(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-05
(54)【発明の名称】ベルトリトラクタユニット及びそのようなベルトリトラクタユニットを有する車両
(51)【国際特許分類】
B60R 22/343 20060101AFI20240227BHJP
B60R 22/40 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
B60R22/343
B60R22/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023552997
(86)(22)【出願日】2022-02-24
(85)【翻訳文提出日】2023-09-01
(86)【国際出願番号】 EP2022054618
(87)【国際公開番号】W WO2022184538
(87)【国際公開日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】DE102021105276.9
(32)【優先日】2021-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503358097
【氏名又は名称】オートリブ ディベロップメント エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100098143
【氏名又は名称】飯塚 雄二
(72)【発明者】
【氏名】リングス,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】クッチャー,フーケ
【テーマコード(参考)】
3D018
【Fターム(参考)】
3D018GA00
3D018HA02
3D018HB03
3D018HC01
3D018HD02
3D018HE02
(57)【要約】
【解決手段】 本発明は、ベルトリトラクタユニットであって、ハウジング(10)と、このハウジング(10)内に回転可能に取り付けられたベルトリール(20)と、ベルトリールをハウジングに対してブロックするためのブロッキングユニットであって、電磁石(42)を有するアクチュエータユニット(40)を有する、ブロッキングユニットと、電磁石(42)を制御するための制御装置(50)であって、電力入力部(55)、電磁石(42)に接続された電力出力部(56)、制御信号を受信するための少なくとも1つの信号入力部(57)、及び/又は制御信号を生成するためのセンサユニット(52)を備え、制御装置(50)は、少なくとも第1のアクティブスイッチング状態とパッシブスイッチング状態とを有し、第1のアクティブスイッチング状態では、電流が電力出力部(56)と電磁石(42)との間に流れ、その電流強度がパッシブスイッチング状態よりも大きい、制御装置と、を有し、制御装置(50)は、電力入力部と電力出力部との間に、定電流源として動作する少なくとも1つのDC/DCコンバータ(60)を有し、それにより、第1のアクティブスイッチング状態における電流強度は、電力入力部に印加される電圧に依存しない所定の第1の値(I
1)を有する、ベルトリトラクタユニットに関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルトリトラクタユニットであって、
ハウジング(10)と、
前記ハウジング(10)内に回転可能に取り付けられたベルトリール(20)と、
前記ベルトリールを前記ハウジングに対してロックするためのロックユニットであって、前記ロックユニットは、電磁石(42)を有するアクチュエータユニット(40)を有する、ロックユニットと、
前記電磁石(42)を制御するための制御装置(50)であって、電力入力部(55)、前記電磁石(42)に接続された電力出力部(56)、制御信号を受信するための少なくとも1つの信号入力部(57)、及び/又は制御信号を生成するためのセンサユニット(52)を備え、前記制御装置(50)は、少なくとも1つの第1のアクティブスイッチング状態及び1つのパッシブスイッチング状態を有し、前記第1のアクティブスイッチング状態では、電流が前記電力出力部(56)と前記電磁石(42)との間を流れ、その電流強度が前記パッシブスイッチング状態よりも大きい、制御装置(50)と、を有し、
前記制御装置(50)は、前記電力入力部と前記電力出力部との間で定電流源として機能する少なくとも1つのDC-DCコンバータ(60)を有し、それにより、前記第1のアクティブスイッチング状態における電流強度は、前記電力入力部に印加される電圧に依存しない所定の第1の値(I
