(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-05
(54)【発明の名称】子宮頸癌の検出
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/6806 20180101AFI20240227BHJP
C12Q 1/6844 20180101ALI20240227BHJP
C12Q 1/6876 20180101ALN20240227BHJP
C12N 15/09 20060101ALN20240227BHJP
【FI】
C12Q1/6806 Z ZNA
C12Q1/6844 Z
C12Q1/6876
C12N15/09 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553602
(86)(22)【出願日】2022-03-04
(85)【翻訳文提出日】2023-10-18
(86)【国際出願番号】 US2022019010
(87)【国際公開番号】W WO2022187695
(87)【国際公開日】2022-09-09
(32)【優先日】2021-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】513195570
【氏名又は名称】マヨ ファウンデーション フォア メディカル エデュケーション アンド リサーチ
【氏名又は名称原語表記】Mayo Foundation for Medical Education and Research
【住所又は居所原語表記】200 First Street SW,Rochester,Minnesota 55905,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】テイラー,ウィリアム アール.
(72)【発明者】
【氏名】マホーニー,ダグラス ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】キシエル,ジョン ビー.
(72)【発明者】
【氏名】アールクィスト,デビッド エー.
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA19
4B063QQ02
4B063QQ42
4B063QR32
4B063QR62
4B063QS10
4B063QS24
4B063QS36
(57)【要約】
本明細書では、子宮頸癌スクリーニングのための技術が提供される。詳細には、本明細書では、生体試料(例えば、組織試料(例えば、子宮頸部組織)、血液試料、血漿試料、血清試料、全血試料、分泌試料(例えば、子宮頸部分泌物、膣分泌物)、臓器分泌物試料、CSF試料、唾液試料、尿試料、または便試料)から、子宮頸癌、子宮頸部前癌(例えば、子宮頸部関連上皮内腺癌、子宮頸部上皮内腫瘍)、及び子宮頸癌サブタイプ(例えば、子宮頸部腺癌、子宮頸部扁平上皮癌)の有無を検出するための、または子宮頚癌を他の種類の婦人科癌(例えば、子宮内膜、及び卵巣癌)から判別するための、方法、組成物、及び関連する使用が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体試料を特徴付ける方法であって、
前記生体試料中の表I、III、及びXから選択される1つ以上のメチル化マーカーのメチル化レベルを測定することを含み、前記1つ以上のメチル化マーカーのメチル化レベルを測定することは、メチル化特異的な形でDNAを修飾する試薬で前記生体試料由来のDNAを処理することを含む、前記方法。
【請求項2】
前記生体試料が、組織試料、血液試料、血漿試料、血清試料、全血試料、分泌物試料、臓器分泌物試料、脳脊髄液(CSF)試料、唾液試料、尿試料、及び便試料から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記組織試料が子宮頸部組織試料である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記子宮頸部組織試料が、膣組織、膣細胞、子宮内膜組織、子宮内膜細胞、卵巣組織、及び卵巣細胞のうちの1つ以上をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記分泌物試料が、子宮頸部分泌物試料である、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記子宮頸部分泌物試料が、膣分泌物、子宮内膜分泌物、及び卵巣分泌物のうちの1つ以上をさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記1つ以上のメチル化マーカーの前記測定されたメチル化レベルが、子宮頸癌のないコントロール試料中の対応する1つ以上のメチル化マーカーのメチル化レベルと比較される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記1つ以上のメチル化マーカーで測定された前記メチル化レベルが前記それぞれのコントロール試料中で測定されたメチル化レベルよりも高い場合、前記個体が子宮頸癌を有すると判定することをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記1つ以上のメチル化マーカーが、以下の群のうちの1つから選択される、請求項8に記載の方法:
●表I及び/または表IIIに記載されるメチル化マーカー;
●MAX.chr6.58147682-58147771、C1ORF114、ASCL1、ARHGAP12、ZNF773、TTYH1、NEUROG3、ZNF781、NXPH1、MAX.chr9.36739811-36739868、NID2、TMEM200C、CRHR2、ABCB1、ZNF69、ATP10A、MAX.chr18.73167725-73167817、MAX.chr2.127783183-127783403、CACNA1C、ZNF382、BARHL1、MAX.chr4.8859853-8859939、ST8SIA1、MAX.chr1.98510958-98511049、C2ORF40、SLC9A3、PRDM12、HOPX_C、及びKCNQ5;
●C1orf114、MAX.chr6.58147682-58147771、ZNF773、NEUROG3、ASCL1、NID2、ZNF781、CRHR2、及びMAX.chr9.36739811-36739868;ならびに
●ABCB1、c1orf95、CACNA1C、CACNG8、CHST2、ELMO1、EMID2、FBN1_B、FLT3_A、FLT3_B、GLIS1、GPC6、GREM2、JAM2、KCNK12_A、LOC100129620、MAX.chr15.78112404-78112692、MAX.chr19.4584907-4585088、MAX.chr3.69591689-69591784、NCAM1、NT5C1A、ST8SIA3、ZNF382、ZNF419、ZNF69、及びZSCAN18。
【請求項10】
前記個体が子宮頸癌のサブタイプを有すると判定することをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項11】
前記子宮頸癌のサブタイプが、子宮頸部腺癌及び子宮頸部扁平上皮癌から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記1つ以上のメチル化マーカーが、以下の群のうちの1つから選択される、請求項10に記載の方法:
●ABCB1、ARHGAP12、ASCL1、ATP10A、BARHL1、C1orf114、CACNA1C、CRHR2、MAX.chr1.98510968-98511049、MAX.chr18.73167751-73167791、MAX.chr2.127783183-127783403、MAX.chr4.8859853-8859939、MAX.chr6.58147682-58147771、MAX.chr9.36739811-36739868、NEUROG3、NID2、NXPH1、TMEM200C、TTYH1、ZNF382、ZNF69、ZNF773、及びZNF781。
【請求項13】
前記個体が子宮頸癌前癌を有すると判定することをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項14】
前記子宮頸癌前癌が、子宮頸部関連上皮内腺癌及び子宮頸部上皮内腫瘍から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記1つ以上のメチル化マーカーが、以下の群のうちの1つから選択される、請求項13に記載の方法:
●MAX.chr6.58147682-58147771、C1ORF114、ASCL1、ZNF773、TTYH1、NEUROG3、ZNF781、MAX.chr9.36739811-36739868、CRHR2、及びNID2;ならびに
ABCB1、ARHGAP12、ASCL1、ATP10A、BARHL1、C1orf114、CACNA1C、CRHR2、MAX.chr1.98510968-98511049、MAX.chr18.73167751-73167791、MAX.chr2.127783183-127783403、MAX.chr4.8859853-8859939、MAX.chr6.58147682-58147771、MAX.chr9.36739811-36739868、NEUROG3、NID2、NXPH1、TMEM200C、TTYH1、ZNF382、ZNF69、ZNF773、及びZNF781。
【請求項16】
前記1つ以上のメチル化マーカーの前記測定されたメチル化レベルが、子宮内膜癌試料及び卵巣癌試料中の対応する1つ以上のメチル化マーカーのメチル化レベルと比較される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
子宮頸癌を子宮内膜癌及び/または卵巣癌から判別することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記1つ以上のメチル化マーカーが、以下の群のうちの1つから選択される、請求項16に記載の方法:
●表Xに記載されるマーカー;
●ABCB1、c1orf95、CACNA1C、CACNG8、CHST2、ELMO1、EMID2、FBN1_B、FLT3_A、FLT3_B、GLIS1、GPC6、GREM2、JAM2、KCNK12_A、LOC100129620、MAX.chr15.78112404-78112692、MAX.chr19.4584907-4585088、MAX.chr3.69591689-69591784、NCAM1、NT5C1A、ST8SIA3、ZNF382、ZNF419、ZNF69、及びZSCAN18;ならびに
●AK5、RABC3、ZNF491、ZNF610、ZNF91、ZNF480、TRPC3_B、及びELMOD1。
【請求項19】
前記メチル化特異的な形でDNAを修飾する試薬が、ボラン還元剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記ボラン還元剤が、2-ピコリンボランである、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記メチル化特異的な形でDNAを修飾する試薬が、メチル化感受性制限酵素、メチル化依存型制限酵素、及び亜硫酸水素塩試薬のうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記メチル化特異的な形でDNAを修飾する試薬が、亜硫酸水素塩試薬であり、前記処理することが、亜硫酸水素塩処理されたDNAを生成する、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記処理されたDNAが、前記1つ以上のマーカーに特異的なプライマーのセットを使用して増幅される、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記1つ以上のメチル化マーカーに対して特異的な前記プライマーのセットが、表V及びXIIに記載される群から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記1つ以上のメチル化マーカーに対して特異的な前記プライマーのセットが、表V及びXIIに記載される特定のメチル化マーカー遺伝子に対するプライマー配列が結合するアンプリコンに結合することができ、前記表V及びXIIに記載される前記メチル化マーカー遺伝子に対する前記プライマー配列が結合する前記アンプリコンは、表I、III及びXに記載される前記メチル化マーカーの遺伝子領域の少なくとも一部である、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記1つ以上のメチル化マーカーに対して特異的な前記プライマーのセットが、表I、III、及びXに記載のメチル化マーカーの染色体座標を含む遺伝子領域の少なくとも一部に特異的に結合するプライマーのセットである、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記1つ以上のメチル化マーカーのメチル化レベルを測定することが、マルチプレックス増幅を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記1つ以上のメチル化マーカーのメチル化レベルを測定することが、メチル化特異的PCR、定量的メチル化特異的PCR、メチル化特異的DNA制限酵素分析、定量的亜硫酸水素塩パイロシークエンシング、フラップエンドヌクレアーゼアッセイ、PCR-フラップアッセイ、及び亜硫酸水素塩ゲノムシーケンシングPCRからなる群から選択される1つ以上の方法を使用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記1つ以上のメチル化マーカーのメチル化レベルを測定することが、前記1つ以上のメチル化マーカーのCpG部位のメチル化を測定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
前記CpG部位が、コーディング領域または調節領域中に存在する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記1つ以上のメチル化マーカーが、表I、III、及びXに示されるゲノム座標によって記述される、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
前記生体試料がヒト対象に由来する、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
前記ヒト対象が、子宮頸癌、子宮頸癌サブタイプ、または子宮頸癌前癌を有するかまたは有することが疑われる、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記生体試料が、身体領域と接触させられる際に前記生体試料を採取することができる吸収部材を有する採取装置で採取される、請求項2に記載の方法。
【請求項35】
前記吸収部材が、身体開口部に挿入するのに適した形状及びサイズを有するスポンジである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記採取装置が、タンポン、液体を膣内に放出して液体を再採取する洗浄器、子宮頸部ブラシ、フルニエ子宮頸部自己採取装置、及び綿棒から選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
1つ以上の染色体異常に関与する1つ以上の遺伝子座を分析するうえで有用な生体試料からデオキシリボ核酸(DNA)画分を調製するための方法であって、
(a)生体試料からゲノムDNAを抽出することと、
(b)
(i)前記抽出されたゲノムDNAを、メチル化特異的な形でDNAを修飾する試薬で処理することと、
(ii)前記処理されたゲノムDNAを、表I、III、及びXに記載される1つ以上のメチル化マーカーに対して特異的な別々のプライマーを使用して増幅することと、
によって、前記抽出されたゲノムDNAの画分を生成することと、
(c)前記1つ以上のメチル化マーカーのそれぞれについてメチル化レベルを測定することによって、前記抽出されたゲノムDNAの前記生成された画分中の1つ以上の遺伝子座を分析することと、を含む、前記方法。
【請求項38】
前記メチル化特異的な形でDNAを修飾する試薬が、ボラン還元剤である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記ボラン還元剤が、2-ピコリンボランである、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記メチル化特異的な形でDNAを修飾する試薬が、メチル化感受性制限酵素、メチル化依存型制限酵素、及び亜硫酸水素塩試薬のうちの1つ以上を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
前記メチル化特異的な形でDNAを修飾する試薬が、亜硫酸水素塩試薬であり、前記処理することが、亜硫酸水素塩処理されたDNAを生成する、請求項37に記載の方法。
【請求項42】
前記1つ以上のメチル化マーカーに対して特異的な前記プライマーのセットが、表V及びXIIに記載される群から選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項43】
前記1つ以上のメチル化マーカーに対して特異的な前記プライマーのセットが、表V及びXIIに記載される特定のメチル化マーカー遺伝子に対するプライマー配列が結合するアンプリコンに結合することができ、前記表V及びXIIに記載される前記メチル化マーカー遺伝子に対する前記プライマー配列が結合する前記アンプリコンは、表I、III及びXに記載される前記メチル化マーカーの遺伝子領域の少なくとも一部である、請求項37に記載の方法。
【請求項44】
前記1つ以上のメチル化マーカーに対して特異的な前記プライマーのセットが、表I、III、及びXに記載のメチル化マーカーの染色体座標を含む遺伝子領域の少なくとも一部に特異的に結合するプライマーのセットである、請求項37に記載の方法。
【請求項45】
前記1つ以上のメチル化マーカーのメチル化レベルを測定することが、マルチプレックス増幅を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項46】
前記1つ以上のメチル化マーカーのメチル化レベルを測定することが、メチル化特異的PCR、定量的メチル化特異的PCR、メチル化特異的DNA制限酵素分析、定量的亜硫酸水素塩パイロシークエンシング、フラップエンドヌクレアーゼアッセイ、PCR-フラップアッセイ、及び亜硫酸水素塩ゲノムシーケンシングPCRからなる群から選択される1つ以上の方法を使用することを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項47】
前記1つ以上のメチル化マーカーのメチル化レベルを測定することが、前記1つ以上のメチル化マーカーのCpG部位のメチル化を測定することを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項48】
前記CpG部位が、コーディング領域または調節領域中に存在する、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記1つ以上のメチル化マーカーが、表I、III、及びXに示されるゲノム座標によって記述される、請求項37に記載の方法。
【請求項50】
前記生体試料が、組織試料、血液試料、血漿試料、血清試料、全血試料、分泌物試料、臓器分泌物試料、脳脊髄液(CSF)試料、唾液試料、尿試料、及び便試料から選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項51】
前記組織試料が子宮頸部組織試料である、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記子宮頸部組織試料が、膣組織、膣細胞、子宮内膜組織、子宮内膜細胞、卵巣組織、及び卵巣細胞のうちの1つ以上をさらに含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記分泌物試料が、子宮頸部分泌物試料である、請求項50に記載の方法。
【請求項54】
前記子宮頸部分泌物試料が、膣分泌物、子宮内膜分泌物、及び卵巣分泌物のうちの1つ以上をさらに含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記生体試料が、身体領域と接触させられる際に前記生体試料を採取することができる吸収部材を有する採取装置で採取される、請求項37に記載の方法。
【請求項56】
前記吸収部材が、身体開口部に挿入するのに適した形状及びサイズを有するスポンジである、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記採取装置が、タンポン、液体を膣内に放出して液体を再採取する洗浄器、子宮頸部ブラシ、フルニエ子宮頸部自己採取装置、及び綿棒から選択される、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
前記生体試料がヒト対象に由来する、請求項37に記載の方法。
【請求項59】
前記ヒト対象が、子宮頸癌、子宮頸癌サブタイプ、または子宮頸癌前癌を有するかまたは有することが疑われる、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記1つ以上のメチル化マーカーが、以下の群のうちの1つから選択される、請求項37に記載の方法:
●MAX.chr6.58147682-58147771、C1ORF114、ASCL1、ARHGAP12、ZNF773、TTYH1、NEUROG3、ZNF781、NXPH1、MAX.chr9.36739811-36739868、NID2、TMEM200C、CRHR2、ABCB1、ZNF69、ATP10A、MAX.chr18.73167725-73167817、MAX.chr2.127783183-127783403、CACNA1C、ZNF382、BARHL1、MAX.chr4.8859853-8859939、ST8SIA1、MAX.chr1.98510958-98511049、C2ORF40、SLC9A3、PRDM12、HOPX_C、及びKCNQ5;
●C1orf114、MAX.chr6.58147682-58147771、ZNF773、NEUROG3、ASCL1、NID2、ZNF781、CRHR2、及びMAX.chr9.36739811-36739868;
●ABCB1、ARHGAP12、ASCL1、BARHL1、C1orf114、C2orf40、CACNA1C、CRHR2、HOPX_C、KCNQ5、MAX.chr1.98510968-98511049、MAX.chr18.73167751-73167791、MAX.chr2.127783183-127783403、MAX.chr4.8859853-8859939、MAX.chr6.58147682-58147771、MAX.chr9.36739811-36739868、NEUROG3、NID2、NXPH1、PRDM12、SLC9A3、TMEM200C、TTYH1、ZNF382、ZNF773、及びZNF781;
●ABCB1、c1orf95、CACNA1C、CACNG8、CHST2、ELMO1、EMID2、FBN1_B、FLT3_A、FLT3_B、GLIS1、GPC6、GREM2、JAM2、KCNK12_A、LOC100129620、MAX.chr15.78112404-78112692、MAX.chr19.4584907-4585088、MAX.chr3.69591689-69591784、NCAM1、NT5C1A、ST8SIA3、ZNF382、ZNF419、ZNF69、及びZSCAN18;ならびに
●AK5、RABC3、ZNF491、ZNF610、ZNF91、ZNF480、TRPC3_B、及びELMOD1。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年3月5日出願の米国仮特許出願第63/157,437号に基づく優先権を主張するものであり、参照によりその全容を本明細書に援用するものである。
【0002】
本明細書では、子宮頸癌スクリーニングのための技術が提供される。詳細には、本明細書では、生体試料(例えば、組織試料(例えば、子宮頸部組織)、血液試料、血漿試料、血清試料、全血試料、分泌試料(例えば、子宮頸部分泌物、膣分泌物)、臓器分泌物試料、CSF試料、唾液試料、尿試料、または便試料)から、子宮頸癌、子宮頸癌前癌(例えば、子宮頸部関連上皮内腺癌、子宮頸部上皮内腫瘍)、及び子宮頸癌サブタイプ(例えば、子宮頸部腺癌、子宮頸部扁平上皮癌)の有無を検出するための、または子宮頚癌を他の種類の婦人科癌(例えば、子宮内膜、及び卵巣癌)から判別するための、方法、組成物、及び関連する使用が提供される。
【背景技術】
【0003】
子宮頸癌(CC)スクリーニング方法は進化し続けており、子宮頸部異形成及びCCの存在に対して高感度である。しかしながら、現在の分子ベースの検査の特異性(すなわち、高リスクのHPVのみ)は、腫瘍性形質転換を伴わずに消失する高リスクHPV感染の有病率を考慮すると限定的である。したがって、単一の生体試料から子宮頸癌を検出するための改良された診断ツールが与えられることが喫緊の課題となっている。
【0004】
本発明は、この要請に応えるものである。
【発明の概要】
【0005】
本明細書では、子宮頸癌スクリーニングのための技術、詳細には、これらに限定されるものではないが、子宮頸癌、子宮頸癌前癌(例えば、子宮頸部関連上皮内腺癌、子宮頸部上皮内腫瘍)、及び子宮頸癌のサブタイプ(例えば、子宮頸部腺癌、子宮頸部扁平上皮癌)の有無を検出するための、ならびに子宮頸部癌を他の種類の婦人科癌(例えば、子宮内膜癌、及び卵巣癌)から判別するための方法、組成物、及び関連する使用を提供する。
【0006】
実際、実施例I及びIIに記載されるように、本発明の実施形態を特定する過程で行われた実験によって、子宮頸部の癌及び前癌由来のDNAを非腫瘍性のコントロールDNAから、また、他の種類の婦人科癌(例えば、子宮内膜癌、及び卵巣癌)から判別するための新規なメチル化可変領域(DMR)群が特定された。
【0007】
このような実験では、子宮頸癌(子宮頸癌のサブタイプ)及び前癌を良性の子宮頸部試料から判別する(表I~IV、VI~VIII、実施例Iを参照)、また、子宮頸癌を他の種類の婦人科癌(子宮内膜癌、卵巣癌など)から判別する(表XI及びXII、実施例IIを参照)ための423個の新規DNAメチル化マーカーを列挙して説明している。
【0008】
これらの423個の新規DNAメチル化マーカーから、さらなる実験により、子宮頸癌を良性の子宮頸部試料から判別することができる以下のマーカー及び/またはマーカーのパネルが特定された:
●表Iに記載されるマーカーのいずれか(実施例Iを参照);
●表IIIに記載されるマーカーのいずれか(実施例Iを参照);
●MAX.chr6.58147682-58147771、C1ORF114、ASCL1、ARHGAP12、ZNF773、TTYH1、NEUROG3、ZNF781、NXPH1、MAX.chr9.36739811-36739868、NID2、TMEM200C、CRHR2、ABCB1、ZNF69、ATP10A、MAX.chr18.73167725-73167817、MAX.chr2.127783183-127783403、CACNA1C、ZNF382、BARHL1、MAX.chr4.8859853-8859939、ST8SIA1、MAX.chr1.98510958-98511049、C2ORF40、SLC9A3、PRDM12、HOPX_C、及びKCNQ5 (実施例I);
●C1orf114、MAX.chr6.58147682-58147771、ZNF773、NEUROG3、ASCL1、NID2、ZNF781、CRHR2、及びMAX.chr9.36739811-36739868(表VI及び実施例Iを参照);ならびに
●ABCB1、c1orf95、CACNA1C、CACNG8、CHST2、ELMO1、EMID2、FBN1_B、FLT3_A、FLT3_B、GLIS1、GPC6、GREM2、JAM2、KCNK12_A、LOC100129620、MAX.chr15.78112404-78112692、MAX.chr19.4584907-4585088、MAX.chr3.69591689-69591784、NCAM1、NT5C1A、ST8SIA3、ZNF382、ZNF419、ZNF69、及びZSCAN18(表VIII、実施例I)。
【0009】
これらの423個の新規DNAメチル化マーカーから、さらなる実験により、子宮頸部腺癌を良性の子宮頸部試料から判別することができる以下のマーカー及び/またはマーカーのパネルが特定された:
●ABCB1、ARHGAP12、ASCL1、BARHL1、C1orf114、C2orf40、CACNA1C、CRHR2、HOPX_C、KCNQ5、MAX.chr1.98510968-98511049、MAX.chr18.73167751-73167791、MAX.chr2.127783183-127783403、MAX.chr4.8859853-8859939、MAX.chr6.58147682-58147771、MAX.chr9.36739811-36739868、NEUROG3、NID2、NXPH1、PRDM12、SLC9A3、TMEM200C、TTYH1、ZNF382、ZNF773、及びZNF781(表VII、実施例Iを参照)。
【0010】
これらの423個の新規DNAメチル化マーカーから、さらなる実験により、子宮頸部扁平上皮癌を良性の子宮頸部試料から判別することができる以下のマーカー及び/またはマーカーのパネルが特定された:
●ABCB1、ARHGAP12、ASCL1、ATP10A、BARHL1、C1orf114、CACNA1C、CRHR2、MAX.chr1.98510968-98511049、MAX.chr18.73167751-73167791、MAX.chr2.127783183-127783403、MAX.chr4.8859853-8859939、MAX.chr6.58147682-58147771、MAX.chr9.36739811-36739868、NEUROG3、NID2、NXPH1、TMEM200C、TTYH1、ZNF382、ZNF69、ZNF773、及びZNF781(表VII、実施例Iを参照)。
【0011】
これらの423個の新規DNAメチル化マーカーから、さらなる実験により、子宮頸部関連上皮内腺癌(AIS)を良性の子宮頸部試料から判別することができる以下のマーカー及び/またはマーカーのパネルが特定された:
●MAX.chr6.58147682-58147771、C1ORF114、ASCL1、ZNF773、TTYH1、NEUROG3、ZNF781、MAX.chr9.36739811-36739868、CRHR2、及びNID2 (表VI及び実施例Iを参照);ならびに
●ABCB1、ARHGAP12、ASCL1、BARHL1、C1orf114、C2orf40、CACNA1C、CRHR2、HOPX_C、KCNQ5、MAX.chr1.98510968-98511049、MAX.chr18.73167751-73167791、MAX.chr2.127783183-127783403、MAX.chr4.8859853-8859939、MAX.chr6.58147682-58147771、MAX.chr9.36739811-36739868、NEUROG3、NID2、NXPH1、PRDM12、SLC9A3、TMEM200C、TTYH1、ZNF382、ZNF773、及びZNF781(表VII、実施例Iを参照)。
【0012】
これらの423個の新規DNAメチル化マーカーから、さらなる実験により、子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)を良性の子宮頸部試料から判別することができる以下のマーカー及び/またはマーカーのパネルが特定された:
