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特表2024-509848機器と医療システムとの通信可能なペアリングを管理するためのビーコンベースのシステム、方法、及び機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-05
(54)【発明の名称】機器と医療システムとの通信可能なペアリングを管理するためのビーコンベースのシステム、方法、及び機器
(51)【国際特許分類】
   G16H 40/00 20180101AFI20240227BHJP
   A61B 34/20 20160101ALI20240227BHJP
【FI】
G16H40/00
A61B34/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553529
(86)(22)【出願日】2022-03-03
(85)【翻訳文提出日】2023-11-01
(86)【国際出願番号】 US2022018755
(87)【国際公開番号】W WO2022187525
(87)【国際公開日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】63/157,226
(32)【優先日】2021-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】510253996
【氏名又は名称】インテュイティブ サージカル オペレーションズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】マクラウド,エー.ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】アジジアン,マハディ
(72)【発明者】
【氏名】ブレッドリー,アラン エス
(72)【発明者】
【氏名】バーンズ,クリストファー アール.
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ウェン ペイ
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA00
(57)【要約】
第1の超音波ビーコン送信には、第1のパイロット信号及び第1の符号化情報信号が含まれる。機器は、第1のパイロット信号を検出し、第1のパイロット信号に基づいて第1の符号化情報信号を復号化して、第1の超音波ビーコン送信に関連する医療システムを識別することができる。第1の符号化情報信号に基づいて、機器は、機器が医療システムと通信可能にペアリングされる第1のペアリング状態に入ることができる。機器が第1のペアリング状態で動作している間であって、第1のペアリング状態に入る閾値時間内に、機器は、第2の符号化情報信号も含む、第2の超音波ビーコン送信に含まれる第2のパイロット信号を検出することができる。閾値時間内での第2のパイロット信号の検出に基づいて、機器は、第2の符号化情報信号を復号化せずに、第1のペアリング状態で動作し続けることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器であって、当該機器は、
1つ又は複数のプロセッサと、
実行可能命令を格納するメモリと、を含み、
前記命令が前記1つ又は複数のプロセッサによって実行されると、当該機器に、
第1の超音波ビーコン送信に含まれる第1のパイロット信号を検出することであって、前記第1の超音波ビーコン送信には第1の符号化情報信号がさらに含まれる、こと、
前記第1のパイロット信号に基づいて、前記第1の符号化情報信号を復号化して、前記第1の超音波ビーコン送信に関連する第1の医療システムを識別すること、
前記第1の符号化情報信号の前記復号化に基づいて、当該機器が前記第1の医療システムと通信可能にペアリングされる第1のペアリング状態に入ること、
前記第1のペアリング状態での動作中に、該第1のペアリング状態に入る閾値時間内に、第2の超音波ビーコン送信に含まれる第2のパイロット信号を検出することであって、前記第2の超音波ビーコン送信には第2の符号化情報信号がさらに含まれる、こと、及び
前記閾値時間内に前記第2のパイロット信号を検出することに基づいて、前記第2の符号化情報信号を復号化せずに前記第1のペアリング状態での動作を継続すること、を行わせる、
機器。
【請求項2】
前記命令が前記1つ又は複数のプロセッサによって実行されると、当該機器にさらに、
当該機器が、前記第2のパイロット信号の前記検出後であって前記閾値時間内に、パイロット信号を検出していないと判定すること、及び
当該機器が、前記第2のパイロット信号の前記検出後であって前記閾値時間内に、パイロット信号を検出していないという判定に基づいて、前記第1のペアリング状態での動作から、該第1のペアリング状態とは異なる第2のペアリング状態での動作に移行すること、を行わせる、請求項1に記載の機器。
【請求項3】
当該機器は、前記第2のペアリング状態で動作している間に、前記第1の医療システムから通信のペアリングが解除される、請求項2に記載の機器。
【請求項4】
前記第1の医療システムに関連する機能特徴は、当該機器が前記第1のペアリング状態で動作している間に、当該機器を介してアクセス可能であり、
当該機器が前記第2のペアリング状態で動作している間に、前記第1の医療システムに関連する前記機能特徴に当該機器を介してアクセスできない、請求項2に記載の機器。
【請求項5】
前記命令が前記1つ又は複数のプロセッサによって実行されると、当該機器にさらに、
当該機器がパイロット信号を検出していないという前記判定に基づいて、前記第2のパイロット信号の前記検出後に、所望のペアリング状態を示すようにユーザ入力を要求すること、を行わせ、
前記第2のペアリング状態は、前記ユーザ入力に基づいて設定される、請求項2に記載の機器。
【請求項6】
前記命令が前記1つ又は複数のプロセッサによって実行されると、当該機器にさらに、
前記第1のペアリング状態で動作している間であって前記第1のペアリング状態に入る前記閾値時間の後に、第3の超音波ビーコン送信に含まれる第3のパイロット信号を検出することであって、前記第3の超音波ビーコン送信には第3の符号化情報信号がさらに含まれる、こと、
前記第3のパイロット信号に基づいて、前記第3の符号化情報信号を復号化して、前記第3の超音波ビーコン送信に関連する医療システムを識別すること、
前記第3の超音波ビーコン送信に関連する前記医療システムが前記第1の医療システムに対応すると判定すること、及び
前記第3の超音波ビーコン送信に関連する前記医療システムが前記第1の医療システムに対応するという判定に基づいて、前記第1のペアリング状態での動作を継続すること、を行わせる、請求項1に記載の機器。
【請求項7】
前記命令が前記1つ又は複数のプロセッサによって実行されると、当該機器にさらに、
前記第1のペアリング状態で動作している間であって前記第1のペアリング状態に入る前記閾値時間の後に、第3の超音波ビーコン送信に含まれる第3のパイロット信号を検出することであって、前記第3の超音波ビーコン送信には第3の符号化情報信号がさらに含まれる、こと、
前記第3のパイロット信号に基づいて、前記第3の符号化情報信号を復号化して、前記第3の超音波ビーコン送信に関連する医療システムを識別すること、
前記第3の超音波ビーコン送信に関連する前記医療システムが、前記第1の医療システムとは異なる第2の医療システムに対応すると判定すること、及び
前記第3の超音波ビーコン送信に関連する前記医療システムが前記第2の医療システムに対応するという前記判定に基づいて、前記第1のペアリング状態での動作から、前記第1のペアリング状態とは異なる第3のペアリング状態での動作に移行こと、を行わせる、請求項1に記載の機器。
【請求項8】
当該機器は、前記第3のペアリング状態で動作している間に、前記第2の医療システムと通信可能にペアリングされる、請求項7に記載の機器。
【請求項9】
当該機器は、前記第3のペアリング状態で動作している間に、前記第1の医療システムとの通信のペアリングが解除される、請求項7に記載の機器。
【請求項10】
前記命令が前記1つ又は複数のプロセッサによって実行されると、当該機器にさらに、
前記第3の超音波ビーコン送信に関連する前記医療システムが前記第2の医療システムに対応するという前記判定に基づいて、所望のペアリング状態を示すようにユーザ入力を要求すること、を行わせ、
前記第3のペアリング状態は、前記ユーザ入力に基づいて設定される、請求項7に記載の機器。
【請求項11】
前記命令が前記1つ又は複数のプロセッサによって実行されると、当該機器にさらに、
前記第1のペアリング状態で動作している間であって前記第1のペアリング状態に入る前記閾値時間の後に、第4の超音波ビーコン送信に含まれる第4のパイロット信号を検出することであって、前記第4の超音波ビーコン送信には第4の符号化情報信号がさらに含まれる、こと、
前記第4の符号化情報信号を復号化できないと判定すること、
前記第4の符号化情報信号を復号化できないという前記判定に基づいて、当該機器が前記第4のパイロット信号を検出している間に、当該機器が動いていると判定すること、及び
当該機器が前記第4のパイロット信号を検出している間に、当該機器が動いているという前記判定に基づいて、前記第4の符号化情報信号を復号化せずに前記第1のペアリング状態での動作を継続すること、を行わせる、請求項1に記載の機器。
【請求項12】
慣性測定ユニットをさらに含み、
当該機器が前記第4のパイロット信号を検出している間に当該機器が動いているという前記判定は、前記慣性測定ユニットによって生成された情報に基づく、請求項11に記載の機器。
【請求項13】
当該機器が前記第4のパイロット信号を検出している間に当該機器が動いているという前記判定は、前記第4の符号化情報信号におけるドップラーシフトを特定することを含む、請求項11に記載の機器。
【請求項14】
機器であって、当該機器は、
超音波信号を検出するように構成された超音波センサと、
処理装置と、を含み、
該処理装置は、
当該機器が第1の医療システムと通信可能にペアリングされる第1のペアリング状態で当該機器が動作している間に、前記超音波センサが、第1の超音波ビーコン送信に含まれる第1のパイロット信号を検出したと判定することであって、前記第1の超音波ビーコン送信には、前記第1の超音波ビーコン送信に関連する医療システムを識別する第1の符号化情報信号がさらに含まれる、こと、
前記超音波センサがペアリング状態初期化イベントの閾値時間内に前記第1のパイロット信号を検出したと判定すること、及び
当該機器が前記ペアリング状態初期化イベントの前記閾値時間内に前記第1の符号化情報信号を復号化せずに第1のパイロット信号を検出したという判定に基づいて、前記第1のペアリング状態での動作を継続するように当該機器を制御すること、を行うように構成される、
機器。
【請求項15】
前記処理装置はさらに、
前記第1のパイロット信号の前記検出後に、前記超音波センサが前記ペアリング状態初期化イベントの前記閾値時間内にパイロット信号を検出していないと判定すること、及び
前記第1のパイロット信号の前記検出後に、前記超音波センサが前記ペアリング状態初期化イベントの前記閾値時間内にパイロット信号を検出していないという判定に基づいて、当該機器が、前記第1のペアリング状態での動作から、該第1のペアリング状態とは異なる第2のペアリング状態での動作に移行すること、を行うように構成される、請求項14に記載の機器。
【請求項16】
前記処理装置はさらに、
当該機器が前記第1のペアリング状態で動作している間に、前記超音波センサが、前記第1の超音波ビーコン送信に続く第2の超音波ビーコン送信に含まれる第2のパイロット信号を検出したと判定することであって、前記第2の超音波ビーコン送信には、前記第2の超音波ビーコン送信に関連する医療システムを識別する第2の符号化情報信号がさらに含まれる、こと、
前記ペアリング状態初期化イベントの前記閾値時間の後に、前記超音波センサが第2のパイロット信号を検出したと判定すること、
前記第2のパイロット信号に基づいて、及び前記ペアリング状態初期化イベントの前記閾値時間の後に前記超音波センサが前記第2のパイロット信号を検出したという判定に基づいて、前記第2の符号化情報信号を復号化して、前記第2の超音波ビーコン送信に関連する前記医療システムを識別すること、
前記第2の超音波ビーコン送信に関連する前記医療システムが前記第1の医療システムに対応すると判定すること、及び
前記第2の超音波ビーコン送信に関連する前記医療システムが前記第1の医療システムに対応するという前記判定に基づいて、前記第1のペアリング状態での動作を継続するように当該機器を制御すること、を行うように構成される、請求項14に記載の機器。
【請求項17】
前記処理装置はさらに、
当該機器が前記第1のペアリング状態で動作している間に、前記超音波センサが、前記第1の超音波ビーコン送信に続く第2の超音波ビーコン送信に含まれる第2のパイロット信号を検出したと判定することであって、前記第2の超音波ビーコン送信には、前記第2の超音波ビーコン送信に関連する医療システムを識別する第2の符号化情報信号がさらに含まれる、こと、
前記ペアリング状態初期化イベントの前記閾値時間の後に、前記超音波センサが前記第2のパイロット信号を検出したと判定すること、
前記第2のパイロット信号に基づいて、及び前記ペアリング状態初期化イベントの前記閾値時間の後に前記超音波センサが前記第2のパイロット信号を検出したという前記判定に基づいて、前記第2の符号化情報信号を復号化して、前記第2の超音波ビーコン送信に関連する情報を識別すること、
前記第2の超音波ビーコン送信に関連する前記情報が前記第1の医療システムに対応しないと判定すること、及び
前記第2の超音波ビーコン送信に関連する前記情報が前記第1の医療システムに対応しないという判定に基づいて、当該機器を前記第1のペアリング状態での動作から、該第1のペアリング状態とは異なる第2のペアリング状態の動作に移行させる、ことを行うように構成される、請求項14に記載の機器。
【請求項18】
前記ペアリング状態初期化イベントには、ペアリング状態同士の間の最新の移行、又は検出した超音波ビーコン送信に含まれる符号化情報信号の最新の復号化が含まれる、請求項14に記載の機器。
【請求項19】
当該機器の動きを検出するように構成された動きセンサをさらに含み、
前記処理装置はさらに、
当該機器が前記第1のペアリング状態で動作している間であって、前記ペアリング状態初期化イベントの前記閾値時間の後に、前記超音波センサが、前記第1の超音波ビーコン送信に続く第2の超音波ビーコン送信に含まれる第2のパイロット信号を検出したと判定することであって、前記第2の超音波ビーコン送信には第2の符号化情報信号がさらに含まれる、こと、
前記超音波センサが前記第2のパイロット信号を検出している間に、前記動きセンサが当該機器の動きを検出した判定すること、及び
前記超音波センサが前記第2のパイロット信号を検出している間に、前記動きセンサが当該機器の動きを検出したという判定に基づいて、前記第2の符号化情報信号を復号化せずに、前記第1のペアリング状態での動作を継続するように当該機器を制御すること、を行うように構成される、請求項14に記載の機器。
【請求項20】
前記処理装置は、
当該機器が前記第1のペアリング状態とは異なる第2のペアリング状態で動作している間に、前記超音波センサが、前記第1の超音波ビーコン送信に先立って生じる第2の超音波ビーコン送信に含まれる第2のパイロット信号を検出したと判定することであって、前記第2の超音波ビーコン送信には、前記第1の医療システムを識別する第2の符号化情報信号がさらに含まれる、こと、
前記第2のパイロット信号に基づいて、前記第2の符号化情報信号を復号化して、前記第1の医療システムを識別すること、
前記第2の符号化情報信号の前記復号化に基づいて、前記第1のペアリング状態に入ること、を行うように構成される、請求項14に記載の機器。
【請求項21】
方法であって、当該方法は、
機器が、第1の超音波ビーコン送信に含まれる第1のパイロット信号を検出するステップであって、前記第1の超音波ビーコン送信には第1の符号化情報信号がさらに含まれる、ステップと、
前記機器が、前記第1のパイロット信号に基づいて、前記第1の符号化情報信号を復号化して、前記第1の超音波ビーコン送信に関連する第1の医療システムを識別するステップと、
前記機器が、前記第1の符号化情報信号の前記復号化に基づいて、前記機器が第1の医療システムと通信可能にペアリングされる第1のペアリング状態に入るステップと、
前記機器が、前記第1のペアリング状態で動作している間であって、前記第1のペアリング状態に入る閾値時間内に、第2の超音波ビーコン送信に含まれる第2のパイロット信号を検出するステップであって、前記第2の超音波ビーコン送信には第2の符号化情報信号がさらに含まれる、ステップと、
前記機器が、前記閾値時間内に前記第2のパイロット信号を検出することに基づいて、前記第2の符号化情報信号を復号化せずに前記第1のペアリング状態での動作を継続するステップと、を含む、
方法。
【請求項22】
