(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-05
(54)【発明の名称】抗菌基質
(51)【国際特許分類】
D06M 14/26 20060101AFI20240227BHJP
C08F 212/08 20060101ALI20240227BHJP
C08F 212/14 20060101ALI20240227BHJP
C08L 75/04 20060101ALI20240227BHJP
C08L 31/04 20060101ALI20240227BHJP
C08L 27/06 20060101ALI20240227BHJP
C08L 33/00 20060101ALI20240227BHJP
C08K 5/15 20060101ALI20240227BHJP
C08K 5/00 20060101ALI20240227BHJP
D06M 13/355 20060101ALI20240227BHJP
C08J 7/06 20060101ALI20240227BHJP
A01N 43/90 20060101ALI20240227BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20240227BHJP
C09B 57/00 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
D06M14/26
C08F212/08
C08F212/14
C08L75/04
C08L31/04
C08L27/06
C08L33/00
C08K5/15
C08K5/00
D06M13/355
C08J7/06 Z CER
C08J7/06 CEZ
A01N43/90 101
A01P3/00
C09B57/00 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023552170
(86)(22)【出願日】2022-02-25
(85)【翻訳文提出日】2023-10-04
(86)【国際出願番号】 US2022070831
(87)【国際公開番号】W WO2022183207
(87)【国際公開日】2022-09-01
(32)【優先日】2022-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523323505
【氏名又は名称】バークシャー コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ショーウォルター,トッド
(72)【発明者】
【氏名】フェイル,スーザン
(72)【発明者】
【氏名】ヒートン,ネイサン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ウェンユ
【テーマコード(参考)】
4F006
4H011
4J002
4J100
4L033
【Fターム(参考)】
4F006AA12
4F006AA51
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4F006BA17
4F006CA09
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4L033BA98
(57)【要約】
基質上にコーティングされた可視光領域において電磁放射線によって活性化された、反応性酸素種生成染料(ROS)を含有する局所適用仕上げ剤で処理された個人用保護具の一部であり、ROS染料は、基質の重量に対して0.01~5.00%組み込まれて、織物基質上に抗菌性又は自己洗浄性利益を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
仕上げ剤でコーティングされた織物基質を含む電磁放射線活性化抗菌基質であって、
前記仕上げ剤が、電磁放射線に曝露されたときに一重項酸素を生成するように構成された染料種で構成されており、
前記基質が、前記仕上げ剤でコーティングされており、前記抗菌基質が、1つ以上の微生物種に生理学的に関連する所定量の前記仕上げ剤を画定する、抗菌基質。
【請求項2】
前記織物基質が、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、レーヨン、アクリル、ナイロン、綿、再生セルロース、木材パルプ、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の抗菌基質。
【請求項3】
前記仕上げ剤が、結合剤を更に含む、請求項1に記載の抗菌基質。
【請求項4】
前記結合剤が、アクリル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、酢酸ビニル、酢酸-ビニルエチレン、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項3に記載の抗菌基質。
【請求項5】
前記仕上げ剤が、更に、1つ以上の界面活性剤、洗剤、染料、防腐剤、顔料、及びそれらの組み合わせで構成される、請求項4に記載の抗菌基質。
【請求項6】
前記仕上げ剤が、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸塩、又はそれらの組み合わせを更に含む、請求項1に記載の抗菌基質。
【請求項7】
前記染料種が、ローズベンガル、エオシン、フロキシン、カルセイン、フルオレセインアミダイト、エリソリジン、メチレンブルー、ベルテポルフィン、他のフロウレセイン染料、他のフェノチアジン染料、他のポルフィリン染料、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の抗菌基質。
【請求項8】
