(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-05
(54)【発明の名称】格納可能なリムとトルクリミッタとを備える自動車用ステアリングホイール
(51)【国際特許分類】
B62D 1/04 20060101AFI20240227BHJP
【FI】
B62D1/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023552995
(86)(22)【出願日】2022-03-01
(85)【翻訳文提出日】2023-09-02
(86)【国際出願番号】 EP2022055169
(87)【国際公開番号】W WO2022184722
(87)【国際公開日】2022-09-09
(32)【優先日】2021-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503358097
【氏名又は名称】オートリブ ディベロップメント エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【氏名又は名称】鈴木 大介
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【氏名又は名称】飛田 高介
(72)【発明者】
【氏名】バリトー,マティス
(72)【発明者】
【氏名】カッシン,セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】レボーフ,トーマス
【テーマコード(参考)】
3D030
【Fターム(参考)】
3D030DB12
(57)【要約】
【解決手段】 本発明は、車両用ステアリングホイール(10)であって、
-ステアリングホイールハブなどの中央部分(16)と、
-可動構造体(12)であって、
-車両が運転者によって操舵され得る駆動位置と、
-少なくとも1つの格納位置との間で中央部分(16)に対して枢動するように取り付けられたリムの少なくとも一部分を含む、可動構造体(12)と、
-可動構造体(12)を駆動位置と格納位置との間で枢動させるためのアクチュエータ(18)と、
-アクチュエータ(18)と可動構造体(12)との間で移動を伝達するための移動伝達機構(20)と、を備え、伝達機構(20)は、トルクリミッタ(100)を備えることを特徴とする、ステアリングホイール(10)に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用ステアリングホイール(10)であって、
-ステアリングホイールハブなどの中央部分(16)と、
-可動構造体(12)であって、
-前記車両が運転者によって操舵され得る駆動位置と、
-少なくとも1つの格納位置との間で前記中央部分(16)に対して枢動するように取り付けられたリムの少なくとも一部分を含む、可動構造体(12)と、
-前記可動構造体(12)を前記駆動位置と前記格納位置との間で枢動させるためのアクチュエータ(18)と、
-前記アクチュエータ(18)と前記可動構造体(12)との間で移動を伝達するための移動伝達機構(20)と、を備え、
前記ステアリングホイールは、前記可動構造体に伝達されるトルクを制限するように配置されたトルクリミッタ(100)を備えることを特徴とする、ステアリングホイール(10)。
【請求項2】
前記トルクリミッタ(100)が、前記アクチュエータ(18)と前記可動構造体(12)との間の所定のトルクを超えて、前記アクチュエータ(18)を前記可動構造体(12)から少なくとも一時的に係合解除するように配置されている、請求項1に記載のステアリングホイール(10)。
【請求項3】
前記アクチュエータ(18)と前記可動構造体(12)との間の前記所定のトルクが、0.9Nm以上、好ましくは1Nm以上、非常に好ましくは1.2Nm以上である、請求項2に記載のステアリングホイール(10)。
【請求項4】
前記トルクリミッタ(100)が、少なくとも1つの第1の凹部(64、84、94)と、少なくとも1つの突出部(61、81、91)とを備え、前記突出部(61、81、91)は、
-前記トルクリミッタ(100)が係合されたときに、前記第1の凹部(64、84、94)内に収容され、
-前記トルクリミッタ(100)が係合解除されたときに、前記第1の凹部(64、84、94)から取り外されるように配置されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のステアリングホイール(10)。
【請求項5】
