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特表2024-509775検体を含む可能性のある液体を分析するための方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-05
(54)【発明の名称】検体を含む可能性のある液体を分析するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/78 20060101AFI20240227BHJP
   G01N 33/543 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
G01N21/78 C
G01N33/543 575
G01N33/543 541A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023551107
(86)(22)【出願日】2022-02-21
(85)【翻訳文提出日】2023-08-23
(86)【国際出願番号】 FR2022050308
(87)【国際公開番号】W WO2022180334
(87)【国際公開日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】2101771
(32)【優先日】2021-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】523180311
【氏名又は名称】マギア ダイアグノスティクス
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ポール カウフマン
(72)【発明者】
【氏名】ダミアン カーク
(72)【発明者】
【氏名】マリオ フラッツル
(72)【発明者】
【氏名】ロマン ゴルベンコフ
(57)【要約】
本発明は、検体を含む可能性のある液体を分析するための方法及び装置に関する。分析方法は、分析対象領域のデジタル画像を取得するステップを含み、画像は、分析対象領域に向けられた光軸を有する撮像装置を使用し、デジタル画像は、曝露時間にわたって曝露され、検体が試料中に存在するときに検出パターンに対応する強度の空間的変動を示す。本方法は、デジタル画像内の強度の空間的変動を特定する目的でデジタル画像を処理するステップも含む。本発明によれば、曝露時間の少なくとも一部の間、分析される媒体は、「照明」磁場と呼ばれる磁場内に配置され、当該照明磁場は、照明磁気源によって生成される。照明磁場は、分析対象領域の少なくとも一部にわたって撮像装置の光軸に平行に位置する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体を含有し得る液体を分析するための方法であって、前記液体の試料が分析支持体(6)の分析対象領域(6e)上に配置され、前記分析対象領域(6e)が検出パターンに従って配置された複数の吸引ゾーンを有し、前記試料は、
-前記検体と、前記吸引ゾーンに固定化された光ルミネセンスマーカとを備えた磁性複合体、及び/又は、
-上澄み光ルミネセンスマーカ、
を備え、
前記方法は
-前記分析対象領域(6e)に向けられた光軸(AO)を有する撮像装置(11)を使用して、曝露時間中に前記分析対象領域(6e)のデジタル画像を取得するステップであって、前記デジタル画像は、前記検体が前記試料中に存在するときに前記検出パターンに従って強度の空間的変動を有するステップと、
-前記デジタル画像を処理して、前記デジタル画像内の強度の空間的変動を特定するステップと、
を備え、
前記方法は、前記曝露時間の少なくとも一部の間、前記分析支持体(6)が、照明磁気源(15)によって生成される「照明」場と呼ばれる磁場内に配置され、前記照明磁場が、前記分析対象領域(6e)の少なくとも一部にわたって前記光軸(AO)に平行であることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記照明磁気源(15)は、前記分析支持体(6)を前記照明磁場内に配置するように動作可能であり、前記方法は、特に、前記分析支持体(6)を前記照明磁気源(15)に対して移動させて、前記分析支持体(6)を前記照明磁場の内外に選択的に配置するステップを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記照明磁気源(15)に対する前記分析支持体(6)の前記移動は、当該移動中に前記分析対象領域(6e)における前記磁場の方向を変化させないように、又は前記磁場の配向を反転させないように制御される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記照明磁気源(15)に対する前記分析支持体(6)の前記移動は、前記照明場の配向が少なくとも1つの完全な回転を生成するように制御される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記取得するステップは、複数のデジタル画像をそれぞれ確立するための複数の曝露期間を備え、前記方法が、2つの曝露期間の間に、前記分析支持体(6)に対する前記照明磁気源(15)の相対位置が修正される位置決めステップを備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記方法は、前記取得するステップの前に、前記試料中に任意に存在する前記磁性複合体を吸引して、前記磁性複合体を前記吸引ゾーンに固定するステップを備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の分析方法。
【請求項7】
前記吸引するステップが、前記分析支持体(6)を前記照明磁気源(15)によって提供される吸引磁場に曝露することを備える、請求項6に記載の分析方法。
【請求項8】
前記吸引ステップが、前記分析支持体(6)を、前記照明磁気源(15)とは異なる前記吸引磁気源(18)によって生成される吸引磁場に曝露することを備える、請求項6に記載の分析方法。
【請求項9】
前記吸引磁場及び前記照明磁場は、前記分析対象領域(6e)において同じ方向及び同じ配向を有する、請求項8に記載の分析方法。
【請求項10】
前記分析支持体(6)は、前記吸引ゾーンの少なくとも一部を画定する磁性層(6b)と、前記磁性層(6b)上に配置された非磁性表面膜(6c)とを備え、前記磁性表面膜(6c)は、前記分析対象領域(6e)を画定する、請求項1から9のいずれか一項に記載の分析方法。
【請求項11】
分析装置(E)であって、
分析支持体(6)の分析対象領域(6e)と、前記分析対象領域(6e)上に検出パターンに従って配置された複数の吸引ゾーンとを受け取り、前記取得位置に配置するためのホスト支持体と、
光軸(AO)及び被写界深度を有し、前記分析支持体(6)が前記取得位置にあるときに前記分析対象領域(6e)をその被写界深度内に受容するように配置された撮像装置(11)と、
前記分析支持体(6)が前記取得位置にあるときに曝露される「照明」場と呼ばれる磁場を生成することが可能な照明磁気源(15)であって、前記照明磁場は、前記分析対象領域(6e)の少なくとも一部にわたって前記光軸(AO)に平行である、照明磁気源(15)と、
を備える、分析装置(E)。
【請求項12】
前記撮像装置(11)は、前記ホスト支持体の一方の側に配置され、前記照明磁気源(15)は、前記ホスト支持体の他方の側に配置される、請求項11に記載の分析装置(E)。
【請求項13】
前記照明磁気源(15)は、前記ホスト支持体を前記照射磁場内に配置するか、又は前記ホスト支持体を前記照射磁場外に配置するように選択的に移動可能である、請求項11または12に記載の分析装置(E)。
【請求項14】
吸引磁場を生成するために、前記照明磁気源(15)とは別個の吸引磁気源(18)を備える、請求項11から13のいずれか一項に記載の分析装置(E)。
【請求項15】
前記分析支持体(6)を、前記吸引磁気源(18)によって生成された前記場を受けることができるインキュベーション位置から、前記照明磁気源(15)によって生成された前記照射場を受けることができる前記取得位置まで移動させるための移送レール(17)を備える、請求項14に記載の分析装置(E)。
【請求項16】