前記染料種が、ローズベンガルとして定義され、前記仕上げ剤が、前記織物基質に前記染料種を固定させる水溶性ポリマーを更に含む、局所適用仕上げ剤として定義され、前記ローズベンガルが、塩化4-ビニルベンジルと反応して、ローズベンガルビニルベンジル染料が形成され、前記ローズベンガルビニルベンジル染料が、4-スチレンスルホン酸及びスチレン-トリアジンモノマーと更に反応して、水溶性ポリマーが形成され、前記水溶性ポリマーが、前記局所適用仕上げ剤の成分として、前記織物基質にローズベンガルを固定させることを容易にする、請求項7に記載の抗菌基質。
【請求項9】
前記水溶性ポリマーが、前記局所適用仕上げ剤に組み込まれ、前記基質に固定されており、前記基質が、綿、レーヨン、木材パルプ、再生セルロース繊維、合成繊維、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項8に記載の抗菌基質。
【請求項10】
前記染料種が、ローズベンガルとして定義され、前記仕上げ剤が、前記織物基質に固定するための分散染料として作用するポリスチレンコポリマー混合物を更に損なう局所適用仕上げ剤として定義され、前記ローズベンガルが、塩化4-ビニルベンジルと反応して、ローズベンガルビニルベンジル染料が形成され、前記ローズベンガルビニルベンジル染料が、スチレンと更に反応して、前記局所適用仕上げ剤の成分として前記織物基質に固定するための分散染料として使用するのに魅力的なポリスチレンコポリマー混合物が形成される、請求項7に記載の抗菌基質。
【請求項11】
前記ポリスチレンコポリマー混合物が、前記局所適用仕上げ剤に組み込まれ、前記基質に固定されることが可能であり、前記基質が、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、合成繊維、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項10に記載の抗菌基質。
【請求項12】
前記仕上げ剤が、前記織物基質の重量に対して0.01~5.00%でコーティングされている、請求項1に記載の抗菌基質。
【請求項13】
前記仕上げ剤が、浸漬、発泡体、ナイフ、及び/又はパッド適用方法によって局所的に適用されている、請求項1に記載の抗菌基質。
【請求項14】
前記仕上げ剤が、溶媒を更に含む、請求項1に記載の抗菌基質。
【請求項15】
前記溶媒が、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、トルエン、ジクロロメタン、又はそれらの混合物からなる群から選択される、請求項14に記載の抗菌基質。
【請求項16】
前記抗菌基質が、指定された曝露時間の間、電磁放射線に曝露されたときに、前記抗菌基質と接触する真菌、ウイルス、及び細菌実体の数の少なくとも2つの対数低減を引き起こすように構成されている、請求項1に記載の抗菌基質。
【請求項17】
前記抗菌基質が、Staphylococcus aureus、Pseudomonas aeruginosa、Candida albicans、及び/又はヒトコロナウイルス、229E株の少なくとも2つの対数低減を引き起こすように構成されている、請求項16に記載の抗菌基質。
【請求項18】
電磁放射線活性化抗菌基質を形成する方法であって、
局所適用仕上げ剤に染料種を組み込むことであって、前記局所適用仕上げ剤が、水溶液、アルコール溶液、又はそれらの組み合わせを含む、組み込むことと、
前記仕上げ剤を基質にコーティングすることと、を含み、
前記抗菌基質が、1つ以上の微生物種に生理学的に関連する所定量の前記仕上げ剤でコーティングされている、方法。
【請求項19】
前記局所適用仕上げ剤に結合剤を添加するステップを更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記局所適用仕上げ剤に、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸塩、又はそれらの組み合わせを添加するステップを更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記染料種を塩化4-ビニルベンジルと反応させて、ビニルベンジル染料生成物を形成するステップと、
前記ビニルベンジル染料生成物を4-スチレンスルホン酸及びスチレン-トリアジンモノマーと反応させて、水溶性ポリマー中のコモノマーとして機能基質を形成するステップと、
前記局所適用仕上げ剤に前記水溶性ポリマーを組み込むステップと、を更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
綿、レーヨン、再生セルロース繊維、及び前記セルロース繊維と合成繊維との混合物を含有する織物からなる材料の群から形成されるセルロース織物として定義される前記基質に前記局所適用仕上げ剤を固定することを更に含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記染料種を塩化4-ビニルベンジルと反応させて、ビニルベンジル染料生成物を形成するステップと、
前記ビニルベンジル染料生成物をスチレンと反応させて、ポリスチレンコポリマー混合物を形成するステップと、
前記ポリスチレンコポリマー混合物を前記局所適用仕上げ剤に組み込むステップと、更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、及び前記合成繊維とセルロース繊維との混合物を含有する織物からなる材料の群から形成されるポリオレフィン織物として定義される前記基質に前記局所適用仕上げ剤を固定することを更に含む、請求項23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この非仮特許出願は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる、United States Patent and Trademark Officeにおいて2021年2月26日に出願された、「ANTIMICROBIAL SUBSTRATE」と題された、係属中の米国仮特許出願第63/154,007号の、米国特許法第119条(e)に基づく全ての利益を主張する。
