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特表2024-509794キャリア上に液体を滴下するための装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-05
(54)【発明の名称】キャリア上に液体を滴下するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/10 20060101AFI20240227BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
G01N35/10 A
C12M1/00 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023552195
(86)(22)【出願日】2022-03-01
(85)【翻訳文提出日】2023-08-28
(86)【国際出願番号】 EP2022055182
(87)【国際公開番号】W WO2022194543
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】102021202518.8
(32)【優先日】2021-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
(71)【出願人】
【識別番号】399007154
【氏名又は名称】エル・ピー・ケー・エフ・レーザー・アンド・エレクトロニクス・ソシエタス・ヨーロピア
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100191938
【弁理士】
【氏名又は名称】高原 昭典
(72)【発明者】
【氏名】クリューガー・ロービン・アー
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン・アールスト・ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ヴォラー・モーリッツ
【テーマコード(参考)】
2G058
4B029
【Fターム(参考)】
2G058CC02
2G058CD12
2G058CF17
2G058ED01
4B029AA07
4B029BB01
4B029CC01
4B029FA02
4B029FA12
(57)【要約】
本発明は、滴発生器と、キャリア用の保持装置とを備え、各液体部分もしくは滴に関する信号を検出するように設定された検出器と、滴発生器に対する保持装置の相対運動を生じさせるための搬送装置と、好ましくは検出器と接続されたメモリとを備える、キャリア上に液滴を滴下するための装置であって、に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリア(2)上に液滴を滴下するための装置であって、装置が、滴発生器(4)と、保持装置(1)と、少なくとも1つの検出器(11a,11b,11c,11d,11a2)と、搬送装置(13a,13b)とを備え、
・滴発生器(4)が、液体から成る滴を発生させるように設定され、
・保持装置(1)が、キャリア(2)を収容するように設定され、
・少なくとも1つの検出器(11a,11b,11c,11d,11a2)が、滴発生器(4)によって滴を形成するための各液体部分に関する信号を検出するように及び/又は発生させた各滴に関する信号を検出するように設定され、
少なくとも1つの検出器(11a,11b,11c,11d,11a2)が、少なくとも1つの検出器(11a,11b,11c,11d,11a2)によって採取された信号を、滴発生器(4)を向けた領域に対応付けて記憶するように設定されたメモリ(12)と接続され、
・滴発生器(4)が、滴を検出器(11a,11b,11c,11d,11a2)の信号に依存せずに発生させるように設定され、
・搬送装置(13a,13b)が、保持装置(1)又は滴発生器(4)を移動させるように設定されていること、を特徴とする装置。
【請求項2】
保持装置(1)に向けられた位置検出器(10)を有する制御装置(14)が設けられ、この位置検出器は、滴発生器(4)に対する、保持装置(1)に配置されたキャリア(2)のウェル(3)の相対位置を検出し、保持装置(1)と滴発生器(4)を相対運動させるために搬送装置(13a,13b)を制御し、ウェル(3)を滴発生器(4)に適合させて位置決めするように設定されていること、を特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
検出器(11d)は、キャリア(3)に滴下された滴に関する信号を検出し、この信号を、検出器(11d)を向けた領域に対応付けるようにだけ設定されていること、を特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
装置が、位置検出器(10)を備え、この位置検出器が、滴発生器(4)に対する保持装置(1)の相対位置を検出するように設定されていること、及び、装置が、補正駆動装置(19)を備え、この補正駆動装置が、位置検出器(10)に依存して制御され、保持装置(1)又は滴発生器(4)を移動させるように設定されていること、を特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
補正駆動装置(19)が、搬送装置(13a,13b)の移動に直行する移動を実施するように設定されていること、を特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
補正駆動装置(19)が、保持装置(1)と滴発生器(4)の一方だけを移動させるように設定され、搬送装置(13a,13b)が、保持装置(1)と滴発生器(4)の他方だけを移動させるように設定されていること、を特徴とする請求項4又は5に記載の装置。
【請求項7】
保持装置(1)上に配置されたキャリア(3)のウェル(3)を配置するために、ウェル(3)又はコーディング(16)及び/又は基準点を検出するように設定された位置検出器(10)が設けられていること、を特徴とする請求項1~6の何れか1項に記載の装置。
【請求項8】
制御装置(14)が、搬送装置(1)に向けられた位置検出器(10)を備え、制御装置(14)が、滴発生器(4)に対して相対的な搬送装置(1)の相対移動を制御し、搬送装置(1)上に配置すべきキャリア(2)のウェル(3)を配置した領域を相前後して滴発生器(4)に適合させて位置決めするように設定されていること、を特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
制御装置(14)が、滴発生器(4)に対して相対的な搬送装置(1)の相対運動のために搬送装置(1)を移動させるように設定されていること、を特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
位置検出器(10)が、滴発生器(4)に対して相対的な保持装置(1)又は保持装置(1)上に配置されたキャリア(2)の位置を、搬送装置(13a,13b)の移動の期間中に連続的に、間隔を置いて又は時間的に離間した少なくとも2つの間隔で、又は滴発生器(4)の運転の開始時だけ及び/又は搬送装置(13a,13b)の移動の開始時及び/又は終了時だけに採取するように設定されていること、を特徴とする請求項1~9の何れか1項に記載の装置。
【請求項11】
滴発生器(4)を向けた領域が、搬送装置(1)上に配置すべきキャリア(2)の表面領域、特にウェル(3)であり、これら表面領域に、滴発生器(4)が位置合わせされ、これら表面領域上に、液体部分から発生させた滴を滴下すること、を特徴とする請求項1~10の何れか1項に記載の装置。
【請求項12】
メモリ(12)が、検出器(11a,11b,11c,11d,11a2)によって採取された信号を、保持装置(1)上に配置されたキャリア(2)の表面領域に対応付けるように設定されていること、を特徴とする請求項1~11の何れか1項に記載の装置。