前記装置(E)は、前記ホスト支持体上に配置された分析支持体(6)を更に備え、前記分析支持体(6)は、前記吸引ゾーンを少なくとも部分的に画定する磁性層(6b)と、前記磁性層(6b)上に配置された非磁性表面膜(6c)とを備え、前記磁性表面膜(6b)は、分析対象領域(6e)を画定する、請求項11から15のいずれか一項に記載の分析装置(E)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の技術分野は、液体試料、特に生物学的液体の試料中の検体の存在及び/又は濃度を検出するための、生物学的分析の分野である。本発明は、より詳細には、生物学的流体の試料中の検体の存在及び/又は濃度(より簡潔には「分析」)を検出するための方法に関する。この方法は、「ポイントオブケア」タイプの携帯型分析装置で実装されてよく、すなわち、現場で、つまり中央検査室ではなく患者のベッドサイドで、検査を実行及び解釈して、即時の臨床決定を行うことを可能にする。装置は、マイクロ流体カートリッジ等の分析支持体上に収集された試料に対して分析を行う。
【背景技術】
【0002】
欧州特許第3447492号は、液体試料、特に生物学的液体の試料中の、しばしば「検体」と呼ばれる種を捕捉及び検出するための方法を開示している。この方法によって実施される、パターンを捕捉及び検出するための原理はまた、Fratzlらによる論文「Magnetophoretic induced convective capture of highly diffusive superparamagnetic nanoparticles」、Soft Matter,14.10.1039/C7SM02324Cに説明されている。それらはまた、Delshadi Sらによる文献「Rapid immunoassay exploiting nanoparticles and micromagnets:proof-of-concept using ovalbumin model」、Bioanalysis.2017年3月;9(6):517~526に記載される。この方法によれば、試料は、その存在が検出又は定量化される種に結合することができる捕捉要素にそれぞれ結合されたナノメートルサイズ又はより一般的にはサブマイクロメートルサイズの磁性粒子と混合される。検出される種、すなわち検体は、抗原であってもよく、上記の要素は、抗体であってもよいが、その逆の構成も可能である。
【0003】
検出要素、例えば光ルミネセンスマーカ、例えば蛍光マーカを担持する検出抗体又は抗原も試料に導入される。
【0004】
このステップが終わるまでに、溶液中で、捕捉要素、検体及び検出要素から形成される複合体が形成され、次いでこれらは、特定の空間パターンに従って整列された磁気マイクロソースを含む支持体上に固定化される。上記のパターンは、著しい磁場勾配を誘導する、強い磁場ゾーンと弱い磁場ゾーンとによって画定される。磁性粒子によって結合された複合体は、磁場のノルムが最大であるゾーンで支持体上に凝集する傾向がある。光ルミネセンス(特に蛍光)マーカは、溶液中の検体の存在をマーキングする、特定の空間パターンを明らかにすることができる。この光パターンの平均(空間的)強度は、通常、「特定信号」と呼ばれる。
【0005】
ほとんどの場合、特に検体が試料中に存在しない場合、又はその量が試料中で限定的な場合、光ルミネセンスマーカを表示する未結合の検出要素は、溶液中の懸濁液中に分散したままである。これらは、比較的均質な光バックグラウンドを形成するのに寄与する。この光バックグラウンドの平均(空間的)強度は、「上澄み信号」と呼ばれる信号を形成する。結合していない光ルミネセンスマーカに加えて、この光バックグラウンドは、試料の全ての光ルミネセンス材料によって放出される光の強度によっても形成される。検体及び検出要素に結合していない捕捉要素も支持体上に固定化されるが、それらの補足要素はマーカを担持せず、それらは、光パターン又は光バックグラウンドに寄与しない。
【0006】
支持体の平面における磁場マイクロソースの空間的配置及び光ルミネセンスマーカによって曝露されたパターンの光強度は、洗浄することなく、すなわち支持体の表面上に複合体を固定した後に液体溶液を除去することなく、試料中の検体の検出及び定量化を行うことを可能にし、これは特に有利である。この検出を可能にするために、試料及び支持体の表面は、光ルミネセンスマーカの検出を可能にするように照明され、デジタル画像の取得が行われる。したがって、このデジタル画像は、支持体によって生成される磁場の強度に応じて(画像の平面内で)空間的に可変の強度を有する。画像を処理して、この空間的変動を同定し、特定信号及び上澄み信号を決定し、特定信号/上澄み信号の比により、検体が試料中に存在すると結論付けること、又はその濃度を推定することが可能となる。
【0007】
従来このタイプの分析は、中央検査室で行われているが、上記のアプローチの単純さにより、特に洗浄がないことにより、現場(患者のベッドサイド)で、ポンプ又は弁なしで、自律型、携帯型、又は可搬型の免疫学的分析装置への統合が可能になる。
【0008】
通常、試料中の検体の検出限界を可能な限り低くすることが求められる。これは、低コントラスト画像の処理につながり、処理は、(偽陰性を回避するために、すなわち、検体が実際に低濃度で存在していたときに検体が試料中にないと結論付けるために)非常に高感度でなければならず、(偽陽性を回避するために、すなわち、検体が試料中に存在していなかったときに検体の存在を検出するために)非常に特定的でなければならない。一般に、試料中の所与の検体濃度に対して、分析をより信頼性のあるものにするために、高いコントラストを有する、すなわち、高い振幅を有する強度の空間変動を有する画像を形成することが求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の1つの目的は、この問題に対する少なくとも部分的な解決策を提供することである。より正確には、本発明の目的は、試料中の所与の検体濃度に対して、従来技術に従って生成される画像に対して改善されたコントラストを有する支持体の表面のデジタル画像を生成することができる分析方法及び分析装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的を達成するために、本発明の主題は、検体を含有し得る液体を分析するための方法であって、液体の試料が、分析対象領域の反対側の背面を含む分析支持体の分析対象領域上に配置され、分析対象領域が、検出パターンに従って配置された複数の吸引ゾーンを有する、方法を提案する。試料は、検体と、吸引ゾーンに固定化された光ルミネセンスマーカ及び/又は上澄み光ルミネッセンスマーカとを含む磁性複合体を含む。分析方法は、分析対象領域に向けられた光軸を有する撮像装置を使用して、曝露時間中に分析対象領域のデジタル画像を取得するステップを含み、デジタル画像は、検体が試料中に存在するときに検出パターンに従って強度の空間的変動を有する。本方法は、デジタル画像内の強度の空間的変動を特定する目的でデジタル画像を処理するステップも含む。
【0011】
本方法は、曝露時間の少なくとも一部の間に、分析支持体が、照明磁気源によって生成される「照明」場と呼ばれる磁場内に配置され、照明磁場が、分析対象領域の少なくとも一部にわたって光軸に平行であることに注目されるべきである。
【0012】
本発明の他の有利な非限定的特徴によれば、単独で、又は技術的に実現可能な任意の組み合わせで、
・照明磁気源は、分析支持体を照射磁場内に配置するように動作可能であり、
・分析方法は、分析支持体を照射磁場の内外に選択的に配置するために、分析支持体を照明磁気源に対して移動させるステップを含み、
・照明磁気源に対する分析支持体の移動は、この移動の間に分析対象領域における磁場の方向を変化させないように、又は磁場の配向を反転させないように制御される。
・照明磁気源に対する分析支持体の移動は、照明場の配向が少なくとも1回転するように制御され、
・取得ステップは、複数のデジタル画像をそれぞれ確立する複数の曝露期間を含み、方法は、2つの曝露期間の間に、分析支持体に対する磁気照明源の相対位置が変更される位置決めステップを含み、
・分析方法は、取得ステップの前に、試料中に任意に存在する磁性複合体を吸引して、磁性複合体を吸引ゾーンに固定するステップを含み、
・吸引ステップは、分析支持体を照明磁気源によって提供される吸引磁場に曝露することを含み、
・吸引ステップは、分析支持体を、照明磁気源とは別個の吸引磁気源によって生成される吸引磁場に曝露することを含み、
・吸引磁場及び照射磁場は、分析対象領域において同じ方向及び配向を有する。
・分析支持体は、吸引ゾーンを少なくとも部分的に画定する磁性層と、磁性層上に配置された非磁性表面膜とを含み、磁性表面膜は、分析対象領域を画定する。
【0013】
別の形態によれば、本発明の主題は、分析装置であって、