●MAX.chr6.58147682-58147771、C1ORF114、ASCL1、ZNF773、TTYH1、NEUROG3、ZNF781、MAX.chr9.36739811-36739868、CRHR2、及びNID2 (表VI及び実施例Iを参照);ならびに
●ABCB1、ARHGAP12、ASCL1、ATP10A、BARHL1、C1orf114、CACNA1C、CRHR2、MAX.chr1.98510968-98511049、MAX.chr18.73167751-73167791、MAX.chr2.127783183-127783403、MAX.chr4.8859853-8859939、MAX.chr6.58147682-58147771、MAX.chr9.36739811-36739868、NEUROG3、NID2、NXPH1、TMEM200C、TTYH1、ZNF382、ZNF69、ZNF773、及びZNF781(表VII、実施例Iを参照)。
【0013】
これらの423個の新規DNAメチル化マーカーから、さらなる実験により、子宮頸癌を子宮内膜癌及び/または卵巣癌から判別することができる以下のマーカー及び/またはマーカーのパネルが特定された:
●ABCB1、c1orf95、CACNA1C、CACNG8、CHST2、ELMO1、EMID2、FBN1_B、FLT3_A、FLT3_B、GLIS1、GPC6、GREM2、JAM2、KCNK12_A、LOC100129620、MAX.chr15.78112404-78112692、MAX.chr19.4584907-4585088、MAX.chr3.69591689-69591784、NCAM1、NT5C1A、ST8SIA3、ZNF382、ZNF419、ZNF69、及びZSCAN18(表VIII、実施例I);
●表Xに記載されるマーカーのいずれか(実施例Iを参照);ならびに
●AK5、RABC3、ZNF491、ZNF610、ZNF91、ZNF480、TRPC3_B、及びELMOD1(表X及びXI、実施例IIを参照)。
【0014】
本本明細書に記載されるように、本技術は、子宮頸癌、各種の子宮頸癌(例えば、子宮頸部腺癌、子宮頸部扁平上皮癌)、各種の子宮頸癌前癌(例えば、子宮頸部関連上皮内腺癌、子宮頸部上皮内腫瘍)の高い判別率を有し、子宮頸癌を他の種類の婦人科癌(例えば、子宮内膜癌及び卵巣癌)から判別するための多数のメチル化DNAマーカー(MDM)及びそのサブセット(例えば、2、3、4、5、6、7、8、20、50、100、150、200、300、400、423個のマーカーのセット)を提供する。子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)は、子宮頸部上皮の厚さの約1/3を冒す異常細胞を指すCIN1、子宮頸部上皮の厚さの約2/3~2/3を冒す異常細胞を指すCIN2、及び子宮頸部上皮の2/3超を冒す異常な細胞を指すCIN3として特徴付けることができる。
【0015】
特定の実施形態では、本開示は、生体試料を特徴付けるための方法であって、前記生体試料中の表I、III、及びXから選択される1つ以上のメチル化マーカーのメチル化レベルを測定することを含み、前記1つ以上のメチル化マーカーのメチル化レベルを測定することは、メチル化特異的な形でDNAを修飾する試薬で前記生体試料由来のDNAを処理することを含む、前記方法を提供する。
【0016】
いくつかの実施形態では、生体試料はヒト由来である。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、子宮頸癌、子宮頸癌サブタイプ、及び/または子宮頸癌前癌を有するかまたは有することが疑われる。
【0017】
いくつかの実施形態では、生体試料は、組織試料、血液試料、血漿試料、血清試料、全血試料、分泌物試料(例えば、子宮頸部分泌物、膣分泌物)、臓器分泌物試料、脳脊髄液(CSF)試料、唾液試料、尿試料、及び便試料から選択される。いくつかの実施形態では、組織試料は、子宮頸部組織試料である。いくつかの実施形態では、子宮頸部組織試料は、膣組織、膣細胞、子宮内膜組織、子宮内膜細胞、卵巣組織、及び卵巣細胞のうちの1つ以上をさらに含む。いくつかの実施形態では、分泌物試料は子宮頸部分泌物試料である。いくつかの実施形態では、子宮頸部分泌物試料は、膣分泌物、子宮内膜分泌物、及び卵巣分泌物のうちの1つ以上をさらに含む。いくつかの実施形態では、生体試料は、身体領域と接触させられる際に生体試料を採取することができる吸収部材を有する採取装置で採取される。いくつかの実施形態では、吸収部材は、身体開口部に挿入するのに適した形状及びサイズを有するスポンジである。いくつかの実施形態では、採取装置はタンポン(例えば、標準的なタンポン)、膣内に液体を放出して液体を再回収する洗浄器(例えば、Pantarheiスクリーナー)、子宮頸部ブラシ(例えば、膣に挿入して回転させることで細胞を採取するブラシ)、フルニエ子宮頸部自己採取装置(タンポン状のプラスチック製の棒)、または綿棒である。
【0018】
いくつかの実施形態では、1つ以上のメチル化マーカーの測定されたメチル化レベルは、子宮頸癌のないコントロール試料中の対応する1つ以上のメチル化マーカーのメチル化レベルと比較される。
【0019】
いくつかの実施形態では、方法は、1つ以上のメチル化マーカーで測定されたメチル化レベルがそれぞれのコントロール試料中で測定されたメチル化レベルよりも高い場合に、個体が子宮頸癌を有すると判定することをさらに含む。方法が、個体が子宮頸癌を有すると判定することをさらに含むいくつかの実施形態では、1つ以上のメチル化マーカーは、以下の群のうちの1つから選択される:
●表I及び/または表IIIに記載されるメチル化マーカー;
●MAX.chr6.58147682-58147771、C1ORF114、ASCL1、ARHGAP12、ZNF773、TTYH1、NEUROG3、ZNF781、NXPH1、MAX.chr9.36739811-36739868、NID2、TMEM200C、CRHR2、ABCB1、ZNF69、ATP10A、MAX.chr18.73167725-73167817、MAX.chr2.127783183-127783403、CACNA1C、ZNF382、BARHL1、MAX.chr4.8859853-8859939、ST8SIA1、MAX.chr1.98510958-98511049、C2ORF40、SLC9A3、PRDM12、HOPX_C、及びKCNQ5 (実施例I);
●C1orf114、MAX.chr6.58147682-58147771、ZNF773、NEUROG3、ASCL1、NID2、ZNF781、CRHR2、及びMAX.chr9.36739811-36739868(表VI及び実施例Iを参照);ならびに
●ABCB1、c1orf95、CACNA1C、CACNG8、CHST2、ELMO1、EMID2、FBN1_B、FLT3_A、FLT3_B、GLIS1、GPC6、GREM2、JAM2、KCNK12_A、LOC100129620、MAX.chr15.78112404-78112692、MAX.chr19.4584907-4585088、MAX.chr3.69591689-69591784、NCAM1、NT5C1A、ST8SIA3、ZNF382、ZNF419、ZNF69、及びZSCAN18(表VIII、実施例I)。
【0020】
いくつかの実施形態では、方法は、個体が子宮頸癌のサブタイプを有すると判定することをさらに含む。いくつかの実施形態では、子宮頸癌のサブタイプは、子宮頸部腺癌及び子宮頸部扁平上皮癌から選択される。方法が、個体が子宮頸癌のサブタイプを有すると判定することをさらに含むいくつかの実施形態では、1つ以上のメチル化マーカーは、以下の群のうちの1つから選択される:
●ABCB1、ARHGAP12、ASCL1、BARHL1、C1orf114、C2orf40、CACNA1C、CRHR2、HOPX_C、KCNQ5、MAX.chr1.98510968-98511049、MAX.chr18.73167751-73167791、MAX.chr2.127783183-127783403、MAX.chr4.8859853-8859939、MAX.chr6.58147682-58147771、MAX.chr9.36739811-36739868、NEUROG3、NID2、NXPH1、PRDM12、SLC9A3、TMEM200C、TTYH1、ZNF382、ZNF773、及びZNF781(表VII、実施例Iを参照)。
【0021】
いくつかの実施形態では、方法は、個体が子宮頸癌前癌を有すると判定することをさらに含む。いくつかの実施形態では、子宮頸癌前癌は、子宮頸部関連上皮内腺癌及び子宮頸部上皮内腫瘍から選択される。方法が、個体が子宮頸癌前癌を有すると判定することをさらに含むいくつかの実施形態では、1つ以上のメチル化マーカーは、以下の群のうちの1つから選択される:
●MAX.chr6.58147682-58147771、C1ORF114、ASCL1、ZNF773、TTYH1、NEUROG3、ZNF781、MAX.chr9.36739811-36739868、CRHR2、及びNID2(表VI及び実施例Iを参照);ならびに
●ABCB1、ARHGAP12、ASCL1、BARHL1、C1orf114、C2orf40、CACNA1C、CRHR2、HOPX_C、KCNQ5、MAX.chr1.98510968-98511049、MAX.chr18.73167751-73167791、MAX.chr2.127783183-127783403、MAX.chr4.8859853-8859939、MAX.chr6.58147682-58147771、MAX.chr9.36739811-36739868、NEUROG3、NID2、NXPH1、PRDM12、SLC9A3、TMEM200C、TTYH1、ZNF382、ZNF773、及びZNF781(表VII、実施例Iを参照)。
【0022】
いくつかの実施形態では、1つ以上のメチル化マーカーの測定されたメチル化レベルは、子宮内膜癌試料及び卵巣癌試料中の対応する1つ以上のメチル化マーカーのメチル化レベルと比較される。いくつかの実施形態では、方法は、子宮頸癌を子宮内膜癌及び/または卵巣癌から判別することをさらに含む。方法が、子宮内膜癌及び/または卵巣癌から子宮頸癌を判別することをさらに含むいくつかの実施形態では、1つ以上のメチル化マーカーは、以下の群のうちの1つから選択される:
●表Xに記載されるマーカー;
●ABCB1、c1orf95、CACNA1C、CACNG8、CHST2、ELMO1、EMID2、FBN1_B、FLT3_A、FLT3_B、GLIS1、GPC6、GREM2、JAM2、KCNK12_A、LOC100129620、MAX.chr15.78112404-78112692、MAX.chr19.4584907-4585088、MAX.chr3.69591689-69591784、NCAM1、NT5C1A、ST8SIA3、ZNF382、ZNF419、ZNF69、及びZSCAN18(表VIII、実施例I);ならびに
●AK5、RABC3、ZNF491、ZNF610、ZNF91、ZNF480、TRPC3_B、及びELMOD1(表X及びXI、実施例IIを参照)。
【0023】
いくつかの実施形態では、メチル化特異的な形でDNAを修飾する試薬は、ボラン還元剤である。いくつかの実施形態では、ボラン還元剤は2-ピコリンボランである。いくつかの実施形態では、メチル化特異的な形でDNAを修飾する試薬は、メチル化感受性制限酵素、メチル化依存型制限酵素、及び亜硫酸水素塩試薬のうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、メチル化特異的な形でDNAを修飾する試薬は、亜硫酸水素塩試薬であり、前記処理することは、亜硫酸水素塩処理されたDNAを生成する。
【0024】
いくつかの実施形態では、処理されたDNAは、1つ以上のマーカーに対して特異的なプライマーのセットを使用して増幅される。いくつかの実施形態では、1つ以上のメチル化マーカーに対して特異的なプライマーのセットは、表V及びXIIに記載される群から選択される。いくつかの実施形態では、1つ以上のメチル化マーカーに対して特異的なプライマーのセットは、表V及びXIIに記載される特定のメチル化マーカー遺伝子に対するプライマー配列が結合するアンプリコンに結合することができ、表V及びXIIに記載されるメチル化マーカー遺伝子に対するプライマー配列が結合するアンプリコンは、表I、III、及びXに記載されるメチル化マーカーの遺伝子領域の少なくとも一部である。いくつかの実施形態では、1つ以上のメチル化マーカーに対して特異的なプライマーのセットは、表I、III、及びXに記載されるメチル化マーカーの染色体座標を含む遺伝子領域の少なくとも一部に特異的に結合するプライマーのセットである。
【0025】
いくつかの実施形態では、1つ以上のメチル化マーカーのメチル化レベルを測定することは、マルチプレックス増幅を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のメチル化マーカーのメチル化レベルを測定することは、メチル化特異的PCR、定量的メチル化特異的PCR、メチル化特異的DNA制限酵素分析、定量的亜硫酸水素塩パイロシークエンシング、フラップエンドヌクレアーゼアッセイ、PCR-フラップアッセイ、及び亜硫酸水素塩ゲノムシーケンシングPCRからなる群から選択される1つ以上の方法を使用することを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のメチル化マーカーのメチル化レベルを測定することは、1つ以上のメチル化マーカーのCpG部位のメチル化を測定することを含む。いくつかの実施形態では、CpG部位はコード領域または調節領域に存在する。いくつかの実施形態では、1つ以上のメチル化マーカーは、表I、III、及びXに示されるゲノム座標によって記述される。
【0026】
特定の実施形態では、本開示は、1つ以上の染色体異常に関与する1つ以上の遺伝子座を分析するうえで有用な生体試料からデオキシリボ核酸(DNA)画分を調製するための方法であって、
(a)生体試料からゲノムDNAを抽出することと、
(b)
(i)前記抽出されたゲノムDNAを、メチル化特異的な形でDNAを修飾する試薬で処理することと、
(ii)前記処理されたゲノムDNAを、表I、III、及びXに記載される1つ以上のメチル化マーカーに対して特異的な別々のプライマーを使用して増幅することと、
によって、前記抽出されたゲノムDNAの画分を生成することと、
(c)前記1つ以上のメチル化マーカーのそれぞれについてメチル化レベルを測定することによって、前記抽出されたゲノムDNAの前記生成された画分中の1つ以上の遺伝子座を分析することと、を含む、方法を提供する。
【0027】
いくつかの実施形態では、メチル化特異的な形でDNAを修飾する試薬は、ボラン還元剤である。いくつかの実施形態では、ボラン還元剤は2-ピコリンボランである。いくつかの実施形態では、メチル化特異的な形でDNAを修飾する試薬は、メチル化感受性制限酵素、メチル化依存型制限酵素、及び亜硫酸水素塩試薬のうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、メチル化特異的な形でDNAを修飾する試薬は、亜硫酸水素塩試薬であり、前記処理することは、亜硫酸水素塩処理されたDNAを生成する。
【0028】
いくつかの実施形態では、1つ以上のメチル化マーカーに対して特異的なプライマーのセットは、表V及びXIIに記載される群から選択される。いくつかの実施形態では、1つ以上のメチル化マーカーに対して特異的なプライマーのセットは、表V及びXIIに記載される特定のメチル化マーカー遺伝子に対するプライマー配列が結合するアンプリコンに結合することができ、表V及びXIIに記載されるメチル化マーカー遺伝子に対するプライマー配列が結合するアンプリコンは、表I、III、及びXに記載されるメチル化マーカーの遺伝子領域の少なくとも一部である。いくつかの実施形態では、1つ以上のメチル化マーカーに対して特異的なプライマーのセットは、表I、III、及びXに記載されるメチル化マーカーの染色体座標を含む遺伝子領域の少なくとも一部に特異的に結合するプライマーのセットである。
【0029】
いくつかの実施形態では、1つ以上のメチル化マーカーのメチル化レベルを測定することは、マルチプレックス増幅を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のメチル化マーカーのメチル化レベルを測定することは、メチル化特異的PCR、定量的メチル化特異的PCR、メチル化特異的DNA制限酵素分析、定量的亜硫酸水素塩パイロシークエンシング、フラップエンドヌクレアーゼアッセイ、PCR-フラップアッセイ、及び亜硫酸水素塩ゲノムシーケンシングPCRからなる群から選択される1つ以上の方法を使用することを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のメチル化マーカーのメチル化レベルを測定することは、1つ以上のメチル化マーカーのCpG部位のメチル化を測定することを含む。いくつかの実施形態では、CpG部位はコード領域または調節領域に存在する。いくつかの実施形態では、1つ以上のメチル化マーカーは、表I、III、及びXに示されるゲノム座標によって記述される。
【0030】
いくつかの実施形態では、生体試料は、組織試料、血液試料、血漿試料、血清試料、全血試料、分泌物試料(例えば、子宮頸部分泌物、膣分泌物)、臓器分泌物試料、脳脊髄液(CSF)試料、唾液試料、尿試料、及び便試料から選択される。いくつかの実施形態では、組織試料は、子宮頸部組織試料である。いくつかの実施形態では、子宮頸部組織試料は、膣組織、膣細胞、子宮内膜組織、子宮内膜細胞、卵巣組織、及び卵巣細胞のうちの1つ以上をさらに含む。いくつかの実施形態では、分泌物試料は子宮頸部分泌物試料である。いくつかの実施形態では、子宮頸部分泌物試料は、膣分泌物、子宮内膜分泌物、及び卵巣分泌物のうちの1つ以上をさらに含む。いくつかの実施形態では、生体試料は、身体領域と接触させられる際に組織及び/または細胞を採取することができる吸収部材を有する採取装置で採取される。いくつかの実施形態では、吸収部材は、身体開口部に挿入するのに適した形状及びサイズを有するスポンジである。いくつかの実施形態では、採取装置はタンポン(例えば、標準的なタンポン)、膣内に液体を放出して液体を再回収する洗浄器(例えば、Pantarheiスクリーナー)、子宮頸部ブラシ(例えば、女性が膣に挿入して回転させることで細胞を採取するブラシ)、フルニエ子宮頸部自己採取装置(タンポン状のプラスチック製の棒)、または綿棒である。
【0031】
いくつかの実施形態では、生体試料はヒト由来である。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、子宮頸癌、子宮頸癌サブタイプ、及び/または子宮頸癌前癌を有するかまたは有することが疑われる。
【0032】
いくつかの実施形態では、1つ以上のメチル化マーカーは、以下の群のうちの1つから選択される:
●MAX.chr6.58147682-58147771、C1ORF114、ASCL1、ARHGAP12、ZNF773、TTYH1、NEUROG3、ZNF781、NXPH1、MAX.chr9.36739811-36739868、NID2、TMEM200C、CRHR2、ABCB1、ZNF69、ATP10A、MAX.chr18.73167725-73167817、MAX.chr2.127783183-127783403、CACNA1C、ZNF382、BARHL1、MAX.chr4.8859853-8859939、ST8SIA1、MAX.chr1.98510958-98511049、C2ORF40、SLC9A3、PRDM12、HOPX_C、及びKCNQ5(実施例I);
●C1orf114、MAX.chr6.58147682-58147771、ZNF773、NEUROG3、ASCL1、NID2、ZNF781、CRHR2、及びMAX.chr9.36739811-36739868(表VI及び実施例Iを参照);
●ABCB1、ARHGAP12、ASCL1、BARHL1、C1orf114、C2orf40、CACNA1C、CRHR2、HOPX_C、KCNQ5、MAX.chr1.98510968-98511049、MAX.chr18.73167751-73167791、MAX.chr2.127783183-127783403、MAX.chr4.8859853-8859939、MAX.chr6.58147682-58147771、MAX.chr9.36739811-36739868、NEUROG3、NID2、NXPH1、PRDM12、SLC9A3、TMEM200C、TTYH1、ZNF382、ZNF773、及びZNF781(表VII、実施例Iを参照);
●ABCB1、c1orf95、CACNA1C、CACNG8、CHST2、ELMO1、EMID2、FBN1_B、FLT3_A、FLT3_B、GLIS1、GPC6、GREM2、JAM2、KCNK12_A、LOC100129620、MAX.chr15.78112404-78112692、MAX.chr19.4584907-4585088、MAX.chr3.69591689-69591784、NCAM1、NT5C1A、ST8SIA3、ZNF382、ZNF419、ZNF69、及びZSCAN18(表VIII、実施例I);ならびに
●AK5、RABC3、ZNF491、ZNF610、ZNF91、ZNF480、TRPC3_B、及びELMOD1(表X及びXI、実施例IIを参照)。
【0033】
特定の実施形態では、本技術は、生体試料(例えば、組織試料(例えば、子宮頸部試料)、血液試料、血漿試料、血清試料、全血試料、分泌物試料(例えば、子宮頸部分泌物、膣分泌物)、臓器分泌物試料、CSF試料、唾液試料、尿試料、または便試料)中の本明細書に記載されるMDMのうちの1つ以上の存在及びメチル化状態を評価することに関する。これらのMDMは、例えば表I、III、及びXに示される、本明細書で検討される1つ以上のメチル化可変領域(DMR)を含む。メチル化状態は本技術の実施形態で評価される。したがって、本明細書で提供される技術は、遺伝子のメチル化状態を測定する方法において制限されず、したがって、遺伝子のメチル化状態は当該技術分野では周知のいずれの方法によって測定することもできる。
【0034】
本明細書では、これらの方法を実施するための組成物及びキットも提供される。例えば、いくつかの実施形態では、1つ以上のMDMに愛して特異的な試薬(例えば、プライマー、プローブ)が、単独で、またはセット(例えば、複数のマーカーを増幅するためのプライマーペアのセット)で提供される。検出アッセイを行うための追加の試薬も提供され得る(例えば、QuARTS、PCR、配列決定を行うための酵素、バッファー、ポジティブ及びネガティブコントロール、亜硫酸水素塩、テン-イレブン転座(TET)酵素(例えば、ヒトTET1、ヒトTET2、ヒトTET3、マウスTET1、マウスTET2、マウスTET3、ネグレリアTET(NgTET)、コプリノプシス・シネレア(CcTET))、またはこれらのバリアント)、有機ボラン、または他のアッセイ)。いくつかの実施形態では、キットは、メチル化特異的な形でDNAを修飾することができる試薬(例えば、メチル化感受性制限酵素、メチル化依存型制限酵素、及び亜硫酸水素塩試薬)(例えば、メチル化感受性制限酵素、メチル化依存型制限酵素、テン-イレブン転座(TET)酵素 (例えば、ヒトTET1、ヒトTET2、ヒトTET3、マウスTET1、マウスTET2、マウスTET3、ネグレリアTET(NgTET)、コプリノプシス・シネレア(CcTET))、またはそれらのバリアント)、有機ボラン)を含む。いくつかの実施形態では、方法を実施するために必要な、十分な、または有用な1つ以上の試薬を含むキットが提供される。これらの試薬を含む反応混合物も提供される。互いに、及び/または試験試料に加えられて反応混合物を完成させることができる、複数の試薬を含むマスターミックス試薬セットもさらに提供される。いくつかの実施形態では、キットは、DMR1~423(表I、IIII、及びXから)の1つ以上の配列を含み、子宮頸癌、子宮頸癌サブタイプ(例えば、子宮頸部腺癌、子宮頸部扁平上皮癌)、及び/または子宮頸癌前癌(例えば、上皮内腺癌、子宮頸部上皮内腫瘍)を有する対象に関連したメチル化状態を有するコントロール核酸を含む。いくつかの実施形態では、キットは、対象から試料(例えば、組織試料(例えば、子宮頸部試料)、血液試料、血漿試料、血清試料、全血試料、分泌物試料(例えば、子宮頸部分泌物、膣分泌物)、臓器分泌物試料、CSF試料、唾液試料、尿試料、及び便試料)を得るための試料採取器を含む。いくつかの実施形態では、キットは、本明細書に記載のオリゴヌクレオチドを含む。
【発明を実施するための形態】
【0035】
定義
本技術の理解を促進するために、いくつかの用語及び語句が以下に定義される。さらなる定義は、詳細な説明の全体にわたって記載される。
【0036】
本明細書及び特許請求の範囲の全体を通じて、以下の用語は、文脈によってそうでない旨が明確に示されない限り、本明細書において明示的に関連する意味を有する。「一実施形態において」という語句は、本明細書で使用される場合、同じ実施形態を指す場合もあるが、必ずしも同じ実施形態を指すとは限らない。さらに、本明細書に使用されるような語句「別の実施形態において」は、必ずしも異なる実施形態を指さないが、そうである場合もある。したがって、下記のように、本発明のさまざまな実施形態は、本発明の範囲または趣旨から逸脱することなく、容易に組み合わされることができる。
【0037】
加えて、本明細書で使用されるように、文脈によってそうでない旨が明確に示されない限り、「または」という用語は、包括的な「または」の演算詞であり、「及び/または」という用語と同等である。「に基づく」という用語は、文脈により別途明確に指示されない限り、排他的なものではなく、記載されていない追加の因子に基づくことを可能にする。さらに、本明細書全体にわたって、「a」、「an」、及び「the」の意味には、複数の言及物が含まれる。「中に(in)」の意味には、「中に(in)」及び「上に(on)」が含まれる。
【0038】
「から本質的になる」という移行句は、本出願の特許請求の範囲において使用する場合、In re Herz,537F.2d 549,551-52,190 USPQ 461,463(CCPA 1976)に述べられているように、特許請求の範囲を、特許請求された発明の特定の物質またはステップ「及び基本的かつ新規の特徴(複数可)に実質的に影響を及ぼすことのないもの」に限定する。例えば、列挙された要素「から本質的になる」組成物は、列挙されていない混入物を、純粋な組成物、すなわち列挙された成分「からなる」組成物と比較した場合に、存在はするが、列挙された組成物の機能を変化させないようなレベルで含有する場合がある。
【0039】
本明細書で使用される「1つ以上」という用語は、1より大きい数を指す。例えば、「1つ以上」という用語は、以下のいずれかを包含する:2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、10つ以上、又はより多く、12以上、13以上、14以上、15以上、20以上、50以上、100以上、またはそれ以上の数。
【0040】
「1以上であるがより大きな数未満」、「2以上であるがより大きな数未満」、「3以上であるがより大きな数未満」、「4以上であるがより大きな数未満」、「5以上であるがより大きな数未満」、「6以上であるがより大きな数未満」、「7以上であるがより大きな数未満」、「8以上であるがより大きな数未満」、「9以上であるがより大きな数未満」、「10以上であるがより大きな数未満」、「11以上であるがより大きな数未満」、「12以上であるがより大きな数未満」、「13以上であるがより大きな数未満」、「14以上であるがより大きな数未満」、または「15以上であるがより大きな数未満」は、あるより大きな数に限定されない。例えば、より大きな数は 10,000、1,000、100、50などであってよい。例えば、より大きな数は約64であってよい(例えば、64、63、62、61、60、59、58、57、56、55) 、54、53、52、51、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、32 、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6 、5、4、3、または2)。例えば、より大きな数は約423であってよい。
【0041】