【請求項13】
表面領域がウェル(3)であること、を特徴とする請求項8~12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
搬送装置(13a,13b)が、滴発生器(4)と保持装置(1)の間に相対運動を生じさせるように制御され、一方、保持装置(1)上に配置されたキャリア(2)は、滴発生器(4)から間隔を置いて配置され、この間隔が、滴発生器(4)から流出する液体の直径以下であること、を特徴とする請求項1~13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
少なくとも1つの検出器(11a,11b,11c,11d,11a2)が、粒子を備える又は粒子である、滴状又は連続的な液体内に含まれる物質を検出し、そのために信号を発生させるように設定されていること、を特徴とする請求項1~14のいずれか1項に記載の装置。
【請求項16】
搬送装置(1)に対して相対的に信号を対応付けるべきかつ液体部分から発生させた滴がキャリア(2)上に配置される領域が、キャリア(2)内に形成されたウェル(3)であること、を特徴とする請求項1~15のいずれか1項に記載の装置。
【請求項17】
保持装置(1)上に配置すべきキャリア(2)のウェル(3)の配置に関するデータを入力するように、保持装置(1)上に配置すべきキャリア(2)のウェル(3)の配置を検出するように又は保持装置(1)上に配置すべきキャリア(2)のコーディング(16)を検出するように設定されたセンサ(15)が設けられ、このセンサ(15)が、メモリ(17)と接続され、このメモリが、ウェル(3)の配置に対するコーディング(16)の対応付けを含み、搬送装置(13a,13b)が、入力されたデータに依存して制御されていること、を特徴とする請求項1~16のいずれか1項に記載の装置。
【請求項18】
センサ(15)が顕微鏡であること、を特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項19】
滴発生器(4)が、滴を発生させるための少なくとも1つの制御されたピエゾ結晶(7)を備えること、を特徴とする請求項1~18のいずれか1項に記載の装置。
【請求項20】
搬送装置(13a,13b)が、滴発生の速度のみに依存して制御され、保持装置(1)上に配置されたキャリア(2)のちょうど1つのウェルを、それぞれ、個々の滴のそれぞれのため又はそれぞれ少なくとも2つの滴のために滴発生器(4)に適合させて位置決めすること、を特徴とする請求1~19のいずれか1項に記載の装置。
【請求項21】
搬送装置(1)と滴発生器(4)が、少なくとも1つの検出器(11a,11b,11c,11d,11a2)の信号に依存していないこと、を特徴とする請求項1~20のいずれか1項に記載の装置。
【請求項22】
連続的な液相の液体部分が滴発生器(4)内に又は滴発生器(4)の出口開口(4a)に隣接して存在する、又は、液体から滴を形成する滴発生器(4)から間隔を置いて配置された、及び/又は、保持装置(1)に配置されたキャリア(2)上に滴が配置された領域である1つの領域に、少なくとも1つの検出器(11a,11b,11c,11d,11a2)が向けられていること、を特徴とする請求項1~21のいずれか1項に記載の装置。
【請求項23】
滴発生器(4)を向けた同じ領域に第2の液体の滴を滴下するように設定された第2の滴発生器(8a)が設けられていること、及び/又は、滴発生器(4)を向けた同じ領域に別の液体の滴を滴下するように設定された別の滴発生器(8b)が設けられていること、を特徴とする請求項1~22のいずれか1項に記載の装置。
【請求項24】
滴発生器(4)、第2の滴発生器(8a)及び/又は別の滴発生器(8b)が、位置不動に固定され、搬送装置(1)が、この搬送装置に配置されたキャリア(2)を移動させるように設定されていること、を特徴とする請求項23に記載の装置。
【請求項25】
滴発生器(4)が、滴を連続的に発生させるように設定され、搬送装置(1)に配置されたキャリア(2)がウェル(3)を備える各領域において、検出器(11a,11b,11c,11d,11a2)によって粒子の存在に関する少なくとも1つの信号が検出されるまで滴を滴下するように、搬送装置(1)が、検出器(11a,11b,11c,11d,11a2)に依存して制御され、搬送装置(13a,13b)が、滴発生器(4)をキャリア(2)のそれぞれ直接的に隣接するウェル(3)に直接的に相前後して位置合わせするように設定されていること、を特徴とする請求項1~24のいずれか1項に記載の装置。
【請求項26】
装置が、検出器(11a,11b,11c,11d,11a2)によって検出された信号のウェル(3)に対する対応付けを記憶するように設定されたメモリを備えないこと、を特徴とする請求項23に記載の装置。
【請求項27】
装置が、各液体部分に関する信号を検出するための検出器(11a,11b,11c,11d,11a2)を備えず、配置したキャリア(2)がウェル(3)を備える搬送装置(1)の各領域において所定数の滴を滴下するように、装置が設定されていること、を特徴とする請求項1~26のいずれか1項に記載の装置。
【請求項28】
搬送装置(13a,13b)が、一定の速度で滴発生器(4)と保持装置(1)の間に相対運動を生じさせるように設定されていること、を特徴とする請求項1~27のいずれか1項に記載の装置。
【請求項29】
滴発生器(4)が、ウェル(3)に適合させて位置決めしたときに、このウェルに所定数の滴を、ウェル(3)の隣に位置決めしたときよりも高い速度で滴下するように設定されていること、を特徴とする請求項1~28のいずれか1項に記載の装置。
【請求項30】
・滴発生器(4)によって、少なくとも1つの物質を含む液体(5)から成る滴を発生させ、キャリア(2)上に滴を滴下するステップと、
・少なくとも1つの検出器(11a,11b,11c,11d,11a2)によって、滴を形成するための各液体部分に関する信号及び/又は各滴に関する信号を検出するステップと、
・滴が滴下されたキャリア(2)の領域に対して信号を対応付け、メモリ(12)内にキャリア(2)の領域に対する対応付けを有する信号を記憶するステップと、
・搬送装置(1)によって滴発生器(4)に対して間隔を置いて滴発生器(4)に対して相対的にキャリア(2)を移動させるステップと、
・キャリア(2)のウェル(3)を相前後して滴発生器(4)に適合させて位置決めするために、位置検出器(10)によって、滴発生器(4)に対する搬送装置(1)の相対位置を検出し、位置決め装置(13)によって、搬送装置(1)によるキャリア(2)の制御された位置決めを行なうステップと、
を有する、特に請求項1~29のいずれか1項に記載の装置によってキャリア上に滴を滴下するための方法。
【請求項31】
液体中の物質が、懸濁した粒子、特に細胞であること、を特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項32】
キャリア(4)のそれぞれ個々のウェル(3)内に個々の滴の滴下が行なわれること、を特徴とする請求項30又は31に記載の方法。
【請求項33】
滴が滴下されたキャリア(2)の領域に対する信号の対応付けが、個々の滴が滴下されたキャリア(2)のウェル(3)に対する信号の対応付けであり、キャリア(2)のウェル(3)に対する信号の対応付けが、メモリ(12)に記憶されること、を特徴とする請求項30~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
