(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-05
(54)【発明の名称】蛍光振幅調整を使用する単一プローブによる多重化遺伝子型判定アッセイ
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/6827 20180101AFI20240227BHJP
C12Q 1/6851 20180101ALI20240227BHJP
C12Q 1/6876 20180101ALI20240227BHJP
C12N 15/11 20060101ALN20240227BHJP
C12Q 1/686 20180101ALN20240227BHJP
【FI】
C12Q1/6827 Z ZNA
C12Q1/6851 Z
C12Q1/6876 Z
C12N15/11 Z
C12Q1/686 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553396
(86)(22)【出願日】2022-03-11
(85)【翻訳文提出日】2023-10-30
(86)【国際出願番号】 US2022020040
(87)【国際公開番号】W WO2022192732
(87)【国際公開日】2022-09-15
(32)【優先日】2021-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523331935
【氏名又は名称】ジーティー モレキュラー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】GT MOLECULAR, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ケイン, サラ
(72)【発明者】
【氏名】ナッシュ, ローズ
(72)【発明者】
【氏名】マッキー, クリストファー
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA17
4B063QQ10
4B063QQ18
4B063QQ43
4B063QQ52
4B063QR08
4B063QR42
4B063QR55
4B063QR62
4B063QR66
4B063QS25
4B063QS34
4B063QX02
(57)【要約】
標的ポリヌクレオチド配列に対する配列の差異を検出及び定量するための方法及びキット、並びにアッセイを開発するための方法が提供される。標的ポリヌクレオチド配列は、配列のいずれかが、少なくとも1つのヌクレオチドの差異で異なるかどうかを決定するために調べられる。ポリヌクレオチド配列の差異は、許容温度で異なる結合効率のオンターゲット及びオフターゲット結合を有する無差別プローブが使用されるため、少なくとも1つのヌクレオチドの差異を相対的に検出したいと思う任意の範囲の配列のポリメラーゼ連鎖反応を含めた手段によって、少ない種類の標識プローブを用いて単一のウェルで確実に検出及び定量される。標的配列は、第1の状態、例えば「正常」を示す、基準ポリヌクレオチド配列、及び異なる第2の状態、例えば、変異、疾患状態、又はその素因を示す、少なくとも1つのポリヌクレオチドによって異なっている別の配列であってもよい。
【選択図】
図7A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的ポリヌクレオチド配列内の少なくとも1つのヌクレオチドの差異の存在又は非存在を検出するための方法であって、
a)順方向増幅プライマー及び逆方向増幅プライマーを含むPCRプライマーのセットを用意するステップであって、前記両プライマーが、それぞれのプライマーアニーリング部位にハイブリダイズするときに前記標的ポリヌクレオチド配列の位置に隣接し、前記PCRプライマーのセットが、PCR反応において、前記標的ポリヌクレオチド配列の少なくとも一部を含む第1のアンプリコン、及び前記少なくとも1つのヌクレオチドの差異を有する前記標的ポリヌクレオチドの少なくとも一部を含む第2のアンプリコンを生成するように構成される、ステップ;
b)許容温度にて、前記第1のアンプリコンに第1のハイブリダイゼーション効率で、及び前記第2のアンプリコンに第2のハイブリダイゼーション効率で、ハイブリダイズする無差別プローブを用意するステップであって、前記第1のハイブリダイゼーション効率が前記第2のハイブリダイゼーション効率と異なっている、ステップ;
c)試料ポリヌクレオチドを有する検査試料、前記PCRプライマー、前記無差別プローブ、及びPCR試薬を含む試料PCR反応混合物を調製するステップ;
d)前記許容温度にて、前記試料PCR反応混合物において少なくとも1つのPCR反応を実施して、試料アンプリコンを生成するステップ;並びに
e)前記試料アンプリコンに結合した前記無差別プローブによって生成される蛍光出力を測定するステップであって、前記第1のハイブリダイゼーション効率と前記第2のハイブリダイゼーション効率との間の差異が、前記少なくとも1つのヌクレオチドの差異を有する標的ポリヌクレオチド配列に結合した無差別プローブと前記少なくとも1つのヌクレオチドの差異を有しない標的ポリヌクレオチド配列に結合した無差別プローブとの間の無差別プローブ蛍光振幅の差異をもたらす、ステップを含み、
これらにより、前記標的ポリヌクレオチド配列内の前記少なくとも1つのヌクレオチドの差異の存在又は非存在を検出する、方法。
【請求項2】
測定する前記ステップが、前記少なくとも1つのヌクレオチドの差異を有する前記標的ポリヌクレオチド配列の量を定量することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
以下の成分:
前記少なくとも1つのヌクレオチドの差異を有しない前記標的ポリヌクレオチド配列を有する、第1のポリヌクレオチドを含む陽性コントロール混合物;
前記標的ポリヌクレオチド配列及び前記少なくとも1つのヌクレオチドの差異を有する、第2のポリヌクレオチドを含む陽性コントロール混合物;及び
前記第1のポリヌクレオチド及び前記第2のポリヌクレオチドを含む陽性コントロール混合物
を含む陽性コントロール反応混合物を調製するステップ;
前記陽性コントロール反応混合物の成分の各々を、個々に前記PCRプライマーのセット及び前記無差別プローブに接触させるステップ;
前記接触させたコントロール反応混合物の成分の各々において少なくとも1つのPCR反応を実施して、前記3つの成分の陽性コントロール反応混合物の各々に対して第1及び/又は第2の陽性アンプリコンを生成するステップ;並びに
前記第1及び/又は第2の陽性アンプリコンに結合した前記無差別プローブによって生成された陽性コントロール蛍光出力を測定することによって前記方法を検証するステップであって、陽性検証が、蛍光出力の陽性クラスター化に対応する、ステップを更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記陽性コントロール混合物から標的閾値を規定するステップを更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
検証する前記ステップが、(i)前記方法の各構成要素の検証;並びに(ii)前記第1のポリヌクレオチド及び前記第2のポリヌクレオチドの各々の閾値規定を提供する、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記陽性コントロール混合物が、50~500コピー/μLの前記第1のポリヌクレオチド及び/又は50~500コピー/μLの前記第2のポリヌクレオチドを含む、請求項3~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記標的ポリヌクレオチド配列が、ウイルス、細菌、真菌、寄生生物、植物細胞、動物細胞、又は癌細胞からなる群から選択される生物由来である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記標的ポリヌクレオチドがRNAを含み、前記方法が、逆転写反応を実施してDNA標的ポリヌクレオチドを産生するステップを更に含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つのヌクレオチドの差異が、挿入変異、欠失変異及び/又は一塩基多型(SNP)を含む、前記標的ポリヌクレオチド配列内の1つ又は複数のヌクレオチドの変異に由来する、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記標的ポリヌクレオチド配列が、60bp~1500bpの範囲から選択される長さを有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記検査試料が、環境試料、土壌、種子、植物性物質、廃水試料、工業用水試料、天然水試料(川、湖、小川、海洋、地下水、井戸水、帯水層を含む)、生体試料、例えば、腸/便試料、癌患者からの液体又は腫瘍生検、スワブ又はだ液試料、動物試料(獣医学/畜産学)を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記検査試料が、疾患、薬剤耐性、多剤耐性、除草剤耐性に関連するか否か短塩基多型又は一塩基多型(SNP)に関して分析され、疾患、ウイルス及びウイルスバリアントの存在、非存在及び/又は存在量、好適な若しくは病原性の細菌、真菌、非侵襲性種、土壌バイオームの特性評価(ある特定の種類の作物にとって有益/有害か確認)、及び/又は腸バイオームに関連するか挿入又は欠失(インデル)に関して分析される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記無差別プローブが、ロックド核酸又は他の融解温度(T
m)を上昇させる修飾を有しない場合に20~35bp、或いはロックド核酸又は他のTmを上昇させる修飾を有する場合に10~35bpの長さを有し;前記無差別プローブが、任意選択で以下のうちの1つ又は複数:
35%~80%のGC含量;
55℃~62℃のT
m;
前記無差別プローブ長の中間領域であって、前記プローブ長の中央50%部分内と規定される中間領域、或いは、許容温度での無差別な結合が維持される限り、少なくとも部分的に前記中間領域の外側の代替的位置、のいずれかに位置する、前記少なくとも1つのヌクレオチドの差異への結合部位;及び/又は
前記少なくとも1つのヌクレオチドの差異でのロックド核酸、を更に含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記無差別プローブが、前記少なくとも1つのヌクレオチドの差異を有する前記標的ポリヌクレオチド配列へのより高い結合効率を有するか、又は前記少なくとも1つのヌクレオチドの差異を有しない前記標的ポリヌクレオチド配列へのより高い結合効率を有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記標的ポリヌクレオチド配列内の複数のヌクレオチドの差異の多重検出のための複数の無差別プローブを含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記無差別プローブが、ロックド核酸を含む標識プローブを包含する、蛍光又は蛍光標識プローブである、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記無差別プローブが、高いハイブリダイゼーション効率の条件では、前記標的ポリヌクレオチド配列の結合部位に相補的な98%超の結合領域配列を有し、より低いハイブリダイゼーション効率の条件では、前記標的ポリヌクレオチド配列の結合部位に相補的な98%未満の結合領域配列を有する、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記無差別プローブは、前記第1のアンプリコンと、前記第2のアンプリコンとに結合する無差別プローブの光学的出力の振幅に少なくとも10%の差異を与えるように構成される配列を有する、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記第1のポリヌクレオチド及び前記第2のポリヌクレオチドの約50:50混合物を含む前記陽性コントロール反応混合物を、前記プライマー及び前記無差別プローブに接触させるステップ;
前記許容温度より下の低い温度と、前記許容温度より上の高い温度とに及ぶ複数の異なる温度にて、前記コントロール反応混合物において少なくとも1つのPCR反応を実施するステップ;並びに
前記第1のポリヌクレオチド及び前記第2のポリヌクレオチドの両方が、増幅されて、前記第1のポリヌクレオチドと前記第2のポリヌクレオチドとの間の蛍光出力の大きさのシフトで光学的に検出される温度又は温度範囲を同定するステップであって、前記シフトが、前記無差別プローブのより高効率のオンターゲット結合と比較して、前記無差別プローブのより低効率のオフターゲット結合に起因する、ステップ、
によって前記許容温度を求めるステップを更に含む、請求項3~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記標的ポリヌクレオチド配列がSARS-CoV-2ウイルス由来であり、前記少なくとも1つのヌクレオチド配列の差異が、前記SARS-CoV-2ウイルスのバリアントに対応する、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記SARS-CoV-2標的ポリヌクレオチド配列が、野生型親-Hu-1(アクセッションNC_045512)由来である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記バリアントが、B.1.1.7系統の懸念されるバリアント202012/01;B.1.351系統の20H/501Y.V2;SARS-CoV-2 P.1系統の20J/501Y.V3;CAL.20C系統の20C/S:452R;/B.1.429;del69-70変異;N501Y変異;E484K変異;E484Q変異;K417T変異;K417N変異;L452R変異;T478K変異;N679K変異;又はQ954H変異である、請求項20又は21に記載の方法。
【請求項23】
前記バリアントが、異なる座位で少なくとも2つの変異を含み、前記無差別プローブが、それぞれ異なる蛍光発光極大値を有する少なくとも2つの無差別プローブを含む、請求項20~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記プローブ及びプライマーが、以下のうちの1つ又は複数:
任意選択で約500nMの濃度での、配列番号1;
任意選択で約500nMの濃度での、配列番号2;
任意選択で約125nMの濃度での、配列番号3;
任意選択で約125nMの濃度での、配列番号4;
