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特表2024-509785複数の組織型に関する患者応答に基づくバイオマーカーのトポロジーの定量化および評価
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  • 特表-複数の組織型に関する患者応答に基づくバイオマーカーのトポロジーの定量化および評価 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-05
(54)【発明の名称】複数の組織型に関する患者応答に基づくバイオマーカーのトポロジーの定量化および評価
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/48 20060101AFI20240227BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20240227BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240227BHJP
   G06V 10/82 20220101ALI20240227BHJP
【FI】
G01N33/48 M
G01N33/53 Y
G06T7/00 350C
G06V10/82
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023551755
(86)(22)【出願日】2022-02-25
(85)【翻訳文提出日】2023-10-20
(86)【国際出願番号】 US2022017840
(87)【国際公開番号】W WO2022182952
(87)【国際公開日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】63/153,723
(32)【優先日】2021-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVASCRIPT
(71)【出願人】
【識別番号】391015708
【氏名又は名称】ブリストル-マイヤーズ スクイブ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BRISTOL-MYERS SQUIBB COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【弁理士】
【氏名又は名称】呉 英燦
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【弁理士】
【氏名又は名称】品川 永敏
(72)【発明者】
【氏名】リー,ジョージ シー
(72)【発明者】
【氏名】エドワーズ,ロビン
(72)【発明者】
【氏名】エリー,スコット
(72)【発明者】
【氏名】コーエン,ダニエル エヌ
(72)【発明者】
【氏名】ウォイチク,ジョン ビー
(72)【発明者】
【氏名】バクシー,ビプル エイ
(72)【発明者】
【氏名】パンディア,ディンプル
(72)【発明者】
【氏名】トリリョ-ティノコ,ヒメナ
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ベンジャミン ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】グレイ,ファロン
【テーマコード(参考)】
2G045
5L096
【Fターム(参考)】
2G045CA18
2G045CB02
2G045JA03
5L096BA06
5L096BA13
5L096EA28
5L096GA51
5L096HA11
5L096JA11
5L096KA04
(57)【要約】
患者応答に基づく線形カットオフモデルを使用するCD8 T細胞トポロジーの分類のための方法およびコンピューターシステムを、本明細書に記載する。複数の患者における腫瘍試料の複数の組織学画像を、コンピューターシステムによって受け取る。複数の組織学画像の画像解析を行って、複数の組織学画像のそれぞれにおいて腫瘍実質および間質におけるCD8+ T細胞の存在量を得る。実炎症スコアおよび腫瘍浸潤スコアを、腫瘍実質および間質におけるCD8+ T細胞の存在量の極座標変換に基づいて決定する。実炎症スコアおよび腫瘍浸潤スコアに基づいて特徴空間を生成し、特徴空間における複数の分類の間の線形境界または線形カットオフを、実炎症スコア、腫瘍浸潤スコア、および患者応答データに基づいて同定する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピューティングデバイスの少なくとも1つのプロセッサーによって、複数の患者における腫瘍試料の複数の組織学画像を受け取ること;
少なくとも1つのプロセッサーによって、複数の組織学画像の画像解析を行って、複数の組織学画像のそれぞれにおいて腫瘍実質および間質におけるCD8+ T細胞の存在量を得ること;
少なくとも1つのプロセッサーによって、腫瘍実質および間質におけるCD8+ T細胞の存在量の極座標変換に基づいて実炎症スコアおよび腫瘍浸潤スコアを決定すること;
少なくとも1つのプロセッサーによって、実炎症スコアおよび腫瘍浸潤スコアに基づいて特徴空間を生成すること;ならびに
少なくとも1つのプロセッサーによって、実炎症スコア、腫瘍浸潤スコア、および患者応答データに基づいて、特徴空間における複数の分類の間の線形境界または線形カットオフを同定すること
を含む方法。
【請求項2】
複数の組織学画像の画像解析を行うことが、人工ニューラルネットワークを複数の組織学画像に適用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
CD8+ T細胞の存在量が、複数の組織学画像のそれぞれに存在するT細胞の総数に対する間質CD8+ T細胞のパーセンテージと実質CD8+ T細胞のパーセンテージとの間の関係のグラフ表示を介して表示される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
間質CD8+ T細胞のパーセンテージが、間質におけるCD8+ T細胞の数を間質におけるT細胞の総数によって除算したものを含み、実質CD8+ T細胞のパーセンテージが、実質におけるCD8+ T細胞の数を実質におけるT細胞の総数によって除算したものを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
コンピューティングデバイスの少なくとも1つのプロセッサーによって、グラフ表示の極座標変換を適用して、極プロットを生じさせること;および
極プロットを使用して特徴空間を生成すること
をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
特徴空間に基づいて複数の組織学画像のそれぞれについて分類を決定することをさらに含み、複数の分類が、炎症型、コールド、および排除型を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
患者応答データが、複数の患者において各患者が処置または療法に応答するか否かを示す後ろ向き臨床応答データを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
特徴空間における複数の分類の間の線形境界または線形カットオフを同定することが、
特徴空間における実炎症スコアおよび腫瘍浸潤スコアを反復的に適合させること、ならびに患者応答データを使用して、複数の分類の間の線形境界または線形カットオフを同定すること
をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
コンピューティングデバイスの少なくとも1つのプロセッサーによって、ある特定の患者に対応する追加の組織学画像である、追加の組織学画像を受け取ること;
追加の組織学画像の追加の画像解析を行って、追加の組織学画像において腫瘍実質および間質における追加のCD8+ T細胞の存在量を得ること;
追加の組織学画像において腫瘍実質および間質における追加のCD8+ T細胞の存在量の極座標変換に基づいて、追加の実炎症スコアおよび追加の腫瘍浸潤スコアを決定すること;ならびに
特徴空間における複数の分類を使用して、追加の実炎症スコアの値および追加の腫瘍浸潤スコアの値をマッピングすることによって、追加の組織学画像の分類を決定すること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
追加の組織学画像の分類が、炎症型、コールド、または排除型を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
追加の実炎症スコアの値が、特徴空間のプロットの第1の軸上で所定の値未満である場合、追加の組織学画像がコールドとして分類される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
追加の実炎症スコアの値が、特徴空間のプロットの第1の軸上で所定の値以上であり、追加の腫瘍浸潤スコアの値が、特徴空間のプロットの第2の軸上で所定の値未満である場合、追加の組織学画像が排除型として分類される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
追加の実炎症スコアの値が、特徴空間のプロットの第1の軸上で所定の値以上であり、追加の腫瘍浸潤スコアの値が、特徴空間のプロットの第2の軸上で所定の値よりも大きい場合、追加の組織学画像が炎症型として分類される、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