前記トルクリミッタ(100)が、前記第1の凹部(64、84、94)に隣接する第2の凹部を更に備え、前記突出部(61、81、91)が、
-前記第1の凹部(64、84、94)から取り外された後に、前記第2の凹部内に再び収容されるように配置されている、請求項4に記載のステアリングホイール(10)。
【請求項6】
-前記第1の凹部(64、84、94)が、半径方向に延在する溝であり、
-前記突出部(61、81、91)が、前記溝に嵌合するように配置された、半径方向に突出して延在するリブである、請求項4又は5に記載のステアリングホイール(10)。
【請求項7】
-前記第1の凹部(64、84、94)が、ノッチであり、
-前記トルクリミッタ(100)が、前記突出部(61、81、91)を形成するように半径方向に延在しており、前記ノッチに係合するように配置された第1の板ばねも備える、請求項4又は5に記載のステアリングホイール(10)。
【請求項8】
-前記第1の凹部(64、84、94)が、開口部であり、
-前記突出部(61、81、91)が、前記トルクリミッタ(100)の回転軸の遠位端に配置されたピンであり、
-前記トルクリミッタ(100)が、可撓性材料(93)で作られており、前記ピンと前記トルクリミッタ(100)の前記回転軸との間に配置された一部分を備える、請求項4又は5に記載のステアリングホイール(10)。
【請求項9】
前記伝達機構(20)が、前記突出部(61、81、91)を前記第1の凹部(64、84、94)内に付勢するように配置された第2の板ばね(63)を更に備える、請求項4~8のいずれか一項に記載のステアリングホイール(10)。
【請求項10】
前記伝達機構(20)が、前記トルクリミッタ(100)の軸方向移動を制限するように配置された追加プレート(26b)を更に備える、請求項4~9のいずれか一項に記載のステアリングホイール(10)。
【請求項11】
前記トルクリミッタ(100)は、各々が平面摩擦面を備え、前記平面摩擦面において互いに対向して配置された2つのディスクと、前記2つのディスクを互いに対して付勢するように配置された少なくとも1つの圧力ばねと、を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のステアリングホイール(10)。
【請求項12】
前記伝達機構(20)が、
-前記アクチュエータ(18)に堅固に接続された駆動プレート(60)と、
-前記トルクリミッタ(100)を介して、前記アクチュエータ(18)によって駆動されるように配置された歯付き入力部材(24)と、を備え、
-前記歯付き入力部材(24)が、前記可動構造体(12)をその前記格納位置へと直接又は間接的に回転させるように配置されている、請求項1~11のいずれか一項に記載のステアリングホイール(10)。
【請求項13】
-前記第1の凹部(64、84、94)が、前記歯付き入力部材(24)又は前記駆動プレート(60)のいずれかに配置されており、
-前記突出部(61、81、91)が、前記歯付き入力部材(24)及び前記駆動プレート(60)のうちの他方に配置されている、請求項4又は5に従属する請求項12に記載のステアリングホイール(10)。
【請求項14】
前記可動構造体の所定の位置、例えば、前記駆動位置又はその近くにおいて、前記トルクリミッタをブロック又はロックするためのデバイスを備える、請求項1~13のいずれか一項に記載のステアリングホイール(10)
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載のステアリングホイール(10)を備える車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、自動車用ステアリングホイールに関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、方向付け可能又は格納可能なリムを有するステアリングホイールに関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
