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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-05
(54)【発明の名称】オメカムチブメカルビルの合成
(51)【国際特許分類】
   C07C 201/10 20060101AFI20240227BHJP
   C07C 205/12 20060101ALI20240227BHJP
   C07D 295/21 20060101ALI20240227BHJP
   C07D 213/75 20060101ALI20240227BHJP
   A61K 31/439 20060101ALN20240227BHJP
   A61P 9/00 20060101ALN20240227BHJP
【FI】
C07C201/10
C07C205/12
C07D295/21
C07D213/75
A61K31/439
A61P9/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023552300
(86)(22)【出願日】2022-03-09
(85)【翻訳文提出日】2023-08-29
(86)【国際出願番号】 US2022019573
(87)【国際公開番号】W WO2022192414
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】63/159,227
(32)【優先日】2021-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500203709
【氏名又は名称】アムジェン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ケール, セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】マレー, ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】クアズドルフ, カイル
(72)【発明者】
【氏名】グエン, ハンナ
(72)【発明者】
【氏名】シルバ エリペ, マリア ビクトリア
(72)【発明者】
【氏名】エリクソン, アリ エリザベス
【テーマコード(参考)】
4C055
4C086
4H006
【Fターム(参考)】
4C055AA01
4C055BA02
4C055BA06
4C055CA02
4C055CA53
4C055CB17
4C055DA01
4C086AA04
4C086BC17
4C086GA08
4C086GA12
4C086ZA36
4H006AA02
4H006AC51
4H006BA69
4H006BB11
4H006BB12
4H006BB15
4H006BB23
4H006BB42
4H006BM10
4H006BM30
4H006BM71
4H006BM73
(57)【要約】
オメカムチブメカルビル二塩酸塩の合成で利用される中間体を調製するための合成方法が、本明細書に提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2-フルオロ-3-ニトロトルエン(「FNT」)を合成する方法であって、
(a)2-フルオロトルエンを1つ以上の塩基及びホウ素化試薬と混合してボロン酸を形成することと、
(b)得られた前記ボロン酸を硝酸鉄またはその水和物と混合して前記FNTを形成することと、
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記1つ以上の塩基が、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記LDAが、ジイソプロピルアミン(DIPA)の存在下において添加される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
工程(a)が、極性非プロトン性溶媒中で行われる、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記極性非プロトン性溶媒が、テトラヒドロフラン(THF)を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
工程(b)が、非極性溶媒中で行われる、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記非極性溶媒が、シクロヘキサンを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記硝酸鉄が、水和物である、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記硝酸鉄が、式Fe(NO 9HOを有する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
工程(b)からの前記生成物を第2の塩基で処理することを更に含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
2-フルオロ-3-ニトロトルエン(「FNT」)を合成する方法であって、
(a)2-フルオロトルエンを1つ以上の塩基及びホウ素化試薬と混合してボロン酸を形成することと、
(b)得られた前記ボロン酸を硝酸と混合して、前記FNTを形成することと、
を含む、前記方法。
【請求項12】
前記1つ以上の塩基が、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記LDAが、ジイソプロピルアミン(DIPA)の存在下において添加される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
工程(a)が、極性非プロトン性溶媒中で行われる、請求項11~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記極性非プロトン性溶媒が、テトラヒドロフラン(THF)を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
工程(b)が、極性非プロトン性溶媒中で行われる、請求項11~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記極性非プロトン性溶媒が、1,2-ジクロロエタン(DCE)を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記DCEが、前記ホウ素化試薬に対して10体積として存在する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記硝酸が、90%水性である、請求項11~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記方法が、工程(b)で形成された前記混合物を加熱することを更に含む、請求項11~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記混合物が、8時間以上加熱される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記混合物が、8時間以上にわたって70℃まで加熱される、請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
工程(b)で形成された前記混合物に水を添加することを更に含む、請求項11~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記ホウ素化試薬に対して10体積の水が添加される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
1-(ブロモメチル)-2-フルオロ-3-ニトロベンゼン
【化36】
(FNB)を合成する方法であって、
(a)青色LED光の存在下で2-フルオロ-3-ニトロトルエン(FNT)を臭素化剤と混合して、FNBと1-(ジブロモメチル)-2-フルオロ-3-ニトロベンゼン
【化37】
(FNBr)との混合物を形成することと、
(b)前記FNB/FNBr混合物を亜リン酸ジアルキルと混合してFNBを形成することと、
(c)任意選択的に、(i)亜リン酸ジアルキル及びトリアルキルアミンで前記FNBを洗浄することによって、または(ii)有機溶媒で前記FNBを抽出し、水性塩基で洗浄することによって、工程(b)で形成されたFNBを精製することと、
を含む、前記方法。
【請求項26】
前記FNTが、請求項1~24のいずれか1項に記載の方法によって調製される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記有機溶媒が、トルエンである、請求項25または26に記載の方法。
【請求項28】
前記塩基が、水酸化ナトリウムである、請求項25~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記臭素化剤が、N-ブロモスクシンイミドから選択される、請求項25~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記亜リン酸ジアルキルが、亜リン酸ジメチル、亜リン酸ジエチル、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項25~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
(d)前記FNB、トリアルキルアミン塩基、及びピペラジンメチルカルボキシレート
【化38】
(「PMEC」)リン酸塩水和物を混合して、4-(2-フルオロ-3-ニトロベンジル)ピペラジン-1-カルボキシレートメチル
【化39】
(PIPN)またはその塩を形成することを更に含む、請求項25~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
(c)前記FNT、過酸化ベンゾイル、N-ブロモスクシンイミド、及び酢酸を、70~95℃の温度で混合して、1-(ブロモメチル)-2-フルオロ-3-ニトロベンゼン
【化40】
(FNB)を形成することと、
(d)任意選択的に、FNBをトルエンで抽出すること、FNBを塩基性水溶液で洗浄すること、またはその両方と、
