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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-05
(54)【発明の名称】人工芝システム用充填顆粒
(51)【国際特許分類】
   B32B 5/00 20060101AFI20240227BHJP
   C08L 67/02 20060101ALI20240227BHJP
   B32B 5/28 20060101ALI20240227BHJP
   B32B 27/12 20060101ALI20240227BHJP
   B32B 27/20 20060101ALI20240227BHJP
   A47G 27/02 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
B32B5/00 C
C08L67/02
B32B5/28
B32B27/12
B32B27/20
A47G27/02 101D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023551192
(86)(22)【出願日】2021-08-19
(85)【翻訳文提出日】2023-10-17
(86)【国際出願番号】 EP2021072993
(87)【国際公開番号】W WO2022174939
(87)【国際公開日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】21158469.3
(32)【優先日】2021-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523318305
【氏名又は名称】インプルーブ、テック、ヘネ、アーベー
【氏名又は名称原語表記】Improve Tec Hoenoe AB
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【弁理士】
【氏名又は名称】反町 洋
(72)【発明者】
【氏名】ペーター、グメソン
【テーマコード(参考)】
3B120
4F100
4J002
【Fターム(参考)】
3B120BA45
3B120EA13
3B120EB30
4F100AC03
4F100AC03B
4F100AJ02
4F100AJ02B
4F100AJ04
4F100AJ04B
4F100AK42
4F100AK42B
4F100AR00B
4F100AR00D
4F100AT00A
4F100BA03
4F100BA04
4F100BA07
4F100CA13
4F100CA13B
4F100CA23
4F100CA23B
4F100DE01
4F100DE01B
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4F100DG01B
4F100DG11
4F100DG11C
4F100GB07
4F100JK04
4F100JK07
4F100JK08
4F100JK12
4J002AB012
4J002AH002
4J002CF071
4J002DJ037
4J002DJ047
4J002FD012
4J002FD017
4J002FD096
4J002GC00
4J002GF00
(57)【要約】
基材と、該基材から直立するパイル繊維とを含む人工芝層、前記基材上に配置され、前記パイル繊維の間に散在する充填層を備える人工芝システム。前記充填層は、少なくとも60重量%のポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)と顔料または顔料マスターバッチとを含む顆粒を含む。前記顔料は、暗緑色等の暗色であり得る。1種以上の充填材料または追加のポリマー等の添加剤を用いることもできる。前記顆粒は堆肥化可能で高い柔軟性を有する。前記顆粒は、例えば円筒形の顆粒のような形状であり得る。この新しい充填材は、FIFAによる最高の性能および品質試験(FIFA Quality Pro)に合格しており、サッカー用人工芝の充填材として特に有用である。この優れた特性は材料の高い曲げやすさおよび柔らかさと相関しており、充填材の必要性が軽減される(<8.5kg/m)。使用済みの顆粒は、環境に有害な影響を与えることなく循環化学経済に向けてさらにリサイクルすることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、該基材から直立するパイル繊維とを含む人工芝層、
前記基材上に配置され、前記パイル繊維の間に散在する充填層
を備える人工芝システムであって、前記充填層は顆粒を含み、前記顆粒は少なくとも60重量%のポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)と顔料または顔料マスターバッチとを含む、前記人工芝システム。
【請求項2】
前記顆粒が少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも70重量%、最も好ましくは少なくとも90重量%のPBATを含む、請求項1に記載の人工芝システム。
【請求項3】
前記PBATが化石ベースであるかまたは部分的に生物ベースである、請求項1または2に記載の人工芝システム。
【請求項4】
前記顆粒の直径が0.1~5mm、好ましくは0.5~5mm、より好ましくは1~5mm、より好ましくは1.5~4mm、最も好ましくは1.5~3.5mmの範囲であり、長さが1~15mm、好ましくは1.5~10mm、最も好ましくは1.5~5mmの範囲である、請求項1~3のいずれか一項に記載の人工芝システム。
【請求項5】
前記顆粒のショアD硬度が44以下、好ましくは25~44、より好ましくは32~42、最も好ましくは34~40の範囲である、請求項1~4のいずれか一項に記載の人工芝システム。
【請求項6】
前記暗色顔料が暗緑色顔料である、請求項1~5のいずれか一項に記載の人工芝システム。
【請求項7】