分析支持体の分析対象領域と、分析対象領域上に検出パターンに従って配置された複数の吸引ゾーンとを受け取り、取得位置に配置するためのホスト支持体と、
光軸及び被写界深度を有する撮像装置であって、分析支持体が取得位置にあるときに、撮像装置がその被写界深度において分析対象領域を受け取るように配置されている、撮像装置と、
分析支持体が取得位置にあるときに分析支持体が曝露される「照明」場と呼ばれる磁場を生成することが可能な照明磁気源であって、照明磁場は、分析対象領域の少なくとも一部にわたって光軸に平行である、照明磁気源と、を含む。
【0014】
本発明のこの態様の他の有利な非限定的特徴によれば、単独で、又は技術的に実現可能な任意の組み合わせに従って、
・撮像装置がホスト支持体の一方の側に配置され、照明磁気源がホスト支持体の他方の側に配置され、
・照明磁気源は、ホスト支持体を照射磁場内に選択的に配置するか、又はホスト支持体を照射磁場外に配置するように移動可能であり、
・分析装置は、吸引磁場を生成するために、照明磁気源とは別個の吸引磁気源を含み、
・分析装置は、分析支持体を、吸引磁気源によって生成された磁場を受けることができるインキュベーション位置から、照明磁気源によって生成された照射場を受けることができる取得位置まで移動させるための移送レールを含み、
・装置は、ホスト支持体上に配置された分析支持体を更に含み、分析支持体は、吸引ゾーンを少なくとも部分的に画定する磁性層と、磁性層上に配置された非磁性表面膜とを含み、磁性表面膜は、分析対象領域を画定する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明の他の特徴及び利点は、添付の図面を参照した本発明の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
図1】本発明による方法の実施を可能にする分析支持体の好ましい例を形成するカートリッジを透視図および分解図である。
図2】本発明による方法の実施を可能にする分析支持体の好ましい例を形成するカートリッジを透視図および分解図である。
図3図1及び図2に示されるカートリッジの分析チャンバ内の断面図である。
図4】カートリッジの支持体に一体化された磁性層によって生成される磁化と、分析チャンバ内に存在する磁場と、この磁場のノルムとによって画定される検出パターンを、概略的に示す平面図である。
図5】本発明による方法の主なステップを示す図である。
図6】本発明による方法の間に取得された分析対象領域の画像を示す図である。
図7】本発明による方法の取得ステップ中の支持体への照明磁場の印加を示す図である。
図8a】照明磁気源の2つの可能な構成を表す図である。
図8b】照明磁気源の2つの可能な構成を表す図である。
図9】可動照明磁気源を示す図である。
図10】一実施形態による分析装置を示す図である。
図11】本発明による照明磁場の印加によって提供される利益を示す図である。
図12】分析対象領域に対して垂直な方向に源を移動させることを含む代替的なアプローチに適合する照明磁気源を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(分析媒体)
図1及び図2は、検出されるべき、又はその濃度が決定されることが所望される検体を含有する可能性が高い液体、通常は生物学的液体の試料を受容するためのカートリッジ1を示している。簡潔にするために、「分析」という用語は、検体を検出するステップ及び/又は液体試料中のその濃度を決定するステップを指す。これらの図に示されるカートリッジ1は、本発明による方法において分析支持体を実装する、好ましいが限定ではない例を形成し、この分析支持体は、分析される試料を受容するように意図される。
【0017】
このカートリッジ1は、それを操作することを可能にする把持端部1aを含む。ここで、カートリッジの把持端部は、ラベルを表示するが、そのラベルは、カートリッジの上面側に配置され、特に、特定マーク、例えばバーコードや二次元コードを使用してそのカートリッジを特定すること、当該の分析カートリッジ1を用いて実行される分析の特定及び追跡を可能にするものである。あるいは、特定手段は、「RFID」チップを含む場合もある。
【0018】
カートリッジ1はまた、マイクロ流体部分1bを含む。この部分は、水平に配置されるように意図された主面に沿って延在している。図1及び図2に示すように、マイクロ流体部分1bは、例えばピペットを介して生物学的液体をカートリッジ1に注入するための注入開口部2を含む。開口部2は、カートリッジ1の主面内に延びるチャネル4のアレイ内に開口し、チャネル4のアレイの「上流」チャネルと呼ばれるチャネルを介して、複数の分析チャンバ5内への生物学的液体の流れ及び分配を可能にする。
【0019】
カートリッジ1のチャネル4のアレイはまた、分析チャンバ5を通気孔3にそれぞれ流体的に接続する通気チャネルを含み、これらの通気孔は、生物学的液体がカートリッジ1の流体アレイ内に進むにつれて、このアレイから空気を押し出すことを可能にする。
【0020】
分析される試料は、チャンバ5を満たす生物学的液体から形成され、したがって、示されたカートリッジ1は、生物学的液体に対して複数の分析を行うことを可能にし、分析は、チャンバ5内にそれぞれ保持された試料に対して独立して行うことができる。開口部2と、通気孔3と、開口部2を通気孔3に接続するチャネル4のアレイとは、カートリッジ1の複数の分析経路を画定する。単一の分析チャンバ5のみを含むカートリッジを提供することは当然可能であるが、1つのカートリッジ内に複数の分析チャンバを有する能力が特に有利である。
【0021】
図1及び図2に示す例では、開口部2には、カートリッジ1の上面から突出するリザーバ2’が載せられている。リザーバは、カートリッジ1の流体アレイ(すなわち、分析チャンバ5と通気チャネルを含むチャネル4のアレイ)の容積に少なくとも等しい容積の生物学的液体を保持するのに十分な容量を有する。上記の容積は、典型的には5mm~500mm、より具体的には20mm~100mmであり得る。
【0022】
同様に、通気孔3は、周囲壁によってそれぞれ覆われており、連通容器の原理に従って、過剰な量の生物学的液体を保持している。有利なことには、これらの壁は、液体がカートリッジから漏れることを防止するために、リザーバ2’の高さに少なくとも等しい高さを有するが、このような液体の漏れは、健康問題を引き起こす可能性があり、又はカートリッジが挿入されることが意図されている分析装置を損傷する可能性もある。
【0023】
例として、カートリッジ1は、幅及び長さが2cm~10cmのサイズを有し、4mm~10mmの厚さを有することができる。各チャンバ5は、試料を受け入れるために、典型的には1mm~50mm、有利なことには5mm~25mmの容積を有し得る。
【0024】
カートリッジ1は、分析支持体6と、支持体を覆う上部カバー7とからなる。支持体6及び上部カバー7は、それらの「主」と呼ばれる表面を互いに対向させて配置することによって一体に組み立てられる。カートリッジ1の流体アレイ(チャネル、チャンバなど)は、分析支持体6の主表面上及び/又は上部カバー7の主表面上、すなわち、一体に組み立てられるように意図されたこれら2つの要素の面上に形成された凹部によって画定される。したがって、分析支持体6の主表面は、カートリッジ分析チャンバ5の底部を構成し、これらの底部の各々は、本明細書の残りの部分において、分析対象領域6e(図3に見える)と称される。完全にするために、分析支持体6はまた、カートリッジ1の分析対象領域(複数可)6eを担持するその主表面の反対側に、いわゆる「後」面8を有する。
【0025】
上部カバー7、少なくともその分析チャンバ5上に張り出している部分については、カートリッジが本出願の導入部で提示された免疫学的分析に使用されるとき、光ルミネセンスマーカの発光波長範囲において透明な材料で形成される。それは、例えばポリカーボネート、シクロオレフィン共重合体、又はポリスチレンに基づくプラスチック材料であり得る。それはガラスであってもよい。カバー7の外面は、好ましくは、少なくとも分析チャンバ5の前で、光学的に研磨される。これらの特徴は、本明細書の次のセクションで説明するように、チャンバ5内に収容された生物学的液体の試料の、光学的分析を可能にし、促進する。
【0026】
したがって、流体アレイは、カートリッジの主面内に延びる。それはミリメートルサイズであるが、すなわち、アレイ4のチャネルの幅及び分析チャンバ5の幅は、典型的には0.1mm~10mmである。これらの要素の高さ、すなわち、カートリッジ1の主面に垂直な方向におけるそれらの範囲も、0.1mm~10mmのミリメートルである。生物学的液体は、毛管作用によってこのアレイ内を伝播する。