任意選択で約500nMの濃度での、配列番号5;
任意選択で約500nMの濃度での、配列番号6;
任意選択で約125nMの濃度での、配列番号7;
任意選択で約500nMの濃度での、配列番号8;
任意選択で約500nMの濃度での、配列番号9;
任意選択で約125nMの濃度での、配列番号10;
任意選択で約125nMの濃度での、配列番号11;
任意選択で約500nMの濃度での、配列番号12;
任意選択で約500nMの濃度での、配列番号13;
任意選択で約125nMの濃度での、配列番号14;
任意選択で約125nMの濃度での、配列番号15
を含む、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記PCR反応が、デジタルPCR(dPCR)又はデジタルドロップレットPCR(ddPCR)を含む、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
1つのチャンネルで少なくとも2重化を有し、単一のウェルに2つのチャンネルを有することにより、4重化/ウェルを提供する、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
一塩基多型(SNP)、癌性変異、病理学的変異、欠失変異、挿入変異、薬剤耐性変異、多剤耐性変異、除草剤変異、多除草剤耐性変異、再集合変異、又はバイオマーカー変異を識別するステップを更に含む、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記標的ポリヌクレオチド配列が、廃水中の生物から得られる、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記生物が廃水中のウイルスであり、前記方法が、
前記廃水をろ過するステップ;
前記ウイルスを濃縮するステップ;
RNAを抽出するステップ;並びに
前記廃水中の野生型ウイルス及びバリアントウイルスの相対濃度を決定するステップを更に含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
第2のポリヌクレオチド標的配列と少なくとも1つのヌクレオチドで異なったバリアント配列を有する第1のポリヌクレオチド標的配列を検出するためのアッセイを作製する方法であって、
a)前記第1のポリヌクレオチド標的配列及び第2のポリヌクレオチド標的配列を同定するステップ;
b)前記ポリヌクレオチド標的配列から上流及び下流にある、上流隣接領域及び下流隣接領域を同定するステップ;
c)前記第1のポリヌクレオチド配列及び前記第2のポリヌクレオチド配列の前記上流隣接領域及び前記下流隣接領域に特異的に結合する順方向プライマー及び逆方向プライマーを設計するステップであって、前記上流プライマー結合領域と、前記下流プライマー結合領域との間を隔てる距離が、50bp~1500bpであり、前記プライマーが、前記第1のポリヌクレオチド標的配列の少なくとも一部、及び前記第2のポリヌクレオチド配列の少なくとも一部に対応する第1及び第2のアンプリコン産物を生成するように構成される、ステップ;
d)前記第1のアンプリコン及び前記第2のアンプリコンに、約55℃~65℃の許容温度にて異なるハイブリダイゼーション効率で結合する無差別プローブを設計するステップを含む、方法。
【請求項31】
前記プライマーの設計が、50~1500ヌクレオチドの隣接結合領域を選択することによるものであり、前記プライマーが、前記隣接結合領域と少なくとも90%の配列相補性を有する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記識別プローブの設計が、
前記第1のポリヌクレオチド標的配列及び前記第2のポリヌクレオチド標的配列の混合物を含む標的混合物において温度勾配dPCRを実施するステップ;
前記標的混合物において、前記第1のポリヌクレオチド標的配列アンプリコンと、前記第2のポリヌクレオチド標的配列アンプリコンとの間の出力蛍光振幅の分離が最大となる温度を選択するステップであって、この選択により、任意の無差別プローブに対して前記許容温度を同定するステップを含む、請求項30又は31に記載の方法。
【請求項33】
95%~100%親ポリヌクレオチド配列である第1の標的;及び95%~100%バリアントポリヌクレオチド配列である第2の標的において温度勾配dPCRを実施するステップを更に含む、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記陽性コントロール反応混合物が、2つより多いポリヌクレオチドの混合物を含む、2重を超えるアッセイである、請求項19に記載の方法。
【請求項35】
前記陽性コントロール混合物が、ほぼ等しい濃度の、親、アルファ、ベータ、又はガンマバリアントのS遺伝子に対応するポリヌクレオチド配列を含む、SARS-CoV-2ウイルス及びそのバリアントのための5重417/484アッセイである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
dPCRによって、第1の標的ポリヌクレオチド配列を第2の標的ポリヌクレオチド配列から区別するためのキットであって、前記第1の標的ポリヌクレオチド配列が、前記第2の標的ポリヌクレオチド配列には見出されない少なくとも1つのヌクレオチドの差異を含み、前記キットが、
a)(1つ又は複数の)ヌクレオチドの差異に対応した前記第1の標的ポリヌクレオチド標的配列内の各位置に対する、順方向増幅プライマー及び逆方向増幅プライマーを含むPCRプライマーのセットであって、前記PCRプライマーのセットが、それぞれのプライマーアニーリング部位にハイブリダイズしたときに、前記(1つ又は複数の)ヌクレオチドの差異の位置に隣接し、前記PCRプライマーのセットが、前記第1のポリヌクレオチド標的配列及び前記第2の標的ポリヌクレオチド配列の両方の対応する領域をPCR増幅することが可能である、PCRプライマーのセット;
b)許容温度にて、前記第1のポリヌクレオチドの前記少なくとも1つのヌクレオチドの差異の部位に第1のハイブリダイゼーション効率でハイブリダイズし、かつ前記第2のポリヌクレオチドの前記少なくともヌクレオチドの差異を欠く対応する部位に第2のハイブリダイゼーション効率でハイブリダイズするように設計された標識無差別プローブであって、前記第1のハイブリダイゼーション効率が前記第2のハイブリダイゼーション効率と異なっている、標識無差別プローブ;
c)前記第1の標的ポリヌクレオチドの配列に対応する核酸を含むコントロール混合物;
d)前記第2の標的ポリヌクレオチドの配列に対応する核酸を含むコントロール混合物;並びに
e)前記第1の標的ポリヌクレオチドの配列、及び前記第2の標的ポリヌクレオチドの配列に対応する核酸混合物を含むコントロール混合物、を含む、キット。
【請求項37】
配列番号5(CGTGGTGTTTATTACCCTGAC)である順方向プライマー;
配列番号7(TACTTGGTTCCATGCTATCTCTGGGACC)であるプローブ;
配列番号6(ATGGTAGGACAGGGTTATCAA)である逆方向プライマー;
配列番号1(CCGGTAGCACACCTTGTAAT)である第2の順方向プライマー;
配列番号3(TGGTTTCCAACCCACT+TATGGTGT)である第2のプローブ;並びに
配列番号2(AGTTGCTGGTGCATGTAGAA)である第2の逆方向プライマーからなる群から選択されるプライマー及びプローブを含む、バリアントを検出するための、請求項36に記載のキット。
【請求項38】
配列番号16~27からなる群から選択される1つ又は複数のプローブ及びプライマーを含む、BRAF600;TP53;EGFRのうちの1つ又は複数を含む癌遺伝子変異を検出するための、請求項37に記載のキット。
【請求項39】
植物遺伝子における除草剤耐性変異を検出するための、請求項37に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
[0001]本出願は、2021年3月12日に提出された米国特許出願公開第63/160,432号、及び2021年4月9日に提出された同上63/172,839の利益を主張するものであり、これらの各々は、本明細書と矛盾しない範囲で参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[配列表の参照]
[0002]配列番号1~47をコンピュータ可読形式で含む配列表は、本明細書と共に提出され、参照により具体的に組み込まれる。その配列表は、本明細書によって支持され、提出された本国際出願の開示を超えるものではない。
【0003】
[発明の背景]
[0003]サンプリングされたポリヌクレオチド配列の情報は、臨床及び診断の状況、環境試験、廃水ベースの疫学、アグリバイオテクノロジーの状況、並びに他の多くの経済的に重要な領域を含む様々な状況で非常に有益であり、常に収集が必要とされている。ポリヌクレオチド配列情報のための試料検査は、検査試料の分子アッセイの実施用に様々な試薬が必要とされるために、資源集約的となる可能性がある。例えば、PCRアッセイの場合、必要な試薬は、増幅プライマー、検出可能なプローブ、ポリメラーゼ酵素、PCR緩衝試薬などが一般に含まれる。さらに、容器、例えば、チューブ又はプレートのウェルが試料検査に必要である。
【0004】
[0004]ポリヌクレオチド配列情報の収集の資源集約的な性質を考慮すると、当技術分野において、検査用品を効率的に利用する方法は、検査用品が、試薬、例えばPCR試薬、プローブ、又は反応を行う容器であるかどうかにかかわらず常に必要とされている。ポリヌクレオチド配列情報を収集するように設計される分子アッセイのための方法及びキットが、本明細書で提供され、検査に必要な検査用品の、特に蛍光色素分子の数の減少に関する効率性をもたらす一方で、1ヌクレオチド程度の小さな差異を有する配列同士を区別する能力をもたらす。本明細書で提供される方法及びキットは、変異などによる配列の変化を有する及び有しない標的ポリヌクレオチド配列への無差別プローブ(promiscuous probe)のオンターゲット及びオフターゲット結合に関連する蛍光振幅を調整によって、様々な標的ポリヌクレオチド配列を検出するのに必要とされる蛍光色素分子の数を低減する。振幅調整は、標的ポリヌクレオチド配列への許容温度範囲内の無差別プローブ間の異なる結合効率によって促進され、より低い結合効率がより低い蛍光振幅出力に関連するのに対して、より高い結合効率が相対的により高い蛍光振幅出力を有する。
【0005】
[0005]さらに、遺伝子型判定は、特に、核酸間で非常にわずかな変化しかない場合の適用では非常に困難となる可能性がある。かかる状況では、非特異的増幅は、堅牢な高感度の遺伝子型判定が困難となる可能性がある。さらに、従来の遺伝子型判定アッセイは、かなり試薬集約的であり、野生型(WT)ハウスキーピング遺伝子、及びWTとは異なる配列とする1つ又は複数の変異が含まれた配列を検査するために、2つ以上のウェルがウェル当たり2つ以上の蛍光色素分子/プローブを用いて使用される。したがって、そのような構成では、各試料に対して、より多くのプローブ、試薬及びプレート内のウェルを使用する必要がある。本明細書では、かかる問題を解消する方法、アッセイ及び/又はキットが、提供され、効率は劣るものの、オフターゲット増幅に対処することにより、ヌクレオチドの不適合を識別して、追加の試薬の必要性、及びウェルの総数を減らす。
【0006】
[発明の概要]
[0006]本開示は、ポリヌクレオチド配列情報の標的を定めた収集のための方法及びキットを提供する。ある特定の態様では、標識プローブが、第1のポリヌクレオチド配列と、第2のポリヌクレオチド配列との間の少なくとも1つのヌクレオチドの差異の存在又は非存在の検出を提供する、方法及びキットが開示される。ある特定の態様では、本明細書で開示される方法及びキットは、分子アッセイの多重化を提供し、PCR試薬、及びマルチウェルプレート内のウェルを含む、PCR反応を行う入れ物などの検査用品の利用の効率性をもたらす。
【0007】
[0007]本明細書で提供される方法及びキットは、1ヌクレオチド程度のわずかな差異を含む基準ポリヌクレオチド配列に対する配列の差異を検出及び定量するのに有用である。一般に、標的ポリヌクレオチド配列は、配列のいずれかが、少なくとも1つのヌクレオチドの差異で異なるかどうかを決定するために調べられる。プローブ及びプライマーは、検査での同定及び定量への使用において、関連した変化を有する配列に対して合うように設計される。本明細書で提供される方法は、かかるプローブ及びプライマーに存しているが、これらは、ヌクレオチド配列の一方又は両方が試料中に存在するかどうかを同定することを含む、該配列におけるこれらの差異を所望に応じて検出及び/又は定量するためのものである。これは、ウイルスが比較的高い変異率を有し得るために、標的ポリヌクレオチド配列がウイルス由来である場合に特に有用であり得る。かかる状況では、少なくとも1つのヌクレオチドの差異は、バリアントに対応し得、親又は野生型の標的ポリヌクレオチド配列と比較したバリアントの量を定量することが望ましい。当然、本明細書で提供される方法は、ポリヌクレオチド間の少なくとも1つのヌクレオチドの差異が存在する限り、任意の供給源又は試料からの任意の種類の配列に適合する。
【0008】
[0008]本明細書で提供される方法及びキットの機能的利点の1つは、「親」(例えば、「正常」又は「野生型」)配列に対応する第1の配列、及び第1の配列から少なくとも1つのヌクレオチドの差異を有する第2の配列などの異なる標的ポリヌクレオチド配列を同定及び定量する能力である。本方法及び本キットは、ポリヌクレオチド配列内の変異などの変化を同定するためのプラットフォームであり、これらは、追加の蛍光色素分子を使用する必要がなく、効率、信頼性、及び費用効果が高い。本明細書に記載されるように、このことは、プライマー、及び対応する無差別プローブの特異的選択により達成されるが、該無差別プローブは、第1の標的ポリヌクレオチド配列(例えば、親配列)のPCR増幅からの第1のアンプリコンと、少なくとも1つのヌクレオチドの差異を有する関連の第2の標的ポリヌクレオチド配列との両方のアンプリコンに結合し得る。プライマーは、上記少なくとも1つのヌクレオチドの差異から十分に離れているため、標的ポリヌクレオチド配列のいずれかに関連するアンプリコンは、プライマー対の配列を変える必要なしにPCRにより産生される。許容温度での無差別プローブは、どちらのアンプリコンにも結合できるが、しかしながら、2つのアンプリコン(一方はプライマー間の親配列を有し、他方はプライマー間の親配列を有するが、しかし、少なくとも1つのヌクレオチドの差異を有する)の各々に対して異なる結合効率を有する。本方法及び本キットは、結合効率におけるこの差異を利用するが、その結果、第1のポリヌクレオチド配列と、第2のポリヌクレオチド配列とを、単一無差別プローブによって、光学検出器を有する装置を用いて蛍光振幅を検出することなどにより光学的に区別し得る。無差別プローブは、一方のアンプリコンへより高い結合効率を有し、より高い光学信号をもたらし、その同じ無差別プローブは、第2のアンプリコンへより低い結合効率を有し、対応した結果がもたらされる。更なる多重化は、異なるヌクレオチドの差異、例えば、異なる座位での異なる変異に関連する1つ又は複数の追加の無差別プローブを導入することで利用可能である。例えば、異なる発光スペクトルを有する蛍光標識は、適切なフィルターの使用により光学検出器を用いて容易に光学的に同定できる。プローブハイブリダイゼーション領域が試料間で異なる変異を示す場合、振幅の調整を更に使用して、不適合の種類(すなわち、Gに対してA対Gに対してCなど)を同定できる。