1)を有することを特徴とする、ベルトリトラクタユニット。
【請求項2】
前記第1の値(I
1)は50mA~500mAであることを特徴とする、請求項1に記載のベルトリトラクタユニット。
【請求項3】
前記制御装置(50)は、電流強度が前記第1のアクティブスイッチング状態よりも大きい第2のアクティブスイッチング状態を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載のベルトリトラクタユニット。
【請求項4】
前記第2のアクティブスイッチング状態において、電流強度は、前記電力入力部(55)に印加される電圧に依存せず、前記第1の値よりも大きい所定の第2の値(I
2)を有することを特徴とする、請求項3に記載のベルトリトラクタユニット。
【請求項5】
前記第2の値(I
2)は、前記第1の値(I
1)の少なくとも2倍の大きさであり、好ましくは150mA~1500mAであることを特徴とする、請求項4に記載のベルトリトラクタユニット。
【請求項6】
前記ベルトリール(20)は、前記制御装置(50)が前記パッシブスイッチング状態にあるときに、前記ハウジング(12)に対してロックされることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のベルトリトラクタユニット。
【請求項7】
前記制御ユニット(50)は、前記ベルトリール(20)がロック解除されたときに、前記パッシブスイッチング状態から最初に前記第2のアクティブスイッチング状態に、次いで前記第1のアクティブスイッチング状態に切り替わることを特徴とする、請求項3から5及び6のいずれか一項に記載のベルトリトラクタユニット。
【請求項8】
前記第2のアクティブスイッチング状態は、時間間隔Δtの間維持され、好ましくは5ms≦Δt≦200ms、より好ましくは20ms≦Δt≦50msであることを特徴とする、請求項7に記載のベルトリトラクタユニット。
【請求項9】
前記パッシブスイッチング状態における前記電力出力部(56)と前記電磁石(42)との間の電流強度は、本質的に0であることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載のベルトリトラクタユニット。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載のベルトリトラクタユニットを有する電気駆動装置を備える車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載のベルトリトラクタユニット、及び請求項10に記載のそのようなベルトリトラクタユニットを有する車両に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
全ての現代の乗用車だけでなく、ほとんどのトラック、バスなどもシートベルトシステムを有する。このような安全ベルトシステムは、常にベルトリトラクタユニットを有しており、このベルトリトラクタユニットは、ハウジングと、このハウジング内に回転可能に取り付けられたベルトリールとを備えたベルトリトラクタを有している。安全ベルトシステムストラップの一部は、このベルトリールに巻き付けられ、ユーザは、ベルトリールとハウジングとの間に作用する戻しばねの力に抗してベルトリールから安全ベルトシステムストラップを巻き出すことができる。ベルトスプールがハウジングに対してブロックされない解放状態と、ベルトスプールがハウジングに対してブロックされるブロック状態とを有するブロッキング装置が更に提供される。このブロッキング装置は、通常、2つの独立したセンサ、すなわち、ベルトリールの回転を感知するベルト感知センサと、車両位置及び/又は車両加速度(特に負の車両加速度、すなわち減速度)を感知する車両感知センサとを有する。通常の運転状態では、すなわち、ストラップがあまり速く伸ばされず、車両が異常な層にないか、又は異常な加速を受けていないとき、ブロッキング装置はそのブロックされていない状態にあり、ユーザはストラップを伸ばすことができ、比較的自由な動きを可能にする。しかしながら、例えば、ストラップがあまりにも速く伸ばされた場合、及び/又は車両があまりにも速く減速した場合、ブロッキング装置はブロック状態になる。
【0003】
現在、ブロッキング装置はほとんど完全に機械的に設計されており、これは、完全なブロッキング装置(センサを含む)がベルトリトラクタのハウジングに堅固に接続されていることを意味する。しかしながら、ブロッキング装置全体のハウジングへのこの堅固な接続は、特にベルトリトラクタユニットが車両シート、特にその背もたれに固定されている場合には、ベルトリトラクタの位置、したがって車両感知センサの位置が車両に対して変化する可能性があるため、欠点を有する。