【0002】
技術分野
本明細書における本発明は、特定の抗菌特性が浸透された、埋め込まれた、又はそうでなければ付与された1つ以上の基質に関し、特に、細菌、ウイルス、及び/又は真菌を含む多種多様な微生物に対する所望の抗菌有効性を基質に与えるのに十分な所定の体積及び/又は濃度で電磁放射線によって活性化された染料又は樹脂を担持する、織物フェイスマスクなどの個人用保護具の物品に関する。
【背景技術】
【0003】
細菌、ウイルス、寄生虫、及び真菌を含む(ただし、これらに限定されない)微生物は、水、食物、及び人体を含む日常生活におけるほぼ全ての表面、並びにマスク、衣服、及び織物などの前述のものを保護するために含まれる表面に見出すことができる。微生物は、無臭、無味、及び/又は肉眼では見えない場合もあるが、それらは、容易に増殖し、それらを殺菌するように設計された特定の処理に対して抵抗性を持つようになり、かつ急速に成長する能力を有する場合もある。微生物集団の急速な成長は、織物内又は織物上で特に問題になり得る。衣類のような織物は、外部要因から人体を保護する。しかしながら、織物は典型的には滅菌されていないので、大量の細菌が保有され得るが、これは汗及び細菌を含有する他の形態の液体が皮膚から移るためである。この状況を改善するためのこれまでの試みは、限られた成功しか収めていない。例えば、織物上に抗菌特性を付与するために結合剤を使用して、織物に広範囲の抗菌仕上げ剤及び/又は抗菌配合物を組み込むことが一般に知られている。しかしながら、付着を達成するために必要な化学的手段は、高価であり、一貫性がなく、産業的関連がない。先行技術における同様の仕上げ剤は、異なる組成の織物に様々な薬剤を付着させて、抗菌性又は自己洗浄性利益を提供する。これらとしては、とりわけ、四級アンモニウム化合物、N-ハラミン、貴金属のナノ粒子、及び金属酸化物に基づく多数の薬剤が挙げられる。しかしながら、これらの製品は、とりわけ、限られた有効性、微生物耐性メカニズム、及び製造コストに起因して、市場で苦戦し得る。
【0004】
外科用フェイスマスク、再利用可能なフェイスマスク、病院用ガウン、外科用エプロン、外科用ドレープ、及びカーテンなどの織物中の微生物のこの成長に対抗する方法として、本開示は、堅牢で、一貫した、かつ有効な方法で抗菌性及び/又は自己洗浄性利益を提供することができる1つ以上の薬剤を組み込むことを試みている。これらの薬剤のうちの1つ以上は、可視光活性化仕上げ剤を抗菌剤、抗真菌剤、及び/又は抗ウイルス剤として利用する。本開示は、抗菌有効性のより一貫した送達をももたらす、より堅牢な方法で、抗菌仕上げ剤を異なる組成物の織物に付着させるための様々な方法を更に含む。
【0005】
したがって、従来技術のデバイスに関連する問題及び欠点を考慮して、本発明は構想され、その目的のうちの1つは、所定の体積及び/又は濃度の配合物が組み合わされた、仕上げられた、コーティングされた、又はそうでなければ含浸された織物基質を提供して、基質上に特定の抗菌特性を付与することである。
【0006】
一般的な製造条件下で加工可能な不織布、ニット、織布、又は発泡体材料を含む抗菌基質を提供することが、本発明の更に別の目的である。抗菌基質は、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、レーヨン、アクリル、ナイロン、綿、再生セルロース、木材パルプ、及びそれらのブレンドから形成され得る。
【0007】
仕上げ剤、コーティング、及び/又は含浸エマルジョンとしての使用に適した結合剤を含む抗菌基質を提供することが、本発明の更に別の目的である。結合剤は、アクリル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、酢酸ビニル、酢酸-ビニルエチレン(VAE)、及びそれらの組み合わせとして定義され得る。
【0008】
結合剤、並びにエチレンジアミン四酢酸(EDTA)及び/又はその塩などの補助化学を更に含む抗菌基質を提供して、グラム陰性細菌に対する強化された抗菌効果を提供することが、本発明の更なる目的である。これらのコーティングは、浸漬、発泡体、ナイフ、パッド、又は当該技術分野において既知の他の許容可能な方法論などの方法によって基質に適用され得る。
【0009】
とりわけ、エオシン、フロキシン、カルセイン、フルオレセインアミダイト、エリソリジン、及びローズベンガルを含む染料のフロウレセイン(flourescein)クラスなどの反応性酸素種生成染料(ROS)で局所的に仕上げられた、及び/又はコーティングされたフェイスマスクのような抗菌基質を提供することが、本発明のまた更なる目的である。更に、メチレンブルーを含むフェノチアジン染料又はベルテポルフィンを含むポルフィリン染料が使用され得る。これらの染料は、単独で、又は互いに組み合わせて使用され得る。これらの染料は、基質の重量に対して0.01~5.0%、より好ましくは仕上げられた基質の重量に対して0.05~2.5%の濃度で織物に局所的に適用されている。
【0010】
反応性酸素種生成染料(ROS)で局所的にコーティングされたフェイスマスクのような抗菌基質を提供することが、本発明のまた更なる目的であり、例えば、ローズベンガル、メチレンブルー、又はそれらの混合物が、基質の重量に対して0.01~5.0%、より好ましくは仕上げられた基質の重量に対して0.05~2.5%の濃度で織物上に含浸される。
【0011】
