)、シード分配ユニット200からスタイレット108を押すことによって、シードが腫瘍に挿入される。
【0051】
なお、図9の動作は、必ずしも図示及び/又は記載された順序で実行される必要はなく、他の順序で実行されてもよく、及び/又は、1つ以上の動作が同時に実行されてもよい。例えば、幾つかの実施形態では、アプリケータ106は、針が腫瘍を穿刺した後にのみ、針104に挿入される。針とアプリケータの位置を確認するための画像化は、必要と思われるときにいつでも、任意で継続的に、実行してもよい。
【0052】
上記の実施形態によれば、シード110は、4つのチャンネル内で腫瘍へと送達される。
1)外の内視鏡102
2)針シース118
3)針104
4)アプリケータ106
【0053】
シード110は、2つのチャンネル(例えば内視鏡や針)のみで送達され得るものであるが、追加のチャンネル(例えばアプリケータ106)の使用は、更なる可撓性を送達工程に提供する。アプリケータ106は、特別な保護をシード110に提供して、シード110が針104の内壁に擦れるのを防止し、その結果、シード110の放射性核種が摩擦によって擦り落とされないようにする。
【0054】
図10Aは、本発明の実施形態によるアプリケータキット400の概略図である。
【0055】
図10Bは、本発明の実施形態による、第1の固定要素410(図10A)が取り外された、アプリケータキット400の近位端の概略図である。
【0056】
アプリケータキット400は、その遠位端付近に1つ以上の放射性シード(図1)が装填されたアプリケータ106と、その近位端に針ハンドル204に接続するためのスイベル・ルアーロック212を備えたアプリケータハンドル210と、を有する。アプリケータキット400は、アプリケータ106内にスタイレット108を更に含み、これはスタイレットキャリア428に取り付けられたスタイレットハンドル420を有する。任意選択で、スタイレットキャリアは、後述するように、その底部に、スタイレットをケーシング454内の所望の位置にロックするためのボールプランジャ402を有する。加えて、キット400は、第1の固定要素410及び第2の固定要素412を含む。上述したように、アプリケータ106は、細長い針104と一緒に送達するように設計されている(図1)。細長い針104は、アプリケータキット400と一緒に供給されてもよいし、別個に提供されてもよい。
【0057】
図11Aは、本発明の実施形態によるシード分配ユニット450の概略上面図である。
【0058】
図11Bは、針ハンドル204及びシースハンドル218が内部に取り付けられた、図11Aのシード分配ユニット450の概略側面図である。シード分配ユニット450は、一端にシースハンドル218を受け入れ、他端にスタイレットキャリア428(図10A)を受け入れるように設計されたケーシング454を有する。スタイレットハンドル228(図2)を固定位置において受け入れるシード分配ユニット200とは異なり、ケーシング454は、スタイレットキャリア428がケーシング内でスライドできるように設計されている。シード分配ユニット450は、針ハンドル204を受け入れ、それと一緒にケーシング454に沿ってスライドするように設計されたスライダ452をさらに含む。スライドグリッパ456は、スライダ452をスライドさせるために、医師又は他の医療専門家によって使用される。幾つかの実施形態では、ケーシング454は、その側壁に1つ以上のボールプランジャ460を有し、スライダ452は、例えば単一のシードの大きさの所定の距離にてスライドを停止させるように設計された、対応する1つ以上のノッチを有する。ノッチ458は、ケーシング454の底部に形成されており、後述するように、ここにボールプランジャ402が嵌まり込んでスタイレットキャリア428をロックする。
【0059】
図12A及び図12Bは、それぞれ、本発明の実施形態による、スタイレットキャリア428が内部に取り付けられたケーシング454の側面図及び上面図である。
【0060】
動作中、幾つかの実施形態によれば、アプリケータ106は、細長い針104内に取り付けられ、アプリケータハンドル210は、針ハンドル204に取り付けられる。シースハンドル218は、ケーシング454の一方の側に配置され、針ハンドル204は、スライダ452内に取り付けられ、スタイレットキャリア428は、ケーシング454の他方の側においてスライドされる。この状態において、第1の固定要素410及び第2の固定要素412がアプリケータハンドル210とスタイレットハンドル420との間の所定の位置に配置された状態で、細長い針104の遠位先端は、シード110が埋め込まれるべき腫瘍に近接させられる。通常、細長い針104の先端を腫瘍に送達する間、シースハンドル218と針ハンドル204との間に隙間が存在するように、その鋭利な端部がシース118内に引っ込められる。