前記機器が、前記第2のパイロット信号の前記検出に続いて、前記閾値時間内にパイロット信号が検出していないと判定するステップと、
前記機器が、前記第2のパイロット信号の前記検出に続いて、前記機器が前記閾値時間内にパイロット信号を検出していないという前記判定に基づいて、前記第1のペアリング状態での動作から、該第1のペアリング状態とは異なる第2のペアリング状態での動作に移行するステップと、をさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記機器は、前記第2のペアリング状態で動作している間に、前記第1の医療システムから通信のペアリングが解除される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記第1の医療システムに関連する機能特徴は、前記機器が前記第1のペアリング状態で動作している間に、前記機器を介してアクセス可能であり、
前記第1の医療システムに関連する機能特徴は、前記機器が前記第2のペアリング状態で動作している間に、前記機器を介してアクセスできない、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記第2のパイロット信号の前記検出に続いて、前記機器がパイロット信号を検出していないという前記判定に基づいて、前記機器が、ペアリング状態を示すようにユーザ入力を要求するべく前記機器を制御するステップをさらに含み、
前記第2のペアリング状態は、前記ユーザ入力に基づいて設定される。請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記機器が、前記第1のペアリング状態で動作している間であって、前記第1のペアリング状態に入る前記閾値時間の後に、第3の超音波ビーコン送信に含まれる第3のパイロット信号を検出するステップであって、前記第3の超音波ビーコン送信には第3の符号化情報信号がさらに含まれる、ステップと、
前記機器が、前記第3のパイロット信号に基づいて、前記第3の符号化情報信号を復号化して、前記第3の超音波ビーコン送信に関連する医療システムを識別するステップと、
前記機器が、前記第3の超音波ビーコン送信に関連する前記医療システムが前記第1の医療システムに対応すると判定するステップと、
前記機器が、前記第3の超音波ビーコン送信に関連する前記医療システムが前記第1の医療システムに対応するという判定に基づいて、前記第1のペアリング状態での動作を継続するステップと、をさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
前記機器が、前記第1のペアリング状態で動作している間であって、該第1のペアリング状態に入る前記閾値時間の後に、第3の超音波ビーコン送信に含まれる第3のパイロット信号を検出するステップであって、前記第3の超音波ビーコン送信には第3の符号化情報信号がさらに含まれる、ステップと、
前記機器が、前記第3のパイロット信号に基づいて、前記第3の符号化情報信号を復号化して、前記第3の超音波ビーコン送信に関連する医療システムを識別するステップと、
前記機器が、前記第3の超音波ビーコン送信に関連する前記医療システムが、前記第1の医療システムとは異なる第2の医療システムに対応すると判定するステップと、
前記機器が、前記第3の超音波ビーコン送信に関連する前記医療システムが前記第2の医療システムに対応するという前記判定に基づいて、前記第1のペアリング状態での動作から、該第1のペアリング状態とは異なる第3のペアリング状態での動作に移行するステップと、をさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項28】
前記機器は、前記第3のペアリング状態で動作している間に、前記第2の医療システムと通信可能にペアリングされる、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記機器は、前記第3のペアリング状態で動作している間に、前記第1の医療システムから通信のペアリングが解除される、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記第3の超音波ビーコン送信に関連する前記医療システムが前記第2の医療システムに対応するという前記判定に基づいて、前記機器が、ペアリング状態を示すようにユーザ入力を要求するステップをさらに含み、
前記第3のペアリング状態は、前記ユーザ入力に基づいて設定される。請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記機器が、前記第1のペアリング状態で動作している間であって、前記第1のペアリング状態に入る前記閾値時間の後に、第4の超音波ビーコン送信に含まれる第4のパイロット信号を検出するステップであって、前記第4の超音波ビーコン送信には第4の符号化情報信号がさらに含まれる、ステップと、
前記機器が、前記第4の符号化情報信号を復号化できないと判定するステップと、
前記機器が、前記第4の符号化情報信号を復号化できないという前記判定に基づいて、前記機器が前記第4のパイロット信号を検出している間に、前記機器が動いていると判定するステップと、
前記機器が、前記第4のパイロット信号を検出している間に、前記機器が動いているという前記判定に基づいて、前記第4の符号化情報信号を復号化せずに、前記第1のペアリング状態での動作を継続するステップと、をさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項32】
前記機器が前記第4パイロット信号を検出している間に、前記機器が動いていると判定することは、前記機器に含まれる慣性測定ユニットによって生成された情報に基づく、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記機器が前記第4のパイロット信号を検出している間に、前記機器が動いていると判定するステップは、前記第4の符号化情報信号におけるドップラーシフトを特定するステップを含む、請求項31に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2021年3月5日に出願した米国仮特許出願第63/157,226号に対する優先権を主張するものであり、この文献の内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本願は、機器と医療システムとの通信可能なペアリングを管理するためのビーコンベースのシステム、方法、及び機器に関する。
【背景技術】
【0003】
医療施設(例えば、病院、養護施設等)では、医療従事者は、患者を診断、治療、及び/又は支援するために医療システムを使用することがある。いくつかの医療施設では、医療従事者が、患者の診断、治療、及び/又は支援にユーザ装置(例えば、タブレットコンピュータ、スマートフォン等)を使用することもある。例えば、手術施設で行われる低侵襲性外科手術等のコンピュータ支援外科手術中に、外科医は、コンピュータ支援手術システムと相互作用して、遠隔操作式手術器具を制御して患者に外科手術を行うことができる。他の手術チームのメンバーもコンピュータ支援手術システムと相互作用して外科手術を支援することができる。手術チームのメンバー(例えば、看護師)は、患者又はコンピュータ支援手術システムに関する情報を閲覧等するために、外科手術中に補助装置(例えば、モバイル装置)を使用する場合がある。医療システムの使用と併せて補助装置の使用を容易にし、補助装置が正確で関連する情報を受信し、提供するのを保証する必要がある。
【発明の概要】
【0004】
以下の説明は、本明細書で説明する方法及びシステムの1つ又は複数の態様の基本的な理解を与えるために、そのような態様の簡略化した概要を提示する。この概要は、企図する全ての態様の広範な概要ではなく、全ての態様の重要な要素又は重大な要素を特定することも、一部又は全ての態様の範囲を描写することも意図していない。その唯一の目的は、以下に提示するより詳細な説明の前置きとして、本明細書で説明する方法及びシステムの1つ又は複数の態様のいくつかの概念を簡略化した形態で提示することである。
【0005】
例示的な機器は、1つ又は複数のプロセッサと、実行可能命令を格納するメモリとを含むことができ、命令が1つ又は複数のプロセッサによって実行されると、この機器に、第1の超音波ビーコン送信に含まれる第1のパイロット信号を検出することであって、第1の超音波ビーコン送信には第1の符号化情報信号がさらに含まれる、こと;第1のパイロット信号に基づいて、第1の符号化情報信号を復号化して、第1の超音波ビーコン送信に関連する第1の医療システムを識別すること;第1の符号化情報信号の復号化に基づいて、機器が第1の医療システムと通信可能にペアリングされる第1のペアリング状態に入ること;第1のペアリング状態での動作中に、第1のペアリング状態に入る閾値時間内に、第2の超音波ビーコン送信に含まれる第2のパイロット信号を検出することであって、第2の超音波ビーコン送信には第2の符号化情報信号がさらに含まれる、こと;及び閾値時間内に第2のパイロット信号を検出することに基づいて、第2の符号化情報信号を復号化せずに、第1のペアリング状態での動作を継続すること、を行わせる。
【0006】
別の例示的な機器は、超音波信号を検出するように構成された超音波センサと、処理装置とを含むことができ、処理装置は、機器が第1の医療システムと通信可能にペアリングされる第1のペアリング状態で機器が動作している間に、超音波センサが、第1の超音波ビーコン送信に含まれる第1のパイロット信号を検出したと判定することであって、超音波ビーコン送信には、第1の超音波ビーコン送信に関連する医療システムを識別する第1の符号化情報信号がさらに含まれる、こと;超音波センサがペアリング状態初期化イベントの閾値時間内に第1のパイロット信号を検出したと判定すること;及び機器がペアリング状態初期化イベントの閾値時間内に、第1の符号化情報信号を復号化せずにパイロット信号を検出したという判定に基づいて、第1のペアリング状態で動作し続けるように機器を制御すること;を行うように構成される。
【0007】
例示的な方法は、機器が、第1の超音波ビーコン送信に含まれる第1のパイロット信号を検出するステップであって、第1の超音波ビーコン送信には第1の符号化情報信号がさらに含まれる、ステップと;機器が、第1のパイロット信号に基づいて、第1の符号化情報信号を復号化して、第1の超音波ビーコン送信に関連する第1の医療システムを識別するステップと;機器が、第1の符号化情報信号の復号化に基づいて、機器が第1の医療システムと通信可能にペアリングされる第1のペアリング状態に入るステップと;機器が、第1のペアリング状態で動作している間であって、第1のペアリング状態に入る閾値時間内に、第2の超音波ビーコン送信に含まれる第2のパイロット信号を検出するステップであって、第2の超音波ビーコン送信には第2の符号化情報信号がさらに含まれる、ステップと;機器が、閾値時間内に第2のパイロット信号を検出することに基づいて、第2の符号化情報信号を復号化せずに第1のペアリング状態で動作し続けるステップと;を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
添付図面は、様々な実施形態を示しており、明細書の一部である。図示した実施形態は単なる例であり、本開示の範囲を限定するものではない。図面全体を通じて、同一又は類似の参照符号は同一又は類似の要素を示す。
図1】例示的なコンピュータ支援手術システムを示す図である。
図2】ビーコン発生器及び医療システムが予め規定した領域内に位置する医療施設の例示的な構成を示す図である。
図3】超音波ビーコンの超音波ビーコン送信の例示的な構成を示す図である。
図4】1つ又は複数のビーコン発生器及び1つ又は複数の医療システムを含む医療施設の代替の例示的な構成を示す図である。
図5】1つ又は複数のビーコン発生器及び1つ又は複数の医療システムを含む医療施設の代替の例示的な構成を示す図である。
図6】1つ又は複数のビーコン発生器及び1つ又は複数の医療システムを含む医療施設の代替の例示的な構成を示す図である。
図7】1つ又は複数のビーコン発生器及び1つ又は複数の医療システムを含む医療施設の代替の例示的な構成を示す図である。
図8】例示的な装置ペアリングシステムを示す図である。
図9図8の装置ペアリングシステムの例示的な実施態様を示す図である。
図10】装置のペアリング状態を管理する例示的な方法を示す図である。
図11】装置のペアリング状態を管理する別の例示的な方法を示す図である。
図12A図10及び図11の方法に含まれ得る例示的な代替動作を示す図である。
図12B図10及び図11の方法に含まれ得る例示的な代替動作を示す図である。
図13】装置のペアリング状態を管理する別の例示的な方法を示す図である。
図14】例示的なコンピュータ装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書では、機器(又は装置)と医療システムとの通信可能なペアリングを管理するためのビーコンベースのシステム、方法、及び機器について説明する。本明細書で説明するシステム及び方法は、コンピュータ支援手術システム等の医療システムの一部として、又は医療システムと連携して実現することができる。そのため、例示的なコンピュータ支援手術システムについてここで説明する。本明細書で説明するシステム及び方法が他の適切な医療システムの一部として、又は他の適切な医療システムと併せて実現され得るため、以下の例示的なコンピュータ支援手術システムは、例示的であり、限定ではない。
【0010】
図1は、例示的なコンピュータ支援手術システム100(手術システム100)を示す。図示されるように、手術システム100は、互いに通信可能に結合された操作システム102、ユーザ制御システム104、及び補助システム106を含むことができる。いくつかの例では、手術システム100は、これらの構成要素のうちの1つ又は複数によって実装され得る。しかしながら、手術システム100は、これらの構成要素に限定されず、特定の実施態様に適合し得る追加の構成要素、例えば、限定しないが、手術システム100に接続された患者手術台、サードパーティ構成要素(例えば、電気手術ユニット)等を含み得る。
【0011】
手術システム100は、患者108に対してコンピュータ支援外科手術を行うために手術チームによって利用され得る。図示されるように、手術チームには、外科医110-1、助手110-2、看護師110-3、麻酔科医110-4が含まれ得、これら全員を総称して「手術チームメンバー110」と呼ぶことがある。追加の又は代替の手術チームメンバーが、特定の実施態様に役立ち得るように、手術セッション中に存在する場合がある。
【0012】
一方、図1は、進行中の低侵襲性外科手術を示しているが、手術システム100は、手術システム100の精度及び利便性から同様に利益を得ることができる開腹外科手術又は他のタイプの外科手術を行うために同様に使用することができる。図1に示されるように、手術システム100が使用され得る手術セッションは、外科手術の手術段階だけを含むだけでなく、外科手術の術前、術後、及び/又は他の適切な段階を含んでもよい。外科手術には、患者の身体的状態を調査、診断、及び/又は治療するために手動及び/又は器具による技術が患者に使用される任意の処置が含まれ得る。さらに、外科手術には、任意の非臨床的処置、例えば、校正又は試験処置、訓練処置、及び実験又は研究目的の処置等の、生きている患者に対して行わない処置が含まれ得る。
【0013】
図1に示されるように、操作システム102は、複数の手術器具(図1には図示せず)が結合され得る複数のマニピュレータアーム112(例えば、マニピュレータアーム112-1~112-4)を含み得る。各手術器具は、コンピュータ支援外科手術に使用できる任意の適切な治療器具(例えば、組織相互作用機能を有するツール)、撮像装置(例えば、内視鏡)、診断器具等によって実装され得る(例えば、患者108に少なくとも部分的に挿入され、患者108に対してコンピュータ支援外科手術を行うように操作されることによる)。いくつかの例では、1つ又は複数の手術器具は、力感知機能及び/又は他の感知機能を含み得る。操作システム102について、本明細書では4つのマニピュレータアーム112を含むものとして図示及び説明しているが、操作システム102は、単一のマニピュレータアーム112のみを含んでもよく、又は特定の実施態様に役立ち得るように他の任意の数のマニピュレータアームを含んでもよいことが認識されよう。
【0014】
