(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-05
(54)【発明の名称】エクスビボの臓器ケア用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 38/02 20060101AFI20240227BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20240227BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20240227BHJP
C07K 14/475 20060101ALI20240227BHJP
C07K 14/52 20060101ALI20240227BHJP
C07K 14/50 20060101ALI20240227BHJP
C07K 14/62 20060101ALI20240227BHJP
C07K 14/54 20060101ALI20240227BHJP
C12N 5/0735 20100101ALI20240227BHJP
C12N 5/0775 20100101ALI20240227BHJP
C12N 5/0797 20100101ALI20240227BHJP
C12N 5/0789 20100101ALI20240227BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20240227BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240227BHJP
A61K 38/19 20060101ALI20240227BHJP
A61K 38/18 20060101ALI20240227BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20240227BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20240227BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240227BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240227BHJP
A61K 38/16 20060101ALI20240227BHJP
A61L 27/36 20060101ALI20240227BHJP
A61L 27/38 20060101ALI20240227BHJP
A01N 1/02 20060101ALI20240227BHJP
C12N 15/62 20060101ALN20240227BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20240227BHJP
C12N 15/12 20060101ALN20240227BHJP
【FI】
A61K38/02
C07K16/28 ZNA
C07K19/00
C07K14/475
C07K14/52
C07K14/50
C07K14/62
C07K14/54
C12N5/0735
C12N5/0775
C12N5/0797
C12N5/0789
A61P31/00
A61P43/00 121
A61K38/19
A61K38/18
A61P43/00 105
A61K47/02
A61K47/18
A61K47/26
A61K9/08
A61K38/16
A61L27/36 400
A61L27/38 300
A01N1/02
C12N15/62 Z
C12N15/13
C12N15/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553525
(86)(22)【出願日】2022-03-03
(85)【翻訳文提出日】2023-10-05
(86)【国際出願番号】 EP2022055399
(87)【国際公開番号】W WO2022184825
(87)【国際公開日】2022-09-09
(32)【優先日】2021-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523334442
【氏名又は名称】シンクリノ エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ロゼンキルド,メッテ マリー
(72)【発明者】
【氏名】ジェプセン,マッズ グラヴァーズ
(72)【発明者】
【氏名】クレダル,トーマス エヌ.
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C081
4C084
4H011
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AC14
4B065CA44
4C076AA12
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4C076CC31
4C076DD25Z
4C076DD26Z
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4C076DD66
4C076DD67
4C076FF61
4C081AB11
4C081AB31
4C081BA12
4C081BA14
4C081CD34
4C084AA01
4C084AA02
4C084AA03
4C084BA02
4C084BA08
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4C084DA01
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4C084NA14
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4H011BB06
4H011BB08
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4H011DH11
4H045AA10
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4H045BA09
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045EA50
4H045FA74
(57)【要約】
水性媒体中に融合タンパク質を含む組成物が提供される。融合タンパク質は、細胞上に発現された受容体に結合し、その細胞を殺傷することができる。水性媒体は、移植前のエクスビボの臓器、組織、及び/または幹細胞培養物の処理を可能にする1つ以上の成分を含む。したがって、組成物は、エクスビボの臓器、組織、および/または幹細胞培養物中の病原体によって引き起こされる感染の予防または治療に有用である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移植前のエクスビボの臓器、組織、及び/または幹細胞培養物における病原体による感染を予防または治療するための組成物であって、前記組成物は、水性媒体中に:
以下を含む融合タンパク質を含み:
iii. 病原体によってコードされる受容体など、細胞上に発現する少なくとも1つの受容体に結合する第1のペプチド;
iv. アミノ酸配列ArgX1X2Argを有する切断部位を含む第2のペプチド、
X2はArgまたはLysであり、第2のペプチドは毒素を含み、
前記水性媒体は以下の1つ以上をさらに含む前記組成物:
i. 緩衝成分;
ii. アミノ酸;
iii. 炭水化物;または
iv. 増殖因子またはサイトカイン。
【請求項2】
前記融合タンパク質が、以下を含むかそれらからなる、請求項1に記載の組成物:
a. 配列番号6のアミノ酸配列;
b. 配列番号6のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性、より好ましくは配列番号6に対して少なくとも85%、もしくは90%の配列同一性、最も好ましくは、配列番号6に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むかそれからなる配列番号6のバリアント;及び/または
c. 380、400、もしくは420を超えるアミノ酸長など、360を超えるアミノ酸長である配列番号6の断片、または配列番号6のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性、より好ましくは配列番号6に対して少なくとも85%、もしくは90%の配列同一性、最も好ましくは、配列番号6に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、もしくは99%の同一性を有するそのバリアント。
【請求項3】
前記融合タンパク質が、病原体に感染された細胞、例えば、病原体に潜伏感染された細胞を殺傷する、先行請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項4】
前記緩衝成分が、重炭酸緩衝液(HCO
3
-/CO
2)、アンモニウム緩衝液(NH
3/NH
4
+)、リン酸緩衝液(H
2PO
4
-/HPO
4
2-)、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)、3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、及び2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)からなる群から選択される1つ以上の緩衝成分である、先行請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記アミノ酸が、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、及びバリンからなる群から選択される1つ以上のアミノ酸である、先行請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記炭水化物が、単糖、二糖、オリゴ糖、または多糖などの糖、及び糖アルコールからなる群から選択される1つまたは複数の炭水化物である、先行請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記増殖因子またはサイトカインが、トロンボポエチン、インスリン、線維芽細胞増殖因子1、ヒト幹細胞因子、IL-3、IL-6、Flt-3リガンド及び顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)からなる群から選択される1つ以上の増殖因子またはサイトカインである、先行請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記水性媒体が、以下からなる群から選択される1つ以上のさらなる成分をさらに含む、先行請求項のいずれか1項に記載の組成物:
i. ビタミン;
ii. 電解質;
iii. OAC1などの転写因子;
iv. フォルスコリンなどのジテルペン;
v. 低密度リポタンパク質;
vi. 心臓刺激剤;
vii. 免疫抑制剤;
viii. ウシ血清アルブミン(BSA)またはヒト血清アルブミン(HAS)などの血清アルブミン;
ix. 未分画ヘパリンなどのヘパリン;
x. ヒトトランスフェリン;
xi. ペンタフラクション;
xii. 2-メルカプトエタノール;
xiii. グルタチオン;
xiv. ラクトビオン酸;
xv. グルタミン酸;
xvi. アロプリノール;
xvii. アデノシン;
xviii. アデニン;
xix. ヒドロキシエチルデンプン;
xx. パーフルオロカーボン;
xxi. ポリエチレングリコール修飾スーパーオキシドジスムターゼ(PEG修飾SOD);
xxii. デキサメタゾン;
xxiii. 酢酸リジン;
xxiv. コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム;
xxv. CHIR99021;
xxvi. 抗ウイルス剤;
xxvii. 抗生剤;
xxviii. グルココルチコイド;
xxix. 抗凝固剤;
xxx. プロスタグランジン。
【請求項9】
前記電解質が、カルシウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩、塩化物塩、硫酸塩、及びリン酸塩からなる群から選択される1つ以上の電解質である、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記心臓刺激薬が、カテコールアミン、ペプチド、ポリペプチド、β1/β2アドレナリン受容体遮断薬、ブプリナロール、ピンドロール、アルプレノロール、強心配糖体、ジギタリス、パルストリン、フェルラ酸、及びエピネフリンからなる群から選択される1つ以上の心臓刺激薬である、請求項8に記載の組成物。
【請求項11】
前記抗ウイルス剤が、バルガンシクロビル、ガンシクロビル、シドフォビル、レフルノミド、プレビミス、マリバビル、及びブリンシドフォビルからなる群から選択される、請求項8に記載の組成物。
【請求項12】
前記水性媒体が以下を含む、先行請求項のいずれか1項に記載の組成物:
- カテコールアミン、ペプチド、ポリペプチド、β1/β2アドレナリン受容体遮断薬、ブプリナロール、ピンドロール、アルプレノロール、強心配糖体、ジギタリス、パルストリン、フェルラ酸、及びエピネフリンからなる群から選択される1つ以上の心臓刺激薬;
- アスパラギン、グルタミン、及びシステインを含まない、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、及びリジンからなる群から選択される複数のアミノ酸;
- 任意選択で、アデノシン、インスリン、免疫抑制剤、マルチビタミン組成物、及び/またはカルシウムなどの1つ以上の電解質。
【請求項13】
前記水性媒体が以下を含む、先行請求項のいずれか1項に記載の組成物:
- マンニトール;
- 塩化ナトリウム;
- 塩化カリウム;
- 硫酸マグネシウム七水和物;
- グリセロリン酸ナトリウム。
【請求項14】
前記水性媒体が以下を含む、先行請求項のいずれか1項に記載の組成物:
- アデノシン;
- 塩化カルシウム脱水物;
- グリシン;
- L-アラニン;
- L-アルギニン;
- L-アスパラギン酸;
- L-グルタミン酸;
- L-ヒスチジン;
- L-イソロイシン;
- L-ロイシン;
- L-メチオニン;
- L-フェニルアラニン;
- L-プロリン;
- L-セリン;
- L-トレオニン;
- L-トリプトファン;
- L-チロシン;
- L-バリン;
- 酢酸リジン;
- 硫酸マグネシウム七水和物;
- 塩化カリウム;
- 塩化ナトリウム;
- デキストロース;
- エピネフリン;
- インスリン;
- 1つ以上のビタミン;
- コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム;
- 重炭酸ナトリウム;
- マンニトール;
- グリセロリン酸ナトリウム。
【請求項15】
前記水性媒体が以下を含む、先行請求項のいずれか1項に記載の組成物:
- デキストラン;
- グルコース一水和物;
- 硫酸マグネシウム七水和物;
- 塩化カリウム;
- 塩化ナトリウム;
- 二塩基性リン酸ナトリウム二水和物;
- リン酸一カリウム。
【請求項16】
前記水性媒体が以下を含む、先行請求項のいずれか1項に記載の組成物:
- デキストラン;
- Na
+;
- K
+;
- Mg
2+;
- Cl
-;
- SO4
2-;
- H
2PO
4
-;
- グルコース。
【請求項17】
前記水性媒体が以下を含む、先行請求項のいずれか1項に記載の組成物:
- ナトリウム;
- カリウム;
- マグネシウム;
- カルシウム;
- ケトグルタレート/グルタミン酸;
- ヒスチジン;
- マンニトール;
- トリプトファン。
【請求項18】
前記水性媒体が以下を含む、先行請求項のいずれか1項に記載の組成物:
- グルタチオン;
- マンニトール;
- ラクトビオン酸;
- グルタミン酸;
- 水酸化ナトリウム;
- 塩化カルシウム二水和物;
- 塩化カリウム;
- 塩化マグネシウム六水和物;
- ヒスチジン。
【請求項19】
前記水性媒体が以下を含む、先行請求項のいずれか1項に記載の組成物:
- ペンタフラクション;
- アロプリノール;
- ラクトビオン酸;
- グルタチオン;
- リン酸二水素カリウム;
- 水酸化カリウム;
- 硫酸マグネシウム七水和物;
- ラフィノース五水和物;
- アデノシン。
【請求項20】
前記水性媒体が以下を含む、先行請求項のいずれか1項に記載の組成物:
- アデニン;
- 塩化カルシウム;
- ブドウ糖;
- グルタチオン;
- HEPES;
- ヒドロキシエチルデンプン;
- グルコン酸マグネシウム;
- マンニトール;
- リン酸カリウム;
- リボース;
- グルコン酸ナトリウム;
- 水酸化ナトリウム。
【請求項21】
前記水性媒体が以下を含む、先行請求項のいずれか1項に記載の組成物:
- ヒドロキシエチルデンプン、
- ラクトビオン酸;
- リン酸二水素カリウム;
- 硫酸マグネシウム七水和物;
- ラフィノース五水和物;
- アデノシン;
- アロプリノール;
- グルタチオン;
- 水酸化カリウム。
【請求項22】
前記水性媒体が以下を含む、先行請求項のいずれか1項に記載の組成物:
- パーフルオロカーボン;
- グルコース;
- インスリン;
- アロプリノール;
- PEG修飾SOD;
- アデノシン;
- デキサメタゾン;
- ヒドロキシエチルデンプン;
- ナトリウムイオン;
- カリウムイオン;
- 塩化物。
【請求項23】
前記水性媒体が以下を含む、先行請求項のいずれか1項に記載の組成物:
- イスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM);
- ヒト幹細胞因子;
- トロンボポエチン;
- CHIR99021
- フォルスコリン;
- OAC1。
【請求項24】
前記水性媒体が以下を含む、先行請求項のいずれか1項に記載の組成物:
- IMDM;
- ウシ血清アルブミン;
- ヒトインスリン;
- ヒトトランスフェリン(鉄飽和);
- β-メルカプトエタノール。
【請求項25】
前記水性媒体が以下を含む、先行請求項のいずれか1項に記載の組成物:
- 無血清培地;
- ヘパリン;
- トロンボポエチン;
- ヒト幹細胞因子;
- 線維芽細胞増殖因子1。
【請求項26】
前記水性媒体が以下を含む、先行請求項のいずれか1項に記載の組成物:
- 無血清培地;
- ヒトIL-3;
- ヒトIL-6;
- トロンボポエチン;
- Flt-3リガンド;
- 「5GF」ヒト幹細胞因子などのヒト幹細胞因子。
【請求項27】
前記水性媒体が以下を含む、先行請求項のいずれか1項に記載の組成物:
- IMDM;
- BSA;
- ヒトインスリン;
- ヒトトランスフェリン;
- 低密度リポタンパク質;
- β-メルカプトエタノール;
- ヒト幹細胞因子;
- Flt-3リガンド;
- G-CSF
- IL-3;
- IL6。
【請求項28】
前記水性媒体が以下を含む、先行請求項のいずれか1項に記載の組成物:
- ヒト血清アルブミン及びデキストラン40;
- メチルプレドニゾロン;
- 未分画ヘパリンなどのヘパリン;
- イミペネム及び任意選択でのシラスタチン。
【請求項29】
前記水性媒体が以下を含む、先行請求項のいずれか1項に記載の組成物:
- ヒト血清アルブミン;
- リンガー乳酸塩溶液;
- マンニトール;
- グルコン酸カルシウム;
- メロペネム;
- 重炭酸ナトリウム;
- デキサメタゾン。
【請求項30】
前記水性媒体が以下を含む、先行請求項のいずれか1項に記載の組成物:
- ヒト血清アルブミン;
- リンガー乳酸塩溶液;
- 赤血球、
- マンニトール;
- グルコン酸カルシウム;
- メロペネム;
- 重炭酸ナトリウム;
- デキサメタゾン。
【請求項31】
前記水性媒体が以下を含む、先行請求項のいずれか1項に記載の組成物:
- ヒト血清アルブミン及びデキストラン40;
- 赤血球;
- セフロキシム;
- 未分画ヘパリンなどのヘパリン;
- グルコン酸カルシウム;
- インスリン;
- プロスタサイクリン。
【請求項32】
エクスビボの臓器が、心臓、肺、肝臓、腎臓、膵臓、小腸、大腸、及び胃からなる群から選択される、先行請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項33】
前記組成物が、移植前の前記エクスビボの臓器、組織、及び/または幹細胞培養物の生存能力を維持するのに適している、先行請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項34】
前記エクスビボの臓器、組織、及び/または幹細胞培養物における病原体による感染及び/または病原体関連障害の予防または治療における使用のための、先行請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項35】
エクスビボの臓器、組織、及び/または幹細胞培養物における病原体による感染の予防または治療のためのキットであって、以下を含む前記キット:
a. 請求項1~33のいずれか1項に記載の組成物と;
b. 任意選択で、使用説明書と。
【請求項36】
生理学的またはほぼ生理学的条件下でエクスビボの臓器を機能状態に維持するように構成された灌流システムであって、前記エクスビボの臓器を生理学的またはほぼ生理学的条件下で機能状態に維持するように構成された1つ以上のチャンバを含み、少なくとも1つのチャンバが請求項1~33のいずれか1つに記載の組成物を含む、臓器ケアシステムなどの前記灌流システム。
【請求項37】
移植前のエクスビボの臓器、組織、及び/または幹細胞培養物における病原体による感染の治療または予防のための方法であって、請求項1~33のいずれか1項で定義される組成物中の前記エクスビボの臓器、組織、及び/または幹細胞培養物を浸漬、灌流、保存、調整及び/または洗い流すことを含む方法。
【請求項38】
移植のためのエクスビボの臓器、組織、及び/または幹細胞培養物における病原体による感染の治療または予防のための請求項1~33のいずれか1つに記載の組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性媒体中に融合タンパク質を含む組成物に関する。融合タンパク質は、特定の細胞上に発現する受容体に結合することができ、次いで、細内に取り込まれ、該細胞を殺傷することができる。水性媒体は、移植前のエクスビボの臓器、組織、及び/または幹細胞培養物の処理を可能にする1つ以上の成分を含む。したがって、組成物は、ウイルスなどの病原体によって引き起こされる感染症の予防または治療に有用であり、CMVはそのようなウイルスの一例であり、エクスビボの臓器、組織、及び/または幹細胞培養物において有用である。
【背景技術】
【0002】
免疫毒素は、毒素に連結した標的化部分を有するタンパク質である。免疫毒素は、毒素に連結または融合された標的化部分からなる人工タンパク質であるため、融合タンパク質の一例である。免疫毒素は、さまざまな病原体によって引き起こされる感染症の治療に使用できる。例えば、抗体に結合した毒素は、CMV感染細胞を標的とするために以前に利用されていたが、成功は限られていた。
【0003】
ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)は、種特異的なヘルペスウイルスであり、特に免疫無防備状態の個人、新生児、及び移植を受けた患者において重要な病原体である。HCMVは潜伏期と溶解期からなるライフサイクルを持ち、両方の期で構成的に細胞内移行する受容体であるUS28を発現する。
【0004】
例えば、移植のための肺におけるCMV抗体の存在は、約62%であることが見出された(Chambers et al.,2020)。その結果、移植レシピエントは、移植を拒否しないために服用しなければならない免疫抑制薬のために、CMV感染症を発症するリスクが高くなる。
【0005】