車両用ステアリングホイールの先行技術では、例えば文献の米国特許第10.562.558(B1)号から、ステアリングコラムに取り付けられるように構成された中央構造体に枢動可能に接続された、実質的に連続したリングを形成するリムを有するステアリングホイールを備え、車両が走行可能な状態に対応する垂直位置から、実質的に水平な収納位置又は格納位置までリムを枢動させるように構成された電気モータを含み、ステアリングホイール及びそのリムの他の使用方法又は利用を可能にする、電動折り畳み式ステアリングホイールシステムが知られている。加えて、ステアリングホイールシステムは、リムをその垂直な駆動位置にロックするための1つ以上の追加のシステムを備え、その各々は、専用のロックシステムの形態で提示されている。このような設計は、特にかさばり、重く、かつ高価である。更に、先行技術のステアリングホイールは、駆動位置からのステアリングホイールの枢動中、又は格納位置において、ステアリングホイールをロックしないことが好ましい旨をユーザ又は運転者に警告することができない。更に、先行技術のステアリングホイールは、ステアリングホイールが運転者によってロックされた場合に、ステアリングホイールの構成要素又は運転者を保護することができない。
【0004】
本発明の1つの目的は、上述の先行技術の欠点に対処することであり、特に、まず第1に、リムの少なくとも一部が枢動可能であり、ユーザ又は運転者の保護も行いつつ、ロックによる危険を警告しつつ、この人物によるロックから保護可能である自動車用ステアリングホイールを提案し、枢動及びロックのためのコンパクトかつ経済的なアセンブリも提案する。更に、回転デバイスを組み込むべくステアリングホイール内で利用可能な体積が小さく、全ての構成要素がかなりの小型であることを要する。コンパクトな駆動モータは、生成する回転トルクが低いという欠点を有する。この低減されたトルクは、ユーザによって容易にロックされる可能性があり、エンジンを損傷させる可能性がある。したがって、本発明によるステアリングホイールは、この目的のために十分に強力なアクチュエータを装備しつつ、駆動位置からステアリングホイールの枢動中、又は格納位置において、ステアリングホイールをロックしないことが好ましい旨をユーザ又は運転者に警告することを可能にする。
【0005】
この目的のために、本発明の第1の態様は、車両用ステアリングホイールであって、
-ステアリングホイールハブなどの中央部分と、
-可動構造体であって、
-車両が運転者によって操舵され得る駆動位置と、
-少なくとも1つの格納位置との間で中央部分に対して枢動するように取り付けられたリムの少なくとも一部分を含む、可動構造体と、
-可動構造体を駆動位置と格納位置との間で枢動させるためのアクチュエータと、
-アクチュエータと可動構造体との間で移動を伝達するための移動伝達機構と、を備え、ステアリングホイール又は伝達機構は、可動構造体に伝達されるトルクを制限するように配置されたトルクリミッタを備えることを特徴とする車両用ステアリングホイールに関する。
【0006】
これにより、コンパクトで経済的な配置を備えたステアリングホイールを提案することを可能にするとともに、ステアリングホイールが枢動するときにユーザ又は運転者がステアリングホイールを堅固に保持するときに起こり得る過度のトルクからステアリングホイールを保護して、ステアリングホイールの構成要素及び運転者の両方を保護することを可能にする。加えて、これにより、機能を実行するのに十分に強力なステアリングホイールにアクチュエータが組み込まれることを可能にし、負傷及び損傷のリスクを制限する。
【0007】
換言すれば、トルクリミッタは、アクチュエータと可動構造体との間で(両方とも可動構造体に向かって)伝達される回転トルク又は力を制限するように配置される。
【0008】
有利には、トルクリミッタは、アクチュエータと可動構造体との間の所定のトルクを超えて、少なくとも一時的にアクチュエータを可動構造体から係合解除するように配置される。
【0009】
言い換えれば、所定のトルクを超えると、トルクリミッタは、アクチュエータと可動構造体との間のトルクの伝達を完全に又は部分的に防止することができる。
【0010】
クラッチは、アクチュエータを停止させることなく、アクチュエータと移動対象(それぞれ係合及び係合解除する)部品との間の連通を確立又は遮断することをそれぞれ可能にする機構を指す。
【0011】
一般に、クラッチはトルクリミッタではない。実際に、クラッチは、例えば、トルク制限を考慮することなく、アクチュエータを可動部に結合することを可能にする。場合によっては、車両クラッチに関して、クラッチは、アクチュエータがその最大トルクに達するか又はそれを送達する場合に、摺動しないか又は係合解除しないように設計されることさえある。この場合、クラッチは、10%、20%、又は更にそれ以上の安全マージンで、摺動又は係合解除することなく、アクチュエータの最大トルクに抵抗するように設けられ得る。
【0012】