(e)FNB、トリアルキルアミン塩基、及びピペラジンメチルカルボキシレート
【化41】
(「PMEC」)リン酸塩水和物を混合して、4-(2-フルオロ-3-ニトロベンジル)ピペラジン-1-カルボキシレートメチル
【化42】
(PIPN)またはその塩を形成することと、
を更に含む、請求項1~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
工程(e)の前に、FNBがトルエンで抽出され、水酸化ナトリウム水溶液で洗浄される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記PIPNが、臭化水素酸塩として形成される、請求項31~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記PMECリン酸塩水和物が、
(a)ピペラジン及びクロロ蟻酸メチルを混合して、PMECを形成することと、
(b)PMECと0.5モル当量のリン酸とを混合して、PMECリン酸塩水和物を形成することと、
(c)任意選択的に、工程(b)の前記混合物から前記PMECリン酸塩水和物を濾過することと、
を含む方法によって調製される、請求項31~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
塩化メチレン、ジクロロエタン、2-メチルテトラヒドロフラン、及びそれらの混合物から選択される溶媒中の溶液として、工程(a)から形成された前記PMECを単離することを更に含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記単離することが、
(i)工程(a)から得られた前記PMECを有機溶媒で洗浄することと、
(ii)塩基を添加してpHを8から14に改変することによって塩基性水溶液を形成することと、
(iii)塩化メチレン、ジクロロエタン、2-メチルテトラヒドロフラン、またはそれらの混合物を用いて、工程(ii)の前記塩基性水溶液から前記PMECを抽出することと、
によって実施される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
工程(a)が、水溶液中で実施される、請求項35~37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
工程(a)が、20~55℃の温度で1~12時間実施される、請求項35~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記トリアルキルアミン塩基が、ジイソプロピルエチルアミンまたはトリエチルアミンを含む、請求項31~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記FNB、前記トリアルキルアミン塩基、及び前記PMECリン酸塩水和物を混合する前に、前記方法が、亜リン酸ジエチル及びトリアルキルアミン塩基を添加し、得られた混合物を30~65℃の温度で混合することを更に含む、請求項31~40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
(f)前記PIPNまたはその塩、無機塩基の水溶液、及びトルエンを混合して、PIPN遊離塩基溶液を形成することと、
(g)トルエン及びアルコールを含む溶媒中のパラジウム触媒の存在下において、前記PIPN遊離塩基溶液を水素付加して、粗4-(3-アミノ-2-フルオロベンジル)ピペラジン-1-カルボキシレートメチル(PIPA):
【化43】
(PIPA)を形成することであって、
前記アルコールが、エタノールまたはイソプロパノールを含む、前記形成することと、
(h)ヘプタン及びトルエン中で前記粗PIPAから前記PIPAを結晶化させることと、
を更に含む、請求項31~41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記無機塩基が、水酸化ナトリウムを含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
(i)前記PIPA、フェニル(6-メチルピリジン-3-イル)カルバメート
【化44】
(PCAR)、及びトリアルキルアミン塩基を、アセトニトリル及びテトラヒドロフラン中で混合して、粗オメカムチブメカルビルの溶液を形成することと、
(j)粗オメカムチブメカルビルの前記溶液からオメカムチブメカルビル遊離塩基を単離することと、
(k)前記単離されたオメカムチブメカルビル遊離塩基をイソプロパノール及び水中の2~3モル当量の塩酸と混合して、オメカムチブメカルビル二塩酸塩水和物
【化45】
を形成することと、
を更に含む、請求項42または43に記載の方法。
【請求項45】
前記トリアルキルアミン塩基が、ジイソプロピルエチルアミンまたはトリエチルアミンを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
工程(h)の前記単離が、工程(g)からの粗オメカムチブメカルビルの前記溶液に水を添加することによってオメカムチブメカルビル遊離塩基を結晶化させることと、前記結晶化オメカムチブメカルビル遊離塩基を濾過することと、を含む、請求項44または45に記載の方法。
【請求項47】
イソプロパノール及び水から前記オメカムチブメカルビル二塩酸塩水和物を結晶化することを更に含む、請求項44~46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記PCARまたはその塩が、
5-アミノ-2-メチルピリジン
【化46】
(APYR)とクロロギ酸フェニルとをアセトニトリル中で混合して、PCARまたはその塩を形成することを含む方法によって調製され、前記混合が、N-メチル2-ピロリジノン(NMP)の非存在下において実施される、請求項44~47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記混合が、15~30℃の温度で1~15時間実施される、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記PCARが、塩酸塩として形成される、請求項48または49に記載の方法。
【請求項51】
前記APYRが、
(i)パラジウム触媒の存在下において2-メチル-5-ニトロピリジン
【化47】
(NPYR)を水素付加して、粗APYRを形成することと、
(ii)前記粗生成物を酢酸イソプロピル及びヘプタンから結晶化することと、
を含む方法によって調製される、請求項48~50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
工程(i)の前に、酢酸イソプロピル中のNPYRを水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し、続いて、酢酸イソプロピル中の前記洗浄NPYRを木炭と混合することを更に含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
APYRとクロロギ酸フェニルとを混合する前に、
(i)APYR塩酸塩を最大10重量%含む粗APYRの酢酸イソプロピル溶液を水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し、かつ前記洗浄したAPYRを木炭と混合して、濾過後にAPYR溶液を形成することと、
(ii)酢酸イソプロピル及びヘプタンから、工程(i)の前記APYR溶液由来のAPYRを結晶化することと、
を含む方法によって、APYRを精製することを更に含む、請求項48~52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
PCARを結晶化することを更に含む、請求項48~53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
(i)前記PIPA、トリホスゲン、及びトリアルキルアミンをアセトニトリル及びテトラヒドロフラン中で混合して、PIPAイソシアン酸塩を形成することと、
(j)前記PIPAイソシアン酸塩及び5-アミノ-2-メチルピリジン
【化48】
(APYR)を混合して、オメカムチブメカルビル遊離塩基を形成することと、
(k)前記オメカムチブメカルビル遊離塩基をイソプロパノール及び水中の2~3モル当量の塩酸と混合して、オメカムチブメカルビル二塩酸塩水和物を形成することと、
を更に含む、請求項42または43に記載の方法。
【請求項56】
工程(g)が、アセトニトリル中のPIPA及び前記トリアルキルアミンを含む第1の溶液と、テトラヒドロフラン中のトリホスゲンを含む第2の溶液とを、マイクロミキサチップ及び反応ループを用いて混合して、前記PIPAイソシアン酸塩を形成することを含む、連続製造を介して実施される、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
工程(h)が、前記PIPAイソシアン酸塩を含む溶液と、前記AYPRを含む溶液とを、Yミキサ及び反応ループを用いて混合することを含む、連続製造を介して実施される、請求項55または56に記載の方法。
【請求項58】
請求項1~43のいずれか1項に記載の方法を含む、オメカムチブメカルビルもしくはその塩、その水和物、またはその塩水和物を調製する方法。
【請求項59】
前記オメカムチブメカルビル、その塩、その水和物、またはその塩水和物が、オメカムチブメカルビル二塩酸塩水和物である、請求項58に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年3月10日に出願された米国仮出願第63/159,227号に基づく利益を主張するものであり、その開示は、あらゆる目的のため参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
心筋節は、心臓の筋肉収縮の基本単位である。心筋節は、心筋ミオシン、アクチン、及び一連の調節タンパク質で構成される高度に秩序化された細胞骨格構造である。小分子心筋ミオシン活性化因子の発見及び開発は、急性及び慢性の心不全及び拡張型心筋症(dilated cardiomyopathy:DCM)、ならびに左及び/または右心室の収縮不全もしくは収縮期予備力に関連した状態に対する、有望な治療につながるであろう。心筋ミオシンは、心筋細胞の細胞骨格モータタンパク質である。それは、化学エネルギーの機械的な力への変換に直接的に関与し、これは、心筋収縮を引き起こす。