キャリアの位置決めが、滴発生器(4)に適合させた個々の各滴用のそれぞれ1つの別個のウェル(3)の位置決めであること、を特徴とする請求項30~33のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャリア上に液体を滴下するための装置及び方法と、キャリア上に液体を滴下するための配量装置としての装置の使用に関する。液体は、好ましくは少なくとも1つの物質を含み、この物質は、好ましくは少なくとも1種類の粒子又は少なくとも2種類の粒子の混合物であり、これら粒子は、特に生物学的細胞である。粒子、特に生物学的細胞は、液体中に、好ましくはばらばらの細胞の形態で懸濁されている。生物学的細胞は、微生物、例えば細菌、酵母又は真菌、植物又は動物細胞、特にヒト細胞であり得、それぞれ培養物又は生物学的試料、例えば血液試料又は組織に由来する。
【0002】
装置及び装置によって実施可能な方法は、高速で液体の滴をキャリア上に滴下し、各滴に、少なくとも1つの検出の測定値が対応付けられ、これにより、各滴に、その物質もしくは粒子の含有量又は他の特性が測定値として対応付けされるとの利点を有する。好ましくは、キャリアは、ウェルを備え、装置は、滴を、好ましくはそれぞれの滴を又は所定数の滴を個々のウェル内に滴下するように設定されている。
【背景技術】
【0003】
欧州特許第2546656号明細書には、光学的検出器と制御装置を有し、光学的検出器が、装置の監視部分に向けられ、この監視部分に、吐出すべき液体が含まれ、制御装置が、吐出のためのアクチュエータを制御することによって、監視部分内の粒子の状態を変更する、滴を吐出するための装置が記載されている。
【0004】
欧州特許第2577254号明細書には、通路部分内の液体の検出に依存して制御されたピエゾによって液体から成る滴を発生させるように駆動された、滴を滴下するための装置が記載されている。通路から吐出される滴は、2つの位置の一方に制御されて誘導される。
【0005】
独国特許出願公開第102015000920号明細書には、滴を滴下するための、調整装置を制御するための座標を提供する2つのカメラによる、分配ユニットと連結された調整装置の制御が記載されている。
【0006】
独国特許出願公開第102015202574号明細書には、個々の滴を放出するために、制御された音発生器が液体に振動を作用させ得る、滴を適切に放出するためのノズルが記載されている。
【0007】
国際公開第2007102785号パンフレットには、先細り部を備える連続的な孔を有する、液滴を収容するためのキャリアが記載されている。
【0008】
国際公開第2010004627号パンフレットには、個々の容積を滴下するために、毛細管内の液体に光を照射でき、次いで、ノズルを経て滴下でき、滴下された容積が、粒子の濃度に依存して制御されることが記載されている。
【0009】
前記の装置は、キャリア上に滴を滴下する速度が低いとの欠点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】欧州特許第2546656号明細書
【特許文献2】欧州特許第2577254号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第102015000920号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第102015202574号明細書
【特許文献5】国際公開第2007102785号パンフレット
【特許文献6】国際公開第2010004627号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、滴の迅速な滴下を可能にするために、キャリア上に滴を滴下するための選択的な装置及び選択的な方法を提供することである。好ましくは装置及び方法は、滴内に含まれる粒子に関する測定値が滴に対応付けられるように設定されている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、それぞれの請求項の特徴によって、特に、キャリア上に液滴を滴下するための装置であって、装置が、滴発生器と、保持装置と、少なくとも1つの検出器と、オプションでメモリ、好ましくは電子メモリと、搬送装置と、オプションで搬送装置と接続された制御装置とを備えるか又はこれらから成り、
・滴発生器が、液体から成る滴を発生させるように設定され、保持装置が、キャリアを収容するように設定され、
・少なくとも1つの検出器が、滴発生器によって滴を形成するための各液体部分に関する信号を検出するように及び/又は発生させた各滴及び/又は滴下された滴に関する信号を検出するように設定され、例えば、滴内に含まれる物質-これは、好ましくは粒子を備える又は粒子である-を検出するように設定され、好ましくは、少なくとも1つの検出器が、少なくとも1つの検出器によって採取された信号を、液体部分から発生された滴が滴下された及び/又はキャリア上に配置された、保持装置に対して相対的な領域に対応付けるように設定されたメモリと接続され、これら領域は、例えば、キャリアの互いに離間された表面領域、特にキャリア内に形成されたウェルであり、
・メモリは、少なくとも1つの検出器の信号を、それぞれの液体部分もしくは滴がキャリア上に配置された、保持装置に対して相対的な領域に対応付けるように設定され、
・滴発生器が、好ましくは、滴を検出に依存せずに発生させるように設定され、
・滴発生器が、好ましくは、滴をもっぱら連続的に発生させるように設定され、
・搬送装置が、滴発生器に対する保持装置の相対運動を生じさせるために、好ましくは、保持装置と滴発生器の間に間隔を置いて相対運動を生じさせるために形成され、搬送装置が、保持装置を移動させるように又は滴発生器を移動させるように設定され、搬送装置の移動が、オプションで、滴発生器の速度に依存して及び/又は保持装置上に配置されたキャリアのウェルの配置に関するデータの入力に依存してのみ制御され、
・制御装置が、滴発生器に対する保持装置の相対位置、特に滴発生器に対する保持装置に配置されたキャリアの相対位置を検出し、搬送装置を制御するように設定され、
・オプションで、制御装置が、保持装置に向けられた位置検出器を備え、この位置検出器が、滴発生器に対する保持装置に相対位置を検出し、検出に依存して搬送装置の位置を制御するように設定され、搬送装置は、特に、保持装置又は滴発生器を制御しつつ移動させ、離間しておりかつ好ましくは保持装置上に配置すべきキャリアのウェルを配置した領域を相前後して滴発生器に適合させて位置決めするように設定され、
・オプションで、特に検出器と接続されたメモリに対して付加的に又は検出器と接続されたメモリなしで、滴発生器が、少なくとも1つの検出器に依存して制御され、搬送装置、特にこの搬送装置と接続された制御装置が、検出器によって少なくとも1つの、好ましくはちょうど1つの所定の信号が検出された場合に初めて、保持装置又は滴発生器を移動させるように設定されていること、を特徴とする装置の提供によって、課題を解決する。
【0013】
装置は、個々の各滴又は複数の滴がばらばらにキャリアの領域、好ましくはそれぞれキャリアの個々のウェル内に滴下されるように設定されている。装置及び方法は、滴内に含まれた物質に関する測定値が、滴及びキャリア上の滴の配置に対応付けられ、この対応付けが、好ましくはメモリに記憶されるように設定されている。一般に、装置は、搬送装置が、保持装置又は滴発生器を少なくとも2回移動させ、少なくともキャリアのウェルの一部又は全てのウェルを少なくとも2回滴発生器に適合させて位置合わせし、同じ液体の少なくとも1つの別の滴をウェルの一部又は全てのウェル内に滴下するように設定することができる。
【0014】
一般に、滴発生器は、個々の又は複数の滴を任意の方法で発生させることができる。完全さを主張するものではないが、発生は、電気機械的に、圧電的に、機械的な撓みによって、空気圧的に、熱的に、蒸気形成によって、熱膨張によって、静電的な反発力又は引力によって、音響的に、光学的に、及び/又は弁により行なうことができる。
【0015】