マニピュレータアーム112及び/又はマニピュレータアーム112に取り付けられた手術器具は、(すなわち、未補正の(uncorrected))運動学情報を生成するために使用される1つ又は複数のセンサ(例えば、変位トランスデューサ、向きセンサ、位置センサ等)(以下、「手術システムセンサ」という)を含み得る。運動学情報には、マニピュレータアーム112、マニピュレータアーム112に結合した手術器具、及び/又は操作システム102の任意の他の構成要素(例えば、ブームアーム)の姿勢(例えば、位置及び/又は向き)、運動(例えば、速度、方向、加速度等)、状態(例えば、開いている、閉じている、収納されている等)、及び/又は他の属性等の情報が含まれ得る。手術システム100の1つ又は複数の構成要素は、運動学情報を使用して、マニピュレータアーム112及び/又は手術器具を追跡する(例えば、姿勢、運動、及び/又は状態を決定する)及び/又は制御するように構成され得る。操作システム102は、特定の実施態様に適した他の情報を生成するように構成された他のセンサを含むこともできる。このようなセンサは、「手術システムセンサ」とも呼ばれ、例えば、ドレーピングセンサ、及びブーム高さセンサ等を含み得る。
【0015】
マニピュレータアーム112に取り付けられた手術器具はそれぞれ、患者に関連する手術領域に位置付けされ得る。「手術領域」は、特定の例では、完全に患者内に配置され、外科手術を行う予定、行っている、又は行った場所又はその近くの患者内の領域を含み得る。例えば、患者の体内の組織に対して行われる低侵襲性外科手術の場合に、手術領域には、例えば外科手術を行うために使用している手術器具が位置する組織、組織の下にある解剖学的構造、及び組織の周りの空間が含まれ得る。他の例では、手術領域は、患者に対して外科手術を行う予定、行っている、又は行った場所又はその近くで、患者の外部に少なくとも部分的に配置され得る。例えば、手術システム100は、手術領域の一部(例えば、手術される組織)が患者の内部にある一方、手術領域の別の部分(例えば、1つ又は複数の手術器具が配置され得る組織の周りの空間)が患者の外部にあるような観血的外科手術を行うために使用され得る。手術器具は、手術器具の少なくとも一部(例えば、手術器具の先端部分)が手術領域内に位置する場合に、手術領域に又は手術領域内に位置付け又は配置されると呼ばれ得る。
【0016】
ユーザ制御システム104は、外科医110-1による手術システム100(例えば、マニピュレータアーム112及びマニピュレータアーム112に取り付けられた手術器具)の制御を容易にするように構成され得る。例えば、外科医110-1は、ユーザ制御システム104に含まれるユーザ入力装置と相互作用して、マニピュレータアーム112及びマニピュレータアーム112に結合された手術器具を遠隔で移動又は操作することができる。この目的のために、ユーザ制御システム104は、撮像装置(例えば、立体内視鏡)によって取り込んだ、患者108に関連する手術領域の画像(例えば、高解像度立体画像)を外科医110-1に提供することができる。外科医110-1は、この画像を利用して、マニピュレータアーム112に結合された1つ又は複数の手術器具を用いて1つ又は複数の処置を行うことができる。
【0017】
手術器具の制御を容易にするために、ユーザ制御システム104は、一組のマスター制御装置(図1には図示せず)を含むことができる。これらのマスター制御装置は、外科医110-1によって操作されて、(例えば、ロボット技術及び/又は遠隔操作技術を利用して)手術器具の動きを制御することができる。マスター制御装置は、外科医110-1による多種多様な手、手首、及び指の動きを検出するように構成され得る。このようにして、外科医110-1は、1つ又は複数の手術器具を使用して外科手術を直感的に行うことができる。
【0018】
ユーザ制御システム104は、外科医110-1による手術システム100の他の構成要素の制御を容易にするようにさらに構成され得る。例えば、外科医110-1は、ユーザ制御システム104と相互作用して、手術システム100の構成又は動作モードを変更し、手術システム100の表示モードを変更し、マニピュレータアーム112に取り付けられた手術器具を制御するために使用される追加の制御信号を生成し、ある手術器具から別の手術器具への制御の切り替えを容易にし、又は任意の他の適切な操作を行うことができる。この目的のために、ユーザ制御システム104はまた、外科医110-1から手動入力を受け取るように構成された1つ又は複数の追加のユーザ入力装置(例えば、フットペダル、ボタン、スイッチ、タッチスクリーンディスプレイ等)を含んでもよい。いくつかの例では、ユーザ制御システム104はまた、1人又は複数のユーザから音声入力(例えば、発声入力)を受け取るように構成された1つ又は複数の音声入力装置(例えば、マイク)、及び1つ又は複数の音声出力装置(例えば、スピーカ)を含んでもよい。
【0019】
補助システム106は、手術システム100の主要な処理動作を実行するように構成された1つ又は複数のコンピュータ装置を含むことができる。補助システム106に含まれる1つ又は複数のコンピュータ装置は、手術システム100の他の様々な構成要素(例えば、操作システム102及び/又はユーザ制御システム104)によって実行される動作を制御及び/又は調整することができる。例えば、ユーザ制御システム104に含まれるコンピュータ装置は、補助システム106に含まれる1つ又は複数のコンピュータ装置を介して、操作システム102に命令を送信することができる。別の例として、補助システム106は、マニピュレータアーム112に取り付けられた内視鏡によって取り込んだ画像を表す画像データを操作システム102から(例えば、撮像装置から)受信し、処理することができる。
【0020】
いくつかの例では、補助システム106は、ユーザ制御システム104で外科医110-1に提供される画像にアクセスできない可能性がある手術チームメンバー110に視覚コンテンツを提示するように構成され得る。この目的のために、補助システム106は、手術領域の画像(例えば、2D画像)、患者108及び/又は外科手術に関連する情報、及び/又は特定の実施態様に役立ち得る他の任意の視覚コンテンツ等を1つ又は複数のユーザインターフェイスを表示するように構成された表示モニタ114を含み得る。例えば、表示モニタ114は、手術領域の画像を、この画像と同時に表示される追加のコンテンツ(例えば、グラフィックコンテンツ、コンテキスト情報等)とともに表示することができる。いくつかの実施形態では、表示モニタ114は、手術チームメンバー110が(例えば、タッチジェスチャによって)手術システム100にユーザ入力を提供するために相互作用することができるタッチスクリーンディスプレイによって実装される。
【0021】
図1に、補助システム106が操作システム102及びユーザ制御システム104とは別個のシステムとして示されているが、補助システム106は、操作システム102及び/又はユーザ制御システム104に含まれてもよく、又はそれらに分散されてもよい。さらに、ユーザ制御システム104が1つ又は複数のユーザ入力装置及び/又は音声入力装置を含むように説明しているが、手術システム100の他の構成要素(例えば、操作システム102及び/又は補助システム106)は、特定の実施態様に適し得るユーザ入力装置、音声入力装置、及び/又は音声出力機器を含んでもよい。
【0022】
操作システム102、ユーザ制御システム104、及び補助システム106は、任意の適切な方法で互いに通信可能に結合することができる。例えば、図1に示されるように、操作システム102、ユーザ制御システム104、及び補助システム106は、制御線116を介して通信可能に結合され得、制御線116は、特定の実施態様に役立ち得る任意の光通信リンク、有線通信リンク、又は無線通信リンクを表し得る。この目的のために、操作システム102、ユーザ制御システム104、及び補助システム106はそれぞれ、1つ又は複数のローカルエリアネットワークインターフェイス、Wi-Fiネットワークインターフェイス、セルラーインターフェイス等の、1つ又は複数の光通信インターフェイス、有線通信インターフェイス、又は無線通信インターフェイスを含んでもよい。
【0023】
図1に示されるように、手術システム100はアクセサリカート118も含み得る。アクセサリカート118は、手術システム100の特定のアクセサリを運ぶ又は保管し及び/又は外科手術中に使用されるアクセサリに電力を供給するように構成され得る。例えば、アクセサリカート118は、外科手術中に必要に応じてマニピュレータアーム112に結合され得る手術器具120を保持し得る。
【0024】
代替の実施形態では、アクセサリカート118は、手術システム100に含まれず、スタンドアロン型の医療システムである。例えば、アクセサリカート118は、病院の滅菌処理部門(SPD)から病院全体の様々な手術室に滅菌済みの器具を配送するために使用され得る。こうして、これらの実施形態では、アクセサリカート118は手術システム100に含まれず、別個の医療システムであってもよい。
【0025】
いくつかの例では、医療システム(例えば、手術システム100、アクセサリカート118等)は、医療施設内に配置され得、1つ又は複数の超音波ビーコンを使用して、1つ又は複数の装置と医療システムとの通信可能なペアリングを容易にし、及び/又は医療システムで行われる医療処置、医療システムの位置、及び医療システムのエラー等に関する情報等、医療システムに関するコンテキスト情報を提供する。
【0026】
図2は、医療施設202の例示的な構成200を示す。図示されるように、医療施設202は、予め規定した領域204と、予め規定した領域204内に位置する医療システム206とを含む。医療施設202は、例えば、病院、病院内のユニット(例えば、救急治療室、外傷センタ、産科病棟、集中治療室等)、手術施設、展開可能な野戦病院、診療所、医院、歯科医院、老人ホーム、ホスピス施設、リハビリ施設、生活支援施設、又は他の同様の施設であってもよい。予め規定した領域204は、医療システム206が配置され、及び/又は患者に対して1つ又は複数のタスク又は手術を行うために使用される医療施設202内の特定の領域(例えば、特定の部屋)であり得る。例えば、予め規定した領域204は、手術室、回復室、診察室、患者室、検査室、機器室等であってもよい。いくつかの例では、予め規定した領域204は、医療施設202の他の領域(例えば、隣接する手術室、廊下、機器室等)によって規定され、及び/又は1つ又は複数の物理的障壁(例えば、壁、壁、窓、ドア、カーテン等)によって分離される。
【0027】
医療システム206は、医療施設202内にいる患者を監視、治療、及び/又は支援するために使用され得る任意のタイプの医療システムによって実装され得る。例えば、医療システム206は、手術システム(例えば、手術システム100等のコンピュータ支援手術システム)、イメージングシステム(例えば、コンピュータ断層撮影(CT)スキャナ、磁気共鳴イメージング(MRI)スキャナ、X線機器等)、透析機器、人工心肺機器、モニタリング装置(心拍数モニタ、血圧モニタ等)、人工呼吸器、患者用ベッド、及び/又はアクセサリカート等によって実装され得る。いくつかの例では、医療システム206は、医療施設202中を移動することができる移動式アクセサリカート(例えば、アクセサリカート118)によって実装される。例えば、移動式アクセサリカートは、(例えば、滅菌済み器具を様々な手術室に配給するために)医療施設202全体に滅菌済み器具を配送するために使用され得るSPDカートであってもよい。
【0028】
ユーザ208及びユーザ208に関連するユーザ装置210(例えば、ユーザ208によって使用され、携帯され、操作され、及び/又はログインされる)は、医療施設202中を移動することがある。図2に示されるように、ユーザ装置208及びユーザ装置210は、予め規定した領域204内に物理的に位置する。ユーザ装置210は、補助装置、医療システム206の構成要素(例えば、操作システム102、ユーザ制御システム104、補助システム106等)、アクセサリカート、及び任意の他の適切な装置等、医療システム206と直接的又は間接的に通信することができる任意のタイプの装置(本明細書では「機器」とも呼ばれる)を表す。補助装置には、ユーザ装置、別の医療装置又は医療システム、SPDカート、及び/又は任意の他の適切な装置等、医療システム206の一部ではない任意の装置が含まれ得る。ユーザ装置(例えば、ユーザ装置210)は、視覚、音声、又は触覚形式を問わず、ユーザに情報を提示できる、及び/又はユーザからのユーザ入力を受信できる任意の装置であり得る。例えば、ユーザ装置は、モバイル装置(例えば、携帯電話、ハンドヘルド装置、タブレットコンピュータ装置、ラップトップコンピュータ、パーソナルコンピュータ等)、オーディオ装置(例えば、スピーカ、イヤホン等)、ウェアラブル装置(例えば、スマートウォッチ装置、アクティビティトラッカ、ヘッドマウント表示装置、仮想又は拡張現実装置等)、及び/又は表示装置(例えば、テレビ、プロジェクタ、モニタ、タッチスクリーン表示装置等)によって実装され得る。
【0029】
医療システム206は、ユーザ装置210が医療システム206に近接している場合に、ユーザ装置210と通信可能にペアリングするように構成され得る。例えば、図2に示されるように、医療施設202内にいるユーザ208(例えば、手術チームメンバー110)は、ユーザ装置210を介して、ユーザ装置210が医療システム206と通信可能にペアリングされる場合に、医療システム206に関連する1つ又は複数の機能特徴(例えば、内視鏡ビデオフィード、設定メニュー、医療システム制御装置等)にアクセスすることができる。例えば、ユーザ208は、ユーザ装置210によって実行されるアプリケーションを介して、医療システム206に関連するコンテンツを閲覧し、医療システム206と相互作用し、及び/又は医療システム206と通信可能にペアリングされる追加のユーザ装置を介して他のユーザと通信することができる。ユーザ装置210が医療システム206と通信可能にペアリングされない場合でも、ユーザ208は、医療施設に関連する他の機能特徴にアクセスすることができる。例えば、ユーザ208は、ユーザ装置210によって実行されるアプリケーションを介して、医療従事者情報を閲覧及び/又は編集し、ユーザプロフィール情報を更新し、トレーニングコンテンツを閲覧し、タスクのスケジュール設定を行い、医療処置のスケジュール設定を行い、及び患者情報を閲覧等することができる。
【0030】
ユーザ装置210と医療システム206との通信可能なペアリングを容易にするために、ビーコン発生器212(例えば、超音波トランスデューサ)が予め規定した領域204内に配置され、医療システム206に関連する超音波ビーコン214を生成及び放射するように構成される。超音波ビーコン214は、一般に人間の可聴範囲を超える周波数(例えば、約17kHz以上又は20kHz以上)を有する音波を含む。いくつかの例では、超音波ビーコン214は、約17kHzと約20kHzとの間の周波数を有する。
【0031】
超音波ビーコン214は、特定のメッセージの反復送信を含み得る。超音波ビーコン214の送信毎に、ビーコン発生器212は、多重周波数ビットコーディングによる位相シフトキーイング(PSK)、2位相シフトキーイング(BPSK)、直交位相シフトキーイング(QPSK)、振幅シフトキーイング(ASK)、周波数シフトキーイング(FSK)、オンオフキーイング(OOK)、直交振幅変調(QAM)、オーディオQRコード(登録商標)フォーマット、又は他の適切な変調技術を含み得る。
【0032】
超音波ビーコン214に含まれる(例えば、符号化)メッセージは、医療システム206に関連する情報(例えば、コンテキスト情報及び/又は識別情報)を含むことができる。いくつかの例では、超音波ビーコン214で符号化されたメッセージ情報は、超音波ビーコン214と医療システム206を関連付ける、又は関連付けるために使用され得る。例えば、超音波ビーコン214は、超音波ビーコン214が位置する予め規定した領域(すなわち、予め規定した領域204)を識別する位置識別子を含んでもよい。位置識別子は、例えば、予め規定した領域204に割り当てられた、又はその領域204を表す固有の識別(ID)番号(例えば、部屋番号)であってもよい。別の例として、超音波ビーコン214は、超音波ビーコン214が関連する医療システム(すなわち、医療システム206)を識別する医療システム識別子(例えば、手術システム識別子)を含んでもよい。医療システム識別子は、例えば、医療システム206に割り当てられた、又はそうでなければ医療システム206を表す固有の医療システムIDであり得る。さらに又は代わりに、医療システム識別子は、医療システムのネットワークアドレスであり得る。さらに別の例として、超音波ビーコン214は、超音波ビーコン214を発信する特定のビーコン発生器(すなわち、ビーコン発生器212)を識別するビーコン発生器識別子を含んでもよい。ビーコン発生器識別子は、ビーコン発生器214に割り当てられた、又はそうでなければビーコン発生器214を表すビーコン発生器IDであってもよい。更なる例として、超音波ビーコン214は、超音波ビーコン214が関連付けられる特定の医療セッションを識別する医療セッション識別子を含むことができる。医療セッション識別子は、特定の医療セッションに割り当てられた医療セッションID、又は特定の医療セッションを表す医療セッションID(例えば、患者ID、医療チーム従事者ID、外科医ID、部屋ID、手術セッションID等)であってもよい。いくつかの例では、識別情報は、文字と数字(例えば、10桁の数字)の組合せを含んでもよい。超音波ビーコン214は、他の任意の適切な情報(例えば、GPS座標、エラー情報、ステータス情報、セキュリティ情報、認証情報等)を含むことができるため、超音波ビーコン214に含まれ得る前述の情報は単なる例示であり、限定するものではないことが認識されよう。