トルクリミッタは、入力トルクが最大値を超えない限り、通常は摺動しないように、すなわちトルク又は移動を伝達するように、ドライブトレイン内に設置される。この最大トルクを超えると、トルクリミッタは、伝達チェーンが摺動するか、又は係合解除することさえ可能にする。トルクリミッタは、可逆的に(伝達されるトルクが最大トルクを下回った場合、トルクリミッタがトルク及び/又は移動を再び自動的に伝達することができる)、又は不可逆的に(一旦トリガされると、トルクリミッタが、リセット又は交換されない限り、もはやトルク及び/又は移動を伝達することができない)、機械的ヒューズとして作用する。
【0013】
これは、ステアリングホイールの異常な使用をユーザに警告し、かつその人物に、ステアリングホイールを損傷しないように、又は本人が負傷しないように、ステアリングホイールを解放することを促すステアリングホイールを提案することを可能にする。
【0014】
有利には、アクチュエータと可動構造体との間の所定のトルクは、0.9Nm以上、優先的には1Nm以上、非常に優先的には1.2Nm以上とすることができる。
【0015】
これにより、ステアリングホイール構成要素の安全性及びユーザ又は運転者の安全性を保証する。
【0016】
有利には、トルクリミッタは、少なくとも1つの第1の凹部と、少なくとも1つの突出部とを備えてもよく、少なくとも1つの突出部は、
-トルクリミッタが係合されるときに、第1の凹部内に収容され、
-トルクリミッタが係合解除されたときに、第1の凹部から取り外されるように配置される。
【0017】
有利には、トルクリミッタは、第1の凹部に隣接する第2の凹部を更に備えてもよく、突出部は、
-第1の凹部から取り外された後に、第2の凹部内に再び収容されるように配置される。
【0018】
換言すれば、突出部が再び収容されると、トルクリミッタが再び係合される。
【0019】
これにより、製造が容易かつコンパクトであり、枢動中にステアリングホイールを保持している場合、望ましくない動作を(ノイズ、及び/又は、スナップ、タッピング、又はクリックなどの小さな衝撃によって)ユーザに警告しつつ、負傷又は材料損傷を回避することを可能にするトルクリミッタを備えたステアリングホイールを提案することが可能となる。それはまた、トルクリミッタが係合解除されない所定時間(例えば100ms)の間、運転者によるステアリングホイールの保持でもあり得る。加えて、これにより、ステアリングホイールの使用を可能にするように、隣接する凹部を通過するオーバートルクの場合に枢動機能を確保し続けることを可能にする。当然のことながら、突出部が隣接する凹部に入った後に、伝達されるトルクが所定のトルクよりも大きいままである場合、トルクリミッタは再び係合解除され、次の凹部に進むなどである。
【0020】
有利には、第1の凹部は、半径方向に延在する溝であってもよく、突出部は、溝に嵌合するように配置された、半径方向に突出して延在するリブであってもよい。
【0021】
「溝」という用語は、部品(例えば、金属又は鋼で作られた部品)の厚さ内に作られ、組み立てに使用されるか、又は摺動部品を受け入れるように意図された、矩形であり得る断面を備えた長尺かつ狭いノッチを意味するものと理解される。
【0022】
また、突出部はキー形状であってもよい。
【0023】
有利には、第1の凹部はノッチであってもよく、トルクリミッタは、突出部を形成するように半径方向に延在しており、ノッチに係合するように配置された第1の板ばねを更に備え得る。
【0024】
「ノッチ」という用語は、固体(ここでは金属)内又は物体内に作られ、一部を除去する切れ目を意味するものと理解される。
【0025】
有利には、
-第1の凹部は、開口部であってもよく、
-突出部は、トルクリミッタの回転軸の遠位端に配置されたピンであってもよく、
-トルクリミッタは、可撓性材料で作られ、ピンとトルクリミッタの回転軸との間に配置された部分を備えてもよい。
【0026】
これにより、構築変形例によるトルクリミッタを備えたステアリングホイールを提案することが可能になる。
【0027】
有利には、伝達機構は、突出部を第1の凹部に押し込むように配置された第2の板ばねを更に備え得る。第2の板ばねは、駆動プレートを歯付き入力部材に押し付けるように配置可能である。
【0028】
これにより、所定のトルクを調整することが可能になり、特に、動作ギャップを補償するように、要素がともに適切に押し付けられるよう保証することが可能になる。
【0029】