メモリー;および
メモリーに連結されたプロセッサー
を含むシステムであって、
プロセッサーが、
複数の患者における腫瘍試料の複数の組織学画像を受け取り;
複数の組織学画像の画像解析を行って、複数の組織学画像のそれぞれにおいて腫瘍実質および間質におけるCD8+ T細胞の存在量を得て;
腫瘍実質および間質におけるCD8+ T細胞の存在量の極座標変換に基づいて実炎症スコアおよび腫瘍浸潤スコアを決定し;
実炎症スコアおよび腫瘍浸潤スコアに基づいて特徴空間を生成し;
実炎症スコア、腫瘍浸潤スコア、および患者応答データに基づいて、特徴空間における複数の分類の間の線形境界または線形カットオフを同定し;
特徴空間、および線形境界または線形カットオフに関するデータをメモリーに格納する
ように構成される、システム。
【請求項15】
複数の組織学画像の画像解析を行うことが、人工ニューラルネットワークを複数の組織学画像に適用することを含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
CD8+ T細胞の存在量が、複数の組織学画像のそれぞれに存在するT細胞の総数に対する間質CD8+ T細胞のパーセンテージと実質CD8+ T細胞のパーセンテージとの間の関係のグラフ表示を介して表示される、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
プロセッサーが、
ある特定の患者に対応する追加の組織学画像である、追加の組織学画像を受け取り;
追加の組織学画像の追加の画像解析を行って、追加の組織学画像において腫瘍実質および間質における追加のCD8+ T細胞の存在量を得て;
追加の組織学画像において腫瘍実質および間質における追加のCD8+ T細胞の存在量の極座標変換に基づいて追加の実炎症スコアおよび追加の腫瘍浸潤スコアを決定し;
特徴空間における複数の分類を使用して、追加の実炎症スコアの値および追加の腫瘍浸潤スコアの値をマッピングすることによって、追加の組織学画像の分類を決定する
ようにさらに構成される、請求項14に記載のシステム。
【請求項18】
追加の組織学画像の分類が、炎症型、コールド、または排除型を含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
追加の実炎症スコアの値が、特徴空間のプロットの第1の軸上で所定の値未満である場合、追加の組織学画像がコールドとして分類される、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
追加の実炎症スコアの値が、特徴空間のプロットの第1の軸上で所定の値以上であり、追加の腫瘍浸潤スコアの値が、特徴空間のプロットの第2の軸上で所定の値未満である場合、追加の組織学画像が排除型として分類される、請求項18に記載のシステム。
【請求項21】
追加の実炎症スコアの値が、特徴空間のプロットの第1の軸上で所定の値以上であり、追加の腫瘍浸潤スコアの値が、特徴空間のプロットの第2の軸上で所定の値よりも大きい場合、追加の組織学画像が炎症型として分類される、請求項18に記載のシステム。
【請求項22】
患者応答データが、複数の患者において各患者が処置または療法に応答するか否かを示す後ろ向き臨床応答データを含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項23】
特徴空間における複数の分類の間の線形境界または線形カットオフを同定することが、
特徴空間における実炎症スコアおよび腫瘍浸潤スコアを反復的に適合させること、ならびに患者応答データを使用して、複数の分類の間の線形境界または線形カットオフを同定すること
をさらに含む、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
命令が記憶された非一時的コンピューター可読媒体であって、デバイスの1つまたは複数のプロセッサーによるその命令の実行により、1つまたは複数のプロセッサーに、
複数の患者における腫瘍試料の複数の組織学画像を受け取ること;
複数の組織学画像の画像解析を行って、複数の組織学画像のそれぞれにおいて腫瘍実質および間質におけるCD8+ T細胞の存在量を得ること;
少なくとも1つのプロセッサーによって、腫瘍実質および間質におけるCD8+ T細胞の存在量の極座標変換に基づいて実炎症スコアおよび腫瘍浸潤スコアを決定すること;
実炎症スコアおよび腫瘍浸潤スコアに基づいて特徴空間を生成すること;ならびに
実炎症スコア、腫瘍浸潤スコア、および患者応答データに基づいて、特徴空間における複数の分類の間の線形境界または線形カットオフを同定すること
を含む動作を実行させる、非一時的コンピューター可読媒体。
【請求項25】
複数の組織学画像の画像解析を行うことが、人工ニューラルネットワークを複数の組織学画像に適用することを含む、請求項24に記載の非一時的コンピューター可読媒体。
【請求項26】
患者応答データが、複数の患者において各患者が処置または療法に応答するか否かを示す後ろ向き臨床応答データを含む、請求項24に記載の非一時的コンピューター可読媒体。
【請求項27】
特徴空間における複数の分類の間の線形境界または線形カットオフを同定することが、
特徴空間における実炎症スコアおよび腫瘍浸潤スコアを反復的に適合させること、ならびに患者応答データを使用して、複数の分類の間の線形境界または線形カットオフを同定すること
をさらに含む、請求項26に記載の非一時的コンピューター可読媒体。
【請求項28】
CD8+ T細胞の存在量が、複数の組織学画像のそれぞれに存在するT細胞の総数に対する間質CD8+ T細胞のパーセンテージと実質CD8+ T細胞のパーセンテージとの間の関係のグラフ表示を介して表示される、請求項24に記載の非一時的コンピューター可読媒体。
【請求項29】
動作が、
ある特定の患者に対応する追加の組織学画像である、追加の組織学画像を受け取ること;
追加の組織学画像の追加の画像解析を行って、追加の組織学画像において腫瘍実質および間質における追加のCD8+ T細胞の存在量を得ること;
追加の組織学画像において腫瘍実質および間質における追加のCD8+ T細胞の存在量の極座標変換に基づいて追加の実炎症スコアおよび追加の腫瘍浸潤スコアを決定すること;ならびに
特徴空間における複数の分類を使用して、追加の実炎症スコアの値および追加の腫瘍浸潤スコアの値をマッピングすることによって、追加の組織学画像の分類を決定すること
をさらに含む、請求項24に記載の非一時的コンピューター可読媒体。
【請求項30】
追加の組織学画像の分類が、炎症型、コールド、または排除型を含む、請求項29に記載の非一時的コンピューター可読媒体。
【請求項31】
追加の実炎症スコアの値が、特徴空間のプロットの第1の軸上で所定の値未満である場合、追加の組織学画像がコールドとして分類される、請求項30に記載の非一時的コンピューター可読媒体。
【請求項32】
追加の実炎症スコアの値が、特徴空間のプロットの第1の軸上で所定の値以上であり、追加の腫瘍浸潤スコアの値が、特徴空間のプロットの第2の軸上で所定の値未満である場合、追加の組織学画像が排除型として分類される、請求項30に記載の非一時的コンピューター可読媒体。
【請求項33】
追加の実炎症スコアの値が、特徴空間のプロットの第1の軸上で所定の値以上であり、追加の腫瘍浸潤スコアの値が、特徴空間のプロットの第2の軸上で所定の値よりも大きい場合、追加の組織学画像が炎症型として分類される、請求項30に記載の非一時的コンピューター可読媒体。
【請求項34】
コンピューティングデバイスの少なくとも1つのプロセッサーによって、複数の患者における腫瘍試料の複数の組織学画像を受け取ること;
少なくとも1つのプロセッサーによって、複数の組織学画像の画像解析を行って、複数の組織学画像のそれぞれにおいてバイオマーカーに関する情報を得ること;
少なくとも1つのプロセッサーによって、腫瘍実質および間質におけるCD8+ T細胞の存在量の極座標変換に基づいて実炎症スコアおよび腫瘍浸潤スコアを決定すること;
少なくとも1つのプロセッサーによって、実炎症スコアおよび腫瘍浸潤スコアに基づいて特徴空間を生成すること;ならびに
少なくとも1つのプロセッサーによって、実炎症スコア、腫瘍浸潤スコア、および患者応答データに基づいて、特徴空間における複数の分類の間の線形境界または線形カットオフを同定すること
を含む方法。
【請求項35】
コンピューティングデバイスの少なくとも1つのプロセッサーによって、複数の分類された組織学画像のそれぞれについて間質CD8+ T細胞パラメーターおよび実質CD8+ T細胞パラメーターを含む情報を受け取ること;
少なくとも1つのプロセッサーによって、複数の組織学画像のそれぞれについて腫瘍実質および間質におけるCD8+ T細胞の存在量を得ること;
少なくとも1つのプロセッサーによって、腫瘍実質および間質におけるCD8+ T細胞の存在量の極座標変換に基づいて実炎症スコアおよび腫瘍浸潤スコアを決定すること;
少なくとも1つのプロセッサーによって、実炎症スコアおよび腫瘍浸潤スコアに基づいて特徴空間を生成すること;ならびに
少なくとも1つのプロセッサーによって、実炎症スコア、腫瘍浸潤スコア、および患者応答データに基づいて、特徴空間における複数の分類の間の線形境界または線形カットオフを同定すること
を含む方法。
【請求項36】
少なくとも1つのプロセッサーによって、ある特定の患者に対応する追加の組織学画像である、追加の組織学画像について間質CD8+ T細胞パラメーターおよび実質CD8+ T細胞パラメーターを含む情報を受け取ること、