一般に、搬送装置は、滴発生器に対するキャリアを配置すべき保持装置の相対運動が生じるように設定されている。この場合、搬送装置を、保持装置を移動させるように設定すること及び滴発生器を位置不動とすること、及び/又は、保持装置を位置不動とすること及び搬送装置を、滴発生器を移動させるように設定すること、ができる。選択的に、保持装置と滴発生器の両方を、互いに相対的に移動させるように搬送装置に配置することができる。
【0016】
一般に、装置は、少なくとも1つの滴が滴下される、保持装置もしくは保持装置上に配置されたキャリアの各領域に、滴の滴下の前及び/又は後に、少なくとも1つの第2の液体の少なくとも1つの滴を滴下するように設定することができる。この場合、第2の液体は、粒子を含有する液体とは異なる組成を備える。第2の液体は、例えば、細胞用の培養培地、試薬を含む液体、色素を含む液体、1つの生体分子又は複数の異なる生体分子を含む液体であり得る。この場合、装置は、まず第2の液体の滴をキャリアの領域、特にウェルに滴下し、次いで、粒子を含む液体の滴を滴下し、オプションでその後第3の液体の滴を同じ領域に滴下するように設定することができる。第3の液体は、第2の液体と同じ組成を備えること又は他の組成を備えることができる。一般に、装置は、第2の液体及び/又は第3の液体を互いに依存せずに同じ所定の領域、特にキャリアの所定のウェルに滴の形態で滴下し、残りの領域、特にウェルには、滴の形態の第2の液体及び/又は第3の液体を滴下しないように設定することができる。この場合、装置は、滴発生器のそれぞれを滴発生のために異なる周波数で及び/又は異なる圧力作用で制御するように設定することができる。これは、2つ又は3つの液体に限定されるのではなく、任意の数の液体に適用することができる。
【0017】
粒子を含有する液体に対して付加的に、更に第2及び/又は第3の液体を同じ所定の領域、特にウェル内に滴の形態で滴下するように、装置が設定された実施形態では、装置は、好ましくはそれぞれ少なくとも、第2の液体用の別個の第2の滴発生器を、オプションで、第3の液体用に別個の第3の滴発生器を備える。オプションで、装置は、別の滴発生器を備えることができる。全ての滴発生器、例えば第2及び/又は第3の滴発生器は、互いに離間して、例えば粒子を含有する液体用の滴発生器に対して間隔を置いて固定することができ、オプションで、共に搬送装置によって可動に案内すること又は全てが位置不動とすることだけができる。選択的に、装置は、第2の滴発生器が、更にオプションで第3の滴発生器が、同じ又はそれぞれ異なる速度で保持装置もしくは保持装置上に配置されたキャリアに対して相対的に移動されるように、滴発生のそれぞれ同じ又はそれぞれ異なる周波数に対して制御されるように、及び/又は、それぞれ同じ又は異なる圧力の作用を受けるように、設定することができる。
【0018】
この場合、装置は、更にオプションで、それぞれ所定数の滴を保持装置もしくは保持装置上に配置されたキャリアの各領域、特にウェル内に滴下するように設定することができ、この数は、例えば、平均して少なくとも又はちょうど1つの粒子を含む、この滴数の全容積として予め設定されている。この実施形態では、装置は、検出器と接続されたメモリを有しなくてもよい。オプションで、この実施形態の装置は、検出器を有していなくてもよいので、装置は、検出器及び検出器と接続されたメモリを備えることなく、所定数の滴を、保持装置の離間した領域もしくは保持装置上に配置されたキャリアの離間した領域に滴下するように設定されている。
【0019】
各実施形態で、装置は、滴を高速でキャリア上に、特にキャリアの離間した領域上もしくはキャリアのウェル内に滴下するように設定されているが、キャリアが配置された保持装置及び/又は滴発生器は、搬送装置によって移動、特に滴発生器に対するウェルの位置決めに対して相対的に移動される。全ての滴をキャリア上に、特にそのウェル内に滴下するように、装置が設定されていることにより、液体内の粒子の検出に依存して制御される、キャリアの上のノズルの移動は行なわれないので、装置は、キャリア上への、特に保持装置上に配置されたキャリアのウェル内への滴の迅速な滴下を可能にする。搬送装置が、滴発生器の速度に依存して及び/又はオプションで領域毎に所定数の滴の滴下に対して付加的にしか制御されていないことにより、滴発生器に対する保持装置もしくは保持装置に配置されたキャリアの相対運動は、滴発生器によって滴を形成するための各液体部分に関する信号の及び/又は発生させた各滴に関する信号の検出の結果に好ましくは依存しない。特に好ましくは、搬送装置は、滴中の物質の検出に依存せずに制御されている。方法内で、滴に分離されかつキャリア上に滴下される液体中の粒子の濃度は、発生させるべき滴の容積毎又は所定数の滴毎に、統計的に所定数の粒子が、例えば最大でちょうど1個の粒子、例えば統計的に0.2~0.9個の粒子又はちょうど2個,3個,4個又はそれより多くの粒子が含まれているように設定することができる。
【0020】
滴発生器によって滴を形成するための各液体部分に関する信号を検出する及び/又は発生させた各滴に関する信号を検出するように設定された少なくとも1つの検出器は、好ましくは、少なくとも、滴発生器によって滴を発生させるための連続的な液相の液体部分が配置された領域、例えば、滴発生器の内部容積、例えば導管内の領域、又は、連続的な液体部分に向けられており、この領域又は液体部分は、滴発生器に直接的に形成される、又は、液体から滴を形成する滴発生器から間隔を置いて配置された領域である、又は、保持装置に配置されたキャリア上に、滴、例えばキャリアの離間した表面領域に又はキャリアのウェル内に配置された滴が配置された領域である。一般に、信号は、液体中に含まれる物質-この物質は、特に、プラスチック、金属、セラミック又はガラスから成る粒子、例えば細胞又は合成粒子及び/又は添加されたマーキング試薬である-にとって特殊であり得る。
【0021】
検出器は、光電セル、光増倍管、デジタルフォトセンサ、例えばデジタルカメラであり得、オプションで上流に光学系、例えば顕微鏡光学系を有する。電子メモリは、デジタル画像処理ユニットを備えることができ、このデジタル画像処理ユニットは、オプションで、直接的に又はデータ伝送手段によって検出器と連結されている。検出器によって検出された信号は、相応に所定の波長の、例えば粒子と結合されたマーキング試薬が蛍光する又は粒子が光を吸収する又は拡散させる波長の、強度であり得る。検出器によって検出された信号は、例えば明視野又は位相差又は蛍光画像又は暗視野内の顕微鏡画像であり得る。顕微鏡画像は、複数のウェルを同時に含むことができる。顕微鏡画像は、ウェルの内容物の3D画像を得るために、複数の画像から構成することができる。顕微鏡画像を採取するための検出器は、キャリアの下に配置すること、及び、本発明による方法の実施後に、好ましくは方法の実施前にキャリアから採取された顕微鏡画像との比較又は差分画像として、ウェルの内容物を画像化するために利用すること、ができる。
【0022】
液体が連続相を構成する液体部分-この液体部分は、特に滴発生器内の領域、又は、連続的な液体の領域内のその出口開口の下流の領域である-内の液体に対する検出器の配置及び位置合わせは、検出器が、流れる液体の準静止領域に向けられているとの利点を有する。特にこの実施形態では、検出器は、導電率センサであり得る。例えばその光学的に透明な壁領域を経る、滴発生器内の領域への検出器の位置合わせ時には、滴発生器に照射される励起放射線の屈折が、壁領域によって設定され得るとの利点が生じる。
【0023】
装置が、検出器と接続されたメモリに対して付加的に又は検出器と接続された滴発生器のメモリなしで、少なくとも1つの検出器に依存して制御されている実施形態では、搬送装置、特にこの搬送装置と接続された制御装置は、少なくとも1つの、好ましくはちょうど1つの所定の信号-この信号は、例えば滴内の1つの粒子、特に1つの細胞の存在を示す-が検出された時に初めて、滴発生器を保持装置に対して相対的に移動させる又は保持装置を滴発発生器に対して相対的に移動させるように設定することができる。このような所定の信号は、例えば、少なくとも1つの粒子-この粒子は、細胞又は合成粒子である-の存在、マーキング試薬の存在又は不在、又は、マーキングされた特殊な結合分子、例えば、マーキングされた抗体又はマーキングされたDNA又はRNA分子、マーキングされた細胞壁又は細胞小器官又は細胞質基質の着色マーキング用の色素の存在又は不在であり得る。これら実施形態では、装置は、オプションで、少なくとも1つの検出器の信号を記憶するように設定されたメモリなしであり得る。
