(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-05
(54)【発明の名称】海中固定物設置システム
(51)【国際特許分類】
E02D 15/06 20060101AFI20240227BHJP
E21B 7/128 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
E02D15/06
E21B7/128
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023552597
(86)(22)【出願日】2022-03-14
(85)【翻訳文提出日】2023-08-28
(86)【国際出願番号】 US2022020232
(87)【国際公開番号】W WO2022192791
(87)【国際公開日】2022-09-15
(32)【優先日】2021-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523327499
【氏名又は名称】マカイ オーシャン エンジニアリング インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】MAKAI OSEAN ENGINEERING,INC.
【住所又は居所原語表記】41-305 Kalanianaole Highway Waimanalo Hawaii 96795,USA
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】アーガル,リチャード,サミュエル,ケルウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ラッサー,ドナルド,キャセラ
(72)【発明者】
【氏名】ロシュロー,グレゴリー,ジョン
【テーマコード(参考)】
2D045
2D129
【Fターム(参考)】
2D045AA04
2D045BA05
2D045CA01
2D045CA11
2D129AA01
2D129DA11
2D129DC12
(57)【要約】
様々な態様は、海底に固定要素を固定するための装置、システム及び方法を含む。方法は、海中グラウト材供給アセンブリを含む場合がある海中固定物設置システムを使用する場合がある。海中グラウト材供給アセンブリは、容量可変グラウト材貯蔵チャンバ、パドル及び海中グラウト材ポンプを含む場合がある。容量可変グラウト材貯蔵チャンバは、乾燥グラウト材を海底に輸送するように構成され得る。容量可変グラウト材貯蔵チャンバは、海底において、乾燥グラウト材と混合するために水を受け取るように構成された水注入ポートを含む場合がある。また、容量可変グラウト材貯蔵チャンバは、水が注入される際に折り畳まれた構成から膨張するように構成され得る。
【選択図】
図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海底に固定要素を固定するための海中固定物設置システムであって、
海中グラウト材供給アセンブリを含み、その海中グラウト材供給アセンブリは、
乾燥グラウト材を海底に輸送するように構成された容量可変グラウト材貯蔵チャンバであって、海底上にいながら、前記乾燥グラウト材と混合するために前記容量可変グラウト材貯蔵チャンバへ水を注入するように構成された水注入ポートを含み、水が注入される際に、折り畳まれた構成から膨張するように構成されている、容量可変グラウト材貯蔵チャンバと、
前記容量可変グラウト材貯蔵チャンバ内に配置され、前記乾燥グラウト材と前記水注入ポートを通じて受け取った水をグラウト材混合物へと混合するように構成されたパドルと、
前記グラウト材混合物を前記容量可変グラウト材貯蔵チャンバから海底の前記固定要素へ送り込むように構成された海中グラウト材ポンプとを含む、海中固定物設置システム。
【請求項2】
前記容量可変グラウト材貯蔵チャンバは、上側セクションと下側セクションからなり、前記上側セクションは、フレキシブルなブラダーで形成され、前記下側セクションは、剛性の側壁で形成され、前記上側セクションと下側セクションの上側セクションのみが、膨張および収縮するように構成される、請求項1に記載の海中固定物設置システム。
【請求項3】
前記海中グラウト材供給アセンブリは、前記パドルを駆動するように構成された混合モータを更に含む、請求項1に記載の海中固定物設置システム。
【請求項4】
海中削孔装置を更に含み、その海中削孔装置は、
選択された削孔角度まで立つように構成されたドリルマストと、
前記ドリルマストに結合され、削孔場所において前記固定要素を海底内へ捩って入れるように構成されたドリルヘッドと、
前記ドリルヘッドに結合されたプルームフードとを含み、前記プルームフードは、前記固定要素を海底内へ捩って入れることに関連して生じる堆積物を収集するように構成されている、請求項1に記載の海中固定物設置システム。
【請求項5】
プルーム捕獲アセンブリを更に含み、そのプルーム捕獲アセンブリは、
前記固定要素の削孔場所からフラッシュされた堆積物微粒子を除去するように構成された排出装置と、
水流から堆積物および微粒子を除去するように構成された水濾過装置と、
前記水濾過装置を通過するように前記水流を送るように構成されたウォーターポンプとを含む、請求項4に記載の海中固定物設置システム。
【請求項6】
前記水注入ポートは、削孔場所においてグラウト材混合物を形成するために、周辺水域からの海水を前記海中グラウト材供給アセンブリへ乾燥グラウト材へと注入するように構成されている、請求項4に記載の海中固定物設置システム。
【請求項7】
前記水注入ポートは、削孔場所においてグラウト材混合物を形成するために、海中容器から供給される淡水を乾燥グラウト材へ注入するように構成される、請求項4に記載の海中固定物設置システム。
【請求項8】
前記海中グラウト材供給アセンブリは、50m又はそれ以上の大洋深度において耐えて動作するように構成される、請求項1に記載の海中固定物設置システム。
【請求項9】
海底において前記海中固定物設置システムを移動するように構成された自己推進機構を更に含む、請求項1に記載の海中固定物設置システム。
【請求項10】
前記自己推進機構は、モータ、及び無限軌道またはホイールを含む、請求項9に記載の海中固定物設置システム。
【請求項11】
前記自己推進機構は、スラスタ及び浮力調整装置を含む、請求項9に記載の海中固定物設置システム。
【請求項12】
固定要素を海底に設置する方法であって、
容量可変グラウト材貯蔵チャンバ内の乾燥グラウト材を海底に輸送し、輸送された乾燥グラウト材は、前記容量可変グラウト材貯蔵チャンバ内で、海底において乾燥状態を保持され、
海底にある前記容量可変グラウト材貯蔵チャンバ内でグラウト材混合物を形成するために、輸送された乾燥グラウト材と水を混合し、
前記海底にある容量可変グラウト材貯蔵チャンバから削孔場所にある海中削孔装置にグラウト材混合物をポンプで送り込むことを含む、方法。
【請求項13】
前記容量可変グラウト材貯蔵チャンバを膨張させながら、前記容量可変グラウト材貯蔵チャンバへ水を注入することを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記容量可変グラウト材貯蔵チャンバへ水を注入することは、海底における削孔場所の周りの領域からの海水を前記容量可変グラウト材貯蔵チャンバへ注入することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記容量可変グラウト材貯蔵チャンバへ水を注入することは、海水以外の淡水を注入することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記グラウト材混合物が前記容量可変グラウト材貯蔵チャンバから吸い出される際に、前記容量可変グラウト材貯蔵チャンバを収縮することを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記削孔場所において、固定要素を海底内へ選択された深さまで捩って入れることを更に含み、