臓器移植は確立された治療法であり、現在では末期臓器不全の命を救う最良であり、しばしば唯一の治療法として認められている。寄付と移植に関するWHOグローバルオブザーバトリーの最新データによると、世界中で130,000件を超える固形臓器移植が行われているが、この数は世界の必要量の10%未満であると推定されている。
【0006】
臓器移植が十分に行われていない理由の1つは、提供された10個の胸部臓器のうち、移植に適した臓器が2~3個しかないことである。冷蔵保存の方法は、ドナー臓器の利用を制限し、結果に悪影響を及ぼす可能性がある。一方、臓器ケアシステム(OCS)は、臓器の生理学的状態を模倣する。OCSは、臓器が摘出されてから移植されるまでの間、温かく酸素を含んだ栄養豊富な血液または体液を臓器に送り込むことで、臓器が体外で長期間耐え、輸送中に損傷を受けにくくすることを可能にする。ドナー臓器の最適化とOCSによる臓器生存率の評価により、より多くの臓器を利用できるようになり、移植患者により良い結果をもたらし、待ち時間を短縮できる可能性があるため、従来の冷蔵保存とは対照的に、移植前に臓器を保存するためにOCSがますます普及している。
【0007】
HCMV感染はまた、同種造血幹細胞移植(HSCT)後の最も重大な合併症の1つであり、この手術後の罹患率と死亡率の主要な原因の1つのままである。このウイルスは、肺炎、肝炎、胃腸炎、網膜炎、脳炎など、幹細胞移植のレシピエントに多臓器疾患を引き起こす可能性があり、この疾患は移植手術の初期と後期の両方で発症する可能性がある。
【0008】
造血幹細胞(HSC)は、原始血液前駆細胞の異種集団を表す。ヒトの体内では、主に成人の骨髄に存在するが、臍帯血、胎盤、胎児の肝臓など、さまざまな胎児の組織にも存在する。HSCは、その自己再生能力と、すべてのタイプの血液細胞の補充を可能にする多能性によって機能的に定義される。それらの子孫の骨髄枝は、単球/マクロファージ、顆粒球(好中球、好塩基球、好酸球)、赤血球、巨核球(血小板産生細胞)、及び樹状細胞によって表される。リンパ枝は、Tリンパ球、Bリンパ球、及びNK細胞で構成されている。
【0009】
HSCTの例としては、がんの治療がある。化学療法及び放射線療法など、がんの最も効果的な治療法のいくつかは、骨髄に対して毒性がある。HSCTでは、非常に高用量の化学療法または放射線療法が行われる。これは、より標準的な用量の化学療法に耐性がある可能性があるがん細胞を殺傷することを目的としている。残念ながら、これは幹細胞を含む骨髄の正常な細胞も破壊する。治療後、再導入または移植された幹細胞の健全な供給が必要である。次いで、移植された細胞は、骨髄で血液細胞の生産プロセスを再確立する。
【0010】
現在、HCMV感染症の臨床治療に使用されるすべての薬剤には、かなりの副作用が伴う。さらに、薬剤耐性の出現はしばしば治療の失敗をもたらす。
【0011】
薬理学的課題と既存の免疫毒素による細胞標的選択性の悪さに加えて、治療失敗の別の原因は、多くの場合、感染細胞の不十分な殺傷をもたらす不十分な細胞内移行である。
【0012】
これらの制限は、患者に移植される前に、例えば幹細胞培養物、組織または臓器をエクスビボで治療するために使用できる、HCMVなどの病原体誘発感染症の新しい薬物治療を開発する価値を裏付けている。
【発明の概要】
【0013】
本明細書では、水性媒体中に融合タンパク質を含む組成物が提供される。融合タンパク質は、特定の細胞上に発現する受容体に選択的に結合することができ、次いでそれが内部移行することができ、融合タンパク質は標的細胞を殺傷することができる。水性媒体は、移植前のエクスビボの臓器、組織、及び/または幹細胞培養物の処理を可能にする1つ以上の成分を含む。したがって、組成物は、エクスビボの臓器、組織、及び/または幹細胞培養物における潜伏感染を含む病原体誘発感染の予防または治療に有用である。
【0014】
本発明者らは、潜伏感染細胞を含むCMV感染細胞などの感染細胞を効果的に標的にして殺傷する融合タンパク質を生成した。この融合タンパク質は、US28などのウイルスにコードされた受容体であり得る少なくとも1つの受容体に結合することができる第1のペプチドと、最適化された切断部位及び外毒素Aの選択されたドメイン、例えばドメインII及びIIIなどの毒素を含む第2のペプチドとを含む。標的が結合すると、受容体は好ましくは細胞内移行され、第2のペプチドは切断部位で少なくとも部分的に切断され、したがって毒素部分が放出され、次いで感染細胞が殺傷される。驚くべきことに、本発明者らは、外毒素Aの天然フューリン切断部位における変異に対応する特定の切断部位モチーフ(ArgX1X2Arg、ここで、X2はArgなどの塩基性)が、例えばUS28などの病原体にコードされた受容体を発現する細胞に対する選択性を増加させることを見出した。この発見により、感染細胞、例えば、CMV感染細胞の標的化と殺傷の改善が可能になる。したがって、本明細書に記載の最適化された切断部位は、融合タンパク質、特に免疫毒素に利用して、毒性/細胞殺傷効力、特に選択性を高めることができる。本発明者らはさらに、この融合タンパク質を、臓器、組織、及び/または幹細胞培養物を移植前にエクスビボで処理できるようにする1つ以上の成分を含む水性媒体と組み合わせた。
【0015】
一態様では、本開示は、移植前のエクスビボの臓器、組織、及び/または幹細胞培養物における病原体による感染を予防または治療するための組成物を提供し、該組成物は、水性媒体中に:
以下を含む融合タンパク質を含み:
i. 細胞上に発現する少なくとも1つの受容体に結合する第1のペプチド;
ii. アミノ酸配列ArgX1X2Argを有する切断部位を含む第2のペプチド、
X2はArgまたはLysであり、第2のペプチドは毒素を含み、
該水性媒体は以下の1つ以上をさらに含む:
i. 緩衝成分;
ii. アミノ酸;
iii. 炭水化物;または
iv. 増殖因子またはサイトカイン。
【0016】
一態様では、本開示は、移植前のエクスビボの臓器、組織、及び/または幹細胞培養物におけるCMV感染及び/またはCMV関連障害の予防または治療に使用するための、本明細書に記載の組成物を提供する。
【0017】
一態様では、本発明は、移植のためのエクスビボの臓器、組織、及び/または幹細胞培養物における病原体による感染の治療または予防のための、本明細書に記載の組成物の使用を提供する。
【0018】
本開示のいくつかの態様では、移植前のエクスビボの臓器、組織、及び/または幹細胞培養物における病原体による感染の治療または予防のための方法が提供され、該方法は、本明細書に記載の組成物中の該エクスビボの臓器、組織、及び/または幹細胞培養物を、浸漬、灌流、保存、調整、及び/または洗い流すことを含む。
【0019】
いくつか態様ではまた、移植のためのエクスビボの臓器、組織、及び/または幹細胞培養物における病原体による感染の治療または予防のための、本明細書に記載の組成物の使用を提供する。
【0020】
本開示のいくつかの態様では、エクスビボの臓器、組織、及び/または幹細胞培養物における病原体による感染を予防または治療するためのキットが提供され、該キットは、
a. 本明細書に記載の組成物と;
b. 任意選択で、使用説明書と、を含む。
【0021】
本開示のいくつかの態様では、生理学的またはほぼ生理学的条件下でエクスビボの臓器を機能状態に維持するように構成された灌流システムが提供され、該灌流システムは、該エクスビボの臓器を機能状態に維持するように構成された1つ以上のチャンバを備え、少なくとも1つのチャンバは、本明細書に記載の組成物を含む。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】ヒトCX3CL1、緑膿菌外毒素A、及び融合タンパク質SYN002である例示的な第1ペプチドのドメイン構造。 A.ヒトCX
3CL1のドメイン構造の概略図(S=シグナル配列、CX
3CL1=ケモカインドメイン、ストーク=ムチン様ストーク、M=膜貫通部分、C=細胞質ドメイン、緑膿菌外毒素A(S=シグナル配列、ドメインI=受容体結合ドメイン、ドメインII=転座ドメイン、Ib=未知の機能を持つドメインIb、及びドメインIII=ADPリボシル化ドメイン)、前駆体タンパク質のアミノ酸ナンバリングは、それぞれのタンパク質の上に示されている。ジスルフィド架橋は、関与するアミノ酸のナンバリングとともに角括弧でそれぞれのタンパク質の下に示されている。B.SYN002の模式図。特定のドメインの変異は、関与するアミノ酸の1文字コードとその番号で記述される。例えば、P303Rは、303位のプロリンがアルギニンに置換されたことを意味する。構築物のN末端とC末端、及びドメイン間でも、1文字コードが使用される。2つのドメイン間の破線は、アミノ酸が接続されていることを示する。フューリンは、外毒素AのドメインIIのアミノ酸304と305の間を切断する。外毒素Aの5つのC末端残基は、SYN002で最適化された小胞体保持シグナルKDELに置き換えられている。
【
図2】F49A変異による選択性。 SYNxのケモカイン部分で単一のアミノ酸を置換すると、CXCR1受容体(B)と比較してUS28受容体(A)への選択性が生じる。SYN000は野生型ヒトケモカイン(C-X3-Cモチーフ)リガンド1(CX3CL1)(天然ケモカイン配列)であるが、SYN001はタンパク質の受容体結合部分に単一の変異(F49A)がある。
【
図3】フューリン切断部位(この場合、外毒素Aの完全な長さの転座ドメイン)を導入すると、効力が増加する。 フューリン切断部位を含む外毒素Aの完全長転座ドメインをSYN001構築物に付加してSYN016を生成すると、内在性CX3CR1とウイルスにコードされるUS28受容体の両方を発現する細胞で効力が増加する。
【
図4】フューリンによるインビトロ切断。 最適化された切断部位(RQRR)を有するSYN002構築物のフューリンによるインビトロ切断では、天然のフューリン切断部位配列(RQPR)を有する融合タンパク質構築物SYN016と比較して、改善は得られない。SYNxのインビトロフューリン消化。レーン1;マーク12タンパク質標準、レーン2;SYN000、レーン3;SYN017、レーン4;SYN014、レーン5;SYN001、レーン6;SYN016、レーン7;SYN002。SYN000、SYN017、SYN014は天然のCX3CL1ケモカイン配列を有し、SYN001、SYN016、SYN002はケモカイン部分にF73A変異を有している。SYN000、SYN017、SYN001、及びSYN016には天然のフューリン切断部位(RQPR)があり、SYN014及びSYN002には最適化された切断部位(RQRR)がある。
【
図5】SYN002は広いpH範囲でフューリンによって切断される。 SYN002は広いpH範囲でインビトロで切断された。レーン1;マーク12 タンパク質標準、レーン2;フューリンなし、レーン3;+8mMのHCl(約pH5.2)、レーン4;+6mMのHCl(約pH6.3)、レーン5;+4mMのHCl(約pH6.6)、レーン6;+2mMのHCl(約pH7.0)、レーン7;滴定剤無添加(約pH7.4)、レーン8;2mMのNaOH(約pH7.7)、レーン9;+4mMのNaOH(約pH9.0)。
【
図6】最適化された切断部位により選択性が向上する最適化された切断部位ArgX1X2Argを第2のペプチドに導入する場合、この特定の場合、最適化された切断部位ArgGlnArgArgをSYN016に導入してSYN002を得ると、ウイルスにコードされた受容体に対する選択性の増加が得られる。US28などのウイルスにコードされる受容体を発現する細胞上のSYN002の場合、切断部位ArgGlnProArg(したがってX2=Pro)を有するSYN016と比較して、細胞殺傷効力はほぼ維持されるが、CX3CR1などの内在性/ヒト受容体を発現する細胞に対する効力はSYN016に比べ減少する。フューリン切断部位を含まない第2のペプチド、例えば、SYN000(図示せず)と比較すると、選択性と効力の両方が増加する。
【
図7】1mg/Lの試料からのSYN001による効力アッセイ37℃(試料A)で灌流液への曝露の0、15、180、及び300分後に、1mg/L(1000ng/mLまたは23.1nM)の試料から作製されたSYN001希釈系列による効力アッセイ。ドットで表されたSYN002試料は、灌流液に曝露されていないSYN002に対応する。シクロヘキシミドはアッセイの陽性対照であり、タンパク質合成を阻害する。(2つの異なるプレートからのデータを1つの図にまとめたもの)。結果は、実施例5でさらに説明する。
【
図8】1.7mg/Lの試料からのSYN002による効力アッセイ37℃(試料A)で灌流液への曝露の0、15、180、及び300分後に、1.7mg/L(1700ng/mLまたは37.1nM)の試料から作製されたSYN002希釈系列による効力アッセイ。ドットで表されたSYN002試料は、灌流液に曝露されていないSYN002に対応する。シクロヘキシミドはアッセイの陽性対照であり、タンパク質合成を阻害する。(2つの異なるプレートからのデータを1つの図にまとめたもの)。結果は、実施例5でさらに説明する。
【
図9】0.85mg/Lの試料からのSYN002による効力アッセイ37℃(試料C)で灌流液への曝露の0、15、180、及び300分後に、0.85mg/L(850ng/mLまたは18.6nM)の試料から作製されたSYN002希釈系列による効力アッセイ。ドットで表されたSYN002試料は、灌流液に曝露されていないSYN002に対応する。シクロヘキシミドはアッセイの陽性対照であり、タンパク質合成を阻害する。(2つの異なるプレートからのデータを1つの図にまとめたもの)。結果は、実施例5でさらに説明する。
【
図10】0.085mg/Lの試料からのSYN002による効力アッセイ37℃(試料D)で灌流液への曝露の0、15、180、及び300分後に、0.085mg/L(85ng/mLまたは1.86nM)の試料から作製されたSYN002希釈系列による効力アッセイ。ドットで表されたSYN002試料は、灌流液に曝露されていないSYN002に対応する。シクロヘキシミドはアッセイの陽性対照であり、タンパク質合成を阻害する。(2つの異なるプレートからのデータを1つの図にまとめたもの)。結果は、実施例5でさらに説明する。
【
図11】30分及び60分での0.085mg/Lの試料からのSYN001による効力アッセイ37℃(試料D)で灌流液への曝露の30分及び300分後に、0.085mg/L(85ng/mLまたは1.86nM)の試料から作製されたSYN002希釈系列による効力アッセイ。ドットで表されたSYN002試料は、灌流液に曝露されていないSYN002に対応する。シクロヘキシミドはアッセイの陽性対照であり、タンパク質合成を阻害する。結果は、実施例5でさらに説明する。
【
図12】1140分での0.085mg/Lの試料からのSYN001による効力アッセイ37℃(試料D)で灌流液への曝露の1140分後に、0.085mg/L(85ng/mLまたは1.86nM)の試料から作製されたSYN002希釈系列による効力アッセイ。ドットで表されたSYN002試料は、灌流液に曝露されていないSYN002に対応する。シクロヘキシミドはアッセイの陽性対照であり、タンパク質合成を阻害する。結果は、実施例5でさらに説明する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本開示は、融合タンパク質の安定性及び有効性を提供し、したがってエクスビボの臓器、組織、及び/または幹細胞培養物での感染症の効率的な治療または予防を可能にする、1つ以上の追加の成分を含む水性媒体中に融合タンパク質を含む組成物に関する。追加の成分は、エクスビボの臓器、組織、及び/または幹細胞培養物の機能を維持または保存するのにさらに役立ち得る。融合タンパク質は、標的認識及び標的選択性を提供する第1のペプチドと、毒素を提供し、さらに毒素の細胞内切断及び放出を提供し、標的細胞におけるエフェクター毒性をもたらす第2のペプチドとを含む。したがって、本明細書で提供される組成物は、エクスビボの臓器、組織、及び/または幹細胞培養物における潜伏感染の治療を含む病原体誘発感染の予防または治療に有用である。
【0024】
本発明者らは、有利には構成的に細胞内移行され得る、受容体、例えばUS28などのウイルスによってコードされる受容体に結合すると、潜伏感染した細胞を含むCMV感染細胞などの感染細胞を効果的に標的にして殺傷する融合タンパク質を生成した。
【0025】
US28は、ヒトサイトメガロウイルスオープンリーディングフレームUS28によってコードされるGタンパク質共役受容体である。US28は、構成的に細胞内移行する受容体である。したがって、US28に結合するケモカインまたは他の化合物は、受容体を発現する細胞に細胞内移行される。US28は、CMVに溶解または潜伏感染したCMV感染細胞の表面に発現する。
【0026】
融合タンパク質は、受容体、特にHCMVによってコードされるUS28などの病原体によってコードされる受容体に結合できる第1のペプチドと、及び最適化された切断部位及び毒素、例えば、選択された外毒素Aのドメインを含む第2のペプチドとを含む。US28などの病原体にコードされる受容体に対する融合タンパク質の選択性は、驚くべきことに、切断部位における変異後に増強される。
【0027】
本明細書に記載の最適化された切断部位は、標的受容体選択的様式で細胞殺傷能力を改変することにより、細胞殺傷選択性を高めるために、さまざまな融合タンパク質、特に免疫毒素に利用することができる。
【0028】
定義
本明細書で使用される場合、「a」は、それが使用される文脈に応じて、1つまたは複数を意味することができる。
【0029】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、±10%、好ましくは±5%、さらにより好ましくは±2%を意味する。
【0030】
本明細書で使用される場合、「アミノ酸」という用語は、標準的な20の遺伝的にコードされたアミノ酸、及びそれらに対応する「D」型の立体異性体(天然の「I」型と比較して)、オメガアミノ酸及び他の天然に存在するアミノ酸、非在来型アミノ酸(例えば、α,α-二置換アミノ酸、N-アルキルアミノ酸など)、及び化学的に誘導体化されたアミノ酸を含む。「アラニン」または「Ala」または「A」などのアミノ酸が具体的に列挙されている場合、特に明記しない限り、その用語は、l-アラニンとd-アラニンの両方を指す。
【0031】
本発明の一実施形態では、融合タンパク質は、天然に存在するアミノ酸のみからなる。
【0032】
本明細書で使用される場合、「配列同一性」という用語は、2つのアミノ酸配列間または2つのヌクレオチド配列間、すなわち、候補配列(例えば、変異配列)と参照配列(野生型配列など)との間の、それらのペアワイズアラインメントに基づく関連性を表す。本発明の目的のために、2つのアミノ酸配列間の配列同一性は、EMBOSSパッケージのNeedleプログラム(EMBOSS:The European Molecular Biology Open Software Suite,Rice et al.,2000,Trends Genet.16:276-277)に実装された、Needleman-Wunschアルゴリズム(Needleman and Wunsch,1970,J.Mo/.Biol.48:443-453)、好ましくはバージョン5.0.0以降(https://www.ebi.ac.uk/Tools/psa/emboss_needle/で入手可能)を使用して決定される。使用されるパラメータは、10のギャップオープンペナルティ、0.5のギャップ拡張ペナルティ、及びEBLOSUM62(30BLOSUM62のEMBOSSバージョン)置換マトリックスである。「最長同一性」というラベルの付いたNeedleの出力(-nobriefオプションを使用して取得)は、同一性パーセントとして使用され、次のように計算される:(同一残基×100)/(アライメントの長さ-アライメントのギャップの総数)。Needleman-Wunschアルゴリズムは、参照配列以外の配列内の特定のアミノ酸が参照配列の特定の位置に対応するかどうかを決定するためにも使用される。本発明の目的のために、2つのヌクレオチド配列間の配列同一性は、EMBOSSパッケージ(EMBOSS:The European Molecular Biology Open Software Suite,Rice et al.,2000,Trends Genet.16:276-277)に実装された、Needleman-Wunschアルゴリズム(Needleman and Wunsch,1970,supra)、好ましくはバージョン5.0.0以降を使用して決定される。使用されるパラメータは、10のギャップオープンペナルティ、0.5のギャップ拡張ペナルティ、及びDNAFULL(NCBI NUC4.4のEMBOSSバージョン)置換マトリックスである。「最長同一性」というラベルの付いたNeedleの出力(-nobriefオプションを使用して取得)は、同一性パーセントとして使用され、次のように計算される: (同一デオキシリボヌクレオチド×100)/(アライメントの長さ-アライメントのギャップの総数)。
【0033】
本明細書で使用される場合、「治療する」、「治療」、及び「療法」という用語は、治癒療法、予防療法、改善療法及び緩和療法を指す。好ましくは、治療は治癒的である。
【0034】
組成物
本開示の一態様は、移植前のエクスビボの臓器、組織、及び/または幹細胞培養物における病原体による感染を予防または治療するための組成物を提供し、該組成物は、水性媒体中に:
以下を含む融合タンパク質を含み:
i. 細胞上に発現する少なくとも1つの受容体に結合する第1のペプチド;
ii. アミノ酸配列ArgX1X2Argを有する切断部位を含む第2のペプチド、
X2はArgまたはLysであり、第2のペプチドは毒素を含み、
該水性媒体は以下の1つ以上をさらに含む:
i. 緩衝成分;
ii. アミノ酸;
iii. 炭水化物;または
iv. 増殖因子またはサイトカイン。
【0035】
いくつかの実施形態では、水性媒体は以下を含む:
i. 緩衝成分;
ii. アミノ酸。
【0036】
いくつかの実施形態では、水性媒体は以下を含む:
i. 緩衝成分;
ii. 炭水化物。
【0037】
いくつかの実施形態では、水性媒体は以下を含む:
i. 緩衝成分;
ii. 増殖因子またはサイトカイン。
【0038】
いくつかの実施形態では、水性媒体は以下を含む:
i. アミノ酸:
ii. 炭水化物。
【0039】
いくつかの実施形態では、水性媒体は以下を含む:
i. アミノ酸:
ii. 増殖因子またはサイトカイン。
【0040】
いくつかの実施形態では、水性媒体は以下を含む:
i. 炭水化物;
ii. 増殖因子またはサイトカイン。
【0041】
いくつかの実施形態では、水性媒体は以下を含む:
i. 緩衝成分;
ii. アミノ酸:
iii. 炭水化物。
【0042】
いくつかの実施形態では、水性媒体は以下を含む:
i. 緩衝成分;
ii. アミノ酸:
iii. 増殖因子またはサイトカイン。
【0043】
いくつかの実施形態では、水性媒体は以下を含む:
i. 緩衝成分;
ii. 炭水化物;
iii. 増殖因子またはサイトカイン。
【0044】
いくつかの実施形態では、水性媒体は以下を含む:
i. アミノ酸;
ii. 炭水化物;または
iii. 増殖因子またはサイトカイン。
【0045】
いくつかの実施形態では、水性媒体は以下を含む:
i. 緩衝成分;
ii. アミノ酸;
iii. 炭水化物;
iv. 増殖因子またはサイトカイン。
【0046】
いくつかの実施形態では、水性媒体は抗生剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、水性媒体はグルココルチコイドをさらに含む。いくつかの実施形態では、水性媒体は抗凝固剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、水性媒体はプロスタグランジンをさらに含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、移植前の該エクスビボの臓器、組織、及び/または幹細胞培養物の生存能力を維持するのに適している。