ISO 178:2019に従って測定される前記顆粒の曲げ強度が2~17MPa、好ましくは3~8MPa、最も好ましくは4~6MPaの範囲である、請求項1~6のいずれか一項に記載の人工芝システム。
【請求項8】
ISO 178:2019に従って測定される前記顆粒の曲げ弾性率が50~250MPa、好ましくは55~150MPa、最も好ましくは60~90MPaである、請求項1~7のいずれか一項に記載の人工芝システム。
【請求項9】
ISO 178:2019に従って測定される前記顆粒のオフセット伸び(0.2%)が1~10MPa、好ましくは2~7MPa、最も好ましくは3~6MPaである、請求項1~8のいずれか一項に記載の人工芝システム。
【請求項10】
前記顆粒が、1~30重量%の別の堆肥化可能なポリマー、好ましくはPEF、PHA、PLA、PBS、PBSA、PCL、TPSおよびデンプンの少なくとも1種、またはそれらの組み合わせをさらに含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の人工芝システム。
【請求項11】
前記顆粒が、1~30重量%の別の生物ベースのポリマー、好ましくはPLA、PHA、PHB、PA11、PA1010、Bio-PE、Bio-PP、Bio-PVC、BIO-PET、Bio-PBUの少なくとも1種、またはそれらの組み合わせをさらに含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の人工芝システム。
【請求項12】
前記顆粒が充填材料をさらに含み、前記充填材料がチョーク、タルク、カオリン、木繊維、リグノセルロース、セルロース、ヘミセルロース、リグニン、靭皮繊維、亜麻および麻、ならびにそれらの組み合わせの少なくとも1種を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の人工芝システム。
【請求項13】
前記基材の下の衝撃パッド構造を含む弾性層、および前記衝撃パッド構造と前記充填層との間の追加の粒子層をさらに備える、請求項1~12のいずれか一項に記載の人工芝システム。
【請求項14】
前記追加の粒子層が、砂、砂岩、ゴム、コルク、木材、エラストマーおよびプラスチック粒子の少なくとも1種の粒子、またはそれらの組み合わせ、好ましくは砂を含む、請求項13に記載の人工芝システム。
【請求項15】
前記顆粒が円筒形状を有する、請求項1~14のいずれか一項に記載の人工芝システム。
【請求項16】
前記顆粒が円形の断面を有する、請求項15に記載の人工芝システム。
【請求項17】
前記顆粒が非円形の断面を有する、請求項15に記載の人工芝システム。
【請求項18】
前記顆粒が楕円体の形状を有する、請求項1に記載の人工芝システム。
【請求項19】
前記楕円体が異なる長さの3つの軸を有し、それによって三軸楕円体を形成する、請求項18に記載の人工芝システム。
【請求項20】
前記楕円体が同じ長さの2つの軸、および異なる長さの第3の軸を有し、それによって回転楕円体を形成する、請求項18に記載の人工芝システム。
【請求項21】
前記第3の軸が他の2つの軸よりも短く、それによって偏楕円体を形成する、請求項20に記載の人工芝システム。
【請求項22】
前記第3の軸が他の2つの軸よりも長く、それによって偏長楕円体を形成する、請求項20に記載の人工芝システム。
【請求項23】
前記楕円体が同じ長さの3つの軸を有し、それによって球体を形成する、請求項18に記載の人工芝システム。
【請求項24】
人工芝システムの充填材として用いるための顆粒であって、少なくとも60重量%のポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)および顔料または顔料マスターバッチを含む、前記顆粒。
【請求項25】
前記顆粒が少なくとも70重量%のPBATを含む、請求項24に記載の顆粒。
【請求項26】
前記顆粒が少なくとも90重量%のPTABを含む、請求項24に記載の顆粒。
【請求項27】
前記PBATが化石ベースであるか、または部分的に生物ベースである、請求項24~26のいずれか一項に記載の顆粒。
【請求項28】
前記顆粒の直径が0.1~5mm、好ましくは0.5~5mm、より好ましくは1~5mm、より好ましくは1.5~4mm、最も好ましくは1.5~3.5mmの範囲であり、長さが1~15mm、好ましくは1.5~10mm、最も好ましくは1.5~5mmの範囲である、請求項24~27のいずれか一項に記載の顆粒。
【請求項29】
前記顆粒のショアD硬度が44以下、好ましくは25~44、より好ましくは32~42、最も好ましくは34~40の範囲である、請求項24~28のいずれか一項に記載の顆粒。
【請求項30】
前記暗色顔料が暗緑色顔料である、請求項24~29のいずれか一項に記載の顆粒。
【請求項31】
ISO 178:2019に従って測定される前記顆粒の曲げ強度が2~17MPa、好ましくは3~8MPa、最も好ましくは4~6MPaの範囲である、請求項24~30のいずれか一項に記載の顆粒。
【請求項32】
ISO 178:2019に従って測定される前記顆粒の曲げ弾性率が50~250MPa、好ましくは55~150MPa、最も好ましくは60~90MPaである、請求項24~31のいずれか一項に記載の顆粒。
【請求項33】
ISO 178:2019に従って測定される前記顆粒のオフセット伸び(0.2%)が1~10MPa、好ましくは2~7MPa、最も好ましくは3~6MPaである、請求項24~32のいずれか一項に記載の顆粒。
【請求項34】
前記顆粒が、1~30重量%の別の堆肥化可能なポリマー、好ましくはPEF、PHA、PLA、PBS、PBSA、PCL、TPSおよびデンプンの少なくとも1種、またはそれらの組み合わせをさらに含む、請求項24~33のいずれか一項に記載の顆粒。
【請求項35】
前記顆粒が、1~30重量%の別の生物ベースのポリマー、好ましくはPLA、PHA、PHB、PA11、PA1010、Bio-PE、Bio-PP、Bio-PVC、BIO-PET、Bio-PBUの少なくとも1種、またはそれらの組み合わせを含む、請求項24~34のいずれか一項に記載の顆粒。