【0027】
もちろん、この例で使用されるものよりも単純又は複雑な流体アレイを含むカートリッジを提供することが可能である。したがって、カートリッジの分析経路は、分析チャンバ5以外のチャンバ、例えば分析チャンバ5の上流に配置された1つ以上のインキュベーションチャンバなど、を含み得る。これらのインキュベーションチャンバは、分析チャンバ5に輸送される前に流体が混合する試薬とは異なる試薬を含んでもよい。したがって、チャネル4のアレイは、図に示されるものよりも複雑であり得るが、そのようなアレイは、任意の考えられる構成に従って異なるチャンバを流体接続することによって、開口部2から通気孔3までの、各分析経路内に延び得る。図1に示されるものの代替構成では、カートリッジが複数の開口部、例えば、カートリッジの各チャンバ専用の開口部を有するようにしてもよい。
【0028】
図2を参照すると、分析支持体6は、層又は磁性ゾーン6bを含む剛性基板6aから構成される。基板6aは、プラスチック材料で形成することができる。磁性層/ゾーン6bは、少なくとも流体アレイの分析チャンバ5において、基板6a上に配置され得るか、又はこの基板に組み込まれ得る。磁性層/ゾーン6bは、必ずしも基板6aの全表面を覆う必要はない。
【0029】
磁性層6bは、典型的には、ポリマー中にランダムに分散された、又は予め配向された軸線に沿って配向された、例えばフェライトなどの、磁性複合材料から構成される。それは、0.01T~0.5T、有利には0.25T~0.4Tの保磁力を有する硬質強磁性複合材料であってもよい。この磁性層は、従来の磁気記録ストリップと同様であってもよい。
【0030】
基板6aは、磁性層6bを、より一般的には基板6aを覆う、非磁性膜6c(又は複数のそのような膜)を含む。例えば10ミクロン~100ミクロンであり得る厚さを有するこの非磁性表面膜は、磁性層6bを分析チャンバ5の底部6eから離れるように移動させることを目的とする。カートリッジ1のチャンバ5内に曝露するその表面は、これらのチャンバ5の分析表面6eを形成する。測定を妨げないように、非磁性表面膜6aは、低自己蛍光性である。明確にするために言えば、「非磁性」は、常磁性又は反磁性の材料など、磁化率が10-2未満の非常に低い材料を示す。非磁性膜6cは、例えばポリプロピレンなどのプラスチック材料から形成されてもよい。
【0031】
基板6aに加えて、図2の分析支持体6はまた、非磁性表面膜6c上に配置された接着性中間層膜6dを含む。図2の層間膜6dは、上流チャネル4のアレイ、分析チャンバ5、開口部2に対応するパターンに従った切り欠きを有する。一般に、層間膜6dは、カートリッジの流体アレイの少なくとも一部を画定することを目的とした切り欠きを有する。層間膜6dは、上部カバー7を支持体6に、それらの表面が接触した状態で組み立てて、気密封止することも可能にする。それは両面接着膜であってもよい。それ自体よく知られているように、このような膜は、両面が接着材料で被覆されたストリップ、例えばプラスチックで構成される。
【0032】
分析支持体6にプレカット中間層膜を設ける以外に、カートリッジ1の流体ネットワークを画定するための他の手段を想定することも当然可能である。このような膜の有無にかかわらず、分析支持体6を上部カバー7に組み立てることにより、カートリッジ1を構成することができる。また、一般に、支持体6に上部カバーを設ける必要はないが、この実施形態が好ましいことに留意されたい。
【0033】
カートリッジの磁気的性質の説明を参照すると、磁気層6bは、異なる配向及び/又は方向(好ましくは、図3と同じ方向であるが、反対の配向)を有する一連の分極領域を含む。チャンバ5の底部を(非磁性表面膜6cと共に)形成する磁性層6bの部分、すなわち分析対象領域6eを上面図で表す図4に示すように、磁気分極領域は、図示の例では主方向に線状に延びる。
【0034】
2つの異なる分極ゾーンの間の界面において、分析対象領域、すなわち分析チャンバ5の底部上の比較的強い磁気強度の領域が存在する。これらの領域は、分析対象領域の吸引ゾーンを形成する。非磁性層6cの表面上の勾配は、5T/m~1000T/m、好ましくは50T/m~150T/mの典型的な値を有し得る。したがって、吸引ゾーンは、主方向に沿って延びる複数の線Zaの形態で配置される。これらの線の特定の配置は、組み合わせて、検出パターンを画定する。
【0035】
一例として採用されたインライン配置は、検出パターンの特定の場合を形成するにすぎないということが理解される。より一般的には、カートリッジ1には、各分析チャンバ5内に明確に決定された検出パターンを画定する磁気分極領域が設けられるが、その構成は自由に選択されることができる。
【0036】
図4は、磁性層6bによってチャンバ5の分析対象領域6e上に生成される磁場Bcと、この磁場のノルムも示している。以下に説明するように、層6bによって生成される磁場に、追加の外部磁場Bextを加えることが有用であり得る。図4は、層6bによって生成される磁場Bcと結合するこの外部磁場Bextと、この結合された磁場のノルムとを示す。この外部磁場Bextの印加は、磁性層6bによって提供される磁場のみが存在するときに生成される特定の吸引ゾーンZaを排除することにつながり得るということが観察される。しかしながら、いずれの場合も、これらの吸引ゾーンは、主方向Pに平行な線Zaに沿って、又はより一般的には、その特徴が完全に決定される検出パターンに従って配置される。
【0037】
上に示した寸法を有するチャンバ5の場合、2~50線の検出パターンを形成することも考えられ、当該線は、1ミクロン~150ミクロン(有利には5ミクロン~30ミクロン)の厚さを有し、5ミクロン~300ミクロン、有利には25ミクロン~200ミクロンの間隔で互いに離間されている。
【0038】
図3を参照すると、特定の実施形態によれば、カートリッジ1は、各チャンバ5内に、典型的には25nm~500nm、好ましくは100nm~300nmのナノメートル寸法の制御された量の磁性粒子を配置するように調製されていることが有利である。特定の例では、これらの粒子は200nmの寸法を有する。これらの粒子は、典型的には超常磁性特性を有するビーズの形態であり、生体適合性を有するものである。それらは、特に、それらがタイプAc又はAgのタンパク質で官能化されることを可能にする表面処理を有する(ポリスチレンタイプの)ポリマーで覆われてもよい。この官能化はまた、DNA鎖又はRNA鎖のグラフト化に対応し得る。磁性粒子は、検体と関連付けることができる捕捉剤に結合される。この関連付けは、「捕捉要素」と呼ばれる。捕捉要素9の制御された量は、生体液で満たされた後のチャンバの容積における濃度が、10粒子/mL~1012粒子/mLであり、有利には10粒子/mL~10粒子/mLであるような量で構成される。制御された量の捕捉要素9は、ここでは、一緒に保持された磁性ナノ粒子から形成されるクラスタの形態で配置され、その上に捕捉剤がグラフトされ、捕捉剤は、検体と特異的に結合するように構成される。このクラスタは、チャンバ5の分析対象領域6e、すなわち、このチャンバの底部を形成する非磁性表面膜6cに付着される。「一緒に保持された磁性ナノ粒子」という用語は、一緒に連結されたナノ粒子のセットを意味し、これらのナノ粒子間の凝集は、潜在的に直接的又は間接的である。直接的な凝集は、特に、乾燥又は凍結乾燥されたナノ粒子によって提供され得るが、間接的な凝集は、カプセル化材料によって確実にされ得る。この点において、カプセル化材料は、糖(トレハロース、グルコースなど)又は粘性溶液(例えば、Tween)、又はグリセロールを含み得る。ナノ粒子がそれらの間にクラスタの形態で保持されることにより、経時的により良好な安定性が確保される。カプセル化材料の実装は、以下の残りの説明において提示されるナノ粒子の懸濁を容易にすることを可能にする。
【0039】
同様に、チャンバ5はそれぞれ、これらのチャンバの底部に付着する検出要素10のクラスタを含むことが有利である。これらの検出要素10はまた、検体に結合することができ、それらは光ルミネセンスマーカ、例えば蛍光マーカを担持する。
【0040】
捕捉要素9及び検出要素10のクラスタも図2に見ることができる。これらは、上部カバー7が支持体6上に配置される前に、分析チャンバ5の位置に対応する位置で支持体6上に付着されることができる。これらの位置を特定するために、特にチャンバ5の空洞を画定する、支持体6の凹部が使用されることができる。
【0041】