【0003】
現在の陽性変力薬、例えば、ベータアドレナリン受容体アゴニストまたはホスホジエステラーゼ活性などの阻害薬は、細胞内カルシウムの濃度を増加させ、それにより、心筋節の収縮性が増加する。しかしながら、カルシウムレベルの増加は、心筋収縮の速度を増加させ、収縮期駆出時間を短縮し、これは、潜在的に生命を脅かす副作用に関連している。対照的に、心筋ミオシン活性化因子は、細胞内カルシウム濃度を増加させることなく、心筋ミオシンモータタンパク質の活性を直接刺激する機序で機能する。それらは、ミオシン酵素サイクルの律速段階を加速させ、力を生み出す状態を選択するようにそれを変える。心臓収縮の速度を増加させるのではなく、この機序は、代わりに収縮期駆出時間を長くし、これにより、潜在的に酸素効率の高い方法で心筋の収縮性及び心拍出量が増加する。
【0004】
米国特許第7,507,735号(参照により本明細書に組み込まれる)は、以下の構造を有するオメカムチブメカルビル(AMG423、CK-1827452)(本明細書では、「omecamtiv mecarbil:OM」)を含む化合物の属について開示する:
【化1】
【0005】
OMとは、心臓収縮を引き起こすモータタンパク質である、心臓ミオシンのクラスで最初の直接活性化因子である。これは、院内環境と外来患者環境との両方における患者の新しい一連のケアを確立することを目的として、静脈内製剤と経口製剤との両方における心不全の潜在的な治療として評価されている。OM二塩酸塩水和物は心不全の治療薬として経口製剤に使用される。具体的な状態としては、急性(または非代償性)鬱血性心不全及び慢性鬱血性心不全、特に収縮期性心機能不全に関連した疾患が挙げられるが、これらに限定されない。OMの製造方法は、WO2014/152270(「’270 WO国際公開公報」)及びWO2019/006231(「’231 WO国際公開公報」)に開示されている。
【化2】
【0006】
WO2014/152270に開示されたOMを調製するための方法を、スキーム1に要約する。’270国際公開公報に開示された方法は、市販の原材料、2-フルオロ-3-ニトロトルエン(FNT)、及び5-アミノ-2-メチルピリジン(APYR)からの、調節性API出発物質ピペラジンニトロ(piperazine nitro:PIPN)HCl及びフェニルカルバミン酸(phenyl carbamate:PCAR)HClの調製を含む。その後、PIPNを、他の高度な中間体化合物と共に利用してOMを産生する。’270 WO国際公開公報の方法は中間体PMEC遊離塩基を用いることを含む。PMEC遊離塩基は油として市販されているが、これは、様々な量のピペラジンを含有し、スキーム2に示すように、PIPN生成物中に望ましくないBISN不純物の形成をもたらす。
【化3】
【0007】
’231 WO国際公開公報に開示された方法は、低レベル及び一定レベルのピペラジンを有するPMEC(すなわち、PMECリン酸塩水和物)の安定な結晶塩を利用する方法を含む、OMを調製するための市販の方法について記載している(スキーム3)。
【化4】
【0008】
’270 WO国際公開公報及び’231 WO国際公開公報に開示されたOMを調製するための方法は、FNTを出発物質として使用する。FNTは、現在、短い合成シーケンスを用いて2-フルオロトルエンから製造されている原材料である。この方法の欠点は、所望の位置異性体である2-フルオロ-3-ニトロ-トルエンを許容可能な純度で得るために産生される、異性体の混合物の必要な分別蒸留工程であり、ここで、ガスクロマトグラフィによって測定される場合、他の異性体は0.5%以下である。更に、この方法によって得られるFNTの所望の位置異性体は、収率10%未満である。
上記を考慮して、OMの製造に有用なFNT及び他の化合物の再現性のある効率的な調製が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第7,507,735号明細書
【特許文献2】国際公開第2014/152270号
【特許文献3】国際公開第2019/006231号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示は、2-フルオロ-3-ニトロトルエン
【化5】
(FNT)を合成する方法であって、(a)2-フルオロトルエンを1つ以上の塩基及びホウ素化試薬と混合して、ボロン酸を形成することと、(b)得られたボロン酸を硝酸鉄またはその水和物と混合して、FNTを形成することと、を含む、方法を提供する。
【0011】
本開示はまた、FNTを合成する方法であって、(a)2-フルオロトルエンを1つ以上の塩基及びホウ素化試薬と混合して、ボロン酸を形成することと、(b)得られたボロン酸を硝酸と混合して、FNTを形成することと、を含む、方法を提供する。
【0012】
本開示は、1-(ブロモメチル)-2-フルオロ-3-ニトロベンゼン
【化6】
(FNB)を合成する方法であって、
(a)青色LED光の存在下で2-フルオロ-3-ニトロトルエン(FNT)を臭素化剤と混合して、FNBと1-(ジブロモメチル)-2-フルオロ-3-ニトロベンゼン
【化7】
(FNBr)との混合物を形成することと、
(b)FNB/FNBr混合物を亜リン酸ジアルキルと混合してFNBを形成することと、
(c)任意選択的に、(i)亜リン酸ジアルキル及びトリアルキルアミンでFNBを洗浄することによって、または(ii)有機溶媒でFNBを抽出し、水性塩基で洗浄することによって、工程(b)で形成されたFNBを精製することと、
を含む、方法を更に提供する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施例2-1のLDAのフローケミストリー調製のためのセットアップの図を示す。
図2】実施例2-1の2-フルオロトルエンのフローケミストリーホウ素化反応のセットアップの図を示す。
図3】実施例3に記載されているように、FNTからのPIPN HBrのフローケミストリー調製のセットアップの図を提供する。
図4】実施例3に記載されているように、FNTからのPIPN HBrのフローケミストリー調製物からの粗PIPN流について収集した画分の濃度データの要約を示すグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書では、FNT、ならびにOM及びその塩及び水和物(例えば、OM二塩酸塩一水和物)の製造で有用な他の化合物を調製する方法が提供される。いくつかの実施形態では、本開示は、OM二塩酸塩一水和物を調製するための商業的方法で使用される、出発物質及び中間体化合物を製造する方法を提供する。
【0015】
いくつかの実施形態では、開示の方法は、バッチモード(すなわち、「バッチ化学」)で行われる。他の実施形態では、開示された方法は、連続製造方法(すなわち、「フローケミストリー」または「連続化学」)を用いて行われる。本明細書で使用される場合、連続製造とは、一定の流れ(定常または周期的)を有する、ユニット動作の統合システムを指す。連続化学を利用する開示された方法は、グラムからメートルトンの分量の有効活性成分(active pharmaceutical ingredient:API)の生成を提供することができる。更に他の例では、開示される方法は、バッチ化学を用いて行われる工程と、連続化学を用いて行われる工程との組合せを含む。
【0016】
FNTの合成方法
本開示は、FNTを調製するための方法を提供する。いくつかの実施形態では、FNTを合成する本方法は、(a)2-フルオロトルエンを1つ以上の塩基及びホウ素化試薬と混合して、ボロン酸を形成することと、(b)得られたボロン酸を硝酸鉄またはその水和物と混合して、FNTを形成することと、を含む。あるいは、いくつかの実施形態では、本開示は、工程(a)が、上記の通りであり、かつ工程(b)が、得られたボロン酸を硝酸と混合してFNTを形成することである、FNTを調製するための方法を提供する。この方法の例示的な実施形態をスキーム4A及びスキーム4Bに示し、ここで、スキーム4Aに示す方法はバッチ方法を示し、スキーム4Bに示す方法は連続製造方法(例えば、フローケミストリー方法)を含む。
【化8】
【0017】
開示された方法は、容易に入手可能であり比較的安価な出発物質である、2-フルオロトルエンからのFNTの以前の調製よりも多くの利点を提供する。例えば、2-フルオロトルエンのホウ素化反応は、本方法の位置選択性の改善を促進する。開示された方法は、有利には、2-フルオロトルエンの選択的ニトロ化を提供することで、以前の方法と比較した場合に、副生成物が最小限であるFNTを産生するより位置特異的な方法を提供し、それによって、所望の位置異性体を得るための分別蒸留工程を回避する。いくつかの実施形態では、FNTは、例えば、単純蒸留または結晶化(例えば、水性メタノール)によって更に精製される。開示された方法によって調製されたFNTの更なる精製は、副生成物(例えば、望ましくない位置異性体)が最小限であるので、単純化される。
【0018】
加えて、開示された方法は、わずか約10%の収率でFNTを提供する、出発物質として2-フルオロトルエンを用いる以前の方法と比較して、改善されたFNT収率を提供する。いくつかの実施形態では、開示される方法は、10%超、例えば、15%、20%、25%、30%、35%、または40%以上の2-フルオロトルエンからの総収率でFNTを提供する。
【0019】
塩基
開示される方法は、ホウ素化反応(すなわち、工程(a))において1つ以上の塩基を用いることを含む。任意の好適な塩基、例えば、有機塩基を工程(a)で採用することができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の塩基はリチウムジイソプロピルアミド(LDA)を含み、これは、例えば、n-ブチルリチウムによるジイソプロピルアミン(DIPA)の脱プロトン化によって形成され得る。
【0020】
いくつかの実施形態では、上記または下記の他の実施形態と併せて、開示される方法は、工程(b)からの生成物を第2の塩基で処理することを更に含む。これらの実施形態では、第2の塩基は、任意の過剰な酸を中和することができる任意の好適な塩基を含むことができる。好適な第2の塩基としては、例えば、アルカリ性水酸化物(例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、及びそれらの組合せが挙げられる。いくつかの実施形態では、第2の塩基は、水酸化ナトリウム(NaOH)(例えば、NaOHの水溶液)を含む。