【0004】
このため、完全に又は部分的に電気的に作動するベルトリトラクタユニットが知られており、そのブロッキング装置は、電磁石及び電磁石を制御するための制御装置を有するハウジングに接続されたブロッキングユニットを有する。この電磁石は、電気的に制御可能なアクチュエータユニットの一部であり、アクチュエータユニットの状態(特に無電流又は通電)が、ブロッキングユニットの状態(ベルトコイルが回転可能である、又はベルトコイルがブロックされている)を決定するようになっている。通常、ブロッキングユニットは、電磁石に対抗する(通常はばねの形態の)戻し要素も有する。このリセット要素はアクチュエータユニットの一部であってもよい。安全上の理由(フェイルセーフ)から、通常、無電流状態はブロック状態であり、通電状態はロック解除状態である。したがって、車両電気システムに接続された電力入力部と、電磁石に接続された電力出力部と、を有するアクチュエータユニットを駆動する制御装置は、電力入力部から電力出力部への電力供給が遮断されるパッシブスイッチング状態と、電力入力部が電力出力部に接続され、したがって電流が電磁石を通って流れるアクティブスイッチング状態とを有する。この制御装置は、一般に専ら電気的にブロッキングユニットに結合されており、この場合、特に背もたれと共に動かないように、車両の任意の場所に配置することができる。そのようなブロッキングユニット及びそのような制御装置を有する一般的なベルトリトラクタユニットは、例えば、英国特許第2398824号Bに記載されている。そのような電気的に動作するベルトリトラクタユニットは、ベルトリトラクタユニットの状態(ブロック/非ブロック)を制御するためのより多くの可能性を提供するので、他の利点を有する。
【0005】
このような一般的なベルトリトラクタユニットの欠点は、当然のことながら、純粋に機械的に動作するベルトリトラクタユニットと比較して車両の電力消費を増加させることである。無電流状態にあるとき、すなわち電流が電磁石を通って流れていないとき、ベルトリトラクタユニットがロック状態にあることが通常好ましい、又は必要でさえあるので、これはなおさら真実である。これは、ベルトリトラクタユニットが自然にそのロック解除状態にある通常の運転動作中に、電流が電磁石を通って流れ、したがって、車両が動作している間、永久的な追加の電気消費装置を作り出すことを意味する。当然ながら、これは、オルタネータの負荷を永久的に増加させ、それ自体が車両の全体的なエネルギー消費を増加させるので、通常の燃焼エンジン車両においては既に望ましくない。当然ながら、この問題は、電力消費の増加が電気モードの範囲に悪影響を及ぼすので、完全に又は部分的に電動の車両の場合に悪化する。
【0006】
これに基づいて、本発明の目的は、電力消費を低減するように一般的なベルトリトラクタユニットを改良することである。
【0007】
この課題は、請求項1に記載の特徴を有するベルトリトラクタユニットによって解決される。このようなベルトリトラクタユニットを有する車両が請求項10に開示されている。
【0008】
電磁石が磁気要素に及ぼす力は、所与の幾何学的形状に対して、電磁石(すなわち、その巻線)を通って流れる電流の強度のみに依存する。このような電磁石の巻線は実質的にオーム抵抗であるので、電流強度は印加される電圧に線形に依存する。嵐によって電磁石が励磁されたときにブロッキングユニットをその状態に維持するために、電磁石は、それが加えられる要素に最小の力を及ぼさなければならず、これは、最小のアンペア数の電流が電磁石を通って流れることが保証されなければならないことを意味する。従来技術の場合のように、車両の搭載電圧が電磁石に単に印加される場合、電磁石は、搭載電圧がその許容最小値に到達したときでさえ、保持力が依然として確実に与えられるように設計されなければならない。車両の搭載電圧は、特にバッテリの充電状態に応じて、比較的広い領域で変動し得ることに留意されたい。しかしながら、これは、搭載電圧がその通常の、又は上側の領域にあるとき、必要以上の電流がソレノイドを通って流れ、不必要な電力を消費することを意味する。
【0009】
したがって、本発明によれば、制御装置は、その電力入力部とその電力出力部との間に、定電流源として動作する少なくとも1つのDC/DCコンバータを有し、それにより、第1のアクティブスイッチング状態における電流強度は、電力入力部に印加される電圧に依存しない所定の第1の値を有する。定電流源として動作するこのようなDC-DCコンバータは、技術において広く使用されており、高い効率を有し、本明細書で関連する電力範囲において非常に安価でもある。