【0009】
[0009]一実施形態では、本明細書は、標的ポリヌクレオチド配列内の少なくとも1つのヌクレオチドの差異の存在又は非存在を検出するための方法を提供する。本方法は、順方向増幅プライマー及び逆方向増幅プライマーを提供する、少なくとも2つのプライマーを有するPCRプライマーのセットを用意するステップであって、該増幅プライマーが、それぞれのプライマーアニーリング部位にハイブリダイズするときに標的ポリヌクレオチド配列の位置に隣接する、ステップを含み得る。PCRプライマーのセットは、PCR反応において、標的ポリヌクレオチド配列の少なくとも一部を含む第1のアンプリコン、及び少なくとも1つのヌクレオチドの差異を有する標的ポリヌクレオチドの少なくとも一部を含む第2のアンプリコンを生成するように構成される。換言すれば、順方向及び逆方向プライマーを含む1つの単一プライマー対を、2つのアンプリコン(1つのアンプリコンが、「元の」配列に対応し、第2のアンプリコンが、元の配列から少なくとも1つのヌクレオチドの差異を有する配列に対応する)を増幅するのに使用できる。許容温度にて、第1のアンプリコンに第1のハイブリダイゼーション効率で、及び第2のアンプリコンに第2のハイブリダイゼーション効率で、ハイブリダイズする無差別プローブが提供され、第1のハイブリダイゼーション効率が第2のハイブリダイゼーション効率と異なっている。このように、より高い効率が、元のヌクレオチドに対するものであるか、又は少なくとも1つのヌクレオチドの差異を有するヌクレオチドに対するものであるかは、ハイブリダイゼーション効率が十分に異なり、光学的に区別可能な出力が存在する限り、問題とはならない。試料ポリヌクレオチドを有する検査試料、PCRプライマー、無差別プローブ、及びPCR試薬を含む試料PCR反応混合物が提供される。少なくとも1つのPCR反応は、許容温度にて、試料PCR反応混合物において実施されて、無差別プローブが結合した試料アンプリコンを生成する。試料アンプリコンに結合する無差別プローブによって生成される蛍光出力は、許容温度にて測定され、該プローブが両アンプリコンに結合することができ、第1のハイブリダイゼーション効率と第2のハイブリダイゼーション効率との間の差異が、少なくとも1つのヌクレオチドの差異を有する標的ポリヌクレオチド配列に結合した無差別プローブと少なくとも1つのヌクレオチドの差異を有しない標的ポリヌクレオチド配列に結合した無差別プローブとの間の無差別プローブ蛍光振幅の差異をもたらす。このように、標的ポリヌクレオチド配列内の少なくとも1つのヌクレオチドの差異の存在又は非存在は検出される。この方法は、標的ポリヌクレオチド配列を有し得るが、しかし、少なくとも1つのヌクレオチドの差異を有する他の標的ポリヌクレオチド配列も有していても又は有しなくてもよい試料に特に有用である。
【0010】
[0010]測定するステップが、少なくとも1つのヌクレオチドの差異を有する標的ポリヌクレオチド配列の量を定量することを更に含み得る。換言すれば、本方法及び本キットは、標的ポリヌクレオチド配列を定量するのに使用できる。
【0011】
[0011]本方法は、本方法が適切に機能しているかを検証することを含む、1つ又は複数の陽性コントロールを使用するステップを更に含み得る。例えば、本方法は、以下の成分:少なくとも1つのヌクレオチドの差異を有しない標的ポリヌクレオチド配列を有する、第1のポリヌクレオチドを含む陽性コントロール混合物;少なくとも1つのヌクレオチドの差異を有する標的ポリヌクレオチド配列を有する、第2のポリヌクレオチドを含む陽性コントロール混合物;並びに第1のポリヌクレオチド及び第2のポリヌクレオチドを含む陽性コントロール混合物(1つのプローブが3つの標的を同定する態様の場合、3つの標的全ての混合物が提供され得る)を含む、陽性コントロール反応混合物を用意するステップを更に含む。次いで、本方法は、陽性コントロール反応混合物の成分の各々を、個々にPCRプライマーのセット及び無差別プローブに接触させるステップ;接触させたコントロール反応混合物の成分の各々において少なくとも1つのPCR反応を実施して、3つの成分の陽性コントロール反応混合物の各々に対して第1及び/又は第2の陽性アンプリコンを生成するステップ;並びに第1及び/又は第2の陽性アンプリコンに結合した無差別プローブによって生成された陽性コントロール蛍光出力を測定することによって方法を検証するステップであって、陽性検証が、蛍光出力の陽性クラスター化に対応する、ステップを含み得る。当然、より高度な多重化の場合、追加の標的ポリヌクレオチド配列が提供される。3つの標的を同定するのに使用する1つの無差別プローブの場合、追加のポリヌクレオチド、すなわち第3のポリヌクレオチドが存在する。したがって、陽性コントロール混合物は、全てのポリヌクレオチド、例えば、第1、第2及び第3のポリヌクレオチドなどを含み得る。
【0012】
[0012]本方法は、陽性コントロール混合物から標的閾値を規定するステップを更に含み得る。標的閾値は、複数のチャンネルから上限及び下限を規定するクラスター化シグネチャに対応し得る。
【0013】
[0013]本方法は、(i)本方法の各構成要素の検証;並びに(ii)第1のポリヌクレオチド及び第2のポリヌクレオチドの各々の閾値規定を提供する、検証するステップを更に含み得る。
【0014】
[0014]陽性コントロール混合物は、50~500コピー/μLの第1のポリヌクレオチド及び/又は50~500コピー/μLの第2のポリヌクレオチドを含み得る。
【0015】
[0015]本方法は、一連の生物由来のものを含む、任意の範囲の標的ポリヌクレオチド配列に適合する。例えば、標的ポリヌクレオチド配列は、ウイルス、細菌、真菌、寄生生物、植物細胞、及び動物細胞からなる群から選択される生物由来であり得る。細胞は、癌細胞であってもよい。
【0016】
[0016]標的ポリヌクレオチドがRNAを含み得、本方法が、逆転写反応を実施してDNA標的ポリヌクレオチドを産生するステップを更に含み得る。
【0017】
[0017]少なくとも1つのヌクレオチドの差異が、挿入変異、欠失変異及び一塩基多型(SNP)を含む標的ポリヌクレオチド配列内の1つ又は複数のヌクレオチドの変異に由来し得る。
【0018】
[0018]本方法及び本キットは、任意の範囲の標的ポリヌクレオチド配列長に適合する。一態様では、長さは、60bp~1500bpの範囲から選択される。
【0019】
[0019]検査試料は、環境試料、土壌、種子、植物性物質、廃水試料、工業用水試料、天然水試料(川(river)、湖、小川(stream)、海洋、地下水、井戸水、帯水層を含む)、生体試料、例えば、腸/便試料、癌患者からの液体若しくは腫瘍生検、スワブ若しくはだ液試料、又は動物試料(獣医学(veterinary)/畜産学(animal husbandry))を含み得る。
【0020】
[0020]検査試料は、疾患、薬剤耐性、多剤耐性、除草剤耐性に関連するか否か短塩基多型又は一塩基多型(SNP)に関して分析され、疾患、ウイルス及びウイルスバリアントの存在、非存在及び/又は存在量、好適な若しくは病原性細菌、真菌、非侵襲性種、土壌バイオームの特性評価(ある特定の種類の作物にとって有益/有害か確認)、及び/又は腸バイオームに関連するか挿入又は欠失(インデル)に関して分析され得る。
【0021】
[0021]無差別プローブは、ロックド核酸又は他の融解温度(Tm)を上昇させる修飾を有しない場合、20~35bp、或いはロックド核酸又は他のTmを上昇させる修飾を有する場合、10~35bpの長さを有し得る。無差別プローブが、任意選択で以下のうちの1つ又は複数:35%~80%のGC含量;55℃~62℃のTm;無差別プローブ長の中間領域(中間領域がプローブ長の中央50%部分内と規定される)、或いは、許容温度での無差別な結合が維持される限り、少なくとも部分的に中間領域の外側の代替的位置、のいずれかに位置する、少なくとも1つのヌクレオチドの差異への結合部位;及び/又は少なくとも1つのヌクレオチドの差異でのロックド核酸を更に含む。
【0022】
[0022]無差別プローブは、少なくとも1つのヌクレオチドの差異を有する標的ポリヌクレオチド配列へのより高い結合効率を有し得るか、又は少なくとも1つのヌクレオチドの差異を有しない標的ポリヌクレオチド配列へのより高い結合効率を有し得る。
【0023】
[0023]本方法は、標的ポリヌクレオチド配列内の複数のヌクレオチドの差異の多重検出のための複数の無差別プローブを使用し得る。
【0024】
[0024]無差別プローブは、ロックド核酸を含む標識プローブを包含する、蛍光又は蛍光標識プローブであり得る。標識は、タックマン(Taqman)(登録商標)標識を含み得る。
【0025】
[0025]無差別プローブは、高いハイブリダイゼーション効率の条件では、標的ポリヌクレオチド配列の結合部位に相補的な結合領域配列を98%超有し得、より低いハイブリダイゼーション効率の条件では、標的ポリヌクレオチド配列の結合部位に相補的な結合領域配列を98%未満有し得る。
【0026】
[0026]無差別プローブは、第1のアンプリコンと、第2のアンプリコンとに結合する無差別プローブの光学的出力の振幅に少なくとも10%の差異を与えるように構成される配列を有し得る。
【0027】
[0027]本方法は、第1のポリヌクレオチド及び第2のポリヌクレオチドの約50:50混合物を含む陽性コントロール反応混合物を、プライマー及び無差別プローブに接触させるステップ;最適許容温度より下の低い温度と、最適許容温度より上の高い温度とに及ぶ複数の異なる温度にて、コントロール反応混合物において少なくとも1つのPCR反応を実施するステップ;並びに第1のポリヌクレオチド及び第2のポリヌクレオチドの両方が、増幅されて、第1のポリヌクレオチドと第2のポリヌクレオチドとの間の蛍光出力の大きさのシフトで光学的に検出される温度又は温度範囲を同定するステップであって、このシフトの原因が、無差別プローブのオンターゲット結合がより高効率であるのと比較して、無差別プローブのオフターゲット結合がより低効率であることに起因するステップによって許容温度を求めるステップを更に含み得る。この文脈では、「約50:50」は、本方法が±20%以内を含む正確な比のある程度の変動を許容できることを反映している。
【0028】
[0028]標的ポリヌクレオチド配列は、SARS-CoV-2ウイルス由来を含むウイルス由来であり得、少なくとも1つのヌクレオチド配列の差異が、SARS-CoV-2ウイルスのバリアントに対応する。これは、特に関連する適用がウイルスのバリアントの同定であるが、一方で、本方法が任意の範囲の適用に適合することを反映している。任意選択で、SARS-CoV-2標的ポリヌクレオチド配列は、野生型親-Hu-1(アクセッションNC_045512)由来である。
【0029】
[0029]本明細書に記載されるように、本方法は、任意のバリアントを検出するのに有用である。例えば、バリアントが、B.1.1.7系統の懸念されるバリアント202012/01;B.1.351系統の20H/501Y.V2;SARS-CoV-2 P.1系統の20J/501Y.V3;CAL.20C系統の20C/S:452R;/B.1.429;del69-70変異;N501Y変異;E484K変異;E484Q変異;K417T変異;K417N変異;L452R変異;T478K変異;N679K変異;又はQ954H変異であり得る。本方法及び本キットは、例えば、アルファ(N501Y;HVdel69-70)、ベータ(K417N;E484K)、ガンマ(K417T;E484K)、デルタ(L452R;T478K)、イプシロン(L452R)、ラムダ(L452Q)、ミュー(R346K)、及びオミクロン(N679K;Q954H)バリアントを許容するアッセイであり得る。
【0030】
[0030]バリアントが、異なる座位で少なくとも2つの変異を含み得、無差別プローブが、それぞれ異なる蛍光発光最大値を有する少なくとも2つの無差別プローブを含み得る。このように、少なくとも2つの変異は、単一のウェルで個々に検出できる。
【0031】
[0031]プローブ及びプライマーは、配列番号1~15を含む本明細書で提供される配列番号(例えば、本明細書に添付の配列の表参照)のうちの任意の1つ又は複数を含み得、好ましくは、順方向プライマー、逆方向プライマー、及び順方向プライマーと逆方向プライマーとの間のポリヌクレオチド配列を標的とする対応したプローブを含む。
【0032】
[0032]本方法は、デジタルPCR(dPCR)又はドロップレットデジタルPCR(ddPCR)を包含するPCR反応を含む一連のPCRアッセイに適合する。
【0033】
[0033]本方法は、1つのチャンネルで少なくとも2重化を有し、単一のウェルに2つのチャンネルを有することにより、4重化/ウェルを提供し得る。当然、本方法は、3つ以上のチャンネルを有する装置に適合する。
【0034】
[0034]本方法は、一塩基多型(SNP)、癌性変異、病理学的変異、欠失変異、挿入変異、薬剤耐性変異、多剤耐性変異、除草剤変異、多除草剤耐性変異、再集合変異、又はバイオマーカー変異を識別するように構成され得る。
【0035】
[0035]本方法は、廃水中の生物から得られるポリヌクレオチド配列のためのものであり得る。
【0036】
[0036]生物は廃水中のウイルスであり得、本方法が、廃水をろ過するステップ;ウイルスを濃縮するステップ;RNAを抽出するステップ;並びに廃水中の野生型ウイルス及びバリアントウイルスの相対濃度を決定するステップを更に含む。本方法及び本キットは、WT及び変異体ポリヌクレオチドの混合物を含み得る試料で使用し得る。
【0037】