少なくとも1つのプロセッサーによって、新たな組織学画像について腫瘍実質および間質におけるCD8+ T細胞の存在量を得ること、ならびに
少なくとも1つのプロセッサーによって、新たな組織学画像についてのCD8+ T細胞の存在量を特徴空間における境界と比較することによって、新たな組織学画像の分類を同定すること
をさらに含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
新たな組織学画像の分類に基づいて、特定の患者の疾患状態を決定すること
をさらに含む、請求項9および36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
新たな組織学画像の分類に基づいて、所与の処置に対する特定の患者の応答の尤度を決定することをさらに含む、請求項9および36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
新たな組織学画像の分類に基づいて、所与の処置に対する特定の患者の応答を決定すること
をさらに含む、請求項9および36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
新たな組織学画像の分類に基づいて、特定の患者に対して特定の処置を推奨すること
をさらに含む、請求項9および36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
新たな組織学画像の分類に基づいて、特定の患者の疾患状態を決定すること
をさらに含む、請求項1~8、34および35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
新たな組織学画像の分類に基づいて、所与の処置に対する特定の患者の応答の尤度を決定すること
をさらに含む、請求項1~8、34および35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
新たな組織学画像の分類に基づいて、所与の処置に対する特定の患者の応答を決定すること
をさらに含む、請求項1~8、34および35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
新たな組織学画像の分類に基づいて、特定の患者に対して特定の処置を推奨すること
をさらに含む、請求項1~8、34および35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
プロセッサーが、
新たな組織学画像の分類に基づいて、特定の患者の疾患状態を決定する
ようにさらに構成される、請求項17に記載のシステム。
【請求項46】
プロセッサーが、
新たな組織学画像の分類に基づいて、特定の患者の疾患状態を決定する
ようにさらに構成される、請求項14~16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項47】
プロセッサーが、
新たな組織学画像の分類に基づいて、所与の処置に対する特定の患者の応答の尤度を決定する
ようにさらに構成される、請求項17に記載のシステム。
【請求項48】
プロセッサーが、
新たな組織学画像の分類に基づいて、所与の処置に対する特定の患者の応答の尤度を決定する
ようにさらに構成される、請求項14~16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項49】
プロセッサーが、
新たな組織学画像の分類に基づいて、所与の処置に対する特定の患者の応答を決定する
ようにさらに構成される、請求項17に記載のシステム。
【請求項50】
プロセッサーが、
新たな組織学画像の分類に基づいて、所与の処置に対する特定の患者の応答を決定する
ようにさらに構成される、請求項14~16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項51】
プロセッサーが、
新たな組織学画像の分類に基づいて、特定の患者に対して特定の処置を推奨する
ようにさらに構成される、請求項17に記載のシステム。
【請求項52】
プロセッサーが、
新たな組織学画像の分類に基づいて、特定の患者に対して特定の処置を推奨する
ようにさらに構成される、請求項14~16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項53】
動作が、
追加の組織学画像の分類に基づいて、特定の患者の疾患状態を決定すること
をさらに含む、請求項29に記載の非一時的コンピューター可読媒体。
【請求項54】
動作が、
新たな組織学画像の分類に基づいて、特定の患者の疾患状態を決定すること
をさらに含む、請求項25~28のいずれか一項に記載の非一時的コンピューター可読媒体。
【請求項55】
動作が、
追加の組織学画像の分類に基づいて、所与の処置に対する特定の患者の応答の尤度を決定すること
をさらに含む、請求項29に記載の非一時的コンピューター可読媒体。
【請求項56】
動作が、
新たな組織学画像の分類に基づいて、所与の処置に対する特定の患者の応答の尤度を決定すること
をさらに含む、請求項25~28のいずれか一項に記載の非一時的コンピューター可読媒体。
【請求項57】
動作が、
追加の組織学画像の分類に基づいて、所与の処置に対する特定の患者の応答を決定すること
をさらに含む、請求項29に記載の非一時的コンピューター可読媒体。
【請求項58】
動作が、
新たな組織学画像の分類に基づいて、所与の処置に対する特定の患者の応答を決定すること
をさらに含む、請求項25~28のいずれか一項に記載の非一時的コンピューター可読媒体。
【請求項59】
動作が、
追加の組織学画像の分類に基づいて、特定の患者に対して特定の処置を推奨すること
をさらに含む、請求項29に記載の非一時的コンピューター可読媒体。
【請求項60】
動作が、
新たな組織学画像の分類に基づいて、特定の患者に対して特定の処置を推奨すること
をさらに含む、請求項25~28のいずれか一項に記載の非一時的コンピューター可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以前に出願された出願の相互参照
本PCT出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2021年2月25日に出願された米国仮出願第63/153,723号の優先権の利益を主張する。
【0002】
本開示の諸実施形態は、線形カットオフおよび患者応答に基づくモデルを使用する、組織に基づくバイオマーカーのトポロジーの定量化、分類、および評価のための方法およびデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
バイオマーカーを使用して、体内の生体プロセスを同定および評価することができる。バイオマーカーは、適正な処置(例えば、医学的、薬学的など)が所与の患者に提供され得るように、さまざまなタイプの処置に対する特定の患者のアウトカムの尤度を評価するためにますます使用されている。いくつかのバイオマーカーは、例えば、がん性細胞または腫瘍、線維症、胃腸障害、心疾患などの存在に対する免疫系応答として生成される。
【0004】
そのようなバイオマーカーの一例は、CD8である。CD8は、細胞傷害性Tリンパ球において発現され得る膜貫通性糖タンパク質である。CD8+腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の数を測定することは、がんに対する免疫応答を評価して、所与の患者がさまざまながん免疫療法に応答性であるか、または応答性であると考えられるかを決定するための信頼性のあるマーカーであり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書に提示される諸実施形態では、さまざまながんについて、数多くの臨床試料および市販試料におけるバイオマーカーのトポロジーの分類のための炎症および腫瘍浸潤スコアならびに患者応答を利用するための方法およびシステムを記載する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態では、CD8腫瘍トポロジーの分類のためのコンピューター実装方法を記載する。本方法は、複数の患者における腫瘍試料の複数の組織学画像を受け取ること、複数の組織学画像の画像解析を行って、複数の組織学画像のそれぞれにおいて腫瘍実質および間質におけるCD8+ T細胞の存在量を得ること、少なくとも1つのプロセッサーによって、腫瘍実質および間質におけるCD8+ T細胞の存在量の極座標変換に基づいて実炎症スコアおよび腫瘍浸潤スコアを決定すること、実炎症スコアおよび腫瘍浸潤スコアに基づいて特徴空間を生成すること、ならびに実炎症スコア、腫瘍浸潤スコア、および患者応答データに基づいて、特徴空間における複数の分類の間の線形境界または線形カットオフを同定することを含む。
【0007】
別の実施形態は、CD8腫瘍トポロジーの分類のためのシステムを含む。このシステムは、メモリー、およびメモリーに連結されたプロセッサーを含み得る。一実施形態では、プロセッサーは、複数の患者における腫瘍試料の複数の組織学画像を受け取り、複数の組織学画像の画像解析を行って、複数の組織学画像のそれぞれにおいて腫瘍実質および間質におけるCD8+ T細胞の存在量を得て、腫瘍実質および間質におけるCD8+ T細胞の存在量の極座標変換に基づいて実炎症スコアおよび腫瘍浸潤スコアを決定し、実炎症スコアおよび腫瘍浸潤スコアに基づいて特徴空間を生成し、実炎症スコア、腫瘍浸潤スコア、および患者応答データに基づいて、特徴空間における複数の分類の間の線形境界または線形カットオフを同定し、ならびに特徴空間、および線形境界または線形カットオフに関するデータをメモリーに格納するように構成される。