【0048】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、該エクスビボの臓器、組織、及び/または幹細胞培養物を機能状態に維持するのに適している。
【0049】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、該エクスビボの臓器、組織、及び/または幹細胞培養物を生理学的またはほぼ生理学的条件下で維持するのに適している。
【0050】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、臓器ケアシステムにおいて該エクスビボの臓器を保存するのに適している。
【0051】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、1つ以上のさらなる薬剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、さらなる薬剤は、免疫抑制剤及び抗ウイルス剤からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、抗ウイルス剤は、バルガンシクロビル、ガンシクロビル、シドフォビル、レフルノミド、プレビミス、マリバビル、及びブリンシドフォビルからなる群から選択される。
【0052】
切断部位
本開示の第2のペプチドは、アミノ酸配列:
ArgX1X2Arg
(X1は任意のアミノ酸であり得る)を有する切断部位を含む。一実施形態では、X1は、Gln、Ser、Thr、及びAsnからなる群から選択される。一実施形態では、X1はGlnである。
【0053】
X2はArg及びLysから選択される。有利な実施形態では、X2はArgである。一実施形態では、X2はLysである。Argなどの塩基性アミノ酸をアミノ酸位置X2に導入することにより、細胞殺傷選択性が強化される。例えば、ウイルスによってコードされる受容体を発現し、第1のペプチドに結合するウイルス感染細胞は、第1のペプチドにも結合し得る内在性受容体を発現する細胞よりも効率的に殺傷される。
【0054】
好ましい実施形態では、切断部位は、アミノ酸配列ArgGlnArgArg(RQRR;配列番号16)を含むか、またはそれからなる。一実施形態では、切断部位は、アミノ酸配列ArgGlnLysArg(RQKR;配列番号17)を含むか、またはそれからなる。一実施形態では、切断部位は、アミノ酸配列ArgSerLysArg(RSKR;配列番号18)を含むか、またはそれからなる。一実施形態では、切断部位は、アミノ酸配列ArgSerArgArg(RSRR;配列番号19)を含むか、またはそれからなる。一実施形態では、切断部位は、アミノ酸配列ArgThrLysArg(RTKR;配列番号20)を含むか、またはそれからなる。一実施形態では、切断部位は、アミノ酸配列ArgThrArgArg(RTRR;配列番号21)を含むか、またはそれからなる。一実施形態では、切断部位は、アミノ酸配列ArgAsnLysArg(RNKR;配列番号22)を含むか、またはそれからなる。一実施形態では、切断部位は、アミノ酸配列ArgAsnArgArg(RNRR;配列番号23)を含むか、またはそれからなる。
【0055】
一実施形態では、切断は切断部位のC末端で起こる。
【0056】
フューリンで融合タンパク質を切断することは可能であり得るが、他の酵素またはプロテアーゼも切断部位での切断に関与し得る。したがって、一実施形態では、切断部位は酵素切断部位である。
【0057】
一実施形態では、酵素切断部位はフューリン切断部位である。
【0058】
受容体
一実施形態では、第1のペプチドは、細胞上に発現する少なくとも1つの受容体に結合する。一実施形態では、第1のペプチドは、細胞上に発現する少なくとも2つの受容体に結合する。
【0059】
一実施形態では、第1のペプチドに結合する1つの受容体は、病原体によってコードされる受容体であり、第1のペプチドに結合するさらなる受容体は、第1のペプチドまたはそのバリアントに対するヒトにコードされる受容体及び/または内在性受容体である。
【0060】
一実施形態では、受容体は、配列番号10のUS28などのGタンパク質共役受容体(GPCR)である。
【0061】
一実施形態では、受容体はケモカイン受容体である。一実施形態では、ケモカイン受容体は、CCケモカイン受容体及び/またはCX3Cケモカイン受容体である。
【0062】
一実施形態では、CCケモカイン受容体はUS28である。一実施形態では、CX3Cケモカイン受容体はCX3CR1である。
【0063】
一実施形態では、受容体は病原体によってコードされる。一実施形態では、病原体は細菌である。一実施形態では、病原体はウイルスである。一実施形態では、ウイルスはDNAウイルスである。一実施形態では、ウイルスはRNAウイルスである。一実施形態では、ウイルスはヘルペスウイルスである。一実施形態では、ウイルスはサイトメガロウイルスである。
【0064】
一実施形態では、受容体は細胞内移行することができる。一実施形態では、受容体は、第1のペプチドに結合すると細胞内移行される。一実施形態では、受容体は構成的に内部移行される。病原体によってコードされる受容体は、病原体感染細胞による融合タンパク質の効率的な取り込みを確実にし、それによって、望ましくない毒性及び副作用を最小限に抑えて感染細胞を死滅させるため、構成的に細胞内移行されることが有利である。「細胞内移行」とは、受容体が発現している細胞内に受容体が移動するプロセスを指す。例えば、受容体は、エンドサイトーシスまたは食作用によって細胞に侵入する可能性がある。
【0065】
いくつかの実施形態では、本発明は、受容体に選択的に結合することによって特定の細胞を標的とし、該受容体の細胞内移行をもたらす融合タンパク質を提供する。次いで、融合タンパク質の毒素部分が切断され、細胞が殺傷される。
【0066】
毒素
一実施形態では、融合タンパク質は免疫毒素である。「免疫毒素」とは、毒素に連結した標的化部分からなるタンパク質を指す。標的化部分は、リガンドと呼ばれることもある。
【0067】
毒素は、さまざまな種類の毒素であり得る。一実施形態では、第2のペプチドは、緑膿菌外毒素A、ゲロニン、ブーガニン、サポリン、リシン、リシンA鎖、ブリオジン、レストリクトシン、ジフテリア毒素、ジフテリア毒素A鎖、ならびにそれらのバリアント及び断片からなる群から選択される毒素を含む。融合タンパク質の毒素部分は、細胞の殺傷を可能にする。毒素は細胞毒性である。
【0068】
一実施形態では、第2のペプチドは、緑膿菌外毒素Aの1つ以上のドメインを含む。一実施形態では、第2のペプチドは、配列番号9の外毒素Aの少なくとも一部を含む。
【0069】
いくつかの実施形態では、第2のペプチドは、放射性同位体またはエミッター、例えば、211At、225Ac、227Th、224Ra、213Bi、67Cu、90Y、131I、177Lu、186Re、188Re、及び125Iからなる群から選択されるものをさらに含む。
【0070】
いくつかの実施形態では、放射性同位体またはエミッターは、放射性崩壊時にアルファ粒子を放出する。いくつかの実施形態では、放射性同位体またはエミッターは、放射性崩壊時にベータ粒子を放出する。いくつかの実施形態では、放射性同位体またはエミッターは電子を放出する(オージェ放出としても知られる)。
【0071】
放射性同位体またはエミッターはさらに、標的細胞の殺傷を可能にする。放射性同位体またはエミッターによって放出される電離放射線は、細胞に対して細胞毒性がある。
【0072】
融合タンパク質
第1のペプチドは、細胞上に発現した受容体への結合を可能にする標的化部分である。
【0073】
一実施形態では、第1と第2のペプチドは作動可能に連結されている。一般に、「作動可能に連結された」とは、連結されている配列が隣接していること、及び/または共有結合など、互いに機能的な関係にあることを意味する。
【0074】
一実施形態では、第1のペプチドは、以下を含むか、またはそれからなる:
a. 配列番号1のアミノ酸配列;
b. 配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性、より好ましくは配列番号1に対して少なくとも85%、または90%の配列同一性、最も好ましくは、配列番号1に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる配列番号1のバリアント;
c. 60、70、もしくは75を超えるアミノ酸長など、50を超えるアミノ酸長である配列番号1の断片、または配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性、より好ましくは配列番号1に対して少なくとも85%、もしくは90%の配列同一性、最も好ましくは、配列番号1に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、もしくは99%の同一性を有するそれらのバリアント。
【0075】
一実施形態では、第1のペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる配列番号1のバリアントを含むかまたはそれからなる。一実施形態では、第1のペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる配列番号1のバリアントを含むかまたはそれからなる。一実施形態では、第1のペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも96%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる配列番号1のバリアントを含むかまたはそれからなる。一実施形態では、第1のペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも97%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる配列番号1のバリアントを含むかまたはそれからなる。一実施形態では、第1のペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる配列番号1のバリアントを含むかまたはそれからなる。一実施形態では、第1のペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる配列番号1のバリアントを含むかまたはそれからなる。
【0076】
一実施形態では、第1のペプチドは、50アミノ酸長を超える配列番号1の断片を含むかまたはそれからなる。一実施形態では、第1のペプチドは、60アミノ酸長を超える配列番号1の断片を含むかまたはそれからなる。一実施形態では、第1のペプチドは、70アミノ酸長を超える配列番号1の断片を含むかまたはそれからなる。一実施形態では、第1のペプチドは、75アミノ酸長を超える配列番号1の断片を含むかまたはそれからなる。
【0077】
一実施形態では、第1のペプチドは、配列番号1の断片、または配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有するそのバリアントを含むかまたはそれらからなる。一実施形態では、第1のペプチドは、配列番号1の断片、または配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも85%の配列同一性を有するそのバリアントを含むかまたはそれらからなる。一実施形態では、第1のペプチドは、配列番号1の断片、または配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するそのバリアントを含むかまたはそれらからなる。一実施形態では、第1のペプチドは、配列番号1の断片、または配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するそのバリアントを含むかまたはそれらからなる。一実施形態では、第1のペプチドは、配列番号1の断片、または配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも96%の配列同一性を有するそのバリアントを含むかまたはそれらからなる。一実施形態では、第1のペプチドは、配列番号1の断片、または配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも97%の配列同一性を有するそのバリアントを含むかまたはそれらからなる。一実施形態では、第1のペプチドは、配列番号1の断片、または配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも98%の配列同一性を有するそのバリアントを含むかまたはそれらからなる。一実施形態では、第1のペプチドは、配列番号1の断片、または配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも99%の配列同一性を有するそのバリアントを含むかまたはそれらからなる。
【0078】
一実施形態では、配列番号1の49位のアミノ酸残基は、Ala、Lys、またはAsp、好ましくはAlaに変異している。これらの置換は、同様に第1のペプチドに結合するヒトまたは内在性にコードされる受容体と比較して、第1のペプチドに結合する病原体にコードされる受容体を発現する細胞に対する細胞殺傷選択性の増加をもたらし得る。
【0079】
一実施形態では、第1のペプチドは、N末端にメチオニン(M)をさらに含む。
【0080】
一実施形態では、第1のペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列内のN末端及び/またはC末端及び/またはその内部に挿入された1つ以上の追加のアミノ酸を含むかまたはそれらからなる。
【0081】
一実施形態では、配列番号1のアミノ酸配列内のN末端及び/またはC末端及び/またはその内部で、1つ以上のアミノ酸が欠失している。
【0082】
一実施形態では、第1のペプチドは100アミノ酸長未満である。
【0083】
一実施形態では、第1のペプチドは90アミノ酸長未満である。
【0084】
一実施形態では、第1のペプチドは85アミノ酸長未満である。
【0085】
一実施形態では、第1のペプチドは80アミノ酸長未満である。
【0086】
一実施形態では、第2のペプチドは、配列番号3によるアミノ酸配列またはその断片もしくはバリアントを有するドメインAなどの転座ドメインであり得るドメインA、及び/または、配列番号4によるアミノ酸配列またはその断片もしくはバリアントを有するドメインBなどのドメインB、及び/または、配列番号5によるアミノ酸配列またはその断片もしくはバリアントを有するドメインCなどの細胞毒性ドメインであり得るドメインCを含む。
【0087】
一実施形態では、第2のペプチドは、配列番号3によるアミノ酸配列またはその断片もしくはバリアントを有するドメインAなどのドメインAを含む。一実施形態では、第2のペプチドは、配列番号3によるアミノ酸配列またはその断片もしくはバリアントを有するドメインAなどのドメインA、及び配列番号4によるアミノ酸配列またはその断片もしくはバリアントを有するドメインBなどのドメインBを含む。一実施形態では、第2のペプチドは、配列番号3によるアミノ酸配列またはその断片もしくはバリアントを有するドメインAなどのドメインA、及び、配列番号4によるアミノ酸配列またはその断片もしくはバリアントを有するドメインBなどのドメインB、及び、配列番号5によるアミノ酸配列またはその断片もしくはバリアントを有するドメインCなどのドメインCを含む。一実施形態では、第2のペプチドは、配列番号4によるアミノ酸配列またはその断片もしくはバリアントを有するドメインBを含む。一実施形態では、第2のペプチドは、配列番号5によるアミノ酸配列またはその断片もしくはバリアントを有するドメインCなどのドメインCを含む。
【0088】
一実施形態では、第2のペプチドは以下を含む:
a. 配列番号3のアミノ酸配列;
b. 配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性、より好ましくは配列番号4に対して少なくとも85%、または90%の配列同一性、最も好ましくは、配列番号3に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる配列番号3のバリアント;
c. 90、100、もしくは110を超えるアミノ酸長など、80を超えるアミノ酸長である配列番号3の断片、または配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性、より好ましくは配列番号3に対して少なくとも85%、もしくは90%の配列同一性、最も好ましくは、配列番号3に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、もしくは99%の同一性を有するそれらのバリアント。
【0089】
一実施形態では、第2のペプチドは以下を含む:
a. 配列番号4のアミノ酸配列;
b. 配列番号4のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性、より好ましくは配列番号4に対して少なくとも85%、もしくは90%の配列同一性、最も好ましくは、配列番号4に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる配列番号4のバリアント;
c. 8、10、もしくは12を超えるアミノ酸長など、6を超えるアミノ酸長である配列番号4の断片、または配列番号4のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性、より好ましくは配列番号4に対して少なくとも85%、もしくは90%の配列同一性、最も好ましくは、配列番号4に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、もしくは99%の同一性を有するそれらのバリアント。
【0090】
一実施形態では、第2のペプチドは以下を含む:
a. 配列番号5のアミノ酸配列;
b. 配列番号5のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性、より好ましくは配列番号5に対して少なくとも85%、もしくは90%の配列同一性、最も好ましくは、配列番号5に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる配列番号5のバリアント;
c. 190、200、もしくは210を超えるアミノ酸長など、180を超えるアミノ酸長である配列番号5の断片、または配列番号5のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性、より好ましくは配列番号5に対して少なくとも85%、もしくは90%の配列同一性、最も好ましくは、配列番号5に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、もしくは99%の同一性を有するそれらのバリアント。
【0091】
一実施形態では、第2のペプチドは以下を含む:
a. 配列番号3のアミノ酸配列;
b. 配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性、より好ましくは配列番号3に対して少なくとも85%、もしくは90%の配列同一性、最も好ましくは、配列番号3に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる配列番号3のバリアント;
c. 90、100、もしくは110を超えるアミノ酸長など、80を超えるアミノ酸長である配列番号3の断片、または配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性、より好ましくは配列番号3に対して少なくとも85%、もしくは90%の配列同一性、最も好ましくは、配列番号3に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、もしくは99%の同一性を有するそれらのバリアントと;
d. 配列番号4のアミノ酸配列;
e. 配列番号4のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性、より好ましくは配列番号4に対して少なくとも85%、もしくは90%の配列同一性、最も好ましくは、配列番号4に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むかそれからなる配列番号4のバリアント;
f. 8、10、もしくは12を超えるアミノ酸長など、6を超えるアミノ酸長である配列番号4の断片、または配列番号4のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性、より好ましくは配列番号4に対して少なくとも85%、もしくは90%の配列同一性、最も好ましくは、配列番号4に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、もしくは99%の同一性を有するそれらのバリアント。
【0092】
一実施形態では、第2のペプチドは以下を含む:
a. 配列番号3のアミノ酸配列;
b. 配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性、より好ましくは配列番号3に対して少なくとも85%、もしくは90%の配列同一性、最も好ましくは、配列番号3に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むかそれからなる配列番号3のバリアント;
c. 90、100、もしくは110を超えるアミノ酸長など、80を超えるアミノ酸長である配列番号3の断片、または配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性、より好ましくは配列番号3に対して少なくとも85%、もしくは90%の配列同一性、最も好ましくは、配列番号3に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、もしくは99%の同一性を有するそれらのバリアントと;
d. 配列番号4のアミノ酸配列;
e. 配列番号4のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性、より好ましくは配列番号4に対して少なくとも85%、もしくは90%の配列同一性、最も好ましくは、配列番号4に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むかそれからなる配列番号4のバリアント;
f. 8、10、もしくは12を超えるアミノ酸長など、6を超えるアミノ酸長である配列番号4の断片、または配列番号4のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性、より好ましくは配列番号4に対して少なくとも85%、もしくは90%の配列同一性、最も好ましくは、配列番号4に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、もしくは99%の同一性を有するそれらのバリアントと;
g. 配列番号5のアミノ酸配列;
h. 配列番号5のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性、より好ましくは配列番号5に対して少なくとも85%、もしくは90%の配列同一性、最も好ましくは、配列番号5に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むかそれからなる配列番号5のバリアント;
i. 190、200、もしくは210を超えるアミノ酸長など、180を超えるアミノ酸長である配列番号5の断片、または配列番号5のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性、より好ましくは配列番号5に対して少なくとも85%、もしくは90%の配列同一性、最も好ましくは、配列番号5に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、もしくは99%の同一性を有するそれらのバリアント。
【0093】