[0037]別の実施形態では、本明細書は、第2のポリヌクレオチド標的配列と少なくとも1つのヌクレオチドで異なったバリアント配列を有する第1のポリヌクレオチド標的配列を検出するためのアッセイを作製する方法を提供する。本方法は、a)第1のポリヌクレオチド標的配列及び第2のポリヌクレオチド標的配列を同定するステップ;b)ポリヌクレオチド標的配列から上流及び下流にある、上流隣接領域及び下流隣接領域を同定するステップ;c)第1のポリヌクレオチド配列及び第2のポリヌクレオチド配列の上流隣接領域及び下流隣接領域に特異的に結合する順方向プライマー及び逆方向プライマーを設計するステップであって、上流プライマー結合領域と、下流プライマー結合領域との間を隔てる距離が、50bp~1500bpであり、プライマーが、第1のポリヌクレオチド標的配列の少なくとも一部、及び第2のポリヌクレオチド配列の少なくとも一部に対応する第1及び第2のアンプリコン産物を生成するように構成される、ステップ;d)第1のアンプリコン及び第2のアンプリコンに、約55℃~65℃の許容温度にて異なるハイブリダイゼーション効率で結合する無差別プローブを設計するステップを含み得る。
【0038】
[0038]プライマーの設計は、50~1500ヌクレオチドの隣接結合領域を選択することによるものであり得、プライマーが、隣接結合領域と少なくとも90%、少なくとも95%又は100%の配列相補性を有する。
【0039】
[0039]識別プローブの設計が、第1のポリヌクレオチド標的配列及び第2のポリヌクレオチド標的配列の混合物を含む標的混合物において温度勾配dPCRを実施するステップ;標的混合物において、第1のポリヌクレオチド標的配列アンプリコンと、第2のポリヌクレオチド標的配列アンプリコンとの間の出力蛍光振幅の分離が最大となる温度を選択するステップであって、この選択により、任意の無差別プローブに対して許容温度を同定するステップを含み得る。
【0040】
[0040]親ポリヌクレオチド配列の95%~100%である第1の標的;バリアントポリヌクレオチド配列の95%~100%である第2の標的において温度勾配dPCRを実施するステップを更に含み得る。
【0041】
[0041]本方法は、陽性コントロール反応混合物が2つより多いポリヌクレオチドの混合物を含む2重を超えるアッセイのためのものであり得る。本方法は、陽性コントロール混合物が、ほぼ等しい濃度の、親、アルファ、ベータ、ガンマ、デルタ、イプシロン、ラムダ、ミュー又はオミクロンのS遺伝子に対応するポリヌクレオチド配列を含む、SARS-CoV-2ウイルス及びそのバリアントのための5重417/484アッセイのためのものであり得る。
【0042】
[0042]本明細書はまた、dPCR又はRT-qPCRによって、第1の標的ポリヌクレオチド配列を第2の標的ポリヌクレオチド配列から区別するためのキットも提供する。RT-qPCRは、好ましくは、無差別プローブを、2021年10月25日に提出された米国特許出願公開第63/271,522号(Atty Ref.339033:97-21P US)に記載されているPBNJ(promiscuity-blocking nucleotide juror)オリゴヌクレオチドと組み合わせて使用する。第1の標的ポリヌクレオチド配列は、第2の標的ポリヌクレオチド配列には見出されない少なくとも1つのヌクレオチドの差異を含む。本キットは、(1つ又は複数の)ヌクレオチドの差異に対応した第1の標的ポリヌクレオチド標的配列内の各位置に対する、順方向増幅プライマー及び逆方向増幅プライマーを含むPCRプライマーのセットであって、PCRプライマーのセットが、それぞれのプライマーアニーリング部位にハイブリダイズしたときに、(1つ又は複数の)ヌクレオチドの差異の位置に隣接し、PCRプライマーのセットが、第1のポリヌクレオチド標的配列及び第2の標的ポリヌクレオチド配列の両方の対応する領域をPCR増幅することが可能である、PCRプライマーのセット;許容温度にて、第1のポリヌクレオチドの少なくとも1つのヌクレオチドの差異の部位に第1のハイブリダイゼーション効率でハイブリダイズし、かつ第2のポリヌクレオチドの少なくともヌクレオチドの差異を欠く対応する部位に第2のハイブリダイゼーション効率でハイブリダイズするように設計された標識無差別プローブであって、第1のハイブリダイゼーション効率が第2のハイブリダイゼーション効率と異なっている、標識無差別プローブ;第1の標的ポリヌクレオチドの配列に対応する核酸を含むコントロール混合物;第2の標的ポリヌクレオチドの配列に対応する核酸を含むコントロール混合物;並びに第1の標的ポリヌクレオチドの配列、及び第2の標的ポリヌクレオチドの配列に対応する核酸混合物を含むコントロール混合物を含み得る。
【0043】
[0043]本キットは、配列番号1、2、3、4、5、及び7からなる群から選択されるプライマー及びプローブを含む、SARS-CoV-2バリアントを検出するためのものであり得る。
【0044】
[0044]本キットは、配列番号16~27からなる群から選択される1つ又は複数のプローブ及びプライマーを含む、BRAF600;TP53;EGFRのうちの1つ又は複数を含む癌遺伝子変異を検出するためのものであり得る。
【0045】
[0045]本キットは、植物遺伝子における除草剤耐性変異を検出するためのものであり得る。
【0046】
[0046]本発明は、配列番号1~47のうちの任意の1つ又は複数を含み、それぞれのプライマー対及び対応するプローブのグループ化を含み、複数のかかるグループ化を含む多重化の適用を有する、方法、キット又は組成物であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1A】親-親をdel69-70又はN501Y SARS-CoV-2から区別するためのドロップレットデジタルPCRアッセイの開発。親-親又は変異体S遺伝子配列を含む核酸は、Bio-RadのワンステップRT-ddPCRアドバンスドキット又はプローブ(Bio-Rad’s One-Step RT-ddPCR Advanced Kit or Probes)に供した。親又は変異体集団は、蛍光振幅によって容易に区別できた。
図1Aは、CDC N1アッセイと同様の堅牢な線形ダイナミックレンジを示す。
【
図1B】親-親をdel69-70又はN501Y SARS-CoV-2から区別するためのドロップレットデジタルPCRアッセイの開発。親-親又は変異体S遺伝子配列を含む核酸は、Bio-RadのワンステップRT-ddPCRアドバンスドキット又はプローブ(Bio-Rad’s One-Step RT-ddPCR Advanced Kit or Probes)に供した。親又は変異体集団は、蛍光振幅によって容易に区別できた。
図1Bは、グラフパッドプリズム(GraphPad Prism)(登録商標)ソフトウェアを使用して実施した単純な線形回帰分析を示す。
図1Cは、GT Molecular del69-70又はN501Yアッセイが、2つの株の配列を明確に区別できたが、一方では、CDC N1プライマー及びプローブ配列が、B.1.1.7合成RNAを熱不活性化親ウイルス(BEI NR-52286)抽出RNAから区別することができないことを示す。
【
図1C】親-親をdel69-70又はN501Y SARS-CoV-2から区別するためのドロップレットデジタルPCRアッセイの開発。親-親又は変異体S遺伝子配列を含む核酸は、Bio-RadのワンステップRT-ddPCRアドバンスドキット又はプローブ(Bio-Rad’s One-Step RT-ddPCR Advanced Kit or Probes)に供した。親又は変異体集団は、蛍光振幅によって容易に区別できた。
図1Cは、GT Molecular del69-70又はN501Yアッセイが、2つの株の配列を明確に区別できたが、一方では、CDC N1プライマー及びプローブ配列が、B.1.1.7合成RNAを熱不活性化親ウイルス(BEI NR-52286)抽出RNAから区別することができないことを示す。
【
図2】単一のウェル内での武漢、del69-70、及びN501Yの検出を示す図である。親S遺伝子配列を変異体S遺伝子配列から区別するためのアッセイの能力は、親N501がFAMにおいて低い振幅で検出され、N501YがFAMにおいて高い振幅で検出され、親HV 69-70がHEXにおいて低い振幅で検出され、及びdel69-70がHEXにおいて高い振幅で検出される4重アッセイを生成することによって検査される。この手法により、単一のウェル内での4重化能力が得られる。2Dプロットについては、例えば、
図13を参照されたい。
【
図3】堅牢な線形ダイナミックレンジを例示する図である。親-親及び変異体S遺伝子シグネチャに対する多重化アッセイの線形ダイナミックレンジを評価するために、合成B117 SARS-CoV-2 RNAは、まず定量され、そして、10倍の連続希釈曲線及びワンステップRT-ddPCRに供された。単純な線形回帰分析では、R
2値>0.999が示される。全てのデータ分析は、グラフパッドプリズムを使用して実施した。
【
図4】米国の廃水からのB.1.1.7遺伝子シグネチャの検出を示す図である。4重アッセイの能力は、地方自治体の複合廃水試料において、親を、del69-70又はN501Y SARS-CoV-2から見分けるために検査した。アッセイは、親株S遺伝子配列を低い振幅で検出することが示された。アッセイはまた、del69-70(左;HEX)及びN501Y(右;FAM)に2重陽性の試料の存在を検出することもできた。このデータに基づいて、この地方自治体で流出したウイルスが、高伝染性SARS-CoV-2株にも存在する特徴を有するウイルスを含むという結論が導き出された。
【
図5A】堅牢な線形ダイナミックレンジを示す図である。本発明者らのGTMワンステップ(GTM One-Step)の線形ダイナミックレンジを評価するために、合成B117 SARS-CoV-2 RNAは、まず定量され、そして、10倍の連続希釈曲線及びワンステップRT-ddPCRに供された。単純な線形回帰分析では、R
2値>0.999が示される。全てのデータ分析は、グラフパッドプリズムを使用して実施した。
【
図5B】堅牢な線形ダイナミックレンジを示す図である。本発明者らのGTMワンステップ(GTM One-Step)の線形ダイナミックレンジを評価するために、合成B117 SARS-CoV-2 RNAは、まず定量され、そして、10倍の連続希釈曲線及びワンステップRT-ddPCRに供された。単純な線形回帰分析では、R
2値>0.999が示される。全てのデータ分析は、グラフパッドプリズムを使用して実施した。
【
図6】B.1.1.7系統からの高伝染性株は、ウイルスゲノムを表す灰色のバー上の垂直の線としてここで示されている変異を大量に有することを示す図である。一態様では、検査は、かかるアルファバリアントの高伝染性を駆動する生物学的効果を有することが以前に記載されている2つの主要な変異を、アルファバリアントに存在する全ての変異を検査する代わりに標的とする。両変異は、互いに独立して発見されている。例えば、del69-70変異は、ヨーロッパで報告されている全配列の2.5%を占めている。N501Y変異は、懸念されるベータバリアントで見出されている。しかし、両方のこれらの変異が共に存在しているということは、アルファバリアント又はおそらく別の関連のまだ規定されていない高伝染性バリアントが地域社会で循環している強力な指標である。N1領域の定量は、全ての株で同一であり、見分けられない。一態様では、バリアント廃水検査は、高伝染性機能を駆動することが知られている2つの主要な変異を含む、スパイク遺伝子内の2つの領域を定量する。
【
図7A】
図7Aは、del69-70変異に対する無差別プローブの振幅の差異を示し、該差異は、del69-70変異を含むポリヌクレオチドと、del69-70変異を欠く親SARS-CoV2野生型株からのポリヌクレオチドとを、NTC(no-template control)と共に比較したものである。これらのデータは、本明細書で提供される方法が、単一無差別プローブを用いて、少なくとも1つのヌクレオチド変化を有する標的ポリヌクレオチドを区別できることを反映している。
【
図7B】
図7Bは、N501Y変異に対する無差別プローブの振幅の差異を示し、該差異は、N501Y変異を含むポリヌクレオチドと、N501Y変異を欠く親SARS-CoV2野生型株からのポリヌクレオチドとを比較したものである。これらのデータは、本明細書で提供される方法が、単一無差別プローブを用いて、少なくとも1つのヌクレオチド変化を有する標的ポリヌクレオチドを区別できることを反映している。
【
図8】N1測定配列と、スパイク遺伝子配列とを比較した正確度の判定を示す図である。廃水試料24は、典型的な「N1」アッセイで分析し、127コピー/20μLウェルの濃度を有することが見出された。試料24から抽出した同じRNAは、del69-70及びN501Yの位置での親配列のアッセイについて分析した。各検査は、4連で実行した。本開示のアッセイからの結果は、検証したN1アッセイのそれぞれ7%及び14%以内であった。
【
図9】特定の変異に対する2つのチャンネルにわたるコントロールのデータプロットを示す図である。
【
図10】特定の変異に対する2つのチャンネルにわたるコントロールのデータプロットを示す図である。
【
図11】特定の変異に対する2つのチャンネルにわたるコントロールのデータプロットを示す図である。
【
図12】温度勾配でのジーブロックに対するdel69-70変異体プローブ検査を示す図である。
【
図13A】一方はN501Yに、また、他方はdel69-70に関連する2つの無差別プローブに対する蛍光強度(振幅)の2Dプロットに関する図である。
図13Aは、96ウェルプレート構成を例示し、ウェル2Bの光学的出力は、
図13Dに表示されている。
図13Bは、自動分析用ソフトウェアに採用されたモデルファイルを例示する。
図13Cは、様々なウェルの分析結果である。
図13Dは、2つの蛍光チャンネルの2Dプロットであり、
図13Cで強調表示された行(例えば、ウェルB02)に対応する。異なる蛍光特性(例えば、発光波長)を有する2つの蛍光標識の使用により、2つのプローブのみを用いて、野生型、N501変異体、Del69-70変異体、及び両方の変異の相対量を確実に検出する能力がもたらされる。
図13Dでは、関連するクラスター1~クラスター7が同定されている。このように、2つの無差別プローブの場合で単一のウェルで得られた4重化が実証され、品質管理も保証される。
【
図13B】一方はN501Yに、また、他方はdel69-70に関連する2つの無差別プローブに対する蛍光強度(振幅)の2Dプロットに関する図である。
図13Aは、96ウェルプレート構成を例示し、ウェル2Bの光学的出力は、
図13Dに表示されている。
図13Bは、自動分析用ソフトウェアに採用されたモデルファイルを例示する。
図13Cは、様々なウェルの分析結果である。
図13Dは、2つの蛍光チャンネルの2Dプロットであり、
図13Cで強調表示された行(例えば、ウェルB02)に対応する。異なる蛍光特性(例えば、発光波長)を有する2つの蛍光標識の使用により、2つのプローブのみを用いて、野生型、N501変異体、Del69-70変異体、及び両方の変異の相対量を確実に検出する能力がもたらされる。