前記海底にある容量可変グラウト材貯蔵チャンバから削孔場所にある海中削孔装置にグラウト材混合物をポンプで送り込むことは、前記固定要素を前記選択された深さまで捩って入れることに応じて、前記固定要素へ前記グラウト材混合物をポンプで送り込むことを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
ケーシングを海底内へ挿入することを更に含み、
前記固定要素を海底内へ捩って入れることは、前記ケーシングを海底内へ挿入することに応じて、前記固定要素を海底内へ捩って入れることを含み、
前記固定要素は、海底内へ捩って入れられるように、前記ケーシングの中を通って挿入される、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2021年3月12日に出願され、「Remote Anchorage Installation System」と題する米国特許仮出願第63/160385号の優先権を主張しており、その全内容は、全ての目的のために参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
背景
物体を海底に固定する及び係留する従来の方法は、物体を拘束するために必要な強度(耐久力)を提供するために大きくて重い繋留具(アンカー)又は杭(パイル)を含む。これら固定および係留システムは、物体の浮揚性(浮力)に打ち勝つためのバラスト、及び波および海流に打ち勝つために動的な水中の海底で物体の位置を維持するための横安定性の双方を提供する。これら固定および係留システムは現在、海上建設産業の全体にわたって使用されており、当該海上建設産業には、浮遊および水中海洋再生可能エネルギーシステム、海底パイプライン、石油およびガス産業用を含む海洋構造物、及び海中インフラが含まれる。
【0003】
従来の固定および係留システムに対する不都合な点は、これらシステムのコストとサイズ、必要とされる支援機材、及び設置に関する環境への影響を含む。大きな繋留具を組み立てて設置し、係留(固着)するコストは、高く、海洋開発コストの大部分を含む場合が多い。多くの従来の固定および係留システムのサイズと重量は、大きな支援船、及びそれらを輸送して設置するための特殊機器を必要とする。係る支援機材の利用可能性は、制限されることが多く、海上建設産業の全体にわたって望まれており、それにより事業費を上昇させる傾向があり、遅延を生じる場合がある。多くのこれらシステムの設置は、周辺水域に環境危険をもたらす、海底の広い範囲の浚渫を必要とする。
【0004】
マイクロパイルは、基礎的な支持体の小さくて、軽量で、強力な代替物である。地面または海底に設置する前に、マイクロパイルは、グラウト材で充填されるように構成された中空環状部を有するように形成される。海中の応用形態のためにマイクロパイルを設置することは、海中用途に備えられた削孔装置を用いることにより行われる。これらシステムは、水上船から配備されるが、追加の支援機材、及び当該削孔装置と共に海底まで送られるべき材料を必要とし、且つ一般にダイバーのサポートを必要とする。マイクロパイルを設置するために使用されるグラウト材は、水上支援船上で混合され、マイクロパイルをグラウト材で充填するために水上支援船から海中の削孔装置までポンプで送り込まれる。
【0005】
概要
様々な実施形態は、海底に固定要素を固定するための海中固定物設置システムを含む。海中固定物設置システムは、海中グラウト材供給アセンブリを含む場合があり、その海中グラウト材供給アセンブリは、容量可変グラウト材貯蔵チャンバ、パドル及び海中グラウト材ポンプを含む。容量可変グラウト材貯蔵チャンバは、乾燥グラウト材を海底に輸送するように構成され得る。また、容量可変グラウト材貯蔵チャンバは、折り畳まれた構成から膨張するように構成され得る。容量可変グラウト材貯蔵チャンバは、乾燥グラウト材と混合するために水を受け取るように構成された水注入ポートを含む場合がある。パドルは、容量可変グラウト材貯蔵チャンバ内に配置され得る。パドルは、乾燥グラウト材と水注入ポートを通じて受け取った水をグラウト材混合物へと混合するように構成され得る。海中グラウト材ポンプは、グラウト材混合物を容量可変グラウト材貯蔵チャンバから海底の固定要素へ送り込むように構成され得る。
【0006】
幾つかの実施形態において、容量可変グラウト材貯蔵チャンバは、上側セクションと下側セクションを含む場合がある。上側セクションは、フレキシブルなブラダーで形成される場合があり、下側セクションは、剛性の側壁で形成され得る。この場合、上側セクションと下側セクションの上側セクションのみが、膨張および収縮するように構成される。海中グラウト材供給アセンブリは更に、パドルを駆動するように構成された混合モータを含む場合がある。
【0007】
幾つかの実施形態において、海中固定物設置システムは、海中削孔装置を更に含む場合がある。海中削孔装置は、ドリルマスト、ドリルヘッド及びプルームフードを含む場合がある。ドリルマストは、選択された削孔角度まで立つように構成され得る。ドリルヘッドは、ドリルマストに結合され得る。ドリルヘッドは、削孔場所において固定要素を海底内へ捩って入れるように構成され得る。プルームフードはドリルヘッドに結合され得る。プルームフードは、固定要素を海底内へ捩って入れることに関連して生じる堆積物を収集するように構成され得る。
【0008】
幾つかの実施形態において、海中固定物設置システムは、プルーム捕獲アセンブリを更に含む場合がある。プルーム捕獲アセンブリは、排出装置、水濾過装置、及びウォーターポンプを含むことができる。排出装置は、固定要素の削孔場所からフラッシュされた堆積物微粒子を除去するように構成され得る。水濾過装置は、水流から堆積物および微粒子を除去するように構成され得る。ウォーターポンプは、水濾過装置を通過するように水流を送るように構成され得る。
【0009】
幾つかの実施形態において、乾燥グラウト材は、周辺水域から海中グラウト材供給アセンブリへの海水と混合され得る。代案として、乾燥グラウト材は、海中容器から供給される淡水と混合され得る。海中グラウト材供給アセンブリは、50m又はそれ以上の大洋深度において耐えて動作する場合がある。海中グラウト材供給アセンブリは、海底において自己推進されるように構成され得る。例えば、海中グラウト材供給アセンブリは、モータ、及び無限軌道(トレッド)又はホイールを用いて海底に沿ってそれ自体を移動させるように構成され得る。代案として又は更に、海中グラウト材供給アセンブリは、スラスタ及び浮力調整装置を用いて、それ自体を推進するように構成され得る。
【0010】
様々な実施形態は、固定要素を海底に設置する方法を含む。その方法は、容量可変グラウト材貯蔵チャンバ内の乾燥グラウト材を海底に輸送することを含む場合がある。乾燥グラウト材は、容量可変グラウト材貯蔵チャンバ内で、海底において乾燥状態を保持され得る。また、方法は、海底にある容量可変グラウト材貯蔵チャンバ内でグラウト材混合物を形成するために、乾燥グラウト材と水を混合することも含む場合がある。更に、方法は、海底にある容量可変グラウト材貯蔵チャンバから削孔場所にある海中削孔装置にグラウト材混合物をポンプで送り込むことを含む場合がある。
【0011】