【0024】
保持装置に配置されたキャリア上に滴が配置される領域に、例えば平坦なキャリアの離間した表面領域又はキャリアのウェル内に配置された滴に、検出器が向けられた実施形態では、検出器は、滴発生器に依存せずに保持装置もしくは保持装置上に配置されたキャリアに向けることができる。この場合、検出器は、滴発生器が液体を滴下した方向から、保持装置もしくは保持装置上に配置されたキャリアに向けることができる。例えば、検出器は、キャリア内にウェルが延在する保持装置上に配置されたキャリアの側にもしくはウェルの開放した横断面に検出器が向けられた方向で、保持装置に向けることができる。これは、キャリアのウェル内に滴下された滴が、直接的にもしくはキャリアの材料による妨害なしに検出器によって検出され得るとの利点を有する。滴もしくは滴内に含まれる物質から放出される放射線を励起するため、装置は、保持装置もしくは保持装置上に配置されたキャリアに向けられた励起光源を備えることができる。励起光源は、検出器と同じ側から又は検出器と対向する側から、保持装置もしくは保持装置上に配置されたキャリアに向けることができる。
【0025】
装置は、1つの検出器又は少なくとも2つ又は3つの検出器を備えることができ、これら検出器は、これら領域の1つに向けられている。
【0026】
オプションで、少なくとも1つの検出器とこの検出器と接続された好ましくは電子メモリは、少なくとも1つの検出器の信号を滴発生器に対して相対的な保持装置の位置に対応付けるように、特に少なくとも1つの検出器の信号を保持装置に配置されたウェルの位置に対応付けるように設定されている。この対応付けは、キャリア上に取り付けられた基準点に対して行なうことができる。
【0027】
少なくとも1つの検出器は、好ましくは、検出器を向けた領域に照射するように設定された光源と組み合わせた光学的検出器であり得る。選択的に、検出器は、粒子の存在時の、例えば滴発生器の一部を経る粒子を含有する液体の通過時の、導電率の変化を測定するように設定された導電率センサであり得る。一般に好ましくは、検出器は、粒子の存在を決定するように、及び/又は、例えばマーキングされた特殊な結合分子であり得る、例えば、マーキングされた抗体又はマーキングされたDNA又はRNA分子、マーキングされた細胞壁又は細胞小器官又は細胞質基質の着色マーキング用の色素であり得る液体に添加されたマーキング試薬の存在を決定するように設定され、結合分子又はマーキング領域に依存せずに、マーカーは、一般に、例えばナノ粒子、色素又は官能基であり得る、又は、マーキング試薬は、1つのマーカーから成り得る。
【0028】
検出器は、キャリア上の滴の配置を検出し、好ましくは、検出されたキャリア上の滴の配置を、更に好ましくは付加的に滴に対応付けられた滴内に含まれる物質の存在に関する信号を、メモリに保存するように設定することができる。この場合、搬送装置は、滴発生器と保持装置を、キャリア及びキャリア上のウェルの配置に依存せずに移動させるように設定することができる。この実施形態で、滴発生器は、1つ又は複数の滴をキャリア又はキャリア上のウェルに依存せずに滴下するように設定され、検出器は、キャリア上に滴下された滴の位置又はキャリア上に滴下された滴の配置を検出し、この検出された位置又は配置をキャリアの基準点に対応付け、これらデータを、好ましくは付加的に滴に対応付けられた滴内に含まれる物質の存在に関する信号も、メモリに保存するように設定されている。物質は、例えばマーキング試薬、特に着色剤の形態で、これら滴のより容易な識別のために使用することができる。
【0029】
一般に、各キャリアは、基準点、例えばコーディングを備えることができる。一般に、基準点は、キャリア上、保持装置上又は任意の箇所に配置することができる。
【0030】
制御装置の位置検出器は、保持装置の滴発生器に対向する領域又は保持装置の滴発生器に対面する領域に向けることができる。一般に、制御装置は、制御装置が保持装置上に配置されたキャリアのウェルの位置を決定し、搬送装置を制御するように設定されていることが、例えば、滴を収容するためのウェルが滴発生器に適合させて又は滴発生器がウェルに適合させて位置決めされること、特に滴発生の周波数に依存してだけ位置決めされることを制御するように設定されていることが、好ましい。
【0031】
オプションの位置検出器は、滴発生器に対して相対的な保持装置の、好ましくは保持装置上に配置されたキャリアの位置を、搬送装置の移動の継続中に連続的に、間隔を置いて又は時間的に離間した少なくとも2つの間隔で、又は、滴発生器の運転の開始時だけ及び/又は搬送装置の移動の開始時及び/又は移動の終了時だけに採取するように設定することができる。この場合、間隔は、搬送装置の移動及び/又は滴発生器の運転の時間的に離間した1つ又は複数の固定の時間区間、又は、滴発生器に適合させて位置決めされたウェルの数であり得る。
【0032】
搬送装置は、位置検出器によって制御された補正駆動装置、例えばピエゾアクチュエータを備えることができる。この場合、搬送装置の移動は、特に補正駆動装置によって、搬送装置の移動の加速又は減速及び/又は搬送装置の移動に対して直交する移動、オプションで保持装置の平面又は保持装置上に配置すべきキャリアの表面に対して平行な又は直交する移動であり得る。この場合、補正駆動装置は、保持装置又は滴発生器の移動を位置検出器に依存して制御するために搬送装置に作用する。補正駆動装置は、搬送装置と、搬送装置によって移動するように駆動される保持装置又は滴発生器との間に取り付けることができる。選択的に、搬送装置は、保持装置と滴発生器の一方を移動させるように設定することができ、補正駆動装置は、搬送装置によって移動されない保持装置と滴発生器の他方を移動させるように設定することができる。
【0033】
搬送装置の移動は、例えば滴発生器に対する保持装置もしくは保持装置に配置されたキャリアの相対位置を連続的に検出するように位置検出器を設定する場合、特に位置検出器に依存して制御することができる。搬送装置は、保持装置又は滴発生器を移動させるために、位置検出器に依存して制御することができる。
【0034】
オプションで、装置は、互いに間隔-この間隔は、例えば搬送装置の移動方向に対して垂直又は平行に位置する-を置いて配置された少なくとも2つの滴発生器を備える。
【0035】
好ましくは、滴発生器は、保持装置に対して間隔を置いて配置され、この間隔の分だけ、滴発生器は、保持装置上にキャリアを配置する際に保持装置から離間しており、これにより、滴発生器から流出する液体が、キャリアからの滴発生器の距離を、自由落下する滴として横断する。選択的に、滴発生器は、保持装置から間隔を置いて配置することができ、この間隔で、滴発生器は、保持装置上にキャリアを配置する際に保持装置から離間しており、これにより、滴発生器から流出する液体は、例えば流出する液体の直径以下の間隔を置いて液体が滴発生器との接触を失う前に、キャリアと接触する。流出する液体もしくは滴の直径は、表面張力、粘度、温度、滴発生器内の圧力レベル、出口開口のサイズ、滴発生器の滴発生エネルギー入力の周波数及び振幅等のパラメータに依存して決定することができる。
【0036】
滴発生器は、オプションで光学的検出器が向けられた透明な領域を有する、滴を発生させるための出口開口又はノズルを有する導管であり得る。滴発生器は、液体用の供給源と接続され、この供給源から、滴が発生される。この場合、供給源に、圧力を作用させることができる、又は、ポンプを、供給源と滴発生器の間の導管内に配置することができる。滴を発生させるため、滴発生器は、振動発生器、例えば制御しつつ電圧パルスを作用可能なピエゾ結晶を備えることができる。振動発生器は、滴発生エネルギー入力の速度とも呼ばれる周波数と振幅を滴発生器内の液体流に印加するように設定されている。