【0010】
定電流源として動作するDC-DCコンバータを使用することによって、アクチュエータユニットの電磁石は、「必要とする」だけの電流を受け取り、したがって、従来技術と比較して電力を節約する。
【0011】
典型的には、電流の第1の値は50mA~500mAの間である。
【0012】
特に好ましい実施形態では、制御装置は、1つではなく2つのアクティブスイッチング状態を有し、第2のアクティブスイッチング状態における電流強度は、第1のアクティブスイッチング状態よりも高い値を有する。好ましくは、電流強度はまた、この第2のアクティブスイッチング状態において所定の第2の値を有する。これは第1の値よりも大きい。本発明のこの特に好ましい実施形態は、以下の考察に基づき、制御装置がパッシブスイッチング状態からアクティブスイッチング状態に切り替わる場合、アクチュエータユニットの電磁石は、可動要素を第1の位置から第2の位置に移動させる。原則として、この移動は、ブロッキングユニットのロック解除を意味する。その後、ブロッキングユニットは、通常、比較的長い時間にわたってロック解除位置のままであり、すなわち、電磁石によって移動可能な要素は、動かされないままであるが、電磁石によって保持される。電磁石によって駆動される要素を移動させるために電磁石が加えなければならない力は、その要素を「電磁石によって保持される」位置に保持するために電磁石が加えなければならない力よりも実質的に大きいことが分かっている。当然ながら、上記によれば、これは、状態を変化させるのに必要な電流が状態を維持するのに必要な電流よりも大きいことも意味する。当然ながら、「保持状態」は通常、実際の状態よりもはるかに長く持続するので、保持状態において電磁石を流れる電流がスイッチング動作中よりも小さい場合、大量のエネルギーを節約することができる。正確に規定されたスイッチング挙動を達成し、エネルギー消費及び消耗を更に最小化するために、電流強度はまた、好ましくは、電力入力部に印加される電圧に依存しない第2のアクティブスイッチング状態において規定された値を有する。これは、この第2のアクティブスイッチング状態においても、電磁石を流れる電流がDC-DCコンバータによって供給されることを意味する。ここで、スイッチング可能なDC-DCコンバータを使用して、2つのアクティブスイッチング状態を実現することができる。しかしながら、第1のアクティブスイッチング状態は、通常、第2のアクティブスイッチング状態よりもはるかに長い期間にわたって存在するので、第2のアクティブスイッチング状態において電磁石を通って流れる電流がDC-DCコンバータによって提供されることは、従来技術と比較してエネルギー節約のために絶対的に必須ではない。回路は、第2のアクティブスイッチング状態における電流強度が、電磁石によって駆動される要素の移動を確実にするために、いかなる場合でも(すなわち、オンボード電源の電圧が低い場合であっても)十分であるように選択されなければならない。
【0013】
更なる利点は、本発明によるベルトリトラクタユニットの設計からもたらされる。
【0014】
ソレノイドの制御電流は、当然、同時に制御電圧を必要とする。DC-DCコンバータでは、ソレノイドにおける電圧は、車両バッテリ電圧に依存しない。これは、車両バッテリ変動のいかなる変動も補償され得ることを意味する。
【0015】
PWMコントローラを用いてエネルギー節約を達成することもできるが、これは、通常、EMC関連の干渉を生成するという欠点を有する。しかしながら、本発明によるDC電流の使用は、PWM周波数が生成されないので、あらゆるEMC関連干渉を最小化する。
【0016】
既に述べたように、電磁石の磁界の強さは主に電流に依存する。したがって、DC-DCコンバータは、電磁石に常に一定の電流が流れるため、温度依存性及び経年劣化効果を補償するために使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
ここで、本発明について、図を参照して好ましい実施形態によってより詳細に説明する。図面は以下の通りである。
【
図1】
図1は、ベルトリトラクタユニットの概略図であり、このベルトリトラクタユニットのベルトリトラクタが概略側面図で示され、制御装置がそのパッシブスイッチング状態にあり、ベルトリトラクタがそのロック状態にある。
【
図2】
図2は、
図1に示すベルトリトラクタの概略上面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示された制御装置を示しており、制御装置はアクティブスイッチング状態にあり、ベルトリトラクタはロック解除状態にある。