【請求項36】
前記顆粒が充填材料をさらに含み、前記充填材料がチョーク、タルク、カオリン、木繊維、リグノセルロース、セルロース、ヘミセルロース、リグニン、靭皮繊維、亜麻および麻、ならびにそれらの組み合わせの少なくとも1種を含む、請求項24~35のいずれか一項に記載の顆粒。
【請求項37】
前記顆粒が円筒形状を有する、請求項24~36のいずれか一項に記載の顆粒。
【請求項38】
前記顆粒が円形の断面を有する、請求項37に記載の顆粒。
【請求項39】
前記顆粒が非円形の断面を有する、請求項37に記載の顆粒。
【請求項40】
前記顆粒が楕円体の形状を有する、請求項24~36のいずれか一項に記載の顆粒。
【請求項41】
前記楕円体が異なる長さの3つの軸を有し、それによって三軸楕円体を形成する、請求項40に記載の顆粒。
【請求項42】
前記楕円体が同じ長さの2つの軸、および異なる長さの第3の軸を有し、それによって回転楕円体を形成する、請求項40に記載の顆粒。
【請求項43】
前記第3の軸が他の2つの軸よりも短く、それによって偏楕円体を形成する、請求項42に記載の顆粒。
【請求項44】
前記第3の軸が他の2つの軸よりも長く、それによって偏長楕円体を形成する、請求項42に記載の顆粒。
【請求項45】
前記楕円体が同じ長さの3つの軸を有し、それによって球体を形成する、請求項40に記載の顆粒。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工芝システムに用いるための顆粒、およびそのような顆粒を用いた人工芝システムに関する。
【背景技術】
【0002】
人工芝システムは長い間用いられており、数世代を経て現在の形に発展してきた。一般に、そのようなシステムは、対応する自然物と同じ特性を達成しようとしてきたが、特定の領域では、少なくとも挙動の予測可能性の点で、これらの特性に関してすでに上回っている可能性がある。
【0003】
現在、典型的な芝生システムは、上表面を有する裏地層、および繊維の間に配置された柔らかい顆粒の充填層を備える。裏地層は、人工芝繊維がタフトされて上向きの位置に配向したパイル繊維を提供し、ラテックスまたはポリウレタンの裏地層によって織布に固定された織布から構成され得る。芝システムの設置には、通常、直立した芝繊維の間に散布された砂の層を設けることが含まれ、その重量によって裏地を所定の位置に保持し、パイルを上向きの位置に支える。この砂層の上、および人工芝の繊維の間に、顆粒が散布され、必要なスポーツパフォーマンスを提供する緩いパフォーマンスの充填層が形成される。これらのパフォーマンス特性は使用目的によって異なるが、ほとんどのスポーツにおいて以下が含まれる:回転グリップと直線的グリップ;力の軽減;ボールの垂直バウンド;および回転摩擦。この性能は、裏地層の直下に衝撃パッド層を適用することでさらにサポートすることができる。
【0004】
たとえそのような人工芝が天然芝と同等、あるいはそれ以上の特性を持っていることが現在では証明されているとしても、そのような人工芝に用いられるプラスチック材料は環境的に問題である。人工芝に用いられるプラスチック材料は拡散し、分解されてマイクロプラスチックとなり、環境汚染を引き起こす。
【0005】
従来知られている人工芝システムは、例えば、米国特許第10844553号、国際公開第2006/092337号、国際公開第2006/025973号、米国特許出願第2008/0145574号、米国特許出願第2020/0224374号および米国特許出願第2015/0191879号から知られている。
【0006】
しかしながら、天然芝と同等またはそれ以上の特性を有し、かつ環境に優しい人工芝において用いるための環境に優しい解決策が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、現在知られているシステムの上述したような欠点のすべてまたは少なくとも一部を軽減する人工芝システムおよびそれに用いるための顆粒を提供することである。
【0008】
これらの目的は、添付の特許請求の範囲に定義される人工芝システム、およびそのようなシステムで用いるための顆粒によって達成される。
【0009】
本発明の第1の態様によれば、基材と、該基材から直立するパイル繊維とを含む人工芝層、前記基材上に配置され、前記パイル繊維間に散在する充填層を備える人工芝システムであって、前記充填層が顆粒を含み、前記顆粒が少なくとも60重量%のポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)と顔料または顔料マスターバッチとを含む前記人工芝システムが提供される。
【0010】
本発明の別の態様によれば、人工芝システムの充填材として用いるための顆粒であって、少なくとも60重量%のポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)および顔料または顔料マスターバッチを含む前記顆粒が提供される。
【0011】
本発明は、人工芝システム上に分散された充填材料からの持続的なマイクロプラスチックの放出という環境問題に関する。従来の充填材料と比較して、本発明の充填材料は充填材として必要な量が比較的少量であり、その生分解性特性と相まって、難分解性で有害なマイクロプラスチックの環境への放出を防ぐ。この新しい充填材は、その高い柔軟性により、適切な人工芝システムと組み合わせることで、サッカー、パドル(paddle)、ラクロス、バスケットボール、競技場でのアクティビティ等の屋外および屋内の幅広いスポーツに理想的な競技面を提供する。
【0012】