カートリッジ1に導入された生物学的液体の複数の分析を実行するために、カートリッジ1の各チャンバ5が、異なる性質の捕捉要素9及び/又は検出要素10を受け入れるように調製されるようにされてもよい。チャンバ5に配置された磁気層6bの部分によって符号化された検出パターンが、チャンバごとに異なるようにされてもよい。
【0042】
(検体の捕捉及び検出のためのカートリッジの使用)
分析対象の生物学的液体がカートリッジ1に導入されると、当該液体は、チャネル4のアレイに流入して分析チャンバ5を満たし、通気チャネルに伝播する。
【0043】
以下の捕捉及び検出ステップは、好ましくは、カートリッジ1がそのような複数のチャンバ5を有する場合、集合的にではなく、各チャンバ5に個別に、連続的に適用される。したがって、これらのステップのそれぞれの持続時間は、チャンバ5内に含まれる各試料に対して制御され、したがって分析の精度が制御される。しかしながら、これらのステップ又はそれらのいくつかが複数のチャンバ5に集合的に適用されることは、完全に排除されない。
【0044】
分析方法の主なステップが図5に示されている。
【0045】
したがって、第1のステップの間、検出要素10及び捕捉要素9は、それぞれ、各チャンバ5の試料中に懸濁され、その中で混合される。この懸濁は、特に、要素9、10を試料中に分散させるために、チャンバ5の底部からクラスタを分離すること、並びに要素9、10を互いに分離することを含み得る。この目的のために、振動手段、例えば圧電アクチュエータを実装することができる。これらの振動手段は、カートリッジ1の所定のチャンバ5又は複数のチャンバ5の底部に振動を与えるのに特に適している。この振動は、分析チャンバ内に存在する液体内に音圧場を生成することを可能にし、したがって、クラスタを分離し、これらのクラスタを形成する要素9、10を懸架することを可能にする。このステップは、捕捉要素9の磁性粒子と磁性層6b(非磁性表面膜6cによって遮蔽される)との間に存在する吸引に対抗しなければならず、これは従来のものではないことに留意されたい。
【0046】
捕捉要素9及び検出要素10をクラスタの形態でカートリッジのチャンバ5内(又はカートリッジの別の場所)に配置して、それらを分析されるべき試料に混合することを提供することは決して必要ではなく、代替実施形態では、この混合は、分析されるべき液体をカートリッジに導入する前に、この液体と共に行われることが指摘される。したがって、先の再懸濁ステップは完全に任意である。
【0047】
これらの要素9、10が液体と混合される方法にかかわらず、次のインキュベーション期間中、及び検体が試料中に存在するとき、捕捉要素9、検体、及び検出要素10を含む複合体が形成される。
【0048】
インキュベーション期間の終わりに、検体及び光ルミネセンスマーカを含む複合体は、好ましくは磁場強度最大値(すなわち、分析対象領域6eの吸引ゾーン)で凝集することによって、チャンバ5の分析対象領域6e上に固定化される。これらは、磁性層6bによって画定される検出パターンに従って配置される。過剰な検出要素10、すなわち光ルミネセンスマーカは、試料中に懸濁したままである。したがって、検出要素10と関連付けられていない非複合捕捉要素9も、チャンバ5の分析対象領域6e上に固定される。しかしながら、光ルミネセンスマーカが存在しない場合には、分析方法の残りのステップにおいて光ルミネセンスマーカを可視化することはできない。
【0049】
この固定化は、特に、試料中に存在する磁性複合体及び/又は捕捉要素9に含まれる磁性粒子の吸引ステップ中に有利に働くことができる。この吸引ステップの間、チャンバ5は、「吸引」源と呼ばれる外部磁気源によって提供される吸引磁場に曝露される。この吸引磁場は、磁性層6bが発生する磁場を悪化させる。それは、チャンバの底部から離れた磁性粒子であっても磁性粒子を磁化し、それは、適用される捕捉力を増加させることを可能にする。これにより、図4の説明に関連して説明したように、分析対象領域6e上に複合体を吸引して固定することがすることを可能にする。吸引磁気源によって生成される磁場はまた、試料の超常磁性粒子を磁化することも可能にする。このようにして、これらの粒子及び複合体の移動は、それらを固定化するためにそれらが支持体6の表面に向かって存在するときに促進される。
【0050】
チャンバ5を吸引磁場内に配置するように、所望の瞬間に吸引磁気源を作動させることによってインキュベーション期間の持続時間を完全に制御することが可能である。
【0051】
この吸引磁場は、チャンバの分析対象領域において、5mT~400mT、有利には50mT~200mTの強度を有する。低強度は、この吸引ステップの持続時間を増加させる傾向があり、例えば400mTより大きい過剰な強度は、磁性層6bの保磁力の値を超える可能性がある。また、この層の磁化及びこの磁化が画定する検出パターンを保存するために、吸引磁場の強度を400mTの閾値未満に制限することが好ましい。吸引磁場の強度が50mT~200mTの好ましい範囲内にある場合、吸引ステップは20秒~5分の期間に及ぶ。吸引磁気源は、この期間の終わりに、チャンバ5がもはや吸引磁場に曝露されないように、又は少なくとも著しく曝露されないように動作される。
【0052】
吸引磁気源15によって生成される磁場は、好ましくは、分析対象領域6eに対して直角に配向され、磁性層6bによって生成される磁場に加えられ、したがって、吸引ゾーンZa内の磁場の強度を増加させ、検出パターンを強化するが、他の方向、特にその表面に平行な方向も可能であるようになっている。
【0053】
先に見られたように、この磁場の存在は、吸引ゾーンのインライン配列Zaを修正すること、又はより一般的には、磁性層6bによって符号化されるような検出パターンを再画定することにつながり得る。吸引磁気源によって生成される磁場は、連続的でもパルス的でもよく、この場合、パルス持続時間は、通常、1msよりも長く、又は10msよりも長く、あるいは更には100msよりも長い。
【0054】
チャンバ5を、吸引源によって生成される磁場の内外に選択的に配置するために、いくつかのアプローチが可能である。したがって、吸引磁気源を電気的に作動させることができる。この場合、チャンバ5の近くに配置された電磁石によって構成されてもよい。次に、吸引磁気源を制御して、生成された磁場を余暇に「オン又はオフ」にすることが可能である。あるいは、吸引磁気源は、チャンバが本質的に吸引磁気源によって生成される磁場の外側にある第1の位置に選択的に配置されるように、又はチャンバが吸引磁気源によって生成される磁場内にある第2の位置に選択的に配置されるように、分析支持体6に対して移動可能であるようにすることができる。したがって、吸引磁気源及び/又はカートリッジを移動させることを選択することが可能である。
【0055】
再懸濁ステップ(存在する場合)と同様に、吸引ステップは、吸引磁気源によって生成される吸引磁場を主にこのチャンバ5に配置することによって、カートリッジ1の単一のチャンバ5上で実行することができる。あるいは、吸引ステップが、カートリッジ1の複数のチャンバ5に対して同時に、又はカートリッジ1の全てのチャンバ5に対して同時に実行されるようにすることができる。
【0056】
試料中に任意に存在する磁性複合体を吸引してそれらを吸引ゾーンに固定するステップは、決して必要なステップでもなければ、今説明したものに限定されるものでもないことに留意されたい。他のアプローチを介して分析対象領域の吸引ゾーンにおいてこれらの複合体を固定化することが提供されてもよい。したがって、これらの複合体は、電気音響法によって、音響クランプを用いて、又は電気泳動、ジブチル、若しくは光学的方法によって処理し、これらのゾーンに閉じ込めることができる。これらの粒子に加えられるこれらの容積力は、それらの環境とは異なる音響特性、誘電特性又は光学特性を有する粒子と相互作用する音響圧力場、電気圧力場又は光学圧力場の勾配によってそれぞれ誘発される。
【0057】
例えば、捕捉要素の磁性粒子の整列を適切に制御することを可能にするインクジェット印刷又はマイクロコンタクト印刷技術を使用して、分析支持体上に直接パターンに従って捕捉要素及び/又は検出要素を配置することを想定することも可能である。したがって、吸引ゾーンは非常に直接的に画定される。この代替アプローチでは、支持体の表面に配置された捕捉要素が、表面上に放出又は堆積された生物学的液体又はこの液体の微小滴に含まれる検体(及び任意選択で検出要素)と反応して、複合体を形成する。この表面反応は、磁場によって加速され得る。検出要素は、可能な洗浄ステップの後、複合体の形成に続いて添加することができる。
【0058】