【
図4a】
図4aは、
図1及び
図3に簡略化された制御装置の実施形態のより詳細な図を示し、第1のアクティブスイッチング状態にある。
【
図4b】
図4bは、第2のアクティブスイッチング状態にある、
図4aの制御装置を示す図である。
【
図4c】
図4cは、パッシブスイッチング状態にある、
図4a及び
図4bの制御装置を示す図である。
【
図5】
図5は、ブロッキングユニットの電磁石を流れる電流の典型的な時間-電流図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1及び
図2を参照して、本発明によるベルトリトラクタユニットの本質的な特徴を最初に説明する。ここで、表現は非常に概略的であり、本発明の基本原理のみを表すことに留意すべきである。ベルトリトラクタユニットは、ベルトリトラクタ10及び制御装置50を含むと考えることができる。ここで、制御装置50は、ベルトリトラクタ10のハウジングに直接接続されてもよいが、そうである必要はなく、そのため、制御装置50は、
図1及び
図3においてハウジングから離れて示されている。当然ながら、制御装置とベルトリトラクタは互いに電気的に接続されていなければならない。
【0019】
以下では、電線管は概略的にのみ示されている(出力導体及び戻り導体と共に示されていない)。ここで、電力線は実線で示され、信号線は「2点鎖線」のパターンを有する線として示されている。
【0020】
ベルトリトラクタ10は、通常のように、ハウジング10と、ハウジング内に回転可能に支持され、ストラップ5の一部が巻き付けられるベルトリール20と、ベルトリール20をハウジング12内でブロックするためのブロッキングユニットとを備える。図示された実施形態では、ハウジング12は、接続ボルト16によって接続された2つのハウジングプレート14a、14bを有するが、これは例示としてのみ理解されるべきである。原則として、これもここに示されているが、ブロッキングユニットは、ベルトリール20に回転可能に固定された態様で接続されたロックホイール22を有する。ロック状態(
図1)では、ロックホイール22、したがってベルトスプール20をハウジング12に対してロックするが、解放状態(
図3)ではロックしない爪24aが更に設けられている。
【0021】
重要なことに、爪24aの位置は、電磁石42を有するアクチュエータ組立体40によって直接(図示のように)又は間接的に制御される。図示の実施形態では、この影響は、アクチュエータユニット40が、電磁石42に加えて、電磁石によって駆動されるプランジャ44を有するという事実によってもたらされ、プランジャ44は、爪24aを担持するレバー24に作用する。電磁石に十分に強い電流が流れると、電磁石はプランジャ44を外側に押す。しかしながら、既に述べたように、この構成は例示としてのみ理解されるべきであることに留意すべきである。基本的に、ブロッキングユニットは電磁石を有し、アクチュエータユニットは、磁石を流れる電流に依存してブロッキングユニットを制御する。通常、これはまた、アクチュエータユニット40の電磁石42が無電流であり、したがってそれによって駆動されるプランジャにいかなる力も及ぼさないときに、ブロッキングユニットの状態を一意に定めるばね、この場合は引張ばね30、又は別の弾性要素が設けられることを表す。この無電流状態は、図にも示されているように、ロック状態である。
【0022】
電磁石を有するこのような電気的に制御されるブロッキングユニットは、従来技術において知られている。したがって、本発明は、電磁石、すなわち制御装置50の制御のみにも関する。
【0023】
上述したように、本発明の本質は、制御装置50が定電流源として機能する少なくとも1つのDC-DCコンバータを有し、制御装置50の第1のアクティブスイッチング状態において、所望の状態(すなわち、ロック解除状態)を維持するのに十分な大きさの電流のみがソレノイドに供給されることである。これも上で説明したように、制御装置は、好ましくは3つのスイッチング状態、すなわち第1のアクティブスイッチング状態、第2のアクティブスイッチング状態、及びパッシブスイッチング状態を有する。パッシブスイッチング状態では、制御装置は電磁石に電流を供給せず、第1のアクティブスイッチング状態では、制御装置は電磁石に電流を供給し、その電流強度は所定の第1の値I
1を有し、第2のアクティブスイッチング状態では、制御装置は電磁石に電流を供給し、その電流強度は所定の第2の値I
2を有する。このような制御装置の可能な概略回路図を
図4a~
図4cに示し、以下に説明する。
【0024】