PBATは完全に堆肥化可能で柔軟性が高いため、持続可能である。また、サッカー等の屋外および屋内の様々な用途に理想的な競技面を提供する人工芝システム上に分散される充填材としても非常に高い性能を有することが分かっている。PBATベースの顆粒は、完全に堆肥化可能で柔軟性の高い充填材料を人工芝システムに提供するために用いられ得る。新しい顆粒は非常に柔軟であり、完全に堆肥化可能なプラスチックで作ることができる。この顆粒は、例えば、人工芝用の充填材等の用途に非常に適した円筒形状の顆粒として成形され得る。この顆粒は、周囲環境や近くの水路への長寿命マイクロプラスチックの放出を軽減する。この新しい充填材は、FIFAによる最高の性能および品質試験(FIFA Quality Pro)に合格しており、サッカー用人工芝の充填材として特に有用である。この優れた特性は材料の高い曲げやすさおよび柔らかさと相関しており、充填材の必要性が軽減される(<8.5kg/m)。使用済みの顆粒は、環境に有害な影響を与えることなく循環化学経済に向けてさらにリサイクルすることができる。
【0013】
顔料は顆粒の周囲に保護表面を形成し、顆粒を紫外線から保護し、そのため屋外の充填材として用いた場合に製品の寿命を延ばす。顔料は、好ましくは暗緑色を有するような暗色顔料である。顔料は、顔料マスターバッチの形態で提供され得る。ここで、マスターバッチとは、ポリマーやワックス等で作られた樹脂等の担体中にカプセル化された、顔料の濃縮混合物を含むプラスチック用の固体または液体の添加剤を指す。マスターバッチは20~65重量%の顔料を含むことができる。
【0014】
顆粒は、好ましくは少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも80重量%、最も好ましくは少なくとも90重量%のPBATを含む。いくつかの実施形態において、PBATの含有量は少なくとも95重量%、さらには少なくとも97重量%であり得る。
【0015】
PBATはそれ自体よく知られた熱可塑性ポリマーであり、高い柔軟性を有する丈夫なコポリエステルであることが知られている。
【0016】
PBATは、このましくは化石ベースであるか、または部分的に生物ベースである。好ましくは、PBATは少なくとも部分的にバイオベースであり、すなわちバイオPBATである。
【0017】
顆粒の直径は、好ましくは0.1~5mm、好ましくは0.5~5mm、より好ましくは1~5mm、好ましくは1.5~4mm、最も好ましくは1.5~3.5mmの範囲であり、長さは1~15mm、好ましくは1.5~10mm、最も好ましくは1.5~5mmの範囲である。したがって、顆粒の平均直径は2.5mm±1.0mmであり、かつ長さが1~15mmの間で変化し得る。0.5mmまで、または0.1mmまで等、1mm未満の長さも実現可能である。したがって、長さは0.1~15mm、0.5~15mm、0.1~5mm、0.5~5mm、0.5~4mm等の範囲にあってもよい。
【0018】
上述した直径および長さは、円形の断面を有する円筒形状の顆粒に用いることができる。しかしながら、同じ好ましい直径および長さの寸法は、非円形断面を有する円筒を形成する顆粒、および円筒の形態でない顆粒にも適用される。したがって、非円形断面の直径は広く解釈され、非円形形状の平均断面寸法も包含される。このような非円形形状の直径は、例えば、非円形形状の周囲長に基づいて計算することができ、それにより直径dは、d=p/πとして計算することができる。
【0019】
好ましい実施形態において、顆粒は円筒の形態である。円筒はその全長にわたって均一な断面を有する。一つの実施形態において、断面は円形であり、円筒を提供する。しかしながら、三角形、正方形、長方形および他の多角形の形状等、他の断面形状も用いることができる。断面形状は、楕円形、または星形、結晶形、三つ葉もしくは四つ葉のクローバー形等の他のより複雑な形状であってもよい。
【0020】
いくつかの実施形態において、顆粒は、円盤形、球形等の円筒形以外の他の三次元形状に成形されてもよい。
【0021】
いくつかの実施形態において、顆粒は楕円体の形状であってもよい。楕円体は、対称中心、すなわち楕円体の中心で交差する3本のペアの垂直対称軸を有する。楕円体の対称軸上で区切られた線分は、主軸、または単に楕円体の軸と呼ばれることがある。
【0022】
顆粒は、3つの軸が異なる長さを有する楕円体の形状を有することができ、それによってこの楕円体は三軸楕円体と呼ばれることがあり、軸は一義的に定義される。
【0023】
顆粒は、2つの軸が同じ長さを有し、第3の軸が異なる長さを有する楕円体の形状を有し得る。この場合、楕円体は回転楕円面、すなわち二軸楕円体または回転楕円体と呼ばれることがある。この場合、楕円体は第3の軸を中心とした回転に対して不変である。
【0024】
第3の軸は他の2つの軸よりも短くてもよく、それによって楕円体は偏楕円体を形成する。偏楕円体は、短軸を中心に回転させた楕円として見ることができ、レンズ豆のような形状を有する平らな回転楕円体を形成する。
【0025】
あるいは、第3の軸を他の2つの軸より長くすることもでき、それによって楕円体は偏長楕円体を形成する。偏長楕円体は、長軸を中心に回転させた楕円として見ることができ、アメリカンフットボールまたはラグビーボールの形状を形成する。
【0026】
3つの軸を同じ長さにすることもでき、それによって楕円体は球体を形成する。
【0027】
顆粒のショアD硬度は、好ましくは44以下、好ましくは25~44、より好ましくは32~42、最も好ましくは34~40の範囲である。
【0028】
好ましい実施形態において、暗色顔料は暗緑色顔料である。
【0029】
顆粒は、ISO 178:2019に従って測定される曲げ強度が2~17MPa、好ましくは3~8MPa、最も好ましくは4~6MPaの範囲であることが好ましい。
【0030】
顆粒は、ISO 178:2019に従って測定される曲げ弾性率が50~250MPa、好ましくは55~150MPa、最も好ましくは60~90MPaであることが好ましい。
【0031】
顆粒は、ISO 178:2019に従って測定されるオフセット伸び(0.2%)が1~10MPa、好ましくは2~7MPa、最も好ましくは3~6MPaであることが好ましい。
【0032】