本発明の様々な他の目的及び利点は、より詳細な説明が以下に示されるにつれて、当業者に明らかになるであろう。
【発明の概要】
【0012】
前述の目的及び他の目的は、例えば、織物フェイスマスク、保護服、又は他の織物の外層として、個人用保護具(PPE)の一部としての構成に好適な抗菌基質を提供することによって実現される。好ましくはポリプロピレン、ポリエチレン、及び/又はポリエステルから形成された抗菌基質は、仕上げられた基質の重量に対して0.01~5.00%の濃度で織物上にコーティングされた仕上げ剤にローズベンガルなどの反応性酸素種生成染料(ROS)を含有する局所適用仕上げ剤を受容して、織物基質に抗菌性又は自己洗浄性利益を提供する。1つ以上の実施形態では、抗菌基質に適用される局所仕上げ剤は、補助化学として、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)及び/又はその塩を更に含んで、グラム陰性細菌に対する強化された抗菌効果を提供する。1つ以上の実施形態では、抗菌基質に適用される局所仕上げ剤は、アクリル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、酢酸ビニル、酢酸-ビニルエチレン(VAE)、及び潜在的に界面活性剤、洗剤、染料、顔料、防腐剤、並びにそれらの組み合わせなどのコーティングエマルジョンとしての使用に適切な結合剤を更に含む。
【0013】
1つ以上の代替的な実施形態では、ROS染料を抗菌基質に固定するための異なる方法が望ましい場合がある。例えば、ローズベンガルなどのROSは、塩化4-ビニルベンジルと反応して、ローズベンガルビニルベンジル染料が形成され得る。この染料は、スチレンと重合されて、分散染料として使用するのに魅力的なポリスチレンコポリマー混合物が形成され得る。混合物は、ジクロロメタン(DCM)、ジクロロエタン(DCE)、トルエン、及び/又は他の非極性溶媒などの適切な非極性溶媒に溶解され、ポリオレフィン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、及び他の好適な合成繊維から形成され得る織物に適用され得る。更に、又は代替的に、ローズベンガルなどのROSは、塩化4-ビニルベンジルと反応して、ローズベンガルビニルベンジル染料が形成され得、次いで、これは、4-スチレンスルホン酸及びスチレン-トリアジンモノマーと重合して、水溶性ポリマー中のコモノマーとして機能的基質が形成され得る。得られた水溶性ポリマーは、セルロース繊維の反応性基質として使用され得る。水溶性ポリマーを、適切な水溶液及び/又はアルコール溶液に溶解し、綿、レーヨン、木材パルプ、再生セルロース繊維、及び該セルロース繊維と合成繊維との混合物を含有する織物などの材料から形成されたセルロース織物に固定する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】抗菌基質の例示的な実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示の様々な例示的な実施形態が以下に記載される。「例示的な」という用語の使用は、例証的な、又は例示のみを意味し、本明細書における「本発明」への任意の言及は、本明細書に開示の例示的な実施形態のうちのいずれか1つ以上の正確な特徴又はステップに本発明を制限又は限定することを意図するものではない。「例示的な実施形態」、「一実施形態」、「実施形態」、「様々な実施形態」などへの言及は、そのように記載される本発明の実施形態が、特定の特徴、構造、又は特性を含み得るが、全ての実施形態が必ずしも特定の特徴、構造、又は特性を含むわけではないことを示し得る。更に、「一実施形態では」、「例示的な実施形態では」、又は「代替的な実施形態では」という句の繰り返し使用は、必ずしも同じ実施形態を指すわけではないが、そうであってもよい。
【0016】
「好ましくは」、「一般的に」、及び「典型的に」などの用語は、本発明の範囲を限定するために、又は特定の特徴が本発明の構造若しくは機能にとって重大、必須、若しくは更には重要であることを暗示するために、本明細書で利用されないことにも留意されたい。むしろ、これらの用語は、本発明の特定の実施形態で利用されてもされなくてもよい代替的又は追加的な特徴を強調することを意図するのみである。
【0017】
本発明は、以下、本発明の1つ以上の例示的な実施形態が示される添付の図面を参照してより完全に記載される。本明細書で使用される同様の番号は、全体を通して同様の要素を指す。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具現化され得、本明細書に記載の実施形態に限定されるものと解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が動作可能であり、可能であり、かつ完全であるように提供される。したがって、開示される特定の配置は、単に例証的であり、本発明、並びにその任意の及び全ての等価物の範囲について限定されないことを意味する。更に、適応、変動、修正、及び等価配置などの多くの実施形態は、本明細書に記載の実施形態によって暗黙的に開示され、本発明の範囲内にある。
【0018】
特定の用語が本明細書で用いられるが、それらは、一般的かつ説明的な意味でのみ使用され、限定の目的では使用されない。本明細書で別段に明確的に定義されていない限り、そのような用語は、関連する業界で適用されるものと矛盾せず、以下に記載される任意の特定の実施形態に制限されることなく、それらの広い、通常の、及び慣習的な意味が与えられることを意図する。本明細書で使用される場合、「a」という冠詞は、1つ以上の項目を含むことを意図する。1つの項目のみを意図する場合、「1つ及び1つだけ」、「単一の」という用語、又は同様の言語が使用される。項目のリストを結合するために本明細書で使用される場合、「又は」という用語は、項目の少なくとも1つを示すが、リストの複数の項目を除外しない。