制御ユニットは、車両の電気システムに接続された電力入力部55と、アクチュエータユニット40の電磁石42に接続された電力出力部56とを有する。更に、制御装置は、信号入力部57及び/又は専用センサユニット52(図示された実施形態では、両方が存在するが、これは必須ではない)、スイッチング可能なDC-DCコンバータ60、及び論理ユニット54を有する。センサユニット52は、特に加速度センサとすることができ、加速度センサは、所定の加速度値を超えたとき又は下回ったときに論理ユニット54に信号を出力する。受信した信号に応じて、この論理ユニット54は、スイッチング可能なDC-DCコンバータ60を制御し、スイッチング可能なDC-DCコンバータは、電力入力部55を介して電磁石に供給される搭載電圧から開始して、電力出力部56を介して電磁石42に3つの所定の電流レベルを供給することができる。図示の実施形態では、DC-DCコンバータ60は、第1の値I
1を有する所定の第1の電流強度を生成する第1のコンバータユニット61と、第2の値I
2を有する所定の第2の電流強度を生成する第2のコンバータユニット62と、3つの位置を有するセレクタスイッチ64とを有し、I
2>I
1である。セレクタスイッチ64は論理ユニット54によって制御される。
図4aに示すセレクタスイッチ64のスイッチング状態では、第1のトランスデューサユニット61が電磁石に電流を供給し、
図4bに示すスイッチング状態では、第2のトランスデューサユニット62が電流を供給し、
図4bに示すスイッチング状態では、電磁石は無電流である。少なくとも搭載電圧が電力入力部55に印加されるとき、制御ユニットのスイッチング状態は、セレクタスイッチのスイッチング状態に対応する。
【0025】
図5は、電流出力に基づく論理ユニット54の動作を示す。
【0026】
車両が動作していないとき、車両の電源は通常オフに切り替えられ、電磁石に電力が供給されないことを意味し、したがってベルトリトラクタは
図1に示される状態にある。代替的に又は追加的に、セレクタスイッチは、
図4cに示されるスイッチング状態にあってもよい。ここで選択された定義によれば、制御装置はそのパッシブスイッチング状態にある。ここで車両が作動されると、論理ユニット54は、時間t
0において(例えば、システムが試験された後に)、
図4bに示されるスイッチング状態になるようにセレクタスイッチ64を制御し、その結果、強度I
2の電流が電磁石42を通って流れ、プランジャ44を移動させるのに十分な力を発生させ、したがってブロッキングユニットをロック解除状態にする。(1秒未満であり得る)所定の時間間隔Δtが経過した後、論理ユニット54は、ここで、セレクタスイッチ64が
図4aに示されるスイッチング状態に変化し、第1の変換器ユニット61に大きさI
1の電流を電磁石に供給させるように、セレクタスイッチ64を制御する。この電流I
1は、ブロッキングユニットをそのロック解除状態に保つのに十分である。ここで、事故を示す信号が信号入力部57を介して又はセンサユニット54によって論理ユニット54に供給される場合、論理ユニット54は、セレクタスイッチ64が開状態(
図4c)に変化するように、すなわち、電磁石42への電流が遮断され、ベルトリトラクタが
図1に示す状態に変化するように、セレクタスイッチ64を制御する。ここで、信号が再び変化して、もはや事故又は危険な状況が存在しない場合、今説明したことが繰り返され、すなわち、最初に強度I
2の電流が時間間隔Δtの間電磁石を流れ、この時間間隔が経過した後、強度I
1の電流が流れる。
【0027】
したがって、ブロック状態からブロックされていない状態への移行中に、より強い電流が常に最初にソレノイドを通って流れ、その後の保持状態においてより弱い電流がソレノイドを通って流れることが不可欠である。
【0028】
これは、従来技術と比較して、全体的に著しく低減された電力消費をもたらし、これは、特に、完全に又は部分的に電動である車両に関して大きな利点である。
【符号の説明】
【0029】
10 ベルトリトラクタ
12 ハウジング
14a、b ハウジングプレート
16 接続ボルト
18 ばね及びアクチュエータユニット用ホルダ
20 ベルトリール
22 ロックホイール
24 レバー
24a 爪
30 引張ばね
40 アクチュエータユニット
42 電磁石
44 プランジャ
50 制御装置
52 センサユニット
54 論理ユニット
55 電力入力部
56 電力出力部
57 信号入力部
60 スイッチング可能なDC-DCコンバータ
61 第1のトランスデューサユニット
62 第2のトランスデューサユニット
64 セレクタスイッチ
【国際調査報告】