【0033】
超音波ビーコン214の各送信は、メッセージが符号化される情報信号と、超音波ビーコン214の送信の同期と符号化メッセージの復号化に使用できるパイロット信号とを含むことができる。パイロット信号は、送信を特徴付けるのにも役立ち、情報信号の復号化に使用できるいくつかのプリアンブル情報を搬送することもある。いくつかの例では、超音波ビーコン214に含まれる情報が小さいビットサイズを有する場合等に、超音波ビーコン214は単一チャネル上で(例えば、単一の搬送波通信方式で)送信される。他の例では、超音波ビーコン214に含まれる情報が比較的大きなビットサイズ(例えば、32ビット、64ビット等)を有する場合に、超音波ビーコン214は、マルチキャリア通信方式(例えば、周波数分割多重(FDM)又は直交周波数分割多重変調(OFDM))で複数のサブチャネルを介して送信してもよい。
【0034】
図3は、超音波ビーコン302(ビーコン302)の通信方式の例示的な構成300を示す。一方、図3は、マルチチャネル通信方式を示しているが、他の実施形態では、通信方式は単一チャネル通信方式であってもよい。図3は、ビーコン302の第1の送信304-1及びビーコン302の第2の送信304-2を示す。第2の送信304-2は、第1の送信304-1に続く。議論を容易にするために、図3は2つの送信を示しているが、ビーコン302は他の適切な数の送信を有してもよい。送信304は、ビーコン302が終了する(例えば、ビーコン発生器212がオフになる)まで連続的に繰り返すことができる。例えば、第1の送信304-1と同一の第3の送信が第2の送信304-2に続いてもよく、第2の送信304-2と同一の第4の送信が第3の送信に続いてもよく、以下同様である。ビーコン302は、100Hz、10Hz、1Hz等の任意の適切な周波数(例えば、連続するパイロット信号306同士の間の時間)で送信され得る。
【0035】
ビーコン302の送信304-1及び304-2は、それぞれパイロット信号306-1及びパイロット信号306-2と、それぞれ情報信号308-1及び情報信号308-2を含む。パイロット信号306及び情報信号308は、複数のサブチャネル310(例えば、サブチャネル310-1~310-8)で送信される。議論を容易にするために、図3は、ビーコン302が8つの異なるサブチャネル310で送信されることを示すが、ビーコン302は、特定の実施態様に役立つような任意の他の数のサブチャネル(例えば、2、4、10、3、20、32、64等)で送信してもよく、又は単一のチャネル通信方式の単一チャネルで送信してもよい。サブチャネル310は超音波範囲内にあり得る。いくつかの例では、複数のサブチャネル310の帯域幅は、約17.5kHz~約20kHzの範囲内である。しかしながら、複数のサブチャネル310は、特定の実施態様に役立ち得るように他の任意の適切な範囲を有してもよい。
【0036】
いくつかの例では、パイロット信号306及び情報信号308は、OOKに従って符号化される。従って、各ビットは、設定した期間に亘る特定の周波数の送信、又は設定した期間に亘る特定の周波数の送信の不在によって表される。代替例では、パイロット信号306及び情報信号308は、PSK、FSK、QAM等の他の適切な符号化方式で符号化してもよい。
【0037】
パイロット信号306は、送信304の同期のための情報を提供するように構成される。パイロット信号306は、情報信号308を復号化するために使用され得る他の情報も含み得る。図3に示されるように、各パイロット信号306は、サブチャネル310上で送信される第1の信号セット312-1(第1のセット312-1)と、それに続くサブチャネル310で送信される第2の信号セット312-2(第2のセット312-2)とを含む。第2のセット312-2は、第1のセット312-1の逆である(例えば、第1のセット312-1内のオン信号(白のボックスで表される)を送信するサブチャネルは、第2のセット312-2内のオフ信号(黒のボックスで表される)を送信する。及びその逆を行う)。結果として、第1のセット312-1から第2のセット312-2への切り替えは、容易に検出可能な強いエッジを生成する。この鋭いエッジは、装置(例えば、ユーザ装置210)によって検出されると、各送信304の開始を示し、こうして、送信304の同期を容易にする。パイロット信号306が、2つの信号セット312を有するものとして示し説明しているが、パイロット信号306は、より多くの、又はより少ない信号のセットを有してもよい。いくつかの例では、各パイロット信号306は、同期情報及び他の任意の所望の情報を提供するためのよりコンパクトな信号を含み得る。
【0038】
第1のセット312-1及び第2のセット312-2は、特定の実施態様に役立ち得るような任意の適切な信号パターンを有してもよい。図3に示されるように、第1のセット312-1及び第2のセット312-2はそれぞれ、オン/オフ信号の交互パターンを含む。しかしながら、セット312はこの構成に限定されず、他の任意の適切な構成を有してもよい。いくつかの例では、第1のセット312-1及び第2のセット312-2は、以下でより詳細に説明するように、置換順序等の他の情報を伝達するように構成された固有のパターンを有し得る。
【0039】
情報信号308は、識別情報等のメッセージ情報を送信するように構成される。いくつかの例では、情報信号308内に符号化されたメッセージ情報は、複数のサブ部分に分割することができ、各サブ部分は1つ又は複数のビットを含むことができる。議論を容易にするために、図3は、各情報信号308がA~Hで示される8つのメッセージサブ部分に分割され、各メッセージサブ部分が単一のサブチャネルで4つの連続するオン又はオフ信号で送信されることを示す。例えば、第1の送信304-1のメッセージサブ部分Aは、サブチャネル310-1上で信号A1として送信され、その後に信号A2が続き、その後に信号A3が続き、その後に信号A4が続く。メッセージサブ部分B~Hは、それぞれ同様の方法でサブチャネル310-2~310-8上で送信される。各情報信号308は、任意の適切な数のサブ部分(例えば、2、4、10、3、20、32、64等)に分割することができ、各メッセージサブ部分は、特定の実施態様に役立ち得るように1つ又は複数の信号として送信できることが認識されよう。
【0040】
いくつかの例では、ビーコン発生器は、ビーコン302の連続送信304毎に、サブチャネル310上で送信されるメッセージサブ部分を並べ替える。ビーコン発生器は、任意の適切な方法でメッセージサブ部分を並べ替えることができる。いくつかの例では、メッセージサブ部分は、サブチャネル310上で、サブチャネル310のスペクトルの合計帯域幅の半分(1/2)だけシフトされる。例えば、図3に示されるように、メッセージサブ部分Aは、第1の送信304-1ではサブチャネル310-1で送信され、第2の送信304-2ではサブチャネル310-5にシフトされる。同様に、メッセージサブ部分B、C、及びDは、それぞれ、第1の送信304-1のサブチャネル2、3、及び4から、第2の送信304-2のサブチャネル6、7、及び8にシフトされる。メッセージサブ部分E~Hは、それぞれ、第1の送信304-1のサブチャネル5~8から第2の送信304-2のサブチャネル1~4にシフトされる。第1及び第2の送信304は、次に、無期限に又は終了するまで繰り返され得る。
【0041】
装置(例えば、ユーザ装置210)が第1の送信304-1を検出する(例えば、パイロット信号306-1を検出する)と、装置は、パイロット信号306-1を使用して、各メッセージサブ部分(信号A1~A4等)をアセンブルする(assembling:組み立てる)ことによって情報信号308-1を復号化し、次にメッセージサブ部分A~Hをアセンブルして、完全なメッセージ情報を再構築する。このようにして、図3に示されるマルチチャネル通信方式は、ビーコン302によって、複数桁の情報(例えば、32ビットで表される10桁の数字、20ビットで表される6桁の数字等)及び/又は他の任意の適切な情報を比較的短時間で送信することができる。超音波ビーコンの送信及び復号化においてパイロット信号を使用するシステム及び方法は、2020年11月24日に出願した国際特許出願第PCT/US2020/62065号にさらに詳細に説明されており、この出願の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0042】
図3は、ビーコン302の送信304が、同じチャネル内の情報信号308の直前にパイロット信号306を含むことを示しているが、送信304はこの構成に限定されない。他の構成では、送信304は、異なるチャネル上で送信されるパイロット信号306及び情報信号308を含むことができる。いくつかの例では、パイロット信号308及び情報信号308は、所定のパターンで同時に又は交互に送信され得る。
【0043】
再び図2を参照すると、ユーザ装置210は、任意の適切な方法で超音波ビーコン214(又はビーコン302)を検出することができる。例えば、ユーザ装置210は、超音波ビーコン214又はビーコン302を含む周囲音波を検出し、検出した周囲音波を処理して、検出した周囲音波を表す音声信号を生成するように構成された超音波センサ(例えば、マイク)を含んでもよい。いくつかの例では、ユーザ装置210によって実行されるアプリケーションは、オーディオ信号を処理して、予め規定した基準セットを満たさないオーディオ信号(例えば、超音波範囲内にないオーディオ信号、予め規定した振幅範囲内に収まらないオーディオ信号等)をフィルタリングして除去することができる。超音波センサは、アプリケーションによって自動的に、又はユーザによって手動で「常時オン」状態に設定することもできる。このようにして、ユーザ装置210は、ユーザ装置210が医療施設内にある間に、超音波ビーコンの送信を継続的に監視することができる。
【0044】
ユーザ装置210は、ユーザ装置210がビーコン発生器212に近接しているときに、超音波ビーコン214を(例えば、マイク等の超音波センサを介して)検出するように構成される。いくつかの例では、超音波ビーコン214は、固体の障壁(例えば、壁)を透過しないように構成され、及び/又は予め規定した領域204内に限定されるように構成される。従って、図2に示されるように、ユーザ装置210は、ユーザ装置210がビーコン発生器212と同じ予め規定した領域内(例えば、手術室)に位置する場合にのみ、超音波ビーコン214を検出することができる。ユーザ装置210が予め規定した領域204内に位置しない場合に、ユーザ装置210は超音波ビーコン214を検出しない。ユーザ装置210が超音波ビーコン214を検出する例については以下でより詳細に説明する。
【0045】
図2に示されるように、ビーコン発生器212は、医療システム206とは別個のスタンドアロン型装置である(例えば、ビーコン発生器212は、医療システム206と物理的に統合されず、又は医療システム206によって制御されない)。スタンドアロン型装置として、ビーコン発生器212は、予め規定した領域204の壁又は天井等、予め規定した領域204内の任意の適切な場所に固定して位置付けすることができる。あるいはまた、ビーコン発生器212は、予め規定した領域204内及び/又は医療施設202内で所望するように移動及び位置付けすることができる可動式スタンドアロン型装置であってもよい。
【0046】
医療システム206とは別個のスタンドアロン型装置の代わりに、図4に示されるように、ビーコン発生器212を医療システム206に含めてもよい。図4は、医療施設202の別の例示的な構成400を示す。図4では、ビーコン発生器212が医療システム206に含まれる点を除いて、図4図3と同様である。ビーコン発生器212は、任意の適切な方法で医療システム206に含めてもよい。例えば、ビーコン発生器212は、医療システム206と物理的に統合してもよい(例えば、ユーザ制御システム104に含まれる操作システム102のコラムに取り付けられる等)。こうして、医療システム206が医療施設202の異なる領域に移動すると、ビーコン発生器212も新しい領域に移動する。さらに又は代わりに、ビーコン発生器212は、医療システム206によって制御してもよい。例えば、医療システム206(例えば、手術システム100の補助システム106)は、情報を含むように超音波ビーコン214を構成し、ビーコン発生器212によって超音波ビーコン214の放射を制御してもよい。
【0047】
上述した医療施設202の例示的な構成200及び400は、予め規定した領域204内に位置する単一のビーコン発生器212を含む。しかしながら、図5に示されるように、複数のビーコン発生器212が予め規定した領域204内に位置してもよい。図5は、医療施設202の別の例示的な構成500を示す。図5では、予め規定した領域204が、医療システム206に関連する超音波ビーコン214(例えば、超音波ビーコン214-1~214-3)を放射するように構成された3つのビーコン発生器212(例えば、ビーコン発生器212-1~212-3)を含むことを除いて、図5図4と同様である。しかしながら、予め規定した領域204は、特定の実施態様に適するように、他の任意の数のビーコン発生器212を含んでもよいことが認識されよう。
【0048】
超音波ビーコン214は、それぞれ、超音波ビーコン214に関連する特定の医療システム(すなわち、医療システム206)を識別し、及び/又はユーザ装置210と医療システム206との通信可能なペアリングを制御するために装置ペアリングシステムによって使用され得る情報(例えば、超音波ビーコン214の情報信号で符号化される情報)を含み得る。いくつかの例では、超音波ビーコン214はそれぞれ、同じ情報(例えば、同じ位置ID)を含む。追加の又は代替の例では、各超音波ビーコン214は固有の識別情報を含む。例えば、超音波ビーコン214-1は手術システム識別子を含むことができ、超音波ビーコン214-2は位置(location:位置特定)識別子を含むことができ、超音波ビーコン214-3は患者識別子を含むことができる。いくつかの例では、1つ又は複数のビーコン発生器212(又はビーコン発生器212に接続される又は関連するコンポーネント又は装置)は、予め規定した領域204内に位置する他のビーコン発生器212によって発せられる超音波ビーコン214をリッスン(listen:聞き)及び検出し、検出した超音波ビーコン214を使用して、干渉を回避又は最小限に抑えるために超音波ビーコン214の送信を調整するように構成され得る。
【0049】
いくつかの例では、図6に示されるように、複数のビーコン発生器212を医療システム206に含めてもよい。図6は、医療施設202の別の例示的な構成600を示す。図6は、ビーコン発生器212(例えば、ビーコン発生器212-1~212-3)が医療システム206に含まれることを除いて、図5と同様である。ビーコン発生器212は、医療システム206に任意の適切な方法で含めてもよい。例えば、ビーコン発生器212は、上で説明したように、医療システム206と物理的に統合され、及び/又は医療システム206によって制御され得る。いくつかの例では、各ビーコン発生器212は、医療システム206の異なる構成要素に含まれる。例えば、医療システム206が手術システム100によって実装される場合に、ビーコン発生器212-1は操作システム102に含めてもよく、ビーコン発生器212-3はユーザ制御システム104に含めてもよく、ビーコン発生器212-3は補助システム106に含めてもよい。
【0050】
いくつかの例では、超音波ビーコン214は同じ情報(例えば、同じ医療システムID)を含む。追加の又は代替の例では、各超音波ビーコン214は固有の情報を含む。例えば、医療システム206が複数の構成要素を含む場合に、様々な構成要素はそれぞれビーコン発生器212を含むことができ、各超音波ビーコン214は、ビーコン発生器212が含まれる特定の構成要素に割り当てられた、又はそうでなければその特定の構成要素を表す固有の構成要素識別子(例えば、構成要素ID)を含むことができる。例えば、医療システム206が手術システム100によって実装される例を再び参照すると、超音波ビーコン214-1は、操作システム102のための固有の構成要素IDを含み得、超音波ビーコン214-2は、ユーザ制御システム104のための固有の構成要素IDを含み得、及び超音波ビーコン214-3は、補助システム106のための固有の構成要素IDを含み得る。
【0051】