有利には、ステアリングホイール又は伝達機構は、可動構造体の所定の位置、例えば、駆動位置又はその近くでトルクリミッタをブロック又はロックするためのデバイスを更に備え得る。これにより、駆動チェーン内に望ましくない残留ギャップを生じ得る、可動構造体が駆動位置にロックされている間のトルクリミッタの中間位置への配置を生じ得ないように保証することができる。完全なブロック又はロックが提供されてもよく、すなわち、アクチュエータと可動構造体との間の相対的な摺動を不可能にすることからなるブロック又はロックが提供されてもよく、あるいは駆動位置以外のときよりも更に高いトルクでのみ駆動位置における摺動を可能にするように、トルクリミッタに追加の張力を付与することからなるブロック又はロックが提供されてもよい。完全なブロック又はロックの場合には、中央部分に可動構造体を固定するインデックスを設けることができ、追加の張力を付与することからなるブロック又はロックの場合には、トルクリミッタに摩擦を付与する弾性部材に追加の張力を付与する傾斜又はカムを想定することができる。
【0030】
有利には、トルクリミッタをロックするためのデバイスは、トルクリミッタの軸方向移動を制限するように配置された追加のプレートであり得る。
【0031】
有利には、アクチュエータは、モータとすることができる。
【0032】
これにより、コンパクトで信頼性の高いアクチュエータを提案することができる。
【0033】
有利には、アクチュエータは、各々が平面摩擦面を備え、その平面摩擦面において互いに対向して配置された2つのディスクと、2つのディスクを互いに対して付勢するように配置された少なくとも1つの圧力ばねと、を備えることができる。
【0034】
これにより、動作ギャップを引き起こす可能性のある中間位置にトルクリミッタが留まることが防止される。
【0035】
有利には、伝達機構は、
-アクチュエータに堅固に接続された駆動プレートと、
-トルクリミッタを介してアクチュエータによって駆動されるように配置された歯付き入力部材と、を備えてもよく、
-歯付き入力部材は、可動構造体をその格納位置へと直接又は間接的に回転させるように配置されている。
【0036】
トルクリミッタは、アクチュエータと可動構造体との間に配置することができる。トルクリミッタは、駆動プレートと歯付き入力部材との間に配置することができる。
【0037】
有利には、
-第1の凹部は、歯付き入力部材又は駆動プレートのいずれかに配置され、
-突出部は、歯付き入力部材及び駆動プレートのうちの他方に配置されている。
【0038】
これにより、コンパクトな配置のステアリングホイールを提案することが可能になる。
【0039】
本発明の別の態様は、第1の態様によるステアリングホイールを備える車両に関する。
【0040】
これにより、ステアリングホイールと、コンパクトで経済的な配置を有するトルクリミッタとを備えた車両を提案することが可能になり、特に、ユーザ又は運転者がステアリングホイールを保持してステアリングホイールが旋回するときに、この危険を運転者に警告し、ステアリングホイールから手を離すように誘う一方で、ユーザ又は運転者の損傷及び負傷を回避することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
本発明の他の特徴及び利点は、本発明のいくつかの実施形態の詳細な説明を読むと、より明らかになり、本発明のいくつかの実施形態は、例として提供されているが、これらになんら限定されず、添付の図面によって示されている。
【
図1】
図1は、リムの駆動位置で示される車両用ステアリングホイールの第1の実施形態の斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すステアリングホイールの上面図である。
【
図3】
図3は、
図1及び
図2に示されるステアリングホイールを装備した移動伝達機構の特定の構成要素を示す詳細斜視図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係るステアリングホイールに搭載されるトルクリミッタの分解斜視図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態に係る
図4とは反対側のトルクリミッタの分解斜視詳細図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態に係るトルクリミッタの組立詳細斜視図である。
【
図7】
図7は、第1の実施形態に係るトルクリミッタの組立断面立面図である。
【
図8】
図8は、第1の実施形態に係る、近傍環境におけるトルクリミッタの断面立面図である。