幾つかの実施形態において、方法は、容量可変グラウト材貯蔵チャンバを膨張させること、及び膨張した容量可変グラウト材貯蔵チャンバへ水を注入することを更に含む場合がある。幾つかの実施形態において、注入される水は、海底における削孔場所の周りの領域からの海水である場合がある。幾つかの実施形態において、注入される水は、海水以外の淡水である場合がある。幾つかの実施形態において、グラウト材混合物が容量可変グラウト材貯蔵チャンバから吸い出される際に、容量可変グラウト材貯蔵チャンバは収縮され得る。
【0012】
幾つかの実施形態において、方法は、削孔場所において、固定要素を海底内へ選択された深さまで捩って入れることを更に含む場合がある。固定要素を選択された深さまで捩って入れることに応じて、海底にある容量可変グラウト材貯蔵チャンバから削孔場所にある海中削孔装置にグラウト材混合物をポンプで送り込むことは、固定要素へグラウト材混合物をポンプで送り込むことを含む場合がある。幾つかの実施形態において、方法は、ケーシングを海底内へ挿入することを更に含む場合がある。かくして、固定要素を海底内へ捩って入れることは、ケーシングを海底内へ挿入することに応じる場合がある。固定要素は、海底内へ捩って入れられるように、ケーシングの中を通って挿入され得る。
【0013】
本明細書に組み込まれて、本明細書の一部を構成する添付図面は、様々な実施形態の例示的な態様を示し、上述の一般的な説明および後述される詳細な説明と共に、特許請求の範囲の特徴を説明することに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1A】様々な実施形態による、海中固定物設置システムに関する略図である。
【
図1B】様々な実施形態に従って、海中固定物設置システムに関する略図である。
【0015】
【
図1C】様々な実施形態による、海底のケーシングへ挿入される固定(固着、アンカリング)要素のクローズアップの図である。
【0016】
【
図2A】様々な実施形態による、海中グラウト材供給アセンブリの等角図である。
【0017】
【
図2B】様々な実施形態による、
図2Aの海中グラウト材供給アセンブリの上面図である。
【0018】
【
図2C】様々な実施形態による、
図2A及び
図2Bの海中グラウト材供給アセンブリの正面図である。
【0019】
【
図2D】様々な実施形態による、
図2A~
図2Cの海中グラウト材供給アセンブリの背面図である。
【0020】
【
図2E】様々な実施形態による、
図2A~
図2Dの海中グラウト材供給アセンブリの左側面図である。
【0021】
【
図2F】様々な実施形態による、
図2A~
図2Eの海中グラウト材供給アセンブリの一部の断面底面図である。
【0022】
【
図3】様々な実施形態による、部分的に透過した容量可変グラウト材貯蔵チャンバを備える海中グラウト材アセンブリの正面図である。
【0023】
【
図4A】様々な実施形態による、ブラダーの膨張およびグラウト材混合物のプロセスを示す、容量可変グラウト材貯蔵チャンバの断面図である。
【
図4B】様々な実施形態による、ブラダーの膨張およびグラウト材混合物のプロセスを示す、容量可変グラウト材貯蔵チャンバの断面図である。
【
図4C】様々な実施形態による、ブラダーの膨張およびグラウト材混合物のプロセスを示す、容量可変グラウト材貯蔵チャンバの断面図である。
【0024】
【
図5】様々な実施形態による、移動型の海中固定物設置システムの側面図である。
【0025】
【
図6】様々な実施形態による、別の移動型の海中固定物設置システムの側面図である。
【0026】
【
図7】様々な実施形態による、海底にマイクロパイルを設置する方法のプロセスの流れ図である。
【0027】
【
図8】様々な実施形態による、海中のグラウト材を供給する方法のプロセスの流れ図である。
【0028】
詳細な説明
様々な実施形態は、添付図面に関連して詳細に説明される。可能な限り、同じ参照符号は、同じ又は同様の部品を参照するために、図面の全体にわたって使用される。特定の例および具現化形態になされた言及は、例示の目的のためであり、特許請求の範囲の範囲を制限することは意図されていない。
【0029】
本明細書で説明される様々な実施形態は、海中固定物設置システム及び方法に関し、より具体的には、既存の設置方法と比べてコストを下げることができる、マイクロパイル打ち及び海中グラウト材混合およびポンピングに関する。特に、様々な実施形態は、乾燥したグラウト材(以降、乾燥グラウト材と称する)と水が削孔場所またはその近くの海底で混合されることを可能にするハードウェアを含む。カスタマイズされた貯蔵チャンバは、乾燥グラウト材が海中削孔装置と共に海底まで移送される際に、乾燥グラウト材が水と混合することを防止することができる。ひとたび海中削孔装置が削孔場所に配置されたならば、制御システムは、海中削孔装置のドリルマストを所望の削孔角度で立たせて、位置決めすることができる。次いで、海中削孔装置は、削孔(ドリル)穴を水、スラリー又は他の流体でフラッシングしながら、固定(固着、アンカリング)要素(例えば、マイクロパイル)を用いて海底へ削孔することを始める。水、スラリー又は他の流体は、マイクロパイルの穴(ボア)のような、固定要素自体の中空部分を通じて注入され得る。削孔(ボーリング、穿孔)及び流体注入は、堆積物のプルームを生じる場合があり、それは、プルームフードを用いて収集され得る。次いで、プルームフードにより収集された堆積物のプルームは、プルーム捕獲アセンブリを通して送られることができ、当該プルーム捕獲アセンブリは、堆積物と水の混合物を濾過(フィルタリング)して、任意のプルーム微粒子を取り出す。次いで、濾過された水は、例えば流体注入のために海中削孔装置を通して送り返されることにより、又はグラウト材と混合するために海中グラウト材供給部へ送られることにより、再使用され得る。ひとたび固定要素(例えば、マイクロパイル)が所定の深さに達したならば、削孔を停止することができ、グラウト材の混合を始めることができる。グラウト材の混合は、海底まで移送された乾燥グラウト材へ、水注入ポートを介して水を追加することを含むことができる。水注入ポートは、容量可変グラウト材貯蔵チャンバの上部、底部、及び/又は側部に位置する場合がある。様々な実施形態は、乾燥グラウト材と混合するために、周囲からの海水または海中削孔装置と共に送られた淡水を使用することを含む場合がある。水がグラウト材混合物へ注入されると、容量可変グラウト材貯蔵チャンバが膨張し、上側および下側混合モータが、内部混合パドルでもって、グラウト材混合物を混合し始める。ひとたびグラウト材混合物が適切に混合されたならば、ブラダーが圧縮されて、グラウト材混合物が、削孔穴を充填して固定要素を海底へ固定するように固定要素の中空部分を通してポンプで送り込まれ得る。ひとたびグラウト材混合物が削孔場所へポンプで送り込まれたならば、固定要素は、海中削孔装置から解放されて、海中削孔装置は回収される又は別の固定(アンカリング)場所へ移動する。
【0030】
幾つかの実施形態において、固定要素は、削孔場所において、海底の選択された深さまで海底へ捩って入れられ得る。選択された深さまで固定要素を捩って入れることに応じて、グラウト材混合物は、海底にある容量可変グラウト材貯蔵チャンバから、削孔場所にある海中削孔装置へポンプで送り込まれ得る。特に、グラウト材混合物は、固定要素へポンプで送り込まれ得る。
【0031】
幾つかの実施形態において、ケーシングが最初に軟質基質の層を通して海底へ挿入され、当該軟質基質の層は、海底の最上層から、固定要素にグラウト材を詰めるのに適したより硬い海底下の基質層まで延びる。ケーシングは、多数の手段を介して、削孔されて入れられ得る、打ち込まれ得る、又はねじ込まれ得る。幾つかの実施形態において、固定要素を海底へ捩って入れることは、ケーシングを海底へ挿入することに応じる場合がある。固定要素は、海底へ捩って入れられるようにケーシングの中を通って挿入され得る。