【0008】
さらなる一実施形態は、命令が記憶された非一時的なコンピューター可読媒体であって、デバイスの1つまたは複数のプロセッサーによるその命令の実行により、1つまたは複数のプロセッサーに動作を実行させる、非一時的なコンピューター可読媒体を含む。一実施形態では、動作は、複数の患者における腫瘍試料の複数の組織学画像を受け取ること、複数の組織学画像の画像解析を行って、複数の組織学画像のそれぞれにおいて腫瘍実質および間質におけるCD8+ T細胞の存在量を得ること、少なくとも1つのプロセッサーによって、腫瘍実質および間質におけるCD8+ T細胞の存在量の極座標変換に基づいて実炎症スコアおよび腫瘍浸潤スコアを決定すること、実炎症スコアおよび腫瘍浸潤スコアに基づいて特徴空間を生成すること、ならびに実炎症スコア、腫瘍浸潤スコア、および患者応答データに基づいて、特徴空間における複数の分類の間の線形境界または線形カットオフを同定することを含む。
【0009】
さらなる一実施形態は、バイオマーカーのトポロジーの分類のためのコンピューター実装方法を含み、記載する。本方法は、複数の患者における腫瘍試料の複数の組織学画像を受け取ること、複数の組織学画像の画像解析を行って、複数の組織学画像のそれぞれにおいてバイオマーカーに関する情報を得ること、腫瘍実質および間質におけるCD8+ T細胞の存在量の極座標変換に基づいて実炎症スコアおよび腫瘍浸潤スコアを決定すること、実炎症スコアおよび腫瘍浸潤スコアに基づいて特徴空間を生成すること、ならびに実炎症スコア、腫瘍浸潤スコア、および患者応答データに基づいて、特徴空間における複数の分類の間の線形境界または線形カットオフを同定することを含む。
【0010】
さらなる実施形態は、コンピューティングデバイスの少なくとも1つのプロセッサーによって、複数の分類された組織学画像のそれぞれについて間質CD8+ T細胞パラメーターおよび実質CD8+ T細胞パラメーターを含む情報を受け取ること、少なくとも1つのプロセッサーによって、複数の組織学画像のそれぞれについて腫瘍実質および間質におけるCD8+ T細胞の存在量を得ること、少なくとも1つのプロセッサーによって、腫瘍実質および間質におけるCD8+ T細胞の存在量の極座標変換に基づいて実炎症スコアおよび腫瘍浸潤スコアを決定すること、実炎症スコアおよび腫瘍浸潤スコアに基づいて特徴空間を生成すること、少なくとも1つのプロセッサーによって、実炎症スコア、腫瘍浸潤スコア、および患者応答データに基づいて、特徴空間における複数の分類の間の線形境界または線形カットオフを同定することを含む方法を含む。
【0011】
さまざまな実施形態のさらなる特徴および利点、ならびに構造および動作を、添付の図面を参照して以下に詳細に記載する。本明細書に記載される具体的な実施形態は、限定を意図するものではないことに留意されたい。そのような実施形態は、本明細書では、説明の目的のためにのみ提示される。そのほかの実施形態は、本明細書に含まれる教示に基づいて、関連技術の当業者には明らかであろう。
【0012】
本明細書に組み込まれて本明細書の一部を形成する添付の図面は、本開示の諸実施形態を図示し、説明とともに、本開示の原理を説明し、関連技術の当業者が本開示を作成および使用することを可能にするために、さらに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、例示的な実施形態による、免疫染色によって得られたCD8+組織学的画像を使用した、さまざまな分類を有する腫瘍組織試料の例示的な画像を図示する。
図2図2は、例示的な実施形態による、腫瘍トポロジー分類のための患者応答モデルを使用する画像解析のための方法を図示する例示的なダイアグラムである。
図3図3は、例示的な実施形態による、画像解析および患者応答に基づく線形カットオフアプローチを使用する腫瘍トポロジーの分類のための方法を図示する別の例示的なダイアグラムである。
図4図4は、例示的な実施形態による、CD8腫瘍トポロジーの分類のためのプロセスを図示するフローチャートである。
図5図5は、例示的な実施形態による、患者応答モデルおよび線形カットオフアプローチを適用することによって得られた特徴空間を使用して、組織学画像のCD8腫瘍トポロジーを分類するためのプロセスを図示するフローチャートである。
図6図6は、例示的な実施形態によるデバイスの例示的な構成要素のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
添付図面を参照して、本開示の諸実施形態を説明する。
【0015】
以下の詳細な説明は、添付の図面を参照して、本開示と一致する例示的な実施形態を説明する。この詳細な説明は、本開示の一般的な性質を十分に明らかにするものであるため、他の者は、関連技術の当業者の知識を適用することによって、過度の実験を行うことなく、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、そのような例示的な実施形態をさまざまな用途に容易に修正および/または適応させることができる。このため、そのような適応および修正は、本明細書に提示される教示およびガイダンスに基づく例示的な実施形態の意味および複数の同等物の範囲内にあることを意図している。本明細書中の用語または専門用語は、説明の目的のためのものであって、限定の目的のためのものではなく、したがって、本明細書の専門用語または用語は、本明細書の教示に照らして、関連技術の当業者によって解釈されるべきであることが理解されるべきである。
定義
【0016】
本開示がより容易に理解され得るようにするために、いくつかの特定の用語についてまず定義する。本出願で使用される場合、本明細書中に別段の明示的な規定がない限り、以下の用語のそれぞれは、以下に記載される意味を有するものとする。そのほかの定義は、本出願の全体にわたって記載される。
【0017】
本明細書中で「含む」という言葉を使用して態様が記載される場合は常に、「からなる」および/または「から本質的になる」の用語で記載される、他の点では類似の態様も提供されることが理解される。
【0018】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が関係する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。例えば、Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology, Juo, Pei-Show, 2nd ed., 2002, CRC Press、The Dictionary of Cell and Molecular Biology, 3rd ed., 1999, Academic Press、およびthe Oxford Dictionary Of Biochemistry And Molecular Biology, Revised, 2000, Oxford University Pressは、当業者に、本開示で使用される用語の多くについての一般的な辞書を与える。
【0019】
単位、接頭辞、および記号は、国際単位系(SI)で認められた形式で表記される。数値範囲は、範囲を定義する数値を含む。値の範囲が挙げられている場合、その範囲の挙げられた上限と下限との間の各介在整数値、およびその各分数も、そのような値の間の各部分範囲とともに具体的に開示されていると理解されるべきである。任意の範囲の上限および下限は、独立して、その範囲に含めることも、または範囲から除外することもでき、いずれか、いずれも含まない、または両方の限界が含まれる各範囲もまた、本開示の範囲内に包含される。したがって、本明細書に挙げられた範囲は、挙げられた終点を含む、範囲内のすべての値の省略形であると理解される。例えば、1~10の範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10からなる群からの任意の数、数の組合せ、または部分範囲を含むと理解される。
【0020】
値が明示的に挙げられている場合、挙げられた値とほぼ同じ数量または量である値も、本開示の範囲内にあることが理解されるべきである。組合せが開示される場合、その組合せの要素の各部分組合せも具体的に開示されており、本開示の範囲内にある。その反対に、異なる要素または要素の群が個別に開示される場合、それらの組合せも開示されている。開示の任意の要素が複数の選択肢を有するものとして開示される場合、各選択肢が単独で、または他の選択肢との任意の組合せで除外されるその開示の例もまた、本明細書によって開示される。開示の複数の要素がそのような除外を有することができ、そのような除外を有する要素のすべての組合せが本明細書によって開示される。
【0021】
「がん」は、体内の異常細胞の制御不能な増殖によって特徴付けられるさまざまな疾患の広範なグループを指す。制御不能な細胞分裂および増殖は、近傍組織に浸潤して、リンパ系または血流を介して体の遠隔部位に転移することもできる悪性腫瘍の形成をもたらす。
【0022】
「免疫療法」という用語は、免疫応答を誘導すること、増強すること、抑制すること、またはその他の方法で改変することを含む方法によって、疾患に罹患しているか、または疾患に罹病するリスクがあるか、または疾患の再発を患っている対象の処置を指す。対象の「処置」または「療法」は、症状、合併症もしくは状態、または疾患に関連する生化学的徴候の発現、進行、発症、症状の重症度もしくは再発を逆転させること、軽減すること、改善すること、阻害すること、遅延させること、または予防することを目的として、対象に対して行われる任意の種類の介入もしくはプロセス、または対象への活性剤の投与を指す。