顆粒は、唯一のポリマー成分としてPBATを含んでもよい。しかしながら、顆粒は、PBATと1種以上の他の熱可塑性ポリマーとの混合物を含んでもよい。その場合、可能な充填材料を除いた混合物のポリマー部分は、好ましくは少なくとも70重量%のPBATと30重量%以下の他の熱可塑性ポリマーを含む。換言すると、PBATに加えて他の熱可塑性ポリマーが混合物中に含まれる場合、これらの他の熱可塑性ポリマーの総量は、好ましくはPBATの量の半分未満である。
【0033】
顆粒は、1~30重量%の別の堆肥化可能なポリマー、好ましくはポリエチレンフラノエート(PEF)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリブチレンスクシネート(PBS)、ポリ乳酸(PLA)、ポリブチレンスクシネート(PBS)、ポリ(ブチレンスクシネート-co-ブチレンアジペート)(PBSA)、ポリカプロラクトン(PCL)、熱可塑性デンプン(TPS)およびデンプンの少なくとも1種、またはそれらの組み合わせをさらに含み得る。このような材料は、材料の硬度、柔軟性およびその他の特性を調整するために混合物に含めることができる。
【0034】
顆粒は、1~30重量%の別の生物ベースのポリマー、好ましくはPLA、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリアミド11(PA11)、ポリアミド1010(PA1010)、バイオ-ポリエチレン(Bio-PE)、バイオ-ポリプロピレン(Bio-PP)、バイオ-ポリビニルカーボネート(Bio-PVC)、バイオ-ポリエチレンテレフタレート(Bio-PET)およびバイオ-ポリブタジエン(Bio-PBU)の少なくとも1種、またはそれらの組み合わせを含み得る。ここでの「バイオ」とは、その材料が生物由来であることを示す。このような材料は、環境の観点から顆粒をさらに魅力的にするために添加され得る。
【0035】
顆粒は、充填材料をさらに含んでもよく、充填材料は、チョーク、タルク、カオリン、木材繊維、靭皮繊維、リグノセルロース、セルロース、ヘミセルロース、リグニン、亜麻および麻、ならびにそれらの組み合わせの少なくとも1種を含む。このような充填材料は、材料の他の特性を改善し、他の条件および要件を促進するために添加され得る。チョーク等の充填材料は、例えばコストを削減する、比重を高める、または顆粒の他の特性を調整する目的で添加され得る。
【0036】
充填材料の総量は好ましくは40重量%未満であり、いくつかの実施形態において、30重量%未満、20重量%未満、10重量%未満または5重量%未満であり得る。いくつかの実施形態においては、充填材料を用いなくてもよい。しかしながら、他の実施形態において、充填材料の量は、少なくとも1重量%、少なくとも5重量%、少なくとも10重量%、少なくとも20重量%または少なくとも30重量%であり得る。したがって、充填材料の量は0~40重量%の範囲であり得、好ましくは1~40重量%の範囲、例えば1~30重量%、1~20重量%または1~10重量%の範囲であり得る。
【0037】
顆粒がPBATおよび顔料/顔料マスターバッチのみから形成されているかどうか、または他の熱可塑性ポリマー、充填材料等の他の成分が添加されているかどうかに関係なく、材料は好ましくは混合されて均質な材料を形成する。顆粒は、好ましくはその全体が均質な材料で作られている。
【0038】
顆粒を製造するには、材料をマスターバッチに混合する。次いで、材料を押し出してストランドを形成し、例えばストランドペレタイザーを用いて顆粒に切断することができる。ストランドペレット化のプロセスでは、ストランドを押出機のダイから冷却水浴に供給し、続いてペレタイザー内で切断して乾燥させる。その結果、平均直径が2.5mm±1.0mmであり、長さが1.0~15mmの間で変化する円筒形状の滑らかな緑灰色の押出顆粒が得られる。
【0039】
非円筒形状の製造も同様の方法で行うことができ、例えば水中ペレタイザーにおいて水中ペレット化プロセスを用いることによって行うことができる。
【0040】
使用後の顆粒は完全に堆肥化可能である。具体的には、予備試験では、上述した顆粒が標準ISO 20200(崩壊試験)で指定された崩壊に関する要件を満たすことが示されている。
【0041】
顆粒は、生物学的持続可能性を高めるために、顆粒を収集し、粉塵から分離し、洗浄し、乾燥し、再処理することによってリサイクルすることもできる。
【0042】
人工芝システムは、基材の下の衝撃パッド構造を含む弾性層、および前記衝撃パッド構造と充填層との間の追加の粒子層をさらに備えてもよい。追加の粒子層は、砂、砂岩、ゴム、コルク、木材、エラストマーおよびプラスチック粒子の少なくとも1種の粒子、またはそれらの組み合わせを含み得る。好ましい実施形態において、追加の粒子層は砂を含む。
【0043】
本発明のこれらおよび他の特徴および利点は、以下に説明する実施形態を参照してさらに明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0044】
例示の目的で、添付の図面に示される実施形態を参照して、本発明を以下により詳細に説明する。
図1図1は、本発明の一つの実施形態による人工芝の充填材として用いるための顆粒の概略図である。
図2図2は、本発明の一つの実施形態による人工芝を示す概略断面図である。
図3a-g】図3a-gは、本発明の他の実施形態による、他の幾何学的形状を有する円筒形状の顆粒の概略図である。
図4a-d】図4a-dは、本発明の他の実施形態による、他の幾何学的形状を有する非円筒形状の顆粒の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下の詳細な説明では、本発明の好ましい実施形態について説明する。しかしながら、特に明記しない限り、異なる実施形態の特徴は実施形態間で交換可能であり、異なる方法で組み合わせることができることを理解されたい。以下の説明では、本発明のより完全な理解を提供するために多くの特定の詳細が記載されているが、本発明がこれらの特定の詳細なしで実施できることは当業者には明らかであろう。場合によっては、本発明を分かりにくくしないように、周知の構造または機能については詳細に説明しない。
【0046】