用語「1つ以上のメチル化マーカー」または「1つ以上のDMR」または「1つ以上の遺伝子」または「1つ以上のマーカー」または「複数のメチル化マーカー」または「複数のマーカー」または「複数の遺伝子」または「複数のDMR」も同様に、特定の数の組み合わせに限定されない。実際、メチル化マーカーの任意の数の組み合わせが想到される(例えば、1~2、1~3、1~4、1~5、1~6、1~7、1~8、1~9、1~10、1~11、1~12、1~13、1~14、1~15、1~16、1~17、1~18、1~19、1~20、1~21、1~22、1~23、1~24、1~25、1~26、1~27、1~28、1~29、1~30、1~31、1~32、1~33、1~34、1~35、1~36、1~37、1~38、1~39、1~40、1~41、1~42、1~43、1~44、1~45、1~46、1~47、1~48、1~49、1~50、1~51、1~52、1~53、1~54、1~55、1~56、1~57、1~58、1~59、1~60、1~61、1~62、1~63、1~64個のメチル化マーカー)(例えば、2~3、2~4、2~5、2~6、2~7、2~8、2~9、2~10、2~11、2~12、2~13、2~14、2~15、2~16、2~17、2~18、2~19、2~20、2~21、2~22、2~23、2~24、2~25、2~26、2~27、2~28、2~29、2~30、2~31、2~32、2~33、2~34、2~35、2~36、2~37、2~38、2~39、2~40、2~41、2~42、2~43、2~44、2~45、2~46、2~47、2~48、2~49、2~50、2~51、2~52、2~53、2~54、2~55、2~56、2~57、2~58、2~59、2~60、2~61、2~62、2~63、2~64)(例えば、3~4、3~5、3~6、3~7、3~8、3~9、3~10、3~11、3~12、3~13、3~14、3~15、3~16、3~17、3~18、3~19、3~20、3~21、3~22、3~23、3~24、3~25、3~26、3~27、3~28、3~29、3~30、3~31、3~32、3~33、3~34、3~35、3~36、3~37、3~38、3~39、3~40、3~41、3~42、3~43、3~44、3~45、3~46、3~47、3~48、3~49、3~50、3~51、3~52、3~53、3~54、3~55、3~56、3~57、3~58、3~59、3~60、3~61、3~62、3~63、3~64)(例えば、4~5、4~6、4~7、4~8、4~9、4~10、4~11、4~12、4~13、4~14、4~15、4~16、4~17、4~18、4~19、4~20、4~21、4~22、4~23、4~24、4~25、4~26、4~27、4~28、4~29、4~30、4~31、4~32、4~33、4~34、4~35、4~36、4~37、4~38、4~39、4~40、4~41、4~42、4~43、4~44、4~45、4~46、4~47、4~48、4~49、4~50、4~51、4~52、4~53、4~54、4~55、4~56、4~57、4~58、4~59、4~60、4~61、4~62、4~63、4~64)(例えば、5~6、5~7、5~8、5~9、5~10、5~11、5~12、5~13、5~14、5~15、5~16、5~17、5~18、5~19、5~20、5~21、5~22、5~23、5~24、5~25、5~26、5~27、5~28、5~29、5~30、5~31、5~32、5~33、5~34、5~35、5~36、5~37、5~38、5~39、5~40、5~41、5~42、5~43、5~44、5~45、5~46、5~47、5~48、5~49、5~50、5~51、5~52、5~53、5~54、5~55、5~56、5~57、5~58、5~59、5~60、5~61、5~62、5~63、5~64)(例えば、6~7、6~8、6~9、6~10、6~11、6~12、6~13、6~14、6~15、6~16、6~17、6~18、6~19、6~20、6~21、6~22、6~23、6~24、6~25、6~26、6~27、6~28、6~29、6~30、6~31、6~32、6~33、6~34、6~35、6~36、6~37、6~38、6~39、6~40、6~41、6~42、6~43、6~44、6~45、6~46、6~47、6~48、6~49、6~50、6~51、6~52、6~53、6~54、6~55、6~56、6~57、6~58、6~59、6~60、6~61、6~62、6~63、6~64)(例えば、7~8、7~9、7~10、7~11、7~12、7~13、7~14、7~15、7~16、7~17、7~18、7~19、7~20、7~21、7~22、7~23、7~24、7~25、7~26、7~27、7~28、7~29、7~30、7~31、7~32、7~33、7~34、7~35、7~36、7~37、7~38、7~39、7~40、7~41、7~42、7~43、7~44、7~45、7~46、7~47、7~48、7~49、7~50、7~51、7~52、7~53、7~54、7~55、7~56、7~57、7~58、7~59、7~60、7~61、7~62、7~63、7~64)(例えば、8~9、8~10、8~11、8~12、8~13、8~14、8~15、8~16、8~17、8~18、8~19、8~20、8~21、8~22、8~23、8~24、8~25、8~26、8~27、8~28、8~29、8~30、8~31、8~32、8~33、8~34、8~35、8~36、8~37、8~38、8~39、8~40、8~41、8~42、8~43、8~44、8~45、8~46、8~47、8~48、8~49、8~50、8~51、8~52、8~53、8~54、8~55、8~56、8~57、8~58、8~59、8~60、8~61、8~62、8~63、8~64)(例えば、9~10、9~11、9~12、9~13、9~14、9~15、9~16、9~17、9~18、9~19、9~20、9~21、9~22、9~23、9~24、9~25、9~26、9~27、9~28、9~29、9~30、9~31、9~32、9~33、9~34、9~35、9~36、9~37、9~38、9~39、9~40、9~41、9~42、9~43、9~44、9~45、9~46、9~47、9~48、9~49、9~50、9~51、9~52、9~53、9~54、9~55、9~56、9~57、9~58、9~59、9~60、9~61、9~62、9~63、9~64)(例えば、10~11、10~12、10~13、10~14、10~15、10~16、10~17、10~18、10~19、10~20、10~21、10~22、10~23、10~24、10~25、10~26、10~27、10~28、10~29、10~30、10~31、10~32、10~33、10~34、10~35、10~36、10~37、10~38、10~39、10~40、10~41、10~42、10~43、10~44、10~45、10~46、10~47、10~48、10~49、10~50、10~51、10~52、10~53、10~54、10~55、10~56、10~57、10~58、10~59、10~60、10~61、10~62、10~63、10~64)(例えば、11~12、11~13、11~14、11~15、11~16、11~17、11~18、11~19、11~20、11~21、11~22、11~23、11~24、11~25、11~26、11~27、11~28、11~29、11~30、11~31、11~32、11~33、11~34、11~35、11~36、11~37、11~38、11~39、11~40、11~41、11~42、11~43、11~44、11~45、11~46、11~47、11~48、11~49、11~50、11~51、11~52、11~53、11~54、11~55、11~56、11~57、11~58、11~59、11~60、11~61、11~62、11~63、11~64)(例えば、12~13、12~14、12~15、12~16、12~17、12~18、12~19、12~20、12~21、12~22、12~23、12~24、12~25、12~26、12~27、12~28、12~29、12~30、12~31、12~32、12~33、12~34、12~35、12~36、12~37、12~38、12~39、12~40、12~41、12~42、12~43、12~44、12~45、12~46、12~47、12~48、12~49、12~50、12~51、12~52、12~53、12~54、12~55、12~56、12~57、12~58、12~59、12~60、12~61、12~62、12~63、12~64)(例えば、13~14、13~15、13~16、13~17、13~18、13~19、13~20、13~21、13~22、13~23、13~24、13~25、13~26、13~27、13~28、13~29、13~30、13~31、13~32、13~33、13~34、13~35、13~36、13~37、13~38、13~39、13~40、13~41、13~42、13~43、13~44、13~45、13~46、13~47、13~48、13~49、13~50、13~51、13~52、13~53、13~54、13~55、13~56、13~57、13~58、13~59、13~60、13~61、13~62、13~63、13~64)(例えば、14~15、14~16、14~17、14~18、14~19、14~20、14~21、14~22、14~23、14~24、14~25、14~26、14~27、14~28、14~29、14~30、14~31、14~32、14~33、14~34、14~35、14~36、14~37、14~38、14~39、14~40、14~41、14~42、14~43、14~44、14~45、14~46、14~47、14~48、14~49、14~50、14~51、14~52、14~53、14~54、14~55、14~56、14~57、14~58、14~59、14~60、14~61、14~62、14~63、14~64)(例えば、15~16、15~17、15~18、15~19、15~20、15~21、15~22、15~23、15~24、15~25、15~26、15~27、15~28、15~29、15~30、15~31、15~32、15~33、15~34、15~35、15~36、15~37、15~38、15~39、15~40、15~41、15~42、15~43、15~44、15~45、15~46、15~47、15~48、15~49、15~50、15~51、15~52、15~53、15~54、15~55、15~56、15~57、15~58、15~59、15~60、15~61、15~62、15~63、15~64)(例えば、16~17、16~18、16~19、16~20、16~21、16~22、16~23、16~24、16~25、16~26、16~27、16~28、16~29、16~30、16~31、16~32、16~33、16~34、16~35、16~36、16~37、16~38、16~39、16~40、16~41、16~42、16~43、16~44、16~45、16~46、16~47、16~48、16~49、16~50、16~51、16~52、16~53、16~54、16~55、16~56、16~57、16~58、16~59、16~60、16~61、16~62、16~63、16~64)(例えば、17~18、17~19、17~20、17~21、17~22、17~23、17~24、17~25、17~26、17~27、17~28、17~29、17~30、17~31、17~32、17~33、17~34、17~3
5、17~36、17~37、17~38、17~39、17~40、17~41、17~42、17~43、17~44、17~45、17~46、17~47、17~48、17~49、17~50、17~51、17~52、17~53、17~54、17~55、17~56、17~57、17~58、17~59、17~60、17~61、17~62、17~63、17~64)(例えば、18~19、18~20、18~21、18~22、18~23、18~24、18~25、18~26、18~27、18~28、18~29、18~30、18~31、18~32、18~33、18~34、18~35、18~36、18~37、18~38、18~39、18~40、18~41、18~42、18~43、18~44、18~45、18~46、18~47、18~48、18~49、18~50、18~51、18~52、18~53、18~54、18~55、18~56、18~57、18~58、18~59、18~60、18~61、18~62、18~63、18~64)(例えば、19~20、19~21、19~22、19~23、19~24、19~25、19~26、19~27、19~28、19~29、19~30、19~31、19~32、19~33、19~34、19~35、19~36、19~37、19~38、19~39、19~40、19~41、19~42、19~43、19~44、19~45、19~46、19~47、19~48、19~49、19~50、19~51、19~52、19~53、19~54、19~55、19~56、19~57、19~58、19~59、19~60、19~61、19~62、19~63、19~64)(例えば、20~21、20~22、20~23、20~24、20~25、20~26、20~27、20~28、20~29、20~30、20~31、20~32、20~33、20~34、20~35、20~36、20~37、20~38、20~39、20~40、20~41、20~42、20~43、20~44、20~45、20~46、20~47、20~48、20~49、20~50、20~51、20~52、20~53、20~54、20~55、20~56、20~57、20~58、20~59、20~60、20~61、20~62、20~63、20~64)(例えば、21~22、21~23、21~24、21~25、21~26、21~27、21~28、21~29、21~30、21~31、21~32、21~33、21~34、21~35、21~36、21~37、21~38、21~39、21~40、21~41、21~42、21~43、21~44、21~45、21~46、21~47、21~48、21~49、21~50、21~51、21~52、21~53、21~54、21~55、21~56、21~57、21~58、21~59、21~60、21~61、21~62、21~63、21~64)(例えば、22~23、22~24、22~25、22~26、22~27、22~28、22~29、22~30、22~31、22~32、22~33、22~34、22~35、22~36、22~37、22~38、22~39、22~40、22~41、22~42、22~43、22~44、22~45、22~46、22~47、22~48、22~49、22~50、22~51、22~52、22~53、22~54、22~55、22~56、22~57、22~58、22~59、22~60、22~61、22~62、22~63、22~64)(例えば、23~24、23~25、23~26、23~27、23~28、23~29、23~30、23~31、23~32、23~33、23~34、23~35、23~36、23~37、23~38、23~39、23~40、23~41、23~42、23~43、23~44、23~45、23~46、23~47、23~48、23~49、23~50、23~51、23~52、23~53、23~54、23~55、23~56、23~57、23~58、23~59、23~60、23~61、23~62、23~63、23~64)(例えば、24~25、24~26、24~27、24~28、24~29、24~30、24~31、24~32、24~33、24~34、24~35、24~36、24~37、24~38、24~39、24~40、24~41、24~42、24~43、24~44、24~45、24~46、24~47、24~48、24~49、24~50、24~51、24~52、24~53、24~54、24~55、24~56、24~57、24~58、24~59、24~60、24~61、24~62、24~63、24~64)(例えば、25~26、25~27、25~28、25~29、25~30、25~31、25~32、25~33、25~34、25~35、25~36、25~37、25~38、25~39、25~40、25~41、25~42、25~43、25~44、25~45、25~46、25~47、25~48、25~49、25~50、25~51、25~52、25~53、25~54、25~55、25~56、25~57、25~58、25~59、25~60、25~61、25~62、25~63、25~64)(例えば、26~27、26~28、26~29、26~30、26~31、26~32、26~33、26~34、26~35、26~36、26~37、26~38、26~39、26~40、26~41、26~42、26~43、26~44、26~45、26~46、26~47、26~48、26~49、26~50、26~51、26~52、26~53、26~54、26~55、26~56、26~57、26~58、26~59、26~60、26~61、26~62、26~63、26~64)(例えば、27~28、27~29、27~30、27~31、27~32、27~33、27~34、27~35、27~36、27~37、27~38、27~39、27~40、27~41、27~42、27~43、27~44、27~45、27~46、27~47、27~48、27~49、27~50、27~51、27~52、27~53、27~54、27~55、27~56、27~57、27~58、27~59、27~60、27~61、27~62、27~63、27~64)(例えば、28~29、28~30、28~31、28~32、28~33、28~34、28~35、28~36、28~37、28~38、28~39、28~40、28~41、28~42、28~43、28~44、28~45、28~46、28~47、28~48、28~49、28~50、28~51、28~52、28~53、28~54、28~55、28~56、28~57、28~58、28~59、28~60、28~61、28~62、28~63、28~64)(例えば、29~30、29~31、29~32、29~33、29~34、29~35、29~36、29~37、29~38、29~39、29~40、29~41、29~42、29~43、29~44、29~45、29~46、29~47、29~48、29~49、29~50、29~51、29~52、29~53、29~54、29~55、29~56、29~57、29~58、29~59、29~60、29~61、29~62、29~63、29~64)(例えば、30~31、30~32、30~33、30~34、30~35、30~36、30~37、30~38、30~39、30~40、30~41、30~42、30~43、30~44、30~45、30~46、30~47、30~48、30~49、30~50、30~51、30~52、30~53、30~54、30~55、30~56、30~57、30~58、30~59、30~60、30~61、30~62、30~63、30~64)(例えば、31~32、31~33、31~34、31~35、31~36、31~37、31~38、31~39、31~40、31~41、31~42、31~43、31~44、31~45、31~46、31~47、31~48、31~49、31~50、31~51、31~52、31~53、31~54、31~55、31~56、31~57、31~58、31~59、31~60、31~61、31~62、31~63、31~64)(例えば、32~33、32~34、32~35、32~36、32~37、32~38、32~39、32~40、32~41、32~42、32~43、32~44、32~45、32~46、32~47、32~48、32~49、32~50、32~51、32~52、32~53、32~54、32~55、32~56、32~57、32~58、32~59、32~60、32~61、32~62、32~63、32~64)(例えば、33~34、33~35、33~36、33~37、33~38、33~39、33~40、33~41、33~42、33~43、33~44、33~45、33~46、33~47、33~48、33~49、33~50、33~51、33~52、33~53、33~54、33~55、33~56、33~57、33~58、33~59、33~60、33~61、33~62、33~63、33~64)(例えば、34~35、34~36、34~37、34~38、34~39、34~40、34~41、34~42、34~43、34~44、34~45、34~46、34~47、34~48、34~49、34~50、34~51、34~52、34~53、34~54、34~55、34~56、34~57、34~58、34~59、34~60、34~61、34~62、34~63、34~64)(例えば、35~36、35~37、35~38、35~39、35~40、35~41、35~42、35~43、35~44、35~45、35~46、35~47、35~48、35~49、35~50、35~51、35~52、35~53、35~54、35~55、35~56、35~57、35~58、35~59、35~60、35~61、35~62、35~63、35~64)(例えば、36~37、36~38、36~39、36~40、36~41、36~42、36~43、36~44、36~45、36~46、36~47、36~48、36~49、36~50、36~51、36~52、36~53、36~54、36~55、36~56、36~57、36~58、36~59、36~60、36~61、36~62、36~63、36~64)(例えば、37~38、37~39、37~40、37~41、37~42、37~43、37~44、37~45、37~46、37~47、37~48、37~49、37~50、37~51、37~52、37~53、37~54、37~55、37~56、37~57、37~58、37~59、37~60、37~61、37~62、37~63、37~64)(例えば、38~39、38~40、38~41、38~42、38~43、38~44、38~45、38~46、38~47、38~48、38~49、38~50、38~51、38~52、38~53、38~54、38~55、38~56、38~57、38~58、38~59、38~60、38~61、38~62、38~63、38~64)、(例えば、39~40、39~41、39~42、39~43、39~44、39~45、39~46、39~47、39~48、39~49、39~50、39~51、39~52、39~53、39~54、39~55、39~56、39~57、39~58、39~59、39~60、39~61、39~62、39~63、39~64)、(例えば、40~41、40~42、40~43、40~44、40~45、40~46、40~47、40~48、40~49、40~50、40~51、40~52、40~53、40~54、40~55、40~56、40~57、40~58、40~59、40~60、40~61、40~62、40~63、40~6
4)、(例えば、41~42、41~43、41~44、41~45、41~46、41~47、41~48、41~49、41~50、41~51、41~52、41~53、41~54、41~55、41~56、41~57、41~58、41~59、41~60、41~61、41~62、41~63、41~64)、(例えば、42~43、42~44、42~45、42~46、42~47、42~48、42~49、42~50、42~51、42~52、42~53、42~54、42~55、42~56、42~57、42~58、42~59、42~60、42~61、42~62、42~63、42~64)(例えば、43~44、43~45、43~46、43~47、43~48、43~49、43~50、43~51、43~52、43~53、43~54、43~55、43~56、43~57、43~58、43~59、43~60、43~61、43~62、43~63、43~64)(例えば、44~45、44~46、44~47、44~48、44~49、44~50、44~51、44~52、44~53、44~54、44~55、44~56、44~57、44~58、44~59、44~60、44~61、44~62、44~63、44~64)(例えば、45~46、45~47、45~48、45~49、45~50、45~51、45~52、45~53、45~54、45~55、45~56、45~57、45~58、45~59、45~60、45~61、45~62、45~63、45~64)(例えば、46~47、46~48、46~49、46~50、46~51、46~52、46~53、46~54、46~55、46~56、46~57、46~58、46~59、46~60、46~61、46~62、46~63、46~64)(例えば、47~48、47~49、47~50、47~51、47~52、47~53、47~54、47~55、47~56、47~57、47~58、47~59、47~60、47~61、47~62、47~63、47~64)(例えば、48~49、48~50、48~51、48~52、48~53、48~54、48~55、48~56、48~57、48~58、48~59、48~60、48~61、48~62、48~63、48~64)(例えば、49~50、49~51、49~52、49~53、49~54、49~55、49~56、49~57、49~58、49~59、49~60、49~61、49~62、49~63、49~64)(例えば、50~51、50~52、50~53、50~54、50~55、50~56、50~57、50~58、50~59、50~60、50~61、50~62、50~63、50~64)(例えば、51~52、51~53、51~54、51~55、51~56、51~57、51~58、51~59、51~60、51~61、51~62、51~63、51~64)(例えば、52~53、52~54、52~55、52~56、52~57、52~58、52~59、52~60、52~61、52~62、52~63、52~64)(例えば、53~54、53~55、53~56、53~57、53~58、53~59、53~60、53~61、53~62、53~63、53~64)(例えば、54~55、54~56、54~57、54~58、54~59、54~60、54~61、54~62、54~63、54~64)(例えば、55~56、55~57、55~58、55~59、55~60、55~61、55~62、55~63、55~64)(例えば、56~57、56~58、56~59、56~60、56~61、56~62、56~63、56~64)(例えば、57~58、57~59、57~60、57~61、57~62、57~63、57~64)(例えば、58~59、58~60、58~61、58~62、58~63、58~64)(例えば、59~60、59~61、59~62、59~63、59~64)(例えば、60~61、60~62、60~63、60~64)(例えば、61~62、61~63、61~64)(例えば、62~63、62~64)(例えば、63~64)(例えば、1~423、10~423、20~423、41~423、50~423、62~423、64~423、100~423、150~423、200~423、300~423、320~423、361~423、400~423、410~423、415~423、420~423、421~423、422~423)(例えば、423以下、400以下、350以下、361以下、320以下、300以下、250以下、200以下、150以下、100以下、75以下、70以下、65以下、64以下、62以下;61以下;60以下;59以下;58以下;57以下;56以下;55以下;54以下;53以下;52以下;51以下;50以下;49以下;48以下;47以下;46以下;45以下;44以下;43以下;42以下;41以下;40以下;39以下;38以下;37以下;36以下;35以下;34以下;33以下;32以下;31以下;30以下;29以下;28以下;27以下;26以下;25以下;24以下;23以下;22以下;21以下;20以下;19以下;18以下;17以下;16以下;15以下;14以下;13以下;12以下;11以下;10以下;9以下;8以下;7以下;6以下;5以下;4以下;3以下;2または1)。
【0042】
本明細書で使用される場合、「核酸」または「核酸分子」は、一般に任意のリボ核酸またはデオキシリボ核酸を指し、非修飾または修飾DNAまたはRNAであってよい。「核酸」には、一本鎖及び二本鎖核酸が含まれるが、これらに限定されない。本明細書に使用される場合、用語「核酸」は、1つ以上の修飾塩基を含む上述されるようなDNAをも含む。したがって、安定性または他の理由で骨格が修飾されたDNAは「核酸」である。本明細書で使用される場合、用語「核酸」は、化学的、酵素的、または代謝的に修飾された核酸の形態、ならびに例えば、単細胞及び複雑細胞を含む、ウイルス及び細胞のDNA特性の化学的形態を包含する。
【0043】
用語「オリゴヌクレオチド」または「ポリヌクレオチド」または「ヌクレオチド」または「核酸」は、2個以上、好ましくは3個よりも多い、及び通常10個よりも多いデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドを含む分子を指す。この正確なサイズは多くの因子に依存し、これらの因子は今度はオリゴヌクレオチドの根本的な機能または使用に依存する。オリゴヌクレオチドは、化学合成、DNA複製、逆転写、またはそれらの組み合わせを含む、任意の方法で生成することができる。DNAの典型的なデオキシリボヌクレオチドは、チミン、アデニン、シトシン、及びグアニンである。RNAの典型的なリボヌクレオチドは、ウラシル、アデニン、シトシン、及びグアニンである。
【0044】
本明細書で使用される場合、核酸の用語「遺伝子座」または「領域」は、核酸の小領域、例えば、染色体上の遺伝子、単一のヌクレオチド、CpGアイランドなどを指す。
【0045】
用語「相補的な」及び「相補性」とは、塩基対合規則によって関連付けられるヌクレオチド(例えば1個のヌクレオチド)またはポリヌクレオチド(例えば、ヌクレオチド配列)を指す。例えば、配列5’-A-G-T-3’は、配列3’-T-C-A-5’に相補的である。相補性は「部分的」であってもよく、その場合、核酸塩基の一部のみが塩基対合則に従って一致する。または、核酸間の「完全な」または「全体の」相補性があることができる。核酸の鎖間の相補性の程度は、核酸の鎖間のハイブリダイゼーションの効率及び強度をもたらす。これは、増幅反応において、及び核酸間の結合に依存する検出方法において特に重要である。
【0046】
用語「遺伝子」は、RNA、またはポリペプチドもしくはその前駆体の産生に必要なコード配列を含む核酸(例えば、DNAまたはRNA)配列を指す。機能ポリペプチドは、ポリペプチドの所望の活性または機能特性(例えば、酵素活性、リガンド結合、シグナル伝達など)が保持される限り、完全長のコード配列によって、またはコード配列の任意の部分によってコードされ得る。遺伝子への参照に使用されるときに、用語「部分」は、その遺伝子のフラグメントを指す。これらのフラグメントは、数個のヌクレオチドから、遺伝子全体の配列より1個のヌクレオチドを引いたもののサイズに及ぶことができる。したがって、「遺伝子の少なくとも一部を含むヌクレオチド」は、遺伝子のフラグメントまたは遺伝子全体を含むことができる。
【0047】
用語「遺伝子」は、構造遺伝子のコード領域も含み、遺伝子が完全長mRNAの長さに対応するように、5’末端及び3’末端の両方にコード領域に隣接して、例えば、どちらの末端においても約1kbの距離に位置する配列を含む(例えば、コード配列、制御配列、構造配列及び他の配列を含む)。コード領域の5’側に位置し、かつmRNA上に存在する配列は、5’非翻訳(non-translated)または非翻訳(untranslated)配列と称される。コード領域の3’側または下流に位置し、かつmRNA上に存在する配列は、3’非翻訳(non-translated)または非翻訳(untranslated)配列と称される。用語「遺伝子」は、遺伝子のcDNAおよびゲノムの形態の両方を包含する。特定の生物(例えば、真核生物)では、遺伝子のゲノム形態またはクローンは、「イントロン」または「介在領域」または「介在配列」と称される非コード配列で中断されたコード領域を含有する。イントロンは、核RNA(hnRNA)に転写される遺伝子のセグメントであり、イントロンは、エンハンサー等の制御要素を含有してもよい。イントロンは、核または一次転写産物から除去されるかまたは「スプライシングにより出される」ため、イントロンは、メッセンジャーRNA(mRNA)転写産物には存在しない。mRNAは、新生ポリペプチドにおいてアミノ酸の配列または順序を特定するように翻訳中に機能する。
【0048】
イントロンを含有することに加えて、ゲノム形態の遺伝子はまた、RNA転写物に存在する配列の5’末端及び3’末端の両方に位置する配列を含んでもよい。これらの配列は、「フランキング」配列または「フランキング」領域と称される(これらのフランキング配列は、mRNA転写物に存在する非翻訳配列の5’側または3’側に位置する)。5’フランキング領域は、遺伝子の転写を制御するか、またはそれに影響を与えるプロモーター及びエンハンサー等の調節配列を有し得る。3’フランキング領域は、転写終結、転写後切断、及びポリアデニル化を指示する配列を有し得る。
【0049】
遺伝子を言及する場合、用語「野生型」は、天然に存在する供給源から単離される遺伝子の特性を有する遺伝子を指す。遺伝子産物について言う場合、用語「野生型」とは、天然に存在する由来源から単離される遺伝子産物の特性を有する遺伝子産物を指す。遺伝子について言う場合、用語「野生型」とは、天然に存在する由来源から単離される遺伝子の特性を有する遺伝子を指す。「天然に存在する」という用語は、ある対象に適用される場合、対象を天然に見出すことができるという事実を指す。例えば、天然の由来源から単離され得、かつ研究室において人間の手によって意図的に修飾されていないかある生物(ウイルスを含む)に存在するポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列は、天然に存在する。野生型遺伝子はしばしば、集団内で最も高頻度で観察され、したがって遺伝子の「正常」または「野生型」形態と任意に称されるその遺伝子またはアレルである。対照的に、遺伝子または遺伝子産物を言及する場合、用語「修飾された」または「変異の」は、野生型の遺伝子または遺伝子産物と比較した場合に配列及び/または機能特性における修飾(すなわち、改変された特徴)を示す遺伝子または遺伝子産物をそれぞれ指す。天然に存在する変異体を単離することができることに留意し、これらは、野生型遺伝子または遺伝子産物と比較したときに、それらが特徴を変化させたという事実により特定される。
【0050】
用語「アレル」は、遺伝子のバリアントを指し、これらのバリアントは、バリアント及び変異体、多型遺伝子座、ならびに一塩基多型遺伝子座、フレームシフト、及びスプライス変異を含むが、これらに限定されない。アレルは、集団に天然に存在することができる、またはそれは、この集団のいずれかの特定の個体の生存期間中に生じることができる。
【0051】
したがって、ヌクレオチド配列を参照して使用される場合、用語「バリアント」及び「変異体」は、別の、通常に関連した、ヌクレオチド配列から1つ以上のヌクレオチドで異なる核酸配列を指す。「変異」は、2つの異なるヌクレオチド配列間の差異であり、一般的に一方の配列は基準配列である。
【0052】