【0023】
「対象」は、任意のヒトまたは非ヒト動物を含む。「非ヒト動物」という用語は、脊椎動物、例えば、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、および齧歯類、例えば、マウス、ラットおよびモルモットを含むが、これらに限定されない。好ましい態様では、対象はヒトである。「対象」および「患者」という用語は、本明細書において互換的に使用される。
【0024】
本明細書で使用される「生物試料」という用語は、対象から単離された生体物質を指す。生物試料は、例えば、腫瘍(または循環性腫瘍細胞)中の核酸のシークエンシングを行い、シークエンシングされた核酸におけるゲノム変化を同定することによって、標的遺伝子発現を判定するのに好適な任意の生体物質を含有し得る。生物試料は、任意の適切な生物組織または流体、例えば、腫瘍組織、血液、血漿、および血清であり得る。一態様では、試料は腫瘍試料である。一部の態様では、腫瘍試料は、腫瘍組織生検試料、例えば、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)腫瘍組織または新鮮凍結腫瘍組織などから得ることができる。別の態様では、生物試料は液体生検試料であり、これは一部の態様では、血液、血清、血漿、循環性腫瘍細胞、exoRNA、ctDNA、およびcfDNAの1つまたは複数を含む。
【0025】
本明細書で使用される「腫瘍試料」は、腫瘍組織を含む生物試料を指す。一部の態様では、腫瘍試料は、腫瘍生検試料である。一部の態様では、腫瘍試料は、腫瘍微小環境(TME)に存在する腫瘍細胞および1つまたは複数の非腫瘍細胞を含む。本開示の目的において、TMEは、少なくとも2つの領域から構成される。腫瘍「実質」は、主に腫瘍細胞を含むTMEの領域、例えば、腫瘍細胞の大部分を含むTMEの一部である。腫瘍実質は、必ずしも腫瘍細胞のみからなる必要はなく、そうではなくて他の細胞、例えば、間質細胞および/またはリンパ球も実質中に存在し得る。TMEの「間質」領域は、隣接する非腫瘍細胞を含む。一部の態様では、腫瘍試料は、腫瘍実質のすべてまたは一部、および間質の1つまたは複数の細胞を含む。一部の態様では、腫瘍試料は、実質から得られる。一部の態様では、腫瘍試料は、間質から得られる。他の態様において、腫瘍試料は、実質および間質から得られる。
【0026】
一部の態様では、TMEを、免疫砂漠型(desert)、免疫排除型(excluded)、免疫炎症型(inflamed)、または免疫均衡型(balanced)として分類することができる。「免疫砂漠型」という用語は、T細胞がTMEにごくわずかしか、または全く存在しないことを示す。一部の実施形態では、免疫砂漠型分類は、本明細書中で「砂漠型」または「コールド」と称することができる。「免疫排除型」という用語は、T細胞が腫瘍実質の効率的な浸潤なしに、腫瘍間質に蓄積していることを示す。一部の実施形態では、免疫排除型分類は、本明細書において「間質型」と称することができる。「免疫炎症型」という用語は、T細胞が腫瘍実質に浸潤していることを示す。一部の実施形態では、免疫炎症型分類は、本明細書において「実質性」と称することができる。「免疫均衡型」という用語は、排除型と炎症型との間の中間の分類レベルを示し、この場合には、腫瘍間質中に蓄積したT細胞および腫瘍実質中に蓄積したT細胞の数は同程度であり得る。
【0027】
代替選択肢(例えば、「または」)の使用は、代替選択肢の一方、両方、またはそれらの任意の組合せのいずれかを意味すると理解されるべきである。本明細書で使用される場合、不定冠詞「1つの(a)」または「1つの(an)」は、挙げられるかまたは列挙される任意の構成要素のうちの「1つまたは複数」を指すと理解されるべきである。
【0028】
「約」または「本質的に含む」という用語は、当業者によって決定される特定の値または組成の許容誤差範囲内にある値または組成を指し、これは、値または組成がどのように測定または決定されるか、すなわち、測定システムの限界に部分的に依存すると考えられる。例えば、「約」または「本質的に含む」は、当技術分野の慣行に従って1または1を上回る標準偏差以内を意味することもできる。あるいは、「約」または「本質的に含む」は、10%までの範囲を意味することができる。さらに、特に生体システムまたはプロセスに関して、この用語は、値の最大1桁または最大5倍を意味することができる。特定の値または組成が本出願および特許請求の範囲に提供される場合、別段の記載がない限り、「約」または「本質的に含む」の意味は、その特定の値または組成の許容誤差範囲内にあると仮定されるべきである。
【0029】
本明細書に記載される場合、任意の濃度の範囲、パーセンテージの範囲、比の範囲または整数の範囲は、別段の指示がない限り、挙げられた範囲内の任意の整数の値、および適切な場合には、その分数(整数の10分の1および100分の1など)を含むと理解されるべきである。
【0030】
本開示のさまざまな態様が、以下のサブセクションでさらに詳細に記載される。
CD8トポロジーの患者応答に基づく分類の例示的な研究
【0031】
ここでは、免疫染色によって得られたCD8スライドおよび組織学画像の線形カットオフおよび画像解析を使用する、複数の腫瘍生検試料および切除試料におけるCD8トポロジーの患者応答に基づく分類のための方法が記載される。CD8+ T細胞の存在量およびCD8トポロジーの同定は、空間的CD8+細胞パターンに基づいて固形腫瘍における患者アウトカムを層別化するために特に有用であり得る。さまざまな臨床状況におけるCD8トポロジーの役割の理解は、患者に対するより個別化された処置選択肢を可能にし得る。一部の実施形態では、これらの複雑なパターンの人手による解釈は、かなりのレビュアー間変動にさらされるため、そのような研究を再現可能な方法で実施することは困難であり得る。しかし、後ろ向き臨床データおよび患者応答に基づくアプローチを使用する線形カットオフの最適化は、生物学的に意味があり、再現可能であり、スケーラブルな方法でCD8トポロジーを定量化するために有用であり得る。特に、特徴空間および患者応答に基づく方法のための線形カットオフ最適化は、さまざまながんについて、数多くの臨床的および市販のCD8組織学スライドにおけるCD8トポロジーを評価するために利用することができる。
【0032】
本明細書における例は、CD8に関連して記載されるが、本明細書に記載される方法を、さらなる腫瘍またはがん性細胞を検出する目的で、ための他の抗原およびバイオマーカーのトポロジーを同定および分類するために利用することもできる。バイオマーカーとしては、PD-L1、PD-1、LAG3、CLTA-4、TIGIT、TIM3、NKG2a、CSF1R、OX40、ICOS、MICA、MICB、CD137、KIR、TGFβ、IL-10、IL-8、B7-H4、Fasリガンド、CXCR4、メソテリン、CD27、GITR、およびそれらの任意の組合せが挙げられるが、これらに限定されない。マーカーにはまた、染色抗体を用いずに形態学的に同定されるもの、例えば、リンパ球、線維芽細胞、マクロファージ、好中球、好酸球、またはそれらの任意の組合せが含まれ得る。同様に、本明細書に記載される例は、腫瘍に関連して記載されているが、本明細書に記載される患者応答に基づく方法を、種々の治療用途における、例えば、線維症、心臓、胃腸、ならびに他の腫瘍学的および非腫瘍学的な治療分野における、他の組織型に適用することもできる。
カットオフ最適化および患者応答に基づく腫瘍トポロジーの評価の例示的な実施形態
【0033】
CD8+ T細胞の浸潤を特徴とする腫瘍微小環境(TME)の炎症は、複数の腫瘍タイプにわたって臨床アウトカムの改善と関連している。CD8+ T細胞の実質浸潤は、免疫オンコロジー(I-O)処置による生存率の改善と関連付けられており、腫瘍内局在も同じくアウトカムに影響を及ぼすことから、TME内のCD8+ T細胞の空間的解析の重要性が強く示されている。組織学画像の免疫染色によって評価される腫瘍内のCD8+ T細胞パターンはさまざまであり、以下のように分類され得る:(i)免疫砂漠型(ごくわずかなT細胞浸潤)、(ii)免疫排除型(T細胞が腫瘍間質または浸潤縁に限局)、または(iii)免疫炎症型(T細胞が腫瘍実質に浸潤し、腫瘍細胞に近接して位置する)。人工知能(AI)ベースの画像解析を使用して、TMEにおける腫瘍実質および間質の区画を特徴付けることができる。
【0034】
図1は、例示的な実施形態による、免疫染色によって得られたCD8+組織学画像を使用した、さまざまな分類を有する腫瘍組織試料の例示的な画像を図示する。腫瘍画像は、TME内のCD8+ T細胞パターンのさまざまな分類を示す。図1の上の列の画像は、免疫砂漠型および免疫排除型の分類を示し、図1の下の列の画像は、免疫炎症型分類を示す。
【0035】
免疫砂漠型分類は、T細胞がTMEにごくわずかしか、または全く存在しないことを示す。一部の実施形態では、免疫砂漠型分類は、本明細書において「砂漠型」または「コールド」と称することができる。免疫排除型分類は、T細胞が腫瘍実質の効率的な浸潤なしに腫瘍間質に蓄積していることを示す。一部の実施形態では、免疫排除型分類は、本明細書において「間質型」と称することができる。免疫炎症型分類は、T細胞が腫瘍実質に浸潤していることを示す。一部の実施形態では、免疫炎症型分類は、本明細書において「実質性」と称することができる。
【0036】