人工芝システムの充填材として用いるための顆粒の実施形態を図1に概略的に示す。ここで、顆粒は円形断面を有する円筒形状、すなわち円筒形状を有する。直径は、0.1~5mm、好ましくは0.5~5mm、より好ましくは1~5mm、より好ましくは1~4mm、最も好ましくは1.5~3.5mmの範囲であり得、かつ長さは1~15mm、好ましくは1~10mm、最も好ましくは1~5mmの範囲であり得る。
【0047】
上述した直径および長さは、以下にさらに詳細に例示するように、非円筒形状の顆粒にだけでなく、非円形断面を有する円筒形状を有する顆粒にも用いることができる。このような場合、非円形断面の直径は平均断面寸法に関係する。このような非円形形状の直径は、例えば、非円形形状の周囲長に基づいて計算することができ、それにより直径dは、d=p/πとして計算することができる。
【0048】
しかしながら、顆粒は、他の断面を有する他の円筒形状であってもよい。このような代替的な形状は、図3a~iに概略的に示されている。例えば、円筒は、図3aに示すように結晶形の断面形状を有していてもよい。ここで、結晶形状は一般に、互いに45度回転された2つの正方形が重なった形状である。しかしながら、他の結晶形状も実現可能である。断面は、図3bに示すような三角形、図3dに示すような正方形、および図3eに示すような長方形の形状であり得る。しかしながら、図3cに示すように、星形等の他の多角形も実現可能である。ここで、星は5つの放射点を有するが、3つや4つ等のより少ない放射点、または6つや7つ等のより多くの放射点を有してもよい。図3dの例のように、多角形は比較的鋭い角を有してもよく、または図3eの例のように角が丸くなっていてもよい。断面形状は楕円形等であってもよい。図3f等に示すように、断面形状は、三つ葉または四つ葉のクローバーの形状等、より複雑な形状であってもよい。
【0049】
図1の例示的な例のように、円筒は直径よりも大きい長さを有してもよい。しかしながら、円筒は長さと本質的に同じ直径を有してもよい。円筒は、図3gの例示的な例のように、長さよりも大きい直径を有してもよい。
【0050】
いくつかの実施形態において、顆粒は、図4aに概略的に示されるような球の形態、図4b等に概略的に示されるような円盤の形態等の円筒形状以外の他の三次元形状に成形されてもよい。ここでの円盤の形状は、一般に平らな円筒であるが、湾曲した凸状の底面を備えている。
【0051】
いくつかの実施形態において、顆粒は楕円体の形状であってもよい。楕円体は、対称中心、すなわち楕円体の中心で交差する3本のペアの垂線対称軸を有する。楕円体の対称軸上で区切られた線分は、主軸、または単に楕円体の軸と呼ばれることがある。
【0052】
顆粒は、3つの軸が異なる長さを有する楕円体の形状を有することができ、それによってこの楕円体は三軸楕円体と呼ばれることがあり、軸は一義的に定義される。
【0053】
図4cおよび4dに示すように、顆粒は、2つの軸xおよびyが同じ長さaを有し、第3の軸zが異なる長さcを有する楕円体の形状を有し得る。この場合、楕円体は回転楕円面、すなわち二軸楕円体または回転楕円体と呼ばれることがある。この場合、楕円体は第3の軸を中心とした回転に対して不変である。
【0054】
第3の軸z、すなわち長さcは、他の2つの軸、すなわち半径aよりも短くてもよく、それによって、図4cに示すように、楕円体は偏楕円体を形成する。偏楕円体は、短軸を中止に回転させた楕円として見ることができ、レンズ豆のような形状を有する平らな回転楕円体を形成する。ここで、顆粒の長さはcであり、直径は2*aであり、c<aである。
【0055】
あるいは、第3の軸z、すなわち長さcは、他の2つの軸、すなわち半径aよりも長くてもよく、それによって、図4dに示すように、楕円体は偏長楕円体を形成する。偏長楕円体は、長軸を中心に回転させた楕円として見ることができ、アメリカンフットボールまたはラグビーボールの形状を形成する。ここで、顆粒の長さはcであり、直径は2*aであり、c>aである。
【0056】
3つの軸を同じ長さにすることもでき、それによって、図4aの例示的な例のように、楕円体は球を形成する。
【0057】
上述した形状、特に円筒形状および回転楕円体形状であることにより、人工芝システムの充填層として配置されるとすぐに充填構造に到達する顆粒が提供される。この圧縮構造は導入直後に到達し、これ以上圧縮できないため、長時間安定である。しかしながら、粒子は力の影響下で移動できるほど緩い。これにより、天然芝の特徴を担う充填層の構造が形成される。
【0058】
顆粒は人工芝システムの充填材として用いることができる。このような人工芝システムは、図2に概略的に示されている。ここで、人工芝システムは、基材21と、該基材から直立するパイル繊維22とを含む人工芝層を含む。基材21は裏打ちシート(backing sheet)として機能し、例えばSBRラテックス等の例示的なラテックスが含浸された、例えば不織布等のプラスチック材料のシートを含み得る。基材の上部表面から上方に延びる多数の直立繊維22が存在する。繊維の長さは、充填材料の深さおよび完成した人工芝構造の所望の弾性に応じて選択される。充填層の深さは繊維の長さよりも浅い。繊維の長さは、例えば50mm未満である。好ましくは、繊維の長さは45mm未満である。
【0059】
繊維は、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはナイロンからなる合成繊維であってもよい。繊維は、例えば単一繊維または複数繊維であるが、複数繊維と単一繊維との混合物も用いられ得る。繊維の太さは異なっていてもよい。しかしながら、太い繊維と細い繊維とを混合することも可能である。裏打ちシートおよび繊維を製造するための一般的な基準は当技術分野で知られているため、詳細な説明は不要である。
【0060】
上述した顆粒を含む充填層25は、基材21の上に配置される。充填層25は、5~12kg/m、好ましくは6~10kg/m、最も好ましくは7~8.5kg/mの範囲、例えば約8kg/mまたは約8.5kg/mで提供される顆粒を有していてもよい。充填層の重量は、好ましくは8.5kg/m未満である。