【0019】
本発明の例示的な方法又はプロセスについて、本明細書に記載のステップの順序及び/又は配置は、例証的であり、制限的ではない。したがって、様々なプロセス又は方法のステップは、順序又は一時的な配置にあるものとして示され、かつ記載され得るが、任意のそのようなプロセス又は方法のステップは、別段の表示がない限り、任意の特定の順序又は配置で実施されることに限定されないことを理解されたい。実際、そのようなプロセス又は方法のステップは、概して、依然として本発明の範囲内でありながら、様々な異なる順序及び配置で実施され得る。
【0020】
更に、本発明の利点、利益、予期しない結果、又は動作可能性への任意の言及は、本発明が以前に具体化されたこと、又は任意の試験が実行されたことの確認としては意図されない。同様に、別段定められていない限り、過去時制(現在完了又は点過去時制)における動詞の使用は、本発明が以前に具体化されたこと、又は任意の試験が実行されたことを示すか、又は暗示するとは意図されない。
【0021】
本発明及びその動作をよりよく理解するために、
図1に示される抗菌基質10の好ましい実施形態は、個人用保護具(PPE)の部分11の様であり、より好ましくは、当該技術分野で既知のように、フェイスマスクの外部分又は内部分の様である。抗菌基質10の実施形態は、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、レーヨン、アクリル、ナイロン、綿、木材パルプ、再生セルロース、及びそれらのブレンドから形成され得る。しかしながら、他の天然及び合成織物、並びにセルロース部分の他の実施形態が、同様に、本開示の範囲内に含まれる。抗菌基質10の実施形態は、好ましくは、抗菌基質10上に特定の抗菌特性を付与するのに十分な体積及び/又は濃度のコーティング、仕上げ剤、又は配合物で処理される。
【0022】
特定の好ましい実施形態では、とりわけ、エオシン、フロキシン、カルセイン、フルオレセインアミダイト、エリソリジン、及びローズベンガルを含む染料のフロウレセインクラスなど(ただし、これらに限定されない)の反応性酸素種生成染料(ROS)13の付着又は接合を容易にするために結合剤12を利用することが有利であり得る。更に、メチレンブルーを含むフェノチアジン染料又はベルテポルフィンを含むポルフィリン染料が使用され得る。これらの染料は、単独で、又は互いに組み合わせて使用され得る。一実施形態では、ローズベンガル又はメチレンブルーのいずれかが、抗菌基質10の部分11に付着されるか、又は含浸される。許容される結合剤12の種としては、アクリル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、酢酸ビニル、酢酸-ビニルエチレン(VAE)、及びそれらの組み合わせとして定義される1つ以上の結合剤が挙げられるが、これらに限定されない。更に、又は代替的に、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)及び/又はその塩、市販の界面活性剤、顔料、並びに洗剤などの特定の補助化学14は、結合剤12を含む局所適用仕上げ剤に添加されて、例えば、グラム陰性細菌に対する強化された抗菌効果が提供され得る。EDTAは、仕上げられた基質の0.1~10.0重量%の濃度で、織物上にコーティングされた仕上げ剤に添加され得る。得られた仕上げ剤、配合物、又はコーティングが結合剤を含むかどうかにかかわらず、仕上げ剤は、基質10上に特定の抗菌特性を付与するのに十分な体積及び/又は濃度で分散されることが好ましい。一実施形態では、上述の局所適用仕上げ剤は、好ましくは、仕上げられた基質の重量に対して1.0~30.0%、より好ましくは仕上げられた基質の重量に対して1.0~10.0%、より好ましくは仕上げられた基質の重量に対して更に0.01~5.0%、全ての中で最も好ましくは仕上げられた基質の重量に対して0.05~2.5%の濃度でローズベンガルを含有する可視光活性化仕上げ剤として定義され、織物基質10に抗菌性又は自己洗浄性利益を提供する。異なる実施形態では、上述の仕上げ配合物は、好ましくは、仕上げられた基質の重量に対して1.0~30.0%、より好ましくは仕上げられた基質の重量に対して1.0~10.0%、より好ましくは仕上げられた基質の重量に対して更に0.01~5.0%、全ての中で最も好ましくは仕上げられた基質の重量に対して0.05~2.5%の濃度でメチレンブルーを含有する可視光活性化コーティングとして定義され、織物基質10に抗菌性又は自己洗浄性利益を提供する。これらの配合物のいずれにおいても、結合剤12は、1.0~30.0重量%の固体、より好ましくは0.01~5.0重量%の固体の濃度で配合物に添加され得る。更に、上述のように、適用材料が配合物中で混合される不活性マトリックスは、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、トルエン、ジクロロメタン、又はそれらの混合物を含む(ただし、これらに限定されない)溶媒から構成され得る。配合物は、pH調整剤(酸及びアルカリ)、加工助剤(塩及びミネラル)、ポリマー(例えば、ポリビニルアルコール)、防腐剤、顔料、及び/又は界面活性剤を含有し得る。本開示の配合物のいずれかにおいて、防腐剤は、0.1~1.0%、より好ましくは0.01~1.0%の濃度で添加され得る。したがって、上述の仕上げ剤の前述の成分のうちの1つ以上の特定の量にかかわらず、最終的な仕上げ剤が、本明細書に開示の1つ以上の微生物に生理学的に関連することが望ましい。この文脈で使用される「生理学的に関連する」という用語は、本明細書に記載の仕上げ剤の1つ以上の実施形態を経験しない1つ以上の微生物のプラセボ群と比較して、局所適用仕上げ剤を経験する1つ以上の微生物を少なくとも2倍の対数で低減させることができることを意味すると解釈される。