【0032】
様々な実施形態は、グラウト材を海底で混合し、及びポンプで送り込む(ポンピング)方法を含む、海底でマイクロパイルを遠隔的に設置する方法を含む。海中削孔装置および海中グラウト材供給アセンブリは、全ての支援材料および機器と共に海底へ送られることができ、その結果、ひとたび設置が始まったならば、追加の材料が海底へ送られる必要がない。ひとたび海中削孔装置および海中グラウト材供給アセンブリが削孔位置に又はその近くに配置されたならば、ドリルマストが立てられて、削孔を開始することができる。削孔から生じる何らかの粉塵プルームは、削孔場所を覆うプルーム捕獲フードにより閉じ込められ得る。海水ポンプが、プルーム捕獲フード内に負圧を作ることができ、当該負圧は、固定要素の中空内部を通して水を引き、削孔場所の微粒子をフラッシュする。次いで、水および微粒子の流れは、水濾過システムへ送られる。当該濾過システムは、全てのプルーム微粒子を濾過して取り除き、支援船により回収されるまで、当該削孔装置にそれらを貯蔵する。
【0033】
海中削孔装置および海中グラウト材供給アセンブリは、固定要素(単数または複数)を設置するのに必要な所定量の乾燥グラウト材と共に海底に送られ得る。ひとたび固定要素が海底へ捩って入れられるならば、容量可変グラウト材貯蔵チャンバの上部、底部および側部の水注入ポートを通じて、水が乾燥グラウト材に追加され得る。幾つかの実施形態において、システムは、グラウト材を混合するために海水を使用し、他の実施形態において淡水を使用する。淡水は、海中削孔装置に収容されて、グラウト材を混合するために使用され得る。海中グラウト材混合ハードウェアは、海中混合およびポンピング中にグラウト材混合物を収容する容量可変ブラダーを含むことができる。容量可変グラウト材貯蔵チャンバは、海底に配備されることができ、この場合、ブラダーは乾燥グラウト材を包囲しながらつぶれる。これは、配備中の海中グラウト材供給アセンブリのサイズと重量を低減する。ブラダーの容量は、混合およびポンピングのそれぞれの間に、ブラダーを膨張および収縮する線形アクチュエータにより制御され得る。上側および下側の混合パドルは、油圧モータにより駆動されることができ、ひとたび水がグラウト材に追加されたならば、混合を開始するように、グラウト材を完全に混合するために使用され得る。次いで、グラウト材混合物は、グラウト材混合機の底部にあるピストンポンプを用いて、中空マイクロパイルを通じて送り込まれることができ、ブラダーの容量は、線形アクチュエータでもって圧縮され得る。
【0034】
様々な実施形態は、上記で要約されたように海底にマイクロパイルを設置する方法を更に含む。
【0035】
本明細書で使用される限り、用語「固定要素」は、ボアホールに固定され得る細長い耐久性のある基礎要素を意味し、グラウト材および/または樹脂の混合物を内部に受容するように構成される。例えば、固定要素は、小さい直径の金属製管状要素を意味する「マイクロパイル」を含むことができ、当該マイクロパイルは海底(即ち、海底地盤)へ捩って入れられ得る。また、マイクロパイルは、ミニパイル、ピンパイル、ルートパイルとも呼ばれ、ボアホールへ捩って入れられ且つ高強度のセメントグラウト及び/又は樹脂で充填されるように構成された、概して高強度で耐久性のある小さい直径(例えば、1インチ~12インチ(25mm~300mm))の鋼ケーシング杭、リブ又はバーである。また、固定要素は、ボアホールへ捩って入れられるように構成された細長い中実形態である場合があり、この場合、グラウト材および/または樹脂が固定要素の周りの環状部へ直接的に加えられて、固定をもたらす。固定要素は、金属、プラスチック、複合材料、及び/又はコンクリートである場合がある。固定要素は、ボアホールへ捩って入れられ得る、又は予め削孔された海底岩盤ソケットへ入れられ得る。
【0036】
図1A及び
図1Bは、様々な実施形態による、海中固定物設置システム100を示す。海中固定物設置システム100は、乾燥グラウト材を海底10に移送し、次いで海中固定に必要とされる際に当該乾燥グラウト材を水と混合するように構成された海中グラウト材供給アセンブリ140を含むことができる。海中グラウト材供給アセンブリ140は、海中削孔装置150のような、海中削孔装置と連係して動作するように構成され得る。特に、海中グラウト材供給アセンブリ140は、1つ又は複数の海中削孔装置に混合されたグラウト材(以降、混合グラウト材と称する)を供給するように構成され得る。また、海中グラウト材供給アセンブリ140は、プルーム捕獲アセンブリ130のような、様々な供給源から水を供給され得る。水は、乾燥グラウト材を湿ったグラウト材混合物へ変化させるために使用され得る。代案として、海中グラウト材供給アセンブリ140は、同様に沈められ得る、又は水上船に位置することができるなどの別個の揚水ユニットから水を受け取る場合がある。更に、海中固定物設置システム100は、電力供給装置(電源)110、及びオプションとして、海中グラウト材供給アセンブリ140を制御するために使用され得る油圧パワーユニット(HPU)120を更に含む場合がある。電力供給装置110は、海中グラウト材供給アセンブリ140の電力構成要素である場合がある。オプションのHPU120は、電力供給装置110により別な方法で電力供給されない海中グラウト材供給アセンブリ140に含まれる機械的アクチュエータに使用され得る。海中グラウト材供給アセンブリ140に関連した更なる詳細は、
図2A~
図3に関連して後述される。
【0037】
様々な実施形態において、海中固定物設置システム100は更に、海中グラウト材供給アセンブリ140と連係して動作するように構成された海中削孔装置150を含む。海中削孔装置150は、海底10において、ボアホールを穿設し、マイクロパイルのような固定要素を埋め込み、海中グラウト材供給アセンブリ140により供給される混合グラウト材を用いて、海底10に固定要素を固定するために使用され得る。海中削孔装置150は、ドリルマスト151、ドリルヘッド152、及びプルームフード154を含むことができる。ドリルマスト151は、所望の角度に傾くように構成され得る。ドリルマスト151の傾斜角度を制御する傾斜アクチュエータが含まれ得る。ひとたびドリルマスト151が所望の角度に傾いたならば、ドリルヘッド152は、固定要素153(例えば、マイクロパイル)を海底内へ捩って入れるように構成され得る。様々な実施形態は、ドリルマスト151を傾ける(即ち、立たせる)ための油圧シリンダを含むことができる。
図1Aは、海中削孔装置150を移動および/または輸送するために特に使用され得る水平位置に傾斜したドリルマスト151を示す。
図1Bは、削孔場所15において固定要素153が貫入するための所望の角度で固定要素153を海底10の方へ向けるために、垂直位置に立たされたドリルマスト151を示す。
図1Bは、90度の角度(即ち、垂直)に傾斜したドリルマスト151を示すが、他の所望の削孔角度が実現され得る。
【0038】