用語「プライマー」は、精製された制限消化物由来の核酸フラグメントとして天然に存在するかまたは合成されるかによらず、核酸の鋳型鎖に相補的であるプライマー伸長生成物の合成が誘導される条件下に(例えば、ヌクレオチド、及びDNAポリメラーゼなどの誘導剤の存在下、適切な温度及びpHで)置かれる際に合成の開始点として作用することができるオリゴヌクレオチドを指す。プライマーは、増幅の効率を最大にするために一本鎖であることが好ましいが、代わりに二本鎖であってもよい。二本鎖の場合、プライマーは、まずその鎖を分離するために処理され、その後伸長産物の調製に使用される。好ましくは、プライマーは、オリゴデオキシリボヌクレオチドである。プライマーは、誘導物質の存在下で伸長産物の合成をプライムするのに十分な長さでなければならない。プライマーの正確な長さは、温度、プライマー供給源、及び方法の使用を含む、多くの要因に依存する。いくつかの実施形態では、プライマーペアは、特定のMDM(例えば、表I、III、及びXのMDM)に対して特異的であり、MDMを含む遺伝子領域(例えば、表I、III及び/またはXの染色体座標)の少なくとも一部に特異的に結合する。
【0053】
「プローブ」という用語は、精製された制限消化物と同様に天然に生じるか、または合成により、組換えにより、もしくはPCR増幅により生成されるかのいずれかであるオリゴヌクレオチド(例えば、ヌクレオチドの配列)を指し、これは目的の別のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズすることができる。プローブは、一本鎖または二本鎖であることができる。プローブは、特定の遺伝子配列の検出、同定、及び単離に有用である(例えば、「捕捉プローブ」)。本発明に使用されるいずれかのプローブがいくつかの実施形態において、いずれかの「レポーター分子」によってラベル付けされることができるため、酵素(例えば、ELISA、及び酵素に基づく組織化学的アッセイ)、蛍光、放射性、及び発光システムを含むが、これらに限定されない、いずれかの検出システムにおいて検出可能であることを企図する。本発明がいずれかの特定の検出システムまたはラベルに限定されることを意図しない。
【0054】
本明細書で使用される「標的」という用語は、例えばプローブ結合、増幅、単離、捕捉などによって他の核酸から選別しようとする核酸を指す。例えば、ポリメラーゼ連鎖反応に関して使用される場合、「標的」は、ポリメラーゼ連鎖反応に使用されるプライマーによって結合された核酸の領域を指す一方で、標的DNAが増幅されないアッセイに使用される場合、例えば、侵入切断アッセイのいくつかの実施形態では、標的は、プローブ及び侵入オリゴヌクレオチド(例えば、INVADERオリゴヌクレオチド)が結合して侵入切断構造を形成する部位を含み、これにより、標的核酸の存在を検出することができる。「セグメント」は、標的配列内の核酸の領域として定義される。
【0055】
したがって、本明細書で使用される「非標的」とは、例えば、DNAなどの核酸を記述するために使用される場合、反応中に存在する可能性があるが、反応による検出または特性評価の対象ではない核酸を指す。いくつかの実施形態では、非標的核酸は、例えば標的配列を含まない試料中に存在する核酸を指し得るが、いくつかの実施形態では、非標的とは、外因性核酸、すなわち、標的核酸を含むかまたは含むことが疑われる試料に由来せず、例えば、反応における酵素(例えば、ポリメラーゼ)の性能のばらつきを低減するため、酵素の活性を正常化するために反応に添加される核酸を指す場合もある。
【0056】
本明細書で使用される場合、「メチル化」は、シトシンのC5位もしくはN4位でのシトシンメチル化、アデニンのN6位、または他のタイプの核酸メチル化を指す。インビトロ増幅DNAは、典型的なインビトロDNA増幅方法が増幅鋳型のメチル化パターンを保持しないため、通常メチル化されない。しかしながら、「メチル化されていないDNA」または「メチル化されたDNA」は、それぞれ元の鋳型がメチル化されていなかった、またはメチル化された増幅DNAをも指すことが可能である。
【0057】
本明細書で使用する「増幅試薬」という用語は、プライマー、核酸鋳型、及び増幅酵素を除く、増幅に必要な試薬(デオキシリボヌクレオシド三リン酸、緩衝液など)を指す。通常、増幅試薬は他の反応成分とともに反応容器内に配置及び収容される。
【0058】
本明細書で使用される場合、「コントロール」という用語は、核酸の検出または分析に関して使用される場合、実験標的(例えば、濃度が不明な核酸など)との比較に用いられる既知の特徴(例えば、既知の配列、既知の細胞当たりのコピー数)を有する核酸を指す。コントロールは、アッセイ中の試験核酸または標的核酸をそれに対して正規化することができる内因性の、好ましくは不変遺伝子であってよい。このような正規化により、例えば試料のプロセシング、アッセイ効率などで生じ得る試料間のばらつきが抑制され、正確な試料間のデータ比較が可能となる。ヒト試料における核酸検出アッセイを正規化するために使用される遺伝子としては、例えば、β-アクチン、ZDHHC1、及びB3GALT6が挙げられる(例えば、本明細書に参照によりそれぞれを援用する米国特許出願第14/966,617号、及び同第62/364,082号を参照)。本明細書で使用する場合、「ZDHHC1」は、ヒトDNAの第16番染色体(16q22.1)上に位置する、zinc finger DHHC-type containing 1として特徴付けられる、DHHCパルミトイルトランスフェラーゼファミリーに属するタンパク質をコードする遺伝子を指す。
【0059】
コントロールは外部の場合もある。例えば、qPCR、QuARTSなどの定量アッセイにおいて、「キャリブレーター」または「キャリブレーションコントロール」とは、既知の配列の核酸、例えば、実験標的核酸の一部と同じ配列、及び既知の濃度または一連の濃度(例えば、定量的PCRの検量線を生成するための段階希釈されたコントロールターゲット)を有する核酸である。通常、キャリブレーションコントロールは、実験DNAで使用されるものと同じ試薬及び反応条件を使用して分析される。特定の実施形態では、キャリブレーターの測定は、実験的アッセイと同時に、例えば同じサーマルサイクラー内で行われる。好ましい実施形態では、異なるキャリブレーター配列が等モル量で容易に与えられるように、複数のキャリブレーターを単一のプラスミドに含めることができる。特に好ましい実施形態では、プラスミドキャリブレーターは、例えば1つ以上の制限酵素で消化されて、プラスミドベクターからキャリブレーター部分を放出する。例えば、参照により本明細書に援用するWO2015/066695を参照されたい。
【0060】
本明細書で使用される場合、「メチル化されたヌクレオチド」または「メチル化されたヌクレオチド塩基」は、ヌクレオチド塩基上のメチル部分の存在を指し、このメチル部分は、認識された典型的なヌクレオチド塩基中に存在しない。例えば、シトシンは、そのピリミジン環上にメチル部分を含まないが、5-メチルシトシンは、そのピリミジン環の5位にメチル部分を含む。したがって、シトシンはメチル化ヌクレオチドではなく、5-メチルシトシンはメチル化ヌクレオチドである。別の例では、チミンは、そのピリミジン環の5位にメチル部分を含有するが、チミンはDNAの典型的なヌクレオチド塩基であるため、本明細書の目的において、DNA中に存在する場合にチミンはメチル化ヌクレオチドであるとは見なされない。
【0061】
本明細書に使用される場合に、「メチル化された核酸分子」は、1つ以上のメチル化されたヌクレオチドを含む核酸分子を指す。
【0062】
本明細書で使用する場合、核酸分子の「メチル化状態」、「メチル化プロファイル」、及び「メチル化ステータス」とは、核酸分子中の1つ以上のメチル化されたヌクレオチド塩基の存在または非存在を指す。例えば、メチル化シトシンを含む核酸分子は、メチル化されていると見なされる(例えば、核酸分子のメチル化状態は、メチル化されている)。いかなるメチル化されたヌクレオチドも含まない核酸分子は、メチル化されていないとみなされる。
【0063】
本明細書で使用する場合、メチル化マーカーに適用される「メチル化レベル」という用語は、特定のメチル化マーカー内のメチル化の量を指す。メチル化レベルは、確立された標準またはコントロールと比較した、特定のメチル化マーカー内のメチル化の量を指す場合もある。メチル化レベルは、CpGコンテキストに存在する1つ以上のシトシン残基がメチル化基を有するか否かを指す場合もある。メチル化レベルは、そのようなシトシンにメチル化基を有するかまたは有さない試料中の細胞の割合を指す場合もある。メチル化レベルは、単一のCpGジヌクレオチドがメチル化されているかどうかを表す場合もある。
【0064】
特定の核酸配列のメチル化状態(例えば、本明細書に記載されるような、遺伝子マーカー、またはDNA領域)は、この配列中のすべての塩基のメチル化状態を示すことが可能である、またはこの配列内のこれらの塩基の(例えば、1つ以上のシトシンの)1サブセットのメチル化状態を示すことが可能である、またはメチル化が生じる配列内の位置の正確な情報を提供しながら、もしくは提供しなくても、この配列内の領域のメチル化密度についての情報を示すことが可能である。
【0065】
核酸分子中のヌクレオチド遺伝子座のメチル化状態は、核酸分子中の特定の遺伝子座においてメチル化されたヌクレオチドの存在または非存在を指す。例えば、核酸分子中の7番目のヌクレオチドにおけるシトシンのメチル化状態は、核酸分子中の7番目のヌクレオチドに存在するヌクレオチドが5-メチルシトシンである場合に、メチル化されている。同様に、核酸分子中の7番目のヌクレオチドにおけるシトシンのメチル化状態は、核酸分子中の7番目のヌクレオチドに存在するヌクレオチドがシトシンである(かつ5-メチルシトシンではない)場合には、メチル化されていない。
【0066】
メチル化状態は、「メチル化値」(例えば、メチル化頻度、分画、割合、パーセントなどを表す)によって任意選択で表される、または示されることが可能である。メチル化値は、例えば、メチル化依存型制限酵素による制限消化後に存在するインタクトな核酸の量を定量化することによって、または亜硫酸水素塩反応後の増幅プロファイルを比較することによって、または亜硫酸水素塩処理した核酸の配列と非処理の核酸の配列を比較することによって、またはTET処理された核酸と非処理の核酸とを比較することによって生成することができる。したがって、値、例えば、メチル化値は、メチル化状況を表し、これにより遺伝子座の複数のコピーにわたりメチル化状況の定量的指標として使用することができる。これは、試料中の配列のメチル化状態を閾値または基準値と比較することが望ましいときの特定の用途のものである。
【0067】
本明細書に使用される場合、「メチル化頻度」または「メチル化パーセント(%)」は、分子または遺伝子座がメチル化されていない場合の数と比較した、分子または遺伝子座がメチル化される場合の数を指す。
【0068】
本明細書で使用される「メチル化スコア」という用語は、対象となる特定の腫瘍を有さない哺乳動物のランダム集団(例えば、10、20、30、40、50、100、または500匹の哺乳動物哺乳動物のランダム集団)由来のマーカーまたはマーカーのパネルにおけるメチル化事象の中央値と比較した、マーカーまたはマーカーのパネルで検出されたメチル化事象を示すスコアである。マーカーまたはマーカーのパネルにおける高いメチル化スコアとは、そのスコアが対応する参照スコアより大きい限り、任意のスコアであり得る。例えば、マーカーまたはマーカーのパネルにおける高いメチル化スコアとは、基準メチル化スコアよりも0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10倍、またはそれ以上大きくてよい。
【0069】
したがって、メチル化状態は、核酸(例えば、ゲノム配列)のメチル化の状態を表す。加えて、メチル化状態は、メチル化に関連する特定のゲノム遺伝子座における核酸セグメントの特性を指す。そのような特徴は、このDNA配列内のシトシン(C)残基のいずれかがメチル化されるか否か、メチル化C残基(複数可)の位置、核酸の任意の特定領域全体にわたるメチル化Cの頻度またはパーセンテージ、及び例えば、対立遺伝子の起源の差に起因するメチル化の対立遺伝子差を含むが、これらに限定されない。また用語「メチル化状態」、「メチル化プロファイル」、及び「メチル化状態」は、相対的な濃度、絶対的な濃度、または生物学的試料中の核酸のいずれかの特定の領域全体を通してメチル化されたCもしくはメチル化されていないCのパターンを指す。例えば、核酸配列内のシトシン(C)残基(複数可)がメチル化されている場合、「高メチル化された」または「高いメチル化」を有すると言うことができるのに対して、DNA内のシトシン(C)残基(複数可)がメチル化されていない場合には「低メチル化された」または「低いメチル化」を有すると言うことができる。同様に、ある核酸配列内のシトシン(C)残基(複数可)が別の核酸配列(例えば、異なる領域からの、または異なる個体からのなど)と比較してメチル化されている場合、その配列は、他の核酸配列と比較して高メチル化されている、または高いメチル化を有するとみなされる。あるいは、DNA配列内のシトシン(C)残基(複数可)が別の核酸配列(例えば、異なる領域からの、または異なる個体からのなど)と比較してメチル化されていない場合、その配列は、他の核酸配列と比較して低メチル化されている、または低いメチル化を有するとみなされる。加えて、本明細書に使用される場合、用語「メチル化パターン」とは、核酸領域にわたるメチル化されたヌクレオチド、及びメチル化されていないヌクレオチドの集合部位を指す。2個の核酸は、同一の、または同様のメチル化頻度またはメチル化パターンを有することができるが、メチル化されたヌクレオチド、及びメチル化されていないヌクレオチドの数が領域全体を通して同一である、または同様であるが、メチル化されたヌクレオチド、及びメチル化されていないヌクレオチドの位置が異なるときに異なるメチル化パターンを有する。配列は、それらがメチル化の、程度(例えば、一方が他方と比較して増加したメチル化、または減少したメチル化を有する)、頻度、またはパターンにおいて異なるときに、「可変メチル化」と、または「メチル化における差異」を有すると、または「異なるメチル化状態」を有すると称される。用語「可変メチル化」は、がん陰性試料中の核酸メチル化のレベルまたはパターンと比較して、がん陽性試料中の核酸メチル化のレベルまたはパターンにおける差異を指す。手術後のがんの再発を有する患者と、再発を有さない患者との間のベレルまたはパターンにおける差異をも指すことができる。可変メチル化、及びDNAメチル化の特異的なレベルまたはパターンは、例えば、正確なカットオフまたは予測特性を定義されれば、予後及び予測バイオマーカーとなる。
【0070】
メチル化状態の頻度を用いて、個人の集団または単一の個人からの試料を説明することができる。例えば、50%のメチル化状態の頻度を有するヌクレオチド遺伝子座は、その50%でメチル化され、その50%はメチル化されていない。このような頻度を使用して、例えば、ヌクレオチド遺伝子座または核酸領域が個体集団または核酸集合体中でメチル化される程度を説明することが可能である。したがって、核酸分子の第一集団またはプール中のメチル化が核酸分子の第二集団またはプール中のメチル化と異なるときに、第一集団またはプールのメチル化状態の頻度は、第二集団またはプールのメチル化状態の頻度と異なる。そのような頻度はまた、例えば、ヌクレオチド遺伝子座または核酸領域が単一個体中でメチル化される程度を記述するために使用することができる。例えば、そのような頻度を使用して、組織試料からの細胞群がヌクレオチド遺伝子座または核酸領域でメチル化されている程度、またはメチル化されていない程度を記述することができる。
【0071】
典型的に、ヒトDNAのメチル化は、シトシンがグアニンの5’側に位置している隣接するグアニン及びシトシンを含むジヌクレオチド配列上で起こる(CpGジヌクレオチド配列とも称される)。CpGジヌクレオチド内のシトシンの多くはヒトゲノム中でメチル化されているが、いくつかは、CpGアイランドとして知られる特定のCpGジヌクレオチドリッチゲノム領域中でメチル化されないままである(例えば、Antequera et al.(1990)Cell 62:503-514を参照されたい)。
【0072】
本明細書に使用される場合、「CpGアイランド」または「シトシン-リン酸-グアニン-アイランド」とは、全ゲノムDNAと比較してより多くのCpGジヌクレオチドを含むゲノムDNAのG:Cリッチ領域を指す。CpGアイランドは、少なくとも100、200塩基対、またはそれよりも長い塩基対長であり得、この場合、領域のG:C含量は少なくとも50%であり、予測頻度に対する観測CpG頻度の比は0.6であり、場合によっては、CpGアイランドは、少なくとも500塩基対長であり得、この場合、領域のG:C含量は少なくとも55%であり、予測頻度に対する観測CpG頻度の比は0.65である。予測頻度に対する観測CpG頻度は、Gardiner-Garden et al(1987)J.Mol.Biol.196:261-281で提供される方法に従って算出することができる。例えば、予測頻度に対する観測CpG頻度は、式R=(A×B)/(C×D)に従って算出することができ、式中、Rは、予測頻度に対する観測CpG頻度の比であり、Aは、分析された配列中のCpGジヌクレオチド数であり、Bは、分析された配列中のヌクレオチドの総数であり、Cは、分析された配列中のCヌクレオチドの総数であり、Dは、分析された配列中のGヌクレオチドの総数である。メチル化状態は通常、CpGアイランド中で、例えば、プロモーター領域で判定される。しかしながら、CpA及びCpTなどのヒトゲノム中の他の配列もDNAメチル化を受ける点は理解されよう(Ramsahoye(2000)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 97:5237-5242;Salmon and Kaye(1970)Biochim.Biophys.Acta.204:340-351;Grafstrom(1985)Nucleic Acids Res.13:2827-2842;Nyce(1986)Nucleic Acids Res.14:4353-4367;Woodcock(1987)Biochem.Biophys.Res. Commun.145: 888-894を参照)。
【0073】
本明細書に使用される場合、「メチル化特異的試薬」とは、核酸分子のメチル化状態の機能として核酸分子のヌクレオチドを修飾する試薬を指し、またはメチル化特異的試薬は、化合物または組成物、または核酸分子のメチル化状態を反映する形で核酸分子のヌクレオチド配列を変えることが可能である他の薬剤を指す。核酸分子をこのような試薬によって処理する方法は、核酸分子を試薬と接触させることを含んでよく、必要に応じて、追加のステップと組み合わせて、ヌクレオチド配列の所望の変化を得ることができる。そのような方法は、非メチル化ヌクレオチド(例えば、各非メチル化シトシン)が、異なるヌクレオチドへと修飾される形で適用され得る。例えば、いくつかの実施形態では、そのような試薬は、非メチル化シトシンヌクレオチドを脱アミノ化してデオキシウラシル残基を生成することができる。そのような試薬の例としては、これらに限定されるものではないが、メチル化感受性制限酵素、メチル化依存型制限酵素、亜硫酸水素塩試薬、TET酵素、及びボラン還元剤が挙げられる。
【0074】
メチル化特異的試薬による核酸ヌクレオチド配列の変化はまた、各メチル化ヌクレオチドが異なるヌクレオチドへと修飾される核酸分子をもたらし得る。
【0075】
用語「メチル化アッセイ」は、核酸配列内の1つ以上のCpGジヌクレオチド配列のメチル化状態を決定するためのいずれかのアッセイを指す。
【0076】
「MS AP-PCR」(メチル化感受性任意プライムポリメラーゼ連鎖反応)という用語は、CGリッチプライマーを使用してゲノムを全スキャンし、CpGジヌクレオチドを含有する可能性が最も高い領域に集中することを可能にする、当該技術分野において認識されている技術を指し、Gonzalgo et al.(1997)Cancer Research 57:594-599によって記載されている。
【0077】
「MethyLight(商標)」という用語は、Eads et al.(1999)Cancer Res.59:2302-2306によって記載されている、当該技術分野において認識されている蛍光ベースのリアルタイムPCR技術を指す。
【0078】
用語「HeavyMethyl(商標)」は、増幅プライマー間のCpG位置を網羅する、または増幅プライマーによって網羅されるメチル化特異的阻害プローブ(本明細書において阻害剤とも称される)が核酸試料のメチル化特異的選択的増幅を可能にするアッセイを指す。
【0079】
「HeavyMethyl(商標)MethyLight(商標)」アッセイという用語は、HeavyMethyl(商標)MethyLight(商標)アッセイを指し、これはMethyLight(商標)アッセイの変形であり、MethyLight(商標)アッセイが、増幅プライマー間のCpG位置をカバーするメチル化特異的ブロッキングプローブと組み合わされる。
【0080】
用語「Ms-SNuPE」(メチル化感受性一塩基プライマー伸長)は、Gonzalgo & Jones(1997)Nucleic Acids Res.25: 2529-2531に記載される当該技術分野で認識されたアッセイを指す。
【0081】
用語「MSP」(メチル化特異的PCR)は、Herman et al. (1996)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:9821-9826により、また米国特許第5,786,146号に記載される当該技術分野で認識されたメチル化アッセイを指す。
【0082】
用語「COBRA」(複合亜硫酸水素塩制限分析)は、Xiong & Laird(1997)Nucleic Acids Res.25:2532-2534に記載される当該技術分野で認識されたメチル化アッセイを指す。
【0083】
用語「MCA」(メチル化CpGアイランド増幅)は、Toyota et al.(1999)Cancer Res. 59: 2307-12及びWO00/26401A1に記載されるメチル化アッセイを指す。
【0084】
本明細書に使用される場合、「選択されたヌクレオチド」は、核酸分子中に典型的に存在する4個のヌクレオチド(DNAについてのC、G、T、及びA、ならびにRNAについてのC、G、U、及びA)のうちの1個のヌクレオチドを指し、典型的に存在するヌクレオチドのメチル化誘導体(例えば、Cが選択されたヌクレオチドであるとき、メチル化されたC及びメチル化されていないCの両方は選択されたヌクレオチドの意味に含まれる)を含むことが可能であるが、メチル化され選択されたヌクレオチドは、メチル化された典型的に存在するヌクレオチドを特異的に指し、メチル化されていない選択されたヌクレオチドは、メチル化されていない典型的に存在するヌクレオチドを特異的に指す。
【0085】
用語「メチル化特異的制限酵素」とは、その認識部位のメチル化状態に依存して核酸を選択的に消化する制限酵素を指す。認識部位がメチル化されていないかまたはヘミメチル化されている場合に特異的に切断する制限酵素(メチル化感受性酵素)では、切断は、認識部位が一方または両方の鎖でメチル化されている場合には行われない(または大幅に低い効率で行われる)。認識部位がメチル化されている場合にのみ特異的に切断する制限酵素(メチル化依存型酵素)では、切断は、認識部位がメチル化されていない場合には行われない(または大幅に低い効率で行われる)。好ましくは、メチル化特異的制限酵素であり、この酵素の認識配列は、CGジヌクレオチドを含む(例えば、CGCGまたはCCCGGGなどの認識配列)。いくつかの実施形態にさらに好ましいのは、このジヌクレオチド中のシトシンが炭素原子C5でメチル化される場合には切断しない制限酵素である。
【0086】
本明細書に使用される場合、特定のマーカー(または併用されるマーカーのセット)の「感度」は、新生物と非新生物試料を区別する閾値を上回るDNAメチル化値を報告する試料のパーセンテージを指す。いくつかの実施形態において、陽性は、閾値(例えば、疾患と関連する範囲)を上回るDNAメチル化値を報告する組織学的に確認された新生物として定義され、偽陰性は、閾値(例えば、非疾患と関連する範囲)を下回るDNAメチル化値を報告する組織学的に確認された新生物として定義される。したがって、感度の値は、既知の罹患試料から得られた所与のマーカーのDNAメチル化測定値が、疾患関連測定値の範囲内にあるであろう確率を反映する。本明細書で定義される場合、算出された感度値の臨床的関連性は、所与のマーカーが臨床状態を有する対象に適用される場合、その臨床状態の存在を検出する確率の推定を表す。
【0087】
本明細書に使用される場合、特定のマーカー(または併用されるマーカーのセット)の「特異性」とは、腫瘍と非腫瘍試料を区別する閾値を下回るDNAメチル化値を報告する非腫瘍試料のパーセンテージを指す。いくつかの実施形態では、陰性は、閾値未満のDNAメチル化値(例えば、疾患と関連しない範囲)を報告する組織学的に確認された非腫瘍性試料として定義され、偽陽性は、閾値を超えるDNAメチル化値(例えば、疾患と関連する範囲)を報告する組織学的に確認された非腫瘍性試料として定義される。したがって、特異性の値は、既知の非腫瘍性試料から得られた所与のマーカーのDNAメチル化測定値が、非疾患関連測定値の範囲内にあるであろう確率を反映する。本明細書で定義される場合、算出された特異性値の臨床的関連性は、所与のマーカーが臨床状態を有しない患者に適用される場合、その臨床状態の欠如を検出する確率の推定を表す。
【0088】
本明細書で使用される「AUC」という用語は、「曲線下面積」の略語である。特に、AUCは、受信者動作特性(ROC)曲線下面積を指す。ROC曲線は、診断検査の異なる可能性があるカットポイントについての偽陽性率に対する真陽性率のプロットである。ROC曲線は、選択されたカットポイントに応じた感度と特異性との間のトレードオフを示す(感度のあらゆる上昇は、特異性の低下を伴うことになる)。ROC曲線下面積(AUC)は、診断試験の精度の尺度である(面積が大きいほどより良好であり、1が最適であり、ランダム試験は対角線上に位置するROC曲線を有し、面積は0.5である。参照:J.P.Egan.(1975)Signal Detection Theory and ROC Analysis,Academic Press,New York)。
【0089】
本明細書で使用される「腫瘍」という用語は、組織のあらゆる新たな異常な増殖を指す。したがって、腫瘍は前がん状態の腫瘍または悪性腫瘍であり得る。
【0090】
本明細書で使用される「腫瘍特異的マーカー」という用語は、腫瘍の存在を示すために使用できる任意の生体物質または要素を指す。生体物質の例は、核酸、ポリペプチド、炭水化物、脂肪酸、細胞成分(例えば、細胞膜及びミトコンドリア)、ならびに全細胞を含むが、これらに限定されない。場合によっては、マーカーは、特定の核酸領域(例えば、遺伝子、遺伝子内領域、特定の遺伝子座など)である。マーカーである核酸の領域は、例えば、「マーカー遺伝子」、「マーカー領域」、「マーカー配列」、「マーカー遺伝子座」などと称される場合がある。
【0091】
本明細書に使用される場合、用語「腺腫」は、腺起源の良性腫瘍を指す。これらの増殖は良性であるが、経時的にそれらは進行して悪性となるおそれがある。
【0092】
用語「前がん性」または「前腫瘍性」及びそれらの同等表現は、悪性形質転換を起こしているいずれかの細胞増殖性疾患を指す。
【0093】
腫瘍、腺腫、がんなどの「部位」は、腫瘍、腺腫、がんなどが位置している対象中の組織、器官、細胞型、解剖学的領域、身体部位などである。
【0094】
本明細書に使用される場合、「診断」検査の適用は、対象の疾患状態または状況の検出または同定を含み、対象が所与の疾患または状態を罹患する尤度を決定すること、疾患または状態を有する対象が治療に応答する尤度を決定すること、疾患または状態を有する対象の予後(またはその進行もしくは退行の可能性)を決定すること、及び疾患または状態を有する対象についての処置の効果を決定することを含む。例えば、診断は、新生物を罹患する被検体の存在もしくは尤度、またはこのような被検体が化合物(例えば、医薬品、例えば、薬物)もしくは他の処置に順調に応答する尤度を検出するために使用されることが可能である。
【0095】
用語「単離された」は、「単離されたオリゴヌクレオチド」のように、核酸に関して使用されるときに、その天然の供給源に通常関連付けられる少なくとも1つの混入物の核酸から特定され、分離される核酸配列を指す。単離された核酸は、それが天然にみられる形態または状況にあるものと異なる形態または状況に存在する。対照的に、DNA及びRNAなどの単離されていない核酸は、それらが天然に存在する状態で見出される。単離されていない核酸の例としては、隣接する遺伝子に近接する宿主細胞染色体上で見出される所与のDNA配列(例えば、遺伝子)、RNA配列、例えば、多数のタンパク質をコードする多数の他のmRNAとの混合物として細胞中に見出される、特定のタンパク質をコードする特定のmRNA配列などが挙げられる。しかしながら、特定のタンパク質をコードする単離された核酸は、タンパク質を通常発現細胞中の核酸などの例として含み、そこで核酸は、天然細胞のものと異なる染色体位置にある、またはその他の点で天然に見出されるものと異なる核酸配列と隣接している。単離された核酸またはオリゴヌクレオチドは、一本鎖であっても二本鎖であってもよい。単離された核酸またはオリゴヌクレオチドがタンパク質を発現するために利用される場合、このオリゴヌクレオチドは、センス鎖またはコード鎖を最低限含む(すなわち、オリゴヌクレオチドは一本鎖であってよい)が、センス鎖及びアンチセンス鎖の両方を含んでもよい(すなわち、オリゴヌクレオチドは二本鎖であってもよい)。単離された核酸は、その天然の、または通常の環境からの単離後、他の核酸または分子と組み合わされ得る。例えば、単離された核酸は、例えば異種発現のために入れられた宿主細胞中に存在する場合もある。
【0096】
「精製された」という用語は、核酸またはアミノ酸配列のいずれかの分子であって、これらの天然環境から除去されたか、単離されたか、または分離された分子を指す。したがって「単離された核酸配列」は、精製された核酸配列であることができる。「実質的に精製された」分子は、それらが自然に付随している他の成分を少なくとも60%含まず、好ましくは少なくとも75%含まず、より好ましくは少なくとも90%含まない。本明細書に使用される場合、用語「精製された」または「精製する」は、試料からの混入物の除去をも指す。混入するタンパク質の除去は、試料中の対象となるポリペプチドまたは核酸のパーセントにおける上昇をもたらす。別の例において、組換えポリペプチドを植物、細菌、酵母、または哺乳類の宿主細胞中で発現し、これらのポリペプチドを宿主細胞タンパク質の除去によって精製することにより、組換えポリペプチドのパーセントを試料中で上昇させる。
【0097】
所与のポリヌクレオチド配列またはポリペプチド「を含む組成物」という用語は、所与のポリヌクレオチド配列またはポリペプチドを含むいずれかの組成物を広く指す。組成物は、塩(例えば、NaCl)、界面活性剤(例えば、SDS)、及び他の成分(例えば、デンハルト液、粉乳、サケ精子DNAなど)を含有する水溶液を含み得る。
【0098】
用語「試料」は、その最も広義に使用される。ある意味において、それは、動物細胞または組織を指すことが可能である。別の意味では、それは、任意の供給源から得られた標本または培養物、ならびに生体サンプル及び環境サンプルを指す。生物学的試料は、植物または動物(ヒトを含む)から得られ、流体、固体、組織、及び気体含むことができる。環境試料は、表面物質、土壌、水、及び工業用試料などの環境物質を含む。これらの例は、本発明に適用可能な試料のタイプを限定すると解釈されるべきではない。
【0099】
本明細書に使用される場合、いくつかの文脈において使用されるような「遠隔試料」は、細胞、組織、または器官の試料供給源ではない部位から間接的に採取される試料を指す。例えば、糞便試料中の子宮頸部に由来する試料物質を評価する場合、この試料は、遠隔試料である。
【0100】