【0021】
ホウ素化反応
FNTを調製するための開示された方法は、ホウ素化試薬を用いてボロン酸を形成するホウ素化反応を含む。ホウ素化試薬は、任意の好適なホウ素化試薬であり得る。好適なホウ素化試薬としては、例えば、ホウ酸トリアルキルが挙げられる。いくつかの実施形態では、ホウ素化試薬は、ホウ酸トリメチル(MeO)Bを含む。いくつかの実施形態では、ホウ素化試薬は、ホウ酸トリエチル(EtO)Bを含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の他の実施形態と併せて、LDAホウ素化反応工程は、フローケミストリー工程として行われる。
【0023】
溶媒
いくつかの実施形態では、本明細書中に開示される方法は、1つ以上の好適な溶媒中で行われる。例示的な好適な溶媒としては、例えば、極性非プロトン性溶媒、極性プロトン性溶媒、及び非極性溶媒が挙げられる。好適な極性非プロトン性溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、1,2-ジクロロエタン(DCE)、アセトニトリル(MeCN)、及びそれらの混合物が挙げられる。好適な非極性溶媒としては、例えば、シクロヘキサン、ペンタン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、ジエチルエーテル、及びそれらの組合せが挙げられる。好適な極性プロトン性溶媒としては、例えば、アルコール(例えば、メタノール)が挙げられる。
【0024】
いくつかの実施形態では、上記または下記の他の実施形態と併せて、工程(a)は、極性非プロトン性溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)を含む溶媒中で行われる。
【0025】
上記または下記の他の実施形態と併せて、いくつかの実施形態では、工程(b)は、非極性溶媒(例えば、シクロヘキサン)を含む溶媒中で行われる。
【0026】
いくつかの実施形態では、上記または下記の他の実施形態と併せて、工程(b)は、極性非プロトン性溶媒(例えば、DCE)を含む溶媒中で行われる。工程(b)がDCEで行われるいくつかの実施形態では、DCEは、ボロン酸試薬に対して10体積の量で存在する。
【0027】
いくつかの実施形態では、他の上記及び下記の実施形態と併せて、開示される方法は、1つ以上の追加的な溶媒が反応容器へと導入される溶媒スイッチを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加的な溶媒は、1つ以上の溶媒の導入前に存在する溶媒を実質的に置き換える。例として、本明細書に開示されるニトロ化反応のいくつかの実施形態では、ニトロ化反応は、1,2-ジクロロエタンを含む溶媒中で行われ、反応の後処理中に、メタノールが有機相に導入されるように溶媒スイッチが行われる。
【0028】
ニトロ化反応
FNTを調製するための開示された方法は、ボロン酸をニトロ化してFNTを形成することを含む。いくつかの実施形態では、開示される方法は、ボロン酸を硝酸鉄またはその水和物と混合して、FNTを形成することを含む。いくつかの実施形態では、硝酸鉄は、水和される。いくつかの実施形態では、硝酸鉄は、式Fe(NO・XHOを有し、式中、Xは1~9の整数である。いくつかの実施形態では、硝酸鉄は、式Fe(NO・9HOを有する。
【0029】
いくつかの実施形態では、上記または下記の他の実施形態と併せて、開示の方法は、ボロン酸を硝酸と混合して、FNTを形成することを含む。硝酸を用いるニトロ化を含む実施形態では、硝酸の濃度は、任意の好適な濃度であり得る。いくつかの実施形態では、硝酸の濃度は、70%以上の水性(例えば、80%以上または90%水性)である。いくつかの実施形態では、開示される方法は、反応混合物を加熱しながらボロン酸を硝酸と混合することを含む。例えば、反応物を、50℃以上(例えば、55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、または80℃以上)まで加熱する。
【0030】
更に、いくつかの実施形態では、上記または下記の他の実施形態と併せて、反応物を少なくとも8時間加熱する。いくつかの実施形態では、反応物を、50℃以上まで少なくとも8時間加熱する。いくつかの実施形態では、反応物を、60℃以上まで少なくとも8時間加熱する。いくつかの実施形態では、反応物を、70℃以上まで少なくとも8時間加熱する。いくつかの実施形態では、反応物を、80℃まで少なくとも8時間加熱する。様々な場合において、反応物を、8時間~24時間(例えば、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、または24時間)加熱する。いくつかの実施形態では、反応物は、8時間~12時間加熱される。
【0031】
いくつかの実施形態では、上記または下記の他の実施形態と併せて、本方法は、水を反応物に添加することを更に含む。例えば、いくつかの実施形態では、ボロン酸試薬に対して10体積の水が添加される。更に、いくつかの実施形態では、有機相を、塩基(例えば、重炭酸ナトリウム)の水溶液で洗浄する。加えて、いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の有機溶媒を、生成物の単離を容易にするために添加する(例えば、溶媒スイッチ)。
【0032】
いくつかの実施形態では、溶媒は、蒸留(例えば、減圧下における真空蒸留)を用いて除去される。例として、いくつかの実施形態では、1,2-ジクロロエタンを含む溶媒を、減圧下(例えば、35Torr)での真空蒸留によって除去する。
【0033】
粗FNTを任意の好適な技術を用いて精製する。いくつかの実施形態では、上記または下記の他の実施形態と併せて、FNTをメタノール/水から結晶化させる。いくつかの実施形態では、上記または下記の他の実施形態と併せて、FNTを110~120℃での分別蒸留によって精製する。
【0034】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の他の実施形態と併せて、ニトロ化反応は、連続製造方法を用いて行われるホウ素化反応の後にバッチモードで行われる。
【0035】
OMの調製に有用な化合物
様々な実施形態では、本開示は、OM(例えば、FNT、FNB、PIPNもしくはその塩、PMEC、PCAR、及び/またはPIPA)を調製するのに有用な中間体化合物を調製する方法を提供し、ここで、中間体化合物の合成は、FNTを用いることを含む。いくつかの実施形態では、FNTは、本明細書中に記載される方法に従って調製される。
【0036】
FNB
いくつかの実施形態では、本開示は、1-(ブロモメチル)-2-フルオロ-3-ニトロベンゼン:
【化9】
(FNB)を合成するための方法を提供する。
様々な実施形態では、上記または下記の他の実施形態と併せて、FNBを合成するための開示された方法は、青色LED光の存在下においてFNTを臭素化剤と混合して、FNBと二臭素化化合物である1-(ジブロモメチル)-2-フルオロ-3-ニトロベンゼン
【化10】
(FNBr)との混合物を形成することを含み、ここで、FNB/FNBr2混合物を、亜リン酸ジアルキルと混合して、FNBを形成する。
【0037】
本明細書で使用される場合、「青色LED光」とは、400nm~460nmの波長(例えば、435~445nm)で放出される光を指す。例示的な青色LED光は、435~445nmの波長を有するLED光リング(IP68)を有するMilliporeSigma(St.Louis、MO)から市販されている。
【0038】
いくつかの実施形態では、開示される方法は、例えば更なる洗浄及び/または抽出方法によって、FNBを更に精製することを更に含む。例として、いくつかの実施形態では、FNBは、亜リン酸ジアルキル及びトリアルキルアミン塩基でFNBを洗浄することによって、または有機溶媒でFNBを抽出し、水性塩基で洗浄することによって、更に精製される。いくつかの実施形態では、FNB有機溶媒は、トルエンである。いくつかの実施形態では、水性塩基は、水酸化ナトリウム水溶液である。
【0039】
様々な実施形態では、FNBを調製するために使用されるFNTは、本明細書中に開示される方法に従って調製される。
【0040】
臭素化剤は任意の好適な臭素化剤であり得る。いくつかの実施形態では、臭素化剤は、N-ブロモスクシンイミド(NBS)である。
【0041】
亜リン酸ジアルキルは任意の好適な亜リン酸ジアルキルであり得る。いくつかの実施形態では、亜リン酸ジアルキルは、亜リン酸ジメチル、亜リン酸ジエチル、及びそれらの組合せからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、亜リン酸ジアルキルは、亜リン酸ジエチルである。
【0042】
様々な実施形態では、FNBを調製するための開示された方法は、FNBを、オメカムチブメカルビルを、調製するのに適した他の化合物に変換することを更に含む。
【0043】
PIPNまたはその塩
いくつかの実施形態では、本開示は、4-(2-フルオロ-3-ニトロベンジル)ピペラジン-1-カルボキシレートメチル
【化11】
(PIPN)またはその塩を調製するための方法を提供する。PIPNの例示的な塩には、臭化水素酸塩、塩酸塩、及びそれらの混合物が含まれる。いくつかの実施形態では、PIPNは、臭化水素酸塩として調製及び/または単離される。
【0044】
PIPN-光化学的臭素化
いくつかの実施形態では、本開示は、光化学的臭素化反応を含む、PIPNまたはその塩を調製する方法を提供する。例えば、本開示は、本明細書に記載の光化学的方法に従って調製されたFNBから、PIPNまたはその塩を合成するための方法を提供する。様々な実施形態では、本方法は、FNB、トリアルキルアミン塩基、及びピペラジンメチルカルボキシレート
【化12】
(「PMEC」)リン酸塩水和物を混合して、PIPNまたはその塩を形成することを含む。
【0045】
本明細書で使用される場合、トリアルキルアミン塩基は、任意の好適なトリアルキルアミン塩基であり得る。例示的な好適なトリアルキルアミン塩基としては、例えば、ジイソプロピルエチルアミン(すなわち、ヒューニッヒ塩基)、トリメチルアミン、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0046】
PIPN-遊離ラジカル臭素化