図13Dでは、関連するクラスター1~クラスター7が同定されている。このように、2つの無差別プローブの場合で単一のウェルで得られた4重化が実証され、品質管理も保証される。
【
図13C】一方はN501Yに、また、他方はdel69-70に関連する2つの無差別プローブに対する蛍光強度(振幅)の2Dプロットに関する図である。
図13Aは、96ウェルプレート構成を例示し、ウェル2Bの光学的出力は、
図13Dに表示されている。
図13Bは、自動分析用ソフトウェアに採用されたモデルファイルを例示する。
図13Cは、様々なウェルの分析結果である。
図13Dは、2つの蛍光チャンネルの2Dプロットであり、
図13Cで強調表示された行(例えば、ウェルB02)に対応する。異なる蛍光特性(例えば、発光波長)を有する2つの蛍光標識の使用により、2つのプローブのみを用いて、野生型、N501変異体、Del69-70変異体、及び両方の変異の相対量を確実に検出する能力がもたらされる。
図13Dでは、関連するクラスター1~クラスター7が同定されている。このように、2つの無差別プローブの場合で単一のウェルで得られた4重化が実証され、品質管理も保証される。
【
図13D】一方はN501Yに、また、他方はdel69-70に関連する2つの無差別プローブに対する蛍光強度(振幅)の2Dプロットに関する図である。
図13Aは、96ウェルプレート構成を例示し、ウェル2Bの光学的出力は、
図13Dに表示されている。
図13Bは、自動分析用ソフトウェアに採用されたモデルファイルを例示する。
図13Cは、様々なウェルの分析結果である。
図13Dは、2つの蛍光チャンネルの2Dプロットであり、
図13Cで強調表示された行(例えば、ウェルB02)に対応する。異なる蛍光特性(例えば、発光波長)を有する2つの蛍光標識の使用により、2つのプローブのみを用いて、野生型、N501変異体、Del69-70変異体、及び両方の変異の相対量を確実に検出する能力がもたらされる。
図13Dでは、関連するクラスター1~クラスター7が同定されている。このように、2つの無差別プローブの場合で単一のウェルで得られた4重化が実証され、品質管理も保証される。
【
図14】親(野生型)、B.1.1.7、B.1.351、P.1及び4つ全ての混合物の単一のウェル内での検出を、K417N/T-FAM(上のパネル)及びE484K-HEX(下のパネル)無差別プローブの場合で示す図である。
【
図15】
図14の2つの無差別プローブK417N/T及びE484Kに対する蛍光の強度(振幅)の2Dプロットである。異なる蛍光特性(例えば、発光波長)を有する2つの蛍光標識(FAM及びHEX)の使用により、野生型及び注釈されているような様々な変異の相対量を確実に検出する能力がもたらされる。
【
図16】KRAS 12Cアンプリコンの非特異的検出におけるPBNJの影響を例示する、様々なPBNJ:プローブ比(0、2×、4×及び8×)に対する蛍光の強度のプロットである。
【
図17】PBNJがオンターゲット検出に影響を与えないことを例示する、様々なPBNJ:プローブ比に対する変異体濃度(コピー/μL)のプロットである。
【
図18】8×PBNJが非特異的増幅を完全に除去することを反映する、8×PBNJ濃度による様々な標的に対する蛍光の強度のプロットである。
【
図19】強調表示した位置でロックド核酸(LNA)を有する(+)及び有しない(-)プローブを比較する図である。LNAは、プローブの特異性を劇的に増加させ、無差別プローブがまた、癌遺伝子の適用を含む他の適用にも有用であることを反映している。
【
図20】S-1~S-44の試料、及び6E~6Hの位置に様々なコントロールを含む、48ウェルプレートの体表的なレイアウトを示す図である。
【0048】
[発明の詳細な説明]
[0067]本開示は、多くの異なる形態で適用され得るが、本開示の原理の理解を促進する目的で、ここで、図面に例示される態様は参照され、同じことを説明するために具体的な言葉を使用する。それにもかかわらず、それによって本開示の範囲を限定するものではないことが理解されるであろう。記載された態様の任意の変更及び更なる修飾、並びに本明細書に記載される開示の原理の任意の更なる適用が、本開示が関連する当業者が通常思いつくであろうように企図される。
【0049】
[0068]本明細書で使用する場合、「振幅」(amplitude)は、蛍光の大きさ又は振幅を指し、一般に、蛍光の強度とも呼ばれる。ある特定の態様では、振幅は、相対的な蛍光の増加又は減少に関して使用され得る。
【0050】
[0069]本明細書で使用する場合、「振幅の調整」は、不適合がプローブ結合領域内で生じる場合、蛍光振幅の変化がハイブリダイゼーション効率の差異により検出できることを利用することを指す。プローブは、100%未満の配列同一性を共有する2つのアンプリコン配列の間のハイブリダイゼーション効率が異なるように設計される。ある特定の態様では、ハイブリダイゼーション効率の差異は、PCRパラメーター、例えば、温度及び/又はプローブ濃度に合わせて調整される。このように、プローブは、許容温度にて、「元の」配列と、100%未満の配列同一性(本明細書では、少なくとも1つのヌクレオチドの差異を有するとも呼ばれる)を共有する配列との両方に結合するが、しかしハイブリダイゼーション効率が異なるようにプローブが特異的に構成されるという点で無差別(promiscuous)と特徴づけられる。
【0051】
[0070]「少なくとも1つのヌクレオチドの差異」は、2つの間に少なくとも1つの差異を有するが、それ以外では同一な配列領域を有する、1対の対応するポリヌクレオチド配列を指す。より具体的には、上記領域は、プローブ、又は「プローブ認識配列」によって認識される領域に対応する。少なくとも1つのヌクレオチドの差異という語句は、広義に使用されて、ヌクレオチドにおける、挿入、欠失、又は変化によるものを含む任意の種類の差異を包含する。差異は、単一のヌクレオチドの差異又は2つ以上のヌクレオチドの差異に対応し得る。差異は、ヌクレオチドの差異における連続した差異であってもよい。差異は、ポリヌクレオチド配列中の複数の異なる位置であってもよい。便宜上、上記配列は、一般に「標的」又は「基準」ポリヌクレオチド配列と呼ばれることがあり、ここから少なくとも1つのヌクレオチドの差異が、検査する「検査試料」で検出されることが望ましい。
【0052】
[0071]本明細書で使用する場合、「クラスター化」は、2つのチャンネル出力のプロット上で規定された領域内に限定されている標的の蛍光出力の評価基準を指し、該領域は別の標的とは違う領域を含む。したがって、「陽性クラスター化」は、予想される領域内にクラスター化した予想される出力プロットに対応する。「陰性クラスター化」は、予想される領域の外側にある有意な割合のイベントを有する出力に対応する。有意な割合は、予想される領域の外側にある出力の10%、5%又は1%に対応し得る。例えば、
図13Dのプロットは、4つの標的ポリヌクレオチド配列の各々に対して規定された領域の概要を示す。
【0053】
[0072]本明細書で使用する場合、「色チャンネル」は、可視光、赤外光、及び紫外光を含む光スペクトルの領域を指す。色チャンネルは、本明細書で開示される方法を個々に実施するのに有用な限り、広い波長セット又は狭い波長セットとなるように指定できる。色チャンネルは、一般に、プローブ標識の蛍光発光波長など、プローブ標識に適合される。
【0054】
[0073]「検出する」は、本明細書では、標的ポリヌクレオチド配列内を同定及び/又は定量できる方法を指すために広義に使用される。本明細書における方法は、好ましくは、差異が試料から見出されるかどうかを検出し、また、差異を定量する。例えば、標的ポリヌクレオチドがウイルス由来である適用の場合、1つの(例えば、「第1の」)標的ポリヌクレオチド配列は、野生型(例えば、「親」)配列に対応し得、別の(例えば、「第2の」)標的ポリヌクレオチド配列は、標的ポリヌクレオチド配列内に少なくとも1つの変異が存在するバリアントに対応し得る。同様に、疾患、例えば、癌の場合、第1の標的ポリヌクレオチド配列は、「正常」配列に対応し得、第2の標的ポリヌクレオチド配列は、癌に関連する変異を有する。このように、本方法及び本キットは、任意の注目すべきポリヌクレオチド配列に適合するが、該配列は、配列における変化に伴って、第1の状態から第2の状態への付随する影響又は状態の変化が存在し、これには、機能、変異の付与に対する抵抗性、疾患、病原性、危険因子、有効性、及び診断結果に関連するものが含まれる。
【0055】
[0074]本明細書で使用する場合、「許容」は、プローブが2つ以上のポリヌクレオチド配列にハイブリダイゼーションできるが、しかし、異なるハイブリダイゼーション効率であることによって少なくとも1つの不適合に対処する条件、例えば、温度を指す。
【0056】
[0075]本明細書で使用する場合、「プローブ」は、ハイブリダイゼーション反応に組み合わせたときに標的を結合及び検出できるように、少なくとも部分的に注目すべき標的DNA配列に相補的に設計された標識オリゴヌクレオチドを指す。プローブは、2つ以上の可能なハイブリダイゼーション標的を有し得、反応条件、例えば、温度に応じて、1つの標的のみに結合する場合、異なるハイブリダイゼーション効率で2つの標的に結合する場合、又は標的に結合しない場合がある。
【0057】
[0076]本明細書で使用する場合、「無差別プローブ」は、許容温度にて、2つ以上のポリヌクレオチド配列にハイブリダイズするプローブを指す。ある特定の態様では、無差別プローブは、1つ又は2つ以上の配列の不適合にもかかわらずポリヌクレオチドにハイブリダイズできる。当然、正確に100%適合すると、100%未満の適合より高いハイブリダイゼーション効率が得られる。一般に、ハイブリダイゼーション効率は、不適合のパーセンテージが高いほどより低くなる。ある特定の態様では、無差別プローブは、100%未満の配列同一性を有する2つ以上のポリヌクレオチドにハイブリダイズするが、無差別プローブのハイブリダイゼーション効率は、ポリヌクレオチドの塩基配列に応じて、2つ以上のポリヌクレオチドの間で異なる。さらに、温度もハイブリダイゼーションに影響を与える独立したパラメーターであり、ハイブリダイゼーションは、温度が高いほどより高い配列の適合が必要となる。許容温度は、一連の許容温度から選択できる。このように、本方法で使用する許容温度は、オンターゲット及びオフターゲット結合の間で蛍光の強度の出力の差異が最大となるように最適化できる。
【0058】
[0077]無差別プローブは、所望に応じて、ロックド核酸(LNA)を含み得る。LNAは、化学修飾、例えば、環構造(2’-O炭素原子と、4’-C炭素原子との間を含む)に関連する追加の架橋を有するが、これは、効果的にコンフォメーションをロックし、一般に、酵素分解に対する安定性が増加し、プローブの特異性及び親和性を改善する(LNA当たり約2℃~4℃のTmの上昇に反映される)。これは、プローブハイブリダイゼーション特性を調節して、適切な温度範囲にて、確実に標的(野生型)及びオフターゲット(例えば、変異)への親和性特性を適切にする別の手段を提供する。
【0059】
[0078]本明細書で使用する場合、「PCR」又は「ポリメラーゼ連鎖反応」は、核酸の酵素的複製のよく知られた手法を指し、温度サイクリングが、核酸を、例えば、変性、伸長及びアニーリングするのに使用される。
【0060】
[0079]本明細書で使用する場合、「試料ポリヌクレオチド」は、標的ポリヌクレオチド配列に差異を有しない場合及び/又は標的ポリヌクレオチド配列に差異を有する場合を含む、検出される標的ポリヌクレオチド配列を有する生体試料を指す。例えば、試料は、注目すべき座位で異なる配列を含むポリヌクレオチドの混合物を含み得る。
【0061】
[0080]本明細書で使用する場合、「注目すべき標的ポリヌクレオチド」は、関連する少なくとも1つのヌクレオチドの差異を含む場合も含まない場合もある部分を含む、より長いポリヌクレオチドの部分を指す。ポリヌクレオチドは、RNA又はDNAを含み得る。任意選択で、RT-PCRは、RNAにおいて、DNAを生成してからPCRに供して実施し得る。
【0062】
[0081]本明細書で使用する場合、「標的閾値」は、陽性コントロール反応混合物においてPCR反応を使用して、各標的ポリヌクレオチド配列に関連する蛍光振幅出力範囲を同定することに関係する。この閾値設定態様は、複数の標的を含む標的ポリヌクレオチド配列を同定及び定量するのに使用するソフトウェアに実装できる。実装は、全ての関連標的をエッジ内に含んだ付随するエッジ規定、例えば、楕円体であるエッジ形状を有するモデルファイルを作るという観点からであり得る。このように、各標的に対する信号/結果の自動閾値設定が得られる。例えば、
図13Dを参照されたい。
【0063】
[0082]プローブは、任意の機能的な長さのものであってもよい。いかなる特定の実施形態にも限定されないが、プローブは、10~100ヌクレオチド長、15~90ヌクレオチド長、25~75ヌクレオチド長、30~50ヌクレオチド長、37~43ヌクレオチド長又はそれらの任意の組み合わせのものであり得る。
【0064】
[0083]プローブは、当技術分野で知られている任意の手段で標識できる。プローブ上の標識は、蛍光のものであってもよい。プローブ上の標識から発せられる光は、可視光スペクトル、赤外光スペクトル、紫外光スペクトル、又はそれらの任意の組み合わせで検出可能であり得る。
【0065】
[0084]ある特定の態様では、無差別プローブは、ロックド核酸又は他の融解温度(Tm)を上昇させる修飾を有しない場合、20~35bp、或いはロックド核酸又は他のTmを上昇させる修飾を有する場合、10~35bpの長さを有し;無差別プローブは、35%~80%のGC含量、及び57℃~62℃のTmのうちの1つ又は複数によって任意選択で更に特徴づけられ得る。
【0066】
[0085]ある特定の態様では、無差別プローブは、高いハイブリダイゼーション効率の条件では、標的ポリヌクレオチド配列の結合部位に相補的な結合領域配列を98%超有し、より低いハイブリダイゼーション効率の条件では、標的ポリヌクレオチド配列の結合部位に相補的な結合領域配列を98%未満有する。
【0067】
[0086]RT-qPCT適用を含む任意の本方法及び本キットは、PBNJと共に使用できる。PBNJは、SNP位置にロックド核酸(LNA)を含み得る。PBNJは、基準結合領域及びポリメラーゼによる延長を妨げる伸長ブロッカーを有している。このように、無差別プローブに対して競合的な濃度のPBNJは、配列をPCRによって更に識別するために、増幅を伴う配列の1つへの無差別プローブの結合を抑制する。
【0068】
