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  • 特表-寄生虫駆除物質のディスペンサー 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-05
(54)【発明の名称】寄生虫駆除物質のディスペンサー
(51)【国際特許分類】
   A01M 1/00 20060101AFI20240227BHJP
【FI】
A01M1/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553435
(86)(22)【出願日】2022-03-09
(85)【翻訳文提出日】2023-10-30
(86)【国際出願番号】 IT2022050047
(87)【国際公開番号】W WO2022190152
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】102021000005414
(32)【優先日】2021-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523332138
【氏名又は名称】モスカイプ エス.アール.エル.
【氏名又は名称原語表記】MOSKYP S.R.L.
【住所又は居所原語表記】Via Vincenzo Muccioli, 7, 47921 RIMINI (RN) (IT)
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ビザッチョーニ, アンドレーア
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA11
2B121CA02
2B121CA16
2B121EA21
2B121FA13
2B121FA15
(57)【要約】
寄生虫駆除物質のディスペンサーは、寄生虫駆除物質を収容する少なくとも1つのタンク(6)を含み、前記タンクは、前記寄生虫駆除物質を放出する排出装置(20)に通じており、前記寄生虫駆除物質の充填、及び温度上昇による前記寄生虫駆除物質の排出に適する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
寄生虫駆除物質を収容する少なくとも1つのタンク(6)を含み、前記タンク(6)は、前記寄生虫駆除物質を放出する排出装置(20)に通じており、前記寄生虫駆除物質の充填、及び温度上昇による前記寄生虫駆除物質の排出に適する、ことを特徴とする寄生虫駆除物質のディスペンサー。
【請求項2】
前記排出装置(20)は、前記寄生虫駆除物質を通過させる開口部(16)により前記タンク(6)と連通する加圧室(14)を含み、前記加圧室(14)には、前記開口部(16)を閉塞する閉塞手段(15)と、下端(14a)に位置する逆流防止弁(13)とが設けられ、前記寄生虫駆除物質は、前記下端(14a)から放出される、ことを特徴とする請求項1に記載のディスペンサー。
【請求項3】
前記閉塞手段(15)は、前記寄生虫駆除物質よりも密度が低い小球(15a)を含む、ことを特徴とする請求項2に記載のディスペンサー。
【請求項4】
膨張性流体を収容する第2タンク(2)を含み、前記第2タンク(2)は、前記寄生虫駆除物質を収容するタンク(6)の上流に配置され、下孔(21)と、前記孔(21)内を摺動可能な剛性ピストン(3)と、前記流体の膨張による前記ピストン(3)の下降に対抗し、その戻り上昇を補助するのに適したスプリング(9)とが設けられ、前記寄生虫駆除物質を放出する排出装置(20)は、前記ピストン(3)の移動によって動作するようになっている、ことを特徴とする請求項1に記載の寄生虫駆除物質のディスペンサー。
【請求項5】
前記タンク(6)は、液体寄生虫駆除物質を収容し、前記排出装置(20)は、前記寄生虫駆除物質用の加圧室(14)を含み、前記加圧室(14)の下端(14a)に逆流防止弁(13)が設けられ、前記液体は、前記逆流防止弁(13)から放出される、ことを特徴とする請求項4に記載のディスペンサー。
【請求項6】
前記タンク(6)は、固体寄生虫駆除物質を収容し、前記排出装置(20)は、前記寄生虫駆除物質を摩擦により粉砕して下方の面に堆積させるように、溝付きの円錐形リング(33)と、前記円錐形リング(33)と同軸の螺旋面(34)と、穿孔された格子(35)とによって形成されたペッパーミル機構(30)を含む、ことを特徴とする請求項4に記載のディスペンサー。
【請求項7】
前記ピストン(3)は、ねじ部(3a)を含み、前記ねじ部(3a)は、前記ピストン(3)の移動の結果として前記螺旋面(34)を回転させるのに適し、前記螺旋面(34)は、支持体(36)に固定され、支持体(36)は、前記ピストン(3)のねじ部(3a)に合わせてねじ加工されている、ことを特徴とする請求項6に記載のディスペンサー。
【請求項8】
前記タンク(6)は、少なくとも1つの壁の可動部(61)を含み、前記壁の可動部は、移動して前記寄生虫駆除物質の補給を可能にするのに適する、ことを特徴とする請求項1又は4に記載のディスペンサー。
【請求項9】
前記壁の可動部(61)は、弾性要素(62)の作用下で前記タンク(6)の閉位置に戻るように、前記弾性要素(62)の上に載っている、ことを特徴とする請求項8に記載のディスペンサー。
【請求項10】
前記ピストン(3)は、前記寄生虫駆除液体が通過する内部流路(31)と、前記寄生虫駆除液体が放出中に前記加圧室(14)へ流入することを防止するのに適した前記流路(31)の閉塞手段(32)とを含む、ことを特徴とする請求項5に記載のディスペンサー。