【0037】
オプションで、少なくとも2つの滴発生器が、液体用の供給源と接続され、滴発生器は、保持装置に向けられ、液体の滴をちょうど1つのキャリア上に、特にそのウェル内に同時に滴下するように設定されている。
【0038】
キャリアを配置すべき保持装置は、搬送装置及び/又は補正駆動装置によって、少なくとも1つの方向に、好ましくは1つの平面内で、XYテーブルで制御されて移動可能であり得る、又は、三次元で、例えばXYZテーブルで移動可能であり得る。
【0039】
キャリアは、好ましくは、ガラス及び/又はシリコン及び/又はプラスチック及び/又は金属から成るワンピース又はマルチピースのプレートを備え、オプションで、規則的又は不規則な配置のウェルを有するか、その上の離間した領域に滴を滴下し得る平坦な表面を備えるか、それらから成る。好ましくは、ウェルは、ただ1つの横断面開口を備え、選択的に、ウェルは、キャリアの全厚さを経て延在しかつ毛管作用によって滴下された液体から成る滴を保持する横断面、例えば直径10~500μmの円形の横断面を備える貫通穴であり得る。ウェルは、5μm~500μm又はそれより多くの間隔を有することができる。ウェルは、15μm~500μm又はそれより多くの深さを有することができる。直径に対する深さの比は、好ましくは1~50であり得る。
【0040】
オプションで、装置は、物質、特に粒子の存在に関する検出器の信号の不在が検出された滴の数及び/又は順序もしくはウェルの配置を決定し、識別パターンとしてキャリアに対応付けるように設定することができる。
【0041】
搬送装置は、位置決定のため及び駆動装置として、例えば基準スイッチ及びステップモータ、機械的ストッパ及び制御されたサーボモータ、又は、リニア軸駆動装置を有する例えば電気光学的操作装置を含む制御式のガラススケールを備えることができる。
【0042】
一般に、制御装置は、ウェルの配置に関するデータが入力され得るか、制御装置が入力された配置に応じて滴発生器又は保持装置を位置決めするために搬送装置を移動させるように設定することができる。この場合、配置は、ウェルの規則的な配置、例えばウェルの格子であるか、ウェルの不規則な配置であり得る。装置は、ウェルの配置に関するデータを入力するためのセンサ、例えばデータの入力としてウェルの配置を画像として採取する顕微鏡、又は、キャリアのコーディングを検出するように設定された光学的センサを備えることができ、コーディングは、例えばキャリア上のQRコードである。この場合、コーディングは、ウェルの配置に関するデータと連結され、この配置に関するデータは、メモリから取得することができる。選択的又は付加的に、制御ユニットは、滴発生器、特にその圧力作用部及び/又はその振動発生器及び/又は搬送装置を、入力されたウェルの配置に依存して制御し、滴を適切に配置のウェル内に滴下するように設定することができる。
【0043】
滴発生器は、その後に滴が発生されるまでの長い時間間隔よりも短い時間間隔で少なくとも2つの滴が発生される一連の滴を発生させるように設定すること、特に滴内の物質の存在に関する検出器の信号に依存せずに設定することができる。この一連の滴の場合、搬送装置は、保持装置と滴発生器を互いに相対的に位置合わせし、これにより、保持装置上に配置すべきキャリアのウェルを、滴発生器に適合させて位置決めし、少なくとも2つの滴をより短い時間間隔内でウェル内に滴下するように設定され、搬送装置は、保持装置及び滴発生器を、その後に滴が発生されるまでの長い時間間隔の間に互いに相対的に移動させ、別のウェルを滴発生器に適合させて位置決めするように設定されている。この実施形態でも、滴発生器は、好ましくは、一連の滴を滴内の物質の存在に関する検出器の信号に依存せずに発生させるように設定されている。選択的に、滴発生器は、滴内の物質の存在に関する少なくとも1つの信号が検出されるまで、より短い時間間隔で滴を発生させ、直後の滴をより長い時間間隔で発生させるように設定することができる。この場合、滴発生器、例えばその振動発生器又はその圧力作用部は、物質の存在に関する検出器の信号に依存して制御することができる。
【0044】
一般に、装置は、滴発生器に対して相対的に保持装置上に配置されたキャリアの各ウェルを位置合わせするための搬送装置の第1の移動に続いて、滴発生器又は保持装置を、搬送装置によってもう一度、もっぱら、検出器によって所定数の粒子の不在、特に粒子の不在が検出されたウェルが滴発生器に適合させて位置決めするように設定することができる。方法内で、滴発生器は、検出器によって採取された信号に依存して、所定数の粒子の不在、特に粒子の不在が検出されたウェルに適合させて移動させることができる。
【0045】
オプションで、装置は、検出器による所定の信号の検出時、例えば、キャリアが誤った向きで保持装置に配置されている又はいない時に、液体を流出させないように、キャリア又はウェルの不在を示す信号の検出時に、方法を中止するように設定されている。その検出時に方法が中止される信号は、滴発生器の1つ内の液体の不在を示す信号、所定の範囲外の滴周波数を示す信号又はキャリアのウェル外の滴の存在を示す信号、例えばキャリアに向けられた検出器又は位置センサによって採取される信号であり得る。
【0046】
装置を使用して実施可能なキャリア上に滴を滴下するための方法は、滴を高速で、保持装置上に配置されたキャリア上に滴下し、特にキャリアの個々のウェル内に滴下し、少なくとも1つの検出器の信号を、滴にもしくは滴が滴下された個々のウェルに対応付けるとの利点を有する。装置は、キャリア上のもしくはキャリアのウェル内の滴の、特に個々の滴の配置を、それぞれ滴もしくはウェルに対して検出器の信号を対応付けて発生させる。従って、検出器信号を発生させる物質もしくは粒子を有するちょうど1つの滴又は所定数の滴を含むウェルの識別は容易である。それぞれ個々のウェル内に個々の滴を滴下する速度は、例えば1~6000Hz、例えば20~200Hz、例えば40~60Hzであり得、好ましくは滴を発生させる速度に等しい。一般に、装置もしくはその部品の設定は、方法の相応のステップを表現する。
【0047】
搬送装置は、ウェルが滴発生器に適合させて位置決めされている場合、また、ウェルが滴発生器に適合させて位置決めされていない場合、滴発生器と保持装置の間で同じ速度で相対運動をするように設定することができる。一般に、搬送装置は、一定の速度で連続的に移動させるように設定され、この移動の間、滴発生器は、滴を連続的に発生させるもしくは滴下するために制御されていることが好ましい。この場合、滴発生器は、ウェルに適合させた位置決めをする時に、ウェル内に所定数の滴を、ウェルの隣に位置決めする時よりもより高い速度で滴下するように、例えば、滴発生器の不適切な位置決め時、特にウェルの隣への位置決め時よりも高い速度で適切に位置決めされたウェル内に滴を滴下するように、設定することができる。
【0048】
一般に、装置の設定及びその要素の設定は、方法をも表現し、方法は、装置の及び方法ステップのためのその要素の設定をも表現する。
【0049】
方法は、
・キャリアが保持装置に配置されている間に、滴発生器によって、少なくとも1つの物質(好ましくは粒子である)を含む液体から成る滴を発生させ、キャリア上に滴を滴下する、好ましくはキャリアのそれぞれ個々のウェル内又はキャリアの平坦な表面の離間した領域上に個々の滴を滴下するステップと、
・滴を形成するための各液体部分に関する信号を検出し、及び/又は、少なくとも1つの検出器によって各滴に関する信号を検出し、及び/又は、1つの検出器によって各ウェルに関する信号を検出し、信号が、物質の存在又は不在を示すステップと、