一部の実施形態では、TME内を移動するT細胞の進行に応じて、免疫排除型および免疫炎症型の分類の内部で、異なるレベル(例えば、第1および第2の排除型レベル、第1、第2および第3の炎症型レベルなど)が存在し得る。一部の実施形態では、第3の炎症型レベルは、第1の炎症型レベルで実質に浸潤するT細胞の数よりも、実質に浸潤するT細胞の数が多いことを示し得る。図1には示されていないが、排除型と炎症型との間に、本明細書で「均衡型」と称される中間の分類が存在し得る。「均衡型」という用語は、排除型と炎症型との間の中間の分類レベルを示し、この場合には、腫瘍間質中に蓄積したT細胞および腫瘍実質中に蓄積したT細胞の数は同程度であり得る。
【0037】
一部の実施形態では、免疫染色によって得られる組織学画像における腫瘍試料は、組織生検によって、および/または腫瘍組織の切除によって得ることができる。一部の実施形態では、腫瘍試料は、腫瘍組織生検試料である。一部の実施形態では、腫瘍試料は、ホルマリン固定パラフィン包埋腫瘍組織または新鮮凍結腫瘍組織である。一部の実施形態では、腫瘍試料は、腫瘍の間質から得られる。一部の実施形態では、免疫染色によって得られる組織学画像は、本明細書において、組織学画像と称され得る。
【0038】
一部の実施形態では、CD8トポロジー法は標準化されず、その結果、組織学画像を審査する異なる病理医の間でレビュアー間変動が生じる可能性がある。組織学画像からのCD8トポロジーの解釈は、さまざまな因子、例えば、異なる腫瘍タイプ、生検または試料採取による限定された腫瘍構造、腫瘍試料内の炎症の不均一性などが交絡因子となり得る。
【0039】
当技術分野におけるこれらの問題に対処するために、本明細書に記載される実施形態は、患者における腫瘍組織のCD8トポロジーの審査および評価を容易にするために、画像解析および患者応答に基づく技術を使用する標準化されたスケーラブルなアプローチを提供する解決策を提示する。
【0040】
図2は、例示的な実施形態による、腫瘍トポロジー分類のための画像解析および患者応答に基づくアプローチの方法を図示する例示的なダイアグラムである。特に、図2は、画像解析、極座標変換、および患者応答に基づくモデルの適用を含む、方法の3つの異なる段階を示す。画像解析のために使用される画像は、免疫染色によって得られた組織学画像を含むことができ、この組織学画像は、複数の患者についてTME内のCD8+ T細胞パターンを示す。これらの画像は、訓練された位相幾何学者によって、さまざまなカテゴリーに分類されるようにラベル付けされていてもよい。一部の実施形態では、分類カテゴリーは、「砂漠型」、「排除型」、および「間質型」である。一部の実施形態では、分類カテゴリーは、「均衡型」を含む。一部の実施形態では、分類カテゴリー「砂漠型」を、本明細書中で「コールド」と称することができ、分類カテゴリー「間質型」を、本明細書中で「炎症型」と称することができる。
【0041】
第1の段階では、組織学画像を処理して、各組織学画像から情報を抽出する。一部の実施形態では、画像パラメーターは既知であり、画像解析プロセスは、さらなる解析のためにパラメーターのサブセットを選択する。そのようなパラメーターには、例えば、各画像における間質CD8+ T細胞の数、実質CD8+ T細胞の数、およびすべてのCD8+ T細胞の数が含まれ得る。他のパラメーターには、各画像における間質CD8+ T細胞の密度および実質CD8+ T細胞の密度を含めることができ、これは、すべてのCD8+ T細胞の総数が不明であるかまたは決定できない場合に特に有用であり得る。
【0042】
一部の実施形態では、画像解析により、各組織学画像において腫瘍実質および間質におけるCD8+ T細胞の存在量を得ることができる。一部の実施形態では、CD8+ T細胞の存在量は、図2の「画像解析読取り」プロットによって示されるように、複数の組織学画像のそれぞれに存在するT細胞の総数に対する間質CD8+ T細胞のパーセンテージと実質CD8+ T細胞のパーセンテージとの間の関係のグラフ表示を介して表示することができる。一部の実施形態では、グラフ表示は、各画像における間質CD8+ T細胞および実質CD8+ T細胞の密度、パーセンテージ、ならびに/または数量を示すことができる。一部の実施形態では、画像解析は、任意の画像認識、処理、および/または解析アルゴリズムを含むことができる。一部の実施形態では、画像解析は、人工ニューラルネットワーク(例えば、畳み込みニューラルネットワーク)を複数の組織学画像に適用することによって行うことができる。
【0043】
第2の段階では、画像解析からの結果に対して極座標変換を行って、画像解析読取りグラフを、極座標を有する極プロットに変換することができる。一部の実施形態では、極座標変換は、画像解析中に導出された特徴の極座標特徴空間への数学的変換を含むことができる。
【0044】
第3の段階では、患者応答モデルを、画像解析の変換結果ならびに腫瘍実質および間質におけるCD8+ T細胞の存在量に適用することができる。一部の実施形態では、患者応答モデルは、極座標変換に基づいて実際の炎症の値(r)および腫瘍浸潤の値(t)を決定するため、ならびに実炎症スコア、腫瘍浸潤スコア、および患者応答データに基づいて、特徴空間における複数の分類の間の線形境界または線形カットオフを同定するための計算を含み得る。
【0045】
一部の実施形態では、実炎症スコア(r)および腫瘍浸潤スコア(t)は、間質CD8+ T細胞のパーセンテージを示すx軸および実質CD8+ T細胞のパーセンテージを示すy軸の極座標変換によって定義される。一部の実施形態では、間質CD8+ T細胞のパーセンテージは、間質におけるCD8+ T細胞の数を間質におけるT細胞の総数によって除算したものを表し、実質CD8+ T細胞のパーセンテージは、実質におけるCD8+ T細胞の数を実質におけるT細胞の総数によって除算したものを表す。一部の実施形態では、CD8トポロジーを分類するための複数の分類は、炎症型、砂漠型/コールド、または排除型を含むことができる。一部の実施形態では、実炎症スコアおよび腫瘍浸潤スコアの値をプロットすることによって特徴空間を生成することができる。一部の実施形態では、特徴空間における複数の分類は、導出された実際の炎症および腫瘍浸潤スコアにわたる線形境界または線形カットオフを同定することによって決定することができる。一部の実施形態では、特徴空間における分類を使用して、組織学画像を、コールド、排除型、または炎症型のケースとして分類することができる。一部の実施形態では、実炎症スコアの値が特徴空間のプロットのX軸上で所定の値未満である場合、組織学画像をコールドのケースとして分類することができる。一部の実施形態では、実炎症スコアの値が特徴空間のプロットのX軸上で所定の値以上であり、腫瘍浸潤スコアの値が特徴空間のプロットのY軸上で所定の値未満である場合、組織学画像を排除型のケースとして分類することができる。一部の実施形態では、実炎症スコアの値が特徴空間のプロットのX軸上で所定の値以上であり、追加の腫瘍浸潤スコアの値が特徴空間のプロットのY軸上で所定の値より大きい場合、組織学画像を炎症型のケースとして分類することができる。
【0046】
実際の炎症および腫瘍浸潤スコアに加えて、患者応答データを使用して、特徴空間における複数の分類の間の線形境界または線形カットオフを同定することもできる。一部の実施形態では、患者応答データは、複数の患者における各患者が、特定の処置または療法に応答しているか、または応答していたかを示す後ろ向き臨床応答データなどの臨床応答データを含むことができる。一部の実施形態では、実際の炎症および腫瘍浸潤についての境界定義値を、患者応答データによって導かれるように、複数の分類の間の線形境界または線形カットオフが最適化されるまで、特徴空間において反復的に適合させることができる。
【0047】
一部の実施形態では、患者の腫瘍に対する免疫療法または処置の推奨を、患者応答モデルから得られた特徴空間を使用して、患者の腫瘍の少なくとも1つの組織学画像に対する分類を決定することに基づいて、生成することができる。
【0048】
図3は、例示的な実施形態による、画像解析および患者応答に基づくアプローチを使用する腫瘍トポロジーの分類のための方法を図示する別の例示的なダイアグラムである。一部の実施形態では、図3は、図2に示される方法の実施形態のためのさらなる詳細を図示する。図3は、腫瘍トポロジー分類のための、患者応答モデルを使用して新しい画像を分類するための4つの段階を図示し、ここで段階には、画像解析、特徴抽出、患者応答モデル、および予測が含まれる。
【0049】
まず、図3-(1)に示すように、画像解析を行って、腫瘍の組織学画像において、CD8陽性細胞、および実質区画と間質区画の区分を同定することができる。一部の実施形態では、画像解析は、ニューラルネットワーク(例えば、畳み込みニューラルネットワーク)を複数の組織学画像に適用して、各画像における腫瘍の異なる部分(例えば、腫瘍上皮、間質、および実質)のCD8+ T細胞を評価することを含み得る。画像解析ツールは、複数の組織学画像における画像のそれぞれについて、複数の異なるパラメーターについて値の同定をもたらし得る。一部の実施形態では、2つのパラメーター(例えば、間質CD8+ T細胞の数および実質CD8+ T細胞の数)を、さらなる解析のために選択することができる。一部の実施形態では、複数の組織学画像について腫瘍実質および間質におけるCD8+ T細胞の存在量を、画像解析から得ることができる。
【0050】
次に、図3-(2)に示すように、画像解析から導出された特徴の数学的変換を適用して、データを極座標特徴空間に変換することによって、特徴抽出を実施することができる。一部の実施形態では、特徴抽出は、間質CD8+ T細胞と実質CD8+ T細胞との間の関係を同定するための画像解析プロセスの一部であり得る。