一実施形態では、第2のペプチドは以下を含む:
a. 配列番号3のアミノ酸配列;
b. 配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性、より好ましくは配列番号3に対して少なくとも85%、もしくは90%の配列同一性、最も好ましくは、配列番号3に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むかそれからなる配列番号3のバリアント;
c. 90、100、もしくは110を超えるアミノ酸長など、80を超えるアミノ酸長である配列番号3の断片、または配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性、より好ましくは配列番号3に対して少なくとも85%、もしくは90%の配列同一性、最も好ましくは、配列番号3に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、もしくは99%の同一性を有するそれらのバリアントと;
d. 配列番号5のアミノ酸配列;
e. 配列番号5のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性、より好ましくは配列番号5に対して少なくとも85%、もしくは90%の配列同一性、最も好ましくは、配列番号5に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むかそれからなる配列番号5のバリアント;
f. 190、200、もしくは210を超えるアミノ酸長など、180を超えるアミノ酸長である配列番号5の断片、または配列番号5のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性、より好ましくは配列番号5に対して少なくとも85%、もしくは90%の配列同一性、最も好ましくは、配列番号5に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、もしくは99%の同一性を有するそれらのバリアント。
【0094】
一実施形態では、第2のペプチドは以下を含む:
a. 配列番号4のアミノ酸配列;
b. 配列番号4のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性、より好ましくは配列番号4に対して少なくとも85%、もしくは90%の配列同一性、最も好ましくは、配列番号4に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むかそれからなる配列番号4のバリアント;
c. 8、10、もしくは12を超えるアミノ酸長など、6を超えるアミノ酸長である配列番号4の断片、または配列番号4のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性、より好ましくは配列番号4に対して少なくとも85%、もしくは90%の配列同一性、最も好ましくは、配列番号4に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、もしくは99%の同一性を有するそれらのバリアントと;
d. 配列番号5のアミノ酸配列;
e. 配列番号5のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性、より好ましくは配列番号5に対して少なくとも85%、もしくは90%の配列同一性、最も好ましくは、配列番号5に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むかそれからなる配列番号5のバリアント;
f. 190、200、もしくは210を超えるアミノ酸長など、180を超えるアミノ酸長である配列番号5の断片、または配列番号5のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性、より好ましくは配列番号5に対して少なくとも85%、もしくは90%の配列同一性、最も好ましくは、配列番号5に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、もしくは99%の同一性を有するそれらのバリアント。
【0095】
一実施形態では、ドメインAは転座ドメインであり、ドメインCはADPリボシル化ドメインなどの細胞毒性ドメインである。
【0096】
一実施形態では、第2のペプチドは、C末端に配列番号8のアミノ酸配列KDELを含む。一実施形態では、第2のペプチドの最後の5つのアミノ酸は、配列番号8のアミノ酸配列で置換される。
【0097】
一実施形態では、第2のペプチドは、以下を含むか、またはそれからなる:
a. 配列番号2のアミノ酸配列;
b. 配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性、より好ましくは配列番号2に対して少なくとも85%、もしくは90%の配列同一性、最も好ましくは、配列番号2に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むかそれからなる配列番号2のバリアント;
c. 310、330、もしくは340を超えるアミノ酸長など、300を超えるアミノ酸長である配列番号2の断片、または配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性、より好ましくは配列番号2に対して少なくとも85%、もしくは90%の配列同一性、最も好ましくは、配列番号2に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、もしくは99%の同一性を有するそれらのバリアント。
【0098】
一実施形態では、第2のペプチドは、配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むかそれからなる配列番号2のバリアントを含むかそれからなる。一実施形態では、第2のペプチドは、配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むかそれからなる配列番号2のバリアントを含むかそれからなる。一実施形態では、第2のペプチドは、配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも96%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むかそれからなる配列番号2のバリアントを含むかそれからなる。一実施形態では、第2のペプチドは、配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも97%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むかそれからなる配列番号2のバリアントを含むかそれからなる。一実施形態では、第2のペプチドは、配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むかそれからなる配列番号2のバリアントを含むかそれからなる。一実施形態では、第2のペプチドは、配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むかそれからなる配列番号2のバリアントを含むかそれからなる。
【0099】
一実施形態では、第2のペプチドは、300アミノ酸長を超える配列番号2の断片を含むかまたはそれからなる。一実施形態では、第2のペプチドは、310アミノ酸長を超える配列番号2の断片を含むかまたはそれからなる。一実施形態では、第2のペプチドは、330アミノ酸長を超える配列番号2の断片を含むかまたはそれからなる。一実施形態では、第2のペプチドは、340アミノ酸長を超える配列番号2の断片を含むかまたはそれからなる。
【0100】
一実施形態では、第2のペプチドは、配列番号2の断片、または配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有するそのバリアントを含むかそれからなる。一実施形態では、第2のペプチドは、配列番号2の断片、または配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するそのバリアントを含むかそれからなる。一実施形態では、第2のペプチドは、配列番号2の断片、または配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するそのバリアントを含むかそれからなる。一実施形態では、第2のペプチドは、配列番号2の断片、または配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するそのバリアントを含むかそれからなる。一実施形態では、第2のペプチドは、配列番号2の断片、または配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも96%の配列同一性を有するそのバリアントを含むかそれからなる。一実施形態では、第2のペプチドは、配列番号2の断片、または配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも97%の配列同一性を有するそのバリアントを含むかそれからなる。一実施形態では、第2のペプチドは、配列番号2の断片、または配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも98%の配列同一性を有するそのバリアントを含むかそれからなる。一実施形態では、第2のペプチドは、配列番号2の断片、または配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも99%の配列同一性を有するそのバリアントを含むかそれからなる。
【0101】
一実施形態では、第2のペプチドは、400アミノ酸長未満であり、例えば、380、370、360、350、または345未満のアミノ酸長である。
【0102】
一実施形態では、第2のペプチドは400アミノ酸長未満である。
【0103】
一実施形態では、第2のペプチドは380アミノ酸長未満である。
【0104】
一実施形態では、第2のペプチドは370アミノ酸長未満である。
【0105】
一実施形態では、第2のペプチドは360アミノ酸長未満である。
【0106】
一実施形態では、第2のペプチドは350アミノ酸長未満である。
【0107】
一実施形態では、第2のペプチドは345アミノ酸長未満である。
【0108】
一実施形態では、融合タンパク質は、以下を含むまたはそれからなるSYN002またはその機能的バリアントである:
1. 配列番号6のアミノ酸配列;
2. 配列番号6のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性、より好ましくは配列番号6に対して少なくとも85%、もしくは90%の配列同一性、最も好ましくは、配列番号6に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むかそれからなる配列番号6のバリアント;
3. 380、400、もしくは420を超えるアミノ酸長など、360を超えるアミノ酸長である配列番号6の断片、または配列番号6のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性、より好ましくは配列番号6に対して少なくとも85%、もしくは90%の配列同一性、最も好ましくは、配列番号6に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、もしくは99%の同一性を有するそのバリアント。
【0109】
「機能的バリアント」という用語は、元の配列と比較して類似、同一、または改善された選択性及び効力を示すバリアントを意味する。すなわち、配列番号6の機能的バリアントは、配列番号6と比較して類似、同一、または改善された選択性及び効力を示す。好ましくは、機能的バリアントは、元の配列と比較して、同一または改善された選択性及び効力を示す。
【0110】
一実施形態では、融合タンパク質は、配列番号6のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むかそれからなる配列番号6のバリアントを含むかそれからなる。一実施形態では、融合タンパク質は、配列番号6のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むかそれからなる配列番号6のバリアントを含むかそれからなる。一実施形態では、融合タンパク質は、配列番号6のアミノ酸配列に対して少なくとも96%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むかそれからなる配列番号6のバリアントを含むかそれからなる。一実施形態では、融合タンパク質は、配列番号6のアミノ酸配列に対して少なくとも97%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むかそれからなる配列番号6のバリアントを含むかそれからなる。一実施形態では、融合タンパク質は、配列番号6のアミノ酸配列に対して少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むかそれからなる配列番号6のバリアントを含むかそれからなる。一実施形態では、融合タンパク質は、配列番号6のアミノ酸配列に対して少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むかそれからなる配列番号6のバリアントを含むかそれからなる。
【0111】
一実施形態では、融合タンパク質は、360アミノ酸長を超える配列番号6の断片を含むかまたはそれからなる。一実施形態では、融合タンパク質は、配列番号380アミノ酸長を超える配列番号6の断片を含むかまたはそれからなる。一実施形態では、融合タンパク質は、配列番号400アミノ酸長を超える配列番号6の断片を含むかまたはそれからなる。一実施形態では、融合タンパク質は、配列番号420アミノ酸長を超える配列番号6の断片を含むかまたはそれからなる。
【0112】
一実施形態では、融合タンパク質は、配列番号6の断片、または配列番号6のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有するそのバリアントを含むかそれからなる。一実施形態では、融合タンパク質は、配列番号6の断片、または配列番号6のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するそのバリアントを含むかそれからなる。一実施形態では、融合タンパク質は、配列番号6の断片、または配列番号6のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するそのバリアントを含むかそれからなる。一実施形態では、融合タンパク質は、配列番号6の断片、または配列番号6のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するそのバリアントを含むかそれからなる。一実施形態では、融合タンパク質は、配列番号6の断片、または配列番号6のアミノ酸配列に対して少なくとも96%の配列同一性を有するそのバリアントを含むかそれからなる。一実施形態では、融合タンパク質は、配列番号6の断片、または配列番号6のアミノ酸配列に対して少なくとも97%の配列同一性を有するそのバリアントを含むかそれからなる。一実施形態では、融合タンパク質は、配列番号6の断片、または配列番号6のアミノ酸配列に対して少なくとも98%の配列同一性を有するそのバリアントを含むかそれからなる。一実施形態では、融合タンパク質は、配列番号6の断片、または配列番号6のアミノ酸配列に対して少なくとも99%の配列同一性を有するそのバリアントを含むかそれからなる。
【0113】
一実施形態では、融合タンパク質は、500アミノ酸長未満であり、例えば、490、480、470、460、450、440、430、425、またはそれ未満のアミノ酸長である。
【0114】
一実施形態では、融合タンパク質は500アミノ酸長未満である。一実施形態では、融合タンパク質は490アミノ酸長未満である。一実施形態では、融合タンパク質は480アミノ酸長未満である。一実施形態では、融合タンパク質は470アミノ酸長未満である。一実施形態では、融合タンパク質は460アミノ酸長未満である。一実施形態では、融合タンパク質は450アミノ酸長未満である。一実施形態では、融合タンパク質は440アミノ酸長未満である。一実施形態では、融合タンパク質は430アミノ酸長未満である。一実施形態では、融合タンパク質は420アミノ酸長未満である。
【0115】
一実施形態では、融合タンパク質は、病原体に潜伏感染した細胞など、病原体に感染した細胞を殺傷する。
【0116】
一実施形態では、病原体は、サイトメガロウイルスなどのヘルペスウイルスなどのDNAウイルス、またはRNAウイルスなどのウイルスである。
【0117】
一実施形態では、融合タンパク質は、受容体を発現する細胞の細胞死を誘導する。
【0118】
一実施形態では、細胞死は、アポトーシス、ネクローシス、オートファジー細胞死、及び有糸分裂関連細胞死からなる群から選択される。「アポトーシス」及び「アポトーシス活性」という用語は、広い意味で使用され、細胞質の凝縮、形質膜微絨毛の喪失、核のセグメント化、染色体DNAの分解、またはミトコンドリア機能の喪失を含む、1つ以上の特徴的な細胞変化を典型的に伴う哺乳動物における細胞死の秩序ある形態または制御された形態を指す。
【0119】
一実施形態では、融合タンパク質は、病原体の増殖、複製、ゲノム安定性、成熟、パッケージング、潜伏、再活性化、播種及び/または免疫阻害の阻害をもたらす、病原体に対する直接的または間接的な効果を誘発する。
【0120】
一実施形態では、融合タンパク質は、病原体にコードされる受容体を発現する細胞を選択的に殺傷する。
【0121】
一実施形態では、融合タンパク質は、US28を発現する細胞を殺傷する。
【0122】
一実施形態では、融合タンパク質は、US28などのウイルスによってコードされる受容体に対して、10nM未満、例えば5nM未満、例えば1nM未満、例えば0.5nM未満、例えば0.1nM未満または0,001nM未満のIC50値を有する。
【0123】
一実施形態では、融合タンパク質は、内在性受容体またはCX3CR1などのヒトにコードされる受容体を発現する細胞に対する効力と比較して、US28などのウイルスによってコードされる受容体を発現する細胞に対して、少なくとも100倍の増加した効力、少なくとも300倍の増加した効力、少なくとも400倍の増加した効力、少なくとも500倍の増加した効力などの増加した効力を有する。一実施形態では、融合タンパク質は、CX3CR1を発現する細胞に対する効力と比較して、US28を発現する細胞に対する増加した効力、例えば少なくとも100倍の増加した効力を有する。一実施形態では、融合タンパク質は、CX3CR1を発現する細胞に対する効力と比較して、US28を発現する細胞に対する増加した効力、例えば少なくとも300倍の増加した効力を有する。一実施形態では、融合タンパク質は、CX3CR1を発現する細胞に対する効力と比較して、US28を発現する細胞に対する増加した効力、例えば少なくとも400倍の増加した効力を有する。一実施形態では、融合タンパク質は、CX3CR1を発現する細胞に対する効力と比較して、US28を発現する細胞に対する増加した効力、例えば少なくとも500倍の増加した効力を有する。
【0124】
一実施形態では、融合タンパク質は、内在性受容体またはCX3CR1などのヒトにコードされる受容体に対する親和性と比較して、US28などのウイルスによってコードされる受容体に対して、少なくとも50倍の増加した親和性、少なくとも100倍の増加した親和性などの増加した親和性を有する。一実施形態では、融合タンパク質は、CX3CR1に対する親和性と比較して、US28に対する増加した親和性、例えば少なくとも100倍の増加した親和性を有する。
【0125】
一実施形態では、本発明の融合タンパク質の選択比US28/CX3CR1は、少なくとも750、例えば少なくとも800、例えば少なくとも850、例えば少なくとも900である。一実施形態では、本発明の融合タンパク質の選択比US28/CX3CR1は少なくとも880である。一実施形態では、本発明の融合タンパク質の選択比US28/CX3CR1は少なくとも750である。一実施形態では、本発明の融合タンパク質の選択比US28/CX3CR1は少なくとも800である。一実施形態では、本発明の融合タンパク質の選択比US28/CX3CR1は少なくとも850である。一実施形態では、本発明の融合タンパク質の選択比US28/CX3CR1は少なくとも900である。
【0126】
水性媒体
本開示の一態様では、本明細書に記載の組成物の水性媒体は、融合タンパク質に加えて、緩衝成分、アミノ酸、炭水化物、または増殖因子もしくはサイトカインを含む。これにより、組成物は、移植前のエクスビボの臓器、組織、及び/または幹細胞培養物における病原体による感染を予防または治療するのに適しており、任意選択で、該エクスビボの臓器、組織、及び/または幹細胞培養物の生存能力を維持するのに適している。
【0127】
いくつかの実施形態では、緩衝成分は、重炭酸緩衝液(HCO3
-/CO2)、アンモニウム緩衝液(NH3/NH4
+)、リン酸緩衝液(H2PO4
-/HPO4
2-)、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)、3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、及び2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)からなる群から選択される1つ以上の緩衝成分である。
【0128】
いくつかの実施形態では、アミノ酸は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、及びバリンからなる群から選択される1つ以上のアミノ酸である。
【0129】
いくつかの実施形態では、アミノ酸は、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、及びバリンからなる群から選択される1つ以上のアミノ酸である。
【0130】
いくつかの実施形態では、炭水化物は、単糖、二糖、オリゴ糖、または多糖などの糖、及び糖アルコールからなる群から選択される1つ以上の炭水化物である。
【0131】
いくつかの実施形態では、炭水化物は、デキストラン、デキストロース(D-グルコース)、グルコース、グルコース一水和物、マンニトール、ラフィノース、及びリボースからなる群から選択される1つ以上の炭水化物である。
【0132】
いくつかの実施形態では、増殖因子またはサイトカインは、トロンボポエチン、インスリン、線維芽細胞増殖因子1、ヒト幹細胞因子、IL-3、IL-6、Flt-3リガンド及び顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)からなる群から選択される1つ以上の増殖因子またはサイトカインである。
【0133】
いくつかの実施形態では、水性媒体は、以下からなる群から選択される1つ以上のさらなる成分をさらに含む:
i. ビタミン;
ii. 電解質;
iii. OAC1などの転写因子;
iv. フォルスコリンなどのジテルペン;
v. 低密度リポタンパク質;
vi. 心臓刺激剤;
vii. 免疫抑制剤;
viii. ウシ血清アルブミン(BSA)またはヒト血清アルブミン(HAS)などの血清アルブミン;
ix. 未分画ヘパリンなどのヘパリン;
x. ヒトトランスフェリン;
xi. ペンタフラクション;
xii. 2-メルカプトエタノール;
xiii. グルタチオン;
xiv. ラクトビオン酸;
xv. グルタミン酸;
xvi. アロプリノール;
xvii. アデノシン;
xviii. アデニン;
xix. ヒドロキシエチルデンプン;
xx. パーフルオロカーボン;
xxi. ポリエチレングリコール修飾スーパーオキシドジスムターゼ(PEG修飾SOD);
xxii. デキサメタゾン;