全ての場合において、適用されるステップの順序がどのようなものであっても、試料中の検体の存在は、支持体の分析対象領域上に、予め画定された検出パターンに従って、検体及び光ルミネセンスマーカを含む磁性複合体の形成をもたらす。
【0059】
分析方法を構成するステップの説明を続けると、分析方法は、分析対象領域6eのデジタル画像を取得するステップを含む。この例では、分析対象領域は、カートリッジ1のチャンバ5の底部を形成する。デジタル画像の取得は、分析対象領域6eに向けられた光軸を有する撮像装置を使用して、曝露時間中に行われる。チャンバ5の分析対象領域6eは、撮像装置の被写界深度内に配置される。曝露時間の間、撮像装置の感知面は、分析対象領域上及び試料中に存在する光ルミネセンスマーカによって生成される光放射に曝露されて、そのデジタル画像を形成する。試料中の溶液中の、又は照明されたチャンバ5の支持体6上に固定された光ルミネセンスマーカは、光源によって活性化され、撮像装置の画像平面内に可視化され得る。一般に、光源の特性は、光ルミネセンスマーカの性質に従って、特にこれらのマーカの励起波長に従って選択することができる。一例として、光源は、650nm、典型的には600nm~700nmの励起波長を有してもよく、マーカの発光波長は、660nm程度である。
【0060】
曝露時間は典型的には5ms~1200msである。撮像装置によって準備されたデジタル画像は、検体が試料中に存在するとき、検出パターンに従って強度の空間的変動を有する。この空間的変動の振幅は、試料中の検体の濃度を表す。そのような画像の例が図6に再現されている。
【0061】
この取得ステップの後に、デジタル画像を処理して、その中で強度の空間的変動を特定するステップが続き、これは本出願の導入部で簡単に提示された。デジタル画像を処理するこのステップは、特に、複合体によって生成される光パターンの(空間的な)平均強度に対応する特定の信号をこの画像上で測定しようとするものであり、したがって、磁性層6bによって生成される磁場と外部吸引磁気源によって生成される吸引場とによって共に画定される吸引ゾーンに従う。デジタル画像を処理するステップはまた、チャンバ5内に含有される液体中に分散されたままである光ルミネセンスマーカを担持する、非連結検出要素から形成される照明された背景の(空間的)平均強度に対応する、非特定信号(又は「上澄み」)を測定しようとする。
【0062】
例えば、本出願の導入部で提示された欧州特許第3447492号明細書に開示されているように、特定信号と上澄み信号との組み合わせにより、生体液試料中の検体の存在及び/又は濃度を決定することが可能になる。
【0063】
本出願人は、非常に驚くべきことに、特性が完全に制御された磁場内に分析支持体6を配置した場合に、分析対象領域6eの吸引領域のレベルで固定された複合体によって生成される光放射の強度を大幅に改善することができることを認識した。この現象は、支持体に非磁性表面膜6cが設けられている場合に特に顕著であるので、この観察はなおさら驚くべきことである。この現象の非限定的な解釈によれば、複合体は、吸引ステップの終わりに、無秩序な鎖又は堆積の形態で吸引ゾーン上に固定化されるようである。組織化されていない鎖の形態での吸引ゾーンにおけるこの固定化は、下にある磁性層によって非磁性層の表面上に生成される勾配の強度によって促進される。しかしながら、これらの引力は、複合体をより可視的にするように、これらの鎖を同じ方向に向けて組織化するために追加の磁場を印加するのに十分に穏やかである。非磁性表面膜6cの存在は、勾配の強度を減少させる傾向がある磁性層6bの分離のために、これらの複合体を追加の磁場の存在に対してより敏感にする。本発明は、非磁性表面膜6cを含むカートリッジ構成に限定されることなく、この観察を利用しようとするものである。
【0064】
また、重要な特徴によれば、分析対象領域6eの撮像装置の感応部分への曝露時間の少なくとも一部の間、この分析対象領域6eは、照明磁気源によって生成される「照明」場と呼ばれる磁場内に配置される。この照明磁場は、分析対象領域6eの少なくとも一部にわたって(好ましくは、もちろん、この分析対象領域にわたって)撮像装置の光軸に平行になるように選択される。この場は、撮像装置の方に向けられてもよいし、反対方向に向けられてもよい。この照明場にさらされる分析対象領域のこの部分は、撮像装置によって生成される画像上に、増加した強度及びコントラストを有する検出パターン(検体が試料中に存在する場合)を有する。したがって、この強度は、撮像装置の光軸に平行な照明磁場が存在する場合、この照明磁場が存在しない場合よりも10倍大きくなり得る。
【0065】
正確さのために、「平行」とは、分析対象領域の関連部分において、場及び撮像装置の光軸が、15°以内、好ましくは10°以内、更により好ましくは3°以内で完全に整列されることを意味する。
【0066】
照射磁場は、分析対象領域において、例えば1mT~400mT、有利には10mT~200mT、更により有利には50mT~150mTの任意の強度を有する。この場合も、支持体6に含まれる磁性層6bの磁化に影響を及ぼし得る強度の磁場を印加することは回避される。照明磁場は、吸引磁場よりも強度が小さくてもよい。
【0067】
照明磁気源15の磁化Aが撮像装置の光軸AOに平行に向けられることは必要でも十分でもなく、したがって、分析対象領域6eにおいてこの源によって生成される磁場Biの場合であることに留意されたい。実際、完全に知られており、図7の例によって表されているように、照明源15によって生成された場は、この照明源15上にループバックする傾向がある場線LCに従って、源15を囲む空間から任意の点に向けられる。カートリッジ1に対する照明磁気源15の正確な位置決めに依存して、分析対象領域6eに存在する照射磁場は、源15の磁化Aの方向及び配向とは全く異なってもよい。したがって、実際に、この照明場の全ての利益を得るために制御することが完全に必要であるのは、分析対象領域6e(及び少なくともその一部)に存在する照明磁場Biである。したがって、図7では、分析対象領域の部分Pのみが、光軸との平行性の要件を満たす場Biを有することが観察される。
【0068】
カートリッジは、チャンバ5の分析対象領域6eが(この光軸AOが分析対象領域6eを遮る位置において)装置の光軸AOに対して概ね垂直であるように、撮像装置に対して配置されることに留意されたい。しかしながら、この一般的な構成は、2つの要素の互いに対する整列の機械的精度によって制限される。しかしながら、この不正確さが無視できるほどになり得ることを考慮すると、撮像装置の光軸に対する照明の磁場の整列特性は、カートリッジの分析対象領域6eによって画定される全体的な平面に対して垂直であるこの照明磁場に対応し得る。ここでも、垂直性のこの条件は、15°以内、優先的には10°以内、更により優先的には3°以内に画定される。分析対象領域6eと撮像装置の光軸AOとの間の垂直性のこの仮定は、より簡単にするために、この説明の残りにおいても保持される。
【0069】
光軸に対して平行であるという必要な特性を有する照射磁場の印加によって提供される利益の例証として、図11の上部は、平行線のパターンを画定する吸引ゾーン上に複合体が事前に固定化されている、分析対象領域の画像を表している。この画像を捕捉するカメラショットの間、磁石を分析対象領域の下に配置した。図11の下部は、画像上に表された方向dに沿って測定された画像の光強度(グレースケールで測定された)を示している。この強度は「櫛」状に変化し、櫛の頂点は、複合体が固定化される吸引ゾーン上に整列される。図11の下部はまた、強度頂点において、分析対象領域における、光軸に対する磁石によって生成される磁場の推定角度を示している。頂点の強度及び画像のコントラストは、この場が撮像装置の光軸と最良に整列されるときに大幅に改善されることが明確に観察される。これは、この整列が15°以内であるときに特に可視である。
【0070】
曝露時間の少なくとも一部の間にこの照明磁場を生成するために、多くの構成が可能である。したがって、図8aに示される第1の構成によれば、照明磁気源15は、分析カートリッジ1の後面8に対して、又はその近くに、正確には分析チャンバ5の下に配置される。この構成では、照明磁気源15の磁化Aを分析対象領域6eに対して垂直に向けることができる。照明磁気源15は、分析カートリッジの後面8に対して、又は後面8から選択された距離に配置され、その結果、この源によって生成される照射磁場は、この表面においてカートリッジ1の分析対象領域6eによって画定される全体的な平面に対して垂直である。
【0071】