【0051】
数学的変換の後に、図3-(3)に示すように、患者応答モデルを適用して、実炎症スコア、腫瘍浸潤スコア、および後ろ向き臨床応答データに基づいて、CD8トポロジーを定義するための特徴マップの線形カットオフを決定することができる。一部の実施形態では、患者応答モデルを適用することは、複数の分類(例えば、炎症型、砂漠型/コールド、または排除型)を含む特徴空間を生成することを含み得る。一部の実施形態では、複数の分類に対して線形カットオフまたは線形境界を決定することにより、層別化のための関連する患者集団の適応的な同定を可能にし得る。一部の実施形態では、本明細書に記載される方法は、治療応答を層別化するための最適化を可能にし得る。
【0052】
特徴空間を生成した後に、図3-(4)に示すように、患者応答モデルは、新しい組織学画像内のCD8トポロジーを、炎症型、砂漠型、または排除型として分類することができる。続いて、所与の患者の画像に対するそのような分類を使用して、患者の状態を診断すること、患者の免疫応答を決定すること、および/またはその患者に対する処置選択肢を推奨もしくは除外するのに利用することができる。
【0053】
図4は、例示的な実施形態による、CD8腫瘍トポロジーの分類のためのプロセスを図示するフローチャートである。方法400は、ハードウェア(例えば、回路、専用ロジック、プログラマブルロジック、マイクロコードなど)、ソフトウェア(例えば、処理デバイス上で実行される命令)、またはそれらの組合せを含み得る処理ロジックによって行われ得る。本明細書に提供される開示を遂行するために、すべての動作が必要とされるわけではないことが理解されるべきである。さらに、当業者には理解されるであろうが、動作のいくつかを同時に、または図4に示したのと異なる順序で行うこともできる。
【0054】
動作402では、複数の患者における腫瘍試料の複数の組織学画像を、コンピューティングデバイスの少なくとも1つのプロセッサーによって受け取ることができる。一部の実施形態では、組織学画像は、CD8+免疫染色技術を使用して得られた、複数の患者についてのTME内のCD8+ T細胞パターンを示す腫瘍組織試料を含んでもよい。
【0055】
動作404では、複数の組織学画像の画像解析を行って、複数の組織学画像のそれぞれにおける腫瘍実質および間質におけるCD8+ T細胞の存在量を得ることができる。一部の実施形態では、複数の組織学画像の画像解析を行うことは、人工ニューラルネットワーク(例えば、畳み込みニューラルネットワーク)を複数の組織学画像に適用することを含む。一部の実施形態では、複数の組織学画像の画像解析を行うことは、人工ニューラルネットワーク(例えば、畳み込みニューラルネットワーク)を複数の組織学画像に適用することを含む。一部の実施形態では、腫瘍実質および間質におけるCD8+ T細胞の存在量を、複数の組織学画像のそれぞれに存在するT細胞の総数に対する間質CD8+ T細胞のパーセンテージと実質CD8+ T細胞のパーセンテージとの間の関係のグラフ表示を介して表示することができる。
【0056】
動作406では、実炎症スコアおよび腫瘍浸潤スコアを、腫瘍実質および間質におけるCD8+ T細胞の存在量の極座標変換に基づいて決定することができる。一部の実施形態では、間質CD8+ T細胞と実質CD8+ T細胞との間の関係のグラフ表示に極座標変換を適用することができ、得られた極プロットを使用して、実炎症スコアおよび腫瘍浸潤スコアを決定することができる。
【0057】
動作408では、実炎症スコアおよび腫瘍浸潤スコアに基づいて、特徴空間を生成することができる。
【0058】
動作410では、実炎症スコア、腫瘍浸潤スコア、および患者応答データに基づいて、特徴空間における複数の分類の間の線形境界または線形カットオフを同定することができる。一部の実施形態では、複数の分類には、炎症型、砂漠型、または排除型が含まれる。一部の実施形態では、特徴空間、および特徴空間における複数の分類の間の線形境界または線形カットオフに関するデータは、コンピューティングデバイスまたはコンピューターシステムのメモリーに格納され得る。一部の実施形態では、患者応答データは、複数の患者における各患者が処置または療法に応答しているか、または応答していたかを示す後ろ向き臨床応答データなどの臨床応答データを含む。
【0059】
図5は、例示的な実施形態による、患者応答モデルおよび線形カットオフアプローチを適用することによって得られた特徴空間を使用して、組織学画像のCD8腫瘍トポロジーを分類するためのプロセスを図示するフローチャートである。方法500は、ハードウェア(例えば、回路、専用ロジック、プログラマブルロジック、マイクロコードなど)、ソフトウェア(例えば、処理デバイス上で実行される命令)、またはそれらの組合せを含み得る処理ロジックによって行われ得る。本明細書に提供される開示を遂行するために、すべての動作が必要とされるわけではないことを理解されたい。さらに、当業者によって理解されるように、動作のいくつかを同時に、または図5に示したのと異なる順序で行うこともできる。
【0060】
動作502では、患者の腫瘍試料の新たな組織学画像を、コンピューティングデバイスの少なくとも1つのプロセッサーによって受け取ることができる。一部の実施形態では、新たな組織学画像は、CD8+免疫染色技術を使用して得られた、TME内のCD8+ T細胞パターンを示す腫瘍組織試料を含んでもよい。
【0061】
動作504では、新たな組織学画像の画像解析を行って、新たな組織学画像において腫瘍実質および間質におけるCD8+ T細胞の存在量を得ることができる。この画像解析は、例えば、図4の動作404と同じ画像解析アルゴリズムによって行うことができる。
【0062】
動作506では、実炎症スコアおよび腫瘍浸潤スコアを、新たな組織学画像における腫瘍実質および間質におけるCD8+ T細胞の存在量の極座標変換に基づいて決定することができる。
【0063】
動作508では、新たな組織学画像の分類を、特徴空間における複数の分類を使用して、実炎症スコアの値および腫瘍浸潤スコアの値をマッピングすることによって決定することができる。一部の実施形態では、特徴空間、および特徴空間における複数の分類の間の線形境界または線形カットオフは、図4の方法400によって生成することができる。一部の実施形態では、患者応答モデルは、新たな組織学画像における間質CD8+ T細胞および実質CD8+ T細胞のパターンが、特徴空間における複数の分類の境界内に収まる場所を決定することができ得る。このマッピングに基づいて、患者応答モデルは、新たな組織学画像の分類を出力することができる。
【0064】
図6は、コンピューターシステム600の例示的な構成要素のブロック図である。1つまたは複数のコンピューターシステム600を使用して、例えば、本明細書で考察した実施形態のいずれか、ならびにその組合せおよび部分組合せを実施することができる。一部の実施形態では、1つまたは複数のコンピューターシステム600を使用して、図4および図5にそれぞれ示される方法400および500を実施することができる。コンピューターシステム600は、1つまたは複数のプロセッサー(中央処理デバイスまたはCPUとも呼ばれる)、例えば、プロセッサー604を含むことができる。プロセッサー604は、通信インフラストラクチャーまたはバス606に接続され得る。
【0065】
コンピューターシステム600はまた、ユーザー入出力インターフェース602、例えば、モニター、キーボード、ポインティングデバイスなどを含むことができ、それはユーザー入出力インターフェース603を介して通信インフラストラクチャー606と通信することができる。
【0066】
1つまたは複数のプロセッサー604は、グラフィックス処理ユニット(GPU)であってもよい。一実施形態では、GPUは、数学的負荷の高いアプリケーションを処理するように設計された特化した電子回路であるプロセッサーであってもよい。GPUは、大きなデータブロック、例えば、コンピューターグラフィックスアプリケーション、画像、ビデオなどに共通の数学的負荷の高いデータの並列処理に効率的な並列構造を有してもよい。
【0067】
コンピューターシステム600はまた、ランダムアクセスメモリー(RAM)などのメインメモリーまたは一次メモリー608も含むことができる。メインメモリー608は、1つまたは複数のレベルのキャッシュを含むことができる。メインメモリー608は、その中に制御論理(すなわち、コンピューターソフトウェア)および/またはデータを格納することができる。
【0068】
コンピューターシステム600はまた、1つまたは複数の二次記憶デバイスまたはメモリー610も含むことができる。二次メモリー610には、例えば、ハードディスクドライブ612および/またはリムーバブル記憶ドライブ614が含まれ得る。
【0069】
リムーバブル記憶ドライブ614は、リムーバブル記憶ユニット618と相互作用することができる。リムーバブル記憶ユニット618には、コンピューターソフトウェア(制御論理)および/またはデータを格納したコンピューター使用可能または読取り可能な記憶デバイスが含まれ得る。リムーバブル記憶ユニット618は、プログラムカートリッジおよびカートリッジインターフェース(例えば、ビデオゲームデバイスに見られるもの)、リムーバブルメモリーチップ(例えば、EPROMまたはPROM)および関連ソケット、メモリースティックおよびUSBポート、メモリーカードおよび関連メモリーカードスロット、ならびに/または任意の他のリムーバブル記憶ユニットおよび関連インターフェースであってもよい。リムーバブル記憶ドライブ614は、リムーバブル記憶ユニット618からの読取り、および/またはリムーバブル記憶ユニットへの書込みを行うことができる。