【0061】
充填層は、パイル繊維をその長さのかなりの部分にわたって適切に支持するのに十分な深さで存在することができ、これらの繊維の長さおよび所望のフリーパイル(free pile)に依存し得る。好ましい実施形態において、充填層は少なくとも10mmの深さを有する。他の実施形態において、充填層は少なくとも20mmの深さまで存在してもよく、さらには30mmを超える深さまで存在してもよい。最終的な深さは、充填層がパイル繊維を支持する基材上の唯一の層であるかどうか、および衝撃パッドまたは他の形態の弾性層が適用されるかどうかにも依存することが理解されるであろう。好ましい実施形態において、充填層は、10~25mm、好ましくは15~20mmの範囲、例えば約17mmの深さを有する。スポーツの性質に応じて、パイル繊維は充填材料のレベルから少なくとも10mm、または少なくとも15mm、またはさらには20mm以上伸びていてもよい。
【0062】
このシステムはまた、充填層の下の基板上に配置された1つ以上の追加の粒子層を含んでもよい。追加の粒子層は、衝撃吸収、パイルの安定化、排水、充填等を含む様々な機能を有することができ、砂、砂岩、ゴム粒子、エラストマー粒子、熱可塑性粒子、およびこれらの充填顆粒の定義を満たさないその他の粒子を含む群から選択され得る。例示的な例として、追加の粒子層24は珪砂等の砂を含む。
【0063】
ここで、砂である追加の粒子層24は、10~20kg/m、または好ましくは12~17kg/m、例えば約15kg/mの重量を有し得る。追加の粒子層は、5~15mm、例えば約10mmの深さを有し得る。
【0064】
基板21の下には、衝撃パッド構造を含む弾性層23が設けられてもよい。衝撃パッドは、例えば、PE独立気泡フォームで形成され得る。衝撃パッドは、8~15mm、好ましくは10~13mmの範囲、例えば12mmの厚さを有し得、25~75kg/m、例えば50kg/mの密度を有し得る。
【0065】
顆粒は、好ましくは均質な材料から形成される。この材料は、少なくとも60重量%のポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)と顔料または顔料マスターバッチとを含む。顔料は、好ましくは暗色顔料、例えば暗緑色顔料である。顔料は、紫外線による劣化から顆粒を保護し、また顆粒の熱吸収性を高める。
【0066】
顆粒は、好ましくは少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも80重量%、最も好ましくは少なくとも90重量%のPBATを含む。いくつかの実施形態において、PBATの含有量は、少なくとも95重量%、さらには少なくとも97重量%であり得る。
【0067】
PBATは化石ベースであってもよいが、好ましくは少なくとも部分的に生物ベースであり、いくつかの実施形態においては生物ベースのみ、すなわちバイオ-PBATであり得る。
【0068】
顆粒は、唯一のポリマー成分としてPBATを含んでいてもよい。しかしながら、顆粒は、PBATと1種以上の他の熱可塑性ポリマーとの混合物を含んでいてもよい。その場合、可能な充填材を除いた混合物のポリマー部分は、好ましくは少なくとも70重量%のPBATと30重量%以下の他の熱可塑性ポリマーを含む。換言すれば、PBATに加えて他の熱可塑性ポリマーが混合物中に含まれる場合、これらの他の熱可塑性ポリマーの総量は、好ましくはPBATの量の半分未満である。例えば、顆粒は、1~30重量%の別の堆肥化可能なポリマー、好ましくは、ポリエチレンフラノエート(PEF)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリブチレンスクシネート(PBS)、ポリ(ブチレンスクシネート-co-ブチレンアジペート)(PBSA)、ポリカプロラクトン(PCL)、熱可塑性デンプン(TPS)およびデンプンの少なくとも1種、またはそれらの組み合わせを含んでいてもよい。このような材料は、材料の硬度、柔軟性およびその他の特性を調整するために混合物に含めることができる。追加的に、または代わりに、顆粒は、1~30重量%の別の生物ベースのポリマー、好ましくは、PLA、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリヒドロキシ酪酸(PHB)、ポリアミド11(PA11)、ポリアミド1010(PA1010)、バイオ-ポリエチレン(Bio-PE)、バイオ-ポリプロピレン(Bio-PP)、バイオ-ポリビニルカーボネート(Bio-PVC)、バイオ-ポリエチレンテレフタレート(Bio-PET)およびバイオ-ポリブタジエン(Bio-PBU)の少なくとも1種、またはそれらの組み合わせを含んでいてもよい。
【0069】
顆粒は充填材料をさらに含んでもよく、充填材料は、チョーク、木材繊維、リグノセルロース、セルロース、ヘミセルロース、リグニン、靭皮繊維、亜麻および麻、ならびにそれらの組み合わせの少なくとも1種を含む。充填材料の総量は、好ましくは40重量%未満であり、いくつかの実施形態においては30重量%未満、20重量%未満、10重量%未満または5重量%未満であり得る。いくつかの実施形態においては、充填材料を用いなくてもよい。しかしながら、他の実施形態において、充填材料の量は、少なくとも1重量%、少なくとも5重量%、少なくとも10重量%、少なくとも20重量%または少なくとも30重量%であり得る。したがって、充填材料の量は、0~40重量%の範囲、好ましくは1~40重量%の範囲、例えば1~30重量%、1~20重量%または1~10重量%の範囲であり得る。
【0070】
顆粒を製造するために、材料がマスターバッチに混合される。次いで、材料を押し出してストランドを形成し、例えばストランドペレタイザーを用いて顆粒に切断され得る。ストランドペレット化のプロセスでは、ストランドを押出機のダイから冷却水浴に供給し、続いてペレタイザー内で切断して乾燥させる。その結果、平均直径サイズが2.5mm±1.0mmであり、長さが1.0~15mmの間で変化する、円筒形の滑らかな緑灰色の押出顆粒が得られる。