本明細書に使用される場合、用語「患者」または「対象」は、本技術によって提供されるさまざまな検査の対象となる生物を指す。「対象」という用語は、動物、好ましくはヒトを含む哺乳動物を含む。好ましい実施形態では、対象は霊長類である。より一層好ましい実施形態では、対象はヒトである。さらに診断方法に関して、好ましい対象は、脊椎動物対象である。好ましい脊椎動物は温血であり、好ましい温血脊椎動物は哺乳動物である。好ましい哺乳動物は、最も好ましくはヒトである。本明細書に使用される場合、用語「対象」は、ヒト及び動物対象の両方を含む。したがって、獣医学的な治療的使用が本明細書で提供される。このようなものとして、本発明の技術は、ヒトなどの哺乳類、及びアムールトラなどの絶滅の危機に瀕しているために重要な、ヒトによる消費のために農場で育てられる動物などの経済的に重要なこれらの哺乳類、及び/またはペットとして、または動物園に飼われている動物など、ヒトにとって社会的に重要な動物の診断のために提供される。これらのような動物の例は、ネコ及びイヌなどの肉食動物;ブタ(pig)、ブタ(hog)、及びイノシシを含むブタ(swine);ウシ、雄ウシ、ヒツジ、キリン、シカ、ヤギ、バイソン、及びラクダなどの反芻動物及び/または有蹄動物;鰭脚類;ならびにウマを含むが、これらに限定されない。したがって、また提供されるのは、家畜化されたブタ、反芻動物、有蹄動物、ウマ(競走馬を含む)、及び同様のものを含むが、これらに限定されない、家畜の診断及び処置である。本明細書に開示される主題には、対象の子宮頸癌、子宮頸癌のサブタイプ(例えば、子宮頸部腺癌、子宮頸部扁平上皮癌)、及び/または子宮頸癌前癌(例えば、子宮頸部関連上皮内腺癌、子宮頸部上皮内腫瘍)を診断するためのシステムがさらに含まれる。このシステムは、生体試料が採取された対象における子宮頸癌、子宮頸癌のサブタイプ(例えば、子宮頸部腺癌、子宮頸部扁平上皮癌)、及び/または子宮頸癌前癌(例えば、子宮頸部関連上皮内腺癌、子宮頸部上皮内腫瘍)のリスクをスクリーニングするために、または子宮頸癌、子宮頸癌サブタイプ、及び/または子宮頸癌前癌を診断するために使用することができる市販のキットとして提供することができる。本技術に従って提供される例示的なシステムは、本明細書に記載のマーカーのメチル化状態を評価することを含む。
【0101】
本明細書で使用される、用語「キット」は、材料を送達するための任意の送達システムを指す。反応アッセイの文脈において、それらのような送達システムは、ある場所から別の場所への反応試薬(例えば、適切な容器中のオリゴヌクレオチド、酵素など)及び/または支持材料(例えば、緩衝液、アッセイを行うための書面による説明書など)の保管、輸送、または送達を可能にするシステムを含む。例えば、キットは、関連する反応試薬及び/または支持材料を収容する1つ以上の密封部材(例えば、箱)を含む。本明細書で使用される、用語「断片化キット」は、各々が全キット構成要素の副次的部分を収容する2つ以上の別個の容器を含む送達システムを指す。容器は、一緒にまたは別個に意図されるレシピエントに送達されることができる。例えば、第1の容器は、アッセイで使用するための酵素を含有し得、一方で第2の容器は、オリゴヌクレオチドを含有する。用語「断片化キット」は、連邦食品医薬品化粧品法のセクション520(e)により規定される、分析物特定試薬(ASR)を含むキットを包含することが意図されるが、これらに限定されない。実際に、各々がキット全体の構成要素の一部分を収容する2つ以上の別個の容器を備える任意の送達システムは、「断片化キット」という用語に含まれる。対照的に、「複合キット」は、反応アッセイの全ての構成要素を単一容器中に(例えば、所望の構成要素の各々を収容する単一の箱中に)含有する送達システムを指す。用語「キット」は、断片化及び複合キットの両方を含む。
【0102】
本明細書で使用される場合、「情報」という用語は、事実またはデータの任意の集合を指す。限定されないが、インターネットを含むコンピュータシステム(複数可)を使用して記憶または処理される情報に関して、この用語は、任意のフォーマット(例えば、アナログ、デジタル、光学など)で記憶される任意のデータを指す。本明細書で使用される場合、「対象に関する情報」という用語は、対象(例えば、ヒト、植物、または動物)に関する事実またはデータを指す。「ゲノム情報」という用語は、核酸配列、遺伝子、メチル化率、対立遺伝子頻度、RNA発現レベル、タンパク質発現、遺伝子型に相関する表現型などを含むがこれらに限定されない、ゲノムに関する情報を指す。「対立遺伝子頻度情報」は、対立遺伝子の同一性、対立遺伝子の存在と対象(例えば、ヒト対象)の特徴との間の統計的相関、個体または集団における対立遺伝子の存在または非存在、1つ以上の特定の特徴を有する個体に存在する対立遺伝子の可能性のパーセンテージなどを含むが、これらに限定されない、対立遺伝子頻度に関する事実またはデータを指す。
【0103】
本明細書では、子宮頸癌をスクリーニングするための技術、詳細にはこれらに限定されるものではないが、生体試料(例えば、組織試料(例えば、子宮頸部試料)、血液試料、血漿試料、血清試料、全血試料、分泌物試料(例えば、子宮頸部分泌物、膣分泌物)、臓器分泌物試料、CSF試料、唾液試料、尿試料、及び便試料)から、子宮頸癌及び/または特定の形態の子宮頸癌(例えば、子宮頸部腺癌、子宮頸部扁平上皮癌、子宮頸部関連上皮内腺癌、子宮頸部上皮内腫瘍)の存在を検出するための、または子宮頸癌を他の種類の婦人科癌(例えば、子宮内膜癌、及び卵巣癌)から判別するための方法、組成物、及び/または関連する使用を提供する。
【0104】
実際、実施例I及びIIに記載されるように、本発明の実施形態を特定する過程で行われた実験によって、子宮頸部の癌由来のDNAを非腫瘍性のコントロールDNAから判別するための、また、子宮頸癌組織を子宮内膜癌及び卵巣癌から判別するための新規なメチル化可変領域(DMR)群が特定された。このような実験では、子宮頸癌、子宮頸癌サブタイプ、及び子宮頸癌前癌組織を良性の子宮頸部組織から判別する(表I~IV、VI~VIII、実施例Iを参照)、また、子宮頸癌を他の種類の婦人科癌(子宮内膜癌、卵巣癌など)から、また、子宮頸癌組織を子宮内膜癌及び卵巣癌組織から判別するための(表XI及びXII、実施例IIを参照)423個の新規DNAメチル化マーカーを列挙して説明している。
【0105】
特定の態様では、本技術は、子宮頸癌、子宮頸癌のサブタイプ(例えば、子宮頸部腺癌、子宮頸部扁平上皮癌)、及び/または子宮頸癌前癌(例えば、子宮頸部関連上皮内腺癌、子宮頸部上皮内腫瘍)などのがんを特定、判定、及び/または分類するための組成物及び方法を提供する。本方法は、対象から単離された生体試料(例えば、組織試料(例えば、子宮頸部組織)、血液試料、血漿試料、血清試料、全血試料、分泌物試料(例えば、子宮頸部分泌物、膣分泌物)、臓器分泌物試料、CSF試料、唾液試料、尿試料、または便試料)中の少なくとも1つのメチル化マーカーのメチル化状態を決定することを含み、マーカーのメチル化状態の変化は、子宮頸癌、子宮頸癌のサブタイプ(例えば、子宮頸部腺癌、子宮頸部扁平上皮癌)、及び/または子宮頸癌前癌(例えば、子宮頸部関連上皮内腺癌、子宮頸部上皮内腫瘍)の存在、クラス、または部位を示す。特定の実施形態は、子宮頸癌、子宮頸癌のサブタイプ、及び/または子宮頸前癌を診断(例えば、スクリーニング)するため、または子宮頸癌を他の種類の婦人科癌(例えば、子宮内膜癌及び卵巣癌)から判別するために使用されるメチル化可変領域(DMR、例えば、DMR1~423、表I、III、及びXを参照)を含むマーカーに関する。
【0106】
本技術の特定の実施形態では、以下のステップ、すなわち、
1)対象から得られた生体試料(例えば、組織試料(例えば、子宮頸部試料)、血液試料、血漿試料、血清試料、全血試料、分泌物試料(例えば、子宮頸部分泌物、膣分泌物)、臓器分泌物試料、CSF試料、唾液試料、尿試料、または便試料)中の核酸(例えば、ゲノムDNA)を、1つ以上のメチル化マーカー内のメチル化されたジヌクレオチド(例えば、CpGジヌクレオチド)と非メチル化ジヌクレオチドとを区別する少なくとも1つの試薬または一連の試薬と接触させるステップと、
2)子宮頸癌、子宮頸癌のサブタイプ(例えば、子宮頸部腺癌、子宮頸部扁平上皮癌)、子宮頸癌前癌(例えば、子宮頸部関連上皮内腺癌、子宮頸部上皮内腫瘍)を検出するか、または子宮頸癌を他の種類の婦人科癌(例えば、子宮内膜癌及び卵巣癌)から判別する(例えば、80%以上の感度及び80%以上の特異性が与えられる)ステップと、を含む方法が提供される。
【0107】
本技術の特定の実施形態では、以下のステップ、すなわち、
1)ヒト個体の生体試料(例えば、組織試料(例えば、子宮頸部試料)、血液試料、血漿試料、血清試料、全血試料、分泌物試料(例えば、子宮頸部分泌物、膣分泌物)、臓器分泌物試料、CSF試料、唾液試料、尿試料、または便試料)中の1つ以上の遺伝子またはメチル化マーカーのメチル化レベルを、メチル化特異的な形でDNAを修飾する試薬で前記生体試料中のゲノムDNAを処理することにより測定するステップと、
2)前記選択された1つ以上の遺伝子またはメチル化されたマーカーに対するプライマーのセットを使用して、前記処理されたゲノムDNAを増幅するステップと、
3)前記1つ以上の遺伝子またはメチル化されたマーカーのメチル化レベルを決定するステップと、を含む方法が提供される。
【0108】
本技術の特定の実施形態では、以下のステップ、すなわち、
1)生体試料(例えば、組織試料(例えば、子宮頸部試料)、血液試料、血漿試料、血清試料、全血試料、分泌物試料(例えば、子宮頸部分泌物、膣分泌物)、臓器分泌物試料、CSF試料、唾液試料、尿試料、または便試料)由来のDNA中の1つ以上のメチル化されたマーカー遺伝子の量を測定するステップと、
2)前記DNA中の少なくとも1つの参照マーカーの量を測定するステップと、
3)前記DNA中で測定された前記少なくとも1つのメチル化されたマーカー遺伝子の量の値を、前記DNA中で測定された前記参照マーカー遺伝子の量のパーセンテージとして計算するステップであって、前記値が、前記生体試料中で測定された前記少なくとも1つのメチル化マーカーDNAの量を示す、前記ステップと、を含む方法が提供される。
【0109】
本技術の特定の実施形態では、以下のステップ、すなわち、
1)ヒト個体の生体試料(例えば、組織試料(例えば、子宮頸部試料)、血液試料、血漿試料、血清試料、全血試料、分泌物試料(例えば、子宮頸部分泌物、膣分泌物)、臓器分泌物試料、CSF試料、唾液試料、尿試料、または便試料)中の1つ以上の遺伝子のCpG部位のメチル化レベルを、メチル化特異的な形でDNAを修飾することができる試薬である亜硫酸水素塩で前記生体試料中のゲノムDNAを処理することにより測定するステップと、
2)前記選択された1つ以上の遺伝子に対するプライマーのセットを使用して、前記修飾されたゲノムDNAを増幅するステップと、
3)前記選択された1つ以上の遺伝子の前記CpG部位のメチル化レベルを決定するステップと、を含む方法が提供される。
【0110】
特定の実施形態では、本技術は、生体試料を特徴付けるための方法であって、
(a)ヒト個体の生体試料(例えば、組織試料(例えば、子宮頸部試料)、血液試料、血漿試料、血清試料、全血試料、分泌物試料(例えば、子宮頸部分泌物、膣分泌物)、臓器分泌物試料、CSF試料、唾液試料、尿試料、または便試料)中の1つ以上の遺伝子のCpG部位のメチル化レベルを、亜硫酸水素塩で前記生体試料中のゲノムDNAを処理することにより測定することとと、前記CpG部位のメチル化レベルを決定することと、
(b)前記1つ以上の遺伝子のメチル化レベルを、子宮頸癌のないコントロール試料中の対応する遺伝子のセットのメチル化レベルと比較することと、
(c)前記1つ以上の遺伝子で測定されたメチル化レベルが、前記それぞれのコントロール試料中で測定されたメチル化レベルよりも高い場合に、前記個体が、子宮頸癌、子宮頸癌のサブタイプ(例えば、子宮頸部腺癌、子宮頸部扁平上皮癌)、及び/または子宮頸癌前癌(例えば、子宮頸部関連上皮内腺癌、子宮頸部上皮内腫瘍)を有すると判定することと、を含む、前記方法を提供する。
【0111】
特定の実施形態では、本技術は、生体試料中の子宮頸癌を他の種類の婦人科癌(例えば、子宮内膜癌及び卵巣癌)から判別するための方法であって、
(a)ヒト個体の生体試料(例えば、組織試料(例えば、子宮頸部試料)、血液試料、血漿試料、血清試料、全血試料、分泌物試料(例えば、子宮頸部分泌物、膣分泌物)、臓器分泌物試料、CSF試料、唾液試料、尿試料、または便試料)中の1つ以上の遺伝子のCpG部位のメチル化レベルを、亜硫酸水素塩で前記生体試料中のゲノムDNAを処理することにより測定することとと、前記CpG部位のメチル化レベルを決定することと、
(b)前記1つ以上の遺伝子の前記メチル化レベルを、子宮内膜癌試料及び/または卵巣癌試料中の対応する遺伝子のセットのメチル化レベルと比較することと、
(c)前記1つ以上の遺伝子中で測定されたメチル化レベルが前記それぞれの子宮内膜癌試料及び/または卵巣癌試料中で測定されたメチル化レベルよりも高い場合に、前記個体が子宮頸癌を有すると判定すること、を含む、前記方法を提供する。
【0112】
特定の実施形態では、本技術は、対象から得られた生体試料(例えば、組織試料(例えば、子宮頸部試料)、血液試料、血漿試料、血清試料、全血試料、分泌物試料(例えば、子宮頸部分泌物、膣分泌物)、臓器分泌物試料、CSF試料、唾液試料、尿試料、または便試料)中の子宮頸癌、子宮頸癌のサブタイプ(例えば、子宮頸部腺癌、子宮頸部扁平上皮癌)、及び/または子宮頸癌前癌(例えば、子宮頸部関連上皮内腺癌、子宮頸部上皮内腫瘍)をスクリーニングする方法であって、
1)1つ以上のDNAメチル化マーカーのメチル化状態をアッセイすることと、
2)前記マーカーの前記メチル化状態が、子宮頸癌を有さない対象でアッセイされた前記マーカーのメチル化状態と異なる場合に、前記対象を、子宮頸癌、子宮頸癌のサブタイプ(例えば、子宮頸部腺癌、子宮頸部扁平上皮癌)、及び/または子宮頸癌前癌(例えば、子宮頸部関連上皮内腺癌、子宮頸部上皮内腫瘍)を有するものとして特定することと、を含む、前記方法を提供する。
【0113】
特定の実施形態では、本技術は、生体試料(例えば、組織試料(例えば、子宮頸部試料)、血液試料、血漿試料、血清試料、全血試料、分泌物試料(例えば、子宮頸部分泌物、膣分泌物)、臓器分泌物試料、CSF試料、唾液試料、尿試料、または便試料)を特徴付けるための方法であって、前記生体試料から抽出されたDNA中の1つ以上のメチル化されたマーカーの量を測定することと、前記生体試料中のゲノムDNAを亜硫酸水素塩で処理することと、前記亜硫酸水素塩処理されたゲノムDNAを、各マーカー遺伝子のCpG部位に対して特異的なプライマーを使用して増幅することであって、前記各マーカー遺伝子に対して特異的な前記プライマーが、前記マーカー遺伝子に対するプライマー配列(例えば、表V及び/またはXIIに記載されるプライマー)が結合するアンプリコンに結合することができ、前記マーカー遺伝子に対する前記プライマー配列が結合する前記アンプリコンが、表I、III、及び/またはXに記載される前記メチル化されたマーカー遺伝子の遺伝子領域の少なくとも一部である、前記増幅することと、1つ以上の遺伝子の前記CpG部位の前記メチル化レベルを決定することと、を含む、前記方法を提供する。
【0114】
特定の実施形態では、本技術は、生体試料(例えば、組織試料(例えば、子宮頸部試料)、血液試料、血漿試料、血清試料、全血試料、分泌物試料(例えば、子宮頸部分泌物、膣分泌物)、臓器分泌物試料、CSF試料、唾液試料、尿試料、または便試料)から抽出されたDNA中の1つ以上のメチル化されたマーカー遺伝子のメチル化レベルを、がんを有することが疑われるかまたはがんを有するヒト個体の生体試料からゲノムDNAを抽出することにより測定することと、前記抽出されたゲノムDNAを亜硫酸水素塩で処理することと、前記亜硫酸水素塩処理されたゲノムDNAを前記1つ以上の遺伝子に対して特異的なプライマーで増幅することであって、前記1つ以上の遺伝子に対して特異的なプライマーが、表I、III、及びXに記載される前記マーカーの染色体領域において前記亜硫酸水素塩処理されたゲノムDNAの少なくとも一部に結合することができる、前記増幅することと、1つ以上のメチル化されたマーカー遺伝子のメチル化レベルを測定することと、を含む方法を提供する。
【0115】
特定の実施形態では、本技術は、1つ以上の染色体異常に関与する1つ以上の遺伝子座を分析するうえで有用なDNA画分を、ヒト個体の生体試料(例えば、組織試料(例えば、子宮頸部試料)、血液試料、血漿試料、血清試料、全血試料、分泌物試料(例えば、子宮頸部分泌物、膣分泌物)、臓器分泌物試料、CSF試料、唾液試料、尿試料、または便試料)から調製するための方法であって、
(a)ヒト個体の生体試料からゲノムDNAを抽出することと、
(b)
(i)前記抽出されたゲノムDNAを、メチル化特異的な形でDNAを修飾する試薬で処理することと、
(ii)1つ以上のメチル化マーカーに対して特異的な別々のプライマーを使用して前記亜硫酸水素塩処理されたゲノムDNAを増幅することと、
によって、前記抽出されたゲノムDNAの画分を生成することと、
(c)前記1つ以上のメチル化マーカーのそれぞれの前記CpG部位のメチル化レベルを測定することによって、前記抽出されたゲノムDNAの前記生成された画分中の1つ以上の遺伝子座を分析することと、を含む、前記方法を提供する。
【0116】
特定の実施形態では、本技術は、1つ以上の染色体異常に関与する1つ以上のDNAフラグメントを分析するうえで有用なDNA画分を、ヒト個体の生体試料(例えば、組織試料(例えば、子宮頸部試料)、血液試料、血漿試料、血清試料、全血試料、分泌物試料(例えば、子宮頸部分泌物、膣分泌物)、臓器分泌物試料、CSF試料、唾液試料、尿試料、または便試料)から調製するための方法であって、
(a)ヒト個体の生体試料からゲノムDNAを抽出することと、
(b)
(i)前記抽出されたゲノムDNAを、メチル化特異的な形でDNAを修飾する試薬で処理することと、
(ii)1つ以上のメチル化マーカーに対して特異的な別々のプライマーを使用して前記亜硫酸水素塩処理されたゲノムDNAを増幅することと、
によって、前記抽出されたゲノムDNAの画分を生成することと、
(c)前記1つ以上のメチル化マーカーのそれぞれの前記CpG部位のメチル化レベルを測定することによって、前記抽出されたゲノムDNAの前記生成された画分中の1つ以上のDNAフラグメントを分析することと、を含む、前記方法を提供する。
【0117】
好ましくは、そのような方法の感度は、約70%~約100%、または約80%~約90%、または約80%~約85%である。好ましくは、特異性は、約70%~約100%、または約80%~約90%、または約80%~約85%である。
【0118】
このような方法は、特定のメチル化マーカー、メチル化マーカー遺伝子、遺伝子、DMR、及び/またはDNAメチル化マーカーに限定されない。いくつかの実施形態では、1つ以上のメチル化マーカー、メチル化マーカー遺伝子、遺伝子、DMR、及び/またはDNAメチル化マーカーは、表I、III、及びXに示されるDMR1~423からなる群から選択されるDMR中の塩基を含む。
【0119】
いくつかの実施形態では、1つ以上のメチル化マーカー、メチル化マーカー遺伝子、遺伝子、DMR、及び/またはDNAメチル化マーカーは、表I及び/またはIIIから選択される。
【0120】
いくつかの実施形態では、1つ以上のメチル化マーカー、メチル化マーカー遺伝子、遺伝子、DMR、及び/またはDNAメチル化マーカーは、MAX.chr6.58147682-58147771、C1ORF114、ASCL1、ARHGAP12、ZNF773、TTYH1、NEUROG3、ZNF781、NXPH1、MAX.chr9.36739811-36739868、NID2、TMEM200C、CRHR2、ABCB1、ZNF69、ATP10A、MAX.chr18.73167725-73167817、MAX.chr2.127783183-127783403、CACNA1C、ZNF382、BARHL1、MAX.chr4.8859853-8859939、ST8SIA1、MAX.chr1.98510958-98511049、C2ORF40、SLC9A3、PRDM12、HOPX_C、及びKCNQ5(実施例I)から選択される。
【0121】
いくつかの実施形態では、1つ以上のメチル化マーカー、メチル化マーカー遺伝子、遺伝子、DMR、及び/またはDNAメチル化マーカーは、C1orf114、MAX.chr6.58147682-58147771、ZNF773、NEUROG3、ASCL1、NID2、ZNF781、CRHR2、及びMAX.chr9.36739811-36739868(表VI及び実施例Iを参照)から選択される。
【0122】
いくつかの実施形態では、1つ以上のメチル化マーカー、メチル化マーカー遺伝子、遺伝子、DMR、及び/またはDNAメチル化マーカーは、ABCB1、ARHGAP12、ASCL1、BARHL1、C1orf114、C2orf40、CACNA1C、CRHR2、HOPX_C、KCNQ5、MAX.chr1.98510968-98511049、MAX.chr18.73167751-73167791、MAX.chr2.127783183-127783403、MAX.chr4.8859853-8859939、MAX.chr6.58147682-58147771、MAX.chr9.36739811-36739868、NEUROG3、NID2、NXPH1、PRDM12、SLC9A3、TMEM200C、TTYH1、ZNF382、ZNF773、及びZNF781(表VII、実施例I)から選択される。
【0123】
いくつかの実施形態では、1つ以上のメチル化マーカー、メチル化マーカー遺伝子、遺伝子、DMR、及び/またはDNAメチル化マーカーは、ABCB1、c1orf95、CACNA1C、CACNG8、CHST2、ELMO1、EMID2、FBN1_B、FLT3_A、FLT3_B、GLIS1、GPC6、GREM2、JAM2、KCNK12_A、LOC100129620、MAX.chr15.78112404-78112692、MAX.chr19.4584907-4585088、MAX.chr3.69591689-69591784、NCAM1、NT5C1A、ST8SIA3、ZNF382、ZNF419、ZNF69、及びZSCAN18 (表VIII、実施例Iを参照)から選択される。
【0124】
いくつかの実施形態では、1つ以上のメチル化マーカー、メチル化マーカー遺伝子、遺伝子、DMR、及び/またはDNAメチル化マーカーは、表Xから選択される。
【0125】
いくつかの実施形態では、1つ以上のメチル化マーカー、メチル化マーカー遺伝子、遺伝子、DMR、及び/またはDNAメチル化マーカーは、AK5、RABC3、ZNF491、ZNF610、ZNF91、ZNF480、TRPC3_B、及びELMOD1(表X及びXI、実施例II)から選択される。
【0126】
このような方法は、特定の試料または生体試料の種類に限定されない。例えば、いくつかの実施形態では、生体試料は、組織試料(例えば、子宮頸部組織)、血液試料、血漿試料、血清試料、全血試料、分泌物試料(例えば、子宮頸部分泌物、膣分泌物)、臓器分泌物試料、CSF試料、唾液試料、尿試料、または便試料である。
【0127】
さまざまながん(例えば、子宮頸癌及び子宮頸癌のサブタイプ)及び前がん(例えば、子宮頸癌前癌)が、例えば、特異性及び予測の感度に関する統計的手法によって特定されるように、マーカーのさまざまな組み合わせによって予測される。本技術は、いくつかのがんに関する予測組み合わせ及び検証された予測組み合わせを同定するための方法をさらに提供する。
【0128】
このような方法は、対象の種類に限定されない。いくつかの実施形態では、対象は哺乳動物である。いくつかの実施形態では、対象はヒトである。
【0129】
このような方法は、1つ以上のメチル化マーカー、メチル化マーカー遺伝子、遺伝子、DMR、及び/またはDNAメチル化マーカーのメチル化の特徴付け、測定、またはアッセイを決定するための特定の方法または技術に限定されない。いくつかの実施形態では、そのような技法は、DMRを含む少なくとも1つのマーカー、マーカーの領域、またはマーカーの塩基のメチル化状態(例えば、CpGのメチル化状態)の分析に基づく。
【0130】
いくつかの実施形態では、試料中のメチルマーカーのメチル化状態を測定することは、1塩基のメチル化状態を決定することを含む。いくつかの実施形態では、試料中のマーカーのメチル化状態を測定することは、複数の塩基におけるメチル化の程度を決定することを含む。さらに、いくつかの実施形態では、マーカーのメチル化状態は、マーカーの正常なメチル化状態に対するマーカーのメチル化の増加を含む。いくつかの実施形態では、マーカーのメチル化状態は、マーカーの正常なメチル化状態に対するマーカーのメチル化の減少を含む。いくつかの実施形態では、マーカーのメチル化状態は、マーカーの正常なメチル化状態と比較したマーカーのメチル化の異なるパターンを含む。
【0131】
さらに、いくつかの実施形態において、このマーカーは、100以下の塩基の1領域である、このマーカーは、500以下の塩基の1領域である、このマーカーは、1000以下の塩基の1領域である、このマーカーは、5000以下の塩基の1領域である、またはいくつかの実施形態において、このマーカーは、1塩基である。いくつかの実施形態において、このマーカーは、高いCpG密度のプロモーター中にある。
【0132】
特定の実施形態では、5-メチルシトシンの存在について核酸を分析する方法は、メチル化特異的な形でDNAを修飾する試薬によるDNAの処理を含む。そのような試薬の例としては、これらに限定されるものではないが、メチル化感受性制限酵素、メチル化依存型制限酵素、亜硫酸水素塩試薬、TET酵素、及びボラン還元剤が挙げられる。
【0133】
5-メチルシトシンの存在について核酸を分析するために頻繁に使用される方法は、DNA中の5ーメチルシトシンの検出(Frommer et al.(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:1827-31、その全体があらゆる目的のために参照より本明細書に明示的に組み込まれる)またはそれらの多様性の検出に関する、Frommer,et al.によって記載されている亜硫酸水素塩法に基づく。5-メチルシトシンをマッピングする亜硫酸水素塩法は、シトシンが亜硫酸水素イオン(亜硫酸水素塩としても知られる)と反応する(ただし5-メチルシトシンは反応しない)という知見に基づく。この反応をつぎのステップに従い通常実施する。第一に、シトシンは、亜硫酸水素塩と反応し、スルホン化されたシトシンを形成する。つぎに、スルホン化反応中間体の自発的脱アミノ化は、スルホン化されたウラシルをもたらす。最後に、スルホン化ウラシルが、アルカリ条件下で脱スルホン化され、ウラシルを形成する。ウラシルがアデニンと塩基対合する(このため、チミンのように挙動する)のに対して、5-メチルシトシンはグアニンと塩基対合する(したがって、シトシンのように挙動する)ことから、検出が可能である。これにより、例えば、亜硫酸水素塩ゲノムシークエンシング(Grigg G,& Clark S,Bioessays (1994) 16:431-36;Grigg G,DNA Seq.(1996)6:189-98)、米国特許第5,786,146号に開示されるようなメチル化特異的PCR(MSP)により、または例えばQuARTSフラップエンドヌクレアーゼアッセイ(例えば、Zou et al.(2010) “Sensitive quantification of methylated markers with a novel methylation specific technology” Clin Chem 56:A199;ならびに米国特許第8,361,720号、同第8,715,937号、同第8,916,344号、及び同第9,212,392号を参照)などの配列特異的切断を含むアッセイを使用して、メチル化シトシンを非メチル化シトシンから判別することが可能となる。
【0134】
いくつかの従来の技術は、アガロースマトリックス中に分析されるDNAを封入することにより、DNAの拡散及び再生を妨げる(亜硫酸水素塩は一本鎖DNAのみと反応する)ことと、沈殿及び精製ステップを高速透析に置き換えることと、を含む方法に関する(Olek A,et al.(1996) “A modified and improved method for bisulfite based cytosine methylation analysis”Nucleic Acids Res.24:5064-6)。したがって、メチル化状況について個々の細胞を分析し、方法の有用性及び感度を示すことが可能である。5-メチルシトシンを検出するための従来の方法の概要は、Rein,T.,et al.(1998)Nucleic Acids Res.26:2255により提供される。
【0135】
亜硫酸水素塩法では、一般的に、亜硫酸水素塩処理に続いて、既知の核酸の短い、特定のフラグメントを増幅し、その後、シーケンシングによる生成物のアッセイ(Olek & Walter(1997)Nat Genet.17:275-6)またはプライマー伸長反応(Gonzalgo & Jones(1997)Nucleic Acids Res.25: 2529-31;WO 95/00669;米国特許第6,251,594)を行って個々のシトシン位置を分析する。いくつかの方法は、酵素消化を使用する(Xiong & Laird(1997)Nucleic Acids Res.25:2532-4)。またハイブリダイゼーションによる検出は、当該技術分野において記載されている(Olek et al., WO99/28498)。さらに、個々の遺伝子に関するメチル化検出のための亜硫酸水素塩技術の使用が記載されている(Grigg & Clark(1994)Bioessays 16:431-6;Zeschnigk et al.(1997)Hum Mol Genet.6:387-95;Feil et al.(1994)Nucleic Acids Res.22: 695;Martin et al.(1995)Gene 157:261-4;WO9746705;WO9515373)。
【0136】
さまざまなメチル化アッセイ手法を、本発明の技術に従う亜硫酸水素塩処理と併用することができる。これらのアッセイは、核酸配列内の1つの、または複数のCpGジヌクレオチド(例えば、CpGアイランド)のメチル化状態の決定を可能にする。このようなアッセイは、他の技法の中でも、亜硫酸水素塩処理された核酸のシーケンシング、PCR(配列特異的増幅のため)、サザンブロット分析、及びメチル化特異的酵素、例えば、メチル化感受性またはメチル化依存型酵素の使用を伴う。
【0137】
例えば、ゲノムシーケンシングは、亜硫酸水素塩処置を使用することによって、メチル化パターン及び5ーメチルシトシン分布の分析のために単純化されている(Frommer et al.(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:1827-1831)。さらに、亜硫酸水素塩変換されたDNAから増幅されたPCR産物の制限酵素消化を、例えば、Sadri & Hornsby (1997)Nucl.Acids Res.24:5058-5059に記載されるように、またはCOBRA(Combined Bisulfite Restriction Analysis)(Xiong & Laird (1997)Nucleic Acids Res.25:2532-2534)として知られる方法で実現されているように、メチル化状態の評価に使用することができる。
【0138】
COBRA(商標)分析は、少量のゲノムDNA中の特異的遺伝子座にDNAメチル化レベルを決定するために有用な定量的メチル化アッセイである(Xiong & Laird,Nucleic Acids Res.25:2532-2534,1997)。簡潔に、制限酵素消化を使用して、亜硫酸水素ナトリウムに処置されたDNAのPCR生成物におけるメチル化依存性配列の差異を明らかにする。メチル化依存性配列の差異は、Frommer et al.(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:1827-1831,1992)により記載される手法に従い標準亜硫酸水素塩処置によってゲノムDNAに最初に導入される。対象となるCpGアイランドに特異的なプライマーを使用して、つぎに亜硫酸水素塩に変換されるDNAのPCR増幅を実施した後に、制限エンドヌクレアーゼ消化、ゲル電気泳動法、及び特異的にラベル付けされたハイブリダイゼーションプローブを伴う。元のDNA試料中のメチル化レベルは、DNAメチル化レベルの広範囲にわたる直線的な定量手法で、消化されたPCR産物及び未消化のPCR産物の相対量によって表される。加えて、この手法は、顕微解剖されたパラフィンに包埋された組織試料から得られるDNAに確実に適用されることが可能である。