【
図9】
図9は、ステアリングホイールの第2の実施形態に係るトルクリミッタの断面立面図である。
【
図10】
図10は、ステアリングホイールの第2の実施形態に係るトルクリミッタの
図9とは反対側の斜視図である。
【
図11】
図11は、ステアリングホイールの第3の実施形態に係るトルクリミッタの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
第1の実施形態
図1及び
図2は、アーム14によって、ハブとも呼ばれる中央部分16に接続されたリム12を備えるステアリングホイール10を示し、中央部分16は、ステアリングホイールを車両のステアリングコラム又は電気ステアリングギアボックス(図示せず)に結合することを可能にするように配置される。
【0043】
車両の使用の人間工学を向上させるために、リム12は、中央部分16に対して少なくとも部分的にヒンジ式で取り付けられ、
-リム12の平面が、車両の駆動中にステアリングホイール及びステアリングコラムの回転軸と一致する中央部16の軸方向に対して典型的に直交している、いわゆる駆動位置、
-又は、特に、ユーザが例えばコンピュータをリム12上に置くことができるように、リム12の平面がひいては中央部16の方向に対して傾斜している、コンソール位置とも呼ばれる格納位置、のいずれかに角度を付けて位置決めされるように、ステアリングホイールの回転軸に直交する一次軸A1を中心として一方向又は二方向に枢動することができるようにする。
【0044】
角度位置を変更する可能性は、必ずしもリム12全体を枢動させることに限定されず、リム12の一部分のみ、例えばリムの半分のみに関連することもでき、そのようなリム部分は、本発明の意味においてリムの可動構造体を構成する。
【0045】
非限定的な例として、リム12を枢動させるために、ステアリングホイール10は、ここでは、リム12を駆動及びロックするためのサイドモジュールMを含む。サイドモジュールMは、ここでは、ステアリングホイール10のリアアーム14に隣接して配置されている。
【0046】
モジュールMは、本質的に、電動アクチュエータ18と、アクチュエータ18とリム12との間の伝達機構20(又は駆動機構20)と、リム12に伝達され得るトルクを制限するためのトルクリミッタ100を備えるステアリングホイール(又は伝達機構がトルクリミッタ100を直接備える)とを組み合わせる。
【0047】
図3は、
-アクチュエータ18によって二次軸A2(回転軸A2とも称される)を中心に回転される伝達機構20に属する移動入力ギア24と、
-入力ギア24と恒久的に噛み合う、リム12を枢動させるための駆動ギア26(非限定的な例として、駆動スプロケット26は、リム12の一次枢動軸A1の周りに回転するように取り付けられる)と、を備えた伝達機構20を示す。
【0048】
駆動スプロケット24とリム12との間の両方向の回転接続のために、
図3はまた、リム12に回転可能に固定することができ、駆動スプロケット26を通って軸方向に延在するハブ34を示す。
【0049】
更に、ここでは渦巻ばねの形態で作られたばね46が、軸方向前方に延在する駆動スプロケット26のリム27とハブ34との間に介在し、駆動スプロケット26の弾性戻りを恒久的に保証する。
【0050】
図1及び
図2に見て取れるように、モジュールMは、ここでは2つの平行な補強プレート50を有し、その間に入力ギア24及び駆動スプロケット26、並びにハブ34が配置され、これらの様々な構成要素も、これらの2つの補強プレート50に対して回転するように取り付けられる。また、前方補強プレート50には、電動アクチュエータ18が取り付けられる。
【0051】
入力ギア24は、少なくとも駆動スプロケット26に伝達される移動のための歯付き入力部材を構成する。
【0052】
代替的に、入力ギア24を、歯付き内側クラウンギアと、又は任意選択的に直線状の歯付きラックと置き換えることも可能である。
【0053】
アクチュエータ18は、例えば、電気ギアモータを形成するためにギアボックス又はギア減速機と任意選択的に関連付けられた回転式電気モータ18(又はモータ18)である。この場合、回転出力シャフトは、入力ギア24などの歯付き入力部材を直接又は間接的に駆動する。
【0054】
代替的に、出力シャフトは、ラック形状の部材を介して歯付き入力部材を両方向に駆動するために、ウォーム・ナット方式のねじを駆動することができる。
【0055】
トルクリミッタは、歯付き入力部材とも呼ばれる入力ギア24と同軸に設置されることが好ましい。