いくつかの構成では、図7に示されるように、医療施設202は、予め規定した領域204の外側の領域に追加のビーコン発生器(図5及び図6には図示せず)を含むこともできる。図7は、医療施設202の別の例示的な構成700を示す。図7では、医療施設202が、予め規定した領域204に隣接する追加の予め規定した領域704(例えば、別の手術室、廊下、機器室等)、予め規定した領域704内に位置する追加の医療システム706、及び予め規定した領域704内に位置し、追加の医療システム706に関連する超音波ビーコン714(例えば、超音波ビーコン714-1~714-3)を放射する追加のビーコン発生器712(例えば、ビーコン発生器712-1~712-3)を含むことを除いて、図7図6と同様である。図5を参照して上述した方法で、代替的に、ビーコン発生器212-1~212-3のいずれも医療システム206に含めてもよく、代替的に、ビーコン発生器712-1~712-3のいずれも医療システム702に含めてもよい。さらに、予め規定した領域204及び704はそれぞれ、特定の実施態様に適するように、他の任意の数のビーコン発生器212及び712をそれぞれ含んでもよい。いくつかの例では、予め規定した領域704は、医療システムを含まないが、それでも1つ又は複数のビーコン発生器712を含んでもよい。例えば、予め規定した領域704は、廊下、休憩室、オフィス、又は任意の他の場所であってもよい。
【0052】
医療施設202は、特定の実施態様に適した任意の数及び構成の予め規定した領域、医療システム、及びビーコン発生器を含むことができるため、医療施設202の前述の構成は単なる例示であり、限定するものではないことが認識されよう。さらに、本明細書で説明する構成のいずれも、特定の実施態様に適合するように修正又は組み合わせることもできる。
【0053】
上述したように、超音波ビーコン214は、装置(例えば、ユーザ装置210)と医療システム(例えば、医療システム206)との通信可能なペアリングを容易にする及び/又は管理するために装置ペアリングシステムによって使用され得る情報を含み得る。図8は、装置を医療システムと通信可能にペアリングし、装置のペアリング状態を管理(例えば、制御、構成、変更、パラメータの設定等)するように構成され得る例示的な装置ペアリングシステム800(ペアリングシステム800)を示す。ペアリングシステム800は、本明細書で説明する任意の医療システム、装置、又は他のコンピュータシステムに含まれ、それらによって実装され、又はそれらに接続され得る。例えば、ペアリングシステム800は、コンピュータ支援手術システム(例えば、手術システム100)によって実装され得る。別の例として、ペアリングシステム800は、医療システムに通信可能に結合されたスタンドアロン型コンピュータシステムによって実装され得る。いくつかの例では、ペアリングシステム800は、装置(例えば、ユーザ装置210)によって全体的又は部分的に実装され得る。
【0054】
図8に示されるように、ペアリングシステム800は、限定ではないが、互いに選択的且つ通信可能に結合されたメモリ802及び処理装置804を含む。メモリ802及び処理装置804はそれぞれ、ハードウェア及び/又はソフトウェアコンポーネント(例えば、プロセッサ、メモリ、通信インターフェイス、プロセッサによる実行のためにメモリに格納された命令等)を含むか、又はそれらによって実装され得る。例えば、メモリ802及び処理装置804は、医療システム内の任意の構成要素によって実装され得る。いくつかの例では、メモリ802及び処理装置804は、特定の実施態様に役立ち得るように、複数の装置及び/又は複数の場所に分散してもよい。
【0055】
メモリ802は、本明細書で説明する動作のいずれかを実行するために処理装置804によって使用される実行可能データを維持(例えば、格納)することができる。例えば、メモリ802は、本明細書で説明する動作のいずれかを実行するために処理装置804によって実行され得る命令806を格納し得る。命令806は、任意の適切なアプリケーション、ソフトウェア、コード、及び/又は他の実行可能データインスタンスによって実装され得る。メモリ802は、処理装置804によって受信、生成、管理、使用、及び/又は送信された任意のデータを維持することもできる。
【0056】
処理装置804は、装置を医療システムとペアリングすること、及び医療システム及び/又は追加の医療システムに対する装置のペアリング状態を管理することに関連する様々な動作を実行する(例えば、メモリ802に格納している命令806を実行する)ように構成され得る。処理装置804によって実行され得る動作について本明細書で説明する。以下の説明では、ペアリングシステム800によって実行される動作への言及は、ペアリングシステム800の処理装置804によって実行されると理解され得る。
【0057】
言及したように、ペアリングシステム800は、医療システム自体によって完全に実装してもよい。例えば、ペアリングシステム800は、医療システム206に含まれる1つ又は複数のコンピュータ装置(例えば、手術システム100の操作システム102、ユーザ制御システム104、及び/又は補助システム106内に含まれる1つ又は複数のコンピュータ装置)によって実装され得る。
【0058】
図9は、ペアリングシステム800の別の例示的な実施態様900を示す。実施態様900では、リモートコンピュータシステム902は、ネットワーク904を介して医療システム206に通信可能に結合され得る。リモートコンピュータシステム902は、本明細書で説明する動作のいずれかを実行するように構成される1つ又は複数のコンピュータ装置(例えば、サーバ)を含み得る。ネットワーク904は、ローカルエリアネットワーク、無線ネットワーク(例えば、Wi-Fi)、ワイドエリアネットワーク、インターネット、セルラーデータネットワーク、及び/又は任意の他の適切なネットワークであってもよい。データは、特定の実施態様に役立ち得る任意の通信技術、装置、メディア、及びプロトコルを使用して、ネットワーク904に接続された構成要素同士の間を流れることができる。図示されるように、ユーザ装置210は、ネットワーク904に接続され、それによりリモートコンピュータシステム902と通信することができる。
【0059】
いくつかの例では、リモートコンピュータシステム902及び/又はネットワーク904は、医療施設管理システム(図示せず)の一部として医療施設(例えば、医療施設202)内に部分的又は全体的に配置される。医療施設管理システムは、医療施設に含まれる医療システム及び医療システムの場所、患者情報、ビーコン発生器情報及びビーコン発生器の位置、医療セッション情報、医療従事者情報、及びスケジュール情報等を表すデータ等、医療施設及びその運営に関連する医療施設データを生成及び/又は維持するように構成された1つ又は複数のコンピュータシステムを含み得る。
【0060】
いくつかの例では、ペアリングシステム800は、リモートコンピュータシステム902又はユーザ装置210によって完全に実装される。代替例では、ペアリングシステム800は、リモートコンピュータシステム902、医療システム206、及びユーザ装置210のうちの任意の2つ以上に亘って分散される。
【0061】
ペアリングシステム800は、1つ又は複数の医療システムに対するユーザ装置210のペアリング状態を管理するように構成される。ユーザ装置210の「ペアリング状態」には、以下に説明するように、「ペアリング状態」、「制限付きペアリング状態」、及び「非ペアリング状態」が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0062】
「ペアリング状態」で動作している間に、ユーザ装置210は、医療システム206と通信可能にペアリングされ、医療システム206とデータを交換するように構成され、それにより、ユーザ208が、ユーザ装置210を介して、医療システム206に関連する1つ又は複数の機能特徴にアクセスできるようにする。例えば、ユーザは、その装置を介して、医療システムに関連するコンテンツ(例えば、内視鏡ビデオストリーム、患者情報、手術チーム情報等)を閲覧し、医療システムと相互作用(例えば、医療システムの1つ又は複数の特徴又は設定を制御)し、医療システムで行われている医療処置(例えば、手術システム100で行われる手術セッション等)に関する情報(例えば、患者情報、手術チーム情報等)を閲覧し、及び/又は医療システムと通信可能にペアリングされた追加のユーザ装置を介して他のユーザと通信することができる。別の例として、監督(proctor)外科医のためのユーザ制御システムは、操作システム102とのペアリングに成功すると、一次ユーザ制御システム104によって主に制御される操作システム102を制御し、操作システム102と相互作用するように構成され得る。
【0063】
ユーザ装置210は、任意の適切な方法で医療システム206と通信可能にペアリングすることができる。例えば、ユーザ装置210は、間接通信リンクを介して(例えば、リモートコンピュータシステム902及び/又はネットワーク904を介して)医療システム206と通信可能にペアリングされ得る。あるいはまた、ユーザ装置210は、直接(例えば、ピアツーピア、シングルホップ、又はアドホック)通信リンク906を介して医療システム206と通信可能にペアリングしてもよい。直接通信リンクは、例えば、Bluetooth接続、近距離無線通信接続、Wi-Fi接続、Wi-Fi Direct接続、スマートフォン・アドホック・ネットワーク(SPAN)接続、モバイル装置アドホック・ネットワーク(MANET)接続等の直接ワイヤレス接続を含んでもよい。いくつかの例では、ユーザ装置210は、ユーザ装置210が医療システム206に関連する超音波ビーコン(例えば、超音波ビーコン214)を検出した場合等、ユーザ装置210が医療システム206に物理的に近接している場合にのみ、医療システム206と通信可能にペアリングされ得る。しかしながら、いくつかの例では、ユーザ装置210は医療システム206と通信可能にペアリングされないことが認識されよう。ユーザ装置210と医療システム206との通信可能なペアリングについては、以下でより詳細に説明する。
【0064】
「非ペアリング」又は「ペアリングされない」状態では、ユーザ装置210は、医療システム206と通信可能にペアリングされず、医療システム206とデータを交換するように構成されず、及び/又はユーザ208が、ユーザ装置210を介して、医療システム206に関連する任意の機能特徴にアクセスできない。
【0065】
ユーザ装置210はまた、「制限付きペアリング状態」等の1つ又は複数の他の中間ペアリング状態で動作することもできる。制限付きペアリング状態では、装置によって提供される1つ又は複数の機能特徴は、ユーザ装置210がペアリング状態で動作している場合とは異なる(例えば、変更、禁止、ロック、一時停止、条件付け等される)。例えば、監督外科医は、ユーザ装置210がペアリング状態で動作している間に、ユーザ装置210を介して手術システム100の動作を制御することができ得る。監督外科医が手術室を離れる場合に、ユーザ装置210は、制限付きペアリング状態で動作するように移行することができ、この状態で、監督外科医は、ユーザ装置210を介して内視鏡ビデオフィードを見続けることができるが、ユーザ装置210を介して手術システム100の動作を制御することはできない。
【0066】
いくつかの例では、ペアリングシステム800は、ユーザ入力に基づいて、装置を、制限付きペアリング状態での動作から、ペアリング状態での動作に移行させることができる。例えば、ユーザ装置210が制限付きペアリング状態で動作している間に、ユーザ208は、ユーザ装置210によって実行されるアプリケーションを介してユーザ入力を提供し、ユーザ装置210にペアリング状態での動作に移行するように指示することができる。いくつかの例では、ペアリングシステム800は、装置をペアリング状態での動作に移行させる前に、医療システムに関連するQRコード又はバーコードをスキャンすること、医療システムのイメージを取り込むこと等によって、ユーザが医療システムに近接しているという証拠を必要とする場合がある。
【0067】
ペアリングシステム800によって(例えば、ペアリングシステム800の処理装置804によって)実行され得る様々な動作、及びこれらの動作の例についてここで説明する。本明細書で説明する動作及び例は、ペアリングシステム800によって実行され得る多くの異なるタイプの動作を単に例示するものであることが認識されよう。
【0068】
いくつかの例では、ペアリングシステム800は、装置(例えば、ユーザ装置210)が、パイロット信号及び符号化情報信号を含む超音波ビーコン送信(例えば、第1の送信304-1)を検出したと判定することができる。パイロット信号に基づいて、ペアリングシステム800は、符号化情報信号を復号化して、超音波ビーコン送信に関連する医療システムを識別することができる。医療システムの識別に応答して、ペアリングシステム800は、装置に、この装置が医療システムと通信可能にペアリングされるペアリング状態に入るように指示することができる。このようにして、装置のユーザは、装置が医療システムとペアリングされる間に、この装置を介して医療システムと相互作用することができる。例えば、ユーザ208は、ユーザ装置210を介して、医療システム206に関連する1つ又は複数の機能特徴にアクセスすることができる。
【0069】
しかしながら、医療施設内の装置と医療システムとの間の通信可能なペアリング状態を確立し維持することは、多くの場合に、単純なプロセスではない。医療施設はビジー状態(busy:通信が錯綜し)で複雑な環境である。例えば、医療施設は、多くの異なる医療システム及び多くの異なる超音波ビーコンを含む場合がある(例えば、図5図7を参照)。さらに、医療システムが医療施設内を移動する際にオン又はオフになり、様々な医療処置が開始又は停止するときに、様々な超音波ビーコンが飛び交うことがある。装置のユーザは、装置とともに医療施設内を移動することもある。例えば、技術者は、2つの同時医療処置中に2つ以上の手術室の間を行ったり来たりする場合がある。これらの変動する条件の結果として、装置は複数の超音波ビーコンを同時に検出する可能性があり、装置によって検出される超音波ビーコンが変化する可能性がある。これらの状況により、装置のペアリング状態に望ましくない変化が生じる可能性がある。
【0070】
装置のペアリング状態の管理をさらに複雑にすることには、装置の運動(1メートル/秒程度の遅い運動であっても)により、超音波ビーコン送信に含まれる情報信号にドップラーシフトが生じる可能性がある。これは、例えば、ユーザが手術室の周囲又は医療施設内を移動しているとき、又はビーコン発生器が移動しているときに発生し得る。OFDMでは、サブキャリアが高密度にパックされているため、ドップラーシフトによりメッセージが回復不能になる可能性がある。動きはまた、送信中の遅延及び経路長の変化に関連した問題も引き起こす。これらの問題は、動きに比べて音の速度が遅いこと、波長が短いこと、近超音波の帯域幅が限られていること、手術室の困難な音響環境等により、特に深刻である。こうして、ドップラーシフトは、装置と医療システムのペアリングを妨げる、又は影響を与える可能性がある。
【0071】
これらの問題に対処するために、ペアリングシステム800は、ユーザへの中断をできるだけ少なくして、装置の意図したペアリング状態を迅速且つ効率的に推測するように構成される。従って、ペアリングシステム800は、装置の現在のペアリング状態、検出した超音波ビーコン送信から得られる情報(例えば、パイロット信号及び/又は情報信号)、装置の動きに関する情報、ユーザ入力、及び/又は他の適切な情報(ユーザの好み、ユーザ履歴、予測情報等)等の様々な入力に基づいて、装置の意図したペアリング状態を推測することができる。ペアリングシステム800は、これらの入力を使用して、装置が異なるペアリング状態同士の間で移行するかどうか、及びどのように移行するかを決定することができる。
【0072】
装置のペアリング状態を確立及び管理するための超音波ビーコンベースの方法について、図10を参照して説明する。図10は、例示的な方法1000を示す。図10は、一実施形態による例示的な動作を示すが、他の実施形態は、図10に示されるステップのいずれかを省略、追加、並べ替え、組み合わせ、及び/又は修正することができる。図10に示される動作は、ペアリングシステム800によって実行されるものとして説明されるが、これらの動作は、ペアリングシステム800に含まれる任意の構成要素及び/又はその任意の実施態様(例えば、ユーザ装置210等の装置、医療システム、医療システムの構成要素、装置の組合せ、リモートコンピュータシステム等)によって実行され得ると理解されよう。方法1000は、例えば、規定したスケジュール及び/又は任意の他の適切なイベント又は時間に従って、装置がオンになったとき、装置が特定のアプリケーションの実行を開始したとき、装置によって実行されるアプリケーションにユーザがログインしたとき、装置上の超音波センサがオンになったとき、装置が特定のネットワーク(例えば、医療施設ネットワーク)に接続するとき、装置が特定の地理的位置(例えば、GPS又は他の位置追跡方法に基づいて)に移動するときに、開始し得る。
【0073】
動作1002において、ペアリングシステム800は(例えば、装置に含まれる超音波センサによって)超音波ビーコン送信を監視する。動作1002は、本明細書で説明する任意の方法を含む任意の適切な方法で実行され得る。