【0061】
シード110を埋め込む準備として、第1の固定要素410がケーシング454から取り外される。針104を腫瘍内に押し込むために、スライドグリッパ456は、スライダ452と一緒に遠位方向にスライドし、それにより、針ハンドル204、アプリケータハンドル210、及びスタイレットキャリア428を、スタイレットハンドル420と一緒にシースハンドル218に向かって移動させる。所定数のシードに適した貫通距離の後、スタイレットキャリア428の底部にあるボールプランジャ402がノッチ458にロックされて、スタイレットキャリア428の移動が防止される。シードを放出するために、スライドグリッパ456は、近位方向にスライドし、それにより、針104及びアプリケータ106を遠位方向に引っ張るが、スタイレットキャリア428が所定位置にロックされているため、スタイレット108は移動しない。したがって、スタイレット108は、シードが針104と一緒に後退しないようにし、シードは腫瘍内に残る。
【0062】
任意選択で、スライドグリッパ456を後退させるとき、各シードの長さの後退後に、側壁ボールプランジャ460が対応するノッチに嵌まり、シードが放出されたことを操作者に示す。所定数のシードの放出後、アプリケータ106内の更なるシードを遠位方向に押すべく、スタイレットハンドル420をスタイレットキャリア428上で遠位方向にスライドできるように、第2の固定要素412が取り外されてもよい。次に、シース118の遠位端を腫瘍(同じ腫瘍又は異なる腫瘍)に対して適切な位置に配置した後、針104を腫瘍に挿入すると共に針を後退させる操作を繰り返して、更なるシードを埋め込む。
【0063】
幾つかの実施形態では、第1の固定要素410及び第2の固定要素412のそれぞれの取り外し後に埋め込むことができるシードの所定数は2である。しかしながら、他の実施形態では、シードの所定数は2より大きく、例えば3又は4である。その代わりに、シードの所定数は1である。上記の説明では、アプリケータキット400は2つの固定要素410及び412のみを有しているが、他の実施形態では、アプリケータキットを使用してより多くのシードを埋め込めるように、アプリケータキットは追加の固定要素を有する。
【0064】
内視鏡102は、気管支鏡、肛門鏡、関節鏡、大腸鏡、膣鏡、膀胱鏡、食道鏡、胃鏡、腹腔鏡、喉頭鏡、神経内視鏡、直腸鏡、S状結腸鏡、又は胸腔鏡を含む、任意の適切な種類の内視鏡であってよい。上記の説明は特に内視鏡に関するが、本発明の幾つかの実施形態では、1つ以上のシード110を運ぶ針104及びアプリケータ106は、観察装置を含む又は含まない、他の種類の医療プローブを通して、患者に挿入される。更に他の実施形態では、針104は、主要な内視鏡又は医療用プローブを使用せずに、患者に直接挿入される。
【0065】
結び
上述の方法及び装置は、その方法を実行するための装置及びその装置を使用する方法を含むものとして解釈されるべきであることが理解されよう。1つの実施形態に関して説明された特徴及び/又はステップは、他の実施形態と共に使用される場合があってもよく、また、本発明の全ての実施形態は、特定の図に示された又は特定の実施形態の1つに関して記載された特徴及び/又はステップの全てを有するわけではないことを理解すべきである。タスクは、必ずしも記載された正確な順序で実行されるとは限らない。
【0066】
なお、上記の実施形態の幾つかは、本発明に必須ではないと思われる構造、作用又は構造及び作用の詳細であって、例示として記載されているものが含まれる場合がある。本明細書に記載された構造及び動作は、当該技術分野で知られているように、構造又は動作が異なっていても、同じ機能を果たす均等物で置き換え可能である。上述した実施形態は一例として挙げたものであり、本発明は、上記で特に示され説明されたものに限定されない。むしろ、本発明の範囲には、上記に記載された様々な特徴の組み合わせ及び部分的な組み合わせの両方、並びに、当業者が上記の説明を読んで思い付くであろう、先行技術に開示されていない、それらの変形及び修正が含まれる。したがって、本発明の範囲は、請求項で使用される要素及び限定によってのみ限定され、「構成される(comprise)」、「含む(include)」、「有する(have)」という用語、及びそれらの活用形は、請求項で使用される場合、「含むが必ずしも限定されない」を意味する。
【符号の説明】
【0067】
100 システム
102 内視鏡
104 針
106 アプリケータ
108 スタイレット
110 放射線治療シード
200 シード分配ユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
【国際調査報告】