【0023】
局所適用仕上げ剤の接合、付着、又は適用の異なる適用方法は、本開示の範囲内であると考えられる。上述の配合物の実施形態は、パッド適用、コーティング、発泡体、浸漬、又はナイフ適用を含む(ただし、限定されないが)技法によって分配され得る。1つ以上の代替的な実施形態では、ローズベンガルなどのROSは、塩化4-ビニルベンジルと反応して、ローズベンガルビニルベンジル染料が形成され得、次いで、これは、4-スチレンスルホン酸及びスチレン-トリアジンモノマーと重合して、水溶性ポリマー中のコモノマーとして機能的基質が形成され得る。水溶性ポリマーは、セルロース繊維の反応性基質として使用され得る。水溶性ポリマーを、適切な水溶液及び/又はアルコール溶液に溶解し、綿、レーヨン、再生セルロース繊維、及び該セルロース繊維と合成繊維との混合物を含有する織物などの材料から形成されたセルロース織物に固定する。前述の反応の略図が実施例1として以下に含まれる。
【化1】
【0024】
実施例1
更に、又は代替的に、ローズベンガルなどのROSは、塩化4-ビニルベンジルと反応して、ローズベンガルビニルベンジル染料が形成され得る。この染料は、スチレンと重合されて、分散染料として使用するのに魅力的なポリスチレンコポリマー混合物が形成され得る。混合物は、ジクロロメタン(DCM)、ジクロロエタン(DCE)、トルエン、及び/又は他の非極性溶媒などの適切な非極性溶媒に溶解され、ポリオレフィン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、及び/又は他の好適な合成繊維から形成され得る部分11に適用され得る。前述の反応の略図が実施例2として以下に含まれる。
【化2】
【0025】
実施例2
使用中、好ましくはポリプロピレン、ポリエチレン、及び/又はポリエステルから形成された抗菌基質10の1つ以上の部分11は、基質の重量に対して0.01~5.0%、より好ましくは仕上げられた基質の重量に対して0.05~2.5%の濃度で、ローズベンガルなどの反応性酸素種生成染料(ROS)を含有する光スペクトルの可視光領域において電磁放射線によって活性化された染料又は樹脂を含む局所適用仕上げ剤でコーティングされて、織物基質に抗菌性又は自己洗浄性利益を提供する。抗菌基質10に適用された仕上げ剤は、補助化学13として、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)及び/又はその塩を更に含んで、グラム陰性細菌に対する強化された抗菌効果を提供する。1つ以上の実施形態では、抗菌基質に適用される仕上げ剤は、アクリル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、酢酸ビニル、酢酸-ビニルエチレン(VAE)、及びそれらの組み合わせなどのコーティングエマルジョンとしての使用に適切な結合剤12を更に含み、1つ以上の他の実施形態では、他の許容される界面活性剤及び/又は洗剤を更に含む。使用後、抗菌基質10は、細菌、ウイルス、真菌を含む多種多様な微生物に対して実質的かつ堅牢な抗菌活性を生成する一重項酸素種(1O2)の放出を生成するのに十分な光刺激15に曝露され、該織物の意図された使用に対して有意義な自己洗浄性利益を提供する。一実施形態では、活性化刺激は、450~700ナノメートル(nm)に定義される、光スペクトルの可視光部分において生じる電磁スペクトル活性化として定義される。1つの好ましい実施形態では、活性化刺激は、490~575nmに定義される、光スペクトルの可視光部分において生じる電磁スペクトル活性化として定義される。代替実施形態では、活性化刺激は、550~700nmに定義される、光スペクトルの可視光部分において生じる電磁スペクトル活性化として定義される。好ましい電磁活性化への抗菌基質10の繰り返しの曝露、及び上述の一重項酸素の連続的な放出は、本開示が「自己洗浄」抗菌基質とみなされ得るという決定の基礎を提供し、従来技術を凌ぐ大きな利点とみなされる。
【0026】
本発明を記載及び定義する目的のために、「実質的に」、「一般に」、「おおよそ」などの相対用語の使用は、本明細書では、任意の定量的比較、値、測定、又は他の表現に起因し得る固有の可変性の程度を表すために利用されることが留意される。これらの用語はまた、本明細書では、問題の主題の基本的な機能の変化をもたらすことなく、定量的表現が記載された参照から変化し得る程度を表すために利用される。
【0027】
本発明の例示的な実施形態は、上及び下に記載される。本明細書で使用される要素、行為、又は指示は、明示的にそのように記載されていない限り、本発明全体にとって単独で重要、必要、重大、又は必須であると解釈されるべきではない。例示的な実施形態のほんの一部が本明細書に詳細に記載されているが、当業者は、本発明の新規の教示及び利点から実質的に逸脱することなく、これらの例示的な実施形態では多くの修正が可能であることを容易に理解するであろう。本明細書に提供される例証及び実施例は、説明を目的としたものであり、任意の後続の特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。したがって、全てのそのような修正は、本発明の範囲内に含まれることを意図する。
【0028】
対応する表1~11を有する実施例3~13は、以下のページに示される。
【0029】
実施例3:
ポリプロピレン不織布織物32グラム/平方メートル(GSM)を、仕上げられた基質の重量に対して7.42%の濃度で局所適用仕上げ剤でコーティングして、染料は、仕上げられた基質の重量に対して0.55%を画定して、抗菌基質を形成した。