[0087]ある特定の態様では、ここに開示する方法及びキットは、一塩基多型(SNP)、癌性変異、病理学的変異、欠失変異、挿入変異、薬剤耐性変異、多剤耐性変異、除草剤変異、多除草剤耐性変異、再集合変異、又はバイオマーカー変異を識別するのに使用できる。
【0069】
[0088]本開示は、ポリヌクレオチド配列情報の標的を定めた収集のための方法及びキットを記載する。ある特定の態様では、標識プローブが、第1のポリヌクレオチド配列と、第2のポリヌクレオチド配列との間の少なくとも1つのヌクレオチドの差異の存在又は非存在の検出を提供する、方法及びキットが開示される。ある特定の態様では、本明細書で開示される方法及びキットは、分子アッセイの多重化を提供し、PCR試薬、及びPCR反応を行う入れ物などの検査用品の利用の効率性をもたらす。
【0070】
[0089]本明細書で提供される方法及びキットは、基準ポリヌクレオチド配列に対する配列の差異を検出及び定量するのに有用である。一般に、標的ポリヌクレオチド配列は、配列のいずれかが、少なくとも1つのヌクレオチドの差異で異なるかどうかを決定するために調べられる。本明細書で提供される方法は、所望に応じて、これらの差異を検出及び定量できる。これは、ウイルスが比較的高い変異率を有し得るために、標的ポリヌクレオチド配列がウイルス由来である場合に特に有用であり得る。かかる状況では、少なくとも1つのヌクレオチドの差異は、バリアントに対応し得、親又は野生型の標的ポリヌクレオチド配列と比較したバリアントの量を定量することが望ましい。
【0071】
[0090]ある特定の態様では、蛍光標識プローブの必要量は、一般的に利用されている分子アッセイと比較して、最大67%又は半分まで減少する。一態様では、アッセイに必要とされるプローブの減少は、ハイブリダイゼーション標的に関するプライマー及びプローブ設計を通して達成できる振幅の調整の適用によって達成される。いくつかの態様では、標的と、プローブとの間で不適合が生じる場合、その不適合は、出力信号から蛍光振幅の変化の観点で評価できる。PCRパラメーターは、指定の許容温度にて、1つのプローブがオン及びオフターゲット核酸の両方を認識できるように微調整することができる。
【0072】
[0091]いくつかの態様では、反応の多重化は、複数のハイブリダイゼーション標的と考えられ得るものに対する個々のプローブ(例えば、「無差別プローブ」)を、ハイブリダイゼーション効率が異なっているが、提供する能力によりもたらされる。一態様では、4重dPCR方法は、4つの標的を、dPCRプレートの2つのウェル(各ウェルで2つの標的)の代わりに1つのウェルで処理できる。無差別プローブが定量できる標的の数に応じて、試薬の費用及びウェルの数の減少に伴う大幅な節約が得られる。したがって、本方法、本キット及び本アッセイの関連する特徴及び利点は以下を含む:デジタルドロップレットPCRの運用費用の顕著な部分を占める全ての試薬の費用を最大67%節約すること;ウェルの使用を最大で3分の1とし、これにより、1台の機械で多くの試料を処理することで、追加のddPCR機械を購入することなく出力を2倍又は3倍にできること;3つの標的に対してウェル当たり3つのプローブを有する代わりに、ウェル当たり1つのプローブで、最大3つの標的を認識できるので、アッセイ開発が迅速に行えること。
【0073】
[0092]ここに開示する方法及びキットによって分析できるポリヌクレオチドの試料は、注目すべきポリヌクレオチドを含む任意の供給源由来のものであり得る。考えられる試料の供給源としては、ウイルス、細菌、真菌、寄生生物、植物細胞、動物細胞、又は癌細胞からなる群から選択される生物が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、考えられる試料の供給源としては、環境試料、土壌、種子、植物性物質、廃水試料、工業用水試料、天然水試料(川、湖、小川、海洋、地下水、井戸水、帯水層を含む)、生体試料、例えば、腸/便試料、癌患者からの液体又は腫瘍生検、スワブ又はだ液試料、動物試料(獣医学/畜産学)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0074】
[0093]ある特定の態様では、検査試料は、疾患、薬剤耐性、多剤耐性、除草剤耐性に関連するか否か短塩基多型又は一塩基多型(SNP)に関して分析され、疾患、ウイルス及びウイルスバリアントの存在、非存在及び/又は存在量、好適な若しくは病原性細菌、真菌、非侵襲性種、土壌バイオームの特性評価(ある特定の種類の作物にとって有益/有害か確認)、及び/又は腸バイオームに関連するか挿入又は欠失(インデル)に関して分析される。
【0075】
[0094]本明細書では、PCR効率に基づいたPCR多重化アプローチをもたらすことを含むキットが開示されるが、該アプローチとしては、dPCR及びddPCRが挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の態様では、ここに開示するキットは、1つのチャンネルにおいて2つのプローブを用いて4重化をもたらすことで、個々の注目すべきヌクレオチド配列当たり蛍光プローブの種類が1種類である従来のアッセイに使用する試薬を50%節約する。
【0076】
[0095]ある特定の態様では、本キットは、検証したRNA又はDNAスタンダード、プライマー/プローブmix、及び検証した条件を含む。本キットは、酵素(DNAポリメラーゼ)、デオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)及びPCRバッファーを含む標準的なPCR試薬を含み得る。
【0077】
[実施例]
[0096]以下の実施例は、本発明のいくつかの実施形態をより完全に説明するために提示される。しかし、これらは、本発明の広い範囲を限定するものとして決して解釈されるべきではない。当業者は、本発明の精神から逸脱することなく、この発見の基本原理を容易に採用して様々な化合物を設計できる。
【0078】
実施例1-プローブ及びプライマー
[0097]プローブは、プローブの中央に注目すべきウイルス変異を含むように設計する。そして、プローブは、中央のいずれかの側の末端が、両ポリヌクレオチド配列(例えば、親対バリアント;正常対変異体など)に関して同一であり得るポリヌクレオチド配列に対応した配列を有し得る。プライマーは、プローブによって標的とされる領域に隣接するように設計した。プライマー及びプローブの溶液は、500nMプライマー/125nMプローブ又は900nMプライマー/250nMプローブのいずれかで配合した。野生型及び変異体配列の等量混合物を含んだ、注目すべき配列を含むDNA又はRNAコントロールテンプレートを利用し、厳密な温度(特異性を促進するため、変異体テンプレートにおける増幅が見られる、高い温度)と、許容温度(変異体配列に特異的なプローブが野生型配列にも結合する、低い温度)とに及ぶ温度勾配ddPCR実験を実施した。両標的(野生型及び変異体)が増幅される温度を、同定した。「オフターゲット」プローブの結合(野生型配列の場合)では、反応の効率が低下するため、振幅が下にシフトするので、野生型と、変異体(複数可)とを見分けることが可能となる。
【0079】
[0098]注目すべき変異の各々に関して、単一プローブを使用した野生型及び変異体の標的の多重化を可能とする「許容」温度を同定する。2つの異なるゲノムの位置(したがって合計4つの標的)を多重化できるように、温度及び調整融解温度は、プローブが同じ温度にてそれぞれ「無差別(promiscuous)」であるように同定する。所望に応じて、LNAは、N501Yプローブなどに追加でき、それによって、該プローブが、del69-70プローブを含む別のプローブと同じ温度にて野生型及び変異体の両方を許容することを保証する。
【0080】
実施例2-廃水検査キット
[0099]一態様では、本開示のアッセイは、GT RT-ddPCR(親+B.1.1.7)4-plex廃水検査キット(GT RT-ddPCR(Parental+B.1.1.7)4-plex wastewater test kit)の形態で開発されており、該キットは、プライマー、プローブ、及びコントロールの全てを含む分子試薬キットであり、親配列と、del69-70及びN501Y変異をコードする2つのウイルスゲノムの位置にあるB.1.1.7変異配列との両方を含む株の絶対的定量のためのものである。この実施形態で標的とする2つの主要な変異は、この系統の高伝染性を駆動する生物学的効果を有することが以前に記載されている。両変異は、互いに独立して発見されている。例えば、del69-70変異は、ヨーロッパ2で報告されている全配列の2.5%を占めている。N501Y変異は、懸念される、注目すべき、又は監視中のベータ、ガンマ、及びミューバリアントで見出されている。しかし、両変異が共に存在しているということは、アルファバリアント又はおそらく別の関連のまだ規定されていない高伝染性バリアントが地域社会で循環している強力な指標である。
【0081】
[0100]廃水検査キットの使用者は、ウェル当たり2つの蛍光色素分子/プローブのみを有する2つのウェルのみを利用して、WT、及びWT内の2つの他の変異を検査でき得る。
【0082】
[0101]多くの従来のアッセイは、各試料に対して、より多くのプローブ、試薬及びプレート内の2つのウェルを使用する必要がある。いくつかの態様では、ここに開示する方法は、PCR、例えば、ドロップレットPCRの運用費用の顕著な部分である全ての試薬の費用を、最大67%節約する。さらに、ここに開示する方法は全て、従来の手法のウェルの半分しか使用しないため、1台の機械でより多くの試料を処理して出力を倍にできる。
【0083】
[0102]ここに開示するアッセイは、2つの標的に対してウェル当たり2つのプローブを必要とする従来の方法ではなく、ウェル当たり1つのプローブのみで2つ以上の標的を認識できるため、迅速なアッセイ開発も促進できる。
【0084】
[0103]ここに開示する方法はまた、核酸間のごくわずかな変化による非特異的増幅に起因する複数標的効果も低減する。この方法は、効率は低いものの、オフターゲット増幅を利用して、これらのヌクレオチドの不適合を識別する。ここに開示する方法はまた、これらに限定されないが、多重化液体生検アッセイ(癌及びその他のための)、特化した遺伝子型判定アッセイ、及びウイルス変異アッセイを含む状況でも使用し得る。
【0085】
実施例3-廃水中のSARS-CoV-2 B.1.1.7系統シグネチャの検出
[0104]廃水の病原体監視は、疾患流行及び追跡を推定するための地域社会全体にわたる調査を提供する。この調査パラダイムにより、大規模な診断検査を必要としないで地域社会内のウイルス負荷を評価する機会が得られる。さらに、ウイルス負荷を経時的に監視することで、地域社会は、地域経済の意思決定にすぐに使用可能なデータを得られる。いくつかの産業及び学術グループは、COVID-19の大流行に対抗するツールとして、SARS-CoV-2廃水監視サービスの実施及び展開を成功させた。
【0086】
[0105]廃水の病原体監視により、様々なレベルでの解決がもたらされる。例えば、個々の宿舎から収集した試料は、局所的な発生を同定し、したがって、検疫戦略が高度に調整される。より大きな規模では、廃水処理施設からの試料を検査することで、地域社会のより大規模な疾患発生を監視できる。
【0087】
[0106]SARS-CoV-2廃水監視サービスは、高伝染性B.1.1.7/アルファバリアント株に見出される変異を標的とする分子アッセイを含むように拡張した。SARS-CoV-2のヒト細胞への侵入は、ウイルススパイクタンパク質と、ヒトACE2タンパク質との間の相互作用によって決まる。B.1.1.7株は、スパイクタンパク質内に6つの変異を含んでいるので、これらの変異が、ウイルスをa)免疫系の認識を回避するか、又はb)ACE2への親和性をより高くする可能性が示唆されている。6つの変異全ての存在に関して試料を検査するのは、複雑で、費用がかかり、冗長になる可能性があるが、本発明者らは、高伝染性を促進するのに関与していると思われる2つの変異を含むように戦略を絞り込んだ。
【0088】
[0107]デンマークのミンクでの発生から学んだ教訓は、検査戦略に役立つ情報を与えてくれた。2020年6月~11月の間、SARS-CoV-2は、200超のミンク農場に広がり、最終的には、デンマークの全ミンク群の殺処分に至った。ミンク株と、B1.1.7との間には、2つの同様な変異が認められた:スパイクタンパク質の69位~70位でのHV残基の欠失、及び受容体結合ドメイン内の残基501でのアミノ酸置換。さらに、アルファバリアント株とは独立して出現したと考えられている最近のベータ及びガンマバリアント株もまた、N501Y変異を含んでいる。これらの変異が独立して出現したことは、高伝染性をもたらす選択的利点を示していると推論された。したがって、本発明者らは、del69-70及びN501Yを標的として選択した。
【0089】
[0108]親及びB.1.1.7シグネチャの両方、すなわち、del69-70及びN501Yを単一のデジタルPCRウェル中で検出する新規の多重化設計戦略をここで記載する。このアプローチでは、許容プローブによって提供される分子ツールをSARS-CoV-2廃水検査サービスと組み合わせ、これらの2つの変異を米国の廃水試料中から検出したが、該廃水試料は、地域社会にサービスを提供している廃水処理施設から得られ、アルファバリアントを含むことが知られているものであった。
【0090】
[0109]ここに開示する分子ツールは、いくつかの態様では、ウイルス負荷を経時的に監視するのに使用して、廃水監視が地域社会内で見出されている高伝染性を反映しているか決定できる。これらの変異に関して廃水を監視することは、最終的には、分子生物学から下水道の遺伝子型判定、疫学へと応用する学際的なアプローチを提供するであろう。
【0091】
[0110]COVID及びCOVIDバリアント:B1.1.7(アルファバリアント)変異は全てスパイク遺伝子内;南アフリカ(ベータバリアント)変異は全てスパイク遺伝子内;E484K;K417N。
【0092】
[0111]このddPCR方法は、単一プローブを使用して変異体及び野生型配列の両方の読み取り値を得、超高感度が必要とされる任意の遺伝子型判定検査に使用できる。例としては、循環腫瘍DNA、ウイルス変異体、非侵襲的出生前検査が挙げられるが、これらに限定されない。
【0093】
[0112]注目すべき変異を有する例示ゲノム配列を探し、親配列と整列させ、変異周辺の隣接領域を探し、変異に隣接するプライマーを設計し、親又は変異体配列のいずれかに対するプローブを設計する。プローブの完全な中央に変異が来るようにする。標的Tmは約60度とする。プライマー及びプローブを得たら、1μL添加により最終スタンダード濃度が達成されるように22倍に配合する(500nMプライマー、125nMプローブ;又は900nMプライマー、250nMプローブ)。温度勾配を、3つの異なる標的、すなわち、この場合、100%親/wt/武漢である標的、100%変異体/アルファ/B.1.1.7である標的、及び上記2つの50-50混合物である標的に対して実施する。