・好ましくは滴が滴下されたキャリアの領域に対して信号を対応付け、好ましくは個々の滴が滴下されたキャリアのウェルに対して信号を対応付け、メモリ(電子メモリであり得る)内にキャリアの領域に対する対応付けもしくはキャリアのウェルに対する信号の対応付けを有する信号を記憶するステップと、
・搬送装置によって滴発生器に対して間隔を置いて滴発生器に対して相対的にキャリアを移動させるステップと、
・好ましくは、離間した表面領域を、特にキャリアのウェルを相前後して滴発生器に適合させて位置決めするために、好ましくは位置検出器によって、滴発生器に対するキャリアの相対位置を検出し、制御装置によって制御された搬送装置によって、キャリアを位置決めするもしくは移動させる、特に個々の滴又は所定数の滴のために滴発生器に適合させてそれぞれ1つの別個のウェルを位置決めするステップと、
・好ましくは、位置検出器に依存して制御された補正駆動装置によってキャリアの位置を検出し、滴発生器に対して相対的にキャリアを位置決めし、搬送装置が、保持装置もしくはキャリアと滴発生器の一方を移動させ、補正駆動装置が、搬送装置によって移動されない、保持装置もしくはキャリアと滴発生器の他方を移動させる又は補正駆動装置が、搬送装置と結合されているステップと、
を備える又はこれらステップから成る。
【0050】
少なくとも1つの検出器は、その後に滴が形成される液体部分に、例えば、滴発生器内又はその出口開口前の導管部分内又は滴発生器の出口開口のすぐ隣の液体の連続的な部分に、向けることができる。選択的又は付加的に、少なくとも1つの検出器は、滴発生器から間隔を置いて配置され、別個の滴内に、特に自由な滴流として存在する、もしくはキャリアの方向に移動する領域に向けることができる。この実施形態は、検出とキャリア上への滴の滴下との間の時間間隔が、滴発生器内又は滴発生器のすぐ隣の連続的な液体流の部分の検出時よりも短いとの利点を有する。
【0051】
選択的又は付加的に、少なくとも1つの検出器は、キャリアが搬送装置上に配置される領域に向けることができる、もしくは、検出器は、キャリアに、例えばその上側(ここから、ウェルがキャリア内に延在する)又は滴が滴下される側に対向する、上側と対向する下側に向けることができる。この場合、キャリアに向けられた検出器は、キャリア上への滴の滴下から時間的及び空間的に間隔を置いて検出された信号の検出及び対応付けを、特に、滴の検出とキャリア上への滴の滴下との間に時間間隔なしで検出された信号の検出及び対応付けを可能にするので、対応付けの正しさは、例えば連続的な液体流内又は自由な滴流内での検出に比して向上している。その上に配置されたキャリアの上側が位置する領域に向けられた検出器は、一定の間隔で滴発生器と接続することができ、保持装置もしくはその上のキャリアに向けられ、更にオプションで搬送装置によって滴発生器と平行に可動であり得る。
【0052】
1つの実施形態では、検出器は、検出器が少なくとも1つの又はちょうど1つの粒子又は所定数の粒子、例えばマーキング試薬に関する信号を検出した場合に初めてキャリアを滴発生器に対して相対的に移動させ得るように制御することができるので、検出器がこのような信号を検出するまで、キャリアの領域に、特にウェル内に滴が滴下される。この場合、搬送装置は、制御装置によって、検出器に依存して、滴発生器に対して相対的に保持装置を位置決めするように制御することができる。この実施形態でも、装置は、好ましくは、搬送装置を、保持装置上に配置すべきキャリアのウェルの配置に関するデータの入力に依存して制御し、この配置のウェルを直接的に相前後して滴発生器に適合させて配置するように設定されている。この実施形態では、方法は、オプションで検出器の信号を記憶するステップなしで及び/又はキャリアもしくは搬送装置を位置決めするために検出器の信号を対応付けるステップなしで実行することができる。
【0053】
一般に、制御装置内には、ウェルの配置に関するデータを入力することができ、制御装置は、入力された配置に応じて滴発生器又は保持装置を位置決めするために搬送装置を移動させることが企図され得る。この場合、配置は、ウェルの規則的な配置、例えばウェルの格子であるか、ウェルの不規則な配置であり得る。センサを介して、ウェルの配置に関するデータは入力することができ、センサは、データの入力として、例えばウェルの配置を画像として採取する顕微鏡、又は、キャリアのコーディングを検出するように設定された光学センサであり、コーディングは、例えばキャリア上のQRコードである。この場合、コーディングは、ウェルの配置に関するデータと連結され、この配置に関するデータは、メモリから取得することができる。選択的又は付加的に、制御ユニットは、滴発生器、特にその圧力作用部及び/又はその振動発生器及び/又は搬送装置を、入力されたウェルの配置に依存して制御し、滴を適切に配置のウェル内に滴下するように設定することができる。
【0054】
選択的な実施形態では、方法は、液体の検出なしで実施されるが、むしろ、統計的な平均で所定数の粒子、例えば少なくとも又はちょうど1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ又はそれより多くの粒子を含む容積に含まれる滴の数が決定される。所定数の粒子を含む容積に対する滴の数は、液体内の粒子の濃度から決定することができる。
【0055】
オプションで、方法内で、少なくとも1つの滴が滴下されるキャリアの各領域に、滴の滴下の前及び/又は後に、少なくとも1つの第2の液体の少なくとも1つの滴が滴下されることが企図され得る。第2の液体は、粒子を含有する液体とは異なる組成を備える。第2の液体は、例えば、細胞用の培養培地、試薬を含む液体、色素を含む液体、1つの生体分子又は複数の異なる生体分子を含む液体であり得る。この場合、方法内で、まず第2の液体の滴がキャリアの領域、特にウェルに滴下され、次いで、粒子を含む液体の滴が滴下され、オプションでその後第3の液体の滴が滴下され得る。第3の液体は、第2の液体と同じ組成を備えること又は他の組成を備えることができる。
【0056】
更にオプションで、搬送装置は、キャリアのウェルの一部を、滴がウェルのこの部分に滴下されるまで、少なくとも1つの滴発生器に適合させて位置合わせし、これに対して、キャリアのウェルの他の部分は、滴発生器に適合させて位置合わせされず、これらウェル内には滴が滴下されないように制御することができる。更にオプションで、キャリアは、ウェルの配置に関するデータも、異なるサイズのウェルに関するデータも含む異なるサイズのウェルを備えることができ、それに依存して、搬送装置は制御することができる。この場合、搬送装置は、ウェルをそのサイズに依存して、ウェルのサイズに依存した数の滴が滴下されるまで、滴発生器に適合させて位置合わせするように、及び/又は、付加的に、ウェルサイズに依存した数の滴が滴下されるまで、第2及び/又は第3の滴発生器に適合させて位置合わせするように、制御することができる。
【0057】
更に、滴発生器は、ウェルのサイズに依存して滴を異なる周波数で発生させるように制御することができる。
【0058】
オプションで、位置検出器は、ウェルの位置によって決定された目標位置からの偏差が非常に大きい場合に実施中の方法を中断又は中止するために利用することができる。
【0059】
本発明を1つの例によりかつ概略的に示した図を参照して詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0060】
図1】本発明による装置
図2】装置の1つの実施形態
【発明を実施するための形態】
【0061】