【0030】
得られた基質を5×5cmの正方形サイズに切断し、100mmの滅菌ペトリ皿に入れてから、既知の力価のStaphylococcus aureusを接種する。接種された基質を、周囲条件下で可視領域において電磁放射線に曝露する。利用される光源は、32ルーメン出力の4100K蛍光灯である。指定された曝露時間の終了時に、基質を培地で抽出し、抽出物を蒔いてしてインキュベートする。処理後の微生物負荷を決定し、対数低減を記録する。結果を表1に列記する。接種物と抗菌基質との接触時間を15分から30分又は60分に増加させることは、Staphylococcus aureusに対する基質の有効性を増加させる。同様に、電磁刺激を除去することは、長い接触時間であっても基質の抗菌有効性を劇的に低減させる。
【表1】
【0031】
実施例4:
ポリプロピレン不織布織物32グラム/平方メートル(GSM)を、仕上げられた基質の重量に対して7.42%の濃度で局所適用仕上げ剤でコーティングして、染料は、仕上げられた基質の重量に対して変動%を画定して、抗菌基質を形成した。
【0032】
得られた基質を5×5cmの正方形サイズに切断し、100mmの滅菌ペトリ皿に入れてから、既知の力価のStaphylococcus aureusを接種する。接種された基質を、周囲条件下で可視領域において電磁放射線に30分間曝露する。利用される光源は、32ルーメン出力の4100K蛍光灯である。指定された曝露時間の終了時に、基質を培地で抽出し、抽出物を蒔いてインキュベートする。処理後の微生物負荷を決定し、対数低減を記録する。結果を表2に列記する。抗菌基質上に含浸されたローズベンガルの重量%を増加させることは、Staphylococcus aureusに対する基質の有効性を増加させる。
【表2】
【0033】
実施例5:
ポリプロピレン不織布織物32グラム/平方メートル(GSM)を、仕上げられた基質の重量に対して7.42%の濃度で局所適用仕上げ剤でコーティングして、染料は、仕上げられた基質の重量に対して0.55%を画定して、抗菌基質を形成した。
【0034】
得られた基質を5×5cmの正方形サイズに切断し、100mmの滅菌ペトリ皿に入れてから、既知の力価のPseudomonas aeruginosaを接種する。接種された基質を、周囲条件下で可視領域において電磁放射線に30分間曝露する。利用される光源は、32ルーメン出力の4100K蛍光灯である。指定された曝露時間の終了時に、基質を培地で抽出し、抽出物を蒔いてインキュベートする。処理後の微生物負荷を決定し、対数低減を記録する。結果を表3に列記する。所望の溶液中の試験した重量%のいずれかにEDTAを組み込み、抗菌基質上に含浸させることは、Pseudomonas aeruginosaに対する基質の有効性を大幅に増加させる。
【表3】
【0035】
実施例6:
ポリプロピレン不織布織物24グラム/平方メートル(GSM)を、仕上げられた基質の重量に対して9.89%の濃度で局所適用仕上げ剤でコーティングして、染料は、仕上げられた基質の重量に対して0.64%を画定して、抗菌基質を形成した。
【0036】
得られた基質を5×5cmの正方形サイズに切断し、100mmの滅菌ペトリ皿に入れてから、既知の力価のStaphylococcus aureusを接種する。接種された基質を、周囲条件下で可視領域において電磁放射線に60分間曝露する。変動光源及び色温度を、32ルーメンに一定に維持した強度で探索する。指定された曝露時間の終了時に、基質を培地で抽出し、抽出物を蒔いてインキュベートする。処理後の微生物負荷を決定し、対数低減を記録する。結果を表4に列記する。光源又は相関色温度の変動は、Staphylococcus aureusに対する基質の有効性に顕著な影響を有さなかった。
【表4】
【0037】
実施例7:
ポリプロピレン不織布織物17グラム/平方メートル(GSM)を、仕上げられた基質の重量に対して13.97%の濃度で局所適用仕上げ剤でコーティングして、染料は、仕上げられた基質の重量に対して0.78%を画定して、抗菌基質を形成した。
【0038】
得られた基質を5×5cmの正方形サイズに切断し、100mmの滅菌ペトリ皿に入れてから、既知の力価の様々な微生物を接種する。接種された基質を、周囲条件下で可視領域において電磁放射線に30分間曝露する。利用される光源は、32ルーメン出力の4100K蛍光灯である。指定された曝露時間の終了時に、基質を培地で抽出し、抽出物を蒔いてインキュベートする。処理後の微生物負荷を決定し、対数低減を記録する。結果を表5に列記する。様々な生物に対する抗菌活性は、基質に顔料を添加することで依然として観察された。
【表5】
【0039】
実施例8:
ポリプロピレン不織布織物22グラム/平方メートル(GSM)を、仕上げられた基質の重量に対して10.79%の濃度で局所適用仕上げ剤でコーティングして、染料は、仕上げられた基質の重量に対して0.66%を画定して、抗菌基質を形成した。
【0040】
別の実施形態では、2つのコーティング系が用いられる。ポリプロピレン不織布織物(22GSM)を調達した。これを、仕上げられた基質の重量に対して7.7%の濃度で局所適用仕上げ剤でコーティングして、染料は、単一のコーティングした基質の重量に対して0.5%を画定して、抗菌基質を形成した。単一のコーティングした基質を、局所適用仕上げ剤でコーティングして、仕上げられた基質の重量に対して59.0%の濃度の2つのコーティング系を形成し、染料は、仕上げられた基質の重量に対して0.17%を画定する。
【0041】