いくつかの実施形態では、本開示は、PIPNまたはその塩を、本明細書中に記載されるように得られるFNTから調製するための方法を提供し、ここで、臭素化反応は、遊離ラジカル臭素化である。例えば、いくつかの実施形態では、開示される方法は、FNT、過酸化ベンゾイル、NBS、及び酢酸を、70~95℃の温度で混合して、FNBを形成すること、任意選択的に、FNBをトルエンで抽出すること、FNBを塩基性水溶液で洗浄すること、またはその両方;ならびに、FNB、トリアルキルアミン塩基、及びPMECリン酸塩水和物を混合して、PIPNまたはその塩を形成することを含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、上記または下記の他の実施形態と併せて、本方法は、更なる変換を行う前に形成されたFNBを精製することを更に含む。例えば、いくつかの実施形態では、本方法は、トルエンで形成されたFNBを抽出することと、トリアルキルアミン塩基及びPMECリン酸塩水和物と混合する前に、水酸化ナトリウム水溶液で洗浄することを更に含む。更に、いくつかの実施形態では、本方法は、トリアルキルアミン塩基及びPMECリン酸塩水和物と混合する前に、チオ硫酸ナトリウム水溶液及び塩化ナトリウム水溶液で形成されたFNBを洗浄することを更に含む。
【0048】
臭素化反応が光化学的またはフリーラジカル方法によって触媒されるかどうかにかかわらず、形成されるFNBrの量を最小限に抑えることが望ましい。いくつかの実施形態では、上記または下記の他の実施形態と併せて、FNB、トリアルキルアミン塩基、及びPMECリン酸塩水和物を混合する前に、本方法は、亜リン酸ジアルキル(例えば、亜リン酸ジエチル)及びトリアルキルアミン塩基を添加し、得られた混合物を30~65℃の温度で混合することを更に含む。
【0049】
いくつかの実施形態では、上記または下記の他の実施形態と併せて、本開示は、スキーム5に示すように、PMECリン酸を利用してPIPN・HBrを製造するための連続製造方法を提供する。
【化13】
【0050】
スキーム5に示すように、PIPNを臭化水素酸塩として単離する。これは、PIPNを塩酸塩として単離し、必然的にPIPN臭化水素酸塩とPIPN塩酸塩との混合物をもたらす、以前の合成とは対照的である。したがって、HClの代わりにHBrを利用して対応するPIPN塩を産生することは、下流の合成経路で同様に容易かつ効果的に利用することができるPIPN HBr塩のみを提供する。(PIPN HClを調製するために利用されるバッチ方法とは対照的に)PIPN HBrを調製するフロー方法は、また単位操作の数を減らしながら、同じ必要な中間体の合成を提供する。
【0051】
いくつかの実施形態では、工程(a)は、本明細書に記載されるように、極性非プロトン性溶媒(例えば、アセトニトリル)の存在下において混合される。ある特定の実施形態では、工程(a)は、酸の存在下において混合される。例示的な好適な酸としては、例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸(TFA)、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0052】
いくつかの実施形態では、上記または下記の他の実施形態と併せて、工程(a)は、加熱される(例えば、少なくとも80℃、または80℃~120℃、または80℃~100℃まで加熱される)。いくつかの実施形態では、工程(a)は、ある期間、例えば5~20分間(例えば、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20分間)加熱される。いくつかの実施形態では、工程(a)は、80℃まで15分間加熱される。
【0053】
いくつかの実施形態では、工程(b)及び/または工程(c)は、本明細書に記載されるように、極性プロトン性溶媒(例えば、MeOH)の存在下において混合される。いくつかの実施形態では、工程(b)は、塩基(例えば、トリアルキルアミン塩基)の存在下において混合される。いくつかの実施形態では、トリアルキルアミンは、ジイソプロピルエチルアミン(ヒューニッヒ塩基)である。
【0054】
ある特定の実施形態では、工程(b)は、加熱される(例えば、50℃、または50℃~80℃、または50℃~60℃まで加熱される)。いくつかの実施形態では、工程(b)は、50℃まで10分間加熱される。
【0055】
いくつかの実施形態では、工程(c)は、加熱される(例えば、60℃、または60℃~90℃、または60℃~70℃まで加熱される)。いくつかの実施形態では、工程(c)は、60℃まで10分間加熱される。
【0056】
いくつかの実施形態では、工程(c)のFNB、塩基、及びPMECリン酸塩水和物を混合する前に、本方法は、亜リン酸ジエチル及びトリアルキルアミン塩基を添加し、得られた混合物を30~65℃の温度で混合することを更に含む。
【0057】
PMEC
PIPNまたはその塩を調製するための開示された方法は、PMECリン酸塩水和物を用いることを含む。様々な実施形態では、PMECリン酸塩水和物は、(a)ピペラジン及びクロロ蟻酸メチルを混合して、PMECを形成することと、(b)PMECと0.5モル当量のリン酸とを混合して、PMECリン酸塩水和物を形成することと、(c)任意選択的に、工程(b)の混合物からPMECリン酸塩水和物を濾過することと、を含む方法によって調製される。
【0058】
いくつかの実施形態では、工程(a)は水溶液中で実施され、及び/または工程(a)は、20~55℃の温度で一定期間(例えば、1~12時間)実施される。
【0059】
いくつかの実施形態では、上記または下記の他の実施形態と併せて、PIPNまたはその塩を調製するための開示された方法は、工程(a)から形成されたPMECを、塩化メチレン、ジクロロエタン、2-メチルテトラヒドロフラン、及びそれらの混合物から選択される溶媒中の溶液として単離することを更に含む。いくつかの実施形態では、PMECは、(i)工程(a)から得られたPMECを有機溶媒で洗浄することと、(ii)塩基を添加して塩基性水溶液を形成することによって、pHを8から14に改変することと、(iii)塩化メチレン、ジクロロエタン、2-メチルテトラヒドロフラン、またはそれらの混合物を用いて、工程(ii)の塩基性水溶液からPMECを抽出することと、によって単離される。
【0060】
PIPA
いくつかの実施形態では、本開示は、4-(3-アミノ-2-フルオロベンジル)ピペラジン-1-カルボキシレートメチル(PIPA):
【化14】
(PIPA)を調製するための方法を提供する。
【0061】
様々な実施形態では、本開示は、開示された方法に従って得られるPIPNまたはその塩からPIPAを調製する方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、(a)PIPNまたはその塩、無機塩基の水溶液、及びトルエンを混合して、PIPN遊離塩基溶液を形成することと、(b)トルエン及びアルコール溶媒混合物を含む溶媒中でのパラジウム触媒の存在下においてPIPN遊離塩基溶液を水素付加して、粗PIPAを形成すること(ここで、アルコールは、エタノールまたはイソプロパノールを含む)と、(c)ヘプタン及びトルエン中で粗PIPAからPIPAを結晶化させることと、を含む、PIPAを合成する方法を提供する。
【0062】
いくつかの実施形態では、無機塩基は、水酸化ナトリウムを含む。
【0063】
PCAR、APYR、及びNPYR
いくつかの実施形態では、本開示は、フェニル(6-メチルピリジン-3-イル)カルバメート
【化15】
(PCAR)またはその塩(例えば、PCAR塩酸塩)のための方法を提供する。開示された方法は、5-アミノ-2-メチルピリジン
【化16】
(APYR)とクロロギ酸フェニルとをアセトニトリル中で混合して、PCARまたはその塩を形成することを含み、ここで、当該混合は、N-メチル-2-ピロリジノン(NMP)の非存在下において実施される。いくつかの実施形態では、PCARは、塩酸塩として形成される。
【0064】
いくつかの実施形態では、混合は、15~30℃の温度で1~15時間実施される。
【0065】
上記または下記の他の実施形態と併せて、いくつかの実施形態では、PCARまたはその塩を合成するための開示された方法は、APYRとクロロギ酸フェニルとを混合する前に、(i)APYR塩酸塩を最大10重量%含む粗APYRの酢酸イソプロピル溶液を水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し、かつ洗浄したAPYRを木炭と混合して、濾過後にAPYR溶液を形成することと、(ii)酢酸イソプロピル及びヘプタンから、工程(i)のAPYR溶液由来のAPYRを結晶化することと、を含む方法によって、APYRを精製することを更に含む。
【0066】
いくつかの実施形態では、上記または下記の他の実施形態と併せて、APYRは、(i)パラジウム触媒の存在下において2-メチル-5-ニトロピリジン(NPYR)
【化17】
を水素付加して、粗APYRを形成することと、(ii)粗APYRを酢酸イソプロピル及びヘプタンから結晶化することと、を含む方法によって調製される。
【0067】
いくつかの実施形態では、NPYRは、工程(i)の前に、酢酸イソプロピルを水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し、続いて、酢酸イソプロピル中の洗浄NPYRを木炭と混合する。
【0068】
いくつかの実施形態では、上記または下記の他の実施形態と併せて、開示された方法は、PCARを結晶化することを含むことを更に含む。
【0069】
OM
本開示は、本明細書に開示される方法から得られる、1つ以上の中間体化合物(例えば、FNT、FNB、PIPNまたはその塩、PIPA、PCAR、APYR、及び/またはNPYR)から、OM(例えば、オメカムチブメカルビル二塩酸塩一水和物;「OM 2HCl HO」)を調製する方法を提供する。
【0070】
いくつかの実施形態では、OM二塩酸塩一水和物を調製するための開示された方法は、(a)PIPA、PCAR、及びトリアルキルアミン塩基をアセトニトリル及びテトラヒドロフラン中で混合して、粗OMの溶液を形成することと、(b)粗OMの溶液からOM遊離塩基を単離することと、(c)単離されたOM遊離塩基を、イソプロパノール及び水中の2~3モル当量の塩酸と混合して、OM二塩酸塩一水和物を形成することと、を含む。