図8bに示される別の構成によれば、照明磁気源15は、分析支持体6の後面8の下に配置された2つの磁石15a、15bから形成され、磁石15a、15bの磁化A、A’は、互いに反対であり、分析対象領域6eに平行な方向である。磁石は、分析対象領域6eで生成される磁場Biが実際に垂直性の要件を有するように、このカートリッジ1に対して配置される。
【0072】
既に吸引磁気源の場合と同様に、照明磁気源15は、分析支持体6を照射の磁場内又はこの磁場外に選択的に配置するように動作可能である。例えば、この源、磁石15、又は上に提示された2つの構成のうちの1つを形成する磁石15a、15bは、活性化及び非活性化が電気的に制御され得る電磁石であり得る。したがって、曝露時間の少なくとも一部の間に照明磁場が生成されるように、この源15を選択的に制御して、撮像装置12と協調して源15を作動させたり停止させたりすることが可能である。あるいは、照明磁気源15は、カートリッジ1及びこのカートリッジ1の分析支持体6に対して移動可能であり得、チャンバ5の分析支持体6が本質的に照明磁気源15によって生成される場の外側にある第1の位置P1に選択的に配置され得るか、又はチャンバ5の分析支持体6が照明磁気源15によって生成される場に配置される第2の位置P2に配置され得る。
【0073】
図9を参照すると、分析方法は、この場合、第1の位置P1と第2の位置P2との間での照明磁気源15の移動を含む。次に、デジタル画像を取得するステップの終わりに、第2の位置P2から第1のP1への照明磁気源15の変位。この移動は、曝露時間の少なくとも一部の間、分析対象領域6eが前述の方向を示す照明磁場内に配置されるように、撮像装置の起動と調整される。第1の位置P1と第2の位置P2との間のこの移動は、移動の間に、分析対象領域6eにおける場Biの配向を反転させないように完全に制御されなければならない。そのような配向の変化は、この表面上に固定化された複合体の移動をもたらし、検出パターンの外側でのそれらの配置に影響を及ぼす可能性があり、これはもはや所望の精度で分析を行うことを可能にしない。
【0074】
したがって、分析対象領域6eに対する照明磁気源15の相対移動は、分析対象領域6eにおける照明磁場Biがその方向及びその全体的な配向を維持する接近段階を含むことが好ましい。したがって、源15は、分析対象領域6eに対して垂直な方向に支持体6に対して移動することができる。この接近段階は、これらの2つの要素が互いに最も接近し、分析対象領域6eが照明磁気源15によって生成された磁場に浸漬される移動の最終部分に対応する。これにより、磁場の方向及び配向の変化が回避される。
【0075】
したがって、移動は、支持体に対して、分析対象領域に垂直な方向に完全に行うことができる。代替的に、この移動は任意の初期段階を含んでもよく、この初期段階は、分析対象領域6eが照明磁気源15によって生成される磁場又は非常に低減された強度の磁場に浸されないように、源15及び支持体6が互いに十分に離れている間に実行される。それは、例えば、支持体6に垂直な平面内に配置された円の弧に沿って、かつチャンバ5の分析対象領域の下で、この源15を移動させることを含んでもよく、この円の弧の一端は、この支持体に垂直である照明磁気源15の接近位相を形成する。この構成は、まさに図9に示されたものである。
【0076】
照明場が適用されるときに、分析対象領域6eにおける場線の方向及び配向の変化を回避することを可能にする、照明源15及び/又は支持体6の多くの他のタイプの移動を想定することは当然可能である。
【0077】
ここで、検出パターンの外側の複合体の固定化を回避又は制限するように、分析対象領域に対して垂直な方向に源を移動させることを含む代替的なアプローチが提示される。この代替的なアプローチは、固定された複合体における場Biの配向が少なくとも1回の完全な回転(360°)を実行するように、この源を分析対象領域に実質的に平行に移動させることを含む。このようにして、検出パターンを画定する吸引ゾーンの外側に任意に固定化された複合体は、「掃引」効果によって、これらの吸引ゾーンに向かって効果的に移動される。
【0078】
図12は、そのようなアプローチに適合する照明磁気源15を示す。この源15は、同じ磁化を有し、分離距離によって互いに分離された3つの基本磁気源A、A’、A”から形成される。例として、図1及び図2に示されるカートリッジの構成及び寸法を繰り返すことによって、2つの基本源は、8mm程度の直径、16mmの高さを有し、3mmの距離だけ互いに分離された2つのシリンダによって形成され得る。より一般的には、照明磁気源15は、互いに分離され、全てが同じ配向を有する複数の基本源から形成されるようにすることができる。
【0079】
図12は、照明磁場LCの線と、周囲空間の異なる点におけるこの磁場を表すベクトルとを示す。磁場は、2つの基本磁気源A、A’、A”の間では比較的強く、外部磁気源A、A”の両側では比較的弱い。
【0080】
チャンバ5の分析対象領域が磁気源の上方に移動されると、この分析対象領域の点が回転磁場にさらされる。これを説明するために、図12では、照明磁気源15に連結されたマーカRが配置されており、このマーカRは、源15と分析対象領域との相対運動の軸を画定する。
【0081】
図12の下部は、照明磁気源が移動軸の方向に基準点Aを前進させるように移動するときの、分析対象領域の基準点Aにおける変位軸に沿った照明磁場Biの成分を示す。この成分は、それらの磁性部分と相互作用して、固定化された複合体の移動を生じさせることができる。
【0082】
基準点Aをマーカ2に配置することが望ましく、基本光源によって生成される照明場Biは、この位置決めにおいてデジタル取得ステップを実行するのに必要な品質を有する。この移動の間に複合体に加えられる力は、分析対象領域の少なくとも1つの吸引領域上にこれらの複合体を蓄積する傾向がある。これは、特に、図12に示される開始点からマーカ2への基準点Aの相対変位の終了の場合である。
【0083】
なお、光軸AOをマーカ3に合わせ、このマーカ3に基準点Aを移動させることも可能であることに留意されたい。実際、基本光源によって生成される照明場Biも、このマーカにおいて、デジタル取得ステップを実行するのに必要な品質を有する。
【0084】
したがって、源15を適切に構成することによって、この表面に平行な方向に、源と分析対象領域とを相対的に移動させることが可能である。
【0085】
上述した全ての実施形態において、移動ステップは、デジタル画像の取得ステップに調整され、その結果、取得期間の少なくとも一部の間、チャンバ5の分析対象領域6e(又はその一部)は、必要とされる方向及び配向特性を有する照明場Biに浸される。
【0086】
これらの必要とされる特性を有する照明場Biを生成することを可能にする支持体6に対する照明磁気源15の位置決めは、特に敏感であることに留意されたい。また、場合によっては、取得ステップ中に、分析支持体6に対する照明磁気源15の相対位置が調整される位置決めサブステップを提供することが有利であり得る。この位置決めサブステップの間、連続的なデジタル画像が取得され、最適な相対的位置決めを決定するためにその強度を測定することができる。換言すれば、デジタル画像を取得するステップは、複数のデジタル画像をそれぞれ確立するための複数の曝露期間を含む。これらのデジタル画像を使用して、照明源15と支持体6との間の最良の相対位置、すなわち、より良好な品質の検出パターンを有する相対位置を決定することができる。
【0087】
照明磁場Biがチャンバ5の分析対象領域6eの全範囲にわたって必要な方向特性を有するように、したがって、これらの条件がこの分析対象領域6eの一部に対してのみ得られるように、当該照明磁場Biを制御することが不可能であるか、又は困難である場合、位置決めサブステップ及び取得ステップ中に取得された複数のデジタル画像を利用してそれらを組み合わせ、最終的にチャンバ5の分析対象領域6e全体又はこの分析対象領域6eの大部分にわたって良好な品質の検出パターンを得ることも可能である。
【0088】
非常に有利なアプローチによれば、本方法が、上述したような吸引磁気源を実装する吸引ステップを提供する場合、同じ磁気源を、吸引ステップと、照明磁場を提供するためのデジタル画像の取得ステップ中との両方に使用することができる。そのような場合、この単一の磁気源は、生成される磁場が照明場Biの必要な特性を有するようなものでなければならず、すなわち、撮像装置12の光軸AOに平行でなければならない。したがって、それらの方向及び配向に加えて、これらの2つの場を、特に強度において正確に同一にすることが可能である。このアプローチは、支持体を形成するカートリッジ1を移動させて2つの異なる場に連続的に位置決めすることを回避するという点で非常に有利である。単一の吸引及び照明場は、インキュベーションステップの終わりに活性化及び維持されて、最初に、分析対象領域6e上に複合体を固定し、次いで、取得ステップの進行を可能にし、したがって、少なくとも1つの高品質デジタル画像を形成することができる