得られた基質を5×5cmの正方形サイズに切断し、100mmの滅菌ペトリ皿に入れてから、既知の力価の微生物を接種する。接種された基質を、周囲条件下で可視領域において電磁放射線に60分間曝露する。利用される光源は、32ルーメン出力の4100K蛍光灯である。指定された曝露時間の終了時に、基質を培地で抽出し、抽出物を蒔いてインキュベートする。処理後の微生物負荷を決定し、対数低減を記録する。更に、得られた生地のドライクロッキングを、AATCC方法8に従って決定する:クロッキングへの耐変色性:AATCCクロックメーター法。グレードを、1~5のスライドスケールに基づいて割り当てる;1は低耐変色度として記録され、5は優れた耐変色度に対応する。結果を表6に列記する。1つ及び2つのコーティング系の両方を利用して、研究された全ての生物に対する堅牢で反復可能な抗菌活性が観察された。ドライクロッキングは、2つのコーティング系を用いたときに顕著に改善された。
【表6】
【0042】
実施例9:
ポリプロピレン不織布織物26グラム/平方メートル(GSM)を、仕上げられた基質の重量に対して9.13%の濃度で局所適用仕上げ剤でコーティングして、染料は、仕上げられた基質の重量に対して0.57%を画定して、抗菌基質を形成した。
【0043】
得られた基質を5×5cmの正方形サイズに切断し、100mmの滅菌ペトリ皿に入れてから、既知の力価の微生物を接種する。接種された基質を、周囲条件下で可視領域において電磁放射線に60分間曝露する。利用される光源は、32ルーメン出力の4100K蛍光灯である。指定された曝露時間の終了時に、基質を培地で抽出し、抽出物を蒔いてインキュベートする。処理後の微生物負荷を決定し、対数低減を記録する。結果を表7に列記する。研究された全ての生物に対する堅牢で反復可能な抗菌活性が観察された。
【表7】
【0044】
実施例10:
ポリプロピレン不織布織物26グラム/平方メートル(GSM)を、仕上げられた基質の重量に対して9.13%の濃度で局所適用仕上げ剤でコーティングして、染料は、仕上げられた基質の重量に対して0.57%を画定して、抗菌基質を形成した。
【0045】
得られた基質を5×5cmの正方形サイズに切断し、指定された長さの間、摂氏60度(℃)のインキュベーターに入れる。割り当てられた時間の後、試料を取り出し、100mmの滅菌ペトリ皿に入れてから、既知の力価の微生物を接種する。接種された基質を、周囲条件下で可視領域において電磁放射線に60分間曝露する。利用される光源は、32ルーメン出力の4100K蛍光灯である。指定された曝露時間の終了時に、基質を培地で抽出し、抽出物を蒔いてインキュベートする。処理後の微生物負荷を決定し、対数低減を記録する。結果を表8に列記する。Staphylococcus aureus及びPseudomonas aeruginosaに対して、1ヵ月及び2ヵ月の両方の間の加速条件下でのエイジング後に、堅牢で反復可能な抗菌活性が観察された。
【表8】
【0046】
実施例11:
ポリプロピレン不織布織物17グラム/平方メートル(GSM)を、仕上げられた基質の重量に対して13.97%の濃度で局所適用仕上げ剤でコーティングして、染料は、仕上げられた基質の重量に対して0.83%を画定して、抗菌基質を形成した。
【0047】
得られた基質を5×5cmの正方形サイズに切断し、100mmの滅菌ペトリ皿に入れる。基質を、周囲条件下で可視領域において電磁放射線に9時間曝露する。利用される光源は、32ルーメン出力の4100K蛍光灯である。9時間後、試料に既知の力価のPseudomonas aeruginosaを接種する。接種された基質を、更に30分間、同じ電磁放射線源に曝露する。指定された曝露時間の終了時に、基質を培地で抽出し、抽出物を蒔いてインキュベートする。処理後の微生物負荷を決定し、対数低減を記録する。結果を表9に列記する。接種前の9時間の長時間の電磁放射線曝露後、堅牢な抗菌活性が観察された。
【表9】
【0048】
実施例12:
ポリプロピレン不織布織物26グラム/平方メートル(GSM)を、仕上げられた基質の重量に対して9.13%の濃度で局所適用仕上げ剤でコーティングして、染料は、仕上げられた基質の重量に対して0.57%を画定して、抗菌基質を形成した。
【0049】
得られた基質を、3層外科用マスクの外層構造として使用する。外科用マスク構造は、ポリプロピレンスパンボンド不織布織物30グラム/平方メートル(GSM)の内面層、溶融吹き付け不織布ポリプロピレン織物25グラム/平方メートル(GSM)からなるフィルター層、及び上述の処理された抗菌基質からなる外層からなる。3つの層は、超音波的に一緒に溶接され、機能的な3層外科用マスクを生成するために、ノーズピース及び耳ループと固定される。
【0050】
得られた基質を5×5cmの正方形サイズに切断し、100mmの滅菌ペトリ皿に入れてから、既知の力価の微生物を接種する。接種された基質を、周囲条件下で可視領域において電磁放射線に60分間曝露する。利用される光源は、32ルーメン出力の4100K蛍光灯である。指定された曝露時間の終了時に、基質を培地で抽出し、抽出物を蒔いてインキュベートする。処理後の微生物負荷を決定し、対数低減を記録する。結果を表10に列記する。研究された全ての生物に対する堅牢で反復可能な抗菌活性が観察された。
【表10】
【0051】
実施例13:
実施例12(試料19)に例示されるように、3層外科用マスクを生成した。更に、抗菌クレームを有する市販のマスクを調達した。
【0052】
得られた基質を5×5cmの正方形サイズに切断し、100mmの滅菌ペトリ皿に入れてから、既知の力価の微生物を接種する。接種された基質を、周囲条件下で可視領域において電磁放射線に60分間曝露する。利用される光源は、32ルーメン出力の4100K蛍光灯である。指定された曝露時間の終了時に、基質を培地で抽出し、抽出物を蒔いてインキュベートする。処理後の微生物負荷を決定し、対数低減を記録する。結果を表11に列記する。試料19の強化された反復可能な抗菌活性は、現在市場で見られるマスクで観察される活性と関連して観察された。
【表11】
【国際調査報告】