【0056】
図4は、第1の実施形態に係るステアリングホイール1に搭載されるトルクリミッタ100の分解斜視図である。
【0057】
好ましくは、駆動機構20は、アクチュエータ18によって駆動される駆動プレート60を備える。好ましくは、駆動プレート60は、モータ18のシャフトに堅固に接続される。
【0058】
トルクリミッタ100は、ここでは、回転軸A2に垂直な駆動プレート60の平坦面上に3つのリブ61を備える。リブ61は、突出部の一例である。駆動プレート60は、入力ギア24のハブ25と係合するように配置されたシャフト62を更に備える。
【0059】
トルクリミッタ100は、ギア24を駆動プレート60に押し付けるように配置された第2の板ばね63を更に備える。第2の板ばね63は、波形座金、波形ばね、円錐座金、又はコイルばねであってもよい。
【0060】
好ましくは、リブ61は、駆動プレート60の面上に均等に、すなわち、ここでは120度ごとに分配される。より多くの数、又はより少ない数のリブ61を駆動プレート60上に設けることができる。
【0061】
図5は、ステアリングホイール10の第1の実施形態に係る、
図4とは反対側のトルクリミッタ100の分解斜視詳細図である。
【0062】
ギア24は、12個の溝64を含む。好ましくは、溝64は、駆動プレート60に対向するギア24の面にわたって均等に分配される。溝64は、リブ61を受け入れるように配置されており、すなわち、対応する形状を有している。溝64は、凹部(又は第1の凹部若しくは第2の凹部)の一例である。
【0063】
駆動プレート60がギア24に組み付けられると、リブ61は溝64内に収容される。これにより、駆動プレート60とギア24との間でトルクを伝達することができる。伝達されるトルクが所定のトルクよりも大きいとき、リブ61は溝64から取り外される。モータ18が回転し続けると、リブ61は、取り外される前に係止されていた溝64に隣接する溝64内に再び収容される。したがって、ノック感覚がユーザ又は運転者に伝達され、ステアリングホイール1の構成要素を損傷することなく、又はユーザを負傷させることなくステアリングホイール1の枢動を実行することができるように、その人物にステアリングホイール1を解放するように促す。このようにして、触覚デバイスが製造される。更に、トルクリミッタの係合解除は、軸A2に沿ったギア24の軸方向移動を生じる。
【0064】
これにより、第2の板ばね63は、リブ61を溝64に押し込むように配置される。
【0065】
図6は、ステアリングホイール10の第1の実施形態に係るトルクリミッタ100の組立詳細斜視図である。
【0066】
駆動スプロケット26は、駆動スプロケット26に取り付けられた追加のプレート26bとともに示されている。追加のプレート26bは、可動構造体12が、所定の位置、例えば駆動位置又はその近くにあるとき、トルクリミッタ100をブロックすることを可能にする。これにより、可動構造体が駆動位置にロックされている間、トルクリミッタ100が中間位置にあり得ないように、典型的にはリブ61が溝64に係合しないように、保証することができる。
【0067】
図7は、ステアリングホイール10の第1の実施形態に係るトルクリミッタ100の組立断面立面図である。
【0068】
リブ61は、伝達されるトルクが所定のトルク未満であるとき、溝64に収容される(すなわち、駆動プレート60がギア24に係合される)。伝達されるトルクが所定のトルクよりも大きいとき、リブ61は溝64から取り外される(これは、駆動プレート60のギア24からの係合解除に対応する)。駆動プレート60が回転し続けると、リブ61は、隣接する溝64内に再び収容されることができる。
【0069】
好ましくは、3つのリブ61のうちの1つのリブ61は、ギア24上で駆動プレート60を中心に置くために使用され、他の2つのリブ61は、係合解除(又はロック解除)中にシステムを均衡させる働きをする。
【0070】
換言すれば、凹部は、半径方向に延在する溝64であり、突出部は、溝64に嵌合するように配置された、半径方向に突出して延在するリブ61である。
【0071】
リブ61及び溝64及び/又は第2の板ばね63の幾何学的形状を適合させることによって、所定のトルクを調整することができる。
【0072】
更に、トルクリミッタ100が中間位置でブロックされることを防止するように、すなわち、伝達されるトルクが所定のトルクよりも大きい場合にリブ61が隣接する溝64と容易に係合することを保証するように、リブ61において、又は溝64間において、丸みを帯びた面を設けることが可能である。更に、これにより、リブ61が隣接する溝64に再び収容されるのに必要なトルクを制限することが可能になる。