【0139】
COBRA(商標)分析用の一般的な試薬(例えば、一般的なCOBRA(商標)ベースのキットにみられるような)としては、これらに限定されるものではないが、特異的遺伝子座(例えば、特異的遺伝子、マーカー、DMR、遺伝子領域、マーカー領域、亜硫酸水素塩処理されたDNA配列、CpGアイランドなど)についてのPCRプライマー;制限酵素及び適切な緩衝液;遺伝子ハイブリダイゼーションオリゴヌクレオチド;コントロールハイブリダイゼーションオリゴヌクレオチド;オリゴヌクレオチドプローブ用のキナーゼラベル付けキット;及びラベル付けヌクレオチドが挙げられる。さらに、亜硫酸水素塩変換試薬は、DNA変性緩衝液;スルホン化緩衝液;DNA回復試薬またはキット(例えば、沈殿、限外ろ過、親和性カラム);脱スルホン化緩衝液;及びDNA回復成分を含むことができる。
【0140】
「MethyLight(商標)」(蛍光ベースのリアルタイムPCR 技術)(Eads et al.,Cancer Res.59:2302-2306,1999)、Ms-SNuPE(商標)(メチル化感受性単一ヌクレオチドプライマー伸長)反応(Gonzalgo & Jones,Nucleic Acids Res.25:2529-2531,1997)、メチル化特異的PCR(「MSP」;Herman et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:9821-9826,1996;米国特許第5,786,146号)及びメチル化CpGアイランド増幅(「MCA」;Toyota et al.,Cancer Res.59:2307-12,1999)などのアッセイが、単独で、またはこれらの方法の1つ以上と組み合わせて使用される。
【0141】
「HeavyMethyl(商標)」アッセイ、技法は、亜硫酸水素塩に処置されたDNAのメチル化特異性増幅に基づきメチル化の差異を評価する定量的な方法である。増幅プライマー間のCpG位置をカバーする、または増幅プライマーによりカバーされるメチル化特異的阻害プローブ(「阻害剤」)は、拡散試料のメチル化特異的選択的増幅を可能にする。
【0142】
「HeavyMethyl(商標)MethyLight(商標)」アッセイという用語は、HeavyMethyl(商標)MethyLight(商標)アッセイを指し、これはMethyLight(商標)アッセイの変形であり、MethyLight(商標)アッセイが、増幅プライマー間のCpG位置をカバーするメチル化特異的ブロッキングプローブと組み合わされる。HeavyMethyl(商標)アッセイはまた、メチル化特異的増幅プライマーと組み合わせて使用することができる。
【0143】
HeavyMethyl(商標)分析用の典型的な試薬(例えば、典型的なMethyLight(商標)ベースのキットに見られるような)としては、これらに限定されるものではないが、特定の遺伝子座(例えば、特定の遺伝子、マーカー、遺伝子領域、マーカー領域、亜硫酸水素塩処理されたDNA配列、CpGアイランド、または亜硫酸水素塩処理されたDNA配列もしくはCpGアイランドなど)に対するPCRプライマー;ブロッキングオリゴヌクレオチド;最適化されたPCRバッファー及びデオキシヌクレオチド、ならびにTaqポリメラーゼが挙げられる。
【0144】
MSP(メチル化特異的PCR)により、メチル化感受性制限酵素の使用とは無関係に、CpGアイランド内のCpG部位の実質的に任意の群のメチル化状況を評価することができる(Herman et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:9821-9826,1996、米国特許第5,786,146号)。簡潔に、DNAは、メチル化されたシトシンではなく、メチル化されていないシトシンをウラシルに変換する、亜硫酸水素ナトリウムによって修飾された後に、これらの生成物は、メチル化されたDNA対メチル化されていないDNAに特異的なプライマーによって増幅される。MSPは、少量のDNAのみを必要とし、所与のCpGアイランド遺伝子座の0.1%のメチル化対立遺伝子に対して感受性があり、パラフィン包埋試料から抽出されたDNAで実施することができる。MSP分析用の一般的な試薬(例えば、一般的なMSPに基づくキットに見られるような)としては、これらに限定されるものではないが、特定の遺伝子座(例えば、特定の遺伝子、マーカー、遺伝子領域、マーカー領域、亜硫酸水素塩処理されたDNA配列、CpGアイランドなど)に対するメチル化されたPCRプライマー及びメチル化されていないPCRプライマー;最適化されたPCRバッファー及びデオキシヌクレオチド、ならびに特異的プローブが挙げられる。
【0145】
MethyLight(商標)アッセイは、高スループット定量的メチル化アッセイであり、蛍光に基づくリアルタイムPCR(例えば、TaqMan(登録商標))を利用し、PCRステップ後にさらなる操作を必要としない(Eads et al.,Cancer Res.59:2302-2306,1999)。簡潔に、MethyLight(商標)プロセスは、亜硫酸水素ナトリウム反応において、標準手法に従いメチル化依存性配列の差異の混合されたプールに変換されるゲノムDNAの混合された試料により開始する(亜硫酸水素塩プロセスはメチル化されていないシトシン残基をウラシルに変換する)。次いで、蛍光ベースのPCRは、例えば、既知のCpGジヌクレオチドにオーバーラップするPCRプライマーを用いて「偏った」反応で実施される。配列判別は、増幅プロセスのレベル、及び蛍光検知プロセスのレベルの両方に起こる。
【0146】
MethyLight(商標)アッセイは、核酸、例えば、ゲノムDNA試料中のメチル化パターンについての定量的試験として使用され、その中で配列判別は、プローブハイブリダイゼーションのレベルで起こる。定量版では、PCR反応により、特定の推定メチル化部位にオーバーラップする蛍光プローブの存在下でメチル化特異的増幅がもたらされる。インプットDNA量に偏りのないコントロールは、プライマーもプローブも一切のCpGジヌクレオチドに重なることのない反応によってもたらされる。代替に、ゲノムメチル化についての定量的試験は、既知のメチル化部位をカバーしないコントロールオリゴヌクレオチド(例えば、HeavyMethyl(商標)及びMSP技法の蛍光に基づくバージョン)、または潜在的メチル化部位をカバーするオリゴヌクレオチドのいずれか一方によって、偏ったPCRプールを探索することにより達成される。
【0147】
MethyLight(商標)プロセスは、任意の適当なプローブ(例えば、「TaqMan(登録商標)」プローブ、Lightcycler(登録商標)プローブ)とともに使用される。例えばいくつかの用途において、二本鎖ゲノムDNAは、亜硫酸水素ナトリウムで処理され、例えば、TaqMan(登録商標)プローブをMSPプライマーと、及び/またはHeavyMethyl阻害剤オリゴヌクレオチド及びTaqMan(登録商標)プローブを使用する、PCR反応の2セットのうちの1セットに供される。TaqMan(登録商標)プローブは、蛍光「リポーター」及び「クエンチャー」分子によって二重ラベル付けされ、相対的にGC含有量の多い領域に特異的であるように設計されるため、それは、順方向プライマーまたは逆方向プライマーより高い温度の約10℃でPCRサイクル中に融解する。これにより、TaqMan(登録商標)プローブをPCRアニーリング/伸長ステップ中に完全にハイブリダイズしたままにすることが可能である。Taqポリメラーゼは、PCR中に新規鎖を酵素的に合成するため、アニーリングしたTaqMan(登録商標)プローブに最終的に達することになる。つぎにTaqポリメラーゼ5’から3’のエンドヌクレアーゼ活性は、TaqMan(登録商標)プローブを消化することによってこのプローブを置換し、ここでそのクエンチされていないシグナルの定量的検知のために、リアルタイム蛍光検知システムを使用して蛍光レポーター分子を放出させる。
【0148】
MethyLight(商標)分析用の一般的な試薬(例えば、一般的なMethyLight(商標)に基づくキットに見られるような)としては、これらに限定されるものではないが、特定の遺伝子座(例えば、特定の遺伝子、マーカー、遺伝子領域、マーカー領域、亜硫酸水素塩処理されたDNA配列、CpGアイランドなど)に対するPCRプライマー;TaqMan(登録商標)またはLightcycler(登録商標)プローブ;最適化されたPCRバッファー及びデオキシヌクレオチド、ならびにTaqポリメラーゼが挙げられる。
【0149】
QM(商標)(定量的メチル化)アッセイは、ゲノムDNA試料中のメチル化パターンについての代替の定量的試験であり、その中で配列判別は、プローブハイブリダイゼーションのレベルで起こる。この定量版では、PCR反応により、特定の推定メチル化部位にオーバーラップする蛍光プローブの存在下で偏りのない増幅がもたらされる。インプットDNA量に偏りのないコントロールは、プライマーもプローブも一切のCpGジヌクレオチドに重なることのない反応によってもたらされる。代替に、ゲノムメチル化についての定量的試験は、既知のメチル化部位を網羅しないコントロールオリゴヌクレオチド(HeavyMethyl(商標)及びMSP技法の蛍光に基づくバージョン)、または潜在的メチル化部位を網羅するオリゴヌクレオチドのいずれか一方によって、偏ったPCRプールを探索することにより達成される。
【0150】
QM(商標)プロセスは、増幅プロセスにおいて、いずれかの適切なプローブ、例えば、「TaqMan(登録商標)」プローブ、Lightcycler(登録商標)プローブなどによって使用されることが可能である。例えば、二本鎖ゲノムDNAは、亜硫酸水素ナトリウムによって処置され、偏っていないプライマー及びTaqMan(登録商標)プローブを受ける。TaqMan(登録商標)プローブは、蛍光「リポーター」及び「クエンチャー」分子によって二重ラベル付けされ、相対的にGC含有量の多い領域に特異的であるように設計されるため、それは、順方向プライマーまたは逆方向プライマーより高い温度の約10℃でPCRサイクル中に融解する。これにより、TaqMan(登録商標)プローブをPCRアニーリング/伸長ステップ中に完全にハイブリダイズしたままにすることが可能である。Taqポリメラーゼは、PCR中に新規鎖を酵素的に合成するため、アニーリングしたTaqMan(登録商標)プローブに最終的に達することになる。つぎにTaqポリメラーゼ5’から3’のエンドヌクレアーゼ活性は、TaqMan(登録商標)プローブを消化することによってこのプローブを置換し、ここでそのクエンチされていないシグナルの定量的検知のために、リアルタイム蛍光検知システムを使用して蛍光レポーター分子を放出させる。QM(商標)分析用の一般的な試薬(例えば、一般的なQM(商標)に基づくキットに見られるような)としては、これらに限定されるものではないが、特定の遺伝子座(例えば、特定の遺伝子、マーカー、遺伝子領域、マーカー領域、亜硫酸水素塩処理されたDNA配列、CpGアイランドなど)に対するPCRプライマー;TaqMan(登録商標)またはLightcycler(登録商標)プローブ;最適化されたPCRバッファー及びデオキシヌクレオチド、ならびにTaqポリメラーゼが挙げられる。
【0151】
Ms-SNuPE(商標)技法は、DNAの亜硫酸水素塩処置に基づき特異的CpG部位におけるメチル化の差異を評価した後、一塩基プライマー伸長を伴う定量的方法である(Gonzalgo & Jones,Nucleic Acids Res25:2529-2531,1997)。簡潔に、5-メチルシトシンを変化させないままで、ゲノムDNAを亜硫酸水素ナトリウムと反応させ、メチル化されていないシトシンをウラシルに変換する。つぎに亜硫酸水素塩に変換されたDNAに特異的なPCRプライマーを使用して、所望の標的配列の増幅を実施し、得られた生成物を単離して、対象となるCpG部位におけるメチル化分析についての鋳型として使用する。少量のDNAを分析することができ(例えば、顕微解剖病理切片)、これによりCpG部位でメチル化状況を判定するための制限酵素の利用が回避される。
【0152】
Ms-SNuPE(商標)分析用の一般的な試薬(例えば、一般的な Ms-SNuPE(商標)に基づくキットに見られるような)としては、これらに限定されるものではないが、特定の遺伝子座に対するPCRプライマー(例えば、特定の遺伝子、マーカー、遺伝子領域、マーカー領域、亜硫酸水素塩に処置されたDNA配列、CpGアイランドなど);最適化されたPCRバッファー及びデオキシヌクレオチド;ゲル抽出キット;陽性コントロールプライマー;特定の遺伝子座に対するMs-SNuPE(商標)プライマー;反応バッファー(Ms-SNuPE反応用の);ならびにラベル付けされたヌクレオチドが挙げられる。さらに、亜硫酸水素塩変換試薬は、DNA変性緩衝液;スルホン化緩衝液;DNA回復試薬またはキット(例えば、沈殿、限外ろ過、親和性カラム);脱スルホン化緩衝液;及びDNA回復成分を含むことができる。
【0153】
減少表現亜硫酸水素塩シーケンシング(RRBS)は、核酸の亜硫酸水素塩処置によって開始し、すべてのメチル化されていないシトシンをウラシルに変換した後に、制限酵素消化(例えば、MsplなどのCG配列を含む部位を認識する酵素による)を伴い、アダプターリガンドにカップリングした後にフラグメントの配列決定を完了する。制限酵素の選択により、CpG高密度領域の断片が濃縮され、分析中に複数の遺伝子位置にマッピングされる可能性のある冗長配列の数が低減される。このようなものとして、RRBSは、シーケンシングについての1サブセットの制限フラグメントを選択することによって(例えば、調製用ゲル電気泳動を使用するサイズ選択によって)、核酸試料の複雑性を減少させる。全ゲノム亜硫酸水素塩シーケンシングに対抗して、制限酵素消化によって生成されたすべてのフラグメントは、少なくとも1つのCpGジヌクレオチドについてのDNAメチル化情報を含む。このようなものとして、RRBSは、プロモーター、CpGアイランド、及び高頻度でこれらの領域中の制限酵素切断部位の他のゲノム特徴について試料を濃縮させるので、1つ以上のゲノム遺伝子座のメチル化状態を評価するアッセイを提供する。
【0154】
RRBSについての典型的なプロトコルは、MspIなどの制限酵素によって核酸試料を消化させるステップ、オーバーハング及びAテーリングに充填させるステップ、アダプターの連結ステップ、亜硫酸水素塩変換ステップ、ならびにPCRステップを備える。例えば、(2005)“Genome-scale DNA methylation mapping of clinical samples at single-nucleotide resolution” Nat Methods 7:133-6;Meissner et al.(2005) “Reduced representation bisulfite sequencing for comparative high-resolution DNA methylation analysis” Nucleic Acids Res.33: 5868-77を参照。
【0155】
いくつかの実施形態において、定量的アレル特異的リアルタイム標的及びシグナル増幅(QuARTS)アッセイを使用して、メチル化状態を評価する。各QuARTSアッセイでは3つの反応が連続して生じ、一次反応には増幅(反応1)及び標的プローブ切断(反応2)が、二次反応にはFRET切断及び蛍光シグナル生成(反応3)が含まれる。標的核酸が特定のプライマーで増幅される場合、フラップ配列を有する特定の検出プローブが、アンプリコンに緩く結合する。標的結合部位における特異的侵襲性オリゴヌクレオチドの存在は、5’ヌクレアーゼ、例えばFEN-1エンドヌクレアーゼに、検出プローブとフラップ配列との間で切断することにより、フラップ配列を放出させる。フラップ配列は、対応するFRETカセットの非ヘアピン部分に相補的である。したがって、フラップ配列は、FRETカセット上で侵入オリゴヌクレオチドとして機能し、FRETカセットフルオロフォアとクエンチャーとの間に切断をもたらし、蛍光シグナルを生成する。切断反応は、標的ごとに複数のプローブを切断することができ、それによりフラップごとに複数のフルオロフォアを放出して指数関数的なシグナル増幅をもたらす。QuARTSは、異なる色素を含むFRETカセットを使用することによって、単一反応ウェルにおいて複数の標的を検出することが可能である。例えば、Zou et al.(2010)“Sensitive quantification of methylated markers with a novel methylation specific technology”Clin Chem 56:A199)、ならびに、あらゆる目的で本明細書に参照によりそれぞれを援用するところの米国特許第8,361,720号、同第8,715,937号、同第8,916,344号、及び同第9,212,392号を参照されたい。
【0156】
「亜硫酸水素塩試薬」という用語は、本明細書に開示されるように、メチル化CpGジヌクレオチド配列と非メチル化CpGジヌクレオチド配列とを区別するのに有用な、亜硫酸水素塩(bisulfite)、二亜硫酸塩、亜硫酸水素塩(hydrogen sulfite)、またはそれらの組み合わせを含む試薬を指す。前記処理の方法は、当該技術分野で既知である(例えば、各々が、その全体が参照により組み込まれる、PCT/EP2004/011715及びWO2013/116375)。いくつかの実施形態において、亜硫酸水素塩処理は、限定するものではないが、n-アルキレングリコールもしくはジエチレングリコールジメチルエーテル(DME)などの変性溶媒の存在下、またはジオキサンもしくはジオキサン誘導体の存在下で行われる。いくつかの実施形態において、変性溶媒は、1%~35%(v/v)の濃度で使用される。いくつかの実施形態において、亜硫酸水素塩反応は、限定するものではないが、クロマン誘導体、例えば、6-ヒドロキシ-2,5,7,8、-テトラメチルクロマン2-カルボン酸またはトリヒドロキシベンゾン酸等のスカベンジャー、及びそれらの誘導体、例えば、ガリン酸の存在下で行われる(本明細書に参照によりその全容を援用するPCT/EP2004/011715を参照)。特定の好ましい実施形態では、亜硫酸水素塩反応は、例えば、WO2013/116375に記載の通りに、亜硫酸水素アンモニウムによる処理を含む。
【0157】
いくつかの実施形態では、処理されたDNAの断片は、本発明によるプライマーオリゴヌクレオチドのセット(例えば、表V及びVIIを参照されたい)ならびに増幅酵素を使用して増幅される。いくつかのDNAセグメントの増幅を1つの反応容器、及び同一の反応容器中で同時に実施することが可能である。通常、増幅は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用して実施される。アンプリコンは、通常100~2000塩基対長である。
【0158】
本方法の別の実施形態では、DMR(例えば、DMR1~423、表I、III及び表X)を含むマーカー内の、またはその近傍のCpG位置のメチル化状態は、メチル化特異的プライマーオリゴヌクレオチドを使用して検出することができる。この技術(MSP)は、Hermanの米国特許第6,265,171号に記載されている。亜硫酸水素塩に処置されたDNAの増幅のためのメチル化状態特異的プライマーの使用は、メチル化された核酸とメチル化されていない核酸との間の分化を可能にする。MSPプライマー対は、亜硫酸水素塩に処置されたCpGジヌクレオチドにハイブリダイズする、少なくとも1つのプライマーを含む。したがって、該プライマーの配列は、少なくとも1つのCpGジヌクレオチドを含む。メチル化されていないDNAに特異的なMSPプライマーは、CpG中のC位の位置に「T」を含む。
【0159】
このような方法は、1つ以上のメチル化マーカー、メチル化マーカー遺伝子、遺伝子、DMR、及び/またはDNAメチル化マーカーに関連する特定のタイプまたは種類のプライマーまたはプライマーペアに限定されない。いくつかの実施形態では、プライマーまたはプライマーペアは表V(配列番号1~76)に記載されている。いくつかの実施形態では、各メチル化マーカー遺伝子に特異的なプライマーまたはプライマーペアは、表V及びXIIに記載されるマーカー遺伝子に対するプライマー配列が結合するアンプリコンに結合することができ、ここで、表V及びXIIに記載されるマーカー遺伝子に対するプライマー配列が結合するアンプリコンは、表I、III、及びXに記載されるメチル化マーカーの遺伝子領域の少なくとも一部である。いくつかの実施形態では、メチル化マーカーに対するプライマーまたはプライマーペアは、表I、III、及びXに記載される特定のメチル化マーカーの染色体座標を含む遺伝子領域の少なくとも一部に特異的に結合するプライマーのセットである。
【0160】
別の実施形態では、本発明は、無細胞DNAの酸化型5-メチルシトシン残基をジヒドロウラシル残基に変換するための方法を提供する(Liu et al.,2019,Nat Biotechnol.37,pp.424-429;米国特許出願公開第202000370114号を参照)。この方法は、5-ホルミルシトシン(5fC)、5-カルボキシメチルシトシン(5caC)、及びそれらの組み合わせから選択される酸化型5mC残基とボラン還元剤との反応を含む。酸化型5mC残基は、天然に存在するか、またはより典型的には、5mCまたは5hmC残基の事前の酸化、例えば、TETファミリーの酵素(例えば、TET1、TET2、またはTET3)による5mCまたは5hmCの酸化、または例えば、過ルテニウム酸カリウム(KRuO4)またはペルオキソタングステン酸塩などの無機ペルオキソ化合物または組成物及び過塩素酸銅(II)/2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(TEMPO)の組み合わせ(Matsushita et al.(2017) Chem.Commun.53 :5756-59を参照)を用いた、5mCまたは5hmCの化学的酸化(例えば、Okamato et al.(2011) Chem.Commun.47 :11231-33を参照)の結果として生じるものであってよい。
【0161】
ボラン還元剤は、ボランと、窒素複素環及び第三級アミンから選択される窒素含有化合物との錯体として特徴付けることができる。窒素複素環は、単環式、二環式、または多環式であり得るが、典型的には、窒素ヘテロ原子と、場合によりN、O、及びSから選択される1つ以上の追加のヘテロ原子とを含む5員環または6員環の形態の単環式である。窒素複素環は芳香族であっても脂環族であってもよい。本明細書における好ましい窒素複素環としては、2-ピロリン、2H-ピロール、1H-ピロール、ピラゾリジン、イミダゾリジン、2-ピラゾリン、2-イミダゾリン、ピラゾール、イミダゾール、1,2,4-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、1,2,4-トリアジン、及び1,3,5-トリアジンが挙げられ、それらのいずれも非置換であるかまたは1つ以上の非水素置換基で置換されていてよい。典型的な非水素置換基は、アルキル基、特にメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチルなどの低級アルキル基である。例示的な化合物としては、ピリジンボラン、2-メチルピリジンボラン(2-ピコリンボランとも呼ばれる)、及び5-エチル-2-ピリジンが挙げられる。
【0162】
ボラン還元剤と無細胞DNAの酸化型5mC残基との反応は、無毒性の試薬と穏やかな反応条件を用いることができる限り有利であり、硫酸水素塩も、DNAを分解する可能性のある他の試薬も必要としない。さらに、ボラン還元剤による酸化型5mC残基のジヒドロロウラシルへの変換は、中間体の単離を必要とせずに、「ワンポット」または「ワンチューブ」反応で行うことができる。このことは、この変換には複数のステップ、すなわち、(1)酸化型5mCのC-4とC-5をつなぐアルケン結合の還元、(2)脱アミノ化、及び(3)酸化型5mCが5caCである場合は脱炭酸、酸化型5mCが5fCである場合は脱ホルミル化のいずれかが含まれることから、極めて重要である。
【0163】
無細胞DNA中の酸化型5-メチルシトシン残基をジヒドロウラシル残基に変換する方法に加えて、本発明はまた、前述の方法に関連する反応混合物も提供する。反応混合物は、5caC、5fC、及びそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの酸化型5-メチルシトシン残基を含む無細胞DNAの試料と、少なくとも1つの酸化型5-メチルシトシン残基を還元、脱アミノ化、及び脱炭酸または脱ホルミル化するうえで効果的なボラン還元剤と、を含む。上記に説明したように、ボラン還元剤は、ボランと、窒素複素環及び第三級アミンから選択される窒素含有化合物との錯体である。好ましい実施形態では、反応混合物は実質的に亜硫酸水素塩を含まず、これは亜硫酸水素イオン及び亜硫酸水素塩を実質的に含まないことを意味する。理想的には、反応混合物には亜硫酸水素塩は含まれない。
【0164】
本発明の関連する態様では、無細胞DNA中の5mC残基をジヒドロウラシル残基に変換するためのキットが提供され、キットは、5hmC残基をブロックするための試薬、5mC残基をヒドロキシメチル化を超えて酸化して酸化型5mC残基を与えるための試薬、及び、酸化型5mC残基を還元、脱アミノ化、及び脱炭酸または脱ホルミル化するうえで効果的なボラン還元剤を含む。キットはまた、上記の方法を実施するための構成要素を使用するための説明書を含んでもよい。
【0165】
別の実施形態では、上記の酸化反応を利用する方法が提供される。この方法は、無細胞DNA中の5-メチルシトシン残基の存在と位置を検出することを可能とし、以下のステップを含む:
(a)フラグメント化され、アダプターがライゲートされた無細胞DNA中の5hmC残基を修飾して、残基にアフィニティータグを与えるステップであって、アフィニティータグは、無細胞DNAからの修飾された5hmC含有DNAの除去を可能にする、ステップと、
(b)修飾された5hmC含有DNAを無細胞DNAから除去し、非修飾の5mC残基を含むDNAを残すステップと、
(c)非修飾の5mC残基を酸化して、5caC、5fC、及びそれらの組み合わせから選択される酸化型5mC残基を含むDNAを得るステップと、
(d)酸化型5mC残基を含むDNAを、酸化型5mC残基を還元、脱アミノ化、及び脱炭酸または脱ホルミル化するうえで有効なボラン還元剤と接触させ、それによって酸化型5mC残基の代わりにジヒドロウラシル残基を含むDNAを与えるステップと、
(e)ジヒドロウラシル残基を含むDNAを増幅し、配列決定するステップと、
(f)(e)の配列決定の結果から5-メチル化のパターンを決定するステップ。
【0166】
別の実施形態では、標的核酸中の5-メチルシトシン(5mC)または5-ヒドロキシメチルシトシン(5hmC)を特定するための方法であって、以下のステップを含む方法が提供される:
標的核酸を含む生体試料を与えるステップと、
標的核酸を修飾するステップであって、
核酸試料をTET酵素と接触させて1つ以上の5caCまたは5fC残基を生成させることにより、核酸試料中の5mC及び5hmCを5-カルボキシルシトシン(5caC)及び/または5-ホルミルシトシン(5fC)に変換するステップと、
標的核酸をボラン還元剤で処理することによって5caC及び/または5fCをジヒドロロウラシル(DHU)に変換して、修飾標的核酸を含む修飾核酸試料を与えるステップと、を含む、前記標的核酸を修飾するステップと、
修飾標的核酸の配列を検出するステップであって、標的核酸と比較した修飾標的核酸の配列中のシトシン(C)からチミン(T)への変化またはシトシン(C)からDHUへの変化が、標的核酸中の5mCまたは5hmCの位置を与える、ステップ。
【0167】
いくつかの実施形態では、ボラン還元剤は2-ピコリンボランである。
【0168】
いくつかの実施形態では、修飾標的核酸の配列を検出するステップは、チェーンターミネーションシークエンシング、マイクロアレイ、ハイスループットシークエンシング、及び制限酵素分析のうちの1つ以上のものを含む。
【0169】
いくつかの実施形態では、TET酵素は、ヒトTET1、TET2、及びTET3;マウスTet1、Tet2、及びTet3。ネグレリアTET(NgTET);ならびにCoprinopsis cinerea(CcTET)からなる群から選択される。
【0170】
いくつかの実施形態では、この方法は、1つ以上の修飾シトシンをブロックするステップをさらに含む。いくつかの実施形態では、ブロックするステップは、5hmCに糖を付加することを含む。
【0171】
いくつかの実施形態では、この方法は、1つ以上の核酸配列のコピー数を増幅するステップをさらに含む。
【0172】
いくつかの実施形態では、酸化剤は、過ルテニウム酸カリウムまたはCu(II)/TEMPO(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル)である。
【0173】
無細胞DNAは対象の身体試料から抽出され、身体試料は通常、全血、血漿、または血清、最も一般的には血漿であるが、試料は組織(例えば、子宮頸部組織)、分泌物(例えば、子宮頸部分泌物、膣分泌物)、臓器分泌物、CSF、尿、唾液、粘膜排泄物、痰、便、または涙液であってもよい。いくつかの実施形態では、無細胞DNAは腫瘍に由来する。他の実施形態では、無細胞DNAは、疾患または他の病的状態を有する患者に由来する。無細胞DNAは腫瘍に由来するものでもしないものでもよい。ステップ(a)では、5hmC残基が修飾される無細胞DNAは精製され、フラグメント化された形態であり、アダプターがライゲートされている点に留意されたい。この関連でのDNA精製は、当業者には周知の、及び/または関連文献に記載されている任意の適切な方法を使用して行うことができ、無細胞DNA自体は高度にフラグメント化されていてもよいが、例えば、米国特許公開第2017/0253924号に記載されるように、場合によってはさらなるフラグメント化が望ましい場合もある。無細胞DNAフラグメントは、一般に、約20ヌクレオチド~約500ヌクレオチドのサイズ範囲であり、より典型的には、約20ヌクレオチド~約250ヌクレオチドの範囲である。ステップ(a)で修飾された精製された無細胞DNAフラグメントは、フラグメントが各3’及び5‘末端に平滑末端を有するように、従来の手段(例えば、制限酵素)を使用して末端修復されている。好ましい方法では、WO2017/176630に記載されるように、平滑末端処理されたフラグメントに、Taqポリメラーゼなどのポリメラーゼを使用して、1個のアデニン残基を含む3’オーバーハングが付与される。これにより、選択されたユニバーサルアダプター、すなわち、無細胞DNA断片の両端にライゲートされる、少なくとも1つの分子バーコードを含むYアダプターまたはヘアピンアダプターなどのアダプターのその後のライゲーションが容易となる。アダプターの使用により、アダプターがライゲートされたDNAフラグメントの選択的PCR濃縮も可能となる。
【0174】
したがって、ステップ(a)において、「精製されたフラグメント化された無細胞DNA」は、アダプターがライゲートされたDNAフラグメントを含む。これらの無細胞DNAフラグメントの5hmC残基のアフィニティータグによる修飾は、ステップ(a)に記載したように、その後の無細胞DNAからの修飾5hmC含有DNAの除去を可能にするために行われる。一実施形態では、アフィニティータグは、ビオチン、デスチオビオチン、オキシビオチン、2-イミノビオチン、ジアミノビオチン、ビオチンスルホキシド、ビオシチンなどのビオチン部分を含む。アフィニティータグとしてビオチン部分を使用することで、ストレプトアビジン、例えばストレプトアビジンビーズ、磁気ストレプトアビジンビーズなどによる除去が容易となる。
【0175】