【化18】
【0071】
トリアルキルアミン塩基は、本明細書に記載のように、任意の好適なトリアルキルアミン塩基である。
【0072】
いくつかの実施形態では、工程(b)の単離は、工程(a)からの粗オメカムチブメカルビルの溶液に水を添加することによってオメカムチブメカルビル遊離塩基を結晶化させることと、結晶化オメカムチブメカルビル遊離塩基を濾過することと、を含む。
【0073】
いくつかの実施形態では、開示された方法は、イソプロパノール及び水からオメカムチブメカルビル二塩酸塩一水和物を結晶化することを更に含む。
【0074】
いくつかの実施形態では、上記または下記の他の実施形態と併せて、PCARは、本明細書に開示される方法に従って調製される。
【0075】
いくつかの実施形態では、本開示は、(a)PIPA、トリホスゲン、及びトリアルキルアミンをアセトニトリル及びテトラヒドロフラン中で混合して、PIPAイソシアネートを形成することと、(b)PIPAイソシアン酸塩及びAPYRを混合して、OM遊離塩基を形成することと、(c)OM遊離塩基をイソプロパノール及び水中の2~3モル当量の塩酸と混合して、OM二塩酸塩一水和物を形成することと、を含む、オメカムチブメカルビル二塩酸塩一水和物を調製するための処理を提供する。
【0076】
いくつかの実施形態では、工程(a)は、アセトニトリル中のPIPA及びトリアルキルアミンを含む第1の溶液と、テトラヒドロフラン中のトリホスゲンを含む第2の溶液とを、マイクロミキサチップ及び反応ループを用いて混合して、PIPAイソシアン酸塩を形成することを含む、連続製造を介して実施される。
【0077】
いくつかの実施形態では、上記または下記の他の実施形態と併せて、工程(b)は、PIPAイソシアン酸塩を含む溶液と、AYPRを含む溶液とを、Yミキサ及び反応ループを用いて混合することを含む、連続製造を介して実施される。
【0078】
本明細書に開示されるいくつかの方法は、任意選択として記載される工程を含む。場合によっては、任意選択的な工程は実施されない。他の場合には、任意選択的な工程が実施される。
【0079】
実施形態
1.2-フルオロ-3-ニトロトルエン(「FNT」)を合成する方法であって、
(a)2-フルオロトルエンを1つ以上の塩基及びホウ素化試薬と混合してボロン酸を形成することと、
(b)得られた前記ボロン酸を硝酸鉄またはその水和物と混合して前記FNTを形成することと、
を含む、前記方法。
【0080】
2.前記1つ以上の塩基が、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)を含む、実施形態1に記載の方法。
【0081】
3.前記LDAが、ジイソプロピルアミン(DIPA)の存在下において添加される、実施形態2に記載の方法。
【0082】
4.工程(a)が、極性非プロトン性溶媒中で行われる、実施形態1~3のいずれか1項に記載の方法。
【0083】
5.前記極性非プロトン性溶媒が、テトラヒドロフラン(THF)を含む、実施形態4に記載の方法。
【0084】
6.工程(b)が、非極性溶媒中で行われる、実施形態1~5のいずれか1項に記載の方法。
【0085】
7.前記非極性溶媒が、シクロヘキサンを含む、実施形態6に記載の方法。
【0086】
8.前記硝酸鉄が、水和される、実施形態1~7のいずれか1項に記載の方法。
【0087】
9.前記硝酸鉄が、式Fe(NO 9HOを有する、実施形態8に記載の方法。
【0088】
10.工程(b)からの前記生成物を第2の塩基で処理することを更に含む、実施形態1~9のいずれか1項に記載の方法。
【0089】
11.2-フルオロ-3-ニトロトルエン(「FNT」)を合成する方法であって、
(a)2-フルオロトルエンを1つ以上の塩基及びホウ素化試薬と混合してボロン酸を形成することと、
(b)得られた前記ボロン酸を硝酸と混合して、前記FNTを形成することと、
を含む、前記方法。
【0090】
12.前記1つ以上の塩基が、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)を含む、実施形態11に記載の方法。
【0091】
13.前記LDAが、ジイソプロピルアミン(DIPA)の存在下において添加される、実施形態12に記載の方法。
【0092】
14.工程(a)が、極性非プロトン性溶媒中で行われる、実施形態11~13のいずれか1項に記載の方法。
【0093】
15.前記極性非プロトン性溶媒が、テトラヒドロフラン(THF)を含む、実施形態14に記載の方法。
【0094】
16.工程(b)が、極性非プロトン性溶媒中で行われる、実施形態11~15のいずれか1項に記載の方法。
【0095】
17.前記極性非プロトン性溶媒が、1,2-ジクロロエタン(DCE)を含む、実施形態16に記載の方法。
【0096】
18.前記DCEが、前記ホウ素化試薬に対して10体積として存在する、実施形態17に記載の方法。
【0097】
19.前記硝酸が、90%水性である、実施形態11~18のいずれか1項に記載の方法。
【0098】
20.前記方法が、工程(b)で形成された前記混合物を加熱することを更に含む、実施形態11~19のいずれか1項に記載の方法。
【0099】
21.前記混合物が、8時間以上加熱される、実施形態20に記載の方法。
【0100】
22.前記混合物が、8時間以上にわたり70℃まで加熱される、実施形態20または21に記載の方法。
【0101】
23.工程(b)で形成された前記混合物に水を添加することを更に含む、実施形態11~22のいずれか1項に記載の方法。
【0102】
24.前記ホウ素化試薬に対して10体積の水が添加される、実施形態23に記載の方法。
【0103】
25.1-(ブロモメチル)-2-フルオロ-3-ニトロベンゼン
【化19】
(FNB)を合成する方法であって、
(a)青色LED光の存在下で2-フルオロ-3-ニトロトルエン(FNT)を臭素化剤と混合して、FNBと1-(ジブロモメチル)-2-フルオロ-3-ニトロベンゼン
【化20】
(FNBr)との混合物を形成することと、
(b)前記FNB/FNBr混合物を亜リン酸ジアルキルと混合してFNBを形成することと、
(c)任意選択的に、(i)亜リン酸ジアルキル及びトリアルキルアミンで前記FNBを洗浄することによって、または(ii)有機溶媒で前記FNBを抽出し、水性塩基で洗浄することによって、工程(b)で形成された前記FNBを精製することと、
を含む、前記方法。
【0104】
26.前記FNTが、実施形態1~24のいずれか1項に記載の方法によって調製される、実施形態25に記載の方法。
【0105】
27.前記有機溶媒が、トルエンである、実施形態25または26に記載の方法。
【0106】
28.前記塩基が、水酸化ナトリウムである、実施形態25~27のいずれか1項に記載の方法。
【0107】
29.前記臭素化剤が、N-ブロモスクシンイミドから選択される、実施形態25~28のいずれか1項に記載の方法。
【0108】
30.前記亜リン酸ジアルキルが、亜リン酸ジメチル、亜リン酸ジエチル、及びそれらの組合せからなる群から選択される、実施形態25~29のいずれか1項に記載の方法。
【0109】
31.
(d)前記FNB、トリアルキルアミン塩基、及びピペラジンメチルカルボキシレート
【化21】
(「PMEC」)リン酸塩水和物を混合して、4-(2-フルオロ-3-ニトロベンジル)ピペラジン-1-カルボキシレートメチル
【化22】
(PIPN)またはその塩を形成することを更に含む、実施形態25~30のいずれか1項に記載の方法。
【0110】
32.
(c)前記FNT、過酸化ベンゾイル、N-ブロモスクシンイミド、及び酢酸を、70~95℃の温度で混合して、1-(ブロモメチル)-2-フルオロ-3-ニトロベンゼン
【化23】
(FNB)を形成することと、
(d)任意選択的に、FNBをトルエンで抽出すること、FNBを塩基性水溶液で洗浄すること、またはその両方と、
(e)FNB、トリアルキルアミン塩基、及びピペラジンメチルカルボキシレート
【化24】
(「PMEC」)リン酸塩水和物を混合して、4-(2-フルオロ-3-ニトロベンジル)ピペラジン-1-カルボキシレートメチル
【化25】
(PIPN)またはその塩を形成することと、
を更に含む、実施形態1~24のいずれか1項に記載の方法。
【0111】
33.FNBが、トルエンで抽出され、工程(e)の前に水酸化ナトリウム水溶液で洗浄される、実施形態32に記載の方法。
【0112】
34.前記PIPNが、臭化水素酸塩として形成される、実施形態31~33のいずれか1項に記載の方法。
【0113】
35.前記PMECリン酸塩水和物が、
(a)ピペラジン及びクロロ蟻酸メチルを混合して、PMECを形成することと、
(b)PMECと0.5モル当量のリン酸とを混合して、PMECリン酸塩水和物を形成することと、
(c)任意選択的に、工程(b)の前記混合物から前記PMECリン酸塩水和物を濾過することと、
を含む方法によって調製される、実施形態31~34のいずれか1項に記載の方法。
【0114】
36.塩化メチレン、ジクロロエタン、2-メチルテトラヒドロフラン、及びそれらの混合物から選択される溶媒中の溶液として、工程(a)から形成された前記PMECを単離することを更に含む、実施形態35に記載の方法。
【0115】
37.前記単離することが、
(i)工程(a)から得られた前記PMECを有機溶媒で洗浄することと、
(ii)塩基を添加して塩基性水溶液を形成することによって、pHを8から14に改変することと、
(iii)塩化メチレン、ジクロロエタン、2-メチルテトラヒドロフラン、またはそれらの混合物を用いて、工程(ii)の前記塩基性水溶液から前記PMECを抽出することと、
によって実施される、実施形態36に記載の方法。
【0116】
38.工程(a)が、水溶液中で実施される、実施形態35~37のいずれか1項に記載の方法。
【0117】
39.工程(a)が、20~55℃の温度で1~12時間実施される、実施形態35~38のいずれか1項に記載の方法。
【0118】
40.前記トリアルキルアミン塩基が、ジイソプロピルエチルアミンまたはトリエチルアミンを含む、実施形態31~39のいずれか1項に記載の方法。
【0119】
41.前記FNB、前記トリアルキルアミン塩基、及び前記PMECリン酸塩水和物を混合する前に、前記方法が、亜リン酸ジエチル及びトリアルキルアミン塩基を添加し、得られた混合物を30~65℃の温度で混合することを更に含む、実施形態31~40のいずれか1項に記載の方法。
【0120】
42.