【0073】
図8は、ステアリングホイール10の第1の実施形態に係る、近傍環境におけるトルクリミッタ100の断面立面図である。
【0074】
モータ18は、入力ギア24と同軸のシャフト18aを備え、第2の板ばね63は、ギア24と伝達機構20の軸受70との間に配置されて、ギア24を駆動プレート60に押し付けるように保証する。上記からわかるように、第2の板ばね63は、溝64(
図8には図示せず)内でリブ61を押圧する。
【0075】
第2の実施形態
図9は、ステアリングホイール10の第2の実施形態に係るトルクリミッタ100の断面立面図である。
【0076】
他の実施形態の参照番号は、それらが共通に有する要素に対して可能な場合には常に反復される。
【0077】
トルクリミッタ100は、ギア24のノッチ84のうちの1つに向かって突出する2つの突出部81を有する、駆動ばねフープの形態の第1の板ばね80を備える。ばねブレード80は、ギア24の内側で、内側リブ83を有するフランジ82に対して押し付けられる。突出部81は、フランジ82の2つの対応する開口部を通してノッチ84内で係合することができる。ノッチ84は、凹部(又は第1の凹部若しくは第2の凹部)の一例である。
【0078】
前述したように、突出部81は、伝達されるトルクが所定のトルク未満であるときにノッチ84内に収容される。突出部81は、伝達されるトルクが所定のトルクよりも大きいときにノッチ84から取り外されることができ、モータ18が回転し続けるときに隣接するノッチ84と更に係合することができる。
【0079】
換言すれば、凹部はノッチ84であり、第1の板ばね80は、突出部81を形成するようにフランジ82の半径方向外側に延在しており、ノッチ84に係合するように配置されている。
【0080】
第1の板ばね80の剛性、突出部81のサイズ、及びノッチ84の形状を選択することによって、所定のトルクを調整することができる。
【0081】
トルクリミッタ100の係合解除は、ギア24に対する突出部81の半径方向移動を引き起こす。
【0082】
図10は、ステアリングホイール10の第2の実施形態に係るトルクリミッタ100の斜視図である。
【0083】
トルクリミッタ100は、
図9とは反対側から見ている。
【0084】
第3の実施形態
図11は、ステアリングホイール10の第3の実施形態に係るトルクリミッタ100の斜視図である。
【0085】
トルクリミッタ100は、フラット95を介してモータ18の回転トルクを伝達するための伝達シャフト90を備える。トルクリミッタ100は、可撓性部分93の遠位端に配置されたピン91を更に備える。可撓性部分93は、伝達シャフト90に堅固に接続され、板ばねを形成する。ギア24は、ピン91を受け入れるように配置された開口部94を更に備える。開口部94は、凹部(又は第1の凹部若しくは第2の凹部)の一例である。ピン91は、突出部の一例である。
【0086】
換言すれば、凹部は、開口部94であり、突出部は、トルクリミッタ100の回転軸の遠位端に配置されたピン91であり、トルクリミッタ100は、可撓性材料で作られ、ピン91とトルクリミッタ100及びギア24の回転軸A2との間に配置された可撓性部分93を備える。
【0087】
トルクリミッタ100の係合解除は、ピン91の軸方向移動を生じる。
【0088】
図12は、
図11とは反対側のトルクリミッタ100の分解斜視図である。
【0089】
したがって、ピン91は、伝達シャフト90の回転軸A2から所定の半径方向距離に配置され、これにより、ばね鋼で作成された薄い帯状物などの可撓性材料、プラスチック又はポリマー材料、又は更には複合材料(例えば鋼などの金属で作成され、例えば、シリコーン、ゴム、ポリアミド、ポリプロピレン、及び任意選択的にガラスファイバなどの繊維などの充填剤を任意選択的に含んだ、プラスチック、ポリマーなどのプラスチック材料で外側被覆されたブレード又はロッド)の選択と相俟って、所定のトルクを調整することができるようになる。
【0090】
本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書で説明されている本発明の種々の実施形態に対して、当業者に明白な様々な修正及び/又は改善を加えることができる点が理解されるであろう。
【0091】
また、実施形態を組み合わせることも可能である。
【国際調査報告】