【0071】
球状や回転楕円体状等の非円筒形状の製造のためには、ダイフェイスカッターによるペレット化が用いられ得、通常は空気、より多くの場合は水である冷却媒体が新鮮な切断顆粒を輸送し、その過程で冷却する前に、溶融物がダイの開口部で直接切断される。このような顆粒の形成には水中ペレット化が用いられ得る。
【0072】
使用後の顆粒は完全に堆肥化可能である。具体的には、顆粒は、ISO 20200規格(崩壊試験)で指定される崩壊に関する要件を満たしていると考えられる。
【0073】
また、使用後に顆粒を収集し、粉塵から分離し、洗浄し、乾燥し、再処理することによってリサイクルすることにより、生物学的持続可能性を高めることもできる。
【実施例
【0074】
新しい顆粒の評価のために、多くの試験を行った。これらの試験では、90重量%を超えるPBATを含む顆粒を、暗緑色顔料と組み合わせて用いた。顆粒は、平均直径サイズが2.5mm±1mm、長さが約1~5mmである円筒形状を有していた。
【0075】
まず、顆粒の硬度と曲げ特性を、200℃の高圧下で顆粒を一緒にプレスすることによって作製された3mmの薄いプラスチックプレートを用いて、規格化された方法により試験した。次いで、プレートを試験前に23℃で3時間熱調整した。US10844553において議論されているように、既存の充填材料、例えばポリエチレン(PE)と比較して、新しい顆粒はかなり柔らかく、2層のプラスチックプレートについてISO48-4に従ったBareiss Digitest装置によって測定されたショアD硬度が37であった。
【0076】
顆粒は、好ましくは44以下、好ましくは25~44、より好ましくは32~42、最も好ましくは34~40の範囲のショアD硬度を有するべきであると結論付けられた。
【0077】
顆粒の曲げ特性を、ISO 178:2019に従って、3点曲げ試験治具を備えたTinius Olsen H5ST装置によって測定した。より硬い基準プラスチック(PPおよびPC)と比較して、新しい顆粒は、柔軟なLDPE基準と同様に、低い曲げ強度(5.2MPa)および曲げ弾性率(75.7MPa)を有していた。表1を参照されたい。したがって、新しい顆粒の曲げ弾性率は、最終的に剛性領域(>700MPa)に達したより硬くて柔軟性に劣る基準材料(PPおよびPC)についての試験と比較して、半硬質プラスチックの最低範囲(70~700MPa)にあった。
【0078】
【表1】
【0079】
新しい顆粒は、ISO 178:2019に従って測定される曲げ強度が、2~17MPa、好ましくは3~8MPa、最も好ましくは4~6MPaの範囲内であること好ましいと結論付けられた。
【0080】
さらに、顆粒は、ISO 178:2019に従って測定される曲げ弾性率が、50~250MPa、好ましくは55~150MPa、最も好ましくは60~90MPaであることが好ましいと結論付けられた。
【0081】
さらに、顆粒は、ISO 178:2019に従って測定されるオフセット伸び(0.2%)が、1~10MPa、好ましくは2~7MPa、最も好ましくは3~5MPaであることが好ましいと結論付けられた。
【0082】
新しい顆粒材料の密度は1.25g/cmであると測定され、融点は110℃であり、用途要件を十分に上回っていた。
【0083】
SAE J1960の方法に従って、ATLAS社のCi5000 Weather-Ometer装置を用いて行われた促進耐候性試験により、様々な温度、相対湿度およびUV光強度において、暴露された材料に視覚的な侵食や色の変化は見られなかった。
【0084】
新しい材料の堆肥化可能性についての予備試験も行われ、その予備試験により、顆粒がISO 20200に従った堆肥化可能性の要件を満たしていることが示された。
【0085】
人工芝システムの充填材料としての顆粒の使用についても試験を行った。最高のプレーパフォーマンスプロトコル(FIFA Quality Pro)に従った試験をSPORTS LABSによって行った。40mmのモノフィラメント芝を、15kg/mに相当する約10mmのケイ砂の薄い層の上に約17mmの深さまでの充填物として8kg/mの上述した顆粒と共にカーペットとして用いた。衝撃パッドとして、厚さ12mm、密度50kg/mのPE独立気泡フォームを用いた。
【0086】
表2に示すように、ドライ条件およびウェット条件の両方のすべての試験において優れたプレーパフォーマンスが観察された。新しい顆粒の充填材、ケイ砂、カーペットおよび衝撃パッドの組み合わせにより、屋外および屋内の両方の用途に非常に適した、FIFA Quality Proの要件を十分に満たす人工芝システムが作製された。
【0087】
【表2】
【0088】
このように、新しい顆粒は、人工芝システムの充填材料として用いた場合、ドライ条件およびウェット条件の両方において、FIFA QualityおよびFIFA Quality Proの両方の要件をすべて満たすことが分かった。いかなる理論にも束縛されるものではないが、これらの優れた結果は、材料の測定された曲げ特性によって証明されるように、比較的低い硬度および大きな弾性に少なくとも部分的に起因すると考えられる。
【0089】
以上、特定の実施形態を参照して本発明を説明した。上述した実施形態は本発明を限定するものではなく例示するものであり、当業者であれば添付の特許請求の範囲から逸脱することなく多くの代替的な実施形態を設計できることに留意されたい。特許請求の範囲において、括弧の間に置かれた参照符号は、特許請求の範囲を限定するものとして解釈されないものとする。「含む」という言葉は、特許請求の範囲に記載されているもの以外の他の要素または工程の存在を排除するものではない。要素の前にある単語「a」または「an」は、そのような要素が複数存在することを排除するものではない。
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図3d
図3e
図3f
図3g
図4a
図4b
図4c
図4d
【国際調査報告】