ひとたびドリルマスト151が所望の角度で適切な穴開け(削孔)場所15にねらいをつけられたならば、ドリルヘッド152は、ドリルビットと同様に、固定要素153を回転させることができる。また、ドリルヘッド152は、固定要素153を海底10内へ送る(即ち、捩って入れる)ために、ドリルマスト151のレールで降りるように動力も供給され得る。マストのレールに沿ったドリルヘッド152の移動は、別個のアクチュエータにより制御され得る。削孔プロセス中、周囲の堆積物プルームが、海底10上の舞い上がる堆積物から生じる場合がある。かくして、様々な実施形態において、プルームフード154は、周囲の堆積物プルームを捕獲して、捕獲された堆積物をプルーム捕獲アセンブリ130へ向け直すように構成されることができ、当該プルーム捕獲アセンブリ130は、水を濾過して堆積物を除去する。電力供給装置110は、海中削孔装置150(例えば、傾斜アクチュエータ又は他のアクチュエータ及び/又はドリルヘッド152)の電力構成要素である場合がある。また、オプションのHPU120は、電力供給装置110により別な方法で電力供給されない海中削孔装置150に含まれる機械的アクチュエータ(例えば、傾斜アクチュエータ及び/又はドリルヘッド152)に使用され得る。ひとたび固定要素153が適切な深さまで海底10内へ捩って入れられたならば、海中削孔装置150は、海中グラウト材供給アセンブリ140から混合グラウト材を受け取る準備が整うことができ、当該混合グラウト材は、グラウト材供給ライン155を通じて供給され得る。
【0039】
様々な実施形態において、海中固定物設置システム100は更に、プルーム捕獲アセンブリ130を含むことができ、当該プルーム捕獲アセンブリ130は、グラウト材/水供給ライン137を通じて、海中グラウト材供給アセンブリ140に水(例えば、グラウト材を混合するために)を供給するように構成され得る。代案として又は更に、プルーム捕獲アセンブリ130は、ドリル/水供給ライン139を通じて、水を海中削孔装置150に供給するように構成され得る。様々な実施形態に従って、プルーム捕獲アセンブリ130により供給される水は、削孔中に生じる場合がある周囲の堆積物プルームから捕らえられ得る。
【0040】
周囲の堆積物プルームを捕獲するために、プルーム捕獲アセンブリ130は、排出装置131、水濾過装置133及びウォーターポンプ135を含む場合がある。排出装置131は、固定要素153の削孔場所15からフラッシュされた堆積物の微粒子を除去するように構成され得る。排出装置131は、内部に汲み出された堆積物から水を分離するために流体動力学の特性を利用する。ウォーターポンプ135により供給される負圧を用いて、排出装置131は、水と堆積物を分離するために、堆積物と混合された水を吸い込むことができる。更に、プルーム捕獲ライン157を介して、排出装置131を海中削孔装置150のプルームフード154に結合することにより、周囲の堆積物プルームは、プルーム捕獲ライン157を通じて及び排出装置131を通じて、プルームフード154へ引き込まれ得る。このように、排出装置131は、堆積物からの水の第1レベルの分離を行うために使用され得る。
【0041】
追加のレベルの堆積物は、排出装置131により吸い込まれた水を水濾過装置133を通して押し出すためにウォーターポンプ135により提供される圧力を用いることにより、水から除去される。ウォーターポンプ135は、機械的トルクを油圧エネルギーへ変換する機械的装置であることができる。ウォーターポンプ135は、吸引力または圧力あるいは双方を用いて、或る場所から別の場所への流体(即ち、水および/または堆積物と混ざった水)の移動を容易にすることができる。ウォーターポンプ135は、ウォーターポンプ・モータにより駆動されることができ、当該ウォーターポンプ・モータは、電気エネルギーを機械エネルギーに変換するために使用される電気機械装置であることができる。代案として、ウォーターポンプ・モータは、HPU(例えば、120)により駆動され得る。
【0042】
水濾過装置133は、水流から堆積物および微粒子を更に除去するように構成され得る。水濾過装置133は、一連のフィルタを含む場合がある。一連のフィルタは、当該フィルタを通過する水から段々と小さくなるサイズの堆積物と微粒子を分離するように構成され得る。
【0043】
従来のマイクロパイル削孔システムとは異なり、海中固定物設置システム100の全ての構成要素は、削孔場所において水中で動作するように構成されることができ、かくして水面上の支援船からグラウト材を混合して、削孔場所へポンプで送り込む必要性がなくなる。これは海中固定物の設置の複雑性とコストを低減する。
【0044】
図1Cは、様々な実施形態に従って、固定要素153が海底10におけるケーシング160内へ挿入される別の環境101のクローズアップ図を示す。様々な実施形態において、ケーシング160は、固定要素153を捩って入れる又は挿入する前に、海底内へ挿入され得る。このように、固定要素を海底内へ捩って入れることは、ケーシング160が海底内へ挿入された後に実施され得る。ケーシング160は、固定要素153を挿入する前に海底内へ捩って入れられる及び/又は打ち込まれ得る。ケーシングの長さは、応用形態に応じて、固定要素153の長さより長い又は短い場合がある。幾つかの実施形態において、ケーシング160は、固定要素153より短い場合があり、その結果、ケーシング160は海底のより堅い層のみを貫いて延びるように構成され、固定要素153は、完全に埋設されたならば、ケーシング160を越えて延びるように構成される。このように、固定要素153は依然として、ケーシング160の深さを越えて捩って入れられる必要がある。更に、ケーシング160は海底10内へ完全に埋められていないように示されるが、代案として、ケーシング160の頂部は、海底の上部層と同一平面または当該上部層の下にある場合がある。
【0045】
図2A~
図2Fは、様々な実施形態による、海中グラウト材供給アセンブリ140を示す。海中グラウト材供給アセンブリ140は、容量可変グラウト材貯蔵チャンバ216、少なくとも1つのパドル(
図3のパドル311、312を参照)、及び海中グラウト材ポンプ251を含む場合がある。容量可変グラウト材貯蔵チャンバ216は、折り畳まれた構成から膨張するように構成され得る。様々な実施形態において、折り畳まれた構成の容量可変グラウト材貯蔵チャンバ216は、乾燥グラウト材を受容することができる。乾燥グラウト材は、海中グラウト材アセンブリ140が水中に配備される前に、容量可変グラウト材貯蔵チャンバ216に加えられ得る。折り畳まれた構成において、容量可変グラウト材貯蔵チャンバ216は、1つ又は複数の固定要素(例えば、153)を設置するのに十分なグラウト材を保持するように構成され得る。容量可変グラウト材貯蔵チャンバ216は、グラウト材を湿らせてグラウト材混合物を作成する時まで、内部に貯蔵された乾燥グラウト材を乾燥状態に維持するように封止され得る。このように、容量可変グラウト材貯蔵チャンバ216は、50m以上、及び好適には100mを越える深さで防水シールを保持するように構成され得る。このように、海中グラウト材供給アセンブリ140は、50m以上の大洋深度において、耐えて且つ動作するように構成され得る。
【0046】
適切な場合、水は、グラウト材混合物を作成するために乾燥グラウト材と混合するために、容量可変グラウト材貯蔵チャンバ216へ注入され得る。水は、容量可変グラウト材貯蔵チャンバ216に含まれる1つ又は複数の水注入ポート231、232、233を用いて、容量可変グラウト材貯蔵チャンバ216へ注入され得る。少なくとも1つのパドル(例えば、311、312)が、グラウト材混合物へと、乾燥グラウト材および受け入れた水を混合するように構成され得る。このように、少なくとも1つのパドル(例えば、311、312)は、乾燥グラウト材と良好に溶け込む水との均一なグラウト材混合物を生じることができる。ひとたびグラウト材混合物が完全に混合されたならば、海中グラウト材ポンプ251は、グラウト材混合物を容量可変グラウト材貯蔵チャンバ216から海底の固定要素へ送り込むように構成され得る。
【0047】