【0094】
[0113]50-50mixコントロールにおいて振幅の分離が変異体、親及び陰性液滴集団に対して最大となることが見出される条件を選択する。この条件はまた、親及び変異体配列の両方に特異的でなければならず、したがって、親/wt集団は100%変異体には存在せず、変異体集団は100%変異体試料には存在しない。
【0095】
[0114]
実施例4:保管、安定性及び方法論
[0115]-20℃で保管し、凍結/融解サイクルを最小限にする。コントロールは、DNA又はRNAで構成されている。凍結/融解を避けるために、溶液の分注と再凍結が強く推奨される。
【0096】
[0116]GT-ddPCR変異検出アッセイ(GT-ddPCR Mutation Detection Assay)は、親及びバリアントウイルス配列の4重定量のための事前に混合したプライマープローブ溶液、並びに適切なコントロールを含む。各キットは、200×20μLの反応に十分な200μLの20×アッセイmixが同梱されている。
【0097】
【0098】
[0118]試薬及び設備
[0119]プローブ用ワンステップRT-ddPCRアドバンスドキット(1-Step RT-ddPCR Advanced Kit for Probes)(Bio-Radカタログ#1864021);QX100(商標)若しくはQX200(商標)ドロップレットジェネレーター(Droplet Generator)(それぞれBio-Radカタログ#1863002若しくは1864002)又は自動ドロップレットジェネレーター(Automated Droplet Generator)(カタログ#1864101);QX100又はQX200ドロップレットリーダー(Droplet Reader)(それぞれBio-Radカタログ#1863003又は1864003);C1000タッチ(商標)サーマルサイクラー及び96-ディープウェル反応モジュール(C1000 TouchTM Thermal Cycler with 96-Deep Well Reaction Module)(Bio-Radカタログ#1851197);PX1(商標)PCRプレートシーラー(Plate Sealer)(Bio-Radカタログ#1814000)。
【0099】
[0120]RNA精製のための試薬:QIAGEN QIAampウイルスミニキット(QIAGEN QIAamp Viral Mini Kit)(カタログ#52906、#52904)は、製造者の説明書に従い、全てのGTddPCR変異検出アッセイ(GTddPCR Mutation Detection Assays)での使用を検証する。高品質の精製されたRNAを生成する代替の単離キットは、適合する可能性がある。
【0100】
【0101】
【0102】
[0123]コントロール物質の使用
[0124]プレート毎にNTC(no-template control)の処理を、試薬及び/又は環境の汚染を検出するために行う必要がある。NTCは、廃水から抽出したRNA被検査物の代わりに、RNase/DNaseフリーの水からなる必要がある。
【0103】
[0125]GT-バリアントポジティブコントロールの処理は、任意のバリアント特異的試薬の不具合を検出し、分析(ステップ14~16参照)のときに試料のグリッディングを支援するために行う必要がある。
【0104】
[0126]GT-親ポジティブコントロールの処理は、任意の武漢特異的試薬の不具合を検出し、分析(ステップ14~16参照)のときに試料のグリッディングを支援するために行う必要がある。
【0105】
[0127]GT-ミクスチャ-コントロールの処理は、任意の多重化の不具合を検出し、分析(ステップ14~16参照)のときに試料のグリッディングを支援するために行う必要がある。
【0106】
[0128]プロトコル
[0129]1.抽出したRNA試料(複数可)は、分析前に必ず氷上で保管する。
【0107】
[0130]2.キットの構成要素を室温にする。コントロール物質(RNA)は必ず氷上で解凍する。
【0108】
[0131]3.各構成要素は、短時間ボルテックスして混合し、確実に均一とし、その後、パルス遠心して内容物をチューブの底に集める。
【0109】
[0132]4.ddRT-PCRマスターmixの調製:
a.検査する試料及びコントロールの数に応じてマスターmix(表4)を調製する。
b.マスターmixを短時間ボルテックスし、パルス遠心して内容物をチューブの底に集める。
【0110】
【0111】
[0134]5.13μLのマスターmixを、96ウェルプレートの適切なウェル又はPCRストリップチューブに加える。計画したプレートレイアウトに従って9μL*の抽出したRNA試料を加える。
【0112】
[0135]*別のRNA試料容量を処理できるが、補正水容量を確実に調節する。
【0113】
[0136]6.NTC、GT-バリアントポジティブコントロール、GT親ポジティブコントロール(GTParental Positive Control)、及びGT-ミクスチャ-コントロールは、計画したプレートレイアウトでコントロールのために確保した4つの分離したウェルに9μL加える。
【0114】
[0137]プレート又はPCRチューブは、負荷中、氷上又はプレートクーラー上に置くことが推奨される。
【0115】
[0138]7.製造者の推奨に従って、液滴を生成し、96ウェルddPCRプレートに移す。
【0116】
[0139]8.製造者の推奨に従って、プレートを熱封する。
【0117】
[0140]9.密封した液滴含有プレートを逆転写及びPCR増幅のためにサーマルサイクラーに置き、以下のGT-RTddPCRバリアント検査(GT-RTddPCR Variant Test)の温度サイクリングプロトコル(表5)を実行する。
【0118】
【0119】
[0142]10.温度サイクリングが終了したら、プレートをドロップレットリーダーに移す。
【0120】
[0143]11.クァンタソフト(QuantaSoft)(商標)ソフトウェアを開き、任意のウェルをダブルクリックして、ウェルエディター(Well Editor)を開く。処理に使用したウェルを選択し、以下を選ぶ:
a.実験:ABS
b.スーパーミックス:プローブ用ワンステップRT-ddPCRキット(One-step RT-ddPCR Kit for Probes)
c.標的1の種類:Ch1不明
d.標的2の種類:Ch2不明
【0121】
[0144]12.必要に応じてウェル名及び試料の種類を追加する(任意)。
【0122】
[0145]13.実行をクリックし、テンプレートを保存し、FAM/HEXを選択して、読み取りを開始する。
【0123】
[0146]分析
[0147]14.データを表示するときは、以下の例示データを参照し、GT-Molecular提供の3つのコントロールを用いて、適切な閾値を設定されたい。
a.チャンネル1で測定されるN501Y座位の場合、
i.N501Y変異に陽性な液滴からなる高液滴集団
ii.N501Y座位での親又は親配列に陽性な液滴からなる中間液滴集団
iii.標的を有しない液滴からなる低液滴集団
b.チャンネル2(HEX)で測定されるDel69-70座位の場合、
i.Del69-70変異に陽性な液滴からなる高液滴集団
ii.del69-70座位での親配列に陽性な液滴からなる中間液滴集団
iii.標的を有しない液滴からなる低液滴集団
【0124】
[0148]15.両チャンネルで、陰性液滴集団と、中間の親集団との間の閾値を適用し、csvにエクスポートする。このCSVは、全ての陽性液滴のデータを含む。
【0125】
[0149]16.両チャンネルで、中間の親集団と、上位のB.1.1.7集団との間の閾値を適用し、csvにエクスポートする。このCSVは、両標的に関するB.1.1.7変異体集団液滴のデータを含む。
【0126】
[0150]17.最後に、第2の閾値設定(B.1.1.7変異体集団、ステップ16)でエクスポートしたデータを、(全ての陽性液滴、ステップ15)をエクスポートした第1のデータから差し引いて、武漢/親集団のデータを分離する。
【0127】
[0151]試料及び様々なコントロールを含む例示的なプレートレイアウトを、
図20に示す。
【0128】
[0152]RNAを取り扱うときは、適切な無菌手法を、常に使用する必要がある。試薬、チューブ及びRNA試料を扱うときは、皮膚の表面又は環境中の埃からのRNaseのコンタミネーションを防止するために、パウダーフリーのラテックス、ビニル、又はニトリル手袋を常に着用する。手袋は頻繁に交換し、チューブは常に閉じる。
【0129】
[0153]手順の間は、内因性又は残存RNaseによるRNAの分解を避けるために、迅速に作業し、可能であれば全てをコールドブロック上に置く。作業面、ピペットなどを、核酸及びRNaseを破壊できる20%漂白剤又はその他の溶液を用いて清浄にする。
【0130】
[0154]以下の実施例5~6は、本明細書に記載の方法又はキットを使用する試料の検査を依頼した個人又は団体に伝えることができる例示的な出力検査結果を表している。例えば、検出したバリアントの相対量を提供できる。
【0131】
[0155]
実施例5:試料中の高伝染性SARS-CoV-2バリアント:検出されない
[0156]高伝染性バリアントの定量:B.1.1.7系統のアルファバリアントは、イギリスの一部での症例の憂慮すべき増加の原因となっている。この系統のウイルスは、特に、ヒト細胞に結合して感染を開始するウイルスの部分であるスパイクタンパク質において変異の数が異常に多い。本発明者らは、かかるアルファバリアントの高伝染性を駆動する生物学的効果を有することが以前に記載されている2つの主要な変異を、本発明者らの検査でアルファバリアントに存在する全ての変異を検査する代わりに標的とする。両方のこれらの変異が存在しているということは、アルファバリアント又はおそらく別の関連のまだ規定されていない高伝染性バリアントが地域社会で循環している強力な指標である。
【0132】
[0157]変異:スパイクタンパク質del69-70:スパイクタンパク質のアミノ酸残基69及び70の欠失は、スパイクタンパク質にコンフォメーション変化を引き起こし、ウイルス感染価及びウイルス適応を高めることが見出されている。
【0133】
[0158]バリアント変異が検出されたウイルスのパーセンテージ:0.000%
【0134】
[0159]del69-70の位置での親ウイルスコピー/1リットル廃水:436,105コピー/L
【0135】
[0160]del69-70の位置での変異ウイルスコピー/1リットル廃水:0コピー/L
【0136】
[0161]変異:スパイクタンパク質N501Y:N501Y変異を含むウイルスは、ヒト細胞上に見出される受容体へのより高い親和性を示す(2)。この変異はまた、ベータバリアントにも見出されており、感染価に大きな影響を及ぼし、免疫系の回避に関与している可能性がある(1)。
【0137】
[0162]バリアント変異が検出されたウイルスのパーセンテージ:0.000%
【0138】
[0163]N501Yの位置での親(「wt」)ウイルスコピー/廃水1L:432,650コピー/L
N501Yの位置での変異ウイルスコピー/廃水1L:0コピー/L
【0139】
【0140】
[0165]この例では、高伝染性UKバリアントを含むB.1.1.7高伝染性系統のウイルスを規定する主要な変異を有するウイルス配列は検出されなかった。このことにより、このウイルスが、この時点でこの地域社会で循環している可能性が非常に低いことが示唆される。
【0141】
[0166]
実施例6:試料中の高伝染性SARS-CoV-2バリアント:検出
[0167]高伝染性バリアントの定量:B.1.1.7系統のアルファバリアントは、イギリスの一部での症例の憂慮すべき増加の原因となっている。この系統のウイルスは、特に、ヒト細胞に結合して感染を開始するウイルスの部分であるスパイクタンパク質において変異の数が異常に多い。標的とする2つの主要な変異は、かかるアルファバリアントの高伝染性を駆動する生物学的効果を有することが以前に記載されている。両方のこれらの変異が存在しているということは、アルファバリアント又はおそらく別の関連のまだ規定されていない高伝染性バリアントが地域社会で循環している強力な指標である。
【0142】
[0168]変異:スパイクタンパク質del69-70:スパイクタンパク質のアミノ酸残基69及び70の欠失は、スパイクタンパク質にコンフォメーション変化を引き起こし、ウイルス感染価及びウイルス適応を高めることが見出されている。
【0143】
[0169]バリアント変異が検出されたウイルスのパーセンテージ:4.366%
【0144】
[0170]del69-70の位置での親ウイルスコピー/1リットル廃水:743,749コピー/L
【0145】
[0171]del69-70の位置での変異ウイルスコピー/1リットル廃水:32,475コピー/L
【0146】
[0172]変異:スパイクタンパク質N501Y:N501Y変異を含むウイルスは、ヒト細胞上に見出される受容体へのより高い親和性を示す(2)。この変異はまた、ベータバリアントにも見出されており、感染価に大きな影響を及ぼし、免疫系の回避に関与している可能性がある(1)。
【0147】
[0173]バリアント変異が検出されたウイルスのパーセンテージ:4.332%
【0148】
[0174]N501Yの位置での親(「wt」)ウイルスコピー/廃水1L:728,975コピー/L
【0149】
[0175]N501Yの位置での変異ウイルスコピー/廃水1L:31,580コピー/L
【0150】
【0151】
[0177]試料では、低レベルではあるが、注目すべき変異が両方とも検出された。このことにより、この地域社会内には、B.1.1.7系統の株、又は伝染性の増加を付与すると報告されている変異を含む他の株が存在することが示唆される。
【0152】
[0178]
実施例7:例示的なプライマー及びプローブ
【表8】
【0153】
[0179]廃水を受け入れ、ろ過し、ウイルスを限外ろ過を使用して濃縮する。次いで、RNAを濃縮したウイルスから抽出する。
【0154】
[0180]RNAを濃縮して、次いで、N501Y(Famチャンネル)及びdel69-70(HEXチャンネル)用のGT Molecular 4-plex RT-ddPCRキット(GT Molecular 4-plex RT-ddPCR kit)を使用して4連で分析する。
【0155】
[0181]データは、各チャンネルの野生型及び変異体の濃度を得るために閾値設定し、各ウイルス配列の濃度を、開始廃水濃度(単位=コピー/廃水1L)に対して逆算し、野生型配列と変異体配列との比を計算する。全ての結果は、添付の実施例報告例(陽性及び陰性1つ)にまとめられている。