ビオチン部分または他のアフィニティータグによる5hmC残基のタグ付けは、DNAフラグメント中の5hmC残基に化学選択基を共有結合させることによって行われ、化学選択基は、官能化されたアフィニティータグと反応してアフィニティータグを5hmC残基に結合させることができる。一実施形態では、化学選択基はUDPグルコース-6-アジドであり、アルキン官能化されたビオチン部分と1,3-環化付加反応を行う(Robertson et al.(2011)Biochem.Biophys.Res. Comm. 411(1):40-3、米国特許第8,741,567号、及びWO 2017/176630に記載)。したがって、アルキン官能基化ビオチン部分の付加は、各 5hmC残基へのビオチン部分の共有結合をもたらす。
【0176】
これにより、アフィニティータグ付きDNAフラグメントは、一実施形態では、ストレプトアビジンビーズ、磁気ストレプトアビジンビーズなどの形態のストレプトアビジンを使用してステップ(b)で取り除くことができ、必要に応じて後の分析のために取っておくことができる。アフィニティータグ付きフラグメントを除去した後に残る上清には、非修飾の5mC残基を有し、5hmC残基は有さないDNAが含まれている。
【0177】
ステップ(c)では、任意の適切な手段を使用して、非修飾の5mC残基が酸化されて、5caC残基及び/または5fC残基が得られる。酸化剤は、ヒドロキシメチル化を超えて5mC残基を酸化するように、すなわち、5caC及び/または5fC残基を与えるように選択される。酸化は、触媒活性を有するTETファミリー酵素を使用して酵素的に行うことができる。「TETファミリー酵素」または「TET酵素」という用語は、本明細書で使用される場合、本明細書に参照によりその開示内容を援用するところの米国特許第9,115,386号に定義される触媒活性を有する「TETファミリータンパク質」または「TET触媒活性フラグメント」を指す。これに関連して好ましいTET酵素にTET2がある(Ito et al.(2011)Science 333(6047):1300-1303)。酸化は、前のセクションで説明したように、化学酸化剤を使用して化学的に行うこともできる。。適切な酸化剤の例としては、これらに限定されるものではないが、過ルテニウム酸カリウム(KRuO4)などの過ルテニウム酸金属、過ルテニウム酸テトラプロピルアンモニウム(TPAP)及び過ルテニウム酸テトラブチルアンモニウム(TBAP)などの過ルテニウム酸テトラアルキルアンモニウム、及びポリマー支持過ルテニウム酸塩(PSP)を含む、無機または有機過ルテニウム酸塩の形態の過ルテニウム酸アニオン;ならびにペルオキソタングステン酸塩または過塩素酸銅(II)/TEMPOの組み合わせなどの無機ペルオキソ化合物及び組成物が挙げられる。プロセスの次のステップであるステップ(e)で5fC残基と5caC残基の両方がジヒドロウラシル(DHU)に変換される限り、この時点で5fC含有フラグメントを5caC含有フラグメントから分離する必要はない。
【0178】
いくつかの実施形態では、5-ヒドロキシメチルシトシン残基はβ-グルコシルトランスフェラーゼ(β3GT)でブロックされ、一方、5-メチルシトシン残基は、5-ホルミルシトシンと5-カルボキシメチルシトシンの混合物を与えるうえで有効なTET酵素で酸化される。これらの酸化型種の両方を含む混合物を2-ピコリンボランまたは別のボラン還元剤と反応させて、ジヒドロウラシルを得ることができる。この実施形態の変形例では、5hmC含有フラグメントはステップ(b)で除去されない。代わりに、「TET-支援ピコリンボランシークエンシング(TAPS)」により、5mC含有フラグメント及び5hmC含有フラグメントが一緒に酵素的に酸化されて、5fC含有フラグメント及び5caC含有フラグメントが得られる。2-ピコリンボランとの反応により、5mC及び5hmC残基がもともと存在していた場所にDHU残基が生じる。「化学支援ピコリンボランシークエンシング(CAPS)」では、5hmC含有フラグメントが過ルテニウム酸カリウムで選択的に酸化され、5mC残基は変化しない。
【0179】
この実施形態の方法には多くの利点がある。すなわち、亜硫酸水素塩が不要であり、非毒性の試薬及び反応物質が使用され、プロセスは穏やかな条件下で進行する。さらに、プロセス全体を1本の試験管内で行うことができ、中間体を分離する必要がない。
【0180】
関連する実施形態では、上記の方法は、さらなるステップとして、(g)ステップ(b)で無細胞DNAから除去された5hmC含有DNAのヒドロキシメチル化パターンを特定するステップを含む。これは、WO2017/176630号に詳細に記載される技術を使用して行うことができる。このプロセスは、ワンチューブ法で中間体の除去または単離を行わずに行うことができる。例えば、最初に、無細胞DNAフラグメント、好ましくはアダプターをライゲートしたDNAフラグメントをβGT触媒ウリジンジホスホグルコース6-アジドによる官能化に供し、その後、化学選択的アジド基を介してビオチン化する。この手順により、各5hmC部位にビオチンが共有結合する。次のステップでは、ビオチン化鎖と非修飾(天然)5mCを含む鎖が同時に取り除かれ、さらなる処理が行われる。天然の5mC含有鎖は、当業者には周知であるように、抗5mC抗体またはメチルCpG結合ドメイン(MBD)タンパク質を使用して取り除かれる。次いで、5hmC残基をブロックした状態で、本明細書の他の箇所で説明するように、5mCを5fC及び/または5caCに変換するための任意の適切な技術を使用して非修飾の5mC残基を選択的に酸化する。
【0181】
増幅によって得られたこれらのフラグメントは、直接的に、または間接的に検出可能なラベルを有することができる。いくつかの実施形態において、これらのラベルは、質量分析計において検出されることが可能である典型的な質量を有する、蛍光ラベル、放射性核種、または脱離可能な分子フラグメントである。これらのラベルが質量ラベルである場合、いくつかの実施形態は、ラベル付けされたアンプリコンが単一の正または負の有効電荷を有し、質量分析計におけるより良い検出可能性を可能にすることを提供する。例えば、マトリックス支援レーザー脱離/イオン化質量分析(MALDI)によって、またはエレクトロンスプレー質量分析(ESI)を使用して、この検出を実施して、可視化することができる。
【0182】
これらのアッセイ技術に適当なDNAを単離する方法は当該技術分野では周知のものである。詳細には、いくつかの実施形態は、その全体を参照により本明細書に援用するところの米国特許出願第13/470,251号(「Isolation of Nucleic Acids」)に記載されるような核酸の単離を含む。
【0183】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のマーカーは、生体試料(例えば、組織試料(例えば、子宮頸部試料)、血液試料、血漿試料、血清試料、全血試料、分泌物試料(例えば、子宮頸部分泌物、膣分泌物)、臓器分泌物試料、CSF試料、唾液試料、尿試料、または便試料)で行われるQUARTSアッセイで使用することができる。いくつかの実施形態では、DNA試料を生成するための方法、詳細には、少量(例えば、100マイクロリットル未満、60マイクロリットル未満)で高度に精製された低存在量の核酸を含み、DNA試料を試験するために使用されるアッセイ(例えば、PCR、INVADER、QuARTSアッセイなど)を阻害する物質を実質的に及び/または効果的に含まないDNA試料を生成するための方法が提供される。そのようなDNA試料は、患者から採取した試料中に存在する遺伝子、遺伝子バリアント(例えば、アレル)、または遺伝子修飾(例えば、メチル化)の存在を定性的に検出するか、またはその活性、発現もしくは量を定量的に測定する診断アッセイで使用することができる。例えば、一部のがんは、特定の変異アレルまたは特定のメチル化状態の存在と相関しており、したがって、そのような変異アレルまたはメチル化状態の検出及び/または定量化は、がんの診断及び治療において予測的価値を有する。
【0184】
多くの有用な遺伝子マーカーは試料中に極めて少量しか存在せず、また、そのようなマーカーを生成する事象の多くは稀である。したがって、PCRのような高感度の検出方法であっても、アッセイの検出閾値を満たすか、それを上回るのに十分な低存在量の標的を与えるには大量のDNAが必要である。さらに、少量であっても阻害物質の存在は、そのような少量の標的の検出を目的としたこれらのアッセイの正確度及び精度を損なう。したがって、本明細書では、そのようなDNA試料を生成するための、体積及び濃度の必要な管理を提供する方法が提供される。
【0185】
いくつかの実施形態では、試料は、組織試料(例えば、子宮頸部試料)、血液、血漿、血清、全血、分泌物(例えば、子宮頸部分泌物、膣分泌物)、臓器分泌物、CSF、唾液、尿、または便を含む。いくつかの実施形態では、対象はヒトである。これらのような試料は、当業者に明らかであるような、当該技術分野において知られている、任意の数の手段によって得られることが可能である。例えば、尿及び糞便試料は、容易に達成可能であるが、血液、腹水、血清、または膵液試料は、例えば、ニードル及びシリンジを使用することによって、非経口的に得られることが可能である。無細胞の試料、または実質的に無細胞の試料は、遠心分離及びろ過を含むが、これらに限定されない、さまざまな技法に試料を供することによって得ることができる。非侵襲的技術を使用して試料を得ることが一般的に好ましいが、組織ホモジネート、組織切片、及び生検試料などの試料を得ることが好ましい場合もある。
【0186】
いくつかの実施形態では、試料は、所望の試料タイプを得ることができる任意のタイプまたは種類の採取装置を用いて得られる例えば、採取装置は、子宮頸部組織試料を得ることができる装置であってよい。特定の実施形態では、採取装置は、子宮頸部から、または子宮頸部付近から組織または細胞を得ることができる装置である。いくつかの実施形態では、子宮頸部組織試料としては、例えば、あらゆる子宮頸部組織または子宮頸部細胞を含む試料が挙げられ、子宮頸部の組織または細胞に加えて、解剖学的に子宮頸部の近傍の領域(例えば、膣組織、膣細胞、子宮内膜組織、子宮内膜細胞、卵巣組織、卵巣細胞など)からの組織または細胞を含み得る。別の実施形態では、子宮頸部分泌物試料としては、例えば、解剖学的に子宮頸部の近傍の領域からの分泌物(例えば、膣分泌物、子宮内膜分泌物、及び卵巣分泌物など)を含むあらゆる子宮頸部分泌物(複数可)を含む試料が挙げられる。いくつかの実施形態では、採取装置は、身体領域(例えば、子宮頸部、膣管)と接触させる際に試料(例えば、組織、分泌物、及び/または細胞)を採取することができる吸収部材を有する。いくつかの実施形態では、吸収部材は、身体の開口部(例えば、子宮頸部、膣管)への挿入に適した形状及びサイズを有するスポンジであり、例えば円筒形の形状を有するものである。いくつかの実施形態では、採取装置はタンポン(例えば、標準的なタンポン)、膣内に液体を放出して液体を再回収する洗浄器(例えば、Pantarheiスクリーナー)、子宮頸部ブラシ(例えば、膣に挿入して回転させることで細胞を採取するブラシ)、フルニエ子宮頸部自己採取装置(タンポン状のプラスチック製の棒)、または綿棒である。いくつかの実施形態では、吸収部材は、所望の試料を採取できる材料で作製される。いくつかの実施形態では、吸収部材は、レーヨン及び/または綿などのスポンジ材料である。
【0187】
無細胞の試料、または実質的に無細胞の試料は、遠心分離及びろ過を含むが、これらに限定されない、さまざまな技法に試料を供することによって得ることができる。非侵襲的技術を使用して試料を得ることが一般的に好ましいが、組織ホモジネート、組織切片、及び生検試料などの試料を得ることが好ましい場合もある。本技術は、試料を調製するため、及び試験用の核酸を提供するために使用される方法に限定されない。例えば、いくつかの実施形態では、DNAは、米国特許第8,808,990号及び第9,169,511号、ならびにWO2012/155072、または関連する方法に詳細に述べられるように、直接的な遺伝子捕捉を用いて、試料(例えば、組織試料(例えば、子宮頸部組織)、血液試料、血漿試料、血清試料、全血試料、分泌物試料(例えば、子宮頸部分泌物、膣分泌物)、臓器分泌物試料、CSF試料、唾液試料、尿試料、または便試料)から単離される。
【0188】
マーカーの分析は、1つの試験試料内で追加のマーカーと別個にまたは同時に実施され得る。例えば、複数の試料の効率的な処理を行うために、またより高い診断及び/または予後精度を潜在的に提供するために、1つの試験にいくつかのマーカーを組み合わせることが可能である。さらに、当業者は、同じ対象からの複数の試料を(例えば、連続的な時点で)試験する価値を認識するであろう。このような連続した試料の試験により、経時的なマーカーのメチル化状態における変化の特定が可能である。メチル化状態における変化、及びメチル化状態における変化の非存在は、この事象の発生からのおよその時間、回収可能な組織の存在及び量、薬物療法の適合性、さまざまな療法の有効性、ならびに将来の事象のリスクを含む、対象の転帰の特定を明らかにすることを含むが、これに限定されない、疾患状態についての有用な情報を提供することが可能である。
【0189】
多様な物理的形式において、バイオマーカーの分析を実施することが可能である。例えば、マイクロタイタープレートまたは自動化の用途を用いて、多数の試験試料の処理を容易にすることが可能である。あるいは、単一の試料形式は、適時に、例えば、外来搬送または緊急救命室の状況において即時の治療及び診断を容易にするために開発され得る。
【0190】
ゲノムDNAは、市販のキットの使用を含む、任意の手段によって単離することができる。簡潔に述べると、目的のDNAが細胞膜によって被包されている場合、生体試料を酵素的、化学的または機械的手段によって破壊し溶解しなければならない。次いで、例えば、プロテイナーゼKで消化することにより、タンパク質及び他の混入物をDNA溶液から除去することができる。次いで、ゲノムDNAを溶液から回収する。これは、塩析、有機抽出、または固相支持体へのDNAの結合を含む、多様な方法によって実施されることができる。方法の選択は、時間、費用、及び必要とされるDNA量を含む、いくつかの要因に影響される。腫瘍性物質または前腫瘍性物質を含むすべての種類の臨床試料、例えば、組織(例えば、子宮頸部組織)、細胞株、組織学的スライド、生検、パラフィン包埋組織、分泌物(例えば、子宮頸部分泌物、膣分泌物)、体液、糞便、組織、結腸排出物、尿、血漿、血清、全血、単離された血液細胞、血液から単離された細胞、及びこれらの組み合わせが本方法における使用に好適である。
【0191】
本技術は、試料を調製するため、及び試験用の核酸を提供するために使用される方法に限定されない。例えば、いくつかの実施形態では、DNAは、米国特許出願公開第61/485386号、または関連する方法に詳細に述べられるように、直接的な遺伝子捕捉を用いて、生体試料(例えば、組織試料(例えば、子宮頸部組織)、血液試料、血漿試料、血清試料、全血試料、分泌物試料(例えば、子宮頸部分泌物、膣分泌物)、臓器分泌物試料、CSF試料、唾液試料、尿試料、または便試料)から単離される。
【0192】
次いで、ゲノムDNA試料を、DMR(例えば、表I、III、及びXに示される通りの、例えば、DMR1~423)を含む少なくとも1つのマーカー内のメチル化CpGジヌクレオチドと非メチル化CpGジヌクレオチドとを区別する、少なくとも1つの試薬、または一連の試薬で処理する。
【0193】
いくつかの実施形態では、試薬は、5’位でメチル化されていないシトシン塩基を、ウラシル、チミン、またはハイブリダイゼーション挙動に関してシトシンとは異なる別の塩基に変換する。しかしながら、いくつかの実施形態において、試薬は、メチル化感受性制限酵素であることができる。
【0194】
いくつかの実施形態において、ゲノムDNA試料は、5’位でメチル化されていないシトシン塩基をウラシル、チミン、またはハイブリダイゼーション挙動の点でシトシンと異なる別の塩基に変換するような方式で処置される。いくつかの実施形態において、この処置は、亜硫酸水素塩(bisulfite)(亜硫酸水素塩(hydrogen sulfite)、二亜硫酸塩)により実施された後に、アルカリ加水分解を伴う。
【0195】
次いで、処理した核酸を分析し、標的遺伝子配列(DMR、例えば、表I、III、及びXに示される通りの、例えば、DMR1~423から選択される少なくとも1箇所のDMRを含むマーカーからの少なくとも1つの遺伝子、ゲノム配列、またはヌクレオチド)のメチル化状態を判定する。本明細書に列挙される分析方法、例えば、本明細書に記載されるようなQuARTS及びMSPを含む、当該技術分野において知られているものから、分析方法を選択することができる。
【0196】
異常なメチル化、より具体的には、DMR(例えば、表I、III、及びXに示される通りの、例えば、DMR1~423)を含むマーカーの高メチル化は、子宮頸癌、子宮頸癌のサブタイプ、及び子宮頸癌前癌に関連している。
【0197】
いくつかの実施形態において、この技術は、患者(例えば、子宮頸癌及び/または子宮頸癌のサブタイプを有する患者)を治療する方法であって、1)本明細書に提供されるような1つ以上のメチル化マーカーのメチル化状態の一方または両方を判定することと、メチル化状態を判定することの結果に基づき患者に治療を投与することと、を含む方法に関する。治療は、医薬化合物の投与、ワクチンの投与、外科手術の実施、患者のイメージング、別の試験の実施であり得る。好ましくは、該使用は、臨床スクリーニングの方法、予後評価の方法、療法の結果をモニタリングする方法、特定の治療的処置に応答する可能性が最も高い患者を同定する方法、患者または対象をイメージングする方法、ならびに薬物のスクリーニング及び開発のための方法におけるものである。
【0198】
本技術のいくつかの実施形態では、対象における特定の種類のがん(例えば、子宮頸癌または子宮頸癌のサブタイプ)及び/または前がん(例えば、子宮頸癌前癌)を診断するための方法が提供される。「診断する」及び「診断」という用語は、本明細書で使用される場合、対象が所与の疾患もしくは状態に罹患しているか否か、または将来的に所与の疾患もしくは状態を発症する可能性があるか否かを、当業者が推定し、さらに判定することができる方法を指す。当業者は、1つ以上の診断指標、例えば、1つ以上のバイオマーカー(例えば、本明細書マーカーに開示されるような1つ以上のメチル化マーカー、メチル化マーカー遺伝子、遺伝子、DMR、及び/またはDNAメチル化マーカー)などに基づき診断を行うことが多く、このバイオマーカーのメチル化状態は、状態の存在、重症度、または非存在を示す。
【0199】
診断に加えて、臨床的ながん予後は、がんの攻撃性及び腫瘍再発の可能性を判定し、最も効果的な療法を計画することに関する。さらに正確な診断を行うことが可能である場合、またはがんを患う潜在的なリスクを評価することが可能である場合でさえ、適切な治療、及びいくつかの例において患者にそれほど過酷ではない治療を選択することが可能である。がんバイオマーカーの評価(例えば、メチル化状態を決定する)は、良好な予後を有する対象、及び/または治療を必要としないがん(例えば、子宮頸癌または子宮頸癌のサブタイプ)を患うリスクの低い対象、またはがんを患う可能性がさらに高い対象から治療の限られた対象、またはさらに集中的な処置から利益を受ける可能性があるがんの再発を受ける対象に分けるために有用である。
【0200】
このようなものとして、「診断を行うこと」、または「診断すること」は、本明細書に使用される場合、がん(例えば、子宮頸癌または子宮頸癌のサブタイプ)を患うリスクを決定すること、または予後を決定することをさらに含み、これらは、本明細書に開示される診断バイオマーカー(例えば、DMR)の測定値に基づき、臨床転帰(医学的処置の有り無しで)を予測するか、適切な処置(または処置が有効であるかどうか)を選択するか、または現在の処置を監視して処置を可能性として変更するかのために提供されることが可能である。さらに、本明細書に開示される主題のいくつかの実施形態では、診断及び/または予後を容易にするために、経時的なバイオマーカーの複数の判定を行うことができる。バイオマーカーの時間的変化を使用して、臨床転帰を予測し、がんまたはがんのサブタイプ(例えば、子宮頸癌または子宮頸癌のサブタイプ)の進行をモニタリングし、及び/またはがんを対象とする適切な療法の有効性をモニタリングすることができる。このような実施形態では、有効な療法の過程において経時的な生体試料(例えば、組織試料(例えば、子宮頸部試料)、血液試料、血漿試料、血清試料、全血試料、分泌物試料(例えば、子宮頸部分泌物、膣分泌物)、臓器分泌物試料、CSF試料、唾液試料、尿試料、及び便試料)中の本明細書に開示される1つ以上のバイオマーカー(例えば、DMR)(及び、モニタリングされている場合、場合により1つ以上の追加のバイオマーカー)のメチル化状態の変化が見られることが期待される場合がある。
【0201】
本明細書で開示される主題は、いくつかの実施形態では、対象のがん(例えば、子宮頸癌または子宮頸癌のサブタイプ)の予防または治療を開始または継続するか否かを判定するための方法をさらに提供する。その期間における任意の変化を用いて、がん(例えば、子宮頸癌または子宮頸癌のサブタイプ)を患うリスクを予測すること、臨床回帰を予測すること、がんの予防または治療を開始するか、継続するかどうか、また現在の治療ががんを効率的に処置しているかどうかを判定することが可能である。例えば、第1の時点は、治療の開始前に選択することができ、第2の時点は、治療開始後のある時点で選択することができる。メチル化状態は、異なる時点で採取された試料の各々で測定することができ、定性的及び/または定量的な差を記録する。異なる試料からのバイオマーカーレベルのメチル化状態における変化は、対象における特定のがん(例えば、子宮頸癌または子宮頸癌のサブタイプ)のリスク、予後、治療有効性の判定、及び/またはがんの進行と相関し得る。
【0202】
好ましい実施形態では、本発明の方法及び組成物は、早期での、例えば、疾患(例えば、子宮頸癌または子宮頸癌のサブタイプ)の症状が現れる前の疾患の治療または診断のためのものである。いくつかの実施形態において、本発明のこれらの方法及び組成物は、臨床病期における疾患の処置または診断のためのものである。
【0203】
記述されるように、いくつかの実施形態において、1つ以上の診断または予後バイオマーカーの複数の決定を行うことが可能であり、このマーカーにおける経時的な変化を使用して、診断または予後を決定することが可能である。例えば、診断マーカーを初回に、そして再度2回目に判定することが可能である。これらのような実施形態において、初回から2回目へのマーカーにおける増加は、がん(例えば、子宮頸癌または子宮頸癌のサブタイプ)の特定のタイプもしくは重症度の診断、または所与の予後であることが可能である。同様に、初回から二回目へのマーカーにおける減少は、がんの特定のタイプもしくは重症度、または所与の予後を示すことが可能である。さらに、1つ以上のマーカーの変化の程度は、がんの重症度、及び将来の有害事象に関連することが可能である。当業者は、ある特定の実施形態において、同一のバイオマーカーの相対的な測定を複数の時点で行うことが可能であり、また特定のバイオマーカーを1つの時点で、また第2のバイオマーカーを第2の時点で測定することが可能であり、これらのマーカーの比較が診断情報を提供することが可能であることを理解する。
【0204】
本明細書に使用されるように、語句「予後を決定すること」は、当業者が対象における状態の経過または転帰を予測することが可能である方法を指す。用語「予後」は、100%の精度を有する状態の経過または転帰を予測する能力、または所与の経過または転帰がバイオマーカー(例えば、DMR)のメチル化状態に基づき起こる予測可能な多少の可能性である能力さえ指さない。その代わりに、当業者は、「予後」という用語が、ある特定の経過または転帰が生じる確率、すなわち、経過または転帰が、所与の状態を呈する対象において、その状態を呈さないそれらの個体と比較した場合に生じる可能性がより高いという確率の上昇を指すと理解するであろう。例えば、状態を呈さない(例えば、1つ以上のDMRの正常なメチル化状態を有する)個体では、所与の転帰(例えば、特定の種類のがん(例えば、子宮頸癌または子宮頸癌のサブタイプ)に罹患すること)の可能性が極めて低い場合がある。
【0205】
いくつかの実施形態において、統計分析は、予後指標を有害転帰への素因と関連付ける。例えば、いくつかの実施形態では、がん(例えば、子宮頸癌または子宮頸癌のサブタイプ)を有さない患者から得られた正常コントロール試料におけるものとは異なるメチル化状態は、統計的有意性のレベルによって判定した場合、対象が、コントロール試料におけるメチル化状態により類似したレベルを有する対象よりも、がんに罹患する可能性が高いことを示し得る。さらに、ベースライン(例えば、「正常」)レベルからのメチル化状態の変化は、対象の予後を反映し得、メチル化状態における変化の程度は、有害事象の重症度に関連し得る。統計的有意性は、2つ以上の母集団を比較して信頼区間及び/またはp値を決定することによって決定されることが多い。例えば、本明細書に参照によりその全容を援用するところのDowdy and Wearden,Statistics for Research, John Wiley & Sons,New York,1983を参照されたい。本主題の例示的な信頼区間は、90%、95%、97.5%、98%、99%、99.5%、99.9%及び99.99%であり、一方、例示的なp値は、0.1、0.05、0.025、0.02、0.01、0.005、0.001、及び0.0001である。
【0206】
他の実施形態では、本明細書に開示される予後または診断バイオマーカー(例えば、DMR)のメチル化状態における変化の閾値の程度を確立することができ、生体試料中のバイオマーカーのメチル化状態における変化の程度は、メチル化状態における変化の閾値の程度と単に比較される。本明細書で提供されるバイオマーカーのメチル化状態における好ましい閾値の変化は、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約50%、約75%、約100%、及び約150%である。さらに他の実施形態において、「計算図表」を確立することが可能であり、この計算図表によって、予後または診断指標(バイオマーカー、またはバイオマーカーの組み合わせ)のメチル化状態は、所与の転帰に対して関連した性質に直接に関係する。当業者は、このような計算図表の用途として、母集団の平均値ではなく、個々の試料測定値を反映するので、この測定値における不確かさがマーカー濃度における不確かさと同一であることを理解することと、2つの数値を関連させることを認知する。
【0207】
いくつかの実施形態では、コントロール試料は、生体試料(例えば、組織試料(例えば、子宮頸部試料)、血液試料、血漿試料、血清試料、全血試料、分泌物試料(例えば、子宮頸部分泌物、膣分泌物)、臓器分泌物試料、CSF試料、唾液試料、尿試料、または便試料)と同時に分析されることにより、その生体試料から得られた結果をコントロール試料から得られた結果と比較することができる。さらに、標準曲線を提供することができ、標準曲線と生体試料のアッセイ結果を比較することができることが企図される。そのような標準曲線は、アッセイ単位に応じたバイオマーカーのメチル化状態、例えば、蛍光標識が使用される場合、蛍光シグナル強度を提示する。複数のドナーから採取した試料を使用して、正常組織における1つ以上のバイオマーカーのコントロールメチル化状態について、及び特定の種類のがん(例えば、子宮頸癌または子宮頸癌のサブタイプ)または前がん(例えば、子宮頸癌前癌)を有するドナーから採取した血漿中の1つ以上のバイオマーカーの「リスクがある」レベルについて、標準曲線を得ることができる。本方法の特定の実施形態では、対象は、対象から得られた生体試料において、本明細書で提供される1つ以上のDMRの異常なメチル化状態が特定される場合に、がん(例えば、子宮頸癌または子宮頸癌のサブタイプ)または前がん(例えば、子宮頸癌前癌)を有するものと特定される。この方法の他の実施形態において、対象から得られた生物学的試料中にこれらのようなバイオマーカーのうちの1つ以上の異常なメチル化状態が検出された場合、対象はがん(例えば、子宮頸癌または子宮頸癌のサブタイプ)または前がん(例えば、子宮頸癌前癌)を有するものと特定される。
【0208】
マーカーの分析は、1つの試験試料内で追加のマーカーと別個にまたは同時に実施され得る。例えば、複数の試料の効率的な処理を行うために、またより高い診断及び/または予後精度を潜在的に提供するために、1つの試験にいくつかのマーカーを組み合わせることが可能である。さらに、当業者は、同じ対象からの複数の試料を(例えば、連続的な時点で)試験する価値を認識するであろう。このような連続した試料の試験により、経時的なマーカーのメチル化状態における変化の特定が可能である。メチル化状態における変化、及びメチル化状態における変化の非存在は、この事象の発生からのおよその時間、回収可能な組織の存在及び量、薬物療法の適合性、さまざまな療法の有効性、ならびに将来の事象のリスクを含む、対象の転帰の特定を明らかにすることを含むが、これに限定されない、疾患状態についての有用な情報を提供することが可能である。
【0209】
多様な物理的形式において、バイオマーカーの分析を実施することが可能である。例えば、マイクロタイタープレートまたは自動化の用途を用いて、多数の試験試料の処理を容易にすることが可能である。あるいは、単一の試料形式は、適時に、例えば、外来搬送または緊急救命室の状況において即時の治療及び診断を容易にするために開発され得る。
【0210】
いくつかの実施形態では、対象は、コントロールメチル化状態と比較した場合に試料中の少なくとも1つのバイオマーカーのメチル化状態に測定可能な差が存在する場合、子宮頸癌、子宮頸癌のサブタイプ、及び/または子宮頸癌前癌を有すると診断される。逆に、生体試料中のメチル化状態に変化がないと特定される場合、対象は、子宮頸癌、子宮頸癌のサブタイプ、及び/または子宮頸癌前癌を有していないか、がんまたは前がんのリスクがないか、またはがんまたは前がんのリスクが低いものとして特定することができる。これに関して、がんまたはそのリスクを有する対象は、がんまたはそのリスクが低い対象からそれらを実質的に有しない対象と区別され得る。子宮頸癌、子宮頸癌のサブタイプ、及び/または子宮頸癌前癌を発症するリスクを有する対象は、より集中的及び/または定期的なスクリーニングスケジュールに置くことができる。他方、リスクが低い対象から実質的にリスクを有しない対象は、将来のスクリーニング、例えば、本技術に従って実施されるスクリーニングによりがんのリスクがそれらの対象に現れたことが示されるまで、がんのリスクに関する追加試験(例えば、侵襲的手順)に供されるのを回避することができる。
【0211】
前述の通り、本技術の方法の実施形態に応じて、1つ以上のバイオマーカーのメチル化状態における変化を検出することは、定性的判定であり得るか、またはそれは定量的判定であり得る。したがって、対象を子宮頸癌または子宮頸癌サブタイプに罹患しているかまたは発症するリスクがあると診断するステップは、特定の閾値測定が行われることを示し、例えば、生体試料(例えば、組織試料(例えば、子宮頸部試料)、血液試料、血漿試料、血清試料、全血試料、分泌物試料(例えば、子宮頸部分泌物、膣分泌物)、臓器分泌物試料、CSF試料、唾液試料、尿試料、または便試料)中の1つ以上のバイオマーカーのメチル化状態が所定のコントロールメチル化状態から変化している。本方法のいくつかの実施形態では、コントロールメチル化状態は、バイオマーカーのいずれかの検出可能なメチル化状態である。コントロール試料が生体試料と同時に試験される方法の他の実施形態では、所定のメチル化状態は、コントロール試料におけるメチル化状態である。本方法の他の実施形態では、所定のメチル化状態は、標準曲線に基づいている、及び/または標準曲線によって特定される。本方法の他の実施形態では、所定のメチル化は、特異的な状態または状態の範囲である。したがって、所定のメチル化状態は、当業者には明らかとなる許容可能な限度内で、実施される方法の実施形態及び所望の特異性などに一部基づいて選択され得る。
【0212】