幾つかの実施形態において、容量可変グラウト材貯蔵チャンバ216は、区別できる上側セクション及び下側セクション212、214を含む場合がある。下側セクション212は、乾燥グラウト材の貯蔵セクションであるように構成され得る。下側セクション212は、剛性の側壁で形成される場合があり、海中の水圧に耐えるのにより適した剛性構造を形成する。更に、下側セクション212の剛性の側壁は、側部水注入ポート232を保持するのに、より好都合である場合がある。上側セクション214は、必要に応じて膨張および収縮され得る、フレキシブルなブラダーで形成され得る。例えば、上側セクション214は、上側セクション214の頂部が、当該頂部が膨張した構成の状態にある時に比べて、下側セクション212に接近している収縮した構成に圧縮され得る。収縮した構成は、容量可変グラウト材貯蔵チャンバ216の折り畳まれた構成と一致する場合がある。収縮した構成よりも大きい内容積を有する膨張した構成は、グラウト材混合物が混合されている混合構成と一致する場合がある。頂部のような、上側セクション214の一部は、エレベータ222に固定されることができ、エレベータ222は、
図1A、
図1B、
図2A、
図2C~
図2E、
図3、
図4A~
図4C及び
図5Bに示された位置関係において、垂直方向に上下に移動するように構成される。上方へ移動することにより、エレベータ222は、容量可変グラウト材貯蔵チャンバ216又は少なくともその上側セクション214を膨張させることができる。下方へ移動することにより、エレベータ222は、容量可変グラウト材貯蔵チャンバ216又は少なくともその上側セクション214を収縮させることができる。様々な実施形態において、エレベータ222は、水平方向に延びる上部プレートとして形成され、容量可変グラウト材貯蔵チャンバ216の頂部を密封することができる。かくして、防水シールが、上側セクション214の上側エッジとエレベータ222との間に設けられ得る。同様に、防水シールが、底部プレートと下側セクション212の底部との間に設けられ得る。底部プレートは水平方向に延び、容量可変グラウト材貯蔵チャンバ216の底部を密封することができる。エレベータ222とは対照的に、底部プレートは、海中グラウト材供給アセンブリ140の構造的シャシ213に対して定位置を保持することができる。
【0048】
代案として、容量可変グラウト材貯蔵チャンバ216は、剛性下側セクションを含まない場合があり、むしろ可変の収縮した構成を提供するために様々な程度まで圧縮され得る1つの連続的なブラダーを含む。このように、容量可変グラウト材貯蔵チャンバ216のブラダーは、容量可変グラウト材貯蔵チャンバ216内に保持された乾燥グラウト材のほぼ任意のレベルまで折り畳まれ、その後、混合プロセスの間に膨張され得る。
【0049】
海中グラウト材供給アセンブリ140は更に、乾燥グラウト材を容量可変グラウト材貯蔵チャンバ216に追加するための、容量可変グラウト材貯蔵チャンバ216の上部に位置する乾燥グラウト材充填ハッチ211を含む場合がある。ハッチ211を開き、乾燥グラウト材を追加することは、海中グラウト材供給アセンブリ140が海底に配備される前に行われ得る。海中グラウト材供給アセンブリ140は、海中グラウト材供給アセンブリ140の様々な構成要素のフレーム及び支持体として機能することができる構造的シャシ213を含む場合がある。また、海中グラウト材供給アセンブリ140は、容量可変グラウト材貯蔵チャンバ216を膨張および収縮させるエレベータ222の移動を制御するエレベータ制御シリンダ221も含む場合がある。容量可変グラウト材貯蔵チャンバ216は、完全に折り畳まれた(即ち、収縮した)構成で海底に配備されることができ、グラウト材混合物のプロセス中に膨張する。線形可変差動変圧器(LVDT)223を用いて、容量可変グラウト材貯蔵チャンバ216が構成を変化させる前、変化させている間、及び/又は変化させた後のその容積を求めるために、エレベータの変位を測定することができる。
【0050】
容量可変グラウト材貯蔵チャンバ216は、乾燥グラウト材と混合するための水を受け取るように構成された1つ又は複数の水注入ポート231、232、233を含む場合がある。例えば、容量可変グラウト材貯蔵チャンバ216は、容量可変グラウト材貯蔵チャンバ216の上側に配置された上側水注入ポート231を含むことができ、当該ポート231は、混合手順の一部として乾燥グラウト材と混ぜ合わせるための水を受け取るように構成される。更に又は代案として、容量可変グラウト材貯蔵チャンバ216は、容量可変グラウト材貯蔵チャンバ216の底部側に配置された下側水注入ポート233を含む場合がある。更なる追加または代案として、容量可変グラウト材貯蔵チャンバ216は、容量可変グラウト材貯蔵チャンバ216の1つ又は複数の側面に配置された側部水注入ポート232を含む場合がある。一緒に及び/又は個別的に、水注入ポート231、232、233は、容量可変グラウト材貯蔵チャンバ216内に水を適切に散布し、適切な水和レベルを有するグラウト材混合物を形成するために乾燥グラウト材を適切に濡らすように構成され得る。
【0051】
図2Fは、
図2EのA-Aにおける断面図を示し、海中グラウト材供給アセンブリ140の一部の底面図を示す。ゲートバルブ254は、配備および混合動作中に、容量可変グラウト材貯蔵チャンバ(例えば、216)内にグラウト材を収容するために使用され得る、グラウト材ポンプ251の上に含まれ得る。ひとたび混合が完了したならば、グラウト材混合物のポンピングを開始することができる。ゲートバルブ・アクチュエータ253を用いて、ゲートバルブ254を開閉することができる。
【0052】
図3は、様々な実施形態による、海中グラウト材プラント140の容量可変グラウト材貯蔵チャンバ216の半透明図を示す。図示されたように、少なくとも1つのパドル311、312が、容量可変グラウト材貯蔵チャンバ216の内部に配置され得る。上側グラウト材混合パドル311は、容量可変グラウト材貯蔵チャンバ216の上部に配置されることができ、下側グラウト材混合パドル312は、容量可変グラウト材貯蔵チャンバ216の底部に配置され得る。代案として、容量可変グラウト材貯蔵チャンバ216は、下側グラウト材混合パドル312のような、グラウト材混合パドルを1つだけ含む場合がある。容量可変グラウト材貯蔵チャンバ216は、折り畳まれた構成(即ち、最も短い垂直プロファイルを有する構成)において、容量可変グラウト材貯蔵チャンバ216が依然として、上側グラウト材混合パドル311のための十分な空間を維持するように、構成され得る。これらパドルは、上側および下側混合モータ241及び242により駆動され、水が水注入ポート231、232、233を通じて追加された後に水中のグラウト材を混合するために使用される。複数の混合パドルを用いることは、グラウト材を適切に混合することに役立つ。
【0053】
様々な実施形態において、海中グラウト材供給アセンブリ140は、少なくとも1つのパドル311、312を駆動するように構成された少なくとも1つの混合モータを含む場合がある。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの混合モータは、上側グラウト材混合物モータ241及び下側グラウト材混合物モータ242を含む場合がある。上側および下側グラウト材混合物モータ241、242は、海底において、混合して適切なグラウト材混合物を形成するように連係して動作することができる。上側グラウト材混合物モータ241は、上側グラウト材混合パドル311を駆動するように構成され得る。同様に、下側グラウト材混合物モータ242は、下側グラウト材混合パドル312を駆動するように構成され得る。上側および下側グラウト材混合物モータ241、242の一方または双方は、電力供給装置(例えば、110)により電力供給され得る。代案として、少なくとも1つのパドル311、312は、HPU(例えば、120)により駆動され得る。