xxiii. 酢酸リジン;
xxiv. コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム;
xxv. CHIR99021;
xxvi. 抗生剤;
xxvii. グルココルチコイド;
xxviii. 抗凝固剤;
xxix. プロスタグランジン。
【0134】
いくつかの実施形態では、電解質は、カルシウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩、塩化物塩、硫酸塩、及びリン酸塩からなる群から選択される1つ以上の電解質である。
【0135】
いくつかの実施形態では、心臓刺激薬は、カテコールアミン、ペプチド、ポリペプチド、β1/β2アドレナリン受容体遮断薬、ブプリナロール、ピンドロール、アルプレノロール、強心配糖体、ジギタリス、パルストリン、フェルラ酸、及びエピネフリンからなる群から選択される1つ以上の心臓刺激薬である。
【0136】
いくつかの実施形態では、抗生剤は、イミペネム、メロペネム、及びセフロキシムからなる群から選択される1つ以上の抗生剤である。
【0137】
いくつかの実施形態では、糖質コルチコイドは、メチルプレドニゾロン及びデキサメタゾンからなる群から選択される1つ以上の糖質コルチコイドである。
【0138】
いくつかの実施形態では、電解質は、乳酸ナトリウム溶液及びハルトマン溶液としても知られるリンガー乳酸溶液(RL)などの、塩化ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化カリウム、及び塩化カルシウムである。
【0139】
いくつかの実施形態では、抗凝固剤は、未分画ヘパリンなどのヘパリンである。
【0140】
いくつかの実施形態では、プロスタグランジンはプロスタサイクリンである。
【0141】
いくつかの実施形態では、水性媒体は、血液または赤血球などの血液成分をさらに含む。
【0142】
いくつかの実施形態では、水性媒体は以下を含む:
- カテコールアミン、ペプチド、ポリペプチド、β1/β2アドレナリン受容体遮断薬、ブプリナロール、ピンドロール、アルプレノロール、強心配糖体、ジギタリス、パルストリン、フェルラ酸、及びエピネフリンからなる群から選択される1つ以上の心臓刺激薬;
- アスパラギン、グルタミン、及びシステインを含まない、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、及びリジンからなる群から選択される複数のアミノ酸;
- 任意選択で、アデノシン、インスリン、免疫抑制剤、マルチビタミン組成物、及び/またはカルシウムなどの1つ以上の電解質。
【0143】
いくつかの実施形態では、水性媒体は以下を含む:
- アデノシン;
- 塩化カルシウム脱水物;
- グリシン;
- L-アラニン;
- L-アルギニン;
- L-アスパラギン酸;
- L-グルタミン酸;
- L-ヒスチジン;
- L-イソロイシン;
- L-ロイシン;
- L-メチオニン;
- L-フェニルアラニン;
- L-プロリン;
- L-セリン;
- L-トレオニン;
- L-トリプトファン;
- L-チロシン;
- L-バリン;
- 酢酸リジン;
- 硫酸マグネシウム七水和物;
- 塩化カリウム;
- 塩化ナトリウム;
- デキストロース;
- エピネフリン;
- インスリン;
- 1つ以上のビタミン;
- コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム;
- 重炭酸ナトリウム;
- マンニトール;
- グリセロリン酸ナトリウム。
【0144】
いくつかの実施形態では、水性媒体は以下を含む:
- マンニトール;
- 塩化ナトリウム;
- 塩化カリウム;
- 硫酸マグネシウム七水和物;
- グリセロリン酸ナトリウム。
【0145】
特定の実施形態では、組成物は、臓器ケアシステムにおいてエクスビボの臓器を治療及び保存するのに特に適しており、水性媒体は以下を含む:
- 約675mg/1500mL~約825mg/1500mLの濃度のアデノシン、
- 約2100mg/1500mL~約2600mg/1500mLの量の塩化カルシウム脱水物、
- 約315mg/1500mL~約385mg/1500mLの量のグリシン、
- 約150mg/1500mL~約200mg/1500mLの量のL-アラニン、
- 約600mg/1500mL~約800mg/1500mLの量のL-アルギニン、
- 約220mg/1500mL~約270mg/1500mLの量のL-アスパラギン酸、
- 約230mg/1500mL~約8290mg/1500mLの量のL-グルタミン酸、
- 約200mg/1500mL~約250mg/1500mLの量のL-ヒスチジン、
- 約100mg/1500mL~約130mg/1500mLの量のL-イソロイシン、
- 約300mg/1500mL~約380mg/1500mLの量のL-ロイシン、
- 約50mg/1500mL~約65mg/1500mLの量のL-メチオニン、
- 約45mg/1500mL~約60mg/1500mLの量のL-フェニルアラニン、
- 約110mg/1500mL~約140mg/1500mLの量のL-プロリン、
- 約80mg/1500mL~約105mg/1500mLの量のL-セリン、
- 約60mg/1500mL~約80mg/1500mLの量のL-トレオニン、
- 約30mg/1500mL~約40mg/1500mLの量のL-トリプトファン、
- 約80mg/1500mL~約110mg/1500mLの量のL-チロシン、
- 約150mg/1500mL~約190mg/1500mLの量のL-バリン、
- 約200mg/1500mL~約250mg/1500mLの量の酢酸リジン、
- 約535mg/1500mL~約635mg/1500mLの量の硫酸マグネシウム七水和物、
- 約200mg/1500mL~約210mg/1500mLの量の塩化カリウム、
- 約11.1g/1500mL~約11.6g/1500mLの量の塩化ナトリウム、
- 約25g/1500mL~約120g/1500mLの量のデキストロース、
- 約0.25mg/1500mL~約1.0mg/1500mLの量のエピネフリン、
- 約75IU/1500mL~約150IU/1500mLの量のインスリン、
- 約1mg/1500mL~約30mg/1500mLの量の1つ以上のビタミン、
- 約200mg/1500mL~500mg/1500mLの量のコハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、
- 約10mEq/1500mL~25mEq/1500mLの重炭酸ナトリウム、
- 約12.5g/1500mLの量のマンニトール、及び
- 約900mg/1500mLの量のグリセロリン酸ナトリウム。
【0146】
いくつかの実施形態では、水性媒体は以下を含む:
- デキストラン;
- グルコース一水和物;
- 硫酸マグネシウム七水和物;
- 塩化カリウム;
- 塩化ナトリウム
- 二塩基性リン酸ナトリウム二水和物;
- リン酸一カリウム。
【0147】
特定の実施形態では、組成物は、臓器ケアシステムにおいてエクスビボの臓器を治療及び保存するのに特に適しており、水性媒体は以下を含む:
- 約50g/Lの量のデキストラン40;
- 約2g/Lの量のグルコース一水和物;
- 約0.201g/Lの量の硫酸マグネシウム七水和物;
- 約0.4g/Lの量の塩化カリウム;
- 約8g/Lの量の塩化ナトリウム;
- 約0.058g/Lの量の二塩基性リン酸ナトリウム二水和物;
- 約0.063g/Lの量のリン酸一カリウム。
【0148】
いくつかの実施形態では、水性媒体は以下を含む:
- ヒト血清アルブミン(HSA);
- デキストラン。
【0149】
特定の実施形態では、組成物は、臓器ケアシステムにおいてエクスビボの臓器を治療及び保存するのに特に適しており、水性媒体は以下を含む:
- 約25%の量のヒト血清アルブミン(HSA);
- デキストラン40。
【0150】
いくつかの実施形態では、水性媒体は以下を含む:
- デキストラン;
- Na+;
- K+;
- Mg2+;
- Cl-;
- SO42-;
- H2PO4
-;
- グルコース。
【0151】
特定の実施形態では、組成物は、臓器ケアシステムにおいて、冷虚血保存中または灌流中に、エクスビボの臓器を治療及び保存するのに特に適しており、水性媒体は以下を含む:
- 約5%の量のデキストラン40;
- 約138mmolの量のNa+;
- 約6mmolの量のK+;
- 約0.8mmolの量のMg2+;
- 約142mmolの量のCl-;
- 約0.8mmolの量のSO42-;
- 約0.8mmolの量のH2PO4
-及びHPO4
2-;
- 約5mmolの量のグルコース。
【0152】
いくつかの実施形態では、水性媒体は以下を含む:
- ナトリウム;
- カリウム;
- マグネシウム;
- カルシウム;
- ケトグルタレート/グルタミン酸;
- ヒスチジン;
- マンニトール;
- トリプトファン。
【0153】
特定の実施形態では、組成物は、低温保管中にエクスビボの臓器を治療及び保存するのに特に適しており、水性媒体は以下を含む:
- 約15mMの量のナトリウム;
- 約9mMの量のカリウム;
- 約4mMの量のマグネシウム;
- 約0.015mMの量のカルシウム;
- 約1mMの量のケトグルタレート/グルタミン酸;
- 約198mMの量のヒスチジン;
- 約30mMの量のマンニトール;
- 約2mMの量のトリプトファン。
【0154】
いくつかの実施形態では、水性媒体は以下を含む:
- グルタチオン;
- マンニトール;
- ラクトビオン酸;
- グルタミン酸;
- 水酸化ナトリウム;
- 塩化カルシウム二水和物;
- 塩化カリウム;
- 塩化マグネシウム六水和物;
- ヒスチジン。
【0155】
特定の実施形態では、組成物は、低温保管中にエクスビボの臓器を治療及び保存するのに特に適しており、水性媒体は以下を含む:
- 約0.921g/Lの量のグルタチオン;
- 約10.930g/Lの量のマンニトール;
- 約28.664g/Lの量のラクトビオン酸;
- 約2.942g/Lの量のグルタミン酸;
- 約4.000g/Lの量の水酸化ナトリウム;
- 約0.037g/Lの量の塩化カルシウム二水和物;
- 約1.118g/Lの量の塩化カリウム;
- 約2.642g/Lの量の塩化マグネシウム六水和物;
- 約4.650g/Lの量のヒスチジン。
【0156】
いくつかの実施形態では、水性媒体は以下を含む:
- ペンタフラクション;
- アロプリノール;
- ラクトビオン酸;
- グルタチオン;
- リン酸二水素カリウム;
- 水酸化カリウム;
- 硫酸マグネシウム七水和物;
- ラフィノース五水和物;
- アデノシン。
【0157】
特定の実施形態では、組成物は、低温保管中にエクスビボの臓器を治療及び保存するのに特に適しており、水性媒体は以下を含む:
- 約50g/Lのペンタフラクション;
- 約0.136g/L(1mM)の量のアロプリノール;
- 約35.83g/L(105mM)の量のラクトビオン酸;
- 約0.922g/L(3mM)の量のグルタチオン;
- 約3.4g/L(25mM)の量のリン酸二水素カリウム;
- 約5.61g/L(100mM)の量の水酸化カリウム;
- 約1.23g/L(5mM)の量の硫酸マグネシウム七水和物;
- 約17.83g/L(30mM)の量のラフィノース五水和物;
- 約1.34g/L(5mM)の量のアデノシン。
【0158】
いくつかの実施形態では、水性媒体は以下を含む:
- アデニン;
- 塩化カルシウム;
- デキストロース;
- グルタチオン;
- HEPES;
- ヒドロキシエチルデンプン;
- グルコン酸マグネシウム;
- マンニトール;
- リン酸カリウム;
- リボース;
- グルコン酸ナトリウム;
- 水酸化ナトリウム。
【0159】
特定の実施形態では、組成物は、一時的な連続機械灌流中にエクスビボの臓器を治療及び保存するのに特に適しており、水性媒体は以下を含む:
- 約0.68g/L(5mM)の量のアデニン(遊離塩基);
- 約0.068g/L(0.5mM)の量の塩化カルシウム(二水和物);
- 約1.80g/L(10mM)の量のデキストロース(+);
- 約0.92g/L(3mM)の量のグルタチオン(還元);
- 約2.38g/L(10mM)の量のhepes(遊離酸);
- 約50.0g/Lの量のヒドロキシエチルデンプン;
- 約1.13g/L(5mM)の量のグルコン酸マグネシウム;
- 約5.4g/L(30mM)の量のマンニトール;
- 約3.4g/L(25mM)の量のリン酸二水素カリウム;
- 約0.75g/L(5mM)の量のリボース、D(-);
- 約17.45g/L(80mM)の量のグルコン酸ナトリウム;
- 約0.70g/Lの量の水酸化ナトリウム。
【0160】
いくつかの実施形態では、水性媒体は以下を含む:
- ヒドロキシエチルデンプン、
- ラクトビオン酸;
- リン酸二水素カリウム;
- 硫酸マグネシウム七水和物;
- ラフィノース五水和物;
- アデノシン;
- アロプリノール;
- グルタチオン;
- 水酸化カリウム。
【0161】
特定の実施形態では、組成物は、低温保管中にエクスビボの臓器を治療及び保存するのに特に適しており、水性媒体は以下を含む:
- 約50g/Lの量のヒドロキシエチルデンプン;
- 約35.83g/Lの量のラクトビオン酸;
- 約3.4g/Lの量のリン酸二水素カリウム;
- 約1.23g/Lの量の硫酸マグネシウム七水和物;
- 約17.83g/Lの量のラフィノース五水和物;
- 約1.34g/Lの量のアデノシン;
- 約0.136g/Lの量のアロプリノール;
- 約0.922g/Lの量のグルタチオン(還元型);
- 約5.61g/Lの量の水酸化カリウム。
【0162】
いくつかの実施形態では、水性媒体は以下を含む:
- パーフルオロカーボン;
- グルコース;
- インスリン;
- アロプリノール;
- PEG修飾SOD;
- アデノシン;
- デキサメタゾン;
- ヒドロキシエチルデンプン;
- ナトリウムイオン;
- カリウムイオン;
- 塩化物。
【0163】
特定の実施形態では、組成物は、室温での保存中にエクスビボの臓器を治療及び保存するのに特に適しており、水性媒体は以下を含む:
- 約0.1~10%(w/v)の量のパーフルオロカーボン;
- 約1~20mmol/Lの量のグルコース;
- 約10~200U/Lの量のインスリン;
- 約0.1~5mmol/Lの量のアロプリノール;
- 約1~10mg/Lの量のPEG修飾SOD;
- 約1~10mmol/Lの量のアデノシン;
- 約1~20mg/Lの量のデキサメタゾン;
- 約1~5%(w/v)の量のヒドロキシエチルデンプン;
- 約140~145mEq/Lの量のナトリウムイオン;
- 約2~6mEq/Lの量のカリウムイオン;
- 約90~95mEq/Lの量の塩化物。
【0164】
いくつかの実施形態では、水性媒体は以下を含む:
- イスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM);
- ヒト幹細胞因子;
- トロンボポエチン;
- CHIR99021
- フォルスコリン;
- OAC1。
【0165】
特定の実施形態では、組成物は、CD34+幹細胞培養物などのエクスビボの幹細胞培養物を処理及び培養するのに特に適しており、水性媒体は以下を含む:
- IMDM;
- 約100ng/mLの量のヒト幹細胞因子;
- 約50ng/mLの量のトロンボポエチン;
- CHIR99021;
- フォルスコリン;
- OAC1。
【0166】
いくつかの実施形態では、水性媒体は以下を含む:
- IMDM;
- ウシ血清アルブミン;
- ヒトインスリン;
- ヒトトランスフェリン(鉄飽和);
- β-メルカプトエタノール。
【0167】
いくつかの実施形態では、水性媒体は以下を含む:
- 無血清培地;
- ヘパリン;
- トロンボポエチン;
- ヒト幹細胞因子;
- 線維芽細胞増殖因子1。
【0168】
特定の実施形態では、組成物は、造血幹細胞培養物などのエクスビボの幹細胞培養物を処理及び培養するのに特に適しており、水性媒体は以下を含む:
- 無血清培地;
- 約10μg/mLの量のヘパリン;
- 約20ng/mLの量のトロンボポエチン;
- 約10ng/mLの量のヒト幹細胞因子;
- 約10ng/mLの量の線維芽細胞増殖因子1。
【0169】
いくつかの実施形態では、水性媒体は以下を含む:
- 無血清培地;
- ヒトIL-3;
- ヒトIL-6;
- トロンボポエチン;
- Flt-3リガンド;
- ヒト幹細胞因子。
【0170】
特定の実施形態では、組成物は、造血幹細胞培養物などのエクスビボの幹細胞培養物を処理及び培養するのに特に適しており、水性媒体は以下を含む:
- 無血清培地;
- 約10ng/mlの量の組換えヒトIL-3;
- 約100ng/mLの量のIL-6;
- 約100ng/mLの量のトロンボポエチン;
- 約300ng/mLの量のFlt-3リガンド;
- 約300ng/mLの量の「5GF」ヒト幹細胞因子などのヒト幹細胞因子。
【0171】
いくつかの実施形態では、水性媒体は以下を含む:
- IMDM;
- BSA;
- ヒトインスリン;
- ヒトトランスフェリン;
- 低密度リポタンパク質;
- β-メルカプトエタノール;
- ヒト幹細胞因子;
- Flt-3リガンド;
- G-CSF;
- IL-3;
- IL6。
【0172】
特定の実施形態では、組成物は、造血幹細胞培養物などのエクスビボの幹細胞培養物を処理及び培養するのに特に適しており、水性媒体は以下を含む:
- IMDM;
- 約1%のBSA;
- 約5μg/mLのヒトインスリン;
- 約100μg/mLのヒトトランスフェリン;
- 約10μg/mLの低密度リポタンパク質;
- 約10-4Mのβ-メルカプトエタノール;
- 約300ng/mLのヒト幹細胞因子;
- 約300ng/mLのFlt-3;
- 約50ng/mLの顆粒球CSF;
- 約10ng/mLのIL-3;
- 約10ng/mLのIL-6。
【0173】
特定の実施形態では、組成物は、エクスビボの臓器、例えば、エクスビボの肺を治療及び保存するのに特に適しており、水性媒体は以下を含む:
・ ヒト血清アルブミンとデキストラン40を含む2Lの塩水溶液、例えば、Steen Solution(商標)の形態;
・ 500mgのメチルプレドニゾロン;
・ 3000IUの未分画ヘパリン;
・ 500mgのイミペネム;
・ 500mgのシラスタチン。
【0174】
特定の実施形態では、組成物は、エクスビボの臓器、例えば、エクスビボの腎臓を治療及び保存するのに特に適しており、水性媒体は以下を含む:
・ 100mLのヒト血清アルブミン20%;
・ 400mLのリンガー乳酸塩溶液;
・ 5mLのマンニトール10%;
・ 5mLのグルコン酸カルシウム10%;
・ 0.5mgのメロペネム;
・ 12mLの重炭酸ナトリウム8.4%;
・ 6mgのデキサメタゾン。
【0175】
特定の実施形態では、組成物は、エクスビボの臓器、例えば、エクスビボの腎臓を治療及び保存するのに特に適しており、水性媒体は以下を含む:
・ 100mLのヒト血清アルブミン20%;
・ 400mLのリンガー乳酸塩溶液;
・ 1単位の赤血球;
・ 5mLのマンニトール10%;
・ 5mLのグルコン酸カルシウム10%;
・ 0.5mgのメロペネム;
・ 12mLの重炭酸ナトリウム8.4%;
・ 6mgのデキサメタゾン。
【0176】
特定の実施形態では、組成物は、エクスビボの臓器、例えば、エクスビボの肝臓を治療及び保存するのに特に適しており、水性媒体は以下を含む:
・ ヒト血清アルブミンとデキストラン40を含む塩水溶液、例えば、Steen Solution(商標)の形態;
・ 赤血球;
・ セフロキシム;
・ 未分画ヘパリンなどのヘパリン;
・ グルコン酸カルシウム;
・ インスリン;
・ プロスタサイクリン。
【0177】
エクスビボの臓器、組織または幹細胞培養物
本発明は、移植前の広範囲のエクスビボの臓器、組織、または幹細胞培養物において、感染症、例えば、HCMVの予防及び/または治療に有用である。
【0178】
いくつかの実施形態では、エクスビボの臓器は心臓である。いくつかの実施形態では、エクスビボの臓器は肺である。いくつかの実施形態では、エクスビボの臓器は肝臓である。いくつかの実施形態では、エクスビボの臓器は腎臓である。いくつかの実施形態では、エクスビボの臓器は膵臓である。いくつかの実施形態では、エクスビボの臓器は小腸である。いくつかの実施形態では、エクスビボの臓器は大腸である。いくつかの実施形態では、エクスビボの臓器は胃である。
【0179】
いくつかの実施形態では、組織は皮膚である。いくつかの実施形態では、組織は角膜組織である。
【0180】
該臓器及び/または組織は、ヒトドナーなどのドナーから採取することができる。該臓器及び/または組織はまた、ヒト組織または細胞成分から高度な生物医学工学を介して生成され得る。
【0181】
いくつかの実施形態では、幹細胞培養物は成体幹細胞培養物である。いくつかの実施形態では、幹細胞培養物は間葉系幹細胞培養物である。いくつかの実施形態では、幹細胞培養物は誘導多能性幹細胞(IPSC)培養物である。いくつかの実施形態では、幹細胞培養物は前駆細胞培養物である。いくつかの実施形態では、幹細胞培養物は前駆体細胞培養物である。
【0182】
いくつかの実施形態では、幹細胞培養物は、ヒト胚の破壊を伴わない方法によって得られた胚性幹細胞培養物である。
【0183】
いくつかの実施形態では、幹細胞培養物は造血幹細胞培養物である。
【0184】
いくつかの実施形態では、幹細胞培養物は、CD34陽性細胞(CD34+細胞)を含む。いくつかの実施形態では、幹細胞培養物のすべての細胞はCD34+細胞である。いくつかの実施形態では、幹細胞培養物中の細胞のサブセットのみがCD34+細胞である。
【0185】
疾患
本発明は、移植前のエクスビボの臓器、組織、及び/または幹細胞培養物における病原体による感染の予防または治療に有用である。
【0186】
一実施形態では、病原体は細菌またはウイルスである。一実施形態では、ウイルスは、サイトメガロウイルスなどのヘルペスウイルスなどのDNAウイルス、またはRNAウイルスである。
【0187】
一態様では、本開示は、移植前のエクスビボの臓器、組織、及び/または幹細胞培養物におけるCMV感染及び/またはCMV関連障害の予防または治療に使用するための、本明細書に記載の組成物を提供する。
【0188】
一実施形態では、CMV感染は潜伏性及び/または溶解性CMV感染である。
【0189】
いくつかの実施形態では、CMV感染は、エクスビボの臓器、組織または幹細胞培養物において検出することができる。いくつかの実施形態では、CMV感染は、エクスビボの臓器において検出することができる。いくつかの実施形態では、CMV感染は、エクスビボの組織において検出することができる。いくつかの実施形態では、CMV感染は、エクスビボの幹細胞培養物において検出することができる。
【0190】
いくつかの実施形態では、CMV感染は、臓器、組織または幹細胞培養物のドナーにおいて、例えば、
i) 網膜、角膜、心臓、肝臓、腎臓、肺、胃腸組織、胸腺、脾臓、皮膚及び筋肉からなる群の1つ以上から選択される組織;及び/または
ii) 唾液、血液、尿、精液、及び母乳からなる群の1つ以上から選択される体液において検出することができる。
【0191】
一実施形態では、CMV感染は、HIV患者、新生児及び免疫抑制患者、骨髄移植患者、固形臓器移植患者、免疫療法患者、がん患者、集中治療患者、外傷患者、幹細胞患者、遺伝子治療患者、細胞治療患者、高齢者患者、多病患者からなる群から選択される免疫無防備状態の患者への移植のためのエクスビボの臓器、組織、及び/または幹細胞培養物における感染である。
【0192】
一実施形態では、CMV感染は、冠動脈疾患及び/または血管疾患に罹患している患者への移植のためのエクスビボの臓器、組織、及び/または幹細胞培養物における感染である。
【0193】
いくつかの実施形態では、移植臓器、組織、及び/または幹細胞培養物を受ける患者はヒトである。一実施形態では、ヒトは小児である。一実施形態では、ヒトは成人である。
【0194】