【0089】
この有利なアプローチの代替として、吸引磁気源及び照明磁気源15は、異なってもよい。この構成では、有利なことに、吸引磁場及び照明磁場は、分析対象領域6eの部分において同じ方向又は非常に類似した方向及び同じ配向を有する。これにより、複雑な文字列の再配置及び/又は1つの場から別の場への移動による複雑な文字列の移動が回避される。カートリッジ1が、吸引ステップと取得ステップとの間で、吸引磁気源によって生成された磁場を受けることができるインキュベーション位置から、照明磁気源15によって生成された照明場を受けることができる取得位置まで移動される移送ステップを設けることができる。
【0090】
インキュベーション期間中に分析チャンバ内で発生する現象を完全に制御し、この期間の終わりに検出パターンの存在及び強度を検出するためには、分析装置E内又は分析装置E上に、カートリッジ1を配置することが有利であり、その一実施形態を図10に概略的に示す。
【0091】
(分析装置)
分析装置Eは、今説明した方法を実施することを目的とする。したがって、この方法の提示において開示された全ての特徴は、この装置に組み込むことができる。したがって、簡潔にするために、ここではこの装置の主な特徴のみを説明する。
【0092】
装置Eは、カートリッジ1を取得位置にできるだけ正確に位置決めするために、カートリッジ1を受け入れるためのホスト支持体を含む。この位置では、カートリッジ1の少なくとも1つのチャンバ5が、画像センサなどの撮像装置11の磁場内に配置される。このチャンバ5はまた、光源12、例えば発光ダイオードベースの光源の、照明野内に配置される。源12と、チャンバ5と、セパレータ、フィルタ、レンズなどの光学要素の撮像装置11との間に光路を設けて、写真撮影の品質を改善し、特に適切な倍率及び被写界深度を選択するようにすることも可能である。この構成では、チャンバ5の試料及び支持体6のデジタル画像を取得して、蛍光マーカによって生成された光強度を画像上に明らかにすることが可能である。カートリッジ1は、当然ながら、分析装置内に配置され、この撮像を可能にするために、少なくともチャンバ5の前では透明な上部カバー7が、光路内にあるようにする。有利には、カートリッジのホスト支持体は、ここでは非磁性表面膜6cから形成される、カートリッジ1のチャンバの底部を形成する分析対象領域6eが、撮像装置11の光軸AOに対して垂直であるように構成される。ホスト支持体は、カートリッジ1の単一のチャンバ5又は複数のチャンバ5を取得位置に非常に正確に位置決めするように移動することができるようにすることができる。カートリッジの全てのチャンバ5を連続動作中に処理することが可能である。
【0093】
図10の分析装置Eはまた、分析支持体が取得位置にあるときに分析支持体が曝露される照明磁場を生成することができる照明磁気源15を含む。既に述べたように、照明磁場は、光軸AO(この軸が分析対象領域6eを遮る位置において)に平行であり、分析対象領域6eの少なくとも一部にわたって撮像装置11に向かって配向される。
【0094】
図10の有利な構成では、撮像装置11はホスト支持体の一方の側に配置され、照明磁気源15はホスト支持体の他方の側に配置される。この配置は、照明磁気源15と撮像装置11との間にカートリッジ1を配置することを可能にする。特に、照明磁気源15をカートリッジ1の後面8に近接して又は接触して配置することを可能にする。このような構成の全ての利点は上述した通りである。
【0095】
照明磁気源15は、ホスト支持体(したがって、カートリッジが存在する場合にはカートリッジ)を照明磁場内に配置するか、又はホスト支持体を照明磁場外に配置するように選択的に移動可能であってもよい。源15はまた、照明磁場を選択的に生成し、それを遮断するように制御可能であり得る。それは特に電磁石であってもよい。また、照明磁気源15が移動可能かつ制御可能であることを想像することも可能である。
【0096】
動作中、試料中の溶液中の、又はチャンバ5の分析対象領域6e上に固定された光ルミネセンスマーカは、光源12によって活性化され、撮像装置11の画像平面内に可視化される。したがって、支持体の平面における、光ルミネセンスマーカの分布のデジタル画像を取得することができる。
【0097】
既に述べたように、照明磁気源15及びこの源によって生成された場はまた、吸引ステップの間に、カートリッジのチャンバ5の分析対象領域上に複合体を吸引及び固定化するために使用され得る。
【0098】
図5の分析装置Eの説明を続けると、これは、振動力を加えるために、カートリッジ1の支持体6、特に所定のチャンバ5の下で接触可能な振動手段14、例えば圧電アクチュエータを任意に含んでもよい。アクチュエータ14は、前述したように、試料中の捕捉要素、磁性粒子9、及び検出要素10の効果的な再懸濁を可能にするように、カートリッジ1が装置Eの中又は上に挿入された後に起動させることができる。
【0099】
装置Eは、照明磁気源とは別個の吸引磁気源18、例えば磁石又は電磁石を含んでもよい。この源は、磁性層6bによって生成された磁場を悪化させ、分析対象領域6e上に複合体を吸引して固定することを可能にするような方法で活性化され得る。
【0100】
図10に示されるこのデュアルソース構成では、カートリッジ1が、吸引源によって生成される吸引場に曝露され得る位置から、照明磁気源15によって生成される場に曝露され、撮像装置12の被写界深度内に配置され得る別の位置に移動させられることを可能にするように、ホスト支持体が移動可能であるようにすることができる。この支持体は、例えば、装置Eを構成する特定の要素が沿って配置される移送レール17に沿って摺動するように制御されてもよい。したがって、分析支持体6が、吸引磁気源18によって生成された磁場を受けることができるインキュベーション位置から、照明磁気源15によって生成された照射磁場を受けることができる取得位置まで移送レール17に沿って移動可能であるようにすることが可能である。図10の場合のように、カートリッジ1が取得位置及びインキュベーション位置とは異なる位置にある間に動作を開始するために、圧電アクチュエータ14が移送レールに沿って配置されるようにすることもできる。
【0101】
先に提示した方法に従って分析装置Eを動作させ、取得された画像のデジタル処理を実行できるために、装置Eは計算装置16も含む。これは、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、FPGA回路であってもよい。厳密に言えば、計算手段に加えて、計算装置16は、メモリ構成要素も含み、装置Eが動作するのを可能にする、データ及びコンピュータプログラムを記憶することを可能にする。計算装置16はまた、データを交換するための(USBインターフェースタイプの、又はWiFi、Bluetooth(登録商標)、3G、ロラ、Sigfoxなどの短距離若しくは長距離ワイヤレスタイプの)、又は分析装置Eを保守機器に接続することを可能にするためのインターフェース構成要素を含むことができる。インターフェース構成要素はまた、オペレータによる装置Eの使用を可能にするための、画面及び制御ボタンを含むことができる。計算装置16は、例えば内部バスによって、撮像装置11、光源12、機械式アクチュエータ14、照明磁気源15、潜在的に吸引磁気源に接続され、それらの動作を調整し、かつ/又は生成されたデータ、例えば、撮像装置11によって提供されたデジタル画像を収集する。
【0102】
カートリッジ1が複数のチャンバ5を含む場合、計算装置16によって実施される動作は、カートリッジ1の分析チャンバ5に対して連続的に実行することができる。あるいは、これらの動作は、カートリッジ1の複数又は全てのチャンバ5に対して同時に実行することができる。
【0103】
当然ながら、本発明は、説明された実施形態に限定されず、特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、変形実施形態をそれに追加することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8a
図8b
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】