特定の実施形態では、本技術は、DMRを含む核酸を、メチル化特異的な形で核酸を修飾することができる試薬(例えば、メチル化感受性制限酵素、メチル化依存型制限酵素、及び亜硫酸水素塩試薬)(例えば、メチル化感受性制限酵素、メチル化依存型制限酵素、テン-イレブン転座(TET)酵素 (例えば、ヒトTET1、ヒトTET2、ヒトTET3、マウスTET1、マウスTET2、マウスTET3、ネグレリアTET(NgTET)、コプリノプシス・シネレア(CcTET))、またはそれらのバリアント)と反応させて、例えば、メチル化特異的な形で修飾された核酸を生成するステップ、メチル化特異的な形で修飾された核酸をシーケンシングし、メチル化特異的な形で修飾された核酸のヌクレオチド配列を得るステップ、メチル化特異的な形で修飾された核酸のヌクレオチド配列を、子宮頸癌または子宮頸癌のサブタイプを有さない対象からのDMRを含む核酸のヌクレオチド配列と比較して、2つの配列間の差を同定するステップ、ならびに差が存在する場合、対象が子宮頸癌または子宮頸癌のサブタイプを有するものと特定するステップを提供する。
【0213】
本技術はさらに組成物を提供する。特定の実施形態では、本技術は、DMRを含む核酸と、亜硫酸水素塩試薬とを含む組成物を提供する。特定の実施形態では、DMRを含む核酸と、配列番号1~76に記載の1つ以上のオリゴヌクレオチドとを含む組成物が提供される。特定の実施形態では、DMRを含む核酸と、メチル化感受性制限酵素とを含む組成物が提供される。特定の実施形態では、DMRを含む核酸と、ポリメラーゼとを含む組成物が提供される。
【0214】
本技術はさらにキットを提供する。キットは、本明細書に記載される組成物、デバイス、装置などの実施形態、及びキットの使用説明書を含む。このような使用説明書には、試料から検体を調製するための、例えば、試料(例えば、組織試料(例えば、子宮頸部試料)、血液試料、血漿試料、血清試料、全血試料、分泌物試料(例えば、子宮頸部分泌物、膣分泌物)、臓器分泌物試料、CSF試料、唾液試料、尿試料、または便試料)を採取し、試料から核酸を調製するための適切な方法が記載されている。いくつかの実施形態では、キットは、子宮頸部または子宮頸部近傍から試料(例えば、組織、分泌物、及び/または細胞)を得ることができる1つ以上の採取装置(例えば、タンポン(例えば、標準的なタンポン)、膣内に液体を放出して液体を再回収する洗浄器(例えば、Pantarheiスクリーナー)、子宮頸部ブラシ(例えば、膣に挿入して回転させることで細胞を採取するブラシ)、フルニエ子宮頸部自己採取装置(タンポン状のプラスチック製の棒)、または綿棒)を含む。キットの個々の構成要素は、適切な容器及び包装(例えば、バイアル、箱、ブリスターパック、アンプル、瓶、ボトル、チューブなど)に包装され、各構成要素は、キットのユーザーによる保管、輸送、及び/または使用に都合よいように適切な容器(例えば、1乃至複数の箱)に一緒に包装される。液体構成要素(例えば、緩衝液)は、ユーザーによって再構成される凍結乾燥形態で提供されてもよいことが理解される。キットには、キットの性能を評価、検証、及び/または保証するためのコントロールまたは参照が含まれてもよい。例えば、試料中に存在する核酸の量をアッセイするためのキットは、比較用の既知濃度の同じまたは別の核酸を含むコントロール、さらにいくつかの実施形態では、コントロール核酸に特異的な検出試薬(例えば、プライマー)を含むことができる。キットは、臨床現場での使用に、及びいくつかの実施形態では、ユーザーの自宅での使用に適している。キットの構成要素は、いくつかの実施形態では、試料から核酸溶液を調製するためのシステムの機能を提供する。いくつかの実施形態では、システムの特定の構成要素は、ユーザーによって提供される。
【0215】
特定の実施形態では、本技術は、組成物(例えば、反応混合物)の実施形態に関する。いくつかの実施形態では、DMRを含む核酸と、メチル化特異的な形でDNAを修飾することができる試薬(例えば、メチル化感受性制限酵素、メチル化依存型制限酵素、及び亜硫酸水素塩試薬)(例えば、メチル化感受性制限酵素、メチル化依存型制限酵素、テン-イレブン転座(TET)酵素 (例えば、ヒトTET1、ヒトTET2、ヒトTET3、マウスTET1、マウスTET2、マウスTET3、ネグレリアTET(NgTET)、コプリノプシス・シネレア(CcTET))、またはそれらのバリアント)、ボラン還元剤)とを含む組成物が提供される。いくつかの実施形態は、DMRを含む核酸と本明細書に記載のオリゴヌクレオチドとを含む組成物を提供する。いくつかの実施形態は、DMRを含む核酸とメチル化感受性制限酵素とを含む組成物を提供する。いくつかの実施形態は、DMRを含む核酸とポリメラーゼとを含む組成物を提供する。
【0216】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される技術は、本明細書に記載されるこれらの方法によって提供されるような、算術演算または論理演算の配列を実行するように設計される、プログラム可能なマシンと関連する。例えば、技術のいくつかの実施形態は、コンピュータソフトウェア及び/またはコンピュータハードウェアと関連する(例えば、これらに実装される)。一態様では、本技術は、メモリの形態、算術演算及び論理演算を実施するための要素、ならびにデータを読み取り、操作し、保存するための一連の命令(例えば、本明細書で提供される方法)を実行するための処理要素(例えば、マイクロプロセッサ)を含むコンピュータに関する。いくつかの実施形態では、マイクロプロセッサは、(例えば、1つ以上のDMR、例えば、表I、III、及びXに示されるDMR1~423の)メチル化状態を判定し、メチル化状態を比較し、標準曲線を生成し、Ct値を判定し、メチル化の割合、頻度、またはパーセンテージを算出し、CpGアイランドを同定し、アッセイまたはマーカーの特異性及び/または感度を判定し、ROC曲線及び関連するAUCを算出し、配列分析を行うためのシステムの一部であり、これらはいずれも本明細書に記載されるかあるいは当該技術分野では周知のものである。いくつかの実施形態では、マイクロプロセッサは、(例えば、1つ以上のDMR、例えば、表I、III、及びXに示されるDMR1~423の)メチル化状態を判定し、メチル化状態を比較し、標準曲線を生成し、Ct値を判定し、メチル化の割合、頻度、またはパーセンテージを算出し、CpGアイランドを同定し、アッセイまたはマーカーの特異性及び/または感度を判定し、ROC曲線及び関連するAUCを算出し、配列分析を行うためのシステムの一部であり、これらはいずれも本明細書に記載されるかあるいは当該技術分野では周知のものである。
【0217】
いくつかの実施形態では、ソフトウェアまたはハードウェアコンポーネントは、複数のアッセイの結果を受信し、複数のアッセイの結果に基づいてがんリスク(例えば、子宮頸癌または子宮頸癌のサブタイプ)または前がんリスク(例えば、子宮頸癌前癌)を示す単一の値の結果を判定しユーザーに報告する(例えば複数のDMR(例えば、表I、III、及びXに示される)のメチル化状態を判定する)。関連実施形態は、例えば、複数のアッセイ(例えば、表I、III、及びXに示される複数のDMRのメチル化状態を判定する)からの結果の数学的組み合わせ(例えば、重み付けされた組み合わせ、線形組み合わせ)に基づいてリスク因子を算出する。いくつかの実施形態では、DMRのメチル化状態は次元を規定し、かつ多次元空間における値を有する可能性があり、複数のDMRのメチル化状態によって規定される座標は、例えば、ユーザーに報告するための、例えば、がんリスクに関連する結果である。
【0218】
いくつかの実施形態において、本明細書に提供される科学技術は、協調して動作し、本明細書に記載されるような方法を実行する複数のプログラマブルデバイスと関連する。例えば、いくつかの実施形態において、複数のコンピュータ(例えば、ネットワークによって接続される)は、例えば、イーサネット、光ファイバなどの従来のネットワークインタフェースによって、または無線ネットワーク技術によって、ネットワーク(プライベート、パブリック、またはインターネット)に接続される完全なコンピュータ(オンボードCPU、ストレージ、電源、ネットワークインタフェースなど)に依存する、クラスタコンピュータまたはグリッドコンピューティングまたはいくつかの他の分散コンピュータアーキテクチャの実装において、並列して作動し、データを収集して処理することができる。
【0219】
例えば、いくつかの実施形態は、コンピュータ可読媒体を含むコンピュータを提供する。実施形態は、プロセッサに結合されるランダムアクセスメモリ(RAM)を含む。プロセッサは、メモリに格納されたコンピュータ実行可能プログラムインストラクションを実行する。これらのようなプロセッサは、マイクロプロセッサ、ASIC、ステートマシン、または他のプロセッサを含むことができ、Santa Clara、CaliforniaのIntel Corporation、Schaumburg、IllinoisのMotorola Corporationからのプロセッサなどの複数のコンピュータプロセッサのいずれかであることが可能である。これらのようなプロセッサは、コンピュータ可読媒体などの媒体を含む、または媒体と通信することができ、この媒体は、例えば、このプロセッサによって実行されるときに、プロセッサに本明細書に記載されるステップを実行させるインストラクションを格納する。
【0220】
コンピュータは、いくつかの実施形態においてネットワークに接続される。またコンピュータは、マウス、CDーROM、DVD、キーボード、ディスプレイ、または他の入力もしくは出力デバイスなどの、複数の外部または内部デバイスを含むことができる。コンピュータの例は、パーソナルコンピュータ、デジタルアシスタント、パーソナルデジタルアシスタント、セルラーホン、モバイルフォン、スマートフォン、ポケットベル、デジタルタブレット、ラップトップコンピュータ、インターネットアプライアンス、及び他のプロセッサベースのデバイスである。一般に、本明細書に提供される科学技術の態様に関連するこれらのコンピュータは、いずれかのタイプのプロセッサベースのプラットフォームであることができ、このプラットフォームは、Microsoft Windows、Linux、UNIX、Mac OS Xなどのいずれかのオペレーティングシステム上で動作し、本明細書に提供される科学技術を含む1つ以上のプログラムを支援することができる。いくつかの実施形態は、他のアプリケーションプログラム(例えば、アプリケーション)を実行するパーソナルコンピュータを含む。アプリケーションはメモリに格納することができ、これらとしては、例えば、ワードプロセッシングアプリケーション、スプレッドシートアプリケーション、電子メールアプリケーション、インスタントメッセンジャーアプリケーション、プレゼンテーションアプリケーション、インターネットブラウザアプリケーション、カレンダー/オーガナイザーアプリケーション、及びクライアントデバイスによって実行可能な任意の他のアプリケーションを挙げることができる。
【0221】
本技術に関連するものとして本明細書に記載されるそのようなすべてのコンポーネント、コンピュータ、及びシステムは、論理的または仮想的であり得る。
【0222】
特定の実施形態では、本技術は、対象から得られた試料中の子宮頸癌、子宮頸癌のサブタイプ、及び/または子宮頸癌前癌をスクリーニングするためのシステムを提供する。システムの例示的な実施形態には、例えば、対象から得られた試料(例えば、組織試料(例えば、子宮頸部試料)、血液試料、血漿試料、血清試料、全血試料、分泌物試料(例えば、子宮頸部分泌物、膣分泌物)、臓器分泌物試料、CSF試料、唾液試料、尿試料、または便試料)中の子宮頸癌または子宮頸癌サブタイプをスクリーニングするためのシステムであって、
試料中の1つ以上のメチル化されたマーカーのメチル化状態の決定の一方または両方を行うように構成された分析コンポーネントと、
試料中の1つ以上のメチル化されたマーカーのメチル化状態を、データベースに記録されたコントロール試料または参照試料と比較するように構成されたソフトウェアコンポーネントと、
がんに関連する状態をユーザーに警告するように構成された警告コンポーネントと、を含むシステムが含まれる。
【0223】
いくつかの実施形態では、警告は、複数のアッセイ(例えば、1つ以上のメチル化されたマーカーのメチル化状態を判定する)からの結果を受信し、複数の結果に基づいて報告される値または結果を計算するソフトウェアコンポーネントによって決定される。
【0224】
いくつかの実施形態は、値もしくは結果の算出及び/またはユーザー(例えば、医師、看護師、臨床医など)に報告する警告に使用するための、本明細書で提供される各メチル化マーカーと関連する重み付けパラメータのデータベースを提供する。いくつかの実施形態では、複数のアッセイからのすべての結果が報告される。いくつかの実施形態では、1つ以上の結果を使用して、対象のがんリスクを示す複数のアッセイからの1つ以上の結果の複合的結果に基づき、スコア、値、または結果を提供する。このような方法は、特定のメチル化マーカーに限定されない。
【0225】
このような方法及びシステムでは、1つ以上のメチル化マーカーは、表I、III、及びXに示されるDMR1~423からなる群から選択されるDMR中の塩基を含む。
【0226】
さまざまな実施形態のこの詳細な説明では、説明目的のために、開示される実施形態の完全な理解を提供するために、多くの具体的な詳細が述べられている。しかしながら、当業者は、これらのさまざまな実施形態がこれらの具体的な詳細があってもなくても実施され得ることを理解するであろう。他の場合では、構造及び機構は、ブロック図形式で示される。さらに、当業者は、方法が提示かつ実施される特定の順序は例示的なものであると容易に理解することができ、また、順序は変更することができるが、依然として本明細書に開示される様々な実施形態の趣旨及び範囲内であることが企図される。
【実施例】
【0227】
実施例I.
本実施例では、子宮頸癌を検出するためのメチル化DNAマーカー(MDM)のパネルの標的化アッセイの実現性を評価するために行った実験について説明する。
【0228】
試料調製、シーケンシング、分析パイプライン、及びフィルターの独自の方法体系を用いて、メチル化可変領域(DMR)を特定し、子宮頸癌を正確に示す、臨床試験環境において優れるDMRに絞り込んだ。組織ごとの分析により、320個の高メチル化された子宮頸癌(CC)のDMRが特定された(表I)。表IIは、表Iに記載されるマーカーについて、子宮頸癌組織と良性の子宮頸部組織の曲線下面積(AUC)、倍率変化、及びp値を示している。特定された320個の高メチル化CC DMRには、CCに特異的な領域及びCCサブタイプに特異的な領域が含まれていた。
【0229】
【0230】
【0231】
組織対白血球(バフィーコート)の分析により、WBC中のノイズが1%未満である41個の高メチル化された子宮頸部組織のDMRを得た(表III、表IV)。
【0232】
【0233】
【0234】
これらのマーカー群から、初期パイロットとして以下の29個の候補を選択した:MAX.chr6.58147682-58147771、C1ORF114、ASCL1、ARHGAP12、ZNF773、TTYH1、NEUROG3、ZNF781、NXPH1、MAX.chr9.36739811-36739868、NID2、TMEM200C、CRHR2、ABCB1、ZNF69、ATP10A、MAX.chr18.73167725-73167817、MAX.chr2.127783183-127783403、CACNA1C、ZNF382、BARHL1、MAX.chr4.8859853-8859939、ST8SIA1、MAX.chr1.98510958-98511049、C2ORF40、SLC9A3、PRDM12、HOPX_C、及びKCNQ5。定量的メチル化特異的PCRアッセイを開発し、独立した試料で試験を行った。短いアンプリコンプライマー(150bp未満)を、DMR内の最も判別性の高いCpGを標的とするように設計し、コントロールで試験して、完全にメチル化されたフラグメントが安定的かつ直線的に増幅され、非メチル化断片及び/または非変換断片は増幅されないようにした。60個のプライマー配列を表Vに示す。
【0235】
【0236】
29個のMDM(MAX.chr6.58147682-58147771、C1ORF114、ASCL1、ARHGAP12、ZNF773、TTYH1、NEUROG3、ZNF781、NXPH1、MAX.chr9.36739811-36739868、NID2、TMEM200C、CRHR2、ABCB1、ZNF69、ATP10A、MAX.chr18.73167725-73167817、MAX.chr2.127783183-127783403、CACNA1C、ZNF382、BARHL1、MAX.chr4.8859853-8859939、ST8SIA1、MAX.chr1.98510958-98511049、C2ORF40、SLC9A3、PRDM12、HOPX_C、及びKCNQ5)のそれぞれは、10個のMDMで曲線下面積(AUC)>0.90であり、CCを良性の頸膣部(BCV)組織から高度に判別した(表VI)。CC MDMはまた、上皮内腺癌(AIS)もBCVから高度に判別したが、子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)2/3及びCIN1ではうまく機能しなかった(表VI)。
【0237】
【0238】
過去の研究より、ある臓器内の各がんサブタイプのエピジェネティクスは異なっており、最良のパネルはサブタイプマーカーの組み合わせから導き出されることが認識されている。結果を表VIIに示す。各マーカーアッセイの判別強度を数値で示してある。多くのアッセイは、腺癌及び扁平上皮癌の両方を良性組織からほとんど完全に判別した。上皮内腺癌試料は、いくつかのマーカーアッセイによって、AUCが80台後半、CIN2/3が80台前半で検出された。がんに対するコントロールのメチル化FC(%)は2~340の範囲であった。
【0239】
【0240】
婦人科悪性腫瘍を判別するCC MDMアッセイの可能性を調べる実験も行った。タンポンを用いた臨床試験において重要となるアッセイの臓器部位特異性を評価した。表VIIIは、試験した異なるコホートにおける27個の選択されたMDMのメチル化率(%)を示している。27個のMDMは子宮頸癌コホートでは高度にメチル化されていたが、子宮内膜癌では一般に5%未満であった。
【0241】
【0242】
全メチロームシーケンシング、ストリンジェントなフィルタリング基準、及び生物学的検証により、子宮頸癌に対する優れた候補MDMが得られた。一部のMDMは比較的高い感度で両方のCC組織型を良性子宮頸部から判別するが、他のMDMはサブタイプに選択性を示している。
【0243】
試料:
組織及び血液を、施設のIRBの監視下でMayo Clinicの生物標本リポジトリより得た。試料を、対象研究承認及び組み入れ/除外基準に厳格に準拠して選択した。子宮頸部のサブタイプには、1)腺癌、及び2)扁平上皮癌が含まれた。コントロールには、良性の頸膣部(BCV)組織及び全血由来の白血球が含まれた。子宮内膜癌及びコントロールも実施した。組織をマクロ解剖し、専門の婦人科病理医が組織を精査した。試料は、年齢、性別を一致させ、ランダム化し、盲検化した。凍結組織113個(グレード1/2類内膜(G1/2E)16個、グレード3類内膜(G3E)16個、漿液性11個、明細胞EC11個、子宮癌肉腫15個、良性子宮内膜(BE)組織44個(増殖性14個、萎縮性12個、不整増殖18個)、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)子宮頸癌(CC)70個(扁平上皮細胞36個、腺癌34個)、及びがんのない女性から得た18個のバフィーコート由来のDNAを、QIAampDNA Tissue Miniキット(凍結組織)、QIAamp DNA FFPE組織キット(FFPE組織)、及びQIAamp DNA Blood Miniキット(バフィーコート試料)(Qiagen,Valencia CA)を使用して精製した。DNAをAMPure XPビーズ(Beckman-Coulter,Brea CA)で再精製し、PicoGreen(Thermo-Fisher,Waltham MA)で定量した。DNAの完全性を、qPCRを使用して評価した。
【0244】
シークエンシング:
RRBSシーケンシングライブラリーを、変更を加えたMeissnerプロトコル(Gu et al.Nature Protocols 2011)に従って調製した。各試料を、4プレックスフォーマットで加え合わせ、Mayo Genomics FacilityによりIllumina HiSeq 2500機器(Illumina,San Diego CA)でシーケンシングした。読み取り値は、画像分析及び塩基呼び出し用のIlluminaパイプラインモジュールによって処理した。二次分析を、Mayoが開発したバイオインフォマティクススイートであるSAAP-RRBSを使用して実施した。簡潔に述べると、Trim-Galoreを使用してリードをクリーンアップし、BSMAPで構築したGRCh37/hg19参照ゲノムにアラインメントさせた。カバレッジ10倍以上、塩基品質スコア20以上のCpGについて、C/(C+T)、または逆に、逆鎖へのリードマッピングの場合はG/(G+A)を算出することによりメチル化率を判定した。
【0245】
バイオマーカーの選択:
個々のCpGを、高メチル化率、すなわち、所与の遺伝子座における、その場所の総シトシン数に対するメチル化シトシンの数によってランク付けした。症例の場合、比率は≧0.20(20%);BCV組織コントロールの場合、≦0.05(5%);バフィーコートコントロールの場合、≦0.01(1%)である必要があった。これらの基準を満たさなかったCpGを廃棄した。続いて候補CpGを、ゲノム位置によって、1領域あたり5CpGの最小カットオフで約60~200bpの範囲のDMR(可変メチル化領域)にビニングした。検証段階におけるGC関連の増幅問題を回避するために、CpG密度が過度に高い(>30%)DMRを除外した。各候補領域について、症例とコントロールの両方について個々のCpGを試料ごとに比較する2Dマトリックスを作成した。すべての良性子宮内膜及び/または非がんバフィーコートに対するCC全体、ならびにサブタイプの比較を分析した。次いで、これらのCpGマトリックスを参照配列と比較して、ゲノム的に連続するメチル化部位が最初のフィルタリングの際に廃棄されたか否かを評価した。この領域のサブセットから、最終的な選択には、試料ごとのレベルで、DMR配列全体の個々のCpGの協調的かつ連続的な(症例における)高メチル化が必要であった。逆に、コントロール試料は、症例の少なくとも10分の1のメチル化が必要であり、CpGパターンはよりランダムで協調性が低くなければならなかった。サブタイプコホート内のがん試料の少なくとも10%は、DMR内の全てのCpG部位に少なくとも50%の高メチル化率を有している必要があった。
【0246】
別の分析では、独自のDMR同定パイプライン及び回帰パッケージを利用して、CpGの平均メチル化値に基づいてDMRを導出した。平均メチル化パーセンテージの差を、CC症例、組織コントロール、及びバフィーコートコントロールの間で比較し、マッピングしたCpGの各々の100塩基対内のタイル状に並べたリーディングフレームを使用して、コントロールのメチル化が5%未満のDMRを同定した。カバレッジ深度の合計が1対象あたり平均10リードであり、サブグループ間の分散が0を超える場合にのみDMRを分析した。生物学的に関連するオッズ比の増加が3倍を超え、かつカバレッジ深度が10リードであると仮定すると、有意水準5%の両側検定で80%の検出力を達成し、二項分散拡大係数(binomial variance inflation factor)を1と仮定するには、1群あたり18個以上の試料が必要であった。
【0247】
回帰後、DMRを、症例と全てのコントロールとの間のp値、受信者動作特性曲線下の面積(AUC)、及び倍率変化の差によってランク付けした。独立した検証を事前に計画していたことから、この段階において誤検出の調整は行わなかった。
【0248】
バイオマーカーの検証:
子宮頸癌のDMRのサブセットを、さらなる展開のために選択した。基準は主に、領域の判別可能性の性能評価を提供する、ロジスティックに導出された(logistic-derived)ROC曲線下面積尺度であった。症例とコントロール組織の比較カットオフとして、0.85のAUCを選択した。0.95を症例と血液の比較のカットオフとした。さらに、メチル化倍率変化率(平均がん高メチル化率/平均コントロール高メチル化率)を算出し、組織対組織の比較には下限20を使用し、組織対バフィーコートの比較には下限50を使用した。P値はそれぞれ0.05及び/または0.001未満である必要があった。DMRは、平均及び個別のCpG選択プロセスの両方に記載しなければならなかった。定量的メチル化特異的PCR(qMSP)プライマーを、MethPrimer (Li LC and Dahiya R.Bioinformatics 2002 Nov;18(11):1427-31を参照)を使用して候補領域用に設計し、20ng(6250当量)の陽性及び陰性のゲノムメチル化コントロールをQC検査した。最適な判別のために、複数のアニーリング温度を試験した。検証は、独立した組織試料の同等のセットに対してqMSPによって行った。追加のコホートには、上皮内腺癌(AIS)及び子宮頸部上皮内腫瘍(CIN1-3)が含まれた。患者の人口統計を表IXに示す。
【0249】
【0250】
これらの組織を、専門家の臨床的及び病理学的精査により、前と同様に同定した。DNA精製を前述のように実施した。バイサルファイト変換ステップには、EZ-96 DNA Methylationキット(Zymo Research,Irvine CA)を使用した。Roche 480 LightCycler(Roche,Basel Switzerland)でSYBR Green検出を使用して、10ngの変換したDNA(マーカーあたり)を増幅した。連続希釈したユニバーサルメチル化ゲノムDNA(Zymo Research)を定量標準として使用した。CpGに依存しないACTB(β-アクチン)アッセイをインプット参照及び正規化コントロールとして使用した。結果を、メチル化されたコピー(特異的マーカー)/ACTBのコピーとして表した。
【0251】
統計学:
結果を、個々のMDM(メチル化DNAマーカー)の性能についてロジスティックに分析した。マーカーの組み合わせについては、ランダムフォレスト回帰(rForest)を使用して、元のデータのブートストラップ試料(トレーニング用のデータのおよそ2/3)に適合する500個の個別のモデルを生成して、MDMパネル全体の交差検証誤差(試験用のデータの1/3)を推定し、これを、真の交差検定尺度を過小評価または過大評価する偽のスプリット(spurious split)を回避するため500回繰り返した。次いで、500回の繰り返しにわたって結果を平均した。
【0252】
実施例II.
本実施例では、子宮頸癌を子宮内膜癌及び卵巣癌から判別できるメチル化マーカーの特定について説明する。
【0253】
3つの婦人科癌(子宮頸癌、子宮内膜癌、卵巣癌など)とそのそれぞれのサブタイプ間の臓器特異的な過剰メチル化領域を明らかにすることを目的として、これらのがんの固有の以前に生成、検証、開示された組織RRBS(縮小表示亜硫酸水素塩シーケンス)データセットを結合または統合する実験を行った。3つの試験すべてに共通するCpGのみを分析した。領域には、センス鎖またはアンチセンス鎖のいずれかに少なくとも6個の連続したCpGが含まれている必要があった。発見試料には、子宮頸部腺癌34個、子宮頸部扁平上皮癌36個、グレード1または2の子宮類内膜癌15個、グレード3の子宮類内膜癌16個、漿液性子宮癌11個及び明細胞子宮癌11個、子宮癌肉腫15個、ならびに漿液性卵巣癌18個、明細胞卵巣癌15個、粘液性卵巣癌6個、類内膜性卵巣癌18個が含まれた。良性のコントロールには、子宮頸部膣試料18個、子宮内膜組織44個(増殖性14個、萎縮性12個、不整増殖18個、分泌性10個)、卵管試料20個、及び非がん性バフィーコートまたは末梢血白血球試料36個が含まれた。
【0254】
この応用のため、子宮頸癌(腺癌及び扁平上皮細胞の各種がんの両方)に特異的なマーカーに着目した実験を行った。最初のステップとして、良性の子宮頸膣細胞及び組織では、可変メチル化のすべての領域のバックグラウンドまたはノイズは極めて低い(<1%)必要があった。この組織タイプ由来のDNAは、タンポン上に見出される核酸の中で群を抜いて最も高い割合を占める。第二に、炎症からの潜在的なシグナルを回避するため、白血球DNA内のメチル化が1%未満である領域を除外した。残りのCpGを用いて子宮頸癌と子宮内膜癌及び卵巣癌とを総合的に比較した。腺癌と扁平上皮癌を別々に分析した。以下の3つの指標を評価した:1)子宮頸癌のメチル化と子宮内膜癌及び卵巣癌のメチル化との比、2)子宮頸癌試料で観察された高メチル化の強度、頻度、及び連続性(読み取りレベル)、及び3)子宮頸癌の絶対メチル化率。1番目については、CC/EC>20及びCC/OC>50のカットオフ値を用いた。これらの値は、DMR候補の数を数千から数百に減らすために経験的に選択されたものである。3番目については、20%未満のカットオフ値を使用した。これにより候補の数は100を下回った。2番目の指標に関しては、スコアリングシステムを用いてDMR全体にわたって一致する高メチル化を特定した。確率的に不一致なCpGメチル化を有する領域は除外した。この分析の結果、表Xに示す64個のDMRパネルが特定された。表XIは、表Xに記載されるマーカーについて、子宮頸癌のメチル化と子宮内膜癌、卵巣癌、及び白血球(バフィーコート)のメチル化との比を示す。
【0255】
【0256】
【0257】
これらの中から、DNA量の制限のため、qMSP(定量的メチル化特異的PCR)アッセイに変換して独立した試料セットで検証するために以下の8つのDMR、すなわち、AK5、RABC3、ZNF491、ZNF610、ZNF91、ZNF480、TRPC3_B、及びELMOD1を選択した。8つのDMR(AK5、RABC3、ZNF491、ZNF610、ZNF91、ZNF480、TRPC3_B、及びELMOD1)に対するプライマー配列を表XIIに示す。
【0258】
【0259】
試料には、子宮頸部腺癌38個、子宮頸部扁平上皮癌36個、グレード1または2の子宮類内膜癌18個、グレード3の子宮類内膜癌24個、漿液性子宮癌16個及び明細胞子宮癌7個、子宮癌肉腫18個、ならびに漿液性卵巣癌36個、明細胞卵巣癌21個、粘液性卵巣癌4個、類内膜性卵巣癌21個が含まれた。良性のコントロールには、子宮頸部膣試料29個、子宮内膜組織14個(増殖性8個、萎縮性2個、不整増殖3個、分泌性1個)、及び卵管試料29個が含まれた。総合的な子宮頸癌を、総合的な子宮内膜癌及び卵巣癌とロジスティック的に比較した。
【0260】
個々のMDM(メチル化DNAマーカー)の成績は、98%の特異性での感度30%~99%の特異性での感度73%の範囲であった。2~3個のMDMのパネルは補完的であった。例えば、AK5とRABC3とを組み合わせると98%の特異性で感度80%であった。したがって、マーカーの組み合わせにより、特定の子宮頸癌メチル化が4/5の確率で検出され、偽陽性率は2%であった。
【0261】
結論として、これら8個のMDM(AK5、RABC3、ZNF491、ZNF610、ZNF91、ZNF480、TRPC3_B、及びELMOD1)と残りの56個のDMRは、腺癌サブタイプか扁平上皮サブタイプかにかかわらず、他の2つの婦人科臓器癌と異なる子宮頸癌の存在を高精度で示すことができる。
【0262】
上記明細書に引用したすべての刊行物及び特許は、あらゆる目的においてそれらの全体を参照により本明細書に援用する。記載される技術の組成、方法、及び用途のさまざまな改変形態ならびに変形形態は、記載される技術の範囲及び趣旨から逸脱することなく当業者には自明であろう。かかる技術を特定の例示的な実施形態に関連して記載したが、特許請求される本発明は、そのような特定の実施形態に不要に限定されるべきではないことを理解されたい。実際、薬理学、生化学、医学、または関連分野における当業者には明らかである、本発明を実施するための記載された態様のさまざまな改変形態は、添付の特許請求の範囲内にあることが意図される。
【配列表】
【国際調査報告】