一実施形態では、移植された臓器、組織、及び/または幹細胞培養物を受けるヒトは、免疫無防備状態の患者である。免疫無防備状態の患者とは、免疫系の障害または弱体化により、感染症に正常に応答する能力を持たない患者を指す。例えば、免疫無防備状態の患者は、糖尿病及びHIVなどの免疫系に影響を及ぼす疾患と診断されている可能性がある。免疫無防備状態の患者は、化学療法などの治療後に免疫応答が抑制されている可能性がある。
【0195】
一実施形態では、ヒトは固形臓器移植及び/または造血幹細胞移植を必要としている。造血幹細胞移植は、通常1つの骨髄、末梢血、または臍帯血に由来する多能性造血幹細胞の移植である。移植は自家移植(幹細胞が同じ患者から分離される)または同種異系移植(幹細胞が別の患者から分離される)である場合がある。
【0196】
一実施形態では、CMV関連障害は、サイトメガロウイルス肺炎、サイトメガロウイルス肝炎、サイトメガロウイルス膵炎、サイトメガロウイルス単核球症、CMV多発性根脊髄症、サイトメガロ封入体病、サイトメガロウイルス大腸炎、サイトメガロウイルス食道炎、サイトメガロウイルス網膜炎、ギラン・バレー症候群、粘表皮癌及び潰瘍性大腸炎、移植片対宿主病(GVHD)、固形臓器移植移植片対宿主病(SOT-GVHD)からなる群から選択される。
【0197】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、移植片対宿主病(GVHD)及び/または固形臓器移植移植片対宿主病(SOT-GVHD)を予防するかまたはその重症度を軽減する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、GVHDを予防するかまたはその重症度を軽減する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、SOT-GVHDを予防するかまたはその重症度を軽減する。
【0198】
一態様では、本開示は、移植のためのエクスビボの臓器、組織、及び/または幹細胞培養物における病原体による感染の治療または予防のための、本明細書に記載の組成物の使用を提供する。
【0199】
治療方法
本発明のいくつかの態様では、移植前のエクスビボの臓器、組織、及び/または幹細胞培養物における病原体による感染の治療または予防のための方法が提供され、該方法は、本明細書に記載の組成物中の該エクスビボの臓器、組織、及び/または幹細胞培養物を、浸漬、灌流、保存、調整、及び/または洗い流すことを含む。
【0200】
いくつかの実施形態では、移植前のエクスビボ臓器、組織、及び/または幹細胞培養物における病原体による感染の治療または予防のための方法は、本明細書に記載の組成物で該エクスビボの臓器、組織、及び/または幹細胞培養物を灌流することを含む。該灌流は、約1時間~約24時間、例えば約2時間~21時間、例えば約3時間~18時間、例えば約4時間~15時間、例えば約5時間~12時間、例えば、約6時間~10時間、例えば約1時間~10時間、例えば、約4、5、6、7または8時間行うことができる。いくつかの実施形態では、灌流は約6時間行われる。
【0201】
いくつかの実施形態では、灌流などの処理は、正常体温、例えば約37℃など、約36.5℃~約37.5℃の間の温度である。いくつかの実施形態では、灌流などの処理は、約30℃~約36.5℃の間の温度、例えば約30℃、例えば約31℃、例えば約32℃、例えば約33℃、例えば約34℃、例えば約35℃、または例えば約36℃など、ほぼ正常体温である。いくつかの実施形態では、灌流などの処理は、約30℃未満、例えば、約2℃~約30℃、例えば約2℃、例えば約4℃、例えば約6℃、例えば約8℃、例えば約10℃、例えば約12℃、例えば約14℃、例えば約16℃、例えば約18℃、例えば約20℃、例えば約22℃、例えば約24℃、例えば約26℃、例えば約28℃、または例えば約30℃などの低体温である。いくつかの実施形態では、処理は低温、例えば約2℃~約8℃の間の温度である。
【0202】
いくつかの実施形態では、方法は、移植前の該エクスビボの臓器、組織、及び/または幹細胞培養物の生存能力を維持するのにさらに適している。
【0203】
いくつか態様ではまた、移植のためのエクスビボの臓器、組織、及び/または幹細胞培養物における病原体による感染の治療または予防のための、本明細書に記載の組成物の使用を提供する。
【0204】
いくつかの実施形態では、エクスビボの臓器、組織、及び/または幹細胞培養物は、該エクスビボの臓器、組織、及び/または幹細胞培養物の冷蔵保存の前に、本明細書に記載の組成物で洗い流される。
【0205】
キットと灌流システム
本開示のいくつかの態様では、エクスビボの臓器、組織、及び/または幹細胞培養物における病原体による感染を予防または治療するためのキットが提供され、該キットは、
a. 本明細書に記載の組成物と;
b. 任意選択で、使用説明書と、を含む。
【0206】
いくつかの実施形態では、キットは、移植前の臓器、組織、及び/または幹細胞培養物の生存能力を維持するのにさらに適している。
【0207】
本開示のいくつかの態様では、生理学的またはほぼ生理学的条件下でエクスビボの臓器を機能状態に維持するように構成された灌流システムが提供され、該灌流システムは、該エクスビボの臓器を機能状態に維持するように構成された1つ以上のチャンバを備え、少なくとも1つのチャンバは、本明細書に記載の組成物を含む。
【0208】
いくつかの実施形態では、灌流システムは臓器ケアシステム(OCS)である。
【0209】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の融合タンパク質は、37℃のエクスビボ肺灌流灌流液などの37℃の灌流液中で少なくとも1時間安定であり、融合タンパク質は少なくとも0.0850mg/L、例えば少なくとも0.100mg/L、例えば少なくとも0.250mg/L、例えば少なくとも0.500mg/L、例えば少なくとも0.750mg/L、例えば少なくとも1.00mg/L、例えば少なくとも1.25mg/L、例えば少なくとも1.50mg/L、例えば少なくとも1.70mg/Lの濃度で存在する。いくつかの実施形態では、該融合タンパク質は、配列番号6(SYN002)によるタンパク質である。
【0210】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の融合タンパク質は、37℃のエクスビボ肺灌流灌流液などの37℃の灌流液中で少なくとも2時間安定であり、融合タンパク質は少なくとも0.0850mg/L、例えば少なくとも0.100mg/L、例えば少なくとも0.250mg/L、例えば少なくとも0.500mg/L、例えば少なくとも0.750mg/L、例えば少なくとも1.00mg/L、例えば少なくとも1.25mg/L、例えば少なくとも1.50mg/L、例えば少なくとも1.70mg/Lの濃度で存在する。いくつかの実施形態では、該融合タンパク質は、配列番号6によるタンパク質である。
【0211】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の融合タンパク質は、37℃のエクスビボ肺灌流灌流液などの37℃の灌流液中で少なくとも3時間安定であり、融合タンパク質は少なくとも0.0850mg/L、例えば少なくとも0.100mg/L、例えば少なくとも0.250mg/L、例えば少なくとも0.500mg/L、例えば少なくとも0.750mg/L、例えば少なくとも1.00mg/L、例えば少なくとも1.25mg/L、例えば少なくとも1.50mg/L、例えば少なくとも1.70mg/Lの濃度で存在する。いくつかの実施形態では、該融合タンパク質は、配列番号6によるタンパク質である。
【0212】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の融合タンパク質は、37℃のエクスビボ肺灌流灌流液などの37℃の灌流液中で少なくとも4時間安定であり、融合タンパク質は少なくとも0.0850mg/L、例えば少なくとも0.100mg/L、例えば少なくとも0.250mg/L、例えば少なくとも0.500mg/L、例えば少なくとも0.750mg/L、例えば少なくとも1.00mg/L、例えば少なくとも1.25mg/L、例えば少なくとも1.50mg/L、例えば少なくとも1.70mg/Lの濃度で存在する。いくつかの実施形態では、該融合タンパク質は、配列番号6によるタンパク質である。
【0213】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の融合タンパク質は、37℃のエクスビボ肺灌流灌流液などの37℃の灌流液中で少なくとも5時間安定であり、融合タンパク質は少なくとも0.0850mg/L、例えば少なくとも0.100mg/L、例えば少なくとも0.250mg/L、例えば少なくとも0.500mg/L、例えば少なくとも0.750mg/L、例えば少なくとも1.00mg/L、例えば少なくとも1.25mg/L、例えば少なくとも1.50mg/L、例えば少なくとも1.70mg/Lの濃度で存在する。いくつかの実施形態では、該融合タンパク質は、配列番号6によるタンパク質である。
【0214】
項目
1. 移植前のエクスビボの臓器、組織、及び/または幹細胞培養物における病原体による感染を予防または治療するための組成物であって、前記組成物は、水性媒体中に:
以下を含む融合タンパク質を含み:
i. 細胞上に発現する少なくとも1つの受容体に結合する第1のペプチド;
ii. アミノ酸配列ArgX1X2Argを有する切断部位を含む第2のペプチド、
X2はArgまたはLysであり、第2のペプチドは毒素を含み、
前記水性媒体は以下の1つ以上をさらに含む前記組成物:
i. 緩衝成分;
ii. アミノ酸;
iii. 炭水化物;または
iv. 増殖因子またはサイトカイン。
【0215】
2. X1がGln、Ser、ThrまたはAsnである、項目1に記載の組成物。
【0216】
3. X1がGlnである、先行項目のいずれか1つに記載の化合物。
【0217】
4. 前記融合タンパク質が免疫毒素である、先行項目のいずれか1つに記載の組成物。
【0218】
5. 前記切断部位がアミノ酸配列ArgGlnArgArgを含むかまたはそれからなる、先行項目のいずれか1つに記載の組成物。
【0219】
6. 前記第1のペプチドが、細胞上に発現する少なくとも2つの異なる受容体に結合する、先行項目のいずれか1つに記載の組成物。
【0220】
7. 前記第1のペプチドに結合する1つの受容体が、病原体によってコードされる受容体であり、前記第1のペプチドに結合するさらなる受容体が、前記第1のペプチドまたはそのバリアントに対するヒトにコードされる受容体及び/または内在性受容体である、先行項目のいずれか1つに記載の組成物。
【0221】
8. 前記受容体が、配列番号10のUS28などのGタンパク質共役受容体(GPCR)である、先行項目のいずれか1つに記載の組成物。
【0222】
9. 前記第2のペプチドが、緑膿菌外毒素A、ゲロニン、ブーガニン、サポリン、リシン、リシンA鎖、ブリオジン、レストリクトシン、ジフテリア毒素、ジフテリア毒素A鎖、ならびにそれらのバリアント及び断片からなる群から選択される毒素を含む、先行項目のいずれか1つに記載の組成物。
【0223】
10. 前記第2のペプチドが、211At、225Ac、227Th、224Ra、213Bi、67Cu、90Y、131I、177Lu、186Re、188Re、及び125Iからなる群から選択される放射性同位体またはエミッターを含む、先行項目のいずれか1つに記載の組成物。
【0224】
11. 前記受容体がケモカイン受容体である、先行項目のいずれか1つに記載の組成物。
【0225】
12. 前記ケモカイン受容体がCCケモカイン受容体及び/またはCX3Cケモカイン受容体である、項目10に記載の組成物。
【0226】
13. 前記CCケモカイン受容体がUS28である、項目12に記載の組成物。
【0227】
14. 前記CX3Cケモカイン受容体がCX3CR1である、項目12に記載の組成物。
【0228】
15. 前記受容体が病原体によってコードされている、先行項目のいずれか1つに記載の組成物。
【0229】
16. 前記病原体が細菌である、先行項目のいずれか1つに記載の組成物。
【0230】
17. 前記病原体がウイルスである、項目1~15のいずれか1項に記載の組成物。
【0231】
18. 前記ウイルスがDNAウイルスである、項目17に記載の組成物。
【0232】
19. 前記ウイルスがRNAウイルスである、項目17に記載の組成物。
【0233】
20. 前記ウイルスがヘルペスウイルスである、項目17に記載の組成物。
【0234】
21. 前記ウイルスがサイトメガロウイルスである、項目17に記載の組成物。
【0235】
22. 前記受容体が細胞内移行することができる、先行項目のいずれか1つに記載の組成物。
【0236】
23. 前記受容体が前記第1のペプチドに結合すると細胞内移行される、先行項目のいずれか1つに記載の組成物。
【0237】
24. 前記受容体が構成的に内部移行される、先行項目のいずれか1つに記載の組成物。
【0238】
25. 前記切断部位が酵素的切断部位である、先行項目のいずれか1つに記載の組成物。
【0239】
26. 前記酵素切断部位がフューリン切断部位である、項目25に記載の組成物。
【0240】
27. 前記第1のペプチドが標的化部分である、先行項目のいずれか1つに記載の組成物。
【0241】
28. 前記第1のペプチド及び前記第2のペプチドが作動可能に連結されている、先行項目のいずれか1つに記載の組成物。
【0242】
29. 前記第1のペプチドが、以下を含むかそれらからなる、先行項目のいずれか1つに記載の組成物:
a. 配列番号1のアミノ酸配列;
b. 配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性、より好ましくは配列番号1に対して少なくとも85%、もしくは90%の配列同一性、最も好ましくは、配列番号1に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むかそれからなる配列番号1のバリアント;及び/または
c. 60、70、もしくは75を超えるアミノ酸長など、50を超えるアミノ酸長である配列番号1の断片、または配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性、より好ましくは配列番号1に対して少なくとも85%、もしくは90%の配列同一性、最も好ましくは、配列番号1に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、もしくは99%の同一性を有するそれらのバリアント。
【0243】
30. 配列番号1の49位のアミノ酸残基がAla、Lys、またはAsp、好ましくはAlaに変異している、先行項目のいずれか1つに記載の組成物。
【0244】
31. 前記第1のペプチドがN末端にメチオニン(M)をさらに含む、先行項目のいずれか1つに記載の組成物。
【0245】
32. 前記第1のペプチドが、配列番号のアミノ酸配列のN末端及び/またはC末端及び/またはその内部に挿入された1つ以上の追加のアミノ酸を含むかまたはそれらからなる、先行項目のいずれか1つに記載の組成物。
【0246】
33. 1つ以上のアミノ酸が、配列番号1のアミノ酸配列のN末端及び/またはC末端及び/またはその内部で欠失している、先行項目のいずれか1つに記載の組成物。
【0247】
34. 前記第1のペプチドが、100アミノ酸長未満、例えば、90、85、または80未満のアミノ酸長である、先行項目のいずれか1つに記載の組成物。
【0248】
35. 前記第2のペプチドが、配列番号3によるアミノ酸配列またはその断片もしくはバリアントを有するドメインAなどのドメインA、、及び/または、配列番号4によるアミノ酸配列またはその断片もしくはバリアントを有するドメインBなどのドメインB、及び/または、配列番号5によるアミノ酸配列またはその断片もしくはバリアントを有するドメインCなどの細胞毒性ドメインであり得るドメインCを含む、先行項目のいずれか1つに記載の組成物。
【0249】
36. 前記第2のペプチドが、以下を含む、先行項目のいずれか1つに記載の組成物:
a. 配列番号3のアミノ酸配列;
b. 配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性、より好ましくは配列番号3に対して少なくとも85%、もしくは90%の配列同一性、最も好ましくは、配列番号3に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むかそれからなる配列番号3のバリアント;及び/または
c. 90、100、もしくは110を超えるアミノ酸長など、80を超えるアミノ酸長である配列番号3の断片、または配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性、より好ましくは配列番号3に対して少なくとも85%、もしくは90%の配列同一性、最も好ましくは、配列番号3に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、もしくは99%の同一性を有するそのバリアント。
【0250】
37. 前記第2のペプチドが、以下を含む、先行項目のいずれか1つに記載の組成物:
a. 配列番号4のアミノ酸配列;
b. 配列番号4のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性、より好ましくは配列番号4に対して少なくとも85%、もしくは90%の配列同一性、最も好ましくは、配列番号4に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むかそれからなる配列番号4のバリアント;及び/または
c. 8、10、もしくは12を超えるアミノ酸長など、6を超えるアミノ酸長である配列番号3の断片、または配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性、より好ましくは配列番号4に対して少なくとも85%、もしくは90%の配列同一性、最も好ましくは、配列番号4に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、もしくは99%の同一性を有するそのバリアント。
【0251】
38. 前記第2のペプチドが、以下を含む、先行項目のいずれか1つに記載の組成物:
a. 配列番号5のアミノ酸配列;
b. 配列番号5のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性、より好ましくは配列番号5に対して少なくとも85%、もしくは90%の配列同一性、最も好ましくは、配列番号5に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むかそれからなる配列番号5のバリアント;及び/または
c. 190、200、もしくは210を超えるアミノ酸長など、180を超えるアミノ酸長である配列番号3の断片、または配列番号5のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性、より好ましくは配列番号5に対して少なくとも85%、もしくは90%の配列同一性、最も好ましくは、配列番号5に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、もしくは99%の同一性を有するそのバリアント。
【0252】
39. 前記ドメインAが転座ドメインであり、前記ドメインCがADPリボシル化ドメインなどの細胞毒性ドメインである、項目35に記載の組成物。
【0253】
40. 前記第2のペプチドが、配列番号8のアミノ酸配列KDELをC末端に含む、先行項目のいずれか1つに記載の組成物。
【0254】
41. 前記第2のペプチドが、以下を含むかそれらからなる、先行項目のいずれか1つに記載の組成物:
a. 配列番号2のアミノ酸配列;
b. 配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性、より好ましくは配列番号2に対して少なくとも85%、もしくは90%の配列同一性、最も好ましくは、配列番号2に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むかそれからなる配列番号2のバリアント;及び/または
c. 310、330、もしくは340を超えるアミノ酸長など、300を超えるアミノ酸長である配列番号2の断片、または配列番号5のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性、より好ましくは配列番号2に対して少なくとも85%、もしくは90%の配列同一性、最も好ましくは、配列番号2に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、もしくは99%の同一性を有するそのバリアント。
【0255】
42. 前記第2のペプチドが、400アミノ酸長未満、例えば、380、370、360、350、または345未満のアミノ酸長である、先行項目のいずれか1つに記載の組成物。
【0256】
43. 前記融合タンパク質が、以下を含むかそれらからなる、先行項目のいずれか1つに記載の組成物:
a. 配列番号6のアミノ酸配列;
b. 配列番号6のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性、より好ましくは配列番号6に対して少なくとも85%、もしくは90%の配列同一性、最も好ましくは、配列番号6に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むかそれからなる配列番号6のバリアント;及び/または
c. 380、400、もしくは420を超えるアミノ酸長など、360を超えるアミノ酸長である配列番号6の断片、または配列番号6のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性、より好ましくは配列番号6に対して少なくとも85%、もしくは90%の配列同一性、最も好ましくは、配列番号6に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、もしくは99%の同一性を有するそのバリアント。
【0257】
44. 前記融合タンパク質が500アミノ酸長未満、例えば490、480、470、460、450、440、430、425、またはそれ未満のアミノ酸長である、先行項目のいずれか1つに記載の組成物。
【0258】
45. 前記融合タンパク質が、病原体に感染された細胞、例えば、病原体に潜伏感染された細胞を殺傷する、先行項目のいずれか1つに記載の組成物。
【0259】
46. 前記病原体が、サイトメガロウイルスなどのヘルペスウイルスなどのDNAウイルス、またはRNAウイルスなどのウイルスである、項目45に記載の組成物。
【0260】
47. 前記融合タンパク質が受容体を発現する細胞の細胞死を誘導する、先行項目のいずれか1つに記載の組成物。
【0261】
48. 前記細胞死が、アポトーシス、ネクローシス、オートファジー細胞死、及び有糸分裂関連細胞死からなる群から選択される、項目47に記載の組成物。
【0262】
49. 前記融合タンパク質が、病原体の増殖、複製、ゲノム安定性、成熟、パッケージング、潜伏、再活性化、播種及び/または免疫阻害の阻害をもたらす、前記病原体に対する直接的または間接的な効果を誘発する、先行項目のいずれか1つに記載の組成物。
【0263】
50. 前記融合タンパク質が、US28を発現する細胞を殺傷する、先行項目のいずれか1つに記載の組成物。
【0264】
51. 前記融合タンパク質が、US28などのウイルスによってコードされる受容体に対して、10nM未満、例えば5nM未満、例えば1nM未満、例えば0.5nM未満、例えば0.1nM未満または0.001nM未満のIC50値を有する、先行項目のいずれか1つに記載の組成物。
【0265】
52. 前記融合タンパク質が、内在性受容体またはCX3CR1などのヒトにコードされる受容体を発現する細胞に対する効力と比較して、US28などのウイルスによってコードされる受容体を発現する細胞に対して、少なくとも300倍の増加した効力、少なくとも400倍の増加した効力、少なくとも500倍の増加した効力、少なくとも700倍の増加した効力などの増加した効力を有する、先行項目のいずれか1つに記載の組成物。