【0054】
海中グラウト材ポンプ251は、構造的シャシ213に固定的に固定され得るグラウト材ポンプモータ252により駆動され得る。例えば、海中グラウト材ポンプ251及びグラウト材ポンプモータ252は、グラウト材供給ライン(例えば、155)を通じてグラウト材混合物を海中削孔装置(例えば、150)へ、特に削孔が終了した後に固定要素(例えば、マイクロパイル)を海底(例えば、10)内へ設けるためのドリルヘッド(例えば、152)へ送り込む際に、重力を利用するために海中グラウト材供給アセンブリ140の底部に位置することができる。代案として、海中グラウト材ポンプ251は、HPU(例えば、120)により駆動され得る。
【0055】
図4A~
図4Cは、様々な実施形態による、様々な構成の容量可変グラウト材貯蔵チャンバ216の断面図を示す。
図4Aは、配備構成410を示し、この場合、エレベータ(例えば、222)が最も下側の位置413にあることができ、上側セクション(例えば、214)が完全に折り畳まれた構成412の状態にある。乾燥グラウト材411は、海底までの配備中に、完全に折り畳まれた構成412の状態で容量可変グラウト材貯蔵チャンバ216内に貯蔵され得る。
【0056】
図4Bは、水注入構成420を示し、この場合、容量可変グラウト材貯蔵チャンバ(例えば、216)又は少なくとも上側セクション(例えば、214)を完全に膨張した構成422まで膨張させるように、エレベータ(例えば、222)が上側位置423まで上昇している。完全に膨張した構成422は、容量可変グラウト材貯蔵チャンバ(例えば、216)に追加される多量の水424の空間を作る。水424が容量可変グラウト材貯蔵チャンバ(例えば、216)へ最初に注入される際、乾燥グラウト材411と水424が接触する部分的に混合されたグラウト材421の小さい領域以外、水424の残りの部分は、乾燥グラウト材411と自動的に混合されない場合がある。かくして、
図4Bは、水424が乾燥グラウト材411へまだ適切に混合されていないことを示す。
【0057】
図4Cは、グラウト材混合構成430を示し、この場合、エレベータ(例えば、222)は上側位置423に留まり、容量可変グラウト材貯蔵チャンバ(例えば、216)は完全に膨張した構成432の状態にある。容量可変グラウト材貯蔵チャンバ(例えば、216)は、グラウト材を混合および膨張させるための空間を作るために、水注入構成(例えば、420)の状態と比べて、混合構成430の状態において僅かに大きい容積を有する場合がある。ひとたび水と乾燥グラウト材が適切な粘性に完全に混合されたならば(所定の混合時間により判断され得る)、グラウト材混合物431は、海中削孔装置(例えば、150)へ送られる準備が整うことができる。
【0058】
図5は、幾つかの実施形態による、海中固定物設置システムの要素の移動型バージョンを示す。特に、
図5は、移動型海中グラウト材供給アセンブリ540及び移動型海中削孔装置550を示し、それらのそれぞれは、海底を自走するように構成される。例えば、移動型海中グラウト材供給アセンブリ540及び移動型海中削孔装置550のそれぞれは、2つ以上のホイールにより駆動される無限軌道または履板の連続したバンドで走行する、連続した無限軌道タイプの車両推進システム545、555を含む場合がある。連続した無限軌道タイプの車両推進システム545、555は、搭載されたモータにより駆動され得る。
【0059】
図6は、幾つかの実施形態による、海中固定物設置システムの要素の別の移動型バージョンを示す。特に、
図6は、移動型海中グラウト材供給アセンブリ640及び移動型海中削孔装置650を示し、それらのそれぞれは、海底を自走するように構成される。例えば、移動型海中グラウト材供給アセンブリ640及び移動型海中削孔装置650のそれぞれは、アセンブリが海底に沿って滑走することに役立つように構成された1つ又は複数のスキー板またはそり型底部642、655を含む場合がある。更に、移動型海中グラウト材供給アセンブリ640及び移動型海中削孔装置650のそれぞれは、アセンブリを海底に沿って推進するためのスラスタ644、654を含む場合がある。更に、移動型海中グラウト材供給アセンブリ640及び移動型海中削孔装置650のそれぞれは、移動型海中グラウト材供給アセンブリ640及び移動型海中削孔装置650が正の浮力、中立浮力および/または負の浮力を達成することに役立つように構成された浮力調整装置648、658を含む場合がある。
【0060】
図7は、
図1A~
図6に関連して上述されたような様々な実施形態による、固定要素を海底に固定する方法700の一実施形態を示す。
図7に関連して、方法700及びその動作は、本明細書で説明されたように、固定要素を海底に固定するように構成された海中固定物設置システム100を用いて実施され得る。例えば、方法700及びその動作は、海中グラウト材供給アセンブリ(例えば、140、540、640)を用いて実施され得る。更に、方法700及びその動作は、海中削孔装置(例えば、150、550、650)及び/又はプルーム捕獲アセンブリ(例えば、130)を用いて実施され得る。方法700の動作は、操作者により制御され得る、制御システムのプロセッサにより又はそれらの組み合わせにより実施され得る。
【0061】
方法700は、ブロック710において、海中固定物設置システムを支援船から海底の方へ配備することを含むことができる。例えば、海中グラウト材供給アセンブリ(例えば、140)が、水上船舶のデッキ上のクレーン又はダビットを用いて水上船舶から降ろされ得る。降ろすプロセスは、より具体的な削孔場所(例えば、15)の概略位置に海中グラウト材供給アセンブリを位置決めする場合がある。幾つかの実施形態において、海中削孔装置(例えば、150、550、650)も、支援船から海底の方へ配備され得る。更に、幾つかの実施形態において、プルーム捕獲アセンブリが更に、支援船から海底の方へ配備され得る。海中グラウト材供給アセンブリ、海中削孔装置、及び/又はプルーム捕獲アセンブリを配備することは、一緒に又は別個に行われ得る。
【0062】
ブロック720において、海中固定物設置システムは、削孔場所(例えば、15)に移動され得る。幾つかの実施形態において、海中固定物設置システムは、外部支援機材と共に配置され得る。代案として、海中固定物設置システムは、海中固定物設置システムの全て又は一部の構成要素を削孔場所へ移動または推進するために、搭載された推進力(駆動力)を使用する場合がある。例えば、海中固定物設置システムは、削孔場所まで海中を移動するためのそれ自体の輸送方法を有する場合がある。幾つかの実施形態は、海底に沿って移動するために駆動モータと併用してホイール又は無限軌道を使用することを含む場合がある。他の実施形態は、海底を移動するためのスラスタ及び浮力調整装置を含む場合がある。
【0063】
ブロック730において、海中削孔装置のドリルマスト(例えば、151)が、選択された削孔角度に傾けられ得る。ドリルマストの傾斜は、ドリルマスト及び対応するドリルヘッド(例えば、152)及び固定要素(例えば、マイクロパイル153)を適切な削孔(穴開け)角度に配置するように制御され得る。様々な実施形態は、ドリルマストを立たせるために油圧シリンダを含む場合がある。
【0064】
ブロック740において、海中削孔装置のドリルヘッド(例えば、152)は、固定要素(例えば、マイクロパイル153)を海底内へ捩って入れることを始めることができる。
【0065】