【0156】
[0182]キット構成:
[0183]このキットは、各試料に対して1ウェルを処理するだけでよい。
【0157】
[0184]単一のウェルでの分析は、2つの主要なB.1.1.7変異(del69-70及びN501Y)に対して、親(「wt」)測定値及びB.1.1.7バリアント測定値(コピー/μL)が返される。
【0158】
[0185]キットの構成要素:
[0186]GT-4-plexプライマー-プローブ溶液*
【0159】
【0160】
[0187]GT-バリアントポジティブコントロール**
[0188]約60コピー/μLに配合された合成B.1.1.7ウイルスRNAからなる。
[0189]GT-親ポジティブコントロール**
[0190]約60コピー/μLに配合された合成親ウイルスRNAからなる。
[0191]GT-バリアント-親Mix-コントロール(GT-Variant-Parental Mix-Control)**
[0192]約60コピー/μLに配合された合成親ウイルスRNA、及び約60コピー/μLに配合された合成B.1.1.7ウイルスRNAからなる。
【0161】
[0193]
実施例8:Bio-Rad QX200 ddPCR(登録商標)プラットフォーム用のdPCRデルタ-オミクロンバリアント変異シグネチャアッセイ
[0194]本明細書で提供される方法及びアッセイは、BioRad QX200ドロップレットデジタル(Droplet Digital)(商標)システムを含む利用可能なdPCRプラットフォームで使用できる。例えば、www.gtmolecular.com/store-1/p/gt-rt-qpcr-sars-cov-2-variants-of-concern-mutational-signature-assay-kit-5nhg2-j28ng-nesm4-8548x-8arb9-rmf7hを参照されたい。GT RT-dPCRデルタ-オミクロンバリアント変異シグネチャアッセイキット(QX200用)(GT RT-dPCR Delta-Omicron Variant Mutational Signature Assay Kit(for QX200))は、SARS-CoV-2のデルタ(B.1.617.2)及びオミクロン(B.1.1.529)バリアントに関連するS遺伝子変異を検出するためのプライマー、プローブ、及びコントロールの全てを含む分子試薬キットである。この検査は、上記の系統間に存在する全ての変異を定量するものではないが、デルタ(L452R;T478K)及びオミクロン(N679K;Q954H)バリアントに関連する主要な識別変異を標的とする。キットは、1つのオールインワンのプライマープローブ溶液と、親、デルタ、及びオミクロンバリアントのS遺伝子配列に対応するGISAIDアクセッション番号に由来する定性的コントロール配列とを含む。
【0162】
[0195]
実施例9:Bio-Rad QX200 ddPCR(登録商標)プラットフォーム用のRT-qPCR SARS-CoV-2、デルタ-オミクロンバリアント変異シグネチャアッセイ
[0196]本明細書で提供される方法及びアッセイは、PBNJを用いるものを含む利用可能なRT-qPCRプラットフォームで使用できる。例えば、RT-qPCR、SARS-CoV-2デルタ-オミクロン変異シグネチャアッセイキット(RT-qPCR,SARS-CoV-2 Delta-Omicron Mutational Signature Assay Kit)を記載しているwww.gtmolecular.com/store-1/p/gt-rt-qpcr-sars-cov-2-variants-of-concern-mutational-signature-assay-kit-5nhg2-j28ng-nesm4-8548x-8arb9-rmf7hを参照されたい。アッセイキットは、デルタ(インドのB.1.617.2)及びオミクロン(BA.1、BA.2、BA.3)バリアントのスパイクタンパク質遺伝子内のシグネチャ変異を検出するためのプライマー、プローブ、及びコントロールの全てを含む。この検査は、これらのウイルスのバリアントに存在する全ての変異を標的とするものではないが、デルタ(L452R及びT478K)及びオミクロン(N679K及びQ954H)バリアントに関連するスパイクタンパク質アミノ酸に対応するバリアント関連ゲノム配列を標的とする。キットは、検証したGT-4-plex(L452R、T478K、N769K、Q954H)プライマープローブ溶液と、検証した定量アッセイスタンダード:GT-親(親)スタンダード、GT-デルタスタンダード、及びGT-オミクロンスタンダードとを含む。
【0163】
[0197]これらの例は、本明細書で提供される方法及びキットが、デジタル及び定量的リアルタイムPCRの両方に適合することを更に示す。RT-qPCRは、ある特定の配列への無差別プローブのハイブリダイゼーションを制限するために、PBNJと共に使用することが好ましく、これにより、配列間の識別が更に強化される。
【0164】
[0198]さらに、SNP部位に位置するLNAを有するプローブは、特異性を劇的に増加させる(例えば、
図19を参照)。プローブはまた、ウイルス(例えば、SARS-CoV-2)のSNPだけではなく、癌に関連する癌遺伝子SNP(例えば、KRAS G12C変異)を識別するにも役立ち、これには、PBNJ(promiscuity-blocking nucleotide juror)オリゴヌクレオチドの使用も含まれる。例えば、
図16~18を参照されたい。2021年10月25日に提出された「OFF-TARGET BLOCKING SEQUENCES TO IMPROVE TARGET DISCRIMINATION BY POLYMERASE CHAIN REACTION」という題の米国特許出願公開第63/271,522号(Atty Ref.339033:97-21P US)も参照されたい(これは具体的に参照により本明細書に組み込まれる)。
図16は、PBNJ(promiscuity-blocking nucleotide juror)オリゴヌクレオチドのプローブに対する用量反応を例示するが、これは、KRAS G12配列のKRAS 12Cの非特異的検出を完全に阻害するのに必要とされるPBNJの濃度を求めるためのものである。4×~8×PBNJ:プローブ比により、KRAS G12配列の非特異的検出が完全に阻害される。したがって、本明細書で提供される任意の方法及びキットは、非特異的増幅及び/又は検出を更に減少させるためにPBNJと共に使用できる。
【0165】
[0199]
図17では、PBNJは、PBNJ濃度とは独立している変異体配列の濃度で、オンターゲット検出を変化させないことが例示される。
図18では、8×PBNJは、非特異的増幅を完全に除去することが例示される。
【0166】
[0200]
実施例10:癌変異
[0201]オリゴヌクレオチドは、ここに開示する方法及びキットで癌変異を検出するために設計する。
図10では、BRAF600;KRAS、P53;EGFRのうちの1つ又は複数を含む、癌遺伝子変異を検出するためのプローブ及びプライマーが示される。
【0167】
【0168】
[0202]
実施例11:単一プローブでの多重化
[0203]本明細書に記載のプラットフォームはまた、1つの無差別プローブを用いて3つの標的を検出するのにも適用可能である。アッセイは、親、アルファバリアント(親及びアルファバリアントは、417及び484座位で同じ配列を含んでいるので、一緒のグループとなる)、ベータバリアント、及びガンマバリアントを識別できる。
【0169】
[0204]
図14~15は、K417N/T及びE484Kのためのものを含む、本明細書に記載の無差別プローブ及び関連するデジタルPCRを使用して開発されたアッセイを例示する。この例では、アッセイは、以前の懸念されるバリアントを含むSARS-CoV-2バリアントの417アミノ酸座位に対応する3つのヌクレオチドの差異を検出する。同様に、本明細書で提供されるプラットフォームは、懸念されるバリアントに関連する無差別プローブ及びプライマーの選択によって、将来生じる懸念されるバリアントを検出するのに有用である。表11は、
図14及び15にまとめられたアッセイに使用されるプローブ及びプライマーの配列を提供する。特に、上記アッセイは、親、アルファ、ベータ、又はガンマバリアントから、417T、K417、417N、E484、又は484Kを検出及び定量することを可能とする。
【0170】
【0171】
[参照による組み込み及び変更に関する記述]
[0206]本出願全体にわたる全ての参考文献、例えば、発行若しくは付与された特許又は同等物を含む特許文献;特許出願公開;及び非特許文書文献又は他の出典資料は、ここで、各参考文献が、少なくとも部分的に本出願の開示と矛盾しない限り個々に参照により組み込まれる(例えば、部分的に矛盾する参考文献は、参考文献の部分的に矛盾する部分を除いて参照により組み込まれる)ように、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0172】
[0207]本明細書で採用された用語及び表現は、限定ではなく説明の用語として使用されるものであり、かかる用語及び表現の使用において、示され説明された特徴又はその部分の任意の等価物を排除する意図はないが、しかし、請求された本発明の範囲内で様々な修飾が可能であることが認識される。したがって、本発明は、好ましい態様、例示的態様、及び任意の特徴によって具体的に開示されているが、本明細書に開示された概念の修飾及び変更は、当業者によって利用され得、また、そのようなかかる修飾及び変更は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内にあると考えられることを理解されたい。本明細書で提供される特定の態様は、本発明の有用な態様の例であり、本発明は、本説明に記述されている器具、器具の構成要素、方法ステップの多数の変更を用いて実施され得ることは、当業者には明らかであろう。当業者には明らかなように、本発明の方法に有用な方法及び器具は、多数の任意の構成並びに処理要素及びステップを含み得る。
【0173】
[0208]本明細書で言及する全ての特許及び刊行物は、本発明が関係する技術分野の当業者のレベルを示すものである。本明細書で引用される参考文献は、その公開日又は提出日の技術水準を示すために、その全体が参照により本明細書に組み込まれ、この情報は、必要に応じて本明細書で採用されて、先行技術にある特定の態様を除外できることが意図される。例えば、組成物が特許請求される場合、本明細書で引用される参考文献において実施可能な開示が提供される化合物を含む、出願人の発明以前の当技術分野において知られ利用可能な化合物は、本明細書の組成物の請求項に含まれることが意図されていないことを理解されたい。
【0174】
[0209]本明細書で使用する場合、「を含む(comprising)」は、「を含む(including)」、「を含む(containing)」、又は「によって特徴づけられる(characterized by)」と同義であり、包括的又はオープンエンドであり、追加の列挙されていない要素又は方法ステップを除外しない。本明細書で使用する場合、「からなる(consisting of)」は、請求項の要素に明示されていないあらゆる要素、ステップ、又は成分を除外する。本明細書で使用する場合、「から本質的になる(consisting essentially of)」は、請求項の基本的かつ新規な特性に重大な影響を与えない物質又はステップを除外しない。本明細書における各例において、用語「を含む(comprising)」、「から本質的になる(consisting essentially of)」及び「からなる(consisting of)」のいずれも他の2つの用語のいずれかに置き換えることができる。本明細書において例示的に記載される本発明は、本明細書で具体的に開示されない任意の要素又は複数の要素、制限又は複数の制限が存在しない場合に適切に実施できる。
【0175】
[0210]別段の説明がない限り、本明細書で使用される全ての専門及び科学用語は、開示される開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。単数形の用語「a」、「an」、及び「the」は、文脈上明確に別段の指示がない限り、複数の指示対象が含まれる。同様に、単語「又は(or)」は、文脈上明確に別段の指示がない限り、「及び(and)」が含まれることが意図されている。「を含む(comprising)」は、「を含む(including)」を意味する;したがって、「A又はBを含む(comprising A or B)」は、「Aを含む(including A)」又は「Bを含む(including B)」又は「A又はBを含む(including A and B)」を意味する。本明細書で引用される参考文献の全ては、参照により組み込まれる。
【0176】
[0211]当業者であれば、特に例示したもの以外の出発材料、生物学的物質、試薬、合成方法、精製方法、分析方法、アッセイ方法、及び生物学的方法を、過度の実験に頼ることなく本発明の実施に採用できることを理解するであろう。全ての当技術分野で知られている任意のかかる物質及び方法の機能的等価物は、本発明に含まれることが意図される。採用された用語及び表現は、限定ではなく説明の用語として使用されるものであり、かかる用語及び表現の使用において、示され説明された特徴又はその部分の任意の等価物を排除する意図はないが、しかし、請求された本発明の範囲内で様々な修飾が可能であることが認識される。したがって、本発明は、好ましい態様及び任意の特徴によって具体的に開示されているが、本明細書に開示された概念の修飾及び変更は、当業者によって利用され得、また、そのようなかかる修飾及び変更は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内にあると考えられることを理解されたい。
【0177】
[参考文献]
[1]Rambaut, Loman, Pybus, et al., Preliminary genomic characterisation of an emergent SARS-CoV-2 lineage in the UK defined by a novel set of spike mutations. https://www.cogsconsortium.uk
[2]Kemp. SA, Havery, WT, Datir, RP, et al., Recurrent emergence and transmission of a SARS-CoV-2 Spike Deletion H69/V70., medRxiv
【0178】
【配列表】
【国際調査報告】