【0266】
53. 前記融合タンパク質が、内在性受容体またはCX3CR1などのヒトにコードされる受容体に対する親和性と比較して、US28などのウイルスによってコードされる受容体に対して、少なくとも50倍の増加した親和性、少なくとも100倍の増加した親和性などの増加した親和性を有する、先行項目のいずれか1つに記載の組成物。
【0267】
54. 前記緩衝成分が、重炭酸緩衝液(HCO3
-/CO2)、アンモニウム緩衝液(NH3/NH4
+)、リン酸緩衝液(H2PO4
-/HPO4
2-)、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)、3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、及び2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)からなる群から選択される1つ以上の緩衝成分である、先行項目のいずれか1つに記載の組成物。
【0268】
55. 前記アミノ酸が、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、及びバリンからなる群から選択される1つ以上のアミノ酸である、先行項目のいずれか1つに記載の組成物。
【0269】
56. 前記アミノ酸が、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、及びバリンからなる群から選択される1つ以上のアミノ酸である、項目55に記載の組成物。
【0270】
57. 前記炭水化物が、単糖、二糖、オリゴ糖、または多糖などの糖、及び糖アルコールからなる群から選択される1つまたは複数の炭水化物である、先行項目のいずれか1つに記載の組成物。
【0271】
58. 前記炭水化物が、デキストラン、デキストロース(D-グルコース)、グルコース、グルコース一水和物、マンニトール、ラフィノース、及びリボースからなる群から選択される1つ以上の炭水化物である、先行項目のいずれか1つに記載の組成物。
【0272】
59. 前記増殖因子またはサイトカインが、トロンボポエチン、インスリン、線維芽細胞増殖因子1、ヒト幹細胞因子、IL-3、IL-6、Flt-3リガンド及び顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)からなる群から選択される1つ以上の増殖因子またはサイトカインである、先行項目のいずれか1つに記載の組成物。
【0273】
60. 前記水性媒体が、以下からなる群から選択される1つ以上のさらなる成分をさらに含む、先行項目のいずれか1つに記載の組成物:
i. ビタミン;
ii. 電解質;
iii. OAC1などの転写因子;
iv. フォルスコリンなどのジテルペン;
v. 低密度リポタンパク質;
vi. 心臓刺激剤;
vii. 免疫抑制剤;
viii. ウシ血清アルブミン(BSA)またはヒト血清アルブミン(HAS)などの血清アルブミン;
ix. 未分画ヘパリンなどのヘパリン;
x. ヒトトランスフェリン;
xi. ペンタフラクション;
xii. 2-メルカプトエタノール;
xiii. グルタチオン;
xiv. ラクトビオン酸;
xv. グルタミン酸;
xvi. アロプリノール;
xvii. アデノシン;
xviii. アデニン;
xix. ヒドロキシエチルデンプン;
xx. パーフルオロカーボン;
xxi. ポリエチレングリコール修飾スーパーオキシドジスムターゼ(PEG修飾SOD);
xxii. デキサメタゾン;
xxiii. 酢酸リジン;
xxiv. コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム;
xxv. CHIR99021;
xxvi. 抗生剤;
xxvii. グルココルチコイド;
xxviii. 抗凝固剤;
xxix. プロスタグランジン。
【0274】
61. 前記電解質が、カルシウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩、塩化物塩、硫酸塩、及びリン酸塩からなる群から選択される1つ以上の電解質である、項目60に記載の組成物。
【0275】
62. 前記心臓刺激薬が、カテコールアミン、ペプチド、ポリペプチド、β1/β2アドレナリン受容体遮断薬、ブプリナロール、ピンドロール、アルプレノロール、強心配糖体、ジギタリス、パルストリン、フェルラ酸、及びエピネフリンからなる群から選択される1つ以上の心臓刺激薬である、項目60に記載の組成物。
【0276】
63. 前記水性媒体が、以下を含む、先行項目のいずれか1つに記載の組成物:
- カテコールアミン、ペプチド、ポリペプチド、β1/β2アドレナリン受容体遮断薬、ブプリナロール、ピンドロール、アルプレノロール、強心配糖体、ジギタリス、パルストリン、フェルラ酸、及びエピネフリンからなる群から選択される1つ以上の心臓刺激薬;
- アスパラギン、グルタミン、及びシステインを含まない、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、及びリジンからなる群から選択される複数のアミノ酸;
- 任意選択で、アデノシン、インスリン、免疫抑制剤、マルチビタミン組成物、及び/またはカルシウムなどの1つ以上の電解質。
【0277】
64. 前記水性媒体が以下を含む、先行項目のいずれか1つに記載の組成物:
- マンニトール;
- 塩化ナトリウム;
- 塩化カリウム;
- 硫酸マグネシウム七水和物;
- グリセロリン酸ナトリウム。
【0278】
65. 前記水性媒体が、以下を含む、先行項目のいずれか1つに記載の組成物:
- アデノシン;
- 塩化カルシウム脱水物;
- グリシン;
- L-アラニン;
- L-アルギニン;
- L-アスパラギン酸;
- L-グルタミン酸;
- L-ヒスチジン;
- L-イソロイシン;
- L-ロイシン;
- L-メチオニン;
- L-フェニルアラニン;
- L-プロリン;
- L-セリン;
- L-トレオニン;
- L-トリプトファン;
- L-チロシン;
- L-バリン;
- 酢酸リジン;
- 硫酸マグネシウム七水和物;
- 塩化カリウム;
- 塩化ナトリウム;
- デキストロース;
- エピネフリン;
- インスリン;
- 1つ以上のビタミン;
- コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム;
- 重炭酸ナトリウム;
- マンニトール;
- グリセロリン酸ナトリウム。
【0279】
66. 前記水性媒体が、以下を含む、先行項目のいずれか1つに記載の組成物:
- デキストラン;
- グルコース一水和物;
- 硫酸マグネシウム七水和物;
- 塩化カリウム;
- 塩化ナトリウム;
- 二塩基性リン酸ナトリウム二水和物;
- リン酸一カリウム。
【0280】
67. 前記水性媒体が以下を含む、先行項目のいずれか1つに記載の組成物:
- ヒト血清アルブミン(HSA);
- デキストラン。
【0281】
68. 前記水性媒体が以下を含む、先行項目のいずれか1つに記載の組成物:
- デキストラン;
- Na+;
- K+;
- Mg2+;
- Cl-;
- SO42-;
- H2PO4
-;
- グルコース。
【0282】
69. 前記水性媒体が以下を含む、先行項目のいずれか1つに記載の組成物:
- ナトリウム;
- カリウム;
- マグネシウム;
- カルシウム;
- ケトグルタレート/グルタミン酸;
- ヒスチジン;
- マンニトール;
- トリプトファン。
【0283】
70. 前記水性媒体が以下を含む、先行項目のいずれか1つに記載の組成物:
- グルタチオン;
- マンニトール;
- ラクトビオン酸;
- グルタミン酸;
- 水酸化ナトリウム;
- 塩化カルシウム二水和物;
- 塩化カリウム;
- 塩化マグネシウム六水和物;
- ヒスチジン。
【0284】
71. 前記水性媒体が以下を含む、先行項目のいずれか1つに記載の組成物:
- ペンタフラクション;
- アロプリノール;
- ラクトビオン酸;
- グルタチオン;
- リン酸二水素カリウム;
- 水酸化カリウム;
- 硫酸マグネシウム七水和物;
- ラフィノース五水和物;
- アデノシン。
【0285】
72. 前記水性媒体が以下を含む、先行項目のいずれか1つに記載の組成物:
- アデニン;
- 塩化カルシウム;
- デキストロース;
- グルタチオン;
- HEPES;
- ヒドロキシエチルデンプン;
- グルコン酸マグネシウム;
- マンニトール;
- リン酸カリウム;
- リボース;
- グルコン酸ナトリウム;
- 水酸化ナトリウム。
【0286】
73. 前記水性媒体が以下を含む、先行項目のいずれか1つに記載の組成物:
- ヒドロキシエチルデンプン、
- ラクトビオン酸;
- リン酸二水素カリウム;
- 硫酸マグネシウム七水和物;
- ラフィノース五水和物;
- アデノシン;
- アロプリノール;
- グルタチオン;
- 水酸化カリウム。
【0287】
74. 前記水性媒体が以下を含む、先行項目のいずれか1つに記載の組成物:
- パーフルオロカーボン;
- グルコース;
- インスリン;
- アロプリノール;
- PEG修飾SOD;
- アデノシン;
- デキサメタゾン;
- ヒドロキシエチルデンプン;
- ナトリウムイオン;
- カリウムイオン;
- 塩化物。
【0288】
75. 前記水性媒体が以下を含む、先行項目のいずれか1つに記載の組成物:
- イスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM);
- ヒト幹細胞因子;
- トロンボポエチン;
- CHIR99021
- フォルスコリン;
- OAC1。
【0289】
76. 前記水性媒体が、以下を含む、先行項目のいずれか1つに記載の組成物:
- IMDM;
- ウシ血清アルブミン;
- ヒトインスリン;
- ヒトトランスフェリン(鉄飽和);
- β-メルカプトエタノール。
【0290】
77. 前記水性媒体が以下を含む、先行項目のいずれか1つに記載の組成物:
- 無血清培地;
- ヘパリン;
- トロンボポエチン;
- ヒト幹細胞因子;
- 線維芽細胞増殖因子1。
【0291】
78. 前記水性媒体が以下を含む、先行項目のいずれか1つに記載の組成物:
- 無血清培地;
- ヒトIL-3;
- ヒトIL-6;
- トロンボポエチン;
- Flt-3リガンド;
- 「5GF」ヒト幹細胞因子などのヒト幹細胞因子。
【0292】
79. 前記水性媒体が、以下を含む、先行項目のいずれか1つに記載の組成物:
- IMDM;
- BSA;
- ヒトインスリン;
- ヒトトランスフェリン;
- 低密度リポタンパク質;
- β-メルカプトエタノール;
- ヒト幹細胞因子;
- Flt-3リガンド;
- G-CSF;
- IL-3;
- IL6。
【0293】
80. 前記水性媒体が以下を含む、先行項目のいずれか1つに記載の組成物:
- ヒト血清アルブミン及びデキストラン40;
- メチルプレドニゾロン;
- 未分画ヘパリンなどのヘパリン;
- イミペネム及び任意選択でのシラスタチン。
【0294】
81. 前記水性媒体が以下を含む、先行項目のいずれか1つに記載の組成物:
- ヒト血清アルブミン;
- リンガー乳酸塩溶液;
- マンニトール;
- グルコン酸カルシウム;
- メロペネム;
- 重炭酸ナトリウム;
- デキサメタゾン。
【0295】
82. 前記水性媒体が以下を含む、先行項目のいずれか1つに記載の組成物:
- ヒト血清アルブミン;
- リンガー乳酸塩溶液;
- 赤血球、
- マンニトール;
- グルコン酸カルシウム;
- メロペネム;
- 重炭酸ナトリウム;
- デキサメタゾン。
【0296】
83. 前記水性媒体が、以下を含む、先行項目のいずれか1つに記載の組成物:
- ヒト血清アルブミン及びデキストラン40;
- 赤血球;
- セフロキシム;
- 未分画ヘパリンなどのヘパリン;
- グルコン酸カルシウム;
- インスリン;
- プロスタサイクリン。
【0297】
84. エクスビボの臓器が、心臓、肺、肝臓、腎臓、膵臓、小腸、大腸、及び胃からなる群から選択される、先行項目のいずれか1つに記載の組成物。
【0298】
85. 前記組織が皮膚または角膜の組織である、項目1~83のいずれか1つに記載の組成物。
【0299】
86. 前記幹細胞培養物が、成体幹細胞培養物、例えば、間葉系幹細胞培養物または誘導多能性幹細胞(IPSC)培養物、前駆細胞培養物または前駆体細胞培養物である、項目1~83のいずれか1つに記載の組成物。
【0300】
87. 前記幹細胞培養物が胚性幹細胞培養物である、項目1~83のいずれか1つに記載の組成物。
【0301】
88. 前記幹細胞培養物が造血幹細胞培養物である、項目1~83のいずれか1つに記載の組成物。
【0302】
89. 前記幹細胞培養物がCD34陽性細胞(CD34+細胞)を含む、項目1~83のいずれか1つに記載の組成物。
【0303】
90. 前記組成物が、移植前の前記エクスビボの臓器、組織、及び/または幹細胞培養物の生存能力を維持するのに適している、先行項目のいずれか1つに記載の組成物。
【0304】
91. 前記組成物が、前記エクスビボの臓器、組織、及び/または幹細胞培養物を機能状態に維持するのに適している、先行項目のいずれか1つに記載の組成物。
【0305】
92. 前記組成物が、前記エクスビボの臓器、組織、及び/または幹細胞培養物を生理学的またはほぼ生理学的条件下で維持するのに適している、項目91に記載の組成物。
【0306】
93. 前記組成物が臓器ケアシステムにおいて前記エクスビボの臓器を保存するのに適している、項目91~92のいずれか1つに記載の組成物。
【0307】
94. 1つ以上のさらなる薬剤をさらに含む、先行項目のいずれか1つに記載の組成物。
【0308】
95. 前記さらなる薬剤が、免疫抑制剤及び抗ウイルス剤からなる群から選択される、項目94に記載の組成物。
【0309】
96. 前記抗ウイルス剤が、バルガンシクロビル、ガンシクロビル、シドフォビル、レフルノミド、プレビミス、マリバビル、及びブリンシドフォビルからなる群から選択される、項目95に記載の組成物。
【0310】
97. 前記エクスビボの臓器、組織、及び/または幹細胞培養物における病原体による感染及び/または病原体関連障害の予防または治療における使用のための、先行項目のいずれか1つに記載の組成物。
【0311】
98. 前記病原体による感染がCMV感染、例えば潜伏性及び/または溶解性のCMV感染である、項目97に記載の使用のための組成物。
【0312】
99. 前記CMV感染が、エクスビボの臓器、組織、及び/または幹細胞培養物において検出され得る、項目98に記載の使用のための組成物。
【0313】
100. 前記組成物が、移植片対宿主病(GVHD)及び/または固形臓器移植移植片対宿主病(SOT-GVHD)を予防またはその重症度を軽減する、項目97~99のいずれか1つに記載の使用のための組成物。
【0314】
101. エクスビボの臓器、組織、及び/または幹細胞培養物における病原体による感染の予防または治療のためのキットであって、以下を含む前記キット:
a. 項目1~96のいずれか1つに記載の組成物と;
b. 任意選択で、使用説明書と。
【0315】
102. 前記キットが、移植前の前記臓器、組織、及び/または幹細胞培養物の生存能力を維持するのにさらに適している、項目101に記載のキット。
【0316】
103. 生理学的またはほぼ生理学的条件下でエクスビボの臓器を機能状態に維持するように構成された灌流システムであって、前記エクスビボの臓器を生理学的またはほぼ生理学的条件下で機能状態に維持するように構成された1つ以上のチャンバを含み、少なくとも1つのチャンバが項目1~96のいずれか1つに記載の組成物を含む、前記灌流システム。
【0317】
104. 前記灌流システムが臓器ケアシステムである、項目103に記載の灌流システム。
【0318】
105. 移植前のエクスビボの臓器、組織、及び/または幹細胞培養物における病原体による感染の治療または予防のための方法であって、項目1~96のいずれか1つで定義される組成物中の前記エクスビボの臓器、組織、及び/または幹細胞培養物を浸漬、灌流、保存、調整及び/または洗い流すことを含む方法。
【0319】
106. 前記方法が、移植前に前記エクスビボの臓器、組織、及び/または幹細胞培養物の生存能力を維持するためのものである、項目105に記載の方法。
【0320】
107. 前記灌流が約1時間~約10時間、例えば約6時間実施される、項目105~106のいずれか1つに記載の方法。
【0321】
108. 移植のためのエクスビボの臓器、組織、及び/または幹細胞培養物における病原体による感染の治療または予防のための項目1~96のいずれか1つに記載の組成物の使用。
【実施例】
【0322】
実施例1:融合タンパク質SYNxの第1のペプチドの変異は、細胞殺傷の選択性をもたらす
材料及び方法
誘導性のUS28またはCX3CR1を発現するHEK293細胞
結合及び細胞殺傷アッセイのために、Hjortoe GM et al.,2013 に記載されているように細胞を構築した。簡潔に述べると、HA-CX3CR1及びHA-US28を発現する細胞の安定した誘導可能なクローンは、Flp-In T-Rex-293細胞をFlp-リコンビナーゼ発現ベクター、pOG44、及びpcDNA5/FRT/TO受容体構築物のいずれかで共トランスフェクトすることによって生成された。このFRT部位での標的化クローニングにより、受容体遺伝子はテトラサイクリンリプレッサー/オペレーターシステムの制御下に置かれる。受容体の発現はウェスタンブロッティングで確認した。細胞培養のために、細胞を加湿インキュベーター(37℃、5%CO2)で1×DMEM(9%(v/v)のFBS、180U/mLのペニシリン及び45μg/mLのストレプトマイシン、13.5μg/mLのブラストサイジン及び1.32mg/mLのハイグロマイシンBを含む)中で増殖させた。
【0323】
細胞殺傷アッセイ
1×PBS中の20μg/mLのポリ-D-リジン(PDL)の80μLを、白色の96ウェルプレートのそれぞれのウェルに加え、室温で30分間インキュベートした。誘導性のUS28またはCX3CR1を発現するHEK293細胞を10mLの1×PBSで洗浄し、2mLの0.05%(w/v)トリプシン-EDTAで2分間放出した。細胞を10mLの増殖培地(1×DMEM、9%(v/v)のFBS、180U/mLのペニシリン及び45μg/mLのストレプトマイシン)に再懸濁し、次いで細胞密度を決定した。PDL溶液をプレートから吸引し、それぞれのウェルを100μLの1×PBSで洗浄した。洗浄バッファーの吸引後、96ウェルプレートに100μLで2,000~10,000細胞/ウェルを播種し、CO2インキュベーター(37℃、10%CO2)に一晩置いた。
【0324】
受容体発現のために、選択なしの増殖培地中で10μLのテトラサイクリン、1.375μg/mLのUS28及び5.5μg/mLのCX3CR1をプレートのそれぞれのウェルに加え、プレートをCO2インキュベーター(37℃、10%CO2)に一晩戻した。
【0325】
融合毒素タンパク質アリコートを氷上で解凍し、1mMの酢酸及び5g/LのBSAで希釈系列を作製するために使用した。受容体発現増殖培地を吸引し、100μLの新鮮な増殖培地と交換した。融合毒素タンパク質希釈系列5μLをそれぞれのウェルに加え、陽性対照として1g/Lのシクロヘキシミド5μLを1つのウェルに加えた。プレートをCO2インキュベーター(37℃、10%CO2)に一晩戻した。
【0326】
アッセイ増殖培地中のAlamarBlueの1:10希釈物を調製した。溶液をアルミホイルで覆い、37℃の水浴で10分間加熱し、次いで0.2μmフィルターでろ過した。ウェル溶液を吸引し、100μLのAlamarBlue溶液をそれぞれのウェルに加え、プレートをCO2インキュベーター(37℃、10%CO2)に4時間戻した。蛍光データは、540nmの励起と585nmの発光を使用して、FlexStation3で収集された。
【0327】
結果
SYNxの細胞殺傷効率は、US28などのウイルスによってコードされる受容体またはCX3CR1などの内在性受容体のいずれかを発現するテトラサイクリン誘導HEK293細胞と、受容体発現のない非誘導細胞(陰性対照)を使用して決定された。データは、生細胞の最大数に正規化された。
【0328】
SYNxの第1のペプチド(ここではケモカイン部分)の単一アミノ酸を置換すると、
図2に示すように、ウイルスにコードされる受容体US28に対する選択性をもたらす。タンパク質の第1のペプチド(受容体結合部分)の単一変異(F49A、前駆体のナンバリングを使用してF73Aに対応)は、内在性受容体、ここではCXC3R1に対する選択性が低くなる(
図2B)。
【0329】
結論
融合タンパク質構築物の第1のペプチド(例えば、ケモカイン部分)における単一アミノ酸F49A置換は、ウイルスにコードされる受容体US28に対する融合タンパク質(SYNx)の選択性を誘導する。
【0330】
実施例2:外毒素Aの全長転座ドメインを介してフューリン切断部位を付加することによって得られる効力の増加
材料及び方法
実施例1を参照されたい。
【0331】
結果
SYNxの細胞殺傷効率は、ウイルスによってコードされる受容体US28または内在性受容体CX3CR1のいずれかを発現するテトラサイクリン誘導HEK293細胞と、受容体発現のない非誘導細胞(陰性対照)を使用して決定された。データは、生細胞の最大数に正規化された。SYN016を生成するSYN001構築物に完全長転座ドメインなどのフューリン切断部位を追加すると、
図3及び表1に示すように、内在性/ヒトCX3CR1及び病原体にコードされるUS28受容体を発現する細胞の両方で効力が増加する。
【0332】
結論
外毒素AのドメインIIは、エンドサイトーシス小胞からサイトゾルへの触媒ドメインであるドメインIIIの移動に関与する転座ドメインとして同定されている(Hwang J et al.,1987;Siegall CB et al.,1989)。外毒素AのドメインIIなどのフューリン切断部位を含む転座ドメインをSYN001に付加してSYN016を生成すると、内在性受容体CX3CR1とウイルスにコードされる受容体US28の両方で効力が増加した融合タンパク質構築物が得られた。
【0333】
【0334】
実施例3:ヒトフューリンによるSYNxのインビトロ切断
材料及び方法
ヒトフューリンによるSYNxのインビトロ切断
精製されたSYNx構築物は実験台で解凍された。解凍したら、試料をスピンダウンした。試料の濃度を測定し、5mMのCaCl2を含む1×PBS中の新しいチューブで、50μL中の20μMのSYNxで消化物を設定した。SDS-PAGE分析のために5μgを取り出した。1μLのヒトフューリン(NEB、2 単位/μL)を混合物に加え、37℃の水浴に入れた。1.5時間後、SDS-PAGE分析のために5μgのSYNxを取り出した。SYNxを添加する前に、反応混合物のpHを1MのHCLまたは1MのNaOHのいずれかで調整する。
【0335】
SDS-PAGE分析の還元
試料を調製し、タンパク質マーカー標準とともに、製造業者のプロトコールに従って、2mMのDTTを含む1×MESランニングバッファーを使用して、NuPAGE Bis-Tris4-12%ゲルで分析した。ゲルを125Vの定電圧で75分間泳動した。ゲルは、SimplyBlue(商標)SafeStainマニュアル(Novex)に従って染色された。
【0336】
結果
精製されたSYNx構築物を精製されたヒトフューリンでインビトロで処理し、フューリンによるさまざまなSYNx構築物の切断効率を決定した。フューリン以外の切断メカニズムが発生する可能性がある。結果をSDS-PAGEで分析した。SYN000またはSYN001に完全なExoA転座ドメインなどの完全な転座ドメインを付加すると、それぞれSYN017及びSYN016が生成され、フューリンによるインビトロ切断が改善される。それぞれSYN014とSYN002を生成するSYN017とSYN016のフューリン切断部位の最適化は、