【0074】
動作1004において、ペアリングシステム800は、装置が超音波ビーコン送信に含まれるパイロット信号を検出したかどうかを判定する。ペアリングシステム800が、装置がパイロット信号を検出していないと判定した場合に、処理は動作1006に進む。
【0075】
動作1006において、ペアリングシステム800は、装置の現在のペアリング状態をチェックする。ペアリングシステム800が、装置がどの医療システムともペアリングされていないと判定した場合に、処理は動作1002に戻り、超音波ビーコン送信を監視する。一方、装置がパイロット信号を検出していないときに、ペアリングシステム800が、装置が医療システムとペアリングされている(例えば、ペアリング状態又は制限付きペアリング状態にある)と判定した場合に、処理は動作1018に進み、装置の新しいペアリング状態(非ペアリング状態、制限付きペアリング状態等)で動作するように装置を移行させる。動作1018について以下でより詳細に説明する。次に、処理は動作1002に戻り、後続の超音波ビーコン送信を監視する。
【0076】
再び動作1004に戻ると、ペアリングシステム800が、装置が超音波ビーコン送信においてパイロット信号を検出したと判定した場合に、処理は動作1008に進む。
【0077】
動作1008において、ペアリングシステムは、装置の現在のペアリング状態を決定する。ペアリングシステム800が、装置がどの医療システムともペアリングされていないと判定した場合に、処理は動作1010に進む。
【0078】
動作1010において、ペアリングシステム800は、検出したパイロット信号に基づいて、検出した超音波ビーコン送信に含まれる符号化情報信号を復号化して、符号化情報信号に含まれる情報(例えば、超音波ビーコン送信に関連する医療システム)を識別する。動作1010は、本明細書で説明する任意の方法を含む任意の適切な方法で実行され得る。
【0079】
いくつかの例では、ペアリングシステム800は、超音波ビーコン内の復号化した情報を医療施設データと比較することによって、超音波ビーコンに関連する医療システムを識別することができる。医療施設データは、医療施設内の予め規定した領域、医療施設の予め規定した領域内に位置する医療システム、医療施設の予め規定した領域内に位置するビーコン発生器、及び医療施設内及び/又は医療システムを使用して行われる医療セッション等、医療施設の様々な属性を関連付ける1つ又は複数のテーブル又は他のデータ構造の形式をとることができる。いくつかの例では、ペアリングシステム800は、医療施設管理システムから医療施設データにアクセスするように構成され得る。あるいはまた、医療施設データは、ペアリングシステム800及び/又は装置によって追跡、生成、及び/又は維持してもよい。
【0080】
いくつかの例では、ペアリングシステム800は、超音波ビーコンを発したビーコン発生器と同じ予め規定した領域内に物理的に位置する医療システムを識別することができる。例えば、ペアリングシステム800は、医療施設データに基づいて、超音波ビーコンに含まれる位置IDに直接的又は間接的に関連する医療システムIDを識別することができる。別の例として、ペアリングシステム800は、超音波ビーコンに含まれる医療セッション識別子によって表される医療セッションを行うために使用されている医療システムを識別することができる。例えば、ペアリングシステム800は、医療施設データに基づいて、超音波ビーコンに含まれる手術セッションIDに直接的又は間接的に関連する医療システムIDを識別することができる。さらに別の例として、ペアリングシステム800は、超音波ビーコンを発したビーコン発生器に関連する医療システムを識別することができる。例えば、ペアリングシステム800は、医療施設データに基づいて、超音波ビーコンに含まれるビーコン発生器IDに直接的又は間接的に関連する医療システムIDを識別することができる。いくつかの例では、ペアリングシステム800は、超音波ビーコンに含まれる医療システムIDを識別することによって、超音波ビーコンに関連する医療システムを識別することができる。例えば、ビーコン発生器は、医療システム及びビーコン発生器が予め規定した領域内に恒久的に配置される場合に、又はビーコン発生器が医療システムに含まれる場合に、医療システムIDを超音波ビーコンに含めるように構成され得る。
【0081】
ペアリングシステム800が、符号化情報信号を復号化して、超音波ビーコン送信に関連する医療システムを識別した後に、処理は動作1018に進む。動作1018において、ペアリングシステム800は、識別した医療システムに基づいて新しいペアリング状態を設定する。例えば、ペアリングシステム800は、装置を医療システムとペアリング状態にすることができる。
【0082】
いくつかの実施形態では、装置と医療システムとのペアリングは、装置に関連するユーザの認証を条件とすることができる。例えば、ペアリングプロセスは、装置のユーザが装置、又はペアリングシステム800によって提供され、装置を介してアクセス可能になるアプリケーション又はサービスにログインするまで完了しない可能性がある。さらに又は代わりに、ペアリングの成功は、(例えば、手術セッションの開始時又は形成時等に)手術セッションに以前に割り当てられた手術チームメンバーのIDと一致する認証されたユーザのID等、又は認証されたユーザが、例えば、装置が(例えば、手術セッションID情報等を識別することによって)ペアリングしようとしている医療システムに関連する手術セッションを識別するためのユーザ入力を提供することに成功すると、他のパラメータにさらに条件付けしてもよい。ペアリングシステム800は、任意の適切な方法で(例えば、医療システム及び/又は装置から認証の成功を表すデータを受信することによって)そのような認証の成功を検出することができる。
【0083】
装置が非ペアリング状態での動作から、医療機器とのペアリング状態での動作に移行した後に、ペアリングシステム800は、動作1020(以下でより詳細に説明する)においてクロックを初期時間tに初期化することができ、次に、処理は動作1002に戻り、後続の超音波ビーコン送信を監視する。
【0084】
再び動作1008に戻ると、ペアリングシステム800が、装置が医療システムと(例えば、ペアリング状態又は制限付きペアリング状態で)ペアリングされると判定した場合に、処理は動作1012に進み、ペアリングシステム800は、迅速な「パイロットチェック」又はより堅牢な「確認チェック」を行うかどうかを判定する。パイロットチェック及び確認チェックは、ペアリングシステム800によって実行されるメンテナンスプロセスの一部であり、装置をペアリング状態(又は制限付きペアリング状態)で動作し続けるかどうかを判定する。
【0085】
動作1012において、ペアリングシステム800は、装置がペアリング状態初期化イベントの閾値時間T内にパイロット信号を検出するかどうかを判定する。ペアリング状態初期化イベントは、装置をペアリング状態(又は制限付きペアリング状態)に確立又は維持することに関連する任意の適切なイベントを含むことができる。いくつかの例では、ペアリング状態初期化イベントは、ペアリング状態同士の間の最新の移行(例えば、動作1018の実行)、及び/又は検出した超音波ビーコン送信に含まれる符号化情報信号の最新の復号(例えば、後述する動作1010又は動作1014の実行)を含む。さらに又は代わりに、ペアリング状態初期化イベントは、ペアリングシステム800による、医療システムによって実行される特定の動作の検出、医療システムに関連する機能特徴にアクセスする(例えば、ユーザ装置による医療システムの動作を制御する)ためのユーザによる装置との相互作用、又は他の適切な動作を含み得る。さらに別の例では、ペアリング状態初期化イベントは、閾値時間Tの経過を含むことができる。
【0086】
動作1012は、任意の適切な方法で実行され得る。例えば、ペアリングシステム800は、パイロット信号が検出された時間tが、初期時間tに閾値時間Tを加えたものより大きいかどうかを判定することができる。閾値時間Tは、1分、30秒、10秒、1秒、10ミリ秒等の任意の適切な時間期間とすることができる。ペアリングシステム800は、ペアリング状態初期化イベントが発生したときに、例えばクロックを初期時間tにリセット(初期化)することによって、初期時間tを設定することができる。例えば、動作1020に示されるように、ペアリングシステム800は、現在時間tをゼロ(t)に設定することによってクロックをリセットすることができる。いくつかの例では、閾値時間Tは、特定の医療システム又は医療システムのタイプ、装置にログインしているユーザのユーザ役割又はユーザプロファイル、装置又は装置のタイプ、現在のペアリング状態(例えば、ペアリング状態又は制限付きペアリング状態)、装置が他の医療システムとペアリングされるかどうか、ペアリング状態移行イベントの数及び/又は頻度、及び/又は他の適切な情報等の1つ又は複数の要因に基づいて(手動又は自動で)設定され得る。
【0087】
動作1012において、ペアリングシステム800が、ペアリング状態初期化イベントから閾値時間Tが経過していないと判定した場合(例えば、装置が閾値時間T以内にパイロット信号を検出した場合)に、プロセスは動作1002に戻り、後続の超音波ビーコン送信を監視する。このパイロットチェックによって、ペアリングシステム800は、超音波ビーコン送信の符号化情報信号を復号化せずに、超音波ビーコン送信のパイロット信号の検出に基づいて、装置が通信可能なペアリング状態で動作し続けるようにする。
【0088】
しかしながら、ペアリングシステム800が、ペアリング状態初期化イベントから閾値時間Tが経過したと判定した場合(例えば、パイロット信号の検出が閾値時間T以内ではない場合)に、処理は動作1014に進む。
【0089】
動作1014において、ペアリングシステム800は、超音波ビーコン送信の符号化情報信号を復号化して、超音波ビーコン送信に関連する医療システムを識別する。動作1014は、本明細書で説明する任意の方法を含む任意の適切な方法で実行され得る。
【0090】
動作1016において、ペアリングシステムは、超音波ビーコン送信に関連する医療システムが、装置が現在ペアリングしている医療システムに対応するかどうかを判定する。動作1016は、任意の適切な方法で実行され得る。例えば、ペアリングシステム800は、符号化情報信号からの復号化情報を医療施設データと比較して、装置が現在ペアリングしている医療施設と同じ場所にあるかどうかを判定することができる。さらに又は代わりに、動作1016は、情報信号に基づいて誤り訂正プロセスを実行することを含んでもよい。
【0091】
ペアリングシステム800が、超音波ビーコン送信に関連する医療システムが、装置が現在ペアリングしている医療システムに対応すると判定した場合に、処理は動作1020に進み、クロックを初期化し、次に、動作1002に戻って後続の超音波ビーコン送信を監視する。この確認チェックにより、ペアリングシステム800は、超音波ビーコン送信に関連する医療システムが、装置が現在ペアリングしている医療システムに対応するという確認に基づいて、装置を通信可能なペアリング状態で動作し続けるようにする。
【0092】
しかしながら、ペアリングシステム800が、動作1016において、超音波ビーコン送信に関連する医療システムが、装置が現在ペアリングしている医療システムに対応しないと判定した場合に、処理は動作1018に進む。動作1018において、ペアリングシステム800は、検出した超音波ビーコン送信に関連する医療システムに基づいて、新しいペアリング状態を設定する。例えば、ペアリングシステム800は、装置を、現在ペアリングしている医療システムとのペアリング状態での動作から、医療システムとの非ペアリング状態での動作に移行させることができる。さらに又は代わりに、ペアリングシステム800は、装置を、装置が超音波ビーコン送信に関連する医療システムと通信可能にペアリングされるペアリング状態にすることができる。
【0093】
次に、処理は動作1020に進んでクロックを初期化し、次に動作1002に戻って後続の超音波ビーコン送信を監視する。この確認チェックにより、ペアリングシステム800は、新たな医療システムを検出した場合に新たなペアリング状態に移行することができる。新しいペアリング状態では、装置はどの医療システムともペアリングされないか、新しく検出した医療システムとのみペアリングされるか、又は現在ペアリングしている医療システムと新しく検出した医療システムとの両方とペアリングされる可能性がある。
【0094】
前述のプロセスでは、符号化情報信号を復号化する方がパイロット信号を検出するよりも多くのバッテリ電力を消費するため、パイロットチェックは確認チェックよりも頻繁に(例えば、1/Tを超える周波数で)実行してもよい。こうして、方法1000は、意図したペアリング状態を正確に推測し、バッテリ電力を節約しながらペアリング状態を管理する。
【0095】
以下に説明するように、装置のペアリング状態の確立及び管理をさらに改良するために、方法1000に様々な修正を加えることができる。
【0096】
例えば、ペアリング状態初期化イベント(動作1012(Y))から閾値時間Tが経過したという判定にのみ応答して確認チェックを行うのではなく、ペアリングシステム800は、さらに又は代わりに、検出した他の何らかの状態が状態の変化の可能性を示す場合(例えば、装置が移動した可能性がある、別のビーコン発生器がオンラインになった等)に、符号化情報を復号化してもよい。例えば、ペアリングシステム800は、例えば、装置が超音波ビーコン発生器から遠ざかる、又は超音波ビーコン発生器に近づいたときに起こり得る、パイロット信号の品質の変化(例えば、SNRの低下又は増大)を検出することができる。他の例では、ペアリングシステム800は、パイロット信号送信のタイミングの突然の変化、パイロット信号に符号化された異なる情報、又は他の適切な状態の変化を検出することができる。パイロット信号の品質の変化及び/又は他の変化した状態の検出に応答して、ペアリングシステム800は動作1014に進み、確認チェックを行うことができる。いくつかの例では、ペアリング状態の初期化イベントから閾値時間Tが経過していない場合でも、変化した状態の検出によって確認チェックをトリガしてもよい。
【0097】
別の変形例では、動作1004においてパイロット信号のみを監視するのではなく、ペアリングシステム800は、代わりに超音波範囲内のあらゆる通信を監視してもよい。例えば、パイロット信号は、情報信号と同じであってもよく、又は情報信号の一部であってもよい。従って、ペアリングシステム800は、単に超音波範囲における送信の存在を検出することによってパイロット信号を検出することができる。
【0098】
いくつかの例では、パイロットチェック又は確認チェックが失敗した場合に、装置はペアリング状態から非ペアリング状態に直接移行しない。むしろ、装置は、ペアリング状態のみから、制限付きペアリング状態に移行する可能性がある。追加の又は代替の例では、装置は、パイロットチェック又は確認チェックが閾値回数連続して失敗した場合にのみ、ペアリング状態から制限付きペアリング状態又は非ペアリング状態に移行する。
【0099】
いくつかの例では、ペアリングシステム800がパイロットチェックを実行しないように、方法1000から動作1012が省略される。これらの例では、装置は、確認チェックが成功した場合にのみ、現在のペアリング状態での動作を継続する。
【0100】
さらに別の例では、図11に示されるように、動作1018はユーザ入力に基づいて実行することができる。図11は、方法1100が動作1018を実行する前に動作1102を含むことを除いて、方法1000と同様の方法1100を示す。
【0101】
動作1102において、ペアリングシステム800は、装置の所望のペアリング状態を示すユーザ入力を受信し、動作1018において、ペアリングシステムは、受信したユーザ入力に基づいてペアリング状態を設定する。ユーザ入力は、任意の適切な方法で受信することができる。例えば、ペアリングシステム800は、装置を介して(例えば、グラフィカルユーザインターフェイスによって、音声通知又は触覚通知等によって)ユーザに、動作1006(Y)、動作1010、及び動作1016(N)のいずれか1つ又は複数に応答して入力を提供するように促してもよい。装置は、装置のタッチ入力、音声コマンド、又はモーションジェスチャ等の任意の適切な方法でユーザ入力を受信するように構成され得る。
【0102】
例示すると、動作1006(ペアリング状態での動作中にパイロット信号が検出されない)又は動作1016(ペアリング状態での動作中に確認が失敗する)から動作1102に到達した場合に、超音波ビーコンの送信が検出されない場合でも、ユーザ入力は、ペアリング状態にある装置の動作を維持したいという要望を示し得る。従って、動作1018において、ペアリングシステム800は、装置がペアリング状態又は制限付きペアリング状態での動作し続けるように設定することができる。
【0103】
動作1010から動作1102に到達すると、ユーザは、装置を介したユーザ入力によって、超音波ビーコン送信に関連する医療システムと装置をペアリングしたいという要望を確認するよう促され得る。