【請求項11】
前記流路(31)の閉塞手段(32)は、前記殺幼虫液体よりも密度が低い球(32a)を含み、前記球(32a)は、前記流路(31)の端伸長部に形成された円錐台形状の空洞(31a)に適合する寸法を有する、ことを特徴とする請求項10に記載のディスペンサー。
【請求項12】
前記タンク(6)に適用され、前記タンク(6)内の負圧を防止するのに適した制御弁(4)を含む、ことを特徴とする請求項4に記載のディスペンサー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寄生虫駆除物質のディスペンサーに関する。
【背景技術】
【0002】
該ディスペンサーは、蚊及び他の害虫の駆除に用いられる装置の分野に含まれ、(成虫に対する)成虫駆除と、(幼虫、特に蚊の幼虫に対する)幼虫駆除との二重の作用を果たし、したがって抑制と予防の両方の効果がある。
【0003】
このような昆虫の存在によって、公園、庭及び屋外空間の使用ができなくなる場合があるので、快適性を保つために、また保健衛生上の理由から、開放環境(ひいては都市環境)の昆虫駆除が必要である。
【0004】
特に、東南アジアから飛来する蚊、いわゆる「ヒトスジシマカ」の存在が恒常化した2000年代初頭にかけて、欧州では大量かつ定期的な昆虫駆除又は類似の処理を実行する必要性が高まった。実際に、このような蚊は日中も活動し、攻撃性が極めて高く、かつアレルギー又は脳炎もしくはマラリアなどのより重度の病気を伝染させる病原体の媒介生物であるため、一般的なタイプよりも危険である。
【0005】
関連する保健衛生の側面から、蚊の駆除の問題は公共機関の責任となっており、公共機関は効果的かつ効率的なシステムを常に模索して実践し、市民に提案する。
【0006】
蚊の駆除に最適なツールを評価する場合、有効性に加えて考慮すべき主な側面は、周期的に循環処理に介入する必要性、用いる解決手段の安価性、及びその解決手段による環境への影響の制限として特定される。
【0007】
既存の各種寄生虫駆除処理に共通する特徴は、蚊の出現の問題が、季節ごとに発生するため、循環的に実行する必要があること、そして、大雨などの天気事象がその有効性を損なう可能性があるため、各季節サイクルに複数回繰り返す必要があることである。これにより、この活動に専念する操作者は長期間にわたって実質的に連続して作業し、その結果、公共機関が負担するコストが非常に高くなる。
【0008】
蚊の駆除の更なる問題のある側面は、環境への影響である。一般市民も専門企業も、環境及び人間の健康に有害な物質を使用することが多く、それらの物質の一部は適切に標的を絞らず効果的ではない方式で環境中に「分散」しているからである
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明は、上記欠点を解消することを目的とする。
【0010】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、そのような昆虫が発生する主な場所が排水管と大きな雨水管である都市環境において、蚊の駆除の問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
特許請求の範囲を特徴とする本発明は、温度変化によって作動する装置により、上記目的を達成する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によって得られる主な利点は、基本的には、操作者が介入することなく、幼虫の濃度が最も高いと想定される場所を標的として寄生虫駆除物質の放出を行うことである。
【0013】
また、本発明の有効性を延長するためには、定期的に、いずれの場合でも数カ月ごとに寄生虫駆除物質を補給すれば十分である。
【0014】
その結果、大幅な節約、及び寄生虫駆除物質が環境及び人に与え得る環境影響の最小化を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明の更なる利点及び特徴は、添付図面を参照して、実施例及び非限定的な実施形態を示す以下の詳細な説明からより明らかになる。
【0016】
図1図1は、本発明の第1実施形態の組立斜視図である。
図2図2は、図1の発明を示す縦断面斜視図である。
図3図3は、動作状態にある本発明の詳細を示す図である。
図4図4は、動作順序に係る図3の詳細を示す第1の図である。
図5図5は、動作順序に係る図3の詳細を示す第2の図である。
図6図6は、動作順序に係る図3の詳細を示す第3の図である。
図7図7は、本発明の詳細の別バージョンを示す縦断面図である。
図8図8は、さらに本発明の詳細の別バージョンを示す縦断面図である。
図9図9は、本発明の第2実施形態を示す組立斜視図である。
図10図10は、本発明の第2実施形態を示す縦断面斜視図である。
図11図11は、本発明の基本バージョンを示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図から分かるように、本発明は、寄生虫駆除物質のディスペンサーに関する。
【0018】
使用される寄生虫駆除物質及びその特徴、例えば温度変化による膨張、もしくはそれが液体又は固体であるという事実によって、様々な方法で製造することができ、いずれの場合でもディスペンサー10の動作は、常に温度上昇によるものである。
【0019】