ブロック750において、海中削孔装置のプルームフード(例えば、154)が、削孔場所をフラッシュし且つ海底内への削孔から生じる周囲の堆積物プルームの大部分を除去するために使用され得る。水は、削孔場所から堆積物を除去するために固定要素(例えば、マイクロパイル153)の中空内部を通じてポンプで汲み上げられ得る。プルームフードは、周囲の堆積物プルームを捕獲するために負圧を維持する場合がある。プルームフードにより捕獲された堆積物と水の混合物は、プルーム捕獲アセンブリ(例えば、130)に送られることができ、当該プルーム捕獲アセンブリは、堆積物を除去し且つ給水を濾過するために使用され得る。プルーム捕獲アセンブリ(例えば、130)は、堆積物を除去し且つ給水を濾過するために排出装置(例えば、131)及び水濾過装置(例えば、133)を含む場合がある。また、プルーム捕獲アセンブリには、海中グラウト材供給アセンブリ及び/又は海中削孔装置のような、海中固定物設置システムの他の部分に濾過された水を分配するために使用されるウォーターポンプが含まれ得る。
【0066】
ブロック760において、海中グラウト材供給アセンブリ(例えば、140)が、海中の穴開け(削孔)場所の海中領域(即ち、海底)において、乾燥グラウト材と水を混ぜ合わせて混合するために使用され得る。
【0067】
ブロック770において、海中グラウト材供給アセンブリ(例えば、140)は、削孔の空洞を埋めて、固定要素を海底に固定するために、海中削孔装置へ及び固定要素(例えば、マイクロパイル153)の端から端までグラウト材混合物をポンプで送り込む場合がある。
【0068】
ブロック780において、海中固定物設置システムは、支援船を用いて海底から回収され得る。特に、海中グラウト材供給アセンブリ(例えば、140、540、640)は、水上船舶のデッキ上のクレーン又はダビットを用いて、水上船舶により回収され得る。更に、海中削孔装置(例えば、150、550、650)及び/又はプルーム捕獲アセンブリ(例えば、130)も、水上船舶のデッキ上のクレーン又はダビットを用いて、水上船舶により回収され得る。
【0069】
図8は、
図1A~
図6に関連して上述されたような様々な実施形態による、海中グラウト材の供給に関する方法800の一実施形態を示す。方法800の動作は、海底に固定要素を固定するように構成された海中固定物設置システム100を用いて実施され得る。例えば、方法800及びその動作は、海中グラウト材供給アセンブリ(例えば、140、540、640)を用いて実施され得る。更に、方法800及びその動作は、海中削孔装置(例えば、150、550、650)及び/又はプルーム捕獲アセンブリ(例えば、130)を用いて実施され得る。方法800の動作は、操作者により制御され得る、制御システムのプロセッサにより又はそれらの組み合わせにより実施され得る。
【0070】
ブロック810において、乾燥グラウト材が容量可変グラウト材貯蔵チャンバ(例えば、216)に貯蔵され得る。幾つかの実施形態において、フレキシブルなブラダー214が、容量可変グラウト材貯蔵チャンバの全て又は一部を形成する場合がある。更に、容量可変グラウト材貯蔵チャンバは、エレベータ(例えば、222)により圧縮された構成に維持されることができ、当該エレベータは、容量可変グラウト材貯蔵チャンバの構成を当該圧縮された構成から選択的に変更するように構成される。
【0071】
ブロック820において、容量可変グラウト材貯蔵チャンバ(例えば、216)内の乾燥グラウト材が、海底に移送され得る。例えば、海中グラウト材供給アセンブリ(例えば、140、540、640)が、支援船から海底に降ろされ得る。
【0072】
ブロック830において、海底上にいながら、水が海中グラウト材供給アセンブリ(例えば、140、540、640)へ注入され得る。例えば、水は、水注入ポート(例えば、231、232、233)を通じて、容量可変グラウト材貯蔵チャンバ(例えば、216)へ注入され得る。注入された水は、海底で実施されるグラウト材混合工程のために乾燥グラウト材を濡らすために使用される。幾つかの実施形態において、周囲の水から海中グラウト材供給アセンブリへの海水が、グラウト材混合物を混合するために使用され得る。他の実施形態は、グラウト材混合物のためにマイクロパイル削孔装置に貯蔵されている海水以外の水(例えば、飲用水)を使用する場合がある。水注入ポートは、乾燥グラウト材混合物を適切に濡らすように、海中グラウト材供給アセンブリの様々な場所に配置され得る。
【0073】
ブロック840において、容量可変グラウト材貯蔵チャンバ(例えば、216)が膨張され得る。例えば、制御システムが、グラウト材混合物に追加される水の空間を作るために、容量可変グラウト材貯蔵チャンバを膨張させるようにエレベータ(例えば、222)を付勢することができる。
【0074】
ブロック850において、容量可変グラウト材貯蔵チャンバ内の乾燥グラウト材と水が混合され得る。例えば、水が乾燥グラウト材に追加された後に、グラウト材を混合して撹拌するために、上側および/または下側混合モータ(例えば、241、242)が、混合パドル(例えば、311、312)を駆動することができる。混合は、グラウト材が適切に混合されて且つグラウト材が濡れるまで継続する場合がある。混合プロセスは、正確なグラウト材粘度までの適切な混合を保証するために、時限プロセスである場合がある。
【0075】
ブロック860において、ブロック840における混合から生じたグラウト材混合物は、海中削孔装置(例えば、150、550、650)にポンプで送り込まれ得る。例えば、ゲートバルブ(例えば、254)が開かれることができ、グラウト材ポンプ(例えば、252)が、削孔の空洞を埋めて、固定要素を海底に固定するために、適切に混合されたグラウト材混合物を海中削孔装置へ及び最終的には固定要素(例えば、マイクロパイル153)の中空部分の端から端までポンプで送り込むことを開始する場合がある。
【0076】
ブロック870において、容量可変グラウト材貯蔵チャンバ(例えば、216)は、グラウト材混合物が送り出される際に収縮する場合がある。例えば、グラウト材混合物が容量可変グラウト材貯蔵チャンバから吸い出される際、エレベータ(例えば、222)は、容量可変グラウト材貯蔵チャンバ又は少なくとも上側部分(例えば、214)を折り畳むように下降され得る。
【0077】
様々な実施形態により、マイクロパイルのような固定要素が、追加の支援機材を用いずに又は水上支援船からグラウト材をポンプで送り込まずに、海底に設置されることが可能になる。これは、より深い海域での設置を支援する可能性を有し、既存の海中固定物設置方法に比べて低コストである。
【0078】
更に、様々な実施形態の海中削孔装置は、自給自足できるために必要な全ての支援機材を有し、及び削孔場所にそれ自体で位置決めし、固定要素(例えば、マイクロパイル)を海底内へ捩って入れ、削孔工程中に生じる周囲の堆積物プルームを捕獲して、濾過して取り除き、海底でグラウト材を混合し、海底に固定要素を固定し且つ削孔空洞を充填するためにグラウト材混合物をポンプで送り込むのに必要な全てのタスクを実行することができる。
【0079】
開示された実施形態の前述の説明は、当業者が特許請求の範囲の発明を作成または使用することを可能にするために提供されている。これら実施形態に対する様々な変更は、当業者には容易に明らかになるであろう。本明細書で定義された一般的な原理は、特許請求の範囲の範囲から逸脱せずに、他の実施形態に適用され得る。かくして、特許請求の範囲は、本明細書で示された実施形態に制限されることが意図されておらず、以下の特許請求の範囲および本明細書で開示された原理と新規の特徴の言語と一致する最も広い範囲に一致させるべきである。
【国際調査報告】