【0104】
動作1102は、装置が複数の異なる超音波ビーコンを検出した場合に、ペアリングシステム800が適切なペアリング状態を決定するのを支援することができる。いくつかの例では、方法1100は、装置が複数の異なる超音波ビーコンを検出するときに実行され、方法1000は、装置が1つのみの超音波ビーコンを検出するときに実行される。
【0105】
一方、図11は、動作1102が動作1006(N)、1010、及び1016(Y)に応答して実行され得ること、動作1102がより多くの又はより少ない動作、及び/又は特定の実施態様に役立ち得る他の任意の動作(例えば、動作1008(N))に応答して実行され得ることを示す。
【0106】
方法1000及び1100のさらに別の変形例では、動作1018は、ユーザの好み又はプロフィール、又はユーザの役割(例えば、外科医、看護師、技術者等)に基づいてさらに実行され得る。例えば、ユーザは、ペアリング状態同士の間を移行するための特定の好みを指定することができる。さらに又は代わりに、ペアリングシステム800の管理者は、ユーザ又はユーザの役割に基づいて、ユーザ装置を介してアクセスできる特定の機能特徴を制限することができる。
【0107】
上述したように、装置の動きにより、超音波ビーコン送信の符号化情報信号にドップラー効果が発生し、符号化情報信号が回復不能になることもある。従って、装置は超音波ビーコン送信に関連する医療システムとペアリングできず、確認チェックが失敗し、装置の意図しない非ペアリング状態が発生する可能性がある。従って、ペアリングシステム800は、メンテナンスプロセスにおいて動き検出を使用するように、及び/又は装置のペアリング状態を設定するように構成することもできる。従って、図10及び図11の動作1010は、図12Aに示されるように置き換えることもできる。さらに又は代わりに、図10及び図11の動作1014は、図12Bに示されるように置き換えることもできる。
【0108】
図12Aは、図10及び図11の動作1010の代わりに使用できる例示的な代替動作1202~1208を示す。
【0109】
動作1202は、動作1008(N)の後に実行される。動作1202において、装置が新しい医療システムとペアリングしようとしているときに、ペアリングシステム800は、検出した超音波ビーコン送信の符号化情報信号が復号化可能かどうかを判定することができる。動作1202は、パリティチェック、エラーチェック、参照情報(例えば、医療施設データ)に対する復号化した情報の検証、又は他の任意の適切な検証方法等、任意の適切な方法で実行され得る。
【0110】
ペアリングシステム800が、符号化情報信号が復号化可能であると判定した場合に、ペアリングシステム800は、動作1204で符号化情報信号を復号化し、次に動作1018に進む。動作1018は、超音波ビーコン送信に関連する医療システムと装置を通信可能にペアリングするために上述したように実行され得る。
【0111】
しかしながら、ペアリングシステム800が、符号化情報信号が復号化可能でないと判定した場合に、処理は動作1206に進む。動作1206において、ペアリングシステム800は、装置が動作しているかどうかを判定する。動作1206は、任意の適切な方法で実行され得る。いくつかの例では、ペアリングシステム800は、装置に含まれ、装置の動きを検出するように構成された1つ又は複数の動きセンサによって生成された情報に基づいて、装置が動作していると判定し得る。動きセンサには、例えば、慣性測定ユニット(IMU)、加速度計、ジャイロスコープ、磁力計、及び/又は他の任意の適切な動き感知装置が含まれ得る。さらに又は代わりに、ペアリングシステム800は、符号化情報信号を処理して、符号化情報信号におけるドップラーシフトを特定することができる。
【0112】
ペアリングシステム800が、装置が動いていないと判定した場合に、処理は動作1002に戻り、動作1012は、後続の超音波ビーコン送信を監視するために上述したように実行され得る。さらに又は代わりに、ペアリングシステム800は、符号化情報信号を処理するために使用される周波数フィルタ又はアルゴリズムを調整する等、符号化情報信号の受信及び/又は復号化を改善するように構成された任意の他の動作を実行することができる。
【0113】
しかしながら、ペアリングシステム800が、装置が動作していると判定した場合に、処理は動作1208に進む。動作1208において、ペアリングシステム800は動き緩和(mitigation)処理を実行する。いくつかの例では、動き緩和処理は、動きによりペアリングが失敗したことを示す通知をユーザに提供すること、及び/又は装置をペアリングできるように装置を静止させるようにユーザに指示することを含む。さらに又は代わりに、動き緩和処理は、装置を医療システムとペアリングするための代替手段を提供することを含んでもよい。代替手段には、バーコード、QRコード、RFIDタグ、画像認識、ユーザ入力等、装置が医療システムに物理的に近接していることを確立するように構成された任意の適切な手段が含まれ得る。さらに又は代わりに、動き緩和には、装置が動作している間にペアリングを試行しないことが含まれる場合がある。いくつかの例では、動き緩和は、サブチャネル周波数の間隔を空けること(図3を参照)、又は装置においてより多くの超音波ビーコン送信(例えば、送信304)を一緒に格納して組み合わせる等、送信又は受信プロトコルに対する変更を実装することを含んでもよい。このような技術を使用すると、ペアリング時間がわずかに長くなるが、ペアリングがより堅牢(ロバスト)になり得る。さらに別の例では、動き緩和は、破損した情報信号のドップラー補正を実行することを含んでもよい。ドップラー補正は、任意の適切な方法で実行され得る。
【0114】
動作1208を実行すると、処理は動作1002に戻り、動作1002は、後続の超音波ビーコン送信を監視するために上述したように実行され得る。
【0115】
図12Bは、図10及び図11の動作1014の代わりになり得る例示的な代替動作1210~1216を示す。
【0116】
ペアリングシステム800が、検出した超音波ビーコンに関連する医療システムが、装置が現在ペアリングしている医療システム装置に対応することを確認しようとしている場合に、動作1210は、動作1012(Y)の後に実行される。動作1210において、ペアリングシステム800は、検出した超音波ビーコン送信の符号化情報信号が復号化可能であるかどうかを判定することができる。動作1202は、本明細書で説明する任意の方法を含む任意の適切な方法で実行され得る。
【0117】
ペアリングシステム800が、符号化情報信号が復号化可能であると判定した場合に、ペアリングシステム800は、動作1212で符号化情報信号を復号化し、次に、動作1016に進み、動作1016は上述したように実行され得る。
【0118】
しかしながら、ペアリングシステム800が、符号化情報信号が復号化可能でないと判定した場合に、処理は動作1214に進む。動作1214において、ペアリングシステム800は、装置が動作しているかどうかを判定する。動作1214は、本明細書で説明する任意の方法を含む任意の適切な方法で実行され得る。
【0119】
ペアリングシステム800が、装置が動いていないと判定した場合に、処理は動作1002に戻り得、動作1002は、後続の超音波ビーコン送信を監視するために上述したように実行され得る。さらに又は代わりに、ペアリングシステム800は、符号化情報信号を処理するために使用される周波数フィルタ又はアルゴリズムを調整する等、符号化情報信号の受信及び/又は復号化を改善するように構成された任意の他の動作を実行することができる。
【0120】
しかしながら、ペアリングシステム800が、装置が動作していると判定した場合に、処理は動作1216に進む。動作1216において、ペアリングシステム800は動き緩和処理を実行する。動作1216は、任意の適切な方法で実行することができ、上述した動作1208と同様にすることができる。例えば、動作1216は、動きによってペアリングの確認が実行できないことを示す通知をユーザに提供すること、及び/又は確認チェックのために装置を静止させるようにユーザに指示すること、装置のペアリング状態を確認するための代替手段(上述したような)を提供すること、装置が動作している間に装置のペアリング状態を確認しようとしないこと、送信又は受信プロトコルの変更を実装すること、及び/又は破損した情報信号のドップラー補正を実行することを含んでもよい。追加の又は代替の例では、動作1216は、上述したように、装置を制限付きペアリング状態で動作するように移行させることを含んでもよい。
【0121】
さらに別の例では、動き緩和処理は、装置が動作している間にペアリングが解除されるのを防ぐために、1つ又は複数のパラメータを修正することを含んでもよい。例えば、動き緩和処理は、クロックを初期化すること(例えば、現在時間t=t又は他の何らかの以前の時間に設定すること)及び/又は閾値時間Tを増大することを含んでもよい。
【0122】
いくつかの例では、ペアリングシステム800は、復号化できないビーコンの連続発生数(動作1202(N)及び/又は動作1210(N))及び/又は動き検出の発生数をカウントし、それに応答して、追加の緩和動作を実行する場合がある。追加の緩和動作には、例えば、装置を新しいペアリング状態(例えば、非ペアリング状態、制限付きペアリング状態等)で動作するように移行すること、適切なペアリング状態を示すようにユーザ入力を要求すること、及び/又は前述の緩和動作のいずれかが含まれ得る。
【0123】
動作1216を実行すると、処理は動作1002に戻り、動作1002は、後続の超音波ビーコン送信を監視するために上述したように実行され得る。
【0124】
図13は、装置の動きを考慮した別の例示的な方法1300を示す。方法1300は、方法1300において動作1302が追加され、動作1012及び1020が削除している点を除いて、方法1000と同様である。
【0125】
動作1302において、ペアリングシステム800は、装置が動作しているかどうかを判定する。動作1302は、本明細書で説明する任意の方法を含む任意の適切な方法で実行され得る。
【0126】
ペアリングシステム800が、装置が動作していると判定した場合に、処理は動作1002に戻り、超音波ビーコン送信の監視を継続する。従って、ペアリングシステム800は、装置が動作している間に、装置を通信可能にペアリングする、又は装置のペアリング状態を確認しようとしない。
【0127】
方法1300の代替構成では、ペアリングシステム800が、装置が動作していると判定した場合に、破線で示すように、処理は動作1006に進む。こうして、装置が現在ペアリングされていない場合に(動作1006(N))、ペアリングシステム800は、装置が動作している間に装置を通信可能にペアリングしようとしない。
【0128】
一方、装置が現在ペアリングしている場合に(動作1006(Y))、処理は動作1018に進む。動作1018において、ペアリングシステム800は、装置が動作している間に、装置を制限付きペアリング状態で動作するように設定することができる。このように、ペアリングシステム800は、パイロット信号の検出に基づいて装置をペアリング状態で動作させることを維持するが、装置が動作している間に装置を制限付きペアリング状態に設定することによって、ユーザが取り得る潜在的な望ましくない行動を防止する。
【0129】
再び動作1302に戻ると、ペアリングシステム800が、装置が動作していないと判定した場合に、処理は動作1008に進み、動作1008は、装置が医療システムと現在ペアリングされているかどうかを判定するために、上述したように実行され得る。次に、ペアリングシステム800は、装置を医療システムと通信可能にペアリングする(動作1010及び1018)か、又は確認チェックを行う(動作1014及び1016)かのいずれかを行うことができる。
【0130】
特定の前述の実施形態では、単一の検出した超音波ビーコンに基づいて、単一の医療システムに関して装置のペアリング状態を確立及び/又は管理することについて説明した。他の実施形態では、ペアリングシステム800は、複数の超音波ビーコンの検出に基づいて、装置を1つ又は複数の医療システムとペアリングするか、又はペアリング状態を管理するように構成され得る。例えば、上で説明したように、また図5及び図6に示されるように、医療施設202は、予め規定した領域204内に及び/又は医療システム206に含まれる複数のビーコン発生器212を含むことができる。図7に示されるように、医療施設202は、予め規定した領域204の外側(例えば、予め規定した領域704内)に位置する追加のビーコン発生器712を含むことができる。方法1000、1100、及び1300は、そのようなマルチビーコン構成で使用され得る。
【0131】
いくつかの例では、ペアリングシステム800が、装置が特定の医療システムに関連する複数の超音波ビーコンのセットを検出したと判定した場合にのみ、ペアリングシステム800は、装置と医療システムとのペアリングを行う又はペアリング状態を確認するように構成される。例えば、方法1000、1100、及び/又は1300の動作1004において、ペアリングシステム800は、装置が複数の異なる超音波ビーコン送信(例えば、異なる超音波ビーコンの超音波ビーコン送信)の複数の別個のパイロット信号を検出したと判定することができる。装置がペアリング状態にない場合(動作1008(N))、又は装置がペアリング状態にあり、閾値時間T後にパイロット信号が検出された場合に(動作1012(Y))、ペアリングシステム800は、超音波ビーコン送信の符号化情報信号を復号化して、検出した超音波ビーコン送信のそれぞれに関連する医療システムを識別することができる(動作1010)。動作1018において、ペアリングシステム800は、復号化した符号化情報信号に含まれる情報に基づいて、装置のペアリング状態を設定するか、又はペアリング状態を確認することができる。
【0132】
例えば、ペアリングシステム800は、検出した2つ以上の超音波ビーコン送信に関連する医療システムと装置とのペアリングを行う、又はペアリング状態を確認することができる。例えば、図5図7を参照すると、ペアリングシステム800が、ユーザ装置210が超音波ビーコン214-1~214-3のうちの任意の2つ以上を検出したと判定した場合にのみ、ペアリングシステム800は、ユーザ装置210と医療システム206とを通信可能にペアリングする、又はペアリング状態を維持することができる。
【0133】
他の例では、ペアリングシステム800が、装置が医療システムに関連する全ての超音波ビーコンのセットを検出したと判定した場合にのみ、ペアリングシステム800は、装置と医療システムとのペアリングを行う、又はペアリング状態を確認することができる。例えば、図5図7を参照すると、ペアリングシステム800が、ユーザ装置210が医療システム206に関連する全ての超音波ビーコン214(例えば、超音波ビーコン214-1~214-3)を検出したと判定した場合にのみ、ペアリングシステム800は、ユーザ装置210と医療システム206とを通信可能にペアリングする、又はペアリング状態を維持することができる。ペアリングシステム800が、ユーザ装置210が医療システム206に関連する全ての超音波ビーコン214を検出していないと判定した場合に、ペアリングシステム800は、ユーザ装置210を医療システム206と通信可能にペアリングしない(又は、ユーザ装置210を医療システム206と制限付きペアリング状態でペアリングする)、又は、確認チェックが失敗したと判定して動作1018に進む(例えば、非ペアリング状態又は制限付きペアリング状態に移行する)。
【0134】
いくつかの例では、超音波ビーコンのセットは、医療システムの構成要素に含まれる全ての超音波ビーコンを含む。例えば、一組の超音波ビーコンは、医療システムに含まれる構成要素毎に固有の構成要素識別子(各超音波ビーコン送信の情報信号に符号化される)を含むことができる。このようにして、ペアリングシステム800が、装置が医療システムの各構成要素に関連する超音波ビーコン(例えば、操作システム102に含まれる超音波ビーコン、ユーザ制御システム104に含まれる超音波ビーコン、及び補助システム106に含まれる超音波ビーコン)を検出したと判定されない限り、装置と医療システムとのペアリングを行わない。ペアリングシステム800は、装置が医療システムに関連する全ての超音波ビーコンのセットを任意の適切な方法で検出するかどうかを決定することができる。例えば、ペアリングシステム800は、医療施設データを参照して、装置が特定の医療システムに関連する全ての超音波ビーコンを検出するかどうかを決定することができる。
【0135】