(f)前記PIPNまたはその塩、無機塩基の水溶液、及びトルエンを混合して、PIPN遊離塩基溶液を形成することと、
(g)トルエン及びアルコールを含む溶媒中のパラジウム触媒の存在下において、前記PIPN遊離塩基溶液を水素付加して、粗4-(3-アミノ-2-フルオロベンジル)ピペラジン-1-カルボキシレートメチル(PIPA):
【化26】
(PIPA)を形成することであって、
前記アルコールが、エタノールまたはイソプロパノールを含む、前記形成することと、
(h)ヘプタン及びトルエン中で前記粗PIPAから前記PIPAを結晶化させることと、
を更に含む、実施形態31~41のいずれか1項に記載の方法。
【0121】
43.前記無機塩基が、水酸化ナトリウムを含む、実施形態42に記載の方法。
【0122】
44.
(i)前記PIPA、フェニル(6-メチルピリジン-3-イル)カルバメート
【化27】
(PCAR)、及びトリアルキルアミン塩基を、アセトニトリル及びテトラヒドロフラン中で混合して、粗オメカムチブメカルビルの溶液を形成することと、
(j)粗オメカムチブメカルビルの前記溶液からオメカムチブメカルビル遊離塩基を単離することと、
(k)前記単離されたオメカムチブメカルビル遊離塩基をイソプロパノール及び水中の2~3モル当量の塩酸と混合して、オメカムチブメカルビル二塩酸塩水和物
【化28】
を形成することと、
を更に含む、実施形態42または43に記載の方法。
【0123】
45.前記トリアルキルアミン塩基が、ジイソプロピルエチルアミンまたはトリエチルアミンを含む、実施形態44に記載の方法。
【0124】
46.工程(h)の前記単離が、工程(g)からの粗オメカムチブメカルビルの前記溶液に水を添加することによってオメカムチブメカルビル遊離塩基を結晶化させることと、前記結晶化オメカムチブメカルビル遊離塩基を濾過することと、を含む、実施形態44または45に記載の方法。
【0125】
47.イソプロパノール及び水から工程オメカムチブメカルビル二塩酸塩水和物を結晶化することを更に含む、実施形態44~46のいずれか1項に記載の方法。
【0126】
48.前記PCARまたはその塩が、
5-アミノ-2-メチルピリジン
【化29】
(APYR)とクロロギ酸フェニルとをアセトニトリル中で混合して、PCARまたはその塩を形成することを含む方法によって調製され、前記混合が、N-メチル2-ピロリジノン(NMP)の非存在下において実施される、実施形態44~47のいずれか1項に記載の方法。
【0127】
49.前記混合が、15~30℃の温度で1~15時間実施される、実施形態48に記載の方法。
【0128】
50.前記PCARが、塩酸塩として形成される、実施形態48または49に記載の方法。
【0129】
51.前記APYRが、
(i)パラジウム触媒の存在下において2-メチル-5-ニトロピリジン
【化30】
(NPYR)を水素付加して、粗APYRを形成することと、
(ii)前記粗生成物を酢酸イソプロピル及びヘプタンから結晶化することと、
を含む方法によって調製される、実施形態48~50のいずれか1項に記載の方法。
【0130】
52.工程(i)の前に、酢酸イソプロピル中のNPYRを水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し、続いて、酢酸イソプロピル中の前記洗浄NPYRを木炭と混合することを更に含む、実施形態51に記載の方法。
【0131】
53.APYRとクロロギ酸フェニルとを混合する前に、
(i)APYR塩酸塩を最大10重量%含む粗APYRの酢酸イソプロピル溶液を水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し、かつ前記洗浄したAPYRを木炭と混合して、濾過後にAPYR溶液を形成することと、
(ii)酢酸イソプロピル及びヘプタンから、工程(i)の前記APYR溶液由来のAPYRを結晶化することと、
を含む方法によって、APYRを精製することを更に含む、実施形態48~52のいずれか1項に記載の方法。
【0132】
54.PCARを結晶化することを更に含む、実施形態48~53のいずれか1項に記載の方法。
【0133】
55.
(i)前記PIPA、トリホスゲン、及びトリアルキルアミンをアセトニトリル及びテトラヒドロフラン中で混合して、PIPAイソシアン酸塩を形成することと、
(j)前記PIPAイソシアン酸塩及び5-アミノ-2-メチルピリジン
【化31】
(APYR)を混合して、オメカムチブメカルビル遊離塩基を形成することと、
(k)前記オメカムチブメカルビル遊離塩基をイソプロパノール及び水中の2~3モル当量の塩酸と混合して、オメカムチブメカルビル二塩酸塩水和物を形成することと、
を更に含む、実施形態42または43に記載の方法。
【0134】
56.工程(g)が、アセトニトリル中のPIPA及び前記トリアルキルアミンを含む第1の溶液と、テトラヒドロフラン中のトリホスゲンを含む第2の溶液とを、マイクロミキサチップ及び反応ループを用いて混合して、前記PIPAイソシアン酸塩を形成することを含む、連続製造を介して実施される、実施形態55に記載の方法。
【0135】
57.工程(h)が、前記PIPAイソシアン酸塩を含む溶液と、前記AYPRを含む溶液とを、Yミキサ及び反応ループを用いて混合することを含む、連続製造を介して実施される、実施形態55または56に記載の方法。
【0136】
58.実施形態1~43のいずれか1項に記載の方法を含む、オメカムチブメカルビルもしくはその塩、その水和物、またはその塩水和物を調製する方法。
【0137】
59.前記オメカムチブメカルビル、その塩、その水和物、またはその塩水和物が、オメカムチブメカルビル二塩酸塩水和物である、実施形態58に記載の方法。
【実施例
【0138】
以下の実施例は、更に、開示の処置方法を説明するが、当然、その範囲をいかなる方法でも限定するものとして解釈されるべきではない。
【0139】
以下の略語を実施例で使用する:PFRとはプラグ流反応器を指し;CSTRとは連続撹拌槽反応器を指し;MTBEとはメチルtert-ブチルエーテルを指し;NaOHとは水酸化ナトリウムを指し;LiClとは塩化リチウムを指し;EtOHはエタノールを指し;LCAPとは液体クロマトグラフィ面積パーセントを指す。
【0140】
実施例1-1:2-フルオロ-3-メチルベンゼンボロン酸(2)の調製。この実施例は、本開示の実施形態に従って2-フルオロ-3-メチルベンゼンボロン酸(すなわち、ボロン酸)を調製するための方法を実証する。
【化32】
【0141】
2Lの四ツ口丸底フラスコに、320mLのTHF及び154.3gのジイソプロピルアミンを投入した。得られた混合物を-15℃まで冷却し、撹拌した。その後、温度を-10℃未満に保ちながら、窒素雰囲気下において、582mLのn-BuLi(n-ヘキサン中2.5M)を滴加した。添加が完了した後、反応物を-15℃で30分間撹拌し、次いで-35℃まで冷却した。これに続いて、温度を-30℃未満に維持しながら、2-フルオロトルエン(1)80gのTHF160mL中溶液を滴加した。続いて、得られた混合物を-35℃で1時間撹拌した。その後、温度を-30℃未満に維持しながら、158.5gのホウ酸トリメチルを反応混合物に添加した(発熱反応が観察された)。反応物を-35℃で2時間撹拌し、次いで室温まで加温した。
【0142】
次いで、温度を30℃未満に維持しながら、658gの水及び343gの30%HClのHCl溶液へと注ぐことによって、反応をクエンチした。得られた混合物をMTBE(3×160mL)で抽出した。有機層を合わせ、1M NaOH/HOの溶液を、pH10を超えるまで添加した。次いで、水層を160mLのMTBEで一回洗浄した。水層へ、240mLのMTBE及び1M HCl溶液を、水層中でpH1になるまで添加した。次いで、水層をMTBE(2×240mL)で更に抽出した。得られた有機層を合わせ、160mLの水で1回洗浄し、次いで濃縮して、2を白色粉末として得た。これは次の反応で直接使用した。
【0143】
実施例1-2:2-フルオロ-3-ニトロトルエン(FNT)(3)の調製。この実施例は、本開示の一実施形態によりFNTを調製するための方法を実証する。
【化33】
【0144】
1Lの4ツ口丸底フラスコ中で、実施例1-1から得られた生成物2を、4体積のシクロヘキサン及び100g(0.5当量)の硝酸鉄(Fe(NO・9HO)の混合物へと添加した。得られた反応混合物を65~75℃で12時間撹拌した。5%未満の化合物2が存在するまでHPLCによって反応を監視し、その時点で、反応物を室温まで冷却し、濾過した。濾過ケークをシクロヘキサンで洗浄した。次いで、合わせた濾液を2×150mLの5%NaOH(水溶液)で洗浄し、次いで、水を用いて1×150mLで洗浄した。濾液を濃縮し、次いで蒸留(例えば、40~60mmHgで110~115℃)して、38~42gのFNT(3)を得た。
【0145】
実施例2-1:2-フルオロ-3-メチルベンゼンボロン酸(2)のフロー調製。この実施例は、本開示の実施形態に従って2-フルオロ-3-メチルベンゼンボロン酸(すなわち、ボロン酸)を調製するための方法を実証する。
【0146】