図4に示すように、フューリンによるインビトロ切断をさらに改善するのではないらしい。
【0337】
精製されたSYN002は、異なるpH値で精製されたヒトフューリンでインビトロで処理され、切断効率を決定し、結果はSDS-PAGEによって分析された。SYN002は、
図5に示すように広いpH範囲でフューリンによって切断される。
【0338】
結論
SYN016のように、最適化された切断部位(この場合はArgGlnArgArg)をSYNx構築物(ここでは転座ドメインも含むSYN002構築物)に付加しても、天然配列(ArgGlnProArg)を有する構築物と比較して、フューリンによるインビトロ切断が改善されなかった。SYN002は幅広いpH範囲でインビトロで切断される可能性があり、エンドソームだけでなく、あらゆる細胞の場所でフューリンによる切断が発生する可能性があることを示唆している。
【0339】
実施例4:内在性受容体を発現する細胞とウイルスにコードされる受容体を発現する細胞との間の細胞殺傷選択性もまた、最適化された切断部位によって増強され、媒介される。
材料及び方法
実施例1を参照されたい。
【0340】
結果
SYNxの細胞殺傷効率は、US28またはCX3CR1のいずれかを発現するテトラサイクリン誘導HEK293細胞と、受容体発現のない非誘導細胞(陰性対照)を使用して決定された。データは、生細胞の最大数に正規化された。
【0341】
最適化された切断部位ArgX1X2Argを第2のペプチドに導入する場合、この特定の場合、最適化された切断部位ArgGlnArgArgをSYN016に導入してSYN002を得ると、選択性の驚くべき増加が得られる。US28などのウイルスにコードされる受容体を発現する細胞上のSYN002の場合、切断部位ArgGlnProArg(したがってX2=Pro)を有するSYN016と比較して、細胞殺傷効力はほぼ維持される(
図6A、表1)。しかしながら、CX3CR1などの内在性受容体を発現する細胞に対する効力は低下するため(約0.9log(EC50))、
図6Bを参照されたい)、副作用の少ないより効果的な薬物をサポートできる効果が得られる。最適化された切断部位を含まない第2のペプチドと比較すると、選択性と効力の両方が増加する。
【0342】
結論
細胞殺傷選択性に対する驚くべき効果は、切断部位の最適化によって得られる。いかなる理論にも拘束されることなく、これは、CX3CR1受容体などの内在性受容体に対するUS28受容体などのウイルスによってコードされる受容体の内部移行及び細胞内輸送の違いによる可能性がある。
【0343】
実施例5:肺のエクスビボ研究でのSYN002の使用安定性
背景とまとめ
エクスビボ肺灌流(EVLP)システムでSYN002(配列番号6)を試験する前に、灌流液(灌流液)中でのその安定性を調査した。EVLPの間、人工呼吸器と灌流回路に接続されたインキュベーターに肺が置かれ、移植前に臓器からサイトメガロウイルス(CMV)を除去するために SYN002を添加する可能性がある。SYN002を灌流液に添加できるようになった後、最初の1時間で肺を37℃まで徐々に加熱する。
【0344】
エクスビボ研究に使用されるSYN002基準試料は、10mMのクエン酸及び300mMのL-アルギニンpH6.5中で製剤化される。SYN002の効力が高いため、有効性と毒性に関するエクスビボ試験は非常に低濃度で実施される。この研究では、SYN002は約1.9~37nM(それぞれ0.085~1.7mg/L)で試験された。
【0345】
この研究におけるSYN002濃度は非常に低いため、典型的な分析方法は適用できない。したがって、効力アッセイが、安定性の尺度として使用されている。
【0346】
SYN002の安定性は、濃度範囲0.085~1.7mg/LのEVLP灌流液で、37℃で5時間、ポリプロピレンの容器に曝露した場合に示された。
【0347】
SYN001(配列番号12)の安定性は、1mg/Lの濃度のEVLP灌流液においても、37℃で5時間にわたって、ポリプロピレンの容器に曝露して示された。
【0348】
材料及び方法
この実施例例の灌流液は、次のもので構成されていた。
【0349】
・ 2LのSteen溶液(XVIVO,Sweden)。
・ STEEN溶液(商標)は、ヒト血清アルブミン(HSA)とデキストラン40を含む透明、無菌、非発熱性、非毒性の生理食塩水で、ドナーから摘出後の摘出肺の評価のための一時的な連続機械灌流溶液として使用するように設計されている。
・ デキストランは、細菌が産生する不均一なグルコースポリマーであり、帯電していない。
【0350】
・ 500mgのメチルプレドニゾロン(Solu-Medrol,Sandoz Canada,Boucherville,Canada)
・ メチルプレドニゾロンは、さまざまな臓器系、内分泌疾患、及び腫瘍性疾患の炎症または免疫反応を治療するために使用されるコルチコステロイドである。
【0351】
・ 3,000IUの未分画ヘパリン(Leo Pharma,Thornhill,Canada)
・ ヘパリンは、血栓予防ならびに肺塞栓症及び心房細動などのさまざまな状態に関連する血栓症の治療に適応される抗凝固剤である。
・ 未分画ヘパリンは、3,000~30,000Daの範囲の重量のアニオン性硫酸化グリコサミノグリカンポリマーの不均一な調製物である。
【0352】
・ 500mg(それぞれ)イミペネム/シラスタチン(Primaxin,Merck,White-house Station,NJ)
・ イミペネムは、グラム陰性菌及びグラム陽性菌の好気性及び嫌気性細菌に対する広範囲の抗菌活性である、さまざまな感染症を治療するために通常シラスタチンとともに投与されるカルバペネム系抗生剤である。
・ シラスタチンは、イミペネムの分解を防ぐために使用される腎臓のデヒドロペプチダーゼ阻害剤である。
【0353】
SYN001(配列番号12)及びSYN002(配列番号6)は、以下に示す濃度で試験され、所定の時点でサンプリングされた:
【表2】
【0354】
簡潔に述べると、SYN001とSYN002の効力は、US28発現HEK293細胞で決定された。US28は、SYN002を認識して内部移行するウイルスGPCR受容体である。効力は、SYN001またはSYN002の濃度を増加させた場合の細胞生存率に対するSYN001またはSYN002の細胞毒性効果を測定することによって決定される。SYN001またはSYN002処置期間後の生存細胞のレベルを蛍光アッセイで評価し、それぞれSYN001またはSYN002濃度の関数としてプロットする。蛍光が高いほど、測定された細胞の生存率が高くなるため、SYN001またはSYN002試料の効力が低くなる。
【0355】
安定性のために使用される容器:ポリプロピレン製の低タンパク結合チューブ(Sarstedtkカタログ番号72.706.600)。
【0356】
結果
選択したタイムプルポイントを効力アッセイで分析し、SYN001またはSYN002の効力が37℃での灌流液への曝露により経時的に失われたかどうかを判断した。
【0357】
1mg/Lの試料から作成したSYN001希釈系列について、37℃で0、15、180、及び300分間の灌流液曝露後の効力アッセイを
図7に示す。
【0358】
1.7mg/L、0.85mg/L、及び0.085mg/Lの試料から作成されたSYN002希釈系列について、37℃で0、15、180、及び300分間の灌流液曝露後の効力アッセイをそれぞれ
図8、9、及び10に示す。
【0359】
最低濃度のSYN002も、30、60、及び1140分の時点での効力アッセイで評価された(
図11及び12を参照されたい)。
【0360】
図7から12までのすべてのEC
50値を以下の表に要約する。
【0361】
【0362】
結論
SYN001及びSYN002の安定性は、効力アッセイを読み出しとして使用して調べた。
【0363】
SYN001の安定性は、1mg/Lの濃度のEVLP灌流液において、37℃で5時間にわたって、ポリプロピレンの容器に曝露して示された。
【0364】
SYN002の安定性は、濃度範囲0.085~1.7mg/LのEVLP灌流液で、37℃で5時間、ポリプロピレンの容器に曝露した場合に示された。最低濃度のSYN002は19時間後にその効力の一部を失ったように見えるが、この時点は臨床EVLPでは適切でないと考えられており、より長い暴露で負の効果が誘発されるかどうかを確認するために選択された。SYN002の灌流液への5時間の暴露は、ヒトの肺とSYN002を使用した初期の前臨床試験の安定性を確認するのに十分な試験とみなされる。
【0365】
実施例6:SYN002を使用したエクスビボの臓器ケア
肺
正常体温のエクスビボ肺灌流プロトコール
ドナーの肺が回収された直後に、肺は低カリウム溶液で洗い流され、膨張した状態で4℃で保存される。左心房(LA)と主肺動脈(PA)のカニューレを挿入し、気管内チューブを留置する。回路は、500mg のメチルプレドニゾロン(Solu-Medrol,Sandoz Canada,Boucherville,Canada)、3,000IUの未分画ヘパリン(Leo Pharma,Thornhill,Canada)及び500mgのイミペネム/シラスタチン(Primaxin,Merck,White-house Station,NJ)を含む2.0LのEVLP灌流液(Steen溶液、XVIVO,Sweden)でプライミングされる。肺はカニューレを介してEVLP回路に接続され、灌流の最初の1時間で、ドナー予測心拍出量の40%の目標流量でゆっくりと正常体温が達成される。ICU人工呼吸器を使用して灌流中に保護換気を適用する(ドナー理想体重1kgあたり7cc、吸気酸素分率21%、呼気終末圧5cm H2O)。
【0366】
肺の評価:1時間ごとに、重要な生理学的パラメーター、例えば移植片の酸素供給、肺の伸展性、気道内圧、灌流液の消費、及び灌流液の代謝産物が記録される。
【0367】
灌流液(灌流液):500mgのメチルプレドニゾロン、3000IUの未分画ヘパリン、500mgのイミペネム、及び500mgのシラスタチンを含む2Lのスティーン溶液。
【0368】
SYN002を含む灌流液:必要量の希釈したSYN002を灌流バッファー(参照:SYN002の調製)に加え、すぐに、ただし溶液の調製後15分以内に、灌流液+/-SYN002で灌流を開始する。
【0369】
灌流温度:最初の1時間は37℃までゆっくりと温度を上げ、その後、処理時間中(5時間)は37℃にする。
【0370】
灌流時間:6時間(1時間の肺のプライミング、続いてSYN002を含む5時間の灌流)。
【0371】
システムへの灌流液の追加:最初の1時間(1時間)に500mLの新鮮な灌流液を追加し、続いて1時間ごとに200mLの灌流液を追加する(2~6時間)。回路に追加される灌流液は、評価されるそれぞれの用量群の濃度でSYN002を含むものとする。
【0372】
洗い流し:灌流の最後に、2LのPerfadex溶液(2分間)を追加して、灌流バッファーを洗い流し、肺を冷却する。
【0373】
腎臓
無細胞正常体温機械灌流(NMP)
氷上で輸送し、移植研究所に到着した後、腎臓はNMP灌流の期間を経る(6時間)。腎臓をNMP回路に接続し、リンガー液とヒト血清アルブミンを含む無細胞溶液500mLを(35~37℃)で4~6時間灌流する。
【0374】
灌流液は腎臓に流れ込み、腎内抵抗と温度は灌流全体でモニタリングされる。
【0375】
SYN002は、CMVを処理するために灌流液に追加される。
【0376】
配列の概要
配列番号1(例示的な第1のペプチド)QHHGVTKCNITCSKMTSKIPVALLIHYQQNQASCGKRAIILETRQHRLFCADPKEQWVKDAMQHLDRQAAALTRNG
配列番号2(例示的な第2のペプチド)
GGSLAALTAHQACHLPLETFTRHRQRRGWEQLEQCGYPVQRLVALYLAARLSWNQVDQVIRNALASPGSGGDLGEAIREQPEQARLALTLAAAESERFVRQGTGNDEAGAASGPADSGDALLERNYPTGAEFLGDGGDISFSTRGTQNWTVERLLQAHRQLEERGYVFVGYHGTFLEAAQSIVFGGVRARSQDLDAIWRGFYIAGDPALAYGYAQDQEPDARGRIRNGALLRVYVPRSSLPGFYRTGLTLAAPEAAGEVERLIGHPLPLRLDAITGPEEEGGRLETILGWPLAERTVVIPSAIPTDPRNVGGDLDPSSIPDKEQAISALPDYASQPGKPP
配列番号3(外毒素AのドメインA)
GGSLAALTAHQACHLPLETFTRHRQRRGWEQLEQCGYPVQRLVALYLAARLSWNQVDQVIRNALASPGSGGDLGEAIREQPEQARLALTLAAAESERFVRQGTGNDEAGAAS
配列番号4(外毒素AのドメインB)
GPADSGDALLERNYP
配列番号5(外毒素AのドメインC)
TGAEFLGDGGDISFSTRGTQNWTVERLLQAHRQLEERGYVFVGYHGTFLEAAQSIVFGGVRARSQDLDAIWRGFYIAGDPALAYGYAQDQEPDARGRIRNGALLRVYVPRSSLPGFYRTGLTLAAPEAAGEVERLIGHPLPLRLDAITGPEEEGGRLETILGWPLAERTVVIPSAIPTDPRNVGGDLDPSSIPDKEQAISALPDYASQPGKPP
配列番号6(SYN002)
MQHHGVTKCNITCSKMTSKIPVALLIHYQQNQASCGKRAIILETRQHRLACADPKEQWVKDAMQHLDRQAAALTRNGGGSLAALTAHQACHLPLETFTRHRQRRGWEQLEQCGYPVQRLVALYLAARLSWNQVDQVIRNALASPGSGGDLGEAIREQPEQARLALTLAAAESERFVRQGTGNDEAGAASGPADSGDALLERNYPTGAEFLGDGGDISFSTRGTQNWTVERLLQAHRQLEERGYVFVGYHGTFLEAAQSIVFGGVRARSQDLDAIWRGFYIAGDPALAYGYAQDQEPDARGRIRNGALLRVYVPRSSLPGFYRTGLTLAAPEAAGEVERLIGHPLPLRLDAITGPEEEGGRLETILGWPLAERTVVIPSAIPTDPRNVGGDLDPSSIPDKEQAISALPDYASQPGKPPKDEL
配列番号7(ヒトCX3CL1)
MAPISLSWLLRLATFCHLTVLLAGQHHGVTKCNITCSKMTSKIPVALLIHYQQNQASCGKRAIILETRQHRLFCADPKEQWVKDAMQHLDRQAAALTRNGGTFEKQIGEVKPRTTPAAGGMDESVVLEPEATGESSSLEPTPSSQEAQRALGTSPELPTGVTGSSGTRLPPTPKAQDGGPVGTELFRVPPVSTAATWQSSAPHQPGPSLWAEAKTSEAPSTQDPSTQASTASSPAPEENAPSEGQRVWGQGQSPRPENSLEREEMGPVPAHTDAFQDWGPGSMAHVSVVPVSSEGTPSREPVASGSWTPKAEEPIHATMDPQRLGVLITPVPDAQAATRRQAVGLLAFLGLLFCLGVAMFTYQSLQGCPRKMAGEMAEGLRYIPRSCGSNSYVLVPV
配列番号8(細胞内逆行性輸送のためのKDEL受容体への結合を確保する配列)
KDEL
配列番号9(全長外毒素A)
MHLTPHWIPLVASLGLLAGGSFASAAEEAFDLWNECAKACVLDLKDGVRSSRMSVDPAIADTNGQGVLHYSMVLEGGNDALKLAIDNALSITSDGLTIRLEGGVEPNKPVRYSYTRQARGSWSLNWLVPIGHEKPSNIKVFIHELNAGNQLSHMSPIYTIEMGDELLAKLARDATFFVRAHESNEMQPTLAISHAGVSVVMAQAQPRREKRWSEWASGKVLCLLDPLDGVYNYLAQQRCNLDDTWEGKIYRVLAGNPAKHDLDIKPTVISHRLHFPEGGSLAALTAHQACHLPLETFTRHRQPRGWEQLEQCGYPVQRLVALYLAARLSWNQVDQVIRNALASPGSGGDLGEAIREQPEQARLALTLAAAESERFVRQGTGNDEAGAASADVVSLTCPVAAGECAGPADSGDALLERNYPTGAEFLGDGGDISFSTRGTQNWTVERLLQAHRQLEERGYVFVGYHGTFLEAAQSIVFGGVRARSQDLDAIWRGFYIAGDPALAYGYAQDQEPDARGRIRNGALLRVYVPRSSLPGFYRTGLTLAAPEAAGEVERLIGHPLPLRLDAITGPEEEGGRLETILGWPLAERTVVIPSAIPTDPRNVGGDLDPSSIPDKEQAISALPDYASQPGKPPREDLK
配列番号10(US28)
MTPTTTTAELTTEFDYDEAATPCVFTDVLNQSKPVTLFLYGVVFLFGSIGNFLVIFTITW
RRRIQCSGDVYFINLAAADLLFVCTLPLWMQYLLDHNSLASVPCTLLTACFYVAMFASLCFITEIALDRYYAIVYMRYRPVKQACLFSIFWWIFAVIIAIPHFMVVTKKDNQCMTDYDYLEVSYPIILNVELMLGAFVIPLSVISYCYYRISRIVAVSQSRHKGRIVRVLIAVVLVFIIF
WLPYHLTLFVDTLKLLKWISSSCEFERSLKRALILTESLAFCHCCLNPLLYVFVGTKFRQELHCLLAEFRQRLFSRDVSWYHSMSFSRRSSPSRRETSSDTLSDEVCRVSQIIP
配列番号11(SYN000)
MQHHGVTKCNITCSKMTSKIPVALLIHYQQNQASCGKRAIILETRQHRLFCADPKEQWVKDAMQHLDRQAAALTRNRQPRGWEQLEQSGYPVQRLVALYLAARLSWNQVDQVIRNALASPGSGGDLGEAIREQPEQARLALTLAAAESERFVRQGTGNDEAGAASGPADSGDALLERNYPTGAEFLGDGGDISFSTRGTQNWTVERLLQAHRQLEERGYVFVGYHGTFLEAAQSIVFGGVRARSQDLDAIWRGFYIAGDPALAYGYAQDQEPDARGRIRNGALLRVYVPRSSLPGFYRTGLTLAAPEAAGEVERLIGHPLPLRLDAITGPEEEGGRLETILGWPLAERTVVIPSAIPTDPRNVGGDLDPSSIPDKEQAISALPDYASQPGKPPKDEL
配列番号12(SYN001)
MQHHGVTKCNITCSKMTSKIPVALLIHYQQNQASCGKRAIILETRQHRLACADPKEQWVKDAMQHLDRQAAALTRNRQPRGWEQLEQSGYPVQRLVALYLAARLSWNQVDQVIRNALASPGSGGDLGEAIREQPEQARLALTLAAAESERFVRQGTGNDEAGAASGPADSGDALLERNYPTGAEFLGDGGDISFSTRGTQNWTVERLLQAHRQLEERGYVFVGYHGTFLEAAQSIVFGGVRARSQDLDAIWRGFYIAGDPALAYGYAQDQEPDARGRIRNGALLRVYVPRSSLPGFYRTGLTLAAPEAAGEVERLIGHPLPLRLDAITGPEEEGGRLETILGWPLAERTVVIPSAIPTDPRNVGGDLDPSSIPDKEQAISALPDYASQPGKPPKDE
配列番号13(SYN014)
MQHHGVTKCNITCSKMTSKIPVALLIHYQQNQASCGKRAIILETRQHRLFCADPKEQWVKDAMQHLDRQAAALTRNGGGSLAALTAHQACHLPLETFTRHRQRRGWEQLEQCGYPVQRLVALYLAARLSWNQVDQVIRNALASPGSGGDLGEAIREQPEQARLALTLAAAESERFVRQGTGNDEAGAASGPADSGDALLERNYPTGAEFLGDGGDISFSTRGTQNWTVERLLQAHRQLEERGYVFVGYHGTFLEAAQSIVFGGVRARSQDLDAIWRGFYIAGDPALAYGYAQDQEPDARGRIRNGALLRVYVPRSSLPGFYRTGLTLAAPEAAGEVERLIGHPLPLRLDAITGPEEEGGRLETILGWPLAERTVVIPSAIPTDPRNVGGDLDPSSIPDKEQAISALPDYASQPGKPPKDEL
配列番号14(SYN016)
MQHHGVTKCNITCSKMTSKIPVALLIHYQQNQASCGKRAIILETRQHRLACADPKEQWVKDAMQHLDRQAAALTRNGGGSLAALTAHQACHLPLETFTRHRQPRGWEQLEQCGYPVQRLVALYLAARLSWNQVDQVIRNALASPGSGGDLGEAIREQPEQARLALTLAAAESERFVRQGTGNDEAGAASGPADSGDALLERNYPTGAEFLGDGGDISFSTRGTQNWTVERLLQAHRQLEERGYVFVGYHGTFLEAAQSIVFGGVRARSQDLDAIWRGFYIAGDPALAYGYAQDQEPDARGRIRNGALLRVYVPRSSLPGFYRTGLTLAAPEAAGEVERLIGHPLPLRLDAITGPEEEGGRLETILGWPLAERTVVIPSAIPTDPRNVGGDLDPSSIPDKEQAISALPDYASQPGKPPKDEL
配列番号15(SYN017)
MQHHGVTKCNITCSKMTSKIPVALLIHYQQNQASCGKRAIILETRQHRLFCADPKEQWVKDAMQHLDRQAAALTRNGGGSLAALTAHQACHLPLETFTRHRQPRGWEQLEQCGYPVQRLVALYLAARLSWNQVDQVIRNALASPGSGGDLGEAIREQPEQARLALTLAAAESERFVRQGTGNDEAGAASGPADSGDALLERNYPTGAEFLGDGGDISFSTRGTQNWTVERLLQAHRQLEERGYVFVGYHGTFLEAAQSIVFGGVRARSQDLDAIWRGFYIAGDPALAYGYAQDQEPDARGRIRNGALLRVYVPRSSLPGFYRTGLTLAAPEAAGEVERLIGHPLPLRLDAITGPEEEGGRLETILGWPLAERTVVIPSAIPTDPRNVGGDLDPSSIPDKEQAISALPDYASQPGKPPKDEL
配列番号16(切断部位)
RQRR
配列番号17(切断部位)
RQKR
配列番号18(切断部位)
RSKR
配列番号19(切断部位)
RSRR
配列番号20(切断部位)
RTKR
配列番号21(切断部位)
RTRR
配列番号22(切断部位)
RNKR
配列番号23(切断部位)
RNRR
【0377】
参照文献
Chambers,Daniel C et al.“The International Thoracic Organ Transplant Registry of the International Society for Heart and Lung Transplantation:37th adult lung transplantation report - 2020;focus on deceased donor characteristics.”The Journal of heart and lung transplantation :the official publication of the International Society for Heart Transplantationvol.39,10(2020):1016-1027.doi:10.1016/j.healun.2020.07.009
Hwang J et al.,Cell.1987 Jan 16;48(1):129-36;
Siegall CB et al.,J Biol Chem.1989 Aug 25;264(24):14256-61).
【手続補正書】
【提出日】2023-11-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
【国際調査報告】