図1は、保持装置1として、水平なXY平面内で制御されて移動可能なXYテーブルを示す。XYテーブル上に、例えばプラスチック又はガラス又はシリコン又は金属から成るキャリア2が配置され、このキャリアは、離間した表面領域としてウェル3を、例えば列及び/又は行で配置されたウェル3を備え、これらウェルは、一方の側(ここでは上側2aと呼ばれる)だけから凹部としてキャリア2内に延在する。ノズルの形態の滴発生器4は、XYテーブルから間隔を置いて配置されているので、XYテーブルにキャリア2を配置する場合、滴発生器4としてのノズルは、ノズルから流出する液体5から自由な滴流6が形成されるように、又は、ノズルから流出する液体5が未だノズルと接触している間に既にキャリア2と接触するように、離間している。ノズルの形態の滴発生器4は、オプションの振動発生器7を、例えば電圧パルスの作用を受けるピエゾ結晶を備える。ウェル3の位置を検出しかつウェル3を滴発生器4に適合させて位置決めするため、位置検出器10は、保持装置もしくはXYテーブル1に、特にキャリア2のノズル4に対面する上側2a又はキャリア2のノズル4に対向する下側2bに向けられている。保持装置1は、搬送装置13aによって可動であり、制御装置14によって、キャリア2内のウェル3の位置を採取する位置検出器10の信号に依存して制御されている。保持装置1を移動させる搬送装置13aに対して選択的又は付加的に、装置は、保持装置1に沿って滴発生器4を制御しつつ移動させるように設定された搬送装置13bを備える。保持装置1上に配置すべきキャリア2のウェル3の配置に関するデータを入力するため、装置は、ウェル3の配置を検出するように又は保持装置1上に配置されたキャリア2のコーディング16を検出するように設定されたセンサ15を備える。コーディング16は、例えばメモリ17と接続され、このメモリは、コーディング16と関連付けられたキャリア2のウェル3の配置に関するデータを含む。光源18は、キャリア2を、場合によってはキャリアに取り付けられたコーディング16を照明するために保持装置1に向けられている。
【0062】
少なくとも1つの検出器11aは、滴発生器4内の液体部分9にむけることができる。この場合、検出器11a2は、ノズル4の内部容積内の導電率センサを有する通路として形成され、粒子が通過する際の導電率変化を信号として決定するように設定されている。選択的に、検出器11aは、ノズル4の光学的に透明な壁部分4oを経てその内部容積に向けられた光学的検出器であり得、オプションで、同じ液体部分9もしくは同じ内部容積に向けられた励起光源を有する。
【0063】
付加的又は選択的に、少なくとも1つの検出器11bは、連続的な液体流5が流出する、ノズル4の出口開口4aのすぐ隣の領域に向けることができる、又は、検出器11cは、自由な滴流6が形成された、ノズル4の出口開口4aの下流の領域に向けることができる。
【0064】
付加的又は選択的に、少なくとも1つの検出器11dは、キャリア2もしくはウェル3に、キャリア2の上側2a及び/又は下側2bから向けることができる。一般に、各検出器は、検出すべき領域に向けられた照明及び/又は励起放射線もしくは励起光のための供給源を備えることができる。一般に、図には、検出器11a,11b,11c,11d,11a2のために照射される励起放射線と、検出器によって採取されかつ信号に処理され得る検出可能な放射線が、反対方向に向けられた平行な矢印として図示されている。
【0065】
図1は、搬送装置13aとこの搬送装置によって移動するように駆動される保持装置1との間に一旦は取り付けられ、選択肢として搬送装置13bとこの搬送装置によって移動するように駆動される滴発生器4との間に一旦は取り付けられる補正駆動装置19を示す。補正駆動装置19は、位置検出器10に依存して制御されている。
【0066】
図2は、付加的に、第2の滴発生器8aと第3の滴発生器8bを備える実施形態をしめすが、これら発生器は、保持装置1が搬送装置13aによって移動される間に、滴発生器4と共に搬送装置13bによって保持装置1に沿って移動されるか、滴発生器4と共に位置不動に取り付けられている。
【0067】
例:キャリアのウェル内への培地中に懸濁された細胞、細胞クラスター又は合成粒子の滴下
【0068】
液体中に含まれる物質の代わりに、粒子として培地中に懸濁された培養された動物の単細胞が、滴発生器4としてのノズルによってキャリア2上に滴下された。懸濁された細胞は、貯蔵容器から、ある流量で、それぞれ約100~50μLの容積を有する滴を約50Hzの速度で発生させるノズルを経て移送されたが、ノズルの下では、搬送装置13aと保持装置1を構成した制御されたXYテーブルによって、キャリア2としてのウェル3を有するガラスプレートが沿って移動された。XYテーブルは、ノズル開口から間隔を置いて配置されていたが、この間隔内で、ガラスプレートは、ノズル開口から約50~150μmの距離を置いて配置されていた。ウェルは、約200μLの内部容積を備え、格子状に配置されていた。XYテーブルは、それぞれ1つのウェルが、ノズルから個々の滴を滴下する時にノズルの下に配置されるように制御された。ガラスプレートのウェルは、位置検出器としてのカメラによって決定され、その信号は、ウェルを位置決めするためのXYテーブルを制御するために使用された。
【0069】
50Hzの滴発生速度で滴下された滴のほんの20%内にそれぞれ1つの細胞の濃度がある場合、個々に滴下された細胞の出力は10Hzであり、これは、50秒以内の2500の滴を有するウェルに相当し、そのうちの500のウェルが単離細胞を有する。
【0070】
この細胞濃度及びより大きいウェルで又はより高い細胞濃度で少なくとも2つの滴を滴下することにより、ばらばらにウェル内に滴下された細胞の割合を増加させること又は細胞を有しないウェルの割合を減少させることができる。細胞の例として、培養されかつ培地内で懸濁された植物又は動物の細胞又は血液細胞、例えば全血から分離された有核細胞が使用された。選択肢として、集結した培養された動物細胞、いわゆる細胞クラスターが使用された。細菌の例として、培養された培養された大腸菌が使用された。合成粒子の例として、15μmの平均サイズの球状のガラス又はプラスチック粒子が使用された。装置の設定もしくは設定されたプロセスパラメータが、以下にまとめられている:
【0071】
【表1】
【0072】
滴速度と滴容積は、ノズルに取り付けられたピエゾ結晶の周波数と、滴発生器として使用されるノズル内の液体の流量と圧力とによって発生された。
【0073】
ウェルは、実質的にシリンダ状の横断面を有し、約127mmのサイズ、約0.5mmの厚さを有するガラスから成るプラットホーム状のキャリア内に格子配置で形成された。
【0074】
ポアソン分布による1つの細胞を有するウェルの割合は、ウェルの総数のうちの1つの細胞を有するウェルの統計的割合を示す。表に示されているようなポアソン分布による値は、理論的に計算された値であり、実際の実験、例えば滴を滴下する前の粒子の沈降の効果を考慮するものではない。
【0075】
搬送装置は、それぞれ、前述の位置検出器によって制御され、サンプル粒子1,2及び3のために、搬送装置を構成するXYテーブルの移動によってキャリアを移動させたが、滴発生器として使用されたガラス毛細管は、XYテーブルもしくはキャリアの上に位置不動に固定された。
【0076】
メモリを有する検出器は、液体領域ン枚で検出された信号を採取し、搬送装置もしくはキャリアのそれぞれ採取された位置に対応付け、この対応付けを記憶するように設定された。この対応付けは、所望の数の、例えばちょうど1つの粒子を含むウェルのその後の簡単な捜索を可能にした。選択的に、検出器は、自由な滴流又は滴発生器内の連続的な液体流に向けられるのではなく、滴の滴下後に、検出器は、ウェル内に滴下された滴を検出するために、キャリアに向けられた。
【符号の説明】
【0077】
1 保持装置
2 キャリア
3 ウェル
3a 上側
3b 下側
4 滴発生器
4o 光学的に透明な壁部分
5 液体
6 自由な滴流、滴
7 振動発生器
8a 第2の滴発生器
8b 第3の滴発生器
9 液体部分
10 位置検出器
11a,11b,11c,11d,11a2 検出器
12 メモリ
13a,13b 搬送装置
14 制御装置
15 センサ
16 コーディング、基準点
17 メモリ
18 光源
19 補正駆動装置
図1
図2
【国際調査報告】