フローケミストリー設定は図1に記載されている通りであった。フィードA(THF)及びフィードB(DIPA)を、以下に記載されているような相対流量でTミキサを介して接続した。続いて、Tミキサは得られた流れをフィードCと接続し、5分間の滞留時間、浴温度-40~-10℃のPFRでリチウム化を行われる。次いで、得られた混合物を、各々-5~30℃の内部温度を維持しながら12~14分の滞留時間で、2つの連続撹拌槽反応器(CSTR)へ通した。得られた溶液を、窒素雰囲気下において収集し、これはTHF/ヘキサン中およそ1.5M LDAの溶液に相当した(表1)。
【表1】
【0147】
ホウ素化反応手順のフローケミストリー設定は、表2に示す条件下において図2に示す通りであった。フィードA及びフィードBを、相対流量1:1.255g/分(A:B)及び目標滞留時間およそ40分で、連続撹拌槽反応器1(CSTR1)(内部温度=-10~35℃)へと供給した。CSTR1からのオーバーフローは、CSTR2(内部温度0~30℃、滞留時間およそ40分)へと、最後にCSTR3(内部温度0~30℃、滞留時間=約30分)へと供給された。フィードCは1.40g/分の相対流量でCSTR3へと供給された。
【表2】
【0148】
バッチ単離:反応混合物を、30℃未満で4M HCl水溶液(15~20体積)までクエンチし、混合物を分離し、水相をMTBE(3×5体積)で抽出した。有機相を合わせ、pHが10を超えるまで、10%NaOH/HOでpHを調整した。水相をMTBE(1×3体積)で洗浄した。次いで、水相に、MTBE(5体積)を添加し、pH=1~3になるまで1M HClで調整した。得られた水相をMTBE(2×5体積)で抽出した。有機相を合わせ、水(3体積)で1回洗浄した。次いで、有機相を1~1.5体積まで濃縮し、結晶化のために水(5体積)を添加し、反応混合物を0~10℃まで冷却した。2時間撹拌した後、混合物を濾過し、水(2体積)ですすいだ。粗固体をヘプタン(3体積)で1~3時間スラリー化し、その後、混合物を濾過し、ヘプタン(1体積)ですすいだ。固体を、35℃未満で窒素により乾燥させて、2-フルオロトルエンボロン酸を灰白色または淡黄色の粉末として得た。
【0149】
実施例2-2:硝酸を介する2-フルオロ-3-ニトロトルエン(FNT)(3)の調製
【化34】
反応器1に2-フルオロ-3-メチルベンゼンボロン酸(2)を投入した。NaOHスクラバをまた反応器1に取り付けて、NOガスの放出をクエンチした。次いで、1,2-ジクロロエタン(10体積)を、室温で反応器1へと添加し、撹拌を開始し、反応の内容物を70℃まで加熱した。反応器1が70℃±5℃に達したら、反応器にHNO(発煙、90%、1.3当量)を投入した。次いで、反応物を70℃±5℃で8時間撹拌した。
【0150】
次いで、反応の内容物を20℃まで冷却させた。次いで、反応器1に水(10体積)を投入し、30分間撹拌した。次いで、反応器1の内容物を研磨濾過(polish filtered)し、水相を廃棄した。次いで、炭酸水素ナトリウム水溶液(10体積)を添加し、30分間撹拌し、水相を廃棄した。次いで、別の炭酸水素ナトリウム水溶液(10体積)を添加し、30分間撹拌し、水相を廃棄した。次いで、有機相中の溶媒スイッチを、1,2-ジクロロエタンからMeOH(8体積)まで行った。Norix-SX1木炭(2.5重量%)を添加し、2時間撹拌した。反応器の内容物を濾過して、木炭を除去し、フィルタをMeOH(2体積)で洗浄した。反応器1の内容物を10℃まで冷却し、温度を10℃に維持しながら、水(5体積)を3時間にわたって添加した。反応器1の内容物を10℃で更に30分間保持し、次いで、1~3℃まで冷却した。次いで、反応器1の固体内容物を、濾過によって単離し、3℃まで予冷した1:1MeOH/水で洗浄した。得られた固体を真空下において3℃で16時間乾燥させ、3を浅黄色固体として単離した。
【0151】
代替蒸留精製:次いで、1,2-ジクロロエタンを減圧下において濃縮により除去する。得られた褐色油状物を35Torrでの蒸留によって精製した。生成物を110~120℃で蒸留し、適切な画分を収集して淡緑色の液体を得て、これを固化し、生成物を室温で白色固体として得た。
【0152】
実施例3:FNTからのPIPN HBrのフロー調製
この実施例は、本開示の一実施形態によるフローケミストリー方法を実証する。
【化35】
【0153】
100g(647mmol)のFNTを、1087mLのアセトニトリル及び12mL(161mmol、0.25当量)のトリフルオロ酢酸に溶解することによって、FNT(3)ストック溶液を調製した。次いで、青色LED光の存在下において、溶液が均一になるまで撹拌しながら、NBS(143g、806mmol、1.25当量)を添加した。
【0154】
亜リン酸ジエチルストック溶液は、33mL(258mmol、0.40当量)の亜リン酸ジエチルを、100mLのMeOH及び73mL(418mmol、2.5当量)のN,N-ジイソプロピルエチルアミン中に溶解して調製した。
【0155】
144g(648mmol、1.0当量)のPMECリン酸塩を、300mLのMeOH及び281mL(1611mmol、2.5当量)のN,N-ジイソプロピルエチルアミン中に溶解することによって、PMECリン酸塩ストック溶液を調製した。次いで、薄いスラリーを濾過し、フィルタを100mLのMeOHですすいだ。
【0156】
次いで、ストック溶液を、図3に示すように、FNT溶液については2.85mL/分、亜リン酸ジエチル溶液については0.46mL/分、及びPMECリン酸溶液については1.62mL/分の速度で設定した流量にてポンプ輸送した。全ての反応ループをサーモスタット制御された水浴中で加熱した。
【0157】
上記の設定をおよそ4時間行い、途中で定期的に画分を収集した。粗PIPN流の濃度データの要約を図4に示す。画分11~画分14(約600mL)を結晶化のために収集した。
【0158】
結晶化のために、80mLのアセトニトリル及び1.39gのPIPN HBrを、2LのChemGlass反応器へと添加し、60℃まで加熱することによって、播床を調製した。次いで、粗PIPN溶液を、300mL/時の添加速度で、26mL/時での濃縮HBr溶液と共に添加した。添加が完了した後、スラリーを60℃で2時間保持し、次いで30分間かけて25℃まで冷却し、この温度で更に60分間保持する。
【0159】
次いでスラリーを濾過し、固体を55℃で3×4体積のアセトニトリルで洗浄した。次いで、材料を窒素スイープ下において乾燥させた。53.55gのPIPN HBr(収率76%)が回収され、これは、99.9LCAP及び純度97.3重量%であった。
【0160】
前述の例は、本明細書に記載の開示された方法の実施形態の単なる例示であり、開示された方法を限定することを意図するものではない。当業者に明らかな変形及び変更は、添付の特許請求の範囲に定義される本開示の範囲及び性質内にあることが意図されている。
【0161】
本明細書に引用される刊行物、特許出願、及び特許を含む参考文献は全て、各参考文献が参照により組み込まれることが個別に具体的に示されており、全体が本明細書に記載されている場合と同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0162】
本開示の実施形態を説明する文脈関して(特に、特許請求の範囲に関して)、用語「a」及び「an」及び「the」及び「少なくとも1つ」ならびに同様の指示語の使用では、本明細書で別段指し示されない限り、または文脈と明らかに矛盾しない限り、単数形及び複数形の両方が網羅されると解釈されるべきである。1つ以上の項目の列挙に先立つ用語「少なくとも1つ」の使用(例えば、「A及びBの少なくとも1つ」)は、本明細書で別段指し示されない限り、または文脈と明らかに矛盾しない限り、列挙された項目から選択される1つの項目(AまたはB)、または列挙された項目の2つ以上の任意の組合せ(A及びB)を意味すると解釈されるべきである。用語「含む(comprising)」、「有する」、「含む(including)」、及び「含有する」は、特記しない限り、非制限語(すなわち、「を含む(including)がこれらに限定されない」を意味する)として解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の記述は、本明細書で別段指し示されない限り、その範囲中に含まれる各個別の値に個々に言及する簡略的方法として機能するようにのみ意図されており、各個別の値は、それが本明細書に個々に記述されているかのように本明細書に組み込まれる。本明細書に記載される全ての方法は、本明細書に別様が示されない限り、または文脈によって別様が明らかに矛盾しない限り、任意の好適な順序で実施され得る。本明細書に提供される例のいずれか及び全ての例、または例示的な言語(例えば、「など」)の使用は、単に本開示の実施形態を良好に例示することを意図しており、別段の主張がない限り、本開示の範囲を限定するものではない。本明細書のいかなる言葉も、本開示の実施にとって必須として任意の請求されていない要素を示すものと解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】