図11は、寄生虫駆除物質が著しく膨張可能である場合に実施可能な第1実施形態を示す。
【0020】
該実施形態は、タンク6の使用を含み、タンク6は、寄生虫駆除物質(好ましくは、液体であるが、固体であっても気体であってもよい)を収容し、寄生虫駆除物質を放出する排出装置20に通じており、温度上昇による寄生虫駆除物質の膨張によって動作する。寄生虫駆除物質は、温度変化により体積が変化しやすいため、温度変化は、ディスペンサー10の動作の原因となる。
【0021】
図11に示すように、この場合、排出装置20は、開口部16によりタンク6と連通する加圧室14を含み、加圧室14には、開口部16を閉塞する閉塞手段15が設けられ、加圧室14の下端14aに逆流防止弁13が設けられ、寄生虫駆除物質は、逆流防止弁13から放出される。
【0022】
加圧室14は、タンク6と加圧室14とを連通させる開口部16によって重力により徐々に寄生虫駆除物質で充填され、加圧室14が満杯になった場合、閉塞手段15(示される実施例では、寄生虫駆除物質よりも密度が低い小球15aの形態である)は、開口部16を閉塞して、寄生虫駆除物質の通過を遮断する。この状態で温度が上昇すると、寄生虫駆除物質は、体積が増加し、その一部が逆流防止弁13から放出され、そして、温度が低下して寄生虫駆除物質の占有空間が少なくなると、小球15aは、開口部16から離れて加圧室14の再充填を可能にする。
【0023】
図11は、また、反対の方向に配向する2つの制御弁4を示し、該制御弁4は、タンク6の内部の負圧の生成を防止し、かつタンク6が水に浸される場合にタンク6を隔離するために、タンク6と外部を連通させる。
【0024】
寄生虫駆除物質が著しく膨張可能でない場合は、ディスペンサー10に第2タンク2を設ける必要があり、第2タンク2は、寄生虫駆除物質を収容するタンク6の上流に配置され、温度上昇による推進作用を提供するのに適した物質を収容する。
【0025】
この場合、図1図10に示すように、ディスペンサー10は、膨張性流体を収容する第2タンク2を含み、第2タンク2は、下孔21と、孔21内を摺動可能な剛性ピストン3と、流体の膨張によるピストン3の下降に対抗し、流体の体積が減少するときにその戻り上昇を補助するのに適したスプリング9とが設けられ、ディスペンサー10は、寄生虫駆除物質を収容するタンク6を含み、タンク6は、寄生虫駆除物質を放出し、ピストン3の移動によって動作する排出装置20に通じている。流体は、温度変化により体積が変化しやすいため、この場合も温度変化がディスペンサー10の動作の原因となる。
【0026】
図面は、寄生虫駆除物質が液体状態であるか固体状態であるかに応じて、ディスペンサー10の2つの異なる実施形態を示し、特に、図1図8は、ディスペンサー10の第1バージョンに関し、図9及び図10は、第2バージョンに関する。
【0027】
タンク6が液体寄生虫駆除物質を収容する場合、排出装置20は、寄生虫駆除物質用の加圧室14を含み、加圧室14の下端14aに逆流防止弁13が設けられ、液体は、逆流防止弁13から放出される。図3図6に示す順序は、流体の体積が温度上昇により増加した場合、ピストン3が下方に押し下げられ、加圧室14内を前進し、加圧室14を用いて、ピストン3に対して径方向及び軸方向の両方に所定の隙間を有するシールリング11を引き、寄生虫駆除液体を放出させる方法を示す。そして、再び温度が低下し始めた場合、流体の体積が減少し、スプリング9の作用によりピストン3の一部が再び上昇して、シールリング11との間に空間12が形成され、空間12は、重力の作用と減圧の作用の両方により、寄生虫駆除液体を加圧室14に徐々に充填することを可能にする。
【0028】
或いは、図7及び図8に示すように、ピストン3は、寄生虫駆除液体が通過する内部流路31と、寄生虫駆除液体が放出中に加圧室14へ流入することを防止するのに適した流路31の閉塞手段32とを含む。示される実施形態において、流路31の閉塞手段32は、殺幼虫液体よりも密度が低い球32aを含み、球32aは、流路31の円錐台形状の空洞31aを有する末端部に適合する寸法を有する。
【0029】
タンク6が固体寄生虫駆除物質を収容する場合、排出装置20は、図9及び図10に見られるように、寄生虫駆除物質を摩擦により粉砕して下方の面に堆積させるように、溝付きの円錐形リング33と、円錐形リング33と同軸の螺旋面34と、穿孔された格子35とによって形成されたペッパーミル機構30を含む。この場合に、ピストン3は、螺旋面34が固定された支持体36に合わせてねじ加工されたねじ部3aを含む。これにより、ピストン3の縦方向の移動により、螺旋面34を回転させ、螺旋面34を円錐形リング33に擦り付けて、寄生虫駆除物質を粉砕する。
【0030】
いずれの場合でも、第2タンク2の有無、寄生虫駆除物質が液体状態であるか固定状態であるかにかかわらず、タンク6は、少なくとも1つの壁の可動部61を含み、該壁の可動部は、移動して寄生虫駆除物質の補給を可能にするのに適する。図1及び図9に示される実施例では、壁の可動部61は、補給を実行する操作者の圧力に負けて弾性要素62の作用下で初期位置に戻るように、弾性要素62の上に載っている。また、第2タンク2が存在する場合であっても、寄生虫駆除物質を収容するタンク6内部の負圧を防止し、かつタンク6への水などの浸入を防止するように、少なくとも1つの制御弁4を、タンク6に適用することが好適である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】