【0070】
二次メモリー610は、コンピュータープログラムおよび/または他の命令および/またはデータがコンピューターシステム600によってアクセスされることを可能にするための他の手段、デバイス、構成要素、手段、または他のアプローチを含むことができる。そのような手段、デバイス、構成要素、手段、または他のアプローチには、例えば、リムーバブル記憶ユニット622およびインターフェース620が含まれ得る。リムーバブル記憶ユニット622およびインターフェース620の例には、プログラムカートリッジおよびカートリッジインターフェース(例えば、ビデオゲームデバイスに見られるもの)、リムーバブルメモリーチップ(例えば、EPROMまたはPROM)および関連するソケット、メモリースティックおよびUSBポート、メモリーカードおよび関連するメモリーカードスロット、ならびに/または任意の他のリムーバブル記憶ユニットおよび関連するインターフェースが含まれ得る。
【0071】
コンピューターシステム600は、通信インターフェースまたはネットワークインターフェース624をさらに含むことができる。通信インターフェース624は、コンピューターシステム600が、外部デバイス、外部ネットワーク、外部実体など(参照番号628によって個別的または集合的に参照される)の任意の組合せと通信して相互作用することを可能にすることができる。例えば、通信インターフェース624は、コンピューターシステム600が、有線および/または無線(またはそれらの組合せ)であってもよく、LAN、WAN、インターネットなどの任意の組合せを含み得る通信経路626を介して、外部または遠隔デバイス628と通信することを可能にすることができる。制御論理および/またはデータを、通信経路626を介してコンピューターシステム600との間でやり取りすることができる。
【0072】
コンピューターシステム600はまた、いくつかの非限定的な例を挙げると、携帯情報端末(PDA)、デスクトップワークステーション、ラップトップもしくはノートブックコンピューター、ネットブック、タブレット、スマートフォン、スマートウォッチもしくは他のウェアラブル、アプライアンス、モノのインターネットの一部、および/または組込みシステムのいずれか、またはそれらの任意の組合せであってもよい。
【0073】
コンピューターシステム600は、遠隔または分散クラウドコンピューティングソリューション、ローカルまたはオンプレミスソフトウェア(「オンプレミス」クラウドベースソリューション)、「サービスとしての」モデル(例えば、サービスとしてのコンテンツ(CaaS)、サービスとしてのデジタルコンテンツ(DCaaS)、サービスとしてのソフトウェア(SaaS)、サービスとしての管理ソフトウェア(MSaaS)、サービスとしてのプラットフォーム(PaaS)、サービスとしてのデスクトップ(DaaS)、サービスとしてのフレームワーク(FaaS)、サービスとしてのバックエンド(BaaS)、サービスとしてのモバイルバックエンド(MBaaS)、サービスとしてのインフラストラクチャー(IaaS)など)、および/または前記の例もしくは他のサービスもしくはデリバリーパラダイムの任意の組合せを含むハイブリッドモデルを含むがこれらに限定されない、任意のデリバリーパラダイムを介して、任意のアプリケーションおよび/またはデータにアクセスまたはホスティングする、クライアントまたはサーバーであってもよい。
【0074】
コンピューターシステム600内の任意の適用可能なデータ構造、ファイル形式、およびスキーマは、JavaScript Object Notation(JSON)、Extensible Markup Language(XML)、Yet Another Markup Language(YAML)、Extensible Hypertext Markup Language(XHTML)、Wireless Markup Language(WML)、MessagePack、XML User Interface Language(XUL)、または任意の他の機能的に類似した表現を単独でまたは組み合わせて含むがこれらに限定されない標準から導出されてもよい。あるいは、専有のデータ構造、フォーマット、またはスキーマが、排他的に、または既知の標準またはオープン標準と組み合わせて使用されてもよい。
【0075】
一部の実施形態では、制御論理(ソフトウェア)が格納された有形の非一時的なコンピューターの使用可能または読取り可能な媒体を含む有形の非一時的なデバイスまたは製品は、本明細書ではコンピュータープログラム製品またはプログラム記憶デバイスとも称され得る。これには、コンピューターシステム600、メインメモリー608、二次メモリー610、およびリムーバブル記憶ユニット618および622、ならびにこれらの任意の組合せを具体化する有形の製品が含まれるが、これらに限定されない。そのような制御論理は、1つまたは複数のデータ処理デバイス(例えば、コンピューターシステム600)によって実行されると、そのようなデータ処理デバイスを本明細書に記載されるように動作させることができる。
【0076】
詳細な説明における「1つの例示的な実施形態(one exemplary embodiment)」、「1つの例示的な実施形態(an exemplary embodiment)」、「1つの例示的な実施形態(an exemple exemplary embodiment)」などへの言及は、記載される例示的な実施形態が特定の特徴、構造、または特質を含み得ることを示すが、すべての例示的な実施形態が必ずしも特定の特徴、構造、または特質を含むとは限らない。さらに、そのような語句は、必ずしも同じ例示的な実施形態を指すものではない。さらに、特定の特徴、構造、または特質が例示的な実施形態に関連して記載される場合、明示的に記載されているか否かにかかわらず、他の例示的な実施形態に関連してそのような特徴、構造、または特質に影響を及ぼすことは、当業者の知識の範囲内である。
【0077】
本明細書に記載される例示的な実施形態は、例示的な目的のために提供されるものであり、限定するものではない。他の例示的な実施形態が可能であり、本開示の趣旨および範囲内で例示的な実施形態に修正を加えることができる。したがって、詳細な説明は、本開示を限定することを意図するものではない。そうではなくて、本開示の範囲は、特許請求の範囲およびその同等物に従ってのみ定義される。
【0078】
諸実施形態は、ハードウェア(例えば、回路)、ファームウェア、ソフトウェア、またはそれらの任意の組合せにおいて実装することができる。また、諸実施形態を、1つまたは複数のプロセッサーによって読み取られて実行され得る機械可読媒体に格納された命令として実装することもできる。機械可読媒体には、機械(例えば、コンピューティングデバイス)によって読み取り可能な形式で情報を格納または送信するための任意の機構が含まれ得る。例えば、機械可読媒体は、リードオンリーメモリー(ROM)、ランダムアクセスメモリー(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリーデバイス、電気的、光学的、音響的、または他の形式の伝搬信号(例えば、搬送波、赤外線信号、デジタル信号など)、およびその他が含まれ得る。さらに、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令が、本明細書では、ある特定の動作を実行するものとして記載されることもある。しかし、そのような記載は単に便宜上のものであり、そのような動作は、実際には、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令などを実行するコンピューティングデバイス、プロセッサー、コントローラー、または他のデバイスから生じることを理解されたい。さらに、実装の変形のいずれもが、上記のように、汎用コンピューターによって実行され得る。
【0079】
本明細書では、特定の機能およびその関係性の実装を図示する機能的構成ブロックの助けを借りて、諸実施形態を説明してきた。これらの機能的構成ブロックの境界は、説明の便宜上、本明細書では任意に定義されている。代替的な境界を、特定の機能および関係性(またはその同等物)が適切に実行される限り、定義することができる。また、代替的な実施形態は、本明細書に記載されるものとは異なる順序を使用して、機能的ブロック、ステップ、動作、方法などを実行することができる。
【0080】
特定の実施形態に関する前述の説明は、本開示の一般的な性質を十分に明らかにするものであるため、他の者は、当業者の知識を適用することによって、過度の実験を行うことなく、本開示の一般的な概念から逸脱することなく、そのような具体的な実施形態をさまざまな用途に容易に修正および/または適応させることができる。このため、そのような適応および修正は、本明細書に提示される教示およびガイダンスに基づく開示された実施形態の意味および同等物の範囲内にあることを意図している。本明細書中の用語または専門用語は、説明の目的のためのものであって、限定の目的のためのものではなく、したがって、本明細書の専門用語または用語は、教示およびガイダンスに照らして、当業者によって解釈されるべきであることが理解されるべきである。
【0081】
本開示の広さおよび範囲は、上記の例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、以下の特許請求の範囲およびその同等物に従ってのみ定義されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】