いくつかの例では、ペアリングシステム800は、装置が現在ペアリングしている医療システムに関連付けられていない超音波ビーコンを検出していないという判定に基づいて、装置と医療システムとのペアリング又はペアリング状態の確認を条件付けてもよい。例えば、図7を参照して示されるように、ペアリングシステム800が、ユーザ装置210が超音波ビーコン214以外の超音波ビーコン(例えば、超音波ビーコン714-1~714-3のいずれか)を検出していないと判定した場合にのみ、ペアリングシステム800は、ユーザ装置210と医療システム206とを通信可能にペアリングするか、又はそれらのペアリングを確認することができる。ペアリングシステム800が、ユーザ装置210がいずれかの超音波ビーコン714を検出したと判定した場合であって、ユーザ装置210が1つ又は複数(又は全て)の超音波ビーコン214を検出したとしても、ペアリングシステム800は、ユーザ装置210を医療システム206(又はペア)と通信可能にペアリングしない(ユーザ装置210を医療システム206と制限付きペアリング状態でペアリングする)、又は確認チェックが失敗したと判定して動作1018に進む(例えば、非ペアリング状態又は制限付きペアリング状態に移行する)。
【0136】
さらに別の例では、ペアリングシステム800が、装置が現在ペアリングしている医療システムに関連付けられていない超音波ビーコンを検出したと判定した場合に、ペアリングシステム800は、装置を医療システムと制限付きペアリング状態でペアリングしてもよい。例えば、図7を参照して示されるように、ペアリングシステム800が、ユーザ装置210が医療システム706に関連する超音波ビーコン(例えば、超音波ビーコン714-1~714-3のいずれか)を検出したと判定した場合に、ペアリングシステム800は、ユーザ装置210を医療システム206と制限付きペアリング状態で通信可能にペアリングすることができる。ペアリングシステム800が、ユーザ装置210がいずれかの超音波ビーコン714を検出したと判定した場合に、たとえユーザ装置210が1つ又は複数(又は全て)の超音波ビーコン214を検出したとしても、ペアリングシステム800は、ユーザ装置210を医療システム206と通信可能にペアリングしない。
【0137】
追加の又は代替の例では、動作1018において、ペアリングシステム800は、装置によって検出した最も多くの超音波ビーコンに関連する医療システムと装置をペアリングすることができる。例えば、ペアリングシステム800は、ユーザ装置210が医療システム206に関連する3つの超音波ビーコン(例えば、超音波ビーコン214-1~214-3)を検出し、医療システム706に関連する2つの超音波ビーコンのみ(例えば、超音波ビーコン714-1及び714-2)を検出したとの判定に応答して、ユーザ装置210を医療システム206とペアリングすることができる。
【0138】
本明細書で説明する例のいずれにおいても、装置のペアリング又はペアリング状態の確認は、検出した超音波ビーコンの信号強度に基づいてもよい。例えば、ペアリングシステム800は、医療システムに関連する超音波ビーコンの信号強度が所定の閾値を超えた場合にのみ、装置と医療システムとのペアリングを行う又はペアリングを確認することができる。
【0139】
再び動作1008を参照すると、複数のパイロット信号を検出した後に、装置がペアリング状態又は制限付きペアリング状態にあり(動作1008(Y))、パイロット信号が閾値時間T以内に検出された場合に(動作1012(N))、次に、ペアリングシステム800は、現在のペアリング状態で機器の動作を維持し、動作1002に戻って後続の超音波ビーコン送信を監視することができる。いくつかの例では、ペアリングシステム800は、動作1004で検出したパイロット信号の数が、装置を医療システムと最初にペアリングするために必要な超音波ビーコンの特定の数に対応する(例えば、一致する、等しいかそれ以上である、又は特定の数以内である)場合にのみ、機器の動作を現在のペアリング状態に維持することができる。例えば、図7を参照して示されるように、ユーザ装置210が超音波ビーコン214-1~214-3の検出に基づいて医療システム206とペアリングされる場合に、ユーザ装置210が少なくとも3つのパイロット信号を検出した場合、又はユーザ装置210がパイロット信号を3つだけ検出した場合に、ユーザ装置210は医療システム206とペアリング状態での動作を継続することができる。
【0140】
いくつかの例では、装置が、ペアリング状態で動作している間に(動作1006(Y))、必要な数よりも少ない数のパイロット信号を検出した場合に(例えば、動作1004(N))、ペアリングシステム800は、動作1018において、検出したパイロット信号の数に基づく新しいペアリング状態に設定することができる(例えば、全てではなく一部のパイロット信号が検出された場合に、制限付きペアリング状態に移行する)。
【0141】
上述した方法及び例では、ペアリングシステム800は、単一の医療システムに関して装置のペアリング状態を確立及び管理することができる。いくつかの例では、ペアリングシステム800は、複数の医療システムに関して装置のペアリング状態を同時に確立し、管理することができる。例えば、複数の医療処置が同時に行われている間に、技術者は複数の手術室と機器室の間を移動することがある。従って、装置は、複数の異なる医療システムに関連する超音波ビーコン送信を検出することができる。ペアリングシステム800は、複数の異なる超音波ビーコンが検出された場合でも、現在のペアリング状態及び任意の他の適切な入力を使用して装置の適切なペアリング状態を決定するように構成され得る。
【0142】
例えば、図11に示されるように、ペアリングシステム800は、ユーザ入力(動作1102)に依存して、どの医療システムを装置とペアリングするかを決定することができる。さらに又は代わりに、ペアリングシステム800は、検出した超音波ビーコンの信号強度に基づいてペアリング状態を設定することができる。例えば、図7に示されるように、ユーザ装置210によって検出される超音波ビーコン214-1~214-3の信号強度は、超音波ビーコン712-1~712-3の信号強度よりも強くなり得る。従って、ペアリングシステム800は、ユーザ装置210を医療システム706ではなく医療システム206とペアリングすることができる。あるいはまた、ペアリングシステム800は、ユーザ装置210を医療システム206とペアリング状態でペアリングし、ユーザ装置210を医療システム706と制限付きペアリング状態でペアリングすることができる。
【0143】
いくつかの例では、ペアリングシステム800は、新しいペアリング状態に移行するのではなく、デフォルトで現在のペアリング状態を維持することができる。例えば、図7に示されるように、医療システム706がオンラインになり、超音波ビーコン714が最初に送信されるときに、ユーザ装置210は医療システム206とペアリング状態にあり得る。ユーザ装置210が超音波ビーコン714も検出した場合に、ペアリングシステム800は、ユーザ装置を医療システム206とペアリング状態に維持することができる。もちろん、他のデフォルト設定が設定してもよく、ユーザによって変更してもよい。例えば、ペアリングシステム800は、デフォルトでユーザ入力を要求し、及び/又はユーザ装置を医療システム206及び/又は医療システム706との制限付きペアリング状態で動作するように移行させることができる。
【0144】
いくつかの例では、ペアリングシステム800は、プロンプトのないユーザ入力に依存して、どの医療システムを装置とペアリングするかを決定することができる。例えば、図7に示されるように、ユーザ装置210は、医療システム206とペアリング状態で動作しており、超音波ビーコン714も検出することができる。ユーザが医療システム206に関連する機能特徴にアクセスしようとすると、ペアリングシステム800は、ユーザ208及びユーザ装置210が、医療システム206に近接して位置しており、こうして、ユーザ装置210と医療システム206とのペアリング状態での動作を継続することができる。別の例として、ユーザ装置210が超音波ビーコン714を検出している間に、ユーザが医療システム206に関連する機能特徴にアクセスしようとすると、ペアリングシステム800は、医療システム206及び医療システム706に対するユーザ装置の所望のペアリング状態を指定するユーザ入力を要求することができる。
【0145】
上述した方法のいくつかの代替例では、超音波ビーコンは医療システムに関連付けられなくてもよい。例えば、超音波ビーコンは、廊下、休憩室、機器室、カフェテリア、オフィス、研究室等、特定の医療システムに関連付けられていない医療施設内の特定の場所に関連付けられる場合がある。これらの例では、ペアリングシステム800は、適切なペアリング状態を決定するための別の入力として、そのような超音波ビーコン送信の復号化した情報信号を使用することができる。例えば、図2に示されるように、ユーザ装置210は、ユーザ装置210が予め規定した領域204内に位置している間に、医療システム206とペアリングされ得る。ユーザ208が予め規定した領域204を離れ、ユーザ装置210を休憩室に持ち込む場合に、ユーザ装置210は、休憩室に関連する超音波ビーコンを検出することができるが、医療システム206に関連する超音波ビーコン214をもはや検出できない。従って、ペアリングシステム800は、ユーザ208が休憩室にいるという判定に基づいてペアリング状態を設定することができる(動作1018)。例えば、ペアリングシステム800は、ユーザ208が、予め規定した領域204で行われる医療処置に関連する情報を受信し、閲覧し続けることができるように、ユーザ機器208を医療システム206との制限付きペアリング状態で動作するように移行させることができる。あるいはまた、ペアリングシステム800は、ユーザ機器208と医療システム206とのペアリングを解除することができ、又はペアリング状態を維持することもできる。さらに別の例では、ペアリングシステム800は、所望のペアリング状態を示すユーザ入力を提供するようにユーザに促し、ユーザ入力に基づいてペアリング状態を設定することができる。
【0146】
前述の構成及び実施形態は、超音波ビーコンベースのシステムに焦点を当ててきた。しかしながら、本開示は、本明細書で説明する発明原理の範囲から逸脱することなく、様々な修正及び変更を行うことができるので、これらの構成及び実施形態に限定されるものではない。例えば、さらに又は代わりに、本明細書で説明するシステム及び方法は、電磁信号(例えば、赤外線、無線周波数識別(RFID)等)、無線データ信号(例えば、Bluetooth、近距離無線通信、Wi-Fi等)、及びオフラインデータ転送等の任意の他の適切なビーコン又は他のプッシュ通知に基づくことができる。さらに又は代わりに、本明細書で説明するシステム及び方法は、レクリエーション施設(例えば、遊園地、スポーツスタジアム、公園等)、教育施設(例えば、学校、大学等)、ショッピングセンタ、ビジネス施設(オフィス、リサーチパーク等)、研究所、製造施設、及び交通施設(空港、駅等)等、医療施設以外の施設及び環境で使用してもよい。
【0147】
いくつかの例では、コンピュータ可読命令を記憶する非一時的なコンピュータ可読媒体が、本明細書で説明する原理に従って提供され得る。命令は、コンピュータ装置のプロセッサによって実行されると、プロセッサ及び/又はコンピュータ装置に、本明細書で説明する1つ又は複数の動作を含む、1つ又は複数の動作を実行するように指示し得る。このような命令は、様々な既知のコンピュータ可読媒体のいずれかを使用して保存及び/又は送信することができる。
【0148】
本明細書で言及する非一時的なコンピュータ可読媒体には、コンピュータ装置(例えば、コンピュータ装置のプロセッサ)によって読み取られ、及び/又は実行され得るデータ(例えば、命令)の提供に関与する任意の非一時的な記憶媒体が含まれ得る。例えば、非一時的なコンピュータ可読媒体には、不揮発性記憶媒体及び/又は揮発性記憶媒体の任意の組合せが含まれるが、これらに限定されない。例示的な不揮発性記憶媒体には、読み出し専用メモリ、フラッシュメモリ、ソリッドステートドライブ、磁気記憶装置(例えば、ハードディスク、フロッピーディスク、磁気テープ等)、強誘電性ランダムアクセスメモリ(RAM)、及び光ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタルビデオディスク、ブルーレイディスク等)が含まれるが、これらに限定されない。例示的な揮発性記憶媒体には、RAM(例えば、ダイナミックRAM)が含まれるが、これに限定されない。
【0149】
図14は、本明細書で説明するプロセスのうちの1つ又は複数を実行するように特に構成され得る例示的なコンピュータ装置1400を示す。本明細書で説明するシステム、ユニット、コンピュータ装置、及び/又は他の構成要素のいずれも、コンピュータ装置1400によって実装され得る。
【0150】
図14に示されるように、コンピュータ装置1400は、通信インフラストラクチャ1410を介して互いに通信可能に接続された通信インターフェイス1402、プロセッサ1404、記憶装置1406、及び入出力(I/O)モジュール1408を含むことができる。例示的なコンピュータ装置1400が図14に示されているが、図14に示される構成要素は限定することを意図したものではない。他の実施形態では、追加の又は代替の構成要素を使用してもよい。図14に示されるコンピュータ装置1400の構成要素についてさらに詳細に説明する。
【0151】
通信インターフェイス1402は、1つ又は複数のコンピュータ装置と通信するように構成され得る。通信インターフェイス1402の例としては、有線ネットワークインターフェイス(ネットワークインターフェイスカード等)、無線ネットワークインターフェイス(無線ネットワークインターフェイスカード等)、モデム、オーディオ/ビデオ接続、及び他の適切なインターフェイスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0152】
プロセッサ1404は、一般に、データを処理することができる、及び/又は本明細書で説明する命令、プロセス、及び/又は動作のうちの1つ又は複数の解釈、実行、及び/又は実行の指示を行うことができる、任意のタイプ又は形式の処理装置を表す。プロセッサ1404は、記憶装置1406に格納したコンピュータ実行可能命令1412(例えば、アプリケーション、ソフトウェア、コード、及び/又は他の実行可能データインスタンス)を実行することによって動作を行うことができる。
【0153】
記憶装置1406は、1つ又は複数のデータ記憶媒体、装置、又は構成を含むことができ、データ記憶媒体及び/又は装置の任意のタイプ、形式、及び組合せを使用することができる。例えば、記憶装置1406は、本明細書で説明する不揮発性媒体及び/又は揮発性媒体の任意の組合せを含むことができるが、これらに限定されない。本明細書で説明するデータを含む電子データは、記憶装置1406に一時的及び/又は永続的に記憶され得る。例えば、本明細書で説明した動作のいずれかを実行するようにプロセッサ1404に指示するように構成されたコンピュータ実行可能命令1412を表すデータは、記憶装置1406内に記憶され得る。いくつかの例では、データは、記憶装置1406内に常駐する1つ又は複数のデータベースに配置され得る。
【0154】
I/Oモジュール1408は、ユーザ入力を受信し、ユーザ出力を提供するように構成された1つ又は複数のI/Oモジュールを含み得る。I/Oモジュール1408は、入出力機能をサポートする任意のハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又はそれらの組合せを含むことができる。例えば、I/Oモジュール1408は、キーボード又はキーパッド、タッチスクリーンコンポーネント(例えば、タッチスクリーンディスプレイ)、受信機(例えば、RF又は赤外線受信機)、動きセンサ、及び/又は1つ又は複数の入力ボタンを含み得る。
【0155】
I/Oモジュール1408は、グラフィックスエンジン、ディスプレイ(例えば、表示画面)、1つ又は複数の出力ドライバ(例えば、ディスプレイドライバ)、1つ又は複数のオーディオスピーカ、及び1つ又は複数のオーディオドライバを含むが、これらに限定されない、出力をユーザに提示するための1つ又は複数の装置を含むことができる。特定の実施形態では、I/Oモジュール1408は、グラフィックデータをディスプレイに提供してユーザに提示するように構成される。グラフィックデータは、1つ又は複数のグラフィカルユーザインターフェイス及び/又は特定の実施態様に役立ち得る他の任意のグラフィックコンテンツを表すことができる。
【0156】
これまでの説明では、添付の図面を参照して、様々な例示的な実施形態について説明してきた。しかしながら、以下の特許請求の範囲に記載される本発明の範囲から逸脱することなく、様々な修正及び変更を行うことができ、追加の実施形態を実施し得ることは明らかである。例えば、本明細書で説明する一実施形態の特定の特徴は、本明細書で説明する別の実施形態の特徴と組み合わせるか、又はその特徴と置き換えることができる。従って、説明及び図面は、限定的な意味ではなく、例示的な意味としてみなすべきである。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14
【国際調査報告】